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イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 4 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:02:10.81 ID:mhWuZD.0
モンスターハンターの創作小説です。
不定期土日の更新です。
続きは気長にお待ちくださいね。

◆まとめサイト
http://plaza.rakuten.co.jp/MikenekoMilk/
http://blog.livedoor.jp/minnanohimatubushi/

◆前々スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1241527139/l50

◆前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1244207583/l50

◆第一部 あらすじ
第1章:旧沼地でイャンクックに拾われた女の子。彼女はモンスターのしがらみに巻き込まれてしまいます。
    フルフルの薬を取りに、人間の里へ向かった帰り、ドドに襲われてしまいますが……。
第2章:ランゴスタの毒にやられてしまったグラビモス亜種を救うため、キングチャチャブーの元に向かうイャンクック達。
    その頃、薬の禁断症状に苦しむグラビモスは、人間に捕獲されてしまっていました。
第3章:三年前、シュレイド城での人間との戦いで、モンスター達は内部分裂を起こしてしまいます。
    大切な家族を守るためにイャンクックは戦おうとしますが……。
第4章:キングチャチャブーと共に、ランゴスタクイーンの下へ急ぐイャンクック。
    しかし雪山では、人間を憎むイャンガルルガに女児がさらわれてしまいます。
第5章:ナナ・テスカトリに救われる女児。しかし火傷は深く、ナナは女児を砂漠に連れて行きます。
    その中、シェンガオレン復活を目論む一派のラージャンが襲来し……。
第6章:不遇な扱いを受けて育ってきた女児。彼女は白い羽を持つ猫と出会います。
    一方、対峙する砂漠勢と猿、蟹達。シェンガオレンも動き出し、ディアブロス達は窮地に立たされます。
第7章:ネコートより先代村長の武器を手渡されるハンマー。砦に向かった彼は、シェンガオレンを発見します。
    女児たちも懸命に追うも、とまらないシェンガオレン。その時、女児の体が光を放ち……。
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:04:10.65 ID:mhWuZD.0
◆第二部 あらすじ
第1話:ナルガクルガのことが気になる紫ガミザミ。
    彼女は、彼に黒真珠のお守りを渡そうとしますが……。
第2話:猫が別大陸から盗んできた卵から、ウラガンギンが孵ってしまいました。
    条件付けにより、少女を母親と思ってしまい……。
第3話:縄張りに入ったことにより、奇面族に襲われるラギアクルス。
    誤解を解いた彼は、戸惑いながらも少女と相対します。
第4話:ラギアクルスと共に海を渡る少女達。無事に別大陸に到着します。
    しかし、雪原でベリオロスの雪崩による襲撃に遭ってしまい……。
第5話:雪崩により分断されてしまう少女達とナルガ達。さらにクックは、ベリオロスの攻撃で墜落してしまいます。
    そんな中、絶体絶命のラギアクルスを助けたのはクルペッコでした。
第6話:砂原に出る少女達。そこで一向は、ドスジャギィの言葉から王位奪還の計画を知ります。
    そこに、ハンマー達を探しに来たスラッシュアックスと、嵌められたボルボロスが鉢合わせをしてしまい……。
第7話:戦いを始めてしまうスラッシュアックスとハンマー。二人は互いの主張により決裂してしまいます。
    そんな中、女児は落石で頭を打ち、今までにない違和感をイャンクックたちに覚えます。
第8話:過去、スラッシュアックスとの戦いで父と召使いを失ったベルキュロス。
    彼女の心の歪みは、状況を巻き込んでさらに込み入ったことになってしまいます。
    一方少女は、ハンマーに励まされ、イャンクック達と一緒にいる決意を固めるのでした。
第9話:ドスバギィの巣に逃げ込んだボルボロスにトドメをさすため、スラッシュアックスは砂上船を出します。
    一方、ベリオロスは、ナルガクルガが実の息子であるということに確信を抱き始めていました。
    そんな中、ついに砂上船が巣に直撃し……。
第10話:ジエン・モーランの出現で辛くも難を逃れたテオ達。
     水没林に逃げ込んだ彼らは、しかしそこで、後を追ってきたベルキュロスに襲われます。
     苦しみと憎しみを吐き出す彼女に、ハンマーは武器を振り下ろしますが……。
第11話:ジエン・モーランと対峙するスラッシュアックス。
     彼は、スラッシュアックスの心の迷いを見抜き、それでも尚迎え討ちます。
     一方、少女達はウラガンキンの宝玉を探すために、神域へと向かいますが……。
第12話:スラッシュアックス達と鉢合わせしてしまう少女達。
     人間とモンスターの戦いが始まってしまい、クックやボルボロス、ウラガンキンは次々と傷を負っていきます。
     そんな中、少女やハンマー、スラッシュアックスの選んだ道とは……。
3 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:07:03.87 ID:mhWuZD.0
◆外伝 砦ドラゴンと少女

◆前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1252035257/

第1話:モンスター達の住処を、かつてないほどの寒波が襲います。
    キングチャチャブーはそれを、伝説の『砦ドラゴン』が起こしているといいますが……。
第2話:三十年前、キングチャチャブーは一人の若いアイルーに恋をします。
    しかし、そのアイルーはもはや病に体を蝕まれていて……。
第3話:火山洞を通り、樹海に向かおうとする少女達。彼女達はテオ達と合流します。
  一方その頃、「魂抜き」に遭ったガルルガは、死んだはずの母と、砦ドラゴンの背の上で再開するのでした。

以下続刊です
4 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:12:02.40 ID:mhWuZD.0
みなさん、こんばんは。
第4話の後半からUPさせていただきます
5 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:12:49.18 ID:mhWuZD.0
次の日の朝、幼女が聞いたのは、咆哮。
地面を揺るがす何者かの足音。
そして、倒壊する建物、崩れる轟音。

その目に見えたのは、父が、母が守ろうとした砦を踏み潰す巨大な砦蟹。
逃げ惑う人々の中に揉まれながら。

幼女は、ただひたすらに呆然として、目の前の光景を見ていた。

生ぬるい雨が降っていた。

いつの間にか、街には誰もいなかった。
ぬかるみの中にしゃがみこみ、幼女は一人、大きな声で泣いていた。

いつの間にか、モンスターの怒号、地鳴りは止んでいた。
何が起こって、そしてどうなったのか。
幼女には知る由もなかった。
6 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:13:26.88 ID:mhWuZD.0
しかし、幼女は本能的な部分で、察していた。

父と母は、遠い場所に行ってしまったのだと。
自分を置いて、行ってしまったのだと。

それを認める心と、認めない心がせめぎあい、幼女の中でどろどろとした泥に変わっていく。
それを吐き出すように。
一滴残らず、体の中を覆う泥を吐き出すように。

幼女は、泥と雨にまみれながら、ただ、大きな声で泣いた。

街には、幼女の声しか聞こえなかった。
モンスターの声も、人間の声も聞こえなかった。
ずっと、小さな女の子の声がこだましていた。
7 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:14:05.83 ID:mhWuZD.0
幼女は、自分がどうして泣くのか、理解が出来なかった。
分からないまま、大きな声で泣くしかなかった。

崩れた瓦礫の山を見ながら、彼女は。
父と母が向こうから、泣き声を聞きつけてやってきてくれるように。
心のどこかでそう願っていたのかもしれない。

しかし、生ぬるい雨は止まなかった。
ただ、止まなかった。

幼女は、ずっと。
街の人達が一人、また一人と戻ってきてもずっと。

泥にまみれて、一人のままだった。
8 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:14:33.08 ID:mhWuZD.0
―現在、砦ドラゴンの背の上―

ガルルガ 「生と死を繋ぐ場所……?」
ガルルガ 「かかさま……何を言って……」
両耳ガルルガ 「ガル、真実は真実として受け入れなければいけないわ」
両耳ガルルガ 「私は確かに、あなたの目の前で死んだわ」
両耳ガルルガ 「私は死んだ後の存在なのよ」
ガルルガ 「そんなこと……だって、かかさまはここにいるじゃないか!」
ガルルガ 「……温かい! かかさまの感触だ! 冗談言わないでくれ!」
両耳ガルルガ 「…………」
両耳ガルルガ 「ガル、聞きなさい」
両耳ガルルガ 「私が死の後の存在なら、あなたとこうして喋れていること、おかしいと思わない?」
ガルルガ 「何言って……」
両耳ガルルガ 「何故喋れるのか……それはね、あなたも、今死にかかっているからなの」
ガルルガ 「!!」
両耳ガルルガ 「分かる? あなたは、魂だけで私に会いにきた……」
両耳ガルルガ 「『彼』の上にいる私に……」
9 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:15:11.81 ID:mhWuZD.0
ガルルガ 「『彼』……?」
両耳ガルルガ 「あなたも感じない? 私たちの足元で震えている彼……」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「…………あ、ああ。感じる……」
ガルルガ 「何か大きくて……計り知れないくらい巨大な……でも……」
ガルルガ 「とても、寂しそうだ……」
両耳ガルルガ 「私は、『彼』の背中の上で、今とも昔ともつかない時間を過ごしたわ」
両耳ガルルガ 「ここは、背中の上……」
両耳ガルルガ 「彼は、私たちを乗せて、震えながら歩き続けているの……」
ガルルガ 「彼って……一体、誰なんだ……?」
両耳ガルルガ 「砦ドラゴン……と、私は小さい頃に聞いたことがあるわ」
両耳ガルルガ 「世界には春夏秋冬、四匹の砦ドラゴンが存在していたの」
両耳ガルルガ 「彼らは、魂を集めて、『向こう側』に運ぶ役割を負っているの」
両耳ガルルガ 「彼らは歩き続けたわ……」
両耳ガルルガ 「世界中から魂を集めて、そして『向こう側』に送り届ける……」
両耳ガルルガ 「それが、彼らにとって、喜びの時間でもあったの……」
ガルルガ 「…………」
10 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:15:49.01 ID:mhWuZD.0
両耳ガルルガ 「でも、ある日を境に、彼は、歩くことに疲れてしまったの……」
ガルルガ 「ある日……?」
両耳ガルルガ 「世界中の魂を集めて送ることは、無限に、この世界がある限りいつまでも続くわ」
両耳ガルルガ 「……その長い時間の中で、彼らは体を失い、魂だけになって……」
両耳ガルルガ 「その魂も、擦り切れて、一匹、また一匹といなくなっていったの」
両耳ガルルガ 「足元の『彼』は、その、最後の一人よ……」
両耳ガルルガ 「彼は、一人で歩くことに疲れてしまった……」
両耳ガルルガ 「いくら魂を集めても、いくら『向こう側』に送っても、彼の孤独は癒えることはない……」
両耳ガルルガ 「分かる? 孤独というのは、どんなに体が大きくても、どんなに勇猛な心を持っていても、とても辛いものよ」
ガルルガ 「…………」
両耳ガルルガ 「…………いつしか、彼は魂を送ることさえやめてしまった…………」
両耳ガルルガ 「そして、逆に背中に魂を集め始めたの……」
両耳ガルルガ 「その、冬の力を持って……」
ガルルガ 「何で……かかさまが、そんなことを知ってるんだ……?」
両耳ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「あんた……誰だ?」
両耳ガルルガ 「あなたの母、だった存在よ……」
両耳ガルルガ 「今は、『彼』と半分ほど溶け合って、気持ちを、ほんの少しだけれど共有してる……」
両耳ガルルガ 「だから、今、あなたの母か? と聞かれると、そうではないと答えるしかないの」
11 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:16:23.68 ID:mhWuZD.0
ガルルガ 「謎かけみたいな話はやめてくれ!」
両耳ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「かかさまはかかさまだ。俺の目の前にいる!」
ガルルガ 「それ以上、俺は何も望むものはねぇんだ!」
ガルルガ 「じゃあそれでいいじゃないか! かかさま、家に帰ろう!!」
ガルルガ 「さぁ、俺の手を握って!!」
両耳ガルルガ 「……………………」
ガルルガ 「どうして!?」
両耳ガルルガ 「ダメよ、ガル……」
両耳ガルルガ 「私はここから動くことが出来ないの……」
両耳ガルルガ 「『彼』が、私の魂と同化し始めているわ……」
両耳ガルルガ 「私はいずれ、彼の中に溶け込んで、砦ドラゴンという存在の一つになるわ」
両耳ガルルガ 「彼が、私たち魂を、『向こう側』に送ってくれない限り、私たちは彼の一部になるしか、道はないの……」
両耳ガルルガ 「そして、彼の孤独を癒すための、糧となるのよ……」
ガルルガ 「何だ!? 何だその理屈!!」
ガルルガ 「わけがわかんねぇ! いきなり現れて、わけのわかんねぇことを並べてたてて……!!」
ガルルガ 「本当に俺のかかさまなら、この手が握れるはずだ!」
ガルルガ 「さぁ! こんなところ、一緒に出よう!!」
12 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:16:58.51 ID:mhWuZD.0
両耳ガルルガ 「あなたの手なら、いくらでも握れる……でも……」
 >ぎゅ……
ガルルガ 「……!! よし、こっちに……」
ガルルガ 「な……何だ!?」
ガルルガ 「石……みてぇに動かねぇ…………」
ガルルガ 「柔らかくて……温かい感触なのに……」
ガルルガ 「何でだ……!!!」
両耳ガルルガ 「それは、私も彼の体の一部になりかかっているからなの」
両耳ガルルガ 「ガル……よく聞いて」
ガルルガ 「………………」
両耳ガルルガ 「放っておいたら、あなたも、魂を彼に吸われてしまうわ」
両耳ガルルガ 「あなたが選択できるのは、ここから去るか、ここで、私と共に彼の一部となるか……」
両耳ガルルガ 「彼の孤独が癒えない限り、それしか選択肢はないの……」
両耳ガルルガ 「そして、その孤独は癒えることはないわ……」
両耳ガルルガ 「幾千、幾万の時の流れが、彼の心を削り取ってしまった……」
両耳ガルルガ 「もう、『向こう側』へ行く門は開かない……」
両耳ガルルガ 「彼は、魂を吸い続けて、いつか限界を迎えて……」
両耳ガルルガ 「そして、弾けて、泡になって消えてしまうでしょう……」
両耳ガルルガ 「集めた沢山の魂と共に……」
両耳ガルルガ 「それが、彼が望んでいることなのかもしれないわ……」
13 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:17:27.87 ID:mhWuZD.0
ガルルガ 「彼、彼、彼って……!!」
ガルルガ 「こいつがそんなに偉いのか!!!」
 >ドンッ! ドンッ!!
両耳ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「俺のかかさまをどうにかできるほど偉いのか!! こいつが! こいつが!!!」
 >ドンッ! ドンッ!!!
両耳ガルルガ 「やめなさい、ガル……」
ガルルガ 「ハーッ……ハーッ……」
両耳ガルルガ 「あなたの心の痛みは、よく感じるわ。でも、彼を傷つけるというのは、同時に私を傷つけることでもあるの……」
ガルルガ 「!!!」
ガルルガ 「かかさまの耳から、血が……!!」
ガルルガ 「お……俺…………」
両耳ガルルガ 「これくらい、すぐに治るわ……」
ガルルガ 「かかさま…………俺、そんなつもりじゃ…………」
両耳ガルルガ 「いいのよ。誰だって、初めてここに来たときはそう。みんな、彼を傷つけようとする」
ガルルガ 「誰だって……?」
両耳ガルルガ 「周りを見てごらんなさい」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「何も見えねぇ……」
ガルルガ 「ただ、しろいもやがどこまでも続いてるだけだ……」
14 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:17:58.05 ID:mhWuZD.0
両耳ガルルガ 「見えないだけよ……」
両耳ガルルガ 「そのしろいもやの粒子、一つ一つが私たちと同じ魂なの」
ガルルガ 「!!!!
ガルルガ 「こんなに……こんなに沢山……!?」
ガルルガ 「一体どれだけの命を、こいつは吸ってるんだ!!」
両耳ガルルガ 「彼には、既に自分の意思はないわ……」
両耳ガルルガ 「あるのはただ、寂しいという気持ちだけ。摩擦した心の中で残ったのは、ただ孤独だけ……」
両耳ガルルガ 「分かる? ……それほど、彼は悲しい存在なのよ……」
両耳ガルルガ 「私たちには、推し量ることもできないくらい……」
ガルルガ 「わ……わかんねぇーよ!!」
ガルルガ 「じゃあかかさまは、このまま魂まで消えてなくなっていいってのか!!」
ガルルガ 「俺はいやだ! かかさまが別の何かに変わっちまうんなんて嫌だ!!」
ガルルガ 「折角……折角こうして再開できたんじゃないか!!!」
両耳ガルルガ 「ふふ……」
ガルルガ 「!」
両耳ガルルガ 「優しい子……言葉遣いは荒っぽいけど、根はいい子なのよね……」
ガルルガ 「な……っ、何だよいきなり……」
両耳ガルルガ 「ガル、変化って何だと思う?」
ガルルガ 「変化……?」
15 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:18:40.82 ID:mhWuZD.0
両耳ガルルガ 「魂が何かに変化すること……それを恐れていてはいけないわ……」
両耳ガルルガ 「だって、私はもうすでに死んでしまっているんですもの……」
両耳ガルルガ 「死も変化だと受け入れれば、その後どう変わってしまおうが、それが魂の運命なのよ」
ガルルガ 「じゃ……じゃあかかさまは、このままこいつの一部になることが運命だってのか!」
両耳ガルルガ 「ええ……決まるべくして決まっていたことなのかもしれないわ……」
両耳ガルルガ 「たとえ『向こう側』にいったとしても、そこで起こる変化と、ここで起こる変化に何か違いがあるかしら?」
両耳ガルルガ 「私という『個』は失われても、『存在』は残ったままよ……」
両耳ガルルガ 「だから、変化を恐れることは、何もないの……」
両耳ガルルガ 「存在まで消えてしまうわけではないのだから……」
ガルルガ 「わかんねぇ……わかんねぇよ……」
ガルルガ 「俺は……」
ガルルガ 「俺は、どうすればいい……?」
両耳ガルルガ 「…………」
両耳ガルルガ 「自分で決めなさい……」
ガルルガ 「……!!」
両耳ガルルガ 「ここから去るか、私と共に彼の一部となるか……」
両耳ガルルガ 「それは、あなた自身が選択しなさい」
ガルルガ 「そんな……俺は、そんなこと選べない……」
ガルルガ 「かかさま、一緒に来いって言ってくれ!」
両耳ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「そうすれば俺は勇気をもらえる! 変わることにだって立ち向かっていける!」
ガルルガ 「一言でいいんだ! 一緒に来いって……」
両耳ガルルガ 「………………」
ガルルガ 「何で!?」
16 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:19:19.19 ID:mhWuZD.0
両耳ガルルガ 「あなたの存在まで、私の好きに出来るわけがないわ……」
両耳ガルルガ 「自分自身の『存在』のあり方は、自分自身で決めなくてはいけないことなの」
両耳ガルルガ 「厳しいようだけれど、それがここにあり続けることのルールよ」
ガルルガ 「…………」
両耳ガルルガ 「あなたが、自分の存在を捨ててまで私と一緒に来るというのなら、それはそれでいいでしょう」
両耳ガルルガ 「でも……去るというのなら、私はそれを止めたりはしないわ」
両耳ガルルガ 「あなたには、あなたの人生があるの……」
ガルルガ 「じゃあ……俺に戻れって言うのか……?」
両耳ガルルガ 「それも、あなたが選ばなきゃいけない……」
ガルルガ 「かかさまの意思はどこにあるんだ!!」
両耳ガルルガ 「!!」
ガルルガ 「それじゃ……それじゃまるで、かかさまがかかさまじゃなくなって、この得体の知れないもんになっちまったようじゃねぇか!!」
ガルルガ 「それだけは断じて認めねぇぞ! かかさまは、俺のかかさまだ!!」
ガルルガ 「俺……こいつと話してくる!!!」
両耳ガルルガ 「!? ガル、何を……」
ガルルガ 「かかさまを離して、『向こう側』への門を開くようにって言ってくる!!」
ガルルガ 「かかさまがかかさまじゃなくなるなんて嫌だ!」
ガルルガ 「そうしたら俺も……俺も一緒に向こう側に行くんだ!!(ダダッ!)」
両耳ガルルガ 「ガル! ここで私を見失ったら……」
ガルルガ 「(ダダダッ)」
両耳ガルルガ 「ガルー!!!」
17 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:19:47.53 ID:mhWuZD.0
―旧火山、避難所、子供たちの部屋―

少女 「(お父さん……)」
 >…………! …………!!
少女 「(お父さんの声が、聴こえる……)」
少女 「(うぅん……この声は……お母さん!?)」
少女 「(何なの……お父さんの声も、お母さんの声も聴こえる……)」
少女 「(何を言ってるのか分からないけれど……)」
少女 「(でも、確かに、お父さんとお母さんの声……)」
少女 「(お父さん……)」
少女 「(お母さん……)」
少女 「(私を置いて、遠くに行った、お父さんとお母さん……)」
少女 「(………………)」
 >…………!! …………!!!
少女 「(まるで、私を誘ってるみたい……)」
少女 「(洞窟の外から聞こえる……)」
18 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:20:15.47 ID:mhWuZD.0
少女 「(ふらり)」
少女 「(吹雪の向こう側から……)」
少女 「(私を呼ぶみたいに……)」
少女 「(私、行かなきゃ……)」
少女 「(お父さんと、お母さんの所に……)」
少女 「(…………)」
少女 「(行かなきゃ…………)」
少女 「(呼ばれてる……)」
少女 「(お父さんとお母さんが……呼んでる……)」
19 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:21:00.01 ID:mhWuZD.0
―休火山、グラビモス夫妻の家―

クック 「キングは無事に里にたどり着けただろうか。心配だ……」
ナナ・テスカトリ 「子供たちの様子を見てきました。少女ちゃんも、ちゃんとぐっすり寝ていますよ」
クック 「良かった。それにしても……」
テオ・テスカトル 「うむ。彼をどうするべきか……」
ガルルガ 「…………」
ロアルドロス 「魂抜きになってしまった者に対する処置策はありません……」
ロアルドロス 「自然に目を覚ますまで、待つしかないのが現状です」
ロアルドロス 「せめて体が凍えないように、火の近くに置いてあげてください」
カム・オルガロン 「魂が戻ってくればいいが……」
ノノ・オルガロン 「そうね、戻ってくればいいのだけれど……」
黒グラビモス 「ガルルガ君……」
グラビモス 「何かしてやりてぇが、俺らじゃ手の下しようがねぇな……」
ティガ弟 「よくわかんねぇが、その魂ってのを探してきて、無理やりにでも連れ戻せばいいんじゃねぇのか?」
キリン 「それが出来ないから困ってるんじゃないですか」
ダイミョウザザミ 「………………」
ダイミョウザザミ 「我が……部族からも、数人同じようなことになっている者が……出ている」
紫ダイミョウザザミ 「…………(コクリ)」
20 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:21:56.54 ID:mhWuZD.0
テオ・テスカトル 「……ふむ……やはり、私とナナで海岸だけでも確認してくることとしよう」
ナナ・テスカトリ 「そうですね……私たちの炎の力なら、この猛吹雪を少しは耐え切れるでしょうし……」
ナナ・テスカトリ 「もしガルルガ君のこの状況が、海岸にいる『何か』のせいだったとするなら、やめさせなければなりません」
テオ・テスカトル 「そうだな。何がいるのかはまず置いておいて、とりあえず確認をすることにしよう」
クック 「私も少しばかり気になる。一緒に行ってもいいだろうか」
テオ・テスカトル 「クック殿も? 構わんが、大丈夫か?」
クック 「私にも少しは炎の力がある。これくらの吹雪で凍えはしないよ」
グラビモス 「俺も行きてぇところだが……古傷の具合が悪い。すまねぇな」
黒グラビモス 「でしたら、代わりに私がご一緒しましょう。私にも炎の力があります。お役に立てるかもしれません」
キリン 「私も……」
クック 「キリンちゃんとティガ弟君はここに残ってくれ。子供たちのことを見てやっていて欲しい」
ダイミョウザザミ 「すまないが……我らは寒さに弱い。ご遠慮つかまつる……」
紫ダイミョウザザミ 「(コクリ)」
テオ・テスカトル 「いや、元々私の、単なる思いつきだ。気に病む必要はありません。カムとノノも、子供たちを見ていてくれ」
カム・オルガロン 「うむ」
ノノ・オルガロン 「ええ」
テオ・テスカトル 「それでは、黒グラビ殿、クック殿、行くとするか」
クック 「承知した」
黒グラビモス 「はい!」
キリン 「おじさま……気をつけて」
クック 「私は大丈夫。少女を頼むよ」
21 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:22:26.02 ID:mhWuZD.0
―砦ドラゴンの背の上―

少女 「(………………)」
少女 「(ハッ……!)」
少女 「(私、いつの間にこんなところに……)」
少女 「(ここ、どこ……?)」
少女 「(夢……?)」
少女 「(お父さんとお母さんの声が聞こえて……)」
少女 「(外に出ようと思ったら……ここに……)」
少女 「(周り全部……雪…………)」
少女 「(でもどうしてだろう……全然寒くない。むしろ温かいような……)」
少女 「(…………雪が降ってる…………)」
少女 「(…………?)」
少女 「(これ、雪じゃ…………)」
22 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:22:55.03 ID:mhWuZD.0
少女 「……!!」
少女 「(誰かが……私をまた呼んでる……)」
少女 「(後ろから……)」
少女 「(………………)」
少女 「(…………!!!)」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
少女 「お父さん……?」
少女 「お母さん……?」
大剣 「(にこり)」
ランス 「(にこり)」
少女 「…………」
少女 「お……お父さん!! お母さん!!!」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
少女 「お父さん……!! ……お母さん!!!!」
23 :三毛猫 ◆58jPV91aG. [saga]:2010/02/28(日) 19:27:14.88 ID:mhWuZD.0
お疲れ様です
次話に続かせていただきます

ご意見、ご感想などはBBSまでお願いしますね
http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html
お一人お一人にご返信をさせていただきます

また、お暇な方は私のサイトのサイドバナーから過去書いた小説をご覧いただくこともできます
http://blog.livedoor.jp/matusagasin/
気が向かれたら、立ち寄られてください

私の現実の病状があまり思わしくないため、かなり低速になってしまっています
そのせいでみなさんに不快感などを与えてしまう部分があるかもしれません
遅くなってしまいましても、続きは必ず上げますので、その点、ご了承いただけましたら嬉しいです

それでは、季節の変わり目でお風邪など召しませんよう(-人-)
今回は失礼させていただきます
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/02/28(日) 20:08:52.63 ID:gwYbB4go
乙!
引越ししましたか
これからも楽しみにしてます
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/02(火) 07:06:56.16 ID:ASP/2Dw0
ああああ!!!三毛猫さん!待ってました
すごい大作だ・・
もう6、7回読み返してます
ファン歴浅いですが毎回三毛猫さんの文章に引き込まれてしまってます
いつも楽しみにしてるのでお体に差し支えないよう、がんばってください!

