4: ◆3jMo9iZPSE[sage saga]
2019/09/19(木) 22:34:50.94 ID:RSNyvt7K0
状況の異様さのわりに、あたしは落ち着いていたと思う。
というのも、この事態を引き起こしたであろう人物に心当たりがあったからだ。こんなことをしようと思うような人間も、こんなことができそうな人間も、あたしはひとりしか知らない。まず間違いなく、志希ちゃんの仕業だ。
変な注射を打たれたとか、怪しい薬品を嗅がされたみたいな記憶はない。すると経口摂取か。事務所にあったもので、あたしが飲み食いしたもの――心当たりが多すぎる。
この事務所は日頃から「勝手にお食べ」みたいな感じに置かれている食物がたらふくあったし、あたしは他の誰よりも勝手にたらふく食べていた。あたしに一服盛ろうと思ったら、こんなに簡単なことはないだろう。
ともあれ、犯人が志希ちゃんなら、元に戻る手段を用意していないということはない。その点については信用している。
それにしても、我ながら美少年だ。こんな女の園でウロウロしてたら食われてしまうかもしれない。人と出くわさないうちに、さっさと事務所から脱出しよう。
――なんて考えてたそばから、視界の隅でドアノブがガチャリと回転するのが見えた。
マズい、と思いつつも、隠れるヒマなんぞあるわけもなく、ゆっくりとドアが開かれる。
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