7: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2017/05/07(日) 01:07:46.75 ID:upUN87ha0
予想外の質問に沙紀は変な声で返答してしまう。驚いている沙紀を見て響子は慌てたように口を開く。
「あ、その違うんです!変な意味はなくって、えっと、その、ちょっと気になったというか……あうぅ……」
いつもしっかりしている彼女にしては歯切れも悪いし、こんなに慌てている様子も珍しい。
一体どういう意図があるのか沙紀にはわからなかったが、響子が何か企んでいるようにも思えなかったので、普通に答えることにした。
「いたことはないっすよ。何度かそういう風に声を掛けられたことはありますけど、大体断るっすね」
グラフィティアートをしていると話しかけられることはある。大体は同じ趣味を持つ仲間か、それなりに若者なファッションーー所謂チャラい男性が興味本位で接触してくるのだ。
沙紀はそういうのを好まなかった。もちろんアートについて話をするのは大好きだし、それについて話すならそこに性別の違いは関係ない。
ただ、あからさまに異性として関わろうとしてこられると嫌悪感が一気に噴き出す。沙紀はそのチャラい感じが本当に嫌だった。
だからこそ、そういった付き合いは今の今までない。アイドルとしては良いことだろうと彼女も思っていた。
「そ、そうなんですか?沙紀さんモテそうですけど」
それを聞いた響子は驚いたように顔をあげた。沙紀は笑いながら答える。
「そんなことはないっすよ。あんまり女の子らしい可愛さはないし。それを言うなら響子ちゃんの方がよっぽどモテると思うけど」
そう言うと響子は否定するように両手を横に振る。
「わ、私ですか!?私はそんなことは……」
「でも、ラブレターをもらうとか、今の時代だとメールとかっすか?そういうのもらったことはあるっすよね?」
「……ま、まぁ、もらったことは確かにありますけど」
やっぱりな、と沙紀は思った。自分でさえクラスに彼女のような子がいればアタックしそうだな、と何となく考えたこともある。
「でも、それは私がアイドルだから、だと思うんです。そうじゃなかったらきっとラブレターなんてもらえないですよ」
あはは、と笑う彼女に、たぶんアイドルじゃなかったらもっと言い寄られてると思う。と沙紀は言わなかった。というよりも言う前に響子に遮られたのだ。
「あ、あの、沙紀さん!沙紀さんから見て私ってどうですか!?」
「お、おおっ?」
ずいっと身を乗り出した彼女の語気は強めだ。今度は沙紀が困惑する番だった。
「あ、あの、もし、もしもですけど沙紀さんが男性だったりしたら私を見て、どう思いますか……?」
「ど、どうって?」
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