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御坂「トウマ・・・君?」 蛇「学園都市・・・か」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/07(日) 17:57:32.29 ID:90a7FXso
vip本家にてSSを投稿してましたが、ちょくちょく寝落ちしてスレが落ちてしまうのでこちらに
移転しました。

前の前スレ:御坂「トウマ・・・君?」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1267806570/

前スレ:http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1267868665/

さて、こちらは初めてなのだがどれくらいの頻度で投下すれば良いんだ?
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/07(日) 18:06:18.03 ID:90a7FXso
「それにオタコンの力もあるだろうけが、何より狙いがトウマだけじゃなくなった
事が一番だろう」

「えっ?それってどういう…」

ことですか? と口にする前に、気づいた。

「目標を[ピーーー]にはまず障害を取り除く必要がある。…そう、俺が奴らにとっての
障害というわけだ」

つまり、詳細が未知数のスネークさんを観察してデータを収集し、来るべき時に
備えている。ということか。

「もしそうだとしたら、奴らは一体いつ動き出すと思います?」

「さあな。それは俺にも分からん」

そう言って、ベランダに歩を進めるスネークさん。
1週間同じ部屋にいれば、もう分かってしまう。喫煙タイムだ。
ベランダに出ると、彼は右ポッケからタバコとジッポを取り出す。

にしても、あれだけ動きがあった連中がここまであっさりと諦めることはないだろ。
…それとも、一度諦めたと見せかけて学園都市から離れるのを待っているのか?

ベッドに仰向けになり、もう目に馴染んだ天井を見つめながら俺は考えていた。
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/07(日) 18:43:43.10 ID:6S8AljAo
基本落ちないと思うから、とりあえずガンガンやるといいんじゃね?
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/07(日) 19:20:22.47 ID:59r/ebQ0
あとはメ欄にsagaかな。
sage←×
saga←○
併用可
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/07(日) 20:37:25.18 ID:90a7FXso
>>3
他のスレの勢いとか見たけど、そんなに気にする必要もないみたいですな。

>>4
そんな機能があったとは
でも、併用できるみたいだからそのままsageにさせてもらうぜ

というか、sageが必要な内容でもないから使わなさそうだけど(
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/07(日) 21:09:50.73 ID:59r/ebQ0
例えば、死 ね→[ピーーー]
saga 未入力
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/07(日) 21:10:57.55 ID:59r/ebQ0
死 ね→死ね
saga 入力でこうなるよん
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/07(日) 21:34:38.52 ID:90a7FXso
>>6-7

規制がかかる文字が入ってても、消されないのかなるほど
分かりやすい説明thx
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/07(日) 21:50:36.33 ID:6S8AljAo
>>7
こんな機能があったとは・・・
10 :テストも兼ねて修正 [saga]:2010/03/07(日) 22:17:30.20 ID:90a7FXso
「それにオタコンの力もあるだろうが、何より狙いがトウマだけじゃなくなった
事が一番だろう」

「えっ?それってどういう…」

ことですか? と口にする前に、気づいた。

「目標を殺るにはまず障害を取り除く必要がある。…そう、俺が奴らにとっての
障害というわけだ」

つまり、詳細が未知数のスネークさんを観察してデータを収集し、来るべき時に
備えている。ということか。

「もしそうだとしたら、奴らは一体いつ動き出すと思います?」

「さあな。それは俺にも分からん」

そう言って、ベランダに歩を進めるスネークさん。
1週間同じ部屋にいれば、もう分かってしまう。喫煙タイムだ。
ベランダに出ると、彼は右ポッケからタバコとジッポを取り出す。

にしても、あれだけ動きがあった連中がここまであっさりと諦めることはないだろ。
…それとも、一度諦めたと見せかけて学園都市から離れるのを待っているのか?

ベッドに仰向けになり、もう目に馴染んだ天井を見つめながら俺は考えていた。
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/07(日) 23:04:06.03 ID:j9tW7UAO
立ててくれてホッとした
最初から読んでたから頼むよ

あと青タヌキの[たぬき]も規制されんだっけ
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/07(日) 23:13:07.95 ID:6S8AljAo
>>10
右「ポッケ」って可愛いなおいwwwwww
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/08(月) 00:49:12.13 ID:skNwbcso
こっちにしたのか
頑張ってww
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/08(月) 00:56:54.86 ID:7HK7yOEo
ぼ〜っとしていると、スネークさんが突然部屋に戻ってきた。まるで、何かに
察知したみたいに。

一体どうしたんだ?スネークさんの焦りの表情なんて、最後に襲われた時くらいから
見てない気がする。ということは…こりゃ冗談じゃすまされなさそうだな。

「どうしたんです?」

ベッドから飛び起き、枕近くにある棚から銃を取り出す。念のために残弾も確認しておく。
…まぁ一度も使ったことがないから8発あって当たり前だが。

「どうやら久々のお客さんらしいな」

スネークさんも着ていたコートを脱いだ。その下には、今まで見たこともない
戦闘服のような格好。そして右手で腰につけていた拳銃を、
左手で胸から何か取り出した。手のひらより大きなナイフ。初めて目にする
スネークさんの光景に、彼が言う『お客さん』が普通ではないことを思い知らされた。

「別にケンカしようってわけでもないわよ」

誰もいなかったはずのベランダの方に、とっさに銃口を向ける。
そこにいたのは

「ディープ・スロート…」

『彼女』だった。
これまで顔を拝められずにいたが、ようやくその顔を見ることができ…なかった。

「そのマスクは…」

スネークさんが彼女のつけるマスクを見て呟いた。
薄い水色のマスクに覆われた彼女の顔。それは、ちょうど目の辺りが少しへこんで
黒くなっており、眉間に当たる部分にはオレンジ色の光を放つ物体が不気味な感じで
こちらを見つめていた。
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/08(月) 01:40:38.34 ID:7HK7yOEo
「ソリッド・スネーク。シャドー・モセス事件を終わらせた『伝説の英雄』」

前回同様性別が分からないような機械的な声。だがマスク以外はこれまで出会った
時と同様、俺にはもう見慣れている制服と髪。だが、コイツ自身は『アイツ』…
御坂ではないと断言していた。

「このマスクにも、見覚えがあるでしょうね」

…どういうことだ?なんでマスクとスネークさんに関係があるんだ?

「で?お前さんはそのマスクを俺達に見せびらかすためだけにここに来たわけか?」

禁句にもなりつつあったキーワードを聞いたためか、マスクをかぶった人物に対する
口調が少し荒くなっていた。

「怒らせてしまったようね、ごめんなさい」

俺が思っていたアイツではないと俺自身に断言させるがごとく、彼女は素直に謝った。
あいつだったら、多少なりとも反抗すると思っていたが…その前触れすらなかった。

「そう。今回ここに来たのは、忠告のためよ」
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/08(月) 01:50:04.09 ID:7HK7yOEo
「忠告だと?」

スネークさんは銃とナイフをしまいながら、目の前の人物に問いかける。

「ええ。貴方達に、つい1週間前まで襲ってきた連中のことよ」

連中…愛国者達のことか。やはり、彼女も奴らと関係があるのかもしれない。

「今日の夜12時。奴らは動き出すわ」

口調を変えることなく彼女は言う。もっとも機械音声なのであまり口調が変わった
ように聞こえなかっただけかもしれないが。

「今まで貴方達を襲ってこなかったのは来るべき時への準備期間。どうしてそうするか
の理由は分からなかったけど、必ず決行してくる」

「それを知らせに来た、ってわけか」

一体どこからそんな話を聞いてきたかは分からないが、とりあえず彼女に合わせてみる。

「貴方達にはまだ死んで欲しくはないからね。それじゃあそういうことで」

そう言うと、彼女はベランダから突然飛び降りた。
慌てて俺達は後を追うが、ベランダに着いた時にはすでに下を見渡してもその姿はなかった。
17 :1です ◆FMYPc6cKQE :2010/03/09(火) 00:35:47.65 ID:Uckgr.Uo
寝落ちとバイトでいつの間にかこんな時間に…。
お待たせしてすいません。
少しづつ再開します。
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/09(火) 02:26:51.21 ID:Uckgr.Uo
その後、白井と黄泉川先生に連絡し、ホテルのロビーに集まってもらった。
ちなみに、スネークさんはまたコートを羽織っている。

「…要するに、その方は一言貴方に申すためだけに部屋へ来たんですの?」

「あぁ、そうだ。どっからその情報を手に入れたのか結局分からずじまいだった
けどな」

「でも、もしそれが本当だとしたら妹達が一斉にお前に襲い掛かってくることに
なるかもしれないじゃん」

黄泉川先生が口を挟む。
どっからそんな考えが出てきたのか疑いたくなるが、この1週間妹達を含む連中が
一人も攻撃してこなかったことを考えるとそれもありえなくはない。

「そうなると、武器装備がさらに必要になってくるな」

「武器装備って…襲い掛かってくるのが分かってるんだったらアンチスキルに任せる
のが普通じゃん?いくらハンサムなニイチャンだからって、あたし達を出し抜こう
とするのは良くないじゃん」

事情をよく知らない黄泉川先生がスネークさんに噛み付いちまった。
19 : ◆FMYPc6cKQE :2010/03/09(火) 03:42:08.92 ID:Uckgr.Uo
あちゃ〜、あの時の自己紹介でそれほど詳しく話していなかったからなぁ。
一般人と思っていたのに、突然武器がどうのこうのじゃあ怪しいと思っちまうよな。

「まぁまぁ、黄泉川先生。この方は先日支部に来た方で、上条さんの護衛をして
おりますの。アンチスキルは個人だけでなく、この街全体の治安維持が目的ですから
わざわざ頼むこともないかと…」

スネークさんを睨みつける黄泉川先生に、白井が恐る恐るって感じに説明する。

「それとこれとは話が別じゃん!」

だが、黄泉川先生は勢いよく立ち上がって白井に怒鳴りつける。
逆にヒートアップさせちまったみたいだな、こりゃ…。

「上条から前に話聞いて変だなとは思っていたけど、この前の話し合いでそれは
納得出来たじゃん。だけどな、コイツがどういう経験したって言ったってまだ
子供じゃん!それをなんだ…ある組織から守るために用意されたのがこの男一人
だけ?冗談にも程があるじゃん!!」

場所が場所だけに、周りからの視線がこの辺りに集まってしまう。

部屋でやるべきだったか…でもそんなこと言ってらんねぇ。
20 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/03/09(火) 04:03:01.43 ID:Uckgr.Uo
「関係ねぇ…」

「何?」

俺のつぶやきに黄泉川先生の顔がこちらに向く。

「関係ねぇっつってんだろ!!!」

突然の怒号に黄泉川先生はもちろん、他の人たちも思わず驚いていた。

「あぁそうさ!俺はアンタに比べたらまだまだガキだ!!みんなを守りたいとか
言っておきながら、一番身近にいた奴を守れないぐらいバカな奴さ!!!」

「けどな、俺はこうして生きてきてる!!みんなに助けてもらいながらだけど、
俺をつけ狙う奴らからずっと生き延びて来た!!」

「それに、誰かが傷つくとこなんて見たくないんだ!!アンタだって、それが嫌で
アンチスキルになったんじゃねぇのかよ?!」

「ふざけるな!!青二才のお前に何がわかるってんじゃん?!」

「あぁ、分からねぇよ!!!先生に何があったかなんて聞かねぇ!!でも、これだけ
は言わせてもらう!!生半可な理由なんかでアンチスキルに入ったんじゃねぇだろ?!」

黄泉川先生が俯いた。


さて、こっからどうしたものか・・・・・
21 :今回はとりあえずここまでっす ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/03/09(火) 05:21:48.20 ID:Uckgr.Uo
「トウマ。そのくらいにしておけ」

少しの沈黙を破ったのは、それまで目をつぶって黙っていたスネークさんだった。

「お前さんのは説得ってより、説教だな。自分の感情を押し付けてばかりで、
最後に至っては自分の意見を無理矢理貫こうとしている。今までよくそんな感じで
意思が固くなっていた奴らを懐柔させてきたもんだ。下手をすれば逆上して殺され
かねん」

…言われてみれば、そうだった気がする。
異能の力なら何でも打ち消せる幻想殺しなんて『能力』持ってるけど、外に出てみれば
そんなものは存在しないといってもいい。一部を除いたら、皆能力や魔術なんて
使うことはなかったからな。だけど、この右手の力を持ってたことに少し自信過剰
になっていたのかもしれない。だからこそ…俺は…

トラウマにもなっている『あの光景』を思い出し、歯を食いしばる。

「…まぁ、ずっと死と隣り合わせにいたんならもう少し自分の命を大事にしろ。
それをしなかったら、自分はおろか他人を守ることなんてできなくなるぞ」

…何も言い返せなかった。
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/09(火) 08:27:57.07 ID:886WkgDO
ジョン・ドウと設計者の樹計図
シスターズと恐るべき子供達計画
ミサカネットワークとナノマシン通信
美琴とヴォルギン

ここまでは妄想出来た
23 :暇人な1です ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/03/09(火) 10:58:00.08 ID:Uckgr.Uo
>>22
貴方、せっかくだからこの続き、やってみない?wwww


というのは冗談ですが、ものすごく参考になったぜよ(
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/09(火) 16:58:35.37 ID:886WkgDO
>>23
>>22はMGS4の後の世界
流出、一人歩きをする数々の技術
背景には裏で学園都市と手を結ぶ愛国者達
雷電が潜入してクライングウルフのレールガン使用

―――で、書き溜めしたが禁書と電磁はアニメと漫画しか知らんから辞めた
期待しとるぞ>>1
25 : ◆FMYPc6cKQE :2010/03/09(火) 19:22:49.10 ID:Uckgr.Uo
>>24
時代設定が公式でも当てはめられそうだから、その世界も見てみたいもんだ

というか、こっちも「とある」シリーズはアニメ、WebSSと「とあるWiki」しか知らんぞい
この際だから、どこかで書いてみるヨロシ

でも、とりあえず俺の物語を終わらせよう(キリッ

支援(?)thx
26 :再開しまっせ ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 19:30:29.10 ID:Uckgr.Uo
と、その前に付け加え・・・。

>>21

(ラストに下を追加)


「                                       −第7部・完−」
27 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 19:35:16.45 ID:Uckgr.Uo
結局話し合いは今夜、決戦直前にもう一度やることになった。最後があんな調子
だっただけに、ホテルのロビーには気まずい空気が流れているような気がした。

そして、夜。
部屋に集まったのは、俺・スネークさん・白井・固法さん・初春さんとオタコン、
合わせて6人。
黄泉川先生がいないのは、相手が上層部に関係する妹達のためにアンチスキル筋
からの情報漏えいを避けるため。と、白井が話している。

「おそらく戦うことになるのは初春とオタコンを除く4名のみ。相手の人数はこれ
に対して1万人弱…」

「まさに『多勢に無勢』ね」

戦力状況を冷静に分析する白井に対し、ため息でもつくように固法さんが呟いた。

「でも、いくら人数が多いからといっても、女の子二人とも相当強いんだって
カザリから聞いたから対した事はないんじゃないの?」

ネガティブになりかけていた風紀委員達をフォローするオタコン。

つーか、いつの間に初春さんを名前で呼ぶようになったんだ、オタコン…

「オタコンさん、残念ですがそうも行かないんですよ」

だがフォローのきっかけである本人から口出しが入る。

「シスターズ…いえ、スナイパー・ウルフ達には独自のコミュニケーションシステム
が組み込まれているんです。詳しくは分かりませんが、それによってテレパシー
だったり、敵の位置・動き・状態までも瞬時に把握して計算することが出来るんです」

「ブリーフィング知らずとはな。ますます手が重くなってきたな」
28 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 19:38:33.46 ID:Uckgr.Uo
「…あぁそうさ。確かに今の妹達は俺を狙ってきたよ」

いつの間にか俺は、床を見ていた。
いつの間にか俺は、声が出ていた。

「あんたにとっちゃ、あいつらは俺の命を狙う敵だろうな」

怒り。
それを通り越して、自分が吐き出す言葉がおかしく感じてしまう。
ちょうど、錬金術師に右腕を持ってかれた時と同じように。

「上条…君?」

固法さんに呼ばれた気がする。
いつの間にか俺は、足が前に出ていた。

「だがな…。あいつらが俺の仲間だってことは変わらねぇんだよ」

いつの間にか俺は…憧れていたはずの人物に対してこれまでにないくらいに
睨みつけていた。
そして、胸倉を掴んでいた。

しかし、こちらの剣幕に目の前のおっさんは顔色一つ変えることはない。
それどころか、俺を睨み返している。

「言いたいことはそれだけか?」

「なにっ?」

「お前の『説教』はそれでおしまいかと聞いているんだ」
29 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 19:42:46.56 ID:Uckgr.Uo
なんだ…一体何が言いたいんだ?

「俺はあくまで雇われてお前の護衛をしている。お前さんの都合など、こっちには
一切関係ない」

「なっ?!」

冗談だろ?もっと冷静に、臨機応変に対応してくれる人だとばかり思ってたのに
…。
俺の命だけ助けるけど、他の奴はどうでもいいだって言うのか?!

「っざけんじゃねぇ!!何が雇われてだ!!」

これまで以上に、頭がカァ〜っと熱くなってくる。

「自分の任務をやり遂げんのがそんなに重要かよ…俺だけ守られたって、他の奴
が傷つくんだったら…んなもん俺自身が許さねぇ!!!」

「あんたは何か?!自分は殺人鬼って言えちまうくらい、人を傷つけたり、殺す
ことに何も感じねぇのか??!」

一度目線をずらし、呼吸を整える。

「そんな非常識な考え方持ってんだったら…」

「俺が、その思考(げんそう)をぶち」

「甘ったれるのもいい加減にしろ!!!」
30 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 19:44:57.15 ID:Uckgr.Uo
突如響き渡る怒鳴り声。
一瞬誰が言ったのかよく分からなかった。
だが、目の前にいる人物の、息が荒くなっていた。

「俺だってこんな選択はしたくない。だがな!そうしなければ、お前が知ってる
他の連中が余計に巻き込まれるかもしれないんだぞ!!!?」

「っ?!」

それは…俺が一番嫌っていることだ。

「他人を一人一人守ろうなんて考えるのは正義の味方が考えることだ。そんな
考え方を持っていてよく今まで生き残ってたもんだ。…いや、どうせ誰かが
犠牲になっているんだろうな」

…こ、この野郎!!

「…何分かりきったような口叩いてんだ、畜生!!!」

戦時中に失った「アイツ」のことを言われたんじゃあ、もう我慢できねぇ!!!

即座に右ストレートを顔にお見舞いしようとこぶしを振りかぶる。
だが次の瞬間。
何故か俺は天井を見ていた。…いや、正確には倒されたのだ。

「お前さんはまだ若い。熱くなることは一向に構わないが、それで他人に迷惑を
かけてしまうかもしれないということを忘れるな」
31 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 19:48:44.58 ID:Uckgr.Uo
上から見下ろしながら、スネークさんは俺に忠告する。
それが正論ということを分かっているだけに、反論できなかった。

「くそっ!!」

そんな俺に出来ることと言えば、今の部屋から一目散に逃げ出すことくらいだった。
32 :ちょっと風呂入ってきます ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 20:31:09.29 ID:Uckgr.Uo
ホテルの屋上。
今のご時世なかなか屋上に出られる機会がなくなってきてるが、このホテルは
屋上がドームになっているのでほぼ24時間開放されているらしい。それが今の
俺にはすごくありがたかった。
ドームの中は庭園っぽい感じ。中央に噴水があり、それにあわせて歩道が交差
している。噴水近くにあるベンチに腰掛けると、なんだかどっと疲れが出てきた。

ついさっきまでヒートアップしまくってたからなぁ。当たり前か。

「やぁ、ここにいたんだね」

首をゆっくり後ろに曲げると、そこにはオタコンがいた。

「ちょっと話しておきたいことがあってね」

そういうと、彼は俺の右隣に座った。
しばしの沈黙。目の前の噴水の音が静かに流れていた。
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/09(火) 21:23:16.58 ID:2MzU7ewo
まだ、最初の方読んでないけど、頑張れ
34 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 21:57:16.69 ID:Uckgr.Uo
だが、それにも俺は耐え切れなくなり。

「他のみんなはどうしてます?」

「彼女達かい?全員目を丸くしてたよ。よっぽど君のブチ切れる所が珍しいんだね」

「…そうですか」

「あぁ、そうそう。スネークも少し反省しているみたいだ。いくら君から仕掛けてきた
からって、CQCをすることもないだろうに」

アルファベット3文字のような、聞きなれない単語に思わず首をオタコンに向けた。

「シーキューシー?」

「Close Quarters Combat。日本語だと『近距離戦』とか『白兵戦』って感じかな。
誰か一人とケンカした時とかで互いに銃とかの飛び道具を持ってない場合、
殴り合いかナイフで斬りあうでしょ?スネークは世界の武術をCQCに応用してて、
これがなかなか強いんだ。たぶん、彼が倒された所を僕は見たことないかも」

ケンカで負けなし、か。



>>33

今数えてみたら、過去ログ入りと合わせて200レス近くなってるから
ゆっくり気ままに、でおkです
35 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/09(火) 21:59:09.02 ID:Uckgr.Uo
「昔の俺とちょっと似てますね」

「んっ?どういうことだい?」

CQCについて力説していたオタコンは、こっちに目を向けた。

「少し前にこの学園都市を出るまで、俺はここに在籍する単なるダメ学生でした。
おまけに、何かある度に因縁やら事故やらに巻き込まれて…ホント、『不幸だぁ』
ってのが口癖になってたんです」

「その時に、部屋にいた白井とかに出会って…その間にもいろいろあって。でも、
気がついたらここの上層部から海外旅行のプレゼントがあったんです」

「へぇ〜、政府からのサプライズねぇ…。で、どこに行ったんだい?」

それから30分。いや、それ以上の時間が俺の思い出話によって埋まっていった。
まぁ、旅行というには全然楽しくなんかなかったけど。

…この際なので、御坂の話もした。
36 :晩飯食ってきます ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/09(火) 22:00:01.67 ID:Uckgr.Uo
すると、オタコンは納得したような表情をする。

「あの…どうかしたんですか?」

「いや。スネークと君ってホントに似てるんだなぁって思ってさ」

「えっ、どういうことですか?」

その一言から始まったオタコンとスネークさんの昔話に、俺はさっきまでの行動を
ひどく後悔した。
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/09(火) 22:05:18.26 ID:886WkgDO
>>25
今無支援で投下しとる奴終わるまでに考えとく
38 :ただいまです ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/09(火) 23:21:48.79 ID:Uckgr.Uo
今から1年ほど前。
北アメリカの北西にあるアラスカという地域にあるシャドー・モセス島にて
「FOXHOUND」という特殊部隊によるテロが発生。その島にあった兵器「メタルギア」
と呼ばれる物を奪われ、下手をすれば核攻撃が行われるという事態になった。この
事件に関わっていたのが、今目の前にいるオタコンと事件を無事解決させたスネーク
さんだった。
結論を言うと、テロ集団が欲しがってたメタルギアは破壊され、設計図などの情報も
全て捨てたという。だが、その代償としてこの事件で知り合った女性の命を
失ってしまったそうだ。本人からは詳しく聞いていないが、オタコンが見た感じ
その人の死はスネークさんにとって相当ショックなものだったらしい。

同じだ。俺が御坂を死なせてしまったように、スネークさんも大事な人を失った
ことがあったのだ。そんなことも知らず、俺はなんてことをぶちまけてしまった
んだ…。知ったような口を、とかほざいてたけど、その辛さが分かるからこそ、
ああいう風に言ってくれていたのに。

「そうそう。スネークはこんなことを言ってたよ。

『人を殺してショックを受けないのは、異常者だけだ。
罪悪感のない殺人は新たな殺戮を生む。』

って。彼は決して殺人鬼なんかじゃない。兵士としてしか生きていけない
悲しい男なんだよ」

さっきの自分の暴走ぶりに腹が立ってくる。
結局俺は独りよがりで、自分の主張しか通そうとしない奴なのか。今までの俺の
行いが次々に思い出され、俺自身に嫌気がさしてきた。

「だからこそ、そんな境遇になるのは自分だけでいい。次の世代、つまりトウマ
達にそうさせないように彼は頑張っているってわけさ」

「…素直に謝って、許してくれますかね…?」

だめもとで聞いてみる。
すると、オタコンは初めびっくりしていたものの、すぐに笑顔になった。

「今君が考えたことをきちんと言えば、大丈夫。なんたって彼は、柔軟な発想の
持ち主なんだから」

その一言で、いくらか…いや、かなり気分が晴れた気がした。
39 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/11(木) 02:45:08.68 ID:PzZXeQAo
あの後速攻で寝落ちしてしまいました、申し訳ないです。

合宿で余った酒を飲んじまったのがいけなかったな・・・orz
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/11(木) 08:39:36.46 ID:RTazEeYo
誰かログ持ってない?
これ1から読みたい…
41 :ちょっとだけ追加 ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 00:55:09.77 ID:wESHvdYo
「これで、カミやんも大人への第一歩が踏み出せたかにゃ〜?」
「土御門…」

いつも通りだが、コイツはホント、どっからともなく現れてくる。

「…で、今夜の作戦のことだが。 一応ねーちん達に連絡はした。ただ、野暮用
で時間には間に合わないかもしれんそうだ」

野暮用…。
それが一体なんなのか、とここで聞いたらそれこそ野暮なもんだろう。

「まぁ、オッサンの言うとおり武器は一応仕入れることはできたぜぃ」
「ホント、ツチミカドの後ろに誰がいるんだか気になってくるね」
「それを聞いちゃいけないぜぃ、オタコン」

こいつはいつだってこんな調子。でも、今はそれが羨ましく見える。

「さて、カミやん。『善は急げ』って聞いたことあるよな?」
「…自分が良いと思ったら即行動しろ、だったっけ?」
「そう。ってなわけで、その舞台、セッティングしておいたにゃ〜」

そう言って、土御門は俺達の後ろ、入り口のほうに目を向けた。それに合わせて
振り向いてみると、ここへ入ってきた時の自動ドアの前に、さっき部屋にいた
みんながいた。もちろん、スネークさんも。
42 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 01:04:37.53 ID:wESHvdYo
>>40

>>1をよく見て、『2ch 過去ログ』とググれば良い子とあるかも
43 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 05:02:21.48 ID:wESHvdYo
「土御門、お前…」
「カミやん達に声をかける前に伝えておいたんだぜぃ。
作戦の最終確認もかねて、にゃ」

そう言うと、いつも通りのしてやったりといった感じに笑う。全くコイツには
かなわねぇな。

「トウマ」
「は、はいっ!!なんでしょう?」

先ほど怒らせてしまった人からの声に、思わず立ち上がってしまう。

「そう固くなるな。……さっきは悪かった」
「そ、そんなっ!スネークさんの言ってたことは正しいし、俺がムキに
なっちまったのがいけなかっただけで…」
「まぁそう自分を責めるな。確かにお前さんはムキになったが、それは俺にも
いえる。お互い様って奴だ」

そういうものだろうか…。

「それに、クローンって言葉にはどうしても過敏に反応してしまう。
それがいけなかったのかもしれないな」

クローン…。そうか、妹達は元々御坂の…。でも、どうしてだ?

