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花山「……紅魔館……?」 -
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1 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/17(土) 20:08:18.96 ID:IKiDlVco
花山「………………」
紫「ここは幻想郷。あなたのいた『外の世界』と近く、そして限りなく遠い場所」
花山「…………てめェは、誰だ……」
紫「私は、紫。八雲紫(やくもゆかり)。とりあえずは、幻想郷の管理人とでも言っておきましょう」
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/
トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/
【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/
ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/
【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/
ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
2 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:09:47.44 ID:IKiDlVco
花山薫、19歳。
身長――191cm。
体重――166kg。
白のスーツに眼鏡を着用し、その顔に幾つもの疵を持つ、花山組の二代目組長。
鍛えること、武器を使うことを良しとせず、生まれ持った天性の力のみで生き様を形成し続ける『漢』である。
漢はただ散歩をしていただけだったのに、気が付けば『幻想郷』という、見知らぬ大地に立たされていた。
そしてそこには、やはり見たことも無い服を身に纏って、日傘を差した、金髪の胡散臭い女が一人。
この状況と、この女に、何かしらの関連があるのは明白だった。
花山「…………質問に答えろ……」
紫「ええ。答えられる範囲でなら、構いませんわ」
3 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/17(土) 20:10:40.29 ID:IKiDlVco
花山「…………俺をここに連れてきたのは、てめェか……?」
紫「ええ。あなたは私の力によって『神隠し』に遭ったのですわ」
花山「……神隠し……ヘッ」
力がすべてを支配する世界で生き延びてきた花山は、
神隠しなどという、御伽話や都市伝説の類のものとはまったく無縁であった。
紫「その反応も、無理はありません。まだ事態が呑み込めていないでしょうから」
花山「………………」
紫「いずれ理解できますわ。幻想郷は『外の世界』とは違う、幻想の蔓延る世界であると」
4 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/17(土) 20:11:52.15 ID:IKiDlVco
花山「…………オイ……」
紫「まだ何か?」
花山「……幻想郷ッてトコから出るには、どうすりゃいいんだ」
無論、認めたくない。認めたくないが、これがもし事実だったら?
幻想郷という見知らぬ土地にいるという『今』が、夢や空想ではなく、現実そのものだったら?
その葛藤の末に出した質問だったが、それに返された答えは、実に残酷なものだった。
紫「無理ですわ」
花山「…………?」
紫「幻想郷から出ることはできない、と言ったのです」
花山「…………ッッ」
5 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:13:27.88 ID:IKiDlVco
花山「…………てめェが連れてきて、帰せねェだと……?」
紫「ええ。正確にはあなたを帰せないのではなく、『帰したくない』のです」
花山「……何……?」
紫「神隠しに遭ってもらった人間にも、それなりに役割があるのですわ」
花山「…………知ッたことじゃねェ……ッッ」
ぐっ、と右拳に力を入れ、ストレートの体勢に入る花山。
紫がいくら女とは言え、ここまでおちょくられると黙っていられるわけもない。
しかしその時にはすでに、紫は花山から距離を取り、遠くで笑みを浮かべるだけであった。
花山「チッ…………」
紫「焦らずに。それも、時がくればお話しましょう」
不可解な現象が次々と起こる。この世界も、この女も。
花山はその動揺を隠すだけでも、すでに精一杯だった。
6 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:14:35.15 ID:IKiDlVco
紫「それでは、これから……すべてを受け入れる、それはそれは残酷な世界を満喫してくださいな」
そう言った紫が、指で『空中に』亀裂を作ると、亀裂は何倍にも広がって『穴』と化した。
紫はその不可思議な穴へと身を投じ、やがて穴と共にその姿を消失させた。
花山(……トリック、なんかじゃねェ…………)
花山(幻想の蔓延る世界……幻想郷、か……)
落ち着いて辺りを見回すと、どうやら森林のようだった。
こんな右も左も分からないような場所に放置されたのでは、流石の花山もお手上げである。
兎にも角にも、まずは人と接触することが第一。
食糧・寝床だけではなく、そもそもの自分の状況を把握するためにも、である。
7 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:16:05.43 ID:IKiDlVco
森林をさまようこと数時間。
既に日は落ち、辺りを闇が支配し始める時刻。
その時、異変は起こった。
花山「…………暗ェな」
暗い。夜だから暗い、という段階の話ではなく。
足元も。目の前も。月の出ている夜空さえ、まったく見えない。
いくら森の中とはいえ、自分の周囲が黒一色に塗りつぶされることなど、果たしてあるだろうか。
8 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:17:55.05 ID:IKiDlVco
突如、呼び声。
「あなたは、食べてもいい人間?」
背後だった。間髪入れず花山は『見えない敵』に向かって、裏拳を放つ。
花山の直感が、この、少女のような声――しかし、明らかに敵意の混じった声に対して、危険信号を出していたからだ。
「人は暗いところでは物が良く見えないって、本当なのね。巫女が言ってたもの」
が、花山の振るった拳は轟音を立て、空しく宙を切るだけだった。
花山「……何モンだ……」
ルーミア「私? 妖怪だよ。ルーミアっていうの」
9 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:19:51.49 ID:IKiDlVco
『妖怪』……と、声の主は言った。
幻想郷。空中の亀裂。深すぎる闇。そして、妖怪。
これだけの事実をまざまざと見せつけられては、もはや花山も紫の言葉を信じるしかなかった。
花山「…………ヘッ……確かに、残酷かもな……」
ルーミア「そーなのかー」
花山「…………ああ、そうだ……ッ!!」
耳を頼りに敵を正面に捉え、今一度距離を詰め、剛拳を放つ。
ガウッ、という、おおよそ拳から出たとは思えない音が辺りに響くと――
ルーミア「あうっ!」
花山の拳に。確かに、手ごたえがあった。
10 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:21:47.67 ID:IKiDlVco
闇が、晴れていく。
徐々に花山も視界を取り戻し、敵にガンの一つでもつけてやろうと正面を睨むと。
ルーミア「痛い……」
そこには、少女がいた。金髪に、黒い服。そしてリボンをつけた、ただの少女が。
これが、妖怪。
人間が大昔の文献に綴り、恐れ、嫌われてきた、妖怪。
11 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:23:38.89 ID:IKiDlVco
花山もその声からある程度の予想はしていた。
が、やはりそれが的中していたとなると、少々動揺するのも致し方ないというものだった。
ルーミア「……あれ、血だ……」
ルーミアという自称妖怪の少女の、右のこめかみから血が流れている。
花山のストレートは、その部分をカスる程度で済んだらしい。
そうでなければ、今頃少女は夢の世界か、あるいは死後の世界へ旅立っていただろう。
12 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:25:55.48 ID:IKiDlVco
ルーミア「取って食べれる人類が、生意気だよ!」
またしても、花山の視界が覆われる。
しかし、今この時、花山を取り囲んだのは『闇』ではなく。
ルーミア「行くよっ!」
彩色豊かな『弾幕』だった。
花山「…………ッッ!?」
『 夜符「ナイトバード」 』
13 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:27:22.76 ID:IKiDlVco
相手の攻撃は、すべて受ける。受けて受けて受けて、反撃する。
それが、花山薫という漢が持つ、素手喧嘩の美学。
すなわち。音速の拳だろうが、警官が奪われた拳銃だろうが、見たことも無い『弾幕』だろうが。
―――花山薫に、避けは無しッッ!!
花山を目掛けて放たれた弾幕は、花山の着用していた白のスーツを、存分に穴だらけにした。
無論、それは花山の体にそれらが直撃したことを意味する。
ルーミア「……やったのかー?」
14 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:29:40.73 ID:IKiDlVco
ルーミア「……!?」
花山「…………ヘッ……どうした……?」
ルーミア「な……なんで!?」
『避けない敵』は、そこに立っていた。二本の脚を、地に付けて。
この漢の存在は、ルーミアにとっては大きなショックだった。
どんなに強かろうが、弾幕ごっこやスペルカードルールといった『お約束』の上では、
紅白巫女も白黒魔法使いも、ある時は大雑把に、ある時はチョンチョンと、形はどうあれ避けていたものだ。
それが、この漢は避けない。確かに、当たれば終了というルールは無い。
しかし、あれだけ当たれば戦闘不能になる可能性は相当高い。それを分かっていて、避けなかった。
花山「…………さて……」
ルーミア「…………!」
花山「……こッちもヤるぜ……お嬢チャン……ッッ」
15 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:31:43.83 ID:IKiDlVco
ルーミア「こ……来ないでッ!」
花山がダッシュをかけたのと、ルーミアが弾幕を張ったのは同時だった。
『 闇符「ディマーケイション」 』
またしても花山の周囲に闇が展開される。
ルーミアの『闇を操る程度の能力』は十分に発揮されていた。
しかし、それは少しばかり、遅すぎた。
既に花山はルーミアを射程圏に捉えている。
その花山が視界を塞がれるのは、一撃で相手を葬りかねない花山の拳が、
ルーミアに直撃した後の事となるのは間違いなかった。
16 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:33:32.04 ID:IKiDlVco
ピタ――と花山のモーションが停止する。
己の拳を、ルーミアの眼前に突き出したまま。
ルーミア「ひっ……!!」
ルーミアは、今にも泣きそうな顔で……と言うか。
既に、泣いていた。
ルーミア「……や……やめて……っ」
この漢は、巫女や魔法使いとは違う。手加減もお遊びも、無い。
ルーミアは、そんな相手に闘いを挑んでしまったことを、後悔した。
そして、遂には『恐怖』を知ってしまったのである。
17 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:36:20.15 ID:IKiDlVco
ルーミア「……あれ……?」
いつまで経っても拳が飛んでこないことを不思議に思い、ルーミアが目を開けると、
花山は既にどこかへと立ち去るところだった。
花山「………………」
どのような経緯があれ、闘いは始まった。
それを終わらせることができるのは、闘っている当人達だけ。
花山は、自分が優位に立ち、少女が泣いているという状況に、一応の決着を見た。
それはルーミアにしても、文句のつけようの無い決着の形だった。
ルーミア「ま……待って!」
18 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:38:21.13 ID:IKiDlVco
ルーミアにトドメを刺すことを良しとしなかった花山。
自分から喧嘩をふっかけておいてそれでは申し訳ないと、ルーミアは花山に謝罪した。
ルーミア「人?」
花山「……あぁ。人が、大勢いる場所だ……」
そこで花山は、その代わりと言っては何だがと、現地人(?)のルーミアに、
人間に関しての情報を提供してもらおうと考えた。
幻想郷のことを殆ど知らない自分よりは、まだ妖怪の少女の方が知っているだろう、と踏んだのだ。
19 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/17(土) 20:40:48.88 ID:IKiDlVco
ルーミア「うーん、それなら『紅魔館』かなぁ」
花山「……紅魔館……?」
ルーミア「少なくとも、人間はいるよ。あと妖怪もいるけど」
この際、妖怪がいるのは二の次だ。
いや、むしろ妖怪しかいない、という最悪の事態が避けられただけ、これは良い結果だと言えよう。
花山としてはすぐにでも向かいたいところだったが、
ルーミア「夜道は妖怪が出て危ないよ?」
と『妖怪』のルーミアが言うし、無用なトラブルは避けたいところだった。
結局、花山は已むを得ず、ルーミアの教えてくれた隠れ家を借り、その日は野宿をすることにした。
20 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/18(日) 04:55:44.39 ID:lczO4UMo
支援、と
21 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/18(日) 22:52:03.03 ID:QwzjEoAo
なぜ花山薫を送ったしwwwwwwww
22 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:12:30.90 ID:bzXYK26o
翌日。
ルーミアの「湖の近くに出ると紅魔館が見えるよ」という言葉だけを頼りに、その場所を目指す花山。
木々の隙間から差し込む光を頼りにひたすら歩き続け、ようやく森を抜けると、そこには―――
花山「…………確かに、な……」
『森林を抜けると、そこは湖だった』。
トンネルと雪国、の場合とはまた別の風情があって、これはこれで良い。
しかし、花山の目的は観光でも撮影でも無く、ある館にあったわけで。
花山「…………赤ェ……」
おそらくはアレが、紅魔館。ルーミアの話によれば、あの館の主は吸血鬼らしい。
なるほど、一目見て納得した。館の色が吸血鬼の好む血の色だと考えれば、あんな趣味の建物でも合点がいくというものだ。
23 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 00:13:43.57 ID:bzXYK26o
湖をぐるっと回って、紅魔館に向かう。
道中、何匹かの妖精に絡まれたりしたが、花山がシカトを続けると寂しそうにどこかへ行ってしまった。
そもそも妖精なんているのか、という疑問はもう持たないようにするべきだ。
妖怪がいるのだから、妖精もいるだろう。それくらいに考えないと幻想郷ではやっていけないと、花山は割り切ることにした。
チルノ「ちょっとは驚け、人間!」
また変なのが、花山の行く手を遮る。
花山としてはまたシカトを決め込むことで済ませたいところだったが、そうはいかないらしい。
花山「………………」
チルノ「ムシすんな! ふざけやがってー!」
24 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:15:34.96 ID:bzXYK26o
チルノ「あんたなんて、英吉利牛と一緒に冷凍保存してやるわ!!」
花山「…………イギリス……? ヘッ」
チルノ「あっ、今笑った! むかつくやつ!」
花山がチルノの発言を鼻で笑うと、逆上したチルノは弾幕を放ってきた。
ルーミアの弾幕とは違う。『冷気を操る程度の能力』によって作られた氷だらけの、当たれば切られそうな弾幕だ。
25 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:18:10.60 ID:bzXYK26o
花山(……チ……刃物か……)
防御はしない。それが、自分の流儀だから。
この攻撃に関しては、花山も多少のダメージは覚悟していた。
『 氷符「アイシクルフォール」 』
……が。花山は一歩たりと動いていないというのに、その弾は一発も当たらなかった。
花山「………………」
チルノ「もー! なんで当たんないのさ!」
花山(…………何がしてェんだ、コイツは……)
26 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:22:45.96 ID:bzXYK26o
花山「…………馬鹿なのか、てめェ……」
チルノ「なっ……あ、あたいバカじゃないもん! 最強だもん!」
怒りを露にするチルノから、再度弾幕が放たれる。
今度は、動かなければ確実に当たるだけの弾数がある。
『 凍符「パーフェクトフリーズ」 』
それでも花山は、避けない。
当然、氷の飛礫がガシガシと花山の体を痛めつけていく。
花山「…………ッッ!」
ボロボロのスーツは、それによって更に穿たれ、多くの穴を開けられた。
が、あくまでも『それなり』といった程度。
避けることを前提に考えれば面倒だと思える弾幕ではあるが、避けないとなると弾数は実際よりも少なく見えた。
27 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:24:16.21 ID:bzXYK26o
チルノ「ええっ!? な、なんなのよアンタ! ホントは妖怪なんじゃないの!?」
花山「…………ヘッ……」
以前『フンドシのオバケ』と評されたことのある花山としては、
妖怪という評価は実に言い得て妙なものだった。
花山「…………悪ィが、これ以上てめェの相手をするつもりは無ェ……」
チルノ「な、なんだとー!?」
花山「…………紅魔館、ってトコに行くんでな……」
チルノ「え……紅魔館? あの、吸血鬼の?」
28 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 00:26:27.39 ID:bzXYK26o
森を抜けた時は朝だったが、あれこれするうちに時間は過ぎてしまい、
紅魔館に着いた時には既に日が真上に昇っていた。
チルノ「やめとけってば。あそこは人間の行くトコじゃないよ」
花山「………………」
なぜか、チルノというオマケも付いていたが。
今しがた喧嘩をしていた相手にホイホイと付いてくるあたり、余程暇なのだろうか。
チルノ「おいっ、聞いてんのかー?」
花山「………………」
29 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:29:24.71 ID:bzXYK26o
花山「…………ッ!」
チルノ「だいたいあそこには、門番がいるんだよ。妖怪のさ」
花山「……あァ……今、見えたトコだ……」
丁度、チルノに言われる直前だった。
大きな門の前に、どっしりと構える門番の姿を確認したのは。
そして、その門番もまた、花山に気付いていた。
『会話』というレベルで言葉を交わせる距離までまだ数十歩分はあったが、
二人は既にこの間合いから睨み合いを始めている。
そして、これから出会うまでも、この目を逸らすことは無いことは容易に想像できた。
30 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:31:17.65 ID:bzXYK26o
花山(…………コイツも、妖怪、か……)
長髪、三つ編み、中華服、そして『龍』の紋様が輝く帽子。
一見すれば、若い人間の女なのだが。
美鈴「……こんにちは」
紅魔館の門番、紅美鈴(ほんめいりん)は、花山に睨みをきかせたまま表面上の挨拶を交わす。
ただの女なら、明らかにカタギではない花山に、こんな態度はとれないだろう。
気に食わなければ蹴り飛ばすという、範馬刃牙のガールフレンド、梢のような例外もいるのだが。
美鈴「紅魔館に、何か御用ですか?」
冷たい視線。冷たい言葉。つまりは、花山は歓迎されていないのだ。
花山としてはその反応も予測の範疇だったが。
