過去ログ - 魔王子「僕が美しすぎて世界征服とかどうでもいい」
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◆WnJdwN8j0.
[saga]
2015/09/07(月) 20:08:36.58 ID:PaFmWOtd0
そこに現れた「彼」――いや、容姿からは男なのかどうかも判別できない。
顔貌は獣のようでありながらも、知性的な眼差しは人らしくもある。流れ落ちるような銀色の髪の毛は、陽の射さない森の中でも輝いて見えた。その美しい毛を掻き分けるようにしてそびえ立つ2本の大きなツノが頭を装飾し、彼の威圧感を際立たせていた。
姫「あ…ああぁ…」
胸板は「壁」のように分厚く、長く伸びたその両腕は獣をも弄びそうな程に筋肉質。身にまとっている粗末な布でさえも、貧相さを感じさせるどころか 筋骨隆々とした体躯を強調させていた。
極めつけは、彼の身体を覆うほどの、大きな銀色の翼。その翼が視界に入るだけで、まるで神の世界に来たかのような、そんな神秘性を秘めていた。
彼の強靭な肉体と、放たれる威圧感に、姫の体はガタガタ震えた
?「私が怖いか」
彼は姫の心を見透かしたように言った。
?「非力な人間にとっては仕方あるまい。だが私は何もしない――その剣を下ろせ」
姫「は、はい…」
宝剣を構えていた姫だったが、彼の言葉に逆らえるはずもなく剣を下ろした。
とにかく気分を害さないようにしないと――
?「魔神、という」
彼――魔神は姫と距離を縮めず、その場で名乗った。
姫「姫と申します…あの、迷ってしまって…」
その声が頑強な容姿とは不釣り合いに穏やかだったおかげで、姫はどうにかまともな言葉を返すことができた。
魔神「そうか」
魔神は短く返事を返すと、くるりと振り返った。
魔神「森の出口まで案内しよう。ついて来るんだ」
姫「えっ…は、はい」
姫は言われるまま、魔神の後を追った。
正直、まだ警戒心は消えていなかった。それでも、今は彼の言う通りにするしかなかった。
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