13: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/12/13(火) 22:43:28.23 ID:JZ42mPM/O
「絵ちゃんの所に行ってない?」
「ううん、来てない」
「そっか……」
今にも泣きそうな表情。
とんッ、と急に背中を押されて、つんのめる。
「ちょ」
桜田ちゃんが慰めてやれよと言わんばかりに顎をくいくいと動かしていた。
いや、だって、この人元凶で、大学生なんですけどッ。
と、アイコンタクトしてみた。
通じるわけもなく。
桜田ちゃんは両手を振って私たちを残し去っていく。
「あ、そうだッ、親戚の家とか」
「もう、電話した。中学の担任にも話した。でも、いなかったの」
「家出かなあ」
ぼそりと言った単語はちあきさんにかなりのダメージを与えたのか、
よろよろと正門の柵に寄りかかる。
ひろ君とちあきさんのお母さんは小さい頃に亡くなっていて、
お父さんも県内だけれど単身赴任でいない。
昔から責任感の強い人だったけれど、特にひろ君に対しては誰よりも過保護だった。
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