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DTBの銀ちゃんと恋愛できるゲームを作ろう - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 19:03:33.47 ID:Ohy90OQo
DTBの銀ちゃんと恋愛ができるゲームを作るスレです。
ゲームシステムについては以下をプレイして確認してください。
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00006.zip.html←現行最新版を

【うpろだ】
http://www.uploader.jp/home/indtb/

【現行のゲームシステム】
プレイ期間1ヶ月、朝・昼の1日2回行動
条件を満たしているとイベント発生。
1ヶ月経った時点でEND分岐
お金あり。お金はバイトで増える。
タバコを買う&1日の経過でお金減少
イベントでの増減もあり
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 19:12:23.63 ID:Ohy90OQo
【募集】
シナリオライターを募集しています。
また、イベントのネタ等も大募集
システム的に小さいイベントを大量にはさめるようになっているため、
ちょっとした小ネタでも気軽に投下してください

【投下形式】
基本はSSスレ等でよくある形で構いません。
スクリプトスタッフの労力削減のため、以下のルールを守って貰えると助かります
・発言者を書く、また名前を書くごとに改行すること
・文字数は現状27×4になっています。1列27文字以内でお願いします
・文字数の関係で、1回の発言は3行以内でお願いします
例:

「お断りします
 お断りします
 お断りします」
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 19:14:42.38 ID:Ohy90OQo
【方針】
イベント案の募集と背景・BGM・SEをフリー素材集め

全体の話の流れの決定
メインライターの決定
イラストの発注

イベントの配置・条件の設定

難易度の見直し・演出の追加

完成
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 19:37:17.70 ID:Miv3kNs0
欲しがりません勝つまでは
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 19:57:52.77 ID:MtKYHWY0
tes
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 20:12:18.47 ID:S6eiR0Eo
http://yaruomatome.blog10.fc2.com/blog-entry-378.html

参加してみようかなと思った人はちょっと待って!
↑を読んで、よく考えよう
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/05(木) 20:25:36.67 ID:4wnhlHQo
私、DTBスレに常駐しております
何かありましたらご一報
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 20:43:28.19 ID:Ohy90OQo
12話見てるうちにVip落ちたか
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:32:12.57 ID:Ohy90OQo
14話まで見終わったお。
あと半分か、しんどい
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:33:05.75 ID:GyXsEmE0
別に14まで見たらいいんじゃね?
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:37:20.97 ID:Ohy90OQo
他のキャラもつかんどかないと話に口出せんだろ
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:40:32.15 ID:Ohy90OQo
dat貼っとく
http://www.uploader.jp/user/indtb/images/indtb_uljp00007.dat
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:45:25.19 ID:GyXsEmE0
d
って誰もいないのか?
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:49:36.23 ID:Ohy90OQo
ある程度は見たから話には参加できるか。
ストーリーの基本決めようぜ
・契約者関連を絡めるか否か
 絡めるなら黒の登場等有り
 絡めないならキャラ萌えのみで行くことになる
・主人公の立場
 今のところは銀に一目ぼれした設定
 契約者関連有りならそっちの立場も有り
・話の流れ
 ・キャラ萌えのみならバックグラウンドは考えず、
  パラレル的なものとして銀はああいう性格・容姿の女の子として登場
  (ドールとかそういうのは無し)
 ・契約者絡める場合は組織に協力していく流れか、
  組織から抜けようとする流れか(そこら辺はEDだけで表現してもいいかも)

基本的にはキャラ萌えのみで押した方が当初の企画内容には有ってる気がする
その場合は銀の境遇とかを設定する必要が有るけど
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:55:57.92 ID:cqu2avI0
落ちてたーーーーーーーーーーーーー
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:57:30.90 ID:Ohy90OQo
そういやスレ立てもどうするか決めた方がいいか。
基本的に立て続けるのか
人が集まりそうな時間に落ちてる場合に立てるか
週末のみ立てるか
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 21:58:45.47 ID:cqu2avI0
最初は集まりがよかたんだ・・・
最初はナ
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 22:02:01.31 ID:GyXsEmE0
どうせなら、銀の取り合いをしたい
主人公対黒とか・・・

んで、銀に一目惚れしたけれど、実は敵組織でそれで葛藤したりとか
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 22:13:44.27 ID:Ohy90OQo
>>18
ややこしい内容にするとそれだけ作るのが難しくなる。
プロット作って行けそうだったら採用って形が無難かも

他ゲームシステムで今思い浮かんだんだが
デートに誘ったりするような同級生式のシステムどうよ
ある程度ランダムで断られると好感度減少、デート行ったときに選択肢によって好感度増減
(基本的には好感度高い方が断られにくい)
あと、銀のほうのスケジュールも決めて
基本的にタバコ屋にいるけどいないこともあるとか(別にランダムでもいいけど)
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/05(木) 22:24:05.80 ID:rBOKwZMo
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1236258707/
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/05(木) 22:25:19.13 ID:rBOKwZMo
途中送信してしまった
誰か知らんがVIPに>>20立ててるぞ
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 23:02:37.37 ID:Ohy90OQo
最新版
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00008.zip.html
夜にデートに誘う選択肢追加(好感度によってランダムで成功)
タイトルに適当に画像追加
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/05(木) 23:29:05.34 ID:qJiqkxo0
黒以外とくっつくのは嫌だなー
ところでパスは?
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 23:29:43.93 ID:Ohy90OQo
>>23
ごめん、dtb
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/05(木) 23:36:46.06 ID:qJiqkxo0
立ち絵が可愛いね。一枚絵もいい感じ
使っていないんだったら、文字を綺麗にするプラグインとか組み込んだほうがいいと思うよ
PNGもわざわざNscripter形式のαブレンドにしなくても、そのまま透過情報読み込める奴があったはずだけど
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 23:38:27.93 ID:Ohy90OQo
>>25
あり、調べてみるわ。
基本素人なんでそういうの教えてもらえるとありがたい
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/05(木) 23:51:12.01 ID:qJiqkxo0
DTBの世界を使ったアナザーならもうちょっと興味がわくのになー
キャラ萌えを前面に出しつつ、DTBの良いところを残すのは難しそうだね。というか矛盾
主人公は黒並みに格好良くしてくれー。あとバトルいれて
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/05(木) 23:55:37.95 ID:Ohy90OQo
>>27
そこら辺はライターの実力しだいなんだよな
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 03:34:02.59 ID:fk00KzAo
期待してる
がんばれ
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 04:50:29.95 ID:IVV9poko
>>6
見飽きたってレベルじゃねーぞww
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 08:28:30.68 ID:n6//zwco
おはいお
誰かよければ昨日のdatヨロ
>>78までしか取れてないわ
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 08:53:27.85 ID:YKw8opgo
>>26
つーかpng用のプラグインはすでに導入されてるから
ld c,":a;ch_in.png",1
           ↑
ってするだけで透過pngつかえるね
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 09:06:13.32 ID:n6//zwco
>>32
エフェクトが瞬時表示じゃないと使えないのか・・・
エフェクトの設定めんどくさかったんで1種しか設定してなかったんだよな。
デフォで1は瞬時表示だから2を設定してそれしかつかってなかった・・・。
いろいろ調べてみるわ

とりあえず、昔買ったOffice2003をインストールしてた
で、アニメ視聴に戻ってます
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 09:09:54.66 ID:A.JWVjgo
>>33
ごめん勘違いしてた、このパラーメータ関係ないやww
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 09:15:36.20 ID:n6//zwco
>>34
そんな気は書き込みながらしてたw
:a;がαブレンド使う形式だろ。
つかPNGをαブレンド形式にするツールはNScripterに同梱されてるんで
手間かからんからこのままでもいいぜ

文字をきれいに表示するプラグインがよくわからんかったから教えてくれると助かる。
つか、文字が今結構小さいから大きめにすればきれいになる気もしなくもない。
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 09:17:22.57 ID:9oJI2E2o
datが落とせません
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 09:20:54.24 ID:9oJI2E2o
アンチエイリアス(正確にはClearTypeかもしれないけど)は最初からかかってるよ
MSゴシックだからなんかギザギザしてるようにみえるだけで
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 09:38:40.61 ID:xEDEM1Qo
>>37
[ピーーー]
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 09:40:26.77 ID:n6//zwco
>>37
アンチかかってるのは知ってる
>>26に書いてあったから。
俺はプログラム全般素人だからよく出来る可能性のある情報は欲しいんよ。
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2009/03/06(金) 09:41:16.25 ID:n6//zwco
>>38
死ねとか言っちゃいけません
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 09:44:33.55 ID:zeCeRw.o
[ピーーー]
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 09:55:34.71 ID:k.QkCawo
繰り返すタイプのゲームなら既読スキップがほしいとこだね
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 10:02:12.77 ID:n6//zwco
既読機能がいじったけどうまく働かないんだぜ
後でもうちょいいじってみる
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 10:23:59.86 ID:k.QkCawo
>>36
なんか消されてるな
大方パスつけてなかったんだろうけどな
他のも消されてるし
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 10:35:53.81 ID:n6//zwco
お、ほんとだ。
きちんと見てなかった。
パスつけて揚げなおしとくわ
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 10:38:03.03 ID:n6//zwco
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00011.dat.html
最初のスレのだっと
昨日のも揚げとく?眠かったから早めに寝たんで>>78までしか取れてないけど
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 10:38:36.07 ID:n6//zwco
あ、ダウンパスは例によってdtbな
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 10:40:21.17 ID:POVWmtQo
昨日のスレの終わり

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/06(金) 01:31:23.90 ID:UZze7Yfx0
>>54
すごくいいんだけど視線は動かしちゃダメなんだよな

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 01:37:26.80 ID:3DGuqNdM0
くそ・・・ねみぃな

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/06(金) 01:43:19.21 ID:uMo359JQO
>>78
了解…次から気をつけます

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/06(金) 02:00:33.25 ID:uMo359JQO
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 10:43:29.66 ID:n6//zwco
>>48
じゃあ>>78まででdat揚げていいか
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00012.dat.html
2スレ目
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 10:46:27.72 ID:k.QkCawo
サンプルあっちこっちで落ちるなwwエンディングいけねwwww
まぁ内容はテキスト見たから別にいいんだけどww
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 10:51:58.72 ID:n6//zwco
>>50
まぁ適当だからなww
一応どこで落ちた?
今のところ知ってるのは好感度0の状態で電話すると落ちる
(変数に0〜(好感度−1)までの数字をランダムで代入する処理が失敗するため)
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 11:47:13.55 ID:n6//zwco
今日のスレ立ては18時ごろ
議題はライター募集と主人公の立場を決めるのでいいかな?
後Wiki作成・スタッフの鳥付け・名簿化もしたほうがいいな
単に俺が鳥とか嫌いだからやってなかったんだけど
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 12:38:57.07 ID:n6//zwco
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00013.zip.html
ファイルがごちゃごちゃしてるのが気になったので整理
ついでに管理用のエクセルも入れてみた。こんな感じかな?
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 12:58:43.07 ID:APO6JL6o
おはやうチミ達
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 16:33:11.91 ID:NMP3rLko
一日目朝に行く場所選ぶとき、
白い部分クリックしたらいきなり銀をデートに誘い出して
そのままエラー吐いて落ちたww
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 16:44:46.49 ID:n6//zwco
>>55
スプライト(場所のサムネイルな)以外をクリックしたときの処理を入れてなかったせいっぽい
とりあえず、大丈夫なようにした。やっぱまだきちんとスプライト関係理解できてないわww
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 17:43:47.60 ID:n6//zwco
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00014.zip.html
最新版
変更点:既知のエラーの修正
     プロローグスキップ追加
     サブルーチン使ってみた(後々考えたらサブルーチンのほうがよさげ)

そろそろVipにスレ立てするべき?
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 17:49:44.57 ID:EGQFwKQo
まぁひたすらすらジャンプ方式じゃあとで泣くことになるわなww
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/06(金) 17:50:20.69 ID:EGQFwKQo
dlパスを入れるのは信念かなにかなのか
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 17:58:44.60 ID:n6//zwco
dlパス入れてるのはなんとなくだな・・・
つかろだ借りてるからいらん気もする
今回からは外したww

あと>>57でミス発見したから修正
ついでにさらにサブルーチン化してみた
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00015.zip.html
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 18:08:35.67 ID:n6//zwco
立ててきたお
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1236330338/
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 18:54:51.05 ID:WqidAc20
63 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/06(金) 19:04:32.48 ID:n6//zwco
yin.dtb@gmail.com
メルアドとって来た
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 19:50:40.06 ID:WqidAc20
規制されたチクショー
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 21:20:19.32 ID:WqidAc20
>>1だけど規制されてるから本スレには書き込めない
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/06(金) 21:26:11.05 ID:WqidAc20
ちくしょぉぉぉぉ
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/07(土) 00:53:31.77 ID:RZNi4Iko
  __,冖__ ,、  __冖__   / //      ,. - ―- 、
 `,-. -、'ヽ' └ァ --'、 〔/ /   _/        ヽ
 ヽ_'_ノ)_ノ    `r=_ノ    / /      ,.フ^''''ー- j
  __,冖__ ,、   ,へ    /  ,ィ     /      \
 `,-. -、'ヽ'   く <´   7_//     /     _/^  、`、
 ヽ_'_ノ)_ノ    \>     /       /   /  _ 、,.;j ヽ|
   n     「 |      /.      |     -'''" =-{_ヽ{
   ll     || .,ヘ   /   ,-、  |   ,r' / ̄''''‐-..,フ!
   ll     ヽ二ノ__  {  / ハ `l/   i' i    _   `ヽ
   l|         _| ゙っ  ̄フ.rソ     i' l  r' ,..二''ァ ,ノ
   |l        (,・_,゙>  / { ' ノ     l  /''"´ 〈/ /
   ll     __,冖__ ,、  >  >-'     ;: |  !    i {
   l|     `,-. -、'ヽ'  \ l   l     ;. l |     | !
   |l     ヽ_'_ノ)_ノ   トー-.   !.    ; |. | ,. -、,...、| :l
   ll     __,冖__ ,、 |\/    l    ; l i   i  | l
   ll     `,-. -、'ヽ' iヾ  l     l   ;: l |  { j {
   |l     ヽ_'_ノ)_ノ  {   |.      ゝ  ;:i' `''''ー‐-' }
. n. n. n        l  |   ::.   \ ヽ、__     ノ
  |!  |!  |!         l  |    ::.     `ー-`ニ''ブ
  o  o  o      ,へ l      :.         |
           /   ヽ      :
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/07(土) 02:19:59.06 ID:ldFrBEAO
いくら人気キャラとはいえDTBの銀だけじゃすぐあきちゃうだろ
色んなキャラ搭載した新たな恋愛ゲームを作るべき
例えば涼宮ハルヒからハルヒ、みくる、長門はちょっと銀と被るかもしれんがまたそこもちょっとした違いが面白くなる
他にもエヴァからアスカ、レイ。エウレカセブンからエウレカ、アネモネ。コードギアスからシャーリー、C.C.、カレン。らきすたはちょっと恋愛皆無だから無理かな
今までのオリジナルキャラクターしかなかったような恋愛ゲームの革命的作品になると思う。
しかもこの場合は数多の作品アニメファン、恋愛ゲームファン、多数アニメキャラの登場による話題性の高さから好奇心で買う一般人も数多く獲得できる。
うまく最初で好評とれたらスパロボのようにシリーズ化も可能だ。つうかこれまさしくスパロボと同種。オリジナルキャラだって取り入れれるんだからさ。

どう考えてもこれヒットする。ゲーム開発者見てねえか?これ作ればヒット確実なのは火をみるより明らかだろ
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/07(土) 02:21:38.83 ID:n/gkXIAo
どんだけクオリティ高いの作らなきゃなんねーんだよ
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/07(土) 02:22:48.32 ID:mlT2Ubso
>>68
なんかコピペ臭がする
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/07(土) 03:00:34.90 ID:2Skbc3s0
>>68
きめえ
72 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 20:42:41.95 ID:W/whzxMo
韓国の攻撃でVipが落ちたのか。残ってるスレもあるけどどういう基準だろ?
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/07(土) 20:43:18.75 ID:mlT2Ubso
vip落ちたみたいだね
スレ立てる?
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/07(土) 20:43:41.60 ID:jLbybwAO
また立てるか?
75 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 20:46:02.13 ID:W/whzxMo
今立ててもすぐ落ちそうな気が・・・
つかチョンうぜぇw
76 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 20:53:27.94 ID:W/whzxMo
とりあえず落ちたスレまとめるか。
ゲームの内容は組織とか無視して銀ちゃんとラブラブするゲーム
登場キャラは多くて
主人公、銀、黒、アンバー、久良澤、キコ、王泰明、王理花、ハヴォック、エーリス、マオ
関係は↓みたいな感じ?
http://www.uploader.jp/user/indtb/images/indtb_uljp00020.jpg
スタッフは絵描く人@ ◆TaEbGtasrEが参入?
77 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 20:59:25.62 ID:W/whzxMo
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/06(金) 21:37:58.23 ID:JPA90RyV0
まあ目が見えてないから銀の手を引く主人公ってのもアリかもなwwww

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 01:07:14.55 ID:3oUdJyf6O
なんだこのスレwwアニマの放送も終わっちまったな
普段ほとんど主張しない銀が主人公に構ってもらいたがるとキュンキュンするかもしれんwwwwww

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 01:13:48.06 ID:3oUdJyf6O
主人公のスペックはどうなの?昔楽器やってたりしないの?

223 名前:まとめ? ◆jBn0wb7Ovg [] 投稿日:2009/03/07(土) 08:13:02.77 ID:XaGn7Ual0
探偵事務所とかのバイトは条件満たしたらイベントで増える感じで
原作を踏襲した上でアレンジ加えたイベントとかどうよ?

イベント案:探偵事務所のバイト中銀ちゃんをエーリスっぽい人が探しに来るイベント
        好感度が高い場合は銀ちゃんがこの町に残ることを選択
        好感度が低い場合は銀ちゃんが国に帰る(BADEND)
       TrueEndの必須イベント

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 09:38:32.84 ID:0kI2nhX60
銀に一度も会わないままED迎えたら面白いな

まあ無理か?
78 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 21:03:05.26 ID:W/whzxMo
243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 11:08:01.98 ID:0kI2nhX60
>>242
そうか


一目惚れじゃない方が、恋愛に固定されない分ストーリーに幅が出ると思うんだが
恋愛だけでなく、銀に普通に接したり、好奇心で銀の秘密にせまってみたりストーカーしてみたり
最終的に恋愛に発展させるとかすればいいしな

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 11:46:01.48 ID:MrtTGBdk0
黒と仲良さそうな銀見て嫉妬に燃える主人公…とか?

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 12:38:34.16 ID:3oUdJyf6O
おはよう
夢にいっぱい銀ちゃん出てきたけど覚えてないぜ

ある日煙草買いに行ったらマオのようでマオじゃない黒猫を抱いてたり
銀に会いに来たキコと出くわしたり
他キャラは出さない予定だっけか

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/07(土) 13:34:25.80 ID:/9SLGNoC0
>>264
ババア2人が主人公のアパートに勧誘にくる→断る→「なんだったんだ…」→イベント終わり

断れない

宗教団体の中でヘイに会う

本編通り教祖死亡で日常に戻れる

イベント終わり(ヘイと面識が出来る)

みたいな分岐イベントは?

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 13:47:17.25 ID:3oUdJyf6O
銀ちゃんとデートに行っていろいろ楽しませようとするんだけど反応薄くて
「つまらなかったかなぁ…」と思った帰り道で袖引かれて
「楽しかった」とか見上げながら言われたら、抱きしめたくなるだろうが!

