過去ログ - ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第二幕
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13: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2014/09/24(水) 23:02:06.79 ID:5XhV8xEEo






少年は、やけに勢いづいて出ていくレンジャーの後ろ姿を、黙って見送っていた。

大声を出して気合を入れている。


もうずっと、首の後ろのあたりがちりちりしている。

後悔と罪悪感で頭がおかしくなりそうだった。

あらん限りの勇気を振り絞って、あの図体の大きな餓鬼大将に『返せ』と言いに行ったのに。


あいつは涼しい顔をして、『知らない』と言ったのだった。

問い詰めると、『勝手にいなくなった』と答えが変わった。

自分のいないところで、『弱っちいから森に捨てた』と吹聴しているのを聞いた。


自分はトレーナー失格だ、と少年は思う。

やはり、なにを置いても相棒を奪われることだけは、許すべきではなかったのだ。

見詰めていた自動ドアが閉まる。

レンジャーの後ろ姿が見えている。

ひょっとして、あのレンジャーにも尋ねてみた方がよかったのだろうか。

そう思いながら、今度は自分の抱えた荷物に目を落とす。

かばんの中には、自分がいわば“見捨てた”ポケモンの行方を尋ねるチラシが入っている。

これから掲示を頼む予定だった。

センターには、色褪せた同じようなポスターが掲示されていたからだ。


母親の言うことももっともだった。

チラシがあればポケモンが見つかる、帰ってくる、という保証はない。

それでも、渋る母親を説得して、ようやく手に入れたチャンスだった。

少年はかばんを開け、中身を取り出す。

溜息が出る。


お世辞にも上手い絵ではないが、描いた少年自身、それはいやというほどよくわかっている。

その拙いコマタナの似顔絵を見つめ、少年はもう一度、大きな溜息をつく。




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