31 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:33:09.84 ID:bzXYK26o
花山「……『人間』に、会いてェ」
美鈴「…………?」
紅魔館の『人間』。それが指し示すのはただ一人。
完全で瀟洒なメイド、十六夜咲夜を置いて他にない。
紅魔館の門番としては。
幻想郷でも、どちらかと言えば体格の大きい方の自分。
その自分より更にガタイのいい男が、ボロボロの服という明らかに普通ではない風体で、十六夜咲夜に会いたいという。
それなら、答えは最初から決まっている。
32 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:38:57.08 ID:bzXYK26o
美鈴「……お引き取り願います」
花山「…………だろうな……」
花山があまりに当然のように答えたので、美鈴も少し首をかしげた。
紅魔館はただの人間が入れる程甘くはないが、だからといって観光というわけでもあるまい。
美鈴「門前払いを食うと、分かっていて来たんですか?」
花山「……あァ。それでも、引き下がれねェ……」
瞬間。美鈴の目付きが、明らかに敵意を含んだものに変異する。
その豹変する様は、花山がかつて何度も見てきたソレと、まったく同じものだった。
美鈴「では、あなたは侵入者ということですよね」
花山「………………」
美鈴「……それなら。無理にでも、引き下がらせます」
33 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 00:42:14.37 ID:bzXYK26o
美鈴が地面を蹴った音と、その後に花山を蹴った音には、殆どタイムラグが無かった。
二人の間にあった距離は、ざっと4〜5メートル。
美鈴は、それをたった一歩で0にした上で、花山の腹部に鋭い前蹴りを入れたのだ。
花山「…………ッッ!」
……その一発を入れられただけで、花山は理解した。
自分より一回りも二回りも大きい相手を『引き下がらせる』という、彼女の吐いた大言。
それに見合う程に、この門番は――強い。
34 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:44:59.63 ID:bzXYK26o
美鈴「あれ、倒れない……おかしいなぁ」
花山「………………」
美鈴「手加減はしましたけど、人間なら悶絶して当たり前の威力でしたよ。痛くないんですか?」
花山「………………」
美鈴「じゃ、ちょっと本気でやりますね……つあッ!」
膝に、強烈な下段蹴り。これだけのモノは、花山の記憶にも多くはない。
滅多な攻撃では微動だにしない花山の巨体が、大きくグラつく。
美鈴「あなたの弱点は、その膨大な自重を支えている膝にあります。そして」
体勢を崩したところに、続けて拳による、打顎。
花山「…………!」
美鈴「人型である以上避けられないのが、脳の揺れ。脳へのダメージはいくら鍛えても、減らすことはできません」
35 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:49:47.82 ID:bzXYK26o
花山の意識が一瞬薄れ、前のめりに倒れ込んだ巨体は、そのままダウンするかと思われた。
が、花山は脚を前方に出し、ソレを無理やり体を支える支柱とする。
そして――
花山「…………ッ!!」
花山の、反撃。下段からのアッパーである。
スピードもあるし、体重も乗っている。何よりその拳は、強く強く、握られていた。
36 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 00:52:55.36 ID:bzXYK26o
美鈴「邪ッ!」
花山の拳の打ち上げに合わせて、美鈴の足が打ち下ろされる。
美鈴の動体視力は、花山の拳の動きを正確に捉えていた。
ゴンッ、と。
手と足。体と体がぶつかったというのに、まるで鈍器同士が叩き合ったような音が響く。
――と、同時に。美鈴の体は、大きく上空に吹っ飛んだ。
美鈴「なっ……!?」
37 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 00:58:41.62 ID:bzXYK26o
宙返りで体勢を立て直し、着地する美鈴。
帽子はどこかへ飛んでいったが、美鈴本人には、一切ダメージは無い様子だった。
美鈴「危ない危ない、と」
花山「………………」
美鈴「……何です? 怪訝そうな顔ですけど」
花山「…………脚、折れてねェのか……」
美鈴「ご冗談を。確かに力では負けてるみたいですけど、その程度で折れるほどヤワではないんです」
かつて花山のアッパーを同じように受けた稲城文之信は、その脚を破壊された。
しかし、この門番は女とはいえ、人間の常識は通用しないらしい。
敵は『妖怪』なのだということを、花山自身、ようやく身を持って実感した。
38 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:01:12.11 ID:bzXYK26o
美鈴「それにしても、先程から驚くことばかりです。私の攻撃を食らって生きてるどころか、反撃してくるなんて」
花山「………………」
美鈴「あなた……本当に人間ですか?」
花山「…………ヘッ。さッきも言われたぜ……」
チルノ「あたいが言った!」
まだいたのか、と花山がチルノに視線をやると、彼女はどや顔で花山にVサインを向けていた。
……花山と美鈴に、『コイツはいないものとして扱おう』という、暗黙の了解ができた瞬間だった。
39 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:03:35.52 ID:bzXYK26o
美鈴「で。どうやって鍛えたら、妖怪の攻撃に耐えられるような人間になるんですか?」
花山「…………鍛えてねェ……」
美鈴「………………は?」
心底意味が分からない、といった表情をする美鈴。
花山「……俺は、格闘家でも、武術家でもねェ……」
美鈴「………………」
花山「……ヤクザ……ただの、喧嘩師だ……」
美鈴「喧嘩師……ですか」
鍛えることは、女々しい。持って生まれた力で、自分を押し通す。
花山薫はそうやって、幾多の闘いを乗り越えてきた。それは、これからも変わらない。
美鈴「私も門番としてお嬢様に拾われていなければ、喧嘩三昧だったかもしれませんね」
40 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:05:10.56 ID:bzXYK26o
そのお嬢様、レミリア・スカーレットは、まさにこの闘いを見物中であった。
レミリア「食後の散歩に出かけたら、面白いものに出くわしたわね。どちらが勝つかしら?」
咲夜「あの男は、どうやらただの人間のようですので。美鈴が負ける道理はありませんわ」
紅魔館でただ一人の人間……すなわち、十六夜咲夜がそう答える。
紅魔館の門は、庭や館からも見える程に大きく、散歩中のレミリアやお付きの咲夜だけでなく、
他にも多くの妖精メイドがこの闘いを見物していた。
そして――誰もが美鈴の勝利を、信じて疑っていなかった。
41 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:07:52.08 ID:bzXYK26o
美鈴「ですが私は、あなたとは違うんです。私は喧嘩師であったとしても、功夫を積み重ねていたことでしょう」
花山「…………てめェと、価値観の違いを問答する気はねェ……」
美鈴「確かに、そういう関係ではありませんでした。失礼をッ!」
言い終わると同時に、またしても蹴りが飛んでくる。
十分な速度を持った回し蹴りが花山の側頭部を捉え、嫌な音を響かせる。
花山「…………ッッ」
美鈴「まだですッ!」
42 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:11:04.66 ID:bzXYK26o
美鈴が脚で大地を叩くと、辺りが地震の如く震え、花山の足元が大きく揺れた。
咲夜「黄震脚」
不安定になった花山を逃さず、即座に地面を蹴り、突き出した拳を見舞う。
咲夜「螺光歩」
更には懐まで踏み込み、追撃のショートアッパー。
咲夜「紅砲」
レミリア「……詳しいのね、咲夜」
咲夜「小さい頃、美鈴に教わりましたから」
レミリア「なるほど。それなら咲夜もできるのか」
咲夜「見様見真似なら。ただ、あんな巨体を倒す段階の威力は持ち合わせていませんが」
43 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:13:59.24 ID:bzXYK26o
美鈴「……これでも倒しきれない、と……」
やはり、花山薫は、立っていた。
美鈴「見事です。すべて受けきられるとは、思っていませんでした」
花山「…………ヘッ……」
実際、ラッシュが続いていたら倒れていた可能性もある。
それを微塵も感じさせないのが、花山薫が日本一の喧嘩師と評される所以でもあるのだが。
美鈴「『ヘッ』で済みますか……普通なら死んでます」
花山「…………女……」
美鈴「……何です?」
花山「…………『中国』ッて国を知ッてるか……」
44 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 01:16:53.84 ID:bzXYK26o
美鈴「……私自身が、妖怪でありながら中国の文化に影響されていますから。もちろん」
花山「…………そうかい。中国には『烈海王』ッて拳法家がいる……」
美鈴「……拳法家……」
聞いたことは無い。無いが、この寡黙な漢が他愛も無い話をするとも思えない。
この名前がそこで出てきた以上、その人物に大きな意味があることに間違いは無かった。
花山「…………ヤロウは、音速の拳にカウンターを合わせるッて、とんでもねェ技の持ち主だが……」
美鈴「………………」
花山「……てめェじゃ、ヤツには勝てねェな……」
45 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:19:45.36 ID:bzXYK26o
美鈴「私が、そのレツカイオウという人物に、劣ると」
花山「…………あの、変な能力を使うなら分からねェがな。使えンだろ、てめェも……」
挑発、されている。
『拳法家』としてのお前では無理だと。弾幕や能力を使用しないお前など、相手にもならないと。
美鈴「……いいでしょう」
花山「…………あ……?」
美鈴「ならば私は。弾幕もスペルカードも無しで、あなたを倒して見せますッ!」
花山「…………無理すンじゃねェ……てめェじゃ」
46 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:22:10.69 ID:bzXYK26o
パンッ。
美鈴「いい、音でしょう……?」
花山「…………ッッ!」
美鈴「で……私じゃ、何でしたっけ?」
打った。
この門番は、いとも簡単に。
あの空手界の最終兵器、愚地克巳が鍛錬の末に生み出した、音速拳を。
美鈴「私のコレからも……レツカイオウさんは、カウンターがとれるんですかねぇ……?」
47 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:24:39.13 ID:bzXYK26o
花山「…………てめェ……ッ」
美鈴「あはっ。喜怒哀楽の無い人かと思ってましたが、ちょっと驚いてくれましたね」
美鈴は、そう言った。この場に似つかわしくない、少女のような笑顔で。
今自分がやったことが、常人では真似できない妙技であるなどとは自覚しているわけもなく。
美鈴「これの原理、知ってます?」
花山「…………関節の、加速……」
美鈴「ええ、その通りです」
48 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:27:15.58 ID:bzXYK26o
美鈴「爪先や膝、肩や肘。拳を打つために必要な関節を加速させると、ただの拳が音速の拳に成るんです」
物体の速度が音速を超えた時、耳をつんざく破裂音が発生する。
それは、拳であっても例外ではない。
花山は過去にトーナメントで聴いた『拳の音』を、今再び聴かされることになった。
花山「………………」
美鈴「仕組みさえ分かれば、誰にでもできる芸当ですけどね」
花山(……チ……イカれてるぜ、幻想郷ッてのはよ……)
49 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:29:51.15 ID:bzXYK26o
美鈴が、構えた。再度音速拳を打つための、発射体勢へ移行したのだ。
同時に花山も、構えた。幻想郷に来て、構えるのは初めてであった。
美鈴「……へぇ。珍しい型ですね」
両腕を曲げ、顔面より更に上に持ってくるという、極端なアップライトスタイル。
この構えが意味するものはただ一つ。
美鈴「ノーガード。顔から足に至るまで、どこに攻撃を食らっても、すべてを耐え抜く」
花山「………………」
美鈴「その後、相手の頭上から反撃。防御体勢に移行できていない相手に、あなたの攻撃が直撃する」
花山「………………」
美鈴「タフネスにかなりの自信が無ければできないスタイルです。尊敬しますよ」
50 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:32:24.64 ID:bzXYK26o
美鈴「………………」
花山「………………」
じり、じり、と距離を詰める美鈴。花山は、不動の体勢を崩さない。
美鈴も、迂闊には近寄れない。
先程の一撃、防ぎきったは良いが、アレをマトモに貰えば再び立てるとは限らないのだ。
美鈴(……100年は無かったですね、これほどの緊張は……)
51 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:36:29.98 ID:bzXYK26o
場が動いたのは、花山の射程圏まであと数歩、というところまで美鈴が近付いた時だった。
美鈴は構えを崩さぬまま花山に接近し――
美鈴「ッはあッッ!!」
パンッ!
破裂音が、紅魔館の門に響く。
花山の良く知る、音速の拳。しかし……
花山(グ……アイツより、速ェ……ッッ!!)
美鈴「……直撃です。水月に入りましたから、呼吸ができなくなりますよ」
52 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:38:48.00 ID:bzXYK26o
がしっ。
美鈴「…………え」
動けるワケがない。
この漢は、顔を真っ青にして地に倒れ伏すハズだ。
それなのに。
花山薫は、紅美鈴の右腕を、しっかりと掴んでいた。
53 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 01:40:43.14 ID:bzXYK26o
花山「………………」
美鈴「……なんだ。苦し紛れ、ですか?」
胸を撫で下ろす美鈴。
何をするのかと思いきや、ただ掴んだだけだ。
美鈴が音速拳のために突き出した、右腕を。
花山の片手は、美鈴の手首に。
もう片手は、肘の少し下に。
美鈴「……私の腕を、折るつもりですか?」
花山「………………」
美鈴「無駄ですよ。一見細腕ですけど、人間とは比べ物にならないほど丈夫にできてますから」
54 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:46:06.65 ID:bzXYK26o
眠気が限界なので寝る。あと、まさか読者がいるとは思わなかった、ありがとう
よりにもよってバキ×東方なのに
55 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 01:53:33.61 ID:sHqzbRwo
乙、おやすみー
56 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 01:57:09.98 ID:Sm/ZZoAO
乙
57 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 02:40:16.23 ID:2NM0v42o
花山好きなので続き楽しみに待ってます
58 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 03:31:18.38 ID:KsVU2LUo
乙
59 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 05:05:10.19 ID:1leCXMU0
乙
60 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 07:04:04.56 ID:ABEJjQDO
乙
61 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 13:06:19.83 ID:WxeHN460
バンッしてから寝ろよ
62 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 16:07:48.34 ID:ui69lBQ0
なんという俺得スレ
花山なら幻想郷でもずっとステゴロだろうな
63 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 16:42:11.88 ID:VtbC0aU0
見せ場の前に寝るなよチクショウ乙
64 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 17:36:36.32 ID:hsP651Q0
強さ議論なんて女々しい事に赴かず、
ただ、ひたすら勝ち負け分けを見ていきたい
65 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 21:39:40.71 ID:bzXYK26o
美鈴「…………ッ!?」
違う。『折る』わけじゃない。
何かは分からない。分からないが。
長年の闘いによって培われた勘が、警鐘を鳴らしていた。
が。嫌な予感がした時には、もう……遅かった。
パァン!!
――と。
直後、その腕は。
赤い花火のように……血を撒き散らして、爆ぜた。
66 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:42:02.99 ID:bzXYK26o
美鈴「…………は……?」
――何だ。何だ、これは。
血が、吹き出ている……誰の?
私だ。私の血だ……どうして?
美鈴「…………あ」
私の――腕が。
美鈴「――――う、で」
花山「………………」
67 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:46:46.74 ID:bzXYK26o
美鈴「――あ、ああアアああッッッ!!」
突如、咆哮。
『悲鳴』ではない。闘いの『雄叫び』。
美鈴「〜〜ッッッ、らあッ!!」
――瞬間! またしても『脚』技ッ! 美鈴の左脚が、花山を捉えていた。
右腕がヤられた。その事実を認識した時、美鈴が最初にとった行動。
それは、逃げることでも、ましてや泣くことでもなく。
『己の動く肢体を以て、敵を、打ち倒す』!
ただ、それだけだった。
68 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:48:02.82 ID:bzXYK26o
咲夜「め……美鈴ッ!!」
レミリア「落ち着け咲夜ッッ!」
咲夜「…………!」
レミリア「……黙って見てなさい。門番を信じているのなら」
咲夜「し、しかしお嬢様! あれでは……!」
美鈴の腕からは、この位置からでも分かる程の、夥しい出血。
技を放っているとはいえ、その顔にも苦悶の表情が浮かび、咲夜としてはいたたまれない気持ちだった。
レミリア「いいえ。美鈴が負けるハズがない。アイツが『紅魔館の門番』である限り」
咲夜「え……?」
69 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:50:40.81 ID:bzXYK26o
美鈴の蹴りが何発も、花山の体に入る。
しかし、一切踏み込みの無い蹴りでは、花山の岩のような両手を外すことはかなわない。
花山「………………」
花山は、知っていた。この女の『闘い』を。
『範馬刃牙』。
あの少年も、自らの体が破裂してなお、勝負を挑んできた。
それどころか、こちらの指まで折ってくれる始末。花山にとっては忘れられない記憶だ。
だからこそ……花山には、分かった。この女は危険だと。
彼女もまた、どちらかが倒れるまで、闘い続ける『闘士』なのだと。
花山「……てめェがトーナメントに出りゃ、面白ェんだろうな……」
美鈴「〜〜〜〜ッッ!!」
その時。
突如、美鈴の左拳が輝いた。
70 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:52:31.57 ID:bzXYK26o
『 虹符「烈虹真拳」 』
美鈴「だアアあッッ!!」
突き。しかし利き腕ではない、左手の。
花山「…………ッッ!」
が、驚くべきはその数だった。
一発、ニ発、三発、四五六七―――その数、実に十五!