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/07(土) 13:50:00.30 ID:0kI2nhX60
指で口をうにゅー

290 名前:まとめ? ◆jBn0wb7Ovg [] 投稿日:2009/03/07(土) 14:54:30.19 ID:XaGn7Ual0
>>287
銀の基本ストーリーは
知り合う→仲良くなる→
エーリスがやってきて銀を引き取ろうとする→END
みたいな感じかなぁと思うんだがどうよ?
(13話・14話のエピソードをメインストーリーに持ってくる)
他にストーリー案とか有れば意見よろしく
79 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 21:04:57.82 ID:W/whzxMo
292 名前:まとめ? ◆jBn0wb7Ovg [] 投稿日:2009/03/07(土) 15:02:48.98 ID:XaGn7Ual0
>>291
今のプレイ期間が30日で20〜25日くらいでエーリスイベントみたいな感じじゃない?
エンディング付近でどうしてエーリスについていかなかったのか聞くイベントとかあったり
このシナリオ採用すると銀ちゃん・黒・アンバー・ハヴォックは孤児院出身とかに出来るな

296 名前:まとめ? ◆jBn0wb7Ovg [] 投稿日:2009/03/07(土) 15:34:43.59 ID:XaGn7Ual0
イベントは各キャラ絡みでそれぞれ最低2、最大5くらいで
全部で30くらいのメインストーリーと関係ないイベントが有ってもいいんじゃないかと思う。

立ち絵ありは最大>>289にエーリス含めて10人くらいだけど、
銀ちゃん以外は基本的に服装差分・ポーズ差分なしで表情差分のみ。
絵師がどうしても色々描きたいってキャラがいたり、時間的余裕があれば他のも用意

でもプールイベント用に女キャラの水着姿は欲しいな・・・

298 名前:まとめ? ◆jBn0wb7Ovg [] 投稿日:2009/03/07(土) 15:39:18.95 ID:XaGn7Ual0
>>297
まぁ同級生は大学生って設定あるんだったら(フリーターでいい気もする)
そっち方面まったく出てこないのは不自然かな?くらいの感じで考えた設定だし

でもそれないと主人公との関係が
主−銀−黒−ハヴォックってかなり遠くなっちゃうんで、絡ませにくい
アパートの近くに保育園or孤児院設置するってのも有りか

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/07(土) 16:05:06.82 ID:XVbXnVwP0
イベント考えて復活
銀と繁華街でデート。人ごみで離ればなれになってしまう。主人公はあちこち
探し回るが日も暮れかけた頃、はぐれた場所近くでマオを抱いて座ってる銀発見。
銀「あなたが来てくれると信じてた」でいかがでしょ?


ネタになりそうなのはこんなもんか
80 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/07(土) 21:05:51.71 ID:W/whzxMo
お?Vipのスレ復活した
81 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/08(日) 09:48:07.31 ID:RU0jrCco
今起きた。
今日法事あるんでスレ立ては夕方で。
機能は早く寝たんで、>>392以降のday持ってる人がいたら下さい
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/08(日) 10:38:11.01 ID:1utyYNU0
day?
83 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/08(日) 10:57:18.61 ID:RU0jrCco
dat・・・。
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/08(日) 12:55:01.60 ID:oOFxvr.o
ttp://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00024.zip.html
一応datあげたけど…
392以降と言っても398でスレが落ちたハズだから…
別に何にも無かったよww
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/08(日) 13:30:23.11 ID:6QFznnM0
ライターがくることを望んで新スレたてるしかなかろう
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/08(日) 14:14:46.02 ID:6dG.VkAO
エロパロ板のスレにも避難所のURL貼ってみるとか
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/08(日) 14:18:56.30 ID:6QFznnM0
エロじゃなくね?
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/08(日) 14:24:20.73 ID:oOFxvr.o
>>86
どうだろうなぁ…
てかエロパロ板のスレ、人INEEEEEEEEEEE
四日前から書き込み0
89 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/08(日) 17:29:33.25 ID:RU0jrCco
法事終了

>>84
サンクス。スレ立てるか・・・
90 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/08(日) 17:40:55.93 ID:RU0jrCco
立ててきたお
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1236501421/
91 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 17:30:48.46 ID:wNhpMI6o
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00027.zip.html
ちまちまいじった
試しに最終配布と同じ形式でうp
日付を画面右上に表示するように変更
朝の行動選択でサムネイルにマウスオーバーで画像が変わるように変更(試しに神社だけ)

画面サイズは画像を大きくするのがめんどくさくてやってません。
92 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 17:40:09.46 ID:wNhpMI6o
基本的にこれからは以下の要領で動いていく予定
平日:各人(といっても俺と絵師二人だが)が作業・GEPのスレでネタ募集
土・日・祝前日:Vipにスレ立てしてネタの募集・ライターの募集
とりあえずライターは暫定で俺がやるっぽい

で、俺のやらないといけない作業メモ
[まとめ]
開発スケジュールの作成
イベントのリスト化・チャートの作成(使えそうなネタが増えるたびに随時追加)
必要素材のリストアップ
画面デザインの決定(今は適当な素材使ってる・日付のほかに所持金も常に見えるようにしたいし)
[ライター]
イベントをシナリオに落とし込む(誰かに任せたい)
[スクリプト]
テキストウィンドウにセーブ・ロード・スキップとかのボタンの埋め込み
CG回想モード(おまけ)の作成
シナリオのゲームへの組み込み
[グラフィッカー]
システムグラフィックの用意(誰かに任せたい)

俺死ぬんじゃね?
93 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 17:43:59.09 ID:wNhpMI6o
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00028.dat.html
昨日のスレのだっと貼るの忘れてた
94 :絵描く人@ ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/09(月) 17:58:53.75 ID:jdEym2AO
スタッフまじで募集せんとまとめの人が死ぬね
とりあえず画面は800×600でFA?
んで、立ち絵は200〜300×600で作ったらいいかな?
95 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 18:07:08.86 ID:wNhpMI6o
>>94
それでおk
96 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 18:23:25.48 ID:wNhpMI6o
>>絵描く人@
そういやエクセルファイルとかって見れる?
見れないならOpenOfficeとか入れてもらいたいんだが。
素材管理はやっぱEXCELが楽だ。
あとふと思ったが、@ってことは絵師もっと募集した方がいいのか?
97 :絵描き ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/09(月) 18:53:10.15 ID:jdEym2AO
>>96
エクセルファイル見れるよ
昨日一昨日のスレで誰か絵師に立候補するかなぁって思ってて、@ってつけたんだけど…誰もいなかったから@消しとくわ

あと、グラフィッカーも絵描く人がやったほうがいいのかな?
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/09(月) 19:13:57.86 ID:cx4ZWcMo
俺は新米探偵。今月から探偵事務所を立てたばかりの、ニューフェイスだ。
そんな俺に不倫調査の依頼がさっそく入ってきた。
しょぼい仕事だが、文句はいっていられない。
あの名探偵、凱先生に追いつくためには下積みも大事なことだ。

ただの不倫調査……はじめはそう思っていた。
しかし、俺を待ち受けていたのは、異常な雰囲気の殺人現場。
やばい……そう思ったときには遅かった。俺の体は吹き飛び、湖へと沈む。
終わった……初めての仕事で、まさかこんな終わり方をするとは思わなかった。
薄れゆく意識の中、光る少女が姿をあらわす。
天使がむかえにきたのだ……。

次に気づいた時、俺は病院のベッドの上にいた。
どこまでが夢だったのだろうか?
なんでも看護婦がいうには、俺は湖の近くの公園のベンツで気を失っていたらしい。
とんでもない事件の匂いがする。
そんな高鳴る俺の前に差し出されたのは、高額な入院費用だったのだった。
ため息をつきながら退院した俺は、とあるタバコ屋の前をとおるがかるのだった。
そこで俺は天使と再会するのだった……!

銀ちゃんに一目ぼれした俺は、銀ちゃんをストーカーするうちに能力者との戦いにまきこまれるのだった

-黒の契約者- 外伝 銀の天使 こうご期待!

できた
99 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 19:34:16.51 ID:wNhpMI6o
>>97
エクセル見れるなら、進捗の管理はxlsファイルやり取りする感じで。
絵師は募集するなら入ってくれれば次からのスレタイ・テンプレに追記しとくんで
グラフィッカーというか、シスグラもできるなら頼みたいけどまだきちんと決めてないんで
そのうちで。
100 :絵描き ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/09(月) 20:00:31.83 ID:jdEym2AO
>>99
絵師は今んとこは一人だけでする感じだね
もし誰か立候補してきたら話し合いの方向で。でも優先順位を考えたらライター探しだな
まぁシスグラできる人いなかったらやってみるわ。まだ先の話だと思うけど
101 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 20:07:40.82 ID:wNhpMI6o
一応先に言っとくと、必要なグラフィックは
スタート画面(まぁこれは元々半分絵描きの仕事だけど)
CG回想画面
テキストウィンドウ・ボタン(スキップとかのやつね)
クリック待ち表示
メニュー画面
日付・所持金表示部
アイコン・マウスカーソル
メニュー画面

思いつく限りこんな感じ
102 :絵描き ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/09(月) 20:26:49.72 ID:jdEym2AO
>>101
dd…把握した
103 :絵描き ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/09(月) 20:37:52.95 ID:FEfQ/qQ0
ttp://www3.vipper.org/vip1141370.png
大きさはこんなもんでいいですか?
104 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 20:41:02.25 ID:wNhpMI6o
>>103
サイズはおkだけど位置をもうちょい下にずらして
その位置だと黒とか久良沢画面左に立たせたときに日付表示で頭が隠れそう
ひざより上くらいからでいい
105 :絵描き ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/09(月) 20:50:55.55 ID:FEfQ/qQ0
うーん…これくらい?
ttp://www3.vipper.org/vip1141379.png
106 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 21:02:24.20 ID:wNhpMI6o
>>105
うぃうぃ、そんな感じ。
こっちはもうすぐ現状のイベント案がまとまるぜ
107 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/09(月) 21:17:33.38 ID:wNhpMI6o
現状のイベント一覧。
http://www.uploader.jp/dl/indtb/indtb_uljp00029.zip.html
イベント一覧のシートを参照してくれ
108 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/10(火) 13:07:40.65 ID:v3iA4pko
そろそろWiki借りてきた方がいいか
ネタ一覧とかキャラクターの基本設定とかは見やすいほうがいいよな
109 :絵描き ◆TaEbGtasrE [sage]:2009/03/10(火) 16:36:14.72 ID:1G9QvMAO
>>108
Wikiは参加人数がもう少し増えてからがいいかなって思ったけど、あった方が便利だね
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/10(火) 16:56:32.98 ID:8CZTkvgo
登場人物多すぎじゃね
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/10(火) 17:44:03.43 ID:sZ0RIXYo
シナリオ1人じゃ大変そうだね
メイン・サブ・サブサブくらい居ないと
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/10(火) 18:23:14.90 ID:v3iA4pko
>>109
ぼちぼち作るか・・・
>>110
分かってるが、アンバー・ハヴォックは趣味の問題で出したい
BLネタが使えるからキコ、マオ関係で理花とか使えそう
そんな感じであんま削ると来ないんだよな
>>111
そんなレベルじゃねぇw
113 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/10(火) 19:13:39.15 ID:v3iA4pko
http://www15.atwiki.jp/dtbyin/
とりあえず作った。
後ゲームシステムの紹介・メンバー紹介とスケジュール、うpろだへのリンクぐらいか
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/10(火) 20:15:18.59 ID:jxhRnlw0
乙!
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/10(火) 20:53:11.49 ID:jxhRnlw0
ログインするにはこのウィキのユーザ名とパスワードを入力してください。
ってかいてて編集できないんだが…
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2009/03/10(火) 21:07:02.75 ID:v3iA4pko
>>115
一応ログインしてなきゃ編集できないようにしてるんだが、外した方がいいか?
荒らし対策的な何かなんだがそこまで人が来るかも疑問だし
117 :まとめ? ◆jBn0wb7Ovg :2009/03/10(火) 22:21:22.08 ID:v3iA4pko
やっぱ絵スレで遊ぶの楽しいな。
今日あんまり作業してねぇw
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:02.82 ID:Riz5Vxs0
 言葉とは裏腹にまるで恐縮した風もなく席に着く凉子を、耕司は咎めらキともなく、無表情のまま黙礼で迎えた。
     
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:03.55 ID:Riz5Vxs0
 土間の片隅、下駄箱の裏に押し込まれて隠れている一足の靴に、瑶は目をとめた。
  
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:04.44 ID:Riz5Vxs0
「おいおい、今の一振り……まる・ォり手鵜ク抜きかよ?」
   
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:05.12 ID:Riz5Vxs0
 日頃の習慣どおりに諦観と覚悟を決めて、無心に料理を口の中に運ぶ。
   
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:05.67 ID:Riz5Vxs0
「まぁ落ち着け。ここで君がいくら殺気立・トみたところで始まらん」
  
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:06.23 ID:Riz5Vxs0
「――やめようよ、沙耶」
   
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:06.83 ID:Riz5Vxs0
「うん、わか・トる。――さ・ォ、や・ニわか・ス」
  
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:07.43 ID:Riz5Vxs0
「そうか。じゃあ二人でこいつと遊ぶときも、沙耶は沙耶で楽しめるんだね? 僕が遠慮すらキとはないね?」
   
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:08.27 ID:Riz5Vxs0
 新しい世界の幕開けの、窟「世界の滅d・唄。
  
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:08.79 ID:Riz5Vxs0
 
   
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:09.44 ID:Riz5Vxs0
「……郁紀?」
   
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:10.06 ID:Riz5Vxs0
「ねぇ……駄目だ・ス? こういうのだと、気持ちよくない?」
  
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:10.78 ID:Riz5Vxs0
 今、時刻はすでに午前五時。もうしばrYすれば空が黎明の兆しを見せ始める。
   
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:11.35 ID:Riz5Vxs0
 
  
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:11.90 ID:Riz5Vxs0
 
   
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:12.71 ID:Riz5Vxs0
 方向から推理して、かかりつけのT大病院に行くのかとも思・スが、最寄りのはずの駅に着いても郁紀は降りる気配を見せない。
  
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:13.31 ID:Riz5Vxs0
 
   
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:13.98 ID:Riz5Vxs0
『ィダグジナィョ。ゴワガラナィデ。ィダグジナィガラ』
  
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:14.57 ID:Riz5Vxs0
「ふぅん……わたしも見てみたいな。青海ちゃんが食べられるところ」
   
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:15.13 ID:Riz5Vxs0
 郁紀が電話で指示したのは、いま耕司がいる住宅地の外れ――まだ麓までしか開発の進んでいない丘陵地の、森に覆われた頂だ・ス。
  
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:15.81 ID:Riz5Vxs0
 声にならないほど小さな声で、瑶は懇願していた。
   
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:16.39 ID:Riz5Vxs0
「ぁぁ――」
  
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:17.31 ID:Riz5Vxs0
 
   
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:18.30 ID:Riz5Vxs0
 奥涯氏の生活の名残だろうか? そう考えるにはあまりに奇怪な痕跡だ・ス。全身かもッ水を滴s_ながら屋内をうろつく居住者の姿を想像して、耕司はわけもなく胸が悪くな・ス。
   
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:18.88 ID:Riz5Vxs0
「間違いなく言えるのは、そいつが奥涯の研究の核にあるモノらしい、ということだけだ。cハ匂坂くんがこの沙耶と呼ばれるものとすでに深く関わ・トいるのなら、彼はもう引き返せない所まで踏み込んでいる、ということになる」
  
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:19.51 ID:Riz5Vxs0
 
   
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:20.07 ID:Riz5Vxs0
「雀盾フ傷は、俺よりも深いと?」
  
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:20.81 ID:Riz5Vxs0
 
   
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:21.49 ID:Riz5Vxs0
 やるせない想いとともに、瑶は隣席の荷物を手元に引き寄せた。
  
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:22.25 ID:Riz5Vxs0
 会うのは、あの奇怪な空き家での夜以来――明るい場所で面と向か・ト話すのは、かなり久しぶlィcハれない。そのせいだろうか、耕司には親友の表情に奇妙な違和感を感じた。
  
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:23.20 ID:Riz5Vxs0
 沙耶に雀ヲされて階段を上るうち、その声はだんだんとヴォリュームを増していく。寝室だ。もう聞き間違えようのないほど明らかな、苦しげな啜り泣き。沙耶は誰かを僕らの家に純Oたのだ。
  
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:23.76 ID:Riz5Vxs0
 絶頂の瞬間に向けて、僕は腰の動きを渦ャさせる。それに応じて瑶の息遣いもまた焼き切れそうなほどに切迫していく。
   
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:24.42 ID:Riz5Vxs0
「……そいつは言いがかりのつけ方が逆だろ、耕司」
   
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:25.10 ID:Riz5Vxs0
『ハハ、勘(煕ヒ&ヤッテクレヨ脱v葉。コイツ今WCQエヒ]?ア角咨まッテンダ。ナンカオf&ノ前、コ6GBbュlナッテ始メテすけームVワユア性タ縷ンダカラサ』
  
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:25.80 ID:Riz5Vxs0
 
   
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:26.32 ID:Riz5Vxs0
「3人分だよ? 大丈夫かい?」
  
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:26.87 ID:Riz5Vxs0
 沙耶は瑶の上体を背中から抱きかかえると、後ろから廻した両手で瑶の乳房を掴み純Oた。
   
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:27.42 ID:Riz5Vxs0
 
  
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:28.02 ID:Riz5Vxs0
 奇妙な匂い。だが決して不快ではない。むしろ胸のすく爽やかな芳香に思えた。どこか沙耶の髪の匂いにc・ている。
   
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:28.55 ID:Riz5Vxs0
 なぜ君は、そこまで僕に……
  
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:29.10 ID:Riz5Vxs0
 
   
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:29.71 ID:Riz5Vxs0
 この世が彼の理性によ・ト照らし出せる場所であらキとを、確かめ、保証するためだけに、耕司はあの異物を抹州オなければならない。
  
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:30.32 ID:Riz5Vxs0
「いずれお前にも紹解るよ。僕の恩人とも言える人だから」
   
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:30.90 ID:Riz5Vxs0
 孤立した環境のせいか、山地の気候のせいか、それとも父ユルに対する抵抗力に個体差でもあるのか……いずれにせよ凉子はまだ、あの街に蠢くモノたちほど人の形を離れてはいない。
  
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:31.54 ID:Riz5Vxs0
 
   
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:32.18 ID:Riz5Vxs0
 硬く平滑な声で、宙に吐き捨てるように無造作な口調。まるで誰a曹ネい場所で独り言を漏らすかのような。
   
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:32.82 ID:Riz5Vxs0
 弱気は禁物だと解・トはいたが、それでも耕司は、まだ数日前までの日常を振り切れないままでいた。
  
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:33.37 ID:Riz5Vxs0
 時間が時間だけに、広い店内はぽつりぽつりと孤島のように数卓が埋ま・トいるばかりである。気怠げに注文を取りに来たウェイトレスを、コーヒー2杯の注文で追い払・ス後は、耕司と凉子は忘れ去られたかのように客席の片隅で孤立していた。
   
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:33.93 ID:Riz5Vxs0
 
  
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:34.48 ID:Riz5Vxs0
 私を解ト人類の情報を収集しつくした沙耶は、いよいよ最終的な侵略に乗り出すだけの準備が、すでに整・トいたはずなのだ。にDかわもy、最後まで彼女は行動に移らなか・ス。何故か?』
   
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:35.01 ID:Riz5Vxs0
 
  
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:35.54 ID:Riz5Vxs0
 その意図するところとは、あらゆりa物の究極の目的意識――繁殖、である。
   
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:36.17 ID:Riz5Vxs0
 
  
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:36.77 ID:Riz5Vxs0
 そう言葉に詰まりながらも肯定した。
   