「とにかく、作戦前に仲間割れなんてしてる場合じゃなかった。だから、
これだけは言わせてくれ。すまなかった」

スネークさんはそのまま頭を下げた。…こんな俺に対して。
44 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 05:11:58.44 ID:wESHvdYo
つられて俺も、勢いよく頭を下げる。

「スネークさんにあった事を知りもしないで、分かりきったような感じで
ぶちまけちまって…。ホントにすいませんでした!!」
「いや、俺の方こそ・・・」
「はいはいそこまで。おっさんもカミやんも、これ以上謝ってばっかじゃ
無限ループもいいところぜよ」
「ははっ、ツチミカドの言うとおりだね。…えっと、こういうのを
なんて言ったっけ?『献花良性ばい』だったかな?」
「オタコン、それは『喧嘩両成敗』ぜよ…」

オタコンと土御門の即席漫才に雰囲気が少し軽くなった気がした。

「まぁ、これから命を懸けて戦うんだ。背中を任せるぜ、相棒」
「こっちこそよろしくお願いします、スネークさん」

スネークさんと堅く握手する。

『御坂美琴』(ディープスロート)が漏らした、敵の作戦決行まで
残り2時間を切っていた。
45 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 05:14:14.68 ID:wESHvdYo
同じ日の、午後11時半頃。
俺達は学園都市内唯一の貨物倉庫にいた。そう、妹達の命を救った場所。
相手側からの場所の指定がないため、大規模な戦闘でも被害が少ないように
ということでたまたまここに決まったんだが…やれやれ、皮肉だよな。
あいつらを助けたこの場所で、今度はあいつらと戦わなくちゃならねぇんだから。

『みんな。通信機の感度はどうかな?』
「あぁ、良好だ」

俺とスネークさん、それに白井と固法さんはオタコンが用意したイヤホン型の
通信機をつけている。なんでも普通のものと違って、周りの雑音に邪魔されずに
はっきりと聞き取ることが出来るらしい。

『よし、僕はカザリと周辺のチェックをしているんだけど…今のところ動きは
ないようだね』
「しかし、レーダーも使わずにどうやって連中の位置を把握するんだ?」
『それについては、私が説明します』

通信に、初春さんが割って入ってきた。
計画通り、今この場にいる4人が前線に、あとの2人はあの支部でサポートを
している。ちなみに土御門は「他にやることがあるから、
ちょっと抜けてくにゃ〜」と言って、屋上で姿を消した。
46 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 05:15:16.13 ID:wESHvdYo
『狙撃人狼には「欠陥電気」という能力があり、AIM拡散力場によって
ほんの微量ですが電流と磁場を放出しているんです。それを利用して、ここで
彼女達の位置を把握できるように検出器を設置しました』
「なるほど、すでにレーダーは用意してあったってことか」
『そうだね。でも短時間にここにある物だけで作ったから、あまり期待はできない。
そうだなぁ…反応があった地点から大体半径1キロの誤差が生じるね』
「なんとも言えない誤差ね」

…AIM拡散力場、か。仕組みは全く分からねぇが、風斬の事もあったから
そういう物があることだけは納得できる。

「で、今はどうなってるんですの?」
『えっと、まだ反応は…あっ!」
「どうした?!」
『スネーク!!君達のいる所からや…キロ…』

突然通信に砂嵐が鳴り出す。

「どうしたんですの?!!初春!オタコン!!」

白井が必死に連絡を取ろうとするが、向こうからは全く声が届いてこない。
一体これはどういうことだ?

「無駄です。骨伝導を利用した通信機といえども、電波妨害をされては使い物に
なりませんもの」
47 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 05:17:39.57 ID:wESHvdYo
俺達の後ろから聞こえてきた、聞きなれない声。
その方向へ4人同時に目を向ける。

そこにいたのは、一人の女性。肩の後ろまで伸びた黒い髪で、
ベージュ色のダウンコートを着てる。それ以外は、ライトの逆光のせいでよく
見えない。
ここに来るくらいだから俺達とこれからやりあうつもりなんだろうけど・・・

「えぇ、そうですね。この格好は戦闘では不向きですものね」

なんだ?…今俺、独り言でも言っていたのか?

「ふふっ、そんなことありませんわ。貴方はきちんと口を閉じてましたよ」

また…それに口を閉じてたのは俺も分かってる。じゃあ…一体?

「そこの貴方。初対面の相手とは、まず自己紹介が第一にすべきかと思いますが?」

後ろから、白井の声が聞こえる。その声には、声をかけた相手に対する警戒心が
はっきりと取れた。
48 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 05:18:17.66 ID:wESHvdYo
「そうね、ごめんなさい。自己紹介なんてする機会があまりなかったから、ついね」

対する相手の口調には、警戒なんて一切ない。むしろ、余裕があるようだ。

「私には…もう自分の名前なんてないような物…
でも、みんなからはこう呼ばれてるわ」

名前がない…いったいどういうことだ?

「私の異名は『心理掌握(メンタルアウト)』。よろしくね、上条当麻君」


                           −第8部・完−
49 : ◆FMYPc6cKQE :2010/03/12(金) 05:22:14.10 ID:wESHvdYo
一旦ここで休憩入れます。・・・寝落ち的な意味も含めて(

さて、原作にもあまり描かれていないらしい心理掌握をどう描くか・・・
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/12(金) 07:43:41.95 ID:CKnXTgDO
早くもマンティス登場かと思った
51 :ちょっと再開 ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 14:53:08.03 ID:wESHvdYo
「心理掌握ですって?!」

目の前の女から出た言葉に、固法さんがたじろぐ。

「心理掌握と言えば、学園都市のトップ・7人のレベル5の中の第5位。お姉さま
には負けておりますが、相当の実力ですわ」
「えぇ、確かに御坂さんに負けては『いました』よ」

白井の説明に、心理掌握からのわざとらしい訂正。

…ダメだ、あの微笑みが妙にムカついてくる。

「ふふっ。『元』3位の人を踏みにじられるのが嫌なようですね」
「こ、コイツっ?!」
「待て、トウマ!!挑発に乗るんじゃない!!!」

拳を握り締め女に突進しようとした時、スネークさんに止められる。

「心理学的な部分に長けているんだ。うかつに動いたら相手の思う壺だぞ」

的確なアドバイスに、歯を食いしばりつつ腕から力を抜く。

「私の能力をもう見極めるなんて…なかなかですね、スネークさん」
「……聞かせてもらうがむせ」
「どうやって無線を封じたのか、どうやってここにいると分かったのか。そして、
なぜ私がここにいるのか。ですね?」

またか…。
どうやら話した奴の心を読めるみたいだな。


>>50

ある意味合ってるかもシレンネ
52 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/12(金) 14:53:58.44 ID:wESHvdYo
「無線封鎖は妹達…いえ、狙撃人狼の方々に協力してもらってこの一帯に電磁波
をかけてもらってます。場所が分かったのは…勘ですね」

心を読める奴が勘、とはね…。これだけバレバレなウソを普通につかれたのは
初めてだな。

「それと、ここにいる理由でしたね…それは」

心理掌握の口が止まると、周りに隠れていた妹達が姿を現す。

それまで笑顔を浮かべていた彼女の表情が…ガラッと変わった。

「上条当麻。アンタを抹殺するためだよ」

な、なんだっ?!
表情どころか、口調も雰囲気もまるで別人だぞっ?!
どうなってやがる?!

「ハッハッハ!教えてやるよ、アタシの力を!!」

その瞬間、心理掌握が姿を消した。

「何?!消えた?!」
「どこを見ているんですか?私はここですよ」

とても敵とは思えないほど優しく聞こえる声が俺の後ろから聞こえる。
その方向へ体を反転させ…ようとしたのだが。
後ろからの風。その次に、同じ方向から聞こえてくる風を切る音。その直後、
俺の左頬から生温い液体が流れ始めた。

何かに切られた?でも、一体誰が…?

そう思いつつも、条件反射で自分の体を右に傾ける。すると、後ろから俺を切ろう
とした人物が現れる。だが、予想外の人だった。
53 :今回はここまで ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/12(金) 15:54:44.21 ID:wESHvdYo
「固法先輩っ?!!」

白井が俺と同じように、驚きを隠せていない声を上げる。
慌てて受身を取ろうとしたが、タイミングが遅れ右肩からモロに倒れこんじまった。

コンクリートにぶつけられた肩がものすごく痛い。だが、今はそんなちっぽけな
悲鳴なんか上げられねぇ。

だが、俺が倒れこんだ直後。俺に向かって一直線に突っ込んできた固法先輩が
突如方向を変えてまたも切りかかろうとしてきた。
その手には、一体どうやって手に入れたかは分からないが、とても女性が持つに
は大きすぎるサイズのサバイバルナイフ。

くそっ、立ち上がろうにも右腕が痺れて動けねぇ!!!

「これで・・・さよならよ…」

固法さんからこぼれたのは、信じられない別れの言葉。
どういうこった?なんで固法さんが?

「くそっ」

これで俺の人生おしまいっていうのかよ…。

覚悟を決め、来るであろう痛みに耐えるために俺は目をつぶり、歯を食いしばった。
54 :キリが良い所まで続行 ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/12(金) 17:02:39.95 ID:wESHvdYo
と、その時…。

『ス…ク。トウマ、聞こえるかい?!聞こえたら応答してくれ!!』
「オタコン?!」

やった。通信が出来るようになった!!これでいくらかは…

「あら、通信が出来るようになったみたいですね。でも、それがどういう意味か
お分かりですよね?」

…これも相手の作戦のうちってわけか。
55 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/12(金) 17:04:14.87 ID:wESHvdYo
直後、足元に数回何かが跳ねるような音がした。
見ると、地面に一部穴が出来ている。

「奴らが戻ってきたか!!クロコ、この子を頼む!!」
「分かりましたが、貴方はどうなさいますの?!」
「…用意した甲斐があったってもんだ」

そういうと、スネークさんは肩にかけていたバッグを地面に置く。
中から出てきたのは、茶色のライフル。トリガーがある部分の上に、なにやら
黒い筒がついていた。

「スネークさん…まさか?!」
「こいつはスナイパーライフルの麻酔銃タイプだ。お前さんに説教されて
急遽こっちを用意してもらったんだ。結構貴重だから、ツチミカドの奴ものすごい
ブーイング垂れてたぞ」

スナイパーライフルは大抵黒い物だと、レジスタンスの狙撃兵が言っていたが
こういう物もあるのか・・・。

「とにかく、狙撃屋は俺に任せてお前さん達はあいつを頼む」

そう言って、スネークさんは走り出した。
56 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/12(金) 17:04:48.56 ID:wESHvdYo
「では、固法先輩を安全な所へ」
「ねぇ、私の事忘れないでくれないかな?」

注意を反らしていた心理掌握にもう一度目を向ける。あの豹変から、
ずっと変わらず微笑んでいる。が、その笑顔の裏にものすごく恐ろしいオーラが
あることは見て取れた。

「どうしてみんな、私を無視するの?」
「なにっ?」
「どうしてみんな、私に近づこうとしないの?」

わけも分からないことを言い始めてる。こいつ…一体なんなんだ?

「あぁ、そうか……貴方達もそうやって私の事を怖い人だって思うんだ」
「………」

心理掌握の言っていることが全く分からない。
白井を見てみると、やはり同じようだ。

「そう。そんなに私を化け物扱いするなら…」

突如、自分自身を『化け物』と言った彼女の後ろにあるコンテナが宙に浮き出す。
こ、こいつ・・・心理的な能力しか持っていないんじゃなかったのか?!!
57 : ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/12(金) 17:05:21.97 ID:wESHvdYo
「なってやろうじゃない・・・化け物にでもなんでもなぁ!!!」

そう言い切るや否や、コンテナが俺達に向かって投げ出される。

「ま、まずいっ!」

俺は風紀委員二人を抱え、スネークさんとは反対方向に走り出す。
その直後、コンテナが俺達のいた場所に放り出される。

「くそっ!お前、心理系の能力者じゃなかったのか?!!」
「ククク・・・何を言ってるんだ?」

まただ…心理掌握の様子が一変した。

「アタシについていたあだ名は確かに『心理掌握(メンタルアウト)』。でも、今は
違う」
「ど、どういう事ですの?!」
「アタシはもっとすごい存在になったんだよ。そう、他人の心理を自分のものにする
だけじゃない」

どういう事だ・・・?確か、能力者が持てる能力は1つが限界のはずじゃ・・・

「えぇ、貴方の考えてる事は確かに正しいわ。私は確かに心理掌握。でもね・・・
今のアタシはこう名乗らせてもらうよ」

「「・・・・・・・・・


   『   心      念        制      圧
   (   サ    イ    コ  ・ マ ン テ ィ ス   )』

ってな!!!」」


                           −第9部・完−
58 : ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/12(金) 17:07:58.41 ID:wESHvdYo
とりあえず、今日はこんな所でおしまいです。

「ここ、ワカンネ」 とか 「あれ、ここ○○じゃね?」

ということがあったらどんどん言ってくださいまし。
・・・もういくつか、修正分出したくてたまらないですが(

ではでは
59 :再開 ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/13(土) 04:58:09.24 ID:90Fegjko
「心念制圧・・・?」
「そうよ。今の私はもう心だけしか読めないことはない」
「今の私にはそれに『念動力(テレキネシス)』も使うことができるんですよ」

一旦ぶっきらぼうな感じになったと思ったら、また元の雰囲気に戻っている。
どういうことだ…?

「そんな・・・多重能力は現実では不可能となっているはずですのよ?!」
「それはなまくら科学者が出した迷信にしかない」
「現に、貴方達の目の前にいるじゃない?…『多重能力者(デュアルスキル)』
がさぁ!!」

次の瞬間、周りのコンテナが一斉に宙を舞いだす。

「まずい?!」
「上条さん!固法先輩をこちらに!!」
「分かった!!」

すぐさま固法さんを白井に託し、お互い逆方向へ走り出す。すぐに白井は能力を
使ってどこかに消えてった。その直後、さっきと同じようにコンテナが元いた
場所に落下され、辺りに聞き心地の悪い金属音とほこりが舞う。

「ふんっ…あの女たちには逃げられたか」

コンテナを地面に叩きつけた張本人は、悔しそうに顔を歪める。

「…良いでしょう。元々貴方の抹殺が目的なのですから」

だが俺のほうに振り向いた時の心念制圧の顔は、またも笑みをこぼしていた。
・・・さっきと違い、不気味にも見える微笑で。
60 :再開 ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/13(土) 04:58:57.19 ID:90Fegjko
「へっ、いくら周りの物ぶつけようったってそうは・・・っ?!」

な、なんだっ?!体が…動かねぇ!!!

「うふふっ。私、他人の心を読んだり操ったりできるんですけど、こんな風に
動きを封じ込める事だってできるんですよ?」

なっ?!金縛りまで出来ちまうのかよ!!
ちっ、右腕まで全く動いてくれねぇ!!!

「無駄ですよ。いくら貴方に『幻想殺し』の力があってもその動作を司る神経を
こちらが操ってしまえば動くことはありません」

ゆっくり。だが着実に、目の前にいる得体の知れない死神が近づいてくる。

「うっふふっ。今までのように覚悟を決めることも無理みたいですね。
…大丈夫、すぐに楽になりますよ」

そういうと彼女はコートのポケットから拳銃を取り出し、俺の左目の前に
突きつけた。

くそっ!!動け、動けよチクショウ!!!

「じゃあ、貴方の物語はこれでおしまい。さようなら、上条当麻さん?」

目の前の絶望から逃げたいのに、目をつぶることさえ出来ない。

・・・くそっ!!!
61 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/13(土) 05:00:18.92 ID:90Fegjko
「っ?!」

だが拳銃から弾が飛び出すことはない。それどころか、心念制圧は後方に跳んで
いった。
その直後、心念制圧がいた場所に閃光が走った。そして、金縛りが解け俺は尻餅を
つく。

今の閃光・・・まさか・・・

「やはり現れましたね、裏切り者」

俺の斜め後ろから来た電流。その方向へ首を傾けると、あいつがいた。

「私が裏切ったんじゃない。貴方達が裏切ったのよ」
「ふふっ。ご冗談はよしてください。貴方が私達を裏切った事実は変わりません」

突き出された右手。その周りには、小さいながらも電流がうずめいている。

「そろそろ正体を彼に明かしたらどうですか?」
「…私はもう死んだも同然。誰にも私自身を知らせたくはない」

・・・なんだ?この二人、やっぱり仲間だったのか?

「確認のために聞かせてもらいます。貴方は一体何をしにここへ来たんですか?」

相手の心理を読み取ることが出来るはずなのに、わざわざ確認を取っている。
さっきの様子の変わり具合といい、一体どうなってるんだ?

「貴方を・・・殺す」
62 :とりあえずここまでです ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/13(土) 05:01:08.34 ID:90Fegjko
そういった瞬間、どこからともなく風が吹き出す。
いや違う。周りのちりが彼女の前に集まりだしている。そして集まったチリは、
以前見たような刀へと形を変えた。

「どうしようもありませんね。じゃあこう返すとしましょう」

戦う相手が変わっても、一瞬とも口調や表情を変えずに奴は話す。

「お前に私は倒せない」

だがまた、心念制圧の口調が自信たっぷりなものになる。
その言葉にムカついた、かどうかは分からないがディープスロートは突進をかける。
だがそれを見計らって、心念制圧がまたコンテナを宙に浮かせ、ディープスロート
の前に盾代わりに持っていく。しかし、その盾は刀によっていとも簡単に二つに
割れてしまう。
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/13(土) 10:54:52.91 ID:HZlJwsDO
み、皆!!
メモリーカードを抜くんだ!!
64 :再開、でもちょっとだけ ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/15(月) 01:39:31.96 ID:6EIJj3Qo
割れたコンテナの一方が俺のほうに転がり込んでくる。

「やべっ!!」

俺は咄嗟に左に飛び出す。コンテナが別のコンテナにぶつかり、二つがそれぞれ
嫌な金属音を響かせる。

あ、あぶねぇ…。

と、何かが地面に叩けつけられる音が聞こえる。その方向に振り向いてみると
ディープスロートがうつ伏せになっていた。

「ハッ!お前にどんな能力があろうとこの私に指一本触れることすら
できないんだよ!!」

ディープスロートが持っていたはずの黒い刀はどこかに消えてしまっている。
あんなことを言われたら俺は黙っていられないが、どうしてかディープスロート
はぴくりとも動こうとしない。

これもあいつの能力だっていうのか?
65 : ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/15(月) 01:40:39.66 ID:6EIJj3Qo
「さあて、これでおしまいにするか」

静かにこの決闘の終わりを告げた心念制圧は、ゆっくりと浮き上がった。そして、
ゆっくりと左腕を空に向ける。

「私なんかにケンカを売ったことをあの世で後悔するんだな!!」

心念制圧の言葉と共に、左腕が振り下ろされる。その瞬間、倒れていた
ディープスロートを中心に地面が押し下げられた。それはまるで鉄球をぶつけ
られているかの様だった。

「うっ!!がはっ!!!」

真上からの急激な力に、ディープスロートの悲鳴が上がる。

くそっ、やるしかねぇか!!

俺はひしゃげたコンテナに向かって走り出す。そして足場になりそうなところを
つたって上に上がり、心念制圧に向かって飛び上がった。だが、それを黙って見て
るような奴ではなかった。

「無駄だって言ってることが分からないみたいだな!!」

あと1メートル弱。もう少しで触れられる所まで行ったのに、俺は真下に
落下させられてしまった。
66 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/15(月) 01:44:28.66 ID:6EIJj3Qo

「ぐぁっ!!」

背中から叩き落され、全身が痺れ始める。さらに、真上にいるあいつは
先ほどのディープスロートと同じように右手を振り落とす。すると、急激に俺の
体は想像以上に重くなり、周りの地面がミシミシときしみ始める。錬金術師に
同じような事をやられたことがあったが、その時に比べたら尋常じゃねぇほどだ。
指一本動かすことが出来ねぇ!!

「ほう、この攻撃を生身で受けても気を失わないとはね」

目の前で右手をこちらに向けている心念制圧がとても余裕そうに言ってる。

はっ、こちとらいろんな修羅場を抜けてるもんですからね。生ぬるい体はして
ませんぜ。

「だが、今度は違うぞ!」

また、全身が急激に重くなる。

くそっ、こんな…ところ……で………
67 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/03/15(月) 03:15:56.19 ID:6EIJj3Qo
「…ま……ウマ……トウマ、しっかりしろ!!」

強い声で叫ばれる俺の名前に、ゆっくりと目を開ける。

「気がついたか!何があったか説明してくれ!!」

スネークさんだった。周りには白井、固法さん、土御門、神裂が俺を見ている。
そうか、俺心念制圧に気絶させられて…

「そうだ、あいつは!!!」

俺と同じように倒れているはずのディープスロートを確かめるために体を
起こそうとする。しかし、全身の痛みが襲い動けない。

「じっとしていろ!!その体じゃあしばらく安静にしていた方が良い」

スネークさんに両肩を抱えられ、ゆっくりと俺は横たわる。

「あいつは、ディープスロートは?」
「また現れたんですの?!」

子法さんに肩を貸す白井が首を突っ込む。
俺が起きるちょっと前に目を覚ましたのだろうか、固法さんはひどく疲れた顔を
している。

「いや、俺達が駆けつけた時には誰もいなかったが?」
「そ、そうすか…」

いないという知らせに少々がっかりする。
だが無事かどうかは分からないが、とりあえず生きてはいる。それが分かった
だけでもいい。
68 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/03/15(月) 03:16:42.72 ID:6EIJj3Qo
俺達は一旦、泊まる場所になっているホテルの部屋に集まった。で、ボロボロに
なっている俺はベッドに寝かされ、ここにはスネークさん、オタコン、白井、
土御門、神裂がいる。

「そういえば、土御門達はどうしてここが?」
「あぁ、オタコン達から連絡が来てな。で、飛んできてみれば同じ顔した女の子
がいっぱいいて」
「それで、そこにいる方と協力して退治していました。もっとも、その途中で男
が割って入ってきて全員撤収していきましたけど」
「男・・・?」

俺はここに来てから今まで3回も襲撃されている。1つ目と2つ目は路地裏、
3つ目はこの貨物置場。そして襲ってきたのは妹達と心念制圧と……それまで
見たこともなかった男。

「あぁ。今時珍しくリボルバータイプの拳銃を使ってる奴だったにゃ〜」

リボルバー…あの男もリボルバーを使っていた。もしかしたら…

「土御門」
「んっ、どうしたカミやん?」
「その男って確か髪が白くなかったか?」
「あぁ。確か・・・髪は白くて、M字型に禿げていたにゃ〜。」
「……やっぱりそうか・・・」

ここら辺じゃあまり見かけない白髪に、リボルバー。となると、あいつしかいな
い。
69 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/03/15(月) 03:17:10.26 ID:6EIJj3Qo
「カミやん。その男知ってんのか?」
「あぁ。ここ最近連続で襲撃にあってきたけど、最初に俺が襲ってきたのが
そいつだった」
「そうなると、その男は上条さんがおっしゃっている方と同一人物ということに
なりますわね」

つまり、そいつも『愛国者達』の一員ということになるのか。
んっ?スネークさんとオタコンがなんか相談してるぞ?

