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男「お前らは悪魔か?妖精か?」【第二章】 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/15(月) 21:37:37.06 ID:/96uxMSO
ごく普通の高校生である「男」は、地獄からやってきた悪魔の四姉妹「テンコ」「クロ」「イン」「シロ」の面倒を見ることになる

そして、悪魔を排除すべくやってきた天使たちと
四姉妹のメイドである「メイ」
そしてその兄「ロキ」を撃退した四姉妹は、ついに地獄に帰還する

そして、その二年後の冬
地獄を舞台に新たな事件が巻き起ころうとしていた…

※第二章に「男」は登場しない予定です
※第一章の、いわゆる「日常パート」が、今回はほとんど存在しません
※ときどき、サブタイトルが挿入されますが、これは話と話の間の区切りだと思ってください

前スレ 
男「お前らは悪魔か?妖精か?」【第一章】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1250433886/984
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/15(月) 21:51:42.24 ID:/96uxMSO
悪魔の四姉妹が人間界から地獄に戻り

それからさまざまな出来事があったのだが

一言でまとめるならば

地獄は都市化した

「流刑地」周辺や、その他の不毛な土地に住んでいた悪魔たちが、王族のいる地獄の中心に集まるようになり

それまで存在しなかった、たくさんの建造物が立ち並び

どの悪魔でも利用できるスーパーなども作られ

形としては、より人間界に近づいていた

それもこれもすべて

現在の地獄を動かす、「黄の王」によるものである
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/15(月) 22:15:06.52 ID:/96uxMSO
側近「マグナ様…貴方が黄の王に就任されてから、もうすぐ八年です」

マグナ「…そうだの…」

側近「貴方は…歴代最も長く魔王を務めていることになります。『黄の王』である貴方、『赤の王』ガルス、『青の王』アレス、そしえ再び貴方。通常なら次の代が王となるべきでしたが…」

マグナ「誰か忘れておらんか?」

側近「…ルシファル様のことでしょうか…」

マグナ「……」

マグナ「どうも君らは、彼をよく思っていないようだのう」

側近「いえ、そのようなことはございません。…しかし、それまで『流刑地』の監獄長だった男が、魔王に就任する…あまりに異例だったので、少々受け入れがたかったのです」

マグナ「ふむ…確かに彼は王族の血は一切継いでおらぬし、魔王の座にも向いていないようじゃった。だが」

マグナ「彼が就任してからは、穏やかな時が五年も続いた」

側近「…確かにあの間は、目立った事件、暴動は起こりませんでした」

マグナ「そうじゃろう。少なくともわしにとっては」

マグナ「必要な時期であったと思うよ」

側近「……」

マグナ「そんなことより、明日は忙しいと聞いたぞ」

側近「なんのことでしょうか…?」

マグナ「これこれ、別に知らぬふりをしなくてもよい」

マグナ「何やら我が娘が、わしの魔王就任記念日を祝ってくれるそうではないか」

側近「……本来なら、明日の朝方伝える予定だったのですが…」

マグナ「それでは遅いだろう?…だが心配はいらんよ。まだ何も知らないと言うことにしておく」

側近「…分かりました」
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/16(火) 02:09:17.92 ID:g8syEogo
きtったああああああああああああーーー
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/16(火) 04:52:19.29 ID:n3uT0HMo
男登場しないってどうなの?大丈夫なの?どういう展開なんだよおお
3章まであるとか続き気になるだろおおおおおお
頑張ってください
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/16(火) 09:09:56.27 ID:wHtTSW.0
三章まであるなんて書いてなくね?
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/19(金) 18:53:33.19 ID:5Q6gCFEo
>>1の前スレのURL間違ってるよ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250433886/
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/23(火) 13:09:54.17 ID:RWBxPrA0
どうした>>1
二章入って早々ストップか?
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/23(火) 18:12:10.68 ID:YCYxm2SO
ご迷惑をおかけしてすみません
今日はちゃんとやります
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 12:40:39.01 ID:TqN/6USO
翌日 AM11:28

コン コン

側近「失礼します」

ガチャ

?「……」

側近「準備はできました…あとはゲストの方々をお呼びするだけです」

?「……」

側近「エレカ様?」

?「〜♪」

側近(ラジオを…)

側近「エレカ様…」

?「……」カチッ

?「今いいところだったのになぁ」クルッ

側近「申し訳ありません……」

?「いや、いいよ……。それで、なんだったかな」

側近「本日のパーティーのお話を」

?「あー……うん、準備は?」

側近「すでに完了しております」

?「まだ私が見てないから、完了一歩手前、だね」

側近「ええ」

?「こんなふうにパーティーを企画したのは、私が初めてなんだよね」

側近「そうですね」

?「……そうか」

?「楽しみだね」
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 12:45:39.60 ID:TqN/6USO
エレカ「あ、そうだ。君さ」

側近「はい」

エレカ「……電池持ってる?」

側近「電池ですか……倉庫にいくつかあったはずですが」

エレカ「もうすぐ電池が切れそうなんだ。持ってきてくれないかな?このラジオ、前みたいに充電式じゃないんだよね」

側近「かしこまりました。すぐに持ってきましょう」

エレカ「うん」

側近「ではまた後で、一度現場の様子を……」

エレカ「そうだね。私が見ないと意味がない」

側近「……失礼します」

バタン
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 13:01:08.68 ID:TqN/6USO
エレカ「〜♪」

エレカ「もう一度熱く」

エレカ「射ち抜けこの胸を」

エレカ「今夜世界は」

エレカ「その手の中に…」

エレカ「〜♪」

プツッ

エレカ「あ……電池切れか」

コンコン

側近「電池をお持ちしました」ガチャ

エレカ「ちょうどよかった。ありがとう」

側近「……エレカ様、今回はさまざまな方を呼ばれているそうですが」

エレカ「そうかな?人数はそこまで多くないけどね」

側近「しかし、残り二人の王……のご息女はもちろん、上級悪魔の『機皇ユーカイ』」 

側近「そして、元魔王であったルシファル様に、その娘の四姉妹……」

エレカ「そうそう。それで?」

側近「……いえ」

エレカ「うん。君の言いたいことは何となく分かるよ」

エレカ「なぜこのメンバーなのか?ってね。気になるんだろう?」
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 13:10:51.47 ID:TqN/6USO
エレカ「何も私だって、好き嫌いで人を選んだわけじゃない」

エレカ「普段から世話になっている方々や、親しくしてもらっている友人たち……」

エレカ「皆、意味があって呼んでいるんだよ」

側近「……」

エレカ「まぁもっとも」

エレカ「少しばかり『闘争向き』のメンバーではあるかもね…」

側近「失礼ですが、エレカ様…」

側近「マグナ様にメンバーを伝えていないのでは?」

エレカ「そりゃそうさ。本来なら、サプライズ扱いなんだから」

側近「……」

エレカ「沈黙が増えたね。何か気がかりがあるのかい?」

側近「いえ……」

エレカ「ではその電池をこちらに渡してくれ」

側近「……」スッ

エレカ「ありが……」

エレカ「とう」ピタッ

側近「……!?」バリッ

ドサッ

エレカ「悪いけど、私に必要なのは盲目的に従ってくれる者だけなんだ」

エレカ「君みたいに勘がいいと、邪魔にしかならない」

エレカ「……じゃあ、部屋の留守を頼むよ」スタスタ
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 13:44:08.58 ID:TqN/6USO
……

………

おねえちゃーん……


イン「?」

シロ「おねえちゃーん!助けてー!」ワタワタ

イン「シロ……何してるの?」

シロ「リボンがからまっちゃって、動けないよー!」ワタワタ

イン「まったく……だからもっと簡単なドレスにしたほうがいいよ、って言ったのに」

シロ「うー……だってシロも、おねえちゃんみたいなのが着たかったんだもん」

イン「……」スタスタ

イン「じっとしててね。今結んであげるから」

シロ「うん」

イン「えっと……ここをこうして……」スッ

イン「あっちに通して……」シュル

イン「で、最後にこうして……」ギュッ

イン「よし、できたよ」

シロ「ありがとうおねえちゃん!」

イン「……姉さんたちはもう着替えたのかな?」
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 14:01:55.78 ID:TqN/6USO
コンコン

クロ「入るわよ…」ガチャ

転「……」

クロ「……姉さま、なにボーッとしてるの?」

転「……面倒くさい」

クロ「は……?」

転「だるい…めんどい……」

クロ「と、とりあえずドレスを着ないと…」

転「……はぁ」スクッ

転「まったく、どーして私がパーティーなんかに行かなきゃならないんですか……」

クロ「呼ばれたからよ」

転「だ!か!ら!!なんで私たちが呼ばれるんです?」

クロ「彼女にとって私たちは、大事な客なのよ。来てほしいのよ」

転「ははっ。客!私たちがお客様!」

転「なんだって私がエレカのパーティーに参加しなきゃ……」

クロ「いい加減にして!早く着替えなさい!時間になっちゃうわよ!」

転「……分かりましたよ、着替えます。だからそんなに怒鳴らないでください」

クロ「……」バタン

転「はぁ面倒くさい」モゾモゾ
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 14:27:38.14 ID:TqN/6USO
イン「あ、クロ姉さん」

クロ「……姉さまならまだよ」

イン「うん」

クロ「姉さまっていつから……あんな面倒くさがりになったのかしら」

イン「……この2年くらいかな…変わったね。シャル姉さん」

クロ「学校を卒業してから、未だに定職に就かないで……毎日自由にふらふらふらふら」

クロ「ふらふらしてればなんとかなると思ってるのかしら」

イン「……シャル姉さんは、王族護衛隊からのスカウトを断ったんだよね」

クロ「ええ。まぁ、それは別にいいわ。さすがにそこまでするとは最初から思ってないし」

イン「……」

ガチャ

クロ「あ」

転「……」スタスタ

転「どうですかね……このドレス」

クロ「似合ってるわよ」

転「ホントですか?」

クロ「ええ」

転「私としては、こんな肩むき出しなやつは着たくなかったんですけど」

クロ「……」

転「それにこーんな真っ黒」チラ

クロ「な、なによ」

転「あなたが着たほうが似合うんじゃないですか?」

クロ「……」

転「まぁいいです。そろそろ行きましょう」

クロ「……ええ」
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/24(水) 15:14:32.53 ID:TqN/6USO
転「そういえばシロはどこにいるんです?」

イン「トイレだよ」

クロ「先に行ってるわよ」

イン「うん」

クロ「……」スタスタ

転「外は寒そうですねぇ…」スタスタ


イン「……」

シロ「もういいよ」ガチャ

イン「うん……」

シロ「……どうしたの?」

イン「なんでもないよ。じゃ、行こうか」


転「……はぁ」

クロ「何よ。またため息」

転「いや、だってさ?パーティーですよ?柄に合わないっていうかなんていうか……」

クロ「……」ギロ

転「怖いですって…」
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/25(木) 10:05:59.99 ID:wmolodI0
肩むき出しの黒ドレス…ゴクリ
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 11:53:02.03 ID:arkLL2SO
クロ「柄に合わないとかそういう話じゃないの。出るのよ。分かってるでしょ」

転「頭の中ではね」

クロ「……姉さま」

転「いいんです。行きます。あいつの招待を断れるほど私は偉くないし」

転「それに、久しぶりに豪華な食事ができそうですから」

クロ「あんまりがっつかないって約束して。妹として恥ずかしいわ」

転「大丈夫ですよ。犬じゃあるまいし」


クロ「……」ピタッ

転「クロ?」

クロ「父さまは、後から来るのよね?」

転「って言ってましたけど」

クロ「そうよね。ならいいわ」

転「何がいいんですか」

クロ「父さまは」

クロ「魔王を辞めてもう7年も経つのに、未だに周りはそれを引きずってるわ」

クロ「歴史の『汚点』としてね」

転「そりゃそうでしょうよ」

クロ「父さまがそれをどう思ってるか分からないけど」

クロ「私にとっては苦痛でしかないわ」

転「苦痛、か」

クロ「姉さまはどうなのよ?」

転「……父さんはそういうことは、あまり気にしてないと思いますよ」

クロ「違うわ。あなた自身に聞いてるの」

転「ああ、そう…」
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/27(土) 12:03:06.72 ID:arkLL2SO
転「……王族だとかなんとか」

転「そんな面倒な制度、なくなればいいのに」

クロ「……?」

転「いったい、王族ってなんなんですか?誰がどうして王族になったんですか?」

クロ「それは……」

転「別に考えて分かるものだとは思ってませんけど。気になるんですよね」

ガチャ

転「!」

父「王族については…長い歴史がある」

クロ「と、父さま」

父「シャル、君が知る日もそう遠くはないはずだ」

転「……」

父「指輪は持ったかい?」

転「え?」

父「何かあったときのために、持っていなさい。クロノ、君もだよ」

転「…指輪ならあります」スッ

転「この手袋の下に…ちゃんと着けてますよ」

父「いつも思っていたんだが、それは何のための手袋なんだい?」

転「……能力を使えなくするためです」

父「…能力を?」

転「いわゆるセーフティロックの役割を果たしてくれてるわけです」

父「なぜそんなことを?」

転「理由は…ただ」

転「戦いたくないから」

父「……そうか」
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 23:10:51.58 ID:C70JP6SO
クロ「父さまはまだ行かれないんでしょう?」

父「ああ、私は少し遅れていくよ」

イン「いた、よかった、まだ置いてかれてなかった」

クロ「……イン、傘は持った?シロ、箱は?」

イン「傘ならあるよ。いつも持ってるからね」

シロ「シロもちゃんと持ってるよ!」

クロ「じゃあ、行きましょう」スッ

転「ええ」スタスタ

父「……」

父「シャル」

転「…?」ピタ

父「気を付けなさい。いったい何が起こるか分からないからね」

転「……どういうことです?」

父「いや…不安要素がいくつかある。最近活動を始めたテロリスト集団だとか…」

転「テロリスト…」

父「……とにかく、気を付けなさい」

転「…分かりました。では失礼します」

バタン

転「……」

スタスタスタ
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 23:20:09.28 ID:C70JP6SO
クロ「……」スタスタ

転「クロ!」タタタ

クロ「なに?」

転「用心しろと…父さんから言われました」

クロ「用心?」

転「いつでも能力を使えるようにしておけと…そういうことでしょう」

クロ「心配いらないわ」

転「イン、シロ、あなたたちもですよ。なるべく二人でいてくださいね」

イン「何かあるの…?」

転「念のためってやつです。今回集まるメンバーは、言ってしまえば地獄のVIPたちですから」

イン「…うん。分かった」

シロ「びっぷ…」

転「……」

転「なんか…やだなぁこういうの」
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 23:27:09.46 ID:C70JP6SO
パーティーが行われる『黄の城(chateau jaune)』への道のりは、決して遠くはない

四姉妹の住む館から最も近い王城である

しかしお互いに向かったり迎えられたりすることはほとんどない

本来、王と一般の悪魔たちが親しくするなどありえないからだ

仮に四姉妹の父であるルシファルがかつての魔王であったとしても

彼が黄の城、また残り二つの城に向かうことは滅多になかった

それは他のメンバーも同じである

赤の王も青の王も、普段はまったく別々に活動し

有事の際にのみ召集をかけられる

当然その都度その都度にある程度の警戒態勢はつくが

近年大きな事件が起きたとこはほとんどなかった

そのため今回の「用心」も、ほとんど不必要であると、誰もが感じていたのだ
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/28(日) 23:44:07.05 ID:C70JP6SO
黄の城

エレカ「〜♪」

コンコン

エレカ「…ん?そろそろかな」

ガチャ

エレカ「……あれ」

側近2「し、失礼しま…ッス」

エレカ「……君は」

側近2「先輩の代わりに…あなたを呼ぶように…」

エレカ「そうか、君はしばらく雑用を任されていた、新入りの…」

側近2「は、はい」

エレカ「まだ慣れてないのかい?」

側近2「そう…ッスね」

エレカ「……何事も経験だよ」

側近2「…?」

エレカ「新入りくん…君には…今日一日私の側にいてもらうよ」

側近2「え…」

エレカ「私の言うことはなんでも聞くんだ。いいね?」

側近2「……い、いきなりそんな大役ッスか…?」

エレカ「大丈夫だよ。今日のパーティーの間だけだから」

側近2「わ、分かったッス…」

エレカ「よろしく。そろそろだよね…」

側近2「は、はいっ。こちらッス…」

エレカ「……」
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/29(月) 00:16:07.95 ID:VhfMBQSO
黄の城 門前

シロ「わぁー…」

クロ「……相変わらず大きな城ね」

イン「やっぱり家とは違うね…」

転「さ、入りますよ」

クロ「勝手に入れるの?」

転「こう言えば開くんです。…コホン」

転「エーレカちゃーん、遊びましょー」

クロ「……」

ギギギ

イン「ホントに開いた…」

転「では、おじゃまします」スッ
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/29(月) 00:21:18.34 ID:VhfMBQSO
大広間 パーティー会場

シロ「わぁー…!」

イン「広い…」

クロ「……それに、結構な人数ね…。もっと小規模かと思ってたわ…」

転「いやいや、重要なメンバーは20人と少しです。残りはただのセレブですよ」

イン「へぇ…」

シャル!

転「!」ギクッ

クロ「姉さま、エレカよ」ボソッ

転「……」ギギギ

転「……」クルッ

エレカ「シャル!」バッ

転「っ!」ギュ

エレカ「来てくれたんだね…ありがとう、ありがとうシャル!」

転「お、お礼はいいから、とりあえず放してください…」

側近2「!」ペコッ

転「……?」

転(誰だこいつ…まだ若そうなのにエレカの側近を…?)

エレカ「シャル…」ギュウウ

転「あのー…ホントに、とりあえず放してくれません?」
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/29(月) 14:10:28.76 ID:t5RtIOk0
なんつーかあれだな
進まないな
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/30(火) 23:41:11.69 ID:QYS97cSO
エレカ「ああ、うん。そうだね」パッ

転(ホントめんどくせー…)

エレカ「……えー…改めて、私のパーティーに来てくれてありがとう、シャル。そして」チラッ

シロ「!」

エレカ「クロノ、レイン、シロン、君たちもよく来たね」

クロ「いえ…普段姉さまが世話になっているようだし、こちらからもお礼を言いたいわ」

転「お世話になってませんよ」ボソッ

イン「…姉さん」

転「……エレカ。ちゃっちゃと要件を話してください。なぜ私たちを呼んだのです?」

エレカ「何のことかな?」

転「黄の王(あなたの父)を祝うだけなら、わざわざこんな大きなパーティーにする必要はないでしょう」

エレカ「親孝行だよ。父上もずいぶんと苦労していらっしゃるからね」

転「でもあなたさっき」

転「私のパーティーって言いましたよね…」

エレカ「……」クルッ

側近2「?」

エレカ「そろそろだよね。行こうか」スッ

側近2「は…はい」

転「エレカ!」

エレカ「話ならまた後で…落ち着いてからにしよう」スタスタ

転「……はぁ」

クロ「ね、姉さま…いきなりどうしたのよ」

転「いえ…あんまりあいつらしくなかったもので」
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/31(水) 00:07:46.75 ID:2k3d16SO
イン「らしくないって?」

転「……あいつは何もしないんです」

イン「…え?」

転「黄の王(父親)のやり方には口出ししない。ただ黙って見てるだけ」

転「他人のやることに無関心なんですよ、あいつは」

イン「無関心…」

転「そんなやつがわざわざ、親孝行なんて称して、こんなパーティーを開きますかね」

クロ「別にどうだっていいじゃない。なんならあなた一人で帰れば?」

転「それもちょっと嫌です」

クロ「なら黙って参加する。そうでしょ、姉さま」

転「…そうですね」

イン「……」

シロ「おねえちゃん」

イン「な、なに?」

シロ「これ、食べていいの?」

イン「いいんじゃないかな…?あ、でもちょっとにしておいてね。他の人も食べるからね」

シロ「うん!」パクパク

イン「…とりあえず、せっかくのパーティーなんだからさ、楽しもうよ」

転「ま、あんまり固くなってま馬鹿馬鹿しいですしね…私もなんかつまみ食いしましょう」
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/31(水) 00:21:45.98 ID:2k3d16SO
ビーーッ

イン「?」

『間もなくパーティーが始まります、ご来席の方々は…』

イン「本格的だなぁ…」


転「このゼリーいけてますねぇ」パクパク

クロ「姉さま、そろそろパーティーが始まるわよ」

転「あ、はいはい」コト

転「…そーいや」

クロ「なに?」

転「残りの二人はどこにいるんです?」

クロ「二人?」

転「赤と青の王。ていうかその娘」

クロ「……」キョロキョロ

クロ「……いないわね。まだ来てないのかしら」

転「今来てないってのはさすがにおかしくありません?結構距離ありますし」

クロ「じゃあ来ないんじゃない?」

転「来ない、ね…やっぱりいろいろと引っ掛かるなぁ」

ビーーー

『…大変お待たせいたしました。ただいまより』

『黄の王就任記念パーティーを開催します』

転「就任したのはかなり前なのに」

クロ「姉さま少し黙ってて」

転「……」
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/31(水) 00:52:22.75 ID:2k3d16SO
ウィーン

クロ「ステージのカーテンが上がってくわ」

転「……お」

ガコン

エレカ「……」スッ

エレカ「……」ペコッ

パチパチパチパチパチパチパチ

転「……」パチパチ

エレカ「……皆さま、本日は我が父…マグナ・グローク・アステリスの魔王就任記念パーティーにご出席いただき、誠にありがとうございます」

エレカ「このような会を開いたのは、前例がなく…これが初めてであると聞いていますが」

エレカ「どうか皆さま、ごゆっくりとお楽しみください」ペコッ

パチパチパチパチパチ

エレカ「……それではまず初めに、ご来席の方々からご挨拶をいただきたいと思います」


その後エレカはこの会場にいる人間の名前をつらつらと読み上げた

誰もが知っている超有名人がいれば、誰の代わりに来たのかも知れぬ人間まで、さまざまな者たちがいたが

その中でも一際目立った名前があった

エレカ「……上級悪魔、ユーカイ」

転「!」

名は挙げられたが、本人は出席をしていない

しかしそれは、このパーティーが「ただの」パーティーでないことを表現するに相応しい名だった

クロ「姉さま…なぜ上級悪魔の名が?」

転「……分かりませんが、これは…」
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/31(水) 00:54:08.40 ID:2k3d16SO
だめだ書けない
申し訳ありませんが、話が完全に組み上がるまでしばらくはこの少量の更新が続きそうです

一応二日に一度の更新は崩さないつもりです
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/02(金) 21:30:08.47 ID:xACXFsSO
エレカ「次いで…現在の魔王である、我が父…『黄の王』マグナ・グローク・アステリスにご入場していただきます。皆様拍手でお迎えください…」

ギイイイ…

マグナ「……」スタスタスタ

マグナ「……」スッ


ワッ!! パチパチパチパチパチパチ
パチパチパチ パチパチパチパチ


転「右手掲げただけでこの拍手の雨…それに相変わらずすごい貫禄があるなぁ…」

クロ「姉さまも拍手しなきゃ駄目よ」パチパチパチ

転「分かってますって…」パチパチパチ

マグナ「……」スタスタ

エレカ「幅の短い階段ですので、足元にお気をつけてください」

マグナ「うむ…」カツッカツッ

エレカ「……」

ピタッ

マグナ「……」クルッ

マグナ「……」ペコッ


パチパチパチパチパチパチパチ
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/02(金) 21:33:44.50 ID:xACXFsSO
エレカ「…父上」ボソッ

マグナ「む?」

エレカ「こちらの席にお座りください」

マグナ「…わしは話さなくてもよいのかの?」

エレカ「いえ、もちろんお話は頂きますが…それはもう少し後にします」

マグナ「では今からはどうするのじゃ?わしは今回の予定を知らなくての…」

エレカ「これからはまず、私が話をします」

マグナ「ほお…」

エレカ「父上には是非、そちらで聞いていてもらいたいのです」

マグナ「お前が話をするとは珍しいのう」

エレカ「大切なお話ですから」

マグナ「構わぬよ」

エレカ「ありがとうございます」
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/02(金) 22:01:45.23 ID:xACXFsSO
パチパチパチパチパチパチ

マグナ「……」ギシッ

クロ「あれ、座ったわよ…」

エレカ「……」スッ

ピタッ

転(拍手が止んだ)

エレカ「…父上に代わりまして、まずは私からお話をさせていただきます」

ザワザワ ザワザワ

エレカ「父上のお話は、このパーティーの最後に回そうと思っております。申し訳ありませんが、少々私のお話にお付き合いください」ペコッ

パチパチパチパチ パチパチパチパチ

エレカ「……私の名前はエレカ・グローク・アステリス。黄の王マグナ・グローク・アステリスの娘です」

エレカ「皆様もご存知の通り、黄の王だけではなく、赤の王、青の王…彼らには『娘』がいるだけで、王を継ぐ『息子』がいないのです」

エレカ「現在はやむを得ず我が父が魔王として地獄を取り仕切っていますが…」

エレカ「このままいけば、『王のいない地獄』になってしまうかも知れません」

エレカ「はっきり言って、ネックになっているのは、『魔王になれるのは男のみである』という、実体のないルールです」

エレカ「……つまり私が言いたいことは」

エレカ「この古臭い考え方を捨て去れ」

エレカ「これだけなのです」

ザワザワ ザワザワ

クロ「す、すごいこと言ってるわね…今まで誰も口出ししなかったのに……」

転「…本来なら女性が地獄のやり方に口を出すなんて、あり得ませんが」

転「…魔王の娘としてかなり有名な彼女なら、それができる……」

エレカ「…ですから、ここではっきりと宣言をしましょう」


エレカ「次の魔王は私です」


転「……!」
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/02(金) 22:10:17.65 ID:xACXFsSO
ザワザワ…

「あいつはいったい、何を言ってるんだ?」

「…女が魔王になるなんて…」

「でも彼女なら、もしかすると今までの誰よりもすごい魔王になるかも…」

ザワザワ…

イン「そんな…魔王になるなんて…」

シロ「…おねえちゃん」

イン「な、なに?」

シロ「あの人、かっこいいね…」

イン「…えっと、女の人だよ?それもシャル姉さんと同い年の…」

シロ「でも、キラキラしてるよ」

イン「……」


転「あいつはバカになったんですか!?『魔王になる』だなんて…」

クロ「…分からないけど、なんであんなに自信に溢れた瞳をしてるの……?」


エレカ「……」

マグナ「エレカ…わしの前でそんなことを…本気で言っているのか?」

エレカ「ええ。私は本気ですよ」

マグナ「……そうか」

ザワザワ…
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/02(金) 22:56:53.72 ID:xACXFsSO
エレカ「……私からのお話は以上です。続いては、ピアノの演奏をしてくださるゲストがいらっしゃるようなので…そちらをご披露させていただきたいと思います」

エレカ「10分ほどお待ちください」スッ

クロ「…ふー。なんなのよ、まったく」

転「ホントですよ」パクパク

イン「姉さん!さっきの、どういうこと?」タタ

転「私に聞かないでくださいよ…付き合いは長いけど、あいつの考えてることは未だに読めませんし…」

シロ「でもあの人、かっこいいよ!」

転「かっこいい?そうですか?」

シロ「キラキラしてるの!」

クロ「ああ、なんとなく分かるわ…こう、オーラみたいなのが見えるわね」

イン「…僕にはよく分からないな…」

転(……超カリスマ、か)

転「このゼリーうめっ」パク

エレカ「それはよかった」

転「ぶっ!?」

クロ「!」

エレカ「そんなに驚かなくたっていいじゃないか」

転「あ、あんなことよく言ってのけましたね…!」

エレカ「うん、まぁそれはいいんだ」

転「それはいいんだ、って…。じゃあ何ですか、あなたもこのゼリーが食べたいんですか」

エレカ「違うよ。用意ができたんだ」

転「……用意?」

エレカ「ピアノ」

転「それがどうしたんですか?」

エレカ「君に弾いてもらいたいんだ」

転「はぁっ!?」
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/02(金) 23:03:43.74 ID:xACXFsSO
クロ「ね、姉さまがピアノ!?」

イン「弾けるの!?」

シロ「すごい!」

転「ち、違っ…」

エレカ「前に弾いてたじゃないか」

転「〜っ」グイッ

転「あれは学校での話でしょう!あんなのテキトーにやったんですよ!テキトーに!」ボソッ

エレカ「じゃあ今回もテキトーにやってくれないかな?」

転「ばっ…バカにしてるんですか!?」

エレカ「…お願いだ。どんなに酷くてもいい。ピアノを弾いてくれ」

転「なんでそんな…」

エレカ「魅入るだろう?」

転「……は?」

エレカ「ピアノはあのステージの上だ。後は君があそこで一曲演奏するだけ。簡単だろう?」

転「誰もやるとは言ってませんよ」

エレカ「……」

エレカ「やらないんだね…?」

転「…!」ゾクッ

転「や、やりますよ…やればいいんでしょう。その代わりめちゃくちゃにやりますからね」

エレカ「ありがとう。じゃあ、よろしく頼むよ」

転「……はぁ」スタスタ
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/03(土) 13:25:12.96 ID:5Lj4h3A0
相変わらず人いないね
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 02:17:34.05 ID:sCrGsADO
見てるがレスはしないな
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 22:01:25.02 ID:cJgeTcSO
転「……」スタスタ

転(みんなガン見じゃないですか…)

転(うわっしかもこんなに立派なグランドピアノ…マジで私が弾くんですか…?)

ザワザワ ザワザワ

エレカ「……」スタスタ

転「ちょ…!なに近距離で見ようとしてるんですか!」ボソッ

エレカ「君の紹介を皆様にちゃんとしなきゃいけないだろう?」スッ

エレカ「皆様。今回ピアノの演奏を披露してくださるのは…ご存知の方が大半でしょう」

エレカ「元魔王ルシファル・ヴィーノ・トリアンテの長女、シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバです」

パチパチパチパチパチ

転「ヤバい…手の平汗ばんできた…手袋なんか着けてるからだ…」

エレカ「じゃあ、がんばってね」スッ

パチパチパチパチ……ピタッ

転「……」スゥッ

転「……」ハァッ

転「……」スゥッ…

転「……」スッ

ピロロポポロポポロポポロ

ピロロポポロポポロポポロ

ピロロポポロポポロポポロロピロポロロ…
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 22:13:32.07 ID:cJgeTcSO
ピロ ポロロ
ポポロピロロポポロ

ピロ ポロ ピロ ポロ
ポポロピロロピロロポポロ

ポロポポロ ピロ ポロ ピロ ポロ ピロロポポロロピロピロピロ…


クロ「……」

ポロロロン ピリポロロロン ピロピリポロン ポポロ ピリポロン ポロン

ポロロロン ピリポロロロン ピリポロロ ポポロ ポポロ ポロ ピロロン

ピロロン ポロロ…

ピロ ポロロン ピロ ポロロン ピピロポポポロン
ピリポピロン ピリポポロン ピリポポポロン ポロン ポポロン

ピリポロロロロロロロロロロ ピロポロン…

ピロロポン ポロピロロロン ピロロポン ポロピロロン
ピロロ ピロロ ピロポポン

ポポロピロポン ポポピロロロン ピロポポロポロンポロンポロン…

ピロ ポロ ピロ ポロ ピロ ピロ ピロ ピロ ポポロポポロポポロン

イン「……曲調が変わった」

転「……」スゥッ

ジャーン……

ポロロン ピロポロロピロン
ポロロン ピロポロロピロン
ポポロピロン ポロロピロン ピロン ポロポロ ピロポロロン

ピロポロン ピロポロン ピロ……

ポロロロン ピロロロロロポポロポロロン
ピロロロロロポポロポロンポロン…

ピロン ポロン ピロロポロロ ピロロン
ポポロピロポロン ポロポピロロン
ピロポロ ポロポン ポロポン ピロン…

ポーン………
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 22:25:16.62 ID:cJgeTcSO
転「……ふー」ピタッ


パチパチパチパチパチパチパチパチパチ


エレカ「シャル、今の曲は…?」

転「……」

転「…曲名はないです」

エレカ「え…?」

転「今即席で作りました…」

シーン……

エレカ「……えっと、素晴らしい演奏、ありがとうございました…」

転「……だからテキトーにやるって言ったのに」ガタッ

エレカ「あ、シャル…」

転「……」スタスタ

エレカ「み、皆様、今一度大きな拍手を!」

パチパチパチパチパチパチ

転「…はぁ…もう二度とやりませんよ…」スタスタ

スッ…

「シャル様、お疲れさまでした」ボソッ

転「……え?」クルッ

パチパチパチパチパチパチ

転(誰かが今…囁いた…?)

クロ「姉さま!」タタタ

転「く、クロですか?今の」

クロ「何が?それよりも、すごかったわよ!今の演奏!」

転「あ、はい…どーも…」

転(気のせいか…?)
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 22:45:07.00 ID:cJgeTcSO
イン「姉さん…僕…感動したよ…あんな上手にピアノが弾けたのに、どうして今まで黙ってたの?」

転「だって家にはピアノがないし、なによりガラに合わないでしょう…。いかにも『パンクロックの申し子』なクロがギターを弾くのとは違うんですよ」

クロ「……」

シロ「でも、おねえちゃんかっこよかったよ!」

転「じゃあ、私とエレカ…どっちがかっこよかったですか?」

シロ「おねえちゃん!」

転「さすがシロ!見る目がありますね!」

エレカ「えー、続いては…」

エレカ「…お待たせしました、それでは、今回のメインイベントである、マグナ・グローク・アステリスによるお話をいただきます」 

シロ「もうやるの?」

イン「思ってたより早いね…」


マグナ「……」スッ

マグナ「……」ペコッ

パチパチパチパチパチパチ

転「……クロ、気付きました?」

クロ「え?」

転「今までエレカは、彼のことを」

転「我が父だの、現在の魔王だの、黄の王だの、必ず何か付けてましたが」

転「今は…」

クロ「何も付けてなかったわよ。でも、それがなに?」

転「……いえ、別に」
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:04:09.51 ID:cJgeTcSO
マグナ「…わしはこれまで魔王として……」

マグナ「10年…いや、20年…そこまでは長くなかったか…?」

マグナ「……とにかく、長いことやってきた。ルシファル君に一度座を譲ったがのう」

マグナ「そしてわしは、様々なことを経験してきたが…」

マグナ「やはり地獄は、今のままで十分だ」

ザワッ…

マグナ「きっと今、誰もが変化を求めているじゃろう」

マグナ「事実、近年の地獄は著しい成長を遂げている」

マグナ「……じゃが」

マグナ「そのせいか、貪欲に、血肉に飢えた者どもが現れ始めた…」

マグナ「…彼らは一様に…天使を殲滅させようと動いておる」

マグナ「じゃが、皆も分かっている通り、天使との交戦は罪…」

マグナ「ましてや集団で攻め込むなどと、愚の骨頂…」

マグナ「きっと彼らも、理解しているはずなのじゃ…しかし…」

マグナ「焦りが彼らを駆り立てておる…」

マグナ「いずれ地獄が天使の手に落ちるのではないかと…根拠のない、しかし妙な現実味を帯びた恐怖が…」

マグナ「焦りを呼び…彼らを動かしているのじゃ……」

マグナ「まだ若く、未来ある君たちが、悪魔たちも」

マグナ「老いた身で、大挙を成そうとする、悪魔たちも」

マグナ「皆、死に急いではならぬ…」
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:22:08.48 ID:cJgeTcSO
マグナ「焦ってはならぬ…」

マグナ「地獄は今のままが、ちょうどいいのじゃ…」

マグナ「わしは、争いごとは好きではない」

マグナ「もしもこの先、悪魔と天使の戦争が再び起きようなら」

マグナ「…そのときは、何もせず、静かに死んでいきたい…」

エレカ「…父上」

マグナ「……エレカよ、お前はさっき、自らが魔王になると…そう言ったのう」

エレカ「はい」

マグナ「わしは本当は、お前には血筋に囚われず、自由に生きてほしかった」

マグナ「今となっては、もう遅いがのう…」

エレカ「……」

マグナ「老いたわしが…今さらつべこべ言うつもりはない…エレカよ、お前はお前が望むように生きよ」

エレカ「……」

マグナ「例えその先に何があろうが、わしは黙って見ている…」

エレカ「……ありがとうございます」

マグナ「…それでは、最後に一言だけ…」

マグナ「今回は、わしのためにこのような会を開いてくれて、本当に本当に…」

マグナ「ありが」


パンッ
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:27:26.96 ID:cJgeTcSO
何が起きたのか、分からなかった


「このような会を開いてくれて、本当に本当に、ありがとう」


きっとそんな、ありふれた、だけど大切な礼を言いたかったのだと思う


だが


言い切る前に、彼は喉を撃たれた



魔王が、撃たれた




きゃあああああああああああ!
うわあああああああああああ!
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:37:48.06 ID:cJgeTcSO
エレカ「……ち」

エレカ「父上っ!!」バッ

ドシャア

マグナ「……」ドクドク

エレカ「…誰か布を!なんでもいい!早く!」

側近2「は、はい!」ダッ

エレカ「父上…父上…なんで…こんな」グッ

マグナ「…はっ…はっ」ドクドク

エレカ「いったい、誰が…」

きゃああああ! 撃たれた! 俺たちも撃たれるぞ!

ザワザワザワッ

クロ「ね、姉さま…!」

転「…落ち着いてくだ、さい…皆、パニックになってるだけです…!」

クロ「だ、だけど、今…撃たれ…」 

転「……いったい、誰がこんなことを…!?」

ザワザワザワザワッ


「動くな!」
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:41:48.54 ID:cJgeTcSO
クロ「!上よ!上に誰かいるわ!」

転「あれは…!」

転「王族護衛隊!」


護衛隊「エレカ様!犯人を確保しました!」

エレカ「!!」

犯人「クソッ、離せ!!」

ザワザワ 誰だあいつは!? 何者だ!

護衛隊「じっとしろ!」パン!!

犯人「ぐぁ!!あ、脚があああ!」

うわあああああああ! バタバタバタバタバタ

犯人「ぐ……」バッ


犯人「シャル様!お逃げください!!」


転「………」

転「…え?」
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:45:22.30 ID:cJgeTcSO
やっとメインストーリーに入れそうだ
今日はここまでにします
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 00:06:13.90 ID:gNWAVx.o
おつおつ
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 22:47:40.81 ID:WSO6DISO
転「え…『お逃げください』って……」

転「私が?」

護衛隊「貴様が犯人か!」カチャッ

転「え、ちょ…」

ビシッ

転「っ!?」

キャアアアアアアアア

護衛隊「威嚇射撃だ!次は当てる!」

転「……い」

意味が分からない…


エレカ「待てッ!」

護衛隊「!」

エレカ「シャル…これは…」


キャアアアアアア ワアアアアアアアア


エレカ「君がやったことなのか?」

転「違います!私じゃない!」

エレカ「……とにかく、君を信じる。このまま死なれたら困るからね。それに…」

エレカ「お前は『黄の城』の護衛隊じゃないな…!」

護衛隊「いいえ、我々は黄の城の王族護衛隊です!」

エレカ「嘘を吐くな!お前たちは…」

キャアアアアアアアアアア

転(周りの声のせいで…何を言ってるんだか聞こえない…)
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 22:51:18.80 ID:WSO6DISO
エレカ「シャル!逃げろ!」

転「!?」

エレカ「君は!殺される前に!ここから!」

護衛隊「ちっ!」カチッ

ビシッ ビシッ

転「くっ!?」

エレカ「逃げるんだ!シャル!!早く!」

転「でも、なんで私がっ…!」ダッ

クロ「姉さま!とにかく今は…」スッ

クロ「『バイ・セカンド』!この翼で逃げて!」

転「クロ!?」バサァ

クロ「狙われてるのは姉さまよ!早く!」

転「……っ!」ギュンッ

護衛隊「逃がすか!一斉射撃だ!」ダダダダダダ

転「くっ…!当た…!」ギュンッ


エレカ「…雷門!」バッ

転「盾…!?」

ガガガガガガン!!

護衛隊「弾丸が弾かれた!」

エレカ「早く!早く行け!」

転「……はい!」ギュオンッ!!

バリィン!!!
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 22:54:52.64 ID:LEen4gDO
(´・ω・`) みんな〜
( ´・ω・)
( ´・ω)
(   ´・)
(   ´)
(   )
(`   )
(・`  )
(ω・` )
(・ω・` )
(´・ω・`)
( ´・ω・)
( ´・ω)
(   ´・)
(   ´)
(   )
(・`  )
(ω・` )
(・ω・` )
(´・ω・`) 1が〜
( ´・ω・)
( ´・ω)
(   ´・)
(   ´)
(   )
(・`  )
(ω・` )
(・ω・` )
(´・ω・`) きたよ〜
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 23:03:11.78 ID:WSO6DISO
エレカ「よし…なんとか外に出た…!」

クロ「エレカ!」

エレカ「!」

クロ「なんで姉さまが!?」

エレカ「私にも分からな…」

キャアアアアアアア ワアアアアアアアア

エレカ(この混乱状態はまずい…!)

エレカ「クロ!君も狙われるかも知れない!こっちに来るんだ!」

クロ「ええ……」

クロ「…待って!インとシロがいないわ!」

エレカ「!」

クロ「イン!シロ!どこにいったの!?」

エレカ「……!」

エレカ「クロ…クロ!ダメだ、二人が…」

エレカ「連れていかれる!!」

クロ「!?」バッ
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 23:09:10.38 ID:WSO6DISO
イン「……」フラッ

ドサッ

シロ「おねえちゃん!」

護衛隊1「まったく…無駄な抵抗をするからだ…」ヒョイ

護衛隊2「お前もだ!来い!」グイッ

シロ「きゃ…」


クロ「イ……」

クロ「イン!シロ!?」


シロ「クロおね…」

護衛隊1「行くぞ!」

シュッ


クロ「………」

クロ「……嘘…?」
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 23:31:12.25 ID:WSO6DISO
キャアアアアアアアアアアア ワアアアアアアアアアア

エレカ「ハァ…ハァ……」

エレカ(何が起きた!?)

エレカ(父上が撃たれて…)

エレカ(シャルは…恐らく犯人扱いされ…)

エレカ(その妹二人が連れていかれた)

エレカ「……クロ」

クロ「……」

エレカ「クロ!」

クロ「……姉さまも…」クル

エレカ「!」

クロ「インも、シロも、みんな…どうなってるの…?」ポロポロ

エレカ「……君たちは、はめられたんだ」

クロ「誰に…?」

エレカ「クロ…こっちに来るんだ、私たちもここから出る…」

側近2「エレカ様!マグナ様の手当てをしなくては…」

エレカ「分かってる!もっと人を…」

エレカ「……」

側近2「え、エレカ様…?」

エレカ「父上を運ぶために、人を呼んでくれ。そうしたら君は…」

エレカ「シャルを追うんだ…!このまま彼女を一人にさせては、殺されるかもしれない…」
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 23:40:37.69 ID:WSO6DISO
側近2「シャル様を…?」

エレカ「これを…」ゴソッ

側近2「!」

エレカ「『私の電波』を受けるトランシーバーだ。これで連絡する。とにかく君は今すぐに人を呼んで、そのままシャルの元に向うんだ…まだ間に合う」

側近2「し、しかし…」

エレカ「能力の使用も許可する…早く行くんだ…」

側近2「……」

エレカ「早く!!」

側近2「は、はい!」ダッ

エレカ「……クロ!君もこっちに来るんだ…」

クロ「……」

エレカ「クロ!ぼんやりしていたら、殺される!」

クロ「ああ…」

クロ「ああああああああああああ!!」ダッ



エレカ「この騒乱を食い止めるには少し強引だが…これしかないな…」

エレカ「『バイ・セカンド』…」

エレカ「雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)!!!」


ゴロゴロゴロ…

エレカ「……落雷!」


ピシャアアアン!!!!!
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 23:46:50.09 ID:WSO6DISO
ピシャアアアアアアン!!!!

「か、雷だぁ!!」
「展示してあった銅像に当たったぞ!」
「早く逃げろ!殺される!」

キャアアアアアアア ワアアアアアアアア

エレカ(そうだ…それでいい、この会場にいてはいけない…!)


クロ「……」フラフラ

エレカ「!…クロ、しっかりするんだ!」

クロ「…大丈夫、少し、落ち着いたわ」

エレカ「……」

医療班「エレカ様!マグナ様は!?」ダダダダ

エレカ「ここだ!ここにいる!意識はないようだけど、まだ生きてる!」

医療班「よし、すぐに運ぶぞ!」ガチャッ

エレカ「……父上」

医療班「エレカ様!あなたもこれ以上ここにいては…」

エレカ「いや…私にはやることができた…」

医療班「……?」

エレカ「それより、父上を、早く…」

医療班「…分かりました、とにかく今は彼の治療を急ぎます…」
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 00:08:01.57 ID:Nc3ZoQSO
エレカ「……」

エレカ(客も…ほとんどが逃げた…父上も運ばれていった…)

エレカ「…クロ、落ち着いて聞いてくれ」

クロ「……なに」

エレカ「…シャルは、君の姉は、この騒動の『主犯』として扱われていた」

クロ「ふざけないで!そんなわけないわ!!」

エレカ「…そうだ。そんなわけないんだ。どう考えても護衛隊のやり方はおかしい」

エレカ「あれは明らかにこのパーティーの客を焚き付けるためにやったんだ」

クロ「…客を焚き付けるですって?」

エレカ「あの威嚇射撃だって…あんなところでやったら、パニックを引き起こすに決まってる…」

クロ「どういうことよ!?」

エレカ「つまり……」

エレカ「彼らは客たちの前で『シャルが犯人である』と見せ付けるための、スタンドプレイまがいな演出をした…」

クロ「……姉さまを陥れるために…?」

エレカ「……」コクン

クロ「誰がそんなことを…!?」

エレカ「…あの護衛隊は…この、黄の城の護衛隊じゃない」

クロ「……ってことは」

エレカ「赤の城の護衛隊、青の城の護衛隊…その両方だ」

クロ「え…?」
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 00:14:25.62 ID:Nc3ZoQSO
クロ「な、なんで…何のために姉さまを狙うの…?」

エレカ「それは分からないが…」

エレカ「彼らは派手な演出でシャルを犯人として仕立てあげた」

エレカ「そうすれば公に彼女を捕らえることができるからね」

エレカ「が、もちろん彼女自身は何もしていない…」

クロ「……じゃあ、インとシロは!?なんであの子たちが連れていかれたのよ!!」

エレカ「…恐らく、人質だ」

クロ「人質…!?」

エレカ「赤と青の城に、人質として拉致された…狙いは」

エレカ「やはり、シャルをおびき出すためだ」

クロ「そんなの…あり得ないわ…だって彼らは、この地獄における代表よ!?なのに人質なんか非道な真似…」

エレカ「…悪を捕らえるための強行手段」

クロ「!?」

エレカ「地獄の代表である彼らがやれば、非道な手段も合法な手段に見えてくる…」

エレカ「最悪、彼らは民衆にこのことを黙っていればいいだけなんだ」

クロ「そんな……いったい、どうしろって言うのよ!?」

エレカ「……私にできることは一つ」

エレカ「君に協力して、インとシロを連れ戻す」

エレカ「シャルには、側近を一人送ってある。彼女にもこのことを伝えなくては…」

クロ「……」

クロ「あなたが、協力してくれるの…?」

エレカ「…赤と青の城に行かないと、きっと真相は分からないからね」

エレカ「なぜシャルが狙われているのか…」

クロ「……」

クロ「姉さま」
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 00:16:19.08 ID:Nc3ZoQSO
今日はここまでにします
ごちゃごちゃしてんなぁやっぱり
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 00:20:18.36 ID:nOa5qcDO
いやいやお疲れさんだぜ
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 01:01:06.60 ID:pdmyUwQo
にししww楽しみ楽しみwwww
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 10:47:52.53 ID:Q361kgY0
>エレカ「雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)!!!」


どっかで聞いたことあると思ったら
テラリオンさんリスペクトすんなwwwwwwwwwwww
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/08(木) 22:21:57.45 ID:gehNJESO
すまん
今日は書けんくなった
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/09(金) 12:58:43.15 ID:iKBzYESO
>>1よゆっくりでいいから
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 20:36:39.87 ID:DgC0m.SO
エレカ「…と言うワケで、のんびりしてはいられないな」

エレカ「まずは一度シャルと合流しよう。インとシロが連れて行かれたことを伝えなければ…」

クロ「……あ」

エレカ「?」

クロ「いつの間にか、能力を解除してたわ…姉さまに羽を貸してたのに……」

エレカ「…大丈夫、そろそろ彼がシャルを見つけたはず…」

クロ「彼?」

エレカ「シャルの元に、側近を向かわせたんだ」

クロ「側近…」



黄の城から2kmほど離れたところ

転「うわわわわわわわわ!!」

転「な、なんで翼が消えて…」バタバタ

ヒュウウウウウウウ

転「お、落ちる!!」

ガサガサッ!

転「ぐえっ!」

バキバキバキッ!!

転「あああっ!?」

ボフッ!!!

転「……」

転「…雪が積もってる…助かった……」
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 20:48:17.60 ID:DgC0m.SO
転(しかし…無闇に飛び回っていたから分かりませんでしたが)

転(この辺りはもう、山岳地帯の入り口……)

転(これから私は、どうしたらいいんでしょうかね…)

転「んんっ」スポッ

転「抜けた。…あー顔がちべたい」

転「……」

転「落ち着いたら、なーんかいろいろ思い出してきました…」

ガサッ

転「!」ピクッ

転「今どこかで…葉の揺れる音が…」

ガサガサッ

転「…近づいてる!」

ガサガサガサガサ

転「そこかっ!」バッ

ガサッ

側近「!?」ダダダ

転「え!?あ、ちょ、止まっ…」

ベチッ
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:00:53.53 ID:DgC0m.SO
側近「っ…」

転「〜〜!」バタバタ

側近「ああもう、危ないッスよ!」

転「〜〜!!」バタバタ

側近「何やってんスか!次からは気を付けるッスよ!」グイッ

転「ぷはぁ!」ズボッ

転「気を付けるのは、そっちでしょーが!!」

側近「…あ……」

転「…え…?」

側近「しゃ、しゃ、シャル様…!?」

転「?」

側近「し、失礼しましたッス!!」ガバァ

転「へ?あれ?いきなり土下座なんて…別にケガはしてな…」

転(ん…?こいつ…さっきのパーティーでエレカと一緒にいた…)

転「えっと…あなたは…」

側近「俺でッスか?俺は…エレカ様の側近ッス。今日なったばかりなんッスが…」

転「その側近が、なぜここに?」

側近「エレカ様の命令で、あなたの護衛をしに来たッス!」

転「私の護衛?」

側近「急いで探したんッスが、すぐに見つかってよかったッス!お怪我もないようで!」

転「あ、はぁ…どうも…」
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:10:18.72 ID:DgC0m.SO
側近「それで俺は…いったいどうしたらいいんッスかね…?」

転「えっ」

側近「エレカ様に『とにかく早く行け』と急かされまして…あなたと合流した後のことを聞いてなかったッス…」

転「いや、私もとにかく逃げてきたので、これからどうするかは……」

側近「……」

転「…何かこう、通信手段とかはないんですか?」

側近「はっ!そうッス!エレカ様からトランシーバーを預かってるッス!」

転「じゃ、それで指示を聞いて…」

側近「はいッス!」ゴソゴソ

側近「……!」ピタッ

転「…どうかしたんですか?」

側近「さ、さっきぶつかって尻餅ついた拍子に…」ボロッ

転「……あ」

側近「これは…すぐには直せないッス。工具を用意しないと…」

転「そ、そんなもの、ありませんよ!」

側近「…申し訳ないッス……」

転「ああ、結局どうすれば…」

側近「………」

側近「……っ!!」ピンッ

転「側近さん?」

側近「何か聞こえるッス…」

転「え?何も聞こえませんよ。さっきのあなたの足音なら聞こえたけど…」

側近「この呼吸音は……」

転(呼吸音?)

側近「オオカミッス!」

転「オオカミ!?」
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:22:49.20 ID:DgC0m.SO
グルルル…!

転「はっ!」

オオカミ「グルル…」ノシノシ

側近「危ないッス!下がって!」バッ

オオカミ「グルルルル…」

転「いえ、平気です」

側近「え?」

転「……」スタスタ

転「ただのオオカミじゃありませんね」

オオカミ「……」

オオカミ「シャ、ル…へのメッ…セージ…」

転「!?」

オオカミ「何があった、かは…理解して、い、る…私が参加し」

オオカミ「なかっ、たの…は…正直に言、えば護…身のためだ…」

オオカミ「いい、かシャ…ルお前、は、狙われ、てい…る」

側近「狙われている…!?」

オオカミ「今のお、前はとにか、く動…くな無闇に動けば行き倒れ」

オオカミ「るのが…関の山だ、私か、ら…連絡、す、ることは…難しいきっ、とこれ…が最初で最後だ」

オオカミ「…とにか、く今は生き延、び…必ず、我が家に戻っ、てく…る…んだ、大事なはな、しがあ、る…」

オオカミ「……ルシファ、ルより」

オオカミ「……」バタッ
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:33:16.70 ID:DgC0m.SO
側近「……」

側近「い…今のは何ッスか!?」

転「繋ぎ繋ぎの言葉…オオカミを媒体とした『代弁者(ユー・アー・スピークアップ)』と言う能力です」

側近「……?」

転「父さんが私に…じっとしてろと…」

側近「だ、大丈夫なんッスか?」

転「せっかく得た助言を、無視するわけにはいきませんよ…」

転(しかし…)

『いいかシャル、お前は狙われている』

転「……これは」

転「何だって言うんですかね、ホントに…」
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:34:25.28 ID:DgC0m.SO
黄の城

エレカ「おかしい…向こうのトランシーバーが反応しない…私の電波を受信できていないのか?」

クロ「……私の電波…?それ、どういう意味?」

エレカ「…呑気に説明してる場合じゃないから、簡単に言うけど」

エレカ「私の能力『中央電波網(センター・ラジオワーク)』だ」

クロ「……?」

エレカ「私を中心とした半径50km以内の空間に、電波網を張り巡らせる能力だよ」

クロ「電波網…?」

エレカ「ただのラジオや電話じゃ受信できない私だけの電波を、任意の機器に飛ばすことができるんだ」

クロ「なるほど…」

クロ(王族って割には地味な能力ね)

エレカ「でも今それが…繋がらない。もしかしたら、トランシーバーそのものが駄目になった…?」

クロ「……」

クロ「まだるっこしいのは嫌いよ、私が飛んで探すわ!」バサッ

エレカ「無理だ!まったく検討がつかない状態で…」

クロ「姉さまはあっちに飛んで行ったわ!」

エレカ「でも……」

エレカ「……いや、分かった。私は君に協力する。そう約束したからね」

クロ「…!」

エレカ「翼を貸してくれ!」
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:44:46.98 ID:DgC0m.SO
再び、雪山

転「それで…じっとしてるのはいいんですけど…」

転「結構風が冷たくて…寒いですね。今は雪は降ってないけど…また暗くなって来たら、降ってくるかも…」

側近「俺のこの上着でよかったら、使ってくださいッス」バサ

転「あ、でもあなたが…」

側近「俺は平気ッス!元々雪山辺りで育ってきたんで…」

転「……ありがとうございます」

側近「どういたしましてッス」

転「……」

側近「……」

転「…あの」

側近「何ッスか?」

転「あなたのことを…聞いていいですかね…」

側近「俺ッスか?」

転「ええ。…エレカの側近ってのは分かりましたが、それだけじゃどうにも…」

側近「そ、そうッスよね、ちょっと胡散臭いかもしれないッスね」

転「いや、胡散臭いってわけじゃないんですけど」

側近「でも今、身分証明書は持ってないんッス…。その上着に付いてるバッチが、証明書みたいな役割を果たしてるんッスけど…」

転「……ポチ」

側近「え?」
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:51:11.50 ID:DgC0m.SO
転「名前です、あなたの」

側近「え?え?ポチ?」

転「なんとなく顔が犬っぽいんで、今付けました。あだ名です」

側近「ぽ、ポチ…ッスか。まぁ、悪い気はしないッス」

転「もしかしたら、本名で呼び合ったらまずい場合に遭遇するかも知れませんしね…」

ポチ「な、なるほど」

転「あ、私の名前は、シャル…」

ポチ「知ってるッス。シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ」

転「!」

ポチ「そんな驚かないでくださいよ!有名人じゃないッスか!」

転「ゆ、有名人…?」

ポチ「7年前まで魔王を務めていたルシファル・ヴィーノ・トリアンテの長女であり…」

ポチ「あの、上級悪魔を倒した唯一の悪魔!」

転「…っ」ズキン

ポチ「ホントに凄いッスよ!俺はあなたの話を聞いて、こうやって黄の城で雑用として働くことに決めたんッス!」

転「な、なぜ?」

ポチ「だって、憧れのシャル様に会えるかも知れないじゃないッスか!実際会えましたし」

転「憧れ…」

ポチ「いやあ、俺、ホントに尊敬してるんッスよ!元魔王の娘と言っても、そこまで圧倒的に強い能力を持ってるわけじゃない。なのにあの『鋼鎧のロキ』を…」

転「……やめてくださいよ」

ポチ「…え?」

転「私は凄くない!私に憧れるな!!私を尊敬するな!!!」

ポチ「……っ!?」ビクッ
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 21:59:38.49 ID:DgC0m.SO
転「私だって…好きで戦ったわけじゃない…」

転「むしろ、私のせいで、あいつは…」

転「メイは……」

ポチ「あ、あの、俺、失礼なこと言ってしまったッスかね…?そうだったらすいませんッス、うかつでした」

転「……いえ、別に失礼なこと言ったとか、そういうわけじゃないです。でも」

転「あんまりその話は、しないでもらえませんか…」

ポチ「わ、分かりました…気を付けるッス…」

転「それと…私のことは、『シャル』と呼ばないでください」

ポチ「え…名前、嫌いなんッスか…?」

転「嫌いってことはない、です」

転「ですが、代わりにこう呼んでください」

ポチ「な、なんて呼べば…?」

転「……」


転「テンコ」ボソッ
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 22:14:42.23 ID:DgC0m.SO
ポチ「………」

ポチ「て、テンコ…?」

転「そうです、テンコです、何か問題でも?」

ポチ「も、問題はないッス…けど…」

転「けど?」

ポチ「ずいぶん…こう、可愛らしい名前ッスね…」

転「……そーですか?」

ポチ「だって…テンコ様って…なんか変ッスよ…」

転「……」ムカッ

転「あなた今いくつですか?」

ポチ「え?年ですか?」

転「他に何があるんですか」

ポチ「えっと、17です」

転「ほら!年下だ!私は18!」

ポチ「そ、そうなんッスか?」

転「あなたはこれから『様』じゃなく『さん』で私を呼んでください!」

ポチ「さん…?テンコさん…ッスか?」

転「そうです!テンコさん!私はあなたのことポチくんって呼びますから」

ポチ「…わ、分かりましたッス」

転「よろしい!」

ポチ「ちなみに『テンコ』っていうのは、身内やご友人に使われてるあだ名ですか?」

転「……」

転「2年前に私が自分で付けた名前です。大事な人がこれで呼んでくれてました」

転「テンコ、テンコって…」

ポチ「…?」
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 22:34:36.15 ID:DgC0m.SO
転「それでポチくん…今のうちに聞いておきたいことがあるんですが…」

ポチ「何ッスか?」

転「あなたの能力です。知っておいたほうが良いでしょう」

ポチ「の、能力ですか…」

ポチ「…実は俺、能力は滅多に使わないッス」

転「えっ?」

ポチ「一応、エレカ様の側近になる上で、『バイ・セカンド』の修得は済んでるんッスが」

ポチ「能力訓練はあまりしてないんッス。ちょっと訓練しにくい能力で、普段は体を鍛えてるッス」

転「どんな能力なんですか?気になってきましたよ」

ポチ「……」

ポチ「『聖域(サンクチュアリ)』…」

転「さんくちゅあり?」

ポチ「地面に手を付けている間、周囲の攻撃を無効化できるんッス」

転「ほー。凄い能力じゃないですか」

ポチ「でも持続時間は最大で10秒前後。しかも俺自身への攻撃は無効化できないッス」

転「あー…使いこなすのは難しそうですね」

ポチ「でも『バイ・セカンド』は、結構好きなんッス」

転「教えてくださいな」

ポチ「『銀の踊り(シルバー・ダンス)』」

転「シルバーダンス?」

ポチ「一時的に脚力を上げる。凄く単純な能力ッスよ」

転「そりゃまたシンプルですね…」

ポチ「ここまで来たときも、能力を使ってました」

転「ふーむ。しかしあなた、通常の能力が『守り』で、『バイ・セカンド』は『身体の強化』って」

転「シフトチェンジの能力使いなんですね。珍しい」

ポチ「…シフトチェンジ?」
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 22:48:02.79 ID:DgC0m.SO
転「あ、知りませんか、シフトチェンジ」

ポチ「聞いたことはあるようなないような…よく分からないッス」

転「私の能力、知ってますか?」

ポチ「知ってるッス。物を動かす能力ッスよね?」

転「そうですそうです」

転「通常の能力である「神の見えざる手(インビジブル・ハンド)」は、見えない手で物体を少し動かし…」

転「『バイ・セカンド』危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)は、見えない「力」で物体を操作する…」

転「とまあ、二つの能力に大差はないんです。私の『バイ・セカンド』は通常の能力の『単純な進化形態』。これを…」

転「レベルアップの能力、と言います。『バイ・セカンド』はこれですね」

ポチ「なるほどッス」

転「では、あなたの能力のように、通常の能力と『バイ・セカンド』に、ほとんど関連性がない。これを」

転「シフトチェンジの能力と言うんです。レベルアップの『バイ・セカンド』よりは弱いことが多いですが」

転「別々の二つの能力を持つ。これはなかなか強力です。一般的にはあまり見受けられませんね

転「まぁ王族の周辺ならそっちの能力が集まりやすいのかも知れませんが」

ポチ「なるほどなるほど…タメになったッス!」

転「それはよかった。ところであなた」

転「そのリストバンドは、察するにあなたの『地獄兵器』ですか?」

ポチ「そうッスよ」

転「脚力を強力する能力なのに、地獄兵器はリストバンドなんですね」

ポチ「いや、元々は別の物だったんッスけど、ずっと前に兄貴のと取り替えたんッス」

転「兄貴?」

ポチ「あっ……い、今のは忘れてください」

転「?」
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 22:54:24.43 ID:DgC0m.SO
転「…まぁいいか。そんなことよりやっぱり、寒いですね」

ポチ「大丈夫ッスか?」

転「このままじっとしてたら、手足がかじかんで動くのがしんどくなりそうですよ」

ポチ「…手袋着けてるのに、かじかむんッスか…?」

転「ああ、そういえば手袋してるんだった…」

ポチ「でもそれ、薄いやつッスね。確かに寒そうッス」

転「……いいんです、これは寒さ防止じゃないんで」

ポチ「?」


ザッ…ザッ…

ポチ「!」バッ

転「ポチくん?」

ポチ「また、来ました…」

転「何がです?」

ポチ「オオカミ…それも…」

ポチ「1、2、3、4、5、6、…」

ポチ「7匹いるみたいッス!」

転「7匹!?」
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 23:05:29.68 ID:DgC0m.SO
ザッ…ザッ…ザッ…

転「……今度はもう、『代弁者』ってワケじゃなさそうですね…」

ザッ…ザッ…

オオカミ「グルルルル…!」

ポチ「…シャ…じゃなかった、テンコさん、下がってくださいッス!」

転(ひょっとして、代弁者のオオカミが味方だったとか…?)

ポチ「テンコさん!?」

転「……大丈夫ですよ。オオカミ相手なら、いちいち引く必要はありません」

ポチ「でも…」

転「むしろ引くのは…」スッ

転「お前らだ、獣…」ギロッ

ゾッ

オオカミ「!!」

ポチ(これが…上級悪魔を倒した悪魔(ヒト)の殺気…)

転「…と、あんまり動物を恐がらせるのは悪趣味ですね」

ピタッ

オオカミ「!…グルル」

転「……ポチくん」

ポチ「はい!」

転「私はなるべく彼らを傷つけないようにします。ですからあなたも…」

ポチ「…分かったッス。俺もこいつらを必要以上に痛めつけるつもりはないッス!」

転「じゃ、行きますよ…」

ポチ「……はいッス!」

オオカミ「グルルル…」

転「初共闘(ファーストタッグマッチ)、スタートです!」ダッ
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 23:33:14.83 ID:DgC0m.SO
オオカミ1「グルルルァ!!」バッ

オオカミ2「ガルルルァ!!」バッ

オオカミ3「グルラァ!!」シュッ

転「!」

転(いきなりでかいの三匹で来ますか…しかしガルルルァ!!って…)

転「虎かっ!テンコチョップ!」シュッ

オオカミ1「キャイン!」ビシッ

オオカミ2「ガルル!」グワッ

転「もう片方のチョップ!」シュッ

オオカミ2「ギャウ!」ベシッ


オオカミ3「グルルルラァ!」ドンッ

ポチ「やっぱオオカミは早いッスね…!でも…」スッ

オオカミ3「ガルラァ!」ギラッ

ポチ「カウンター!!」バキィ

オオカミ3「ギャウンッ!」ドサァ

ポチ「いくら歯が鋭くっても、当たる前にぶっ飛ばせば意味ないッス!」
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 23:37:45.73 ID:DgC0m.SO
オオカミ1「グルルル…」クルクル

オオカミ2「ガルルル…」クルクル

転「…なんですか、左右から飛び掛かるつもりですか?」

オオカミ1&2「ガウッ!!」バッ

転「マジでやりますか……とぉっ!」ピョン

オオカミ1「!」

オオカミ2「ガウガウッ!」

ゴツンッ!!

オオカミ1&2「キュウン…」

転「あなたたちが勝手にごっつんこしたんですよ!」

オオカミ4「……グラララァ」ドッ

転「!しまった、後ろ…」

ポチ「ハァッ!」シュッ

ゲシッ

オオカミ4「ギュ…!」バタン

転「す、すみません…助かりました」

ポチ「油断したら駄目ッスよ、まだ3匹いるッス!」

オオカミ5&6「グルアアア!」ドシュシュッ!!

転(二匹同時に正面から…こんなの簡単に避け…)

転「…!」

スッ

オオカミ5&6「ガウガウッ!」

ガブガブッ
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 23:43:22.44 ID:DgC0m.SO
ポチ「て、テンコさん…!」

転「……」

ポチ「な、なんで避けないんッスか…!」

転「…じょうぶ…ですよ」

ポチ「!?」

転「大丈夫…大丈夫ですよ…あの仔には手を出さない…」

オオカミ5&6「グルルル…」

ポチ「え…?」

転「ポチくん、あれ…」

ポチ「…!」

オオカミ7「……」

転「母親…なんですかね…赤ちゃんをくわえてます…」

オオカミ7「……」ジッ

転「大丈夫ですよ。その赤ちゃんには手を出さない。あなたたちにも、これ以上は何もしません…」

オオカミ5&6「グル……」

オオカミ7「……」フイッ

ポチ「!」
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 23:51:37.42 ID:DgC0m.SO
オオカミ1&2&3&4「……」スタスタ

ポチ「オオカミたちが、戻っていくッス…」

転「……ほら、あなたたちも、そろそろ離してくれません…?」

オオカミ5&6「……」パッ

スタスタ

転「赤ちゃんオオカミに手を出すつもりはないと…理解してくれたみたいですね」

ポチ「……凄いッス…」

スタスタスタ…

転「……ッ!」ズキン

ポチ「そ、そうだ、テンコさん!駄目ッスよ、あんなムチャしちゃ!」

転「む、むやみやたらに殴るよりは、マシかと思ったんですよ…。それにほら、彼らも肉を食いちぎるとか、そこまではしませんでしたし…」

転「でも、あなたの上着がちょっと破れて…」

ポチ「そんなのいいんッスよ、それより、傷の手当てをするッス!小さい救急箱持ってるんで!」

転「…はい」スッ

ポチ「まったく…テンコさんがこんなことする人だなんて、知りませんでしたよ!」

転「……せめて」

ポチ「?」

転「オオカミぐらいには、優しくしたかったんです」

ポチ「……」

ポチ「そ、そうッスか…」
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/09(金) 23:59:00.40 ID:DgC0m.SO
上空

クロ「……?」

エレカ「どうしたんだい、クロ」

クロ「今、オオカミみたいなのが、何匹か…」

エレカ「オオカミ…?」

クロ「もしかしたら、姉さまを攻撃したのかしら…?ちょっとふらふらしてたもの…」

エレカ「近づいて見てみようか?」

クロ「ええ…」

ギュンギュンッ!!



ポチ「これでよしッス!」

転「こんな丁寧に包帯なんか…たいした傷じゃなかったのに…」

ポチ「でも、傷口から菌は入ったりしたら、大変ッスよ!念のためッス!」

転「念のためか…ま、確かに大事なことですね」

ポチ「……それで…これから結局どうするッスか?」

転「動いたせいか、寒さをあまり感じなくなってきました…ちょっと移動してみますか?」


ちょっと待った!


転「!」バッ

ポチ「誰ッスか!?」

クロ「……姉さま!」バサバサ

転「…クロ!それに…」

ポチ「エレカ様!」

エレカ「やぁ…無事でよかったよ…二人共」
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/10(土) 00:18:15.43 ID:cpCtF.DO
終わりかな?
終わりなら乙でした!
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/10(土) 00:20:09.59 ID:5azCcESO
転「私たちを探して、飛んできたんですか?」

クロ「そうよ…」

ポチ「エレカ様まで…」

エレカ「……大変なことになったんだ、シャル」

転「最初から大変ですよ」

エレカ「まず、君は陥れられてる」

転「やっぱそうでしたか…」

エレカ「そしてその元凶は…」

エレカ「……赤と青の王族だ」

転「え…?な、なんで彼らが…?」

エレカ「理由は分からない。けど彼らは…」

クロ「……インとシロを、連れて行ったのよ!!」

転「…!?」

ポチ「どういうことッスか!?インとシロって、テンコさんの妹ッスよね!?」

エレカ「二人はきっと、君を誘き寄せるための人質なんだ」

転「人質…」

エレカ「私は二人を連れ戻すために、クロと共に赤と青の城を目指す」

エレカ「だが私たちだけでは、せいぜい片方を押さえるのが精一杯だ…」

エレカ「……分かるだろう、シャル」

転「……ええ」

転「二人は、私の手で取り戻す!そして赤と青の王族は…」

転「絶対に許さないッ!!」

エレカ「……これからはどちらか片方ずつに、別々で向かおう。君はどちらにする?」

転「どっちでもいいです。だけど、もしも二人が片方の城にしかいなかったら…?」

エレカ「…片方は徒労だ。そこまで覚悟して決めてくれ」
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/10(土) 00:20:41.96 ID:5azCcESO
転「私たちは……」

転「赤の城に向かう…!」

エレカ「…なら私とクロは、青の城だ」

クロ「姉さま、私はどんな手を使ってでもあの子たちを連れ帰すわ」

クロ「だから姉さまも、絶対に妥協しないで…。なんとしてでも二人を連れ帰すのよ!」

転「分かってます…!」

エレカ「行こう、クロ」

ポチ「あ、エレカ様!トランシーバーが…」

エレカ「やはり、壊れていたんだね。仕方ない、こっちを使ってくれ。ただこれは、受信専用だ。君たちの方からは連絡できない」

ポチ「すいませんッス…」

エレカ「いや、いい。私もなるべく連絡は取るようにするよ」

クロ「…姉さま、私の翼は自分の分を含めて6枚、4人に貸すことはできないわ」

転「大丈夫です、歩きます、走ります!二人が人質なら、死にはしない…もちろん急ぐには急ぎますが、確実に取り帰せるように、慎重に行きます」

クロ「ええ…分かったわ」バサァ

エレカ「それじゃあ二人とも、また皆で会えるように…」

ポチ「はいッス!」

エレカ「行こう、クロ!」

クロ「ええ!」

ギュオンッ!!!
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/10(土) 00:22:17.45 ID:5azCcESO
今日はここまでにします
昨日やれなかったぶん、頑張ったつもりです
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/10(土) 00:24:38.43 ID:4/J6MOso
         ,. ´ ̄ ヽ.
.      /´/      ヽ.
     /  !         '.ー-、
     |           }/,≫., :
     |!,             |/   ! :
.   / | !       W    |
  厶-、.W{     i  ,リ'|    |
. 厶=、 ヽ i\|从!\|∨ 亅    亅    …ぐッ!
 {.   ヽ  |  `     亅    亅
. !  ヽ \| i      |/  ,イ
. ∨  \ |,j       j    j |    …し、静まれ……俺の>>1乙…ッ!
  ∨    '《      ,≦=-'  j/!
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    Ll i i l矢───┴‐┴─-、三z厂 :
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93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 22:05:30.19 ID:OALllASO
ポチ「行っちゃったッス。さぁ、俺たちも急ぎまッスよ!」

転「もちろんです!」

転「……と、偉そうに言ってみたのはいいんですが」

ポチ「…?」

転「まだ自由に動くわけにはいきませんね」

ポチ「?」

転「いいですか、彼らは恐らく、私を捕まえようとしている」

ポチ「そう…ッスよね」

転「では具体的にはどうやって捕まえるのか?私がノコノコ城までやってくるのを待つしかないのか?」

転「答えはNOです。彼らから攻めに来て、動けなくするのが手っ取り早い」

ポチ「…ってことは、追っ手が来るかもしれないってことッスか?」

転「追っ手と言うよりは、『待ち』の駒ですね。必ず控えているはずですよ」

ポチ「……じゃあ、好き勝手に動くわけには行かないッスよ」

転「ええ。しかし私たちは、できるだけ早く城に向かわなければならない」

転「もしも…青の城の全勢力を持って私たちを潰しにかかったら…連戦、連戦、また連戦…私たちに勝ち目はありません」

転「しかし、少しでも相手を避けつつ城に向かうことができたら、負担は軽減できる…」

ポチ「相手を避けつつ……?」

転「言ってみただけです。ただ、このまま動いていたら間違いなくやられる…下手すれば動く間もなく、『駒』たちにやられてしまうかもしれません」

ポチ「……」
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 22:17:45.06 ID:OALllASO
ポチ「……ダメ元で、言ってみていいッスか」

転「はい?」

ポチ「ここからもう少し向こうに進めば…」

ポチ「…『流刑地(デッドエリア)』があるはずッス」

転「流刑地…?確かにあったはずですが、それがどうしたんですか?」

ポチ「そこに、『周囲の敵を感知できる能力』、いわばレーダー機能を持つ囚人がいるんッス」

転「レーダー機能を持つ囚人…?誰ですか?」

ポチ「……俺の、兄貴ッス」

転「……」

転「兄貴」

ポチ「はい…恥ずかしながら、俺の兄貴は囚人なんッス。それも『危険因子』として、三年前に流刑地に…」

転「はー…大変ですねぇ」

ポチ「いや、悪いのは兄貴なんッス。しょっちゅう他人に危害を加える『荒らくれ者』で、しかもレーダーの能力もなかなか厄介…」

ポチ「そんなわけで兄貴は、五年間あそこにいることになってるんッス。しかも振る舞いが一向に良くならないから、七年以上に延びるとかって…」

転「あーあー…そうなったらキツいんじゃないですか?」

ポチ「実はその辺りの交渉も兼ねて、エレカ様の下で働くことにしてたんッスが……」

転「なるほど……」

転「……もしもその『兄貴』を出すことができたら」

転「私たちは動き易くなりますかね?」

ポチ「うまくいけば、誰にも会わずに城まで行けるッス」

転「……」

転「行ってみますか。流刑地。あわよくばあなたの兄貴を出してみせましょう」

ポチ「!?」
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 22:29:48.46 ID:OALllASO
ポチ「あ、兄貴を出すなんて、さすがに無理ッスよ!」

転「どうでしょうね。確かにあなたが『エレカの側近』ってだけじゃ無理かも知れませんが…」

転「私にはまた別のコネがあります」

ポチ「コネ…?」

転「とにかく流刑地に向かいましょう。走って行けば30分もかからないはずです」

ポチ「正確な場所が分かるんッスか?」

転「ええ、一応…」

ポチ「じゃ、すぐに行くッス!噛まれた腕は平気ッスね!?」

転「はい……」

転「流刑地か」ボソッ

ポチ「?」

転「いえ、何でも」
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/15(木) 22:42:28.40 ID:Uqvr9cDO
復活ktkr
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 22:32:49.94 ID:peuOdMSO
流刑地(デッドエリア)とは、地獄における唯一の「収容所」である

大金を盗んだ強盗から町を騒がせた放火魔まで、たくさんの犯罪者が収容されている他に

身近なところ(例えば親族など)に大犯罪者がいる者や、かなりの凶悪性を秘めた者は「危険因子」として扱われ、収容される

総数は千人を上回るとされるが

そのうちの三割ほどは既に釈放されており

さらに二割ほどが既に死亡しており

実質的には五百人強、といったところである

しかし当然、その五百人は悪党ばかり

本当に危険な者に至っては、流刑地内で看守たちを殺してしまう


テンコとポチは、たった二人でその流刑地に乗り込もうと言うのだ
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 22:40:57.76 ID:peuOdMSO
流刑地前

転「さ…着きましたよ…」

ポチ「……こ、ここが」

転「流刑地。後はこの門を通るだけです」

転「…が」

ポチ「…が、何ッスか?」

転「あそこに小さな部屋みたいなのがありますね」スッ

ポチ「あるッス」

転「あれはここに入るための、最初の受付なんです」

ポチ「最初の…?いくつかあるんッスか?」

転「確か三つ四つはあったはずです。それで、私たちはあそこで入所許可をもらわないといけないんですが…」

転「アポを取ってませんから…もしかしたら門前払いを食うことになるかもしれません」

ポチ「それじゃ、ダメじゃないッスか!」

転「だから私のコネをうまく使わなきゃいけないんですよ」

ポチ「テンコさんのコネって…」

転「…元魔王、そしてその前にはここの元看守長…」

転「父の力を借りちゃいましょう」
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 22:49:20.57 ID:peuOdMSO
転「ではポチくん、さっそくあそこに行って、受付の人を呼んでくださいな」

ポチ「あ、はいッス!」タタタ

転「あらかじめ謝っておきます。ごめんなさいお父さんあなたの名前を勝手に振りかざします」


ポチ「これかな」スッ

チリンチリーン

ポチ「……」

ガラッ

ポチ「!」

?「……ん?なんだね君は…」

ポチ「えっと、自分は、黄の城から…」

?「黄の城?魔王さまの使いかね」

ポチ「使い…ではないのですが…」

「待てぇい!」

ポチ「!?」クルッ

?「今度は誰だね?」

転「……私をお忘れになられたか!元『副』看守長!」

?「…まさか、その顔は…」

?「シャルお嬢様!?」

転「お久しぶりですね、ワンスー副看守長」

?「いやはや…私のことを覚えていてくださるとは…光栄です」

転「いえいえ」

?「ところで今回は、いかがなされたのです?ルシファル様からのご用件でしょうか?」

転「あー…父は関係ありません。私はあなたに、お願いをしに来たのです」

?「…お願いですか」
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:05:13.32 ID:peuOdMSO
転「ええ。実はですね…」

転「そちらの囚人を一人…釈放してもらいたいんです」

ワンスー「!」

転「…やっぱり難しいですかね」

ワンスー「詳しく理由を説明していただければ、考えて…」

転「Wonderful!」

ワンスー「…とにかく、室内にご案内しましょう。風が冷たいでしょうし」

転「ありがとうございます」

ポチ「……」ポカーン


看守室

ワンスー「どうぞおかけになってください」

転「ええ、では失礼します」

ワンスー「……それで、一体どういった理由で囚人の釈放を?」

転「……」キョロキョロ

ワンスー「…シャルお嬢様?」

転「ああ、失礼しました。いやね、あんまりこの部屋が変わってないものですから、懐かしくて…」

ワンスー「…当時はまだ…5、6歳でしたね」

転「そうですね。でもここは、はっきり覚えてますよ。よく父と一緒に見て回ってましたから」

ワンスー「懐かしいですねぇ…」

転「……まぁ、思い出話は今はよしましょう。私が今回ここに来た理由を説明しなくてはなりませんね…」

転「……実は私、命を狙われているんです」

ワンスー「!」

ポチ(…え?)
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:26:12.22 ID:peuOdMSO
ワンスー「命を…?」

転「はい。私はとある罪の濡れ衣を着せられてしまいまして…」

転「今現在『罪人』として扱われている私を仕留めるために、追っ手が動いているのです」

ワンスー「なんと…ちなみにその罪、とは…?」

転「……隠す必要はないでしょう。どうせもう一時間も経たないうちに第一報が伝わるはずですから」

ワンスー「?」

転「黄の王が狙撃されました。私はその主犯として扱われているようです」

ワンスー「魔王が!?」

転「ええ…」

ワンスー「いつの間にそんな大事件が…」

転「それで…私は身の潔白を証明するためにも、追っ手に捕まるわけにはいかないのです。逃げなくてはならないのです!」

ワンスー「…しかし、それとここの囚人に何の関係が?」

ポチ「ここに、探知能力を持った囚人がいるはずッス!」

ワンスー「探知能力…?それを使って追っ手から逃れようと?」

転「ええ」

ワンスー「なるほど…で…それが誰かはご存知で?」

ポチ「名は、『コヨーテ』ッス」
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:35:52.52 ID:peuOdMSO
ワンスー「コヨーテ…コヨーテ…」

ワンスー「……」

ワンスー「ああ、あの荒らくれ者か!」

転(荒らくれ者のコヨーテ…)

ワンスー「そうか、なぜあれだけの暴行を繰り返し、確保に時間がかかったのか…ずっと不思議だったのだが、探知能力のせいだったのか!」

ワンスー「しかも確か奴は『危険因子』の囚人!外に出せばまた暴れるに違いない!」

ポチ「う…」

ワンスー「だいたい、君は…黄の城の兵士か?一体なぜそんな者が…」

ポチ「俺はそのコヨーテの弟ッス!」

ワンスー「……弟!」

転「…ワンスー副看守長、どうか彼の頼みを聞いていただけないでしょうか?」

ワンスー「……うーむ。確かに実弟となれば、奴が万が一暴れ出した時にも、食い止められるかも知れない。赤の他人がやるよりよっぽど効果的だ」

ワンスー「それに、ルシファル様の娘のシャルお嬢様が狙われていると言うのなら、放っておけない…」

ワンスー「しかし、囚人を個人の頼みで釈放するとなると、これまでに例がない事態だ…」

転(ダメっぽいか…?)


ジリリリリリリリリ!


ポチ「!?」

転「これは…」

ワンスー「非常用のベル!?」
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:36:21.04 ID:peuOdMSO
ジリリリリリリリリ!!

