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御坂「……嘘、もう売り切れてる」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:21:51.12 ID:xP9N1Q20
スレたつかな? 
たったら、とりあえず書けるとこまで書いてみよう。



御坂美琴は第七学区のとあるショッピングモールにある雑貨店にいた。
今日は祝日で、ショッピングモールの中は、買い物を楽しむ学生たちで溢れかえっている。
混み合うことは予想できたから、わざわざ早起きしてここまで来たというのに目的のものはすでに売りきれだった。

御坂「うぅ〜、学園都市限定・恋愛成就のゲコ太お守りほしかったのにー!」

学園都市限定・恋愛成就のゲコ太お守りを取り扱っているのは、第七学区では美琴が今いるここの雑貨店だけ。

御坂「そもそも、総数50個しかない激レアアイテム。……他の学区の店に行っても、多分売り切れよね」

ゲコ太グッズを収集するコレクターは意外と多い。
なんだかんだでゲコ太とかケロヨンは女の子には愛されているキャラクターだったりする。

御坂「……はぁ」

美琴はため息をついてがっくりと肩を落とすと、雑貨店から出て行った。
 
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 00:25:21.76 ID:hmurN/.0
C
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:27:34.26 ID:xP9N1Q20
御坂「これからどうしよう」

ゲコ太の激レアアイテムを手に入れそこねた美琴のテンションはどん底まで下がっていたが、
常盤台の学生寮からこのショッピングモールはかなり距離がある。
せっかく来たのに、このまま何もせずに帰るのは勿体ない気がするのだ。

御坂「ん〜、アレ以外特に欲しいものはなかったけど、適当にこの中ブラブラしようかな」

御坂「よし、じゃあ手始めにあの店でも見よう」

気分を切り替え、美琴が雑貨店の斜め向かいにある服屋へ入ろうとした時。

打ち止め「あーっ! 前方にお姉様発見!! ってミサカはミサカは驚きつつもお姉様に猛ダッシュッ!!」

御坂「へっ?」

後ろのほうから突然、女の子の大きな声が聞こえてきた。
美琴がビックリして振り返ると、水色のワンピースを着ている少女がこっちに向かって走ってくる。

御坂「えっ!? ちょ、ちょっと、何なのーっ!?」

打ち止め「突撃ー! ってミサカはミサカはお姉様に果敢にもタックルをかましてみたりー!」

御坂「はぁ? アンタ何言って――きゃあぁぁぁっ!!」

水色ワンピースの少女のタックルを腹部に決められた美琴は、そのままバランスを崩してドスン! と尻もちを付いた。
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 00:30:33.22 ID:Mi6fNoDO
スレタイで嘘を売買してるんだと思ってwktkしたのに
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:34:23.98 ID:xP9N1Q20
堅いコンクリートの上に勢いよくぶつけた腰が、きりきりと痛む。

御坂「……痛い。半端なく腰が痛い」

打ち止め「あはははー、勢いが良さすぎたかなってミサカはミサカは乾いた笑いを浮かべてみる」

御坂「……」

美琴は手で腰を擦りながら、無言で水色ワンピースの少女を睨みつける。
「本当に真面目に本気で痛いのよ!!」という恨み節を視線に込めて。

打ち止め「……ちょっとやり過ぎでした、ってミサカはミサカはごめんなさいの意味を込めて、ぺこりと頭を下げてみる」

御坂「ん。ちゃんと『ごめんなさい』出来たわね」

美琴は尻もちついた状態から立ち上がると、しょぼんと垂れている水色ワンピースの少女の頭をぐりぐりと撫でた。

御坂「ショッピングモールが楽しくて気分があがっちゃうのも分かるけど、あんまりハッスルしちゃ駄目よー?」

じと〜っと睨みつけていた顔はキレイさっぱりと消え失せ、美琴は少女に向かってニカッと笑っている。
水色ワンピースの少女は最初目をパチクリとさせていたが、美琴に頭を撫でられるのが嬉しいようで顔が自然とにやついている。

打ち止め「えへへ〜///」

御坂「?」
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:39:21.03 ID:xP9N1Q20
水色ワンピースの少女を改めてよく見てみると、美琴は何故がデジャヴを感じずにはいられなかった。

御坂(あれ? どっかで見たことあるような……?)

見た目は10歳ほどの少女だ。
水色のキャミソールに似たワンピースの上には、男物らしい白いワイシャツを羽織っている。
肩にかかるくらいの茶髪、活発そうな顔立ち、何処かで聞き覚えのある声。
その姿は見れば見るほど、美琴が小学生くらいの時の姿に瓜二つではないだろうか。

御坂(私のこと『お姉様』ってよんでたし。まさか、この子も妹達……?)

御坂美琴とまったく同じ姿をもつ少女達がいる。
『妹達』と呼ばれる彼女たちは、超能力者である美琴のDNAマップを元にして作られた、量産型軍用クローンだ。
彼女たちは現在約10000人ほどが学園都市のみならず、世界中の施設・機関で日々を暮らしている。

美琴が今まで会ったことのある妹達は、見た目が自分とまったく同じだった。
美琴は自分より年下や年上の年齢で作られた妹達には会ったことが無いため、よくよく見るまで気付かなかったのだ。

御坂「ねぇ、もしかして、アンタも妹達だったり……?」

打ち止め「うん、そうだよ。ミサカは検体番号20001号で打ち止めって呼ばれてるんだ! 
     ってミサカはミサカは改めてお姉様にはじめましてってご挨拶!」
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:45:08.21 ID:xP9N1Q20
御坂「ええっと、コーラとアイスで良いのよね?」

打ち止め「イエス、ザッツラーイト! あっ、コレも美味しそう。ねぇねぇお姉様、コレとコレとコレも食べていい?
      ってミサカはミサカはキラキラ上目づかいでおねだりしてみたり」

御坂「あのねぇ、そんなに注文しても食べられないでしょ? 駄ぁ目。却下よ却下。食べられるだけにしなさい」

打ち止め「うぅ〜、お姉様もあの人と同じこと言うんだねってミサカはミサカはぶーたれる」

御坂「はいはい。勝手にぶーたれてなさい」

いつまでもショッピングモールの通路に居るわけにもいかず、美琴と打ち止めは通路脇にあった喫茶店に入ることにした。
携帯電話で時間を確認すればまだ10時を過ぎたばかりで、お昼ごはんにはまだまだ早い。
それなのに打ち止めはコーラとアイスのほかに、先ほどサンドイッチとミックスピザとナポリタンを美琴におねだりした。
全部炭水化物ってどうよ……、と美琴は口にはしないが、心の中で呆れていた。

打ち止め「……むぅ、お姉様もあの人もミサカに手厳しいんだよー……、ってミサカはミサカは小さい声で愚痴ってみたり」

御坂「聞こえてるわよー、打ち止め〜?」

打ち止め「!?」
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:53:26.29 ID:xP9N1Q20
打ち止め「ところで、お姉さまはこのショッピングモールに1人で遊びに来たの? ってミサカはミサカは聞いてみる」

御坂「――あ、遊びに来たっていうか…! か、買い物よ、買い物ッ!」

打ち止め「お買い物だったのね! 何を買いに来たのって、ミサカはミサカはさらに質問してみる」

御坂「ふぇッ!? 何って、その、なんていうか……」

学生寮からものすごく遠いこんな場所まで、わざわざゲコ太グッズを買い漁りに来た美琴。
しかし、中学生にもなってゲコ太グッズ収集に躍起になっていることを、自分から堂々と人に言う勇気はあんまりない。

御坂(中学生にもなってゲコ太って言ったらな〜、この子なんて反応するものやら……。
    いつだったかしら、妹達の1人に「いやいやねーだろ」って私のセンスばっさり一刀両断されてるし……)

まぁ適当に服とか靴って言えばいいか、と打ち止めのほうを見た美琴は一瞬にして固まってしまう。

打ち止め「……」(ジーッ)

ぱっちりとした瞳がこれでもかと開かれて、キラキラと純粋なまなざしで打ち止めは美琴を見つめている。

御坂「……」

打ち止め「……」(ジーッ)

御坂「……………………が、学園都市限定・恋愛成就のゲコ太お守り……」 

嘘偽りない純粋な少女の眼差しに、学園都市第3位の超能力者が負けた瞬間だった。
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 00:56:09.87 ID:8yXWzGEo
しえ
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 01:13:33.21 ID:xP9N1Q20
打ち止め「ゲコ太?」

打ち止めは聞いてもよくわからないといった顔だ。

御坂「知らない? ゲコ太」

打ち止め「うん、ミサカはミサカは知らないって正直に答えてみる」

ゲコ太自体、打ち止めは知らないらしい。
10歳ほどの打ち止めから自分のセンスを笑われることはないと分かり、美琴は内心ホッとした。

打ち止め「あれあれ? でも、恋愛成就のお守りってことは……」

ポンと打ち止めは何かをひらめいたようで、美琴の顔をこれでもかと頬をニヤニヤさせながら見つめている。

御坂「な、何よ……」

打ち止め「お姉様ついにあの人に告白するんだね!! ってミサカはミサカはニヤニヤしながら尋ねてみる」
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 01:15:54.05 ID:xP9N1Q20
御坂「ちょ!? こ、ここ、こ告白って、だ誰があんなお人好しのおせっかいに、告白するってのよ!!?///」

打ち止め「『あの人』としか聞いてませ〜ん」

御坂「ッ!?///」

打ち止め「へ〜、お姉様の想い人は『お人好しのお節介』なんだね。ほほぅ」

御坂「ハァ!!? 何、勝手なこと言ってんのよ!!///」
      
打ち止め「誰かは予測できてるけど、これ以上追求するのは流石に可哀そうなのでこの辺にしておくね、ってミサカはミサカは大人の対応をしてみたり」

美琴が口を金魚のようにパクパクと動かし何とか反論しようとしていた時、店員が先ほど美琴達が注文した物がもって来た。

打ち止め「あ、コーラとアイスきたー♪」

打ち止めはアイスとコーラどちらから手をつけようか迷い、溶けやすいアイスを選んで食べ始めた。
「つめたーい」と言いながら満面の笑みで食べる打ち止めの姿はとても可愛らしい。

御坂「〜〜〜あぁ、もう!」

美琴は動揺した気分を落ち着かせようと、自分が注文した烏龍茶をすごい勢いで飲み干した。
烏龍茶は一瞬で空になり、空いたグラスからカランと氷のぶつかる音が漏れた。
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 01:27:29.53 ID:dpP2jZY0
これは支援
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 01:30:45.38 ID:xP9N1Q20
一旦、書けるとこまで書いてみた。
続きはある程度まとめて書いてから投下します。
今夜はとりあえずここまでです。

14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 01:35:07.41 ID:/UEoWTAP
GEPPERは慌てない
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 01:37:35.15 ID:pdQfOt2o
乙〜
これはほのぼの路線でいくのか?
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 01:38:36.31 ID:e2MYG2.o
とりあえず上条さんと一方さんが出てくればおk
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 01:49:22.93 ID:8yXWzGEo
御坂と妹達の交流に焦点を当てるのもそれはそれで
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 01:52:45.80 ID:X/4GX0Ao
美琴が9970人のご当地ミサカに会いに行くと聞いて
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 01:55:02.99 ID:p94l8gs0
上琴と通行止め4人組の面白さは鉄板だよな…
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 06:05:41.81 ID:aGAcUI2o
ひゃっほう
これは俺の好きなSSの予感!!
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 12:11:40.17 ID:2dLer5Y0
>>1 1 1 1
しえん
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 14:40:39.59 ID:T79W0jEo
支援してやるからさっさと書け書いてください三下ァ
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 16:12:00.11 ID:xP9N1Q20
スレ開いてみたら、支援してくえる人がたくさんいてびっくりしております。
読んでくださっている方も、支援してくださる方もありがとうございます。
前回より内容は短いですが、投下します。
御坂と打ち止めだけの登場ですが、ご勘弁ください。
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 16:13:48.82 ID:xP9N1Q20
ショッピングモールが人で溢れかえっているとは言え、まだお昼にはまだ早い時間帯。
喫茶店で休息している客が美琴と打ち止め以外誰もいないというのが不幸中の幸いかもしれない。
あんなうろたえた姿を知りあいに見られたら軽く[ピーーー]る、と美琴は本気で思った。

御坂(けど、あんな簡単に、こんな小さい子の手のひらで踊らされちゃうなんて……)

この喫茶店のアイスは一見「小さめのパフェか?」と思ってしまうほど大きめで、
「むむ、溶けるまで時間との勝負ー!」と無我夢中にアイスに格闘する打ち止めの姿は年相応にみえる。

御坂(なんか普段は無邪気に振舞いつつ、実は影からうまく男とかを操作するタイプなのかも)

恋愛沙汰に関して初心すぎる自分のことは棚に上げ、
なんとなく美琴は打ち止めのことを将来、末恐ろしい子かも? と考えた。

打ち止め「お姉様、ミサカの顔に何かついてる? 
      そんなにじーっと見られるとちょっと食べにくいかな、なんてミサカはミサカは照れてみる」

御坂「口の周りにびっしりアイスをつけて言うセリフかいっ! ほら、ちょっと顎を上に向けて」

隣の椅子にそんざいに置かれていた学生鞄からポケットティッシュを取り出す。
美琴はそこから数枚を手にとって、打ち止めの口の周りについていたアイスをティッシュで優しく拭ってやった。
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 16:15:16.13 ID:xP9N1Q20
>>24訂正

○ あんなうろたえた姿を知りあいに見られたら本気で凹むわ、と美琴は思った。
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 16:17:16.48 ID:xP9N1Q20
打ち止め「ありがとうー! お姉様っ! ってミサカはミサカは感謝の気持ちを伝えるために
     この美味しいアイスをお姉様にも一口あげてみたり!」
     
手に持っているスプーンでアイスをすくって、打ち止めは美琴の口元へとスプーンを運ぶ。

打ち止め「はい、あーん?」

美琴に世話を焼かれることが、打ち止めにとっては凄い嬉しい事なのだろう。
打ち止めは頬を薄く染め、砂糖菓子のように甘そうな極上の笑みを浮かべている。
首を少し傾けて、キラキラとした上目づかいも忘れない。

御坂(わーお、なになに、このカワイイ生き物ッ!!)

打ち止めから「あーん」してもらったアイスを口にしながら、美琴は目の前の打ち止めを眺める。

御坂(多分打ち止めも無意識にやってるんだろうなぁ、すごいナチュラルにやってるもん)

予想的中。
十中八九、将来は魔性の女ってところだ。
打ち止めが大きくなって、男の人が出来たりしたら、

御坂「……この子の天然魔性に振りまわれてる姿が目に浮かぶわ」

誰にもに聞こえないような小さな声で、ボソっと呟く美琴。

打ち止め「? 美味しい?」

御坂「ん。美味しいわよ。ありがとう」

とりあえず、今からその男の人に、ご愁傷様。とだけ言っておこう。南無。
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:18:21.17 ID:jzWTkf6o
きてた支援

メル欄に saga って入れれば
ピーってならないぜよ
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 16:22:44.68 ID:xP9N1Q20

「教えてくれてありがとう、ってミサカはミサカは>>27にお礼を言ってたり!」

わざわざありがとうございますm(_ _)m
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:24:11.91 ID:xP9N1Q20
打ち止め「でも、お姉様がお守りを買うなんて意外だなってミサカはミサカは感想を述べてみる」

御坂「そう?」

打ち止め「お姉様って学園都市の頂点、超能力者の1人でしょ? 科学の代表みたいな感じだし、
      非科学(オカルト)的な物って信じてなさそうかなーってミサカはミサカはお姉様に抱くイメージを語ってみたり!
      それに、あの人はこういうの『くっだらねェなァ』とか言って鼻で笑うし、ってミサカはミサカは付け足してみる」

御坂「別に、『お守り』だからほしいって訳じゃないわよ。ゲコ太の限定アイテムだからほしかった、だっ!けっ!
    それと、総数50個の激レアアイテムで、結局買いそびれたのよねー」

そう、愛するゲコ太のための行動であって、恋愛成就とかはどうでもいい。あのむかつくツンツン頭も関係ない!
たまたま。そう、たまたま!! ゲコ太の激レアアイテムが恋愛成就のお守りってだけであって!!
ゲコ太アイテム収集家として、コレクションの1つにしようと思い立っただけなのだ、と美琴は必死に心の中で捲し立てる。

打ち止め「ふ〜ん、そういうことにしておくね」(ニヤニヤ)

御坂「ちょっと、アンタねぇ…!!」

打ち止め「―――でも、本当に恋愛成就してくれるなら、ミサカもお守り欲しいかもって、ミサカはミサカは呟いてみたり」

すでに食べ終えたアイスの皿はテーブルの端へと追いやられていた。
打ち止めはテーブルに視線を落とすと、手元にあるコーラにストローを突っ込んで、くるくると意味もなく回している。

御坂「―――あれまぁ」

この少女は幼いながらも、恋する乙女のようだ。
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:26:04.31 ID:Kix/2IM0
あえて言うが、sageじゃなくsagaだよ
よくある間違いでござる
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:26:26.76 ID:ViRUDHA0
一応

製作速報VIPテンプレ

ここは規制関係無く書き込めます
携帯からでも大丈夫です
最後の書き込みから一ヶ月近くは落ちないので保守は必要ないです
さるさんも無いので支援は必要ないですが、書き手が誰も見てないかと不安になるので何か書き込んであげましょう

ここは言語が制限・変換されるので気をつけましょう
詳しくは
パー速機能覚書・テスト
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1265103855/
参照

なお、メール欄にsaga(sageではない)で制限を回避できます

スレを落とす時や次スレを立てた時はここでHTML化依頼して下さい
HTML化依頼スレ Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1190564438/

毎月、第三火曜日から数日間は諸事情により繋がらなくなりますのでご注意を
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:27:10.35 ID:xP9N1Q20
そっと心の奥底で大事に大事に温めている感情をぽつりと吐露した打ち止めは、
気恥ずかしそうに、更にストローをくるくると回す。
伏し目がちな瞳は小さく渦を巻くコーラをじーっと見つめている。
表情はよく読み取れないが、打ち止めの身体全体から溢れ出て来る雰囲気で、美琴に大体のことは伝わった。

御坂(つい、言っちゃったって感じねぇ)

自分の秘密を暴露してしまって、どうしていいのか分からなくなっている打ち止めの姿は、なんだが微笑ましい。
美琴はほっこりと心が暖まる感触をくすぐったく感じつつ、穏やかな笑みをうかべた。

御坂「さっきから、あの人あの人言ってるけど、その『あの人』ってのが打ち止めの好きな男の子ってとこかしら?」

美琴がそう言うと、打ち止めのストローを回していた手がピクリと止まった。
じわじわと顔のみならず耳まで赤らめる打ち止めは、視線を右へ左と泳がしてながら口をもごもごとさせ、開いては閉じるを繰り返す。

打ち止め「………その、///」

御坂「うん?」

打ち止め「そ、そんなにストレートに言わてしまうと、
      ミサカはミサカは、さすがに恥ずかしいというか照れるというか、…なんていうか……///」

御坂「あら、『あの人』としか聞いてないわよ?」

打ち止め「…むぅ。お姉様のイジワルーってミサカはミサカは大人気ないお姉様にブーイング」

御坂「年上を安易にからかうからよ」
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:30:04.75 ID:xP9N1Q20
>>30-31

ありがとうございます。
何ぶん、ss書くのもこういったスレで書くのも初めてなもので、
お見苦しい所をお見せしてしまって申し訳ないです。
もう一回、よく読んどきます。
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/04(日) 16:31:05.97 ID:xP9N1Q20

こんなにも打ち止めに想われている『あの人』ってどんな人なんだろう。
曖昧にぼやけたイメージを思い浮かべることも美琴には出来ない。
天真爛漫で無邪気な打ち止めが、一生懸命恋をしているのだから『あの人』は相当の幸せ者だと考える。

ここは、一応姉として、挨拶とかしといたほうがいいのだろうか?

御坂「ねぇ、打ち止め。その、『あの人』ってどんな人なの?」

打ち止め「……っ、えっと」

美琴の問いは何気なく口にしたものだったが、打ち止めは一瞬口を噤んで困ったように眉を寄せる。

御坂「あ、えと、話したくないなら話さなくてもいいのよ? 
    好きな男の子のことを自分だけの秘密にしたいって気持も分かるし。
    ただ、打ち止めに想われてる幸せ者はどんな人かな〜? って、気になったのよね」

女の子同士は明け透けと恋の話していると思われがちだが、そんなことはない。
繊細な分野だからこそ、ズケズケと土足で立ち入る真似をしないように美琴も心がけている。

御坂「あ、姉として、妹の恋愛相手を知りたかったなってのもあるのよね。
    でも、聞かれたくないことだったら、本当にゴメンね。私の話なんてスルーしちゃって!」

初めて妹達の眼前で「お姉ちゃん」宣言をさらりとしてみたはいいものの、
美琴もなんだか気恥ずかしくなってしまい、「あはははー」と人差指で頬をぽりぽり掻いて曖昧に誤魔化した。
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:31:26.48 ID:ViRUDHA0
気にせず続けるんだよ!
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:32:01.60 ID:p94l8gs0
打ち止めが可愛すぎて死にそうなんだがどうしたらいい?
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:34:14.73 ID:Kix/2IM0
>>36
誘拐を企てればなんか白髪の人が殺してくれるよ!
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/04(日) 16:39:40.45 ID:xP9N1Q20
打ち止め「…………」

御坂(……って、何言ってんだかね。姉らしいことなんて何1つしてなのに)

虫のいい話だ、と美琴は思う。
打ち止めも下を向いて黙り込んでしまったではないか。

御坂「あの――」

打ち止め「お姉様、ミサカはミサカはどうしよう……っ!」

御坂「へっ?」

打ち止め「今! お姉様がミサカの姉って、ミサカが妹って!! 
      聞き間違いじゃないよねってミサカはミサカはお姉様に確認してみたりっ!」

打ち止めはガタンと力強くテーブルを手で叩くと、美琴のほうへと身体をずずいと近づける。
あまりにも真剣な打ち止めの面持ちに美琴は気後れしながら、打ち止めに答える。

御坂「い、言ったけど…?」

打ち止め「キャーッ! この音声データは保護しないと、でもその為にはミサカネットワークに接続しないといけないって
      ミサカはミサカはすごく一人占めしたい反面、他の妹達にも伝えたい反面の板ばさみかもっ!」

両手両足をバタバタと動かして、打ち止めはキャーキャーと甲高い声を上げながら騒いでいる。
もし、打ち止めに犬の尻尾があるとすれば、はち切れんばかりに尻尾を振っているようなそんな感じだ。
先ほどのしおらしい打ち止めや、困ったように悩んでいた打ち止めはどこへいったのか。

そんな打ち止めの姿は、美琴が「自分の姉だ」と言ったことが、
嬉しくて嬉しくて仕方ないと言ってくれているようなもの。

御坂(ヤバッ…!!)

美琴は慌てて両手で口元を覆うが、まったく意味がなかった。
頬はにやけるし、眉間にしわを寄せたって、内側から泉の如く湧いてくる喜びを抑えるなんて出来ない。

御坂(私も。私も妹達に、姉だって思ってもらえるのは。すごく、すっっごく、嬉しいっ!!)
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/04(日) 16:46:56.82 ID:xP9N1Q20
今回はここまでです。
次の投下は明日の夜にでも、と思っています。明日は白い人も出したいなぁ。

ssとは関係ないけど、
昨日の夢でなぜがステイルと仲良くラーメン食べてた。
やっぱり、結婚するならステイルがいい。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:49:20.98 ID:Yt6X/d2o
\\   / .:::::::::::::::::::::::::::::::::  く
\   / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::   )  く   ホ  す
  \ l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::: く   れ  モ  ま
     Y           ,!ミ::::::: ヽ  な  以  な
`ヽ、  |           くミ:::::::: ノ   い  外  い
     |、__  ャー--_ニゞ `i::::,rく   か  は
``''ー- ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;! ,ヘ.)  !  帰
      ゙ソ   """"´`     〉 L_      っ
      /          i  ,  /|    て    r
≡=- 〈´ ,,.._        i  't-'゙ | ,へ     ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l   レ'  ヽr、⌒ヽ'
        ゙、`--─゙      /!         `、
  _,,、-     ゙、 ー''    / ;           `、
-''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /         、\
-''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ          ヽ `ヽ、
   //    /     ヾ_、=ニ゙、、,,_
///   //    ,、-'´
//    // /  /
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 16:53:25.88 ID:d4SjYo6o
打ち止めはなごむよな。
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/04(日) 17:03:40.20 ID:xP9N1Q20
>>40

阿部さん的な心配はないんだよ!
淡希さん的な心配はあるかもだけど!
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 17:48:52.74 ID:D5.NNUMo
来たと思ったら終わってた
次回楽しみにしてるよー
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 17:54:36.20 ID:ViRUDHA0
ショタ宣言ワロタwwwwwwwwww
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/04(日) 23:50:42.31 ID:xP9N1Q20
今日の夕方はお世話になりました。
次の投下は明日の夜にでも、と五個くらい上で言い放ったのですが、
急きょ、明日の夜は外せない予定が入り投下できなくなりました orz

今、23時半くらいだけど、24時過ぎての投下なら、
一応「明日の夜」ってことでギリギリ大丈夫ですよね?(´・ω・`)
毎度毎度、適当ですみません。
チマチマ溜めこんで分が少ないので、前々回、前回より投下スピード遅いですがご勘弁ください。

あと、ショタ宣言してしまったので、その点は開き直ることにします。
ステイルは私の旦那。美琴は友達になりたい。
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:53:05.14 ID:Kix/2IM0
>>45
予定が少しくらい変わっても構わない
だってあんたは書いてくれてるんだろう?
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/04(日) 23:53:57.97 ID:i4JWKjIo
お前にはDグレのクロス元帥を代わりにくれてやろう
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 00:06:09.41 ID:TTlm3eY0
ニヤニヤとしている2人が、店員さんから変な目でみられていることに彼女たちは気づいていない。

打ち止め「決めたーっ! 今日だけミサカはお姉様を一人占めして、明日になったら皆に教えてあげようって
      ミサカはミサカは自分の欲望に忠実に行動してみる〜」

打ち止めが悩んだ挙句に出した解答をえっぺんと自慢げに宣言した時、
彼女の白い男物のシャツの胸ポケット中から、赤い光が点滅しているのが見えた。

御坂「なんかポケットの中光ってるわよ」

打ち止め「あ、ミサカの携帯だ。お姉様ちょっとゴメンネってミサカはミサカは
     一言断りを入れてから携帯の通話ボタンをぽちっとな」

御坂「また、なんでそんな古いネタを……」

打ち止め「もしもし? ってミサカはミサカは―――」

一方通行『オィ、クソガキ! 今オマエは一体何処をほっつき歩いてやがンだっ!!」

携帯から大音量の怒鳴り声が美琴の耳元まで届いてきた。
打ち止めは耳からガバッと携帯を離すと、涙目になりつつ反対の耳へと携帯を押し当てる。

打ち止め「わ、わ、わ! ちょっと、いきなり大声で怒鳴らないで! 耳がキーンって痛いって、
      ミサカはミサカは相変わらずミサカに冷たい貴方に不平不満をぶつけてみたりーっ!」

御坂(打ち止めも十分、大きい声で怒鳴ってるけど……。
    ……それにしも、この捻くれた喋り方。どっかで聞いたことある気もするけど、どこだっけ?)

今日は何だがデジャブを感じることの多い一日だなぁとボヤ〜っと考えながら、
美琴は呑気に店内の窓ガラスから通路に並ぶ店を眺めていた。
ふと目を凝らして見れば、雑貨店や今居る喫茶店のある通路とは反対側の通路に、花屋さんがあるのがわかる。

御坂(……)
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 00:12:02.24 ID:TTlm3eY0
電話相手と会話を続ける打ち止めの邪魔にならないでおこう。
美琴は大きな音を出さないよう、じっと静かに打ち止めの電話が終わるのを待つつもりだ。

一方通行『うっせェ、オマエが朝っぱらからココに連れてけって騒いだンじゃねェか。
      人のこと無理やり引っ張てきておいて、自分から率先して迷子になったよォな奴が文句言うな」

打ち止め「自分から率先してって訳じゃないよ! 
      美味しそうなクレープ屋さんの匂いに釣られて足をちょっと止めただけ。
      貴方が勝手にミサカのことを置いて行ったんだからって、ミサカはミサカは自分の主張が正しいと胸をはってみたり」

一方通行『そォいうのは屁理屈ってンだ! ンなのはどうでもいから、オマエは今何処にいやがンだァ?』

打ち止め「喫茶店だよ」

一方通行『………人がこんなごみごみした場所を歩きまわてったつーのに、喫茶店ですかァ!? 優雅なもンだな、オマエは』

打ち止め「あはははー、でもミサカのこと探してくれてたんだね、ってミサカはミサカは貴方の優しさが嬉しかったり」

一方通行『俺はこんな面倒くせェとこから、さっさと帰りたいンだよ。
      ったく、携帯持たせてても何度かけても中々出ないんじゃ、宝の持ち腐れだな』

打ち止め「うぅ〜、ごめんなさいってミサカはミサカは電話来てたの気付かなかったの」

一方通行『まァいい。この巨大ショッピングモールに喫茶店なんていくつあると思ってンだ。
      店の名前言え、そこまで迎えに行ってやっから、大人しくしとけ』
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 00:15:33.15 ID:S.C5g1Eo
とうとう邂逅のときか!?
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 00:17:51.82 ID:TTlm3eY0
打ち止め「は〜い。えぇ…とお店の名前はー…」

打ち止めは一旦携帯電話を耳から離すと、首を右へ左へと動かしキョロキョロと店内を見渡している。

最初の第一声以外、電話相手の声は美琴までは聞こえてこない。
打ち止めが返していた内容から察するに、彼女は何かに店の名前が書かれていないか探しているようだ。
テーブルに立てかけられているミニ黒板風のメニュー表の木枠に、店の名前が書いてあるのを美琴が見つけた。

御坂「打ち止め、ここのお店の名前、『コーヒーショップ藍上』だって」

一方通行『……』

打ち止めは美琴に片方の手で「ありがとう」のジェスチャーをしながら、電話相手へ喫茶店の名前を告げた。

打ち止め「コーヒーショップ藍上だよってミサカはミサカは答えてみる」

一方通行『……やっぱ、オマエが俺のとこまで歩いて来い』

打ち止め「え? だって、迎えに来てくれるって…」

一方通行『気が変わった。俺は人ごみン中を杖をついて歩き回ったンだよ、疲れたから歩きたくねェ―ンだわ。
      今、水の広場ってとこのベンチに座ってるから、さっさと来い。イィな?』(ブツッ。ツー、ツー…)

打ち止め「急にどうしたの? ……って、いきなり電話切られた」

御坂「大丈夫なの? それ」

打ち止め「気分屋さんだからなーってミサカはミサカはぶつくさ不満に思いつつ
      仕方ないからあの人の待ってる水の広場に行くことにする」

御坂「ほほぅ、『あの人』ですか。これからデートかなにか?」(ニヤニヤ)

打ち止め「お姉様!!///」

御坂「はいはい、これ以上余計な詮索は致しませんよ」
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 00:42:59.22 ID:TTlm3eY0
御坂「それじゃ、打ち止めはこれから用があるみたいだし、そろそろ出るとしますか」

打ち止め「えっ、待ってまだコーラ飲み終わってないよー! ってミサカはミサカは叫んでみたりー!?」

メニュー表の隣に無造作に置かれていた伝票を手に取ると、
美琴は反対の手で学生鞄をもって、清算のためにレジへと向かった。
打ち止めは残っていたコーラを一気飲みすると、美琴の後を走って追いかけてくる。

御坂「お会計、お願いします」

打ち止め「アイスとコーラと美味しかったですってミサカはミサカはお店の人にご馳走さまでしたって伝えてみたり!」

美琴が二人分のお金を清算すると、後ろから覗きこむように打ち止めから
「お姉様、ご馳走さまでしたっ!美味しかったよ!」と元気よく食後の挨拶が。
出会い頭のタックルとか突拍子のないことをやる打ち止めだが、
こういった食後の挨拶とか、人へのお礼とかちゃんと出来る子だよなぁと美琴はしみじみ関心する。

御坂(この子の保護者ってちゃんとしたしつけを心がけてるのねぇ〜)

年上の人に対して敬語を使わなかったりなど、かなりフランクに人と接する美琴とは正反対かもしれない。
美琴が恋愛沙汰でからかわれると、素直になれず反発した態度をとるのに比べ、
打ち止めが美琴にからかわれた時は、素直だけど恥かしさのあまりオーバーヒートしてたりと。

御坂(私と"根本"は同じなのに、こうも性格は違うのねぇ)

これは美琴とって喜ばしい発見だった。
かつて自分たちをただの実験動物と言い切り、自分の命すら価値がないと言っていた妹達。
彼女達はゆっくりだけれど、少しづつ少しづつ"自分"を手に入れていっている。
1人の人間として生きていこうと成長する彼女たちの姿を見ると、美琴は何とも言えない感慨に心が満たされる。

53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 00:47:21.17 ID:h5FjVJk0
一方さん美琴に気付いたかな?
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 00:53:50.41 ID:/MthQlo0
美琴と一方はあわないの?
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 00:54:55.47 ID:TTlm3eY0
打ち止め「なんかミサカが突然追っかけて、突然去ってくって感じになっちゃったね
      ってミサカはミサカはお姉様とのおしゃべりが名残おしくてボヤいてみる」

喫茶店を出て少し歩けば、水の広場へと続く通路と美琴が行こうとしている通路が交わる十字路に辿りつく。
打ち止めはその十字路の脇に立ち止まり、美琴のことを名残惜しそうに見つめていた。

御坂「打ち止め、携帯出して」

打ち止め「?」

美琴に言われるがまま打ち止め携帯を取り出す。

御坂「ちょっと借りるわね」

打ち止めの携帯を手にとって何やら操作する。
今度は自分の携帯を取り出し、打ち止めの携帯と自分と携帯をくっ付けた。
ピロリロリン〜♪ という軽快な音が打ち止めの携帯なった後、美琴は打ち止めに携帯を返した。

御坂「赤外線で私の連絡先入れておいたから、何時でもいいから好きな時に連絡ちょうだい」

打ち止め「じゃあ、またこうやって遊んでねってミサカはミサカはお願いしてみたりー!!」

御坂「いつでもOKよ」

打ち止め「やったぁってミサカはミサカは万歳三唱!」

御坂「大げさねぇ」
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 00:57:46.64 ID:TTlm3eY0
少し席外します。半頃には戻ります。
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 01:29:19.32 ID:TTlm3eY0
戻りましたー。書けるとこまでとりあえず頑張ります。

>>50、54 
話の都合上、まだ先なので気長に待って頂けると嬉しいです。
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 01:31:33.37 ID:ZRLhpEAO
阪急百貨店のワッフルうめえ
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 01:31:47.62 ID:0yfEJqoo
おかえりー
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 01:34:04.76 ID:TTlm3eY0
打ち止め「ミサカはこのまま水の広場まで行くけど、お姉さまはこの後どうするの?
      ってミサカはミサカはお姉様の今後のスケジュールについて聞いてみたり」

御坂「そうね、あそこの花屋に寄った後は適当にブラついて、飽きたら学生寮に帰るかなー」

行こうとしている通路の中頃にある花屋を指差して、美琴は今後のアバウトすぎるスケジュールを思い浮かべた。

打ち止め「わーお、かなりアバウトなのね、ってミサカはミサカはお姉様の計画性の無さに驚きを隠せなかったり」

御坂「打ち止めちゃーん?」

打ち止め「あ、えぇぇと! お花屋さん行くのね?っミサカはミサカは
      お姉様の素敵なスケジュールにつき添えなくて凄く残念だなーーって思ってみたり!!」

異性の男ならイチコロできそうな笑顔の美琴の後ろに閻魔大王か何かの幻影でも見たのだろうか、
打ち止めは汗をダラダラと書きながら、自分の失言をなくそうと必死にフォローをしていた。

御坂「まーねぇ……」

美琴はそんな甲斐甲斐しい打ち止めの姿を気にも留めず、花屋のほうだけを一点に見つめ何かを考えてるようだった。

御坂「ねぇ、打ち止め。アンタは何の花が好き?」

打ち止め「ふぇ?突然だね、ん〜、向日葵かなぁってミサカはミサカは即答してみる!」

御坂「そっか、ありがとう。参考になったわ」

美琴はいつのかにか視線を打ち止めへと向けており、わしゃわしゃと思い切り打ち止めの頭を撫でた。

打ち止め「お姉様に頭撫でてもらうのは嬉しいけど、髪の毛がぐしゃぐしゃになるーーっ!!」
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 01:44:14.24 ID:TTlm3eY0
御坂「人ごみも多いから、色々と気をつけるのよーー!」

打ち止め「はーい! お姉様、今日は楽しかったよー、またね! っってミサカはミサカは大きく手を振ってみるー!」

御坂「コラ、後ろ向いて走らない! ちゃんと前を見なさい、前を!」

打ち止めは美琴の注意に元気よく「はーい!」とだけ答えて、水の広場へと続く通路を全速力で駆けて行った。
美琴に「またね」と言ったあとはこちらを振り向くこともせず、『あの人』のもとへと一直線に。

御坂「さて、私も行きますか」

打ち止めの姿が人ごみの中に隠れて見えなくなると、美琴は打ち止めとは別の方向の通路へと歩きだした。
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 01:48:59.09 ID:/MthQlo0
しーえーんー
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 02:05:30.30 ID:TTlm3eY0
御坂「しっかし、学園都市の花屋ってのは、どこもかしこも季節感がゼロよねぇ」

花屋の目の前で美琴はそんな感想を零した。

学園都市は花に限らず、野菜やお米といった農作物も1年中なんでも揃っている。
この花屋の店頭に並んでいる花だって、桜草、菫、スイレン、金木犀、オウバイといった四季折々の花が咲き誇っている。
今はすっかり秋だって言うのに、春や夏の花も季節なんか無視して店頭に並んでいるのだから、
美琴が、そんな感想を抱いてしまっても仕方ないだろう。

普段通い詰めている学園の園内のフラワーショップはその季節、季節の花を中心に扱っているので、
美琴はあまり学園都市の花屋、正確に言うと外部の花屋はあまり好んで入ることはなかったが、
今回はそんなオールシーズン対応の花屋ではないと、手に入らないのだから、案外外部の花屋も馬鹿に出来ないなと美琴は思った。

御坂「すいません、室内でも飾れるくらいの小さめの向日葵ってありますか?」

店頭の花の手入れをしていた店員に声をかけると、店員は店の奥から20センチほどの向日葵を数本を持ってきた。

御坂「うわっ、凄い小さい」

店員「最近、学園都市で品種改良されたものなんです。生憎、うちはこれ以外の向日葵は造花となりますが……」

御坂「いえ、生花のほうがいいので。これ3本ください」

店員は会計後、包んだ向日葵を美琴に渡した。

店員「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 02:09:49.90 ID:TTlm3eY0
>>63 間違たまま投下orz

×これ3本ください
○これで部屋に飾れるくらいの花束作ってください

65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 02:25:20.21 ID:TTlm3eY0

向日葵一色で作られた小さめの花束はとても可愛らしいものだった。
 
御坂(なんか、向日葵って打ち止めそのもの、ってイメージ)

純真無垢な打ち止めの笑顔は、どんな人の心にだって光を届けそうだ。
太陽にも似た向日葵の花は、とても打ち止めに似合う。
美琴はそんなことを考えながらフフっと小さな笑みを浮かべた。

御坂(まぁ、こういう小さい奴じゃなくて、
    自然に生えてる元々の向日葵のほうがってことも付けくわてね)

この花束を人波の中で潰したりしたくない。
色々と適当にそこら辺をぶらつこうとしていた美琴だが、
きれいなままの花束を部屋に持って帰りたいなと考えて、このまま学生寮の自分の部屋へと戻ることにした。

御坂「時間はちょうど、お昼。人も多少は減ってるでしょ」

常盤台学生寮まで行くバスは、確か正面出口の近くにあるバス亭だ。

御坂「ゲコ太アイテムは残念だったけど、それ以上にいい事があったし、ここまで来た甲斐があったかな」

美琴は正面出口へと向かい歩きだした。
彼女の足取りはとても軽やかだ。

66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 02:28:43.73 ID:7QKNJewo
最後まで、形を保ってられなそうな予感がする>向日葵
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 02:29:00.93 ID:BZNN9d6o
こういうほのぼのしたのも良いな
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 02:47:53.70 ID:/MthQlo0
続き頑張ってください^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 02:49:42.04 ID:TTlm3eY0
美琴は自分の考えの甘さに頭が痛くなった。

御坂「あちゃー…、何処も、人人人…」

花屋のあった通路から正面玄関に行くためには、水の広場を経由して行かなければならない。
水の広場は庭園風の広場で、中心部には噴水があり、天井は吹き抜けの全面ガラス張りだ。
さんさんと太陽光が降り注ぐ広場の周りをぐるっと、多くの飲食店が引き締めいている。

時間はちょうど、お昼。フードコートの一面を持つ水の広場を埋め付くほど、多くの人で賑わっている。

御坂「初めてきたから気付かなかった……。ココってお昼時混むのね」

空いている今のうちにショッピングモールを出るつもりだったのに、と美琴はがっくしと肩を落とした。

御坂「人多すぎでしょ――って痛い!!」

他の客に足を踏まれ、美琴はビックリして大事に抱えた花束をうっかり落としそうになる。

御坂「っ!あっぶなー…」

美琴の足を踏んだのは、美琴よりだいぶ年上で、多分20代の女性だった。
「ごめんな、よそ見してたもんだから、気がつかなかったじゃん」と言って
美琴に軽く頭を下げると、広場の中心部へとそそくさと足早に去って行った。

御坂「ツレの誰かとはぐれたりしたのか……?」

踏まれたことにイライラするが、これだけの人込みでは不慮の事故。
美琴も人の流れに流されてしまい、正面玄関へと進む以外、帰る方法はなさそうだ。

御坂「学生鞄かぶせれば、多少はましでしょ」

美琴は学生鞄で花束を隠すようにもつと、人でぎゅうぎゅうになってる水の広場を進みはじめた。
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 03:17:39.33 ID:TTlm3eY0

雑踏の中で揉みくちゃにされながら、十数分経過。
美琴はやっと、水の広場から正面出口へ向かう人の流れに乗ることが出来た。

御坂(ここまで来たからには後は、スムーズね)

なんだが、最期の最後で変な体力使ったぁと美琴は、
このショッピングモールに来るのはしばらくいいかな……と疲れ果てた決意をしてる時、
ふと、美琴とは逆の、正面出口から水の広場に向かう人の流れのほうに身を覚えのある人影が視界に入った。


打ち止め「―――ヨミカワがこっちいるって、ってミサカはミサカは貴方の手をぐいぐいと引っ張てみたりー!!」

一方通行「―――っザけンな! こっちはこの人ごみを杖で歩いてるンだよ!! ひっぱんな、クソガキ」


視界に移ったのは、
キャミソールに似た水色のワンピースの上に、男物の白いシャツを着ている10歳ほどの少女と、
その少女に引きずられるように歩いて行く、白い髪に赤い眼孔をもつ少年の姿。


美琴の思考は、止まった。

71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 03:19:56.59 ID:fUtMKEDO
[らめぇぇっ!]
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/05(月) 03:23:10.71 ID:TTlm3eY0
予定していた投下以上で終了です。
次回の投下は、早くて明日の朝方になります。
投下する量も今回と同じくらいです……(*_*;
なんとか御坂と打ち止め以外の人がだせてよかったです。

支援してくださった方、大変励みになります。ありがとうございました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 03:27:24.36 ID:/qm2L8ko
乙。期待してるぜ
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 03:28:14.97 ID:3B5JAewo
乙!また次回まってるぜ
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 03:29:26.34 ID:SK./ogAO

面白い
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 04:21:02.40 ID:Px6qvOko
おつですの
おn御坂さんの生き生きした姿を楽しみにしてますの
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 07:39:57.32 ID:z81XdUAO
ガンガレ!ガンガレ!C
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 10:22:28.97 ID:UfkmBsY0
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/05(月) 13:34:14.35 ID:qXBZtYwo
続きが気になるのう
面白い!
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 18:28:10.37 ID:/MthQlo0
し☆え★ん
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/05(月) 22:20:50.86 ID:1XpH4.SO
支援するんだよ!
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 00:19:36.69 ID:ZWqwbQAO
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 00:32:16.58 ID:1ArOjJM0
しえン
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 06:18:34.49 ID:FWTT6g.0
ひとまず乙!
女性でSS書いてる人は初めて見たな
超頑張れ
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 07:56:54.38 ID:W2xjSAk0
お早うございます。<(_ _)>
今回も加筆修正加えつつの投下となりますので、
昨日と同じくらいゆっくりですが、お付き合い頂けると幸いです。
8時半くらいにはじめますので、よろしくお願いします。

ほのぼのから、ちょっとだけシリアスな感じに進むよ!

>>84
マジっすか。
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 08:11:28.65 ID:Etu9Y860
wktk
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 08:13:30.86 ID:UJCTftwo
ktkr
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 08:39:54.84 ID:W2xjSAk0
脳裏に焼きつくのは、8月のあの夜。

薄暗い闇夜にも浮かぶ白い髪、白い肌。赤い眼光は鋭く獲物を突き刺していた。
口角を細い三日月のようにあげ、楽しげな笑い声を挙げながら、
『絶対能力進化計画』の名の下で、御坂美琴の量産型軍用クローン『妹達』を10000以上虐殺した学園都市の第一位。

『妹達』に少しの慈悲もかけてくれなかった、凶暴で残忍なその少年の名は、

御坂「ア、クセラ、レータ……?」

あの悪魔のような男の名前を、確認するように美琴は口にする。
刹那、美琴はさぁーっと顔面蒼白になり、膝がガクガクと震えだしその場に立っているのがやっとの状態だ。
ごくり、と喉が鳴った。
足元から指先に至るまでカタカタと震え、うまく力が入らない。

圧倒的な力でねじ伏せられた時の記憶が、美琴の中で鮮明に蘇る。

学園都市の頂点、超能力者の第三位の超電磁砲ですら、
一方通行の圧倒的な力を前に、その膝を簡単に地面へとつけた。

御坂「……ど、して?」

どうして、心の中でその言葉が何度もリピートする。
まさに地獄のような、8月のあの日々は、すでに終わったのでんじゃなかったの?
何故、また美琴の前に、一方通行は姿を現したのだろうか。

2人が美琴の視界に入ったのはほんの一瞬、人の流れに埋もれて、すでにその姿を確認することはできない。
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 08:43:08.59 ID:W2xjSAk0
>>修正 

×すでに終わったのでんじゃなかったの?
○すでに終わったんじゃなかったの?
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 08:57:59.20 ID:W2xjSAk0

身体の力の抜けてしまった美琴も、人の流れにのまれて、そのまま正面出口へと押されていく。
足早に歩く人々に何度も肩をぶつけられながら、ふらふらと頼りない足元で美琴は歩く。
その瞳の焦点はうまく定まっていない。

しばらくたってから、ふっと、美琴はある事に気がついた。
一歩通行にような少年の隣は、水色のキャミソールに似たワンピースを着た10歳ほどの少女がいた。
つい先ほどまで、美琴と一緒に笑い合っていた少女とその影が重なる。

御坂「――打ち止めっ!!」

正面出口から水の広場へと進む人の流れに向かって、美琴は呼びかける。
「はーい!」という打ち止めの明るい返事は、いくら待っても返ってこない。

御坂「打ち止め、打ち止めァ」

うまく人の流れから逃れることができず、流されるまま美琴は「打ち止め」と少女の名を呼び続ける。
けれども、やはり返事は返ってこなかった。

91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 08:59:26.76 ID:CQyFDuso
一方さんかわいィのになぁ
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 09:31:58.61 ID:W2xjSAk0

学園都市のに空はすっかり茜色に染まっていた。
結局あの後、美琴は流されるままに正面出口へと追いやられた。

常盤台女子寮の前を経由するバスに乗ることなく、
美琴はショッピングモールから、とぼとぼと女子寮までの帰り道を歩いている。
同じ第七学区内あるといっても、美琴の寮とショッピングモールまではかなり遠い。
気がつけば、もうすぐで完全下校時刻になる時間だった。

打ち止めが、一方通行の隣にいた。
それなのに、美琴は2人を追いかけなかった。いや、追いかけることができなかった

御坂(ハッ、情けないったらありゃしない)

美琴はもう1度、一方通行と対峙することにを恐れた。
自分でも気付かないうちに、美琴は力のもどった手をギリギリと握りしめる。
両方の手のひらに爪が食い込み、赤い傷跡をつける。

御坂「……、見間違い。なんて都合のいい展開はないか」

あれほどまで憎らしい男の姿を忘れることなど、美琴にはそうそうできない。
白い人影は一歩通行で、隣にいた少女は打ち止めに間違いはないろう。

御坂(打ち止めと一方通行が、一緒にいた。これは事実だ。………アンタがその目で見たんじゃないの、御坂美琴)

あの時の打ち止めを思い返す。

一方通行を見かけた印象が強すぎて薄らとしか見ることができなかったが、
一方通行の隣で、打ち止めは笑っていた。

「お姉様!」と呼びながら美琴にに笑いかけてくれた時と同じ、砂糖菓子のように甘そうな極上の笑顔で。

御坂「……」

胸の奥底に突っかかる引っかかりが、美琴に何かを訴えてきた。
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 10:07:21.04 ID:W2xjSAk0
普段は血気盛んな美琴だが、今はそんな気すら起こす元気も体力もなかった。
ただ、そのおかげなのかは分からないが、色々と冷静に考えることができた。

女子寮に向かいながら、美琴は混乱した頭を少しずつ整理していく。
喫茶店に居た時に打ち止めの携帯に電話がかかってきて、
その電話相手の『あの人』の声に、美琴も思い当たる節があったではないか。

御坂(あの捻くれた話し方は、一方通行よね)

と、いうことは。

美琴はどうしてもこの先を考えたくはなかったが、これ以上現実から逃げだすことが許されるはずもなく。

御坂(……と、いうことは。
    打ち止めの想い人っである『あの人』ってのは、一方通行、ってことよね)

その事実に、鈍器で頭を殴られたような感覚に陥る。
一方的に10000人以上の『妹達』を虐殺した一方通行のことを、『妹達』の1人である打ち止めが好いている?
『妹達』にあんなに酷いことしたのに、『妹達』の命を簡単に吐き捨てた奴なのに。

御坂「なんなのよ、もう。 訳わかない」

混乱していた頭を整理しようとしていたはずなのに、余計に美琴の頭の中はほつれない糸のように絡まってしまった。
ふと、歩いている歩道に並ぶようにして立つショッピングビルの窓ガラスに、自分の姿が映っているのが目に入る。

御坂「うっわ、酷い顔。超ブサイクになってるわ」

真っ青になっている美琴の顔は、この世の終わりだ、と主張しているようだった。

御坂「……どうしよ、黒子にこんな顔見せられないわね」

美琴は常盤台中学の後輩で、同時に自分のルームメイトである白井黒子の事を思い出す。
正義感が強くて誰よりも美琴のことを思ってくれる彼女は、
こんな美琴の顔をみれば心配するに決まっている。

一連の件に、大切な後輩を巻き込みたくない。

御坂「このままじゃ、寮にかえれないわね」

美琴は、ショッピングモールに比べ、人通りが余りにも少ない歩道で、1人ぽつりの立ち尽くす。
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 10:21:46.75 ID:W2xjSAk0
ちょっと休憩させてください……<(_ _)>
シリアスって難しいですね。中々さきに進みません orz

>>91
右に同じく。一方さん可愛いよ一方さん。
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 10:29:08.37 ID:b35jP76o

楽しみにしてる
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 10:29:55.48 ID:Etu9Y860
取り合えず乙
見てるから頑張れ
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 10:30:04.55 ID:tllhmFQ0
ゆっくりでいいのよ
そしてこれは上条さんフラグなのかな
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 11:22:58.93 ID:W2xjSAk0
ども休憩続行中ですが、少し書き始めてますー。
すでに書き溜めが無いに等しい状態。計画性の無さが泣ける。

コレ今週中には終わらす予定です。てか終りたい。
今、ふと、コレ書き終わった後、一方さんor妹達の視点でssか、
愛するステイルとかアックア主役のssか、なんか書こうかなぁとなんとなく思ったのですが、どうすべきなのか。

てか、需要あるんですかね? 微妙〜に悩み気味なので、一言頂けるとありがてぇです。

99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 11:27:22.37 ID:TN38SUAO
ステイルの名が最強であることを証明してくれるなら

それはどうでもいいとして、アックアさんの方に期待
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 11:30:34.72 ID:smBIneko
本スレで爆死しまくってるステイルさんに救いを与えてやって下さい
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 11:31:41.77 ID:NT7nE1oo
需要を気にしてオナニーすんのか?
俺らのことは気にせず、自分が好きなようにやりゃいいんだよ
お前が楽しげにやってたら自然と人は集まってくるもんだ


つまりは
とっとと書け太郎
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 11:58:37.45 ID:W2xjSAk0
腰に手をあて、首を左右に動かすとボキボキと鈍い音が鳴った。
ヒュッと息をはくと、美琴は勢いをつけて赤い色の自動販売機に向かって蹴りをかました。

御坂「ちぇいさーっ!」

蹴られた反動で、自動販売機からガコンと缶ジュースが1つ転がり出てきた。
美琴が缶ジュースを手にとって銘柄を確認すると、「緑茶サイダー」というなんとも中途半端なものだった。

御坂「コレ、当たりなのか。外れなのかよくわかんない味ねー」

すごく拍子抜けした味が下に残る。
少し気分を落ち着かせるためにジュースを片手に美琴はベンチに腰かける。
別に、少しでも気分が紛れてくれれば、場所なんてどうでもよかったが、
この自動販売機があるベンチを自然と選んでいるあたりが、美琴自身の弱さを現しているようだった。

御坂(アイツにつっかかるのも大抵ココだったりするけどさぁ……)

ここにくれば、ツンツン頭の少年が、また自分を助けに表れてくるんじゃないか、という願望。

御坂(……多分、今日のことに関しては、私自身でケリをつけないと意味がないのよ)

打ち止めは笑っていたのだ。
あんな心根が真っ直ぐな子が、だ。
打ち止めが一方通行に酷いことをされているなら、あんな風には笑わないだろう。

他の妹達だって、一方通行の傍に打ち止めがいることを問題視していないのだろう。
打ち止めが傷つくようなことがあれば、妹達は自分たちで行動を起こすはずだ。
少し前にあった、『残骸』の一件のように。

御坂(一方通行と『妹達』――打ち止めが、一緒にいることに対して、私がどう思うか、なのよね)

自分はどうしたらいいのか、どうすべきなのか。
美琴はそんなことを考えながら、ベンチから空を仰ぐ。
茜色の空は、雲ひとつなく、茜から紫へときれいなグラデーションを描いている。
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 12:02:00.53 ID:W2xjSAk0
>>99、100
コメントありがとうございます。

>>101
言われてみればその通りですよね。
後のことは後に考えて、今はこれを完結させるのが先でした。

中途半端な独り言につき合わせて申し訳なかったです。
こんな私でもお付き合い頂けると幸いです。
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 12:20:53.67 ID:W2xjSAk0
ベンチの上に投げ放った学生鞄の上には、ショッピングモールで買った花束が丁寧に置かれている。
人波にもまれて多少持ち手の部分がなよっとしてしまったが、それでも綺麗な形を保ったままだ。
愛らしい向日葵の花がへし折られなかったのは、不幸中の幸いかもしれない。

10032号「これはこれはお姉様。こんなところでたそがれるなんて、何処ぞの青春映画にでも感化されましたか?
     とミサカはアンニュイな空気を漂わせているお姉様に声をかけます」

1人の少女が美琴の目の前に立っており、話しかけてきた。

肩につくくらいの茶髪、整った顔、身につける服は常盤台中学の冬の制服。
美琴と全く同じの外観を持つ、『妹達』の少女だった。
ベンチ座る美琴との違いは、どこかおぼろげで焦点のあわない瞳と、頭に付けているごつごつした暗視ゴーグル。
そして、首元のリボンの下に見え隠れする、オープンハートのネックレス。

御坂「……あんたは確か、アイツの呼ぶところの『御坂妹』?」

10032号「はい。このミサカはあの方から『御坂妹』と妹達の中で唯一、別の呼び名で呼ばれているミサカですが、
     正式に名乗るならば検体番号10032号のミサカです、とミサカは改めてお姉様に自己紹介します」

御坂「……10032号、ね」

この子以降の検体番号をもつ妹達が、アイツに命を助けられた妹達となる。

10032号「そうですが、別にオウム返しすることでもないよな、とミサカは率直な疑問を返します」

御坂「そう?」

10032号「はい」
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 12:44:47.78 ID:W2xjSAk0
御坂「あんたこそ、どうしてこんな所にいるの?」

10032号「ついさきほどあの方に偶然会って、
     『今日卵の特売なんだ。おひとり様1パック限定だから、暇なら御坂妹、一緒にきてくれないか?』と
      お願いされてまして。そのスーパーがこの近くだったのです、とミサカはお姉様の疑問に解答します」

御坂「ほう、アイツとスーパーに行ってきたと」

10032号「はい、まるで新婚さんのような気分でした、とミサカは悔しそうなお姉様の顔に優越感を覚えます」

御坂「……ぁんの野郎、今度会ったらどうしてくれようかしら……?」

美琴の前髪から、バチバチと小さな電流が漏れだす。
自分やこの妹達のように、自分の身を顧みず助けた女の子は沢山いるんだろう。
本来ならそれは褒められるべきことなのだが、美琴にはツンツン頭の少年がみさかいがないようにも見えてしまう。

10032号「お姉様電気が漏れています、とミサカはお姉様に告げます。
      それと、顔色が優れないようですが、体調でも崩しているのですか? とミサカは尋ねます」

御坂「……」

『妹達』は一方通行と打ち止めが一緒に居ることを知っているはずだ。
彼女たちには個々の脳波によってリンクさせる、『ミワカネットワーク』で繋がっているのだから、知らないわけがない。
美琴は一瞬、10032号に、一方通行と打ち止めのことを尋ねようかと考えたが、
すんでのところで言葉がのどに引っ掛かり、うまく出てこない。

10032号「お姉様?」

顔を掲げて、心配そうにこちらを見てくる10032号に、
美琴は咄嗟に、部屋に戻った時、白井にいうつもりだった「落ち込んでいる理由』を口にしていた。

御坂「―――ショッピングモールに行ったんだけど、お目当てのものが買えなかったから軽く落ち込んでるだけよ」

10032号「それだけのことでこの世の終わりのような顔して絶望していたのかよ、
     とミサカはミサカの中のお姉様の株を怒涛の勢いで下落していくのを止められません」

御坂「うっさい! ゲコ太の激レアアイテムが、どーしてもほしかったのよ」
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 13:08:13.17 ID:W2xjSAk0

10032号「ゲコ太とはお姉様の鞄についているカエルのキャラクターのことですか? とミサカはお姉様に問いかけます」

美琴の右隣、ベンチの上に放置された学生鞄には、緑色のカエルのストラップがついている。
10032号はそのストラップをしげしげと見ながら、美琴に尋ねた。

御坂「これはケロヨンよ、何、アンタまでゲコ太とかケロヨンを知らない訳?」

ゲコ太とかケロヨンはそこまでマイナーなキャラではないはずだ。
美琴と同年代の人なら、名前くらいは知っているものなのに、打ち止めも10032号もまったくしらないらしい。

10032号「ミサカ達はそんな子供っぽいものに興味は持ちませんから、とミサカは知らないことが当然だと返します」

ケロヨンのストラップから美琴へと視線を移した10032号は、美琴のことを鼻で笑った。

御坂「おい。アンタも私のセンスを一刀両断かい」

10032号「アンタ『も』?」

御坂「前に妹達の1人にケロヨンのバッチ見せたら、「いやいやねーだろ」なんて言って、見事にバッサリとっ!」

両手をクワっと広げて、「いかにその時の妹達に即刻即効で否定されたか!」と美琴は主張した。

10032号「……?」

手を組んで、10032号がうぅ〜んと唸りながら考え事をしている。

御坂「ちょっと、急に黙り込んでどうしたのよ」

10032号「おかしいですね」

よくわからないといった顔で、10032号は更に言葉を続ける。

10032号「妹達は全ての記憶を共有しているので、他のミサカにケロヨンのグッズを見せているならば、
      本来ならこのミサカにもその記憶があるはずなのに、ミサカにはまったく心当たりがないのです、
      とミサカはミサカネットワークに存在しない妹達の記憶を聞かされ戸惑いを隠しきれません。」

