過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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◆bBUdJHUgklsz
[saga]
2015/08/23(日) 22:37:08.81 ID:+k3u2LKn0
どこまでも澄み通るような、そんな透明感も感じられる蒼い、蒼い空。
そんな空を背に、少女たちが大海原をかけていく。
上空からその様を眺めてみると、全くズレのない航行に感動すら覚えることだろう。
皆同じタイミングで動き、次々と隊列を変えていく。
旗艦なのだろうか、先頭を走る少女が手振りで指示を出し。他の少女たちが指示通りに動く。
これほどの練度を得るために、幾日も幾日も鍛錬を積んだことだろう。
完璧なまでに統率のとれた航行に、少女達の血の滲むような努力の影を見ることができる。
長い時間、じっくり磨かれ得た努力の結晶は、とても美しく、輝かしい。
Φ
「ふぅっ……」
「お疲れさま、今日も素晴らしい指示だったよ満潮」
陸に上がり、ゆっくりと息を吐く満潮に労わりと称賛の声を時雨がかける。
その声に、ふんっ、と顔を背けぶっきらぼうに言葉を返す。
「まだまだ、よ。まだ詰めが甘いわ。最後もちょっと乱れるし……」
「満潮は、厳しいなぁ」
あはは、と乾いた笑い声をあげる。
それでも満潮は、胸を張って答える。
「当然じゃない。演習くらい完璧にできないと、実践で何の役にも立たないのよ」
それに、と小さく呟く。
「これくらいこなせないと、いざという時、また見守ることしかできないから」
「満潮……」
その声に、暗く重い影が落ちたのを時雨は聞き逃さない。
満潮の気持ちが強いほど分かる、そうだからこそ何も言えない。
そして、その気持ちは時雨も同様に強く抱いている。
もう、鎮守府で留守番なんてしたくない。
今度は、誰かのために戦いたい。皆を守るために、皆と一緒に戦いたい。
もう、1年以上たつ。
それでも、あの日のことはよく覚えている。
あの、人生で一番長い夜のことは、その日味わった痛みは、一生忘れることはないだろう。
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