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ピカチュウ「昔はよかった・・・」 Part7+ - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/02/21(日) 00:17:03.50 ID:x.oLeXEo
ピカチュウ「昔は良よかった…」inパー速7より移転

ピカチュウ「昔は良よかった…」inパー速7
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1266590357/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」inパー速6
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250167193/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」inパー速5
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1244450943/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所4
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1240465152/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1232964116/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1225681079/
ピカチュウ「昔はよかった・・・」避難所
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1223300056/

◆本スレまとめ
まとめwiki
http://www19.atwiki.jp/wktkwktk/
まとめてくださっているサイト
http://yeisu.hp.infoseek.co.jp/matome/pikachu/pikachu.html
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/02/21(日) 01:53:31.52 ID:Gi50nkAO
>>1
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/02/21(日) 23:09:56.69 ID:BqlNv2SO
作者おかえり!!お疲れ様!
そして>>1乙!
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/02/23(火) 19:29:42.43 ID:InsKphQ0

              ____
            /__.))ノヽ     こ、これは>>1乙じゃなくてわしが育てた魔球なんだから
            .|ミ.l _  ._ i.)    変な勘違いしないでよね!
           (^'ミ/.´・ .〈・ リ  
           .しi   r、_) | 
             |  `ニニ' /        二二二二二二二 ̄>
            ノ `ー―i´_                >/
      ? )ヽ   ;'ー  ̄     ` 丶            / /      
      `丶 \i     ┌'' ̄丶 |            /  <____
         丶 |     i 、(\i  !           |______/ 三().()
          メリ     <_  (_  ゝ
           〈     i   ̄
          _ L.]]ニ[l iニ}__
        、 `     i     ̄`\
     _/       |. .,,____   \
   /´     、.-‐''''  ̄     `\  丶
 /ノt--ー''''〜             メ  丶
(,__ゝ                    \. ノ
                         」_ /´ )
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/02/27(土) 23:29:42.06 ID:zFu8oQgo
パー速のスレ落ちてるやん?
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/02/28(日) 12:01:47.74 ID:IAyQFX.0
>>5
ローカルルールが変更されたらしい
パー速のスレッド数が多すぎるんですって
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/05(金) 10:22:33.40 ID:2knYVmko
DQ4は3と違って信頼できる大穴がないな
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/06(土) 21:56:15.48 ID:CXEoDYSO
??
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/11(木) 08:12:06.78 ID:GzTbcIDO
帰ってきたの?
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/12(金) 21:00:27.69 ID:/wN1A2DO
だいぶ前にちょっと帰ってきたっきり行方不明
何かあったかな
11 :sage :2010/03/12(金) 21:37:40.65 ID:psLFBKk0
落第デモしたんだろどうせ
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/13(土) 08:22:41.88 ID:QCBqjAQo
>>11
なんで名前欄にsageって書いてんの?
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/13(土) 12:33:17.64 ID:2hRNR6SO
>>12
落第デモしたんだろどうせ
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/14(日) 10:18:06.85 ID:lTmuExk0
>>13
なんで名前欄にsageって書いてんの?
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/14(日) 10:34:15.86 ID:iUhoZr6o
>>14
書いてないじゃん
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/14(日) 10:40:03.74 ID:i93pPS.o
>>15
なんで名前欄にsageって書いてんの?
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/14(日) 16:25:48.47 ID:xDbhizk0
何意味のわからねーことやってんだよ
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/14(日) 16:43:13.26 ID:m.Q2/gso
>>17
なんで名前欄にsageって書いてんの?
19 :age :2010/03/14(日) 18:30:14.25 ID:90cC6YAO
ピカー
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/15(月) 00:32:24.79 ID:jKMnicAO
作者…帰ってきてくれ
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/21(日) 12:56:33.38 ID:Tct9RMDO
新スレになった途端、投下はまだしも雑談まで途絶えるとは……
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/21(日) 18:00:43.98 ID:.B6OZMDO
みんな投下のためにスペース残しときたいんじゃないの
早く作者こないかなぁ…
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/21(日) 18:37:39.80 ID:lWgWv6I0
単に寂れたってだけだろ
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/21(日) 22:26:43.44 ID:dZ4rdsSO
投下くるまで大人しくロムってようかなと思ってたんだが
作者遅いな…
急かしたい訳じゃなくて、旧スレには現れてたのに親スレに現れないのって何かあったのかと純粋に不安だ…
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/22(月) 14:04:04.80 ID:36NlY2Io
暫くぶりに来たけど完結してたのね
待ってるよ
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 08:46:17.89 ID:YxYv0UDO
最初の頃すごかったよなwwwwww
毎日楽しみすぎてwwwwwwwwww
昔はよかった
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/26(金) 04:42:12.51 ID:DJFLYgSO
まだ来てないか(´・ω・)
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 16:24:56.26 ID:5kKoHjco
最近読んだんだけど凄く良かった
作者さんありがとう
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/29(月) 18:04:10.01 ID:Ps0Y/s60
作者は入学準備で忙しいのかも
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/29(月) 19:22:21.73 ID:XJGSRyQo
入学準備?
この文章力、構成力で中学生または高校生だったんだ?
恐ろしいな
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/30(火) 01:13:08.03 ID:deMWgOMo
お前は今まで何を見てきたんだ
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 01:42:23.45 ID:hW4Py2DO
そういや去年の今頃は毎日これ見るの楽しみにしてたな
たった一年前なのになにもかもが懐かしい
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 02:09:43.70 ID:Gdm5YQDO
いまの時期忙しいだろうな
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 13:10:41.14 ID:TmqHZAEo
もう一年立つのか・・・
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/09(金) 18:07:45.25 ID:DynV1pk0
昔はえがった・・・
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 21:02:19.96 ID:yfIOMUDO
もう学校始まった…よな?
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/12(月) 08:00:36.75 ID:QP5hc.DO
俺は待つ。何日もな
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/12(月) 16:47:20.50 ID:KB.nEiYo
>>37
ウワーカッコイー
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/12(月) 18:50:50.72 ID:1.5tNIE0
どこもの人ほとんど同じやつなのかしら
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/12(月) 22:39:49.38 ID:9atRvLko
このタブを消せない
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/15(木) 21:04:11.03 ID:Lm0qvAM0
上にもあるけど本当に浪人したのかもな・・・
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 21:35:38.76 ID:f838s22o
だとしても報告くらいはして欲しかったなあ
浪人の先輩としてアドバイスできることもあったのに
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/15(木) 22:29:39.34 ID:5okofYI0
2か月レスないと思ったら移転してたのか……
だが更新はされていなかったという
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 09:37:02.23 ID:RqKWF.SO
浪人もつらいだろうけど
もしかして事故ったりとかしてないだろうか…心配
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 18:05:49.51 ID:uoVyBgDO
今になって作者の更新が生活の一部だったと気付かされるな。戻ってきてくれ
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 23:05:14.36 ID:P5SRaV2o
>>42
自分だったらここでアドバイス貰いたいか?
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 08:49:02.11 ID:TKeFfCIo
作者は犠牲になったのだ…
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 12:11:21.41 ID:fEMzZGQo
受験の犠牲にな…
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/18(日) 12:53:42.52 ID:T.hVioDO
PC没収されてしまったんだろうか…
元気でやってるといいけど
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 22:35:00.81 ID:Fg2ucgDO
作者はここを旅立ったんだよ
もう俺達の知ってる作者ではないんだ
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 00:56:13.63 ID:MlfV/b6o
え?
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/19(月) 00:57:15.18 ID:Ydn9J1.0
そっか、もうそんなに時間が経ってたのか
オレは一体この一年何をしてたんだろう…
53 : ◆Ec95DXH7wk :2010/04/19(月) 22:16:41.88 ID:f2y8SAUo
お久しぶりです
待っていた方にはなんとお詫びすればよいのやら

大学が無事に合格してゴタゴタしているうちに
すっかりSSのことを等閑にしている自分がいました

細々とですが完結に向けて書き続けるつもりなので、それまでお付き合いいただければと思います
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:17:32.25 ID:tB9VPVco
生きてたか
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:20:19.64 ID:YrKkb2AO
(゚∀゚(゚∀゚(゚∀゚)
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:22:08.67 ID:f2y8SAUo
屋敷を訪れると、使用人はいったん奥に引き下がり、困り顔で戻ってきた。

「その、大変申し分けないのですが……サヤ様は現在外出中で……」

使用人の瞳は不自然に揺れていた。まるで微風にさらされた蝋燭の火のように。
基本的に引きこもりのサヤが、俺の来訪に会わせて都合良く外出しているとは考えにくい。
まだ「病に伏せっている」と言った信憑性がある。
無言の圧力をかけると、少し時間はかかったものの、使用人は折れてくれた。

「実は……サヤ様は、その、面会を拒んでおいでで……レッド様にはそう伝えるようにと……」

そんなことだろうと思ったよ。

「正直に話してくれてありがとう」

俺は彼女の脇を通り抜け、サヤの私室に向かった。
ドアをノックする。乾いた音が二度響いた。

「レッドはもう帰った?」

小さく尖った声が返ってくる。
相手がさっきの使用人だと思いこんでいるみたいだ。
懐かしさと、安らぎが心に去来する。
なぜだろう、俺はベッドの上で膝を抱えているサヤの姿を簡単に想像することができた。
「………」
「ねえ、返事しなさいよ。わたしはレッドがちゃんと帰ったかどうか聞いてるのよ」

ドアノブに手をかける。
――がちゃがちゃ。
鍵がかかっていた。思春期の子供か、と思う。

「俺だ」
「……………っ!」

扉の奥で、何かが跳ねる音がした。

「ドアを開けてくれないか? 鍵が閉まってる」
「………やだ」
「どうして?」
「い、いやなものは、いやなの!」
「使用人に嘘をつかせたのは俺に会いたくなかったからか?」
「それ以外にどんな理由があるっていうのよ……」
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/19(月) 22:22:39.44 ID:f2y8SAUo
俺は膠着状態を打破すべく言った。

「分かった」
「え、帰っちゃうの!?」
「帰らないさ。強硬手段に出るだけだ」
「ちょ、ちょっと待って!
 このドアには超一流の彫刻師が五年かけて仕上げた逸品で……。
 ああもう、とにかく、もし壊したらサトシが一生かかっても弁償できないくらい高価なドアなのよ!?」

どう見ても普遍的なチーク製のドアだ。
そしてそれ以前に、サヤは「強行突破」の意味を履き違えていた。
俺はケーシィを召喚して胸に抱き、その愛らしい姿の裏に隠れた悪戯心を刺激しないよう、一言一句丁寧にお願いした。

「俺を、お前と一緒に、一メートル前方に、"テレポート"してくれ」

ケーシィは目を細めて笑った。
まるで主の無能さを嘲笑うかのように。
一瞬にして景色が様変わりし、目と鼻の先十センチにも満たない距離にサヤがいて、
ケーシィは俺とサヤの胸の間に押しつぶされて、苦しそうに、しかしおかしそうに身をよじらせていた。

「な、なな………」

俺とケーシィの出現に、声にならない悲鳴を上げ、目を白黒させて後ずさっていくサヤ。
ケーシィは圧力から解放され、ぽてんと床に落下した。
やがて言葉を取り戻したサヤはヒステリックに言った。
「こんなの、反則よ!」

「使用人に嘘を吐かせた時点で、フェアじゃない」
「うぐ………」

ケーシィをボールに戻し、手近にあった椅子に腰掛ける。
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:23:08.83 ID:f2y8SAUo
「ちょっと、なに勝手に座ってるの! 出て行きなさいよ!」

と間髪入れずサヤは叫んだ。

「俺とサヤが初めて会ったときも、そう言われた。懐かしいと思わないか」
「全然懐かしくなんかないわ!」
「でも、あの時と違うことがひとつある」
「何が違うっていうの?」
「今のサヤは天の邪鬼だってことさ」

サヤは顔を赤くして怒鳴った。

「わたしは本気よ! 本気でサトシと会いたくなんかなかったもん!」

俺は丸テーブルの上にあった便箋をつまみあげながら、

「じゃあこれはなんだ。宛先には俺の偽名が書かれているが……」

とひらひら振ってみせた。

「そ、そそ、それは、あの、えーとっ、うんと、えっと、そう!
 サトシに『もう後任が決まったから解雇よ』って書いた手紙よ。
 明日にでも出そうと思っていたの。本当に本当よ」
「じゃあ今ここで開けて呼んでも問題ないな」
「ないわ………って、大ありよ! ダメ、ダメダメダメダメ絶対ダメ!!」

ひったくろうと伸びてくる手を躱す。
短時間の運動はお嬢様の体にいたく負担をかけたようで、頬は上気し、よく見れば目の端にはうっすらと涙を浮かべていた。
少々虐めすぎたかもしれない。
俺は言った。

「この手紙は返す。ただしその代わりに、十分、サヤと話をする時間が欲しい」
「………わかった」
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:51:01.25 ID:MlfV/b6o
これはツンデレ
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/19(月) 23:01:29.64 ID:f2y8SAUo
俺は胸ポケットからあの写真を取りだし、テーブルの上を滑らせた。
明後日の方向を向いていたサヤの目が、吸い込まれる。

「ここに映っているのは、俺がポケモンリーグを目指して旅をしていた頃の仲間だ。
 タケシにカスミ、当時は二人ともジムリーダーだったが、俺に着いて来てくれた。
 タケシはアウトドアの達人で、料理がプロ並に上手いんだ。
 ポケモンとの接し方や、ポケモンバトルの初歩を手解きしてくれたのもタケシだ。
 タケシがいなかったら、俺は旅を続けられていなかっただろうな」
「…………」
「カスミは……」

俺は一時、カスミを説明する言葉を探した。
彼女は俺にとってどのような存在だったのか。
考えれば考えるほど、切なさと可笑しさが混じり合った感情が込み上げてくるばかりで――。

「サトシ?」
「カスミは、俺の支えだった」

最初の一言を吐き出すと、あとは堰を切ったように言葉が溢れ出してきた。

「ポケモンバトルで誰かに負けたときは容赦なくダメだししてきて、
 勝ったら勝ったで調子に乗るなとか言う奴だった。自分にも他人にも厳しくて……要は負けず嫌いだったんだ。
 俺とカスミは旅のあいだ、ほとんど喧嘩ばかりしていたと思う。
 本当に些細なことが理由で、何日も口を利かなかったこともあった。
 でも、あいつは俺が本当に落ち込んでいるとき、慰めてくれた。まるで本当の姉みたいに。
 あいつは、カスミは俺にとって、気の置けない友達で、家族で――」
「このピカチュウは?」

俺を遮り、写真を指さすサヤ。

「サトシと一緒にポケモンリーグを制覇した、あのピカチュウ?」
「ああ。このピカチュウは、俺が捕まえた最初で最後のピカチュウだ。
 駆けだしの頃は、ちっとも言うことを聞いてくれなかった。
 でも、あるときを切欠に友達になって、それからは俺のことを信頼してくれるようになった。
 自慢じゃないが、俺とピカチュウの息はいつもぴったりだった。
 俺はポケモンバトルを研究して、ぴかちゅうは技を磨いて……俺たちは一緒に強くなっていったんだ。
 ピカチュウがいなければ、きっと、ポケモンリーグの表彰台に立っていた俺はいなかった」

 
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 23:01:46.04 ID:NDHBeN2o
きたwwww 合格おめでとうー
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 23:34:17.80 ID:f2y8SAUo
「そんなに大切なポケモンなら、どうして今は一緒にいないのよ?」
「それは……」

俺は薄く笑みを浮かべる。

「ピカチュウが俺の元を離れたがったからさ。
 喧嘩したわけじゃない。ただ単に野生に帰りたくなったんだろう。
 自分と同じ種族の雌と番になり、子供をつくり、家族を守る。
 そうしたい気持ちは分からなくもなかった。
 ピカチュウは俺と一緒にいる限り、本当の意味で自由にはなれなかったんだ」

サヤは訝しげにこちらを見つめる。
俺は言った。

「あるとき、集団生活を営むピカチュウたちと出会ったことがあった。
 俺のピカチュウは羨ましそうにそれを眺めていたよ。
 結局その時、ピカチュウは俺について行く選択をしたが……。
 その時に分かったんだ。ピカチュウの本当の居場所は、いや、ポケモンの本当の居場所は野生なんだ。
 だからポケモンリーグを制覇したとき、俺はピカチュウを、逃がした」
「ねえ、サトシ」
「うん?」
「あなた、とっても辛そうな顔してる」

俺は手で顔を触った。
微笑を浮かべていたつもりの表情は、硬く強張っていた。
サヤはピカチュウのことには触れずに、

「どうして今になって、あなたの旅の仲間のことを教えてくれるの?」
「システムに入ってからずっと、昔のことを思い出さないようにしてきた。
 誰も俺を本当の名前で呼ばなかったし、システムでの生活に、過去との接点は無かった。
 こんなに俺の過去に興味を持ったのは、サヤが初めてだったんだ。
 俺はこの前、写真を見られたくらいで過剰に反応して、過去と向き合わないで逃げた。
 今はその続きだ。それに何より、俺はサヤの誤解をといておきたかったんだ。
 俺が昔のことを喋りたくなかったのは、俺に問題があったからで、決してサヤに問題があったからじゃない」
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 00:22:27.30 ID:PwaYxCoo
とりあえず、おめ
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/20(火) 01:04:46.21 ID:WzxdN3Qo
サヤは吊り目を和らげ、はにかんで言った。

「いいの。わたしも悪かったの。
 わたし、サトシが昔を思い出したいとか、思い出したくないとか、そういうことを全然考えてなかったの。
 みんながみんな、気軽に話せる楽しい思い出ばかり持ってるわけじゃないのに……」

意外だった。
「わたしに問題?あるわけないじゃない」「謝意が感じられないわ。土下座」などの台詞を想定していた自分が恥ずかしい。

「ねえ、もっと色々質問してもいいかしら?
 サトシが過去を振り返りたくないのは分かってるわ。
 でも、それでもわたしは知りたいの。
 しつこく尋ねたら嫌われると分かっていても、わたしね、サトシのことがもっと知りたいのよ」
「………」
「ダメ、かしら?」
「構わない。俺はサヤの好奇心を満足させるために、ここに来たんだ」

サヤは口を噤み、右手の指と左手の指を絡み合わせて、
決心と躊躇を何度か繰り返す素振りを見せてから、俺を見据えた。

「わたしが誰にでも、喋りたくない過去を根掘り葉掘り聞き出すような、失礼なことをすると思ってる?」
「……いいや」
「分かってくれてるなら、いいの」

淡く頬を染めるサヤ。

それから俺はたっぷり二時間、サヤの質問に答え続けた。
喋るうちに、これまで頑なに秘匿主義を貫いてきた自制心が溶けていくのを感じた。
俺の語る言葉に整合性の取れた嘘や欺瞞は無かった。
サヤは感情を露わに俺の話に聞き入り、それでいて適当に相槌を打った。
ピカチュウと袂を分かった本当の理由。
将来を誓い合ったカスミを裏切り、故郷を離れてシステムに属した理由。
過去の夢。現在の夢。目的。希望。
まるで懺悔室で神父に告解する罪人ように洗いざらいを話してしまったのは、相手が純粋で表裏の無いサヤだったからだろう。
彼女はこの話を誰にも漏らさない。そんな確信があったのだ。
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 01:42:58.50 ID:hvouIigo
まさか続きが読める時がくるとは…
そして合格おめ
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/20(火) 05:48:49.20 ID:cnsZ76AO
おお!
合格おめ!
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 08:30:37.24 ID:pt1Zf8Qo
合格おめでとうございます!
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/20(火) 09:37:52.68 ID:GksHFoAO
帰ってキター!
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 13:41:17.09 ID:g7yqsKMo
うおおおおおおおおお待ってた!お帰り!おめでとう!
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 13:45:34.45 ID:I0oRYico
ひゃっはー!
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/20(火) 17:08:05.42 ID:JNaitMDO
再開してたのか
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 21:11:48.79 ID:0PHFKCs0
おかえり!
ドキドキが止まらない!
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 21:14:12.38 ID:1RDAz2SO
心からおめでとう
続き読めて嬉しい!!
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 23:20:18.47 ID:tMDUScDO
べっ別に待ってたわけじゃないんだからね!


お、…おめでと!


ほほほら、さっさとつづき書きなさいよ!
すっごくたくさんの人が待ってたんだからね!
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 23:28:34.90 ID:h65u2Y.o
再開きてたか

合格おめでとう
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 23:36:29.07 ID:tH/2TbQo
受験と再開お疲れ様です
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/21(水) 12:59:53.93 ID:0iK.koU0
作者きてるー
続きは読めないし、就職も決まらずでどん底だったが
バイト決まって安堵した日に、ココも再開してるとは夢にも思わなんだ
これで数ヶ月はココを心の支えに励めそうだ
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/22(木) 00:26:43.26 ID:o4qsRgDO
おぉー来てる!
作者お帰んなさい!
79 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/04/22(木) 00:26:55.55 ID:cJYlc3.o
話が一段落ついた頃、サヤはヘルガーの喉を執拗にくすぐりつつ、
あくまで話の延長線上にある他愛もない好奇心のうちのひとつであるとでもいいたげなぶっきらぼうな口調で言った。

「……サトシは今でもその、カスミって人のことを思ってるの?」
「カスミのことは、もう忘れたよ」
「嘘つき。わたし、もうサトシの作り笑顔は見たくないの。次嘘吐いたらヘルガーけしかけるから」
「……なるべく思い出さないようにしているんだ。
 それに、カスミのほうは俺のことなんてとっくに忘れているさ」
「そんなの分からないじゃない。
 むしろサトシのピカチュウを見る度に、サトシのこと思い出してるんじゃないかしら」
「そういう考え方はしたくない」
「したくない、じゃなくて、あえてしないようにしてきたんでしょ?」
「……………」

俺が反論できないでいると、サヤは責めるでもなく、訥々と言った。

「無理にその人のこと、忘れようとしなくたっていいじゃない。
 時間がたって、心のなかで整理がついたら、自然に忘れるものなのよ。きっと」

ハナダシティで暮らしているであろうカスミのことを、その傍らにいるであろうピカチュウのことを想像する。
脳裡に浮かぶ姿は数年の時を経てくっきりとした輪郭を保っている。
自然に忘れることなんて、有り得るのだろうか。そう思った。

「……ごめんなさい」

出し抜けにサヤが謝る。

「わたし、たいした人生経験もないくせに、生意気ね」
「そんなことないさ。俺よりも長く生きてるんだ。年下に説教する資格はそれで充分だ」

実際に、サヤの言っていることは正しい。
その正しさを理解できても、過去から解放された自分の未来像を信じることができないだけで……。
サヤは言った。

「あのね、サトシ。わたし、いいことを思いついたんだけど」
「いいこと?」
「新しい電気タイプのポケモンを育ててみるというのはどうかしら。その、ピカチュウの代わりに、ね?」

俺はかぶりを振った。

「何度か試したことはある。でも、ダメだった。
 ピカチュウの代わりになるようなポケモンはいないし、
 この先も現れないことを再認識させられただけだったよ」
「そうなの……」

サヤは残念そうに溜息を吐く。そして妙に声のトーンを下げて言った。

「人のほうも、試したの?」
「どういう意味だ?」
「だから、カスミの代わりになるような人と付き合ったりしたことはないのかどうか聞いてるの!」
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/22(木) 00:53:47.86 ID:IeOVqpMo
wktk
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/22(木) 00:53:51.42 ID:JYMr6h2o
サヤは積極的だのうw
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 23:37:13.19 ID:jOvQ01Qo
作者合格おめでとう
無事でよかった
ここ最近いいこと無かったけどこのスレを励みにがんばることにするわ
83 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/04/25(日) 16:12:52.78 ID:Lfdz4t6o
カスミの代わり。考えたこともなかった。
俺だって一人の男だ。女が欲しくなったことはある。
だが実際問題として、システムに完全に身を捧げた人間が、まともな男女関係、延いては家庭を築くことは不可能だ。
表と裏の顔を使い分けられる、マサキやカツラのような要領の良い人間ならまだしも。
俺は視線を上げた。
放置されていたサヤが、あと数秒放っておけば首を絞めに来かねない形相でこちらを睨み付けていた。

「無かったよ」
「どうして?」
「考えたことも無かったんだ。本当だ。
 俺はシステムの人間で、この世の女の大半は日の光が当たるところにいる」
「ふぅーん」

意味深な響きだ。

「それって、言い訳じゃない?
 わたしはお父様の仕事場にたまに呼ばれるくらいで、内部の詳しい実情なんて知らないけれど、
 システムの人間が全員男なわけじゃないでしょ?違う?」
「まあ、確かに……」

男女比率は実働部隊は荒くれ者が集まる分、自然男に偏るが、その他の部署では五分五分だと聞く。

「仕事で方々を転々としてサトシがそんなこと言っても、冗談にしか聞こえないわ。
 わたし、いちどお父様の部下に聞いてみたことがあるのよ。
 本当に女の人と関わりが持てない可哀想な人って、ずうっと地下の研究施設に引きこもって研究してる人のことをいうのよ」

そういった閉鎖的な部署には、定期的に高級娼婦が宛がわれることは黙っておいた方がいいだろう。
サヤは自信満々な、それでいて不服げな複雑な表情でこう結んだ。

「サトシが新しい女の人を見つけなかったのは、
 考えもしなかったから、じゃなくて、カスミに罪悪感を抱いているからね」
84 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:16:59.24 ID:4jNT1h2o
作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
85 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:20:39.50 ID:x0lCUC6o
86 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 21:07:26.32 ID:wjJFLZc0
待ってた!
合格おめでとう!!
87 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 08:33:21.52 ID:UcH1hxso
キタヨー
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 13:41:27.22 ID:mN/7lgDO
ピカチュウの森やこのピカチュウの事考えたら目から汗出た
89 : ◆Ec95DXH7wk :2010/04/26(月) 23:02:56.59 ID:YpWO8woo
「罪悪感、か………」

俺は小指を折り曲げた。カスミの小指と絡み合った感触は今もそこに残っている。
――待ってるから。
チャンピオンロードの入り口で、カスミは嗚咽混じりにそう言った。
俺はその約束を守り、そして、破った。
カスミの純粋な気持ちを裏切った。
ポケモンリーグ優勝者を輩出したことで沸き返る故郷に、カスミとピカチュウを置き去りにした。
目頭を押さえる。頭痛がした。
久々にあの夜のことを思い出したからか。

「俺はこの罪悪感と、もうしばらく付き合うことになりそうだ」

サヤはいつになく優しい声で言った。

「罪悪感と向き合うのはいいことだと思うわ。時間が経てば、自然と赦されるものよ」
「誰が、どうやって赦すんだ?」
「サトシが、自分で、もうカスミのことは忘れよう、って納得するのよ」
「その時がくる前に俺が老死してなきゃいいがな」
「時間がかかることは確かよ。でも、それを早めることはできると思うの。
 カスミへの罪悪感を、時々忘れちゃうくらい気になる女の人が現れたら……ね?」

はにかみ、僅かに顔を寄せてくる。
俺は僅かに身を引いて言った。

「俺はそんなに単純に出来てない」
「あら、そうかしら。お姉様はよく言ってたわ。男は馬鹿で、忘れっぽくて……それから……ケダモノだって」

やれやれ、あの女は妹にどんな教育をしていたのだろう。
引きこもりのサヤの中で醜い男性像は確固たるものとなり、俺とサヤが初めて会ったあの日の一言に繋がったのだ。
『わたし、こんな人はいや。穢らわしい。二度とわたしの前に姿を見せないで』
今となっては懐かしい。

「けど、サトシは私の想像していた男の人と違ったわ。だから、やっぱりサトシのいうとおり、そう簡単にはいかないのかも」

視線を下げ、胸元に落ちた赤毛の一房をつまむサヤ。俺は少し迷ってから言った。

「……努力はする」
「本当?」
「ああ」
「……そ、そう。まあ、精々頑張りなさい。努力は報われるのよ」

努力に縁遠そうなお嬢様がよく言ったものだ。
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/26(月) 23:03:54.71 ID:hxA5BYAO
支援
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/26(月) 23:25:45.73 ID:YH3Q7Bgo
よしきた
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/26(月) 23:40:55.36 ID:YpWO8woo
時計を見る。サヤに昔話をしているうちに、時間の経過を忘れていた。話のキリも良い頃だ。

「そろそろ行くよ」
「えっ……あ……そうね、随分長いことお喋りしてたみたい」
「ありがとう」
「な、なんでサトシにお礼言われなくちゃならないのよ?」
「システムに入る前のことを話して、全部とは言わないが、肩の荷がいくらか下りた気がするんだ」

あの日、サヤが俺の過去に興味を示していなければ。
俺の上着の内ポケットから、古い写真を取り出していなければ。
俺はありきたりな冒険譚をサヤに聞かせるだけで満足し、
サヤも欠けたピースに疑問を抱くことなくそれを聞いて満足していたのだろう。
ドアの鍵を外し、ノブに手をかけたその時、

「ねえ、サトシ……」

後ろ髪を引く、という表現が的確な声がした。俺は言った。

「また来る。サヤのお父さんとの契約は、まだ切れてない」
「い、いちいち当たり前のことを言わなくてもいいのよ」

俺は既に決まっていたという「後任」について尋ねようとして、思い直した。
サヤを困らせるネタには使いどころがある。
今はそのときではない。



息が詰まり、目眩がし、肌が粟立つような威圧感。
何十、何百もの視線がこちらを向いている。
「出て行け」「去ね」――混濁した複数の声が、風の唸りのように聞こえる。
鼓膜を通してではなく、直接、頭の中で。

「あいつに任せて大丈夫なのか?」
「国土交通局の人間だと言っていたが……」

背後には重機が数台、その操縦士と整備士が十数名。彼らに素性は知られていないし、あえて明かすようなこともしない。
彼らの望みは、延いてはここに道路を敷設したいと考える大手ゼネコン頭取の願望は、ここら一帯のポケモンを"完全に"駆逐すること。
事業者はシステムに面倒事を委任し、システムは俺を派遣した。それだけの話だった。
俺は言った。

「下がって。ここは任せてください」

彼らは蒼白な顔を並べてがなり立てた。

「てめえみたいな若造一人で何ができる」
「草むらじゅうのポケモンが集まってきてるぞ……早く逃げた方がいい」
「ひいい、殺されちまうっ……」

語気を強めて言う。

「下がれ」
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 00:20:58.22 ID:5wnu.Kwo
作業員が充分な距離をおいたことを確認し、ボールをひとつ展開する。
大気が震えている。
姿こそ背の高い草むらで隠れているが、野生ポケモンの息遣いがすぐそこに聞こえるようだ。
俺は傍らの相棒に話しかけた。

「やれ、フシギバナ」

種子が散る。
まるで乱雑に、無作為に蒔かれたそれらは大地に落ちるや否や萌芽し、巨大な垣根を創り上げる。
そばに生えていた草木は養分を捧げ、生気を失う。まるで冬枯れしたかのように。
地鳴りがした。
垣根が揺れ、葉擦れの音が不気味な音楽を奏でる。
突破されるのは時間の問題だ。

「く、来るっ!!」

咆吼が響き渡った。
一頭のミルタンクが、垣根に張り巡らされた茨を突き破り、傷だらけの身体で突進してくる。
大きく張った乳房は、たくさんの子供がいることを如実に物語っている。
愛くるしい外見をきずだらけにして、人間に刃向かうのはなぜか。住処を守るため。子供の将来を守るため。
二つめのボールを展開する。

「カメックス」

甲羅の隙間から発射口が伸びる。四つ足で地面を押さえるのは、反動に耐えるためだ。

「持久戦になるかもしれない。消費は押さえろ」

指示に呼応するかのように、一条の水流が迸る。
水袋を破裂させたような音が響く。
ミルタンクは急に失速した。
八分割された肉塊が草むらを赤く染めた。

「うぉえぇえっ……ええぇぇっ……」

背後から嘔吐の音が聞こえてくる。見えてしまったのだろうか。可哀想に、と思う。
俺は振り返らずに、三つめのボールを展開する。
野生ポケモンを威嚇している余裕はない。親切心は命とりになる。経験で学んだことだった。
俺は何も考えず、無心でリザードンに命令を下した。翼竜は頭を垂れ、飛び立った。
垣根の向こうに団子状に固まっていた野生ポケモンに、熱い炎の雨が降る。
垣根は野生ポケモンを絡めたまま、炎の壁と化した。

肉の焦げる臭いがした。断末魔の叫びが方々で上がり、途絶えた。
しばらく肉料理は食べられそうにない。地獄のような光景を眺めながら、俺はそんなことを考えていた。
感情を捨て、与えられた任務を遂行する。
今この瞬間、俺はポケモンを殺戮する機械なのだから。
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 00:27:24.12 ID:zb/9UsDO
初のリアルタイム遭遇?

支援
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:28:35.53 ID:1bDYRsSO
相変わらずの文章力の高さにsit
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:32:05.17 ID:wQuYADco
wwktk

97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:48:44.86 ID:Dvs/X4so
来てるーー!!
スレを立てて2ヶ月待った甲斐があったぜ
98 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/05/01(土) 10:16:42.65 ID:Zj28kPco
作業は進む。滞りなく、漏らしなく、野生ポケモンの住処を破壊する。
垣根が燃え尽き、視界が晴れる頃には、背の高い草むらは焼け野原になっていた。
炭化した"何か"が、無数に、無秩序に転がっている。
空を見上げる。リザードンは空を飛び回り、ここ一帯に近づこうとする野生ポケモンを威嚇していた。
いずれ野生ポケモンは戦意を喪失し、他の地方へ移住するだろう。
カメックスは延焼を防ぐために、残り火に向けて撒水している。
俺はフシギバナの花びらを一撫でし、焼け野原に歩み寄った。
その時だった。

「ガルルル……ガゥッ!!」

小さな影が、焼け焦げた肉塊の下から飛び出す。
円らな瞳。丸い爪。尖った耳。
ガルーラの子供だ。
時間は細分化されて、網膜はコマ送りのように像を結ぶ。
未発達な赤子といえど、その爪は十分な殺傷能力を有する。
可愛らしい顔は、激情に歪んでいた。親兄弟を殺され、土地を奪われたのだ。無理もない。
小さなガルーラは跳躍した。
俺は咄嗟に空のハイパーボールを探り当て、放り投げようとした。だが遅延は致命的だった。
パン、と水風船が破裂したかのような鋭い音が鳴った。
フシギバナの"蔓の鞭"が的確にガルーラの側頭を打ち抜いたのだった。
弾けた頭蓋は、局所的な血の雨をもたらした。
生温かな感触が頬に降りかかった。


―――――
―――
――

「はぁっ……はあっ……はぁっ……」

哀れな喘ぎ声が聞こえる。
暗闇の中で、拠り所もなく、悪夢の影に怯えている小さな子供のそれのような喘ぎ声が。
何度か唾を飲み込んで、荒れた唇を舌で湿らせてから、俺は身体を起こした。
フシギバナが薄目を開ける。
魘されていたことは……知らないわけがないよな。

「恥ずかしい所を見せた。でも、大丈夫だ」

99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 13:15:57.41 ID:cZ3w1HEo
作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/01(土) 15:30:23.64 ID:wZBEyL20
大学合格おめでとう
ささやかな楽しみが返ってキタ――――――――――――――――
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 16:30:45.96 ID:EVZmNroo
きっとフシギバナはサトシを守るためにとっさにやったんだろうなぁ
意地でも進化しなかったフシギダネがサトシのために進化したんだろうか
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/02(日) 02:10:49.62 ID:2rmuUcY0
そんな設定あったな
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 10:56:07.41 ID:ANqirg20
最近この小説のこと知ってやっと追い付いた

超支援
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 10:51:24.67 ID:XvDGDpYP
懐かしいな
そして作者合格おめ
105 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/07(金) 20:19:06.24 ID:35lvmHIo
ポケモンセンターの屋上は、月明かりの青白い光とは違う、暖色の薄明かりに照らされていた。
光源は高層建築物から夜通し放たれるネオンだ。星の瞬きなど確認できるわけがない。
クチバシティの風景は着実に変わりつつあった。
インフラの完備による文化的発展の余裕――と言えば聞こえはいいかもしれないが。

「悪い夢でも見たのかい?」
「お前には関係のないことだ」

背後に同業者の気配を感じる。
俺が部屋を出たときにそのまま尾行してきたのだろう。

「相も変わらず冷たいね。
 任務中の鮮やかな連携プレーが嘘のようじゃないか」

俺は黙っていた。

「任務を重ねれば君の態度も軟化すると踏んでいたんだけどね。
 ……ほうら、受け取りたまえよ」

振り返り、薄闇を突っ切ってきた物をキャッチする。

「適度なアルコールは人間関係の潤滑油たり得る。
 僕はそう信じている。レッド、祝勝会も兼ねて、一度腹を割って話し合おうじゃないか」
「これはどこで?」
「部屋の冷蔵庫に入っていた。
 後になって君の分を請求したりはしないから、存分に飲むがいい」

俺はよく冷えた缶ビールを眺め、プルタブを開けた。
酷い寝汗を掻いて水分が欲しくなっていたのだ、このプレゼントが嬉しくないと言えば嘘になる。
炭酸を喉に流し込むと、気泡が弾け、爽快感が胃袋から頭の天辺までを突き抜けた。
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 20:41:56.11 ID:VvJeYCIo
ktkr
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 20:52:49.97 ID:35lvmHIo
辛口だったのか、舌の奥で微かな苦みを感じる。
それを旨みと認識できないあたり、俺はまだ大人に成りきれていないのだろう。
失った水分を補うように煽る。
アルコール摂取でバソプレッシンが抑制され、逆に脱水症状を促進させることなど百も承知だ。

「レッド、正直に答えて欲しい」

同業者が隣に並ぶ。夜風に麗しい金髪が靡く。
そいつは欄干に腕を乗せ、物憂げに建設途中のビル群を眺めながら言った。

「君には必要以上に任務の達成を急ぐきらいがある。それはなぜだ?」
「早いにこしたことはない」
「巧遅は拙速に如かず、という言葉があるのを知っているかい。
 確かに君の技量は認めるが、ここ最近の任務は単独行動での無茶が過ぎる。
 僕たちがなぜツーマンセルで行動しているか分かるかい」
「…………」
「片方がもう片方をバックアップするためだよ。
 それを君は、まるで僕にじっとしていろとでも言うかのように立ち回って……これでは僕の存在意義が失われてしまうじゃないか」

それでいい、と俺は思った。
こいつの嗜虐性を封印するには、そもそもポケモンに指示を与える機会を奪ってしまえばいい。
それに気付いて以来、俺は出来るだけ金髪を支援に徹しさせ、作戦目標は自分で達成するようにしていたのだ。
この男を相棒にすることはできない。そう何度か博士に進言したが、返ってくる言葉は常に「私情を口実にしてはならん」という無慈悲なものだった。
構成員個人に関わる噂を伝聞してはならないという規則は、事実、あってないようなものだ。
それを考えるとこの金髪と共に行動することは、
俺が「博士との繋がりなどない一般的な構成員」であることを偽証してくれる体のよい拡声機なのかもしれないが……。

「お前は殺しすぎる」

俺は婉曲な言葉遣いを放棄して言った。
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 21:32:35.38 ID:TjC1hvso
作者ktkr
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 21:41:40.92 ID:35lvmHIo
実働部隊の一部の人間に、人とポケモンを[ピーーー]ライセンスが与えられているのは、手段と目的を混同するためではない。
俺の言わんとしていることを察したのだろうか。
金髪は微笑を消し、無感動な声で言った。

「なぜ僕がポケモンに過剰攻撃してしまうのか、その理由を、まだ教えていなかったね。
 少し話が長くなるが、僕は物心つく前に、両親を無くしたんだ」

独白の始まりに呼応するように、風が止む。

「あれは気持ちの良い春の日だった。僕たち家族はピクニックと称して草むらに出かけた。
 父親は夢半ばでポケモンマスターになることを諦めた、中堅トレーナーだった。
 野生ポケモンに囲まれても、楽に対処できる自信があるようだった。母親も父親の腕を信じているようだった。
 僕はといえば、びくびくと怯えていた。レジャーシートを広げてお昼ご飯を食べているときも落ち着かなかったし、
 道路から草むらの奥に入ろうと父親が提案したときも、最後までぐずっていた。今から思えば、幼いなりに危険を察知していたのかもしれない。
 草むらを進むと、見晴らしの良い草原に出た。
 すっかり行楽気分の母親と怯えている僕に、父親は旅をしていた頃のことを思い出したのか、遠目に見えるポケモンについて熱心に語っていたよ。
 そのままポケモン観察ツアーが続いていれば良かったんだがね、そうはいかなかった。
 父親が草原に場違いな岩の塊を見つけてしまったのさ。
 サイホーンだと彼は言った。断定した、と言ったほうが正しいね。
 彼はポケモンバトルを見せてやると言った。家族サービスのつもりだったんだろう」

そこで金髪は間をおき、缶ビールに口を付けた。

「結果は、最初に言ったとおりだ。岩の正体はサイホーンではなく、サイドンだった。それも相当に成熟した個体だ。
 恐らくはそこら一帯の主だったんだろう。運が悪かったのさ。
 父親のシャワーズは一瞬で弾けて、彼自身も吹き飛ばされて死んだ。
 止めに入った母親も同じ運命を辿った。
 僕は悲鳴をあげることも忘れて、ただ呆然と二人が死ぬところを見ていた。
 おかげでサイドンのセーフティフィールドを犯さずに済んだ。あそこで少しでも動いていたら、僕は今ここにいない」
 
さらに一口。

「野生ポケモンの住処に取り残された僕を救ってくれたのは、通りがかりのトレーナーだった。
 病院に運ばれた当時は、まともに口が利けなくて――所謂失語症だね――心的外傷性ストレス障害だと診断された。
 医者は両親が死ぬところを間近で見たショックが原因だと考えているようだった。
 でもその時の僕は、もっと根本的なことに恐れをなしていたんだ。
 ――ポケモンによってもたらされる死そのものにね」

タナトフォビア。死恐怖症。
知識としては知っていた。が、自分がそれに罹患していると語る人物を見たのは、この金髪が初めてだった。
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/07(金) 22:25:33.32 ID:35lvmHIo
「ポケモンに対してヒトはあまりに無力だ。
 柔らかい皮膚、脆い内骨格に、押せば潰れる臓器。
 雌雄は、どうしようもないほどに決してしまっている。
 あの日を境に、僕はヒトが、ポケモンに淘汰される側、弱い生き物なのだと知った。
 両親の死は、僕にそれまで以上に死を意識させた。
 それから僕は長いことポケモンに関わろうとしなかった。
 同年代の子供たちがまるでお遊びのようなポケモンバトルに興じているときも、一人ふさぎ込んでいた」

饒舌に語る金髪が引きこもりに近い少年時代を過ごしていたことを、俺はうまく想像できなかった。

「転機は僕が16になったときのことだ。
 周囲に強く勧められて、仕方なくトレーナー免許をとった僕は、
 初めてのポケモンにと叔父からもらったサンドを持て余していた。
 ポケモンを見るたびに、両親のことが、死への恐怖が頭をかすめた。
 サンドと一緒にいることに耐えきれなくなった僕は、ある夜、街と道路の境にサンドを逃がしに行った。
 後ろめたさは無かった。こうした方がサンドにとっても幸せだろうと考えた。
 叔父に返すことも考えたけど、彼は厄介払いが目的でサンドを寄越したみたいだったからね。
 けど運悪く、僕は性質の悪いトレーナーに絡まれてしまった」

戦意の無いポケモントレーナーに勝負をしかけるのは禁止されているが、
明確な罰則が無く、それが改訂される予定も今のところないため、強引なポケモンバトルは野放しになっている。
法秩序が乱れることを怖れる官僚共もそうだが、それを容認する世論にも一因があることは否めない。

「相手は手馴れているようだった。
 それに対して僕は、ポケモンバトルはおろかまともにポケモンとコミュニケーションしたこともなかった。
 それでも不戦敗で金を渡したくなかった僕は、しかたなしにサンドを出した」

金髪はもう一口煽ろうとし、缶が空になったことに気付いて物足りなさそうに唇を噛んだ。

「ポケモンバトルが始まって、気付いたことがあった。
 オコリザルの攻撃がどのタイミングで、どんな軌道を描くのか、なんとなく分かる。
 僕がどんな風に相手の攻撃を躱すかサンドに伝えると、ちょうどうまい具合にオコリザルの攻撃は外れた。
 それに対してサンドの拙い攻撃は、徐々にオコリザルにダメージを与えていった。
 興奮したよ。僕はいつの間にか両親を殺めたサイドンをオコリザルに重ねていた。
 やめてくれと懇願する声も聞こえなかった。サンドの短い爪は、オコリザルをなます切りにして、失血死しさせた。
 我に返った僕は、サンドをボールに戻して、闇夜に乗じて逃げ出した」

微笑が浮かぶ。

「怖くなったからじゃない。それまで感じていたポケモンに対する恐怖や、死への不安が無くなっていることに気付いたからさ」
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/07(金) 22:57:29.45 ID:35lvmHIo
「以来、僕は積極的にポケモンの大会に参加するようになった。
 サンドを鍛え、自分もポケモントレーナーとしての知識を蓄えた。
 相手ポケモンの挙動が分かるのは、未来予知の一種かと考えたこともあったけれど、どうも違うようだった。
 端的に言えば目の良さだね――視力云々の話じゃない――僕は危険と安全を視覚化できるんだ。
 相手ポケモンの運動情報、即ち間接の動き、呼吸、筋肉の収縮等を目で読み取って、
 次の一瞬、どのように自分のポケモンを立ち回せれば、安全地帯から反撃できるか分かる。
 限定的な危険察知能力と言い換えてもいいかもしれない。
 僕はその能力を生かして、公式の試合で快勝を積み重ねていった。叔父も喜んでくれた。
 でも、僕は成長を実感するのと同時に、ポケモンや死に対する恐怖が再び膨らみつつあることに気付いていた。
 それを解消する方法を、僕は一つしか知らなかった」

金髪はまるで他人事のように続ける。

「僕は定期的に野生ポケモンの住処に出かけ、三匹のポケモンを時間をかけて殺した。
 けれど何度か繰り返すうちに、三匹では我慢できなくなっていった。[ピーーー]ポケモンの数が増えた。
 薬物と同じだよ。終いには野生ポケモンに飽きたらず、公式の試合でも、事故に見せかけて相手ポケモンを死なせるようになった。
 ポケモン協会からトレーナー免許を剥奪されるのに、一ヶ月もかからなかった。
 ポケモンを取り上げられ、叔父に謹慎を言い渡された。習慣を奪われて、僕はおかしくなっていった。
 部屋の隅や物陰に死の片鱗が見えた。目を瞑ると両親がボロ雑巾のように殺される光景が浮かんだ」
「異常だな」

率直な感想を、

「もっともな意見だよ」

金髪は受け流す。

「そのとおり、僕は異常だ。でも、これは病気なんだ。
 他の生物――ポケモンが死ぬところを見なければ、僕は僕自身を保てない。
 自殺しようにも、死が怖くてできない。システムが僕の前に現れなければ、僕は完全に発狂していただろうね」
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/08(土) 14:42:13.10 ID:LAY352M0
ほへ
113 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/08(土) 17:53:21.14 ID:GA7euoQo
「つまり任務のあれは、タナトフォビアを抑制するための手段だったと、そう言いたいのか」
「ああ。まさかレッド、君は僕がポケモンを殺して愉悦に浸るような人間だと思っていたのではあるまいね。
 僕は適格者として、恩人たるシステムに奉仕している。任務遂行中の殺傷行為は、あくまでも副次的な目的に過ぎない」

ストライクを駆って対象を切り裂いていたときの、金髪の目を思い出す。
あれは「致し方なく」といった類のものだっただろうか。
確かに高次なポケモンバトルで傷ついたポケモンは、受ける傷も生半可なものではないため、
一息に殺されてしまったほうが後々苦しまずにすむ、といった考え方もできる。
だが、それだけでは金髪を肯定する材料に到底なりえない。
本来なら牢獄に繋がれておくべき異常者を、その能力に目をつけて解き放つ……。
使えるポケモントレーナーを多く擁しておきたいシステムの意向は分かるが、
それによって発生するリスクに対して、考えが甘すぎるのではないかという気がした。