26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/02(火) 10:18:25.02 ID:4ocolkSO
移転したのか、三毛猫氏お疲れ様
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/04(木) 19:34:33.69 ID:FGE7ckE0
お疲れ様です。本当いつもありがとう
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/10(水) 00:53:20.71 ID:SMRKJWY0
お疲れ様です。続き楽しみにしてます
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/16(火) 04:45:13.92 ID:qphRyUDO
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/22(月) 15:02:20.26 ID:IL6h3lk0
続きが楽しみ
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 17:23:19.56 ID:YNbYsEo0
このスレこっちに来てたんだ…
1部すげぇ面白かったのにちょっと来なかったうちに消えてたから
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/24(水) 23:40:36.08 ID:60OVnYc0
いろいろあったんだよ
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 01:56:43.86 ID:0Dglpu2o
あれ?パー速にいなかったっけこのスレ?そもそもパー速と製作のつながりってなんなの?
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 05:34:29.85 ID:xpTR90.o
パー速がスレたくさんあって凄い重くなったから、やる夫スレとSS系のスレは他に移転してくれって話になった時に
引継ぎ先として白羽の矢が立ったのが製作速報。
やる夫スレは他にも外部板が幾つかあったからこっちに来たのは少数だけど、SS系はここ以外は行く先ってあんのかね?
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 05:40:20.65 ID:0Dglpu2o
わざわざありがとう
理解できました
VIPで大きな顔して居座ってればいいのにといつも思うんだが、まあ無理なんでしょうね
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 11:07:37.40 ID:z7QY/FIo
保守が大変だし、下手すると荒らしに潰されるからね
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 03:33:00.54 ID:cRTuzkQo
スクリプトはしばらく続きそうだからVIPのSSは肩身が狭くなるな
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 04:50:22.09 ID:xjw/76Ao
そもそもVIPは規制が厳しくて、途中でスレ主が巻き込まれて書き込めなくなったりするから1スレ目は人呼び込む為にVIPでやって、2スレ目からはパー速でってのが多かったかな。
まぁ、ある時季からは最初っからパー速で始める人も多かったけど。三毛猫さんみたいに。

中には、VIPの方が人が多くてやってて楽しいって言う、やる夫フューラーさんみたいなのもいるけどね。
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/08(木) 20:57:08.43 ID:PqnunUDO
結局3月は来なかったか
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 20:11:19.01 ID:K6NsL8I0
気長に待つとしよう
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/20(火) 23:46:18.23 ID:4ernuh20
ちょ・・・まだなの・・
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/21(水) 01:24:24.26 ID:J2vlxcAO
>>41

病状が良くないみたいだからね。
仕方ないよ。
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/26(月) 23:27:28.16 ID:3VXBswE0
はあ
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 22:54:14.59 ID:M2hCYE.0
三毛猫さんは4月下旬にここにカキコするって
BBSで投稿されてたよ
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 23:53:43.07 ID:LnDiXO.0
もう4月も終わるぞ
46 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:05:10.01 ID:dSXiVic0
こんにちは、皆さん
GWに入りますが、いかがお過ごしでしょうか
風邪などに気をつけてくださいね

少量になってしまいましたが、続きをUPさせていただきたいと思います
47 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:06:40.68 ID:dSXiVic0
イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」

外伝 砦ドラゴンと少女 第5話

―四年前―

火に焼かれた森。
目に映るのは、かつて住んでいたはずの場所。
何もなくなった場所は、雨に濡れて、グズグズの泥に混じって流れていった。
流れていく。
全部。
守りたかったものも。
大切だったものの名残も。
全部、消えていく。
48 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:07:10.27 ID:dSXiVic0
クック (私たちの巣があった場所……)
クック (火は、消えたのか……)
クック (人間は、火を放ったのか……)
クック (青クック、子クック達……)
クック (返事をしてくれ)
49 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:12:22.04 ID:dSXiVic0
声は出ていなかった。
自分では出しているつもりなのだが、その時の彼には、自分が声を出していないことなど、分からなかった。
少し前までは、何度も、大声を上げていた。
しかし、それに返ってくるはずの、望んだ声はもはやなく。
返ってくるであろうはずと思っていた光景ではないモノが目の前に広がっているのを、生ぬるい雨の中で見つめ続けた彼は。
声を、出すことができなくなっていた。
目の前には、黒い煙を上げている、大きな木のうろの入り口があった。
彼は、その中に入ることができずに、長い時間、その前で立ち尽くしていた。
50 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:12:56.08 ID:dSXiVic0
彼は、色々なことを考えた。
実は家族は別の場所に逃げていて、そして、自分は何か思い違いをしているのではないか。
場所を、間違えたのではないか。
煙にまかれて、幻覚を見ているのではないか。
こうしている間にも、いつも通り、妻と子供たちが巣から、自分を迎えに出てきてくれるのではないか。
そう、自分はただ、呆けているだけで。
全ては、夢なのではないか。
51 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:13:34.42 ID:dSXiVic0
青クック 「どうしたの、あなた? そんなところに突っ立って」
青クック 「びしょ濡れじゃない。風邪引いちゃうわ。早く中に入って」
子クック 「パパが帰ってきたよー!」
クック 「……」
52 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:14:05.15 ID:dSXiVic0
彼は顔を上げた。
その目に映るのは、相変わらず煙がくすぶり続ける、かつて彼の巣があった場所だった。
そして、一面の焼け野原だった。
ただ、それだけだった。
その事実は、彼が今聞いた言葉は全て幻聴であり。
そんな都合のいい偶然は、ないということを、どうしようもなくあっさりと、彼に突きつけて。
彼の、少しだけ残っていた希望を粉々に打ち砕くのには、十分過ぎるほどの、光景だった。
53 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:14:37.87 ID:dSXiVic0
帰れば、妻がいる。
子供がいる。
いつもと変わらない、家がある。
いつもと変わらない団欒の時がある。
そして、いつものように狩りに出て。
子供に、生活の知恵を教えて。
平凡に幸せな暮らしを送って。
子供は巣立ち、妻とまた子供を作り。
孫の顔を見て、そして。
ゆっくりと、平凡に死んでいく。
54 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:15:14.06 ID:dSXiVic0
守りたかったのは、それだけだった。
ただそれだけを守るために、出て行った筈だった。
しかし、いざ帰ってみると、その光景も、その事実も何もなく。
彼はただ、呆然とするしかなかった。
少しして、彼は、これが夢だと思うことにした。
自分の翼の震えが、事実を事実と認めてしまうことの恐ろしさを、物語っているように感じたからだった。
本能的な防衛行動だったのかもしれない。
彼は目を、硬くつむった。
そして、だいぶ経ってから、もう一度開いた。
55 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:15:46.57 ID:dSXiVic0
妻が、子供が、自分を出迎えてくれる今。
そして、人間の脅威がなくなった森で、今迄どおり、幸せで、そうではなくともささやかで、平凡な暮らしを送るはずの未来。
そう、夢なんだ。
だから、夢なら醒めるはず。
夢なら醒めて、そして。
――そして。
56 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:16:13.13 ID:dSXiVic0
雨の音がやけに大きく耳に響いていた。
聞きたくもないのに、焼けた炭が弾ける音が聞こえる。
蟲の声も聞こえない。
誰の声も、聞こえない。
生命の雰囲気さえ、そこにはなかった。
都合のいい話は、どこにもなかった。
彼がそれを受け入れるより先に、現実は、どうしようもないほどに現実だった。
57 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:17:12.99 ID:dSXiVic0
―現在、火山―

テオ・テスカトル 「ム……吹雪が先ほどよりも強くなってきているな……」
ナナ・テスカトリ 「ええ……雪原の方は、完全に雪で埋もれてしまっているかもしれません」
テオ・テスカトル 「ポポやガウシカ一族は無事だろうか……」
黒グラビモス 「テオ様、ドス一族とも連絡が取れていないのでしょう?」
テオ・テスカトル 「……ドスイーオス君がきちんと避難をさせてくれていると思いますが……この荒れようでは、心配です」
ナナ・テスカトリ 「彼らは数が多いですから……」
クック 「いずれにせよ、この強風では飛ぶこともできないな……翼が凍り付いてしまう」
黒グラビモス 「そうですね……私の鱗も、表面に氷が張っています」
ナナ・テスカトリ 「とにかく、早く海岸に出ましょう。あなた様、炎の力を最大にいたしましょう」
テオ・テスカトル 「分かった。おふた方は、我々の傍を離れないでください」
クック 「承知した」
黒グラビモス 「分かりました」
58 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:18:15.47 ID:dSXiVic0
テオ・テスカトル (ぬう……)
テオ・テスカトル (何だ……この、我の胸の中にある、テスカトルの宝玉に響くモノは……)
テオ・テスカトル (これは鼓動か……?)
テオ・テスカトル (何かが宝玉に反応している……)
ナナ・テスカトリ 「…………」
テオ・テスカトル 「ナナよ」
ナナ・テスカトリ 「ええ。テスカトリの宝玉も、震えております」
テオ・テスカトル 「お前もか……」
ナナ・テスカトリ 「しかし……もし、そうだとしたら……これは、いいモノではありませぬ」
テオ・テスカトル 「ああ。そうだな……何だかは分からないが、何か禍々しいものだ」
テオ・テスカトル 「ガルルガ君は、これに連れて行かれたのか……?」
ナナ・テスカトリ 「おそらくは……」
59 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:19:32.77 ID:dSXiVic0
クック 「テオ殿、ナナ殿、何かを感じるのですか?」
テオ・テスカトル 「…………」
ナナ・テスカトリ 「今はまだ憶測でしかないのですが……」
ナナ・テスカトリ 「もしやすると、戦闘になるやもしれませぬ」
クック 「戦闘? この悪天候の中で、我々を襲う者など……」
黒グラビモス 「……人間ですか? しかし、互いに視界がきかない寒さでは、まともな戦いにはならないのでは……」
テオ・テスカトル 「人間ならばまだ追い返すことができるのですが……」
テオ・テスカトル 「相手が超常現象の類だとしたら、我々も遭遇するのがはじめてのことなのですので、何とも申し上げることかなわぬ」
クック 「超常現象?」
ナナ・テスカトリ 「ええ。残念ながら、そう考えるしかないようです」
クック 「詳しくお教え願えますか?」
テオ・テスカトル 「…………」
60 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:21:48.68 ID:dSXiVic0
テオ・テスカトル 「先ほどから、我々の中に在る『宝玉』が、かすかに、何かの波動を感じ取っているのです」
黒グラビモス 「波動?」
テオ・テスカトル 「左様」
ナナ・テスカトリ 「宝玉は、記憶や知識を代々受け継ぐものです。私たちは先代テスカトルと、テスカトリから承りました」
ナナ・テスカトリ 「そして宝玉とは、同種の者が近くにいると反応をするのです」
クック 「成る程。しかし、そう考えると……」
ナナ・テスカトリ 「はい。反応をしているということは、この近くに、私たちと同種のモンスターが存在しているということになります」
黒グラビモス 「同種? つまり、古龍テスカトル、テスカトリ様ということですか?」
テオ・テスカトル 「そうなります」
クック 「お二人には、お仲間はいらっしゃらないはずでは……」
テオ・テスカトル 「テスカトルとテスカトリは、元来孤独な種族です。子供はひとつがいからオス、メスがそれぞ産まれます」
ナナ・テスカトリ 「そして、親である二頭は、子供をある程度育て、宝玉を与える際に命を落とします」
テオ・テスカトル 「そうやって命を繋いでいくのが我々です」
テオ・テスカトル 「それゆえ、この大陸にも、他の大陸にも、我々と同種のモンスターは存在していないといえます」
テオ・テスカトル 「それが、生きているモンスターに限ればの話なのですが……」
61 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:22:40.93 ID:dSXiVic0
クック 「まさか、亡くなったおふた方のご両親の……魂に、宝玉が反応していると?」
ナナ・テスカトリ 「…………」
テオ・テスカトル 「……かすかに感じるのは、冷たさと、確かに覚えのあるにおいです」
テオ・テスカトル 「信じられないことではありますが……ガルルガ君が魂だけを抜かれている状況を鑑みれば、あながち考えられないことはないでしょう」
黒グラビモス 「…………」
ナナ・テスカトリ 「死者や生者の魂を操ることのできる何かが、海岸にいるのだとしたら、それは間違いなく禍々しいものです」
ナナ・テスカトリ 「きっと、ガルルガ君のような犠牲者を増やすことでしょう」
ナナ・テスカトリ 「ですから……方法は分かりませんが、もし遭遇したら戦わねばなりません」
ナナ・テスカトリ 「私たちは、子供たちや、この大陸の皆さんを守らねばならないのですから」
テオ・テスカトル 「ナナの言う通りです。おふた方は、何か異変を感じたらすぐに退避してください」
テオ・テスカトル 「お二人とも、子供がいらっしゃる」
クック 「…………!」
黒グラビモス 「…………!」
テオ・テスカトル 「危ないと思ったら、迷わず避難所に戻ってください。分かりましたか?」
クック 「……承知しました」
黒グラビモス 「申し訳ありません……」
62 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:23:10.31 ID:dSXiVic0
ナナ・テスカトリ 「あなた方が謝る必要はございませんよ。もし、手をお貸しいただけるのでしたら、その際はお願いいたします」
テオ・テスカトル 「……ヌ?(ザザッ)」
クック 「テオ殿、いかがなされた?」
テオ・テスカトル 「あれは……」
××××× 「…………」
ナナ・テスカトリ 「雷の膜が、吹雪を弾いている……」
黒グラビモス 「あなたは……」
ラージャン 「…………(ザ、ザ、ザ)」
テオ・テスカトル 「…………」
ラージャン 「(ザ……)」
ナナ・テスカトリ 「ラージャン君、こんな吹雪の中……」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「来ると思っていたが……気をつけることだ、と言ったはずだ。先生達」
ラージャン 「この先に進むのは、あまり薦められない」
63 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:23:36.99 ID:dSXiVic0
ナナ・テスカトリ 「私たちを待っていたのですか?」
ラージャン 「…………」
ナナ・テスカトリ 「あなたには、海岸にいるモノが何だか分かるのですか?」
テオ・テスカトル 「…………」
ナナ・テスカトリ 「……私の生徒が一人、魂を抜かれたような状態になってしまいました……」
ナナ・テスカトリ 「もしできることなら、教えてください」
ナナ・テスカトリ 「彼を助けたいのです。それに、この吹雪の訳も……」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「先程も、俺の横を一匹、チャチャブーが通っていった」
クック 「チャチャブー……? キングのことか!?」
ラージャン 「奴も、今頃は見ているのだろう」
ナナ・テスカトリ 「見ている……? 何をですか?」
64 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:24:07.75 ID:dSXiVic0
ラージャン 「…………親父と、会った」
テオ・テスカトル 「……!」
ナナ・テスカトリ 「……!」
ラージャン 「どうも、海岸に漂着したらしい『大亀』には、得体のしれん幻や夢の類を見せる『力』があるらしい」
ラージャン 「俺には、たいして効かんようだが」
テオ・テスカトル 「ドドと会ったのか?」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「ああ。一言も喋らなかったが、親父で間違いはないだろう」
ナナ・テスカトリ 「それで、あなたは……」
ラージャン 「掻き消した」
クック 「……!!!」
ラージャン 「死人は死人だ。今更顔をあわせても、何の感慨も湧かん」
65 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:24:39.39 ID:dSXiVic0
テオ・テスカトル 「…………大亀、と言ったな?」
ラージャン 「…………」
テオ・テスカトル 「それは、何だか分かるか?」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「さぁな……」
ラージャン 「ただ、俺には『亀』に『視えた』……おそらく『そういうもの』なんだろう」
ラージャン 「右足に大きな怪我をしているようだ」
ナナ・テスカトリ 「怪我……? それは、モンスターなのですか?」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「……分からないが、部族の誰もが、『あれ』を見ることはできなかった」
ラージャン 「おそらく、ここにいてはいけないモノだ」
テオ・テスカトル 「…………」
クック (掻き消した……?)
クック (家族の……父親の幻を、この子は……)
クック (…………)
66 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:25:18.50 ID:dSXiVic0
ナナ・テスカトリ 「…………ご忠告ありがとう、わざわざ待っていてくれて、先生、とても嬉しいわ」
ラージャン 「…………」
テオ・テスカトル 「…………」
ナナ・テスカトリ 「でも、それなら尚更行かなくてはいけないわ……この目で確かめないといけない」
テオ・テスカトル 「……そうだな。行こう」
クック 「…………」
ラージャン 「待て」
テオ・テスカトル 「…………?」
ラージャン 「俺も行こう」
ナナ・テスカトリ 「いいのですか? あなたはブランゴ一族の……」
ラージャン 「一族の避難なら、完了した。長として、悪天候の原因を断たねばならぬとは思っていた」
テオ・テスカトル 「……分かった。君が加わってくれれば心強い」
ラージャン 「…………」
クック 「…………」
黒グラビモス 「キングチャチャブー様が先に行かれたということなら、急ぎましょう」
ナナ・テスカトリ 「ええ。ラージャン君、案内してはもらえませんか?」
ラージャン 「…………(ザ、ザ……)」
67 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/04/30(金) 13:34:43.32 ID:dSXiVic0
お疲れ様でした。
少量になってしまって、大変申し訳ありませんが、次回へ続かせていただきます。

3月は半ば頃から、急激に体調を崩しまして、入院などをする事態になってしまいました。
その影響で、4月中旬には別の場所に引越しをいたしまして、現在はまだ、自分の部屋ではネットが使えない状況が続いております。
体調も、最近は少しずつ安定してまいりましたが、やはり少し調子がおかしい部分が見受けられます。

そのような理由で、3月、4月は投稿をすることができませんでした。
とみにご容赦いただけましたらうれしいです。

5月の2日に部屋にネットが入りますので、それ以降でしたら、ある程度の頻度で投稿をすることができると思います。
次回は、5月9日ごろを目安にしていただけますと幸いです

BBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_friend.pl?id=769079)で個人的にご連絡をいただくことも可能です。
お暇でしたら、足を運ばれてみてください。

それでは、明日からGWが始まる方も多いと思いますが、皆様、良い休日をお過ごしください。
ゆっくり体を休めてくださいね。
今回は失礼させていただきます。
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 14:31:52.34 ID:70C6g/wo
おつかれー
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 14:47:31.65 ID:4Sithbso
うはーいつもサイト見ながら何時更新されるのか待ってたがまさかこんなとこで見られるとはー
お疲れ、無理しない程度に頑張ってくれー
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 14:56:34.63 ID:6KO11oAO
お疲れ様です。入院されてたとは……。
体調に気をつけて、無理なさらないでくださいね。

ラージャンかっけえ!
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 15:19:30.26 ID:tacrPkoo
乙!
久しぶりですね
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/01(土) 11:06:42.83 ID:t7B4QsSO
無理をしないで
とにかく乙した!
もうこの物語も一年が経つんだな…
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 05:28:28.38 ID:LeeGc.DO
乙です

ゆっくりまってます。
お身体には気を付けてください
74 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/09(日) 22:11:31.27 ID:tXYlVew0
みなさん、こんばんは。
急に冷え込んできましたね。
最近、とみに天候が安定しませんが、引っ張られないよう、体調に十分お気をつけくださいね。

大変申し訳ありませんが、私の生活上、ちょっとありえないトラブルが起こってしまいました。
楽しみにしてくださっていた方々には、非常に心苦しいのですが、少々、お時間をいただけますでしょうか。
1〜3両日中にはUPさせていただきます。

生きていくうえでは、何かとつらいことや大変なことが、私だけではなく、みなさんも多いことと思います。
みなさんが頑張っているのですから、私も頑張らなくてはいけませんね。
めげないでいこうと思います。

申し訳ありませんが、少々、時間をください。
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 03:06:27.74 ID:0b6C5QSO
三毛猫氏よ、本当に無理をしなさんな
いつでも待っていますから
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 16:45:13.74 ID:ca3HMco0
無理しないで、ただでさえ三毛猫さんは大変なのだから。
待ってます。
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 19:37:12.55 ID:X7vKw0s0
ゆっくりと休んで、無理せずお願いしますね。
三毛猫さんが倒れちゃったら元も子もないですから・・・
78 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:17:43.26 ID:YEtEZS20
みなさん、温かいお言葉、ありがとうございます
あまり無理をしないようにしますね

遅れてしまい、申し訳ありませんでした
続きを、投稿させていただきます
79 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:18:26.81 ID:YEtEZS20
―海岸―

