8: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/07/14(月) 18:48:42.95 ID:tzQxSdFRo
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事務所につき、プロデューサーは「じゃあまた」と軽く言って
事務室に戻っていった。私は特にやることもなく。
かといってまだ寮に戻るつもりもなくて、なんとなく談話室に向かった。
「お疲れ様です」
いつも何人かのアイドルが楽しそうに談笑している
そこの扉をあけると、珍しく誰もいなかった。
エアコンの僅かな音だけが聞こえる部屋で、
静かだから本でも読んでいようかなどと考えていると。
「んっ……すー……」
ソファの方から、小さな声がした。
見れば、年上だけど年下にしか見えないアイドルが
頭の下に汚れたピンクのぬいぐるみを敷いて寝ていた。
背もたれの方を向いているから、顔は見えないけれど。
「……」
双葉杏。彼女の名前。
決して仲良くはないし、話したことも数えるほど。
ただ、なぜか不思議と彼女には似たようなものを感じることがある。
後ろ暗い、仄暗い、嫌な思い出。過去。
その匂いがするからだろうか。
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