ヘクトコチルスとは頭足類(コウイカ、ヤリイカ、アミダコやカイダコな)の雄が雌に精子の入った精包を受け渡すために特殊化した腕のことで、陰茎の役割を果たしている。 タコブネを含む浮翌遊性のタコの雄は、交接腕を切り離すことができ、交接腕を雌の外套膜腔に入れて切り離し受精を行うものと考えられている。 切り離した交接腕は勝手に泳ぐといった様子が観察されており、交接腕が自ら泳いで雌を探しているのではないかという説もある。(マラー・J・ハート著「セックス・イン・ザ・シー」、カーリン・ボンダール出演 TEDGlobal 「The birds and the bees are just the beginning」より) アミダコの雌の体内に切り離された交接腕を発見したフランスの博物学者、ジョルジュ・キュヴィエは、これを寄生虫と考え、"Hectocotylus octopodis"(1829)と命名した。 後に真相が判明したが英称として残り、交接腕は現代でも"Hectocotylus"(百疣虫)と呼ばれている。