キングチャチャブー 「…………」

目に映るのは、巨大な何かだった。
あの日に見た何か、それがおそらく、目の前にいる。
そう考えるしかなかった。
それに対して、自分はあまりにも小さすぎた。
一族の王として存在している自分自身。
そんな彼が、あまりにもな、自分の小ささに、恐怖にも似た怒りの感情を抱いたのは、仕方のないことだった。
どこにその感情をぶつけたらいいのか、分からなかったのだ。
80 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:19:12.79 ID:YEtEZS20
ただ、吹雪の奥に鎮座する、その大きなモノを、自分はどうにもできない。
いや、どうすることもできないだろうという、確信にも似た推測は、徐々に彼の心の中を侵し回していた。
どうにかするためには、自分の存在、それそのものが小さすぎた。
どうにかしたかった。
自分から、大事なものを奪ったソレを、彼はどうにかしたかった。
踏みつけてやりたかった。
切り刻んでやりたかった。
そして、唾を吐きかけてやりたかった。
ただ感情の赴くままに、ソレを殺し尽くしてやりたかった。
81 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:19:39.63 ID:YEtEZS20
しかし、できないだろう。
それを、彼は本能の一番奥の部分でまた、理解してしまっていた。
自分がコレに対してできることは、ただ見上げることのみ。
王として生きている自分が、地面を這いずり。
殺してやりたいと思っていたモノが、ただ目の前に鎮座する。
それは、圧倒的な存在の差だった。
自分という存在と、目の前の得体の知れないという存在。
何もできない。
何もしてやれない。
82 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:20:31.70 ID:YEtEZS20
でき得ることなら、彼は、それを殺したかった。
彼女のためと言ってしまっては詭弁なのだろうことは分かっていた。
そう、それは自分のためなのだ。
他ならぬ自分のため。
死んだ者のために、仇を討つなんて、かいがいしい心を持ち合わせていないことは、何より自分自身が良く知っている。
自分本位だということは分かっていた。
何より、彼女は死んだということは、重々自分自身が良く理解していた。
死んだということは――「死んだ」ということなのだ。
それを表す言葉は沢山あるものの、ただ単純に、死んだ、ということは、それ以外の何者でもない。
83 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:21:09.63 ID:YEtEZS20
彼は、自分のためにソレを殺してやりたかっただけなのかもしれない。
そのあたりの感情が、彼自身にはよく分からなかった。
ただ、胸の奥に湧き上がる、ドス黒さにも似た感情のぶつけどころが分からなかったのかもしれない。
その感情は、彼が生きている間、今に至るまで、心の隅を食い抜いて、そしてどこか大事な場所に達しようとしていた。
それから、ただ、逃れたかったのかもしれない。
結論から言えば、自分本位な感情なのだ。
自分が解放されたいから、殺したい。
繋がりを、断ち切りたい。
ケジメをつけたい。
ただ、それだけなのかもしれない。
84 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:21:44.75 ID:YEtEZS20
そんな自分本位で、どうしようもないほど、自分のことしか考えていない存在なんだ、俺は。
彼は、時折、よくそう思うようになっていた。
そう、思うようにしていた。
ご大層な大義名分なんて持ってはいない。
仇討ちなんて殊勝な言葉も知らない。
死について深く考えられないほどの、センチメンタルな頭も持っていない。
自分にあるのは、現実的な今だけだ。
今だけだと、思うようにしていた。
そうしなければ、心の中に在る正体不明な何かに、食い尽くされてしまうように
85 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:22:10.33 ID:YEtEZS20
だから、彼はとりあえず、ソレを見たら殺そう、と自分の心に漠然と誓っていた。
自分を守るために、そして、自分が理想の、強い自分であるという誇りを守るために。
だから、彼はソレを見たら、迷わず殺せるものだと思っていた。
だから待っていた。
心の片隅にその想いを置きながら、何十年も待っていた。
それを忘れないようにしながら、ただ待っていた。
86 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:23:07.26 ID:YEtEZS20
その結果がこれか。

彼は、ただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
自分があまりにも無力であるという事実は、認めてしまえば全て、今までの誇りが一切合財なくなってしまうだろうという恐怖を有していた。
見上げたモノは、何も言わなかった。
ただ、妙に白濁した眼球で、彼を見つめているだけだった。
吹雪の中、そこだけは妙にハッキリと見える。
その眼球は、まんじりと動くこともなかった。
ただ、ぼんやりと見つめている。
見つめているだけだ。
87 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:23:52.98 ID:YEtEZS20
しかし、その視線に、彼は言い知れぬ恐怖を感じた。
目を合わせることで、ソレが何なのか、分かってしまったせいかもしれない。
彼が唯一できたことは、その場から退かないこと、ただそれだけだった。
雪に埋もれるのも構わず、彼は真っ直ぐソレを見つめ続けていた。
そのモノの目には、何も映ってはいなかった。
そして、これから先にも、何も映ることはない。
それが、死という存在と、その意味なんだろうと、彼は漠然とそう思った。
ただ、ソレに対して、自分というちっぽけな存在が何をできるのか、ということまでは分からなかった。
相手はあまりにも巨大すぎて、そして自分はあまりにも無力すぎた。
88 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:24:20.93 ID:YEtEZS20
それゆえ、砦ドラゴンの目は、彼を映すことはない。
どんなに目の前で殺気をぶつけたとしても。
たとえ矢を射掛けても、毒刀で切りつけたとしても、コレは何の反応も示さないだろう。
つまりは、そうだ。
それが、死ぬということなのだ。
死に立ち向かうためには、自分も同じように、死ななければいけない。
しかし、死ぬということは、つまりは目の前の存在に負けるということだ。
それは、彼の中に残っていた誇りが許さなかった。
許さないゆえに、致命的な矛盾を抱いていることは重々承知の上、その前から動くことができなかったのだ。
89 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:24:48.23 ID:YEtEZS20
どのくらい経ったのだろうか。
依然変わらず、砦ドラゴンは、白く濁った目を、彼に向けていた。
時間の感覚もなくなってきた頃、彼は自分の手が、温かい何かに握られているのを感じた。
数時間前からだろうか、それともつい先ほどからなのだろうか。
よく分からなかったが、彼の手には、他の者の温かさが伝わっていた。
90 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:25:16.01 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「…………」

顔を上げた先に、それが見えた。
目に焼きついて離れない、あの時の光景のまま、彼女が、隣に立っているのが見えた。

キングチャチャブー 「…………」

彼は口を開けた。
死とはなくなること。
この世から、なくなって消えてしまうということ。
そんなことは分かっていた。
しかし、彼の口から出てきたのは、幻を否定する言葉でも、幻に抗う怒気でも、覇気でもなかった。
それは、ただ、単純な一言だった。
91 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:25:48.82 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「近くに来い。そんなところでは凍えてしまう」

彼女は少しだけ、哀しそうな顔をした。
しかしそれはすぐに消え、力を抜くように小さく微笑むと、彼の脇に、足を踏み出した。
数十年の時は、彼らの距離を劇的に違えていた。
子供のままの彼女と、大人になった自分。
胸で彼女の頭を抱いて、彼は息をついた。
手の中には、生きた存在の感触があった。
それがたとえ、幻によるものだったとしても、それは、生きている感触だった。
92 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:26:20.03 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「寂しくはなかったか」
茶アイルー 「いえ……ここには、沢山の人がいますから」
キングチャチャブー 「沢山の人?」
茶アイルー 「ええ。ご存知ですか? 死んでしまえば、どんなに強い人でも、どんなに弱い蟲でも、同じ大きさなんですよ」
キングチャチャブー 「奇妙なことを言う。死んでしまえば、大きさなど関係があるまい。存在からなくなっているのだからな」
茶アイルー 「……黒チャチャブーさんは、存在って何だと思いますか?」
キングチャチャブー 「久しぶりに会った男に聞く、最初の質問がそれか」
キングチャチャブー 「まぁ良い。幻だとしても、少しは付き合おう」
茶アイルー 「…………」
93 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:26:56.62 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「存在は、生きているということだ」
茶アイルー 「では、死ぬということはどういうことでしょう?」
キングチャチャブー 「存在が、なくなるということだ」
茶アイルー 「そうですね……確かに『そのもの』はなくなります」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「でも、存在はなくならないんですよ?」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「その形を変えるだけなんです。別のモノに変わるということが、死ぬということなんです」
キングチャチャブー 「存在とは、その者が持つ個としての証拠だ」
キングチャチャブー 「それら全てを失って、生きているかと考えれば、それは否だ」
キングチャチャブー 「死を変化と置き換えた、詭弁としか思えんな」
94 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:27:52.96 ID:YEtEZS20
茶アイルー 「じゃあ、黒チャチャブーさんは、私のことを何だと思いますか?」
キングチャチャブー 「幻だ」
茶アイルー 「幻……そうですね。でも、その幻にも形はある、と考えることはできませんか?」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「そもそも、幻とは何でしょう?」
茶アイルー 「頭の中が作り上げた虚構なのでしょうか?」
茶アイルー 「そうあって欲しいという、虚構の願望なのでしょうか?」
茶アイルー 「もしも思念が形を持っているとしたら、『それそのもの』と考えることはできませんか?」
茶アイルー 「思念の存在にもし質量があるのならば、それは、存在していると考えることは、できませんか?」
茶アイルー 「私たちは、形を変えて存在し続けると、考えることはできないのでしょうか?」
キングチャチャブー 「随分と饒舌になったな」
茶アイルー 「…………」
95 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:29:51.64 ID:YEtEZS20
砦ドラゴン 『…………』
茶アイルー 『私は、それを知りたい』
砦ドラゴン 『私は、自分自身がその幻であるという確証が欲しい』
茶アイルー 『私は、私としての存在が何なのか、それを知りたい』
砦ドラゴン 『私は、私として存在しなければいけないその理由を知りたい』
キングチャチャブー (やはり……茶アイルーの姿を通して、何者かが喋っている……)
茶アイルー 『私は、全てであり、全ての執着するところ、それそのものの存在である』
砦ドラゴン 『それゆえ私は知りたい』
茶アイルー 『私は、死と云うものは存在なのかどうか』
砦ドラゴン 『死と云う事象は、存在足りえるのかどうか』
茶アイルー 『私は』
砦ドラゴン 『知りたい』
茶アイルー 『小さき者よ』
砦ドラゴン 『弱き者よ』
茶アイルー 『花びらのごとき、かくも儚き者よ』
砦ドラゴン 『かくもこう、幽玄のごとき脆弱なる者よ』
茶アイルー 『私はただ知りたい』
砦ドラゴン 『だから、死を見せてくれ』
96 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:30:22.68 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「何?」
茶アイルー 「何千何百、何十万億と、彼はたった一人で、長い時間、死を見続けてきました」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「それゆえ、彼は知りたいのです」
茶アイルー 「何故死ななければいけないのか」
茶アイルー 「死という変化の理由、その答えを、彼は知りたいのです」
茶アイルー 「だから、彼は死を望んでいます」
茶アイルー 「無限ほどの死の可能性の中で、自分自身という存在がもしあるのならば」
茶アイルー 「存在し続けるということが、もし許されるのならば」
茶アイルー 「何故、存在しなければいけないのか、その答えを知りたいのです」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「黒チャチャブーさん」
茶アイルー 「私と一緒に、来ませんか?」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「きっと彼も、それを望んでいると思います」
97 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:30:55.39 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「……死ぬことの意味か」
キングチャチャブー 「死ぬことの、その変化の意味、その価値か」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「…………」
キングチャチャブー 「でき得ることなら、俺もそれを知ってみたいとは思う」
茶アイルー 「出来ます。死は、誰にも均等に訪れるものですから」
キングチャチャブー 「出来ぬ」
茶アイルー 「?」
キングチャチャブー 「俺は生きる」
キングチャチャブー 「俺は、その平等に与えられる時間まで、脆弱に生きるつもりだ」
茶アイルー 「何故?」
茶アイルー 「何故、終末が目に見えているのに、それを前にしても生きてみようと思うのですか?」
キングチャチャブー 「それは、俺が今、生きているからだ」
砦ドラゴン 『…………』
キングチャチャブー 「死という存在そのものだという、お前には分かるまい」
キングチャチャブー 「何故哀しいのか」
キングチャチャブー 「何故苦しいのか」
キングチャチャブー 「何故、コレほどまでに貴様に殺意を抱かなければいけないのか」
98 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:31:47.46 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「それは、俺が脆弱に生きているからだ」
キングチャチャブー 「そして、彼女はもう死んだという、紛れもない事実があるからだ」
キングチャチャブー 「彼女はもういない」
キングチャチャブー 「その個を、お前がどんなに知り尽くしていようと、彼女という存在は、もうこの世に、ない」
キングチャチャブー 「お前が殺したのだ」
キングチャチャブー 「共に来い? 笑わせる」
キングチャチャブー 「俺は終末に向かって歩いていく。貴様に言われるまでもなく、自分の意思で歩いていく」
キングチャチャブー 「ならば、貴様はどこに向かう?」
キングチャチャブー 「どこに向かって歩いていくつもりだ?」
砦ドラゴン 『…………』
キングチャチャブー 「笑えるものだ。貴様は、俺たちがうらやましいのだ」
キングチャチャブー 「だから、死を集めようとする。それに少しでも近づこうと、死のうとする」
キングチャチャブー 「だが、死ぬことが出来ない」
キングチャチャブー 「喜劇だな」
99 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:32:26.88 ID:YEtEZS20
砦ドラゴン 『小さき者よ』
砦ドラゴン 『お前の言うことは、よく分からぬ』
砦ドラゴン 『私には、お前の持つ目も、耳も、口も、舌も、何も無い』
砦ドラゴン 『死が、一つ一つ、全てを奪っていってしまった』
砦ドラゴン 『私には、何も無い』
砦ドラゴン 『心も、どこかに置いてきてしまった』
砦ドラゴン 『それに形があると仮定するならば、もはや存在してはいないだろう』
砦ドラゴン 『そう、私はもう死んでいる』
砦ドラゴン 『お前たちの定義する死というものが何なのか、私には分からない』
砦ドラゴン 『だが、私はここに存在している』
砦ドラゴン 『存在してしまっている』
砦ドラゴン 『だから、私は知りたいのだ』
砦ドラゴン 『お前のごとき、かくも瑣末な存在に切に願うのは、私の存在の価値の解明、それのみである』
砦ドラゴン 『それゆえ、私は死を見たい』
砦ドラゴン 『私と何が違うのか、それを知りたいのだ』
100 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:33:31.84 ID:YEtEZS20
茶アイルー 「黒チャチャブーさん」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「生き物は、皆、いつかは死にます」
茶アイルー 「それは仕方の無いことで、絶対的な摂理です」
茶アイルー 「私のように、死んでしまいます」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「では、死んだ者はどこへ行けばいいのでしょう?」
茶アイルー 「先ほどあなたが、私たちに問いかけた言葉を、そのままお返しします」
茶アイルー 「教えてください」
茶アイルー 「死んでしまった存在は、どこに向かえば良いのでしょうか?」
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「きっとそれは」
キングチャチャブー 「……きっとそれは……おそらく」
キングチャチャブー 「俺は、生きているから」
キングチャチャブー 「お前と違って、生きているから」
キングチャチャブー 「だから、尚のこと、分からないのだと思うよ……」
101 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:34:03.46 ID:YEtEZS20
茶アイルー 「…………」
茶アイルー 「黒チャチャブーさん、私は、お察しの通りに、以前の私ではありません」
茶アイルー 「私という存在は、彼と溶け合い、私は彼の一部になっています」
茶アイルー 「でも、私は」
茶アイルー 「死んでしまっている私は、それでも」
茶アイルー 「あなたのことを、忘れたことはなかった」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「この気持ちも、幻なのでしょうか?」
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「――ああ」
キングチャチャブー 「残念ながら、それは幻だよ。茶アイルー」
キングチャチャブー 「お前は、もう死んだんだ」
茶アイルー 「…………」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー (ふっ)
キングチャチャブー (茶アイルーの姿が、煙のように掻き消えた……)
102 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:34:37.92 ID:YEtEZS20
砦ドラゴン 『中々に興味深い問答であった』
砦ドラゴン 『お前には、我の力に対する耐性があるようだな』
砦ドラゴン 『だが、そんなことは瑣末な問題よ』
砦ドラゴン 『さて、小さき者よ』
砦ドラゴン 『お前の個は分かった』
砦ドラゴン 『次は、お前の死を見せてくれ』
砦ドラゴン 『朽ち行く私に、希望を見せてくれ』
砦ドラゴン 『お前の死を、私に見せてくれ』
 >ビュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
キングチャチャブー (くっ……突然吹雪が強く……)
キングチャチャブー (これでは、体が動かせん……!)
キングチャチャブー (何…………足が、凍って…………)
キングチャチャブー 「…………うぉおおおお!(ブゥゥン!)」
砦ドラゴン 『…………』
 >スカッ……
キングチャチャブー (俺の棍棒が、空振りだと!?)
103 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:35:06.71 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー 「うおお! うらぁぁ!(ブンッ! ブンッ!)」
 >スカッ……スカッ……
砦ドラゴン 『…………』
キングチャチャブー (成る程……そうか、こいつには……実体がないのか……)
キングチャチャブー (……!!)
キングチャチャブー (砦ドラゴンの背の上に、茶アイルーの姿が……!!)
茶アイルー 「…………」
キングチャチャブー (見るな……)
キングチャチャブー (そんな目で、俺を見るな……!)
キングチャチャブー (俺は、こいつを……)
キングチャチャブー (こいつを……お前を……!!)
キングチャチャブー 「うおおおおお!!」
キングチャチャブー 「……!」
 >ヒュゥゥゥゥッ! ドォォォォォンッ!!
104 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:35:35.07 ID:YEtEZS20
キングチャチャブー (これは……炎龍の炎弾!)
テオ・テスカトル 「グォォォォォォォォォォォォ!!!」
砦ドラゴン 『…………』
クック 「キング! どこだ! 返事をしてくれ!! 吹雪で何も見えない!!」
キングチャチャブー (イャンクックもか!? 馬鹿が、雁首そろえて、何故来た!?)
クック 「キングー!!」
キングチャチャブー 「来るなイャンクック!」
キングチャチャブー 「お前も……うぉおお!?」
 >ビュゥゥゥゥゥ!!!
キングチャチャブー (この吹雪は……不味い、体が、凍る…………)
茶アイルー 「…………」
キングチャチャブー 「! (俺の、後ろに……いつの間に……)」
茶アイルー 「(スッ……)黒チャチャブーさん」
茶アイルー 『一緒に、行きましょう』
キングチャチャブー 「くっ…………」
105 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:36:02.07 ID:YEtEZS20
クック (何だ……!? この吹雪の強さは……翼が凍って動かん……!!)
クック (それに、テオ殿達とはぐれてしまった……)
クック (風の音で、声も届かない……!!)
クック (まずい、退避しないと……)
クック (だが、その前にキングを……)
クック (彼も、この吹雪に巻き込まれているはずだ……!!)
クック 「キングー!!」
クック 「………………!?」
クック (……? どうしたんだ……この場所だけ、吹雪が収まっている……)
クック (それに、とても暖かいぞ……)
クック (…………?)
青クック 「おかえりなさい、あなた」
クック 「……!!(バッ)」
子クック 「パパ、おかえり!!」
クック 「………………」
クック 「…………そんな……そんな馬鹿な…………」
クック 「な、何故……何故だ…………?」
クック 「…………お前たち!!!」
106 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/12(水) 23:41:16.81 ID:YEtEZS20
お疲れ様でした
あまり分量がなく、大変申し訳ありませんが、次回に続かせていただきます

http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/09/img30810eb9zik7zj.jpeg

次回は、同様に日曜日の16日ごろを目安にお考えいただきますと嬉しいです
数日前、私の周りの環境で、予測もしていなかった大きなアクシデントが起こってしまい、それが現在も継続中のため、もしかしたら、また少し遅れてしまうかもしれません
楽しみにしてくださっている皆さんには、とみに非常に申し訳ないことなのですが、ご了承をいただければと思います

いきなり寒くなりましたが、気温の変化でお風邪など召しませんよう、お気をつけくださいね

何かございましたら、
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)や
BBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)でご接触ください。
お返事させていただきます。

それでは、今回は失礼させていただきます。
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 00:31:19.12 ID:6tcxg.Mo
乙です!
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 19:26:09.08 ID:r0Yotd20
乙!ゆっくり休んでください
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:54:03.86 ID:xuetlVE0
乙です

今度はクック先生の番か
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 12:54:27.32 ID:3T9BywDO
先生……
111 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/19(水) 21:06:05.09 ID:oIPFKJI0
大変申し訳ありません……
16日と書いておきながら、大幅に書き込みが遅れてしまいました
謝ってばかりで、皆さんには最近、不快な思いをさせてしまっているかもしれません
重ねて陳謝いたします

私の家族が、私ともども体調を崩し、その看病等で、制作の方が進んでいない状況です
次も絶対にUPいたしますので、日曜日23日ごろまで、やはりまた、お時間のほうをいただけますでしょうか
その後、ブログの方にもUPさせていただきたいと思います

申し訳ありませんが、ご容赦ください
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 21:49:00.32 ID:eID8rWYo
三毛猫さんお大事に

ちゃんと待ってるから無理せずしっかり体調の方整えてください
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 21:08:58.63 ID:.z.wf4s0
無理しないで><
114 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 17:58:16.28 ID:HPh4qv20
みなさん、こんばんは。
このところ、急に寒くなってきましたね。
気温の変化は体調に直結するとも聞きます。
お加減など、お気をつけくださいね