転「な、何ですかいきなり?」

ワンスー「……エリアD-6からだ…まずいぞ、まさかまた…」

ブツッ

『ワンスー看守長!大変です!また奴が…』

『パイタが、暴れ出しました!!』

ワンスー「くそッ!やはりか!」

転「パイタ…?(っていうか正規の看守長だったんですね彼)」

ポチ「脱獄者でも出たッスか?」

ワンスー「…以前にもあったのだ…奴は突然、巨大な物質…例えばコンクリートの塊などを出現させて、牢を破壊して脱走した…」

ワンスー「やむを得ん!私が行くまで食い止めろ!」

転(大変だなぁ、流刑地は…)

ワンスー「そうだ!」クルッ

転「?」

ワンスー「シャルお嬢様!あなたの評判は聞いております!なんでも上級悪魔を倒したとか…」

転「…!」

ワンスー「…私と共に、パイタを止めていただけないか!?もしうまくいったら、コヨーテを釈放する!約束しよう!」

転「く、口調変わってますね…」

ワンスー「失礼…緊急事態なのです!どうかお力を貸してください!」

転「…どうします?ポチくん」

ポチ「俺は行くッス!」

転「分かりました…。できるだけのことはやってみます」

ワンスー「おお!ありがとうございます!では行きましょう!」ダッ

ポチ「はいッス!」ダッ

転「…やーれやれ」タタタ
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:53:35.07 ID:peuOdMSO
タタタタタ

転「今のうちに聞いておきますけど、どんな奴なんです?そのパイタって…」

ワンスー「…奴は、5年前にここに入って来たんです。罪状は殺人」

転「殺人…」

ワンスー「恐るべしはその動機…奴は『食事の邪魔をされた』から、その悪魔の肉体をバラバラになるまで傷め付け、殺した…残虐極まりない非常な奴なのだ!」

転「(また口調が…)強いんですか?そいつ」

ワンスー「前回は原因不明の脱獄未遂だったが、今回ではっきりする…」

ワンスー「奴は『バイ・セカンド』を修得しているであろう、凶悪な囚人です!」

ポチ「『バイ・セカンド』…!」

転「それはちょっとヤバいかも…」

ワンスー「いた!あれだ!」

転「!!」

ガリガリ

転「……えっ?」
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 00:01:25.54 ID:OAvaGESO
ガリガリガリ

ポチ「何かを…食ってる…?」

パイタ「な〜ん〜だ〜よ〜」クルッ

パイタ「う〜る〜さ〜い〜な〜」ガリガリ

ポチ「飴を噛み砕いてる…!?」

転「飴とかなんとかよりも…デカい!縦にも横にも!」

パイタ「な〜に〜君たち〜」

ワンスー「パイタ!脱獄しようというなら、諦めろ!我々は以前のように阻止する!」

パイタ「う〜る〜さ〜い〜な〜」

パイタ「ボ〜ク〜の〜能力も〜」

パイタ「よ〜く〜知〜ら〜な〜い〜」

パイタ「く〜せ〜に〜」プッ

ポチ「飴を吹き出し…」

ドゴォン!!!

ポチ「…え!?」

ワンスー「がっ…!?」ヨロッ

ドサッ

転「ワンスー看守長!?」

パイタ「ほ〜ら〜も〜う〜や〜ら〜れ〜た〜」

転(なんだ…今…いきなりコンクリート片が、ワンスー看守長に当たった…)

ポチ「テンコさん!あいつ、今能力を…」

転「分かってます!恐らくは…なんらかの物質を突然出現させる能力…あるいは、ポルターガイストかも…」

パイタ「君たちも〜ボ〜ク〜の〜じゃ〜ま〜す〜る〜な〜ら〜」スッ

パイタ「容赦〜し〜な〜い〜よ〜?」ガリガリ

転「…気を引き締めてください!やりますよ、ポチくん!」バッ

ポチ「はいッス!」ザッ
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 00:02:08.57 ID:OAvaGESO
今日はここまでにします
やっと>>100かよ厳しいぜ
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 02:48:58.02 ID:E9v.X.DO

更新、楽しみに待ってます。
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 18:31:01.85 ID:Bag.D/U0
看守長ってのはこんなに弱いものなのか…
109 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 22:31:26.17 ID:m.D9LMSO
パイタ「あ〜ちょっと〜待って〜」

転「え?」

パイタ「腹が〜減っては〜い〜く〜さ〜が〜で〜き〜ぬ〜」ガリガリ

ポチ「…?」

パイタ「………」ガリガリガリ

転「ちょ、ちょっと…その飴…」

パイタ「な〜に〜」

転「美味しそうじゃないですか!」

パイタ「お〜い〜し〜い〜よ〜」ガリガリガリ

転「……一つ欲しいなぁ…なんて…無理ですよね?」

ポチ「な、何言ってるんッスか!?」

転「ダメですか…?」

パイタ「う〜ん〜じゃ〜あ〜一つ〜だ〜け〜ね〜」

転「ホントですか?ありがとうございま…」

転「すっ!!!」ブンッ

ポチ(不意討ち!?)

ドムッ

転「……どむっ?」

パイタ「ど〜う〜?〜気〜は〜す〜ん〜だ〜?」

転(そうか、こいつは太ってるから、殴ったぐらいじゃ大したダメージを与えられない…!)

ポチ「テンコさん!危ないッス!」

転「!」

パイタ「お〜か〜え〜し〜だ〜よ〜」グオッ

転「ちっ…」サッ

ゴシャアッ!!!

ポチ「テンコさんっ!」
110 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 22:44:01.85 ID:m.D9LMSO
パイタ「………丈夫だ〜ね〜」

転「打たれ強さには…定評があるんですよ…」グググ

ポチ「あのパンチをガードするなんて…無茶苦茶ッス!」

転「平気…です。確かにこいつは拳のサイズがでかいけど…」

転「力(パワー)は見た目よりないみたいです…」

パイタ「………き〜み〜は〜さ〜」

パイタ「ど〜う〜し〜て〜ぼ〜く〜の〜しょ〜く〜じ〜の〜じゃ〜ま〜す〜る〜の〜?」

転「……いや、それは…」

ポチ「決まってるッス!あんたがここで暴れるからッスよ!」

パイタ「……ぼ〜く〜は〜」

パイタ「好〜き〜で〜あ〜ば〜れ〜て〜る〜ん〜じゃ〜な〜い〜よ〜」

ポチ「どういう意味ッスか…?」

パイタ「み〜ん〜な〜ぼ〜く〜の〜じゃ〜ま〜を〜す〜る〜ん〜だ〜よ〜」

パイタ「た〜だ〜しょ〜く〜じ〜し〜て〜る〜だ〜け〜な〜の〜に〜」

パイタ「お〜か〜し〜い〜よ〜ね〜」

転「食事の邪魔…?」

パイタ「ほ〜ん〜と〜だ〜よ〜」

転「ちょっと聞きたいんですけど、あなたの『食事』ってのは、その飴のことですか?」

パイタ「こ〜こ〜の〜ご〜は〜ん〜は〜す〜く〜な〜い〜か〜ら〜ね〜」

転「…ここに物を持ち込むことはできないはずですよね」

パイタ「そ〜う〜だ〜よ〜」

転「じゃあその飴はどこから?まさか看守があなたに渡すわけじゃありませんよね」

パイタ「ぼ〜く〜の〜の〜りょく〜さ〜」

転「…能力?」
111 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 22:59:27.80 ID:m.D9LMSO
パイタ「こ〜れ〜…スプーンね〜」スッ

転「……」

パイタ「ぼ〜く〜の〜の〜りょく〜『食王(ショッキング)』は〜こ〜の〜スプーン〜で〜触〜れ〜た〜も〜の〜を〜」カン

パイタ「飴玉に〜変〜え〜る〜ん〜だ〜」コロン

転「コンクリート片が…」

ポチ「飴になったッス!」

パイタ「……こ〜の〜飴は〜食〜べ〜ら〜れ〜る〜ん〜だ〜よ〜」ポイッ

転「っと」パシッ

転「……」モグ

ポチ「ほ、ホントに食べたらまずいッスよ!」

転「いや…これは…本物の飴れすね…」コロコロ

パイタ「お〜い〜し〜い〜で〜しょ〜」

ポチ「…でも、その飴を食べてただけなのに、なぜ看守に邪魔をされるんッスか?」

パイタ「そ〜れ〜が〜ね〜ぼ〜く〜に〜も〜分〜か〜ら〜な〜く〜て〜さ〜」

転「簡単ですよ」コロコロ

転「あなた…この飴は、何から作りました?」

パイタ「…か〜べ〜だ〜よ〜」

ポチ「壁…?」クルッ

ポチ「……!粉々に砕けてるッス!」

転「あなたは壁を壊して、飴に変えるコンクリート片を用意していた」

転「しかし壁を壊す=脱獄未遂…」

転「よって看守たちはあなたを止めたんですね」

パイタ「え〜〜…ぼ〜く〜は〜だ〜つ〜ご〜く〜な〜ん〜て〜す〜〜る〜気〜は〜」

転「なくても、壁は壊しちゃダメなんです」

パイタ「…そ〜う〜か〜か〜べ〜を〜こ〜わ〜し〜ちゃ〜ダ〜メ〜な〜の〜か〜」

転(…お…案外、物分かりがいいのかも…)
112 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:13:06.40 ID:m.D9LMSO
パイタ「で〜も〜〜お〜な〜か〜は〜減〜る〜よ〜ね〜」

転「えっ…」

パイタ「そ〜れ〜は〜しょ〜う〜が〜な〜い〜よ〜ね〜…ぼ〜く〜の〜し〜ょ〜く〜よ〜く〜を〜止〜め〜る〜こ〜と〜は〜」ヒョイ

パイタ「だ〜れ〜に〜も〜で〜き〜な〜い〜の〜さ〜」ガリガリガリ

ポチ「ダメみたいッスね」

転「ですね…」

パイタ「き〜み〜た〜ち〜も〜やっつけて〜や〜る〜!」ググッ

ブンッ

ポチ「来たッス!」

転「あのでかいだけの拳は…」ダッ

転「足場になるっ!」タンッ

パイタ「ん〜?」

転「食らえぽっちゃり!テンコキーック!」シュッ

パイタ「!」

バキバキッ!!

ポチ「顔に直撃した!やったッス!」

転「…いや、ダメみたいです…」スタッ

ポチ「え…?」

パイタ「……き〜か〜な〜い〜よ〜」

ポチ「そんな…当たってなかったッスか!?」

転「当たりましたよ。あの…」

転「飴玉が詰まった右の頬にね」

ポチ「まさか…飴玉をクッションに…!?ホントにめちゃくちゃッスね!」

転「…しかし…まいったな…。通常の殴る蹴るは通用しないか…」
113 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:36:03.42 ID:m.D9LMSO
パイタ「…ん〜い〜ま〜の〜蹴りで〜…」

パイタ「い〜い〜感じに〜飴が〜く〜だ〜け〜た〜よ〜」

転「……そりゃよかったですね」

パイタ「さ〜あ〜い〜く〜よ〜」モゴモゴ

転「……?」

パイタ「……『バイ・セカンド』暴食王(デス・ショッキング)!」

転(『バイ・セカンド』を出し惜しみもせずにいきなり…!)

パイタ「ぷぷぷぷぷぷぷ」プププププ

転「砕けた飴玉を吐き出して…」

ボンッ

転「…!?」

ポチ「テンコさん!」バッ


ドガシャアン!!

ポチ「くっ…!」ズザザ

転「ぽ、ポチくん!?」

ポチ「さっき看守長に使ったのを見てなかったら分からなかったけど…やっぱりそうッス」

ガラガラ…

ポチ「あいつは今の能力で!飴玉を『元のコンクリート片』に戻したッス!」

転「……!」
114 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:38:28.91 ID:m.D9LMSO
転「つまり、あいつは通常の能力で物質を飴玉に変え…」

ポチ「『バイ・セカンド』で飴玉を元の物質に戻す!違うッスか!」

パイタ「…へ〜え〜〜も〜う〜ぼ〜く〜の〜の〜りょく〜が〜わかったんだ〜ね〜」

パイタ「じゃ〜あ〜一つ〜だ〜け〜言わ〜せ〜て〜も〜ら〜う〜け〜ど〜」ガサゴソ

転「?」

パイタ「こ〜れ〜…こ〜の〜瓶〜の〜中身は〜」スッ

パイタ「砕〜い〜て〜な〜い〜コンクリートを〜飴玉に〜変〜え〜た〜も〜の〜さ〜」

ポチ「なっ…」

パイタ「こ〜れ〜全〜部〜元〜に〜戻〜し〜た〜ら〜」ヒョイ

パイタ「ど〜う〜な〜る〜か〜な〜?」パクッ

転「やばっ…この距離じゃ避けられない!」

パイタ「い〜く〜よ〜」コロコロ

ポチ「避けられないなら…弾くッス!テンコさん!俺の後ろへ!」

転「え…!?」

パイタ「キャノン〜キャンディ〜!」プッ

ボンッ(元に戻った音)

ポチ「『バイ・セカンド』銀の踊り(シルバー・ダンス)!」カッ

ゴシャンッ!!!

転「あのでかいコンクリ…蹴りで止めた!?」

ポチ「く…っ…流石に重いッスね…」

ポチ「でも!」

グググッ

ポチ「こんな危ないもの!返品するッス!」

ゴッ

パイタ「……!」

ガシャアアアアン!!!
115 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:45:04.68 ID:m.D9LMSO
ポチ「俺の『バイ・セカンド』は脚力の強化!その気になればこんな石ころ、簡単に押し返せるッス!」

転「ええ、それはいいんですけど……」

パラパラ…

ポチ「…!?」

パイタ「びっくり〜し〜た〜よ〜…ま〜さ〜か〜弾〜き〜返し〜ちゃ〜う〜な〜ん〜て〜さ〜」

ポチ「な、なんで効いてないんッスか!?いくらあの体型でも、あれだけでかいのを真正面から受けたら…」

転「受けてないんですよ…あいつは…ギリギリのタイミングで」

転「もう一個、飴をコンクリートに戻して…それをぶつけて相殺した!」

ポチ「そ、そんな…」

パイタ「も〜う〜一度〜やっ〜て〜み〜る〜か〜い〜?」モゴモゴ

転「あいつただの[ピザ]…もとい太っ腹だと思ってましたが…」

転「かなり…強いみたいですね…正直ちょっと焦ってます…」

ポチ「……」
116 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:52:15.50 ID:m.D9LMSO
ポチ「テンコさん、もしも俺があいつの顔に蹴りを入れたら…あいつを倒せると思うッスか…?」

転「……」

転「今の力で蹴るなら、飴のクッションなんて役に立たないでしょうね」

ポチ「よし…」

転「でも、蹴る瞬間に『飴→コンクリート』のカウンターが来たら…いくらなんでも危険すぎます!」

ポチ「分かってるッス…だから俺の狙いは…」スッ

ポチ「その飴の入った瓶!ただ一つッス!」ダッ

転「ポチくん!」

パイタ「真しょ〜めんから〜向〜かっ〜て〜く〜る〜な〜ん〜て〜ね〜」

パイタ「キャノン〜キャンディ〜!」プッ

ボンッ

転「危ない!」

ポチ「当た…」

ポチ「るかぁ!」

ギュンッ!!

パイタ「!?」

転(あのタイミングでさらに加速を…!)

ポチ「くらうッス!」シュッ

パイタ「…!」

バキィン!!
117 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:04:12.37 ID:cjDZCQSO
ポチ「よし!」

転「飴の入った瓶が壊れた!これで…」

パイタ「あ〜あ〜…ぼ〜く〜の〜コンクリート〜飴〜が〜…」

ポチ「これだけバラバラになったら、もう大した武器にならないはずッス!」

パイタ「こ〜の〜飴〜は〜さ〜す〜が〜に〜食〜べ〜れ〜な〜い〜や〜」

パイタ「………じゃ〜あ〜」ゴソゴソ

パイタ「二つ目の〜瓶〜だ〜ね〜」スッ

ポチ「……え」

転「…二つ目……?」

パイタ「き〜み〜は〜ぼ〜く〜の〜飴を〜台〜無しに〜し〜た〜か〜ら〜」パク

パイタ「そ〜の〜罰を〜受〜け〜る〜べ〜き〜だ〜よ〜ね〜」モゴモゴ

転「ヤバい!ポチくん…!逃げ…」

ポチ「……!」

パイタ「『バイ・セカンド』暴食王(デス・ショッキング)!キャノンキャンディ〜!」プッ

ポチ「しまっ…」

ボンッ

ポチ(…!?これは…)

ガシャアン!!
118 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:18:01.35 ID:cjDZCQSO
転「ポチくんっ…!」

ポチ「う……これは…」

パイタ「こ〜の〜瓶〜は〜何の〜飴〜が〜入って〜るか〜分〜か〜ら〜な〜かった〜け〜ど〜…」

パイタ「そ〜う〜か〜家〜具〜の〜飴〜か〜」

転「か、家具…?」

ポチ「やっぱり…これは…」

ポチ「事務用のデスク…!!」

パイタ「よ〜い〜しょ〜」ズシン

ポチ「…っ!」

パイタ「そ〜の〜体〜勢〜じゃ〜机の〜下〜か〜ら〜出〜れ〜な〜い〜よ〜ね〜」

ポチ「お…降りろ!」

パイタ「や〜だ〜ね〜…ぼ〜く〜が〜降〜り〜た〜ら〜き〜み〜が〜出〜て〜く〜る〜だ〜ろ〜」

ポチ「…も、申し訳ないッス、テンコさん…俺、このままじゃ動けないッス…」

転「……ポチくん」

パイタ「さ〜あ〜…〜後〜は〜き〜み〜だ〜ね〜…ぼ〜く〜は〜お〜ん〜な〜の〜こ〜を〜い〜じ〜め〜る〜の〜は〜き〜ら〜い〜な〜ん〜だ〜け〜ど〜ね〜」

転「………そうですか」スルッ

パイタ「んん〜〜?い〜ま〜手〜ぶ〜く〜ろ〜は〜ず〜し〜た〜の〜か〜い〜?」

転「……『バイ・セカンド』」スッ

転「危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)」

ギュオッ

パイタ「え〜……?」

ゴキッ
119 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:24:09.15 ID:cjDZCQSO
パイタ「う…げぇ〜…!コン…コンクリートが〜!」

転「……全部飴に変えておかないからですよ」

ポチ(……す、すごい…今のがテンコさんの『バイ・セカンド』…速すぎて見えなかった!)

転「あなたは飴玉を元の物質に戻してこちらにぶつける…」

転「だけど私は、瞬時にそれを打ち返すことができる…」

パイタ「うう〜い〜い〜気〜に〜な〜る〜な〜よ〜…!」パク

パイタ「キャノン〜…」モゴモゴ

転「…それ、隙だらけです」

ブワッ

パイタ「……あ」

バキバキビシッ!!

ポチ「今度は砕けたコンクリート片を巻き上げて…」

パイタ「ぐ〜わ〜あ〜…!!」

転「…痛がる仕草も遅いんですね」
120 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:40:14.67 ID:cjDZCQSO
パイタ「は〜…は〜…よ〜く〜も〜二回も〜やっ〜て〜く〜れ〜た〜な〜」スッ

転「……もうやめません?」

パイタ「……な〜ん〜だ〜と〜?」

転「あなたの『バイ・セカンド』は、確かに強力です」

転「……しかし、弱点が一つある。それは、『飴は吐き出さないと元の物質に戻らない』…つまりあなたは、攻撃の度に飴を口に含まなくてはならない」

転「ましてやニ、三秒もごもごしてれば、思いっきり一撃ぶつけてやれますよ」

パイタ「うう〜…」

転「今後またその能力を使っても、私は同じように、直前に攻撃する」

転「あなたに勝ち目はありません。そうでしょう」

パイタ「………い〜や〜」

転「…いや?」

パイタ「ま〜だ〜ぼ〜く〜に〜は〜とっ〜て〜お〜き〜が〜あ〜る〜よ〜」

転「そうですか…とっておきが…」

ゴスッ

転「使わせない」

パイタ「うぐっ〜…!」

ポチ(また…コンクリートを腹に……)

転「あなたに勝ち目はないと…そう言ってるんです」

パイタ「ま〜…ま〜だ〜だぁ〜…!」スッ

転「…飴は舐めさせませんって…」

バラバラバラ

転「!」

バシバシッ

転(くっ…飴を降らせて…って、ダジャレか?)
121 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:52:27.84 ID:cjDZCQSO
転「こんなことしても、何のダメージもなりませんよ…!(地味に痛いけど)」

パイタ「んん〜?な〜ん〜か〜言っ〜た〜?」モゴモゴ

転「…なっ!?」

転(瓶をひっくり返してたのに…なんでまだ飴がある…!?)

パイタ「レインボ〜キャンディ〜!!」プププププププ!!!

ボボボボッ

転(これは…でかいっ!)

転「く…」バッ

ゴシャゴシャ

パイタ「防ぎ〜きれや〜し〜な〜い〜さ〜!」

ゴシャゴシャゴシャッ!!

転「く…ああああっ!」

ゴシャゴシャ!!!

ポチ「テンコさんっ!!」

ゴシャアアアアアアン!!!!

ポチ「……そんな…」

パイタ「く〜ふ〜ふ〜ふ〜…ぼ〜く〜は〜非常食〜て〜し〜て〜特大コンクリートで〜で〜き〜た〜飴〜を〜七個〜用〜意〜し〜て〜あ〜る〜の〜さ〜」

パイタ「そ〜れ〜を〜一気〜に〜打〜ち〜出〜す〜の〜が〜…〜さいしゅ〜へいき『七色の飴(レインボ〜キャンデ〜)』さ〜!」

転「…そいつは…大層な最終兵器ですね…」

パイタ「……へ〜え〜…ホ〜ン〜ト〜に〜打〜た〜れ〜強〜い〜ね〜し〜ぶ〜と〜い〜ね〜」
122 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:59:48.69 ID:cjDZCQSO
ガラガラ

転「はー…はー…」

転(向こうも…ロクにこちらを見ずに使ったせいか、直撃したのは三つか四つ…決してダメージが少ないわけじゃないけど…)

転「これでもう…あなたに手は残ってないはずです…!」

パイタ「……な〜に〜を〜言っ〜て〜ん〜だ〜い〜…こ〜の〜ま〜ま〜な〜ら〜の〜りょく〜を〜使〜う〜ま〜で〜も〜な〜い〜さ〜」ドスン

転「なに…?」

パイタ「そ〜の〜左足〜今〜の〜で〜ケ〜ガ〜し〜た〜ん〜だ〜ろ〜…そ〜の〜足〜で〜ぼ〜く〜の〜こ〜撃〜に〜」

パイタ「耐〜え〜切〜れ〜る〜か〜な〜?」ブンッ

転「……!」

ゴスッ

転(く…)グラッ

パイタ「倒〜れ〜た〜ら〜つ〜ま〜ん〜な〜い〜よ〜!」シュ

ドカッ

転「う…!?」

パイタ「ま〜だ〜ま〜だ〜だ〜よ〜」ブンッ

ゲシッ

ドカッ

ボコッ

転(こ、こいつの攻撃…全身に来る…!)

パイタ「と〜ど〜め〜ぇ〜!!」グワッ

転「……う…」

ヒュバッ

転「…え」

ポチ「…『バイ・セカンド』銀の踊り(シルバー・ダンス)!!」ヒュッ

パイタ「……!?」

グシャッ!!
123 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 01:09:51.20 ID:cjDZCQSO
ポチ『テンコさん、もしも俺があいつの顔に蹴りを入れたら…あいつを倒せると思うッスか…?』

転『今の力で蹴るなら、飴のクッションなんて役に立たないでしょうね』


ポチ「いっ…」

ポチ「けぇえええええ!!」

グシャッ!!!

パイタ「………」

ドサッ…

転「…ぽ…ポチ…くん」

スタッ

ポチ「テンコさん!!大丈夫ッスか!?」

転「あ、あなた…さっきの机は…?」

ポチ「…テンコさんを殴ろうと、あいつは立ち上がった…。つまりパイタは、机から降りてたんッス」

転「それで、なんとか机から出れたんですね…?」

ポチ「はいッス…でも、もたもたしてたせいでテンコさんが…」

転「……だいぶ殴られ蹴られされましたけど…でも内面へのダメージはほとんどありません…大丈夫とは言えませんが…」ヨロッ

ポチ「テンコさん!」ガシッ

転「っ…すみません、久しぶりに『バイ・セカンド』を使ったせいで、少し疲れただけです…」

ポチ「そうッスか…。でも、これでパイタは倒したッスよ!やったッス!」

転「……ええ、ナイス蹴りでしたよ…」ニコッ

パイタ「……」ピクピク
124 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 01:19:24.76 ID:cjDZCQSO
…10分後

ワンスー「う…うう…」パチッ

ワンスー「はっ!」

転「やっと起きましたね…」

ワンスー「シャルお嬢様…?そうだ!パイタだ!奴が脱獄を…!」

ポチ「もうやっつけたッスよ」

ワンスー「え…」


ワンスー「いやはやまさか、本当にこいつを倒すとは!素晴らしいですお二方!」

転「それよりあなた…一撃でダウンなんてあり得ませんよ…」

ポチ「テンコさんなんて五発は食らってたのに…」

ワンスー「…私はルシファル様のような大きな力は持っていないのです!」

ポチ「それにしたって…」

転「ねぇ…」

ワンスー「……」

転「ところで、覚えてますか、約束」

ワンスー「約束…?」

ポチ「兄貴ッスよ!パイタを倒せばコヨーテを釈放する!そういう話だったじゃないッスか!」

ワンスー「あ、ああそうでした…」

ポチ「しっかりして欲しいッス、仮にも看守長なんッスから」

ワンスー「すいません…それでは、これから彼の下に案内しましょう…」

転(…探知能力の持ち主。荒らくれ者。ポチくんの兄……コヨーテ)

転(いったいどんな奴なんでしょう?)
125 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 01:23:57.65 ID:cjDZCQSO
今日はここまでにします
最後に久しぶりのキャラ紹介


パイタ
流刑地の囚人
おそらく、流刑地イチの巨漢(いわゆる[ピザ])
常に飴を食べていないと気が済まない
とにかく言葉を伸ばして、ゆっくり喋る癖がある

地獄兵器 スプーン
能力:食王(ショッキング)
スプーンで触れた物質を直径3cmほどの飴玉に変える(生物は飴玉にできない)
保存、携帯が可能

『バイ・セカンド』暴食王(デス・ショッキング)
口に含んだ飴玉を吐き出すことで、飴玉を元の物質に戻す(キャノン・キャンディー)
飴を噛み砕けば、物質はばらばらになって戻る
一度戻した物質を再び飴玉にすることは可能だが、飲み込んでしまったりした場合は再生しない
126 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 01:48:49.09 ID:apC/zf.o
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 21:22:20.17 ID:T1wEHoSO
ワンスー「奴は…コヨーテは、この流刑地の中でもかなり奥の方に収容されています」スタスタ

転「それはなぜ?」

ワンスー「単純に、危険だからです。『人を数人殺した』者がここでじっとしているなら、私はたいして注意を払いません」

ワンスー「ただ、『人を殺したことのない』者でも、ここで大暴れをするようなら、しっかりと監視をしなくてはならない…」

転「それで奥の方へ?」

ワンスー「監視はあまりしていませんが…あそこならいくら暴れても平気ですから」

転ポチ(あれ?パイタは?)


ワンスー「…このフロアです」

転「暗いですね」

ワンスー「ええ。各牢にはカーテンを引いて、さらに光が入らないようにしています」

転「へえ…」

ポチ「兄貴はどこにいるッスか?」

ワンスー「コヨーテは…3026番。左奥から四番目です」

ポチ「左奥から…四番目…」スタスタ

ポチ「3026番…ここッスね」

転「私も見たいです」タタ

ワンスー「カーテンを開けて構いませんよ。鍵は私が開けますから」

ポチ「……うりゃ!」グイッ

シャアーッ

ポチ「……」

コヨーテ「ZZZ…」

転「寝てますね」
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [ge]:2010/04/29(木) 21:25:06.84 ID:T1wEHoSO
ポチ「…兄貴!なにのんきに寝てるッスか!起きるッス!」

コヨーテ「……あ?誰…」グル

コヨーテ「だ……?」

ポチ「誰だ?じゃなくて!俺だよ!」

転(これがポチくんの素の口調か)

コヨーテ「ロッタ!」

転(ロッタ。案外可愛い名前ですね)

コヨーテ「お前なんでこんなところに!」

ポチ「兄貴をここから出しに来たんだよ!」

コヨーテ「はぁ?………!」

転「?」

コヨーテ「お前…いつかの王様のところのガキだろ?わざわざ俺に何の用だ…」

転「あ、ご存知でしたか」

コヨーテ「…!そうか、分かったぞ…ロッタを餌に俺を外に出して、そのままぶっ[ピーーー]つもりだな…!?」

転「違います」

コヨーテ「あんだと…?」

ポチ「俺たちは、兄貴の助けが欲しいんだよ!」

コヨーテ「助けぇ?意味分かんねーよ…だいたいお前、俺がここにいる間に何してたんだ?」

ポチ「……」

転「面倒ですけど、一から説明しますか…」
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 21:42:30.28 ID:T1wEHoSO
ポチ「……というワケなんだよ、分かったか?兄貴」

コヨーテ「なるほどな、だいたい分かった」

コヨーテ「だが、女!」

転「シャルです」

コヨーテ「お前が赤の青の王族に濡れ衣着せられてるなら、もうどうしようもないんじゃねえか?あいつらマジで厄介だぜ」

転「だからあなたの力を借りに来たんです」

コヨーテ「俺の関知能力を…か。別にあんなのおまけなんだけどなぁ」

転「おまけ…?」

コヨーテ「おいロッタ!俺はホントにここから出れんだろうな!」

ポチ「俺たちと一緒に行動するって条件付きだよ」

コヨーテ「………」

転「お願いです、コヨーテ」

コヨーテ「…コヨーテだぁ?おいおいおい、お前年はいくつだよ」

転「18ですが何か?」

コヨーテ「俺は20だ!年下が呼び捨てか!さすが王族はいいご身分だな!」

転「王族じゃありませんよ」

コヨーテ「なんだっていいんだよ!とにかくお前は、俺のことを…」

コヨーテ「コヨーテ『様』と呼べ!」

転「え〜」

ポチ「兄貴!テンコさんはそれはそれは強い人なんだぞ!なのにそんな…」

コヨーテ「おい、今何つった…?テンコさん?」
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 21:49:49.10 ID:T1wEHoSO
ポチ「…シャル様は嫌だからそう呼べって」

転「言いました」

コヨーテ「くっ…くくく…」

コヨーテ「ぎゃはははははは!テンコ!テンコさんだってよ!」

転「何が可笑しいんですか」ムッ

コヨーテ「だってテンコってよぉ…」

コヨーテ「チ〇コみてぇじゃねーか!ぎゃはははは…」

転「[ピーーー]ぞ!!!」

ポチ「っ!?」ビクッ

コヨーテ「……あ?」

転「次にこの名前を笑ったらその身体を粉々にして[ピーーー]…!」

コヨーテ「……なに?怒ってんのかよ?単純なやつだなぁ」

転「この名前は…『テンコ』は…大事な名前なんだ…」

コヨーテ「名前が大事?ワケの分からん奴だなオイ」

転「男さんが…いつもこの名前で呼んでくれたんだ…だから…だから…」

転「この名前を馬鹿にするなら!手足が吹き飛ぶ覚悟でいろ!」

コヨーテ「……」

転「ふーっ…ふーっ…」

コヨーテ「テンコ…だな」

転「!」

コヨーテ「俺のことはもう、呼び捨てでもさん付けでも、なんでもいい。様付けがベストだけどな」

ポチ「…兄貴…?」

コヨーテ「お前も、面白い奴を連れてきたな…」

コヨーテ「この流刑地内でもなかなか見ねぇよ。こいつの目…本気(マジ)の殺意が溢れてんぜ」

ポチ「さ、殺意…」
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 21:55:57.10 ID:T1wEHoSO
ワンスー「……どうです?お互いの合意は得られましたか?」

ポチ「ま、まぁ一応は…」スタスタ

転「……」スタスタ

ワンスー「…シャル様はどうされたので?」

ポチ「な、なんでもないッス!兄貴の手続きが終わるまで、俺たちは外で待ってるッスよ!」

ワンスー「はあ…分かりました」



スタスタスタ

ポチ「……」

転「……」

ポチ「て…テンコさん…」

転「……」

ポチ「テン…」

転「ちくしょうっ!!」ブン


ドゴン!!!


ポチ「……」

転「………ちくしょう」


スタスタスタ
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/04/29(木) 22:11:07.71 ID:T1wEHoSO
ガチャ

転「……」

ポチ「……テンコさん」

転「…はぁ。『殺す』なんて物騒な言葉、久しぶりに使いましたよ…」

ポチ「ご、ごめんなさいッス!兄貴が失礼なこと言って…」

転「もう怒ってません。ただもしもまた同じこと言われたら」

転「たぶんあなたじゃ止められないくらい暴れちゃうと思います」

ポチ「……」

転「コヨーテ…彼も思ってたより話が分かる人でしたし」

ポチ「なんだかんだで、自由に餓えてたんッスね」

転「……そういえば彼はどうしてここに入れられたんでしたっけ」

ポチ「一般人に危害を加えたそうッス。殴ったり蹴ったり…」

転「殴ったり蹴ったり……」


コヨーテ「誤解だっつーの」
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 22:29:46.97 ID:T1wEHoSO
転「……早かったですね」

コヨーテ「あのクソ看守長が、最後の手錠の鍵を忘れてきやがったんだ」

ポチ「誤解って…どういうことだよ、兄貴」

コヨーテ「俺が手を出したのは一般人なんかじゃねーよ」

コヨーテ「チンピラだ。盗みやら恐喝やらをやったとこを、ボコボコにしたんだよ」

ポチ「そんなことばっかやってて捕まったのか…」

コヨーテ「弟ならそのくらい知っとけバーカ」

ポチ「兄貴のほうがよっぽどバカだ!」

コヨーテ「…でもよ、酷いんだせ。チンピラの奴らが善人ぶってよ、さも全て俺が悪い、みたいな言い方すんだよ」

コヨーテ「それを疑いもせず信じこんで、王族の奴らは俺をここにぶち込みやがった。挙げ句『危険因子』呼ばわりだぜ?ふざけんなっての!」

ポチ「…俺、兄貴の釈放を直接訴えるために黄の城に仕えてたんだけど…なんか信じられなくなりそうだ」

コヨーテ「だからよぉテンコ!俺ぁたぶんお前以上に濡れ衣着させられることの厄介さを知ってる!あいつらは一度悪だと決めたものは、話も聞かずに一方的に潰そうとするからな!」

転「…直にそうなるでしょうね」

コヨーテ「そして…お前がそれに犯行するってんなら」

コヨーテ「どんなに見苦しくても、なんとかしてやらんこともねぇ。俺は強いからな」

転「頼りにしてます」

コヨーテ「任せな!その代わりお前の無実が証明されたら、俺を完全に自由にしろよ!」

転「…約束しましょう」

ポチ「……」

ポチ(あの兄貴が……やっぱりテンコさんは、普通の人とは何かが違うんだ…)
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 22:40:50.66 ID:T1wEHoSO
ワンスー「コヨーテ!手錠の鍵を持ってきたぞ」

コヨーテ「なら早く外せよ、俺は腕が使えねぇと能力が使えねぇんだ」

ワンスー「まったく…」カチカチ…カチャッ

ワンスー「よし、外れた。これでお前は、一旦は自由だ」

コヨーテ「もう二度とてめーのとこには帰ってこねぇよ!」

ワンスー「ふん……そうだ、シャル様!」

転「?」

ワンスー「先ほど事務室に戻ったとき、ニュースで…」

ワンスー「パーティー中に魔王狙撃、元魔王ルシファルの娘たちと、反乱軍による犯行とされ、現在捜索中…と…」

転「……反乱軍?」

ワンスー「ええ。あなたが無罪なら、おそらくは反乱軍の犯行もでっち上げなのではないかと…」

転「いえ…反乱軍って…」

転「…何のことです?」
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/29(木) 23:13:15.57 ID:T1wEHoSO
ワンスー「……ご存知でないのですか」

転「初めて聞きました」

ワンスー「…反乱軍とは、ここ半年で、何度か王族を襲撃している集団です」

転「やっぱり知らないなぁ…。私、最近のニュースには疎いんですよ」

ワンスー「どうやらまだ規模も小さく、大きな事件は引き起こしていないようなので、多忙のあなたが知らないのも無理はないかもしれませんね」

転「多忙ってわけじゃありませんよ…。しかし王族にケンカを売るだなんて…いったいどんなメンツなんでしょうねぇ」

ワンスー「これまでに単身で王族に歯向かった者の話は聞いたことありませんし…そもそも王族に手を出したなんて、いつかのテロリスト集団依頼のニュースですし…正体は未だに掴めていませんね」

コヨーテ「そういや昔はテロリストなんてのもいたな…結構規模のでかい集団だったんだろ?」

ポチ「兄貴、知ってるのか?」

コヨーテ「いや、当時の俺はまだガキだったから、詳しくは知らねぇな」

転「……テロリスト集団」

ワンスー「とにかく、この先は気を付けたほうがいいです。私はシャル様を信じていますので、もし王族がここを嗅ぎつけてもあなたの無実を主張しますよ」

ポチ「当たり前ッス!」

転「いえ…無実を主張するんじゃむしろ怪しまれる…『なぜ流刑地のあんたがそんなことを言うんだ?』ってね」

ワンスー「確かに…そうですな。流刑地は社会的に見れば悪いイメージが強いですし…」

転「…まぁ追っ手にやられたりはしませんよ。頼もしい仲間がいますしね」

コヨーテ「来る奴全部から逃げられるかは分からんけどな」
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 23:15:42.98 ID:T1wEHoSO
今日はここまでにしま

ちなみに『昔』ってのは、だいたい15〜20年前です
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 23:32:06.34 ID:U65WJisP
乙です。
先が気になって楽しみ
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 00:12:15.62 ID:/KuUFWoo

チンコ怖えwwwwww
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 21:21:14.74 ID:jSUKgXk0
>>1のダメなところはすぐにsagaを忘れちゃうことだな
いいとこで「ピー」が入ると萎える


ところで第一章をまとめて読み返してて思ったんだが、シャルとメイって「shall」と「may」的なあれですか?
「〜するだろう」と「〜するかもしれない」?
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 21:52:43.79 ID:5ZoqkESO
ポチ「さ、行くッスよ!」

コヨーテ「どこ行くんだったっけ?」

ポチ「赤の城!!」

コヨーテ「ああ、そうだったそうだった…」

転「しっかりしてくださいよ」

ポチ「ホントッスよ」

コヨーテ「しかしお前ら…ここから赤の城まで、最低でも二時間はかかるぜ」

転「分かってますよ。だからあなたの能力を使って、少しでも敵と出会わないようにしなくちゃならないんです」

コヨーテ「……俺ってメチャ重要じゃねぇ?」

ポチ「だからここから出したんッスよ……ってああ、兄貴には敬語使わなくていいんだった」

コヨーテ「いいや!お前はもっと兄である俺を敬え!あと、それ返せよ」

ポチ「それ?」

コヨーテ「地獄兵器(リストバンド)だよ。元々俺のだろ。お前のミサンガも返してやっからよ」

ポチ「このままでいいよ」

コヨーテ「ダメだ!俺はそのリストバンドがお気に入りなんだ!」

ポチ「じゃあここに入る前になんで俺のと取り替えたんだよ?」

コヨーテ「バカ野郎、もしもなくしたりしたら大変だから、お前に預けたんだ!」

ポチ「預けた?」

コヨーテ「そうだ。だから返せ!」

ポチ「今さら取り替えらんないって、俺もこれ気に入ってるんだよ」

コヨーテ「なんだとっ」

ポチ「兄貴は一生そのミサンガ着けてればいいじゃないか!」

コヨーテ「てめぇ!」

転「下らない兄弟ゲンカなら後にしてもらいませんかね…」
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 21:58:38.60 ID:5ZoqkESO
転「じゃ!ちょっと無実を証明して来ます!」

ワンスー「お気を付けて!」

ポチ「殴らなくてもいいのに…!」

コヨーテ「敬語だ、敬語!」

ポチ「兄貴はやっぱ変わらないッス、悪い意味で」

コヨーテ「バカにしやがって!」

転「…何をいつまでも喚いてるんだって…行きますよ!」

ポチ「は、はいッス!」

コヨーテ「ちっくしょー…そもそもこんな奴に着いてって平気なのかよ…」

ポチ「テンコさんは強いんッスよ!」

コヨーテ「…あー、はいはい、分かったよぽ…ポチ君(笑)」

ポチ「くっ…」

転「……はぁ」スタスタ

転(しかしこんな…流刑地の囚人まで連れ出して…ホント、大罪一歩手前だ)

転「勝てば官軍、負ければ賊軍ってワケですか…。やるしかありませんね」
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 22:12:00.37 ID:5ZoqkESO
テンコ・ポチ・コヨーテの向かう先は「青の城」なのだが

これが結構離れている

まず、赤、青、黄、この三つの城は地獄の中心を「三角形」に取り囲んでおり


     赤
  


  青      黄

だいたいこんな感じになっている

さらに先ほどまでいた「流刑地」は黄の城のさらに後ろにあり

   赤


青      黄  流刑地

…こんな感じになっている

黄の城から流刑地までは、特に苦労もなく(それでもオオカミご一行には鉢合わせたが)、たどり着けたが

流刑地から赤の城となると、距離はさらに遠くなるし

追っ手も当然現れる

それらを考えて、結局目的地に着くまでにどのくらいかかるのかと言うと

およそ2時間半〜3時間半…

テンコたちはこの長い時間、ノンストップで動き続けなければならないのである


転「めちゃくちゃキツい…」ゼイゼイ

コヨーテ「もう息切れしてるのかよ」ダダダ

転「だってもう…一時間は走りっぱなしじゃないですか…」ヨロヨロ

ポチ「まだ三十分と少しッスよ」ダダダ

転「そ、そんなぁ…」
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 22:24:10.02 ID:5ZoqkESO
ポチ「…でも今のところ、追っ手は動いてないようッスね」

転「あと少しすれば動き出しますよ多分…でもそれまでは、休憩してもいいですよね?」

ポチ「まぁ、ちょっとだけなら…」

転「ふー」ドサッ

ポチ「……そうか。雪が積もってるから、普段と違って動きにくいッスよ」

転「はぁ…なるほど…ふわぁ」

コヨーテ「おいおい…いきなりだらけすぎじゃねぇのか?」

転「だって…眠い…」

ポチ「俺も…ちょっと…眠いッス」ヨロヨロ

ポチ「う…」ガクン

コヨーテ「はぁ!?お前ら何言って…」

コヨーテ「……っ?」フラッ

コヨーテ(なんだ…?頭がぼーっとする…)

転「すぴー…すかー…」

ポチ「ぐー…ぐー…」 


?「おやおや…まだ起きていられるやつがいたか…」

コヨーテ「…敵……!」

?「ふふふ…そうか君は…途中で合流した仲間か…」
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 22:31:21.44 ID:5ZoqkESO
コヨーテ「…なんだてめぇは」

?「私は赤の城の兵士さ。君たちを捕まえるためにやってきたんだ」

コヨーテ「一人か?」

?「私が能力を使うと、味方も眠ってしまうのだ…だから少し離れたところで待機させている」

コヨーテ「……どのくらいだ?」

?「……なに?」

コヨーテ「そいつらはどのくらい先にいるんだ?」

?「君たちが逃げ出しても、すぐに追い付ける距離…とでも言っておこうか」

コヨーテ「へぇ…そいつは…」

ダッ

コヨーテ「好都合だ…!」ブンッ

?「ぐっ!?」バキッ

コヨーテ「雑魚が!一人で俺に勝てると思ってんのか!」

?「貴様…!そもそもなぜ私の能力が通用しない…!?」

?「私の『周囲(500m以内)にいるあらゆる生物を5分間眠りにつかせる』能力が…!」

コヨーテ「……ああ、多分…」

コヨーテ「さっきまで流刑地で寝てたからだな」

?「そんな…無茶苦茶な…!!」

コヨーテ「行くぜぇぇ!歯ァ食い縛れや!超久しぶりの『バイ・セカンド』!」

コヨーテ「金の踊り(ゴールド・ダンス)!!」ブンッ

?「ひ…」


ドグシァ!!!

?「……」ドサ

コヨーテ「ぎゃははははははぁ!!!雑魚雑魚雑魚ぉ!!」
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 22:39:07.26 ID:5ZoqkESO
ポチ「…う…うう…」パチ

ポチ「はっ!!」ガバッ

ポチ(これはまさか……)

ポチ「テンコさん!起きるッス!」ユサユサ

転「うへへ…夢のEカップだぁ……」

ポチ「アホな夢見てないで起きるッスよ!!」

転「切実な夢だー!」ガバッ

転「……ん?私はこんなところで何を…」

ポチ「あれを見るッス!」

転「はい?」クルッ

転「げっ、敵ですか?」

?「……」ピクピク

ポチ「どうやら俺たちが寝てる間に兄貴が倒したみたいッス…」

転「じゃあ私たちが寝てたのはこいつのせいなんですね?」

ポチ「たぶんそうッスね…でも…」

ポチ「肝心の兄貴がいないッスよ!」

転「ええっ!?」
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 23:07:42.32 ID:5ZoqkESO
数分前

?「……」

コヨーテ「さて…こいつの仲間たちってのはどこにいるんだぁ…?」

コヨーテ「こいつの能力の範囲が500mだったか?ってことは…」

コヨーテ「……仲間ってのは離れててもせいぜい…600m以内か?」

コヨーテ「まぁいいか…とにかく…」

コヨーテ「邪魔はさせねぇ…!危険地帯(デンジャーゾーン)!」バンッ



ポチ「兄貴のレーダー能力は、通常の能力のおまけに過ぎないッス!」ダダダ

転「…おまけ?」

ポチ「兄貴の能力「危険地帯(デンジャーゾーン)」は、一定の範囲内に地雷を埋めるんッス」

転「地雷…」

ポチ「地雷は、踏むと小規模な爆発を起こし、同時に有刺鉄線が出現するッス。直に爆発を受ければ気を失うくらいはするはずッス」

転「危ない能力ですね…」

ポチ「だから『危険』地帯ッスよ。さらに地雷のセットとは別に、兄貴は地に手を着けることで、半径700mくらいの中にいる人間の存在を感知できるッス!」

転「半径700mって…広っ!」

ポチ「ただ、細かい動きや人数、そもそもどんな相手なのか…そういったものは全く分からないらしいッス」

転「なるほど…」

ポチ「……っと!!」ザザァ

転「ポチくん?」

ポチ「見るッス」ピッ

転「……あ」

?1「うぅ…」

?2「痛ぇ…」

?3「ぐ……」
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 23:23:20.14 ID:5ZoqkESO
転「これは…」

ポチ「やっぱり兄貴の能力ッスね」

兵士1「お…お前たちに…まだ味方がいたとはな…」

兵士2「……くそっ…よくも…こんな…」

ポチ「あ…兄貴はどこにいったッスか!」

兵士3「兄貴だぁ…?俺たちを攻撃して…向こうに行きやがった…」

転「……危険な能力、か…なるほどね…」ダッ

ポチ「テンコさんっ!?」

転「早く彼を見つけないと、まずいことになりますよ…!」

ポチ「…みたいッス」ダッ


兵士1「……く」ゴソッ

兵士1「こ…こちら…第一部隊…犯人とその一味を…発見しました…」

兵士1「応援を要請します…我々では…奴らを止められません…」

兵士1「……な…なに…!?」

兵士2「ど…どうした…?」

兵士1「分かり…ました……とにかく…我々は…撤退します……」ブツッ

兵士2「……」

兵士1「し…信じられんことだが…隊長たちが直々に…動き出したそうだ…」

兵士2「センリ隊長が!?そんなバカな!」

兵士1「いや…隊長が追うのはもう片方だ…犯人の妹…」

兵士2「や、奴らはどうなる!?このまま逃がすのか!」

兵士1「……赤と青の…どちらの命令か分からんが…」

兵士1「犯人たちを捕まえるために…『上級悪魔』も動き出した…」

兵士2「ね…上級悪魔…!?」
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 23:34:18.65 ID:5ZoqkESO
転「……」タタタ

ポチ「……テンコさん、油断しないでください、この辺りにも地雷が埋まってるかも知れないッス!」

転「分かってます…地を蹴る足にはさほど力を入れてないつもりです…」

ポチ「そうッスか…」


ボンッ

転「!」

ポチ「地雷を踏んだ音だ…近い!」

転「…ちょっと待った」ピタッ

ポチ「こ、今度は何ッスか」

転「ちょうどいいサイズの石が落ちてますね」ヒョイ

ポチ「……?」

転「危険な操作法!」ビュンッ

ポチ「…テンコさん…なにを?」

転「……」

ズドォン

転「今のは木を倒した音です。そしてこれが威嚇となって…」

誰だ!

ポチ「兄貴の声!」

転「ひたすら走って探すのめんどくさいしね」ダッ
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 23:52:20.30 ID:5ZoqkESO
コヨーテ「ふー…ふー…」

兵士4「も、もう…やめ…」

コヨーテ「うるせぇ!てめえで最後だ!」ブンッ

兵士4「ひぃっ!!」

転「はい、そこまで」スッ

コヨーテ「!!」

バチンッ!!

転「……いてて。見えない力じゃ完璧には防げませんか」シュウウ

コヨーテ「て、てめえ…」

ポチ「兄貴!やっと見つけたッス!」

コヨーテ「ポチ…!」

転「…さぁて、コヨーテ」

コヨーテ「あ…?」

転「あなた色々と…」スッ

ポチ「え」

転「やりすぎでしょうがこのバカチンがぁ!!」

パンッ


コヨーテ「い…今まで一番効いた平手打ちだぜ…」

転「目が覚めないようならもう二三発やりましょうか」

コヨーテ「もういいっ!」
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:08:32.42 ID:Jja5mwSO
ポチ「兄貴、俺からは何も言わない。テンコさんにおまかせするッス」

転「……では」スウッ

転「テンコちゃんとのお約束、その壱っ!」

コヨーテ「……」

転「その壱っ!はい復唱っ!」

コヨーテ「そ、その壱…」

転「むやみやたらに人を傷つけない!」

コヨーテ「む、むやみやたらに…」

転「声が小さい小さいぃ!」

コヨーテ「むやみやたらに人を傷つけない…!」

転「よろしい」

コヨーテ「……」

転「いいですか、私たちは誰とも戦わずに赤の城にたどり着くつもりです」

転「しかしいくらあなたの能力に頼っても、それは難しいでしょう」

転「そしてそういった時、もしも追っ手に攻撃されても…」

転「絶対に必要以上のダメージを与えてはならない!!」

コヨーテ「……そんな温いこと言って、生き残れるのかよ!?」

転「生き残れるかどうかなんて、今さら考えることじゃないでしょう」
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:12:00.88 ID:Jja5mwSO
転「私は真相を知りたい。なぜ私が陥れられたのか…?…それを知るまでは死ぬにも死にきれない」

コヨーテ「……」

転「これは私の問題です。だから他の誰かを必要以上に傷つけてはならない、ましてや死なせてはならない」

転「あなたたちが私に手を貸してくれるなら、それを忘れないで欲しいんですよ」

ポチ「……俺はテンコさんを守るために戦うッス。だけどそのためなら…」

転「別に…傷つけるな、とは言えない。私だって既に強行手段に出てるワケですし」

転「ただ、コヨーテ!あなたはやりすぎなんですよ!何事にも限度ってものがある!」

コヨーテ「……」

転「それをよーく考えて戦ってください、いいですか?」

コヨーテ「…ちっ」

転「返事は、『はい』です」

コヨーテ「……」

コヨーテ「はい…」

転「分かってくければいいんですよ」ニコッ
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:17:27.84 ID:Jja5mwSO
今日はここまでにします
眠いと何書いてるか分からんくなるのね
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:28:49.97 ID:3UJjjncP
乙でした
>>142の表し方で把握できたよ
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:49:56.57 ID:Jja5mwSO
>>153
いきなり「赤の城」じゃなくて「青の城」って書いてたorz

テンコたちの目的地は赤の城
クロたちの目的地は青の城

です
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:10:35.05 ID:MXNUR2SO
…テンコの説教とほぼ同時刻

クロ「……」スタスタ

エレカ「……」スタスタ

クロ「エレカ…」

エレカ「…どうしたんだい?」

クロ「……姉さまたちと別れてもうすぐ一時間が経つわ」

エレカ「そうだね」

クロ「私たちはまだ一度も敵の姿を見ていない…これは一体どういうことなの?」

エレカ「……自分でこんなこと言いたくないけど、私の立場が立場なだけに、手を出すことができないんじゃないかな」

クロ「……立場」

エレカ「私を攻撃する…そんな命令を下せるのは、赤と青の魔王…そしてその二人の娘だけだよ」

クロ「クレアとシェアリね」

エレカ「……君も二人とは面識があるんだね」

クロ「ええ。あなたたち王族の三人娘には、姉さまがお世話になってるから」

エレカ「ふふっ。王族の三人娘、か」

エレカ「……そうだね」

クロ「…私たちが向かうのは青の城だから、戦う相手はシェアリになるわね」

エレカ「そしてシャルたちは、赤の城でクレアと戦わなくてはならない」

クロ「……強いの?二人…」

エレカ「二人が戦っているのは…見たことがない?」

クロ「ええ…」

エレカ「……クレアは火を操り、シェアリは水を操る。二人とも能力の規模でいえば、私を遥かに上回っているよ」

クロ「でもあなたの雷の力だって、十分強いはずよ」

エレカ「本気を出せば、ね」

クロ「…どういうこと?」
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:21:24.13 ID:MXNUR2SO
エレカ「……制御が効かないんだ。私の能力は」

エレカ「あまり乱用すると、すぐにショートしてしまう」

クロ「……」

エレカ「それにほら、雷って言うのは、あんまりいいものじゃないだろう?」

クロ「そう?」

エレカ「私にとっては雷なんて」

エレカ「一方的な破壊しかもたらさない凶悪な力さ」

クロ「……」

エレカ「…そういえば君は、私がどうしてこの力を手に入れたか、知ってるかい?」

クロ「…あなたたち王族の能力って、遺伝するものだと聞いたわ」

エレカ「そう。遺伝なんだ。私の父も、祖父も、さらにその父も、さらにその祖父も、この雷の力を持っていた」

エレカ「ではこの能力はどこから来たのか?不思議に思わないかい?」

クロ「何を言ってるの?」

エレカ「クレアの火の能力。シェアリの水の能力。そして私の雷の能力」

エレカ「これらは自然の力を操っているに等しい。他の能力とは違うんだ」

クロ「でも、妹(イン)は天気を操ることができるわ」

エレカ「それは温度や湿度を操っているだけだよ。私たちの能力は…」

エレカ「もっと…根源から違うんだ…自然を操るというか…」

エレカ「自然が…そこから生まれた…」

クロ「……意味が分からないわ」

エレカ「とにかく私たち王族の能力は特別なんだよ」

クロ「…ふぅん」
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:32:08.54 ID:MXNUR2SO
赤の城

側近「報告します。只今『上級悪魔』との連絡が取れました」

?「……上級悪魔の誰だよ?」

側近「…『千骨』です」

?「ああ、あの爺さんか…」

側近「あの方は我々へ協力する姿勢を見せていますが…いかがなさいますか?」

?「……まぁ…さすがにアタシも…大勢は相手にしたくないんだよ…山火事になったら困るからな…。分かるだろ?ノエル」

側近「ええ、まぁ…」

?「だからさ…少しでも敵の数減らせるなら…手を貸してもらうしかないよな」

側近「…分かりました。そのように伝えましょう」スッ

?「……もっとも…最後には」

?「このクレアが直々に…徹底的に燃やし尽くしてやるけどな…!」
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:46:16.88 ID:MXNUR2SO
青の城

側近「……では、王族護衛隊のトップ二人を同時に動かす…のですね?」

?「……ええ…もちろん通常の部隊も動かしますわ…」

?「ただ、あの二人がいれば誰が相手であろうと関係ありませんわ」

側近「…ですが、もしも突破された場合、城を守る兵がいなければ…」

?「ワタクシを誰だと思っていますの…?」スッ

パチン!!

ザザザァ

側近「!」

?「……ワタクシ今…とっても気分が悪いのですわ…何故だか分かる?」

側近「わ、分かりません…」

?「…ここに…グラスがありますわ」

側近「そ、それがなにか…?」

?「この中に…綺麗な小石を落としていましたの…水が溢れないように、ギリギリまで…」

側近「は、はぁ」

?「せっかくいい感じに水面の揺れが収まっていましたのに…」

?「あなたがこの部屋に入ったせいで……!」ザワザワ

側近「!!」ゾクッ

側近「も、申し訳ございません!」

?「……まぁ、どうでもいいことですわ」

側近「……」

?「ところで…ワタクシには現在、王族護衛隊の動きを指揮する権限があるんでしょう?」

側近「はい…」

?「好きな方を潰せ…と、そう伝えてくださる?」

側近「え…?」
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:52:00.98 ID:MXNUR2SO
?「面倒ですの…二手に別れた犯人のどちらを狙うかなんて…ワタクシにはどちらも同じですのに…」

側近「し、しかしシェアリ様…」

?「伝えて…くださらないの?」

ザザザザァ…

側近「っ…」

?「……早く、お行きなさい」

側近「し…失礼しま…した…」

バタン

?「……まったく…もしもワタクシが直接戦うことになったら…承知しませんわあの側近…」



クロ「……」スタスタ

エレカ「…クロ」スタスタ

クロ「?」

エレカ「………もしも今…私たちが敵に襲われたら…」

エレカ「君は生き残れるかい?」

クロ「どうしてそんなことを聞くの?」

エレカ「私は誰かとペアを組んで戦うのは苦手なんだ」

クロ「……生き残るわ。最悪飛び回っていればいいんだもの」

エレカ「そうか…。じゃあ、こっちは大丈夫だね」

クロ「こっち?」

エレカ「…彼の手を借りたいんだ」

クロ「彼?」

エレカ「そして、シャルたちの所に送り込もう。私たちが大丈夫でも、彼女たちが大丈夫かどうかは分からないけどね」

クロ「??」
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 23:02:28.41 ID:MXNUR2SO
エレカ「私は君の力を信じて、あえて応援を呼ばない」

クロ「応援って…誰?誰を呼ぶつもりなの?」

エレカ「だから、私たちのところには呼ばないんだ。シャルたちの元に向かってもらおう」

クロ「誰かって聞いてるのよ!」

エレカ「……目には目を、歯には歯を」

クロ「なに…?私をバカにしてるの?」

エレカ「バカにはしてないよ。いいかい、クロ」

エレカ「きっと、あと一時間もしないうちに、強力な敵が来る。追っ手だ」

クロ「え…」

エレカ「私たちは戦わなくちゃいけなくなる」

クロ「……本当に?」

エレカ「そろそろ動き出してもおかしくないころだからね」

クロ「姉さまたちの所にも…?」

エレカ「当然来るはずだよ。シャルこそが真の狙い…」

エレカ「多くの部隊が動くはずだ」

クロ「大丈夫なのかしら?」

エレカ「不安だろう?」

クロ「……だからこっちで勝手に応援を呼ぼうってわけね?」

エレカ「うまく行くかは分からないけど、やるだけやってみよう」
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 23:29:15.66 ID:MXNUR2SO
テンコの説教から約三十分後


・テンコたちのルート

流刑地→→→→→赤の城
     ↑
   今この辺り

転「……」ゼイゼイ

ポチ「テンコさん…」

転「へ、平気です、全然全然…」ゼイゼイ

コヨーテ「体力ねーなぁ」

転「私…スタミナはあんまりないんですよね…短時間の活動なら常に全力!って感じですけど…」

転「こーやってひたすら雪山をざくざくざくざく…」

転「ざくざく…ざく…ざ…く」

ポチ「気持ちが折れてるッスね」

コヨーテ「確かにひたすら同じような風景…精神的に参っちまうな…」

ポチ「気を強く持つッスよ!」

転「き、気を…強くぅ…」フラフラ

コヨーテ(俺に偉そうに説教垂れてた時とは打って変わってヘタレたな)

転「うぅ…」

転「……!」ピクッ

ポチ「テンコさん?」
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 23:35:41.82 ID:MXNUR2SO
転「……コヨーテ」

コヨーテ「あ?」

転「危険地帯(ワイルドエリア)を…」

コヨーテ「……」スッ

コヨーテ「危険地帯・捜索中…」ヒタッ

転「敵はいますか…?」

コヨーテ「ああ……いる」

コヨーテ「ここに来てうじゃうじゃと…30人近くいるな…チームになって移動してんのか…」

ポチ「!」

転「どうやら本格的に私たちを叩きに来たようですね…」

コヨーテ「…たぶんこの数じゃ逃げ切れないぜ。必ずどっかのチームと衝突することになる」

転「…きっと部隊はまだまだいるはずです。少し時間をおいたらまた次が来る…。何度かそれを繰り返して、私たちを完全に潰すつもりでしょうね」

ポチ「そうなると…連戦になるッスか…?」

転「……連戦、か」

転「分かりました…この部隊から逃げ切れないなら、最低限の数を倒して『逃走ルート』を確保しましょう」

コヨーテ「逃走ルートぉ?」

転「全30人で部隊が6つなら、一部隊は5人。まずはこの部隊を倒して、逃げ道を作る。次の部隊に鉢合わせたら、また最低限だけ倒して、逃げ道を作る…それを繰り返せば、多少の疲労で済むはずです」

コヨーテ「…まともに全部隊潰しに行っても、たぶん無理だろうしな」

ポチ「でも、一部隊倒しただけで残り全部から逃げられるッスか?」

転「それは私たち次第ですね。でもポチくんだって、あまり多くの敵とは戦いたくないでしょう?」

ポチ「…そうッスね、お互いにダメージが少ないほうが絶対にいいッスよ」

転「そう、互いにね…。私たちはなるべく向こうを傷つけないようにしつつ、確実に突破して行きましょう。いいですね?」

ポチ「もちろんッスよ!」

コヨーテ「一番壁が薄そうなとこ狙うか…。手間がかからないからな…!」
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 23:43:56.64 ID:MXNUR2SO
今日はここまでにします

ちなみに王族護衛隊ってのはその名の通り「王族を護衛する部隊」で、青の城が統括しています

基本的に
黄の城…政治
青の城…軍事
赤の城…民事(?)をそれぞれ扱っています
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 01:05:48.07 ID:gWE5pUDO
乙です。
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 21:08:12.17 ID:QaTJBYSO
コヨーテ「まず…一番近いところに一部隊だ」

転「具体的にはどのくらいの距離があります?」

コヨーテ「400m弱だな。たぶんこの早さだとすぐに見つかる」

転「……一番脆そうな場所は?」

コヨーテ「約700m先に…探索範囲ギリギリのところに一部隊だ。周りに他の部隊がいない。きっと一番近い部隊でも3分はかかる」

転「そいつらをさっさと倒してすーっと逃げ去る…これならなんとかなりそうですね」

ポチ「じゃあ、早く行くッスよ!」

コヨーテ「……いや、待て…」

コヨーテ「…二部隊か…犬か何かを連れてるぜ」

転「えーっ…また動物ですかぁ…」

コヨーテ「また?」

転「さっきポチくんと一緒に、オオカミを追い払ったんですよ」

コヨーテ「ああ、じゃあこの犬っぽいのはオオカミだな」

ポチ「…キツいッスね」

転「オオカミに見つかるのは嫌だなぁ…あいつら噛むし…」

コヨーテ「ならやっぱり、気付かれねぇ内にダッシュだ。最も手薄な部隊との距離は600m強。一気に詰めるぜ」

転「はぁーやれやれ…」

転「行きましょうか」ダッ
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 21:28:54.80 ID:QaTJBYSO
転「……」ダダダ

ポチ「……」ダダダ

コヨーテ「あと…500mってとこか」ダダダ

転「……人数は分かりますか?」

コヨーテ「4人…だな…。オオカミは付いてない」

転「ええと、4÷3は…」

転「1あまり1。…まぁいいや、私が二人倒します」

コヨーテ「できるだけ傷つけたくないとか言っておきながら、ずいぶんやる気なんだな」

転「(あなたたちのせいで)出番が少なくなってんですよ…!」

ポチ「出番?」

転「何でもないですっ」タタタ
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 21:43:15.76 ID:QaTJBYSO
少し離れたところ

兵士1「なぁおい、本当に犯人がこの雪山にいんのかよ?」

兵士2「知らねえよ、シェアリ様が直々にこの辺りを探せっつーんだから、きっといるんだろ」

兵士3「しっかしシェアリ様もすっげぇよな、俺たちを一度に全員動かそうだなんて…一体その犯人ってのは何をしたんだよ?」

兵士1「お前知らないでここまで来てたのかよ!」

兵士3「し、仕方ねぇだろ!寝てたらいきなり呼び出しがかかってよ…しかもシェアリ様からだぜ?断れねぇよ!」

兵士2「まぁ確かに…アレス様(青の城の王。シェアリの父)の命令以外で俺たちが動くのは初めてだよな」

兵士1「世代交代か?あの人ももう結構な年だろ」

兵士2「けどシェアリ様だって確かまだ16だろ?兵を動かす指導者って呼ぶにはまだ若すぎる…」

兵士3「つーかよ、結局何したんだよその犯人!!」

兵士4「……静かにしろ!」

兵士1「!」

兵士2「た、隊長」

兵士4「……来るぞ」


転「ごきげんようBlau Schloss Soldiers(青の城の兵士たち)!」バッ

兵士1「!?」

兵士2「上!?」

兵士3「こいつが…!」
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 21:56:29.39 ID:QaTJBYSO
兵士4「銃を構えろ!」ジャキンッ


転「えっ、銃…?」

兵士4「撃てッ!」ガチャ

転「り…危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!」シシシュッ

カキンッ

兵士1「な、なんだ!?銃口に何か…」

兵士2「小石…!?」

兵士3「弾が出ない…!

兵士4「やむを得ん…銃を捨てろ!」ポイッ

転「…!」スタッ

兵士4「ふっ!」ブンッ

転「アーミーナイ…」

転「…危ねっ!」ヒョイッ
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 22:05:28.32 ID:QaTJBYSO
兵士4「お前たちもだ!4人で狙えば…」ブンッブンッ

転「……」ヒョイヒョイ

兵士4「……おい、何して」クルッ

コヨーテ「…いっちょあがりだ」

兵士1「が…」ドサッ

兵士2「う……」

兵士3「げふっ…」

兵士4「な…いつの間に3人を…!」

ポチ「そのナイフは危ないッスね……うりゃ!」ブンッ

カキンッ

兵士4「しまった!ナイフを…」

転「とどめに…」ググッ

転「石入り雪玉(リスキー・コールド・ストーン)!!」ドシュッ

兵士4「ぐわぁっ!」ドサッ

転「……よしっ」

ポチ「今のは何ッスか?」

転「とっさに考えた技です、たぶんもう二度と使いませんね」

兵士4「……く、よくも…」

転「無駄ですよ、私には勝てません」

コヨーテ「私『たち』だろうが!俺がいなかったら串刺しだぜ!そもそも俺の『腕力強化の能力』でてめーをぶん投げるって発想は…」

転「はいはい…。えーと、私たちはこれ以上あなたたちに危害を加えるつもりはありません…ただ次の部隊の規模や、いつ来るのかだけ話していただければ…」

兵士4「ふん…そんなものを素直に話すわけないだろう…」

転「…ですよねぇ。あなた見た目からして口固そうですし。…言動から察するに隊長さんですよね」

兵士4「だったらなんだ?」

転「その…あなたを置いて3人の兵士は逃げ出したってことにしてもいいですか?」

兵士4「……なんだと?」
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 22:25:51.32 ID:QaTJBYSO
転「ポチくん!紐、あります?」

ポチ「包帯ならたくさん持ってるッス!」

転「ならそれで彼らをぐるぐる巻きにして、しばらく動けないようにしちゃいましょう」

ポチ「別にいいッスけど…何をする気ッスか?」

転「いやぁ…彼ら、カッコいい制服着てますよね…。軍服って言うのかな?」

兵士4「……まさか」



兵士4「くそっ、離せ!紐を解け!」

転「どうですか?似合ってますか?」

コヨーテ「おいおい、ムチャクチャだぜ!制服奪って兵士に成り済まそうってのか!?」

転「うっは!暖かいなぁこれ!やっぱあの薄いドレスよりよっぽどいいですね」

コヨーテ「聞いてんのかよ!」

転「うるさいなぁ…。多少は役に立つんじゃないですか?ほら、この帽子かぶってたら誰だか分からないでしょう」

ポチ「ポニーテールだけ出てて、なんだか不自然ッスね」

転「上着の中に押し込んじゃおう」グイグイ

コヨーテ「つーか、お前よ、前にテレビか何かで見たときは、髪真っ黒だったじゃねぇか」

転「染めたんですよ、2年くらい前にね。そもそも私がテレビにちらっと出たのって10年以上前の話ですよ」

コヨーテ「そういやお前、当時の魔王の娘だったな」

兵士4(……10年以上前の魔王の娘…?)

コヨーテ「いいのかよ、魔王の娘が髪染めるなんて!チャラいぞオイ!」

転「ほっといてくださいよ…」

兵士4「……貴様はまさか、ルシファル・ヴィーノ・トリアンテの…」
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 22:27:32.50 ID:QaTJBYSO
転「ん…?そのの…長女ですが何か?」

兵士4「…なぜ貴様のような者がこんなことを……」

転「どーせ信じてもらえないんだろうけど、一応言っておきますね…」

転「濡れ衣なんです。真犯人はあなたたちのとこのボス。青の王族、そして赤の王族です」

兵士4「な…何をバカなことを…」

転「ほら、やっぱり信じてくれない……もう何言っても無駄なんだな…」

転「まぁいいや、私たち急いでるんです。すぐに他の部隊が来ると思うんで、そしたら包帯解いてもらえますよ」

兵士4「くっ…」

転「行くぞ王族護衛隊!」

コヨーテ「お前それ言ってみたかっただけだろ」

ポチ「偽物ッスけどね」

転「申し訳ないです隊長さん。では!」バッ

兵士4「……く、一体なにが、どうなっているんだ…!」
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 22:47:10.98 ID:QaTJBYSO
エレカ&クロサイド

シュッ

ガキンッ

ドドッ

ザザザァ

エレカ「……やはり、強いね…まさかあなたたちが動くとは思ってなかったよ…」

?「…我々も黄の王族の将来有望な若き娘を、攻撃することになるとは思わなかった」

?「……が」

?「そこにいるのは犯人の妹だろう?実質その一味だ…生かしてはおけん」

クロ「……犯人の一味、ね…」

クロ「何度も言わせないで…私たちじゃないわ…誤解なのよ…」

?「そんなことを言っていられるのも今のうちだ…」スッ

クロ(……来る!)

エレカ「クロ!違う!後ろだ!」

クロ「!?」バッ

?2「うおおおおおおおっ!」グオッ

クロ「…漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)!」ギュンッ

ドゴォオン…

クロ「あ…危なかったわ…」

エレカ「……さすがに、勝てるかどうか怪しくなってきたね…相手は」

エレカ「王族護衛隊の総部隊隊長・センリと総部隊副隊長・ジーク!」

センリ「…安心しろ、せめて苦しめずに射止めてやろう」

ジーク「私の能力で苦しめずに死なせるのは、何よりも難しいな…」

クロ「…王族護衛隊のNo.1、No.2……」
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:00:14.89 ID:QaTJBYSO
数分前(テンコたちが追っ手から逃げてるころ)

・クロたちのルート
黄の城→→→→青の城
      ↑
    今この辺り

クロ「……」スタスタ

エレカ「……」スタスタ

クロ「…エレカ、青の城までは……」

エレカ「うん、後少しだよ…ここまで来たんだから、最後まで追っ手に捕まらないように行こう…」

クロ「ええ…でも、だんだん疲れてきたわ…もう結構長い時間…動きっぱなしよね…」

クロ「少し…休憩をしないと…青の城で何もできなくなりそう……」

エレカ「…そうだね。体力を使いすぎると、精神力まで減ってくる…いざって時に能力が使えないとまずいし……一度休憩しようか」

クロ「……ふぅ」トサッ

クロ「…最初は雪が積もってたのに…この辺りになってくると、もう雪も溶けてるのね」

エレカ「足下が濡れて少し不安定だけどね…」

クロ「……姉さまたちは、うまくやってるのかしら…」

エレカ「応援はもう送ったよ。いつ彼らと合流するかは分からないけどね…」

クロ「……」
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:01:42.05 ID:QaTJBYSO
>>173
訂正

・クロたちのルート
黄の城→→→→青の城
          ↑
        今この辺り


これで大丈夫かな?
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:02:13.42 ID:QaTJBYSO
>>174
・クロたちのルート
黄の城→→→→青の城
         ↑
      今この辺り

行きすぎたかな
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:05:13.46 ID:gYGF1b2o
大丈夫大丈夫
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:14:22.47 ID:QaTJBYSO
クロ「……よし。疲れも取れてきたわ」

エレカ「そう…じゃあ、行こうか。いくら時間があるとは言え、あまりのんびりとしているわけにもいかないからね」

クロ「ええ…」


?「ここから先へは行かせない…」


クロ「……え?」

ギュンッ!!!

クロ「!?」

エレカ「な…今のは…!?」

クロ「何かが凄い速さですれ違ったわ!」

ズズズ

エレカ「……クロ!」ドンッ

クロ「きゃっ…!?」ドサ

クロ「エレカ…何を…」

クロ「……!」

エレカ「く…」ズズズ

クロ「な、なに…それ…」

エレカ「……気を付けて…敵だ……私の足下に…まっすぐ伸びているこの線(ライン)を…踏んじゃいけない…」

クロ「……敵!」バッ

?「…私の能力を知っていたか…しかし…庇うのが精一杯だったようだな…」

クロ「あなた、誰…?」

?「……知る必要はない!」ダッ

クロ「……!」サッ

ギュオンッ!!

クロ(はや…)

クロ「…っ!」バキッ!!
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:31:05.59 ID:QaTJBYSO
?「ふん…私のスピードからは逃れられんぞ…」

クロ「く…痛いじゃない…!」

?2「……よし、ジーク、ラインは引いたな?」

クロ「!?」

?2「これで二人はしばらく動けない…後は」

?2「俺がやる…!」ズズズ

クロ(…敵は…二人…!?)

?2「騎士の銀凱(レアメタル・アームズ)!」ジャキィン

エレカ「白銀の鎧…やはりあなたは…」ググッ

?「無駄だ!私の『深淵への道(ナイトメア・ロード)』は線(ライン)を踏んだ者の動きを一定時間完全に封じる能力!そこで黙って見ているがいい!」

エレカ「……厄介な能力を使われたな…」

クロ「エレカ!この二人、どうすれば…」

エレカ「今は目の前の鎧の男に集中するんだ!」

クロ「でも、足が動かせないわ!」

エレカ「動かずに戦うんだ!しばらくすれば動けるようになる!」

クロ「そんな無茶な…」

?2「…行くぞ!」ダダダ

クロ「……落ち着け…落ち着くのよ、私…」

クロ(あの男は、能力で『銀の鎧』を纏った。きっと単純に、攻撃翌力や防御力を上げるんだ…)

クロ(もう片方は、詳しくは分からないけどものすごいスピードで移動する…。さらに線(ライン)を出現させ、それを踏むと移動が不可能になる…)

クロ「…『バイ・セカンド』!」バサァ

?2「翼…!飛んで逃げることはできないぞ!」ブンッ

ガキンッ!!

?2「……!」
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:39:22.95 ID:QaTJBYSO
クロ「翼を六枚重ねれば、ただの拳ぐらいガードできるわ…!」

?2「ち……」

クロ「それだけじゃない!このまま…」バサバサ…

クロ「反撃してやるわ!黒羽射撃(ブラック・バレット)!!」バババババ

?2(羽を飛ばして攻撃を…!)

ガキキキキキンッ!!


クロ「……ダメか…すべてガードされる…」

?2「…この鎧は、そんな羽などでは壊せん」

クロ「……」

クロ(なら…もう一度奴が攻撃したところを捕らえて…)

クロ(翼を『貸して』やるしかないわ…!)


エレカ「……」

?「どうだ…情けないだろう、動けぬ自分が…もどかしいだろう、加勢してやれぬ自分が…」

エレカ「いや…必要な時間だよ…」

?「………なに?」

エレカ「…『充電時間』さ」

バリバリッ!!!

?「……!」

バリバリバリバリ

エレカ「……『バイ・セカンド』雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)!」

?「お得意の…雷を操る能力か…」

エレカ「……落雷(ラクライ)」スッ

?「ちぃっ!」バッ


ピシャアアアアアン!!!
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:48:39.00 ID:QaTJBYSO
エレカ「…躱されたか…」

?「モーションで丸分かりだ」

エレカ「そうか…でも今ので…『足止めの能力』は解かれたね」スタスタ

?「……深淵への道(ナイトメア・ロード)だ」

エレカ「……クロ!もう動けるようになったはずだよ。こっちに来るんだ」

クロ「!……ええ」ダッ

?2「……」

エレカ「……いいかいクロ。彼らは戦いのスペシャリストだ」

クロ「…分かってるわ。私、二人を見たことがある…」

エレカ「…王族護衛隊のトップの二人さ。鎧を纏った方がセンリ。足止めの能力を使ったのがジークだよ」

クロ「……!なるほど…見覚えがあるわけね…」

センリ「ふん…この鎧の能力は…」

センリ「俺の戦闘の準備に過ぎない…」

エレカ「……知っているさ。あなたの『バイ・セカンド』は…」

エレカ「弓矢の能力…」

センリ「そうだ。ただし護衛隊の訓練で使っている時のように、加減はしないぞ…」ズズズ

クロ「…左腕が…」

センリ「『バイ・セカンド』魔帝の弓矢(アーチエネミー・ジ・アーチェリー)!」ジャキィン!!!

エレカ「……クロ、気を緩めたら、一瞬で殺される。常に全力で動くんだ」

クロ「ええ…」

センリ「…ジーク、サポートを頼む」

ジーク「ああ。『Type1』で抑えておけよ…」

センリ「行くぞ……!」
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 23:53:19.37 ID:QaTJBYSO
今日はここまでにします
このあと>>172になるんだけど、内容に多少のバラつきがあるのは許してください

ちなみに王族護衛隊総部隊隊長(副隊長)ってのは、とにかく一番偉い立場で
テンコたちを追う部隊たちとかを、すべてまとめ上げてます
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 02:48:24.25 ID:3iZxDADO
乙!
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 22:32:42.81 ID:gwsRTgSO
クロ「……」

クロ(センリの弓矢…あれは矢を放っているのではなく、正確には矢の形をしたエネルギー弾を放っている…)

クロ(だから外見的な傷が少なくても、確実にダメージが蓄積されるわ…)

クロ(…飛んで避けつつ、羽で攻撃…でもこれじゃ、決定打に欠けるわね)

クロ「……エレカ、お願いがあるの」

エレカ「……なに?」

クロ「私が…センリの攻撃を避けてる間に、隙を見つけてどんどん攻撃してほしいの」

エレカ「君がメインで戦うんだね」

クロ「ええ」

エレカ「ならジークはどうする?」

クロ「……」

クロ「見たところ、サポートに回ってるみたいだし、実質1VS1ね」

エレカ「……サポート。本当にそうかな?」

クロ「…え?」

エレカ「私には力を温存しているように見えるんだ」

クロ「温存?」

エレカ「普通、『バイ・セカンド』を使うためには、通常の能力を何度も使用しておく必要がある。もっとも君やシャルにはほとんどそれが必要ないみたいだけどね」

クロ「……」

エレカ「でもね、逆のパターンがあるんだ…『バイ・セカンド』を使うために、何もせずにじっとしている必要がある」

クロ「何もせずに…?」

エレカ「制御ができないほど強力な『バイ・セカンド』を使うためには集中して、精神力を高めなくちゃならない」

クロ「…それだけ強力な能力なのね?」

エレカ「たぶんね。それに、飛んでる君に足止めの能力は効かない。彼には当然、それが理解できてる」

エレカ「だから見ているしかないんじゃないかな」

クロ「……用心したほうがいいみたいね」
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 23:10:13.12 ID:gwsRTgSO
センリ「……話し合いは終わったのか?」

クロ「ええ」

センリ「そうか…ならさっさと…」ググッ

センリ「[ピーーー]!」ドシュシュシュシュ!!!

クロ(速い…けど……)

クロ(避けきれないわけではないわ!)バサァッ

ギュンッ

センリ「ちっ…」

クロ「……」バサバサ

センリ「飛べばなんとかなると思っているのか?」

クロ「まさか…でも私にできることはこれしかないわ」

センリ「……烏め。打ち落としてくれよう」スッ

ドシュシュシュシュシュッ!!!

クロ「烏じゃなくて蝶と呼びなさい……黒羽風奏(ブラック・シルフィ)!」バサバサバサッ

センリ「……!?」

ブワッ!!

センリ「風で矢を弾いたのか…舐めた真似を」

クロ「あなたこそ、六枚翼の力を舐めないで」
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 23:11:44.73 ID:gwsRTgSO
センリ「…ならこれはどうだ?」スッ

センリ「迷惑・滅入流・撃(メイワク・メール・ショット)!!」バシュッ

クロ「…ただの矢じゃない…それもいっぽ……」

バラッ

クロ「ん……!?」

エレカ(バラけた!)

ビュビュビュビュ

クロ「くっ…!」バッ

ドスドスッ

クロ「…黒羽射撃(ブラック・バレット)!」バサバサバサッ

バババババババッ

センリ「……この分裂する矢を相殺したか」

センリ「いや…」

クロ「……」ポタポタ

センリ「何発かは…受けたようだな」

クロ「こんなの…なんてことないわ」

センリ「強がるなよ…確実にダメージを蓄積していく…これはそういう矢だ」

クロ「……なんてことないわ」

センリ「……」
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 23:15:56.57 ID:gwsRTgSO
センリ「……ジーク」

ジーク「…なんだ?」

センリ「あとどのくらいかかる?」

ジーク「『神獣化』には…まだあと三分はかかる」

センリ「長いな」

クロ「……ならさっさと終わらせてあげるわ!!」ギュンッ

センリ「ちっ!」バッ

クロ「黒羽創剣(ブラック・スライサー)!」ゾワゾワ

エレカ(クロの手を、羽が覆っていく…これなら…!)

クロ「はぁっ!」ブンッ

センリ「……!」

ズバッ
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 23:56:28.08 ID:gwsRTgSO
クロ「……さすがに腕を斬り飛ばすことはできなかったけど…もうその弓は使えないわ!」

センリ「……く」

クロ「……」

センリ「くくく…」

クロ「な、なに?」

センリ「くくくくくく…」

クロ「何を笑っているのよ…」

センリ「……思わないか?」

クロ「……え?」

センリ「仮にも王族護衛隊のトップである俺が…こんなにあっけないのか…と」

センリ「思わないのか…そうかそうか…」

クロ「どういうこと…?」

センリ「……この…右目の黒い眼帯は…俺の地獄兵器だ」

クロ「地獄兵器……」

センリ「つまり俺は今…『バイ・セカンド』を使っている」

クロ「そんなの分かってるわ!」

センリ「それでは俺の『バイ・セカンド』が…」

センリ「大した威力のない矢を射つ『だけ』の能力だと、本当にそう思うのか?」

クロ「……え…?」

センリ「『バイ・セカンド』魔帝の弓矢(アーチエネミー・ジ・アーチェリー)…」

センリ「…Type2」ジジジジ…
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 00:00:08.46 ID:GOCxb.SO
クロ「タイプ…2…?」

センリ「…これが俺の真の『バイ・セカンド』だ…」ガシャン

クロ(なにこれ…さっきの弓矢の5倍はあるわ…)

センリ「…チャージにかなり時間がかかるが…一度放てば……」

センリ「そうだな…この雪山で雪崩が起きる…」

エレカ「……あれは絶対にまずい…クロ」

クロ「……」

エレカ「クロ、逃げるんだ、できるだけ遠くに…」

クロ「…嫌よ」バサッ

エレカ「ダメだ!これに当たれば君は死……」

クロ「私は死なない!」ギュンッ!!

