8: ◆/BueNLs5lw[saga]
2014/12/23(火) 23:54:27.53 ID:jhJhzsou0
「東郷さんは覚えてる?」
「私は……」
どうだったのだろう。
お国のために、使命を全うしたかったのか。
この身を神樹様に捧げたかったのか。
それでも、最初は戦う意思なんてどこにもなかった。
愛国心は忠義は弱さに隠れてしまった。
「最初……怖くてたまらなかった。勇者になんてなれないって思ったわ」
「東郷さん……」
「臆病者だった……一番最初のこと覚えてる?」
「うん……でも、東郷さんは頑張ったよ」
それは、あなたがいたから。
勇者システムという存在があったから。
本当の私は――。
システムは、きっと心もどこか狂わせてしまうのだ。
人間の臆病な部分を一時的に忘れさせてしまうのだ。
麻薬のようなものだ。
痛みも、恐怖も、死も。
神樹様が、奪っていった。
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