12:名無しNIPPER
2016/12/23(金) 17:15:14.02 ID:lsZj+NMQ0
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お互いベッドに寝転がる。シーツを変えたいしシャワーも浴びたいがもう一歩も動けない。考えてみればライブ、飲み会、性交と密度の濃い一日だった。疲れてはいるが、確かな満足感。思っていたより後悔の念はない。
「Pさん、私……幸せです。貴方にもらった勇気で、こんなにも、変わることができて……」
「変えた、つもりはあまりないんですけどね……もしも、変わったと思うならそれは美優さんが自分でやり遂げたことですよ」
「いえ、P さんが……私を見定めてくれたから。あの頃の、なにもない私を…………」
「それは違いますよ。…………出会った頃、スカウトをしたとき、既に貴女の中に輝くものを見つけたんです……様々な仕事をこなして、ファンを得て……今日のライブ…………、美優さんの力ですよ。俺はほんの少し手助けをしただけ」
「……私じゃあ、あんな衣装の応酬は……思い浮かびもしませんでしたから……当時はびっくりしましたが……」
「はは…………」
「アイドルになって、色んな仕事をして……一歩を踏み出す大切さを知ったんです……それで、今日も」
「……、」
「貴方が意識して、距離を作ってるのは知っていました…………。でも、欲しくなって、しまったんです。卑しい、ですよね」
「いえ。……俺はどこか期待していたのかも。自分から動くことが怖くて、全てを美優さんに押し付けて」
「ふふ。仕事のときとは大違い、ですね?」
「そりゃ、そうですよ。他ならぬ、美優さんの事ですから」
「…………もう、やっぱり口が上手いです」
恥ずかしさを誤魔化すように抱きついてきた。肌が暖かい。呼応するように背中に手を回した。
ぽつり、ぽつりと話してるうちに心地の良い眠気。一言言って、目を閉じた。
美優さんもいつの間にか寝息を立てている。
今日は驚かされっぱなしだったな。と自嘲気味に笑う。こんな関係はずっとは続けていられない、世間には認められないだろう。とはいえ、下手にスクープにされるのが一番困る。
俺から関係を進めて美優さんの意思にそぐわないアイドル引退をするのは嫌だったというのも大きかった。
次は俺が美優さんを驚かす番だろうか。どう切り出そう。今後の展望を考える。
目の前の幸せを手にするにはなにが最良か思考していくうちに、俺は眠りに落ちていった。
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