「どうしたんだおっさん達?二人してこそこそと相談なんかして」

俺のように気づいた土御門が声をかける。

「あぁ、実はその男……少々覚えがあってね」

苦笑いを浮かべながらオタコンが答える。

「ご存知なんですか?」
70 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/15(月) 03:17:57.77 ID:6EIJj3Qo
「うん。そいつもシャドー・モセス事件で会った事があるんだ。そいつの名前は
リボルバー・オセロット。みんなが言ってる男と同じように、
そいつもリボルバーの使い手だ」
「リボルバー……オセロット……ってことは!!」
「あぁ、そうだ。俺達が追っている連中と、トウマを狙ってる連中。二つが同じ
組織ということになる」

『愛国者達』…奴らは武器の生産企業だって聞いてはいたが、それどころか戦争
を起こそうとまで考えてたってことか。
ちくしょう、これじゃあ俺がやってきたことを真っ向から否定されているみたい
じゃねぇか。

「それに、スナイパー・ウルフにさっき言ってたサイコ・マンティス。そいつら
の名前もあの事件で出てきている」

愛国者達のつながりを確定させたスネークさんが付け加える。
71 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/15(月) 03:18:27.38 ID:6EIJj3Qo
「…つまり、一連の事件は過去の物の真似事、というわけですのね?」
「そうだ。そうなれば、オタコンがここに招かれた理由も分かってくる」

……確か、オタコンは学園都市の上層部が招待してきたと言ってた。過去の事件、
シャドー・モセス事件のように今この時が動かされているとしたら。あの事件の
目的は確か…

「シャドー・モセス事件が起こった原因は、メタルギアの存在。それに一番
関わってた僕がここに呼ばれたのだとしたら…メタルギアは完成しているか、そ
れに近い状態になってることになる」
「しかし、そのメタルギアという物に学園都市がどうしてそこまでこだわるので
しょう…?」

白井が疑問に思うのも分かる。ここは言ってしまえば人間兵器の工場になっても
おかしくない。ここにいる人の半数以上が能力者で、レベルが高い連中はその気
になれば人を殺すことだってできる。目の前で俯いて考え込んでいる白井でさえ
もだ。

「白井の言うとおりだ。言っちゃ悪いけど、ここは戦争を起こすことだって
できる奴がわんさかいる。それなのに、なんだってそのメタルギアってのに執着
するんだ?」

俺自身が疑問に思っていたことを、事件の関係者である二人にぶつけてみた。

「……お前さんたちには説明してなかったことがあるな」
72 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/15(月) 03:19:20.70 ID:6EIJj3Qo
窓際の壁に寄りかかっていたスネークさんが体を起こして、こちらにやってきた。

「話していない、こと…?」
「なんだおっさん。隠し事とはちぃ〜とばかしずるいんじゃないかにゃ〜?」

土御門がいつものようにふざけた感じ……のようなそれでいていつもより声の
トーンが低い感じでスネークさんに首を突っ込む。

「あぁ、すまない。これを話すには少し長くなってしまうから、話そうか迷って
いたんだ」

とうのスネークさんは気にしていないみたいだが。

「メタルギア…それを一言で言うなら二足歩行が出来る、核専用戦車。つまり、
こいつを手にすればいつでも、どこからでも核ミサイルを発射させることが出来
る」
「核…搭載戦車…ですって?」

核に、戦車。ここではあまり馴染みのない言葉だったんだろうか、白井が目を見開
いている。

「なぜ学園都市がその様なものを?!ここでは、この日本では『非核三原則』と
いう物がありますのよ?!!」

白井らしくない、とても焦っているような態度。それだけ日本、特に学園都市に
は核なんて言葉は聞くこともない、ということか。
73 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/15(月) 03:21:03.47 ID:6EIJj3Qo
「しかし現状、大国の軍人さんはこの国に『原子力』っつー物を日本によこして
る。言葉は違っても、物自体は全然違ってないぜよ」
「で、ですが!!」
「お、落ち着け白井!そのメタルギアって兵器が本当にあったとしても、それを
使ってないとしたらまだ完成していないかもしれない。…それに、核を発射させ
るのだってそれ相当の設備が必要だろ」

俺の言葉に、白井はゆっくりと座っていた椅子に腰を下ろす。その顔は、あまり
納得できていないみたいだが。

「うん、トウマの言うとおりだ。でも、君達と連絡が取れなくなったのは、
電磁波による電波妨害だってことは知ってるよね。それとカザリから聞いた
んだが、この街には『超電磁砲(レールガン)』と呼ばれる人がいるらしい。
……僕があれの設計に携わっていたことがあるから知ってるんだが、あの
メタルギアにもレールガンが使われているんだ」
「「な、なんだって(ですって)?!」」

俺と白井が同時に声を上げる。

レールガンと呼ばれる人……あいつはとっくに……。
だけど、この一連の襲撃で俺を救ってきた奴はあいつに似ている。だが、本人は
御坂美琴じゃないって言ってた。じゃあ一体…
74 :今回はここまで ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/03/15(月) 04:37:56.89 ID:6EIJj3Qo
「なるほど、妹達を利用してレールガンを完成させようとしているってわけ
だにゃ〜」

土御門の説明はあっているようにも思える。一方通行の事件で見たあの紙には

『超電磁砲6人分の能力は、欠陥電気2万人分のそれと一致する』

と書いてあった。単純計算で、御坂の能力は御坂妹達3千から4千人ということ
になる。でも、俺を何度も助けてくれたディープ・スロートの存在はどうなる?
あいつもレベル5級の能力者だって話だから、あいつ自身を利用すれば……でも、
こちらに情報を流してくれたことからして、元々は属していたけど、ってことか。
心念制圧も奴を裏切り者と言っていたし……

「…上条さん?聞こえてますの?」
「えっ?!あぁ、ごめん。考え事してた」
「……ディープスロートと呼ばれる方についてですわね?」

……思ってたことが口に出ちまってたのか……?なんか最近多い気がする…。

「確かに、最近の電磁波事件の動きから見てディープスロートがレベル5である
ことには間違いありません。ですが、その方と『愛国者達』の関係はまだこちら
でも把握できておりませんのよ?」
「だけど!心念制圧はそいつのことを『裏切り者』って言ってたんだぞ!!それ
を聞いたらどう考えたって関係してるとしか思えねぇだろ!!」

つい口調が怒りっぽくなっちまった。それを見た白井が、心底呆れたようにため
息を吐く。

「……上条さん。いくらその方がお姉さまに似ているかと思っておられても、貴
方がいつもおっしゃられる様にそれは幻想の他ありませんわ。今はそれよりも、
『愛国者達』の情報を少しでも多く手に入れることが先決ですわ」
「うん、クロコの言うとおりだ。情報関係だったら僕やカザリに任せてくれ」

そう言ってオタコンは自分の左手を胸に当てた。

事件や『裏切り者』の正体とかが気になり、静かに見守るなんて少し嫌になって
くるが、ここはそうするしかなさそうだな…。
75 :再開 ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/15(月) 10:12:05.28 ID:6EIJj3Qo
2日後。オタコンからすぐに来てくれという知らせが届き、すぐに第一七七支部
に向かった。どうやら、『愛国者達』のメンバーについていろいろと分かったら
しい。

「今回学園都市の書庫などを検索したところ、いわゆる『愛国者達』のメンバー
について様々な情報を得られました」

会議は、初春さんの声から始まった。

「まず、2日前に初めて現れた『心念制圧』についてです。彼女はこの学園都市
で『心理掌握(メンタルアウト)』と呼ばれるレベル5の第5位で、呼び名の通
り心理系の能力者です」
「ですが、先日私と上条さんはは彼女と直接戦いましたけれども、彼女は他人の
心の読み取りや操作だけでなく、心理系の能力だけでは出来ないはずの『念動力
(テレキネシス)』までも使用してきました。彼女の周りのコンテナを道具など
一切使わずに浮き上がらせたり、放り投げるなどの攻撃をしてきたことから、あ
くまで推測ですが2種類の能力を使い分けることができると思われます」

実際に心念制圧の力を目の当たりにしてきた白井が付け加える。

「ですが、学園都市の関係者ならばご存知の通りいわゆる『多重能力者
(デュアルスキル)』は現在の研究では実現はほぼ不可能という結論が出されて
います」

そう、1人の能力者が持てる能力は1つが限界。それ以上の能力を利用しようと
すると使用者の脳が能力の演算に耐え切れなくなって破壊されてしまう。そんな
話だった気がする。
76 :ちょっと神経系の病名入ります ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/15(月) 10:13:11.93 ID:6EIJj3Qo
「そこで、俺自身の想像ですが、心念制圧の中に2人以上の人格が存在する
のではないでしょうか?」
「それは、一体どういうことですの?」
「白井。心理掌握は時々話し方に違和感がなかったか?」

俺の問いかけに、白井が左手の人差し指をあごに当てた。

「…確か……最初はおしとやかな方に思えましたが時々荒っぽい話し方をされて
いたような気がします」
「そう。それに、直接相手したから分かるんだけど、彼女自身が持つ2つの能力
を同時に使ってこなかった。俺には心を読み取ってきたり、金縛りをしてきたり、
コンテナを念力で投げつけてきたりしてきたけど、攻撃の一つ一つに違和感を
感じたんだ」
「違和感、ですの?」
「あぁ。例えば俺を金縛りにしてきた時、念力で俺を吹っ飛ばすなりすることが
できたはずなのに、彼女は俺に向けて銃を向けてきた。それに、途中で介入して
きたディープスロートに対しては心を読み取ろうとしなかった」

俺の見てきた情報を聞いて、白井はさっきのように考え込み始めた。

「…それってつまり、サイコ・マンティスは能力ではなく『人格』を使い分けて
るってことかな?」
「それはまだ分からないけど、そうかもしれない」
「……解離性同一性障害の可能性が高いかもね」
77 : ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/15(月) 10:14:20.01 ID:6EIJj3Qo
初春さんの隣に座っているオタコンは、聞き慣れない言葉を口にした。

「…かいりせい、なんだって?」

なんかの病気、のような気もするがイマイチ聞き取れなかったのでもう一度聞き
してみる。

「解離性、同一性障害。トラウマとか精神的に攻撃を受けてなる神経症の一つだ。
僕は精神科医じゃないからあくまでネットから仕入れた情報なんだけど、虐待や
大切な人の死とかで精神的に重い出来事を体験した結果、それがトラウマとなり
それによるストレスから逃れようとする。その時に本来の性格とは全く違う人格
が形成されるらしいんだ」

自分自身とは別の人格……。そう考えると、心理掌握の言動がまるで2人と話し
ているような気分になったのが納得できる。

「そういえば、彼女は『どうしてみんな、私から逃げるの』という風に漏らして
いました。過去に何かトラブルが起こったことを考えると、その線は可能性が出
てきますわね」

逃げる…。つまり、彼女はずっと孤独だったということなのかもしれない。そう
考えると……なんともやり切れなくなっちまう。

「私達も、解離性同一性障害についてもう少し詳しく調べてみます。ですので、
今は彼女については結論を急ぐことはないと思います」

初春さんが重くなっていた雰囲気を変えようと一声かける。それを見た白井は、
何とも言えなさそうに苦笑いをしている。
78 : ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/03/15(月) 10:15:09.03 ID:6EIJj3Qo
「次に、狙撃人狼達の後に現れた男についてですが」
「それについては、俺から話したほうが良さそうだな」

そう言って、前と同じように黒色のコートを身にまとったスネークさんが立ち
上がった。

「ここにいる奴のほとんどは昨日話したから分かると思うが、俺がスナイパー・
ウルフとの狙撃戦をしていた時にツチミカド達と同時に奴が現れた。奴の名前は
『リボルバー・オセロット(回転銃猫)』。シャドー・モセス事件で戦い、今も
生きている敵だ。あいつはリボルバーという銃弾が外にむき出しになっている、
今じゃああまり見かけない銃に愛着を持ってるらしく、最初に奴と戦った時はま
るで西部劇にでもいるかのようだった」

西部劇にいるようなガンマン……そんな奴が戦争にいたとは。。。

「……一旦話を戻そう。あの貨物置場で現れたオセロットは、高らかに自分の
存在を俺達に見せ付けてきたが、どういうわけか全く攻撃してこなかった。それ
どころか、その時まで飛び交っていた銃撃も奴の一声で止み、さらにウルフ全員
が一斉に撤退していった」
「その時にそのガンマン気取りのおっさんが言ってたのが『情報収集はこれで
十分だ』だったぜよ」

情報収集…?やっぱり狙撃人狼が何かの計画のために利用されているのは確かだ
けど……一体何のために?
79 : ◆FMYPc6cKQE :2010/03/15(月) 10:18:38.69 ID:6EIJj3Qo
1箇所補足。
>>77に出てきた解離性〜ですが、ソースがWikiです。
間違ってたらスマソ

それにしても、自分のネーミングセンスのなさにワロタ
もうちょっとマシな物にしたいところなんだが…
いっそのこと安価でも出してみようか。。。
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/15(月) 20:53:49.25 ID:okiHHgDO
安価しても常に張り付いてる俺位しかレスしないと思う
かと言って『誰か居る』発言はシケる
頑張って考えなさい






マジレススマソ
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/16(火) 04:54:56.58 ID:3iBEUjE0
age
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/16(火) 07:20:26.26 ID:PFgMXIDO
sage
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/20(土) 21:45:36.31 ID:aG8Z2wDO
まーだー?
84 : ◆FMYPc6cKQE :2010/03/20(土) 22:37:21.61 ID:Tw.XAxAo
待たせ(ry

とりあえず、また区切りのいいとこまで投下するぞい
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/20(土) 22:41:25.16 ID:Tw.XAxAo
一個修正。

>情報収集…?やっぱり狙撃人狼が何かの計画のために利用されているのは確かだ
けど……一体何のために?

↓↓

「情報収集…?一体何のために?」
「さあな。それはこれから俺やオタコン達が調べ」
「あの、それについて気になる情報を手に入れたんですが…」

急に割り込んできた初春さん。その手には、見たところ10枚以上はありそうな
紙束がある。
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/20(土) 22:42:45.66 ID:Tw.XAxAo
「気になる情報?」
「はい、まだその他に証拠が見つかってないので噂程度にしか信じられないと思
いますが…」
「どんな情報でもまずは知ることが第一ですの。初春、聞かせてちょうだい」
「分かりました…」

白井の促しから始まった、初春さんが手に入れた『噂』。それは、学園都市…い
や、下手をすれば世界中を巻きこんぢまうような恐ろしい話だった。

スネークさん達が度々口にしていた『メタルギア』。俺はそれが兵器、というこ
とくらいしか聞いていなかった。それが初春さんによれば、ひょっとするとこの
学園都市で製作されているのではないかということだった。その計画の名は…
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/20(土) 22:48:41.67 ID:Tw.XAxAo
「『核載戦士量産計画(メタルギアプロダクトシフト)』…」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。メタルギアはあの事件で破壊したし、設計情報と
かは全て僕達が消し去ったはずじゃ…」
「だが、メタルギアなんて言葉がシャドー・モセス島から遠く離れた日本に偶然
聞けるはずがない。おそらく、どこかの誰かが情報を流したんだろう」
「…もし、仮にそうだとしてもその『シスターズ』とやらに情報を集めさせる意
味がわか」
「その件についても、この計画の内容に書かれています。…『「核載戦士(メタ
ルギア)」を作成する上で重要なのは、核弾頭をあらゆる場所に発射させること
が出来る兵器…超電磁砲が必要だ』と」
「っ?!超電磁砲だって?!」

『超電磁砲(レールガン)』。それはかつて、妹達に対するオリジナルの御坂が
呼ばれていた異名。確か、高圧電流を流すことによってできる力を使い、物体を
高速で発射させることが出来る兵器……だと聞いたことがある。俺があいつに
何度も追いかけまわされていた時にもそれを見たことがあるから、ウソだとかは
思わない。
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/20(土) 22:50:49.24 ID:Tw.XAxAo
ごめん、>>87に訂正

>「『核載戦士量産計画(メタルギアプロダクトシフト)』…」



「『核載戦士量産計画(メタルギアプロダクトシフト)』…」

初春さんの口から出た、まるでゲームに出てきそうな名前の言葉。全然ピンと来
ねぇけど、なんかヤバそうってのはわかる。学園都市が隠し通してやってること
だからな。

少しの沈黙の後、顔が真っ青になっていたオタコンが突然立ち上がった。


89 :87より :2010/03/20(土) 22:54:22.93 ID:Tw.XAxAo
「その超電磁砲を完成させるために必要な電力が、妹達にあるかどうかを確かめ
たい。というわけだにゃ〜?」
「そう、この計画書には書いてありました」

妹達は御坂の代わり。一人一人の能力はあいつとはかなり劣ってるが、それが集
まったらどうなるか。…こういうことか。

「ふむぅ、まずは妹達の行動をこちらでも把握しないことには…」

結論付けようとする白井の言葉をさえぎって、部屋中に響き渡る警告音。初春さ
んはそれを聞いて、すぐさまダンボール箱向こうのPCへと向かっていった。
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/20(土) 22:57:51.67 ID:Tw.XAxAo
「な、なんだ?!どうしたんだ?!!」
「この警告音、確か担当する区域で何か異常が見つかったらパソコンから知らせ
てくれる奴だ。この前の事件で、無線が通じなくなってから鳴りっぱなしだった
からよく覚えてるよ」

オタコン、解説してくれるのはありがたいがのん気にしていてよくないと思うのは
上条さんだけでせうか…?

「白井さん、セブンスミスト付近で電磁波を感知しました!能力レベル5級の物
です!!」
「レベル5…電磁波事件と一致します!!これから後輩と向かいますわ!!行き
ますの!!!」
「は、はい!」

事件発生の知らせ、それも俺達も一番気にかかっている奴が関係しているかもし
れないと知ってか、白井と、以前俺を案内してくれた後輩風紀委員は能力を使って
消えていった。
91 :87より [sage]:2010/03/20(土) 22:59:26.30 ID:Tw.XAxAo
それからというもの、俺はこの第一七七支部で暇を持て余している。事件の一報
を聞いて俺もそこに向かおうとしたのだが、オタコンや土御門に「疫病神は留守
番するのが一番良い」と言われちまい、しかたなくここで待機しているのだ。

にしても、なんか起こってるのに動かないでいるのはホントに辛いもんだ…。
やることもないし、ソファに寝っ転がっていよう。

と、全く意味のない事をひたすらやり続けること3時間。出動していた白井達が
戻ってきた。

「お疲れ様です、白井さん。で、状況は?」
「それが…」

浮かない顔をしている。一体どうしたんだ?

「どうしたんだ?」
「……なかったんですの」
「…何が?」

ぼそぼそと少し周りがうるさかったら聞き取れなかったような声。顔も俯きつつ
ある。何かあったことは確かだけど、一体何が「なかった」んだ?

「…クロコ。今コーヒー入れるから、そこに座っててよ」
「申し訳ありませんの、オタコン」

と、それまで口を閉じていたオタコンが白井に対してねぎらいの言葉をかける。
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/20(土) 23:01:26.74 ID:Tw.XAxAo
しかし、これじゃあ向こうで何があったか聞きようが……

「って、お前がいるじゃないか」
「はい?」

すっかり忘れてた。白井ばっかりに気が向いていたせいで彼の、『新米』風紀委
員君の存在をすっかり忘れていた。

「先輩があんな状態だし、お前自身もちょっと辛いかもしれねぇけど現場がどう
なっていたのか聞かせてくれねぇかな?」
「…分かりました」

白井に聞かせてはまずいということで、俺・スネークさんと新米君は一度支部の
前にある廊下に出た。

「で、何があったんだ?」
「そ、それが…白井先輩と現場、あっその路地裏だったんですけど…着いてみた
ら一面にびっしり…」

あったことを順序良く説明できないくらいに慌てふためいている新米君。こりゃ、
学園都市では滅多にないことが起きていたみたいだな。

「びっしり、どうした?」
「……壁、地面、それからパイプに。あらゆる所に血がついていたんです」
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/20(土) 23:02:02.12 ID:Tw.XAxAo
……まさに血の海、か。俺は血が飛び散る瞬間まで見てきたせいでそれほど衝撃
はないけれども、まだ風紀委員になって間もないであろう彼には想像を絶するこ
とだったんだろう。おでこに変な汗をかいている。

「血がそこら中に飛び散っていた惨劇に出くわした、と。他には?」

スネークさんが先を促す。相手のことを思いやらないひどいやり方かもしれない
が、こうでもしなければ話をする意味がない。それに、電磁波事件に関係があり
そうな話はこちらも知っておかなければならない。

「あ、あとは…そうだ。白井さんと周辺を捜索したんですが、あるはずの物がな
かったんです」
「あるはずの物?」
「…遺体です」
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/20(土) 23:03:39.75 ID:Tw.XAxAo
彼の口から放たれた、ここには似つかわしくない言葉にスネークさんと顔を見合
わせる。
そこらじゅうに血痕が飛んでいるのなら、とても被害者が一人だけでは成り立た
ない。人間の血液は衝撃で飛ばされる物はあるけど、ほとんどが血だまりになる
ことが多い。それも、その血液の持ち主だった人物の周りに。
ところが、その遺体が全くその場に存在しなかったというのはおかしな話である。
しかも、その血しぶきだっておかしな話だ。これまでの電磁波事件では、被害者
は黒焦げにはなっていても切りつけられたりすることはなかった。それが、今回
はまるで他の違う誰かがやったかのように手口が違う。とはいっても、俺達が事
件を知ったきっかけが『レベル5級の電磁波』であるのだからそういうことはな
いみたいだけど。

「つまり、現場に駆けつけてみたら何かあったことは確かだが、何も証拠が見つ
からなかったと?」
「…あっ、いえ。証拠は一応持ってきました」
95 :とりあえず、今回はここまで [sage saga]:2010/03/20(土) 23:04:17.01 ID:Tw.XAxAo
そう言って彼はビニールのパックを取り出した。中に入っていたのは、真っ黒な
ゴーグル。

「こ、これって?!」

見間違うはずがねぇ。妹達が頭につけてる、あのヘンテコなゴーグルだ。

「それ、どこで?!」
「えっ、えっと…現場だった路地裏の入り口でしたけど」
「『愛国者達』か…」

スネークさんの言うとおりだ。これではっきりした。
事件を知るきっかけになった、あの電磁波から考えて事件を起こしたのは
『裏切り者』。それと、何人やられたのかは分からないが被害を受けたのは
『愛国者達』に含まれる妹達。
一度は助けたのにこういう結果になっちまったのは許せねぇ。だけど、妹達にも
命を狙われたことを考えると、安心してしまっている俺もいる。複雑だ。

「スネークさん、早速白井達に伝えましょう」
「あぁ、待ちに待った情報だからな」

そう言って、スネークさんと俺が支部に戻ろうとした時、

「あ、あの…」

さっきよりかは落ち着きを取り戻した新米君が、変な一言を告げた。

「『らりるれろ』って…何のことですか?」


                           −第10部・完−
96 :再開っす ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/22(月) 07:51:10.38 ID:Cw3xd4Eo
「えっ?」

突然出てきたのは、ら行の一列。俺も、スネークさんもこの大事な時にギャグを
かました覚えがない。

「あの、新米君?らりるれろってなん」
「いや、なんでもない。それより、クロコが体調悪いからパトロールをしてきて
くれって言ってたんだが……」
「あ、はい。分かりました。それでは、失礼します」

意味不明な言葉を残して、彼はお得意の能力で一瞬のうちに消えた。

にしても、スネークさんがいきなり俺の目の前に右手の平を突きつけてきたもの
だから、思わず口が止まっちまった。あの訳の分からない言葉を聞いてから、だ
よな?そんなに重要な言葉だったんだろうか…?

「とりあえず、中に入ろう」
「あっ、はい」

本人に聞いてみないと分からない疑問を抱きつつ、部屋に入る。
入ってすぐに、スネークさんはソファに座ってコーヒーを飲んでいたオタコンに
声をかけ、二人で何か相談をし始めた。さっき言ってた『らりるれろ』って言葉
についてか?

「あの、二人ともなんかあったんですか?」

俺に背中を向けていた2人に声をかける。
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/22(月) 07:52:24.80 ID:Cw3xd4Eo
「あぁ……ちょっと思っていた以上に事態が大きくなってきたみたいでね……」

俺の声に気づいて説明してくれたオタコン。その顔は、それまで見たことがない
ほど真剣な顔だった。

「どういうこと……?」
「……みんな。今から説明したい事があるから聞いてくれないか?」

少し弱弱しい声でオタコンがこの場にいた全員に声をかけた。
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/22(月) 07:52:58.97 ID:Cw3xd4Eo
「……これから話すことを他の風紀委員には話すな、ですの?」
「あぁ、さっきスネークとトウマと話していた彼から聞いた言葉の中に、禁句と
も言えるキーワードがあってね」

キーワード…

「らりるれろのことか?」

キーワードを言い当てた俺に、オタコンが頷いた。

「その『らりるれろ』、僕達が『愛国者達』のことを調べていた時に何回も出て
きた言葉でね…。ちょっと気にかかってたんだ」
「でも、その暗号に一体どのような意味があるんですの?」
「俺とオタコンが、アメリカで情報収集していた時にな。関係者に事情聴取のよ
うな事をしていたんだが…俺達が『愛国者達』の事を聞く度に全員『らりるれろ
って?』という答えを返してきたんだ」
「そう、それがどうも気になってね…」

さっきみたいな事がアメリカでもあったってのか。

「つまり、『愛国者達』が学園都市と絡んだ後になんらかの策をとったと?」
「うん、たぶんクロコの言うとおりだね。何をしたかってのはまだ分からないけ
ど…」
「でも、変じゃないですか?」

会話を静かに聞いてた初春さんがここで異議を唱えた。

「何がですの?」
「だって、私や白井さん、それに固法先輩はちゃんと『愛国者達』って言えまし
たよ?同じ風紀委員なのに、どうして彼だけそんな風に返したんでしょう?」
「う〜ん、変だなぁ…」
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/22(月) 07:54:32.11 ID:Cw3xd4Eo
つまり、風紀委員の中に『愛国者達』をうまく言えない奴とそうじゃない奴がい
るってことか?でも、どうして?

「そういえば…」

少し部屋が静かになっていた時、ふと白井が思い出したかのようにつぶやいた。

「どうした、白井?」
「そういえば、上層部からの新しい計画として今後学園都市の住民になる学生に
対して入学前の能力検査で何かを彼らに与えるということを聞いた事があります
の」

学園都市が?そんなの初耳だぞ?

