過去ログ - みほ「ごめんね、エリカさん。さようなら、逸見さん」【ガルパンSS】
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18:しぃな ◆CB7w5rWLD6[saga]
2016/03/11(金) 23:31:56.50 ID:1urZWwmh0



絶望の淵に立たされる、とはこういうことを言うんだろうと、そのぼーっとした頭で思った。
音は消えた。壁一枚外界と遮断された感覚。まるで意識だけが遠くに、後ろに引っ張られる感覚。

瞬間、ふわりと、あのときの空気と雰囲気、そして景色を思い出した。
今でも思い出せる、きっとずっと思い描ける鮮烈な赤の教室での出来事。

冷たい雨で感覚が鈍っていた私の頭は彼女が近づいてきていることに気づいていなかった。
私の唇に触れる何か。数秒を要して、私は理解した。
それでも私から唇を離すことはしなかった。いいや、出来なかった。
たった1秒以下の接吻。気づけば彼女は目の前にいた。

「どうして、こんなこと……」

あの時みたいに、二人とも鼻息を荒くして。
夢中で互いの唇を奪ったあの時のような。
熱くて、宙に浮いたような感覚のソレではなく。
冷たく、冷めた、冷淡な、距離を置いた、さよならの……最後のキスなんだと気づいた。

「分かんない。でも、こうしたいなって、思ったの」

「いなくなっちゃうのに! どうしてよ! なんで、アンタが、私……!」

「本当に好きだったよ、少ししかいられなかったけど。まだ一緒にいられたなら」




「きっと、もっと」




それは、本当に、言ってほしくなかった。
私だけだと思えば楽だったから。現実になるのがとても怖かったのに。




「楽しかったと思うの」




「まるで、私の永遠の人みたいだった」

「だって、エリカさんは私の全部、知っていてくれた。受け止めてくれたから」






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