「さて」

自分語りは終わりだと言わんばかりに声の調子を変え、

「次は君の番だよ、レッド。
 君にも僕に隠している、いや胸に秘めていることがあるんじゃないのかい」
「そんなものはない。
 第一、俺たちが違いに深く干渉しあうことは上から、」
「どうでもいいじゃないか、そんな決まりは。
 僕は君の正体に薄々気がついている」

楽しそうに喉を鳴らす。

「流石にあれだけ君のポケモンや、戦い方を間近で見ていればね。
 あえて誰だとは言わないが……いやはや、システムの腕の広さにはいつも驚かされる。
 話をもとに戻そう。君には僕に対して、何か語ることがないのかい?」
「………」
「そうだな、じゃあ君をここまで登り詰めさせた能力は何なんだ?
 僕はもう明かしたし、僕と君はもはや戦友だ。教えてくれたっていいだろう」

俺はいつになく饒舌な金髪に対し、妙な薄ら寒さを感じていた。
一方的に情報を明かし、見返りを求める。思考回路がまるで子供だ。
しかしこの幼さは、サヤとは違う種類の危険を孕んでいる。
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 18:08:33.61 ID:GA7euoQo
俺たちが違いに ×
俺たちが互いに ○
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/08(土) 18:18:38.29 ID:GA7euoQo
「そんなものはない、と言っている」
「相手が誰であれ手の内を見せることはしない、か。
 では君の過去について、というのはどうだろう。
 そうだな、僕が聞きたいエピソードは、やはり君の初めてのポケモンだね。
 僕はサンドを叔父から譲り受けたという淡泊極まりない出会いだったが、君の場合はどうだったんだい?」

最近、俺の過去に興味を示す輩が増えた気がする。
俺が黙っていると、痺れを切らしたらしい金髪は怒ったように息を吐いて、

「じゃあ、妥協して、君のオフについて尋ねよう。
 君は任務が無い時間、何をしているんだい?」

サヤと仲直り(と呼ぶべきなのだろう)して以来、
グレン島の屋敷に通う習慣は復活していた。
しかも十日に一度という約束が、臨時の呼び出しも含めるとほぼ一週間に一度という頻度になっている。
だが、それを金髪に話すつもりは毛頭なかった。

「いい加減にしろ」

踵を返す。着いてくる気配は無かった。
ただ、

「いいさ。そうやっていつまでも僕を邪険に扱うつもりなら――」

背中にかけられた言葉が、

「――いつか後悔することになるよ」

耳朶の奥にこびり付き、夜明けごろまで神経を昂ぶらせていた。
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 18:19:55.80 ID:ticTkngo
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/08(土) 19:08:56.91 ID:GA7euoQo
ヘルガーが放つ炎の色は、ヒ素の炎色反応に酷似している。
見た目に熱さを感じさせない、まるで光のあやのような薄紫色の輝き。
しかしそれを一度浴びれば、単なる火傷で済まされない。
大気は毒となって傷口を撫で、耐え難い苦痛を負傷者にもたらす。
だから俺はサヤとの練習試合で、絶対に手加減はしない。

「"風起こし"」
「"火炎放射"!」

風切羽で力強く空気を叩き、空気の塊をいくつも地上に送り出すピジョット。
開いた口蓋から舌を垂らし、炎の剣と呼ぶに相応しい火線を繰り出すヘルガー。
技自体のレベルでは、勝っているのは明らかに後者だ。
しかし位置関係と属性が、その関係を覆す。

「どうして当たらないのよっ」

歯がみするサヤ。
気流の乱れに、ヘルガーの炎を消すほどの力は無い。
しかし燃焼する直前の可燃性液体燃料の軌道を、わずかに逸らすくらいのことはできる。

「技は使いようだ」
「それなら……ヘルガー、"火の粉"!」

一般的なポケモンの火の粉を市販の打ち上げ花火とするなら、ヘルガーのそれは職人による本格派打ち上げ花火に等しい。
藍色の空が、一瞬で満点の星空に変わる。不思議なことに、星はどれも薄紫の一等星だ。
ピジョットの"風起こし"で乱れた気流に火の粉が乗り、まるで流れ星のように目に映った。
サヤの考えていることを、朧気に理解する。

「ヘルガー、そこよ! 火炎放射!」

サヤはピジョットの位置とは僅かにそれたところを指さしする。
火線は当然のごとくピジョットを逸れ、しかし再び軌道を変えて、一直線にピジョットへ向かった。

「やった!今度こそわたしの……って、あれ?」

快哉を叫びかけ、口を噤むサヤ。
ピジョットは元いた場所から離脱し、難を逃れていた。

「火の粉を無作為に撒いて、風の流れを読む。
 アプローチは完璧だった。でもサヤはピジョットの素早さを甘く見積もりすぎだ」
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 19:14:09.05 ID:nnR0XM.o
このサトシはピジョット迎えに行ったんだな。よかった
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 21:57:48.15 ID:5cbi6MSO
別の何か特別なピジョットかもよ
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 13:26:30.44 ID:Lj01SEDO
>>107
巧遅は拙速に如かずって、上手で遅いよりは下手でも速い方がいいって意味だったと思う
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 00:05:38.73 ID:FV3nhx60
>>120じゃぁ使い回しは合ってるんじゃない?サトシは一人で完璧に仕事をこなすが時間がかかる、2人でやれば早いのにってことでしょ
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 00:12:17.02 ID:zONFhZco
適格者ってポケモン限定の超能力って解釈でいいのかな?
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 00:12:25.45 ID:JvHHDhc0
アホか。急ぎすぎじゃね?って言われて、サトシ自身で早いに越した事はないって答えてんだろ
巧遅拙速にしかずって金髪が言ったのはサトシのその言葉を受けての事だから誤用になるんだよ
124 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/10(月) 00:22:50.71 ID:KekEhY2o
>>120さんの言う通り誤用でした
その行はまるまる削除ということで

>>122
定義は曖昧です
ポケモンの扱いに特に長けたトレーナー、みたいな感じ
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 12:24:25.46 ID:D9W8WgDO
>>123
ほんとだ、文章ちゃんと読んでなかったよ、すまん。だが一言余計
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 16:09:41.66 ID:3eKr92DO
えっ
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 08:27:23.06 ID:0Zqjk96o
>>123は要らない子
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 19:47:21.40 ID:qa5AhAAO
>>1のまとめ読んだが
ある意味スレタイ詐欺だろこれ
最初老年ピカチュウの愚痴日記を想像したのにwwww
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 19:57:49.42 ID:8IGnrVEo
まぁもともと乗っ取ってやったわけですし
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 20:06:20.52 ID:ePvuCcSO
実際最初はそうだったよな、なんかニャースと愚痴ってたww
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 20:15:05.02 ID:2FWSTkEo
一年半くらい前だよな。あっという間だ
132 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/05/13(木) 21:11:12.32 ID:0Kdy07so
今回は鳥ポケモンとの戦闘を経験させるための試合だった。決着をつけるのが目的ではない。
俺はピジョットをボールに戻した。サヤも不承不承といった風にヘルガーの攻撃姿勢を抑えた。
具体的には頭を撫でた。奇妙な光景だ、と思う。この感覚に慣れは来ない。
Sランクレベルのリーグトレーナーのポケモンと比肩しうるヘルガーを、まるで赤子のように隷従させる。
心の繋がりも、時間の共有も、性格も関係無く、ただ触れただけで対象のポケモンを奴隷にする。

「サヤは、生まれたときからポケモンを自由に操ることができたのか?」
「いきなりどうしたの?」

ピジョットを仕留められなかったことが悔しかったのだろう。
ふくれっ面のサヤは近場の小石を蹴り飛ばしながら言う。

「言い方を変える。サヤが自分の能力に気付いたのはいつなんだ?」
「だ、だから、どうしてそんなことが気になるのよ?」
「大事なことだからな。能力には先天性と後天性のものがある。俺はサヤが、どちらのタイプか知りたいだけだ」
「ふぅん。……じゃあ、教えてあげる。わたしのは後天性よ」
「そうか」

良かった。つい笑みが漏れてしまう。
しかしそれは曲解され、サヤの顰蹙を買ってしまったようだ、

「なに笑ってるのよ!分かった、サトシはわたしの発現が遅かったことを馬鹿にしてるんでしょう?」
「か、勘違いだ。確かに先天性の適格者は、早くから頭角を現すが、その分早熟しやすい傾向にある。
 でも後天性の適格者は、時間と共に能力が強まる可能性が高い。つまり、伸びしろがある」
「本当!?」

ぱぁっと顔を輝かせるサヤ。気分の落差に振り回されるのには、もう慣れた。

「でも待って、わたしの能力って、これ以上どう進化するのかしら?
 わたし、今でも十分ヘルガーを操れていると思うんだけど」
「さあ、そればかりは俺に聞かれてもな……」
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 21:12:41.90 ID:hHrbOjEo
うん
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 21:18:51.51 ID:qa5AhAAO
おぉ続き来たか
ヘルガー格好良いよね、離れて久しいが
たしか金銀の主力の一匹だったな
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 21:24:49.92 ID:c4BFIGoo
作者来てたー
サヤかわいいよサヤ
しかしカスミも好きだ
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 21:36:20.44 ID:0Kdy07so
返答に窮していると、聡いサヤは自分で答えを見つけたようだ。

「分かったわ!きっと、頭を撫でなくてもポケモンを操れるようになるのよ。
 それかアレね、一度にたくさんのポケモンを操れるようになる、とか……ねえ、サトシもそう思うわよね?」
「夢は見すぎない方がいいぞ」

消極的な意見を口にしてみたものの、可能性としては実際に起こりえる現象だ。
末恐ろしいな。

「サヤが後天性だということは分かった。それで、発現した時期はいつなんだ?」
「……………」

笑顔が消える。
どうやらサヤに、能力の発現時期を尋ねるのはタブーのようだ。
刺々しい雰囲気をまとったサヤは言った。

「サトシ、発現した時期も、大事なことなの?」
「いや、そういうわけじゃない。これはただの興味だから、答えたくないなら、答えなくていい」
「そ」

サヤはぷい、と背を向けて屋敷に歩き出す。

「サヤ……」
「休憩」

ドレスの構造上、大きく開いた白磁の背中を眺めながら、思索に沈む。
後天性の適格者が、能力を発現させるトリガーは種々様々だが、
ひとつ共通して言えることは、感情の大きなうねりが関係しているということだ。
サヤが能力を発現したきっかけは、彼女にとってあまり幸せな思い出ではないのかもしれない。

「いつまでそこに突っ立てるつもりなのよ! お茶冷めちゃうでしょー!」

顔を上げる。夕日を浴びたサヤの姿は、ドレスの色も相まって、深紅に染め抜かれていた。
まるで■■のように。嫌なイメージを振り払う。

「先に休憩していてくれ。俺はこのフィールドを補修しておく」
「10分以内に来なかったら、酷い目にあわすわよ」

口調は物騒だが、顔は笑っている。そのちぐはぐなサヤの感情表現に、いつしか温かい心の震えを感じている自分がいる。
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 22:03:44.67 ID:k2OMNeI0
サヤかわゆす
しえん
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 22:31:58.66 ID:0Kdy07so
「闇討ちしたいなら、ポケモンは仕舞っておくべきだ」

遠隔指示しているならともかく、ポケモンを傍に置いているなら、
それは俺にとって、「自分はここであなたを狙っていますよ」という広告塔を立てているに等しい。

「その気はない」

木立の影から現れた女は、別段発見されたことを悔しがる風でもなく目を細め

「ただ、サヤの様子を見ていただけだ」
「会ってやったらどうなんだ。手紙よりも、よっぽどサヤは喜ぶと思うが」
「会ったらきっと、別れられなくなる。そうしたらこの家に縛られ、カツラを認めることになる」

強情なところは姉妹共通のようだ。

「私は、甘かったんだろう」

カレンは自嘲する。

「以前、お前は言ったな。理想論だけでは何もなしえないと。
 組織の歯車として動きながら、組織の腐った部分を直視しながら、目的を実現してみせると。
 それに比べて、私は無力で、臆病だった。
 組織の体質を変えるために、内部に飛び込む勇気もなければ、実力もなかった。
 サヤを組織から少しでも遠ざけようと、足掻いているだけだった」
「…………」
「サヤは、お前を必要としている。お前と話すサヤの顔を見れば分かる」
「約束は守る。こうしてここに戻った以上、二度と自分から遠ざけようとしたりはしない」
「私の信頼など、いくら裏切ってくれても構わん。しかし、サヤの信頼だけは裏切るな」
「結局は同じことじゃないか」
「…………そうとも言える」

視線を逸らすカレン。

「それで、もし俺が次にサヤを悲しませたときは、また襲いにやってくるのか?」
「今は無理だ。お前は強い」

カレンはあっさりそれを認めた。

「そもそも、サヤを御せるお前に、私が勝てるはずが無かったのだ。
 サヤがあの能力を目覚めさせてから、私は一度もサヤに勝ったことがなかったのだからな」
「まああれは……反則だな」

サヤの能力は、RPGで例えるなら、旅に出たばかりの新米冒険者が魔王を手下にしてしまうようなものだ。
強力なポケモンを易々と従える幼いサヤに、同じく幼少のカレンは相当悔しい思いをしたのではないか。

「劣等感はあった。しかしその能力のせいで、組織に監視されるのだ。羨むのは間違っている」

サヤは我儘な引きこもりのお嬢様という印象が強いが、
組織の厳重な監視下に置かれていたということも、彼女が外の世界を知らない一因だろう。
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 22:56:54.25 ID:0Kdy07so
夕陽が山の端に沈む。空の藍色が濃紺に移り変わっていく。
にわかに吹き始めた風が、カレンの長い赤髪を膨らませた。

「いいか。私は、お前よりも強くなる」
「…・……」
「冗談ではないぞ。私が強くなるといったら、本当に強くなるのだ。
 お前と戦って、まだまだ上には上があると気付かされた」

あれをまともな戦いと呼んでいいのだろうか。
ただ激情に身をまかせ、それでいて冷静にポケモンを嗾けてきただけのように思えるが。
そんな俺の考えを余所に、カレンは木立に歩き出す。

「本当にサヤには会わないのか」
「ああ」
「家を出て、今はどうやって生活しているんだ?」
「これでも私はパーフェクトホルダーだ。生活の糧には困らん。
 もっとも、グリーンバッジはジムリーダーと直接対決したわけではないのだがな」

サカキ不在の頃か。当時は雇いのトレーナーから、リーダーの代理が立てられていたと聞いたことがある。
木立の影に隠れていたギャロップに跨り、指示を出す直前、カレンは振り返った。

「サトシ」

初めて呼ばれた名の響きは、サヤのそれと同じだった。

「あの子を、サヤを守ってあげてほしい」

返事をする間もなく、颯爽と去っていく。
何から?
その問いかけを、俺は口の中で噛み殺した。
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 23:01:09.71 ID:0Kdy07so
もっとも、グリーンバッジはジムリーダーと直接対決したわけではないのだがな ×
もっとも、グリーンバッジはジムリーダーと直接対決して手に入れたわけではないのだがな ○
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 23:23:26.79 ID:0Kdy07so
―――
――


「コーヒー、君も飲むやろ?」
「戴きます」

白衣の裾を翻し、蓬髪の研究者はコーヒーメーカーに取りかかった。
こんなに楽しそうに、そして美味しいコーヒーを煎れる人間を俺は一人しか知らない。
ブラインドを指でこじ開け、激しく仰け反ってから博士は言った。

「徹夜明けに朝日はキツいわ。ズバットになった気分や」

やがて完成したコーヒーがテーブルに運ばれてくる。

「任務の方は順調みたいやな。
 君の活躍はこっちにまで響いてきてるで。
 それはもう、とんでもない尾鰭ついてな」

マサキ博士はからからと笑う。

「あまり聞きたくないですね」
「知らぬが仏とはよく言ったもんやな。世の中には知らん方がええこともある。
 しっかし、これまで鬱積してた不良案件が、君の手で次々に片付けられてることも確かや。
 そのうち君とはこうして会えんくなるかもしれんなあ」
「そんなことはないですよ。
 博士がいないと何かと困りますからね」
「おいおいレッドくん、ワイをポケモンのメンテナンス技師扱いしとるんちゃうやろな?」
「…………」

顔を見合わせ、同時に破顔する。
マサキ博士にポケモンの調子を見て貰いに行くのは、単に彼が研究者として優秀だからではない。
俺の過去を知ってなお、優しく気さくに接してくれる人物だからだ。
こうして博士と向かいあい、コーヒーを啜っていると、任務のことを少し忘れることができた。
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 23:28:59.46 ID:0Kdy07so
今日はここまで

流行に遅れてるのは重々承知だが最近なのはにはまってる
華の大学生活は望むべくもないのが工業系の宿命
フェイトちゃん可愛すぎワロタ ちゅっちゅしたいお!
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 23:37:43.06 ID:hHrbOjEo
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 23:41:20.18 ID:XVBp.Jko

作者ってたまに壊れるよね
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 23:42:52.46 ID:rRkWVPAo
乙!
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 23:50:38.25 ID:c4BFIGoo

流行りなんて関係ないさ
好きなものを好きと叫べるのはいいことだ
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 00:08:14.73 ID:XldxUHYo


クールなのにタイチ予想で動揺したり、急に厨二病入ったり可愛いよな
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 00:09:20.84 ID:3GU0KIAO
>>142
完全に少女分ゼロの
コンプAじゃない方の漫画も良かったら読んどくれ
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 08:45:14.47 ID:v5cCfYDO
乙ー
作者がちゅっちゅ言うのふいたwwwwwwwwww
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 09:15:25.10 ID:PGJuY2Qo
クッソワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
151 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/14(金) 18:48:23.96 ID:jNUFPAko
「研究は順調ですか?」

マサキ博士はきょとんとした顔になって、

「研究?何の研究のことや?」
「とぼけないでください。あのボールの研究です」

孤島の発掘作業中に発見された、ミュウツーの遺物。
人が未だ到達し得ない、オーバーテクノロジーの結晶。
博士はこめかみを描きながら言った。

「ああー……あれか。
 結局あれな、ワイの研究部署とは別のとこに持って行かれてもうたんや。
 最初からそういう風に決められてたんかもしれんけど……詳しいところは分からへんねん。
 でもな、ひとつだけ分かってることがあるで」
「……?」
「あれが実用化されるまでには、少なくとも十年はかかるっちゅうことや」

――十年。
俺はこの目で実用化されたボールを見ることができるのだろうか。

「人智が及ばん、っていうのはああいう代物に対して使う言葉なんやろうなあ。
 損壊部分の修復はわりと上手くいったみたいやねんけど、
 どうやってリバースエンジニアリング――中に詰まった技術を抽出――するかが問題でなあ」
「ミュウツーに直接聞ければ早いんでしょうがね」
「ほんまや。ちょっとレッドくん、ミュウツー探して連れてきてくれるか?」

なんとも無茶なことを言う。
マサキ博士はからからと笑い、ふいに真面目な顔に戻って言った。

「君に言っとかんなあかんことあったん思い出したわ」

コーヒーカップの中身を飲み干し、パソコンデスクに向かったかと思うと、プリントアウトされたA4紙を手に戻ってくる。

「レッドくんはこの男のこと、覚えてるか?」

写真とパーソナルデータ。
博士は常日頃から自分を組織の末端だと過小評価するが、
こうした情報への参照権限を持っていることから、実際にはかなりの高位にいることが伺える。
俺は写真を見た。
短い黒髪。撮影者を威嚇するような攻撃的な目。引き締まった長駆。腰に並んだ6つのハイパーボール。

「………孤島探索で同行した、護衛隊の一人ですか」
「ご名答」
「この男がなにか?」
「捜索命令が出てる。なんでも二週間ほど前から消息が掴めんらしくてなあ」

任務で不始末を犯した。機密を漏洩した。
反システム組織に寝返った。或いはもともと諜報員だった。
考えられる動機には枚挙に暇が無いが……。
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:11:17.12 ID:vxmhI6.o
作者ktkr
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:56:06.03 ID:d.cld1M0
いやっほぅ
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 21:30:33.00 ID:GV80G6DO
つ、続きを早く、早くぅぅううう!!!
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 21:48:34.10 ID:jNUFPAko
「俺には捜索命令は来ていません」
「そら、レッドくんには他にやるべき仕事があるからなあ。
 でもワイとしては、一応この男が失踪した事実を、レッドくんに知っておいて欲しかったんや」
「はあ」
「もしかしたらレッドくんは、この男が自分の意思で姿くらました思てるんちゃうん?」

図星だった。
博士は二杯目のコーヒーを注ぎながら言う。

「ワイはな、この男は誰かに消されたんちゃうかと思ってるねん」
「それはどうでしょうか」

確かに己の腕を過信し、自惚れている典型例ではあった。しかし、

「この男はかなりの実力者です。そう簡単に消されたりはしないと思いますが」
「孤島の護衛隊に選抜されたことからもそれは明らかや。
 けどいくら強いポケモントレーナーでも、不意打ちされたらただの一般人と同じやで」
「博士はこの男が消されたと決めつけてかかっているようですが、その根拠は何なんですか?」
「ここ最近、といっても二年くらい前からやけど、
 組織の荒事専門の人間が、ぽつぽつ行方不明になってるねん。
 構成員が行方不明になんのは今に始まったことやないねんけど、
 大抵は敵隊組織に寝返ってたり、どっかの僻地で息潜めてたりして、結局、居場所が特定されてんねん。
 でも、ここ最近失踪した人間は、杳として行方が知れぬままや。
 こういう場合、一番可能性高いんは、本人が既に殺されて処理されていることや」

死体を処理する方法は無数にある。
今すぐに死体を隠蔽したいなら、"穴を掘る"で土葬すればいい。
完全に死体を消滅させたければ、”火炎放射"で火葬すればいい。
手っ取り早く確実性が高いのは、ポケモンの住処の奥地に、死体を放置することだ。
その住処にいるのが肉食性のポケモンなら、より短い時間で死体は自然に還る。

「実際にシステムの人間を暗殺している人間がいるとしたら、そいつは相当の命知らずですね」

システムの戦闘員は道徳性に欠けていることが多く性格にもムラがあるが、反面、実力は等しく折り紙つきだ。
高い練度とポケモンや人間を傷つける思い切りの良さの前に、
純粋なポケモンバトルに慣れきっている一般トレーナーは為す術もないだろう。
となれば、必然的にその下手人は、こちらの世界のトレーナーということになる。
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 22:04:28.75 ID:jNUFPAko
「まあ、あくまで憶測や。それに君についてはなーんも心配してへん。
 もし襲われたら、遠慮無く返り討ちにしたってな」

博士には俺の能力について打ち明けてある。

「生け捕りにすべきでは?」

生け捕りにすれば、拷問にかけて暗殺の依頼主を吐かせることができる。
仮に拷問に耐えきったとしても、エスパータイプの熟練者なら、記憶を読み取ることが可能だ。
それができるほどの熟練者が少なく、また負担が大きいために滅多に行われないそうだが、
システムの構成員が計画的に殺されている可能性があるのだ、上層部も貴重な人材を惜しまないだろう。

「そら、[ピーーー]よりはそっちの方がええに決まってるけど」

博士は真顔で言った。

「無理だけはせんといてな。手加減してやられてたら、本末転倒やで」
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 22:38:04.17 ID:HxvlC1co
なにこの展開wwktk
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 23:26:19.71 ID:Q9zUCzc0
「saga」使おうず
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 04:11:00.04 ID:QrDXfH20
犯人はサヤのねえty
160 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/15(土) 14:42:53.12 ID:D7fKmOIo
――――
―――
――

屋敷の正門前に見える白い何か。
それが巨大な日傘だと気付くのに、しばらく時間がかかった。
風で煽らないよう、少し離れたところにリザードンを降下させる。

「サトシ!」

サヤが駆け寄ってくる。日傘を携えた使用人も、カツラの子女を紫外線から守ろうと慌ててサヤの背中を追う。

「絶好の遠足日和ね?」
「ああ。今日は全国的に晴れるそうだ」

抜けるような蒼穹。海から吹き渡る爽籟。
こんなに気持ちのよい天候には、滅多に恵まれないだろう。

「それじゃあ、行こうか」
「お嬢様を宜しくお願いします」

使用人の一礼に会釈を返し、日傘の影に佇むサヤに、手を差し伸べる。
しかし何が気に障ったのだろう、サヤはいやいやするように、微かに首を横に振った。

「どうしたんだ」

土壇場になって行くのが嫌になったのか?
サヤは俯き、視線を自分の身体に這わせながら言った。

「……わたしを見て、何か一言、言うことがあるんじゃない?」
「よく似合ってる。ドレスに見慣れていた分、新鮮だ」
「それでいいのよ」

簡潔に表現すれば、今日のサヤは活動的な装いをしていた。
淡いピンクのミニコットンワンピースに、ライトブルーのコンパクトデニムジャケットを羽織り、
キャメルのウエスタンブーツを履いている。ついでに言うなら、普段は下ろしている髪もツーサイドアップに仕立てられていた。

「サトシも今日はスーツじゃないのね?」

俺をまじまじと見つめるサヤ。
ベージュのチノパンツに白のシャツ、黒のベストという、サヤに比べて色彩に欠ける格好だが……。

「わたしも、なんだか新鮮に感じるわ。
 地味だけど、そこはわたしと足して2で割れば丁度いいんじゃないかしら」

なんとかサヤの目に留まったようだ。
改めて手を差し伸べる。
日傘の外に歩みでたサヤに、俺は日差し以上の目映さを感じていた。
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 14:48:46.41 ID:S3BSRdYo
ツーサイドアップ最高だよな
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 15:08:03.32 ID:D7fKmOIo
事の発端は十日前に遡る。
カツラの研究所に呼び出しを受けた俺は、
尋常ならざる雰囲気をカツラから感じ取り、身を引き締めた。

「レッドくん」
「はい」
「君にとても大切な話がある」

漆黒のサングラスを外し、現れたのは鋭い光を湛えた三白眼。
眉間に刻まれた幾筋もの皺は、口火を切ることへの躊躇いとそれ以上の覚悟を物語っている。
長い沈黙を引き詰み、やがてカツラは言った。

「サヤを本土に連れてってやって欲しいんだよね」
「………………は?」
「いや、だから、本土。
 場所はどこでもいいよ。タマムシあたり喜ぶんじゃないだろうか。
 ワシは流行に疎いが、あそこは今でも娯楽の最先端をいっとるじゃないのかね?」
「博士の意図が分かりかねます。
 サヤを外出させることは、色々と問題があるのでは……?」
「システムの許可はとってある。ま、許可を出すのは実質ワシなんだが」

がっはっは、と豪快に笑うカツラ博士。

「ですが……サヤ自身は、それを望んでいるのですか?」
「それは分からん!」

一番大切なファクターが不明だと、自信満々に言われても困る。
俺が溜息を吐くと、博士はシリアスな顔つきになって言った。

「いやあ、ワシも色々と考えておるんだ。
 あの子が屋敷に引きこもるようになった責任は、ワシにある。
 それで昔から、外部の人間と会わせようとしたり、何かと用事を作って外出させようとしたんだが、どれも失敗続きでなあ。
 しかぁーし、」

カツラ博士はびしっと人差し指を俺に突き付けて、

「君の誘いなら、サヤも快く屋敷を飛び出していくことじゃろう!
 朗報を待っておるよ、レッドくん」

疑いは確信に変わる。この人はやはり、変人だ。
クリムゾンバッジを賭けて初めて戦ったときに気付いておくべきだった。
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 15:37:26.69 ID:62aYEV6o
サヤっていま何歳だっけ?サトシより上で結構いい年だよな?
ツーサイドアップはありなのか
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 15:43:17.76 ID:D7fKmOIo
「……………」

本土に入ったあたりで、背後のサヤに語りかける。

「大丈夫か?」
「え?」
「さっきから黙ったままじゃないか」
「ううん、何でもないのよ。ただ………」

サヤは風に靡く髪を押さえながら、呟く。

「……わたし、もっと早くにこの景色を見ておけばよかったなあと思って」

空から見渡す世界は、地上からのそれとまったく別の物だ。
背後には地平線の彼方で溶け合った海と空。
右手には森と平原が広がり、それを貫く河に寄り添うようにして、いくつかの集落が見て取れる。
左手には――俺がここ数年、避け続けた故郷がある。
オーキド博士もそれを配慮してか、マサラタウンに関係する任務を俺に与えなかった。

「ねえ、聞いてなかったけど……どうして本土に行こうなんて言い出したのよ?
 びっくりしたんだから」
「引きこもりは身体によくない」

後頭部に衝撃。

「真面目に答えて。それとも本当の本当に、それだけの理由でわたしを屋敷の外に連れ出したんじゃないでしょうね」

君の父親に頼まれて、と言えばさらにサヤの機嫌を損ねるだけだろう。俺は無難に言葉を選んだ。

「たまには息抜きも必要だと思ったんだ」
「それはサトシにとって、でしょう。わたしには息抜きなんて必要ないわ」

サヤは毎日が休日のようなものだ。かといって堕落しているわけでもなく、
幼少から専属の家庭教師がいたおかげで、高い教養を身に付け、音楽や手芸に秀でているところが小憎らしい。

「まあ、その通りだな。これは俺にとっての息抜きだ」
「じゃあ、どうしてその息抜きに、わたしを誘ったの?」

予定調和の会話に辟易する。なぜ俺がこんな歯の浮くような台詞を……。

「サヤと一緒のほうが楽しいからだ、と言えば満足か」
「大満足よ」

腰に回されていた腕の力が強くなる。
リザードンは馬鹿にするように鼻を鳴らした。
しかしサヤの一撫であっさり屈服したお前に、俺を非難する資格はない。
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 15:44:38.29 ID:D7fKmOIo
しかしサヤの一撫であっさり屈服したお前に、俺を非難する資格はない。 ×
しかしサヤの一撫でであっさり屈服したお前に、俺を非難する資格はない。 ○

166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 15:52:49.55 ID:3VYoRtAo
サトシもげろ
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 16:13:40.75 ID:D7fKmOIo
タマムシのポケモンセンター前に降り立つと、サヤは俺の予想通りの反応を見せてくれた。
俺も初めてタマムシを訪れたときはこんな風だっただろうか、と思いを馳せてみるが、ここまで興奮していた記憶はない。

「人がたくさん……建物もいっぱい……!」

子供のようにはしゃぐサヤは、際立つ容姿も相まって人目を引く。

「落ち着け、みんな見てるぞ」
「いいじゃない、そんなの」
「俺が恥ずかしい」
「わたしは恥ずかしくないもの」

溜息を吐く俺の手をとり、サヤは歩き出す。
立錐の余地もないほどにビルで埋め尽くされたヤマブキやコガネと違い、
タマムシは世に名高いタマムシ大学やタマムシデパートを擁する文化的発展にも注力している。
興味を引くものには困らないこの街で、俺はサヤの手綱を取ることができるのだろうか。

「ちょっと待ってくれ、サヤ、まずは行き先を決めよう」
「それもそうね」

広げた詳細マップの上に、サヤが指を滑らせる。

「ここがいいわ!」

果たして指が止まったのは、

1、タマムシデパート
2、タマムシゲームコーナー
3、タマムシジム
4、タマムシ大学

>>170 番号でどうぞ
いけるのは二カ所までです
ちなみに安価でストーリーを決めるのは、このお出かけが最初で最後です
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 16:17:39.76 ID:rUBcHlEo
ksk
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 16:24:16.49 ID:4A1NG0Mo
4、タマムシ大学
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 16:24:44.63 ID:62aYEV6o
3,4

エリカで修羅場れ
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 16:28:17.55 ID:D7fKmOIo
>>170

一度に選べるのは一カ所までなので
ID:62aYEV6oさんは3,4のどっちか1つを選んでください
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 16:35:23.68 ID:62aYEV6o
じゃあ、3で。ごめんよ
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 16:42:05.73 ID:D7fKmOIo
いえいえ
最初からひとつだけと言っておかなかった俺が悪い
では3で
続きは夜になります
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 17:06:20.09 ID:OWqp.loo
安価ktkr
夜が楽しみだ
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 17:37:32.69 ID:S3BSRdYo
安価参加できそうにないから残念だが、どれ選んでもおもしろそうなことになるな
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 17:38:29.20 ID:qNUCAIAO
デートで大学選ぶとか
誰か名有りキャラ居んだけ
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 19:39:17.59 ID:/VWNU9so
でも正直アニメのエリカって微妙だよね
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:27:08.23 ID:2.j1ToSO
タマムシに来てこの外伝がさらに
どういう展開に進むのかわくてか
179 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/16(日) 00:43:58.37 ID:3b26diMo
果たして指が止まったのは、タマムシジムだった。

「ここを選んだ理由は?」
「サトシ、頭大丈夫?
 タマムシジムにいく理由なんて、バッジをもらいにいくために決まってるじゃない」

最早「頭大丈夫?」程度の暴言では怒りの片鱗さえ覚えなくなっている俺である。

「タマムシシティに来た記念よ。記念。腕試しも兼ねてね。
 それにレインボーバッジって綺麗じゃない?
 前にサトシのを見せてもらったときから、欲しかったのよ」

記念でジムに挑戦したり、カントー地方序列五位のバッジをアクセサリー感覚で扱ったりと、
日々ポケモンバトルの修練を積み重ねている苦労人が聞いたら発狂するようなことを口にするサヤ。

「サヤとヘルガーなら、タマムシジムを制覇するのは簡単だと思うが。
 どうせならもっと上のジムを……」
「あのねえ、わたしたちは今タマムシシティにいるのよ?」
「また今度ヤマブキやセキチクに行けばいいじゃないか」

口に出してから、失言だったと気付く。
サヤは双眸を輝かせて、

「じゃあ、今度のお出かけの時の行き先は決まったわね。約束よ」

小指を差し出してくる。それがいつかの焼き直しであることを、サヤは自覚しているだろうか。
いや、きっと無意識に違いない。視界にカスミの姿が揺曳する。
俺は瞬きしてそれを掻き消し、自分の意思で、小指をサヤのそれに絡めた。

「ふふっ。楽しみが増えるのはいいことよね?」
「ああ……そうだな。それで、結局俺たちはどこに、」
「タマムシジム」

頭痛がした。

「だ、だから、今のサヤにとってタマムシジムは不相応だと、」
「わたしが一度行くって言ったら絶対行くの。いいこと?
 今日のサトシは先生じゃなくて、保護者なのよ。ううん、やっぱり従者ね。
 サトシの役目は、わたしの行動に口を挟むことじゃなくて、わたしが迷子になったりしないように見てることなのよ」

サヤは俺の返事も待たずに雑踏に踏み出した。
雑踏の中で一瞬でも距離を離せば、後を追うのは一苦労だ。

「待つんだ、サヤ」
「なに?」
「ジムに行くなら市営バスが便利だぞ。徒歩がいいなら付き合うが」
「なんでそれをもっと早くに言わないのよ。馬鹿」

理不尽ここに極まる。
ハードな一日になりそうだ――そんな予感が脳裡を掠めた。
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:58:13.39 ID:oKUGnL2o
ジャストミート帰宅
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 01:13:09.15 ID:3b26diMo
なのはStrikersヤバイ
何がヤバイって成長したなのはやフェイトやはやてが可愛すぎるし
それ以上にミニマムリィンたんがヤバイ
ランチボックスに入れてお持ち運びしたいお
ちっちゃなリィンたんをいつでも守ってあげたいお!
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 01:15:13.05 ID:9tjv0Xgo
作者がどんどん壊れてくんだが、これが大学デビューって奴か?
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 01:28:31.08 ID:sK/XmIAO
作者は成長を受け入れるタイプか
普通にオモロいよな
一部のロリコンの誹謗中傷が悲しいよな
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 01:43:21.68 ID:3b26diMo
「一人で申請できたか?」
「余裕だったわ」

腕組みし、薄い胸を張るサヤ。誇ることではないと思う。

「受付の人が言うには、どうも順番を待たなくちゃいけないみたい」
「それで、サヤは素直に引き下がったのか?」
「だって、仕方ないじゃない」

意外だ。待つのが嫌いなサヤのことだ、散々順番を繰り上げるようにゴネたのだとばかり思っていたのだが……。

「ここ数日は受験者が少なくて、お昼過ぎには挑戦できるって言ってから、それで許してあげたわ」

やはりどこまでも上から目線なサヤだった。

「それにしても大きなお屋敷……正面から見ただけじゃ分からないけど、
 ひょっとしたら、わたしの家よりも大きいんじゃないかしら?」
「単純な居住空間ではサヤの屋敷の方が広いだろうな。
 だがタマムシジム、というよりここの敷地内には、この国で五指に入る大きさの庭園があるんだ。
 それを見たいがためにジムに挑戦する人間も多い」
「ふぅーん」

サヤは俺の説明などどこ吹く風といった様子で、猿橋の欄干にもたれ、水堀を眺めている。
隣に並ぶと、コイキングが水面に顔を出し、口をパクパクとさせているのが見えた。
観光客が投げる餌に期待しているのだろう。

「ねえサトシ、パン屑持ってない?」

そんなものを都合よく持っているわけがない。
首を横に振ると、サヤは小声で「役立たず」と言い放ち、バスの中で俺から奪い取った詳細マップを広げた。

「順番待ちの間、どこか別のところを見に行きましょ?」

次にサヤの指が止まったのは、

1、タマムシデパート
2、タマムシゲームコーナー
3、タマムシ大学

>>186
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 01:44:22.35 ID:3b26diMo
「ここ数日は受験者が少なくて、お昼過ぎには挑戦できるって言ってから、それで許してあげたわ」 ×
「ここ数日は受験者が少なくて、お昼過ぎには挑戦できるって言ってたから、それで許してあげたわ」 ○
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 01:47:59.25 ID:zvnFPN2o
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:07:37.28 ID:oKUGnL2o
GJ
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:14:18.10 ID:zvnFPN2o
よっしゃ安価ゲットしてた
楽しみにしてるよ!
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 02:20:00.71 ID:nUAyfCw0
読んでて気なったんだけど、受験者じゃなくて挑戦者じゃないの?
あと作者って東海地方身?
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:30:07.47 ID:sK/XmIAO
ジムの風潮次第じゃない
ポケスペでやった筆記込みのジムは受験者云々言ってたような
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 05:08:59.26 ID:nUAyfCw0
そうか、そういえば作者はポケスペ読んでんだったな。俺は未読だから知らなかったけど筆記何てのもあるのか
「ここ数日は受験者が少なくて、お昼過ぎには挑戦できるって言ってたから、それで許してあげたわ」
この台詞の挑戦って部分見て思ったんだけど、単に同じ言葉を短い区間でつかいたくなかっただけかなぁ…

ついでに>>189は東海地方身じゃなくて東海地方出身
192 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/05/16(日) 10:36:52.23 ID:3b26diMo
「タマムシ大学か」

観光名所ではないが、一見する価値のある場所ではある。
無難な選択だ、と俺が感心していると、サヤは不安げに首を傾げた。

「でも大学に、学生でもない一般人のわたしたちが入れるのかしら」

そんなことを心配していたのか。

「大学は基本的に誰でも出入り自由だから、問題ない。
 ここからなら徒歩で15分ほどだが、どうする?またバスを使うか?」

サヤはととと、と猿橋を渡り切り、くるりと反転して笑顔を見せた。

「バスは楽だけど、つまらないわ。歩きましょ」

――――
―――
――

「美味しい……」
「ちょっと季節外れだがな」

出店で買い与えたソフトアイスクリームを舐め舐め、ご満悦の様子のサヤ。
俺が見ていることに気付いたのだろうか、

「何? サトシも欲しいの?」
「危なっかしくて目が離せないだけだ」

食べることに夢中になって、誰かと衝突、溶けたアイスが四散する――といったような。

「馬鹿。わたしがそんなドジするわけないじゃない。
 で、どうなの、食べるの、食べないの?」
「甘いものはあまり好きじゃない」
「……あっそ」

唇を尖らせる。俺はどこかで墓穴を掘ったようだ。
外の陽気に中てられたのか、腰のボールのうちひとつが、ひっきりなしに震え始める。
俺は仕方なしに開閉スイッチを押した。途端に周囲が騒然とする。
無差別"テレポート"を繰り返しているのだ。余程外に出られたことが嬉しかったのだろう。
やがて遊び疲れたケーシィが、俺の目の前に転移する。

「大人しくしていろ」

鼻に指を突き付けると、ケーシィは拳銃を突き付けられた容疑者のように両手を挙げ、一瞬で消えた。
どこに行った? 

「サトシ、この子、どうしたらいいの?」

振り返る。困り顔のサヤが、右手にアイス、左手にケーシィを抱きかかえていた。
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 10:53:01.88 ID:3b26diMo
5分後。

「きみ、アイス食べる?」

甘い鳴き声を返し、ぺろぺろとアイスを舐めるケーシィ。
俄に信じがたい光景だった。
問題児を一瞬で懐かせてしまうサヤの能力には、毎度のことながら目を瞠るものがある。

「可愛い……ねえサトシ、この子、わたしにちょうだい?」

そしてさらに驚くべきは、サヤがケーシィに惚れ込んでしまったことだった。

「ダメだ」
「どうしてよ。きっとこの子もわたしと一緒の方が幸せよ。
 わたしなら毎日アイスを食べさせてあげられるし、毎日遊んであげられるもの」
「だから、ダメだ。ケーシィが気にいったなら、自分で捕まえればいいだろう」
「わたしはこのケーシィがいいの!」
「……じゃあ、こうしよう。俺と会っているときは、そのケーシィはサヤのものだ。それで我慢してくれ」

サヤはケーシィを両脇から抱え上げて、

「今日のきみのご主人様は、わたし。分かった?」

肩車させる。ケーシィは嬉しそうに鳴いて、サヤのサイドアップされた髪を操縦桿のように掴んだ。
問題児のケーシィと我儘令嬢のサヤ。案外、いいコンビなのかもしれない。
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 10:53:09.19 ID:zvnFPN2o
作者ktkr
ママの作ったホットケーキとココアが好きだった頃のサトシはもういないんだな…
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 12:07:44.46 ID:3b26diMo
タマムシ大学正面広場の案内板に目を通していたサヤが言った。

「本当に大学の中に、研究所と、病院と、図書館が一緒に入ってるの?」
「食堂や寮もある」
「ねえ、コレ見て」

サヤは掲示板を指し示す。

「科展か。今のところ、科展を開いているのは、この研究室だけみたいだ。
 サヤは物質科学工学に興味があるのか?」
「全然」

サヤとケーシィは息ぴったりに首を振る。

「でも、展示物に興味はあるわ。
 一般公開されてるからには、専門外の人間にも、体感的に楽しめるものが展示されているんでしょう?」

葉桜を透かしてふりそそぐ淡緑の木漏れ日の下、
サヤと並んで歩きながら、俺は別の未来に思いを馳せた。
もしもポケモンマスターを目指していなければ。
もしもピカチュウと出会っていなければ。
――俺はシステムと縁故の無い、普遍的な人生を歩んでいたのだろうか。
ここの大学の学生として、月並みな青春を謳歌していたのだろうか。あくまで可能性のひとつとして。

「サトシ」
「なんだ?」
「むつかしい顔してる。どうかしたの?」
「なんでもないさ。そういえばサヤには、学校に通った経験はあるのか?」

サヤは顔を顰めた。
上機嫌のときと、不機嫌のとき、両方に違った美しさがあるのは、
それだけ顔の作りが精緻であることの証明かもしれない。

「小さい頃に、少しだけ。
 でも周りの子供も、担任も、勉強の内容も、退屈すぎてすぐに行かなくなったわ。
 お父様は怒ったけど、……お母様がね、家庭教師でいいって言ってくれたの」

サヤやカレンの性格から、それはそれは峻厳な母親を想定していたのだが、実際は真逆だったようだ。
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 12:30:43.38 ID:3b26diMo
妻としては厳しく、母親としては優しい人だったのだろう。
サヤは何か思うところがあるのか、すれ違う同年代の男女に目移りさせている。

「タマムシ大学に通っている人たちは、みんな将来の夢が決まっているのかしら」
「望み通りの職業につけるかどうかは別として、卒業後は、引く手数多だろうな」

タマムシ大卒業生はほとんどが各分野のトップ、即ち研究職に就く。
そしてその中でも選り抜きの人材がシステムの人事部の目に留まる。

「サヤは――」

将来どうしたいんだ、と尋ねかけて口を噤んだ。
続く言葉を察したのか、サヤは淋しげな微笑を零す。
そこに諦めの影があったことを、俺は見逃さなかった。
サヤの人生には、常に組織の影が付きまとう。

「わたしは、自分でもどうしたいのか分からない」

俺は柄にもなく明るい調子で言った。

「サヤはポケモントレーナーだ。
 バッジは、それだけでポケモンを使った仕事に従事する資格になる。
 パーフェクトホルダーになれば、毎日遊んで暮らせるほどの高給職に就ける」
「それじゃあ何も変わらないわ。わたしは今でも遊んで暮らしてるもの」
「それもそうか」

次に浮かべた微笑に、淋しげな色は見て取れなかった。
だが、もしサヤが俺に悟られまいと感情を押し殺しているのだとすれば――俺に真偽を確かめる術はない。
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 19:37:19.45 ID:mMDARYSO
タケシは?ねえタケシは?
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 22:54:25.71 ID:sK/XmIAO
タケシは犠牲になったのだ
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/16(日) 22:59:15.89 ID:3DXT7kko
タケシェ・・・
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 23:08:26.72 ID:6Md3tgAO
つまり…どういうことだってばよ?
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage;sage]:2010/05/16(日) 23:17:18.25 ID:sK/XmIAO
幻術だ
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 01:13:41.18 ID:/F.tARwo
そこに気付くとは……やはり天才か
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 09:06:03.51 ID:6tckiZ60
つまり…どういうことだってばよ…?
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 11:28:06.46 ID:uHSjoQDO
タケシはぎs(ry
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 11:44:11.97 ID:xmkFwFco
無限ループってこわくね?
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 20:04:56.49 ID:1DE1uMSO
ちょっとワロタ
207 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/19(水) 22:11:05.74 ID:CutZsjIo
実験棟前に到着すると、科展はそれなりに盛況しているのか、頻繁に人が出入りしていた。
入り口の掲示には、「あなたのポケモンをフィジカルアップ!カイリキーと腕相撲」とある。
展示室に向かうと、案内係の学生が接客スマイルを浮かべて話しかけてきた。


「まずはこちらで、簡単な説明を受けてください」
「わたし、まどろっこしいのは嫌よ」
「5分程度で終わりますので……、どうかご了承ください」
「ほら、行くぞ」

サヤの背中を押す。
普段は研究室として使われているであろう展示室は、内装から備品に至るまですべてが真新しかった。
流石は天下のタマムシ大学というべきか。設備投資に金を惜しむという概念がないのだろう。
先ほどまで説明を受けていたらしい客が、興奮した様子で仕切りの向こう、二番目のブースに消えていく。
俺やサヤの他に4人の一般客が一番目のブースに収まったところでドアが閉めきられ、照明が暗転、プロジェクターが起動した。
それから五分後――二番目のブースにて。

「ねえ、サトシのポケモンをここに出すのは……」

哀願してくるサヤを、

「だめだ」

心を鬼にして突き放す。

「どうしても?どうしてもだめ?」
「…………」

十数枚に渡るスライドの解説を要約すると、こうだ。
近々施工されるポケモンの永続強化禁止法案に向けて、
全国の製薬会社では短時間の限定強化薬の開発に躍起になっている。
しかしタマムシ大学物質科学工学科では、予てから従来の時間限定強化薬の研究を行っており、
先日、効能はそのままに即効性を高める配合技術が国から正式に認可された。
この技術は製薬会社に有償で提供される予定である。
今回の科展では、某製薬会社の試作品「プラスパワー+」を無料で使用してもらい、
実際にカイリキーと腕相撲することで、その偉効を体感してもらうことが目的である。
ちなみに試作品の治験は完了済みであり、副作用の心配は無用とのこと。
そして今、サヤが俺に嘆願している理由は――。