御坂「えーと、よくわんないんだけど、なんかヤバいことなの?」

10032号「いえ、特に問題はないかと思います、とミサカは答えます」

「問題ない」とすぐに判断を下したにも関わらず、10032号は首を傾げてしばらく頭の上にはてなマークを浮かべていた。
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 13:13:44.53 ID:tllhmFQ0
片足ちぎられて電車で潰されたあの子か・・・
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 13:34:51.79 ID:EU47fDYo
9982…(´;ω;`)ウッ
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 13:47:44.09 ID:W2xjSAk0
10032号「ショッピングモールと言えば、今朝上位個体が
     『新しく出来たばっかりのショッピングモールに出かけるだ、いいでしょ!?ってミサカはミサカは――』と
     聞きたくもない自慢話をミサカネットワークに流しやがりましたね、
とミサカは今思い返しても上位個体の自慢げな笑い声に腹がたちます」

御坂「上位個体?」

10032号「ご存じありませんか?」

御坂「いや、まったく」

10032号「検体番号20001号のミサカ、通称『打ち止め』又は『最終信号』と呼ばれる個体のことです」

御坂「っ!」

まさか、10032号から打ち止めの話題が出るとは思っていなかった美琴は、身体が固まってしまった。

10032号「妹達が形成するミサカネットワークの管理者です。
      まぁ、噛み砕いて簡単にいえば、他の妹達の上司みたいなものです、
      とミサカは説明が面倒なのでざっくりとアバウトに伝えてみます」

さきほどは億劫になってしまい切り出せなかったことを、この妹に聞く良い機会ではないか。
美琴は、はっと息をはいてから、決意をきめ言葉を返す。

御坂「……打ち止めて子と、ショッピングモールで会ったわ」

10032号「そうなんですか? 上位個体からそのような報告はありませんでした、とミサカはお姉様から驚愕の事実を知らされます」

御坂「いきなり後ろからタックル決められて、その後喫茶店に行ってコーラとアイス奢ったのよ」

10032号「わが道を突き進む上位個体らしい振る舞いですね、とミサカは上位個体に対して呆れます」

美琴から打ち止めの天真爛漫な様子を聞いて、頭を抱えて呆れる10032号。
その姿は「自由気ままにふるまう妹を呆れつつ、そこがかわいいんだというよな」と妹を微笑ましげに見つめる姉のようにも見えた。

御坂「その後すぐに別れたんだけど、
   ショッピングモールの帰り際に、チラっと打ち止めを見かけたのよ。それで――」

打ち止めのことを愛しそうに想い浮かべている10032号の顔を、美琴は見ることが出来なかった。
知らず知らずのうちに視線を手に持つ缶ジュースに向ける。



御坂「――それで、打ち止めが白い髪の男と一緒に歩いてたんだけど、アレって誰だったのかな?」



美琴は眉を顰めながら、捲し立てるように言葉を続けた。
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/06(火) 14:02:33.88 ID:W2xjSAk0
昨日予定していた投下は以上で終了です。
学校に行く時間となってしまったので、一旦席を外します。
また日付が変わる辺りに戻ってきます。

ご支援くださる方、ssを読んでくださる方、本当にありがとうございます。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 14:03:21.32 ID:ARKigFk0
F5が壊れた…
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 14:13:57.07 ID:b35jP76o
お疲れさん
楽しみに待ってるよ
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 14:38:15.24 ID:h.iR.AAo
wwktk
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 14:43:54.72 ID:mGRrxmw0

面白いし続きを期待してる

ただ、ちょっと誤字が多くないか?
脳内補完できるレベルだからそこまで気にならないけど
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 15:50:14.34 ID:eF8cmugo
きたい
てか2ちゃんごときで誤字なんざ気にすんなよww
116 :sage :2010/04/06(火) 17:40:38.64 ID:mGRrxmw0
>>115
まあそうだな、ちょっと神経質だった
作者様は気にせず投下して下さい
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/06(火) 17:45:25.15 ID:mGRrxmw0
ごめん
偉そうに言ってる俺がミスった
何だよ名前がsageって……
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 21:21:29.14 ID:1ArOjJM0
支援
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/06(火) 23:48:43.29 ID:1ArOjJM0
そろそろくるかな
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 00:11:37.54 ID:VtqMoE60
早く来ないと爆発しちゃうんだから
                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 00:16:43.10 ID:YSHTmiE0
戻りましたー。みなさんこんばんわ。
今回の投下はじめていきたいと思います。
投下スピードはいつものごとく亀以下ですが、お付き合い頂けると嬉しいです。
シリアス書ける人、本当に尊敬します。難しいっすね。

>>114
改めて1から読み返すして誤字脱字の多さに泣けた。
ご指摘ありがとうございます。出来るだけ誤字脱字しないよう頑張ります。

122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 00:17:59.91 ID:YSHTmiE0
って、言ってる傍から間違えたよ orz
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 00:19:14.28 ID:xHodiQAO
そんな気にせずいこうぜ!
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 00:30:29.85 ID:K11Ciic0
wktk
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/07(水) 00:38:24.95 ID:YSHTmiE0
美琴は視線を10032号へと向けることが出来ないため、今彼女がどんな顔をしているのかは分からない。
ただ、息を呑むような小さな音が微かに聞こえてきた。
10032号は美琴の問いに口を閉ざし、濁った空気のような沈黙が2人の重く乗しかかる。
しばしの沈黙の後、耐えきれなくなった10032号は口をひらく。

10032号「……っ、そのっ、それは、あの」

美琴に届いた10032号の声は聞いたこちら方が痛くなる程擦れていて、言葉は途絶え途絶えだ。
痛々しい彼女の声を聞き、美琴は伏せていた顔を目の前にたつ妹へと向けた。

眉は限界まで垂れ下がり、視界に美琴を入れないように斜め下を見ている。
両の手はスカートの裾をギュッと握りしめる。
どうすればいいのかわからない、そう彼女は全身で美琴に訴えている。

御坂(……最低ね、今日の私。本当に最低)

今朝、打ち止めに『あの人ってどんな人?』って聞いた時、打ち止めも困ったように眉をしかめたじゃないか。
妹達が美琴に一方通行のことを、知らせたがらない事に、うすうす気付いていただろうに。

御坂(……あの子も、この子も。一方通行のこと、私に言いづらいのか。)

理由は美琴には分からない。
力ずくで根掘り葉ほり聞くのは簡単だ、超電磁砲が欠陥電気に負けるわけがない。

けれど、頑として美琴に一方通行のことを伝えることを躊躇する妹達。
必死に何かを守るようだ、と美琴は茫然と思った。

彼女たちは一体、何を守っている?
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/07(水) 01:11:08.11 ID:YSHTmiE0
美琴は自分の不甲斐無さに苛立ちを隠せなかった。
今日、何度そんな事で後悔をしているのだろうかと美琴は自分のことを心底恥ずかしいと感じた。
頭が混乱しているからといって、イライラした気持ちを『妹達』にぶつけてなんになる。

御坂(今にでも、この子は泣きだしてしまいそうじゃない。
    ――――私は妹達の悲しい顔がみたいの? 違う、私は。私が見たいのは)

美琴が見たいのは、晴れた空の下で、ハツラツと咲く向日葵のように笑う妹達。

パンっ! と突然鳴った音に、10032号はビクリと肩を動かし、恐る恐る音のしたほうを見た。
美琴の両の頬に、薄らと紅葉型の赤い後が出来ていた。
「ちょっと、強くやり過ぎたかしら」と少し涙目になった美琴がボソリと独り言を言う。

10032号「……え?」

目の前の光景に、いまいち付いていけてない10032号は口をあけ、ポカンとしている。
気合いを入れるため自分で自分の頬をはっ叩いた美琴は、「よし」ともう一度自分の頬を軽く叩くと、10032号の顔を見やった。
今度は10032号の目を真っ直ぐ見る。
美琴が迷っていれば、目の前の少女はもっと困ってしまうのだから。

御坂「ごめん、回りくどいことした。白い髪の男は一方通行だってコト気づいてた」

10032号「っ!」

御坂「アンタの事、試すような聞き方だったよね。本当に、ごめん」

ベンチから立ち上がると、美琴は10032号に頭を下げた。
10032号は美琴の姿にアタフタと手を動かし、慌てたように「頭をあげてください」と美琴に告げる。
美琴が頭をあげて、もう一度10032号のほうを見ると、10032号は安心したような、後悔しているような曖昧な表情をしていた。

10032号「そう、ですか。お姉様は上位個体と一方通行が一緒にいる姿をみたのですね、と
     ミサカはお姉様が言ったこと再度確認するために、同じ内容を繰り返します」

御坂「…うん。2人が一緒にいる所を見た」

「そう、ですか」ともう一度、10032号は小さく呟いた。
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 01:32:54.41 ID:xHodiQAO
美琴・・・
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/07(水) 01:55:43.58 ID:YSHTmiE0
10032号「一方通行に関して、色々なコトがあったんです。本当に、沢山。
     ……多くのことがあり過ぎて、ミサカは今お姉様に何を伝えればいいのか正直わかりません」

美琴と10032号は、ベンチに並ぶようにして座っている。
美琴の右側に置かれていた学生鞄はベンチに横に立てかけ、向日葵で出来た小さい花束は美琴の膝の上に置いた。

御坂「打ち止めが一方通行に惚れちゃうくらい、色々あった。ってことね」

既に空になってしまった緑茶サイダーの缶を、美琴は赤い自動販売きの横にあるゴミ箱へと投げる。
綺麗な放物線を描いて、カコンッとゴミ箱の淵に当たって宙を舞ってから、缶はそのままゴミ箱の中へと消えた。

10032号「その通りです、とミサカはそれ以上の上手な言葉で
     お姉様に伝えられない自分の言語能力の低さに歯痒さを感じ唇を噛みます」

御坂「そっか」

軽い沈黙が訪れる。けれども、先ほどのような重さは無い。

10032号「…………何も、聞かないのですか? その、一方通行と妹達に関することを、
     とミサカはミサカに追及してこないお姉様におずおずと尋ねます」

意を決したように、10032号は美琴のほうへと身体を向けた。
それでも、ちょっとだけ垂れ下がる眉が前髪から見え隠れする。

御坂「うーん、そぉねぇ。」

美琴は、頭の中で言葉を選びつつ、ゆっくりと喋り始めた。

御坂「本音を言えば、よ。そりゃ全部知りたい。
    やっぱり理解できないこととか、納得できないことも多いし。
    何よりも、私の頭の中が色んなことでごっちゃになってるしもの」

10032号は美琴の言葉を遮ることなく、最期まで耳を傾ける。

御坂「でも、アンタ達が私にその事を話すことが辛いなら、聞かない」

美琴は思うのだ。自分の心がいかにボロボロになったとしても、
妹達の泣き顔をみる苦痛に比べたら何だというのだ、と。

御坂(――それに、私も……)

美琴はふっと、自分に思い当たる事を思い出し、自虐的な笑みを一瞬浮かべた。
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/07(水) 02:51:39.73 ID:YSHTmiE0

御坂「もっと言うなら、アンタ達が私に話してくれるまで、気長に待つわ」

一生、知らないても良い。なんて偽善を口にはしない。
美琴の知りえない一方通行の他の真実を、美琴自身知らなければならないと感じる。
それがわかるのが、今日か明日か。それとも何年と先になるのかは見当もつかないが。

御坂「そんで、アンタ達が気兼ねなく『話してもいいかな?』って思ってもらえるように私も努力する。
    ……具体的な努力っていうのは、今、ぱっとは思い浮かばないんけどね、情けないことに」

「なんてことしか私には言えないんだけどねぇ、……あははは」と最期は足早に喋り終える。
なんとも中途半端な妥協点だ、自分で提案したものに美琴は頭を頭を抱えた。

御坂(アレね、本当に自分のことは棚に上げて、って感じ。
    偉そうに人のこと言える立場でもないくせに、アンタってずるい奴ね、御坂美琴。)

視線を下げれば、小さい向日葵の花束が視界にを埋める。
生き生きと咲く太陽のような花弁に、小さいながらも精一杯咲き誇る気高さを感じた。

自分がどんなにズルくて最低な人間でも、と美琴は頭の中で続ける。

打ち止めが好きな、打ち止めに似た向日葵。この向日葵のように妹達には太陽の下で笑っていてほしい。
その気持ちだけは、誰にも負けるつもりはない。

美琴の話を黙って聞いていた10032号のほうへと美琴は視線を向けた。

10032号「――――ミサカは、どうしたらいいのでしょうか。とミサカは自分の情けなさに地団太を踏みます。
     ミサカは心に何かが溢れて来るのを感じながら、それに対する対応を知らない自分に嫌気がさします」

焦点の合わない瞳は、妹達の特徴だが、今の10032号の瞳に美琴の姿を映している。
『妹達』元々感情をもたない体細胞クローンであり、つい最近自我を手に入れたばかりだ。
精神的に未成熟な彼女たちには、まだまだ理解できない感情はあまりにも多い。

『妹達』をめぐる問題は山のようにあるのが現状だ。
彼女たちの身体の調整がいつ終わるのか、終わった後どうやって生きていくのか。
彼女たちが沢山のことを学び感じ、もっともっと"自分"を手に入れた時、
自分とまったく同じ容姿をもつ人間が約10000人いる状況をどう受け止め直すのか、それすらもわからない。

御坂「でも、最後にに1個だけ聞きたいかも」

美琴は1つだけ、10032号に尋ねる。

御坂「アンタも、打ち止めも。笑えてる?」

色々な事を考えても、1番重要なのは、そこ。


130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 02:59:34.45 ID:K11Ciic0
見てるから頑張れ
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/07(水) 03:07:14.27 ID:YSHTmiE0
4レスしか進みませんでしたが、
3時になってしまったのでここまでで投下をやめます。
御坂妹と美琴のやり取り、中々進まない&終らないです。
美琴はいつになったら女子寮に帰るのでしょうね……。

支援くださった方、こんな夜中まで読んでくださった方ありがとうございます。
具体的な時間は未定ですが、今日また来ます。
きっと引き続き亀のごときスピードですが、ご勘弁ください。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 03:30:18.55 ID:K11Ciic0
乙〜
おやすみ〜
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 03:37:28.50 ID:40vMQXQ0
最初は
上条さん登場
   ↓ 
美琴といちゃいちゃ
   ↓
どう考えても俺得

って思ったが>>1にそげぶされたw
そして>>1
一方さンと美琴の今後が気になるな。まぁ、ゆっくりでいいんで完結頑張ってくれ俺は待ってるぞ
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 08:25:23.05 ID:8/d1f520
……ふぅ
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 22:23:36.12 ID:.cc4HsSO
ふぅ
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/07(水) 22:27:50.45 ID:xHodiQAO
…ふぅ
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 23:17:59.92 ID:YSHTmiE0
今回も大幅に修正しつつなんで、亀如く遅いけどよければお付き合いください。
御坂と御坂妹の場面も終わりが見えてきたんだよ!
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 23:22:18.85 ID:WiVQsP.o
待ってたんだよ!
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/07(水) 23:34:38.73 ID:K11Ciic0
wktk
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/07(水) 23:51:47.94 ID:YSHTmiE0
10032号「はい」

美琴の問いに10032号は迷うことなく言葉を紡ぐ。

10032号「ミサカも打ち止めも、他のミサカ達も」

自分がうっすらと頬笑んでいることを、10032号は気づいているだろうか。

10032号「毎日が楽しくて、たくさんたくさん笑っていますよ、とミサカは全ミサカを代表してお姉様に伝えます」

10032号の言葉を聞いて、美琴は肩の力が抜けたのを自覚する。

美琴「ふふ」

妹達は日々を楽しく笑っている。
それはとても素敵なことで、信じられないほど、とても幸せなこと。
今まで蛇のように自分の心に巻きついていたどす黒い感情を、いまばかりは美琴も忘れさっていた。
打ち止めと話した時のような、いや、それ以上の幸福な気持ちが美琴を満たしていく。


美琴「そっか」


10032号が目を見開く。
イタズラが成功した時のような子どものような、美琴の笑顔が彼女には眩しく見えたのだろう。
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/08(木) 00:35:22.26 ID:LclIN0g0
御坂(皆、笑ってるなら。それ以上望むなんて、贅沢よ)

美琴が空を仰ぎながら、自分の進むべき道を模索していたが、答えは出た。
誰にも妹達の幸せな日常を壊させないし、美琴自身もその日常を壊すような愚かな行為は慎むべきなのだ。
美琴は「待つ」と決めたのだから、その日まで美琴は待ち続ける。

御坂(一方通行と打ち止めが一緒にいることは理解できないし、納得も簡単にはできないけど)

美琴は『お姉様』だからこそ、『妹達』を見守ることしかできない。
それでいい、と美琴は考える。
理解できなくても納得できなくても、見守ることが出来れば、いつかきっと何かがわかる時が来る。

御坂「さ、この話はここでおしまい」

緊張の糸がほどけた美琴はうーんと身体を伸ばし、立ちあがった。
遠くに見える公園の時計は、完全下校時刻をとっくに過ぎていることを彼女たちに教えていた。

10032号「……すでに、完全下校時刻は過ぎてしまったようです、
      とミサカは『帰りが遅いのは駄目だね』というあのカエル顔の医者の小言が目に浮かびます」

御坂「あらー、本当。私も黒子からうるさいくらいネチネチ言われそうだわ」
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/08(木) 00:36:03.31 ID:LclIN0g0
10032号「それでは、とミサカはお姉様に別れの挨拶を――」

10032号のしゃべりに美琴が割って入って来た。

御坂「ブッブー。それは不正解です、とミコトはミサカの間違いを指摘します。
     こういう場合、『またね』が模範解答です、とミコトはミサカに示唆します」

10032号「これはなんの真似ですか? とミサカはお姉様のドへたくそな演技に失笑します」

御坂「なによー。似てないの?」

10032号「まぁ及第点をあげなくないです、とミサカは甘いジャッジを下してあげます」

御坂「まぁ、今日のところはそんなとこで、満足しますか」

美琴はにししっとにやりとすると、「またまねする気満々ですかコイツ……」と10032号はそんな美琴に呆れるようにため息をついた。
美琴がベンチに立てかけていた学生鞄を手に取る。鞄の淵にくくりつけられているケロヨンのストラップが左右にゆれた。

御坂「それじゃぁ、またね。『御坂妹』」

10032号「『御坂妹』はあの人だけの呼び名ですから、呼ぶんじゃねーよお姉様、とミサカは辛口で返します。」

御坂「……本当に、あの野郎は何人の女をたらしこめば気が済むのよ……っっ!?」

美琴がブツブツと小さな声でツンツン頭の少年への愚痴が止めどなく流れ出てくる。
「……っ! なんか急に上条さんの背筋が凍るんですけど何故?」なんてこことは別の場所で震えている少年がいたとか、いないとか。

10032号「ミサカを示す名前は検体番号10032号です、とミサカはお姉様にもう一度申告します」

美琴「はいはい。それじゃあ、またね10032号のミサカ」

片手を軽く上げると、美琴は歩き始める。

10032号「それでは、また。とミサカはお姉様の御見送りをします」

御坂美琴とまったく同じ容姿をもつ、御坂美琴とはまったく異なる少女は、
彼女のお姉様の背中が見えなくなった後も、しばらく彼女のお姉様がさっていった方を無言で見つめていた。

143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/08(木) 00:58:29.27 ID:LclIN0g0
>>142 最後の2行が抜けてました。

10032号「……ミサカは――」

美琴の背中を追いかける10032号の思いの丈をを、ついぞ誰かの耳に入ることはなかった。
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/08(木) 01:26:12.65 ID:LclIN0g0
日が暮れ始め、辺りは薄らと暗くなってきた。美琴は常盤台中学の女子寮へと足早に向かっていた。
本来なら全速力で駆けたいところだが、右手で学生鞄をぶら下げ、左手は抱きかかえるようにして向日葵の花束を持っている。
両手が塞がれている以上、早歩きですれ違う人を縫うようにして歩いていくしかない。

御坂(あーもう、学生寮行きのバスは既に最終便が終わってるし)

祝日の夜の街には、俄かに夜の不陰気に高揚している学生たちが顔を出し始めている。
ただでさて常盤台の制服を着ているだけで目立つのに、
彼女の整った愛らしい容姿、モデルのようなすらっとした手足が更に行きかう人の視線を攫う。

御坂(ジロジロ見ないでほしいわ、本当に。ウザったいったらありゃしない。)

周囲の視線が美琴にくぎ付けになるのはいつものことだが、
人通りの多い夜の繁華街は普段とは明らかに毛色の違う視線がねっとりと絡んでくるのだ。
むーっと口をへの字に曲げて、ピクピクとこめかみが動くのを我慢するが、
美琴の全身からは「近づくんじゃねーぞ、野郎共」という拒絶オーラがにじみ出ている。
そんな美琴の雰囲気に大抵の男は近づく前に気後れして去っていくものだが、それでも美琴に挑戦してくる馬鹿な男もいるのだ。

海原「これは御坂さん、お久しぶりです」

美琴の目の前にたって、美琴に笑顔で話しかけてくるこの男もその1人。
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/08(木) 01:38:27.38 ID:LclIN0g0
今日も短いけど、これで終了です。
昨日今日とまったく書き溜めがない状態で、
亀のような投下&短い内容だったので、次回は少し書き溜めしてから投下します。
すらすら書けたら金曜の深夜、筆が進まなかったら土曜か日曜です。

コレ今週中には終わらす予定です。てか終りたい。っていったバカが誰だ。
今週で終る気がしない上に、当初の予定より全然長くなってるよ……。

ご支援くださった方、ここまで読んでくださった方ありがとうございます。
シスコン海原はさっと登場、さっと退場予定なので、多めに見てやってくだせぇ。


146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/08(木) 01:39:45.18 ID:fyiUNtAo
がんばれー
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/08(木) 01:43:55.82 ID:RZxC3IA0
乙!
これからもがんう゛ぁ
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/08(木) 01:46:26.36 ID:bZVK1V6o
製作なんだし自分のペースで良いじゃない
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/08(木) 07:30:44.67 ID:vhZcABA0
>>144
ふ、ふいんk
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/10(土) 02:13:54.85 ID:vla2IcAO
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/10(土) 08:19:48.51 ID:FXZLYXEo
海原がかませだって幻想を(ry
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/10(土) 17:05:01.42 ID:/V0n/sAO
今日は来るかな?
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 02:50:39.31 ID:S8MrXSE0
美琴に声をかけてきた男の名は海原光貴という。
その外見はなかなかのイケメンで、背も高く清潔感のある好青年という感じだ。
今も汚れひとつないスーツで身を固め、ニコニコと爽やかオーラ全開で美琴に微笑みかけている。

御坂「お、お久しぶりです…。海原さん」

美琴は海原の存在を確認すると、頬を引きつらせながら挨拶を返した。
ここは波風を立てずに上手に気に抜けるしかない、と美琴は引きつった笑顔で考えている。

御坂(『お断り』した後に会うのって、はじめてなのよねー…。気まずい。気まず過ぎる)

夏休み最終日。
以前から美琴に熱烈なアプローチをしてきた海原に、はっきりとその好意を拒否した。
夏休み最終日にあった騒ぎで救急車で搬送され、病室で意識を取り戻した彼にきっぱりと伝えた。
「貴方の気持ちは嬉しいけれど、他に気になる人がいるから、ごめんなさい」、と『お断り』の一言を。

御坂(んで、今後は『1人のお友達として普通に仲良くしましょー』ってなったけどさ)

基本的には良い人なんだろう、と美琴は素直に思う。
能力を使ってテストのカンニングをするといった短所はいただけないが、悪い人ではない。
ゆっくりと時間をかけていけば、友人になることはできるだろう。

ただ、彼が異性の男性として恋愛の対象になるかは、また別の話だったのだ。
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 02:51:11.83 ID:S8MrXSE0

御坂「え、えーっと! 奇遇ですね? こんなところで」

友達になりましょう、といっても。
あの日に海原を振ってから、彼とは今の今まで連絡すら取っていなかった。
「ごめんなさい」と振った男にどういう態度をとればいいのかまったく分からず、美琴はしどろもどろになってしまった。

海原「そんなに固くならないでください。楽に行きましょう、楽に」

少し困ったような情けない笑顔で、海原は美琴の挙動不審な態度を見ている。
あたふたしている美琴の様子は、「貴方に会って正直困ってます」と相手に暴露しているようなものだった。

海原「貴方の事は諦めると決めた以上は、貴方の迷惑になることはしません」

海原はそんな美琴の行動に眉間にしわを寄せることもなく、笑顔を崩さずに美琴に話しかける。

御坂「――あ」

海原「『友達』なのですから、無理な気遣いは結構ですよ? それも御坂さんの優しさだとは存じてますが」

御坂「あの、海原さん。ごめんなさ――」

海原「『ごめんなさい』は要りません」

海原はそこで一旦言葉を切り、一瞬何かを思案した後、更に言葉を続ける。

海原「色んなことを含めて、御坂さんは御坂さんらしく、堂々としていればいいのですよ」

そのほうが僕も気楽にできます、と海原は「気にしないで」という意味も込めて手をひらひらとさせた。
海原の気遣いに、美琴は強張っていた身体の力がすっと抜けていくのがわかった。
「ごめんなさい」が要らないのなら、彼に言うべきことは、

御坂「うん、ありがとう。海原さん」

海原「いえ、それほどでも」

歯が浮くような存在感、キラキラとした胡散臭い空気。
海原光貴のどれをとっても、背中がむず痒くなってしまう。
なんて、彼を苦手に思ってた過去の自分が聞いたら驚くかもしれないが、美琴は素直に思った。

御坂(本当に友達になれたらいいな、海原さんと)
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 02:52:09.79 ID:S8MrXSE0
御坂「マジで!? 『ゲコ太vsケロヨン最期の血戦〜ピョン子の心は誰のもの〜』がついに映画化……!!」

海原「みたいですね。映画館でパンフレットみかけましたから」

御坂「楽しみ過ぎるわっ! あれ、今って映画館の帰りだったり?」

海原「ええ、そうですよ」

なんやかんやで、2人が立ち話を始めてから数分。
美琴の鞄から機械的な電話の着信音が聞こえてきた。

御坂「私の携帯みたい、ちょっとごめんなさい」

海原に一言断りを入れてから、彼との会話を一時中断して美琴は学生鞄から携帯を取り出すと、脇で鞄をはさんで支える。
機械的な着信音を鳴らしながら、ブーブーと小刻みに振動している携帯の液晶画面を見てみれば、
【着信:白井黒子】と美琴の後輩の名前が表示されていた。

御坂「しまった! 黒子からか」

【着信:白井黒子】の右上に表記されている携帯の時計を確認すれば、
完全下校時刻どころか、このままでは常盤台女子寮の門限すら過ぎてしまいそうだった。

御坂「やっば、門限!!」

海原「あ。寮の門限ギリギリですか? 足止めさせてしまってすみません」

御坂「いえ、大丈夫です! 近道を走って行けばまだ間に合うから!」

海原「寮までお送りしましょうか? もう夜遅いですし」

御坂「へーきへーき。私は超電磁砲よ? 大抵の輩は返り打ちできるもの」

今まで美琴が返り打ちに出来なかったのは、
ツンツン頭の少年と、嫌味なほどシミ一つない白い肌と白い髪をもつ少年くらいなものだ。
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 02:53:04.93 ID:S8MrXSE0
海原「うーん。大能力者の自分だと、逆に足手まといになりますね」

御坂「足手まといなんて思わないけど、やっぱり悪いから」

携帯は機械的な着信音を鳴らしながら美琴の手の中でブーブーと振動し続けている。

御坂「それじゃ、もう行きますね」

海原「はい、お気をつけて」

海原が来た方向とは逆、元々歩いていた方向へと美琴は駆けだそうとしたが、
その足を止めると、くるりと海原のほうへと振り返った。

御坂「『私らしく、堂々としてろ』って言ってくれてありがとう。」

今日は昼からなんだが自分らしくない行動が続く美琴には、彼のその何気ない言葉が嬉しかった。

御坂「海原さん。『またね』!!」

10032号にも言ったが「それじゃあ、さようなら」は不正解。
その人が大切なら、その人とまた笑顔で笑い合いと願うなら、「それじゃあ、また明日」が正解。

打ち止めとも、10032号とも、妹達とも、ツンツン頭の少年とも、目の前の海原とも。
美琴はまた会いたいと心の底から思うから、「またね」と言って御坂美琴は去っていく。

それじゃあ、また明日。また明日、会いましょう。

そんな美琴の願いを知ってか知らずか、
美琴の別れ際の挨拶に海原も笑顔で「またお会いしましょう」と手を振った。
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 02:55:36.96 ID:S8MrXSE0
海原退場。さっと登場さっと退場でした。
お久しぶりです。とりあえずここで一旦切って、また今日の夜にでも続きを投下します。
中途半端ですが、ご勘弁ください。眠いっす(@_@)
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/11(日) 03:03:53.68 ID:Zy8DjiI0
おひさし鰤です!
夜が楽しみどえす
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/11(日) 05:08:50.62 ID:raX3JR2o
おお再開してた
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 07:36:12.35 ID:ylbHeGwo
>>157
製作だからゆっくりやるといいよ
完結させてさえくれれば
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/11(日) 08:27:28.44 ID:nDpnX6SO
いろいろとwwktkな展開ですなぁ
続き期待しとります!
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 16:15:56.55 ID:8Ksw5WI0
海原カッコいい…
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 17:02:27.22 ID:w.Ov8IAo
海原かっこよすぎワロタ
ってあれこいつはエツァリなのか…?
救急車で搬送されたのって本物だったような
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 17:06:06.75 ID:HQvhTuQo
海原のさわやかっぷりに惚れた
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 17:38:34.87 ID:QF0dzsYo
この海原は本物なんじゃね?
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 20:39:40.32 ID:S8MrXSE0
こんばんは。いつもお世話になっております。
今回も修正&加筆作業しつつですので、ノロマな投下ですがお付き合い頂けると幸いです。
12時くらいまでまったり投下していきますので、よろしくお願いします。
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 20:40:13.89 ID:S8MrXSE0
御坂(今は、7時45分くらい。門限が8時20分だから。う〜ん、なんとかギリギリセーフかな?)

prrrrrrrr、prrrrrrrr。携帯の音は鳴り続ける。

御坂(何はともあれ、電話に出ることが先決よね)

2つ折りの携帯をパカッと手首の勢いだけでパカッと開くと、美琴は通話ボタンを押して携帯を耳へと押し当てた。
脇で抱えてるままではバランスが悪いため、学生鞄を左手で持ち替える。
向日葵の花束は抱えたままだ。

御坂「もしもし」

白井『あ、お姉様? 黒子ですの。携帯に出られるのが遅くて心配しましたの』

御坂「ごめーん! すぐに携帯に出れる状況じゃなかったもんだから」

白井『シャワーかなにか? ということは、今のお姉様のお姿は、火照った身体にバスタオル1枚……ゲッヘッヘグフゥ』

荒い鼻息が電話越しにこちらにまで聞こえてくる。
後輩からの電話あるはずなのに、変質者からのイタズラ電話に出ているような気分だ。
一応白井も、花も恥じらう女子中学生なのだから、頼むからもう少しオブラートに包んでほしい。
かの少女はあまりにも自分の気持ちというか、自分の性癖に正直すぎやしないだろうか。

御坂『よかったわねー黒子? 電話越しじゃ雷撃の槍は届かないものね? 
    いやー、今日の星座占い見逃したけどさ、アンタの星座が一位確定っぽいわよー?』

ひゅっと息を吸ったような音が微かに耳に届く。
カタカタと震える音も聞こえるが、白井の携帯を持つ手が震えているかもしれない。

白井『……い、いやですわ、お姉様。た、ただの冗談ですのっ!』

美琴「ふ〜ん。ならいいけど。――ていうか、黒子。寮に居ないの?」

白井『第一七七支部で現在進行形で缶詰状態ですのー、面倒ですのー』

ぐてーっと机の上で身体をだらけている白井の姿が美琴の脳裏に浮かぶ。

御坂「風紀委員の仕事?」

白井『書類がどうしても片付かなくて。今夜は完璧、徹夜でデスクワーク決行ですの。
    こんなデスクワークさっさと片付けて、黒子はお姉様との甘美で魅惑的な夜に浸りたいですのに!!』

御坂「謹んで遠慮しとくわ」
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 20:44:40.87 ID:S8MrXSE0
初春『溜まりに溜まった始末書が片付かないのは、白井さんの自業自得だと思いますけどー』

御坂「初春さん?」

携帯電話の向こうから、白井と同じく第一七七支部で風紀委員をしている初春飾利の声が聞こえてきた。

白井『お黙りなさい、初春!!』

初春『ちょ、白井さん! 痛い!』

ギャーギャーと電話の向こうが騒がしい。
美琴は女子寮への帰路を急ぎながら、白井と初春のやり取りをしばし黙って聞いていた。

白井『うーいーはーる〜? お姉様に余計な事を言わなくて結構ですのよ!?』

初春『キャーっ!! ちょ、白井さん! むしらないで、花をむしらないでくださいーーっ!!』

御坂(……え?)

初春飾利はいつも頭に、満開に咲き誇るヘアバンド状の花飾りを身につけている。
遠くからだと頭に花瓶を乗せているように見える、初春のトレードマーク。

御坂(……もしかして。あの花飾りの花を……?)

「むしらないでー」という初春の悲鳴が続く。
初春があまりにも可哀そうに思えてきて、美琴はついに口を開くことにした。

御坂「………………後ろのほうから、初春さんの悲鳴が聞こえてくるんだけど?」

白井『聞き間違いではないですの、お姉様?』

御坂「……えぇー」

返ってきた白井の声は何処か晴々としているのは気のせいだろうか?
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/11(日) 20:51:17.57 ID:dvPx/gAO
来たか
がんがれ
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 21:07:10.41 ID:B584oJQo
う、初春さんの本体をむしった…だと?
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 21:14:24.10 ID:S8MrXSE0
海原と分かれた場所から、近道である入り組んだ繁華街の路地裏を小走りで進んでいたが、
ようやく人や車の通りが多い、常盤台女子寮へと続く大きな道路へと美琴は出ることが出来た。

白井『とまぁ、そういうわけで、今夜は寮には戻れませんの。
    すでに寮監には風紀委員活動による外泊の連絡はしておりますので、ご安心を。
    お姉様にもご連絡をと思いまして、電話をかけた次第ですわ』

御坂「りょーかい」

白井『ところで、お姉様。車の通る音が聞こえてきますけど、外出中ですの? 完全下校時刻はとうに過ぎてますのに。
   ハッ! もしや、例の殿方と2人きりでデート……? あ、あんの、類人猿がア"ァァァァァッッ!!!』

可憐な見た目とはギャップがある白井のハスキーボイスが、
濁点を交えたドスの聞いた叫び声となって美琴の鼓膜を貫いた。
美琴は思わず携帯を耳から離す。

御坂「違うわよっ!!!」

耳がキンキンして痛い。
携帯を顔の正面に持ってきて、美琴も白井に負けないくらいの大声で叫び返した。

白井『―――いっ!!』

打ち止めにしろ、白井にしろ、どうしてそっちのほうへと物事を考えるのか、美琴には頭が痛くなった。
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 21:14:53.30 ID:S8MrXSE0

御坂「最近、第七学区に新しいショッピングモールできたでしょ? そこに行ってたのよ」

白井『ハァハァ…、そ、そうでしたの、何か良い物は買えまして?』

今日ショッピングモールで買えたもの。
朝から気合いを入れて買いに行った、学園都市限定・恋愛成就のゲコ太お守りは、手に入らずじまい。
美琴は左手で抱えている小さい向日葵の花束に視線を落とす。

御坂「結局、買ったのは向日葵の花束だけね」

白井『あら、今日も花をお買いに?』

御坂「うん」

白井『確か昨日は、学びの園内のフラワーショップで紫苑をお買いになってましたわよね?』

紫苑とは8月〜10月に咲く多年草のことをいう。
薄い紫の花が咲くのだが、その姿はコスモスに少し似ているかもしれない。

御坂「今日はショッピングモールで買ったの。向日葵よ」

白井『まあ、向日葵ですか。お部屋に飾るのでしょう? 寮に帰る時の楽しみが増えましたの』

常盤台、というより学びの園はいつも、季節の花に囲まれている場所だ。
いつもの季節折々の花々もいいが、季節外れの向日葵に白井の心は躍ったようだ。

白井『とっくに完全下校時刻は過ぎていますので、早めに学生寮に御戻りくださいね、お姉様』

御坂「はーい、じゃあ仕事がんばってね。初春さんにもよろしく伝えといてー」

白井『それではお休みなさいませ、お姉様』

御坂「うん、おやすみ」
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 21:43:44.26 ID:S8MrXSE0
「それじゃあ、また明日ね」と言って美琴は白井からの電話を切った。

御坂(風紀委員の支部にずっと居たのか……)

白井に心配をかけまいと続けた寄り道は、その役割をまったく果たさないで終わった形だ。

御坂(より道が、意味が無かったとは思わないけど)

ショッピングモールからの寄り道で、10032号と会い、海原と会った。
欲しいものは手に入らなかったが、その前には初めて20001号、打ち止めと会うこともできた。

――― 一方通行、にも会った。

御坂(良いことも、嬉しいことも多い1日だったけど、それと同じくらい悪いことも凹むことも多い1日だったわ)

大きい道を真っ直ぐ歩けば、少しずつ常盤台の学生寮が見えてくる。
学生寮までもう少し。
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 21:44:14.12 ID:1uBVLWI0
がんがれ
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 21:46:00.39 ID:VeF95NMo
ラスボスがんばれ
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 22:17:07.33 ID:S8MrXSE0

御坂「……つかれたっ」

学生寮の自室のドアを開いた瞬間、美琴はどっと押し寄せてきた疲れに耐えきれず声に漏れた。

美琴の顔は夕方、ファッションビルの窓ガラスに映った顔よりは、幾分生気が戻っているが、
テーブルの上に置かれている鏡をのぞき込めば、目元に薄らとクマのような出来ているので、
やはり白井が今日、寮いないのは美琴にとって好都合だったようだ。

御坂(やっぱ超ブサイク……)

本当に今日は朝から色々なコトがあり過ぎて、美琴の体力はとうに限界だ。

御坂(今日はとりあえず、もう寝よう)

手に持っていたものをテーブルの上に置くと、美琴は少し乱暴な手つきで制服を脱ぎ始めた。
身体が鉛のように重たくて、今すぐそのままの格好でベットにダイブしたい衝動にかられるが、
かたっくるしいブレザーで寝ると、絶対に夜中目が覚める。
面倒くさいが、ぐっすり眠りたい美琴は嫌々ながら、ブレザー、その下に着込んでいる防寒用のベストを脱ぐ。

首元のリボンのストライプを取り、チェックのプリーツスカートに手を付けた時、
テーブルの上に学生鞄と一緒に置かれている小さい向日葵の花束を何気なく視界が捉えた。

御坂「あっ、向日葵……」

鮮やかな黄色の花束を朦朧とした脳が認識すると、急に襲ってきた疲れと眠気が奥に引っ込んでいく。

御坂「うっわ、私やっぱ馬鹿だわ。これ飾らないと、1日が終わらないってね」

ベットの奥、部屋の窓側に置かれている本棚のほうに首を向ける。
天井に接触するほど高い本棚の中段、ちょうど窓から太陽の光が入る位置に何種類もの花が並んでいた。
ガラスで出来たシンプルでいて可愛らしい花瓶に入けられた花々の中には、薄い紫の花を咲かす紫苑の姿もある。

177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 22:55:42.00 ID:S8MrXSE0

美琴はまだ花が活けられていない花瓶と向日葵の花束を持って、近くの水場へと足を運んだ。
学生寮の各階に水場が設置されており、室内に付属している洗面台など以外を使う場合は大抵ここで済ます。
ルームメイトに部屋付属のバスルームや洗面台を占領されていまったであろう女子生徒が数名、
その水場で洗顔や食後の歯磨きなどに勤しんでいる。

御坂(花束のまま飾っても良かったんだけど、やっぱ水につけてあげたほうがいいでしょ)

花束のリボンを外し、小さめの花瓶の高さに会うように、花の茎を1〜2cmほど切りそろえていく。
パチンパチンと一本一本丁寧に作業していると、少し離れたところで歯を磨いていた同学年の友人が話しかけてきた。

友人「御坂。アンタの中ではまだお花ブームが到来中かー。毎日せっせと花の世話して大変じゃない?」

御坂「おーい今の台詞は聞き捨てならんぞ園芸部」

友人「園芸部っつても、私は育てるのは野菜に果物。食べれるものじゃないと、やる気が起きない!」

御坂「…………その食い意地、アンタは何処かのちびっこシスターですかぁ?」

常盤台のお嬢様には珍しい1にも2にも「食べ物、食べ物」と言い張る友人に、
ツンツン頭の隣に、いつの間にか当たり前のように居る、銀髪の食いしん坊シスターを思い出す美琴。

御坂(そーいえば。何回も食べ物恵んでんのに、いまだ人のこと『短髪』なんて呼ぶのよねー、あの恩知らず)

将を得んと欲すればなんとやら。
まずは馬という名のシスターの心を得ようとする美琴の姑息な真似を、銀髪シスターにはお見通しなのかも。

友人「シスター? 誰よ、それ。十字教徒の知りあいなんていないんだけど……」

御坂「あー、なんでもない。こっちの話」

園芸部の友人に「気にしないで」と言ってパチンと鋏を動かすと、美琴はすべての向日葵の長さを揃え終えることが出来た。
花瓶に適量の水を入れると、いそいそと切りそろえた向日葵を花瓶へと活け始める。

友人「きれいなモンね」

御坂「でしょ?」

薄らと透明なブルーのガラスで出来たガラスに、鮮やかな黄色い向日葵の合わせはとても映える。

友人「でも、まさしく『夏!!!』って感じで、季節感ゼロ。う〜ん、惜しいわね」

御坂「これはコレでいいのよ。向日葵は夏の花なんだから」
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 23:00:29.35 ID:S8MrXSE0
×薄らと透明なブルーのガラスで出来たガラスに
○薄らと透明なブルーのガラスで出来たガラスの花瓶に、

花瓶が抜けてました。
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/11(日) 23:14:23.08 ID:S8MrXSE0
向日葵を全て花瓶に活け終わる。
透明なブルーの花瓶にびっしり活けられきれいに咲く向日葵を見て、美琴は満足げに「うん」と頷いた。

御坂「よし、完成」

友人「にしても、本当にお花ブームは続くねー。夏休みの途中からじゃない?」

御坂「そう、だっけ?」

美琴はずっと向日葵へと視線を向けているため、友人から美琴の表情は見えない。
友人は特に美琴の様子を気にもかけず、話を続ける。

友人「ほんと、よく飽きないよね。毎日のように花を買って部屋で活けてるんだもん。 
    最近じゃ、華道部の子らがアンタの勧誘を本気で考えてるっぽいよー」

御坂「ふ〜ん、そ。私は部屋に戻るわ。また教室でねー」

友人「あいよー。明日の五限目の経済学当たる予定なんで、昼休みにでも教えてくれると助かる」

御坂「はいはい、仕方ないわね」

「頼むわー」と美琴は背中のほうから聞こえてくる友人の声に片手を軽く上げた。
ひらひらと片手をゆらすだけで、美琴が後ろを振り返ることはなかった。

180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 23:16:00.23 ID:CxloHfQo
美琴に黒子たち以外の友人がいる描写が新鮮だww
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 23:27:56.74 ID:S8MrXSE0
今回の予定していた投下が終りました。
少し予定より早い時間ですが明日は早いのでお許しください。
なんとか御坂が寮に帰るとこまで進みました。次回は1日飛んで火曜にお邪魔します。

ここまで支援くださった方、コメント下さった方ありがとう御座います。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 23:34:04.47 ID:S8MrXSE0
>>163、165

実は上のほうに書いてたりするのですが、
このssに登場の海原さんは「シスコン」海原さんです。

>>180

アニメで黒子が美琴の隠し撮り写真が出た時、
美琴が他の女子たちと仲良く準備運動っぽいことしてる写真もあったから、
友達は居るだろーと思って、出してみました。

美琴ぽっち説なんて信じない!!
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 23:39:11.23 ID:x/MK5Ako
いや美琴の性格なら普通に友人はいるだろ
おまえらも学生の頃、学校では一緒に飯食ったり便所行ったり課題やったりするけど
学校の外に出たらほとんど絡まない友人っていただろ?
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 23:40:14.96 ID:K.czBHgo
>>183
トラウマえぐってんじゃねえぞぶっころすぞ
高1~高2まで高校のヤツと外で遊んだことありませんでしたー!
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/11(日) 23:59:30.37 ID:x/MK5Ako
>>184
俺は高校じゃそんな薄い関係の友人ばっかだったから
社会人になった今完全に疎遠だけどn

つか常盤台って全校生徒200人くらいで高レベルの能力者しかいなくて
お嬢様の集まりでしかもほとんどが派閥に属してるんだろ?
派閥に属してない美琴や黒子の性格じゃ親友なんてもんはできないな常盤台じゃ
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/13(火) 00:02:03.82 ID:Sl98zkAO
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/13(火) 00:33:01.77 ID:IVL0Od6o
ほ(失笑)
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 18:57:14.62 ID:yosy2gAO
ほしゅううう
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/15(木) 21:03:06.73 ID:3xM63Oc0
保守はいらんらしいぞ〜
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/15(木) 21:14:14.73 ID:7WmQHoAO
復活キターーー
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 21:20:25.36 ID:FwN/DgQ0
復活したーーー。
こんばんは、いつもお世話になっております。
いつもの如く、ノロマですがお付き合い頂けると幸いです。

最近一方さんのスレがたくさんあって楽しい。
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 21:21:20.05 ID:FwN/DgQ0

ドアが閉まる音が、静寂に包まれている部屋の中に木霊する。
美琴は迷うことなく、いくつもの花を飾っている本棚へと向かった。

正面から見て左から右いくほど、新しく飾った花が生き生きと咲いている。
昨日飾った紫苑の右側には多少スペースが空いており、そこに先ほど活けたばかりの向日葵をそっと置いた。

御坂「こう改めて見てみると、色も形も大きさも全部バラバラね」

儚げな薄紫、輝く黄色、淡い桃色、神秘的な白色。美琴の本棚には、色鮮やかな大小様々な花が咲き誇っている。
これらの花々がこうして仲良く並んで一緒に咲く姿は、今日この日だけだろう。
美琴が毎日手に入れる花に共通性はない。色も、形も、香りも、大きさも、てんでバラバラなのだ。

御坂「今日はね、向日葵にしてみたのよ」

ルームメイトの白井も居ないのに、美琴はぽつりと誰かに話しかけ始めた。

御坂「検体番号20001号、打ち止めっていう妹達に会ってね」

ショッピングモールで出会った、打ち止めは「向日葵が好き」だと眩しい笑顔で教えてくれた。

御坂「その子の好きな花が、向日葵なんだって」

「向日葵がすごく似合う子だった」と打ち止めのことを思い出し、美琴は微笑む。
部屋に花を飾るようになって、美琴は今日初めて「この花にしよう」と決めて花を買い、部屋に飾った。
打ち止めが好きだと言った、向日葵の花。

御坂「その後に、アイツに『御坂妹』って呼ばれてる、妹達の10032号にも会ったわ」

10032号の好きな花は何だろうか。
今日は聞くことが出来なったが、きっといずれ聞く機会はあるはずだ。
次に会った時に「10032号はどんな花が好き?」と聞けばきっと知ることが出来る。

けれど、

御坂「……アンタ達の好きな花は何?」

けれど、美琴の切実な問いの答えは一生返ってくることはない。
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 21:22:05.17 ID:FwN/DgQ0
学生寮の私室にこうやって花を飾る習慣が美琴に出来たのは、8月21日から少し日たった頃からだ。
『絶対能力進化計画』にまつわる一連の騒動が終わり少し落ち着きを取り戻した頃、
美琴は改めて、今後、自分は『妹達』とどう関わっていけばいいのかと考えた。

そして、ある1つの現実を、美琴は改めて突き付けられた。

10032号『正式に名乗るならば検体番号10032号のミサカです、とミサカは改めてお姉様に自己紹介します』

『あの夜』、ツンツン頭の少年が命がけで助け出してくれた妹のことを美琴は思い出す。
一方通行を倒して、彼女以降の妹達全員がツンツン頭の少年にその命を助けられた。
それ以前の、10031号までの妹達は、すでにこの世界の片隅にも存在しない。

御坂(――10031番目までの妹達とは、もう、会うことも、できない。)

どんなに美琴が切望しても、絶対に叶うことのない非情な現実。

御坂(――私は10031番目までの妹達の好んだ花でさえ、知ることができない)

御坂(――ねぇ、アンタ達の好きな花は何なの?)

返事がないことなど美琴だってわかっている。けれども、心の中で何度この言葉を繰り返しただろうか。
彼女たちの好きな花がわからないから、美琴は毎日違う花を買って来る。
違う花を買い続ければ、いつか彼女たちの1人でも、好んだ花を飾ることができるかもしれないと思ったからだ。

10032番目の妹達とは、これから少しづつお互いに歩み寄れる可能性は十分ある。
美琴はそのための努力を惜しむつもりはないし、彼女たちが望むことは出来るだけ叶えてやりたい。

しかし、今は、妹達は身体の調整が1番大切なことだ。
余計なことをして彼女たちの心労になりたくないという面もあり、自発的に会うことは極力控えていた。

御坂(なんというか、自然の赴くがままにまかせている現状は、情けないもんよね)

妹達のことをどんなに大切に想っていても、どんなに大事だと感じていても。
妹達との距離感を中々うまく掴めず、美琴自身も戸惑っている最中だった。
こればかりはそう容易く運ぶことではない。
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 21:22:14.49 ID:b2b4xQAO
>>191
キターー(゚∀゚)ー( ゚∀)ー( ゚)ー( )ー(゚ )ー(∀゚ )ー(゚∀゚)ーー!!

待ってました!
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 21:22:33.03 ID:FwN/DgQ0
御坂(――それでも)

それでも、10032番目以降の妹達とは、これから少しづつお互いに歩み寄れる可能性は十分ある。
10032番目以降の妹達とはこれから、おしゃべりをしたりして、彼女たちのことを知れる。
日に日に其々の個性を開花させていく姿を見守ることができる。

今日だって、打ち止めと10032号のことをたくさん知ることが出来た。

御坂(打ち止めは天真爛漫でたくさんに笑う子で、意外と食いしん坊。好きな花は向日葵。
     歳の割りにマセてて、『あの人』のことが―― 一方通行のことが好き。心底惚れてるって感じね)

打ち止めは他の妹達より幼いからか、喜怒哀楽がはっきりしてて、よく笑う子だった。
「あの人」が好きなのだと告げた打ち止めの姿は、とても愛らしくて、輝いてみえたのは確かなのだ。

御坂(10032号はときどきキツイことを言ったりするけど、打ち止めのことを話す時は『お姉さん』の顔をしてた。
    『御坂妹』はアイツだけの呼び名ってこだわってたし、多分、私のライバルになるのかな?)

いつだか、美琴に得意げに見せてきたオープンハートのネックレスを、大事そうにつけていた10032号。
尊大な態度をしているように見えるが、凄く優しい子だということを美琴は知っている。

2人のことをたくさん知った今日。
明日もきっと誰かのことを知れる。



―――じゃあ、10031番目までの妹達のことは?

―――美琴に彼女たちのことについて知る術は残されていない。
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 21:23:32.83 ID:FwN/DgQ0
『絶対能力進化計画』に関する機関や情報はすべて破棄されている。
美琴がどんなに超電磁砲としての能力を行使しても、
彼女たちの好きな人や、好きな花を知ることが出来なければ、彼女たちの最期の場所も、最期の時も知ることはできない。

御坂「何が超電磁砲よ。何が超能力者よ」

御坂美琴は、あまりにも無力だ。何も出来ないし、何も出来なかった。

御坂「……私は、本当に情けなくて、馬鹿な奴なのよ」

心から漏れた美琴の呟きを聞いても、花々の輝きは濁らない。

昨日は何番目の妹の命日だったのだろうか?
今日は何番目の妹の命日なのだろうか?
明日は何番目の妹の命日になるのだろうか?

恨み言1つ言えずに亡くなっていった妹達のために、美琴が今出来る精一杯のことは、彼女たちの冥福を祈ることだけ。

しかし、美琴は彼女たちの命日も知らないし、彼女たちには墓石もなかった。
せめて彼女たちの好きな花を飾って、それが少しでも彼女たちの慰めになればいいと、
美琴は自分の私室に手探りにも、様々な花を毎日、毎日、飾り続ける。

自己満足の行動に過ぎないとしても、美琴は花に小さな願いを託す。

御坂(せめて、せめてあの子たちが、安らかな夢をみて眠れますように)
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 21:26:03.25 ID:FbwplEAO
9982号「」
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 21:26:21.80 ID:FwN/DgQ0

花々の前に背筋をまっすぐにして立つ美琴の背中は、とても小さかった。
その瞳に涙こそ浮かべないものの、今にでも崩れてしまいそうなくらい脆く見える。

御坂「……?」

部屋の窓はまだカーテンが閉められておらず、微かな月光が部屋の中に届いている。
月光に気がついた美琴は、窓を開けて外の様子を伺った。

雲ひとつない空は遠くまでずっと星の絨毯が続いていて、空気は何処までも澄んでいて風もない。
まさに、『実験』が終わった『あの夜』がそのまま美琴の目の前に広がっているように思えた。

御坂「――冷たっ」

しかし、頬に感じる寒さが秋の哀愁を感じさせ、『あの夜』との違いをこれでもかと美琴に突き刺す。
気がつけば、季節は秋へと流れていた。
あれから、『残骸』の一件があり、大覇星祭もあった。
つい先日もツンツン頭の少年のために、美琴は、銃を片手に持った警備員とよく似た格好をした数十人の武装集団とドンパチをかました。
今はすぐそこまで近づいている一端覧祭の準備で、学園都市全体が浮足立っている。

御坂「もう、秋なのよね」

目まぐるしい日々を過ごしながらも、美琴の心は『あの夜』から立ち尽くしたまま。

もう会うことも分かりあうことも出来ない、10031番目までの妹達。
彼女たちの中で唯一、美琴と一緒の時間を過ごした個体がいた。

8月15日。忘れもしない第9982次実験があった日だ。
その日、美琴が初めて妹達の1人に会って、実験の内容を知って、一方通行に無残にも敗れた。
一緒に猫とじゃれて、一緒にアイスを食べたあの子の名前は、検体番号9982号のミサカ。

御坂(……9982番目の、私の妹)
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 21:28:20.19 ID:m9N5YjA0
………
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 22:19:37.23 ID:FwN/DgQ0
美琴の瞼の裏に今でもずっと焼き付いている、初めて出会った妹達。

御坂(最初は警戒してたはずなのに、何時の間にかあの子のペースになってて……)

木の上で立ちつくしていた子猫を一緒に助けて、
ギャーギャーと騒いでいたらアイス屋の男の人に一緒にアイスを奢ってもらって、
なんだかんだで、そのまま一緒に喫茶店に行って、ファーストフード店に行って、
せっかく手に入れたケロヨンの缶バッチを取り合って―――

9982号『いやいやねーだろ、とミサカはミサカの素体のお子様センスに愕然とします』

美琴が9982号試しに付けてみたケロヨンの缶バッチを見て、彼女がため息とともにつげた感想。

御坂(……あっ)

「いやいやねーだろ」とキッパリと美琴のお子様センスを一刀両断したのは、9982号だ。

御坂(――どうして、私はその事を軽く流してたんだろう)

それも、9982号との大切な想い出の一欠けらのはずなのに。
8月15日。その日は膨大なコトが美琴の身に一気に降りかかってきた。
学園都市に渦巻く暗闇に触れ、今まで築き上げてきた「自分だけの現実」すらもいとも簡単に打ち砕かれ、
自分の中のドロドロした感情に埋もれてしまいそうだった美琴に、
その日の出来事の1つや2つが曖昧になってしまったとしても不思議ではない。

御坂(思い出せて、良かった)

また1つ、美琴の中に妹達の記憶が増えていく。
それが砂のように小さいものであっても、その砂は夜空の星よりも美琴の心を照らしてくれる。

ケロヨンの記憶を持っていたのは、打ち止めでなく、10032号でもなく、9982号だった。

10032号『――ミサカはミサカネットワークに存在しない妹達の記憶を聞かされ戸惑いを隠しきれません』

夕方、公園で「ケロヨン」についての記憶は持っていないと10032号は言っていた。

美琴は『ミサカネットワーク』というシステムの概要をいまいち理解していないが、
「妹達のもつ情報や記憶がネットワークを通して共有されている」ということは知っている。
妹達の上位個体である打ち止めもゲコ太のことを知らなかったし、
ケロヨンのストラップをが視界にあっても特に反応があったとは思えない。

御坂(打ち止めも知らないってことは、本当にミサカネットワークにその記憶がないってことだ)

どうして、ケロヨンの記憶を9982号だけしか持っていないのだろう。
もしかして、ミサカネットワークというのは現存している妹達たちの情報しか扱えないだろうか。
10031番目までの妹達の記憶は、「無い」ものになっているのかもしれない。

美琴はよくわからないミサカネットワークについて考えた。
御坂(もし、考えたことが本当だとしたら―――、)

10031番目までの彼女たちの記憶を10032番目以降妹達が知らない。その事が美琴にはとってとても寂しく感じられた。
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 22:28:12.85 ID:FwN/DgQ0
少し長い時間席を離れます、すみません。12時過ぎには戻ります。
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 22:36:46.06 ID:DsbOM9Mo
きゅんきゅん
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 22:42:04.48 ID:m9N5YjA0
気にするな
そのぐらいの待ち時間ならビリィで慣れてる
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 23:02:57.36 ID:7PJOmoSO
切ないなあ
やるせないなあ
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/15(木) 23:42:24.80 ID:FwN/DgQ0
戻りましたー。
引き続き御坂のお相手は9982号さんです。

206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/15(木) 23:54:06.06 ID:J4AHZVYo
>>205
よし 今すぐ投下に移るんだ
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/15(木) 23:55:21.02 ID:FwN/DgQ0

たとえ、10032号から20001号までの妹達が知らなくても。

御坂(私は知ってるよ)

あの日。9982号が帰ると思っていた計画の関連施設を突き止めるため、美琴は9982号の後をつけた。
慣れ合う気なんてなかったのにいつの間にか、
美琴は9982号と一緒に猫を助けて、アイスやハンバーガーを食べて、紅茶の美味しい喫茶店に行っていた。

9982号「お姉様に近づくためにももっと不摂生しなくては!!」

ぐっと握りこぶしを作って、意味不明な決意をしたり、

9982号「これはお姉様から頂いた初めてのプレゼントです」

所有権は自分にあると言って、絶対にケロヨンの缶バッチを手放さなかった、9982号。

御坂(9982号、私は)

ボーっとしていてどこか抜けいてるようで、人のアイスを無断で食べたりするチャッカリしている子だった。
アイスやハンバーガーを食べたり、紅茶を飲むたびに、
「美味しいっ!」といちいちびっくりしていたけど、かすかに笑っているようにも見えた、9982番目のミサカ。

9982番目の美琴のかけがえのない妹。

御坂(私は、ちゃんと、アンタのこと知ってる。アンタのこと覚えてる)

2人で過ごした時間を、9982号のミサカのことを、美琴は決して忘れない。美琴は忘れられやしない。
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 00:02:13.67 ID:PNm2tSMo
思いのほか話が重いな
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 00:16:04.14 ID:Vj/dRDU0
やばい………
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 00:25:19.92 ID:1nsY7UAO
切ないなぁ…
畜生涙腺が緩む
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/16(金) 00:26:46.30 ID:bnfAy5w0
すっかり開けっ放しにしていた窓から、冷たい空気が入ってくる。
吹いていなかった風が、この時間になって微かにそよぎ始めたようだ。
これ以上窓を開けていると身体が凍えてしまいそうで、美琴は部屋の窓を閉じシャっとカーテンを動かした。

向日葵は花瓶に活けて棚に飾った。
花を捧げた妹達への今日の報告をし終わった。
今日、美琴のやるべきことは全て終わった。

白い長袖のワイシャツにチェックのプリーツスカートという、今の美琴は中途半端な格好のままだった。
スカートのホックを力ずくで外しチャックを下せば、スカートは重力に従ってストンと床へと落ちた。
右足、左足の順にソックスを脱ぐと、美琴はスカートとソックスをブレザーがある方へと投げた。

御坂「……シャツは変えがあるし、このままでいいか。面倒だし」

「御坂美琴のHPはゼロだぁ〜」と訳のわからない独り言を言いながら、
そのまま美琴はボフっとベットへとダイブした。
息苦しくならないように長袖ワイシャツの第2ボタンまで片手で開ける。
長袖ワイシャツに短パン姿。いかにも白井がブツブツと文句をいいそうな寝巻だが、
風紀委員の第一七七支部で白井は今夜ずっと缶詰で、この部屋には美琴に文句をいう人物はいない。

御坂「―――おやすみなさい」

パチッと美琴の前髪付近から微弱な紫電が天井のほうへと流れた。
刹那、部屋の中は真っ暗になり、暗闇が美琴の視界を覆い尽くす。
ドアの脇にある照明用のスイッチを押すのも美琴は億劫になり、能力を使って部屋の照明を落とした。

少し時間がたてば真っ暗な世界に瞳もなれて、ぼんやりと部屋の内部が見て取れる。

御坂(おやすみなさい、って言ってみたものの、なんだか眠れそうにないわ)

部屋に戻ってきた時はあんなにも疲れや眠気が襲ってきたというのに。

御坂(体力ゼロ、疲労困憊。眠いのは本当)
 
なんだが美琴の目は完全に冴えてしまい、まだ眠れそうにない。
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/16(金) 00:46:23.06 ID:bnfAy5w0
無理やり瞼を閉じても、美琴の脳裏に浮かんで来るのは妹達のことばかりだ。
打ち止め、10032号、9982号。
これから会える妹達に、もう会えない妹達。そして、

御坂(――アクセラレータ)

打ち止めも10032号も、美琴にその少年について話すことを、すごく躊躇していた。

御坂(躊躇、というより。10032号に至ってはすごく怯えた様子だったし)

しかし、そのことについて美琴の答えはすでに出た。
もう迷うことはないし、もう自分が迷う姿を妹達に見せたくない。

御坂(私は待つ。ずっと、待ち続ける)

美琴が「これからどうすればいいのか」ということについての迷いは一応、決着がついた。
しかし、一方通行と『妹達』――打ち止めが、一緒にいることに対して、美琴がどう思うか。
その事に関して、美琴は、夕方公園で黄昏ていた時から一歩も進めていない。

御坂(私はどう思うの? 一方通行と打ち止めが一緒にいること。打ち止めが一方通行にベタぼれってこと)

御坂美琴は、どう思うのか。
その現実を自分の中で、御坂美琴は正直にどう受け止めるのか。

御坂「……私は、」

美琴は今の今まで半ば強引に無視していた根本的な問題と、正面きってぶつからなければならない。
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 00:49:15.64 ID:xGeA72wo
重いな…
でも俺はこういうシリアスなの大好きだ
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 01:00:03.59 ID:bnfAy5w0
加筆修正が必要な書き溜めもすべて投下してしまって、
手元がゼロになったので今日はここまでです。

打ち止めとか黒子&初春とか、
途中途中で軽くしようとしても、御坂さんドシリアス一直線 orz
こっからは一方さんのターンなので、ますます重苦しくなるかなーと。
明日or明後日の深夜にお邪魔します。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
次回もお付き合い頂けると幸いです。
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 01:00:52.15 ID:xGeA72wo
おつかれ
頑張ってください。次も楽しみだ
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/16(金) 01:30:39.42 ID:AHedcmko
>>1乙
いい歳してちょっとホロリときてしまったよ
続き待ってるぞ
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/17(土) 00:38:46.24 ID:JBb3uwAO
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 01:17:07.96 ID:1nJY6Mo0

様々な思いが心の中を駆け巡り、美琴の心のダムは崩壊寸前だった。
美琴が一方通行に抱く感情は複雑で難解で、自分でも上手く言葉で説明することができない。

美琴が一方通行を見て、率直に身体が反応した感情は、恐怖。

御坂(――私は、一方通行が、怖い)

美琴と同じ容姿をもつ妹達10000人以上の血で染められた『絶対能力進化計画』。

抉られた跡が痛々しく残った路地裏。
ねっとりとした脂肪の匂い。
地面や壁にペンキのように張り付いた黒い血痕。
内臓を無理やり引きずりだされ、肢体がバラバラにされボロ雑巾のように放置された妹達の死体。
この世とは思えない真黒な世界に、白い髪の少年だけがゆらりと揺れて立っていた。

美琴と同じ顔をした少女達が、想像するだけでも恐ろしい手段で淡々を殺されていく日々。
圧殺・殴殺・禁殺・撃殺・絞殺・惨殺・刺殺・焼殺・爆殺。
妹達を1つの慈悲なく、愉快に笑いながら死に至らしめていった、一方通行。

美琴をドン底まで突き落とした日々。
心がギリギリと悲鳴をあげて、言葉にならない叫びにただ耐えていた、あの夜。

妹達がしんでいくことが悲しかった。
簡単に命が散っていくことが切なかった。
『自分だけの現実』が打ち砕かれて怖かった。
何もできない自分が腹立たしかった。

――それらを面白可笑しく笑って見ていた、一方通行が
美琴には恐ろしかった。

御坂(ただ、ただ笑ってただけのアイツが、心底怖かった)

美琴にとって、『一方通行』とはあの地獄のような日々の全てを象徴する存在といっても間違いないのだ。
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/17(土) 01:31:42.06 ID:4o8sMP.0
きたーー!
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 01:54:00.38 ID:1nJY6Mo0
美琴がその底なし沼の地獄に引きずり込まれた日のことが、鮮明に蘇ってくる。

御坂(――9982号)

全身に傷を負わされ、左足をもぎ取られ、
美琴からのプレゼントだと言った缶バッチを大事そうに握りしめながら、
ベクトル操作で操られた列車に押しつぶれて絶命した9982号。
彼女の全てを奪い去ったのは、白い髪に赤い眼孔をもつ1人の少年。

御坂(あの子も、一方通行に殺された。
     ……私は見てたのに、あの子のこと助けてあげられなかった……!)