遅くなってしまいましたが、第5話の続きを、最後までUPさせていただきます
115 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 17:58:45.28 ID:HPh4qv20
クック 「お前たち……」
クック 「な……何だ!? どんなタチの悪いいたずらだ!!」
クック 「お前たちは……」
クック 「お前たちは、確かに私の目の前で、死んでしまったではないか!」
青クック (にこにこ)
子クック (にこにこ)
クック 「青クック……」
クック 「子クック……」
青クック 「……あなた」
青クック 「随分寂しい思いをさせてしまったわね……」
クック 「…………」
青クック 「でも、私たちはここにいるの」
青クック 「この、『砦ドラゴン』の背中で、私たちは今も暮らしているわ」
クック 「砦ドラゴン……?」
クック (キングが言っていたモンスターの名前……?)
クック (だとすると、これはそのモンスターの力なのか……)
116 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 17:59:11.15 ID:HPh4qv20
クック (だが……これは……)
クック (とても幻には見えない……!!)
クック (本物の青クック……そして子クックだ……!!)
子クック 「パパ?」
青クック 「あなた、こっちに来て。一緒にお話しましょう(ぎゅ)」
クック (温かい……)
クック (本物だ……)
クック (だとすると、私は、今……もしかして)
クック (ガルルガ君と同じ状況に……)
クック (魂だけが、抜かれている状況になってしまっているのか!!)
クック (バッ!)
クック (あれは……あそこで凍り付いているのは……)
クック (私の……体……!?)
青クック 「…………」
117 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 17:59:51.81 ID:HPh4qv20
クック 「お前たちは……」
青クック (ピタッ)
クック 「お前たちは……死んだんだ……」
クック 「こんなのは……こんなのは、残酷すぎる……」
クック 「何故だ?」
クック 「何故、もう一度私の前に姿を現した……」
クック 「そんなこと……卑怯すぎるではないか……」
青クック 「あなた……泣いているの?」
クック 「…………」
子クック 「パパ……」
クック 「私は……」
クック 「私は、お前たちと一緒には、行けないよ……」
青クック 「…………」
子クック 「…………」
クック 「お前たちは、死んだんだよ。私の目の前で……」
クック 「私の前の前で、私が看取ることも出来ずに、お前たちは死んだんだよ……」
118 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:00:24.17 ID:HPh4qv20
クック 「死ぬということは、どういうことなのか、私にはよく分からないが……」
クック 「きっと、私たちはまだ、会ってはいけないんだと思うよ」
クック 「でも……」
クック 「だからこそ……」
クック 「もし、砦ドラゴンがこの状況を作り出したのだとしたら……」
クック 「私は、その人に、礼を言いたい」
青クック 「…………」
子クック 「…………」
クック (ボロボロ)
クック 「もう二度と会えないと思っていた……」
クック 「もう二度と、お前たちに会うことは出来ないと思っていた……」
クック 「死ぬということは、そういうことなのだと思っていた」
クック 「ありがとう、感謝する」
クック 「だが、私にはそれでもう十分だよ」
クック 「お前たちが、ここにいたと言う事実だけで、私はもう十分だ……」
クック 「でなければ、私は壊れてしまう」
クック 「だから、私はお前たちと一緒には行けない」
119 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:01:01.96 ID:HPh4qv20
クック 「……聞いてくれ」
クック 「娘が出来たんだ」
青クック 「…………」
子クック 「…………」
クック 「その子は、モンスターでさえもない、お前たちを殺した、人間の子供なんだ」
クック 「だが、私はその子と暮らしている」
クック 「その子は、とても純粋で、だからこそ辛い目に遭ってきた子なんだ」
クック 「私は、その子と一緒に生きていくことを決めたんだ」
クック 「どこかに行ってしまったお前たちに、恥じない父親であるように」
クック 「どこかでまだ存在しているかもしれないお前たちに、恥じない男であるように」
クック 「私は、あの子の父親になることを決めたんだ」
クック 「だから……」
クック 「だからこそ、私は今、とても辛いが……」
クック 「それこそ、張り裂けてしまいそうなほど辛いが……」
クック 「それだからこそ、私は、お前たちに恥じない存在でありたいと思うから」
クック 「私は、あの子の元に戻らなければいけない」
クック 「戻らなければいけないんだ……」
120 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:01:31.76 ID:HPh4qv20
クック (ボロボロ)
クック 「すまない……」
クック 「だが、ありがとう」
クック 「もう二度と会えないと思っていた……」
クック 「本当に、そう思っていた」
クック 「もしこれが、砦ドラゴン、あなたの成したことなのだとしたら」
クック 「私は、それだけで救われた」
クック 「これだけで、私は生きていける」
クック 「だから、もう十分だよ」
クック 「一目でいい」
クック 「それだけで十分だ」
クック 「青クック……」
クック 「子クック……」
クック 「お父さんは、とても不器用なんだ」
クック 「満足にひとつのことも出来ない、不器用な男なんだ」
クック 「でも、もし、もう一度お前たちに会うことがあったら」
クック 「胸を張って、お前たちの立派なお父さんであれたと、私は言いたい」
121 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:02:18.02 ID:HPh4qv20
クック 「ありがとう。だが、少し早い……」
クック 「もう少しだけ、待ってくれないか」
クック 「私は、まだ生きてみようと思うんだ」
クック 「私の娘と一緒に、あの子が大きくなって、普通に生きて……」
クック 「そして、普通に……もしかしたら、人間相手かもしれないが、恋をして……」
クック 「普通に幸せになれる、そんな未来を作りたいんだ」
クック 「それを見ながら、私は普通に死んでいきたい」
クック 「それは、お前たちからすれば、実に都合のいい話なのかもしれない」
クック 「私自身のエゴなのかもしれない」
クック 「だが、私は、私自身のために、そしてお前たちのために」
クック 「立派な男で……戦士であり続けたいと思うから」
クック 「もう少しだけ、待っていてくれないか……」
クック 「その時になったら、一緒に笑いながら話そう」
クック 「その時になったら、一緒になろう」
クック 「私に、もう少し時間をくれ」
クック 「私自身も、これからどうなるかは分からない」
クック 「もしかしたら、すぐに人間のハンターに殺されてしまうかもしれない」
クック 「だが、それが生きるということだろう?」
クック 「お父さんは、もう少し生きてみたいんだ」
122 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:02:52.70 ID:HPh4qv20
クック 「お前たちが過ごすはずだった時間を」
クック 「お前たちが生きるはずだった期間を」
クック 「私は、あの子に与えたいんだ」
クック 「だから、私はもう少し生きてみたい」
クック 「お前たちを見て、さらに強く、そう思うよ」
クック 「私は……」
クック 「私は、あの凍りついた体に戻るとするよ」
クック 「それは、とてもつらいことなのかもしれない」
クック 「もしかしたら、今ここでお前たちと共に行くことよりも、さらにつらいことなのかもしれないな」
クック 「だがな」
クック 「私は、それでも、お前たちに誇れる父親でありたい」
クック 「誇れる父親であることを、誓うよ」
クック 「これからも、ずっと、死ぬまで誓うよ」
クック 「砦ドラゴン、ありがとう」
クック 「あなたの力は、とてもすばらしい力だ」
クック 「もしかしたら、あなたは、存在するだけで沢山の人を救えるのかもしれない」
クック 「だが、私にはまだ少し早すぎる」
123 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:04:05.78 ID:HPh4qv20
クック 「消してくれ」
クック 「お願いだ……」
クック 「娘のところに、帰らなければいけない……」
クック 「時が来れば、必ずあなたと一緒に逝くことを約束しよう」
クック 「望むなら、どんなことでもしよう」
クック 「だが、私は」
クック 「まだ、生きていたいんだ……」
青クック 「…………」
子クック 「…………」
青クック (にこっ)
子クック (にこっ)
クック 「…………」
クック 「…………?」
クック (誰もいない……)
クック (青クックも、子クックも…………)
クック (ボロッ……)
クック 「うっ…………」
クック 「ぐっ…………」
クック (ボロボロ)
124 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:04:43.63 ID:HPh4qv20
砦ドラゴン 「何故泣く? 小さき者よ」
クック 「……!?」
クック (バッ!)
クック (な……っ、何だ、これは……!!)
クック (今までずっと目の前にいたのに、気がつかなかったのか!?)
クック (ラオシャンロンや、ジエン・モーラン殿を遥かに超える大きさだ!!!)
クック (これが砦ドラゴン……!!!)
砦ドラゴン 「私に憎しみをぶつける者は多けれど……」
砦ドラゴン 「私に礼を言う者は、初めてであった」
砦ドラゴン 「興味深い」
砦ドラゴン 「私は、お前のことをもう少しよく知りたい」
砦ドラゴン 「何故泣く?」
クック 「……あなたは、愛ということを知っていますか?」
砦ドラゴン 「愛? 何のことだ。分からない」
クック 「私は嬉しかったのです。まだ、家族が私に抱いてくれている愛が、変わらないという事実と」
クック 「そして、私はまだ、他の者に与えるべき愛を持っているという事実に気づかせてもらって」
クック 「私は、嬉しかった」
クック 「もしかしたら、あなたが作り出した幻なのかもしれない」
クック 「でも、確かに、死んだはずの家族は、私に確かに、笑って見せてくれた」
クック 「それ以上、何が必要だというのでしょうか」
クック 「何も、私は要りません」
クック 「その笑顔が、愛です」
クック 「それだけで、私は生きていけます」
125 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:05:26.08 ID:HPh4qv20
砦ドラゴン 「…………」
砦ドラゴン 「お前の言うことはよく分からないが」
砦ドラゴン 「お前は、私に感謝をした」
砦ドラゴン 「私は、存在していてもいいのだろうか」
砦ドラゴン 「お前なぞに聞いても、答えは出ないのかもしれないが」
砦ドラゴン 「私は、それが知りたい」
クック 「あなたは、私に生きる希望をまた与えてくれました」
クック 「十分すぎるほどの希望をいただきました」
クック 「それだけで、私にとって、あなたは価値のある存在です」
クック 「私はあなたの事を知らない」
クック 「知らないが、それだけは言うことが出来ます」
砦ドラゴン 「…………」
砦ドラゴン 「愛。よく分からない」
クック 「…………」
126 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:05:52.19 ID:HPh4qv20
砦ドラゴン 「私の背に、人間の娘が一人、まだ『生きて』いる」
クック 「!!?」
クック 「少女!!!?」
砦ドラゴン 「探すが良い。小さき者よ」
砦ドラゴン 「生きてみたいと申すのであれば、生きて、生かしてみせよ」
砦ドラゴン 「それが愛というのであれば、私にそれを見せてみよ」
クック 「少女の魂が、ここにいるのですか!?」
砦ドラゴン 「…………」
クック 「…………」
クック (このままでは、私の体は凍ってしまう……)
クック (だが、私は……)
クック (青クック、子クック…………)
127 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:06:19.79 ID:HPh4qv20
青クック (にこにこ)
子クック (にこにこ)

クック 「!!!!」
クック (お前たちに、ふさわしい父親であるためにも……)
クック 「分かりました。少女を探し出してみせます」
クック 「あなたに、小さき者でも、生きる意味と価値を見出すことが出来ることを、お教えしよう」
クック (バサッ!!)
クック (少女……!!!)
砦ドラゴン 「…………」
128 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/23(日) 18:10:33.08 ID:HPh4qv20
お疲れ様でした。
第6話に続かせていただきます。
この度は、私の勝手な都合により延期などでご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。

続きは、来週の日曜日、30日頃を目安にしていただけますと嬉しいです

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話くださいね
お返事の方は、必ずさせていただきます

それでは、今回は失礼させていただきます
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 18:19:54.51 ID:UfBVV.DO
乙!


先生(´;ω;`)ブワッ
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:52:30.28 ID:JtZ.Iqco
乙です

さすが先生や・・・
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:29:31.07 ID:r8pD10so
乙!
クックは良い父親だ
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 06:50:18.33 ID:ors10oAO
お疲れ様です!
クックもキングもカッコいい!
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/26(水) 22:37:32.78 ID:OO7F3mQ0
今更ながら乙です!
ところで、>>131の人の書き込みが「クッキングは良い父親だ」に見えてしまったorz
ちょっとその漫画見て先生に狩られてきます。
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 02:53:58.32 ID:Am0U8AAO
( ;∀;)イイハナシダナー
135 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:39:02.90 ID:0gevBCc0
みなさん、ご拝読ありがとうございます
急に気温が低くなってきましたね
お風邪など召していませんでしょうか

6話の始め〜中盤までを書きましたので、量はあまり多くないですが、UPをさせていただきます
136 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:39:28.36 ID:0gevBCc0
外伝 〜砦ドラゴンと少女〜 第6話

少女 「お父さん……お母さん……!」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
少女 「そんな……お父さんとお母さんは、私を置いて、遠くに……」
少女 「遠くに行ったはずなのに……」
大剣 「幼女……」
ランス 「一人にして、悪かったわね……とても悲しい思いをさせたと思っているわ……」
少女 「…………」
少女 (……?)
少女 (何だろう、この感じ……)
少女 (首の辺りが、チリチリする……)
少女 (それに、嫌な胸騒ぎが……)
137 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:40:06.06 ID:0gevBCc0
大剣 「幼女、もう少しこっちに来てくれないか?」
ランス 「私たちに、顔を見せて」
少女 「…………」
大剣 「……大きくなったな」
ランス 「……ええ……」
少女 「お父さん、お母さん……」
少女 「今まで、どこにいたの……?」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
少女 「私、ずっと待ってた」
少女 「お父さんとお母さんのこと、ずっと待ってた」
少女 「でも、お父さんも、お母さんも帰ってこなかった」
少女 「どうして?」
少女 「どうして、私を置いて遠くに行ったの?」
138 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:40:38.88 ID:0gevBCc0
大剣 「幼女、それは……」
ランス 「あなたを、巻き込みたくなかったから……」
少女 「…………」
ランス 「ここには未来というものがないの」
ランス 「あるのは、今という時だけなの」
ランス 「だから、あなたには未来を生きて欲しかったの」
少女 「お母さんが何を言ってるのか、よく分からないよ……」
ランス 「…………」
大剣 「今は分からなくてもいい。いや……分からない方がいいだろう……」
大剣 「ただ、私たちはお前を捨てたわけではないんだ」
少女 「…………」
大剣 「迎えにいこうとしたが、行けなかった」
ランス 「あなたの所に帰ろうとしたけれど、帰れなかった」
大剣 「それが、どんなに願ったことだとしても、どうしてもできなかった……」
ランス 「幼女、あなたには、もう分かっていると思うわ」
139 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:41:16.10 ID:0gevBCc0
少女 「うん……」
少女 「お父さんとお母さんは、モンスターを倒しに行って……」
少女 「そのモンスターに、殺されちゃったんだね……」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
少女 「…………何となく、そんな気はしてたの」
少女 「分かってた。分かってても、どこかでお父さんとお母さんが生きてるような気がして……」
少女 「そんな気がして……」
大剣 「こっちに来なさい」
少女 「…………」
ランス 「幼女……(ぎゅ)」
大剣 「辛い思いをさせたな……(なでなで)」
少女 「…………(ボロボロ)」
少女 「お父さん……お母さん……」
140 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:42:01.32 ID:0gevBCc0
大剣 「…………」
大剣 「幼女、お前の元気な姿が見れて、私は嬉しいよ」
ランス 「私も……嬉しいわ」
大剣 「だが……お前は、おそらく、すぐにここから離れなければいけないだろう……」
少女 「……!」
大剣 「私には分かる。この『砦ドラゴン』の魂に、半ば同化しかかっている私には……」
少女 「砦ドラゴン……?」
少女 「キングさんが言ってた、モンスター……」
大剣 「私たちは魂となって、そのモンスターの背中の上にいるんだ」
ランス 「私たちの魂は、『彼』の魂と混ざり合って、一つになりかけているの」
大剣 「幼女、よく聞くんだ」
大剣 「ここに残って、私たちと来るか、それとも、生きるために、未来のために戻るのか」
大剣 「それを、お前は決めなければいけない」
ランス 「…………」
ランス 「私は、幼女と一緒に行きたい……」
ランス 「あの日話せなかったことも、沢山お話をしたいわ……」
ランス 「でもね……」
ランス 「もう、時間がないの」
141 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:42:54.33 ID:0gevBCc0
少女 「……時間?」
大剣 「『彼』はとても疲れている。死を、望んでいるんだ」
大剣 「消えてなくなってしまいたいと思っている」
ランス 「自分の体を岸壁に叩きつけても、彼は死ぬことが出来なかったの」
ランス 「彼自身が、死という存在だから、死ぬことができないのよ」
大剣 「だから、彼は消えてなくなろうとしている」
少女 「消えてなくなる……?」
少女 「お父さんとお母さんも、消えてなくなっちゃうの?」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
大剣 「……ああ」
少女 「そんなの……そんなのおかしいよ」
少女 「やっと会えたのに……」
少女 「どうして、砦ドラゴンさんは、消えてなくならなければいけないの?」
大剣 「幼女、生きるということは、とてもつらいことなんだ」
少女 「…………」
大剣 「それこそ、それぞれ生きるうえで大変なことがある」
大剣 「誰にでも、誰も解決できない、深くて暗い問題があるんだ」
142 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:43:42.52 ID:0gevBCc0
大剣 「彼は、そのつらさに堪えられなくなってしまった」
大剣 「だから、自分の手で自分に幕を下ろそうとしている……」
少女 「…………」
少女 「お父さんと、お母さんは、ここにいる?」
大剣 「私たちも、彼とともに、もうじき無に変わってしまうだろう」
ランス 「彼が、『向こう側』に繋がる道を開いてくれない限り……」
少女 「…………」
少女 「……私、砦ドラゴンさんとお話をしてくる」
大剣 「! 何を言うんだ、幼女!」
ランス 「おとなしく帰りなさい。あなたには未来があるわ」
ランス 「あなたが作らなければいけない未来があるのよ」
ランス 「置いてきた体に、すぐに戻りなさい」
ランス 「私たちから、あなたに言えるのはそれだけなの……」
143 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:44:08.58 ID:0gevBCc0
少女 「お父さんと、お母さんが消えてなくなるなんて嫌だよ……」
少女 「私、ずっと待ってた……」
大剣 「…………」
ランス 「…………」
少女 「待ってたのに、それがこんな形で終わっちゃうなんて、酷すぎるよ……」
少女 「お父さん、お母さん……」
少女 「私、家族ができたんだ」
大剣 「!」
ランス 「!」
少女 「お父さんとお母さんを殺した、モンスターの人なんだけれど……」
少女 「とても、いい人なの」
少女 「どんなことがあっても、私を助けに来てくれた……」
少女 「どんなにつらいことがあっても、迎えに来てくれた、大事な人なの」
少女 「だから、私、帰らなきゃいけないの」
大剣 「そうか……」
ランス 「…………」
144 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:44:44.54 ID:0gevBCc0
少女 「でも、お父さんとお母さんのことは、今でも大好きだよ……」
少女 「私、もう一度お父さんとお母さんを見れて、すごく良かった」
少女 「私は今でも、お父さんとお母さんが大好きなんだって、分かったから……」
少女 「だから……」
少女 「お父さんとお母さんに、消えて欲しくない……」
少女 「私、砦ドラゴンさんとお話をしてくる」
少女 「お父さんとお母さんに、未来を作ってくれるように、お願いしてくる」
大剣 「待つんだ、幼女」
少女 「…………」
ランス 「これを持っていきなさい」
少女 「これは……」
ランス 「私たちのほつれた魂の、一つの糸よ」
ランス 「これをたぐれば、私たちのところに戻ってくることが出来るわ」
ランス 「でも、伸ばしすぎてしまえば、私たちの魂は、消えてなくなってしまう」
ランス 「それでも、行く?」
少女 「……うん」
少女 「お父さん、お母さん、ありがとう……」
145 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:45:36.35 ID:0gevBCc0
―海岸―

テオ・テスカトル 「くっ……どういうことだ……!?」
ナナ・テスカトリ 「あなた様、危ない!」
 >チュドォォォォンッ!!
テオ・テスカトル 「す……すまない。私としたことが、動揺をしているようだ」
ナナ・テスカトリ 「それはわたくしも同じです……」
黒グラビモス 「クック様とはぐれてしまいました……! 早く見つけてさしあげないと……」
テオ・テスカトル 「分かっています。しかし……」
ナナ・テスカトリ 「あれは確かに……先代のテスカトル、テスカトリ……!!」
先代テスカトル 「…………」
先代テスカトリ 「…………」
黒グラビモス 「そんな……私にもはっきりと見えるなんて……」
テオ・テスカトル 「どうやら古龍の我々には、砦ドラゴンとやらの力に耐性があるようです。その影響でしょう」
ラージャン 「砦ドラゴン…………こいつは、俺たちが近づくのを止めようとしている」
ラージャン 「来るぞ、先生方」
146 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:47:36.66 ID:0gevBCc0
テオ・テスカトル 「攻撃は本物なのか!?」
ナナ・テスカトリ 「分かりません、しかし……当たればまずい事は確かです……!!」
先代テスカトル 「…………(グルルルルル)」
先代テスカトリ 「…………(グルルルルル)」
ラージャン 「俺の時は、親父と、死んだ一族郎党だった……」
黒グラビモス 「こんな吹雪の中、古龍様二頭が同時に相手だなんて……」
ラージャン 「…………」
テオ・テスカトル 「黒グラビモスさん、あなたも力を貸して欲しい」
黒グラビモス 「古龍様相手に、私がどのくらい役立つかは分かりませんが……」
先代テスカトル 「…………息子よ」
テオ・テスカトル 「……!」
先代テスカトル 「帰れ」
テオ・テスカトル 「……その声は……本物の父上か!?」
先代テスカトリ 「…………ナナ…………」
ナナ・テスカトリ 「……!! やはりお母様!?」
先代テスカトル 「我々は、『彼』と共に無と帰することに決めた……」
先代テスカトリ 「お前たちの力では、彼に影響を及ぼす可能性がある……」
先代テスカトル 「彼を安らかに眠らせるために、お前たちを近づけるわけにはいかん」
先代テスカトリ 「帰れ、娘達よ」
147 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:48:35.61 ID:0gevBCc0
テオ・テスカトル 「父上、母上。それは出来ません」
先代テスカトル 「…………」
先代テスカトリ 「…………」
テオ・テスカトル 「我々の仲間が、その魂が、囚われてしまっています」
テオ・テスカトル 「もしかしたら、今ならまだ助けられるかもしれない」
テオ・テスカトル 「我々は誇り高い古龍として、あなた方の子供として、引くわけにはいかないのです」
先代テスカトル 「…………生き物はいずれいつかは死に、ここに集まってくる……」
先代テスカトリ 「もはや彼は、その重みに耐えることが出来ないのだ……」
先代テスカトル 「お前たちもいずれ、ここにくることになるのかもしれない……」
先代テスカトリ 「だが、それまで彼はもたないのかもしれない……」
先代テスカトル 「ならば私は」
先代テスカトリ 「我々は」
先代テスカトル 「彼と、静かに無になる時を迎えたいのだ」
先代テスカトリ 「分からないというのならば、実力で押し戻すまでよ」
ラージャン 「先生方、話しても無駄だ」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ナナ・テスカトリ 「ラージャン君!」
先代テスカトル 「……!!」
先代テスカトリ 「……!!」
148 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:49:14.99 ID:0gevBCc0
ラージャン 「死人と話すことなぞ、何もない」
ラージャン 「だが、先生が先に進みたいと言っている」
ラージャン 「退いてもらおうか」
 >ドッゴォォォォォォォォンッ!!
 >シュッ!!
 >シュッ!!
先代テスカトル 「…………」
先代テスカトリ 「…………」
ラージャン 「…………避けただと…………?」
 >シュンシュンシュンシュンシュン
 >シュンシュンシュンシュンシュン
先代テスカトル 「(グルルルルルルルル)」
先代テスカトリ 「(グルルルルルルルル)」
テオ・テスカトル 「まずいぞ……! ラージャン君、黒グラビモスさん、私たちの後ろに隠れるんだ!」
ナナ・テスカトリ 「あなた様!!」
テオ・テスカトル 「凄まじい炎だ……現実だ! 防がなければ蒸発するぞ!!」
149 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:49:40.37 ID:0gevBCc0
―砦ドラゴンの背の上―

少女 (随分歩いたけど……ずっと白いもやがあるだけで、何も見えない……)
少女 (私は今、魂だけの存在になってるんだ……)
少女 (お父さんとお母さんの魂の糸も、随分伸ばしてきたけど……)
少女 (これ以上伸ばしたら、お父さんとお母さんが消えてなくなっちゃうかもしれない……)
少女 (私……どうしたらいいの……)
少女 (…………)
少女 (?)
少女 (誰か、いる……?)
ガルルガ 「…………ッハァァ!!」
少女 「きゃぁぁぁ!」
ガルルガ 「クケェェェエ!!」
ガルルガ 「!! 何だ人間野郎か! 脅かすな!!」
少女 「ご……ごめんなさい……」
ガルルガ 「クソッ! クソッ! 奴はどこにいるんだ!」
ガルルガ 「どこまで行っても白いもやだけで、何も見えやしねぇ!」
ガルルガ 「てめぇ、何でこんな所にいやがる!?」
150 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:51:52.15 ID:0gevBCc0
少女 「私は……お父さんとお母さんを、助けてくれるように、砦ドラゴンさんにお願いを……」
ガルルガ 「てめぇもか!? ケ! 人間にも親があるのか!」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「おい、人間」
少女 「は……はい!」
ガルルガ 「どんだけ走り回っても、埒があかねぇ。てめぇが知ってることを全て教えろ」
ガルルガ 「その代わり、俺が知ってることも全部教えてやる」
少女 「本当ですか!?」
ガルルガ 「あ……ああ」
ガルルガ 「随分前にてめぇには……」
ガルルガ 「いや……」
少女 「ガルルガさん!」
ガルルガ 「…………?」
少女 「一緒に砦ドラゴンさんを探しましょう。私、おじさんから聞いて、知ってます」
少女 「ガルルガさんの、お母さんのこと……」
少女 「だから、一緒に……砦ドラゴンさんに、お願いしましょう」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「……ふん……てめぇがそれでいいならな……」
151 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/05/30(日) 16:54:06.17 ID:0gevBCc0
お疲れ様です。次回に続かせていただきます

あまり分量がなくて、申し訳がないことです
また書けましたら随時UPさせていただきますので、お暇な時にスレをチェックでもしていただけますと嬉しいです

次回は6月6日の日曜日を目安にUPさせていただきます

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話ください
お待ちしています

それでは、今回は失礼させていただきます
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 20:28:30.47 ID:oqueLAco
乙です!
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/31(月) 00:21:43.78 ID:Z0LrSQDO
少女……
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 22:20:49.13 ID:meDdN8g0
乙 続き楽しみにしてます
155 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:08:47.96 ID:J4sD3Vw0
みなさん、こんにちは。
急に蒸し暑くなってきましたね
私はその影響からか、また体調を崩してしまいました
申し訳がないことです

今回は更に分量が少なくなってしまいますが、UPさせていただきます
6話の中盤となります
また書け次第、随時UPさせていただこうと思いますので、今回の少なさに関してはご了承ください
156 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:10:03.79 ID:J4sD3Vw0
少女 「それにしても、ここ、広すぎるとは思いませんか……?」
ガルルガ 「…………どうやら、この白いもやの粒子、一つ一つが魂らしい」
少女 「もやの、一つ一つが……」
ガルルガ 「俺もかかさまのところに戻ろうとしたんだが、戻れなくなっちまった。自分がどこにいるのかもわからねぇ」
少女 「これ、私のお父さんとお母さんの魂の紐なんです」
ガルルガ 「何? じゃあ、それを辿れば、てめぇは戻れるってわけか」
少女 「ええ……でも、あんまり伸ばしすぎると、お父さんとお母さんが消えてなくなっちゃうらしくて……」
ガルルガ 「…………」
少女 「私、随分歩いてきたし、これからどうしようって……」
少女 (ぐす……)
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「上に行くぞ」
少女 「上……?」
ガルルガ 「てめぇには羽がねぇが、俺には羽がある」
ガルルガ 「俺は、空を飛ぶことができる」
ガルルガ 「見てみろ」
少女 「…………?」
ガルルガ 「駆けずり回ってて、気づいたことがある」
ガルルガ 「空の一部分からは、もやが見えなくなってやがる」
157 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:10:50.89 ID:J4sD3Vw0
少女 「……本当! もやがあるのは、そらの中ほどまでだわ!」
ガルルガ 「あの境目に行けば、何か気づけるかもしれねぇ」
少女 「そうですね! 凄いです、ガルルガさん!」
ガルルガ 「…………うるせぇ。てめぇに話す前に、俺がそれを試してみなかったとでも思ってやがるのか?」
少女 「……あ……」
ガルルガ 「どうにも、不思議な力が働いてるようで、一定区画から先まで飛ぶことができねえ」
少女 「それじゃ……」
ガルルガ 「だが、てめぇがいれば話は違うかもしれねぇ」
少女 「!」
ガルルガ 「てめぇには……認めたくはねぇが、奇妙な力があるらしい」
ガルルガ 「もしかしたら、この砦ドラゴンとやらの『結界』を超えることができるかもしれねぇ」
少女 「私、やります!」
少女 「このままじゃ、お父さんも、お母さんも……」
少女 「ガルルガさんのお母さんだって、消えてなくなっちゃうかもしれない……」
ガルルガ 「…………」
少女 「もし私にできることがあるなら、やらせてください!」
158 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:11:55.45 ID:J4sD3Vw0
ガルルガ 「ふん……」
ガルルガ 「てめぇのことは心底嫌いだが」
ガルルガ 「その心だけは買ってやる」
ガルルガ 「…………俺にも、かかさまがいた」
ガルルガ 「俺のせいで死んだ、大事な人だ」
ガルルガ 「その人のためだったら、俺は何でもやるんだ」
ガルルガ 「死人だろうが、魂だろうが、そんなもん関係あるか!」
ガルルガ 「俺のかかさまだ! 誰のものでもねぇ!」
ガルルガ 「砦ドラゴンなんかに渡してたまるかよ!!」
少女 「…………」
ガルルガ 「人間だろうが、モンスターだろうが、親は親だ!」
ガルルガ 「だから俺は、気に食わねぇが……」
ガルルガ 「てめぇの気持ちが分かる!!」
ガルルガ 「違うか!?」
少女 「いいえ、その通りです!」
ガルルガ 「背中に乗れ! もう一度上に行くぞ!!」
少女 「…………はい!」
159 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:12:55.28 ID:J4sD3Vw0
―海岸―