「そりゃあわたしだって、自分のポケモンを使えるならそうするわ。
 でも、無理なの。サトシは犬型ポケモンのヘルガーに腕相撲ができると思う?」
「思わない。だが、俺がここで自分のポケモンを出せば、誰かが俺の正体に気づくかもしれない」
「自意識過剰よ」

小声で憤るサヤ。
俺は用心しすぎなのだろうか。よれよれのスニーカーにくたびれたジーンズを穿き、
皺のよったTシャツと上着を着て、ぼろぼろの帽子をかぶった少年。
大衆によって記号化された"サトシ"と、今の俺はの見た目は違う。
わずかな老いを加味すれば、別人といってもいい。
だがポケモンは変わらない。ポケモンに刻まれた傷は、癒えてなお、修羅場を潜った証として体に残り続ける。
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 22:18:51.42 ID:XOpE/CQo
作者ktkr
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 23:24:46.87 ID:Fjv8MJ.0
今日はこれで終わりなの?
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 23:31:55.11 ID:uAcUO.AO
忙しんだろうね
確かにもっとガッツリ読みたいが
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:20:10.70 ID:/07Lw5E0
GJ!
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 21:04:16.34 ID:.g3/RoDO
プラスパワー+わろた
213 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/21(金) 00:36:00.27 ID:sKHKd/Uo
「だめなものはだめだ」
「サトシの意地悪」

俺は早速ポケモンを出している他のトレーナーを見やりながら、

「見ているだけでも十分楽しめるじゃないか。
 ほら、あのブーバー、カイリキーと腕相撲を始めるみたいだぞ」
「他人のポケモンなんて、応援しがいがないじゃない」

ふくれっつらのサヤの目の前で、あっさりと敗北するブーバー。
カイリキーは厚ぼったい唇をゆがませて、敗者を嘲笑する。
すべて台本通りなのだろう。
白衣の学生が失意のブーバーへ歩み寄り、
トレーナーの許諾を得て、ブーバーの首に筒状の無針注射器を押し当てる。
その間にも、他のトレーナーのポケモンがカイリキーに挑戦し、あっさりと打ち負かされていく。

「流石に注射してすぐには効果は出ないみたいだな」
「…………」

サヤのふくれっつらは仏頂面に進化していた
今連れているポケモンで、二足歩行型のポケモンはカメックスとリザ―ドンだ。
腰のボールに手を伸ばしかけ――思いとどまる。リスクが大きすぎる。
だが、サヤの機嫌を回復させるには、俺のポケモンを出すしかない。
主の葛藤を敏感に察知したのだろうか。
サヤの首に両手を回し、浅い眠りについていた幼いエスパーポケモンが目を覚ました。

「ごめんね、起こしちゃった?」

肩から下ろされ、胸に抱かれたケーシィは、小さなあくびをして笑う。
そして瞬く間に白衣の女学生の頭上に"テレポート"すると、お菓子を強請る子供のように、女学生のおさげを引っ張りはじめた。
涙目の女学生に俺は言った。

「その子にも薬をお願いします」
「え、いいのサトシ? あの子、まだ小さな子供なのよ。
 いくらプラスパワー+を使っても、カイリキーには勝てないわ」
「ケーシィを腕相撲に参加させる。これが最大の譲歩だ。それに……」
「それに?」
「俺のケーシィは負けない」
「何の根拠があって、そんなこと言ってるのよ」
「見てればわかるさ」

投薬前の腕相撲で、ケーシィは当然ながら敗北した。というより、最初から勝負になっていなかった。
小さなケーシィの手はカイリキーの巨大な掌に包みこまれてしまっていたのだ。
カイリキーはまるで芦を手折るがごとく、容易くケーシィの手の甲を地に伏せた。
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 00:40:43.20 ID:.yvNEEDO
わくてかわくてか
215 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/05/21(金) 21:25:20.63 ID:sKHKd/Uo
「よろしいですね?」

最終確認を終えて、女学生が無針注射器をケーシィの首に押し当てる。
サヤはその様子を、心配げに見つめていた。
まるで予防注射を受ける幼い我が子を見守るように。

「どうだ、調子は?」

ケーシィは目を細め、腕を直角に折り曲げる。

「いくら薬に頼っても、力こぶは作れないぞ。トレーニングをサボってばかりいるからだ」

ケーシィは頭をかく。

「ねえサトシ、やっぱりケーシィにやめさせて。もともとエスパータイプは、格闘に向いてないのよ。
 こんな小さな子の筋肉に、下手に負担をかけたら、怪我しちゃうかもしれないわよ」
「いいじゃないか。こいつはやる気十分みたいだし、トレーナーの俺も認めてる」
「でも……」

不安げに唇をかむサヤ。

「どうされますか?」

との女学生の問いに、ケーシィは"テレポート"で答えた。
もはや残っている挑戦ポケモンは、ケーシィのみだった。
他の投薬されたポケモンは、その大半がカイリキーにリベンジを果たしたようだ。
その薬効は信頼に値する。が、カイリキーとケーシィの体格差は絶望的だ。
おそらくサヤや他のトレーナー、そして学生の全員が、ケーシィの敗北を想像していただろう。
しかし結果は観衆の想像を裏切った。
「レディー……ファイッ!」のかけ声の後、寸隙を置かずにカイリキーの豪腕が土台に伏したのだ。

「すっげぇもん見ちまったぜ……」と他のトレーナー。
「ほんとにサトシの言うとおりになっちゃった……」とサヤ。
「ここまで劇的な効果を発揮するなんて……」と研究室の学生。
「…………」言葉の出ないカイリキー。

そして自分の数倍の大きさの相手を一瞬で打ち負かしたケーシィは、
無垢な笑顔を浮かべて、サヤの胸に"テレポート"した。

響めき醒めやらぬ展示室を後にして、しばらくしてからサヤが言った。

「ねえ、どうしてサトシにはケーシィが勝てるってわかったのよ?
 もしかしてプラスパワー+を打たれる前の腕相撲では、わざと手を抜かせてたの?」
「違う。あれはこいつの全力だった」
「じゃあ本当の本当に、プラスパワー+のおかげでカイリキーに勝てるようになっちゃったわけ、この子は?」

サヤは頭の上のケーシィを見て、目をぱちぱちと瞬かせる。俺は笑いを堪えながら、

「それも違う」
「あれも違う、これも違うって……もう、教え惜しみしないで、タネを教えなさい!」
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/21(金) 21:46:53.16 ID:uFlskXko
早く教えなさい!
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 21:55:36.83 ID:W1ZGfo60
やはり天才か……
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 22:12:18.38 ID:sKHKd/Uo
カイリキーは犠牲になったのだ……
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:13:57.35 ID:te2BHR6o
ケーシェ…
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 22:14:23.27 ID:APao8i.o
ちょ、作者wwwwwwwwww
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 22:27:56.05 ID:sKHKd/Uo
つまり……どういうことだってばよ?
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 22:28:23.87 ID:sKHKd/Uo
念力だ
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:32:00.69 ID:sKHKd/Uo
「こいつはズルをしたんだ」
「嘘。わたしにはケーシィがズルをしてるようには見えなかったし、
 あれだけ周りを取り囲まれてたのよ、そんなことしたらすぐにバレるわ」
「"念力"は目に見えない」
「あ」

はっと口を押さえるサヤ。しかしすぐに首をかしげ、

「やっぱり納得できない。
 いくらケーシィが念力でカイリキーの腕を押していたのだとしても、力比べで勝てるとは思えないもの」
「真正面から念力をぶつければ、確かにねじ伏せられていただろうな。
 でも、サヤが思っているより、このケーシィは器用なんだ。
 サヤは肘を浮かせた状態で、全力で腕相撲ができるか?」
「そんなの、無理に決まってるじゃない」
「ああ、誰でもそうだ。
 ケーシィはカイリキーの肘を、"念力"でほんのわずか浮かせて、同時に自分の腕をアシストしていたんだ。
 薬の効果も少しはあっただろうが、勝因の八割方は、ケーシィの悪知恵だ」

ケーシィの鼻をつつきながら、サヤは言った。

「ズルしたことをとやかく言うつもりはないけど、
 あの研究室の学生さん、ものすごく驚いてたわよ。
 実験データの取り直しが必要になるかもしれない、とか」

ケーシィはばつが悪そうに、しかし目に反省の色を浮かべることなく頭をかいた。
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:34:27.28 ID:lN0c9Z.o
やっぱり念力かww
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:35:24.33 ID:te2BHR6o
この流れに吹いたwww
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 22:51:41.00 ID:W1ZGfo60
ケーシィも頭いいんだな。俺ほどじゃないけど
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:54:29.45 ID:8NC1EYSO
やだこの作者かわいい
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:59:09.42 ID:zXwZhWMo
天才か……
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 00:39:29.26 ID:l/KYOGco
研究員にだけこっそり教えてやれよ
テレポートも優秀だし、このケーシィ強いよな
230 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/22(土) 16:43:01.86 ID:/ouehuoo
食堂で少し早めの昼食を終えた後、俺たちはタマムシ大学を後にした。
食事の後は動きたくない、という俺の希望を、散歩で腹ごなしするの、と却下したサヤは、
どうやら間近に控えたジム戦に、ようやく緊張感を覚え始めたようだ。

「さっきから歩くスピードが遅くなっているが、どうかしたのか」
「どうもしないわよ。
 ねえ、サトシがレインボーバッジを手に入れたのって、いつくらい?」
「ん……四、五年くらい前になる」
「てことは、そのときはまだ、サトシは十五歳くらいだったのよね」
「まあ、そうだ」
「緊張した?」

訪ねてから、その質問が自分の心理状態を告白していることに気づいたのか、
即席の余裕の笑みを浮かべるサヤ。俺はあえてそれには触れず、

「そりゃあ、緊張したさ。
 特に当時は、リザードンが言うことを聞いてくれなくて、
 相性のいいポケモンがいないまま、挑戦しなくちゃならなかった」

主従関係が逆転していたあの頃が、今となっては懐かしい。
それだけの時間が流れたのか、と思う。

「一回で勝てたの?」
「ぎりぎりだったが、なんとか勝てた」
「ふ、ふぅーん」

俺はからかうような含みは持たせずに言った。

「そう不安がるなよ」
「べ、別に不安がってなんか、」
「サヤにとっては初めてのジム戦だ。
 もしサヤが負けても、俺はサヤを馬鹿にしたりしない」

ヘルガーとタマムシジムの規定ポケモンのレベルには、埋めようのない懸隔がある。
どう転んだところで、サヤは負けないだろうが……。
水堀をまたぐ猿橋にさしかかったところで、サヤはぽつりと言った。

「サトシは、わたしの先生なのよ」
「……?」
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/22(土) 16:43:40.76 ID:/ouehuoo
「先生が、わたしが負けたときのことなんて、考えないで。
 わたしは絶対に勝つわ。それも、相性の良さに頼った勝ち方じゃない、正々堂々とした戦い方で」
「俺はサヤを信じてる。練習通りにやれば、難なくレインボーバッジをゲットできるさ」
「ねえ、サトシ、もしわたしが勝ったら、そのときはご褒美をくれる?」
「ご褒美?何が欲しいんだ?」

このお嬢様に手に入らないものは存在しないはずだが……。

「それはこれから考えるわ。それで、返事は?」
「わかった。ただし、無茶な頼み事は聞けないからな」
「無茶な頼みって、タマムシデパートを丸ごと買収する、とか?」

よくわかっているじゃないか。

「そういうのはサヤの父親に頼めばいい」
「冗談よ。それじゃあ、わたし、行ってくるから」

サヤは嬉しそうに微笑み、たたた、と猿橋を駆けていく。
欄干にもたれかかり、水堀を泳ぎ回るコイキングを眺める。
サヤの試合開始時刻まで、まだ20分程度の時間がある。
俺はポケットからタマムシ大学の食堂で買った袋包みのパンを取り出し、小さくちぎっては放るを繰り返した。
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 18:03:31.57 ID:FzvKTQSO
タマムシデパート丸ごと買収わろたww
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 18:40:50.52 ID:f32jMI6o
おいカツラさんの財力パネェwwww
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/22(土) 19:10:52.46 ID:uioNCsSO
カツラさんっていうかシステムの権力wwwwwwなんという職権濫用wwwwww
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 20:24:32.41 ID:HhbqrADO
むしろタマムシデパートトップはシステムに少しは関係してそうだwwww

236 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/23(日) 01:51:55.22 ID:kpQ4Hy.o
やがて俺の真下にコイキングの群れができあがったところで、
残りの大きなパンのかけらを一息に放り込み、ボールを一つ展開する。
ピジョットは欄干に捕まり、開放感を噛みしめるように首をぐりぐりと回した。

「サヤの様子を見てきてくれ。
 できるなら、声が聞こえる程度まで近寄れ」
「ピジョッ」

静かな羽音を残して、孤影は塀の向こう側に飛び去った。
俺は水堀外縁の遊歩道に設置された公用ベンチに腰掛け、楽な姿勢になって目を瞑った。
傍目からは、転た寝しているように見えることを祈る。
意識は空に。
視界は鳥瞰図に。
脳裏に描いた抽象的な風景は、極めて写実的な、現実の光景に成り代わる。
視界を借りた状態で、俺はピジョットの目が目標物を捉える時を待った。
待つこと数分。
ぐるぐると屋敷を見下ろしていた視界が、地面に近づき、固定される。
旋回していたピジョットがどこかの木の梢に留まったのだろう。
俺はささやかな高所から見える景色に満足した。
下座には黒犬を従えて佇む赤髪の女――サヤが。
上座には嫋やかな身熟しの和装の女――エリカが。
二人の唇が動く。ピジョットの耳は、空気を伝わる震えを敏感に拾い上げた。

「登録番号TA671-4098、桂小夜。レインボーバッジをもらいに来たわ」
「目的は存じておりますわ。
 さりとて威勢の善し悪しで譲り渡せるほど、虹色の名を冠したバッジは軽くありませんのよ。
 特にあなたの経歴は綺麗な白紙、所持ポケモンのレベル鑑定履歴もありません。
 飛び級を狙う気持ちはわからないでもありませんが、行き過ぎた向上心は身を滅す、と忠告しておきますわ」

エリカの言葉は、辛辣なようで正しかった。
中堅トレーナーの登竜門であるセキチク・タマムシジムに、
バッジ取得経験ゼロ、所持ポケモン一体のトレーナーが挑むのは無茶を過ぎて無謀だ。
常識的に考えれば、誰でもその結論に至る。
だが不世出の適格者たるサヤと、薬によって限界まで潜在能力を引き出されたヘルガーの前では、常識は非常識と化す。

「ご託はいいわ。さっさと始めましょう?」

さして気にした風もなく、サヤは言う。エリカは着物の袂に右手を差し入れながら、

「せっかちですのね。申し遅れましたが、わたくしはこのタマムシジムのジムリーダー、エリカ。
 全力で以て、あなたの実力をあなたの実力を見極めさせてもらいます。
 出なさい、ヒマナッツ」
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 01:56:41.63 ID:WdOFmYAO
想像以上に便利だなサトシの力
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 02:26:16.15 ID:kpQ4Hy.o
全力で以て、あなたの実力をあなたの実力を見極めさせてもらいます。 ×
全力で以て、あなたの実力を見極めさせてもらいます。 ○

今日はここまで
なのはStS見終わったがいいアニメだった
ヴィヴィオたんの「なのはママ〜」は至上の福音
なのはとヴィヴィオの絡みを見ているだけで涙腺が緩むお
辛い思いをしたぶん、ヴィヴィオにはフェイトたんとなのはたんにいっぱいいっぱい愛されて欲しいんだお!!!!11
きっと俺は不治の病に罹患したんだろう
アニメ終盤時の俺の気持ちを、カバオが代弁してくれました↓

    ∩_∩
   / \ /\
  |  (゚)=(゚) |    人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人
  |  ●_●  |  < すごい母性愛を感じる。今までにないなのは熱い母性愛を。     >
 /        ヽ < 愛・・・なんだろう吹いてきてる確実に、着実に、ヴィヴィオのほうに。>
 | 〃 ------ ヾ | < 中途半端はやめよう、とにかく最後まで育ててやろうじゃん。      >
 \__二__ノ < 時空管理局には沢山の仲間がいる。決して一人じゃない。      >
            < 信じよう。そしてともに育てよう。                     >
            < 戦闘機人や邪魔は入るだろうけど、絶対に諦めるなよ。       >
             YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 02:31:24.39 ID:FSN.2kDO
平常運転で安心した
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 02:34:14.25 ID:qy2AGwso
おーこわいこわいこれが同一人物かねwwwwww
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 02:36:54.50 ID:yjHWQhQo
         _、_
      .(;^ω^)\
      | \ / \√|    
      ( ヽ√| ` ̄
      ノ>ノ  ̄
      レレ   ((
さすがの俺もそれは引くわ
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 02:39:30.06 ID:WdOFmYAO
コンプAで絶賛連載中の、一年後書いた漫画もよろしく
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 02:44:53.37 ID:UfBVV.DO


とりあえず作者よ。ならばはやてはもらっていってかまわんな?
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 03:44:39.94 ID:LRvHV.DO
なのはといえば作者は劇場版見れたのだろうか
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 03:47:51.95 ID:NCRrdUSO
またそうやって廃人が一人…
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 09:37:29.58 ID:hF1Q30.o

本気で作者が振り切り過ぎてて怖い
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 10:24:17.30 ID:oSGE63co
>>238ってカバオだったの?マキバオーだと思ってたけど
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 10:51:56.92 ID:yjHWQhQo
     /: : : : : __: :/: : ::/: : ://: : :/l::|: : :i: :l: : :ヽ: : :丶: : 丶ヾ    ___
     /;,, : : : //::/: : 7l,;:≠-::/: : / .l::|: : :l: :|;,,;!: : :!l: : :i: : : :|: : ::、  /     ヽ
    /ヽヽ: ://: :!:,X~::|: /;,,;,/: :/  リ!: ::/ノ  l`ヽl !: : |: : : :l: :l: リ / そ そ お \
   /: : ヽヾ/: : l/::l |/|||llllヾ,、  / |: :/ , -==、 l\:::|: : : :|i: | /   う う  前  |
.   /: : : //ヾ ; :|!: イ、||ll|||||::||    ノノ  イ|||||||ヾ、 |: ::|!: : イ: ::|/   な 思 が
   /: : ://: : :ヽソ::ヽl |{ i||ll"ン    ´   i| l|||l"l `|: /|: : /'!/l     ん う
 ∠: : : ~: : : : : : : :丶ゝ-―-      ,  ー=z_ソ   |/ ハメ;, :: ::|.   だ ん
   i|::ハ: : : : : : : : : : : 、ヘヘヘヘ     、  ヘヘヘヘヘ /: : : : : \,|.   ろ な
   |!l |: : : : : : : : :、: ::\    、-―-,      / : : :丶;,,;,:ミヽ   う  ら
     丶: :ハ、lヽ: :ヽ: : ::\__  `~ "      /: : ト; lヽ)   ゝ
       レ `| `、l`、>=ニ´        ,  _´ : :} `   /
         ,,、r"^~´"''''"t-`r、 _  -、 ´ヽノ \ノ   /    お ・
       ,;'~  _r-- 、__     ~f、_>'、_         |  で  前 ・
      f~  ,;"     ~"t___    ミ、 ^'t         |  は  ん ・
      ,"  ,~         ヾ~'-、__ ミ_ξ丶     |  な  中 ・
     ;'  ,イ ..          ヽ_   ヾ、0ヽ丶    l         /
     ( ;":: |: :: ..          .`,   ヾ 丶 !    \____/
     ;;;; :: 入:: :: ::      l`ー-、   )l   ヾ 丶
     "~、ソ:: :い:: :     \_  ノ ,    ヾ 丶
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 11:53:34.09 ID:m4QGowDO
>>245そこに気づくとは……やはり天才か
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 18:38:02.43 ID:kpQ4Hy.o
現れたポケモンは、黄色の種子を連想させる姿形をしていた。
まだ子供で、育成中なのだろう。挑戦者に対する先鋒としては妥当な選択だ。
サヤは唇を真一文字に結び、エリカの出方を伺っている。
その緊張が伝播したのか、手に汗を握っている自分がいて……

「――さん。――おにいさん」

誰かに体を揺すられている。
俺はうっすらと右目を開けた。左目はピジョットの視界を維持している。
俺の瞑想を邪魔したのは、年端も行かない小さな子供だった。

「こんなところで寝ていたら、置き引きに遭うよ。
 ロケット団がなくなって、タマムシシティの治安は少し良くなったけど、それでも危ない人はたくさんいるよ」
「忠告ありがとう」
「おにいさんはこんなところで何をしているの?」
「散歩していたら眠くなって、少し眠ろうと思ったんだ。こんなに良い天気だから。
 さあ、俺のことは気にしないで、君もどこかに遊びに行くといい」
「ボク、友達いないんだ。おにいさんが遊び相手になってよ」
「俺は忙しいから、他の人を探しておいで」
「でもおにいさん、全然忙しそうに見えないよ。お昼寝してたんでしょう?」

子供相手に論破されるとは……。
試合の様子は気になるが、今はここから立ち去ることが先決だ。小さな邪魔者がいない、静かな場所を目指して。
俺はため息をつき、両目を開けた。視界に奥行きが生まれる。
ベンチから腰を上げ、往来に歩き出すと、子供は当然のように着いてきた。
3分後。俺は振り返り、

「あのな……」
「どこに連れて行ってくれるの、おにいさん?」

出鼻をジャブで挫かれる。俺は歩みを再開した。若干歩幅を広くして。

「おにいさん、歩くのはやいよー。待ってよー」

距離が開いては走り、距離が開いては走りを繰り返しているのだろう。
子供の声に荒い吐息が混じり始める。同情を引く作戦か。
大人(厳密には未成年だが)をなめてもらっては困る。ここは毅然とした態度で突き放さなければ。
俺は再び振り返り、

「ねえ、どうしたの?」

純朴な笑顔を前に、何も言えなくなってしまった。
目頭を押さえる。厄介なことになった。
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 18:40:40.97 ID:oSGE63co
バッジってやっぱり取る順番があるのね
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 18:42:19.32 ID:yhZAmjMo
子供うぜー
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 18:45:36.08 ID:yjHWQhQo
ヒマナッツにぼこられるヘルガ―想像して吹いた
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 19:03:08.41 ID:VmdhbAUo
こういう子供でもハガレンのセリムみたいなのがいるから勘繰ってしまう
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 19:03:17.74 ID:lBORZb.0
太陽神さんに進化してソーラービームで大勝利だな
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 19:23:14.88 ID:kpQ4Hy.o
出し抜けに子供が言った。

「ね、おにいさんの腰についてるそれって、モンスターボール?」

頷く。
すると子供は見る間に目を輝かせて、

「わあっ、すごいや。それじゃあおにいさんは、ポケモントレーナーなんだね」
「そういうことになる」
「今までにどれくらいのポケモンを捕まえたの?」
「わからない」
「数え切れないくらい捕まえたんだねー」

わざと素っ気ない反応をしているというのに、会話は弾む。
――自分に対する無関心を恐れない。
事なかれ主義の大人にはできず、無垢な子供にはできること。
目の前の子供は、つぶらな瞳を俺に向けて、

「おにいさん、ボクと一緒に、ポケモンを捕まえに行ってくれない?」
「一人で行けばいい」
「ボクね、トレーナー免許は持ってるんだけど、自分のポケモンは持ってないんだ」

俺は反射的に尋ねた。

「お母さんかお父さんからもらえなかったのか?」

子供は口を噤んだ。

「二人ともポケモントレーナーじゃないなら、
 ポケモン協会支部に申請すれば、ポケモンを借りることができる。
 保護者の許可はいるが、今時子供がポケモンを持つのに反対する親はいないだろう」
「無理だよ」

なぜ、と問う前に、子供は言った。

「ボク、孤児院暮らしだから」

あくまで笑顔は崩さずに。

「院長先生は、ボクたちがポケモンを持つことを認めてくれないんだ。エサ代がかかっちゃうから」
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 19:25:18.43 ID:lBORZb.0
まさか……
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 19:49:01.57 ID:WdOFmYAO
展開が読めん、子供はあれなのか
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:08:55.99 ID:WLAfrhso
もう本編の内容を忘れちゃったんでアレなんだが
孤児院出身のキャラっていたっけ?
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 20:22:50.97 ID:lBORZb.0
エッチスケッチワンタッチ
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:22:59.57 ID:WdOFmYAO
絹旗辺りが「置き去り、チャイルド・エラー」ぽいかな
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:25:28.51 ID:WdOFmYAO
恥ずかしい
禁書と一緒に読んでるから勘違いした
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:27:26.06 ID:CncvYOw0
いたよ
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 21:57:35.90 ID:Yb5h4yAo
今日録画したポケサンのきょだいポケモンのしまを見ながらしえん
265 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/23(日) 21:59:11.39 ID:kpQ4Hy.o
「それは……悪いことを聞いたな」
「気にしないで。ボクは全然気にしてないんだ。
 ただ、時々一人が寂しくて、それで、ポケモンが欲しかったんだ」

その話が同情を引き、ポケモンを手に入れるための欺瞞である可能性は否めない。
しかし俺は翠緑色の瞳の奥に、澄んだ光の輝きを見た。

「俺には、お前に構っている時間はない。
 だからお前と一緒にポケモンを捕まえに行ってやることもできない」

子供の表情が翳り、すぐに作り笑顔を浮かべる。
とても器用に、繕いがわからないほど巧みに。

「……おにいさんにはおにいさんの用事があるもんね。
 迷惑かけてごめんね」

きびすを返し、駆け出しかけた子供の肩をつかむ。

「待て。ちょっと着いてこい」
「な、なに?」
「いいから」
「時間、いいの?」
「すぐに終わる」

こっちが無視していたときは嬉々として着いてきていたくせに、
いざこっちが先導しだすと不安げな態度をとるとは、天の邪鬼か、この子供は?
ジム近くのポケモンセンターに到着すると、
俺は子供をロビーの椅子に残して受付カウンターに赴き、一匹のポケモンが入ったボールを返却してもらった。
あれは確か二ヶ月ほど前、タマムシシティで暗躍するシステム傘下外組織の解体任務を、金髪とこなしていた時のことだ。
首尾良く組織の首脳部を捕縛し、護衛も無力化したところで、俺と金髪は荒れた現場を掃除屋に引き継ぐ予定だった。
だがストライクの一太刀で絶命した護衛員の一人と、主を守ろうとして斬撃に巻き込まれた二体のポケモンの遺骸を見たとき、
俺は違和感に気づいた。護衛員のベルトに収まっているボールは三つ。事切れているポケモンは二体。
果たして残りの一体は、場に出されることなく、ボールに収納されていた。
金髪の「僕が預かろうか」という含みのある提案は却下した。
また掃除屋の手に渡れば最後、研究部署の治験にぼろ切れになるまで利用されることは目に見えている。
そして俺は、一時的に、そのポケモンを預かることにしたのだった。
266 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/05/25(火) 00:54:31.00 ID:0EURA.co
引き取り手もなければ、野生に返して生きていけるほど成長してもいない。
おそらくは死んだ護衛員の一人も、最初から戦力として数えていなかったに違いない。
俺はそのポケモン――幼いドーブル――を持てあましていた。

「受け取れ」

ボールを手渡すと、子供は目をぱちくりさせて、上目遣いに俺を見た。

「もらっても、いいの?」
「こいつは元々俺のポケモンじゃない。昔の主は、今はいない。
 大切に育てること……それさえ守れるなら、このドーブルは、お前のものだ」

俺の目は、未だ慧眼にはほど遠い。未来の適格者を物定められるほどの域には達していない。
だがこの子供の澄んだ瞳には、俺に賭けさせる力があった。
将来システムの目に留まるか、一介のポケモントレーナーとして終わるか、あるいは――システムの敵となるか。

「………」

心の内で自嘲する。ばかばかしい空想だ、と思う。
この子供と一緒に、持てあましていたドーブルを厄介払いできる。理由はそれで十分だ。
子供は両手でボールを包み込み、目の高さに持ち上げる。
透明の半球面から外界を覗いていたドーブルと、視線が交わる。

「君も独りぼっちだったんだね。ボクたちは、似たもの同士だ」

子供はくすりと笑った。初めて見る、純粋な感情の発露だった。

「友達になろう?そうすればもう、独りじゃないよ」

ボールの中で、ドーブルはこくりと頷いた。通じ合うものがあったようだ。
子供は丁寧にボールをポケットに仕舞った。
今更ながら、子供の服装が、だぶだぶのサイズであることに気づく。

「ありがとう、おにいさん」
「礼は言わなくていい。
 お前の望みを叶えてやったんだ、俺に着いてくるのはここまでにしろ」
「うん。あのね、最後におにいさんの名前、聞いてもいいかな」
「レッドだ」
「ふふっ、偽名らしくない偽名だね」

俺は子供の揶揄を聞き流し、気になっていたことを口にした。

「あのとき、どうして俺に声をかけたんだ。
 俺ならポケモンを譲ってもらえると勘ぐったのか」
「違うよ。ボクは本当に遊び相手を探していただけだよ。
 おにいさんに声をかけたのは、偶然。ポケモンをもらえるなんて、考えてもなかった」
「………そうか」
「ねえ、ボク、またおにいさんに会いたいな。
 次に会ったら、そのときはポケモンバトルしよう?」
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 01:14:04.40 ID:PG10h.SO
しえしえん
いい子だなー 何事もないといいけどそうはいかないんだろうなきっと
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 01:17:44.35 ID:18Lj6m6o
……、ドーブル?
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 01:21:14.58 ID:5wBtHaco
ドーブルってことはそういうことなんだろうな
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 01:24:10.97 ID:D7RuBwAO
こんな良い子がお約束をやらない子に成るなんて
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 05:21:06.45 ID:ZDfZacSO
>>270昔はよかったな
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 08:28:47.79 ID:hvnpQEDO
なるほどな。
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 18:19:15.30 ID:14iCmTA0
あの最期はほんとにかっこよかったぜ
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 18:56:51.99 ID:1XUZ97Mo
作中にドーブルなんて出てきたっけ…全然覚えてないや
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 19:09:32.86 ID:fnzEqEko
すっげー今さらながら気付いたけど、結局サヤってヘルガーに殺されるのか……
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 19:30:20.07 ID:U1Znv5Yo
おいやめろ
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 20:11:58.08 ID:D7RuBwAO
この作者ならそこら辺も上手く書いてくれる筈
過度な期待して御免
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:36:27.19 ID:qZAVAJ.0
暗黙の領域を言い出しちゃう子って絶対いるよね

とりあえず>>274は外伝読む前に本編読み直すべき
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:42:34.69 ID:fnzEqEko
これ暗黙の了解だったのか
だとしたら悪いことをしたか
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:50:02.99 ID:1XUZ97Mo
>>278
ごめん、そんな暇はないから何編で出てきたかだけ教えてくれないか
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:00:43.87 ID:D7RuBwAO
俺1ヶ月ぐらい前にまとめから読んだから覚えてたが
リアルタイムで読んでた人は忘れてても仕方がないと思うが
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:05:26.23 ID:W9f2lrso
ドーブルのことは覚えてたけど>>275のことはすっかり忘れてたな
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:12:52.23 ID:14iCmTA0
>>275はほんと言う必要なかったよね?よね?
サヤが不憫になんじゃん
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:16:27.21 ID:fnzEqEko
誰に同意を求めてるかしらんが
過去ログ追ってたらアレ、となってな
誰かに聞いて同意か否定を貰いたかっただけだ
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:51:50.28 ID:KcV7w0A0
>>280
23章の下でドーブル登場
この男の子だけの登場ならはじめの方にもある
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:58:47.59 ID:Xn7gNQMo
リアルタイム組だがどっちも忘れてた
読み直したほうが楽しめそうだな
287 : ◆Ec95DXH7wk :2010/05/26(水) 00:02:21.63 ID:wbakTtgo
「守れない約束は――」

初めからしない主義だ。そう言い終える前に、
子供は「約束だよーっ」と捨て台詞を残し、トコトコと走り去ってしまった。
所詮は小さな子供の駆け足だ、追いつこうと思えば追いつけたが、俺はその場から動かなかった。

「結局、名前は聞かずじまいだったな」

あの子供も俺の名が偽物であることに確信を持ちつつも、しつこく尋ねてはこなかった。
一期一会、という言葉が浮かぶ。
ポケモントレーナーに子供が声をかけ、ポケモンを譲ってもらった。
どこにでもある話だ。それ以上物語は続かない。
俺はポケモンセンターの受付に行き、バッジホルダーを見せて静かな個室を一つ用意してもらった。
移動を面倒くさがらずに、初めからこうしていれば良かったのだ。
柔らかい椅子に腰を下ろし、目を瞑る。
想定外の出来事に時間を費やしたせいで、とっくに試合の決着がついていると考えていた俺は、
視神経を介さずに再生される映像に、小さく息を吐いた。
花畑の中心で優雅に根を張るクサイハナ。
対する葉満身創痍のヘルガー。
おそらくは大将戦。
サヤは初めてのジム戦に緊張していたが……、圧倒的なレベル差と属性の優位性は、サヤの快勝を保証していたはずだった。
苦戦する要素などどこにもなかったはずだ。
何がどうなっている?
俺の疑問を解消したのは、微かに畏怖を含んだ、エリカの問いかけだった。

「なぜ……炎タイプの技を使わないんですの……?」
「私にポケモンバトルを教えてくれた人に、約束したの」

ジム戦前の記憶が蘇る。
『わたしは絶対に勝つわ。それも、相性の良さに頼った勝ち方じゃない、正々堂々とした戦い方で』
その言葉の意味を、俺はようやく理解した。
サヤの真意を知り、エリカは目を眇める。

「いいでしょう。あなたのその覚悟、逆手にとらせてもらいますわ。
 クサイハナ、"眠り粉"と"痺れ粉"を撒いて差し上げて」

黄色と白の胞子が入り乱れ、粉塵の防護膜を作り上げる。
炎という飛び道具を奪われたヘルガーのダメージ源は、必然的に"かみつく"や"だましうち"等の物理攻撃に限定される。
トラップとしては申し分ない。
そしてまた、天候までもがエリカに味方していた。
快晴の空から注ぐ日差しは、ソーラービームに必要不可欠かつ最高のエネルギーだ。
ポケモンのコンディションが良好なら、一度の充填につき二発くらいは撃てるのではないだろうか。
クサイハナから放射状に広がる数多の破壊の爪痕が、その可能性を物語っている。
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:53:43.36 ID:uFdKLjEo
譲られたドーブルは将来娘を守ったのか
良いパートナーに出会えた恩返しが出来たんだな
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 04:47:27.43 ID:hKMbmeco
>>279
別に暗黙の了解でもないと思うが
予想ならまだしも、もう分かってること言っただけだし
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 08:33:23.04 ID:R/U6ccDO
>>281それはない。今もリアルタイムだがいつでも熱い展開だから忘れない
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 19:48:46.97 ID:qTBuhCIo
>>285
サンクス
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 01:02:51.88 ID:S6kM11g0
まだー?
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 20:25:41.10 ID:rVXNYV60
読み返して改めて感慨に耽ってしまった
それにしても世の中狭いし、人の出会いというものは因果応報なんだな・・・
294 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/05/27(木) 22:45:08.55 ID:p9uT4AEo
突然ですが六月中旬頃まで休載します

というのもヴィヴィオたんが可愛すぎるせいでなのはSSを書きたい衝動に襲われ嘘です
本当は大学のほうが忙しくなって六月中旬まで書く余裕ができないからです

ごめんなさい
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:50:58.37 ID:3P5jbnEo
作者もリア充生活か
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:52:56.40 ID:dGeYZoco
>>294
謝ること無いさ。半月くらい余裕で待てるぜ
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:01:14.97 ID:lqRbRc.o
待ってるからちゃんと帰ってこいよ〜
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:10:37.76 ID:NKK0KzYo
なんというリア充
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:13:30.73 ID:ZMOZpqYo
さあ、早くなのはSSのURLを
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/28(金) 00:17:50.29 ID:9XEFy3Yo
中間テストとかあるもんな
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/28(金) 00:23:49.81 ID:cEbNHIDO
俺たちはいつまでも待つんだぜ?
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 04:18:10.46 ID:PhFEfMIo
うわああああああああああああああああったかいご飯が食べたいよおおおおおおおお
お母さんに作って欲しいよおおおおおおおおおおおおおおお
家族四人+幼馴染で一緒に食べるのおおおおおおおおおおおおおおおおおお
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 04:18:37.12 ID:PhFEfMIo
ひっでぇ誤爆だ
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 09:23:56.51 ID:GIRNN0Yo
ざんこくな現実
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 09:31:21.10 ID:OUpm5oSO
せっかく女の子の幼なじみ居るのに性格最悪とかどういう不幸だよ俺…
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 22:10:05.60 ID:bpCyde60
ミュウツーの逆襲の脚本家、首藤氏のコラムが面白い。
作者にも読んでもらいたいなぁ
ttp://www.style.fm/as/05_column/shudo222.shtml
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/30(日) 23:45:50.72 ID:WSatD8oo
幼馴染♀3人いたけど一つもフラグ立たずに自然消滅したよ
現実なんてそんなもんだ
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/31(月) 16:20:41.20 ID:UpQKNIDO
姉・妹・幼馴染♀のいるヤツは例外なく200年以内に[ピーーー]
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/01(火) 16:20:24.26 ID:z88ggASO
モノローグだらけとかハルヒ以外思いつかないな
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/01(火) 17:37:45.89 ID:Pv9m5MDO
幼馴染♀の兄貴に掘られそうになった
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 09:00:45.57 ID:OqstT.DO
昔はよかった……
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 00:23:18.34 ID:IO8CkjAo
パー速だとよくあること
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 07:48:56.22 ID:BRhEfCY0
それでも!
待ってる
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 23:21:59.03 ID:s7/1/S.0
疲れすぎて寝れないから久しぶりに来てみたら、休載してたのか
再開まで待ちたいが、50日無休・30連勤の極限状態ではどうなってるか分からんな・・・
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 07:44:18.04 ID:MiqKicDO
あなたの生活なんて別にどうでもいいですきいてないです
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:12:02.83 ID:r0x/m06o
寝てない自慢に通ずるものがあるな
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:41:29.94 ID:fK2UMEUo
 寝 実             寝  つ
 て 質  _,_         て  れ
 な 1 <_  ⌒\_    な  |
 い 時 ,,,_/ ̄ ̄勹 |  ̄ ̄`い
 か 間/ヽ|ヽ -  | |     か \昨
 ら  しヽ | δ ,ー ∨)    ら  日
 な/か  | ι   ヽ     つ  実)
/|   ,,へ\∇  /⌒ヽ   れ  質\
   ノ      ̄ ̄ /   ヽ∨|   1
 ノ        /   /   わ  時
        /   /     |  間
       /  /          し
                      か
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 15:17:56.72 ID:aCNimhEo
なんかワロタ
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 02:12:38.40 ID:fNQycPoo
しあわせは あるいてこない
やつは うでだけで はいずりまわり
おいかけてくるんだ …
いちにち いっぽ みっかで さんぽ
かくじつに かくじつに …
おいつかれたときが おまえの さいごだ …
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 02:23:02.61 ID:/fZMF8oo
やめろ
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 15:52:41.78 ID:kk6M1cDO
>>319のしあわせをしわよせに変えるとすごいしっくりくる。

主に現在の政治とか社会情勢とか……
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 16:40:14.64 ID:eTmoj2SO
でっていう
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/08(火) 21:58:58.07 ID:0U7JSQDO
そういえば、二十四章(上)の、昼寝から起きたヒナタが、タイチと別れた後に見た
「母屋に近づく人影」って誰のことだったんだ?教えてエロい人
324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/08(火) 23:43:45.02 ID:gB7SYXUo
>母屋に近づく人影

ドーブル使いの青年だと思ってたけど、違うんかね
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 12:50:31.67 ID:9MPeYcDO
どうなんだろうか。二十五章(上)でヒナタが「既視感」
があるって言ってるから、ドーブルの青年じゃないと思う。
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 21:32:41.97 ID:Ym3b4Ac0
ヒナタとドーブル使いは一度顔あわせてるよ
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/11(金) 00:23:52.27 ID:DGjSdiw0
薬うってもらったときだっけ?
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/11(金) 00:47:14.96 ID:VCYtTMDO
いや会ったこと無いだろ
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/11(金) 07:40:31.90 ID:xZSJa2AO
ドーブルの少年だと思うよ

既視感は「見たことないのに見たことあるような気がする」って事

サトシとロケット団二人組とはああいう関係だから、代が変わってヒナタに少年に対する既視感があるっていうのも納得できない?何となく、会った事がある気がしたんじゃないかなぁ

マサキの時のような既視感ってのも、それなら納得いくし
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/11(金) 09:26:37.30 ID:VCYtTMDO
あーなるほど。丁寧にありがとう。
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/11(金) 13:03:38.88 ID:942D8lco
12章の薬売りはドーブル使いの少年じゃないのか?
逃げる時にドーブル使ってR団マーク残していったしそうだと思ってたんだけど
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/12(土) 16:05:17.66 ID:lbZYRDE0
こういうポケモンのssをまとめてるサイトってあんまりないよね
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 20:34:00.89 ID:1TgvegMo
出所がまちまちだし大概が
〇〇「」

〇〇「」
形式だからじゃね?
334 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/06/13(日) 01:02:55.18 ID:VM69M7Io
予告通り明日から再開します
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 01:07:42.12 ID:enxnooco
きたーーーーーーー!
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 01:10:37.40 ID:K7xW7Lko
作者おかえりー!
楽しみにしているよ
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 01:16:14.14 ID:VM69M7Io
>>306
読みました
興味深い話でした

このコラムを書いている有名な脚本家さんは
読み手に何かを伝えることを前提に物語を書いているみたいですね
俺がSSを書いているとき、特にそういったことは考えていない
好きなことを好きなだけ書いているという感じ
主人公に自己投影した自慰行為だと言われても反論できないし
所詮は娯楽小説の域を出ない

思うがままに書いた文章から自然とメッセージ性が生まれるような人は稀で、
そういう人が名のある作家になれるんだろうなと思う
外伝が終われば一度どこかの出版社にオリジナル作品を投稿してみようかと思う今日この頃
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 06:23:42.94 ID:6zIwiUDO
頑張れよ
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 14:52:51.27 ID:TIIoD4wo
応援するよ
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 16:53:06.45 ID:lpXyLEDO
外伝のあとなのはかとおもったwwwwww頑張れよ
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/16(水) 01:41:55.33 ID:GHNG3AAO
予定が何か入ったかな
342 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/16(水) 20:47:39.54 ID:195JQUoo
ヘルガーは消耗し、地の利は相手に微笑んでいる。
期待しすぎたか――俺が慰めの文句を考え始めたそのとき、サヤは言った。

「スモッグよ!」

傷ついてなお、ヘルガーの敏捷性は損なわれていなかった。
まだ眠り粉と痺れ粉に侵されていない草原をかけ巡り、等間隔に濃密な黒色の煙霧をはき出していく。

「小細工など無駄ですわ。
 クサイハナ、ソーラービームを充填なさい」

技の強さと出の早さ。
トレードオフの法則は、しかし、大地に根を張り強い直射日光を浴びたクサイハナには通用しない。
俺の予想は正しかった。
花弁の中心から放たれた収束砲が、ヘルガーに迫る。

「避けてっ!」

信じられない反応速度で"一発目"を躱す。
だが間断なく放たれた第二射が、ヘルガーの脇腹を掠めた。
空を裂き大地を抉る量子砲は、光の大剣を連想させる。
放射時間、威力、発射間隔ともに優秀。
いくらこの好条件であろうとも、大技であるソーラービームを自由自在に扱える草ポケモンは限定される。
エリカの育成教育が透けて見えるようだった。

「まだ立てる?」

サヤの呼びかけに、ヘルガーは空の果てまで届くような遠吠えを返した。
スモッグの展開が終わる。ピジョットの視界が揺らいだ。
梢から高い木の頂上に移動したようだ。俯瞰したフィールドは黄色と黒の危険色に塗り替えられていた。

「スモッグを移動して不意打ちを狙う。見え見えの作戦ですわね?」

嘲笑うエリカ。サヤはまるで今し方の言葉が聞こえなかったかのように、ヘルガーに回避を専念させた。
煙から煙へ。黒い尾を靡かせ、地を走る鳥の影のように移動するヘルガーを捉えることは難しい。
しかしヘルガーが二重の罠に飛び込み、至近距離からのソーラービームを躱しきる可能性もまた、無きに等しい。
時間とともにヘルガーの体力は削り取られていく。
炎タイプの技を封じるという制約はあまりに重い。
俺は考える。もしも俺がサヤの立場なら。同じ制約を自分に課していたとしたら――。
たどり着く答えは一つ。
一か八か。

「一撃で決めるわ」

一撃で決めるしかない。奇しくもそのとき、サヤの呟きは俺の思考とぴったり重なっていた。

「準備はいい、ヘルガー?」

ヘルガーの軌道が変わる。前足が黄色と白の粉塵に触れる。ここまでは牽制にも見て取れる。
しかしその身体が完全にクサイハナのセーフティシールドを侵したとき、エリカの鋭い声が飛んだ。
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/16(水) 21:04:44.53 ID:tud6dQDO
ktkr
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/16(水) 23:37:30.98 ID:Ls1ERG.0
ほう
345 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/06/17(木) 00:38:47.46 ID:8U.bQK.o
「無謀としか言いようがありませんわ。
 "成長"と"ソーラービーム"の真髄、とくと御覧になって」

眠り粉と痺れ粉、二重の状態異常技を一身に浴びながら、ヘルガーはクサイハナに肉薄する。
充填は元より完了していた。
真正面からの第一射を、ヘルガーは余裕を持って横跳びに躱した。

「走って、ヘルガー!」

サヤの激励が飛ぶ。ここに来て後退の選択肢は無い。
特攻の結末は中途半端を許さない。
続く第二射。横薙ぎに振るわれた光の大剣は、誤差を修正し高い精度を持ってヘルガーに襲いかかった。
回避する方法は二つ。跳躍するか、軸を真横にずらすか。
おそらく早計癖のあるエリカは、この時点で勝利を確信していたはずだ。
眼を伏せていても眩しいほどの陽光、機動力を犠牲にして大地のエネルギーを吸い上げる"成長"、
そしてエリカ直々に育成しているであろう才気溢れるクサイハナ。
これらの要素は第三発目の"ソーラービーム"さえ発射可能にしていたに違いない。
またヘルガーの圧倒的なレベルの高さ、炎タイプの技を使わないという、エリカからすれば見下されているとしか思えない状況で、
エリカの思考から手加減の三文字は完全に消え去っていると言ってよかった。
第二射を不安定な体勢からの回避、特に跳躍した場合は、すぐさま第三射で狙い撃ちにされて終わる――はずだった。
しかしサヤは俺の想像とエリカの思惑を超えて、

「サトシのフシギバナと戦ったときのことを思い出して!
 攻撃を食らうのを怖がっちゃダメ!倒される前に倒すのよっ!」

被弾しながらの吶喊を命じた。
駆けるヘルガー。
迎撃に全てを賭けるクサイハナ。
第二射は一瞬ヘルガーの半身を飲み込み、しかしすぐに打ち止めになった。
ぶちぶちという根が千切れる嫌な音が鳴り、クサイハナが吹き飛んでいく。
しかしエリカは自分のポケモンを介抱するのも忘れて、瞠目し、言葉を失っていた。

「あなた………今………なんと…………」

俺は背筋を冷や汗が伝うのを感じた。余計なことを言ってくれる。
気づけば「誤魔化せ、ばれたら恨むぞ、サヤ」と独り言を口にしていた。
今やサヤが思い切りの良い作戦で、見事ジム戦を勝ち抜いたことを素直に喜べる状況ではない。
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 00:42:34.64 ID:K/nYpC.o
うほっ
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 00:48:28.56 ID:.aW96Lso
作者ktkr
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 00:58:26.79 ID:wvsEwico
いい展開
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/17(木) 01:47:49.89 ID:et4KR16o
ほうほうこれはこれは
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/18(金) 07:19:12.15 ID:QT7oLoDO
色んな意味でドキドキ
351 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/22(火) 00:03:52.76 ID:dot9K.2o
サヤは落ち着き払った態度で、

「わたしはただ、自分のポケモンを応援していただけだけど……。
 それが、どうかしたのかしら?」
「サトシ……フシギバナ……あなたは確かにそう言いましたわね?」
「ええ。サトシはわたしの先生で、フシギバナは先生のポケモンよ」

俺は固唾をのむ。
一切を否定する気配の無いサヤに、エリカはさらなる言質をとろうとし、

「もしや……あなたの師はあの……」
「エリカさん、あなた何か勘違いしているんじゃないかしら」
「えっ……」
「わたしの先生が元リーグチャンピオン、サトシだっていう勘違い。図星でしょう?」

サヤは膝をつき、ヘルガーの頭を抱きながら、

「ありふれた名前よ。サトシなんて。奇しくもその人はフシギバナの使い手だけど、それも偶然。
 先生もよく言っているわ。なまじ実力をつけてしまうと、名前が同じというだけで、本物に間違えられて困るって」

くすくすと笑う。
俺は深く安堵するとともに、サヤの演技力に舌を巻いていた。
あのかけ声が直情的な思慮の足らないものだったとして、
それを誤魔化す嘘をこんなにも自然に、よどみなく並べ立てられるとは。
エリカは傷ついたクサイハナをボールに戻しながら言った。

「そう、ですわね。わたくしとしたことが、あられもない期待に舞い上がってしまいました。
 あの方がわたしの前に姿を見せることは、もう二度とない……。
 そう分かっていながら、わたくしはあの方を忘れられずにいるのです」
「サトシ――わたしの先生じゃない、元リーグチャンピオンのほう――もレインボーバッジを求めてここにやって来たのよね」
「ええ。わたくしがジムリーダーの座に就いて二年と四ヶ月、
 手加減を知らず、草ポケモン使い最強の自負に浸っていた幼いわたくしの前に、あの方は現れました」
「そのときのお話、詳しく聞いてもいいかしら?」
「それが勝者の望みとあらば、断る道理はありませんわ」

エリカは快諾し、審判に目配せする。
次の挑戦者は、幾ばくかの待機を強いられることになるだろう。
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:04:55.37 ID:OKFtKOgo
作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:22:47.16 ID:ZSLDW7Eo
サヤすげぇえ
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 07:59:06.92 ID:Eq8r6P.o
エリカタン・・・
355 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/23(水) 00:37:14.73 ID:13LfFVYo
俺は瞬きして、ゆっくりと身を起こした。
自分に纏わる昔話を盗み聞きするのは、好奇心をそそられこそすれ、誉められた行為ではない。


夕暮れ時。
暮れなずむ西日を左手に、リザードンは緩やかな迂回路をとりつつ、グレン島に飛んでいた。
タマムシ大学、タマムシジムを遊覧したところで、サヤは突然、疲労を訴えた。
馬鹿みたいにはしゃいでいたツケが回ってきたのだろう。
そう軽く考えていた俺は、今現在、背後に頭を押しつけてこんこんと眠るサヤに、謝りたい気持ちでいっぱいだ。
組織保護下――監視下ともいう――妙絶の先天性適格者にして、遺伝子工学最高権威カツラの才媛の一。
何も知らない少女が守らされた約束は、屋敷の外に出ないこと。常に誰かの目がとどくところにいること。
健気な少女に、反感は無かった。頑なに約束を守った少女は、やがて外の世界を怖がるようになった。
少女の世界は、グレン島を縁取る海岸線で終わっていた。
そんな、人いきれとは無縁の滅菌された世界で過ごしてきたサヤが、初めて世界の輪を広げたのだ。
タマムシシティで体験したことは、サヤの身体に、心に、大きな負荷をかけたに違いない……。
不意に、背中でもぞもぞとサヤが動いた。

「ねえ」

それきり言葉が続かない。寝言だろうか?