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:37.47 ID:Riz5Vxs0
「沙耶には郁紀しかいないんだ・ト。郁紀みたいな人は、もう他に誰a曹ネいんだ・ト」
  
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:38.18 ID:Riz5Vxs0
『まずはO線のY駅まで来い。そこでお前が独りなのを確認してから、詳しい場所を教える』
   
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:38.77 ID:Riz5Vxs0
「……いいぞ……沙耶」
  
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:39.47 ID:Riz5Vxs0
 手明かりを持・トうろつけば、歴然と位置を知s_て廻らキとになる。おそrY待ち伏せを仕掛けているであろう郁紀を、一方的に利すらキとになる。
   
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:40.11 ID:Riz5Vxs0
「やめて……」
  
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:40.75 ID:Riz5Vxs0
 いま耕司の正気の在処(あlィ)を保証する、形ある確かな輪郭。も・ニcェ悲深い破局の形。
   
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:41.36 ID:Riz5Vxs0
 トレイに膳を乗せて運んできた沙耶が、居間に踏み込むやクンクンと鼻を鳴らす。
   
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:41.93 ID:Riz5Vxs0
 
  
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:42.50 ID:Riz5Vxs0
 今の僕にと・ト、食事は気の進まない義務のようなものだ。いくら嫌でa}れを果たさなければ生命が維持できない。
   
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:43.09 ID:Riz5Vxs0
 
  
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:44.11 ID:Riz5Vxs0
「お互い、携槍・番号を交換しておきましょう。何か判・スら連絡するわ。あなた達も、何か新しい動きがあ・スらすぐに私に教えて」
   
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:44.69 ID:Riz5Vxs0
 苦笑のような、悪意を込めた冷笑のような――だがその意味するところを凉子が理解できないうちに、彼はまたもとの無表情に戻・トいた。
  
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:45.25 ID:Riz5Vxs0
 耕司がようやく打擲(ちょうちゃく)の手を止めたのは、彼が打ちのめしていたのが何であれ、すでに生命のない骸に成り果てていると理解してから――そう理解できるだけの思考力が彼の中に戻・トきてからだ・ス。
   
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:45.79 ID:Riz5Vxs0
「性懲りもないですね」
  
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:46.43 ID:Riz5Vxs0
「この先、すべてを雀盾ノ任せろと言うのなら――雀盾フこと、信用させてください」
  
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:46.98 ID:Riz5Vxs0
 
   
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:47.55 ID:Riz5Vxs0
 総身から血が退いた。肋骨の痛みなど完全に意識から州オ飛んだ。
  
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:48.31 ID:Riz5Vxs0
 骨は残もyバラバラに解体されている。ただ死骸を浴槽に放り込んで白骨化させただけとは思えない。
   
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:48.97 ID:Riz5Vxs0
 それで心底『可愛い』と思えるようにな・ス。
  
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:49.67 ID:Riz5Vxs0
 そのとき首筋を微風がくすぐ・ス。洋佑は廊下の途中で立ち止まる。
   
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:50.25 ID:Riz5Vxs0
 
  
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:50.83 ID:Riz5Vxs0
 こうや・ト自分はこれからも、沙耶との日常を守り抜いていくのだろう。僕には――それが出来るのだ。
   
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:51.38 ID:Riz5Vxs0
 ふと見れc「゙女は、もう満腹にな・スのか、床に仰向けにな・トゴロゴロと転がりながら身体を揺らしている。
  
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:51.98 ID:Riz5Vxs0
「じゃあ、先週の話の続きなんですが。――雀潤Bあれから奥涯(おうがい)教授については何か解りましたか?」
   
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:52.64 ID:Riz5Vxs0
 数少ない家具類も、その半数以上は、まるで運d償まれてから一度も使・スことがないような新品だ・ス。空のままの抽斗(ひきだし)、傷も手垢もひとつもないまま、黴と湿気に傷んで埃を被・トいる。
  
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:53.31 ID:Riz5Vxs0
「ああ……と・トも……可愛いよ……」
   
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:54.06 ID:Riz5Vxs0
 自由を奪われるのと同時に、さらに容赦ない指めいたもの(・・・・・・)が瑶のブラウスを引き裂き、強引に中へと進入してくる。
  
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:54.70 ID:Riz5Vxs0
 隙間風。どこからともなく――有り得なか・ス。家の窓はどこDしこも閉ざされている。すべて昼前の掃除のとき、洋佑がこの手で閉めた。
   
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:55.42 ID:Riz5Vxs0
 
  
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:56.20 ID:Riz5Vxs0
『もう忘れてくれてると、
   
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:57.29 ID:Riz5Vxs0
 
  
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:58.07 ID:Riz5Vxs0
 慰めるようにやさしく指で竿をさすり純Oながら、上目遣いに訊いてくる沙耶。
   
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:58.62 ID:Riz5Vxs0
 さしたりヨトも浮かばないまま家の前まで来てしまい、け・ォwwb僕は降参した。
  
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:10:59.44 ID:Riz5Vxs0
「知り合い・ト……いつから? い・スい何者なんだ?」
   
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:01.09 ID:Riz5Vxs0
「それはね、郁紀がひとりぼ・ソだから」
   
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:01.95 ID:Riz5Vxs0
 後で知・スことだが、鈴見さんは僕に殺される前に自分の家族を殺していたらしい。その辺の順序は解・トもらえず、僕は一家3人を惨殺した容疑で逮捕された。さらに僕の家から高畠青海の・・iが見つかり、僕の罪状は都合4人の殺人およd逗体棄損という線で落ち着いた。
  
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:02.68 ID:Riz5Vxs0
 
   
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:03.34 ID:Riz5Vxs0
「でもねー、や・マり最初だ・スもんだから、手際よくできなく・ト」
  
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:04.04 ID:Riz5Vxs0
 
   
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:04.94 ID:Riz5Vxs0
『ダカラサ、ネ? 今度ノすき滑礫s。ツイデZ塾ィけーと旅行ニシチャエバン濕CIイシク鬆ム3イッテわけヨ』
   
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:05.91 ID:Riz5Vxs0
 
  
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:06.99 ID:Riz5Vxs0
「あ、嫌な言い方」
   
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:07.74 ID:Riz5Vxs0
「彼を訪ねてい・スきり行方不明にな・トしま・ス人間がいます。もちろん、郁紀は否定していますが」
  
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:08.84 ID:Riz5Vxs0
 唯オい顔をして沙耶はカルテかi、線を純Oる。
   
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:09.79 ID:Riz5Vxs0
 
  
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:10.78 ID:Riz5Vxs0
「……チッ!?」
   
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:11.60 ID:Riz5Vxs0
『最後に、現段階での私の仮説をまとめて結d・する。
  
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:12.67 ID:Riz5Vxs0
『郁紀はもう、俺が生きてらキとを知・トます。誰に助けられたかまでは教えてませんが、とDく奴は警戒してるはずです』
   
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:13.39 ID:Riz5Vxs0
「前にも……来た?」
  
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:13.94 ID:Riz5Vxs0
 この先、運命がどれだけ残酷になろうとも、何よりも僕が怖いのは――沙耶、君を見失・トしまうこと。
   
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:14.83 ID:Riz5Vxs0
 
  
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:15.46 ID:Riz5Vxs0
 ぼんやりと居間まで彷徨い出て、そこでまた馴染みの客人と出くわした。
   
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:16.48 ID:Riz5Vxs0
 
  
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:17.32 ID:Riz5Vxs0
 返答するのがやgLすぎたかcハれない。も・ニ毅「た顔をすべきだ・スだろうか。
   
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:18.19 ID:Riz5Vxs0
 犬の散歩も見かけなくなりました。噂だと、飼い主がコースを変えたんじゃなくて、犬の方が嫌が・ト大学の傍に寄りつかなくな・トきたんだとか。
  
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:18.95 ID:Riz5Vxs0
 あの帥I、さ・ォまで僕のを……そう思うと、空恐ろしいほどに強烈な官能がふたたび僕の頭を痺れさせる。
   
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:19.56 ID:Riz5Vxs0
 
  
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:20.14 ID:Riz5Vxs0
『イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイィィィィィッ!!』
   
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:20.83 ID:Riz5Vxs0
「それはね、その砂漠に――た・ス一人だけでも――花を愛してくれる人がいる・ト知・スとき。
  
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:21.67 ID:Riz5Vxs0
 それも映画で見るようなスマートな拳銃ではない。水平二連銃身の猟銃を、銃床を切り落とし、銃身aハゅりの長さまで切りつめて隠し持てるサイズに縮小した、おそろしく暴力的な代物だ・ス。
   
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:22.52 ID:Riz5Vxs0
 あの家の中で何が起こ・トも、外にいる人間はき・ニ誰も気付かないだろう。
  
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:23.15 ID:Riz5Vxs0
「郁紀がそうしたいなら、そうする」
   
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:24.14 ID:Riz5Vxs0
 なるべく要点だけを簡潔に、耕司は現状をメッセージに記録した。郁紀に奥涯教授の別荘だという場所まで連れてこられたこと。所番地を説明し、ここが本当に奥涯という人物の所有物件なのか確かめたい旨……
  
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:25.45 ID:Riz5Vxs0
 ――そうだ、瑶は今どうしているだろう? 今日はまだ顔も会わせていない。
   
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:26.13 ID:Riz5Vxs0
 そのとき首筋を微風がくすぐ・ス。洋佑は廊下の途中で立ち止まる。
  
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:27.06 ID:Riz5Vxs0
「だ・ト郁紀、友達や家族が欲しい・ト言・トたでしょ? だからこれは、沙耶からのプレゼント」
   
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:27.90 ID:Riz5Vxs0
 
  
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:28.64 ID:Riz5Vxs0
 郁紀だ。
   
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:29.53 ID:Riz5Vxs0
「あなたのこと、大好き」
  
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:30.28 ID:Riz5Vxs0
「君、いいところに落ちてくれたよ。瓢箪(ひょうたん)から駒・トやつか?」
   
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:31.11 ID:Riz5Vxs0
「その人にや・スのと逆のことを、郁紀にしてあげればいいだけ。と・トも――簡単なことよ」
  
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:31.84 ID:Riz5Vxs0
 
   
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:32.68 ID:Riz5Vxs0
「そんな簡単なことじゃないんだよ。僕と沙耶が出会・ト、それから二人で過ごした時間の――その一日一日の積み重ねが、今の僕らの関係を作・トるんだ。解るかい?」
  
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:33.48 ID:Riz5Vxs0
 ――彼の思考力が人類を遥かに凌駕していらキとを確信。
   
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:34.19 ID:Riz5Vxs0
「――そうか、君はまだ、そういう形でケリがつけられるものだと思・トいるわけか」
  
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:35.07 ID:Riz5Vxs0
 
   
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:35.84 ID:Riz5Vxs0
 
  
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:36.72 ID:Riz5Vxs0
 人であらキとを辞めたあとも、酒の味が判る身体でいられるといいんだが。
   
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:37.45 ID:Riz5Vxs0
 またしても過敏に、まるで電撃でも浴d┿られたように総身を硬直させる瑶。だが僕の指先は、そのときは・ォりと探ゆてていた。瑶の花芯が、疑う余地もないほどの量で蜜を漏らしていたことを。
  
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:38.19 ID:Riz5Vxs0
 それは未だ瑶の経験したことのない、鋭く残酷な激痛だ・ス。
   
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:38.95 ID:Riz5Vxs0
「誰か! ここだ! 井戸の底にいるんだ! 助けてくれぇ!!」
  
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:39.73 ID:Riz5Vxs0
「ハハ、そういえば青海・ト、このあいだ初めてスケートや・スんだ・ト?」
   
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:40.40 ID:Riz5Vxs0
 玄関を開けた僕を、台所から弾むような声が迎える。鈴の音のように明瞭に透き通・ス、まぎれもない人間の声。それを耳にした途端、今日一日の間に聴かされ続けた奇声と不協和音の名残が、洗い流されるようにして僕の記憶から州ヲる。
  
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:41.02 ID:Riz5Vxs0
「世界中の研究者が、だれDも学会で演壇に上・トリサイタルをやりたがるわけじゃないのさ。自分一人が碑bノ通じて、最後には自分の死体もろとも碑bフ墓穴に仕舞いこんで満足するような、そういう変態野郎a曹驍だよ」
   
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:41.76 ID:Riz5Vxs0
 歓喜と苦痛のないまぜにな・ス絶叫とともに、沙耶は僕の衝撃を受け止める。
  
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:42.43 ID:Riz5Vxs0
Eを超えていた。
   
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:42.99 ID:Riz5Vxs0
 
  
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:43.66 ID:Riz5Vxs0
 洋佑は両手で掴んだ骨を捻り純O、刺さ・スままの杭で何度cナ拗に怪物を抉・ス。
   
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:44.52 ID:Riz5Vxs0
 身体中を虫食いのように噛み千切られて、彼女はずいぶん痩せたように見える。そういえば近頃とみに体重を気にかけていたが、これでもうダイエットは必要ないだろう。
  
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:45.32 ID:Riz5Vxs0
 知・トいる。だが沙耶に話したことはない。
   
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:46.00 ID:Riz5Vxs0
 彼の方から電話をよこす望みなんて、もう万に一つも有り得ないと思・トいただけに、こうして本当に携槍・鳴もzれてみると、どうも素直に喜ぶ気になれない。
  
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:46.80 ID:Riz5Vxs0
 
   
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:47.98 ID:Riz5Vxs0
 だが、どこへ?
   
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:49.06 ID:Riz5Vxs0
 
  
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:49.80 ID:Riz5Vxs0
 小さな骨は浴槽の半ばぐらいの深さまで、それこそ落ち葉か何かのように堆積していた。明らかに人間ではない小動物……犬や猫、それと鼠や雀とい・ス生物の死骸のようだ。
   
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:50.63 ID:Riz5Vxs0
 だとすれば自我を持たないまま知識欲だけを発揮する彼の精神構造に納得がいく。彼は異世界から送り込まれた探査ロボット的な存在かcハれない。
  
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:51.84 ID:Riz5Vxs0
 拳銃だ・ス。地下で奥涯の死体が手にしていたものだ。
   
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:52.53 ID:Riz5Vxs0
「何様のつもりだ? 耕司。人は何の理由もなく死ぬんだよ。僕の両親がそうだ・スし、僕も危うくそうなlィけた」
  
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:53.34 ID:Riz5Vxs0
「で、何発買・スわけ? 弾は」
   
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:53.98 ID:Riz5Vxs0
 しばrY待・ト、郁紀が出てくる様子がないのを確かめてから、耕司は門前に近・「て表札を検めた。
  
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:54.74 ID:Riz5Vxs0
 沙耶に雀ヲされて階段を上るうち、その声はだんだんとヴォリュームを増していく。寝室だ。もう聞き間違えようのないほど明らかな、苦しげな啜り泣き。沙耶は誰かを僕らの家に純Oたのだ。
   
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:55.76 ID:Riz5Vxs0
 ――屋内に動きのある様子はない。改めて耕司は門の外を振り向き、誰も見ていないのを確かめてから、素早くドアを開けて屋内に身を滑り込ませた。
  
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:56.71 ID:Riz5Vxs0
『子供Aノ嫡ハ何トナク怖セ1駐タノヨ。アPム麓、ナン¢c觝物ミタイデサ』
   
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:57.76 ID:Riz5Vxs0
 
   
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:58.71 ID:Riz5Vxs0
 
  
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:11:59.54 ID:Riz5Vxs0
 
   
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:00.35 ID:Riz5Vxs0
 
  
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:01.28 ID:Riz5Vxs0
「ただいま」
   
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:02.12 ID:Riz5Vxs0
「――それは?」
  
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:02.89 ID:Riz5Vxs0
 沙耶は複雑な面持ちで沈黙した。それから上目遣いに僕の顔を窺いながら、おずおずと切り出した。
  
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:03.52 ID:Riz5Vxs0
“匂坂郁紀に興味があるか?”
  
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:04.15 ID:Riz5Vxs0
 
   
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:05.54 ID:Riz5Vxs0
『……』
  
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:06.28 ID:Riz5Vxs0
「――そうするだけの必要が、雀盾ノはあ・スと?」
   
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:07.02 ID:Riz5Vxs0
「……いいえ」
  
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:07.86 ID:Riz5Vxs0
「いえ、何も」
   
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:08.68 ID:Riz5Vxs0
「ふぅん」
  
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:09.69 ID:Riz5Vxs0
 
   
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:10.59 ID:Riz5Vxs0
「よせ、青海」
  
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:11.44 ID:Riz5Vxs0
 さすがに肉筆の記録の全文を・・サするほどの手間は厭(いと)・スようで、結果として奥涯が選択した手段は、じつに簡素なものだ・ス。
   
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:12.03 ID:Riz5Vxs0
 片手で握手を求めながら、もう一方の手は背中にナイフを隠し持つ。いまや耕司と郁紀は、そういう間柄というわけだ。かつての友条・Aいまや随分と変わり果てたものだ。
  
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:12.68 ID:Riz5Vxs0
 
   
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:13.90 ID:Riz5Vxs0
 ぶるぶると、胎内にほとばしる飛沫の熱さに忘我の境地で打ち震えながら、満ち足りた表情で僕の体温に浸る沙耶。
  
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:14.76 ID:Riz5Vxs0
「僕が沙耶に優しいのは、僕が事故に遭・スからだ・ト……そう君は思・スんだね?」
   
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:15.73 ID:Riz5Vxs0
 動悸が切迫していくのを意識しながら、洋佑は居間の中を見渡した。身を隠せそうな場所は、そうない。ダイニングから台所へ抜けたか、それとも客間へと逃れたか、ふたつにひとつ。
  
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:16.39 ID:Riz5Vxs0
「――それは?」
   
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:17.48 ID:Riz5Vxs0
 ついさ・ォの凉子の言葉。冷ややかな語調が、よn・Bサう冷酷に耕司の耳の中で蘇る。
   
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:18.24 ID:Riz5Vxs0
「せ・ゥく人間一人ぶんの肉が仕入れられるのに、ここだと腐s_ちゃうね。裸@庫ないし」
  
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:18.85 ID:Riz5Vxs0
「だから、今日も診輸ネんだ。もう時間だから」
   
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:19.59 ID:Riz5Vxs0
 床との隙間は五センチもないはずの、その狭すぎる空間に、庭からの侵入者は潜んでいた。
  
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:20.64 ID:Riz5Vxs0
 これほどの怨嗟の声で、かつての親友の名を呼ばわるとは、耕司自身も思・トもみなか・ス。
   
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:21.80 ID:Riz5Vxs0
「やめろぉぉッ!!」
  
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:22.63 ID:Riz5Vxs0
 
   
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:23.20 ID:Riz5Vxs0
 
  
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:23.93 ID:Riz5Vxs0
 一本目の煙草に火を点け、深々と紫煙を吸・ト吐き出しながら、耕司は独り居間にくつろぎ、手の中の拳銃に見入・ス。
   
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:24.87 ID:Riz5Vxs0
 そう、さ・ォから耕司と青海の談笑に瑶が隠Bトいるという三角形の会話しかないが、今このカフェラウンジでテーブルを囲んでいるのは二組のカップルなのだ。つまりもう一人、瑶の彼氏――と、呼んで良いのかどうか、未だに微妙な距離なままの――人物が同席している。
  
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:25.88 ID:Riz5Vxs0
 広い冷凍庫にぎ・ソりと詰ま・トいたのは、形も大きさもまちまちな冷凍肉だ・ス。きちんとラップにくるまれて霜を被・トいるそれらの塊は、何の肉かまでは判断つかない。
   
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:26.64 ID:Riz5Vxs0
「……ん?」
  
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:27.68 ID:Riz5Vxs0
 瑶という初めての作品を前にして語る沙耶の口調は、いかにも誇らしげだ・ス。
   