センリ「……射つ前に止めるか…対策としてはあながち…間違いでもないな」

クロ「もう一度!黒羽創剣!」ブンッ

ガキンッ

クロ「……!」

センリ「無駄だ…弓そのものの耐久力も先ほどの数倍になってる…壊すことは不可能だ」

クロ「そんな…」

センリ「チャージが終わるまでは好きに暴れていろ」

センリ「それもすべて徒労に終わる」

エレカ「……クロ」
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 00:01:07.27 ID:GOCxb.SO
今日はここまでにします
もう味気ない戦闘しか書けなくなってきたわ
くやしいのうくやしいのう
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 10:56:52.21 ID:3enA.wDO
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 22:30:04.97 ID:fvTwmESO
センリ「……」キュインキュインキュイン

クロ(力が集まっていく…!)

センリ「……終わ…」

ゴロゴロゴロ…

エレカ「『バイ・セカンド』雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)」

エレカ「……豪雷(ゴウライ)!!」

センリ「…!?」

ピシャアアアアン!!!

クロ「っ!」

センリ「ぐああああああああ!?」バリバリバリバリ

クロ(エレカ…こんな大きな雷を…)

エレカ「…力の溜め(チャージ)は…こっちのほうが早かったみたいだね…」

センリ「く…そ……」バリバリ

センリ「な……める…なァ!!」バッ

クロ「!エレカ、危な…」

エレカ「……大丈夫だよ」スッ

センリ「……」

ドスッ

センリ「!……なに…?」

エレカ「…雷閃(ライセン)」


雷の能力。その最大の長所は圧倒的な速さにある

いくら優れた悪魔と言えども、雷の速さを目で捉えることはできない

ましてや知覚してから回避することなど、絶対に不可能なのである

エレカは基本的に、強すぎる能力の「制御」として、その速さを「見てから回避することが不可能でない」程度にしているが

もしも雷が、質量、速さはそのままに、針のように相手を貫いたら…
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 22:45:34.53 ID:fvTwmESO
センリ「ぐ……」

エレカ「……動かないほうがいいよ。私の能力は『全身からの放電』。このまま空いた左手でもう一撃、あなたに打ち込むこともできる」

センリ「……!」ゴボッ

エレカ「そして、雷のダメージは誤魔化しが利かない…無理に動いても苦しいだけ…」

センリ「ぐ……」

センリ(今ので弓矢のチャージが…0に戻ってしまった…くそっ…やり直しか…!)

センリ「…はっ!」キュインキュイン…

エレカ「…クロ」

クロ「!」

エレカ「彼は再び弓矢のチャージを始めた。でもたぶん、もう私の力では阻止できない。あんな大きな雷を落とした後だからね…」

クロ「…私に止めろと言うのね?」

エレカ「私も本当は、こんな無理をするつもりじゃなかったんだ…。でも…今の君にならできると、信じているよ」

クロ「……ええ」バサッ

センリ「ちっ……」

クロ「今の手負いのあなたなら、私でも倒せるわ!」グルンッ

クロ「必殺…」グルグル…

クロ「黒の流星(シューティング・ブラック)!」ギュオンッ

センリ「!」

クロ「いっけえええええええ!!!」ギュルルルル

エレカ(翼を全身に纏った状態で、回転しながら急下降…まるでドリルだ!!)

クロ「終わりよ!!」

「そっちがな…」

クロ(……え)

バキィィィン!!
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:00:15.81 ID:fvTwmESO
エレカ「…そんな…今の攻撃が…」

ジーク「……」ズズッ

ジーク「この私を『二歩』も押すとは…なるほど、確かにとどめの一撃には相応しい威力だ」

クロ(嘘でしょ…そんなわけないわ……私が…私が…)

クロ(……止められた…!?)

センリ「……ジーク」

ジーク「情けないな。たかが雷の一撃にやられるとは…油断をしたか?」

センリ「…一方的に攻めきるつもりだったのだが…思ったより強烈な反撃が来た……」

ジーク「…だがこちらもなんとか…完全な状態ではないが、この姿になれたよ」

ジーク「『神獣』の姿にな…」

クロ「…それ…は……」

ジーク「…黒山羊…これが私の『バイ・セカンド』雄々しき黒山羊の猛進(カプリス・エス・インペトゥス)だ」

クロ「……」

ジーク「お前の能力は…翼を生やす能力だな…この能力はそれによく似ている…」

ジーク「己の肉体に直接影響を与える……これはその最大級のものだ」

エレカ(……このものものしい重圧…やはり…)

エレカ「…その能力が強化するのは身体能力だけじゃない…」

エレカ「……精神までも…残虐な…野生のものに変えてしまう…」

クロ「!?」


ジーク「…詳しいな…確かにこの能力は身体能力を上げるだけではなく…精神面さえも変えてしまう…」

ジーク「もし私が完全な『神獣化』を行っていたら、既に意識は飛んでいる…本能のままに貴様らを叩き潰している…」

エレカ「…く……」

ジーク「…センリ、乗れ。チャージが終わり次第、いつでもその矢を打ち込めるようにしておけよ」

センリ「いつも通りだな…分かっている」
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:16:49.13 ID:fvTwmESO
エレカ「…射手座(サジタリウス)のセンリと、山羊座(カプリコーン)のジーク…」

ジーク「…私が数百数千の兵を薙ぎ倒し…」

センリ「…俺が城壁をこの矢で粉砕する…」

ジーク「我々が本気を出せば、城一つ落とすくらい容易いのだ…」

センリ「もう先ほどのような不覚は取らない…覚悟しろ…」

クロ「…最悪…だわ……」

エレカ「……」

エレカ(ジークの力、速さ、耐久力、どれを取っても私たちの比ではないし…)

エレカ(センリがあの矢を打ち込めば…私たちの五体は一瞬で吹き飛ぶ…)

エレカ(まともにやり合っても、勝ち目はない…か…)

エレカ「……クロ。飛ぶんだ」

クロ「……え?」

エレカ「…飛ぶんだ。全速力で…私が雷で彼らを足止めする…だから君は、逃げるんだ…」

クロ「…な…何を言ってるの…?」

エレカ「早く…今すぐに逃げて…青の城に迎うんだ…」

クロ「でも…そんなことしたら…あなたが…」

エレカ「私に構わず、早く行くんだ!」

クロ「でも…!」

エレカ「……早く!!!」
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:17:35.30 ID:fvTwmESO
ゴロゴロ…

クロ「……エレカ」

エレカ「…私は大丈夫だよ…死にはしないさ…」

エレカ「私にはまだ、やらねばならないことがたくさんある…」

クロ「エレカ…あなたは…」

エレカ「飛べ!!クロ!!!」

ピシャアン!!

クロ「……!」バサッ

ギュンッ!!

エレカ「…そう、それでいいんだ」

ジーク「……我々が逃がすと思っているのか?」

センリ「黙って見ているわけがないだろう…」

エレカ「……ここは絶対に通さない…」

ゴロゴロゴロ…

エレカ「私の名は、エレカ・グロート・アステリス!!黄の王族の女王となる、誇り高き悪魔だ!!」

ジーク「……いいだろう、まずは貴様を始末してからだ!」ダッ

エレカ(クロ…無事に逃げてくれ…そして…シャル…)

エレカ(……君も、絶対に死んだらダメだ……君は鍵を…握っているんだから……)


ピシャアアアアン!!
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:22:12.45 ID:fvTwmESO
今日はここまでにします

最後にキャラ紹介をば
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:28:47.24 ID:fvTwmESO
センリ
?歳 12月12日生まれ 射手座(サジタリウス)
青の城の王アレス、そしてシェアリの直属の配下で、王族護衛隊総部隊隊長
圧倒的な力の持ち主であり、王族からも絶大な信頼を寄せられている
己の力を過信しているようであるが、実際その実力は、上級悪魔に並ぶほどであるらしい


地獄兵器 黒い眼帯(右目)

能力:騎士の銀凱(レアメタル・アームズ)
全身を白銀の鎧で固める能力

『バイ・セカンド』魔帝の弓矢(アーチエネミー・ジ・アーチェリー)
シフトチェンジの能力
@Type1.左腕を小型の弓矢に変化させ、矢をマシンガンのように連射する
AType2.右腕を巨大な弓矢に変化させ、超強力な一撃を放つ
@は精神力が切れるまで使用できるが、Aはチャージが必要であり、矢を一度放てば解除される
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 23:36:33.11 ID:fvTwmESO
ジーク
?歳 1月17日生まれ 山羊座(カプリコーン)
青の城の王アレス、そしてシェアリの直属の配下で、王族護衛隊総部隊副隊長
実力はセンリとほぼ同クラスであるが、性格は比較的おとなしい
普段はセンリのサポートとして戦うことが多く、策を練ることを得意とする
自ら兵を率いて、軍師としての役割を務めることも多々ある


地獄兵器 白い眼帯(左目)

能力:深淵への道(ナイトメア・ロード)
ジークが走り抜けて行った箇所に黒い影のようなラインを引き、そこを踏んだ相手は動けなくなってしまう
ただしラインは一定時間が経つと消滅する

『バイ・セカンド』雄々しき黒山羊の猛進(カプリス・エス・インペトゥス)
シフトチェンジの能力
自らの肉体を黒山羊のような姿に変える(通称は『神獣化』)
肉体のレベル(攻撃翌力、速さ、耐久力など)が飛躍的に上がるが、精神面にも大きな変化が現れるため、非常に危険な能力である
ただし、姿はそのままに、肉体の部分的な強化だけを行うこともでき、その場合は精神面にほとんど変化が生じない
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 20:24:34.16 ID:tpvo/MSO
すみません
また一週間近く書けなくなりました
ただ、そこからは多少は更新が多くなると思います
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 00:05:08.75 ID:.MnC6ADO
>>199
乙! 楽しみに待ってるぜ
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 18:23:44.73 ID:y2d0hUDO
OK
楽しみに待ってます。
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:53:57.01 ID:EMrJHYSO
明日の夜更新できると思います
遅れたらすみません
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 11:18:25.32 ID:1rIZTADO
楽しみだな
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 13:38:29.49 ID:zod64Q60
魔帝の弓矢(アーチエネミー・ジ・アーチェリー)とか雄々しき黒山羊の猛進(カプリス・エス・インペトゥス)とか
語呂が良くて結構好きだわ
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 21:29:48.09 ID:gbWRe2SO
〜前回のあらすじ〜
クロ「やってることが…水銀燈…みたい…ですって?」

クロ「…言ってなさい!!」
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 21:40:46.85 ID:gbWRe2SO
クロ「はぁ…はぁ…」バサバサッ

クロ「飛ばなきゃ…飛んで…」

クロ「一刻も早く、青の城へ……」バサバサ

クロ(エレカ……絶対に…死なないで…)



エレカ「はぁー…はぁー…」

センリ「雷の能力…確かに威力は凄まじいが…」

ジーク「…本来の特性である、その圧倒的な『速さ』を生かせていないようだな」

エレカ「今の私じゃ…制御できないからね…」

センリ「…制御?」

エレカ「私はあなたたち相手に本気を出さない…」

エレカ「あなたたちもね…」

ジーク「……ふふふ」

センリ「…本当に、大した女だな…」

エレカ「…いくら時間に余裕があるとは言え…こんなところでもたもたしてるわけにはいかないんだ…」バリバリ

センリ「…いいだろう。来い」ガシャンッ

エレカ「……雷閃!!」
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:01:35.16 ID:gbWRe2SO
数分前

青の城


シェアリ「……」ポチャン

シェアリ「……」ポチャン

シェアリ「……っ」ポチャン

シェアリ「後一個…入るかしら…」プルプル


側近「シェアリ様!通信が…」バンッ

シェアリ「!」パッ

バシャッ

シェアリ「……」

側近「あ…」

シェアリ「『バイ・セカ…」

側近「も、申し訳ありません!!」

シェアリ「……次にやったら…本当にもう…溺死体にして差し上げますわ…」

側近「ちゅ、注意します…」

シェアリ「それで…なんですの?」

側近「通信が入りました。クレア様からです」スッ

シェアリ「……」パシ

シェアリ「……もしもし?」
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:13:15.14 ID:gbWRe2SO
赤の城

クレア「ああ…もしもし、シェアリ?」

シェアリ『…なんですの、クレア?』

クレア「なにってことはねーよ…少し退屈だったからな」

シェアリ『盗聴の危険もありますのに…アナタは本当に無用心ですわね』

クレア「知らなかったっけ?」

シェアリ『…よく理解してますわ』

クレア「盗聴なんてされてねーよ…お前は心配性なんだ」

シェアリ『今回ばかりは心配性になるぐらいじゃないと…』

クレア「分かった分かった。でさぁ」

クレア「そっちのほうはどうよ?」

シェアリ『…何のことですの?』

クレア「人質だよ…そっちにいるのは…三女のほうだっけ?」

シェアリ『ああ…そうですわ。三女。今は奥の部屋にいるから様子は分かりませんけど…』

クレア「…そうか」

シェアリ『?』

クレア「いや、別に深い意味はねーよ。ただ少し…気になったんだ」

シェアリ『……』

クレア「それだけだ」

シェアリ『…そうですの』

クレア「あと…三時間もしないうちにすべてが終わる」

クレア「そうしたら…」

シェアリ『地獄はワタクシたちの手の中…ですわ』

クレア「…じゃあな」

シェアリ『ええ…また、ですわ』

ブツッ
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:18:29.93 ID:gbWRe2SO
クレア「……ほれ、ノエル」スッ

ノエル「はい…」

クレア「……そろそろ…動きだすだろうな、向こうも」

ノエル「…ご心配はいりません…上級悪魔を手配したのですから、確実に奴らは潰れますよ」

クレア「……ならいいんだけどな」





ギシ…ギギギ…

?「……」

?「どうしてこの俺様が、あの小娘の指図を受けねばならん?」

?「イラつくが…まぁ仕方ねぇな…」プシュー

?「行くぜ……3…2…1…」

?「…Go!」ゴオッ!!
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:34:38.37 ID:gbWRe2SO
テンコサイド(エレカがクロを逃がしてから、約20分後)
雪山→赤の城・道中

転「…どうですか?コヨーテ」

コヨーテ「…500m先にいるな。6人だ」

転「避けられます?」

コヨーテ「いや、たぶん見つかる」

転「…またか……」

ポチ「これで四回目ッスね」

転「向こうの人数が少ないのが幸いですが…コヨーテ、あなたのその能力、もうちょっとなんとかなりません?」

コヨーテ「逃げ道を確保するのは結局俺たち自身なんだからどうしようもねぇよ…」

転「そりゃそうですけど」

コヨーテ「だいたいてめえな、人の能力に頼っといて、生意気な口利くんじゃねぇぞ」

転「分かりましたよ、怒らないでください」

コヨーテ「……ったく…あと300m」

転「……コヨーテ、頼みますよ」

コヨーテ「また俺かよ!過労で死ぬぞ!?」

転「そんな簡単に死にませんって」

転「それに、あなたの『バイ・セカンド』金の踊り(ゴールド・ダンス)は腕力の強化…向かってくる敵を殴り飛ばすだけでも、十分な威嚇になります」

コヨーテ「威嚇って…実際に殴ってるじゃねぇか…」

敵「それにあなた…スタミナはこの中じゃ一番あるみたいですし」

ポチ「俺は能力で脚力を上げるから、正直疲労が激しいッス」

コヨーテ「……てめえら二人して」

転「すみません…これでも、頼りにしてるんです」

コヨーテ「……」

コヨーテ「分かったよ…くそっ!」
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:52:59.95 ID:gbWRe2SO
コヨーテ「あと250m………」ダダダ

コヨーテ「…200m……そろそろだぜ」

転「ええ……」ダダダ

ガッ

転「れっ?」

バフッ

ポチ「…テンコさん!?なに転んでるッスか!?」

転「あー、大丈夫です…びっくりした…石かな?」クルッ

転「……?」

転(…石…じゃないな…?これ…何だろう)

コヨーテ「…おい、敵だぞ!もう見える!」

転「っと!」バッ

ポチ「……6人…よし、あれならまだまだ余裕ッスね」

コヨーテ「…いや、待て……あの一番後ろにいるのは何だ?」

ポチ「え?」

コヨーテ「ローブみたいなの着た奴がいるだろ!」

ポチ「……一人だけ明らかに雰囲気が違うッスね…」


転「……!」ゾクッ

転(…なんだ…!?この感覚…前にもどこかで…)

転(……まさか…)


?「……いるのぉ…すぐ近くに…」

兵士たち「!」

?「……わしは…ここで見とるから…まずは君たちがやるんじゃ……なに…逃げたりはせんよ…」

兵士1「はッ!…行くぞ!」

兵士たち「おおおッ!」
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:07:57.94 ID:gbWRe2SO
コヨーテ「来た…!行くッスよ!テンコさ…」

転「はぁ…はぁ…」

ポチ「テンコさん…?」

転(あれはヤバい…あいつだけは絶対にヤバい…!)


兵士1「うおおおっ!」ダッ

コヨーテ「おい!何をしてやがる!?来たぞ!」

兵士2「覚悟しろ!反逆者どもめ!」シュッ

兵士3「くらえっ!」ゴッ

コヨーテ「曲刀(サーベル)に戦棍(メイス)…ちっ…男なら…」

コヨーテ「素手で戦いやがれ!『バイ・セカンド』金の踊り(ゴールド・ダンス)!」ブンッ

ガシッ

兵士2「!?」

兵士3「なっ…!」

コヨーテ「うらぁ!」ブンッ

兵士4「いかん…危ない…!」

兵士5「まさ……」

兵士5「ぐああああ!」ドシャア

兵士1(…強い!一瞬で3人を倒すとは…)

コヨーテ「…来い!どいつもこいつもぶっ潰してやる!」

ポチ「兄貴!逃げるッス!」

コヨーテ「……あ?」

ポチ「もう戦わなくていいから、こいつらを抜けるッス!」

コヨーテ「何言って…」

転「いいから早く!!」ダッ

コヨーテ「あ、おい、ちょっと待て!」ダッ
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:10:21.19 ID:gbWRe2SO
兵士4「……な」

兵士1「に、逃がすか!」

?「……待て」スッ

兵士1「!」

?「もうよい。わしが行く。君たちは彼らを連れて帰るのじゃ」

?「そして報告しろ…『反逆者の始末は滞りなく完了した』とな」

兵士1「しかし……」

?「……」グルッ

兵士1「!!」

?「それともここで…わしの糧になるか?」

兵士1「い、いえ…」


?「……せいぜい逃げ回るがよい…だがこの一帯は…」

?「屍の埋もれた白き闇じゃ…すぐに理解するじゃろう…」
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:14:42.73 ID:gbWRe2SO
今日はここまでにします
だんだんキャラが増えてきたな
「誰が誰だよわけわかめ」な方が出てくるかも知れません
なので、そのうちキャラをまとめようと思います
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:25:55.98 ID:a2qoosDO
乙です。
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:44:01.08 ID:8UGxmV6P
乙でした
最近楽しみでしょうがない
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 21:47:01.17 ID:rwRpRYSO
転「はー…はー…!」ダダダ

ポチ「兄貴!早く!」ダダダ

コヨーテ「ちょ…待てって!」ダダダ


?「……ふむ」

?「どれ…この辺りのはわしの言うことを聞くのかのう」スッ


転「ぽ…ポチくん!あいつは!?」ダダダ

ポチ「まだ…追ってきてないッス!」ダダダ

コヨーテ「だから何だってんだよ!」ダダダ

転「よし…このまま…」

ガッ

転「わっ」

バフッ

転「痛てて…また転んで……」

ポチ「……」

転「あ…そんな顔真っ青にしなくても平気ですよ…ケガはしてませんし」

コヨーテ「お、お前…何だよそれ…」

転「あなたまで……」

コヨーテ「今!何につまづいた!?」

転「え?石とかじゃ…」スッ

転「な……」

ポチ「いや、これ…」

コヨーテ「どう見ても…」



転「……骨…?」
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 22:00:55.11 ID:rwRpRYSO
転「わあああああ!?」バッ

ポチ「な、なんでこんなとこに骨が…!?」

コヨーテ「頭蓋骨だよな…これ…」

転「うわあ、わあああ!骨!骨!ひいっ!」

ポチ「て、テンコさん、大丈夫ッスよ…!…雪山に死体が残ってることなんてしょっちゅうあるッス!」

転「もうダメだー!私は呪われるんだ、死んじゃうんだー!」

ポチ「テンコさ」

転「呪いやだよー!怖いよー!」ビエーン

コヨーテ「うるせぇ!」ボカッ

転「あうっ!」

コヨーテ「お前よ、骸骨なんかでビビってんじゃねぇよ!」

転「だ、だって怖いじゃないですか!私、呪いとかお化けとか、ホントに苦手なんですよ!!」

ポチ「い、意外な弱点ッスね」

転「ここ数年いろいろあったんです!放っておいてください!」

ポチ「…でもこれは、呪いとかそういうのじゃないッスよ。今までずっとこの辺りに放置されていて、剥き出しになっただけみたいッス…」スッ

転「で、でででもさっきも何かにつまづいたんです…もしかしたらあれも骨だったかも…」

コヨーテ「ああ?いくらなんでもそんなに死体や骨がゴロゴロしてるわけねーだろ」

転「そ、それは…」

コヨーテ「で、逃げんじゃねーのかよ、臆病者女!」

転「そ、そーだった…!あとチキン言うな!」
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 22:07:47.88 ID:rwRpRYSO
ポチ「頭蓋骨か…」

コヨーテ「おら、お前もいつまでもそんなのいじくってんじゃねぇよ!」

ポチ「わ、分かってるッスよ!」

スクッ

グイッ

ポチ「…ん?」クルッ

ポチ「………え」


ポチ「わあああああっ!!」

転「!?」ビクッ

コヨーテ「今度は何だよ!」

ポチ「ま、また骨ッス…!」

転「また…!?」ビクビク

ポチ「し、しかも…手…俺のカバンを掴んで…」

コヨーテ「そんなわけ…」

ガシッ

コヨーテ「……」

コヨーテ「あ、足首に何かが…まさか……」ソーッ


コヨーテ「あぎゃああああああああ!!」

ポチ「骨、骨、骨!!こんなの…おかしいッス!あり得ない!」

転「あわわわわわ」

コヨーテ「ほ、骨が俺の足を掴んでるうううぎゃああああああ!」ブンブン



?「よしよし、うまく行ってるようじゃのう…」
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 22:16:04.72 ID:rwRpRYSO
コヨーテ「あ、あああ足に!ほ、骨骨骨が!なんじゃこりゃあああああああ!」ブンブン

転「もうやだあああ!家帰りたいよおおお!」ビエーン

ポチ「お、俺が落ち着かないと…このままじゃパニック状態に……」ブツブツ



?「いい感じに崩れてきたのう…これだから若者いじりはやめられんわい…」

?「さて…そろそろ本格的に攻めるかのう…」

?「……『バイ・セカンド』…」


ボコォッ!!


?「……甦りし屍骨の宴(リ・ボーン・デッド)!」

ボゴボゴォ!!!
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 22:39:48.08 ID:rwRpRYSO
転「わーん…もうやだよお…!」

コヨーテ「ま、マジ泣きかよお前…直に掴まれた俺が落ち着いたってのに…」

転「だって…だって!骨だよ!?怖いよ!?」

ポチ「しっ!」

コヨーテ「…あ?」

ポチ「何か聞こえるッス…」

ガシャ

転「……え?」

ガシャッ ガシャッ

ポチ「何かが…こっちに近づいて来てる…」

ガシャ ガシャ ガシャ ガシャ

コヨーテ「」

転「」

ポチ「こ、骨格標本…?」

骨「ケラケラケラ!」

ポチ「うわああああああああああ!!??」
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 22:40:24.48 ID:rwRpRYSO
すみませんが今日はここまでたい
また明日書くとです
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [昨日のつづき]:2010/05/23(日) 11:39:01.64 ID:lYioh.SO
ガシャ ガシャ ガシャ

ポチ「わあああああっ!」

転「ひぃやああああああああ!!」

コヨーテ「に、逃げ…逃げ…逃げるぞ!」ダッ

ボゴッ!!

骨「ケラケラケラ!!」ユラリ

コヨーテ「うぎゃあああああああああ!バ、バババ『バイ・セカンド』!」ブンッ

骨「ケ…」ゴシャッ

カランカラン

コヨーテ「な、なんだ…案外脆いんだな…よし!もうがむしゃらにこいつらを壊しながら進むぞ!」

ポチ「でも、数が…」ブンッ

バキィッ

ボコッ ボコッ

ポチ「多すぎて…壊すより早く新しいのが出てくる!」シュッ

ガシャァン

コヨーテ「と、とにかく壊せ壊せ!こいつら自体は何もしてこねぇんだ!」ガシッ

グシャア

骨「ケラ…ケラケラケラ!」

コヨーテ「頭だけになっても…やっぱ怖ぇ!」

ボゴォ ボゴォッ!!

ポチ「まだ増え…」

転「……」
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 11:46:59.31 ID:lYioh.SO
骨「ケラケラケラ!」

コヨーテ「くっそ…こうなったら『合わせ技』でまとめてこいつらを…」

ポチ「でも、それをやったら後が……」

転「すぅぅぅぅ…」

コヨーテ「……ん?」

転「はぁぁぁぁ…」

ポチ「…テンコさん?」

転「すぅぅぅぅ…」

転「ぅぅぅぅぅぅ……」

転「……」


転「このクソ骸共ォ!!!!」カッ

ポチ「!?」

ビリビリビリビリ

骨「ケラ…」ガッシャアアン

コヨーテ「うおっ…!振動(?)で骨が…」

転「も、いっぱつ…すぅぅぅぅぅぅぅ…」

転「お前ら骨なんてっ!」

転「粉々にッし て や るッ!!」ガッ

ブワッ!!

骨たち「!!!」ガシャ

グシャ グシャ メシャッ

ガラガシャアン!!!

ポチ「そんな…」

コヨーテ「バカな…」

転「……ふぅー…すっきりしたぁ」
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 11:53:52.40 ID:lYioh.SO
ポチ「な、何ッスか!?今の!」

転「イライラしたから大声出しただけですよ」

コヨーテ「大声!?んなレベルじゃねーだろ!」

転「いいじゃないですか…私だってね、ストレス発散ぐらいしますよ、悪魔だもの」

コヨーテ「『人間だもの』みたいに言うなよ…」

ポチ「とにかくこれで…あれだけいた骸骨たちが皆バラバラになったッスよ…」

転「あなたたちが能力を使ってやってたことを、私は声を出しただけでやったワケですね」

コヨーテ「結局今のは何なんだよ」ボソッ

ポチ「テンコさんってよくある『怒るとめちゃくちゃ怖い人』なんッスね…」ヒソヒソ

転「さぁ!それじゃさっさと行きましょう!」


?「…何か忘れておらんか?」


転「……!」ビクゥッ

コヨーテ「お前は…さっきの…」

ポチ「一体、何者ッスか!」


?「わしはな…」


転「あーヤバい…絶対ヤバいよこれ…冷や汗が止まらない…」


?「……上級悪魔(ネオンテーゼ)…じゃ…!」
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:01:28.21 ID:lYioh.SO
コヨーテ「なっ…!」

ポチ「ね…上級悪魔(ネオンテーゼ)!?」

転「やっぱり…?うわぁ、聞きたくなかったなぁ…」

?「……ふむ…どうやら…わしら上級悪魔に縁がある娘がいるようじゃのう」

転「!」ギクッ

?「……2年前に…同じ上級悪魔である『ロキ』と人間界で交戦し…退けた…」

コヨーテ「え?誰が?」

?「そうじゃろう小娘!」

転「はひぃ!」

コヨーテ「嘘だろ?このへなちょこが?」

ポチ「結構有名な話ッスよ」

?「……しかし…きっと君たちは…わしのことを知らんじゃろうな…」

転「し、知りません、あなたみたいな仮面被った奴なんて…」ビクビク

?「これを取ればすぐに理解するじゃろう」スッ

?「わしが…誰か……」

カランッ

ポチ「え……」

コヨーテ「こ…こいつも…」

転「骸…骨…?」クラッ

転「はぁ…もうやだ…」バタ
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:11:34.26 ID:lYioh.SO
?「ほっほっほっほっ」カラカラカラ

ポチ「え…本当に…骸骨…ッスか?」

?「顔だけではないぞ…このローブの下も…」スッ

コヨーテ「手が、骨だ…嘘だろ…?」

?「さぁ小娘…わしが誰か分かったかのう?」

転「あー…うー…」バタバタ

ポチ「だ、誰なんッスか?こいつ…」

転「……『千骨』のドクロ…」

コヨーテ「…ドクロ…?」

転「たしか…上級悪魔…最古のメンバーです…」

ポチ「最古…!?そんなはずないッス!最初の『上級悪魔』が誕生したのは、今から100年…いや、もっと前!そのくらい俺でも知ってるッス!」

コヨーテ「そ、そうだそうだ!」←知らなかった人

転「でも最古の…最初のメンバーなんですって……」

?「その通りじゃよ…わしが最初の上級悪魔…」

ポチ「そんなのおかしいッスよ!もうとっくに死んでるはずッス!不老不死でもない限…」

ポチ「………不老不死…?」

?「…気付いたかのう…この骨の体を見てすぐに気付いて欲しかったが…」

ポチ「そ、そんなのが…本当に…」

?「いや…正しくは…不老不死ではないのじゃ…人として老いていくことは避けられん」

?「が…わしはこの骨の肉体を得てから…」

?「もう182年…生きておる…」

ポチ「!?」

コヨーテ「ひゃ、ひゃくはちじゅうにぃ!?」
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:22:18.86 ID:lYioh.SO
転「……今のは初耳だな…どういうことです?」

ドクロ「…そうじゃのう…まず…」

ドクロ「先ほどの骸骨は…わしが甦らせたものじゃ」

コヨーテ「てめえコラ!ぶっ飛ばすぞ!」

ポチ「落ち着くッス!」

ドクロ「わしは地中に眠る屍を…骸骨の姿のまま甦らせ、操ることができる…」

ドクロ「と言ってもしょせんは骸骨…君たちがやったように、乱暴に殴る蹴るをすれば簡単に崩れてしまう」

ドクロ「だからわしは、この能力で闘うことができなかった…」

ポチ「確かに、あれで闘うのは難しいッスね」

ドクロ「しかし闘わせなければ…なかなか便利なものでのう。わしの言うことはなんでも聞くから、掃除に洗濯など、家事はすべてやらせていたし」

ドクロ「ときどき見知らぬ人間を驚かせたり…そんなことに使っていたのじゃ…」

ドクロ「しかしさっきの君たちの驚きようと言ったら…近年見た中では最高じゃったよ」

コヨーテ「てめえコラやっぱ殴るぞ!」グワッ

ポチ「落ち着くッスー!」ガシッ

ドクロ「……ところで骸骨と言うのは…その生前の人間次第では性能が大きく変わるのじゃ」

転「……性能?」

ドクロ「要するに骨が強かったか、弱かったか、じゃ」

ドクロ「わしは当然、強い骨を求めた…長持ちするからのう」

転「それがなんです?」

ドクロ「……」
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:33:56.88 ID:lYioh.SO
ドクロ「それでわしは…骸骨が崩れては新しい骸骨を用意する…丈夫な奴をのう」

ドクロ「しかし新しい骸骨に家事をやらせると…どうしても粗相が多くなる…なぜだか分かるか?」

転「……『慣れてない』から?」

ドクロ「そうじゃ…新しい骸骨は操るのが難しい…違和感がある…これが思ったより煩わしいのじゃよ」

コヨーテ(なら自分でやれよ)

ドクロ「そこでわしは考えた…どうにかして骸骨から骸骨に中身を移せないか…と」

ポチ「中身?」

ドクロ「例えば…家事の技量であったり…骸骨にもそういったものがある…」

ドクロ「それらを新しい骸骨に『引き継がせること』はできないのか?と…わしは考えたのじゃ」

ドクロ「そして!…わしはついに発見したのじゃ。骸骨のある部分の骨を抜き取り、別の骸骨のものと取り替えれば…」

ドクロ「肉体は新しく、しかも性能はそのままの、骸骨ができあがる!わしはこれを数十年繰り返し、性能の衰えがない便利な骸骨を使い続けた…」

転「…なるほどね。ですが、それとあなたの不老不死に、なんの関係があるんです?」

ドクロ「それがまた少し長くなるんじゃよ…」
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:53:54.25 ID:lYioh.SO
ドクロ「わしが…80…いくつだったかのう。とにかくそのくらいのころ…病気にかかった」

ドクロ「当時の地獄では、わしのような年寄りが病気にかかっても、介護してくれる者などおらんかった…」

ドクロ「いや、正しくはいたのじゃ…骸骨が…」

コヨーテ「骸骨に死にかけた自分の面倒を見させんのか!ははっ、傑作だな!」

ドクロ「……年寄りが話しをしているときは、黙って聞くもんじゃ」ギロ

コヨーテ「ああ、はい……」

ドクロ「それでのう…わしは骸骨を見ていてふと思った」

ドクロ「骸骨から骸骨への性能の引き継ぎは可能…では、生きている人間から骸骨への性能…いや、意識の引き継ぎは可能なのか?」

ドクロ「わしは…試してみることにしたのじゃ…」

ドクロ「町から若い男を連れてきて…」

ドクロ「無理やり骨を抜き、骸骨のそれと入れ替えた!」

ドクロ「すると骸骨は…男の意識をそのまま継いで、動き出したのじゃ!!」

ポチ「!」

ドクロ「初めは言葉を話すことができなかったが…しばらくすれば、骨の体で言葉を発するようになった…不思議な話じゃがのう」

転「じゃあ、まさかあなたは…自らの肉体も同じように…!」

ドクロ「左様!優れた骸骨を見つけ、それの骨と自らの骨とを入れ替えた!そしてわしは生まれ変わったのじゃ!!」

ドクロ「骨の体を持つ、不老不死の存在に!!!」

コヨーテ「……なんかよく分からねぇけど、それだと代わりの骸骨がまた必要になるんじゃねぇのか?」

ドクロ「そうじゃ。だからわしは様々な場所から骸骨を見つけだし、保管し、肉体が朽ち始めればそちらに意識を移し替える。雑用骸骨もそのくらいはやってくれる」
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:58:40.57 ID:lYioh.SO
転「…それを何度も何度も繰り返し、あなたは生きているってことですね」

ドクロ「うむ…しかしわしは…今の肉体(骨)を得て、もう30年経つのじゃ」

転「…30年使っても壊れない骨ですか?」

ドクロ「…だと思うじゃろう。違うのじゃよ。わしの意識は150年以上に渡り別の肉体を操り続けた」

ドクロ「するといつの間にかわしの能力そのものがいくらか成長し…」

ドクロ「体をなるべく朽ちさせずに使う方法…さっきのように複数の骸骨を操る方法…」

ドクロ「そういったものを得て、単純に悪魔として強くなっていったのだ」

転「そこで、王族があなたに声をかけた…」

ドクロ「そうじゃ。そしてわしは史上初の『上級悪魔』になった。当時はそんな大袈裟なものではなかったがのう」

コヨーテ「…マジかよ」

ドクロ「わしは他の5人…いや、実施4人か…。とにかく彼らとは比較もできないほど、様々な出来事も経験した」

ドクロ「…思い知るが良い…君たちの目の前にいるものが…どれほど圧倒的な力を持った存在なのかを…」

転「……ポチくん、コヨーテ」スッ

ポチ「……分かってるッス」

コヨーテ(年寄りってのはどうしてこう、話が長いんだ…?)

ドクロ「そこにちょうど…君たちが砕いた骨が散らばっておるからのう…」スッ

ドクロ「『バイ・セカンド』甦りし屍骨の宴(リ・ボーン・デッド)…」

カチャ…カチャカチャ…

コヨーテ「…骨が」

フワフワ…

ポチ「浮いて…」

転「……来ますよ!」


ドギュゥンッ!!!


転&ポチ&コヨーテ「『バイ・セカンド』!!!」
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:10:02.16 ID:lYioh.SO
ガシャアアアアン…

バラバラバラ

ドクロ「…いきなり全力のようじゃな」

転「上級悪魔が相手となると…加減なんて出来ませんよ」

ポチ「でも、テンコさん、この骨を見る分だと俺たち…」

コヨーテ「明らかにピンチだよな…」

カチャッ…

転「!」

シュッ

転「危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)弾き返せ!!」バキィン!!

ギュギュン!!

ポチ「…銀の踊り(シルバー・ダンス)!」ガキガキガキンッ!!

ドドドドヒュンッ!!!

コヨーテ「お、俺のとこだけ多くねぇか?」

コヨーテ「金の踊り(ゴールド・ダンス)!!」バシバシバシッ

コヨーテ「うらぁ!」グシャグシャッ!!

転「脆い脆い。カルシウムが足りてませんね」ボキボキッ

ドクロ「ふむ…どうやら簡単には当たってくれそうにないのう」

ポチ「こんな骨じゃ俺たちは倒せないッスよ!」

ドクロ「分かっておる…」スッ
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:12:57.35 ID:lYioh.SO
ザラザラザラ…

コヨーテ「なんだあれ…小石か?」

転「違う…砕けた骨だ…あんなにたくさん」

ドクロ「さっきの10倍じゃ」ブンッ

シュシュシュシュ!!!

転「Beat It!!(逃げろ!)」ダッ

ポチ「く…」ダッ

コヨーテ「うおおっ…!」

ガシャアアアアン!


ドクロ「まだまだじゃ」スッ

ドクロ「上腕骨&大腿骨ミサイル!!」

転「み、ミサイルって…やばっ」

ポチ「銀の踊り(シルバー・ダンス)!」ギュンッ

コヨーテ「ちょ、待…」

ドスドスドスッ!!!
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:57:01.71 ID:lYioh.SO
コヨーテ「あ、危ねぇ…見ろよ、あと10cmズレてたら腹に突き刺さってたぞ…」

ポチ「ギリギリで弾いたッスね」

コヨーテ「いくら俺でも今のは拳がちょっと傷んだな…やっぱ骨ってなると…じんじん来るぜ…」

ドクロ「…なかなかしぶといのう…君たちが何をしようと、わしはこうやって骨を飛ばすことぐらいしかせんわい…」

ドクロ「しかし、君たちに勝算はあるかのう?」

転「………まぁ、私たちの勝算だけでいえば…」

転「無いに等しいですね」

ポチ「!?」

転「…あなたの武器がここ一帯の骨なら…いくら私たちが一つ一つ弾いていってもキリがない」

ポチ「そんな…」

転「だってそうでしょう?あなたの蹴りと彼が骨を動かすのじゃ、負担が違う…あの能力の利点はおそらく、『規模』と『コストの少なさ』だ」

ドクロ「左様…。わしにとって骨を操ることは、指を折り曲げることと同じくらい容易いことなのじゃ」

コヨーテ「……ならよぉ」

コヨーテ「その指をへし折ってやりゃあいい!」ダッ

転「…コヨーテ!?」

ドクロ「ほう…向かってくるか。面白い…」

ブンッ

コヨーテ「!?…ぐあっ!」ドサッ

ドクロ「……鎖骨の鞭…別に近づいて来るのは構わんが…こいつで打ち据えるまでじゃ…」

コヨーテ「くそっ…ダメか…」

転「…鞭の一撃なら…私が止められます」

ドクロ「『弾き飛ばす力』じゃろう?知っているとも…」

ドクロ「だがわしとてそれだけじゃない…」グググ

ドクロ「肋骨大鋏…!」ジャキィン

転「!…近距離戦ではそいつでグサリ、ってワケですか…」

ドクロ「左様…」
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:12:10.81 ID:lYioh.SO
転(…いつかのロキのように、鉄壁の防御を持ってるわけじゃない、異常なまでの強さの肉体を持ってるわけじゃない…)

転(ただあらゆる状況において隙がない…!)

転(そして私たちには、これを突破する手立てがない…)

転(さすが最初の上級悪魔…三人がかりで挑んでいっても勝算がないか…)

転(……どうすれば、いい…)


ドクロ「わしもあまり長い時間戦っていたくはないのじゃ…そちらが来ないなら…さっさと終わらせてもらおうかの…」ググッ

ドクロ「骨・骨・骨・ミサイル!」ドドドッ

ポチ「くっ…」サッ

コヨーテ「やべっ…」バッ

バキバキバキッ

転「っ…!」

ドクロ「…受けることしかできんか…」

転「ちょっと待ってくださいよ!今…考えて…」

ドクロ「年寄りは気が短いんじゃ!」ドドドンッ

転「またミサイルか…こうなりゃ…」

転「コヨーテ!私を抱いてください!」

コヨーテ「はぁ!?何を言ってんだお前は!」

転「変な意味じゃなくて!早く!抱えるんです!」

コヨーテ「なんなんだよ…!」ガシッ

転「ポチくん!私たちを上まで運んでください!」

ポチ「上までッスか!?」

転「早く!骨が来…」

ポチ「銀の踊り(シルバー・ダンス)!」ドンッ

コヨーテ「うおっ」グイッ

転「わっ」
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:15:56.41 ID:lYioh.SO
ドドドッ

ドクロ「ほう…上に避けるとは…しかしずいぶん高く飛ぶのう…」

転「よし、コヨーテ!あなたの力で私をあいつの方に投げてください!」

コヨーテ「無理だ!さっきの肋骨でやられちまうぞ!」

転「いいから!一か八かです!早くしないと落ち…」

コヨーテ「分かったよ…!金の踊り(ゴールド・ダンス)!」ググッ

転「行くぞ!名付けてテンコミサイル!!」

ギュンッ

ドクロ「!!」

ドクロ「無駄じゃ、肋骨大鋏…」グググ

転「……」ニヤッ

ドクロ(…なぜ笑う…?)

転「骨なら…」

転「…砕いてやればいい!」グッ

ドクロ「……!?」バキバキッ

ドゴオオオオン!!!


コヨーテ「なんだ、今の…」スタッ

ポチ「おかしいッス…テンコさん、武器になるようなものは持ってなかったのに…」

コヨーテ「……拳か?」
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:24:50.21 ID:lYioh.SO
転「はぁ…はぁ…」パラパラ

転「できた…二年ぶりに…危ない…ギリギリだ…」

ドクロ「ぐ…ぅ…」

転「さすがに今のは…効いたでしょう…」

ドクロ「…いくらあの高さからでも…わしの骨を砕く威力は出ん…」

ドクロ「一体、何をしたのじゃ…!?」

転「……見えない拳…私の『バイ・セカンド』危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)の…とっておきの一撃です…」

ドクロ「ぐ…大した威力じゃな……しかし…」

ドクロ「今のでとどめを刺せなかったのは…失敗じゃな」ブンッ

転「鞭…やばっ…!」サッ

ドスッ

転「……っ!」ズキン

ドクロ「骨の打撃は…痛いじゃろう…」

転「コヨーテも痛がるワケだ…」

ポチ「テンコさん!」ダダダダ

ドクロ「近づけはせんぞ!」ブンブンッ

転「うねりを…ポチくん、避け…」

ポチ「…ない!」ダンッ

ドクロ「何じゃとっ…!?」

ポチ「押さえたぞ…鞭…」ググググ

転(そうか、銀の踊りで強化された脚力なら…)

ポチ「鞭も肋骨も使えなくなった!今ッス!」

コヨーテ「おおおおお…!!」グッ

コヨーテ「金の踊り(ゴールド・ダンス)!」ブンッ

グシャッ
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:33:40.45 ID:lYioh.SO
ガシャアン!!

転「ず、頭蓋骨に…腕までふっ飛んだ…!」

コヨーテ「どうだ!俺の強化された拳の威力は!あぁ!?」

ドクロ「……」

ポチ「……テンコさん!大丈夫ッスか!?」

テンコ「ええ…だけど二人とも…無理しすぎです!」

テンコ「ポチくんは足をふっ飛ばされたかもしれないし…コヨーテは骨ミサイルのカウンターが来たら穴だらけにされてましたよ!?ギリギリすぎる!」

コヨーテ「バーカ、無理しないと、ギリギリじゃねぇと、勝てねぇだろうが!」

ポチ「だいたい、テンコさんのさっきのも、十分ギリギリだったッスよ!!」

転「た、確かにそうですけど…」

コヨーテ「でもこれで、あいつは…」

ガシャッ

コヨーテ「……あいつ、は…」

ゴキゴキ グッ…ガシャン

コヨーテ「おい……嘘だろ?」

ドクロ「…頭蓋骨と右腕のスペアなら…そこらじゅうに転がっておるよ」

転「そんな…」

ポチ「兄貴!避けるッス!」

ドクロ「もう遅い」


ドスッ
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:50:30.35 ID:lYioh.SO
コヨーテ「ぐ……!」ヨロッ

ドサッ

ポチ「兄貴!」

ドクロ「……油断したようじゃのう…」

コヨーテ「げほっ…まさか、そんな簡単に立ち上がるとは思わねえだろ…」

ドクロ「無理もない…」スッ

転「!」

ポチ「や、やめるッス!それ以上やったら…」

ドクロ「…ならお前もじゃ」グルッ

ドスッ

ポチ「え…」

転「ポチくん!」

ポチ「あ、足を…」ガクン

コヨーテ「……ちくしょうがぁ!」ブンッ

バキィン

ドクロ「…くっつける必要も、もうないようじゃの…」

コヨーテ(肩を貫かれたせいで…力が…)
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:52:27.74 ID:lYioh.SO
ドクロ「……終わりじゃ」シュッ

転「コヨーテっ!」

ポチ「兄貴!」

コヨーテ「……!」


ガキィン


コヨーテ「………あ?」

ポチ「骨が…打ち落とされた…?」

転「…!」ゾクッ

転(…まただ…また…この感覚…)


ドクロ「誰じゃ…」ギロッ

スッ

ドクロ「骨ミサイル!」

ギュンッ!!

?「……」カチッ

バララララララララ!!!

ドクロ「!?」

コヨーテ(この音は…マシンガンか…!?)

ドクロ「まさか…お前は…」

ドクロ「…お前は……!」

?「…よう。爺さん…そして……」

?「助けに来たぜ、雑魚悪魔ども」ザッ
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:54:08.99 ID:lYioh.SO
今日はここまでにします

露骨な肋骨って何の技だったかな、とか思いながら書いてたけど、結局思い出せなかった…
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:44:34.73 ID:6aeiEMDO
遅くなったが、1乙でした
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 23:55:17.70 ID:h45pMUDO
乙です。
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:14:35.75 ID:sCdszoSO
コヨーテ「助けに来たぜって…」

ポチ「……誰ッスか…?」


?「……」

ドクロ「…なぜお前が…ここにいるんじゃ…」

?「こっちのセリフだ。どうしてあんたみたいなオイボレが、今さらこんなところで戦っている?」

ドクロ「……質問に答えるのじゃ…」

?「…俺はよ、あの人に呼ばれて来たんだよ」

?「エレカ嬢によ」

ポチ「…!」

ドクロ「なんじゃと?」

?「あの女、いきなり俺んとこに『頼みたいことがある』なんてよ、クソ生意気な奴だから、無視してやってもよかったけどよ」

?「聞けば、魔王サマは死んじまったらしいな」

転「…まだ生きてるはずです」

?「……ん?」クルッ

?「…ああ、なんだっけなお前。見たことあるぞ。確か…」

?「確か……」

転「シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ」

?「それそれ。つーか、お前、確かさぁ」

?「結構前にウチのロキと闘りあったんだってな?」

転「……」
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:22:11.52 ID:sCdszoSO
コヨーテ「ウチのロキ?」

ポチ「どういう意味ッスか…?」


転「……」

?「いやな、流石に俺もビビったぜ。ホント、急に呼び出しなんてかけられてさ」

?「俺と、白銀ちゃんと、あと…」

ドクロ「わしじゃ」

?「ああそうだ、爺さんもいたよな」

?「……ロキがやられた、やったのは悪魔だ」

?「そんで、その悪魔がお前だったってワケだ。なぁ、シャル嬢?」

転「……そう、ですね」

?「俺ぁ別によ、そのこと自体を責める気はねえんだよ。どうせあいつからふっかけて来たんだろ」

?「…でもよ、あれ以来あいつを見ないんだよな」

転「……」

?「死んじまったのか、どっかで生き延びてるのかは分からねえけど、お陰で6人いた上級悪魔は実施5人になっちまった」

?「その負担は俺が背負うんだぜ?なんでだと思う?」

転「…分かりません」

?「俺が一番、真面目だからだよ」
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:30:08.24 ID:sCdszoSO
ドクロ「お前が真面目かどうかは釈然とせんがのう」

?「俺が真面目だっつってんだから、真面目でいいんだよ」


ポチ「…今あいつ、『上級悪魔』って…」

コヨーテ「おい…おいテンコ!お前物知りだから、知ってんだろ!どういうことだ!?」

ドクロ「足元でぎゃあぎゃあ喚くでない…」スッ

コヨーテ「!やべ…」

ガァン!!

ドクロ「!」

?「おいおいおい…ちょっと待てよ、ん?今いい質問が出たじゃねえか」

?「俺が誰かって?そうだよな、気になるだろうな」

?「いいか、覚えとけ…右手にはマグナム、左手にはマシンガン…」

?「俺の名は…」


転「…『機皇』ユーカイ…」


?「そうそう、俺がユーカイ…」

?「って!なんで言っちまうんだよ!!バカじゃねえの!?」

ポチ「機皇…」

コヨーテ「…ユーカイ」

ユーカイ「…まぁいいよ…俺はそこにいる骸骨ジジイと同じ、上級悪魔だ」

転(……まさか、二人の上級悪魔を一度に見ることになるとは、夢にも思わなかったなぁ…)
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:46:06.44 ID:sCdszoSO
ドクロ「それで結局お前は…何がしたいんじゃ…」

ユーカイ「それがよぉ…よく知らないで来たんだよな、とにかく『雪山にいる悪魔を助けてやってほしい』としか言われてねえからな」

ユーカイ「一体何だってんだ?魔王サマは死…いや、死んでないんだっけ?とにかく撃たれて?」

ユーカイ「その娘のエレカ嬢からいきなり『助けてやってほしい』なんて言われて?」

ユーカイ「来てみりゃ同じ上級悪魔のジジイがやりたい放題」

ユーカイ「なんのこっちゃ」

転「…私たちは今、赤の城に向かってるんです」

ユーカイ「赤の城?…なんでそんなとこに行くんだよ」

転「濡れ衣を着せられてるんです。魔王襲撃の」

ユーカイ「マジ?濡れ衣?お前それ、カッコいいじゃねえかよ。人間界でも似たようなことがあったよな?なんちゃら大統領が…」

ドクロ「ケネディじゃろう」

ユーカイ「それそれ。そのケネビー大統領?が射殺されて、犯人のオズ…オズ…」

ドクロ「オズワルドじゃ」

ユーカイ「そうだよそれだよ。さすが200年生きてるジジイは違うな。で、そのオズワールが捕まって、でもホントはあれ、濡れ衣なんだろ」

転「そんな感じです」

ユーカイ「あ、でもオズボーンって、捕まる前に殺されたんだったか?これお前、死ぬんじゃねえの?赤の城の奴らにやられて」

転「私は死にません…まだ、[ピーーー]ない」

ユーカイ「……ふーん。そうか。まぁ、いいや。で?爺さんは?あんた何やってんの?」

ドクロ「わしは青の城の娘に頼まれて、こやつらを仕留めようとしとるんじゃよ」

ユーカイ「なにその『これからイノシシ狩るんだ』みたいな言い方。つーかなに?青の娘の娘?娘なのか?」

ドクロ「そうじゃな」

ユーカイ「青の城んとこの王様もやられちったのか?」

ドクロ「いや、襲われたのは黄の魔王だけじゃ」

ユーカイ「…であんたは、犯人のこいつを仕留めようとしてるんだな?なるほど、なるほど…理解理解」
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:58:38.20 ID:sCdszoSO
ユーカイ「……じゃあ俺は結局、どうすりゃいいんだ?」

コヨーテ「助けてくれるんじゃねーのかよ!」

ユーカイ「ん?誰を?」

コヨーテ「俺たちをだよ!」

ユーカイ「了解」ガチャ

ドクロ「!」

ダンッ!!

ドクロ「む…」

ダン ダンッ!!

ドクロ「むぅ……」

ダンダンダンッ!!!

ドクロ「っ……」

ユーカイ「ああもう焦れったい!吹っ飛べやジジイ!」ガチャチャン!!

転「!」

ユーカイ「WM-ダブルエム-(マグナム&マシンガン)!!」カチッ!!

ダラララッ!!バラララッ!!ドン!!ダララッ!!バンッ!!ドンッ!!

コヨーテ「あ、危ねぇ!」ダッ

ポチ「兄貴、はや…」

バラララッドンッバラララッ

バンッバララッドンッバラララッ

ダンダンッバラララッドンッバラララッ

ドクロ「むぅ……!」

ユーカイ「いい加減に去ねや!ジジイ!」

バラララララララララララララッッ!!!!

ドクロ「……」ビキビキ

バキィン!!!
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:59:21.29 ID:sCdszoSO
コヨーテ「うぉ!?すげぇぞあいつ!!」

ポチ「…あの骨の体がバラバラに…!」

転「……」


ユーカイ「ふー…」プシュー

ユーカイ「……」キョロキョロ

ユーカイ「…保ってせいぜい…10分だな。砕きが足りねえ…」ダッ

コヨーテ「おい!あいつ逃げたぞ!」

ユーカイ「バカ野郎、逃げてんじゃねえ、引っ込んでんだ!」ダダダ

コヨーテ「はぁ!?」

ユーカイ「てめえらも早く来い!せっかく俺が時間稼いでやったんだ!」

コヨーテ「何なんだよ…!」ダッ

ポチ「テンコさん、俺たちも…」

転「そう…ですね。とにかく今は彼に着いてきましょう」ダッ


ドクロ「……」
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:19:02.80 ID:sCdszoSO
少し離れた所

ユーカイ「よし、この辺りならいいだろ…」ザザァ

コヨーテ「…なにがいいんだよ?」

ユーカイ「弾を込めなきゃならねえ…」ガチャ

コヨーテ「ああ、それで…」

転「…ユーカイ」

ユーカイ「…何だよシャル嬢、いきなり呼び捨てかよ」

転「彼は…ドクロは…」

ユーカイ「ああ、お察しの通りだよ。あのジジイがあんなので死ぬわけねえ。200年以上生きてるってだけはあるな」

ポチ「また、周りの骨をかき集めて…」

ユーカイ「そうだそうだ。そんで元通りになっちまう」

ユーカイ「だけどよ、あんだけバラバラになりゃ復元に多少は時間がかかる。お前ら雑魚はその間に準備しとけ」

ポチ「準備?」

ユーカイ「迎撃の準備だ」ガチャン


転「正直…エレカが私たちに助けを出すなんて、信じられません。それも、あなたほどの…」

ユーカイ「信じられません、なんて言われても、本当なんだから仕方ねえだろ。魔王が襲われたってんなら、遅かれ早かれ呼び出されたんだろうが」

転「…私たちを助けてくれるんですか?」

ユーカイ「……どうしようかな。お前らだけじゃあのジジイには勝てない。それは間違いない」

ユーカイ「でもやっぱ強いんだよなぁ…しかもあんだけ骨が散らばってる場所で戦われちゃ、俺だって勝てるかどうかビミョーなんだよな…」

ユーカイ「…だったら逃げた方がマシだと思わねえか?もちろん、俺だけがな。お前らは置いていくぜ」

転「……」

転「そのときはそのときです」

ユーカイ「……冗談だよ。逃げねえよ。心配するな。俺はやることはちゃんとやるんだよ。なぜなら…」

転「真面目だから」

ユーカイ「……言うなっつーの」
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:38:58.67 ID:sCdszoSO
コヨーテ「ってぇ…肩…」

ポチ「俺もそういえば…足をやられてたッス…」

ユーカイ「止血くらいはしとけよ。こっからキツくなるぜ」

ポチ「包帯…さっき(>>170辺り)無駄遣いしたから…あとちょっとしかないッス」

コヨーテ「よこせ!」

ポチ「兄貴は後ッス!」

転「……」

ユーカイ「…シャル嬢は今んとこ無傷か」

転「あ、はい…大きな傷はありません…」

ユーカイ「……」ジィッ

転「…なんですか?」

ユーカイ「……お前」

ユーカイ「貧乳だな。悲しくなんねえの?それ」

転「え」
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:41:14.64 ID:sCdszoSO
ユーカイ「…ロキを倒したっつーから、よほどガッチガチの女なのかと思えば…吹けば飛ぶよな体型だ」

ユーカイ「もっかい聞くけど、悲しくなんねえの?それ、貧乳。Aカップ?だよな。どう見たってAだ。うんうん」

転「」ブチッ

ユーカイ「ああ、怒った?悪い悪い。俺、そういう事遠慮せずに言っちゃうタイプなんだよ」

ユーカイ「だから次からはあらかじめ『貧乳であることを指摘しないでください』って言ってくれよ、かしこまって。ハハハ」

転「……」イラッ

転「…私だってね、『上級悪魔最強』と謳われる『機皇』が、こんなチャラい奴だと思いませんでしたよ」

ユーカイ「チャラい?俺が?だいたい『最強』ってなんだよ。上級悪魔にそんなもんねえよ」

転「…そんな感じの話を聞いたことがあるんですけどね」

ユーカイ「どこ情報だよ。デマだっつーの。俺は別に最強じゃねえよ。最強に真面目、最強にいい子、なら俺だけどよ」

転「自分で最強にいい子、なんて恥ずかしくないんですか」

ユーカイ「恥ずかしくねえよ。いいか、俺が『最強』なら、あのジジイは『最年長』だ。お前が戦ったロキは『最硬』だ」

ユーカイ「…そういやお前あいつにどうやって勝ったんだ?気になるな」

転「……」

ユーカイ「まぁいいか。…で、あとは…サヤが『最麗』、いや、『最可愛い』。鬼が『最凶』。クランくんが『最速』だな」

転「サヤ?鬼?クランくん?」

ユーカイ「そういうのもいるんだよ。調教…じゃねえや。協調性のない奴らだけどな」

転(さすがに会うことはないんだろーな)

ユーカイ「……さて。まだ時間があるな。どうだ、ちょっとした作戦でも建ててみるか…」
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:51:13.55 ID:sCdszoSO
転「…作戦?」

ユーカイ「そうだ。…おい、お前らも来い」チョイチョイ

コヨーテ「ほれ、包帯」

ポチ「兄貴、使い過ぎッス」スタスタ

ユーカイ「……まず、確認したいんだけどさ、お前らは何がしたいんだ?」

転「赤の城に行くんです」

ユーカイ「行って、どうする?」

転「クレアと戦うことになるんでしょうね」

ユーカイ「クレアって赤の城の娘か。あの子可愛いよな。タイプだわ」

転(知るか)

ユーカイ「…ん?待てよ。濡れ衣を着せられてるんだろ。無実を証明したいんだろ」

転「ええ」

ユーカイ「じゃあ、クレアと戦うのはまずいんじゃねえの?」

転「戦わなきゃならない状況なんですよ」

ユーカイ「なんで?意味分かんねえ」

転「妹が捕まってるんです」

ユーカイ「…人質?」

転「…どうやら彼女は私と戦いたがっているようです」

ユーカイ「ふーん。じゃあ負けたらリアルオズマリオだな」

ポチ「オズワルド、ッスよ」

コヨーテ「オズマリオってなんだよ…」
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:04:33.61 ID:sCdszoSO
ユーカイ「とにかく、赤の城に行って、クレアを倒す。それが最終的な目標なら…」

ユーカイ「お前、この戦いで無理したらアウトだな」

転「…!」

ユーカイ「だって、そうだろ。腕、足の骨一本でも折ってみろ。そのときゃ平気でも、後でツケが来るぜ」

転「……」

ユーカイ「なんなら俺がお前を隠してやってもいいぜ。そのぐらいのスペースはあるからな」

ポチ(スペース?)

転「私に戦うな…と?」

ユーカイ「戦う戦わないはお前の勝手だけどよ、まあ先のことを考えたら、何もしないほうがいいんじゃねえの?」

転「……」

ユーカイ「ま、しっかり考えろよ。手足が吹っ飛んでからじゃ遅いからな」

ポチ「大丈夫ッスよテンコさん、いざってときは俺が盾に…」

ユーカイ「……お前、盾とかなんとかでどうこうなる戦いだと思ってんのか?」

ポチ「…え?」

ユーカイ「……今までのお前らの戦いなんて、前座だよ。いや、見てねーけどさ」

ユーカイ「少なくともあのジジイにとっちゃ、まったく不必要な戦いだった」

コヨーテ「…どういうことだよ」

ユーカイ「……俺も…ジジイも…たぶん同じことを思ってるだろうからな。はっきり言ってやるよ」

ユーカイ「上級悪魔を舐めるなよ…」
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:16:26.54 ID:sCdszoSO
ユーカイ「シャル嬢よ、お前、ロキと戦ったろ。どうだった?」

転「……強かった…何よりも、怖かった…一人で戦ってたら、勝ち目はなかった…」

転「いや、でもあれは…」

ユーカイ「…とにかく、めちゃくちゃだったろ。『教化型(レア・スタイル)』に鉄壁の防御だもんな」

転「……」

ユーカイ「だけどはっきり言って、俺もジジイもあいつよりずっと強い」

転「……」

ユーカイ「お前らは俺たちを舐めすぎてるんだよ。さっきも、俺がギリギリ助けに来なかったら」

ユーカイ「たぶん全滅してたぜ」

コヨーテ「……全滅」

ユーカイ「しかもあのジジイと来たら、ちっとも本気を出してやがらねえ。まだまだ余裕持ってんだ」

ポチ「…余裕……」

ユーカイ「だけど、安心しろ」

ユーカイ「俺ならあのジジイと、互角…いや、それ以上に渡り合える」

転「…本当ですか?」

ユーカイ「……やっぱ今のなし。分からん。断定はできん。もしかしたらあのジジイ、めちゃくちゃ強くなってるかも知れないからな…」

転「……」

ユーカイ「必要なのはお前らが全力でやることだ。そして作戦だ。いいな?俺は負ける気はねえぞ。あのジジイは絶対潰す」
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:23:48.83 ID:sCdszoSO
ユーカイ「…まず…そうだな、お前ら何ができる?ほい」スッ

コヨーテ「殴る…」

ユーカイ「殴る…ね。ほい次」スッ

ポチ「…蹴る」

ユーカイ「蹴る、か。で、シャル嬢は?」

転「投げる」

ユーカイ「投げる…、なるほど、なるほど…」

ユーカイ「大丈夫かよ、これ?」

転「……あなたは何ができるんです?」

ユーカイ「……撃つ。ひたすら撃つ。撃ちまくる。俺にはそれしかねえな」

転「お互い様ですね」

ユーカイ「お前らの殴る蹴る投げると俺の撃つを一緒にすんなって……」

コヨーテ「で、作戦ってどーすんだ!」

ポチ「早くしないと、あいつが復元するッスよ!」

ユーカイ「分かってるよ、うるせえな…」

ユーカイ「……」

ユーカイ「少し乱暴な作戦だけど、一つ浮かんだぞ。題して…」

ユーカイ「骨折り得のくたびれ儲け…」

ポチ「……」

コヨーテ「……」

転「…損じゃなくて、得?」
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:38:06.39 ID:sCdszoSO
ユーカイ「まあ名前だって何だっていいんだよ…いいか?この作戦は要するに…」

ユーカイ「あいつの使えそうな骨を片っ端から砕くって作戦だ」

転「作戦になってるんですか?それ…」

ユーカイ「いいから聞けって。まず俺のこのマグナムとマシンガン」スッ

ユーカイ「貸してやる」グイッ

コヨーテ「ちょ…」

ポチ「お、俺、マシンガンなんて使ったことないッス!」

ユーカイ「いいんだよテキトーで。で、シャル嬢は、『投げる能力』なら近距離からじゃなくても攻撃できるな?」

転「そうですね…」

ユーカイ「…お前らは三人がかりで、とにかくジジイをもっぺんバラバラにしろ」

ユーカイ「そうしたら俺が、集中放火で周りの骨をふき飛ばす」

ユーカイ「一時間は復元できないようにしてやれば、それで終わりだ」

転「…それだけですか?」

ユーカイ「それだけだ」

コヨーテ「案外簡単そうだな」

ユーカイ「……そうでもないんだけどな」

ユーカイ「いいか、攻撃を三発以上受けたら負けだと思え」

ポチ「三発…?」

ユーカイ「骨の攻撃はかなり効くぜ。それにジジイも、今必死になって太くて硬いの探してるだろうしな」

転「……」

ユーカイ「シャル嬢、下ネタじゃないからな。骨の話だぞ」

転「いや、分かってますよ」

ユーカイ「…じゃ、そろそろ戻るぞ。先手を打つ」
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:41:49.82 ID:sCdszoSO
今日はここまでにします
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:43:59.18 ID:W9f2lrso
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 02:35:27.53 ID:0Tq.rsDO
乙です。
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 21:16:17.80 ID:KrhZ.ISO
ドクロ「うーむ…いい感じの左腕が見つからないのう…」ウロウロ


コヨーテ「よし!今ならまだ隙だらけだぜ!」

ユーカイ「……いや、ワンステップいりそうだ…。あの右手見てみろよ」

コヨーテ「右手?」

ポチ「……あれは」

ユーカイ「鞭になってる。あのジジイなら、骨をまったく違う場所に組み込むことだってできんだよ。ホント無茶苦茶だけどな」

転「今撃ってったら、間違いなくあれで弾き返されますね」

ユーカイ「そーいうことだ、だから…」スッ

ユーカイ「でかいの一発かましてやるぜ」ガチャンッ

転(…いつの間にそんなものを……?)

ユーカイ「3、2、1、Fire」カチッ

ドンッ


ドクロ「……む?」クルッ

ゴオオオオッ!!

ドクロ「無駄にでかい弾じゃのう」ブンッ

バキィッ!!

ポチ「駄目ッス!鞭で……」

ユーカイ「いや、これでいい。無駄にでかい弾の『中身』は…」

バラバラッ

ドクロ(中から何かが…これは…)


ユーカイ「手榴弾×5…だ」



ドガアアアアン!!!!!
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 21:41:57.02 ID:KrhZ.ISO
ブワッ

ドクロ「ぐぅ…!」


ユーカイ「ちぃ…。一つも直撃しないか…鞭で弾いたからだな…」

ユーカイ「だがこれで…隙が出来た…行けお前ら!」

ポチ「了解ッス!」ガシャ

コヨーテ「行くぜ!」チャッ

転「私だけ丸腰か…」スッ

ユーカイ「撃てーっ!!」


ドクロ「……!?」

ズダダダダダダダダダダダダ

バギン!! バギンバギン!!!

バシュッ バシュバシュン!! ドゴッ!!!

ドクロ(弾丸に骨…これは返せんな…)

ドクロ(わしを再び粉々にするつもりか…!)

ドクロ「……狡猾な硬骨(クラフティ・ボーンズ)!!」

ドドドドドッ!!!

ポチ「…骨のシャッター!?」

コヨーテ「野郎、あんなことまで…」

ユーカイ「…とにかく撃て!撃ちまくれ!」

ドクロ「砕いてみるがよい!!」
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 21:44:48.04 ID:KrhZ.ISO
転「……」

転(弾丸を何発当てようが、あの壁は崩せないだろうな…)

転(となると…私がやるしかないか……)

転(『ヘビー・ヨーヨー』で同じ物体を高速で、連続で、引き寄せ、弾くことができたんだから…)

転(別々の物体を高速で、連続で、弾き飛ばすこともできるはず…)

転「…骨骨骨っ!」バシュシュシュッ!!

ユーカイ「!?」

転(よし、このまま…)

転「骨骨骨骨骨骨骨骨骨っ!!!」バシュシュシュシュ!!!

転(このまま、骨を真っ直ぐに弾き飛ばしてけば…)

ガンガンッ!!!

転(…後ろからどんどん押されて、先頭の骨はより速くなる!!)

ギュンッ!!!

転「…行けっ!!」


ドクロ「……」

ピキピキ…

ドクロ「…なんじゃ…?まさか…」

ビキビキ……

バキィン!!!

ドクロ(バカな、シャッターが…!)

ドスッ

ドクロ「むぅうっ!?」ズザザッ
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:06:21.77 ID:KrhZ.ISO
転「穴が開きました!今です!」

ユーカイ(!)

ポチ「あれッスね!?」

コヨーテ「よし、ぶっ壊してやらぁ!!」

ダダダダダダダダダッ!!!

ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ!!!

ドクロ「……!」バッ

ドクロ(しまった…!左腕がない状態じゃガードできん…!)

ドクロ「く…おのれ……!?」

ガシャアアアン!!!!
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:06:52.20 ID:KrhZ.ISO
ユーカイ「…よし、砕けたな!!後は俺が…」

ユラッ

ユーカイ「……!」ゾクッ

転「どうしたんです?なぜ止まっ…」

ユーカイ「下がれ」

転「え?」

ユーカイ「下がれってんだ!!!」

転「何を…」

ポチ「テンコさんっ!!」ドンッ

転「わ…」


ドゴッ!!


転「……え」

ポチ「……かはっ」ブワッ

ドシャアッ

転「…ポチくん!?」

コヨーテ「……なんだ…あれ…」

ユーカイ「…信じられねぇ…あのジジイ、弾丸を浴びる直前に…」

ユーカイ「体を半分以上捨てて、鞭に組み換えやがった…!!」

ポチ「う…」

転「ポチくん…ポチくん!!」


ドクロ「……」

ドクロ「かなり…危なかったが…もともと…再構築したこんな体じゃ…捨てるのに何の躊躇いもないわい…」

ドクロ「歩けないのは不便じゃが…この鞭があれば…」

ドクロ「動かずどもお前たちを潰せる……」
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:10:02.75 ID:KrhZ.ISO
ユーカイ「……これは、かなりまずいな」チラッ

ユーカイ「…あんなもん出されちゃ、もうそんなちゃっちい銃なんて、一瞬で壊されちまう」

コヨーテ「なら俺が止め…」

ユーカイ「無理だ。たぶんお前の力でも、あの鞭は止められねえよ。近づいてラッシュを叩き込むってんなら、まだお前は役に立つが…」

ユーカイ「万が一近づけても、あれだけ骨があっちゃ駄目だな。馬鹿でかいカウンターが来るぜ」

コヨーテ「じゃ、どうすりゃいいんだよ!?」

ユーカイ「……」

ユーカイ「……俺が、やるしかねえ」

コヨーテ「あんた一人でか!?」

ユーカイ「ああ。悪いがもうお前らは邪魔にしかならねえ。シャル嬢があれを一発でも食らったら、骨折じゃ済まねえよ。ポチだっけ?お前も、よくその程度で済んだよな。運がいいぜ」

ポチ「くっ…むちゃくちゃ痛いッスよ…」ズキズキ

転「…でも、あなた一人で何が…」

ユーカイ「何ができるかって…?」ギロッ

転「!」ビクッ

ユーカイ「お前、まさかあの程度が、俺の本気だと思ってたのか?」

転「…!」

ユーカイ「言っただろ。上級悪魔舐めるな、って。いいか、今から…」

ユーカイ「…『機皇』ユーカイの、真の力を見せてやる」
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:24:55.22 ID:KrhZ.ISO
ユーカイ「なぁ…爺さんよ…」スタスタ

ドクロ「…なんじゃ、吹き飛ばされたいのか?」

ユーカイ「…やっぱあんたはすげえよ。そんな即席で作った骨の鞭一本で、こっちを圧倒しちまうんだからよ」スタスタ

ユーカイ「だけどな」ピタッ

ユーカイ「俺だって、この姿でいる内は大したことねえんだわ」

ドクロ「……そうじゃったな」

ユーカイ「ってわけで……行くぜ…」スッ

転(両腕を突き出して…何を…?)

ユーカイ「おいお前ら!」

転「は、はい!?」

ユーカイ「もうちょい下がれ」

転「……」ザッ

ポチ「な…何をする気なんッスか…」

ユーカイ「変……身………」

コヨーテ「変身…?意味分から…」

ユーカイ「……」プシュー…

コヨーテ「な、なんだありゃ!?なんで体から蒸気が…」


ユーカイ「……」バキンッ

コヨーテ「うおおっ!腕がおかしな方向に…」

ユーカイ「……」グルンッ

ポチ「こ、腰が一回転…!?」

ユーカイ「……」バカカッ

転「背中が開いて…」

ジャキィン!!!

転「……キャノン砲!!??」
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:36:30.84 ID:KrhZ.ISO
バキン ゴシャンッ ガギギッ

コヨーテ「ど、どんどん姿が変わってくぞ…」

ポチ「もうほとんど、原型を留めてないッスよ…」

転「……」ポカーン


ユーカイ「……パワー200%…行くぜ…」

ユーカイ「全銃火器展開形態(フルメタル・オーケストラ)」ジャキィン!!!


ドクロ「…その姿は…久しぶりに見たが…」

ドクロ「前よりさらにごつごつしておらんかのう」

ユーカイ「機関銃6門に、ミサイルポッドが肩にくっついた」

ユーカイ「さらに、ロケットエンジン付きだ…」

ドクロ「なるほど…君も日々進化しておるのじゃな」

ユーカイ「…人間は成長するんだよ。もっとも俺を人間と呼べるかどうかは分からんが」

ドクロ「わしもじゃよ」

ユーカイ「あんたは死んでるも同然だろ…」


転「ちょ、ちょっと待ってください!!」

ユーカイ「…なんだよ」グルッ

転「どういうことですか…その姿…まるで…軍事兵器みたいな…」

ユーカイ「軍事兵器か。間違ってないな」

転「能力…ですか?」

ユーカイ「違う。俺は能力を『使えなくなった』悪魔だ」

転「…使えなくなった…?」

ユーカイ「…悪い、爺さん。こいつが納得するまで待っててくれねえか?」

ドクロ「…いいじゃろう。今さら数分くらい、惜しくないわい」
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 22:51:37.91 ID:KrhZ.ISO
ユーカイ「…お前、ロキと戦っただろ」

転「……はい」

ユーカイ「あいつが何だったか、知ってるか?」

転「…何だったか?」

ユーカイ「あいつは普通の悪魔とは違うんだよ」

転「……」

転「『強化型(レア・スタイル)』…ですか…」

ユーカイ「そうだ。あいつはなんかよく知らんが、肉体の制限を解かれて強くなった。んで上級悪魔にもなれたわけだ」

ユーカイ「…じゃ、強化型はあいつ一人なのか?」

転「…一人じゃ…ない?」

ユーカイ「色んな奴が…肉体の制限解除の実験台にされた。そして結果、成功し、強化型になったのは、片手で数えるほどしかいないみたいだ」

転「……」

ユーカイ「では、実験台の失敗策はどこに行ってしまったのか?」

転「……殺されたのでは?」

ユーカイ「そうだな。殺されたんだ」

ユーカイ「ただ、それでも、0.2%くらいは生き残ったんだ」

転「……」

転「…その0.2%の中に、あなたが…?」

ユーカイ「ああ。俺はなんと、奇跡的にも、五体を綺麗に残したまま生き残ったんだ」

ユーカイ「その代わり、能力が使えなくなっちまった」

転「……まだ、話が読めませんね」
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:02:31.19 ID:KrhZ.ISO
ユーカイ「俺はなんとか生き残った…とは言え、能力を失ったんじゃ、いつ死んでもおかしくない」

ユーカイ「もしかしたら、生き残りの始末に、連中が躍起になるかもしれなかったしな」

ユーカイ「だから俺は、なんとかして、なくした能力の埋め合わせをしようと思ったんだ」

ユーカイ「そして、彷徨って、彷徨って、彷徨った果てに…」

ユーカイ「大量の銃火器が処分されてる、物凄い規模のゴミ捨て場みたいなとこを見つけた」

ユーカイ「俺は、銃の一つを手にとってみた。別に深い考えがあったわけじゃない。弾が出ないんじゃねえかと思ったくらいだ」

ユーカイ「だがその銃は、変なくらいに、俺にしっくり来た」

転「……しっくり来た?」

ユーカイ「うまく言い表わせねえんだ。とにかく俺はそのとき直感的に」

ユーカイ「この置き捨てられた銃火器を、利用してやろうと思ったんだ…」

転「……」

ユーカイ「最初は、とにかく色んな銃を使ってみた。小さな拳銃から、むちゃくちゃでかいロケットランチャーまで、落ちてる火器を片っ端から使ってみた」

ユーカイ「それで、気に入ったのを選りすぐって、自分のものにしちまおうと思った。能力は使えなくても、立派な銃を持ち歩いてりゃなんとかなりそうだろ」

転「……それで?」

ユーカイ「…選りすぐれなかったんだ」

転「はい?」

ユーカイ「決められねえんだ…どれもこれもしっくり来すぎて…極端な話、俺は、すべての銃火器を使えるようになってたんだよ…」

転「すべての銃火器って…」

ユーカイ「……でな、その時俺に電流奔る…だ。奇策が浮かんだ。俺は…」

ユーカイ「これらの火器を、体に組み合わせちまおうって、そう思ったんだ」

転「……」

転「は?」
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:09:57.93 ID:KrhZ.ISO
ユーカイ「おいおい、女の子が、は?なんて言うもんじゃないぜ」

転「…失礼しました」

ユーカイ「俺はな。がむしゃらに、銃を体に組み合わせたんだ。腕をショットガンに換えたり、肩にバズーカ砲ひっつけたり、いろいろやってみた」

転「そ、そんなことしたら、体が…」

ユーカイ「もちろん、乱暴なやり方だから、体は傷つく一方だった。だけど、気付いたんだ」

ユーカイ「銃火器を取り込んだ俺の体は、機械とほぼ同じだ。痛みなんてほとんど感じねえ。人としての大事な部分が欠落しちまった」

ユーカイ「そして今、俺は脳と一部の臓器以外は、ほとんど銃火器、機械のパーツになってる。だからさっきまでの人間の形からこの姿になれた。変身ってよりは変形だな」

転「そんなバカな話が…」

ユーカイ「あるんだよ。実際お前の目の前に、いる」

転「……」

ユーカイ「ロキが『強化型(レア・スタイル)』なら…俺はその失敗策から生まれた唯一無二の…」

ユーカイ「『機械型(ジグロ・スタイル)』だ」

転「…機械型…!」
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:13:13.63 ID:KrhZ.ISO
今日はここまでにしまうま
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 23:23:47.05 ID:NqBRqbMP
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/28(金) 01:17:14.29 ID:wAU4qMDO
乙でした。更新が楽しみです。
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 22:03:25.27 ID:zzqq96SO
ユーカイ「さぁ行くぜ…FO(フルメタル・オーケストラ)形態の俺の火力は…」

ユーカイ「地獄一だ!消し飛べ!!」ドシュッ!!

ドクロ「…ミサイルか…そんなもの…」シュッ

パカッ

ドクロ(また…割れおったわ…!)

ギュンギュンギュンッ!!!

ユーカイ「小型ミサイル×10だ!!」

ドクロ「…骨の柵!」

ドドドッ!!

ユーカイ「ああ…?何防いでんだよ…」スッ

ユーカイ「なら…バズーカ砲!」ドンッ!!

ドクロ「無駄じゃ!骨の鞭!」ブンッ

パシンッ…

ユーカイ「勢いが落ちた…やべっ」バッ

カッ

ドクロ「…!」

ユーカイ「爆発する…とんでも火力なんだよこれぇ!」


ドガン!!!
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 22:10:13.83 ID:zzqq96SO
ユーカイ「げほっげほっ…直撃せにゃただの危ない爆弾だ…」

ドクロ「……」パラパラ

ドクロ「欝陶しいのう」

ユーカイ「……」

ユーカイ(ちっちぇえ弾は骨の柵だのシャッターだのでガードされる)

ユーカイ(バカでかいのを使えば、当たる前に鞭で弾かれる)

ユーカイ(なら、直接やりあうっきゃねえか…)

ユーカイ「JETモード…スタンバイ…」ウィーン

転「……足から…何かが…」

ドクロ「ロケットエンジンか…」

ユーカイ「ビンゴ!」ドゴンッ!!

ドクロ「……バカめ、わざわざこちらに突っ込んでくるとはのう…」

ドクロ「骨ミサイル!」ドドドッ!!!

コヨーテ「やべぇぞあれ!」

ポチ「ぶつかるッス!」

ユーカイ「……」ニヤ

ユーカイ「ショルダーキャノン×2!!」ボボッ!!

ドクロ(この距離で撃ってくるじゃと……!!)

ドクロ「まさか、相討ち覚悟で…」

ユーカイ「相討ち?」

ユーカイ「んなわけあるかよ」


ドガシャアアアアン!!!!
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 22:19:13.41 ID:zzqq96SO
転「なんて爆発を…こっちまで爆風が…」

転(しかし、強引に近づいて、盾を使わせないようにした上に)

転(自分ごと爆発に巻き込むとは…)


シュー……

ユーカイ「…ちっ…ロケットエンジンがイカれたか…背中まではガードできなかったな」

転「……!?」

コヨーテ「なっ…」

ポチ「今の爆発に巻き込まれて…無傷!?」

ユーカイ「俺だってそこまで馬鹿じゃねえよ。この腕をでかい防御壁にすることぐらいはできる。付属火器はダメになっちまうけどな」

転「…完成された兵器ってわけですか…」


ドクロ「完成?それはないじゃろう」

転「!?」

ユーカイ「…なにっ…!」

ドクロ「わしはまだ死んではおらぬぞ」

ユーカイ「…ウソだろ?今の爆発、直撃してたよな?」

ドクロ「……」

ドクロ「お前こそ…わしをあなどらん方がいいぞ」

ドクロ「先ほどお前にバラバラにされた後、わしは体のパーツを集めておったが…」

ドクロ「パーツは2セットずつ用意しておいた。お前たちがもたもた話し込んでいたせいじゃな」

ユーカイ「……2セットずつって…じゃあなんだよ、今の爆発でバラバラになった体は、それで埋め合わせたってことか…?」

ドクロ「そうじゃ。ただしもう、スペアはないがのう」

ユーカイ「……やべっ」
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 22:43:39.24 ID:zzqq96SO
転「そんな……」

コヨーテ「……くそっ」

ポチ「……汚いッスよ!!」

ドクロ「……む?」

ポチ「体がバラバラになったら作り替えるって…しかも二回!無敵じゃないッスか!」

ドクロ「何を言う…わしじゃって、このパーツを集めるのにはそれなりの苦労をしておるのじゃぞ…それを簡単に吹き飛ばされ…これを無くしたらもうスペアはないんじゃ!」

ポチ「でも、どうせ時間かけてこの骨の山からパーツを探せば、元に戻るんだ!」

ドクロ「それはそうじゃが…」

ポチ「やっぱり汚いッス!卑怯ッス!無敵じゃないッスか!」

ドクロ「むう…そう言われても困るのう…」

転「……無敵」

転「あれが無敵…そうだ。体をバラバラにされたら、また新しい体を用意して…」

転「……本当に無敵なのか…?」

転(何か…引っ掛かる…思い出せ。あいつはなんて言ってた?)
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 22:52:31.08 ID:zzqq96SO
ユーカイ「……おい、お前ら。もういい。邪魔なんだよ…」

ポチ「!」

ユーカイ「なぁジジイ…あんたが無敵だろうがなんだろうが…そんなのどうだっていいんだよ…」

ユーカイ「体が再生するなら!もっぺんバラバラにしてやりゃいい!単純だろうが!!」ガチャチャッ!!

