過去ログ - Viper「無限の資質」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/09(木) 21:44:19.41 ID:2ge1itV00
地の文。短い。捏造。

以上がOKで、お暇な方。お付き合いしていただければ。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/09(木) 21:45:10.72 ID:Z+0lO1QBO
vipperじゃなくて?


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 21:46:13.16 ID:2ge1itV00
Omega「あー! あー、あー、オイおっさん、何してんだよ!」

Viper「だぁはははははっ!!」

脚立のてっぺんに跨った中年は、片手に酒瓶、片手にピンク色の塗料をたっぷり含ませた刷毛を持って馬鹿笑いを上げている。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 21:50:37.41 ID:2ge1itV00
Omega「馬っ鹿じゃねぇの! どうせ引退だろ、落書きならてめぇの機体にやれよ!」

Viper「なぁんだよ、お前も言ってたじゃねぇか。取り憑かれそうで気味が悪ぃってよ」

彼が脚立を立てているのは、引退を控えた彼自身のカスタム機ではなく、昨今、活躍著しい期待の新人の機体の近く。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 21:59:27.28 ID:2ge1itV00
指揮官であるとともに自分達が務める民間軍事企業の社長であるグッドフェローが国連に呼び出されてしまったため、少々ささやかになってしまった同僚の引退会。
それなりの盛り上がりを見せたその会は、その盛り上がり具合にふさわしい程度の酔っ払いを出し、加えて民間軍事企業に勤める傭兵連中の常なのだろうか、連中からはチームワークだとか責任感だとかそういった社会性モラルがいささか欠けているらしかった。
まあ、実入りが歩合制ともなればある程度は仕方がないとは思う面もあるがそれはそれ。
つまりは後片付けなんか全く手を付けずにそのまま解散の流れとなった。

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:02:43.84 ID:2ge1itV00
金にがめつい我らが社長だ、我が社の所有財産に部外者の指の一本も触れさせまじ、と、当然セキュリティにも力を入れている。
それが反応したような感じでもないし、ならばコソ泥と言うこともあるまいが、と、念のために覗いてみれば、そこにはいささか社会性が欠けている方の傭兵であるらしい、今日の飲み会の主賓であったエースパイロット様が鉄のキャンバスに彼自身の独特の感性を塗りたくっていたという次第だ。


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/10/09(木) 22:02:44.07 ID:hGfReE9T0
インフィニティか。期待。


8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:07:30.77 ID:2ge1itV00
Omega「それ、落としとけよ。いくらあのルーキーでも怒るぜ、それは」

Viper「怒りゃぁしねぇよ、アイツは。偉大なる先輩様の置き土産だぞ。きっと喜ぶって」

その言い分に思わず呆れのため息が漏れる。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:13:31.64 ID:2ge1itV00
まあ、確かにいささか気味は悪い。
髑髏が布をほっかむり、あまつさえ見ているこちらに突きつけるかのように、その白骨の拳で大鎌を握る死神。
ノーズアートの特性上、仕方がないのだろうが、少々デフォルメされたその顔は、口角を捻り上げてニタリと笑っているようにも見えて尚更不気味さを増長させている。

正直、今のように既に日が落ちた時間帯に、こんなだだっ広くて、かつ、音の乏しい格納庫内でまじまじと見たい絵では決してない。ない、が、だからと言って。


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:20:58.01 ID:2ge1itV00
施されたのは、左側頭部にヨレヨレの、二つ重なった○。

そしてその下にお世辞にも丁寧とは言い難い、いや、端的に言ってしまおう。
いかにも酔っぱらいらしい汚い文字で『Liberation』と書き殴ってある。酷い出来だ。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:28:29.96 ID:2ge1itV00
もう一つおまけで、下手くそ、と言ってから、脚立の下の酒瓶の片付けにかかる。
あれだけの酩酊だ、あそこから降りた時にこれを踏んづけてスッ転ぶこともありえるだろう。
その光景は結構鮮明に想像できて、そうなったらそうなったでざまあみろとも思うが、そのまま見過ごすのもちょっと薄情だ。

Omega「一通り満足したら寝ろよな。不健康だし、今のアンタじゃ他の連中の機体にまで落書きしかねねぇ」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:36:01.54 ID:2ge1itV00
Omega「あん?」

その背中に、今までの間延びしたような声音から一転、酒の臭いを感じさせない鋭い一声がかかる。

Omega「何を、どう思えばいいんだよ」
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:43:35.34 ID:2ge1itV00
Omega「……掴みどころのない奴だな、とは思う」

酔っぱらいの言うことだ、と流してもよかったのだが、その顔が、その表情が。
何となくだが、真面目に答えてやろうか、という気にさせた。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:51:14.31 ID:2ge1itV00
Viper「掴みどころ、か。確かになぁ」

Omega「僚機でいると尚更な。時々によって、がらりと飛び方も変わりやがる。一緒に飛ぶと、苦労するぜ」

ある時は強さを求めるようであり、別の時は独自のプライドに基づいた飛び方で戦場を駆ける。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:58:34.28 ID:2ge1itV00
Omega「アイツ、やたらと戦況が読めやがる」

いや、読め『過ぎる』。戦局眼と一言で片づけるには、あまりに異質な立ち回り。
似たような戦場を幾度も経験してきたかのように。いや、時として既にその戦場を知っているかのようにすら。
その様は、まるで。
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:04:55.87 ID:2ge1itV00
良くない、とかぶりを振る。アルコールが回っているのだ。

どうせ何らかのお鉢が自分に回ってくるに違いないから、と、努めてあまり飲まないようにしていたはずなのに。
それでも今日の作戦の疲労は余程だったらしい、酔いが思った以上に加速している。

以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:11:15.69 ID:2ge1itV00
Omega「無いな。無い」

Viper「おう、どーした?」

Omega「や、なんでもねぇよ」
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:17:18.84 ID:2ge1itV00
Omega「まあ、なんにせよ」

ほぅ、と息を吐き出して、不格好な装飾を施されたエンブレムと正対する。
何より、この死神が、アイツをエースたらしめているのではない。逆だ。
アイツが、この死神を死神たらしめているのだ。
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:23:28.02 ID:2ge1itV00
Omega「逸脱してらぁな。色々と」

Viper「……ふぅん」

それ以上こちらが続けないと判断したのか、暫くして、脚立の上で鼻を鳴る。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:26:48.50 ID:2ge1itV00
Omega「あぁん!?」

ため息交じりのその言葉に、反射的に険のある声が出る。が。

Viper「落ーちー着ーけ。別に貶めてるわけじゃねぇよ」
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:30:10.93 ID:2ge1itV00
Viper「良く見てんな。安心したぜ」

ギラギラと輝く目はそのままに、彼はそういうと脚立からひょいと飛び降りる。

Viper「おっ……とと」
以下略



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