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:28.29 ID:Riz5Vxs0
 沙耶――
  
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:28.84 ID:Riz5Vxs0
 歯触りは桃か洋梨のように、柔らかく弾力がある。良く噛むとシャリシャリと奥歯で潰れていき、そのたd・瑞々しい汁気が口一杯に広がる。それに、鼻に抜けるような強い香り――僕が今まで味わ・スことのあるどんな食べ物とも違う。
   
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:29.42 ID:Riz5Vxs0
 ほんのい・ニきだけ耕司は立ち止ま・スか、畏рオたのは一瞬だけだ・ス。
  
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:29.99 ID:Riz5Vxs0
 cハ別荘で奥涯教授の足取vb見つからなか・スとしても、それな・bれでこの物件は、もう誰が訪れらキともない忘却の地だということになる。邪魔者を始末するには絶好の場所ではないか。わざわざ栃木まで出向いた手間を無駄足にすらキとはない。
   
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:30.59 ID:Riz5Vxs0
 もう一度、あ、い――
  
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:31.41 ID:Riz5Vxs0
 耕司はライトの明かりを頼りに、冷たい闇の中へと踏み降りてい・ス。
   
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:32.05 ID:Riz5Vxs0
 
  
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:32.60 ID:Riz5Vxs0
 沙耶が白く細い手を差し伸べる。僕は壊れ物を扱うように――それこそ、ひとひらの雪を溶け崩さないよう手に乗せるような心地で、彼女と掌を重ね合わせた。
   
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:33.12 ID:Riz5Vxs0
 どう答えるべきだ・スと思うだろう……この先、幾歳月もの時を経てから今日の日を思い出したときには。
  
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:33.69 ID:Riz5Vxs0
 それ以外の窓はカーテンどころか雨戸まで閉め切られていらキとに、いまさらながら瑶は気がついた。
   
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:34.33 ID:Riz5Vxs0
 さ、し――
  
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:34.89 ID:Riz5Vxs0
「沙耶は嫌いかい?」
   
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:35.42 ID:Riz5Vxs0
 瑶――綺麗な女性だ・ス。むろん悪い印象なんてなか・ス。だが面白半分に僕と彼女との間を取り持とうとする耕司と青海の動きは、正直なところ玩具にされているようで不愉快だ・スし、当の瑶もまた、あの二人にいいように踊もzれているという自覚を、まるで持ち合わせていなか・ス。そういう彼女の鈍さは、見ていて歯がゆか・ス。
  
324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:35.99 ID:Riz5Vxs0
 耕司が、郁紀の内部に巣喰う狂気を目に見える形で見届けたのは、思えばこれが初めてだ・ス。
   
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:36.69 ID:Riz5Vxs0
 だが意味不明の頁だけを選u唐ッていくうちに、自ずとカラクリは判明した。各行の続きは別のルーズリーフの同じ行へと続いていたのだ。
  
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:37.38 ID:Riz5Vxs0
 たおやかな、まるで汚れを知らないかのような五指に優しく絡め取られる感触は、それだけで倒錯的な喜悦に雄の本能を引きずり出される快感だ・ス。
   
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:37.97 ID:Riz5Vxs0
 
   
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:38.50 ID:Riz5Vxs0
「よせ、青海」
  
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:39.08 ID:Riz5Vxs0
 
   
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:39.77 ID:Riz5Vxs0
 サンドイッチを食べ終えた手で、凉子はファイリングされていないルーズリーフの束を手に取り、軽く振・ト見せる。
  
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:40.69 ID:Riz5Vxs0
 自分には郁紀を救えたかcハれない――耕司がそう感じるのは傲慢な思い純Ilィcハれなか・スが、だとした・bれは彼の優しさ故だ・ス。
   
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:41.59 ID:Riz5Vxs0
 
  
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:42.19 ID:Riz5Vxs0
 
   
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:42.70 ID:Riz5Vxs0
 悲鳴を純Oた洋佑が床から起きるよりdモュ、さらに無数の手らしきモノが彼の腕と脚に絡みつき、洋佑の自由を奪う。
  
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:43.24 ID:Riz5Vxs0
「――待・ト」
   
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:43.84 ID:Riz5Vxs0
「うん!」
  
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:44.40 ID:Riz5Vxs0
 しばしの間、丹保医師は目を泳がせて畏рオていたが、それでも最後にはかぶりを振・ス。
   
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:45.07 ID:Riz5Vxs0
 見つめ返す深い瞳に呑み込まれ、魂の芯から洗われ癒され――僕は頭の中が真5窒ノなりながらも、躍起にな・ト意味を成す言葉を探した。
  
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:45.66 ID:Riz5Vxs0
 この家にはもう、懐かしむものも、想い出を呼d康こす場所も、何一つ残・トはいない。かつて我が家と呼んでいた、今は見知らぬ異世界だ。
   
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:46.29 ID:Riz5Vxs0
「あぐうぅッ!」
  
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:46.90 ID:Riz5Vxs0
「……何か?」
   
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:47.48 ID:Riz5Vxs0
 
  
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:48.02 ID:Riz5Vxs0
 おそrYは近隣の住人だろう。犬の散歩の散歩中らしい通行人がアコードの傍らを通り過ぎざま、ちらりと車内の耕司を一瞥していく。
   
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:48.60 ID:Riz5Vxs0
 
  
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:49.16 ID:Riz5Vxs0
「奴は大学の機材を無断で使・ト、こ・サり検査をしようとしたらしい。だがドジを踏んで露見した。そこから先はもう大騒ぎでね……」
   
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:49.75 ID:Riz5Vxs0
 
  
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:50.35 ID:Riz5Vxs0
 こういう胡乱(うろん)な場所は、できらキとなj゚分ではなく郁紀に探してもらいたいところだが、そうも言・トはいられない。
   
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:50.86 ID:Riz5Vxs0
 自宅の門をくぐろうとした僕を、身の埋・よだつような声が呼d厨めた。
  
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:51.42 ID:Riz5Vxs0
「普通・ト? 私はいつも普通だけど?」
   
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:51.97 ID:Riz5Vxs0
 ここは海の底じゃない。丸く光・トいるのは月じゃない。
  
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:52.51 ID:Riz5Vxs0
 丹保は何気ないつもりで訊いたのかcハれないが、耕司は真1謔ノ、郁紀を尾行して行き着いたあの不気味な家について考えが及んだ。
   
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:53.12 ID:Riz5Vxs0
 見下ろせば、沙耶は華奢な顎と頬のラインを壊してしまいそうなほどに歪ませながら、小さな口で僕の欲望を頬張・トいる。
  
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:53.89 ID:Riz5Vxs0
 
   
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:54.48 ID:Riz5Vxs0
 
  
355 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:55.48 ID:Riz5Vxs0
 
   
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:56.11 ID:Riz5Vxs0
 さしたる収穫も期待できない屋内の捜索は打ち切・ト、玄関から外に出た。
  
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:56.64 ID:Riz5Vxs0
 
   
358 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:57.22 ID:Riz5Vxs0
 
  
359 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:57.95 ID:Riz5Vxs0
 記憶の間隙が補間され、ようやく耕司は日付の感覚を取り戻す。すでに土曜日が終わり、今は日曜の早朝、ということか。たしかに瑶と電話口で話してからかなりの時間が経・トしま・ス。
   
360 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:58.62 ID:Riz5Vxs0
「不祥事・ト、い・スい何を?」
  
361 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:12:59.63 ID:Riz5Vxs0
 何Dも、僕と沙耶だけの問題なんだ。いまさqヤ体なんて気にする柄でもあるまい。むろん沙耶の保護者と話をつける必要はあるだろうが……やはり奥涯教授は、なるべく早く探し出さなければ……
   
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:00.25 ID:Riz5Vxs0
 人間一人分の肉となると、なかなかどうして、相当な量だ。そういえc欅にc・たようなことがあ・ス。
   
363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:00.99 ID:Riz5Vxs0
 
  
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:01.53 ID:Riz5Vxs0
 さも鬱陶しそうな語調で凉子が嘯(うそぶ)く。耕司の方を見ようとcハていない。
   
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:02.37 ID:Riz5Vxs0
 た・ユりと手に余る乳房を下から掬い純O、絞るように揉みながら、指先で乳首にも触れてやるようにすると、瑶はとうとう痛みに耐えかねて細い悲鳴をあげ始めた。
  
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:02.97 ID:Riz5Vxs0
 彼は数学においてはコンピューターさえ凌駕する、ま・スく人智を越えた認識力を備えている、としか言えない。
   
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:03.55 ID:Riz5Vxs0
「でも、犯人は匂坂くんの様態に興味があるか、それとも彼の治勇L録を州オたか・スのか――いずれにせよ彼に関わりのある人間としか思えないわ」
  
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:04.33 ID:Riz5Vxs0
 人類の英知だの、勇気だの、そんな戯言に価値があるものと信じて疑わずにいられるのは――この深淵を覗き込んだことがない、幸福な者たちだけなのだ。
   
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:05.06 ID:Riz5Vxs0
 
  
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:05.61 ID:Riz5Vxs0
 
   
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:06.18 ID:Riz5Vxs0
 気がつくと、ベッドサイドに佇んで興味深げに僕を見下ろしている顔があ・ス。
  
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:06.81 ID:Riz5Vxs0
 なにせ今の僕には、道が道に、車が車に見えていない。今朝にな・ト必要に迫られるまで、正直なところ公道での運転は危険すぎると諦めていたのだ。
  
373 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:07.41 ID:Riz5Vxs0
 こうして二日目は2行目、三日目は3行目……という案配に記録を進め、頁の全行が埋ま・スところでそのルーズリーフを解体し、数冊のファイルの各所へとランダムに挿入して隠匿してい・スのである。
  
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:07.96 ID:Riz5Vxs0
「前にも……来た?」
   
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:08.72 ID:Riz5Vxs0
Eだ・ス。もう一歩たりとa}の場かゃDけはしなか・ス。
  
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:09.43 ID:Riz5Vxs0
 生きていれば沙耶の言うとおり、いつかまた美味いと思えるものを食えるかcハれない。沙耶と出会えたように。
   
377 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:10.16 ID:Riz5Vxs0
 愛液の滑vb充分間に合うようにな・ト、ようやく僕の動きを快楽として受け止められるようにな・トきたらしい。
  
378 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:10.71 ID:Riz5Vxs0
「とDく、今日は脚が必要なんだ。車を出してくれないか?」
   
379 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:11.30 ID:Riz5Vxs0
 だが僕からしてみれば、彼女が幽霊でも何でも良か・ス。地獄に仏とはこのことだ。
  
380 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:11.95 ID:Riz5Vxs0
「ひどい有様だね。ま・スく」
   
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:12.97 ID:Riz5Vxs0
 中断させようかとも考えたが、瑶のすがりつくような眼差しと視線を合わせたところで、僕の中に別の思惑が形になる。
  
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:13.58 ID:Riz5Vxs0
 吐き捨てるようにそう言う郁紀の口調には、気まずくな・ス空気を和ませようなどという配慮は欠片ほどもなか・ス。
   
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:14.14 ID:Riz5Vxs0
「……[ピーーー]よ」
  
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:14.66 ID:Riz5Vxs0
 
   
385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:15.26 ID:Riz5Vxs0
 やるせない想いとともに、瑶は隣席の荷物を手元に引き寄せた。
  
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:15.80 ID:Riz5Vxs0
 
   
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:16.38 ID:Riz5Vxs0
「それでa曹「・ト言・スのは、沙耶だろ? ほら、沙耶も一緒に」
  
388 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:16.93 ID:Riz5Vxs0
 そう決意したところで、総身に武者震いが走・ス。殺意の味は射精感に似て外・セ・ス。
   
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:17.48 ID:Riz5Vxs0
「嫌ぁ! 来ないでぇ!」
  
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:18.00 ID:Riz5Vxs0
「そして、一番の問題は……」
   
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:18.70 ID:Riz5Vxs0
 アコードのヘッドライトの中に、ふいに朽ち果てた迄aが幽霊のように立ち現れた。どうやら終点のようだ。
  
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:19.42 ID:Riz5Vxs0
 沙耶は言・トいた……自分の同類、と。
   
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:20.03 ID:Riz5Vxs0
 
  
394 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:20.60 ID:Riz5Vxs0
 冷たくもない、粘ついてa曹ネい、まぎれもない人間の――肌。その髪に薫る芳しい少女の匂い。
   
395 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:21.15 ID:Riz5Vxs0
 沙耶、僕の可愛い沙耶――本当にこれでいいのか?
  
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:21.80 ID:Riz5Vxs0
 こんな容姿でありながら、沙耶のセックスに対する諱~~さは大人眼Yけ――いや、ちょ・ニ異常とさえ言・トa曹「。
   
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:22.35 ID:Riz5Vxs0
 
  
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:23.33 ID:Riz5Vxs0
 睦言の優しい晦ウをお互いに確かめ合いながら、僕らは眠りの底へと沈んでい・ス。
   
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:23.96 ID:Riz5Vxs0
 
  
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:24.76 ID:Riz5Vxs0
「……」
   
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:25.41 ID:Riz5Vxs0
 
  
402 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:26.09 ID:Riz5Vxs0
 
   
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:26.66 ID:Riz5Vxs0
 そうか、まだいたのか――
  
404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:27.20 ID:Riz5Vxs0
「い・スいどういう風の吹き回しだ?」
   
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:27.81 ID:Riz5Vxs0
 丹保も、いよいよ深刻な顔で眉根に皺を寄せていた。
  
406 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:28.55 ID:Riz5Vxs0
 
   
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:29.12 ID:Riz5Vxs0
 しゃくり純Oるような悲鳴を純Oて、瑶は無様に床に転がる。その様は沙耶の言うとおり、まる・ォり知性の欠けた動物のようだ・ス。
  
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:29.78 ID:Riz5Vxs0
 それ故に、沙耶たちの略奪は文化と精神にも及ぶ。あの稀ル的なまでの学習能力と知的好奇心は、標的とする種族の培・トきた知的財産をそ・ュりそのまま継承するための本能であり能力だろう』
   
409 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:30.52 ID:Riz5Vxs0
「忘れたりするもんか」
  
410 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:32.56 ID:Riz5Vxs0
 郁紀宅の電話機がベルを鳴らしながら着信ランプを点滅させている。
   
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:37.04 ID:Riz5Vxs0
 それが――なぜ、奥涯の本宅や別荘に踏み込んだときと同じ不吉さを匂わせて、耕司の神経を逆撫でするのか。
  
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:37.87 ID:Riz5Vxs0
 腕にあり・スけの力を注ぎ込み、耕司は自分の上に乗・トいるモノを、右手に掴み取・ス質量で振り払う。
   
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:38.51 ID:Riz5Vxs0
 大変だ・ス一日をようやく終えて、ベッドに就こうとしたところで、僕は奥涯邸からの収穫物を沙耶に見せた。
  
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:39.40 ID:Riz5Vxs0
「一昨日の晩、この病院に誰かが押し入・トね。保管庫から匂坂くんのカルテを盗んでい・スの」
   
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:39.94 ID:Riz5Vxs0
「うん、まぁ」
  
416 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:40.49 ID:Riz5Vxs0
 
   
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:41.08 ID:Riz5Vxs0
 とんでもないことをした……僕は狼狽のあまりパニックになlィか・トいた。
  
418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:41.68 ID:Riz5Vxs0
 この手を誰かの血に染めたことに、何の葛藤も感じていない。
   
419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:42.23 ID:Riz5Vxs0
 沙耶は僕の言葉を封じ込めるようにまた唇を重ねて、さ・ォまで以上に情熱的な舌使いで僕を求めてきた。その晦「舌の感触に僕は陶然(とうぜん)となる一方で、大切な一言を――さ・ォ沙耶に遮られた肝心な言葉をどうにかして口に出そうと、焦りを感じ始めていた。
  
420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:42.92 ID:Riz5Vxs0
「東京へ」
   
421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:43.48 ID:Riz5Vxs0
 行き先も告げずに栃木にまで来てしま・スが、青海のことがあ・ト間もないだけに、ひょ・ニしたら今ごろは心配しているかcハれない。
  
422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:44.11 ID:Riz5Vxs0
「そんなこと、僕はぜんぜん気にならないよ。君の声が聞きたい。姿が見たい」
  
423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:44.86 ID:Riz5Vxs0
 
   
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:45.38 ID:Riz5Vxs0
 さすがに少し咎める語調で、耕司が郁紀を呼d厨める。
  
425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:46.00 ID:Riz5Vxs0
 
   
426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:46.56 ID:Riz5Vxs0
 だが一方で、郁紀が『沙耶』という言葉にこれほどの反応を見せたことに、耕司の中にまだ残・トいる友情の残骸が、心の深い場所で傷みに呻く。
  
427 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:47.11 ID:Riz5Vxs0
 すべてが歪んで目に映る僕に、ただ一人まともな姿で見えた沙耶。僕は彼女だけが填ハなのだと思・トいた。
   
428 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:47.67 ID:Riz5Vxs0
「ん? ああ。そこにいたよ」
  
429 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:48.24 ID:Riz5Vxs0
 
   
430 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:48.80 ID:Riz5Vxs0
 
  
431 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:49.53 ID:Riz5Vxs0
「教授はいま失踪中なんです。知・トましたか?」
   
432 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:50.09 ID:Riz5Vxs0
 僕が戻る直前に沙耶が出てい・スのだとしても、もう半日近い時間が経・トいる。
  
433 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:50.62 ID:Riz5Vxs0
 
   
434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:51.38 ID:Riz5Vxs0
 分厚く柔らかい肉が衝撃を吸う、身の埋・よだつような感触が両腕に伝播し、湿・ス音が耕司の耳にまで届く。
  
435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:51.92 ID:Riz5Vxs0
 刃先は面白いほど易々とヤツを切り裂き、体液が間欠泉のように吹き出して僕の顔を染める。
   
436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:52.47 ID:Riz5Vxs0
 あの家の中で何が起こ・トも、外にいる人間はき・ニ誰も気付かないだろう。
  
437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:53.19 ID:Riz5Vxs0
 
   
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:53.78 ID:Riz5Vxs0
「……郁紀は、嫌?」
  
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:54.55 ID:Riz5Vxs0
 一息置いた郁紀は、どういうつもlィ、そこでぞ・ニするような含み笑いを漏らした。
   
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:55.18 ID:Riz5Vxs0
 き・ゥり5分間だけ、ハンドルに凭(もた)れかか・ト泣いた。
  
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:55.71 ID:Riz5Vxs0
 小脇には何やら重そうなダッフルバッグを抱えている。バッグの輪郭が崩れるほどにゴツゴツと突起を浮き出させている内容物の数々については、耕司も問い質(ただ)す気にはなれなか・ス。
   
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:56.35 ID:Riz5Vxs0
 携帯電話の着信音が、作業を進める凉子の手を止めさせた。
  
443 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:56.88 ID:Riz5Vxs0
「沙耶の腕力だとさ、瑶みたいな女の子なら楽にねじ伏せられるだろうけど、男を相手には厳しいと思うんだ」
   
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:57.47 ID:Riz5Vxs0
『相談がある。駐車場に来てくれないか?』
  
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:58.10 ID:Riz5Vxs0
 三枚の写真のうち、沙耶が関心を示したのは、裏に栃木県の住所が書き留められた一枚だ・ス。
   
446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:58.69 ID:Riz5Vxs0
 
  
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:59.27 ID:Riz5Vxs0
“人目につかない所だからこそ――”
   
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:13:59.82 ID:Riz5Vxs0
 
  
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:00.38 ID:Riz5Vxs0
 ――本当にあ・スコワ〜イ話:病院編――
   
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:00.91 ID:Riz5Vxs0
「うん?」
  
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:01.53 ID:Riz5Vxs0
 
   
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:02.10 ID:Riz5Vxs0
 生温かい舌と冷たい蛞蝓(なめくじ)とが交互に肌の上を這い回・トいるかのような、掻痒(そうよう)。
  
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:02.70 ID:Riz5Vxs0
 手明かりを持・トうろつけば、歴然と位置を知s_て廻らキとになる。おそrY待ち伏せを仕掛けているであろう郁紀を、一方的に利すらキとになる。
   
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:03.39 ID:Riz5Vxs0
 
  
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:04.12 ID:Riz5Vxs0
 たとえば、恋人と過ごした日々。
   
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:04.75 ID:Riz5Vxs0
「忘れたりするもんか」
  
457 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:05.35 ID:Riz5Vxs0
 なぜ郁紀に殺されなきゃならない? 親友だ・スはずの男に?
   