ユーカイ「RPG(対戦車ロケットランチャー)!!」ボッ!!

ドクロ「またそんな大きなものを…」スッ

ドクロ「…いいじゃろう。わしもでかいのを見せてやる…」カチャカチャ

ドクロ「…屍骨帝龍(スカル・ドラゴン)!!」ドンッ

ユーカイ「……!?」

ガシャガシャガシャッ!!!

ポチ「骨でできた龍(ドラゴン)!?」

コヨーテ「やべぇ、あんなの、ロケランなんかで止められるわけねぇよ!」

転「……やるっきゃないな…」

転「ポチくん!コヨーテ!ガードを!」ダッ

ポチ「ガード…!?」


ドンッ!!!

ゴシャンッ!!

ユーカイ「ダメだ、砕いたはいいが破片が…」

ユーカイ(避けられない…!)


グシャアン
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 23:03:51.89 ID:zzqq96SO
ガラガラガラ

ユーカイ「く……」バッ

ガラガラ…

ユーカイ「……?」

ポチ「……ギリギリ…間に合ったッスね…」

ユーカイ「…!?な、なんでお前…」

ポチ「俺の能力…「聖域(サンクチュアリ)」は…周りへのダメージを0にする能力ッス…ただ、自分への攻撃は対処できないから…」

コヨーテ「俺の強化された腕力で、止めてやったぜ」

転「私も見えない手で頑張りましたよ!!」

ユーカイ「お前ら…」

転「……お返しだ!」ブンッ

ドクロ「!」ガシャシャン!!

転「ふー…いいですか…ユーカイ…」クルッ

転「あなたがいくらお偉い上級悪魔サマだとしても…」

転「私たちを邪魔者扱いするのだけはやめてもらいたい……」

転「私たちだって…必死なんです…こんなとこで、死んでられないんだ…」

転「四人で協力して戦えば!あいつは必ず倒せます!上級悪魔VS上級悪魔なんて構図じゃキリがない!」

ユーカイ「……いや」

ユーカイ「実はな、今のRPGで倒せなかった時点で、俺の必ず火器シリーズはほぼ全滅したんだ」

転「!」

ユーカイ「だけどよ、あいつも今、あんなでかい技使ったからよ、しばらくは…そうだな。鞭で戦うくらいしかできねえはずだ」

転「…じゃあ…チャンスですね…四人で一気に…」

ユーカイ「いや、シャル嬢、お前はもう、ここから逃げろ」

転「……え?」
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 23:09:17.69 ID:zzqq96SO
ユーカイ「お前、今、言ったよな。必死なんです、って」

ユーカイ「ならよ、こんなとこに時間かけてないで、さっさと先行けよ」

転「でも…」

ユーカイ「……」

ユーカイ「ここから先はよ、多分、お前がいてもいなくても同じだ」

ユーカイ「一進一退の攻防。いつまで続くかは分からねえ。誰が勝つかも分からねえ」

ユーカイ「そんなもんに時間取られるなんて、嫌だろ。だから先に行け」

転「……だ」

ユーカイ「だけど…なんだよ。続けてみろよ。ここに残って戦って、勝っても負けても、無駄な体力と時間を使うだけだ。得る物は何もねえ」

ユーカイ「だったら俺なんかに構ってないで、さっさと行け」

転「…わ…私は…」

ユーカイ「……割り切れよ。俺はよ、お前みたいな奴は結構、好きなんだぜ。ただ」

ユーカイ「ここに残るって選択するような奴なら、大嫌いだ」

転「……」

ユーカイ「行け。シャル嬢」

転「……」

ユーカイ「…おいお前ら!こいつを引っ張ってけ!まさかお前らまでゴネたりしないだろうな」

ポチ「…そんな…俺は…」

コヨーテ「……」

コヨーテ「俺は残る」
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 23:23:00.12 ID:zzqq96SO
ユーカイ「……あ?」

コヨーテ「…ポチ。いや、ロッタ。お前はテンコ連れて先に行け。俺もそのうち追い付く」

ポチ「な、なに言って…」

コヨーテ「…ユーカイ、あんたは俺と同じでそんなに賢くなさそうだから、なんとなく分かるんだよな」

コヨーテ「何も考えてねーだろ」

ユーカイ「……」

ユーカイ「当たり前だ、今さら策なんてねえよ。バーカ」

コヨーテ「がむしゃらにやるだけだろ」

ユーカイ「文句あっかよ」

コヨーテ「…がむしゃらやるなら、俺も手伝ってやるよ」

ユーカイ「…お前はシャル嬢と一緒に赤の城に向かうんだろ」

コヨーテ「俺の仕事は、追っ手の探知だ。でもあんな、上級悪魔なんて出てきたってことは、もう追っ手はしばらく来ないはずだ。そしたら俺はもういらねぇ」

コヨーテ「だから俺が残る。一人より二人の方が、早く終わるだろ……」

ユーカイ「……勝手にしやがれ」

ポチ「兄貴…俺も残…」

コヨーテ「お前がいなくなったら、誰がテンコを守んだよ!!」

ポチ「…!」

コヨーテ「お前の能力は、誰かを守るためにある…そうだろ?」

ポチ「……」

コヨーテ「心配すんな、俺ぁ死なねぇ。生き残って、そんでテンコは無実を証明して、俺は流刑地から、本当に自由になれる!」

コヨーテ「…そういう約束だよな?」

転「……コヨーテ…」
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 23:23:51.66 ID:zzqq96SO
コヨーテ「…短い時間だったよな。ほんの3時間くらいだ。でもよ」

コヨーテ「悪くなかったぜ。お前みたいな奴は久しぶりに見たからな。楽しかった」

転「……私もです」

コヨーテ「…ほら、早く行けよ。ロッタは、たぶんお前が思ってるよりも、もうちょっと頼りになるぜ」

転「…あなたも、ユーカイの足手まといになったりしないでくださいよ。後で私が責められたら嫌ですから」

コヨーテ「はは…」

転「あと……」タタッ

コヨーテ「ん?」

転「……」ヒソヒソ

コヨーテ「お前……」

転「…あなたならきっと、あいつを倒せます」

コヨーテ「……」

コヨーテ「任せとけ。俺は地獄一の荒らくれ者、コヨーテ様だ!」
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 23:30:40.02 ID:zzqq96SO
転「ふふ…荒らくれ者、か。信じてますよ」

転「ユーカイも!上級悪魔『最強』なんですから、負けないでくださいよ!」

ユーカイ「だから、どこ情報だよ!…負けねえけど!」

転「……」クルッ

転「行きましょう、ポチくん!」ダッ

ポチ「…はいッス!」ダッ


ドクロ「……わしが黙って見ていると思うのか?…武器なら用意できたわい」

ドクロ「双骨鞭!!」ビュビュッ!!

ポチ「!」ダダッ

転(さっきの鞭が二本…!)


ユーカイ「機械の万力腕(マンリキ・アームズ)!」ガシッ

コヨーテ「『バイ・セカンド』金の踊り(ゴールド・ダンス)!」ガシィ

ドクロ「……!!」

ユーカイ「……ここから先には」

ユーカイ「行かせねぇぞ…!」

ドクロ「…小癪な」
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/29(土) 23:32:10.37 ID:zzqq96SO
今日はここまでにします
音楽聴きながらだと何書いてるのか分からなくなってくる!不思議!
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/30(日) 08:54:02.12 ID:1y1HUr60
乙です。
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/30(日) 16:02:25.57 ID:M5htquk0
乙!
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sag]:2010/05/31(月) 20:37:29.80 ID:neYrh.SO
すみません、今日はちょっと書けません
また明日やります…
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/01(火) 22:42:41.59 ID:6SkyicSO
今日もまた書けませんでした
明日こそは必ず書きます
本当に申し訳ないです…
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 06:34:17.12 ID:NuwCccDO
気にすんないW
まったり待ってます。
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 20:58:33.33 ID:rBJiTcSO
前回までのあらすじ

上級悪魔VS上級悪魔!
ユーカイってぶっちゃけフランキー的なアレだよね、今さら気付いた
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 21:04:18.76 ID:rBJiTcSO
転「……」タタタ

ポチ「……」タタタ

転「……」タタタ

ポチ「…テンコさん!」

転「…なんですか」

ポチ「……」

ポチ「大丈夫ッスかね…二人とも…」

転「……さぁ」

ポチ「さぁって…」

転「だって、結局は彼ら次第ですし」

転「私だって、正直言って、自分のことで精一杯なんです」

転「冷たいと思うかもしれませんけど、気にしないでください」

ポチ「……」

ポチ「さ、さっき、兄貴に何を耳打ちしてたッスか…?」

転「ああ、あれですか?」

転「あれは……」
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 21:11:51.86 ID:rBJiTcSO
ユーカイ「…弱点?」ダダダ

コヨーテ「ああ。テンコが教えてくれたんだ」ダダダ

ユーカイ「シャル嬢が?マジかよ」ダダダ

コヨーテ「ホントかどうかは分からねぇけどな」ダダダ

ユーカイ「……弱点。おい、教えろよ。気になるだろ」ダダダ

コヨーテ「分かってるっての…だけどまずは…」ダダダ

コヨーテ「コイツから逃げきるぞ!」ダダダ


ドゴオオン

ユーカイ「うおっ!!」
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 21:21:14.17 ID:rBJiTcSO
数分前

ユーカイ「よし、行ったな、あいつら」

コヨーテ「頼むぜ、ロッタ…」

ドクロ「……」

ドクロ「貴様ら…」スッ

コヨーテ「!」

ドクロ「よくも奴らを逃がしおったな!?」グググ

ドクロ「崩骨(なだれぼね)!」

ドドドド

ユーカイ「やべぇ、でかいぞこれ!」

コヨーテ「ちっ…」ガシッ

ユーカイ「!」

コヨーテ「うらぁ!」ブンッ

バキバキバキッ!!!

ユーカイ(ジジイの骨の鞭で…!)

コヨーテ「…ダメだ、まだ当たる…!」

ユーカイ「まかせろ!オートマチックピストル」カチャ

コヨーテ「!?そんな小さい銃じゃ…」

ユーカイ「……×10」

ガチャガチャガチャッ

ドクロ「……!」

ズダダダダダダダダダダダ

コヨーテ「すげっ…」

ダダダダダダダダ!!!

ユーカイ「砕けちまえ!」
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 21:29:30.55 ID:rBJiTcSO
ガラガラガラ…

ドクロ「……」

ドクロ(参ったのう…案外耐えおるわ…)

ドクロ「こうなれば後は、これくらいしかないかのう…」スッ

ドクロ「出でよ骸骨…!」

ズズズッ…!!

ユーカイ「骸骨どもが。今さら出てくるとは…」

コヨーテ(最初の奴らか)

ドクロ「わしとて無限に骨を操れるわけではない…精神力は有限じゃ。休み休みでなければ大技も使えんわい」

ドクロ「これは時間稼ぎのためのものじゃ」

ユーカイ「…舐めやがって。オートマ…」

コヨーテ「…待て!」

ユーカイ「…あ?」

コヨーテ「何か聞こえるぞ…」

ガララ…ガシャ…

ユーカイ「これは…?」

コヨーテ「…後ろだ!」

「グルルル…」

ドクロ「屍骨獣(スカルキメラ)…」

屍骨獣「グルオオオッ!!」ダッ

ユーカイ「クソジジイが…何が大技も使えんわい、だよ…十分でけえじゃねえか!」

コヨーテ「どーすんだ!前には骸骨の群れ!後ろにはこの犬!」

ユーカイ「なら……横だ!」ダッ

屍骨獣「グオオッ!」ブンッ

コヨーテ「うおっ!!」バッ

ドシャアアア!!
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 21:39:41.15 ID:rBJiTcSO
コヨーテ「すっ…すげぇなおい…地面が抉れてやがる…」

ユーカイ「こりゃマジに逃げるっきゃねえな」

屍骨獣「グルルル……グルオオオ!!」ダッ

コヨーテ「…来た!」ダッ

ユーカイ「逃げろ!」ダッ

骸骨たち「ケラケラケラ!」ガシャッガシャッ

コヨーテ「骸骨まで!」

ユーカイ「そっちはシカトしろ!まずはこのでかい犬を…」

屍骨獣「グオオオ!!」

骸骨たち「ケラケラケラ」ピョンピョン

コヨーテ「!!」

コヨーテ(なんだ?飛び乗りやがった…)

骸骨たち「……」ガシャガシャガシャ

コヨーテ「…組み換えてでけぇ『翼』になりやがった!」

ユーカイ「なんだそりゃ!?」

屍骨獣「グルルル…ギャオオオオオッ!!!」

ユーカイ「こ、こんなのに飛ばれちゃかなわん!こっちも飛んで…」

ユーカイ「飛んで…」

ユーカイ「飛ん……」

ユーカイ「しまった、ロケットエンジンが壊れてたんだ!」

コヨーテ「おいぃ!?」

屍骨獣「グオオオオッ」バサァッ

ユーカイ「は、走って逃げるしかねえ!」ダッ

コヨーテ「結局そうなるのかよ!」ダッ
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 21:55:57.48 ID:rBJiTcSO
コヨーテ「うおおお!」ダダダ

ユーカイ「くそ、思ったより早いぞ…!」グルッ

ユーカイ「無駄かもしれんが…手榴弾くらえ!」ポイッ

コヨーテ「!」

ボンッ!!!

屍骨獣「…グルオオオオオ!」

ユーカイ「やっぱりダメか…つーかうるせえ!」ダダダ

コヨーテ「……」ダダダ

コヨーテ「あの爺さん、座り込んでる…」ボソッ

ユーカイ「あ?なんか言ったか?」ダダダ

コヨーテ「…あの爺さん!今なら隙だらけだ!」ダダダ

ユーカイ「そりゃこんなでかい技使えば隙だらけにならざるを得ないだろ…」ダダダ

ユーカイ「だけどな!向こうを攻めるどころか!俺たちは今逃げるのに必死なんだぜ!?どうしようもねえよ!」ダダダ

屍骨獣「グオオッ!」ブンッ

ユーカイ「ちぃっ!」サッ

ドシャアアッ!!

ユーカイ(うざったいなこの爪…)

コヨーテ「…だけど、近付けさえすれば…」ダダダ

コヨーテ「弱点を見つけられる!!」ダダダ
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 22:06:33.31 ID:rBJiTcSO
ユーカイ「弱点?」ダダダ

コヨーテ「ああ。テンコが教えてくれたんだ」ダダダ

ユーカイ「シャル嬢が?マジかよ」ダダダ

コヨーテ「ホントかどうかは分からねぇけどな」ダダダ

ユーカイ「……弱点。おい、教えろよ。気になるだろ」ダダダ

コヨーテ「分かってるっての…だけどまずは…」ダダダ

コヨーテ「コイツから逃げきるぞ!」ダダダ


ドゴオオン

ユーカイ「うおっ!!」ドシャ

コヨーテ「!」

屍骨獣「グルアアアアッ!!」グアッ

ユーカイ「オイちょっ…」

ガブゥッ!!

コヨーテ「おい、ユーカイ!!」

ユーカイ「……」

ユーカイ「天下の上級悪魔サマを呼び捨てにすんなって…」

ユーカイ「言ってんだろうが!!」グググ

コヨーテ「…!?」

ユーカイ「俺の体はだいたい機械だ…噛み砕けるもんなら噛み砕いてみやがれ…」

ユーカイ「てめえの顎が砕ける覚悟があんならな!!」

屍骨獣「グル……」

ユーカイ「……なにビビってんだ、犬!」ガシャンッ

コヨーテ「まさか…」

ユーカイ「外側から崩せねえなら内側からやってやる!!……グレネードランチャー!」グッ


ドゴォオオオン!!!
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 22:17:25.36 ID:rBJiTcSO
ドゴォォン!!

コヨーテ「……っ!」

ガシャンッ

ユーカイ「ふー…どうだ、かなり乱暴だったが、これで…」

パラパラパラ

屍骨獣「グ…グル…」

ユーカイ「…まだ生きてんのかよ…!」

コヨーテ「……いや」

屍骨獣「グル…グルル…」ビキビキ

屍骨獣「グルオオオ…」ガシャァン

コヨーテ「……」


ユーカイ「…やっと、潰れたか…くそっ、またでけえの撃っちまった…」

ガシャガシャ

ユーカイ「ん?」

コヨーテ「……」ガシャガシャ

ユーカイ「何やってんだ、おい」

コヨーテ「武器になりそうな骨を探してるんだよ…!」ガシャガシャ

ユーカイ「屍肉漁りか。まるでハイエナだな」

コヨーテ「ハイエナじゃなくて、コヨーテだ!」ガシャガシャ

コヨーテ「…よし、こいつなら…」スッ

ユーカイ「ずいぶん長い骨だな…肋骨辺りか?」

コヨーテ「それに結構な太さだ。…こいつをハンマー代わりに使う」

ユーカイ「ハンマー?」
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 22:26:10.13 ID:rBJiTcSO
ユーカイ「ハンマーなんかで戦うのかよ。だったら殴った方が早くねえ?」

コヨーテ「『バイ・セカンド』だぞ。そんなバシバシ連続して使えるものじゃねぇんだよ」

ユーカイ「知らねえよ、俺は能力使えねえんだから」

コヨーテ「とにかく、こいつで、あいつをひたすら殴る!」

ユーカイ「なに考えてんだ?」

コヨーテ「弱点を探す」

ユーカイ「そうだ、結局弱点ってなんなんだよ!」

コヨーテ「……」

コヨーテ「テンコが言うには、あいつ…」


ユーカイ「…なるほどな、うん、それ、当たりかもしれねえな」

コヨーテ「ただ問題は、それがどこだか分からないってことだ」

ユーカイ「だから片っ端から殴ろうってのか」

コヨーテ「…まぁ、そうなる」

ユーカイ「だいたい検討つくだろ。ダメージを受けづらい場所なんて…」
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 22:50:21.52 ID:rBJiTcSO
………

転『コヨーテ…私はたぶん、あいつの弱点を見つけました』ボソッ

コヨーテ『…弱点?』

転『……』コクッ

コヨーテ『教えてくれよ』

転『ええ……彼の話を覚えてますか?骨の体になる経緯…』

コヨーテ『ああ、骸骨と体を入れ替えて…ってやつだろ』

転『そうです。実際に奴は戦闘中にそれをやってのけました』

コヨーテ『それがなんだ?』

転『じゃあ、これは覚えてます?骸骨から骸骨に、中身を引き継がせるには…』

転『ある部分の骨を抜き取り、別の骸骨のものと取り替える』

コヨーテ『ああ…そんなこと言ってたな』

転『…私が何を言いたいのかって、つまり』

転『その「ある部分の骨」っていうのは、彼の、いや、あらゆる骸骨の』

転『本体……なのでは?』

コヨーテ『本体…?』

転『新たな体へと自らの情報などを引き継がせるために…その情報を保存しておく必要がある』

転『そしてその全情報の保存場所こそが、「ある部分の骨」なんじゃないですか?』

コヨーテ『…ってことは、つまり』

転『あいつの…ドクロのその部分を破壊できれば…』

コヨーテ『奴はもう再生ができない!!』

転『…そういうことです。確証はありませんけどね』

コヨーテ『お前…あの状況でよくそんなことを…』

コヨーテ『いや、それだ。間違いねぇよ!やってやるぜ!』

転『…どんな形であれ、怪しいと思った部分は片っ端から攻撃してみてください。そうすれば…。あなたならきっと、あいつを倒せます』

コヨーテ『……任せとけ!』
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 23:01:21.01 ID:rBJiTcSO
コヨーテ「やってやらぁ…!」ダッ

ユーカイ「……オラァ、爺さん!覚悟しやがれ!」ダッ

ユーカイ「……ん?」


シーン

コヨーテ「…いねえ。どこ行ったんだ?あのジジイ…」

ユーカイ「おかしいぞ…気配はまだこの辺りに…」

ユーカイ「……もしかして…人の姿を一時的に捨てたのか?」


ドクロ「正解じゃ」

ヒュッ

コヨーテ「…!?」

ユーカイ「危ねえ!」ガッ

コヨーテ「な、なんた!?どこから…」

ユーカイ「……どこから、とかじゃねえ…あいつは…」

ユーカイ「使える体をわざとバラバラにして、俺たちの攻撃が当たらないようにした上に…」

ユーカイ「この骨の山から無差別攻撃を仕掛けてくるつもりだ…!」

コヨーテ「わざとバラバラに…?」

ユーカイ「つまりもう、『ハンマー作戦』は使えねえ…あいつの体を構成してた骨がどれだか、分からなくなっちまったからな…」

コヨーテ「嘘だろ…?やっと勝機が見えたと思ったのに…」

ユーカイ「……」

ユーカイ「やっぱり、俺がやるしかねえな」ボソッ
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 23:01:59.78 ID:rBJiTcSO
今日はここまでにします

VSドクロは今んとこ最長の戦いかも知れんね
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 23:41:32.23 ID:YsT5qY.o
前スレ存在しないとか言われた
どうすればいい
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 23:43:13.41 ID:Yvopt5co
>>304
>>7
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 03:03:33.06 ID:Ra4DDIDO
乙でした。
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 22:55:17.56 ID:Jqy/IASO
ドクロ「この状態では…わし自らが攻撃することはできん。鞭も捨てたわ」

ドクロ「じゃが…骨による攻撃は…先ほどまでの非ではないぞ」

ドクロ「…屍骨卿の演舞(バークエンド・スカルロンド)!」

ドヒュヒュッ!!

コヨーテ「……ちっ!」サッ

バシュッ!!

コヨーテ「う…」

コヨーテ「らぁあ!」バキンッ!!

シュシュッ!!

コヨーテ「また…!」ヒュンッ

ユーカイ「…いい!強引に避けようとしたり、弾こうとするな!ギリギリでかわせ!」

バシュッ

コヨーテ「くっ!」バキン

コヨーテ「…なんだよ!」

ユーカイ「その骨はお前を正確に狙えてない!辺りを片っ端から攻撃してるだけだ!」

コヨーテ「!」ピタッ

シュッ バシュッ

コヨーテ「……」

スカッ

コヨーテ(なるほどな…これは精密度を捨ててひたすら数で攻めてきてんのか)

ヒュッ

コヨーテ「当たるか!」バキッ

コヨーテ(一発一発の威力もそこまで高くない!簡単に砕ける!)


ユーカイ「……」キュンキュン

ユーカイ「…もうちょい粘れよ…まとめてぶっ飛ばしてやる…」
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 23:25:13.84 ID:Jqy/IASO
ドヒュッ ヒュンヒュンッ

コヨーテ「うらぁ!…おらっ!!」バキッグシャッ

コヨーテ「だんだん…当たるのが増えてきやがった!」

ギュンッ!!

コヨーテ「ぐぅ…!?」ドスッ

バシュシュッ!!

コヨーテ「!」バキッ

コヨーテ「ちく……」

コヨーテ「しょうがああああああああ!!!」バンッ

コヨーテ「危険地帯(デンジャーゾーン)地雷セット!」

ユーカイ(…地雷?)

コヨーテ「……来いよ、骨。てめぇらが動けば…」

バシュッ

コヨーテ「起爆するぜ!」

ドンッ!!

コヨーテ「さらにこれを引き金に…」

ドドドドドドドドドドンッッ!!!!

ユーカイ「連鎖爆発…!」

バラバラバラ…

コヨーテ「どうだ…これでだいぶ減ったろ…」


ドクロ「乱暴じゃのう」


コヨーテ「!…どこだ!どこにいやがる!」

ドクロ「こっちじゃ」ユラユラ

コヨーテ「……頭だけかよっ!」ドグシャッ

ドクロ「年寄り相手に容赦ないのう…」ユラユラ
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 23:26:00.64 ID:Jqy/IASO
コヨーテ「くっそ…ダメか…」

コヨーテ(やっぱり『本体』を潰さない限り、こいつは倒せねぇ)

コヨーテ(やっぱりまずは、この邪魔な骨を片付けて、あいつに人の姿を保たせなきゃダメだ…)

コヨーテ(だけどこれじゃあ、いつまで経っても…)

ユーカイ「Fire」ボシュッ

ドゴン!!

コヨーテ「!?」

ドクロ「…む」

ユーカイ「……骨の片付けだろ。すぐに終わらせてやるよ」

コヨーテ「でもお前、相当弾使ってねぇか…?」

ユーカイ「てめえが必死に骨と格闘してる間に、いろいろいじってたんだ」

コヨーテ「いじる…?」

ユーカイ「使えそうな弾をこの「重砲腕(アームド・キャノン)」に集めた」

ユーカイ「それと、切り札がいつでも使えるようにした」

コヨーテ「切り札…?」

ユーカイ「……おい、ジジイ!」

ドクロ「…なんじゃ」ユラユラ

ユーカイ「いい加減にその、首だけでお喋りすんのやめようぜ。気味悪いんだよ」

ドクロ「……」

ユーカイ「俺は今から、この一帯に転がる骨を全部壊してやる。そうすりゃあんた、元の姿に戻らざるを得ないよな」

ドクロ「…ここに骨がいくつあると思ってるんじゃ」

ユーカイ「あんたこそ、俺に弾がいくつあると思ってんだ?」

ドクロ「……」

ドクロ「やってみるがよいわ」ガシャガシャ

コヨーテ(元の姿(骸骨)に戻った!…チャンスだ!)
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/04(金) 23:43:43.13 ID:Jqy/IASO
ドクロ「……」スッ

コヨーテ(あのジジイもユーカイも、もう限界が近いはずだ)

コヨーテ(お互いにいくら休み休みやってたからって、そろそろ終わりだな…)

コヨーテ(ジジイが骨で俺たちを潰すのが先か…俺たちがジジイの骨を砕き切りトドメを刺すのが先か)

コヨーテ(……考えて分かるもんでもねぇか)ダッ

ユーカイ「コヨーテ!お前はジジイ自体を狙え!今なら鞭を持ってない!押し切れるぞ!」ガチャ

コヨーテ「分かってらぁ!」ブンッ

ドクロ「むっ…!」ヒュッ

コヨーテ「骨の体って身軽なのか?ひょいひょい避けやがって…」

ドクロ「粘るのじゃ若者よ」


ユーカイ「さて…弾は残り20発と少し。いままでに弾切れになったことがないからどうなるかは分からんが…」

ユーカイ「この骨を砕くくらい……」

ユーカイ「ワケねえんだよ!!」ボボッ!!

ドゴン! ドゴォン!!

ドクロ「本気でやるつもりか…?」

コヨーテ「…よそ見してんじゃねぇよ!」ブンッ

バキィン

ドクロ「……先ほどから首ばかり狙いおって。もうそろそろ予備がないぞ」

コヨーテ「……」

コヨーテ(こいつ、首や手足が一つずつ吹き飛んだだけなら、すぐにその変に転がってる予備を見つけて取り替えられるんだな)

コヨーテ(だけど全身砕けたら、あらかじめ用意しておいた専用の予備を使わなきゃならねぇ)

コヨーテ(いちいち頭やら腹やらを攻撃するのは徒労でしかねぇな。やっぱり本体を見つけるしか…)
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 00:00:00.84 ID:Vs2nB6SO
ドクロ「……なにやら考えこんでおるのう!」グルッ

コヨーテ「…!」

ドクロ「裏拳!」パァン

コヨーテ「痛っ…」

ドクロ「わしが骨を操るだけしか能がないと思うたか?」

コヨーテ「体術にも自信アリってか…」

コヨーテ(こいつの攻撃をしのぎながら本体を探す…俺にできんのか?)


ドゴン!! ドゴン!!

ユーカイ(くそ、これで8発…まだまだ骨は残ってる!)

ユーカイ(だが、これを全部砕かねえと、いつまで経っても勝ち目がねえ…!)

ユーカイ「さっさと崩れやがれ!!」ボシュッ

ドガンッ!!
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 00:00:32.79 ID:Vs2nB6SO
また明日続き書きます
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 01:42:37.61 ID:XniSvADO
乙でした。
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 12:51:09.46 ID:Vs2nB6SO
バキッ ドゴッ

コヨーテ「はっ…はっ…」

ドクロ「まだまだ…」タンッ

コヨーテ「飛ん…」

ドクロ「直踵(じかかと)落とし!」ブンッ

バキィ!!

コヨーテ「かはっ…」ヨロッ

ドクロ「どうじゃ?そろそろ諦め…」

コヨーテ「……ねぇよ」ヨロヨロ

ドクロ「…む?」

コヨーテ「諦めねぇ…てめぇはここで俺が止める…!」グッ

ドクロ「…そんなにあの小娘たちが大事か?」

コヨーテ「約束した!」

ドクロ「いいじゃろう。ならいつまでも…」

ドクロ「粘ってみるがよい!」ダッ

コヨーテ「!」バキィ!!

約束したんだ

あいつを助けてやれば

俺は自由になれる

ロッタだって、それを望んでてくれた

ドクロ「ふんっ!」ギュルッ!!

コヨーテ「がっ…!」ドスッ

俺はいままで、ずっと『荒らくれ者』だった

誰も寄付きやしねぇ

でもあんな様じゃ、無理もなかったのかもな

コヨーテ「……」ヨロヨロ
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 12:56:55.69 ID:Vs2nB6SO
だが、今は違う!

転『信じてますよ』

俺自身のためじゃない

あいつのために!

俺みたいな荒らくれ者を、あいつは信じやがった!

バカな奴だよな

俺が逃げたりしたらどうするつもりなんだよ

…逃げねぇけど

コヨーテ「うおらああああ!」グッ

ドクロ「まだ拳を握るか…!」

コヨーテ「俺は!お前を倒す!そんで…」

自由になる?

それが俺の目的か?

違うんじゃないか?

本当は…

コヨーテ「俺はっ……」

あいつは俺に、何を見せてくれるんだ?

コヨーテ「あいつを、救う!」ブンッ

ドクロ「わめくな死にぞこないが!」シュッ

ゴッ…
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:02:34.34 ID:Vs2nB6SO
ドクロ「……」

ユーカイ「……」

ドクロ「き、貴様…」

ユーカイ「…俺がただ…サンドバックみたいに殴られてるだけだと思ったか…?」

ドクロ「ぐ…」

ユーカイ「やっと見つけたぜ…弱点…いや、お前の本体!目立たねぇ場所だが…この部分だけ明らかに色が違う!」

ユーカイ「使い古してるからじゃねぇか?二百年も…」

ドクロ「く…っ」

ユーカイ「あとはこれをこのまま砕…」

ドクロ「させんぞ!」グググ

ドクロ「肋骨大鋏」ジャキィン!!

ユーカイ「!」

ズブッ

ドクロ「…手応えありじゃ」

ユーカイ「……が」ボタボタ
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:15:09.90 ID:Vs2nB6SO
コヨーテ(ちくしょう…まだ…こいつがあったか…)

コヨーテ(だけど…今の反応…やっぱりこれが本体…)

コヨーテ(……もう、手の中にあるのに…!!)

コヨーテ(やっぱり…10発は食らってたしな…ダメージがでかすぎる…もう…骨一つ砕く力も…)

コヨーテ(……)

コヨーテ(…ダメだ!奴があと一発、俺に骨を打ち込めば、それで終わっちまう…)

コヨーテ(動け…)

コヨーテ「動け…動け!!」

ドクロ「無駄じゃ…いくら叫ぼうが貴様の体はとっくに限界を超えとる…」

コヨーテ「…黙れ!あと…あと一発なんだ…!」

ドクロ「……悲しいのう」スッ

ドクロ「終わりじゃ。骨ミサイル…」

コヨーテ「……!」

シーン

ドクロ「……む?」

ユーカイ「骨?」

コヨーテ「え……」

ユーカイ「んなもんとっくに砕いちまったよ。てめえがコヨーテぼこぼこにしてる間にな」

ドクロ「……!」

ユーカイ「よくやったな、お前。それが本体だろ?ちゃんと持ってろよ…」

ユーカイ「…おいジジイ、終わるのはてめえの方だぜ…覚悟しやがれ…」
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:24:03.91 ID:Vs2nB6SO
コヨーテ「……ゆ、ユーカイ…」

ユーカイ「……」

ユーカイ「舐めてたよ。たかが一悪魔に、なにができるのかと思ってたが…」

ユーカイ「ジジイもよ、まさか本体が見つかるなんて思ってねえだろ。ましてや本体を探られたのは初めてなんじゃねえか?」ガシッ

ドクロ「何を…」

ユーカイ「…今のあんたに武器はもうねえ…だが、俺も弾切れなんだ。全部使いきっちまった。するとあとは…」

ユーカイ「素手の勝負…だ」

ドクロ「……わしを…侮るなよ…」

ユーカイ「……おい、コヨーテ」

コヨーテ「!」

ユーカイ「それ、本体、砕く力がなくても、せめてしっかり持ってろ」

コヨーテ「…?」

ユーカイ「……もうこいつに、予備の体はねえ」

ユーカイ「だからよ、俺が吹っ飛ばせば、あとはお前がのんびりそいつを砕けばいい」

ドクロ「…言うだけなら容易いわ…じゃが今の貴様には弾がないんじゃなかったのか?」

ユーカイ「……弾丸は…ねえよ。それはホントだ」

コヨーテ「おい、お前…なにするつもりだ…」

ユーカイ「……いいから、黙ってみてろ…」グググ

ドクロ「…まだこんな力を…!」

ユーカイ「……う…」

ユーカイ「おおおおおおお!」ギュイイイイイ…
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:27:49.45 ID:Vs2nB6SO
コヨーテ「なんだ…この音…」

ユーカイ「よし、お前、ちょっとどいてろ!」ドンッ

コヨーテ「っ!」ドサッ

ユーカイ「……」ザッザッ

コヨーテ「……おい、どこ行くんだよ!?」

ユーカイ「いいんだよ。お前はそこから動くな」ザッザッ

ユーカイ「さて…ジジイ…これで上級悪魔は二つ席を空けることになるな…」ザッザッ

ドクロ「……二つ…?」

ドクロ「…!貴様…まさか…!!」

ユーカイ「やっと気付いたのか?バカな爺さんだぜ…」ザッザッ 

ドクロ「ぐ…離せ!離せ!」

ユーカイ「離さねえよ。このままお前は…」

ユーカイ「俺と一緒に死ぬんだ」
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 13:36:45.14 ID:Vs2nB6SO
コヨーテ「おい…おい!ユーカイ!てめぇ何するつもりなんだよ!?」


ユーカイ「あーあー聞こえねえ…」ザッザッ

ドクロ「貴様…狂っておるのか!?」

ユーカイ「ああ、狂ってるとも」ザッザッ

ユーカイ「この体に火器を組み込んだその瞬間、俺は人でなしになっちまった。いや、悪魔でなしか?」ザッザッ

ユーカイ「だから死に際も、火器っぽく行きたいんだよ」ピタッ

ユーカイ「……スイッチ、オン」ポチッ 

ドクロ「……!!」

ピッ ピッ

ユーカイ「けけけ。心配すんなよ。これで体がバラバラになっても、あんたは本体が生きてりゃ再生できる。時間はかかるだろうが…」

ピッ ピッ

ユーカイ「だが俺はダメだ。なんたって」

ピッ

ユーカイ「自爆、なんだからな」

ドンッ!!!!
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 14:05:24.20 ID:Vs2nB6SO
ドンッ!!!!

コヨーテ「……え?」

コヨーテ「…ゆ…」

コヨーテ「ユーカイ!?」

バラバラバラ…

コヨーテ「……あ」

コヨーテ「……」

コヨーテ「弾がねぇからって、こんな…」

コヨーテ「…ふざけんなよ…俺、まだ礼も言ってねぇのに…」

コヨーテ「おい!ユーカイ!ユーカイ!!」


ドクロ(く……)

ドクロ(辛うじて首だけ残ったが…)

ドクロ(ここにはもう、再生するための骨がない…!)

ドクロ(おのれ…あの…化け物め…)

ザッ

ドクロ「……!」
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 14:06:16.77 ID:Vs2nB6SO
コヨーテ「……」フラフラ

コヨーテ「てめぇ…なにちゃっかり生き残ってんだよ!!」

ドクロ「……本体を…返すのじゃ…」

コヨーテ「…嫌だ。これは死んでも渡さねぇ…」

コヨーテ「あんたはここで死ぬんだ!!」

ドクロ「……ぐ」

コヨーテ「はぁ…はぁ…」ヨロヨロ

コヨーテ(一発でいいんだ…頼む…)

コヨーテ「…『バイ・セカンド』…!」グッ

コヨーテ(動け…!)グググ

ドクロ「や、やめるんじゃ…」

コヨーテ「はー…はー…」ポイッ

ドクロ「…やめろおおおおおおお!!」

コヨーテ「うおおおおおおおおお!!」ブンッ

ゴッ

ドクロ「……!」


パァン!!!
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 14:13:57.11 ID:Vs2nB6SO
コヨーテ「っ……」グラッ

ドシャッ

コヨーテ「はぁー…はぁー…はぁー…」 

コヨーテ「!」

サラサラサラ…

コヨーテ(灰になったか…)

コヨーテ「……」

コヨーテ「終わった…終わったんだ…」

コヨーテ「やったぞ…おい、ロッタ、テンコ…」

コヨーテ「ユーカイは…俺たちのために、死んだんだぜ…!」

ユーカイ『よくやったな、お前』

コヨーテ「……違うだろ…よくやったのは、あんただろ…」

コヨーテ「あんたがいなかったら、俺たちは…」

コヨーテ「……ありがとよ、ユーカイ…あとは、お前に生かされた俺の役目は…」グッ

コヨーテ「……赤の、城…」フラッ

コヨーテ「直々に、あいつらを助けてやらねぇと…こんなとこで、倒れてられねぇよ…!」ヨロヨロ
324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 14:17:30.02 ID:Vs2nB6SO
なんだかごちゃごちゃしてたような気もしますが、これで上級悪魔VS上級悪魔、ドクロ編は終わりです

続きはまた明日やります
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 19:48:56.06 ID:8QuhHMM0
乙。ユーカイ・・・
最近更新が早くてものすごく楽しい
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/05(土) 20:41:50.59 ID:WCOxxKA0
乙です。
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/06(日) 13:20:35.75 ID:Yqh0WO.0
ハンマー使ってないのかよ!
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 20:50:46.14 ID:UTI3OQSO
>>327
\(^o^)/ワスレテタ


コヨーテがドクロに殴られている頃・テンコとポチが赤の城に向かっている頃

青の城
…のどこかの部屋

ザバザバザバザバ

シェアリ「……」

シェアリ「退屈…ですわ」

ザバザバザバザバ

シェアリ「…止まれ」

ピタッ

シェアリ「……」

シェアリ「…そろそろ来てもいいはずですのに」

シェアリ「このままじゃ退屈すぎて死んでしまいますわ」

シェアリ「……そうだ」
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:02:03.75 ID:UTI3OQSO
スタスタ

シェアリ「……」ガチャ

ギギギィ……

シェアリ「…まだ眠っていますの?」

イン「……」

シェアリ「…起きなさい」スッ

パシャ

イン「…っ!?」パチッ

イン「ここは…?」ガバッ

シェアリ「……」

イン「!…き、君は…」

シェアリ「覚えていませんの?」

イン「……」
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:04:32.77 ID:UTI3OQSO
イン「……あ」

イン「そうだ、僕たちはエレカのパーティに出て…」

シェアリ「そして、ワタクシたちに連れてこられた」

イン「……どうして…」

シェアリ「一言で説明すると、あなたは人質ですわ」

イン「人質…?」

シェアリ「ここにあなたの姉を誘き寄せるための、人質」

イン「…君は一体、何を企んでいるんだ…?」

シェアリ「……それは言えませんわ」

イン「…じゃあ……」

イン「シロ…そうだ、シロは!?」

シェアリ「ああ、彼女なら、ここにはいませんわ」

シェアリ「赤の城…クレアのところにいたはずですの」

イン「赤の城…?」

シェアリ「……まぁ、あなたには関係ありませんわね」

イン「くっ…!」ガシャンッ

シェアリ「無駄ですわ。あなたにその鎖は切れない…」

イン「……」

イン「君は、僕に何もしないのか…?」

シェアリ「……今のところ、あなたをどうしろという命令はありませんわ。ここで大人しくしていれば、ワタクシは何もしませんわ」

イン「…命令?誰の?」

シェアリ「それも言えませんわ」

イン「…親切なのか不親切なのか、はっきりしないんだね」

シェアリ「……」
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:08:33.78 ID:UTI3OQSO
シェアリ「ワタクシは、個人的には、別にあなたのことなんてどうでもいいんですの」

イン「……」

シェアリ「ただ、あまり扱いを悪くすると、あなたとしても当然、嫌でしょう」

イン「それはそうだけど」

シェアリ「だから、映画を見るくらいなら許しますわ。お好きなものを一つ言って御覧なさい」

イン「……」

イン「M:I(ミッション・インポッシブル)…」

シェアリ「…意外ですわね」
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [名前半角にするのやめた]:2010/06/06(日) 21:14:18.03 ID:UTI3OQSO
シェアリ「…これ、リモコンですわ。使い方は分かりますわね?」

イン「……」コクン

シェアリ「あなたが何もしなければ、遅くは無事に解放しますわ」

イン「……僕は」

シェアリ「?」

イン「人質なんだよね。でも…誰の?」

シェアリ「あなたの姉の、クロノですわ」

イン「クロ姉さん…」

シェアリ「じゃあ、もうしばらくはここにいてもらいますわ…」スッ

バタン

イン「……大人しくしていろ?」

イン「…僕を見くびるなよ……」
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [名前半角にするのやめた]:2010/06/06(日) 21:14:29.11 ID:UTI3OQSO
シェアリ「…これ、リモコンですわ。使い方は分かりますわね?」

イン「……」コクン

シェアリ「あなたが何もしなければ、恐らくは無事に解放しますわ」

イン「……僕は」

シェアリ「?」

イン「人質なんだよね。でも…誰の?」

シェアリ「あなたの姉の、クロノですわ」

イン「クロ姉さん…」

シェアリ「じゃあ、もうしばらくはここにいてもらいますわ…」スッ

バタン

イン「……大人しくしていろ?」

イン「…僕を見くびるなよ……」
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:17:34.29 ID:UTI3OQSO
イン「……」

イン「この鎖を切れそうなもの…」キョロキョロ

イン「……ダメだ。何もない…」

イン「そうだ、傘…傘があれば…」キョロキョロ

イン「……あるわけないか」

イン「……」

イン「僕がすべきことは、なんだ…?」
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:21:50.78 ID:UTI3OQSO
シェアリ「……」ギシッ

シェアリ「……そろそろ来てもいいはずですのに」

シェアリ「本当に、退屈ですわ……」



青の城・門

クロ「……」

クロ「待ってて、イン、シロ」

クロ「私が必ず助けるわ…」
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:53:52.54 ID:UTI3OQSO
クロ(入り口前には誰もいない…)

クロ(中には…いるのかしら?)

ギギギ…

クロ「!」

クロ(…開いた!?)

ゴゴォン…

クロ「……」

クロ「漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)…」バサァ

クロ「城の中って…真っ暗なのね…。外はまだまだ明るいのに…」

クロ「慎重に、慎重に…」フワッ

クロ「慎重に、慎重に…」バサバサッ

兵士1「〜♪」スタスタ

クロ「!?」ビクッ

兵士2「ふぁぁ…ったく、暇だなぁ」スタスタ

クロ(隠れなきゃ……)サッ

クロ「……」ヒョコ

兵士1「ホントだよな。みんな外に行っちまってよ。残ってんのは俺たちだけだ」スタスタ

兵士2「これで外の奴らが…その…テロリスト?たちを見つけてくれりゃいいんだけどよ、見つからなかったらこの少人数でやるのかよ」スタスタ

兵士1「いや、シェアリ様が直々に動くかもしれねぇぞ」スタスタ

兵士2「マジで?おいおい、あの人めったに戦わねぇじゃん。大丈夫なのかよ」スタスタ

兵士1「大丈夫だろ。仮にも青の女王だぜ」スタスタ

クロ(…もはや彼女…いや、彼女らは、王の娘ではなく女王として扱われてるのね)

ヒラッ

兵士2「ん?」ピタッ

ヒラヒラ…

兵士1「…羽?暗くてよく見えな…」
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 21:54:18.92 ID:UTI3OQSO
クロ(…まずい!)バッ

兵士2「おい!今何か音が…」

兵士1「音?」

ヒュッ

兵士1「……え?」

クロ「…動かないで」ボソッ

兵士2「お、おい…?」

クロ「あなたもよ」スッ

トンッ

兵士2「」バタッ

兵士1「……!」

クロ(これ、一回やってみたかったのよね…)

兵士1「な、なんだ、お前は…」

クロ「……今から一つ質問をするわ。正直に答えて。答えなかったら…分かってるわね」

兵士1「……」ゴクッ

クロ「シェアリは、どこにいるの?」

兵士1「!」

クロ「答えて」

兵士1「そ、それは…」

クロ「……」

兵士1「常にどこかの部屋にいるってのは分かってるんだけど…その場所までは…」

クロ「……そう」

トンッ

兵士1「」ドサッ

クロ「なんとか見つけないと…」
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 22:12:33.10 ID:UTI3OQSO
クロ(……)バサバサ

クロ(私たちはテロリスト扱いされてるのね)バサバサ

クロ(不名誉この上ないわ…)バサバサ

クロ(……!)キキィッ

クロ「扉…廊下はここまでね」

ギギッ

クロ「……」キョロキョロ

クロ「人は見当たらない…けど、天井がさっきみたいに高くないから、飛べないわ…」

クロ「……」スタスタ

クロ(…シェアリはどこにいるのかしら…?)

兵士3「……」スタスタ

クロ「あ」

兵士3「ん…?」
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 22:12:52.49 ID:UTI3OQSO
兵士3「って!うお!侵入しゃ…」

クロ「静かにして!」ガバッ

兵士3「!!」モゴモゴ

クロ「シェアリを探してるの、どの部屋にいるのか教えて」ボソボソ

兵士3「ひ、ひ(知)らない」

クロ「本当に?」

兵士3「ウソじゃら(な)い、俺たひ(ち)はシェアリ様の部屋のばひょ(場所)をひ(知)らな…」

クロ「……そう。それじゃあ悪いけど」スッ

クロ「少し寝てて」トンッ

兵士3「…?」

クロ「あ、失敗したわ」

兵士3「なんだか知らんが隙アリ!」バッ

クロ「……黒羽風奏(ブラック・シルフィ)」バサァッ

兵士3「!?」ブワッ

ドサッ

クロ「もう無理にトンッてやらないようにするわ」スタスタ

兵士3「……」ピクピク
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 22:22:20.16 ID:UTI3OQSO
10分後

クロ「……」ウロウロ

クロ「兵士には会わなくなったけど…それらしい部屋が全然見つからないわ…」

クロ「そもそも、灯りが圧倒的に少ないのよ…各部屋の近くに蝋燭が立ってるだけじゃない…」

クロ「……別に怖いわけじゃないけど、なんだか不安な気持ちになるわね」

クロ「……」スタスタ

ピチャ

クロ「…ぴちゃ?」スッ

クロ「……水」

ピチャピチャ

クロ「向こうの部屋から…」

クロ「……」スタスタ

ピチャピチャ

クロ「……」スタスタ

バチャバチャ

クロ「……」ピタッ

ザバザバザバ…

クロ「…ここね……」

クロ「すぅ」

クロ「はぁ」

クロ「……」グッ

ガチャ
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 22:38:56.55 ID:UTI3OQSO
ガチャ

クロ「……」

ザバザバザバ

シェアリ「…すー…すー」

クロ「……あら、お休み中…」

クロ「って、なんで寝てるのよ!?」

シェアリ「……?」パチッ

シェアリ「あら…やっと来ましたのね」

クロ「…やっと来ましたってことは、やっぱり私のことを待ってたのね?」

シェアリ「ええ…ずーっとここで待ってましたのよ…退屈でしたわ」

クロ「……インとシロは?」

シェアリ「……」フラフラ

クロ「…ねぇ、インとシ…」

シェアリ「少し待ってくださらない…?寝起きで…頭がぼーっとしますの…」スッ

クロ(コップ…?)

シェアリ「……」スクッ

シェアリ「……」ゴクゴク

シェアリ「……」ゴクン

クロ「…その水瓶の水って、飲めるの?」

シェアリ「…地獄一美味しい水ですのよ」

クロ「……その地獄一美味しい水を、こんなふうにぶちまけているのはどうして?」

シェアリ「……」

シェアリ「この水がほぼ無限であることを示してますの」

クロ「……」
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:06:57.20 ID:UTI3OQSO
シェアリ「…で、質問はなんでしすの?」

クロ「インとシロは…」

シェアリ「レインは奥の部屋にいますわ。シロンは赤の城に…」

クロ「……」

シェアリ「嘘じゃありませんわよ。念のため」

クロ「分かってるわ」

シェアリ「…それにしてもアナタ、随分落ち着いてますわね」

クロ「そうかしら…」

シェアリ「てっきり、入ってきた途端に全力で向かってくるかと思いましたわ」

クロ「そうしてもよかったけど…」

クロ「あなた、寝てたじゃない」

シェアリ「……不意討ちはしない…ってことですの?」

クロ「ええ」

シェアリ「…甘い考えですわね。ひょっとしたらそれが最初で最後のチャンスだったかもしれませんのに」

クロ「……あなた、そんな呑気してるクセに、甘い考えだなんて、よく言えるわね」

シェアリ「……」

クロ「…まぁいいわ。インは無事なんでしょうね」

シェアリ「まだ手出ししてませんわ」

クロ「まだ…?」

シェアリ「これから命令されるかもしれませんわ」

クロ「命令?誰から?」

シェアリ「……彼女もそれを聞いてきましたわね…。秘密ですわ。それをペラペラ喋るほど、ワタクシはお人好しじゃありませんの」

クロ「そうみたいね」
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:22:07.25 ID:UTI3OQSO
クロ「でも、インが無事なら、それでいいわ。少し安心した。これで…」

シェアリ「…『これで心おきなく戦える』?」

クロ「…!」

シェアリ「それはこちらも同じですわ。本来、この部屋にアナタが入ってきた時点で、戦いは始まっていたんですもの」

クロ「……」

クロ「シェアリ・サー・フレジャタン…青の城の王アレス・サー・フレジャタンの娘…」

クロ「能力は『水』の操作」

シェアリ「…詳しいんですのね」

クロ「知らないほうがおかしいわ」

シェアリ「……では、こちらからも」

シェアリ「クロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ…元魔王ルシファル・ヴィーノ・トリアンテの次女…」

シェアリ「年齢は15歳。身長152cm…体重37kg…スリーサイズはバスト7…」

クロ「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

シェアリ「……翼を生やし、自由に飛ぶ能力を持つ」

クロ「……どうしてそこまで知っているの…?」

シェアリ「アナタたちはこの計画において重要な存在ですのよ。データはすべてそろってますわ…」

クロ「…まさかスリーサイズまで探られてたなんて…」

シェアリ「まあ、こんなことはどうでもいいんですの…本当に大事なのは」

シェアリ「ワタクシがこの戦いに勝ち、その先をスムーズに進めること」

クロ「…その先?」

シェアリ「アナタには関係ありませんわ」

クロ(いちいち気になることを…)
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:32:38.34 ID:UTI3OQSO
シェアリ「……アナタ、ここにはどうやって来ましたの?」

クロ「飛んで来たのよ。当たり前でしょ」

シェアリ「結構な距離があったはずですわよ」

クロ「そうね。一時間…はかかってないけど、それなりに大変だったわ」

シェアリ「精神力は、足りてますの?」

クロ「……」

クロ「それって、こういうこと?」

クロ「さっきまで必死に飛び回ってた私が、ひたすら精神力を温存していたあなたに勝てるわけないって」

クロ「そう言いたいの?」

シェアリ「そんな感じですわね」

クロ「そう……」

クロ「……私をあまり、舐めるんじゃないわよ」

シェアリ「舐めてるわけじゃありませんわ。ただ」

シェアリ「アナタに負ける気がしませんの…すべてにおいて」

クロ「すべてって、具体的に何よ」

シェアリ「能力の強さ、精神力の多さ、体力、知力、美しさ、すべてにおいて!ワタクシが勝っていますわ」

クロ(美しさって…)

シェアリ「…せめてアナタじゃなく、シャルなら、いい戦いになったかもしれませんわね」

クロ「……」ピクッ

クロ「姉さまならきっと、あなたと戦いさえしないわ」

シェアリ「…それはなぜ?」

クロ「そういう人なのよ」
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:47:22.21 ID:UTI3OQSO
シェアリ「でも、妹の安否がかかってるとなれば、少しは必死になるはずですわ」

クロ「それは…そうね」

シェアリ「そうすればきっと、もっと充実した戦いになりますわ」

クロ「……私と」イラッ

シェアリ「『私と姉さまを比べないで』?」

クロ「……」

シェアリ「別に比べてはいませんわよ。ワタクシはただ…」

シェアリ「事実を述べているだけですの」

クロ「シェアリ!!」

シェアリ「…怒らないで…落ち着いてくださらない?」

クロ「っ…」

シェアリ「……」

シェアリ「実際、アナタ、自分が勝てると思っていますの?」

クロ「思ってなきゃ、ここにいないわよ」

シェアリ「無理ですわ。アナタのような器の小さな者に、ワタクシは倒せませんわ」

クロ「器って、この馬鹿みたいに多い水が入るだけの器?」

シェアリ「……だいぶ機嫌が悪くなってきたようですわね」

クロ「放っておいて。私はいつもこうなの」

シェアリ「それは、悪いことを言いましたわ」

クロ「心にもないことを」
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:50:46.02 ID:UTI3OQSO
クロ「確かにアナタの水の能力に、私が勝てるかどうかはまだ分からないわ」

クロ「でも、これに全部がかかってるの」

クロ「私が負けたら、インがどうなるか分からないわ」

クロ「赤の城で、姉さまが負けるかもしれない。そしたら私がシロを助けなきゃいけないわ」

クロ「不安なことはまだまだある…だから私は」

クロ「絶対に負けるわけには行かないのよ」

シェアリ「そうですの。……でも」

シェアリ「水の能力、水の能力って…」スッ

シェアリ「アナタ、何か忘れてますわね」ピッ

クロ「…?」

シェアリ「ワタクシの『バイ・セカンド』は水を操る能力。それは間違いありませんわ」

シェアリ「だけど、通常の能力は別ですのよ」

クロ「通常の能力…?普通、『バイ・セカンド』より弱いはずよ」

シェアリ「……ワタクシの通常の能力は」

シェアリ「催眠術!触れた相手を眠らせ、夢の世界で精神攻撃を与えるのですわ」

クロ「…!?」

クロ(なぜそれを私に?…でも…待って。催眠術…どこかで一度…)

クロ(……あ)
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:54:13.64 ID:UTI3OQSO
シェアリ「これは知らなかったようですわね」

クロ「…へぇ。催眠術、精神攻撃……」

クロ「…なら勝てるわ」

シェアリ「…『なら』勝てる…?何を言っていますの?」

クロ「あなた、自分の催眠術はもちろん、他人の催眠術にかかったことないわよね。催眠術の能力自体が珍しいんだから」

シェアリ「…なかったら何だと言うんですの?」

クロ「催眠術、精神攻撃、洗脳には独自の『突破方法』があるのよ。知ってた?」

シェアリ「…突破方法!?」

クロ「…教えてあげるわ。それはね、左のこめかみをぐっと押すこと」

シェアリ「…!?」

クロ「そうすると脳が刺激されて、意識が戻るみたい。私が発見した、独自のやり方よ」

シェアリ「さ、催眠を受けながら体を動かすなんて不可能ですわ!」

クロ「不可能じゃないわ。一度催眠術を食らうとね、二度目以降は…耐性って言うのかしら?とにかくそれがついて、わりと意識が戻りやすいのよ…」

クロ「それでもやってみる?」

シェアリ「そんな…ワタクシの能力をそんなふうに…」

クロ「ふふ…」

シェアリ「そんな…そんな…」

シェアリ「そんな…『ハッタリ』なんかで…突破できるはずがありませんわ!!」
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 23:58:54.68 ID:UTI3OQSO
クロ「は、ハッタリなんかじゃ…」

クロ(…バレてた…!?)

クロの言った「突破法」。これは彼女がとっさに作り上げたでたらめ、まさにハッタリなのである

確かに彼女は、かつて天使「β」との戦いで催眠術(精神攻撃)を食らったが

そこからそんな、突破法を見つけることは不可能である


シェアリ「そして、嘘を言っていたのはワタクシも同じ…」

クロ「……え?」

シェアリ「ワタクシの能力は」

シェアリ「ワタクシが直に触れなくても、先ほどから水瓶から溢れ出てアナタの足元を浸している、その水」

シェアリ「それに一定時間『浸かっているだけ』で発動しますの」

クロ「!…しまっ…」バシャッ

シェアリ「もう遅いですわ!」バッ

シェアリ「夢幻の呼び水(ウォーター・イリュージョン)!」

クロ「……!!」

………

……

349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 00:02:27.79 ID:DIdq/sSO
今日はここまでにします

女の子同士の掛け合いってずっとやってみたかったんだけど
無駄に長くなっちゃったね、失敗だね、たぶんまたやるね
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 05:41:08.92 ID:va4gFoA0
乙でした。
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/08(火) 11:12:43.72 ID:Yu1sNUk0
インって本名レインだったっけ?
前見たときは普通にインだった気がするんだけど
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/08(火) 21:53:19.48 ID:0a6p6oSO
体調を崩してしまいました
今日は書けません
明日も書けないかもしれません
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/08(火) 23:03:44.94 ID:vyMUllY0
了解
身体をお大事に
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 11:03:06.72 ID:.qPq/2DO
無理せず、御自愛下さい。
355 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 20:20:18.24 ID:SDDeRQSO
どうでもいいけどなんとなく思いついたので

テンコ
好きな映画 「007」シリーズ(全作どれも好きだが、実際に映画館で観た「トゥモロー・ネバー・ダイ」以降の新作5つが特に大好き)

クロ
好きな映画 ダークナイト(バットマンシリーズはだいたいお気に入り。好きなキャラはトゥーフェイス)

イン
好きな映画 ミッション・インポッシブル(2、3は見たことがない。さらにスパイ大作戦の存在すら知らない) 

シロ
好きな映画 「ネバーエンディングストーリー」シリーズ(「果てしない物語」はすでに5回読んでいる。ファルコンに乗ってみたい)


>>1
好きな映画 忠犬ハチ公(リメイク版ハチを見た後、即DVD入手。終わってから1時間は泣きっぱなしだった)
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 20:20:51.52 ID:SDDeRQSO
今日はちょこっとだけやります
ホントにちょこっとです…
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 20:25:36.72 ID:SDDeRQSO
ゴボボ…

ゴボボボ…


クロ「……」ゴボ

クロ(ここはどこ…?)

クロ(…水の中…?)

クロ(……そうか。私は、シェアリの催眠術を食らって…)

クロ(……)

クロ(でも、自覚できてるわ…)

クロ(自分が催眠術をかけられてるって…)

クロ(…おかしいわね……)

ゴボッ

ゴボボボッ…

クロ(…!)

ゴボボッ

クロ(泡が…)

ユラァ…

クロ(……姉さま?)
358 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 20:39:00.01 ID:SDDeRQSO
転「……」ユラユラ

クロ「…こんなところで何をしてるの?」

転「あなたこそ…」

クロ「……幻覚、でしょ」

転「しかし現実でもある」

クロ「……」

ゴボボッ

クロ「…ここは夢の中なの?」

転「シェアリの作り出した、ですけどね」

クロ「じゃああなたは、一体何をしてるの」

転「クロこそ、何をしているんです?」

クロ「え?」

転「シェアリを倒すと勢いだけで乗り込んだはいいが、勝機はまるでなく」

転「挙げ句、足跡のハッタリを容易く突破され、催眠術をかけられてしまった…」

転「何です?この有様は」

クロ「……」

転「あなた、このままじゃ死にますよ」

クロ「…っ」

転「……」

転「あなたは昔からそうでしたよね」

クロ「…昔?」

転「……私のようになりたいと意気込み、難しいことを考えず、がむしゃらに物事に挑んだ」

転「幼いころは、別にそれでよかった。『きっとこの子は強い子になる』そう根拠も無く言われてましたから」
359 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 20:45:56.21 ID:SDDeRQSO
転「でも、インが大きくなり、シロも生まれ、徐々にあなたは、自らの向上心を失い始めた」

転「さして強くもないくせに、見守る側になろうとした」

転「姉である私の視点で、物を視ようと、語ろうとした」

転「自惚れないでください、クロ」

転「あなたはあなたが思ってる以上に、卑小な悪魔なんです。弱く、脆く、幼い存在。そんなあなたが」

転「私の隣に立てると思うな」

クロ「……」

クロ「私は…」

転「それにあなたの能力…もともと戦いに向いてないんですよ」

転「空を飛ぶ能力って、むしろ」

転「逃げるためのものなんじゃないですか?」

クロ「…!」

転「漆黒を駆ける翼?違う。夜に怯え、彷徨う、醜いコウモリの傷ついた羽だ」

転「ましてや羽を散らして戦うなんて…」

転「ほら、まるで朽ちゆく、老いた鴉のようだ」

転「……あなたってとことん、駄目な妹ですよね」

クロ「でも…」

転「…インの能力は…あなたのそれとは規模が違う。天候を操るだなんて、ただ空を飛ぶだけとは、次元が違う」

転「シロの能力も。すべてを記憶できる、それはつまり究極の知恵…人の記憶を呼び起こす能力も、強力、強大、この上ない」

クロ「……」

転「となると、一番近い位置にあるのは私の能力ですが…」

転「あなたじゃ倒せないでしょう?」

クロ「……」ギリッ
360 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 20:59:19.78 ID:SDDeRQSO
転「何か言いたいことがあるのなら、どうぞ」

転「罵りだろうが呪咀だろうが、私は黙って聞きますよ。しょせんは幻ですし」

クロ「……」

クロ「わ、私は…」

クロ「…どうすれば、いいの…?」

転「……さぁ。助言なんてできませんよ」

転「ただ…」

転「あなたが限界に達してるとは、誰も思っちゃいませんよ」

クロ「……私の、限界?」

転「……」

クロ「それって…どのくらい大きな力なの…?」バサァ

転「……知るわけないでしょう」

クロ「これくらい?」バサッ

転「……」

クロ「これくらい?これくらい?ねぇ、もっと?」バサァ

クロ「もっと?もっともっともっともっともっと?」ブワッ

転「……」

転「…まだ、肌があわ立つ程度ですね」

クロ「まだまだまだまだまだ足りない!!!」ググッ

クロ「ああああああああっ!!」ズズズ

バサァッ…

転「……」

転「ま、少しはマシになったんじゃないですか」
361 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 21:03:52.70 ID:SDDeRQSO
クロ「……あなた、何考えてるの?シェアリの生み出した幻じゃ…」

転「中身は私です。良くも悪くも…」

転「少なくとも、シェアリの武器扱いはごめんなんですよ」

クロ「……」

転「さ、お行きなさいな。今のあなたなら、十分な戦いができるはずです」

クロ「……」

クロ「姉さまは相変わらずね」

転「?」

クロ「何でもないわ。お互いに生きて帰りましょう」

転「……」ユラッ

ゴボボボボ…


クロ「……」バシャッ

シェアリ「!?」

クロ「く…」ユラッ

シェアリ「…アナタ…なぜ…」

クロ「…ずいぶん素敵な催眠術ね」

クロ「姉さまったら、夢の中で説教してきたわ」

シェアリ「……?」

クロ「ふふふ…そうよね。あなたと対当に戦うには…」

クロ「結局、精神力に物言わせるしかないのよね…」ザワザワ…

シェアリ「…な、なんですの?」

クロ「漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)…」バサァ

シェアリ「……!?」

クロ「…行くわよ」
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 21:14:17.75 ID:SDDeRQSO
やっぱりちょこっとでした…
また明日やります
363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 22:09:02.87 ID:322SgPko
おつおつ
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 21:33:16.10 ID:ugIzbsSO
シェアリ(あの翼…データとは大きさがまるで違いますわ…『バイ・セカンド』でもないのに…)

クロ「ふふ…」

クロ「……黒羽射撃(ブラック・バレット)」ブワッ

バシュシュシュシュシュ!!!

シェアリ「羽の弾丸…?」

クロ「避けられるものなら避けてみなさい!」

シェアリ「……いえ」スッ

バシャア

クロ「!」

シェアリ「避ける…なんて、ワタクシ好きではありませんの」

クロ(水柱を起こして防いだか…)

クロ「あなた、もう『バイ・セカンド』を発動してたのね」

シェアリ「当然ですわ。…ワタクシの『バイ・セカンド』清なる泉水の女神(ラクス・アクア・ディオサ)は」

シェアリ「あらゆる水を操る能力!」バッ

シェアリ「旋水貫(アクア・スパイラル)!」グルン

ドンッ

クロ「回転する水球…見たことあるわ…これは…」

クロ「真正面から止める!黒羽射撃(ブラック・バレット)!」バサァ

バシュシュシュシュシュ

ガガガガガッ

クロ「…行けっ!」

バシャア

シェアリ「…水球を羽で切るとは、面白いことしますわね」

クロ「あなたと違って、私にはそのくらいしかできないのよ」

シェアリ「非力ですわ」

クロ「あら、手数が多ければ多いほど強いとは、限らないわよ?」
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 21:39:53.62 ID:ugIzbsSO
シェアリ「……旋水貫(アクア・スパイラル)!」ギュルルルル

クロ「また……」

シェアリ「Shoot!」

ギュンッ

クロ「これはさっきみたいには止められないか…?」スッ

バササッ

シェアリ「……上に避けましたわね!」

クロ「!」

バシャッ

クロ(水球が…)

シェアリ「硬水枷(ヴァダー・シェイクル)!」

シュルシュルシュルッ

クロ「ぐっ!」ギュウッ

シェアリ「水の鞭ですわ…油断しましたわね。ワタクシにとって旋水貫は最弱の技。次の技に繋ぐタネに過ぎませんわ!」

クロ「黒羽創剣……」ゾワゾワゾワ

シェアリ「無駄ですわ!」バッ

ドギュンッ

クロ「っ…!」

シェアリ「大きさよりも速さ!…ですわ」

クロ「…器用なのね。褒めてるんじゃないわよ」ザワザワッ

シェアリ「……!」

クロ「黒羽千扇(ブラック・ディスコード)!」ブワッ

シェアリ「羽を針のようにして…」

バシャバシャ…

クロ「…さて、私とあなたとの違いは…」

クロ「あなたが既に用意された技を使ってるのに対して、私は今、リアルタイムで技を考えて使ってるってことね」
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 21:52:03.86 ID:ugIzbsSO
シェアリ「それがなんですの?」

クロ「…いえ、別に何ってワケじゃないわよ」

シェアリ「……」

シェアリ(ワタクシはまだ基本の技(旋水貫)と鞭しか使ってない…余裕ならありますわ)

シェアリ(でも…)

シェアリ(既に攻撃を食らってる向こうも、ずいぶん余裕そうな顔をしてますわね…)

シェアリ(やせ我慢?)


クロ(……)

クロ(こいつの水を使った攻撃は、避けること自体は難しくないわ)

クロ(仮に向こうが速度を上げても、その分威力が薄くなる。それは今、この身で理解した)

クロ(と、なると、私は…)

クロ「…速さで翻弄する!」バサッ

ギュンッ

シェアリ「!」

クロ「黒羽…」

シェアリ「水柱!」バシャア

クロ「…黒羽創剣(ブラック・スライサー)!」シュッ

ズパッ

シェアリ「その羽は厄介ですわね……」ギリッ

クロ「あら残念。邪魔されちゃったわ」

シェアリ「…ワタクシに近づかないでくださる?」スッ

パシュッ

クロ「!」サッ

シェアリ「……」
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 22:08:32.60 ID:ugIzbsSO
クロ「ふぅ」バサッ

クロ(近づいて斬り掛かるまでは簡単だけど、結構止められちゃうわ)

クロ(それに、カウンターも素早い)

クロ(…このままじゃ、キリがなさそうね。よし…)


シェアリ(…あの羽は厄介ですわ。本当に)

シェアリ(でも、しょせんは「羽」。刺すくらいのことしかできないはずですわ)

シェアリ(…もう無傷で勝とうとしないほうがいいかもしれませんわね)


クロ(……私の力の…)

クロ(限界に、挑む!)
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 22:19:52.09 ID:ugIzbsSO
クロ「シェアリ!」

シェアリ「!」

クロ「こっちよ!」バサァ

シェアリ「後ろ…!?」

クロ「こっち!」バッ

シェアリ「??」

クロ「私の速さ…捉えてみなさい!」

バシュシュシュ!!

シェアリ(めちゃくちゃに動いて…これじゃ狙いが定められませんわ…!)

クロ(よし…迷え、迷え…!)

クロ(今だ!)バッ

クロ「黒羽連線(ブラック・ケーブル)…!」

ヒュヒュヒュヒュヒュンッ

シェアリ「これは…!」グルンッ

クロ「あなたの水の鞭を真似させてもらったわ!これであなたは動けない!」

シェアリ「…こんなもの、簡単に切れますわ…旋水貫!」ドシュッ

クロ(…そうよ。その鞭を切るにはそれが一番向いてるわ)

クロ(でも、その技の弱点は脆さ…羽の弾丸で崩れるなら…)

クロ「羽の鞭を…」

クロ「剣に変える!」ギュンッ

ズパッ

シェアリ「…逆に、切られた…!?」

クロ(そしてこのままもう一振りっ…)シュッ

クロ「当たれ!」ブンッ

シェアリ「…!」

ザクッ
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 22:21:35.72 ID:ugIzbsSO
ちょっと分かりにくいので

「黒羽連線」…羽を等間隔に打ち出し、相手をぐるりと捕まえる

  ↓↓↓↓

●(シェアリ)〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈★(クロ)

  ↓↓↓↓

●「センスイカン!」=〇〈〈〈〈〈〈〈〈〈★

  ↓↓↓↓

「黒羽創剣」…羽ケーブルを押し縮め、剣にする

  ↓↓↓↓

●「?」==〇 <<<<<<<<★「剣!」
  ↓↓↓↓

●「!」==※<<<<<★ (センスイカン斬ラレル)

  ↓↓↓↓

●「!!」 <<<<<★「シネヤッ」
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 22:41:40.69 ID:ugIzbsSO
ポタタッ

クロ「はぁっ…はぁっ…」

シェアリ「……」

シェアリ「…よ」

シェアリ「よくもワタクシの自慢の青髪を!!!」

クロ「くっ…!」

クロ(首の皮を少し傷つけただけ…!駄目だ)

クロ「それに髪って言ったって、ちょっとだけじゃない!」

シェアリ「黙りなさい…」ゾワッ

クロ「…!」

シェアリ「アナタが…そんな…で…」

クロ「え?」

シェアリ「……」

シェアリ「アナタの野蛮な能力で!ワタクシに勝つなど!」バッ

シェアリ「絶ッ対にあり得ませんわ!!」ブンッ

シェアリ「大津波(タイダル・ウェイヴ)!!!」

グオオッ!!

クロ「津波…!?」

シェアリ「アナタのような障害物(ゴミ)は、押し流して差し上げますわ!」

ドドドドド

クロ「……!」バッ

シェアリ「散りなさい!」

ドシャアアアアン!!!
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 22:58:17.54 ID:ugIzbsSO
ザザァン…

クロ「……」

クロ(ギリギリで…『バイ・セカンド』…6枚翼で防いだけど…)

クロ(衝撃が…強すぎたわ…動けない…)

シェアリ「……」スッ

シェアリ「旋水貫(アクア・スパイラル)」

ギュルンッ

クロ「……」ガクガク

クロ「黒羽風奏(ブラック・シルフィ)…」ブワッ

バシャア

シェアリ「…押し返すのが精一杯のようですわね」

クロ「いくらなんでも…津波を直に受けるとは思ってなかったわ…」

クロ「あんな桁外れな量の水を…」

シェアリ「……」

シェアリ「ワタクシ…いや、ワタクシたちの能力…その最大の長所は」

シェアリ「自然の力を利用していること」

クロ「……自然の、力…?」

シェアリ「アナタの翼のように、自らの力だけで戦っているのではなく」

シェアリ「この、あらゆる世界に存在するすべての水」

シェアリ「それを自由に操れる…」

シェアリ「ワタクシは水を生み出すことはできませんわ」

シェアリ「既存の水を『加工』するだけ…」

シェアリ「だから低コストで大技を使えますの」

クロ「なるほど…ね…」
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 23:00:12.96 ID:ugIzbsSO
シェアリ「知ったところでどうにかなる話じゃありませんわね」シュルルルルルル

クロ「……!」

シェアリ「動けないアナタを倒すのに…もう速さはいりませんわ。大きいだけのこれで十分…」

クロ「こ、こんなの…無理よ、防げないわ…」

シェアリ「防がせませんわ…」ブンッ

シェアリ「さよならクロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ。結局アナタじゃワタクシを満足させることはできませんでしたわ」

ゴオオオオッ

クロ(こんな…こんなところで…)

クロ(まだ、死にたくない…!)
オオオオッ…

クロ「…っ!」


「雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)」


バシャアアアアン!!!


シェアリ「……!?」

クロ「…え?」

シェアリ「雷…?これは…まさか…!」バッ

バチバチ

エレカ「……」バチッ

エレカ「遅れてごめんね、クロ」

シェアリ「エレカ…!?」
373 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/10(木) 23:03:51.16 ID:ugIzbsSO
今日はここまでにします
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 21:35:25.40 ID:VP7I0oDO
乙でした。
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 22:36:59.58 ID:ny90i.SO
クロ「……」

クロ「あなた、生きてたの…?」

エレカ「生きてたもなにも」スタスタ

エレカ「あんなところで死ぬ気なんて、元からないよ」

クロ「でも…」

エレカ「大丈夫。苦戦はしたけど、なんとか彼ら(センリとジーク)は倒せた。それから急いでこっちに来て…」

エレカ「今、君を助けた」

クロ「……」

エレカ「さて、シェアリ」スッ

シェアリ「…エレカ」

エレカ「本気でクロを殺そうとしたんだね」

シェアリ「当然ですわ」

エレカ「なら私相手に同じことができるかな」

シェアリ「…いくらアナタが相手とはいえ……」

シェアリ「臆するワタクシではありませんわ!」バシュシュッ

クロ「水の鞭…!」

エレカ「!」ギュルルル

シェアリ「捕まえましたわ…!」

エレカ「捕まえた?」バチバチ

エレカ「この程度で?」シュンシュンッ!!

シェアリ「切られ…!?」

クロ(何したの?今…速すぎて見えなかったわ…)
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 22:54:42.01 ID:ny90i.SO
エレカ「正直言って、私は君より強いよ。シェアリ」

エレカ「だけどいつもみたいに手加減してたら、きっと君には勝てない」

シェアリ「…それが、なんですの」

エレカ「だから今回は少しだけ…」

エレカ「本気を出す」シュンッ

シェアリ「……!」

クロ(瞬間移動…!?)

エレカ「瞬間移動じゃないよ」スッ

シェアリ(来る!)バッ

エレカ「落雷(ラクライ)」

シェアリ「旋水貫(アクア・スパイラル)!」

バシャアアアアアン!!!

クロ「……!」
377 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 22:55:53.77 ID:ny90i.SO
ザアアアア

エレカ「…それ、確か、一番弱い技だったよね」

シェアリ「そうですわよ」

エレカ「参ったなぁ…まさか止められちゃうなんて」

シェアリ「ワタクシを侮るからですわ」

エレカ「ううん…侮ってはいないよ…むしろ」

エレカ「この程度の雷を止めたくらいで、浮かれない方がいい」ヒュン

シェアリ「またっ…」

エレカ「背後を取った…もう分かるよね」チョン

バリッ

シェアリ「……く」

ドサッ

クロ「……す、すごい…」

シェアリ「か、体が…」ビリビリ

エレカ「これでしばらくは動けない…いや、君ほどの実力者ならすぐに元通りになるかもしれないけど…」

エレカ「とにかくこれで、彼女を逃がす隙はできた」タッ

クロ「!」

エレカ「クロ、動けるかい?」

クロ「ええ…」

エレカ「君はここにいちゃダメだ。早く逃げたほうがいいよ」
378 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 22:56:26.61 ID:ny90i.SO
クロ「…逃げる?」

エレカ「うん」

クロ「……」

クロ「私が、邪魔ってこと?」

エレカ「邪魔とまでは言わないけど、はっきり言って、今の君は足手まといにしかならないよ」

クロ「足手まとい…?」ムッ

クロ「まだインを連れ返してないわ!」

エレカ「ああ、インが…そうか、この奥にいるんだね」

クロ「だから私はここに残る!あなたと二人でシェアリを倒せば、早くインを助けてあげられるわ!」

エレカ「……分かった」

エレカ「なら君には、もう少し無茶をしてもらうよ。自分で決めたことなんだから、最後までやりぬいてね」

クロ「あなたに言われなくたって、最初からそのつもりよ」

エレカ「…そうか。それならいいんだ」


シェアリ「……」ビリビリ

シェアリ(…無駄なお喋りをしてる暇があるなら…早くワタクシにとどめを刺せばいいのに…)

シェアリ「…甘過ぎますわ!」シュルル

ドンッ

クロ「!エレ…」

エレカ「雷門」

ガシャアン!!

シェアリ「雷の口…?盾ですわね!」

エレカ「…シェアリ、君はやっぱり」

エレカ「私には勝てそうにないね。そんな不意討ちなんかしてる内は」

シェアリ「……」ギリッ
379 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 23:20:46.95 ID:ny90i.SO
シェアリ「まだ痺れは残ってるけど…立てますわ」

エレカ「……無理しないほうがいいよ」

シェアリ「余計なお世話ですわ!」バッ

シェアリ「四連旋水貫(クアドラ・アクア・スパイラル)!」ドシュドシュドシュシュッ

クロ「あの水球が四つも…!」

エレカ「相変わらずケタ外れの精神力を持ってるね…君もクレアも…」

エレカ「……そして私も」スッ

エレカ「雷閃(ライセン)!」バリバリッ

クロ(両手から電撃を…)

バシャシャッ

シェアリ「まだ二つ残ってますわ!」

エレカ「…雷槍・獲蛇伐鋏(ライソウ・エダキリバサミ)」バリバリ

クロ「…両手の『雷閃』が…」

シェアリ「先の尖った槍に…!」

エレカ「交差する電撃(エクスパーク)」ジョキン

バシャアアアアン!!!

シェアリ「くっ!」

クロ「四つ全部止めた!」
380 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 23:21:45.40 ID:ny90i.SO
エレカ「まだだよ」ググッ

エレカ「雷槍・螺旋(ライソウ・ラセン)」ギュルルル

シェアリ「!」

クロ(あの二本の槍が捻れて…一つに…)

エレカ「…投(とう)っ!」ブンッ

バ リ ッ

シェアリ「速っ…」

シュッ

シェアリ「…外れた…!?」

エレカ「くっ…」ヨロッ

クロ「エレカ…!?」

エレカ「やっぱり…センリとジークは…強かったんだね…今さら来たよ…」

エレカ「充電切れ…」

クロ「充電…!?」

エレカ「ううん…大丈夫…まだ、空っぽになったわけじやない…少し時間がかかるけど、体内から使えそうな電気を集めれば、戦える…」

クロ「時間がかかるって…」

シェアリ「…なんだかこれは、チャンスみたいですわね」シュルルル

エレカ「…しばらくは、彼女の的にならなきゃいけないみたいだ…」

シェアリ「溺愛水泡(アクア・ラヴァーズ)!」バッ

パシャッ

エレカ「!」ゴボボッ

クロ「エレカ!?」
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 23:24:08.88 ID:ny90i.SO
シェアリ「…さっきまでの旋水貫とは違いますわよ。これは」

シェアリ「時間をかけて窒息死させる、拷問用の技!」

エレカ「……!」ガボガボ

エレカ(取れない…電気が足りてないからか…!)

シェアリ「溺死体はあまり美しくないから…ワタクシはこの技、嫌いですの。でも」

シェアリ「とにかく今は、アナタを倒すのが最優先ですわ!」


クロ「あら、私を忘れてない?」

シェアリ「…!」

クロ「上よ!」バサァ

シェアリ「しまっ…」

クロ「黒羽射撃(ブラック・バレット)!」バババババ

シェアリ「!」ザクザクザクッ

クロ「エレカ!」

エレカ「……」ゴボボ

クロ「もう少し、耐えて…私がシェアリを追い詰めて、それを解除させるわ!」

エレカ「……」コクン

クロ「…さぁ、戦いはここからが本番よ!」

シェアリ「アナタ…まるでしつこい小蝿のようですわね…」
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 23:49:06.10 ID:ny90i.SO
クロ「……シェアリ!」バサッ

シェアリ「しつこすぎですわ…あの津波を、もう一度食らいたいと言うなら…」

クロ「もう使えないのは分かってるわ!」

シェアリ「…!」

クロ「いくらあなたが並外れた精神力を持ってても、あんな大技、そう簡単に連発なんてできないわ!つまらないこけおどしは止しなさい」

シェアリ「こけおどし…?」

シェアリ「ワタクシの精神力を舐めないでくださらない?」ググッ

シェアリ「水柱牙(アクアファング)!」ドンッ

クロ「!」サッ

シェアリ「それは避けるのではなく潰すべきですわね!」

グアッ

クロ(柱の側面から…!)

クロ「うあっ!」ザクッ

シェアリ「まだまだですわ!」ババッ

シュルルッ

クロ「鞭…これは…食らわないわよ!」スッ

クロ「黒羽創双剣(ブラック・スライサーズ)!」グルンッ

ズバッ

シェアリ「その剣…二本も作れますのね」

クロ「あなたこそ私を舐めてたみたいね…!」

クロ(…でも、これらは全部翼の羽を減らして使ってる技…乱用すれば羽が足りなくなって、飛ぶことさえできなくなるわ)

クロ(できるだけ攻撃は避けて、確実なタイミングを狙って押し切る!)ギュンッ
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/12(土) 23:49:27.87 ID:ny90i.SO
シェアリ「ちょこちょこと…」

シェアリ「うざいネズミですわね!」ドンドンッ

クロ「そんなのろまな攻撃!今さら当たらないわ!」サッ

クロ「それに人のこと、鴉だの小蝿だのネズミだのと、はっきりしなさいよ!」シュッ

シェアリ「……」イラッ

シェアリ「ならもっともっと…」ババッ

シェアリ「数を増やすだけですわ!」ドドドドッ

クロ「!…3、4、5…」

クロ「…6発!?」

シェアリ「避け切れるものなら、避けてごらんなさい!」

クロ「く…1、2…」シュシュ

クロ「3…4…!」チッ

シェアリ「擦った!『詰み』ましたわね!」バッ

クロ(ダメだ、避け切れな…)

クロ(……いや、上下左右に逃げ場がないなら…)

バッ

クロ(前!)ドパァン

シェアリ「なっ…急加速で突き抜けましたの…!?」

クロ「必・殺…」

クロ「黒の流星(シューティング・ブラック)!」ギュルルルルル

シェアリ(これは直撃したらまずいですわ…!)

シェアリ「水の膜(アクアラップ)!」

クロ「そんな薄い壁、簡単に壊してやるわ!」グッ

バキッ!!