「家に着いたら起こしてやるから、眠ってていいぞ」
「わたし、寝ぼけてないわ。もう十分眠ったもの」
「そうか」

サヤは出し抜けに言った。

「きっとあの人、サトシのことが好きだったんだと思うわ」
「……なんの話をしているんだ?」

やっぱりまだ寝ぼけているんじゃないか、と思う。

「エリカさんのことよ。わたしがエリカさんから、サトシがジムに挑戦したときの話を聞いたことは、言ったでしょう?」
「ああ」

俺がピジョットの聴覚を借りて盗み聞きするまでもなく、
ジム戦を終えたサヤは、嬉々としてエリカから聞いた話を、俺に話してくれた。
話は微に入り細を穿つものだった。
当時の俺とエリカが選んだポケモンから試合運びまで、エリカが記憶していたというから驚きだ。
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/23(水) 00:38:11.88 ID:/M3EjYSO
リアルタイムKtkr
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:47:08.17 ID:bPYokBAo
作者ktkr
358 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/23(水) 00:59:46.79 ID:13LfFVYo
「サトシのことを話してるエリカさんの顔、とても嬉しそうで……寂しそうだった……。
 それにね、もう何年も経つのに、サトシのことを忘れられないって……」
「俺とエリカは、一度ジムで戦って、その後リーグ関連の催事で話した程度の関係だ」

サヤは考えすぎだ、と思う。

「幼いエリカさんは、手加減を知らない、悪いお手本のようなジムリーダーだったらしいの」
「それはもう聞いたよ」
「確認のために言ってるのよ!ちょっと黙ってて!」

寝起きのサヤは機嫌が悪い。

「………続けてくれ」
「地の利もあって、選りすぐりのポケモンをジム登録して……。
 相性が悪い炎ポケモンを相手にしたとき以外は負けなしだった、そんなときに、サトシが挑戦してきた。
 しかもそのときサトシは草ポケモンと互角か、相性の悪いポケモンしか持ってなかった。
 そんな相手に負けたら、嫌でも意識しちゃうに決まってるじゃない」

負けて悔しさを感じることはあっても、自分を負かした相手に好意を抱くことなどあり得るのだろうか。
サヤは言う。

「わたしね、その話を聞いてすごく共感できたの。
 悔しさとか、憎しみとか……そういう感情って、ひょんなことで裏返っちゃうのよ。
 わたしが初めてサトシとポケモンバトルして、負けたときのこと、覚えてる?
 サトシが帰ってから、わたし、しばらく自分の部屋に引きこもってたの。
 悔しくて悔しくて、仕方なかった。
 草タイプのフシギバナに、炎タイプのヘルガーが負けるわけないのに、
 どうして負けたんだろうって、わたしとサトシの、何が違うんだろうって、ずっと考えてたの。
 そうしたら………ぁ」

途中で言葉が、風に乗って消えていく。背中が熱い。
自分で特大の墓穴を掘ったサヤに、しかし、逃げ場は無かった。
高度は十分、身投げされてもすぐに拾える。
359 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 01:32:06.73 ID:.GHUoAMo
レスが少ないから見てる人も少ないんだ、と思ってないだろうな?
俺はレスはしてないが日に20回はリロードしてるんだぜ・・・?
360 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 01:36:48.85 ID:amFz8r6o
何打お前も課
361 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/23(水) 01:42:59.87 ID:13LfFVYo
「……わたしがジム戦に勝ったら、そのときは何でも一つお願いを聞いてくれるって、約束してたわよね」
「ああ、確かに約束した」

サヤは消え入りそうな声で言った。

「じゃあ、さっきの、忘れて」
「できることと、できないことがある。簡単に記憶を消すことはできない」
「忘れてって、言ってるじゃない」
「……………」
「じゃあ、お願いを変えるわ。
 今からほんの少しの時間だけでいいから、組織のことや、お互いの立場を忘れて」

それはある意味で、俺とサヤが、互いにもっとも触れてはならない領域だった。
脈々と続いてきた、あるいは続かせてきた、微妙な駆け引きが終わる。
その瞬間が今なのか。

「禁句だろう、それは」
「そうよ。わたしは禁句を言ったの」
「開き直るのか」
「開き直るしかないじゃない」
「……………」
「……………」

沈黙で埋めるのに、グレン島までの道のりはあまりにも長く。
俺はサヤの我が儘を、発言を許してしまう。サヤは言った。

「もしも……もしもわたしが……サトシのことを、その……好きだって言ったら、サトシはどうするのかしら?」

肩書きを捨てた一人の女として。
俺は言った。

「逆に聞くが、もしも俺が、サヤのことを好きだと言ったら、サヤはどうするつもりなんだ」

肩書きを捨てた一人の男として。
思春期の少年少女を彷彿とさせる、あどけない腹の探り合い。
どちらからともなく、笑い出す。
この応酬に込められた意味が分かるのは、きっと、世界中で俺とサヤくらいのものだろう。
踊らされていたつもりが、嫌々踊っていたつもりが――自ら踊り出していた。
その馬鹿馬鹿しさに、自分の単純さに、笑ってしまう。サヤもきっと同じ気持ちなのだろう。
……ああ、本当に馬鹿みたいだ。箍が外れる音が聞こえた気がした。
先に折れたのは俺のほうだった。
上半身だけで振り返ると、すぐ目の前にサヤがいた。
黄昏色に染まった頬に触れる。
びっくりするくらい熱い。
サヤは肉食動物に捕らえられた草食動物のように、そっと眼を瞑った。


その日、俺はカスミ以外の異性と、初めて口づけを交わした。
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 01:44:44.22 ID:GQ7HWT6o
俺だけじゃなかったのか、安心したよ
363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 02:22:09.51 ID:v7JLXd6o
サヤは応援したいけど、カスミを思うと二人とも殴りたいよ
あーでもサトシもなー、複雑やね
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 03:30:13.22 ID:gJIxRHwo
ちくしょー・・・。
すでにわかってたのに、なんだこのもやもや感は・・・。
サトシもげろ。
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 06:48:13.50 ID:sRYNAj.0
本編連載当初あれほど幸せな気分にしてもらったのに
まだそのロスタイムが続いているんだと思うと
あらためて感謝の意を発射せざるをえないぜ・・
ついでにサトシは大爆発しろ
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 06:48:46.49 ID:/M3EjYSO
サトシ
誠 タヒね
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 09:07:13.69 ID:NMZ..rAo
く、くそが
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 10:40:35.63 ID:bPYokBAo
この二人好きだけどカスミとヒナタを思うと複雑だ
そういえばサトシはどの時点でカスミの妊娠に気付いていたんだろう
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 10:42:48.40 ID:iYYuH8co
鬱だ
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 13:04:26.84 ID:loIcX7Uo
おお…おおお……
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/23(水) 19:48:26.70 ID:yhCveWM0
ハーレムルートへの分岐はどこら辺だったんだろ
372 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/23(水) 23:10:39.60 ID:13LfFVYo
――――――
――――
――


サヤを屋敷に送り届けたその足で、俺はカツラの研究施設に向かった。
サヤを連れ出しての本土遊覧について報告するためで、無論、その中に帰路上のエピソードは挿入されていない。

「ほう。炎タイプの技を使わずにレインボーバッジをゲットしたか。
 当代のエリカくんはかなりの使い手と聞いていたが……流石はワシの娘。
 ハッハッハ、祝いだ、レッドくん。今日は飲むぞ!」

おもむろに文机の引き出しからスコッチとロック・グラスを二つ取り出すカツラ博士。
俺は「お祝いは親子水入らずでどうぞ」と丁重に断りつつ、

「報告とは別に、お聞きしたいことがあるのですが」

カツラはリラックスした姿勢をそのままに、無言で先を促す。

「最近、組織の構成員――とりわけ実働部隊の人間が失踪していることについて、博士はご存じでしょうか?」
「……ああ、この前オーキドに愚痴られたよ。
 失踪、というよりは消されたというニュアンスだったが」

なら、話は早い。

「仮に構成員が消された、言い方を変えましょう、暗殺されたとすれば、その下手人はどのような人物だと考えますか?」
「オーキドの話ではツーマンセルで行動していた構成員が失踪した例もあるそうだ。只者で無いことは確かじゃな」

一対多の勢力図は、一が多に対し、圧倒的な力を有している時のみ拮抗する。
単純にツーマンセルだから、一人に対して二倍の戦力を持つというわけではないのだ。
連携のとれたツーマンセルは、個々の戦力の二乗と計算するのが正しい。
しかも消されたツーマンセルの構成員は実働部隊の上位層、暗殺者の実力は、想像するに余りある。
カツラ博士は続けた。

「痕跡が無いことからも、下手人がその筋の者である可能性は濃厚だ。
 業を煮やした上層部の癇性持ちが、追跡専門の子飼い部隊を放ったそうだが、良い報告は聞かん。
 返り討ちにされて、組織の狩人もこんなものかと笑われるのがオチじゃろう」

ハッハッハ、と乾いた声が響く。カツラ博士はグラスを一つ直し、残った方にスコッチを注ぎながら、

「対策を講じるために、もっとも必要な情報は、相手方の規模と、動機。この二つに尽きる。
 してレッドくん、君の意見を聞かせてもらおうか」
「規模は単体、動機は私憤……ではないでしょうか」
「根拠は?」
「失踪した構成員に共通点が無く、つまりあまりに無作為抽出的で、痕跡を残さない点以外での計画性が無いからです」

暗殺者はバックボーンの無い純粋な個人で、私情によって組織の人間を狙っている。
決して楽観視しているわけではなく、一番現実的なストーリーだ。
もしも仮に、組織に反抗意志を持つ新興勢力が、組織の戦力を削りにかかっているのだとしたら、
必ずどこかから情報が漏れ、三日と待たずに解体させられることになるだろう。
組織の腕は広く、力強い。
373 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 23:18:35.82 ID:qhh6Yo6o
いつもお疲れ様です
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/24(木) 00:02:50.41 ID:ub4eNkAO
頑張れ
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/24(木) 00:21:29.03 ID:09heBKko
TWってお前何だよ
今ふと思ったが
妙に「FEZ」とか「トラビアン」とか言うの多いな
なんつうかネトゲ慣れしてなそうな感じの
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/24(木) 00:22:29.70 ID:09heBKko
すいません誤爆しました
377 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/24(木) 00:28:45.29 ID:ddp6gPco
378 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/24(木) 00:57:44.61 ID:.V.BqoMo
「同感だ。相手が単独なら、なおさら尻尾を掴むのは難しいだろう」

カツラはスコッチのストレートを舐めつつ、

「が、しかし……実際のところ、ワシはあまり心配しておらんのだよ。
 噂のおかげで実働部隊全体の緊張感が高まっているようだし、その下手人も一人の人間だ、必ずどこかでミスを犯す。
 数人の構成員を食い物にして、そのまま大人しく身を引くような奴だとも思えんし………いずれ捕まるだろうさ」

俺は訊いた。

「カツラ博士に、暗殺者の心当たりはありませんか?」
「微妙な言い方をするじゃないか。
 ワシにとっては、二通りの受け取り方が出来る質問だな。
 レッドくんが上層部の誰かから、個人的に暗殺者の捕縛を命じられていて、
 その手がかりを探しているなら、ワシに出来るアドバイスは何もない。
 もしもワシが暗殺者を人物像でなく、個人レベルで推測できると勘ぐっているなら、
 やはり期待に添えることはできないな。要するにワシは何も知らん、ということだ」

カツラ博士は笑みを浮かべて、レッドくんも欲しくなってきただろう、とグラスを持ち上げてみせる。
俺はやはり首を振って、

「俺は直接的に、構成員失踪の原因を探れと言われたわけではありません。
 しかし、もしも偶然、その暗殺者と出会うようなことがあれば、迷わず殺せと言われました」
「なら、そうすればいい。ワシに改まってお伺いを立てるようなことでもないさ」

俺は深く息を吸って、

「その暗殺者があなたの娘である可能性を、考慮されたことは?
 その可能性が現実になったときも、カツラ博士は組織の意向を尊重するのですか?」
「ハッハッハ。まさかサヤを疑っているのか?」
「サヤに歳の近い姉がいることは、知っています。
 彼女が父親のあなたや、組織をとても憎んでいることも」
「あの子はね、とても優しいんだ。ポケモンを殺せない人間に、人は殺せんよ」
「これはオーキド博士を含めた、誰にも話していないことですが、
 俺はサヤの姉に……カレンに一度、襲われたことがあります。
 応戦した結果、事なきを得ましたが、反応できなければ確実に俺は死んでいました。
 カレンは強かった。ポケモンの練度も、扱い方も、実働部隊のそれに匹敵していた。
 不意打ちされれば、十人に七、八人はまともに反撃できずにやられるでしょう。
 彼女は単独で、明確な動機もある……。
 俺が一度襲われて以降、再度襲われていないのは、
 俺が彼女にとっては大切な妹であるサヤと、親交を築くようになったからでしょう。
 もしもサヤと何の関わりもない、ただの組織の構成員が相手なら、カレンは――」
「レッドくん。君は少し落ち着く必要があると思うんだが」

こぶしをを文机に力いっぱい叩きつけるより、
まだスコッチが半分ほど残ったロック・グラスを壁に投げつけるよりも雄弁に、カツラの静かな物腰は語っていた。

黙れ、と。
379 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/24(木) 01:36:24.17 ID:QTrQ/.Eo
カツラみたいな陽気なジジイでも
娘を暗殺者って言われたら怒るよなそりゃ
380 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/24(木) 09:31:00.60 ID:BGMce6DO
カレンさんがそんなわけないだろ!
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/24(木) 12:03:51.81 ID:mrKItZA0
>>159
こいつ…できる…!
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/24(木) 22:46:38.00 ID:ub4eNkAO
>>381 予想厨に調子に乗らせるようなレスすんなよ
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 01:22:31.37 ID:IhZhe2Eo
タイチの悲劇を忘れたわけではあるまいな
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 01:23:13.64 ID:YTG5m8Mo
その言い方だとあれにしか聞こえない
385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 01:28:08.23 ID:DuU2huEo
夢精?
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 01:33:29.88 ID:YTG5m8Mo
やめろ言うな
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 15:56:26.14 ID:8RsziaU0
まだ確定じゃないからいいんでない?確定ってんなら調子にも乗るだろうけど
もっともやたらめったら予想するってのは論外だけどさ
388 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 16:02:58.39 ID:vJeW4Uco
殺人者と同じ部屋なんかに居られるか!
俺は自分の部屋に戻るぞ!
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 18:01:30.07 ID:OT9ziADO
わ、悪いが俺も>>388に賛成だ!部屋に戻らせてもらうぜ!
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 22:23:54.90 ID:MbLwbLIo
ふん……てめーら腰抜けてやがんな
俺はもう一度誰もいないか確認してくる
雑魚は部屋で怯えてただ殺されるのを待つがいいぜ
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 18:20:56.24 ID:ssEx4wSO
そうか…トリックがわかったぞ!
早くみんなに知らせなきゃ!
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 18:30:35.51 ID:PJZ1ET2o
死亡フラグ満載のスレですね
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 18:43:13.79 ID:9b1lGUDO
あれ?どうでもいいが、サヤは自分で後天性だって言ってなかったっけ
394 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/27(日) 22:42:50.84 ID:64eDWzso
「初めに断っておこう。肉親の情は組織の保全意識に劣る。
 もしもワシが娘を庇う一心で、君の疑惑にネガティブな態度を示していると思われているなら、
 誤解を招くような発言をしたことを謝ろう。所詮、ワシも世間体を気にする一人のしがない爺だ。
 君がワシに重ねている、君からみたカツラ博士という人物像をそのままにしておきたかったのさ。
 自己欺瞞の気があったことも否定はしないがね」

軽快なカミングアウト。俺は何も言えなかった。

「はっきりいって、君はカレンを過大評価しすぎている。
 あれが人を傷つけ、ましてや人を[ピーーー]ことは、そうだね、喩えるなら、
 サイクリングロードの暴走族がチャリティー活動を始めること以上にあり得ないことだ。
 レッド君が襲われたのは事実。そのとき明確な殺意を感じたことも事実だろう。
 それは認めようじゃないか。しかし、もし奇襲が功を奏し、
 君の息の根を止めうるところまでいったとしても、あれは土壇場で失敗する。
 この話は、全ての状況に当てはまる。なぜ断言できるのか、という顔をしているね。では答えよう。
 なぜって、ワシはあれに一度、殺されかけたことがあるのだよ。
 動機は……、一言で定義できるものではないな。
 カレンは物心ついたときからサヤを憐れみ、ワシを恨み、組織を恨んでおった。
 それがあのときに爆発した、というべきなのだろう。
 カレンはサヤについてある推測をし、ワシに尋ねた。ワシはそれに正直に答えた」

カツラ博士は「今から思えばもう少し隠しておくべきだったかもしれんな」と付け加え、笑った。
カレンの質問とカツラ博士の返事がどういったものなのか容易に推し量れる俺には、まったく笑えなかった。

「ポケモン殺人では、本来人が直接人を[ピーーー]際にストッパーとなる道徳観念の著しい欠如が散見される。
 衝動的にポケモンに攻撃を命令してしまう。
 するとポケモンはポケモンバトルの最中が如く、命令に忠実に従い、攻撃の末に、相手を死に至らしめる」

依頼傷害致死――ポケモン犯罪で最も議論の焦点となっている罪状だろう。

「ポケモンの責任はトレーナーの責任でもある。
 トレーナー免許を取り立ての子供からポケモン犯罪心理学の権威まで、誰でも知っているこの世界のルールだ。
 なのに、人はポケモンを媒介にすることで、罪悪感や背徳感から逃れようとする。
 一時的に逃れた気になって、ポケモンに攻撃しろと、暗に殺せと命じてしまう……。
 話を元に戻そう。カレンの性質は、さっきワシが言ったとおりだ。
 あれは特別に怒りっぽく、そして、優しいのだ。
 たとえ衝動的な殺意に襲われ、手元にワシを殺せるだけのポケモンがいたとしても、最後の最後で正気に返る」

カツラ博士は右手でトントンと左鎖骨の周辺を叩き、

「あれのポニータにのしかかられ、鎖骨を蹄で砕かれたとき、ワシは死を覚悟した。
 あとひとつの命令で終わる。ポケモン犯罪の一般的モデルなら、ためらいなく最後までやる。
 そんな状況であれは逃げ出したのだ。
 あれから数年たった今でも、あれにポケモンを、人を淡々と殺せる胆力が備わったとは到底考えられん」
「それは、カツラ博士が実の父親だったから、では?」
「ワシを殺し損ねた理由として、あれがそう言ったのかね?
 違う違う。実の父親だからこそ、だ。自慢げに言うことじゃないが、ワシはこの世で誰よりも、カレンに憎まれている自信がある。
 あれがワシを殺せなかったということはとりもなおさず、あれには誰も殺せん、ということさ。
 それどころかポケモン一匹殺めるのにも、眼をつむり、耳を塞ぎながらやるような、優しくて甘い子なんだよ、あの子は。
 ワシはそう信じている」
395 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 22:43:30.85 ID:64eDWzso
>>393

俺のミスです
サヤは後天性です
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/27(日) 23:44:08.26 ID:exutOkDO
カツラも黒いんだな
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/28(月) 00:28:03.53 ID:hVWawBgo
思ってるじゃなくて、信じてるなんだな
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/28(月) 01:54:35.80 ID:WnYu8cAO
信じてる

からの〜?
399 : ◆Ec95DXH7wk [saga]:2010/06/28(月) 01:58:25.87 ID:zN.h9Xco
父親としてではなく、一度命を狙われ、殺されかけた組織の人間として、
カツラはカレンが暗殺者たりえないと言っている。

「例外として考えられるのは、あれが組織を憎むあまり、精神を病んでしまった場合だが、
 これもまずあり得ないと考えていいだろう。あれは外見こそ気丈夫だが、内面は発泡スチロールのように脆いんだ。
 レッド君はいちおう、あれとまともに会話できたんだろう?なら、あれはまだまだ正常な臆病者のままだということだ。
 ……知性ある生き物を殺害するという行為には、多大なストレスを伴う。
 繊細かつ善良な人間が精神的に無傷でそういった行為に及ぶには、その行為に対して普遍性を獲得しなければならない。
 殺害を日常化して初めて、本当の意味で罪悪感や背徳感を捨てることができるのだ。
 理性なき殺しは身のみならず心をも滅ぼす。誰の言葉だったかな。
 忘れたが、言うまでもなく、ここでの理性とは、知能犯が編み出す犯罪の芸術的計画性のことを指していない。
 罪を罪と思わない、道徳を常識として意識しない、そういった心構えのことを指している。
 白銀山という極限の環境で、日夜凶悪な野生ポケモンを屠った君なら、
 この言葉の意味がよくわかるだろう?」

『組織のために』――お前はポケモンを殺めるとき、何を考えておるのじゃ、とオーキド博士に訊かれたとき、俺はそう答えた。
その三日後、俺は白銀山行きを命じられた。
あの山で、あの地獄が顕現したような山で、いくらのポケモンを殺したのか、俺は覚えていない。
最初に墓を作るのをやめ、次に弔うのをやめ、やがて何も感じなくなった。慣れてしまった。
それは人に対しても、同じ事なのだろうか。どうか違って欲しい、と思う。それを自分で証明したくない、とも。

「理性なき殺しと健全な精神は両立しない。稀に両立する人間がいても、長くは持たない。
 レッド君にとって見れば、同業者にはそういった輩が多いように感じるかもしれないがね、
 彼らをそうたらしめているのは、事前カウンセリングによる予防と、ほんの少しの見栄だ」

馬鹿げた話かもしれないが、組織には実働部隊専属のカウンセラーが複数存在する。
交戦可能性の高い任務に当たる人間は、カウンセラーとの対話によって、
ポケモンや人を殺めることは当たり前であるという素晴らしい暗示をかけてもらう。
そして任務を終えた後で、作り物の残虐性に酔うのだ。
敵性のポケモンを、人間を、多数殺害した、たくさん組織に貢献した。そんな風に。
カウンセリングの効果が見られない人間は、
精神を病むか、サポートに回るか、記憶を消されて組織から放逐される。
俺が命じられたのは、白銀山に行くことだった。
そして荒療治には、それなりの効果があった。
相変わらず悪夢は見るが、突発的な嘔吐感に見舞われたり、
まるでゴーストポケモンに乗り移られたかのような、正体不明の脱力感、倦怠感に襲われることは無くなった。

「ハッハッハ、話がわき道にそれてばかりだな」

カツラ博士は赤ら顔で言った。

「とりあえず、こう結論付けてみようじゃないか。現時点でカレンを暗殺者と決めるのは時期尚早だ。
 が、もしも本当に、万が一にあれが組織を憎むあまり壊れ、
 構成員を無差別に殺してまわっているのだとしたら、そのときはレッドくん、容赦なく処分してもらってかまわん」

それだけカレンが暗殺者ではないという自信があるのだろうか。
否、カツラは本当に万が一の可能性を考え、現実にそうだった場合は、迷わず殺せと言っているのだ。
組織の保全意識は肉親の情に勝る。結局は、カツラ博士が最初にそう断ったとおりだったわけだ。
決して、娘を、カレンを愛していないわけではないのだろう、と思う。
ただ、組織とカレンを天秤にかけたとき、カツラにとって重いのは、組織の方なのだ。
400 : ◆Ec95DXH7wk :2010/06/28(月) 23:36:37.82 ID:zN.h9Xco
俺は首肯し、カツラの私室を後にした。
残念ながら、あなたの長女は精神を病まれている可能性が非常に高い、という台詞を飲み込んだまま。

外界の脅威とは無縁の研究者は、研究に無関係な情報を、大抵の場合、熱を失った状態で味わうことになる。
それはカツラ博士とて例外ではない。
――数日前、失踪扱いにされていた構成員の一人が、半死半生の状態で見つかった。
場所はコガネシティ郊外、旅をするトレーナーがたまに通る道に、横たわっていたらしい。
彼と行動を共にしていた三名は、全員が少し離れた草むらで死亡しているのが確認された。
『我々を襲った相手は、燃えるような赤髪だった』
事切れる直前に、彼はそう言い残した。
反組織勢力集結地点における強襲任務の帰還途中、一瞬の気の緩みを狙われたのだ、と。
前回の失踪から数えて二ヶ月ぶりの構成員失踪改め死亡事件。
初めて得られた目撃証言に、憶測は現実味を帯びた。

『他の構成員失踪との関連性は未だ分かっておらんが、同一犯である可能性は濃厚じゃ』

オーキド博士からそう警告されたとき、真っ先に脳裏をかすめたのは、カレンの顔だった。
妹を思いやる優しい姉であり、父親を、組織を憎む恐ろしい暗殺者であるという二面性。
個人では巨大な組織に対抗できないという無力感、絶望感が、
カレンから一時的に冷静さを奪い、究極的選択に駆り立てたのではないか。
今から思えば、『サヤを守ってあげて欲しい』という言葉は、
もし自分が組織に粛正されたときは、サヤを任せるという意味だったのではないだろうか。
俺は組織の人間だが、同時にサヤを守るだけの力を持ち、サヤに信頼されている数少ない人間の一人でもある。
空想の域は出ているように思える。

紺碧の海を眼下に本土を目指しながら、俺は二つのことを胸に誓った。
ひとつ。サヤには決して、姉が組織の人間に無差別な襲撃を行っている可能性を明かさないこと。
ひとつ。次にカレンと相見える機会があれば、もしも本当に暗殺行為をしているなら、即刻やめるように説得すること。
組織の意向に反するが、そんなことはどうでもいい。
見知った人間を殺めるのが恐ろしいからか?
サヤに姉を殺めたことを咎められるのが怖いからか?
哄笑が頭の中を反響する。現実で、俺は小さく笑った。

結局、俺はカツラ博士に期待していたのだ。
『たとえ娘が犯人でも、命だけは助けてやって欲しい』
――そんな、まともな父親じみた答えを。
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/29(火) 12:58:17.87 ID:GW9Tw2DO
ヒナタからみたらカレンておばさんに当たるのか?
402 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/29(火) 13:11:32.90 ID:b2BLhRUo
サトシがヒナタを連れてサヤと結婚した場合なら義理の伯母になるんだろうけど
サトシはヒナタを認知すらしてなさそうだし、戸籍上は全くの他人になるんじゃないかね
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/29(火) 14:27:13.70 ID:GW9Tw2DO
そうか…じゃぁ伯母と姪との三角関係にはならないのか…
404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 09:23:13.22 ID:4OxuWYSO
作者忙しいのかな
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 10:38:09.86 ID:uKp7MhEo
これがリア充・・・
406 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 03:00:36.72 ID:VXOamMDO
てす
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/11(日) 15:02:58.68 ID:AjTx5ASO
セックスしたいお^^
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/11(日) 15:04:27.23 ID:IulWAFAo
ベイリーフとセックスしたいお^^
409 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/11(日) 17:23:40.92 ID:nzAR19E0
いやいや至高はピクシー
410 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/11(日) 21:51:58.47 ID:9NgPDIA0
>>408
今日VIPに立ってたな、そんなのが
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/07/17(土) 03:56:10.21 ID:FzjpXdE0
このスレの勢いが殺されているので支援
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 02:50:50.37 ID:UtH4m2DO
ポケッターリ
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 03:06:17.43 ID:QKsjkZoo
モンスターリン
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 03:28:39.37 ID:B7ZYHA.o
おこったり
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/18(日) 12:08:52.63 ID:UtH4m2DO
ワラッタリ
416 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 22:40:04.18 ID:V5vovkDO
ラジバンダリ
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 00:45:22.49 ID:lW.59Eko
やるじゃん
418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 01:58:03.72 ID:PLF5XsSO
懐かしいなおい
419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 17:53:07.44 ID:SuhEdMDO
ブレインウォッシュボール…BWボール…
BW…ブラックアンドホワイト…

みんな気をつけろ!作者は任天堂のスパイだ!!
420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 23:09:23.95 ID:3ur4tcSO
ブラックホワイトの、新キャラのNの紹介文を見たとき
こいつは絶対、システムの一員だと思った
421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 18:46:58.60 ID:nysFzoSO
ブラックホワイトの、新キャラの紹介文を見たとき
こいつは絶対、遊戯王のモンスターだと思った
422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 18:48:41.24 ID:I0quLBQo
作者にならってリリカルなのは見たけど、2期の最後のガッカリ感といったら無いな…
423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 19:12:30.12 ID:v8pSFU6o
はやてちゃんが成長しちゃったのがそんなに残念だったのか・・。
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 19:21:26.50 ID:I0quLBQo
いやユーノ君とクロノ君が成長しちゃったのが残念だった
425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 21:08:30.21 ID:ggdSrqoo
想像していたシステムの金髪野郎がBWのNまんまで吹いた
426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 23:27:57.55 ID:h6WjAQDO
>>420
あーわかる
建前を盲信してる感じのな
427 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/22(木) 00:24:26.81 ID:Fl1Lffso
―――――
―――
――

「……いよいよ尻尾を現したそうだね」
「何の話だ?」
「僕らの生命を脅かす恐ろしい暗殺者の話さ。
 任務を終えて疲弊していたとはいえ、四人を相手にしての大立ち回りだ。
 ふふ、組織も本腰を入れざるを得ないだろうね」

金髪は何がおもしろいのか、微笑する。
無視をするつもりが、口を滑らせてしまう。

「その実力には感服するが、ヤツは今回、致命的なミスを犯した。
 一人を殺し損ねて、身体的特徴を知られてしまった。
 処分されるのは時間の問題だろう」
「赤毛、それも混じりけのない見事な赤毛だったそうだね。
 得意とするポケモンのタイプは何なんだろう……。
 レッド、君はその暗殺者と相見えてみたいとは思わないのかい?」
「指令はない。
 遭遇すれば交戦しろと言われているだけだ」

金髪はわざとらしくため息を吐いて、

「つまらないトレーナーだな、君は。
 純粋な力比べをしてみたいという気は起こらないのかい?
 それともその暗殺者のことを、怖がっているのかな?」

俺が反応しないでいると、金髪は続けた。

「僕は、その暗殺者と戦いたい。
 そいつに殺された可能性が高い失踪者の中には、僕の知り合いがいる。
 君も覚えているだろう?短い黒髪の、短気な男のことを」

孤島で共に調査隊の護衛にあたっていた、あの男のことを言っているのだろう。

「君とチームを組む前は、彼と一緒に任務に就くことが多くてね。
 そりが合わないことなんてしょっちゅうだったが、それでも彼は、僕の友人だった。
 なに、復讐なんて愚かしい動機で、その暗殺者を処分したいと考えているわけじゃないよ。
 ただ、もしも彼がその暗殺者と戦って、結果、殺されたというのなら、
 僕がその暗殺者を倒したとき、僕が彼よりも強かったという証明になるだろう?」

微笑からは、複雑な感情が見て取れた。
組織の戦力消耗を避けるために、構成員同士による本気のポケモンバトルは固く禁じられている。
許可されているのは一般的なポケモンバトルだけだ。
そして無論、相手のポケモンを死に至らしめないよう、手加減しながらする戦いで、真の優劣は決まらない。
金髪はあの男と、どちらが強いかはっきりさせる機会を逸したままなのが許せないのだろう。
428 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 00:41:14.77 ID:n1wyRYDO
キター!!
429 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 00:48:09.30 ID:BtXYiHMo
キター
430 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 00:49:06.47 ID:k2yxV.DO
なtwoeやはなajdmjgキタ!!!!
431 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 01:13:40.67 ID:Xh30aMwo
おつつけ
432 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 01:15:08.66 ID:Fl1Lffso
「……意外だ」
「何がだい?」
「格好の獲物……そういった意味で、暗殺者と遭遇したいと言っているのかと思っていた」

殺害許可は下りている。
ポケモンや人を殺傷することに精神的な安寧を得ている金髪にとって、
この暗殺者ほど適した相手もいない。

「心外だよ」

金髪は肩をすくめた。

「僕をサイコキラーと一緒にしないでくれ」

――――――
――――
――

タマムシシティへの遠征から、一週間後。
薄膜のような雲が強い日光を和らげ、ぽかぽか陽気の屋敷の裏庭で、
俺はサヤと静かな時間を過ごしていた。

「サトシは、長い髪が好き?それとも短い髪が好き?」
「特に好みは……」
「どっちでもいい、はダメなんだから」

俺は言った。

「……長い方が好きだ」
「そ」

素っ気ない反応とは裏腹に、表情はニコニコと嬉しそうだ。

「わたしね、小さい頃からずっと、お父様に言われてきたの。
 女の子は、髪を伸ばした方が可愛いって。
 わたしは邪魔だから切ってしまいたかったんだけど、お父様は許してくれなくて、
 いつの間にか髪を伸ばしているのが当たり前になって……。
 でも、お父様の言いつけを守っていて本当に良かったわ」

首筋に柔らかな髪の束が触れる。次いで、微かな重み。
肩にサヤが頭を乗せているのだと気づくと同時に、甘い香りが鼻孔を満たした。

「サヤの髪は、良い匂いがする」
「毎日たっぷり時間をかけて手入れしてるんだから、当然よ」

言いつつ、さらに体重を預けてくるサヤ。
その身体の柔らかさに、温かさに、胸の内の凝りが溶けていくような感覚を覚えた。
堕落している、危険な兆候だと知りつつも、今このときだけは、と甘えてしまう自分がいた。
433 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 04:07:08.59 ID:TtkJrPso
カスミ
434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 06:35:52.45 ID:NoP3xYc0
はわりとどうでもいい
435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 07:15:35.33 ID:vjb1vXs0
はい
436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 18:26:09.15 ID:C0G6tcSO
カスミって誰だよ新キャラとかやめてくれる
437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 18:27:09.58 ID:Xh30aMwo
やめろ
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 01:58:37.76 ID:CeeZnUDO
Nで脳内再生される…
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/23(金) 08:47:30.52 ID:Hywf3Uo0
カレンは後天的にサヤ以上の力でポケモンを服従させる能力を発現
自分だけの力でサヤを守れると過信して、ヘルガーにレッドを暗[ピーーー]るように命令
ヘルガーがサヤの能力から解放されたのを知らないサヤがヘルガーに近づきサヤは犠牲に…
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/23(金) 08:59:10.47 ID:Hywf3Uo0
犠牲者は燃えるような赤髪とは言ったが女とは言ってない
これは作者のミスリードだ犯人は金髪
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 17:22:52.16 ID:KhzoFCko
赤髪・・・犯人はシルバーか!
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 19:53:26.23 ID:LizSqIDO
あぁそうか、もうすぐ8月だったな
443 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/23(金) 21:47:54.01 ID:qGLsX8w0
もう夏休みだもんなそりゃ沸くわな
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:20:46.79 ID:yA.4JdAo
わざわざ言わなくていい
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/24(土) 00:22:53.04 ID:vGgFwg.0
ヌノレポ
446 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/07/24(土) 01:30:07.63 ID:UvOMTIMo
「……カレンとの手紙の遣り取りは、今も続いているのか」
「何よ、いきなり」
「どうなんだ?」
「もちろん、ちゃんと続いてるわよ」
「手紙には、だいたいどんなことを書く?」
「身の回りで起こったこととか、お姉様からの質問への返事とか……色々よ。
 サトシのことを書いたこともあるわ。……どんな風に書いたか知りたい?」

サヤは悪戯っぽい笑みを浮かべ、上目遣いに俺の反応を伺おうとする。

「それはまた今度でいい……。
 最近、カレンからの手紙に、変わったことは書いていなかったか」
「変わったことって?」

無垢な驚きの表情から、手紙の内容に主だった変化が無かったことを見抜く。

「いや……、何も無いなら、それでいいんだ」
「ふふっ、おかしなサトシ。
 お姉様のことが気になるの?」
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 01:32:27.77 ID:UvOMTIMo
自動車教習やら
バイトやらで忙しくてごめんなさい
どんなに間あいても細々と書き続けますので
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 01:36:12.04 ID:.AwNDcUo
いいよいいよ
できるときに書いてくれればいいんだよ
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 01:45:02.25 ID:yA.4JdAo
リア充大学生活……
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 06:51:26.16 ID:kP2lGoSO
一部のリア充爆発しろ
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 15:44:46.04 ID:xwEG3xso
そういえばついにアニメのポケモン、サトシじゃなくなるんだってね
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 16:30:09.82 ID:Z2BjFs6o
>>447
クランクで後輪が乗り上げた時は即ブレーキを踏めって教わるんだけど、
試験の時にそれで止まらずにそのまま通過すると一発で不合格だって(教習所の)じいちゃんが言ってた
無事免許が取れるように応援してます
そして僕はポケモントレーナーの免許が欲しいです

>>451
サヤとの不倫が発覚した責任を取らされて・・・
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 17:57:52.04 ID:pHJCzpwo
タケシ降板説は濃厚だけどサトシとR団は多分続投だと思う
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/24(土) 23:04:09.31 ID:vGgFwg.0
カリカリベーコン食べたい…
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 00:52:25.60 ID:3q7iWISO
カリカリモフモフ……
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 03:59:43.07 ID:7SH/S160
>>455
何故かファービーが頭に浮かんだ
457 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/25(日) 10:57:17.58 ID:GoDchJYo
「…………」
「ねえサトシ、本当にどうしたの?
 もしかしてお姉様になにか……」

黙って髪を撫でる。
サヤは猫のように喉を鳴らし、不安に揺れていた目を閉じた。

「休暇をとったんだ」
「本当?」
「ああ、本当だ。博士には無理を言って、とらせてもらった」

実際、博士の反応は意外なほどにあっさりしていた。
『任務の連続はお前と、お前のポケモンの身体にこたえるじゃろう』
二つ返事で二日の休暇を許可してくれたのだった。

「どうして休暇をとったの?」
「サヤのために」
「嬉しい……!」

サヤの眩しい笑顔から目をそらして、俺は言った。

「六の島に行こう」
「ろくのしま……?」
「あたたかくて、散歩道がたくさんある静養地だ。
 ポケモンを自由に放して、くつろぐことができる」
「わたし、どこでもいいわ。サトシが一緒なら」

ささやかな罪悪感が、胸の奥を刺した。
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 12:28:52.84 ID:7EBKvKko
サヤが可愛すぎて生きるのが辛い
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 13:57:09.50 ID:fVTrUP6o
これ、カスミを孕ませた後なんだよな……
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/25(日) 15:02:28.59 ID:fQRROFw0
茂の嫁って誰だっけ!!1!?
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 01:47:18.57 ID:16fMLmUo
なんで、あの何とかちゃんにはキツく当たってたんだろう
なんとなく無理にああしてるって感じじゃなかったと思うんだけどな
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 02:26:25.53 ID:NvgbuTIo
――――――
――――
――

六の島。
七島のひとつであり、比較的未開拓ながら、
自然が創造した遊歩道が人気を呼ぶ静養地。
亜熱帯に位置するが故に季節を問わず温かく、
ほどよい雨と肥沃な大地が育んだ大自然は、同時に草食ポケモンの楽園でもある。

「ヘルガー、草むらに火をつけちゃダメなんだから。分かってる?」
「まだ冬枯れするような季節じゃないから、火事になる心配はしなくていい」
「でも……」

納得いかなそうなサヤの視線の先で、ヘルガーは草むらをかきわけながら、炎混じりのブレスを撒き散らしている。
恐ろしい形相だけを見れば、獲物を探しているようにしか見えないが、実際はただ慣れない土地に、興奮しているだけだろう。

「お前は珍しく大人しいな」

サヤの頭に乗ったケーシィは、今日はテレポートで遊ぶこともなく、眠ったように目を細めていた。
先輩ポケモンに遠慮しているのかもしれない。
リザ―ドンとピジョットは好き勝手に空を飛び回り、
カメックスとラプラスは水辺で横になり、
フシギバナとカビゴンは大樹の傍で自然と一体化し――各々が休暇を満喫しているようで、俺はほっとする。

「見て、サトシ!あれ!」

俄にサヤが言った。

「あれって?」
「ほら、カメックスの傍!」

指先を辿る。

「虹か」
「反応が薄いわ」
「サヤは、もっと大きな虹が見たくないか?」
「それは、確かに物足りない大きさだとは思うけど……。
 小さくても、虹は虹よ。綺麗だと思わないの?サトシは」

憤慨するサヤ。
カメックスは俺の視線に気づくと、キャノンから高圧水流を発射し、水面を走らせた。
連続して上がった水柱は霧状に変化し、太陽の光からさらに大きな七色の橋を作り出す。
サヤは幼子のように目を瞠り、破顔した。

「……サトシは、わたしの願い事を、なんでも叶えてくれるのね?」
463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 02:37:27.16 ID:3Akw8MDO
空気の読めるカメックス
464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 02:45:21.18 ID:7swnXSko
やるじゃん
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 02:52:51.06 ID:Q/JUObUo
カメックス△
466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 21:43:06.17 ID:A5l1t6SO
カメックスになら掘られてもいい
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 02:28:15.88 ID:rnIE0gSO
私男だけどカメックスに濡れた
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 02:46:34.33 ID:.aBbEC.o
俺のカメックスがハイドロポンプどうたらこうたら
469 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/27(火) 20:53:20.80 ID:SjTaFDEo
こんな時間がいつまでも続けばいいと思った。
悩みを全て忘れて、サヤを楽しませることにだけ、気を遣っていればいい、そんな安らかな時間が。
サヤは虹を眺める惚けた顔はそのままに、唐突に言った。

「サトシ、わたしに隠し事してる。
 サトシがわたしにつく嘘には、二種類あるわ。
 自分のための嘘と、わたしのための嘘。
 ううん……責める気はないの。たしかにサトシは約束を破ったけれど……。
 わたしはサトシが、わたしのために嘘をついてくれてるって、信じてるから」
「サヤ……」

続く言葉を探していると、

「歩きましょう?
 せっかくの散歩道なんだから」

サヤはお尻についた草をはらいながら立ち上がり、俺に手を差し伸べた。
その小さな手になるたけ体重をかけないように腰を上げ、ケーシィ以外のポケモンを格納する。
言葉のない俺とサヤの間を、風が通り抜けていく。
どちらかともなく手を繋いだ。

「………」

サヤは俺の告白を待っているようだった。
伝えるべきなのか。黙っているべきなのか。姉が組織に仇成す暗殺者かもしれない。
そんな不確かな情報で、サヤを悲しませて、何の意味がある――?
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 14:51:34.54 ID:41Rd/oE0
たったいまケーシィの伏線に気付いてしまった、作者様はやっぱり凄い文才だな
471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 16:51:28.76 ID:uG1UXcDO
たったいまハイドロポンプの伏線に気付いてしまった、作者様はやっぱり天才だな。
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 16:57:57.89 ID:qONW6nko
俺の股間がハイドロポンプ
473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 19:42:19.28 ID:Fj5NGQIo
私は乳首から
474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 20:17:52.09 ID:MRzKuxU0
私はお尻から
475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 21:46:42.83 ID:C0tv/YDO
じゃあ僕は毛穴から
476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 23:19:54.83 ID:EpvvEEw0
そういや久々にwiki行ってみたけど、まだ画像増えてたんだな。
相変わらずいいチョイスだ
477 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/29(木) 17:57:34.88 ID:0ocarGco
ひときわ強い風が吹き抜け、脇の木立が悲鳴を上げる。
どこかで、鳥ポケモンの鳴き声が上がる。
草食ポケモンの楽園と呼ばれるこの場所に、野生ポケモンの気配は多く、
しかし大人しい性質なのか、襲いかかってくるものはいなかった。
いつ終わるとも知れぬ散歩道。
逡巡の果ては、向こうから訪れた。

「あれは……」

息を飲む音。
サヤの歩みが早くなり、駆け足になる。手が解かれる。

「お姉様っ……お姉様っ……!!」

事は上手く運んだ。
サヤの進む先、黒いボディースーツに身を包んだカレンを見て、俺は安堵した。

カレンとの接触――それをどうやって実現するか考えたとき、
脳裏を掠めたのは、サヤを餌にしておびき出すことだった。
六の島に行くことをサヤに伝えた後日、サヤは姉に手紙を送った。
自分と姉、そして直近の使用人しか存在を知らないと信じている、秘密の伝書ポッポに、手紙を託した。
俺は北に飛び立ったポッポを捕獲し、ばたつくポッポを押さえたまま、手紙を外した。
手紙には当たり障りの無い近況報告と、六の島に俺と行く旨が書かれていた。
『六の島に来い。話がある』――俺はそこに荒い筆跡で一言書き足し、ポッポを解放した。
本土からも、グレン島からも遠く離れたここ、六の島では、組織の目も届かない。
ましてやその組織の戦闘員である俺が、暗殺者候補のひとりと穏便に接触しようとしていることを、誰が考えつくだろう……。
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/29(木) 19:01:11.45 ID:0ocarGco
鳴き声を上げる頭上のケーシィを胸に抱きしめ直し、サヤは駆ける。

