過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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2: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/06(水) 02:15:38.57 ID:uWUG4Qzy0
 軍人たるもの、上官は絶対。それは痛いほどに分かっている。
 しかし、今回ばかりは悪態が口から飛び出る。
 作戦ミス、と山城は言ったが実のところは少し違う。
 上層部は敵の罠にはまったのだ。
 
罠、と言っても本来、対人戦闘であれば基本的すぎて、すぐ見破れるほど簡易なもの。
 これを敵の作戦というべきか、もしくは単なる偶然に過ぎないのか真実は分からない。
 しかし、現実、上層部は罠である可能性を全く考えずに作戦を立案したのだ。
 そのありさまが、今の危機的状況の要因の一つでもある。

「……上層部だけじゃないさ」
 
 沈黙を貫いていた男、この鎮守府を任されている提督が口を開く。

「我々も、正直なところこの状況を予想していなかった。無能と罵られてもおかしくはない」

 提督は椅子から立ち上がると、窓の外を眺める。
 いつもと変わらぬ海原が少し傾きかけた太陽の陽を受けて凛々と輝いている。
 まるで平和な海だとでも錯覚させるほど。

「もう一度言う。扶桑、山城」

 振り向いた提督の顔は、見慣れた優しげな微笑みなどではなかった。
 長年ともに歩んできた扶桑、山城も思わず息をのむ。

「主力艦隊が駆け付けるまでの間、深海凄艦の大群から主要諸島を二人で守り抜け」

 その口から発せられた命令よりも、すべての感情が欠落したかのようなその無表情に、二人は恐れを抱いた。




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