ヒーローとその姉(オリジナル百合)
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2: ◆/BueNLs5lw[sage]
2016/12/10(土) 21:47:40.52 ID:IKEcAqUy0
おかしい。笑ってしまうくらいだ。
今の今まで、絶対に会わないようにしていたのに。
ひろ君から聞き出した情報によって、彼女と絶対に接触しない怪しげな裏路地を使ってきたのに。
いや、そもそもこれは本当に彼女だろうか。
だって、これは、あまりにも、

「小さ……」

呟いた瞬間、鳩尾に頭突きを食らった。
間違いない。この手の早さは、

「うぐッ……ちあきさん……や。間違いない……」

この推定身長140cm前半くらいのこんまい少女は、恐らく大学1年生になっているであろう森久保ちあきさんだ。

「ちあきさんですけど、何か不満があるの?」

その背丈に似あう可愛らしい声で、ドスを利かせるちあきさん。

「ありませ……ん」

私は膝をついて、ちあきさんの前になぜかひれ伏すようなポーズでしゃがみ込んでしまった。
ふいに、煙たい匂いがして顔を上げる。

「ごめん、絵(かい)ちゃん」

「い、いいよ……想定してた」

ひろ(正義)君が、足元で何か踏みつぶしつつ言った。
見ると、ひろ君の顔は真っ赤に腫れていた。
ああ、そういうことか。
こいつ中1のくせにタバコ吸いやがったのか。
合点がいった。
ひろ君は半ば笑いながら、二歩、三歩後ずさって、

「ごめん、姉ちゃん、俺呼ばれてるから先行くねッ」

と両手をポケットに突っこんだまま、繁華街に向かって走っていった。

「ひろ君、待ちなさい!」

ちあきさんが地面に落ちていた空き缶を拾って、放り投げる。
綺麗な放物線を描いて、コーンッ、と見事にひろ君の頭に当たる所、さすがと言うべきか。
けれど、小さく悲鳴をあげながらも頭を抑え、ひろ君は人込みに消えていったのだった。



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