「……………」

こうして姿を見せてくれた以上、尋問するのは、後回しでもいい。
姉妹の再会に水を差すのは無粋だと思った。だから、口を噤んでいた。
カレンが微笑む。
数少ない邂逅を思い返しても、決して俺には向けられなかった、最愛の妹にだけ見せる表情。
俺はそう思い込んでいた。

「……お姉……様……?」

サヤがから足を踏み、まるで目の前の存在を疑うかのように、喉を震わせるまでは。

「まさか――!」

驚愕が俺の行動を遅らせた。
サヤの左手の空気が揺らめく。
人の反応を悠に超越する速度で肉薄した人型ポケモンが、中空で蹴りを放つ。
人の頸椎なら簡単に粉砕できるほどの蹴りが。
サヤは恐れのあまり尻餅をつくことで、奇跡的にそれを躱した。
しかしそれは同時に、次の攻撃から身を守る術を、自分から捨てる選択肢でもあった。

「サヤ!!」

焦りに濡れた思考が、ますます俺を木偶の坊に仕立て上げる。
"二度蹴り"――神速の二撃目が放たれる。
しかし、またしてもその人型ポケモンは空振った。

「お手柄だ、ケーシィ」

背後に"テレポート"したサヤの心情を、今は慮ることはできない。
カメックス、リザ―ドン、カビゴン、ラプラス。
同時に四つのボールを展開する。

「お姉様……お姉様がわたしを……?」
「サヤ」
「嘘よ……どうして……お姉様が……そんなの、あり得ない……あり得ないもの、だって……」
「サヤっ!」

サヤの華奢な肩が震える。

「サトシ、ねえ、答えて。
 どうしてなの。どうしてお姉様がわたしを――殺そうとするのよ!?」
「それは……俺が聞きたいくらいだ。
 今は俺の後ろで、ケーシィと一緒に隠れていろ。絶対に前に出てくるな」
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/29(木) 19:09:47.67 ID:0yDQNZMo
ケーシィGJ
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/29(木) 20:46:58.41 ID:a8fFeMDO
ちょっとケーシィ育ててくる
481 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/29(木) 23:15:21.88 ID:0ocarGco
ポケモンは三体に増えていた。
ウィンディ、ブースター、そして最初にサヤを襲った人型の新種ポケモン。
長い鬣は白く、それ以外の体毛は炎のように橙と赤が入り交じっている。

「カレン、これは罠じゃない。
 俺はお前と、話がしたい!」

返答は、攻撃の合図だった。
カレンの指が鳴る。三匹のポケモンが動き出す。

「守れ。絶対にサヤを傷つけさせるな!」

四体の護り手を奮起させながら、推測する。
なぜカレンは妹を、サヤを攻撃した?
これが自分を『殺害する』ために誘き寄せる罠で、サヤがそれに協力していると思ったからか?
しかしその仮定には、カレンが実際に暗殺者であるという前提が伴う。
いやまて、そもそもカレンにサヤを傷つける行動がとれるはずないんだ。
だがカレンはあの人型ポケモンで、サヤに攻撃しようとした――。
逆説に次ぐ逆説。
それらを全て肯定できる説明はひとつ。

カレンは、
壊れているのかもしれない。

「カビゴンは身体を盾に」

小山のような巨体が、サヤの正面に聳え立つ。

「ラプラスは炎の防護、余裕があれば"棘キャノン"で牽制」

前衛の死角から放たれる"火炎放射"を、ラプラスの高い状況把握能力で処理し、

「リザ―ドンとカメックスはそれぞれの判断で動け」

前衛の二体で、相手三体を戦闘不能にする。
それがサヤを護りながら、カレンの説得を試みながら、戦う最善手だ。
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/29(木) 23:58:19.06 ID:0ocarGco
「もしも心当たりが無いなら、聞き流してくれ。
 かなり前から、誰かが組織の人間を殺して回っていることを、カレン、お前は知っているか」

カメックスの"ハイドロポンプ"を軽やかなステップで躱し、
人型ポケモンは"電光石火"で距離を詰め、アッパーを繰り出す。

「今まで手がかりを残さなかったそいつは、
 最近、生き残った戦闘員のひとりに、特徴を知られた」

カメックスは身を引いて、カウンターの"頭突き"を叩き込む。
よろめく人型ポケモン。
追撃の"ハイドロポンプ"は、しかしウィンディの"神速"を脇腹に受けて、明後日の方向に放たれた。

「そいつは、『燃えるような赤髪』だったそうだ」
 
リザ―ドンがはき出す巨大な炎の玉が、空からブースターを追い詰める。
四方をクレーターで囲まれ、躱す場所が無くなったところを、最大出力の"火炎放射"が襲う。

「たったそれだけの特徴でも、組織にとっては十分だ。
 組織の人間を何人も葬れるほどの実力を持つトレーナーは、そう多くない。
 そして、」

ブースターは真っ向から、炎の玉を撃ち返し、相殺した。
間断なくクレーターを飛び越え、振り向きざまに、ラプラスとカビゴンの隙間を狙って鋭い"火炎放射"を放つ。
ラプラスはこともなげに、冷気を帯びさせた水の壁で、それを防ぎきった。

「カツラ博士はおそらく、カレンのことを調査部隊に伝えている。
 赤毛で、組織に恨みを持ち、その戦闘員を倒しうる実力の持ち主として……」

カツラはカレンが、人やポケモンを殺せない臆病者だと言ったが、
現にカレンはサヤを攻撃した。人が簡単に死んでしまうほど強力な技で。
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 00:01:53.39 ID:gMGSCBko
カレンつえええええ
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 00:39:38.42 ID:Vk3QI8Mo
ブースターに炎技で攻撃するのは無意味だぞ・・・
485 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/30(金) 00:45:21.84 ID:ZHWZMcwo
>>484
それはほら……あのね……?
こう……炎の熱で……地面を溶かす的な……
クレーターにはめた上で……上から踏みつけるつもり的な……

ごめんなさい特性もらい火忘れてました
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 01:15:10.16 ID:dOg/miAo
こまけぇこたぁいいんだよ
相殺してる図とか容易に想像できるし、なにより定番ネタでかっこいいしな
487 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/07/30(金) 01:21:38.17 ID:ZHWZMcwo
緑の溢れた散歩道は、今は見る影もない。
カレンは惨状を眺めている。まるで感情を失った人のように、暗い目で。

「カレン……お前じゃないなら、そう言ってくれ」

心のどこかで、平坦な声が言った。

サヤにポケモンを嗾け、お前の問いに黙秘を貫いていることからも、答えは明らかだ。
下手人はそいつさ。
組織の命に従い、殺せ。
今やらなければ、そいつはこの先、さらに多くの損害を組織にもたらす。

「………俺は………」

俺はどうすればいい。
カレンが暗殺者である可能性は極々わずかで、現実にはまず起こりえない。
最悪のケースを考えていなかった。
サヤとカレンが再会の喜びを分かち合い、俺の疑惑は笑い飛ばされる。
そんな、何の根拠もない想像を描いていた。
これからしばらくは大人しくしているよう諭し、逃がすべきか。
それとも、サヤの目の前で……。
そのとき、"地震"には遠く及ばない、局所的な振動が、俺の身体を揺さぶった。

「………カビゴン?」

しこを踏んで、目を覚まさせてくれたのか。
カビゴンはまるで緊張感の無い、のんびりした顔でおなかをぼりぼりと掻いている。
虚を突かれ、乱れていた思考を整理する。
すると、目の前の光景と、第六感が告げる事実の矛盾が露呈した。
突然始まった高レベル帯のポケモン同士の戦いに、付近の野生ポケモンは一匹残らず逃げ出している。
この場でボールから出ているポケモンの数は、目視できるだけで九体。
しかし俺の第六感――ポケモンの思考を読み取る能力――は十体の存在を主張している。
荒れ果てた草原にポケモンが潜める場所はない。
残りの一体の正体に、すぐに思い当たる。

「どうしてもっと早く気づかなかった……俺は大馬鹿だ。
 カビゴン、"破壊光線"の準備をしろ」
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 01:41:06.76 ID:igBaTF6o
新種はバシャーモか?

そういや、ルビーサファイアと赤緑は近い時の話って聞いたな

489 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 02:03:45.00 ID:ZHWZMcwo
ポケモンの技量は、個々ならリザードンやカメックスが圧倒している。
しかし二対三の数的不利が、前線を拮抗させている。
倒すことも、倒されることもない状況。
が、カビゴンの最強技を使う理由は、停滞を打破するためではない。

「目標――カレン」

回避も、防御も許さない。
ブースター、ウィンディ、人型ポケモンの三位一体の攻撃を、カメックス、リザ―ドン、ラプラスが防ぎきる。
充填が終わる。
俺はこの無意味な戦いを終わらせることに、全神経を集中させていた。
サヤのことを、意識の外側に追いやっていた。それが誤算だった。
白の閃光ははるか彼方の雲を裂りさき、やがて光の粒子となって消えた。

「カビゴン!?どうしてあのタイミングで外し……」

数歩先の大地が砕かれる。石礫が頬を掠めた。
サヤが、カビゴンの背に触れていた。
たったそれだけで、状況を理解できる自分が憎い。
こうなることは分かっていたはずなのに。
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 02:10:44.41 ID:gMGSCBko
カビゴンェ…・・・
491 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/30(金) 02:17:37.60 ID:ZHWZMcwo

「酷いわ……最初からこうするつもりだったの……?」
「サヤ、違うんだ。俺は……」
「わたし、サトシのことを信じていたのよ……っ……なのに……」
「俺の話を聞いてくれ!」
「それなのに……お姉様を、[ピーーー]つもりだったなんてっ!」

サヤは譫妄状態にある。
自分がカレンに攻撃されたことも忘れて、姉を庇っている。
いや……最初からそれが姉妹として、正しい感情なのか?

「お姉様!聞いて!わたしは違うのっ!
 お姉様のことを誘き出すために、手紙に六の島に来ることを書いたんじゃないの!
 安心して、お姉様。わたしはお姉様のことを信じてるから……。
 お姉様がサトシが言ってたみたいなこと、するわけない。
 お姉様のことは、わたしが守るわ。だから……!」

サヤがカビゴンから離れ、ラプラスの防御線を越えて、カレンに近づこうとする。
俺は最早無意味であることを知りながら叫んだ。
黒幕がいるなら、ここで動かずしていつ動く。

「やめろ!行くなサヤ!そいつは、」
「君の愛しい姉上ではない。紛い物さ。
 即席とはいえ……優秀な役者揃いで欣快の至りだ。迫真の演技、実に素晴らしかったよ。
 もっと早く見破られると思っていたが、存外、長持ちしたね」

気障な声が、朗々と響き渡る。
カレンの形をしていたそれが、薄紫色のドロドロした液体に変化する。
メタモンの擬態を見抜けなかった言い訳は、いくらでもできる。
ひとつ、戦闘が始まるそのときまで、豊富な野生ポケモンの気配が、メタモンの気配を誤魔化していたこと。
ひとつ、その擬態があまりに精巧だったこと。
擬態のレベルは、対象をいかに長く、近くで観察できるかで決まる。
妹の目を騙すほどの擬態……おそらく、本物のカレンは……。
声を発しない時点で、疑うべきだった。
そんなことができないくらい、俺は緩んでいた。弱くなっていた。

「お姉様……何……何がどうなってるの……?」

最初のときの焼き直しが始まる。
サヤがから足を踏み、茫然としているところを、突如、何もない空間から現れた"金髪"が羽交い締めにした。
肩にはカメレオンのような姿形をしたポケモンが乗っている。

「手垢のついた台詞だが、『痛い目に遭いたくなければ大人しくしていることだ、お嬢さん』。
 僕はレッドと――いまさらコードネームで呼ぶのも無粋か――サトシと話がしたい」

驚きを隠せない。だが一方で、この現実を冷静に飲み込める自分がいた。
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 03:06:27.55 ID:EiNEukSO
俺もメタモン使ってイケメンになればセックスできるかな
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 03:36:22.36 ID:WfMsaBAo
わくわくするなあ
3vs4+1なのに目視9体気配10体ってつまりどういう事だってばよ?
と思ったらそういう事か!大した奴だ・・・
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 08:19:01.12 ID:Kih24Zg0
カビゴンでさえ触っただけで服従させろるなら
ケーシィのテレポートで相手に近づいて触ればどんなポケモンにでも勝てるよね^^
495 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/30(金) 10:56:49.85 ID:ZHWZMcwo
「全く歯が立たない事態も想定していたが、
 意外と、二軍の炎タイプでもいい勝負が出来たね。
 このお嬢さんの存在が足枷になっていたのかな?
 バシャーモ、ウィンディ、ブースター、戻れ」

金髪がポケモンを格納する。
俺は言った。

「お前が……やったのか……?」
「そう逸るなよ、サトシ。まずはポケモンを仕舞いたまえ。
 紳士的にいこうじゃないか?」

サヤが首根を押さえられた小鳥のような声を上げる。
従うしかなかった。

「みんな、戻れ」
「へえ、よほどこのお嬢さんが大事か」

金髪はサヤの耳許にささやきかける。

「羨ましいよ。そして同時に残念だ。
 サトシはただの人間とは隔絶した人間だと思っていたのに。
 君のせいだったんだね。ずうっと不思議に思っていたんだ。
 僕という完璧な存在が傍にいながら、どうしてサトシがいつも遠い目をしていたのか……」
「やめろ。サヤは関係ない!」
「それがそうでもないんだよ。このお嬢さんだって大事な役者の一人だ。
 幕切れまで、降りることは許されない」
「もう一度訊く。お前が、組織の人間を殺したのか」
「どうせ最後なんだ。気前よく教えてあげるよ。
 そうさ。僕がやった。僕がポケモンや人を殺めることに精神的な安心を得ていることは、話したはずだ。
 けどね、組織に入った頃からかな……。
 僕は野生ポケモンや、任務で相手するトレーナーやポケモンを殺しても、満足できなくなっていた。
 弱すぎるんだ。まるで歯ごたえがない。僕は悩んだよ。すると、あることに気がついた。
 組織の大半の戦闘員は、自惚れて、ポケモンの能力に依存しきっている。
 一般トレーナーに毛が生えた程度、唾棄すべき屑だ。
 でも、稀に本物が混じっていた。僕と対等に渡り合えるほど、強い適格者が」
「そんな理由で……」

金髪は爽やかな笑みを浮かべて、

「そんな、とは酷いな!
 僕にとっては死活問題だというのに。
 僕の殺しは芸術的なまでに完璧だった。
 死体は絶対に見つからない。例外なく"失踪扱い"になった。
 任務で数多の雑種を殺し、時折、組織で頭角を現した適格者を摘む……このサイクルが永遠に続くはずだった。
 サトシ――君が現れるまでは」
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 11:44:45.78 ID:ZHWZMcwo
金髪の笑みは恍惚としたものに変わり、

「一目で気づいた、といえば嘘になる。
 だが、任務を共にこなして、確信した。君はあのサトシだ。
 ポケモンリーグ史上最強と謳われたあのサトシだ。
 告白すれば、僕は君の大ファンでね、公式試合は欠かさず見ていたんだ。
 組織の戦闘員の大概は、君のことを表の世界で最強と嘯く道化だと笑っていたが、
 僕は、君が本物だと気づいていた。嘘じゃない……。
 僕は君と手合わせしてみたかった。しかしそれが叶わないことも承知していた。
 方やポケモンリーグのチャンピオンであるサトシ、方や公式戦出場権を剥奪され日陰の世界に落ちた僕。
 交わることなどありえない、ってね。
 しかし何の因果か、君は僕が出会いに行くまでもなく、組織の一員として目の前に現れた。
 僕がどれほど幸せな気分になったか、君は想像できないだろうね。ふふっ」

想像したくもない。
吐き気がした。

「すぐに君を[ピーーー]つもりはなかった。
 僕は審美家だ。君のポケモンの扱い方、適格者としての能力、それらを全て見極めたかった。
 素晴らしいの一言に尽きたよ。
 『感覚共有能力』とでも言えばいいのかな、あれは……自分とポケモンの五感をリンクし、自身をサーバーとして全員で共有する。
 これによって君はその場にいる誰よりも的確な指示を出すことができ、
 同時にポケモンの連携・フォロー技術は飛躍的に向上する。そうだろう?
 当て推量で言っているつもりはないよ。
 任務をともにするときは、ずっと君を観察していたんだからね」
「……………」
「肩書きこそ幹部候補だが、君は実質的に、最強クラスのトレーナーだ。
 君を観察しているあいだは、逸る自分を抑えるのに苦労した。
 おかげでストックしていた適格者を、間をおかずに殺してしまった。
 暗殺の疑いを組織上層に抱かせてしまった」
「お前は、狂ってる」
「あはははっ。いったい何度君にそうやって蔑まれたことだろう?
 心地良いよ。最高の誉め言葉だ。君たちはその狂人に殺されるんだ」
「俺やサヤを殺した後も、のうのうと組織に居残れると思っているのか?」
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 12:05:36.57 ID:tOlm02AO
支援
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 12:31:16.94 ID:ZHWZMcwo
「言ったじゃないか。僕の計画は芸術的で、完璧だ。
 君たちを暗[ピーーー]るのは、僕じゃない。このお嬢さんの姉上さ。
 エンジュシティで、君が襲われたとき、僕は一部始終を見ていたんだ。
 君は気づいていなかったようだが……。
 諜報部の友人を通して、調べはすぐについたよ。
 君を襲った赤毛の女がカツラ博士の長女で、彼女が組織を強く恨んでいることを知ったとき、僕は彼女が使えると確信した」
「カレンを、身代わりにするつもりか?」
「筋書きはこの通りだ。
 幹部候補レッドはとカツラ家次女サヤと六の島滞在中、
 以前から組織構成員を無差別に殺害していたカツラ家長女カレンの襲撃により死亡、
 次女も巻き添えとなり、後にそれを知った長女は、悔悟の念により自殺を遂げる」

カレンの名を聞いて、気を取り戻したのか、サヤが掠れた声で尋ねた。

「……お姉様は、今、どこにいるの?」
「さあね。生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない」
「どうして、こんな酷いことをするの?
 どうして……こんな酷いことができるのよ」
「……僕は"少し"殺しすぎた。
 ここら辺で休む必要がある。最後の相手には、君が相応しい」

金髪はボールをひとつ、展開する。
一匹目、ストライク。
あの通常の個体とは一線を画した大きな鎌で、いったい何匹のポケモンが首を刈られてきただろう。
二匹目、サーナイト。
魔的な美貌に据えられた二つの紅玉は、老練のエスパーポケモンさえ幻の奈落に突き落とす。
どうすることもできない。
金髪がサヤを羽交い締めにしている以上、ケーシィの"テレポート"は無意味だ。

「どうしたんだい、サトシ。
 君も二体、ポケモンを出すんだ。タッグバトル――最近の公式戦に則った"試合"をしよう」
「試合……?」
「そうさ、僕の夢を叶えてくれ。どちらが強いか、証明するんだ。
 僕が勝てば君たちはポケモン共々、晴れてあの世行き、
 君が勝てばこのお嬢さんを解放してあげるよ。願ってもない申し出だろう?」

嘘だ。もし俺が勝ったところで、金髪はサヤを手放さない。
それが分かっていながら、俺は金髪の言葉に乗らざるを得なかった。
499 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/30(金) 12:41:54.19 ID:ZHWZMcwo
サトシ「ウオオオいくぞオオオ!」

金髪「さあ来いサトシ!」

サトシの勇気がサヤを救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました! (嘘


教習に行ってきます
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 13:44:47.26 ID:eMz.nEDO
面倒くさくなったのかと思ったww
いってらー
事故らないようにね
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 13:49:04.63 ID:Zk8RKkAO
ちょwwww

いつも乙!
いってらーノシ
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 14:23:11.87 ID:ekTgpADO
頑張れよー
いつも見てるぞ
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 14:26:47.72 ID:WfMsaBAo
ポケモンマスターサトシwwwwwwwwwwww
いい最終回ダッタナー

どうぞお気をつけて
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 14:55:37.49 ID:9W/cvzgo
びびったわwwwwww
しかし続きがきになるなおい
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 15:53:25.23 ID:gMGSCBko
くっそわろたwwww乙
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 20:40:24.28 ID:ZHWZMcwo
「行ってくれ、リザードン、ラプラス」
「ストライクに有利な炎タイプと、サーナイトに対抗するエスパータイプか。
 ……合理主義者の君らしい、無難な選択だね」

一体のエスパータイプは、二体の物理タイプに勝る。
サイコキネシスは多様性に富む技で、
精神汚染するタイプと、動きを封じる等の肉体に影響を及ぼすタイプがある。
防ぐには同じエスパータイプのポケモンで、相手のPKに干渉するしかない。

「飛べ、リザ―ドン。ラプラスはリザ―ドンを援護しろ」

金髪は唇の端をつり上げて笑う。

「そんな甘い指示でいいのかい、サトシ?
 僕のサーナイトは援護と攻撃を同時にこなす」

サーナイトの瞳が妖しい光を放つ。
リザードンの離陸を妨害するためではなく、ラプラスを直接攻撃するために。
"テレポート"で死角に回り込み、"念力"で加速させた"マジカルリーフ"。
高速で飛来する木の葉の刃を、ラプラスは視認せず、"念力"で失速させた。
"サイコキネシス"に移行しようとするサーナイトに、すぐさま同等の"サイコキネシス"で干渉する。
リザードンさえ飛び上がれば、戦いは俄然こちらに有利になる。

「よく防いだね!
 任務でも使わなかった秘密のコンボだったのに」

ストライクの"電光石火"は、風を置き去りにした。
一陣の風がリザードンの尾炎を揺らす。
そのとき既に両手の大鎌は、リザードンの急所に迫っていた。
最小限……よりもわずかに足りない動きで攻撃を躱し、至近距離から火の玉を放つ。
ストライクはそれをアクロバットな挙動で真上に回避、自身の回転速度を加えた神速の"切り裂き"を繰り出す。
視界――正確にはリザードンの――が赤に染まった。右目の上あたりをさっくりとやられたらしい。
初激を完全に躱さなかったことで、正中線に沿うようにして胸にも切り傷を負ってしまった。
攻撃が速すぎる。中距離を得意とするリザードンには辛い。
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 21:09:53.05 ID:ZHWZMcwo

「近づかせるな!"炎の渦"だ!」

太い尾で周囲を薙ぎ払いながら、炎の螺旋を創り出す。
ストライクはバックステップで安全圏に逃れた。これで少しは時間が稼げる。

「"冷凍ビーム"、"念力"。相手の得物を利用しろ」

PK干渉は中止。干渉をやめたことでリザードンの思考が汚染されていくが、今はいい。
ラプラスは周囲に落ちた"マジカルリーフ"を凍てつかせ、
格段に切れ味を増した氷刃として、サーナイトを全方位から狙い撃った。

「逃げ場はどこにだってある。なあ、サーナイト?
 "テレポート"、"催眠術"」

金髪の涼しげな声。
ラプラスの目前に"テレポート"したサーナイトの紅玉が、眠りに誘う光を放つ。
だがそれは、想定通りの反撃だった。

「"妖しい光"」

瞳術が至近距離で交錯し、互いの瞳に吸い込まれていく。
もたらされるはずの混乱と眠り――しかして正常に技が機能したのは、ラプラスのみだった。

「"神秘の護り"か……!」

宙に浮かんでいたサーナイトが、地に落ちる。
リザードンの思考ノイズが消える。

「飛べ、今なら行ける!」

炎の渦を突き抜けて、翼竜が大空に飛び出す。
リザードンはストライクのアウトレンジから、圧倒的な"火炎放射"を繰り出す――はずだった。

「誰が勝手に飛んでもいいと言ったんだい?堕ちろ」

リザードンの体が青白く発光し、羽ばたきが止まる。
"サイコキネシス"!?だがサーナイトはもう――。

「ラプラス、"サイコキネシス"だ!」
「今更干渉かい?遅すぎるよ。"封印"」

翼竜の巨体が墜落する、鈍い音が鳴った。
リザードンの視界が激しく揺れ、止まる。喀血が目の前の草花を赤く濡らした。

「サーナイトは"催眠術"をかける直前に、"神秘の護り"に気づいていた。
 それで技を中止して目を瞑り、あたかも技を掛け合った末に混乱したかのように振る舞ったのさ。
 ふふっ、彼女は名女優なんだ」
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 21:12:25.19 ID:gMGSCBko
♀かよ
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 21:25:22.84 ID:CuyvZaEo
リアルタイムきたああああああああああ
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 21:28:31.03 ID:9W/cvzgo
ラプラスはエスパーじゃなくね?
511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 21:33:40.12 ID:ZHWZMcwo
>>510
qあwwせdrftgyふじこlp;@:「」
あばばばばばば
ラプラス みずとこおり じゃん 念力なんて使えないじゃん
しかしサイコキネシスが技マシンによって使えたのが唯一の救い^ー^;

以下修正マジック


「"冷凍ビーム"、"念力"。相手の得物を利用しろ」 ×
「"冷凍ビーム"、"サイコキネシス"。相手の得物を利用しろ」○
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 21:40:20.73 ID:CuyvZaEo
> サイコキネシスは多様性に富む技で、
> 精神汚染するタイプと、動きを封じる等の肉体に影響を及ぼすタイプがある。
モノに作用するタイプは?

> 高速で飛来する木の葉の刃を、ラプラスは視認せず、"念力"で失速させた。
これもついでに
513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 21:45:04.39 ID:tzht9sgo
ふじこ久しぶりに見たww
514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 21:47:22.79 ID:ZHWZMcwo
> サイコキネシスは多様性に富む技で、
> 精神汚染するタイプと、動きを封じる等の肉体に影響を及ぼすタイプがある。

×

> サイコキネシスは多様性に富む技で、
> 精神汚染するタイプと、動きを封じる等の物体に影響を及ぼすタイプとがある。



> 高速で飛来する木の葉の刃を、ラプラスは視認せず、"念力"で失速させた。

×

> 高速で飛来する木の葉の刃を、ラプラスは視認せず、"サイコキネシス"で失速させた。



               _______
    :/ ̄| :  :  ./ /  #  ;,;  ヽ
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 | ___)  ::|   .>;;;;::..    ..;,.;-\
 ヽ__)_/ :  /            \
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 22:03:26.71 ID:gMGSCBko
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 22:22:59.30 ID:J0PrlZYo
わらた
517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 22:23:39.43 ID:yDsDqf20
今日の作者かわいいな
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 22:25:28.94 ID:J0PrlZYo
上位?のサイコキネシス覚えるんだから、念力ぐらい使えるんじゃないか?ラプラスは
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 22:26:32.16 ID:ZHWZMcwo
ストライクがリザードンの元へ、悠然と歩み寄っていく。
ラプラスの"サイコキネシス"は"封印"された。
サヤが解放される見込みはなく、胸に抱かれたケーシィは幼すぎる。
"テレポート"の連続使用可能特性は、熟練のポケモンにはまだ通用しない。
サーナイトのような強力無比な技との連携があって初めて、"テレポート"は生きる。
これ以上戦いを長引かせる方法は、最早どこを探しても見つからないように思えた。

「弱いな。これが『最強』か?
 これが僕の期待していた『サトシ』なのか?」

金髪の手がサヤの体をまさぐる。
サヤの表情が、嫌悪と恥辱に歪んだ。

「君も失望だろう?
 サトシが囚われの君を救うこともできない、
 情けないポケモントレーナーだったことが証明されて」
「そんなことない!サトシは……あなたよりも強いわ!」
「面白いことを言うね。僕も、ポケモンも、まだ本気を出していない。
 それでも君は、まだ同じことが言えるのかい?」
「何度だって言うわ。サトシは、あなたなんかよりもずっと強いのよ。
 わたしの先生は、誰にも負けないんだから。
 ねえサトシ、わたしのことは気にしなくていいわ。……だから、全力で戦って!」
「おやおや、恋は盲目だ。このお嬢さんは君が全力を出せば、僕に勝てると思っている!」

金髪は高笑いし、しかし思い当たる節があったのか、

「ピカチュウを出せ」
「…………」
「どうした?
 君が表で活躍していた時代、最強のパートナーとして名を馳せた、あのピカチュウがいるだろう?
 そういえば、任務では一度も見たことが無かったな。
 出し惜しみせずに、さっさとしろよ。さもなくばリザードンの首が胴体とお別れの挨拶をすることになるぜ」
520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 22:30:09.69 ID:tzht9sgo
と、ここでネタばらし。
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/30(金) 23:02:47.59 ID:ZHWZMcwo
「………」
「これは脅しじゃない、命令……何がおかしい?」

身の置かれている状況を忘れて、笑ってしまう。

「気にしないでくれ。ただ、懐かしかったんだ」
「何を言ってるんだ、君は?」

金髪の笑みが、気味が悪いものを見るような表情に変わる。
そう、ただ俺は、束の間の懐古に浸っていただけだった。

『ピカチュウを出せ!』
『お前の電気鼠と戦いたい』
『あなたのピカチュウと、手合わせさせてくれませんか』

ポケモントレーナーになって、そこそこ名が知られた頃。
旅路の野良試合で、何度、ピカチュウの召還をせがまれたことだろう?
俺とピカチュウは、ふたつでひとつの存在だった。一心同体だった。
それが、今では……。

「もう、いないんだ」
「何だって?」
「言葉の通りだ。もう、ピカチュウは、いない」
「なんだ、……死んだのか?」

金髪の笑みが復元する。
サヤは唇を噛み、必死に感情を押し殺しているようだった。
では俺は今、どんな表情をしているんだろう。

「それならそう、早く言え。要らない期待をさせるな」

金髪は左手の腕時計をわざとらしく眺め、

「時間はたっぷりあるが、無駄遣いはしたくない。
 僕が君よりも強いことを証明できた今、君を生かしておく意味はどこにもないんだ」
522 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/30(金) 23:48:57.62 ID:ZHWZMcwo
メタモンが盛り上がり、カレンの姿をものの数秒で再現する。
贋物のカレン両手では艶やかに髪をかき上げ、厚ぼったい唇を動かした。
声は伴っていないが、こう読み取れた。

――シネ――

金髪はどこまでも演出に拘泥した。
その性質が、本人曰く"芸術的な"計画を失敗に導くとも知らずに。

それから、濃密な五秒が流れた。
最初に小気味よい音が鳴った。その音の出自は、ポケモントレーナーなら誰もが知っている。
ボールが、アタッチメントから外れる音。
ケーシィはサヤの胸に抱かれたまま、ずっと足で、サヤのベルトに装着されたボールを探していた。
"念力"は対象を視認するか、正確に対象の位置を把握する必要がある。
はじき飛ばされたボールが宙を舞う。
「"鎌鼬"」金髪がストライクに指示した。
「ダメっ!」サヤがケーシィを制止した。
前者は従い、後者は逆らった。
そのときのケーシィが何を思って行動したのか、今となっては知ることができない。
ボールを抱えて安全地帯に逃れようとしたのかもしれないし、
"念力"では加減がつかめない開閉スイッチを手動で作動させようとしたのかもしれない。
ぱっ、と赤い花が開いた――としか形容できない光景がそこに生まれた。
結果として、ケーシィは胴の半分を断たれながら、ボールが破壊されるのを防いだ。
赤一色に染まったボールが、中空で展開される。
ケーシィの体はヘルガーと入れ替わるようにして、草むらに消えた。
サヤは絶叫した。

「撃って!!」

金髪の顔が凍りついた。
狙い澄まされた紫の炎が駆け抜ける。
金髪は咄嗟にサヤを突き飛ばした。
サヤの長い髪は、毛先から肩口にかけてを焼失した。
金髪の右手は、一瞬の躊躇いが災いし、おぞましい火傷を負った。
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 23:50:13.05 ID:ZHWZMcwo
今日は結構頑張った
寝ます(^0^)
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 00:08:03.56 ID:VWNixUwo
お疲れ!
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 00:34:36.86 ID:9JgJw9Ao
あ、サトシを介してポケモン同士も共有できるのか
マジチートだな
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 00:40:01.44 ID:VOYw2v6o
乙!ケーシィ度重なるGJ
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 00:41:44.34 ID:9JgJw9Ao
ちょっとケーシィでポケモンマスターになってくる
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 00:52:15.39 ID:kh.oJMDO
お疲れ

ちょっと疑問に思ったんだが…この世界で銃火器とポケモンを併用する奴はいないのかな

トレーナーの資質や礼儀なんかを考えなければ、一番効率の良いやり方だと思うが…

それともこの世界はそういう文明は退廃したのかな

長文でごめん
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 01:06:57.24 ID:d.SOeMSO
岩タイプ等にはきかない希ガス
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 01:12:21.66 ID:o7ROaW6o
ポケモン自体が兵器転用されてそうだし、そういうのはないかもしれない
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 01:24:11.58 ID:VWNixUwo
銃火器が効くポケモンは何だろうな
ノーマルタイプくらいじゃないか?
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 02:19:39.12 ID:G6R8Mcso
岩鋼ゴースト以外みんな効くんじゃないかね
533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 02:24:50.52 ID:68LbxKoo
そもそも重火器があるかどうか不明だと思うんです
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 02:36:14.23 ID:9JgJw9Ao
かなり昔から戦争では鎧着たポケモンが使われてるしな
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 02:36:52.12 ID:VOYw2v6o
なんか映画であったな
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 02:49:05.04 ID:IXhzhkDO
あの世界は案外ポケモンに頼りきりってわけでもないから重火機はともかく拳銃くらいならありそうだな

実は技術力の正体が大量のビリリダマによる発電所とか大量のエレキブルによるリニアだったら笑う
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 04:34:13.82 ID:zoqpQtco
クチバの新築ビル建設もゴーリキーがやってる位だからな・・・
シルフ本社辺りはひょっとして、ヤマブキの2つのジムの肉体と超能力を駆使して建てられたんじゃないか

カビゴンに拳銃撃ったらおなかでボヨンと反射されて銃弾が跳ね返ってくるって光景が思い浮かんだ
海賊漫画の読みすぎかもしれない
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 09:13:39.46 ID:T6bh.kDO
あ、でもうーうーみたいに実体化できるのもいるし(ピッピ受け止められるように)
ゴーストタイプには隙をつけば弾あたるのかな?

カビゴンと同じくポヨンしたらかわいいなぁ
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 11:18:12.23 ID:d.SOeMSO
そういやサファリパークじゃ石投げるからな
ゴーストタイプがいたかは覚えてないが

つーかカビゴンに銃弾は血を吹く惨事しか思い浮かばん
540 : ◆Ec95DXH7wk :2010/07/31(土) 22:35:10.21 ID:jv80pxco
「うぁ、ああ、あああああああ!!!!!!」

金切り声が木霊する。
金髪は眼球が飛び出しそうなほどに目を見開き、
荒い呼吸を繰り返しながら、右手の激痛を堪えていた。

「サトシ!ケーシィが、ケーシィが……はやくポケモンセンターに連れていかなくちゃ……!」

サヤは目に涙を浮かべながら、草むらに消えたケーシィを探している。
阿鼻叫喚の絵図の中、情動を殺し、第六感を研ぎ澄ませた。
ケーシィの犠牲によって、サヤは金髪から距離を取った。
ヘルガーが召還された以上、再び人質にされる心配はない。もはや時間稼ぎは必要ない。
金髪を無力化することだけに全力を注げばいい。

「サヤ、ヘルガーを正面に置いて、下がっていてくれ」
「いやよ!あの子を放っておくことなんて、できない!
 サトシを一人で戦わせたりもしない!
 わたしもヘルガーと一緒に戦って、」
「下がれ。ケーシィのことは諦めろ。あいつの相手は俺がする。
 今のサヤは、足手まといだ」
「っ……」

サヤを傷つけない言い方を考えている時間は無かった。
集中力を限界まで高めていく。
無数に散在する匿名の精神波から敵性のそれを抽出し、監視下に置く。
感覚共有は、進化する。

「はぁ……ああっ……僕の体を傷つけたな……!!
 よくも、よくもよくもよくもよくも……許さない……許さないぞ……!!
 首を切り取れ、ストライク! 動きを封じて嬲り殺せ、サーナイト!」

指示を受けるまでもなく、ストライクは"剣の舞"を終えていた。
サーナイトの瞳が赤く光り、ラプラスの体が青白く光る。
大幅に攻撃翌力を増した"切り裂く"。
"サイコキネシス"による行動制限と追撃。
しかし現実は、金髪の願望とは真逆の様相を呈していた。
リザードンは振り下ろされた大鎌の付け根をつかみ、
起き上がりざま、尻尾でストライクを真横から薙ぎ倒した。

「どうし……て……」

金髪の呟きに、氷像と化した抱擁ポケモンは沈黙で答えた。
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 23:46:54.20 ID:68LbxKoo
攻撃翌翌翌力?
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 23:52:48.82 ID:PWUxdMAO
>>541 こまけぇことはいいんだよ

ここは予想厨とか再生厨が湧いてないだけマシだな
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 23:54:04.15 ID:68LbxKoo
>>542
ごめん

結構治安はいいよね
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 23:54:36.24 ID:dH.OvdQo
攻撃翌翌翌力って結構よく見る表現だが
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 23:56:56.64 ID:dH.OvdQo
sagaらないと3つに増えるのか
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 00:08:13.05 ID:EJMIlRco
攻撃翌翌翌翌翌翌翌力ってどこから出てきたんだ?
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 00:09:15.29 ID:EJMIlRco
あースマン、把握しました
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 00:56:13.06 ID:2c4RIqso
攻撃翌力 こうげきりょく
攻撃翌翌翌力

翌翌翌
翌翌翌翌翌
549 : [sage]:2010/08/01(日) 00:57:32.70 ID:2c4RIqso
>>548
上から
こうげきりょく
こうげきよくりょく
よく
よくよく
よくよくよく
これでこれ以上は書き込まなくても解ってもらえると信じてる
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 01:06:06.94 ID:0Ld/UeIo
予想中がいないのはタイチ予想の悲劇があったからだろうな
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/01(日) 01:50:07.55 ID:jv6S3UAO
wikiから来た人も多いのかの
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/01(日) 01:58:31.87 ID:ACOU71wo
今までこのSSでは魔力とか攻撃力とか出てこなかったのか
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 02:00:38.89 ID:JfYC2Mco
ピカチュウ最強でしたし
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 02:02:55.13 ID:fn5NyZUo
ピカチュウの第六機関開放で皆殺し余裕でしたって感じですし
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 02:09:52.70 ID:2c4RIqso
ですしおすし
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 02:39:39.74 ID:bfDc76DO
寿司食べたくなったじゃねーかどうしてくれる
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 02:42:40.34 ID:2c4RIqso
たべたいならたべればいいじゃない
558 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 09:28:59.48 ID:EycizEQ0
寿司虎おいすいでつ(゜p゜)
559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 13:42:12.65 ID:bCqpSQAO
朝からすしかよww
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 14:51:55.99 ID:wJ1R4oSO
お寿司フイタwwww
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 17:41:22.68 ID:fAbfKww0
ヤバいうんも漏れたorz
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 18:15:21.48 ID:fn5NyZUo
それは報告しなくていいです
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 19:38:55.12 ID:EJMIlRco
それより今日スーパーでお寿司買ってきたんだよwwwwww
そしたらさwwwwww賞味期限切れでさwwwwww
時すでにお寿司ってなwwwwww
やかましいわwwwwww

564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/01(日) 19:58:42.11 ID:l5OkhAc0
作者が来るようになったからか最近は賑やかだな
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 21:21:08.10 ID:s./zhN.o
俺もそうだけど、みんな嬉しくてつい書き込んじゃうんだよ
しかし>>563は嬉しすぎてどこかおかしくなってないかどうか心配だお・・
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 22:25:25.85 ID:EycizEQ0
ぼくも(^q^)
567 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/01(日) 23:38:38.43 ID:YbXlF/Mo
「ありえない……ありえないありえないありえないありえないっ!!」
「サーナイトは自滅したんだ」
「まさか――ベクトル変換?いや、違う、そんなことは不可能だ!」
「理論上は、の話だろう?」
「即興で組み立てる"サイコキネシス"のアルゴリズムを解析したのか、君のラプラスは……!?」

解析とは、勘違いも甚だしい。
サーナイトがアルゴリズムを組んだ瞬間に、ラプラスはそれを知っていた。
座標を微細のPKで弄るだけで、サーナイトのPKは自身に働き、"冷凍ビーム"の良い的になった。

「戻れ、サーナイト!退け、ストライク!」

閃光。サーナイトが格納され、入れ違いにボールが宙を舞う。
金髪の表情が、崩壊の瀬戸際で均衡を保つ。
火傷を負った右腕を脱力して、金髪は言った。

「ふふっ、いいだろう……これが君の本気か。
 なら僕も、とっておきの僕を見せてあげる。行け、カブトプス!」
568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 01:02:22.86 ID:wIUtTSgo
ゼタチートwwwwww
569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 02:01:19.83 ID:yX9UbASO
どこの死神だよ

そして何という学園都市230万人の頂点
570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 02:02:56.33 ID:2.8HPZco
え?これ結局ベクトル変換してないんだろ?ただ心読んだだけだろ?
571 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 02:41:07.29 ID:Tf46zwDO
まさかこのスレでセロリ臭を感じるときが来るとは
572 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 12:36:04.76 ID:smUa4ro0
人間ってあり得ん状況になると壊れるよな

夏休みという名の閑散期をネットサーフィンで謳歌中だけど、暇過ぎて、
休憩皆無の12時間拘束で18連勤させられた繁忙期が懐かしくて仕方ないww
今月の出勤日は繁忙期の3分の1、1日の拘束時間も実働時間も半減、月収5分の1ww
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 12:40:55.65 ID:PlcAgxoo
マジで暇。これが一ヶ月とか死ぬ
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 13:18:53.70 ID:Tf46zwDO
今日10時からテストだったのにおまえらおはよう
575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 15:00:26.02 ID:U/iZoEDO
ここは自分語りスレじゃない
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 18:15:14.08 ID:oOyaufco
最近は落ち着いてたのにこれだよ
577 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/02(月) 22:32:55.50 ID:2dmHyCwo
禁書を連想した人、紛らわしい文章書いてすみません

金髪の考え→サイコキネシスを反射した!?あばばば
現実→サイコキネシスの位置情報を弄られて自分にサイコキネシスかけちゃった☆モロに冷凍ビーム食らったよbyサーナイト

です
ラプラスが一方通行になったわけじゃありません
578 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 22:36:40.78 ID:PlcAgxoo
一方通行になった?
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/02(月) 22:44:26.30 ID:Nhfoqy60
金髪全然危険察知出来てないな
ヘルガーごときに火傷負わされるとは、能力者の面汚しめ
580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [satan]:2010/08/03(火) 00:18:06.01 ID:zEqpiwU0
>>579
適格者の間違い?
581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 01:07:37.77 ID:f4OZw6SO
もうLEVEL5でいいよ
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 01:19:55.52 ID:YqLerego
あくまで筋肉の動きをよめるだけだったよな
サイコキネシスかわせなくてもしゃーないな
583 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/03(火) 13:41:05.26 ID:IOIcNmwo
現れた甲羅ポケモンは、予想に違わず通常個体よりも大きな鎌を持っていた。
腕の筋肉の太さ、脚のかぎ爪の鋭さからも、より戦闘に特化した個体であることが伺える。

「首だけを残して、胴はずたずたに引き裂いてやる。
 "高速移動"、"電光石火"、"鎌鼬"。ストライクはラプラスを殺せ!
 "影分身"、"辻斬"。カブトプス、お前はリザードンをやれ!」

ストライクとサーナイト。任務でもこの二匹には、驚嘆に値するものがあった。
それを上回るというストライクとカブトプスのコンビネーションは、果たしてどれほどの実力を秘めているのだろうか。

「なにぼーっとしてるのよ、サトシ!
 リザードンとラプラスがやられちゃうわ!早く指示を――」

サヤの叫びに、今は耳を塞ぐ。

カブトプスの"影分身"の一体が、"水の波動"を輻射する。
"高速移動"によってさらに敏捷性を増したストライクが、"サイコキネシス"を"封印"されたラプラスに真正面から近づく。

リザードンは押し寄せる水に、"熱風"でそつなく対処した。
水蒸気の靄を突っ切って、カブトプスが現れる。
一撃、二撃、三撃。リザードンは丁寧に躱していく。
なるほど、鎌捌きはストライクよりもカブトプスが上のようだ。
両手の鎌をいったん背後にひき、片側をもう片側の鎌に滑らせるようにして、
加速のついた"辻斬"がリザードンの首筋に迫る。

ストライクの"鎌鼬"を、ラプラスは全周に氷壁を創り出すことで対処した。
氷の井戸の底、ラプラスは小さく伏せ、真上に"棘キャノン"を放つ。
跳躍してきたストライクは、突如真下から飛来した棘の嵐を、鎌の腹で難なくいなし、器用に縁に立って見せた。
ラプラスは狭い井戸の底で、身動きがとれずにいる。絶好のチャンスだが、しかし。

「退け!」

カブトプスとストライクが距離を取る。

「急にポケモンの反応が良くなったじゃないか?ええ?……なんとか言ったらどうなんだ、サトシ!
 その目をやめろ……やめろよ……僕を、見下すような目をするな!」

金髪の声は酷く裏返っていた。
限定状況における危険察知――金髪の能力はどうやらはったりではなかったらしい。
あの瞬間、もしも金髪が制止していなければ、
カブトプスは鎌の内側に入り込まれたリザードンに"炎の牙"で、
ストライクは氷壁に乱反射したラプラスの"妖しい光"で仲良く戦闘不能に陥っていた。
584 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/03(火) 14:04:20.35 ID:IOIcNmwo
「どうしてポケモンに『命令』しない?
 まさかこの僕を、かか、格下扱いしているのか?」
「違う」

最早、命令は俺のポケモンにとって無用の長物でしかない。
ラプラスは"怪力"で周りの氷壁を砕き、嫋々と鳴き声を響かせた。
見苦しい、と言わんばかりに。

「ふ、ふざけるなっ!
 挑発なんて、に、二流のトレーナーがすること……がぁっ……あぁあああ!」

金髪の右腕がびくん、と痙攣する。
赤黒く焼け爛れた傷跡は、錯覚ではなく、二の腕のあたりまで浸食していた。

「は、ハハ、ハハハ。
 なにがタッグバトルだ……僕は最強だ……そんなことは分かりきっている……こんな戦いは無駄だ。
 カブトプス、ストライク、ラプラスから先に始末しろ!
 リザードンのことは、こいつらに任せろ!」

最初に偽カレンのポケモンとしてサヤを襲わせた、バシャーモ、ウィンディ、ブースターが現れる。
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 15:58:24.22 ID:f4OZw6SO
今になって考えるとピカチュウ強すぎワロタ
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 16:00:00.07 ID:5ZTbhhYo
>>585
何十年に1匹の特殊なピカチュウとかじゃないっけ。
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 16:02:19.35 ID:UWaLxRAo
本編の最後で理由出てただろ
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 16:04:37.07 ID:jnWVaKEo
あのピカチュウは企画外すぎるから仕方ない
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 18:05:41.18 ID:zEqpiwU0
金髪の危険察知能力馬鹿にしてた奴ざまぁwwwwww
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/03(火) 22:34:22.19 ID:IOIcNmwo
「ヘルガー、行って!!」

堪えきれなくなったのだろう、サヤが叫ぶ。
今度は止めなかった。
ヘルガーがリザードンに追いつくよりも先に、全てが終わることが分かっていたからだ。

"電光石火"からの"炎の牙"。
"ビルドアップ"からの"ブレイズキック"。
"神速"からの"雷の牙"。
速度に重きを置いた攻撃は、しかし、リザードンには止まって見えていた。
"エアスラッシュ"が大地を穿つ。
三匹が怯んだ隙を見て、翼竜は空に上がった。
地上からの攻撃は
逆にリザードンがすれ違いざまに放った"ドラゴンクロー"は、正確に三匹の急所を切り裂いた。

ラプラスは氷の礫と棘の同時射撃で面制圧を試みたが、主力の二匹もさるもの、
的確に躱し、あるいは鎌の腹でいなしながら突進してくる。止めることはできない。
やがて距離はつまり、二方向から必殺の連係攻撃が繰り出され――予定調和の終演が訪れた。

「退け!退くんだっ!!」

金髪の悲鳴にも似た命令は悲しいほどに遅く、カブトプスとストライクには届かない。
ラプラスが首をもたげ、頭上に大質量の水をはき出す。
厚い透明の壁を隔てて、リザードンと視線を交わす。
そうして次の瞬間、ラプラスの半径15メートル以内の物質が『焼却』された。

リザードンの"オーバーヒート"はラプラスごと有効範囲を焼き尽くし、
ラプラスの"絶対零度"は大質量の水を氷の盾とし、身を守った。
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 22:59:11.40 ID:iqAmeWEo
ビルドアップからブレイズキックしてるのはバシャーモだよな?
速度重視の攻撃なら高速移動のがいいんじゃね?
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/03(火) 23:04:08.30 ID:IOIcNmwo
>>591
それもそうですね

× "ビルドアップ"からの"ブレイズキック"。
○ "高速移動"からの"ブレイズキック"。

ついでに書き忘れ部分も修正

× 地上からの攻撃は
○ 地上からの攻撃は虚しく途絶え、
593 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 00:20:48.45 ID:rJL6eJ60
カブトプスに炎は四分の一しか効かないから
オーバーヒートは140×1.5÷4=52.5
594 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 00:55:14.67 ID:oNgIbO6o
ピカチュウの電撃で地面タイプ即死の世界で何を
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 01:02:37.67 ID:8Fcu7rso
単純にリザードンのレベルが違い過ぎるんだろ、アニメでも主力だし
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 02:40:12.24 ID:JLBD9swo
さっきアニメのサトシVSシゲル見てたんだけど
リザードンさん3タテしてたわ。内二体はゴローニャとカメックス
つえーよサトシのリザードンさんはよ
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 04:01:33.76 ID:C3xi3wDO
どんな強敵も最後には地球投げでやっつけるサトシのリザードンさん
598 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 04:37:00.57 ID:rJL6eJ60
リザードンLV500
ピカチュウさんLV8000
ぐらいありそうな世界だなww
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 08:31:22.19 ID:XsI/fMSO
これでピカチュウのレベルが97なんだからレベル100の破壊光線とかもはやただの殺戮兵器な件
600 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/04(水) 18:04:01.39 ID:/8Qfw5Ao
仮免技能落ちた
死にたい
601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 18:05:25.58 ID:H98Tb92o
俺も落輪で一回落としたなー
いつも余裕なコースだったはずなのにwwww
まあそういうこともあるぜ
602 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 18:06:36.55 ID:oCXG4GQo
死ぬな生きろチャンスはまだある
一緒に泣いてやるよ(´;ω;`)
603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 18:08:29.32 ID:mjP4uGso
仮免ってS字とかクランクとかだっけ?
一回落ちれば次はリラックスしてできるさ。元気出してくれ
604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 18:14:26.10 ID:/8Qfw5Ao
「全体的に問題無かったけど速度がね……、次はもっと飛ばしてね(^-^)v」
あんな狭いコースで飛ばせるわけねえだろ
クソッ、また壁殴っちまった……イライラするな(・ω・#)
605 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 18:17:50.37 ID:AaS5PCMo
そういうこともあるさ
次はきっと大丈夫だぜ!
606 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 19:00:46.47 ID:/8Qfw5Ao
肩口まで火傷に侵された金髪が、

「どこだ?僕の最高傑作はどこだ?
 僕のストライクとカブトプスはどこに行ったんだ?」

譫言のように呟き、熱砂の上を彷徨い歩く。
やがて金髪の目は、ふたつの黒い塊――体表組織が完全に炭化した二匹の亡骸――に釘付けになる。
完全に気がふれるかに思えた金髪の表情は、しかし、いやに穏やかだった。

「そうか。僕は負けたのか。
 お見事。ブラボー。素晴らしい戦いだったよ。そうだ。僕は負けた。
 僕が持つ最高のポケモンで挑んで、君のポケモンにやられてしまった。
 これはいけない。僕の計画は台無しだ。まったく、お前たちのせいで僕は、僕は、」

手のひらが焼けるのも構わずに、左手で、黒い塊に触れる。
微笑さえ浮かべて見せる。そうして次の瞬間、金髪は左手を固く握った。
炭化した亡骸の首の部分が砕け、首が落ちた。

「この……役立たずが!!」
「やめてっ!あなたのポケモンでしょ!?」

サヤの声に、金髪が面をこちらに向ける。

「だから、何なんだ。ふ、ふふっ、これはお仕置きなんだよ……僕との約束を破ったことに対する、ね。
 このストライクとカブトプスは逸材なんだ。遺伝子操作で肉体の殺傷能力を限界まで高めた殺しの天才なんだよ。
 悪いのは、頭だ。馬鹿は死ななきゃ治らない。言いつけをきちんと守るように、一から躾直さなくちゃなあ……。」

左こぶしを振り下ろす。
首を失った胴体に亀裂が走る。
手の皮膚が裂け、血が滲もうが、何度も何度も。

「アハ、ハハハはハ――がぁッ!」

胴体が崩壊する直前、金髪の脇腹を、ヘルガーが強く突いた。
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 19:37:08.62 ID:rJL6eJ60
>>606
先生過去編にサカキ様は出ないんですか?
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 19:47:25.56 ID:/8Qfw5Ao
本編のほうでサトシとサカキの再会はシルフカンパニーの屋上で、という風に描いてしまったので、
サカキの過去を書くとすれば、また別の外伝という形に
多分書けませんごめんなさい

今は、まだこのスレがVIPにあった頃の、古い約束をどう果たすか悩んでる
いまいちこのSSを読んで下さっている読者の年齢層が掴めてなくて……
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 19:48:56.97 ID:H98Tb92o
おいおい流石にもう覚えてないぜ?VIPの時っていつごろだっけか
間違いなく愚痴を聞くニャースがいたのは覚えてるんだがな
610 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 20:00:38.80 ID:Pca4Ty60
エロでもなんでも書いてやるってやつだろ
俺みたいに乗っ取りの時からいる古参は覚えてる奴多いいんじゃないか?