シェアリ「……!」ブワッ

ドシャアン!!
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 00:01:52.67 ID:3isrJ2SO
シェアリ「…かはっ!」

クロ「……よし!」スタッ

シェアリ「く…よくも…」

シェアリ「よくもこの、ワタクシを…!!」

クロ「……」

クロ(シェアリ、怒ってるわ。でも、今の攻撃のダメージはかなり大きかったはずよ)

クロ(私もまだ、なんとか余力はある…『バイ・セカンド』を節約したのは正解だったわね)

エレカ「……ゴボッ!!」

クロ「はっ…エレカ!」バッ

クロ「エレカ!エレカ…息がもう、保たないの!?」

エレカ「……!」ガボボ

クロ「…シェアリ!この技を解除しなさい!」

シェアリ「……」

クロ「シェアリ!聞いて…」

シェアリ「…『愛に溢れるこの水に…溺れてしまいなさい』…」

クロ「…何を言って…?」

バシャア

クロ「!」

エレカ「…ぷはぁっ!」

クロ「よかった…解除されたのね!」
385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 00:02:03.32 ID:3isrJ2SO
シェアリ「……」

シェアリ「そう、これで」

シェアリ「戦いは、終わりですわ…」ユラッ

クロ「!…まだ立って……」

エレカ「いや…クロ、君はもういい。今度こそ、後は私がやる…」

エレカ「なるべく…力を使わないようにしてたんだ…」ボソッ

クロ「……?」

シェアリ「あ…『アナタは…ワタクシが倒しますわ』…」

エレカ「私の雷は、君の水に負けたりしない!」

クロ「……」

クロ(おかしいわ…シェアリ…何か様子が変…)

クロ(エレカに使ってた技を解除してから…)

クロ(戦う気力が感じられない…?)

シェアリ「はぁ…はぁ…『ワタクシにはまだ…最強の技が残ってますわ』…」

エレカ「私も、まだ強い技は使ってないよ」

クロ(この、何か、言わされているような言葉も…)

クロ(何か変…)
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 00:08:01.57 ID:3isrJ2SO
今日はここまでにします

ちなみにエレカがやけに速く動くのは、瞬間移動とかそんなチャチなもんじゃ(ry
雷の力を攻撃手段としてよりも、肉体の活性化に利用してるからです

シェアリがケタ外れの精神力でめちゃくちゃな攻撃をしてくるのと同じように
エレカはケタ外れの精神力でめちゃくちゃな速さで移動します
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/13(日) 23:53:17.16 ID:HnOw4oDO
乙でした。
388 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/14(月) 22:03:16.80 ID:47me6MSO
今日はちょっと書けません
また明日書きます
すみません
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:03:59.08 ID:CJTYtkSO
クロ戦闘中

赤の城へと向かう道


転「はっ…はっ…」タタタ

ポチ「……」タタタ

転「ポチくん…足、大丈夫ですか?」タタタ

ポチ「ちょっと痛むけど…大丈夫ッス。まだまだ走れるッスよ!タタタ

転「そうですか…」タタタ

転(もう…4時頃か?結構走ってるけど…)

転(だんだん寒くなってきた…)

ポチ「…風が、気になってるッスね?」タタタ

転「ええ…少しね。ちょうど向かい風だし…」

ポチ「今夜は吹雪くみたいッスよ。でもまだ、三時間くらいは平気なはずッス」

転「それまでには片がついてればいいんですけどね」

ポチ「三時間もあれば、妹さんたちなんて簡単に取り返せるッスよ!」

転「……そうですね」


転(…吹雪、か)
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:12:56.30 ID:CJTYtkSO
テンコが無意識の内に連想したのは、少し昔の話

メイが、四姉妹邸にやってきた日のことだ

その日、外はものすごい吹雪で

テンコたちは、いつまで経っても帰ってこない父の心配をしていた

もしかしたらこの寒さにやられてしまったのではないか、とクロが言えば

父さんはそんなに弱くない、とテンコが返す

幼いインはさらに幼いシロを抱き抱え、退屈そうに窓の外を見つめていた


結局、父が帰ってきたのは時計の針が12時を回ったころで

真っ白な雪にまみれた父はそれを払い落とすと

「会ってもらいたい人がいるんだ」と告げ

一人の少女を部屋に入れた

それが、メイ

シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバ

トリアンテ・ランバは一家の名だ

だからそれが本名ではなく、後から父に付けられた名だと分かっていたし

そしてその本名なんて、テンコにとってはどうでもよかった

ましてや後にはあんな仲になるのだし

メイの生い立ちなど、テンコはほとんど知らなかったのだった
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:17:20.57 ID:CJTYtkSO
転(……)

転(メイのことなんてどうでもいい)

転(今はただ)

転(インとシロを、救い出すことだけを)

転(それだけを、考えればいい…)

転「……」ダッ

ポチ「タフッスね…」

タタタタタ…


「…ええ、そうです…」

「奴らです。今、第5ポイントを通過しました」

「確保しますか?」

「…分かりました。すべてあなたにおまかせします」

「…我が主、クレア様」
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:26:09.31 ID:CJTYtkSO
赤の城(rojo castillo)

クレア「……ん」スッ

ノエル「彼らは…」

クレア「ああ、こっち来てるって」

ノエル「もうそろそろでしょうか?」

クレア「そうだな…あと30分もしない内に着くだろ」

クレア「ところで、シェアリとの連絡は付かないのかよ?」

ノエル「ええ…先ほどまでは確かに連絡できたのですが、なぜか急に連絡不可能になりまして…」

クレア「……」

クレア「もしかしたら、あれかもな」

ノエル「?」

クレア「エレカ。あいつ確か、能力で有害電波飛ばして、他の通信を邪魔できるんだよな」

ノエル「ジャミング…ですか?」

クレア「いや、テキトーに言ってみただけだ」

ノエル「しかし、なぜエレカ様がそのようなことを…?」

クレア「おいおい、ノエル、お前までエレカ『様』かよ」

ノエル「!…も、申し訳ありません…私めの主は、クレア様、あなただけです…」

クレア「いや、別にいいよ…」

クレア「まぁあいつにも、聞かれたくないことがあるんじゃないのか?」

ノエル「…聞かれたくないこと?」

クレア「知らないならいい。それよりお前、ちゃんと準備しとけよ。あいつら、アタシだけでも倒せるけど、できるだけ力は残しておきたいんだよ」

ノエル「ご心配におよびません」

クレア「…頼むよ。その後が忙しいんだからな」
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:40:29.24 ID:CJTYtkSO
転「ふー…そろそろですね…」タタタ

ポチ「ほ…ホントっスか?」タタタ

転「さっきまでは雪で埋もれてた道が…ほら、敷石に」タタタ

ポチ「…雪が溶けたッスか?」タタタ

転「…熱ですよ。赤の城…と、その周辺からは、常に熱が放出されてる。ほら、この地獄にも工業都市が着々と出来ているでしょう。それを覆う有害な煙なんかと一緒ですよ」タタタ

転「赤の城は、兵器の開発にも着手してるんです。それを青の城に流して、兵力を強化する」タタタ

ポチ「兵器の開発に熱が必要ッスね。でも、ここの雪を溶かすほどッスか?」タタタ

転「…赤の城の王ガルクと、そして娘のクレア。二人が本気を出せば」タタタ

転「この一体を火の海にすることくらい簡単なんですよ」タタタ

ポチ「そうッス、確か二人の能力は…」タタタ

転「熱と炎の操作…」タタタ


赤の城

クレア「……」

ノエル「クレア様、蝋燭のセット、完了しました」

クレア「ああ、お疲れ。じゃあ…」スッ

クレア「…『バイ・セカンド』っと」

ボウッ!!!


ノエル「…完璧ですね」

クレア「いや、まだ七割以上八割未満ってとこだ」

ノエル「これで…?」

クレア「まぁ、アタシもそう簡単には本気を出せないってことだな…」
394 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:50:34.44 ID:CJTYtkSO
ポチ「いい加減、キツくなってきたッス…」タタタ

転「あとちょっとですよ。頑張ってください」タタタ

転(まぁ、無理もないか…既に『バイ・セカンド』を数回使った体で…ひたすら走る。精神力(モチベーション)も上がりませんよね)

転(でもとにかく、今は先に進むしかない)

転「こうなったら後はもう、気合いと根性ですよ。頑張りましょう」

ポチ「……」

ポチ「『頑張ってください』より『頑張りましょう』のほうが、励みになるッスね」

転「それはよかった」
395 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:51:40.60 ID:CJTYtkSO
更新少ないけど、今日はここまでにします
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 23:10:35.04 ID:tZTnt0c0
乙です。
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 20:47:37.71 ID:ovHH1USO
転「はぁ、はぁ…暑い。なんだこれ…まだ冬なのに…」フラフラ

ポチ「思ってたより…来るッスね、これ…」フラフラ

転「これ、クレアのとこ着くまでに、保つかなぁ…」フラフラ

ポチ「な、なに弱気なこと言ってるッスか!まだ倒れたりしたらダメッスよ!」

転「でも実際ね、キツいですよ…」

ポチ「……」


バッサ バッサ

転「あの…」

ポチ「……」バッサ バッサ

転「あの、ポチくん、聞いてます?」

ポチ「何ッスか?」バサ バッサ

転「それは、その、扇いでくれてるんですよね?上着で」

ポチ「そうッスよ」バッサ バサ

転「…疲れるだけじゃないですか?」

ポチ「……」ピタッ

転「…ほら、めちゃくちゃ汗かいてるじゃないですか」

ポチ「でも、俺は」スッ

ポチ「テンコさんの負担が少しでも和らぐなら、もうちょっと頑張るッス」バサ バサ

転「あ、そーですか…」

ポチ「……」バサ バサ

転(人が止めろって言ってるのに、どうしてこう彼は、一生懸命になってこんなことを…)

転(そもそも、優しすぎるんですよ…まだ会って半日も経ってないのに)
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 20:54:13.30 ID:ovHH1USO
転「……」チラッ

ポチ「?」バサッ バサッ

転「…辛くなったら、やめたほうがいいですよ」

ポチ「平気ッス!」バサ バサ

転(…変わってるなぁ)

ヒュッ

転「ん?」クリッ

ポチ「お、落ち…落ちるッス!!」

転(地面に穴が…!?)

転「…危険な操作法!」ヒュッ

ポチ「!」ガシッ

転「よし、すぐに引き上げま…」

パカッ

転「す……え?」

ポチ「……!」

ヒュッ

転ポチ「ああああああああああああ…」
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 21:13:00.87 ID:ovHH1USO
転「あああああああああああ」

ポチ「うわあああああああああ」

ヒュウウウウウウ

転「な、何か…掴むもの…!」キョロキョロ

ポチ「ないッスよ!」

転「ならこのまま落ちるしか…」

ポチ「…テンコさん!あれ!」

転「…煙突!?」

ポチ「あれの縁に掴まるッス!」

転「なるほど…まずはポチくん!神の見えざる手(インビジブル・ハンド)!」グイッ

ポチ「わっ!」

転「あとは…あれに掴まれば…」スッ

パシッ

転「……熱っ!?」パッ

ポチ「え…」

転「あ…しまっ…」

転ポチ「ああああああああああああっ」
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 21:15:37.88 ID:ovHH1USO
ポチ(まずい、このままじゃ落ちる…!)

ポチ「…テンコさん!」

転「はいっ!?」

ポチ「しっかり掴まってるッス!」ギュッ

転「??」

ポチ「『バイ・セカンド』銀の踊り(シルバー・ダンス)!」ドンッ

転「……まさか」

ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ

ポチ「……」ギリッ

転「煙突を走ってる!」

ポチ「く…!」

転「どんだけがむしゃらな脚力なんですか!マジで動けなくなりますよ!?」

ポチ「…それでも…いいッス…」ダンダンダン

転「…え」

ポチ「動けなくなったって…構わない…でも…あなたを死なせるわけには…」

ポチ「絶対に…いかないッス…!」

転「……」

ポチ「あと…一歩!!」ズダンッ!!

転「ポチく…」

ポチ「大丈夫ッスよ、これで着地…」

転「…いや、下…」

転「みず…」

ドボンッ
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 21:34:56.93 ID:ovHH1USO
ポチ(なんで水が…)

転「ごぼごぼごぼ……」

ポチ「……」ザバザバ

ポチ「ごぼごぼ(テンコさん!)」

転「がぼぼぼがぼ(ポチくん、ヘルプ)…」

ポチ「……」ガシッ

グイッ

転「ぷはぁっ!?」ザバッ

ポチ「ごほっごほっ!」

転「ホント、なんだこれ…熱湯?ああもう…」

ポチ「上がれないッスかね?」

転「さぁ…」キョロキョロ

転「あ、ドア!」ビッ

ポチ「出られるッス!」ザバザバ

転「……」ザバザバ

転「クレアめ…見かけによらずいたずらっ子だな、あいつ…」ザバザバ

転「この私をここまでコケにするとは…絶対に許さん…!」バシャン

ポチ「テンコさん?」



クレア「ははははは!おい、ノエル!今の見てたかよ!」

ノエル「見てました…隣で…」

クレア「最高だぜあいつら!ははははっ!」

ノエル「クレア様…一体なぜあんな下らない罠を?」

クレア「なぜって?それはな、ノエル…」

クレア「楽しいからだよ。こっちに意気込んでやってきた奴らを、あんな風に苛めてやる!見てて楽しいだろ?」

ノエル「はぁ…」
402 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 21:50:25.46 ID:ovHH1USO
転「ああ、もう、なんでこんな、ワケの分からないことに…」ザバァ

ポチ「ふー…」ポタポタ

転「…しっかしこれ、相当高いとこから落ちてきましたね、私たち」

ポチ「そうッスね…もしかしたら、赤の城から出てる煙突って、全部こんなふうに、地中に隠してあるんじゃないッスか?」

転「ああ、なるほど…そうなのかもしれませんね。だから地面から熱が漏れて、じわじわ暑くなってるんだ」

ポチ「じゃあこの熱湯は、何かの排水とか…」

転「……排水のプール。最低ですね」

ポチ「でも、ケガしなかったッス。よかったッスよ」

転「そういえばポチくん、もしこれが堅ーいコンクリだったらどうしてたんです?大丈夫、みたいなこと言ってましたけど」

ポチ「聖域(サンクチュアリ)の能力を使って、テンコさんにはケガさせないつもりだったッス」

転「私には?じゃああなたは」

ポチ「下手したら、両足ダメになってたかもしれないッス…」

転「だからなんでそんな捨て身なマネを…」

ポチ「なんでって言われても、理由は特にないッスよ」

転「……あなたはヒーローにでもなりたいんですか?」

ポチ「ヒーロー?」

転「私(ヒロイン)を助ける、王子様ですか?」

ポチ「…いえ、俺は別に、捨て駒だろうが奴隷だろうが、気にしないッス」

転「……」

転「ヒロインとか言っちゃった自分が恥ずかしいです」

ポチ「むしろテンコさんがヒーローッスよ。妹を助けるために必死に…」

転「いいです。そういうのはいーですよ!ほら、さっさと行きましょう!きっとクレアはこの先のどこかにいます!」

ポチ「…そうッスね!」
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 22:01:30.37 ID:ovHH1USO
タタタ

転「あーあ、びしょびしょだ。借りた服なのに…」ギュウ

ポチ「……」タタタ

転『あなたはヒーローにでもなりたいんですか?』

ポチ(…俺は、どうしてこんなに必死なんだろう)

ポチ(エレカ様に命令されたから?)

ポチ(……)

転「ポチくん!」タタタ

ポチ「…!」タタタ

転「聞いてます?…足、大丈夫ですか?」タタタ

ポチ「だ、大丈夫ッス!思ったよりは…」タタタ

ポチ「ただ、これ以上能力を使うと、結構ヤバいかも知れないッス…」タタタ

転「……」タタタ

転「でもまぁ、敵はクレア一人ですし、なんとかなりますよ。私がメインで戦いますから」タタタ

ポチ「そうッスか」タタタ

ポチ「…テンコさんこそ、無理したらダメッスよ」タタタ

転「……自分のことは、自分が一番分かってます」タタタ

ポチ「そうッスね。…とにかく、必ず勝つッス!」タタタ

転「もちろんです!」タタタ
404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 22:02:20.58 ID:ovHH1USO
今日はここまでにします
次は、引っ張って引っ張って引っ張ったテンコのガチバトル、久々に書きますよ
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 22:10:55.25 ID:EWooyqE0
乙でした。
>>1がやる気満々だ!胸が熱くなるな
406 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 23:55:47.20 ID:J5OqqUDO
乙です。
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 21:54:28.22 ID:iJ7Gx2SO
青の城と赤の城

この二つの違いに「部屋の数」がある

青の城には小さな部屋がたくさんあったのに対して

赤の城には特別大きな部屋がいくつかあるだけだ

古い機械が詰まった倉庫や小屋もあるにはあるが、どれも人の入る場所ではない

つまり、青の城でクロがシェアリを見つけ出すのに少し手間取ったのと違い

テンコたちがクレアを見つけるのは、さして難しいことではないのである


転「クレアは…」タタタ

ポチ「…何ッスか?」タタタ

転「きっと、広いスペースで戦いたがる…」タタタ

ポチ「……どうしてッスか?炎の能力を使うなら、狭いとこで焼き尽くせば…」タタタ

転「…炎はクレアの最大の武器ですが、同時に弱点でもある……」タタタ

ポチ「弱点…?」タタタ

転「私たちもさっきまで散々苦しめられたでしょう。すべての生物に影響を及ぼすもの…」タタタ

ポチ「……熱!」タタタ

転「そう、熱です…いくらクレアの力が強かろうが、その強い炎が発する熱には、耐えられない…」タタタ

ポチ「すると必然的に、広い場所で、熱を少しでも籠もらせないようにしなくちゃいけないってことッスね」タタタ

転「はい…というわけで…」ピタッ

転「この部屋以外にありえない」
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 22:09:11.44 ID:iJ7Gx2SO
ポチ「ここッスか…」

転「ええ、間違いありません…だって、ほら」スッ

ピトッ

転「ドアノブがこんなにあったまっ……熱ッッ!?」ジュッ

ポチ「だ、大丈夫ッスか…!?」

転「ゆ、油断してました…めっちゃ熱い…ちょっと泣きそうです」

ポチ「……」

転「よし、体当たりで開けましょう。行きますよ。せーの…」グッ

ガチャッ

転「え?」

ノエル「空間歪曲(スペース・ディストーション)」ガシッ

グニョン

転「うわっ…」フワッ

ポチ「……!?」

ノエル「吹き飛べ…!」グイッ

ブワッ

転「…っ!」ドサッ

ポチ「な…今、何を…」

ノエル「クレア様は2VS1の戦いはご所望ではない」ザッ

ポチ「……!」

ノエル「あなたの相手はこの僕だ…」

ポチ「…なんだか分からないけど、あんたも敵みたいッスね!」


転(…なんだ、こいつ…!今の能力は…)

転(私を触れずに倒した!)

転(そもそもこいつ、誰だ…?)
409 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 22:30:59.09 ID:iJ7Gx2SO
ノエル「……来い!」スッ

ポチ「……」スタスタ

転「ちょっ…待って待って…」タタタ


ゴオオオオッ

ポチ「!…これは……」

転「……巨大な蝋燭…それも三つも…?」

ゴオオオオッ

クレア「やっと来たか…」

転「…クレア!」バッ

クレア「よーう、シャル」

転「よーう、て…年下のくせに、なにタメ口利いてるんです?」

クレア「うるせぇな、一つしか変わらねぇだろ?」

転「……」ギロッ

クレア「…怖いな、その目。なンか言いたいことでもあンのか?」

転「言いたいことならたくさんありますよ…」

クレア「そうだろうな…」

転「まず…」

クレア「お前ら、あれだぜ…二人がかりでアタシを倒そうとしてたんだろ?」

転(言わせてくれないのかよっ!?)

ポチ「俺はあくまでもテンコさんのサポート役ッスよ…」

クレア「…テンコさん?おい、誰だよテンコって」

転「……私です」

クレア「…シャルだろ?アンタは」

転「いいんですよ、あだ名ですから」
410 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 22:33:50.88 ID:iJ7Gx2SO
クレア「へぇ…まぁとにかくアンタは、どこの誰かは知らねぇけど、そいつと一緒にアタシをボコボコにしようと考えてたワケだ」

転「……」

クレア「でも、アタシだって、結構用心深いからな…今回は、ノエルの手を借りることにしたんだよ」

転「誰です?」

ノエル「僕だ」スッ

転「…ずいぶん可愛い顔してますね。強いんですか?」

ノエル「……」ムカッ

クレア「…ノエルはな…強いと言うより、凄く厄介なんだ…もちろん誉め言葉だぜ?」

クレア「少なくともこいつは…アタシが唯一、一緒に戦うことを許してる」

転「へぇ…一人で突っ走ってばかりだったあなたが」

クレア「アタシだって変わったんだよ」

転「……」

転(どうやら昔は、最初から二人でやるつもりだったみたいですね)

転(2VS2か…)

転「…ポチくん!」

ポチ「!」

転「…私はクレアを狙います…あなたはもう片方を」

ポチ「…はい!なるべく早く倒して、すぐにあなたを助けるッス!」

転「ええ…よろしく頼みますよ…」
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 23:11:19.60 ID:iJ7Gx2SO
クレア「ノエルをなるべく早く倒す、か」

クレア「無理だな…あいつはそんな簡単に…」

タンッ

転「はぁっ!」ブンッ

クレア「あ…!?」

バキィッ

クレア「…っ!」ザザァ

クレア「いきなりかよ…!やってくれるじゃねぇか」

転「ボーッとしてるからですよ…」

クレア「何もそう、急ぐ必要はないじゃねぇか…あ、いや、アンタは急がなきゃダメなんだったか…」

転「……」

クレア「妹(シロ)のことが、気になってんだろ?」

転「インはいないんですね?……シロに手を出してないだろうな!?」

クレア「それを知りたきゃ…アタシに勝ってみろ!」

クレア「『バイ・セカンド』炎舞せし紅蓮の魂(バーニン・クリムゾン・ソウル)!」ゴオオオオッ

転(!…彼女の周りを炎が覆っていく…)

転(そうだ…これがクレアの能力!熱を全身から炎に変えて放出する!)

クレア「容赦はしねぇぜ!旋焔殺(フレイム・スパイラル)!」ゴッ

転「…危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!」ヒュッ

クレア「どこを狙って…」

ブンッ ブンッ

クレア「!…上下から瓦礫を…!」

ガシャアアン

クレア「瓦礫を上下から重ねて…炎を防ぐシャッターにしたのか…」

転「ふっ…クレア!ここに、砕けている瓦礫がないなら、壁を壊して使えそうな瓦礫を作る!私はそういうレベルに成長してるんですよ!」

クレア「この部屋を穴だらけにする気かよ…」
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 23:14:14.58 ID:iJ7Gx2SO
クレア「……」

クレア(アタシが知ってるこいつの能力は、『物質を自由自在に操る』…そうして瓦礫やら何やらをぶつけて攻撃してくる)

クレア(だけど今、操れる物質を自ら作り出した。つまり『壁を壊す力』も持ってる)

クレア(向こうにとっての最大の利点は、ここが枯れた土地なんかじゃない限り、武器がほぼ無限にあるってとこだ)

クレア(それに対してアタシの炎には、限度がある。一定以上の温度になったら、もう戦いなんてロクにできないからな…)

クレア(……力でごり押しするしかねぇな。きっと向こうも同じことを考えてる)

クレア(…いつも通りだ…!)バッ


ポチ「……」ジリジリ

ノエル「どうした?向かって来ないのか?」

ポチ「……」

ポチ(さっき、テンコさんを吹き飛ばした能力…あれがなんだか分からない限り、無闇に飛び込めない…)

ポチ(…いや…)

ポチ(テンコさんが受けたダメージは、たいしたことはなかったみたいだ…吹き飛ばされたと言っても、突き飛ばされたのと大差なかったし…)

ポチ(……直接食らって、能力の正体を探るか…?)
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 23:24:57.72 ID:iJ7Gx2SO
今日はここまでにします
略して今日ここ
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/20(日) 23:28:38.27 ID:hx.O8Js0
ならば、今日乙ー
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 01:03:22.77 ID:EDVlvIDO
乙です。
416 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 22:47:19.96 ID:46ELTQSO
ノエル「……」

ポチ(向こうから攻めてくる感じはしない…完全にこっちの攻撃を待っている…)

ポチ(なら…)

ポチ「やってやるッス!」ダッ

ノエル「…真正面!」バッ

ポチ(構え!?)

ノエル「斥力の膜(レポーション・オーラ)!」ブンッ

ポチ「……!」

ググッ

ポチ「…え?」

ノエル「…届いてないよ…君の攻撃は」

ポチ「い、今のは…?」バッ

ポチ(こっちが殴りかかったのに対して、向こうは手を突き出しただけ…なのに)

ポチ(攻撃が、俺の体ごと弾かれた…?)

ノエル「…どうした?まだまだこんなんじゃないんだろう?」スッ

ポチ「…落ち着け」

ポチ(向こうからは攻撃しない…きっと攻撃の能力は持っていないんだ…なら…)

ポチ(速さで攻める!)タンッ
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 22:48:53.10 ID:46ELTQSO
シュッ

ノエル「…?」

ポチ(『バイ・セカンド』は使わない…普通の状態でのトップスピードで…)ダダダダ

ノエル「動きが早い…これじゃ狙いが…」キョロキョロ

ポチ(よし!)グッ

ポチ「くら…」ブンッ

ノエル「……」スッ

ポチ「!?」

グニャッ…

ポチ(え…?)グラッ

ポチ「!」ドサァ

ポチ「い、今、何を…俺の腕が曲がった…!?」

ノエル「…腕は曲がってないよ」クルッ

ノエル「そう見えただけさ」ニヤッ

ポチ(こいつの能力は一体…!?)
418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 22:59:50.44 ID:46ELTQSO
ポチ「……」

ポチ(さっきの攻撃?は…俺を弾いたやつと同じなのか…?)

ポチ(相手の攻撃を正面から弾く能力…これを使うのは間違いない…)

ポチ(でも、今のは違う…俺の攻撃を弾くんじゃなく、体ごとずらした…)

ポチ(……体をずらす?いや、その考え方がそもそも間違ってるのか?)

ノエル「ふふ…僕の能力は、そんな簡単に分かるものじゃないよ…」

ポチ「……ちょっと…」バッ

ノエル「?」

ポチ「待ってほしいッス…そのまま…」

ノエル「…何を?」

ポチ「…あと、二歩…いや、三歩…」

ノエル「??」

ポチ「……そこよりこっち側への攻撃は、一切ダメージがなくなるッス!それが俺の能力「聖域(サンクチュアリ)」!」

ノエル「なにっ!?しまった、こんな単純な…」

ポチ(…聖域の能力は、俺に対するダメージは一切なくならない。つまり今のは嘘だ…)

ポチ(でも向こうは、確かめようともせずにそれを信じこんだ。つまりやっぱり、こっちに攻撃することは最初からできないんだ…)

ポチ(…今の俺に必要なのは、考えること…)

ポチ(あいつの能力を見破って、正しいタイミングで『バイ・セカンド』を使い、確実なダメージを与えなくちゃならない…)


ノエル「……」チラッ

ノエル「…クレア様、こっちはなかなか面倒な戦いになるみたいです」
419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 23:46:58.29 ID:46ELTQSO
クレア「おらぁ!」ブンッ

転「!」サッ

クレア「まだまだぁ!」ドドッ

転「くっ」ダンッ

クレア「飛んで避ければ、それが隙になるぜ!旋焔殺(フレイム・スパイラル)!」ギュルルル

転「危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!」パシッ

クレア「…さっきの瓦礫の欠片か?そんなもんで…」

転「Shooot!!!」シュッ

ギュンッ!!!

クレア「炎を突き抜けた…!?ちっ、威力が足りなかったか…!」

転「私が凄いんですよ!石(ボール)投げるのには定評がありますからね!」パシッ

転「うりゃっ!!」ブンブンッ

クレア「ならこっちは…」

クレア「火の玉(ファイア・ボール)だ!」ボボッ

転「!」

ボシュ ボシュッ!!

転「…やっぱ私とは攻撃の手数が違うか…」

クレア「当たり前だろ」

クレア(だけど、アイツの「石投げ」も…能力で勢いが付くと洒落にならねぇな。木ぐらいなら簡単に折りそうだ)

クレア「ノエル!」

ノエル「!」

クレア「壁、頼むぜ」

ノエル「分かってます!」

転(壁…?…っていうかポチくん、何をボーッと立ってるんです?あのノエルとかいう子も攻撃する素振りを見せないし…)
420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 23:49:34.61 ID:46ELTQSO
クレア「旋焔殺(フレイム・スパイラル)!」ギュルルッ

転「…うわっ!危ないっ!」バッ

クレア「避けた気か?甘いな!」ゴオッ

転「…火が強く…!?」

ボッ

転「!あちゃちゃちゃ!熱い!ちょっと燃えた!」バンバン

クレア「ちっ。火だるまになればいいのによ」

転「火だるま…レアならまだしも、ウェルダンには絶対になりませんよ!」

クレア「誰もお前なんか食いたくねぇよ!細い体しやがって!」

転「あ!?」カチン

クレア「だいたいな、何だよその貧相な胸!」

転「……てめぇええええ誰の何が貧相だぁあああああ!!??」

クレア「その胸だ!聞こえなかったのかよド貧乳!」

転「うるせぇええ!お前こそ男みたいなキャラのくせに、一丁前に乳だけはでかいってどういうことだよおおおおお!バランス悪いんだよ!私に少し分け与えろよぉおお!!」

クレア「…今」

転「…ん?」

クレア「今……何みたいなキャラ、だって言った…?」

転「…男みたいだって言ったんですよ!それが何か?」

クレア「…いいか…アタシは」

クレア「アタシはなぁ…」

ザワザワ

クレア「アタシは『男っぽい』ぢて言われるのが…大大大大大大大大大大ッッッ嫌いなんだよおおおおおお!!!」
421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 23:57:47.12 ID:46ELTQSO
転「『男っぽいって言われるのが大嫌い』て…初耳だよ!つうか嫌ならその口調だの何だのを変えれば…」

クレア「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」ゴッ

転「!?」

クレア「弍旋焔殺(ツインズ・フレイム・ブラスター)!」ドギュン ドギュンッ!!

転「げっ!でかいのが二発!?」

クレア「消し炭になれ!!」

転「やば……」

転「……!!」

グイッ

クレア「!?」

ドオオオン!!!


クレア「……てめぇ」

転「はぁ…はぁ…はぁ…今のはマジで…死ぬかと思いましたよ…」

クレア「…なにちゃっかりしのいでやがる!」

転「…見ての通りですよ?」ニヤッ

クレア「アタシの蝋燭を!二本盾代わりに使いやがったな!?」

転「あんまりでかい蝋燭なんでね…いやぁ、ちゃーんと役に立ちましたよ」

クレア「ふざけやがって…!」

転「今度はこっちの番だ!砕けた蝋燭で…」グイ

転「ハッピーバースデー!!」ブンッ
422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 23:57:54.76 ID:46ELTQSO
転「『男っぽいって言われるのが大嫌い』て…初耳だよ!つうか嫌ならその口調だの何だのを変えれば…」

クレア「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」ゴッ

転「!?」

クレア「弍旋焔殺(ツインズ・フレイム・ブラスター)!」ドギュン ドギュンッ!!

転「げっ!でかいのが二発!?」

クレア「消し炭になれ!!」

転「やば……」

転「……!!」

グイッ

クレア「!?」

ドオオオン!!!


クレア「……てめぇ」

転「はぁ…はぁ…はぁ…今のはマジで…死ぬかと思いましたよ…」

クレア「…なにちゃっかりしのいでやがる!」

転「…見ての通りですよ?」ニヤッ

クレア「アタシの蝋燭を!二本盾代わりに使いやがったな!?」

転「あんまりでかい蝋燭なんでね…いやぁ、ちゃーんと役に立ちましたよ」

クレア「ふざけやがって…!」

転「今度はこっちの番だ!砕けた蝋燭で…」グイ

転「ハッピーバースデー!!」ブンッ
423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:03:39.81 ID:ZPw/fESO
クレア「…ちっ!人のものでよくもそんなうぜぇ攻撃を…」

クレア「だけど…無駄だ!」バッ

クレア「流星導(メテオロード)!」ギュバッ

転「!」

クレア「アタシの攻撃方法の多さは理解してたんじゃねぇのか?あぁ!?」バシュッ

転「炎で攻撃(蝋燭)を包んで押し返してきた…!?」

クレア「それに、ハッピーバースデー?アタシの誕生日は7月だ!」ゴッ

転「…っ!」バッ

ドジュウウウ

転「……熱っ!!」



転…●  クレア…◆

●<ロウソク クラエ! →→ ◆<ナメンナヨ!!

●<!? →→☆◆<メテオロード!!

●<ゲッ ☆←←⊃(グルンッ)◆<オシカエスゼ!!

アチャチャッ!!>●☆←←   ◆<ハハハハッ
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:28:14.63 ID:ZPw/fESO
転「熱っ…熱い…」グラッ

転「ぐっ…!」ガクン

転(ヤバい…調子に乗って能力を連発した上に…この熱さ…)

クレア「やっぱりキテるみたいだな…アタシと戦う前に、既に何度か違うやつの相手してんだろ?」
転「…!」

クレア「だけどアタシは!ずっと力を蓄めていた!そしてこれが決定的な…」

クレア「力の差だ!!」ボゴボゴ…

ボゴボゴボゴッ!!!

転「…なんだ…これ……炎の、龍……?」

クレア「灼熱の独眼竜(ヒート・ガンドラ)!アタシの最強の技だ…!」

転(でかい!……これは防ぐとか、そういうレベルじゃない…!なんとか逃げないと…)

クレア「これでてめぇがダメにした蝋燭二本は許してやるよ!!」ググッ

クレア「行けっ!!」ドンッ

ボゴオオオオオオ

転「…!!」ダッ

クレア「走ってどうにかなると思ってんのか!!」

転「う…熱…」ジュッ

転(あと少しで…さっきのとこに…)ダダダ

クレア「遅いんだよ!Burning!!!」

転「っ!!」

ドゴォォオオオン!!!!
425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:30:27.66 ID:ZPw/fESO
ポチ「ずっと、考えてたッス」

ノエル「…?」

ポチ「どうして向こうで、あれだけの炎が出てるのに、こっちには一切熱が来ないのか…」

ポチ「いや、熱が来ないだけなら、まだいいッス。ただ…」

ポチ「テンコさんだけが一方的に熱の影響を受けるのは、明らかにおかしいッス!」

ノエル「!」

ポチ「クレアの周りには…あんな大きな蝋燭が、まだ3本もある…なのにそこから出る熱に、ほとんど応えてないように見えるッス…こんなの絶対にあり得ない…」

ポチ「つまり、あなたの能力は、一部の熱をずらす、そういうことができる!だからこっちに来る熱と、クレアへの熱をほとんど寄せ付けてないッス!」

ポチ「そして、それだけじゃないッス!さっき、俺の攻撃を防いだとき…俺はてっきり、自分の体をどうにかされたのかと思った…」

ポチ「でも、違う。熱と俺の体を同時に操るなんてあり得ない!」

ポチ「あなたの能力は、『周囲の空間を自由に操る』能力!!だから熱をシャットアウトしたり、俺に直接触れずに、空間ごと動かしたッス!」

ノエル「な……」

ノエル(まさか、これだけの手がかりからその答えを見つけだすなんて…!)

ポチ「違うッスか!?」

ノエル「……」

ノエル「正解だよ。僕の『バイ・セカンド』空間歪曲(スペース・ディストーション)は、素手で周囲の空間を歪め、向かってくる攻撃や、熱をずらしたり、相手を空間ごと投げたり倒したりすることができる」

ポチ「やっぱり…」

ノエル「もうこうなったら、通常の能力も明かそう。斥力の膜(レポーション・オーラ)は、全身から微弱な斥力を発する能力。それだけじゃ不十分だけど、一点に斥力を集中させれば、強固な盾にすることもできる!」

ポチ「!…それで最初に俺の拳を止めたッスね…!」

ノエル「そうさ…しかし、君は、僕の能力が分かったところで、どうすることもできるないんじゃないかな?」

ポチ(確かに…能力の正体が分かっても…対策が打てないんじゃ意味がない…)

ポチ(一点集中の斥力の盾と、空間を掴んで歪める、二つの能力…

ポチ(……どうする…!?何か、弱点があるはず…)
426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:32:42.46 ID:ZPw/fESO
今日はここまでにします
略して今日しま

別のスレに誤爆しちゃった恥ずかしい////
427 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:33:04.67 ID:Sfmz5ZQo
おつかれ
428 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 00:54:39.81 ID:ym3LSMDO
乙です。
429 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 23:07:15.82 ID:3ZvvCASO
ドォオオオオ…

クレア「…はっ。避け切れずに直撃したか?」

クレア「まぁ、無理もねぇよな。超大規模な爆炎を、一筋に…モチーフは竜なんだけど、そうやって撃ち込む。旋焔殺の比じゃないからな…」


転「…そこだ」


クレア「……あ?」

転「…そこだよ…今のは…真っ直ぐに撃ち込む攻撃だ…」ガララ

クレア「…おい…ふざけんなよ…」

転「はぁ…はぁ…」ムクッ

クレア「どうして立てる!?あの炎からは避けられねぇ!確実に貫いたはずだぞ!?」

転「……貫いちゃいない」

クレア「……何…?」

転「ちょうど…床に隙間があったんでね…そこに身体を隠して…なんとか耐え切ったよ…」

クレア「……隙間…?バカな…この部屋に、今の攻撃を凌げるようなスペースはないはずだぞ…」

転「……ここ」スッ

クレア「……!?」

クレア「床が…不自然に凹んでる!?」

転「……最初に…お前の攻撃を防いだときに…私は何をした…?」

クレア「…何をしたか…?」

クレア(あのときアイツは…)

クレア「……瓦礫のシャッター…!」
430 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 23:07:54.98 ID:3ZvvCASO
転「…そうだ…私は、とっさに壁を作るために、能力で無理やり天井と床を抉り取った」

転「そしてそこには…綺麗に隙間ができた。私はその中に入って身を丸める。そうすれば炎は直撃しない」

クレア「……」

転「例えば…木の机に、一生懸命穴を開けて…そこに消しゴムの欠片を入れる。欠片は穴の中に収まる。そして、その穴の上に、橋を掛けるように鉛筆を置いてみる…」

転「穴(床の隙間)に入った消しゴム(私)に鉛筆(炎)は当たらない」

クレア「……」ギリッ

転「ただ、もしもお前の炎が、直線的な攻撃じゃなく、私を追尾して上下左右に動く、それこそ竜のような一撃だったら…私は焼け焦げてたはず…」

転「タラレバが通じる戦いじゃないか…」

クレア「ふざけんな…!」

転(しかし…完全に回避できたワケじゃないな…擦ったってレベルでもない)

転(左腕、しばらくは動かせないな…)

クレア「ふざけんなよッ!!」バッ

転「熱くなるなよ…まずお前は…」スッ

転「自分の後ろにある蝋燭に気を付けろ」グイッ

グラッ

クレア「……ちぃっ!!」ドガッ

転「蹴りか…無闇に炎を使わなかったのは正解だな」

クレア「てめえ…マジで許さねえ!真っ黒な炭にでもなって詫びろよ!!」ババッ

転「真っ黒な炭…?」スッ


ドッ ゴ ン ッ!!!


クレア「………!?」

転「なら、お前は真っ白な灰になれ」
431 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 23:22:40.95 ID:3ZvvCASO
クレア「がっ…」ヨロッ

ドシャッ

転「……」

クレア(なんだ!?今…アイツ…何をしたッ!?)

クレア(何の武器も持ってなかった…のに…アタシをふっ飛ばしやがった…!!)

転「……お前は…知らないな」

クレア「…!?」

転「…実は私も…忘れかけてたんだ…ドクロとの戦いで…なんとなく一度だけ再現できたけど…もう使えないかと思ってた…」

クレア「なに…言ってやがる…!?」

転「2年前…ロキとの戦いで得た…危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)の…もう一つの可能性…」

クレア「もう一つ…?」

転「今…名前を決めた…」


転「不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)」

クレア「……あ…!?」

転「見えない力そのもので…殴り付ける…もしもお前がもう少し離れてたら、当たらなかった…」

転「そして何より…」

転「お前の炎が、私に与えた命の危機…そしてそのギリギリさが…再び呼び起こしてくれた。この感覚は…久しぶりにスッキリした…」

クレア「……呼び起こした…?アタシの攻撃が…?」

クレア「……ふざけんなッ!!!」ゴッ!!

転「再び闘志に火が着いたか?…だけど」

転「私もここから、もっと強くなれそうだ…」

転「温い戦いじゃダメ…ギリギリでしか得られない…本気を…見せてやる…」スッ
432 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 23:42:09.32 ID:3ZvvCASO
まず…クレアの能力は炎を操る能力…なのだが…

この「炎」はどこから来ているのか?それをはっきりさせておく必要がある

シェアリが「ありとあらゆる水」を無差別に操作できたのと違い

実はクレアは、自ら炎を生み出している

そのためにはまず、通常の能力「呼吸熱(ブレッシング・ヒート)」

これは周囲の熱を自在に吸収し、蓄える能力

こうして蓄えた熱を『バイ・セカンド』「炎舞せし紅蓮の魂(バーニン・クリムゾン・ソウル)」にて炎を発生させ、そして操っているのだ

巨大な蝋燭をいくつも立てておくのは、そこから発生する熱を能力で吸収し、そのまま炎に変換するためだ

つまり蝋燭の炎はクレアの動力源なのである

が……

テンコは既に、彼女の蝋燭を、盾として二本、武器として一本、駄目にしているのだ


クレアは体内に蓄えた熱による影響は一切受けないが

「蓄えない熱」の影響は当然受けてしまう

さらに、戦いによって自らの内から発生する熱を押さえることもできない

ノエルの空間歪曲(スペース・ディストーション)によって、多量の熱(蓄えない分のみ)を寄せ付けていないため、身体活動への影響はほぼないにせよ

有限である蝋燭の炎、その熱のみを武器に変えるのは、いずれ不可能になる

それにクレア自身の体温も、いずれは危険域に達する

つまり、戦いが長引けば長引くほど、クレアは武器である炎を失い、体温が上昇する

少しずつ、だけど確実に、不利になっていく…!

これまで優勢だったクレアが、テンコの強力な反撃と、自らの炎により、じわりじわりと押されていくのだ…!
433 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 23:49:56.46 ID:3ZvvCASO
一方のテンコ…こちらがどうなのかというと

肉体的なダメージは少ない

ドクロとの戦いでは、大きな攻撃を食らわなかった

そして、未だにクレアの炎の一撃を「直接」は受けていない(流星導によって押し返された蝋燭の分のダメージはあるが)

さらに、この状況で得た、最強の技「不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)」

これは、それまでの「瓦礫を投げる」「蝋燭を投げる」なんてものとは比べものにならない

正真正銘の、破壊のための一撃

故に消費する精神力の量も莫大なのだが

クレアを倒すことだけを考えているテンコにとって、精神力を使い切るとき=勝利したとき!

もはや勝つまでは、後の疲労などは考えない

ただ、一方的で、圧倒的な、攻撃を繰り返すのみなのだ
434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/26(土) 00:10:49.01 ID:4Nm3ScSO
転(攻める…攻める…ただひたすらに…)グッ

転(攻める!!)シュッ

クレア「……!」サッ

転「ただの殴り合い…逆にやりづらいんじゃないか?」

クレア「…黙れよ、暴力女ァ!!」ドゴォッ

転「…私が暴力女なら…お前は…」

転「ただの放火魔だ!」グイッ

クレア「!?」ガクンッ

クレア(足元の床を狙って…しまった!体勢が崩れる!)

転「そして炎の狙いも逸れる…!」

ボオオオッ

転「さっきみたいに、無駄な力は使わない…確実に隙を狙って、一撃入れてやる…」
435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/26(土) 00:14:34.58 ID:4Nm3ScSO
クレア「く…ちくしょうが…そんなヤワな手でいつまでもいつまでも…」

クレア「乗り切れると…思ってんじゃねえぞっ!!」ドギュ ドギュンッ!!!

転(二連発の炎…!これは確かに強力だが…)

転「…もうヤワな手は使わない…今の私には…」

転「これがある!」バッ


転「不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)!!」ボシュッ!!!

ドパアァン!!

クレア「炎の勢いを完全に殺しやがった…!この技、ここまでの威力を…!?」

転「……」ダッ

クレア「…!」

転「止めるのは片方でいい。もう片方からの逃げる道ができればいいんだ。そして…」ギュルンッ

転「肝心の身体(ボディ)ががら空きだ!」ヒュッ

クレア「ッ!?」ベギィ

クレア(上段回し蹴り…!クソっ、コイツ…能力だけじゃなく、体術までも…!)

転「もう一発っ!」ダンッ

転「…踵落とし!!」ブオンッ

バ ギ ンッ!

クレア「っ…がああああ!」ズザァ

クレア(…さっきまでとはまるで違う…!圧倒的に強くなってる!)

クレア(そして何よりも……)


転「…立て、クレア…その蝋燭が尽きるまで…お前はまだ能力を使えるんだろ…」ユラァ

クレア(本気になってる…!徹底的に、アタシを潰すつもりか…!)
436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/26(土) 00:19:24.87 ID:4Nm3ScSO
今日はここまでにします
略して今日まま


誤解されないように一応…

「不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)」は、「危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)」の使い方の一つに過ぎません

決して、一つの独立した能力(いつか言ってた二つ目の『バイ・セカンド』)とか、そういうのじゃありません


またそのうち、主要キャラを能力共々まとめてみようかと思います
437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/26(土) 00:24:13.90 ID:fl0JbuA0
乙でした
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/26(土) 02:10:55.94 ID:Eu3QN6DO
乙です。ありがとう
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 22:53:56.42 ID:sqPGqwSO
ほんの少し前
同室すぐ隣


ポチ「……」スッ

ノエル「…僕の能力を破る手立てが浮かんだのかな?」

ポチ「…手立てなんて」

ポチ「何もないッス!」ドンッ

ノエル「!!」

ポチ(助走なしのトップスピード!これなら反応できないはず…)

ノエル「く…!」バッ

ポチ「遅いッス!」ブンッ

ノエル「……」ニヤリ

ググッ

ポチ「!!」

ポチ(蹴りが外れた!)

ノエル「…惜しかったね。今の速さで体当たりをすれば、僕のガードも間に合わなかった。だけど」

ノエル「蹴りなら弾ける。僕の体からは常に斥力が放出されているからね。蹴りをずらすくらい簡単なのさ」

ポチ「しまった…」

ポチ(…でも、「常に斥力が放出されている」って…)

ポチ(……あり得るのか?そんなことが…)
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 22:54:05.75 ID:sqPGqwSO
ノエル「さぁ、君からの攻撃は…僕には一切通用しない。今のスピードで攻撃されても、もう次からはガードできる」

ノエル「今度はこっちの番だね…」スッ

ポチ「……!」バッ

ノエル「無駄だ!『バイ・セカンド』空間歪曲(スペース・ディストーション)!」グイッ

ズズズッ…

ポチ「体が…空間ごと…!」フワフワ

ノエル「はぁっ!!」ブンッ

ズオッ!!

ポチ「!!」ドンッ

ポチ(く…投げつけられるだけなのに…ガードができないとキツいッスね…)

ノエル「…君の攻撃は僕には通じない…そして僕は触れずに君を吹き飛ばせる。君は…」

ノエル「すぐにその圧倒的な差を思い知るよ…」

ポチ「……負けないッス…!」
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 22:56:46.59 ID:sqPGqwSO
たったの2レスですが、今日はここまでです
さらに、事情があって金曜あたりまで書けなくなりました

申し訳ありません
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/27(日) 23:16:13.37 ID:hHw0DTgo
―――

のび太「うわあああああああ!!!」

のび太「なんだ夢か…」

のび太「僕しかいないなんて…変な夢だったなあ」

のび太「おはようのび太くん、早起きだね」

のび太「おはよう!今日は目覚めがよかったよ」

のび太「いいことだよ、早くご飯食べて学校にいっておいで」

のび太「うん!」
443 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 23:17:38.48 ID:hHw0DTgo
ごめんね、激しく誤爆しちゃった
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 23:47:44.71 ID:oFB26DQ0
乙です。頻度は気にすんないw
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/01(木) 14:17:00.40 ID:T.YGWGQ0
「不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)」か・・・

改めてこのSSは厨二まっしぐらだな
だがそれがいい
446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 02:58:17.02 ID:4E5BLgDO
解り易くて、大好きなSSだな
乙です。
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 23:01:34.19 ID:bPMQ9USO
しまった
今日は書くつもりだったのに、あろうことか紅の豚を見てしまった
明日こそ書きます!

>>445
やりすぎな気はしてるけど、ここまで来たら引き返せんのです

>>446
バキッドゴッでしか戦闘を表現できないのに、解り易いだなんて!
ありがとうございます
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 22:34:40.00 ID:w0S9KMSO
ポチはこれまで、「エレカの部下」になるために、厳しい訓練を積んできた

その中で培った強力な『バイ・セカンド』…

それが一切通用しないというのは、これが初めてであった

ポチ(それも…止められるとか、弾かれるとか、そんなんじゃない…)

ポチ(届かない…!!)

その威力に崩れた相手は数知れず

しかし、一度も攻撃を受けなかったものは未だ存在しない

そして未だ存在しないその相手が、今、眼前に迫ってきている!
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 22:37:19.01 ID:w0S9KMSO
ノエル「…来ないのかい?」スタスタ

ポチ「く…」バッ

ポチ「はぁっ!!」シュッ

ノエル(狙いはいい。速さも…まだトップではないようだが…十分だ…)

ノエル(だけど僕には…)グッ

ノエル「当たらない!」グイィッ

ズッ…

ポチ「!!」スカッ

ドシャァッ

ポチ「…まだだ!」グルンッ

ノエル(姿勢が崩れても蹴りを…!)

ノエル「斥力の膜(レポーション・オーラ)…一点集中の盾!」バッ

ガ ギ ンッッ!!!

ポチ「……!!」ビリビリ

ノエル「盾を超えて…僕の手に触れるか…!タイミングがずれたな…」ビリビリ

ノエル「だが!」グイッ

ポチ「まずい!」バッ

ノエル「空間歪曲(スペース・ディストーション)!」ブンッ

ポチ「!」ブワッ

ポチ「ぐっ!」ドシャア

ノエル「無駄だよ…君じゃ僕には勝てやしない…!」

ポチ「……」
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 22:44:28.55 ID:w0S9KMSO
手応えを感じていた

確かに、ノエルには、一切のダメージが通っていない

だが今、ポチの蹴りは

届いていた!斥力の膜を、わずかに破った!

打倒ノエルに必要なもの…それは圧倒的な速さ!

目では追い付かない

空を切る音でさえ遅れるような

そんな圧倒的なスピード!


ポチ「……!」ギラッ

ノエル「…その瞳…まだやる気みたいだね…」

ポチ「当たり前ッス…俺は…あんたに傷一つ付けてないッスから」

ノエル「なら、死ぬまでやろうか?」

ポチ「……死ぬのはどっちッスか?」

ノエル「もちろん、君のほ」

ヒュッ

ノエル「……え?」

ポチ「…当ててないッス。ギリギリだけど…」

ポチ「このまま俺が脚を振れば、あんたの顔の右半分は潰れるッスよ」

ノエル「……くっ!」バッ

ポチ「……もう一度聞くッス」

ポチ「死ぬのは、どっちッスか?」 

ノエル「……」

ノエル「分からない。もしかしたら…」

ノエル「僕の方かも知れないね」

ポチ「…ほら、揺らいだッス」
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:02:47.66 ID:w0S9KMSO
ノエル(今の彼の蹴りは、間違いなく当たっていた)

ノエル(わざとギリギリで逸らして、当てられるってことを示したんだ…)

ノエル(なるほどね…君は…)

ノエル(シンプルかつ大胆!面白い!!)ダッ

ポチ「向かってきた…!?」

ノエル「空間歪曲(スペース・ディストーション)!」グイッ

グニャン

ポチ「何を…?」

ボゴンッ

ポチ「!?」

ノエル「空間を引っ張ると…その周囲にあるものもまとめて寄せられる…こんな…」

ノエル「石柱だって!簡単にね!」

ギギギギ…

ポチ「こんなの、砕くだけッス!」ブンッ

バキャアアア!!

ポチ「よし!」

パラパラ…

ノエル「いや……いくらその蹴りが強力でも…」

ノエル「間髪入れずに二度使ったりはできないだろう?」グイッ

ギギュンッ!!

ポチ「な…!?」

ポチ(そうか、もう一度空間を引っ張って、砕かれた石柱の破片をこっちに寄せた…!)

ノエル「この距離では避けられやしない!」

ポチ「く…」バッ

ドス ドス ドスッ!!

ポチ「……!」
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:04:16.28 ID:w0S9KMSO
ノエル「ふふ…僕だってやろうと思えば、君に攻撃できるんだよ」

ポチ「せ…石柱に頼るなんて…思わないッスよ…」

ポチ(まずい…腕に当たった二発はともかく、腹へのダメージが…)

ノエル「このままじわりじわりと、なぶり殺してやろう…!」

ポチ「こっちだって…まだまだッスよ…!」





?「はぁー…はぁー…」

?「待ってろよ……」
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:26:57.59 ID:w0S9KMSO
転「はぁあああっ!!」シュッ

クレア「当たるか!」ヒュッ

転「まだまだぁ!」ブンッ

クレア「旋焔殺(フレイム・スパイラル)!」ゴッ

転「!」

ボゴォオオッ

クレア「はっ…はっ…」ザザッ

クレア(確実に、速くなってきてやがる…!)

転「今さら…」ユラッ

クレア(あの近距離からの炎を食らって、平気で立ち上がれるのか…!)

転「そんな温い炎で、私を焼けると思うなよ!」ドガッ

クレア「ぐっ!」

転「……すぅぅ」ガシッ

クレア「!…掴…」

転「うりゃああ!」ブンッ

クレア「な…」

ガシャアアン!!!

クレア「が……!」
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:29:26.82 ID:w0S9KMSO
転「まだ行ける…!こんなもんじゃあ…」グググ

転「ないっ!」ドシュンッ

クレア「…ちくしょうが…!勢いだけで…アタシを倒せると思うなよ…!」バッ

ボシュ ボシュッ

転「!」

クレア「百華業炎(フレイム・フラワー)!」

バッ!!

転「火でできた『花』が開いた…!?」

クレア「これは砲台だ!」

転「砲台…まずい!」

クレア「百焔弾(フレイム・キャノン)…!」

ドンッ ドンッ!!

転「くっ!」サッ サッ

クレア「避け切れねえぞ!!」

ドンッ ドン! ドンッ!!

転「う…」サッ サッ…

転「あっ!?」ボォッ

クレア「…今だ!!」

クレア「壱曼焔殺(イチマン・フレイム・スパイラル)!」ギュルラララララッ

転(これは…でかい…!くそっ!)

転「不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)…!!」ブンッ

ゴッ……

クレア「ぐ…おおおお…」

転「う…ああああ!」

ドッッ パァ ン!!!
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:39:56.36 ID:dox3sQDO
なんか悟空vsフリーザを思い出した
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:47:55.09 ID:w0S9KMSO
ビリビリビリビリ…

クレア「相殺…!?」

転「はぁ…はぁ…はぁ…!」

クレア(くそっ…もうこれ以上能力の無駄遣いは駄目だ…!)

転「はぁ…はぁ…」

転「げほっ!」ボタボタ

クレア「!?」

転「はぁ…はぁ…」

転(ヤバい…不可視の力撃…強力だけど、消費する精神力も…)

転(肉体への負担も、大きすぎる…!)

転「あと…3発が…限界か…!?」

クレア(向こうもギリギリみたいだな…なら…)

クレア「…お得意の肉弾戦だ!」ダッ

転「…!」

クレア「うおらぁ!」ブンッ

転「…ぐ」ドスッ

クレア(まだ…体力は、アタシの方が上回ってる!アイツは『熱』にやられてるはずだからな…!)

クレア「このまま、押し切ってやるっ!」バキッ

転「はぁ…はぁ…!」グッ

クレア「!」

転「うああああっ!」ドゴッ

クレア「な…に……!?」

転「…私を…舐めるなよ…!クレアぁ…!」ゼーッ ゼーッ
457 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:51:18.57 ID:/rC9KIDO
激熱の展開だな
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:55:52.77 ID:w0S9KMSO
>>455
イメージ的にはそんな感じかもしれん


クレア「じょ…」

クレア「上等だ!てめえはアタシがぶっ潰す!!エレカになんか楽しみはやらねぇ!!」

転(え…エレカ…?)

クレア「行くぞっ!!」グアッ

転「ちっ…!」バッ

ドゴンッ!!

クレア「今さらガードなんてしやがって!」ギリギリ

転「…負けてられないんだよ、こっちも…!!」グググ






ポチ「はぁー…はぁー…はぁー…」

ポチ(ダメだ…!空間を歪められたら、どんなスピードでも届かない!)

ポチ(盾を使ってくれれば、あいつに当てられるのに…)

ポチ(やっぱり弱点…いや、何か、隙を探さないと、勝てない…!)


ノエル(はぁ…はぁ…こんながむしゃらに『バイ・セカンド』を使うのは…初めてだ…)

ノエル(僕は…精神力の量には自信があったんだけどな…)

ノエル(それに、クレア様の戦いも、また激しくなってきてる…)

ノエル(…負けられない…!どんな手を使われようが、絶対に耐えてみせる!)
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:59:24.17 ID:w0S9KMSO
今日はここまでにします
次でVSクレア&ノエル、終わるかな?

第二章も折り返し地点を過ぎました
これからは、まさに佳境に向かってくつもりです
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 22:13:20.91 ID:rcKJ5YSO
ポチ「……」スーハー

ノエル「……」スッ

ポチ「!」ギンッ

ズダンッ!!!

ノエル(跳んだか!高いな…)

ポチ「行くッスよ…防いでみるッス!」グルンッ

グルグルグルグルッ

ノエル「空中であんな回転を…面白いね!」バッ

ノエル「斥力の膜(レポーション・オーラ)一点集中の盾!」ブンッ

ポチ(…『一点集中』の盾…ってことは…つまり…)シュッ

ノエル「…靴!?」

バキンッ

ポチ(断続的な使用は…難しいはずッス!)シュッ

ノエル「もう片方を…くっ!」サッ

スカッ

ポチ「……」スタッ

ポチ(やっぱりそうか。あの盾を攻略するには、@盾を超える威力を持った一撃を当てる。A盾で攻撃を弾かれた直後に、第二撃を打ち込む…)

ポチ(必要なのは、結局は速さッスね…!)ダッ

ノエル「…近づくな!空間歪曲(スペース・ディストーション)!」グイッ

グニャッ

ポチ「!」ズシャッ

ノエル(少しずつだけど…考えて攻撃してきてるな…)

ノエル(こちらからほとんど攻撃しないのをいいことに…)

ノエル(だけど僕の二つの能力!両方を潰すなんて不可能だ!)
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 22:25:51.08 ID:wfaNA2DO
キタ━━━( ゚∀゚)o^-^)#`皿´) ノДT)=^▽^)>_<);-.-)・∀・)´・ω・) ゚∋゚);¨) ノ∀`) ̄ー ̄):_;)´Д`)´_ゝ`) ^人^)ヽ`∀´>━(゚∀゚)━━━!!!!!
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 22:35:54.86 ID:rcKJ5YSO
ポチ「……」

ポチ「…駄目ッスね」

ノエル「……なに?」

ポチ「駄目ッス。今の俺じゃ、あなたには勝てない」

ノエル「…やっと気付いたの?」

ポチ「あなたの能力がそれだけ手強いッスよ」

ノエル「当然だよ。僕には相手のを寄せ付けない斥力の膜に、空間歪曲。それに、これらを多用できる多量の精神力がある!」

ポチ「でも…」

ノエル「…でも?」

ポチ「……それだけッスね」

ノエル「……」ピクッ

ポチ「能力に頼るな、とは言わないッス。でも」

ポチ「あなたから能力を除いたら、何が残るッスか?」

ノエル「……何を言ってるんだい?」

ポチ「能力なしの勝負なら、絶対に負けないってことッスよ」

ノエル「へぇ…それはそれは。ずいぶん大口を叩くんだね」

ポチ「だけど、事実ッスよ」

ノエル「……何が言いたいんだい?」

ポチ「俺はこの戦いに負けても、あなた自身に負けたとは思わないッス」

ノエル「……詭弁だな!」ダッ

ポチ「こんなふうに相手を煽るなんて、少し前の俺じゃ考えられなかったッスね…」チラッ

ポチ(テンコさんの影響かな)

ノエル「君は僕には絶対に勝てない!」

ポチ「それならそれで…」タンッ

ポチ「悪あがきしてやるッス!」シュッ
463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 22:49:33.75 ID:rcKJ5YSO
バチィン!!

ノエル「……!」ビリビリ

ノエル(こいつに盾はもう…あまり意味はないか…!なら…)バッ

ポチ「!」スタッ

ノエル「空間歪…」ガッ

ポチ「…使わせないッス!」ギュルッ

ノエル「曲…!」グイッ

ポチ「はあっ!!」ブンッ

ピタッ

ポチ「……!?」

ノエル「…しまった…!」ザザッ

ポチ「なんだ、今の…俺の蹴りが、止まった…?」

ポチ「…そうか、回し蹴りがすでに届く位置だったから、空間をズラして俺を吹っ飛ばす余裕がなかった…かろうじて止めることしかできなかった…!」

ノエル「……」ギリッ

ポチ「まだ勝負は、分からないッスね…」


ノエルにとって、最も厄介なのは「スピード」である

いくらノエルの能力が強力であるとはいえ、結局は本人の意識が追い付かなければ使用はできない

つまりノエルが「いつのまに?」と思える速さで攻撃することができれば

それはもう勝ったも同然なのだ

しかしノエルは、反射神経も並の悪魔を凌駕している

ノエルの強さは、長い年月をかけて積み上げてきた、彼の誇りであり

ちょっとやそっとじゃ崩れたりはしないのだ
464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 23:01:48.01 ID:rcKJ5YSO
10年前

ノエル、6歳

代々「王族」の配下として重要な役割を担ってきた彼の家系だが

そんな彼らの、誰も予期せぬ事態が発生した

今でも問題になっている、「魔王の跡継ぎの不在」だ

ノエルは物心付いた頃から、魔王についての様々な話を聞かされていた

だから、魔王の子供が女の子だった、というのが、どれほど大変なことなのかは理解できた

だが幼いノエルにとっては、そんなことはあまり気にならない

大変なんだろうけど、自分には関係がない

しょせんは「配下」

一番なんて無縁なのだ
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 23:11:21.45 ID:rcKJ5YSO
「ノエル、お前も今日から、魔王様の下でお世話になるんだよ」

その日がやってきた

母に手を引かれ、大きな扉を押し、中に入る

そして、目の前にいたのは

後ろを向いた少女だ

赤い髪が、ゆらゆらと陽炎のように揺らめいている

背丈は自分と、そう変わらない

これが、魔王の娘?

「の、ノエルです、よろしくおねがいします」

ノエルは小さく頭を下げる

するとそこで初めて、少女が動いた

ゆっくりと、紅の瞳がこちらを向き

プラスチックのボールが飛んできて、額にぶつかった

「こんなのもよけられないなんて、なさけないな!」


それが、クレアとノエルが、初めて出会った日…
466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 23:16:17.70 ID:rcKJ5YSO
今日はこままで
すまん、VSノエル終わるとかなんとかほざいたけど、もうちょい話延ばすことにしたわ
このままだとなんかかわいそうなことになっちゃうんで…
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/05(月) 23:20:01.17 ID:wfaNA2DO
(゚д゚ )乙 これは乙じゃなくてポニーテールなんだからね!!
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 09:21:42.39 ID:cZPZd3w0
乙です。
469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 21:37:01.27 ID:1aea4.SO
クレアは自分より一つ年上だった

しかし聞くところによれば彼女は、同年代の誰よりも狂暴で、癇癪を起こした幼い彼女をなだめるのは大人でさえ手間取るようだ

そんなクレアのそばで、自分はやって行けるのだろうか?

ノエルの、不安だらけの生活が始まった


起床は、午前5時

身仕度、食事の準備、それらを手早くこなす

第一の壁は、この次

午前6時ぴったりに、クレアを起こすことだ

クレアは、夜寝付くのが必要以上に遅い

すると必然的に、朝早くに起きるのが苦手になる

ノエルにとって、寝起きのクレアは恐怖でしかなかった

突然こちら目がけて枕や時計を投げつけることもあれば

布団をかぶりベッドから出て来ようとしないこともあった

しかしここで手間取っていては、学校に遅れてしまう

結局ノエルはいつも同じような話をして説得させるのだが

この時点ですでにノエルは、クレアに対する尊敬や、そういったものを失っていた
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 21:44:46.65 ID:1aea4.SO
クレアを起こしたら、着替えさせ、朝食を食べさせ、学校に行かなくてはならない

ノエルは自分の鞄と、さらにクレアの鞄を持って、よたよたと歩いて学校へ向かう

本来なら車での登校が可能な立場のクレアだが、「なんとなくやだ」との理由で、常に歩いて登校していた

荷物を持たずに走るクレアと、二人分の荷物を抱えて歩くノエル

他人の目からはどう映っていたのだろう

やはりノエルはこの時点でも、クレアに対して特別な感情を持っていなかった


学校でも、ノエルはクレアのそばにいる

ノエルとクレアは本来、学年からして違うのだが、赤の城の王の娘であるクレアが、通常の悪魔たちと共に物を教わるはずがない

彼女は、簡単に言えば「エリートクラス」で、学習をした

その中にはエレカやシェアリ、テンコもいたが、ノエルにはあまり興味がなかった
471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 21:54:32.90 ID:1aea4.SO
ある日の昼食の時間、クレアはノエルが持ってきた弁当をつつきながら、こう言った

「アタシはこのクラスで三番目に頭が悪いんだぜ」と

いつも一緒にいるノエルが、それを知らないわけがない

クレアの成績は、クラス21人中18位

とても良いとは思えない順位である

しかしノエルは、最も身近な人間でありながら、そのことを咎めたことは一度もなかった

クレアの本質は、学問なんかでは発揮できないからだ

それはもっと、別の場面

さらに言えば、「戦い」において著しく見られるモノだった


一週間に一度、多ければ二度、いわゆる「体育」とは別に、「戦闘能力を高めるための授業」があった

王族護衛隊のエリート部隊を呼び、生徒一人一人と対戦させるのだ

能力の使用は原則禁止なので、生徒の内の半分程度は、実力を十二分に発揮できずにやられてしまうことが多い

それでも、比較的体術に長けた生徒はいくらかおり

クレアはその中でも、ぶっちぎりの力を持っていた
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:05:36.92 ID:1aea4.SO
クレアの力

それは一言で表すならば「獰猛」これに尽きる

何度殴られ、蹴られ、吹き飛ばされようが、すぐに起き上がり、突っ込んで行き、少しでも多くのダメージを与えようと、暴れる

過去に一度だけ、クレアががむしゃらに相手に噛み付き、指を一本食い千切ったこともあった

クレアの力の本質とは、純粋なまでの「獰猛」さであり

それはクレアが、野性的な感情を多く孕んでいることを表していた


そしてその野性に、圧倒的な力を持つ炎の能力が加わったのは、彼女が11歳のころであった
473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:12:02.55 ID:1aea4.SO
クレアの『バイ・セカンド』「炎舞せし紅蓮の魂(バーニン・クリムゾン・ソウル) 」

これはエレカ、シェアリの能力と同じく、代々『継がれてきた』能力であり

故にその概要を知らぬ者はほとんどいなかった

ノエルも、歴代の赤の城の王が、この炎の能力を使っていたことを知っている

だが、実際に目の前でそれを見たことがある者は、なかなかいないのだ

そういう意味ではノエルは

クレア自身を除いた誰よりも多く、彼女の能力の力強さを見ていた人物なのである
474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:27:13.43 ID:1aea4.SO
その頃になってやっと、ノエルはクレアを慕うようになっていた

例えば、クレアが自らの能力によってケガをすれば、自主的に治療を行った

クレアはそういうとき「いいよ、自分でやる」とぶっきらぼうに言うのだが

いつのまにかノエルは、その性格の荒らさを好いていた


さらに時が経ち、クレアは15歳、ノエルは14歳になった

彼女の能力も徐々に完全なものに近づいていき

ノエル自身も既に『バイ・セカンド』を正確に扱えるようになっていた

お互いに、強力な悪魔に成長していた


そしてある時、ノエルは、クレアが一人で能力の訓練をしていたのを見た

猛る紅蓮の炎

陽炎に揺らめく真っ赤な長髪

妖しい笑みを浮かべる、紅色の唇

そして、煌めく緋色の瞳



初めて、ノエルはクレアを


美しい、と思った

そこにあったのは、十年近く共に過ごした、姉のような存在であるクレアに対する、愛情だった

ノエルは知らず、涙を流していた

もう彼女は、一人前の悪魔なのだ

いずれは赤の王の跡を継ぐ、悪魔なのだ


もう、自分にできることは、命を賭して、彼女のために戦うことだけだ

それがノエルにできる、唯一にして最高の忠義だった
475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:45:17.20 ID:1aea4.SO
ノエルは、クレアと共に磨き上げてきた、己の力を誇っていた

負けるはずがない

こんな男に

負けるはずなんてないのだ



ノエル「……何が、スピード…何が、力強さ…」

ノエル「そんな浅いモノは!僕が打ち砕いてやる!」バッ

ノエル「空間歪曲!」グイッ

ズズッ…

ポチ「!」グンッ

ポチ(引き寄せられる…!)

ノエル「解除!」フシュッ

ポチ「え…?」

ノエル「斥力の膜(レポーション・オーラ)…斥力の塊!」グッ

ポチ「……!?」

ブワッ

ポチ「…ぐっ!」ドシャア
476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:46:13.26 ID:1aea4.SO
ノエル「斥力とは互いの物質を遠ざける力…!僕の手の平から打ち出した斥力の塊は、君を無理やり遠ざける!」

ポチ「……引き寄せたり、遠ざけたり、まるでテンコさんみたいなことするッスね…」

ノエル「僕の能力は完全なんだ!君の野蛮な能力なんかに…」ダッ

ポチ「っ!」ヒュッ

ノエル「負けたりはしない!」ブン

バキンッ

ポチ「蹴りが…」

ノエル「もう一度、斥力の塊!!」バッ

ブワッ

ポチ「ぐっ…!」ズザザァ

ノエル「はぁ…はぁ…」

ポチ「……」

ポチ「負けない負けないと言う割りには、ずいぶん必死ッスね…」

ノエル「……黙れ!お前こそ、もっと抵抗してみたらどうだ!?」

ポチ「……」

ポチ「俺の身体」スッ

ノエル「!」

ポチ「もうそろそろ、限界みたいッス」

ノエル「足から、血が吹き出して…」

ポチ「もともと俺はそんなに、精神力が特別に多かったワケじゃないッス」

ノエル「だからもう、諦めてるんだな?はははっ!やはり君じゃ僕には勝てないんだ!」

ポチ「いや、諦めるつもりなんてないッスよ」ザッ

ポチ「俺は負けず嫌いッスから」

ノエル(こいつの目…何か、達観してる…)

ノエル(狙いがあるのか?…いや、まさかね…)
477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:53:49.88 ID:1aea4.SO
テンコ「はーっ…はーっ…はーっ…」

クレア「いい加減に…」グッ

クレア「倒れろぉ…!」バキッ

テンコ「っ…!」ヨロヨロ

テンコ「そっち…こそ…」

クレア「!」

テンコ「しつこいんですよっ…!」ドカッ

クレア「がっ…」フラッ

テンコ「うっ…!」ビキィ

クレア「くそっ…はぁ…はぁ…ラチが明かねぇ…」

テンコ「いえ…あなたまだ…一発は…でかいの使えるんでしょう…」

クレア「…!」

テンコ「私に隙ができたら…それをぶつけるつもり…そうですよね…」

クレア「…はっ…てめぇこそ…まだ能力は使えんだろ…」

テンコ「タイミングを間違えば…あなたを…仕留められませんから…ギリギリまで使いませんよ…」

クレア「そうかよ…なら…もうちょっと…」

クレア「殴り合いだ!」ブンッ

テンコ「…上等!」シュッ

ベキィ

クレア「ぐ…」ヨロヨロ

テンコ「あ…」ガクガク
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 22:55:07.07 ID:1aea4.SO
今日はここまでにします
ペース的に考えると、次だけじゃまだ終われなさそうです…
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/08(木) 06:25:13.89 ID:VZeXIUDO
乙です。
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/09(金) 22:09:56.21 ID:d3c2/ASO
すみません
今日は書けません
また明日やります
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/09(金) 23:25:13.81 ID:zO8GyQDO
待ってるよ!

けど、ムリはしないでね。
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 22:18:50.66 ID:r91XJISO
今まで無断で放置していて、すみませんでした
原因は、もう、単純に、ネタに詰まりました
ネタっちゅうか、考えてた展開にうちえ「これでいいのか?」と悩んでしまいまして、結局なかなか書くことができずに、今日まで引きずってしまいました

とにかく自分としては、どんどん先に進めていくことが最優先だと思うので、もう難しく考えずに、書ける内容を書く
やっぱりそれしかないと思いますので、読んでくださる皆さまにとって、「これってどーなの?」って展開になっても、どうか広い心で許してください…

とりあえず今日は、少しでも書きます
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 22:59:52.30 ID:r91XJISO
ポチ(……呼吸をしろ)

ポチ(深く、呼吸を…)

ポチ「すぅ……」

ポチ「はぁ……」

ノエル「……?」

ポチ「もうあなたに勝つ手段を考えるのはやめるッス」

ノエル「…やめる?」

ポチ「ただ、今は…」ユラッ

ポチ「あなたに、どれだけ…」フッ

ノエル「!?」

ポチ「ダメージを与えられるか…!」ブンッ

ノエル(後ろに…!)

ポチ「試してや…」

ノエル「…斥力の膜(レポーション・オーラ)ッ!」

バチィンッ!!!

ポチ「っ…背後にも盾を作れるッスか…」

ノエル「全身に纏った斥力を一点に集めただけだからね…」バッ

ノエル「でも、君の今のスピードは…やはり驚異的だよ」ザザァッ

ポチ「そうッスか…」

ポチ(…俺にできることは、ただただ速さで惑わすこと。蹴りはまともに当たらない…)

ポチ(距離を取られたら、駄目だ…)
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:06:31.64 ID:izWoBOs0
>>1が書いたこのストーリーも戦闘も好きだ
どんな展開になったとしても受け止める!
ただ…初めから見ていた一人としては、ぶった切りは寂しい。
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:07:05.50 ID:r91XJISO
ノエル「……焦ってるね。少し」

ポチ「……」

ノエル「僕にほとんど傷を与えられないこと。僕の精神力の消費量が思ったより少ないこと。君の精神力がそう多くは残ってないこと」

ノエル「そして今の君には、勝算がないこと…」

ポチ「…言われなくても、分かってるッス」

ノエル「だけど焦りは隠せない」

ポチ「分かってるって言ってるんだ…」

ノエル「君は僕に勝てない!」

ポチ「……いや」

ポチ「俺はそれだけは認めないっ!」ヒュバッ

ノエル「!…斥力の膜!」バッ

ピタッ

ノエル「……え?蹴りを『止めた』…?」

ポチ「…蹴り一つしか能がないと思わないでほしいッスね」ユラッ

ゴッッ!!

ノエル「……!!??」ヨロヨロ

ポチ「…うまくいったッスね。あなたの盾は一点集中。つまりそれを使っている間は」

ポチ「他の部分は実質無防備!こんな頭突きも避けられないッスよ」

ノエル「くっ…」

ポチ「俺の目的は、とにかくあなたにダメージを与えること…」スッ

ポチ「そして、あわよくばあなたに勝つ。やっぱり諦められないッスね…だって…」

ポチ「俺は…約束をしたから!」
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:10:00.77 ID:r91XJISO
ノエル「っ…やってくれるね…何が約束…そんなもの…」

ノエル「!」

ポチ「はあああああっ!」ブンッ

ノエル「くっ!斥力の…」

ノエル(!?)

ポチ「あああっ!」シュッ

ノエル(右からの回し蹴りと同時に、左からも拳が…!?どっちを防げば…)

ノエル「蹴りを…」

ポチ「遅いッス!」

バキンッ

ノエル「…かはっ……!」

ポチ(隙ができた!)ヒュッ

ノエル「……ま、まだだ…!」バッ

ノエル「空間歪曲(スペース・ディストーション)!!」グイッ

ポチ「……っ!」ズザザァ

ノエル「はぁ、はぁ、はぁ…最初からこうすればよかったか…」

ポチ「……」

ポチ(やっと…やっとだ…こっちの攻撃がまともに当たった!)

ポチ(効いている!確実に…!)
487 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:36:24.18 ID:r91XJISO
>>484
ありがとうございます
この先の展開、はっきり言ってだいぶむちゃくちゃになりそうなんですけど
そう言っていただけると少し気を楽にして書けそうです


ノエル「はっ…はぁっ…」

ノエル(ここに来て…2発!2発もまともに受けてしまった…!この僕が…!)

ノエル「この…僕が…!」


ポチがノエルに与えたダメージ自体は、さして大きくはない

ノエルはふらつくだけで、倒れさえしなかった

だが

その二撃はノエルの中の

長い年月を重ねてきた『自信』を

いとも容易く打ち砕いた!


ノエル「僕の能力は…守りに特化した能力なんだ!なのに、なのにこんな…!」

ポチ「……」ジッ…

ポチ(行ける。今の彼は、集中できてない。目の前の相手に。俺に。これなら…)

ポチ(勝てる…!)ダッ

ノエル「僕の方に…向かってくるんじゃない……!空間歪…」

ポチ「…はああっ!」ズダンッ

ノエル「…なに…!壁を蹴って方向を変えた…!?」

ポチ「当たれぇっ!」

バキッ…!

ノエル「……っああああ!?」ドサァ

ポチ(よしっ…!うまくいった!)
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:37:32.17 ID:r91XJISO
ポチ「はぁ…はぁ…」

ポチ「壁を蹴って、無理矢理方向を変えれば、あなたが『歪めた空間』の範囲から逃れることができる…」

ポチ「さらに、とっさの方向転換に合わせて、『斥力の盾』を出すことなんて器用なこと、できるわけがない…!」

ノエル「ぐう…よくも…よくも…!」

ノエル「…うっ!?」ズキンッ

ポチ「動かない方がいいッスよ。さっきの蹴りは…あなたの肋骨辺りを確実に砕いた!音で分かったはずッスよ…」

ノエル「……ふっ…ふっ…ふっ…」

ポチ「もう、諦めて…」

ノエル「…その『諦めて』は…」

ノエル「そのまま君に返してやろう…!僕はまだ負けてはいない!諦めるのはやはり、君のほうだ…!」ユラァ

ポチ(まだ立ち上がるのか…!?)

ビキィッ

ポチ「……!?」

ノエル「君も…ずいぶん無理をしてるみたいだな…」

ノエル「脚、大丈夫なのか?」

ポチ(…そうか。しまった。『バイ・セカンド』をがむしゃらに使いすぎてた…!)

ポチ「ここまで来て…くそっ…!」ガクガク

ノエル「ふ…ふふふふ…僕を負かしたくば、脚の一本二本、捨ててもらうよ…!」
489 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:39:29.05 ID:r91XJISO
今日はここまでにします
そろそろ梅雨が明けて、サマーシーズンですね
夏の内に第二章終わらせられたらいいな
話の舞台としては真冬だけど…
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:42:31.34 ID:izWoBOs0
乙!
491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/12(月) 23:56:19.46 ID:s1.SmAIo
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/13(火) 00:11:41.06 ID:snUAtUDO
3本目の足をお忘れなく
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 21:39:37.34 ID:OoI5nIDO
復活!
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 22:30:57.34 ID:yp6o6ISO
復活してたか
まったく月のモノなんてヤになっちゃうワ

今日は時間的にあんまり多くは書けないかもしれません
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:01:13.99 ID:yp6o6ISO
ポチ(これ以上戦えば…この足がどうなるか…)

ポチ(分からないわけじゃ、ない)

ポチ(でも…)

ポチ「ふ…ふふ…」

ノエル「!」

ポチ「ははは…はははははは!」

ノエル「…とうとうおかしくなったの?」

ポチ「ははは…いや、何と言えばいいッスかね」

ポチ「……燃えてきた…!」

ノエル「…遅いって、も」

ヒュッ

ノエル「う…?」

ポチ「くらえ…!」ギリッ

ノエル(……!)

ポチ「らあああっ!!」バキィッ

ノエル「うっ!?」ズザザァ

ポチ「追い付いてみろ!」ギュン

ノエル「ちっ!斥力の膜(レポーション・オーラ)!」バッ

ポチ「!」ブンツ

バチィッ!!

ポチ「…もう防がれたッスか。押し切るつもりだったのに」

ノエル「…ここに来てさらに加速を…そして、肝心の攻撃は、蹴りではなく、殴りを選ぶ…」

ポチ「飲み込みが早いッスね…」
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:04:28.42 ID:yp6o6ISO
ノエル「…今さら精神力を温存しようとは思わないのか?」

ポチ「そんなことするぐらいなら、スピードをよりいっそう上げる方がいいッスよ」

ノエル「肉体の損傷はひどくなるばかりなのに?…僕には分からないな」

ポチ「分からないなら分からないまま…」グッ

ポチ「倒れるッス!」ブンッ

ノエル「だから、直線的な攻撃は僕には効か…」

ギュンッ

ノエル(…石!?)

ノエル「っ!!」サッ

ポチ「…隙あり!」ユラユラ

ノエル(しまっ…)

ポチ「はああああっ!!」シュシュシュッ

ドガ ドカ ドガガッ!!!!

ノエル「かはっ…」ガクンッ

ポチ(…効いた…確実に…!)

ノエル「……」ピタッ

ポチ「…え?」
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:20:21.70 ID:yp6o6ISO
ノエル「……倒れない。こんなことじゃ、僕は、倒れない…」

ノエル「クレア様がいる限り、僕は絶対に倒れちゃいけない。負けちゃいけないんだ…」ヨロヨロ

ポチ「そんな…直撃してたのに…!蹴りを使うべきだったか…!?」

ノエル「……殴ろうが、蹴ろうが、同じことさ…」スッ

ノエル「僕は」グイッ

グラッ…

ポチ(…石柱…!)

ノエル「負けない」

ポチ「……!」

ドゴォン…!!



ノエル「…どうやら逃げられなかったようだけど…死んだか?」

ノエル「……まぁ、念のために」スッ

ノエル「もう一本」グイッ

グラッ…


ボゴォン!!

ノエル「……これで少なくとも、すぐには起き上がってこれない」

ノエル「……はず…」


ピキッ
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:21:43.20 ID:yp6o6ISO
ノエル「…!?」ビクッ

ノエル(なんだ…?今の音…)

ピキピキッ

ノエル「またっ…!」バッ

ノエル(……崩れた石柱か?いや、違う…)

ドォン ドォン

ピキピキピキ

ノエル(何かが…誰かが…壁を叩いてる…?)


ビキ…ビキビキ…!!

ノエル「…後ろか!」バッ


バキィン…!!