左手一本で次々に打ち込まれる、突きの応酬。
辺りに、機関銃を掃射したかのような爆音が鳴り響く。
71 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:54:26.76 ID:bzXYK26o
破壊された右腕のダメージ。封じられた移動。それらを感じさせないだけの覇気が、そこにはあった。
それは永きに亘って、その身一つで紅魔館を守り続けてきた妖怪だからこそ、出せるモノだ。
花山「…………〜〜ッッッ!!」
美鈴の連打に、思わず彼女の右腕を解放する花山。
当然、美鈴はここぞとばかりに大きく距離をとった。
花山「チ…………」
踏み込み無し、片腕のみ。その条件で、この威力、この連打。
やはり、紅美鈴は『危険』だった。
美鈴「はぁっ……はぁっ……!」
72 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:57:17.54 ID:bzXYK26o
美鈴「う、くッ……!」
美鈴はスカートの一部を破き、乱暴ながらも右腕に巻きつける。
同時に右脇を締め、血液の流れを抑えることで、急場しのぎの止血を完成させた。
花山「…………大した女だ……」
美鈴「……す……すみません……待っていて、くれたんですね……」
花山「………………」
美鈴「まさか、血液を一箇所に集中させて、破裂させるなんて……ありえない『握力』ですね」
花山「………………」
美鈴「スペルカード……使うまいと思っていましたが。逆に『使わされる』なんて……」
賛美か愚痴かわからないものを吐きながらも、美鈴は呼吸を整えていた。
それが、次の攻撃に移るための準備だということは、花山も分かっていた。
それでいて、それを妨害しようとは微塵も考えていない。これもまた、花山薫、素手喧嘩(ステゴロ)の美学。
73 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 21:58:47.72 ID:bzXYK26o
花山「…………だから、言ッたんだぜ……」
美鈴「ええ……あなたの仰った通り、無理は良くなかった」
止血はしたが、それでも美鈴の出血は止まらなかった。その場には、既に小さな血溜まりが作られている。
しかし花山も美鈴の音速拳に加え、スペルカードによる十五連打によって僅かに内臓を痛め、吐血を免れてはいなかった。
美鈴「まずは、謝罪を……スペルカードを使わないという宣言を、破ってしまいました」
花山「…………ヘッ……」
美鈴「……ですが、私は門番です。私情で闘う前に、やるべきことがあったんです」
花山「………………」
74 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:02:03.86 ID:bzXYK26o
美鈴「そんな当たり前のことを、私は忘れていました……」
花山「…………そうかい……」
美鈴「経緯はどうあれ、あなたのお陰です。思い出させていただいて、感謝します」
花山「………………」
すぅっ、と大きく息を吸う美鈴。
そして。
美鈴「私はどんな手を使おうとも、侵入者風情に紅魔館の門を潜らせてはならないッ!」
美鈴「それが紅魔館の門番、紅美鈴だッッッ!!」
『 熾撃「大鵬墜撃拳」 』!!
美鈴「行くぞッ、侵入者ッッ!!」
花山「…………ッ!」
75 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:06:08.18 ID:bzXYK26o
美鈴の左掌が花山の腹に打ち付けられる。
咲夜「打開!」
続いて、背中が相手に見えるほど斜に構えての体当たり。
咲夜「鉄山靠!」
最後に、突きにも似た打ち上げの一撃が、花山の顎に突き刺さった。
咲夜「揚炮ッ!」
レミリア「やったか!?」
咲夜を諌めたレミリアまでもが、思わず大声を出していた。それほどこの勝負は、拮抗していた。
レミリアには紅魔館の主人としてのカリスマも重要だったが、やはり吸血鬼の血には逆らえなかったのである。
76 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:10:25.25 ID:bzXYK26o
花山「………………」
美鈴「ハァッ……ハァッ……!」
ズンッ、と花山の巨体が崩れ落ちた。そうでなくては困る。
何せ、もう美鈴には闘う術がほとんど残されていないのだから。
美鈴「……や、った……」
ふぅ、と一息つく美鈴。
同時に紅魔館でも、多くの妖精メイドたちが安堵や喜びの表情を見せていた。
しかし、その中にいて、一人だけ。
レミリア「……なん……だと……」
77 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:14:57.71 ID:bzXYK26o
咲夜「どうかされましたか、お嬢様? 美鈴が勝ちましたよ」
レミリア「…………まだよ」
咲夜「え?」
その瞬間、のそっと起き上がる巨体。
花山「………………グ……」
美鈴「な……!?」
漢はまだ、立ち上がる。
美鈴の頭の中に、何回もこの言葉が反芻する。
『この漢は、本当に人間なのか?』
そんな美鈴を笑うかのように、漢はこう言うのだった。
花山「まだやるかい……?」
78 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:17:09.38 ID:bzXYK26o
美鈴「は……ははっ……ま、まだ、やるか……?」
花山「………………」
美鈴「……見ての通り、両腕がこんな状態で……」
美鈴の左腕は、あらぬ方向に折れ曲がっていた。
身動きを封じられた無茶な体勢からの、烈虹真拳。
妖怪以上の強度を誇る花山の体に打ち込んだ、大鵬墜撃拳。
それらは、美鈴の左腕を確実に破壊していたのだ。
しかも、花山の『握撃』によって、右腕もロクに動かない。
そんな状態で闘うなど、不可能である。
医者でなくても、誰が見ても無理だと言う。
79 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:19:13.25 ID:bzXYK26o
美鈴「だから……」
花山「………………」
美鈴「『だから』……やるに、決まってんだろうがッッ!!」
それでも、ヤるッッ!
たとえ両腕が使えなくとも、脚があるッ!
花山「…………ッッ!」
花山が、猛然と美鈴に向かっていく。
しかし、美鈴は動かない。最後に渾身の脚技を放つために、走ることさえしない。
それが、今まで自分の攻撃を受け、それでも立ち上がった花山への、精一杯の礼儀だった。
80 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:22:47.23 ID:bzXYK26o
咲夜「そこまでよ!」
突如、花山の目の前に、紅美鈴とは別の女が現れる。
その女は、秋葉原のメイド喫茶で見たような服を着て……両手に、ナイフを構えていた。
一目見て、それが美鈴の援軍だと。自分の敵だと、花山は理解した。
美鈴「さ……咲夜さん?」
咲夜「もう、あなたは闘わなくていい」
花山「………………」
咲夜「侵入者! 十六夜咲夜が相手になるッ!!」
レミリア「見てろって言ったのに、あのバカ……」
81 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:25:01.03 ID:bzXYK26o
美鈴「……咲夜さん。いきなり現れたところを見ると、能力を使ったんですね」
咲夜「ええ」
美鈴「そこまでして、来てくれたことは嬉しいんですけど」
花山にナイフを向け、戦闘態勢に入る咲夜。
その咲夜に美鈴は、別段嬉しいという表情も見せず、淡々とこう述べた。
美鈴「帰って、もらえますか」
82 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:27:28.77 ID:bzXYK26o
咲夜「…………!?」
咲夜としては、勿論善意で助けに来たのだ。
メイド長である自分と懇意にしてくれる、門番の紅美鈴を救うために。
それが、感謝されるどころか、『帰れ』と。
邪魔者として、煙たがられたのである。
美鈴「今、いいところなんですよ」
咲夜「な……何を」
美鈴「聞こえなかったの? 戻りなさいと言ったのよ、『咲夜』」
咲夜「なっ……!?」
83 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:29:01.91 ID:bzXYK26o
ずっと昔。まだ咲夜が小さかった頃。
美鈴は、優しく慈愛の心を持って、咲夜に接してくれた。
そんな母親のように世話をしてくれた美鈴だったが、
咲夜が悪いことをすれば、決まって、こうして怒られたものだ。
が。今の美鈴の声には、そういった感情とは別に。
単純に『水を差された』ことに対する、憎しみが混じっていた。
咲夜「…………ッ」
美鈴「咲夜。何度も言わせないで」
咲夜「わっ、私は……!」
84 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:31:24.13 ID:bzXYK26o
レミリア「やめなさい」
日傘を持って颯爽と現れたのは、観戦に徹していた筈の紅魔館の主人、レミリア。
しかしやはり美鈴は、レミリアに対しても邪魔者以上の感情を持たず、睨みつけるだけであった。
レミリア「お前のそんな顔、久しぶりに見たよ……美鈴」
美鈴「レミリア・スカーレット……お前なら分かるだろう!」
レミリア「ああ、分かるよ」
美鈴「妖怪の血が! 闘いたいという、抑えられない衝動が!」
レミリア「ハ、分かると言ったぞ。だから、邪魔をしにきた訳じゃない。終わっているものを、邪魔なんてできないだろう?」
美鈴「…………終わっている?」
85 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:34:35.36 ID:bzXYK26o
美鈴「…………!!」
間に入ったのが、咲夜やレミリアだったにもかかわらず、美鈴は『邪魔だ』と思った。
それだけ、花山薫は、良い好敵手だったのだ。
それが―――
花山「………………」
花山は、意識を失っていた。美鈴も咲夜も、それに気付かなかったのは――
咲夜「た……立った、まま……」
レミリア「ええ……スタンディングKO、ってヤツね。美鈴、お前の勝ちだよ」
美鈴「………………」
86 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 22:39:09.54 ID:bzXYK26o
両腕が破壊され、攻撃もままならず、お節介な仲間が助けに来た自分が、勝ち。
自分の攻撃をすべて受けきり、意識を失ってなお、立ち続ける相手が、負け。
美鈴「…………バカな……ッ!」
あの時、花山は最後の攻撃を仕掛けようとしていた。
自分も脚だけで闘うつもりだったが、その結果がどうなったかなど、誰にも分からない。
それでも、今。生殺与奪の権利があるのは、自分だ。
咲夜がいなければ、レミリアがいなければ。そんな仮定に意味が無いことなど、理解している。
……それでも、納得はできなかった。
美鈴「畜生……ちくしょおォォッ!!」
美鈴が紅魔館の塀を思いっきり蹴飛ばすと、そこに人一人が入れそうな、大きな穴が開いてしまった。
門番としてはあるまじき行為だが、美鈴の私闘を穢した咲夜とレミリアには、それをただ黙って見ることしか許されなかった。
87 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:41:52.83 ID:bzXYK26o
レミリア「……咲夜。妖精メイドたちと協力して、コイツを館に運びなさい」
咲夜「えっ……?」
レミリア「コイツも何か思うところがあって、ここに来たんだろう。健闘を讃えて、話くらいは聞いてやっても良い」
咲夜「……わ、分かりました……」
美鈴「………………」
レミリア「美鈴。お前も休むといい。そんな腕で門番が務まるのか?」
美鈴「…………この人が死んだら、一生怨んでやる」
レミリア「助ける。だから、お前も助かれ」
美鈴「………………」
パシャッ。
??「いやぁ、思わぬネタに遭遇しました。『門番不在、紅魔館の危機!』今日の夕刊はこれで決まりですね!」
88 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:45:59.87 ID:bzXYK26o
翌日。
花山が目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
花山「…………?」
辺りを見回すと、誰もいな――いや、いた。
美鈴「おはようございます」
花山「………………オウ」
美鈴「目が覚めて何よりです。私も本気でやったので、もしかしたら二度と起きないかと」
花山「………………」
美鈴「先に言っておくと、ここは紅魔館です。あの闘いの後、あなたはここに運ばれたんです」
89 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:47:39.93 ID:bzXYK26o
美鈴の両腕には、昨日の闘いの苛烈さを示すように、ぐるぐると包帯が巻かれていた。
スペルカードによって折れた左腕に至っては、首から吊り下げられている。
美鈴「……これですか。あれから大変でしたよ。ご飯の時とか、お風呂の時とか」
花山「………………」
美鈴「あ、引け目に感じることは無いですよ。お互い様ですから」
見ると、花山自身の体にも包帯が巻かれていた。
美鈴とは異なり、ほぼ全身に傷があったようで、特に胸や腹のあたりは手当の跡だらけだ。
花山「…………コレは、お前が……?」
美鈴「わ、私は無理です! 幻想郷には、八意先生って凄いお医者様がいるんです」
花山「………………」
美鈴「本当は出張とかやってないらしいんですけど、昨日は咲夜さんが強制的に引っ張ってきたみたいで」
美鈴(……そういや鎬紅葉も、ジジイに無理やり呼びつけられるッてボヤいてやがッたな……)
90 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:50:02.97 ID:bzXYK26o
美鈴「……ところで、昨日の勝負なんですけど」
花山「…………あれァ、てめェの勝ちだ……」
美鈴「それは、微妙なところですけど。最後のアレ、消化不良でしたし」
花山「………………」
美鈴「お互い、『満身創痍』ではありましたけどね」
花山「…………そうだな……」
美鈴「でも、私はあなたとの闘いで、色々なものを得ることができました。ありがとうございます」
笑顔でお辞儀をする美鈴。
今の彼女の雰囲気からは、昨日の怒れる龍の如き妖怪など、とても想像できなかった。
91 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:52:30.14 ID:bzXYK26o
花山「………………」
美鈴「そんな怪訝そうな顔をしないでください。お仕事と私生活はやっぱり分けないと」
花山「…………フン……」
美鈴「そうだ。お名前を窺ってませんでしたね」
そうだった。あれだけの死闘を演じておいて、花山は自分の名前を名乗っていなかった。
美鈴「私は紅美鈴、紅魔館の門番です。一回だけ言いましたけどね」
花山「…………花山、薫……喧嘩師だ……」
美鈴「よろしく、花山さん」
美鈴が、右腕を出す。あの時、そうして握撃を食らったというのに。
美鈴「あは、握手ですよ、握手。アレはもう勘弁して欲しいです」
92 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:55:56.85 ID:bzXYK26o
花山「………………」
花山が、美鈴の手を軽く握り返す。と、美鈴が僅かに顔をしかめた。
握撃で破裂した右腕。決して痛みが無いわけではないのだ。
妖怪と言えど、万能でも、無敵でも無いのだから。
花山「…………悪ィな……」
美鈴「いえ……これは、勲章です。強い人と闘ったという、誇りです」
花山「………………チッ」
美鈴「……あれ、照れてます?」
花山「…………黙れ……」
美鈴「あははっ」
93 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 22:58:08.38 ID:bzXYK26o
咲夜「こら、美鈴」
美鈴「へっ?」
また、突然現れた。気配がしないとかそういう問題ではなく、本当に、突然現れる。
このメイド服の女は、魔法か何かでも使うのだろうか。
……もっとも、魔法だとしても花山には到底理解し難いものだが。
咲夜「やっぱりここに居たのね。あなたもまだ寝てなきゃダメでしょう」
美鈴「いやぁ、つい」
咲夜「つい、じゃない!」
美鈴「……見つかっちゃったので、部屋に戻りますね。私が言うのも何ですけど……お大事に、花山さん」
咲夜「はぁ……あなたも、無闇やたらとうろうろしないようにね。食事はここまで持ってくるから」
94 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 23:01:42.85 ID:bzXYK26o
二人が出て行くと、入れ違いで小さい女の子が部屋に入ってきた。
その少女は無言のまま、先程まで美鈴が腰掛けていた椅子にどかっと座ると。
レミリア「門番やらない?」
花山「………………」
この吸血鬼は、少しばかりモノを端的に話しすぎる傾向があった。
長年生きてきた者と、普通の人間にはギャップがあるのは仕方なく。
レミリア「……ちょっと、省略しすぎた?」
花山「………………」
レミリア「じゃあ、面倒だけど最初から説明するよ」
花山「………………」
レミリア「まず、私は紅魔館の主人、レミリア・スカーレット。吸血鬼よ」
これが、吸血鬼。ルーミアやチルノが話していた、紅魔館の主人。
見た目が幼いことなど、関係ない。
花山がいくら外の世界の住人とはいえ、幻想郷では人間の常識など通用しないことは、既に美鈴を例に理解していた。
95 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 23:03:58.59 ID:bzXYK26o
レミリア「美鈴は自己紹介したでしょう? あと、さっきのメイドは十六夜咲夜。アレも強いわよ」
花山「………………」
レミリア「驚かないのね。ちなみに紅魔館の門番っていうのは、幻想郷でもかなり下っ端の部類」
花山「……何……ッ」
レミリア「あ、驚いた」
互いに全力で闘い、堂々と負けを認めることのできた、あの美鈴が下っ端。
幻想郷の異常なヒエラルキーに驚きを隠せない花山。
レミリア「とは言え、その門番の両腕が使い物にならなくなって、困っているのも事実」
花山「………………」
レミリア「そこで、お前に門番をやってもらおうと思ってね。責任はお前にあるんだし」
花山「…………負けたのは、俺だぜ……」
レミリア「だって、お前の方が動けるだろう? 腕も脚も、ピンピンしてるじゃないか」
96 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 23:07:07.69 ID:bzXYK26o
レミリアの言う事にも一理ある。
美鈴から門番という仕事を奪ったのは、紛れも無く自分だ。
それに、衣食住に困る現状としては、むしろ受ける以外の選択肢は無い。
花山「…………なら、構わねェが……」
レミリア「そう。じゃあ早速だけど明日からね」
花山「………………」
レミリア「あ、そういえば。お前が寝てる間に血を貰ったけど、なかなか美味しかったわよ」
花山「…………てめェ、勝手に」
レミリア「治療費。払えるの?」
花山「………………」
残念ながら無一文の状態で幻想郷に連れてこられたため、金など持っている訳もなく。
こうして花山薫は、タダ働き同然で、紅魔館の門番になったのである。
97 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/19(月) 23:10:25.46 ID:bzXYK26o
本日の営業は終了ですッ、読んでくれた人ありがとう
ちなみに次回がいつになるかは分からない。だから保守の必要無いここに立てたんだけど
形はどうあれ完結はさせるつもり
98 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 23:51:45.31 ID:LV1TmEDO
VIPなら間違いなくスレストくらい
99 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/19(月) 23:56:20.13 ID:egI/NnM0
花山さんでも妖怪相手はキツいよなやっぱり
100 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/20(火) 00:08:49.00 ID:/zKbygAO
乙
俺はまってるよ
101 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/20(火) 01:40:31.68 ID:KFQqpEDO
乙!