>>1、約束は守ってくれよ…
611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 20:34:31.22 ID:qsnveTIo
俺も当初から居たけど覚えてないわ
612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 21:14:50.48 ID:/8Qfw5Ao
「自分のポケモンを辱めて、何が可笑しいの!」
「ポケモンは僕の所有物だ。何をしようが僕の勝手だろう?
 ましてやこの二匹は、戦って勝つために創られたポケモンなんだぜ。
 負けたら、何の価値もないんだ。ククッ、アハハ……」

金髪は仰向けになりながら、なおも笑い続ける。
時折右腕が別の生き物のように、びくびくと跳ねる。
金髪の左手が、金髪を見下ろすヘルガーの頬に触れた。

「まったく、上手い皮肉だ、お嬢さん。
このヘルガーだって特別製だそうじゃないか。諜報部の友人に聞いたよ?
 君が"お父様"に頼んで、ポケモンを何匹も、何十匹もお強請りしていることを。
 僕と君は本質的に同じなんだ。お嬢さん。
 負けたら、もっと強いポケモンが欲しくなるだろう?
 今まで愛着のあったポケモンが、殺したいほど憎くなっただろう?」
「サトシと出会って、わたしは変わったわ。
 あなたなんかと、一緒にしないで!」
「それでも、教えてもらわなければ変われなかった。
 もしも君が"まとも"な適格者なら、君も僕と同じように、
 自分のポケモンで相手を蹂躙する歓びに取り憑かれていたはずだ」
「まともな、適格者?」
「手で触れたポケモンを手懐ける。独立系にしては驚嘆に値する能力だよ。
 しかし悲しいかな、独立系は作戦行動には絶望的に向かない。
 君の父上もそれを理解していた。
 だから君は組織所属の適格者として、しかし箱入り娘として育てられた。
 いずれ他の適格者と■■■■■ために」

リザードンの羽音が、金髪の戯れ言をかき消す。
俺はサヤの肩を抱いて、

「こいつはもう、いや、ずっと前から、まともじゃない。
 話せば話すほど、サヤが傷つく」

金髪は俺に向き直る。
目が合うと、金髪の目にふと光が戻り、普段の余裕たっぷりな声で、

「無様な姿だろう、サトシ。君は僕のことを笑わないのか?」

火傷の浸食は進む。首筋の青白い皮膚が、今まさに、ゆっくりと、赤黒く変色していく。

「最後に、お前に訊きたいことがある」
「最後か。そうだ、僕も君に訊きたいことがあったんだ。
 お互いにお互いの質問に絶対答える。約束だよ」
「カレンは無事なのか」
「安心しなよ。彼女は生きている。もっとも、僕が失敗しなければ、
 彼女は一両日中に自殺を装った死体になって、発見されていただろうけど」
「お姉様は、今、どこにいるの?」

金髪は本土の辺境の地名と、監禁場所の詳細を告げた。
613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 21:16:44.54 ID:qsnveTIo
■■■■■?
614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 22:29:43.45 ID:XsI/fMSO
あれだろ
全部終わったらエロでも何でも書いてやんよ
だったかな
1スレ目の乗っ取りの瞬間も見てるんだ
期待してるぜ
615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/04(水) 22:31:53.54 ID:/8Qfw5Ao
「次は僕の番だね。サトシ、君の能力について、訊きたい。
 君は、ポケモンの――全てのポケモンの思考が読めるのか」

首肯する。サヤの驚きが、触れた体を通して伝わってくる。

「ふふっ、道理で僕のポケモンの速攻が、いとも容易く防がれたわけだ。
 君のポケモンは……、常に最適解を選択する。最強の矛と盾、僕の能力の、完全な上位互換か。
 この話を知っているのは、組織では君と僕の他に誰がいるんだい?」
「直属の上司だけだ」
「当然、機密扱いなんだろうね?
 もし誰かに知られた場合は……言うまでもないか。
 以前訊いたときは口を堅く閉ざしていたのに、今度はあっさり教えてくれたんだものな」

金髪が目を細める。
この先の展開を悟ったのだろうか、サヤは媚びるような目で、俺を見上げた。

「まさか……ねえ、そんなこと、しないわよね?」
「こいつは、殺しすぎた。今回の件については、被疑者の処分は遭遇者に一任されている」
「罪は、きちんと時間をかけて、償わせるべきよ。
 確かにお姉様を身代わりにしようとしたことは許せないけど、……サトシが背負うこと、ないじゃない」
「サヤの私情を酌む気はない」
「そんなの、そんなのって、酷いわ!わたしはサトシのことを思って、」
「俺は組織の命を受けた人間として、こいつを、裁く。邪魔するな」

リザードンが金髪の傍に着陸する。ヘルガーは静かに、サヤの足許に戻った。
金髪の目から、正気の光が失われる。
右腕の痙攣が止まり、代わりに、胸が激しく上下する。

「嫌だ……死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
 サトシ、君が僕を、[ピーーー]のか?冗談だろう?
 僕たちは仲間だ!いっぱいいっぱい、組織に敵対する屑どもを殺してきたじゃないか!!」

サヤの愛らしい耳を塞いでしまいたい衝動を堪える。
これは事実だ。誤魔化したところで、サヤはいずれ知ることになる。
俺が任務という名の下に、数え切れないほどのポケモンと、敵対組織の要人の命を奪ってきたことを。

「もういちどあの屠殺を楽しもう?
 僕たちは最高のコンビだ。くふ、クハ、アハッハハ……!」

カクレオンが金髪の姿を熱砂の色と同化させる。
メタモンが悲愴な顔をしたカレンに擬態し、金髪の体を覆う。
戦いに向かないが故に生き残った二匹は、あくまで、主人と道を共にする気でいるらしい。
俺は言った。

「リザードン、頼む」
「いや……」

サヤが俺の腕を振りほどき、顔を両手で覆う。言葉は要らなかった。

"火炎放射"は金髪の体を余さず包み込み、火葬した。
616 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/04(水) 22:36:20.18 ID:/8Qfw5Ao
そうだよエロ展開の約束だよ
外伝ならR-18もいいかなとか軽く考えてたんだけど
でもそういうのが嫌って人もいるじゃん

それでこのスレの住人の方たちの意見を聞きたいなと思いまして
617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 22:45:07.13 ID:uCFlmrMo
エロは蛇足だと思う

本編終盤の、セキエイでの対四天王(+ワタル)の続きが見たい
618 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 22:53:13.06 ID:xs/zKnUo
ストーリー上必要のあるエロなら問題ない
エロを書くためだけに書かれたエロは読みたくないかな
619 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 23:03:57.29 ID:qt1IB6AO
書きたいことを書けばいい

叩きとかいても少数だろうし
620 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 23:13:06.30 ID:/8Qfw5Ao
了解
R-18描写の前には警告入れるので読みたくない人は飛ばして下さい
621 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 23:15:55.57 ID:H98Tb92o
そうか、サトシの子作りが始まるからか
622 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 23:23:07.84 ID:eg6Yo.Uo
カスミ…
623 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 00:49:28.88 ID:iRnxZ8Uo
どっちも貧乳じゃねぇか
サヤって貧乳だったよな?
624 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 01:01:12.27 ID:9PD75lwo
カエデのエロかもおおおおん!
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 01:05:39.11 ID:huA6mYEo
長らく外伝だったからカエデの存在を忘れてたwwwwww
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 01:07:33.25 ID:9PD75lwo
くやしいのう……
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 01:34:05.58 ID:HpIU9.DO
エロでも何でも書いてやんよと提案するってことは、作者さんエロ書きたいんだなーと当時理解してました。
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 01:43:41.72 ID:M1r8gHko
エロもいいけどタイチがカレンに鍛えられる話が読んでみたい
629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 02:51:20.86 ID:TRx1kYSO
エロもいいけどタイチがむせ(ry
630 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/05(木) 10:46:39.75 ID:QbnnViQo
―――――
―――
――

「なんというか、やっぱりレッドくんは、こう、主人公気質みたいなモンをもっとるんやなあ。
 君があの事件の下手人を始末したて聞いたときは、笑ってもうたわ」
「俺が関わったのは、偶然ではありませんでした」
「ワイは君の運に驚いてるわけやないで。
 必然的に事件に巻き込まれて、きちっと解決する。
 そういうところを評価しとるんや。
 犯人は極書つきの元同僚、人質はカツラ博士の御息女。
 絶体絶命のピンチから颯爽と巻き返す……くぅう〜っ、ワイもそういうおいしい経験味わってみたいわあ」

六の島の一件から二日後。
君に尋ねたいことがあるんやけど、との連絡を受けた俺は、
中途に終わった休暇の残りを利用して、マサキ博士の私室に訪れていた。
博士はそれからも部屋をぐるぐると歩き回り、
羨ましいだの、引きこもりのワイにそんな機会は無いだの呻いていたが、

「なあ、レッドくん」

ソファの背もたれの縁に腰を下ろし、

「正直言ってワイは君のことを、心のどっかで、まだ小さい少年のまんまやと思ってた。
 勘違いせんといてや。実力云々の話やない。
 脱走されるリスクを排除するために、生け捕りにせんと、その場で処分する。
 ワイは君が、そういうことのでけへん人間やと思ってたんや。
 昨日までの知り合いに命乞いされたら、何もできんくなる人間やってな」
「今更、ですよ。組織を動かす小さな歯車である俺にとって、命令は絶対です。
 博士も以前、そう仰っていたじゃないですか」
「そうか。……せやったな」

マサキ博士は下唇をわずかに噛んで、

「ひとつだけ、腑に落ちん点がある。
 バシャーモ、ウィンディ、ブースターは外傷性ショック死、
 カブトプス及びストライク、並びにカクレオン及びメタモンは焼死。
 ハイレベルのポケモン同士の戦いで、相手を原型留めんほど損傷させることは少なくない。
 でも、君ほどのトレーナーが……どうして抵抗のしようが無くなったあの子に、"火炎放射"使ったんや?」
「……………」
「本人確認のために、見た目は出来る限り綺麗に残しておくべきや。
 それがあの子の死体は、歯形の鑑定してやっと本人やって分かるほど、損壊してた。
 加えて焼死は、死に方の中でもかなり苦しい死に方や。
 ワイは君の真意が知りたい。……君はなんで、もっと綺麗な処理方法を選ばんかったんや?」
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 11:17:09.28 ID:hBZu4TAo
こんな時間に遭遇
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 12:07:09.67 ID:9PD75lwo
暑い
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/05(木) 13:01:48.09 ID:QbnnViQo
「激情に駆られて、と言ったら、博士は俺を見損ないますか?」
「いいや。そんなありきたりな理由で、ワイは満足せえへん。
 君が焼死さしたからには、焼死やないといかん、何らかの理由があったはずや」

苦笑する。
博士の洞察力の前では、やはり、俺の小細工など砂上の楼閣に等しい。

「俺はサヤに――」

時と場所は変わり、エンジュシティの、錫の塔に通じる並木道にて。

「――サヤの手を、汚したくなかったのだろう?」

カレンはいつかのときと同じように、しかし今回は柔和な態度で、俺の返事を待っている。
金髪を始末した後、俺はすぐに組織の支部を通じて、監禁されていたカレンを救出した。
その後、サヤのたっての希望により二人は再会を果たし、
現在カレンはカツラの屋敷から少し離れた、寂れた町に滞在している。

「サヤが、話したのか?」

カレンの首肯を見て、ため息が出そうになるのを堪える。
あの一件、サヤは終始俺の背後でじっとしていたことにすると、約束したはずだが……。
姉妹に隠し事はないようだ。

「ヘルガーの炎は猛毒・浸食性を持つ。お前が直接手を下さずとも、
 ヘルガーの火傷を応急処置をせずに一定時間放置した時点で、奴の死は確定していたんだ。
 お前はその火傷を隠すために、サヤに人殺しの汚名を着せぬために、
 あえて火炎ポケモンで、奴を、殺した」
「持ち上げてもらったところを悪いが、
 結果的にそうなっただけで、俺はただ、組織の命を実行しただけだ」
「それでも、私がお前に礼を言えない理由にはならない。
 私は私の代わりに、サヤを、妹を、二つの意味で守ってもらったのだからな」
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 13:09:46.95 ID:J8SdQ.AO
投下中に失礼

エロって、この話の中で描くの?
それともこのサトシのとは別で書くの?

個人的には後者を希望する
この物語全体のイメージからずれちゃう気がするんだ
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/05(木) 13:36:26.34 ID:QbnnViQo
>>634
この話の中で
ストーリー進行上自然になるように配置するけど
読み飛ばしてもまったく問題ないようにする 矛盾してるようなしてないような



顔を伏せる。素直に言葉を受け取るべきなのか。

――『あの子を、サヤを守ってあげてほしい』――

屋敷の裏での一コマを思い出し、俺は言った。

「元はといえば、カレン、お前が自分の身をもっと心配していれば、
 こんなことにはならなかったんじゃないのか?
 身の危険は感じ取っていたんだろう?」
「そ、それは言うな。私だって、自分の身くらい、自分で守れると思っていたんだっ」
「どうして助けを求めなかった?」
「それは……」

プライドが邪魔したのか。
俺の視線から、考えていたことを読み取ったのか、カレンの笑顔に怒気が帯びる。
その表情は、サヤのそれと、本当にそっくりで……。

「まあ、無事で良かったよ」
「扱いは、初めて会ったときのお前よりも丁重だったぞ」

カレンはくすくすと笑い、ふと遠い目になって、

「あの子に、本当のことを話すつもりはないのか?」
「話しても、サヤが背負う必要のない罪悪感を背負うことになるだけだ。
 それなら俺が背負っている方がいいし、何より、その方が自然だ。
 いったん道を外れた人間が、どれほど道を外れようが、同じだから」
636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 13:40:36.71 ID:J8SdQ.AO
>>635

ありがとう
637 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/05(木) 15:29:13.18 ID:QbnnViQo
金髪を始末したあの日。
ケーシィの亡骸をボールに格納し、
「屋敷に帰ろう」と差し伸べた手に、怯えたサヤ。
零れる涙と、悲痛な嗚咽。
記憶は、持ち主の意志に無関係に蘇る。
幻滅されるのは、当然だ。
目の前で人殺しを見せられれば、百年の思慕も冷めるというものだろう。
しかも俺は、その他にも、数え切れないほどの殺しをしていることを認めたのだ。
野生ポケモンを、新興勢力を、制圧に特化したポケモンで蹂躙する行為は、
まさに金髪の「屠殺」という比喩どおりに、血生臭く、惨たらしい。
たとえそれが、この共生社会を上手く維持するための、必要な行為だったとしても。

「……だそうだが。サヤはお前に、言いたいことがあるそうだ」
「な」

草を踏み分ける音が聞こえる。
おずおずと歩み出たサヤと目が合い、同時に逸らした。
ピジョットは何をしていた?
わざとサヤの存在を俺に教えなかったのか?
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 15:46:03.60 ID:qr1X96SO
最近投下多いな
嬉しい
639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/05(木) 15:48:33.75 ID:96kLc0M0
>>638
同意
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 17:56:09.83 ID:tYXU..A0
>>639
同意
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 18:45:46.47 ID:rFTwGkDO
>>640
同意
642 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 18:55:31.08 ID:hBZu4TAo
>>641
同意
643 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 19:37:41.91 ID:ifLAdcDO
>>642
女医
644 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 19:41:54.95 ID:wf/zL3g0
>>643
ペロペロ
645 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 19:47:59.39 ID:9PD75lwo
なにやってんの
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 20:28:18.77 ID:wvUEuUYo
タイチのエロだったら大歓迎
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/05(木) 22:48:18.28 ID:74SrWUAO
読み飛ばせば言いってんだろガキ共が喚くなよ
648 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/06(金) 00:07:35.89 ID:yuWcTAAo
トイ・ストーリー3面白すぎワロタ
ラストは泣いた
続編がこんなに良い映画は珍しい
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/06(金) 00:42:02.78 ID:yuWcTAAo
「髪型、変えたんだな」

こんなくだらない質問しかできない自分を殴りたくなる。
俺は何に怯えているんだ?

「も、燃えちゃったから、いっそのこと、短くしようと思って」

視線をあげると、もじもじと両手を前ですりあわせる、
ミディアムボブのサヤがいて、

「これ、似合ってるかしら?
 サトシはこの前、髪は長い方が好きだと言っていたけれど……」
「よく、似合ってる。こっちの方がいい」
「そう……。ありがとう」

途切れる会話。カレンはひっそりと姿を眩ましていた。
行き場を失った視線が、辺りを彷徨い、やがてサヤに戻る。
奇しくも俺の行動はサヤの鏡写しになっていたようで、

「あ、歩きましょう?
 わたし、鈴の塔を見るのは、今日が初めてなのよ。
 案内してくれる?」
「あ、ああ」

ぎこちない会話を交わし、俺が先に、サヤが後に続く形で、歩き出す。
体三つ分の間隔は、そのまま心の距離を現しているようだった。
階段の軋む音は、静寂を満たしてはくれなかった。
俺たちは一言も交わさないまま屋上にたどり着き、そして、

「サトシはよく、ここに来るの?」

西日の朱の中で、サヤは言った。
燃えるような赤毛が、さらにその赤みを増して、サヤの美貌を縁取る。

「近くに寄ったときは、必ず来るようにしている」
「どうして?」
「この塔に所縁のあるポケモンに、もう一度会えないかと思って」
「会えたことは?」
「いや……マサラタウンを旅立ったときを最後に、会えていない」
「なんていうポケモンなの?」
「ホウオウ。七色の翼を持つ、伝承の中に生きるポケモンだ」
650 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 00:56:17.35 ID:ytEZ16SO
伝説のポケモンはサトシは映画で全部見てるよな
651 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 01:15:37.41 ID:tHpPDcDO
伝説のポケモンをバカ野郎呼ばわりできるのはサトシさんだけ
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 01:52:02.77 ID:kbBPyIwo
伝説のポケモンの同士の戦いに生身で介入できるのもサトシさんだけ
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 01:54:43.44 ID:5UnvfvYo
巻き込まれて石化しちゃったりもするけど何ともないぜ!
654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 01:55:31.94 ID:P2jzXoDO
>>650
ホウオウは一話以来見てないはず
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 02:01:17.78 ID:kbBPyIwo
>>654
275話
http://uproda.2ch-library.com/278417SML/lib278417.jpg
あの方向は……ホウエン地方
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 02:16:02.23 ID:s2GlhIEo
ボールの格納機能ってポケモンの防衛本能だし
死んでからも使えるのか?
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/06(金) 04:38:55.16 ID:rk/VW7c0
>>656
ケーシィは死んでないから百回読み直せクズ
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 06:15:19.69 ID:2JlKcvg0
喧嘩腰過ぎわろた
659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 11:09:44.93 ID:HIgc2sDO
俺は>>656が何言ってるのかがわからないんだが…
モンスターボールなんてのは、ポケモンを捕まえるために人間が作ったものだろ?
その格納機能にどうしてポケモンの防衛本能が関係するんだ?
寧ろ防衛本能は格納されるのをよしとしないんじゃ…

誰か分かりやすく説明してくれ
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 11:46:04.76 ID:tHpPDcDO
>>659
「モンスターボール」でWikipedia見てこいよ
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 12:49:27.97 ID:4yt46Lgo
>>659
ポケモンの防衛本能というか特性を利用した格納機能ってことだな
662 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/06(金) 13:00:20.91 ID:yuWcTAAo
「そう………」

サヤはホウオウの姿を探し求めるように、遠くを見遣り、

「ごめんなさい」

前触れなく、謝ってきた。

「わたし、あの日はサトシのことを誤解して、たくさん酷いことを言ったわ。
 メタモンの変身が見破れなくて、サトシがお姉様を罠にかけたと思ったり、
 サトシがリザードンで、あの人を燃やしたときは、サトシのことが怖くなって、
 本当はサトシはわたしのしたことを隠すために、ああしたんだって知って、わたし、わたし――」

支離滅裂な独白を遮り、

「サヤはもともと、何も知らなかったんだ。
 俺がカレンを疑って罠にかけたと思われても、あのときは、仕方なかった。
 それに、サヤはまだ誤解している。
 カレンに何を吹き込まれたのか知らないが、
 あいつはヘルガーの火傷を負ったところで、しぶとく生き延びていたさ。
 それを俺が感情に任せて、リザードンに殺させたんだ。
 サヤが自分を責める必要は、どこにもないんだよ」

サヤはいやいやするように首を振る。

「そんな優しい嘘、いらないっ」
「俺は組織に、博士に見初められてから、数え切れないほどの命を奪った。
 あいつの命なんて、物の数にもならない」

俺はどこかで、期待していたのかもしれない。
サヤの瞳が、あの日、俺が金髪を殺したときのように、畏怖の色に染まることを。
もう一度あの目を見れば、諦められると思った。諦めなければならないと思った。

組織の権謀の上で操られる人生と、一介のお嬢様として生きる人生。
その最後の分水嶺はきっと、この場面だった。

「いいわ」

左手が、痛いほどに強く握られる。

「わたしにとってのサトシは、ポケモンを大切にすることを教えてくれた、先生だもの」
「怖くないのか、俺が……」
「サトシが仕事で何をしているかは、うすうす勘付いていたわ。
 ただ、わたしに、それを確かめる勇気が無かっただけ。
 それが本当だって分かったときに、笑顔で受け入れる覚悟が出来ていなかっただけなのよ」
663 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/06(金) 14:26:45.02 ID:yuWcTAAo
「サヤ……」
「一人で背負うのは、もう、やめて。
 もしもサトシのポケモンが死んだら、一緒にお墓をつくるの。
 もしも仕事で辛いことがあったら、もし我慢できたとしても、わたしに話すの。
 わたしは、ずっとサトシの傍にいるから。
 わたしが、サトシの拠り所になってあげるから。
 だから、サトシも、わたしの拠り所になりなさい……。
 勝手に、離れようとしたら、許さないんだから」

その瞬間、心の片隅で燃えていた誰かの存在が、ひっそりと燃え尽きた。
手を、そっと握り返す。
サヤは俺に向き直り、

「わたしにポケモンバトルを教えてくれるあなたが、好き。
 わたしに新しい世界を見せてくれるあなたが、好き。
 わたしをいつでも守ってくれるあなたが、大好きよ。 
 ねえ、わたし、こんなことを誰かに言うのは初めてだけど、
 サトシのことを……愛してるわ」

真剣に、サヤを手放したくないと思った。
離れたくないと思った。
傍にいて欲しいと思った。

「俺も……、サヤのことを、愛している」

サヤは微笑み、小さく背伸びをして、目を瞑った。
西日の赤い光の中で、サヤの頬の色は分からなかった。
両の手で触れて、初めてその熱さを知った。
その日、夕陽が沈むまで、俺たちは長いキスを交わした。
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 14:35:22.81 ID:n3G.XX.o
カスミ・・・
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 14:36:04.83 ID:o/hX3EAO
>>664
ちょっと黙れ
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 14:37:51.84 ID:kbBPyIwo
カスミェ…
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 14:49:55.96 ID:4JDxfSwo
この時点でもうヒナタは産まれてるのかな
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 14:51:06.09 ID:2OMNwvso
カスミ燃え尽きちゃった……
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 15:29:20.12 ID:ytEZ16SO
そんなに長い間キスすると唇腫れるよNE!!


したことねーけど
670 :657 :2010/08/06(金) 15:39:01.99 ID:rk/VW7c0
>>656
読み直したら俺の勘違いだったよごめんね 
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 15:55:16.99 ID:S4v60Wc0
ここでカスミが燃え尽きてるのに
本編では再燃してるんだよな
そういう変化の経緯描写にwwktk
672 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/06(金) 16:01:08.93 ID:yuWcTAAo
―――――
――――
――


部屋に戻ると、当然のことながらサヤよりも早かったようで、
六畳二間の和室がいやに広く感じられた。

「グゥ…ウゥン……」

ヘルガーも俺と同じ心境のようで、濡れた子犬(実際は子犬なんてものじゃないが)のように、
切ない鳴き声を漏らし、俺たちが出払っているときに敷かれたのであろう、布団の片方に潜り込む。

錫の塔を降りた後、『休暇の続きをしましょ?』というサヤの提案により、
夜のエンジュシティを練り歩いた俺たちは、
夜間飛行は危険が伴う、疲れを癒してから帰るべき、などなどの点で合意に達し、
この町で古くから宿屋を営んでいる比較的グレードの高い旅館の框を踏んだ。
時間が遅かったこともあり、先に料理を堪能してから名湯『虹の湯』を浴びることにしたのだが、
この旅館にも他の一般宿泊施設の例に違わず、
規定体積以内のポケモンの同伴可、ただしポケモンと持ち主の性別が異なる場合はその限りではない、
というルールがあり、雄のヘルガーは俺と男湯の暖簾をくぐることになった。
ちなみに俺のポケモンはカビゴンをはじめ、全て規定体積をオーバーしていた。
閑話休題。
座椅子に腰掛け、夜の帳に包まれた街の景色を窓越しに眺める。
たまにはこういう時間もいいかもしれない、と思った矢先、
ぱたぱたという足音と、行儀のなっていない襖を開け閉めする音が、静謐を壊した。

「サトシ!見て驚きなさい、ほら、浴衣よ。本物の浴衣!」

現れた和装の麗人は、その物言いと、
布団から飛び出して駆け寄っていくヘルガーの態度からサヤであることは間違いなさそうなのだが、

「その浴衣は誰のものなんだ?」
「女中さんが貸してくれたの。着付けも全部してもらったのよ」
「まさか強引に、」
「どうしてそうなるのよ!わたしは好意に甘えただけ。
 そんなことより、ねえ、これ、すっごく可愛いでしょ?」

くるりと一回転するサヤ。石けんの香りが鼻孔をくすぐる。
見るからに上質な白の生地には、青紫の朝顔がいくつも、瑞々しく描かれていた。
サヤの女性的な曲線を密やかに表す浴衣姿は、想像以上に艶やかで、

「綺麗だ」

誉め言葉を探すのを待たず、直感が口をついて出てしまう。
するとサヤは唇を尖らせて、

「前から思ってたけど、サトシは誉め言葉のボキャブラリーが足りないわ」
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 16:13:34.90 ID:tHpPDcDO
これはもうパンツ脱いだ
674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 16:15:40.11 ID:kbBPyIwo
穿け
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 16:20:22.34 ID:4JDxfSwo
なにこの新婚初夜的な雰囲気
676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 17:00:12.98 ID:5UnvfvYo
温泉にカビゴンを入れたらお湯が全部なくなっちゃいました的な光景を想像したら
そんな雰囲気をよそにすこし笑ってしまった
677 :659 [sage]:2010/08/06(金) 18:21:12.36 ID:HIgc2sDO
まさかWikipediaに載ってるとは…
教えてくれた二人ともThanks
ポケモンて本当不思議な生き物だな
678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 18:47:17.08 ID:s2GlhIEo
ん、サトシと風呂に入れたってことは
サヤの能力なしでも、ある程度言うこと聞くようになったんか
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 20:42:23.54 ID:ytEZ16SO
慣れたか、言うこと聞くのよ的な感じか、お腹いっぱいかだな
680 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/06(金) 22:27:32.42 ID:yuWcTAAo
三日ほど旅行に行ってきます(`・ω・´)
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 22:31:47.86 ID:v1NwfyEo
作者取材のため休載しますってやつか
682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/06(金) 23:36:04.55 ID:A3644sAO
三日もパンツ下ろしっぱなしとか…
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/07(土) 00:17:57.88 ID:pYNk/VQ0
エロシーンを書くための作者取材か・・・
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 00:42:06.34 ID:7pl5PAYo
なるほど女の子と旅行ですねちくしょう
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 00:42:37.35 ID:JaBrl2AO
旅行ってどうせラブプra

いやなんでもない
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 01:37:27.72 ID:UztON86o
京都の老舗旅館でキャッキャウフフイチャイチャいやんらめぇアッーみたいな事を
エンジュ旅館編のための取材旅行と称してやってくるんだろおおちくしょおおおお
どうぞ道中おきをつけて
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 01:47:07.59 ID:.Be8l.wo
めっちゃ生々しいエロシーンが見れそうだな
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 02:15:42.35 ID:dYN452SO
>>667
サトシ編冒頭の時点で2歳だった気がする
結構時間経ってるみたいだから今4歳ぐらいか?
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 02:52:43.19 ID:LBOrw0Qo
男と旅行とかガチでリア充すなぁ
羨ましい
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 06:25:48.62 ID:0mR6TQSO
本編最後でヒナタは20歳くらいだけどアヤは17歳って言ってる
年の差が3歳以上あるんだからまだヒナタは4歳にはなってない気が
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 08:16:23.71 ID:gzARzXMo
仮にこの旅館での情事でサヤが妊娠したとして、子供が産まれるまでに1年近くかかるわけだから
最高でもヒナタは2歳くらいか
692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 09:00:56.07 ID:/G9prsAO
虹の湯うちの近所にあるんだけど
693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 14:36:11.78 ID:LBOrw0Qo
ふと思ったが
物語って一発妊娠か全く妊娠しないかの完全二択だな
694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 14:41:02.78 ID:7pl5PAYo
避妊しないからな
695 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 15:48:38.38 ID:6bfj2USO
初めてさつ意沸いた
696 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/07(土) 21:18:39.48 ID:pYNk/VQ0
ポケモンの世界にはちゃんとレイプを防ぐ制度があるのかな?
ソウルシルバーやってて女主人公の後を付け回すロリーパーがいたら逮捕されるべきだと思ったわ
697 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 22:43:58.48 ID:gy9G2sko
>>692
どこの虹の湯だよ
奈良とかいうなよ近所だから
698 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 07:51:45.53 ID:SkF3fwAO
>>697
上牧
699 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/08(日) 16:46:38.75 ID:INiUsiI0
作者は男?女?
女ならなんとも思わんが男なら爆発しろ
700 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 19:20:09.73 ID:WFXRGcUo
>>698
はい、ご近所確定
701 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 21:26:42.64 ID:Y8niW.SO
>>699
わからんがトリに使われた名前は男っぽかった
702 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 00:56:46.64 ID:iZUSc02o
もう許してやれよ
703 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/09(月) 06:57:26.90 ID:GciNmdw0
ゆるすん!
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 07:02:43.41 ID:iZUSc02o
俺は許した
705 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/09(月) 14:49:55.03 ID:/bUxzdMo
「誉め慣れていないんだ」
「なら、慣れることね。
 わたしを誉める機会なんて、これから数え切れないくらいあるわよ……。
 あ、サトシのそれも、浴衣?」
「そんな上等なものじゃないさ。
 浴衣の着付けの手間を省いた、部屋着みたいなものさ」
「それでも、羽織のおかげで少しは様になってるじゃない。
 わたしと並んでも遜色がないくらい」

そう言ってサヤは、俺の隣に座り、上品に足を崩す。
風呂上がりのせいだろうか、密着した腕と肩から、徐々に熱が伝わってくる。
結わえられた髪と襟の隙間から露わになったうなじは、仄かに紅を差していた。

「…………」
「…………」
「何かお話して」

張り詰めた沈黙を、あどけないサヤの言葉が弛緩させる。

「話?」
「じゃあね……わたしの質問に答えてくれる?
 どうしてサトシは、ピカチュウと別れることになったの」

屋敷の談話室では、ピカチュウを野生に返したといい、
金髪との掛け合いでは、ピカチュウは死んだことを暗に肯定した。
今、真実を伝えるのに、抵抗はなかった。
サヤがそれを黙って聞いてくれるという、確信にも似た安堵があったからだと思う。

「俺のピカチュウは、人の手によって創られたんだ」
「それは、わたしのヘルガーと同じように、薬で強化されたポケモンだってこと?」
「そうじゃない。……遺伝子操作を受けて、培養された。
 あのストライクやカブトプスは、個体が本来持つ特性――鎌の大きさや骨格筋の形――を、
 組織傘下の研究部署で調整された結果、生まれた戦闘特化型のポケモンだ。
 でも俺のピカチュウは、ピカチュウという種族をベースに書かれた設計図がら創り出された、まったく新しいポケモンなんだ」
「まったく新しいポケモンって、どういうことなの?
 サトシのピカチュウは、どこからどう見ても、他のピカチュウと同じようにしか見えなかったけど」
「外見は変わらない。内側の機能が、とりわけ電気を司る器官が、他のピカチュウとは全然違っている。
 俺のピカチュウは、普通の個体よりもたくさん発電できたし、生み出した電気を普通の個体よりたくさん溜めることもできた。
 でも、発電によって自壊する絶縁組織の修復機能は、そのままだった。
 設計に不備があったわけじゃなくて、そればかりは、どうしようも無かったんだと思う」
「ごめんなさい、サトシ、最後のほうが難しくて……」
「要するに、ピカチュウは命を削ることで、他の電気ポケモンよりも強い電撃を使うことができていたんだ。
 俺がそれに気づいたのは、というよりも、教えられたのは、
 ポケモンマスターを目指す旅の途中、故郷近くの、トキワシティに寄ったあたりでのことだった」
706 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 15:04:19.22 ID:FYspv6DO
おかえり!
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 15:04:30.27 ID:FYspv6DO
ピカ…
708 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/09(月) 15:07:48.84 ID:A3xAStw0
…チュウ
709 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/09(月) 16:12:42.39 ID:/bUxzdMo
トキワジムを制覇した次の日の夜。
晴れてパーフェクトホルダーになった俺を祝うため、
カスミとタケシ、そしてわざわざマサラタウンから出向いてくれた母親とオーキド博士を交えた食事会が開かれた。
宴も酣を過ぎた頃、俺はオーキド博士に耳打ちされて、夜風に当たると皆に言って、座敷を出た。
そして、そこで俺は――。

「サトシはそれまで、ピカチュウがずっと、ただのピカチュウだと思っていたのね?」
「特別だと思うことは、何度となくあったよ。でも、それはあくまで常識の範囲内での特別だと、思っていた。
 ピカチュウが創られたポケモンだなんて、考えたこともなかったんだ」
「最初は、とても信じられなかったでしょうね……」

人目を憚らず喚き立てる俺に、オーキド博士は順を追って、冷静に話してくれた。
自分がポケモンと人間の共栄を目的とした秘密結社の首魁であること。
十数年前、倫理協定から大きく逸脱したとある研究機関から、実験に使われていたポケモンを徴発、
辛うじて息のあったポケモン――ピカチュウ――を博士が引き取ったこと。
その出来事からややあって、俺がマサラタウンから旅立つ日が訪れたこと。
偶然が重なり、旅立ちのトレーナーに渡すはずの幼生ポケモンが不足していたこと。
悩んだ末、実験台にされていた不幸なピカチュウを、俺に託したこと。
色々な街で俺やピカチュウと再会する中で、ピカチュウについての懸念が、確信に変わっていったこと。

「俺は、ひとつの帰路に立たされた。
 このままピカチュウと一緒にポケモンマスターを目指すか、
 それともこの場で、ピカチュウが最も長く生きられる環境に手放すか」

結局、俺は前者を選んだ。
マサラタウンの研究所で、いったんピカチュウの検査してみないかというオーキド博士の提案を断り、
翌日、逃げるようにトキワシティを発った。
動揺していることを悟られたくなくて、
最後は自分一人の力で行きたいと嘘を吐き、カスミやタケシと別れた。
このままピカチュウと一緒に冒険を続ければ、ピカチュウの命は加速度的にすり減っていく。
その事実を認めたくなくて、わざとピカチュウに電気技を使わせた。
無茶な指示に応えてくれるピカチュウの健気な姿に、俺は愚かにも安心していた。
だが――。

「チャンピオンロードを抜けた頃から、ピカチュウを失う夢を見るようになった」

それからというものの、俺はなるべくピカチュウに負担のかからないポケモンバトルをするようになった。
格下の相手でも、なるべく一撃で倒すように心がけた。
ピカチュウはきっと、俺の様子がおかしいことに気づきはじめていた。
俺はそれが嫌で、ピカチュウと心を通わせるのを避けるようになった。

「サトシは、ピカチュウが少しでも傷つくのが怖かったのね?」
「俺は、中途半端だった。ピカチュウのことを一番に考えるなら、
 ポケモンバトルと無縁な、ピカチュウの住処に、もしくはマサラタウンの母親のところに置いていくのが一番だ。
 でも、できなかった。相変わらず俺のベルトの六番目のホルダーには、
 ピカチュウの入ったボールがあって……リーグの強敵を相手に、切り札としてピカチュウを出す度に、
 もう二度とピカチュウを出さないと誓って……なのに、」

結局俺は前チャンピオンを前にして、ピカチュウの力を借りずにはいられなかった。
710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 16:57:17.08 ID:h4h2JMY0
岐路だと思われ
711 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/09(月) 21:04:22.55 ID:/bUxzdMo
チャンピオンになった俺に、博士は何も言ってこなかった。
労いと祝いの言葉だけで、ピカチュウのことには、触れようともしなかった。
それが逆に、見限られているようで辛かった。
ピカチュウをポケモンバトルで使わなければいい、そう自分に言い聞かせたこともあった。
だが、初めての防衛戦で、俺は最後のポケモン――ピカチュウ――を使わざるを得ない状況に追い込まれた。
それで、悟ったんだ。今の俺では、絶対にピカチュウに頼ってしまう。
二度目の防衛戦を切り抜けて、やっとピカチュウと離れる決心がついた。

「オーキド博士は快く、ピカチュウの入ったボールを預かってくれた。
 そして同時に、俺の実力を買って、組織の一員にならないかと誘ってくれた」
「サトシは、ポケモンリーグチャンピオンの顔を無くすのが、もったいないとは思わなかったの?」

当時のことを思い出し、溜息をつく。

「思ったよ。でも、ポケモンの寿命を代償に能力を高めるような研究をしている機関を、野放しにしたくなかった」
「わたしのお父様も、ポケモンを実験台にした遺伝子の研究をしているわ」
「それは、未来に生きる研究だろう。
 俺のピカチュウを創り出した機関は、ただ単純に、研究者のエゴによってポケモンを研究していたんだ」

サヤはどこか悲しそうな目で、ちら、とこちらを見上げた。
疑問を呈するような視線だった。『矛盾しているわ』――そんな声が聞こえた気がした。

「サトシが組織に入った理由は、それで全部?」
「最初の理由は、そうだったが、今は違う。
 俺が組織にいるのは、オーキド博士の夢を受け継いで、いつの日か、それを実現するためだ。
 独立型インフラの拡充、ポケモンと人間の癒着社会の分化……やらなければならないことは、山積している」
「本当にそうなの?」
「何が言いたいんだ?」
「サトシは、ピカチュウと別れる寂しさを、紛らわしたかったんじゃないの?
 ピカチュウの体のことを知らないで、無理をさせてきたことの、罪滅ぼしがしたかったんじゃないの?」
「…………」
「サトシは、もうひとつ、大事なことを言い忘れているわ。
 カスミのことをマサラタウンに置いてきたのは、どうして?
 サトシとカスミは、その……あ、愛し合っていたんでしょう?」
「一緒に暮らせば、自由がなくなる。
 博士に、組織に、貢献できなくなる。
 組織にとって、カスミはあくまで部外者だ」
「そのときのサトシにとっては、カスミよりも、組織のほうが大事だったってこと?」
「俺には力があって、博士の組織には、それを最大限に生かす情報があった。
 俺は、必要とされていたんだ」

博士に言われた。
カスミはまだ若いから、幸せになるチャンスは、この先いくらでもある。
だがお前が組織に協力しないことで、失われるポケモンの命は、取り返しがつかないのじゃ、と。

「俺はたくさんのポケモンや人を殺して、それ以上のポケモンや人を救った。
 でも、俺とカスミが愛し合った証拠は、何もない。記憶に残っても、記録には残らない」
712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 21:08:58.92 ID:u8YUQgSO
なんだか鳥肌たってきた

作者おかえり!
713 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/09(月) 21:41:35.40 ID:/bUxzdMo
「それでわたしは、組織のことを知りつつ、サトシのことを束縛しない、都合のいい女というわけ?」
「サヤ、俺は、」
「今の話を総括したら、そういうことになるわ。
 ねえ、わたしは確かにサトシのことを愛してると言ったけれど、
 カスミと同じように捨てられるのは嫌よ。絶対、嫌なんだから……!」

薄明かりのなか、サヤの瞳が、微かに潤んでいることを知る。
俺はサヤの小さな肩を抱き寄せて、

「馬鹿なことを言うな。
 俺はサヤに、感謝してもしきれないくらい感謝しているんだぞ。
 サヤのおかげで、俺は過去の罪悪感を忘れることができたし、
 ……もう一度、誰かを好きになれたんだ」
「なら、わたしのことを一番に考えるって、約束しなさい。
 わたしへの愛が本物だって、今ここで、証明して」

暗喩の意味を理解し、肩を抱く手に汗が滲む。
サヤは弱い握力で、俺の胸元を掴んで言った。

「不思議ね……。
 わたし、あれほどお父様の言っていたことに反発していたのに、
 今は、自分からお父様に従おうとしているわ」
「サヤ、今のうちに言っておきたいことがある」
「わたしも、今のうちに言っておきたいことがあるの」
「俺がここでこうしているのは、」
「わたしがここでこうしているのは、」
「俺の意志だ。それだけは間違いない」
「わたしの意志よ。それだけは間違いないわ」
714 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/09(月) 21:44:10.26 ID:/bUxzdMo
以下しばらくR18描写となりますので
苦手な方はご遠慮願います
だらだらやるのもあれなので、書きためてから一気に投下します