美琴はギリッと奥歯をかみしめ、枕に顔を押し付けてベットの上で蹲った。
枕やシーツを握りしめる両手は力のあまり真っ赤になっている。
閉じられた目に無意識にぎゅっと力が加わり、変な火花のような残像が映し出される。

御坂(……一方通行、アンタはさ、色んなものを根こそぎ奪ったのよ)

一方通行は奪ったものはあまりにも多すぎた。
美琴からも、妹達からも、何もかもを乱暴に乱雑に根こそぎ抜き去ってしまった。

御坂「……アンタのことは怖いけど、私は絶対に許さない」

奥歯に込める力が強くなる。
シーツ越しに食い込む爪の痛さも美琴は気づかないまま、美琴は静かに吐き出す。

一方通行が犯したことは、
一方通行が10031人もの妹達を殺したことは
一方通行が10031人もの妹達の笑顔も未来も命も全て奪い取ったことは、

御坂「私は、絶対に許さないッッ……!」
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 02:00:05.66 ID:1nJY6Mo0
2レスのみ投下しました。
また今日の夕方にお邪魔して続きを書きます。失礼しました。
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 02:00:47.99 ID:WWYCNLoo
乙ぃんこ
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 02:02:50.47 ID:BqeGmewo
ナージャでーす
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 02:07:25.90 ID:xQ1C1EAO
乙です
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 09:02:54.71 ID:WKt7LYAO

wwktk
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 15:15:42.13 ID:1nJY6Mo0
今朝(?)はお世話になりました。
今日はなるべく投下したいと思っておりますが、
やはり今日も激遅でございますが、ご勘弁くださいせぇ。
……書き溜め無いんです。
引き続き、一方さん&9982号のターンでお送りします。
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 15:18:05.05 ID:BqeGmewo
書き溜めァ……
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 15:41:45.78 ID:1nJY6Mo0

未来永劫、美琴が一方通行を許すことはないだろう。
美琴は自分がそんな偉そうなことを言える立場でないと理解していても、これだけは誰にも譲らない。

御坂(大切な妹を殺されて、その命を蹴散らかされて、ヘラヘラ笑って許せる「姉」が何処に居るっての?)

そんな馬鹿げた奴が居たなら、是非ともそいつの頬を全力でぶん殴ってやりたい。

『妹達』は超電磁砲の量産型クローンであり、事実を言えば美琴の「妹」ではない。
美鈴や旅掛らがその生を望み、愛情もって慈しみ、祝福されて誕生した「妹」ではない。
美琴の両親すら、DNA上の繋がりがあっても、『妹達』を自分たちの娘だと喜ぶかは美琴すらもわからない。
血のつながりも必要かもしれないが、『妹達』には美鈴や旅掛はおろか、美琴とも『家族』としての想い出がないのだ。

それでも美琴は揺らぐことなく、彼女たちを自分の妹だと、自分は彼女たちの姉だと断言する。

美琴だって当たり前のように考えてるのではない。
相当の覚悟を持って、その信念を貫き通しているのだ。

御坂(―――でも、あんまし、難しく考える必要はないのかもしれない)

『妹達』、20001人。
美琴は彼女たちが大切で、その笑顔を守りたい。

御坂(だって、私は『妹達』が大好きだから)

彼女たちの姉でいる理由なんて、それ1つあれば十分ではないだろうか。
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/17(土) 15:42:51.36 ID:kWJk8gIo
きたか
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 15:44:36.50 ID:vWb4wsDO
まさか真っ昼間からとは

wktkwktk
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 16:18:11.86 ID:1nJY6Mo0

打ち止め『お姉様、今日は楽しかったよー、またね! ってミサカはミサカは大きく手を振ってみるー!』

10032号『毎日が楽しくて、たくさんたくさん笑っていますよ、とミサカは全ミサカを代表してお姉様に伝えます』

彼女たちの言葉が、耳の奥から鮮明に聞こえてくる。
みんな、笑っているのなら、美琴はこれ以上望むのは贅沢だと感じたはずだ。

妹達はいま、生きている日常で笑っている。
誰にも妹達の幸せな日常を壊させないし、美琴自身もその日常を壊すような愚かな行為は慎むべきだと考えただろう。

御坂(自分勝手な願いかもしれないけれど――、)

もうココにはいない妹達の分まで、あの子達には晴れた空の下で、笑っていてほしい。

砂糖菓子のように甘い笑顔で、打ち止めが気兼ねなく笑っていられる世界。
打ち止めの隣に一方通行が居ることで、成立する世界なのならば、

御坂(憎たらしくて、半殺しぐらいにしないと気が済まないくらい奴だとしても)

『あの人』に淡い恋をするほど、打ち止めが幸せな日常に包まれているならば、

御坂(――私は、一方通行が打ち止めの隣に居てくれることを、感謝すべきだ。)

美琴はゴロンとベットの上で寝がえりをうった。
ぼんやりと天井が視界に入る。
天井にぶら下がっている小さめのシャンデリアの水晶が、カーテンから漏れる月光を反射してキラキラと揺れる。

御坂「………悔しいわね」

超電磁砲としての能力を行使しても、学園都市最強の一方通行にも、無能力者のツンツン頭にも勝てない。
妹達への想いは誰にも負けないつもりなのに、彼女たちの1番の笑顔の糧になっているのも、2人の少年。

御坂「恋する乙女は、最強なんだろぉけどさ」

打ち止めも、10032号も、彼女たちが輝いて笑って見せるのは恋い焦がれた相手。
彼女たちの笑顔を守っているのが、一方通行とツンツン頭の少年。

御坂「私が、1番に守ってあげられないのは、悔しい」

一方通行だけなく、自分が恋い焦がれている少年にも、美琴は小さな嫉妬を心に抱く。

天井へと手を伸ばす。小さく輝く水晶を掴むことなんてできるはずもない。
自分の手と水晶までの距離が、美琴と彼らとの絶対的な差のように思えてならなかった。
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 17:24:04.27 ID:1nJY6Mo0

ベットの上でしばらく寝つけずに様々なことを考えていた美琴だが、
しばらくすると瞼が重たくなり、視界が段々狭まっていき、静かな寝息をたてはじめた。

‐‐‐‐

気がつくと、美琴は夜の学園都市にぼんやりと立っていた。

御坂「……?」

ふいに、背中の後ろから視線を感じ、美琴はくるりとその視線を送る人物へと振りかえる。

御坂(はっ?)

そこには1人の少女が、こちらをじっと見つめていた。
きれいに流れる肩までの茶髪、モデルのような整った顔、すらっとした手足。
身につけているものは、丸襟の半そでワイシャツにサマーニット、紺のスカートという、常盤台の夏の制服。

御坂(……私?)

頭につけたゴツゴツとした暗視ゴーグルと、サマーニットにつけたケロヨンの缶バッチがなんともアンバランスだ。
美琴の目の前の、もう1人の御坂美琴は、ただただ、じっとその瞳に美琴の姿を映す。

御坂(あっ、そっか。この子『妹達』だ)

『量産型能力者計画は』凍結されたはずなのに、なぜか製造された、美琴の体細胞クローン。

    ・
御坂(妹達ってことは、多分、何人か他にもいそーだしね……)

美琴はげんなりと肩を落とした。

美琴はお昼にこの少女に出会って、こんな下らない研究をしてる首謀者を取っちめてやろうと、後をつけてきた。
しかし、「ミサカは実験に向かうので施設へは戻りません」としれっと聞かれなかったからと言って、
今の今まで、美琴にその真実を『妹達』の少女は、意地悪にも教えてくれなかった。

御坂(――そうよ、だからこのままじゃラチがあかないからネットから……と思ったのよ)

こんな所でちんたらしている暇はない、美琴はこの茶番をさっさと終わらせたかった。
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 17:25:02.69 ID:1nJY6Mo0
御坂「…ん? まだ何かあるの?」

9982号「…いえ」

『妹達』の少女は美琴をただじっとみつめ、もごもごと小さく口を動かすがすぐに諦めた。

9982号「さようなら、お姉様」

少女は、淡々と別れの言葉を口にする。

御坂「ああ、うん。じゃあね」

美琴は、軽く返事を返し少女の顔を流れるように見るだけで、一直線に何処かへと走り出した。


――――これは、まさに9982号と美琴の最後の想い出の、夢。


少女は立ち止まったまま、美琴が走って行ったほうをじっと見つめる。

9982号「あのね」

伝えたい相手はすでに遠くに行ってしまい、その言葉は届かない。

9982号「あのね、ミサカは――」

優しげな頬笑み浮かべながらを彼女はぽつりと小さな声で、呟いた。


‐‐‐‐

ブツッとテレビの電源が消えるような音が聞こえた後、美琴は、はっと夢から覚めた。
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 17:26:23.30 ID:BqeGmewo
(´;ω;)モワッ
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 17:48:16.68 ID:eaqZfJ6P
>>1のSS、原作をちゃんと大事にしてて好きだ
行動や台詞が違和感ないんだよね
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 19:16:38.28 ID:1nJY6Mo0
美琴はがばりと勢いよく上半身を起こした。
声にならない叫びが吐息となって空気の中に散っていく。

御坂「……夢」

額から一筋の汗が顎へと流れた。
寝ている間にかいた大量の汗で、ワイシャツも短パンもぐっしょりと水分を吸っている。
肌にぴったりと張り付いてくる服の感触があまりにも気持ち悪くて、美琴は思わず眉間にしわを寄せた。

ひゅっと美琴の喉が鳴る。
今のは、9982号と分かれた時の夢だった。

御坂「『じゃあね』、か」

あの時の自分はなんで、簡単にその言葉を口にしたのだろうか、と美琴の心に後悔の念が押し寄せてくる。
美琴は突然目の前に振ってきた問題に躍起になっていた。
9982号のことなんて特に深く考えることもせず、自分のことだけ考えて彼女と分かれた。

9982号『さようなら、お姉様』

何かを言いたげだった9982号、美琴は彼女のサインに気がつがつかないで、何も考えずに軽く流してしまった。

御坂(あの時はあれが本当に最期になるなんて、思わなかった……)

また、どこかで会って9982号の憎まれ口に振り回されるんだと、美琴は思っていたのだ。
後悔はいつも先に立たってなんかくれない。
失ってから、壊してから、大事だと気付いた時から、そのことにはじめて気がつく。

美琴は体育座りをして、両手で足を抱き締めた。
ぎゅっと自分で自分をを抱き締めてあげないと、今にでも泣き崩れてしまう自分がいたから。
夢の中でも、9982号は美琴に何かを伝えようとしてたのに、また聞き取ることが出来なかった。

御坂「――ねぇ、私に何かを言いたかった? 何か伝えたかった?」

暗闇の中に、美琴の言葉が溶けていく。

御坂(怖いって言いたかったの?
     あなたのせいだって怒りたかったの?
     もう嫌だと逃げ出したかった?
     ……助けてって伝えたかったの?)

どんなに、悩んだって考えたって、答えなんてわかりっこない。
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 19:43:54.49 ID:1nJY6Mo0
「じゃあね」なんて言って別れて、2度と大好きな人に会えなくなる絶望。
美琴はそんなこと2度と御免だ。立ち上がれないほどの悲しみや喪失感を、2度と味わいたくない。

御坂(……もう、目の前で大切な人が居なくなるのは、ウンザリよ……!!)

――お願いだから、「さよなら」なんて言わないで。

簡単に私に別れを告げて、私を置いて遠くに行かないで。
目の前から居なくならないで、勝手に死んで逝かないで。

美琴は「さよなら」と言わなくなった変わりに、人と別れるときは「またね」と言うようになった。
ごく自然に、普通にやりだしたことで、きっとこの変化に美琴自身も気が付いていない。

「またね」―――また明日、会おうね、絶対、絶対に会おうね。

そんな願いを言葉に込めて。
「またね」は美琴にとって、気休めにしかならないかもしれないが、自分を宥めすかす魔法の言葉。

御坂(……ごめん)

「それじゃ」なんて簡単に言って、9982号のメッセージを受け取ってあげられなくて。
心の中で1度謝罪の言葉を漏らせば、次から次へと感情の波が押し寄せて、美琴の心のダムはとうとう崩壊し始めた。
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 19:49:57.56 ID:1N8zuwAO
うおおおおおおおおん
上条はまだかあああああああああ
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 19:55:27.20 ID:1nJY6Mo0
3時半くらいからはじめて、4時間強で6レス投下しただけだと……!?
ちょっくら休憩してきます<(_ _)>
御坂さんドシリアスますます深刻化、もう少しシリアス御坂にお付き合いください。

>>235

そう言ってもらえるとは思わなんだ(@_@;)
嬉しいです。
原作の台詞引用も多々なので、出来る限り頑張ります…!!
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 20:08:26.43 ID:vKSji1Mo
こうなると一方さんと分かりあうのは不可能っぽいな・・・
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 20:17:14.74 ID:kDNxvAk0
個人的には、不可能でもいいと思っているが
>>1の書くストーリーならどう転んでも納得するだろうなと思う自分も居る
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 20:52:09.08 ID:nqoRwzw0
シリアスだけど原作に忠実な設定だし、不快じゃないから頑張って
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 20:55:14.83 ID:1nJY6Mo0
休憩がてら他スレ様のssみてニヤニヤしておりました。
カタカタとメモ帳に乱文打つ作業に戻ります。
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 21:30:33.68 ID:1nJY6Mo0
美琴は、弱虫で、無力で、役立たずな自分が嫌いだ。大っきらいだ。

御坂「…ごめ、ん。ごめんな、さい。ごめんなさい……」

「ごめんなさい」と美琴は呂律の回らない口で小声でしゃくりあげる。
視界が滲む、頬に流れる涙を必死に止めようと手の甲で無理やり目元を擦る。

御坂(泣くな……ッ!)

必死に感情をコントロールしようとしても、美琴の思い通りになどいかない。
この空間には、9982号も、打ち止めも、10032号も、白井も、誰も居ないのだから。
自分のことで余計な心配をかけたくなくて、無理に虚勢をはる必要のある人が誰もいない。

周囲が御坂美琴を修飾する言葉はあり過ぎて、美琴自身も覚えきれていない。

学園都市の頂点、超能力者の第3位。
常盤台中学のエース。
最強無敵の電撃使い。
『妹達』の素体(オリジナル)―――――『超電磁砲』

どんな言葉を並べたところで、御坂美琴はたった14歳の女の子でしかないのだ。

とうとう美琴は止めどなく流れてくる涙に抵抗するのを辞め、
体育座りのまま膝に顔を埋め、静かに泣いた。
隣の部屋の子を起こしてしまわないように、声を押し殺して。

御坂「……ごめ、んね」

壊れた機械のように謝罪の言葉を繰り返す美琴。

彼女の双肩に圧し掛かるものは、1万人の妹達の命に対する罪悪感と償い。
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 22:15:17.38 ID:1nJY6Mo0
妹達や自分を救ってくれたのは、最強の一方通行を倒してくれたのは、
誰かの笑顔のためなら自分が傷つくことを厭わない、お人好しでおせっかいなツンツン頭の少年だった。 

上条『だから、お前は笑っていていいんだよ』

ぽつんと1人取り残されてしまった美琴に、少年が優しくかけてくれた言葉。
少年の暖かさが、どれだけ美琴の心を救ってくれただろうか。

御坂(こんな私でも、笑っていいって)

あの状況で、自分自身が少し許されたような気がして、美琴の心は幾分にも軽くなった。

けれど、

彼の少年には最大限の感謝をしているように、
一方通行には絶対の怒りを抱いているように、
美琴は御坂美琴の愚かさを絶対に許すことが出来ないでいる。

御坂(……全部、一方通行に責任を押し付けるのは、きっと違う。
    私も10031番目までの妹達を助けてあげられなかった。
    10032番目からの妹達を助けてくれたのは、アイツで。
    私はあの子たちの【姉】なのに、なにひとつ【妹達】を守れなかった)

なにひとつ出来なかった己の非力さを呪わない日は無かった。
どんなに自分が手が届かない世界の話だったとしても、
美琴は亡くなった10031番目の妹達を支えたかったし、救いたかったし、守りたかった。

これは、きっと美琴にしかわからない感覚なのだろう、と美琴は理解している。

御坂「……ごめん、ねぇッ」

私、アンタ達の「お姉様」なのに、何もしてあげられない。何もしてあげられなかった。

御坂「アンタ達だって、楽しく笑える日常で生きたかったはずなのに……!!」

9982号だけじゃなく、他の会ったこともない妹達へ、美琴の懺悔は続く。

どんな理由であれ生まれてきたのなら、
楽しく笑える幸せな日々を過ごしたいに決まっている。
悲しいことや、苦しいこと、痛いことの他にもいっぱい、世界にはたくさんのことが広がっている。

御坂「嬉しいこととかさ、楽しいことがあるって、知ってほしかった……!!」

打ち止めや10032号が笑っていたように、彼女達だって笑えていたはずなのに。

あの少年も、妹達も、美琴を取り巻く人々はみなが優しい。
誰も、美琴を責めないし、許してくれる。

あの実験で、妹達の命を軽んじた人たちには、それ相応の罰が必要なのに、美琴には誰も罰を与えない。
だからこそ、美琴は一生自分を許せないし、自分を罰しつづけていく。
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/17(土) 22:29:15.96 ID:1nJY6Mo0
ドシリアス御坂さんはここで多分、終了です。
そして、とりあえず今日の投下はここまで、です。
また明日、朝からお邪魔します。
今日と同じぐらいの亀スピードですが、お付き合いいただけたら幸いです。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

一方さんと美琴とのやり取りはすでに決まっていますので、
そこまでなんとか早くたどり着きたいです。
主軸が妹達なので、どうしてもそっちに文&時間が割かれがちに……(*_*;
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 22:30:59.04 ID:BqeGmewo
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/
                /(  ) 
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  舞ってます
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 22:31:42.93 ID:1N7SICoo
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/17(土) 22:34:34.31 ID:8DSXfTYo
おつおつ
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 22:49:19.72 ID:rHX8QMDO
楽しみにしてる
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/17(土) 22:52:57.34 ID:vJ4.Uts0
乙でした〜
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 11:29:03.77 ID:KCbGkU.0
打ち止め「皆さん、お早うございます! ってミサカはミサカは元気に朝のご挨拶!
      ここからちょっとだけ幕間のお話になって、視点がお姉様からミサカにミサカにバトンタッチしてみたり!」

10032号「1がその場のノリで海原とか9982号(夢のトコ)を出して、
      後半へと繋ぎ方どうするかを考え中なのです、とミサカは皆様に1の情けない姿を暴露します」

という訳で、今日もよろしくお願いします。
やはり昨日と同じくらいの投下となりますが、のんびりとお付き合いいただけると幸いです。
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/18(日) 12:03:18.97 ID:KCbGkU.0

【幕間:打ち止めと10032号】


ピピピー! とけたたましく鳴る目覚まし時計のアラーム音が耳元に直撃する。
打ち止めは厚手の毛布に頭を隠すと、両手で耳を押さえながら、「うぅ〜、あと五分…」とまどろんでいた。

黄泉川「ほらほらほら! 布団の中でぐうたらしないで、さっさと起きるじゃんよ!」

バンッと乱暴に目覚ましい時計のアラームを止めたような音が聞こえた後、
打ち止めがミノムシのように、その身を包んでいたいた毛布がガバァと一瞬にして宙へと浮かんだ。

打ち止め「〜〜っ! 寒いよぉー…」

ポカポカと打ち止めを包んでいた温かい空気も一緒に空気中に散乱し、
急に押し寄せてきた寒さに全身が一気に鳥肌となり、打ち止めはさらにベットの上で縮こまる。
寒さで眠気が遠くの彼方へと飛んだ打ち止めは、
毛布を両手に持って、打ち止めに笑いかけてくる黄泉川愛穂へと視線を向けた。

黄泉川「おはよう、打ち止め」

打ち止め「……ぉはよー、ってミサカはミサカはヨミカワに挨拶してみたりー」

シパシパとする目元を両手で擦りながら、「よいしょ」とベットから降りた。

窓から見える学園都市は、昨日と同じく快晴だ。
ゆらゆらと自由気ままに、学園都市の空を我が物顔で浮遊する飛行船の腹部の液晶には、
『もうすぐ一端覧祭です――』と呑気なお知らせを流されている。
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 12:05:07.74 ID:qoZ9FYAO
おはようございます
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/18(日) 12:33:47.21 ID:KCbGkU.0
打ち止め「ご馳走さまでした!」

今日の朝食は、芳川桔梗お手製のフレンチトーストにツナとレタスのサラダ。
自分の前に差し出された朝食を全て胃の中おさめると、
両手を顔の前で合わせて、打ち止めは食後の挨拶を元気につげる。

芳川「はい、お粗末さまでした」

打ち止めの斜め向かえのテーブルの席に座っていた芳川が、
持っていたコーヒーの入っているカップをテーブルの上に置くと、「カチャリ」と陶器のぶつかる音がした。
皿やコップ、フォークを持ちやすいように順に重ねると、芳川はそのまま台所へと進んでいった。

黄泉川「それじゃ私はそろそろ学校へ行くから。芳川、後の事はよろしくじゃんー」

椅子にそのまま座って「う〜ん」と背伸びをしていた打ち止めの背後から、黄泉川の声が聞こえてきた。
台所から廊下へと顔だけ出した芳川「ゴミ捨てよろしくね」と言うと、
黄泉川は台所の脇に置かれている『燃えないゴミ』の袋を手にとって「了解」と軽い口調で返した。

チラッと横目でつけっぱなしになっているテレビの画面をみると、現在の時刻は丁度、7時半。
学生の街である学園都市の朝の通学ラッシュがはじまる。
とある高校で教師をやっている黄泉川も、そろそろ学校へ行かなければならない時間だった。

打ち止め「ヨミカワいってらっしゃい、今日もお仕事頑張ってね、ってミサカはミサカはヨミカワのお見送りをしてみる」

玄関まで黄泉川に後をついて行く。
玄関先で打ち止めは右手を大きく振ると、黄泉川もニカッと笑ってちいさく右手を振ってくれた。

黄泉川「いってきます!」

バタンとドアが閉まる少し前、「いってらっしゃーい」という芳川の声が玄関先にいる2人の耳を掠めた。
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 13:42:25.10 ID:NSD4x96o
なぜだろう

家事をするヨシカワが新鮮なのは
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 14:19:17.48 ID:sFmJLl20
ニートの色が強いからな
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/18(日) 14:21:20.05 ID:KCbGkU.0
打ち止め「ふふふ〜ん♪」

朝食後、打ち止めは朝から再放送されている『超機動少女カナミン』を見ていた。
いつもならこの再放送が終わった後、
暇を持て余して「起っきろー!!」と一方通行の寝室に突撃する打ち止めなのだが、
今日は再放送が見終わっても、ソファーに座ったまま動こうともせず呑気に鼻歌を歌っている。

芳川「なんだか、昨日からやけにご機嫌ね。何かいいことでもあった?」

打ち止め「えへへ〜、それは内緒なのってミサカはミサカはお口にチャックっ!」

あらかた朝にやるべき家事を終えたらしい芳川が、打ち止めの隣に座る。
打ち止めは足をパタパタさせながら、ニヤニヤと頬が緩みぱなしのにやけ顔を芳川に向けた。

芳川「えー、聞きたいのに。残念」

打ち止め「もう少ししたら、教えてあげてもいいかなってミサカはミサカは考えてみる。
      けど、今はミサカだけのものなの!ってミサカはミサカは主張してみる」

芳川「そう? じゃあ、また今度教えてね?」

打ち止め「うん!」
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 14:34:25.67 ID:90SryEAO
普段は黄泉川がやってるしね
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/18(日) 14:53:24.37 ID:KCbGkU.0
打ち止め(でも、そろそろミサカだけが1人占めするのも、
      他の皆に悪いかもって、ミサカはミサカは罪悪感を感じてみたり)

昨日、打ち止めは出かけた先のショッピングモールにて、
自分を含む『妹達』の素体(オリジナル)である、御坂美琴に初めて遭遇した。

御坂美琴――、打ち止めにとって、お姉様との出会いは衝撃だった。

外見は打ち止め以外の『妹達』と完璧に同じだ。
自分達は美琴のクローンであり、同様のDNA情報もつため当たり前のことなのだが。
それでも、『妹達』と美琴では、決定的なまでの差異がある。

打ち止め(――凛した、強い意思をもつ瞳)

彼女をそのままを現すような、強くて優しくて誰もが惹き込まれる、そんな瞳。
そんな意思をもった瞳を持つ『妹達』は、自分を含めて誰もいない。

打ち止め(ミサカもお姉様みたいになりたい、ってミサカはミサカは素直にお姉様に憧れる)

お姉様に「好きな花は何?」って聞かれた時に、打ち止めは迷わずに「向日葵」と答えた。
学園都市はいつも四季の花が咲いているが、その中でわざわざ向日葵を挙げた理由。

向日葵の花言葉は、光輝。
優しく、気高く、誰かのために怒ることの出来る美琴にぴったりの花。

打ち止め(崇拝、憧れって意味もあるんだよ、ってミサカはミサカは博識ぶってみたり)

だからこそ、打ち止めはふいに外の花屋で見かけた向日葵の花を好きになった。
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/18(日) 14:59:32.77 ID:KCbGkU.0
そうだ、黄泉川の掃除癖と万能ジャーの存在があった…… orz
そこら辺は後々なんとかしよう

向日葵の花言葉には他に、愛慕、高慢、あなただけを見つめている等。
「あなただけ見つめている」ってのは上やんラブの美琴さんそのまんまwww

出かける用事が出来たので、深夜にまた帰ってきます。
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 15:10:29.59 ID:RsBYx.so
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 15:11:12.77 ID:90SryEAO
光輝=ウル=オッレルス
そげぶだな
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/18(日) 15:35:20.72 ID:phCIWw2o


>>263
そこはすごパじゃないのか
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/18(日) 22:45:00.29 ID:EVQcdEc0
そろそろ戻ってくるかな
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/19(月) 00:24:57.37 ID:e6wrzsAO
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 00:50:24.33 ID:HJRzK4U0
こんばんわ、今、家に戻りました<(_ _)>
投下はもう少しだけお待ちいただけると幸いです。

今後の予定ですが、幕間→美琴視点のss→一方さん視点のオマケ(?)
この流れで、一応全体をまとめます。
海原・一方の伏線回収のため、こんな形となりました。
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/19(月) 00:51:54.31 ID:UhJnQxgo
>>267
おk 全裸待機
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 01:14:24.84 ID:5XpeSoDO
わくわく
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 01:14:53.94 ID:HJRzK4U0

打ち止め(ミサカ達は存在がお姉様の負担にもなってるはずなのに、
      お姉様はミサカ達の事を受け入れてくれて、その上――)

御坂『姉として、妹の恋愛相手を知りたかったなって』

打ち止め(ミサカのことを『妹』って笑って言ってくれたっ!!!)

美琴がくれた言葉を思い返して、打ち止めの心はほわっとした温かい気持ちに包まれた。

打ち止め「こんなに嬉しいことはないんだよ、ってミサカはミサカは嬉しさのあまり狂喜乱舞してみたり!」

ついに抑えきれなくなった打ち止めは、大きな声で心情を漏らしてしまった。
打ち止めの突然の大声に、隣に座っていた芳川が驚愕の顔をして打ち止めの方を見ている。

打ち止め(嬉しすぎて、ミサカがお姉様の優しさを1人占めしちゃった。
      今だけは、他の妹達にも、あの人にだって内緒にしてるんだから、
      ってミサカはミサカは自分の独占欲の強さに驚いてみる)

打ち止めの行動にかたまっている芳川など一切気にも留めず、
更に顔をにやつかせた打ち止めは「キャー」と赤らめた顔を両手で覆って、左右に首をふった。
パタパタと動かしていた足も更に激しくなり、はいていたスリッパの片方がすっぱ抜けて飛んでいく。

一方通行「――ッ」

寝ぐせ混じりの髪型を気にもせず、
朝の低血圧で不機嫌な顔をしてリビングのドアを開けて入ってきた一方通行の顔に、
打ち止めのはいていたスリッパが見事激突した。

打ち止め「あ”」

芳川「……あらぁ」

ポトンと一方通行の顔からスリッパが落ちる音が部屋に響いた。
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 01:40:31.08 ID:bql44kIo
あーくん…
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 01:43:28.93 ID:HJRzK4U0

芳川「おはよう。一方通行」

一方通行の間抜けな姿に笑い出しそうになるのを堪えながら、芳川は声をかけた。
しかし芳川は完璧こらえることが出来ず、右側の口角がひくひくとさせ、微かに肩を震わせている。

一方通行「……あァ」

そんな彼女の姿を見てあからさまに眉をしかめた一方通行だが、
ここはとりあえず芳川のことは流してあげるようだった。

打ち止め「お、おはよー…」

スリッパ顔面衝突の主犯である打ち止めは、乾いた笑いを浮かべながら被害を受けた少年をみた。
被害者・一方通行は打ち止めの言葉が聞こえないとばかりに、
そのまま杖をついている割にはスタスタと軽やかなスピードで台所の冷蔵庫へと向かう。

打ち止め「うー、不可抗力とは言え、顔にスリッパをぶつけてごめんなさい、
      ってミサカはミサカは貴方に精一杯の謝罪の気もちを伝えてみる」

一方通行「……」

冷蔵庫までたどり着くと、やけに物が大量に入っている冷蔵の中をガサガサと動かし、
一方通行は今、はまっている某飲料メーカー産ブラック味の缶コーヒーを取り出す。
バタンと冷蔵庫の扉を足の裏で蹴ってしめると、片手で器用に缶のプルを開けた。

しばらく待ても、一方通行からの返答は返ってこない。

打ち止め「――――ヨシカワには返事したのに、ミサカのことはガン無視!? 
      スリッパ顔面激突ごめんねってミサカは素直に謝ったのに!! 
      ってミサカはミサカは朝から素っ気ない貴方の態度に憤慨してみるっ!!」

一方通行が缶コーヒーを飲み終わるまで、じっと待っていた打ち止め。

打ち止めを無視して、呑み終わった缶コーヒーを居間のゴミ箱に投げ捨て、
テーブルの上に置かれていたラップが掛っている朝食のある席に座った一方通行に、
打ち止めのもう「待ってやらない!!」と力んでうがーっと一方通行にたてついた。

一方通行「朝からうるせェんだよ、ギャーギャー騒ぐなっつーの」

やっとこさ一方通行から返ってきた言葉に、カチンと打ち止めのこめかみに怒りマークがつく。

打ち止め「ムキーーッ!!」

一方通行「だから、朝っぱらから騒がしいンだよ! ちったー大人しくできねェのか、オマエはッ!」

相変わらずな2人のやり取りを遠目で見ていた芳川がぽつりと言った。

芳川「平和な朝ねー」
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 02:16:17.55 ID:HJRzK4U0

テーブルの上に置かれている朝食を見て、一言。

一方通行「オイオイオイ。黄泉川の野郎、何時の間に炊飯ジャーで
     フレンチトーストなんてモンを作る離れ業を体得しやがったンだァ?」

確かに黄泉川は炊飯ジャーを「何でもできる万能の一品」として重宝している。
白米、味噌汁はもちろん、煮込みハンバーグまで。
炊飯ジャー用レシピのレパートリーを着々と広げている黄泉川愛穂。

一方通行「どうやったら、フレンチトーストが出来ンだよ……」

彼女の摩訶不思議な手腕への疑問をボソリとこぼしながら、一方通行は少し遅い朝食を食べ始めた。

芳川「やーねぇ。ソレ作ったの私よ?」

紛れもなく、今日の朝食は芳川桔梗お手製。
芳川は「あの炊飯ジャーで作ったなんて思われるなんて侵害よ」と不満そうだ。

一方通行「――はァ?」

芳川「だから。今日の朝食を作ったのは私なの」

打ち止め「ヨシカワお手製フレンチトーストはすっごく美味しいんだよ?
      ってミサカはミサカはヨシカワの料理の腕を保証してみたり!」

一方通行からお見舞いされる首チョップから逃れた打ち止めは、避難先のソファーで立ち膝をした状態で会話に参入する。

一方通行「……オマエ、何時の間にニートご卒業してた訳?」

芳川「ちょ、ニートって失礼ね」

一方通行「失礼も何も。仕事は無ェ、家事はしねェ、ただ黄泉川ン家でだらだら過ごしてただけだろォが。
      コレをニート以外になンて表現するのかあンなら、頭のワルい俺に教えてほしーなァ」

打ち止め「う〜ん、こればっかりはフォロー出来ないかも、
      ってミサカはミサカはヨシカワの隠しきれない実態を思い返してみる」

どんなことにも甘い性格の芳川は、漏れることなく自分に対しても甘かった。
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 02:51:11.83 ID:HJRzK4U0
芳川「『仕事見つかんないのは仕方ないとして、いい加減家の事くらいしたらどうじゃんよー?』って、つい先日家主に言われたのよ」

住まわせてもらっている以上、家主の命令には逆らえない。
芳川は最近しぶしぶ家事をやるようになった。

打ち止め(ヨミカワが言わなかったら、ヨシカワは多分ずっとニートだったと思うって
      ミサカはミサカはそんなことを思いつつ、口にはださないでいたりする)

一方通行「−50点。なンなンですかァ、その微妙なモノマネ」

打ち止め「うっわ、辛口。せめて20点はあげようよ! ってミサカはミサカはジャッジの訂正を求めてみたり」

芳川「勝手に点数つけないで」

最近といっても、芳川が家事をするようになってからしばらく経っている。
「色々と忙しいンだよ」とだけ打ち止めら3人につげて、
連日外泊を続けている一方通行には、まだまだ家事をこなす芳川の姿が不自然に感じられて仕方ないようだ。

一方通行は何とも納得してなさような顔で、芳川に祝福の言葉を述べる。

一方通行「ニートご卒業おめでとォございますゥ」

打ち止め「なんとも気持ちの入っていないオメデトウだね、ってミサカはミサカは呆れてみる」

芳川「そんな祝福の言葉は要りません」

一方通行と打ち止めの言葉を芳川はピシャリとはねのけた。
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 03:03:57.98 ID:HJRzK4U0
今回予定していた投下はここまでです。
久しぶりにシリアス以外のパートで楽しかったー!!
……はい、次回はまたシリアスに突入&幕間終了予定です。

ここまで読んでくださてありがとうございました。

>>263 (´;ω;)ショボーン

何故が、キャーリサ→騎士団長→ねーちん→当麻×禁書←ステイル 
+アックア×ヴィリアン
という果てしなすぎる妄想が脳内で繰り広げられてる。止まらない。誰か、助けて orz
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 09:14:36.08 ID:sFkGxj2o
これは・・・続きが気になる。
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 18:59:38.53 ID:HJRzK4U0
食事が終わったのを見計らって、芳川が一方通行に話しかけた。

芳川「今日はソレの定期検査があること、忘れてないわよね?」

芳川は人さし指で自分の首筋をトントンと軽くこついた。
彼女が指示した場所は、ちょうど一方通行が身につけているmp3プレイヤーのような機器のある処。

一方通行「チッ、……わーってるよ、ッたく。」

小さな子供に「ハンカチとティッシュは持った?」と声をかける母親のような芳川の視線に、
一方通行は軽く舌打ちをしながら、面倒くさそうに言葉を返した。

芳川「それならいいのだけれど」

そんな不貞腐れた一方通行の態度など気にもせず、
ピーピー、と洗面所から聞こえてきた洗濯機の「オレ、やったよ」という活動終了の音を合図に、
「さぁ、洗濯物をほさないとね」と、芳川はソファーから立ちあがり洗面所へと向かった。

打ち止め「ねぇねぇ、今日は病院に行く日なの? ってミサカはミサカは低血圧で朝から不機嫌そうな貴方に聞いてみたり」

一方通行「まァな。ちゃんと機能してっかどォかの検査だとよ」 

打ち止め「ミサカもびょういんに――」

一方通行「却下」

打ち止めの声を遮って、一方通行は即座に否定した。

打ち止め「ミサカはまだ何も言ってないのに即刻、即効、大否定!!?」

一方通行「昨日あンだけ人の事連れまわしやがって。着いてくンな、余計疲れる」

「ひーどーいーッ!!」と不平不満を漏してジタバタする打ち止めを無視して、一方通行はテーブルの席を離れた。

打ち止め「ねぇ」

一方通行がドアノブに手をかけてドアを開けようとした時、
打ち止めは、ものすごく真剣な声で一方通行に真実を告げた。

打ち止め「寝ぐせ酷いから、直してから行くべきだよ? ってミサカはミサカは教えてあげてみたり」

頭の頂上付近の髪がぴょんと一束だけ変な方向に曲がっていた。
「ミサカとおそろいみたいになってる」と打ち止めはとてもわかりやすい例をだしてあげると、
一方通行はそれはそれは早歩きで、ドレッサーがある洗面台へとスタスタ歩いて行った。
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 19:30:05.67 ID:wSdDBt.0
きてたー
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 19:31:14.50 ID:HJRzK4U0

ベランダとリビングを遮っているガラス戸から、ポカポカとした日差しが入ってくる。
本格的な秋が到来し寒さが続く学園都市だったが、今日はなんだか春のような暖かさを感じる日だ。

打ち止め「ん〜」

ソファーの上でまったり寝そべる打ち止めは、なんだかウトウトとし始めていた。
ぼんやりとかすむ視界には、ベランダで芳川がせっせと洗濯物を干している。
微かにゴォーという音が耳に入ってくる。
多分、洗面台で寝癖を直している一方通行が使っているドライヤーの音だろうと、打ち止めは結論づけた。
遠くから聞こえるチュン、チュンという雀の鳴き声が、子守歌代わりに眠りを促進する。

打ち止め(…………あー、なんだろう)

まどろむ意識の中で、打ち止めは自分がいる「今」について考える。

打ち止め(こういうのを「幸せ」っていうのかな? ってミサカはミサカは実感してみたり――……)

そのまま打ち止めは意識を手放して、そのまま夢の中へ――、

10032号『上位個体』

打ち止め「へっ!?」

そのまま夢の中へは行けず、突然聞こえてきた少女の声にたたき起こされた。
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 20:11:39.31 ID:HJRzK4U0
突然ミサカネットワークを介して他の妹達から通信が入り、打ち止めは驚きのあまりソファーから転げ落ちた。

ドンッと鈍い音がした。
洗面所にいる一方通行にも聞こえなかったようだが、
ベランダに居る芳川には聞こえたようでガラス戸越しに「大丈夫?」と声をかけられた。

打ち止め「〜〜痛ッって、ミサカはミサカはおでこを擦ってみる……」

10032号『大丈夫ですか? とミサカは一応、上位個体の無事を確認します』

打ち止め「痛いけど大丈夫だよ〜、ってミサカはミサカは答えてみたり」

ベランダで打ち止めを心配そうに眺めている芳川と、
ミサカネットワークで通信中の妹達の1人の2人に、打ち止めは「大丈夫」だと答えた。

結構鈍い音が聞こえたが、どうやら無事なようだ、と芳川はほっと息を吐いた。
よくよく打ち止めを見ると、打ち止めのアホ毛が電波を受信するアンテナのようにピン! と反応しているように見える。
「……慣れない家事をしてるから、疲れがたまってるのかしら」と右手で目元を押さえて芳川はう〜んと唸っていた。
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 20:13:01.33 ID:HJRzK4U0
打ち止め「突然どうしたの、10032号」

ミサカネットワークで通信してきた『妹達』――検体番号10032号のミサカに、打ち止めは「何か用?」と聞いた。

10032号『直接会って話したいことがあるのですが、時間の都合はつきますか?
     とミサカは上位個体のスケジュールを確認します』

打ち止め「『今』じゃダメなの? ってミサカはミサカは手間を省く方法を提案してみる」

10032号『……ミサカネットワーク上では、ちょっと』

打ち止め「? 他のミサカ達には知られたくない事なの? 
     ってミサカはミサカは、もったいぶって話を切りだそうとしない10032号の藪蛇をつついてみる」

10032号『――上位個体、昨日はお姉様と2人だけの楽しい時間を過ごしたそうですね?
     とミサカは上位個体がミサカ達に秘密にしている事実をミサカネットワーク上で暴露します』

打ち止め「えっ!? 何でその事知ってるの!? ってミサカはミサカは――」

芳川にも一方通行にも妹達にも、誰にも言っていなかった打ち止めの秘密を10032号に暴露された。
つい、何も考えずに素直に反応してしまった打ち止めは、
事実を肯定した次の瞬間にはっとして、急いで口を閉じたが、時すでに遅し。

――それはどういうことですか、とミサカは上位個体に問いただします。

――黙って1人だけお姉様と楽しい時間を過ごすだなんて、いかに上位個体とはいえ許しませんよ、とミサカは不満を言います。

――上位個体だけ良い思いをして羨まし…いえ、ズルイ、とミサカは文句を口にします。

――どうして記憶共有も感覚共有もしなかったのですか!? とミサカは上位個体を責めたてます

「ミサカは、ミサカは」と次々とミサカネットワークを介して、他の妹達から打ち止めへの非難がさく裂した。
10032号を除く、9968人の妹達からの総攻撃に、打ち止めは「うぅ」と唸るしかなかった。
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 20:17:26.91 ID:J0vDM.AO
想像したら凄くカオスwwwwww
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 20:53:23.24 ID:HJRzK4U0
放課後の体育館裏。
十数人のちょっと派手目の女子達に逃げ道をふさがれるように囲まれて、
「ちょろーと、アンタに聞きたい事があんのよね?」から始まる口頭による集団攻撃を受ける1人の所女の子。

打ち止め(ミサカの今の状況はそんな感じなんだけど……、ってミサカはミサカは現実逃避してみたり)

自分にも悪い所はあった、と打ち止めは正直に認める。

打ち止め(だから、黙って皆の文句は聞くけど、ってミサカはミサカは心の中でため息をついてみる)

昨日、我らがお姉様こと御坂美琴をショッピングモールで見かけたときから、
打ち止めはミサカネットワークからの接続を遮断していた。

打ち止め(最初はどうしてか分からなかったけど、遮断してたんだよね、ってミサカはミサカは振り返ってみる)

けれど、「どうして?」の答えを打ち止めは昨日すでに見つけている。

打ち止め(ミサカはお姉様との時間を、お姉様の優しさを、ミサカだけのものにしたかったんだ)

きれいに手入れされているキレイな手で頭を撫でられる感触も、
にししと意外と子供っぽく笑って話しかけてくれる声も、
イタズラをしても、からかっても、最後は許してくれる優しさも、
迷いなく自分のことを「妹」といって受け入れてくれた暖かさも。

打ち止め(全部、ぜーんぶ。ミサカだけのものにしたかったんだもん、ってミサカはミサカはぶーたれてみたり)

妹達と同じDNAをもつのに、美琴はあまりにも自分たちと違う。

打ち止め(ミサカ達はお姉様みたいに強くない。感情を理解できてない。『自分』が、ない)

無邪気に笑って、活発に動き回って、
誰かのために笑い、悲しみ、怒り、守ろうと必死になれる美琴が、妹達には眩しくみえる。
ありのままの『自分』で精一杯生きる美琴に、
妹達が持っていないものを沢山もっている美琴に、憧れない妹達がいるだろうか? と打ち止めは考える。
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 21:11:23.44 ID:bz6bP3Ao
俺の楽しみが北
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 21:23:30.95 ID:HJRzK4U0
ごめんなさい、ご飯食べてきます。
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 21:25:53.96 ID:bz6bP3Ao
乙なんだよ
287 :ただいまもどりましたー [saga]:2010/04/19(月) 22:03:09.52 ID:HJRzK4U0

打ち止め(ミサカはすごく、すごく嬉しかったんだから! ってミサカはミサカは声を大にして断言する!)

妹達を『家族』として、『姉妹』として認めてくれる、受け入れてくれる美琴の絶対的な言葉。
他の『妹達』聞きたいに決まっている。皆、その言葉がほしくてたまらないのだから。


打ち止め(……ミサカ達はクローンだから、家族がいない、ってミサカはミサカは寂しい現実を語ってみたり)

自分には家族と呼べる存在が居る。芳川桔梗、黄泉川愛穂、そして一方通行。
優しくてあったかい3人に囲まれて、打ち止めはのびのびと毎日を過ごしている。

打ち止め(もちろん、お姉様もミサカの『姉』だもん――けど)

他の『ミサカ』はどうなんだろうか? と打ち止めは推測する。

そもそも『妹達』は様々な情報を共有し形成し、全員で『ミサカ』という個性を作り出していた。
だから『妹達』同士は『ミサカ』を成す群の1つとしての認識のほうが強く、
少しずつ色んなことが分かり始めた自分達だが、未だに互いのことを『家族』だとはほとんど認識していない。

打ち止め(そもそも『家族』の概念も知識でしか知らなくて、感情がついていってないんだよ、
     ってミサカはミサカは自分もようやく分かり始めてきた感覚について考えてみる)

打ち止めやとある病院で暮らしている妹達を除き、そのほとんどが一人きりの状態で世界中の機関・施設に散らばった妹達。

打ち止め(皆、遠いところでひとりぼっちで暮らしてる)

『妹達』に本当の意味で理解を示してくれる人間など限られている。
沢山生えている三つ葉のクローバーの中で、砂金を探せというほど、見つけるのはほぼ不可能だ。

妹達はほとんど『自分』がない。
だからたった1人で遠い国に行かされても、無理難題な事を命令されても、
自分たちの存在意義にかかわること、大切な人達を傷つけること以外ならば、言われたまま行動する。

打ち止め(――――でも、きっと。心のどこかで『寂しい』って思ってる、ってミサカはミサカは更に推測する)

誰も自分を受け入れてくれない世界に1人で居る妹達。
彼女たちは決して口にはしないし、ミサカネットワークの通信にも乗せない。
けれど、打ち止めの耳には、彼女達の心の声が聞こえてきてならなかった。

『寂しい、とミサカは吐露します』

―――打ち止めに対する文句の裏に潜んでいる、そんな声が。
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/19(月) 22:47:23.99 ID:HJRzK4U0

命の恩人であるツンツン頭の少年や、誕生のきっかけをくれた一方通行。
『妹達』や少年たちのために様々なことをしてくれる、カエル顔の医者など。
彼らに対して、『妹達』は感謝しているし、彼らに危機が迫れば助力も惜しまない。

彼らのために動く時、彼らのことを思う時、
なんだかんだいって、『妹達』はとても素直に自分の気持ちを受け入れ表現する。
しかし、これが『お姉様』となると、『妹達』は一歩足を踏みとどまってしまう。

打ち止め(……結局、お姉様に『あの人』のコト言えなかったし、
      ってミサカはミサカは自分の弱さが隠しきれなかったって反省してみる)

言わなきゃいけないとわかっていても、どうしても声が出なかった。

打ち止めは(ミサカはお姉様の優しさに甘えてるんだ、ってミサカはミサカは情けない自分が嫌になってみたり……)

それは、妹達が「お姉様」に憧れ、慕っているからこその問題でもあった。

10032号『―――もうそろそろ勘弁してあげましょう、とミサカはミサカ達にストップをかけます』

途端、打ち止めの思考が途切れる。
しばらく黙って他のミサカ達の主張に耳を傾けていた10032号が待ったをかけたから。

10032号『こうなると予想できたので、ミサカネットワーク上では話したくなかったのですが、とミサカは本音を暴露します』

打ち止め「……あははは。流石に情報が流れて気過ぎて頭がパンクしそうだよ、ってミサカはミサカは情けなく呟いてみたりー」


色々と考えて、問題は山積みだと頭を抱えるが、
とりあえず、打ち止めがしなければいけないことは、1つだ。

打ち止め「あのね――」

昨日の美琴との記憶を、ミサカネットワークに流す。
「1人占めにして、ゴメンネって、ミサカはミサカは皆に謝罪してみる」という言葉とともに。



お姉様がね、ミサカ達のことを、自分の『妹』だって笑って言ってくれたんだよ、ってミサカはミサカは全ミサカに伝えるよ。

お姉様がミサカ達の『家族』なんだよ、だから寂しくないよね? ってミサカはミサカは全ミサカに言うよ。

――――すごく、すっごく嬉しいことだねって、ミサカはミサカははしゃいでみたり!!



