33: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:13:02.45 ID:4yJ+Tv6jO
次の週の中日くらいに体育でドッジボールをした。
この頃、男子にも女子にも力の差はなく、背丈が高いと言ってもあまり関係なかった。
男女対抗戦なんてものもできてしまう。
今思うと、どうして分けたのか疑問は残るけど。
34: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:20:41.78 ID:4yJ+Tv6jO
逆方向に振り返る。
上林さんと目があった。
なんでかな。
彼女がボールを投げたそうにしているのが直感的にわかった。
35: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:25:40.66 ID:4yJ+Tv6jO
「退いて、上林さん……」
放心していたのか、上林さんがいつまでも私の上に乗っていたので言った。
彼女は慌てて立ち上がる。
すぐに立ち上がった所、たいした怪我はしていないようだった。
36: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:29:24.72 ID:4yJ+Tv6jO
「保健委員は確か、やすはさん?」
先生が、やすはを手招きする。
「あゆむさんと上林さんを……上林さんは大丈夫なの? そう、じゃあ、あゆむさんを保健室に連れていって」
37: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:43:29.05 ID:4yJ+Tv6jO
保健室に先生はいなかった。
代わりに、
「先に水で洗い流すよ」
38: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:53:31.33 ID:4yJ+Tv6jO
やすはは傷口に砂が入ってないか確認して、
「終わり、膝以外は傷になってないし、自分で洗ってね」
「ありがとう、やすは。やすは、良いお母さんになれるよ」
39: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 21:12:36.54 ID:4yJ+Tv6jO
「これ、タオルちゃうやん。やすはの手やん」
ノリツッコミ。
「うん」
40: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 21:18:52.83 ID:4yJ+Tv6jO
「水で体操服、透けてるよ」
「わ、ほんとッ」
顔をずらす。
41: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 21:30:22.76 ID:4yJ+Tv6jO
「そっか、そうだよね。ははッ」
わからない。
子どもの考えることって不思議。
何かのおまじない?
42: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 21:39:09.66 ID:4yJ+Tv6jO
「それは、どういうこと……」
「みやちゃんの所に行かないで」
「いやそれは無理だよ」
43: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 21:52:17.99 ID:4yJ+Tv6jO
もやもやと考えていたのは、もちろんやすはのことだけではなかった。
私は家のパソコンで時間を移動した経験のある人間を探し続け、
元に戻る方法はないか血眼になっていた。が、現実にそんなことが起こるはずもなく、
答えはフィクションの中にしかなかった。過去を変えるしかない、という風に。
自分の後悔した過去が因果を結びつけているとかなんとか。
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