テオ・テスカトル 「ぐぅ……! 流石は父上、母上!」
ナナ・テスカトリ 「周囲の雪が全て溶けています……あれは幻ではないのですか!?」
テオ・テスカトル 「分からぬ……分からぬが、危険であることは確かだ!」
ラージャン 「幻のようであって、幻ではない」
テオ・テスカトル 「!」
ラージャン 「あれはおそらく、魂の欠片……」
ラージャン 「それを砦ドラゴンが、現実の力として操っている……」
黒グラビモス 「魂の欠片……?」
ラージャン 「肉体はないが、存在はあるということだ……」
ナナ・テスカトリ 「先代の力は、今の私たちを軽く上回っています……」
ナナ・テスカトリ 「あなた様……どうすれば……」
テオ・テスカトル 「戦うしかあるまい!(ザッ)」
テオ・テスカトル 「敵がたとえ我らが父母だったとしても、我々には守らねばならない生徒が、仲間がいるのだ!」
テオ・テスカトル 「なれば前進あるのみ! 前に進む以外はない!」
ナナ・テスカトリ 「あなた様……!!」
ラージャン 「もう一撃翌来るぞ」
先代テスカトル (シュンシュンシュンシュンシュン)
先代テスカトリ (シュンシュンシュンシュンシュン)
160 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:13:32.55 ID:J4sD3Vw0
テオ・テスカトル 「我らの中に眠る、宝玉の記憶、そして力を全て呼び起こすんだ」
ナナ・テスカトリ 「宝玉の力……」
テオ・テスカトル 「我らはまだ、力を全て継承しているわけではない」
テオ・テスカトル 「だが、宝玉の力を全て呼び起こせば、先代を超えることが出来るはずだ!」
ナナ・テスカトリ 「……やってみます!」
テオ・テスカトル 「ラージャン君、黒グラビモスさん、援護を頼みます!」
ラージャン 「…………了解した」
黒グラビモス 「分かりました!」
先代テスカトル (ゴウッ!!!)
先代テスカトリ (ゴウゥ!!!)
 >ゴォォォォォォォォォォォッ!!!
テオ・テスカトル 「グオォォォォォォ!!(ゴゥッ!!!)」
ナナ・テスカトリ 「ギャォォォォォォ!!!(ゴウッ!!)」
 >ドッパァァァァァンッ!!!
161 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:14:18.45 ID:J4sD3Vw0
ラージャン (先生達の炎が若干弱い……)
ラージャン 「グゥゥォォォォォォォォ!!」
 >バリバリバリバリバリバリ
ラージャン 「喰らえッ!」
 >ピッシャァァァァン!!
先代テスカトル 「…………」
先代テスカトリ 「…………」
黒グラビモス 「ギャォォォォォォッ!!」
 >ゴォォォォォォォォッ!!
先代テスカトル 「…………」
先代テスカトリ 「…………」
ラージャン 「……チッ!」
ラージャン 「やはりこちらの攻撃は届いていない……」
ナナ・テスカトリ 「くっ……このままでは押し負けてしまいます…………!!」
テオ・テスカトル 「耐えるんだナナ! 我らは超えられる……父と、母を!」
テオ・テスカトル 「我らの力を信じるんだ!!」
162 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:15:11.02 ID:J4sD3Vw0
テオ・テスカトル 「グォォオオオオオオオオオ!!」
ナナ・テスカトリ 「グォォオオオオオオオオ!!」
 >ピカッ!
ラージャン (何だ……先生達の体が、一瞬強く光った……)
ラージャン (これは……この力は……!)
テオ・テスカトル 「オオオオオオオオオオ!!!」
ナナ・テスカトリ 「オオオオオオオオオオ!!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 >チュッドォォォォォォォンッ!!!
ラージャン (先生たちの炎が、先代を上回った……!!)
ラージャン (くっ……凄まじい炎だ……!!)
テオ・テスカトル 「…………」
ナナ・テスカトリ 「…………」
先代テスカトル 「…………」
先代テスカトリ 「…………」
先代テスカトル (にこり)
先代テスカトリ (にこり)
163 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:15:38.74 ID:J4sD3Vw0
テオ・テスカトル 「!! 父上!」
ナナ・テスカトリ 「母上ー!!!」
 >ドォォォォォォォォォン!!!
ラージャン (先代たちが……炎に巻き込まれて……)
ラージャン (消えていく…………)
ラージャン (何故笑う……)
ラージャン (何故微笑む……)
ラージャン (子供に倒されて、何故貴様らは微笑むのだ!!)
ラージャン (親父……!!!!!!)
テオ・テスカトル 「…………はあ……はぁ……」
ナナ・テスカトリ 「はぁ…………はぁ…………」
黒グラビモス 「す……凄い……」
黒グラビモス 「このあたりの地形を変えるくらいの炎……」
黒グラビモス 「これでは、先代はひとたまりも……」
先代テスカトル (ブス…………ブス…………)
先代テスカトリ (ブス…………ブス…………)
黒グラビモス 「!!」
ラージャン 「!!」
164 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:16:17.06 ID:J4sD3Vw0
先代テスカトル 「……そうか……強くなったな、息子達よ……」
先代テスカトリ 「私たちの炎を押し戻すほど、お前達は強くなった……」
先代テスカトル 「もうお前たちは、我らの子供ではない……」
テオ・テスカトル 「……!!」
ナナ・テスカトリ 「……!!」
先代テスカトリ 「これからは、一個の誇り高きテスカトル、そしてテスカトリとして生きていくのだ……」
先代テスカトル 「我々の影を追うことはない……」
先代テスカトリ 「私たちの真似をすることはない……」
先代テスカトル 「お前たちは、お前たちの歴史を作っていくのだ……」
先代テスカトリ (にこり)
先代テスカトル (にこり)
 >サァァァァァァァァッ……!!
黒グラビモス 「先代たちが……消えていく…………!!」
ラージャン 「………………………………」
テオ・テスカトル 「父上……」
ナナ・テスカトリ 「母上……」
165 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:16:45.86 ID:J4sD3Vw0
テオ・テスカトル 「…………行くぞ」
ナナ・テスカトリ 「ええ。行きましょう」
ラージャン 「…………」
黒グラビモス 「はい!」
ラージャン (親父も……俺にかき消される寸前に微笑んだ……)
ラージャン (あの時は、言葉を交わす余裕がなかったが……)
ラージャン (もしかしたら、親父も、そう言いたかったのか……?)
ラージャン (ブランゴ一族の長として、俺はこれから生きていけと……)
ラージャン (親父の影を追うことなく、生きていけと……)
ラージャン (そう言いたかったのか……)
ラージャン (親父……!!!)
テオ・テスカトル (ザッ……ザッ……)
ナナ・テスカトリ (ザッ…………)
テオ・テスカトル 「……やっと会えましたね……」
ラージャン 「…………」
黒グラビモス 「これは…………大きい……!!!」
ナナ・テスカトリ 「砦ドラゴン……!!」
166 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/06(日) 18:19:20.21 ID:J4sD3Vw0
お疲れ様でした。次回に続かせていただきます。
分量が少なくて、申し訳ありません

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話くださいね

次回は、6月13日の日曜日にUPの予定とさせていただきます
その前に書けましたらUPいたしますので、お暇な時にでもスレをチェックしていただけると嬉しいです

皆さんも、気候の変化などで体調を崩さないようにしてくださいね
それでは、今回は失礼いたします
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 19:17:02.96 ID:/OlMpAso
乙です!
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 22:18:40.08 ID:3lEcWEY0
乙!
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:29:24.03 ID:LFf4kTE0
乙です
遅れてもいいのでしっかり休んでください
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/08(火) 22:24:02.30 ID:sHt4gPI0
最近三毛猫さんすごいペースだなあ・・・
本当嬉しいです!!話も勢いがまたでてきて毎回読んでて時間忘れます
お体も心配なので無理しない程度でがんばってください!ずっと応援してます
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 00:00:05.80 ID:BIDoWwAO
乙です!少女もガルルガも成長したなあ…。
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/10(木) 10:54:24.08 ID:P6zl1Vo0
乙です。
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/10(木) 12:50:46.42 ID:BQJWvwAO
wkwktktk
174 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/13(日) 21:24:58.04 ID:cIujDdY0
みなさん、こんばんは。お疲れ様です
重ねて、大変申し訳ありません
ここ数日、体調を崩してまいました……
2〜3日中にはUPさせていただきますので、少々お待ちいただけますでしょうか
楽しみにしてくださっていた方々にはご迷惑をおかけいたします m(_ _)m
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 21:36:01.59 ID:52K8d9w0
気にせずに、しっかり休んでください。

(゚∀゚) こんな顔して待ってます
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 23:40:52.96 ID:HnOw4oDO
>>174さん、乙です。
無理すんない。
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/15(火) 20:10:46.83 ID:QnwhFIw0
三毛猫さん、ゆっくりでもいいので頑張ってくださいね。
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/16(水) 18:35:07.52 ID:ITmza6.0
こんな頻繁に読めて嬉しいですよ!!
三毛猫さん無理しないでくれ〜
のほほんと待ってるぞ
179 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:46:47.57 ID:KXGps8k0
みなさん、こんばんは。遅れてしまい申し訳ありません
中々体調が戻らず、あまり進めることが出来ませんでした
重ねて陳謝いたします。ご了承いただけますと嬉しいです

分量は少ないですが、第6話の後半、中ほどまでをUPさせていただきます
180 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:48:03.74 ID:KXGps8k0
テオ・テスカトル 「あなたが……」
砦ドラゴン 「…………」
ナナ・テスカトリ 「こんなに大きな生物がこの世に存在しているなんて……」
ラージャン 「おそらく『生物』ではない……」
ナナ・テスカトリ 「!?」
ラージャン 「生きているように見えるだけで、こいつはおそらく生きてはいない」
ラージャン 「ただの『幻影』だと片付ければ、幻影なんだろう」
テオ・テスカトル 「何故君にそれが分かるんだ?」
ラージャン 「知らん……ただ、何となく分かるのだ」
ラージャン 「もしかしたら、俺の先祖は昔……砦ドラゴンに会ったことがあるのかもしれない」
テオ・テスカトル 「そうなのか……」
テオ・テスカトル 「……しかし……」
テオ・テスカトル 「会話ができるのか……?」
砦ドラゴン 『何をしに来た……古龍達よ』
テオ・テスカトル 「!?」
砦ドラゴン 『親を倒し……そして私のところまで来て、一体お前たちは何を望む?』
砦ドラゴン 『私と同じ古龍のお前たちにとっては、死は当分先のことだろう』
ナナ・テスカトリ 「同じ……古龍……?」
ラージャン 「…………」
砦ドラゴン 『私は……古龍の中でも最も古い龍、最古龍だ……』
砦ドラゴン 『私は、この背に幾千億もの魂を乗せて旅をしている』
181 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:49:16.40 ID:KXGps8k0
砦ドラゴン 『私は、その訳が知りたい』
砦ドラゴン 『私は、その訳を知りたかった』
砦ドラゴン 『それゆえ、私は方々を歩き回った』
砦ドラゴン 『それこそ、私のこの体が、吹きすさぶ風で削れなくなってしまうほど、私は歩いた』
砦ドラゴン 『しかし、まだ私が歩き続けなくてはいけない訳を、知ることが出来ない』
砦ドラゴン 『古龍達よ……』
砦ドラゴン 『私は、何故歩き続けなければいけないのだろうか』
砦ドラゴン 『お前たちは、何故歩き続けている?』
砦ドラゴン 『今宵は奇妙な客が多い』
砦ドラゴン 『私は、ふとお前たちにも問いかけてみたくなった』
テオ・テスカトル 「…………」
砦ドラゴン 『…………』
テオ・テスカトル 「……まず最初のご質問からお答えしましょう」
ラージャン 「………………」
テオ・テスカトル 「あなたの言う『奇妙な客』の中に、我らの仲間がおります」
テオ・テスカトル 「その者達は、まだ死ぬべきではない」
テオ・テスカトル 「我らは、その魂を返していただきに参りました」
182 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:50:24.32 ID:KXGps8k0
砦ドラゴン 『そうか……』
砦ドラゴン 『それは適わぬ話』
テオ・テスカトル 「なにゆえですか……?」
砦ドラゴン 『その者達は、私の意思にてこの背中にとどまっているのではない』
テオ・テスカトル 「何ですと……?」
砦ドラゴン 『無意識の下の本能が、死を望んでいる。だから私の背中から離れることが出来ない』
砦ドラゴン 『既に死を受け入れた魂も、同様だ』
砦ドラゴン 『私がどうこうできる話ではない』
砦ドラゴン 『むしろ私が聞きたい』
砦ドラゴン 『何故、私の背に魂が集まるのか……』
砦ドラゴン 『何故、私は魂を背負わねばいかぬのか』
テオ・テスカトル 「…………」
砦ドラゴン 『それに』
砦ドラゴン 『お前たちは、何故そ奴らが死ぬべきではないと断言できるのだ』
テオ・テスカトル 「それは……」
砦ドラゴン 『死は何者にも均等に訪れるべき存在であるらしい』
砦ドラゴン 『それが、早いか、遅いかの違いが現実なのだという話もあるそうだ』
砦ドラゴン 『お前たちもいずれ死ぬ』
砦ドラゴン 『なのに、何故私に向けて歩いてくる』
砦ドラゴン 『何故お前たちは、死に向かって歩いてくるのだ』
183 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:50:56.80 ID:KXGps8k0
テオ・テスカトル 「確かに……死ぬべきではない、と申し上げたのは失言でした。申し訳ありません……」
ナナ・テスカトリ 「あなた様……?」
テオ・テスカトル 「しかし」
テオ・テスカトル 「正直な胸のうちを申し上げますと、『死なせたくない』というのが本音でございます」
砦ドラゴン 『ほう』
砦ドラゴン 『異なことを言う』
砦ドラゴン 『生きていれば等しくいつかは死ぬ』
砦ドラゴン 『お前は、私を否定するのか』
テオ・テスカトル 「あなたの全てをではありません」
テオ・テスカトル 「ただ、今現在のあなたを、私は否定するのです」
テオ・テスカトル 「それがたとえ、してはいけないことだとしても」
テオ・テスカトル 「死を否定するということが、道理からは外れたことだとしても」
テオ・テスカトル 「それでも、守りたいものというものがございます」
テオ・テスカトル 「それは私のエゴなのかもしれませぬ」
テオ・テスカトル 「しかし、私は、私が生きている限り、仲間を守りたいのです」
テオ・テスカトル 「そのために、否定してはいけないあなたを否定しなければいけないというのならば」
テオ・テスカトル 「私は、胸を張ってあなたを否定しましょう」
砦ドラゴン 『…………』
184 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:51:33.70 ID:KXGps8k0
砦ドラゴン 『お前の言うことは良く分からないが……』
砦ドラゴン 『私には、魂を動かす力はない』
砦ドラゴン 『私はただ歩くのみ』
砦ドラゴン 『ただ、それもいささか疲れた』
砦ドラゴン 『分かるか、小さき者よ』
砦ドラゴン 『先の見えぬ道を、永遠と歩き続ける苦痛を』
砦ドラゴン 『お前たちは、知っているか』
砦ドラゴン 『死の先には何もない』
砦ドラゴン 『少なくとも、私の前には何もない』
テオ・テスカトル 「…………」
ナナ・テスカトリ 「最古龍様」
砦ドラゴン 『何だ』
ナナ・テスカトリ 「死の先には、何もないと仰っていますが……」
ナナ・テスカトリ 「あなた様の目の前には、私たちがおります」
砦ドラゴン 『…………』
ナナ・テスカトリ 「生きている、生きようとしている私たちがおります」
ナナ・テスカトリ 「いま先ほど、私たちは父と、そして母を倒しました」
ナナ・テスカトリ 「父と母は、笑い、私たちを送り出してくれました」
砦ドラゴン 『…………』
ラージャン 「………………」
185 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:53:07.08 ID:KXGps8k0
ナナ・テスカトリ 「それこそが、死の先にあるものなのではないでしょうか」
砦ドラゴン 『どういうことだ』
ナナ・テスカトリ 「死の先には、生のうちに何かを残した者がおります」
ナナ・テスカトリ 「私たちはそうして命を繋いでゆきます」
ナナ・テスカトリ 「親から子へ、命が繋がってゆくのです」
ナナ・テスカトリ 「死の先には何もないなんて、悲しいことは仰らないでください」
ナナ・テスカトリ 「少なくとも、あなたが死そのものの存在なのだとしても……」
ナナ・テスカトリ 「あなたのことを記憶し、忘れずにいようとする私たちがここにおります」
ナナ・テスカトリ 「何もなくなんてないのです」
ナナ・テスカトリ 「あなたはここに、存在しているのですから」
砦ドラゴン 『存在……良く分からない』
砦ドラゴン 『分からないが、心地が良い言葉ではある』
ナナ・テスカトリ 「…………」
砦ドラゴン 『私は、「存在」していてもいいのだろうか』
砦ドラゴン 『お前たちが否定する私を、しかしお前たちは肯定するのか』
砦ドラゴン 『良く分からない』
テオ・テスカトル 「……二つ目のご質問にお答えしましょう」
砦ドラゴン 『…………』
186 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:54:08.03 ID:KXGps8k0
テオ・テスカトル 「私たちもまた、歩き続けなくてはいけない存在です」
テオ・テスカトル 「歩き続けることに、意味はないのだと私は思うのです」
砦ドラゴン 『意味がないと……?』
テオ・テスカトル 「はい。少なくとも、私はそう思います」
テオ・テスカトル 「私たちは、存在している限り、大なり小なり前に進まなければいけません」
テオ・テスカトル 「それは、私たち全員に共通していることです」
テオ・テスカトル 「等しく、私たちは、自動的に歩き続けなければいけません」
テオ・テスカトル 「それゆえ、私も、あなたの抱くような疑問を、時に抱くこともあります」
テオ・テスカトル 「何故、生きなければいけないのか」
テオ・テスカトル 「何故、存在しなければいけないのか」
テオ・テスカトル 「私も、時々それを考えます」
テオ・テスカトル 「しかし、明確な答えを見つけることは出来ませんでした」
テオ・テスカトル 「今現在も、見つけることが適いません」
テオ・テスカトル 「つまり、答えというものは存在していないのだと思うのです」
砦ドラゴン 『…………』
テオ・テスカトル 「私は、そう思います」
砦ドラゴン 『この苦しみの、この痛みの理由は、どこにもないと申すのか』
テオ・テスカトル 「はい……」
テオ・テスカトル 「あなたの苦しみを図り知ることは適いませんが……」
テオ・テスカトル 「私たちも生きている上で、大なり小なり、苦しみを抱いています」
ラージャン 「…………」
黒グラビモス 「…………」
テオ・テスカトル 「しかし、私たちはそれでも、自動的に前に進んでいきます」
テオ・テスカトル 「進んでいかなければいけないのです、存在し続ける限り」
テオ・テスカトル 「重要なのは、進んでいく過程で、何をしたかということではないでしょうか」
テオ・テスカトル 「私は、時折悩む生徒に、このような話をすることがあります」
テオ・テスカトル 「あなたの求める答えとは違うかもしれませんが……」
テオ・テスカトル 「私は、そう思うのです」
187 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:54:52.24 ID:KXGps8k0
砦ドラゴン 『ふむ……』
砦ドラゴン 『興味深いことを云う』
砦ドラゴン 『………………』
砦ドラゴン 『…………お前たちに、チャンスをやろう…………』
テオ・テスカトル 「チャンス……と、申しますと?」
砦ドラゴン 『そこな小さき者達が、元に戻ることが適ったならば』
テオ・テスカトル 「!!」
ナナ・テスカトリ 「キングチャチャブー様……!! クック様!!」
キングチャチャブー 「…………」
クック 「…………」
砦ドラゴン 『仲間ともども、連れて帰るがいい』
砦ドラゴン 『だが、あくまで私は、私が消えるという事実を先延ばしにするに過ぎない』
テオ・テスカトル 「消える……? あなたが……!?」
砦ドラゴン 『戻る、戻らないはそれぞれの意思次第だ』
砦ドラゴン 『私には、どうすることも出来ない』
ナナ・テスカトリ 「駄目です、お二人とも、完全に凍ってしまっています……」
テオ・テスカトル 「二人とも、魂抜きに遭ってしまったのか……!!」
砦ドラゴン 『少しだけお前たちに時間をやろう』
砦ドラゴン 『私の、苦しみの時間を、少しだけ伸ばすことにしよう』
砦ドラゴン 『だが……』
砦ドラゴン 『そこに意味がないのだとしても、しかし』
砦ドラゴン 『しかし苦しいのだ』
砦ドラゴン 『存在するということは』
188 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:55:28.03 ID:KXGps8k0
ラージャン 「………………」
ラージャン 「かつての俺も、そうだった」
ラージャン 「存在すること自体が恐ろしく、存在することが怖かった」
ラージャン 「だから逃げたこともある」
ラージャン 「壊れたこともある」
ラージャン 「だが……俺は生きる」
ラージャン 「そう決めさせてくれた人達がいる限り、俺は生きてみようと思った」
ラージャン 「砦ドラゴン」
ラージャン 「俺には、お前の気持ちが良く分かる」
砦ドラゴン 『…………』
ラージャン 「お前は、本当に、ただ」
ラージャン 「ただ」
ラージャン 「寂しいだけなのだ」
ラージャン 「一匹で存在していて、ただ寂しいだけなのだ」
ナナ・テスカトリ 「ラージャン君……」
ラージャン 「しかしそれは、何よりも苦しいことで」
ラージャン 「何よりもつらいことだ」
ラージャン 「その結果、消滅を望む気持ちは、分かる」
ラージャン 「……分かるよ……」
テオ・テスカトル 「…………」
砦ドラゴン 『…………』
砦ドラゴン 『しばしの間だ』
砦ドラゴン 『しばしの間だけ、待つことにしよう』
砦ドラゴン 『お前たちも、待つがいい』
砦ドラゴン 『その結果、どうなろうと、私は知らない』
砦ドラゴン 『だが、それが生きるということならば』
砦ドラゴン 『私は、それを見てみたい……』
189 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/16(水) 21:58:02.04 ID:KXGps8k0
お疲れ様でした。
大変分量が少なく、申し訳ありません
次回へ続かせていただきます。

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話ください
お待ちしています

次回は、6月20日の日曜日にUPの予定とさせていただきます
その前にまた書けましたら、都度、UPさせていただきますので、お暇な時にでもスレをチェックしていただけますと嬉しいです

それでは、今回は失礼いたします
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/16(水) 23:50:03.87 ID:q9zaWsDO
乙です。体を大事に
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 22:30:53.25 ID:it8ro5w0
お疲れ様でした
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/18(金) 13:04:23.36 ID:W30DNaA0
うおおお!更新されてるううううう
全然少なくないですよ!本当、そわそわする展開だww次が凄く楽しみ
お体無理しないようがんばってください。応援しています
193 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:05:35.62 ID:DSMwS9A0
こんばんは。第6話の後半を最後まで書きましたので、UPさせていただきます。
応援のメッセージ、ありがとうございます。
梅雨に入りまして、ジメジメしてまいりました。
皆さんもお体に気をつけてくださいね。
194 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:06:02.90 ID:DSMwS9A0
―砦ドラゴンの背の上―