【幕間:打ち止めと10032号 終】
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:57:17.63 ID:bql44kIo
MNW勢い10万突破
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 22:59:09.90 ID:HJRzK4U0
この幕間で「なんで妹達は一方のことしゃべんないの?」ということを書こうとしたら、
余裕で50レスくらいになりそうだったので、それは美琴のssでおいおい書けたらと思います。
どうやって書きたいことをねじ込むかを考える作業は楽しいですね。

一方さんやっとまともに書けたー。

次回は時間を少し戻して、御坂さんの視点からになります。
自分勝手で申し訳ないのですが、次の投下は3、4日後になりそうです……<(_ _)>

ダラダラと遅い進行ですが、いつもありがとうございます。
次回もお付き合い頂けると幸いです。

291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/19(月) 23:11:36.47 ID:WRi6RVc0
乙!
待ってる
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/20(火) 00:22:47.17 ID:Tb4o62DO
おつおつ
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/20(火) 17:57:25.62 ID:z2TPyj.0
乙なんだよ!
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/22(木) 00:46:53.99 ID:VVa2nsU0
予定の目処がつきました。金曜の深夜再開します<(_ _)>
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/22(木) 01:35:52.12 ID:Vn0DRRgo
今のうちに美味しいおかゆの作り方をゴーグルで調べておきます
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/22(木) 06:41:03.56 ID:wJvKs2Mo
待ってるよー
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/22(木) 15:39:12.17 ID:jj.1Ekoo
>>294
土曜日で待ってる
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 04:01:34.32 ID:cHs5UIUo
途中で止まってたのを一気読みした
はぁ…素晴らしいな
みんないい子すぎる
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 21:42:20.74 ID:05A.oC20
こんばんわ、お久しぶりです。
コメント等本当にありがとうございます。励みになります。
深夜じゃないけど、まったり再開したいと思います。
今日もいつもの如く数時間かけて数レスという亀スピードになりそうですし……。
ちょっとでも早めにスタートします。

今日もお付き合いいただけたら、誠に幸いです。よろしくお願いします。
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/23(金) 21:49:44.31 ID:05A.oC20

キライ。

『妹達』の命を踏み躙った一方通行も、
『妹達』の命を救い出せなかった超電磁砲も。

キライ、大嫌い。



―――美琴は、一方通行も超電磁砲も許せない。

―――『妹達』が許しても、彼の少年が許しても。


許してなんか、やらないのだ。

301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/23(金) 21:58:59.02 ID:gAv53UDO
待ってた!
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 22:04:24.36 ID:DrnU6Eg0
ktkr
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/23(金) 22:16:40.56 ID:05A.oC20

カーテンを開け、窓の外をみれば
『今日も1日、一端覧祭の準備を頑張りましょう――』なんて飛行船が呑気なニュースを流している。
飛行船が自由気ままに泳ぐ学園都市の空は、昨日と同じく雲ひとつない快晴。
まさに一端覧祭の準備にはもってこいの天気だ。

白井「……お早う御座います、お姉様。ただいま戻りましたの」

外の明るい風景とは180度真逆な、どよーんという効果音が似合いそうな空気を背負った白井がやっと部屋に帰ってきた。

御坂「おかえり、黒子。……黒子、眼の下のクマ凄いことになってるわよ」

白井「この時間まで、ずーーっとパソコンの液晶とにらめっこしていましたから……」

御坂「もうすぐ朝食だけど、どうすんの?」

白井「……パス、ですの。寝ますわ、黒子は、今すぐ眠るんですのぉー……」

白井はフラフラと覚束ない足取りで美琴の顔を見もしないで、吸い込まれるようにベットへと倒れ込んだ。

御坂「学校行く時間になったら、起こしに来るからねー…って、あら」

返事が無いので白井の方へ美琴が視線を向けると、すでに彼女はスースーと小さな寝息を立てていた。
目の下にクマを作るまで、白井は風紀委員の仕事を頑張っていたのだろう。
まだまだあどけなさの残る寝顔をみて、美琴の頬が綻んだ。

御坂(頑張りやさんだかなぁ、黒子)

春のような暖かい日差しが窓から差し込むが、今は秋真っ盛りなのでいつ寒くなっても可笑しくない。
布団を被らずにそのまま身体を投げ出した状態で眠っている白井に、
風邪をひかないようにと美琴は白井を起こさないよう、そっと静かに布団をかけ直した。

御坂「お休み、黒子。お仕事おつかれさま」

眠りにつく少女の髪をぽんぽんと撫でると、
やっと眠りにつけた白井の部屋に残し、美琴は食堂へといくために部屋をでた。
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/23(金) 22:45:52.08 ID:05A.oC20

「クマが凄い」と白井に言った美琴だが、本当は自分だって人のことは言えなかったりする。

御坂(泣きすぎて、起きたら目が腫れまくってたからなぁ)

蒸しタオルで目元を十数分癒してやれば腫れは大分おさまったが、
それでも乱暴に手の甲で擦った瞼や鼻先などには、擦れた跡が薄らと残っていた。

御坂(普段使わないからって机の奥底に放り込んでたけど、化粧品も案外役に立つわね)

洗顔の後はいつも化粧水に乳液クリームをつけているが、
今日はその2つの上から更に、化粧下地代わりの日焼け止め、跡を部分的に隠すコンシーラー、
肌全体の調子(見た目)を整えるためのパウダーファンデーション。
最後に血色よく見せるためにほんのり薄く桃色のチークを入れれば、完成だ。

御坂(一応、ベースしかやってないから、寮監にも化粧してるってバレないでしょ)

美琴が持っている化粧品一色は、母親である美鈴から
「女の子なんだから、身だしなみは重要よ!」の一言で強引に押し付けられた中学入学祝いの品だったりする。
美鈴が選んだ選りすぐりの品々は一級品ばかりで、香りも極自然なので匂いでばれることもない。

御坂(……泣き跡なんて見せたら、黒子が泣いちゃうものね)

あまり手慣れていない化粧で多少不安はあったが、
押し寄せていた眠気も手伝って白井には泣いていたことも、化粧をしてそれを隠したことも気付かれなかった。

305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 22:49:28.06 ID:05A.oC20
訂正

御坂(頑張りやさんだかなぁ、黒子)→御坂(頑張り屋さんだからなぁ、黒子)

美琴が持っている化粧品一色→美琴が持っている化粧品一式

あと、幕間で黄泉川の芳川への呼び方、正しくは「桔梗」でした…… orz
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 22:53:18.24 ID:DrnU6Eg0
気にせずつづけるんだよ!
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:21:13.29 ID:05A.oC20

すれ違いざまに「おはようございます」と声をかけてきた下級生達に
美琴が気さくに「おはよう」と返すと、下級生達は「キャーッ」と叫びながら顔を赤らめて走り去ってしまった。

舞夏「相変わらずモテてるなー」

御坂「あ、土御門。おはよう」

舞夏「おー御坂、おはようなんだなー」

街中に蔓延っているコスプレ系メイド服とは一線を画す、
紺を基調としたロングスカートの職人用のメイド服をピッチリと着こなしている目の前の少女は土御門舞夏。
繚乱家政女学校というメイドのエキスパート養成学校に通う彼女は、
今日も実習のために常盤台の学生寮へとやって来たようだ。

舞夏が普段乗りまわしている清掃ロボがここにあるわけもなく、2人はゆっくり歩きながら食堂へと続く廊下を歩いている。

御坂「てか、別にモテてないし、私」

舞夏「さっきの子だって、おはようって御坂が言っただけで嬉しさのあまり失神しそうになって、走って逃げたんじゃないかー」

御坂「……え、そうなの?」

舞夏「御坂は気がきくし面倒見もよかったりするけど、そーいうこととか自分のこととだと鈍感だよなー」

御坂「ブハッ」

「そーいうこと」ってつまり恋愛関係のことかよ、と素早く脳内で返還した美琴は、思わず吹き出してしまった。
自分が気にしている所を舞夏にストレートにグサっと刺されて
、内心かなり凹んだ美琴。

御坂「べ、別に鈍感とかじゃ、ないわよ!」

舞夏「無理に虚勢をはるんじゃないよー、中々いいじゃないか? 初心な御坂」

御坂「全然いくない!!///」
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/23(金) 23:27:35.54 ID:7pejUAAO
早めに来たつもりが始まってるではないか支援
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 00:02:17.62 ID:cbOgvyo0

やれ、ピンを変えたのだって意識してる奴がいるからだろー、とか。
やれ、白井の熱烈アタックぶりは見てるこっちが恥ずかしくなるしなー、とか。

ポンポンと次から次へと美琴が過剰反応する話題ばかり振る舞夏に、
とうとう美琴は反論することさえ疲れていて、肩で大きく息をしているのもそのせいだ。

御坂「あーもう! 私のコトはいいでしょ……。つーかさ、土御門。アンタはどーなのよ」

舞夏「? どーっていうと?」

御坂「だから、アンタはお義兄さんと上手くいってのかって聞いてんの」

舞夏「上手くもなにも、あの野郎のヘタレ精神のおかげで相変わらずな関係だなー」


御坂「さいですか……」

「――ったく。こっちはもう心の準備も出来てるってのになー、情けない奴だなー……」
と脳内の文句がブツブツと小さな声で垂れながされている舞夏の愚痴を聞いて、
美琴は口を1の字にして、眼を細めて「聞いてません、何も聞いてません」と無意味なアピールをしていた。

隣に歩く少女の影がほんの少しだけゆらっと重く揺らいだのは見なかったことにしよう、と美琴は誓った。

御坂(でも、ま。『相変わらず』仲が良いのには変わりないようね)

彼女は義兄との関係をステップアップさせたい様だが、あえてそこは突っ込まない。
突っ込んではいけない領域のような気がする。

舞夏「昨日も『いやー小テストで赤点くらって補講コース決定だにゃー』なんて言って、夜遅くまで学校にいたらしいしなー」

御坂「小テストで補講? へー他の学校にはそういうシステムがあるのねぇ」

宿題がない常盤台中学には、当然、救済措置的な補講なんて存在しない。
美琴は物珍しげな眼で舞夏の話を聞いていた。

舞夏「……せっかく、ここで教わった料理作ってやろうって、はりきってたんだがなー……」

あまり感情を表に出さない舞夏だが、美琴には彼女がどこかしょんぼりと意気消沈しているように見えた。
舞夏は美琴の数少ない友人の1人だし、同じ女性で同年代ということもあり、
普通の人より、美琴は舞夏の表情をよむことや感じることはできたりするのだろうが、

御坂(……お互い、あんまし報われてない片思いだしね)

彼女の持つ不安が想像できるのかもしれない、と美琴はなんとなく思った。
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 00:30:08.33 ID:cbOgvyo0
朝の時間、やはり食堂は朝食を食べる学生たちで混雑していた。
手前に奥の方、右左と首を動かして食堂の席が開いていないか美琴が確認していると、奥の方から声が飛んできた。

友人「御坂ー! こっち開いてるーッ!!」

昨日の夜、水場で会話をしていた同学年の友人が「おーい」と手を振っている。

御坂「ラッキー。まだ席開いてるみたい」

舞夏「よかったなー。それじゃ、私は配膳の手伝いに行かないとなんだー」

御坂「……朝食の時間始まってかなりたつけど?」

舞夏「今日は実習というよりは、ただ人手不足のお手伝い(ヘルパー)として来てるだけだからなー」

「多少アバウトでも大丈夫」と言って、急ぐ様子もなくゆったりと舞夏は厨房の方へと足を進めた。

美琴も席まで呼んでくれた友人の方へと歩みを進めた。
友人のデカイ声で食堂中に響き渡った「御坂」発言で、食堂中が美琴に注目してしまって多少気恥ずかしいが。

友人「おっはー」

美琴「おはよう。そのネタ古い。歳がバレるからやめなさいよねー」

友人「えぇー。私、現役バリバリの14歳なんだけど」

美琴「食い意地と言い、言葉のセンスといい、絶対あと10歳は歳食ってるでしょ?」

友人「歳は食べれません。今食べてるのは鯵の開きですー」

変な屁理屈をこねる友人はさておき、美琴は学生たちが食べている朝食に目をやった。
今日の朝食のメニューは和食中心で、メインが鯵の開きのようだ。

舞夏「ほい、御坂の分の朝食だぞー」

美琴が座っているテーブルの上に美琴の分の朝食が配善される。

御坂「土御門、ありがとうね」

舞夏「いえいえー」

せっせと働く舞夏に手短にお礼をいうと、美琴はそっと手を合わせて「いただきます」と頭を下げた。
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 00:44:07.33 ID:G.Wnbjw0
追いついた支援!
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 00:45:51.69 ID:cbOgvyo0
ごめんなさい、眠いです。
今回は全然進まなかったけどここまで、ということで。
土日予定ないんで、やっとですが美琴視点終わせるつもりです。
ちょっとダラダラし過ぎてたので……<(_ _)>
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/24(土) 00:46:57.07 ID:KoaD2cc0
乙!
また明日〜
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 15:04:32.04 ID:cbOgvyo0
ほのぼのパート昨日でまた終了(´;ω;)ショボーン
また一段と筆のスピードが亀ですが、よろしくお願いします。


315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 15:09:33.01 ID:KoaD2cc0
ktkr
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/24(土) 15:10:19.45 ID:OqJgB3g0
wktk
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 15:22:36.02 ID:cbOgvyo0
朝食後、部屋で沈没していた白井を起こし、美琴は今日も今日とて学校へと通うのだった。

-----

キーィン、コーォン、カーァン、コーォォ…ン。

5限目の終わりを告げる鐘が学校中に響き渡った。
教壇に立つ教師が授業終了の挨拶をするようにと、黒板名前が書かれている週番に即す。

御坂「あぁ、はい」

出席番号の順で担当している週番で、今週は美琴の番だった。
教師の催促に応じるため美琴は席から立ち上がると、クラスメイト達に号令をかける。

御坂「起立」

ガタガタと生徒達が席から立ち上がる音がする。
しばらく待って、騒がしい音が聞こえなくなれば全員が立ち上がった証拠だ。

御坂「礼、ありがとう御座いました」

週番の続くようにして、『ありがとうございました』とクラスメイト達が一斉に頭を下げた。
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 15:43:39.85 ID:UMQIgMco
>>317
きてたーーーー!!
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 15:48:08.44 ID:RUIfU8.o
キーィン、コーォン、カーァン、コーォォ…ンを
一方さんが言ってるように見えて笑っちまった
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 15:57:26.78 ID:cbOgvyo0
>>319

噴いた
学校のチャイムじゃなくて、人生終了のお知らせになってしまう……
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 15:57:56.68 ID:cbOgvyo0
HRが終わりいそいそと帰り支度をしていた美琴の肩に、突然生温かい重圧が圧し掛かった。

御坂「ちょっと、重いんだけどぉ……」

「うへぇ」と疲れ切ったような情けない声を出して、
美琴の両肩に体重のせて寄りかかってくる友人にすかさず美琴は文句を言った。

友人「経済学、やっぱ難しいわ。御坂に教えてもらわきゃ絶対死んでた。ありがとねー」

お礼を言うくらいなら体重をかけてくるのはやめてほしい、と美琴は脱力する。

御坂「はいはい、どういたしまして」

ぐでぇと怠けている友人を美琴は「ていっ」という掛け声と一緒に両手で全力で払う。
「御坂の薄情者ー」と後ろからなにやらこちらに向かって不平不満を言って来る人が居るが気にしない。

引き出しに入れていた教科書類を学生鞄に仕舞終えるて、
席を立とうとする美琴に友人が世間話程度の会話を吹っかけてきた。

友人「御坂これからどっかいくの?」

御坂「そぉねぇ」

別に、これといった用事もない。
いつも一緒にいる黒子は、昨日の徹夜が尾を引いているみたいで、遊びには誘いにくい。

御坂(ん〜、やっぱし。いつまでもこの鬱陶しいモヤモヤを引きずる訳にもいかない、かな)

思いきりストレスを発散したほうが、意外に重たい頭もスッキリするかもしれない。

御坂「街でも散策しようかしら」

昨日は結局ウィンドウショッピングできたかったし、丁度いいかもね、と美琴は今後の予定を決めた。

友人「でた、御坂の適当すぎる計画策定」

御坂「うっさい」

美琴自身は自分が計画性のない人間だとは思っていない。
そもそも、ちゃんと計画性がなければ、低能力者から超能力者まで駆けあがるなんて不可能じゃないか。

しかし、そんな自信満々な美琴をうんざりといった顔でみてくる友人に、昨日の打ち止めの言葉がよぎる。

打ち止め『ミサカはミサカはお姉様の計画性の無さに驚きを隠せなかったり』

御坂(……アレ?)

自分もそれなりに抜けてたりする人間なのかも、と少しだけ気がついた美琴だった。
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 15:58:59.75 ID:HqnRQ/Qo
一方通行「あ゙、あーァー…こほンっ」

キーィン、コーォン、カーァン、コーォォ…ン

一方通行「……ふゥ、今日もいい仕事ができたぜ。これで月18万だってンだからちょろいよなァ」
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/24(土) 16:06:53.97 ID:eayQfMc0
>>322
なにやってんすか一方さんwwwwww月18万って一ヶ月頑張れば、ミサカ一人買えるってことか…
324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 16:16:33.81 ID:CHxS6EA0
18万て一方さんにしたら端金もいいとこだろw
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 16:41:39.36 ID:BqSbOwQo
一方さんが頑張って借金八兆円を返そうとしてるんだよきっと!
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 16:49:39.89 ID:cbOgvyo0
第七学区の中心部にやってきた美琴だが、特にやることも見つからずブラブラと街を歩いていた。

御坂「さて、これからどうしよう」

ケロヨンのグッズを買いにセブンスミストへ行こうか、
ゲコ太の映画の前売り券を買いに映画館に行こうか。

御坂(どっちも捨てがたいのよね)

何時までもくよくよなんてしていられない。
今日は自分の好きなことを目一杯楽しんで、色んな事吹っ飛ばして、自然な笑顔で寮へと帰ろう。

これまでがそうだったように、これからだって日々はどんどんと美琴を無視して進んでいく。
いい加減、美琴も立ち止まっている訳にもいかない。
今はまだ『あの夜』から1人進めない状態でいたとしても、いつかは朝へと向かわなくては。

御坂(本当に、いつまでもグチグチしてたら、駄目よ)

木っ端みじんに吹き飛んだ『自分だけの現実』を取り戻さないと。
そんなことを思いながら、美琴は快晴の空を目を細めて眺めた。
いつまでも足踏みしてたら駄目。前に進まないと。
自分のためにも、生き残ってくれた9982人の『妹達』のためにも。

御坂(――――だから、今日はその景気づけってねっ!)

いっそのこと、やりたいことは全部やってしまえばいいのかもしれない。

御坂「よし、じゃあまずはケロヨン!!」

よし、と気合いを入れてセブンスミストへの道を進むために手前の角を曲がると、
向こうの方からこちらに向かって来る人の中に、美琴が良く知っている人影が見えた。

唯一ワックスで立てたツンツン頭だけが空しく『オシャレ』感を演出している高校生くらいの少年。
誰かの笑顔のためなら自分が傷つくことを厭わない、お人好しでおせっかいな『アイツ』。
彼は一方通行を倒した無能力者で、『妹達』を救い出してくれた英雄(ヒーロー)。

そして、美琴の、想い人。

彼に気付いた途端、美琴の自然と頬が蒸気する。
トクントクンとうるさいくらいに心臓が高鳴る。
美琴は自然と頬を緩めていた。

御坂「―――ちゅっと、待ちなさいよ!!」

美琴は夢中にツンツン頭の少年のもとへと駆けていく。
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 16:51:29.89 ID:cbOgvyo0
訂正 あばばばば

御坂「―――ちゅっと、待ちなさいよ!!」→「―――ちょっと、待ちなさいよ!!」
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 16:53:23.50 ID:BqSbOwQo
むしろ萌えた
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 16:54:04.98 ID:HqnRQ/Qo
噛んでるのもいいんじゃぁない?
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 16:56:58.00 ID:KoaD2cc0
むしろ何故訂正した…
331 :訂正前でも訂正後でも、お好きなほうでどうぞ。 [saga]:2010/04/24(土) 17:24:35.45 ID:cbOgvyo0
上条「はいはい何でしょうか、こう見えても上条さんは今いそがしいんですよ。って、御坂?」

いつも「不幸だーーー」とか呟きつつも、
様々な女性の心を虜にするこのツンツン頭の少年は上条当麻といい、とある高校の1年生である。

御坂「ひ、久しぶりね」

上条とは9月30日以来の再会だ。
ひさしぶりに会うからか、美琴はどうも落ち着くなくモジモジとしている。
呂律も上手く回らない上に、うっすらと顔に体温が集中している。

上条「おい、御坂。体調悪いのか? なんか顔も真っ赤だし、熱でもあんじゃねぇのか」

御坂「顔真っ赤って…ッ!! へ、へ平気よ。ぜーんぜん、すこぶる健康!」

緊張しているのが上条に知られたくなくて、余計に意地を張る御坂だが、
日本語の使い方が明らかに間違っている時点で、まったく隠し切れていない。

上条「いやいや、本人が風邪の初期症状に気付かないこともあるしなぁ。成長期だからって、無理しちゃ駄目だろー?」

上条は美琴の虚勢にはまったく気付いていないようだが、まだ美琴が「風邪」だと疑っている。

上条「ええっと、熱はあるのか……?」

美琴のおでこに、己のおでこをコツンと軽く押し当てる上条。

御坂「ッッ!!??///」

上条「うゎ、あっつ! 御坂、お前スゲェ熱があるぞ!?」

御坂「ふにゃぁぁ」

上条「えっ? ちょ、何で、バチバチいってるんですか御坂さん!? 漏電してるっ! 漏電していらっしゃいます事よーッ!!?」 

美琴の周囲でバチバチとスパークしていた電気が、一気に上条へと向けられる。

上条「ちょっと、待て! あーもう、不幸だーっ!」

第七学区の繁華街、真昼間の通路にて「ギャァァァァ」というかなしげな叫び声が轟いた。
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 17:40:34.08 ID:HqnRQ/Qo
女子中学生におでこコツンやるとかkjさん……
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 17:45:46.83 ID:Rd9I8Hg0
美琴かわええ
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 17:57:53.64 ID:8L0gzoDO
ふにやあああああ
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 18:25:42.57 ID:cbOgvyo0

雷撃の槍はいつもの如く、上条の右手によって塞がれた。
周囲からまき挙がる砂埃から、ゆらりと上条の影が現れる。
フシャーッと猫が威嚇するように、警戒心全開で美琴は上条から一歩離れた。

御坂(今のなに、今のなに、今のなにっ!!)

上条が美琴に顔を近づけたため、美琴の心の中は大型台風が降臨していた。
近くで見ると案外長くて艶のあるまつ毛や、頬に直接感じた微かな鼻息。

御坂(だって、だってっ! あ、あれじゃあ、まるで///)

―――キス、するみたいじゃないか。

御坂(〜〜〜〜ッ!!)

「キス」というキーワードを思いついてしまった美琴は、
もうどうしたらいいのか分からず、ついに脳内がショートとしてプシューっと頭から煙がでている。
今の彼女には、ここまでが想像の限界だったようだ。

上条「―――ッ! あっぶねぇなぁ」

上条はかざした右手をブンブンと振りながら周囲を見渡した。
雷撃の槍に巻き込まれた人がいないか確認するためだろう。

上条「人はいねぇか……。良かった」

交通量も人もそれなり多いこの通路だが、今は周囲に人っ子一人いない。
上条が美琴におでこコツン行為を行った段階で「あらあら、最近の若い子は」
なんて空気を察した通行人達がそそくさとその場を退散したから誰もいないだけなのだが、
美琴以上に鈍感な上条は、まったくその事に気が付いていない。

上条「……って、御坂。お前何処にいってるの?」

ショートしてしまった美琴には、「おーい、帰っておいでー」という上条の呼び声もしばらく耳に入ってこなかった。
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 18:27:59.86 ID:cbOgvyo0
ご飯食べてきますので、少しだけ席をはずします。
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 18:30:15.93 ID:HqnRQ/Qo
俺「おーい、帰っておいでー」
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 18:41:37.59 ID:xi5DhwIo
>>337
不覚にも
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 18:41:51.26 ID:JMyYoEAO
>>337「おーい、帰っておいでー」
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 18:44:27.62 ID:UMQIgMco
>>337
さっきからよくわらかしやがってwwwwwwww
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 20:03:11.64 ID:cbOgvyo0
ただいま戻りました。
やっと上条さん出せてよかったです。
上琴難しい、けど書くの楽しい。
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 20:10:47.23 ID:KoaD2cc0
俺も読んでて楽しい
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 20:17:00.77 ID:eLcD3aY0
2828してしまう
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 20:58:42.54 ID:cbOgvyo0

通路から歩いてすぐの所にある公園のベンチに、上条と美琴は座っていた。
美琴が白井や初春、佐天らと夏休みからずっと足繁く通っている移動式のクレープ屋がある公園。

2人の間の距離はおよそ30センチほど。
たったの30センチという短い距離だが、美琴には果てしなく遠く感じられた。
上条との関係が嫌というほど思い知らされ、それが美琴の心に抉るようにと突き刺さる。

御坂(どんなに都合よく解釈しても、所詮『友達』なの距離よね……)

上条の隣に居るのが"当たり前"という顔をして、日差しの当たる場所に居る可愛らしい少女を思い出す。

御坂(……良い子よね。私と違って素直だし、なんていうか「守ってあげたくなる」感じだし)

何度が銀髪シスターと交流したことがある美琴はシスターにそんな印象を持っていた。

上条「なんか、奢ってもらって悪ぃな」

美琴達御用達のクレープ屋のクレープを美琴に奢ってもらって、なんだか上条はすまなそうに頭を掻いた。

御坂「いいから黙って奢られてなさい。その代わり、能力が暴走した件は黙ってなさいよ」

上条「もちろんですよ! 一飯の恩を仇で返すような上条さんじゃありません」

学園都市には変わった社会常識というものが多く存在する。
そのひとつに、『自分の能力をコントロールできないなんて恥ずかしい』というものがある。
美琴は超能力者として誰よりも『自分だけの現実』の確立している分、
さきほどやらかした失敗は穴があったら入りたいほどの赤っ恥。

臭いものには蓋をしろ、上条にはクレープを奢って口止めしろ、である。

上条「しっかし、このクレープ、マジで上手いな」

御坂「当たり前よ。この美琴さんおススメの店よ?」

上条「ほんと上手ぇなぁ。インデックスにも食べさせてやりたかったなぁ」

はむはむと本当に美味しそうにクレープを頬張る上条の漏らした言葉に、一瞬美琴は固まった。
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 21:26:16.31 ID:UMQIgMco
上条さん遣らかした・・・。
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 21:26:28.79 ID:8L0gzoDO
らめえええぇぇぇ
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 21:30:21.63 ID:ZLpBPP6o
女の子の前で他の女の話はするなって平安時代の文書でも言ってんでしょうが!
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 21:30:45.64 ID:cbOgvyo0

嫉妬の心が美琴の身体をグルグルと駆け巡る。
他の女の話をするな、デリカシーがなさすぎる、エトセトラ、エトセトラ。
上条に対する不満、不安が次々と湧き上がってくる。

それでも、なぜが口が開かない。開いてくれない。

御坂(――ズルイ)

彼の少女のことを愛おしそうに語る男の瞳は、なんて甘く優しそうなのだろうか。

御坂(あんた、やっぱズルイよ)

ギリっと美琴の手に力が入る、持っていたクレープに凹みが出来たけど気にもしない。
奥歯をコレ以上にないほど噛み締め、心臓を刺す痛みに耐える。
息をするのも苦しい。

どうして、そんな顔をするの?
どうして、その顔を私に向けてくれないの?

―――私は、どうしてアンタの一番じゃないの?

上条「? 御坂、ボーっとしてどうしたんだ?」

美琴の心情を知ってか知らずか、呑気にそんなことを言って来る上条に、美琴は頭が痛くなる思いだった。
こうやって、私を含め色んな女の心をかき乱すのだ、天然魔性のこの男は。

御坂「……別に、あのチビッ子にまで奢ったら、さすがに私の財布も空になるなって思っただけ」

「私結構あの子に食べ物恵んでるだけどねー、諭吉が羽根生やして飛んでくわぁ」と美琴がわざと忌々しそうな顔をして言ってやると、
上条は本当に申し訳なさそうに「ウチの子がいつもお世話になってます……」と限界ぎりぎりまで頭を下げた。

上条を言い負かして少しだけ持ち直した美琴だが、今だけは上条を視界に入れたくなくて空を仰ぐ。

御坂(やっぱ、お互い報われてない分、辛いわねーー)

今朝、義兄との関係が進まないと沈んでいたメイドの友人に語りかける美琴。それは一種の現実逃避に近かった。

あんな風に柔らかい笑みを見せられたら、何も言えなくなるのは"当たり前"だ。
気になるから、好きだから。
いつも街でアイツを探して、アイツを視線で必死に追いかけて。

御坂(……だから、嫌ってほど分かるのよね)

愛しい少年が常に視線を追いかけているのが、誰なのかを。彼の隣に"当たり前"のように居る存在が、誰なのかを。
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 21:47:57.21 ID:cbOgvyo0
目の前の少年はいつだって美琴に本当の事を語ってくれない。

9月30日の件だってそうだ。

その日も上条は誰かのために拳を握り駆けまわっていた。
上条と、彼といつも一緒にいる銀髪シスターが武装軍団に追われていたし。
「友達を助けるんだ」といって2人が走って行った方向は、
あの後、学園都市中を照らした、摩訶不思議な天使の羽根のような光の中心点だったようだし。

御坂(問いただしても、コイツ何も教えてくれなさそうだけど)

いつも美琴は助けられてばかりだ。
『絶対能力進化計画』にしても、『残骸』の一件にしても。

御坂(あの子は、一緒に走ってた)

「友達を救う」のだと行って、上条と2人で美琴の目の前を駆けて行った。

御坂(……私にも、力があるのに)

『超電磁砲』としての絶対的な力がある。
美琴だって、上条のために何か出来る力がある。
それを知っていても、上条は美琴に何も助けを求めてこないし、一緒に走らせてもくれない。
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 22:12:50.20 ID:cbOgvyo0

御坂(……これからよ、これから)

いつまでもセンチメンタルな感情に浸っている場合でもない。

美琴はまだ残っていたクレープをガツガツと食べる。
そんな美琴の姿を見て上条が「お嬢様のイメージが崩れる」とへたれたが、
美琴はそんな上条を鼻で笑ってやった。

御坂(まぁ、『今』は1番じゃなくてもいいわよ)

クレープを食べ終わり、クレープを包んでいた紙をグシャリとまくる潰す。

御坂(いつか、絶対! 振り向かせてやるんだ、か、らッ!)

高校野球児もビックリのきれいな投球ホームを決めて、勢いよく丸めた紙を投げた。
紙の白球は真っ直ぐゴミ箱へと入る。

上条「―――ストライク。バッターアウッ! ゲームセッ!!」

御坂「常盤台中学校のぉー、優勝がぁー、決定しましたぁー。ウゥー」

野球の審判の真似をした上条に、美琴がアナウンスの真似でのった。ゲーム終了のサイレンまでつけて。
子どものようににやりとした2人は一拍おいて、お互いにクスクスと笑い始めた。

御坂「あっはっはー! くっだらなーい!」

上条「ぷぷっ、自分だってノリノリだったじゃねぇーかっ!」

何故が壺にはまってしまい美琴はひーひーと腹を抱えて笑う。

『今』は、これでいい。
下らない事で言い合って、ふざけ合って、笑いあえたら。

御坂(後悔させてあげるわよ?)

―――どうして、御坂美琴の魅力に早く気付かなかったのかってね。
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:15:49.37 ID:BqSbOwQo
……イイ
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/24(土) 22:16:21.59 ID:cbOgvyo0
>>350 最後付け足し。

それまでは、少年の天然魔性に振り回されてるんだろうけど。
疲たりもするけど、嫌じゃないと思っている自分に美琴は苦笑sた。





353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:27:55.92 ID:cbOgvyo0
今日の投下は以上です。
上条さんやっと出せました。
やっと明日、一方さんが出せっ、……たらいいなぁ。

たくさんのコメント等ありがとうございました。すんごく励みになります。
いつものろのろ遅い投下ですがお付き合いいただけて本当に幸いです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

>>322,377

ちょwwwwwwwwwwww
わろた
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:30:25.79 ID:UMQIgMco
>>353
明日待ってます
355 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:30:36.34 ID:HqnRQ/Qo
乙かれさン
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:35:36.29 ID:T2gNEAAO
乙です
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:42:26.41 ID:2M5QsjI0
乙でした〜
358 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/24(土) 22:43:52.69 ID:eLcD3aY0

恋する御坂の可愛さは異常
359 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 04:02:06.13 ID:FVW/Al20
追いついた!
激しく乙です
360 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 07:59:44.17 ID:j9chOpA0
昨日はお世話になりました。
いつもの如く亀スピードですが、ご勘弁いただけると有難いです。
上条さんご退場、御坂さんのお相手は10032号になるかと。
361 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch :2010/04/25(日) 08:27:06.56 ID:Q7QBWt.0
おはよう〜
頑張れ〜
362 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 08:42:08.23 ID:j9chOpA0
上条が突然、「あっ」と何を思い出したように美琴の顔をみた。

御坂「なに?」

上条「御坂妹がお前のこと探してたぞ」

御坂に会ったらすぐに伝えてやろうと思ってたんだけど、悪ぃ、と上条は続けた。

御坂「――10032号、が?」

上条「お、おぉ」

10032号のことを親しみを込めて『御坂妹』と呼ぶ上条は、
彼女の検体番号での呼び方に慣れていないのか、少しだけ頭の中で考えて返事をした。

御坂「……アンタさ、人さまの妹に変なチョッカイかけてないでしょうねぇ?」

美琴は10032号のことを口にした上条をコレでもかと威嚇する。
「卵の特売だっけ? そんな口実までつくって可愛い可愛い私の妹と逢瀬をしたかった、と?」
というドスの聞いた声をとともに、再び身体の周囲を電流をバチバチと駆け巡る。
紫電の光が般若のような美琴の顔をより一層演出している。

上条「変な誤解を招くような発言はやめて下さいっ!」
  
背筋を寒くした上条は、必死に美琴の発言を否定した。
だらだらと流れる大量の汗に、真っ青とした顔。なんとも見るに忍びない姿だ。
363 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 08:42:36.53 ID:j9chOpA0
上条「さっきたまたま御坂妹に会ってさ、そん時に「御坂が何処にいるか知ってるか?」って聞かれただけだって。
    知らないって答えたらすぐにどっか行っちまったし」

御坂(打ち止めは私の携帯番号とか他の子達に教えてたりしないのかしら?)

何か急用があれば、街中を無暗に探すよりは携帯で連絡した方が早いに決まっているというのに。
それとも、それすら出来ないほどの何かがあったのだろうか。
そんな考えにたどりつくと、美琴の背筋は凍った。

御坂「どこら辺で会ったの?」

『妹達』に何かあったのかもしれない。

御坂(……この馬鹿に何も言わないってコトは、命が危ないとか、そういうことじゃなさそうだけど)

命に関わる何かでなくても、10032号があてもなく学園都市を彷徨う何かはあった、と美琴は見当をたてた。

上条「えーっと、常盤台のお嬢様に蹴られ続けてる可哀そうな自販機がある公園の近く」

御坂「教えてくれてありがとう。けど、一言余計よ」

昨日、10032号とベンチに座って話をした公園だ。
ベンチから立ち上がった美琴は、常盤台のお嬢様たち全員への不名誉を口にした上条に、「ていッ」とデコピンをかました

御坂「またね」

上条「おぉ、またな」

足早に10032号の元へと急ぐ美琴は、涙を堪えて赤くした額をさすっている上条を置いて公園を去った。
364 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 11:01:24.35 ID:j9chOpA0
10032号「上位個体のみならず、次はミサカに視点が映ります、とミサカは1の度量の無さが招いた失態に頭を抱えます」

……ごめんなさい、ちょっとだけなんで、お許しください。orz
365 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 11:03:14.34 ID:j9chOpA0

【補足:10032号とお姉様】


10032号「――お姉様ッ!」

第七学区の中心部を走って駆けていく少女が1人。
「常盤台のお嬢さまだ」という周囲の視線を顧みず、少女――10032号のミサカはその中を無暗に縦横に走る。
自分と全く同じ容姿をもつ、『妹達』の素体(オリジナル)御坂美琴を探すために。

打ち止め『あのね――』

今朝、『妹達』を束ねる上位個体、通称・打ち止めからあることを聞かされ、
その次の瞬間には10032号はとある病院を抜け出して、街の中へと姿を消した。
朝からずっと無我夢中に人波をかき分け、美琴を探していた10032号。
軍用クローンとして一定の調整・訓練を施されている彼女でも、すでに体力が底をつきはじめた。

10032号(――ごめんなさい)

打ち止めから共有された『記憶』が頭の中で繰り返される。

ミサカ達の姉だ、と言いながら気恥ずかしそうに眉を緩めた笑顔。
手入れされているキレイな手で頭を撫でられる感触。
にししと意外と子供っぽく笑って話しかけてくれる声。
イタズラをしても、からかっても、最後は許してくれる優しさ。

――迷いなく自分たちことを「妹」といって受け入れてくれた、暖かさ。

打ち止めが美琴から与えられた全ての記憶が、10032号の脳内で繰り返される。何度も、何度も。
『記憶』からこれでもかと伝わる、美琴の想い。
それは、打ち止めだけではなく、全てのミサカに注がれる、絶対的な愛情。

10032号「……おねぇ、さまッ!!」

息が絶え絶えになっているのもお構いなしに、10032号は美琴を呼び続ける。
366 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 11:18:24.28 ID:iaDhIEAO
支援支援
367 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 11:47:54.43 ID:j9chOpA0

10032号(ミサカは『あの夜』お姉様の一番近くにいた。
      だから、ミサカは他の『妹達』の誰よりも知っているのです、とミサカは独白します)

美琴が誰よりも一方通行に対して怒っていることを、10032号は知っている。

一方通行をのことを許しはしないが、弾じることもしない現存している『妹達』の変わりに、
もう何の感情を持つこともできない死んでいった『妹達』の変わりに、
その全ての感情を引き受けるかのような、美琴の姿。

10032号(一方通行に対して誰よりも怒りや恐怖、悲しみを抱いているのはお姉様だ、
     とミサカはその事実を重たく受け止めなければなりません)

クローンであるミサカ達の存在を拒否せず、気味悪がらず、
命を捨てでも『妹達』を救うと叫んでくれた、美琴。
ただの『妹達』のお姉様(オリジナル)ではなく、ミサカ達の本当の姉になってくれたお姉様。

足は既にガタガタと痙攣しはじめ、まともに歩くことさえできなくなっていた。
10032号は必至の想いで、なんとか歩みを進めようともがく。
けれでも、己の足は言うこと気かず、10032号はとうとう、歩道の脇にしゃがみ込んでしまった。

ひゅ、ひゅと肩を大きく上下に動かして、10032号は辛うじて荒い呼吸を繰り返す。

何故、自分が学園の中を必死に駆け巡るのか10032号は分からなかった。
それでも、美琴に何かを伝えたければならない焦燥にかられて此処まで来た。

10032号「……ミサカ達は、不安で仕方がないのです」

打ち止めも10032号も、美琴にどうしても口を閉ざしてしまう理由。

10032号「『妹達』全員が、一方通行の演算補助をしているをお姉様に知られたら……、」

殆ど、美琴への裏切り近い行為だ、と10032号は考える。
演算補助を行うことに疑問は抱いていないし、後悔もしていない。
命の誕生のきっかけをくれた少年は、打ち止めを命懸けで救い出してくれ、今も彼女を守ってくれている。

美琴の、妹達の命を脅かした一方通行を、妹達全員が自主的に常時サポートしていることを、美琴はどう思うだろうか。
一方通行に絶対の怒りを抱く美琴が、そんな妹達の姿を知ったら、どう思うのだろうか。

もしかしたら、お姉様に失望されるかもしれない、見放されるのかもしれない――、

10032号「……お姉様に、嫌われてしまうかもしれない」

しゃがみこんだまま、10032号はぎゅっと自分の身体を抱き込む。身体中の震えがどうにも止まらない。

10032号「……ミサカ達は、ミサカは…、お姉様に、嫌われなくない……っ!!」

自分達に向けられる美琴の愛情を消失してしまうのではないか、不安と恐怖。
それが、どうしても彼女たちが踏みとどまってしまう、原因。
368 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 12:53:24.35 ID:zgW7K6AO
弾じる?
断罪するの間違いかな?
369 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch :2010/04/25(日) 12:53:50.10 ID:ZcaiD5Yo
落ち着けww
誤字脱字がいつもより激しいぞwwww
370 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 13:00:35.69 ID:Q7QBWt.0
ゆっくりご飯を食べて落ちつくんだよ!
371 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 13:13:48.15 ID:nrB77oAo
弾ずる→人の不正や罪を責めただす
372 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 13:42:42.10 ID:j9chOpA0
ご飯食べて、もちついた……はず。
誤字脱字乱文大発生中で申し訳ないです、はい…orz
373 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 13:43:24.87 ID:j9chOpA0

これ以上、お姉様の負担にはなりたくない、と切実に思っているはずなのに、
美琴に嫌われたくないという不安から、妹達が故意に『一方通行』について口を閉ざす。

けれど、その行為こそが、更に美琴の双肩に重くのしかかる負担と化している。

10032号(ミサカ達は、お姉様の優しさに甘え、胡坐をかいているのです、
      ミサカはミサカ達の愚鈍さに改めて気が付きました……)

身体の震えは止まらないどころか、どんどん増すばかりだ。
胸が引き裂かれそうになる痛みを感じ、10032号は右手で胸元を抑えた。
ドクンドクンという激しい心臓が脈うつ音が、うるさいほど聞こえてくる。

10032号「……怖いです、とミサカは自分の気持ちを素直に打ち明けます」

まだ、怖い。10032号のミサカを取り巻く全てが、カタカタと震え怯えている。

10032号(――それでも、)

たとえ、失望されてたとしも、見放されたとしても、嫌われたとしても。
それでも、お姉様に伝えなくては。

10032号「……、覚悟を、決めなければなりません、とミサカは自分を奮い立たせます……」

足が動けるようになったら、また走り出そう。10032号がそう決意した時、遠くから彼女の名を呼ぶ声が聞こえてきた。


【補足:10032号とお姉様 終】
374 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 14:11:11.00 ID:d5lJc.go
わっふるわっふる!
375 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 14:19:18.89 ID:j9chOpA0
御坂「たっく、本当に此処であってんの?」

上条から聞いた場所まで来ていた美琴だが、暫く探しても肝心の人物の影すら見つからない。

御坂「全部しらみつぶしに探したんだけどなぁ」

自販機のある公園を中心にグルグルと、
かれこれ30分程キョロキョロと辺りを歩き回っているが、
美琴には10032号のいる場所が依然としてわからなかった。

御坂「仕方ない。もう一回、グルっと回ってくるか」

昨日座っていたベンチ付近で10032号を捜していた美琴は、もう一度公園の周囲へと探索に向かう。

----

御坂「10032号ー、居ないのー? 居たら返事しろーッ!」

10032号の名を呼びながら、美琴は公園近くの歩道を歩む。
どんなに呼んでも、彼女からの返事はない。

御坂(何処にもいないわねぇ。……あっ)

頭の上に電球マークを浮かべた美琴は、ポンッと手をあわせた。
すぅと思い切り空気を吸って、空気が裂けるような大声を出す。

御坂「居るなら返事しなさいって言ってるのよ、『御坂妹』ぉーーッ!!」

向かい側の歩道で歩いていた人、公園で遊んでいた子どもが
「ビクゥッ!」と驚いたようにこちらを振り向いている。
美琴の大声は風邪のない空気をよく振動させ、辺り一面の鼓膜をぶち抜いたようだ。

10032号「……それは、『あの方』だけの呼び名だから呼ぶんじゃねーよと言ったはずですが、
      とミサカはお姉様の学習能力の低能ぶりを思い知らされて愕然とします……」

歩道の脇にしゃがみこんでいた10032号の鼓膜にも、美琴の大声は突き刺さったようだ。
376 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 15:53:06.57 ID:suU1Xw.o
今更だが10032号って死んでなかったか?
377 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:01:05.99 ID:crlJt1.0
10032号は上条さんに助けられた子だよ
原作に出てくる御坂妹は基本この子
378 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch :2010/04/25(日) 16:06:52.72 ID:ZcaiD5Yo
>>376
 /【三三】
 (´・ω・`) 元気ですよ。と 10032号は返答します。
(U. U
 )ノ
379 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:08:45.31 ID:suU1Xw.o
>>377
漫画と原作では違うのか
すまんアニメと漫画だけでものをいってしまった
380 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:13:10.29 ID:crlJt1.0
>>379
どの媒体も上条さんに助けられたのは10032号だよ
ひょっとして電車に潰された9982号か本屋のあとで殺された(推定)10031号と勘違いしてないか
381 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:15:58.64 ID:suU1Xw.o
>>380
ttp://iup.2ch-library.com/i/i0082528-1272179715.jpg
やっぱり原作とは違うみたい
382 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:22:11.68 ID:X7/ltngo
「このミサカです」の「この」ってのは死体の事じゃなくて自分の事だよ
383 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:22:16.79 ID:.7VP77cP
ん、何か違うか?
原作しか読んでないけどその画像で10032号は生きてるし
その後でセロリがそげぶされてその子助かるんじゃないのか
384 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:23:46.78 ID:XR7rFJIo
>>379
どっちも10032号は生きてると思うが
385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/25(日) 16:24:15.00 ID:Q7QBWt.0
>>381
いや、同じだよ
10032号生きてるやん
上条さんの台詞はお前は何者だ?って意味だと思われ
386 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:24:41.76 ID:26rKmUgo
漫画版でも生きてるよ
ってかそのシーンでこのミサカですってしゃべってるのが10032号だ
387 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:24:50.94 ID:suU1Xw.o
>>382
ん?「あなたが今まで接してきたミサカ」は死んだんじゃないのか?
388 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:27:01.62 ID:X7/ltngo
「この」が指してるのは「自分」なんだって。
「あなたが今まで接してきたミサカは私です」って事なんだよ
389 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:27:27.23 ID:XR7rFJIo
>>387
心配なさらずともって言ってるじゃん
390 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:27:34.94 ID:26rKmUgo
>>387
心配しなくても「あなたが今まで接してきたミサカ」は私だから生きてます
って言うセリフだよこれ
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/25(日) 16:27:58.78 ID:Q7QBWt.0
>>387
生きてる、というか喋ってる
死んだのは上条さんが会った事のない別のミサカ
アニメで初めて見たときは俺も勘違いしたが
392 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:28:34.22 ID:.7VP77cP
今日まで接してきたっていうのは缶を拾って持ってくれたり猫のシラミだったかをとってくれたミサカのこと
どの道このミサカのところで自分のこと指差してるしそこで10032号が生きてるのは間違いない
393 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:30:36.35 ID:suU1Xw.o
>>390
それじゃあアクセラレータは本屋の前でミサカ10032号を見逃したってこと?
394 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:33:51.56 ID:d5lJc.go
10032は死体の回収に向かっただけじゃんゆ
395 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:34:01.05 ID:X7/ltngo
別に一方さんは妹達を殺したくて殺してるわけじゃないし
飽くまで実験は決まった時間帯に決まった場所で決まった検体を[ピーーー]んだぞ
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/25(日) 16:34:10.92 ID:Q7QBWt.0
>>393
見逃したというか、実験で殺す番号のミサカじゃなかっただけじゃない?
別に妹達見たら無差別に殺してるわけじゃないんだから
397 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:35:28.51 ID:TD2PccDO
>>393
見逃すも何もあくまで実験なんだからちゃんと手順や段階があるんだよ
出会ってすぐ戦うなんて特攻の拓じゃないだから
398 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:36:47.32 ID:suU1Xw.o
みんなありがとう
変な誤解してたわ
すいませんでした
399 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 16:45:00.66 ID:j9chOpA0

歩道の脇というよりは、ビルとビルの隙間にある細い路地の入口のような所に10032号はしゃがみこんでいた。

御坂「『アイツ』から私のこと探してるって聞いたんだけど」

10032号をようやく見つけ、美琴はほっと安心したようにため息をついた。
しゃがみこんでいる彼女の前まで駆け足で近寄りながら、美琴は10032号に話しかけた。

10032号「……そういえば、あの方にもお姉様の居場所を聞いていましたね。
     とミサカは余りにもお姉様探しに熱中し過ぎて、あの方と
     キャッキャッウフフできる機会を逃してしまいましたと思い返します」

御坂「キャッキャウフフって、アンタはどこぞの親父かい」

突っ込みの要領で、美琴はズビシと右手の甲を10032号の肩に軽くぶつけた。

御坂(……アレ?)

すぐに手を離したからはっきりとは分からなかったが、

御坂(この子、微かに震えてる?)

10032号は昨日と同じように美琴に捻くれた口調で話しかけてくるが、
しゃがみ込んだまま視線を挙げようともしない10032号。

御坂「何か、あったの?」

美琴は10032号の目の前に来ると、視線を合わせるように自分もしゃがみ込む。
弱弱しく膝の上に置かれていた10032号の手を、両手で包むように握る。

微かに震える10032号の手は、とても真っ白で冷たく凍えていた。
400 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:46:21.34 ID:j9chOpA0
ガンガン版の妹達もカワユスなぁ。
401 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 16:54:28.31 ID:XR7rFJI0
このスレ見てコミックス3巻今読んでる
402 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 17:09:50.97 ID:j9chOpA0
御坂(……冷たい)

こんなに冷たくなるまで、10032号は美琴のことを探したのだろう。
もっと早く来てあげられてたら、と美琴は申し訳感じた。
はぁっと暖かい息を吹きかけてやり、ただ、ただ、少女の冷たい手を擦ってやることしか出来ない。

しばらく美琴がそうしていると、漸く10032号が顔をあげた。
眉はこれでもかと垂れ下がり、見るからに顔は血の気が引いていて青白い。
口も見事にへの字に結ばれている。

御坂(昨日も、今日も。この子はいつも泣きそうなのを、必死に我慢してるのね)

自分を律そうとする10032号には敬服するが、
そもそも、彼女にそんな顔をさせているのは他の誰でもない美琴だ。

御坂(アンタに無理、させちゃってるよね、私)

自分の滑稽さに嫌気がさす美琴だが、ここで自分が崩れてはいけない。

御坂(―――私は、もう迷わないって決めたから)

目の前の妹達(このこ)が更に迷ってしまわないように、混乱してしまわないように。

10032号「……記憶の通りです。お姉様の手はやはり暖かいのですね、とミサカは実感します」

御坂「?」

ポツリと、10032号が呟いた言葉の意味を、美琴には理解することは出来なかった。
ただ、10032号は何かを確認しているような、噛み締めるような、そんな視線を美琴に向けた。

10032号「――――あの、」

覚悟を決めたように、10032号が口を開いた。
いつもはボンヤリとして焦点の合わない瞳が、美琴をまっすぐに映し出す。
はじめて、10032号の強い意志も持った視線をむけられた美琴は、じっと彼女が次の言葉を紡ぐのを待った。
403 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 17:46:25.31 ID:j9chOpA0

焦らず急かさず、手をぎゅっと握ってじっと待つ美琴に、10032号は少しづつ話し始めた。

10032号「今朝、上位個体から昨日のお姉様との記憶がミサカネットワークに流れました」

美琴「……そう」

『妹達』に起こった、何か。
心の片隅で、もしかして『妹達』の命に関わることかもしれないと疑心暗鬼だった美琴だが、
「彼女たちの命が脅かされるといったことはなさそうだ」と10032号に気付かれないように、美琴は小さく息を吐いた。

10032号「お姉様は、ミサカ達の『姉』だと笑ってくださったのに……」

言葉を紡ぎながら、段々10032号の手のひらに力が籠る。

10032号「ミサカはその事を知って、すごくすごく、……嬉しかったのに…ッ」

更に眉が垂れ下がる。

10032号「ミサ、ミサカは、ミサカ達は…、お姉様の優しさに甘えてッ…! 
      自分、達の弱さのせいでッ、お、お姉様に余計な心配をかけさせてッ、ふた、負担をか、けて……ッ!!」

その瞳をうっすらと涙で貯め込み、しゃくりあげる。

10032号「ぉ、お姉様に、き、きらわれ、たくなくて…ッ! ……ミサ、カは。ミサカはッ」

親に叱られた小さな子供のような10032号を、
美琴はもう黙って見ていることなんて出来なかった。

御坂「無理、しなくていいよ」

背中を丸めて、小さくしゃがみ込んでしまっている10032号の身体ごと美琴はぎゅっと抱きしめた。
涙は流さなくても、「ひっく、ひっく」と辛そうにひゃくりあげる10032号の背中に手をまわした。

御坂「……大丈夫。大丈夫だから」

10032号「……ふぇ、おね、ぇさまぁ……っく」

御坂「ゆっくり、息を吸って」

ポンポンと背中をゆっくり叩いてやり、美琴の首筋に顔を埋めた10032号の頭をそっと優しく撫でる美琴。

御坂「はいて、もっかい息吸って、はいて」

10032号はしゃくりあげながらも、素直に美琴の指示にしたがって、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。
404 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 17:54:21.45 ID:j9chOpA0
晩御飯なので、少し席を外します。半頃には戻ります。
10032号さんのところさえ過ぎれば、ゴールが目の前だー。
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/25(日) 17:56:58.88 ID:Q7QBWt.0
とりあえず乙〜
406 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 18:05:40.34 ID:d5lJc.go
ヒッヒッフー
407 :ただいまです [saga]:2010/04/25(日) 19:23:03.73 ID:j9chOpA0
10032号は顔を美琴の肩に擦りつけながら、
ときどき小さくしゃくりあげるが、それでも一気に高ぶった感情は収まったようだ。

御坂「あせらなくて良いから。ね?」

美琴は10032号に語りかける。

御坂「私は10032号も、他の『妹達』も。嫌いになったりなんか、しないよ」

10032号をあやす様に、諭すように、美琴は言葉を続けた。

御坂「私はさ、別に義務とか責任とかでアンタ達の『姉』をやってるんじゃないの」

顔を美琴の肩に埋めて黙って聞いていた10032号が、ぱっと顔を挙げる。

御坂(そうよ、私は――)

美琴は彼女たちが大切で、その笑顔を守りたい。なぜなら――、

御坂「アンタ達が可愛くて、ほっとけなくて、大好きだから」

覚悟も信念も義務も責任も、そんな概念なんて必要ない。
わざわざ難しく考えて、無理に理由をこじつける必要なんか、ない。

御坂「だから、アンタ達の『姉』で居たいのよ」

9982号も、打ち止めも、10032号も。
その命を散らして逝った『妹達』も、世界の何処かで笑って暮らす『妹達』も。

―――美琴は、大好きなのだ。

それがあれな、美琴には十分なのだ。
それさえあれな、美琴は何処までも頑張れるし、強くなれる。

御坂「ただ、それだけなの」

美琴はようやく自分が辿りついた問いの答えを、10032号に告げた。

そんな美琴を見ていた、10032号の目が大きく見開かれる。

打ち止め『優しくて気高くて誰かのために怒ることのできる、
      お姉様にぴったりの花でしょッ!? ってミサカはミサカは――』

いつだったか、そう言って打ち止めがミサカネットワークに流した花。
たったいま10032号に向けられた、
10032号を介して全てのミサカに向けられた美琴の頬笑みは、まさしくその花の様で。

美しい夏の青空のもと、大輪を輝かせる向日葵のような頬笑み。


――――ミサカ達の心を照らす、太陽のような頬笑みだ、と10032号は思った。
408 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 19:25:49.24 ID:j9chOpA0
訂正 (/_;)重要なとこが…Orz

それがあれば、美琴には十分なのだ。
それさえあれば、美琴は何処までも頑張れるし、強くなれる。

409 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 20:13:15.68 ID:j9chOpA0

10032号はギュッと美琴のブレザーの裾を握りしめる。
ついに彼女の目から涙が溢れ出てしまい、10032号は美琴のブレザーの裾で目元をゴシゴシと拭いた。

御坂「おいおい」

ずずっとブレザーの袖で鼻まで啜す10032号をみて美琴は呆れたような声をだしたが、声に怒気は含まれていない。

10032号「お姉様がミサカのことを泣かすからいけないのです、とミサカは責任に所在をはっきり示唆します」

御坂「アレ、私、なんか悪いことした?」

傍らに置いていた学生鞄からハンカチを取り出す。
美琴は「ブレザーなんかで擦ったら、後で肌があれるわよ?」と10032号の目元を優しく擦る。
白いハンカチには、ケロヨンの刺繍が小さく施されている。

10032号「……このミサカを含め、お姉さまは『妹達』20001人を口説き落としたのですから
      責任を取りやがれと言っています、とミサカは比喩表現に疎いお姉様に懇切丁寧に言い直します」

御坂「へっ? 口説き落としたって、えっ?」

意味がまったくわからない美琴は、「どういうこと?」と聞き返した。

10032号「そのようなお子様グッズを好むお姉様ですから、
     なんとなく鈍感娘なんだろうと見当はつけていましたけど、とミサカはお姉様の鈍感ぶりを嘆きます」

美琴が手に持っている白いハンカチ(ケロヨンの刺繍つき)を見ながら、10032号が大げさにため息をついた。

御坂「ちょっと、誰が鈍感だって!? あと、ケロヨンは関係ないでしょ!」

10032号「だから、ミサカが泣いたのはお姉様のせいなので、いいから責任取れ、とミサカはもう一度だけお姉様にいいます」

最後に「ちーん」とハンカチで鼻を噛むと、すくっと立ちあがって、10032号はビシッと美琴に指をさした。
すでに、赤く擦れた後の目元に涙はない。

御坂「泣かすつもりじゃなかったんだけど……。それに責任取れって、何すればいいのよ?」

ぽいっと投げかえられたケロヨンの刺繍付きハンカチを、涙目で受け取った美琴。

10032号「今度、ミサカにも、アイスとコーラを奢ってください、とミサカはお姉様にお願いします」

「上位個体だけ良い思いをするのはズルイです」と、拗ねたようにいう10032号が、美琴にはとても愛らしく思えた。
410 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 20:17:50.04 ID:d5lJc.go
俺にも奢ってください
411 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 20:50:01.53 ID:j9chOpA0
10032号「―――ミサカ達は、もう少しだけお姉様の優しさに甘えても大丈夫でしょうか? とミサカは質問します」

御坂「いつまでだっていいわよ」

「20001人の妹ワガママくらい、笑って受け止めてあげるわよ」と美琴はさらりと言ってのけた。

10032号「……覚悟を決めたつもりなのに、やはりミサカにはまだ
      一歩を踏み出す勇気はなかったのです、とミサカは自分を冷静に分析します」

御坂「そう」

10032号「けど、いつか。絶対。お姉様にお話しします」

御坂「……ん。待ってる」

何の話か。
そんなこと聞かなくてもわかっている。
いつか話すと、10032号は御坂に約束してくれたのだ。

10032号「ッ! 病院を抜け出したことがあの医者にバレタようです、
     とミサカは10039号・13577号・19090号たちからの通信内容をお姉様にも伝えます」

御坂「え…、ソレ大丈夫なの?」

10032号「検査をサボって来たので、あんまり大丈夫ではありません、とミサカは――」

御坂「何やってんのッ!? アンタ達がいましなきゃいけないことは身体の調整でしょッ!!」

10032号「突然高い声で怒鳴らないでください、耳がキーンとして痛いです、とミサカはお姉様に訴えます」

御坂「減らず口を叩くんじゃないのっ!」

10032号はくどくどと怒る美琴の声を遮断するように両手で耳を塞いで「あーあー聞こえない」と言う。
面倒くさそうな声色とは裏腹に、10032号はどこか嬉しそうにニヤニヤとしている。

10032「お姉様、『母親』みたい」

なんて、10032号の独り言は、「身体を大切にしないさい」と怒っている美琴には気付かれなかった。
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/25(日) 20:57:16.52 ID:phd2Q6U0
美琴が良い姉すぎて生きるのが辛い
413 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 21:31:52.51 ID:j9chOpA0
御坂「1人で大丈夫なの? ちゃんと帰れる?」

10032号「大丈夫です。子ども扱いしないでください、とミサカは眉をひそめます」

御坂「やっぱ、私も一緒に病院に――」

10032号「結構です。病院までの帰路中ず〜っとお姉様の説教を聞かされるのは御免こうむります、
     とミサカは人の目もある歩道脇でネチネチと説教をしたお姉様に「NO THANKS YOU」と断わります」

さすがあの場で十五分もクドクドと説教されれば、もう十分だと10032号思っているのだろう。
美琴の純粋な好意も、ピシャリと一刀両断で拒否したのが良い証拠だ。

御坂「むぅ〜、なんか納得できない断られかたねぇ」

頬を膨らませて不貞腐れる美琴だが、あそこまで言われてしまうと反論もできない。

10032号「ああ、そう言えば、先ほどミサカネットワークに通信して来た10039号・13577号・19090号たちから伝言を預かっています」

御坂「病院にいる子たちから?」

10032号「はい、『とりあえず、自分たちにも責任とって、なんか奢れ』、だそうです」

御坂「……いつから『妹達』は某銀髪シスターみたいに食い意地はるようになった訳?」

10032号「暴食少女みたいな言い方は侵害です。お姉様にかまってもらうための口実なら、
     なんでも良いんですよ、とミサカは――ッ!」

自分がさらりと口にしたことが、とんでもないことだと気付き、口を閉じたが時すでに遅し。
今朝打ち止めがほった墓穴を、10032号も掘るはめになったのは、正に因果応報だった。

御坂「ほう、私にかまってもらうための口実なんだぁ、へぇ〜」(ニヤニヤ)

10032号「な、何のことかさっぱりです、とミサカはお姉様のにやけ顔の意味が分からず戸惑います!!」

御坂「あ〜もぅ、打ち止めもアンタも、可愛いなコンチクショー!」

美琴は居てもたってもいられず、10032号の肩に腕を回すと、ウリウリと頭をこついた。

10032号「やめて下さい、お姉様、鬱陶しいです!」

御坂「照れるな、照れるな」

ギャーギャーと騒ぐ瓜二つの少女を、周囲の人は微笑ましそうにニコニコと眺めていた。
414 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 21:39:31.36 ID:j9chOpA0
ごめんなさい、ちょっと休憩します。
そろそろ10032号はご退場予定、さぁラストスパート!!、の前の休憩いってきます。
415 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 21:42:13.08 ID:d5lJc.go
俺も微笑ましそうにニコニコと眺めていました乙
416 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch :2010/04/25(日) 21:43:19.56 ID:w/mlxmk0
そろそろ一方さんが!
417 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 21:54:24.50 ID:qr9UCx20
wktk!!
418 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 22:18:18.03 ID:j9chOpA0

御坂「――それじゃ、喫茶店に行くのは身体の検査が終わって、体調がちゃんと良くなってからね?」

10032号「わかりました、とミサカは返答します」

御坂「ええっと、連絡方法だけど……」

10032号「お姉様の携帯番号ならすでに上位個体との記憶共有で情報を得ています、とミサカは進言します」

御坂「ですよねぇー」

ミサカネットワークというのは、存外便利なもののようである。
そもそも『妹達』の間ではネットワークを介して情報のやり取りが出来るのだから、携帯要らずだ。

御坂(打ち止めはお子様ケータイ持ってたけど…)

あれは、多分保護者が持たせたものだ。

御坂(っということは、一方通行が持たせてるのよね)

カバーの両面に、大きな花柄が描かれている可愛らしい打ち止めの携帯。

御坂(……アイツの趣味だったら、笑えるわ。に、似合わな過ぎるッ……!)

「ぷっ」と突然吹き出した美琴を、不思議そうに10032号は見ていた。
419 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 22:39:23.10 ID:j9chOpA0
以下、少しだけMNWのわたしの個人的な解釈が入ってます。
多分、間違ってることばっかりでしょうが、目をつむって頂けると幸いです。
420 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 22:40:14.56 ID:j9chOpA0
そういえば、と不思議そうに美琴の顔を見ていた10032号がふいに口を開いた。

10032号「昨日、お姉様に『妹達』の記憶の中にケロヨンの情報がないといいましたよね、とミサカは昨日の話を振りかえります」

御坂「あぁ、うん。そんなことも言ってたわね」

ケロヨンの記憶を持った『妹達』は、8月15日をともに過ごした9982号だった。
現存している『妹達』に死んでいた『妹達』の記憶が残っていないかもしれない、
と美琴は昨日の夜、1人で胸を締め付けてた。

御坂「なにか、わかったの?」

もしかしたら、膨大な情報に埋もれて10032号が見落としていただけなのだろうか。
そんな淡い期待を抱いて、美琴は10032号の言葉を待った。

10032号「もともと、上位個体とお姉様のやり取りがミサカネットワーク上に流れたのは今朝。
     つまり、上位個体は昨日の夜から今朝まで意図的に通信を遮断し、お姉様との『記憶』を占有したのです、
     とミサカはあのちびっ子の独りよがりな行動に頭を痛くします」

御坂「そういえば、そんな様なコト言ってたわ」

打ち止め『決めたーっ! 今日だけミサカはお姉様を一人占めして、明日になったら皆に教えてあげようって
      ミサカはミサカは自分の欲望に忠実に行動してみる〜』

美琴は昨日の打ち止めの言葉を思い出した。

10032号「ミサカネットワークを遮断する、というコト自体ミサカ達には考えつかないことでした。
     ミサカ達より感情が豊かな上位個体だからこそ思いついたことかもしれません、とミサカは推測します」

御坂「えっ? それって自由に接続したり遮断したりできないの?」

思っていたより、不便かもしれないぞ。ミサカネットワーク。

10032号「いえ、上位個体に制限をかけらてれない状態なら自由に出来ます。
     ただ、ネットワークに接続しているのがミサカ達にとっては『当たり前』なので、考えつかなかっただけです」

御坂「ふ〜ん」
421 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 22:58:40.94 ID:j9chOpA0
10032号「上位個体がネットワークを遮断して、記憶を独占したということを踏まえ、
     ケロヨンの記憶が全ミサカにない=(イコール)誰かがネットワークを切ってその記憶を占有しているではないか、
     とミサカは仮説をたて、上位個体の他に過去に遮断行為を行った個体が居ないかと尋ねました」

御坂「……」

10032号「上位個体からの返答は、『過去に一度だけそれを行った個体がおり、検体番号9982号のミサカだよ』とのことでした」

御坂「……そう」

10032号以降の妹達にケロヨンの記憶がないのは、
9982号がネットワークから自身を遮断していたから、ということなのだろうか。

御坂(でも、なんでわざわざ……?)

10032号「ミサカ達が有してる9983号の記憶の中で、唯一情報が途切れていると思われるのは、
     第9982次実験が行われるすこし前、それもたった数分の間だけでした、とミサカは検証結果を報告します」

御坂「……8月15日の、実験の少し前……?」

-----

御坂「…ん? まだ何かあるの?」

9982号「…いえ」



9982号「さようなら、お姉様」

----

あの時、9982号と分かれた時のことだろうか、と美琴はグラグラする頭で必死に考えた。

10032号「……9982号にとって、何故『ケロヨン』に関する情報を遮断したのかはわかりません。
     どういう状況でネットワークを切っていたのかも想像がつきません、」

けれど、と10032号はつけたしてこう言った。

10032号「―――けれど、きっと9982号も上位個体と同じように、お姉様との想い出を「1人占め」したかったのだ、とミサカは推測します」
422 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:05:33.61 ID:mVYQ4xko
うわぁ泣ける…
423 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/25(日) 23:06:48.44 ID:TvK7NPwo
イイハナシダー
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/25(日) 23:15:56.39 ID:Q7QBWt.0
9982号の話は泣ける…
425 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/25(日) 23:29:11.59 ID:j9chOpA0
「検査が終わり都合がついたら美琴の携帯に連絡する」と約束した10032号は、
9982号のことを伝え終えると、「カエル顔の医者が怒ると怖いので、」と言って病院へ帰って行った。

御坂(……9982号)

今も耳の片隅に残っている、9982号の声。

9982号『これはお姉様から頂いた初めてのプレゼントです』

ケロヨンの缶バッチを絶対に話さなかった9982号。

御坂(どうして、私との最期を、私があげたケロヨンのバッチのこと、皆に秘密にしたの?)