「やっと…開いたぜ…」


ノエル「……お前は…!?」



コヨーテ「ここであってるよな?赤の女王サマがいる部屋は!!」

ノエル(…なに?こいつ、まさか…)

コヨーテ「お!あれ、テンコだな!まだ生きてたか!」

ノエル(やはり…奴らの味方…!)ギリッ
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/14(水) 23:24:39.82 ID:yp6o6ISO
今日はここまでにします
ちなみにテンコとクレアは広い室内の真ん中で戦ってます

ノエルたちは端のほうで戦ってます
だから壁をぶっ壊して鉢合わせることができたわけです

しかし、ドクロ戦でコヨーテを殺すかどうか悩んで、結局生かしておいたけど、これが吉と出るか凶と出るか…心配だなぁ…
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:47:31.69 ID:n3CU26DO
乙です。作者さんの思うままに筆を走らせれば良いとも
ありがとう。
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 22:28:47.80 ID:YeerfQSO
コヨーテ「…ったく…だいぶ荒れてるけどよ…誰がやったんだ?」キョロキョロ

ノエル「敵…」ギリッ

コヨーテ「…だいたい、ロッタはどこ行ったんだ?」

ノエル(ロッタ…さっきまで戦ってた、彼のことか…?)

ノエル「彼なら、もう倒したよ」

コヨーテ「…てめえが?」

ノエル「僕が」

コヨーテ「………」

コヨーテ「嘘だな」

ノエル「……え?」

コヨーテ「ロッタは死んでねえよ。匂いがするからな」

ノエル「匂い…?」

コヨーテ「…まぁ、いいだろ…あいつは俺の弟ってだけあって、身体だけは丈夫にできてるからな」

ノエル(弟。そうか、兄弟…いや、それよりも)

ノエル(傷だらけだ…かなり出血している…これなら、さほど苦労せずに倒せる…!)

ノエル「……」ニヤ

コヨーテ「……今の笑いは、何の笑いだ?」

ノエル「ん…別に、なんでもないよ…」

コヨーテ「……」

コヨーテ「…『バイ・セカンド』金の踊り(ゴールド・ダンス)」

ノエル「……え」


ドゴッ
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:06:35.96 ID:YeerfQSO
コヨーテ「…ちっ。なんだか知らんが…」

ノエル(ギリギリ…間に合った…斥力の膜…)

コヨーテ「まぁ…その格好…武器は持ってねぇみたいだな」

コヨーテ「………見えない力、ってやつか?」

ノエル「…!」

コヨーテ「…テンコの例があったからな…しかし」

コヨーテ「お前、嘘つくのだとか、隠すのが苦手みてぇだな…!」ブンッ

ノエル「……!!」

バキンッ…

ノエル「くっ…」

コヨーテ「ああ…なんとなく分かってきたぜ…見えない力?そいつで俺の拳を弾いてんだな?」

ノエル「……」

コヨーテ「…なに黙ってんだよ!」ブンッ

ノエル「『バイ・セカンド』空間歪曲(スペース・ディストーション)!」グイッ

コヨーテ「あ…?」ズッ

コヨーテ「うおっ」ガクッ

ノエル「心配しなくても、ちゃんと止めてやるさ。僕は防御が得意なんでね」
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:14:52.25 ID:YeerfQSO
ノエル「それに、あんまりのんびりしてられないんだ。さっさと終わらせようか?」グイッ

ズズズッ

コヨーテ「!!」

ノエル「このフロアの石柱は、本当に便利だね…さぁ、潰れてしまえ!」

ゴゴゴ…

コヨーテ「……バカがよ」ビュッ


ボゴォン!!

ノエル「……え?」

コヨーテ「俺の力なら、こんな石簡単に砕けるっつうの。それよりお前…」グググ

コヨーテ「お得意の防御はしねぇのかよ?」ブンッ

ノエル「れ、斥力の(レポーショ

コヨーテ「遅ぇんだよ!!」


ノエル「膜(ン・オ……」ゴキッ!!


コヨーテ「…いい音したなぁ」

ブワッ

ノエル「……!!??」バゴシャァ

コヨーテ「…結構吹っ飛んだなぁ、おい」

ノエル「ぐ…」ピクピク

ノエル(腹を…くそっ、肋骨でも砕けたか…!?息が…!)

ノエル「はっ…はっ…」

ノエル(この僕が…)

ノエル(こんなワケの分からない男に…押されている!?)
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:28:42.78 ID:YeerfQSO
ポチ(……)

ポチ(動けないッス)

ポチ(さっきから誰かが暴れてるみたいッスけど…誰ッスかね…)

ポチ(声はよく聞こえないけど、でも…)

ポチ(まさか…ね…)

ボゴォン!!

ポチ「なっ…!?」

ガラガラガラ…

コヨーテ「ロッタお前、こんなとこにいたのかよ」

ポチ「あ…兄貴…!?なんで…」

コヨーテ「……あ?」

ポチ「生きてたのか…!」

コヨーテ「ユーカイは死んじまったけどな。あのジジイに自爆仕掛けて」

ポチ「!!」

コヨーテ「まぁ、なんとかここまで来られたぜ。しかしお前…」

ポチ「…なんだよ?」

コヨーテ「…弱いな。なんだか情けなくなってくるぜ、兄として」

ポチ「……っ!?」


ノエル「はっ…はっ…ぐ…」

ノエル「ただの拳がっ…ここまで強いワケがない…!これは…」

ノエル「奴(ポチ)の能力と同じ、肉体強化系…!」

ノエル「…ならば、どう戦う…?」
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:43:38.90 ID:YeerfQSO
これまで、いや、今までのすべての戦いにおいて「防御主体」だったノエル

彼が、これほどのダメージ、それもパンチ一発でここまで追い込まれるのは、初めてであった

いくら悪魔でも、骨が砕ければ、尋常ではない痛みを味わうのは当然であるし、それはちょっとやそっとのやせ我慢でなんとかなるものではない

だが、ノエルは

ここに来て、より冷静に、その頭を働かせていた


ノエル(奴の拳の破壊力は…普通のそれとはレベルが違う…ヘタをすれば、斥力の膜では弾ききれないかもしれない…!)

ノエル(なら後はもう、攻撃を捨てて、向こうの精神力が空になるまで、空間歪曲でしのぐしかない…)

ノエル(いや、だけど、今のままじゃ間違いなく奴(ポチ)が起き上がる…)

ノエル(そうしたら…この戦いは…)

ノエル(2VS1に…なる…!?)

ノエル(まずい…2VS1…圧倒的に不利だ…!!)

ノエル(このままじゃ、僕は負け…)

ノエル(……負ける?)






ノエル(……)

ノエル(この戦いに勝つか、負けるか、それよりも…)

ノエル(もっと大事なことが、僕にはある…)

ノエル(……やってやるさ…!)
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:58:05.09 ID:YeerfQSO
コヨーテ「お前をテンコと一緒に先に行かせた時、俺はお前ならなんとかしてくれるって、そう思ってた」

コヨーテ「だけどよ、なんだ?この様は…」

コヨーテ「先にたどり着いたお前は、あのガキにやられて、生き埋めだ」

コヨーテ「で、後からやってきた俺が、お前を助ける…」

コヨーテ「お前、そこまで弱かったかぁ?」

ポチ「……それはっ…」

コヨーテ「おい、ロッタ…」ガシッ

ポチ「!」

コヨーテ「てめえ…よぉ…」グググ

ポチ「うわ…!」

コヨーテ「このままじゃ、俺に、殴り殺されちまうかもなぁ…」パッ

ヒュッ

ポチ「!?」


ドゴンッ!!!


コヨーテ「……そうだ、それでいい」

ポチ「はぁっ…はぁっ…」パラパラ

コヨーテ「俺の本気のパンチ止められるのは、お前の脚力だけだ…」

ポチ「…あ…!」

コヨーテ「…ん?」
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/17(土) 23:59:53.09 ID:YeerfQSO
ポタ…ポタ…

ポチ「兄貴…手…いや、全身から、血が…」

コヨーテ「……ああ、これな、無理ねぇだろ。あのジジイに一度殺されかけてるくらいだし…今までよく保ったぜ」

コヨーテ「でもたぶん、これ以上でたらめな使い方したら、ぶっ壊れちまうだろうな。両方とも」

ポチ「…俺の…脚も…」チラ

コヨーテ「だけどな、だからこそやりがいがあるってもんだろ?」

ポチ「やりがい…」

コヨーテ「お前もよ、テンコのために戦うって決めたんなら…腹括れ」

コヨーテ「…あれを使うぜ。俺『たち』の最強の技だ」

ポチ「…そんな……」

コヨーテ「ロッタ、そんな顔するんじゃねぇよ。大丈夫だ。負けやしねぇ。俺を誰だと思ってやがる?」

ポチ「…兄貴は、俺の兄貴だよ」

コヨーテ「違いねぇな。そんで、お前は、俺の弟だ」

ポチ「……」

コヨーテ「やるぜ」

ポチ「…分かった!」
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 00:03:32.66 ID:iSnClMSO
今日はここまでにします…
次で終わるかな…終わらないかも…?
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 00:08:20.00 ID:CY80jcDO
1乙です。
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 01:31:12.96 ID:WWTSq6U0
乙です。ワクワクすんなー
511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 22:50:57.45 ID:wNQaeMSO
転「らあああっ!」ブンッ

クレア「ちっ!」ヒュッ

転「今だ!不可視の(インビジブル・…」バッ

クレア「なっ…!」

転「…なんて、使うと思ったか!」グルン

パァンッ

クレア「ぐあっ!」ヨロッ

転「このタイミングで使うほど、私はバカじゃありませんよ!」

クレア「いいからっ…さっさと使って…」

クレア「空っぽになっちまえ!!」ゴッ

転「今さら当たるかそんなもの!」ダッ

ゴオオオオッ

転「…はっ!」サッ

クレア(真正面から突っ込んで、ギリギリで躱したっ…!)

転「温いって言ってんでしょーがぁ!」バッ

クレア「舐めやがって…!」バッ

バギンッ!!

転「ぐうっ…」ビリビリ

クレア「がっ…」ジンジン

クレア(まずい…向こうが能力を使ってこないんじゃ、こっちが一方的に疲弊しちまう…!)

クレア(だが、素手の勝負でも、こっちが若干不利!)

クレア「ちくしょうが…!」

転「せいぜい喚いてなさいな!」ヒュッ

クレア「アタシを舐めるなって…」

クレア「言ってんだろうがああ!!」ゴオッ!!

転「!?」
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 23:38:13.28 ID:wNQaeMSO
転「危なっ…」キキィッ

クレア「はぁ…はぁ…」

クレア(ここに来て…がむしゃらに温度を上げちまうのは…あんまり賢い戦い方じゃねぇんだろうな…)

クレア(だけど…アタシは…)

クレア「地獄最強の炎の女王!てめえなんかに誇りは砕かせられないんだよぉ!!」ボッ

転「!!」サッ

ジュゥウウ

転(熱気!?どんだけ熱い拳なんですか…!)

クレア「こうなりゃもう、後のことなんてどうだっていい…とにかく、てめえを…」

クレア「焼き尽くしてやる!皮も肉も骨も全て!灰にしてこの地獄に振りまいてやる!!」ギュンッ

転「……何を今さら…後のことなんてどうだっていいだなんて…」ユラッ

転「本気になるのが遅いんですよ!!」ゴッ

クレア(ラリアッ…)

ブンッ

クレア「ト……外れた…?」

転「はっ…はっ…!」ガクン

転(くっ…いきなり…目眩が…)

クレア「……!…そうか…効いてないワケがねぇよな…」

クレア「今…この辺りの温度は…およそ50度以上!加えてこの運動量!その辺の軟弱な悪魔なら、とっくに気絶してるだろうよ!」

クレア「てめえも『熱さに慣れてない』だろうに、よく耐えた方だぜ…相当キツいだろうけどな!」ブンッ
513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 23:41:59.95 ID:wNQaeMSO
シュッ

転「!…来…」

ボヤァ…

転(……あ、視界がぼやける…これはダメだ…なんか前にもこんなことあったなぁ…)

ズズズ

転(…ずいぶんスローなパンチですね。違うか。私の頭がフルスピードで動いてるのか)

転(でもこれは…ああ、うん…避けられません。さすがに無理です)

転(…って言うか、そもそも…)


なんで 私が 避けなきゃ いけないんです?


転(こーいうのって、なんか癪だし)

転(もう回避とかめんどくさいし、いっそ私らしく…反撃しちゃいますか)


転「…あーん」

クレア「!!?」シュッ


ガブッ!!
514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 23:51:52.30 ID:wNQaeMSO
クレア「て、めぇ…!?」ポタポタ

転「……」ギリギリ

クレア「ワケ分かんねぇ…!アタシの拳を噛み付いて止めるなんて…!!」

転「ふふぉいへぇふぉ(すごいでしょ)」モゴモゴ

クレア「…離せよっ!!」グイッ

ズポッ

クレア「っ!」ズキッ

転「……」モグモグ

転「ぺっ」ビチャッ

クレア「…拳の皮持ってかれるのは…始めてだぜ…?」

転「名付けて『テンコちゃんトゥース(牙)』…指が持ってかれなくてよかったじゃないですか」

クレア「ぶっ…[ピーーー]!!」ブンッ

転(いや…ホント…熱さで意識吹っ飛びそうだけど…)

転「お前の方が『熱くなる』のを待ってたよ…」スッ

クレア「!!」

クレア(しまった…身体(ボディ)が空いて…)

転「マトモな思考が出来なくなるくらいにね」ブンッ


ド ゴンッ!!!!
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/21(水) 00:08:51.93 ID:4WW2L2SO
うわぁぁああああすぐsaga忘れちゃうよおおおおおお


クレア「……!」ブワッ

ドシャアッ

転「……不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)…そうか…やっぱりカウンターの要領で使うのが一番か…」

転「……ふー…」

転「勝っ…」


「まだだ…」


転「…え」

クレア「まだ、終わってねぇ…」ヨロヨロ

転「…は?なん…で…?直撃…してた…よね…?今…」

クレア「してたよ…」

転「えっ…?」

クレア「見ろよ…こんなたくさん血ぃ吐いたの、始めてだ…たぶん内臓が…一つ二つつぶれたんだな…」ヨロヨロ

クレア「めちゃくちゃ痛ぇぞ…覚悟しやがれ…この10倍以上の苦しみを与えて…殺してやる…」ヨロヨロ

転「……っ!?」ゾクッ
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/21(水) 00:10:50.42 ID:4WW2L2SO
ノエル「ふー…ふー…」フラフラ

ノエル「…さぁ…来い…君の次の手を見せてみろ…!」


コヨーテ「もちろん……」スッ

ポチ「やってやるッス…!」

ノエル「!…もう起きてきたか…やはり2VS1になるんだね…」

コヨーテ「…卑怯だと思うか?」

ノエル「いや…この戦いは…生死がかかってるんだ。殺すか、殺されるか…ただそれだけ」

ノエル「そこでどんな手を使おうが、それは結局、戦法の一つに他ならないからね…」

コヨーテ「さすがだな…なら、遠慮なく卑怯な戦いを、やらせてもらうぜ」

ポチ「……」

ポチ(すまないッス。俺は…できることなら…)

コヨーテ「行くぞ!ロッタ!」

ポチ(あなたを俺一人の力で、倒したかった…!)


ノエル「……来い!」
517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 00:27:00.50 ID:4WW2L2SO
ノエル(これで…奴らがどんな攻撃を使ってこようが…)

ノエル(最後の勝負になる…)

ノエル(僕が耐え切れば、きっと奴らに、僕を仕留める余力はない)

ノエル(だけど、もしも僕が耐え切れなかったら…)

ノエル(……僕の、負けだ…)

ノエル(…大丈夫、きっと…)



コヨーテ「…いいか。これは…一度切りの技だ。これで仕留められなかったら、俺たちに勝ち目はねぇ…身体が保たないからな…」

ポチ「……分かってるよ」

コヨーテ「うまく行くかは分からん。なんたって、まだ一度も使ったことがないんだからな。だが…」

ポチ「きっと、うまくいく」

コヨーテ「……」

ポチ「……」

コヨーテ「……大層な自信だぜ。さっきまでボロボロだった野郎がよ」

ポチ「……」

コヨーテ「…まぁいいか。いくぞ。さっさと…」

コヨーテ「決着…付けるぞ…」スッ

ポチ「すぅっ…」

コヨーテ・ポチ「「…『バイ・セカンド』!!!」」
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 00:32:14.29 ID:4WW2L2SO
ドゥンッ!!

ノエル「……!?」

ノエル(二人同時に『バイ・セカンド』を…?)


コヨーテ「……」パキキッ

ポチ「……」グググッ

コヨーテ「…ウォーミングアップだ」

ドシュッ!!

ノエル「!?」

ズダダダダンッ

ポチ「…はっ!」ギュルンッ

ノエル「何を…?」

コヨーテ「うおお…らぁっ!」ギュルンッ

ノエル(めちゃくちゃに暴れ回ってるだけじゃ…)



ポチ「銀と…(シルバー・アンド・

コヨーテ「金の舞い(ゴールド・ダンス)…!!」


ギュオォンッ!!!
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 00:43:23.08 ID:4WW2L2SO
何が起きているのか…ノエルはすぐにそれを理解できた

二人がやっていることは、一見すると、ただの高速移動…

ノエルを中心に物凄いスピードで、円を描くように走っている…

これがただの移動ではないことを、ノエルは本能で理解していた


そもそもポチの「銀の踊り(シルバー・ダンス)」とコヨーテ「金の踊り(ゴールド・ダンス)」

その違いは、脚力を上げるか、腕力を上げるか、そこだけである

本来、ここまでの類似した『バイ・セカンド』は存在せず

二人が兄弟であるがゆえに、たまたまよく似た能力が発現しただけだ


しかし、「よく似た能力」ではなく、例えばこの二つが

もとは、「一つの能力」だったとしたならば…?


二つに別れた能力は、同時に使用されることにより呼応をする

この呼応が、極限まで高まると…

二つの能力は、元の一つの能力に近付き…

つまり、完全な『バイ・セカンド』銀と金の舞い(シルバー・アンド・ゴールド・ダンス)として

絶大な力を発揮する!

互いの肉体レベルは最大まで強化され

そこから繰り出される『二発』の『一撃』

これこそがポチとコヨーテの最強の技なのだ
520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/21(水) 01:01:30.78 ID:4WW2L2SO
クレア「死ね!死ね!死ね!てめえは!絶対に!」バキッ ドゴッ

転「うっ!やめっ…!」

クレア「殺してやる!!」ブンッ

ゴッ

転「……!!」グラッ

クレア「倒れることも!てめえには許さねぇ!!」グイッ

転「ぐっ…!」

転(さっきの攻撃は…間違いなく効いてるんだ!だから…)

転(隙さえ…作れば…)

ドゴッ

クレア「…!!」ズキンッ

転「……今だ!これで終わ…」バッ

転(……待て、もしここで不可視の力撃を使って…)

転(私はその負担に…耐え切れるのか…!!)

クレア「ぐ……てめえええええええ!!!」ブンッ

転(……迷ってる場合じゃない…撃つ!撃つしかないんだ!!)

転「不可視の…力撃(インビジブル・ブレイカー)ッッ!!」ブンッ
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:03:33.76 ID:4WW2L2SO
ギュルルルルルル…

ポチ・コヨーテ『おおおおおおっ!!』

ノエル「……!」

コヨーテ「おおおおおっ!」バッ

ポチ「あああああっ!」ザッ


ビリビリビリビリッ


ノエル(来る…!今までのどの攻撃よりも…強力の一撃が…!)

ノエル(この双方からの攻撃を防ぐには…)

ノエル(…これだ!!)バッ

ノエル(『拳』を「空間歪曲」で流し、『蹴』を「斥力の膜」で止める!!)

ノエル(いや、止め切れなくていい!威力が少しでも落ちれば…僕が倒れなければ…)

ノエル「僕の、勝ちなん…」

ノエル(………あ)



ノエル「…クレア、様……!」バッ


コヨーテ「おおおおおおっ!」シュッ

ガクンッ!!!

コヨーテ「なっ…!?」

コヨーテ(…こいつ、何をっ…!?)


ポチ「ああああああっ!!」ブンッ

ノエル「……」スッ

ポチ「……!?」



バキンッ
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:06:10.39 ID:4WW2L2SO
バキンッ



最初、その音が、何の音なのか、テンコには分からなかった

不可視の力撃が…クレアに当たった音?

これは、勝利を告げる福音?


否。


直後、テンコの拳は、クレアに当たるギリギリの場所で、制止していた
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:10:16.28 ID:4WW2L2SO
ミキ…メシメシ…

ノエル「……」ゴブッ


コヨーテ「はっ…はっ…」

コヨーテ「信じ…られねぇ…こいつ…」


ノエル「……」


コヨーテ「ポチの拳を、一切ガードしなかった…」

ポチ「……なん、で…?」



ノエルは、コヨーテの蹴りを盾で受け

ポチの拳を空間歪曲で反らすつもりだった


しかし、数秒の間で

事情が変わった

ノエルは、自らへの防御を捨て

瞬時にそれを

クレアに移したのだ
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:13:31.66 ID:sC4b6xYo
再不斬と白思い出した
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:13:40.16 ID:4WW2L2SO
転「はぁ…はぁ…なんで…なんで…」

転「なんで…拳が止まる!!??」

クレア「これは…ノエルの……」ツー

クレア「斥力の…膜…だ……」ポタポタ



ノエルは、自らに向かってくる拳を防がず

テンコの撃った拳を防いだ

ノエルは、自らの命を捨て

クレアの命を、繋ぎ止めた


ノエル「……」

コヨーテ「こいつ…もう…」


「……死んでる」
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:21:15.92 ID:4WW2L2SO
クレア様

僕はあなたと一緒に、ずっと生きてきた

だからあなたのことは、誰よりもよく知っていた

あなたがしょっちゅう無茶をすることも

僕が言っても聞かないことも

全部、知ってた


あなたに熱を寄せ付けないために「空間歪曲」を使ってたけど

結局こっちの戦いに夢中になって、すぐにやめていた

でもあなたは、耐えていてくれた

僕自身も、耐えてくれると信じてた

僕は今までずっと、あなたの役に立ってるつもりだった

でも本当は、あなた一人で戦ってたんだ

僕は今まで、あなたの役に立ってるつもりでいたんだ


だけど

僕は



始めて

あなたの役に立つことができた


あなたを本気で守ることができた

あなたのために、死ぬことができた


さようなら、僕の主、クレア様
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 01:27:22.84 ID:4WW2L2SO
今日はここまでにします
眠いんで、何を書いてるのかよく分かりませんでしたが
やっと次で、VSクレア編終わりそうです


>>525
うわあああああああああ
そんなのあったなあああああ
モロにカブってるうううわあああああ!


もう「オリジナル」なんて、この話にはありゃしないな
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 07:34:26.06 ID:WceVEUDO
1乙です!

次回を楽しみに正座して待ってます。
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/21(水) 18:15:24.19 ID:uRWJGm60
乙です。
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 22:18:04.19 ID:r8pW0sSO
転「……」

クレア「……」

転「ク…」

クレア「…で……だよ…」ボソッ

転「…え……?」

クレア「なんで…お前が…死んでんだよ…」

転「……」

クレア「いつもいつも…アタシがわがまま言って振り回してて…」

クレア「自分のことよりも…アタシのことばっか優先させて…」

クレア「…だけど…アタシより先に死ななくたっていいだろ…!」

クレア「ずっと…お前と一緒だったのに…アタシ…お前がいなきゃ、何もできないのに…」


クレア「なんで…死んでんだよ…?」ポロポロ


転「……っ」
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 22:23:44.71 ID:D6j8lBwo
クレアェ…
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 22:44:51.52 ID:r8pW0sSO
クレア「アタシに…一人で生きてけって言うのかよ…」

クレア「お前がいなきゃ、ダメなのに…」

クレア「ふざけんなよ…ノエル…!」

クレア「…ノエ…ル……」

転「……」


メイ『マタ、会ってミセル……』


転「…ぐっ…?」ズキンッ

転「…引っ込んでろ…!亡霊が…!!」


クレア「……」グルン

転「…!」

クレア「…そうだ…お前が…お前がいるから…」

クレア「お前がノエルを殺した…お前がノエルを…」
533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 22:52:46.55 ID:r8pW0sSO
>>531
やめれwwwwwwww

クレア「お前だけは…許さない…!!」スッ

クレア「…灼熱の独眼竜(ヒート・ガンドラ)!!」ボコボコボコォ!!!

転(これは、クレアの最強の…!)バッ

ビキィッ

転「……!!!」

転(しまった…さっきので…『不可視の力撃』は…五発使ってる…!体が…)


ポチ「っ…テンコさん!」ダッ

コヨーテ「おい!ロッタ!今のお前も身体が…」


ボゴオオオオオオオオオッ!!!


ポチ「くっ…間に合え…!」ダダダ

転(…今度こそ、もう…駄目だな…)

ポチ「あと…少し…!」ダダダ


ボンッ!!!!


ポチ「…!!」

転(え…?)


クレア「な…!?爆発し…」

クレア「……!」ガクゥ

コヨーテ「今、何が…?」
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:01:53.75 ID:r8pW0sSO
転「はぁ、はぁ、はぁ…」

ポチ「て、テンコさん…あなたが…?」

転「私は、何も…」


クレア(ちくしょう!ちくしょう!!なんで動かない…!)グググ

クレア「うっ……!?」

バタタタッ

転「……そうか。もう…崩れたんだ…」

ポチ「崩れた…?」

転「……信頼できる大事な人を…失って…」

転「精神(こころ)が…崩れた……」


クレア「う…うう……」

クレア「うああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


転「彼女はさっき…私が『暑さに慣れてない』って言ってました…」

転「つまりクレア自身も…熱はちゃんと効いてる…これだけ長い間戦ってれば、慣れ不慣れの問題じゃなくなりますよ…」

転「…あなたが…ノエルの能力?…を、クレアに使わせなかったから…熱は遮断されなかった。…私と同じ…いや、むしろ熱源のクレアはもっとキツい状態で戦っていたはず…」

ポチ「…とにかく彼女は、いずれこうなるはずだったってことッスね…?」

転「ええ…加えて、ノエルの死…身体も精神も、耐えられるはずがない…」


クレア「ああああああああああああああああああ…」
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:18:07.05 ID:r8pW0sSO
コヨーテ「とにかくもうこれで…終わったんだ…よな…?」

コヨーテ「……」チラッ


ノエル「……」


コヨーテ「俺は今まで、結構な数の死体を見てきたけどよ」

コヨーテ「お前みたいな、満足した顔の死体は、初めて見たぜ」

コヨーテ「……ん?」

スッ

コヨーテ「…これは……」


クレア「うあああああ、うああああああああああああああっ…」

転「……」フラフラ

ポチ「…テンコさん、おとなしくしてたほうがいいッスよ…」

転「まだ…やることが…あります…」ピタッ

転「クレア…」

クレア「う……」

転「…クレア!!」

クレア「……!」ギロッ

転「……憎いですか?」

転「ノエルを殺した私たちが」

クレア「ふーっ…ふーっ…」

転「憎いですか?」

クレア「てめぇえええ!!」ガバッ
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:21:07.36 ID:r8pW0sSO
バキッ

ポチ「!テン…」

転「……平気、です」ツー

グイッ

クレア「てめえだけは…絶対に…!」

転「…絶対に?」

クレア「許さ…ねぇ…」

転「それもいいでしょう…ただ…」

転「私は…薄情な女ですから…あなたのことなんて…ノエルのことなんてどうだっていいんだ…」

ポチ「…え…?」

転「私の妹(シロ)を返せ…!!」

クレア「……!!」ビクゥ
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:38:07.68 ID:r8pW0sSO
転「いいか、クレア…私の目的は結局、それだけなんだ…誰が犠牲になろうが、関係ないんだ…妹を救えれば、後はもうどうだっていい…!」

クレア「……」

転「シロを返せ!!!」

クレア「……」

転「……クレア!!」

クレア「手…を…」

転「…手…?」

クレア「見せろ…手を…」

転「手がなんだ……!?」スッ

クレア「……はっ…」

クレア「お前の妹…シロは……」


クレア「もうこの世にはいないぜ…?」


転「[ピーーー]……」スッ

転「不可視の…」

ポチ「…!!駄目ッス!」ガシッ

転「……離せっ…!」バタバタ

クレア「く…くくくくく…冗談だよ…くくくくく…くけけけけけ…」

ポチ「冗談…?」パッ

転「っ…!イカれたか?クレア…!!」グイッ
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:39:59.84 ID:r8pW0sSO
クレア「くくくくく…!」

転「なにが可笑しい…!?」

クレア「…この世にいるかどうかなんて、アタシには分からねぇよ」

転「……分からない…?」

クレア「ああ。…シロは…この『赤の城』にはもういない」

ポチ「いない…って…」

クレア「てめえとアタシが戦ってる間に、ヘリに乗って飛んでったぜ!!」

クレア「それも、とっくの前になぁ…もう着いてるだろうなぁ…。くくくくく……」

ポチ「ヘリ……?」

転「そん…な…」


クレア「はは…はははは…」

クレア「…あはははははははははは!!あははははははははははははは!!」

クレア「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」


クレア「………ざまぁみろ」
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:47:45.36 ID:r8pW0sSO
転「いない……シロが……」

転「また、連れてかれた…?」

誰に? クレアはここにいた

部下か? どこに連れて行った?

シロは、生きてるのか?


これで、終わりじゃない?



クレア「はははははははははははははははははははははははははははははははははは」

ははははははははははははははは
ははははははははははははははは
ははははははははははははははは
ははははははははははははははは
ははははははははははははははは
ははははははははははははははは

転「っ……」

転「ふざけるなッッ!!!」

クレア「はは…」ピタッ

転「ふざけるな…」

クレア「……てめぇらだって、ノエル殺してんだから」

クレア「これでおあいこだろ?」

転「……」ギリッ

ポチ「……おあいこ、じゃない」

クレア「……ああ?」

ポチ「戦闘中に連れてったってことは、最初からそのつもりだったんだ…」

クレア「…まぁ、そうだなぁ…ははははははは…」

ポチ「なに、考えてんだ…?」

クレア「……教えなぁい」
540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 23:54:55.87 ID:r8pW0sSO
転「ああ……そっか」

転「簡単なことじゃないか…」フラッ

ポチ「……!」

転「こんなことしてる暇があったら…」フラフラ

転「……シロを探さなきゃいけないでしょうが!!!」


クレア「…無理無理。今のてめえじゃ無理だよ…」

ポチ「このっ……」バッ

クレア「お前が、ノエル殺したんだろ…実質的にはよ」

ポチ「……!」ピタッ

クレア「そんな奴に…アタシを責める資格があんのか?」

ポチ「そ、それは…」

クレア「……あーあ」

クレア「どいつもこいつも、ふざけた奴ばっかりだなぁ」


コヨーテ「お前にだけは言われたくねぇよ」

クレア「……あ?」チラッ

コヨーテ「動けもしないクセに、何を粋がってんだ」

クレア「うるせぇなぁ…てめえも…ノエルを殺した元凶だろ?」

コヨーテ「ああ、そうだな」

クレア「ならさっさと、失せろよ」

コヨーテ「いや、失せねぇ」ゴソッ

コヨーテ「こんなもん見つけちまったからな」スッ


クレア「……」

クレア「…それ、は……」
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:01:38.03 ID:C8O6DcSO
ポチ「ペンダント……?」

コヨーテ「…ノエルの、首に架かってた」

クレア「……」

コヨーテ「これ、知ってんだろ?たぶん」

クレア「…あいつの、地獄兵器…」

コヨーテ「地獄兵器か…なるほどな…」ポイッ

クレア「危ないっ!」パシッ

クレア「…あ…!」

コヨーテ「中に小さな写真が入ってた。結構古いやつだな。写ってるのは…」

クレア「……アタシと、ノエル…」



10年前

クレア『…しゃしん?』

ノエル『はい。クレアさまにはこれから、おしゃしんをとっていただきます』

クレア『なんでだよ?』

ノエル『くわしくは分かりませんが…だいじになるのだそうです』

クレア『ふぅん…。アタシ、しゃしんってとったことないや』

ノエル『ぼくもです』

クレア『じゃあ、いっしょにとろうぜ』

ノエル『え…?』
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:15:56.58 ID:C8O6DcSO
クレア『いいだろ、せっかくだし』

ノエル『ですが、クレアさまのおしゃしんにぼくがうつるわけには…』

クレア『ノエル!』

ノエル『は、はい!?』

クレア『アタシの言うことがきけないのかよー』

ノエル『え、えっと……』

クレア『……』ジッ

ノエル『…わかりました。一まいだけなら…』

クレア『よし!じゃあ行こう、行こう!』グイッ

ノエル『わぁっ!』



パシャッ

クレア『まぶしい!』

ガルク(クレアの父。赤の城の魔王)『おいおい、クレア、目ぇ瞑ったら駄目だろうが。もっかい撮るぞ』

クレア『だって、まぶしくて、目があけてられないんだよ!』

ガルク『我慢しろ我慢。ノエルはちゃんと目ぇ開けてるぞ』

クレア『なんでだよー!ずるいぞノエル!』

ノエル『じゃあ、カメラを見ないでよそをむいてたらどうでしょう』

クレア『カメラを見ない…?』

ガルク『そうだな、それがいい。ちょっとだけよそ向いて、フラッシュを直視しないようにするんだな』

クレア『よそをむく…?』

ガルク『よし、二枚目撮るぞー』

クレア『ちょっとまった…』クルッ

ノエル『え?』

パシャッ
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:19:06.55 ID:C8O6DcSO
ガルク『おいおい、フラッシュは見なくていいからこっちは向いてろよ!ノエルの方見てどうすんだ!』

クレア『だって、まってって言ったのに、きかなかったから!』

ガルク『あーもう…ノエル!お前には悪いけど、肝心の「クレア一人」の写真が一枚も撮れてないからな…外れてくれないか?』

ノエル『わかりました』スッ

クレア『あー!』

ガルク『ほら、もうじっとしてろ!よそ見もやめだ!』

パシャッ パシャッ


ガルク『よし、撮影終わりだ!もう部屋に戻っていいぞ』

クレア『くそー…しゃしんなんてにどととるもんか!』タタタ

ノエル『あの…ガルクさま…』

ガルク『ん?なんだ?』

ノエル『さっき…クレアさまといっしょにとったしゃしん…ぼくにくれませんか?』

ガルク『ああ、いいぞ。せっかくだし、お前にやるよ。現像に時間かかるから、しばらく待っててもらうけどな』

ノエル『ありがとうございます!』

ガルク『大事にしろよ?』

ノエル『はい!』
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:25:20.52 ID:C8O6DcSO
クレア「あ……」ポロポロ

コヨーテ「……大事なやつなんだろ。二人ともまだチビだ」

ポチ「……」

クレア「うっ…ひっく……」ポロポロ

クレア「ノエル…ノエル…」

クレア「ノエル……!」



ガルク『お前はまだ、ここに来たばっかだけど』

ガルク『これから、クレアと仲良くなってくれよ』

ノエル『……はい!』



クレア「……っ!」ボロボロ


クレアは声を上げずに泣いた

さっきの「喪失感」が生んだ涙ではなく

ノエルへのさまざまな「想い」が溢れた涙だった
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:29:51.31 ID:C8O6DcSO
今日はここまでにします
次でVSクレアは終わりです

いよいよ第二章クライマックスに入っていく…と思う…そろそろ…ね…
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:31:14.54 ID:IaU1.gDO
1乙です。
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 00:31:30.79 ID:C8O6DcSO
そういやぁこないだもVSクレアは終わりです、とか言っちゃってたなぁ
さすがに次は終われるよなぁ…
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 12:00:59.38 ID:mD76hWU0
乙です。
549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 21:34:12.46 ID:ESAZtsSO
クレア「……おい」ボソッ

コヨーテ「…ん?」クルッ

クレア「このネックレスは…ノエルに返してやってくれ…」

コヨーテ「…いいのか?」

クレア「もう、必要ないからな」スッ

コヨーテ「……そうか」パシ

スタスタ…

クレア「……」


ポチ「テンコさん…!」ズルズル

転「ふーっ…ふーっ…」ユラユラ

ポチ「この城にはいないって、彼女が言ってたじゃないッスか!」

転「ふーっ…ふーっ…!」

ポチ「テンコさん!!」

転「…うるさい…!」

ポチ「……っ」

転「ここにはいないって、じゃあ…」

転「もうシロのことは諦めて…さっさと帰れって…そういうことですか…」

ポチ「そ、それは…」

転「……分かってますよ。こんな闇雲に探して、見つかったら苦労しない…」

転「でも、じっとしてるわけにはいかないでしょう…!?」ツー

ポチ「……また…」
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 21:42:03.90 ID:ESAZtsSO
ポタ ポタ

転「私は…長女なんです…私があの子を助けないで、誰が…誰が…」ポロポロ

ポチ「……」

ポチ「……泣いてばっかりッスね」

転「……え?」

ポチ「あなたも、彼女(クレア)も」

転「…だって……」ポロポロ

ポチ「…普段は、強気に振る舞うことができても、結局あなたたちは女の子ッス」

転「だったら何ですか…」

ポチ「…もっと、誰かを頼るのも、悪くはないッスよ?」

転「…頼る…」



コヨーテ「……ペンダント、戻したぞ」

クレア「……」

コヨーテ「…ずいぶんすっきりした顔してるな」

クレア「…そうかもな…アタシは、空っぽになっちまったから」

コヨーテ「空っぽ?」

クレア「大事な人が死んだ。戦う理由がなくなった。約束なんてどうでもよくなった…」

コヨーテ「約束…?」

クレア「……アイツの野望も…。負けちまったたアタシには、もう関係ねぇよ……」

コヨーテ「……」

コヨーテ「…アイツって…誰だ…?野望ってなん…」


ポチ「…兄貴!」バッ

コヨーテ「……?」
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 21:44:44.52 ID:ESAZtsSO
ザッ

転「……」

コヨーテ「テンコ…」

転「すみません、コヨーテ。…先に…聞かせてもらいますよ」


クレア「……」ニィ

転「クレア…」


転「シロはどこにいるんです?」






クレア「黄の城。」
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:00:12.90 ID:ESAZtsSO
転「……」

転「……」

転「…え……?」


クレア「……次」

コヨーテ「!…じゃあ…」

コヨーテ「お前は一体、誰の下で動いてたんだ…?」

クレア「…さっきのがもう答えになってる。分かるだろ?」

コヨーテ「じゃあ……」

クレア「エレカだ」


ポチ「……!?」

転「なんで…!?」

クレア「……アイツの口から聞けばいいだろ?とにかく、アタシがお前と戦う…少し前だろうな。時間的には」

クレア「エレカは『シロを赤の城から黄の城に移す』ように手配した。ヘリコプターをこっちまで飛ばして、こっそりシロを運んでいったんだ」

転「…エレカと一緒に、クロがいたはず…彼女はそれに気付かなかったのか…?」

クレア「…気付く気付かないの問題じゃないだろうな」

転「え?」

クレア「たぶんクロも、エレカにやられてる。だからシロをわざわざ連れ出したんだ」

クレア「アイツの最終目標である、お前を確実に呼び寄せるために」

転「……私を…呼び寄せる…?それがエレカの狙い…?」
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:00:30.09 ID:ESAZtsSO
クレア「まぁ、アタシがこのことを喋ったってのは、アイツも知らないだろうが…とにかく今、アイツはお前を待ってる」

転「……」

転「そうですか」クルッ

クレア「…どうするつもりだ?」

転「決まってるでしょう…黄の城に向かうんです」

クレア「今のお前の身体じゃ絶対に無理だな…」

転「……無理かどうかは、やってみなくちゃ分からない」

クレア「……ああ、そう。じゃあ好きにしろよ、バーカ」ニタァ

ドサッ

コヨーテ「!?」

クレア「…アタシは、もう疲れた…ここで寝てる…」
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:06:39.00 ID:ESAZtsSO
転「……ポチくん、コヨーテ」

ポチ「…な、何ッスか…?」

転「私はこれから、黄の城に向かいます。今、すぐに」

ポチ「…そんなの無理ッスよ!!その身体でロクに動けるワケがないッス!!」

転「無理じゃない。行きます。這ってでも、行く」

ポチ「そんな…っ」

コヨーテ「……おい、テンコ」

転「なんですか…」ギロッ

コヨーテ「さっきから、震えてるぜ」

転「……っ」

コヨーテ「…分かってんだろ?自分でもどうしようもないってことが」

転「私は…」

コヨーテ「どうしようもねぇんだよ…お前一人じゃ」

転「う……」


ポチ「……兄貴…それって…」

コヨーテ「…分かるよな、お前なら」

ポチ「……」

ポチ「テンコさん、やっぱりあなたは、頼るべきッス」

転「……誰に頼れって言うんですか!」

ポチ「……俺に、頼るッス」

コヨーテ「そして、俺にもな」
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:11:24.63 ID:k/BZIEDO
リアルタイムでの投下 イエェ━━ヽ(・∀・)ノ━(∀・ノ)━(・ノ )━ヽ(   )ノ━( ヽ・)━(ヽ・∀)━ヽ(・∀・)ノ━ィ!!

見てるんで頑張ってください。
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:13:03.87 ID:ESAZtsSO
転「何を…それこそ無理です!ポチくんは、あれだけ能力を使ってる…コヨーテは、ドクロとの戦いで、身体がガタガタなはず…」

転「なのに、頼れだなんて、おかしいんじゃないんですか!?」

ポチ「……」

コヨーテ「…俺たちは兄弟だ」

コヨーテ「二人ばらばらでできないことも、二人なら、できることがある」

転「何を言って…」

コヨーテ「俺の身体は確かにガタガタだ。だけど」スッ

コヨーテ「こいつにはまだ、お前を運んでやるだけの力がある!」

ポチ「今のままじゃ、駄目ッスけどね…」

転「さっきから、何を言ってるんですか!!」

コヨーテ「……簡単だ。俺がロッタに残った精神力を全部くれてやる。それ使って、ロッタはお前を黄の城まで運ぶ」

転「…精神力を…?」

コヨーテ「できるんだよ。俺たち兄弟にはな、そういうことが」
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:31:40.38 ID:NPnoWxQo
ナ ナンダッテー!!
 Ω ΩΩ
558 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:31:52.29 ID:ESAZtsSO
ポチ「…まず、これを見てほしいッス」スッ

転「あなたの地獄兵器の…リストバンド」

ポチ「そうッス。これは最初にあなたに会ったときにも見せたッスね」

ポチ「そのとき自分がなんて言ったか、覚えてるッスか?」

転「あの時私が言ったこと…?」

転『脚力を強力する能力なのに、地獄兵器はリストバンドなんですね』


ポチ「それを受けて俺は、うっかり溢してしまったッス。なるべく他人に言わないようにしてたことを」


ポチ『いや、元々は別の物だったんッスけど、ずっと前に兄貴のと取り替えたんッス』


ポチ「テンコさん、あなたはもうあの時点で、俺たちの能力の本質に気付きかけてたッスよ」

転「…本質…?」

コヨーテ「今度はこっちだ」グイッ

転「ミサンガ…」

コヨーテ「これは俺の地獄兵器だ」

転「……腕力を強化する能力なのに、脚に付けるミサンガ…」

コヨーテ「…もう分かったよな?」

コヨーテ「ロッタの地獄兵器(リストバンド)は俺の物、俺の地獄兵器(ミサンガ)はロッタの物だ」

転「それじゃあ…」

コヨーテ「本来、地獄兵器は一人一つ…他人の物を使っても、何の意味もない…」

ポチ「でも俺たちは、二つの地獄兵器でそれぞれ、精神力を共有できるッス」
559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:39:53.95 ID:ESAZtsSO
転「共有…?そんなバカな話が…」

コヨーテ「これは俺たち兄弟が生まれ持った特殊な『性質』だな。血縁関係にある者のみが、ごく稀に持つ…とも聞いたが」

転「じゃあ…」

コヨーテ「…俺はロッタに地獄兵器(ミサンガ)を…精神力をくれてやる」

ポチ「そうすれば、俺はまた能力を使えるようになるッス。そうすれば傷ついた体を無理やり動かして…」

ポチ「テンコさん、あなたを、黄の城まで運べるはずッスよ」

転「……本当に、できるんですか…?」

コヨーテ「俺がせっかく、てめえをなんとかしてやろうと思ってんだからよ…信じてくれたっていいじゃねぇか」

ポチ「さっきも言ったッスよ。テンコさんはもっと俺たちを頼るべきだって。ね」ニコッ

転「……」

転「…お願い、します……」

ポチ「…兄貴の精神力、全部貰うからな」

コヨーテ「上等だ。その代わり、途中でダウンしたら承知しねぇぞ?」

ポチ「俺を誰だと思ってるんだよ、兄貴」

コヨーテ「俺の弟…ってオイ!人の言ったこと真似してんじゃねぇよ!」

コヨーテ「ったく……ほれ」ポイッ

ポチ「ああ…ありがとう」パシッ
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:50:07.56 ID:ESAZtsSO
ポチ「…これが、俺のミサンガ…。なんか、懐かしいな…」グッ

ポチ「すぅっ…」

ド ク ンッ

ポチ「ぐ…っ…?」ビキビキ

転「…ポチくん!?」

ポチ「大…丈夫ッス…むしろ…」

ポチ「力が…戻ってくる…!」

コヨーテ「……っと」ヨロッ

コヨーテ(精神力ゼロって…立ってらんねぇぐらいキツいのかよ…)ガクッ

コヨーテ「…まぁ、もう動く必要もねぇだろうしな…。このくらい、耐えてやるぜ…」

クレア(………)


ドクン ドクン…

ポチ「すぅ…」

ポチ「はぁ…」

ポチ「すぅっ…」

ポチ「……『バイ・セカンド』銀の舞い(シルバー・ダンス)!!」ドンッ

転「……!」

ポチ「…テンコさん、背中に乗るッス!」

転「…はい!」


コヨーテ(…あんなふうに女を背負って走れるようになったか…)

コヨーテ(いつのまにか、成長したんだな)

コヨーテ(…ならもう…俺に……)
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:50:59.15 ID:ESAZtsSO
ポチ「行ってくるよ、兄貴!絶対に死ぬなよ!」

コヨーテ「!…お前がな!」

ポチ「黄の城までノンストップで行くッスよ…」クルッ

転「ええ…」

ポチ「3…」

転「2…」

コヨーテ「1…」


ポチ「……Go!」ダッ

ギュンッ!!!
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 22:57:26.59 ID:ESAZtsSO
今日はここまでにします

精神力の共有なんて(笑)な設定ですが、後付けではありませんよ。最初から考えてたんです

でもその上で、一度コヨーテを殺そうかどうか悩んだってことは、この設定忘れてたんだな…危ねぇ危ねぇ、生かしといてよかった

今のところは書きたいところまで書けてるので、ここからも予定通りの、ちょっとハードな内容で書き進めていくつもりです
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 17:04:31.31 ID:HXFQOwDO
乙です。
564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 22:22:04.20 ID:VCdooQSO
ポチ「……」ダダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ

転(は…早っ…)

ポチ「そろそろ…城を出るッスよ!」ダダダ

転「あ、はい!」


ポチ「扉……邪魔だぁっ!」バキッ

バァンッ

ポチ「………!!」ズザザッ

転「…これは」


ホロ… ホロ… ホロホロ…


ポチ「雪。本当に降ってきたッスね…」

転「…行け…ますか…?」

ポチ「…平気ッス。このくらいなら…それに、さっきまで熱い室内にいたから、今は涼しくてちょうどいいッス」

転「ちょうどいいってことはないと思いますけど…」

ポチ「とにかく、まだ本降りではないみたいッスから、一気に行けば大丈夫ッスよ」

転「……」

ポチ「…不安ッスか?」

転「当然ですよ…シロがどうなってるか、こっちは一切分からないんです…」

ポチ「なら、急ぐしかないッスよ」

転「でも、あなたの身体だって…」

ポチ「……テンコさん、俺は」

ポチ「もう、自分の身体のことなんて、たいして気にならないッス」

転「え…」

ポチ「今は、ただ」

ポチ「テンコさんの役に立てたら、それでもう十分ッスよ」
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 22:24:29.23 ID:VCdooQSO
転「…私の役に…」

ポチ「さ、こうやって喋ってる間に、どんどん時間はなくなってくッスよ。俺もトップスピードで走るつもりッスけど…それでも一時間以上は間違いなくかかるッス」

転「…一分一秒でも、無駄には出来ませんね」

ポチ「そういうことッス」ザッ

転「じゃあ、今度こそノンストップでよろしくお願いしますよ…」

ポチ「はいッス!」ダッ

転「……」ギュ





シロ「…お姉ちゃん……」ボロボロ
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 23:03:00.00 ID:VCdooQSO
転(まただ)

転(私は結局)

転(誰かの力を借りなきゃ、何もできない)

転(……情けないなぁ、ホントに)

転(人間界にいた時もそうだった)

転(上級悪魔(ロキ)なんかと戦って、一人でかなうわけなかったのに)

転(男さんがいてくれたから)

転(私は命一つ繋ぎ留めた)

転(みんなみんな)

転(私の命に)

転(何の価値があるって言うんですか)

転(………)

転(他に大事なものだって、あるはずなのに)

転(…なんで、私なんかのために……)



ポチ「…テンコさん?」

転「……ん」ピクッ

ポチ「大丈夫ッスか…?」

転「え?あ…はい。もしかして私、寝てましたか、今」

ポチ「寝てたッスね。てっきり気を失ったのかと思ったッスよ…」

転「気を失う…まぁ似たようなものかもしれません」

ポチ「…無理に起きてなくていいッスよ。むしろ休んでたほうが…」

転「いえ、あなた一人が頑張ってるのに、私がぐーすか寝てるわけにはいきませんよ」

ポチ「……寝てたッスよ?」

転「……すみません」
567 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 23:22:09.38 ID:VCdooQSO
転「ところで、なぜ走るのを止めてるんですか?まさか身体が…」

ポチ「そうじゃないッス。ただ、雪で少し視界が悪くなってきたから、場所を確認してたッスよ」

転「ああ、それで」

ポチ「いくら俺が黄の城にいたって言っても、赤の城からまっすぐ向かうのは初めてッスからね」

転「……」

転「…ポチくん」

ポチ「何ッスか?」

転「あなたの主…エレカは…一体何を考えているんでしょう…」

ポチ「……俺には分からないッス」

転「…そりゃそうですよね」

ポチ「ただ…」

転「?」

ポチ「あの人からは、どんな行動においても、強い意志を感じるッス」

転「意志…」

ポチ「だからきっと、これも無意味なことではないはずッス。テンコさんには少しキツいかも知れないッスけど…」

ポチ「あの人はきっと、これを転機に、より大きな存在になる。そんな気がするッスよ」

転「……転機、か」

ポチ「…でも俺は、今は、あなたの味方ッスよ!」

転「ええ、分かってますよ。ありがとうポチくん」
568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 23:32:02.78 ID:VCdooQSO
ポチ「……」ダダダダダダ





ルシファル「……シャル」

ルシファル「そろそろあの子にも…伝えなくてはならないな…」

ルシファル「この世界の過去を、全てを」

ルシファル「そして…」

ルシファル「託したモノを」

ルシファル「……私も、そろそろ動かなくてはならないな」
569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 23:36:15.77 ID:VCdooQSO
今日はここまでにします
かなり少なかったので、明日も書くかも分かりません
570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/27(火) 23:37:08.68 ID:G5kvNMDO
1乙です!
571 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 01:42:44.34 ID:kag0HTko
男が力に目覚めていくバトルものだと思ってた時代が懐かしいな
572 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 04:33:52.63 ID:Ak1N5wDO
乙です。
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 10:53:38.64 ID:FstElgSO
>>571
しょうがないよ、男は人間だから……
でも、ただのハーレム物→能力バトル物にしたんだから、それでも悪くはなかったかもしれん
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 11:07:42.35 ID:FstElgSO
ポチ「はっ…はっ…」ダダダ

転(走り出して、もう40分は経ってる…)

転「ポチくん、一度休憩したらどうです?」

ポチ「そんなことしてる場合ッスか!?」

転「っ!?」

ポチ「あ…す、すみませんッス…」

転「いえ…」

ポチ「…でも本当に、休憩とか、そんなことしてる場合じゃないと思ってるッス。だって、今こうしてる間にも、テンコさんの妹が…」

転「っ…わ、分かりました」

ポチ「それでいいッスよ」ダッ

転(……でも、あなたの身体…)

転(もう、ボロボロなんじゃ…)
575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 11:17:35.33 ID:FstElgSO
赤の城

コヨーテ「はぁっ…はぁっ…」

コヨーテ(ヤベぇな…あの骨ジジイと戦った時のダメージが…今になってまた来やがった…)

コヨーテ(これも…精神力が空になったせいか…)


クレア「辛そうだなぁ…」

コヨーテ「うるっせぇよ…バーカ…!」

クレア「……」

コヨーテ「てめえだって…もう動けないんだろ…?」

クレア「さぁな…」ニタァ

コヨーテ「……!?」

クレア「大事なのは…アタシの存在よりも…こいつだからな…」スッ

コヨーテ「…ライター?」

クレア「アタシの…地獄兵器だ…」

コヨーテ「あ…?それがなんだよ…」

クレア「生きてりゃアンタも…いずれ分かるだろーな…」

コヨーテ「……」

クレア「いや、この地獄の…全ての悪魔が…」

コヨーテ「…何を企んでやがる…!」

クレア「…教えねぇ。アタシはもう無関係だからな…」

クレア「抜けてやる…こんなムチャクチャな計画…アタシにはやる意味がない…」ブツブツ

コヨーテ「…計画」

コヨーテ(テンコ…お前、とんでもねぇことに巻き込まれてるのかも知れねぇぞ…)
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 11:25:06.04 ID:FstElgSO
ポチ「はぁっ…はぁっ…はぁっ…!」ダダダ

転「そろそろ一時間は…」

ポチ「経ってるッスね…」ダダダ

転「…ここが頑張りどころですよ」ボソッ

ポチ「もちろんッスよ…!」ダダダ

転「……」チラッ

転(…脚から、血が出てる)

ポチ「はぁっ…はぁっ…はぁっ…!」ダダダダ

ブシュッ

転(…ポチくんが…こんなに辛い思いをしてるのに…私は……何もできない…!)

転(祈るにしてもそうだ…結局、縋ってばかり…)

転「…ポチくんっ」

転「ごめんなさい…」

ポチ「はぁ…はぁ……」ダダダ

ポチ「っ…それは、全部終わってから、言ってほしいッスね…」ダダダ

転「…はい……」
577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 11:32:46.91 ID:FstElgSO
なんとかなると、思いたかった

いくらコヨーテから精神力をまるまる与えられたと言っても

それで完全な状態になったわけじゃない

身体は、ノエルとの戦いで傷ついていたし

何より、一人で走るのと、誰かを乗せたまま走るのじゃ、負担が違う

事実、ポチの両足からは血が吹き出し、白い雪に赤い跡を残していた

だが、それでもポチは速度を緩めたりしない

休み休みに走ろうとはしない

すべては、テンコのためにしていること

彼女が、自分の手によって救われるのなら

たとえこの身体が潰れても、何の後悔もない

ただ、意志だけじゃどうにもならないこともある

もし、そこにたどり着く前に、このまま倒れてしまうようなことがあれば…

もう、死ぬにも死にきれない

そんな後悔だけは、絶対にしたくなかった

だからポチにとってテンコの「頑張れ」は

何よりも心強い、支えだった
578 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 11:54:39.57 ID:FstElgSO
ヒュオオオオ…

ポチ「いよいよ本格的に…吹雪いてきそうッスね…」ズリズリ

転「……」

ポチ「…テンコさん…?」ズリズリ

転「……あし…」

ポチ「…走れなくなっただけッスよ…大丈夫…まだ動けるッス」ズリズリ

転「だって…もう…骨が突き出て…」

ポチ「しょうがないッスよ。今まで保ったのが不思議ッス…」ズリズリ

ポチ「ノエルに最後の蹴りを放った時点で、こうなる気はしてたッスから」ズリズリ

転「血も、いっぱい出て…痛くないんですか…?」

ポチ「…痛い…とか……痛くないとか…もう……」ズリズリ

ポチ「分から…ないッス…」ズリズリ

転「う……」

ポチ「…もう…能力も…ただ身体を動かすためのエンジンにしかなってないッスね」ズリズリ

転「…あ…!」

ポチ「どうしたッスか…?」

転「城…が…」スッ

ヒュオオオオオオッ

ポチ「……もう…少し…ッスね…」ズリズリ

ビキィッ

ポチ「……っ…!!!」ガクン

転「ポチくんっ!!??」

ポチ「だ…大丈夫…ッス…ちょっと…疲れただけッス…から…」

ポチ「また…すぐに…動け…」グラッ

ポチ「る……」

ドサッ
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 11:58:42.29 ID:FstElgSO
転「……ポチ…くん…?」
ポチ「……」

転「……!」

転「ポチくん…!駄目です!こんなところで倒れたら…」バッ

転「あなた…死んじゃいますよ!?」ユサユサ

ポチ「……」

転「ポチくん…起きてくださいよ…」ユサユサ

ポチ「……」

転「ポチくん…ポチくんっ…!!」


580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 12:02:22.31 ID:FstElgSO
転「……ポチ…くん…?」
ポチ「……」

転「……!」

転「ポチくん…!駄目です!こんなところで倒れたら…」バッ

転「あなた…死んじゃいますよ!?」ユサユサ

ポチ「……」

転「ポチくん…起きてくださいよ…」ユサユサ

ポチ「……」

転「ポチくん…ポチくんっ…!!」


ポチ(…もう…疲れたな…)

ポチ(俺…なんでこんなに…一生懸命になってるんだろう…)

ポチ(エレカ様に命令されて、テンコさんを助けたのはいいけど)

ポチ(実はそのエレカ様のせいでテンコさんが苦しんでて)

ポチ(じゃあ俺は、どっち付かずの中途半端な立場か…)

ポチ(だったらもう、このまま…)

ポチ(楽になれたら……)


ポタッ
581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 12:09:18.18 ID:FstElgSO
ポチ(……雪?)

ポチ(…違う…雪がこんなに、あったかいわけがない…)

ポチ(これは……)


転「ポチくん…ポチくん…」ポロポロ

転「死なないで…くださいよ…」ギュウ


ポチ(……!)

ポチ(涙……)

ポチ(テンコさん、また泣いてる…)

ポチ(………)

ポチ(そっか…俺は…)


転「ポチくん…」ボロボロ


スッ

転「……え」

ポチ「……」ユラッ

転「ポチ…くん…」

ポチ「もう…泣か…ないでも…いいッスよ…」

転「……」

ポチ「……」

転「……」ゴシゴシ

ポチ「さ…あと…少しッス…ね」ニコッ

転「…はい…!」
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 12:24:02.91 ID:FstElgSO
ポチ「……」ズリ…ズリ…

転「……」

転「もう、今のあなたに、私を抱える力はありません」

転「けど」

転「こうやって、手を繋いでいるだけでいい」

転「あなたが私を運んでくれてることに、変わりはありません」

ポチ「それは…よかったッス…」ズリズリ

転「…ポチくんは、最初私に会ったとき、私に憧れてる、尊敬してる、って言ってましたよね」

ポチ「……言ったッス…まだ…今日の話なのに…ずいぶん昔のことに…思えるッスね…」ズリズリ

転「今の私は……あなたに憧れてます。尊敬してます」

ポチ「……」ズリズリ

転「…ホントですよ」

ポチ「嬉しいッスね…」ズリズリ

転「……」ニコッ


ビュオオオオオオオ…


転「もし…私もあなたも…平和なままでいられたら…」

転「きっと、出会えてなかったんでしょうね…」

ポチ「…そうッスね……」ズリズリ

転「……あなたは、どっちが、良かったですか?」
583 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 12:26:48.31 ID:FstElgSO
ポチ「…今…あなたと…こうして話してると…」ズリズリ

ポチ「出会えて良かった…って思えるッス…」ズリズリ

転「……」

ポチ「……けど…」ズリズリ

ポチ「もし…平和な世界の中に…生きていられたんだったら…」ズリズリ

ポチ「あなたとの…何の会話もなくても…」ズリズリ

ポチ「目をあわせることも…すれ違うことさえなくても…」ズリズリ… 

ポチ「…俺はきっと…そっちのほうが良いと思うッス」ズリ…ズリ…

転「……私もです」

ピタッ

ポチ「……着いたッスよ」

転「…ええ」

ポチ「……」フラッ

ドサッ

転「……」

転「もう、泣きません」

転「あなたと…約束したから…」

転「………さよなら」
584 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 12:30:11.17 ID:FstElgSO
今日はここまでにします
やっと黄の城まで来れましたが、ここからがまた長くなりそうです…
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/28(水) 23:31:14.15 ID:Vp14iUDO
お昼に更新とか見逃してた…orz

兎に角、1乙です〜
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/29(木) 20:12:35.41 ID:98M1fwk0
ポチくん… (´;ω;`)ブワッ
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 00:04:41.33 ID:bEL/0ISO
すみません、今日はちょっと書き損ねてしまったので、明日早いうちに書くことにします

あと、前から言っておきたかったんですけど、このSSは「…」を結構使ってると思うんです

これ、具体的に言うと、「…」一つで3秒くらいの間だと思ってください
「……」なら5、6秒くらいです
あくまでも「くらい」なので、戦闘中とかは短いかもしれませんが
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 00:09:42.83 ID:iV4OcMDO
乙です。
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 15:07:05.49 ID:bEL/0ISO
ザッ……ザッ……


ザッ…ザッ…


転「……」


ザッ…ザッ…


ザッ……ザッ……



赦さない。何があっても。
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 15:15:59.55 ID:bEL/0ISO
ザッ…ザッ…


どこにいる?


転「……」ザッ…ザッ…


…パリッ

転「…!」ギョロッ


いる

あの扉の奥に!

転「……」スッ

ピタッ

転「…い…んき…か…」ボソッ

転「……」ブンッ

バギャアッ!!!

転「……」

パラパラ…


「…無理やり蹴破るとはね」

転「……!」


エレカ「もしかして…ドアノブに電気を通してるって、そう思った?静電気みたいに…」

エレカ「そんなことはしてないよ。シャル」


転「…エレカ……!」
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 15:29:53.74 ID:bEL/0ISO
エレカ「……」

転「……」

エレカ「…聞きたいことは、いろいろあるんだろうね」

転「……」

エレカ「一つずつ、答えていってあげるよ」

転「……」

エレカ「…さぁ、最初の質問は?」

転「……」

転「妹たちはどうした…」

エレカ「……」

転「……」

エレカ「……全員、私の手にかかった。ただ、今のところは、まだ誰も死んでないよ」

転「……」

転「お前の手に…」

エレカ「……話そうか、詳しく」
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 15:56:53.10 ID:bEL/0ISO
2時間近く前(>>385
青の城


シェアリ「……」ヨロヨロ

クロ「エレ…」

エレカ「…大丈夫だよ…後は私がやるから…」

クロ「でもあいつ…何か様子がおかしいわ」

エレカ「……うん、そうだね」

クロ「……」

エレカ「大丈夫。君はそこで、じっとしていて…」スッ

エレカ「雷閃」バリバリ

エレカ「…雷槍!」ジャキンッ

シェアリ「またその…槍ですの…?」スッ

エレカ「私の一番好きな武器(使い方)なんだ」

シェアリ「…旋水貫(アクア・スパイラル)!」バシャア

ギュルルルル!!

エレカ「…ふっ!」ブン

バチッ!!!

シェアリ「っ…」

クロ(スパークした…!)
593 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 16:13:28.79 ID:bEL/0ISO
エレカ「私にその技は通用しないよ…」グルングルン

シェアリ「小癪な槍ですわね…なら…」バッ

シェアリ「裂水刃(アクア・カッター)!」ゾゾゾ…

エレカ「!」ガチャッ

バキィン!!!

エレカ「それは…手刀に水を纏わせているのかな…」ギギギ…

シェアリ「切れ味は…日本刀(ジャパニーズソード)にも劣りませんわよ!」バッ

エレカ(左手からも…くっ!)

エレカ「三日月雷斧(クレセント・ライフ)!」バリバリッ

シェアリ「止めた…!?」ガキンッ

エレカ「はあっ!」ブンッ

バキッ

シェアリ「くっ!」バシャア

エレカ「三日月雷斧は…雷槍の形状をとっさに変えただけのもの…『直線』の雷槍を、腕を覆える『三日月状』にしたんだ…」

シェアリ「本当に…本当に小癪ですわ…!」

シェアリ(でも…ワタクシの水の力より…エレカの雷の力の方が勝っている…それは確かなようですわね)

エレカ「…さぁ、君の次なる手を見せてごらん」

シェアリ(あの槍はワタクシの攻撃を確実に防いできますわ…なら…)

シェアリ「…水風船(アクアバルーン)!」プクゥッ

クロ「これは…巨大な水の塊…!?」
594 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 16:16:36.13 ID:bEL/0ISO
プクゥッ

エレカ「どれだけ大きかろうが…これで切り裂く!」ブンッ

シェアリ「……」ニヤッ

パシャンッ!!!

エレカ「……?」

クロ(触れた瞬間に弾けた…?)

シェアリ「アナタのその槍…一度大きく外振りしてしまえば…」

シェアリ「後はもう、隙だらけですわ!」ババッ

バシュ バシュ バシュシュッ

クロ(水の鞭!?…なるほど、さっきのは『次の技に繋ぐタネ』であり…同時にエレカに反撃させないための盾になってたのね…)

エレカ「くっ…」サッ

シェアリ「防御なんて無意味!一度捕らえてしまえば、こちらのものですわっ!」シャオオオッ

エレカ「無意味か…なら…」

エレカ「……射(しゃ)ッ!!!」

バリバリッ

シェアリ「!?」

バチ バチチッ!!

クロ(ノーモーションで水の鞭を打ち落とした…!?)

エレカ「…はぁ…はぁ…」シュウウウ…

シェアリ「く…そうでしたわね…」

シェアリ「アナタは全身から強烈な雷を放つことができる…その槍も、そこから作られているんでしたわ」

エレカ「全身からの放電は…どうしても無駄な力を使うことになるから…部分部分の放電しか使ってなかったんだけどね…」

シェアリ「…やはりアナタは厄介ですわね…」バッ

エレカ「そっちもね…」カチャ

クロ(…す、凄い…お互いとも…!)
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 18:05:21.67 ID:iV4OcMDO
乙です。
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 20:14:21.18 ID:O07LUEDO
1乙です。
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 22:05:20.83 ID:yIkSrgSO
シェアリ「……」

エレカ「…どうしたんだい?攻撃してこないの?」

シェアリ「ウカツに飛び込んだら、その槍で串刺しにする気でしょう?」

エレカ「うん、まぁね…」

シェアリ(ワタクシとエレカの力はほぼ互角…だけど…)

シェアリ(ワタクシは能力の規模で勝ってますわ!だからやることは一つ!)

シェアリ(精神力を限界まで引き出し、大技で押し切る!)ダッ

エレカ「来たね…」ガシャ

シェアリ「裂水(アクア・)…」ズズズ

エレカ(さっきの水の手刀…?)

シェアリ「…飛刃(ブーメラン)!」シュッ

エレカ「!?」

ザクッ

エレカ「くっ…!」

エレカ(腕をやられた…)

シェアリ「まだ…ブーメランは戻ってきますのよ?」

シュルルルル

エレカ「!?…しまっ」

クロ「…黒羽集弾(ブラック・ショット)!」シュッ

バシャアッ

シェアリ「……!」ギロッ

クロ「私のことを忘れないでほしいわね」

エレカ「クロ…」

クロ「少し卑怯な気はするけど…2VS1よ。いいでしょう?」
598 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 22:08:46.23 ID:yIkSrgSO
エレカ「……」コクン

シェアリ「本当に鬱陶しい羽ですわね!」

クロ「またあの津波で片付けてみる?」バサッ

シェアリ「…旋水貫(アクア・スパイラル)!」ギュルルルル

クロ「……その技を使うってことは…」グッ

クロ「精神力を温存しておきたいみたいね!」ギャルンッ

バシャアッ

エレカ「回転しながらの突進…こんなので破れるなんて…加減して使ってるのか…?」

シェアリ(!…まずいですわ…大技狙いを悟られては…)

クロ「悪いけど、そんな半端な技で止めさせないわよ!」バッ

クロ「黒羽(ブラック・)…」ズズズ

クロ「大鎌(ヘルサイズ)!」ブンッ!!

エレカ(翼を鎌のように変型させて…!)

シェアリ「くっ…!」

クロ「はぁあああっ!!」

ギュオオオッ

シェアリ「……!」

ブチッ

シェアリ「…さっきから…アナタのそれを見てると…」

シェアリ「……イライラしてきますのよ!」バッ

ヒュオッ

クロ「……!?」
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 22:13:02.02 ID:yIkSrgSO
エレカ「これは…!」

シェアリ「…水鎖牢獄(ジェイル・アクアニウム)…!」

クロ(翼が抜けない!?)

シェアリ「これは…相手の攻撃を水の牢獄に閉じ込める技…つまり、アナタの攻撃が身体の一部を使ったものなら…」

クロ(…私も動けない…!!)

シェアリ「これで動きを封じた…これで、もう…」

シェアリ「下らない遊びは…終わりですわっ!!」バッ

ギュルルルル

クロ「なに…!?シェアリの足下の水が渦巻いて…」

エレカ(まさか…あの技を…!)

シェアリ「見せてあげますわ…!ワタクシの最強の技!」

シェアリ「大(リ)…」ズズズ

エレカ(…雷閃!)バリバリッ

シェアリ「海の(ヴァイア)…」ギュルンッ

エレカ(雷槍!)ジャキンッ

シェアリ「王(ア)…」ギュゴゴォ

エレカ(…螺旋!)ギュルルル

シェアリ「蛇(サ……」

エレカ「発(は)っ!!」ブンッ

シェアリ「ン)……!?」

バリバリバリバリバリッ!!!
600 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 22:30:32.90 ID:yIkSrgSO
バリバリバリバリバリ…

シェアリ「なっ…!」

エレカ(大海の王蛇(リヴァイアサン)の弱点は、発動までにかかる時間!水を集め、圧縮させ、技として生成させるまでの時間が長い…)

エレカ(技として不完全な、その時を狙えばっ…)

ギュギギギギギギ…

エレカ(くっ…『螺旋』じゃ、駄目か…!?)

シェアリ「……う」ガクン

エレカ「!」

バシャアアアッ!!!

エレカ(…よし!)

クロ「……た、助…かった…?」

シェアリ「く……」

エレカ「…今の技(大海の王蛇)は…使うタイミングを誤ったね…」

シェアリ「……」

エレカ「クロに対して本気で怒り…そのまま強引に能力を発動」

エレカ「精神力がわずかに足りてなかったんだ。だから私の『雷槍・螺旋』に破れた…」

シェアリ「っ……」

エレカ「…何よりも、君は今……」

エレカ「クロを…殺そうとした…!」

シェアリ「!」ビクッ

クロ「…!?」

エレカ「…やりすぎだよ、シェアリ」
601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 22:36:57.08 ID:yIkSrgSO
シェアリ「……」

クロ(さっきまで、あんなに荒れてたシェアリが、おとなしくなった…)

クロ(…でも)

クロ(…「やりすぎだ」って…なによ…?)

エレカ「…クロ。大丈夫かい?」

クロ「え、ええ…」

エレカ「君をできるだけ傷付けたくなかったから…よかったよ」

クロ「ありがとう…」

クロ(…私を、心配してくれてたのね…?)

バリッ

クロ「……」

クロ「…え?」バシャッ

エレカ「……大丈夫だよ。動けなくしただけだから…さっきシェアリに使った技さ」

クロ(…なに、それ)

クロ(さっきの「大丈夫」と)

クロ(違うじゃない…)
602 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/01(日) 22:47:22.11 ID:yIkSrgSO
エレカ「…さて、シェアリ」クルッ

シェアリ「!」

エレカ「私との約束は、覚えているよね」

シェアリ「……」

シェアリ「クロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバが相手だった場合、最低限のダメージしか与えないようにする」

エレカ「そう。実際、君はうまくやっていた。本気を出せばものの数分で押し切れる相手に、極力時間をかけ、弱い技で戦った」

シェアリ「……」

エレカ「そして『予定通り』、私が戦いに割り込んだ。君はそこからは、私との戦いに集中する。そういう約束だったよね」

シェアリ「でも、彼女が…」

エレカ「うん。分かってる。クロが思ったより手強く、反撃、挙げ句私との共闘を始めた。確かに君が本気になるのも無理はないね」

エレカ「……だけど、もしあのままクロを殺すようなことをしていたら…」

シェアリ「…っ」

エレカ「……」

エレカ「…でも、彼女は生きてる。よかったよ。死なせることがなくて」

シェアリ「そ、そうですわね…」


クロ「……」

クロ「なにを…言ってるの…?」
603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:12:54.95 ID:yIkSrgSO
エレカ「…クロ」スタスタ

スッ

クロ「……」

エレカ「ごめんね。君を巻き込んで。君を騙して…」

クロ「……騙して…?」

エレカ「君たちを陥れたのは…」

エレカ「本当は」

エレカ「私だったんだ」

クロ「……!?」

エレカ「…シェアリも、クレアも」

エレカ「共犯止まり」

エレカ「本当に悪いのは、全部私なんだよ」

クロ「なん…で…」

エレカ「…シャルに、大事な用があるんだ。それと」

エレカ「私の存在を、この世に大きく伝えるために」

クロ「……姉さま…?」

エレカ「そう…大事なのは彼女への用なんだ。だから君には、もう何もしないよ」
604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:15:21.87 ID:yIkSrgSO
クロ「……」

クロ「私、騙されてたの…?」

エレカ「……うん」

クロ「…だって…一緒に戦ったじゃない…」

エレカ「…センリと、ジークかい?二人は…」

エレカ「君を[ピーーー]気も、私を[ピーーー]気もなかったよ…彼らにも私の『計画』に強力してもらったんだ」

クロ「じゃあ…あの時…私を先に行かせたのは…」

エレカ「…君がいたら、『決着を着けない』わけにはいかなくなるからね。とりあえず君を先に行かせて、私は二人に『勝ったことにして』、後からここに来た」

エレカ「いくら私でも、一人でセンリとジークを倒してここに来るなんて、不可能だよ」

クロ「……」

エレカ「ごめんね。クロ。本当に…」

クロ「……き」

エレカ「…え…?」

クロ「嘘吐き…」ギリッ

エレカ「……」

エレカ「…シェアリ。君の催眠術の能力で、彼女を眠らせて。もうこれ以上は傷つけたくないからね…」

シェアリ「……」スタスタ

シェアリ「悪く思わないでくださいませ、クロ…」スッ

クロ「…!」

シェアリ「夢幻の(ウォーター)…」

クロ(……動け、身体)

シェアリ「呼び水(イリュージョ……」

クロ(動け!)


ドギュオオオオンッ!!!


エレカ「……!!??」
605 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:29:32.92 ID:yIkSrgSO
ドゴォォォン…

シェアリ「……かはっ…!」ゴボッ


エレカ「……シェアリ!?」バッ

クロ「ふふふ…私の…最後の一撃…よ……」

エレカ「…君は……」

シェアリ「はっ…はっ…腕が…」

エレカ「…少し痛いけど…我慢してもらうよ…」スッ

エレカ「雷閃」

バリッ

クロ(……意識が消える…)

クロ(姉さまは…どうなってるのかしら…)

クロ(この部屋の奥に…インがいるのに…)

クロ(シロだって…赤の城…に……)

クロ「……」ガクンッ

エレカ「……」

シェアリ「エレ…カ…?」

エレカ「…左腕が折れてるね」

シェアリ「…最後の最後まで…腹立たしい奴でしたわ…!」

エレカ(……)
606 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:38:23.96 ID:yIkSrgSO
シェアリ「…それより、あれはもう呼びましたの?」

エレカ「…うん。もうしばらくすれば、来るはずだよ」

シェアリ「…ならワタクシは、しばらく休んでいますわ…」フラフラ

エレカ「……分かった」

バタン

エレカ「…ふー…私も少し、疲れたな…」


ゾクッ


エレカ「…っ…!?」バッ

エレカ(なんだ…今の…!?)

…ァン…ガァン…ギィン

エレカ「この音は…」

エレカ「…ふふ。恐ろしいな…君たち姉妹は…」

エレカ「……いいよ。待っててあげる」

エレカ「精一杯、足掻いてごらん…」
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:39:55.28 ID:yIkSrgSO
今日はここまでにします
もう8月ですか
そろそろ一段落つけたいなぁ
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 23:41:13.61 ID:K3tR5IDO
1乙です〜
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/02(月) 07:58:57.92 ID:UDxy2QDO
乙です。
いつもありがとう。
610 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/03(火) 22:39:06.02 ID:vuZvxoSO
転「…クロ」

エレカ「……でも、大丈夫…彼女はまだ青の城にいるよ。死んじゃいない」

転「……死んでるか、死んでないかの問題か?」

エレカ「…違うだろうね」

転「殺す…お前は、絶対に許せない」

エレカ「あ、待って。まだこの話には、続きがあるんだ」

転「……続き…!?」

エレカ「話すよ…」ニコッ
611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 22:56:27.34 ID:vuZvxoSO
エレカが、クロを倒した十分近く後

ガァン!ガァン!!

エレカ「……」


…バラバラバラバラ

エレカ「…!」

バラバラバラバラバラ!!

エレカ「やっと…来たね」スタスタ

ガチャンッ

エレカ「…こっちだよ」スッ

バラバラバラバラ…

赤の城の兵士「……」バンッ

赤の城の兵士「連れてきましたッ」ビシッ

エレカ「…この騒音で、シャルには気付かれなかったのかい?」

赤の城の兵士「クレア様も、なるべく、音から意識を逸らすようにしていたようです」

エレカ「そっか…」

バラバラバラバラバラ

エレカ「…ところで、そこ(空中)からここ(室内)へ、どう移動するんだい?この窓から入るにも、危ないよ」

赤の城の兵士「ご心配なく…」スッ

赤の城の兵士「はっ!」カァッ

エレカ「……」

赤の城の兵士「見えない足場を作り出す能力です。ヘリコプターからそちらの窓までに、四方10mのフロアを作りました」

エレカ「へぇ…」
612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 22:59:43.55 ID:vuZvxoSO
エレカ「…で、彼女は?」

赤の城の兵士「はっ、こちらに…」サッ

エレカ「……」

シロ「すぅ…すぅ…」

エレカ「よく寝てるね」

赤の城の兵士「睡眠薬を使いました。効果は強力です。が、持続性はないのでご注意を」

エレカ「ここまで起こさずに運んで来れたなら十分さ」ヒョイ

赤の城の兵士「……あの、我々は…?」

エレカ「…うん、とりあえずは、どこかに控えててくれないかな。この周辺に、目立たないように」

赤の城の兵士「控える…ですか?」

エレカ「もしかしたら、また必要になるかもしれないからね…運転手(パイロット)にも、そう伝えておいてくれ」

赤の城の兵士「…かしこまりました」

バタン

バラバラバラバラバラ…

エレカ「よろしく頼むよ…本当にね」
613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 23:19:29.84 ID:vuZvxoSO
エレカ「さて、と」スッ

ヒョイ

エレカ「……」ジッ

シロ「……」スースー

エレカ「…可愛いな。私に妹がいたら、こんな感じだったのかな」

シロ「……」スースー

エレカ「怪我はどこにもなさそうだ。クレアはちゃんと言うとおりにしてくれたね」

エレカ「……勝ったか負けたかは、まだ判らないけど」

スタスタ…

エレカ「…ここで、クロと一緒にもうしばらく寝ててね」スッ

シロ「すー…すー…」
614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 23:21:55.49 ID:vuZvxoSO
エレカ「そして」

エレカ「あとは」

クルッ

エレカ「あの壁の奥に、問題児がいるね…」

エレカ「まぁ、あの状態じゃどんな手を使おうと、出ることはでき…」


ド ドォン!!!

エレカ「な…い……っ?」

シーン……

エレカ(…今の音は)

ゴゴ…ドォン!!

エレカ「!!」

エレカ(…間違いない…)スタスタ

エレカ(この音は…)ピタッ

エレカ「……『バイ・セカンド』」パリッ


ドゴォン!!!!


エレカ「……」パリパリッ

エレカ(私はまだ何もしてない。手をかざしただけだ)

エレカ(なのに壁が壊れた)

エレカ(内側から壊された)


イン「はぁっ…はぁっ…!」


エレカ(…君の起こした雷に…!!)
615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 23:33:14.33 ID:vuZvxoSO
エレカ「まったく…驚いたよ…」

エレカ「まさか壁を壊すなんて…普通はなんとかして出口から出ようとするはずなのに…」

イン「はぁ…はぁ…はぁ…」

エレカ「……それに、今の雷は…」

エレカ「君の能力だよね?」

イン「…『バイ・セカンド』憂鬱な天の支配者(バニシング・ゲリラ・ストーム)…」

エレカ「そうそう、確か局地的に、天候を自由に操る能力だよね」

エレカ「…でもまさか、壁を破るほどの威力の雷を落とすなんてね…」

イン「……壁に…何か大きな一撃をぶつけたね…」

エレカ「大きな一撃…」

エレカ「……シェアリの起こした大津波か…」

イン「僕もまさか…雷で壁を壊すことができるとは思わなかったよ」

エレカ「足枷はそのままに、ね…」

エレカ「……」

エレカ「……え?」

イン「……?」

エレカ(足枷がついたままってことは)

エレカ(その場を動くことができなかった)

エレカ(ということは)

エレカ「!」バッ

イン「はぁ…はぁ…」

エレカ(やはり…何より、この疲労…)

エレカ「君は」

エレカ「地獄兵器なしに、『バイ・セカンド』を使ったんだね」

イン「……どこか別のところにあるみたいだからね…」

エレカ「……」
616 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 23:36:24.35 ID:vuZvxoSO
ちょっと少ないかもしれませんが、今日はここまでにします
617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 00:35:39.28 ID:N/2mH2DO
1乙です〜
618 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/04(水) 23:01:45.29 ID:BpzMaoI0
乙です。
619 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/06(金) 23:53:01.81 ID:k7Z0.wSO
すみません
明日必ずやります
620 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 15:11:28.30 ID:jbpq36SO
そもそも『地獄兵器』とは、一体どういうものなのか?