ちなみに旅行は家族旅行です
R18描写の取材だったらどんなに良かったか……qあwwせdrftgyふじこlp;@:「」性欲を持てあますfdふぁfだ
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 21:45:08.02 ID:ksBSNzMo
ふおおおおお
みなぎってきた
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 21:46:00.34 ID:Pda/IlEo
>>714
ズボンを脱いでまってるよ
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 22:10:56.06 ID:iZUSc02o
おちんちんがみなぎる
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 04:09:20.58 ID:kdPKCISO
ふおお
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 09:21:10.62 ID:fg8xhswo
作者は童貞のはず
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 09:46:21.94 ID:dJcGxADO
描写のリアルさで見抜いてやんよ
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 10:30:45.87 ID:ui5BlYSO
楽しみすぎて夢に出た
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 16:12:49.79 ID:yNEvmsDO
ここから下は…
キングクリムゾン発動を禁止してもらいたい
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 17:11:40.86 ID:r4vGGhoo
作者さんお帰り!
こういうアレな部分を執筆してる時に限って妹に見つかったりとか
そんな事態にだけはなるんじゃないぞ!
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 21:28:29.73 ID:PmZhqys0
「証拠は、何もない。記憶に残っても、記録には残らない」
って状況によっては凄く重い言葉だな・・・
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/11(水) 00:32:16.55 ID:GnKCUMg0
ふぅ……
726 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/11(水) 00:47:34.38 ID:0Af.CvEo
※――――以下R18描写――――※



顔を寄せる。
熱に浮かされたような瞳は、自惚れでなく、俺を求めていた。
左手で、顎をかすかに持ち上げる。
サヤは無抵抗の証を示すかのように、瞼を閉じた。
心の箍が、弾ける音がした。

「サヤ………」

後ずさるサヤを、じりじりと追い詰めていく。
離れては触れ、離れては触れ……単純に互いの唇を重ね合わせるだけのキス。
ひんやりと冷たい布団の上で、サヤの体を確かめるように、肩、背中、腰へと愛撫していく。
帯の結び目を解くと、サヤはぴくりと身を震わせた。
啄むようなキスをやめて、舌先をわずかに伸ばす。
サヤの熱く湿った吐息がかかり、すぐに唇の輪郭をなぞるだけでは我慢できなくなる。

「んっ……む……」

舌を絡ませ、唾液を吸う。
無味であるはずのそれを、興奮した脳が仄甘く錯覚する。
サヤの反抗は、実に可愛らしいものだった。
ざらざらとした小さな舌が、弱点を探るように歯茎を撫で、つついてくる。
それを押し返し、同時に自分の唾液を流し込んだ。
荒い息遣いと、淫靡な水音が響く。
呼吸を忘れるほどに、サヤの口蓋を蹂躙する。
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:48:44.14 ID:loTnY3Qo
そのころカスミは
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:48:51.95 ID:0Af.CvEo
「はぁっ……、ぁ……、サトシ?」

弱い力が、俺の胸を押し退けようとする。

「ごめん。苦しかったか?」

サヤはふるふると首を横に振り、

「もう、キスはいい」
「じゃあ……」

唇を解放し、小ぶりな右耳を甘噛みする。
壊れ物を扱うように、息をかけ、そっと耳孔に舌先を滑り込ませた。

「やっ、どうしてそんなところ……んぅ……」

身悶えするサヤの隙をついて、
帯を取り払い、共衿をはだけさせ、上半身を露わにする。
項、鎖骨、肩へと指を沿わせていく。
素肌の吸い付くようなきめ細やかに息を呑む。
しかしそれ以上の指の南下を、サヤは拒んだ。

「ま、待って」

両腕で胸を隠そうとする仕草は、初心で、それ故に扇情的だった。

「待たない」

背中に手を回し、正面から、そっと体重を乗せていく。
体の強張りは、緊張の証か。
それでもサヤは手をつかず、身を畳の上に横たえた。
その上から覆い被さり、何度も何度も、サヤの額や頬にキスをした。
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:50:13.23 ID:0Af.CvEo
「俺は、サヤが欲しい」

サヤは震える声で懇願してきた。

「優しくするって、言って。
 わたしを大切にするって、言って」
「優しくする。サヤのことを大切にする」

直情的な遣り取りでさえ、もどかしい。
今この瞬間、俺を支配しているのは、一の理性と九の本能だった。
胸を隠す腕を払う。微弱な抵抗は、無きに等しい。
健康的な胸の膨らみは、サヤが気恥ずかしさに耐え、身動ぎする度にふるふると揺れた。
左の乳房を手で掴み、右の乳房に口をつけた。
乳腺に沿ってゆっくりと握力を込めると、その分だけ、弾力が張りのよい肌を通して押し返してくる。
口に含んだ乳頭を舌先で弾き、転がす。

「っ、はぁっ……」

優しく吸うと、サヤは堪えきれずに小さく嬌声を漏らした。
指先で、舌先で、ふたつの乳頭が徐々に充血し、尖っていく。

「あ……あぁ……ダメ、サトシ……わたし、恥ずかしくて死んじゃいそう……んっ」

喘ぐ唇を塞ぐ。
乳房の刺激を続けながら、腰紐を緩め、上前と下前をはだけさせる。
閉じようとする両足の間に片膝をつき、膝頭から内股へと手を滑らせていく。
やがて俺の指は、浴衣の生地とは明らかに感触の違う、白い薄布に行き着いた。
サヤの抵抗が僅かに強くなるが、意に介さず触れ、秘核の位置を探る。
ほんの小さな突起に指の腹が触れた瞬間、サヤの体がびくりと反応した。
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:54:22.51 ID:0Af.CvEo
「んっ……はぁっ、ぁ……」

口蓋を犯しながら、何か訴えたげな瞳を見据える。
直接刺激するよりも布越しに摩擦する方が、より快感を与えられることを、俺は知っていた。
人差し指と中指の腹で、秘核を、固く閉じられた割れ目を摩擦する。
強張っていたサヤの体が弛緩したところで、下着をおろし、直に触れた。
汗とも愛液とも知れぬ湿り気を確認する。
恐らくほとんどが前者だろう、と判断する。快感は未だ遠く、恐怖には及ばない。
ささやかな茂みを押し分けて、割れ目に中指の爪先を、そっと埋没させていく。

「痛くないか?」

こくり、と頷くサヤ。
羞恥のせいか、目を逸らそうとしている。
その仕草が男をさらに昂ぶらせるとも知らずに。
乱暴に犯したい衝動を抑えながら、指を押し込んでいく。
中程にまで達したあたりで、指を引き抜く。そしてまた、ゆっくりと慎重に、一連の流れを繰り返し……。
準備の出来加減によっては、挿入の際の痛みはかなり軽減される。
サヤの中をほぐすのに、俺はかなりの時間をかけた。
やがて、サヤは俺を見上げて言った。

「サトシ、さっきからずっと我慢してる」
「サヤが、俺のことは気にする必要はないんだ」
「いいの。わたしは大丈夫だから……でもね、浴衣が……」

言わんとすることを理解し、サヤの腰を持ち上げて、浴衣の裾を脇にどかす。
俺はそのままの流れで、着ていた自分の簡単な浴衣を脱いだ。
するとサヤはさっきまでの余裕はどこへやら、
不安を隠そうともせずに、俺の股間をまじまじと見つめ、

「本当に、こんな大きなものが入るのかしら」
「サヤのペースに合わせるから、心配するな。
 優しくするって、言っただろう?」
「それはそうだけど……不公平だわ。
 わたしだけが痛くて、サトシは逆に、気持ちいいんでしょう?」

会話に付き合っていたら、情事の雰囲気を壊されかねない。
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:55:49.04 ID:d5K8StQo
ヒナタ「ねーねー私のおとうさんってどこにいるの?」

カスミ「お父さんはね、今遠いところにいるの」

カスミ「でもどこにいてもヒナタのことを考えてる立派なお父さんなんだから」

カスミ「帰ってくるのを信じて待っていましょうね」
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:56:02.96 ID:0Af.CvEo
俺は囀りをキスで黙らせ、サヤを押し倒した時からずっと勃起したままのそれを、サヤの秘所に押し当てた。
何度か上下に滑らせ、指でほぐした小さな膣口を探り当てる。
サヤはぎゅっと目を瞑り、俺の背中に腕を回した。

「どうしても無理だと思ったら、我慢しないで言ってくれ」
「絶対にイヤよ。今がダメなら、次はまた最初からしなくちゃならないのよ」
「じゃあ、途中でサヤが泣いても、やめなくていいんだな」
「も、もちろんよ。それに、この程度でわたしが泣くと思ってたら、大間違いなんだから」

優しくして、大切に扱って、と行為を始める前に懇願してきたのは誰だったろう。
記憶がかすんで思い出せない。
俺はサヤの額にキスをして、ゆっくりと腰を前にスライドさせていった。
肉襞が亀頭に締め付けられる。痛みと紙一重の快感に、腰が戦慄く。
それでも俺は逸らずに、一定の速度で、挿入を続けた。

「っ……」

唾液に塗れた唇から、熱い吐息が漏れ出す。
結わえた髪はとうに解け、苦痛に歪むサヤの顔を縁取っている。
昔、サヤと出会って間もない頃、写真を取り返す過程でサヤを押し倒したことを思い出した。
金髪の一件でミディアムボブにした髪も、あの頃はまだロングだった――。
そんなことを考えて意識を逸らさないと、つい、『乱暴に犯せ』と唆す本能に従いそうになる。
中程まで入ったあたりで、サヤは不意に、両の手の爪を、俺の背中に突き立てた。
仮初めの行き止まり。サヤの処女の証が、すぐそこにある。
サヤは目の端に涙を浮かべながら、気丈にも微笑んで言った。

「来て」

見え透いた強がりに、今は騙される。
俺は未だ何者の侵入を許したことのない膣道の奥に、自身のそれを突き出した。
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 00:58:40.48 ID:0Af.CvEo
「……ぁ……あぁっ……っ……!!」

ぴっちりと密着した肉襞の感触と、熱い粘性の液体がペニスを包み込む。
比類なき快楽、悦楽、愉楽の波――。
溺れかけた俺の目を覚ましたのは、
背中に突き立てられたサヤの爪と、結合部から伝う鮮血の一筋だった。

「しばらくは動かない。サヤが平気になるまで、こうしているから」
「うっ……ひぐっ……えぐ……」

ぽろぽろと涙が溢れる目に、震える唇にキスをする。
強くサヤの体を抱きしめ、髪を撫でる。
破瓜の痛みに対して、男はどうしようもないほど部外者だ。
だからせめて、愛情表現の限りを尽くして、サヤに痛みを忘れて欲しかった。
どれほど愛撫を続けただろう。
それまで新たな刺激に怯えるようにじっとしていたサヤが、身動ぎした。

「……もう、大丈夫だから」
「強がらなくていいんだぞ」
「わたしは強がってなんかいないわ。サトシが動かないでいてくれたおかげで落ち着いたし……。
 それに、強がってるのはむしろ、サトシのほうでしょう?」

サヤの呼吸する音が、触れあった肌の摩擦が、理性を容赦なく削り取る。

「俺は別に、」
「何を言ったって、わたしには分かってるんだから。
 さっきからサトシの、大きくなって、ときどき勝手にはねてるもの……本当は、動きたいんでしょう?」

妖艶な声色に、くらりとする。サヤの指が、俺の頬を撫でる。
気づけば俺はサヤの言葉に甘え、本能に忠実な獣と化していた。
ゆっくりと腰を引いて、押し込む。
たったそれだけの単純な動作で、サヤは苦痛に喘ぎ、俺は快楽の虜になった。
歯止めがきかない。ピストン運動が、徐々に早くなる。
水蜜桃のようなサヤの尻を掴み、より深く、肉壺を抉る。
汗と唾液とわずかな愛液が混じり合った据えた匂いが、
結合部から響く淫猥な音が、興奮を高めていく。
底なしの愉悦の海に沈んでいく。
ほんの一時、自分を取り戻した俺は、サヤの顔を伺った。
優しくするという約束を破った俺を咎めるでもなく、サヤはこう言ってくれた。

「あぁっ……サトシの、……ぁ……んっ……好きなように、して……っ。
 わたし、今……はぁっ……とっても、幸せよ……。
 大好きなサトシと……あぁっ……こうしてひとつに、なれたんだからっ……」
734 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 01:00:56.45 ID:0Af.CvEo
無心で、サヤを犯した。
しかしこんな時に限り、射精感はなかなかこみ上げてこない。
まるで、限界までサヤの体を味わい尽くそうとしているかのようだった。
サヤになるべく負担をかけないように、早く果てなければならないのに――。
どうしようもなく、気持ちいい。

「ぁあ………ん……やぁっ………」

痛みに耐える喘ぎさえもが、神経を高ぶらせる。
サヤの乳房に口づけ乳首を吸いながら、さらに奥深くを目指して、腰を打ち付ける。
男性器に慣れた肉襞は血を潤滑油として、精液を搾り取ろうとするかのように蠕動する。
そして――、腰が怠く、重くなるような感覚が訪れた。
サヤも何か感じ取ったのか、必死に唇を動かし、尋ねてくる。

「……いきそう、なの……?」

頷いてみせ、ラストスパートをかける。
これで終わりだから。これで終わりにするから。
快感の絶頂に達しなければ射精できないなんて誰が決めたんだろう。
だから、せめて最後の瞬間だけは、自分の意志で果てる――そう決めていたはずなのに。
腰を引こうとしたそのとき、サヤの両腕が俺の体を抱きしめた。

「……あっ…あぁっ……中に……して……ん……はぁっ……お願い……」

避妊具をつけていない時点で、危ない橋は渡っている。
サヤの中で果てれば、妊娠の可能性はより現実味を帯びる。

「何を言ってるのか、自分で分かってるのか?」

サヤは何も言わず、体を密着させてきた。
最初に確認し合ったことを思い出す。
サヤは父親のためでなく、俺はオーキド博士のためでなく、
互いが、互いを求め合っているから、俺たちは行為に臨んだ。
俺の愛情が本物であると証明して欲しい、とサヤは言った。
たとえ記憶が消えても、失われない記録。
俺とサヤが愛し合ったという絶対の証明。
それを作る覚悟がサヤにはできている。
その思いの強さに、不意に、泣いてしまいそうになる自分がいた。

大きなストロークで、自分のそれをサヤの一番深いところに導く。
その瞬間を待っていたかのように、肉壁がきつく収縮する。
視界が白く染まり、腰が溶けるような感覚に襲われ、
そして……びゅくびゅくと尿道を迸る精液の律動が全身に伝播し、絶頂の快感が、脳髄を突き上げた。
735 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/11(水) 01:08:43.72 ID:Xt7AdC.o
ちょっとアヤに同じことしてくるわ
736 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/11(水) 01:13:38.32 ID:0Af.CvEo
固さが戻らないうちに自身を抜き、虚脱感に身を任せる。
しばらくは、言葉も喋れなかった。
互いの乱れた息遣いと、密着した肌の熱が、情事の余韻を物語っていた。
先に体力を取り戻したらしいサヤが、そっと頭を胸に寄せてくる。

「終わったの、ね……?」

俺はサヤの髪を撫でながら、

「ああ。ごめんな……優しくできなくて」
「本当に、そうよ。好き勝手にわたしの体を弄んで」
「怒ってるのか」
737 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/11(水) 01:42:28.68 ID:0Af.CvEo
「ううん。前にも言ったけど、お姉様に教えられてきたもの。
 男はいざとなると、豹変する生き物だって……。
 サトシだって、その例外じゃないってことがよーく分かったわ」

静かに抗議するかのように、指先で、胸をつついてくる。

「怒ってるんだな」

サヤは答えず、顔を伏せた。
不安になって覗き込むと、目をそらされた。

「どうしたんだ?」
「い、今更になって、恥ずかしくなってきたの。
 これって、夢じゃないのよね?
 本当の本当に、わたしはサトシのものになったのよね」
「別にサヤが俺のものになったりはしていないと思うが、」
「わたしを抱いたんだから、わたしはサトシのものなの!
 そして、サトシはわたしのものになったの!」
「わ、わかったよ」

剣幕に押され、認めてしまう。
この先の関係を予言するかのような会話だな、と他人事のように思う。
しばしの沈黙のあと、サヤははにかんだ上目遣いで俺を見上げ、

「最後に、わたしの我が儘を聞いてくれて、ありがとう」

と言った。

「サヤの我が儘を聞いたつもりはない。
 俺は自分の意志で、ああしたんだ」
「サトシ……」

サヤが唇を突き出し、キスを求めてくる。
しかし俺は額へのキスのみに留め、サヤの頭を抱き寄せた。
一度勃てば、鎮めるのに時間がかかる。
これ以上サヤの体に無理をさせたくなかった。
事実、かなり体力を消耗していたのだろう、腕の中から穏やかな寝息が聞こえてくる。

「おやすみ、サヤ」

その音色に誘われるかのように、強い眠気が訪れる。
俺は瞼を閉じ、際限の無い暗闇に身を投じた。


儚くも得難い、至上の幸福を噛みしめながら。
738 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/11(水) 01:54:02.02 ID:0Af.CvEo
これでR18描写は終わりです 外伝はまだ続きますけど
以前、官能描写を練習していたこともあり自分的にはノリノリで書けました
約束を交わした古い住人の方に満足していただければ幸いです

書きながら思ったこと
( ^ω^)<脳内じゃなくてリアルでエロいことしてぇww
739 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:08:56.33 ID:qgPOZvso
俺も最近ご無沙汰だな・・・
740 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:11:51.27 ID:WG8LekSO
このサトシってせいぜい中学生くらいじゃね?
741 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:18:19.53 ID:ORq/2QDO
どこらへんが中学生?
742 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:28:09.97 ID:WG8LekSO
旅に出たのが10歳じゃなかったっけ
で、そっから5年くらいかなぁと
743 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:35:00.88 ID:ORq/2QDO
年齢どっかで言われてた気がする
744 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 02:41:23.20 ID:WG8LekSO
そだっけ?
過去ログ見てくる
745 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 03:10:40.93 ID:2kXhwbIo
大したコメントの少なさだ
746 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 03:11:10.63 ID:2kXhwbIo
コメントってなんだよ
ここはニコニコ動画じゃねーぞバカ
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 03:13:41.66 ID:lHZ.csAO
そういうの嫌いじゃないよ。
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 03:14:09.48 ID:TJ/CYOco
え?
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/11(水) 03:42:27.62 ID:Xt7AdC.o
せめて専ブラを使わないとかすべきだった
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 08:43:35.11 ID:vSj5QJg0
これだからうんたらかんたら
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 08:54:24.77 ID:bPBztKQo
サトシ18でサヤ19じゃなかったか?
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 09:32:21.95 ID:XptRRpUo
サトシ19サヤ21じゃなかった?
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 12:03:53.35 ID:W9d6XIDO
エロイ(・∀・)イイ!
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 13:32:11.17 ID:.PErq0Io
てっきりサヤは貧乳かと思ってたけど
そうでもないのか?
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/11(水) 17:35:29.91 ID:W9d6XIDO
ほどよくついてるんだろ
756 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/11(水) 23:53:16.14 ID:0Af.CvEo
――――――――二年後――――――――


「ミッション・オブジェクティブは国交省議員の護衛。
 氏は先日の建設業等の開発事業支援フォーラムにて、
 公的資金投入対象の規定緩和法案提出を明言したばかりです」
 自然保護、ポケモン愛護団体の反感は必至。
 過激派の行動は予測不可能です」
「交渉は望むべくもないな」
「氏の安全を最優先、襲撃者はただちに撃破してください」
「ミッションの概要は以上か」
「はい。ですが……いえ……無事の完遂を祈っています、レッド様。
 あなたはシステムにとって掛け替えのない存在なのですから」
「………」

オペレーターとの通信を切る。
ヤマブキシティの一等地、宿舎の一室の前に到着した俺は、
前任者との交代を無言で果たし、護衛対象との簡単な顔合わせを済ませた。
第一印象は、品のある紳士。
新人議員の頃から組織の目に留まり、
今では政界に大きな影響力を持つ一人として、組織に重宝されている。

「やっと来たか!
 君の噂を聞いて、直々に指名したんだよ。
 組織の古い友人が特に君を推していたのを思い出してね。
 護衛任務における失敗は今までないそうじゃないか」
「身に余る言葉です」

議員はヒノアラシの赤子をあやしながら、

「どうだい、私専属のボディーガードになる気はないか?」

俺はやや間をおいて言った。

「個人契約は厳禁です。
 長くシステムに関わってこられたあなたなら、よくご存じでしょう」
「冗談だよ。今の言葉を報告書に書いたりはしないだろうね」
「まさか……」
「システムの人間はどうも堅苦しくて困る。
 君や私のようにユーモアがなくてはな。
 今後の予定は、秘書から聞いているのだろう?
 なら、早速役目を果たしてくれたまえ。
 期待しているよ……もっとも、君の手腕を拝まないことに越したことはないがね」
757 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 00:17:08.23 ID:o4q.pJ.0
けっこうとんだな
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 00:24:25.36 ID:qvsTSego
常時のあとキンクリとかエロゲっすなあ
759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 00:37:40.55 ID:UyyJtMSO
おっさん……これからしぬんだぞ……
760 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 04:23:19.21 ID:J3vdgMDO
…ふぅ
761 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/13(金) 00:49:21.18 ID:XwzaHTco
それから俺は議員と事務的な遣り取りを終え、室外に出た。
一般的な要人警護の任務は、大概がクライアントの杞憂に終わる。
というのも警護対象は立場上、日常的に何らかの脅威と隣り合わせであり、
その脅威に対する防衛姿勢の明示が目的だからである。
しかし俺が最近言い渡される任務は、交戦可能性の高いものばかりだった。
今回のそれが良い例で、警護は議員への憤懣が特に表面化しやすい期間に限られている。
法案が通ってしまえば、あるいは棄却されれば、俺は晴れて通常の警護役と交代できる。
俺は辺りに人の気配が無いことを確認して、内ポケットから一枚の写真を取り出した。
そこに写っているのは、過去の仲間たちではなく――、
内縁の妻と、純真無垢に笑う愛娘だった。

「サヤ、アヤ……」

俺とサヤが共に生きることを決心したあの日から、二年が経った。
人並みに式も挙げず、入籍もしなかった俺たちの関係の証は、サヤに宿ったひとつの命だった。
カツラ博士の尋常ではない喜びようや、カレンの婉曲な祝福、
使用人主催の記念パーティは割愛するとして、とにかくサヤは出産を果たした。
生まれた女の子を、俺はアヤと名付けた。

『どうしてわたしに似た名前にしたの?』
『サヤによく似た女の子に育つと思ったから』
『ふふっ、まだ赤ちゃんよ?それに、女の子は父親に似るって言うわ』
『サヤは自分が父親に似ていると思ったことがあるのか?』

そんな遣り取りをしたことを、朧気に覚えている。
最初にアヤを抱き上げたときの感動は、一生忘れることができないだろう。
すぐに顔をしわくちゃにして泣き出し、サヤに預けることになったが、
小さな命の温かさ、重みに、涙腺が緩んだ。
アヤが生まれてから、早くも季節が一巡りしようとしている。
アヤが生まれる前も、生まれた後も、俺はあまりグレン島の屋敷に戻れずにいる。
それでもサヤは、周囲の人間に支えてもらいながら、俺の分までアヤに愛情を注いでくれていた。

『サトシは、お仕事を頑張ればいいのよ。
 わたし一人でもちゃんとアヤを育てられるんだから。
 でも、ちゃんとお仕事の合間には帰ってくること。
 あんまり仕事に一生懸命になってたら、アヤがサトシの顔忘れちゃうかもしれないわよ?』

優しい微笑みと一緒にかけてくれた言葉は、本心ではないのだと思う。
ずっと一緒にいてほしい、とはっきり言われたことは一度もない。
サヤは聡明で物わかりのいい妻であろうとした。誰の助けも必要とない母親であろうとした。
その振る舞いに騙されたふりをし、サヤとアヤを屋敷に残して任務に就く――そんな日々が、続いていた。
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 04:11:09.94 ID:yAl5g6SO
繋がっているんだ
僕らは
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 08:16:01.48 ID:hAlBXz6o
この表現からするとサトシはまだヒナタの存在を知らないのかな
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 11:38:59.75 ID:uNzO4ADO
カスミが身ごもったのも知らなかったって一話に書いてあった気が


ウィキの外伝12の御乱心にちょっと笑った
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 12:15:21.16 ID:hAlBXz6o
>>764
幼少の頃のヒナタとタイチを助けたエピソードで既にヒナタの存在を知っていたからさ
766 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 12:34:48.17 ID:uNzO4ADO
>>765
あ、そうかすまん
もうこの時点でヒナタが3歳くらい?だから…
もうすぐヒナタの事を知るエピソードがでてくるのかな
鬱だ…
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 17:46:41.12 ID:/KrSQoAO
あー、あのシーンのサトシ目線やるのかな
楽しみだ
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 09:04:24.71 ID:8E8VHDco
丸一日レスがないなんて珍しいな
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 14:17:07.52 ID:/KZA97.o
みんなすっかり賢者モードだからね
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 20:39:34.24 ID:YF6bUUSO
それともみんな目的は達成されたかだな
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/16(月) 20:43:22.85 ID:zHDE8U2o
甘えんな。レスがなかったらレスしろ
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:35:58.75 ID:nv9gLyI0
>>770
実際みんなが望んでたのってタイチの夢精シーンを詳細に描いたようなやつじゃね?
その時のスレの流れ的にそんな感じだったような気がするんだけど
773 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 00:31:25.91 ID:qGziDjYo
ヒナタとタイチのういういしいアレを
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/17(火) 00:37:19.83 ID:R1SzhXIo
だーかーらーカエデちゃんがぁー
775 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 00:39:19.05 ID:hvzDYAso
カスミとの初めてのアレを
776 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 06:30:20.17 ID:Sb0DPQDO
俺と>>1の生々しいアレを////
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 10:18:42.38 ID:ab8BzQSO
よし、お前が書け
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 12:55:16.24 ID:LB/S29co
そもそも>>1と作者って違うような


はやくかけ
779 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/17(火) 20:26:11.38 ID:8f2uvZIo
「あなたがレッドですね?」

思索に没頭していたところに、声をかけられる。
二十代半ばの若い女だった。四角いふちの眼鏡をかけていて、髪は品良く纏められている。
直感で、秘書の一人だと分かった。

「議員の予定はご存じですね」
「目は通した。進言したいこともいくつかあった」
「何か問題が?」

苛立ちを含んだ声。

「危険が無くなるまでは……いや、危険が少なくなるまでは、
 なるべく宿舎に留まってもらいたい。その方が護衛しやすい」
「できません」

だろうな、と思った。
根回しの怠慢は孤立を招き、孤立は破滅を招く。
都内某所の高級和食料理店で行われる今晩の会席も、
議員にとっては必要不可欠な外出だった。
それでも、リスク回避の原則を提言せずにはいられなかった。

「予定に変更はありません。
 あなたは我々の依頼通りに護衛を全うしてください」

秘書は怪訝な顔で俺を一瞥したあと、慌ただしく室内に入っていった。
右手の中で折り曲げていた写真を真っ直ぐに伸ばし、ポケットの中に戻す。

―――これで最後にするから。

誰にも聞こえない小さな声で、そう独りごちた。
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 20:41:59.41 ID:hvzDYAso
作者キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
781 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/18(水) 00:40:19.31 ID:xELpLm.o
夜。
ネオンの光や喧噪を避けるように、議員を乗せた車は閑静な一等地にのろのろと進む。
ポケモンを用いないことがソフィスティケートされた人間の証明であるという思想は、
最早都会の通奏低音にも等しく、上流階級の人間はこぞってポケモンの背に乗るのをやめ、
代わりに原動機を推進力とする鉄の箱に乗り始めた。
自動車が安価な買い物となり、辺境が開拓され、平らな舗装道路が遍く敷かれた暁には、
ポケモンの力に頼らず、誰もが好きな場所に陸路で赴くことができるのだろうか。
そんなことを考えているうちに、鈍い音を立てて車が停止した。
女中の慇懃な歓待を受け、車外に出る。
俺はひたすらに存在感を消し、奥の間に消える議員を見送った。
先刻交わした会話を思い出す。

『君は同席しないのかね?』
『外で待機しています。秘書の方にそう言われましたので』
『心細いな』
『これをお持ち下さい』

今、俺のベルトに装着されているボールは五つ。
議員に予め渡しておいたボールは、特別な仕掛けを施してある。
マサキ博士と親交が深かった時節に依頼して作ってもらったものだ。
手持ち無沙汰になった俺を気遣ってくれたのだろう、
声をかけてくれた女中を会釈でかわし、中庭に向かう。
鹿威しの涼しげな音と、爽やかな草いきれ。
白砂に描かれた美事な紋様。
池には形、大きさ、色合いすべてが調ったアズマオウやトサキントが悠々と泳いでいる。
縁側から聞こえる下卑た笑い声も、皓々と降り注ぐ月の影の神秘性には敵わない。
俺は壁にもたれかかり、ここで会席のお開きを待つことにする。
職務怠慢、無責任な行動だと言われるかもしれないが、
議員から距離をおき、広い視野で護衛を務めるための待機だ。

オペレーターは襲撃者は即刻撃破しろと言ったが、俺にはそんな気は毛頭無かった。
尖兵を倒して満足していては意味がない。
もっとも、着任早々、都合良く襲撃者が現れる確率はゼロに近いのだが……。
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 07:45:31.74 ID:tRnfp.SO
くるぞ・・・
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/18(水) 07:50:55.75 ID:gj9bmOMo
※鳥肌注意※
784 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/18(水) 15:02:06.92 ID:xELpLm.o
半時間ほど経った頃だろうか、芝を踏む音がして振り返ると、
到着したときに声をかけてくれた女中が立っていた。

「こんなところにお一人で……お暇ではありませんこと?」
「元々、仕事なので」
「仕事なら尚のこと、中に入られてはいかがですか」
「信頼の置ける者に任せています。
 私はバックアップのようなものですよ」
「でも……」

そこで女中は俺の顔を見、次に髪を見た。
若さと老いと、両方を見て取って困惑しているのだろう。
俺は笑って説明する。

「ただの若白髪ですよ。生まれつきや、病気によるものではありません」
「まあ。大変な苦労をなさっているのでしょうね」
「仕事柄、心労は絶えません」

女中は上品な笑みを口元に浮かべ、
当たり障りのない話題を口にし、身の上を話しながら、適度に水を向けてくる。
聞き上手を相手に話していると、話し上手になっているという錯覚に陥ることがある。
俺はお喋りに興じるふりをしながら、この話術に長けた女中がいっこうに立ち去ろうとしない理由を考えていた。

「――実家は育て屋を営んでいて――」
「――去年、子供が生まれたばかりで――」
「――まあ――男の子、それとも女の子ですか――」
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 15:03:26.25 ID:xELpLm.o

時は過ぎていく。
屋敷に不審者の出入りは無い。今も高級料理店の従業員は接待に勤しみ、
今夜予約を入れていた財界政界の選り抜きは、各々の駆け引きに興じているはずだった。
いつしか下卑た笑い声は消えていた。
深閑な原生林の奥地に迷い込んだような、不気味な静けさが漂い始めていた。
帯を直すためだろうか、女中は喋りながら、自然に両の手を後ろに回す。

「失礼」

しかしその手が前に戻らないうちに、俺は女中に体を重ね、手首を押さえた。

「え、」
「ボールは開くな。
 できるだけ手荒な真似は避けたい」
「どう、して……」

そっとボールを奪い取り、距離を置く。
女中は信じられない、というような顔をして、後ずさった。
俺は確保したボールを内ポケットに収納し、フシギバナを召還する。
女中はとっさに背を向け、脱兎の如く駆けだした。
白砂の紋様が乱す足首に、決して人の力では断ち切れない木の根が絡みつく。
彼女の呼吸が落ち着くのを待ってから、俺は尋ねた。

「監視役か」
「…………」
「仲間は何人いる?」
「…………」

ふるふると首を横に振る。決意は固いようだった。

「"寄生木の種"」

倒れ伏した女中の四肢を、さらに草の蔦で拘束する。
786 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/18(水) 15:05:33.84 ID:gj9bmOMo
この感じ……18禁か
787 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 15:08:11.05 ID:tqUCUEDO
そんなニュータイプみたいに言われても
788 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/18(水) 15:11:19.07 ID:xELpLm.o

「フシギバナ、念のため、出入り口になりそうなところを完全に封鎖しておいてくれ」

空を見上げる。
月を背にした小さな影が、円弧を描くように飛んでいる。
ピジョットの夜目はいかなる脱走者も見逃さない。
そして一度補足したが最後、フシギバナの蔦は必ず脱走者を拘束する。
俺は靴を脱いで縁側に上がる。
皆、眠っていた。意匠を凝らした活け作りに顔を突っ込んでいる者。
畳の上に大の字に仰向けになって、安らかな寝息を立てている者。
盆を引っ繰り返している女中を見て、全員が全員、計画に荷担していたわけではないことを知る。
人の可聴域を超えた睡眠発作誘導音波。
屋敷の中にいた人間は、ほぼ全員が深い眠りについていると見ていいだろう。
この事態を引き起こしたポケモンが、並外れた"歌唱力"を持つことは疑うまでもない。
奥の間に到着する。
――果たして議員は、顔を赤くして愉快げに独酌していた。

「君も呑むかね。彼女らを肴に楽しんでいたところだ」
「遠慮しておきます。無事で何よりです、議員」
「君の……ウーフィーが助けてくれてね」
「エーフィです」

訂正せずにはいられなかった。

「ああ!そうそう、エーフィだ。
 いやはや、いきなり目の前が真っ暗になったときはびっくりしたよ。
 次にこの子に起こされたときは、もっとびっくりしたがね!」

議員は豪快に笑う。かなり酔いが回っているようだ。
エーフィが議員の膝からおり、俺の足許にすり寄ってくる。
額の結晶は眩い光を湛えている。首の下を撫でてやると、愛らしい鳴き声を上げた。

「満点だ、エーフィ。さて………」

俺はそこで初めて、三人の女中と一匹のプクリン、二匹のプリンに向き直る。
暗殺未遂犯は既に、目に見えない力によって磔にされていた。
サイコキネシスを扱えず、また繊細なPKを編むのが苦手なこのエーフィは、
半径7m圏内120kgf・m/s以下の力で動こうとする物体を単純に『静止』させることで潜在能力を最大限発揮する。
789 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 16:23:18.20 ID:nkiopHUo
補足しておくが6行目ぐらいの補足は捕捉
790 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 18:03:55.99 ID:wKox0kSO
ワロタ
791 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 18:14:10.35 ID:UU47Xvoo
ウーフィかわゆすなあ
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 20:07:12.01 ID:kWV/R6DO
教えてくれウーフィー、
793 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 22:02:08.00 ID:XRWS0bs0
グーフィー…
794 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/19(木) 19:44:40.43 ID:s.H/AjIo
「一人だけ緩めろ」

エーフィの"念力"から解放され、
年配の女中――指揮を執っていたのだろうか――が壁に背を擦りながら、尻餅をつく。
こちらを睨め付ける目に浮かぶ感情は、動揺が過半を占めていた。
プクリンたちの"歌う"でターゲットを含む屋敷内の全員を眠らせた思い込んでいたところに、
意外な罠、護衛に特化したエスパーポケモンに無力化されたのだから無理もない。
あとは、憎悪と絶望が少々。

「このテロを先導したのはお前か」
「…………」
「仲間は他に何人いる。中庭の一人をいれて、四人か?」
「…………」

眼球がせわしなく動く。

「助けを期待しても、誰も来ないぞ」

示し合わせたように、屋外で大きな音がした。目を瞑る。
中庭で拘束した女中が――どうにかして隠し持っていたボールを展開し脱出したのだろう――鳥ポケモンの背に乗り、
飛翔しようとしたところを、ピジョットは的確に撃墜したようだった。
共有した視界には、土埃に塗れた女中の姿がある。捲れ上がった裾から覗く足は、不自然な方向に折れ曲がっていた。
どこかでその様子を見守っていたらしい二人の警備員が、駐車場出入り口に駆けだしていく。
フシギバナは泰然とそれを待ち受け、ボールを展開される前に、二人を蔓で宙づりにした。
暴言を吐き散らしていることから聴覚障害ではなさそうで、きちんと耳が聞こえるのなら、
なぜプクリンやプリンの"合唱"の中で眠らなかったのか説明がつかず、
また一斉に昏睡した客を起こしてまわった様子もないことから、
計画の失敗を察知して逃亡を図ったテロリストの一員、と考えるのが妥当だろう。

「六人、か」
「っ………」
795 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/19(木) 19:47:36.10 ID:s.H/AjIo

議員は愉快げに口を挟む。

「皆成り代わり、というわけじゃないんだろう。
 一度きりの機会をふいにしたな。この店の信用は地に落ちた。
 もう誰も利用せんよ。私を含めてな」
「黙れ!」

激高しかけた女中の口に、人差し指をあて、
腕時計を確認する。もう5分もない。

「落ち着いて、よく聞くんだ。
 俺の役目はあくまで議員の護衛で、お前たちの処遇を決めるのは別の人間だ。
 ただ、その別人はお前たちが想像しているような正規の人間じゃない。
 お前たちは警察で取り調べを受けるわけでも、
 弁護士と一緒に裁判を戦うわけでも、
 刑務所で罪を償うわけでもなく、直接裁かれる。
 悪いことは言わない。
 他の仲間の所在や、お前たちの組織の規模……。
 聞かれたことには正直に、洗いざらい吐くことだ」

年配の女中は毒気を抜かれたような顔になる。

「あなたは……いったい……」
「運が良ければ、お前たちはいつか解放される。
 ただ、……ポケモンとは二度と会えなくなる覚悟をしておいた方がいい」

俺の言わんとしていることを察したのか、
壁に磔にされている若い女中の一人が、涙をこぼす。
エーフィに目配せし、全員の"念力"を解かせる。
プリンが喉を震わせる。幼少の頃から一緒だったのだろうか。
眠気を誘わない純粋な歌声は、後悔に噎ぶ彼女を宥める、子守歌のようだった。
796 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 20:17:02.71 ID:/jU4P1Uo
さすがな強さだな
797 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/20(金) 00:37:38.75 ID:.VoaDWc0
外伝12がよめない
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 00:43:16.08 ID:0.4IxkUo
外伝12は馬鹿には読めない仕様になっているからな
799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 00:58:19.35 ID:wh.BxWUo
そういえば@wikiってエロ禁止だったような
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/20(金) 02:04:02.09 ID:ULtkK42o
そのようだな
http://www1.atwiki.jp/guide/pages/30.html#id_689a74e1
801 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/20(金) 02:18:04.07 ID:ZOImNVoo
別のまとめは大昔にとまったままだしな
802 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 10:45:42.44 ID:qA/xoIAO
>>798
馬鹿じゃなくてよかったよ
803 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/20(金) 19:36:52.88 ID:.VoaDWc0
外伝10も消えてるみたいだね

なんでだろ?
804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/20(金) 19:44:08.39 ID:ZOImNVoo
リンクの外伝10が半角10になってただけだったから勝手に直しといた
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/21(土) 02:56:45.53 ID:2BNj/ac0
お疲れ様です
806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/21(土) 21:06:28.99 ID:LfKPSQc0
この世界のエスパータイプは怖えなwwwwww
格闘タイプがカスに見える力だ
807 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 21:44:15.41 ID:MtVpSywo
エスパータイプが強ければ強いほど悪タイプの強さも際立つし
あくタイプがつよければそれだけ格闘も強くなる、と思うぜ
作者がどうするかはわからんけどな
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/21(土) 23:25:18.09 ID:LfKPSQc0
>>807
その全てに強い虫タイプだけど、ストライクとハッサム以外が活躍するのは難しいよね…
虫ポケは見た目がださすぎるんだよな、まあ俺はだっさいアメモースが好きなんだけどな
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 23:29:48.32 ID:MtVpSywo
>>808
お前……テッカニンとかカッコいいぜ、ダサいけど テッカニンはダサかっこいい
ヌケニンもわりと好き。あれが格闘してるの考えたらシビれる
あとはヘラクロスとカイロスあたりじゃないかな……ハッサムってあんまカッコいい気がしないんだがなぁ……

アメモースのデザイン俺は嫌いじゃないけどな
弱いのが致命的
810 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 23:35:47.62 ID:.ycm/iko
タイプ不一致ハイドロポンプなめんな!
811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 00:12:03.20 ID:c38qYDEo
スピアーかっこいいだろ…アリアドスかっこいいだろ…
812 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 01:35:50.69 ID:MVBQj9Io
ストライクには燃えるんだけどハッサムは燃えるからな・・・4倍で。
ハッサムには魅力感じない
813 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 02:13:19.54 ID:e25Q35oo
ハッサムか・・・
小学生の時アニメ見て凄い速いのかと期待してたのに、進化させてみたらそんなことなくてガッカリしたな
814 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 04:32:42.21 ID:FwT5O9ko
むし・はがねタイプといえばフォレトスも忘れちゃいけないぜ!
あの輝くカタイ体がかっこい・・・微妙ですかそうですか
815 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 04:45:29.69 ID:AbSxBt6o
ハッサムのおかげで3タテ3連勝した俺にはハッサムをバカにできない
炎で止まるけどバカにできない

ムサコジのサカキ救出の話読みたいなぁ
816 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 07:39:50.38 ID:cdBtdLYo
あれ、サカキってどうしたっけ?
817 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 09:17:26.61 ID:AbSxBt6o
一人で牢獄暮らしじゃないの
818 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 12:43:57.55 ID:2r.qVQSO
>>816
>>815
819 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 21:13:42.64 ID:6stL3gDO
救出成功したって書いてあったっけか
820 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 22:57:12.78 ID:tiHyywDO
奴らが失敗するとでもお思いかね?
821 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/23(月) 01:23:50.76 ID:U6BIuc60
>>1の一番好きなポケメンはピカチュウだっけ?
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:48:12.65 ID:dwVoSADO
俺が一番好きなポケメンはシバだな
823 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/23(月) 01:57:20.62 ID:ARkeTvQo
大誤算もらい
824 :821 :2010/08/23(月) 20:27:35.15 ID:U6BIuc60
×ポケメン
○ポケモンです
825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 20:46:50.59 ID:.BD0/CM0
シバはポケモンだけどなwwww
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/23(月) 20:49:43.48 ID:ARkeTvQo
                       ト、
                       |  ヘ
                       ∨  l
                    _. -―‐-ゝ. l
             -‐   ̄´ rぃ       、l _
       _  -‐/ \__/ー、ゞ° _・ rぃ l     ̄  ‐- マジで!?
    r ' ´      ̄ ̄  i、__ノ  /-、1 ゞ゚ |. -‐ "  ̄ 
    \    ___   |     /   }  /´l _
       \ \ , -‐ '´ ̄    ヽ ___ノ _.,レ ´   〉
        /   {    /   rfヘ _       /
    /   ffヘ ,>―‐'    { l ヘ  \    /
     ̄ ̄ | ! ヘ         ハ     ヽ イ
       厶   .        ヽ      {/
        ヘ  l           ヽJ  r-/
         ヽJ、            l/
            丶 . ____ .. - '´
827 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/24(火) 01:07:38.70 ID:QjnsTIYo
>>826
マジで

最近忙しくて書けなくてごめんなさい
外伝も終わりに近づきどう擱筆するか悩んでます……
免許は残すところ路上のみになりました!
828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/24(火) 01:09:45.86 ID:fepLP.2o
乙・・・と、
まぁ頑張って落とさんようにせいよ
829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 02:23:05.95 ID:yfAyuUSO
ゆっくり待ってるから私生活がんばってくれ
そうか外伝もいよいよ終わり近いのか…寂しい
830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 02:39:36.59 ID:WmesMTEo
外伝が終わっても他にネタあるんだろ?な?
831 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 04:20:12.36 ID:rVG11pEo
今まで順調にきてるなら路上も多分大丈夫だよ
むしろ俺みたいに免許試験場で筆記試験に落とされないようにね!
埼玉は交通死亡事故が多いから筆記は日本一の難度にしときました^^ ってなんだよ鴻巣遠いんだよ・・・
無事にとれるといいね、それと外伝も終わるまで見守ってます
832 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/24(火) 13:47:06.81 ID:lxiSBiE0
マンドリルとマングースが合体してマンマンドリルグースwwwwwww
833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/24(火) 13:47:59.51 ID:aaW9PdIo
誤爆乙
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 19:16:51.57 ID:smUN2ISO
これはひどい
835 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/25(水) 14:57:47.06 ID:xqd7Lnko
「随分と優しい捕り物だったじゃないか。
 これが君なりのやり方なのかね?」
「同情ではありません。
 彼女らにとっても、組織にとっても最善の結果となるよう、忠告したまでです」

微酔いの議員と俺を乗せて、車は宿舎への帰路を走る。
高級料理店では今も会席が続いている。
プクリンたちの"歌う"が発動されてから20分後、組織支部から派遣された掃除屋により
痕跡が完全に払拭された上で、一般人の覚醒誘導及び見当識回復操作が行われ、事件はもみ消された。
テロに参加した六人と彼らのポケモンの未来には暗澹たる雲が広がっている。
自白の強要、もしくは記憶の接収により、
今回の暗殺を計画した勢力は数日中に特定され、組織実働部隊の餌食となるだろう。
ポケモンは組織の研究部署で治験の犠牲となるだろう。

「小手先の脅迫では意味が無い。
 だからといって、捨て駒の実力行使に走るのは愚の骨頂だ」
「…………」
「彼らにはリスクの計算が出来ないのかね……?
 テロが明るみになった際の世論の傾きや、
 駒が官憲ではなく、君の組織に捕らえられたときの情報漏洩がどれほど致命的か」
「…………」
「何とか言ったらどうなんだね。
 それとも君は個人的に、彼女らに共感しているのか。
 野生ポケモンの住処を守ろう――そんな、
 愛護団体の反吐が出るような売り文句に心動かされる人種なのかね?」
「……いえ」
「だろうな。理念と義務が合致してこそ、だ。
 君は素晴らしい働きを見せてくれた。
 報酬には色をつけておくとしよう――」

議員の長舌も上の空に、いつか聞いたエコロジストの街頭演説を思い出す。
ありふれた扇情文句の中に「子供のあなたを育んだ自然を守ろう」というのがあった。
マサラタウン周辺の草むらと、トキワの森が瞼の裏に浮かんだ。
今は主要都市を結ぶ舗装道路の敷設に苦心している業者も、
余裕が生まれれば、優先順位の低い辺境の開拓に着手するだろう。
キャタピーの糸が織りなす自然の芸術。
青空を渡るポッポやオニスズメの囀り。
巣穴から仲良く顔を出すピカチュウの家族……。
何もかもを鮮明に思い出せる自分に、嫌気がさした。
836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/25(水) 15:10:03.52 ID:WmUqrP6o
イイヤツダナー
837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/25(水) 17:37:31.55 ID:jA.FFrc0
酔っぱらうと説教臭くなるのは日本人の悪い癖だな
838 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 20:31:41.34 ID:yHhkAfMo
世界を知らないのに日本人を語る奴が増えたよな
839 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 21:32:06.15 ID:xAFLTcDO
>>838
ほう…
では、語ってもらおうか。
840 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/25(水) 23:32:08.43 ID:6jvrpdw0
じゃあ言わせて貰うが
明日免許の卒検だけどめっちゃ緊張する
今日の見極めは緊張でがったがただった
841 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 00:17:25.19 ID:2aYhi.Yo
見極め程度で緊張してたら本番もっと緊張するぞ
842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 01:29:03.75 ID:pnYsozA0
乗り心地最悪で路肩の鳩を撥ね跳ばしても大丈夫だったくらいだから
横でブレーキも踏んでもらえるんだし、思いっきりやったほうが良いぞ
843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 07:06:57.94 ID:jS/VkD2o
>>840
卒検がんばれよ〜
844 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/08/26(木) 13:37:13.99 ID:blhY3u.o
路上落ちた 死にたい
845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/26(木) 13:38:10.75 ID:TiqJ4H6o
/(^o^)\
846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 13:54:32.37 ID:okerAzso
気にすんなって、俺も授業時間2時間延びたし
テスト系は全部一発だったけど
847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 13:58:31.53 ID:blhY3u.o
「おとーたま!」

舌足らずな声が響く。
覚束ない足取りで、とてとてと歩いてくるアヤを、
掬い上げるように抱きしめる。

「また重くなったんじゃないか?」

頬を擦りつけると、アヤはきゃっきゃっと無邪気に笑った。
『髭が痛いからやめて』と嫌な顔をされるのは、まだまだ当分先のようだ。
くりくりした大きな瞳と、ふっくらした唇、和毛のような赤い髪は、
アヤを天使と形容するに十分な条件を満たしていて……。

