11: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/07/14(月) 19:38:41.32 ID:tzQxSdFRo
珍しく真剣な顔。
なんだろう、なにを言われるんだろう。
なにかしてしまっただろうか。失敗しただろうか。
長い間の癖かどうか。目上の人間にこういう風に呼び出され、
後ろをついてい歩いているとすぐに不安に駆られる。
――だから私は人形なんだ。
自分の中で声が聞こえた。
当たり障り無い様に、怒らせないように、
傷つかないように、恐る恐るの生き方。
自分の意思が無いお人形さん。
「さて……」
広い会議室、多くの椅子と机。
向かい合う私とプロデューサー。
あまり見ない真剣な表情で見つめられると、怖くなる。
「なぁ、お前アイドル楽しいか?」
私の心中を知ってか知らずか。
口からでた言葉は思ってたのとは全然違った。
「お前は、なんだかいつも追い詰められた様な顔をしてる」
心配そうな声で、顔は真剣で。
「困った事があるなら言ってくれ。思ったことは溜めないで欲しい」
フラッシュバックする。嫌な光景が。
私の中、ぐずぐずと腐り落ちた、捨てたはずの記憶が。
「俺を、もう少し信じて欲しい」
優しい声。暖かい声。包むような声。
安心させる台詞、縋りたくなる台詞。
やっぱり見透かされていたんだ。
「信じる……なんて、無理です」
私は、言った。自分から正面を向いて。
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