花山も美鈴もかっこいい
102 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/20(火) 09:24:03.21 ID:lzfqIxoo
はにゃやま〜かっこいいよ〜
103 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/20(火) 17:48:22.27 ID:MqqYLlgo
能力無しなら花山が最強だと信じている
104 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/20(火) 18:55:50.44 ID:9VU29Vc0
花山が幻想にそまって能力に目覚める展開とか?
105 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/20(火) 20:45:34.64 ID:tC2eR9go
スペルカード
『まだやるかい?』
106 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/20(火) 20:46:03.54 ID:se6i/SMo
柴千春の出番は?
107 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/20(火) 23:17:48.13 ID:xyUdmqE0
傷符『侠客立ち』ってか
108 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/23(金) 16:07:43.82 ID:koWJg02o
続きマダー?
109 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/04/24(土) 21:23:24.03 ID:aLWLScEo
まだ書くかい…?
110 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/04/28(水) 22:03:51.88 ID:kTWMv.AO
まだきてないのか(´・ω・`)
111 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/06(木) 23:00:31.28 ID:vvk0DL60
完結はさせるつもりという言葉を信じている
112 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/06(木) 23:20:05.90 ID:N/NdH6AO
気長にまとうぜ
113 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/06(木) 23:37:27.08 ID:S3HQw2AO
このスレ依頼出されてなかったっけ
114 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/13(木) 07:02:44.30 ID:37llLd.0
こんな神スレ終わらせてはいけない
115 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/14(金) 21:00:03.32 ID:xfCJwP6o
バキ関係のスレは珍しいのに
116 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/16(日) 12:00:02.64 ID:bpZcrcso
HTML化スルーされてたね
作者じゃないと思われたのかな
作者いる?とりあえずageてみる
117 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/16(日) 16:41:45.61 ID:PGOwqpg0
作者書けよ・・・
118 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/20(木) 00:34:47.64 ID:dfr.DfU0
作者ェ・・
119 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/20(木) 19:12:27.02 ID:6t4/tX.o
書き手のレスがないまま1ヶ月が経過したので警告
続ける意思がなくなった場合は以下のスレでHTML化依頼をお願いします
■ HTML化依頼スレ Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1190564438/
続ける意思がある場合は2週間に1度ぐらいでいいので生存報告をお願いします
なお、1週間書き手のレスがなかった場合、放置スレということでこちらでHTML化依頼を出させて頂きます
120 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/20(木) 19:18:38.65 ID:mbcV5gQo
よし!誰か続きを書けぃ
121 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/20(木) 21:43:28.77 ID:z3rcjISO
お前がやれよ
122 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/20(木) 21:49:16.37 ID:TqwrJb.0
作者ェ・・・
123 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/21(金) 00:09:17.09 ID:vjIGaYDO
続けぃ
124 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/21(金) 00:10:48.35 ID:F8oKrYM0
誰か書いてくれ
125 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/24(月) 23:52:13.60 ID:KRYbGkg0
作者もう一生スレ書くな
126 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/05/25(火) 01:04:58.86 ID:LId3doA0
はやくこいよぉー
127 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 18:33:49.93 ID:wq66IbAo
作者じゃないけど続き書いていいかな
128 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 19:09:21.74 ID:JIzSQgso
いいんじゃねえ?
129 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 22:10:49.24 ID:H21MzPwo
>>127
作者消えたからおk
130 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 22:27:17.83 ID:wq66IbAo
thx、やってみる
131 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 22:27:33.43 ID:cHsRwYwo
頑張れー
132 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 23:21:16.15 ID:LId3doA0
ふっはっー
133 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 23:33:24.89 ID:wq66IbAo
紅魔館の主人と、言葉を交わしてから、数刻が経った。
夕闇が濃くなり、夕とも夜ともつかない時間帯。
花山「………………」
花山薫は、ベッドの上で目を閉じていた。
が、前日に丸一日寝てしまったせいか、睡魔が訪れる気配はない。
その耳に、ノックの音が届く。
目を開き、わずかに首をずらせば、見覚えのあるメイドが入室した。
咲夜「あら、起こしてしまったかしら? ごめんなさいね」
花山「…………いいや、寝ちゃいねェ」
咲夜「あらそう。それは良かった」
涼しげな顔で咲夜は、右手で扉を閉める。
左手には、畳まれた衣服が乗せられていた。
その白い生地を見て、花山は低く呟く。
134 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 23:39:31.46 ID:wq66IbAo
花山「…………俺の服か……」
咲夜「ええ。まるでボロ切れ同然だったから、私の独断で修繕させてもらったわ」
咲夜は寝台まで歩み寄り、畳まれたスーツ一式を差し出した。
右手を伸ばし、受け取った花山は、その上質な生地をつぶさに見る。
先日浴びた、無数の弾幕の跡は、綺麗に消えている。
加えて、繕った痕跡はほとんど見えない。
一見しただけでは、新品か否かの判断もつかないだろう。
花山「………………」
咲夜「ちなみに、いま貴方が着ているのは、余ってたシーツをそれっぽく繕ったモノなのよ」
花山「………………」
咲夜「貴方ほどのサイズの衣服は、調達できなかったから」
花山が目線を落とせば、包帯を巻いた身体は、白い服に包まれている。
病院着に似たそれは、作りは簡単だが、縫い目はしっかりしていた。
花山は、もう一度、白スーツを見てから、咲夜に言う。
135 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 23:45:12.41 ID:wq66IbAo
花山「…………良い腕だ」
力強く、それでいて穏やかな声であった。
咲夜「お褒め頂き、光栄ですわ」
一礼し、事も無げに言う咲夜。
完璧で瀟洒なメイドにとって、この程度の針仕事、造作もないことであった。
咲夜「そんなことより、貴方もう動けるかしら? お嬢様から、貴方に紅魔館を案内するよう言いつけられてるの」
花山「……………………」
花山は返事をしない。
その代わり、毛布を腕で払いのけて、寝台から両足を降ろし、立ってみせる。
一昨日、激戦を繰り広げた満身創痍にも関わらず、その所作は平静時のものと変わらない。
136 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 23:51:34.38 ID:wq66IbAo
咲夜「大したものね。美鈴ほどじゃないけれど、貴方も相当な重傷なのよ」
花山「……怪我は、……動けない理由にならねェ」
咲夜「それはそれは、立派ですこと」
肩を竦ませて、咲夜は一笑する。
だが、その胸中は複雑であった。
昼の間に、美鈴が、この部屋に出入りしていたことを思い出す。
美鈴が、重傷でもあんなに動けるのは、彼女が妖怪の体を持つゆえ。
しかし、この男は――花山薫は紛れもなく人間だ。
咲夜(……もし私が、美鈴の技を避けもせずに喰らっても、立っていられるかしら)
同じ人間として、当然湧く疑問。
だが咲夜は、その答えを考えようとして、やめた。
余計なことを考える時間など、無駄であった。
137 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/25(火) 23:58:07.93 ID:wq66IbAo
咲夜「着替え終わったら、部屋から出てくださる? 私は廊下で待ってるから――」
花山「……十六夜咲夜」
名を呼ばれた瞬間、時が止まった気がした。
無論、止めた覚えなど無い。
咲夜は、出来る限り、平静さを保ちつつ尋ねる。
咲夜「何か?」
花山「服……、直してくれてありがとな」
咲夜「……礼には及ばないわ、臨時門番さん」
口早に言い、足早に部屋を出て、後ろ手で扉を閉めた。
扉を背に、いつ名乗ったか思案する。
そういえば、美鈴をかばった時に、名乗ったかもしれない。
咲夜「――とりあえず、まずは、目上の者に対する口の聞き方を教えないとね」
138 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/26(水) 00:01:41.51 ID:ZgOMhTwo
すみません、眠気が限界なので今日はここまでです
読んでくださった方、ありがとうございます
139 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/26(水) 00:15:30.53 ID:KnRF3aYo
>>138
乙
読めなくはなかったよ、定期的に見に来てやる、だから早く続きを投下しろよな!べ、べつにry
140 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/26(水) 00:22:33.58 ID:s31WMNgo
乙
141 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/26(水) 01:19:58.38 ID:0BVUC5.P
なかなかだな。期待してるぜ
142 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/26(水) 07:29:08.48 ID:ruJ2Q.AO
お?なんか始まってた
期待
143 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:03:51.36 ID:Hjc/4NEo
着替え終わった花山と共に、咲夜は紅魔館を歩いていた。
手短に説明を加えながら、各部屋を案内する。
咲夜「ここが食堂。朝昼晩決まった時間に皆で食事をするから、遅れないようにね」
花山「…………」
咲夜「それから厨房よ。入室時は、必ず石鹸で手を洗ってちょうだい。バイ菌が入るから」
花山「…………」
咲夜「で、浴場と洗面所。向こうは物置兼がらくた倉庫」
咲夜「二階はほとんど空き部屋。例外は、私の部屋と美鈴の部屋くらいね。あと貴方が寝てた部屋」
咲夜「お嬢様の部屋は、ここより上の階。詳しくは教えないわ。臨時門番には縁の無い所でしょうし」
咲夜「ざっと、こんなところかしら。分からないことがあったら、メイド妖精にでも……って、あら?」
咲夜が振り返ると、いつの間にか花山の姿が消えていた。
いつからいなくなったのか、それすら分からない。
咲夜「……困った人。協調性が欠乏してるわ」
144 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:08:15.77 ID:Hjc/4NEo
花山「…………」
花山は、両手をポケットに入れ、一人で廊下を歩いていた。
頭部や首、拳には包帯が巻かれ、白いスーツに巨躯を包んでいる。
眼鏡の奥の眼光は、刃のごとく鋭い。
中から見た紅魔館は意外と普通で、古風な洋館を思わせるものだった。
ただし、通常の洋館と違って、窓が少なく、メイド服を着た妖精たちが徘徊している。
花山が通ると、薄羽の生えた妖精たちは、素早く道をあける。
ある者は小さく悲鳴をあげ、ある者は壁際まで避けた。
ある者は開いた口が塞がらず、ある者は好奇の目で巨漢を見ている。
花山「……」
散り散りになる妖精を一瞥し、花山はふと思い出す。
己が街を歩く時、大抵の人々が、こんな反応を見せていたことを。
145 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:13:13.21 ID:Hjc/4NEo
花山「……」
ふいに花山は、紅魔館を訪れた本来の目的を思い出した。
それは、「人間」に逢うこと。
自身が置かれた状況を把握するためである。
半ば強制だったものの、紅魔館に雇われたおかげで、しばらく衣食住に困ることはない。
しかし、依然花山は、幻想郷のことは右も左も分からない状態だ。
花山「…………」
いまさら人間に会えたからといって、状況が好転するとは思えなかった。
とはいえ、紅魔館で働く間に、その人間から、わずかでも幻想郷の情報が得られれば理想的だ。
花山は、溜め息を吐く。
花山「…………探すか」
館内散策改め、花山は人間捜索を開始する。
規格外サイズの皮靴を鳴らしながら、花山は廊下を大股で歩いた。
146 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:18:42.11 ID:Hjc/4NEo
一方その頃。
咲夜「クシュン」
咲夜「…………」
咲夜「……確か、くしゃみの回数で、何を噂されてるか分かるのよね」
咲夜「一は誉められ、二は憎まれ、三は惚れられ、四は風邪、だったかしら」
咲夜「不憫なメイドね、私ったら。主人の褒め言葉を、間近で聞けないんですもの」
美鈴「私は、一は偶然、二は噂、三は風邪って聞きましたよー」
咲夜「……ッ!? 美鈴、また部屋を抜け出したのね」
美鈴「おっと、四は花粉症でしたっけ」
咲夜「歩きまわる元気があるなら、臨時門番を探すの手伝いなさい!」
美鈴「そんなぁ! 怪我人虐待ですよ!」
咲夜「それを言うなら怪我妖怪でしょう」
紅魔館唯一の人間は、負傷中の門番と共に、臨時門番の捜索を開始した。
花山薫が、咲夜を人間だと知らなかったために起きた、不運なすれ違いであった。
147 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:23:23.19 ID:Hjc/4NEo
花山が気ままに歩を進めていくと、大きな扉を見つける。
黄金色のドアノブをひねると、わずかな手応え。
花山「……鍵か」
しかし、巨拳は意に介さず、ノブが変形するほどの力で、ひねった。
超握力の前では、鍵などあって無いようなもの。
扉を強引に開き、足を一歩踏み入れる。
花山「…………」
暗く広い部屋だった。
しかしこの部屋、異常なまでに本が多い。
整列する書棚は、高い天井に届くほどで、無数の本が敷き詰められている。
見渡す限り本の空間。
その圧倒的蔵書量を前にして、花山は両の眼を見張らせる。
おもむろに、本棚に手を伸ばそうとした。
その時だった。
148 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:28:40.96 ID:Hjc/4NEo
パチュリー「そこの巨人!」
花山「……?」
声のした方へ首を巡らせる。
そこには紫の髪をした、寝間着姿の少女が立っていた。
パチュリー「私の書斎で暴れない」
その声には、いくばくかの怒気が含まれていた。
花山からしてみれば、暴れた覚えなどないのだが、すでに扉の鍵をドアノブごと壊したばかりだ。
否定したところで信用される立場ではない。
右手に重そうな本を抱え、たたずむ少女。
顔色は悪く、呼吸が浅い。そして、不機嫌そうな顔をしている。
見た目だけみれば、ただの少女。人間にしか見えない。
しかし、花山はこれまで幾度となく、例外に逢ってきた。
念を押すつもりで、尋ねかけた。
149 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:33:53.23 ID:Hjc/4NEo
花山「おまえは、人間か……?」
パチュリー「いいえ、私は魔法使いよ」
魔法使い。
妖怪、妖精、吸血鬼と来て、今度は魔法使いが現れた。
いまさら驚きもしないが、念のためさらに問いかける。
花山「……魔法使いってのは、人間なのか?」
パチュリー「可笑しな事を聞くのね。魔法使いは魔法使いでしょう?」
答えになっていないような答えを返され、花山は閉口する。
紫の髪の少女は、右手の本を開く。
すると、本が一人でに浮いた。
風も吹いていないのに、ページがめくられていく。
150 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:45:14.59 ID:Hjc/4NEo
パチュリー「とにかく、謝罪も反省もドアの修理もする気が無いなら、出てってもらうわ」
花山「…………」
説得する、誤解を解く、という選択肢は花山の中に無かった。
なぜなら、少女の目が据わっていたから。
その眼から、言葉が通じるほどの心の余裕は、感じられない。
浮翌遊する本は、鳥の羽ばたきに似た音を立て、ページを巡る。
その本から光があふれ、暗い書斎と少女の顔を照らす。
眉根を寄せて、少女は低い声を出す。
パチュリー「悪いけど、今日の私は、すごく機嫌が悪いの」
その言葉を聞き、花山はゆっくりと眼鏡を外した。
花山薫にとって、少女の言葉は、喧嘩をするには充分な理由であった。
151 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:50:43.42 ID:Hjc/4NEo
すみませんが今日はここまでです
あまりたくさん投下できない上に、展開もゆっくりで申し訳ない
読んで下さった方ありがとうございます
152 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 02:51:42.63 ID:uCuIJ.Uo
乙
ゆっくりやって下され
153 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 23:36:43.92 ID:Hjc/4NEo
眼鏡を外す。
ゴング
花山薫にとって、その行為は合図。
花山が眼鏡を床に落とすのと、
パチュリーのめくられていく本が、あるページで止まるのは、ほぼ同時だった。
花山は構えもせず、大股で相手に近づいて行く。
その歩みは獅子のごとく重厚で、急ぎも焦りも感じさせない。
パチュリー「……愚か者と言っていいほど無防備ね。自分がどんな目に逢うか、想像できてる?」
パチュリーの問いに、花山は答えない。依然、歩を進めるばかりである。
少女は、唇を細かに動かし、何事かを呟きはじめる。
少なくともそれは、花山の知る言語ではなかった。
突如、パチュリーは両手を広げ、巨躯に向けてかざす。
『 水符「ベリーインレイク」 』
154 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 23:41:30.85 ID:Hjc/4NEo
少女の手から放たれたのは、夥しい青色の弾と、幾本もの白い光線。
その数、その密度は、今まで見た弾幕の比ではない。
花山「……ッッ!?」
花山は回避も防御もせず、真っ向から弾幕を浴びる。
ぐらつく巨体を見ながら、パチュリーは訝しげな顔をする。
パチュリー「……理解に苦しむわ。避けもしないで勝つつもりなの?」
花山「……」
花山は自分の体が、しとどに濡れていることに気づく。
透明で無臭の液体。
先ほど浴びた弾幕と光線は、どうやら水で出来ていたらしい。
155 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 23:46:33.11 ID:Hjc/4NEo
花山「……」
じわり、とスーツの至る所が赤く滲む。
弾幕を浴びたせいで、傷口が開いたようだ。
パチュリー「……血。怪我していたのね」
花山「…………」
パチュリー「事情は何となく察するわ。だって、紅魔館の者は、侵入者に厳しいから」
花山「…………」
パチュリー「勿論、私も例外じゃないわよ」
魔法使いは再び手をかざし、弾幕を放った。
同時に、鋭い声が響く。
パチュリー「休む暇は与えない」
156 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/05/28(金) 23:51:31.50 ID:Hjc/4NEo
向かってくる弾や光線は、よく見れば、泡や水球、極太の水鉄砲であることが分かる。
迫りくる水の弾幕は、まるで押し寄せる津波のようであった。
水を操る。
確かに魔法使いじみている、と花山薫は得心する。
花山「……!」
再び水の弾幕を全身に浴びる。
魔力によって硬化された泡と水球は、鉛に匹敵する硬度を誇る。
無論、水鉄砲の威力も生半なものではなかった。
しかし、花山薫は歩みを止めない。
全身濡れそぼり、傷が開いても、無数の水撃を喰らおうとも、怯むことなく前へ進む。
魔法使いは、わずかにたじろぐ。
パチュリー(命中している……。なのに、なぜ倒れない!?)