「お帰りなさい。サトシ」
「ただいま」

アヤを渡しながら、サヤに口付ける。
ゆったりとした服に身を包んだサヤは、言葉少なく、しかし顔を綻ばせて、俺を迎え入れてくれる。
俺がサヤと結ばれて以来、屋敷に帰るとき、最初に見る顔はサヤと決まっていた。
奥で休んでいればいいと言っても、サヤは頑として聞かなかった。

「おとーたま、は直らなかったか」
「あー?」

サヤに抱かれたアヤは、意味も分からずに、サヤの服を握りしめる。

「普通に、パパでいいと思うんだが……『お父様』は固すぎるだろう?」
「いいじゃない。アヤも気に入ってるみたいだし。
 きっと、わたしがお父様って言ったのを聞いてたのね」
848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/26(木) 14:09:12.28 ID:blhY3u.o
http://uploader.sakura.ne.jp/src/up14654.jpg

この画像を見て欲しい
この画像を見て俺はエリカに惚れた
幼少のエリカたんペロペロしたいお!
小さな手をとって大人の階段を上らせてあげたいお!!!1
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 14:17:03.56 ID:okerAzso
落ち着け、テスト落ちたくらいでおちつけな?
や、確かにその画像は俺も大好きだけどね
でも、寄せてるとはいえ結構胸あるし、幼少って程でもなくね?
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/26(木) 14:22:06.67 ID:TiqJ4H6o
おおお落ち着け、しかし可愛いな。キレイハナもかわいい
かわいいよお
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 14:36:22.76 ID:kyZ.Wkoo
俺なんて路上三回落ちたけどな
縁石さんにハメられた
まあ頑張ってくれエリカちゅっちゅ
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 14:49:28.66 ID:ZjL/flwo
>>848
待つんだこの画像この表情は絶対に幼少の頃から後ろのキレイハナとラフレシアにいけない事をあんな風やこんな風に
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 14:50:43.27 ID:ppTUsL6o
このビジュアルのキレイハナにおちんちんが付いてるだと……?構わん来い
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 15:26:49.16 ID:Lv3EngSO
むしろモンジャラとのいけない遊び希望
855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 16:29:30.79 ID:rEpM2gDO
この着物と髪の乱れ方から察するに背徳的な遊びの最中に廊下を歩く足音が聞こえたので慌てて服を直したんだな。
にしても容姿以上に乳が育っているようだな。
つまり両方を加味した上で判断するとおっぱいおっぱい
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 17:23:32.38 ID:vMzkYxEo
いいんだよ卒業検定はおちても。

受験料が必要な本番に落ちなければどうという事は無い。
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/26(木) 17:41:46.92 ID:.Cqcveg0
日本の運転免許は世界的に遅れてるメキシコや韓国が免許先進国だから見習うべきだったな
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/26(木) 17:49:39.37 ID:gPzMH1k0
>>840だけど受かったよー

まあ公安行くのは4ヶ月先になりそうだが…
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 20:58:12.24 ID:7rrAyuIo
おいなんでもう見れなくなってんだよ
860 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/26(木) 23:47:56.86 ID:blhY3u.o
他愛もない会話を交わしながら、談話室へ。
ささやかなサヤの手料理と、上質のワイン。
使用人は姿を消し、俺と、サヤと、アヤの三人だけの空間が生まれる。
空白期間を埋めるように、お互いのことを話す。

「体は、大事ないか?」
「もう、サトシは心配性なんだから。
 大丈夫よ。アヤは手のかからない子だし、みんな助けてくれるから」

微笑するサヤは、しかし、初めて会ったときに比べ痩せていた。
アヤの出産を切っ掛けに、サヤは体調を崩しやすくなった。
安静にしていて欲しい、という俺の気遣いも虚しく、本人は気丈に振る舞っているが……。

「アヤの様子は?」
「元気そのものよ。わたしと違って、丈夫な女の子に育ちそう」

サヤは慈しみに満ちた目で、緋色のカーペットの上で、エーフィと戯れるアヤを眺める。
頬をむちゃくちゃに引っ張られながらも、エーフィは寡黙な玩具役に徹していた。

「お仕事はどうだったの?」
「何も問題は無かったよ。エーフィにも活躍してもらった」
「本当?」
「ああ。なあ、エーフィ?」

きゅうん、とエーフィは高い鳴き声を上げる。
二年前のあの日、半身を断たれたケーシィは死んだ。
ポケモンの死に慣れた俺にとって、その後にすべきことは、墓を作り、弔いの言葉をかけることくらいだ。
しかしサヤには、ケーシィの代わりが必要だった。
そこで俺は同じエスパータイプのエーフィの幼子を、組織の研究部署から引き取ったのだ。
率直に言ってしまえば、このエーフィは失敗作だった。
PK能力に秀でてはいるが、繊細なPKを編むことができない。
それは同時に"サイコキネシス"の習得が不可能であることを示唆している。
廃棄、即ち自然に逃がされる予定だったエーフィは、
二年の歳月を経て、単純かつ強力無比な"念力"の使い手に進化した。
861 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 23:51:24.02 ID:YIzg4/Uo
ウーフィちゃんは頑張り屋なんだな
862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 00:02:34.39 ID:S0Otifoo
ウーフィかわいい
863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 00:17:44.70 ID:5iXZyt2o
ウーちゃんは念力強い可愛い
864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 01:02:30.84 ID:xhDtgAIo
単純なパワーでもサイコキネシスの方が上だろうに
エーフィ超健気
865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 02:36:29.53 ID:5iXZyt2o
ピカチュウさんがアニメでラティオスと引き分けに持ち込んでたな
相性悪い上に伝説のポケモン相手に善戦するサトシのピカチュウさんやっぱすげえわ
866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 06:44:27.16 ID:uWK1kkDO
新しく始まるのはポケットモンスターブレインウォッシュだっけ?
867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 08:13:44.62 ID:pq0y5ASO
アニメで一番実績残してるのってピカチュウさんの次はキングラーだっけ?
868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 12:24:34.06 ID:6K5dsgAO
フシギダネじゃないのか
869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 12:30:39.07 ID:.aLO.1k0
オニゴーリとドンファインを忘れるな
870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 12:32:37.63 ID:.aLO.1k0
ドンファインじゃなくてドンファンね
あとサトシのポケモンに限定しないならニャースもかなりヤバいな
871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 12:49:27.44 ID:oluhoMDO
サトシのゴウカザルに勝ってたよな確か
872 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 13:39:01.92 ID:ucXjGoYo
マジかよそれ何話だよ
873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 13:48:36.47 ID:S0Otifoo
アニメみたけど虫→悪だからいい勝負できるって話してた後にいきなり破壊光線撃っててわろた
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 14:28:56.63 ID:oluhoMDO
>>872
178話っぽい

ヤンマ・ムクホ・キッスの同時攻撃すら軽くあしらうニャース△
875 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/27(金) 18:04:04.05 ID:44V5jFIo
「こらこら、あんまりエーフィを虐めてやるなよ」

屈み込み、アヤからそっとエーフィを取り上げる。

「ぁ……」

泣き出しそうになるアヤの両脇を抱え、高く高く持ち上げると、
アヤはすぐに擬似的な無重力の虜になって、笑顔を咲かせた。

「おとーたま、これ、すき!」

早熟な子、と決めてかかるには、まだ時間が不足しているように思う。
俺が世間一般の父親の例に漏れず、バイアスがかかった見方をしている可能性も否めない。
しかし事実として、アヤは生後八ヶ月の時点で二、三文語を話した。
髪の色からも明らかなように、アヤは遺伝子の多くをサヤから受け継いでいる。
頭の良い子に育つのは間違いないだろう。
唯一、懸念すべきは――。

衣擦れの音が、俺の意識を現実に戻した。
サヤが立ち上がり、提案した。

「アザレアを見に行きましょう?
 まだ綺麗に咲いているわ」

――――――
――――
――

五月雨の晴れ間、庭を歩いて行くと、
朱と、ピンクと、白の入り乱れた植え込みが目に飛び込んでくる。
温暖な気候が開花時期を本土のそれより遅らせていて、
美しい八重咲きが花びらの内側に透明な雨粒を浮かべている。
アザレアは、アヤの誕生花だ。
一年前、庭師が「お祝いに」と丹精込めて庭植えしてくれた。
876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 18:07:59.78 ID:S0Otifoo
あや可愛い
877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 18:09:10.42 ID:BQgchlAo
アヤという名前にいい思い出がないwwww
878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 18:13:56.84 ID:lmBmJ6.0
もうすぐ過去編も終わりそうだけど、アフターストーリーは書いてくれるんだろうか・・?
879 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/27(金) 18:36:35.08 ID:44V5jFIo
「眠ったみたいだな」
「ええ……」

遊び疲れたのだろう。
サヤの腕の中で、アヤはすやすやと寝息を立てている。
自然と、頬が緩む。この屋敷にいる時だけは、本当の自分でいられる気がした。

「次のお仕事は、いつになるの?」

視線は花に注いだまま、サヤは平坦な調子で言った。

「明後日の夜には、ここを発つよ」
「そう。じゃあ、三日もサトシと一緒にいられるのね……」

寄り添い、目を瞑るサヤに、堪えようのない愛しさと罪の意識が募った。
『――日しか一緒にいられないの?』という問いかけが、
『――日も一緒にいられるのね』という受容に変わったのはいつからだ。
俺はあまりにサヤと、アヤを蔑ろにしすぎた。
でも、それも、今度で終わりだ。

「次で、最後だから」
「えっ」
「博士に、せめてアヤが物心つくまでは、サヤと一緒に育てたいと伝えたんだ。
 次の任務の完了したら、長い休みがもらえることになっている」

サヤは目を瞬かせ、やがて、小さく洟をすすった。
睫からこぼれ落ちた涙が、アヤの頬に当たった。
幸せな夢でも見ているのだろうか。
静かに泣く母親の腕の中で、アヤは無垢な笑顔を浮かべていた。
880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 18:41:48.00 ID:xhDtgAIo
どこで狂ったんだ……
881 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 18:42:53.41 ID:S0Otifoo
いい話だった
882 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 19:07:07.39 ID:.aLO.1k0
死亡フラグ入りましたーーー!
883 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/27(金) 19:25:16.63 ID:44V5jFIo
朝凪の海を渡る。
海面を跳ねるテッポウウオの群れに併走するように、リザードンは北上する。
目指すは、故郷・マサラタウン。
朝焼けの光の強さに、思わず目を閉じる。

ヤマブキシティでの任務が無事終了した俺は、
グレンの屋敷に帰るより前に、セキエイに飛んだ。
面会の希望はあっさりと通り、
俺は組織最高責任者であり、オーキド博士の分身でもある『管理者』の前に立った。
博士は俺に見向きもせず、機械によって出力されたホログラフを見据えていた。
もしも俺が分子生物学や遺伝子工学に通暁していれば、
それがDNAやRNA、またはタンパク質のシーケンサーであることが分かっただろう。

『結果は口頭報告で十分じゃ。
 何のために通信端末を持たせておると思っておる』
『報告事項は、書式ファイルにして転送を済ませています。
 俺は……俺は博士に、お願いがあってここに来ました』
『ふむ』

博士はそこで初めて俺に興味を移したかのように、
白衣を翻し、鋭い眼光をこちらに投げかけた。
俺は臆さずに、ずっと胸の内で温めていた言葉を口にした。
サヤを一人にはできないこと。アヤの傍にいてやりたいこと。
率直な告白は、今から思い返すと、あまりに幼稚で自己中心的だった。
やがて博士は言った。

『お前は、自身の戦略的重要性を自覚しておらんようじゃのう、サトシよ。
 クライアントは山積しておる。お前は最早、この巨大な組織の機関部に位置する存在なのじゃ。
 お前の後釜はおらん。そして、お前が欠けることによって、生まれる損失は甚大じゃ。
 勝手な引退は認められん』

目の前が暗くなる。俺は喘ぐように主張した。
これまで俺は寝食を削って、内縁の妻と娘との時間を削って、組織に貢献してきた。
俺が未然に潰した反乱分子の数を、抹殺した謀反人の数を、
一から教導した新人の数を、住処から放逐した野生ポケモンの数を、挙げてみろ。
博士は微動だにしなかった。
まるで強化ガラスを隔てて投薬されたポケモンを見守る科学者のように、
黙って俺を観察していた。
884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 19:35:21.14 ID:44V5jFIo
やがて、俺が語るべき言葉を失った頃。

『……いいじゃろう』

耳を疑った。狼狽する俺に、博士は続ける。

『しばらく見ぬ間に、立派な"父親"になっていたようじゃのう、サトシよ。
 お前の要求を、全て呑むことはできん。
 繰り返すが、お前は組織にとって、代替不可能な存在なのじゃよ。
 じゃが、お前の娘――確か一歳だったか――が物心つくまでなら、お前の申し出を認めることは吝かではない』
『本当、ですか……?』
『ただし、今からお前に授ける任務を完遂することが、条件じゃ。
 サトシよ、お前には、マサラタウン近郊のポケモン分布図を作成してもらいたい』
『フィールドワーク、ですか』

瞬間、俺の脳裏を過ぎったのは、
そんなことでいいのか、という安堵と、
長く避けていた故郷に戻ることへの、恐怖だった。

『期間は七日間とする。
 満足いく調査結果が得られても、七日間はマサラに滞在するのじゃ。よいな』
885 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 19:38:53.84 ID:xhDtgAIo
そうか、ヒナタの存在を教えるためにか
博士マジぶっ飛ばしたいわ、さっきまでほんわりしてたのに
886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 19:52:52.33 ID:S0Otifoo
でもこの任務なかったらヒナタちゃん襲われて死んでたよな
887 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/27(金) 20:51:21.76 ID:44V5jFIo
『ありがとうございます……本当に、ありがとうございます』

博士は薄い笑みを浮かべて呟いた。

『早急にお前の穴埋めができる"人材"を探し出さなければならんのう』

別れ際、俺は博士が、俺が想像していたよりもずっと物わかりのいい人物であったことに感謝していた。
長い休暇が終われば、これまでにも増して、組織に貢献すると心の中で誓った……。









今日はここまでにしときますぅぉ
888 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 20:54:30.21 ID:ucXjGoYo
wwktkが止まらねーよ超乙
889 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 20:55:58.42 ID:S0Otifoo
890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 21:09:00.12 ID:uWK1kkDO
物語に引き込まれて「どうなるの!? どうなるの!?」って思ったところに作者の可愛い文章が飛び込んできた
891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 21:24:57.06 ID:pq0y5ASO
ヒナタ×アヤ希望
892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/27(金) 22:33:00.40 ID:.aLO.1k0
先がまったく予想できない展開だな
893 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/28(土) 00:54:24.35 ID:fILCz2I0
この七日間の間にサヤに始末部隊が…
敵対組織が犯人と言われて怒り狂うサトシ…
894 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 01:00:52.19 ID:jKOf3IAo
過去の悲劇を思い出せ予想厨め
895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 01:44:03.19 ID:WlKERADO
予想じゃないけど
本編のアヤの言ったことが本当なら
サヤはヘルガーに……
896 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 03:10:01.40 ID:yGSD6wDO
まあ、史実だとサヤが…

今こそ、俺の丹精込めて鍛え上げたケンタウロスとギャロップを出す時がきたか
897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/28(土) 03:29:15.91 ID:2vTqFHMo
史実(笑)
898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 08:01:20.42 ID:IC6KacDO
そんなにギスギスしないで
気長に待とうよ
899 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/28(土) 09:28:48.10 ID:dPh6q5Qo
―――――
―――
――

入り江が見えたあたりから、リザードンは高度を落としていく。
沖と同じように水面は穏やかで、波止場には何人かが、釣り竿を手に朝釣りを楽しんでいる。
浜辺には打ち上げられたシェルダーの群れ。再び波に攫われるのはいつになることやら。

「ここでいい。ご苦労様、リザードン」

無性に歩きたい気分だった。
なのに、なかなか最初の一歩が踏み出せなかった。
南から吹く潮風に、背中を押してもらう。

「おはようございます。いい天気になりそうですねぇ」

すれ違う町の人々は、見知らぬ俺にも、気兼ねなく挨拶してくれた。

「これでオレもポケモントレーナーだぜ!」
「免許とったんだ……うわぁーいいなぁー……」
「ボクにも見せてよ!」

小学生の一団が、元気に坂道を駆け上がっていく。
囀りの聞こえた方に顔を上げれば、ポッポのつがいが、仲良く追いかけっこしながら、西の空へ飛んでいくのが見えた。
しばらく進むと、舗装された道は終わり、畦道と田園風景が視界いっぱいに開ける。
水田の面に朝日が反射し、きらきらと輝いている。
カイリキーが農夫に混じり、人より多い腕を活用して、ものすごいスピードで稲の苗を植えていた。
横に広い田んぼも、縦に突っ切ってしまえばあっという間で、そこから先はマサラタウン北側居住区だ。
この超がつく田舎町の辛うじて文明と呼べるものは、ほとんどがここに集約されていると言ってよく、
俺の実家があるのも、オーキド博士の私立研究所があるのも、ここだった。
歩調を上げる。嫌でも目に入る風景が、匂いが、音が、記憶を呼び覚ます。
オーキド博士の研究所に遊びに通った。
ポケモンを持たずに何度も草むらに入った。
泥だらけで帰ってくる俺を、彼女は優しく抱きしめてくれた。

『オレはポケモンマスターになる!』
『サトシならきっとなれるわ。ママが応援してる』

この町の本質は何一つ変わっていない。
ここは旅立ちの町。見送りの町。そして、夢破れた者を迎える町。
故郷に帰ってきたのだと実感する。
どんなに忘れた気になっていても、初めて訪れる風を装っても、自分自身は騙せない。

喉の奥からこみ上げる熱い塊を飲み込み、目を伏せながら、ポケモンセンターを目指した。
900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 09:37:42.96 ID:73dlq6SO
作者きたー!
901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 14:28:28.20 ID:vE.Nj7co
これサトシきついだろうな
902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/28(土) 15:36:14.88 ID:u2ch55w0
クローンオーキドドSだな
903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/28(土) 17:33:19.01 ID:u2ch55w0
三分幼女アヤ
904 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/29(日) 14:24:33.20 ID:FIRrZ6Eo

「それではごゆっくり」

一人になる。ソファに腰掛けて深呼吸する。
真新しい調度やモノマーの臭いは、このポケモンセンターが改装されて間もないことを示していた。
偽装IDは俺をレッドという他人たらしめる。
しかし幼年期をともに過ごした友人の一人である彼女なら、
俺の面影に気づくかもしれない……そんな、恐れとも期待とも知れない奇妙な感情があった。
結果として、彼女――案内係の若いジョーイ――は俺の正体に気がつかなかった。
有数の、しかしさして驚くほどでもないパーフェクトホルダーの一人として認知されただけだった。
仕方ないことだ、と思う。
直情的で活発で、皆の先頭に立ちたがった少年はもう、どこにもいない。

太陽が昇るにつれて、ひんやりとした朝の空気が暖められていく。
睡魔がするすると忍び寄ってくる。昨夜から今朝にかけて海を渡ったのだ。
カーテンを閉めるのも面倒で、右手を瞼の上にかざした。
不完全な闇は、しかし睡魔には十分な温床だったようだ。

そうして俺は、長い、夢を見た。
905 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/29(日) 14:27:38.38 ID:Zkx1giEo
wktk
906 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 22:52:38.19 ID:ITz/.yEo
たしか、アニメのサトシってシゲル以外友達いなかったよな
907 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/29(日) 22:54:56.36 ID:Zkx1giEo
シゲルは友達じゃないだろ。一話から仲いい雰囲気じゃなかったし
908 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 22:59:30.57 ID:uVdDyuIo
何回か過去話あるけど最初は劣等感を抱くサトシと優越感に浸ってるシゲルって感じだった
ライバル視もサトシが一方的にしてるだけでシゲルはライバルwwwwハハwwwwwwそうだねwwwwwwって感じ

909 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 23:05:31.06 ID:iEUzu3go
この物語のシゲルはアニメのシゲルじゃなくてゲームのグリーンに近いよね
910 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 23:07:42.30 ID:GocAnwAO
>>906
小説だと虐められてたって設定だったっけ
911 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/29(日) 23:29:13.65 ID:FIRrZ6Eo
ポケモンマスターになりたい、と本気で思い始めたのはいつからだろう。
ポケモントレーナーになりたい、という考えは物心ついた頃からあったように思う。
ポケモンを自在に操れれば尊敬され職に困らないというような打算的な動機ではなく、
ただ純粋に、ポケモンが好きで、俺はポケモントレーナーになりたかった。

マサラタウンの周りにいる野生ポケモンは、基本的には穏和で争いを嫌う性格で、
群れでもしない限り、人間の脅威と呼ぶにはほど遠い存在だった。
マサラタウンでは多くの人がポケモンと一緒に暮らしていた。
生活に必要不可欠な意味で一緒に暮らしている者もいれば、ただ単純に同棲の楽しさを求めて一緒に暮らしている者もいた。
ママ――母がポケモンと一緒に暮らしていた理由は、
正確には寂しさを埋めるため、だったのではないかと今になって思う。
俺には父親がいない。マサラタウンで俺の母親を見初め、見知らぬ土地に去っていったという。
放浪癖のある、しかし優秀なポケモントレーナーで、その行方は現在も杳として知れずまま。
母はしばらく父親の消息を掴もうと努力し、しばらくした後で、俺を育てることに専念しようと思ったそうだ。
家には父親が写った褪せた写真が、一枚だけ残されていた。
それが俺の知る父親の全てだった。
組織の情報ネットワークを利用して父親を捜し当てることも考えたが、結局しなかった。
もう二十年近くも行方不明なのだ。この広い世界のどこかで、恐らく、否、確実に彼は死んでいる。
そういう可能性を思うと、一抹の侘びしさが去来するが、
子供の俺にとって父親の不在は、誕生日とクリスマスが同じ日である程度の不幸事でしかなかった。
友達が、母が、町の人々が、いつでも俺の傍にいてくれた。
俺は鬱屈することも斜に構えることもなく、ポケモンが好きな部分は変わらないまま、真っ直ぐに育っていった。
十歳の誕生日を迎えた次の日。
俺はポケモン協会支部に赴き、トレーナー免許を取得した。
母親は俺の知る限り誰よりも優しかったが、免許を取得するまで、俺が自分のポケモンを持つことは許さなかった。
中途半端にポケモンを育てる責任を負わせたくなかったからか、
それとも、俺がポケモンをゲットした勢いで町を出るのが怖かったからか。
理由は本人に聞いてみなければ分からない。

俺は免許をもらったその足で、オーキド博士の研究所に向かった。
マサラタウンには慣例があった。
トレーナー免許を取得し、町を出てポケモントレーナーを目指すと決めた少年少女には、
博士からそれぞれにぴったりの幼生ポケモンが与えられるという慣例が……。
912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 00:18:56.73 ID:Oq7etI6o
wwktk
913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 00:55:05.59 ID:uJ4yrk20
そういえばポケモンの登場人物って片親いないのが多いんだよな・・・
914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/30(月) 00:57:28.29 ID:tww.0Soo
RSEの主人公以外父親不在か
DPP以外のライバルも父親不在か
915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/30(月) 00:59:55.27 ID:tww.0Soo
あ、サカキ様が父親なんだっけ
916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 01:14:02.28 ID:oyejQUSO
ポケスペだっけ?
公式じゃなかった気が……
917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 01:14:55.38 ID:tww.0Soo
DSの金銀で明かされたらしい。後sageてなかったすまん
918 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/30(月) 01:31:01.92 ID:cZYbAkgo
研究所に到着すると、シゲルと鉢合わせした。
オーキド博士の孫で、家族ぐるみの付き合いをしていたシゲルは、友達の中でも特別だった。
何をやっても敵わなかった。何をやっても追いつけなかった。
ただポケモンが好きなだけの俺と違って、シゲルは早くから自分のポケモンを持ち、育成の才を認められていた。
勝手にライバル視する俺を、シゲルは鼻で笑っていたように思う。
その日もシゲルは俺より一歩先にポケモン――ゼニガメ――を選び、
応援団の女の子たちを引き連れて、意気揚々と町を発っていった。
919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 02:30:32.31 ID:W63noFYo
サ〜トシ君じゃないか
920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 03:15:50.36 ID:Evq0Eh6o
wikiみたらシゲルにはシゲルなりにサトシを意識する理由があったみたいだな
921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 03:33:06.88 ID:EvAUGAEo
リーグのサトシVSシゲル6on6見てみなよ
922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/30(月) 03:37:56.31 ID:9FInmXU0
>>920
どの辺りの話?読み直したいから教えてちょーだい><
923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 04:26:55.68 ID:Evq0Eh6o
勘違いしてるだろうと思うけどこの話じゃなくて
ポケットモンスターアニメの登場人物のwiki
924 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/30(月) 17:19:51.03 ID:9FInmXU0
なるほど
925 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 19:09:17.16 ID:MKArJQ.o
今のライバルのシンジはなんか暗いよな
っていうかシゲル以外は暗い奴ばっかりだ
926 : ◆Ec95DXH7wk :2010/08/30(月) 19:49:50.03 ID:cZYbAkgo
残された俺に、ポケモンの選択権は無かった。
偶然にも博士の用意していたポケモンが捌けてしまったのだ。
博士は逡巡したあと、誰かに譲る予定ではなかった幼いピカチュウを譲ってくれた。

ピカチュウ――出会ってすぐの頃、お前はちっとも懐いてくれなかったな。
子供の俺は自分が正しいと信じて疑わなくて、
お前に本気で嫌われる可能性なんてこれっぽっちも考えずに、真正面から、お前と友達になろうとしてた。
あのとき、お前は怖かったんだよな。
どこまでも身勝手な『人間』が、恐ろしかったんだよな。
でも、一緒に危険を乗り越えて、お前は少しだけ心を許してくれた。
俺の肩に乗ってくれた。
きっと、それが切っ掛けだったんだ。
お前がいたから、お前に出会えたから、俺は本気でポケモンマスターを夢見ることができた。

――――――
――――
――


分布調査は三日で終わった。
俺の能力は、気配察知だけに限定すれば、影響範囲を格段に拡大できる。
そもそも、マサラタウン近郊の野生ポケモンなど、数も種族も知れている。
予測された近似値が真の値とほぼ同じであることを確かめるだけの作業、と言っても過言ではない。
実測で得られた数字を変数に代入し、
プログラムを走らせると、分布図が自動生成される。
オーキド博士に転送を済ませ、任務完了……といきたいところだが、
たとえ満足いく成果が得られても、七日間はマサラタウンに滞在しなければならないという決まりがある。
927 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 19:56:28.18 ID:edH26/oo
いよいよか…
928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 20:06:19.98 ID:GQeT/TQo
長い夢と言いつつ終わるのだいぶ早かったな
929 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 00:08:06.11 ID:AQFk1sSO
そりゃまあ能力あるし
930 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 01:55:03.17 ID:SleXE6go
そういやオーキドが黒幕ってことをシゲルは知ってたのか?知らなかったのか?
知らなかったとしたら知ったときにどう思ったんだろうな

サカキも最後どうなったのか気になるしなぁ
931 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 11:23:35.31 ID:Yfgo12DO
そういえば昔オーキドとキクコは夫婦って噂があったんだけどマジ?
932 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 18:53:59.21 ID:5nMkLOko
夫婦というよりかはライバルじゃないの
933 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/31(火) 20:24:57.01 ID:pbCepMo0
この世界のメタモンの不遇は異常
934 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [samurai]:2010/09/01(水) 01:46:46.18 ID:/kGCD220
女の子にへんしん出来るメタモンだからある意味優遇されてるけどね‥‥
935 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 04:52:37.84 ID:03VGZ2DO
人に変身できるとなると生活に溶け込んでそうで怖いな
936 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/01(水) 07:24:01.81 ID:0TjgIkDO
人になるにはよく観察する必要があるし何より喋れないんじゃなかった? 
この世界の設定では
937 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/03(金) 23:07:42.73 ID:M21ay9Q0
過疎
938 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/03(金) 23:08:18.86 ID:M21ay9Q0
過疎
939 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/04(土) 00:09:39.15 ID:8sqH5ADO
>>937-938

IDがM2(ミュウツー)



とりあえずあげ
940 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 00:21:21.87 ID:R8ZPWIDO
IDてす
941 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 00:24:29.09 ID:7j2wH2Qo
神ID
942 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 18:24:04.97 ID:Dit1JQSO
何という無駄な消費
943 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/05(日) 00:33:59.44 ID:yuBoSmg0
ザッケローニ
944 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/05(日) 05:05:52.67 ID:yuBoSmg0
作者は病気なの?
945 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 15:35:38.08 ID:3kq9lkSO
忙しいのかな・・・
何ともないといいんだけど
946 : ◆Ec95DXH7wk :2010/09/05(日) 21:03:33.79 ID:Lxs4VBEo
オーキド博士が何を意図しているのか、俺には理解できなかった。
ポケモンの分布調査は、それこそポケモン協会支部に根回しすれば半月足らずで、
人海戦術による正確なデータを得ることができる。
とすれば、これは組織から一旦離れる俺への、あの人なりの手向けなのだろうか。
避け続けてきた過去を直視する機会を与えてくれたのだろうか。
目頭を押さえる。
遠く離れた土地で、望郷する自分を宥めてきた言葉の数々が、
いざ故郷の地を踏みしめた今では、なんと虚しいことだろう?
博士の命令に背いて、マサラタウンを離れることはできない。居場所は常に監視されている。
気を紛らわす仕事もなく、娯楽もなく、最大の関心から目を逸らし続ける時間は、俺にとってはまさしく地獄だった。

心境の変化は、五日目の朝に訪れた。
四度の夜を経て、見た夢は型にはめたように同じだった。
ボールの一つを取り上げ、開閉スイッチに指をかけながら、思う。

『故郷に帰り、母親の姿を一目見る。それの何がいけない。
 博士はそのために俺をマサラに派遣した。好意に甘えろ』

一方で、心の片隅で自制を訴える警鐘の音は、限りなく小さくなっていた。

『直視して、お前はこれまでのお前でいられるのか。
 後悔に焼かれる覚悟はできているのか……』

俺は言った。

「行ってくれるか、ピジョット?」

ピジョットは俺の指を甘噛みし、窓から飛び立っていった。
ソファに腰かけて目を瞑る。開放感が身体中に満ちていた。
小さな町だ。鳥瞰で見て、改めてその事実を実感する。
ピジョットの視点を借りて数分が経ち……。

眼下を過ぎる風景の中に、俺は実家の褪せた屋根を見た。
947 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 21:49:24.71 ID:1sX1XASO
おぉ、遂に…
948 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 00:43:31.31 ID:BfT8P/.o
ヒナタおひさ来るー!
949 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 09:20:27.32 ID:m5ulTlko
wwktk
950 : ◆Ec95DXH7wk :2010/09/06(月) 22:36:59.00 ID:Yuebox2o
姿を見れない可能性はいくらでもあった。
しかし俺は僥倖に恵まれた。
ピジョットが旋回を始めてからややあって、小さな中庭に人影が現れた。
物干し竿の近くにかごを下ろし、その人影は、彼女は、俺の母親は、
天気を確認するように、手を翳しながら空を仰いだ。
高い空を舞うピジョットの視線を通して、俺が見ていることなど知る由もない。
それはまさしく僥倖だった。

「…………」

鼻の奥が、熱くなる。
彼女はてきぱきと洗濯物を干し始める。
少し遅れて別のかごを手にしたバリヤードがやってきて、彼女を手伝う。
平和な光景だった。
俺がいなくても母親は元気で暮らしている。
その事実が、こんなにも嬉しく、こんなにもいとおしい。





ああ。本当に。
そこで、やめておけばよかった。





繋がりを絶ち、過去を忘却し、現在の幸福を享受する。
自分と交わした約束を、俺は一時の感情に流され反故にした。
感覚共有解除の数瞬の遅れが、ひとりの少女と、ひとりの女を俺の眼窩に映しだした。
女が先に庭に降り立ち、手を差し伸べる。少女はバランスをとりながら、
靴につま先を通し、庭に降り立った。少女は胸に黄色い何かを抱いていた。
ピジョットは自らの判断で、高度を落としていく。
改めて見直すまでもなく、理屈を弄するまでもなく、
一目見た瞬間から、俺にはすべてが飲み込めていた。
栗色の長い髪が、白いワンピースが、風に靡く。
姿勢を崩しそうになった少女を、女――カスミ――が優しく受け止める。
少女の腕の中から顔を出した黄色い何か――ピカチュウ――は、耳をぱたぱたと動かして少女のあご先をくすぐった。
名前も知らない少女の笑顔は、カスミのそれに、よく似ていた。
951 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 22:43:45.74 ID:cvEKZOso
うわああああああああああああ
952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 22:54:16.77 ID:BfT8P/.o
泣いた
953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 22:56:38.79 ID:dZjnxASO
あああああ
wktkが止まらない
954 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 23:25:09.04 ID:aCckc.SO
>>ピジョットは自らの判断で、高度を落としていく。


ピジョットGJ!!
955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 23:27:27.95 ID:UShlHB.0
誰の立場であってもやり切れん状況だな・・・
956 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 01:24:42.85 ID:H3PYLXso
サトシ・・・
957 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 01:39:04.39 ID:bdnUg2SO
バリヤードを初めて見たときは泣いた
958 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/07(火) 04:13:40.07 ID:SJtpggc0
バリヤードとレジロックアイススチルの裏設定は泣けるよな
959 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/07(火) 22:25:17.38 ID:SJtpggc0
バリヤードの話題で盛り上がらないのか、時代の流れを感汁な
960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 22:26:30.56 ID:qori19Ao
あたし男だけど都市伝説で盛り上がっちゃう人って・・・・・・
961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 23:02:18.81 ID:lZYazM.o
バリヤードってそんな感動する話だったっけ?
962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 23:15:10.50 ID:ZeQt3iIo
そんなポケモン毎週見てるほど暇じゃなかったよ
しかもそんなのいちいち覚えてないよ
963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 00:21:13.25 ID:R5KKoMDO
>>959
みんな無駄なスレの浪費をしたくないんだよきっと
964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 00:28:14.98 ID:mnJCrHQo
ポケモンスタジアムでレンタルのバリヤードがやたらに強い
965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 02:19:09.43 ID:.thh2QAO
ゲームのファンとアニメのファンは必ずしも一致しないからな
966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 08:09:24.23 ID:z.CEUss0
レジギガスは被爆した子供なんだっけ?
967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 08:21:43.98 ID:mnJCrHQo
マジソース
968 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 16:14:44.16 ID:ddqlLMQo
公式設定ではないよ
ファンの勝手な想像
969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/09(木) 07:40:25.72 ID:yvVQZ0A0
レジスチルとか池沼みたいな鳴き声だからなwwwwww
970 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 04:16:47.03 ID:WtXo2WM0
搾取マダー?

971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/11(土) 01:37:25.04 ID:L5K4AaE0
そろそろ次スレ建ててこようか?
972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 01:47:34.12 ID:qB1gCbMo
まだいいんじゃないか
最近作者来てないから一気に投下される可能性あるけど
その場合は作者が立ててくれるかもしれんし
973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 02:49:35.21 ID:L5K4AaE0
そうだね、とりあえず作者を魔闘家
974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 04:44:41.59 ID:eEWbuYso
鈴木…
975 : ◆Ec95DXH7wk :2010/09/11(土) 19:23:03.49 ID:0MjEwU6o
ご無沙汰しています
次スレは、このスレを最後まで使いきり次第、自分で建てようと思います
976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 19:26:33.68 ID:UquBnk6o
おk
977 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/09/11(土) 19:43:57.85 ID:0MjEwU6o
体の内で、熾火が燃えている。
青白い後悔の炎が、心臓を中心に血管を通り全身の隅々まで寒気を運んでいた。
感覚共有を解く。
瞬く。瞬く。何度も瞬く。
最後に見たあの光景が、瞼の裏に焼き付いている。
ぜえぜえという獣のような喘ぎは、どうやら自分の喉から発せられているらしかった。
バスルームに行き、鏡を見た。
蒼白な顔をした男がいた。醜く顔を歪ませ、必死に現実を否定したがっている、最低の人間がいた。
問があった。

なぜカスミが俺の実家にいる。
あの少女は誰だ。
ピカチュウは野生に帰ったのではなかったか。

俺は都合の良い答を求めていた。

カスミは偶然俺の実家を訪ねていた。
あの少女はカスミの姪である。
少女が抱いていたピカチュウは、俺のピカチュウとは別の個体である。

だがそれ以上に、真実の答を求めていた。
確信に近い憶測があった。
俺は壁に背中を預け、携帯端末を操作した。
まるで待ち構えていたかのように、博士はすぐに応答した。

「どういうことか、説明してください」
「挨拶もなしにどうしたのじゃ、サトシよ」

博士の声はどことなく愉しげな響きを含んでいた。
978 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 19:49:05.44 ID:67AjkJso
ktkr
いつかは知らなきゃいけないことなんだよな…
がんばれサトシ
979 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/11(土) 20:28:46.72 ID:0MjEwU6o
「俺の実家に……カスミがいた。
 小さな女の子もいた。ピカチュウもいた。
 博士、あなたならすべて知っているはずです。
 俺に隠していることを、教えてください」

長い沈黙があった。
やがて博士は言った。

「カスミは、お前の子を身篭っておった」
「………」

俺は感情を殺そうとした。
冷静さを取り戻そうとした。
それでも戦慄きは収まらなかった。
壁に拳を打ち付ける。それでも手の震えが止まらない。

「どうして今まで、黙っていたんですか……?」
「ワシがお前を組織に勧誘して、しばらくしてから発覚したことじゃ。
 その時すでに、ワシはお前が組織に必要不可欠な存在になるであろうことを見ぬいておった。
 もしもお前がカスミとの間に設けた子を認めれば、お前は組織から身を引いておったじゃろうて」
「……そんな……そんな、理由で……」
「お前が表の世界から失踪したあと、カスミは一人で子供を産み、育てることを決心した。
 それをお前の母親が援助した。お前のピカチュウは森に帰ることよりも、
 カスミの傍で生きる道を選んだ。やがて女の子が生まれた。お前が見たその少女は、まさしくお前の娘じゃ。
 名をヒナタという」

ヒナタ。ヒナタ。ヒナタ――。
陽の光のように温かく、幸せそうな笑顔を思い出す。
この五年間、カスミは俺の母親やピカチュウと共に、ヒナタを育てていた。
ずっと俺の帰りを待っていた。
その間、俺は何をしていた?
命がけの任務に充足感を得て、ポケモンや人の死に慣れて、サヤと子を成して、家庭を成して……。
俺は、何もしてやれなかった。一度もカスミの傍にいてやれなかった。あまつさえその存在を忘れていた。
激情が堰を切ったとき、刹那の平静が訪れることを俺は知る。
980 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 20:46:59.41 ID:sKeVEHko
きついな
981 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/11(土) 21:27:05.01 ID:SZJBd.20
一番不憫なのってサトシママンだよなぁ・・・
982 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 22:50:22.80 ID:sSfjJr20
早々と夫に失踪され、独り身で苦労して育てた一人息子も10代半ばで失踪
相前後して孫を身籠った女性が転がり込んできて、女手だけで孫を育てる羽目に
孫が成長していく一方で、失踪した息子は闇世界を極めていく

サトシママって壮絶な人生だな・・・
983 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/09/12(日) 00:11:54.71 ID:P7eql.wo
「俺をマサラタウンに派遣したのは、これを直接見せたかったからですか」
「ワシが単なる分布調査などという平易な任務をお前にあたえるわけがなかろう」
「もうひとつ、聞かせてください。想像はついていますが……。
 これまで、カスミの妊娠・出産が公にならなかったのは、組織が、あなたが、意図的に情報封鎖していたからですか」

新リーグチャンピオンのスキャンダル――マスメディアにとっては格好のネタだったはずだ。

「そうじゃ。ありとあらゆるメディアにおいて報道規制を敷いた。
 事実を喧伝しようとする者が仮に現れれば、直ちに口が封じられる。そういう仕組が出来上がっておるのじゃ。
 一時はマサラの界隈で噂が流れたようじゃが、人の噂も七十五日、今では誰もその話をせん。
 お前が見た"もの"の平穏は、組織の巨大な腕によって守られておるのじゃよ」
「理由は」
「理由?」
「あなたが情に絆されて、そうするように取り計らったとは考えられない。何か、理由があるはずだ。そうでしょう?」

博士は俺の無礼を咎めなかった。

「保険じゃよ」

嗄れた笑い声を喉の奥から響かせた。

「動機は何にせよ、お前が組織から離れたがる――反抗期のようなものが訪れることは前もってわかっておった。
 諄いようじゃが、お前はシステムにとって必要不可欠な存在なのじゃ。
 お前の代わりになるトレーナーは、"今のところ"は誰もおらん」

それは、言い換えるとつまり、こういうことだ。
クライアントの依頼を無視し、私情に感けるようならば、組織の巨大な腕の力を"緩める"。
カスミやヒナタは白い衆目に晒され、静かな生活は終焉を迎える。
強調された最後の台詞は、あまつさえ平穏を奪われたヒナタが、
そう遠くない未来、組織子飼いのトレーナーにされることを意味している。
カスミと俺との間に生まれたヒナタは、俺の能力を受け継いでいる可能性があった。
この瞬間ほど、自分の適格者の誇りが馬鹿馬鹿しく感じられたことはない。
すべて、俺が悪いのに。俺は今、またしてもカスミとカスミが産んだ娘を不幸に陥れようとしている。
ふと、俺が仕事を休むと言った直後のサヤの泣き顔が、天使のようなアヤの寝顔が脳裏に浮かんだ。
天秤にかけるまでもなかった。
これ以上の罪悪感を背負えば、確実に押し潰されると思った。耐えられないと思った。
俺は言った。

「俺に、次の任務をください」
「そう慌てるでない、サトシよ。
 最初に言ったとおり、お前は少なくとも七日間はマサラタウンに留まるのじゃ。故郷でしばし静養するがよい。
 ワシもお前の決心を汲み、他の人間で遂行可能な依頼はできるだけそちらに回すようにしよう。
 それで、以前よりは屋敷に戻る機会も増えることじゃろう」
「ありがとう、ございます」

知らず、端末越しに頭を下げていた。屈した、と言い換えてもいい。
それどころか、非礼を咎めず、長期休暇は認めずとも、任務の頻度を減らすと約束してくれたことに感謝すらしていた。
俺は放心状態で通信を切った。
その日は一日、カスミとヒナタが過ごした長い時間のことを想像して過ごした。
いつしか、夜が明けていた。
984 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 00:14:35.23 ID:2h.TgLgo
だからお前はだめなんだ
985 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 00:41:07.12 ID:BzEMb4so
博士のこれって純粋な善意なのかなぁ
そうであってほしいが、飴と鞭の鞭にも見えるし、弱者に情けをかけて気持よくなっちゃってるようにも見える
986 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/09/12(日) 00:46:26.64 ID:P7eql.wo
「おばあちゃん、見てぇ。お花がきれいにさいたよぉ!」
「ヒナタちゃんが毎日頑張ってお水をあげたからよ。
 もしもこの花がお話できたら、きっとヒナタちゃんにお礼が言いたいと思うわ」

老いた母と、娘が仲睦まじく話している。
会話が聞こえる近さまでピジョットを近づけることに、今度は迷わなかった。
ヒナタが両手で水の入った如雨露を傾けながら言った。

「今日はママのおともだちが来るんでしょ?
 おばあちゃんはどんなひとか知ってるの?」
「ええ。昔はこの町に住んでいた子で、よく知ってるわ……」
「ねぇねぇ、昔って、ヒナタが生まれるよりもずっと前?」
「そうね。ずっと昔の話。ポケモントレーナーになるために、この町を出て行ったのよ」

母は目を、遠くを見るように細めた。

「なんていうひとなの?」
「シゲル。ポケモンを研究している、とってもえらい人よ。
 たしかヒナタちゃんとおなじくらいの子供がいたはずよ。
 今日一緒に連れてくるかもしれないわねえ」
「えっ」

ぽとり、とヒナタの手から如雨露が落ちる。
顔がほのかに紅潮し、ワンピースの裾をつかみ、もじもじとしはじめる。

「ヒナタのこと、いじめたりしない……?」
「ふふ、ヒナタちゃんは心配性ね。
 きっとヒナタちゃんのおともだちになってくれるわ」
「ほんとう?」
「ほんとうよ。おばあちゃんは嘘をつかないわ……あら、カスミたちが帰ってきたみたい。
 ヒナタちゃん、一緒にお迎えにいきましょ?」
「う、うんっ!」
987 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 01:04:33.82 ID:cwZeqEgo
ロリヒナタかわええ
988 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 01:07:53.92 ID:997ivlIo
タイチきたー!しかし数年後には忘れられている悲劇!
989 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 01:51:11.37 ID:tjM0rNgo
やばい・・・。
なんとも言葉では形容しがたい感情がわきでてくる・・・。

サトシェ
990 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 03:50:29.24 ID:LFKSebc0
気持ちはわかるが、サトシは甘いな
サカキさんの鉄の心を見習うべき
サヤが不憫だ
991 : ◆Ec95DXH7wk [sage]:2010/09/12(日) 09:44:03.52 ID:P7eql.wo
庭から二人の姿が消える。
ピジョットは場所を変えた。通りに面した玄関前が映る。
ちょうどカスミとピカチュウが家に入っていくところで、
そのあとに精悍な顔つきの男と、見るからに悪戯好きそうな少年が続く。
シゲルと、シゲルの息子に違いなかった。

シゲル――お前も父親になっていたんだな。

俺がもしもカスミと一緒に暮らしていたら、
あの談笑の輪の中で、お前と育児の苦労でも愚痴りあっていたのだろうか。
玄関の戸がしまる。ピジョットは動かなかった。
だから俺も感覚共有を解かずに、ぼんやりと実家を眺めていた。

これで見納めだと思った。
カスミとヒナタはマサラタウンでの平穏な生活を、
母親は二人を援助する形で寂しさとは無縁の生活を、
ピカチュウも外見の若々しさはそのままに『普通』のポケモンとしての生活を送っている。

血に塗れ、別の家庭を築いた俺に、みんなに合わせる顔はない。
できるのはせめてこの平和が壊されないように、組織に献身することだけだ。
これまでどうりに。俺が死ぬまで、ずっと。
長い休暇が取れなくなったことを、サヤは悲しむだろう。
だが、会えないわけではないのだ。
サヤとアヤへの裏切りは、五年間放置し続けたカスミやヒナタへの罪悪感の前では、小事だった。
992 : ◆Ec95DXH7wk :2010/09/12(日) 09:47:50.00 ID:P7eql.wo
次スレ建てました
以降は次スレに投下しようと思います

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1284252426/
993 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 09:47:57.47 ID:phVgfLI0
そういや博士もご近所さんなんだよな
表面上は大黒柱が失踪した隣人を気遣う良い人だけど
実際には失踪者を配下に闇世界で君臨する

近所のヤクザが実際にやってそうで怖いな・・・
994 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 14:57:39.00 ID:BzEMb4so
あれ……?
首謀者ってその博士のクローンじゃ?
995 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 20:09:02.11 ID:HxGeYZ2o
そう博士は極悪人
996 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 23:13:18.27 ID:AVRWH4go
ume
997 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 23:27:45.17 ID:KoEbJOUo
今のサトシのパーティは
御三家ピジョットラプラスエーフィでおk?
998 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 01:27:40.65 ID:aU8wAwSO
999 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 01:30:37.13 ID:gt8IcTEo
うめ
1000 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/13(月) 01:58:44.63 ID:/.fSGcAO
  /‖ミ
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|:::::‖ /) /)‖
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|:::::と_/    ‖
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1001 :1001 :Over 1000 Thread
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こんな午前1時40分に誰かいるんだろうか @ 2010/09/13(月) 01:40:25.72
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【きのこ狩り】きのこたけのこ大戦 戦闘場&会議所★24【たけのこ狩り】 @ 2010/09/13(月) 01:31:52.51 ID:NQ4HzLoo
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Core2きりえ 2.5oGHz @ 2010/09/13(月) 01:22:27.60 ID:MMY3l9Io
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  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1284308415/

ダークチップファクトリーの電脳 6 @ 2010/09/13(月) 00:20:20.71 ID:YcBXmpgo
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