ここでしっかりと説明をしておくと…

@自らの精神力を蓄えておける道具

…仮に地獄兵器なしで戦った結果
能力の使用に必要な精神力が足りなくなってしまっても
その状態からでも地獄兵器を用いれば
そこに蓄えられた精神力をそのまま自分の精神力の使用し
能力を再び使える状態になれる

A『バイ・セカンド』の発動に必要

…『バイ・セカンド』を発動するためには、通常の能力以上の精神力が必要になる
そのためには、自身の精神力だけではなく
地獄兵器に蓄えられている精神力もいくらか消費しなければならない

B一悪魔に一つ

…悪魔は、生まれながらに能力を一つ持っている
その能力を使うために必要な精神力は、まず生まれたばかりの身からは作られない
身近な者の精神力が込められた『物質』を使い、初めて能力を発動する
そうして与えられた物質こそが、地獄兵器として扱われるようになる
621 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 15:32:22.49 ID:xASnqRQ0
リコーダーとか分解できるのは、分解した後も使えるのかな?
622 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 15:38:17.20 ID:jbpq36SO
>>621
リコーダーは…難しいな…

例えば『万年筆』が地獄兵器なら、キャップがなくてもなんとか使えます

ただ、リコーダーはバラバラにしたら音が出ないので、使えない

つまり、『一つの物質としての役割(リコーダーなら「音を出す」)』が果たせない形状になってしまったら、地獄兵器としても使えない、って感じです

今から続き書きます
623 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 15:44:14.20 ID:jbpq36SO
でもって、クロの『ギターのピック』は、もしギターが壊れてしまったら、もう一切使えなくなってしまいます
あくまでもピックは、ギターの『一部』として持ち出しが可能なだけであり、ギター本体がダメになっては、ピックもダメになってしまいます

インの傘は、骨が折れてヨレヨレになってしまっても、差すことさえできれば、地獄兵器として使えます
ただ、芯が折れて取っ手と傘がバラバラになってしまえば、使えなくなります
624 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 15:54:50.39 ID:jbpq36SO
エレカ「…そうか…君は凄いね…」

イン「凄い…?」

エレカ「地獄兵器なしで、『バイ・セカンド』を多用…」

エレカ「言うなれば、生身の人間が何の道具も持たずに、水に潜っていくようなもの…」

エレカ「肺に満たしたわずかな空気だけを頼って…脆弱な肉体とその筋力だけを頼って、潜っていく…」

エレカ「ましてや私たちは、その『素潜り』に慣れてない。むしろ、普通は誰もやろうとしない…地獄兵器なしの『バイ・セカンド』…」

エレカ「耐え難い苦痛のはずだよ」

イン「…そうだね」

エレカ「…この壁を無理やり破った君は、これからどうするつもりなんだい?」

イン「シロを救う。シャル姉さんとクロ姉さんを助けにいく。それだけだよ」

エレカ「…それだけ…か……ふふっ」

イン「…何を笑うようなことがあるの?」

エレカ「ふふふ…だって…」

エレカ「クロも、シロも、すでに私の手の中にいるんだよ…」

イン「……どういう、こと?」

エレカ「…クロは私が倒した。シロと一緒に気を失ってる」

イン「…!!」

エレカ「あぁ、心配しないで…シロは薬で眠らせてるだけだよ。まだ手は出してない」

エレカ「……まだ、ね」

イン「よくもっ…!」バッ

エレカ「!」

イン「『バイ・セカンド』憂鬱な天の支配者(バニシング・ゲリラ・ストーム)!」ドロロロロ

エレカ「…ふふっ」
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:01:39.39 ID:jbpq36SO
ドロロロロロ……

エレカ「これは…」

イン「……黒雲!」

エレカ「…なるほど」タンッ

ザアアアアアアアアアア……

エレカ(そして降雨。屋内にすら異常気象を引き起こすのか)パチャッ

エレカ(いや…この部屋には…シェアリが操った水が大量に溢れてる…水分に不足はない、か)

イン「……」ザアアアアアア

エレカ(まいったな。向こうはすっかりやる気みたいだ。なるべく妹達に傷付けるつもりはなかったのに…)

イン「……突風…!」

ビュオオオオッ

エレカ「!くっ…!」

バサバサバサ

エレカ(凄い風だ…加えてこの雨…視界が塞がって……)

イン「……落雷!」ババッ

ゴロゴロ…

エレカ「え…」


ピシャアアアアアアアンッ!!!
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:12:57.02 ID:jbpq36SO
バリバリバリバリ……

イン(直撃したか…?)

ヒュンヒュンヒュンヒュン

イン「…!?」

エレカ「……」ヒュンヒュンヒュンヒュン

エレカ「雷槍」

イン「それで、雷を止めたの…?」

エレカ「止めたと言うか…受け流した…いや…」ヒュンヒュンヒュン

エレカ「相殺した…と言うべきかな」ガシャンッ

イン「…器用だね」

エレカ「いやいや、君には劣るよ。そんな、身動きできない状態で、地獄兵器なしの『バイ・セカンド』」

エレカ「そして今の雷は、自分も被害を受けないように、規模を最小限に留めてる…」

エレカ「本当に、雷が雷そのままの規模で襲ってきたら、いくら私でもショートしちゃうよ」ニコッ

イン「く…」

エレカ「でも、心配はいらないよ。私は君に手を出すつもりはないからね」

イン「…なに…?」
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:15:33.57 ID:jbpq36SO
エレカ「このまま君が、『おとなしくしている』って約束してくれるなら、私は君に何もしない」

エレカ「あくまでも私の目的は、君たちの身柄を押さえておくだけだからね」

イン「一体、何のために…」

エレカ「シャルを呼び寄せるためだよ。私のところにね」

イン「……姉さんを?」

エレカ「そう。私はシャルに用があるんだ」

イン「…その『用』がなんだか知らないけど…」

イン「僕たちを、姉さんを陥れたのは、君なんだろう…!?」

エレカ「……」

イン「シャル姉さんが、そんな君の用なんかを聞くはずがない!」

エレカ「うん。そうだね。でもそうしたら」

エレカ「……強行手段を取るしかないよね…?」

イン「!!」

エレカ「あはは。そんな怖い顔しないでよ…大丈夫。別にそうと決まったわけじゃない」

エレカ「シャルにとっても、そこまで悪い話じゃないはずだからね」

イン「……違う」

エレカ「……?」

イン「違う。君は何か勘違いしてる…」

エレカ「勘違い…?」

イン「…クロ姉さんを手に掛けたんだろう!?それならその時点で」

イン「…エレカ!君は僕の敵だ!!」
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:28:33.44 ID:jbpq36SO
エレカ「…ふふふ。まさか君に呼び捨てされるなんてね。年上への礼儀がなってないよ」

イン「…何度だって呼び捨てにしてやる…!」

エレカ「もう、退かないつもりかい?」

イン「当たり前だ…!」

エレカ「……」ジッ

エレカ(強い目をしてる。クロが、シェアリと戦っていた時の、本気の瞳…)

エレカ「…分かった。戦おう。君は私を止めるために。私は君を『おとなしくさせる』ために」

イン「おとなしくさせる…!?まだそんなことを…」

エレカ「…まずは、足枷を外してあげるよ」

イン「!」

エレカ「いいだろう?そのままじゃ動けない…それじゃ戦いにならないよ」

イン「……」

エレカ「ちょっと待ってね。鍵はシェアリが持ってるのかな…?」スタスタ

イン(……隙だらけだ!)

イン「落ら」

エレカ「……」シュンッ

イン「……え?」

エレカ「今の判断は素晴らしいよ。そうだ。ああいうわずかな隙を狙って攻撃していかなければ、私には勝てない」

エレカ「勝つためには、非情になることも大切だからね」チャリン

イン「い、いつの間に鍵を…?」

エレカ「……私は雷と同じ速さで移動できる」スッ

イン「……!」

エレカ「まぁ、めったに使わないけどね。こういうこともできますよ、って伝えたかっただけ」カチャカチャ

カチャン…

エレカ「私と君との差…分かったかな?それじゃ、始めようか…」
629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:35:29.96 ID:jbpq36SO
イン「……」バッ

エレカ「……ん?攻めてこないの?」

イン「……」ジリッ

エレカ「…そうだよね。あんなの見せられたら、誰だって慎重になるよね」

エレカ「でも、そんなつもりはないんだよ」バリバリ

イン「!」

エレカ「雷閃」

バリバリバリ

イン(雷を直線的に飛ばす技か…!なら…)

イン「…上昇気流!」

ブオオオッ

イン「これで上に飛べば避けられる…」フワッ…

エレカ「……へぇ。面白いね。異常気象、超常気象のオンパレードだ」

イン「ふぅっ」スタッ

グラッ…

イン「……!?」

イン(しまった…いつもと違って…今は傘(地獄兵器)がないんだ…)

エレカ「そのハンデはキツいだろうね」

イン(まずは、傘を探さないと!)ダッ

ダダダダダ…

エレカ「……やれやれ。私だってちょっとは疲れてるのに」スタスタ
630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:43:09.19 ID:jbpq36SO
タタタタタ

イン「はぁっ…はぁっ…」

イン「傘は…どの部屋に…?」タタタ


エレカ「そういえば、シェアリは傘をどこにやったんだろう」スタスタ

エレカ「取り上げた挙げ句、壊したりしてなければいいんだけどなぁ…」スタスタ

エレカ「何事も、やりすぎはよくないからね」スタスタ



シロ「ん……」

シロ「おねえ…ちゃん…?」
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:49:33.79 ID:jbpq36SO
今日は一旦、ここまでにします
また夜に続き書くかもしれません

あと地獄兵器に関して、もう一つ捕捉

地獄兵器は、一人の悪魔が一つしか持てない、と言うだけであって、もしも自分のものが壊れた場合は、また別の物質を新たな地獄兵器にすることができる

そのためには、その物質をかなりの時間(最低でも三ヶ月以上)身につけておく必要がある
当然、その間は『バイ・セカンド』を使えないし、通常の能力でさえ、使用を制限される(ここで乱用すると、その物質が新たな地獄兵器になるまでの時間が延びてしまう)
ちなみに壊れた地獄兵器は、修復することができれば、再び使うことができる
ただ、地獄兵器が使えなくなるには、よほど酷い壊れ方をする必要があるので、大半の場合は修復が不可能になる
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 16:52:28.32 ID:xASnqRQ0
>>622把握
解説&本編おつです
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 22:43:12.69 ID:jbpq36SO
イン「はぁっ…はぁっ…」フラフラ

イン(真っ直ぐ…走れない…!)フラフラ

グラッ

イン「うっ!」ドサッ

イン「ふっ…ふっ…ふっ…」

スタ…スタ…

エレカ「無理しないほうがいいよ…」スタスタ

イン「!」ガバッ

イン「くっ…」ダダダ

エレカ「あーあ……」スタスタ


イン「はぁ…はぁ…」タタタタ

イン(誰もいないから…まだいいけど…)

イン(もしここが人に溢れてたら…僕はたぶんもう死んでる…)

イン「……」タタタタ

イン「……あ!」


エレカ「……」スタスタ

エレカ「……」ピタッ

エレカ(いない…?)キョロキョロ

イン「上だよ…!」バッ

エレカ「!」クルッ

イン「うああっ!」ブンッ

バキッ!!
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 22:49:51.58 ID:jbpq36SO
エレカ「っ…」フラッ

イン「はっ!」スタッ

エレカ「か…傘は…人を叩くものじゃないよ…」フラフラ

イン「うるさい!これで僕は、君には負けないぞ!」バッ

エレカ「……」

エレカ「じゃあ…もうハンデはなしでいいかい?」

イン「…!?」

エレカ「だって、足枷も外した、傘も取り戻した…これで君は、いつも通りに戦えるじゃないか」

エレカ「だから私も、本気でいくよ。強い技もたくさん使うよ。いいよね?」

イン「それは……」

エレカ「なんちゃって」スッ

バリッ

イン「……!!」

エレカ「…隙だらけだよ。今の君…傘を取り戻したことで、油断したね」

イン「……」ドサッ

エレカ「本気は出さないよ。言ったよね。私の目的は、君をおとなしくさせることだって」スタスタ

エレカ「ほら、戻ろう」グイッ

イン「……」ボソボソ

エレカ「?」

イン「この距離なら…避けられない…」

エレカ「……!」

ピシャアアアアアアン!!!
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 23:04:29.05 ID:jbpq36SO
バリバリバリ…

エレカ(くっ…そうか…既に雨雲を作った状態で、襲撃をしたのか…)

エレカ(しかしまさか…自分まで巻き込んだ攻撃をするなんて…)

エレカ「ううっ…!」ヨロッ

イン「はぁっ…はぁっ…!」グッ

エレカ(まだ動くか…)

エレカ「『バイ・セカンド」雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)」

エレカ「落ら…」

イン「…落雷!」バッ

エレカ(なにっ…!?)

ゴロロロロロ…

ピシャアアアアアアン!!!

エレカ「う…ああ…ああああ!!」バリバリバリ

イン「やっ…た……!」

エレカ「こんな…雷……」グググ

イン「……!」

エレカ「…しゃらくさいっ!!!」バッ

イン「!!」

エレカ「精神力…体力共に…勝っているのは私だ…!」

ゴロロロロロ…

イン(……もう、ダメだ…)

エレカ「……豪雷!!」

ドシャアアアアアアアアアアアン!!!!
636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 23:20:18.61 ID:jbpq36SO
バリバリ…バリ…

エレカ「ふー…ふー…」


バサッ バサッ


エレカ「……!」バッ

クロ「ずいぶん派手な技…それに、あなたも…そんな怖い顔…するのね…」バサバサ

エレカ「…クロ……!」

イン「ね、姉さ…ん…?」

クロ「…あなたが…粘ってくれたおかげで…目が覚めたわ…それに…あんなに雷鳴らしてるんだもの…」

イン「で、も…姉さんも…やられたはずじゃ…」

クロ「もう…『バイ・セカンド』を使う余力はない…けど…通常の能力ならなんとか…」

エレカ「……」ギリッ

クロ「しっかり…掴まってて…」

イン「どうするつもり、なの…?」

クロ「逃げるわ…よ…」


エレカ「逃がさない…!」バチバチ

イン「!!」
637 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 23:25:45.20 ID:jbpq36SO
エレカ「雷槍・螺旋(ライソウ・ラセン)…!」ジャキンッ!

クロ(あれは…シェアリの技を止めた…)


エレカ「その翼を抉れば、もう飛べないだろう…!?」グググ

クロ「…まずい…!」

イン「まだ…だ…」カッ

イン「…憂鬱な天の支配者(バニシング・ゲリラ・ストーム)!突風!」ビュオッ

クロ「イン!?無理よ!風なんかじゃあれは止められな……」

イン「違う!姉さん、これは…この風は…」

イン「飛ぶための追い風だ!」

クロ「……!」


エレカ「あああっ!」ブンッ


イン「姉さん!…早く!」

クロ「…漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)…全速力よ!」バサバサッ

ギュウウウウウウウンッ!!!


インの生み出した風の勢いに乗り、クロの飛行速度は上昇

一方でエレカの「抉る雷の槍」は、風に揉まれ不安定に揺れ動き…

クロ「いっ…けぇええええ…!」ギュンッ


バシュンッ!!!

エレカ「……!」


クロとインに届かぬまま、消滅する!
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 23:34:48.29 ID:jbpq36SO
今日はここまでにします

少し予定とズレた…
639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 23:52:07.20 ID:FARbEwDO
1乙です〜

今回も手に汗握る展開でしたね。
次回も期待してます。
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 21:26:53.89 ID:QIJGAG.0
乙です。
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 22:55:44.62 ID:v2Bu0ISO
ギュウウウウウウンッ!!!

クロ「よし、抜けたっ…!」バサバサッ

イン「……いや…」


エレカ「……」

エレカ「…逃げられちゃうかなぁ」

エレカ「それだけは困るんだけどね…」スタスタ

エレカ「…激雷走…」パリッ…


キュン…キュン…キュンッ


エレカは「雷の速さで動くこと」ができるが

これはあくまでも例えに過ぎない

実際にエレカが雷の速さで動き続けたならば

間違いなく肉体のほうが保たないからだ

これは短距離においてのみ使えるもので

遠距離においては、また別の手を使わなくてはならない

それは

エレカ「…ふっ」タッ

雷の力を「エンジン」代わりにし

爆発的な速度でスタートダッシュを行う!


エレカ「……」ダダダダダダ

エレカ「逃がさないよ…!」ギュンッ!!
642 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 23:06:43.14 ID:v2Bu0ISO
クロ「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

イン「姉さ…ん…大丈夫…?」

クロ「全力で飛ぶのって…こんなに…キツかったのね…」

イン「でも…おかげで助かったよ…ありがとう…姉さん…」

クロ「なに言ってるのよ…あなただって…よく保ったわ…」

イン「そう…かな…」

クロ「……さぁ、早く、ここから…出ましょう…」

イン「うん……」

イン「いや…まだ、シロが…!」

クロ「!」


エレカ「……」ダダダダダ

エレカ「まだ一人…逃げてないはず…」ダダダダダ

エレカ「……!」ビキィ

エレカ(…イン、か。ちょっと舐め過ぎてたかな…)
643 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 23:23:59.58 ID:v2Bu0ISO
クロ「シロは…どこにいるの…?」

イン「姉さんの、近くにいるって…エレカ自身が…言ってたよ」

クロ「しまった…気付かなかったわ!」

イン「…大丈夫、さっきのフロアに戻れば…」


ダダダダ…


イン「…え?」クルッ


エレカ「……」ダダダダダ

クロ「ッ!!?」

イン「走ってき…」

クロ「イン!手を!」バッ

イン「う、うん!」スッ

クロ「もう一度だけでいいから!……」ガシッ

クロ「漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)!」バサァッ

イン「姉さん!無茶はしないで…」

クロ「分かってるわ!」バサバサッ

ギュンッ!!


エレカ「……へぇ、まだ飛べるんだ」ダダダダダ

エレカ「でも、どう見たって、限界ギリギリだね…」ダダダダダ

エレカ「……せいぜい、飛び回ればいい」ダダダダダ
644 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 23:48:02.35 ID:v2Bu0ISO
クロ「はぁ…はぁ…」バサバサッ

ヒラッ…

イン「羽根が…落ちていく…」

クロ「まだ…大丈夫よ……」バサバサッ

イン「……っ」ギュウ

クロ「……いつかあなたを、こんなふうに抱き締めて」バサバサッ

クロ「空を飛べたらいいなって…小さいときに…思ったわ」バサッバサッ

イン「小さいとき…?」

クロ「私が能力を…使えるようになって…その頃あなたは…まだちゃんと歩くこともできなかったから…」バサッ…バサッ

クロ「私はあなたのお姉ちゃんなんだから…あなたを抱っこして…そのまま飛んでみたり…してみたかったのよ…」バサッ……

イン「……姉さん…」ポロッ

クロ「うっ……げほっ!」バタタッ

ドシャアッ

イン「!」

クロ「はぁ…はぁ…ふふ…血なんて…吐いたの…久しぶり…ね…」

イン「姉…さん…」

クロ「ふー…ふー……イン…聞いて…」

イン「……なに…?」

クロ「私は…このままどうなるか、分からない…でもあなたには…まだやることがあるわ…」

クロ「イン…あの子を…シロを救ってあげて…!」

クロ「あなただって…シロのお姉ちゃんなんだから…ね…」

イン「…分かってる…僕は…」

イン「姉さんの妹だから…!」

クロ「…ふふ……任せたわよ…イ…」

クロ「…ン………」
645 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 23:53:53.99 ID:v2Bu0ISO
イン「……姉さん…僕は…」

イン「僕は絶対に諦めない…!だから…姉さんも…」

イン「まだ、死なないでよ…」ヨロヨロ


エレカ「……」ダダダダダ

エレカ「……!」キキィッ

クロ「………」

エレカ「クロ…君はもう、戦えないか…」

エレカ「…でも予定通り、人質として使わせてもらうよ……!」



イン「シロ…!」タタタタ

イン(傘を探すときに、城の構造を理解しておくんだった…)

イン「シロのいる部屋…僕がエレカと最初に戦った部屋…!」タタタタ

イン「…ぐっ…!」ズキンッ

イン「っ……」フラッ

イン(まだ…倒れちゃいけない…!)

イン「も…う…ちょっと…!」



エレカ「…もうちょっとで、私の計画も一段落つくんだ」スタスタ

エレカ「絶対に絶対に絶対に…逃がさないよ…」スタスタ
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 00:17:22.72 ID:aXhb5QSO
イン「…シロ……」フラフラ

イン「どこ…に…」フラフラ

イン「いる…ん…」フラッ

イン「……っ!」ガッ

イン「柱……?」

イン「そうだ、この近くで戦ってたんだ…!」

イン「ここにいる!」バッ

エレカ「……」スッ

イン「あ……」

エレカ「…追い付いたよ、イン」

イン「う…ああああっ!」ブンッ

エレカ「……傘は人を叩くものじゃないって、言ったよね?」パシッ

イン「は、離せ…!」

エレカ「……」パッ

イン「っ!」フラフラ…

エレカ「……分かってるはずだよ」

イン「…何を…!」

エレカ「君は私には勝てない」

エレカ「たぶん、体力、精神力、共に全快時でもね」

イン「……」

エレカ「だから、おとなしく…」

イン「嫌だ…」

エレカ「…そうか。じゃあ」

エレカ「やっぱり君は、倒さなきゃダメなんだね」ヒュッ

イン「……!」

やめて!
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 00:28:34.37 ID:aXhb5QSO
エレカ「……」ピタッ

イン「あ……」

シロ「やめて……」ポロポロ

エレカ「…シロ、よかった、逃げなかったんだね」

イン「シロ!無事だったのか…!でもここにいちゃダメだ!早く逃げて!」

エレカ「逃がさないってば」クスッ

イン「やめろ…」ギリッ

エレカ「ん?」

イン「やめろって言ったんだ!」スッ

エレカ(傘を…まだ能力を使えたのか…!?)

イン「『バイ・セカンド』!」

シーン……

イン「…は、発動しない…!」

エレカ「…なんだ。杞憂だったね」スッ

シロ「!」ビクッ

エレカ「また少し、気絶しててもらうよ…」

イン「やめろ!!」バッ

エレカ「……本当に、しつこいね…」
648 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/10(火) 00:35:12.78 ID:aXhb5QSO
イン「はぁっ…はぁっ…!」

エレカ「そんな…両手広げて、身代わりになる気かい?」

イン「……シロには傷一つ付けさせない」

エレカ「その体じゃ、死ぬよ」

イン「死んだっていい…!」

イン「僕は姉さんと約束したんだ!」

エレカ「……」

イン(それに約束はもう一つ……)


男『お前の思うままに生きろよ。そしてお前の思うままに死ねたら、それは幸せなことだ』

イン『そうだね…。僕は、僕の思うままに生きていくよ』

男『約束だからな』

イン『うん…!』


イン(…僕は思うままに生きた。これでシロを守れるなら)

イン(もう、死んだって…)

エレカ「………そう」パリパリ

イン「…シロ…僕は君の…」


エレカ「じゃあね…」パリッ

バリバリバリバリバリ!!!!!

イン「……!」


エレカ「ふー…」スッ

イン「………」ガクンッ

ドシャッ

シロ「…お……」

シロ「お姉ちゃん!!!」
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 00:43:36.82 ID:aXhb5QSO
シロ「お姉ちゃん…お姉ちゃん…」ユサユサ

イン「……」

シロ「お姉ちゃん…お姉ちゃん…!」ユサユサ

イン「……」

シロ「お姉ちゃ…」

エレカ「無駄だよ…」

シロ「!」

エレカ「…別に、電撃の威力自体はたいしたことない。君でも耐えられるさ」

エレカ「でも、インはもうこのまま二度と目を覚まさないかもね」

エレカ「なんせあんな状態で受けたんだ」

シロ「…お姉ちゃん……!」

エレカ「クロも、インも、無茶ばかりするから…」

シロ「!…クロお姉ちゃん…も…?」

エレカ「二人とも」

シロ「う……」

エレカ「……」クルッ

シロ「お姉ちゃん…お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」

シロ「お姉ちゃん…!」ボロボロ


スタスタスタ

エレカ「…なんてことないよ。予定通り…これで三人」

エレカ「後は、シャル一人だ…」
650 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 00:44:17.52 ID:aXhb5QSO
今日はここまでにします
651 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/10(火) 01:00:53.50 ID:zmcJoUDO
1乙〜!
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 17:33:58.99 ID:R1CRAfo0
乙です。
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 19:40:22.02 ID:cvelVgSO
すみません、帰省中は5日ほど書けません…
654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 20:37:18.83 ID:WlFgZgSO
1週間ぶりです、>>1です
帰省から無事戻ってこれましたので、今日から再開しようと思います

それで、こないだ気付いたんですが、今日8月16日で、これを書き始めてちょうど1年なんですね(書いた日数でいえば、半年に満たないか?)
今までいろいろありましたが、まだなんとか書き続けてられるのは、読んでくれている皆さんのおかげです
本当にありがとうございます

1年続いたこの話ですが、第二章の次は第三章…となりそうなので、物語自体はまだ完結には遠そうです
どうか、もうしばらくお付き合いいただけたら、うれしいです

では今日も、書いていこうかと思います
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 20:43:17.23 ID:WlFgZgSO
再び、現在
黄の城


エレカ「…と、こうして、クロ、イン、シロはそれぞれ再起不能に陥った」

転「全部…お前がやったのか…」

エレカ「仕方なかったんだ。私だって、こんなことになるとは思ってなかったよ」

転「……」

エレカ「分かってくれるかい?」

転「…ええ、それなら仕方ないですね……」スッ

ヒュッ…

エレカ「……?」

…スコッ

エレカ「……え」

転「…って…そんなワケないだろ…」
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/16(月) 20:52:07.31 ID:WlFgZgSO
ポタ…ポタ…

エレカ「…左目が…見えない……」

転「いい感じのナイフがあったもので…つい、ね…」

エレカ「……後で、君に食事を出そうと思ってたんだ…空の皿じゃ寂しいからね…」ポタポタ

転「…もう片方も、潰そうか」カチャ

転「いや、今度は、目じゃなくて、頭を…」

エレカ「それは…どういう意味…なのかな?」

転「……死ね、って意味です…」

転「…よっ!」ダンッ

エレカ「テーブルの上を走るなんて…酷いよ。礼儀がまるでなってない…」

転「お前に対して礼儀正しくする必要なんて…ないっ!!」ブンッ


パシッ


転「……!」

エレカ「………シャル」

エレカ「痛いよ、左目…」

パリッ…

転「…っ!」バッ

エレカ「…私は…君に危害を加えるつもりはないんだ」

エレカ「それに、どうしてこんなことになったのか、知りたくないかい?」

転「……」

エレカ「まぁ君が知りたくなくても、私は話さなきゃならないんだけどね…」
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 21:00:25.30 ID:WlFgZgSO
エレカ「まず…この一連の出来事は…すべて『ある計画』の準備なんだ」

転「…計画?準備?」

エレカ「そう。料理で言うなら、まだ食材を用意している段階…」

転「……妹たちがお前のせいで倒れているって、これも準備?」

エレカ「いいや、それは準備の妨げを除けただけだよ」

転「ふざけるな…」

エレカ「……」

転「…私にはお前の計画なんて、どうでもいいんだよ…」

転「大事なのは、お前から妹(あの子)たちを取り返すことだけだ!!」

エレカ「…うん、知ってるよ…だからこそ、黙って聞いていた方がいい」

エレカ「彼女たちは人質だ。君が私に従えば、無傷で解放するよ」

エレカ「でも、もし君が私に逆らえば…もしかしたら…」

エレカ「これ一つで」パチンッ

エレカ「3つの首が落ちるかもしれない」

転「…エレカ……!!」ギリッ

エレカ「……今は、黙って聞いていてほしいんだ」

転「…っ……」

転「……分かった…」ギシ

エレカ「ありがとう」
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 21:10:02.14 ID:WlFgZgSO
エレカ「で…その計画の準備って言うのは…『鍵』を用意する…ってことなんだ」

転「…鍵?」

エレカ「私はそれを手に入れるためだけに、今回の事件を起こした」

転「…それだけの理由で…?」

エレカ「……鍵っていうのはいくつかあってね。でもずっと、最後の一つの在処が分かってなかったんだ」

エレカ「それを、つい7年ほど前に父上が突き止めたんだ…」

転「……」

エレカ「だけど父上は、誰にもその在処を話さなかった。なぜなら最後の鍵が揃ってしまえば、それはそれは大きな力が目覚めることになる。だから父上は黙っていた」

転「大きな力…?」

エレカ「それが何かもちゃんと話すよ……それでね、鍵のことを、周りに一切話さなかった父上なんだけど、私が14歳になったころ…だから、4年前かな、ついに私にそれを教えてくれた」

エレカ「父上はきっと、私は聞くだけ聞いても、興味なんて持たないと思ったんだろうね」

転「……」

エレカ「だけど私は、その瞬間に、それを手に入れようと、決めたんだ」
659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 21:24:15.41 ID:WlFgZgSO
転「……」

エレカ「それからの私はずっと、そのことばかりを考えてた」

エレカ「寝ても覚めても、どうやって鍵を手に入れようか、考えてたんだ」

転「四年間、ずっと…?」

エレカ「四年間、ずっと…」

エレカ「そして…具体的な案が浮かんだのは、ちょうど二年前…」

エレカ「この地獄の、魔王の跡継ぎがいない…そんな話をしていてね、閃いたんだ」

転「……何を?」

エレカ「私が魔王になって、その力を利用して鍵を手に入れればいい」

転「……!」

エレカ「…でもすぐに諦めた。私が魔王になるには、よっぽど大きなことをしなくちゃならない」

エレカ「…大きなことをね…」

転「……」

転「……まさか」

エレカ「父上を目の前で襲撃さす!君たちを偽の犯人を仕立て上げる!」

エレカ「うまくやれば、私は最後の鍵を手に入れ、犯人である君たちを捕らえ、父上の仇を討ったと、大衆にアピールできる!」

エレカ「そうすれば、後はもう簡単さ」

エレカ「私は英雄だ…そして鍵をすべて手に入れた私なら」

エレカ「この地獄の頂点に…」

エレカ「魔王になれる…!!」

転「…お前…!」
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/16(月) 21:33:50.29 ID:WlFgZgSO
エレカ「私は今日のために、クレア、エレカ、そして王族護衛隊、果ては上級悪魔、とにかく強大な力を集め、この計画がうまく進むようにした」

エレカ「壮大な自作自演さ!私が用意した兵が父上を狙撃し、私が用意した偽りの犯人である君を逃がした!」

エレカ「私が用意した偽りの敵、センリとジーク…彼らとも戦った」

エレカ「私が用意した偽りの優しさは、クロを傷つけた」

エレカ「私が用意した偽りの正義に、全てが惑わされている!」

エレカ「正直言って、愉快で仕方がないよ…こんなにうまくいくなんて、思わなかったからね」

転「………」

エレカ「…何か言いたそうだね」

転「……お…お前は…」

転「…狂ってる……!」

エレカ「…辛そうな顔してる…もっと怒るんじゃないかと思ったけどね…」

転「……もう怒る気力も、湧きませんよ…」ダラン

エレカ「…?」

転「やっぱりお前は」

転「殺すしかない…!」

エレカ「……まだ」

エレカ「まだ話は、終わってないよ」

転「……なに…?」
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 21:39:08.40 ID:WlFgZgSO
エレカ「だって君はまだ、『鍵』の正体も、これから私がしようとしてることも、知らないよ」

転「そ、そんなの…」グッ

エレカ「…『どーだっていい』?良くないよ。君はそれを知るためにここに来たようなものなんだからね」

転「…一体…何だってんですか…!」

エレカ「……私が欲しがってる、『鍵』っていうのは」

エレカ「君のその、指に填まってる」

エレカ「地獄兵器の、指輪なんだ」

転「……指輪…」スッ

転「…こ…れ…?」

エレカ「それだよ」ニコッ
662 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:24:44.16 ID:WlFgZgSO
転「指輪が鍵って…どういう…」

エレカ「…シャルは、私の地獄兵器がなんだか、分かるよね?」

転「……髪留め」

エレカ「そう、この…」グッ

サラッ…

エレカ「金の髪留め」

転「……」

エレカ「そして、クレアの『ライター』に…シェアリの『水瓶』…」

エレカ「この四つが、『鍵』なんだ」

転「…は……?」

エレカ「とにかく、君の指輪さえ手に入れてしまえば、鍵は全て私のものになるんだ」

転「……」

エレカ「まぁ、聞いてもよく分からないよね…」スタスタ

転「お前は一体…その鍵を使って、何をするつもりなんだ…?」

エレカ「……」ピタ

転「……」

エレカ「兵器を呼び起こす」

転「…兵器…?」
663 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:34:36.25 ID:WlFgZgSO
エレカ「……そう、兵器」

転「そんなものが、この地獄に…?」

エレカ「あるんだよ、ずっと前から」

転「…どんな兵器だ?」

エレカ「さぁ…私も中身は知らない…神から奪ったんだよ」

転「……神…誰のことだ…?」

エレカ「神は神だよ。名前はない。ただ」

エレカ「神が全てを生み出した」

転「……トンじゃってますね」

エレカ「冗談じゃないんだけどね…聞いたことない?」

転「…何を」

エレカ「王族の歴史」

転「そんなの、あるわけな…」

父『王族については…長い歴史がある』

父『シャル、君が知る日もそう遠くはないはずだ』

転「……!」

エレカ「…話してあげるよ…神と、悪魔と、そして天使と…今に至る全てをね…」
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:35:07.23 ID:sRtU0P20
乙です。祝一周年
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:47:18.54 ID:WlFgZgSO
>>664
まだ「今日ここ」してないのにっ…
くそぅ、タイミング読まれたか!

悔しいので最近サボってたキャラ紹介やります
あれも地味に楽しいんだな
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 22:56:23.72 ID:WlFgZgSO
ポチ(ロッタ)
17歳 9月19日生まれ 乙女座(ヴァーゴ)
エレカの側近。テンコの護衛を任され、彼女と共に戦う
身体能力がかなり高く、非常に打たれ強い。スタミナも多いようで、完全な状態なら、能力を使用したまま2〜3時間は全力で走り続けていられるらしい

地獄兵器 リストバンド(流刑地に入る前のコヨーテのミサンガと取り替えた)

能力:聖域(サンクチュアリ)
地面に手を付けることにより、一定の範囲内にいる味方へのダメージをゼロにする能力(自分へのダメージは防ぐことができない)
ただし持続時間は10秒ほど

『バイ・セカンド』銀の踊り(シルバー・ダンス)
シフトチェンジの能力
脚力を数倍にはね上げる

銀と金の舞い(シルバー・アンド・ゴールド・ダンス)
コヨーテの『バイ・セカンド』金の踊り(ゴールド・ダンス)と同時に使うことによって発動する技
互いの肉体レベルを最大まで強化させ、最強の一撃を打ち込む
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 23:00:17.43 ID:WlFgZgSO
コヨーテ
20歳 8/16日生まれ 獅子座(レオ)
ポチの兄
たびたび暴れ回って他人に危害を加える荒らくれ者だったらしく、『危険因子』として流刑地(デッド・エリア)にいた(実際はチンピラを懲らしめるために暴力を振るっていただけなのだが)
テンコの権限により一時的に流刑地から釈放され、ポチと共に彼女と行動するようになる
ポチ以上の身体能力を持つが、少し頭が悪い

地獄兵器 ミサンガ(流刑地に入る前に、ポチのリストバンドと取り替えた)

能力:危険地帯(デンジャーゾーン)
地面に手を付けることにより、一定の範囲内に地雷を埋め込む能力
地雷に触れると爆発が起き、同時に有刺鉄線が飛び出る
また、同じように地面に手を付けることで、半径700m(実際は684.9m)内にいる生物の存在を感知できる

『バイ・セカンド』金の踊り(ゴールド・ダンス)
シフトチェンジの能力
腕力を数倍にはね上げる

銀と金の舞い(シルバー・アンド・ゴールド・ダンス)
ポチの『バイ・セカンド』銀の踊り(シルバー・ダンス)と同時に使うことによって発動する能力
互いの肉体レベルを最大まで強化させ、最強の一撃を打ち込む
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 23:08:18.46 ID:WlFgZgSO
クレア(クレア・ロシュディル・フレイン)
17歳 7月13日生まれ 蟹座(キャンサー)
赤の城(rojo castillo ロホ・カスティロ)の女王
父親(赤の魔王)の名は「ガルク」
赤髪ロングの美少女。三人の女王の中では最も巨乳
男勝りで強気な性格だが、「男みたい」と称されることを極度に嫌っている

エレカの計画に協力、シロを拉致し、連れ返しにやってきたテンコと戦った

地獄兵器 ライター

能力:呼吸熱(ブレッシング・ヒート)
あらゆる熱を吸収し体内に蓄えることができる能力(巨大な蝋燭などを使えば、多量の熱を吸収できる)

『バイ・セカンド』炎舞せし紅蓮の魂(バーニン・クリムゾン・ソウル)
呼吸熱で蓄えた熱を炎にして発射する能力

『旋焔殺(フレイム・ブラスト)』…巨大な炎を回転させながら打ち込む
『弐旋焔殺(ツインズ・フレイム・ブラスター)』…『旋焔殺』を二発同時に使用する
『流星導(メテオロード)』…相手の物理攻撃を炎に包んで押し返す
『灼熱の独眼竜(ヒートガンドラ)』…龍をかたどった巨大な炎で相手を襲う奥義
他にもさまざまな攻撃方法を持つ

ノエルの能力で周囲の熱を取り払わなければ、自身も危険な状態に陥ってしまうらしい
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 23:15:15.07 ID:WlFgZgSO
ノエル
16歳 3月1日生まれ 魚座(パイシーズ)
クレアの唯一の側近(10年前から今まで、彼女の側近はノエルのみ)
中性的な容姿をしているが、性別はれっきとした男
恐らくクレアとの共闘ができる唯一の人物であり、彼女にとってはある意味、ライフラインと呼べる存在でもある

身体能力はさほど高くはないが、圧倒的な量の精神力を生まれつき持っている
他の干渉が一切ない状態なら、能力をほぼ永続的に発動できるほどである

地獄兵器 ペンダント

能力:斥力の膜(レポーション・オーラ)
全身から微弱な斥力を発生させる能力
一点に斥力を集中させることによって、強力な盾にもなる

『バイ・セカンド』空間歪曲(スペース・ディストーション)
素手で目の前の『空間』を掴み、歪めることにより、相手の攻撃を当たらないようにしたり、相手を空間ごと投げたりすることができる
クレアが戦闘時に発生する多量な熱を、この能力によって寄せ付けなくしていた
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 23:21:28.82 ID:WlFgZgSO
シェアリ(シェアリ・サー・フレジャタン)
16歳 2月18日生まれ 水瓶座(アクエリアス)
青の城(blau schloss ブラウ・シュロス)の女王
父親(青の魔王)の名は「アレス」
青髪ロングの美少女。胸はクレアより小さく、エレカより大きい(要するに「普通」サイズ)
三人の女王の中では最も年下だが、部下からは「最も女王らしい振る舞いをする」と称される

クレアと共に、エレカの計画に協力し、インを拉致
その後クロと戦う


地獄兵器 水瓶

能力:夢幻の呼び水(ウォーター・イリュージョン)
水瓶から溢れる水に長時間触れている相手に、幻覚を見せる能力
様々な手段で、相手の負の感情を増長させ、戦闘不能の状態に追い込む(クロに使ったのは『親しい人物の幻と対面させる』という手段)

『バイ・セカンド』清なる泉水の女神(ラクス・アクア・ディオサ)
一定範囲内のあらゆる水を自由自在に操る能力
『旋水貫(アクア・スパイラル)』…水の塊を回転させながら高速で打ち出す
『硬水枷(ヴァダー・シェイクル)』…水を鞭状にして相手を締め付ける
『溺愛水泡(アクア・ラヴァーズ)』…相手の首から上を水の球で包み込み、溺死させる(本人はこの技を「溺死体は気持ち悪いから」と嫌っている)
『大津波(タイダル・ウェイブ)』…大規模な波を発生させ、広範囲にわたって攻撃する
『大海の王蛇(リヴァイアサン)』…大量の水を圧縮し、巨大な蛇の姿に変えて突撃させる奥義
他にもさまざまな攻撃方法を持つ

おそらく能力の規模や使い勝手の良さは三人の中で最も上である
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 23:29:25.39 ID:WlFgZgSO
では、改めて、今日はここまでにします
672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 00:33:48.98 ID:B5wq/Kw0
乙です
一年か・・・一周年おめでとうございます!
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 07:24:07.93 ID:O7Tvb6AO
>>1
シェアリかわいいよシェアリ
674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/17(火) 21:47:34.40 ID:RD5VhxA0
そうか、もう一年になるのか…
これからの話も楽しみにしてます!
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:04:45.46 ID:hpdOyESO
ここからの内容について、二つの注意点

@改行、改行、とにかく改行だらけです(無駄にレス多くなります)

A世間一般に知られる『神』についての話とは、大きく異なります
もし「〇〇は××なんじゃないの」とか、そんなふうに思うことがあっても、これはあくまでも自分独自の解釈である、ということをご理解していただければ幸いです
676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:08:00.95 ID:hpdOyESO
『神』がいた。

いつから、どこに、どうやって存在していたのか、それは誰も知らない。

ただ、『神』は、確かにいたのである。



神はこの世界に降り立った。

いったい、どの世界からこの世界にやってきたのか、それさえも誰も知らない。

その頃のこの世界には、無限の宇宙に散る星たちがいるだけだった。


神はその内一つの星にやってきた。

何のためか。

自らの『複製』を作るためだ。


一つきりの神が生み出したのは、二つの『神によく似た存在』だった。


これが『天使』と『悪魔』である。
677 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:13:05.80 ID:hpdOyESO
『天使』と『悪魔』は、神によく似て、それはそれは大きな力を持っていた。

神は満足した。これは成功作だ、と。


しかし。

神はずっと一人だったから、どうしても分からぬものがあった。

それは、「反りが合わない」という心理だ。

彼らを突き動かした激情が、そんな生温い心理なのかどうかは分からない。が。

神が生んだ『天使』と『悪魔』は、自発的に、お互いを滅ぼすために争い始めていた。

神には何が原因なのか、すぐに分かった。

単純な話である。

『強いのは自分だ』

それだけの思いが、争いを引き起こしたのだ。
678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:17:17.33 ID:hpdOyESO
『天使』と『悪魔』は互いを反発しあう。

争いは終わらない。

数千年、数万年、もっともっと経っても、終わらない。


争いの終わりが見えない。

神は、考えた。

彼らは成功作ではなかった。

失敗作だ。

それなら、どうする?


破壊するしかない。


神の出した答えは、これ一つだった。
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:27:30.23 ID:hpdOyESO
神は、『天使』と『悪魔』の争いから一度手を引いた。

知らぬ間に、一つだった星は見えない線によって、『天国』と『地獄』に別れていた。

神は逃げた。

また、新たな星に身を置いた。

その星は、第三の世界。

『EARTH』と、神は名付けた。

そこに身を潜めた神は、あるものを造り始めた。

『天使』と『悪魔』を滅ぼすための、『兵器』だ。
680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:43:02.93 ID:hpdOyESO
神は兵器を造っては壊し、造っては壊し、造っては壊し…

気付けば、数十億年が経っていた。

その頃になるともう、兵器の失敗作が新たな命を生み出し、生命の歴史さえ始まっていた。



神は兵器を造る。

天使と悪魔は争い続ける。

生物は静かに進化を遂げていく。


そして……

神はついに、禁断の兵器を造り出した。


これで、すべての片がつく。

神はそう思っていた。
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 23:53:54.51 ID:hpdOyESO
神は造ったばかりの兵器を連れて、再び天国と地獄にその姿を表した。

天使も、悪魔も、もはや神など眼中になかった。

しかし。

その眼には、しっかりと、兵器の姿が映っていた。

天使と悪魔の思考が一致した。

この兵器は使える、と。

天使と悪魔の行動が一致した。

神から、兵器を奪い取ろう、と。


自らが生み出した二つの存在が、一つの悪意となって、神を襲う。

争いは、収まらない。

それどころか、激化するばかりだ。

神はようやく悟った。

これは最低最悪の失敗作だ。

最強最高の成功作が、奪われる。


神はたった一つの策を考じた。

果たして

その策が実践される前に

兵器は

『悪魔』に、奪取された。
682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:03:33.24 ID:X8GOFoSO
悪魔に兵器が奪われた。

それはつまり、天使の敗北を意味していた。

悪魔は歓喜した。

長きに渡った争いが、ついに終わろう言うのだ。

が。

兵器は、動かなかった。

悪魔は同胞に問う。

なぜ?

神の策だ。

神は兵器が奪われることを阻止せぬ道を選んだ。

その代わりに…

兵器そのものを使用できないようにしたのだ。
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:10:37.00 ID:X8GOFoSO
神は兵器の動力源を、鍵によって封じ込めた。

その鍵はそのまま破壊し、兵器を永久に再起動させないようにする。

それが神の策だった。

しかし、悪魔の思う以上に素早い行動が、神の策を崩した。

神は鍵を破壊するのに失敗

鍵は三つにバラけ

それぞれが、よりによって地獄の各所に散らばってしまったのだ

つまり、悪魔が三つの鍵をすべて集めれば

また、兵器は復活してしまう。

もはや神に、すべきことは何もなかった。

神はまたしても身を退き

その後どうなったのかは、未だ知る者はいない。
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:19:27.69 ID:X8GOFoSO
エレカ「というお話があったんだ…」

転「……」

エレカ「どうだった?」

転「信じられるはずがないでしょう…」

エレカ「そうかな」

転「だって、鍵は四つあるって…」

エレカ「……うん」ニコ

エレカ「抜かりのない神は…」

エレカ「鍵は三つだと、嘘を吐いたのさ」

転「……!」
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:33:51.94 ID:X8GOFoSO
神がその身を消した後、悪魔は早速、三つの鍵を探し始めた。

三つ、と数は少ないが、広大な地獄の「どこか三ヶ所」をピンポイントで特定するのは、不可能に等しい。

当然、その間も天使からの攻撃は止まない。

争いが収まる気配は、まるでなかった。



さらに数千万年が経つ。この頃にはすでに、EARTHは様々な生物に溢れていた。


そして悪魔は、ついに一つ目の鍵を発見したのだ。

が、鍵を発見したその悪魔は、あることに気が付く。

力が溢れてくることに。

その悪魔は、新たな力を宿したのだ。

神の力が込められた兵器の鍵。

そしてその鍵が宿していた、『炎』の力。

さらに、残り二つを見つけた悪魔も

それぞれ、『水』と『雷』の力を手に入れる。

これらの悪魔は、後に『魔王』と呼ばれる圧倒的実力者になり…

その力を持つ悪魔の血を継いだ悪魔たちも、次々に強力な能力を手に入れ

それらはいつしか、『バイ・セカンド』と称されるようになった。
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:43:29.02 ID:X8GOFoSO
転「……『バイ・セカンド』…!?」

エレカ「そう…私と、クレア、シェアリ…」

エレカ「つまり、王族の持つ三つの能力は、鍵を手にしたことによって得られた、最初の『バイ・セカンド』なんだ」

転「……な」

エレカ「そして、その血を継いだ者たちも…それぞれ様々な『バイ・セカンド』を手にした」

エレカ「今ではほとんどの悪魔が、『バイ・セカンド』を発現する可能性を持っている」

エレカ「分かるかい?すでに、数億年が経った今でも、血脈は『神の力』を運んでいるのさ」

転「……」

エレカ「天使には『バイ・セカンド』が使えないのは、こういう理由があるからなんだよ」

転「…じゃ…じゃあ…」

転「四つ目の鍵は…『炎』、『水』、『雷』以外に何の力が…?」

エレカ「…それはね」
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 00:51:43.83 ID:X8GOFoSO
三つの鍵を手に入れた悪魔は、すぐに兵器を復活させようと試みた。

が…鍵をどうやっても、兵器は動かない。

悪魔はすぐに騙されたのだと理解した。

間を置かずに、足りない鍵を探すために、再び動き始めた。


その頃


とある悪魔が、四つ目の鍵を、偶然にも発見してしまった。

兵器の事情もろくに知らぬ、若い悪魔が…
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 01:07:19.79 ID:X8GOFoSO
その悪魔が手に入れたのは、他のどの力とも違う、異様なものだった。

悪魔は直感的に、この能力は危険だと感じた。

そして、このことを誰にも告げることなく、魔王になることもなく

一悪魔として、ひっそりと生きていった。


その後も他の悪魔たちが必死で四つ目の鍵を探すが、どうしても見つからない。

すでに別の悪魔が見つけ、そのことを隠しているのだから、当然である。

いつしか悪魔たちの中で「四つ目の鍵の存在」は薄れ

さらに別の手段を使わなければ兵器は復活させることができないのでは?

と、新たな疑問が浮かび始めていた。


それを知ってか知らずか、兵器と三つの鍵を奪うために、天使の攻撃はますます激しくなる。

そうして、いつまでも不毛な争いが続き……



エレカ「私たちはついに、四つ目の鍵のありかにたどり着いた」

転「……!」

エレカ「もう分かるよね。四つ目の鍵を手に入れたのは…」

エレカ「シャル、君の祖先だよ」
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/19(木) 01:10:52.46 ID:X8GOFoSO
今日はここまでにします

いやぁ分かりにくいのなんのって
書きにくいのなんのって

時間の経過テキトーなのなんのって…
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 17:46:39.96 ID:1HUoG9k0
乙です。展開が面白いです。
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 22:25:36.56 ID:jp0qv.SO
転「私の…祖先……」

エレカ「いや、祖先って言い方は…しっくり来ないかもね」

エレカ「とにかく君は、『四つ目の鍵を手にした悪魔』の血を引いてるんだ」

エレカ「私たちとの違いは、王族であるかないか、それだけだよ」

転「……じゃあ、私にも何か特別な力が…?」

エレカ「……」

エレカ「いや、君にはないみたいだね」

転「え…」

エレカ「君の『バイ・セカンド』危険な操作法(リスキー・ハンド・ラッフ)は、確かに強力だけれど」

エレカ「神の力を…鍵の力を継いでいるようには見えないね」

転「な、なんで…」

エレカ「それはもちろん…」

エレカ「君にとって、それだけ凶悪な能力なんだろう」

転「…凶悪な能力…」

エレカ「……それに、君は女だ。王族とは無縁の一悪魔。そんな力を持っている必要もないんじゃないかな?」

転「……」
692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 22:33:40.38 ID:jp0qv.SO
エレカ「そんなわけで、君は四つ目の鍵を、今まで知らず知らずに受け継いでたんだよ」

転「私が、四つ目の鍵を…」

エレカ「それがその」スッ

エレカ「指輪」

転「……なるほど…ね…」

エレカ「理解してくれたかな」

転「まぁ…半分ぐらいは…」

エレカ「じゃあ、その指輪、渡してくれるかな」

転「……」ピタッ

エレカ「…嫌なの?」

転「……」

エレカ「渡してくれたら、君にはもう何もしないよ。妹たちの治療もするし、別に怪我したまますぐに返したって構わない」

転「……」

エレカ「……だから、指輪を…」

転「……」

エレカ「まだ…嫌なの?」
693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 22:38:07.94 ID:jp0qv.SO
転「…仮に…指輪を渡して…」

エレカ「?」

転「その指輪は…返ってくるんですか…」

エレカ「…いや、返ってこないよ」

エレカ「四つの鍵はすべて、一度形を変えなきゃならない。ライターだの水瓶だの、そのままじゃ鍵としては使えないからね」

転「……」

エレカ「それが、なに?」

転「…指輪…は」

転「この指輪は…」

転「大事なものなんです…」

エレカ「…確かに『バイ・セカンド』が使えなくなるのは大変だよ。だけどまた新たな地獄兵器を用意することだって…」

転「…そうじゃないっ」

エレカ「……?」

転「そうじゃ…ないんですよ…!」
694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 22:38:14.13 ID:jp0qv.SO
転「…仮に…指輪を渡して…」

エレカ「?」

転「その指輪は…返ってくるんですか…」

エレカ「…いや、返ってこないよ」

エレカ「四つの鍵はすべて、一度形を変えなきゃならない。ライターだの水瓶だの、そのままじゃ鍵としては使えないからね」

転「……」

エレカ「それが、なに?」

転「…指輪…は」

転「この指輪は…」

転「大事なものなんです…」

エレカ「…確かに『バイ・セカンド』が使えなくなるのは大変だよ。だけどまた新たな地獄兵器を用意することだって…」

転「…そうじゃないっ」

エレカ「……?」

転「そうじゃ…ないんですよ…!」
695 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 22:40:56.53 ID:dZtl9EDO
リアル更新キターヾ(゚д゚)ノ゛
696 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage 連投しちまった…]:2010/08/20(金) 22:47:38.20 ID:jp0qv.SO
転「……」

エレカ「シャル…どうして…何が不満なんだい?」


どーせ話したって

こいつには分からないんだろうな…

この指輪が…

私にとって、どれだけ大切なものなのか


転「これは…私にとっての……」

転「一番の思い出が残ってるんです…」

エレカ「指輪に、思い出が…?」


こいつにわざわざ話す必要はない

これは私の…いや、私と

『男さん』だけの、思い出なんだから


『大事にします』って、約束もした


プリクラ。これしかないんですよ。

だから…


転「この指輪は渡せない…!」


男さん、私の答えは

間違ってませんよね
697 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 22:57:10.61 ID:jp0qv.SO
エレカ「……!」

転「指輪は!絶っっっ対に!渡さないっ!」

エレカ「シャル…」

転「……」グッ

エレカ「どうして?君にとって、その指輪がどうしてそんなに大事なのか…私には、分からないよ」

転「分からなくて結構です…理解してもらわなくて結構です…!」

転「だから…この指輪は諦めろ!」

エレカ「……」

エレカ「それはつまり、私の兵器復活計画を妨げるってことだね」

転「……そうだ、何が兵器だ」

転「お前は一体、そんなものを使って、どうするつもりなんだ!」

エレカ「……へぇ。今さらそんなこと聞くんだね。さっき教えたじゃないか」

エレカ「兵器は…」

エレカ「天使を滅ぼすために…呼び起こすんだ」

転「っ…!」

エレカ「それが、私たち悪魔が、生まれたときから宿している使命さ」

転「……ふぅん」

転「…天使を滅ぼす?生まれたときから宿してる使命?」

転「じゃあなんだ…お前は…」

転「…遺伝子レベルの…大馬鹿オンナか!!」


エレカ「……」ピクッ

エレカ「シャル…!」ギリッ…
698 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/20(金) 23:14:10.03 ID:jp0qv.SO
転「…兵器なんて、そんなつまらないものがなくなれば、お前らの頭も冷えるか!?」

転「何が悪魔、何が天使だ!そんな…そんなくだらない争いなんて…」

転「消えてなくなればいいんだ!!」

エレカ「シャル…いくら君でも、それ以上は言わせない…!」ガタッ

転「彼は…ポチくんは、最後に言ってた…」

転「平和な世界で生きていられたら、それが良いって…」

転「なのにお前は…」

転「今よりもっと!この世界を掻き乱すつもりか!?」

エレカ「…違う!!兵器を呼び起こし、その力を用いれば、この不毛な争いは、あっという間に決着を向かえる!」

エレカ「その先にこそ、平和が待ってるんじゃないか!」

転「嘘だ……ポチくんは、そんなこと望んでない…」

転「それに…私は…天使なんて大嫌いだけど…」

転「そんな、兵器なんかでまとめて殺すくらいなら、今のままで構わない…!」

エレカ「…何を言って…!?」

転「私は…わがままだから…」

転「ポチくんに平和な世界を見せてあげたいし、男さんとの思い出も残していたい…」

転「なのにお前は!両方ともぶち壊そうとする!!」

エレカ「それがこの世界のためになるんだ!」

転「…でも、すべてを今のままにしておく手は、ある」

転「それは、クロを、インを、シロを救う手でもある」

転「分かるだろう、エレカ!」

転「お前に従わずに…この手でお前を倒すことだ!!」


エレカ「…シャル…君は本当にわがままだね…」

エレカ「なら私は、そのわがままも叩き潰して…」

エレカ「君を無理やり従わせるだけだ!」
699 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/20(金) 23:19:26.50 ID:jp0qv.SO
転「『バイ・セカンド』危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!」バッ

エレカ「『バイ・セカンド』雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)!」バリバリバリッ

転「…すー…はー…」

転「…来い!エレカ…!」

エレカ「ふ…ふふふ…ふふふふふ…」スッ

エレカ「そうだね…これが…」バリバリバリ

エレカ「私の望んでた…最高の戦い…王になるための…最後の試練…!」ガシャン

エレカ「……雷槍!」ヒュバッ!

転「!」タンッ

エレカ「上空は…隙が大きいよ、シャル!雷閃!」バシュバシュバシュッ!!

転「お前こそ…」スッ

転「そんな槍一本で…隙だらけだ!」グイッ!!

ブチッ!!!

エレカ「これは…!」

エレカ(シャンデリアを…能力で…!)

転「潰れろ!」


ガシャアアアン!!
700 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 23:31:34.32 ID:jp0qv.SO
ズズゥン…

転「はぁ…はぁ…」

転(このくらいの攻撃で、エレカが死ぬはずがない)

転(ただ、少しは効いたはずだ…)

転(既に片目は潰してあるし…第一撃(ファーストアタック)は制し…)


男『…とにかく先手さえ打てればいいんじゃないか?』

転『向こうよりも先に第一撃を叩き込むことができれば、それでとりあえずはなんとかなるんです』

転「……」

転(私はこの二年間…)

転(何も変わってなかったんだな)

転(男さん、あなたはどうでしょうね…)


バキ…ガシャッ…

転「…もう起き上がってきたか…」クルッ

エレカ「ふ、ふふ…その型破りの戦い方…嫌いじゃないよ…」ユラァ

転「……」カチャ

エレカ(またナイフを投げるつもりか…)

転「と…見せ掛けて…」シュッ

エレカ「皿…!?…うっ!」パリンッ

転「ほら、また隙が出来た…」シュッ

エレカ「……」パシンッ

転「!」

エレカ「…フェイクなんか…効かないよ…」ポイ

転(しまった……まさかナイフを素手で止めるとは…)
701 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 23:47:50.63 ID:jp0qv.SO
エレカ「君の性格は、だいたい理解してるつもりだ…」

エレカ「正攻法で戦うタイプじゃないってことは…承知済みだよ」ブンブンブンッ

ピタッ

エレカ「だからこそ、こういう槍みたいな武器には、弱いんじゃないかな…」

転「さぁ…どーでしょうね…」

エレカ「今度はこっちの番だよ」ダッ

転「…ちっ!」ダッ

ダダダダダ

エレカ「逃げる気かい?」

転(この部屋には武器になりそうなものがない!ナイフは止められたし…さっきみたいにシャンデリアをぶつけることももうできない)

転(となると…別の部屋に移動するしか…)タタタ

エレカ「追いかけっこは、インだのクロだの相手に散々やったんだけどな…」タタタ

転「……」ピクッ

エレカ「…ん?」タタタ

転「そうだな…あの子たちは…」クルッ

転「お前に酷い目に遭わされたんだったな!」ブンッ

エレカ「!」
702 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 23:50:22.11 ID:jp0qv.SO
ガキンッ!!

転「…!」ビリビリ

エレカ「君らしくないな…」

転「うまくガードしましたね…」

エレカ「私は雷槍を持ってるんだよ。ただのパンチなんか…」

転「…そうだ。私は正攻法なんて大嫌いだ……狙いは…」バッ

ズズズ…

エレカ(!?…そうか、殴った手でそのまま『引き寄せる力』を…!)グルッ

転「後ろの…アレだ!」グイッ

ギュンッ

エレカ「胸像!?…ちぃっ!」バリバリッ

エレカ「雷槍・獲蛇伐鋏(ライソウ・エダギリバサミ)!」ガキンッ!!

バキィ

転「真っ二つに伐った!?…いや…」

エレカ「!」ゴスッ!!

エレカ(砕け切れなかったか…!)

エレカ「く…」ドサァ

転「……よし!」ダダダッ


エレカ「……」

エレカ「…面白い…!」ニヤァ
703 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 23:59:52.38 ID:jp0qv.SO
転「はぁ…はぁ…はぁ…」ダダダッ

転(息上がるのが…早いな…)

転「……」ギリッ

転「負けられないんだよ…!」ダダダッ


エレカ「ふぅ…」ムクッ

エレカ「……!」

エレカ「これは確か、お祖父様の胸像か…」スッ

エレカ「私が生まれてすぐに亡くなったそうだけど…」カチャ

エレカ「…申し訳ありません、お祖父様。あなたの胸像をこんなふうに…」カチャッ…

エレカ「……ですが、あなた方先祖の積年の望みは、私が叶えます…」

エレカ「ふふ。負けられないね…」ガシャッ


転「はぁ…はぁ…追って…来てないのか…?」タタタタ

転(…攻撃は受けてない…大丈夫…まだ…)

転「大じょ…」タタタタ

転「…っ!」キキィッ

転「…この部屋は…!」
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 00:14:25.66 ID:PhFDb2SO
エレカ「さて…」タタタッ

エレカ(受けた攻撃は…左目にナイフ一本。もう見えないけど、右目があるし、音さえ聞こえればなんとかなる…でも、ちゃんと治るのかな)

エレカ(そして、降ってきたシャンデリアのせいで、左腕が若干痛む…ヒビが入ってるんだ。切り傷もたくさん。まぁこれはどうでもいい)

エレカ(問題は、最後の……)

エレカ「まだ…気付かれてないはずだけど…不安だな…」タタタ

ヒュッ

エレカ「!?」サッ

ガシャンッ!!

エレカ(なんだ!?何が飛んできた!?ボール…?でも、今の音は…)

転「よく今のが避けられましたね…」

エレカ「!」バッ

エレカ「…なるほどね…!」
705 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 00:24:55.48 ID:PhFDb2SO
転「なかなかいい感じの武器庫…もといフロアを発見しましたよ…」

エレカ「……数十もの鎧。壁にかかった銃や刀。…なるほど、なるほど…」

転「ここは何の部屋なんです?」

エレカ「昔、兵士を育成するために使っていたそうだよ。王族護衛隊ではなく、この城限定のね」

転「…へーぇ」スッ

エレカ「ちなみに君が手にしたその鎧も、元々は兵士が戦線で使ってたんだ」

転「そうです…」グググッ

転「かっ!」ブンッ

エレカ「おっと」ヒョイ

ガシャン!!

転「ドッジボールしましょう」

エレカ「大事な鎧なんだよ」

転「へーぇ」スッ

転「知りません…」グググッ

転「よっ!!」ブンッ!!

エレカ「……」ガシャ

エレカ「裂(レツ)!」ヒュッ

スパッ!!

転「……うっそ。槍で兜を斬っちゃうなんて、アリですか?」

エレカ「思ったより脆いみたいだからね…」ブンブンッ
706 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 00:34:09.63 ID:PhFDb2SO
エレカ「じゃあ今度は…君も同じように斬ってみようか」シュッ

転「や、ですよ」グイッ

エレカ「…っ!」

ガキンッ!!!

エレカ「……今度は盾か」

転「お…これは耐えてくれた…」

転(しかしどーしてこんな綺麗に盾が凹みますかね…)

エレカ「はは…君にとってここは、本当に武器庫なんだね…」

転「なら、鎧ぜーんぶ刻んでやったらどうです?お得意の槍さばきで」

エレカ「ん…いや、私は本来…」

ゴロゴロゴロ…

転「!」

ピシャアアアアン!!

エレカ「……こっちのほうが、得意なんだ」

転「あー、そうでしたね…この雷女…」
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 00:49:43.88 ID:PhFDb2SO
エレカ「まぁこっちは疲れるから…極力使わないよ。でも、どうするつもりなのかな?」

転「そうですね…」スッ

転「じゃ…この鎧が持ってる槍を一本お借りして」ガシャッ

転「私が見事な槍さばきを見せてあげますよ」ヒュンヒュンヒュンッ

エレカ「…君が?それは面白い。是非見せてもらおうかな」ブンブンブンッ

転「…我流槍術…千爪槍(センソウソウ)!」バオッ

ヒュババババババッ!!!

エレカ「…!」スッ

ガガガガガガッ!!!

転「止めますか」

エレカ「でも…君がここまで槍術に長けてるなんて思わなかったよ」

転「私は棒の扱いにはなれてるんですよ!あ、下ネタじゃなくて…」

エレカ「喋りすぎだよ」バババババッ

転「言ってる場合じゃないか…!」サッ

グルンッ!!

エレカ「……?」

転「日本の空手には、回し受けという防御がありましてね…」スッ

転「それはそのまま…」グッ

ドッ!!

エレカ「!!」ヨロッ

転「反撃に繋がるんです」
708 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 00:57:48.59 ID:PhFDb2SO
エレカ(…柄の『底』の部分で突いてくるとは…)ヨロッ

転「ほぉら、隙だら…」ググッ

転「けっ!」ブンッ

エレカ「!…しまっ…」

エレカ「…なんてね」カッ


バリッ!!

転「……え?」ピタッ

エレカ「別に雷槍に頼らなくても、このくらいの至近距離なら、触れずに感電させられるよ」スッ

エレカ「一瞬動きを止める程度だけど、十分だ」ブンッ

ザシュッ!!

転「…うっ…!?」ブシュゥ

エレカ「やっと…まともな一撃目が入ったか」

転(ヤバい…ちょっと舐めてたな…このまま楽に勝てるかも、なんて)

転(こいつが正直に、槍だけで攻めてくるわけないのに…!)

転「ぐっ…」ガクン

エレカ「さぁ、戦いはここからが本番だよ、シャル」

エレカ「もう…ちょっとやそっとの傷なんかには構ってられなくなるからね…?」ニヤァ

転(こいつ…っ!)
709 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 01:02:34.63 ID:PhFDb2SO
今日はここまでにします

既に何度か書いてるので、お気づきの方は多いかも知れませんが、テンコは「キレると喋り方が荒れてる感じになります」
しかし、戦闘中はいつもの敬語です
これは何も余裕かましてるわけじゃなくて、彼女が真剣になってる証拠なんです

…決して誤解されないように、一応解説させていただきました
710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 01:07:05.17 ID:mAWZzGYo
おつかれ
711 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 01:13:56.37 ID:A72.1jA0
おつ!
712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 07:52:11.92 ID:gaL2jEAO
乙!!!
713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 10:52:56.66 ID:HYtnXMDO
乙〜
714 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 10:54:15.07 ID:UStEWmg0
ここでまさかあのプリクラが影響してくるとは…胸が熱くなるな!
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 12:03:48.27 ID:t7J.RTI0
乙です。
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 01:24:50.17 ID:BYllgsco
その頃人間界では・・・

リンゴーン リンゴーン

女「うう……緊張する……」

男「大丈夫か?」

女「うん…ついに私たち結婚するんだね」

女「テンコちゃんたちにも来てほしかったんだけど……」

男「しょうがないさ…連絡がつかなかったんだから…」

男「今度来た時には俺たちのいちゃいちゃっぷりを見せつけてやろうぜ!」

女「ばか//」

『それでは、新郎新婦の入場です』

男「よし…行こうか」

女「うん!」
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 13:09:18.60 ID:Rj3coqw0
>>716
おいwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 22:10:07.79 ID:ldQCz6SO
たぶん過去最多の乙かも知れないな、前回…
皆さんの乙は多かろうが、少なかろうが、毎回励みになってます!(もちろん多い方がテンション上がるけど)

個人的にはかなり嬉しかったので、この調子でラストバトル、頑張って書いていきたいです
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 22:36:18.49 ID:ldQCz6SO
エレカ「ふふふ」スタスタ

転「……」ジリッ

エレカ「君の戦法(バトルスタイル)は、とても魅力的だよ…」

エレカ「人間界の武術全般をこなし、かつ能力を生かした細かな策略…そしてそれらを最大限に生かせるタイミング、そう言ったものを理解し尽くしている」

転「…ずいぶんと高い評価ですね」

エレカ「実際に受けた私が言うんだから、間違いないよ」ニコッ

エレカ「……ただ、ね」

エレカ「今の君では不完全だ」

転「……どういう意味ですか」

エレカ「分かってないわけじゃないよね…君の肉体に」

エレカ「蓄積され続けている、疲労」

転「ちっ!」シュッ

エレカ「…疲れてちゃ」パシッ

エレカ「放つ蹴りも、どことなく頼りない…」ピリッ

転「っ!」バッ

エレカ「ふふっ……」スタスタ

エレカ「さ、間合いだよ」ピタ

転「……」

エレカ「打っておいで」

転「言われなくても…」スッ

転「打ってやるとも!」ビシュ

ズドドドドドッ!!!

エレカ「……!」ズザァ

転(これなら…!)
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 22:52:20.76 ID:ldQCz6SO
エレカ「…うん。五連続の蹴りか。私じゃちょっと真似できないな」

転(耐えた…!?)

エレカ「…だけど。やっぱり、今の君は不完全だ…」

転「!」

エレカ「確かに私は…君ほどじゃないけど、結構タフだと自負してる」

エレカ「でも、君は…」

エレカ「連戦に次ぐ連戦。まともな攻撃ができてるかどうかも、今は怪しいんじゃないかな?」

転「……」

転「まさかお前…」

エレカ「私が『強い敵』をたくさん用意したのは…別に、私の身の潔白を証明するためだけじゃない」

エレカ「大切なことは、君が戦って戦って戦い抜くこと」

エレカ「そして最終的には、『疲弊した君』と私が戦うこと」

エレカ「分かるよね。私はいかなる手を使ってでも、君から指輪を奪うつもりでいた」

エレカ「そのためには、君を万全の状態で迎えたくないんだ」

エレカ「傷だらけの君からなら、容易く指輪を回収できそうだろ?」ニタァ

転「……エレカ…!」

エレカ「ふふふ。いい表情(かお)だね」

転「堕ちるとこまで堕ちたか!?」

エレカ「……」

エレカ「仕方ないよ」

転「…!」

エレカ「私の計画は『失敗してしまいました、はい、残念』じゃ終われないんだ」

エレカ「だから徹底的に…それがどれだけ汚い手…非情なやり方だとしても…」

エレカ「絶対に躊躇わない。躊躇えない!」
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 22:53:37.61 ID:ldQCz6SO
転「躊躇わないだと…!?お前さっきから…」

転「……ふざけんなっ!」ダンッ!!

エレカ「……」スッ

転「はあああっ!」ブン…

エレカ「雷閃」バリバリッ

バツッ!!

転「……!?」グラッ

エレカ「腱を切った。そんなモーションの大きな、踵落としなんてしようとするからだよ」

転「…っ」ガクゥ

エレカ「さて…そろそろ私も…本気で行くよ」スッ

バリバリバリバリ…

転(まずい…!)

エレカ「落ら」

転「くそっ!危険な操作法!」グイッ

ギュンッ!!

エレカ「!」

ザクッ!!

転「……ダメか…!」

エレカ「惜しい。袖…だね」
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 23:09:37.04 ID:ldQCz6SO
転「ふっ…ふっ…ふぅーっ…!」

エレカ「…疲れって…意識するととたんに激しくなるような気がするよね」

エレカ「もっとも君の場合は、すでに疲労のピークを一度迎えてるみたいだけど」

転「うあああっ!」ビュオッ

エレカ「なのにまだそれだけの力は出る…か」ピッ

パラッ…

エレカ「……今の一撃が与えたダメージはほぼゼロ。髪の毛を一本切っただけだ」

エレカ「それでもきっと、この状態で君以外にこんな攻撃を繰り出せる者はいない」

エレカ「シャル。君を動かしているものは何なんだい?」

転「……私を動かすもの…?」ピクッ

エレカ「そう」

転「きっと、お前の望んでいる答えには程遠いよ」スルッ

エレカ「?」

転「上着だよ」ポイッ

エレカ「!」パサッ

転「私を動かしてるのは、たぶん…」ブンッ

純粋なままの…

エレカ「……!?」ブワッ

『負けず嫌い』さ!!


ドゴォン!!!

転「測り違えてたみたいですね…私の本当の実力を…」

エレカ「……」ズズズ…
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 23:19:56.65 ID:ldQCz6SO
転「……」

転(少し強引すぎたが…まんまと当たってくれた!)

転(私の…『不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)』!!)



エレカ「……」

エレカ(今のは…何だろう…上着で視界を封じた隙に…強力な武器を引き寄せてたか…?)

エレカ(いや…違う…今の攻撃に…)

エレカ(具体的な『形』はなかった…!)

エレカ(……何だか分からないけど…)

エレカ「やって…くれるじゃないか…!」ヨロッ…

転「…!」

転(立ち上がってきた!万全な状態での一撃じゃなかったから!?上着のせいで、こっちからも急所が見えなかった!?)

エレカ「……今のは…何をしたんだい…?」

転「…まんまと教えるわけないだろ!」

エレカ「…でも…君のその表情を見る分には…」

エレカ「今ので…私を仕留めるつもりだったね…?」

転「…仕留めるとまでは行かなくても、もう少し倒れてればよかったな」

エレカ「…私は…全身から…雷を奔らせることができる…」

エレカ「それは…薄い膜として…相手の攻撃の威力を…『散らす』効果が…あるんだ…」

転「…それをとっさに使った、と?」

エレカ「そう…だね…」

転「と…とにかくこれで、再び私が有利になった!」

エレカ「……」

エレカ「そう…かな…?」
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 23:31:04.29 ID:ldQCz6SO
エレカ「……」グググ

エレカ「まだまだ私は……」スッ

エレカ「戦えるよ…」バリッ

転(雷閃か…?)

エレカ「……雷撃砲(ライゲキホウ)」

バギュンッ!!!

転「…よりデカい…!!」バッ

ドシャアッ

転「く…痛ぁっ…」

エレカ「ほら、立って立って」ダダダ

転(雷槍!くそっ…)ガバッ

転「危険な操作法!」バッ

グイイッ

エレカ「何を…」ブンブンブン

転「うっ……」グググ…

エレカ「引っ張って…」ブンッ

転「りゃああ!」グンッ

ボボボゴォッ

エレカ「え…」

転「どうやらあの鎧たち、鎖で繋がれてるようなんでね…」

ギュンッ!!

転「根こそぎ引っ張ってきた!」ニヤッ

エレカ「根こそ…」

グシャアッ!!!
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 23:43:59.04 ID:ldQCz6SO
ガラガラガラ…

転(今度こそ…いい加減に起き上がってくるなよ…!!)

転「!」ズキンッ

転(左腕が…そうだ、クレアと戦ったときに、一度焼かれたんだったな…)

ガラッ…

転「…!」バッ

ガラガラ…

転(まさか)

ガラガラガラン…

転(やめろ…)

ガシャン!!

エレカ「やァ…シャル…!」

転「…人のことを死にぞこないみたいに言って…お前も似たようなもんじゃないか…!」

エレカ「どうだろう…ね…」バリバリッ

エレカ「双雷槍」グルンッ

バシュッ!!

転「鎧の山が一瞬で吹っ飛んだ…!」

エレカ「だけじゃないよ……」ギュルルル…

エレカ「雷槍・螺旋」ガシャン

転(……絶体絶命とは、よく言ったなぁ)

転(体絶えて命絶ゆ、か。前者はもうほぼクリアしちゃってるな…)

転(だけど…)

転「負けるつもりはありません!」

エレカ「あはは、そうこなくっちゃね…!」
726 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:02:00.89 ID:IPNY8sSO
テンコはここで一考する

今、エレカが『雷槍・螺旋』で攻撃をするには

投げるか、斬りかかるか、どちらかから選ぶしかない

そしてどちらを選ぶにせよ、エレカは

こちらに数歩、近づかなくてはならない

投げる場合、今の距離では、紙一重で躱される可能性がある

斬りかかる場合も、このままではまず届かない

完全に攻撃を当てたければ…

エレカはこちら側に最低『三歩』進む必要がある


転(三歩!その間に私がすべきことは…)

@雷槍・螺旋で攻撃される前に、エレカを攻撃

Aそれでも槍を投げる可能性があるので、槍を攻撃、破壊

B急いで逃げる

@で確実に止める攻撃がない

Aで槍を破壊できるのは『不可視の力撃』だけ。だが今は使えない

Bは絶大にあり得ない!

エレカが1歩踏み込む

転(なら、どうする!?)

C……さらに『数秒稼ぐ』

転(これだ!危険な操作法!)バッ

エレカが2歩目を踏み込む


ガシャアン!!

エレカ「!」グルッ

転「今だ…!」ズダンッ

ブンッ!!!
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:11:34.05 ID:IPNY8sSO
テンコがエレカの背後に飛び蹴りを放った瞬間

エレカは今までに見せたことのないような表情をして

これもやはり、今までに見せたことのない圧倒的な早さで

持っていた雷槍で、それを防いだ

転(……!?)

テンコは一瞬、奇妙な感覚に包まれた

それは驚きに少し似てもいた

今、エレカは

『攻撃』において絶大的な効果を発揮するはずの『雷槍・螺旋』で

テンコの、たかが飛び蹴り一つを『防御』したのだ

なぜ?

転「うわっ!」ズザザァ

エレカ「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

転「く…そっ…」

エレカ「あ、危なかった…今のは雷槍がなければ…」ポタポタ

転「……」

転(エレカが。あのエレカが…)

転(冷や汗なんか、かいてるのか!?)
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:14:13.52 ID:IPNY8sSO
エレカ「はぁっ…はぁっ…」ギロッ

エレカ「さっきから本当に…運がいいよ君は…!」スタスタ

転「…ヤバいっ」バッ

ボゴォン!!

転(……しまった!今は鎧じゃなくてエレカ…)

転(を……?)


エレカ「……!?」バッ


転(……なんだ…?こいつ)

転(そんなに後ろで鎧が壊されるのが、心配なのか)

転(…いや……)


後ろへの攻撃が怖い?


後 ろ が 怖 い ?


転「……なぜ?」
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:29:27.28 ID:IPNY8sSO
エレカ『…私は…全身から…雷を…奔らせることができる…』

転(なら、それで攻撃を止めればいい。それとも、咄嗟のことだから反応できなかったのか?)

転(いや、わざわざ雷槍でガードできたんだ、全身に雷を発生させることくらい、簡単に…)

転(そもそも『不可視の力撃』の威力さえ押さえてのけたんだから、使うべきじゃないか)

エレカ『さっきから本当に…運がいいよ君は…!』

転(運がいい?)

転(なんで?)

転(ただ、鎧を狙っただけなのに)

転(……)

転(違う)

転(鎧を狙ったから、運がいい…)

転(……)

転(背中への攻撃を、雷を発生させずに、わざわざ強力な武器である雷槍で防いだのは)

転(雷槍でなきゃ、防げなかったから?)

転(……)

転(もしかしたら、エレカは…)
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:48:36.46 ID:7AAvf.DO
性感帯かー
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:52:43.25 ID:IPNY8sSO
転「……エレカ」

エレカ「…?」

転「この戦い、これで終わらせましょう…」スッ

エレカ「…そうだね。お互いにそろそろ限界が近くなってきた…!」バリバリバリ…

転(使うのは、雷槍か?…いや)

エレカ「双雷槍…→(から)」ギュルギュルギュルル…

エレカ「…雷槍・螺旋!」ガシャン!!

転(やっぱり、それか)

転「…危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!」ギュンッ!!

バキィン!!

エレカ「また鎧を……!」クルッ

転(後ろの鎧を壊せば、反射的にそちらを向く。そしてその隙に…)

転「食らえ!」ブンッ

シュッ!!!

エレカ「今さら鎧(そんなもの)をぶつけて、どうするつもりだい!?」ギュルルル…

…バキィン!!

転(まぁ、簡単に止めるよな。でも…)

転(狙いは、そこじゃないっ!)ダッ

エレカ「この鎧、フェイクだろう?…甘いよ!」グルッ

転「!?」

エレカ『正攻法で戦うタイプじゃないってことは…承知済みだよ』

転(しまった…!)

エレカ「見せてあげよう…『雷槍・螺旋』の上をいく、私の最強の武器を…」ギュルルルル…

転「!…何だか知らないけど、やらせないっ!」バッ

転「強行突破だ!…最後の…『不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)』!」カッ!!
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 00:57:58.13 ID:IPNY8sSO
シーーーン


エレカ「……不発?」

転「……え」

ガクンッ

転「…っ!?」

エレカ「そっか…そうだよね。ここにきて、能力の連発…」

エレカ「ただでさえボロボロの君に…耐えられるはずがない…!」

転「!」

エレカ「ふ…ふふ…」ギュルルルル…

転(『雷槍・螺旋』の形が…さらに変わって…)

エレカ「雷神槍(ライジンソウ)…!」ギュイイイイイイ!!

転(…これはもう…ダメか)

エレカ「…さよなら、シャル。楽しかったよ」ブンッ

転「……」

ギュバァッ!!
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:07:47.62 ID:IPNY8sSO
ブシャアアアアッ!!

エレカ「……」ピッ

エレカ「血が着いた……」グイッ

転「……」ドバッ

エレカ「…『雷神槍』は、2本の『雷槍』を捻り合わせた『雷槍・螺旋』を完全に一本の槍にした、最強の武器」

エレカ「『螺旋』のように、投げて抉り削ることはもちろん」

エレカ「その切れ味は、もはや槍ではなく刀の域!」

エレカ「すでに雷槍で付いた切り傷と合わせて、これで『×』の傷になったね」スッ

ヒタッ

エレカ「痛むかい?ふふ…こんなに出血してる…」ナデナデ

転「……」ドクドク

エレカ「…君は前から、胸が小さいことを気にしてたよね」スッ

エレカ「可愛らしいと思うけどな、私は…」

転「……」フラッ

ドサァッ

エレカ「……」

エレカ「私の、勝ちだね…」

エレカ「約束通り、指輪は」

エレカ「回収させて、もらうよ…」スッ


ド ス ッ


エレカ「……」

エレカ「……?」ツー…

転「…私の…む…ねが…」

転「…何だって…?エレカ……」
734 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:19:35.55 ID:IPNY8sSO
エレカ「これ…は…」

エレカ「私を…貫…いてる…のは…」

転「……」

転「…剣……」

エレカ「つる…ぎ…?」

転「…この…部屋にある…のは…鎧だけ…じゃ…ない……」

転「壁、には……銃や、剣(刀)が飾ってあ…る…」

転「それは…私がこの…目で確認してた…し…」

転「何よ…り…お前…自身が…得意げ…に…言ってた……」

エレカ「…いつ…引き寄せた…?」

転「こんなに…深く斬られ…て…壁…から剣を…引き寄せる…なんて…」

転「…いく…らなんでも…無茶だ…だから…」

転「最後に…鎧を砕いたとき……」 

転「そのまま…壁から…剣を外して……」

転「わざと…崩れた鎧の…近くに…目立た…ないように…置いといた…」

転『…危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!』ギュンッ!!

バキィン!!