パチュリー・ノーレッジにとって、その漢は脅威であった。
回避も防御もせず、知略も戦略も一切存在しない戦闘様式。
正気の沙汰ではない。
知識と日蔭の少女は、未知そのものである漢に恐怖した。
157 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/28(金) 23:53:13.80 ID:PSerHkoo
これが花山薫ッッ!!
158 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/05/28(金) 23:56:41.14 ID:Hjc/4NEo
パチュリー「……くっ!」
水符は効かぬと悟り、浮遊する本のページが変わる。
パチュリーは新たに詠唱を開始する。
花山はその間も、水に濡れた足跡を残しながら、距離を縮めていた。
そして、両者の間合いは、5メートルを切る。
反撃するに充分な間合いである。
花山「……………………」
巨漢は、大きく上体を反らし、拳を振りかぶる。
一見、幼稚ともとれる構え。
隙だらけといえば、隙だらけである。
されど、その大袈裟すぎる構えを見て、パチュリーは戦慄を覚えた。
パチュリー(……仕掛けられる前に仕留める!)
焦燥気味かつ口早に、パチュリーは詠唱を切りあげる。
突如、開かれた本から、翠緑色の閃光が放たれた。
『 土&金符「エメラルドメガリス」 』
159 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:01:12.56 ID:HhwglyUo
現れたのは、エメラルドの石板。
大きさはパチュリーの背丈ほどあり、厚さは10センチはある。
詠唱が不完全だったためか、石板の数は少なかった。
しかし、至近距離の人間を撃ち倒すには充分だ。
それに、石板を盾にして、漢の攻撃を防ぐこともできる。
エメラルドの石板は、標的めがけて飛翔する。
花山「……!!」
だが、花山が巨拳を繰り出すのも、また同じタイミングであった。
160 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:06:54.10 ID:HhwglyUo
パチュリー「 あ 」
突然、パチュリーは間の抜けた声を出す。
肝心なことを忘れていた。
――エメラルドの硬度は、7.5〜8。
ダイアモンドの硬度が10であるのを見れば、それなりに硬い部類である。
しかし、エメラルドは衝撃に、非常に弱い性質を持っている。
靭性(じんせい)といい、物質の粘り強さを表す用語がある。
エメラルドはこの靭性が低いため、とても割れやすい鉱物なのだった。
161 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:11:44.13 ID:HhwglyUo
魔法使いは歯噛みする。
機嫌が悪くしていたからとはいえ、致命的な失念をしていた。
パチュリー(けれど、エメラルドだって列記とした鉱物。拳なんかで割れるはずない!)
パチュリーが、確信した直後であった。
花山のストレートが、一枚の石板に命中する。
超握力により握られた拳。
充分に体重とスピードを乗せたスイング。
何よりも、この任侠は、その拳で鉄格子を殴り破って、脱獄した経歴を持つ。
ゆえに、エメラルドの石板は、亀裂が入った瞬間、粉々に砕け散った。
162 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:16:47.14 ID:HhwglyUo
パチュリー「……嘘っ!?」
魔法使いが瞠目し、石板が粉砕しても、花山の拳は止まらない。
エメラルドの飛礫ごと殴り抜け、少女の体に襲いかかる。
パチュリー「きゃぁああああッ!?」
巨拳の衝撃は、小柄な少女を吹き飛ばす。
パチュリーの痩躯は、大きく回転し、後方の壁に叩きつけられた。
パチュリー「がはッ!」
胃液を吐き、ずり落ちる少女の体。
花山は、ゆっくりと歩み寄る。
まだやるかい。
花山が、そう尋ねようとした時であった。
163 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:24:11.65 ID:HhwglyUo
『 土&金符「エメラルドメガリス」 』
弾幕はまだ解除されていなかったのだ。
残りの石板全てが、花山に襲いかかる。
花山「……ッッ!?」
割れやすいと言えど、高速で飛び交う石板である。
激痛を伴うどころか、骨折の危険性だってある。
花山は、石板の弾幕を受け、片膝をついた。
石板によるダメージは勿論、既に負っていた傷も相まって、花山の体勢を崩したのだ。
164 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:31:08.58 ID:HhwglyUo
パチュリー「油断大敵って、偉大な言葉ね……」
口元の胃液を、服の袖で拭いながら、魔法使いは皮肉気に笑む。
花山も、薄く笑った。
花山「大したもんだな……、魔法使いってのは」
パチュリー「それ、褒め言葉ってことでいいのかな」
苦笑しながら、パチュリーは言う。
壁にもたれかかったままの体勢で、立ち上がる気配はない。
花山は膝に力を入れ、立ち上がる。
その姿を見て、パチュリーは溜め息を吐く。
パチュリー「残念だけど、これ以上は戦えないわ。動けそうにないし、喘息と貧血でくらくらなの」
165 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:40:08.63 ID:HhwglyUo
パチュリーの言葉を聞き、花山は虚をつかれたような顔をする。
踵を返して歩き、落とした眼鏡を拾った。
眼鏡をかけながら、花山は呟く。
花山「病人が、無茶をするな……」
パチュリー「怪我人に言われたくないわ」
肩をすくめて、パチュリーは言った。
瞬間、扉が勢いよく開く。入室してきたのは、美鈴と咲夜であった。
美鈴「あーーーっ! 見つけましたよ、花山さん!」
咲夜「こんなところにいたのね。それより、この有様は何かしら?」
咲夜は部屋を見渡しながら言う。
花山は、目線を下方に反らしながら言った。
花山「……喧嘩しただけだ」
166 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 00:52:03.71 ID:HhwglyUo
すみませんが、今日はここまでです。
読んで下さった方ありがとうございます。
167 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 01:05:53.18 ID:HnZr.xco
乙ッッッ!!!
バキのキャラってSSじゃ変なアッパー補正掛かるよなww
168 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 08:25:30.01 ID:etSzJtMo
これって戦う必要あるの?
169 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 09:35:23.71 ID:.991OEcP
強い者同士が闘うのに理由なんかいらねーだろ
170 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 20:40:30.18 ID:HhwglyUo
美鈴「喧嘩……ですか?」
花山「……ああ」
美鈴は途方にくれたように呟く。
血の滲んだ白スーツから、目が離せなかった。
美鈴(まだ昨日の傷が癒えてないっていうのに……)
無意識のうちに、生唾を飲み込む。
この漢にとって喧嘩とは、治療や養生よりも優先すべきことだというのか。
そういえば、と美鈴は思い返す。
花山薫が、紅魔館の正門に現れた時、すでにボロボロの姿だった。
無数の弾幕を避けずに身に受けたことが、手にとって分かるほどに。
美鈴(……凄い人だなぁ)
呆れとも憧憬ともつかない心境で、美鈴は率直な感想を抱いた。
171 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 20:46:00.66 ID:HhwglyUo
パチュリー「美鈴……、ぼーっとしてないで、助けて。痛い」
美鈴「へ?」
蚊の鳴くような声がした方を見ると、壁にもたれかかる魔法使いがいた。
壁は人型に凹んでいる。
少女がとてつもないパワーで、叩きつけられたことが分かった。
美鈴「……ああっ!? パチュリー様! 大丈夫ですか!?」
美鈴がパチュリーに駆け寄り、傷の具合を見ている。
決して軽傷とはいえないが、大事には至らなかったようだ。
花山「……」
咲夜「――そう、喧嘩しただけなの」
そこへ、十六夜咲夜の冷ややかな声が大図書館に反響する。
172 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 20:50:22.35 ID:HhwglyUo
咲夜「喧嘩した挙句、大図書館をちらかして、自分の傷口が開いた上で、パチュリー様を痛い目に逢わせたのね」
花山「…………」
咲夜「おかげで、せっかく繕ったスーツも水びだしじゃない。それに留まらず血で汚すなんて」
花山「…………」
咲夜「血の汚れって、とるの意外に大変なのよ?」
花山「……すまねェ」
咲夜「謝って済むなら、掃除係もメイドもいらないわ」
腕を組み、ぴしゃりと言い放つ咲夜。
その声と表情には、たっぷりと苛立ちが含まれている。
この惨事を片づける身としては、怒って当然ともいえる状況だった。
咲夜「とりあえず、納得のいく説明を要求しようかしら」
173 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 20:55:28.81 ID:HhwglyUo
花山「…………」
咲夜「…………」
花山「…………」
咲夜「……説明する気はなさそうね。じゃあ私の質問に答えて。なぜ、喧嘩をしていたの?」
咲夜の声は、刃のように鋭く冷たい。
威圧感を放つ咲夜に、花山は、怯むことなく答える。
花山「……売られたから、買ったまでだ」
美鈴「え? 喧嘩を売ったって、パチュリー様が?」
咲夜「にわかに信じがたいわね」
花山「…………」
174 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 21:00:35.02 ID:HhwglyUo
パチュリー「咲夜。その人が言ってることは本当よ。先に喧嘩を売ったのは、この私」
咲夜「パチュリー様」
パチュリー「この人が、いきなりドアノブ壊して大図書館に入ってきたから、撃退しようと思ったの」
花山「……」
パチュリー「おまけに、私はすこぶる機嫌が悪かった。言ってしまえば、八つ当たりね」
美鈴「……八つ当たり、と言いますと?」
パチュリー「あれよ」
パチュリーが指差したのは、真上。
一同が上を向くと、天井に大穴があいていた。
すでに日が落ちていたせいか、花山でさえその存在に気付かなかった。
175 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 21:05:23.39 ID:HhwglyUo
パチュリー「昨日のお昼、いつもの白黒魔法使いがやってきて、本をくすねた揚句、天井に穴あけて出て行ったのよ」
昨日と言えば、花山と美鈴が死闘を繰り広げた日である。
門前での喧嘩に主人たちが気をとられている間、別の侵入者が大図書館を訪れていたらしい。
美鈴「うわぁ、こりゃまた見事な……」
パチュリー「おかげで昨日今日、屋内で日傘を差す歯目になったわ。本に日傘は差せなかったけど」
花山「……」
パチュリー「私も本も日光が大嫌いだっていうのに……、本当に大迷惑」
咲夜「そうね、直す身にもなってもらいたいものだわ」
気だるげに言うパチュリーに、咲夜は頷きながら同意する。
首だけを咲夜の方に向けて、弱々しい声で尋ねた。
パチュリー「咲夜、納得いった?」
咲夜「……ええ、一応は。――でも、釈然としないわ」
そう言って、咲夜は花山の方に振り返った。
176 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 21:10:14.70 ID:HhwglyUo
咲夜「貴方、なぜ喧嘩を買ったの?」
花山「……」
咲夜「言葉を用いて、適切に誤解を解いたなら、無駄な戦闘をすることも無かったはず」
花山「……」
咲夜「第一、満身創痍の状態で、喧嘩する必要があったのかしら」
花山「……」
咲夜「理解に苦しむわ、とても」
花山「……理解するもんじゃねェ」
咲夜「え……?」
花山「そんな大層なものじゃねェんだ」
花山「やりてェ奴が、やりてェ時にやる。喧嘩ってのは、そういうもんだ」
177 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 21:15:24.86 ID:HhwglyUo
咲夜「……そう、分かったわ。不本意ながら納得してあげる」
花山「……」
咲夜「とりあえず、部屋に戻って。そんな格好じゃ、屋敷の案内なんかできないわ」
美鈴「あ! 部屋までなら、私、案内しますよ!」
咲夜「怪我妖怪は黙ってて」
美鈴「……はい」
咲夜「部屋に戻ったら、昼間に言った通り、夕飯は部屋まで運ぶわ」
花山「……」
咲夜「しっかり寝て、明日に備えてちょうだい。傷だらけでも、きっちり働いてもらうから」
花山「あァ……」
こうして、大図書館で繰り広げられた喧嘩は、幕を閉じた。
花山は踵を返し、背を向けてその場を後にした。
パチュリー「……ところで、あの人、誰?」
咲夜 & 美鈴「え」
178 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 21:18:11.34 ID:HhwglyUo
今回分はここまでです。次回は少し間が空きます。
相変わらずゆっくり展開ですが、お付き合い頂けたら幸いです。
読んで下さった方、有難うございます。
179 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/29(土) 23:27:56.93 ID:ZUkVze6o
乙〜
楽しみにしてる
180 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/30(日) 06:37:29.25 ID:mcBoXQAO
狂気の沙汰ほど面白いッッッ!
