3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/08(火) 21:39:30.61 ID:2bCQac2f0
「く……」
眠気ほど抗い難い欲求はないだろう、と僕は思う。
人は一カ月食べずとも水さえあれば生きられるらしい。『お腹がすいた』という欲求は人にもよるがある程度は我慢出来る類のものだろう。性欲に関しては諸説あるだろうが、最悪、無くなっても死ぬことはない。
だが睡眠欲だけは別だ。奴は意識そのものをジャックしてくる。現時点で僕の視界は三重くらいに歪み、意識は夢うつつで覚束ない。
駄目だ。寝るのだけは駄目だ。社会人になってまで不真面目の極みなんて言われてたまるか。僕はこの職場で社会人としての矜持と誇りを以て燦然たる未来を未だ純白の僕と言うパレットに七色の筆で十二の聖なる宮殿を――――。
「ていっ」
「痛っ!?」
手の甲にシャーペンを刺しながら睡魔と戦う僕の額に消しゴムが直撃した。投擲手は目の前の机に座る同僚・秋月律子。
いきなりの覚醒に呆然としている僕を、修羅の如き眼で睨んでいる。
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