当然、9982号から返事が返ってくるはずもない。
あの時、最後の時、何かを伝えようとしていた9982号。
ミサカネットワークを遮断していたのが、その時ならば、
9982号が美琴に伝えようとしたことが何か、他の『妹達』も知らないだろう。

御坂(アンタの最後の言葉は、わからないままね……)

美琴の頬を冷たい冷気が優しく撫でた。
少し日が傾いた学園都市の空に、微かな秋風が吹き始めた。

御坂「……9982号」

美琴が呼んだ少女の名を、柔らかな風がさらっていった。


ピロリリロリン〜♪という間抜けなメール着信音が学生鞄の中から聞こえてきた。

美琴「……誰から、かな?」

ガザガザと学生鞄の中に入れておいた携帯を取り出すと、
表の液晶には【メール:佐天涙子】の文字があった。
426 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch :2010/04/25(日) 23:37:24.94 ID:w/mlxmk0
まさかの佐…さんww
427 :426 黒子も初春も出したし。佐天さんも、ねじ込みたかったんだ… [saga]:2010/04/25(日) 23:49:32.65 ID:j9chOpA0

‐‐‐‐‐‐

from 佐天涙子

to 御坂美琴
to 白井黒子

Title カラオケー♪♪

こんちわ、御坂さん! 白井さん! 佐天でーす♪
今、初春といつもファミレスにいて、
一緒にカラオケに行きたいねぇ〜って話してたんですけど、
良かったら、御坂さんと白井さんも一緒に行きませんか??(*^_^*)

‐‐‐‐‐‐‐

初春飾利のクライメイトの佐天涙子から来たメールをしばらく茫然と見ていた御坂だが、
カタカタと携帯のボタンを操作にて、佐天に送る返事を打ち込んむ。

御坂「送信、と」

美琴のメールの内容を要約すると「行く」である。

御坂「ファミレス集合よね」

美琴はいつもの集合場所を思い出し、佐天からの返信を待つことなく携帯を学生鞄へとしまった。

御坂「……さて、私も行きますか」

両手を天高く伸ばして「んーっ」と思い切り伸びをした美琴は、
ファミレスに向かう前に、来るっと後ろを振り向いた。


御坂「いってきます」


学園都市にそよぐ秋風が去っていく方角を真っ直ぐ見据えて美琴はそう言った。
一体誰に向かって言った言葉なのか、それは美琴にしかわからない。
428 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/26(月) 00:03:55.16 ID:o0mJIlM0

いつもファミレス、と言ってもココからだと確実に徒歩30分はかかる。
美琴が今歩いている歩道は幸いにも第七学区内の主要道路の1つで、すぐ目の前にバス停がある。
バス亭の時刻表と運行表を確認すれば、
ファミレスの近くにあるバス亭までいくバスがあと5分程でつくらしい。

御坂「たまには、バスでいくのもいいかもね」

バスなら待ち時間を含めて12、3分でファミレスつけるはずだ。
美琴はバス停に隣接しているベンチに座ると、バスが来るのをのんびりと待った。
429 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [saga]:2010/04/26(月) 00:26:55.16 ID:o0mJIlM0
プシューっとバスの入り口が閉まる音がする。
美琴は入口の右手にあった小さい四角い機械から乗車券を引き抜く。
何処に座ろうかとガラガラと人が全くいないバスの中を見渡すと、
バスの一番後ろの後部座席に見覚えのある、どちらかというと今は会いたくない人物が座っていた。

白い髪に病的に白い肌。少年の赤い眼孔は遠目でもはっきりとわかる。

御坂「……ゲッ」

思わず、そんな声を漏らしてしまった美琴。

御坂(〜〜〜何で、一方通行が居るのよッ!)

ナイスタイミングというか、バットタイミングというか。
美琴はすぐさまバスを降りたくなったが、すでにバスは次の停留所へと進んでいる。
再度辺りを見まわたせば、更に最悪な事態であることに気がつく美琴。

御坂(……乗客、私とアイツしかいないじゃないのよぉ……)

美琴は恐怖でカタカタと震える足をペシッと叩く。

御坂(―――怖がるな、怯えるんじゃないわよ、御坂美琴)

アンタはもう迷わないんでしょう、もう逃げないんでしょう。
立ち向かうことなんて、出来ないけど。

御坂(情けない姿だけは、見せるな)

一方通行にはそんな姿みせたくないし、と美琴は心の中でぶーられた。
430 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:27:39.84 ID:o0mJIlM0
訂正

ぶーられた→ぶーたれた
431 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch :2010/04/26(月) 00:31:51.70 ID:UH.BCiI0
一方さんついにきたー!
432 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:37:45.52 ID:o0mJIlM0
…………ごめんなさい。今日中に終れませんでした orz

休憩してた時に、すっかり9982号のオチを書いてなかったことに気がついて、
一方さんより先に解決させたら、一方さん書く時間が……。
本当はこのまま書きたいのですが、明日朝から授業なので今日はここまでです。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
コメント等ありがとうございます。マジで励みになります。やる気でます。

本当に大きい口たたいてすいません(/_;)
後は一方さんを残すのみなので、次回の投下で終りますので……。
次は明日か明後日の夜に、お邪魔しますので、次回もよろしくお願いします。
433 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:39:36.95 ID:D/BA4AYo
434 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 00:41:50.13 ID:UBHm8DU0
楽しみにしてる
435 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 01:19:40.20 ID:RIPRs.SO
一方さん登場で次回に続く!だなんて……
ワクワクしながら待つしかないじゃないか
436 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 01:26:43.50 ID:/SCWG.DO
わくわく
437 :管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch [sage]:2010/04/26(月) 08:26:20.73 ID:aXP2o/.o
いいところで切るなぁ
すごく楽しみだ

こんな妹思いな美琴がワーストのこと知ったらどうなるんだろうな…
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 17:43:40.44 ID:pGeaWIk0
ワーストがデレ期に入ります

それで愛しのお姉さまの心を占める男をピーしにいくかもしれん
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 17:56:48.85 ID:o0mJIlM0
>>437
そんなコトと書きたくなるじゃなるじゃないか!
>>483
ワーストってデレるんですかね、自分的にこんなイメージ↓↓

―――

「ミサカに糾弾する権利がある」

美琴の前に立ちはだかった、美琴に良く似た高校生くらいの少女が口を開く。
陰りのある少女の瞳が美琴の全身を鋭利な刃物のように切りつけた。

「お姉様さえ居なければ、ミサカはこんな馬鹿げた運命(シナリオ)の舞台にたつことなんてなかったのに!」

ギリッとすりつぶすように唇を噛む。その拍子に唇の皮が破れ血が浮かぶ。
まるで美琴のことを疫病神のように扱う少女は、
最初に会った時、自分のことを皮肉るように「番外個体(ミサカワースト)」だと名乗った。

『第三次製造計画』によって生み出された、新たな『妹達』。
ロシアへと逃亡した一方通行の精神を破壊するためだけに作り出された、美琴のクローン。

「どうして、ミサカだけが、こんなくだらない使命を背負わなきゃいけないのッッ!」

他の『妹達』の負の感情を一身に引き受けている、番外個体。
10032号以降の『妹達』は正の感情を素直に受容して、楽しそうに毎日を過ごしているのに。

番外個体だけが憎悪に敵意、そんなドロドロとした底なし泥に浸っていなければならないのだろうか。

あれほど殺したかった一方通行に倒されて、そのうえ命まで助けられて。
自分には耐えがたいほどの屈辱を味わった番外個体は、
自分の不安や怒り、苛立ちの矛先を誰かに向けなければ、今にも心が壊れてしまいそうだった。

番外個体は、『自分』を守るために、目の前に立ちつくしているお姉様に猛獣のように噛みつく。

お姉様がDNAマップを提供さえしていなければ
お姉様がDNAマップを提供できるほど発電能力者として才能を持っていなければ、
お姉様が学園都市で能力開発を受けなければ

―――お姉様が、そもそも生まれてさえ来なければ――

「ミサカは、ミサカ達は、こんなに苦しめられることもなかったのにッッ!!」

番外個体のやり場のない憤りが、美琴の全てを否定した。

――― 続かない ―――

かっとしてやった。反省してます。
昨日は大変すいませんでした。今日もゆっくりですがお付き合い頂けると幸いです。
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 18:01:46.96 ID:4QDRa.o0
俺もそんなイメージ
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 18:05:38.88 ID:VNpG0Voo
むしろ、無条件に正の感情のみをぶつけられて、自分を見失ったあげくに、壊れていきそうな気がするが。
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/26(月) 18:34:53.27 ID:o0mJIlM0
美琴がペチンと足を軽く叩いた音が聞こえたからか、
一方通行が気だるそうに赤い眼孔だけを動かしてこちらの様子を伺ってきた。
少年の姿を視界に入れてから身体が強張り、頭も視線も一方通行の方へと固定していた美琴に、
一方通行の視線がカチリとぶつかる。

御坂「……!?」

一方通行「――ッ!」

美琴の存在を認識した瞬間、一方通行の赤い瞳が僅かに揺れた。
しかし刹那の出来事だったため、美琴は一方通行の「らしく」ない言動には気づかない。

一方通行は素早くぶつかった視線から逃げると、不機嫌そうな顔を更に歪めて
美琴を視界に入れたくないと言い放つように、あからさまに首を右に45度まわして、車窓の外を見ている。

一方通行「……チッ」

忌々しそう舌打ちした少年の姿に、美琴が腹が煮えくりかえるようなムカつきを覚えた。

御坂(コイツ私の顔見て、チッって舌打ちしやがった……!!)

別に笑顔でフレンドリーに接しろとは思わない。
というか、そんなことされたら全身に寒イボがたつが。
それは置いておくとしても、あまりにも一方通行が取った態度は露骨すぎやしないだろうか。

御坂(――なんか、怖いと憎たらしいとか色々あるけど、)

今だけは他の感情が美琴の心の割合を大幅に占めていた。

御坂(は・ら・た・つーーッッ!)

天真爛漫、純白無垢。
そんな言葉が良くにあう美琴の可愛い妹、打ち止め。
だが、少女の男の趣味だけは、到底理解できそうにない、と美琴は思った。
443 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 19:19:11.34 ID:s.RWnZQo
ktkr
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/26(月) 20:20:57.23 ID:o0mJIlM0
「ああ、もう、食って掛ってやろうか」なんて頭によぎる物騒な事な考えも、
バスの床をこれでもかと力一杯に「ガンッ」と踏みつけたる衝動も、
なんとかギリギリの所で踏みとどまって美琴は我慢する。

御坂(落ち着け、落ち着くのよー自分)

今にでもその首根っこひっつかんで、一方通行の頬を殴ることが出来たらどんなに気分が晴れるか。

御坂(……けど、そんなこと出来るわけない)

一方通行を詰ろうが批判しようが、それは美琴の心を満足させるだけの自分勝手な行為でしかない。
だって、一方通行は――打ち止めのいう『あの人』なのだ。

御坂(一方通行のことを傷つけたら、打ち止めが泣いちゃう)

『あの人』は、打ち止めが淡い恋心を抱いている相手で。
『あの人』を想って、打ち止めは砂糖菓子のように甘そうな極上の笑みを浮かべる。
『あの人』が居るから、打ち止めの世界はキラキラと輝く。

昨日の晩、こみ上げてきた悔しさが、再び美琴の美琴の心を覆い尽くす。

御坂(一方通行――、アンタが居るから、打ち止めは笑ってるのよ)

打ち止めが安心して笑っていられる日常には、アンタがあの子の隣に居ないと意味がない。

御坂「…………見守ることって、凄くもどかしいことなのね」

なにげなく声に出ていた美琴の戸惑いを、一方通行の耳に届いたか美琴には定かでない。
困ったように眉をハチの字にした美琴は、自虐的に笑うしかなかった。
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/26(月) 20:39:28.30 ID:o0mJIlM0

御坂「きゃぁッ!」

どてん、と美琴はバランスを崩して床に転んだ。
キキッとバスに急ブレーキがかかり、
入口付近にぼけっと立っていた美琴は突然の衝撃に対応できなったようだ。

御坂「……ッ痛ぁ」

昨日、打ち止めにタックルされて床にブツカッタ場所に、
バスの床にジャストミートにぶつかって涙目になる美琴だった。

御坂(いつまでも立ってる訳にいかないか)

バスは赤信号待ちで止まっており、席に移動するなら丁度今だ。

御坂(……そぉーねぇ)

少し考え込んだ美琴は、「よしっ」と何かを決めると、
一方通行が座っている方へと進んでいった。

美琴の近づいてくる気配を感じ取ったのか、一方通行の赤い瞳が再び美琴を捉える。
さきほどは無意識にした舌打ちを、今度はあえて美琴に聞かせるようにワザとらしく舌打ちする。

一方通行「―――チッ、何のつもりだ、超電磁砲」

おれほど美琴の存在を無視してきた一方通行が、美琴に食って掛ってきた。

多分、それは。
今のっているバスには、美琴と一方通行の2人しかおらず、席は何処もガラガラだというのに、
一方通行の座っている席のすぐ斜め前の2人掛けの席に、美琴が座ったからだろう。
446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 22:52:19.50 ID:WiqRuYAO
飯風呂かな支援
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 22:57:43.09 ID:bTZiWJUo
つづき たのむ
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 23:27:51.12 ID:D/BA4AYo
AかBか…

       運
      ○
○    .○
○    .○
○    .○
      .○
○○  ○○
○○  ○○
○.A  B○
○○○○ア
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 23:33:54.13 ID:o0mJIlM0
ごめんなさい。
急用が入ってしまって、PCからはなれてました。
数時間も席を外していたのに、一言も言わずに申し訳ないです。
投下再開します。……書き溜めないけど、お付き合いください……orz
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/26(月) 23:34:40.24 ID:o0mJIlM0
何のつもりだ、と聞かれても。

御坂「何となくよ、何となく」

美琴にはそれ以外に返しようがなかった。
一方通行の近くに座ったのは、本当にただの気まぐれだからである。

『一方通行』からも、
『妹達』からも、
『あの夜』からも、美琴はもう逃げないし、惑わされたくない。

逃げない、怯えないと決めたなら、
わざわざ遠くの席に座って小さく背中を丸めるよりも、

御坂(―――近くに座ってたほうがマシかなぁって)

そんな程度の理由だった。

一方通行「……はァ? 意味がわかンないンですけどォ」

御坂「別に、アンタにわかってもらう気はないし」

震えそうになるのを我慢して、美琴はだるそうな態度を取る。
多分、一方通行に対する態度はこれくらいが美琴の中で丁度いい距離感なのだ。

そんな美琴の姿を見て、一方通行は普段からよっている眉間の皺を更に歪めた。

一方通行の目の前にいる少女は、御坂美琴。
学園都市第三位、超電磁砲の軍用型クローン『妹達』の素体(オリジナル)

8月15日と21日の夜。
この少女は果敢にも一方通行へと、その牙を向けた。
ただ一方通行に虐殺された『妹達』のために、立ちあがった。
同じ超能力者とはいえ、絶対的な壁があると知っていながら、
それでも、自身の命すらも賭けて、『絶対能力進化計画』を潰しにかかった、

――『妹達』のお姉様(オリジナル)

彼女は一方通行を誰よりも憎み、敵意を抱いているはずなのに。
一方通行に掴みかかっても来ない。罵倒をあげもしない。

ただ、バスの椅子に気だるそうに座っているだけだ。

一方通行は、美琴の真意を図りきれていない。
誰よりも優秀な脳をもつ彼が、美琴を不気味そうな目でみていたのが、それを物語る。
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/26(月) 23:35:47.52 ID:gBseCw60
おかえり
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/26(月) 23:41:12.84 ID:o0mJIlM0
しばらくの沈黙のあと、一方通行は何かを諦めたようにを開いた。赤い瞳に小さな影が落ちる。

一方通行「意外だなァ。感情だけで俺に立ち向かったお前が、
     『妹達』を愉快に素敵に虐殺した俺を見ても、何のリアクションも起こさねェなンてよ」

一方通行は美琴に乱暴でそれでいて落胆したような声で、そう言った。
少年は斜め前に座る少女の背中を何処か寂しそうな目で追いかけている。

御坂「……何が、言いたい訳?」

一方通行「あんだけ守るんだって喚いてたくせに、
      俺に文句の1つも言わねぇなンてよォ。……薄情な奴だと、思っただけだ」


その言葉を聞いた瞬間、必死に堪えていた美琴の堪忍袋の緒がブチリと切れた。


御坂「―――ッざけんな!!」

美琴は手前の2人掛けの椅子の背もたれの背中を、思い切り蹴った。
ダンッ! と鈍い音がバスの中に響く。

一方通行「……ハッ!」

途端、美琴が身体に纏う雰囲気がガラリと一片したのを見て、一歩通行の頬が上がる。
生気を失ったような赤い瞳に、鋭い眼光が戻ってくる。

一方通行「そォだよ、そォじゅねェとなァ!!」

「カカカ」と一方通行は楽しそうに笑い声をあげた。

超電磁砲は、一方通行を弾ずるのが当然だと言わんばかりの挑発に、
美琴の血管は今にもブチ切れそうだった。
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 23:44:33.99 ID:o0mJIlM0
>>448
おお、なんだろーと思った。もしかしてバスの見取り図ですか?
アが一方さんなら、美琴は「すぐ斜め前の2人掛けの席」なのでAかな…?
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/26(月) 23:47:26.90 ID:D/BA4AYo
一方さん相変わらずだなぁ
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:02:58.83 ID:l8g1fCco
素直じゃないねぇ・・・
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 00:05:53.13 ID:OoQ.RFM0

一方通行「謝罪すンぜ、超電磁砲。悪かったなァ、マジで頭イかれちまいやがったかと思ったわ。
      その年で痴呆たァ難儀なもンだって心配したンだぜェ?」

わざと美琴の逆鱗に触れるかのように、一方通行は挑発の言葉をはぎだし続ける。

御坂「……黙れッ!」

椅子の背もたれを蹴りあげた後、
美琴は身体の正面を斜め後ろに居る一方通行へと向けた。
一方通行を睨みつける顔は、まさに学園都市の頂点、超能力者に相応しいものだった。

一方通行「ケッ。ヒステリー声で鼓膜敗れたらどォしてくれんだ? 弁償でもしてくれるンですかァー?」

右手の小指でつまらなそうに耳を掻きながら、不敵な笑みを浮かべる一方通行。
一方通行がとる態度、でてくる言葉、全てが美琴を馬鹿にしたようなものだった。

御坂「黙れって、言ってんでしょーがぁッ!!」

遂に美琴は立ちあがり、荒い息とともに怒声を一方通行に浴びせた。

前髪からは、紫電の光がバチバチと火花を散らして美琴の周りを囲んでいる。
いつ爆発しても可笑しくない状態で、美琴は一方通行の方へと飛び出した。
457 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:06:57.19 ID:30WwOsUo
バスの運転手とんだ災難だなww
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:10:58.03 ID:Y6C1gxIo
ぶっぶー、ぶーん!ってミサカはミサカは超絶ドラテクを披露してみたりっ!
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 00:24:37.97 ID:OoQ.RFM0
一方通行の胸倉を掴んで、
美琴は一方通行を椅子の背もたれに力ずくで押し付けた。

あれほど美琴と苦しめた「反射」は何故か作用しない。
何故か、一方通行はベクトル操作で美琴に攻撃をしかけてこない。
しかし、完全に頭に血が上っている美琴はその事に気がつかなかった。

ただ、ただ自分の感情を一方通行に吐き捨てる。

御坂「……アンタが私を挑発して、何がしたか全・然わかんないんだけどさぁ」

美琴はガンと己のおでこを一方通行のソレに頭突きのようにぶつけた。
一方通行と美琴の顔の距離はほんの僅か、少年の赤い瞳と少女の茶色い瞳がぶつかりあう。

御坂「これでもね、一応まだ我慢してんのよ? 電撃でアンタを焼かないように」

先ほどの空気を裂くような罵声あげた美琴は、さっきとはうってかわったように、静かな声で告げる。

一方通行「そりゃアレか? オレがコレを持ってるから、同情でもしてンのか?
      余計な親切アリガトォゴザイマスゥー、有難迷惑だ、ボケ」

座っていた椅子の傍らに置かれていた現代的なデザインの杖に、
一方通行は視線を一瞬やって、「そんなもんいらない」と撥ね退けるように言った。
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 00:39:09.80 ID:I9omHFM0
一方さんかわいいな・・・
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 00:46:42.83 ID:OoQ.RFM0

美琴は念を押しように、小さな声で、それでいてはっきりとした声で
目の前の、美琴の心をこれでもかとかき乱す少年に告げる。

御坂「……私はアンタがキライ、大嫌い。」

一方通行「……そォかい」

一方通行はそれが"当たり前"だというような反応を返した。
自分は、超電磁砲に、憎まれ、責められ、嫌われて"当たり前"なのだと、言わんばかりに。

御坂「アンタは知らないでしょうけどね――、」

9982号『お姉様』

美琴の脳裏には、9982号との時間が走馬灯のように流れていく。

御坂「――9982号は…、アンタが殺した10031人の『妹達』は、笑ってたのよ?」

あの子も、微かにだけど、笑っていたのだ。
美琴は知ってる。美琴だけは知っている。
彼女たちの控え目だけど、可憐な笑顔を。

御坂「……それを根こそぎ奪ったアンタを。10031人の妹達の笑顔も未来も命も全て奪い取ったアンタを」

美琴は裂ける痛みに悲鳴を上げる胸から、絞り出すようにして一方通行に突き付ける。

御坂「私は、絶対に許さないッッ……!」
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 01:04:14.40 ID:OoQ.RFM0
一方通行「……だったら、能力でも何でも使って、俺に立ち向かえばイィじゃねェか」

「がむしゃらに一方通行に立ちはだかった、『あの夜』のように」  
一方通行の言葉の後に、美琴はそんな言葉が続くような気がした。

御坂「それが出来たら、どんなに楽か、って話ね」

それが出来たら、どれだけ美琴の葛藤は減るだろうか。

御坂(『あの夜』みたいに、何にも考えずにアンタに立ち向かっていけたら、どんなに楽か……ッ!)

死んでいった『妹達』に会えない寂しさから逃れられるなら、
助けてあげられなかった『妹達』への罪悪感から逃れられるのなら、
自分が一方通行に対して抱いている、蛇のように美琴の心を締め上げる感情から逃れられるのなら。

御坂(――そうしたいに、決まってるじゃない)

美琴の双肩に押しかかる重りは、一方通行が想像しているよりはるかに重くのだ。

一方通行「あァ? つまンねェこと言ってんじゃねェよ」

尚も一方通行は挑発を続ける。

一方通行「聖人君主でも気取ってンなら、似合わねェから辞めとけ辞めとけ」

無理にでも、美琴が抱えているものを吐き出させるかのように。
怒りでも憎しみでも悲しみでも、なんでも、ぶつけて来いと言いたげに。

463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 01:10:15.10 ID:OoQ.RFM0
\(゜ロ\)(/ロ゜)/ 
あばばbbb、終わりが見えないです。
アレ? 美琴と一方さんバトル予定なかったのに…。どうしてこう(ry

30分ほど休憩しつつ、頭ン中整理してきます…… orz
464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 01:12:39.78 ID:nq26vpw0
あれだ、二人とも顔近いんだったら、急にバス揺れてキスみたいな展開に…なんでもないです
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 01:16:14.81 ID:IVSgZb6o
よくあるよね
着地を決めていたはずなのに、筆の思うがままにつらつら書いてて
あれ? これよくね? って感じになって方向が変わること
オレもしょっちゅうあるぜ
466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 01:27:31.62 ID:OoQ.RFM0
>>464
キスからはじまる電磁通行とかワクテカ過ぎる……。
誰かssかいて下さい。

>>465
ここの一方さんとか、海原とか海原とか海原とか。
ノリで書いて後でどーしようってなること、このss多いです orz
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 01:35:39.32 ID:OoQ.RFM0

しかし、それをした所で美琴の心が晴れることは決してないのだ。

御坂(――結局、私は許せないもの)

何もできない情けなくて馬鹿な、御坂美琴のことを。

御坂(私は、御坂美琴も大嫌いだし、絶対に許してやらない)

美琴は一生そうやって自分で自分の手足に枷をつける。

美琴はそうやって、生きていく。
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 01:47:52.07 ID:Y6C1gxIo
御坂を解き放て!あの子は人間だぞ!
469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 01:53:22.13 ID:GdowOrco
むしろ、一方さんに対する烙印だと思うがな。



何人たりとも、この者を咎めることあたわず。
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 02:07:45.48 ID:OoQ.RFM0
打ち止め『―――でも、本当に恋愛成就してくれるなら、ミサカもお守り欲しいかもって、ミサカはミサカは呟いてみたり』

顔のみならず耳まで赤らめて、照れくさそうに語って、
『あの人』を想って、満開の向日葵のように笑った打ち止めの顔が美琴の瞼の裏に焼き付つく。

10032号『けど、いつか。絶対。お姉様にお話しします』

身体全身を震わせて、必死に美琴に謝るかのようにしゃくりあげたのに、
真っ直ぐ美琴の目を見つめて、約束を交わしてくれた10032号の声が美琴の鼓膜から離れない。

御坂(――……ッ)

一方通行の服に爪が食い込むほど強くにぎっていた手を、胸倉から乱暴に話した。

一方通行「……ンだよ」

いったい何のつもりだ、というような非難の込めて一方通行は美琴を睨み返した。

御坂「やっぱ、……私はアンタの事、傷つけられない」

突然、力を失ったかのようにか細く弱弱しい声で美琴はポツリと呟いた。

一方通行「だからよォッ……! 聖人君主の真似はいらねェって言っンだよッ!」

一方通行は目の前で下を向いて戸惑うように立ちつくす美琴に苛立ち隠せない。

御坂「だって、アンタの事傷つけたら、打ち止めが悲しむもの……」

彼女は妹達の悲しむ顔なんて、死んでもみたくない。
彼女が見たいのは、晴れた空の下で、ハツラツと咲く向日葵のように笑う妹達だ。

―――美琴は、己でその禁を破る勇気を、『妹達』の世界を壊す勇気を、持ち合せてはいなかった。
471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 02:27:03.52 ID:OoQ.RFM0

美琴の言葉に一歩通行の顔色が変わった。暗く深い、闇の顔に染まる。

一方通行「おィ、なンで此処で打ち止めの名前がでてくンだよ」

御坂「……昨日、ショッピングモールで打ち止めに会ったから。
    打ち止めから直接アンタのこと聞いた訳じゃないけど、一緒に歩いてるとこ見かけたし、ね」

火山のように噴火していた感情のやり場を突然失った美琴は、
ただ淡々と一方通行との会話を進める。

一方通行「――やっぱ、昨日打ち止めと一緒にいたのはオマエか、超電磁砲」

あらかじめ予想していた答えが返ってきたからか、先ほど高まった緊張感が一方通行から消え失せる。

御坂「やっぱ……?」

なんで、一方通行は美琴が打ち止めと一緒にいた事を知っている。
打ち止めが喋ったのだろうか、と美琴は考えたが
ふいに、打ち止めが一方通行と携帯で電話をしていた最中、一度だけ2人の会話に割って入ったことを思い出した。

御坂『打ち止め、ここのお店の名前、『コーヒーショップ藍上』だって』

やっぱり、という事は今の今まで確証を持てていなかったということ。

御坂(……だから、迎えにいくって言ったのに、急に打ち止めが来いってことになったのか)

バスで美琴と再会したときも然り、昨日の行動も然り。

美琴の目の前に居る少年は、本当に美琴と会いたくなかったようだ。

御坂(――まぁ、何でか、なんて、興味ないけど)
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 02:34:22.36 ID:OoQ.RFM0
寝むい……。
今日中に完結させるって言ったから、
頑張りだいけど手がうまく動かないです。ごめんんさい、寝ていいですか?

まさか、突然、数時間も拘束される急用が出来るとは思わなかった……orz
オオカミ少年ですみません、本当に申し訳ない。

たくさんのコメント等ありがとうございました。
こんなssに夜遅くまで付き合ってくださっていた方がいらっしゃれば、本当にごめんなさい。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

あと、もう1日だけ付き合っていただると幸いです。
おやすみなさい
473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 02:40:44.38 ID:Y6C1gxIo
ゆっくりでいいンじゃよ
読む時間も結構かかるし
474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 10:02:13.21 ID:7a1zjhM0
乙!
ここまでせっかく設定が原作準拠で進んでるんだから、適当に終わらせるよりゆっくりでいいから頑張れ
475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 15:06:43.15 ID:7akkWxgo
何このSS大好き
くやしい
476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 15:18:23.72 ID:BQ2NFMAo
でも
477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 15:23:13.08 ID:7akkWxgo
ふゥ……
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/04/27(火) 19:58:30.83 ID:Uh/OvYSO
一方「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァみことたンいい匂いだったおォォォォォォォォォォォォ何度でもクンカクンカしたいおォォォォォォォォォそれで存分に存分を重ねて十二分にみことたンの頭から足の指までクンカクンカしたら次はペロペロしたいおォォォォォォォォォみことたンの髪もおでこも眉毛も目もこめかみも耳も鼻もほっぺも上唇も下唇も歯も歯肉も舌ものどちんこもアゴも喉も首もうなじも頸椎も背骨も鎖骨も肩も脇も肩甲骨も背筋も乳房も乳首も二の腕も肋骨も肘もファニーボーンもお腹も腹筋もおヘソも腰も尾低骨もお尻もアソコの毛もアナルもアソコも内股も太股も手首も手の甲も手の親指もひとさし指も中指も薬指も小指も爪も手のひらも裏太股も膝も膝のお皿もスネもふくらはぎもアキレス腱もくるぶしもかかとも足の甲も足の親指もひとさし指も中指も薬指も小指も足の裏も脳も動脈も静脈も食道も心臓も肝臓も胃も十二支腸も小腸も大腸もぜ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んぶペロペロペロペロしたいおォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォでも今はみことたンのシミ一つ無い綺麗なおでこの感触と心落ち着かせる茶色の髪のにほいを思い出してオナニー気持ちいいおォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」


シリアルな雰囲気に我慢出来なくてやった。反省とやらは母上の子宮に置いてきた、後悔はあの日からしないと決めた、謝罪の言葉なんてあるはずが無い。
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 19:59:24.49 ID:UTA9UQco
賠償は出来るでしょう?
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 21:05:13.47 ID:y/bJh2DO
全裸で待機すればいいんだよな?
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 21:13:36.54 ID:OoQ.RFM0
>>478 

 ( ゚д゚ ) !!
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/   /


今日もよろしくお願いします。書き溜めがないので、投下はあと少しお時間下さい。
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 21:37:51.17 ID:OoQ.RFM0
全身の力が抜け、激情がすーっと収まっていくと、ようやく美琴の頭は冷静に動き始めた。

御坂(このままじゃいけないって思い直したってのに。すぐコレだもんなぁ)

一歩踏み出そうと決めたばかりだといのに、この失態。
美琴は自分がいかに直情的な人間であるかを再認識した。

御坂「あ"ぁー、もう!」

下を向いたままガリガリと乱暴に頭を掻き毟ると、脱力したような声を吐きだした。
不安定なバスの床の上に立つことすら面倒くさくなった美琴は、
一歩後ろに下がり、バスの後ろの後部座席の真ん中にドカッと座った。

1人分の空席をはさんで、美琴は一方通行の2つ隣の席に居る。

一方通行「……オマエ、本当に何がしたいンだよ」

美琴の取った一連の行動に、一方通行は眉をひそめる。
元々皺が寄ってるのに、更に眉間に力が入れて、絶対跡が残りそうだ
とかなり場違いな感想を抱いていた。
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 21:44:57.64 ID:OoQ.RFM0
主語ない 訂正

元々皺が寄ってるのに、更に眉間に力が入れて、絶対跡が残りそうだと
美琴はかなり場違いな感想を抱いていた。
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 21:48:04.74 ID:Tvml3AkP
お姉様まってたよー
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 21:49:59.71 ID:zqxRR6AO
支援
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 22:04:05.87 ID:OoQ.RFM0
御坂「うっさい、私はアンタのほうが何したいのかわかんないわよッ!」

頼んでもいないのに、人の事を散々挑発してさ、と美琴は不満げに言う。
ずっと持っていた学生鞄をぽいっと空いている左側のイスに上に投げた。

御坂「別に、私はアンタと喧嘩するつもりなんかなかったのに」

せっかく人が火種を作らないように努力しているというに、
右手に座っている少年は美琴のそんな頑張りをことごとく根元から崩していく。
物事というのは、どうしてこうも自分の思いどおりに進んでくれないのか。
どっと押し寄せてくる疲れが、キリキリと抉る偏頭痛を悪化させているような気分だ。

一方通行「――…」

白い髪に赤い瞳を持つ少年は口を開くを忘れる
グチグチと文句を言い続ける美琴の声だけが、バスの中に響く。

御坂「まぁ、さっき言ったように、アンタのことは嫌いだし許す事なんてない」

自身の中に密かに抑え込んでいる感情を表に出して、
猛獣のようにがなりたてながら一方通行に突き刺した言葉を、美琴はもう一度口にした。

けどさ、と美琴は悔しそうに自虐的に微笑んだ。

御坂「――――けどさ、アンタが居るから、打ち止めは笑ってられるのよね」
487 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 22:53:12.47 ID:OoQ.RFM0
美琴の独白は続く。

御坂「『あの夜』から、アンタと打ち止や『妹達』の関係がどう変わったなんて。
    詳しいことは、私にはわからない。誰も話してくれなかったし、ね」

打ち止めと一方通行が仲良さげに歩く姿を見なければ、
きっと、美琴は知ることはなかったかもしれない。

打ち止めも、10032号も、他の『妹達』もずっと美琴にひた隠しにしていた秘密。

10032号『ぉ、お姉様に、き、きらわれ、たくなくて…ッ!』

美琴に嫌われたくない、と震えていた10032号。
『妹』が固く、美琴に口を閉ざしていた理由は、それなのだろうか?

どんなことがあっても、嫌うはずなんてないのに。


御坂「ただ、打ち止めがはしゃいで、騒いで、笑ってられる世界にはさ――、」


美琴が願う、守りたいと望む世界には、


御坂「―――打ち止めの隣にアンタが居ないと駄目なんだってことは、わかるよ」

そんなことくらいなら、美琴だって知っている。
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 23:11:18.40 ID:OoQ.RFM0
美琴はバスの正面ガラスの向こうに広がる風景を眺めた。

広々とした道路の両脇にはコンビニや広場などがある。
遠くには風の力で回っている風力発電ようの風車がいつも見える。
悠々自適に空を飛ぶ飛行船に、歩道を行きかう学生達の姿。

目の前には、今ここに美琴達ががむしゃらに生きる場所。
学園都市が、ずっとずっと広がっている。

この街に来て、どれだけの闇が襲ってきただろうか、と美琴は振り返る。
それでも、ココで、この世界で明日も生きていかないといけない。
美琴も打ち止めも10032号も。

―――もちろん、その世界には、一方通行も必要なのだろう。

御坂「なんていうかさ」

あえて美琴は一方通行の方を向かなかった。
ありのまま素直に伝えるのは、なんだか癪だったから。

御坂「あの子と――打ち止めと一緒に居てくれて、ありがと」

それだけは、アンタに感謝している。
489 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 23:21:25.65 ID:G9UeUz6o
一方さん喋ってくれ
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 23:41:05.27 ID:7akkWxgo
美琴かわいいよう
491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/27(火) 23:42:28.73 ID:OoQ.RFM0

美琴は一方通行のほうを見ない。ただ、じっと、学園都市の風景だけを視界に入れる。

一方通行に伝えるべきことは全部伝えたはずだ。
美琴はさきほの言葉を最後に、ダラダラと動かし続けた口を閉じた。

シーンと2人の間に沈黙が流れる。
茫然としてた一方通行がやっと口を開いたのはしばしたってからのことだった。

一方通行「……馬鹿だろ、オマエ」

ポツリと、それだけ。

御坂「ははっ、自分でもそう思う」

美琴は小さな笑い声で笑って、少年の意見に同意した。

御坂(どんなに自分が馬鹿野郎かなんて、昨日から何度も何度も思い知らされてるわよ)

今も現在進行形で、自覚している真っ最中だ。

カリカリ...と何かを擦るような音が美琴の耳に届く。
右側の耳に聞こえてくるソレは、一方通行が頭を掻いた音だろうか。

一方通行「超絶馬鹿な奴だろォだ。…………呆れるほど、善人だなァ、超電磁砲」

それは自分のコトを褒めているのだろうか、それとも貶しているのだろうか。

少しは気のきいた言葉を喋れと美琴は思う。
こういうタイプの男は、まともに女の子をエスコートできないに決まってる。

御坂「一方通行、アンタってモテなさそーね」

一方通行「ア"ァ!?」

こりゃかなりの難敵かもしれないぞ、と美琴は打ち止めにエールを送った。
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 23:45:43.41 ID:OoQ.RFM0
×超絶馬鹿な奴だろォだ
○超絶に馬鹿な奴だろォな。
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 23:49:27.05 ID:Tvml3AkP
お前の想い人もかなりの難敵だけどなww
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 00:11:59.98 ID:2/XVjcDO
上条さんよりは難易度低いから大丈夫だな
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 00:13:21.34 ID:B3X9X3Y0

そういえば、10032号と会話していた時、
一方通行のこと思い返して笑ってたなぁ、と美琴は思い返した。

御坂(だって、ねぇ? 打ち止めの花柄ケータイを選んだのコイツだと考えたら―――)

また笑いがこみあげてくる。

御坂「ブハッ、……くっく」

つい吹き出してしまい、急いで手で口元を押さえて我慢するが、
こみ上げてくる笑みがどうにも止まらず、くくっと漏れて隠せていない。

一方通行「オィ、超電磁砲――、」

不審そうに美琴に声をかけてきた少年のほうを、つい無意識にみてしまった美琴。
どこか居心地の悪そうむず痒くしている一方通行のことなんて、美琴は一切気がつかない。

丁度いいタイミングに当人をみてしまったと後悔する。

不貞腐れた態度で、どこか斜に構えた感じでいるこの男と、
打ち止めの可愛らしい花柄ケータイは余りにも遠くかけ離れ過ぎている。

そのギャップが、美琴のつぼを刺激する。
一方通行がファンシーな携帯を真剣に選ぶ姿を想像した時点で、美琴の腹筋は崩壊した。

美琴「あーもう駄目、似合わな過ぎるッ!!! あっははははーー!!」

腹を抱えてひーひーと笑いながら、美琴は椅子をバンバンと叩いて笑い転げた。

一方通行「人の顔みて笑い転げるとか、どういう神経してんだァァッ!!」
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 00:26:02.68 ID:B3X9X3Y0
コンビニ行ってきます ノシ 
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 00:26:31.37 ID:qkvdOwoo
いってら
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 00:30:17.40 ID:iO52jngP
ブラック缶コーヒー買ってら
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 00:47:05.84 ID:B3X9X3Y0
ただいまー。
初号機のからあげくンかってきたァ。美味。
あと少しだ!!
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 01:11:09.10 ID:B3X9X3Y0

笑いすぎて息を絶え絶えさせながら、「あー笑った」と美琴を涙で潤んだ目を擦る。

御坂「ごめんごめん」

手のひらをヒラヒラと左右に振って謝罪した美琴を、
一方通行はなんとも納得してなさそうな顔でにらみ返してきた。

一方通行「……ッたく、マジでなンなンですかァ、オマエ」

御坂「いやぁ、なんか意外な所で同士を見つけたなぁと思って」

もし、打ち止めの携帯を選んだのが一方通行なら、可愛いもの好きの美琴と趣味が合いそうだ。

一方通行「なんで唐突に同士なンだよ。主語も述語も意味不明だぞ」

御坂「私とアンタが、よ」

その発言に、一方通行は何か可哀そうなものを見るような顔で美琴を眺めた。

一方通行「……オマエと俺とじゃァ、『根本的』に違ェだろォが」

『根本的』に、とは具体的に何のことを指すのだろうか。

『妹達』の命を踏み躙った一方通行も、
『妹達』の命を救い出せなかった超電磁砲も。

―――背負う罪はあまり変わらない、と美琴は考える。

御坂「アンタが気づいてないだけで、案外、そうだったりするかもよ?」

『妹達』を虐殺した一方通行がその背に背負うものは、
1万人の妹達の命に対する罪悪感と償い、残り1万人の妹達の世界を守る使命。

まだ、『妹達』から彼につれ何も聞いていない美琴は何も知らないが、
皮肉にも、2人が双肩に背負うものは、まったく同じもの。

一歩通行「前言撤回するわ。その年で痴呆たァ難儀なもンで」

御坂「近い将来、青少年保護育成条例で警備員にしょっ引かれること確定な奴に言われたくない」

美琴の言葉に、一方通行のこめかみがひくひくと動いた。

一方通行「あの世まで俺が直々にエスコートしてやろォか、超電磁砲」

御坂「アンタと地獄のようなダンスを踊るなんてこっちから願下げよ、一方通行」

そんなご丁寧なエスコート。2度味わえばもう十分だ。
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 01:17:35.94 ID:B3X9X3Y0
訂正 
正しくは
まだ、『妹達』から彼について何も聞いていない美琴は知らないが、

あと一歩通行ってなんだべ orz
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:36:17.29 ID:iLeYjR2o
まっくのっうちっ!まっくのっうちっ!
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 01:36:26.60 ID:B3X9X3Y0
御坂(…………あっ)

お互いの似たような所を、美琴はもう1つだけ思いついた。

御坂(……うわぁ、完璧、私とコイツ。同じ穴のムジナじゃん)

振り返るのは、ショッピングモールで見かけた一方通行と打ち止めの姿。

御坂(なんか凄い不機嫌そうに喋ってたけど)

打ち止めのワガママに、なんだかんだ言って一方通行は付き合ってたのよね、と美琴を考える。

御坂(わたしはアイツの、
    コイツはあの子の、
    天然魔性に振り回されて、手のひらで踊らされてる)


しかも、それを自分から好き好んで。


十中八九、一方通行も、"そう"なんだろう、と美琴は勝手に結論づける。
 
御坂「まぁ、なんと言うか」


ここは、一応姉として、挨拶とかしといたほうがいいのだろうか?

いや、それよりも。

打ち止めの天然魔性に振りまわれてる一方通行に言うべきなのは――――、



御坂「――――お互い、ご愁傷様ってことよ」

一方通行「ハァ? 意味わかンねェし」




‐‐‐‐

御坂「………嘘、売り切れてる?」 END
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/28(水) 01:40:11.26 ID:A6ujQ6U0
おつ
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/28(水) 01:43:38.19 ID:wcpKjdQ0
乙!
続きを書いてくれることを希望する
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:44:51.86 ID:B3X9X3Y0
なんとか終ることができました。

最後を締める美琴の言葉でずーっと迷っていたのですが、
まだ美琴は素直に一方通行には「またね」とは言えないような気がして、こんな形に。

行きあたりばったりでしたが、最後までお付き合い頂いてありがとうございました。
支援、コメント等本当にうれしかったです。
ここまで読んでくださって本当にありがとうござました。

来週にでも一方さん視点のオマケを書きはじめますので、
もう少しだけ、このスレを使わせて頂きたいと思います。
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 01:46:12.31 ID:qkvdOwoo
乙!おもしろかった
細やかな心理描写が俺の好みに合致していて、とてもよかった
ところで質問いい?
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:47:56.28 ID:B3X9X3Y0
あと、誤字脱字大量発生で本当にすいませんでした……orz
投下3回目あたりから直接投下ばっかだったので、推敲とかしてなかったよ……。
書き溜めできる人ってすごい。
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:48:43.06 ID:B3X9X3Y0
>>507
何ですかー?
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:53:08.44 ID:qkvdOwoo
>>509
美琴(たち)が「実験」の結果背負ってしまった苦悩・葛藤に焦点を当てているみたいだけど
もし良ければ、これを描くに至った動機を訊きたい
511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:58:17.61 ID:PjywnJI0
>>510
何か面接みたいな質問でワロタ
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 01:59:14.50 ID:qkvdOwoo
俺も思ったwwwwww
513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:08:41.72 ID:iLeYjR2o
これを描くに至った
動機をお聞かせください

      ( ゚Д゚)               Σ(゚Д゚; )
       |  ∞   ___            ノ ノ. |
       | ̄L`L  |  |           」´」 ̄|
514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:09:30.93 ID:B3X9X3Y0
原作であまりにも美琴と妹達、一方が絡まないのでなんでかなー?と妄想したらこうなりました。

禁書3巻のエピローグにて、
「美琴は世界のだれもが許しても、美琴は一生自分のことを許さないだろう」みたいな感じの地の文を見かけて、これが接触のない(特に妹達)そもそもの原因なのかな?っと勝手に解釈して大暴走しました……orz

あと、一方通行だけ妹達に対する贖罪があんだけ書かれてるんだから、
美琴にまったくないのも変だよなーという個人的感想もあったかもしれません。
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:11:04.42 ID:B3X9X3Y0
え、えっと私の志望動機は以上です……。
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:15:27.70 ID:iLeYjR2o
 それでは結果は
 一週間以内に連絡します。

   ( ゚Д゚)                 (゚Д゚; )
    |  ∞   ___            ノ ノ. |
    | ̄L`L  |  |           」´」 ̄|
517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:28:11.25 ID:qkvdOwoo
なるほど、ありがとう。
俺自身も、美琴に関しては3巻に纏わるその後のエピソードがないのはおかしいと思っていた
美琴ならもっと自分を責めるはずだよなあ、って。
どうしても納得がいかず、勢いに任せて初めてSSを書いたりもした。出来は散々だったが。
そして今日このSSを読んで未熟さを思い知らされた。
文才はもとより、似通った動機でも切り口次第でこうも違うんだな。死にたい。
まぁ、とにかくありがとう。
是非今後も続けてくれ。マジで期待してる。

>>515,516
やめろwwwwww
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:39:21.57 ID:B3X9X3Y0
>>517

そのようにいって頂けるのは大変うれしいのです。ありがとうございます。
でも、vipとか製速にいらっしゃるたくさんいる書き手さまに比べたら、
マジ自分の文章力・構成力の無さに愕然とします……orz
ご期待に添えるか不安ですが、頑張ります<(_ _)>

あと、採用結果はいつごろ届きますでしょうか?


本文中、どもにもつっこめなかった9982号の蛇足メモ帳にがあって、
短いけどせっかく書いてそのままにするのも自分が凹むので、投下します。
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 02:40:31.91 ID:B3X9X3Y0

【蛇足:9982号とお姉様】


9982号の心の中に、沢山のものが溢れていく。
自分の体の中を駆け巡る様々な感情の名前を、彼女は理解することができない。

もう、美琴に会うことは出来ない。

いまが最期の時。

最期に、どうしても9982号は美琴に伝えたかった。
だから、必死だった。
彼女は理解できない感情の渦を呑まれないように、懸命にその感情の名を探す。

ネットワークを遮断したのだって、
『妹達』ではなく9982号のミサカが、伝えたかったから。

9982号(ミサカが、伝えたいから――)

あのね。
あのね、ミサカは――。

御坂「…ん? まだ何かあるの?」

伝えたいことがあるのに、大声で叫びたいことがあるのに。

9982号「…いえ」

9982号は、その感情の名前を、自分の知識の中から探し出すことが出来なかった。


9982号「さようなら、お姉様」
520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/28(水) 02:41:34.09 ID:B3X9X3Y0
ふいに、9982号はお姉様に伝えたかった言葉を理解した。

9982号(ああ、そうかと、とミサカは納得します)

もう、あの人は実験場(ココ)には居ない。言葉は届かない。
けれども、ずっと心にため込んでいた感情がわかり、9982号は言葉にせずにはいられなかった。

彼女の頭上に、大きな影が迫ってくる。
けれど、9982号はそんなこと気にも留めない。

こどもっぽい、カエルの絵が描かれている缶バッチを力強く抱きとめ、
優しげな頬笑み浮かべながらを彼女はぽつりと小さな声で、呟いた。


9982号「あのね、ミサカはお姉様が大好きです、とミサカは――」


ぐしゃり。


彼女の声をかき消すように、鈍い音が一方通行の耳元まで聞こえた。
一方通行のベクトル操作によって操られた列車に押しつぶされ、検体番号9982号のミサカは絶命した。

彼女が最後に呟いた想いの丈を何処かへと連れ去るように、一陣の風が辺りを通り過ぎていく。


【蛇足:9982号とお姉様 終】
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:42:58.24 ID:qkvdOwoo
>>518
>>1様の今後のご精進とご発展を心よりお祈り申し上げます。
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:42:59.10 ID:4Tlm2dQo
たしかに誤字脱字はもちつけwwwwwwと何度も思ったが
>>1はかなり上手いと思うよ
また読みたい
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:45:11.52 ID:4Tlm2dQo
て、書いてるうちにおまけが来てた…

こんな時間に泣かすんじゃねーよおお・゚・(つД`)・゚・ ウェ―ン
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:47:29.20 ID:iLeYjR2o
あまりにシリアスすぎて一方さんとかで茶化すことしかできなかった(´;ω;)
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:56:43.37 ID:B3X9X3Y0
>>521

お祈りメール…… orz

>>524

茶化してください、是非。

一方さん視点のssに
一方通行「キーィン、コーォン、カーァン、コーォォ…ン。
      残念だなァ、人生終了のチャイムだ。オマエはここで 死 んどけッッ!」
って感じの台詞本気でいれよーかと思ってるくらいですから、是非ぃぃ!!




526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 03:09:52.10 ID:qkvdOwoo
セロリが小学校の教師になる妄想が浮かんだ
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 07:07:28.65 ID:SlKPTT2o
>>526
通報したくなるな
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 07:14:58.42 ID:cnjKrpAo
俺の楽しみが完結してしまった・・・
>>1GJ
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 13:03:10.90 ID:6941uJEo
完結しちまったか…
乙!
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 20:32:24.07 ID:pgtOrMk0
最高でした……乙です!
妹達と美琴の関係があああもおおおおお泣けるううううう
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 22:07:53.92 ID:pjB7JwAO
>>1乙です
いい作品過ぎて久しぶりにSS書きたくなった
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/29(木) 03:58:57.26 ID:.OQ7i6o0
一気によませてもらった>>1
読み進めるたびに涙腺が崩壊して画面が見えなくなるww

533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 05:10:08.74 ID:0owZMcwo
読み終わった
シリアス大好物な俺には最高の一品でした
原作で2人が再会するときが楽しみだなぁ

しかし9982号関連の話はいつ見ても泣ける…
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 14:31:11.23 ID:4FZlVoE0
フレンダ「結局、祝日だから制速にきちゃう訳よ」
最近帝督くんとかフレンダがいっぱいでうはwwwwwwww状態です。
この調子ならステイルssがでてくるのもすぐですね、わかります。
コメント等ありがとうございます。本当にここまで読んでくださてありがとうございました。

一方さん? いいえ、海原の蛇足です。
ここに投下するつもりはなかったけど、ビリィさんのスレみてテンションが上がった。
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 14:32:31.06 ID:4FZlVoE0
【蛇足2:海原(エツァリ)と御坂】

駆けだそうとしていた少女がふいに足を止め、海原の方へと振り返った。

御坂「『私らしく、堂々としてろ』って言ってくれてありがとう。」

片手に持っている向日葵の花束を天にむけて掲げる。
通行人の目などお構いなしに大きな声で、少女、御坂美琴は叫んだ。


夜空の輝きにも負けない、可憐な笑みを海原に向ける。

御坂「『海原』さん。またね!!」


彼女はその言葉を最後に足早にこの場を去った。
海原は去っていく美琴の背中を遠目でずっと追いかける。

携帯電話で誰かと話しながら、美琴が路地裏の角を曲がる。
海原の視界から美琴が消え失せ、また海原の世界から美琴の存在が遠ざかった。

海原「『海原』さん、か…」

海原は「困ったな」というような苦笑を浮かべた。

海原光貴。
常盤台中学の理事長の孫にして、「念動力」の大能力者。

―――自分が、"皮"を借りている人物。

いま此処にいる海原は、海原の"皮"を被っているエツァリという名の魔術師。
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 14:56:13.42 ID:Vu91YIDO
おぉ!来てたー!
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 15:26:29.88 ID:bZccQnso
バッチコイ
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 15:34:33.70 ID:4FZlVoE0

海原(この道を選んだのは、自分ですからね)

どんなに後悔しようが、結局は自業自得としか言いようがない。

海原(御坂さんが笑いかけてくれたのは、友達の『海原』だから、だ)

『友達』になりましょうと約束したのも、
傷つけないようにと気遣ってくれたのも、
気さくに一緒に世間話をしてくれたのも、

向日葵のような満面の笑みを浮かべて、「またね」と言ってくれたのも。

海原が見て聞いて感じだ全てのそれらは、『海原光貴』という少年に向けられたもの。

「エツァリ」という人間に、向けられたものじゃない。
「エツァリ」が手に入れられる美琴の感情は、あまりにも少ない。

海原「ははっ」

本当に、たまったものじゃない、と海原――いや、エツァリは唇を噛んだ。
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 16:25:52.85 ID:4FZlVoE0

海原(御坂さんが幸せなら、それでいい)

エツァリの生き方は、面倒でまどろっこしくみえるだろうが、
実際は彼の信条と言うのは、とても単純だ。

少女が笑っていられる幸せな世界を守る。
それを害するものは、誰であろうと駆逐する。

たった、それだけ。

表の世界でも、裏の世界でも、
それが出来るならば自分の居場所などエツァリには何処でもいいのだ。

海原「……御坂さん」

少女の名を、エツァリはポツリと呼んだ。
彼女の耳に届かなくても、エツァリはその名を心の中で繰り返し続ける。

海原(僕は、貴女が好きです)

この世界で誰よりも、貴女のことを愛している。
だからこそ、「組織」も、仲間も、故郷も。
自分を構成するそれら全てをなげうってでも、彼女を守る道を選んだ。

選んだのは、自分だ。

海原(御坂さんの中に、『僕』は、いない――)

そんなこと程度で、へこたれていてどうするのいうのか。

これまでも、きっと、これからも。
御坂美琴が、エツァリという名の少年が居ることを、知り得ないだろうに。

海原(……そうですね、贅沢をいうのならば、)

一度でいいから、本当の自分の姿で、彼女の前に立ってみたいものだ。
540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 16:47:36.25 ID:4FZlVoE0
prrrrrr、prrrrrr。


携帯の着信音が鳴る。
エツァリは何だか嫌な予感をさせながら、通信ボタンを押した。

海原「何の用でしょうか?」

土御門『よう、海原。クソつまらねぇ「仕事」の時間だ』

電話の相手は、海原(エツァリ)をまた血生臭い闇の世界へと連れ戻す。

学園都市暗部組織『グループ』。

上条勢力の1人として美琴を危険視する「組織」に対抗するために、
学園都市という箱庭の中で美琴が安心して暮らしていけるようにするために、

海原が、身寄せている、彼の居場所。

海原「そうですか、それで今日の「仕事」のお相手は?」

土御門『なんてことはない、ただのかまってちゃんテロリストだな』

学園都市に立てつく、馬鹿な外部組織の仕業だろうか、と予測をたてる。

土御門『詳しい話は全員が集合してから話す』

海原「そうですか――」

キキッ、と海原のいる歩道の近くにある地下鉄の入り口の前に一台のタクシーが止まった。
地下鉄から出てきた人を目当てに止まっている多数のタクシーの中に"自然"に紛れこんでいる。

パチン、と携帯を閉じてスーツのポケットにしまうと海原は歩きだす。
例のタクシーの所までたどり着くと、コンコン、軽く後部座席の窓を叩きながらこう言った。


海原「―――すいません、集合場所までお願いします」



光が汚れないように必死にもがいても、決して彼はその光の当たる場所には行けない。

彼が選んだ道は、そういう道だ。



【蛇足:海原(エツァリ)と御坂】
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 16:55:56.73 ID:4FZlVoE0
終が抜けてるけど、終り! 
誤字脱字はスルーしてくだされたら有難いです…… orz
つっちー出したかっただけな気もするけど、気にしない。
ここまでお付き合いありがとうございました。
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 17:37:00.95 ID:kyXIbe.o
>>527
一方通ほu・・・いや何でもない
俺ももう歳かな
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 17:48:57.43 ID:pu4aBgSO
乙乙
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 18:05:30.85 ID:Vu91YIDO
乙!
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 18:29:22.17 ID:bZccQnso
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 09:29:04.98 ID:AcqZEVg0
来週とか言ってたけど、今からはじめても大丈夫ですよね……(*_*;
一方さんのオマケにて終了です。
11時くらいまでに終らなかったら、今日の夜にまた来ます。
ということで、今回も亀以下の投下でございますが、お付き合い頂けると幸いです。
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/30(金) 09:39:57.24 ID:xPZ3G/cP
がんばって
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/30(金) 10:13:56.19 ID:AcqZEVg0
【蛇足3:一方通行と超電磁砲】

少女の姿を視界に入れた時、
ついていねぇ、と一方通行は不機嫌そうに眉を顰めた。

549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/30(金) 10:14:53.56 ID:AcqZEVg0
一方通行(あー…、マジでイライラするンですけどォ)

どうにも苛立ちを隠しきれずに、タンタンタンッと小刻みに右足をバスの床に叩きつける。

昨日は朝っぱらから打ち止め達に、最近新しくできた巨大ショッピングモールに連れまわされた。
信じられないほど混雑したソコで迷子になった打ち止めを探しまわる羽目になるし。
夕方にやっと打ち止め達から開放された時にはすでに疲労困憊だったのに、
その直後に土御門からクソつまらねぇ「仕事」の電話が入り、
そのまま深夜遅くまで、学園都市に反抗した外部組織のテロリストの粛清に追われた。

一方通行「……だりィし、眠ィし、最悪だな」

結局、仕事の後、黄泉川の家に戻ったのは午前3時を過ぎていた。

今日は久々のオフだから、長時間布団とお友達になりたかった一方通行なのだが、
カエル顔の医者に「検査にこい」と言われていたことを思い出し(芳川に言われるまで、普通に忘れていた)、
一方通行はしぶしぶ、その医者の居る病院へと向かうため、現在バスに乗って移動中だ。

様々な要因が彼の苛立ちを冗長するが、その一番の原因は、

――――打ち止め、ここのお店の名前、『コーヒーショップ藍上』だって

昨日、携帯電話で打ち止めと話している時に微かに聞こえた少女の、声。

彼が毎日のように聞いている打ち止めよりも大人びていて、
打ち止めと同じ『妹達』と同じ声質だけど、彼女たちよりも情緒豊かな、そんな声だった。

一方通行は、この少女の声を聞いたのはコレで3度目。

1度目は、8月15日。第9982次実験場にて。
2度目は、8月21日。第10032次実験場にて。

その2度とも、少女は一方通行に対して感情の全てをぶつける様に声を荒げた。

一方通行(九割九分、『超電磁砲』だろォな)

声の主の名は御坂美琴。

一方通行と同じく学園都市230万人の頂点に立つ超能力者の第3位。
最強の電撃使いとして『超電磁砲』の名をほしいままにしている、学園の女生徒の中で最強を誇る女。

彼女が必死の努力して得た才は、学園都市の闇に見初められてしまった。
超能力者を量産を目指す『量産型能力者計画』にて計画され、
絶対能力を生み出すことを目指した『絶対能力進化計画』へと引き継がれた、
『超電磁砲』の軍用クローン『妹達』の素体となった、悲劇の少女。

一方通行「……お姉様(オリジナル)、ねェ」

彼の傍で笑ってくれる打ち止めの、
彼がその全てを賭けてでも守ると決めた『妹達』の、―――お姉様。
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 10:28:41.08 ID:52hDiKQo
ぬあ、続きktkr
551 :やっぱり終らない orz 夜にまた来ます [saga]:2010/04/30(金) 10:45:43.43 ID:AcqZEVg0
昨日、水の広場で合流した時から今朝まで、打ち止めは頗るご機嫌だった。
いつも以上に笑いはしゃぎ楽しそうに騒ぐ打ち止めの姿が、脳裏に宿る。

一方通行(面白くねェ)

苛立ちの根源ともなっている感情は、面白ない。
打ち止めは美琴に出会って少し喋っただけで、打ち止めはあんなに楽しそうにはしゃいでいた。
一方通行はそれが面白くなかった。

一方通行(―――オマエは、いいよな)

なぁ、超電磁砲。と一方通行は心の中で捻くれたように語りかけた。

一方通行(笑いかけてやるだけで、オマエは打ち止めの世界を照らせるンだからよ)

絶対に自分にはできないことを軽々とやってのける美琴に、
一方通行は無意識に羨みと、妬みを混ぜ合わせたような感情を抱く。

そんな一方通行の姿は、まるで手の届かない物を、拗ねるような眺める子どものようにも見えた。
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 11:53:04.50 ID:.FzgD42o
ほんと似たもの同士だなこの2人は…
続きも期待してます

エツァリには幸せになってほしいわほんと
553 :再開します [saga]:2010/04/30(金) 20:11:43.23 ID:AcqZEVg0
バスが停留所に止まり、入口のドアが開いた。。
どうやら、ようやく自分の他に乗客が乗るようだ。
今まで乗客は一方通行しかおらず、各停留所でバスを待っている人もいないからか、
一方通行が乗ってから今の今まで、バスは一度も止まることなく走り続けていた。

一方通行(雑音が無くて良かったンだがなァ)

バスの揺れに身を任せ、ボーっとのんびりするには丁度よかったのだが、と一方通行は残念に思った。

停留所からの客がバスに乗り込むと、プシューっと入口が閉まる音が鳴る。
ゆくっりとバスがまた次の目的地へと走り出した。
一方通行は乗り込んできた客にたいして興味がなく、ただずっと窓の外を見ている。
流れていく風景は、飽きるほど視界にいれているので、特に感慨もない。

少ししてから、「ペチン」と人の肌を叩くような音が聞こえてきた。
一方通行は何気なく音の聞こえたほうへと視線を向けた。

入口付近に茫然と立ちつくしていた少女と、カチリと視線がぶつかった。

御坂「……!?」

一方通行「――ッ!」

カタカタと歯を鳴らしながら口を震わせて、顔面を真っ青にして此方を見てくる少女。

流れるような茶髪、ぱっちりとした瞳に愛嬌のある顔、
すらりとした身体を包むのは学園都市屈指の名門、常盤台中学の制服。
「ミサカはミサカは」と自分の周りを飛び跳ねている打ち止めにそっくりの外見。
『妹達』が愛用している暗視ゴーグルは身につけていないし、少女の瞳ははっきりの感情の色が浮かんでいた。
驚愕と、恐怖。その瞳にはそんな感情をありありと映し出している。

間違いない。
コイツは『超電磁砲』だ。

一方通行(――――ついてねェ)

昨日の朝から、自分はとことん運から見放されているようだ。
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 20:25:53.93 ID:AcqZEVg0
一方さんのオマケはじめる前の※を忘れていました。

※蛇足3は一方さんと美琴がバスしてやり取りの一方さん視点となります。
なので、地の文は違うのですが、会話の内容は一緒です。ご勘弁頂けると幸いです。
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/30(金) 21:42:11.13 ID:AcqZEVg0
視線の先にいた少女が美琴であると分かった途端に、
一方通行はさっと逃げるように美琴から視線を外し、また窓ガラスの向こうに広がる景色を覗く。
無意識に眉間にしわが寄わをよせながら、一方通行は気がつくと舌打ちをしていた。

一方通行「……チッ」

この状況を忌々しく感じつつ、どうしていいのか分からず一方通行は何の行動も起こせずにいた。

一方通行(俺に、どォしろってンだよッ!)