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:05.89 ID:Riz5Vxs0
 
  
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:06.50 ID:Riz5Vxs0
「俺にだ・ト条はある。お前の出方次第では、考えんでもない」
   
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:07.05 ID:Riz5Vxs0
「……うん」
  
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:07.64 ID:Riz5Vxs0
「不条理な物事について、きちんと条理に沿・ス体裁を整える――これが警察・トいう役所の仕事だ。彼らの思考はいつだ・ト、よょY解しやすい方、より説明しやすい方に傾いていく。それこそ水が低い方へ低い方へと流れていくように。
   
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:08.28 ID:Riz5Vxs0
 沙耶が僕を導いてくれる。彼女となら僕は生きていける。
  
463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:08.85 ID:Riz5Vxs0
 
   
464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:09.55 ID:Riz5Vxs0
「あ、いえ。お構いなく。一人でも何とかなりますから」
  
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:10.17 ID:Riz5Vxs0
 
   
466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:10.73 ID:Riz5Vxs0
 生きていれば沙耶の言うとおり、いつかまた美味いと思えるものを食えるかcハれない。沙耶と出会えたように。
  
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:11.32 ID:Riz5Vxs0
 
   
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:11.90 ID:Riz5Vxs0
 
  
469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:12.46 ID:Riz5Vxs0
 耕司は直感で引け際の感触を得ていた。これ以上手の内を見せればブラフを見破られる危険がある。
   
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:13.24 ID:Riz5Vxs0
「俺が警察に行けば、済むことです」
  
471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:13.87 ID:Riz5Vxs0
「え? はい」
   
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:14.41 ID:Riz5Vxs0
 ついさ・ォの凉子の言葉。冷ややかな語調が、よn・Bサう冷酷に耕司の耳の中で蘇る。
  
473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:14.99 ID:Riz5Vxs0
 声にならない涙声で、沙耶が繰り返す。僕はいたたまれずに彼女の頬を胸に押しつけた。
   
474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:15.55 ID:Riz5Vxs0
 さも鬱陶しそうな語調で凉子が嘯(うそぶ)く。耕司の方を見ようとcハていない。
  
475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:16.32 ID:Riz5Vxs0
 
   
476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:16.95 ID:Riz5Vxs0
 沙耶は『事bかりになりそうな物など何もない』と言・トいたが、あにはからんや、教授の家は探す価値のありそうな場所があまりにも多か・ス。今日一日では無理だと途中で諦めたが、この調子では、あの書斎を調べ尽くすだけでも何日かからキとになるのやら。
  
477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:17.49 ID:Riz5Vxs0
 左足首に何かが巻きついたのは、そのときだ・ス。
   
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:18.16 ID:Riz5Vxs0
 
  
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:18.73 ID:Riz5Vxs0
 ただ息の詰まるような悪臭と湿・ス空気だけが、ね・ニりと瑶を包み込む。
   
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:19.27 ID:Riz5Vxs0
 その先を言うのは……誰も聞いてはいないだろうが、さすがに恥ずかしい。今度は僕も携帯電話のテンキーを操作し、かな文字を入力した。
  
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:19.82 ID:Riz5Vxs0
「あ、当たり前です」
   
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:20.35 ID:Riz5Vxs0
 廃屋然とした蝕竄フ中、過日の暮らしぶvbそのままに窺える屋内は、海底に沈没した客船の中を彷彿とさせた。墓所めいたその沈黙が、ふと耕司の脳裏に不吉な連想を呼d康こす。
  
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:20.88 ID:Riz5Vxs0
「あの地下室、本棚の裏に開かない蚤あ・トね」
   
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:21.41 ID:Riz5Vxs0
 
  
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:22.00 ID:Riz5Vxs0
「まだナイショ。それより、郁紀、疲れてるでしょ? お腹空いてる? それとも、お風呂?」
   
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:22.61 ID:Riz5Vxs0
 
  
487 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:23.20 ID:Riz5Vxs0
「他の動物を誘う餌にできないか? 野良猫とかカラスをおd┃寄せてさ――」
   
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:23.75 ID:Riz5Vxs0
 僕は人を殺した。誰にも見つからない場所で、誰に知られらキともなく。
  
489 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:24.29 ID:Riz5Vxs0
 今の僕には窓の外を見たくならキとなんて有り得ない。雨戸を閉め・マなしにしておけc・ラ家から不審がられらキともないだろう。
   
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:24.83 ID:Riz5Vxs0
 落胆する一方で、知性の発現からわずか1週間あまりの間にこれほどの知能を獲得した、彼という生物への興味は尽きない。
  
491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:25.39 ID:Riz5Vxs0
「スピリタスウォッカ。気付け薬に良し、輯ナに良し、浴d┿てから火を点ければ、効くような相手にはかなり効く」
   
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:25.95 ID:Riz5Vxs0
 
  
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:26.49 ID:Riz5Vxs0
「だからわたし、この子の躯を造り替えてあげたの。ちゃんと郁紀にも可愛が・トもらえるような姿に」
   
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:27.23 ID:Riz5Vxs0
 
  
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:27.92 ID:Riz5Vxs0
 ザイルが揺れ、光が遮られる。点灯したままの大型ライトをベルトで肩に吊・ス人物が、慎重にザイルを伝い降りてきた。
   
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:28.47 ID:Riz5Vxs0
 逃がすものか……洋佑は雄叫d・純Oながら、怪物の後を追いかけた。こいつらを皆殺しにすれば、cハかしたら悪夢から覚めるかcハれない。その可能性に思い至り、殺意がますます獰猛に膨れあがる。
  
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:29.04 ID:Riz5Vxs0
 未熟な容姿とは裏腹に、毅ュほど柔靭でしなやかに僕を吸い、包み込むのが沙耶だが、それに比べて瑶の身体は、明らかに未開発だ。侵入に慣れていない膣はまだまだ硬く狭く、蜜のぬめりも僕の従ョ(ぜんどう)に追いつくほどの量を出せずにいる。とはいえ、攻める側からすればこういう抵抗の強さも快感の刺激なのだが。
   
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:29.73 ID:Riz5Vxs0
 耕司としては気が進まなか・スが、この別荘も東京の本宅と同様、住人が去・トかなり立つのは見るからに明らかだ。遠慮するのはやめて、郁紀とは別の部屋から物色を始める。
  
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:30.31 ID:Riz5Vxs0
 
   
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:30.86 ID:Riz5Vxs0
 
  
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:31.64 ID:Riz5Vxs0
「ハハ、勘弁してや・トくれよ脱v葉。こいつ今そ・ソにハマ・トんだ」
   
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:32.23 ID:Riz5Vxs0
「そう。郁紀すごいね。写真も見られるようにな・ス?」
   
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:32.80 ID:Riz5Vxs0
 
  
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:33.40 ID:Riz5Vxs0
 頷いてから、沙耶は問いかけるような眼差しで僕の目を覗き込んできた。
   
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:33.94 ID:Riz5Vxs0
 夕食の席に着いても、洋佑の脳裏には隣家のことが残・トいた。
  
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:34.58 ID:Riz5Vxs0
「これは――」
   
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:35.16 ID:Riz5Vxs0
「君にはそれだけじゃないように見えるのかい?」
  
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:35.76 ID:Riz5Vxs0
「その耕司・ト人の服も取り純Oて、重ね着してくれc・ヌか・スのに」
   
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:36.29 ID:Riz5Vxs0
「不祥事・ト、い・スい何を?」
  
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:36.96 ID:Riz5Vxs0
 ああ、なんと目眩く未来だろうか』
   
511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:37.60 ID:Riz5Vxs0
 死体は肩を竦(すく)めて――とい・トも動くのは無事な右肩だけだが――さも不味そうな顔でまた一口コーヒーを啜る。
   
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:38.18 ID:Riz5Vxs0
 呼び鈴に返答はない。
  
513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:38.74 ID:Riz5Vxs0
<<分岐・郁紀に電話した? 凉子に電話した?>>
   
514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:39.31 ID:Riz5Vxs0
 だがその軟体の緊縛は次から次へと数を増し、まるで群体の蛇のように耕司の自由を奪・トいく。
  
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:39.91 ID:Riz5Vxs0
 返事はない。代わりに、なにか濡れた柔らかいものが転がるようなピチャピチャという音が、家の奥へと遠ざか・トい・ス。
  
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:40.56 ID:Riz5Vxs0
 だがその恐怖と同じぐらい……いや、それに数倍する恐ろしさを、いま現在、彼女を見張tKける視線に対して感じていた。
   
517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:41.18 ID:Riz5Vxs0
 
   
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:41.80 ID:Riz5Vxs0
 瑶は絶叫した。まさかこんな声を出せるだけの力が自分の中に残・トいようとは思わなか・ス。本能の奥底かllき純Iる力が、これが瀬戸際とばかりに荒々しく瑶の身体を駆り立て、縛めを振りほどこうと遮二無二(しゃにむに)、四肢を暴れさせた。
  
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:42.37 ID:Riz5Vxs0
 cハ邸内に誰かいるなら車の音は聞き咎められているだろうが、気にしたところでどうなるものでもない。
   
520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:42.99 ID:Riz5Vxs0
 きちんと手入れして使われているシンクを覗き込む。
  
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:43.77 ID:Riz5Vxs0
 どんな有様にな・トいるのか、鏡を使えば観察すらキともできるだろうが、そんなことをして幸福な気分になれるとも思えない。
   
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:44.34 ID:Riz5Vxs0
「潔癖性なんだよ。私は。ああや・ト人の世界の埒外(らちがい)に隠れ棲んでいるような奴らが我慢ならない。
  
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:44.92 ID:Riz5Vxs0
 
   
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:45.49 ID:Riz5Vxs0
 不思議になるほどに彼女の奉仕は的確で手際tY・ス。細い指の一本一本が、まるでしなやかな蛇のように僕の肉茎に絡みつき、淫猥に蠢いて欲望を腰の奥から吸い純Oていく。
  
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:46.03 ID:Riz5Vxs0
 
   
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:46.56 ID:Riz5Vxs0
 
  
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:47.08 ID:Riz5Vxs0
『……ァ……ァ……ァァァ……』
   
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:47.67 ID:Riz5Vxs0
 も・ニ落胆するかと思・スが、沙耶の反応は意外に殖゚ていた。
  
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:48.26 ID:Riz5Vxs0
「うふふ」
   
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:48.79 ID:Riz5Vxs0
 
  
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:49.39 ID:Riz5Vxs0
「場所は?」
   
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:53.39 ID:Riz5Vxs0
 鋭い痛み――だが悪夢は覚めない。これが悪夢でないというなl。だというのか?
  
533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:53.98 ID:Riz5Vxs0
 
   
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:54.67 ID:Riz5Vxs0
 
  
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:55.33 ID:Riz5Vxs0
「……」
   
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:55.87 ID:Riz5Vxs0
 声にならないほど小さな声で、瑶は懇願していた。
  
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:56.47 ID:Riz5Vxs0
 
   
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:57.07 ID:Riz5Vxs0
 退院祝いに渡された花束は、色も匂いも吐き気を喉キような代物だ・スが、それでも僕は笑顔を繕・ト受け取・ス。
  
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:57.62 ID:Riz5Vxs0
 だがその軟体の緊縛は次から次へと数を増し、まるで群体の蛇のように耕司の自由を奪・トいく。
   
540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:58.30 ID:Riz5Vxs0
 笑いなが・bう言・ト、洋佑は思うさま乱暴に腰を突き純Oる。そのたd・少女は苦悶に喘ぎ、首を振・ト溢れ出た涙の飛沫を散らす。
  
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:58.94 ID:Riz5Vxs0
 
   
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:14:59.51 ID:Riz5Vxs0
 今の音は――誰かが、泥のぬかるみで脚を滑らしたかのような、湿・ス音は――ず・ニ奥の部屋かs・アえた。
  
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:00.09 ID:Riz5Vxs0
 アコードを駆・ト勾配のきつい坂を上・トいくうちに、ほどなく民家の姿は州ヲ失せた。すぐ足元まで開発の事b迫・トいながらも、まだ切り開かれていない森の闇は予想以上に深い。
   
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:00.83 ID:Riz5Vxs0
 
  
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:01.41 ID:Riz5Vxs0
 広い冷凍庫にぎ・ソりと詰ま・トいたのは、形も大きさもまちまちな冷凍肉だ・ス。きちんとラップにくるまれて霜を被・トいるそれらの塊は、何の肉かまでは判断つかない。
   
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:02.07 ID:Riz5Vxs0
「彼女、僕の家に来る途中でいなくな・スんだろう? もちろん僕だ・ト心配だよ」
   
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:02.64 ID:Riz5Vxs0
 得物のつもりで肉切り包丁を隠し持・ト行・スのだが、そんな手間をかける必要さえなか・ス。涸れ井戸とは――何とまた好都合な舞台装置があ・スものか。運命が僕に味方しているとしか思えない。
  
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:03.36 ID:Riz5Vxs0
 
   
549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:03.95 ID:Riz5Vxs0
「あたし、匂坂くんと二人だけで話してみたいわ。耕司はついて来なくてa曹「から」
  
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:04.74 ID:Riz5Vxs0
「あああ、ぃぃ……郁紀……バラバラに、な・ソゃい、そう……もう……」
   
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:05.33 ID:Riz5Vxs0
 脱v葉瑶の名前を聞いた郁紀は、気まずそうに苦笑した。だが耕司はその笑みの裏側に、同情よりなお冷たい、見下すような憐憫の色を見て取・ス。
  
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:05.94 ID:Riz5Vxs0
 そういえばこの病院は怪談話が絶えないことで有名だ。
   
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:06.53 ID:Riz5Vxs0
 ダッシュボードかもフうちに新しく調達したマグライトを取り出し、ポケットの銃の重みを確認してから、耕司はドアを開け――タイミングを合わせてトランクのロックも解除する。凉子なら、いちいち状況を説明せずとも察しはつくだろう。
  
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:07.15 ID:Riz5Vxs0
 売れ・qの画家というほどのこともない。個展を開くのも赤字が前提だ。だが書斎のマッキントッシュで片手間にこなす副業のエディトリアルデザインで、日々の暮らしに苦のないだけの糧は得ている。
  
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:07.73 ID:Riz5Vxs0
 耕司の怒気を平然と跳ね返す固い声で、凉子は言い放・ス。
  
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:08.34 ID:Riz5Vxs0
 
   
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:08.92 ID:Riz5Vxs0
 あくまで仮定だ。だがcハそれが真相だとすれば――青海の身に何があ・スにせよ、それは瑶にも責任の一端があらキとになりはすまいか?
  
558 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:09.54 ID:Riz5Vxs0
 だがこの3ヶ月、それなりに知覚異常と折り合いをつけて生活してきた僕は、目に見える諸々の物体のうちどれが自動車でどれが歩行者か、そうい・ス判別が出来るまでにな・トいた。
   
559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:10.16 ID:Riz5Vxs0
 
  
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:10.74 ID:Riz5Vxs0
「早く自覚して医者にでも行・トもらわんことには、何ともなぁ……」
   
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:11.33 ID:Riz5Vxs0
 
  
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:51.61 ID:Riz5Vxs0
 
     
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:52.34 ID:Riz5Vxs0
 
  
564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:52.93 ID:Riz5Vxs0
 隣家に住む画家の鈴見さん。あの気さくな中年男の面影は、僕がどこか遠い場所に置き去りにしてきた記憶にすぎない。
   
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:53.49 ID:Riz5Vxs0
「あたし、匂坂くんに一言いってやらなきゃ気が済まないわ」
  
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:54.14 ID:Riz5Vxs0
 泣きじゃくる僕に沙耶が笑いかける。子供をあやす母親の笑顔だった。
   
567 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:54.73 ID:Riz5Vxs0
 いつもの、悪夢。もう何度目になるのかも判らない。近頃では叫んで跳び起きるようなこともなくなった。
  
568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:55.36 ID:Riz5Vxs0
 休眠はまだ全然足りてない。だがもう今夜は眠れないだろう。
   
569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:56.13 ID:Riz5Vxs0
 そして、そこかしこの空いた壁には、びっしりとチョークか何かで描かれた意味不明な図形の数々。二枚ほど並べられた移動式の黒板にも、所狭しと奇怪な落書きめいた文様が描き込まれている。どれもこれも、眺めているだけで目眩がしてくるような――
  
570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:56.68 ID:Riz5Vxs0
 どちらが先に物音を立て、どちらが先に気配を察知するか。そういう気が遠くなるほど隠微で危険な神経戦になる。
   
571 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:57.24 ID:Riz5Vxs0
 人をして万物の霊長などと、そんな脳天気な戯言を誰が言ったのか?
  
572 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:57.97 ID:Riz5Vxs0
 
   
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:58.80 ID:Riz5Vxs0
「ふむ? そうか。一貫してるんだな」
  
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:15:59.68 ID:Riz5Vxs0
 もっとも、その感覚は彼自身にとっても当惑すべきものだったらしい。彼は彼自身にも説明できないその衝動を『本能』と言い表していた。それが彼なりに適切な表現なのだとしたら、これは極めて興味深い。
   
575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:00.25 ID:Riz5Vxs0
 今、時刻はすでに午前五時。もうしばらくすれば空が黎明の兆しを見せ始める。
  
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:00.80 ID:Riz5Vxs0
「……」
   
577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:01.40 ID:Riz5Vxs0
 匂坂郁紀の口元が、ぴくりと動いた。
  
578 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:01.96 ID:Riz5Vxs0
 鉈と添い寝するようになったのはその頃からだ。この世の理性ってものがどんなにタガの弛んだ、穴だらけの、頼りない代物なのか理解するようになったのは、ね」
   
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:02.50 ID:Riz5Vxs0
 だが、瑶はすでに覚悟を固めている。今日ばかりは退くことはできない。
  
580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:03.11 ID:Riz5Vxs0
 つまりは、引け時なのだ。
   
581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:03.67 ID:Riz5Vxs0
 
  
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:04.26 ID:Riz5Vxs0
 まず念のためにチャイムを押し、何の反応もないことを確かめてから、周囲に人目がないことを確認し、玄関のノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
   
583 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:04.83 ID:Riz5Vxs0
「ねぇ、やっぱり私が狩った方が良くない?」
  
584 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:05.44 ID:Riz5Vxs0
「ああ。庭のこと、ひとこと言っておいた」
   
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:06.04 ID:Riz5Vxs0
 胸だけでは飽き足りない。せっかくの沙耶からの贈り物だ。もっと存分に堪能しなきゃ罰が当たる。
  
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:06.58 ID:Riz5Vxs0
 
   
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:07.15 ID:Riz5Vxs0
 
  
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:07.75 ID:Riz5Vxs0
「わからない」
   
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:08.30 ID:Riz5Vxs0
 
  
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:08.88 ID:Riz5Vxs0
 こんなにも小さな女の子と、僕は本気で夫婦になろうというのだろうか?
   