181 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/05/30(日) 09:21:45.15 ID:i6d6MyE0
俺得
182 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/02(水) 02:48:53.86 ID:.2LbiwAO
いや、面白いわコレwwwwwwww
183 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 18:32:53.82 ID:bfHVy.DO
普通に考えたらいきなりドア壊して侵入してきたら撃退しようとするのは当たり前だし、館の主の食客に怪我を負わせたんだからこんな簡単に許されないだろうが…幻想郷なら仕方ないな
184 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 18:51:00.00 ID:mQPAgx6o
よく晴れた昼下がり。
紅魔館の門前に、巨躯の侠が立っていた。
花山「…………」
眼鏡の奥の眼光。眉間や唇を縦断する大きな切創。
傷だらけの剛拳と、代紋入りの金バッジ。
いずれも、齢十九と思えぬ威圧感を放っていた。
白いスーツと革靴を身につけ、体のそこかしこに包帯が巻かれている。
花山薫は、紅魔館の門番として、そこに立っていた。
185 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 18:56:30.09 ID:mQPAgx6o
療養中の門番曰く、
美鈴「いいですか、花山さん。門番とは、読んで字の如く『門の番人』です」
美鈴「主な仕事は、侵入者及び不審者の排除。丁重にお帰りを願うか、全力で撃退すべしです」
美鈴「とはいっても、暇な時の方が遥かに多いんですけどね……」
美鈴「ちなみに、居眠りしないようご注意ください。咲夜さんに見つかったら、ナイフ飛んできますから」
美鈴「あっ。それから、中庭の花畑の水やりもお願いしますね。花畑の世話も、門番の仕事なもんで」
以上が門番の仕事内容と注意事項である。
186 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:02:02.59 ID:mQPAgx6o
花山「…………」
美鈴の言葉の通り、紅魔館を訪れる者はほとんどいなかった。
たまに妖精や妖怪が通り過ぎる程度で、暇といえば暇だ。
何もすることが無い。
ゆえに花山薫は、立ちつくしたまま物思いに耽っていた。
花山「…………」
187 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:07:47.37 ID:mQPAgx6o
――幻想郷に連れてこられてから、早四日が過ぎた。
妖怪や妖精、門番と闘い、今では自らが紅魔館の門番を任されている。
八雲紫は未だ姿を見せない。
空を仰げば、雲ひとつない快晴。
幻想郷も元の世界も、空の色は変わらない。
ふいに、組の者達や友人達の顔を思い出した。
花山「釣りの約束、してたっけな……」
藤木組々長・秋田太郎の顔を思い浮かべながら、呟く。
少し前に、海で巨大鮫と格闘したことさえ懐かしく思える。
188 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:13:10.31 ID:mQPAgx6o
チルノ 「あーっ! この前の人間だー!」
と、回想から意識が引きはがされた。
目の前には、青いワンピースを着た氷精が立っている。
チルノ 「よく生きてたね! 絶対死んだと思ったのに!」
花山「……てめェは」
チルノ 「あ、そういえばまだ名乗ってなかったね。あたいは氷の妖精・チルノ! 特技は蛙の氷漬け!」
胸を反らし、腕を組んでチルノは言う。
聞いてもいない自己紹介を始められ、花山は一瞬脳裏に空白ができる。
どちらにせよ、名乗られたからには、こちらも名乗るのが筋だろうと考え、口を開いた。
189 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:18:10.88 ID:mQPAgx6o
花山「……花山薫。特技は……素手喧嘩だ」
チルノ 「すてごろ? それって氷漬けにできる?」
花山「…………」
説明する気も殺がれてしまい、黙りこんだ。
ここで花山、自身の役目を思い起こす。
紅魔館の門番は、侵入者及び不審者を排除する役目。
この妖精は不審者に相当する者だろうか。
真意を確かめるべく、花山は尋ねかける。
190 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:23:21.57 ID:mQPAgx6o
花山「……てめェは何しに来たんだ?」
チルノ 「別にー。暇してたから美鈴と遊ぼうと思っただけ」
花山「アイツと……?」
チルノ 「うん、弾幕ごっことか。あと、蛙の氷漬けを持ってくると、褒めてくれるんだよ! そういえば、美鈴は?」
花山「……休養中だ」
チルノ 「あ、そうだった。怪我したんだっけ。ちょっと待ってて!」
そう言って、チルノは氷の羽根をはばたかせ、どこかへ飛んで行ってしまった。
花山「……」
待っててと言われずとも、門番が門から離れることはない。
花山はそのままの体勢で、引き続き番をしていた。
191 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:28:13.77 ID:mQPAgx6o
十分後、氷精が全速力で帰ってきた。
何かを腕に抱え込んで、大急ぎで飛んでくる。
が、止まる気配は無い。
トップスピードのまま、こちらに突っ込んでくるつもりのようだ。
チルノ 「どいてどいてぇーーー!」
花山「…………」
どいてと言われて、門番がどくはずがない。
花山は、溜め息をつき、ネクタイを緩めた。
門から数歩前へ出て、腰を落とし、両腕を広げる。
どかない臨時門番を見て、チルノは頓狂な声をあげる。
チルノ 「えっ、ちょっ、なんでどかなっ――!?」
192 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:33:13.48 ID:mQPAgx6o
花山「…………ッッ!」
飛び込んできたチルノの両肩をつかみ、氷精の突進を、花山は我が身で止めた。
踏み込んだ足が、30cmほど地面に跡をつけて後退する。
花山「…………」
チルノ 「〜〜〜っ! ちょっと、離してよっ!」
花山「…………」
チルノに言われ、手を離す。
降ろされたチルノは、よろめきながら地に足をつけた。
193 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:37:30.07 ID:mQPAgx6o
チルノ 「うー、痛かったぁ……。あんたどんな体してんのよ」
チルノは赤くなった鼻頭を押さえながら、涙目で言う。
花山の胴に飛び込んだとき、顔面をぶつけたようだ。
花山「……」
同じ疑問を、花山も抱いていた。
チルノの肩をつかんだ手のひらは急激に冷え、わずかに霜が付着している。
凍りつくまではいかなかったが、氷精の冷気に当てられたようだ。
手を擦り合わせ霜を落としながら、花山が問う。
194 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:42:41.02 ID:mQPAgx6o
花山「……そんなに急いで、どうしたんだ?」
チルノ 「あ、そうだった。あのね、これ、美鈴にあげようと思ってさ」
チルノは両手で持っていた物を差しだした。
それは、花山の拳ほどある氷塊であった。
氷塊の中には、蓮華草の花束が閉じ込められている。
チルノ 「あたいが摘んで凍らしたの! すごいでしょ!」
花山「…………」
チルノ 「氷漬けだから枯れないよ! お見舞いの時って、お花か果物あげるんだよね?」
花山「……ああ」
花山は短く答える。
脳裏では、数年前にまだ生きていた母を見舞った時を思い出していた。
195 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:47:36.13 ID:mQPAgx6o
花山「何で……急いでたんだ?」
チルノ 「だって、一秒でも早く、美鈴に見せたかったんだもん!」
チルノは満面の笑みで答える。
雄弁な表情であった。
紅魔館の門番が、それだけ慕われているのだと一目で分かるほど。
花山は、青いリボンをつけた頭を撫で、一言だけ告げた。
花山「……行ってやンな」
チルノ 「え? いいの?」
花山「…………」
花山は答えず、わずかに体をずらし、道を空けてやる。
チルノは、ほんの少しだけ躊躇したが、ぎゅっと氷塊を握りしめ、
チルノ 「ありがとう!」
紅魔館の門をくぐっていった。
196 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:52:07.99 ID:mQPAgx6o
門前でのやりとりを、窓から眺める者がいた。
レミリア「あらあら。初日からあれじゃあ、門番型無しねぇ」
咲夜「お嬢様、窓に近すぎです」
レミリア「平気よこのくらい。咲夜こそ顔が怖いわよ」
咲夜「そりゃあ、ああも見事に門番の仕事を放棄されては……」
レミリア「面白い奴よねぇ、あの人間。しばらく暇しなそうだわ」
咲夜「……ッ」
レミリア「咲夜、お茶おかわり……って、あら?」
気がつけば、窓が開いており、中庭に咲夜が立っていた。
どうやら、時を止めている間、窓から外に出たらしい。
レミリアは、ひどく愉快そうに笑む。
レミリア「困った子ね。自分こそ、仕事放棄してるじゃないの」
197 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 19:57:30.82 ID:mQPAgx6o
咲夜「感心できないわね」
花山「…………」
背後から声をかけられ、振り向けばメイドの姿がある。
神出鬼没のメイドが、尖った声で言う。
咲夜「ああも簡単に侵入者を紅魔館に入れるだなんて、どういうつもりかしら?」
花山「…………」
咲夜「臨時とはいえ門番でしょ? 不逞な輩は容赦なく排除しなさい」
花山「あいつは侵入者じゃねェ……、面会人だ」
咲夜「貴方の意見なんか聞いていないわ」
花山「…………」
咲夜「紅魔館にとっての侵入者とは、お嬢様の許可なく館に立ちいる者の総称。
口で言って分からないなら、その身に刻みこんで、思い知らせてあげるわ!」
ナイフを取り出しながら、十六夜咲夜が言う。
その声は、刃のような冷たさで、その瞳は刃のような閃きを放っていた。
198 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 20:01:48.13 ID:mQPAgx6o
本日の分はここまでです。
自然に戦闘に持ちこむのがものすごく難しいです。
ストーリー上の矛盾を解消する方法とか知ってる人いたら誰か教えt(ry
読んで下さった方ありがとうございます。
199 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 21:04:18.61 ID:QlEHVxgo
東方キャラって口調とかあんまし癖ないからSS書きやすいのかね
乙です
200 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 21:56:11.42 ID:8naOIlY0
乙!咲夜さんが芋妖夢みたいに融通が利かないけど、ちゃんと従者してるなぁ
>>199
いやむしろ口調はノリによってころころ変わるから原作再現は難しい
201 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 22:19:08.56 ID:/hWKxEAO
イミフ会話になりすぎずにわりと原作のノリを再現できてると思う
202 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/02(水) 22:34:40.55 ID:2uTpdbEo
面白いと思う
203 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/02(水) 22:55:44.25 ID:5gE48Xco
東方ってどんな会話しててもいきなり戦闘始まるよね
それよりも咲夜さん相手にどうやって戦うのかがすごく気になる
204 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/03(木) 00:45:36.97 ID:ClsKJ2DO
>>203
咲夜さんはあくまで弾幕ごっこルールでやるんじゃない?つかそれしかないな。ルール無用なら時止めてフルボッコで終了だし
205 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/03(木) 00:46:47.07 ID:gZh9P0Uo
弾幕ごっこってルールが無けりゃ少なくとも人間相手には無敵だな咲夜さんは
206 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/03(木) 00:55:46.12 ID:TyXx5h6o
まぁ、花山ならいくらナイフが刺さっても平気そうだけどな
207 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/03(木) 09:31:35.11 ID:DBKVV0Uo
>>206
ハンドガン乱れ撃ちされたあと車と同じ速度で走れるしな
208 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/03(木) 22:08:00.52 ID:lA25LAAO
しかしながら、東方キャラに花山が倒れるところがあまりイメージできないwwww
209 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 15:11:45.95 ID:c.FlvSc0
でも死刑囚編になるまで花山ってややかませだったよね…
210 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:09:46.22 ID:NtzXOTgo
五指の隙間に挟まれた、四本のナイフ。
両手で合わせて、八本のナイフ。
咲夜は両腕を交差させ、銀製ナイフを構えている。
対して、花山はナイフの閃きを見ながら、微動だにしない。
咲夜(……妙ね。凶器を前にして、身構えもしないなんて)
銀髪のメイドは訝しげに、疵面の男を凝視する。
おもむろに、花山は眼鏡を外し、地面に落とした。
211 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:12:56.70 ID:NtzXOTgo
咲夜「貴方、恐怖を感じないの?」
花山「…………」
咲夜「私が持っているのは、肉を裂き骨を断つ凶器」
花山「…………」
咲夜「妖怪や吸血鬼ならともかく、貴方は儚い人間」
花山「…………」
咲夜「最悪、痛いだけじゃ済まないかもしれないのよ?」
花山「…………」
いつも以上に饒舌な自分に、咲夜は少しだけ驚いていた。
畳みかけるような言葉に対し、男は微かな一笑とともに答えた。
ドス
花山「……刃物なんざ見飽きてる」
212 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:16:51.29 ID:NtzXOTgo
花山組二代目組長。
その肩書き故、刀や匕首など、刃物に縁のある生活を過ごしてきた。
加えて、今まで見てきた弾幕や魔法に比べれば、ナイフなんて可愛く見える。
咲夜「そう……、なら先に謝っておくわ」
咲夜は、目を閉じ、溜め息をつく。
直後、両腕を振りかぶり、ナイフを投げた。
『 奇術「幻惑ミスディレクション」 』
花山はその時、奇妙な体験をする。
向かってくるナイフは、咲夜が持っていた時より、明らかに数が増えていた。
しかも、いつの間にか、咲夜の姿は目の前から消え、別の場所に立っている。
咲夜「飽食気味のところ悪いけど、これが私の十八番なの」
213 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:21:23.92 ID:NtzXOTgo
多方向から迫る刃の群れが、花山の体に襲いかかる。
銀ナイフが、
衣服を切り、
包帯を裂き、
皮膚を刻み、
肉を貫いた。
花山「…………ッッ!?」
だが、鮮血を流しながらも、花山は立っていた。
214 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:25:12.92 ID:NtzXOTgo
咲夜「あら、御可哀そうに。また服がボロボロになってしまうわね」
花山「…………」
花山の体には、無数の切り傷。そして、幾本かのナイフが刺さっていた。
大腿部、二の腕、脇腹――、いずれも刃が根元まで肉に潜り込んでいる。
花山「…………ッ」
花山は、緩慢な動きでナイフを抜く。
その度に、傷口から血が噴き出て、衣服や肌を紅く汚す。
咲夜(……頭の悪い人。無闇に抜けば傷が広がるし、血も余計に流れるわ)
215 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:30:05.35 ID:NtzXOTgo
花山は、ネクタイを緩めてほどき、スーツの上着を脱ぐ。
咲夜(ネクタイ……。止血でもするつもりかしら。傷が多すぎて、無理だと思うけど)
しかし、咲夜の予想に反して、花山はネクタイと上着を地面に落とした。
続けて、シャツを脱ぎ、包帯に巻かれた上半身が露わになる。
咲夜(……?)
包帯をむしって外せば、美鈴の打撃で付けられた赤痣と青痣が現れる。
さらには、靴を脱ぎ捨て、ベルトを解いて、ズボンを降ろす。
咲夜「……、なに、なんなの」
戸惑いを隠せぬ咲夜。
それもそのはず、花山が身に纏っているのは褌だけであった。
216 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:35:35.87 ID:NtzXOTgo
レミリア「……へえ」
窓から二人を見つめる、紅の瞳。
口元に薄い笑みをたたえ、感嘆の息をこぼす。
レミリア「人間のくせに、随分と物騒な体してんじゃない」
花山薫の体は、顔面に負けずと劣らず、傷だらけであった。
無数に刻まれた長く深い切創と、いくつもの弾痕。
そして、背中には刺青。
荒れ狂う波を背景に、大男が寺の鐘を背負っている。
紅い肌。鬼気迫る表情。射殺さんばかりの眼光。
さらにその刺青は、刀傷によって切り刻まれ、ひどく歪んでいた。
まるで、ピカソの絵画の如しである。
――『侠客立ち』。
それこそが、花山薫の背に掘られた、義侠心の名であった。
217 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 18:39:24.70 ID:NtzXOTgo
本日の分はここまでです。
戦闘区切っちゃってすみません。
ぶっちゃけ咲夜さんに勝てるか分からな(ry
読んで下さった方、ありがとうございます。
218 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 19:36:26.87 ID:DtKRK8oo
一番槍GJ
219 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 19:53:14.48 ID:xJoJMe2o
来てたー乙!
220 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/04(金) 23:03:51.96 ID:nOXw5JYo
乙でした
221 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 05:30:14.24 ID:M6AZnWIo
別キャラの幻想入りを書いてもいいだろうか。
具体的には烈 海王。勿論、現行の作者様の邪魔にならないように、紅魔勢とは全く関係のない相手を宛がうつもり。
222 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 07:10:14.16 ID:AT4uToAO
私は一向に構わんッッッ!!
223 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 09:41:46.49 ID:bHTpEYAO
自分でスレ立てろよ
見たいっちゃ見たいが他でスレ立ててくれた方が見やすい
224 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 14:36:48.57 ID:OIEu80wo
烈海王の脚が幻想入りッッッ!!
225 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 15:12:02.35 ID:M6AZnWIo
うーん。そう長くなりそうもないから、わざわざスレまで建てるのもなぁ。
まぁいいや。書きあげてから決める。
烈vs幽香。期待しないで待っててね。
226 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 15:15:39.72 ID:EVLofIIo
新しくスレ立ててやれ
すぐに終わってもHTML化依頼出せばいいだろうが
227 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 15:35:45.13 ID:M6AZnWIo
確かに。お騒がせした。建ててくるよ。
228 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 15:42:11.09 ID:K2ovg9go
>>227
がんばれ
烈さんも幽香さん大好きだから期待してる
229 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 16:10:53.41 ID:EVLofIIo
頑張って
230 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 16:13:55.25 ID:M6AZnWIo
たてたある
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276067597/
231 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 16:28:50.68 ID:K2ovg9go
>>228
×烈さんも幽香さん大好きだから期待してる
○烈さんも幽香さんも大好きだから期待してる
凄く誤解を招く凡ミスをしていた恥ずかしい
232 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:19:36.25 ID:K2ovg9go
美鈴「セィッ! ヤッ!」
紅髪の拳法家は自室で、鍛練をしていた。
無論、腕の怪我はまだ回復していない。
いまだ両腕とも包帯は取れず、折れた左腕も三角巾で吊った状態。
しかし、たとえ腕が使えずとも、足がある。
美鈴「ハッ! ダァアッ!」
右足を鋭く突き出し、足刀が空を切る。
その足で地面を踏み込み、反対の足で回し蹴りを繰りだす。
美鈴「……づッ!」
だが、大きく足を振れば、腕の傷に反動が響く。
それでも、美鈴は蹴りを止めない。
歯を喰いしばって痛みをこらえ、足技の特訓を続ける。
233 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:25:34.96 ID:K2ovg9go
飛び膝蹴り。直蹴り。踵落とし。あらゆる蹴り技を展開する拳法家。
その脳裏には、疵面の喧嘩師の姿があった。
美鈴(……安静、療養、回復にまわす時間が惜しい……ッ!)
美鈴(武器も持たず、弾幕も撃たず、私と互角に渡りあえる人間がいるなんて……ッ!)
美鈴(それも、今まで一切鍛えずにッ! 持って生まれた資質のみでッッ!)
美鈴(花山薫……! 次は絶対決着をつけるッ!)