「よォ、久しぶりだなァ」なんて気軽に挨拶なんて出来るわけがない。
そんなことをしてしまったら、それこそ天地がひっくりかえると一方通行は考える。
そもそも、『妹達』を一万人殺した自分が、ヘラヘラと笑いかけていい相手ではない。

御坂『どうして、こんな実験なんてやってるの?』

超電磁砲すら一方通行に打ち砕かれて、ボロボロになった少女に
震えながら哀願するように聞かれたのは、彼女と初めて会った夜の事。

一方通行(『最強』から『無敵』になるために)

『妹達』を虫のように蹴散らした理由は、たったそれだけ。
たったそれだけのために、一方通行は様々なものを壊し、奪い、消し、傷つけた。

一方通行を見るだけで身体が震え、動けなくなるほど怯えている美琴も、

一方通行(俺が無神経に傷つけた、1人、なンだよ)

取り替えしのつかないことをしてしまった相手に、どう振る舞えばいいのか。
学園都市第一位として最強の力を保持する一方通行は、そんなことすらもわからない自分に腹が立った。

一方通行(……俺には)

迷惑をかけてすまなかったと謝る権利も、
思う存分好きに痛めつけていいと伝える権利も、
『妹達』から助けてもらっていると言う権利も、
打ち止めが彼のたった一つの光となったことと感謝する権利も、

何もかも、許されていないのだ、と一方通行は唇を噛んだ。

この現状でどうすことも出来ない一方通行は、ただ美琴を自分の視界に入れないように必死になるしかなかった。
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 21:43:33.07 ID:AcqZEVg0
訂正
×無意識に眉間にしわが寄わをよせながら、
○無意識に眉間にしわを寄せながら、
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/30(金) 22:27:50.50 ID:AcqZEVg0

一方通行(俺とアイツじゃ、違いすぎンだよ。……何もかもが)

御坂美琴は、一方通行と同じく学園都市の頂点に君臨する超能力者。
軍隊すらも圧倒する力を持った、互いに『化け物』と忌み嫌われる存在。
自分を含め、一方通行が見聞きした超能力者は皆が暗闇へと落ちている。

一方通行と激闘を繰り広げた第2位の『未元物質』、垣根帝督。
垣根の命を狙っていたと風の噂で聞いた第4位の『原子崩し』、麦野沈利。
そして、自分自身も、打ち止めと『妹達』を守るために暗部入りをした。

学園都市の4強の内、太陽の下で笑って生きているのは、御坂美琴ただ1人。

自分と同じ超能力者なのに、
自分と同じ『化け物』と周囲から恐れられてきた存在なのに、

美琴は自分を否定することなく、堂々と胸をはって『表』の世界で自分の居場所を築いている。

一方通行(――――オマエは、俺とは違う)

一方通行は、美琴がただ呑気に生きているとは思っていない。
たしかに美琴は『広告塔』としての役割が強いが、超能力者ということに変わりはない。
周囲からの羨望、信仰、嫉妬、敵意、関心、興味。それらから逃げることは許されない。

彼女は、いままでに何度だって闇に染まりそうになったはずだ。

『妹達』の存在を知った時。
『絶対能力進化計画』で『妹達』が惨殺されていると知った時。
『残骸』で再び悲劇が起こるかもしれないと知った時。

それでも、彼女は折れることなく、正々堂々と生きている。

傷つけること、傷つけられること。
そのどちらからも逃げずに、真正面から立ち向かい続けることのできる強さ。

それが、美琴の強さであり、一方通行との絶対的な『差』でもあった。

一方通行(……ンな強さ、俺には無かった)

誰かを傷つけること、誰かに傷つけられること。
それが繰り返される日常に嫌気がさして、
何かが変わることを期待して、一方通行は『実験』に加担した。
558 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/30(金) 22:46:09.33 ID:AcqZEVg0

もちろん、彼女1人だけの力で成しえていることではないだろう。
彼女の居場所となっている人が居るからこそ、美琴はその場所で笑っていられる。

一方通行が壊れないように失わないように、
包むようにして大切にしている打ち止めと美琴は一緒なのだ。

誰かのために、笑い、泣き、怒り、喜ぶことのできるから、周囲が彼女に惹かれていく。

―――― 一方通行が、打ち止めに惹かれたように。
559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 22:50:44.05 ID:0vgBICoo
一方さン笑おう
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/04/30(金) 23:38:27.27 ID:AcqZEVg0

一方通行を倒した無能力者と、一方通行はまったくの真逆にいる人物である。
だからこそ、思い出してムカついたり反抗心を抱いたりすることもあるが、ここまでではない。

御坂美琴は自分と近い存在なのに、自分とは最も遠い場所にいる。
自分と『同じ』なのに、自分とはまったく違う答えを見つけ出し生きる少女だからこそ、
比べてしまい、自虐的にとらえ、嫉妬と憧れを抱いてしまうのだ。

一方通行自身も、気付かぬ内に。

それに加えて、彼女は『妹達』の素体であり、打ち止めや『妹達』の大切なお姉様でもある。

一方通行(……どォしろってンだよッ)

一方通行がこれほど戸惑い、心の中を右往左往してしまうのは当たり前とも言える。


御坂「きゃぁッ!」

甲高い悲鳴とともに、どてん、と人が転んだような音がした。

御坂「……ッ痛ぁ」

どうやら、ずっと立ちつくしていた美琴がバスが急停止した反動に耐えきれず転んでしまったようだ。
転んだのなら、手を差し出してやるべきなのだろうが、一方通行は動けない。

ただ、このまま何の接触もなく、時が過ぎればいい、と情けないことを考えていた。
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 23:56:17.53 ID:AcqZEVg0
今日はここまで。
早いもので明日には蛇足も完結です。

ここまで読んでくださってありがとうござました。

垣根→麦野のssはないんでしょうかね。

ていとうこ「俺は沈利が好きだって何回もいってんだろ? あいつなんかより、俺を選べよ」
むぎのん「黙れ、名前で呼ぶな気色悪い。ていうか、私も何回アンタに付きまとうなって言ったっけ?」
みこと「ちょっと、麦野。街中でビームかまそうとしないで!」
いっぽう「垣根、どさくさに紛れて麦野のケツをなでンな。火に油をそそぐもンだろォが!」

まじで妄想が止まらない。割と本気で。
昨日まで書くつもりなかったけど、このネタでssかこうかなぁ、と思いつつ関係ない話しすみません。

明日、またお付き合い頂けると幸いです。
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 23:57:56.92 ID:0vgBICoo
あれ何でだろう全員女の子に見えるぞおかしいな
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 00:35:35.58 ID:/l6rIpM0
ていとうこにクソ吹いたわwwwwww
564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/01(土) 00:48:09.55 ID:mbzACoA0
>>561
まさかの新作プラン発表
あっちもこっちも楽しみだ
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 10:46:36.10 ID:c4ig2xY0
いつもお世話になっております。
今日ものんびり投下していきますので、お付き合い頂けると嬉しいです。
さてさて、オマケも残り半分ほど。最後まで読んで下されば恐縮至極です。
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:01:00.06 ID:qdjrhsso
おおっと、リアルタイム投下ktkr
期待期待。
567 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:07:28.61 ID:c4ig2xY0

けれど、そんな甘い考えが望み通り叶うはずもない。
ふいにコツコツとローファー独特の靴音が近づいてくる。

一方通行「―――チッ、何のつもりだ、超電磁砲」

明らかに相手を警戒するような舌打ちをしながら、この状況に耐えきれなくなった一方通行が沈黙を破った。

さきほど視線があった時はバスの入り口付近にいたのに、
一方通行のいる後部座席のほうと歩みを進めると、彼の右斜め前の2人がけの座席に腰かけた。

この少女は一方通行のことをよく思っていないのは明らかだ。
2度出会った時、一方通行が美琴から向けられた感情はハッキリとした敵意、恐怖、そして激怒。

目の前の少女は、自身の軍用クローンである『妹達』を拒否せず受容し、
彼女たちの命を守るために、一方通行にむかってコインを弾いたはずだ。
たとえそれが、自分のせいで一万人の人間が死んでいく現状に耐えきれなくて起した行動だとしても、

―――それでも、彼女が『妹達』のために、立ち上がったことに変わりはない。


御坂「何となくよ、何となく」


一方通行の問いかけに、美琴はそう答えた。
美琴は気だるそうに椅子に身体の預けながら、ぼんやりと前を見ている。

一方通行「……はァ? 意味がわかンないンですけどォ」

御坂「別に、アンタにわかってもらう気はないし」

"何となく"と答えた美琴の真意がわからず、一方通行は混乱する。

一方通行(―――オイオイオイ、コレはどォいう事だ)

彼女は一方通行を誰よりも憎み、敵意を抱いているはずなのに。
一方通行に掴みかかっても来ない。罵倒をあげもしない。

ただ、バスの椅子に気だるそうに座っているだけ。

一方通行のゾッと背中に寒気が走る。

一方通行(何なンだ、何なンだよ、オマエはっ……!!)

赤い眼孔に映る少女の後ろ姿を、一方通行には不気味に見えた。

―――超電磁砲、オマエは、

一方通行(オマエは、どんなことがあっても、『妹達』のために立ちあがる奴じゃねェのかよッ!!!)

少年の悲痛な叫び声が、無音の状態でバスの中に木霊する。
568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:10:01.61 ID:c4ig2xY0
間違い訂正
ゾッと一方通行の背中に寒気が走る。
569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 11:30:44.58 ID:c4ig2xY0
一方通行には、覆しようの無い現実があった。

ツンツン頭の少年は、誰かのために拳を握る完全無欠の善人で、誰かのためにヒーローのはず。
誰かのために素直に笑い泣き怒ることできる心根の優しい目の前の少女は、
どれだけ世界が『妹達』を非難し迫害しようとも、彼女だけは正面切って彼女たちを守るはず。

世界の天地が逆転しても、一方通行のは心の奥底で、それらが絶対に崩れることがないと思っていた。

浴びるように血を浴びて生きてきた自分が、どんなことをしても、
打ち止めと残り一万人の妹達と彼女たちを取り巻く世界を守ると決意しても、

彼女たちの心の支えになることは無いし、なろうとも思っていない。

それをするのは、彼女たちを守ったツンツン頭の少年であり、
『妹達』のお姉様(オリジナル)である美琴だと、一方通行は疑うことなく信じていた。

御坂美琴は、『妹達』のお姉様は、
彼女たちを裏切らず、守り通し、『絶対』に彼女たちの『味方』いるのだと、
『妹達』のために、『超電磁砲』は生きてくれるはずだと―――、

一方通行は、御坂美琴はそういう人間だと信じていた。
一方通行は、御坂美琴がそういう人間であるべきたと、心の底から望んでいた。

一方通行(―――やっぱ、オマエもその程度の奴だった、てか?)

だからこそ、少年の抱いた失望感は、彼を奈落の底へと突き落とす。
570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:33:28.38 ID:qdjrhsso
敵意と害意でしかコミュニケーションできない一方通行はやはりイイな。
すばらしい。
571 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:51:25.72 ID:7/OR1EAO
良いな
支援
572 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:52:41.57 ID:qdIYDKko
誤字おおいぞー
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 12:09:20.37 ID:c4ig2xY0
世界は、一方通行の望むように動いてはくれない。
自分が囁かに切望している願いさえ簡単に打ち砕いて、世界は非情なのだと突き付けてくる。

一方通行(…………、期待はずれだ)

ブツリ、と心が切れ裂かれる。
背中に重たく圧し掛かる絶望から逃れるように、一方通行は淡々と口を滑らした。

一方通行「意外だなァ。感情だけで俺に立ち向かったお前が、
     『妹達』を愉快に素敵に虐殺した俺を見ても、何のリアクションも起こさねェなンてよ」

この感情をなんといえばいいのだろうか。
一方通行は斜め前に座る少女の背中を何処か寂しそうな目で追いかけていた。

御坂「……何が、言いたい訳?」

一方通行「あんだけ守るんだって喚いてたくせに、
      俺に文句の1つも言わねぇなンてよォ。……薄情な奴だと、思っただけだ」

あれだけ、自分の前に立ちはだかったくせに、と子どものように一方通行はいじける。
勝手に自分が期待していただけなのに、オマエが裏切ったのだと、
一方通行は自分勝手に美琴に失望し、絶対的に信じていた現実を諦めようとしていた。


しかし、一方通行の言葉を聞いて、美琴が吠える。


御坂「―――ッざけんな!!」

ダンッ! と鈍い音がバスの中に響く。
美琴が自分が座っている席の前の背もたれを勢いに任せて蹴りあげた音だった。
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 12:10:20.39 ID:c4ig2xY0
>>572
いつも本当にごめんなさい ( ノД`)
575 :お昼御飯なので、少し席外します。 [saga]:2010/05/01(土) 12:33:37.92 ID:c4ig2xY0

さっきまでの姿とは打って変わって、全身に怒り漂わせる美琴。

一方通行「……ハッ!」

一歩通行の頬が上がる。
生気を失ったような赤い瞳に、鋭い眼光が戻ってくる。

一方通行「そォだよ、そォじゃねェとなァ!!」

自然と頬が緩む、可笑しくて笑い声が止まらない。

一方通行(そうだ、そうだよ、オマエはそういう奴だもンなァ、超電磁砲!!)

裏切られたと思っていた世界は、何処にもなかった。
やはり、御坂美琴は、こうやって『妹達』のために、『敵』に立ち向かってこなければいかない。
一方通行を、『敵』と見なして目の前に立ちふさがるべきなのだ。

心底嬉しそうに「カカカ」と挑発するように笑う一方通行を見て、美琴は更に顔を暗くさせた。

一方通行「謝罪すンぜ、超電磁砲。悪かったなァ、マジで頭イかれちまいやがったかと思ったわ。
      その年で痴呆たァ難儀なもンだって心配したンだぜェ?」

ゆらゆらと揺れる少年は、美琴が憤慨していることを嬉しそうに眺め、
この現状を楽しむように汚い言葉をはきだし続ける
もっと怒れ、もっと感情に身を任せろ、と。そんな影の声を潜ませて。

一方通行(オマエは、『妹達』のために生きてくれ)

そんな、無責任な願いを込めて。
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 13:18:07.08 ID:UsMHzR.o
不器用にもほどがあるわ
577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 13:20:19.27 ID:2i0EWKUo
でも一方さんらしい
せつねぇなー
578 :お昼ごはん美味しかったー [saga]:2010/05/01(土) 14:39:35.15 ID:c4ig2xY0
御坂「……黙れッ!」

美琴の瞳は、怒りの色に染まっている。
眉をつり上げ鋭い目つきでこちらを睨んでくる様は、『超電磁砲』に相応しい凄みがあった。
打ち止めと造形は同じはずなのにな、と一方通行は不敵な笑いを浮かべた。

一方通行「ケッ。ヒステリー声で鼓膜敗れたらどォしてくれんだ? 弁償でもしてくれるンですかァー?」

キャンキャン鳴きやがって、っと右手の小指でつまらなそうに耳を掻く一方通行。

御坂「黙れって、言ってんでしょーがぁッ!!」

遂に美琴は席から立ちあがった。
興奮のあまり、彼女の周囲にはバチバチと音を鳴らす紫電が駆け巡る。
前髪から電気を漏らすこともお構いなしに、美琴は一方通行の元へと足を踏み出した。

美琴に胸倉を掴まれ、一方通行は座っていた座席の背もたれに思い切り縫いつけられる。
一方通行はそんな彼女の行動を目元をつり上げて、面白そうにみつめていた。

『超電磁砲』という絶対的な実力者食って掛られているといのに、
一方通行は首元にある補助器のスイッチに手を伸ばさない。
故に、反射もベクトル操作も美琴に牙を剥けることはなかった。

最強を誇る「反射」が何故作用しないのか。
完全に怒りだけに囚われている美琴は、そこの事に気付けなかった。
というようりも、気がつく余裕さえなかったと言った方が正しいだろう。

彼女が一方通行を押し付けたはずみで、
立てかけていた一方通行が普段から使っている杖がカランと音を立てた。

御坂「……アンタが私を挑発して、何がしたいのか。全・然、わかんないんだけどさぁ」

美琴が頭突きをするように己のそれを少年に叩きつけ、一方通行のおでこには鈍い衝撃が走る。
視線のすぐ先には、美琴の何かに耐えるような顔が見える。
一方通行と美琴の顔の距離はほんの僅か。
少年の赤い瞳と少女の茶色い瞳がぶつかりあう。視線がずれることは、もうない。

御坂「これでもね、一応まだ我慢してんのよ? 電撃でアンタを焼かないように」

少女はいったい何を我慢しているのか、一方通行にはわからない。
どこか困ったような、それでいて苦しそうな静かな声で美琴は告げた。

一方通行「そりゃアレか? オレがコレを持ってるから、同情でもしてンのか?
      余計な親切アリガトォゴザイマスゥー、有難迷惑だ、ボケ」

美琴が横目で確認した先には、一方通行愛用の現代的なデザインの杖が。

一方通行(こいつは何処までお人好しなンだよ)

少女の遠慮なんか必要ない。全力でぶつかってこればいい。
「そんなもんいらない」と、一方通行は撥ね退けるように美琴に伝えた。
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 15:28:47.76 ID:c4ig2xY0
一字一句、一方通行が聞き逃さないように、
小さな声でもゆっくりはっきりと美琴は感情を言葉にしていく。

御坂「……私はアンタがキライ、大嫌い。」

一方通行「……そォかい」

当たり前だな、と一方通行は思う。
打ち止めと同じ顔の少女に面とむかって言われると、心がチリチリ焦げるように痛い。

御坂「アンタは知らないでしょうけどね――、」

酷く揺れる美琴の瞳の中に、自分自身が映っている。

一方通行(………俺は、)

同じ超能力者でも、『表』の世界で生きる姿が、
素直に誰かのために何かを成せるその生き様が、
堂々と胸を張って、妹達を守ると宣言できる立場が、
――――ただ、笑ってやるだけで、打ち止めを幸せにできるオマエが、

一方通行(素直に認めてやるのは悔しいけどよォ)

羨ましい、と思っているんだけどな。一方通行はと心の中で吐露した。


御坂「――9982号は…、アンタが殺した10031人の『妹達』は、笑ってたのよ?」


両手にかかえるものが圧倒的に少ない少年は
自分がどんなに望んでも、掴むことのできないものを持つ少女が純粋に羨ましかった。
もちろん、そんなこと自体羨むことも許されないだろうが、と一方通行は目を細め卑屈気味に眉をしかめる。


一方通行(あァ、そうだな超電磁砲)


御坂「……それを根こそぎ奪ったアンタを。10031人の妹達の笑顔も未来も命も全て奪い取ったアンタを」


美琴は裂ける痛みに悲鳴を上げる胸から、絞り出すようにして一方通行に突き付ける。


一方通行(俺は、一万人の『妹達』をブっ殺した―――、)


御坂「私は、絶対に許さないッッ……!」


―――――――大罪人、だ
580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 15:50:41.78 ID:7/OR1EAO
読ませる
581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 16:12:08.16 ID:c4ig2xY0
大罪人は、裁かれて当たり前。

一方通行「……だったら、能力でも何でも使って、俺に立ち向かえばイィじゃねェか」

そんな迷ったようにぐずぐずしないで、
すべての遮蔽物を真っ直ぐにぶち抜く『超電磁砲』の名の通り、まっすぐに自分を弾ずればいい。

一方通行(―――そうか、俺はコイツに弾じてほしいのかもしンねェな)

自分の前に立ちふさがれ、と口にした途端、そんな思いが一方通行の脳裏を駆け巡った。

あれだけの罪を犯しても、一方通行はのうのうと呼吸をし食事をし毎日を生きている。
確かに、打ち止めも、『妹達』も一方通行のことを許さないと断言した。
一生忘れないし、一生許さない、と。

一方通行(けど、そンだけだ)

打ち止めも、『妹達』も。
それだけしか一方通行に要求してこない。

誕生のきっかけをくれた、と感謝すらする『妹達』は、決して一方通行を弾劾しない。
死んでいった10031人の妹達のために、
消えてしまったその命を返せと彼女たちのために、悲しみ怒るのは目の前の少女だけ。

一方通行(……ハッ、ズルい野郎だな、俺も)

一生付きまとう罪と罰。
耐えきれなき重圧が少しでも軽くなればと、
誰かに責められれば楽になるかもしれないからと、必要以上に美琴を追い立てた。

御坂「それが出来たら、どんなに楽か、って話ね」

美琴は首を小さく振り、そんなことはしない、と一方通行に示す。

一方通行「あァ? つまンねェこと言ってんじゃねェよ」

尚も一方通行は挑発を続ける。

一方通行「聖人君主でも気取ってンなら、似合わねェから辞めとけ辞めとけ」

妹達のために立ちあがってほしい。
罪を犯した自分を断罪してほしい。

それだけなく、美琴がおびただしいほどの感情の中で泣いているのならば、
全部、自分にぶつければいい。少しでも楽になるなら、オマエを傷つけた詫びになるなら。

一方通行(…………殺される以外なら、文句は言わねェし、手もださねェよ)

何もかも、招いてしまったのは自分自身なのだから。
だから、まっすぐにぶつかってこい、と一方通行は念じた。
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 16:19:14.07 ID:qdjrhsso
ズルいやっちゃなー。一方通行。
でも、大好きーーーーー
583 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 16:29:10.12 ID:c4ig2xY0
ちょっと休憩してきます ノシ
やっぱり、一方さんだと蛇足のレベルじゃなくなって、どんどん長くなっていくorz
584 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/01(土) 16:39:11.14 ID:KtWC7K60
うほう
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 16:41:53.10 ID:dF/Zduwo
前々から気になってたんだけど、「聖人君主」じゃなくて「聖人君子」だよ
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 16:46:00.47 ID:IbBgyQDO
携帯から。

ニホンゴムズカシイネ

教えて頂いたてありがとうございますm(__)

素で間違って使ってました(ノд<。)
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 16:50:49.30 ID:UsMHzR.o
大丈夫、口に出してみれば一方通行がちょっと噛んだようにしか聞こえないから

それにほらあの人ったら舌足らずだしきゃー
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 18:03:44.94 ID:c4ig2xY0
一方通行の痛烈な言葉に反応せず、美琴はジッと黙りこくっていた。
ぎりぎりと一方通行の胸倉をつかむ手に力が籠る。

しばしの無言の後、美琴は心底悔しそうに一方通行の胸倉から手を離した。

一方通行「……ンだよ」

なにもしてこないのか、と一方通行は非難する。

御坂「やっぱ、……私はアンタの事、傷つけられない」

ギラギラと燃えるようにこちらを睨んできた瞳が下を向く。
突然、力を失ったかのようにか細く弱弱しい声で美琴はポツリと呟いた。

一方通行「だからよォッ……! 聖人君子の真似はいらねェって言っンだよッ!」

猪突猛進型の美琴とは思えない表情、仕草。
煮え切らない美琴の態度に、一方通行は苛立った。

一方通行(迷うンじゃんねェよッ!)

だって、と美琴が茫然として声で、反論してくる。

御坂「だって、アンタの事傷つけたら、打ち止めが悲しむもの……」

赤い瞳が一瞬戸惑いの色を見せる。
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 18:21:54.23 ID:c4ig2xY0
一方通行「おィ、なンで此処で打ち止めの名前がでてくンだよ」

御坂「……昨日、ショッピングモールで打ち止めに会ったから。
    打ち止めから直接アンタのこと聞いた訳じゃないけど、一緒に歩いてるとこ見かけたし、ね」

昨日、誰といたのかと聞いても、打ち止めは「貴方にも秘密だよ」としか答えてくれなかった。
だからこそ、九割九分、超電磁砲だと予想したが、
残りの一部の確証を一方通行は持てていなかった。

一方通行「――やっぱ、昨日打ち止めと一緒にいたのはオマエか、超電磁砲」

あらかじめ予想していた答えが返ってきて、先ほど高まった緊張感が一方通行から消え失せる。

御坂「やっぱ……?」

一方通行の呟きに、美琴は訳が分からないといった顔をする。
下を向いているため、一方通行から美琴の顔は窺い知れない。
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 20:58:04.35 ID:c4ig2xY0


御坂「あ"ぁー、もう!」


美琴は、そのままの態勢でガリガリと乱暴に頭を掻き毟しった。
ボソボソと弱弱しく喋っていた先ほどまでの声は何へ行ったのか。
美琴の唐突な行動に、一方通行はギョッとして目を見開いて固まった。

「もう、ヤダ。疲れた」と美琴は何を考えているのか、
ドカッと1人分の空席をはさんで、一方通行の2つ隣の席に勢いよく座った。

一方通行「……オマエ、本当に何がしたいンだよ」

美琴の取った一連の行動に、一方通行は更に眉をひそめる。
さっきまでものすごい形相を浮かべいていたはずなのに、
イスに座った美琴の顔はなんだがあっけらかんとしている。

美琴の急激なテンションの落差に、一方通行はついていけずポカンと情けなく呆けるしかなかった。

御坂「うっさい、私はアンタのほうが何したいのかわかんないわよッ!」

「頼んでもいないのに、人の事を散々挑発してさ」と美琴は口を尖がらせてしかめっ面で不満そう。
「ミサカはミサカはぶーたれる」と言って不貞腐れる打ち止めの横顔によく似ている。
ずっと持っていた学生鞄をぽいっと空いている左側のイスに上に投げる仕草も、何とも適当だ。


御坂「別に、私はアンタと喧嘩するつもりなんかなかったのに」

一方通行「――…」


美琴の言葉に、ついに一方通行の思考が完璧に停止した。

一方通行(……喧嘩するつもりは、なかった……?)

疲れが一気に噴出したのだろう。
美琴はイスの背もたれに全体重をかけて寄りかかっている。
二日酔いで頭が痛い酔っ払いのように、う〜んと唸り声をあげながら頭を抱えながら、渋い顔をした。

白い髪に赤い瞳を持つ少年は口を開くを忘れる
そんな少年を置き去りにして、グチグチと文句を言い続ける美琴の声だけが、バスの中に響きはじめる。
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 21:15:11.76 ID:c4ig2xY0

あれほど一方通行に激情していた美琴だ。
自分に対して様々な思いを巡らせていることは、確実だ。

一方通行(っつーのに、最初は事を荒げるつもりはなかった、とでも言いてェのか、この女)

だから、バスに乗った時変に気だるそうな態度で自分に接してきたのか?
自分の感情を抑えつけて、穏便にことを流そうとしていたのか?

――――――何故?
一方通行は、美琴の真意がわからず、グルグルと混乱した頭で考える。

美琴はバスの前方の窓に広がる学園都市の風景を見ながら
美琴はもう一度、一方通行を切り刻んだ言葉を突き付ける。


御坂「まぁ、さっき言ったように、アンタのことは嫌いだし許す事なんてない」


無い物ねだりをする子どものような声で、けどさ、と美琴は続ける。


御坂「――――けどさ、アンタが居るから、打ち止めは笑ってられるのよね」


私じゃなくて、アンタが居るから。
案にそう言われた気がした。
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 21:49:32.51 ID:c4ig2xY0
一方通行(――――コイツは、何を言ってやがるンだ?)

一方通行は美琴の発言の意味を、まだよく理解できずにいた。
能力使用モードにスイッチを切り替えてないとはいえ、彼の演算能力は完璧にショートしてた。
学園都市第一位の男は、何とも情けない醜態をさらしていた。

御坂「『あの夜』から、アンタと打ち止や『妹達』の関係がどう変わったなんて。
    詳しいことは、私にはわからない。誰も話してくれなかったし、ね」

打ち止めを含め『妹達』は何もかも、自分たちのお姉様に話をしていないらしい。
その理由がなんなのか、一方通行には興味はないが。
ただ、昨日美琴に会ったことを、あれだけはしゃいで喜んでいた打ち止めすらも、
彼女に何も語っていないことに少しだけ、違和感感じたが、その程度だ。


御坂「ただ、打ち止めがはしゃいで、騒いで、笑ってられる世界にはさ――、」


誰かを諭すように、励ます様に、穏やかな頬笑みを浮かべる美琴。
彼女の脳裏には、一体だれがよぎっているのだろうか。


御坂「―――打ち止めの隣にアンタが居ないと駄目なんだってことは、わかるよ」


そんなことくらいなら、私も知ってる。
そう、言いたげな声色だった。
593 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 21:50:13.83 ID:c4ig2xY0
一方通行は、自然に優しげな笑みを浮かべる美琴の横顔をみて、ようやく理解する。


一方通行(―――あァ、そうかよ。そういうことかよ、チクショウ)


美琴はバスの正面ガラスの向こうに広がる風景を眺める。


御坂「なんていうかさ」


美琴の言葉を、一方通行は黙って聞くしかない。


御坂「あの子と――打ち止めと一緒に居てくれて、ありがと」


この少女は、なんと不器用な生き方をしているのか、と少年は自分のことを棚に上げて考えた。

死んでいった『妹達』のために、一方通行に絶対の怒りを抱き、
一方通行のそばに居る『打ち止め』のために、一方通行に感謝の意を伝える。

今までの彼女の行動の全ては、少女自身のためではなく『妹達』のため故のもの。


一方通行(―――こいつは、『妹達』のためなら)


美琴の『自分だけの現実』(すべて)を崩壊させた自分すらも、受容するらしい。
594 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 22:13:08.05 ID:c4ig2xY0

美琴は一方通行のほうを見ない。
喋りたいことは全部喋りきった美琴は、ただ、じっと、学園都市の風景だけを視界に入れる。

沈黙が、バスの中を包み込んだ。

一方通行は(……馬鹿な生き方してンな、コイツ)

心に湧き上がる高揚とは裏腹に、悪態のような台詞を頭の中で吐く。

それでも、彼が望む生き方を、目の前の少女は迷うことなく突き進んでいることが、
一方通行には嬉しくて、なんだか少しだけ救われた気がした。

誰かのために素直に笑い泣き怒ることできる心根の優しい目の前の少女は、
どれだけ世界が『妹達』を非難し迫害しようとも、彼女だけは正面切って彼女たちを守る、という絶対的な真実。
御坂美琴は、超電磁砲は、『妹達』のお姉さまは、

―――『妹達』のために生きている。彼女たちの『味方』であり続けている。

一方通行がそうであってほしいと願ったものは、思い描いていたそのままで世界に存在していた。

しばしの沈黙をやぶったのは、一方通行だった。


一方通行「……馬鹿だろ、オマエ」


ポツリと、それだけ。
一方通行は、それだけしか言葉に出来なかった。


御坂「ははっ、自分でもそう思う」

美琴は小さく笑って、少年の意見に同意した。
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 22:14:04.51 ID:UsMHzR.o
同類すなぁ
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 22:16:05.06 ID:c4ig2xY0
言葉のゴロ変更
○一方通行がそうであってほしいと願ったものは、思い描いていた通りの姿で世界に存在していた。
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 22:29:20.82 ID:c4ig2xY0

美琴の小さな笑みを横目でみると、何処かむず痒い感覚に囚われた。
どうしたものかと無意識に一方通行は頭をカリカリと掻いた。


一方通行「超絶馬鹿な奴だろォだ。…………呆れるほど、善人だなァ、超電磁砲」


あのムカつくツンツン頭の少年と、隣の隣に座っている少女は同類なのだ。

なぜそこまで人のために全力で走るのかと問われたら、
"当たり前のことをしているだけ"と素直に答える馬鹿正直なタイプの人間だ。
何に対しても、誰に対しても。困っているなら全力で助けてやり、
道を外したら無理やりにでも太陽の元へ力ずくで引きっていく、有難迷惑なお人好し。

一方通行が無性に憧れてやまない、誰かのためのヒーローになれる奴。

一方通行(俺とは真逆のタイプの馬鹿野郎だわ)

先ほどの一方通行の台詞は、自身が焦がれてやまない者への裏返しの愛情表現に近かった。
けれど、鈍感な美琴がそんなことい気がつく訳も無く。

一方通行の捻くれ過ぎた台詞に、美琴は思いっきり顔を歪ませた。
もっと、他に言葉はなかったのかよ、と言いたげな顔だ。


御坂「一方通行、アンタってモテなさそーね」

一方通行「ア"ァ!?」


突然、話題を変えられた。
しかも、ただの悪口にしか聞こえないソレに、一方通行はついつい声をあらげた。
598 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 22:32:28.88 ID:c4ig2xY0
あbbbbbb

またおんなじ台詞間違えた。2度目orz

×超絶馬鹿な奴だろォだ
○超絶に馬鹿な奴だろォな。
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 22:40:24.26 ID:c4ig2xY0
御坂「ブハッ、……くっく」

人を小馬鹿にしたような文句を言ったと思ったら、今度は突然笑い出す。
両手で口元を隠して笑うのを我慢しているようだが、
少女の眉は変な形に歪んでいるし、くくッという笑い声が漏れ出ている。
明らかに、隠し切れていない。

一方通行「オィ、超電磁砲――、」

喜怒哀楽の切り替えが激しい美琴に、一方通行はまったくついていけない。
いったい何がおかしくて笑っているのかと、声をかけた時、ふいに美琴がこちらに顔を向けた。

また、カチリと視線がぶつかった。
次の瞬間、美琴の沸点が軽く飛び終えて、腹筋が崩壊した。

美琴「あーもう駄目、似合わな過ぎるッ!!! あっははははーー!!」

彼女が笑い出した原因が、打ち止めの愛らしい花柄携帯を、一方通行が真剣に選ぶ姿を想像したから。
なんて、一方通行が知る由もなく。

腹を抱えてひーひーと笑いながら、椅子をバンバンと叩く美琴。

一方通行「人の顔みて笑い転げるとか、どういう神経してんだァァッ!!」

一方通行はただ、訳も分からず怒り狂った。
600 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 22:45:13.86 ID:qdjrhsso
一方から見れば、美琴もヒーローなんだねぇ。
601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 22:55:16.73 ID:c4ig2xY0

笑いすぎて息を絶え絶えにさせながら、「あー笑った」と美琴を涙で潤んだ目を擦る。

御坂「ごめんごめん」

手のひらをヒラヒラと左右に振って美琴は謝罪したが、一方通行はどうも納得できなかった。
というか、なんだか納得してしまったら、とても不名誉なことのような気がした。

一方通行「……ッたく、マジでなンなンですかァ、オマエ」

オマエ、マジで意味がわかんねェ、と一方通行は脱力した。
あれだけ緊迫していた空気なんて、遠い星にでも旅立ったのはないかと錯覚すらしてきた。

御坂「いやぁ、なんか意外な所で同士を見つけたなぁと思って」

また、変なことを目の前の少女は繰り広げはじめる。

一方通行「なんで唐突に同士なンだよ。主語も述語も意味不明だぞ」

「他人にものを伝えるときは、ちゃンと主語と述語を入れて喋るって小学校で習わなかったのかよ」と
続けて文句を言いたくなった一方通行だが、ここはぐっとこらえた。
そんなことを言ってしまえば、後の祭りだ直感が訴えかけてくる。

もし、そんなことを口にしてみろ。
トリガー外れて、美琴のマシンガントークがはじまるはずだ。
打ち止めに口で勝てたことのない彼の経験が、容易にそんな推測をたてさせる。

一方付通行(……女に口で勝てる野郎なンて、いるかよ)

老若男女かまわず、言葉だけで屈服させる少年のことをすっかり忘れている一方通行。

同士って誰のことだよ、という一方通行の無言の質問をうけとった美琴は、こう答えた。

御坂「私とアンタが、よ」

その発言に、一方通行は何か可哀そうなものを見るような顔で美琴を眺めた。
602 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 22:59:11.45 ID:c4ig2xY0
ごめんね一方さん、一度ならず二度までも・・
一歩通行とか、一方付通行とかまじごめんなさい。
603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:01:22.78 ID:Ng.Z.WIo
あくせられーたで変換できる俺に死角はなかった
604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:03:51.93 ID:qdjrhsso
タブ変換で一方通行が出る俺のFEPに死角はなかった。
605 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:07:46.48 ID:CdBQFNso
いっぽうで変換できる俺に死角はなかった
それでも面倒だからiで変換できるようにするか考え中
606 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 23:10:40.89 ID:c4ig2xY0

一方通行「……オマエと俺とじゃァ、『根本的』に違ェだろォが」

一方通行と超電磁砲、2人は『根本的』に違うと一方通行は断言した。

一方通行のは薄汚い悪党で、超電磁砲はまっさらな善人。

『妹達』の命を踏み躙った一方通行と
『妹達』の命を救い出せなかった超電磁砲と、

―――どちらも1万人の命を救えなかったもの"同士"だが、絶対的に違うと一方通行は考える。

御坂「アンタが気づいてないだけで、案外、そうだったりするかもよ?」

『妹達』を虐殺した一方通行がその背に背負うものは、
1万人の妹達の命に対する罪悪感と償い、残り1万人の妹達の世界を守る使命。

目の前の少女が誰にも弱音を吐かずに双肩に背負っているものが、
皮肉にも彼と同じものであることを、一方通行はまだ知らない。

一歩通行「前言撤回するわ。その年で痴呆たァ難儀なもンで」

"自分"と同じであると笑いながらつげる少女の目を覚ましてやろうと、
一方通行は懇切親切にオマエの考えは馬鹿だと伝えてあげた。

御坂「近い将来、青少年保護育成条例で警備員にしょっ引かれること確定な奴に言われたくない」

美琴の言葉に、一方通行のこめかみがひくひくと動いた。

一方通行(オマエも、俺を変態あつかいですかァ、このクソアマッ!!)

仕事の同僚である土御門や海原、結標に日ごろ散々バカにされている鬱憤もついでに蘇る。

一方通行「あの世まで俺が直々にエスコートしてやろォか、超電磁砲」

御坂「アンタと地獄のようなダンスを踊るなんてこっちから願下げよ、一方通行」

一方通行の脅しを、美琴は軽々と撥ね退けた。
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:13:20.79 ID:c4ig2xY0
>>603-605
 (´・ω・`)ノ――――――――――――――@ ショボボボボーーーン


Σ(´゚ω(@≡  ビシッ !
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/01(土) 23:23:39.37 ID:c4ig2xY0
御坂「まぁ、なんと言うか」

そう前置きをおいて、しばし美琴は考えてこう言った。

御坂「――――お互い、ご愁傷様ってことよ」

一方通行「ハァ? 意味わかンねェし」

目の前に居る美琴が何を言いたいのか、一方通行にはまったくわからなかった。



一方通行(意味不明なコイツの発言はさておき)


今日分かったことと言えば―――、


一方通行(超電磁砲が『妹達』の本当の意味でのお姉様だった、てコトくらいか)



-------

【蛇足3:一方通行と超電磁砲 終】
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:28:43.36 ID:c4ig2xY0
これにて一方さんのオマケも終りです。
9982号が2レス、エツァリが4レスなのに、一方さんだけで25レス程……。
9982号、海原ごめん。

誤字脱字、乱文が多いssでしたが、
一か月近くお付き合い頂いて本当にありがとうございました。
たくさんのコメントが頂けて嬉しかったです。
610 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:32:02.48 ID:b5D6quM0
乙!!
すごい良かった。
お疲れ様でした。
611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:32:14.62 ID:ya9v4Zs0
乙!美琴さんマジかっこよかった!
612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:38:44.13 ID:4arinak0
おぉおおお乙!!!!!!!!!!
一方さんと美琴のやりとりホント良かったよ〜
613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:39:16.81 ID:3jllroMo
乙、緊迫感があって面白かった

タイプ速度が速い人はタイプミスの数も増えるので
次第に修正に時間をかけるよりも文脈で意味が通じる方を優先するため
わかっててもミスを放置する傾向がある

ソースは我が友人
614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:45:01.46 ID:c4ig2xY0
>>610-613

ありがとうございました<(_ _)>
私はタイピングの速度もメタメタなのですが、
あんまし読み返さないとこが駄目なんだと思います。
自堕落人間を卒業したいです、はい。
615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:45:08.58 ID:qdjrhsso
おつ〜〜〜。面白かったよー。

616 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:53:01.14 ID:RLlS1OI0
乙ううううう
このふたりの関係がよくわかった!!! すっげえ面白かったです!!!!!
617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:54:29.16 ID:c4ig2xY0
話はかなり変わってしまうのですが、
昨日いってたssってココではじめてもいいもんなんでしょうか。

残り380くらい余ってるからなぁ、と思いつつ、
美琴と一方の出番があるとは言え、主人公は鞍替えするし、
そもそも禁書ssが乱立しているから、html化させたほうがいい気もするのです。

>>615
ここまで本当にどうもです<(_ _)>
618 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:01:34.46 ID:vKm5kMMo
>>617
このスレ使い切るのはよいことだと思いますよん。
つうか、それが垣根→麦のんなら、是非に。

あらゆる物質を粉砕する原子崩しに未元物質は勝てるのか!
619 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:03:52.52 ID:LCWXxv60
乙!
620 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:19:27.89 ID:.j/TyT6o
2次選考のおしらせ

先日は一次選考SSを完結して頂き、有難うございました。
選考の結果、貴殿には下記のとおり二次選考にお越し頂きたく、
ご案内申上げます。



日時   2010年5月2日(日)〜(雑談レス含め380レス程度)
場所   http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1270308111/
内容   SS執筆
持参品 「こまけェこたァいいンだよ」という気概

以上
621 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:24:46.66 ID:OOhqM0s0
>>616,619
ここまでお付き合い頂いてありがとうです<(_ _)>

>>618,620
こまけェこたァいいンだよ精神でのんびり1000まで埋めていきます ノシ
622 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:35:29.63 ID:e6HHb6AO
乙。面白くない事はないけどなんか足りないな。
623 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:41:39.32 ID:OOhqM0s0
またのんびり亀の投下なのでしょうが、のんびりお付き合いいただけると幸いです。
実は中身書く気ないけど〜のとこに書いてたけど、結局書きたくなりまして。

垣根「今日こそ返事きかせろ、原子崩し」麦野「黙れ」

完璧原作の設定を無視しまくりです。
一方さんも麦のんも垣根も暗部入りせず、普通に学生生活満喫中になるかと。
垣根→麦のんで、すこし電磁通行。
GW明けくらいから始めたいなぁ。

>>622
ここまでありがとうございます<(_ _)>
美琴視点も蛇足等もオチが曖昧かなーとか自分でもいろいろ思います。
力不足をこれから頑張って向上させていきたいです。
624 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 00:48:03.15 ID:e6HHb6AO
いえいえ、最初の方はすごく良かったから慌てず練り込んで欲しいです。
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 01:16:50.27 ID:Z4GmK.SO
この>>1はこんなに美琴と一方さんのドシリアルなSSも書いて、電磁通行も行けるとは
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/02(日) 02:32:36.40 ID:2rmuUcY0
SS書くなら投下する前に読み直したら?
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 02:43:13.13 ID:2kagntUo
垣根麦のんとか超俺得だ
期待してます
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 10:37:13.97 ID:htB/engo
冷蔵庫と聞いて飛んできました
629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 11:06:49.98 ID:u2XWF6oo
人型のていとくんと五体満足の麦のんだと…何という俺得
630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 00:20:18.18 ID:BX3X1v2o
はいむらーの麦野垣根コンビ見た
この2人全然ありだわ。ハマった
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 00:38:21.42 ID:aRmIzzY0
はいむらさんの未現崩し、すごいな。確かに、この組み合わせ、ありだ。なんつうか。1へのご褒美だとしても信じられる。
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 13:37:38.95 ID:IK6L7HIo
今読み終わった
オマケ読み終わると本編の一方さんの印象ががらりと変わってすごく面白い
美琴よ一方さんへの愛がすごく伝わってくる良SSでした

ていとうこと電磁通行好きの自分としては新作もwwktkせざるをえない
楽しみに待ってます
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 14:21:11.68 ID:Seqm3ADO
もう垣根麦のん絵アップされてるのか!!早く見たい……。
絶対デスクトップにするんだ!!(・∀・)


お久しぶりです。いつもお世話になっております。
今日の夜からていとうこ麦のん投下しますので、よろしくお願いしますm(__)m
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 19:22:54.89 ID:LfntwmYo
よっしゃああああああああああああきたああああああ
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/04(火) 19:54:07.26 ID:uZJU4FE0
そろそろかなぁ!?
636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 20:58:50.17 ID:5LaMa6AO
そろそろかな
637 :垣根「いい加減返事聞かせろ、原子崩し」麦野「黙れ」 プロローグっぽいもの [saga]:2010/05/04(火) 21:22:07.11 ID:hO5X9WA0


「―――俺を選べよ」


垣根の目は自信に満ち溢れている。
選べと選択肢を相手に委ねておきながら、垣根の顔は麦野が絶対に自分を選ぶと信じて疑っていない。
俺に手に入れられないものは無いと高らかに宣言する様は、ムカつくのを通り越していっそ清々しくも思える。


(……最悪)


プライドが高い傲慢な俺様ナルシストなんか、自分の眼中にではなかったはずなのに。
不敵な笑みを浮かべてこちらを見てくる垣根なんか、ウザったくてムカつくだけの野郎のはずに。


(絶対にありえない展開じゃない……ッ!)


こんな展開、少しも麦野は望んでなんかいなかった。
心なんて不安定な物は、本人が気付かないうちに大きく揺れ動いていたりするのだ。


「いい加減返事をきかせろ、原子崩し」


垣根の低い声が、身体中に響く。
微かな吐息が耳たぶに吹きかけられて、背中に電気のような衝撃が走る。
全身にゾワッと鳥肌がたつ感覚すら、逆に快感に思ってしまうほど神経が麻痺してる。
垣根の身につけている香水の甘い蜜のような香りが鼻をくすぐって、麦野の脳を溶かしていく。

ドクンドクンと心臓が高鳴る音が、頭のてっぺんから足の指先まで届く。


「……うるせーんだよ、黙れ」


垣根の声も、胸の高鳴りも。
うるさくて、うるさくて、たまらない。


(―――お願いだから、コレ以上耳元で囁かないでよ……っ)


心臓が、持ちそうにないから。
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 21:23:22.23 ID:LfntwmYo
キタキタキタアアアアアアアアアアアアア
639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/04(火) 21:24:58.30 ID:uZJU4FE0
美ゲンク寿司きたぁ!
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 21:31:11.73 ID:7IEp.Uk0
きたああああああああああああ
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 21:32:36.92 ID:F4RuV1Eo
吐くための砂糖を摂取する作業が始まるお…
642 :麦野さんの恋愛相談inファミレス [saga]:2010/05/04(火) 21:33:13.43 ID:hO5X9WA0

学校からの帰り道、突然、携帯電話で目の前の男から呼び出された。
一体、何の用だろう。密かに胸をときめかせて指定されたファミレスに来て蓋をあけてみれば、他の女に関する恋愛相談だった。
少しだけ。ほんの少しだけ期待していたことなんて起こるはずもなく、麦野はつまらなそうに男の話に耳を傾けていた。

「なぁ、麦野。どうすればいいのかな、俺」

「どうするも何も、そもそもなんで喧嘩なんかしたのよ?」

麦野は奢らせたソーダフロートのストローに口をつけながら、ため息混じりに話につきあう。
先ほどから「どうしよう、どうしよう」と汗をダラダラと流し、あたふたしている男――浜面仕上は、学園都市の路地裏に入れば、溢れるほど出てくる不良の中の1人に過ぎない。
金に染めている髪は痛み気味。着用している茶色のジャージとジーンズも、一見して安物だとわかる。鼻にピアスまでしているが、どこか野暮ったい。
そんな浜面が、ファッション雑誌からそのまま飛び出て来たような、容姿端麗でおしゃれな麦野と一緒にいる様は、幾ばくか周囲の視線を集めてしまっている。

「……わっかんねぇ。なんか昨日から急に口きいてくれなくなって」

「メールでもすればー?」

「メールも駄目なんだ。返信くんないし、電話してもでてくれねぇ。家に行ってもドア開けてくんなかったし……。
 俺嫌われるようなこと、したのか……?」

「嫌われたとかはともかく。怒らせるようなことはしたんでしょ。
 アンタの部屋でエロ本、エロDVDを見つけてドン引きしたとか、気が利かなくて余計な事を言ったとか。
 まぁ、馬鹿浜面がぁ、愛しの滝壺ちゃんのぉ、ハートを傷つけたことはぁ、決定的よねー。こんなアホが彼氏とか、滝壺かわいそー☆」

「うっ……、痛いとこつくなよ」

「で? 心当たりとかない訳?」

「えぇーと」

間抜けな顔で天井と睨めっこをしながら、浜面は『滝壺に嫌われそうな心当たり』について考え始めた。
思いついてはひとーつ、ふたーつと指を折り数える。
だんだんと数を数えるスピードが遅くなっていくに従って、浜面の顔はテーブルへと近づく。
浜面の両手がきれいなグーの形になった時、とうとう浜面はテーブルにひれ伏した。

「うわぁぁぁああ! 滝壺ぉ、俺が悪かったぁぁぁあああっ!!」

テーブルの上にひれ伏して絶望に打ちひしがれる浜面。
「ごめん、超ごめんなさい……」と壊れたラジオのようにくり返す口からは、魂がひょっこりと顔をだしている。
愛しの滝壺ちゃんから嫌がられるような心当たりが、両手の指では足りないほどあるらしい。

「ったく、大人しいあの子を怒らせるなんて、どんなヘマしたらできる訳?」

「……ははっ。俺、滅びればいいわ、マジで」

麦野が目を細め責めるような視線をおくると、浜面から乾いた笑い声とともに沈みきったオーラが漂った。
無能力者で不良で、ドラクエで例えるならブチスライムがいいような所の浜面と、
面倒くさがりで自分磨きをサボり気味とはいえ、磨けば輝くダイヤの原石である滝壺理后とでは、月とスッポン。美女と野獣の組み合わせ。
口説いて、口説いて、口説きまくってようやく手に入れた滝壺を怒らせるなんて、本当に浜面という男は馬鹿だとしか言いようがない。
643 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/04(火) 21:38:04.92 ID:uZJU4FE0
ドラクエで例えてブチスラ医務ww
644 :麦野さんの恋愛相談inファミレス [saga]:2010/05/04(火) 21:41:22.71 ID:hO5X9WA0


(―――あぁ、もう。世話が焼ける)

学校こそ違うが、麦野と滝壺は仲がいい。
学校のない休日はいつも、滝壺と同じ高校に通うフレンダ、3人によく懐いている中学生の絹旗を含めた4人でよくつんでいる。
不機嫌な滝壺の顔は見たくないし、せっかくの休日を馬鹿浜面のせいで変な雰囲気で過ごすのは癪に思えた。

「仕方がない。滝壺のために、一肌脱いでやるか」

大切な友達である滝壺のためなら仕方がない。
何事もボーっとスルーする滝壺が怒るのだから、浜面は相当の失態をしでかしたのだろう。

(……滝壺の暗い顔とか、見たくないしね)

滝壺のためだから、と麦野は自分に言い聞かせる。
決して今にも泣き崩れてしまいそうな浜面を見ていられないとか、ほっとけないとか、そういうことではない。

「へっ!?」

麦野の言葉に、浜面はガバリとテーブルから起き上る。

「滝壺との仲をなんとかしてほしいとか、そういう魂胆で私を呼び出したことぐらいお見通しだっつーの。
 私は「どうして浜面如きに」とか思うけど、滝壺がアンタに惚れてんのは確かだし。
 きっかけ位はつくってやるから、アンタはその鳥頭めりこむくらい地面に擦りつけて滝壺に謝んなさいよねー」

「麦野さん、いや…麦野様っ!! 有難う御座いますぅぅぅ!!」

麦野の右手を勢いよく両手で握って、浜面はブンブンと上下に揺らしながら「ありがとう」と頭を下げる。

「そうそう、麦野様に感謝しなさいよ? はーまづらぁ」

「感謝してます! しまくってますっ! いやもう、今日はソレ以外でも好きなの何でも食ってくれ、奢るから」

ソーダフロート以外にも奢ってもらえるらしい。
暑苦しい、と浜面の手を払いのけた麦野は、立てかけられていたメニュー表を開いて物色し始めた。
丁度お腹すいてるし、高いの頼めるだけ頼んでやろう。
それくらいしないと、割にあわない。

「すいませーん。コレとコレ、あとココからココまでお願いします」

「ちょっ!? 麦野さん、どんだけ食べるのっ!?」

店員が笑顔で「かしこまりましたぁ!」と取っていた注文の総額は、一葉さんが1人分。
次の奨学金が振り込まれるまで、浜面家の家計は壊滅的なまでの氷河期を迎えることが決定した。
645 :長店上機学園校門前にて [saga]:2010/05/04(火) 22:20:58.96 ID:hO5X9WA0

下校時間を知らせるチャイムが学校の敷地内に響き渡る。
委員会や部活などに参加していない生徒たちが、ぞくぞくと正門を潜って帰路についていた。
授業以外の学校行事に消極的な垣根も、その中の1人。
正門前まで歩いていくと、下校途中の生徒たちが校門の横に立っている少女を遠巻きに見つめている。

「よぅ、久しぶりだな。元気にしてたか、美琴ちゃん?」

校門の横にたつ少女は、ここ長点上機学園とおなじ学園都市五指の名門に入る常盤台中学の制服を着ていた。
お嬢さま校として有名な常盤台の子で、更に中々可愛らしい顔立ちをしている御坂美琴に生徒達の視線(主に男子)が集まってもいたしかたない。

「あっ、垣根さん。久しぶり〜」

常盤台のエースとして日ごろから少女達の熱い視線になれているからか、御坂は周囲の様子など特に気にしていない。

「つーか、なんでいきなり『美琴ちゃん』呼び? いっつも『御坂』なのに」

「いやぁ最近さ、オマエの事『美琴ちゃん』って呼ぶとアイツが面白い顔すること発見したんだよな」

ついこの間のお昼休み、一緒に学食を食いながら冗談半分で「美琴ちゃん♪」と冗談半分でアイツをからかってみた。
すると、それはそれは苦虫を噛みちぎるような形相で睨んできたのだ、と垣根は面白そうに御坂に教えてあげた。

「アイツって誰のこと?」

「一方通行」

「うっそ!?」

「本当ー」

垣根を睨んできたアイツ、というのが一方通行だと知らさせて、御坂は信じられないとばかり口をあけて固まった。
一方通行って垣根の冗談にそんな態度を取るようなキャラだっただろうか。
どちらかと言えば、挑発には簡単に乗せられやすいが、いつも垣根のからかいには無視を貫いていたはずだ。

「あれだね。『美琴』って呼んでいいのは俺だけだーみたいな? 愛されてるねー、美琴ちゃん」

「えぇーうっそだぁ! 未だに私のこと『超電磁砲』って呼ぶんですけど?」

「……一応、確認。オマエ等、良い感じになってからどんくらい経つっけ?」

「春からだから、3ヶ月は経ってる」

おいおいおいっ! と垣根はどうにも突っ込みを入れたくなってしまった。
独占欲だけは1人前のくせに、自分の女の名前すら呼び捨てにできない一方通行の頭をベシッと叩いてやりたい衝動にかられる。
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:30:51.83 ID:hO5X9WA0
今日の投下はここまでです。
ちょっと書きかた前と違いますが、ご勘弁ください。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

プロローグ書くのが1番楽しかったwwwwww
書き溜めが切れまして、次回は土日のどちらかに投下します。

はいむらーの絵最高ですね。
スタイリッシュな垣根麦野も最高ですね。
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:33:53.72 ID:F4RuV1Eo
一方さんへたれんなー!
648 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:35:12.15 ID:LfntwmYo
乙!
はいむらーの垣根麦野が恋人同士にしか見えなくて生きるのが楽しい
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 22:36:03.94 ID:t8exYaYo
美琴と一方通行がくっついた設定か
650 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 23:34:14.23 ID:uZJU4FE0
いい設定だ
651 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 01:00:03.80 ID:vUDf/g.o
暗部は完全カットですな。まぁ、その方が、この話ではよいか。
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 13:27:06.77 ID:6qzfBTo0
(´・ω・`)ノ ……どぉもです

・ていとうこ麦野ん(未元崩しっていうのかな?)
・電磁通行
・暗部何それおいしいの?
と、完璧原作設定無視で突っ走りはじめてますが、さらに
・無能力者から超能力者まで結構みんな仲良し
ってことになりそうです。
たまにはさ、みんな仲良しでもいいじゃない! って妄想も加速したんだ……orz

……それだけなんだ、ではまた週末に(´・ω・`)ノシ
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 20:51:00.00 ID:V2.fqA.o
週末かー
楽しみに待ってる
654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/07(金) 01:26:29.72 ID:HKtG3QAO
まだ?
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 02:00:35.61 ID:7UYY3TMo
確かに週末だが気が早いwwww
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 12:20:52.80 ID:/Ktwmsoo
ふぅ…原作読んでないのに追いついた…
SS書ける人はすげぇー乙
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 21:48:13.36 ID:vDhWg960
少し早いけどこんばんわ。今日もよろしくお願いします。
のんびり投下となりますが、お付き合い頂けると幸いです。
妄想のいくままに書きなぐってます orz
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/07(金) 21:51:03.74 ID:vDhWg960
わざわざ長点上機学園まで御坂が来た理由はどうせ一方通行のお迎えのだろう、と垣根は予想をたてた。
常盤台中学のある「学舎の園」からだとバスに乗っても30分以上はかかる程遠いのに、御坂は一方通行のために甲斐甲斐しくここまで足を向けた。


(……麦野も俺のこと迎えに来てくんねえかな)


垣根は今ここに居ない、自分の心を見事に掻っ攫っていった女の事を思い出していた。
カツカツとパンプスのヒールを鳴らして歩く姿は自信に溢れていて、風になびかせる亜麻色の髪が美しい垣根の想い人。
自分の隣でちょこんと一方通行を待っている御坂のように、「垣根!」と笑って校門の前で待っていてくれたらどれほど嬉しいか。


----

息を切らして、校門まで走って来た麦野。
その頬は微かに赤く染まっている。


「どうしたんだよ、そんなに慌てて」

「その、……垣根に会いたくなっちゃって」

つい勢いで言ってしまった台詞に更に顔を染め、ぷいッとそっぽをむく麦野―――、


----


(―――ないないない、絶対ない)