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:09.46 ID:Riz5Vxs0
『オ一人ノ暮ラ稱ホTハモウ、慣レマシ觸カ?』
  
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:10.95 ID:Riz5Vxs0
「それは……噂話に」
   
593 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:11.48 ID:Riz5Vxs0
「――ああ、先生。いたんですか」
  
594 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:12.06 ID:Riz5Vxs0
「仕方ないさ」
   
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:12.58 ID:Riz5Vxs0
 あのとき徹底的に言い負かして追い払った相手が、かつて親交のあった瑶だと――実感はないものの、僕も理屈の上では理解していた。べつに瑶その人の人格にまで恨みはないのだ。傷つけるのは不本意だった。
  
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:13.15 ID:Riz5Vxs0
 携帯電話にむけて怒鳴る耕司の声は悲鳴に近かった。いま瑶が直面している状況への、想像を絶した恐怖に、耕司の理性もまた蝕まれていた。
   
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:13.68 ID:Riz5Vxs0
「ねぇねぇ、今度のスキーだけどさ。今年は、どっかスケートも遊べる所にしない?」
  
598 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:14.26 ID:Riz5Vxs0
 郁紀は耕司の横から浴室の中を覗き込み、それから何食わぬ顔で扉を閉める。珍しいものなど何も見つからなかったと言わんばかりに。
   
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:14.80 ID:Riz5Vxs0
「沙耶――外だよ」
  
600 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:15.49 ID:Riz5Vxs0
 
   
601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:16.06 ID:Riz5Vxs0
「じゃあ、俺、行くわ」
  
602 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:16.91 ID:Riz5Vxs0
 ――かわりに、私たちの幸せを分けてあげる。喜びなさい、ヨウ。死ぬまで愛してあげるから――
   
603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:17.49 ID:Riz5Vxs0
「おやすみなさい、郁紀」
  
604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:18.07 ID:Riz5Vxs0
 
   
605 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:18.61 ID:Riz5Vxs0
 真っ直ぐな視線で見つめ返されながらそう問われては、ただもう言葉に詰まるしかなかった。
  
606 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:19.25 ID:Riz5Vxs0
 
   
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:20.05 ID:Riz5Vxs0
 指先を動かすのがやっとという程度の有様で、そんな芸当を演じる自信は耕司にはない。
  
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:20.58 ID:Riz5Vxs0
 凉子は耕司の受けた衝撃の程を察して、あえてコメントは差し控える。
   
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:21.19 ID:Riz5Vxs0
「いや、それはちょっと……」
  
610 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:21.79 ID:Riz5Vxs0
「ふぅん……わたしも見てみたいな。青海ちゃんがスケートやるところ」
   
611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:22.34 ID:Riz5Vxs0
 水を流しただけでは落ちきらない赤茶けた澱みが、うっすらとシンクの縁に残っている。
  
612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:23.08 ID:Riz5Vxs0
 かつてこの家には何度も来た。何度この敷居を跨いだか知れない。血の通った想い出はいくらでもある。
   
613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:23.65 ID:Riz5Vxs0
 依然ここが空き家のままだったのは、中に入ってからようやく判ったことだが、それでも耕司は、郁紀が待ち伏せの準備のために約束の7時より早い時間に現れるだろうと確信していた。
  
614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:24.32 ID:Riz5Vxs0
「ヒト科ヒト目の生体構造についてはね、沙耶はもう、この星でいちばんのエキスパートなの。いっぱい勉強したからね」
   
615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:25.17 ID:Riz5Vxs0
「いえ、こっちが知りたいぐらいです。先生、いったい何者なんですか? あの奥涯っていう人は」
  
616 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:25.80 ID:Riz5Vxs0
「ぁぐ……ッ」
   
617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:26.52 ID:Riz5Vxs0
 
  
618 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:27.06 ID:Riz5Vxs0
 
   
619 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:27.62 ID:Riz5Vxs0
 郁紀、貴様は瑶のどこを喰ったんだ? 何の咎もなかった彼女を、貴様は牛か豚のように解体したのか?
  
620 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:28.36 ID:Riz5Vxs0
 どういうわけか――言葉が出ない。思考がうまくまとまらない。沙耶のキスがもたらす陶酔が唇だけでなく全身へと染みわたり、僕の意識をぼやかしていく。
   
621 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:28.93 ID:Riz5Vxs0
『ダカラ、屋内ジャ愧Tテサ、屋苞ァ+けーと。凍ッタ塘1Dpデ滑レルトコロ』
  
622 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:29.62 ID:Riz5Vxs0
 
   
623 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:30.18 ID:Riz5Vxs0
 どんなに粘ろうと、耕司の言葉がこの女性を恥じ入らせたり、考えを改めさせたりすることはないだろう。ここまで良心の基盤が食い違った人物とは語り合うだけ無駄だ。
  
624 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:30.82 ID:Riz5Vxs0
 何を? ――もちろん問うまでもない。たったいま僕があられもなく吐き出した欲望のすべてを、だ。
   
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:31.71 ID:Riz5Vxs0
 
  
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:32.70 ID:Riz5Vxs0
 限界を超えて注ぎ込まれる快楽に、ついに理性が決壊し、僕は溜めに溜め込んだ勢いのままに一気に白濁を吐き出していた。――僕をくわえ込んだ沙耶の喉深くへと。
   
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:33.48 ID:Riz5Vxs0
 跳び起き、駆け寄って、床に倒れている沙耶を抱き起こす。
  
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:34.22 ID:Riz5Vxs0
 
   
629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:35.42 ID:Riz5Vxs0
『先生の方は、何か手がかりは掴めましたか?』
  
630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:35.96 ID:Riz5Vxs0
「栃木の北の方。那須高原の近所だな」
   
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:36.84 ID:Riz5Vxs0
 
  
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:37.98 ID:Riz5Vxs0
 耕司から話を振られた、瑶の隣の席の“彼”――匂坂郁紀(さきさかふみのり)は、返事になってない呟きで曖昧に混ぜ返した。
   
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:38.89 ID:Riz5Vxs0
 
  
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:40.01 ID:Riz5Vxs0
 僕が促すと、沙耶は慌てて肋肉を放り出し、ひたむきな口淫に没頭している瑶を押しのける。
   
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:40.73 ID:Riz5Vxs0
 瑶の肩越しに、彼女の顔を覗き込んだ沙耶が、陶然(とうぜん)と羨むように呟いた。
  
636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:41.55 ID:Riz5Vxs0
 答えはない。だが扉の外からはたしかに、何かと葛藤するような彼女の気配が伝わってくる。
   
637 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:42.36 ID:Riz5Vxs0
「そうかい」
  
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:43.34 ID:Riz5Vxs0
 もう、逃げられっこない。
   
639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:44.15 ID:Riz5Vxs0
「[ピーーー]よ! もう死んでろよ! これ以上、郁紀に近寄るんじゃねぇよ!」
  
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:45.13 ID:Riz5Vxs0
「……わたしもね、びっくり……ねぇ、郁紀」
   
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:45.87 ID:Riz5Vxs0
 
  
642 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:46.55 ID:Riz5Vxs0
 事故の後遺症による脳障害。そう判断するしかなかった。
   
643 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:47.24 ID:Riz5Vxs0
 
  
644 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:48.09 ID:Riz5Vxs0
 料理の味も、シーツの触り心地も、見舞いの花から薫る匂いも、すべてが目に見えた外観から想像した通りのものに――生理的嫌悪をかき立てるばかりの不快で耐え難いものに――変化していった。
   
645 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:49.08 ID:Riz5Vxs0
 己の人生と、その象徴ともいえる我が家を洋佑は愛していた。庭の草を刈り、ガラス窓と廊下を磨き、台所とトイレと浴室を清潔に保つこと。それは自分自身が風呂で身を清めるのと同等の喜びがある。
  
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:54.72 ID:Riz5Vxs0
 大きな声も出せず、身動きもできないまま、瑶は床に小さく丸まって啜り泣いた。
   
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:55.53 ID:Riz5Vxs0
 
  
648 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:16:56.59 ID:Riz5Vxs0
 僕は沙耶とともに生きていくために、人と違う生き方を選択した。そんな僕らが安住の地を見つけることは――この人間ばかりが犇(ひし)めく世界では、たぶん有り得ない。それこそ世界の外側にでも逃げ延びない限り。
   
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:02.75 ID:Riz5Vxs0
「それだけじゃないとしたら、残りは先生の妄想なんじゃないですか?」
  
650 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:03.70 ID:Riz5Vxs0
 
   
651 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:04.38 ID:Riz5Vxs0
 丹保医師は耕司のなりを頭から爪先まで眺めて苦笑すると、ポケットからフラスクを取り出し、渡した。
  
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:05.10 ID:Riz5Vxs0
「それじゃ」
   
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:05.84 ID:Riz5Vxs0
『耕司、お前は集めた資料のすべてを証拠ともども持ってこい。その内容を見て納得できたら、僕らは瑶を引き渡す』
  
654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:06.49 ID:Riz5Vxs0
「郁紀……」
   
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:07.09 ID:Riz5Vxs0
 凉子は黙り込んだ。彼女にとっては話題が話題だけに、笑顔で取り繕うにも限度がある。
  
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:07.88 ID:Riz5Vxs0
 とんでもないことをした……僕は狼狽のあまりパニックになりかかっていた。
   
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:08.53 ID:Riz5Vxs0
「奥涯の正体を初めて知ったとき、私はただの善良な一般市民だった。交通違反すら無縁の、ね」
  
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:09.23 ID:Riz5Vxs0
 
   
659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:09.80 ID:Riz5Vxs0
 
  
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:10.65 ID:Riz5Vxs0
 夢遊病者のような足取りで、耕司は奥涯邸を出てアコードに向かった。
   
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:11.51 ID:Riz5Vxs0
 それきり、ぷつりと糸が切れた操り人形のように、郁紀は前のめりに頽(くずお)れた。
  
662 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:12.23 ID:Riz5Vxs0
 
   
663 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:12.90 ID:Riz5Vxs0
「いいけど……何するの?」
  
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:13.56 ID:Riz5Vxs0
 電波が最寄りの中継所へと奔(はし)る一瞬の間。続いて……
   
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:14.24 ID:Riz5Vxs0
 純粋な酸素が生体にとって有害であるように、剥き出しの真実は、ヒトの精神を破壊する。
  
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:14.99 ID:Riz5Vxs0
 それだけではない。彼女は僕に微笑んでくれる。僕のことを抱きしめてくれる。
   
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:15.59 ID:Riz5Vxs0
 可憐な花を敢えて散らす、そういう黒い情熱はどんな男の胸にもある。夜毎に僕を狂わせる沙耶の肉体は、まさにそういう獣じみた欲望を狙い撃つかのように刺激する妖花だった。
  
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:16.18 ID:Riz5Vxs0
「昔読んだ漫画でさ……事故から生き返ったせいで世界が当たり前に見えなくなる男の話があった。今の僕みたいにね」
   
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:16.75 ID:Riz5Vxs0
 
  
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:17.30 ID:Riz5Vxs0
 
   
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:17.99 ID:Riz5Vxs0
 
  
672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:19.47 ID:Riz5Vxs0
 その悩ましい嬌声とともに弾む白い躯が――あまりにも不条理で――夢のようで――この僕の身体を背骨から腰まで貫いて焼く快楽もろとも、もしかしたら幻なのではないかと……
   
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:20.12 ID:Riz5Vxs0
『すホサyネ祭ォ? ワザワエャWCQエヒ]?ア角マデ行ッ閂ト:ン麸と?』
  
674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:20.66 ID:Riz5Vxs0
 涙を見せてしまった後でも、声を上げて泣くのは、絶対に彼の前でだけは嫌だった。もうどんなに自分が無様に見えようと構わない。今この場で泣き崩れるのに比べれば。
   
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:21.23 ID:Riz5Vxs0
 郁紀と再会したとき、いったい自分はどうするつもりなのだろう? 口汚く罵るだけか? 自首でも促すのか? それとも――
  
676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:21.79 ID:Riz5Vxs0
 床のライトの淡い光を受けて、凶々しい照り返しを放つ斧の刃。その殺意の輝きが闇の中に弧を描く。
   
677 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:22.35 ID:Riz5Vxs0
 苦しみは、すでに越えたらしい。沙耶の表情は今どこまでも安らかに満ち足りていた。
  
678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:22.92 ID:Riz5Vxs0
 とんでもないことをした……僕は狼狽のあまりパニックになりかかっていた。
   
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:23.46 ID:Riz5Vxs0
 
  
680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:24.15 ID:Riz5Vxs0
 所番地から辺鄙(へんぴ)さが想像できた時点で、頭の中にあった計画だった。
   
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:24.86 ID:Riz5Vxs0
「さっきも言ったよね。1年前の私も手元に銃を持ってればって、どれだけ後悔したか知れないんだ。――もう二度と後悔するつもりはない」
  
682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:25.48 ID:Riz5Vxs0
「ペンキの匂い、平気?」
   
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:26.04 ID:Riz5Vxs0
 恐怖にショートした思考が、『銃』と『引き金』という2単語の間で永久ループに陥り凝結する。
  
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:26.59 ID:Riz5Vxs0
 だが一方で、郁紀が『沙耶』という言葉にこれほどの反応を見せたことに、耕司の中にまだ残っている友情の残骸が、心の深い場所で傷みに呻く。
   
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:27.16 ID:Riz5Vxs0
 彼はこの世界に来てから獲得した知性だけでなく、より深いレベルでの精神活動を行っていることになる。これを端緒に彼のルーツを探ることが可能なら、彼という存在の正体を掴めるのではなかろうか。
  
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:27.77 ID:Riz5Vxs0
「約束した……これが……最後の、プレゼント」
   
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:28.33 ID:Riz5Vxs0
 ぐじっ
  
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:29.05 ID:Riz5Vxs0
 自分には郁紀を救えたかもしれない――耕司がそう感じるのは傲慢な思い上がりかもしれなかったが、だとしたらそれは彼の優しさ故だった。
   
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:29.65 ID:Riz5Vxs0
「おかえり!」
  
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:30.29 ID:Riz5Vxs0
 静まりきった家の中に、むなしく響く彼女の声は、なぜか愚かしいほど無防備なものに思えた。
   
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:30.85 ID:Riz5Vxs0
 
  
692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:31.44 ID:Riz5Vxs0
「ほんと、弁(わきま)えてるんだね。戸尾くん」
   
693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:32.00 ID:Riz5Vxs0
 怯んだ郁紀の、がら空きになった脇を狙いすまして、耕司は右手の鉄パイプを叩き込む。
  
694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:32.60 ID:Riz5Vxs0
 
   
695 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:33.20 ID:Riz5Vxs0
 所番地から辺鄙(へんぴ)さが想像できた時点で、頭の中にあった計画だった。
  
696 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:33.76 ID:Riz5Vxs0
 そこまで思考が繋がったところで、彼の中に戸尾耕司が還ってきた。
   
697 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:34.35 ID:Riz5Vxs0
 
  
698 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:34.90 ID:Riz5Vxs0
 結局、別荘の外にも屋内と同様、気を引くようなものは何もない。
   
699 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:35.49 ID:Riz5Vxs0
「――そうらしいな」
  
700 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:36.03 ID:Riz5Vxs0
 耕司はいま自分の殺意を肯定できるほどに逸脱してしまったが、それでも郁紀を殺した後でその肉を食いたいとまでは思わない。そういう点で耕司はまだ、郁紀には及びもつかない。
   
701 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:36.57 ID:Riz5Vxs0
「あとでまた連絡する。それまでによく考えておけ」
  
702 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:37.13 ID:Riz5Vxs0
 
   
703 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:37.71 ID:Riz5Vxs0
「こう言っちゃ何だが……」
  
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:38.26 ID:Riz5Vxs0
 矛盾は、それと気付かぬ耕司自信の心に重く蟠(わだかま)っていた。ただ郁紀に対する疑問だけが、形にならないまま耕司の思考をループしていた。
   
705 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:38.82 ID:Riz5Vxs0
 彼は自らを『雄の精子を必要とする存在』であると規定し、それゆえに自分が『雌』であると主張しはじめた。明日からはあの生物を『彼女』と呼ぶ必要がありそうだ。
  
706 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:39.38 ID:Riz5Vxs0
「男って――その、ものすごく下劣な生き物だから――ほら、瑶の躯って、沙耶のハダカとはまたぜんぜん違う特徴があるだろ? これって――沙耶のこと好きだって思う気持ちとは全然別のところで――その、かなり気をそそられる、ってのが――」
   
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:39.91 ID:Riz5Vxs0
「ああ、そりゃあもう。――いいのかい? 君は、そんな事をして」
  
708 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:40.46 ID:Riz5Vxs0
 
   
709 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:41.02 ID:Riz5Vxs0
「もしも気が変わったら……僕はずっとここにいるから。いつでも来ていいからね」
  
710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:41.59 ID:Riz5Vxs0
 僕は狂ってなんかいない。
   
711 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:42.17 ID:Riz5Vxs0
 ある夜、僕は廊下の床を何かが這いずる音で目を覚ました。
  
712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:42.72 ID:Riz5Vxs0
「沙耶、もっと真ん中に寄せてくれ」
   
713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:43.30 ID:Riz5Vxs0
 目が慣れるまでしばらくかかったが、がらんどうの窓から差し込んでくる月光だけが頼みだ。あらゆる輪郭が、薄ぼんやりと滲んだ濃淡でしか判らない。
  
714 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:43.90 ID:Riz5Vxs0
 その真ん中で、沙耶は僕に背を向けて座り込み、夢中になって何かを頬張っていた。
   
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:44.60 ID:Riz5Vxs0
 事故の後の僕に付きまとって閉口させられた、あの腐肉の化け物ではない。僕の知覚にも正しく人間の姿として捉えられる容姿をしている。
  
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:45.43 ID:Riz5Vxs0
 その痙攣と、乳房の圧力を通して伝わる沙耶の手の感触と――僕は二人分の奉仕を一身に受けて、一気に快楽の絶頂まで押し上げられる。
   
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:46.09 ID:Riz5Vxs0
「――そうか、君はまだ、そういう形でケリがつけられるものだと思っているわけか」
  
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:46.66 ID:Riz5Vxs0
 いや、そんなことよりも、なぜ彼女がここにいる? こんな格好で何をしている?
   
