過去ログ - 【モバマスSS】「はんぶんおとな。はんぶんこども」
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5: ◆kXGFzRinFumi[saga]
2016/05/04(水) 04:13:50.94 ID:Ga39tkM/0

やると決めたら徹底的に。それが男のモットーであった。

冠婚葬祭の折にしかスーツを着なくなって久しい男が再び現役時代のものに袖を通し

「店番、頼んだよ」とだけ彼女に伝えるとそのまま家を出た。

彼女は何も問わずにただ笑って「いってらっしゃい」と見送った。

男は家を出てすぐに携帯電話を取り出すと昔の職場へ電話をかける。

数コールの内に電話は繋がり『お電話ありがとうございます。CGプロダクションでござい...』という

定型文が返ってきたため言い終わらないうちに『俺です。お久しぶりです。お仕事中すみません』と遮った。

『ああ、プロデューサーさん!お久しぶりです』

『元です、ってば。急に申し訳ありません』

『プロデューサーさんからなら大歓迎ですよ。それにしても私の携帯じゃなくてこっちってことは何かありました?』

『察しが早くて助かります。お願いがありまして...』

『そんなことだろうと思いました。今はどちらに?』

『事務所に向かってます』

『では、話の続きは後でいいですね?』

『ええ。ありがとうございます。失礼します』

男はそう言って電話を終え携帯を無造作に助手席へ放り投げてアクセルを踏んだ。



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