だって、彼女は自分に笑いかけてすらくれないのに。


(いっつも、俺が追いかけまわしてるだけだし)


どちらかといえば、垣根は御坂と似たような立場にいる。
尽くされるより尽くす側。追いかけまわされるより追いかける側なのだ。


(あーぁ、俺も尽くされてぇー)

659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/07(金) 21:52:53.10 ID:vDhWg960
垣根がそんな事をぼんやりと考えている間にも、
御坂は何度も携帯をパカパカと開いて、不機嫌そうに「むぅ〜」と何の変わり映えもしない画面と睨めっこをしている。


「一方通行から連絡こねえの?」

「着いたってメールしたんだけどねぇ。さっさと買い物行きたいのにー」

「買い物?」

「そ。今日は一方通行の家にご飯作りにいくつもりなの」

「さいですか。相変わらず仲のよろしい事で」


不満そうに頬を膨らませて携帯を乱暴に閉じた美琴は、少しだけ苛立ちはじめている。
付き合い始めても、御坂美琴が一方通行に振り回される現状は付き合う前とあまり変わっていないようだ。
それでも、この少女はあの気難しい天邪鬼な学園都市第一位を攻落させた実力者。

垣根はよくよく御坂のことを舐めるように観察した。

枝毛が一つも見受けられない健康的な茶髪。人形のようにくりっとした二重の瞳。
まだ発達途中のため身体の凹凸は申し訳程度だが、それでも抜群の将来性がそれを易々とカバーする。
外見だけでも満点に近い御坂だが、それだけであの固物を落とせるかは少し疑問だ。
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 21:57:11.73 ID:1kEsWRU0
キターーーーー
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/07(金) 21:58:29.53 ID:vDhWg960
「……オマエさぁ、どうやって一方通行のこと落としたんだ?」

「何よ、突然」

「麦野の奴がな、相変わらず俺に冷たいんですよ。
 俺としてはいい加減次に進みたいというか、告白の返事をもらいたいというか。
 ここはひとつ、超難航物件の一方通行を落とした御坂さんにご教授願おうとおもってな」


自分で言うのもなんだが、垣根だってそれほど悪い外見をしている訳ではない。
背も高く足も長いモデル体型、整った顔。街を歩けばいつだって垣根は女の目線を1人占めにしてしまう男だ。
所属している学校も名門長点上機学園だし、学園都市230万人の頂点・超能力者の第2位に食い込むつわもの。
こんな総合的に高スペックな奴、自分以外の他には誰もいないのに。
異性だが似たようなスペックの御坂は一方通行を落とせたのに、自分は一方通行並に超難解物件の麦野を落とせない。

自分と御坂の決定的な違いは何なのかと垣根は真剣に悩んでいた。
"性格"という重要なキーワードが頭からすっぽり抜け落ちていることに垣根は気づかない。


「……参考になることなんて、ないわよ」

「つーか、お前らの馴初めがただ気になるってのもある。一方通行に聞いても『オマエには関係ねェ』の一言で片づけらるからさ」

「……ん〜。しいて言えばよ? しいて言えば、あれは―――押し倒した……かな?」

「ブハッ。マジかよッ!? 御坂が一方通行を押し倒し―――グフゥッ!」

「大きな声出すなっ! 未遂よ、未遂!」


驚きに任せて大声であげてしまった垣根の腹に抉るように美琴の拳が決まった。


「……ただ、なんか勢いでガンガンいってみたら、あれよあれよと上手くいったというか……ッ!
 アイツってさ、見た目のわりに恋愛経験ゼロだったみたいで、責められるのに弱かったのかも!!」


「押し倒したって何?」「あんな純情そうな子が…」という周囲の目線に顔を赤くし、
あまりの恥ずかしさに御坂は小声で素早く捲し立てると、コレ以上聞いてくるなというようにキッと垣根を睨みつけた。
その「ガンガン行こうぜ」的なノリはなんだ、と垣根は呆れた。


「……あー、アイツへたれだしなぁ」

「誰がヘタレだってェ!?」


先ほど、一方通行の「自分の女呼び捨てにできない」というヘタレぶりを改めて思い知ったばかりの垣根が、
友のフォローもせずに御坂の台詞に同意した時、背中のほうからこちらに罵声を浴びせてくる少年の声が聞こえた。
662 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/07(金) 22:52:34.38 ID:vDhWg960


「ちょっと、一方通行! 校門まで来てるってメールしたのに、遅いじゃないのよ!」


ようやく姿を現した一方通行に、長らく待たされていた御坂が食って掛りながら彼の元へとかけよった。
だらしなく手ををズボンのポケットに突っこんでいる一方通行。
腕と腹の隙間に手をすべり込ませて、御坂は一方通行の右腕に自分の左腕を絡ませる。
御坂の一連の行があまりにも自然で、いつも嬉しさのあまり先に飛びつくのは少女の方なのだろう、と安易に告げる。

 
「オマエが勝手にここまで来たンだろォが。わざわざ来てやったンだから感謝しろよ」

「おいおい、せっかく美琴ちゃ……、」

「―――ア"ァ?」


冷たい赤い眼孔が垣根へと向けられる。
「ゴゴゴゴゴッ」という効果音が似合いそうな形相だ。


(本当に、独占欲だけは1人前だな)


無意識に嫉妬している一方通行の姿を可笑しくて垣根はニヤニヤと笑った。
しかし、コレ以上からかうヤバい。とりあえず、一方通行をからかうのはここまでにしてやろう。


「せっかく、御坂がデートに誘いに来てくれたんだろ?」

「垣根、オマエには関係ねェだろ。俺は帰って寝たいンですゥゥ」


一方通行の尊大な態度に、垣根はカチンと来た。
御坂がどれだけ一方通行のためだけに行動しているのか、目の前の男はちゃんと考えているのか。
自分はどんなに好意を伝えても相手にすらされないのに、一方通行はあまりにも贅沢過ぎる。

好きな人が自分のために何かしてくれることが羨ましい。
なんて垣根は意地でも言わないが。


「文句言うな、贅沢なんだよオマエ。マジなんなの、ソレ。
 自慢か、麦野に軽くあしらわれてる俺に対する自慢ですかこの野郎。ムカつくから一片死んでこいや!」

「ハッ、毎日毎日、金魚の糞みたく麦野につきまとってよく飽きねェよな。
 今日にでもストーカー被害で麦野が警備員にお前のことつきだすんじゃねェの、帝督くゥゥゥん?」
663 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 22:54:01.57 ID:qGZehwDO
さっすが超電磁砲さん漢前やでぇ
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 23:00:32.38 ID:P5kdb..o
アクセヘタレータさん……
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 23:41:10.62 ID:koWpiIMo
寝オチなのか……
支援
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/08(土) 00:25:30.58 ID:Xi9tcbA0


「はーい、ストップストップ! ガン飛ばし合わない! 能力を使おうとしないっ!!」


火花を散らし合う二人の間に割り込むように入り、御坂は彼ら喧嘩の仲裁を試みる。


「うるせェ、オマエはひっこンで――、」

「こんなとこで喧嘩しないのッ! めっ!!」

「……っ」


口をへの字に曲げて、眉をつり上げながら御坂は一方通行を叱りつけた。
御坂は一方通行より7pほど背が低いため、自ずと上目づかいで一方通行の顔を伺うことになる。
幼児を怒る母親のように「めっ!!」と言った御坂に、一方通行は反論らしい反論もせずに、ただ黙って彼女を見つめるだけ。


「お返事は?」

「…………スミマセンデシタ」

「あー、俺も悪かった」

「よろしい♪」

ふいっと御坂から視線を外した一方通行は、居心地を悪そうにしながら片言で謝罪の言葉を口にする。
垣根もつられる様にして謝ると、御坂は満足げに笑った。

垣根は、色白い少年の耳元がほんのりと赤く染まったのを見逃さなかった。
怒る姿も可愛いとか、上目づかいはヤバいだろとか、
一方通行がもの凄く場違いなことを考えていたことは、垣根には手に取るようにわかった。


「なぁ、一方通行。何だ、その……。頑張れよ」

「……うるせェ」


素直に自分の気持ちを伝えたり態度にするのが苦手な癖に、
無意識に嫉妬したり呆けてみたりする一方通行の姿を見て、垣根は微笑ましい気分になった。
それでも、一方通行のヘタレぶりは改善するべきだと思うし、改善されなければいつかは御坂に見放される。

もう少し御坂に優しくしてやれ。
もう少し素直になってやれ。
もう少し、お前から御坂に与えてやれよ―――と、言いたいことは山ほどあるが、今では時間が足りな過ぎる。

垣根はとりあえず、全部の意味を込めて「頑張れよ」と一方通行に声をかけた。
一方通行が垣根の言葉の真意を汲み取ったかは定かでないが、そこまで馬鹿な奴じゃないだろ、と垣根は彼を評価している。
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 00:26:20.18 ID:2yWpxH.o
なにこれ、可愛いww
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/08(土) 00:28:26.85 ID:Xi9tcbA0


「買い物だったか? さっさと行ってさっさと終らせンぞ」

「えっ? ちょっ、何でいつもアンタは強引なのよ!? あーもう、垣根さん、またね!」


垣根にかけられた言葉が、余計に居心地の悪さに拍車をかけたらしく、一方通行は垣根を無視して歩きだしてしまった。
一方通行と腕を絡めている御坂は半ば引きずられるようになりながら、顔だけをこちら向けて別れを告げた。


「おう、またな。御坂、一方通行」


それだけ言って、垣根も二人とは反対方向へと進もうとしたが、ふと立ち止まる。


「――っと、一方通行! 明日は身体検査だから、寝坊すんじゃねぇぞ!」


日が暮れたせいか、学園都市を歩く人々の姿はぼんやりとして分かりにくい。
遠くに見える一方通行らしき人影が微かに動いた。ゆらりと揺れる人影の隣には、ぴったりと寄り添う人影がもう1つ。


「ったく、羨ましい限りだな」


幸せそうに寄り添う影達を眺めながら、垣根はポツリと呟いた。


669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/08(土) 00:30:09.27 ID:3F6wwcY0
全部かわいい
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 00:50:22.70 ID:Xi9tcbA0
眠たいので今日はここまでにします。
相変わらず亀のように遅い投下ですが、ここまでお付き合い頂いて感謝です。
コメント等も凄くうれしいです。ここまで読んでくださってありがとうございました。

書けば書くほど第一位はヘタレに、第二位はアホの子になっていく……。
次回は日曜になるかと思います。

電磁通行書くの楽しかったです。ツンツン同士ウマー。
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 03:09:27.62 ID:uCXX5M6o
乙ー
日曜日が楽しみだな
672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 00:56:11.12 ID:Uj8qOIAO
日曜だー
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 12:21:29.94 ID:aAnWdc2o
平和でいいなぁ…
こういう世界を望んでいた
674 :お相手は霧ケ丘女学院の方々でした [sage]:2010/05/09(日) 12:23:28.08 ID:GthGvkQ0
浜面の財布を枯渇させる原因となった数々のメニューがテーブルに出揃う。
2人が入ったファミレスはデザートの種類の多さが自慢であり、麦野はデザート全20種完全制覇に向けてスプーンをかまえた。


「わぁ〜美味しそう!!」


麦野はチョコレートケーキと抹茶プリンを交互に食べながら、頬を一生懸命はむはむと動かす。
少し苦みの訊いたチョコレートケーキと渋みが独特の抹茶プリンのほのかな甘味に、自然と口元がにんまり緩んだ。


「く〜、美味しぃー」

「麦野さんにご満足いただけだようで、ようございました……」

「ウフフフフ。次はどれを食べようかなー」


早くも2つの皿が空になった。
何かを選ぶときに子供が歌いながら指をさす仕草を真似して麦野は次のデザートの品定めをする。
学園都市の場合、皆がLEVEL6(神様)を目指しているため、こういう時は神様に近いとされるLEVEL5の通り名を入れたりする。
「ナンバーセブンのいうとおり」もしくは「超電磁砲のいうとおり」が最もメジャーだ。


「ど、れ、に、し、よ、う、か、な。
 め、る、と、だ、う、な、あ、の、い、う、と、お、り〜、っと! おっ! 次はモンブラン、君にきめた♪」

「いやもう、思う存分好きに食い散らかせばいいじゃねぇかよぉぉぉっ」


一音づつに沿って指をさし「り」で見事モンブランを当てた麦野は、ウキウキとモンブランの皿を手元へと運ぶ。
心なしか頬をゲッソリさせている浜面を麦野は見ないふりをした。
全ては馬鹿男の浅はかな行動が原因なのだから自業自得だ。
浜面の「愛しの滝壺理后タンに嫌われちゃったかもしんない☆」心当たりは、ざっと以下の通り。

一つ、愛されバニーガール風メイドというゲテモノメイド服をこっそり購入していたこと。
一つ、上記の服を勧めてきた友人に借りた大量の妹系エロ雑誌及びDVDを滝壺に発見されたかもしれないこと。
一つ、「滝壺ってさ、最近ポッチャリしてきた?」と年頃の娘が最も気にする地雷を踏んだこと。
一つ、友人に送るつもりだった「いやぁ〜やっぱし巨乳も捨てがたいだろぉ」というメールを滝壺に誤送信したこと。
一つ、「恥ずかしいから」と滝壺に釘を刺されているのに、この間勢い余ってもの凄くしつこいキスをかましたこと。

エトセトラ、エトセトラ。
心当たりというよりは、むりろ罪状のようにも思えてくる。
次から次にウジ虫の如く湧いて出る浜面の失態に麦野は呆れ果て、今はデザート優先で半分聞き流していた。
ここまで純真な乙女の地雷を無作為に踏みまくる浜面を、今の今ままで、滝壺はよく許していたもんだ。


(滝壺、アンタ凄すぎ。よっく耐えられるわね)


忍ぶ女、滝壺理后に改めて感心する麦野だった。
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/09(日) 12:56:27.85 ID:2C6dMkk0
きてたー
676 :お相手は霧ケ丘女学院の方々でした [sage]:2010/05/09(日) 12:59:25.09 ID:GthGvkQ0


まだまだ出てくる心当たりを浜面は懇切丁寧に説明する。
もう自分ではどれがダウトだったのか見当がつかず、滝壺と仲がいい麦野に判断してほしいようだ。


「あとは、一昨日のアレもやっぱ駄目だよなぁぁ」

「……まぁだあるのぉ? はーまづらぁ、アンタ、ゲスの域にまで達するわね」

「オマエの毒舌って本当に心えぐるから勘弁して……」

「勝手にえぐれてろ。 んで? 次はなんなのよ」


無駄にデカイ図体を縮こまらせて小動物のようにプルプルと小刻みに震える浜面。
そーいう仕草は女の子だからこそ可愛いのであって、浜面みたいな男がやっても可愛くない。
「むしろ気持ち悪いわ、ボケ」と麦野は冷たく吐き捨てて、さっさと話せと浜面を促した。

677 :お相手は霧ケ丘女学院の方々でした [sage]:2010/05/09(日) 13:45:53.46 ID:GthGvkQ0
-----
 
一昨日の朝。
いつものように眠たい目を擦りながら教室の扉をあけると、友人たちが馬鹿騒ぎを繰り広げていた。
足窓側の後ろの席――不幸の避雷針、上条当麻が陣取っている席の周りでワイワイと騒がしくしている。
騒ぎの中心地に足早に向かうと、浜面は集団の中に割って入った。


「オマエら、なーに気持ち悪いして騒いでんだよ」

「おう、浜面。おはようだにゃー」

「おっす。土御門」

「ヌフフフ、実はですね! ようやく上条さん達にも春が到来しそうなんですよ!」

「そーなんや! 僕らにも女神様が微笑んでくださったんやー! うはーっ!」


浜面に「おはよう」と言ってくれたのは、土御門元春だけだった。
金髪にサングラス。何故が学ランの下にはけったいなアロハシャツを着ている土御門は、他の2人を冷やかな目で眺めていた。
青髪ピアス(本性不明)と上条は、朝っぱらからテンションMAXではしゃいでいる。
彼らは童心にでも帰っているのだろうか、と浜面も遠い目で2人を見た。

678 :お相手は霧ケ丘女学院の方々でした [sage]:2010/05/09(日) 13:47:27.19 ID:GthGvkQ0


「女神さまって、なんぞソレ」

「浜面、実はな〜」

「なんとなんと!」

「「霧ヶ丘女学院の子と合コンすることになったんや(だ)!」」

「な、なんだってーーっっ!!?」


予想もしない上条と青髪ピアスの発言に、浜面は驚愕のあまり身を乗り出した。

霧ケ丘女学院といえば、能力開発の分野において常盤台中学と腕を競い合ってる名門女子校。
イレギュラー的な能力の発見、開発を得意とすることで各方面で名をほしいままにしている霧ケ丘女学院だが、
浜面や上条といった健全な一般男子高校生が「霧ケ丘女学院」と聞いて思い浮かべることは―――、


「お姉さま系巨乳女子高生が多いといわれる、あの『霧ケ丘』なのかっ!?」

「マジだよ! 大マジッ!!」

「夢のような話やろ? しかーしっ、決して夢ではあらへんのや!
 僕らは霧ケ丘女学院のお姉さま方と合コンすることは、すでに確定しているコト!
 これは、『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』にも覆すことは出来ん確定事項なんやでーーっ!!」

「マジなのかよ、すっげーーっ!!」


上条と青髪ピアスのどんちゃん騒ぎに、浜面も加わって更に騒がしくなる。
窓際のうるさい集団を睨みつける委員長・吹寄制理を横目にいれつつ、土御門は興味なさそうに口をはさんだ。


「可愛い可愛い舞夏タンが居るから、俺は参加しないけどにゃー」


一見可愛い義妹への愛を貫くためにも見えるが、
ただ単に合コンの相手が年上のお姉さまであることが、シスコン兼ロリコン軍曹である土御門には気に食わないだけ。

679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 13:49:33.13 ID:tTDeIYAO
良いな〜、原作に雰囲気が似てて且つ読みやすい
680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 13:49:39.58 ID:GthGvkQ0
訂正→「オマエら、なーに気持ち悪い顔して騒いでんだよ」

一旦ここまで。
来れたらまた夜に来ます。
ここまで読んでくださってありがとうこざいました。
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 14:03:10.92 ID:Uj8qOIAO
乙かれー
682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 14:22:50.35 ID:GthGvkQ0
すみません。
個人的にごっちゃになりそうで、1レスだけお借りします。
ほぼ登場予定無しですが。ざっと所属学校はこんなもんかな……?
長点上機学園→ていとうこ、一方さん
常盤台→御坂、黒子
とある高校→青ピ、上条さん、つっちー、浜面、吹寄
霧ケ丘女学院→淡きん、姫神、風斬
柵川中学→佐天、初春
とある中学→絹旗
とある中高一貫校→フレンダ、滝壺
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 14:36:32.60 ID:rTGEPd.o
不幸の避雷針……影武者とか天職かも?
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 16:12:34.54 ID:WMATz6Mo
>>682
姫神って上やんの高校に転校しなかったっけ


ごめんアニメしか見てないけど
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 16:50:48.29 ID:EliYAE6o
>>684
この世界では三沢塾事件は起きていないんだろ
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 21:57:07.91 ID:GthGvkQ0
>>684
>>685
パラレルですから大目に見ていただけると有難いです(/_;)
「春から3か月」、だいたい7月中旬くらいのイメージなので、
姫神さんもまだ霧ケ丘かな〜?くらいで、あんまり深い意味はないです。
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 22:52:43.15 ID:rTGEPd.o
ボーっと見てたらスレタイが

削板「」

に見えた
彼なら何を買い損ねるのだろう
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 01:05:22.38 ID:Sei1A2DO
携帯から失礼します。

次回投下まで少し間があくかもしれません。日曜の夜までに戻ってこれたらなぁと思います(ノд<。)

こんな奴ですが次回もお付き合いいただけたら幸いです。
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 01:58:52.48 ID:QGasbgUo
日曜から国外だわぁ
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:10:26.02 ID:atQsn5M0
こんばんわ、いつもお世話になっております。
地の文の書き溜めがないので、今日も遅い投下ですがよろしくお願いします。

削板くんはきっと特撮グッズを買い損ねると思います。
上条さんは特売卵、一方さんは ジュワッ!>○(%)o の人グッズ
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:26:23.30 ID:ozDARyko
待ってましたわよ!!
692 :お相手は霧ケ丘女学院の方々でした [sage]:2010/05/14(金) 20:47:15.04 ID:atQsn5M0
-----


「ほぅ、合コンに参加した、と?」

「……つい、断り切れずに」


霧ケ丘女学院の女の子は三人。男側も三人揃えないとせっかくの合コンもおじゃんになってしまう。
「頼む、浜面。僕らにはオマエしか居らんねん!」と友人に泣きつかれた浜面は、土御門という人の代わりに合コンにかりだされた、というのが一連の真相らしい。


(こんの、阿保浜面がァァァアアアッッ!!)


彼女持ちの男が、男女の出会いを探す場である合コンなるものに参加しても許される訳がない。
どうしてそんな単純明快なことを、この男はすぐに考えつかないのだろうか、と麦野は頭を抱えた。
こめかみに血管が浮き出だしながら、口角をひくひくと痙攣させている麦野の前に、浜面は視線を合わせることが出来ずに下を向いている。
浜面の馬鹿さ加減に苛立ちが更に加速する。カンカンカンカンッと、淡い桃色のジェルネイルが施されている爪先を麦野はテーブルに小刻みに叩きつけた。


(―――コイツは底なしのお人好しだし、マジで友達に頼まれたら断れなさそう)


『類は友を呼ぶ』と昔の偉い人は言いました。
目の前で小動物のように震える男の友人も、どうしようもない馬鹿で女の子に縁の無い野郎共に決まっている。
霧ケ丘女学院という名門女子校の女の子と知り合える機会なんて、そうそうないはず。
合コンをおじゃんにしないために彼女持ちの友人の一人や二人、強引に巻き込むのも頷ける―――と、麦野は無理やりそう納得してあげた。


「ふ〜ん。つい、ねえ」

「友達に土下座してまで頼まれたら、俺も断りずらくてさ……」

「普通そこはさぁ、友より彼女優先じゃないの?」

「ははっ……。面目ない」
693 :お相手は霧ケ丘女学院の方々でした [saga]:2010/05/14(金) 21:32:51.08 ID:atQsn5M0
合コンの件が滝壺を怒らせた原因だと簡単に結論づけられないが、要因の一つではある。
浜面が一つ一つ挙げていった失態が少しずつ滝壺にストレスを与えて爆発してしまった、という可能性が高いと麦野はふんだ。
滝壺の溜まりに溜まったストレスが、とうとう大噴火してしまったのだ。『塵が積もれば山となる』とも、昔の偉い人は言いました。


(――反省はしているようだし、本人が望んでいった合コンでもないみたいね)


はぁっ、と麦野から漏れたため息に、浜面の肩だビクリと動いたのが見えた。
少し、脅しをかけすぎたかもしれない、と麦野は適当な話題で周囲の淀んだ空気を薄くしようと試みる。
合コンの話が続いていたせいで、麦野の試みた話題転換も自然とそちらのコトに流れてしまったのが、浜面の運のつき。


「あーっと、そーいえば、霧ケ丘女学院のおねーさまはどうだったのさ」

「いやもう、すんばらしかったですっ!!!!!」


目をキラキラと輝かせて、浜面は熱烈な叫び声を一つ上げる。
幻想殺しを持つ上条と変わらぬほどの浜面の反射神経の良さが、今の場面では仇となってしまった。


「はーまづらぁ……。ちょーっと、いいかにゃーん?」

「……えっと、すごぉぉぉく嫌な予感がするのですが」


デザートをつついていたスプーンを静かにテーブルの上に置くと、麦野はゆらりとその場に立ち上がった。
麦野の後ろの方に照明があるため、麦野の表情は影となって浜面から読み取ることは出来ない。
ダラダラと流れてくる冷や汗を拭うことも忘れ、浜面はものすごく怖い顔をしてるであろう麦野をなんとか宥めすかせようと頭をフル回転させた。
が、すぐにそんな答えが見つかるはずもなかった。


(前言撤回、浜面オマエが合コンに行きたかっただけじゃねえかよ)


ポッポッポッ、と何処からともなく小さな光の玉が複数個麦野の周囲に出現する。
白く輝く玉の光が彼女の顔を映し出す。
どんな男でも虜にしそうな妖しげな笑みを浮かべた麦野は、弓形に曲がった口を歌うように動かした。


「―――死ねッ、クソ野郎」

「ちょっ!落ち着け麦野ォォオオオっ!!」


ドガガガガガガッ!!


学園都市が誇る超能力者の第四位、麦野死沈利の『原子崩し』がファミレス内で炸裂した。
694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 21:35:55.64 ID:atQsn5M0
麦野ん、ごめんなさい。麦野沈利だよね。死沈利ってなんでしょうね。
695 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 21:37:35.40 ID:GS3dJDoo
あながち間違ってないから困る
696 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 21:38:25.76 ID:1hX97aEo
あぁん!むぎのんぅぅうう!かわいようぅううペロペロ
697 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 22:48:23.39 ID:ozDARyko
今日はこれでお終いなのかえ?
698 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 23:09:54.84 ID:atQsn5M0


麦野の能力によって出現した白く輝く光線は、浜面の右手、股、足元に触れるか触れないかの位置ですりぬけた。
一瞬のことに身動きが取れなかった浜面だが、それが九死に一生を得る結果に繋がったのだから皮肉なものだ。
ごくり、と唾を呑んだ浜面はすっかり腰が抜けて茫然としている。


「………あ、あ、あ」

「滝壺傷つけたんだから、これくらいのお仕置きは当然の報いよ」



アワアワと口は動かすが上手く言葉を紡げないほどビビっている浜面を、フンッと麦野は鼻で笑った。
先ほど麦野が放った光線−正式名称、粒機波形高速砲−は、最低限までその威力を落とした微弱なものだった。
光線一つの太さは一センチ程。それでも直撃すれば大けがをするであろう代物。
もしもの時の事を考え、はじめから心臓や脳は座標から外していたが――、


(急所にかすりもしなかったことは少し残念ね、再起不能になりゃよかったものを)


世の中の男子諸君が聞いたら真っ青になる台詞を、心の中で堂々と吐く麦野。
女心をもてあそぶ奴は女の敵なのだから、成敗したって誰からも文句を言われる必要はない。
正義の前に、悪は散った。


「ちょろーっと器物破損しちゃってすいません。コレで弁償するんで、警備員には内緒でお願いしまーす♪」

「は、はいぃぃッ……!」


麦野は真っ白になった浜面を置き去りにして席を立つと、手近にいたウエイトレスに声をかけ、財布からだした偉く高級感が漂う黒いカードを手渡す。
ステンレス製のテーブル、安っぽいスチールのイスの背もたれ、コンクリートの床其々に一センチ程の穴が空いてしまった。
浜面をぶちのめしただけなのに、傷害罪、器物破損罪で警備員にしょっぴかれるのは御免だ。
「そのカードで使えるお金は全部使って」と超能力者らしい金の羽振りの良さを見せつけた麦野は、ファミレスのドアに手をかけた。


「あ、ありがとうございましたぁぁッ」


一部始終を見ていたウエイトレスも、現状をいまいち把握できずに、ただただ麦野を見送るしかできなかった。
カランカランとドアについているチャイムの音が空しく響く。
699 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 23:24:42.59 ID:atQsn5M0
ちょろっとコンビニへ逝ってきますノシ

>>697
今日は時間があるので3時くらいまでのんびりやりますよ。
700 :脳内妄想大爆発な設定ですが、ご勘弁頂けると幸いです。 [sage]:2010/05/15(土) 00:36:38.90 ID:t.CFiVY0

御坂と一方通行と別れた後、垣根は第七学区内に存在する、とあるファミレスへと足を向けていた。
デザートの豊富さが売りのそのファミレスは、麦野が友人たちと毎日のように通い詰めている行きつけの場所。
そこへ向かう前に麦野の通う学校へと行ってみたのだが、待てど暮らせど彼女の姿がみつからなかった。


(メール、無視されてら)


「これから一緒に飯でもどう?」とデートの誘いをメールでしたのだが麦野からの返信は無い。
デートの誘いが空回るのはいつものことだが、今回もがくりと肩を落としてしまう垣根だった。

垣根はが麦野の連絡先を知っているのは、麦野がわざわざ教えてくれたものではない。
超能力者たちには特別な教育課程が設けられており、年に数回、超能力者が複数人集まり合同の講義を受けることがある。
合同の講義がある時などの連絡網として、全員が互いの連絡先を把握している。それだけのこと。

合同の講義、といっても大まかに二つある。

一つは学園都市内にある研究機関への協力。
超能力者は能力の研究利益が遥かに大きいため、舞いこんでくる依頼も多いし、複数で協力することも稀にあるのだ。
「電子を操る」という能力の根本が同じ麦野や御坂は、電子操作系の応用を研究する施設に共同で継続敵に実験協力している。
能力で生体電流を操ることの出来る御坂や一方通行には、筋ジストロフィー関連の医療機関から協力の依頼が来ていたはずだし。
脳内の情報改竄の研究では、過去に一方通行と心理掌握が一緒に協力したケースもある。


「あーぁ、明日の身体検査の相手が麦野だったら良かったのぜ
 なんで俺が削板なんて暑苦しい奴とガチンコバトルしねえといけないんだか……」


そして、もう一つが年に数回行われる身体検査。
合同の講義、といえば圧倒的にこちらを指す場合が多い。
軍隊をも退ける力を持つ超能力者が全力を出して戦える相手は限られてくる。
身体検査において対能力者の公式戦を行わなくてはならない場合、よっぽどのことが無い限り超能力者は、他の超能力者と戦う。

残念なことに、垣根の明日の身体検査の相手は第七位の『ナンバーセブン』、削板軍覇が相手。
今回の身体検査は削板のため、という面が大きい。
未だに解明は進んでいない『原石』の力の動きをよく観察したいのだよ、と統括理事のお偉いさん談。
全力全開の削板の相手は疲れるだけだ、と垣根は面倒くさそうに眉をひそめる。


(一方通行がやりゃーいいんだよ)


アイツなら、とりあえず『反射』を設定して突っ立てるだけでいい。
削板という男は、銃弾が当たってもかすり傷つけない頑丈さが謳い文句男なのだから、自分の攻撃の『反射』で死ぬことはないだろ、と垣根は楽観的に考えた。
701 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 01:27:15.94 ID:nSmclDIo
お、来てるね未元崩し。期待期待。
702 :垣根→麦野の光景 [sage]:2010/05/15(土) 01:35:16.27 ID:t.CFiVY0
明日の身体検査を憂鬱に感じながら歩いていると、垣根の視界にはすでに目的地のファミレスが見えていた。
今度こそ麦野に会えるかもしれない、と考えるだけで垣根の心は踊り、先ほどの憂鬱な気分なんて彼方へ吹き飛んで行く。
垣根が横断歩道を渡りファミレスの入口前までたどり着いた時、丁度入口のドアが開き一人の女性が出てきた。


「麦野っ!」


垣根は求めてやまない少女、麦野沈利その人だった。
ウェーブのかかった亜麻色のロングヘア、どんな男も視線を釘付けにしてしまう魅惑的なスタイル。
三つボタンの黒のブレザーに灰色チェックのベストとスカートという制服姿が、より一層彼女の凹凸のハッキリした身体のラインを引き立たせる。
芸能人なんか霞んでみえるほど凛々しくも美しい麦野の顔立ちに、垣根は何度も見惚れたものだ。


「……ゲッ、何でアンタがここに居んのよ」

「そりゃあ、もちろん麦野に会いに決まってるだろ?」


切れ長の二重の瞳に彼をが映った途端、麦野は肩すかしを食らい項垂れた。
さっきまで浜面の相手をして今度は非常に面倒くさい垣根の相手をしなければならないのか、と麦野は自分の運の無さを嘆く。
今朝見てきたテレビの星座占いはトップだったのに。これだから非科学(オカルト)は駄目だと落胆した。


「こうやってタイミングよく出会えるなんて、やっぱ俺たちって運命の赤い糸で結ばれてんだな」

「うぜえから喋るな」

「照れてるのか? 拗ねる麦野も可愛いな。まぁ、俺はどんな麦野でも愛しているけど」

「キモいキモいキモいッ! 気味悪いこと言うな、さっさと目の前から失せろメルヘン野郎!」

「心配するな、麦野。自覚はある」

「余計にタチが悪いっ!!」


カッカッ、と垣根を無視するかのように足早に歩く麦野の後ろを、垣根はぴったりとくっついて歩く。そんな垣根の姿は、一方通行が揶揄した「金魚の糞」そのものだった。
麦野にどんなに煙たがられようが、無視されようが、睨みつけられようが、垣根はそれら全てを自分の良い様に捉えて嬉しそうに笑っている。


(メルヘンの上、ドМかよッ! うぜえ、ひたすらにうぜえ)


麦野が垣根に対して虫酸を走らせていた時、


(……ツンツンしてる麦野も可愛いよな。ってか麦野は何しても様になるから、ヤベェ)


垣根は麦野とじゃれあう(垣根は本気でそう思っている)喜びに浸っていた。
703 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 01:36:55.37 ID:FIYGsD6o
なにこのていとくんかわいい
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 01:38:48.96 ID:nSmclDIo
あら、ていとくんドMww
705 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 02:30:58.61 ID:t.CFiVY0

垣根は常に積極的に麦野にアプローチを続けている。
暇を見つけてはデートに誘い、プレゼントを贈り、積極的に麦野を追いかけまわしている。
麦野にとっては軽いスト―カーみたいなものなのだが、垣根はまったく気が付いていない。


(でも、それだけじゃ麦野は落ちないってのは痛感してる)


超難解物件、一方通行を落とした御坂は、「勢いでガンガンいってみたら上手くいった」と言っていた。
ここは超能力者への片思い見事に実らせた先輩に倣って、勢いに任せていつもより強気に責めてみようか、と垣根は拳を握る。


「いつも言ってるだろ? 俺は沈利のことが好きだって。いい加減、俺のものになれよ」

「黙れ、そして勝手に名前を呼ぶんじぇねえよ、クソが。いつ私が許可したよ、ェエッ?」


垣根の強気に責めるは、勇気を出して麦野の下の名前を呼んでみる。浜面も同様に、垣根も『類は友を呼ぶ輩』だった。
白髪の友人に偉そうなことを言っておいて、いざ自分の番となると少し躊躇する姿は情けないことこの上ない。
普段は他人が引いてしまうくらい「イケイケゴーゴー」状態で麦野に迫るのに、変な所で垣根は純真だった。
「まだ名前呼びが恥ずかしいなら、残念だけど今日は我慢するか」と余裕のある男を演出しているが、その瞳には微かに涙が浮かんでいる。

しかし、どうしても譲れないこともあるため、垣根は麦野に反論した。


「告白の返事聞くまで、俺は黙らねえよ」

「我慢って何様なの、アンタ。何度言ったら分かる訳、散々アンタには『ノー』って言ったはずよ」

「麦野は何もわかってねえな。俺は、俺様だよ。
 だから俺はお前からの返事は『はい』か『イエス』、若しくは『ウィ』しか受け取らねえ」


垣根の提示した選択肢には「交際する」の一択しか用意されていない。
麦野には垣根と付き合う自由もあれば、付き合わない自由もあるはずなのに、垣根はそれをガン無視している。
どこまでもポジティブシンキングな垣根に、麦野の堪忍袋の緒がブチリとキレた。
706 :垣根→麦野の光景 [sage]:2010/05/15(土) 02:34:56.95 ID:t.CFiVY0


「ふ・ざ・け・ん・なァァアアアッッ!!!」


麦野は素早く周囲を確認する。大通りを挿んだ向かい側に人影は見えるが、こちら側の歩道には誰もいない。
ただっ広い歩道には木々が規則正しく並んでおり、そびえ立つビル群はある程度頑丈そうだ。
目の前のムカつく野郎その二は第二位の超能力者。
ファミレスの時ほどの繊細な能力の調整は必要ない、と麦野は判断を下す。


「テメエこそいい加減諦めろよ、ゴミクズストーカーァァァッッ!!!!」

「――ッ!」


浜面の時のように、わざわざ『溜め』なんかしてやらない。垣根に手加減なんて無意味だからだ。
全身全霊の怒りを込めて、高速で駆けていく白く輝く光線を垣根に向かって放出した。
垣根に触れる手前で光線は無理やり折れ曲がり、天高くうち上がった。
『未元物質』によって歪められた垣根の世界では、常識に基づいた麦野の粒機波形高速砲は通用しない。


「っと、危ねえ。お手柔らかに頼むぜ、麦野。俺だから大丈夫だけど、他の奴には無暗にうちまくるなよー。
 オマエが俺と激しい揉み合いをしたいってんなら喜んで付き合ってやるぜ? どちらかと言えば、ベットの上だと俺としては有難いがな」


同じ超能力者でも、第二位の『未元物質』と第四位の『原子崩し』では圧倒的な力の差が存在する。
絶対的な破壊力を生み出す麦野の能力を受けながらも、垣根は顔色一つ変えない。
むしろ、身体検査の相手が麦野じゃない、と絶望していたのに、麦野のほうから構ってきてくれた! と有頂天になる始末。


「この世のに塵一つ残さず滅びろ、『未元物質』さんよぉぉ!!」

「おイタをする子猫ちゃんには躾が必要だな、『原子崩し』ちゃん?」

「いちいち行動がキメェんだよ、ナルシスト!!」


ウインクつきで返事をする垣根の姿が麦野の苛立ちを助長した。
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 02:47:43.41 ID:t.CFiVY0
今日はここまでです。
やっと、垣根→麦野の部分を書けました。
第一位ヘタレ、第二位がアホの子ならば、
第三位は男前、第四位はキレると怖いお姉様っぽいイメージです。
みんな結構仲良し、合同の研究協力、超能力者同士の身体検査など、
自分だけ得設定が盛りだくさんで、書いてて楽しいです。

コメント等嬉しかったです。感謝です。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

最近すこし多忙になりつつありまして、投下の間隔は3〜4日に一度くらいになるかと思います。
また次回もお付き合い頂けると幸いです。
708 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 02:49:43.38 ID:wFzs6b.o
乙!!
次回も期待してる!
709 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 12:54:28.36 ID:nSmclDIo
乙! まってるぜ。
710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:40:39.40 ID:ZNZO/2oo
支援 長すぎる・・・
>>400あたりまで読んだ








続きも読むけど
711 :垣根→麦野の光景(ちょこっと投下します2レス分) [sage]:2010/05/17(月) 00:35:40.98 ID:22o.KyM0

三対の翼を展開させ、垣根は上空へと舞いあがった。
地上から容赦なく打ち込まれてくる粒機波形高速砲を、時に翼で薙ぎ払い、時に殺人光線へと変えた太陽光で相[ピーーー]る。


「チッ、垣根ェエエッ! オマエは大人しく的に成ってろってぇーのッ!!」


麦野の瞳が真っ直ぐに注がれる。
少し高めの透き通った声が垣根の名を口ずさむ。
口角を弓形に曲げ妖美に誘うように麦野が笑いかけてくる。

そして、何もかもを融解する一筋の白く輝く光線が、途切れなく空高く駆けていく。


(――――あの光線に焼きつくされたら、俺はどうなるんだろうな)


一瞬、垣根の心が揺らめき、情念に身が焦がされる。
麦野の破壊的で、衝動的で、激情的な誘惑に、垣根はすっかり虜になって彼の思考回路は鈍る。
命を削り合うような激しいぶつかり合いに熱中し、怒りの炎をあげる麦野から垣根はずっと目が離せずにいたが、


「ひぁっ!?」

「――ッ」


突如発せられた麦野の気の抜けた悲鳴が聞こえ、どこかに飛んでいた垣根の意識がハッと戻ってくる。
712 :垣根→麦野の光景 [sage]:2010/05/17(月) 00:44:42.23 ID:22o.KyM0


「つっめたぁ……っ」


垣根が察するに、あちこちが破壊された歩道の上に立ちつくす麦野に、沈没した車道のから噴水のように湧き上がった水しぶきが直撃したらしい。
ふわゆわウェーブのロングヘアがへにゃりと崩れ、黒と灰色を基調としたシックなブレザーの制服は水気を存分に吸って重そうだ。


「……最悪。最悪、最悪、超最悪ッ!」


麦野はブツブツと文句を言いながら、水飛沫が当たらないようにビルとビルの間にある路地裏に瞬時に移動した。


(水も滴る良い女……)


水浸しの麦野の姿の案外そそるものがあるな、と垣根は男子高校生らしい率直な感想を胸に抱きつつ、目を細め改めて景色を一望した。
縦横無尽に亀裂が走り所々陥没している車道、根こそぎなぎ倒された街路樹。
衝撃波に耐えられずビル群の窓ガラスは粉々に砕け、その鋭利な破片が辺り一帯に散らばった。
車道にできた大きなクレーターの一つから噴水のように水が勢いよく噴き出している。


(水道管でもぶち壊したか。…………流石にやりすぎ、か?)


三対の翼をゆっくりと羽ばたかせながら、垣根はばつが悪そうに頭を掻く。


(いや、麦野が真正面から構ってくれるのとか、すげえ久々だったからさぁ)

見晴らしもきき、人影も少ない。
多少の騒ぎを起こしても大丈夫だろうと高を括って麦野は垣根に仕掛けた。
麦野に夢中だった垣根は、そんなことすら考えずに仕掛けられた喧嘩を買った。
互いに学園都市二三○万人の頂点、七人しかいない超能力者。そんな両者が正面からぶつかり合えば、注意に与える被害など尋常ではなくなるのが当たり前だ。
麦野が相手してくれる嬉しさで大ハッスルしていた垣根は、普段なら簡単に考え付く『出来るだけ被害を食い留めよう』という配慮が、すっかり頭の片隅から消し去っていた。
713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 17:42:55.81 ID:fjEZLYAO
保守
714 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 20:43:34.78 ID:ys4Xiugo
>>713
[ピーーー]よ荒らし
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 21:12:49.70 ID:fjEZLYAO
荒らしに反応するのも荒らしだからスルーしろよ
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 21:13:18.28 ID:fjEZLYAO
一様誤解がないように言っておくが俺は違うからな
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 21:50:34.80 ID:ys4Xiugo
だって荒らしだろお前
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 22:03:37.90 ID:wqMTEIA0
>>716
それはツッコミ待ちなのか?
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 00:08:45.82 ID:5pYaWIAO
よくわからん俺に産業で
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 14:51:43.13 ID:T6yxi.Ao
復活したのか

そろそろ来るかな
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:58:52.11 ID:uqOSEfQ0
浜滝キターwwktkしてたら、未元崩しもありだとォォオオ! 超、ありがとうなんだよっ! 超ニヤけてけた。未元崩し好きよもっと増えろぉぉ!!
はいむらー神よ、ありがとうございますありがとうございます。萌え死にました。妄想ひろがりんぐ

こんばんは。いつもお世話になっております。
今日はマジで書き溜めすら無いので、いつも以上に亀ですがお付き合い願いますでしょうか。
休憩はさみつつ8時から2時くらいまで?
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 19:00:32.73 ID:gh6VZCUo
>>721
了解 待ってる
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 20:05:27.49 ID:uqOSEfQ0

麦野が身を隠した路地裏に垣根はゆっくりと降り立つ。
ずっと奥まで続いている細い路地裏で、麦野はビルの壁に背を委ねてハンカチで髪を拭っていた。
翼の形にした『未元物質』は狭い場所では邪魔にしかならない。背に生やした三対の翼が消失する一瞬、パッと羽根が飛び散るような淡い光が周囲に広がる。


「もぅ、最悪。マジ、完璧に萎えた……」


突然のトラブルに麦野は完全に[ピーーー]気を削がれ、眉はへの字に曲がり、ほんの少し頬を膨らませて不機嫌そうにしている。
小さなハンカチだけでは頭から浴びせられた水を取り払えきれないようで、水気を帯びた髪からポタポタと滴が垂れた。


「もう、拭いても拭いてもきりがない」


近づいてくる靴音が聞こえ、麦野は気だるそうにに視線を動かした。


「あぁ? 垣根、なんで居んの?」

「ぅぉッ!?」


流し目気味で視線を向けてきた麦野と垣根の視線が、カチリ、と絡み合う。
刹那、垣根が大きく目を見開く。呆けた声を漏らしながら、ほんのりと頬を染めた垣根は耐えきれずにさっと顔を背けた。
堪え切れずに、ごくりっと喉を鳴らす。


「――まぁ、いいわ。なんか一気に色んなもんが失せた。もう疲れたし、私に構うな」


垣根の変化に気がつくこともなく、麦野は興味なさげにぶっきらぼうに言葉を発した。
頭をたらし伏せた瞳が落ち着きなく右へ左へと動く。垣根は赤く染まった頬を麦野に見られたくなくて、片手で口元を覆った。

 
(ヤバい。ヤバいヤバいヤバいヤバいぃっ!!)


小さな罪悪感がむずむずと垣根の心に湧きあがる。
しかし、それ以上に官能的な場面に出くわしてしまった衝撃が、身体中を駆け巡っていた。
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/19(水) 20:07:57.86 ID:uqOSEfQ0
うへぁ。前回と良い今回といいsagaにするの忘れてた……

○時に殺人光線へと変えた太陽光で相殺する。
○突然のトラブルに麦野は完全に殺る気を削がれ、
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/19(水) 20:24:31.15 ID:uqOSEfQ0


「ちょっと聞いてんの?」

「……」

「無視すんな。―――て、なに呆けてんだよ。帝督くぅん? メルヘンの世界にでも飛んでっちゃったんでちゅかぁー?」


何度、声をかけても無反応は垣根に、麦野は嘲笑うように赤ちゃん言葉で語りかける。


(凄いものを、見てしまった……)


心臓がバクバクと高鳴る垣根に、麦野に構う余裕なんて無い。
上空で遠目で見た時も、水も滴る麦野の姿はそそるな、と思ったが、こうやって近くでまじまじと見るとその破壊力があまりにも凄すぎた。

水気を帯びた髪は束となり、麦野の顔や首筋にべったりと絡みつく。
麦野は重たい黒いブレザーを脱いでいて、半そでワイシャツからすらっと顔だした二の腕がやけに白く見えた。
ポタポタとこぼれる滴が短いチェックのスカートから露わになっている太ももへと垂れ、すーっと足をつたって地面へと落ちていく。
気だるそうな伏し目がちの瞳が、余計に麦野の色香を際立たせている。
湿った半開き口元がなんだかもの欲しそうに、見えてしまう。

彼女から醸し出される妖艶な女の魅力は、あまりにも年相応ではない。
しかし、身につける高校の制服が彼女の実年齢を克明に真実を告げてくる。
そんなギャップも、より一層垣根の情火を焼いた。


(ヤバいって、ヤバいって! 〜〜コレ以上近づいたら、)


コレ以上不用意に近づいてしまったら、極上の砂糖菓子の如く甘そうな彼女に、


―――見境なく、飛びついてしまいそうだ。


726 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/19(水) 21:12:46.71 ID:uqOSEfQ0
麦野がゴキブリを見るような目で蔑んでも、嬉しそうに麦野の後をつけて回る垣根が、今は下を向いたまま、押し黙るばかり。


(……は? なに、コイツ)


無意味に堂々と自慢げに胸を張っている男は何処にいってしまったのか。
微妙に離れている二人の距離が境界線となり、麦野も気軽に垣根の方へと近づけない。
さっきまで麦野に構えてもらえて楽しい、と全身で麦野をイラつかせるオーラを垣根は漂わせていたというのに。


(この急な変わりようはなんなのよ。普通についていけてないんですけど、私)


垣根は己の手のひらで顔の下半分を隠しているため、どんな表情をしているのか麦野には分からない。
くせっ毛で毎朝のブローに命をかけている麦野にはいっそ憎たらしくも思えるほど、サラサラな垣根の髪。
そんな前髪からのぞく彼の眉は、苦しそうにしかめられている。

まるで、無理やり何かを抑え込むような、そんな苦渋。

天使のような翼を発現させるメルヘンな能力を有する垣根のこと。
本当に脳髄までメルヘン漬けにでもなってしまったのかもしれない、と麦野は考えた。


「……ねぇ、返事しないけどさ。大丈夫なの? 調子よくないなら、病院でも行く?」


いきなり意味不明な行動にでた垣根の姿がいつも以上に気味悪いと思う反面、
垣根は(主に頭の)具合が悪いのかもしれないと心配になった麦野は、近寄りがたい垣根の雰囲気を無視して、彼の元へと一歩近づいた。


(自分だけの現実(パーソナリティ)が強くなりすぎたことが原因なら、研究機関のほうが良いのかしら)


垣根帝督という男を麦野は好きでない。
むしろ、虫唾が走るほど嫌悪を感じる。
生理的に受け付けない、という表現が一番しっくりくる。


(まぁ、でも。なんだかんだ言って『超能力者』仲間だし)


幼い頃からの超能力者として才能を開花させた者同士。顔を合せるようになってからの月日は長い。
超能力者だからこその苦悩、重圧を分かち合うことのできる数少ない『腐れ縁』。


「―――いつも以上に変な行動とられると、私の調子まで狂うのよ」


垣根提督というの男も、麦野を構築する世界には居ないと困る存在なのだが。
彼女本人は、そのことにまだ気が付いていない。
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/19(水) 21:55:04.01 ID:uqOSEfQ0


「アンタ本当に大丈夫? 脳細胞死んでたりしない?」


垣根が精一杯の所で踏みとどまっていた境界線を、麦野はあっさりと踏みつぶして近づいてくる。
麦野が歩みを進めるごとに、心臓が脈を刻むスピードが増す。
バクバクバクッ、と欠如している酸素を必死に全身に運ぶが、垣根の脳までは届かない。
誘うような麦野の甘い匂いが鼻を擽り、くらくらと眩暈がして倒れそうになる。

指先が震える。
足が動きそうになる。

垣根の限界は、すぐそこまで近づいていた。
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/19(水) 21:56:15.07 ID:uqOSEfQ0

「ねぇってば!」


煙で汚れたアスファルトと、自分の足しか見えていなかった視界に麦野が割り込んでくる。
垣根のすぐ目の前に麦野は居た。すぐ手を伸ばせば、抱きしめることのできる、そんな距離。
一八〇を超すほど大柄な垣根の顔を見るためには、どうしても麦野は上目づかいになってしまう。

一方通行、鼻で笑って悪かった、と垣根は現実逃避気味に、謝罪の言葉を胸に抱いた。


(正直、上目づかいの破壊力を舐めてました、俺)


嫌でも、再び麦野と視線が絡みあってしまう。
こんなに間近で麦野と正面から見つめあったことなんて、長い片思い生活の中で無かった。


(―――麦野、可愛い)


麦野って、こんなにまつ毛が長かったんだな。
切れ長だと思っていた瞳も、近くで見るとアーモンド形で猫の目みたいだ。
すっと通った鼻筋は彫刻みたいに綺麗だし、いつも弓形に歪める口元はうっすらとした桜色。
桃色を好む麦野によく似合う色だ――、と垣根は目を細めた。


「ちょっとぉ、垣根ってば! 耳の鼓膜でもぶち破れたぁ?」


まったく返事をかえさない垣根に業を煮やした麦野は、こてっと首を横に傾げた。
相変わらず見た目とは似つかない乱暴な口調でしゃべるくせに、上目づかいのまま首をかしげる姿は、何とも愛らしい。
そこまで耐えて、垣根の限界は、破られた。


ブチッ。


「…………悪い、麦野」

「えっ?」

「もう、無理。限界」

「はあ? ちょ、えっ、なに言って――」

「俺、お前が欲しくてたまらねえ」


脳みその血管が切れたような音が聞こえて、垣根は耐えることも考えることも、放棄した。
欲しいものは、目の前に。手が届く場所に、居るのだから―――迷わずに手に入れてしまえばいい。
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 21:57:44.26 ID:uqOSEfQ0
ここいらで一旦休憩しますノシ
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 22:04:55.21 ID:xHpTHC.0
なん・・・だと
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 22:40:24.69 ID:Kng.J6AO
生殺しヾ(;´Д`●)ノ
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 22:55:40.89 ID:FpmhvYSO
一旦ってどのくらい?
一時間?一日?
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 23:09:50.93 ID:iMWPau2o
うおおおおおお
734 :ゲロ甘ってさ、さらに遅筆になってしまうんだ orz [saga]:2010/05/19(水) 23:52:28.43 ID:uqOSEfQ0

具合が悪そうな垣根なんてほっといてしまえばよかったのだ、と麦野は悔いた。
せっかく星座占いトップだと幸せな気分ではじまった一日なのに、今日はついていないことばかりだ。


「んん…っ!」


垣根のことを心配していたから、麦野は一瞬のことに反応することが出来なかった。
ずっと押し黙っていた垣根が顔をあげてようやくまともに口を開いたかと思った時には、垣根の腕の中に居た。
「悪い」と謝っておきながら、迷いなく麦野の小さな唇へとがっついた垣根の行動はあまりも矛盾している。


「……っは、ゃめ」

「無理」

「はぁ!? ちょ、待っ」

「待たねえ」

「ゃ、ふっ……、ん」


やっと離れたと思ったら角度を変えて再び垣根の唇が押し付けられる。
バードキス、なんて甘ったるいものじゃない。
麦野の声に一切耳を貸さない垣根は、彼女の唇を力づくでこじ開け口内に舌を捻じ込む。
歯列を丹念になぞり、逃げるように奥へと逃げ込む麦野の舌を強引に絡めとる。
すっかり麦野に酔わされてしまった垣根は己の欲望のまま、麦野の全てを喰い尽さんばかりに小さな口内を犯した。
735 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/20(木) 00:02:33.79 ID:DItSi9o0


(腰、細えな)


やっと腕の中に閉じ込めた彼女を逃してしまわないように、麦野の腰に回した腕の力を更に強める。
気付かれないようにうっすらと目を開けば、零の距離に麦野の顔だけが、垣根の視界に広がる全て。
息が出来ずに苦しいのか、口付けの快感に悶えているのか。ぎゅっと閉じられた麦野の目じりに微かに涙が浮かんでいる。
首元まで赤く染め耐えるように眉間に皺を寄せながら小刻みに身体を震わせる麦野が可愛くて、より一層、垣根の中で愛しさが増す。


(麻痺、しそうだ……、いや、もうしてるか)


自分の身体で覆いかぶさるようにして、すす汚れたビルの壁に麦野を縫いつける。
右腕で麦野の腰を抱きしめ、左手は麦野の後頭部に沿え、「イヤイヤ」と首を振ろうとする麦野の頭を固定した。


「……ん、ぁ。ぃゃ…!」

「麦野、可愛い」

「そんな、の。しらな……、ふ、ぅんっ」

「麦野、麦野」

「か、っきねぇ……、んっ、だめぇ」


どうしても耐えきれずに漏れていく麦野の声だけが、人影の異様に少ない路地裏に反響する。
ダイレクトに帰ってくる自分の声が信じられなくて、麦野は眩暈がする気分だった。


(信じらんない、信じらないっ! 馬鹿、阿保、変態垣根ェェェエエエッ!)


頭の中で、麦野は考えるつく限りの暴言を垣根にぶつける。
勝手に口内を動き回る垣根の下を噛み切ってやれば、こんな意味不明な喜劇、すぐに幕を締めることが出来る。
しかし、垣根の強烈な求愛に麦野は戸惑い、為すがままにされるしかなかった。
こんな場面で、麦野が垣根に反抗するのはほぼ不可能なのだ。どうやったって、出来るはずがない。


(キスだって、したことなかったのに……っ!)


何もできない自分があまりにも悔しくて、好きでもない垣根に良いようにされて。
十代の少女らしく、蜂蜜のような甘いファーストキスにあこがれていた麦野のささやかな夢はいとも容易く壊された。

736 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:28:26.92 ID:DItSi9o0
チョコという名の砂糖大量摂取で頑張ったんだけど、らぶい場面は手が止まってしまう。
今日は早いけどここまででお許しくださいぃ…… orz
生殺しはしてない、はず。垣根がアホの子すぎて、ノンストップです、どうしてこうな(ry
電磁通行まで行きたかったけど、それはまた次回ということで。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
コメント等嬉しいです。励みになります。感謝感謝です。
次もまたお付き合いいただけると幸いです。
737 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:36:14.50 ID:pcsvZcAO
生殺し過ぎるぜ・・・
738 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:38:49.02 ID:GRRoDZMo
なんてところで止めるのだ・・・!!
739 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:45:54.93 ID:InopHcEo
乙!
740 :また生殺しとかすんません、申し訳なくてちょっとでも書いたの(と、こっそり1レス投下) [sage]:2010/05/20(木) 03:01:31.49 ID:DItSi9o0

止まることを知らない垣根の口付けは、麦野にまともな呼吸をする暇さえ与えない。
「より深く、より奥へ」と喉の渇きを潤す様に垣根が角度を変える時だけ、麦野は声を漏らすと同時に息を吐くことが許された。


(息、苦しぃ……っ!)


