過去ログ - 【ゆるゆり】櫻子「……花子、おんぶしてやろっか!」
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6:名無しNIPPER[saga]
2015/08/07(金) 05:06:59.46 ID:VaCoJWLLo
手持ち無沙汰になり、携帯の液晶に触った。
着信履歴を見て、頬を緩める。今朝に更新されたそれは、こころと未来のもので、
今日は会えないからと、電話でおめでとうの言葉を伝えに来てくれた。ひま姉も楓も、今朝、家を出る前に祝ってくれて、
ポストの中には、みさきちの手紙まで入っていて、今日は目覚めから良いことが起こりすぎて、反動が怖くなるぐらいだった。

花子「……あれ? どうしたのかな」

携帯をしまい、視界を上げてみると、風船を持った、自分より幼い女の子が、キョロキョロと目線を動かしていた。
少し離れたところにいる、着ぐるみのマスコットは、いかにもそれを気にしているようで、仕草に安定が無い。

花子「……どうしたんだし?」

出来るだけ、優しい声になるように気を付けながら、その子に声を掛けた。
一瞬、ピクリと身体を強張らせたけど、こちらに敵意がないのが伝わったのか、少し警戒を解いてくれたようだった。

事情を聞いてみると、お母さんとはぐれてしまったとか、いつの間にか知らない場所に、とか、
良く聞くような言葉が発せられたけど、その子にとっては一大事で、簡単に片づけられる問題じゃないのは確かだった。
いつの間にか、付近にまで来たマスコットも、表情なんて分からないのに神妙そうに聞いているように見えた。
……あっ、そうだ。

花子「あの、この子を迷子センターまで連れて行ってくれませんかし?」

シンプルな解決法だった。ここのスタッフの人だろうし、このマスコットなら大丈夫な気がする。
それに、なんだか、一挙一動に親近感を覚えるというか、適当な勘だけど良い人そうだと思うし。
マスコットは頷いて、女の子を引き連れようと動き始めた。その時だった。

「えっ! やだ! こわい!」

そんな鋭い声が、こんな小さな女の子から発せられるとは思えなくて、ひるんでしまった。
同様に、マスコットもひるんだのか、その場で固まってしまった。
……そんなに怖いかなぁ。そもそも風船貰ってるのに。


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