過去ログ - 恭子「いつか聞きたいその2文字」
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10: ◆aaEefGZMoI[saga]
2015/01/22(木) 20:29:10.12 ID:DsjzTcAto

幸い、というか。
勉強が大の苦手な洋榎は、勉強の得意な私をよく頼ってきた。
ホームルームが終わるやいなや洋榎がの○太くんよろしく私に泣きついてきては、私がドラ○もんよろしく嫌々応対する。
もっとも、嫌々というのは本音からの態度ではない。
本音を言えば、すごく嬉しかった。
だが、ドラ○もんがあの丸いしっぽを振って嬉々として世話を焼いていたとしたら、それはたいそう気持ち悪いに違いないのだ。

毎日教科書レベルの問題に教えを乞うてくる彼女に、私が懇切丁寧に指導する。
正直、為になっているかはわからない。
ただ、洋榎が両手を投げ出すほど嫌いな勉強をきちんと時間を取ってやっていること自体、相当良いことには違いない。
そしてこの時間は、私にとっても大切なものであった。
二人きりで勉強を教えている時は、よそよそしい呼び方も、敬語も必要ない。
そして言葉遣い以上に、彼女に接近することができた。
下校時刻になると帰らなければいけないのが、唯一の心残りだった。

期末テストまで日数が浅くなり、今までのように教室や学校の図書館で教えるだけでは時間が足りなくなる。
彼女の勉強の成果はといえば、まだまだテストには不安が残るレベルだった。
これはいい口実になるかもしれない──私は思ったのだ。

「なあ、洋榎。
 もし良かったら…… うちに来て勉強せえへん?」


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