過去ログ - あずさ父「娘はアイドル」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 22:54:58.62 ID:rwKse1D30

 いよいよ、アリーナの中へ入る。一瞬薄暗くなったので目がそれに慣れるまではとにかく暗いアリーナの中も、徐々に明るく見えるようになってくる。
 
「おお……これは」

 思っていたよりも何倍も広い会場は、そのほとんどが埋まっているように見えた。
 ちらほら見える鮮やかな色のペンライト、ステージと、会場の天井から吊るされたモニターに映る765プロのエンジェルマーク、それに会場のざわめき。
 そのすべてが私の体験したことが無い物だった。

「私達は、前の方ね」

 薄暗い階段を注意しながら下りていくと、横目に見えた男性2人と一瞬目が合う。
 萩原雪歩と、水瀬伊織の父親だ。
 ライブ会場で会うのは初めてだったが、それでもいつも通りの服装なのが2人らしかったので、目礼をしてそのまま通り過ぎる。
 
「おっ、三浦さん来ましたねぇ」
「お久しぶりです。ほら、菊地さんの所の奥様と旦那さん」
「ああ、どうも」

見るからに体育会系、私から見てもいい男と言った感じの男性は、立ち上がるなり私の手を握り締める。

「これはこれは、あずさちゃんのお父さんと聞くからどんな方かと思いました。ああ、失礼、私が菊地真の父親、菊地真一ですっ!」

 元気がいいところも、顔立ちも、立ち居振る舞いも何となく娘さんにそっくりだなと思いながら、私は挨拶を済ませる。
 既に妻は、この辺りのご両親とはご挨拶済みなのか、和気藹々とした雰囲気だった。

「……凄いもんだな」
「ええ、あなたは初めて見に来たから……でもね、昔はもっと小さな会場だったわ」
「……成長、か」

 私は、その過程を見てこなかった。それは私の勝手な意地だったのかもしれない。
 あずさにアイドルなんか勤まるはずが無い、もっと確実な道があるはずだ、と。



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