酸素が足りない。頭がクラクラとして痛い。
ぼんやりと霞む意識の中、麦野はなんとか踏ん張って垣根に意思表示を試みる。
力が入らない手で、垣根の胸を叩いた。数度叩くと、無我夢中になっていた垣根も流石に気がついようだ。
ようやく、麦野は垣根の気の遠くなるような長い接吻から解放された。


「……がっつきすぎ、最低。[ピーーー]クソ垣根」

「死にたくはないな。せっかく、麦野とキスしてるのに」


十分すぎるほど口付けを交わしたはずなのに、垣根は「まだ物足りない」と言いたげに麦野の頬に唇を寄せる。
チュッ、と肌を吸うような音が聞こえて、麦野は更にカッと頬を赤く染めた。
舌と唾液が絡み合うキスより、垣根の甘えてくる、頬ずりのようなキスのほうが、麦野には生々しく感じられた。


「なあ、麦野」


後頭部に回していた手を頬へと麦野の頬へと動かす。
垣根は麦野の輪郭に沿って這うよう麦野の顔を右手で包み込み、こつん、と己のおでこを麦野のおでこにくっ付ける。


「…………な、によ」


荒い息を整えながら、キッと垣根を睨みつける麦野。
どうにかして、この変態に一泡も二泡もふかせてやりたいのだが、どうも調子が狂って上手くいかない。


「俺、麦野のこと、すげえ、好き」


ゆっくりと、一言一言区切りながら、垣根は溢れだす想いを紡いだ。
彼女に惹かれてから、彼女に恋をしてから。何度となく伝えてきた言葉だが、いつまでも垣根は言い慣れない。
麦野の新しい一面を発見するたびに、垣根はまた麦野に恋をする。愛しい人への想いは募るばかりだ。


(俺、麦野とキス、したんだよな。…………やっぱ、照れくさいな)


毎日麦野に恋をし続ける垣根は、麦野にぺたりとくっつけたおでこを擦って、今になって湧きあがってきた恥ずかしさを紛らわせた。
741 :ちょっと筆が進む。ごめんなさい次の投下予定がマジでたてられないので、もう少し投下。 [sage]:2010/05/20(木) 04:03:25.60 ID:DItSi9o0
麦野はおでこを擦りつけてくる垣根を、少しだけ、ほんの少しだけ、可愛いと思ってしまった。


(……、なんでこうなったのかしら)


今、垣根に囁かれた愛の言葉は、何度も聞いてきた中でも一番真摯なものだった。
麦野の後ろをヘラヘラと笑って付きまとい、バーゲンセールのように安売りの如く言われてきた「好き」という言葉。


(確かに、可愛いとは思うけど……)


ズシン、と心に来る"何か"が無い。
ああ、コイツ私のこと好きなんだなと理解できても、麦野の心に響いてこない。


「…………、なんか違うのよ」


麦野は直感的に、違う、と思った。


(垣根じゃ、ない。違う。なんか、違う)


歯車がうまくかみ合わないような違和感が、麦野の背筋を寒くさせる。

垣根とキスをした――違う、そうじゃない。
垣根と抱き合っている――違う、望んでなんかいなかった。
私を好きだというのが垣根――違う、私は垣根を好きじゃない。

違和感の原因を知りたいという欲求、知りたくないという恐怖。二つの感情に板ばさみになった麦野の指先が、頼りなさそうに震える。
淡い桃色のジェルネイルで綺麗にコーティングされた爪が、カチカチとブツかって音が鳴る。


『ほら、ピンクといったらさ、滝壺のジャージを思い出すんだよ。
 滝壺はもちろん似合うけどさ、案外、お前も似合うかもしんねえな、ピンク』


いつだったか、金髪の男が何気なく言った言葉が、急に麦野の脳裏に浮かんできた。
742 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 04:07:05.83 ID:DItSi9o0

『はぁ? なにそれ。滝壺のついでのようにいうなよ』

『いやいや、別についでって訳じゃねえよ。普通に、似合いそうだなって思っただけだよ』

『あ、そ』

『うっわ、なに、その人を小馬鹿にした態度』

『べっつに〜? アンタのへんなセンスで言われてもな、と思っただけ』

『……オマエ、可愛くねえ』

『お黙り、駄犬』


たいして嬉しくない、という態度をとった麦野だったけれど、その日からピンクのものを着飾るようになった。
桜色の色つきリップ、淡い桃色のジェルネイル、少し濃いめのピンクのワンピース。
金髪の男が似合うと言ってくれた色が、いつのまにか、麦野の一番好きな色になっていた。


『ほらみろ、やっぱ似合うじゃねえかよ! 俺のセンスも馬鹿にできねえじゃん』


ソレ見たことか、とピンクをまとった麦野を見た金髪の男が出した、乱暴な言葉。


(……けど、)


そんな乱暴な言葉に、自然と麦野の心は羽根が生えたように軽くなり、満ちたりた気分になった。
743 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 04:08:42.89 ID:DItSi9o0


(――――あぁ、そっか。そういうこと、……なのか)


唐突に、"何が"足りないのか、何が違うのか麦野は理解する。


「ゴメン、垣根。違うんだわ」

「違うって、何が?」


未だに熱から醒めない垣根は、幸せにまどろみながら麦野の話に耳を傾ける。


「本当に、ゴメン。垣根」


真摯に、答えを返さなくては、と麦野は射抜きように垣根の顔を見た。
ちゃんと言わないと、この男には伝わらない。麦野の本気が、伝わらない。


「私がさ、キスしたいって思うのは、垣根じゃない」


噛みつくようなキスも、頬ずりのようなキスも。垣根からではなく、麦野は"違う"人から与えられたかった。


「私にはさ、他に、好きな人がいる――みたい」


自分すらたったうま気付かされた真実を、麦野も戸惑い気味に口する。

ピンクが似合うと言ってくれた金髪の男が、
大事な彼女に嫌われたかもしれない、と情けなく麦野に頼って来た図体だけが無駄にデカイ不良少年が、
滝壺理后という少女の隣で、白い歯をのぞかせてにんまりと笑う浜面仕上、という人間が、


「―――私が好きなのは、ソイツ、なんだわ」


麦野沈利の心をいつの間にか掻っ攫っていった。


だから、アンタの気持ちにはやっぱり答えられないから、―――――ごめん、と麦野は呟いた。
744 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 07:08:05.26 ID:TqwrJb.0
て、ていとくゥゥゥゥン!
745 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 07:11:57.78 ID:p42ThEgo
ていとく発狂してむぎのんを襲うもセロリが通りかかって助ける

一方通行にむぎのんが惚れる

以下むぎのん×一方通行
746 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 14:23:37.50 ID:T9aORwAO
なんということでしょう
747 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害(少し投下 [sage]:2010/05/21(金) 13:40:27.30 ID:f2.TM5M0

「特に手伝うことはない」と御坂に言われてしまった一方通行は、手持無沙汰な様子でソファーに腰掛けていた。
目ぼしいテレビ番組でもないものかと、適当にリモコンを操作するがどれもこれも変わり映えない内容ばかり。
ソファーの前にある折り畳み式のテーブルの上に置かれていた携帯電話を手に取り、液晶画面を覗き込む。
一方通行の部屋には『時計』というものがなく、時間の確認はいつも携帯電話で済ます習慣がついていた。

現在の時刻は『PM 6:14』。ゴールデンタイムにはまだ早い。


(この時間帯だと、ニュースかワイドショーくらいしかやってねェか)


第7学区の話題を中心に扱うニュース番組にチャンネルを合わせると、一方通行は携帯電話とリモコンをテーブルの上に放り投げて寝ころんだ。
御坂の料理が出てくるまで、テレビを見ることくらいしか、一方通行の部屋には時間をつぶす手段がない。


(暇、だなァ……)


音楽を聴くための機器もなければ、ゲームの類も一切置いていない。
一方通行の部屋にあるのは必要最低限の物だけ。
殺風景な部屋をみて、この間ズケズケと遊びに来た土御門や海原光貴が、
『何もないんだぜい……』『これほどものがないというのも、逆に珍しいですね』と好き勝手言っていたのを思い出す。


「――――つい1時間ほど前、この大通りで大規模な能力者同士のいざこざがあった模様です――――」


テレビから今日のニュースの伝えるキャスター声が流れてくる。
いつもと変わり映えのないありきたりなニュースだ。

二三〇万人が暮らす学園都市はけっして治安の良い場所とは言えない。
学園都市で暮らしている人間のほとんどは善悪の判別が曖昧な未成年であり、強度(レベル)の大小あれどほぼ全員が何らかの能力を有している街だ。
力を持つ子供数が多いとなれば非行に走る少年少女も比例して増す訳で、学園都市の路地裏はちょっとした無法地帯になっている。


「――――なお、周囲に与えた被害から考えると、少なくと強能力以上の能力者同士の喧嘩ではないかと――――」


ふぁっ、と一方通行は欠伸を噛み殺した。
キャスターの凛々しい声よりも、トントントン、と台所から聞こえてくる包丁の音のほうに自然と耳が傾く。
自分のために料理を作ってくれている御坂、料理が作られるのをまったりと待っている自分。
春先から"当たり前"になったこの光景を、一歩通行はむず痒く感じながら、そのぬるま湯のような暖かさが眠気を誘う。

748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 13:41:05.53 ID:EM1DToAO
支援
749 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害(少し投下 [sage]:2010/05/21(金) 13:45:27.52 ID:f2.TM5M0

「ねぇ、一方通行ァ。もうすぐご飯できるから、お箸とお皿並べて置いて。……ってアレ?」

「…………すゥー」


八畳ほどの部屋と台所の仕切りとなっている暖簾を片手で上げ御坂が顔をだす。
声をかけたはずの相手は、自分の腕を枕代わりに背中を丸めソファーの上で気持ち良さそうに寝息をたてていた。


「寝ちゃってる……」

「……」

「一方通行、ご飯出来るよ。食べないの?」


御坂は一方通行の肩を軽く動かすが、夢の世界に行ってしまった彼から反応は返ってこなった。
繚乱家政学校に通う友人の土御門舞夏から教えてもらった、秘伝のクリームシチューが冷めてしまう。
しかし、小さな寝息をたてて静かに眠る一方通行を無理やり起こすのは御坂にはなんだか忍びなく思えた。


(あーぁ、憎たらしいくらい美人な寝顔ですこと)


眉間の皺、眼光の鋭い目は何処にもない。
天使のような寝顔は美しく見惚れてしまうほおどだけど、本人にソレを言ったら舌打ちされるだけなので言わないが。


「くぅー、相変わらずシミ一つない綺麗な肌だわー……」


白い肌、白い髪。神話に出てくる聖なる少女のように、美しい男。
狂ったように日焼け止めを塗り、毎週のようにトリートメントをかかさない御坂でも、正直「負けた」と思うことが多々ある。
陶器のように白い一方通行の瑞々しい肌は、女の子の理想の肌そのもの。


「気の抜けた顔で寝ちゃって、学園都市第一位の威厳はどこにいったんですかー?」


御坂は一方通行の傍まで近づくと、そのまま少年に寄り添うように床に腰を下ろした。
顔を寄せると、一方通行がすぅっと吐いた寝息が御坂の前髪を小さく揺らした。


(かわいい、なーんて言ったら頭叩れそう)
750 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害 [sage]:2010/05/21(金) 13:57:25.73 ID:f2.TM5M0
人に対して警戒心、敵対心ばかり抱いてしまう一方通行が、こうして安心しきった表情で御坂の前で眠っている。


(気を許してもらえてるってこと、よね?)


眉をしかめつつ、御坂が近くにいることを嫌がらないとか、
「美味しい」とは言わないけど、御坂が作った料理を残さず完食するとか、
一方通行の無自覚な行動や仕草から感じ取れる愛情は、例をあげたらきりがない、と御坂はくすっと笑った。

不器用な少年が愛しくてたまらない。

御坂はついつい人差指で一方通行の頬をツンツンと突つく。
思いのほか柔らかい頬の弾力に、御坂はにんまりと口角をあげた。


「ねぇ。アンタさ、気がついてんの?」


今、御坂に『反射』がきいていないことに、彼は気付いているだろうか。
付き合うようになってから、何度彼に腕を絡め、抱きついたかなんて御坂にも数えきれない。
一方通行の死角から――たとえば背中から――、突然抱きついても、反射の膜に跳ね返されたことは、一度として、ない。

御坂が手を伸ばせば、いつだって、一方通行に触れることができる。
751 :ここまで。夜にまた少し投下できるはず [sage]:2010/05/21(金) 13:59:07.06 ID:f2.TM5M0


「反射の設定に『私』を除外してるのは、なんで?」


ふにふにと、柔らかい頬の感触を楽しみながら、御坂は幸せそうな笑顔で答が返ってこない質問を続けた。

御坂美琴なら、反射をしなくても、拒絶の膜をはらなくても、一方通行を傷つけることはない。

そんな絶対的な信頼を、自分は少年から寄せてもらえているのだろうか。
そうだったらいいなと御坂は願う反面、やはり本人から言ってもらわないと分からない事柄だとため息をつく。


「言葉にさ、してもらわないと分かんないこともあるんだからなー」


ふにふに、ふにふに。


「垣根さんみたく、言いまくれともいわなけどさぁー」


ふにふに。


「…………たまには、言葉にしてくんなきゃ、」


ふに…。


(――――私だって、不安になるんだから…………この、馬鹿)

752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 22:45:51.30 ID:r7KzpAAO
ふにふに支援
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 03:08:21.12 ID:xGLN7Hwo
もう夜が明けそうだ
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 07:04:49.31 ID:X8YsjJg0
更新まってるぜぃ

ところで、この世界の海原は本物?偽者?
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 13:02:38.11 ID:CL0euPs0
エツァリという名の海原(キリッ
みんな暗部落ちしてないけど、暗部はあると思うのよな。
昨日はABを見て寝オチしてました orz 申し訳ないです。夕方くらいちょこっとから再開します。
木原くんに罵倒されて、ステイルに甘やかされる妄想しながら書くぜー。
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 19:52:33.88 ID:CL0euPs0


「…………面倒くせェ女だな、オマエ」


頬を突いていた御坂の右手が突然、ガシッと握られてそのまま勢いよく引っ張られた。


「へっ!?」


いきなりの出来事に対応しきれなかった御坂は、なすがままソファーの上へと誘いこまれる。
ソファーの上で寝そべっている一方通行の上に丁度被さるような形となり、御坂は身体を固まらせた。
一方通行の顔を上から覘くのは先ほどと変わらないが、御坂の真下に居る男は、にやりと面白そうにニタニタと笑っている。


「ア、アンタ……ッ! い、ぃつからぉ、お、起きてたのよぉおおッ!」


寝ているから、と思って呟いた言葉や行為の数々が御坂の脳内にフラッシュバックする。
この男はいつから御坂の一人芝居を寝たふりをしながら見ていたのだろうか、とあまりの照れくささに御坂の顔は沸騰した。
そんな御坂の一挙一動を見て、一方通行は面白そうにニタニタと笑い声を噛みしている。


「どもンな。ンで大声で巻くしたてンな。耳が痛ェっつーの」

「う、うるさいッ!!」

「カカカッ。うっせェのはオマエだろォが」


握られた御坂の右手の指と指の間に滑り込むように、一方通行の指が絡んでくる。
一本一本の指に力が加えられて改めてギュッと握りしめられた。ねっとりと絡んでくる一方通行の指の感触が更に御坂の羞恥を掻きたてる。
恥ずかしさに耐えきれなくなった御坂は起き上ろうとしたが、いつの間にか腰に回されていた腕に邪魔される。

身体が密着し、互いの顔の距離も数センチ。
一方通行の存在があまりにも近すぎて、御坂の心臓は跳ね上がった。


(なに。なに。なんなのよ、この状況! 普段は手すら自分から握ってこないくせにッ――!!)


また御坂が逃げようと企てないように、一方通行はがっちりと御坂の腰を固定する。
いつもは彼女のほうから積極的に飛びついてキスをねだるというのに、一方通行から責められるとこうも大人しくなるのか。


(へェ。こりゃァ、面白い発見だな)


予想外の御坂の反応に多少驚きつつも、一方通行は、普段は勝気で強気な少女の可愛らしい一面を満足げに見つめた。
757 :木原くゥゥゥゥンッッ!? [sage]:2010/05/22(土) 20:02:58.78 ID:CL0euPs0
すいません、ちょこっと急用で席はずします orz 深夜に帰ってきます
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 20:56:13.08 ID:xGZ3Ujgo
やれやれ。僕は射精した。
759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 23:58:28.92 ID:dXofhR.o
わっわわわ私もふにふにしたいですtとミサカはああああああgkまえmbbbbb
760 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害(まったり再開します。 [saga]:2010/05/23(日) 00:01:19.19 ID:DxXGXc60


「モヤシのくせに、生意気よ……」

「誰がモヤシだ、誰が」

「…………ヘタレのくせに」

「オマエ、俺になにか恨みでもあンのかよ。言いたいほうだいだなァ、オイ」

「……そんなの、自分で考えたら?」


御坂は不満そうに眉を顰めると、ふいっ、と顔を横に動かしつむじをまげた。
独り言を盗み聞きしていたのだからそれくらい察しなさいよ、という御坂の不満がオーラとなって滲みでる。
眉をハの字にまげて口を尖らせる御坂の姿が幼くみえる。姉御肌をふかせている彼女も、まだまだ14歳の女子中学生なのだ。


(……ッたく。ガキに余計な気ィ使わせるたァ、俺もたかが知れてンな)


下校時の校門前にて垣根に言われたことがよみがえる。ただ一言。頑張れよ、と。
その言葉とともに、肩を叩かれたのだけなのだが、垣根が言わんとしていたことは一方通行にも容易に想像がついた。
そンぐらい、言われなくてもわかってンだよ、と一歩通行は御坂に悟られないように心の中で愚痴をこぼす。


(ちったァ、俺の方からコイツに歩み寄れってことだろ)


幼いころに学園都市に捻じ込まれてから、一方通行の日常が幸せだったとはいえない。
対して珍しくもない二文字の姓と三文字の名を捨てて、ただの『一方通行』として生きることになった程度の地獄なら見てきた。


(…………今でこそ、コイツと付き合ったり、垣根とかと馬鹿みたいつるンだりしてっけど―――、)


くだらない人生の中で、一方通行は常に一人きりだった。
無条件の愛情を注いでくれる人なんて、今までいなかったのだ。
「好きだよ」と耳元で囁いてくれたのも、ぎゅっと抱きしめてくれたのも、御坂がはじめてだった。


(なんつーか、どうしていいのかわかンねェンだよ、俺は)
761 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 00:08:10.07 ID:uA80aZU0
きてた☆がんば
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/23(日) 00:13:50.39 ID:DxXGXc60

好きだよと笑ってくれる人に、自分がどうすればいいのか。
どうすれば、嬉しいと伝えられるだろうか、どうすれば、有難うと伝えられるのだろうか。
人から大切にされた経験が圧倒的に乏しい少年は、戸惑い悩み、結局その愛を黙って享受することしかできなかった。


(その俺の甘えが、オマエを傷つけてたってンなら。俺は、とんだ大馬鹿野郎だ)


一方通行は絡めていた指を離すと、乱れてしまった髪をほぐす様に御坂の頭を撫でてやる。
どうか、いつも見たいに、向日葵のような満開の笑顔をみせてはくれないだろうか。


「……拗ねンなよ、美琴」


機嫌を損ねてしまったお姫様の耳がピクリと小さく跳ねるように小さく動く。
むぅと頬を膨らませてまだちょっとだけ不貞腐れている御坂が、一方通行の胸元にズリッと頬をすり付けた。
心臓がある位置に耳を擦りつけると、目を閉じて彼の心音に聞き入った。
トクトクと、少しだけ早めに時を刻まれる少年の心音に、御坂は表情をゆるめる。


「へへっ、一方通行も緊張、してんのね」

「……うっせェ」


はじめて、目の前の女を「美琴」と口にした。
慣れないことをした一方通行は面はゆくなり、締りのない笑顔を振りまく美琴にぶっきらぼうに返事を返した。


「えへへ」

「にやけンな、うぜェ」

「ねぇ、一方通行」

「あン?」


胸元から顔をあげると、御坂はあいている両手を一方通行の首に回して自分から彼に抱きつく。
本人は動揺を隠しているつもりなのだろうが、女性よりも透き通った美しい彼の白い肌が、彼の頬の紅潮を丸わかりにする。
少しだけ情けなく揺れる赤い眼孔の中には、同じくらい顔が沸騰している御坂自身の姿が鏡のように映っていた。

互いの鼻筋が擦れる。
二人の距離はコンマゼロ。


「……ちゅーして」

「……おゥ」
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/23(日) 00:43:58.96 ID:DNFvE.AO
良い
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 00:48:03.41 ID:y3OvooAO
上条「」
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 01:15:16.81 ID:vgschZ2o
(^ε^ ))))
766 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害 [saga]:2010/05/23(日) 01:29:52.63 ID:DxXGXc60

まだ両手の指で足りるくらいしか経験したことのない行為に、互いにまだ照れくささを拭いきれない。
割れ物に触れるように頬を包む一方通行の手のひらの温もりが、御坂の幸福度指数を上昇させる。


「んっ……」


一瞬、触れるか触れないか、小鳥のような口付けを落とされた後、御坂の唇は再び蓋をされた。
カサカサしてる訳でもなく、水分を含んでいる訳でもない。
一方通行の唇の感触は不思議だな、と御坂はやけに冷静な感想を抱く。
御坂が愛用している薬用リップのツンとした香りが鼻を刺激して、一方通行はつい唇を離してしまう。


「……ちょっと、やめないで」

「いや、別にやめる気はねェけど」

「じゃあ、もっと、ちょーだい…」
767 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害 [saga]:2010/05/23(日) 01:32:02.13 ID:DxXGXc60

首にしがみつけた両腕の位置を動かして、じれったい一方通行の頭を抑え込んで自分から口付けをする御坂。
「ちょうーだい」男にとねだっておきながら、痺れをきらして積極的にガンガン責めていく姿は、普段の彼女そのままで。
一方通行にからかわれて、あたふたとしていたいじらしい様子は、何処へ行ってしまったのか。


(あーァ、すでに元のとおりだな)


御坂の耳筋を指でなぞりながら、一方通行は少しだけ残念そうにぼやく。
何度も何度も、小鳥のようなキスを御坂が降らせるたびに、一方通行は「好き、好き」と言われているような気がした。
最後に一方通行の鼻のてっぺんにちゅっと口付けを落とすと、御坂は口惜しそうに顔を離した。


「……キス。いっぱい、しちゃったねぇ。ははっ」

「……ンなの、俺が知るかよ」


くすぐったい空気に耐えきれず、御坂は「うへへ」と腑抜けになった顔で笑う。
耳筋を撫でていた手のひらを一方通行はすっと頭のてっぺん目がけて、這うように投げ上げた。
ゾワッとした感覚に背中をピクリと震わせた御坂が、一方通行にはとても愛らしく思えた。
なにすんの、とじっと睨みつけてくる少女への、恋慕の想いが少年の心の中で膨らんで溢れていく。


「―――、美琴」


御坂の髪を梳けば、一方通行の指は引っかかることなくすっと落ちていく。


「なにー?」


一方通行の手の感触が気持ち良いのか、ごろごろと喉を鳴らす猫のように御坂は目を細める。


「俺もさ、オマエのこと好――」


ジャジャジャジャーンッ! 
ジャジャジャジャーンッ!


テーブルの上に置かれている一方通行の携帯電話のけたたましい着信音が鳴り、少年の声はあっさりかき消されてしまった。
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 01:36:36.14 ID:DxXGXc60
短いですが、今日はここまでにします。
相変わらずのんびり亀の如き進行ペースですが、お付き合い頂きありがとうございます。
コメント等本当に嬉しいです。ここまで読んでくださってありがとうございます。

>>764
上琴も好きなんだぜ。
ただ、電磁通行も好きなんだ。
ご勘弁くだせぇ、上条さん……。
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 01:38:48.16 ID:ECEQ1iI0
着信音『運命』かよww
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 01:55:14.88 ID:vgschZ2o
砂糖吐いた
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 10:33:23.08 ID:DxXGXc60
お早うございます。いつもお世話になっております。
2時くらいまでまったり投下していきますので、よろしくお願いします。
多分、また深夜に戻ってくるー。

>>769
存分に砂糖を吐いて頂けると至極光栄です。
>>759
セロリ派のミサカ…だと…?
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 11:36:42.05 ID:jjiIYIAO
と言って1時間焦らしプレイですか
773 :772 けして、そんなつもりはぁぁぁあああ orz 木原って基本空気読めないと思う。 [sage]:2010/05/23(日) 11:51:06.50 ID:DxXGXc60


「………………」

「はぇ? 電話?」


あまりにも唐突な邪魔が入り、柄にもなく馬鹿正直に自分の想いを言葉にしようとしていた一方通行の思考回路は完璧に停止した。
白い肌に白い髪の少年は、心まで真っ白になって唖然とした表情で携帯電話を睨みつけている。
慣れないことをしていい所で邪魔が入るのお約束過ぎる展開に、一方通行はまったくついていけなかった。


「一方通行、電話鳴ってる」


腕の力もすっかり抜けてしまい、御坂が携帯電話を取ろうとひょいっと起き上ると、御坂の腰にまわしていた彼の腕はだらりと床に落ちた。
「よっこいしょ」と床に腰を下ろした御坂は、装飾性ゼロの一方通行の携帯を手に取ると、ソファーの上で灰になっている少年に手渡す。


「ほら、木原さんからッ!」


チラッと見えた液晶画面に表記された人物の名前を告げ、御坂は一方通行に電話に出ろとそくした。
一方通行と御坂の良い雰囲気をぶち壊した(御坂は十分にいちゃつけて満足してるが)犯人の名を聞いた瞬間、一方通行は勢いよくソファーの上から起き上る。
ガシィッ! と差し出された携帯電話を強引にひっつかむと、


「木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!?」


行き場を失った羞恥と煮えたぎった憤怒の全てを、電話の先の男へと一方通行はがなりつけた。
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 12:18:31.07 ID:uA80aZU0
木原くンwwwwwwww
775 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害 [saga]:2010/05/23(日) 13:08:21.06 ID:DxXGXc60


『突然意味なく吠えんなクソガキ。鼓膜破れてたらぶち殺すとこだぞ』

「黙れ若造。その前にオマエを愉快に素敵にスクラップにしてやっから感謝しろや」


こめかみに血管を浮かばせて、一方通行なりの茶目っけたっぷりな皮肉がぶちまけられた。
先ほどのがなり声が反響して、キィィンと耳に障る電子音が両者の耳に残響として残る。


『こちとら明日の身体検査の件で多少の変更があって連絡しただけだってのに、面倒臭え』


木原数多は、不機嫌そうにぼやく。
久しぶりにエンジン全開な少年に再会した御坂は、ソファーのに胡坐をかいて座る一方通行のとなりにちょこんと座り、ただただ、事の成り行きを見守るしかなかった。


『ママの母乳を恋しがる赤ちゃんに負ける気はしねえよ』

「アァン?」

『つーか、いつも以上に不機嫌だな。超電磁砲とイイコトしてた最中か?』

「「……ッ!」」


ピシィッ!


その場の空気が凍った。
776 :警備員さんと一方通行さんへの2次被害 [saga]:2010/05/23(日) 13:09:00.79 ID:DxXGXc60

「ねぇ、浜面さんって、誰?」

「浜面ァ? あー確か、上条のダチだろ。それがどォしたンだよ」

「その人が麦野に恋愛相談してらしい。すげぇ面倒ーって愚痴メールがきた。あと垣根さんに付きまとわれてウザかったって」

「相変わらず垣根は麦野に絶好調嫌われてンな」

「う〜ん、私としては垣根さんに頑張ってほしいんだけどねー」


「あン? なんだこのケッタイな音楽は」

「ただ今絶賛放送中の魔法少女アニメ『超機動少女カナミン』のオープニング曲よ」 

「さっき、人の携帯勝手にいじってたよなァ、超電磁砲」

「――美琴」

「ハァ?」

「超電磁砲じゃなくて、美琴! いつまでも超電磁砲なんて呼ぶから、当てつけよ!
 そういうことされたくなかったら、ちゃんと私のこと美琴って呼んでよ」

「……いや、まァ。それは、……なァ?」

「美琴って呼んでくれなきゃ、やっ」

「……」

「噂をすれば、だな。垣根からのメールだ」

「ちょっと、スルーすんな!」

「『麦野が俺に冷たい、寂しい』だってよ。こっちは嘆きのメールだな」

「一方通行!」

「〜〜〜〜ッるせェな、下ンねェことで騒ぐな!!」

「下らなくなんか――、」

「さっさと行くぞ。………………み、美琴ォ」

「っ! 待ってよ、一方通行ぁっ!!」
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/05/23(日) 13:10:40.14 ID:DxXGXc60
ういあぁぁぁぁあああああああああ誤爆ったああああああああ。
上の違うんです、違うんですぃうう。
一方通行に美琴の名前呼ばせつとこの没エピソードぉおおおおおおお
みなかったことに、みなかったことにしてくださああsい
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:13:32.32 ID:jjiIYIAO
だが断る!!
779 :775 のつづきはこっちからです orz orz orz [saga]:2010/05/23(日) 13:14:50.55 ID:DxXGXc60

氷点下すら凌ぐ極寒の世界にようこそ、と言ったところだろうか。

一方通行はもちろんのこと、彼のの肩に頭を寄せていた御坂にも、木原の冗談はしっかりと聞こえていた。
携帯電話の向こうから、シュッ、ボッっと立て続けに微かな音が聞こえた後、木原がふぅーっとゆっくり息を吐いた様子が伝わってくる。
やけに匂いのキツイ外国製の煙草を、いつも通りに吸っている木原の姿が容易に考えつく。


『オイオイオイ、マジかよ。なに、今日はオマエの脱童貞記念日ってヤツ? とりあえず、――おめでとう?』


「あー、ようやくオマエも一人前の男になった訳だ」とやけに生温かいものを見るような声が二人の元に届く。
ミシミシッと一方通行に握りしめられている携帯電話が悲鳴をあげた。


「木原くン、オマエな―――ッ」


血管がブチぎれそうになっていた一方通行が木原に反論しようとした時、ふいに上着がひっぱられた。
一方通行の肩に顔を埋めた御坂が、くいっと一方通行の制服の裾を握りしめていた。
前髪が奇妙に浮き上がり、バチンッと静かに彼女の周囲を走る紫電の光がスパークしている。
木原の無神経すぎる発言は、花も恥じらう乙女の御坂には恥辱でしかなく、その目元には目一杯の涙が溜められていた。



「―――木原、オマエ、マジでぶちのめす」

『カッコイーッ!! 本当に一皮剥けやがって、惚れちゃいそーだぜ一方通行!!』

「スクラップの時間だぜェ! クッソ野郎がァあああッ!!」


刹那、バチンと大きな音が部屋に響く。
ブチリと綺麗に血管が切れた一方通行と、彼を面白おかしく挑発する木原数多の喧嘩は強制的に幕を下ろすことになる。


「ふ、ふぇぇぇえええええッ!!」


自分をもちこたえることが無可能になった御坂の能力が暴発し、諸悪の根源である携帯電話が破壊される。
一方通行はベクトル操作のおかげでまったくの無傷だったが、ベクトルの先に居た家電製品の数々が黒い煙をあげてご臨終してしまった。


780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:17:25.14 ID:vgschZ2o
永遠に続く名前呼びエピソード、これがアクセラレールガン・レクイエム...
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:19:05.91 ID:jjiIYIAO
>>779
いろんな意味でにやにやしてきたお
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:22:05.63 ID:DxXGXc60
もうそろそろ時間だし、ちょっと吊ってくる……。
誤字脱字も半端ないけど、誤爆ほどこっぱずかしいもんはねえええ orz 軽く死んでもいいかな?

いっつも会話文→地の文の順で書いてるから、没のは会話だけなんだ。
あと、もったいなくて没のも消してなかったんだけど、消せばよかったです。
他の没案消してくるノシ
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 13:43:27.42 ID:71M1yN6o
>>782
消すくらいなら投下すれば良いと思わないか?
784 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 14:51:34.28 ID:spXaocDO
携帯から失礼します
未元崩しじゃなくて電磁通行ですから、話ブッチ切ってしまいますが…(´Д`)
電磁通行だけど、ブッチ切れるけど見てやんよ!という方がいらっしゃるのであれば深夜はアクセラレールガンレクイエム(? 開催しますが、どうなんでょーね。
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 15:04:46.77 ID:sC2/Avso
すっごい期待してる
786 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:34:33.32 ID:km7R3.DO
期待
787 :没ネタ@ (名前呼び) [saga]:2010/05/23(日) 22:06:00.37 ID:DxXGXc60
「一方通行ァ」

「ンだよ、急に人の制服の裾を引っ張ンじゃねェーよ。伸びるだろォが」

「そんなこと、どうだっていいのよ。さっき、垣根さんに聞いたんだけどさ」

「…………なにを」

「垣根さんが私のこと『美琴ちゃん』って呼ぶと、アンタがすっごい怖い顔で睨んでくるって―――」

「そんな話は知らねェなァ」スタスタ

「ちょ、なにしらばっくれてるのよっ! そして、私を置いていこうするな!」ダダッ

「知らねェったら、知らねェ。アレだ、超電磁砲。オマエの勘違いだ」

「〜〜〜勘違いじゃないもんッ!!」トテトテ、ピタ……。

「だァーッ!! ンでお前は突然抱きついてくンだよッ///!!」

「だってぇ……」ギュウ

(だってぇ、じゃねェっつのッ!!)キノセイ、ウデニアタッテルヤワラカイカンショクハ、キノセイ
788 :没ネタ@ (名前呼び) [saga]:2010/05/23(日) 22:07:23.46 ID:DxXGXc60
「――― 一方通行は、私が他の男に人に「美琴」って呼ばれても良いの?」

「そ、れは……」

(いくねェけど、ンなこっぱずかしこと言えるかァァァあああ)

「じゃあ、嫌なの?」

「うっ……」

「どっち? はっきり言ってくんなと、わかんない」

「…………………面白くはねェ、わな」

「本当ッ!!?」パァァァ

「あーもう、勝手に解釈しやがれッ!」

「へへー、そっかー。他の男に「美琴」って呼ばれるの嫌なんだ、やーもう、私ってば超愛されてるッ!」

「な、ぁぁあ、愛ってオマッ――」

「事実でしょ? 照れなくっていいってばぁ♪」ニヤニヤ

「〜〜〜〜ッ」

「でも、そんだけじゃ、やっぱ足んないかな? もう一声、愛がほしいかなぁ〜」

「一声も二声もねェっつの」

「あるわよ簡単な方法がね。―――いい加減、超電磁砲じゃなくて、美琴って呼んでよ」

「断わ――」

「却下、呼んで、呼べ、呼びなさいって言ってんのよ」

「…………」

「…………………ダメ?」ウワメヅカイ ウルウル

「だ…ッ」(ダメじゃない――、っていいそうになった……ッ)

「ねぇ、一方通行ァ……、ダメぇ……?」サラニ、ギュウ

「―――――み、美琴って呼べばいいンだろォオオオッ!!」ダカラソノヤワラカイモノヲオシツケテクルナーッ!!

「へへー。良くできました」セノビ

「―――ンンッ!?」 御坂→一方でキス
789 :没ネタA (浜面とデルタフォース) [saga]:2010/05/23(日) 22:10:41.84 ID:DxXGXc60
「つきあい悪ぃぞ、土御門」

「あのなー、かみやん。路地裏で女の子お助けイベントに精を出して、いっつも俺たちの誘いを断る人に言われたくないですたい」

「勝ち組だからっていい気になったらあかんでっ!」

「見境もなく女に手を出すなんて、かみやんってば超鬼畜」

「オマエら酷くねっ!? 上条さんはジェントルメンですからね!? 俺、硬派だから。硬派ったら硬派キャラなんだからっ!」

「上条お前は贅沢だそ! 少しは滝壺一筋の俺を見習えってもんですよぉぉおおっ!」

「「お前だって勝ち組の分際で喚くな(にゃー)ッ!!」」

「ちょっ! 何故に拳の矛先を俺にっ――ひでぶ!?」

「ふっ。浜面、お前は彼女持ちや。かみやんは憎らしいほどの超絶モテ男くんだが彼女がおったことはない。
  どちらの罪が重いかと問われれば答えは簡単にでる。天然系美少女が彼女とかむかつくんやっ! 羨ましいぞコンチクショー!」

「男の妬みは見苦しいぞ、オマエらッ!!」

「しかし、どうしても駄目なんか? 土御門」

「義妹ロリこそ至高ッ! 年上のババァに興味はない」

「霧ケ丘の女の子は3人やから、こっちも数合わせなあかんのやけどなぁ」

「俺と青髪ピアスは決定でいいとして、あと1人どうするよ?」

「あーこの際仕方あらへん。彼女持ちに頼むしかない。浜面どないや?」

「たしかに、お姉さま系巨乳女子高生に興味がないと言えば嘘になる。けど、滝壺に悪いしなぁ」

「そこを何とかならへんか? 土御門もお前もだめとなると、人が集まんなくて合コンそのものもアウトになってまう!!」」

「オマエの彼女って、えぇと、滝壺さんだっけ? 束縛とか強いタイプなのか?」

「いや、まったく。俺がどんなに馬鹿やっても笑って許してくれる、天使のような女子だ。良いだろう」

「だったら別に良くね? 『友達に頼まれた』って言えば怒られないだろ」

「そんなもんか……?」

「おし、浜面も参加決定やな」

「ええ、まじかよーー」

「実際はそんなに嫌でもないくせに」

「さてさて、俺はどうなっても知らないからにゃー」
790 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:22:59.29 ID:DxXGXc60
文章はすでに消してしまってないのですが、アクセラレールガンレイクイエム?のネタに

A一方ととったプリクラに、みこと(ハートマ-ク)とかいた一方さんに噴きだしの落書きを書く御坂。
→いっつも読んでくれないだから、プリクラの落書きくらい、いいじゃないと主張して名前を呼ばせる。
B男前に一方を押し倒して攻めに攻めまくって「イかせてほしいなら、美琴って呼んで?」小悪魔的に囁く御坂。
C御坂「超電磁砲って私の通称じゃない? だから、私もあんたのこと「能力名」じゃなくて通称で呼ぶことにするわ」 
→「ヘタレ」「モヤシ」果てには「百合子ちゃん」と一方通行のことを呼ぶ御坂にキレる一方さん
→「変なあだ名で呼ばれるのいやだったら、ちゃんと私のことも名前で呼んで!!」
D紙に『御坂美琴』と書いて、「一方通行、これなんて読む?」「アァ?『みさかみこと』だろ、お前馬鹿か?」
→「ふーん、アンタは美琴って呼ぶ時の声って、そんな感じなのかー。へー」「回りくどいことすンなよ……」
→「だって、こうでもしなきゃ、美琴って呼んでくれないじゃない」シクシク「泣くなよ、美琴って呼べいンだろ」

などがありましたが、結局。御坂の不満をタヌキ寝入りの一方さんが聞く、というネタに落ち着きました。
全部書きなおそうかと一瞬おもったけど、眠たいので代わりに合コンの没ネタでお許しください。

それでは、ここまで没ネタにお付き合いありがとうございました。
791 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:25:08.24 ID:s426taIo
Bを是非!Bを是非とも書いてください!!!
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:58:49.16 ID:vgschZ2o
名前で呼ぶ練習する一方さんを頼む
793 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 01:22:32.21 ID:7ccfosAO
自分もBを超希望します!(はぁ、はぁ・・・)
794 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 02:35:19.21 ID:/wLQu0w0
上条さん、硬派硬派って連呼するぐらいだから
全国制覇!とか考えてそうだよな
795 :とりあえず即興Bネタ [sage]:2010/05/24(月) 12:30:29.76 ID:ckCBbxQ0
>>791-793
悔しい、そんなこと言われると書きたくなっちゃう……ッ!
書いたら電磁通行名前ネタは終了して、本編に戻りますねー。
>>794
そして全国規模のハーレムを形成するんだ…、かみやんならやりかねない。


似たような光景をどこかで見たことがあるデジャブを感じる。
いつのことだっけ、と御坂は思いを巡らせながら、真下に組み敷いた男の首筋に焦らすように舌を這わせた。


「……ンンッ」

「あはっ、一方通行かぁわいい」


ゾクリッと身体の芯をゆする感覚に、一方通行は切なげな吐息をあげる。
白い髪がシーツの上で乱れる様子を御坂は愛しそうに見つけている。
彼女にはぎ取られた制服のネクタイは、すでに床へと投げ捨てられていた。
ブレザー、さらにその下のワイシャツまで全開にされたしまった一方通行は、潤んだ瞳で御坂を睨みつけた。


「レェル……ガンッ! ィィ加減にしや、がれェ……ッ」

「そんなこと言っちゃって良いわけ?」

「う、っせェ!」

「ココ、もう限界でしょ」

「……ゥ、ア」


スボンの上から、局部を覆いかぶしたまま止めていた右手を動かしてやれば、男は簡単に攻落した。
なすがまま快感に流されるのが癪で、一方通行は眉をしかめながら掻きたてられる情欲に耐える。
しかし、背中を虫が這うな、むず痒い刺激に息を吐く度に喘ぎ声が漏れてしまう。


「頼む…から、ひゥ、マジで止、めろォッ」

「……、やだ」

「ャだって、超電磁砲、オマエなッ……!」


ただ止めろとだけ繰り返す一方通行に、御坂は不満そうに口を尖らせた。
796 :とりあえず即興Bネタ 講義の時間だ。やっぱらぶいのって書くのゆっくりになる。夕方には戻ってくるねーノシ [sage]:2010/05/24(月) 13:00:43.18 ID:ckCBbxQ0


(私だって、恥ずかしいのに……。コイツはこの機に及んで私の名前を呼ぼうともしない……)


強情な男をもっと可愛らしく鳴かせるためには、更なる強い喜びをあげればいいのだろうか。
断続的に刺激している一方通行の下半身を、チラッと視界に入れる御坂。


(……さすがに、直接触る勇気はないしなぁ。なんか、怖いし)


一方通行を押し倒し上の服を肌蹴させたところで、御坂の羞恥は限界に達した。
保健体育の時間に「男性器とはこういう作りになってます」とイラストの断面図を見ながら授業をうけたことはある。
ソレを触られると男の人は気持ちが良い、という程度の知識も御坂は一応持っている。


「ねぇ、このまんまの状態でさ、どうしたらもっと気持ちよくなるかな?」

「ン、なの。俺が知るかァッ、……ッ」


けれど、御坂はまだまだ14歳の純情乙女な訳で男を押し倒す気概はあっても、直接見たり触ったりする度胸は持ち合わせていない。
微妙に揺れる乙女心があるのだが、一方通行がそんなことを知る由もない。
この状況を打破しようと御坂は思案する。
ズボンの中で苦しそうにそそり立つナニでせいで、盛り上がった彼の局部を擦るように撫でるのも忘れずに。


(ああ、そういえば。今って私が一方通行に告白した時と似てるのか)


ふと、先ほどから感じていたデジャブの正体が判明する。
797 :Bネタ まったり再開 [sage]:2010/05/24(月) 18:18:12.42 ID:ckCBbxQ0

あの時も、一方通行のつれない態度に業を煮やした御坂が、彼を勢いのまま押し倒した。

どんなに貴女の事が好きだと告げても、一緒に居たいと哀願しても、「そォかよ」の一言で少年は少女のアプローチをのらりくらりとかわし続けた。
御坂の想いを受け入れることもせず、拒否することもしない一方通行の中途半端な態度がもどかしかった。

好きなら好きと、嫌いなら嫌いと。

はっきりしてほしくて、一方通行の言葉がほしくて、半ば自棄になって彼をベットへと縫いつけた時のことが蘇る。
あの時も、今この時も、御坂は一方通行からの言葉が欲しくて仕方がない。


(……アンタが不器用にしか振舞えないってのもわかるけど)


一分一秒、ううん、一瞬でもいい。


「……言葉がほしいって思うのは、私のワガママ……?」


ポツリ、と弱音がこぼれた。
御坂は一方通行のことを全力で求め、愛している。
だからこそ、時々空しくなることがある。
こんなにも全身で愛を伝えているのに、返事を返してくれない彼の心には、はたしてどれだけ自分の想いが届いているのだろうか――、と。

798 :Bネタ  [sage]:2010/05/24(月) 20:11:46.80 ID:ckCBbxQ0

少しだけ気落ちした御坂の独り言は誰に聞かれることもなく、そのまま空気中へと消え去った。
このままじゃいけない、と不安を吹き飛ばす様に御坂はフルフルと首を振る。


(―――コイツ相手にいちいち気後れしてたら、何も始まんないじゃない)


彼が頑として口を割らないならば、この手で無理やりこじ開けてやればいいだけのこと。
プライバシーの侵害? 身勝手な侵略行為? 
そんなの、気にしてなんてあげない。


「一方通行」

「ッ……あン?」

「可愛い彼女のワガママくらい聞いてよね? この野郎」

「ふつー、自分で可愛ィなんて言う―――ッ」


憎まれ口を叩いてくる一方通行の唇を塞いだ。


「ゥんッ」


ん……ッ、と甘い声で喘ぐ男に、御坂は興奮を隠しきれず、無我夢中に被りつく。
薄く目を開けば、額に汗を滲ませ、迫りくる快感に耐える一方通行の顔が目に飛び込んでくる。
自主的に薄い唇の施錠を解き、侵入してきた御坂の舌に己のモノを絡みつけてくる彼に、御坂は満足げに目を細めた。


「ぅん……、――っはぁ」


長い口付けを終えると、枯渇した酸素を摂取するために御坂は大きく息を吸った。
一方通行も同様に乱れた息を整えようと、肩を上下に左右させながら「ひゅ、ひゅ」と口で呼吸を繰り返す。
酸欠気味の頭で意識が朦朧としたせいで御坂は眩暈でくらっとよろけ、その弾みで微弱な電気な身体から漏れた。

パチッ、と静電気程度の音の後に、


「ひァッ!!?」


と、悲鳴に近い艶めかしい喘ぎ声をあげ、御坂の真下に居る少年の身体がビクリッと跳ねた。
799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 20:12:20.06 ID:jVKQWAk0
見てるよ
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 20:30:45.41 ID:VmJ7LYDO
わっくわく
801 :Bネタ  [sage]:2010/05/24(月) 20:59:02.79 ID:ckCBbxQ0

「……へっ?」

「オイ。な、ンだよ、今の」

「えっ? わ、私に聞かれても……」


意外な展開に二人は茫然としてしまう。
沈黙が重苦しくて、御坂は顔をあげて絶えず彼の下半身を弄っていた手を止めた。
限界まで見開かれた一方通行の瞳が、何か恐ろしいものを確認するかのように下へと動かす。


「――――いや、気のせいだよなァ。気のせいだ、絶対そうだァ、うン」


噴き出した額の汗が、つーっ顔を蔦ってポツリと落ちた。
また一つ、シーツの染みが増えていく。
ものすごく嫌な予感が一方通行の頭を駆け巡ったのだが、単なる杞憂だろうと自分に言い聞かせる。


(取り越し苦労だ。頭ン中で鳴ってる警報は――勘違いったら、勘違いだ)


ごくり、と喉を鳴らす。
必死に否定を繰り返す脳裏とは反比例して、ドクンドクンと心臓の鼓動が激しくなる。
御坂美琴という、小悪魔から与えられた刺激への恐怖と期待。


「……、なに?」

「なにもねェ。……それと、何度も言うけど、いい加減にしろ」


弄っていた手が止まったことで、ねっとりとした愛撫から一方通行はようやく解放され、ようやくまともに喋ることが出来た。
本来なら、一方通行は簡単に彼女をねじ伏せることが出来る。
彼は学園都市で唯一無二の存在であり、同じ超能力者(レベル5)の御坂でさえも、一方通行にとっては赤子の手をひねるも同然。

それでも、御坂の愛撫に反抗することなく、黙っていたのは、


(惚れた女を、傷つける訳にはいかねェしなァ)


必死になって一方通行への愛を体現してくれる少女が、愛しいから。
802 :Bネタ  [sage]:2010/05/24(月) 21:50:34.48 ID:ckCBbxQ0

「……」

「不満そうに睨ンでくるな。男のアソコを直に触る根性もねェくせに、火遊びですかァ?」

「火遊びじゃないモン」

「阿保が。オマエの股に俺のをブッこまれたく無かったら、大人しくソコをどけ」

「うぅ……」


オブラートに包んで注意する、なんて優しい気遣いを一方通行がするはずもない。
処女膜を差し出す気がないなら下手なことをするな、と自分の上に鎮座している御坂に退く様に肩を軽く押した。


「チッ」


無意識に舌打ちをしてしまう。早くしないと、色々とヤバい。
口内を縦横無尽に犯され、耳穴に舌を捻じ込まれ、空いた手でわき腹をくすぐられ。
その上、ズボン越しとはいえ小さな己を撫でられ続けた。それも、惚れこんでいる女が積極的に、その手のひらで。


(情けねェことだが、もうそろ限界だ。さっさと便所に行ってサクッと処理するとしますか)


大人の女へとなるためのスタートラインにすら立てていない女を、強引に喰う趣味はない。
野蛮な男に成り下がるつもりはこれっぽっちもないのだが、五感すべてが敏感になっている今、大切な少女に襲いかかるのも時間の問題だった。
803 :Bネタ 深夜に戻りますノシ [sage]:2010/05/24(月) 21:51:04.05 ID:ckCBbxQ0


「……」

「おら、さっさと退け」


催促しても、少女は黙りこくたままその場を動こうとしない。
一方通行はやけに静かになってしまった御坂を怪訝そうに見つめる。

パチ、パチッ……。

蛍光灯の光が点滅する音によく似たスパーク音が、一方通行の耳に届いた。
動きが止まったとはいえ、御坂の右手は未だに一方通行の局部にそえられている。
全身を激しく突き抜ける快感の記憶が蘇り、一方通行はさぁと顔を青くした。


「〜〜〜〜元々は、アンタがいけないんじゃないのッッ!!」


大した覚悟もなく興味本位で性行為に手を出すな、と言われたことが御坂にはカチンときた。
そもそも、何も言わない、何もしてこない一方通行が悪い。
堪忍袋の緒が切れてしまった御坂は、周囲に駄々漏れになっている微弱な電波なんか気にもしない。


「わ、私だって、恥ずかしいに決まってるでしょッ!!?」

「――ひッ!!」


バリィッ! という小さな雷鳴とともに、御坂の手のひらから一方通行の下半身に向け電撃が放たれた。 

804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 22:00:39.40 ID:jzZILnUo
やめて!種がしんじゃう!
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 22:06:41.76 ID:jVKQWAk0
前立腺sigekiですね
806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 22:16:48.45 ID:/0x/JS.o
>>805 X線で前立腺ガンにするのかと思った
807 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 22:35:56.90 ID:ocx96AAO
セロリ、ここだけは反射を使って良いぞ!
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 22:50:46.62 ID:JOjJ7MSO
((((;^ω^))))ガタガタガタガタ
精命の危険を感じる
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 00:12:45.22 ID:PsfAYzY0
一瞬出ちゃったのかと
810 :Bネタ  [sage]:2010/05/25(火) 02:07:40.64 ID:gsVhgn.0

手のひらを返したように、電撃が御坂の方へと進路を変える。
貫くような痺れを感じ、御坂は即座に少年の局部からぱっと手を離し、痛みを和らげるように指先をさすった。


「いったぁーい……」

「―――超電磁砲……ッ。股間にスタンガンとか洒落にならェことをすンなッ!」


想像しただけで、ブルっと背中に悪寒が走る。
本能的な危機を感じ取った一方通行が瞬時に『反射』の膜をしたことは正解だった。


「うぅ……、手がひりひりする」


意図して放電したものではなかったため、静電気が弾かれる程度の衝撃だったのが、それでも痛いものは痛い。
麦野の綺麗なジェルネイルに憧れて、見よう見まねでぬったネイルがちょっと剥がれ、御坂は涙目気味に爪を眺めた。
泣きたいのはこっちのほうだ、と一方通行は顔面蒼白にしながら、ボソリと呟いた。


―――
ごめんなさい、対して書き進められませんでした。今日のところは一旦Bネタはここまでということで。
次の投下で道草終了して、麦野んに突き放された垣根を書きたいなぁと思いつつ。
ここまでお付き合いありがとうございました。次回も読んで頂けると幸いです。

みなさん、ご心配めされるな、股間にスタンガンはないぜよ、スタンガンは。
811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 02:22:23.97 ID:g3lxFUAO
あくまでスタンガン"は "ですよね・・・?
812 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 02:47:00.40 ID:DF0EEJ.o
股間にレールガンか・・・
813 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 15:45:31.02 ID:PsfAYzY0
反射と称して美琴に一通さんのレールガンを撃ち込むわけですね
わかります
814 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:21:32.58 ID:JIzSQgso
3とかエロネタはどうでもいいから5がみたかった
815 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 15:44:51.71 ID:gMDUbwSO
美琴の中に一方通行してる時に反射したらどうなるんだ
816 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 16:29:43.75 ID:KnRF3aYo
>>815
想像して笑った、チンコから勢いよくすっぽ抜けて飛んでくビリビリ
817 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 20:10:13.18 ID:K3gPx5Ao
一方さんだけ損する
818 :Bネタ  [sage]:2010/05/27(木) 15:42:05.00 ID:tk.PF/Y0

ひくひくと口角を引きつらせ、今にでも卒倒していそうな顔で一方通行はがっくしと項垂れた。


「その、……ゴメン」


文字通り真っ白になってしまった彼の様相が御坂の胸を少しだけ締め上げる。
ちょっとした衝撃でも激痛が走ると主張する男どもにそこまで騒ぐことでもないだろうと考えていたものだが、
真下で情けない醜態をさらす男を見ていると彼らの主張が正しく、自分の認識が甘かったとわかる。


「……あぁ、もうわかればいいンだよ、わかれば……」


そもそも、子孫繁栄のためのデリケートな器官を乱暴に扱ってはいけない。
超能力者のくせに興奮しただけで能力が暴走した恥ずかしさと、彼に対する申し訳なさで御坂の心はぐしゃぐしゃだ。


「本当にゴメンネ?」

「だから、もういい――ッ」

「次からは痛くしないように、ちゃんと能力のコントロールするから」


しょんぼりとしていた先ほどの顔とは打って変わって、御坂は一方通行にニコッと微笑んだ。


「……えっと、超電磁砲さん。オマエは一体何を言ってンですか?」


819 :Bネタ  [sage]:2010/05/27(木) 15:42:33.08 ID:tk.PF/Y0
目の前で可憐な笑顔を惜しげもなく振りまく御坂に一方通行は困惑気味し、問い返した。
いやいやいや、ゴメンと謝りましたよね、コイツ。
ちゃんと俺が言ったこと伝わったんですよね。
言いたいことが頭の中でグルグルと巡り上手くまとめることが出来ない。
あまりにもらしくない彼を無視して、「今気がついたんけどね――」と御坂は発見した新しい事実を嬉々として報告した。


「今気がついたんだけど、さっきアンタが突然嬌声あげた時も、私さ眩暈でくらっとして微量の電流を流してたのよ」


一方通行の頭の中でガンガン鳴っていた警報が再びけたたましく鳴りだす。
杞憂だ、勘違いだと目を瞑ったことが現実になる。


「でね、一方通行」


にいっと新しい玩具を見つけた子供のような笑顔で、御坂は囁く。


「強いのダメだけど。―――アンタさ、微弱な電気だったらキモチイイんでしょ?」


ドキッと心臓が悲鳴をあげる。
静まっていた刺激への恐怖と期待が一気に炎上する。ごくり、と一方通行は唾を呑んだ。
湧き上がってくる唾液の割に、口内はカラカラとしてモノ欲しくなる。


「レェル、ガ…ンっ」


直接触らなくても愛しい彼の情欲を掻きたてる方法が見つかった。
爪先がいささか欠けた少女の手のひらが、再び少年の局部へとそっと置かれた。
怖いものをみるようで、それでいて何かを切望しているような瞳でこちら見つめてくる一方通行。
可愛くて、いじらしい視線に、少年への想いが募る。


「お願い聞いてって、言ったでしょ? 超電磁砲じゃなくて、美琴って呼んでよ」


貴方に出会って、惹かれて、二人で恋に落ちて。
見ているだけで幸せだったのに、もっともっとほしいと、欲張りになる自分がいる。
もっと貴方を好きになりたい、もっと貴方と幸せになりたい。
欲に溺れる馬鹿な女だと笑ってくれてもいい、そんな女に引っかかった一方通行が悪いのだ。


「―――美琴って呼んでくれたら、イかせてあげる」


彼の分身をそのまま一撫でして、少年の耳元で少女は囁いた。
820 :Bネタ おわーり [sage]:2010/05/27(木) 15:51:14.84 ID:tk.PF/Y0
>>811-817
そんなこんなでB小悪魔御坂ネタは終了です。
げんなりしている一方さんは結局根負けして名前をよぶんじゃないでしょうか
ぶっきらぼうヘタレ一方さんと説教的で変に乙女な御坂でした。
深夜のテンションって怖いね。エロ(とは言えないけど)いの書いたのはじめてだよ orz

―――
さて、名前練習一方さんとDネターっと言ってくださった方もいらっしゃいましたが、アクセラレールガンレクイエムは一旦ここまで。
さっさと未元崩しへと進みたいのですがもう今月は来れないです。
多分これからは週末に来れたら来る感じになります。遅筆のくせに……orz
がんばって平日もチマチマ書き溜めますので、お付き合い頂けると幸いです。
821 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 21:38:40.09 ID:CkDR/E2o
ドゥフフフ
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:19:55.24 ID:VorPaX6o
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823 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:19:55.25 ID:rbfH6eMo
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824 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:19:57.26 ID:qEdN0ygo
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825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:02.18 ID:rbfH6eMo
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826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:02.17 ID:VorPaX6o
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827 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:05.17 ID:qEdN0ygo
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828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:07.96 ID:VorPaX6o
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829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:09.06 ID:rbfH6eMo
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830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:09.99 ID:qEdN0ygo
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832 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:14.31 ID:rbfH6eMo
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833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:15.04 ID:qEdN0ygo
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834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:17.86 ID:VorPaX6o
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835 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:19.11 ID:qEdN0ygo
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836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:21.10 ID:rbfH6eMo
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837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:22.26 ID:VorPaX6o
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838 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:26.00 ID:qEdN0ygo
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839 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:26.02 ID:VorPaX6o
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840 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:26.67 ID:rbfH6eMo
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841 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:30.74 ID:qEdN0ygo
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842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:32.90 ID:VorPaX6o
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843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:32.92 ID:rbfH6eMo
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844 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:38.96 ID:qEdN0ygo
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845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:38.97 ID:VorPaX6o
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846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:39.02 ID:rbfH6eMo
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847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:45.43 ID:qEdN0ygo
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848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:46.21 ID:rbfH6eMo
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849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:47.20 ID:VorPaX6o
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850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:52.16 ID:qEdN0ygo
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851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:52.90 ID:rbfH6eMo
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852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:56.06 ID:VorPaX6o
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853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:57.69 ID:qEdN0ygo
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854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:20:59.62 ID:rbfH6eMo
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855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:00.63 ID:VorPaX6o
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856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:01.61 ID:qEdN0ygo
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857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:05.09 ID:rbfH6eMo
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858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:07.56 ID:VorPaX6o
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859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:08.48 ID:qEdN0ygo
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860 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:11.53 ID:rbfH6eMo
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861 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:14.43 ID:VorPaX6o
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862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:15.07 ID:qEdN0ygo
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863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:16.20 ID:rbfH6eMo
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864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:19.88 ID:VorPaX6o
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865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:20.33 ID:qEdN0ygo
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866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:20.98 ID:rbfH6eMo
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867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:26.19 ID:VorPaX6o
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868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:26.68 ID:qEdN0ygo
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869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:27.37 ID:rbfH6eMo
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870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:31.71 ID:qEdN0ygo
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871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:31.47 ID:VorPaX6o
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872 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:32.49 ID:rbfH6eMo
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873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:37.38 ID:VorPaX6o
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874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:37.81 ID:qEdN0ygo
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875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:38.53 ID:rbfH6eMo
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876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:43.54 ID:VorPaX6o
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877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:43.55 ID:qEdN0ygo
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878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:44.20 ID:rbfH6eMo
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879 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:48.79 ID:VorPaX6o
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880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:49.10 ID:qEdN0ygo
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881 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:49.74 ID:rbfH6eMo
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882 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:54.53 ID:VorPaX6o
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883 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:54.86 ID:qEdN0ygo
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884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:21:55.56 ID:rbfH6eMo
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885 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:00.28 ID:VorPaX6o
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886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:01.53 ID:rbfH6eMo
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887 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:04.48 ID:qEdN0ygo
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888 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:07.07 ID:VorPaX6o
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889 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:08.42 ID:rbfH6eMo
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890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:10.58 ID:qEdN0ygo
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891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:13.14 ID:VorPaX6o
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892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:14.91 ID:qEdN0ygo
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893 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:16.91 ID:rbfH6eMo
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894 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:17.90 ID:VorPaX6o
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895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:19.59 ID:qEdN0ygo
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896 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:22.48 ID:VorPaX6o
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897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:23.88 ID:qEdN0ygo
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898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:23.90 ID:rbfH6eMo
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899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:27.45 ID:VorPaX6o
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900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:28.35 ID:qEdN0ygo
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901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:30.47 ID:rbfH6eMo
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902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:31.71 ID:VorPaX6o
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903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:32.53 ID:qEdN0ygo
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904 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:35.20 ID:VorPaX6o
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905 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:36.16 ID:qEdN0ygo
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906 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:39.59 ID:rbfH6eMo
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907 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:41.80 ID:VorPaX6o
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908 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:42.82 ID:qEdN0ygo
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909 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:46.22 ID:rbfH6eMo
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910 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:46.24 ID:qEdN0ygo
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911 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:48.26 ID:VorPaX6o
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912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:49.30 ID:qEdN0ygo
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913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:52.57 ID:rbfH6eMo
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914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:53.42 ID:VorPaX6o
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915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:54.26 ID:qEdN0ygo
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916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:57.34 ID:rbfH6eMo
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917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:22:58.28 ID:VorPaX6o
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918 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:02.77 ID:qEdN0ygo
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919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:03.24 ID:rbfH6eMo
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920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:06.48 ID:VorPaX6o
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921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:07.55 ID:qEdN0ygo
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922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:09.98 ID:rbfH6eMo
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923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:10.65 ID:VorPaX6o
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924 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:13.95 ID:qEdN0ygo
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925 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:15.62 ID:rbfH6eMo
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927 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:19.64 ID:qEdN0ygo
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928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:21.46 ID:VorPaX6o
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934 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:34.13 ID:VorPaX6o
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935 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:34.17 ID:rbfH6eMo
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936 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:37.34 ID:qEdN0ygo
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937 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:39.32 ID:rbfH6eMo
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938 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:39.86 ID:VorPaX6o
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939 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:43.13 ID:qEdN0ygo
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940 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:45.20 ID:VorPaX6o
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942 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:48.83 ID:qEdN0ygo
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946 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:57.37 ID:VorPaX6o
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947 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:23:57.42 ID:rbfH6eMo
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948 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:00.78 ID:qEdN0ygo
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949 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:02.85 ID:rbfH6eMo
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950 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:02.87 ID:VorPaX6o
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951 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:08.62 ID:rbfH6eMo
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952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:08.64 ID:VorPaX6o
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953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:10.52 ID:qEdN0ygo
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960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:30.89 ID:rbfH6eMo
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961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:31.45 ID:VorPaX6o
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962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:32.42 ID:qEdN0ygo
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963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:36.91 ID:VorPaX6o
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964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:37.63 ID:rbfH6eMo
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965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:45.12 ID:VorPaX6o
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966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:45.62 ID:qEdN0ygo
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967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:46.54 ID:rbfH6eMo
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971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:57.86 ID:qEdN0ygo
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972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:24:58.32 ID:rbfH6eMo
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973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:01.75 ID:qEdN0ygo
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974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:04.02 ID:VorPaX6o
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976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:11.34 ID:VorPaX6o
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977 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:11.37 ID:qEdN0ygo
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978 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:14.23 ID:rbfH6eMo
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979 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:15.94 ID:qEdN0ygo
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981 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:21.03 ID:qEdN0ygo
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986 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:30.64 ID:rbfH6eMo
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987 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:31.38 ID:qEdN0ygo
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989 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:25:35.64 ID:VorPaX6o
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1000 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/05/31(月) 15:26:04.55 ID:VorPaX6o
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恋して愛して遠き姉君よ @ 2010/05/31(月) 11:18:04.64 ID:o6Hbjugo
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