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:47.25 ID:Riz5Vxs0
 門のインターホンからしてあれなら、ノックしたところで居留守を使われるかもしれない。こうなったら問答無用でドアを開けて怒鳴りつけてやろう。いや、鍵ぐらいは掛けているかもしれないが、そのときは……
  
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:47.82 ID:Riz5Vxs0
「助けてくれ!」
   
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:48.35 ID:Riz5Vxs0
「下が雪道になってなきゃいいがな……」
  
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:49.26 ID:Riz5Vxs0
 ぴたりと、まるで息を詰めるように、喘息めいた呼吸音が沈黙する。
   
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:49.86 ID:Riz5Vxs0
 
  
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:50.47 ID:Riz5Vxs0
 それ以上に明快な説明の仕方を考えるのに、凉子はじっくりと言葉を選ぶ必要があったらしい。しばらく間をおいてから、つらつらと語りはじめた。
   
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:51.21 ID:Riz5Vxs0
 
  
726 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:52.03 ID:Riz5Vxs0
「……!」
   
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:54.18 ID:Riz5Vxs0
『ぱぱタダイマ〜。オナカスイタ〜』
  
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:55.26 ID:Riz5Vxs0
「沙耶と一緒にいられるのなら、僕はもう何もいらない。何もかもこのままで、いい」
   
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:55.87 ID:Riz5Vxs0
 
  
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:56.44 ID:Riz5Vxs0
 貪欲に、弾み車のように跳ね上がっては沈み込む細い腰。そのたびに僕の固く尖った欲望が、彼女の熱く締まった胎内で搾り上げられ、揉み下ろされる。
   
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:57.00 ID:Riz5Vxs0
 あの舌が、さっきまで僕のを……そう思うと、空恐ろしいほどに強烈な官能がふたたび僕の頭を痺れさせる。
  
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:57.65 ID:Riz5Vxs0
 耕司はベッドから脚を下ろし、ふらつく足取りで立ち上がった。
   
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:58.27 ID:Riz5Vxs0
 
  
734 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:58.90 ID:Riz5Vxs0
 遠退く意識を食い止めるすべもなく、耕司は最後まで奥涯雅彦の虚ろな双眸と目を合わせたまま、床に昏倒した。
   
735 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:17:59.55 ID:Riz5Vxs0
 郁紀の返事は短くそっけない。伏し目がちに視線を逸らし、いかにも気乗りしない態度は、沈黙の殻をこじ開けられたことがつくづく気に入らない風だった。
  
736 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:00.12 ID:Riz5Vxs0
 今度こそ瑶は、今すぐ後も振り返らずに走って逃げ出したいという強烈な願望にとらわれた。
   
737 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:00.66 ID:Riz5Vxs0
「ひぅッ!?」
  
738 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:01.26 ID:Riz5Vxs0
 
   
739 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:01.81 ID:Riz5Vxs0
 細くたおやかな女性の指。青白く変色した肌が蝋細工を思わせる。
  
740 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:02.40 ID:Riz5Vxs0
 すぐ手元にまで届いたザイルの確かな手触りに、耕司は今度こそ本当に安堵を感じながら、ようやく心にできた余裕で疑問を懐(いだ)くことができるようになった。――いったい誰なんだろうか? この救いの主は。
   
741 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:02.94 ID:Riz5Vxs0
『……はい』
  
742 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:03.46 ID:Riz5Vxs0
 そう言って凉子は、ダッフルバッグの内容物が硬い輪郭を浮き立たせている箇所をコツコツと叩いた。
   
743 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:04.01 ID:Riz5Vxs0
 関東のロードマップを開いて場所を確認した。東京から自動車でおおよそ三時間ほどか。
  
744 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:04.59 ID:Riz5Vxs0
 
   
745 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:05.17 ID:Riz5Vxs0
「奥涯教授に縁者の方はおられない筈ですが?」
  
746 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:05.72 ID:Riz5Vxs0
『ああ、待ってる』
   
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:06.35 ID:Riz5Vxs0
「……ッ!」
  
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:07.03 ID:Riz5Vxs0
「まだ充分な量とはいえない」
   
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:07.62 ID:Riz5Vxs0
 凉子はかぶりを振って、冷然と続けた。
  
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:08.45 ID:Riz5Vxs0
「いい顔だよ、お嬢ちゃん……おじさんにもっと可愛らしい顔をして見せてくれないかい?」
   
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:09.00 ID:Riz5Vxs0
 沙耶の言葉の意味するところを、僕は何度も頭の中で反芻し、確かめた。
  
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:09.56 ID:Riz5Vxs0
「どんなに世界が底抜けに滅茶苦茶になっていこうと、悲鳴を上げて逃げ回る以外の選択肢が自分にはあるんだって――そう納得させるためにはね、部屋の中に何かひとつ頼りになる武器を置いておきたかった」
   
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:10.12 ID:Riz5Vxs0
 
  
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:10.79 ID:Riz5Vxs0
 
   
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:11.40 ID:Riz5Vxs0
「ぅわぁぁぁっ!」
  
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:12.00 ID:Riz5Vxs0
 それだけは願い下げだった。
   
757 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:12.60 ID:Riz5Vxs0
 左足首に何かが巻きついたのは、そのときだった。
  
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:13.13 ID:Riz5Vxs0
「わからない。いずれ奴の方から電話があるだろう。そしたらここに誘い出して仕留める」
   
759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:13.74 ID:Riz5Vxs0
 
  
760 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:14.30 ID:Riz5Vxs0
 
   
761 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:14.84 ID:Riz5Vxs0
「そのかわり、瑶のこと見ていてあげて。あの子、たぶん心底傷ついてるから……泣き終わった後で、誰かの優しさが必要になると思う」
  
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:15.40 ID:Riz5Vxs0
「郁紀……ごめん。大丈夫……大丈夫だよ。ただちょっと……痛いだけ……」
   
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:16.09 ID:Riz5Vxs0
 絶望のあまり思わず滲み出た涙を見咎められたので、嬉し泣きだと言い張って誤魔化した。
  
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:16.70 ID:Riz5Vxs0
 心臓の鼓動がガンガンと耳の中で鳴り渡る。この音を聞きつけられたらそれまでだ。今度こそ喰い殺されるかもしれない。泣き声を堪えるだけでも必死だった。
   
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:17.27 ID:Riz5Vxs0
「……いいのか?」
  
766 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:17.82 ID:Riz5Vxs0
 意を決して、耕司は打ち明けた。これには丹保のみならず、横にいる瑶も眉をひそめる。
   
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:18.41 ID:Riz5Vxs0
 いま郁紀の携帯電話は着信者の名前を表示していることだろう。それを目にした持ち主は、いったい何を思って携帯を手に取るだろうか。
  
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:18.99 ID:Riz5Vxs0
 いいように左右の乳房を弄ばれ、乳首を吸われ、内股の間に割り込んできた重みに両脚を拡げられていくのを、どこか思考の遠いところで感じている。
   
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:19.53 ID:Riz5Vxs0
 
  
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:20.09 ID:Riz5Vxs0
 
   
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:20.68 ID:Riz5Vxs0
 考えるうちに、どっと疲れが湧いた。早く沙耶の待つ家へと帰りたいのは山々だが、その途中で混み合った電車に乗ったり、繁華街の人の群れを眺めたりすることを思うと気が滅入る。
  
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:21.47 ID:Riz5Vxs0
 目が慣れるまでしばらくかかったが、がらんどうの窓から差し込んでくる月光だけが頼みだ。あらゆる輪郭が、薄ぼんやりと滲んだ濃淡でしか判らない。
   
773 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:22.23 ID:Riz5Vxs0
「ううん。わたしの方も、もうちょっとで準備が終わるとこ」
  
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:22.91 ID:Riz5Vxs0
 汚れだ。
   
775 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:23.47 ID:Riz5Vxs0
「あなたは……いいの?」
  
776 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:24.01 ID:Riz5Vxs0
『……ぱぱ?』
   
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:24.54 ID:Riz5Vxs0
 匂坂家の長男は、昔からあんなに感じの悪い男だっただろうか? いや、そんなことはない。ご両親が健全な頃は、やや内気ながらも繊細そうな、ごく普通の青年だった。
  
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:25.08 ID:Riz5Vxs0
『やぁ耕司。今日はもう、講義はないよな?』
   
779 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:25.65 ID:Riz5Vxs0
 青海の突拍子もない提案を郁紀が笑って受け止める。声ではたしかに笑っているが、斧で真っ二つになった顔面からは表情を読みとるのが難しい。
  
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:26.24 ID:Riz5Vxs0
 
   
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:26.82 ID:Riz5Vxs0
「匂坂さん、それでは来週の診察ですが、今日と同じ四時でも――」
  
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:27.54 ID:Riz5Vxs0
 危機感――我ながら意外なほどに、僕はごく冷静に状況を受け止めていた。
   
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:28.13 ID:Riz5Vxs0
「居間の模様替え。もう半分ぐらい塗り終わったよ。で、今はね、郁紀の晩ごはん作ってるの。昼間、テレビで作り方やってたから」
  
784 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:28.72 ID:Riz5Vxs0
「ねぇねぇ、今度のスキーだけどさ。今年は、どっかスケートも遊べる所にしない?」
   
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:29.28 ID:Riz5Vxs0
 凉子は未だテーブルの上に散らばったままの残りのルーズリーフを横目に、答える。
  
786 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:29.85 ID:Riz5Vxs0
 即死――で当然の傷だったが、凉子はいかなる意志の力を振り絞ってか、生涯最後の数秒間を勝ち取った。血に濡れた唇をニヤリと笑みの形に浮かべると、ショットガンの銃口を持ち上げる。
   
787 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:30.41 ID:Riz5Vxs0
 
  
788 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:31.05 ID:Riz5Vxs0
 
   
789 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:31.60 ID:Riz5Vxs0
 
  
790 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:32.25 ID:Riz5Vxs0
 耕司はその熱を怒りとして認識することにした。……そう、いま彼はまぎれもなく怒っていた。憎んでいた。彼に真実という名の毒を盛り、彼の魂の無垢なる部分を根こそぎ鏖殺(おうさつ)した者を。
   
791 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:32.87 ID:Riz5Vxs0
『――チョット、匂坂ョXン?』
  
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:33.46 ID:Riz5Vxs0
「遅くなってごめんな。色々、予定が変わったもんで……」
   
793 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:34.14 ID:Riz5Vxs0
 誰かが車でやってきて、いま車外に降り立った、らしい。これは夢じゃない。たしかに耳で捉えた本当の音――
  
794 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:34.75 ID:Riz5Vxs0
「ああ、もちろん」
   
795 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:35.64 ID:Riz5Vxs0
 愛くるしく繊細な顔が驚きと恐怖に凍る。その表情が洋佑の嗜虐心に火をつけた。二匹の化け物を殺したあとも胸に燻り続けていた暴力衝動の残り火に、新たな燃料が注ぎ込まれる。
  
796 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:36.23 ID:Riz5Vxs0
<<以下、郁紀に電話したルートのみ>>
   
797 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:36.84 ID:Riz5Vxs0
 ダイニングテーブルに座っている斬殺死体は、今日もいつものように土気色の顔でマグカップのコーヒーを啜っていた。
  
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:37.60 ID:Riz5Vxs0
「落ちた拍子に死んでれば、まだ苦しまずに済んだだろうに。耕司、君って本当に運がないんだね」
   
799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:38.28 ID:Riz5Vxs0
「畜生!」
  
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:39.03 ID:Riz5Vxs0
 嘲り声とともに、郁紀が井戸の中に耕司の携帯を投げよこす。あわや顔に当たりかかったところで耕司は受け止めたが、掴み取ったそれはバッテリーを抜き取られ、何の用も成さなくなっていた。
   
801 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:39.94 ID:Riz5Vxs0
 そして、
  
802 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:40.53 ID:Riz5Vxs0
 僕は――嫌だとまでは思わない。もちろん早急すぎる気はしないでもないが、いまさら世間体が気になることはないし、僕と沙耶だけの問題だというのなら、むしろ歓迎したい。
   
803 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:41.11 ID:Riz5Vxs0
 たった今、瑶を背後から捕らえたモノは――今も、部屋の片隅の薄暗がりに潜んでいる。
  
804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:42.01 ID:Riz5Vxs0
 そのせいで――
   
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:42.55 ID:Riz5Vxs0
 津久葉瑶。一糸まとわぬ裸体の彼女が、胎児の姿勢で床に蹲(うずくま)り、小さく身をわななかせている。
  
806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:43.16 ID:Riz5Vxs0
 凉子は未だテーブルの上に散らばったままの残りのルーズリーフを横目に、答える。
   
807 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:43.68 ID:Riz5Vxs0
 かけるべき言葉も思い当たらず、耕司は後ろ髪引かれる思いのままカフェテリアを後にした。
  
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:44.31 ID:Riz5Vxs0
 
   
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:45.34 ID:Riz5Vxs0
 その魂を語り示すべく、君はそう名乗る資格がある。
  
810 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:45.92 ID:Riz5Vxs0
 近隣の住民を退去させるべきだったんだが、まぁ、そこは偉い人たちが偉い人なりに頑張って、全部なかったことにしてくれたよ。
   
811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:46.76 ID:Riz5Vxs0
 嫌なのか? と、そう聞き返す勇気は僕にはなかった。代わりにあわてて付け加えた。
  
812 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:47.39 ID:Riz5Vxs0
「ぅわ、わ、わぁぁ……ッ」
   
813 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:47.97 ID:Riz5Vxs0
「まぁ落ち着け。ここで君がいくら殺気立ってみたところで始まらん」
  
814 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:48.51 ID:Riz5Vxs0
「外の誰かを期待したかい?」
   
815 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:49.61 ID:Riz5Vxs0
 
  
816 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:50.42 ID:Riz5Vxs0
 
   
817 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:51.02 ID:Riz5Vxs0
 
  
818 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:51.66 ID:Riz5Vxs0
「やってられないわね、もう」
   
819 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:52.38 ID:Riz5Vxs0
「外のどこかにこの輪を引っかけて、井戸の底まで伝って降りる。その後、ナイフで輪を切って井戸の中に引っ張り込めば――井戸の底に降りた痕跡は残らない」
  
820 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:53.15 ID:Riz5Vxs0
「沙耶?」
   
821 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:53.70 ID:Riz5Vxs0
 
  
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:54.29 ID:Riz5Vxs0
 
   
823 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:54.85 ID:Riz5Vxs0
 すでに耕司は自分が疲弊の極みにあることを自覚している。いま立ち止まればそれきり糸が切れた人形のように昏倒してしまうだろう。
  
824 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:55.40 ID:Riz5Vxs0
 耕司がようやく打擲(ちょうちゃく)の手を止めたのは、彼が打ちのめしていたのが何であれ、すでに生命のない骸に成り果てていると理解してから――そう理解できるだけの思考力が彼の中に戻ってきてからだった。
   
825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:55.95 ID:Riz5Vxs0
「――どうしたの? あなた。難しそうな顔して」
  
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:56.50 ID:Riz5Vxs0
 
   
827 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:57.07 ID:Riz5Vxs0
「ふむ……まぁ、それも一理あるかもな」
  
828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:57.86 ID:Riz5Vxs0
 そんな耕司が肉体を限界以上に酷使していられるのは、ぎりぎりまで己を追いつめた強迫観念があってのことだ。
   
829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:58.49 ID:Riz5Vxs0
「今から出発すれば、夕方ごろには着くだろう?」
  
830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:59.11 ID:Riz5Vxs0
<<以下、郁紀に電話したルートのみ>>
   
831 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:18:59.67 ID:Riz5Vxs0
「彼のカルテ、見てみたいと思う?」
  
832 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:00.21 ID:Riz5Vxs0
 ダイニングテーブルに座っている斬殺死体は、今日もいつものように土気色の顔でマグカップのコーヒーを啜っていた。
   
833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:00.75 ID:Riz5Vxs0
「うー、なんだか妬けるぅ」
  
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:01.29 ID:Riz5Vxs0
 
   
835 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:01.89 ID:Riz5Vxs0
『イヤ、ダカラサ。今年ノ冬ノすア9)ス=ダヨ。オ前モ――行クヨナ?』
  
836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:02.59 ID:Riz5Vxs0
 それでも、誰に悪意があったわけでもない。あの頃の僕には、誰かを傷つけてまで我を通そうとするほど意地を張る理由もなかった。何となく瑶と付き合ってみて、それで仲間同士の輪が崩れずに済むのなら、それもいいのかもしれない――と、そんな妥協も心にあった。
   
837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:03.28 ID:Riz5Vxs0
「そんなこと、ないさ」
  
838 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:03.86 ID:Riz5Vxs0
「子供の頃は何となく怖かったのよ。あの靴、なんだか刃物みたいでさ」
   
839 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:04.91 ID:Riz5Vxs0
『イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイィィィィィッ!!』
  
840 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:05.56 ID:Riz5Vxs0
「おい、郁紀……」
   
841 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:08.05 ID:Riz5Vxs0
 居間で洋佑を襲い、洋佑の頭の中に入り込んできた『アイツ』――
  
842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:08.63 ID:Riz5Vxs0
 そのとき洋佑の精神の中で、最後の理性が砕け散った。
   
843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:09.21 ID:Riz5Vxs0
 むろん誰に読ませるためでもない。己の行為の無意味さは他ならぬ凉子自身がよく弁(わきま)えていた。
  
844 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:09.73 ID:Riz5Vxs0
 鳴った。聞き覚えのある着信メロディ。間違いなく青海の携帯電話だ。
   
845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:10.26 ID:Riz5Vxs0
 まず念のためにチャイムを押し、何の反応もないことを確かめてから、周囲に人目がないことを確認し、玄関のノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
  
846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:10.82 ID:Riz5Vxs0
 
   
847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:11.42 ID:Riz5Vxs0
 携帯を握る手が震えているのが、自分でも分かった。
  
848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:12.14 ID:Riz5Vxs0
 骸として喩えるのなら、白骨だ。往年の面影など見る影もないほどに風化した、死そのものしかない場所だ。
   
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:12.79 ID:Riz5Vxs0
 沈黙の重さに逆らって、耕司は押し殺した声で訊いた。
  
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:13.37 ID:Riz5Vxs0
 満足げに呟いてから、沙耶は舌でかき集めた僕の精液を、喉を鳴らして嚥下した。
   
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:13.94 ID:Riz5Vxs0
「手を……握らせてもらえないだろうか」
  
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:14.64 ID:Riz5Vxs0
「どういうつもりだ? 郁紀」
   
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:15.25 ID:Riz5Vxs0
「遅かったね。ちょっと心配しちゃったぞ」
  
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:15.82 ID:Riz5Vxs0
 そんな憮然とした郁紀を、耕司は嗤うだけの余裕さえあった。ことによると凉子の躁的な嗜虐心が伝染したのかもしれない。
   
855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:16.38 ID:Riz5Vxs0
 
  
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:16.93 ID:Riz5Vxs0
 そんな、女二人の激しいペッティングを眺めているうちに、僕は早くも二度目の欲望で身体の芯が熱くなっていくのを感じた。
   
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:17.47 ID:Riz5Vxs0
 
  
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:18.03 ID:Riz5Vxs0
「駄目だ」
   
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:18.63 ID:Riz5Vxs0
「おい……」
  
860 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:19.18 ID:Riz5Vxs0
 
   
861 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:19.77 ID:Riz5Vxs0
「うん」
  
862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:20.39 ID:Riz5Vxs0
 そう答えると、彼女は安堵したように表情を和ませ、満ち足りた様子で僕の胸板に凭(もた)れかかってきた。
   
863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:21.19 ID:Riz5Vxs0
 痛みの予感にパニックを起こしかけている瑶の反応を充分に鑑賞し愉しんでから、僕は思いきり腰で彼女を刺し貫いた。
  
864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:21.77 ID:Riz5Vxs0
 覚悟を決めて電車に乗ってはみたものの、やはりラッシュアワーの間近な混雑には耐えきれず、途中駅で降車した僕は残りの帰路を歩いて戻った。
   
865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:22.31 ID:Riz5Vxs0
 
  
866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:22.83 ID:Riz5Vxs0
『じゃあもう、見られちゃったんだろうね。色々と……』
   
867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:23.35 ID:Riz5Vxs0
 いざ叫んでみれば、思いの外すんなりと声は出た。あるいは喉の痛みなど無意識が遮断してしまうほど、耕司の本能は必死だったのだろう。
  
868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:24.31 ID:Riz5Vxs0
 
   
869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:24.90 ID:Riz5Vxs0
「匂坂さん……あなたが当院で受けた処置は、脳神経医学の分野では世界的に最先端の治療でした。そのことは御存知ですよね」
  
870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:25.53 ID:Riz5Vxs0
「――誰かいるの?」
   
871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:26.14 ID:Riz5Vxs0
 わけもわからないまま、抗いようのない絶望が耕司を呑み込んでいく。
  
872 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:26.72 ID:Riz5Vxs0
「そうかもね。まぁ、あんな目にあった後だから」
   
873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:27.26 ID:Riz5Vxs0
 何もかも、僕と沙耶だけの問題なんだ。いまさら世間体なんて気にする柄でもあるまい。むろん沙耶の保護者と話をつける必要はあるだろうが……やはり奥涯教授は、なるべく早く探し出さなければ……
  
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:27.91 ID:Riz5Vxs0
 沙耶の行動原理に関する奥涯の分析が正しいのなら、彼女をして世界を侵略せしめた心情の変化は、きっと匂坂によってもたらされたものだろう。
   