「それっていつぐらいからだ?」
「う〜ん、よく覚えておりませんが確か2年前に正式な告知が出ておりました」

2年前…俺が学園都市から離れてた時か。

「それに、先ほど上条さん方とお話されていた風紀委員。彼はまだ1年ですの。
もしかしたら、その計画と何か関係が?」
「そう考えるのが妥当だね。よし、これから僕は他のジャッジメントにも聞いて
みることにするよ」
「それでしたら、同じ風紀委員の私たちの方が都合が良いですの。こちらでも、
他の支部の方にも聞き込みをしてみますわ」
「じゃあ私も他の支部に連絡を入れてみます」

そう言うと、初春さんとオタコンはいつものパソコンへ、白井はテレポートで行
動を開始していった。
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/22(月) 07:55:33.53 ID:Cw3xd4Eo
1時間後。
出かけていった白井が戻ってきた。

「どうだった?」
「やっぱり思ったとおり、他の支部の1年も同じような反応をされましたわ」
「こっちもテレビ電話で聞いてみましたけど、1年以外の人は普通でした」
「こうなると、学園都市の計画も関係してそうだね」
「ジャッジメントの中に『愛国者達』からの情報統制がされている奴がいるって
ことか」

『らりるれろ』…今度からは気をつけてみるか。

「今日はそんな所か。何にもしてないけど、もう上条さんは疲れましたよ」
「全く、能力を何回も使った私の身にもなってくださいまし」
「あっ、悪い…」

そうだ、白井は今日働きづめだったか。それに、さっきまでどんよりと落ちこん
でたじゃねぇか。

「悪い、白井。お前の事全く考えずにあんなこと言っちまって…」

だが、俺の失言に口をへの字に曲げていた白井から出たのはため息だった。

「そう他人に対して素直になることはよろしいですの。ですが、それは人に勘違
いされかねないことをお忘れなく」
「あ、あぁ……」
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/03/22(月) 07:56:39.57 ID:Cw3xd4Eo
と、白井が今度は何とも言えなさそうな顔でため息をついた。

「上条さん。貴方にはお姉さまという存在がありますのよ?」
「……御坂?」
「そう。お姉さまは貴方にとって、貴方はお姉さまにとって大切な存在ではあり
ませんの?貴方の優しさが悪いとは言いませんけれども、時にその優しさが人を
傷つけるんですの。……それに、お姉さまのことですわ。他の女の方に優しくさ
れてらっしゃる貴方を見たら、きっとカンカンになってらっしゃると思われます
わ」
「うっ……」

よく分かってらっしゃる……。

「ですが、その優しさは上条さんの良さでもありますわ。お姉さまが貴方を追い
かけて外国に飛んでいってしまうくらいですもの。お姉さまも貴方の良い所は分
かっていらしたと思いますわ。ですから…」

途中で止まった白井の言葉。その目から零れそうな涙が、彼女の後ろからの日光
で輝いている。

「もっとお姉さまを大切に思ってくださいまし」

涙と同時にこぼれたのは、白井なりに精いっぱいっぽい笑顔。

…なんかしてやりたいけど、それじゃあ早速白井のアドバイスを裏切っちまう。

「し、白井。あのさ」

だが、突然の爆発音が俺の言葉をとぎらせた。
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/03/22(月) 10:37:44.85 ID:Cw3xd4Eo
「な、なんだ?!」
「っ?!」

白井と俺はすぐに窓に駆け、外の様子を確認する。

…信じられない光景がそこにあった。
晴れの日にはいつも飛んで、ニュースや上層部からの知らせを教えてくれる、
御坂が毛嫌いしていた飛行船。その飛行船から煙が上がっていた。

さっきの爆発音はあれだったのか?!

「あっ!!」

飛行船の様子を見ていた白井が声を上げた。それにつられて俺も飛行船に目を向
けてみる。そこには、先端をこちらに向けた飛行船があった。

って、こっちに向かって来てんじゃねぇか?!

「皆さん、早くここから避難してください!!」

白井の叫びにも似た声に全員がこっちを向いた。

「どうした?!」
「こちらに飛行船が墜落します!!ここは危険ですから、安全な場所に避難しま
しょう!」
「えっ……?!!」

学園都市が運営する飛行船が墜落するなんて、誰も考えた事がない。それを示す
かのように初春さんが絶句している。俺ですら信じられないくらいだから。

「今はとにかくここから出るぞ!!」

呆然としている初春さんに活をいれ、俺達は支部を後にした。
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/22(月) 12:40:09.41 ID:4NH4cUDO
発狂大佐
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/23(火) 02:51:12.76 ID:PRmuLEco
数分後。
俺達はなんとか難を逃れられた。

だが…

「一体なんですの、これは…?」

もはやここは学生が暮らすような町並みではなかった。
第一七七支部から出て左に200メートルほど離れた所から見える景色は、
まさに地獄絵図。墜落した飛行船はあっという間に炎に包まれてしまい、周りの
建物にも燃え移っている。現場からは、悲鳴・呻き声・泣き声などの様々な声。目
に見えるのは、倒壊したビルから非難する人々。肩を担がれて歩く人も何人かい
るようだが……中には片腕がどこかに消えていたり、顔が血まみれになってまる
でゾンビみたいな奴もいる。

……こんな光景を日本で、しかもここで見る事になっちまうとはな……。

「うっ…」

初春さんの気持ち悪そうな声。だが、目の前の惨劇に俺は呆然とするしかなかっ
た。
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/23(火) 02:52:40.27 ID:PRmuLEco
立ち尽くしていた俺達に聞こえてきたのは、俺の後ろからこんな状況に似つかわ
しくない笑い声。すぐに振り向いてみると、そこにいたのは……

「オセロット?!」
「ハッハッハ。スネーク、久しぶりじゃないか」

俺を狙った張本人、回転銃猫を見た途端にコートの中から銃とナイフを取り出し
、突きつけるスネークさん。けど、銃を向けられたというのに奴はそれに余裕の
笑みまでこぼしてやがる。
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/26(金) 00:52:59.10 ID:gg7JYlEo
「おいおい、久々の対面だというのにごあいさつだな」
「あれは貴様の仕業か?!」
「あぁそうさ。だがここじゃ武器を持つ事も一苦労だからな、ちょいと手伝って
もらったよ」

回転銃猫が話し終えると同時に、奴の後ろにさっきまで話していた新米君が
テレポートで現れた。

「えっ…?!貴方がどうし」
「貴様ら。ジャッジメントに『愛国者達』について聞き込みをしてただろう?」
「なんでお前がそれを…ッ?!」
「そうさ。学園都市が最近始めた計画。あれにちょいとばかり仕掛けをつけさせ
てもらったんだよ。もし誰かが『愛国者達』の事を嗅ぎまわっているようなら、
その連中を排除するようにな」
「排除ですって?!」
「あぁそうとも。貴様らは邪魔な存在でしかないんだ、ここで消えてもらおう」

そう言い放ってから、回転銃猫は右足を半歩下げて身構え、腰につけている
リボルバーを取り出した。切り落とされたはずの右手で…。
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/03/26(金) 00:53:28.59 ID:gg7JYlEo
「くっ、全員伏せろ!!」

スネークさんの叫び声。すぐに俺も弾が当たらないように膝を折り曲げ、顔を前
に向けたまま前に屈んだ。そしてその直後に銃声が辺りに響き渡った。
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 02:20:51.17 ID:ni4F.cDO
  _  ∩ ======C
( ゚∀゚)彡 ======C
(  ⊂彡   ======C
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し ⌒J
109 :ご無沙汰です ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/03/31(水) 12:28:28.79 ID:4qJNGZ.o
「っ?!白井さん!」

耳に刺すように聞こえた銃声の後に聞こえてきたのは、白井を呼ぶ初春さんの悲
鳴にも似た声。何が起こったのか確かめると、白井が両手を左右に伸ばし、俺の
前に立っていた。……右脇腹から血を流しながら。

なんだよ、これ……

「クッ!」

同じ光景を俺の横から見ていたスネークさんが再び銃を構えた。けど、やはり目
の前の殺し屋に焦ってる様子はない。

「だ、大丈……夫……ですか、上条さん?」

息を絶え絶えにしながら、後ろに振り向いて俺の無事を確認する白井。その口か
ら血が流れ出ているにもかかわらず、目の前にいるツインテールの女の子は余裕
があると言いたそうに口角を上げている。……眉間に力が入っているようだが。

なんで、また……

「し、白井っ!!」
「おおっと交渉人。そこを動くとどうなるか、分かっているだろう?」

白井、つまり俺に対して銃を向ける目の前の殺し屋の言葉にはたと気づいて周り
を見てみる。そこには、いつの間に集まっていたのだろうか、大勢の学生達が俺
達を中心に円になっていた。彼ららしくない、まるで死んでいるかのような目を
こちらに向けながら。
その光景に俺は唖然とし、その場を動く事が出来なくなった。
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/03/31(水) 12:29:20.94 ID:4qJNGZ.o
「そう、それでいいんだよ。ここはもう、貴様が思っていたような安住の地など
ではないのだよ」

失ったはずの右腕をゆっくりと下ろしながら、勝ち誇った口調で言い放つ回転銃
猫。

「貴方たちの目的は……一体何なのです?」
「ふっ、撃たれてもなお喋る気力があるとはな。いいだろう、我々がここに来た
目的を話してやろう……メタルギアをもう一度我々の手にするためだ」
「っ?!メタルギアを!!」

なおも銃とナイフを構えていたスネークさんが、初めて驚きの声を隠さなかった。

「そう、貴様によって破壊されたメタルギアだったがそれで終わりになどさせな
い。あらかじめREXのデータを残しておいたのだよ。シャドー・モセス島にあ
ったとは物とは別に、な」
「なんだって?!」
「それにここは他に比べて技術革新が施されている。メタルギアを復活させるど
ころか、さらに強力なものを完成させるくらいたやすくできるくらいだ。これを
利用しない手はない。それに、学園都市の連中は情報を隠し通す事が得意なよう
だからなぁ、ずいぶんとスムーズに事が進んだ」
「……まさか」
「さすがはREX設計の第一人者。そう、メタルギアはもう完成しているのだよ」

白井の足が震えている。
横腹から血を滴らせているのに、どうしてお前は立ち続けてるんだ……?

「それもREX以上の性能だ。コードネームは「JEKE」。日本人が最強だと
言い続けてきた零戦に我々がつけた物だよ。皮肉な事にな」
「メタルギア……ジーク……」
111 :一旦投下停止します [saga sage]:2010/03/31(水) 12:30:04.62 ID:4qJNGZ.o
また、俺は……

「全ては……最初から……」
「そういうことだよ、リボンつきのお嬢ちゃん。……さて、俺も忙しいのでな。
そろそろ失礼させてもらうとしよう」

白髪のクソ野郎は、俺たちに対して背を向けた。

「しかし、学園都市というのは恐ろしいものだな。1度ならず二度もこの腕を
移植してくれたんだからな」

もう、誰も信じさせなくする言葉を残して……。
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/31(水) 22:31:40.41 ID:6/s0hlEo
来たか、ゆっくり待つよ。俺は見てるからな
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/04/01(木) 08:03:22.33 ID:viF7Lb.o
「あぁ、その男の腕を復元させたのは私だね」

あれから、俺たちの敵になってしまった学生達も同時にその場から消えていき、
命の危険からとりあえず逃れられた俺達。すぐに初春さんが病院に連絡し、重傷
の白井は例の病院に搬送された。初春さんとオタコンは付き添いで一緒に救急車
に乗っていったが……去り際のあの一言が妙に気になって俺はその場に残った。
その後、白井の容態と敵に塩を送ったという事実を確かめるために電話をかけた。
その答えがさっきの一言である。

「君の言いたい事は分かる。だが私は医者、自分だけの考えを押し通して命を救
わないなんて真似はできないね」
「だ、だけど…!!」
「彼が君達……いや、我々にとっても敵であることは君の話でよく分かった。
だがね……医者から治療行為を取り上げたら簡単に殺人者に……言ってしまえば
私達の敵と同じになってしまうんだね」

分からない話ではない。……けど、納得なんてできるはずがない。
平等な治療行為をする、それを肝に銘じている冥土帰しに対して俺ができたのは、
じっと奥歯を噛み締めることしか出来なかった。

「そうだ、脇腹を撃たれた彼女だけどね。弾は無事に摘出して、なんとか跡が残
らないようにできたね」
「そうですか……」

喜ぶべき話だったけど、さっきまでの話がそうさせてくれなかった……。

「ただ、これだけは言わせてほしいね。私は医者で、人を救わなくてはならない。
でもね、決して君達の敵になったわけではない。それだけは覚えていてほしいね」
「……分かりました」

やるせなくなり、電話を切ってから携帯を持つ手をぶらっとさせる。携帯はゆっく
りとホテルの絨毯の床に落ちていった。
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:41:43.14 ID:viF7Lb.o
「クッ!!」

携帯が落ちると同時に、やるせなくなった怒りをぶつけるために壁を思い切り
殴った。

どうして俺じゃなくて、他の奴が傷ついちまうんだよ?!
今まで不幸だ不幸だって嘆いてたが、こんな所にまで不幸になっちまうのかよ?!
傷つけんならまず俺をやれよ!!

ますます怒りがたちこめてきて、もう一度壁を殴ろうとする。
だが、勢いをつけるために後方へ持っていった腕はそのまま動こうとしなかった。
スネークさんがつかんでいたからだ。

「その辺にしておけ」

俺の右腕に上から片腕でつかんでいるだけだが、腕は全く動こうとしない。

「だ、だって」
「その辺にしておけと言ったんだ。聞こえなかったのか?」

俺の言い訳をさえぎる様に、スネークさんはさっきの言葉を繰り返す。でも、言葉
に若干怒りが含まれている。しかたなく右腕の力を抜いて下ろす。

「とりあえず、さっきの話を俺にも話してくれ。情報はできるだけ多い方がいい」
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:42:31.70 ID:viF7Lb.o
「なるほど、オセロットの腕が戻っていたのは、お前さんも世話になってた医者が
やっていたこと、と」
「ざっとそんな所です」
「……まぁ、俺達にとってはそれは良い話ではないな」
「当たり前じゃないですか!!」

カッとなって座っていたベッドから立ち上がる。

「学園都市全体が奴らの手に落ちていたんだと分かったら、一体誰を信じれば
いいんです?!」
「待て待て。そいつはちょっとばかり話が早すぎるんじゃないか?」
「なんでです?」
「仮に、ここにいる連中全員が敵だと仮定したらクロコ達や、この前俺につっかかって
きた巨乳の女は一体どう説明する?」
「うっ、それは……」
「それに、俺達が寝泊りしてるホテルの従業員が襲ってくるに決まっている。だが
今の状況から見ればここは、避難所だってことはお前さんも分かるだろう?」

確かに、学園都市に来てからホテルだけ襲われた事はない。なんでなのかは分からない
が……

「思いもしなかった人に裏切られた時の気持ちは俺にも分かる。一度立ち止まって
冷静に現実を見つめる事も悪くはない。……だがな、それで疑心暗鬼になって
しまうのは、お前さんにも、他の仲間にとっても全くと言っていいほど良い影響
にはならないぞ。疑心暗鬼になった人間から出てくるのは、弱音か現実逃避だけだ」

……ごもっともだ。
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:43:44.01 ID:viF7Lb.o
「じゃあ、どうすればいいんです?」
「……難しい質問だな」

スネークさんは腕を組み、天井を見上げた。
そうしてしばらく部屋が静かになった後、スネークさんは俺に向きなおした。

「そうだな。見聞きした事実に隠れている、もう一つの事実に目を向けることだな。
さっきの話だったら、その医者は敵であるオセロットを助けたが、味方のクロコだ
って助けている。そこから判断して、医者は完全な敵ではないという結論ができる」

『決して君達の敵になったわけではない。』

少し前に聞いた冥土帰しが言ってた言葉が自分の中で響いた。

「……どうやらお前さんにも思い当たる節があるみたいだな」
「えっ、ええ。まぁ…。本人からも同じような事聞いてたんで」
「なら、それだけを信じればいい。下手な邪推をしていたら、何もできなくなる」

スネークさんが右ポッケに手を入れている。

「で、でも相手が一番信頼していた人だったらどうするんです?」
「……質問するのは良い事だが、まずは自分で考えるようにしておけ」

不機嫌そうに眉をしかめるスネークさん。

自分で考える……か。
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:49:23.41 ID:viF7Lb.o
「トウマ。あのイヤホンつけておけ」

言われるがままに胸のポケットに入れておいたあのイヤホンを取り出して、左耳に
かける。
かけてきたのは……オタコンだった。

「こちらスネーク。どうした」
『スネーク。今どこに?』
「あぁ、トウマとホテルの部屋だ。トウマもこの通信を聞いている」
『そうか。それなら話が早い』

そうしてオタコンは一呼吸おいた。

『スネーク、トウマ。また新たな情報を手に入れた。メタルギアがある場所が
分かったんだ』

あいつが言ってた『ジーク』のありかを、か。

「オセロットの話を聞いてから4時間ぐらいしか経ってないのによく見つけたな」
『あぁ。カザリに手伝ってもらったんだ』

あの娘が?
……どうみても、俺より年下にしか見えなかったけど……。
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:50:07.76 ID:viF7Lb.o
『しかし彼女はすごいね、セキュリティレベルが高いはずの情報を携帯ゲーム機
一つで探り当てたんだから』

携帯ゲーム機で?!あのコントローラーに画面つけた奴か、2画面を同時に見る
奴で?!!……そんなことできるのかよ……。

『全く、1流ハッカーもびっくりの早さだったよ。彼女、その内全世界から注目
されそうだね』
「それは……すごい話だな」

ほとんど分からないけど。

「で、お前たちは今どこに?」
『あぁ、病院じゃまずいから近くの喫茶店にいるよ。休憩ついでにね』
「そうか」

……オタコンもちゃっかりしてる。
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:51:03.18 ID:viF7Lb.o
『それより、さっき言った情報の話だ。どうやらJEKEは第7学区にあるみた
いだ』
「第七学区に?!」
『あぁ、それも地下に格納庫付きの基地があるらしい。情報ではそこに隠されて
いるらしい』
「格納庫って……」

もう、学園都市には隠し事だらけにしか思えなくなってきたぞ……。

『しかし、まさか破壊されたあの支部の近くに、敵のアジトがあったとはね。
これじゃあ奇襲をかけられても仕方ないか』

奇襲か……あれ?

「そうだ!学園都市の飛行船が墜落したってのに、全然外は騒がしくないけど…」
『あぁそれね。これは僕のハッキングで分かった事なんだけど、この第七学区に
だけ通行規制と情報統制がかかってるらしいんだ。おかげで何度も見つかりそうに
なって苦労したよ』

無線越しに、オタコンのため息が聞こえた。

「完璧な情報統制に隠密行動……そのうちどこかのオブジェクトから赤い光が放た
れそうだ」
『ハハハッ、じゃあ二人ともこれからサングラスを携帯しておかないとね』

……スネークさんが言ったジョークらしいものが、オタコンのツボにはまったみた
いだ。

「話を戻そう。……相手はこの街全体、対して俺達は少数派。これから
どうすればいい?」
『そうだね……やっぱりあれしかないかな』
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/01(木) 19:52:47.55 ID:viF7Lb.o
「スニーキング・ミッション……か」
「……あの、なんでせうかそれは?」

なんかミッションって聞いて危ない橋を渡るような感じはするけど……
す、すにーきんぐ?

『漢字で表すと、「単独潜入行動」ってとこかな。スネークはシャドー・モセス事件
もそうだったけど、敵地に独りで、しかもできるだけ隠れながら情報を集めたり、
必要な時はそこにある物を破壊するのが得意なんだ』
「……好きでやってるんじゃないんだが?」

ものすごく呆れたとでも言いたげな、スネークさんのため息が吐かれた。

『ゴメンゴメン。まぁ得意ってのは語弊があるから、その専門の人って言った
方が良いね』

独りだけで敵地に、か……。

「で、敵のアジトにはどうやって行けばいい?」
『調べたんだけど、正面からは無理みたいだ。入り口らしき物が全く見当たら
なくてね。でも通風孔らしき物があるようだ』
「通風孔?」
『うん。トウマ、第七学区ってやたらと風力発電機が建ってるだろ?』
「あぁ……そういえば……って、まさか」
『そう。その発電機、表では学園都市の発電に使われているようになってる
みたいだけど、実際は地下世界専用のものらしい』

ますます学園都市が信じられなくなってきた……
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 18:15:12.61 ID:H/2hMbAo
続きは?
122 :再開 ◆FMYPc6cKQE [saga sage]:2010/04/07(水) 02:38:46.93 ID:Er2Cadco
「つまり、潜入経路はその発電機からってことか」
『そうだね。でも気をつけて。今そこは』

「警備員がうろちょろちょろしてて侵入しにくくなってるにゃ〜」

突然聞こえた、俺のでもスネークさんのでも、ましてやオタコンの物でもない声。
……まぁ、語尾で誰か分かったけど。

「土御門か……おどかすなよ」
「はっはっは、すまんなカミやん。俺も一応はスパイってことを改めて知って
ほしかったんだぜよ」
「……ツチミカド。お前さんも俺たちの無線を聞いていたみたいだな?」

そういえば……まるでオタコンが言おうとしていた事を先取りした言い方だった
ような。

「あぁそうだぜよ。ついさっきやる事が片付いたんだが、飛行船の話を人づてに
聞いてにゃ〜。それでオタコン達に会って、さっき無線機をもらってきたんだぜい」
「なるほど。……ということはさっきまでの話はもう?」
「あぁそうだにゃ〜蛇のおっさん。映画のナンセンスなギャグまではっきりと
聞こえてたぜよ」

ナンセンスなギャグと言われたからだろうか。
スネークさんが少し顔をしかめて俯き、土御門が入ってきたであろうベランダに
しょんぼりしながら出ていった。

……意外と子供な部分もあるんだな、スネークさんにも。
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/04/07(水) 02:39:42.54 ID:Er2Cadco
『ま、まぁ無線で会話も拾えるんだから、今はそっとしておこう』

それ、本人に聞こえるところで言っていいもんじゃないだろ……。

『さて、これから君達にやってもらいたいことは二つ。一つ目は「愛国者達」の
アジトに潜入、JEKEを発見次第破壊する事。もう一つは可能な限り
「愛国者達」について情報を手に入れてほしい』
「情報収集はオタコン達の得意分野じゃないのか?」
『それが、どうあがいても「愛国者達」につながるような情報だけは見つからな
くて。たぶん、情報は独立したネットワークにあるんだろう』

ね、ネットワーク……確か、インターネットが関係していたような……

「……要するに、情報はあるかもしれないが見つけられそうにないってことか?」
『うん、そうだね』
「……でもオタコン。この作戦に参加するのは、俺達だけなのか?」
「心配いらないぜい、カミやん。ちゃんと助っ人を用意したぜよ」

オタコンへの質問に、代わりに答えを出した土御門。

「お前が言う助っ人って、やっぱり……」
「まったく、僕達がわざわざ助けに来たってのにずいぶんな言い方だね」

予想通りだ。
だが、突っ込みたいところは山ほどある。

「いつ戻ってきた?どうやって入ってきた?!なんで学園都市にテロしかけてきた
奴までここにいるんだ?!!」
「はぁ……少し落ち着いたらどうです。上条当麻」

われながら的確なツッコミだと思ったが、神裂にため息をつかれてしまった。

「これが落ち着いていられるか?!」
「あぁ、前もってフロントにねーちん達が来るから通しておくように俺が
伝えておいたんだにゃ〜」

……部屋を使っている俺達に全く話を通してなかったのに。なんだかここも
危なく思えてきたぞ。
124 :とりあえず今回はここまで [saga sage]:2010/04/07(水) 02:40:25.34 ID:Er2Cadco
改めて今の部屋の状況を説明しよう。
今この部屋にいるのは、私こと上条当麻と俺の護衛役を務めるソリッド・スネーク
さん。それと悪友の土御門元春に、インデックスの件でとりあえず同盟を結んだ
ステイル・マグヌスと神裂火織。そして……どうしてここにいるのか、なんで
イギリス聖教の二人と一緒なのか分からないが、かつて学園都市でたった一人で
テロ行為を行った魔術師、シェリー・クロムウェル(ちなみに、名前はついさっき
自己紹介で知った)の6人だ。
土御門によると、シェリーはイギリスに連れて行かれた後、しばらくの間謹慎を
食らっていた。だが、つい最近それを解かれたんだそうだ。なんでも、謹慎中の
行動に問題がなかったことから監視付きでの自由な行動の許可をイギリス聖教の
連中が取ったらしい。

「いくらおりこうさんでいたからって、元テロリストを簡単に釈放しちまって大
丈夫なのか?」
「さぁね。とりあえずは信用する事にしてるんだ。あの事件以来…ね」

俺からの疑問にうつむきつつ疲れた感じにつぶやきながら、ステイルは自分自身
の着ている服に入れた何かを探している。

「ステイル。私はタバコの臭いが嫌いなんだよ。吸うんだったら、そこのおっさ
んみたいにベランダで吸いな」
「はいはい、分かったよミス・クロムウェル」

シェリーからの文句にため息混じりに答えたステイルは、しぶしぶとベランダに
出て行った。

「さてオタコン。俺からの援軍はこんな感じだ。詳しい話を聞かせてくれ」
『あぁ、分かった』
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 19:27:46.39 ID:D/NodgDO
牛歩だな








人の事は言えんが
126 :再開。亀でスマソ ◆FMYPc6cKQE :2010/04/10(土) 10:56:20.94 ID:FAiX4B.o
『この作戦は、まず複数の風力発電機から侵入。そして地下の格納庫に潜入して
『核載戦士(メタルギア)』・ジークを発見次第これを破壊してください』

途中から通信に入ってきた初春さんから始まった作戦会議。土御門が持ってきた
通信機により、後からやってきた魔術師トリオにもこの無線が聞けるように
なっている。

「潜入って事は、できるだけ相手に見つからないようにだよね?もし見つかった
らどうするんだい?」
『その場合は、敵を排除してくれ。ただし、できるだけ隠密にね』

ステイルからの質問に、オタコンが説明を付け加える。

「なるほど……ですが、そうなるとステイルやシェリーに問題があるような気が
しますが」
「まるで僕達を問題児扱いしてるような言い方だね?」
「貴方達にスパイは不向きと言いたいだけです」

口調はおだやかではあるが、ベランダにいるステイルを見る神裂の目は明らかに
鋭くなっている。日頃から目つきが怖いからたぶん本人は気づいていない。

「まぁまぁ、ねーちんもステイルもそのへんにして。だが、ねーちんの言ってる
事も一理あるな」
『そこで、複数のグループに分かれての行動となるんです。一つは潜入班、
もう一つは陽動班です』
「どういうチーム分けだ?」

ベランダに出てから、説明をずっと黙って聞いていたスネークさんが初めて口を
開いた。
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/10(土) 11:34:23.91 ID:FAiX4B.o
『じゃあこれから潜入班をA班、陽動班をB班というようにしよう。まず風力
発電に同時に侵入する。それで、こっちに連絡を取ってからB班は陽動を始め
てくれ』
「侵入者を相手に分からせるように、ですね?」
『そう。で、B班が攻撃を開始したらA班は行動を開始するんだ』
「でも、場所は分かるのか?」
「それなら大丈夫だカミやん。地下基地の図面はちゃんと持ってきたぞ」

