過去ログ - 安部菜々「little braver」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:30:25.58 ID:XBRjetAj0
君は僕で 君も僕で 一緒だから
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2
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:31:11.74 ID:XBRjetAj0
平日のお昼時。薄暗い地下のステージ。
週末はアイドルの卵たちが歌って踊り、まばらなファンがサイリウムを振るこの場所も、今は誰もいません。
……ここは昔と何も変わりません。
ナナが初めてステージに立ったあの日から。
そして、ナナがあの人にあったあの日からも……変わらずずっと、ただそこにあるだけ。
以下略
3
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:32:26.96 ID:XBRjetAj0
「……ふふふーん、ふーんふーん……」
うろ覚えのメロディー。あの頃の自分が必死に作った、オリジナル曲のうちの一つ。
第何章のそれだったかは、もう忘れてしまったけれど……確か、あの日も歌った歌。
ラジカセもなく、アカペラで口ずさみながら、ナナはステージの上に立ちます。
以下略
4
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:34:26.79 ID:XBRjetAj0
「……あれ?」
聞こえるはずのない拍手。
狭い空間の中で、その音の発信源は、すぐに見つかりました。
以下略
5
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:35:20.10 ID:XBRjetAj0
ステージを降りてプロデューサーさんに近づくと、ナナはプロデューサーさんに向けて頭を下げました。
「すみません。ミーティング、サボっちゃいました」
「別にいいだろ、特別なにか伝達があるわけでもないし……みくは心配してたから、あとでお茶でもいれてやってくれ」
「あはは……ちゃんと謝っておかないといけませんね」
以下略
6
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:37:47.23 ID:XBRjetAj0
先に動いたのは、プロデューサーさんの方でした。
「また、不安になった?」
直球でした。やっぱりナナ、この人には隠し事なんてできないみたいです。
以下略
7
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:40:17.98 ID:XBRjetAj0
「今、こうしてファンの皆さんと、プロデューサーさんと一緒にウサミン星人として歌える喜びを、知ってしまいましたから……もしタイムリープとかしちゃっても、昔みたいにナナ以外誰も知らないウサミン星人として歌うなんて……怖くてできないなって。あはは……」
人生崖っぷち、お先真っ暗だと思っていたあの頃。
夢は遠くて。まるでナナ自身が、夢から遠ざかっていくみたいで。
そんな未来の見えない暗闇の中で、毎日が不安でいっぱいだったナナを見つけてくれたのが、プロデューサーさんでした。
以下略
8
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:41:11.73 ID:XBRjetAj0
「突然ですけど、プロデューサーさんは運命の出会いって信じてますか?」
「運命の出会い? そうだな……どっちかというと信じてる方かな。ナナは?」
「ナナは、信じてるんです。だって、きっと私たちは特別だから」
「特別?」
以下略
9
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:41:42.08 ID:XBRjetAj0
「ホントはですね。ホントは……あの頃のナナ、結構限界だったんです」
幼い日々に描いた夢。
宇宙からやってきて、歌って踊れる十七歳のお姫様。
月の向こう側に光る、ウサミン星……勝手に宇宙に描き足した、ナナしか知らない星。
以下略
10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:42:09.05 ID:XBRjetAj0
「諦めかけてた夢を思い出させてくれたのは、プロデューサーさんなんです。プロデューサーさんが、面白いって……ウサミン星はあるんだって言ってくれたから、今のナナがあるんです。あの日、ナナは生まれ変わったんです」
そう。それはまるで……二回目の誕生日のようでした。
アイドル・ナナとして、プロデューサーさんと出会った特別な記念日。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:42:41.97 ID:XBRjetAj0
「ナナには、プロデューサーさんがナナのどこを気に入って声をかけてくれたのかはわかりません。でも、それはなんだっていいんです。プロデューサーさんがナナを選んでくれた。魔法をかけてくれたから、ナナは憧れのアイドルになれたんです。その事実があれば、ナナは戦えます」
今だって、不安がないわけじゃない。ライブの前には、手が震える。
眠れない夜もある。明日には、ガタがきてアイドルのできない体になっているかもしれない。
今の幸せな毎日は夢で。目が覚めたら、またこの暗闇に戻ってしまうのかもしれない。
以下略
12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:43:09.53 ID:XBRjetAj0
差し出したナナの手を、プロデューサーさんの大きな手のひらが包み込みました。
あったかい手。ナナに勇気をくれる、背中を押してくれる手。
この人が手を握って隣を歩いてくれるなら……きっと、大丈夫。
手の震えも、自然と収まっていました。
以下略
13
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/04/25(火) 00:44:06.35 ID:XBRjetAj0
「俺が……」
「ふえっ……」
ナナの手が、一段強く、ぎゅっ……と握られました。
歩きながら、プロデューサーさんの横顔を見つめます。
以下略
14
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/04/25(火) 00:44:43.49 ID:XBRjetAj0
プロデューサーさんが、足を止めます。自然と、ナナも一緒に止まりました。
「だからきっと、俺たち二人は特別だったんだ」
ちらり、と覗き見たプロデューサーさんは、顔を上げ一点を見つめていました。
以下略
15
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/04/25(火) 00:45:28.45 ID:XBRjetAj0
「菜々の今の夢はなんだい?」
「今の……ですか?」
「言ってただろ、夢を持ち続けていたいって。俺が出会った頃の菜々の夢は、アイドルになることだった。なら、アイドルになった今の菜々が叶えたい夢は?」
ホント、ずるいなあ、この人は。
以下略
16
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/04/25(火) 00:47:07.31 ID:XBRjetAj0
「ナナの、夢……」
そんなこと、ずっと前から決まっていました。
頑張っていれば報われる……なんて簡単なほど、この世界は甘くない。
そもそも、他のアイドルが自分より頑張っていないなんて、そんなことはありえない。
以下略
17
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/04/25(火) 00:48:13.27 ID:XBRjetAj0
ナナは……あの人に、勝ちたい。
世界で一番のアイドルに。
宇宙で一番の、アイドルとそのプロデューサーになるために。
「だから、プロデューサーさん」
以下略
18
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2017/04/25(火) 00:50:00.85 ID:XBRjetAj0
おしまいです
これは私の自己満足です
19
:
名無しNIPPER
[sage]
2017/04/25(火) 00:57:46.12 ID:nglTU7jA0
おつ
ガルデモの曲の中で一番好き。
その曲でこう来たか。
20
:
名無しNIPPER
[sage]
2017/04/25(火) 17:22:07.47 ID:qmx+U4ES0
乙です。前にもバンプの曲で書いてた人かな。
あれ超好き。
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