21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:45:37.15 ID:b4qt7MSMo
「それじゃあこの問題を……船見さん、お願いします」
結衣「はい」
先生が小問の回答を生徒に尋ねた。席を立ってすらすら答える船見さんを見て……私はあることを思い出した。
綾乃(そういえば、歳納京子が今日体操着をふたつ持っていたのって……)
『結衣の家に泊まるときのパジャマ代わりで持ってきたんだけど……綾乃が困ってるなら貸すよ?』
綾乃(船見さんの家に泊まるから、だったのよねぇ……)
無断外泊は校則違反とか、平日なのにお泊まりしちゃうんだとか、思うべきことはいっぱいあったけど……でも、そんなことより彼女のこれからが気になった。
件の借りた体操着は、もちろん綺麗に洗濯してから返すつもりだ。
けれど歳納京子は、今日船見さんの家で何を着るのだろう……
私のせいで今日の彼女のパジャマはなくなってしまった。当然、ずっと制服を着ているわけにもいくまい。
船見さんに服を借りるのだろうか。学校が終わったら家に一回パジャマを取りに帰るのだろうか。
それともまさか……お泊まりそのものが中止、なんてことにはならないだろうか。
綾乃(貸してもらえたことはすごく嬉しかったけど……でも、代わりの何かを崩しちゃってないかしら……)
こんなことが、なぜか無性に心配になった。
歳納京子に正直に話したら「なんで綾乃がそんなこと気にするんだよ〜」と笑われそうなものだけど……でも私にとっては、ちょっと大事なことなのだ。
歳納京子に助けてもらったら、作られたその借りをなるべく早く返したいと思ってしまう自分が生まれる。
ライバルとして、あなたと対等な関係でいるために……
なぜだか今日の私は心が焦っていて、ひとたびそのことを考えだしたら授業が終わるのを待つことすらできなかった。
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