過去ログ - 「彼女の全身が石英で出来ていた事」
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10:名無しNIPPER
2015/02/20(金) 00:40:37.84 ID:EfW8IvJ/0


今目を開ければ、顔を手で覆う彼女が見下ろしていた。

そんな悲しい顔をしないでくれ、というと、これ以上悲しいことがありますかと涙声。

指の間から零れるのは水入り瑪瑙。中の水は、多孔質の構造を通して蒸発しやすく、逆に長時間水中に浸けることで人為的に水を入れることもできる。


ぽろぽろ、ぽろぽろ。

布団の上に零れる水晶は、蒸発する間もなく中の水を湛えて、それが俺にはたまらなくうれしいことに感じた。


苦しくはないんだよ。

石英である君を生涯の友と出来たことが、一番の幸せなんだよ。


君が私の死をこんなに綺麗な涙で悼んでくれる。

これ以上の幸せはないんだよ。


彼女ははい、とだけ絞り出した。

最後に私が見たのは、一番きれいな左胸の透明な水晶が変わらず綺麗だったこと。



ゆっくりと遡る走馬灯の中で、彼女の全身が石英でできていたこと。


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