げんきいっぱい5年3組 (オリジナル百合)
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19: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 17:32:53.70 ID:4yJ+Tv6jO
担任の先生は和代という漢字だったのを、黒板の隅に引っ掛けてあった名札で思い出した。
朝の会が終わり、日直が最後に『今日のエピソード』と言って、今日ではなく昨日あった出来事(とにかくなんでもいい)を、
みんなに1分間でスピーチするという催しも終わり、それでも未だに全くと言っていいほど心ここにあらずだった。

後ろの席にいた子が、指先で背中を突いてきた。
そう言えば、こういう風に恐る恐る話しかける子が一人だけいた。

「あの、みんな、名札に何貼ってるの?」

何?
この時の流行?
私は自分の名札を見た。
胸には名札は無かった。
服を着替えることに必死で名札を忘れていた。

「あゆむさん」

年配の声。
先生だ。

「は、はい」

「名札、忘れたら言うように決めたでしょ」

そうだっけ。
いや、そうだったんだ。
ここの郷に従わないと。

「すいませんッ。気をつけます」

私はお得意様に叱られた時の記憶がなぜがふと思い出されて、
椅子から立ち上がって深々と頭を下げてしまった。
顔を上げると、先生はかなり呆気にとられた様子だった。
が、本来の職務を思い出して、

「名札作ってあげるから待っててください」

「すいません。ありがとうございます」

担任用の椅子に戻り、工作を始めた。



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