ガルルガ 「チッ……いくら飛んでも上が見えてこねぇ……」
少女 「吹雪が段々強くなってきています……」
ガルルガ 「てめぇの親の魂の紐とやらも、随分細くなってやがる。このままじゃ、危ないかも知れねぇな……」
少女 「お父さん……お母さん……」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「一旦戻るか……」
少女 「いえ、行きましょう……!」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「……ああ。分かった(バサッ、バサッ!)」
少女 「……ガルルガさんは、お母さんのことが大好きなんですね」
ガルルガ 「ケッ! てめぇには関係ねぇことだ」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「…………親が嫌いな子供がいるかよ」
195 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:07:07.60 ID:DSMwS9A0
少女 「そう……ですね」
ガルルガ 「……俺の親父は、随分前に、俺が小さい頃、ハンターに殺されたらしい」
少女 「!」
ガルルガ 「親父はもうここにはいねぇ。砦ドラゴンと一体になったのか、それとも『向こう側』に行ったのか……」
ガルルガ 「それは、わからねぇがな……」
少女 「…………向こう側…………」
少女 「それって、どんな所なんでしょう」
ガルルガ 「俺が知るか。ただ、砦ドラゴンなんかにかかさまが吸収されるのは、俺は絶対許さねぇ!」
ガルルガ 「なら俺はかかさまと一緒に行きたい!」
ガルルガ 「かかさまが他の何かに変わるなんて、我慢できるかよ!」
少女 「……ガルルガさんの気持ち、よく分かります……」
ガルルガ 「…………」
少女 「何だか変な感じですね」
少女 「お父さんやお母さんは、もう死んじゃったはずなのに、こうして話が出来るって……」
少女 「それって、とても素敵なことだけれど……」
少女 「本当は、あってはいけないことなんじゃないかなっても思うんです」
ガルルガ 「どういうことだ?」
196 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:07:43.23 ID:DSMwS9A0
少女 「私たちは生きています」
少女 「ガルルガさんも、私も……」
少女 「私は、ガルルガさんが死んじゃったら悲しいです」
少女 「もし私が死んじゃったら、おじさんやみんなに寂しい思いをさせてしまうかもしれません」
少女 「私たちは、本当なら……」
少女 「お父さんや、お母さんに別れを告げて……」
少女 「…………先に、進まなきゃいけないのかもしれません」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「…………………………」
ガルルガ 「……ああ」
少女 「分かってはいるんです。分かってはいるんですが……」
少女 「私は、それでも、お父さんとお母さんが大好きで……」
ガルルガ 「…………」
少女 「だから、何かをしてあげられるのなら、してあげたい……」
ガルルガ 「……くっ!(バサッ)」
少女 「どうしたんですか!?」
ガルルガ 「やっぱ駄目だ! ここら辺で、何か強い力に押し戻される!!」
197 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:08:33.50 ID:DSMwS9A0
ガルルガ 「何とかできねぇのか!?」
少女 (空気の壁みたいなのがある……)
少女 「やってみます!」
ガルルガ 「くそっ!(バサッ! バサッ!)」
少女 「………………」
ガルルガ 「おい!? 何も起きねぇぞ!!」
少女 「だ……駄目です。この力は、多分……」
少女 「破るものじゃない……」
ガルルガ 「あぁ!? 何だって!?」
少女 「……ガルルガさん、私とあなたは、多分今、魂だけの状態になっています」
少女 「砦ドラゴンさんは、魂を集めていると、キングチャチャブーさんは言ってました」
ガルルガ 「あのイカレ野郎が!? それがどうした!!」
少女 「この白いもや全部が魂なのだとしたら……」
少女 「どうして、砦ドラゴンさんに集まっていくんでしょう……?」
ガルルガ 「知るか!」
少女 「多分……砦ドラゴンさんが魂を集めてるんじゃなくて……」
少女 「魂の方が、砦ドラゴンさんに集まっていくんです。それも勝手に……」
198 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:09:02.83 ID:DSMwS9A0
ガルルガ 「だから何を言いてぇんだ!? そろそろ限界だぞ!」
少女 「私も、ガルルガさんも、自分の意思でここに留まっています」
少女 「お父さんやお母さん……ガルルガさんのお母さんと離れたくなくて、ここにいます……」
少女 「だから、私たちの魂の、どこか奥の深いところが、砦ドラゴンさんにひきつけられて……」
少女 「離れられなくなってしまっているんだと思います」
ガルルガ 「ちぃっ! じゃあそもそも上には行けねぇってことか!」
少女 「……それだけじゃなくて、私たちはもしかしたら……」
少女 「お父さんやお母さんを捨てなきゃ、帰れないのかも……」
ガルルガ 「かかさまを捨てろ!? 何を馬鹿な!」
ガルルガ 「そんなことするなら、死んだほうがマシだ!」
少女 「…………」
少女 「ガルルガさん、一旦下に降りましょう」
ガルルガ 「ちっ、役にたたねぇガキだぜ!」
少女 「…………!?」
ガルルガ 「どうした?」
少女 「声が聴こえる……」
ガルルガ 「声? 何も聞こえねぇぞ!」
少女 「おじさん……おじさんの声……!!」
少女 「おじさんが、私を呼んでる!!」
ガルルガ (何だ……? 少女の体が光ってるように見えるが……)
少女 「……おじさんだ!!」
ガルルガ 「クックの野郎が!? ここにいるのか!」
ガルルガ 「どこだ!!」
少女 「左下の方です!」
ガルルガ 「あんな奴でも役に立つかもしれねぇ。行くぜ!(ヒュゥゥゥゥ!)」
199 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:09:37.45 ID:DSMwS9A0
―砦ドラゴンの背の上、別の場所―

キングチャチャブー (俺は……死んだのか……?)
キングチャチャブー (体が上手く動かない……)
キングチャチャブー (俺は……砦ドラゴンに欠片もかなわなかった……)
キングチャチャブー (俺の力では、傷一つつけることが出来なかった……)
キングチャチャブー (俺は……)
キングチャチャブー (今まで、何のために……)
茶アイルー 「黒チャチャブーさん……」
茶アイルー 「目を覚ましてください……」
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「……またお前か……」
キングチャチャブー 「いや、砦ドラゴンと言ったほうがいいのか?」
茶アイルー 「今の私は、元の私に近い存在です……」
茶アイルー 「砦ドラゴンさんが、私の魂を少しの間だけ切り離してくれました」
キングチャチャブー 「ふん……」
キングチャチャブー 「何故そんなことをする?」
茶アイルー 「私が頼んだんです」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「あなたと、本当の私でお話がしたくて……」
200 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:10:05.21 ID:DSMwS9A0
茶アイルー 「黒チャチャブーさん……」
茶アイルー 「もう、私のことは忘れて、そしてここから去ってください」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「このままでは、あなたもここに囚われてしまいます」
茶アイルー 「戻れなくなってしまいます」
キングチャチャブー 「それはできねぇ」
茶アイルー 「どうしてですか?」
茶アイルー 「あなたは、生きると言ったじゃないですか」
茶アイルー 「それなのに、何故死に立ち向かおうとするんですか?」
キングチャチャブー 「男には、売られた喧嘩は買わなきゃいけねえ時がある」
キングチャチャブー 「奴は、俺からお前を奪っていった」
キングチャチャブー 「俺は、俺の誇りを守るために、ケジメをつけなきゃいけねえ」
キングチャチャブー 「エゴだと思ってくれていい」
キングチャチャブー 「実際、俺のエゴだ。それ以上でもそれ以下でもない」
キングチャチャブー 「だが、そうでもしなければ、この俺の気持ちはどうなる?」
キングチャチャブー 「俺を俺たらしめる、この心はどうなる?」
キングチャチャブー 「だから俺は、一発……砦ドラゴンをブッ叩かなきゃ、気がすまねぇんだ」
茶アイルー 「ごめんなさい……」
キングチャチャブー 「…………」
201 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:10:51.92 ID:DSMwS9A0
茶アイルー 「私が、あなたのことを今まで苦しめているんですよね……」
茶アイルー 「私が、あのときに死んでしまわなければ……」
茶アイルー 「あなたが、砦ドラゴンさんに憎しみを抱くこともなかった……」
キングチャチャブー 「それは違う」
茶アイルー 「……?」
キングチャチャブー 「死ぬというのは、誰にも等しく訪れるものだと、俺は思う」
キングチャチャブー 「それが、遅いか早いかの違いだ」
キングチャチャブー 「俺も、近い未来か、遠い将来か、お前と同じ場所に逝く時が来る。必ず」
キングチャチャブー 「だから俺は、砦ドラゴンに憎しみは抱いちゃいねぇんだ」
茶アイルー 「それじゃ……」
キングチャチャブー 「ケジメだ。俺の中の」
キングチャチャブー 「生きるために、俺は一度死んでも構わない」
キングチャチャブー 「それをせずに生きていたら、死んでいると同じことになっちまう」
キングチャチャブー 「俺は王だ。奇面族を治めるチャチャブーだ」
キングチャチャブー 「売られた喧嘩は買う。ケジメをつける」
キングチャチャブー 「それがどんなに勝ち目のない戦いだとしても」
キングチャチャブー 「俺は、それに赴かなくてはいけない」
202 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:11:18.30 ID:DSMwS9A0
茶アイルー 「それでは……」
茶アイルー 「私を、壊してください」
キングチャチャブー 「……? 何を……」
茶アイルー 「私は、砦ドラゴンさんとほとんど一体になってしまっています」
茶アイルー 「私を壊すということは、砦ドラゴンさんを壊すということと同じことです」
茶アイルー 「あなたを縛り付けている、私を、壊してください」
茶アイルー 「そうすれば、あなたは先に進むことが出来ます」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「私がここにいるから、あなたの魂は砦ドラゴンさんの上に登ってきてしまった……」
茶アイルー 「私がいなければ、あなたは苦しむことはないんです」
茶アイルー 「だから……」
茶アイルー 「私の魂を、壊してください……」
キングチャチャブー 「………………」
キングチャチャブー (スッ……)
203 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:11:57.51 ID:DSMwS9A0
―砦ドラゴンの背中、別の場所―

クック (くそっ……! 白いもやで何も見えない……!)
クック 「少女ー!! どこだー!!」
クック 「私はここにいるぞー!!」
クック 「お前を迎えに来たぞー!!」
クック 「少女ー!! 返事をしてくれー!!」
クック 「!?」
クック 「何だ……?」
クック (私の体が……私の「魂」が光っている……)
クック (これは……この光は、あの時、シェンを倒した時と同じ……)
クック (もしかして、この近くに少女がいるのか……!?)
クック (グッ……!!)
クック 「少女ー!!!」
×× 「……!! ……!!!」
クック 「!!」
クック 「聴こえた……」
クック 「少女の声……!!!」
204 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/20(日) 22:15:59.83 ID:DSMwS9A0
お疲れ様でした。次の話、外伝の最終話(予定)に続かせていただきます。
最近、更新の度の分量が少なくて、重ねて申し訳ありません。
体の調子が安定せず、話の接合性が少しおかしくなってしまっているかもしれません。
ご意見などがございましたら、遠慮なさらず仰ってくださいね。

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話ください

次回は6月27日の日曜日にUPさせていただきます
気長にお待ちくださいね
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 22:50:24.16 ID:.AzP6YYo
おつー
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 23:09:34.90 ID:rb3BIxo0
乙です。ありがとう
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 17:30:29.16 ID:ikZKtYAO
お疲れ様です!
続きが楽しみです
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:21:52.64 ID:hTMdIoI0
いつも乙です〜

最終話(予定)の予定ってどういう意味?
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 21:39:18.83 ID:SvPT0mA0
乙〜

>208
多分、予定では最終話ということだろ。
だからもしかしたら次回が最終話にならない可能性もあるってこと。
210 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/23(水) 00:40:37.86 ID:C9W4ItY0
こんばんは。梅雨でじめじめした空気が続きますが、体調にお気をつけくださいね

>>208
209の方が仰っている通りに、次回で最終回にしたいと思っていますが、何分まだかけていないため、予定とさせていただきました
ややこしい言い方になってしまいまして、混乱させてしまい、申し訳ありません

最後まできちんと続けさせていただきたいと思いますので、気長にお待ちいただけますと幸いです
211 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/06/27(日) 22:07:13.72 ID:pEg/hDw0
お疲れ様です。
度々、重ねて大変申し訳ありません。
私事が重なってしまい、日曜日中のUPが難しくなってしまいました……。
楽しみにしていて下さった方々、いま少しお待ちいただけますでしょうか……。
2〜3日中にUPさせていただきます。
最近更新の頻度が安定せず、大変に申し訳がないことです。
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 22:16:39.30 ID:SWzalgIo
おk
待ってる
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 23:44:05.10 ID:oFB26DQ0
ok!

楽しみに待ってます。
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/28(月) 00:44:55.09 ID:QFZxsZA0
おk 無理すんない。
215 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:38:51.67 ID:jBJwe8g0
みなさん、こんばんは。
遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
とりあえず最終話で書けた分だけ、序盤をUPさせていただきます。
分量が少ないですが、ご了承いただけますと嬉しいです。
216 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:40:12.25 ID:jBJwe8g0
外伝 〜砦ドラゴンと少女〜 最終話

いつまでも続いていくと思っていた。
いつまでも、存在し続けていけると思っていた。
それが当たり前だと思っていた。
当然のことなのだろうと漠然と思っていた。
存在するということの意味と、その終わりも知らずに、ただ生きているということを享受していた。
当たり前に終わりがやってくるという事実を、彼は知らなかった。
いや、彼だけではない、その他の誰もが知らないことだった。
やがて一頭減り、二頭減り。
そして最後の一頭が消えてなくなり。
彼は、最後の一頭となった。
その時に彼は初めて気がついた。
最後の一頭が消えてなくなってしまったその瞬間に。
自分にも、いずれその番が回ってくることを。
自分もいずれ、消えてなくなってしまうだろうことを。
217 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:40:59.50 ID:jBJwe8g0
彼は恐怖した。
いずれ自分も消えてなくなってしまうのならば、今、ここに存在している自分は何なのだろうか。
いや、いずれ消えてしまうのならば。
今ここに存在している意味は何なのだろうかと。
そう、考えてしまった。
考えてしまったのだった。
単純に彼は恐ろしかったのだ。
自分にそれが訪れることが。
幾千幾億となく見てきたそれと、仲間達のそれが、自分自身に降りかかるであろう未来が、恐ろしかった。
だから彼は、誰かに答えを見出そうとした。
誰かの行動にその答えを見つけ出そうとした。
だが、そこには何の答えも存在していなかった。
彼の目の前にあったのは、孤独というただ二文字だけだった。
孤独は静寂を生み、静寂は答えを生み出さない。
彼が叫ぼうと、駆け回ろうと、何もそこには存在していないのだった。
218 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:41:55.11 ID:jBJwe8g0
いつしか彼は、自分が何故存在しているのかと考えるようになった。
存在がいつか消えてしまうのならば、存在し続けることの意味があるはずだと考えるようになった。
しかし、やはりそれも答えは見つからなかった。
彼に許されていたのは、仲間もいなくなり、誰一人として彼の孤独を理解しない世界の中で、ただ歩き続けることのみだった。
ただ、それだけだった。
その事実は彼を包む孤独を増長させ、彼は更に孤独になっていった。
何故こんなに苦しんでまで存在しなければいけないのか。
何故、自分は仲間たちの下に逝けないのか。
考えても、自分の体を痛めつけてもそれは分からないことだった。
堂々巡りの疑問は、彼の足を止めた。
彼は、いつしか歩くことをやめようとしていた。
存在することの、つまり「生きる」ということの意味が、分からなくなっていたのだった。
その理由も、その意義も、彼にとってはわからないことだった。
以前は当たり前として享受していたそれを、こんなにも真剣に考える時がくるとは、彼は思ってもいなかった。
思ってもいなかったがゆえに、それはとてもつらいことだった。
ただ生きるということだけなのに、彼にとっては、それがとてもつらいことだった。
219 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:43:33.76 ID:jBJwe8g0
彼は、その時声を聞いた。
名前は知らないが、自分の背に登った者が、互いを呼び合う声を聞いた。
相手の声を、包み込むように、そして必死に聞き、そして同様に呼ぶ声だった。
色々な感情が混ざり合っていることを、彼はそれから感じ取った。
まず最初に感じたのは、絶望に逆らおうとする心だった。
後ろ髪を引かれる様に、しかしそれに逆らおうとする感情が、とても強かった。
それはとてつもなく儚く、とてつもなく小さく揺らぐ感情だった。
しかしはっきりとそこに存在している、目の奥にしっかりと見える感情だった。
前に進もうとする心。
少しだけでも相手に近づこうとする感情。
自分たちを引くものを振り切ってまで、先に進もうとする心。
それは、光だった。
悲しみ、苦しみ、痛み。
それら負の感情を全て含んだ、それでも前に進もうとする、吹けば折れてしまいそうな心。
彼の心を覆う、吹雪の白い闇を切り裂くような、温かい心だった。
彼は、その「光」を表す言葉を持たなかった。
光は段々強くなっていき、そして彼の心の中をかき回すように大きくなっていった。
ああ、これは。
これは、ずっと昔。
遥か昔に仲間達と感じたことがある感情。
これは、おそらく。
愛、というものなんだろう。
彼は、そう思った。
220 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:44:18.98 ID:jBJwe8g0
―砦ドラゴンの背中の上―

ガルルガ 「おい少女! 本当にこっちで合ってるんだろうな!?」
少女 「うん! おじさんが……私を呼んでる!」
ガルルガ 「お前の親の魂の紐とやらも、随分細くなってきてるぞ、いいのか!?」
少女 「………………」
少女 「……ガルルガさん、聞いて欲しいことがあるの」
ガルルガ 「何だ?」
少女 「私、お父さんと、お母さんと、お別れしようと思うんだ……」
ガルルガ 「何ィ?(ピタッ)」
少女 「ここで、私、お父さんとお母さんを、離そうと思うの」
ガルルガ 「何でだ!? お前、親のことが好きじゃないのか!?」
少女 「大好きだよ。とっても大好き。でも、だからこそ、私は、おじさんの所に帰ろうと思うの」
ガルルガ 「分からねぇ……何を言ってやがる」
ガルルガ 「自分の親だぞ! 世界で他にいない、自分だけの親だぞ!」
ガルルガ 「それが、砦ドラゴンとやらと一緒になって、お前はそれでいいってのか!?」
少女 「…………うん」
ガルルガ 「何でだ!」
221 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:45:35.81 ID:jBJwe8g0
少女 「ガルルガさん、私たちは、生きてるんだよ」
ガルルガ 「……!!」
少女 「どんなに想ったって、どんなに好きだって、お父さんも、お母さんも、もう、死んじゃっているんだよ」
ガルルガ 「…………」
少女 「ガルルガさんの、お母さんも、もう……」
ガルルガ 「…………」
少女 「死んじゃった人なんだよ」
ガルルガ 「…………」
少女 「でも、私たちは生きてるんだ。どんなに辛くても、苦しくても、生きていくことができるんだよ」
少女 「生きていけば、私たちはお父さんやお母さんのように、誰かを好きになって……」
少女 「そして、いつか、幸せになって……」
少女 「子供に、私たちがしてもらったと同じことを、してあげられるかもしれないんだよ」
ガルルガ 「…………」
少女 「お父さんも、お母さんも、きっとそれを望んでると、私は思うの」
少女 「ガルルガさんのお母さんも、きっと……」
ガルルガ 「う……うるせぇ!(バサッ!!)」
少女 「…………」
ガルルガ 「うるせぇ! うるせぇ!!」
222 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:46:13.59 ID:jBJwe8g0
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「……うるせぇよ……」
ガルルガ 「分かってる……」
少女 「!」
ガルルガ 「もう、かかさまはこの世にいないなんてこと、俺は、てめぇになんて言われなくても、とっくの昔に分かってる」
ガルルガ 「でも俺は生きていこうと決めた」
ガルルガ 「だから、俺は生きていたんだ……」
ガルルガ 「でも、でもよ」
ガルルガ 「あんまりじゃねぇか」
ガルルガ 「かかさまが別の何かに変わっちまうなんて、あんまりじゃねぇか」
ガルルガ 「だから俺は……砦ドラゴンとやらに、一言だけでも言わなきゃ、気が済まねぇ」
ガルルガ 「その結果、かかさまと一緒に逝けるなら、俺は……」
少女 「駄目!」
ガルルガ 「!!」
少女 「駄目だよ、ガルルガさん、死んじゃ駄目だよ!」
ガルルガ 「何だ!? お前に何が分かる!?」
ガルルガ 「かかさまは小さい頃から、女手一つで俺を育ててくれた」
ガルルガ 「俺が何か悪さをしても、笑って許してくれた」
ガルルガ 「かかさまだけだった。俺のことを、無条件で許してくれた人は……かかさまだけだった!」
ガルルガ 「だから俺は……」
少女 「私がいるよ……」
223 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:47:08.44 ID:jBJwe8g0
ガルルガ 「!」
少女 「ガルルガさんが死んじゃったら、私が悲しいよ……」
ガルルガ 「何言ってやがる……俺は、前にお前に……」
ガルルガ 「それに俺みたいな乱暴者はいない方が、森の平和のためにもなるじゃねぇか」
ガルルガ 「俺はこの世界には何の未練もねぇんだよ!」
ガルルガ 「俺がいなくなって悲しい? 悲しいのなんてすぐ忘れるぜ」
ガルルガ 「所詮他人だもんな!」
少女 「そんなことないよ……」
少女 「私は、まだ子供だし、ガルルガさんよりも小さいから、上手く言葉に出来ないけど……」
少女 「きっと、違うと思う……」
ガルルガ 「…………」
少女 「悲しいのは、一生残るよ」
少女 「悲しいのや、苦しいのは、心の奥を引っかいて、ずっと後まで残っていくんだよ」
少女 「でも嬉しいのや、楽しいのは、すぐに忘れるよね」
少女 「私たちってそういうものだと思うの。でも……」
少女 「それって、多分……『生きていかなきゃいけない』っていうことなんじゃないのかな……」
224 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:47:56.73 ID:jBJwe8g0
ガルルガ 「…………」
少女 「人を幸せにさせるために、自分も幸せになるために……」
少女 「私たちはきっと、辛くても、苦しくても、すぐに忘れても、生きていかなきゃいけないんだよ」
少女 「だから嬉しいことや楽しいことはすぐに忘れるようになってるんだと思う……」
少女 「そうしたほうが、沢山嬉しさや楽しさを経験できるから……」
少女 「そうしたほうが、前へ進んで、生きていくことが出来るから……」
少女 「悲しいことを忘れないのは、それを繰り返さないためなんだと思う」
少女 「だからね、ガルルガさん」
少女 「ガルルガさんも、これからきっと、生きていけばきっと」
少女 「嬉しいことや楽しいことが、絶対沢山くるよ」
少女 「それをすぐに忘れちゃっても、つらいことのほうが多くても」
少女 「きっとまた、生きていけばすぐに、楽しいことがやってくるよ」
少女 「何の根拠もないけど、私はそう思うの」
少女 「だから、死んだほうがいいなんてことは絶対にないよ」
少女 「ガルルガさん、一緒に生きていこうよ」
少女 「私も頑張るから、一緒に生きていこうよ」
225 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:48:27.67 ID:jBJwe8g0
ガルルガ 「………………」
ガルルガ (バサッ……バサッ……)
少女 「……ガルルガさん……」
ガルルガ 「………………」
ガルルガ 「お別れするんだろ……」
少女 「!」
ガルルガ 「さっさとしろよ」
少女 「………………」
少女 「うん…………」
少女 (お父さん、お母さん……)
少女 (私、おじさんの所に帰るよ……)
少女 (砦ドラゴンさんには、お話をするね)
少女 (でも……私は、もう、お父さんとお母さんのところには戻れないんだ……)
少女 (私、生きていこうと思うの……)
少女 (苦しいことや悲しいことの方が多いかもしれないけど……)
少女 (それでも、お父さんとお母さんがくれた命だもの)
少女 (消さないで、守って生きたいと思うんだ……)
少女 「さよなら……」
少女 「お父さん、お母さん……」
少女 (スッ……)
少女 「!!!」
ガルルガ 「……!!」
226 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:48:54.11 ID:jBJwe8g0
大剣 (にこにこ)
ランス (にこにこ)
ガルルガ 「あれは……少女の両親か!?」
少女 「…………お父さん、お母さん……!!」
少女 (ボロボロ)
少女 「お父さんー! お母さんー!!」
大剣 (にこにこ)
ランス (にこにこ)
大剣 (スゥ…………)
ランス (スゥ…………)
ガルルガ (…………消えた…………)
少女 「………………」
ガルルガ 「おい」
少女 「………………」
ガルルガ 「大丈夫か……?」
少女 「…………うん」
少女 「行こう、ガルルガさん」
少女 「私、生きていきたい」
ガルルガ 「!!」
少女 「お父さんとお母さんの分まで、生きていきたいから……!」
ガルルガ (両親の分まで……)
ガルルガ (…………かかさま…………)
227 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/01(木) 20:51:13.21 ID:jBJwe8g0
お疲れ様でした
次回へ続かせていただきます
分量が少なくて申し訳ありません
少しペースが落ちるかもしれませんが、次回は7月4日の日曜日頃UPの予定とさせていただきます

