過去ログ - 塩見周子は速水奏とデートがしたい
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9:名無しNIPPER[saga]
2016/03/20(日) 00:19:46.44 ID:bBbJtDB6o
「周子。ひょっとして怒ってる?」
ドーナツ屋を出ると、奏が眉根を寄せて問い掛けてきた。
あたしは何て答えたらいいのか分からなくて、つい否定の言葉を並べてしまう。
「怒ってないよ」
「さっきのキス?」
きっと奏にとって、あたしの心なんてのは手頃な獲物みたいなものなんだろう。
「……」
「ただのファンサービスよ」
「知ってる」
「……ごめんね?」
頬に柔らかい感触。
一口大の熱さは瞬きの間に消えてしまった。
「……あたしも、ごめん」
「じゃあ、仲直りね」
「うん」
「周子」
「ん」
「あなた現金ね」
「うっさい」
デートの最後は、いつも通りのキス。
消えた感触を追い掛けるように、奏の後ろでそっと頬を撫でた。
いつも通りが、いつもより嬉しくなかった。
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