3: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:23:49.66 ID:HSj1W9VK0
「おるぁっ! ちくしょう、この糞ガキ! 止まれや、この逃げ足大王がっ!!」
何でこんなことに青春を懸けなければならないのか?
周りはカップルだらけの中、一人の上条は何だか物凄い惨めな気分になる。
それから更に2kmほど。
背中に罵声を浴び続けながら走り続けた上条は、都市部を離れて大きな川に出ていた。
大きな川には長さ百五十mほどの無骨な鉄橋が掛かっている。
車もなく、ライトアップもされていない、夜の暗闇に塗り潰された鉄橋。
その鉄橋を突っ走りながら、上条はふと後ろを振り返った。
いつの間にか、後を追っていた不良が一人もいなくなっている。
「やっと撒いたか」
足を止めた上条はその場にペタンと座り込みたくなる衝動を抑え、夜空を見上げて大きく息を吐く。
誰も殴らずに問題を解決できた、本当にそのことだけは自分を褒めてやりたい。
「ったく、何やってんのよ? 不良を守って善人気取り、それとも熱血教師なのアンタは?」
瞬間、上条の背筋が凍る。
鉄橋には灯りの一つもなかったため気付かなかった。
上条の走ってきた方向から5mほど先に佇む一人の少女。
灰色のプリーツスカートに半袖のブラウス、その上にサマーセーターを着込んだ何の変哲もない中学生くらいの女の子だ。
そしてファミレスで絡まれていた女の子というのが他ならぬ彼女だった。
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