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
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お待ちしています

梅雨時期でじめじめしていますが、7月に入りました
これから段々と暑くなっていくことと思います
季節の変わり目、体調を崩さないようにされてくださいね
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/01(木) 22:15:40.27 ID:kuwN9UEo


ガルルガが丸くなっている
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 02:13:18.72 ID:4E5BLgDO
乙です。
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 22:37:56.65 ID:x2lfYrE0
感動する〜〜〜〜
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/06(火) 00:10:14.53 ID:E3zDxFc0
あああ・・・いやだ・・おわらんでくれ
だが、泣いた
三毛猫さん乙です
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/06(火) 00:20:06.86 ID:YHvIFuM0
あげ
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/06(火) 07:09:25.09 ID:YHvIFuM0
ゴミスレ
234 :三毛猫 ◆58jPV91aG. :2010/07/06(火) 14:12:05.12 ID:C.3PYgc0
みなさん、こんにちは。
遅れてしまい、重ねて申し訳ありません。
色々なことが重なりまして、最近更新頻度が安定せずに、すみませんことです。
最後まで続けさせていただきますので、どうかご了承いただけますと嬉しいです。

中盤までを書きましたので、少量になりますがUPをさせていただきます。
235 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:12:46.29 ID:C.3PYgc0
―砦ドラゴンの背中、別の場所―

キングチャチャブー 「そういう問題ではないんだ……」
茶アイルー 「じゃあどういう問題なんですか……」
茶アイルー 「あなたは、どんなに足掻いても勝てない相手に、向かっていこうとしています」
茶アイルー 「死ぬということは、そういうことなんです……」
キングチャチャブー 「分かってる」
キングチャチャブー 「そんなことは分かっている……」
キングチャチャブー 「だが、ケジメだと言っただろう」
キングチャチャブー 「ケジメなんだ……」
茶アイルー 「どうしてそんな……」
茶アイルー 「そこまで……」
キングチャチャブー 「今になって分かったことがある」
キングチャチャブー 「誰に指摘されたこともないから、考えたことはなかった」
キングチャチャブー 「でも、何となく思う……」
キングチャチャブー 「俺は……」
キングチャチャブー 「今でも、お前のことが好きらしい……」
茶アイルー 「…………」
キングチャチャブー 「だからこそ、この正体不明の感情が、湧き上がって止まらないのかもしれない……」
キングチャチャブー 「愛だなんだという感情は、俺にはよく分からないが……」
キングチャチャブー 「多分、そうなんだろう……」
キングチャチャブー 「だから、俺は、お前を壊すことは出来ない……」
236 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:13:28.06 ID:C.3PYgc0
キングチャチャブー 「………………」
キングチャチャブー 「砦ドラゴンとお前が同じ存在なのだとしたら……」
キングチャチャブー 「俺には、砦ドラゴンを壊すことは出来ない」
キングチャチャブー 「多分それは……」
キングチャチャブー 「俺の負けなんだろう」
茶アイルー 「いいえ……それは違います」
キングチャチャブー 「…………」
茶アイルー 「黒チャチャブーさんは、死に立派に立ち向かいました」
茶アイルー 「そして、あなたの勝利とは……」
茶アイルー 「今、ここにいる私ではなくて……」
茶アイルー 「他の誰かのことを愛して、そして心を繋いであげることです」
茶アイルー 「死に打ち克つことは、誰も出来ません」
茶アイルー 「でも、あなたの今抱いている感情を、誰かに伝えずに死んでしまうことは……」
茶アイルー 「それがきっと、敗北ということなんじゃないでしょうか」
茶アイルー 「あなたの生きた証を、残してきてください」
茶アイルー 「生きているという証拠を、残してきてください」
茶アイルー 「黒チャチャブーさんには、それが出来ると思います」
茶アイルー 「だってあなたは、とても強い人なんですもの……」
237 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:13:55.27 ID:C.3PYgc0
キングチャチャブー 「………………」
キングチャチャブー 「生きることが、死ぬことに対する勝利か……」
キングチャチャブー 「なるほど、考えたことはなかった」
キングチャチャブー 「それが真理なのかもしれないな……」
キングチャチャブー 「俺にはまだ、よく分からないが……」
キングチャチャブー 「最後に一つ、いいだろうか」
茶アイルー 「何ですか?」
キングチャチャブー 「隣に来て、手を握ってくれないか」
茶アイルー 「…………」
茶アイルー 「はい(ニコリ)」
茶アイルー (ぎゅ)
キングチャチャブー 「あの時もこうして、太陽を見ていた」
キングチャチャブー 「今は太陽は見えないが……」
キングチャチャブー 「俺はあの日のことを忘れたことはない」
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「生きるということは難しい」
キングチャチャブー 「あの日から数えて、本当に沢山のことがあった」
キングチャチャブー 「いいことも悪いこともひっくるめて、沢山のことがあった」
238 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:14:25.96 ID:C.3PYgc0
キングチャチャブー 「それが正しいことなのか、間違ったことなのか、俺にはよく分からない」
キングチャチャブー 「幸せなのかどうかなど、俺にはよく分からない……」
キングチャチャブー 「生きていることがいいことか、悪いことかなど、判断できない……」
キングチャチャブー 「ただ、俺はもう一度」
キングチャチャブー 「こうしてお前と……」
キングチャチャブー 「空を見たかった」
キングチャチャブー 「それだけだったのかもしれない……」
茶アイルー 「…………」
茶アイルー 「これからですよ」
キングチャチャブー 「……?」
茶アイルー 「いいことも悪いことも、沢山、沢山ひっくるめて……」
茶アイルー 「黒チャチャブーさんは、これからきっと、『生きていること』を実感するんですよ」
茶アイルー 「その前に死んでしまうなんて、それはとても悲しいことです」
茶アイルー 「よかった、悪かったは、その後で決めてください」
茶アイルー 「それでも遅くないと、私は思います」
茶アイルー 「きっと黒チャチャブーさんの幸せはこれからだから……」
茶アイルー 「だから、あなたは私の手を離して、先に進まなきゃいけません」
239 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:14:54.79 ID:C.3PYgc0
キングチャチャブー 「これから……か」
キングチャチャブー 「何があるか分からないが……」
キングチャチャブー 「悪くはない答えだ」
茶アイルー (ニコリ)
キングチャチャブー 「俺は……」
キングチャチャブー 「帰るとするよ」
茶アイルー 「ええ」
茶アイルー 「そしてまた、いつか会いましょう」
茶アイルー 「どこかで」
キングチャチャブー 「会えるかどうかは分からないが……」
キングチャチャブー 「その時までに、よかったか、悪かったかを決めておこうと思う」
キングチャチャブー 「砦ドラゴンに……死ぬということに負けるわけにはいかないからな……」
キングチャチャブー 「俺は王だ」
キングチャチャブー 「奇面族の王だ……」
キングチャチャブー 「だから、俺はお前に背を向けようと思う……」
キングチャチャブー 「さよなら、茶アイルー」
茶アイルー 「さよなら、黒チャチャブーさん」
キングチャチャブー (スッ……)
240 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:16:43.23 ID:C.3PYgc0
―砦ドラゴンの背中の上、別の場所―

少女 「おじさんの声が聞こえるけど……姿が見えないよ……」
ガルルガ 「幻聴じゃねぇのか!? 本当にアテになるんだろうな!?」
少女 「分からない……分からないけど、おじさんがすごく近くで私を呼んでるの」
少女 「でも、姿が見えない……」
ガルルガ (もしかして……)
ガルルガ (俺が、まだかかさまに未練を持ってるから、出会えないのか……?)
ガルルガ (少女の体が光っているのは事実だ)
ガルルガ (もしかしたらクックの野郎は、この白いもやの中に紛れちまってるのかもしれねぇ)
ガルルガ (だとしたら、俺が少女の邪魔をしてることに……)
ガルルガ (………………)
ガルルガ (俺は、帰るべきなんだろうか……)
ガルルガ (俺が帰ることで、誰かが喜んでくれるんだろうか……)
ガルルガ (ヒプノック……希少種……ゲリョス……)
ガルルガ (そういえば、俺にも友達がいたな……)
ガルルガ (俺は……)
ガルルガ (帰るべきなんだろうか……)
ガルルガ (…………!!)
ガルルガ (あれは……)
241 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:17:42.30 ID:C.3PYgc0
両耳ガルルガ (ニコニコ)
ガルルガ (かかさまだ……!!!!)
ガルルガ (手を振ってる……!!)
ガルルガ (幻か!? いや、あそこに確かに……)
ガルルガ (かかさま…………)
ガルルガ (どうして、笑いながら泣いてるんだ……)
ガルルガ (そんな顔されたら、俺、戻れないよ……)
少女 「ガルルガさん……?」
ガルルガ (そんな顔されたら……)
ガルルガ (俺、かかさまの分まで生きるしかなくなっちまうじゃないか……)
ガルルガ (手を振らないでくれ……)
ガルルガ (泣かないでくれ……)
ガルルガ (俺まで……)
ガルルガ (泣きたくなって……)
ガルルガ (あ……っ!!!)
両耳ガルルガ (スゥ……ッ)
ガルルガ (かかさまの姿が消えた……)
ガルルガ 「か………………」
ガルルガ 「………………」
242 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:18:17.16 ID:C.3PYgc0
ガルルガ 「………………少女」
少女 「どうしたの、ガルルガさん?」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「……俺も、帰るよ……」
少女 「うん! 一緒に帰ろう!」
ガルルガ 「俺も、もう少し生きてみるよ……」
ガルルガ 「…………最後に砦ドラゴンに一言、文句をいってからな!」
少女 「うん!」
ガルルガ (バサッ! バサッ!!)
少女 「!! はっきり聞こえた……! おじさんの声!!」
ガルルガ 「どっちだ!」
少女 「右下の方、すごく近いよ!!」
ガルルガ (バサッ! バサッ!!!)
ガルルガ (かかさま……)
ガルルガ (俺も、もう少し生きてみる……)
ガルルガ (あなたに会えて嬉しかった……)
ガルルガ (だけど、あなたがくれた命だもんな……)
ガルルガ (もう少し生きてみても、バチは当たらねぇよな……)
ガルルガ (最後に砦ドラゴンを一発ブン殴って、ちゃんと『向こう側』にいけるようにしてから……)
ガルルガ (俺は帰るぜ……!!)
243 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:18:45.54 ID:C.3PYgc0
少女 「おじさん! おじさんー!!」
クック 「少女ー!!!」
ガルルガ 「! クックの野郎の声だ!!」
少女 「おじさん!!」
クック 「!! 少女ー!!!!」
ガルルガ 「あんな所にいやがる!」
クック 「ガルルガ君も……二人とも、こっちだ!!」
ガルルガ (少女とクックの野郎の体が、強く光ってる……)
ガルルガ 「ちっ、人間とモンスターのくせによ」
少女 「おじさんー!!!」
クック (バサッ! バサッ!!)
クック 「少女!(バッ!!)」
少女 「おじさん!!(バッ!)」
ガルルガ 「お、おい少女!!」
ガルルガ (少女が俺の背中から飛び降りやがった!!)
ガルルガ 「クック! 受け止めやがれ!」
クック 「少女ー!!!」
クック (ガシッ!!)
少女 「おじさん……! おじさん!!」
クック 「少女、よかった……」
クック 「迎えに来たよ……」
クック 「心細くさせて、すまなかった……」
少女 「うぅん……私こそ、勝手に外に出ちゃってごめんなさい……」
244 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:19:13.43 ID:C.3PYgc0
ガルルガ 「……ケッ!」
クック 「ガルルガ君……少女をここまで運んでくれたのか……」
ガルルガ 「勘違いすんな。たまたま帰り道が一緒だっただけだ」
クック 「……そうか。でも、ありがとう。本当に……」
ガルルガ 「……!! おい、少女……下を見てみろ」
少女 「……? 下……」
少女 「!!」
クック 「砦ドラゴンが、こっちを見ている……」
ガルルガ 「これが……砦ドラゴン……」
ガルルガ 「でけぇ……」
少女 「今までは全然見えなかったのに、はっきり見える……」
少女 「とても悲しそうな人……」
少女 「砦ドラゴンさん…………」
砦ドラゴン 『…………』
245 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/06(火) 14:21:39.97 ID:C.3PYgc0
お疲れ様でした。次回に続かせていただきます
次は、7月11日の日曜日頃にUPをさせていただきます
少し遅れてしまうかもしれませんが、気長にお待ちいただけますと嬉しいです

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お待ちしています

急激に暑くなってきましたね
学生のみなさんは、もうじき夏休みでしょうか
体を壊すことなく、一緒に夏を乗り越えていきましょうね
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 16:12:45.98 ID:ZzjxBzE0
乙でした
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/06(火) 16:55:01.45 ID:YHvIFuM0
ゴミ
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 19:28:00.30 ID:RmFre52o
乙です!
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 19:59:16.64 ID:ORUZsgDO
乙でした。毎回泣いてしまう…おわるのは淋しいですが楽しみにしてます。
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 21:09:52.00 ID:NuL89bA0
乙です
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 21:32:15.41 ID:YHvIFuM0
ゴミスレ
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 22:47:29.57 ID:YHvIFuM0
糞杉は製速の癌
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/06(火) 23:53:25.69 ID:qndyUtE0
>>251->>252
ならここに来んなks
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 00:53:36.34 ID:NaNu8cAO
乙です
涙がでそう…
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 01:26:07.67 ID:4s.2s520
粕スレ
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 09:34:04.22 ID:byKHrcAO
乙です。
「死」がなかったら人間とモンスターは恨みあってなかったけど、
「死」がなかったら少女とクックは出会ってなかったんだよね。

とりあえずサシミウオのスープが飲みたいですウマソー
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/08(木) 05:52:26.75 ID:VZeXIUDO
乙です。
次回の更新が楽しみです。
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/08(木) 20:00:07.50 ID:K1B/NU.0
乙どす
レウスさんが無事なのかが地味に気になる…
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/08(木) 22:42:13.48 ID:TUdAdsk0
レウスさん不憫だなー
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/11(日) 20:10:14.88 ID:avoS6i20
最終回になるのか…
261 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:11:25.95 ID:eu6XZA.0
みなさん、こんばんは
最終話の後半をUPさせていただきます
ここに至るまで、長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした

>>260
エピローグがありますので、もう少しだけ続きます
気長にお待ちいただけますと嬉しいです
262 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:12:16.92 ID:eu6XZA.0
クック 「少女、一緒に家に帰ろう。ここを、すぐに出るんだ」
少女 「うん……でも、私、砦ドラゴンさんに言わなきゃいけないことがあるの」
クック 「言わなきゃいけないこと……?」
少女 「ガルルガさんも……」
ガルルガ 「…………」
少女 「おじさん……」
少女 「私、お父さんとお母さんに会ったの」
クック 「そうか……」
クック 「私も、家族に会ったよ」
少女 「おじさんも……」
クック 「ああ。だが、私にはまだ、お前がいるから……」
クック 「私は、まだもう少しだけ生きてみることにしたんだ」
クック 「家族も、それで納得してくれたよ」
少女 「お父さんとお母さんも……」
少女 「私は人間で、おじさんはモンスターだけれど……」
少女 「きっと、喜んでくれると思うよ」
クック 「ああ、そうだな」
263 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:12:55.92 ID:eu6XZA.0
ガルルガ 「……チッ」
ガルルガ 「早いとこここを出なきゃ、俺たちの体が保たないんじゃねぇのか」
クック 「! そうだ! 私の体も凍えてしまう」
少女 「おじさん、少しだけ……」
少女 「砦ドラゴンさんとお話がしたいの」
少女 「少しだけ……」
クック 「…………分かった。一緒に行こう」
ガルルガ 「ケッ……!(バサッ! バサッ!)」
少女 「あ……! あそこにいるのって……」
キングチャチャブー 「…………」
クック 「キング!!」
ガルルガ 「あのイカレ野郎も来てやがったのか」
クック 「ガルルガ君、キングを乗せてやってくれないか?」
ガルルガ 「はぁぁ!? 何で俺がそんなこと……」
少女 「ガルルガさん、キングさんだけここに置いていくなんて可哀想だよ」
ガルルガ 「………………チィッ」
264 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:13:24.67 ID:eu6XZA.0
キングチャチャブー 「…………」
ガルルガ 「…………(バサッ! バサッ!)」
クック 「キング……」
キングチャチャブー 「…………」
クック 「用事は、済ませてきたのか?」
キングチャチャブー 「ああ」
キングチャチャブー 「俺もいずれ、ここに来ることになりそうだが」
キングチャチャブー 「不本意な約束をしてきた……」
ガルルガ 「…………」
キングチャチャブー 「当分、ここには訪れることは出来んな……」
少女 (にこにこ)
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「何故笑う?」
少女 「だって、キングさんが戻ってきてくれて嬉しいから」
少女 「キングさんも、私たちの家族みたいなものだから」
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「ふん……」
キングチャチャブー 「家族か……」
265 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:14:06.76 ID:eu6XZA.0
少女 「見えてきた……」
クック 「ああ……」
クック 「砦ドラゴンの頭だ」
少女 「! テオ先生、ナナ先生……!」
ガルルガ 「ゲッ、ラージャンの下衆野郎までいやがる……!!」
クック 「黒グラビさんもだ。私たちは、海岸の捜索に来ていたんだ」
クック 「どうやら彼らには、魂だけの私たちは見えていないようだがね」
キングチャチャブー 「…………」
砦ドラゴン 『…………』
茶アイルー 「…………」
キングチャチャブー 「!」
茶アイルー (スゥ…………)
キングチャチャブー 「……………………」
ガルルガ 「砦ドラゴン……!!(バサッ!)」
クック 「! 待つんだ、ガルルガ君!」
ガルルガ 「待てるか! こいつのせいで……」
ガルルガ 「こいつのせいで、かかさまが苦しんで……別のものに……!!」
ガルルガ 「うぉおおおお!!!(ゴゴゴゴゴ)」
キングチャチャブー (バシッ)
ガルルガ 「お……ッ! 痛ッ!!」
キングチャチャブー 「落ち着け、少年」
ガルルガ 「てめぇ! 人の背中に乗って何してくれる!?」
266 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:14:52.95 ID:eu6XZA.0
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー 「お前は自分の母親を、これ以上傷つけたいのか?」
ガルルガ 「そんなわけ……ッ!!!」
ガルルガ 「………………クソッ!」
砦ドラゴン 『戻ったか……小さき者達よ』
砦ドラゴン 『見つかったようだな……』
クック 「……はい。少女が私を呼んでくれたからです」
砦ドラゴン 『互いに呼び合い、そしてこの無数の魂の中、お互いを見つけたというのか……』
砦ドラゴン 『そんなことが、可能なものなのだな……』
クック 「私たちは、生きていくことを選びました」
クック 「きっとその力が、私たちを引き合わせたのだと思います」
少女 「砦ドラゴンさん……」
砦ドラゴン 『…………』
少女 「どうして、そんなに悲しそうな顔をしているんですか?」
ガルルガ 「はぁ? あの鉄面皮のどこが悲しそうだってんだ!?」
少女 「こんなにたくさんの魂に囲まれて……」
少女 「あなたは、一人じゃないじゃないですか……」
267 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:15:36.18 ID:eu6XZA.0
砦ドラゴン 『一人ではない……?』
砦ドラゴン 『私は一人だ』
砦ドラゴン 『不思議なことを言う娘だ……』
砦ドラゴン 『それでは、お前は一人ではないというのか』
砦ドラゴン 『私は、魂と共にはいるが……』
砦ドラゴン 『魂それぞれは、それぞれのことを考えている……』
砦ドラゴン 『私は、それら魂と一つになろうとも……』
砦ドラゴン 『魂そのもののことを理解することは適わない』
砦ドラゴン 『私は、本当に分かり合うものと遭遇することは適わず』
砦ドラゴン 『永遠にきっと、このままなのだ』
砦ドラゴン 『それは、お前たち生ける者にとっても同じではないのか』
砦ドラゴン 『互いが何を考えているかなど、分からぬ不確定な存在』
砦ドラゴン 『それがお前たちではないのか』
砦ドラゴン 『だからこそ、お前たちは必死に孤独であることを隠そうとするのではないのか』
砦ドラゴン 『お前たちと、私との間に、何が違うというのか』
砦ドラゴン 『娘よ、お前にはそれが分かるか』
268 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:16:12.27 ID:eu6XZA.0
少女 「……ごめんなさい。あなたの悩みはとても深くて……」
少女 「とても、重いものだから、私が簡単に答えを出すことはできません」
少女 「でも、一つ言えることは……」
少女 「私たちは、相手の考えていることが分からなくても、孤独ではないということです」
砦ドラゴン 『…………』
少女 「私には、おじさんの考えていることなんて分かりません」
少女 「キングさんも……ガルルガさんも、先生たちの考えていることも分かりません」
少女 「おじさんも同じ……みんな同じです」
少女 「誰が何を考えて、感じているかなんて、その人じゃなきゃ分からないし、想像するしかありません」
少女 「でも、その『想像する』ということが、とても重要なのではないでしょうか……」
砦ドラゴン 『想像する……?』
少女 「はい……」
少女 「一つになって、溶け合ってしまうより……」
少女 「それぞれ別々のまま、相手のことを想像して、分かりあう努力をする……」
少女 「それが生きることで、だからこそ、私たちはお互い繋がりあうことが出来るんじゃないでしょうか」
少女 「だって、相手の考えていることが分かってしまえば、何も面白くないですもの」
少女 「想像できる方が、素敵だと思いませんか?」
269 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:16:44.67 ID:eu6XZA.0
砦ドラゴン 『…………』
少女 「…………」
ガルルガ 「喋らせろ」
少女 「ガルルガさん……」
ガルルガ 「……おいコラ、てめぇ!」
砦ドラゴン 『……?』
ガルルガ 「…………チィッ…………」
砦ドラゴン 『…………』
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「………………頼む………………」
少女 (ガルルガさんが、頭を下げた……)
ガルルガ 「かかさまを『向こう側』に送ってやってくれ……」
ガルルガ 「何か別のものに変えないでくれ」
ガルルガ 「お前の寂しさや辛さ、よく分からねぇが……」
ガルルガ 「何となく、想像はつく……」
ガルルガ 「何となくだが……」
ガルルガ 「でも……」
ガルルガ 「それでも、俺は、かかさまが好きなんだ」
ガルルガ 「その大事なものを、奪わないでくれ……」
ガルルガ 「頼むよ……」
少女 (ガルルガさん……)
砦ドラゴン 『お前は……お前たちは……』
砦ドラゴン 『私に、まだ歩けと、そう言うのか』
砦ドラゴン 『私に、まだ宛てもなく歩き続けよと、そう言うのか』
砦ドラゴン 『何故だ……?』
270 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:17:16.18 ID:eu6XZA.0
少女 「そんなことは、ないと思いますよ」
砦ドラゴン 『…………』
少女 「疲れたら、休めばいいんです。今みたいに……」
少女 「そして、どこに向かって歩いたらいいか分からなくなったら……」
少女 「ここに、帰ってきてください」
砦ドラゴン 『…………』
少女 「私、砦ドラゴンさんのことをもっと知りたいです」
少女 「砦ドラゴンさんのお話も、もっと聞きたいです」
少女 「あなたも、私達の家族になりましょう」
少女 「そうすれば、もう寂しくないでしょう?」
少女 「だって、疲れたらこの『家』に、帰ってくればいいのですから」
砦ドラゴン 『………………』
砦ドラゴン 『ふふ……』
砦ドラゴン 『ふははは!』
クック 「……!!」
砦ドラゴン 『家族…………』
砦ドラゴン 『たかがちっぽけな人間の小娘が、最古龍たる私の、他ならぬ私の、家族になってやると……』
砦ドラゴン 『これは面白い』
砦ドラゴン 『そんなことをしてどうする』
砦ドラゴン 『それが、何だと言うのだ』
少女 「確かに、私はちっぽけな人間です……」
271 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:17:56.69 ID:eu6XZA.0
少女 「でも、あなたと同じように、『存在して』います」
砦ドラゴン 『…………』
少女 「おじさんも、キングさんも、ガルルガさんも……それぞれの大切な人たちも」
少女 「みんな、ここに存在しているんです」
少女 「私には、人間として生きることが出来なくなってしまったことがあります」
少女 「でも、モンスターの……人間の敵の、おじさん達が、私を支えてくれて……守ってくれて……」
少女 「家族になってくれました」
少女 「だから、私はまだここに存在しています」
少女 「一人は辛いですよね、苦しいですよね……」
少女 「でも、大丈夫なんです」
少女 「きっとどこかに、家族になってくれる人がいるはずですから……」
少女 「砦ドラゴンさんには、それがちょっとだけ遅かっただけ……」
少女 「世界が暗いなんて思わないで……」
少女 「世界には、何もないなんて思わないで……」
少女 「私達が、家族になりますから」
砦ドラゴン 『………………』
砦ドラゴン (家族……)
砦ドラゴン (はるか昔に、私はその言葉を、誰かから聞いたことがある……)
272 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:18:52.96 ID:eu6XZA.0
砦ドラゴン (私は……)
砦ドラゴン (…………)
砦ドラゴン (…………寂しかったのだ……)
砦ドラゴン (この、死の頂点たる私は……)
砦ドラゴン (この脆弱な者たちの言うとおりに、ただ……)
砦ドラゴン (寂しかったのだ……)
砦ドラゴン (家族……)
砦ドラゴン (春も、夏も、秋もないこの世界の中で……)
砦ドラゴン (冬だけの、この私だけで……)
砦ドラゴン (他の季節がなくなってしまって、それでもなお存在し続けなければいけないこの世界に、ただ絶望していたのだ)
砦ドラゴン (…………)
砦ドラゴン (私は、何と弱い……)
砦ドラゴン (脆弱な存在なんだ……)
砦ドラゴン (小さきと笑ったこの者達は、もしかして……)
砦ドラゴン (この大きな私よりも、大きな心を……気持ちを、持っているのではないのだろうか……)
砦ドラゴン (家族……)
砦ドラゴン (懐かしい言葉だ……)
砦ドラゴン (長らく、私はその言葉を忘れていた……)
砦ドラゴン (私は……)
砦ドラゴン (私は、もう一度……)
273 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:20:02.55 ID:eu6XZA.0
砦ドラゴン 『…………』
ガルルガ 「……黙り込みやがった」
クック 「……砦ドラゴン。私達はもう行こうと思います」
砦ドラゴン 『…………』
クック 「疲れたら、ここにまた、戻ってきてください。いつでも私達は、あなたを待っています」
少女 (吹雪が……段々と止んでいく……)
砦ドラゴン 『私は……存在していても良いのか……』
砦ドラゴン 『ここに私は、戻ってきても良いのか?』
クック (にこり)
クック 「勿論です」
少女 「沢山お話を聞かせて欲しいです」
少女 「私、生まれてからまだ、少しの場所にしか行ったことがないんです」
少女 「だから、この世界のいろいろな所のことを、もっともっと知りたいんです!」
砦ドラゴン 『…………』
砦ドラゴン (ふっ……)
砦ドラゴン 『家族……』
砦ドラゴン 『それもまた、いいやもしれぬな……』
砦ドラゴン 『……私は、まだ歩けるのだろうか……』
砦ドラゴン 『私は……まだ……』
砦ドラゴン 『そうだな……』
砦ドラゴン 『このままでは……背中が重くて適わぬな……』
ガルルガ (何だ……砦ドラゴンの背中が光ってる……!!)
ガルルガ (光が、吹雪が止んだ空に向かって昇っていく…………!!!!)
少女 (沢山の光が……砦ドラゴンさんの背中から……)
274 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:20:58.14 ID:eu6XZA.0
茶アイルー 「………………」
キングチャチャブー 「…………」
キングチャチャブー (そうか……お前は、『そちら側』で、俺を待っていてくれるのか……)
キングチャチャブー (そうなのか……)
キングチャチャブー (さよなら……)
キングチャチャブー (……さようなら……)
275 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:21:34.03 ID:eu6XZA.0
少女 (…………光が…………)
少女 (まるで、お父さんとお母さんの、魂の紐みたい……)
少女 (それが何百万と重なって……)
少女 (凄く綺麗……)
砦ドラゴン 『脆弱なる者達』
砦ドラゴン 『私は、もう少し歩いてみようと思う』
砦ドラゴン 『お前たちが歩き続けるというのに、最古龍たる私が、立ち止まるわけにはいくまい』
クック 「砦ドラゴン……!!」
砦ドラゴン 『少女よ……』
少女 「はい……!」
砦ドラゴン 『疲れたらまた、お前達のところに戻ってくるとしよう』
砦ドラゴン 『その時にまた、私を家族と、そう呼んでくれるか……』
少女 「……はい!!」
ガルルガ (沢山の魂が……「向こう側」に流れていく……)
ガルルガ (かかさまも、あの中にいるんだろうか……)
ガルルガ (……!!!!)
ガルルガ (何……だ……!?)
ガルルガ (俺と同じ、イャンガルルガ……!!)
ガルルガ (俺と同じ顔をした、イャンガルルガだ……!!!!!)
ガルルガ (「向こう側」を飛んでる……!!)
ガルルガ (それに、近づいていくのは……)
ガルルガ (かかさまだ……!!!!!)
276 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:22:43.75 ID:eu6XZA.0
ガルルガ (もしかして……)
ガルルガ (もしかして、あれは……!!!)
ガルルガ (俺の、父ちゃん……!!!)
両耳ガルルガ (にこにこ)
イャンガルルガ (にこにこ)
ガルルガ 「!!!!!!」
ガルルガ 「うぉぉぉぉぉおお!」
両耳ガルルガ (スゥ…………)
イャンガルルガ (スゥ…………)
キングチャチャブー 「………………」
キングチャチャブー 「泣くな、少年」
ガルルガ 「……………………」
キングチャチャブー 「お前が教わったこと、受けた愛を……」
キングチャチャブー 「誰かに、渡してやれ……」
キングチャチャブー 「それが、一番の親孝行だ……」
ガルルガ 「………………」
キングチャチャブー (ポン、ポン)
ガルルガ 「………………ひっく………………」
277 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:23:22.25 ID:eu6XZA.0
少女 「砦ドラゴンさん……!!」
砦ドラゴン 『私は、もう少しだけ歩いてみよう』
砦ドラゴン 『私自身が何なのか、私自身の存在の価値はまだ分からないが……』
砦ドラゴン 『進んでみよう』
少女 (砦ドラゴンさんの体が、段々と透けていく…………)
少女 「待って! 砦ドラゴンさん!!」
少女 「私、まだあなたと沢山お話をしたい!」
少女 「まだ聞きたいことが、沢山あるの!!」
砦ドラゴン 『…………お前には、我ら古龍の加護がついている…………』
少女 「!!」
砦ドラゴン 『それゆえ、私の凍りついた心に、その言葉が届いたのやもしれぬ……』
砦ドラゴン 『お前の言葉は心地が良い……』
砦ドラゴン 『何故かは分からないが、お前は私達古龍に護られている……』
少女 「…………!!」
砦ドラゴン 『なれば、私もこれから、お前を護ろう……』
砦ドラゴン 『…………』
砦ドラゴン 『家族よ……』
少女 「うん……うん! 私達は家族だよ!」
砦ドラゴン 『いつかまた、必ず出会うときが来るはず……』
砦ドラゴン 『……「その時」がいつかは分からぬが……』
砦ドラゴン 『私は、少なくともその時までは歩き続けよう……』
砦ドラゴン 『約束だ』
少女 「うん……! 約束だよ……!!」
278 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:23:53.54 ID:eu6XZA.0
クック (天に、魂が昇っていく……)
クック (砦ドラゴンが、「向こう側」に逝くための「道」を開いてくれたのか……)
クック (砦ドラゴンが、少女の言葉で、前に進むための力を取り戻したんだ……!!)
クック (……!!)
クック (イャンクックが、空を昇っていく……)
クック (私の家族だ……)
クック (青クック……子クック…………)
クック (まるで、舞うように昇っていく…………)
クック (お前たち……)
クック (私もいずれそこに逝くよ……)
クック (少しの間……)
クック (どれくらいになるのかは分からないが、少しの間、待っていて欲しい……)
クック (……少しの間でいいから……)
クック (待っていて欲しい…………)
少女 「砦ドラゴンさんー!」
砦ドラゴン 『………………(にこり)』
クック (……!!)
クック (吹雪が止んだ……!!)
クック (太陽が昇ってくる……)
クック (砦ドラゴンの体が消えていく……)
クック (沢山の魂と共に…………)
クック (太陽の……)
クック (光が…………まぶしい…………)
279 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/11(日) 23:31:51.90 ID:eu6XZA.0
お疲れ様でした。
エピローグに続かせていただきます。
書け次第UPさせていただきますので、7月18日の日曜日ほどまでを目安にチェックしていただけますと嬉しいです。