エレカ『また鎧を……!』

エレカ「な…に…?」

転「そうしたら…あとは…あたかも…策があるかの…ような顔を…して…能力を使い…」

転「最後には…」

転「わざと…『不可視の力撃』が…発動しない…フリをして…わざと…膝をつき……」

転「…わざと…お前の…一撃を…受けた…」

エレカ「……」

エレカ「雷神槍…を…わざと…?」
735 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:31:02.03 ID:IPNY8sSO
転「下手…したら……死ぬ…可能性も…あった……だけど…今こうして…耐えて…る…」

転「あとはもう…簡単だ…お前が…私の前に…立って…少し…姿勢を低く…したら…」

転「…落としておいた…剣を…引き寄せ…」

転「そのまま…お前を…貫く……!」

エレカ「……!」

転「重要なのは…位置だ…剣は…お前の後ろに…なくちゃならない…」

転「…なぜなら……」

転「…お前は…背中からは唯一……雷を出せないから…!」

エレカ「………!!」

転「核心は…なかった…だけど…何度か…背中を狙ったが……」

転「お前は…すべて…武器による…防御を行った……」

転「……あんな強そうな武器で…ガードする時点で…気付いたんだ…」

転「お前は…背中が…唯一の弱点だ…」

転「違うか…」

エレカ「……」

転「違くないな…実際にお前は…」

転「こんな…剣一本…避けられない…止められない…!」

エレカ「……シャル…!」ギリッ

転「…お前…私に…なんて言ったっ…けな…」

転「……ああ…そうだ…思い出した…」

転「……『いい表情(かお)だね』…」ニヤッ
736 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:47:24.33 ID:IPNY8sSO
転「くくく…く…く…はははは…」

転「あははははは…はははははははは!」

エレカ「シャ…ルぅ……!!」

エレカ「…がはっ!?」

バタタタッ

転「……吐血…。無理しないほうが…いい……ですよ…」

転「いくら雷で…力を弱めたと…言っても…『不可視の力撃』に…耐えたあなたも…」

転「…さすがに…内臓を…貫かれたら…キツいでしょう…」

エレカ「はぁ…はぁ…そ…そうだ……」

転「……何か…?」

エレカ「…いくら…最後の一撃が…不発したのが…フリだったとしても……」

エレカ「雷神槍を受けて…『バイ・セカンド』を使う余裕が…あ、る…なんて…あり得ない…!」

転「………」

転「ええ…『バイ・セカンド』は…使えません…よ…」

エレカ「え……」

転「……忘れてる…みたいですね…私の…通常の…能力…」

エレカ「通常の……!?」

転「…私の…能力…『神の見えざる手(インビジブル・ハンド)』は…」

転「…見えない手で…物体を…動かす…能力…」

転「しかし…そのスピードは…戦闘じゃ…まるで…役に立たない…レベル…」

転「だから…使うタイミングが…大事だった…」

エレカ「タイ…ミング……」

転「そう……あなたが…『勝ったと核心した瞬間』…そこしか…なかったんです…」

エレカ「……雷神槍を受けて…精神力が…激減する…そこまでを…見越して…!?」

転「…そういう…こと…です…命懸けの…賭けでした…けど…」

エレカ「そんな…ことが…」
737 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:48:53.34 ID:IPNY8sSO
転「………」

転「そう…だ…」

転「……あなた…言いました…よね。私の能力は…『神の力』を…継いでない…って……」

転「でもね…『バイ・セカンド』ですらない…通常の…能力は…きっと……」

転「神にも…見えなかった…力だ…!」

エレカ「…『神の見えざる手』……」

転「…ふふ……意味が…違います…がね……』
738 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 01:50:57.25 ID:IPNY8sSO
今日はここまでにします

もはや「…」が読む邪魔になる!って人がいたら、ごめんなさい
なんとか読んでやってください

そろそろクライマックス…かな…?
一応、第二章で>>1000まで埋めたいので、ちょびちょび伸びるかも知れませんが…
739 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 02:14:24.20 ID:4/0qJEQ0
おつ!
740 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 02:32:20.30 ID:qKNQf.DO
1乙〜
741 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 07:54:10.72 ID:iU54PcAO
神の見えざる乙
742 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/23(月) 10:10:50.47 ID:KWzAzVc0
てっきりクレアのときみたいにかなり長くなるかと思ってたから、これはちょっと意外だったな
しかしテンコかっこよすぎだろさすが俺の嫁
743 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 07:37:13.41 ID:Zb/OxsAO
なら、シェアリとメイは俺の嫁
744 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 21:36:13.57 ID:GXbQ3ISO
明日やります、すいません
745 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/24(火) 23:39:36.63 ID:/yvccsU0
乙です。
746 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 22:22:58.42 ID:B2p/w2SO
遅くなりました
これから書き始めます
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 22:34:25.25 ID:B2p/w2SO
転「ははは…はははは…」

転「……もっと痛がれよ。エレカ…」

エレカ「……」

エレカ「この程度の攻撃…予想してなかったわけじゃない」

エレカ「いくら君が傷ついた状態だからって…何もこっちは無傷で勝つ気はなかった…」

転「……」

エレカ「君は君らしく…私を倒そうとしたんだろうけど…」

エレカ「私は死んでないよ」

転「それを言うなら…こっちもだ…」

エレカ「……でも、勝ったのは私だ」

転「動けもしないくせに…何を言って…」

エレカ「……」

エレカ「言わなかったかな…?」

エレカ「触れなくても…感電させることは…できるんだよ…」ズズズ

転「!」

エレカ「ふ、ふふ…」ズズズ

ボタボタ

転「く…来るな…」

エレカ「あと…少し…」ズズズ

ピタッ

転「……!」

エレカ「さよならシャル」


バリッ…
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 22:42:16.27 ID:B2p/w2SO
転「ぐ……」ビクッ

エレカ「もう…動けないよ」

転「みたい…ですね…」

エレカ「もう…一度…言うよ…」

エレカ「……私の勝ち。異論は、ないね?」

転「………」

転「…ない」

エレカ「…そっか」フッ

転「ただ…やっぱり…気に入らないな…」

エレカ「…?」

転「私を…連戦で傷だらけの私を倒して…満足するなんて…」

エレカ「卑怯だと思う?」

転「卑怯だと思う」

エレカ「……何が言いたいの?」

転「……」

転「頼みがあります」

エレカ「……」

エレカ「言ってごらん」
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 22:53:04.30 ID:B2p/w2SO
転「まず…妹たちのことです」

エレカ「…うん」

転「あなたは最初に…『指輪を渡せば、彼女たちには手を出さない』と…言いましたよね」

エレカ「そうだね」

転「やっぱり…彼女たちを助けてください」

エレカ「……」

エレカ「必ず勝つと息を巻いて挑んでいき、いざ敗れたら『やっぱり助けて』?」

転「…そうです」

エレカ「…ふぅん。で、他には?まず、ってことは、まだあるんだよね」

転「…他にも…助けてほしいのが…二人います…」

エレカ「…二人?」

転「ポチくんと…コヨーテ…」

エレカ「……」

転「ポチくん…いえ、ロッタは、この城の門の中にいます…生きてるかどうか…分からないけど…」

エレカ「…コヨーテ、というのは?」

転「彼の兄…です…きっと赤の城に…」

エレカ「……ここまで来れたのは、その二人のおかげなんだね」

転「…ええ…」

エレカ「…うん。いいよ。クロノ、レイン、シロン、ロッタ、コヨーテは、私がなんとかする」

転「……よかった」

エレカ「ただし…条件がある」


エレカ「シャル…君には死んでもらうよ」
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/25(水) 23:09:52.90 ID:B2p/w2SO
転「……死…」

エレカ「……そもそも私の目的は、君から指輪を回収することだけだ」

エレカ「君を殺す理由はない」

転「なら…」

エレカ「でも、殺さない理由もない」

転「……」

エレカ「別に、このまま君を殺すことは難しい話じゃない。私を刺し貫いてるこの剣で、喉元を切り裂けばいいだけだ」

エレカ「そしてそのまま、気絶しているクロとイン、眠っているシロを、同じようにすることだってできる」

エレカ「君を助けた二人なんて、放っておけばいい」

エレカ「なのに私は、君一人の命と引き換えに、それらすべてを救うと言ってるんだよ」

転「……」

エレカ「逆に言えば、彼らを皆殺して、君だけを生かしておくこともできる」

転「!」

エレカ「……選んでいいよ。好きなほうを」

転「…悩むようなことじゃ…ないでしょうが…」

転「どうせ…私には何もできない…このまま…死ぬしかないんだ…」

転「…しょせん…私は…その程度だったんだから……」

エレカ「……シャル」

エレカ「強いね、君は」
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 23:21:49.78 ID:B2p/w2SO
転「…強くなんか…ない…あなたを倒せなかったんだから…」

エレカ「ううん…そんなことないよ…」グッ

転「……!」

エレカ「う…ぐ…っ!」ズズズ

ズボッ!!

エレカ「…剣…抜けたよ…」ドクドク

転「……狙いは…悪くなかったと…思うんだけど…な…」

エレカ「そうだね…痛いよ…凄く…」スッ

転「……!」

エレカ「痛かったよ…!」ブンッ

ピタッ

転「…?」

エレカ「…まだ、トドメは刺さない」

転「なんで…」

エレカ「君にはもっと…痛い…辛い思いをしてもらうよ…」

転「…辛い思い…?」

エレカ「それに…君から指輪を回収するのが私の目的…」

エレカ「いいかい、シャル。君が『自分の意志』で、私に指輪を渡すことが大事なんだ」

転「私の…意志…で」

エレカ「……そう」

転「……」

あの日から、指輪を外したことは、一度だってなかった

例え、能力を使うことがなくても


これを外すなんて、絶対にあり得なかった
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 23:41:14.36 ID:B2p/w2SO
転(だけど…)

転(大事な…5人の命には変えられない…から…)スッ


男『ったく…ホントによく食うよなぁ…』

男『お前らまとめて、俺が面倒見てやる!』

男『なんだ、結構良い奴じゃん』

男『…俺が怒ると大変なことになるんだぜ』

男『でもまぁ、正直助かったよ。ありがとう』

男『お前は一人じゃない。二人ならきっと勝てる』


男『悪魔が泣くなよ!情けないぞ!』


転(…泣きませんよ…)

転(これで…いいんだ……)
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/25(水) 23:55:23.92 ID:B2p/w2SO
転「……」スッ

エレカ「……受け取ったよ。指輪二つ」

転「……」

エレカ「…気絶してる。あれだけのダメージを受けてれば、当然か……」

ズキッ

エレカ「っ……!」

エレカ「…私も…胸に穴が開けられてるんだったな…」スッ

エレカ「中央電波網(センター・ラジオワーク)」バリッ

ザザ…ザザザ…ザザ…ザ…

エレカ「…待機中の各兵士に継ぐ。只今の時刻18時39分をもって、計画の第一段階が終了。指輪を入手した」

エレカ「…命令を指示する。まず、第一班はフロアEに来てくれ。私の治療と戦闘の残骸処理を」

エレカ「次に第二班はフロアCのクロノ、レイン、シロンたちの治療を」

エレカ「そして第三班は、城門付近を捜索。『かつての』我が部下ロッタを発見次第、治療を」

エレカ「第四班は、赤の城と通信を。コヨーテと呼ばれる悪魔を確認次第、救助に迎え」

エレカ「最後に、第五班は……」
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 00:07:54.57 ID:lWc9TwSO
エレカ「ふー……」

エレカ「指輪…これで四つの鍵が、すべて…」

エレカ「……?」ジッ

エレカ(…写真かな?これは…)

エレカ「……ふぅん」

エレカ「…彼が…シャルをここまで支えてたのか…」

エレカ「……嫉妬しちゃうな。少しだけ」


兵士たち「エレカ様!」バァン!

エレカ「……あ、来たね」

兵士たち「お怪我は!?」バタバタ

エレカ「かなり酷いよ」

兵士1「た、ただちに治療を!」

エレカ「うん…」

兵士2「エレカ様、こちらは…」

エレカ「シャルはこのままにしておいて。第五班に指示してある」

兵士2「かしこまりました」

エレカ「……それと、シェアリ、クレアにも連絡を頼むよ」

兵士3「はっ、すでに連絡済みです」

エレカ「ありがとう」

バタバタ

エレカ「……」チラッ

転「……」

エレカ「まだ、死んじゃダメだよ。シャル」ニコッ
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 00:09:06.11 ID:lWc9TwSO
今日はここまでにします
改めて、1日8レスって、少ねーなと自分でも思いました
もっとすらすら書ければなぁ…
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 00:53:30.19 ID:LGIjai20
乙です。
マイペースでオケ
757 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/26(木) 01:59:50.04 ID:e9bqI.DO
1乙〜
ゆっくりでもちゃんと投下してくれたら見るから気にしないでね
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 22:53:50.12 ID:yma3/oSO
すまん、携帯の調子が悪いんで、今日は書けないかもしれん

深夜まで起きてられたら書ける…かも…
759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/27(金) 23:56:28.39 ID:UMYfvMDO
   +
+  ∧_∧ + wwkk
 +(0゚・∀・) ttkk
  (0゚つと) +
+ と_)_)
760 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 00:32:26.76 ID:ANZ49wSO
やっぱり今日はダメです
明日やります
すいません
761 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 06:41:16.26 ID:ANZ49wSO
15分後

エレカ「……」

兵士「とりあえず止血だけはしておきました。本格的な治療はまた後に…」

エレカ「うん、分かってる」

兵士「…それと、シェアリ様の到着まで、まだ10分ほどかかるそうです」

エレカ「うん」

エレカ「……あれ、クレアはどうしたの?」

兵士「それが…未だに連絡がつかず…」

エレカ「ん……」

エレカ「まぁ、いいか。別に急ぐ必要はないし」

兵士2「エレカ様!ご報告します」

エレカ「…なに?」

兵士2「クロノ、レイン、シロンの3人の身柄を、それぞれ確認」

エレカ「うん」

兵士2「ロッタ…の身柄も、確認しました」

エレカ「…状態は?」

兵士2「…酷いです。骨が飛び出し肉が裂け血が吹き出し…両足はすでに使い物にならなくなっています。さらに凍傷で全身が…」

エレカ「……そっか」

兵士2「それと、コヨーテですが、赤の城と連絡が取れないため、未だ身柄は確認できていません」

エレカ「うん…分かった。ありがとう」

兵士2「こちらから赤の城に向かいましょうか」

エレカ「もうしばらくして、まだ確認が取れなかったら、そうしてくれるかな」

兵士2「かしこまりました」

エレカ「……クレア、ここまできて、一体何を考えて…」
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 06:51:43.68 ID:ANZ49wSO
兵士「……エレカ様」

エレカ「…ん?」

兵士「第五班が到着しましたが…」

エレカ「ああ…」チラッ

第五班兵士「……」コクッ

エレカ「一度、兵士たちはこの部屋から出てくれないかな…いや、できればしばらくは、この部屋に入らないでほしい」

兵士たち「かしこまりました!」バタバタ…

シーーーン

エレカ「……いいよ」

第五班兵士「はっ」ザッ ザッ

エレカ「…重装備だね」

第五班兵士「何と言ったって夜中の雪山、軽装備ではこちらが保たない」

エレカ「それもそうだね」

第五班兵士「ではさっそく…」スッ

エレカ「……できれば、丁寧に扱ってね」

第五班兵士「了解」ジジジィ

第五班兵士「……」ヒョイ

ボスッ

エレカ「丁寧にって…」

第五班兵士「も、申し訳ありません」ジジジジ…

エレカ「……そんな死体を入れておくような脆い鞄で…大丈夫なの?」

第五班兵士「万が一彼女が目覚めて暴れだしたら、その場で射殺します」

エレカ「射殺、ねぇ」

第五班兵士「しかし…この傷ではもう目覚めることはないでしょう」

エレカ「……」

第五班兵士「では、失礼します」ザッ ザッ
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 07:05:29.47 ID:ANZ49wSO
エレカ「……」スタスタ

エレカ「…外は…凄い吹雪だ」

エレカ「……」ピタッ

エレカ「ガラスが、こんなに冷たい」

エレカ「はぁー…」

エレカ「…残りの鍵は手に入れた。なのに…」

この気持ちは何なのだ?

エレカ「…まだなにか」

エレカ「心残りが…あるんだ…」

エレカ「心…残りが…」

エレカ「……」


ボーン ボーン

エレカ「!」ビクッ

ボーン ボーン ボーン

エレカ「…掛け時計か…7時…」

エレカ「10分もこうやってぼんやりしてたのか…そんな場合じゃないのに…」

エレカ「そうだ、治療を、手術を受けないと…」スッ

ドクン

エレカ「……?」

ドクン

エレカ(なんだ?この…嫌な感じ…)

ドクン

エレカ(…何かが…誰かが…近づいてきている…!?)

ドクン

エレカ「…誰だ…!」
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 07:11:18.03 ID:ANZ49wSO
?「……私だ」スッ

エレカ「……」

エレカ「…あなたは……!?」


ルシファル「娘たちを返してもらう」

エレカ「……ルシファル・ヴィーノ・トリアンテ…」


ルシファル「それと」

ルシファル「兵器の復活…それを止めに来た」

エレカ「……っ」


ルシファルがなぜ、一時期だけとはいえ、魔王になれたのか

その理由は誰もが、口頭でしか知らない

「圧倒的な力を持っていたから」

それだけだ

では「王に君臨することが許されるほどの圧倒的な力」とは

どれほどのものなのか?


エレカはその答えを身を持って知ることになる
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/28(土) 07:23:46.96 ID:ANZ49wSO
ルシファル「……」

エレカ「……」

ルシファル「…娘たちはどこにいる?」

エレカ「……」

ルシファル「どこにいる?」

エレカ「……クロノ、レイン、シロンは、この城にいる…」

ルシファル「……一人、足りないな」

エレカ「シャルは…」

エレカ「雪山に連れていきました。殺すために」

ルシファル「……」ピクッ

エレカ「…つい先ほどの話です」

ルシファル「少し遅かったか」

エレカ「……」

ルシファル「では…」

ルシファル「残りの3人の身柄を、すべて私に返してもらおう」

エレカ「……」

ルシファル「賢い君なら、正しい判断ができるはずだ」

エレカ「……分かりました」スッ

エレカ「貴殿の三人の娘、クロノ、レイン、シロンの身柄を、お譲りいたします」

ルシファル「…どこにいる」

エレカ「この城の、三階に」

ルシファル「下か…」スタスタ

エレカ「……」グッ

エレカ「雷撃砲(ライゲキホウ)」

バギュゥンッ!!!

エレカ(いける!)
766 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 07:33:50.51 ID:jxIU4cAO
リアルタイム更新来たか?
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/28(土) 07:39:49.52 ID:ANZ49wSO
バギュウウウ!!

ルシファル「……」スタスタ

ルシファル「…黒無導(クロムロード)」ボソッ

ズギュウウゥ……

エレカ「…え……」

ウウウゥゥ……ン

エレカ「…消えた…?」

エレカ「雷撃砲が…消えた!?何を…」

ルシファル「……」ズイッ

エレカ「…!?」

ルシファル「…どうやら」

ルシファル「賢い判断ができなかったようだな…」ブンッ

エレカ(まずい…!)バッ

ド ゴッ!!!

エレカ「…っ!!?」ビリビリ

ボゴッ ボゴッ ボゴォン!!

エレカ「……」ゴフッ

ルシファル「……」ザッ

スタスタ

エレカ(…触れられただけでこの威力…まさかもう…)
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/28(土) 07:41:31.82 ID:ANZ49wSO
ルシファル「あまり……」グイッ

エレカ「!」フワッ

ルシファル「乱暴に扱うつもりはなかった」

エレカ「…その割りには、準備がよすぎるように見えますよ…」バリバリ

ルシファル「……」

エレカ(この至近距離から…数発同時に放てば…)

エレカ「千雷閃!」バシュバシュバシュバシュ

ルシファル「…千?」スッ

ズギュウゥゥゥゥ…ン

ルシファル「私の目にはせいぜい、六発にしか見えなかったな」

エレカ「な…んで…また消え…」

ルシファル「黒無導(クロムロード)…周囲の空間に複数の穴を開ける」

ズギュウウゥン

エレカ「!」

ルシファル「今、お前の目の前に現われたその黒い穴は」

ルシファル「闇。無への入り口だ…」

エレカ「……無…?」

ルシファル「空間ごと…この穴に触れた攻撃は…」

ルシファル「すべて、飲み込まれる」

エレカ「!…そん…な……」

ルシファル「…君が私に挑むというのはつまり」

ルシファル「頭上の空に向かって拳を振るのと同じことだ…」

ルシファル「何も無い」
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/28(土) 07:49:20.90 ID:ANZ49wSO
エレカ「……」

エレカ「雷そ」

ルシファル「黒無導」

ズギュウウゥン

エレカ「……!!」

ルシファル「さて、お前は今…私の娘を…シャルを殺す、と言ったな」

エレカ「……」

ルシファル「覚えておくといい。可愛い娘が殺されると聞いて、笑っていられる親はいない」

エレカ「…なら、二度と笑えないようにして差し上げましょう…!」バリバリバリ…

エレカ「落雷!」

ゴロゴロゴロ

ルシファル「無駄だ」

ズギュウウウゥ…

ピシャアアアアア……

エレカ「雷さえも飲み込むとはね…!」バリバリ

ルシファル(落雷はダミーか)

エレカ「雷槍!」シュッ

ルシファル「……」パシッ

エレカ「……え?」グググ

ルシファル「…能力を使うまでもない。このまま手首を…」

エレカ「!」バッ

ルシファル「……最後に君が戦っているのを見たのは、3年前だったか…」

ルシファル「…3年前と『何か変わった』か?」

エレカ「……」ギリッ
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/28(土) 07:57:24.77 ID:ANZ49wSO
エレカ「なら…」バリバリバリ

ルシファル(二本の槍…)

エレカ「これは…」ギュルルルルル

エレカ「どうだ!!」バシュンッ


パシッ


エレカ「……」

エレカ「え…?」

ルシファル「……なるほど。二本の槍を一本の槍に形を変え、投げてきたか」

ルシファル「強力そうだったから…つい『手』が出てしまった」

エレカ「…雷神槍を、手で…?」

エレカ(さっきの力といい、まさか…)

ルシファル「……知っているだろう。私の『バイ・セカンド』…」

ルシファル「お前に親しみのある呼び方をすれば、『四つ目の鍵』の『神の力』だ」

エレカ「……」

エレカ「…悪魔神……!」

ルシファル「そうだ」ブンッ


ゴシャンッ!!!


エレカ「……!」ドバッ

ただの拳で、私ごと床が潰れるわけがない

この威力は…

攻撃型『バイ・セカンド』最強の能力…


『悪 魔 神 - TheoS=DiaboloS - 』
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 08:05:09.11 ID:ANZ49wSO
エレカ「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」ガクガク

ルシファル「……」

エレカ「…片手…それも具象化してない状態で…この威力…」ヨロヨロ

エレカ「まさしく…最強…!」ヨロォ

ルシファル「…まだ理解していないようだな」

エレカ「…なに…?」

ルシファル「具象化していないのではない」

ルシファル「具象化できないのだ。もっとも…」

ルシファル「この城を『跡形もなく壊してしまって』も構わないなら、そうしてもいい」

エレカ「……」ゾッ

ルシファル「ちなみに、憑依状態でも」

ルシファル「片手とは言わず、全身に憑依させれば、やはりこの城を破壊することは簡単だ」

エレカ「……」

ルシファル「……どうする?」

エレカ「…こうするしかないでしょうね」スッ

ルシファル「……」

エレカ「魔翌雷の…」

ルシファル「!」

ズギュウウウゥン…

エレカ「…本能で危険を察知しましたか…しかし…私も…簡単に使ったりはしませんよ…」

ルシファル「……」ブンッ

ド ゴシャアッ!!

エレカ「……!」
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 08:17:18.13 ID:ANZ49wSO
ルシファル「……」スタスタ

エレカ「はーっ…はーっ…!」

ルシファル「私の目的は…」グイッ

ルシファル「娘たちの奪還と兵器復活の阻止。このどちらかが果たされない内は…」

ルシファル「攻撃をやめない」シュッ

グシャッ

エレカ「……がはっ」バタタ

ルシファル「…傷が開いたようだな…」

エレカ「あなたの娘にやられた傷がね……ふふ…まるで私刑だ…」

ルシファル「同じようなものだ」シュッ

エレカ「……雷門」ガキャア

ルシファル「盾など非力…」ゴッ

バキィン!!

エレカ「……っ!」ザザア

エレカ(雷門がガラスのように…)

……バラバラバラ

エレカ「……!」

エレカ「そうか。そうだったな…」ユラァ
773 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 08:35:55.76 ID:ANZ49wSO
ルシファル「まだ立つか…」

エレカ「これが最後の一撃になりそうだ…」スッ

エレカ「…豪雷(ゴウライ)!」

ドシャアアアアアアアアン!!!

ルシファル「…憑依状態なら…触れずとも弾ける…」ズズズズズ

エレカ(まるで雨のように、雷が彼の手から弾かれている…)

エレカ(手は傘か。なら…)

エレカ「魔翌雷の獅子(ライ・ライガー)!!」

バリバリバリバリバリ!!!

ルシファル「……!」

エレカ「こいつは傘じゃ防げない!」

ルシファル「……」

ズオッ……!!

エレカ「…これは…!」

ゴシャアアアアアアアアン!!!!
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 08:38:04.26 ID:ANZ49wSO
ルシファル「……」

ルシファル(片腕だけとはいえ…具象化させられたか…)

ルシファル「……しかし」

バラバラバラバラバラバラ

エレカ「……」

ルシファル「…最初から、『それ』で逃げるが目的だったのか?」

エレカ「…いえ。このヘリコプターは、予定通りに、ここにやってきただけですよ…青の城からね」

ルシファル「…最後の一撃は…壁を破壊し、外のヘリに移るためのものだったのか?」

エレカ「ええ。ですがあなたの反撃があまりに強大すぎたので、出口はさらに広がってしまいました。ありがとうございます」

ルシファル「……」ギリッ

バラバラバラバラバラ

エレカ「では失礼」バタン

ルシファル「逃がさない」シュッ


エレカ「…シェアリ!」

シェアリ「ああ…もう!!」バッ

シェアリ「『バイ・セカンド』清なる泉水の女神(ラクス・アクア・ディオサ)…」

シェアリ「大海の王蛇(リヴァイアサン)!」バッ

ドギュウウオオオオン!!!

ルシファル「なにっ…!」

ドゴォオオオン!!
775 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 08:41:38.69 ID:ANZ49wSO
エレカ「ずぼらなことせずに、素直に具象化を使えばよかったのに…」

シェアリ「エレカ!いくら何でもヘリの中からこんな技を打つなんて…」

エレカ「操縦士(パイロット)!早く!」

操縦士「はっ!」

バラバラバラバラバラバラバラバラ…

ルシファル「ぐ…待て…!」ズキンッ

ババババババババ…

ルシファル「……」ギリッ

ルシファル「水圧に押された城壁の欠片…憑依状態では捌ききれなかったか…」

ルシファル「黒無導か、もう『一瞬』だけ具象化させていれば…!」グッ

ルシファル「……エレカ・グローク・アステリス…彼女を仕留める最後のチャンスを逃してしまったな」

ルシファル「だがクロノたちは連れ返せる…」ザッ

ルシファル「……」

ルシファル「あとは、シャル。…どうか、死なないでくれ」


ルシファルとエレカとの戦いで、黄の城への被害は拡大

具象化された、「悪魔神」の腕のたったの一振りは

エレカのいた「階」の外側の壁をすべて粉砕していた…
776 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 09:01:18.44 ID:ANZ49wSO
ヘリコプター内

ババババババババ……

シェアリ「エレカ…アナタ本気であの方に勝とうとしましたの?」

エレカ「いや…勝てる気はしてなかった。でも『衰え』は見えつつあるんじゃないかな、って」

シェアリ「…実際、どうでしたの…?」

エレカ「肉体的な衰え…例えば、最後の君の一撃に怯んだり…そういうところはあったようだけど」

エレカ「能力は健在だ。黒無導(クロムロード)と『バイ・セカンド』悪魔神- TheoS=DiaboloS -」

シェアリ「…ワタクシが来るのが遅かったら、死んでましたわね」

エレカ「あはは。そうだろうね」

シェアリ「…それに、もしもこれでワタクシが地獄兵器を持ってこなかったら、最後の一撃を打てずにアナタを死なせてましたわ」

エレカ「それもそうだよね。でも、よく『水瓶』を運んでこれたね」

シェアリ「地獄兵器を持ってこいと言ったのはアナタですわ。鍵として使うはずでしたのに…」

エレカ「……」

エレカ「兵器復活は、延長だ」

シェアリ「……まぁ、あんな目に遭った後じゃ、無理もありませんわね」

エレカ「うん…」

エレカ「あ、シェアリ、これ、どこに向かって飛んでるの?」

シェアリ「ワタクシの城ですわ」

エレカ「よくこの吹雪の中飛ばせたね」

シェアリ「だからそれもアナタが無理を言って…」

エレカ「…ありがとう。ついでなんだけど、青の城で治療を受けたい。いいかな」

シェアリ「腕なんて、明らかにおかしな方向を向いてますのに、痛くありませんの?」

エレカ「もう、痛みが麻痺してきてるよ。ははは」

シェアリ「笑い事じゃありませんわ!操縦士、早く!」

操縦士「ら、了解(ラジャー)!」

エレカ(さて、ここからが重要だな…)
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 09:16:29.34 ID:ANZ49wSO
ルシファル・ヴィーノ・トリアンテ ?歳
テンコたちの父親

テンコが6歳のときから5年間、その圧倒的な力を持って魔王として地獄を支配していた(王族以外が魔王になった、唯一の例)
それ以前は流刑地(デッド・エリア)の看守長として、やはり圧倒的な力の持ち主として恐れられていた

地獄兵器:漆黒の指輪
能力:黒無導(クロムロード)
空間に黒い穴を開け、あらゆる攻撃を飲み込む(飲み込んだ先は『無』であり、要するにその攻撃は「なくなって」しまう)

『バイ・セカンド』悪 魔 神 - TheoS=DiaboloS -
黒い闇から恐ろしい姿をした悪魔を出現させ、あらゆるものを蹂躙し尽くす『具象化』と
肉体と同化させ、凄まじい力を得る『憑依状態』の、二つの使い方がある(前者はあまりにも規模が大きすぎるため、仮に使われても出現するのは「腕」などの一部分だけである)

エレカの『雷の力』、クレアの『炎の力』、シェアリの『水の力』と同じく、鍵に込められた『神の力』として、代々継がれてきた能力(テンコたちは継いでいないので、ルシファルが最後の代になる)
しかし決して他の三つと同列にあるわけではなく、それらを遥かに凌駕している
おそらく、地獄史始まって以来ずっと、『最強』の攻撃型『バイ・セカンド』と称されるほどである
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 09:18:24.13 ID:ANZ49wSO
うわああああやばいよやばいよ
間違いなく>>1000埋まらないよ
それどころか>>900行くかも分からないよ
そもそも第三章の内容ほとんど考えてないよおおおおお

と、若干焦り気味ですが、今日はここまでにします…
779 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 09:52:08.20 ID:UdODkB20
朝投下おつ
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:36:40.96 ID:nk360Wc0
乙です。
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:50:02.33 ID:ANZ49wSO
×魔翌翌翌雷の獅子
〇魔翌雷の獅子

一体なぜ「翌」の字が入ったのか分かりませんが、ミスです
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:51:00.67 ID:ANZ49wSO
え?なんで翌って入ってるの?

魔翌雷の獅子
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:51:25.24 ID:ANZ49wSO
魔 雷の獅子 ?
784 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 11:51:48.38 ID:ANZ49wSO
失礼しました

なんだ翌翌翌翌翌って
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 12:22:29.82 ID:UdODkB20
パー速の仕様でなってしまうらしい
メ欄に saga で回避できるみたい
786 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/08/28(土) 12:27:39.07 ID:ANZ49wSO
どれどれ
魔雷の獅子
787 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 12:28:13.56 ID:ANZ49wSO
できた!
もうデフォルトでsagaにしようかな
788 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 12:43:40.18 ID:fZPHRVYo
sage saga でさげながらパー速の機能回避
789 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/28(土) 12:49:48.62 ID:ANZ49wSO
これだッッッ
790 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 22:09:26.83 ID:oRo/dUDO
朝に投下とか、見逃してた…orz
何はともあれ、1乙です〜。
791 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/29(日) 20:16:57.15 ID:aFsYTYSO
携帯の電池が死にました
新電池入荷までに最大1週間かかるらしく、つまりその間は書けなくなりました

もしPCで書けたら、書くようにします
ここまで来て本当に申し訳ありません
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 21:56:43.52 ID:Nxviqt20
把握した
793 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/29(日) 22:12:59.88 ID:aFsYTYSO
こんなこと自分の口から言っていいのか分かりませんが、お願い(のようなもの)があります

皆さんに、少し「雑談」でもして、レスを稼いでほしいんです

単純にこの話について皆さんが思ってくださることでも構いませんし、何なら「あのSSが面白いよ」なんて話でも構いません

…このままじゃ>>1000まで行かない気がするのです
せめて、>>800ちょっとまで、稼いでくれたらありがたいです
もちろん自分も、できるだけ早く復帰したいと思っておりますが、ほんのしばらくだけ、お願いします
794 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 01:03:16.03 ID:3RwWV6DO
1に何レス位残しとけばいいの?
795 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 07:18:11.47 ID:ZVwC92AO
一週間か……長いな
796 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 08:38:17.26 ID:myXk0.SO
何度もすみません
まだ書けそうです!
797 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 09:28:54.30 ID:myXk0.SO
兵士「」

ルシファル「……」スタスタ

兵士「」

ルシファル「……すまないが」ピタッ

兵士「…!」ビクッ

ルシファル「私の娘たちがどこにいるか知ってるか?」

兵士「あ…あの、部屋に…い、います…」ガクガク

ルシファル「ありがとう」スタスタ

兵士「……」ガクッ

兵士(腰抜けた…な、なんだよ、この人…『本当に』強いんじゃねーか…!)

兵士(また死んだフリしとこう)バタッ


ルシファル「ここか……」スッ

ガチャ……

…ン

クロ「……」

イン「……」

シロ「……」

ルシファル「……!」

ルシファル(…酷い怪我をしているな。治療も不完全だ)

ルシファル「……」パチッ

ルシファル「私だ……ああ、外からも見えたろう。奴には逃げられた…が」

ルシファル「…3人は発見した。すぐに連れて帰るから、手伝ってくれ」

ルシファル「ああ、頼む」パチッ

ルシファル「……」

ルシファル「…すまない…三人とも」ギリッ
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:01:05.55 ID:myXk0.SO
余談ではあるが

単身で黄の城に乗り込み

何の妨げも受けずに外に出てこられたのは

おそらくこのルシファルだけである


ルシファルの城

部下「…ルシファル様!」ダッ

ルシファル「ああ…私は問題ない…それより彼女らを」スッ

側近「早く医務室へ運んでくれ!」

部下「は、はいっ!担架持ってこい、担架!」バタバタ

ルシファル「……」

側近「る、ルシファル様…その」

ルシファル「分かっているさ、シルク」

側近「…申し訳ありません」

ルシファル「…娘をなくして、哀しくなれないほど、私も非情ではない…」

ルシファル「だが、クロも、インも、シロも、連れ返すことができた」

側近「…何よりですね」
799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:04:13.59 ID:myXk0.SO
ルシファル「それに…」

ルシファル「奴に重圧(プレッシャー)を与えてやれたのは、大きいだろう」

側近「…計画を遅らせることができた、と…?」

ルシファル「ああ…」

側近「しかし…ルシファル様、なぜあなたほどのお方が、彼女一人仕留めることができなかったのですか」

ルシファル「……そうだな」

ルシファル「戦いというのは何も、力だけで決まるものじゃない」

ルシファル「今回は彼女のその主張が、私に勝っただけだ」

側近「…いわゆる…運、ですか」

ルシファル「ああ…そうだ」

側近「……持って生まれた能力に、カリスマ性」

側近「加えて運が味方をしたのなら、さすがにあなたも分が悪いかもしれませんね…」

ルシファル「…それは、慰めているのか?皮肉っているのか?」

側近「皮肉っているつもりはありませんが」

側近「惜しいことをした、とは」

ルシファル「…それも、分かっているさ」

側近「…では、失礼します」

バタン

ルシファル「……次は、天使…特に『九階位』との接触をなんとかしなくてはならないな…」
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:30:58.07 ID:myXk0.SO
19:12 雪山

第五班兵士「……」ザク…ザク…

第五班兵士「……」ザク…

ビュオオオオオオオ…

第五班兵士「すごい吹雪だ…これは久々の大当たりだな…」

第五班兵士「もう少し…進むか…」ザク…ザク…

ザク…ザク…ザク……


第五班兵士「…っ…!?」ピタッ

第五班兵士「な…なんだ…これは…」

第五班兵士「大木…!?この何もない雪山に、なんでこんなものが…」

第五班兵士「しかもよく見たら…葉が『真っ赤』じゃないか…」

第五班兵士「…真っ赤な木、か。気味悪いな…」

第五班兵士「……よし、決めた!」

第五班兵士「…『コイツ』はここに置いていこう…」ドサッ
801 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:32:11.60 ID:myXk0.SO
ジジジィ……

ガバァ

転「……」

第五班兵士「…ふん。気絶してるのか、もう死んでるのか…分かりゃしないな…」

ゴロン

転「……」

第五班兵士「…いいか?どうせ聞こえやしないんだろうが、言っておく」

第五班兵士「この雪山は…それはそれは広大だ。お前のことも、ちょっとやそっとの捜索じゃ見つけられない」

第五班兵士「仮に見つけることができても、既に『凍死体』…」

第五班兵士「悪く思うなよ?エレカ様の命令だからな…」

第五班兵士「…じゃあな、お前の死は、きっと大きく取り上げられるんだろう」

第五班兵士「王族襲撃犯、雪山にて命尽きる!」

第五班兵士「まぁ、こんなものは嘘の内よ」

ドスッ

第五班兵士「……っ?」ヨロッ
802 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:36:13.89 ID:myXk0.SO
第五班兵士(な、何だ…!?)クルッ

転「はーっ…はーっ…はーっ…」

第五班兵士「!?」

転「わた、しを…殺す…だと…?」

転「やっ、てみ、ろ…死ぬの、は…」

転「お前、だ…!」

グシャッ

第五班兵士「!!」ブッ

第五班兵士「…なに…しやがぁ…」ボタボタ

転「殺して、みろ…!」ガシッ

第五班兵士「…!」

ボキッ!!

第五班兵士「は…!!」

第五班兵士「はだ(鼻)がぁああ!」

転「はぁ…はぁ…はぁ…」

第五班兵士「て、てべ(め)ぇえええええええ!!」ガチャ

転「!!」

ドンッ!!

転「……」ゴブッ

第五班兵士「ふ、ふざけやがっでえええええ!」ダンッ! ダンッ!

転「!」ブシュッ

第五班兵士「死ねっ…えええ…」ヨロッ

ドサッ
803 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:40:44.87 ID:myXk0.SO
転「……」

転「死ん、で…たまる、か…」

転「死んで、たまるか…」

転「死んでたまるか!!」

ゴボッ

転「……」ツー

テンコは、今までに見たこともないほど大量の血を吐き出して

赤く染まった雪の上に倒れこんだ


気温は、零下16度


転「……」ドクドク

これが仮に万全の状態の彼女であっても

転「……」ドクドク

耐えられない寒さである


転「……」

やがて、彼女の意識だけが、ゆっくりと遠退き始めていた
804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/30(月) 10:51:41.46 ID:myXk0.SO
転(……)

転(死ぬんだな、私)

転(こんな寒さの中で、しかもこの傷で)

転(生きていられるわけがない)

転(……もう、手足の感覚なんてとっくにないや)

転(まるで、自分の身体じゃないみたいに、重くて…)

転(……)

転(…前にも、あったな。こんなこと)

転(そう、確か)

転(ロキにやられて……)

転(あの時は、雪じゃなくて、雨が降ってた…)

転(……それに)

転(あの時は、一人じゃなかったんだ…)

転(ああ…もう思い出すつもり…なかったのに…)

転(……男さん)

転(あなた私の代わりに、妹たちが無事なのか、見てやってくださいよ)

転(そうじゃないと、浮かばれませんよ、私が…)

転(……あれ)

転(…男さん…それ…)

転(あなたの後ろに誰かいませんか)

転(…こいつは……)


転「…い…」ボソッ

転「……」

転「…」
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/30(月) 16:14:51.63 ID:x8o0XGU0
乙です。
806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 01:29:53.54 ID:zopYpsDO
1乙です〜
807 :>>1からのお知らへ :2010/09/01(水) 21:40:56.37 ID:rRXuNQSO
もう少しで第二章は終わる予定です
すると当然第三章に続くのですが…
ぶっちゃけると、まだ話が半分もできてません
さすがに行き当たりばったりで書くのは無理がありそうなので
しばらく話を考える時間をいただきたいのです
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/01(水) 21:55:45.32 ID:rRXuNQSO
とにかく、今は第二章の残りをなるべく早く書き切るつもりでいますが
そこからすぐに「第三章に続く!」とはならなそうです

そこでお願いがあります、このスレをほんの少しずつ埋めていって欲しいのです
少し前に雑談云々と話しましたが、それのことです(電池はまだ死にかけのまま、結局PC更新はキツそう…)

いつ、第三章を書けるか分からない状態で、いつまでもこのスレを残しておくわけにはいかないと思います
もちろん、数日で第三章の話が組み上がれば、もう残り少ないこのスレを使って途中まで書くつもりですが、正直このままでは数日かかっても手が出せない気がしてます

要するに「>>1が戻ってくるまで、雑談等でこのスレを少しずつ埋めていって欲しい」んです
おそらく、50スレも残ってれば、話が浮かんでなくても「とりあえず新スレだけたてる」とかいろいろ報告が出来そうなので、最低でもそれくらいは残して欲しい(そんなに雑談盛り上がらないと思うけど)
自分はちょくちょく顔は出すつもりです。最悪、悩みに悩んだ挙げ句、見切り発車な感じで第三章を書き始めるかもしれません

ですが、必ず第三章を書くこと、そしてもちろん完結させることは約束します
そして、どんなに長くとも、一ヵ月以内には書き始めることを約束します
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/01(水) 21:57:45.18 ID:rRXuNQSO
長くなったのでまとめますと、>>1のお願いとしまして、「第三章待ってほしい」「ちょっとずつスレ埋めてほしい」「それでいて若干残しておいてほしい」の3つがあります
この3つをどうか皆さまにご理解していただきたく、今回こんな長ったらしいことを書きました

ちなみに、他のスレで>>1がふざけているのを見ても、どうか咎めないでください
話は考えるんです。ホントに。きっと半分も浮かんでないけど…


そして、普段読んでくださっている皆さんには、本当に感謝しています
また、再開後、よろしくお願いします
810 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 22:37:08.42 ID:AbCsr5s0
テンプレ用意して技募集してみては?
気に入ったのは使うよ!って
811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/01(水) 22:48:44.40 ID:rRXuNQSO
>>810
実はそれもちょっと考えた
第三章の話が決まらないのは、第二章みたいに能力がポンポン出てこないから、って理由が結構デカい

だけど、自分は「SSの内容を少しでも他人に委ねる」ってのが大嫌いで、特に安価とかやってるSS(まぁ似たようなことはちょびっとやったけど)は、好きになれない

どうしようね。正直、スレが盛り上がるならどんどん募集したいけど、今考えてるのと被ったらちょっと嫌だし、考えてる以上にすごいのが出てきたら、なんか悔しいし…
812 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/01(水) 22:54:26.94 ID:rRXuNQSO
まぁ、とりあえずいくつか募集してみようかな?

それであんまり「これじゃもう能力一つも浮かばない…」ってなるようならやめにするし
逆に「アッコさんすげぇ!急にアイデア浮かんだぜ!!」みたいに閃いて、一気に話が出来てくるなら、よりたくさん募集する気になるしね…

テンプレ…用意してみるかなぁ…こういう企画?みたいなのも、スレが盛り上がるんなら取り込むべきなのかな
813 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/01(水) 23:15:03.31 ID:rRXuNQSO
『能力』アイデア募集!

このSSに登場する「能力」のアイデアを募集しています!

[地獄兵器]:〇〇〇〇
あまりにも規模が大きすぎるものはNGです!あくまでも携帯できるものを(ある一部分が携帯できる、という場合は、その一部分についても書いてください)!
実はこれも、キャラのアイデア考える時に生きてくることがあるんです

[通常の能力] 漢字で〇〇〇〇(能力名のルビ。変に凝ったやつだと嬉しいです)
[能力の説明]
出来るだけ細かくお願いします


『バイ・セカンド』 漢字で〇〇〇〇〇(能力名のルビ。かっこよくて、凝ったやつだと嬉しいです)
[能力の説明]
出来るだけ細かくお願いします
あんまり扱いにくいようなチート能力は、なるべくよしてください

能力は二種類ありますが、別にどちらか一つだけでも構いません
ただ、地獄兵器は必ず決めてください

通常の能力と『バイ・セカンド』の違いは、なるべく明確にしましょう
ちなみに、『バイ・セカンド』には
「通常の能力をそのまま発展させた能力」である『レベルアップ』と
「通常の能力とは全く異なる能力」である『シフトチェンジ』があります(設定上)
この辺りも書いていただけるとありがたいです

具体的にどんな技を使えるか、まで書いていただいても構いません
ただ、能力とあまりにかけ離れた技は書かないようにしてください
814 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 23:44:52.40 ID:ON1CEgDO
>>1
能力を考えるにあたって、能力を被らないようにしたいので、今迄に出てきたやつのまとめを作ってくれると嬉しいです
815 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:03:20.11 ID:AKIUF.SO
>>814
抜かりはないぜ!


テンコ >>816
クロ >>817
イン >>818
シロ >>819

ポチ >>666
コヨーテ >>667

エレカ >>820
クレア >>668
ノエル >>669
シェアリ >>670

王族護衛隊隊長・センリ >>197
副隊長・ジーク >>198
囚人・パイタ >>125
ルシファル >>777

第一章より
メイ >>821
ロキ >>822
天使αβγ >>823
816 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:05:40.27 ID:AKIUF.SO
テンコ(シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
18歳 11月14日生まれ 蠍座(スコーピオ) 四姉妹の長女
金髪ポニテの美少女
18になっても一切成長しない貧乳、もはやコンプレックス
上級悪魔のロキを倒したことにより、その名はさらに広がっていた

四つある「兵器の鍵」の最後の一つを「指輪」として継いでいる(ただし『神の力』による能力は継がれていない)

ちなみに和名は「蘭葉 紗瑠」。蘭葉はどうやら日本人である母の名字らしいが、そもそも「蘭葉」が本名であるのかは不明


地獄兵器 鉄製の指輪(四つ目の「兵器の鍵」)
能力:神の見えざる手(インビジブル・ハンド)
見えない手で物体を動かす能力
早さはかなり遅いし、範囲も7〜8m以内と、かなり狭い

『バイ・セカンド』危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)
『引き寄せる力』…好きな物体を手元に持ってこさせる。物体が近くにあれば近くにあるほど、速く手元にやってくる
『弾き飛ばす力』…物体を見えない手で弾き飛ばしたり、浮かせたりする力。車でさえ飛ばすことができる。また、それ自体が壁を削る程度の威力を持つ。

『不可視の力撃(インビジブル・ブレイカー)』…「操る力」そのものを見えない拳(力の塊)として使って、相手を殴る。威力は圧倒的だが、通常の『バイ・セカンド』以上の精神力を消費するため、使用回数に制限がある(現時点では、日に6発が限界。7発使えば、動けなくなってしまう)

体術の実力も非常に高く、おそらくは三人の女王を上回る
817 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:06:18.03 ID:AKIUF.SO
クロ(クロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
15歳 5月20日生まれ 牡牛座(タウロス) 四姉妹の次女
黒髪ロングの貧乳美少女
二年前よりも遥かに強くなり、テンコに引けをとらない力の持ち主になる
人質にされたインを救うため、エレカと共にシェアリに立ち向かう、が…


地獄兵器 ギター(ピック)
能力:漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)
背中から黒い翼を生やし、自由に飛び回る
精神力の度合いにより、翼をさらに大きくすることができるようになった

『バイ・セカンド』黒き胡蝶の舞い(バタフライズ・ダーティ・エフェクト)
翼を6枚に増やす能力。他人に翼を「貸す」こともできる
クロが翼の動きを操る「マニュアル」と、翼の主の意思で動く「オート」と、二種類のモードが存在する(ただしオートモードはマニュアルと比べて自由度が少ない)

『黒羽射撃(ブラック・バレット)』…羽を弾丸のように飛ばす
『黒羽風奏(ブラック・シルフィ)』…翼を羽ばたかせ発生した風圧で相手の攻撃を押し返す
『黒羽創剣(ブラック・スライサー)』…翼を腕に纏わせ、剣として使う
『漆黒の流星(シューティング・ジェット・ブラック)』…空高くから急降下して、羽を体ごとドリルのように回転させながら相手に突っ込む、クロの必殺技
他にも多彩な攻撃方法を持つ
818 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:08:45.00 ID:AKIUF.SO
イン(レイン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
12歳 6月16日生まれ 双子座(ジェミニ) 四姉妹の三女
心優しいボクっ娘
相変わらずシロが大好きで、姉としての自覚も増した
シェアリにより人質にされてしまうが、地獄兵器の傘なしに『バイ・セカンド』を使うという驚愕の荒技を見せ、自ら脱出を謀るが…

地獄兵器 傘
能力:移り気な天気予報(レイニー・ブルー)
一日につき一度だけ、天候を自由に変えることができる
『バイ・セカンド』憂鬱な天の支配者(バニシング・ゲリラ・ストーム)
自分の周囲300mの気温、湿度を自由に変えたり、風を自由に起こし、天候を変える能力。インが動くと気候のエリアも動く。回数制限はなし
そこから生み出される本物の「落雷」はエレカのそれさえも上回る威力を持つ
819 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:09:50.39 ID:AKIUF.SO
シロ(シロン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
8歳 3月23日生まれ 牡羊座(アリエス) 四姉妹の四女
二年前と比べかなり成長したが、相変わらず姉たちには甘えん坊
好物のツナを食べる頻度が三日に一度に減ったらしい
クレアにより人質にされてしまう

地獄兵器 子箱
能力:溢れる記憶の泉(ディープ・イン・トゥ・ザ・ナイト)
自分の好きな記憶をいくつでも保存でき、忘れないようにできる
『バイ・セカンド』恐怖(幸福)の再記体験(ネガティブ(ポジティブ)・フラッシュ・バック)
触れた相手の記憶を読み取る能力。そして相手にとって恐怖(幸福も可能)の対象である記憶をそのまま呼び起こし、相手に精神的なダメージを負わせることができる
820 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:15:56.09 ID:AKIUF.SO
エレカ(エレカ・グロード・アステリス)
18歳 10月9日生まれ 天秤座(ライブラ)
黄の城(chateau jaune シャトー・ジョーヌ)の女王
黄髪(金髪と大差ない)ロングの美少女。三人の中では最も貧乳(それでもテンコよりずっとマシ)

魔王マグナの娘であり、次期魔王の最有力候補

テンコに一方的な好意を抱いているらしい(いわゆる「百合」とは違うらしい)

三人の女王の中では最も強いと言われているが、本人はそう思っていない
しかし、カリスマ性においては二人を圧倒的に上回り、加えて、かなりの強運の持ち主でもある


地獄兵器 金の髪留め(四つの「兵器の鍵」の一つ)
能力:中央電波網(センター・ラジオワーク)エレカを中心とした半径50km以内に電波網を張り巡らせ、自由に会話などを傍受できる能力

『バイ・セカンド』雷神の裁き(ライトニング・パニッシャー)
全身のあらゆる箇所から放電する能力
シンプルだが、威力は最大クラスである
『落雷(ラクライ)』…指定した箇所に雷を落とす
『豪雷(ゴウライ)』…指定した箇所に力を集中させた巨大な雷を落とす
『雷門(ライモン)』…指定した箇所に雷の口が出現し、上下から相手の攻撃を砕く盾になる
『雷槍(ライソウ)』…手のひらから発生させた雷(『雷閃(ライセン)』)の形を変え、槍を作り出す
『雷槍・螺旋(ライソウ・ラセン)』…二本の雷槍を捻り合わせたもので、「抉る力」に特化している
『雷神槍(ライジンソウ)』…『雷槍・螺旋』を完全に融合させ、一つの槍に変えたもので、威力、速さ共に通常の『雷槍』を遥かに上回る。エレカの最強の武器
『魔雷の獅子(ライ・ライガー)』…雷のたてがみを纏った巨大な獅子で相手を襲う奥義

ちなみに、全身から電撃を発することができると言っても、唯一背中からは発電ができない
もし背中を攻撃された場合は、とっさに雷槍を出現させて防がなくてはならない(雷門=盾も、背中には出せない)。つまりエレカ唯一の弱点である
821 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:18:42.79 ID:AKIUF.SO
メイ(シルバ・メイズ・グローキシリア:本名)/(シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバ:メイド後)
第一章に登場
18歳 メイド
身長166cm 体重47kg
地獄兵器 縦笛
能力:天なる魔笛の呼び声(パイド・パイパー)
笛を吹くことで、無数の親衛隊を呼び出すことができる
ただしメイの意志に反して行動することも多い
『バイ・セカンド』神曲(ディビーナ・コンメディア)
あらゆる天使と悪魔を支配する最強の能力
ただし莫大な精神力を消費する
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:19:25.34 ID:AKIUF.SO
ロキ
6人の上級悪魔(ネオンテーゼ)の一人であり、身体能力を強化された強化型(レア・スタイル)
同時にメイの古くからの知り合いであり、兄代わりだった男

地獄兵器 マント
能力:『バイ・セカンド』無敵の外装(インビンシブル・アームズ)
あらゆる物理攻撃の威力を殺すマント

強化型の肉体強化能力
・超跳躍(ハイジャンプ)
一度のジャンプで、数分は滞空することができ、かつ空中を飛ぶように移動するができる
ただし着地が難しいため、狙った場所から大きく逸れて落ちることが多い

・超速回復(ハイリカバー)
悪魔や天使は元々治癒能力が高いが、それをさらに高めたもの
物理的な外傷ならすぐに消えてしまい、骨折などによる痛みもすぐに引き、また骨そのものの再生スピードも早い
ただし、多量の出血を止めることができなくなった

・超速移動(ハイスピード)
悪魔や天使の元来の移動速度をさらに速くした移動法で、瞬時に10m移動することさえできる(プロの陸上選手とは違い、ほぼノーモーションで動くため、瞬間移動に見せ掛けることもできる)
ただし肉体的に連続使用は難しく、停止するためのブレーキがうまく効かないことがある

・超速反応(ハイリアクション)
悪魔や天使は元々反応速度が速く、テンコなどは意識を集中させることによりさらに速く反応することができる
しかし強化型は常にそのスピードで物を捉え、それに対しての超速移動を行うことができる


強化型の弱点は、長時間の戦闘を不得意とするところと、耐久力が低いというところである
ただし通常の能力を使用する上での精神力は個々によって違う
また、寿命が圧倒的に短い(通常の悪魔は70〜80年だが、強化型は肉体強化を受けてから20年ほど。ただし老化はまったく見られなくなる)
823 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:24:16.79 ID:AKIUF.SO
α 天使
β、γと共にメイが能力によって召喚した天使
3人の中ではリーダー格

能力:剣の帝(ハート・オブ・ソード)
全身から自由に剣を出現させる能力
剣の切れ味は非常に高く、電柱や塀を簡単に切り刻むことができる
ただし剣を飛ばしたりすることはできない


β 天使
α、γと共にメイが能力によって召喚した天使

能力:魔幻の弧光(まげんのアーク)
触れた相手の精神に直接ダメージを与える能力
触れなくても相手が一定の範囲内にいれば、幻覚を見せたり幻聴を聴かせたりすることができる


γ 天使
α、βと共にメイが能力によって召喚した天使
『キシシシ』と特徴的な笑い方をする

能力:鏡からの侵略者(マン・イン・ザ・ミラー)
鏡写しの自分を出現させる能力
出現した分身は本体と全く同じ姿、力、性格だが、意識は別々になっており、二人で違うことを考えたりすることができる
分身は一定量のダメージを受けると消滅し、その際本体は直前に分身が受けたダメージと全く同じダメージを受ける
824 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 00:29:07.49 ID:AKIUF.SO
また何か質問等があったら、明日、受け付けます

話(第二章)の続きは、まだ書けません
おそらく後3日もすれば、再開できると思います…
825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 07:31:39.49 ID:ls2oBMAO
キャラ紹介乙
>>1は貧乳好きなの?
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 08:29:10.80 ID:AKIUF.SO
>>825
そりゃもう大好きです
女の子キャラはだいたいが貧乳キャラです
827 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 21:07:13.09 ID:ls2oBMAO
>>826
なのは(9)とか好き?
828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/02(木) 21:50:04.63 ID:AKIUF.SO
>>827
大嫌いですね
ちょっといろいろありまして…
829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/02(木) 23:06:32.82 ID:ls2oBMAO
>>828
少し……頭冷やそうか……
830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/03(金) 01:21:16.06 ID:gV.QPiQo
スレタイ的に男が主人公だけど期待していいの?
831 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/03(金) 06:03:39.69 ID:NsGopWo0
乙です。
>>807 委細承知
待っている。
832 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/03(金) 07:32:02.77 ID:s0FtPMSO
>>830
うーん…どうだろう…俺にもまだ分からん…

今日電池が手に入る予定なので、再開できそうです
833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/03(金) 23:15:54.17 ID:s0FtPMSO
ケータイ復活しました!今日からはいつもどおりのペースでやれそうです


ただ、相変わらず第三章の話浮かばない…マジでヤバい…

それと、分かっちゃいたけど、一日二日じゃ能力案は出ないか…少し悲しいな、過疎ってつらいよ

というわけで、今から続きを書きます
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/03(金) 23:29:50.16 ID:s0FtPMSO
ルシファルの城(以下『黒の城』)

クロ「……」

クロ「……ん」パチッ

クロ「……!」ガバァッ

クロ「ここ…家(城)の医務室…?」

クロ(なんでこんなところに……)

クロ「……あ」

エレカ『逃がさないよ……』

クロ「…え…」

クロ「エレカッ…!!」ギリッ

ガチャ

クロ「!」クルッ

ルシファル「……起きたね」

クロ「父さま…!」
835 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/03(金) 23:35:08.47 ID:.YqL1IDO
>>1
全く考えて無かったのではないよ
ただ、名前とかが浮かんでこなかったから書き込んで無いだけ
836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/03(金) 23:41:24.15 ID:s0FtPMSO
ルシファル「…何があったか、覚えてるかい」

クロ「……」コクン

ルシファル「話しておくれ。なるべく詳しく…」

クロ「…私……みんなでパーティーに行って」

クロ「その途中で…黄の城の王様が…撃たれたの…」

クロ「…それで…姉さまが犯人扱いされて…」

クロ「インとシロが…連れてかれたの…赤と青の城の、兵士たちに…」

ルシファル「……」

クロ「私は…エレカと一緒に、二人を連れ戻しに行ったわ…」

クロ「そう、エレカ!あいつが私を裏切ったのよ!そして…」

ルシファル「君とイン、そしてシロを手に掛けた」

クロ「……ふ、二人は…?」

ルシファル「……」

ルシファル「シロはすぐに目を覚ました。ほとんど傷もなかったからね」

ルシファル「インは…まだ昏睡状態だ。正直、いつ目覚めるか分からない」

クロ「……!」

ルシファル「傷もそうだけど、何より、精神力を消費しすぎていたんだ」

クロ「…全部、エレカが悪いのよ!」

ルシファル「……」

クロ「あいつが、私たちを酷い目に遭わせて、それで…」

ルシファル「シャルを殺した」
837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/03(金) 23:46:13.18 ID:s0FtPMSO
>>835
それも、分かってはいるんです…悩みますよね、結構


クロ「……え」

クロ「姉…さま…?」

ルシファル「……まだ、遺体を見つけたわけじゃない。ただ」

ルシファル「…私は、間に合わなかった」

クロ「…父さま、何を言ってるの…?」

ルシファル「……」

クロ「姉さまが死んだなんて…嘘よ、ねぇ、死ぬわけないわ、あの姉さまが…」

ルシファル「…すまない。クロ」

クロ「……姉…さま…」ツー

クロ「姉さま…姉さま姉さま姉さま…!」ポロポロ
838 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 00:10:02.76 ID:YpUTFkSO
クロ「姉さま…姉さま…姉さま…」ブツブツ

クロ「姉さま…姉さま…姉…」クラッ

クロ「さ…ま」ドサッ



クロ…クロ…

クロ(……)

起きてください、クロ…

クロ(……)スッ

クロ(……姉さま)

すみません…エレカに勝てませんでした…

クロ(……夢…?)

…でしょうね…たぶん…

クロ(…いいわ。どうせ夢の中なんだから…あなたのこと責めさせてもらうわよ)

……はい…

クロ(…姉さまのバカ)

いきなり、バカって…

クロ(…おっちょこちょいのくせに…無理ばっかりして…)

…否定できませんね……

クロ(そのくせ…頼りになるんだから…)

…頼りにしてくれてたんですか

クロ(当たり前じゃない…!なのにこんなの…あんまりよ…)

……申し訳ないです
839 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 00:14:53.77 ID:YpUTFkSO
クロ(何よ、謝らないでよ!姉さまのバカ!バカ!バカ!!)

クロ(せっかくの黒髪を金髪なんかにして…それに、いつまで経ってもぐーたらな生活…)

クロ(私の、妹の気にもなってみなさいよ…!)

……ごめんなさい

クロ(謝らないでって言ってるの!!…本当に、最悪よ、姉さま…私の胸が小さいのは、絶対に姉さまのせいよ!)

…この期に及んで私を貧乳貧乳とバカにする気ですか

クロ(貧乳なんて、生ぬるいもんじゃないわよ…)

クロ(まな板よ。羽子板よ。かまぼこ板よ!)

……そっ…そこまで言わなくたっていいじゃないですか!

クロ(……でも)

クロ(…大好きだったのよ…姉さま…)

………!

クロ(…ずっと…ずっと…あなたは、どんなにバカでも、怠け者でも、断崖絶壁の胸でも…)

クロ(大好きな、「お姉ちゃん」だったのよ…!)

………

…じゃあ、そんなお姉ちゃんから、一言いいですか…
840 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 00:17:14.73 ID:YpUTFkSO
クロ(…何よ)

…いいですか、クロ…

…諦めないでください

クロ(…何をよ…!)

…それは…きっとすぐに分かりますよ

クロ(……?)

いいですか…クロ…

どんなに…辛い現実があろうと…そこから逃げちゃダメですよ

クロ(…逃げないわよ…もう…)

…絶対に、ですよ

クロ(……もう、あの雷オンナ相手から、イヤってほど逃げたわ…)

…じゃ…もし逃げたら、殴りに行きますからね

クロ(…どこからよ…)

…地獄の…底から…

クロ(……ここが地獄よ。それに…)

クロ(底があるなら、すぐに這い出してくるわよね)

クロ(私の知ってる姉さまなら…)

……ええ、這い出してやりますとも…

…だから、それまで…

クロ(……)

頼みましたよ。妹たちを

クロ(…ええ。約束するわ)

クロ(……)
841 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 00:27:30.90 ID:YpUTFkSO
クロ「……」パチッ

クロ「……やっぱり、夢か」

クロ「…泣くだけなら、誰にでもできるわ…」ゴシゴシ


クロ「でも、あの子たちを守れるのは」

クロ「お姉ちゃんの、私だけ…」

クロ(…見てなさいよ、姉さま)


コンコン

クロ「……誰…?」

ガチャ

シロ「…お姉ちゃん…」ボロボロ

クロ「……シロ」

シロ「…もう、やだよぉ…」ボロボロ

クロ「…寂しいわよね。インが起きなくて、姉さまもいない」

クロ「…シロ…こっちに来て」

シロ「…うん」スタスタ

クロ「……」ギュウッ

シロ「……」

クロ「…大丈夫よ。一緒にいれば、大丈夫…」ナデナデ

シロ「う…ひっく…」

クロ「……心配いらないわ…私がいるもの」

シロ「お姉ちゃん…!」ボロボロ

クロ「……」

クロ(私に、できることは…このくらいしかないわ)

クロ(…でも、今は…このままでいいのよ…)

シロ「うわあああああああん!」
842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 00:40:31.31 ID:YpUTFkSO
シロ「…ぐすっ…」

クロ「……」ポンポン

クロ「…シロ、まだまだちっちゃいと思ってたけど…少し大きくなったわね」

シロ「うん……」

クロ「……いつかあなたも、一人で立ち向かわなきゃならないのよ」

シロ「…なにに…?」

クロ「……」

クロ「最初の相手は、あなた自身」

シロ「…シロ…?」

クロ「…まだ、分からなくてもいいわ。でも」

クロ「生きてる限り、あなたの周りには敵が現れるわ」

シロ「てき…」

クロ「…強くなりなさい。トリアンテの名に恥じぬように…私たちよりも、強く、強く…」

シロ「……」

クロ「自分自身に打ち勝つ強さ。それを手に入れなさい!」

シロ「自分自身に……」

クロ「いいわね?」

シロ「…うん!」

クロ「…行きましょう。インのところへ。きっと、あの子も、もうしばらくしたら目を覚ますわよ」

シロ「…ほんと!?」

クロ「ええ…あなたが起きてほしいと、強く思えば思うほど、ね」

シロ「……うん!」ニコッ
843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 00:42:37.49 ID:B8KXUkDO
>>1
考えてたのは「重力を操る」「風を操る」「精神力を弾丸にして撃つ」「空間から剣を取り出す」とかなんだけどね…
844 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 01:25:27.28 ID:YpUTFkSO
>>843
風、剣は危ない!だって使うもん!
重力はカッコいいけど、難しそうだな
精神力の弾丸ってのはすごくいいと思いますよ


クロ「……ここね」

シロ「……」コクン

クロ「…そういえば、私、どのくらい眠っていたの…?」

シロ「…えっと…」

シロ「2日くらい…?」

クロ「2日も…!?」

シロ「うん」

クロ「……ごめんなさい、シロ」

シロ「なんであやまるの…?」

クロ「……」

シロ「早く、入ろうよ」

クロ「そ、そうだったわね…」

ガチャ

クロ「イン、そろそろ起きなさい。あなたも寝過…」


イン「………」

クロ「ぎ…!?」

シロ「……あ」
845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 01:28:59.27 ID:YpUTFkSO
クロ「ほ、ホントに起きてたの…!」

イン「……?」

シロ「お…お姉ちゃん!お姉ちゃん!」ギュウッ

イン「……!」

シロ「お姉ちゃんお姉ちゃん!」

イン「………」ボーッ

クロ「…イン…?」

イン「……あの」

シロ「……?」




イン「君、誰…?」
846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/04(土) 01:32:26.92 ID:YpUTFkSO
今日はここまでにします
第二章も次(か、その次?)で終わるはずです

第三章までしばらく書けなくなりますが、その間に皆さまどうか、>>843みたいな漠然としたアイデアでも晒して、このスレを盛り上げてやってください…
847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 01:40:05.22 ID:B8KXUkDO
おぉ〜、1に褒められたどー

1乙〜、俺も頑張ってアイデア考えとくね〜
848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 07:34:31.45 ID:fTea7oAO
乙〜
でも、アイディアが出て来ない……
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 19:34:50.36 ID:.8iN8EDO
>>1
「光と闇を操る」「何かを召喚する」「精神力を『力』に変換する」「引力と斥力を操る」とかはどう?
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/05(日) 21:43:54.49 ID:D.Y86kSO
>>849
「光と闇を操る」→壮絶なチート能力の予感!使い方は発想力次第だけど、かなり難しそう

「何かを召喚する」→悪魔神がそれに近いかも…でも具体的な生き物を出したりする能力はまだないな…

「精神力を『力』に変換する」→テンコの見えない力はこれの一種だぜ!

「引力と斥力を操る」→斥力はノエルが使ってるけど、引力なら…

重力と引力は使えるかも知れません。つーか使いそう
ただ重力っつーと、盤古幡の「重力万倍!」しかイメージできないんだ…よっぽどの強キャラじゃないと使えないな

まだまだアイデアは募集してます!
もう「具体的な能力名とか浮かばない!」って人は「こんな感じの能力を」で構いません!
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 21:45:40.43 ID:D.Y86kSO
さて、では第二章ラスト…書きます
ラストっつっても、モロ「まだ続きます!」な感じだから、あんまり感慨深さはないかも…
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:06:18.64 ID:D.Y86kSO
医者「まぁ…何と言いますかな…私もこの城で長いこと医師をやっておりますが…」

医師「……記憶を喪失した患者を見るのは、これが初めてですな」

シロ「……き」

クロ「記憶…喪失…?」

ルシファル「…原因は、分かっているのですか」

医者「そりゃあ…思い当たる節はいろいろあるでしょう…」パラ…

医者「精神力の著しい消費…能力の酷使…肉体が受けたダメージ…」パラパラ…

医者「何より、決定的なのは…」

医者「……雷によるショック。これでしょうな」

ルシファル「……」

医者「いくら能力によるものとは言えど…雷なりは雷。本来ならとても耐えられるものじゃありゃあせん」

医者「それをあんた…二発三発と直に受ければ、記憶の一つや二つ、失ってもおかしくはないでしょう」

シロ「……」


エレカ『じゃあね…』パリッ

バリバリバリバリバリ!!!!!

イン『……!』


シロ「い…いや…」ヨロヨロ

クロ「……シロ…?」

シロ「いや、いや…」

シロ「いやっ!」ダッ

クロ「!…シロ!」クルッ

ガシッ

ルシファル「……まだ、聞くんだ。クロ」

クロ「…父さま」

ルシファル「…先生、続きを」
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:08:41.75 ID:D.Y86kSO
医者「……」

医者「…とりあえず、意識が戻って、『記憶喪失だと判明した』…これは良いことですな」

クロ「どういうことよ!」

医者「ああ、いや…記憶喪失であること自体は決して喜んだりはできない…ですが」

医者「記憶喪失だと分かり、さらに彼女と対話できる状態にまでなったのだから、手を打つことはそう難しくないのです」

クロ「……」

ルシファル「手を打つ、とは」

医者「…とにかく、徹底的な身体検査を行い、他に異常が見られないかを…」

ルシファル「そうじゃない!」

医者「っ!!!」ビクゥッ

ルシファル「……失礼しました、先生…私が聞きたいのは…」

医者「い…いえ…分かっております…私もなるべく答えたくなかったのです」

ルシファル「…なら、娘の記憶は…」

医者「……おそらく、この世に存在する、すべての医師に同じ問いをしても、こう答えるでしょう」

医者「…『記憶は医療では取り戻せない』、と」

ルシファル「……」

ルシファル「…そうでしょう。そうでしょうね」

医者「……私には、どうすることもできんのです」

クロ「………」
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:12:58.11 ID:D.Y86kSO
バタン…

ルシファル「……」

クロ「……」

ルシファル「……」

クロ「……」

ルシファル「…クロ」

クロ「…なに」

ルシファル「…お前の目に、今の私はどう映っている?」

クロ「……」

クロ「…見た目は、いつもの父さまよ」

ルシファル「……そうか」

クロ「でも…」

クロ「心に、影が差してるわ」

ルシファル「……そうか」

クロ「……」

ルシファル「私は、部屋に戻る…」

クロ「ええ…」


クロ「…記憶、喪失」

クロ「……夢ならいいのに」
855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:20:03.02 ID:D.Y86kSO
クロ「……」スタスタ

クロ「シロの部屋…」

シロ『いやっ!』ダッ

クロ「……」スッ

…ぐすっ…お姉ちゃん…お姉ちゃん……

クロ「……」ピタッ

クロ「……」

クロ「……」ギリッ

クロ「私だって…泣きたいわよ…!」



イン「………」

イン「………」パチッ

イン「………」ムクッ

イン「…僕は…誰なんだろう」

イン「やっぱり、思い出せないや…」

コンコン

イン「!」

ガチャ

医者「…起きてたか。今から、君の身体を検査するぞ…」

イン「…はい」

イン(どうして、検査をするの?)

イン(僕はどうして、ここにいるの?)

イン(ここはどこ?)

イン(君は…)スッ

クロ「……」ポロポロ

イン(……誰?)
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:29:11.89 ID:D.Y86kSO
ルシファル「………」

ルシファル「………」

ドンドン!

ルシファル「……誰だ」

シルク(ルシファルの側近)「ルシファル様!大変です!」ガチャ

ルシファル「…ああ、大変だよ…本当に」

シルク「い、イン様のこともそうですが…それじゃありません!」

ルシファル「……他に何がある…?」

シルク「テレビをご覧ください!」

ルシファル「…テレビ」

ピッ

『事件から三日、こちら黄の城では間もなく、エレカ様による重大な発表が…』

ルシファル「……まさか」

シルク「疑いようがありません…!」

『……あっ!出てきました!エレカ様です!』

『…今回はスーツではないようですが…』

シルク「…この衣装は…」

ルシファル「……マグナから『奪い取った』か…」

『あれは、「魔王」の…!!』


エレカ『………地獄の皆さま、ごきげんよう…エレカ・グロード・アステリス…』

エレカ『この地獄の新たな魔王です。どうぞよろしく』


シルク「ほ、本当に…言った…」

ルシファル「………」

ルシファル「…悪夢だな」
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:45:28.07 ID:D.Y86kSO
黄の王、マグナは、助からなかった

その娘、エレカは、「宣言通り」新たな魔王になった


その報は、地獄を大きく揺れ動かした
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:48:52.19 ID:D.Y86kSO
某所

?1「おいおい…エレカが魔王になったってよ」

?2「信じられないな…」

?3「なんだ…お前ら聞いてないのか?」

?1「…ゼクトさん!?」

?2「聞いてない、って、何のことですか…?」

ゼクト「…王様襲撃前の、エレカの演説」

?1「演説…?」

?4「ああ、知ってるよ…『私が魔王を継ぎます』みたいなやつだったかね…」

?2「シオン先生!」

ゼクト「おいおい先生…こんなとこで油売ってていいのか?」

シオン「さすがに四六時中患者に張りついてるわけにはいかないからね」

?1「そ、その宣言って本当なんですか…」

ゼクト「ああ、本当だ。で、その通りになった」

?2「マジかよ…ってことは…」

シオント「真っ先に『エレカが何かしたに違いない』と疑うべきだね」

ゼクト「ところが一般悪魔(パンピー)共はそうしない。なぜだか分かるか?」

?2「…カリスマ?」

ゼクト「そう。それだ」

シオン「馬鹿馬鹿しい話だとワタシは思うがね」

ゼクト「シオン先生のカリスマもたいしたモンだと思うけどな」

シオン「一人で言ってな…」スタスタ

ゼクト「機嫌悪くさせちまったかな…患者の娘、大丈夫なのか?」

?1「娘?」
?2「女ですかい」

ゼクト「ああ…超有名人だぜ」
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 22:58:06.09 ID:D.Y86kSO
そして、動いたのは地獄だけでなく…


天国

天使1「……ふーん。ついにあのジジイ共も席を空けたか」

天使2「エレカってのは…強いのか?」

天使3「ひょっとしたら、攻め込むチャンスかもなぁ」

天使4「バーカ、俺らじゃ何もできねぇよ」

天使2「あ、そういや俺、こないだ戦闘天使(ファイティング・エンジェルズ)見かけたぜ」

天使3「武装天使(アームド・エンジェルズ)じゃなくて?」

天使2「その二つじゃ差がありすぎんだよ!あ、あと、あれもいたな…」

天使1「?」


天使2「四大天使の…ありゃ誰だったかな…」

天使3「四大天使?それはさすがに冗談だろ?」

天使2「いやいや、マジだって!」

天使3「だってあの方々は、し…」 

天使4「それ以上は止めとけよ…俺らにゃ無縁な世界だ」

天使3「……だよなぁ」

天使1「でも一度、お会いしたいよなぁ…」

天使2「迫力で死んじまうぜ!俺なんて四大天使の…誰だったかな」

天使3「それすっげー気になる!早く思い出せよ!」

天使2「誰だったかなぁ…」
860 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 23:05:22.74 ID:D.Y86kSO
そして、この騒動とは無関係な、地では…



人間界

〜♪

男「ん…?」パチッ

男「…知らない番号だな…誰からだ?」ピッ

男「もしもし?」

男「は…病院…?」

男「え……」


男「…お袋が轢かれた!?」


ツー…ツー…ツー…
861 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 23:06:08.73 ID:D.Y86kSO
第二章  完
862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 23:10:23.84 ID:D.Y86kSO
これで第二章は終わりです…結構すいすい書けたと思ったけど、半年かかってたのか…


ちなみに、事件から三日経った、と言うのは

マグナ撃たれる〜エレカ逃亡までがこの話の大筋である「事件」

さらにその二日後、クロが目覚め
その翌日、インが医者に「記憶喪失」認定されて、エレカが魔王になる

これで三日経過です
863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 23:16:05.18 ID:D.Y86kSO
さて、ここからの問題は「第三章を始めるにはまだキツい」ってことですね…展開的に「行き当たりばったり」が通用しないので…

予定通り、しばらく、第三章を書くのはお休みになりそうです…

とりあえずこのスレはまだ残して、自由に感想とか書いてもらえたら嬉しいです

何より、能力募集!始めたからにはいくつか出てくるまでやめられません!
864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 23:18:13.92 ID:.8iN8EDO
>>1
乙&第2章完おめでとう
865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 07:32:03.51 ID:F/q5m.AO

久しぶりに元主人公が……
866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 21:00:50.34 ID:.EhOI5so
地獄兵器 釘
能力:静止する力(フリージング・ムーン)
対象の行動を‘強制終了’させる(無効化ではなく行動を止める)
応用として、自分の動きを止めて、ブレーキとして利用する事も可能
『バイ・セカンド』霧の束縛(フューネラル・フォッグ)
周囲に霧を放ち、その霧に包まれる時にとっていた行動‘以外’の行為を封じる
(歩いていた者は、霧の中では歩く事しか出来なくなる等)
自分の仲間に対しても効果は発生するので、安易には使えない

こんなのでいいのか?
良いのを考えるのは難しいな
技名は直訳じゃなくていいんだよな?
867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/06(月) 21:25:59.09 ID:2dIoJESO
>>866
ついにキタ━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
行動を制限させる能力ですか!
普段ストレートな「攻撃能力」ばっか考えてるから、なかなか面白いと思います!
ビミョーに変えて使うかも!

ただ地獄兵器が釘ってのは…
釘は釘で使うつもりだったから、ここだけは変更することになりますね…

技名はどんなむちゃくちゃな読み方でも、気にしないです
でもこれはいい感じに洒落てて、結構好きな名前だな…

貴重なアイデア、ありがとうございます!
868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 21:39:54.56 ID:.EhOI5so
>>867
(止めるイメージの道具ということで)釘は後から考えたので、好きに変えて下さい
気にいっていただけて嬉しいです
869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 22:52:48.63 ID:MDn71sDO
>>866すげーΣ( ̄□ ̄;|||
俺(843&849)なんかそんなん浮かんでこやんかったし…orz
870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/06(月) 23:03:17.59 ID:2dIoJESO
>>869
いえいえ、自分としてはあなたのようなシンプルなアイデアのほうが使いやすくて好きですよ
でも>>866みたいな少し特殊な能力も、話的には欲しいんです

いつもありがとう
871 :869 [sage]:2010/09/08(水) 02:09:28.81 ID:bOox/oDO
「(ハガレンみたいに)土から剣や槍などを創る」「空間を爆破する」「相手に紐をくっつけそれを切ると紐が導火線となって爆破」「視力や聴力や嗅覚がめっちゃ良くなる」とかは?
872 :869 [sage]:2010/09/08(水) 02:54:16.46 ID:bOox/oDO
「気持ちが安らぐ又は攻撃的になるみたいな旋律を奏でる」「変身する」「相手の技をコピーする」「傷を治したり、精神力を回復させる」とかはどう?
873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/08(水) 06:47:08.26 ID:0q.Sy6SO
なんかいっぱいアイデア出てきましたねぇ…驚きました…ありがとうございます…

土から剣や槍→錬金術は使ってみたいかも
空間を爆破→爆発系はちょっとキツそう
「発破隊」とか出そうと思ったけどひどいギャグだよね
紐切ると導火線→集団が相手じゃ使えない気がする…出すタイミングがなさそうです
視力聴力嗅覚→五覚の進化は面白そう。ただどうしてもサポートに専念するキャラになりそう
旋律を奏でる→すごく使いたい!使いたいけど、よく考えたらあの人の能力が…
変身する→なぜ今まで思い浮かばなかったのか。シンプルだけど面白そう。使う…かも
能力コピー→カービィ乙…って、さすがにチートすぎる気が…
肉体、精神力回復→肉体回復も精神力回復も、一人のキャラにやらせてはただの便利キャラになっちゃうので…それはちょっと嫌なんです
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 08:26:47.45 ID:bOox/oDO
「影を操る」「未来予知」「ある空間とある空間を繋ぐ扉を出す」「相手の攻撃がゆっくりに見える」とかはどう?

能力コピーは『コピーはオリジナルを越えられない』ということでかませ犬のつもりだったのだが…
875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/08(水) 08:34:31.17 ID:0q.Sy6SO
>>874
影を操る…なるほど、これは使える!
未来予知…いろいろ制限を付ければあるいは…
ある空間とある空間を繋ぐ扉を出す…ワープ的なアレか、使いたいけど、この能力だけじゃキャラとして弱いな…
相手の攻撃がゆっくりに見える…未来予知と合わせてキング・クリムゾンッ!!みたいな…wでも使えそう

この四つは全部使えそうです!ありがとうございます!

つーか過疎すぎワロエナイ
876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/11(土) 09:36:27.03 ID:4wRS6Aw0
乙です。
877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 17:27:47.37 ID:1wgJcH60
地獄兵器 指揮棒
能力 能力の調律人(スキル・チューナー)
対象に触れることで触れた相手の能力を解析する。
地獄兵器、性質、基本的な使い方まで知ることができる。
『バイ・セカンド』能力の指揮者(スキル・コンダクター)
対象に触れることで触れた相手の能力を使うことができる。
相手は能力を使われている間も、自分の能力を使うことはできる。
二人以上に触れている場合、二つ以上の能力を同時に使うことができる。

急にスマン
思いついたから書いてみた
邪魔ならスルーしてくれ
       
878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/13(月) 19:49:35.06 ID:K0kSdISO
>>877
指揮棒ってのはなかなかオシャレですな…持ってるだけで様になりそう
でも能力コピーはちょっとなぁ…
自分は「同能力」同士の戦いを上手く書ける気がしないから、極端な噛ませキャラか、はたまたチートキャラのどちらかにしかなれない気がします

能力解析は、あれば便利そう。でも、それに応じた『バイ・セカンド』が浮かばない…それこそコピーの能力を使わざるをえなくなりそうで…

コピー能力、検討します
指揮棒は今すぐ使わせてみたいんですけどね


【報告】
少しずつですが、第三章の内容が浮かんできました
もうしばらくお待ちいただくことになりそうですが、その間はたくさんのアイデアを募集してます
皆さんのアイデアが内容を固めてるんです!
他にも、雑談なんかで盛り上がってくれたら嬉しいです(最近の過疎っぷりは結構ツラい…わざわざageて書かなきゃ人も来ないだろうし)
879 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/16(木) 08:48:53.73 ID:s3/WVYSO
このスレは埋めないで、新スレ建てることにします
たぶんもうあと数日で書けるようになりそうなので…
880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/16(木) 09:36:49.28 ID:dEt4.gDO
了解っす!
次スレもwktkしてます。
881 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 02:25:41.00 ID:BpbM3m2o
地獄兵器 数珠
能力 心眼 オールヴィジョン
目を閉じることで視界が全方向になる

バイセカンド  鬼神の腕 フィアースゴッド
元の腕を含め6本になる。
元の腕以外は見えず力と強度は何倍にも膨れ上がる

イメージは阿修羅
まぁなんかキャラでもイメージしてから作ったほうがやり易いんじゃないかな
被っても設定とかキャラが違ってたら面白いと思うよ
ま、これは男が日本人っぽいしもしかしてこれから戦う?って思って考えてみた
882 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/17(金) 06:43:10.18 ID:hs90kUSO
>>881
ここに来て新アイデア…ありがとう、本当にありがとう(;ω;)

阿修羅ってかっこいいよね
この能力もなんかこう、久々にグッと来た。分かりやすいからかな…
ちょうどこんな感じのキャラがいたので、使うことになりそうです!

あなたの言う通り、既存の何かをイメージしてキャラを作るってのは、確かにやりやすそうですね。タメになります
883 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/19(日) 21:53:46.63 ID:seBpR.SO
新スレたてます
このスレは誘導用に残しておきます
884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/19(日) 22:02:58.01 ID:seBpR.SO
男「お前らは悪魔か?妖精か?」【第三章】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1284901103/


とりあえずHTML化の依頼?が来るまで、このスレは残しておきます
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