紅美鈴。気をつかう程度の能力を持つ妖怪。
その瞳は、強さを求めることにかけて、ひたすら真摯であった。
234 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:34:07.75 ID:K2ovg9go
突如、部屋の扉が勢いよく開いた。
??「めいりーんっ!」
美鈴「うわわーっ! 何用ですか、咲夜さん!? 私は決して、人目を盗んで鍛練なんかしてませんからー!」
チルノ 「違うよ、美鈴! あたいだよ!」
美鈴「ありゃ? チルノじゃないですか。びっくりさせないでくださいよ、もう……」
チルノ 「そういう訳にはいかないね。だって、びっくりさせにきてやったんだから!」
そう言って、チルノは美鈴に駆け寄り、腕に抱えていたものを差しだす。
それは、蓮華草の花束を閉じ込めた氷塊であった。
チルノ 「はいっ! お見舞いのお花!」
235 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:40:45.68 ID:K2ovg9go
美鈴は、思わず息を呑んだ。
透明な氷の中で、蓮華草が輝いている。
美鈴「うわぁ。綺麗……。すごいじゃないですか、チルノ!」
チルノ 「でしょ! あたいが摘んで凍らしたんだから!」
美鈴「ええ、すごく嬉しいですよ。ありがとうございます、チルノ」
美鈴は身を屈め、右手でチルノの頭を撫でてやる。
当然、無理に動かせば、握撃で裂かれた箇所に激痛が走る。
しかし美鈴は、手を止めなかった。
わずかに顔を歪めながらも、笑顔を浮かべていた。
チルノ 「じゃあコレ、この辺置いておくね」
美鈴「あ、お願いします。そういえばチルノ、どうやって紅魔館の中に?」
小机に氷塊を乗せてから、チルノが振りかえる。
満面の笑みでチルノが言った。
チルノ 「はなやまが通してくれたの。あいつ良い人間だね」
236 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:46:07.55 ID:K2ovg9go
美鈴「え……、花山さんが?」
チルノ 「うん。お花見せたら、通してくれた。『行ってやンな』だってさ」
美鈴「それ不味くないですか? お嬢様や咲夜さんが何て言うか……」
チルノ 「大丈夫! ちゃんとお礼言ったもん!」
美鈴「いや、そういう問題じゃなくて……」
美鈴は、妙な胸騒ぎを感じていた。
門番風情が、独断で部外者を紅魔館に入れたらどうなるか……。
美鈴の頭が、悪い予感に浸食される中、チルノは能天気に話しかける。
チルノ 「それにしても、ここって、随分広くない? あたい、かなり迷ったんだけど」
美鈴「…………」
チルノ 「メイド妖精に美鈴の部屋聞いても、みんな逃げちゃうしさ。仕方ないから、自分で探したんだよ」
美鈴「…………」
チルノ 「あ、そういえば。さっき、廊下の窓見たら、はなやまが弾幕ごっこしてたよ。人間と」
237 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:51:34.26 ID:K2ovg9go
チルノの言葉を聞き、深く思考していた美鈴が顔をあげる。
美鈴「……え、今何て?」
チルノ 「だーかーらー、はなやまが人間と弾幕ごっこしてたの! 中庭で!」
美鈴は我が耳を疑った。
しかし、氷精は確かに言った。花山の相手は人間だと。
そして、紅魔館に存在する人間など一人しかいない。
悪い予感は的中してしまった。
私刑という名の弾幕ごっこはすでに始まっている。
放心気味に美鈴が呟く。
美鈴「……嘘」
チルノ 「嘘じゃないよ! あ。でも、はなやまは弾幕出さないから、あれ弾幕ごっこなのかな?」
美鈴「……ッ!」
チルノ 「あ、待ってよ美鈴!」
美鈴は唇を噛みしめ、部屋を飛び出た。花山の相手の名は、聞くまでも無い。
軋む体に鞭打ちながら、美鈴は走る。その後ろを氷精が、飛んで追いかけた。
238 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 18:56:17.07 ID:K2ovg9go
花山薫が背中の刺青――『侠客立ち』を晒してから、数分が経っていた。
わずか数分。
その間、咲夜が投げたナイフの数は、すでに数えきれない。
『 幻幽「ジャック・ザ・ルドビレ」 』
『 幻世「ザ・ワールド」 』
いずれも、時を止めた間に、ナイフを投げ、相手を窮地に追い込むスペルカード。
無数のナイフは怪しげな陣を描き、直線にも曲線にも見える軌道を描く。
時を止められた相手は、一瞬にして現れたナイフの群れに、虚を突かれることだろう。
まるで、奇術師の手品を見せられた幼子のごとく。
一見逃げ場の無いような弾幕。
だが、ナイフの軌道さえ見抜ければ、隙間をかいくぐり、回避することは可能だ。
充分に可能なはずだった。
239 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:01:25.54 ID:K2ovg9go
咲夜「相変わらず、理解に苦しむわね。なぜ避けないのかしら」
花山「…………」
花山の全身に、ナイフが突き立っていた。
左脚部4本。右脚部3本。左腕部3本。右腕部2本。胴体6本――。
頭部や首にナイフが刺さらなかったことが、不幸中の幸いとも言えよう。
花山「…………」
疵だらけの皮膚を、紅い血が流れている。
無論、花山も決して、黙ってナイフ投げを受けていたわけではない。
その握りしめた巨拳を振りかぶり、果敢に立ち向かったのだ。
しかし、拳を放ったその先に、十六夜咲夜はいなかった。
気がつけば、背後に回られている。
よく見れば、拳よりさらに5歩先の所に立っている。
まるで瞬間移動したかのように、花山の拳を回避するのだ。
240 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:04:56.41 ID:K2ovg9go
咲夜「スペルカードルール。通称、弾幕ごっこ」
花山「…………」
咲夜「ごっこ遊びみたいに呼ばれてるけど、列記とした決闘法。当たり所が悪ければ死ぬのよ」
花山「…………」
咲夜「そろそろ、参ったの一言が欲しいわ。私も仕事があるし」
花山「…………」
花山は返事をする代わりに、血反吐を地面に吐き捨てた。
拳を強く握り締め、咲夜に向かって駆け出す。
咲夜「……諦めの悪い人」
咲夜は溜め息を吐いて、前髪をかきあげる。
両手にナイフは無い。
花山は、一歩半のところまで迫っていた。
241 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:07:10.91 ID:rYDBnoAO
花山さん、どうやって勝つんだ
242 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:08:13.36 ID:K2ovg9go
花山が右拳を音がするほど握りしめ、ストレートを放つ。
鉄拳が唸りを上げ、空気を圧した。
しかし、その軌道上に十六夜咲夜の体は無い。
咲夜「そんな大振りじゃあ、よほど近接してない限り、簡単に避けられるわよ」
右横から、冷たい声がする。
花山は、右耳に刃物の腹を押し付けられたような錯覚を覚えた。
花山「…………!!」
咲夜「もっとも、私なら避けるまでも無い」
花山は体を捻り、左拳で殴りかかろうとする。
しかし、またも拳は宙を殴った。
咲夜「――何せ、止まった時を優雅に歩けば済む話」
今度は、左耳に刃物の声。
花山が、声のした方へ振りかえろうとした。
243 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/09(水) 19:10:57.56 ID:K2ovg9go
刹那――。
花山のこめかみに、咲夜の肘鉄が命中する。
浮遊した咲夜は、胸の前で右拳を左の手で包み、左手で押し出すようにして、右肘を突きだしたのだ。
人間は、こめかみに打撃を喰らえば、脳震盪を起こしやすい。
また、平衡感覚が失われ、意識不明となる危険性もある。
そして、こめかみという箇所は、頭蓋骨の中でも骨の薄い部分。
強く叩かれればヒビが入ることもある。
花山「〜〜〜〜〜〜ッッ!」
花山の巨体が大きくぐらつく。
いかに、喧嘩慣れしていようと、頑丈な体躯を誇ろうとも、所詮は人間。
急所を攻められれば一溜まりも無い。
しかし、花山薫は倒れない。
地面を踏み抜く勢いで、踏ん張る。
白目を剥きながらも、全身にナイフが突き刺さろうとも、決して倒れなかった。
244 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:13:11.20 ID:K2ovg9go
咲夜は、顔や声に出さないものの、驚嘆していた。
美鈴ほどでなくとも、体術には自信があった。
少なくとも、弾幕やら魔法やらで戦うよりは、こちらの方が向いていると。
咲夜(あり得ない、とっくに動ける体じゃないのに……ッ!)
投げナイフが効かぬなら、確実に仕留めるまで――。
そう思って、近接戦に応じたのに――。
咲夜(……どうしてこの人は、私の想像をいちいち超えてるのよッッ!!)
245 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:15:08.54 ID:K2ovg9go
花山が両腕をかざし、咲夜に掴みかかろうとする
咲夜「……もうお眠りなさいッ!」
咆えるように言い、地面を蹴って跳んだ。
そして、駄目だしの如く、咲夜が回し蹴りを放つ。
その右足は、花山の顎を捉え、勢いよく蹴りつけた。
的確に顎に衝撃を与えれば、頭蓋の中の脳みそを揺らすことができる。
大抵の場合は、昏倒せざるを得ないほどのダメージを受ける。
それは、花山薫という伝説の喧嘩師も例外ではない。
血を吐き、大きく傾く花山の体。
それを見て、咲夜は微かに息を吐く。
咲夜(私ったら変ね。傷一つ負っていないのに、どうしてこんなに追い詰められてたのかしら)
窓から眺めていた傍観者は、一言だけ呟いた。
レミリア「馬鹿な子。勝利に酔うのが早すぎる」
246 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:20:10.65 ID:K2ovg9go
ふと、咲夜は己の右足に違和を感じる。
花山「…………」
咲夜「――え」
なんと、花山が咲夜の右足首を握っていた。
疵だらけの左手が、幾本ものナイフの突き立った左腕が、細い足首をしかと掴んで離さない。
そして、花山が反対の手を伸ばした時、咲夜は反射的に能力を発動した。
『 時間を操る程度の能力 』
――その瞬間。
世界中の全ての人物、妖怪、妖精、生命、事物が活動を停止した。
十六夜咲夜、ただ一人を除いて。
247 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:22:43.66 ID:K2ovg9go
咲夜「本当に、往生際の悪い……」
止まった時の中で、十六夜咲夜が一人ごちる。
足を掴まれたまま、咲夜の体は空中で留まっている。
咲夜「でも、間にあってよかったわ。でなかったら、私の足も美鈴のように……」
自分で言って、微かに怖気に震える。
咲夜の脳内で、先日の死闘が繰り返される。
花山が握った美鈴の右腕は、まるで花火のような音を立てて爆ぜた。
驚異的な握力で、血管内の血液を圧迫し、内側から破裂させる。
握撃と呼ばれる技。花山薫の生れついての握力が成せる技である。
咲夜は、自分の足を掴む巨拳に手を伸ばす。
その五指を外そうと、手に力をこめる。
しかし、硬く握られたそれは、びくともしない。
咲夜「……嘘」
爪を立て、血管が浮くほど力を入れても、1oも動かない。
その拳は、凝り固まった巨石の如くであった。
248 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:24:56.28 ID:K2ovg9go
咲夜「何でなの!? 外れなさいよ!」
ナイフを取り出し、梃子の原理で指を浮かせようとするが、小指一つ動かない。
咲夜「嘘でしょ……。お願い、外れて!!」
咲夜の懇願虚しく、巨拳は微動だにしない。
もしも、この右足が爆ぜてしまったら――。
おそらく、すごく痛いだろう。
美鈴が咆えたほどだから。
きっと、紅魔館の掃除も出来ないだろう。
掃除は、ほとんど私一人でこなしているのに。
それから、美味しいお料理も作れない。
私がやらなきゃ、きっと皆ひもじい思いをしてしまう。
なにより、お嬢様のお世話が出来ない。
この十六夜咲夜は、紅魔館の主に仕える身だというのに。
249 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:27:34.79 ID:K2ovg9go
咲夜「どうして、外れないのよ……ッ!!」
止まった時の中で、十六夜咲夜は焦燥していた。
いつのまにか、爪が割れ、指に血が滲んでいる。
咲夜「外れて……! お願いだからッ!!」
止まった時の中で、十六夜咲夜は絶望していた。
いつのまにか、頬からぬるい涙液が流れている。
咲夜「……誰かッ! 助けてッッ!」
止まった時の中で、十六夜咲夜は虚しく叫んだ。
誰も応じる者などいないというのに。
――ああ、ほんの数秒でも時間が巻き戻せるなら。
この絶望的な運命から逃れられたというのに。
250 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:30:22.17 ID:K2ovg9go
止まった時の中で、十六夜咲夜は静かに悟った。
咲夜「貴方と私は、決定的に違っていたのでしょうね……」
足りなかった物は覚悟。
命も明日も未来も惜しまぬ精神。
防御という名の保身よりも、相手を倒すという一撃を選択。
満身創痍になっても、相手の喉に喰らいつく選択。
咲夜「戦略も防御もなく、自棄にしか見えない戦闘形式。無茶苦茶にしか見えない」
咲夜「けれど貴方は、私と違って、勝ち負けを競うようには戦わない」
咲夜「退かず、怯まず、恐れず、語らず、全てに立ち向かい、全てを打ち破る」
咲夜「闘い……いえ、喧嘩こそが、貴方にとって生き様そのものなのでしょうね」
咲夜「そんな貴方に敬意を表するわ。貴方を甘く見ていたことを、許してちょうだい」
咲夜はナイフを抜いた。その閃きを見つめながら、咲夜は言う。
躊躇も迷いも無く、銀のナイフを振りかざし、勢いよく振り下ろした。
その刃は、花山の左腕を斬り落とした。
咲夜「そして時は動きだす――」
251 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:31:37.61 ID:K2ovg9go
今日の分はここまでです。ご無沙汰してすみませんでした。
読んで下さった方ありがとうございます。
252 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:34:56.16 ID:EVLofIIo
花山さんの腕が治らないとやりきれない…
253 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:35:08.54 ID:M6AZnWIo
花山さんの腕が;;
254 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 19:36:52.00 ID:OIEu80wo
切れた腕くらいなんとかなるでしょ
幻想郷だもの
ゆかり
255 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 20:51:51.06 ID:2cS2Cxwo
原作でも余裕でなくなってるしな
256 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 20:59:17.65 ID:rYDBnoAO
でもあれは腕の良い医者が居たからな
幻想郷にあれだけの技術、設備を持った医者が居るだろうか
257 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 21:06:17.29 ID:obuCuE.o
君は永遠亭の薬師を思い出してもいいしなんでもありな賢者を思い出してもいい
258 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/09(水) 23:13:53.94 ID:T4HaKDco
花山さんが片腕が無くなったぐらいで喧嘩やめるとは思えないからなぁ
意識を失うか両手両足イカレるか。何にしても腕は治って欲しいな
259 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 23:29:52.97 ID:YZi9Kv6o
片腕切るっつったって投げナイフ程度の速度で骨ごと切れんの?
260 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 23:38:38.53 ID:Oagumzso
だって咲夜さんだし
261 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/09(水) 23:41:39.62 ID:M6AZnWIo
振り下ろした、って書いてあるから腕を斬り落とした時は投げてはいないんじゃないか。
262 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/10(木) 22:46:01.55 ID:lmySR9ko
時止めてる時は物理攻撃ができn…こまけえことはいいんだよって貼られそうだな
263 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/10(木) 23:13:15.70 ID:dOdyb2Yo
そんな設定あったっけ?
264 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/10(木) 23:21:38.59 ID:cxkWcRQo
攻撃できなくても物は動かせるだろ
実際時止めて掃除してるわけだし
265 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 00:12:37.39 ID:NqevmkAO
元ネタのDIOも止まった時の中での直接攻撃は可能だったんだし、やってできない事はないんだろ。
ただ、それをやっちゃうと回避不可能=弾幕ごっこのルール違反。
266 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 01:24:03.88 ID:UzZgkbEo
ぐもんしきに書いてあんぞ、咲夜の項目嫁
267 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 01:39:30.73 ID:pymMvrEo
咲夜さんって東方キャラの中でも謎の多いキャラだよね
まぁ神主がちゃんと考えてないだけなのかもしれんが
268 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 19:48:40.27 ID:ZKjUUkwo
っていうか黄昏ゲーで時止めながら殴る蹴るしてますし。
269 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 20:22:33.27 ID:lAemFsso
へーそうなのか
萃夢想ではナイフ投げるだけだったのに
270 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 20:22:36.74 ID:g/5nkWU0
ヒント:天則は半公式
271 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/11(金) 21:13:20.80 ID:UzZgkbEo
そもそも天則も格ゲーとしての補正で時止めの最中に攻撃できるようにしてるだけだろ
272 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 00:43:59.04 ID:wi51jaEo
花山「――――ッ!?」
伸ばした右腕は届かなかった。
十六夜咲夜が、後方に飛びのいたためである。
同時に、彼女の足を掴んでいたはずの腕から、鮮血が噴出。
その左腕は、肘と手首の中ほどから、ばっさりと断たれている。
しかし、斬られた左手は、そのまま咲夜の足を掴んで離さなかった。
花山「……ッッ」
いつ斬られたのか、花山には全く理解できなかった。
ただ、目の前のメイドが手にしている銀のナイフ。
その刃が紅く濡れている所を見るに、彼女が直接斬りつけことは想像できる。
咲夜「驚かせてごめんなさい。でもね、紅魔館のメイドが、足を破裂させられる訳にはいかないのよ」
着地しながらも、咲夜は荒い呼吸を繰り返している。
口では余裕ぶっているが、能力の長時間使用による疲労は、かなりのものであった。
273 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 00:49:14.19 ID:wi51jaEo
美鈴「花山さんッ!」
その時、中庭へ続く扉を体当たりで押し開け、美鈴が姿を現した。
背後から、チルノもついてくる。
チルノ 「――あっ!?」
美鈴「――ッッ!?」
二人が目にしたのは、それはそれは凄惨な光景であった。
褌姿の花山は、全身にナイフが刺さり、傷口から夥しい血が流れている。
チルノ 「うっ、うでが……!」
花山の切断された左腕を指差し、氷精が青ざめる。
鋭利な切り口からは、血がとめどなく溢れ、地面に紅色の水溜りを作る。
それを見るや否や、美鈴が、疾風の如く駆け出した。
274 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/12(土) 00:54:25.55 ID:EO4.2MAO
なあに、花山にはかすり傷だよwwww
…だよね?
