過去ログ - 傭兵「この世でお前が一番大事」僧侶「じゃありま……えっ?」
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13: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:13:21.91 ID:+2GrLTUD0

 傭兵さんならば――わたしたち人類ならば、きっと団結して力を合わせ、なんとかできる。そう信じています。信じてはいますが……。

僧侶「それでもやっぱり、空恐ろしくもなりますね」

以下略



14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:14:26.38 ID:+2GrLTUD0

僧侶「一服ですか」

傭兵「……まぁな」

以下略



15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:15:07.05 ID:+2GrLTUD0

 飄々とした調子で答えました。傭兵さんはあからさまにいやそうな顔をしています。
 そんなはっきりとした顔をされると、いくらわたしでも傷つきます。それが顔に出たのか、傭兵さんはばつが悪そうな顔をしましたが、ぐっと堪えて一言、

傭兵「……これは俺の珈琲だ。飲みたきゃ自分で入れろや」
以下略



16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:16:43.08 ID:+2GrLTUD0

 舌の付け根に思い切り直撃。衝撃でコップを取り落として、中身が左手にかかります。

僧侶「あちゃ! うぇ、あ、っつ、ぅ、ううう……!」

以下略



17: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:17:30.81 ID:+2GrLTUD0

* * *

 寝られませんでした。

以下略



18: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:18:21.90 ID:+2GrLTUD0

 いえいえ違いますともそんなことはないのです。だってわたし、あの人のこと好きじゃないですし。本当ですよ? 本当ですって。いや、嘘ついてないです。ほんとほんと。

 だって考えてみてくださいよ。あんなお金にがめつくて、お金のためなら何だってするような人、普通に考えて恋愛の対象になりますかって話ですよ。
 ならないでしょ?
以下略



19: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:19:10.06 ID:+2GrLTUD0

 そりゃ恩は沢山ありますよ。付き合いが長いとはいえませんけど、短い中でも濃密な仲、ですからね。助けてもらったことは数知れません。いまのわたしがいるのはあの人のおかげと言っても過言じゃないです。
 あの人は強い人です。肉体的にとか、戦闘能力がとかじゃなくて、人間として。折れない信念を持っています。
 間違ったことでも、信念のためなら貫き通せるほどの強さ。それは危うさと表裏一体で、周囲にとっても、そしてあの人自身にとっても、ぎらりと鋭く輝く刃。

以下略



20: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:20:08.91 ID:+2GrLTUD0

 これでわかってもらえたでしょうか。わたしにとって「傭兵さん」とは好悪の対象ではないのです。もっと、こう、なんというのでしょうか。最低最悪な守銭奴なのです。

 そしてちょっぴり尊敬もしているのです。
 ほんのちょっぴり。
以下略



21: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:20:57.81 ID:+2GrLTUD0

 結婚なんかしたらもっとですよ。あんな守銭奴の下で奥さんなんてやってらんないですよ。絶対財布の紐はあの人が握るでしょうね。家計簿とか絶対きっちりつけるタイプに違いありません。

 そのくせ家には殆ど帰らなくて戦場にでずっぱりで、でなくとも書類に向き合ってて、家族のこともたまには省みてよって思うんですけど、でもあの人が世界平和のためにやってるってのは痛いほどわかっているから何も言えなくて。
 あの人のために何かしてあげたいけど弱くてなにもできない自分に嫌気が差して、事務仕事とか手伝ったりもするけど、本当は戦場で隣に立ってたいくせにそんなこと言えるはずもないし。
以下略



22: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:21:36.84 ID:+2GrLTUD0

僧侶「……」

 死にたい。

以下略



23: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/17(水) 02:22:23.44 ID:+2GrLTUD0

 窓を開けても風は流れてきませんでした。手を差し出せばそよ風が感じられるので、窓の向きが悪いのでしょう。
 時刻は深夜一時を回ろうとしているところ。もしかしたら酒盛りをしている兵隊さんたちがいるかもしれませんが、ばったりと傭兵さんに出会うことは、少ないはず。

 そよ風に当たるために廊下へと出ました。
以下略



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