過去ログ - 『聖タチバナ』野球しようよ『パワプロss』
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15: ◆ugYRSBAsKU[saga]
2016/05/07(土) 08:12:29.43 ID:hHTZ5qxH0
2-2/slugger.

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 端的に言えば、最悪だった。
 呼吸を乱さず一定のリズムで走るつもりが、常にペースは乱調気味だった。
 ランニングの最中、息苦しさに、何度か足を止めてしまった。
 一時間ほど走ろうと思っていただけなのに、長いこと足を動かしてしまった。
 都内に引っ越してまだ数日ばかりなのに、随分と遠いとこに来てしまった
 本能は思考/理性に反発して闇雲に身体を働かせる。
 まあ、ケータイのマップ機能を使えば帰れるだろうが。
 ……ああ、本当に最悪だ。

     ■■■


「――――――、」

 桜並木が映える、河原の近くにて。現在、俺はそこで腰を降ろして休憩を取っていた。
 力の抜けた瞳は遥か先の景色を映し、俺は短く息を吐く。それからは重度の疲労の色が伺えた。
 しかし体力的にはそこまで問題はない。
 問題は、精神的なものだった。
 酷く、それは酷く疲れた。
 その原因は、既に見当はついている。
 こんなにも心を乱されたのは―――きっと、今日見た夢が原因なのだろう。
 シャワーを浴びてすっきりした気持ちになっていたが、どうやら心境は切り替えていなかったらしい。
 女々しいほど引きずっていて、結果がこれだ。
 俺は、呆れたようにもう一度溜息を零した。
 そして立ち上がると、スウェットのポケットに手を突っ込んだ。
 硬貨が二枚ほど指先を触れた。どちらも五百円玉だった。
 どうやら、ランニングの最中に落ちることはなかったらしい。
 俺は確認を終えると、ポケットに硬貨を入れたまま歩き始めた。
 目的地は、どこかの自販機。
 その辺りを歩いていれば見つかるだろう。

 ……そう思っていたが。
 どうやら今日という日が、ツキがない日だということを。
 強く思い知らされるのは、これから数時間後のことだった。


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