過去ログ - 武内P「ハンバーグを食べにいきましょう」蘭子「ほぇっ」
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5:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:58:14.11 ID:EcMl3zH/0
 誤解を恐れずに言うのなら、彼のその仕草や、困ったような表情が蘭子は好きだった。
 別に嗜虐心があるわけではない。
 彼が手帳を捲り、自分の言葉を理解しようと努めるとき、よくそういう顔をしているからだ。
 真剣に自分に向き合ってくれていると感じる。
 だからついその顔がみたくて、言葉のレパートリーを増やすのに躍起になったり、
 こうして子どもっぽい反抗をしたりしてしまう。
 そういう癖、よくないなと思うけれど、中々やめられないのだった。

 とはいえ、今回の件はプロデューサーに非があるだろう。
 淑女がお腹を鳴らしたのならもっと気の効いた返しがあるはずだ、と蘭子は思う。

「……馬車を走らせよ」

 プロデューサーは、はっと気づいたように、キィを回した。
 エンジンで車内が微かに揺れる。
 ラジオがついて、音楽が鳴り始めた。
 少なくともこれでお腹の音が響くこともない。

「……すいません、気が効かなくて」

 蘭子は答えない。
 ラジオでは何の偶然か、キャンディアイランドの歌が流れていた。
 事務所に戻ったら、かな子からお菓子を貰ってやけ食いしよう、と蘭子は腹に決める。


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