そういって土御門が取り出したのは、1メートルくらいの黒い筒。蓋を開けて中
から出てきたのは両腕いっぱい広げたぐらい大きい紙。紙には敵地の配置図が書
かれていた。

本当に、こういうのを一体どこから手に入れてくるんだ?こいつは。

「オタコン達にも、この図面のデータをさっき渡しておいた」
「ほう、これでメタルギアの場所も分かるってわけか」

いつの間に戻っていたんだろうか、土御門と二人でしゃがんで配置図を眺めてい
た所に俺の上からスネークさんが話しかけてきた。

『あぁ、たぶんJEKEは最深部の広い空間の場所にあると思う』

すかさず土御門がその部分を指差した。

「で、敵の戦力は?」
『それが未知数。相手の情報統制には恐れ入るよ』

あまり嬉しくない知らせに、スネークさんはため息をつく。
128 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/04/11(日) 17:52:53.66 ID:cleeORMo
「だが相手側にいるシスターズは、この前でだいたい1/4の戦力を削っている。
それだけでも悪い話ではないだろう」
『そうだね。でも、相手がシスターズやサイコ・マンティス、それにオセロット
だけではないと思う』
「学園都市が匿うくらいだから、それ相当の戦力は持ってるはずだ」
「なぁに、科学なんかに頼ってきた連中なんかに僕達が負けるはずはないさ」

ステイルの何気ない愚痴に、スネークさんがステイルのほうに振り向いた。

「ステイル、とか言ったな?」
「そうだけど、何か?」
「お前さん、タバコに火をつける時に何を使ってる?」
『お、おいスネーク……』

オタコンが慌てて会話に割って入るが、そんなことを気にするようなスネークさ
んではなかった。

「何って、ジッポだけど?」
「そのジッポはもちろんライター、マッチ、タバコ、葉巻、灰皿。それは全部何
のおかげで出来てると思う?」

うっかり言ってしまった失言に心底後悔している様子のステイル。だがスネーク
さんの怒りはまだ収まらない。

「魔術師だかなんだか知らないがな。科学だからと言って、なんでもかんでも見
切りをつけるもんじゃあないぞ」
「貴方が科学側だからこそ言えることだね。けど、魔術なんてありはしない連中
がいることも確かだよ。風水、占星術、占い。これらは全部魔術だ。それを信じ
ないのも魔術を否定している事と同じだと思うけど?」

だがプライドの高いステイル。負けじと反撃しだした。
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 17:55:05.62 ID:cleeORMo
ていうか、なんか嫌な予感がする……
前は俺とスネークさんで、口論も喧嘩も全てスネークさんの勝ちだった。だが、
自信過剰といっても良いほどのステイルが素直に負けを認めるとは……全く思え
ない。絶対魔術を使ってくるに決まってくる。

止めに入るタイミングを見計らいながら、土御門に目配せする。どうやらこいつ
も同じ事を思っていたらしく、口を閉ざしたまま首を縦に振った。
だが、そんな以心伝心スネークさんの次の一言ですっかり役立たずになってしま
った。

「科学にだって良い所はあるぞ。タバコ、ライター、服……そして忘れてはいけ
ないのが、ダンボールだ」
「……な、なんだって?」

さっきまで眉をしかめていたはずのステイルもこの拍子抜けっぷり。もちろん、
この場にいた他の奴や俺もポカンとしていた。

「ダンボールというのは、物を運搬するときによく使われる。だがな。ダンボール
は潜入の時に重宝するものだ。ダンボール箱を大事に、いかに愛情を注ぐかで俺
達に力を貸してくれるかが変わってくる。俺は単独潜入をこれまで何度もやって
きたが、いつもダンボール箱には助けられたんだ」
「ダンボール箱って……あんなの、ただの紙でしょ?」
「ただの紙だとバカにするんじゃあない。いかに敵に見つからずに進む潜入では、
あれをかぶって動き回れば敵には見向きもされない。それにだな……」

『アハハ……こうなった時のスネークはもう止められないからなぁ。十分なくら
い話させてあげよう』

オタコンの乾いた笑いが、無線越しに聞こえた。

もしかしなくても、スネークさんってある意味変態さんだったんだな……。


                           −第11部・完−
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/12(月) 20:32:10.45 ID:sKT9Dl2o
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 04:10:49.09 ID:37t16.DO
まーだー?
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 23:59:46.50 ID:TAzRCcDO
番外個体の仮面がスクリーミング・マンティスにしか見えない
番外個体の格好がサイボーグ・雷電にしか見えない
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 13:33:49.05 ID:neDiDADO
遂に>>1は喪失しました
134 :やあ ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/05/11(火) 23:31:00.25 ID:AmcQ8Ywo
いつの間にか最後にレスしてから1ヶ月経ってしまった件ww

GWにも書こうとしたんだが・・・ネタが浮かばない。
メタルギア出す所はもういくつもあがっているんだが。。。
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:42:56.71 ID:jq1B7.so
本物・・・だと・・・?
136 :イグザクトリィ ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/05/12(水) 00:01:03.25 ID:.E4d8tko
>>135

待たせたな。
でも、まだしばらく書けなさそうだしネタ詰まり。。。
なんかイイネタないかなぁ
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 00:08:17.83 ID:CtkfiUDO
ネタ提供(俺のSSで実現できなかったので

リキッドの目的はジョン・ドウの物理的破壊後、ツリーダイヤグラムを書き換えて新たなジョン・ドウとして自分の配下におく
スペック的にはジョン・ドウもツリーダイヤグラムも一緒らしい
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 09:35:04.24 ID:OFmFuCko
>>137

ネタ提供thx。
ただし、時系列的にMGS1と2の間に位置させたから、今度使わせていただきヤス
139 :ほんの少しだけ追加 ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/05/21(金) 23:21:00.81 ID:RMA.CBso
>>129より

「こちらスネーク、潜入準備地点に到着した」

スネークさんからの(内容はともかく)大がかりな演説が終わってから少しして。
俺達はさっそく2つの班に別れて行動を開始した。俺のいる潜入班、A班には俺、
上条当麻と土御門、そして潜入のプロであるスネークさんがいる。ステイル達は
陽動班、B班に入って別の場所から侵入、陽動を開始する事になった。

「協力するのは癪だけど、あれだけ熱弁されたらやらざるを得なくなるね。それ
に、あのおじさんとはタバコの話でまた盛り上がりそうだし」

そういえば、ブリーフィングで神裂の服装をじっと見ていたとき、ベランダの2
人はタバコの銘柄について盛り上がっていたっけ。まぁ、今それを思い出す必要
もない。これがいわゆる「それはまた、別のお話」って奴か。

「んっ?どうしたカミやん。こんな時に俯いちまって」
「いや、なんでもねぇ。ちょっと考え事してた」

土御門に声をかけられ、もう一度前の光景に目を向ける。
こいつの話では警備員の警戒が厳しくなっていたらしいが、今数えただけでも2、
30人くらい。こっちの作戦に気づいて、なんだろうか。

『こちらB班、どうにか予定のポイントに着いたけど警戒が厳しいねぇ。格好が
格好だけに、隠れながら進むのに苦労したよ』

ステイルからの準備完了との無線。

『よし。じゃあ、始めてくれ』
『了解。Fortis931!!』
『Salvare000!!』
『Intimus115!!』
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 23:21:51.94 ID:RMA.CBso
3人の、それぞれの魔法名が無線から聞こえてくる。同時に、カードが散らばる
音・あのデカい日本刀が抜かれる音・地面が崩れる音が聞こえてきた。

「んっ?どうした11班!!」

その直後、目の前で見張りをしていた警備員の1人、黄泉川先生の声が辺りに響
く。どうやら、警備員の方々も気づいたようだ。まぁ、ただでさえあの3人は目
立つ格好をしているし、本気を出しちまったみたいだから気づかない訳がないだ
ろう。

「よしっ!見張りがほとんどいなくなった。少し待ってくれ」

そうすると、スネークさんが俺達の右方向に隠れながら歩いていった。

「いったい何をする気なんだにゃ〜?」

…そうか、土御門はまだあれを見ていなかったっけ。俺には体で覚えさせられた
ようなものだからすぐにピンと来たけど。

そうこうしているうちに、スネークさんは1人だけ残っていた見張りのすぐ後ろ
にまで近づいていた。そして、次の瞬間。うっかり瞬きをしていたら見落としそ
うな速さでスネークさんは見張りの首をつかんでそのまま地面に叩きつけた。

「がはっ!」

まさにあっという間だった。俺もあれを使われたと思うと、背筋が凍る思いだ。

「よし、二人とも。行くぞ」

しばらく呆然としていると、スネークさんからの無線が聞こえて来た。
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 23:22:20.97 ID:RMA.CBso
「こちらスネーク。無事に内部に潜入できた。3人とも無事だ」
『OK。B班のみんなもそろそろ潜入できそうだね。彼らから連絡が入ってからが
勝負だね』
「分かった。それまでここで待機しているとしよう」

予定されていた待機地点に難なく到着できた俺達A班は、オタコンからのB班潜
入完了の合図までここで待つ事になっている。しかし、陽動をかけたとはいえこ
うも基地ががら空きになるとは思えない。

「にしても、簡単すぎるくらいに上手くいったぜよ」
「あぁ。おそらく途中で食い止めるんじゃなく、奴らは俺達が狙っている獲物の
近くに待機しているんだろう」

待ち伏せ、か…。
確かに俺達の戦力は前の操車場での一戦で向こうも把握しているはず。けど…

「見張りはおろか、監視カメラさえ一つも見当たらなかったのは変じゃないか?」
「それか…俺も少し気にかけていたんだ。メタルギアの隠し場所以外をすでに放
棄したのか、それともよほど守れる自信でもあるのか…」
「はたまた、すでにもぬけの殻…か」

もし連中がもうここからいなくなっていたら最悪の事態だ。だが、核載戦士ごと
持ち出すのは大がかりになるだろうし……

『たぶん、全員が逃げたとは考えにくいです。妹達は研究所で調整をしばしば行
わなければいけないですし、そもそも核載戦士の持ち運びを隠し通す事はほぼ不
可能です』

クローンである、彼女達の情報をくれる初春さん。
142 :またちょっと追加 ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/05/31(月) 01:58:11.24 ID:cSTsqUoo
「なるほど。逃げるんだったら、シスターズを放棄するか。もしくは調整用の機
器を持ち出さなければいけないと…そう考えると、放棄した方が手っ取り早いだ
ろう」
『そうだね、スネーク。ここは陽動班の様子を…』
『こちら陽動班!!なんだか知らないが、同じ顔で同じ格好をした連中がうよう
よ出てきたぞ?!』

オタコンの声を遮るシェリーからの悲鳴。どうやら、連中はギャーギャー騒いで
る方に繰り出して来たみたいだな…。

「ねーちん、大丈夫か?!」
『ええ、少し時間はかかりますがなんとかします!!』
「分かった。だが、できるだけ血を流すような真似をするな。無血開城(ノーキ
ルノーアラート)だ、頼んだぞ」
『ああ。まだ僕達にはやる事がたんまり残ってるからね!!』

ステイルからの元気ある声。やっぱりこいつらは頼りになる。

『よし。じゃあ作戦通り、A班はそこで待機しててくれ』
「分かった。何かあったら連絡する」
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/31(月) 01:58:49.85 ID:cSTsqUoo
数十分後。
3人とも壁に腰掛けて待機していた時、無線のコール音が辺りに鳴り響いた。

「こちらスネーク」
『こちらB班神裂。多少相手を傷つけはしましたが、なんとか無事に片付けら
れました…もちろん気絶させただけですが』

1万人もいる妹達がたった3人の魔術師によって片付けられた。
そりゃあ一人一人の力と比べたら簡単に片がつきそうだけど、いくらなんでも1
万人をたった数十分で…そう思うと、敵にならなくて良かったと心底思う。

『よし、じゃあA班は予定通りに奥に行ってくれ。それからB班は、最短ルート
を進んでA班と合流するんだ。上手くいけばJEKEがある格納庫の手前で合流
できる』
「分かった、作戦を再開する」

そうして一旦無線が切られた。

「さて、これからの俺達A班の進むべきルートなんだがざっと20分はかかるみ
たいだにゃ〜」

敵にいつ出くわすか分からぬこの状況で、それでもいつものような口調の土御門。

しかし20分って…この基地どれだけデケェんだよ…。

「だが洗脳された学生達がまだどこにいるか分からん。それ以上はかかることは
覚悟しておいた方が良いな」
「『愛国者達』がキーワードって言ってた、あの?」
「あぁ、そうだ。しかし奴らがここまで手を加えていたとはな…。とにかく今は
目的地に進もう」

スネークさんに促され、俺達は基地の奥へと脚を進めていった。
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/31(月) 01:59:21.27 ID:cSTsqUoo
「…誰もいない、のか?」

そう思えてきてしまった。
歩き始めてから約10分。もう格納庫まで半分くらいの所まで来たというのに、
敵はおろか監視カメラの一つも見当たらない。人がいないのはともかく、ここま
で無防備な警備で良いとは全く思えないんだが…。

「ふむ。今まで部外者は誰も知る事なんてなかったから、必要なかったんじゃな
いのかにゃ〜?」

とは土御門からの意見。確かに機密である場所ではあるが…

「そうだとしても、今歩いているこの通路は少し広すぎやしないか?」

確かに、今A班が歩いている通路は見た感じ5人が横一列に並んで歩けそうな幅
がある。

「二人とも、そこで待っててくれ」

と、前を歩いていたスネークさんが右手で制する。

「どうしたんです、いきなり?」
「アレを見ろ」
145 :とりあえずここまで [sage]:2010/05/31(月) 02:01:02.54 ID:cSTsqUoo
そう言われて指差した方向に目を向ける。少しずつ右にカーブしている通路の壁
には、5メートル間隔に何やら縦に四つ穴が開いた銀板が置いてある。

「あれが一体どうしたんだぜよ?」
「まぁ見てろ」

そう言ってその銀板の前に立ち、ポケットから葉巻を取り出しライターで火をつ
けた。そして葉巻を口にして前に煙を吐いた。すると…

「なるほど、赤外線センサーか」
「あぁ、前に同じような物を見た事があってな。もしかしたらと思ったんだが、
やはりな」

どうやらこのセンサー。ランダムに赤外線の出る高さが変わるらしい。でも赤外
線なんて見えねぇもんをどうすりゃ…

「ふっふっふ、心配後無用だぜぃカミやん。こんなこともあろうかと用意してお
いたんだにゃ〜」

そういって土御門が取り出したのは、妹達がつけているような普段つけるには不
恰好っぽいゴーグル。

「ほぅ、サーマルゴーグルとはな。お前さん良いもの持ってるじゃないか」
「いやぁそれほどでもないにゃ〜」
「さ・・・さーまるごーぐる?」
「普通では目に見えない赤外線が、こいつをつけることによって一目瞭然なんだ
ぜぃ」

それがあるならさっさと出しておけよ……。
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 18:46:21.14 ID:LvfXrDY0
乙!
147 :1ヶ月ぶりに [sage]:2010/06/19(土) 23:28:32.23 ID:EbL5LKco
結局センサーの罠は事前に用意をしていたこちらの圧勝。
しかし、あれにもし触っていたら一体どうなっていたんだ?
もしかして・・・あの部屋が閉め切られて有毒ガスが充満?
はたまた突然天井が迫ってきたり、いきなり壁からナイフが飛んできたり?
そう考えただけで寒気がしてきやがった・・・。

「とりあえず、センサートラップはクリアだぜぃ」
「…にしても、やけに簡単すぎじゃなかったか?」
「そりゃこっちがこういう代物を持ってるなんて想像してないからだにゃ〜。普
通は目に見えないもんだからあんな風に抜け道があっても気づかないもんだぜぃ」
「まぁ、こちらの用意周到さが勝ったというところなんだろうな」

次の部屋を歩きながらの会話。
また何かトラップでもあるんじゃないかと思ったが、今のところまだ3人とも何
かに気づく様子はない。

しかし、まるでもぬけの殻みたいな敵地に、俺はなんでか知らねぇが違和感を持
っていた。
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/19(土) 23:29:51.99 ID:EbL5LKco
「なぁ、土御門」

それが俺だけなのか、試しに土御門に聞いてみる。

「んっ?どうした、カミやん?」
「回転銃猫って実は抜けてるんじゃないか?」

俺の疑問に対して、目の前のサングラスかけた金髪の男はなんだか呆れたような
表情を見せ、ため息をつきやがった。

「カミやん。山猫のおっさんの頭は一目瞭然。あれで全く抜けてなかったらそれ
こそショックだぜよ」
「髪の毛のことを言ってんじゃねぇ!!それにあれがズラなのかもどうでもいい
!!俺が言いたいのはだな」
「あれだけお前さんを狙ってきた連中の一人がここまで失態を晒すわけがない、
ということか」

俺のツッコミの声がうるさすぎたんだろうか、スネークさんが少し機嫌悪そうに
俺の代わりに説明してくれた。

「確かにこの静けさは異常だにゃ〜。敵の本陣といったら、敵がうじゃうじゃい
ても良いはずなんだがねぇ」

…この野郎、俺のツッコミをスルーしやがった。この疲れを返してくれ。

「しかしオセロットの事だ。俺達がZEKEの所に行った時に仕掛けてくるんだ
ろう。それに奴のことだ。罠や奇襲だけじゃあないだろう」
「どういうことだ、おっさん?」
「いや、確かな事は言えんが俺はあいつに出し抜かされた事があってな。それで、
なんとなくだ」

なんとなく、という曖昧さ。これが普段の土御門や青ピが言うなら信頼できない
が、ここでは…それこそ『なんとなく』だが信じる事が出来た。…信じるしかな
かったのかもしれないが。
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/04(日) 07:33:05.11 ID:f.FiwgAO
ageるべきじゃねえか
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 17:29:47.44 ID:RSRi1Tg0
>>1です
長い間、スレを放置してしまい申し訳ありませんでした。
諸事情で時間に余裕がなくなってしまったため、続ける事が困難になってしまいました。
大変残念ですが、ここで打ち切りという形にさせて頂きます。
スレ見ていただいた方どうもありがとうございました。
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [age]:2010/07/22(木) 20:35:14.06 ID:NX9OHsDO
マルチ乙
152 : ◆FMYPc6cKQE :2010/07/25(日) 04:44:15.63 ID:HydvciYo
まだやる気はあるってことを御坂は作者に代わって報告しておきます.
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 09:50:46.90 ID:0ZxK1FM0
ふむ
154 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/06(金) 00:53:05.57 ID:w0ZLxMMo
どもども。
ほんの少しだけ投稿しておきます。
2ヶ月越し・・・あっという間だったな。。。
155 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/06(金) 00:53:58.73 ID:w0ZLxMMo
「思ったより遅い合流だったな」

とはスネークさんからの一言。
合流の予定になっていた地点にA班が到着してからおおよそ10分くらい経って
ようやくB班のステイルたちがやってきた。

「すまないね。ちょっとこの中に方向オンチがいてね。だいぶ迷ってしまったん
だよ」

気だるそうにつぶやいたステイルはその暑苦しそうなローブからマイルドセブン
とジッポを取り出し、箱に入っていたタバコに火をつけた。

「ハッ、そりゃ一体誰の事を言ってるんだろうかね」

ステイルの愚痴に対して、シェリーが呆れたようにステイルを見ながら言った。

……神裂も大変だな。

『とにかく、これで6人とも合流できた。あとは、ZEKEの破壊だけ』
「オタコン、状況はどうなってる?」
『そう聞いてくると思って調べておいた。この先は一本道で、地下らしくない広
々とした通路が続いてる。敵の動きも今のところないみたいだけど、気をつけた
ほうが良いね』
「待ち伏せの可能性もある、というわけか」

なら、とっとと核載戦士をぶっ壊しに…
156 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/06(金) 00:55:46.78 ID:w0ZLxMMo
「行かないといけませんね」

突如辺りに響いた女の声。聞き覚えのある声に、後ろを振り返る。そこにいたの
は…

「お久しぶりですね、上条当麻さん」

心念掌握だった。

「いよいよ敵も本領発揮というわけか」

思わぬ敵の襲来にもスネークさんは動じない。

「あら、驚かないんですね。伝説の傭兵さん?」
「こういう場面には何度も立ち会っているおかげで慣れてしまったからな」
「そうですか。さすがですね、伝説の傭兵さん」

わざとらしく禁句を連発する彼女。さっきまで動じなかったスネークさんだった
が、その挑発に対して少しだけ眉をしかめている。

「心念掌握!一体何しに来やがった?!」
「何をしに、とは無粋な質問ですね。いとしの彼女の元に、貴方を迎え入れよう
としてきたんですよ」
「なっ?!」

…こいつ、御坂の事を知ってる?!でも、あいつはここでなく、外国で死んだん
じゃ…まさか?!

「ふふっ、分かったみたいですね。貴方の恋人、御坂美琴は…

私 が 殺 し ま し た」

「っ?!」

衝撃。俺の頭がその二文字に思いっきり叩かれたような気分になり、その場に立
ち尽くすしかなかった…。
157 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/06(金) 00:57:51.50 ID:w0ZLxMMo
あの時。
そう、俺の目の前であいつは『いなくなった』。

「当麻、危ない!!」

俺が前に気を取られていた時。突然真横から砕けたコンクリートの塊がこちらに
飛んできた。あまりに急な事に前方に銃口と視線を向けていた俺は御坂からの声
にようやく気づいたが、もうすでに塊はすぐ近くにまで飛んできていた。その瞬
間に対して出来た行動といえば,両腕を顔の目の前に出して目をつぶったくらい.
いつも不幸ばかり嘆いていた俺らしくない,もっとよけるくらいしろよと突っ込
みたくなるくらいだがそれくらい余裕がなかった.だが…次に来るべき衝撃が一
向にやってこない.代わりにやってきたのは電流が空気中に流れる音,コンク
リートが砕け散る音,そして・・・

「あうっ!!」

美琴からの悲鳴だった.何があったかを確かめるために目を開けた後,俺は目の
前に広がっている光景が一瞬理解できなかった.学園都市では『常盤台の超電磁
砲』という異名を持っていた超能力者,御坂美琴が髪を真っ赤に染めて横たわっ
ていたからだ.

