過去ログ - モバP「逃げ切って、最果てを」飛鳥「一緒にね」
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/27(日) 20:33:07.67 ID:+x4vWIZD0

 とかく、実際問題元気はでた。となれば仕事である。
 担当アイドルで、一番好きなアイドルで、俺のアイドル(自称)であるところの二宮飛鳥を、一刻も早く、一人でも多くの人に布教させるのが俺の仕事だ。というか、俺のしたい事だ。
 価値観の押し付けは、愚かしい事だ。
 とか、なんとか、飛鳥に言われた記憶がないでもないが、人間同士どうしたって理解しあえないのならば、できることをするのがきっと正しい。正しくなくともそうしたい。

「そうしていつか、俺のアイドルを皆のアイドルにしたいと、俺は常々思うんですよね」

「それはすごく立派ですね、流石です、プロデューサーさん」

 ちひろさんに褒められた、ちょっと嬉しい。

「でもですね」

「なんです?」

「自分の机のまわりを飛鳥ちゃんグッズで固めるのはいかがなものかと」

 なにを言うのだろうか。

「ちひろさんともあろう人が、またまたー」

「いや、そんな『御冗談を』みたいな反応されても困りますよ!? いや、ホントにやめたほうがいいと思うんですよ。なんですかその机、ポスターから写真から、机の元の素材見える隙間ないくらい二宮飛鳥に染められてるじゃないですか!」

「市販のものだけではない! なんと個人的に撮影した写真もありますよ! ほら! これとかも可愛い! 寝顔とかたぶん見れるの俺だけ! いやぁ、この前車で送迎中に寝ててですね! すごいでしょう!?」

「なんで自慢げなんですか!? 担当アイドルを好きなのはいいですけれど、いや、立派ですけれど、でもやっぱり飛鳥ちゃんの心象というか、ドが過ぎているというか、そういうのもですねぇ……」

「だって飛鳥のこと好きなんですもん、しかたないじゃないですか」

「周りの目とか、ちょっとは気にしましょうよ。最近他のプロデューサーさんからちょっと異常なのでは? って目で見られだしてますよ?」

「異常であることは認めますけれど、好きなものはしょうがないです」

 頭を抱えだすちひろさん。
 いや、自覚はあるのだ。我ながら中学生相手に本気で恋愛感情を抱くとても気持ちの悪い成人男性だという自覚は、確かにある。
 でもほら、理解できても、納得できても、だからといってそれが解決に繋がるのかと言われれば否なわけで、でも心配されるまでもなく、決して手を出したり、うっかり相手の前でそんなことは言わないようにという線引きは持っているつもりである。
 俺は飛鳥が好きだが、それ以上に飛鳥を好きになってもらいたいのだ。
 そして付け加えるならば、現実的問題として、俺がなにかしらアプローチをかけたならそれは『犯罪』の臭いすらしだしそうだし、もっと前提的なところで、飛鳥がそれを受け入れてくれるわけはないことは理解できているわけで。

「ですから、ほら、大丈夫ですよちひろさん。俺はきちんと仕事をこなしますし、飛鳥をトップアイドルにしてみせます。飛鳥を俺の気持ちには気がつかせませんし、俺は結果飛鳥を皆に好きになってもらえます、完璧! 最高! これ以上はないですよ! ひゃっほう! やっばい! 想像するだけで楽しい!」

「うわぁ……、素晴らしい事ですけれど、うわぁ……――あ、飛鳥ちゃん来ましたね」

 あ、本当だ、今日も今日とて可愛いな、もう。わっほい、いやっほい。

「――おはよう、飛鳥。今日はこの後営業があるから準備はしといてな、俺がこの仕事片づけたらすぐ向うから」

「おはよう。わかったよ、それじゃあ向こうで座っているから」

(この切り替えの早さだけは、毎度すごいと思わざるをえないんですよねぇ……この人、ほんとよくからないわ……。飛鳥ちゃんの前では基本的に変なテンションになったりもしないし)

「よし、終わり! っし、おーい飛鳥、行くぞー」

「はやい!? 書類の束が一瞬で!?」

 なにやらぶつぶつと呟いているちひろさんをよそに、飛鳥へと声をかけつつ、スーツの上着をきっちり着て、出かける準備を終わらせる。机に開いてある送迎用の車のキーを回収して玄関で飛鳥を待つ。
 数秒で、飛鳥も旬日は済ませていたようで、すぐに玄関まで歩いてきた。

「準備はできたよ、さぁ行こうか」

 笑いかけられた笑顔に、思わず表情が緩む。やはり俺のアイドル――もとい、俺の担当アイドルはとても魅力的だ。今日も一日、約束のためにがんばろう。あの日、ついてきてくれると言った彼女に、俺は約束したのだから、そしてつい数日前にも、また一つや約束をしてたのだから。

「おう、それじゃあ今日一歩前進と行こうか、逃げ切るんだもんな最果て(トップアイドル)まで」

「うん、一緒にね」

 ――きっといつか、必ず皆のアイドルに。



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