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話ください

今迄、メールやメッセージなどで沢山のご質問やご感想をいただきました
ありがとうございます m(_ _)m
モンスターハンターのSSは、3rdPも出ることですし、また違う形で書かせていただきたいと思います
場所と時期は決めておりませんが、気長にお待ちいただけますと幸いです
ご要望などございましたら、いつでも上記のURLから、私にご接触くださいね

それでは、もう少しだけ続きますので、お付き合いいただけますと嬉しいです
私の住んでいる地域ではゲリラ豪雨が、最近多いですが、皆さんの地域ではいかがでしょうか?
空模様が怪しいようでしたら、傘を忘れないようにしてくださいね
今回は、失礼させていただきます
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/11(日) 23:33:32.98 ID:HUa6lAAO
乙!!
感動した!!
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/11(日) 23:35:35.41 ID:aEscJiI0
乙です。ありがとう。
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 09:41:55.43 ID:3ynlvgAO
うおおおおお疲れ様です。
みんな成長したなあ…。
エピローグが楽しみです。
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 15:55:43.06 ID:R3DK3gEo
乙です!
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 20:35:01.60 ID:O7aY.gE0
乙すぎる…
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/12(月) 23:08:42.13 ID:pAKXl3M0


286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/12(月) 23:09:20.33 ID:LtFecUw0
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1278781545878.jpg
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 21:27:58.42 ID:GdZeWM20
ゴミスレ
288 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:12:20.44 ID:adO592E0
みなさん、こんばんは
エピローグが書けましたので、UPさせていただきます
289 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:13:41.91 ID:adO592E0
―数週間後、雪山―

少女 「だから、私は、砦ドラゴンさんのお話を聞くのが、とっても楽しみなの」
ハンマー 「そんなことがあったのか。俺がユクモ村に行っている間に、大変なことになっていたんだな」
少女 「ハンマーさんは、もし死んじゃった人に会えるとしたら、誰に会いたい?」
ハンマー 「そうだな……」
ハンマー 「先代の長……俺の父に会って、この武器の謎を聞いてみたい(ガチャリ)」
ハンマー 「それだけだな……」
少女 「それだけ?」
ハンマー 「ああ。俺にはもう大事なものは沢山ある。自分の手で護らなければいけないものも沢山ある」
ハンマー 「だから、死んだ人に対して何かをしたい、というよりは……」
ハンマー 「俺が元気でやっている姿を見て、安心して欲しいな」
少女 (にこにこ)
少女 「そうだねぇ」
少女 「お父さんとお母さん、安心してくれたかな」
ハンマー 「(なでなで)ああ。きっと安心してくれたさ」
290 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:14:49.76 ID:adO592E0
―クックの家、夜―

リオレウス 「聞いてくれよ……! それで、レイアと桜の奴、遂に俺に向かって火の玉を吐くようになったんだぞ!」
クック 「そうなのか……まぁ、当分騒ぎが収まるまで、ここにいるといいよ」
リオレウス 「砦ドラゴンとやらが来た時も、爺さんと婆さんに、あの世に連れて行かれそうになるし……最近はさっぱりいいことがない!」
リオレウス 「しかも、魂が抜けてる状態の俺を、レイア達は壊れた家の穴を塞ぐための風除けにしてたんだぜ!」
クック 「ふぅむ……これは、レウスさんの家での立ち位置を、もう少し考えなきゃいけないかもしれないな……」
クック 「やっぱり、嫌なことは嫌、とはっきり口に出して言わなきゃいけないんじゃないかい?」
リオレウス 「父親として、そうでなければいけないとは思うんだよ……」
リオレウス 「だけど……蒼レウスが一人立ちしちゃってから、実質的に家の支配権はレイアと桜にあるから……」
リオレウス 「馬鹿兄弟はレイアの手下みたいになってるし……」
リオレウス 「俺の味方がいないんだ……」
クック 「レイアさんは元々気性が激しい方だからなぁ……そういえばティガ兄君の風邪は治ったのか。随分長く続いていたようだが……」
キングチャチャブー 「ケ……ッ」
キングチャチャブー 「女二匹如きをコントロールできねぇで、よくもまぁ父親を名乗れるもんよ(ぐびり)」
リオレウス 「そう言わないでくれよキング。キングも妻を迎えれば、俺の苦労が分かるようになるよ」
キングチャチャブー 「…………ふん…………」
ロアルドロス 「(むしゃむしゃ)いやぁ、しかしここの土地のオオシッポガエルはまた風味が違って美味しいものですね」
クック 「まだまだ沢山あるから、どんどん食べるといいよ」
ロアルドロス 「お言葉に甘えまして(むしゃむしゃ)」
291 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:15:43.12 ID:adO592E0
クック 「ロアルさんは、あとどれくらいここに?」
ロアルドロス 「そうですね……吹雪も収まって温かくなってきたことですし、もう二、三日したら発とうと思います」
ロアルドロス 「あなた方にはお世話になりっぱなしで恐縮です」
クック 「いやいやそんなことはない。私達も、そちらの大陸では、皆さんに沢山お世話になりました」
ロアルドロス 「ウラガンキン様や、ボルボロス様、騎士団長も喜ばれます。また、是非遊びに来てください」
クック 「ええ。少女も連れて、絶対に行きます」
リオレウス 「その少女なんだけど、姿が見えないね。どうしたんだい?」
クック 「友達に会いに行ってるよ。もうじき戻ると思う」
ロアルドロス 「それにしても、『砦ドラゴン』……あれは一体何だったのか……」
クック 「…………」
ロアルドロス 「クックさん達のお話を信じないわけではありませんが、どうも現実離れしていて……」
クック 「もしかしたら、幻だったのかもしれません」
クック 「でも……」
クック 「私も、少女も、みなさんも……変わらずここに生きている」
クック 「それで、十分ではないでしょうか?」
ロアルドロス 「……そうですね。確かに、それに勝る幸福はありません」
キングチャチャブー 「…………」
クック 「そうです。それが、一番の幸福ですよ」
292 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:16:09.73 ID:adO592E0
―森丘、入り口、夜―

少女 (ハンマーさんと話こんでたら、随分遅くなっちゃった……)
少女 (一人で帰れるかな……)
少女 (…………?)
少女 (誰かいる……)
×××× 「よお」
少女 「ガルルガさん! こんばんは!」
ガルルガ 「……チッ」
少女 「……?」
ガルルガ 「ああ……こんばんは」
少女 「こんな夜遅くにどうしたの?」
ガルルガ 「別に……夜の風に当たりに来ただけだ」
少女 「あ、分かった! ヒプノック希少種ちゃんと喧嘩したんだ」
ガルルガ 「!!」
少女 「あのね、ティガ兄さんもよくそういうお話で、今くらいの時間にお家に来るんだよ」
ガルルガ 「……てめぇには関係がねぇ話だ」
293 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:16:43.69 ID:adO592E0
少女 「うん。私には関係ないけど……」
少女 「でも、お話を聞いてあげるくらいはできるよ」
ガルルガ 「……チッ。どこまでもイラつく野郎だ」
少女 「ふふっ、ガルルガさん、恥ずかしい時にはそうやって強がるからすぐ分かるよ」
ガルルガ 「…………」
少女 「おじさんも歓迎してくれると思うよ。今日は私達のお家でご飯でも食べよう?」
ガルルガ 「ふん……」
ガルルガ 「俺はただ単に、無防備極まりねぇてめぇを、家とやらに送ってやろうと思ってるだけだ」
ガルルガ 「それ以上のこともそれ以下のこともねぇ」
少女 「うん、じゃあ、一緒に行こう(ぎゅ)」
ガルルガ 「…………ケッ」
ガルルガ 「(バサッ! バサッ!)」
少女 「ガルルガさん、最近は授業に来るようになったって、カム先生とノノ先生、凄く喜んでたよ」
ガルルガ 「……別に。前サボってた分を取り返そうとしてるだけだ」
ガルルガ 「てめぇに言われたからじゃねぇ」
ガルルガ 「ただ……『向こう側』に行った、俺のかかさまと……親父に恥じないイャンガルルガでありたいからな……」
少女 (にこにこ)
ガルルガ 「な……何だよ」
少女 「ガルルガさんは、立派なイャンガルルガだよ。私が保証するよ」
ガルルガ 「ケッ! てめぇなんぞに保障されても、嬉しくも何ともねぇぜ」
294 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:17:33.00 ID:adO592E0
×××× (バサッ! バサッ!)
×××× (バサッ! バサッ!)
少女 「! あ、ティガさんたちだ!!」
少女 「こんばんはー!」
ティガ兄 「! 少女とガルルガ野郎だ!(ヒュゥゥゥ)」
ティガ弟 「何だ、珍しい組み合わせだな(ヒュゥゥゥ)」
少女 「どうしたの? そっちは……お兄さん!」
ティガ兄 「くそう! 俺そんなに太ってるか!? 何ですぐに見分けがつくようになっちまったんだ!」
ティガ弟 「風邪の後、急激に肥大化したからなぁ」
ガルルガ 「…………」
ティガ兄 「あぁん!? ンだコラァ。シカトブッこいてんじゃねぇぞオラァ!」
ティガ弟 「んだらァ! ヤんのかこらァ!」
ガルルガ 「うるせぇ馬鹿野郎共だ……」
ティガ兄 「あん!? 何か言ったか!?」
ティガ弟 「ここでヤったっていいんだぜ!?」
少女 「喧嘩はやめようよ。それにここ、空の上だから、ティガさん達は自由に動けないでしょ?」
ティガ兄 「言われてみりゃそれもそうか」
ティガ弟 「俺たちただ滑空してるだけだもんな」
ガルルガ 「ケッ……」
295 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:18:23.17 ID:adO592E0
少女 「ティガさん達はどこに行くの?」
ティガ兄 「丁度お前の家に行こうとしてたんだよ」
ティガ弟 「どこ探してもレウスのおっさんがいなくてよ。フルフル婆さんに聞いたら、おめーんとこにいるって聞いてさ」
少女 「そうだったんだ。またレウスさんと何かあったの?」
ティガ兄 「いや、何。今日は苛めすぎたと思ってさ。レイアさんと桜も少し反省してるから、連れ戻そうと思ってな」
ティガ弟 「あぁそういや、フルフルベビーがお前に会いたがってたぞ」
少女 「そうなの? 嬉しい! ベビーちゃん、もう喋れるようになったんだ!」
ガルルガ 「フルフルベビー?」
少女 「今度、ガルルガさんも一緒に行こうよ。可愛いんだよ!」
ガルルガ 「あ……ああ……」
ティガ兄 「(ひそひそ)おい……あいつらいつ仲良くなったんだ……? どんな魔法を使ったんだ……?」
ティガ弟 「(ひそひそ)わからねぇ……わからねぇが少女のことだ、得体がしれねぇところがあるしな、あいつ……」
ガルルガ 「おい少女……」
少女 「? どうしたの?」
ガルルガ 「お前は……」
ガルルガ 「お前は、今、生きていて楽しいか……?」
少女 「うん……!」
少女 「私は、生きてていいと思うよ」
少女 「私は、ガルルガさんや、ティガさんや……おじさんや……みんながいて、とっても幸せだよ!」
少女 「とっても楽しい!」
ガルルガ 「……そうか」
ガルルガ 「俺も……」
ガルルガ 「俺も、これから楽しくしていかなきゃな……」
少女 「…………うん!!」
296 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:19:11.47 ID:adO592E0
ガルルガ 「てめぇの家が見えてきたぜ」
ティガ兄 「よし、着陸態勢だ!」
ティガ弟 「兄者、重いせいか少しブレてるぜ」
ティガ兄 「何のこれしき……フンッ!(ズゥンッ!)」
ティガ弟 「相変わらず豪快なことで(ズゥンッ!)」
ガルルガ 「(バサッ! バサッ!)ついたぜ」
少女 「ガルルガさん、ティガさん達、一緒にご飯食べていって!」
ティガ兄 「そいつはありがてぇ。もう腹ペコだぜ」
ティガ弟 「全く兄者は食い意地ばっか張って……」
クック 「お、少女、帰ってきたか!」
クック 「温かいスープを用意してるよ。みんなも、中に入りなさい」
ガルルガ 「…………」
少女 「行こう、ガルルガさん(くいっ)」
ガルルガ 「…………」
ガルルガ 「……ああ」

少女 「ただいま!」
297 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:20:03.48 ID:adO592E0
イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 外伝 砦ドラゴンと少女 おしまい
298 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:23:01.87 ID:adO592E0
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/19/0000910119/72/imgb4fa5c14zikdzj.jpeg

長い間、お付き合いいただきまして本当にありがとうございましたm(_ _)m
これで、外伝のお話はおしまいとなります。

途中、私の体調の悪化により、投稿のペースが安定せず、皆さんにはご迷惑をおかけした面もありました。
今後また、SSを書かせていただく際には、安定したペースで投稿できるように指定校と思います。
299 :三毛猫 ◆E9ISW1p5PY :2010/07/18(日) 16:27:43.36 ID:adO592E0
モンハンはアイルー村、3rdPも発売されることですし、またSSは書かせていただこうと考えています。
気長にお待ちいただけますと嬉しいです

何かありましたらBBS(http://www3.rocketbbs.com/601/Mikeneko.html)や
Mixi(http://mixi.jp/show_profile.pl?id=769079)でお話ください
お待ちしていますね

それでは、重ねて長い間、本当にありがとうございました
五時、脱字などが非常に多かったことと思いますが、流していただけますと幸いです
またどこかで、お会いできれば嬉しいです

皆様の元気と健康と、そして楽しいハンターライフを願いまして、締めさせていただきます
本当に、ありがとうございました
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 17:50:20.73 ID:WuuLgJ.0

いや、本当にお疲れ様。すごく面白かったです
やっぱりレウスさんは無事じゃなかったのか…
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 18:40:12.37 ID:0J8bONQo
長い間、お疲れ様でした
本当に面白かったです
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 21:57:18.92 ID:s0nIlyg0
乙 本当に乙 ありがとう
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 23:39:10.45 ID:Fi7VIwDO
超GJ
乙でした。長期に渡り楽しませて頂きました。有難うございます。
お疲れさまでした。
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 00:01:41.24 ID:0Hk8DYAO
乙です
ありがとうございました
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/19(月) 13:19:17.11 ID:gjZXmZI0
お疲れさまでした。
今までありがとう!
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 23:13:05.66 ID:jqHNWqI0
乙!
楽しく読ませてもらったよ!
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 01:05:19.65 ID:RQZKh7Y0

すごく面白かったよ
ありがとう!
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/20(火) 17:52:19.06 ID:w5PMTu20
ガルルガかわえええええ!!ww
なんかアニメの最終回みたいに最後読んでる時、頭ん中に曲がながれてきたww
三毛猫さんは相変わらず表現の仕方がうまいですね!
終わってしまったのは寂しいですが、また次作のモンハンが出たとき期待してまってます!
本当に長い間楽しませてくれてありがとうございました!そしてお疲れ様でした!!
また、楽しみにしています!
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/20(火) 21:00:09.74 ID:z4bkr9w0
乙!
なんていうか少女は戦わないナウシカ見たいな感じだな
とにかく面白かったよ!
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/21(水) 21:52:30.85 ID:8n4C5w.o
良いSSを呼んだあとはどうにも言葉に表せない気持ちになる不思議
一生続けてくださいね
もうこれなしじゃ生きていけない体になってしまいました
乙!
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 17:30:21.70 ID:z8UFkkDO
乙!
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