過去ログ - みほ「ごめんね、エリカさん。さようなら、逸見さん」【ガルパンSS】
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16:しぃな ◆CB7w5rWLD6[saga]
2016/03/11(金) 23:30:59.01 ID:1urZWwmh0



まだあと2年あったのに。まだまだ色々な時間を過ごすことができたと思ったのに。

春にはお花見に行っただろう。
きっと彼女が言い出して私が渋るに違いない。
桜なんか見てどこが楽しいのよ、って。
それでも行く私を見て、彼女はいつも通りにこりと笑うだろう。
ブルーシートを広げて暖かい日差しの下、二人で作った料理を食べたかった。
彼女は料理があまり得意ではないから、私が頑張らないと。
なんて、結局彼女より張り切ってる私がそこにはいたんだろう。

夏にはお祭りに行っただろう。
花火大会の日は二人で浴衣を着て、屋台の喧騒から離れて、静かに天空の火花を見たと思う。
明かりはソレだけ、その光に照らされる彼女の横顔を、ずっと見ていたかもしれない。
夏休みには出来るだけ会って宿題をしたり二人で遊ぶ機会も多くあっただろう。
お泊り会なんかもやってみたかった。帰省で人の少ない寮を思い切り満喫するのだ。

秋には紅葉を見にゆっくり出かけることも出来たのに。
なんでもない公園を、紅く染めた景色を、一緒に眺めていたかった。
赤く染まった木々を背景に、カメラの前に二人で笑顔を写していたかもしれない。
らしくもなく図書館で二人、誰もいない本棚の間でバカなことも出来たかもしれない。
彼女はイジワルだから、私が恥ずかしがってイヤがっても、キスをすると思う。
私も、結局のところ彼女には甘くて、ソレを許してしまうだろう。

冬にはクリスマスを二人っきりで過ごしていただろう。
クリスマスなんてバカにシてたけれど、いざ直面してみるときっと待ち遠しくなったりするのだろう。
私達を誰も知らない都会に行って、二人でマフラーを分け合って、手を繋ぐ。
周りからは仲が良いだけに見られるかもしれない。それでもいい。この関係は私と彼女だけが知っていればいいのだ。
大晦日も一緒に過ごして、新年の挨拶を最初にしてみたかった。それから一緒のコタツで寝てみたかった。
初日の出は、行きたがっていたわりに、起きないで寝過ごしたと思う。
アンタはそういうところで、やっぱり抜けているから。

そうして冬は去り、次の春が来る。けれど私には彼女がいて、彼女以外にはいない。
ずっとそうだと思っていた。



まるで泡沫の夢のよう。

私の思い描いていた1年の幸せは消え去った。
いいや。この先の、彼女と過ごせていたであろう全ての日々が、消え去った。





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