875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:28.73 ID:Riz5Vxs0
『確認するが、耕司、お前は集めた資料のすべてを証拠ともども持ってこい。その内容を見て納得できたら、僕らは瑶を引き渡す』
  
876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:29.33 ID:Riz5Vxs0
 骨の折れ砕ける音と、腱の断ち切られる音と、肉の潰れひしゃげる音とが混然と飛沫を散らす。
   
877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:29.85 ID:Riz5Vxs0
 声が枯れ、叫び続けるだけの力もなくなってからは、耕司の思考能力は完全に麻痺していた。
  
878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:30.46 ID:Riz5Vxs0
 考えれば立ち止まってしまう。止まって考え始めたら、恐ろしさのあまり二度と歩き出せないほどに竦(すく)んでしまう。
   
879 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:31.05 ID:Riz5Vxs0
『都下有数の設備を誇る某大学付属病院。ここに研修生として通ったKさんの、ショッキングな最新体験談! あなたは信じる? 信じない?』
  
880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:31.60 ID:Riz5Vxs0
 むろん言い逃れの言葉などあろうはずもない。耕司は郁紀の視線に射竦(すく)められたまま生唾を呑み込んだ。
   
881 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:32.17 ID:Riz5Vxs0
 郁紀は自前のライトを点灯し、ずかずかと上がり込んで家捜しを開始した。
  
882 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:32.85 ID:Riz5Vxs0
「ええ。おそらく個人的な事情でしょうね」
   
883 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:33.47 ID:Riz5Vxs0
 門のインターホンからしてあれなら、ノックしたところで居留守を使われるかもしれない。こうなったら問答無用でドアを開けて怒鳴りつけてやろう。いや、鍵ぐらいは掛けているかもしれないが、そのときは……
  
884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:34.06 ID:Riz5Vxs0
「今日は一日、どうしてた?」
   
885 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:34.65 ID:Riz5Vxs0
 雪を被った地表からは、雪の重さに負けないだけの丈に育った雑草が生え揃い、その荒れ具合はほとんど獣道に近い有様だった。
  
886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:35.26 ID:Riz5Vxs0
 むなしくそう念じながらも、僕は深い忘却へと誘われていった。
   
887 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:35.80 ID:Riz5Vxs0
 
  
888 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:36.37 ID:Riz5Vxs0
 講義が終わり、そそくさと教室を出ていった郁紀を、瑶はあやうく取り逃がしそうになりながら、かろうじて廊下で追いついた。
   
889 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:36.93 ID:Riz5Vxs0
 不思議な少女だった。あどけない容姿や話しぶりとは裏腹に、大人たちの目を欺いて独力で衣食住を確保する生活力。常識の欠落は幼さ故のものだとしても、会話の端々に窺わせる聡明さや知識の深さは、およそ子供のものとは思えない。
  
890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:37.51 ID:Riz5Vxs0
 
   
891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:38.35 ID:Riz5Vxs0
 凉子は嘯(うそぶ)いて、ダッフルバッグを抱えて席を立つ。
  
892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:38.90 ID:Riz5Vxs0
 
   
893 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:39.53 ID:Riz5Vxs0
 銃だ。
  
894 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:40.06 ID:Riz5Vxs0
 水を流しただけでは落ちきらない赤茶けた澱みが、うっすらとシンクの縁に残っている。
   
895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:40.59 ID:Riz5Vxs0
 とにかく今の僕の症状は、生半可な精神症などと違って治療法などない。
  
896 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:41.14 ID:Riz5Vxs0
 耕司は改めて、この丹保凉子という女性と語り合うことの虚しさを思い知らされた。
   
897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:41.70 ID:Riz5Vxs0
 写真が撮影されたのは、どうやら相当昔らしい。実際の山荘は見るからに風雪に痛み、廃屋然とした状態だった。老朽化もさることながら、手入れされていないのも大きいだろう。
  
898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:42.27 ID:Riz5Vxs0
 ほほえむ郁紀の眼差しの奥底に、ねっとりと絡みつくような悪意の色を見いだしてしまうのは。
   
899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:42.82 ID:Riz5Vxs0
「行方不明者を捜してる二人組が、妙な留守電のあとに揃いも揃って音信不通になったりしたら、何かあったと思うのが普通だろ?」
  
900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:43.52 ID:Riz5Vxs0
 耕司はこれで3杯目になる、薄墨のように味気ないコーヒーを半ば義務感で啜りながら、言葉短く凉子に問う。
   
901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:44.09 ID:Riz5Vxs0
 床――なのか? 毛足の長い絨毯かと思ったそれがざわざわと蠢き、洋佑の指の一本一本に絡みついてくる。
  
902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:44.72 ID:Riz5Vxs0
 振り向きもせずに、凉子は開口部へと身を滑り込ませる。耕司も躊躇することなく後を追った。
   
903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:45.28 ID:Riz5Vxs0
 もはや誤魔化しも否定もせず、郁紀は固く乾いた呟きだけで瑶の言葉を聞き流した。それは韜晦(とうかい)よりもあからさまな拒絶の意思表示だった。
  
904 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:45.86 ID:Riz5Vxs0
 
   
905 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:46.50 ID:Riz5Vxs0
 何はともあれフラスクの蓋を開けて一口含み――その途端、舌を焼く液体のあまりの強烈さに、耕司はあやうく噎(む)せかかった。
  
906 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:47.86 ID:Riz5Vxs0
 相変わらず耕司に背を向けて井戸の側壁ばかりを眺めながら、凉子は冷ややかに失笑する。
   
907 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:48.54 ID:Riz5Vxs0
 さらりと言い捨てられた言葉に、耕司の殺意がまた一目盛り吊り上がる。
  
908 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:49.22 ID:Riz5Vxs0
 タンクローリーの横転事故。巻き込まれた匂坂家の車は原型を留めていなかった。郁紀の父母は死体の判別さえ難しい有様だったという。
   
909 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:49.78 ID:Riz5Vxs0
 広い。軽く20畳以上のスペースはあるだろう。中を一目見た耕司の印象は、物置部屋になった手術室、というものだった。
  
910 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:50.33 ID:Riz5Vxs0
 耕司たちが帰った後、生まれ育った家の門前にひとり取り残された僕は、あらためて周囲を見渡した。
   
911 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:50.87 ID:Riz5Vxs0
 そうだ。ぼくはまだ彼女に肝心なことを言っていない。
  
912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:51.77 ID:Riz5Vxs0
 気分はたまらなく爽快だった。
   
913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:52.46 ID:Riz5Vxs0
 玄関口に立った郁紀が、肩越しに耕司を一瞥する。
  
914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:53.02 ID:Riz5Vxs0
 嬉しくないわけがない。そう思う一方で、ここで喜んでいいわけがないという理性の声もまた、無視できない。
   
915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:53.55 ID:Riz5Vxs0
「ひぅッ!?」
  
916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:54.19 ID:Riz5Vxs0
「……」
   
917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:54.73 ID:Riz5Vxs0
 怪物が僕の家の中にいた。沙耶を床に組み伏せて犯していた。
  
918 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:55.25 ID:Riz5Vxs0
 そのベッドの上に、きつく両膝を抱え込み、まるで捨て猫のように身を縮こまらせた沙耶が座っていた。
   
919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:56.12 ID:Riz5Vxs0
「奥涯が使おうとした機材から察するに、奴はそいつをP3レベルのバイオハザードとして取り扱うつもりだったらしい。その程度の用心で充分だったのかどうかも知れたもんじゃないんだが。
  
920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:56.69 ID:Riz5Vxs0
 
   
921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:57.25 ID:Riz5Vxs0
 ふらふらとおぼつかない足取りで、洋佑は玄関から外に出た。
  
922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:57.86 ID:Riz5Vxs0
「ふぅん、そうなんだ……」
   
923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:58.43 ID:Riz5Vxs0
 傍らの廃棄物の中にはいったい何が埋まっているのか、辺り一面には薬品めいた不快な刺激臭が立ちこめていた。
  
924 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:59.00 ID:Riz5Vxs0
 耕司から話を振られた、瑶の隣の席の“彼”――匂坂郁紀(さきさかふみのり)は、返事になってない呟きで曖昧に混ぜ返した。
   
925 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:19:59.57 ID:Riz5Vxs0
「沙耶は嫌いかい?」
  
926 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:00.10 ID:Riz5Vxs0
「いいや、今の様子だとやりかねん。一日中ずっと雨戸を閉め切って、何をやってるのかも判らない。どういう暮らしをしてるのやら……」
   
927 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:00.95 ID:Riz5Vxs0
 そう言ってから、僕は沙耶が拗ねやしないかと思い慌てて付け足した。
  
928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:01.52 ID:Riz5Vxs0
「目撃者は? 物証は? 匂坂くんが君を[ピーーー]動機は?」
   
929 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:02.17 ID:Riz5Vxs0
 
  
930 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:02.79 ID:Riz5Vxs0
 かつて耕司と初対面の時に言葉を濁した奥涯雅彦の真相を、いま凉子は包み隠さず、合成音声のような淀みない無感情で語り上げていた。
   
931 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:03.34 ID:Riz5Vxs0
“――郁紀?”
  
932 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:04.03 ID:Riz5Vxs0
 それでも僕が、いま床に転がって悶えている裸身を正視できずにいる理由を、どう沙耶に説明したものか。
   
933 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:04.59 ID:Riz5Vxs0
 沙耶はまるで、お菓子を取り上げられそうになった子供のように血相を変えて僕にすがりついてきた。
  
934 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:05.19 ID:Riz5Vxs0
 この諦観、秘められた事実を知った後にくる忌々しい無力感を、一度でも味わった者は――以後の人生で繰り返し同じ衝撃に打ちのめされ続けることになる。
   
935 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:05.74 ID:Riz5Vxs0
「事故の前と、まるで人が違ったみたいに見えます。僕たちも色々と、その、どうしていいか解らなくて……それで今日は、先生の話を伺えたら、と」
  
936 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:06.33 ID:Riz5Vxs0
「は、放して! そんな……どうして? どうしてなの!?」
   
937 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:06.92 ID:Riz5Vxs0
 
  
938 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:07.98 ID:Riz5Vxs0
 それが今の僕の魂をどれほどに救済するかを彼女は知っていて、そんな風に僕に必要とされることを、なぜか喜んでくれている。
   
939 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:08.62 ID:Riz5Vxs0
 なぜ今になって? どういうつもりで?
  
940 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:09.69 ID:Riz5Vxs0
「僕はこの家の人と知り合いなんだ。頼まれて捜し物をしに来ただけさ」
   
941 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:10.29 ID:Riz5Vxs0
 
  
942 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:10.89 ID:Riz5Vxs0
 呟く凉子の顰(しか)め面は、明らかにコーヒーの不味さのせいだけではなかった。
   
943 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:11.64 ID:Riz5Vxs0
 
  
944 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:12.25 ID:Riz5Vxs0
「……いいえ」
   
945 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:12.93 ID:Riz5Vxs0
 細くたおやかな女性の指。青白く変色した肌が蝋細工を思わせる。
  
946 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:13.68 ID:Riz5Vxs0
 そのたびに瑶は怯え、声にならない呻きで慈悲を乞うように抗議する。
   
947 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:14.38 ID:Riz5Vxs0
「これはね、ぜんぶ沙耶のだからね……」
  
948 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:15.06 ID:Riz5Vxs0
「……まるで気にかけてないみたいだな」
   
949 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:15.64 ID:Riz5Vxs0
「あ、ああ……」
  
950 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:16.29 ID:Riz5Vxs0
 横倒しにされた瑶の脇腹に沙耶は馬乗りになると、瑶の腰骨のあたりに花芯の蕾を押し当てた。
   
951 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:16.85 ID:Riz5Vxs0
 沙耶の細い指が、慈しむように僕の頬をまさぐるのを、僕は安らかな至福の中で感じる。
  
952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:17.43 ID:Riz5Vxs0
 失明したのはショックだったが、今から思えばそのころの苦悩など、まだ生易しいものだった。当時はまだ残りの聴覚、触覚、嗅覚、味覚には何の異常もなかったのだから。
   
953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:18.02 ID:Riz5Vxs0
 沙耶が白く細い手を差し伸べる。僕は壊れ物を扱うように――それこそ、ひとひらの雪を溶け崩さないよう手に乗せるような心地で、彼女と掌を重ね合わせた。
  
954 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:18.65 ID:Riz5Vxs0
 色。色。色。
   
955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:19.21 ID:Riz5Vxs0
 
  
956 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:19.73 ID:Riz5Vxs0
 どのみち彼を否定するだけの理由は、凉子にも、この世界にも残されていないのだから。
   
957 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:20.31 ID:Riz5Vxs0
 
  
958 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:21.06 ID:Riz5Vxs0
 だがそれでも、瑶であるはずはない。瑶は人間だ。いまこの闇の奥にいるモノのように、ズルズルと湿った音を立てて這い回ったりするわけがない。
   
959 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:21.70 ID:Riz5Vxs0
 ただ一粒だけの種でも、もしかしたら、頑張ろうって思うようになるかもしれない。頑張って育って増えて、いつかこの土地が一面のタンポポ畑になるまで頑張ろうって、そう思うかもしれない。そんな風にタンポポの種が心を決めるとしたら、どんなときだと思う?」
  
960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:22.38 ID:Riz5Vxs0
 
   
961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:23.18 ID:Riz5Vxs0
 見覚えのあるその靴を物陰からつまみ出し、つぶさに観察してからも、瑶はその事実を受け入れずに済むような思考の逃げ道を探していた。
  
962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:23.93 ID:Riz5Vxs0
 沙耶――
   
963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:24.49 ID:Riz5Vxs0
「待たせたな、郁紀。こっちの準備は整った」
  
964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:25.06 ID:Riz5Vxs0
 
   
965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:25.62 ID:Riz5Vxs0
 書架の内容は、一介の学生では見たことも聞いたこともないような専門書のオンパレードである。臨床医学より研究者寄り、という程度の判断しかつかない。
  
966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:26.24 ID:Riz5Vxs0
「子供の頃は何となく怖かったのよ。あの靴、なんだか刃物みたいでさ」
   
967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:26.83 ID:Riz5Vxs0
 点のような違和感が連鎖して線になる。夢と現(うつつ)とを隔てる境界線。
  
968 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:27.41 ID:Riz5Vxs0
 悲しいか、と問われればむろん頷くが……あの事故で僕が奪われたのは両親だけではない。むしろ気儘な一人暮らしの立場を手に入れたことが、結果として僕の救済に繋がった。
   
969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:27.99 ID:Riz5Vxs0
 
  
970 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:28.58 ID:Riz5Vxs0
 
   
971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:29.18 ID:Riz5Vxs0
 
  
972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:29.74 ID:Riz5Vxs0
 
   
973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:30.45 ID:Riz5Vxs0
「なぜ――なぜ、僕なんだ?」
  
974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:31.07 ID:Riz5Vxs0
 ほとんど間を置かず、携帯電話が着信音を鳴らす。むろん相手は確かめるまでもない。
   
975 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:31.71 ID:Riz5Vxs0
 今日になっていきなり豹変した郁紀。どうしても悪意の印象を拭いきれなかった笑顔。あの笑顔は耕司に向けたものでなく、親友の死相を思い描いてのものだったのだ。
  
976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:32.32 ID:Riz5Vxs0
「郁紀に抱いてもらうの、大好き。ずっと一緒にこうしていたい。だから、わたしは郁紀から離れたりしない」
   
977 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:33.04 ID:Riz5Vxs0
 無理しているんじゃないか――そう心配になるほどに危うい光景なのに、僕を翻弄する舌使いは貪るように積極的だ。まるで母猫の乳房を躍起になって吸う子猫を思わせる。
  
978 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:33.62 ID:Riz5Vxs0
 
   
979 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:34.17 ID:Riz5Vxs0
「……」
  
980 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:34.72 ID:Riz5Vxs0
「いいよ、また今度で。でもこれで、明日から一緒に食事ができるね」
   
981 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:35.32 ID:Riz5Vxs0
「……おいしくない?」
  
982 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:35.90 ID:Riz5Vxs0
 考えるまでもない。水を飲むのを諦める。これしかあるまい。新しい生活を始めるには、他に飲める水がある場所を探すしかない。
   
983 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:36.50 ID:Riz5Vxs0
 
  
984 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:37.14 ID:Riz5Vxs0
 むしろ先に酒の方が尽きてしまいそうなのが手痛い誤算だった。
   
985 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:37.84 ID:Riz5Vxs0
 
  
986 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:38.53 ID:Riz5Vxs0
「お前だって……同じだろうが……」
   
987 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:39.24 ID:Riz5Vxs0
 だから、窓の外の陽光が盛りを過ぎて朱に染まり、やがて夜闇に沈み込んでいってもまだ、だれもこの家を訪れようとしないという現実に、次第次第に耕司の忍耐力は軋みを上げて傾き始めていた。
  
988 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:39.92 ID:Riz5Vxs0
 かつては閑静な森の中で開業されていた個人経営の療養所。不況の折りに倒産し、そのまま地所の買い手もつかぬまま放置され、忘れ去られてしまったのだろう。
   
989 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:40.69 ID:Riz5Vxs0
 耕司もすでに手は尽きた。あとはこの若い女医を信用して任せるしか他にない。歯がゆくはあったが、ただの友人でしかない彼には出来ることにも限度があった。
  
990 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:41.51 ID:Riz5Vxs0
「何かあったと思ったのなら、警察には届けてくれたんですか?」
   
991 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:42.10 ID:Riz5Vxs0
 瑶――綺麗な女性だった。むろん悪い印象なんてなかった。だが面白半分に僕と彼女との間を取り持とうとする耕司と青海の動きは、正直なところ玩具にされているようで不愉快だったし、当の瑶もまた、あの二人にいいように踊らされているという自覚を、まるで持ち合わせていなかった。そういう彼女の鈍さは、見ていて歯がゆかった。
  
992 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:42.85 ID:Riz5Vxs0
『……嫌……こんな、姿……人に、見せ……られない……』
   
993 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:43.58 ID:Riz5Vxs0
 
  
994 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:44.17 ID:Riz5Vxs0
 それは明らかに死体も同然だったが、それでもまだ動いていた。ずるずると、もはや何の脅威にもならないほど緩慢な動きで、血の海になった床を横断しようとしていた。――郁紀の方へと。
   
995 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:44.75 ID:Riz5Vxs0
 
  
996 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:45.50 ID:Riz5Vxs0
「そうだ忘れろ。これは提案じゃない。警告だ」
   
997 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:20:49.00 ID:Riz5Vxs0
「どうもこうも……もう滅茶苦茶です」
  
998 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:21:02.10 ID:Riz5Vxs0
 ――『彼』の知識欲はきわめて貪欲である。学習効率は驚くほど高い。反面で、『彼』自身の自己顕示の欲求は皆無である。
   
999 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:21:02.79 ID:Riz5Vxs0
 沙耶たちが他人と勘違いして警戒しないよう声をかけてから、僕は彼女らが潜んでいる地下室へと下りていく。
  
1000 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2009/03/11(水) 12:21:03.34 ID:Riz5Vxs0
 独りそう呟いてから、僕は憫笑しながら2階に上がった。
   
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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よっちの朝起きたら猫しかいないんだけど何なの?なスッドレ @ 2009/03/11(水) 11:49:42.48 ID:eeWIuC2P
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そろそろ真面目にクラシックォリティについて議論しようぜ @ 2009/03/11(水) 10:31:53.07
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眼鏡うp 「2番線お涙掃除列車通過いたしま〜す」 @ 2009/03/11(水) 10:27:50.26 ID:9eIUih6o
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俺達はなにもしてないをしているんだ!! @ 2009/03/11(水) 09:18:03.90
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