過去ログ - 穂乃果「泣いたカラスがもう笑った」
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5:名無しNIPPER[sage]
2015/01/08(木) 22:57:05.59 ID:Uka5fO4KO
鬼役の子が転んじゃったのかなって思ったけど、違ってた。
さっき、一番元気に頑張って走っていた子が地面に座り込んで泣いていた。
「だいじょうぶ? だいじょうぶ?」
って、何回も心配そうに鬼役の子を気にして走っていた子が、
その子のそばに座り込んで頭を撫でてあげてる。
「うぇ、いたいよぉお......いたいよぉ......ぐすっ、うわぁああああん」
元気な子は泣くのも元気......なのかな。
ほのか、そうだったっけ......?
絆創膏なら私も持ってるよね、と思って、荷物をゴソゴソしようとしたら
「あ、ちがででる! あたし、ばんそーこーもってる!」
そう言って、一番こころもとなさげに2人を追いかけてた鬼役の子が、
肩にかけた小さくてかわいいポーチから、キャラクターがプリントされてる絆創膏を取り出した。
「ほら、これでもういたくないよー!」
って言って、泣いている子の膝小僧に
ペタってそれを貼ってあげてた。
「......まだいたい」
「えー、で、でもばんそーこーはったらいたいのとんでっちゃうって、ま、ママが......ぐすっ......お、おしえてくれた......もん......」
そう言って、今度はその子が泣き出しそうになっちゃってて。
そしたら、それを見た怪我した子が
、きっとまだ傷は痛いはずなのに、
その子の前でスクッと立ち上がって、
「あー! いたくない!! ばんそーこーはってくれたからもういたいのとんでっちゃったー!!」
と言ってキャハハと、笑い出した。
「ほ、......ぐすっ、......ほんとー?」
「うん! ほんと!! だから、ほら、なかないでー!! いっしょにあそびのつづきしよーよー!!」
そう言って、その子は走り出した。
絆創膏には血が滲んでて、きっとようやく血が止まり始めたぐらいだろう。
でも、その子は走り出した。
さっきの追いかけっこで走り回ってた時よりも元気に走り回った。
「ほら、なかないで、つづきしよ。
こんどはわたしがおにするから」
「......うん」
そう言って、泣いていた子は顔をゴシゴシとして、泣き止んで走り出した。
その子を追いかけて、でも、決して追いつかない速さで女の子は走り出す。
それは膝をすりむいた女の子も同じみたい。
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