過去ログ - 安部菜々「やさしい魔法の記念日」
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1: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:15:08.56 ID:28IdMBF5o
きっと嘘なんてそう、意味をもたないの。
たまに悔やんだりしてる、そんなRoling days。
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2: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:17:13.52 ID:28IdMBF5o
灰色の空の下。女の子三人。
「朝起きた時はそうなるかと思いましたけど、降り止んでよかったです」
「そうだね。せっかく夕方までオフなのに、傘片手に歩くのはちょっともったいないし」
3: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:23:31.54 ID:28IdMBF5o
「でも、こうやってカメラもマイクも無しで遊園地に来るなんて、久しぶりですね」
「ナナちゃんもですか? 私も、オフにこういうとこに来る機会ってあんまり無くて」
「確かに、藍子は静かな雰囲気の場所でのんびり過ごしてるイメージかな」
4: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:26:34.00 ID:28IdMBF5o
「……未央、大丈夫かな」
お会計をしながら、凛ちゃんはぼんやりとそう呟いた。
未央ちゃんといるのは……楓さんと、智絵里ちゃんだっけ。
5: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:27:34.14 ID:28IdMBF5o
空には相変わらず、黒い雲が広がっていた。
日光が無い分、普段よりも少し涼しい気がする。
「菜々ちゃん、この後何か乗りたいものとかありますか?」
6: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:30:54.91 ID:28IdMBF5o
「じゃあ、それ以外で適当に回ろうか。藍子は、絶叫マシン得意な方?」
「そうですね。あまり激しいものじゃなければ好きですよ?」
「ナナもコースター系なら大丈夫なので、その辺りから行きますか」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/15(木) 15:42:07.39 ID:uslmfd+p0
期待
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/15(木) 15:45:07.71 ID:gef28JGgo
森久保……
9: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 15:50:26.92 ID:28IdMBF5o
……数時間後。
「菜々ちゃん、大丈夫ですか?」
「あはは、運動するわけじゃないですからね。結構楽しんでますよ?」
10: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 16:05:22.00 ID:28IdMBF5o
「少し休みましょうか? ここ、カフェみたいですし」
藍子ちゃんは、独特の空気を持っている子だ。
気がつけばみんな、彼女のゆるやかな雰囲気に飲み込まれている。
11: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 17:38:32.52 ID:28IdMBF5o
オススメのケーキセットと、ミルクティー。
「菜々ちゃんは、ウサミン星人なんですよね?」
「え……まあ、はい。そうですよ?」
12: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 18:05:56.18 ID:28IdMBF5o
「加奈ちゃんや夕美ちゃんが、菜々ちゃんはすごいよって言ってたんです。
だから今回一緒にお仕事できて、とっても嬉しいなって」
「そ、そんなことないですよ。ナナなんて、まだまだ大したことなくて」
13: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 18:36:46.84 ID:28IdMBF5o
「……それで、そこの公園の通りに、おいしいパン屋さんがあって」
「ひょっとして、あのメロンパンで有名なとこ? 配達の手伝いするとき、たまに見るけど」
「さすがにパンは専門外ですね……みちるちゃんが詳しいと思いますよ?」
14: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 18:45:19.43 ID:28IdMBF5o
「藍子と一緒だと、なんだか調子が狂うんだよね……不思議と、悪い感じはしないんだけど」
「ごめんなさい……自覚が無いから、調整とかできなくて」
……うちの事務所、実は超能力集団だったりするのかな。
15: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 18:49:45.81 ID:28IdMBF5o
先に準備に行ってるので、ゆっくり回ってきてください。
そう言って卯月ちゃん達と合流しに向かった藍子ちゃんと別れて、二人きり。
「凛ちゃんも、先に行っててよかったんですよ? ナナのわがままですし」
16: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 19:03:12.47 ID:28IdMBF5o
ゴンドラに乗って、少しずつ上へ、上へ。
雲の切れ間から差し込む赤が、辺りの景色を照らしていた。
「好きなの? 観覧車」
17: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 19:16:24.30 ID:28IdMBF5o
「菜々さんは、すごいよね」
「……え?」
ゴンドラの中に、視界を戻す。
18: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 19:25:01.83 ID:28IdMBF5o
悔しい気持ちは、もちろんある。もう少しで手が届く高さまで飛べたから、なおさら。
でも。
「私はね。シンデレラガールは、終わりじゃないと思ってるんだ」
19: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 19:30:20.26 ID:28IdMBF5o
「すみません〜! 思ったよりも、時間がかかっちゃって……あれ?」
凛ちゃんと一緒に控室に駆け込むと、室内にはちひろさんしか居なかった。
「あれ……ちひろさん、卯月ちゃん達はどこに……?」
20: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 19:34:22.21 ID:28IdMBF5o
「ふふっ。ひょっとして菜々さん、忙しすぎて今日が何の日かも忘れちゃった?」
「何の日、って……」
今日は……五月十五日、木曜日。
21: ◆0vdZGajKfqPb[saga]
2014/05/15(木) 19:36:54.61 ID:28IdMBF5o
ドレスを纏って、ステージに立つ。
凛ちゃんと笑っていた藍子ちゃんが、こちらに小さく手を振ってくれた。
客席にいるのは、私が今までお世話になった人達で。
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