「み,美琴っ?!」

慌てて俺は駆け寄る。美琴の周りには撃たれた右胸から流れた血がたまっていく。

「しっかりしろおい!!」

倒れた美琴の頭を少しだけ抱え上げ、俺の左腿にそっと寝かせる。
158 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/06(金) 00:59:06.00 ID:w0ZLxMMo
「当麻ぁ…ゴフッ!!」

俺に顔を向けようとするが、その直後に吐血した。それも結構な量だった。

「何もしゃべんじゃねぇ!!どこ撃たれたか見せ」

見せてみろと言おうとしたが、それから後に続く言葉が出せなかった。苦しいは
ずの美琴が俺に向かって笑顔を見せていたからだ。

「もう…いいから」
「な、なに弱気になってんだ?!お前らしくねぇよ!!」
「…うまく…呼吸…できなくなったみたい…」

激しい息切れをしつつ美琴は言った。…肺に穴が開いている。兵士から聞いていた
話をふと思い出していた。

「こ、ここから基地にすぐ戻ればまだ間に合うだろ?!しっかりしろよ美琴!!」

戦争という場所では、命の保障なんてない。笑い合っていた奴がいきなり狙撃
されたり、ブリーフィング以降会わなかった奴がデブリーフィングで亡き骸と
なって再会したり。仲間との別れにはもう慣れていたはずだった。だが、彼女
だけは違った。

「フフッ、当麻に膝枕…ケホッ…して…もらっちゃった」

けど、当の本人は死ぬかもしれないというのに笑っていた。
159 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/06(金) 01:00:11.21 ID:w0ZLxMMo
「お前…」
「前から…ずっと…やってもらおう…って思って…たん…だけど」

もういい、喋るなという俺の忠告も聞いてくれない。

「こんな時に…叶っちゃう…なんて」

ずっと笑顔だった。涙を流しながらも、嬉しそうだった。

「ごめ…ん、ね?」
「な、何言ってんだ…これくらいだったらこれからいくらでも…くっ」

いくらでもしてやるから。
そう言おうとしたけど、急に視界がぼやけ、声が出なくなった。

「泣かない…でよ。交渉人が…聞いて…呆れるわ」

…何が交渉人だよ。大切にしたい奴一人守れない馬鹿がそんなもんになれる
わけなかったのによぉ…。

「でも…あんたは…人を助けたい…って思ったから…今こうして…いるんでしょ?」
「…あぁ」

声が裏返らないようにするので精一杯だった。涙を拭う暇なんてなかった。
160 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/06(金) 01:01:02.81 ID:w0ZLxMMo
「だったら…」

ゆっくりと、優しく未琴が俺の右手に手を重ねた。

「純粋に人を…助けたい…って気持ち…ずっと…持ち…続けて…な さ  」

言い切ろうとした直前だった。彼女の腕から力が抜け、同時に両目が閉ざされたのは。

「…美琴?おい、しっかりしろよ美琴」

軽くゆすってみるが反応はない。

「…冗談、だろ?」

もう感情を抑えつけるのも限界だった。

「なぁ美琴!学園都市に居た時みたいにいきなり電撃流してみろよ、おい!!
ビリビリ!!!」

ゆすり方も声も乱暴になっていった。

「先に逝ってんじゃねぇよ!!!!」

失う悲しみ。ふがいない自分への悔しさ。それが一気に押し寄せてくる。
それに対して抵抗なんてできない。ただ、出来たのは

「ちくしょう!ちくしょう!!ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

空に向かって大声で叫ぶことだけだった。
それ以降、俺がその場面で何をしたかはよく覚えてない。覚えてるのは銃撃が止
んですぐに駆けつけてきた仲間に助けられてたことくらいだ。
161 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/06(金) 03:51:33.11 ID:w0ZLxMMo
今回はこの辺で。
ぜんぜん浮かばなくて泣けてくる。。。
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 11:52:57.54 ID:O6f3MMAO
乙!
次も楽しみに待ってる
163 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/14(土) 22:48:01.34 ID:M32SC6go
ども。ようやく時間が取れるようになったのでどんどん投下していきやす
やっと佳境って感じ・・・かな?
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/14(土) 22:49:06.90 ID:mZV0Meko
たのむぜ
165 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/14(土) 22:53:08.13 ID:M32SC6go
それが御坂美琴との最後の会話だった。それを仕向けた張本人が今、目の前にいる。

「本当は貴方を狙ってたんですけど。勇敢にも彼女、見事弾道に割って入ってき
たんですよ。素晴らしい方だったんですね」
「くっ…」

その敵は自分がやった事をまるでそれが「罪」ということが分かっていない様子
でいつものように笑いやがっていた。

「当時は私、スナイパーもしておりましたから。普段は『目標』をやりそびれる
ことはなかったんです。ですから、上司の方にはこっぴどく叱られたんですよ」

あくまで笑顔。自然なスマイル。それだけを見てるんだったらまるで天使の笑顔
に見えるが、今こうして俺が見ているのは凍りついた、堕天使の微笑って言って
もいい。

「お前…」
「フフ、怯えてるんですよね。私に」

こいつは心を読める。前からそれは分かっていたんだが、それを改めて知らされ
ると少し鳥肌が立ち、口の中が渇いてくる。

「安心してください、すぐに楽にしてあげますから」

そう言うと、心念制圧は左腕をこちらに向けた。その手に拳銃を持ち、銃口を俺
に向けながら。

「さぁ…」

彼女の目がゆっくりと細くなり、それに連れて銃口が目線と重なっていく。だが、
こんな所で死んでる場合じゃない。行かなければ、あのバケモノの所に。

「…無駄です。貴方に私は倒せない」
「声に出さないでも答えてくれてありがたいね。けど…」

目を閉じ、一つ深呼吸をする。心念制圧の目が鋭くなっていくように見えるが、
それにビビってなんかいられない。ゆっくり息を吐き終えてからゆっくり目を
開け、彼女を睨む。

「けどな…俺には不幸がつきまとってる。ただの不幸なんかじゃねぇ。大切な奴
が死んでも、俺をあっさり死なせてくれやしねぇって『不幸』がなぁ!!!」

言い切った瞬間、俺は心念制圧に向かって突進した。だけど、不思議なことに
ずっと感じていたはずの不安が今はあまり感じられない。

「そうですか…では、お望みどおり…死になさい」

166 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/14(土) 22:54:35.22 ID:M32SC6go
目の前で火薬の爆発する光と音が放たれた。だが狙われていたはずの俺に肝心の
弾が来る様子もない。

「っ?!」

初めて、心念制圧が俺たちに対して初めて焦った顔をしている。こっちにしてみ
ればこの上ないチャンスだ。すかさず俺は銃が握られている右手を自分のそれで
掴んだ。

「くっ!!…どうして貴方は無傷なんですか?!」
「…お前さん達、俺達を外野にしたまま決闘をしないでくれるか?」

と、後ろから聞こえて来た声の主。スネークさんだ。後ろを振り返ってみると、
ちょうど俺、いや心念制圧に対して拳銃を構えている。

「まさか、私が撃った弾を?!」
「馬鹿言え。弾じゃなく銃を狙ったまでだ」
「そんな………はっ?!」

急に彼女が目を見開いた。視線を俺に向け、状況が理解できてないっぽい顔をし
ている。

「心が…読めない……」

……そりゃそうだろう。異能の力ならなんだって消せる俺の右手に触っちまって
るんだから。

「なぜ…なぜなの…」

だが様子がおかしい。いくら能力が使えなくなってるからって、ここまで
ビビってる顔をしなくてもいいはずなんだが。

「どうして…読めないの?」

まるでさっきまでの余裕がどっかに行っちまった。別人になったといっても良い
位だ。…どうする?

「どうして、どうして…うわぁぁぁぁ!!」

突然叫んだと思えば、俺の手をひっぺがすためにつかまれた腕を振り回す。いく
ら男と女で力の差があるって言っても、少し油断したら離しちまいそうな勢いだ。

「離して!!離してください!!」

豹変。そんな言葉がぴったりだ。俺に対して怯えている。そんな気にもさせる。
だがここで離すわけにはいかない。この瞬間のために俺はこいつに触ってるんだ
から。
167 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/14(土) 22:55:53.88 ID:M32SC6go
「どうした心念制圧!!いつもみたいに俺の心を読んでみろよ!!!」
「わぁぁぁぁ!!」

握りつぶさず、それでも離さないよう必死につかみながらも送った挑発は見事に
スルー。まさか狙いがここまで上手くいくなんてな。

「いや、いや!いやぁぁぁぁ!!」

心念制圧の悲鳴が木霊となって辺りに響き渡る。その瞬間、糸が切れた操り人形
の様に彼女は倒れた。

「…能力に頼りすぎてたんだな、コイツ」

後ろからゆっくり歩いてきた土御門が目線を彼女に向けながら口にした。

「どういうことだ、土御門?」
「そのままさ。心念制圧は心を読むことなんて簡単に出来る。それが当たり前に
なってた。だか」
「だから、サイコマンティス自身の能力に依存しすぎて、それを失ったことによ
るショックがでかすぎてこうなったって事か」

続いてスネークさんも歩み寄ってくる。

「おっさんの言うとおり。今まで出来た事が突然出来なくなったんだからな、カ
ミやんのおかげで」

そう言われて、ふと自分の右腕に目を向ける。
ずっと使えていた物をある日突然使えなくなったり、奪われたとしたら…。それ
も、そいつが自身のアイデンティティーを掌ってるとしたら。…あまり考えたく
ない結果になるだろう。

「さって、心念制圧ちゃんは先に病院にでも送っておくとしますか」

と、土御門が倒れていた彼女を抱え上げ左肩に載せた。

「時間はかかるだろうが、コイツは大事な証言者だからな。ほったらかしにして
おくにはもったいない。そうだろ、オタコン?」
『あぁ、そうだね。彼女はいわば捕虜。そのまま逃がすにはちょっと惜しい。出
来るだけ愛国者達についての情報が聞ければいいんだけどね』

いつの間に開いていたんだろうか、無線越しにオタコンの声が聞こえてきた。た
ぶん、土御門の奴が前もってつないでいたんだろう。こっちはそれどころじゃな
かったしな。

『じゃあサイコ・マンティスの身柄は僕らが責任を持って届けるよ。みんなはそ
のまま進……く……』

突然耳に響く砂嵐のような雑音。前にもあったなこんなジャミング…ってことは
168 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/14(土) 22:57:16.66 ID:M32SC6go
「全員散らばれ!!」

スネークさんの号令で、俺達は四方八方に別れ、近くにあるスペースに隠れる。
するとその直後、俺達が歩いてきた方向つまり基地の入り口側から一斉に火薬の
破裂音と金属の塊が俺達に襲い掛かる。愛国者達が牛耳ってた学生達と警備隊の
ような格好をした奴らが一斉に発砲してきたのだ。

「こいつら、一体どうやって銃を?!」

俺の疑問に対し、オタコン達が説明を始めた。

『愛国者達の私設兵だと思います!前々から起きていた電磁波事件の被害者と同
じ格好をしてますから、たぶんそうだと』
「だがどうすりゃいい?!これじゃあ身動き取れないぞ?!」
「心配するなトウマ!!」

突然無線越しにではなく聞こえた声に、目の前に目を向けると何やら長くて重そ
うな銃器を担いでらっしゃるスネークさん。次の瞬間、銃器の先端についていた
物体が轟音と共に発射され、数秒たたない内に敵グループがいた付近に炸裂する。
それによって少しの間銃撃が止んだ。

「行けっ、トウマ!!」

状況を把握するのに精一杯だった俺に、スネークさんからの喝が入る。慌てて彼
に目をやると土御門と一緒に追っ手達に向かって発砲していた。

「ほら行けカミやん!!カミやんがこんな所で止まっちまってたらあいつらを逃
がしちまうぞ!!」
「行きますよ、上条当麻」

先に格納庫に歩き始めた神裂が俺の横を通り過ぎる時に声をかける。確かに全員
立ち往生してたら潜入の意味がなくなっちまうけど…

「だからって…」
「見苦しいぜカミやん。何かとてつもないことを他人を巻き込んでやり遂げる
ためには多少の誤差なんて見逃すもんだ!」
「けど!」
「もたもたしてたら時間がなくなる。それに僕達はここにいたら色々とまずい。
早く行こう」

神裂に続いてステイルも目の前を通り過ぎていく。

目の前にいる仲間が死んでしまうかもしれない。御坂が死んでから俺の心はその
ことに対して異常に敏感になっていた。目の前で死なせるくらいなら俺が代わり
になればいい。気がつけばそんな風にまで考えてしまっていた。それがいかに甘
い考えかはスネークさんから身をもって教え込まれていたはず。けど、いざその
場面に遭遇してみるとやはり考えが巡ってしまう。自己犠牲なんて危なっかしい
考えが。
169 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/14(土) 22:59:04.11 ID:M32SC6go
『トウマ。スネークがいるなら心配ない。早くJEKEを止めに行こう』
「…っ」

だけど。オタコンからの命令に対して歯を食いしばりながら目をつぶった時。


「立ち止まるな、バカ当麻!!」


聞いたことがある声が真後ろから聞こえた。すぐに振り向くがそこには背中を
向けたステイル達しかいない。

「…美琴?」

だがアイツはいるはずがない。じゃあ…裏切り者?いや、もうどっちでも良い。
今の一言でなんでか分からねぇけど吹っ切れた。そうだよな美琴。今からやる
ことだって「人を助ける」ことだよな。すっかり忘れてたぜ。

「土御門!スネークさん!!」

一呼吸置いてから2人に背中越しに声をかける。聞こえているか分からないが、
ここで振り向いてはいけない気がした。

「絶対に生きて帰ろう!!」

それだけ言って先に行った魔術師3人の下へ駆け出した。
5分くらい走り続け、ようやく目的の部屋が見えてきた。そこにあったのは…

「こっこれは…」

4人全員が目を丸くする。格納庫にあったのはロボットだ。だが、学園都市で
よく見かけるようなチャチな物なんかじゃない。2本の足でしっかりと床を踏
みしめているそれは腕がなく、ベージュ色のような塗装で無機質な、だけどそ
れだけに怖さを思わせる何かがあった。それにこのロボット、かなりデカい。
ゆうに5メートルはあるような気もする。

「どうだね諸君?初めてお目にかかるJEKEの程は?」

久々の対面。回転銃猫(リボルバーオセロット)が核載戦人(メタルギア)の
左足の影から姿を現す。

「ふざけんな回転銃猫!目的が何なのかわからねぇが、こんな危険な物とっと
と捨てやがれ!!」
「ンハハハハハ。何を言うか交渉人」

笑わせるとばかりに目の前の野郎は高笑いをする。
170 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/14(土) 22:59:44.94 ID:M32SC6go
「全く、科学者達がこれほどの物を作っていたなんて」
「ですが、ここで破壊をすれば良いこと」
「調子に乗られても困っちまうからね」

科学にあまり良い印象を持っていない連中3人が愚痴をこぼしながら自分の魔
術の準備をする。
「そういうこ…っ?!」
だがステイルの手が止まった。

「慌てるな、若造。今日は特別ゲストを用意しているのでな」

ステイルの手をじっと見てみると、魔術発動のためにいつもばらまいていたカ
ードに何か棒みたいな物が刺さっている。いつの間に?

「紹介しよう。学園都市レベル4であり、我々愛国者達への出資者の娘。そして
愛国者達の新たな僕…」

回転銃猫の横に突然現れたのは、小柄で見覚えのある赤いリボンとそれによって
後ろに束ねられた赤茶色の髪の女の子。

「瞬移斥候(テレポート・スパイダー)だ」

そう、白井だった。


                           −第13部・完−
171 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/14(土) 23:01:14.91 ID:M32SC6go
溜めてたのはここまで。あとは即興で行きたいけど・・・いったん休憩してきま
172 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/15(日) 01:05:33.92 ID:I3/4Iiko
復活。
さあ、なんだか視界がぼやけて来たけど頑張るお
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 01:08:30.35 ID:fUZo9KMo
おーきてたか
支援
174 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/15(日) 02:42:01.44 ID:I3/4Iiko
「……し、シライ?」

たぶん、このデカイロボットを見た時より目が丸くなっていると思う。いったいど
ういうことだ? なんでこんなことになってんだよ。

「申し訳ありません、上条さん」
「どういうことか説明してくれ……スパイダーって? クモがなんだってんだよ?」

頭が真っ白。今の状況がまさにそれだった。

「……全ては科学者達の思惑通りだったわけか」
「えっ?」
「その女は君の味方であり続けた。それは僕達にも証明できる。だけど、それが
ブラフだった。全ては科学者達に情報を送るスパイとしての行動にしか過ぎなか
ったってことさ」
「…つまりは、私達がどう動こうと相手の思う壺というわけだったんですね」

とどめの一言が神裂の口からこぼれる。

「ウソだろ? なぁ白井、ウソだよな? 俺をここに匿ってくれたのも、御坂の
事も……隣にいるそいつから俺を守ってくれたのも全部ウソだったのかよ?!」

格納庫に俺の怒声が響き渡る。俺の問いかけに対する白井の反応は俯いて黙って
いるだけ。代わりに答えを出したのは……奴だった。

「そういうことだ交渉人。貴様に今一番近い存在であるこの娘を大いに利用させ
てもらったよ。……しかしおかしいと思わなかったのか? 貴様の居場所をどう
して我々が把握できていたのか、ホテルだけが何故安全地帯になっているかと思
いもしないとは」

そうだ。回転銃猫以外に俺が襲われた時はいつも白井も一緒にいたはず。それに
前に回転銃猫が言っていた「パンドラの箱を開けた」ってのはその言葉を広めて
しまったことだと思ってたが、まさかそれも白井が?だがやっぱり信じられない。
どうしてそんな真似をしたのか。本人に聴いてみるしかないか。

「本当なのか、白井?」
「……オセロットの言った通りですわ」
「……なんで、こんな真似を?」

出来るだけ冷静に言葉を紡ぐ。今の眉をひそめている白井から、スパイになるこ
とを自分から選んだようには見えないのもあってだ。仕方なくやらされている。
そんな風に俺には感じられた。やがて白井は顔を俺に向け、噤んでいた口を静か
に開いた。

「私の父は学園都市では名高い武器商人です。お父様によって学園都市の軍事力
は日本のそれを遥かに上回るかのようになっていました。……ですがちょうど貴
方が学園都市に戻られる直前に愛国者達が学園都市との連携を取るようになり、
バイヤーを失った白井家はみるみるうちに荒んでいきましたわ。その時彼らが、
私達の命と引き換えに生え抜かれた。これが一連の流れですの」
175 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/15(日) 02:43:47.52 ID:I3/4Iiko
抑揚をつけず、あくまで棒読みに説明をした白井は小さめにため息をついた。

「つまり、貴方も愛国者達の奴隷っていうわけね?」
「……その通りですの」

シェリーを一目見て白井が一瞬だけ目を丸くするが、すぐに落ち着いた口調に戻
った。と、ここで厚めの布が叩かれる音が聞こえてきた。回転銃猫が拍手をして
いたからだ。

「素晴らしい説明だな、スパイダー。だがお前の出番はもうない」
「どういうことですの?」

自分の、そして親の敵にもなりつつある男を睨みつけながら白井は言い放った。
だが対して回転銃猫は不気味に笑っていやがる。

「何をとぼけている。お前がこうして愛国者の一員に慣れたのが一体なんのため
だ?そこにいる愚か者を抹[ピーーー]るための準備が必要だからだよ」
「っ、そんな?! 取引はそこまでとは!!」
「何を言う。奴隷同然のお前達に口を出す資格などない」

そう言い放つと、俺に銃口を向けた。だがその直後。

「し、白井?!」

なんと俺と回転銃猫の間に白井が割って入ってきたのだ。
176 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/15(日) 02:45:19.17 ID:I3/4Iiko
時間が時間だけにもう眠くてしょうがない。。。
ここで切るのは癪だけど、寝ますノシ
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:18:31.41 ID:fUZo9KMo
乙です
おやすm
178 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/15(日) 09:06:08.64 ID:I3/4Iiko
やあノ
早速書き出すお
179 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 11:57:21.24 ID:I3/4Iiko
「……し、シライ?」

たぶん、このデカイロボットを見た時より目が丸くなっていると思う。いったいど
ういうことだ? なんでこんなことになってんだよ。

「申し訳ありません、上条さん」
「どういうことか説明してくれ……スパイダーって? クモがなんだってんだよ?」

頭が真っ白。今の状況がまさにそれだった。

「……全ては科学者達の思惑通りだったわけか」
「えっ?」
「その女は君の味方であり続けた。それは僕達にも証明できる。だけど、それが
ブラフだった。全ては科学者達に情報を送るスパイとしての行動にしか過ぎなか
ったってことさ」
「…つまりは、私達がどう動こうと相手の思う壺というわけだったんですね」

とどめの一言が神裂の口からこぼれる。

「ウソだろ? なぁ白井、ウソだよな? 俺をここに匿ってくれたのも、御坂の
事も……隣にいるそいつから俺を守ってくれたのも全部ウソだったのかよ?!」

格納庫に俺の怒声が響き渡る。俺の問いかけに対する白井の反応は俯いて黙って
いるだけ。代わりに答えを出したのは……奴だった。

「そういうことだ交渉人。貴様に今一番近い存在であるこの娘を大いに利用させ
てもらったよ。……しかしおかしいと思わなかったのか? 貴様の居場所をどう
して我々が把握できていたのか、ホテルだけが何故安全地帯になっているかと思
いもしないとは」

そうだ。回転銃猫以外に俺が襲われた時はいつも白井も一緒にいたはず。それに
前に回転銃猫が言っていた「パンドラの箱を開けた」ってのはその言葉を広めて
しまったことだと思ってたが、まさかそれも白井が?だがやっぱり信じられない。
どうしてそんな真似をしたのか。本人に聴いてみるしかないか。

「本当なのか、白井?」
「……オセロットの言った通りですわ」
「……なんで、こんな真似を?」

出来るだけ冷静に言葉を紡ぐ。今の眉をひそめている白井から、スパイになるこ
とを自分から選んだようには見えないのもあってだ。仕方なくやらされている。
そんな風に俺には感じられた。やがて白井は顔を俺に向け、噤んでいた口を静か
に開いた。
180 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 11:58:30.48 ID:I3/4Iiko
あああああなんてこった 投下したの貼ってしまったorz
181 :179はスルーで ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 11:59:45.82 ID:I3/4Iiko
「ほう。自ら銃弾を受けに来ようとは。この前はわざとはずしてやったが、今回
は違うぞ」

ゆっくりと、撃鉄が起こされる。銃についてあんまり分かってはいないけど、確
実にあの野郎は白井の頭を狙っている。止めないと。

「白井! 何やってんだ!!」
「何も言わないでくださいまし!!」
「なんでだよ?! なんでそんな風に命を粗末に扱おうとすんだよ!!」
「……これは上条さんへのせめてもの罪滅ぼしですの」

言いながら白井はゆっくりと俯く。

「私の……私のせいでお姉様の大切な方が死んでしまおうとしている。それは、
亡くなられたお姉さまに対する冒涜ですわ」

声を出していくと共にそのトーンが上がり、壁を作るために真横に伸ばしていた
両腕の震えが徐々に増していった。

「私はお姉様を……御坂美琴様を尊敬し、愛しておりました。お姉様が上条さん
の元に行かれ、訃報を聞いた時は正直に申し上げると私、貴方を憎んでおりまし
た。愛しのお姉様がなぜ死んでしまったのか、どうして上条さんが守っていただ
けなかったのかと」
「……ですが、後でお姉様が安らかな顔でお眠りになったと聞いた時、恨みは全
て消えました。代わりに抱いたのはお姉様の遺志を継ぐという決心。その為なら
この生かされている命を捧げる覚悟にありますわ」

前を向いたまま静かに白井は言った。けれど、口にした言葉の一つ一つから彼女
の覚悟がどれだけの物かがはっきりと伺えた。
だが無情にも殺し屋はその手を止ようともしない。

「おしゃべりはそれくらいか? では望みどおりにしてやろう」
「白井っ!!」

無駄だって分かっていながらも、白井に向かって左足を上げる。……これも必要
な犠牲っていうのかよ、土御門!
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 13:57:04.12 ID:UrdYuEDO
久しぶりで内容忘れたわ
読み直してきます
183 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 19:43:59.00 ID:I3/4Iiko
発砲音が響き渡る寸前ぐらい。伸ばした右手が白井の肩に乗り、俺は彼女を抱き
かかえながら前に転がった。そして銃弾が発射されるが……おかしい。狙われて
いたのに、俺の体に当たるどころかかすめてもいない。つぶっていた目を開け、
前を見てみると……そこにいたのはディープスロートだった。

「貴様か…『裏切り者(ディープスロート)』」

こいつの事、あのヤロウも知ってたのか?

「貴方達の好きにはさせない」
「何を言う。すでに計画も最終段階にまでたどりついている。それをどうやって
止めようというのだ」
「……私の能力を甘く見ないで」

静かに言い放つと、右腕をゆっくりと核載戦士に向ける裏切り者。すると、右腕
から電流が流れ始める。……まるで美琴がやっていたのと同じように。

「……おねえさま」

ふと俺に抱えられた白井を見る。うまく言葉が出せていない。と、俺の手をどけ
て立ち上がった。

「お姉様なんですの?」

白井の質問に気づき、裏切り者がこちらに顔を向ける。その反動でつけていたマ
スクがはずれ素顔があらわになる。……それは美琴だった。

「み、美琴?」
「……ごめんなさい。私は貴方達が知ってるミサカミコトじゃないの」

確かに今の『御坂』の口調は美琴とは程遠い。けど、声や顔形は瓜二つだし何よ
り持っている能力が美琴とほぼ同じ電流使い。でも……美琴は死んでいるはず。

「今はそれだけしか言えない。時間が来たらゆっくり話させてもらうわ」

だけど一瞬だけ。ほんの一瞬だけ見せた『御坂』の笑顔は他でもなく美琴の物
だった。

『御坂』が前に向き直すと、右腕に帯びていた電流がさらに強くなった。

「この一撃で…!」
184 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 19:48:11.57 ID:I3/4Iiko
『御坂』は飛び上がった。そして右腕を一度後ろに振りかぶり、電流を核載戦士
に投げつけるかのように前に振りつける。その瞬間、まるで雷明のような眩い光
が押し寄せ、俺は思わず目を閉じる。目を閉じている間も、放電の音は鳴り続い
ている。

「一体何が起こってるんだい!?」
「分かりません。でもこれだけの力、魔術でもあまり見た事はありません!」

少し経ってからか、やっと電流が収まった。あまりの高い威力だったのか、格納
庫の照明が全てパンクしてしまい真っ暗で何も見えない。これだけの電流を食ら
ったら例え堅い軍事兵器でもひとたまりもないはず。だが……突如何かのモーター
音が響き渡る。地面に着地した『御坂』はこの音に信じられない様子で叫ぶ。

「そんな……計算では今の攻撃で破壊されるはずじゃ!?」
「ハッハッハ。所詮予測は予測。こちらも貴様の攻撃が来ると予測して、貴様か
らの電流で起動するようにセットしておいたのだよ」

なんてこった。破壊するはずが核載戦士が起動しちまった!!スネークさん達に
知らせねぇと!!
すぐに俺は無線を飛ばした。

「オタコン、まずい!!核載戦士が起動しちまった!!」
『なんだって?!スネーク達は今どこに?』
「分からねぇ。まだ銃撃戦の最中かもしれない」

今から連絡してもすぐに来てくれるわけではない。どうすればいい?

