過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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216: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/08/23(日) 22:37:08.81 ID:+k3u2LKn0


どこまでも澄み通るような、そんな透明感も感じられる蒼い、蒼い空。
 そんな空を背に、少女たちが大海原をかけていく。

 上空からその様を眺めてみると、全くズレのない航行に感動すら覚えることだろう。
 皆同じタイミングで動き、次々と隊列を変えていく。 
 旗艦なのだろうか、先頭を走る少女が手振りで指示を出し。他の少女たちが指示通りに動く。
 これほどの練度を得るために、幾日も幾日も鍛錬を積んだことだろう。
 完璧なまでに統率のとれた航行に、少女達の血の滲むような努力の影を見ることができる。
 長い時間、じっくり磨かれ得た努力の結晶は、とても美しく、輝かしい。
 


 Φ


 
「ふぅっ……」
「お疲れさま、今日も素晴らしい指示だったよ満潮」

 陸に上がり、ゆっくりと息を吐く満潮に労わりと称賛の声を時雨がかける。
 その声に、ふんっ、と顔を背けぶっきらぼうに言葉を返す。

「まだまだ、よ。まだ詰めが甘いわ。最後もちょっと乱れるし……」
「満潮は、厳しいなぁ」

 あはは、と乾いた笑い声をあげる。
 それでも満潮は、胸を張って答える。

「当然じゃない。演習くらい完璧にできないと、実践で何の役にも立たないのよ」

 それに、と小さく呟く。


「これくらいこなせないと、いざという時、また見守ることしかできないから」
「満潮……」

 その声に、暗く重い影が落ちたのを時雨は聞き逃さない。 
 満潮の気持ちが強いほど分かる、そうだからこそ何も言えない。
 そして、その気持ちは時雨も同様に強く抱いている。

 もう、鎮守府で留守番なんてしたくない。
 今度は、誰かのために戦いたい。皆を守るために、皆と一緒に戦いたい。

 もう、1年以上たつ。
 それでも、あの日のことはよく覚えている。
 あの、人生で一番長い夜のことは、その日味わった痛みは、一生忘れることはないだろう。


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