三船美優「一歩、踏み出して」
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2:名無しNIPPER
2016/12/23(金) 17:07:43.88 ID:lsZj+NMQ0
>>1の名前間違えました……。気にしないでください

 運転手に一万円を渡してタクシーから降りた。
 俺ともう一人、同乗する人を運転手には顔が見えないよう注意して、意識のはっきりしていない体を支えつつ降ろす。
 その人は酒に弱いせいであっさりと潰れてしまった。量としてはあまり飲んでない分すぐ復活してくれるかと淡い期待を抱いたが、叶わなかったようだ。
 走り去るタクシーを見送り、思わず嘆息した。

 今日はプロダクション単位の大きなライブがあった。
 俺の担当アイドル――三船美優もそれに漏れず出演し、色眼鏡抜きに見ても盛り上がったと思う。新ユニットのシャイニーナンバーズの一員として、会場を沸かせてくれた。
 ライブが無事終わって、打ち上げがあった。まあ自然な流れだと思う。大きなプロジェクトだったし、企画は大成功といって差し支えない。一息つきたかったしこのプロダクションには酒好きが多い。プロデューサーの先輩後輩たちに設営スタッフ、千川さん、高垣さんや川島さん、片桐さんに柊さん。あと安部さん。
 とにかく挙げれば切りはないが、飲み会に集まるメンツは多かった。そこで盛り上がって、普段以上の勢いで飲酒して、酔っぱらうのはしょうがないだろう。俺もあまり飲めるたちではないが今回は場の空気に飲まれていつもより酒を飲んだ。
 そして集まったメンバーの半分近くがつぶれたのもまあ仕方のないことだと思う。
 むしろ、これ以上のカオスの陥る前に解散を決意した部長の英断を俺はたたえたい。下手したらはしごをして二件三件と回った末全員潰れていた可能性は否定できない。

 とにかく。
 酔っぱらったとはいえなんとか意識のあるメンバーがつぶれたメンバーを連れ帰ることになった。ここに異存はない。問題は俺の担当が三船さんだったことだ。
 なにが問題かって、俺は三船さんの家を知らないことだった。
 さらに問題だったのは、三船さんの家を知っている人は全員潰れていたことだった。
 泥酔した三船さんとタクシーに乗った時は、ひやひやしたものだった。半分以上酔いがさめてしまったほどだ。人生で一番緊張したかもしれない。
 千川さんには、様々な理由がありホテルに泊まってはダメというお達しは受けていた。酔った頭で考えた結果、いける場所は自宅のみと結論つけてしまった。タクシーを降りて少し冷静に考えて女子寮に送ればよかったのに気づくが後の祭り。
 仕方がないと心中で繰り返し三船さんを家に連れ込む再決心がついたのが数分前の事だった。



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