『ステイル達はそこにいるね?』
『あぁ、僕達は彼の近くにいるよ』
『よし。トウマ、ステイルたちと協力して核載戦士を止めてくれ。出来るなら
破壊も』
「分かった。やってみる!」

だが通信を切った直後。核載戦士の後ろから、轟音と赤い光と煙が放たれ始めた。

「なっなんだなんだ?!」
「上条さん、核載戦士が!!」

なんとあの巨体がゆっくり浮き上がっていく。それに合わせて核載戦士のすぐ上の
天井がアラームを鳴らしながら開いていく。
185 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 23:48:53.65 ID:I3/4Iiko
「オタコン!核載戦士が飛び上がろうとしてる!!」
『メ、メタルギアが?!そんなことが…』
「どうすればいい!!」
『とにかく地上に出られると危険だ。逃がすな!!』

オタコンからの怒号が聞こえた直後、今度は魔術師達が一斉に何かを叫ぶ。そして
ステイルが放った『魔女狩りの王』が核載戦士に牙を向く…が。

『(警告、警告。半径10メートル圏内ニ異常な高温物体ヲ察知。コレヲ敵性ト認メ、
直チニ迎撃シマス)』

浮かび上がりながら機械の化け物がこちらにその『体』を向ける。と、それからす
ぐに右肩部分に設置されている大砲のような物の根元が光り始めた。

「っ?! みんな離れて!!」

何かに気づき、『御坂』が全員に叫ぶ。その直後、砲台から光と共に何かが打ち出
され魔女狩りの王が一瞬砕け散り、すぐに元の姿に戻った。

「ふん。所詮は機械。この僕の魔術にかなうはずはない!!」
「(……目標ノ破壊ハ困難ト推定。代替トシテ他ノ目標ノ捜索ヲ開始シマス)」

よく聞き取れない英語のようなアナウンスが流れると、今度は赤色の太いレーザー
が照射されだした。その光が俺達それぞれに当てられると、レーザーは途切れて
再びアナウンスが流れる。

『(目標、上条当麻に変更。攻撃、開始)』

何を言ってるかは全く分からないが、今確かに俺の名前が聞こえた。それに反応
して化け物を睨みつける。が、もちろん化け物はひるんだりなんかしない。そし
て次の瞬間、化け物の背中からいくつものミサイルが発射されてこちらに向かっ
てくる。俺は向かって右に走り出し、前に転がったりしてミサイルをやり過ごす。

「伏せろ、上条当麻!!」

突然聞こえた命令に反射的に従う。すると、ミサイルが空中で次々に爆発し、俺
の周りの床に傷が付きだす。

「上条さん、大丈夫ですの?!」

テレポートで俺ごと別の場所に移動した白井が俺を気遣う。

「あぁ、なんとか…」
「やっかいなことになりましたわ。このままでは近づく事も不可能です」
「だからって、ほっとくわけにはいかねぇだろ」
「ですが!攻撃の前にやられてしまっては元も子もありませんのよ!!」
「んな事いったって……」
186 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/08/15(日) 23:50:24.64 ID:I3/4Iiko
口論している間にも頭上が開かれた核載戦士は天井に吸い込まれるように消えて
いく。

「私が破壊する」

その口論に割って名乗りを上げてきたのは『御坂』だった。

「あのバケモノは私のせいで動き出してしまった。これからあれが行った事は
全て私の罪になる」
「そんな、お姉様は何も悪い事は!ただ核載戦士を破壊しようとしただけで!!」
「白井さん、だっけ?」

白井の叫びに割って『御坂』が白井の苗字を言った。今まで美琴は白井の事をいつ
も黒子と言っていたから、白井にはトゲのないはずの一言に絶句していた。

「……はい。そう、です」
「……気を悪くさせてごめんなさい。でも起動してしまったからってだけじゃない
の」
「それは一体どういうこ」
『トウマ、聞こえるか!!』

突然無線越しにスネークさんの声が割り込んできた。

「スネークさん!!土御門は?!」
『心配ない。サイコ・マンティスも無事だ。今そっちに向かってる。状況はオタ
コンから聞いているが…遅かったか』
「すいません……」
『いや。まだ手の打ちようがないわけじゃない。そこにシェリーはいるか?』
『私ならここにいるけど、どうかしたの?』

無線越しにシェリーの声が入ってくる。

『お前さんの手品を脱出の時に少し貸してほしい』
『……なるほどね。お安い御用よ』

少し間が入ってから、何か分かったように鼻で笑うシェリー。彼女の魔術は確か
巨人を作ることが出来たはず。巨人、地上への出口…そういうことか。

『エリスを生み出し、全員を乗せて開いた出口から抜けようって魂胆かい?』
『そうだ。それ以外に方法はない』
187 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/15(日) 23:51:57.40 ID:I3/4Iiko
今日はこの辺で。
ついさっきPCがいきなり再起動を起こし、保存できてなかった分が消えて
萎えてしまった。。。でも明日は頑張るおノ
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:03:18.32 ID:8BWJ1nIo
乙乙
189 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/16(月) 13:40:14.20 ID:6k9/ifMo
やあノ
投下していくぞ
190 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/16(月) 14:06:44.58 ID:6k9/ifMo
だが今度はステイルが割って入ってきた。

『だけど、来た道を戻るっていう一番最初の道があるんじゃない?』
『残念だけどそれは出来ない。おっさんと俺がドンパチやっちまったのと追っ
手がこっちに来てるのもあってUターンは不可能ぜよ』
『なら、シェリーにお願いするしかありませんね』

それを聞いたシェリー本人は、自分が頼られてそれはそれは嬉しそうに胸を張って
いる。対照的にステイルはタバコの煙と一緒にため息をついていた。

「私は先に行きます」

だが『御坂』は従わない。それ所か、一人地上への穴の真下に歩いている。どこに
何しに行くかは予想がついているが、一応聞いてみるか。

「おい、どこに行くんだよ」

俺の呼びかけを聞いて、『御坂』は立ち止まる。そして、一呼吸分の間を置いてか
ら顔をこちらに向けずに話し始めた。

「私は自分でけりをつけにいく。あのロボット、ジークは私の存在から生まれた物
よ」

核載戦士のルーツは『御坂』だって…?
191 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/16(月) 14:08:42.37 ID:6k9/ifMo
「それは一体どういうことですの?」
「……元々核載戦士(メタルギア)は核兵器をどこからでも発射でき、どこにでも標的
にすることが出来るように開発された軍事兵器」
「そうだ。メタルギアは冷戦時代の、米ソという二大勢力による軍事的均衡を破壊でき
る凶悪な兵器」

いつの間にかスネークさんと土御門、それからスネークさんに担がれた心念制圧が到着
していた。

「それをソリッド・スネーク、貴方が破壊してきた」

どういうことだ…?学園都市側の関係者の『御坂』がなんでここまで核載戦士に詳しい
んだ?

「科学者達がとてつもない兵器を作っている話は聞いたことがある。でもこの件に関し
ては科学者達内部で話がついていたみたいだから、僕達が出ることはなかったけど」
「ええ。必要悪の教会内の時事資料にそんなことが書かれてあったわ」
「ですが、その兵器と貴方にいったい何の関係が?」

神裂が『御坂』に問いかける。もう外は夜明けなのか、出口からの光で『御坂』が照ら
されていく。

「あの機体には超電磁砲が搭載されている」
「超電磁砲だって?!」
「超電磁砲ですの?!」

俺と白井が声をそろえて驚く。

『御坂』が言う責任、核載戦士に搭載された超電磁砲と…学園都市の中だったらなんで
も有り得てしまうという事実……まさか、そんなこと。

「……あの機体にあるデータの一部は『御坂美琴』が生きていた時の物なの」
192 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/16(月) 16:51:51.05 ID:6k9/ifMo
考えたくはなかった。

「つまり、核載戦士は御坂美琴そのも」
「やめてくれ!!!!」

それ以上は聞いていられず、目をつぶり耳を両手で塞ぎ、裏声になりつつ叫んで話を無
理やり終わらせる。

「もう美琴は死んだんだ!!なのに……なんで今さらあいつが出てくるんだ!!!」
「上条さん……」
「……残念だけど、まだ話は終わってないわ」

聴きたくない気持ちを抑え、歯を食いしばりながら顔を上げる。心なしか、少し『御坂』
がぼやけて見える。

「でも御坂美琴、『超電磁砲』は……オリジナルじゃない」
「オリジナルじゃない……お姉様はお姉様ですの!!例え貴方がお姉様に瓜二つなお方で
もお姉様を侮辱することは私が許しませんわ!!」
「やめろクロコ!!!」

スネークさんの一喝に白井がビビり、怒りで取り出した針を何本か落としてしまう。

「続けてもいい?」
「……あぁ」
「『超電磁砲』は学園都市の頂点である超能力者に君臨する。けど、彼女には欠点があっ
た」
「……感情的になると電流が漏れることか?」
「そう。それだけじゃないけど、一番はそれね」
「そりゃあアイツが感情の制御が出来てない所があったからじゃないか?」
「でも考えてみて。他人を操ったり、攻撃を封殺したり、闘ってる相手の存在を消してし
まう人がいる中で、どうして子供のような彼女が超能力者でいられたのかしら?」

当たり前すぎて疑問にも思わなかった。

「答えは簡単。あの娘はスケープゴートだったから」

193 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 16:54:46.99 ID:6k9/ifMo
 ・・・・
「身代わり…?」

もう何が真実なのか分からなくなってきた。今まで見聞きしてきたマスコミの情報も、当
たり前だと思っていた常識も。人から聞いた話も。

「そう。あの娘はそもそも存在するはずがなかったの」
「ちょ、ちょっと待ってくださいまし!!」
「ではお姉様は…御坂美琴様は人間ではなくなんだというんですの?!存在するはずがな
いだなんて、まるで妹達のような………」

そこで白井が息を飲んだ。

「そう。その通り。御坂美琴は私のクローン。私がオリジナルの……『御坂深琴』」

膝から力が抜け、そのまま地面に落ちた。

「私の名前は深い琴って書いて『深琴』って言うの。紛らわしいよね……ホント」
「……美琴に仲良くなってもらってた二人には本当に感謝してるし、申し訳ない
って思ってる」
「だから…その気持ちを照明したいから……私を行かせて?」

寂しそうな、だけど優しい笑顔を御坂は向けた。まるで……死に際の美琴みたいに。

「分かった……」
「……ありがとう。そうだ、二人の名前聞いてなかったっけ。なんていうの?」
「……白井……黒子でございます」

嗚咽しそうになりながらもそれを我慢した声で白井は自己紹介をした。

「しらい、くろこ。うん、素敵な名前ね。貴方は?」
「上条、当麻」
「えっ?」

俺の名前を聞いて、御坂の様子が変わった。

「トウマ…君?」
194 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 16:56:17.29 ID:6k9/ifMo
「…へっ?」

初めて会ったはずなのに、御坂はどうもそうではないみたいだ。俺は小さい頃の
記憶を失ってるから分からないけど。

「そっか、トウマ君か……」

よく分からないながらも、御坂のその嬉しそうな顔からして何かあったってこと
は分かる。やがて、御坂はこちらに向きなおす。

「…二人とも。ありがとう」

そう言った直後、御坂を中心とした球状に電流が流れ始めた。

「御坂様!!」
「…さよなら」

そう告げて、地上へと浮き上がっていった。
195 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 16:57:00.75 ID:6k9/ifMo
とりまここで休憩。
強調の所の点が上手く書けなかった悔しいでも(ry
196 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 19:39:05.37 ID:6k9/ifMo
「シェリー。作戦通りに行くぞ!!」
「了解よ!!」

威勢の良い声で返事をし、シェリーは前にも見たようにチョークで床に何かの文
章と絵を描いていく。そして全てを書き終わって立ち上がると書かれた物が赤く
光り始めると同時に、地面が音を立てながら震え始めた。

「さぁエリス!!私達のために起きやがれ!!!」

そう叫んでシェリーはジャンプした。その直後シェリーの真下が崩れ、そこから
岩石で出来た巨人が姿を表す。

「よし!全員ゴーレムに乗るんだ!!」
「カミジョーとか言ったわね。魔方陣を消した時みたいに、エリスに手を出した
らただじゃすませねぇぞ!!」
「言われなくても分かってる!!」

そうだ。今はとにかく核載戦士を、けりをつけると言った御坂を止めなきゃなら
ねぇ。うだうだしてらんねぇなぁ!!!

全員が巨人の腕や肩に乗ると、エリスと呼ばれる巨人は天井の穴に飛び上がり、
両腕を壁に突き刺しつつ地上へと上り始めた。

「全く、君の魔術を地下で連発されたら落盤が起こりそうだよ」
「なぁにぃステイル。そんなにエリスが嫌なら、自分だけで登ってみな!!」
「やれやれ……」
197 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 19:39:44.92 ID:6k9/ifMo
苦笑いしながら首を横に振り、ステイルはいつものように煙草とジッポを取り出
す。だが、今回はうまくジッポに火がつかない。ステイルの顔がしかめ始めた時、
横から火がつけられたジッポが差し出された。

「ついてないみたいだな」

同じように煙草を口にしていたスネークさんだった。

「全くだ」

差し出された火種に、ステイルが煙草を近づけて火をつけた。

「まったく。ステイルだけでも煙いというのに、あのおっさんまで喫煙しやがる
とはな」
「良いじゃないですか、シェリー。私はもう慣れていますから」
「そりゃあんたが長いこと喫煙者とコンビ組んでるからでしょ?」
「そうですね」

巨人の左肩に立つシェリーと、その横で片膝を立てて座る神裂。

「おね……御坂さんは大丈夫でしょうか?」

不意に隣にいた白井が俺に声をかけた。

「……分からねぇ。でもなんとなく無理してる気がする」
「上条さんもですか。実を言うと、私も同じ事を感じておりました」
「さっきの超電磁砲っぽい奴もそうだ。これはとっとと核載戦士を
ぶっ壊さなければならんぜよ」

土御門の一言に、俺も白井も頷く。
198 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 19:41:19.10 ID:6k9/ifMo
「う、う〜ん……」

と、土御門の横、ちょうど巨人の右肩で横たわっていた心念制圧がゆっくりと
目を覚ました。その様子を見て白井が眉をしかめる。

「大丈夫なのですか?一度捕虜にしたとはいえ、レベル5の能力者を放っておく
のは」
「ふっふ〜ん、そのへんはバッチリ対策を取ってるぜちっこいねーちん」

少しの間、白井が止まった。

「ちっこいねーちん……それはもしかしなくとも私の事を指しておられるのです
か?」
「んっ?そうだぜよ」
「は、はぁ……」

明らかにひいてる顔をしてるけど、そんなこと土御門はお構い無しのようだ。

「ここは…?」
「目が覚めたか心理掌握。いや、心念制圧っつったか」
「貴方は…あれ?」

心念制圧はこめかみ辺りに自分の左手を当てる。

「心が…読める」
「だからって妙な真似したらいかんぜよ。ここには戦闘のプロばっかりだからにゃ〜」
「…あいにく、上条さんに組み倒された時からそんな気は失せております」

あ、あれ?女性の皆さんの俺への視線が急にヒヤッとしてきやがったんですが……俺
は何も悪い事はしてないしてませんする気もありません三段活用?!

「ふふっ、自業自得。ですよっ」

…久々にこの言葉を使いたくなってきた。

不幸だ…。


                           −第14部・完−
199 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 19:42:55.59 ID:6k9/ifMo
キリがいいのと、小出しになりがちになってきたので今日はここまで

・・・反応があると嬉しいな(ボソッ
200 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/16(月) 19:46:33.50 ID:6k9/ifMo
200ゲト記念アゲ
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 21:56:04.80 ID:8BWJ1nIo
14部って何部まで続くんだ?
202 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 21:59:51.28 ID:6k9/ifMo
>>201

ぶっちゃけプロットとかなしに、アドリブで書いてるからどこまでいくかワカラネ
でも書いてる側としてももう終わらせたいww
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:02:04.86 ID:8BWJ1nIo
製作の禁書SSじゃわりと古参だよなこのSS
つか終わり方が想像できんww
204 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/16(月) 22:13:15.41 ID:6k9/ifMo
>>203

>終わり方が想像できない

その言葉を待っていた
205 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/16(月) 23:04:18.79 ID:6k9/ifMo
かっこ悪いけど、感想が聞きたくてageてみる
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/17(火) 03:34:00.65 ID:GByulqYo
作者がしばらくこなかった時期あったから内容忘れちったわ
読み直すか…
207 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/17(火) 11:52:18.26 ID:pX/mXxgo
やぁノ
あまりに反応薄くて寂しいから、Arcadiaに投稿してしまったwwwwww
向こうではかなり叩かれてます、でも何故だか気持ちいい俺はどうみても(ry

208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 23:34:25.63 ID:UKtku6DO
クライマックスの前の息抜きみたいなシーンだからコメントしにくい
209 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/18(水) 00:45:39.47 ID:mFllrDMo
ちょっと提案。
みんなでこの先の展開考えてくれない?
もちろんもう展開は考えてあるけど、よさげのあったら参考にしてみたい
210 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/08/18(水) 00:50:35.47 ID:mFllrDMo
あと今北用

ttp://mai-net.ath.cx/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=etc&all=21225&n=0&count=1

Arcadiaに載せた同じ奴↑
こっちの方がちょっと見やすいかも???
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/18(水) 01:02:38.77 ID:b1.3HoYo
MGSやったことないからわかんないんだよね。
とりあえず美琴分が足りない
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 19:55:03.23 ID:UVbMKIDO
一方通行がきて全てを破壊して帰って行く。
もちろん話の流れも破壊する。
213 : ◆FMYPc6cKQE :2010/08/20(金) 18:31:35.34 ID:fqLK.VIo
どもども。相変わらずこのスレ過疎ってるなwwwwww

>>211
美琴分・・・一字違いで良いならこれから存分に補給できるお

>>212
すごく・・・ちゃっちく見えてしょうがなくなりそうです。
そういえば一方さん出してないな・・・
214 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/02(木) 18:59:33.60 ID:dQM5rqMo
ども。>>1です

アイディアが全然思いつかずで完全に放置状態でした。
見てらっしゃる方には本当に申し訳ありません。。。

一応今から続きを執筆していきます
でも投下できる量になるかどうか……
215 : ◆FMYPc6cKQE :2010/09/02(木) 19:54:09.26 ID:dQM5rqMo
よし、とりあえず次の山場の前まで投下しますぞ
216 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:54:40.99 ID:dQM5rqMo
「……そうですか。核載戦士はもう」
「あぁ。今、御坂…いや、ディープスロートが後を追ってる」
「…御坂深琴さん、ですね」
「ご存知だったのですね?」

戦意喪失した捕虜、心念制圧にも今までの出来事を説明した後。彼女にも御坂深琴と
の接点があることが分かった。

「ええ。操車場ではお互い敵として考えていましたが……元々、深琴とは友人だった
んです」
「どういうことだ?」
「……少し話が長くなりますが、かまいませんか?」

少し眉をしかめて俺を見る心念制圧に俺は即座に頷いた。
もう少しで地上に出ようとしていた時、俺達は想像を絶する御坂の過去を知ること
になる。
217 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:55:16.34 ID:dQM5rqMo
深琴は元々郊外のごく一般の家庭に生まれた明るく、素直な女の子だったらしい。
だが幼い頃から電撃を発する能力があったそうだ。その情報をキャッチした学園都
市は小学校に入る前の深琴を招待し、あらゆる能力強化を受けた。この辺りは美琴
も同じだったって聞いたことがある。だがちょうど中学に入る直前、ある科学者が
深琴の元にやってきた。

『こ、これほど素晴らしい能力を残しておく訳には行かない。ぜ、ぜぜ是非私の研
究に協力してくれないか?』

研究の詳しい事をその時には聞いていなかったが、深琴は何も問題はないと踏んで
即OKを出した。

「……その頃から深琴は何故か暗い性格になっていきました」
「理由はよく分からなかったのか?」
「ええ。その時にご両親の訃報もなかったので、どうして性格が変わったのか本当
に分かりませんでした」
「その辺は超電磁砲って呼ばれてた姉ちゃんにも関係してくるんじゃないか?」
「はい。最も、それが理由だったと知ったのはつい最近のことでしたが…」

深琴に協力を依頼した人物。
そいつの研究は、『高レベル能力者が持つ能力の恒久化の実現』。つまり……超能
力者のクローンを創りあげる事だった。そうしてソイツは深琴のDNAから、一人
のクローンを生み出す。

「それがお姉様だったのですね」
「はい、その通りです」
「けどクローンが生まれたからってそれがオリジナルにとって変えられるなんて変
な話じゃないか?」
「……ええ。ですが、彼女自身から聞けたのはここまでです。その先はいつも話し
てくれませんでした」
「……フルチューニング……」

土御門が聞いたこともない単語を呟いた。

「なんだそれ?」
「フルチューニング。妹達の中で最初に生み出された試作型の奴がいるって話は聞
いたことがあるぜよ。最も、その後突然行方不明になってその存在すら都市伝説扱
いされてるみたいだが」
「じゃあ何か? お前は美琴がそのフルチューニングだって言いたいのか?」
「あくまで可能性の話ぜよ」

そこまで断言はしない、と言いたげに苦笑いを浮かべながら土御門は言う。
218 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:56:04.86 ID:dQM5rqMo
「……それと、この話にはまだ続きがあるんです」
「続き、ですの?」
「はい。ここからは私が実際に見聞きした話ですが―――」

心念制圧だけでなく、たくさんの友達と楽しそうにしていた深琴が一変して独りで
いることが多くなった。それでも変わらずに彼女と接していた心念制圧。深琴の方
も親友にだけは変わらずにいた。が、ある日。いきなり深琴から『もう私にかまわ
ないで!!』と拒絶の意思をぶつけられた。

「私達はずっと一緒だ、一生親友だって思っていたのに、本当に何の前触れもなく
言われました……」

徐々に心念制圧の眉がしかめてきた。

「その時は何が起こったのかも分からず、深琴に聞いても答えてもらえませんで
した。でもどうしても私を拒絶する理由を知りたくて、自分で調べてみたんです。
……まさかあんな事になっていたなんて―――」
『た、大変だ!!ZEKEの行き先が分かったぞ!!!』

突然鼓膜にオタコンからの怒声が響き、思わず顔をしかめてしまった。

『場所はどこだ?』

静かにタバコを吸っていたスネークさんが慌てるオタコンに影響されることなく
喋りかける。

『もし核載戦士がこのまま直進していくと、第10学区の原子力施設に向かって
いることになります!!』
「なんだって?!」

初春さんからの衝撃の報告。核載戦士はさっきも見たように空を飛ぶことも出来
る。まさか地上に出てから飛ぶのを止めるはずがないし、空だったらほとんど障
害物もない。

『もしかしたらそこから核弾頭を利用するのかもしれません!!』
「バカな!!一つ間違えばこの学園都市どころか日本中が放射線にさらされるぞ!」
『あぁ!だが、もし成功して他の国に核が落ちたら―――』
『全面核戦争が……勃発する』

全面核戦争(最悪のシナリオ)。広島や長崎に落ちた原爆よりさらに強力な物が、
世界中に、それまでの兵器と同じようにためらいなく落とされる戦争―――。急
激に喉が渇き、背中に嫌な汗が出てきた。
219 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:56:30.69 ID:dQM5rqMo
『ととにかく!取り返しがつかなくなる前にZEKEを止めてくれ!!』

けど向こうが空路に対してこっちは陸路しかない。どう考えてもこのエリスでは
追いつけない。どうすれば――――。考えを巡らせていると、いつの間にか大通り
の手前にまで巨人は辿り着いていた。だがそれに気づいた瞬間、前がいきなり眩し
くなる。とっさに目をつぶり、右腕を顔の前にあげて眩しさをやわらげる。

「なっなんだ?!」
『止まれ!そこを動くな!!』

光の方向から、拡声器越しの声。大通り一面に車を止めた黄泉川先生達警備員だった。

『昨日はよくもなめたマネをしてくれたじゃん? それ相当の報いを受けるって
覚悟は出来てるじゃん?!』

先生の一言で、警備員の持つ銃が俺達に向けられる。

「全く、僕達は今それどころじゃないっていうのに…」
『こっちは重傷者だって出てるじゃん!!それにやられっぱなしじゃあこっちの
気がすまないじゃん!!』

最悪だ。ステイルの言うとおり、今警備員と相手してたらそれこそ取り返しのつ
かないことに―――。
220 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:57:18.39 ID:dQM5rqMo
『――こち――空中――ダメだ――』

拡声器越しに、警備員の無線が聞こえてきた。

「空中……」

何が原因かはすでに分かりきっていた。核載戦士だ。

「先生!話を聞いてくれ!!」
『お前?!子萌ん所の!』

岩の巨人から飛び降り、警備員達の方へ叫ぶ。黄泉川先生も無線から気をこっちに
向けてくれた。

「今学園都市の上空に、恐ろしい兵器が飛んでる!!」
『それはもうこっちも把握してるじゃん!!』
「ならなおさら聞いてくれ!!そいつは原子力の施設に向かって飛んでる。目的は
そこにある核だ!!」
『か、核だって?!』

聞き慣れない、だが日本人なら誰でも知っているその言葉を聞いて先生以外の警備
員達がうろたえ始めた。

「あぁそうだ!そいつは武器としての核だけじゃない。研究や発電に使われてる原
子力だって核弾頭にして打ち出すことが出来ちまう!」
「考えてくれ!空だって飛べる二足歩行のロボットがほうしゃのう持ったもんをど
っからでも、どこにでも核を落とすんだ!!それは、この学園都市だって例外なん
かじゃねぇ。学園都市の平和を守るアンタらがそれを見過ごしても良いってのかよ!」
『……っ』

そこで俺は一つ呼吸を置いた。

「俺達が警備員にケガさせちまったのは謝ります。でも今この状況を見逃したら怪我
どころじゃない。たくさんの、何の関係もないはずの人達が犠牲になっちまうんです。
家族や友達……恋人を失ってしまう悲劇が何万何千と起こるかもしれない」
「それをただ放っておくなんて真似は俺には出来ない!だから、だから俺はその引き金
になりかねないアレを止めなきゃならないんです!!」
「お願いです、俺達を行かせてください!!!」

叫んだ勢いそのままに。俺はひざまずいて額を地面に叩きつけた。これで何が起きてる
かを見ることは出来ない。後は聞き手がどうするかだけだった。
221 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:58:43.99 ID:dQM5rqMo
『フッ……』

聴覚を研ぎ澄ましていた所、初めに聞こえて来たのはため息だった。

『分かった。アンタの事情はそれなりに聞いてるじゃん。なんで無能力者のアンタが狙
われなきゃいけないんだって思ってはいたけど、そういうことじゃん?証拠はまだ出し
てもらってないけどここはアンタの言うこと、信じてみるじゃん?』
「せ、先生っ!」

最高の返答に俺は顔を上げた。だが次の瞬間、拡声器がハウリングを起こす。聞き心地
などあり得ない位の音量に、思わず目をつぶって耳を塞ぎそうになる。

『けどな!!!それはお前達を無罪放免にするってわけじゃないじゃん!それを忘れな
いじゃん!』
「はい!!」

俺は威勢良く返事をした。それに満足したんだろうか、黄泉川先生がこちらに背を向けた。

『よし!全員聴け!!これより取り締まる目標ををあの化け物に変更し、それまでこい
つらと共同戦線を組むじゃん!!異論はないじゃん?!』
「ありません!!!」

学園都市が誇る警備員達の、寸分狂いもなくハモった声が鼓膜に響く。
222 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 19:59:26.92 ID:dQM5rqMo

「お見事だにゃ〜交渉人カミやん」

俺の左肩に土御門が寄っかかる。なんというか、素直に嬉しそうな声だった。

「良い大演説を聞かせてもらったぞ、『戦場をかける交渉人』」

その反対側、つまり右肩にスネークさんの手が乗せられる。

「そんな……大演説だなんて。俺は単に俺が思ってることをぶちまけただけですって」
「いや、違うな。少し前のお前さんはただ自分の主張が正しいという事を相手に強制
させようとしていただけだった。それが例え善、正義だったとしてもやってることは
奴隷に対する命令と何も変わらない。だがさっきのは違った。何よりも違ったのはな、
トウマ。お前さん自身が非を認めたからだ」
「警備員達に怪我させた事、ですか?」
「あぁそうだ。自分の意見を押し付けてばかりだったお前さんには自分が犯したミス、
無礼、過ちを省みようともしなかった。さっきの交渉、初めはそんな感じだったが、
お前さんが深呼吸してからはガラリと変わった。相手に思い込ませるんじゃない。相手
を納得させる。交渉で最も重要な事をやってのけたんだ。一流の交渉人ここに誕生だな」

一流なんて言われても実感はわかず、照れくさくなってくる。けど認めてもらったんだ。
一言言わないと。

「ありがとうござい―――」

その時だった。突然コール音が鳴り響く。俺達はすかさずスピーカーに
注意を向けた。

「こちらスネーク。どうしたオタ―――」
『す、スネークさん!!上条さん!!大変です!!!』

かけてきたのは核載戦士の動向を探っていた初春さん達だった。

「どうしたんだ?なにかあった?」
『―――さらにまずいことになった』

今度はオタコンの声。二人とも明らかに声が震えている。

「ZEKEが施設の近くに?!」
『いや、スネーク。それだけならまだ良かったかもしれない』
「それだけ? 一体どういうことぜよ?」
『確かに、核載戦士は目標の原子力施設近くの広い空き地に到着したようです。です
が、その近辺に人影が……』
「人影?! 風紀委員は一般人の避難をさせたんじゃないのか?!」
『あぁ。どうやら首脳陣はZEKEを確認してからすぐに全区域に避難命令を出してる。
それにここに来る情報によれば避難率はかなり高い。でもたった一人避難してないの
がいるんだ』
223 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 20:00:20.55 ID:dQM5rqMo
まさか。

「オリジナル……」
『えっ? ツチミカド、今なんて?』
「オタコン。今その人影に強力な電磁場が確認できるか?」
『そうだけど、どうしてそれが?』

そこでスネークさんも気付いたようだ。

「まさかさっきZEKEを追っていった……」
「あぁ、間違いない」
「御坂深琴が……終わらせようとしてる」

あの兵器を生み出してしまった責任を果たすために。

『み、御坂さん?! どうして御坂さんの名前が?!』

『いないはずの御坂』の名前を聞いて初春さんがさらに慌てている。

「その事は後でゆっくり話すよ!! じゃあ今からそこに向かう!!!」
『あっ、上じょ―――』

強引に無線を切って俺は警備員達の方に駆け出した。
224 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 20:00:51.26 ID:dQM5rqMo
「現在あの化け物がいる地区には空中部隊もいるが、さっきの無線の通りほぼ無力じゃ
ん」

警備員の護送トラックの中。スピードが出ているのかかなりゆれている。その中でも
黄泉川先生は何ともなさそうに車内にあるテーブルに置かれた地図に指していた。

「一般市民の避難はほぼ完了。風紀委員と我々が出動、と行きたかったが新米達が現在
行方不明。混乱してるせいであまり期待は出来ないじゃん」
「申し訳ありません……」

風紀委員という言葉を聞き、白井が眉をしかめながら先生に頭を下げる。

「別に白井のせいじゃない。おそらく相当用意していたんだろうじゃん、奴らも」
「……はい。大々的に告知していた計画の裏に起きた事ですから、おそらく理事会も手中
に」
「弱ったじゃん。これじゃあ私達がやってることは裏切りになっちまうじゃん」

じれったそうに黄泉川先生は髪をワシャワシャとかきむしる。と、その横にいた人が
彼女に対面する。

「で、でも。私達しか真実を知らないのですから私達がやるしかありませんよ」

メガネをかけ、髪を後ろに長く結んだ女性。……あれ?なんかどっかで見た事があるような
気がするけど、どこだったっけ?

「……そうじゃん。鉄装の言うとおりじゃん」

結構おどおどしながらのてっそうさんの発言に黄泉川先生もふっと笑みをこぼした。
225 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 20:01:28.07 ID:dQM5rqMo
「で、戦況確認じゃん」

だがすぐに厳しい表情に戻った。

「私達警備員はここにいるだけで20人弱。武装は64式7.62mm小銃、AT4、
MK3A2手榴弾にスタングレネード。AT4は一部だけだが、それ以外は全ての警備員
が常備してるじゃん」
「じゃあおっさんに用意した武器を紹介していくじゃん。まずはコルト・ガバメントに
M4アサルトライフル、それからRPGとスティンガー、あとはモシン・ナガンだにゃ〜」
「……だてにダンディーな兄ちゃんは修羅場をくぐってないじゃん」
「まぁな」

黄泉川先生がスネークさんに対して不敵に笑った。

「あとトウマにベレッタM1951を渡しておいた」
「ほ〜、カミやんも学園都市でガンマンになってたなんてにゃ〜」
「気持ち悪い言い方するんじゃねぇ。これは護身用だし、まだ発砲してもねぇよ」
「……非常時だから仕方がないけど、むやみやたらに使うじゃないじゃん」

ため息をついた黄泉川先生が俺に釘を刺した。

「分かってます。俺だって撃ちたいなんて思いたくもない」
「ん。それならいいじゃん」
「相手はあの機械だけじゃないかもしれませんからね……」

ふと、てっそうさんが俯いた。

「いくら学園都市の治安の為とはいえ学生に銃を向けるなんて」
「心配はいらない。業者に怒鳴り込んでゴム弾を用意してもらった。バズーカやグレネード
を使わない私らは最悪気絶させるだけですむじゃん」
「そ、そうですか。よかった……」

心底安心したみたいに、てっそうさんはほっと胸を撫で下ろした。それより俺は、
黄泉川先生の発言にあることを思い出していた。
226 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/02(木) 20:01:54.08 ID:dQM5rqMo
学園都市にいた頃の俺は周りから『説教』と言われる位に自分の思いをぶつけ、それを
無理に押し通してきた。ステイルや神裂、シェリーに美琴……例外はあったがその説教
相手の思いを捻じ曲げちまってきた。そんな悪い癖は『学園都市(ふるさと)』を離れ
ても同じだった。けど……そこに起きてしまった美琴の死。俺はそれまで説教すること
で相手を納得させることが出来たなんて思い上がっちまってたけど、あの悲劇が起こっ
た後俺はどれくらいか分からないくらい後悔していた。全員を助けたい。その思いであ
そこまで来たのに俺は結局一番守りたい存在を守れなかった。だけど、土御門も言って
いた。

「デカい事をやるためには、多少の犠牲は仕方ない。けどそれにいちいち構ってたら目
標にはいつまでもたどりつけない」

見方を変えれば死んだ奴に対する冒涜かもしれない。だけど、ここでちゅうちょしてい
たらもっとたくさんの、それこそ全世界の人々が死んでしまうかもしれない。そう考え
たらいつまでも美琴が死んだからって落ちぶれていられない。それに……美琴ではない
けど、あいつはまだ死んでない。

『あと5分ほどで目的地に到着。全員用意されたし』

運転していた警備員からのアナウンスが聞こえてきた。

「よし。じゃあ全員準備するじゃん。……今から私達は『最終戦争(ハルマゲドン)』
を食い止める使者になるじゃん!」

警備員隊長の号令にその場にいた全員が頷いた。
227 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/02(木) 20:02:50.26 ID:dQM5rqMo
とりあえず今回はここまで。

もう色々バカをやってきたし、他のSS見て今更後悔し始めてきたけど
もう突っ走るじゃん!
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 20:55:11.19 ID:l/AdF1co
がんばるじゃん!
229 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:45:50.88 ID:AA6b2cIo
ども。少し投下しまする
230 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:46:18.07 ID:AA6b2cIo
時刻は分からない。だけど、学園都市にはもう朝日が挨拶を済ませていた。到着した車
から出た時に眩しさに目をつぶりそうになるが、それを我慢して走った。そして、

「御坂っーーーー!!」

俺はもう会えないだろうと思っていた奴と瓜二つの人の名前を叫んだ。御坂深琴と美琴
(核載戦士)が対峙していたのは何か大きな施設があったであろう広い空き地。あちら
こちらから煙が挙がっていた。そして目の前に原子力施設がある。それに背を向ける形
で深琴は立ち塞がっていた。

「ど、どうして?!」

俺達の存在に気づき、深琴は目を丸くしながら叫んだ。……本気で一人で片付けような
んて考えやがってたのか。

「これはおね……御坂様の問題でもありますが同時に学園都市、いえ世界全体の問題で
もあります!私達も加勢いたしますわ!!」

横にいた白井が言いたかった事を全部言ってくれた。

「全員!目標はあの機械の化け物じゃん!!あの女の子に一発でも当てたら―――」

警備員隊長の号令がかかっている時、突然どこからともなく甲高く単調な音が鳴り出
した。

「なっ、なんだこの耳障りな音は?!」

周りを見回して音源を探していた時。白井が力が抜けたように膝から地面に落ちた。

「し、白井?!」
「こ、これは……キャパシティダウンですの。でもどうして」

聞き慣れない単語に思考を巡らせていた時、無線の呼び出し音が鼓膜に響きだした。

「こちら上条!」
『トウマかい?!今そっちからキーンって音が聞こえるね?!』
「そうだけど、それがどうしたんだ?」
『それはキャパシティダウンと言って能力者の能力を使えなくする学園都市が開発した
装置です!』
「……で、ですがキャパシティダウンはスキルアウト内の能力者への対策として警備員
に配備されたはずでは?」

顔をしかめながら白井が説明を加える。ってことは警備員の中にも―――
231 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:46:52.15 ID:AA6b2cIo
「……ZEKEか」
「えっ?」

俺達の真後ろにいたスネークさんが呟いた。

『そうだ。その音はここにも聞こえてきてね。どこが音源なのか調べてみたんだ。……
音源はZEKEの中にある』
「そ、それでは御坂様は……あっ!!」

白井の予想通りだった。能力者である御坂深琴も地面にへたり込んでいた。それを好機と
ばかりに核載戦士は前に、つまり原子力施設へと足を進め始めた。

「くっ!撃ち方始め!!!」

直後、横にいた警備員達の一斉射撃が始まった。全部とは言えないが、ほとんどが目標に
命中してはいる。が……

「びくともしておりませんの……」

生身の人間はおろか、ヘリだって蜂の巣どころではないはずなのに。核載戦士はまるで何
も起こっていないかのように平然と歩いている。

「なら!重爆撃班用意!!」

今度はAT4を担いだ人達が構えだした。

「てっーーー!!」

合図と同時に全てのAT4が発射された。一直線に核載戦士に向かっていった弾丸は全て
が命中し、核載戦士も歩みを止めた。

「よし!次だ!!」

だが……

『目的達成ヘノ害虫ヲ確認。目標ヲ変更シセン滅ヲ最優先トシマス』

あのアナウンスと共に核載戦士はこちらに向き出した。

『キャパシティダウンノ効果ハホボゼロと確認。コレヨリ「超電磁砲」ヲ使用シ、敵ヲ
セン滅シマス』

そして、さっき見たように核載戦士の右肩から電流が空中に放たれ始めた。まずい!

「黄泉川先生!早く逃げろ!!」
「な、何を言ってるじゃん?!これからが勝負だって時に!!」
「早く逃げてくれ!!でなきゃあんたらは一瞬で灰になっちまうぞ!!!」
「なっ?!どういうことじゃん?!」

ダメだ、そうじゃない!早くここから逃げてくれ!!説明してる暇なんてねぇんだよ!!!
232 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:47:22.98 ID:AA6b2cIo
『充電率30パーセント。目標、警備員部隊。ロックオン。発射マデ10秒』

10秒しか時間はない。全員が逃げ切れるにはとてもじゃないが少なすぎる。

「くそっ!」
「あっ、上条さん!!」

間に合うかどうか。それはおろか、間に合ったとして攻撃にどう対処すればいいのか。
そんなことを考えることなく俺は走った。考えるより先に足が動いていた。

『発射5秒前―――』
「させるかよぉぉぉぉ!!」

核載戦士の右肩の上を舞う電流がさらに大きくなる。

『3、2、1―――』
「くっ!!」

ギリギリの所でなんとか核載戦士と警備員の間に割って入れた。そしてとっさに俺は
右腕を前につきつけた。

『発射(ファイア)』

もうだめかと目を閉じる寸前。誰かが俺の前に立ち塞がった。その直後、轟音と共に
超電磁砲は発射された。しかし、俺はおろか後ろからも衝撃や音がしない。どういう
ことか確かめるために目を開くと、

「ハァ、ハァ……無茶は。しないでよ、もう」

肩で息をしながら両手を横に突き出した深琴がいた。

「どうして―――」
「超高速で発射される超電磁砲の弱点は他の磁場に影響を受けやすいことにある。だ
から私が今こうしてここに立って私の中に電流を流して磁場を作った。その磁界がさ
っき発射された超電磁砲の軌道を反らしたってわけ」
「で、でもキャパシティダウンってのが―――」
「私も『常盤台の超電磁砲』と同じ超能力者なの。あれくらいで封じ込められるわけ
ないもの」

―――こういう所は美琴(クローン)と同じってわけか……。

「なんにせよ助かった。ありが―――」

感謝のために頭を下げ、上げなおそうとした瞬間。俺の右頬にキツイ一発がお見舞い
された。
233 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:47:58.95 ID:AA6b2cIo
「……えっ?」

前を見ると、左腕を振り上げている深琴。……わずかながら目が潤んでいる。

「感謝される覚えなんてない!!」

潤んだ目をぎゅっと閉じ、俺に向かって叫ぶ。

「どうして貴方は、トウマ君はいつもいつも自分自身の危険を顧みずに突っ走ったり
するの?! どうして無茶ばっかりするのよ!!」
「っ――」

―――確か、同じような事を美琴(アイツ)にも言われたことがあった。あの時は次
にこう言われたな。


「心 配 す る 私(ア タ シ) の 身 に も な っ て よ !!」


一瞬だけ、深琴と美琴がかぶって見えた。あの時は逆切れしちまったけど、今はこう
するしかないですか。そう思い立ち、俺は笑みをこぼしながらミコトの頭に右手を置
いた。

「それはお前も同じだろ?」
「……えっ?」

突然何をされたのか分からない、って感じにミコトは目をぱちくりさせた。

「白井も言ってたじゃねぇか。あの核載戦士は深琴が生み出したものだけど、今はも
うお前だけの問題じゃねぇ……今までお前には仲間なんていなかったかもしれねぇけ
ど、よく見てみろよ」

そう言って後ろを振り返る。そこにいたのは全員笑顔を浮かべ、中にはサムズアップ
を決めている俺達の『戦友』達。

「なっ?もうお前は独りなんかじゃない」
「……トウマ、君……うん」

すでに涙を流していた深琴だったが、頷いた後の彼女はもう笑顔を取り戻していた。
234 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:49:49.44 ID:AA6b2cIo
「さて―――」

一呼吸置いてから核載戦士に目を向けなおす。

『超電磁砲発射の影響ニヨルシステムリブート完了。目標ヲ固定。セン滅ヲシマス。
武器ノ変更ヲ―――』

超電磁砲は深琴のおかげで使えないも同然。けど、それだけが奴の武装なわけがない。

「どうするの?」
「どうするっつっても―――」

―――待てよ?

「御坂、あの核載戦士には美琴のデータがあるんだよな?」
「えっ、そうだけど……」
「……賭けてみるか」

一呼吸置いて呟き、俺は核載戦士に向かって歩き出した。

「っ!? トウマ君?!」
「大丈夫。なんとかなる」

そんな保障なんてどこにもなかったが自然にそう口にしていた。何歩か歩いてから立ち
止まり、俺は奴に向かって叫んだ。

「おい、ミサカ!!」

もちろん奴からの返答なんて期待もしていない。

「俺だ!上条当麻だ!! 聞いてくれ!!!」

そこでまた一呼吸置いた。

「お前はもう死んだと思ってた。けどまだお前はその機械の中で生きている!そうだろ?!」
『……武装ノ状態確認、完了』
「生きてるんだったらよぉ! もうこんなことするのはやめてくれよ!!」
『目標、カミジョウトウマ』
「っ―――」

―――やっぱりダメなのか。
諦めかけたその時。
235 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/04(土) 21:50:46.88 ID:AA6b2cIo
今回はここまで。

こっから書く長くなりそうだから申し訳ないじゃん!
236 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/06(月) 12:59:47.89 ID:qwzHU/so
どもども。
ちょっとキリが悪いので1〜2レスだけ投下〜
237 : ◆FMYPc6cKQE [saga]:2010/09/06(月) 13:00:48.80 ID:qwzHU/so
核載戦士の左肩から爆煙が上がった。それも断続的に2回。

「っ?!」

弾が飛んで来た方向に首を回すと、スネークさんと土御門がバズーカ

砲を構えていた。

「援護は任しとけ、カミやん!!」
「トウマ、今のでレーダーは潰した!!無茶はするなよ!」
「は、はい!」

よく見ると、そのレーダーのような物から電流が漏れ出している。

『レーダーノ不能ヲ確認。スコープニヨル視認ヲ開始シマス』

次の瞬間、空気の抜ける音の後にハッチらしき物が開きだす。

「っ?!」
「そ、そんな?!!」

そこにいたのは―――

「な、なんてことだ……」

スネークさんの唖然とする声。

「ど、どういうことじゃん?」

続いて黄泉川先生の同じような声。

「お、お姉……さま?」

そこには、漫画でしか見た事のないような人間一人が入る大きさの試験管。
その中に何かの液体に満たされた一人の女の子。肩から下は曇りガラスで
よく分からないが、オレンジ色の髪に挿した見覚えのある花の髪留め。

「そ、そんな――」

膝に力がなくなり、そのまま地面に落ちた。

「これが……核載戦士量産計画の真相よ」
「なんで、なんで美琴がいるんだよ!!!!」

まぎれもない御坂美琴。核載戦士にはデータだけでなく、美琴そのもの
に同化しちまっていた。
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 14:04:52.78 ID:McWb.wDO
oh…
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 23:41:43.11 ID:zg/Qn82o
なんてこった・・・
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 08:17:23.85 ID:zNZptYDO
アスラクライン……
241 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/07(火) 13:15:31.63 ID:z685rcQo
ども。めったにない生存報告でございま―――

>>240
あれ?2番煎じ・・・だと・・・?
いや、気にしないじゃん!
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 01:46:00.50 ID:T1I7Vrco
続き期待してます
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/09(木) 01:49:52.19 ID:RrDj7oQo
実はVIPでやってた時から見てたりする
ちゃんと完結するまで応援してます
244 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/09(木) 16:23:18.47 ID:iyRQ8pIo
どもども。すこしながらキリが良いところまで投下して行きまする
245 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/09(木) 16:24:06.30 ID:iyRQ8pIo
「私も初めて実際に見るけど……知りたくもなかった」
『クライアントノ目覚メヲ確認。脳波ノトレースヲ開始シマス』

死体であるはずの美琴(クローン)がまぶたをゆっくりと開き始めた。

『トウ……マ……』
「なっ?!」

それまで無機質で英語を話していたアナウンスから、忘れるはずもない
口調に変わった。

「あれが貴方のクローンなのね、深琴……」
「ええ、そうよ」

いつの間にか隣には心念制圧も立っていた。

「そう。あれが御坂美琴……私のフルチューニング」
『やっぱり……か』

開きっ放しだった無線が土御門の呟きを拾った。

「つくづく呪われてるわ、私達」
『当麻……なの?』

み、こと―――。

「ダメッ!あれはもう貴方の知ってる美琴なんかじゃ―――」

深琴が俺に向かって叫んでいるが、それに耳を貸すことなく再び俺は
核載戦士に近づいていった。

「美琴。本当にお前……なのか?」
『アタシ以外に誰が―――』

親しみのある憎まれ口が叩かれようとした時、前を見た美琴の目が大きく
開かれた。

『っ?!』
「美琴?」
『……誰?』

後ろに俺も振り向いてみると、そこにいたのは深琴(オリジナル)。

「あぁ、アイツは―――」
『どうして……?』

―――なっ、なんだ?
246 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/09(木) 16:25:59.65 ID:iyRQ8pIo
『どうして私がそこにいるの?!』
「何言ってるんだ、おま―――」
『妹達でも、打ち止め(ラストオーダー)でもない。どうして私がそこに
いるわけ?!』

―――どういうことだ? まるで深琴の存在を今まで知らなかったような
感じだけど。

『当麻!騙されないで!!』
「な、何言ってんだいきなり」
『あいつは……そこにいる「アタシ」はアタシじゃない!!』
「そりゃ確かにそうだけど」
『アタシはアタシしかいない!そこにいるのは偽者よ!!』

この時は何故か俺は落ち着いていた。

「お前の言うとおり、あそこにいるのは御坂美琴じゃあない」
『そうよ! そうに決まって――』
「だけど、アイツも正真正銘の『ミサカミコト』だ」
『えっ?!』

交渉ってのはただ相手をひれ伏させるんじゃない。客観的な事実を元に相手の思考を封じ込ませることが重要だ。

「あいつの名前はお前と一字違いの『御坂深琴』。お前の『美』って字がアイツの場合『深』って字なんだ」
『……』
「そしてもう一つ。アイツはまぎれもなく美琴のお姉さんだ」
『なっ―――』

そう、客観的事実をつきつければ相手は何かしらひるみ始める。そこからが本番だ。

「お前から『妹達』が生まれたように、お前自身も深琴から生み出されたクローン」
『いや、それ以上言わないで……』
「俺もさっきまで知らなかった事だけど……美琴。お前は『常盤台の
超電磁砲』だけど、オリジナルなんかじゃない」
『いや、いや―――』
「そこにいるのも、死んだはずのお前とこうして会話が出来たのも全
部―――」
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

突如。電流が撒かれはじめる。

「っ?! 美琴!?」
『私がクローンなわけない!!ちゃんと幼い頃の記憶だってある!!
それが全部作られた物だって言うの?!』
「落ち着け!! まだ話は―――」
『もういいわ……』

―――しまった。 交渉としては最悪のルートにたどり着いちまった。
247 : ◆FMYPc6cKQE [sage saga]:2010/09/09(木) 16:26:54.83 ID:iyRQ8pIo
それは、交渉される側が逆上すること。こうなっちまったらもう交渉
どころじゃねぇ。

『そこにいるアタシの偽者を倒せばいい……』
「っ!? やめろ、美琴!!そんなことしたってお前はもう―――」
『うるさいうるさいうるさいうるさい!!!』

核載戦士の、ちょうど腰元あたりに着いている機関銃。それが発砲され
始めた。

「うっ!! 美琴!!!」
『アタシは今まで一人で超能力者になった。恋人だって手に入れた』
『それを邪魔する人はみんな―――』

『ア タ シ が 殺 す』

―――くそっ。

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
「トウマ君、危ない!!」

先ほど乱射されていた機関銃の弾が俺に向かって一直線に地面を蜂の巣に
しつつ放たれ始める。
交渉人の失敗、それすなわち死。最悪の終わり方なんて―――

「してたまるかっ!!」

とっさに右側に飛び出す。受身を取った頃にはさっき俺がいた場所にも銃
弾が命中していた。

『殺す殺す殺す殺ス殺スコロスコロスコロスコロスコロス―――』

まるでさっきまでの美琴じゃないくらい、今の美琴の目には力が入ってい
なかった。

「……いいぜ」
「てめぇがみんな殺してやるって言うんなら……」
「まずはそのふざけた考え方(幻想)をぶち殺す!!!」
248 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/09(木) 16:28:14.60 ID:iyRQ8pIo
以上なり〜!
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 19:59:24.15 ID:CNSOgVEo

いよいよクライマックスか
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 16:50:03.46 ID:Dqo16sDO
つまり、ソリダス・美琴
251 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/09/12(日) 03:30:09.78 ID:P18vKnco
生存報告〜+告知。
なんかスランプに入ってしまったorz
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/25(土) 18:43:18.17 ID:X/XukYso
待ってるよ
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/29(金) 21:26:02.02 ID:4tYpfLAo
気長に待ってるぜ
254 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/05(日) 20:44:33.97 ID:I294HYDO
時が経つのは早いなぁ
255 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/12/14(火) 02:27:47.35 ID:NjZiDKAo
テス
256 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/12/14(火) 02:29:20.45 ID:NjZiDKAo
よし、久々にカキコするとしますか
257 : ◆FMYPc6cKQE [sage]:2010/12/14(火) 04:00:00.16 ID:NjZiDKAo
昔やっていたように、殺戮兵器と化してしまった美琴に俺は右腕を突きつけた。

「私も!!今のお姉様はもう私の知っているお姉様ではございませんの!!」

ふっと白井が音もなく突然現れた。

「白井っ?!大丈夫なのか!?」
「キャパシティダウンはお姉様……いえ、御坂美琴様が目を覚ます時にすでに
装置は作動していないみたいですの」
「えぇ! 私もあちらさんの次の一手が手に取るように分かります!!」
「こっちも万全ね!」

白井、心念制圧、深琴の順に準備は万端だと告げてきた。

「上条君。今はもう『心理掌握(メンタルアウト)』ですよ?」

――さいですか。

『トウマ、聞こえるかい?!』
「オタコンか?」
『あぁ、電波妨害も止まったみたいだ。いよいよ最終決戦というわけだね』

最終決戦――

「余計な事は考えないで」

不意に心理掌握から声をかけられた。

「えっ?あっ、あぁ悪い……」
「今のあの娘は貴方の知ってる子じゃない。それだけ考えてください。ね?」
「……分かった」

前の俺なら普通に薄気味悪く思っただろう。けど、今の俺に彼女なりの心遣い
に隠しながらも感謝をした。

「うふっ、どういたしまして。でも……薄気味悪いってひどいと思いますよ?」

……とりあえず、他の事は考えないようにするか。
258 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/14(火) 20:53:12.24 ID:S8G1ZSQo
更新キテタ!
259 :lain. [sage]:2011/02/19(土) 23:18:44.32 ID:???
SS・やる夫系スレッドは、SS速報VIP【http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/】へ移転することになりました。
それに伴いこちらのスレッドをHTML化させて頂きます。
スレッドを立て直す際はSS速報VIPへお願いします。
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