275 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 00:54:36.25 ID:wi51jaEo
美鈴「嗚呼ァアアアァアアッ!」
咲夜「――ッ、美鈴!?」
放たれた咆哮に、咲夜が血相を変える。
無理も無い。
向かってくるその形相は、普段温厚な美鈴のものとは、ひどくかけ離れていた。
憤怒。
そんな言葉がふさわしい。
彼女は激怒していた。
自分を差し置いて、いまだ決着つかずの相手を、傷つけた者に。
美鈴が、真直ぐに咲夜へと疾走していく。
怒りの儘に、猛る儘に。
しかし美鈴は、その脚を止めることになる。
花山が、残った右の掌を広げ、美鈴に向けたゆえだ。
花山「さがってろ……」
美鈴「……なッ!?」
276 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 00:59:04.32 ID:wi51jaEo
美鈴は、ほんの一瞬、逡巡した。
その言葉を、聞かなかったものにすることは容易い。
なにより、すぐにでも咲夜を、蹴り倒したいのが本心であった。
しかし、花山の気持ちが、分からないわけではない。
先日の自分だって、戦闘に乱入した咲夜を叱りつけた。
美鈴「――――ッ!!」
ゆえに美鈴は、出しかけた矛を収めることを選択した。
格闘家としての矜持が、それを可能にしてくれた。
爪が食い込むほど拳を握る美鈴に、花山は視線をよこす。
花山「すまねェな……」
美鈴「……いえ」
謝罪にも感謝にも聞こえる言葉を吐き、花山は咲夜に向き直った。
血反吐を地面に吐き捨て、そして、
277 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:05:26.67 ID:wi51jaEo
チルノ 「あっ!」
美鈴「あの構え…ッ!」
花山が、構えた。
肘を曲げて、両の拳を顔面の高さに。
左の拳は失われているが、その威圧感は空気を歪ませるには充分だった。
咲夜「それは、あの時の……」
美鈴と戦った時に見せた、ファイティングポーズ。
拳に重心を乗せる代わりに、胴体がガラ空きとなる。
絶対のタフネスに支えられた、花山という男にしか出来ない構え。
美鈴(……いくらなんでも、無謀すぎるッ! 私の時とは、状況が違いすぎるッ!)
そう、花山の受けたダメージは深刻であった。
分厚い筋肉に突き刺さった、十数本のナイフ。
咲夜に加えられた打撃。斬り落とされた左腕。
見る者が、目を背けたくなるような姿――にも関わらず、花山は構えたのだ。
攻撃のみを重視した構えを。
美鈴(それほどの覚悟か、喧嘩師……ッ!)
278 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:10:50.76 ID:wi51jaEo
咲夜はしゃがみこみ、未だ足首をつかむ左手を解こうとする。
硬い拳は、斬り離されたことにより、やや弛緩していた。
太い指を一本一本を剥がしながら、咲夜は呟く。
咲夜「ほんと、驚嘆に値するわ」
花山「…………」
咲夜「弾幕で倒れず、腕を斬り落とされても降伏しないだなんて」
花山「…………」
咲夜「おかげで、よく分かった。弾幕では、貴方の気魂は削れない」
花山「…………」
咲夜「だからこそ、私の手で確実に落とす」
左手を完全に剥がした直後、咲夜が地を踏みこみ、走り出した。
小細工もなく、ただひたすら邁進。その空いた懐に向かって、距離を詰める。
レミリア「ふぅん。能力も使わず邁進か。余裕の無い咲夜なんて、なかなか見られないわね」
279 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:15:36.13 ID:wi51jaEo
向かってくる銀髪の少女に、花山は巨拳を持って応じる。
掲げた右拳をふりかぶり、顔面にめがけて繰り出した。
が、咲夜はその直前、地面を蹴って跳躍する。
宙で回転し、その足を勢いよく振りおろした。
渾身を籠めた踵落としが、花山の脳天に叩きつけられる。
花山「〜〜〜〜ッ!?」
女とはいえ、全体重を乗せた踵落とし。頭蓋への衝撃は計り知れない。
その巨体は、強風になぶられたように大きく傾く。
美鈴(クラックソウル! ガラ空きの胴に飛び込むと見せかけ、脳天への攻撃!)
咲夜「……終わりね」
280 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:20:19.10 ID:wi51jaEo
花山の体は、後方にのけ反る。
誰もが、そのまま背中から倒れこむだろうと確信していた。
だが、花山薫は踏みとどまった。
地面がえぐれるほど踏み込んで、胴をねじって振りかぶり、殴りかかる。
咲夜「――え」
咲夜は、虚をつかれた。
時を止めることすら忘れた。
迫りくるは左腕。
骨の露出した、ナイフで切断された切り口。
それを、全体重166kgを乗せて、咲夜の顔面に叩き込んだ。
281 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/12(土) 01:22:21.88 ID:TtvNktIo
つか咲夜さんわるくないだろ
282 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/12(土) 01:25:46.89 ID:uUrAj8Io
良い悪いじゃなくて喧嘩するかしないかの次元なんだろ花山は
283 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:25:54.94 ID:wi51jaEo
轟音。
腹の底に響くような音が、紅魔館中庭を奔った。
美鈴「……ッ!」
チルノ 「はなやま!?」
花山は立っていた。
疵だらけの体で、背中には『侠客立ち』の彫物。
咲夜は仰向けに倒れていた。
頭部は耳まで地面に埋まり、目を剥いて失神している。
顔面は、べっとりと血で濡れていた。
それはもはや、咲夜のものか、花山のものか判別がつかない。
花山「………………」
そして、花山もまた動かない。
立ったまま気絶しているようだ。
284 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/12(土) 01:25:56.42 ID:vryGz1Mo
良いとか悪いとかじゃねぇ
285 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:30:41.79 ID:wi51jaEo
――場は凍りついたように、誰も動かない。
水を打ったように、不気味なほど静まりかえっていた。
そんな中、怒号にも似た大声が響く。
美鈴「チルノッッ!!」
チルノ 「ぅえっ!? なに??」
美鈴「花山さんの左手を氷漬けにして! 早く!」
チルノ 「え、なんで!?」
美鈴「いいから急いでッ!!」
チルノ 「わ、分かった!」
チルノが弾かれたように、切断された左手に飛んでいく。
切断された手指は、低温で保存すれば、再接合が可能である。
その知識に基づいての指示であった。
286 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:36:04.07 ID:wi51jaEo
そして、美鈴が門の外の草むらを睨みつける。
美鈴「それから天狗! いるのは分かってますよ! 出てきなさい!」
葉ずれの音とともに草むらから人影が飛び出る。
現れたのは、黒髪の少女。
カメラと扇を手に持ち、白いシャツと黒いスカートを着ていた。
文「あやややや、なにゆえ隠密取材がバレたのでしょうか?」
美鈴「天狗の気は目立ちやすいですからね」
腕を組んで溜め息とともに言う。
気を遣う程度の能力が、成せる業であった。
287 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:42:44.06 ID:wi51jaEo
美鈴「とにかく、幻想郷一の俊足さんに、医者を呼んでもらいたいのですが」
文「ええっ、それは困ります。記者は常に第三者でなければいけません。
そうでなくては、公平な記事なんて書けません」
美鈴「ブン屋の事情は分かりかねます。しかし、一刻を争うのです。もし、手遅れになれば
貴方の新聞に、死亡記事が載ってしまいますよ」
文「そうは言ってもですねぇ……」
烏天狗――射命丸文は、気まずげに髪を掻く。
しばし、思考した後、答えた。
文「分かりました。今回ばかりは特例です。その代わり条件があります」
美鈴「条件?」
文「医者を連れてきた暁には、あの人間の正式取材をさせて頂きたいのです」
288 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:51:56.54 ID:wi51jaEo
美鈴「取材といいますと……?」
文「簡単なインタビューですよ。幻想郷に紛れこんだ異界の人間。上手くいけば特集に出来るかも」
美鈴「……そうですね、私の一存ではなんとも。お嬢様や花山さんの了解が取れれば、あるいは」
文「お願いしますよ。 『文々。新聞』の命運は、貴方にゆだねましたからね!」
言うや否や、文は風切り音を立てて、飛び立った。
美鈴「さすが天狗、もうあんなに小さく……って、それどころじゃなかった!」
美鈴は走り出し、花山と咲夜に止血等の応急処置を始めた。
窓から眺める少女は、ため息混じりに呟く。
レミリア「美鈴もやる時はやるのよね。いつもあんな仕事ぶりを見せてくれたらいいんだけど」
レミリア「ところで、私は誰に紅茶のおかわりを入れてもらえばいいのかしら」
289 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/12(土) 01:54:50.99 ID:uUrAj8Io
やだ…この美玲△
中国とか本美鈴とか言われてるけどマジ最高っす
290 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/12(土) 01:57:00.67 ID:wi51jaEo
今日の分はここまでです。
なんかいろいろと突っ込みどころがあってすみません。
あと、東方の資料が文花帖しか無くてすみません。
コメント下さった方、読んで下さった方、どうもありがとうございます。
291 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/12(土) 07:14:50.56 ID:U/iYYQA0
いいよいいよ!
292 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/12(土) 07:24:52.75 ID:3sBjUqI0
おつー
先が楽しみだぜ〜
293 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:37:58.41 ID:ZoGCdZoo
永琳「紅美鈴。右肘周囲の筋肉の破損。左腕部皮下骨折。経過は良さそうね。皮膚が張るまで、
処方した抗生剤は飲み切るように。一応、痛み止めも出しておくわ」
美鈴「……いつもありがとうございます、八意先生」
永琳「それから、完治まで鍛練はお預けと言ったはずよ。忠告破って、こっそりやってるでしょ」
美鈴「あ、えーと、あれは鍛練でなく、自己リハビリといいますか……」
永琳「医者の言うことは聞きなさい。自分勝手な患者は嫌いよ」
美鈴「ううっ……、心得ました」
永琳「そうそう、素直な患者は大好きよ」
294 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:40:53.62 ID:ZoGCdZoo
永琳「パチュリー・ノーレッジ。腹部及び背面打撲。もう2〜3日安静にしてれば大丈夫。
幸運だったわね。エメラルドの石板がクッションになったおかげで、比較的軽症よ」
パチュリー「それより、痛み止めは出してもらえないの? 軽傷のくせに疼痛があるんだけど」
永琳「我慢できる痛みは我慢なさい。なんでもかんでも薬に頼るのはよくないわ」
パチュリー「……ケチ」
永琳「そう拗ねないで。自然治癒力も馬鹿に出来ないものよ」
パチュリー「ねえ、先生。ついでに図書館の屋根の大穴も、治療してくれない?」
永琳「残念ながら管轄外よ。そういうのは、大工っていう名医にお願いして頂戴」
295 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:42:50.99 ID:ZoGCdZoo
永琳「十六夜咲夜。鼻骨骨折。顔面打撲。貴方も幸運ね。殴られたのが拳のある方だったら、
顔面陥没だけで済んだかどうか……」
咲夜「幸運なのかしら。鼻血で溺れそうになったのは、初めてだったわ」
永琳「でも痛みはそれほど無いでしょう? 鼻骨はほとんど軟骨だから」
咲夜「そうね。少なくとも、日々のメイド業に支障は無さそう」
永琳「鼻が変形しないように、ずれも整えておいたし、あとは自然治癒で治るでしょう」
咲夜「有難いですわ。治療費も安く済みそうで」
永琳「その代わり出張費はしっかり頂くわよ。基本的にうちは出張診療はやってないんだから」
咲夜「あら、思わぬ出費が……」
296 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:43:50.13 ID:ZoGCdZoo
永琳「花山薫。左腕切断。刃物による切創18ヶ所。頭蓋骨こめかみに軽度のヒビ。その他打撲傷
及び裂傷が十数ヶ所」
花山「…………」
永琳「出血量もかなり危険だったわ。幸運だったのが、ここが吸血鬼が棲む館だったこと。人血の
ストックはそれなりに充実してたわね。A、B、AB、O、RH-にRH+。それにボンベイ型も少々」
花山「…………」
永琳「まあ貴方の場合、生きてる事自体が幸運に思えて仕方ないのだけれど」
花山「…………」
永琳「それと一つ聞いていいかしら」
花山「……なんだ」
永琳「貴方、私に何か恨みでもあるの?」
297 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:44:45.31 ID:ZoGCdZoo
永琳「ここまで来ると、医者を困らせるために、わざと怪我してるようにしか見えないわ」
花山「…………」
永琳「もう少し――、というか、人並みに自分の体を気遣えないのかしら」
花山「…………」
永琳「元の世界で貴方の傍にいた人達は、さぞ迷惑を被ったことでしょうね。主にお医者さんが」
花山「…………」
永琳「ねえ貴方、主治医とかっているの?」
花山「……決まった奴はいねェが、最近世話になったのは鎬紅葉ッて男だ」
永琳「そう……。なら、もし元の世界に帰れたら、その人にちゃんとお礼を言うって、約束して頂戴」
298 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:45:35.85 ID:ZoGCdZoo
永琳「これは憶測だけれど、貴方って治療されたらされたで、お礼もまともにしてないんでしょう」
花山「…………」
永琳「貴方の体を見れば、その紅葉さんが、貴方を助けるためにどれだけ力を尽くしたか一目瞭然よ」
花山「…………」
永琳「そして、本当に腕の良い医者だということも」
花山「…………」
永琳「約束してくれるわね?」
花山「……ああ」
永琳「それで良し。素直な患者さんは大好きよ」
299 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:46:34.98 ID:ZoGCdZoo
永琳「とにかく、しっかり休んで安静にすること。門番の仕事もしばらくお休みなさい」
花山「…………」
永琳「左腕は三日もすれば動くようになるわ。神経も血管も、しっかり接合したから」
花山「……すまねェな」
永琳「そう思うなら、今後は無闇矢鱈に怪我をこさえないでね。では、お大事に」
レミリア「――お勤めご苦労様」
永琳「全く、いつから紅魔館は病院になったのかしら。怪我人だらけじゃないの」
レミリア「まあまあ、細かいことは気にするなって。それより、せっかくだしお茶でもどう?」
永琳「人血が混じったモノでなければ頂こうかしら」
300 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/13(日) 02:49:57.30 ID:ZoGCdZoo
今日の分はここまでです。
閑話休題的な八意先生と患者の皆さんでした。
読んで下さった方有難うございます。
301 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/13(日) 03:22:24.34 ID:ixyuaIAO
今更だが乙
302 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/13(日) 04:23:25.95 ID:hnU2wsQ0
乙なんだよ!
303 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/13(日) 13:12:24.06 ID:b9b7yi.o
乙ー
腕つながってよかた
疼痛が陣痛にみえてびっくりしたんだぜ
304 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/13(日) 22:14:39.08 ID:m/YnH3o0
おつー
305 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/15(火) 06:25:08.23 ID:TzJltaw0
面白いなー
頑張ってください支援
306 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/15(火) 08:00:49.69 ID:Uiro4hI0
しえー
307 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/15(火) 21:00:14.40 ID:bqQNUxAo
今一気に読ませていただきました
乙ッ・・・!
圧倒的乙ッ・・・!
308 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/15(火) 21:44:14.55 ID:fBMxSZ6o
乙です。
309 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/15(火) 23:59:18.54 ID:6X76suoo
紅魔館の客間。
窓はわずかに開き、レースのカーテンが柔風にたなびく。
氷の入ったガラスのコップに、褐色透明の液体を注ぐ。
すると、室内にほのかな檸檬の香りがたちこめた。
テーブルには、チョコサンドクッキーが入ったバスケットが置かれている。
咲夜「レモンピールティーと、バーチ・ディ・ダーマです」
永琳「ありがと、怪我してるのに悪いわね」
咲夜「いえ、仕事ですから」
鼻にガーゼをあてた咲夜が、事も無げに言う。
永琳がグラスを取り、アイスティーを一口飲んだ。
わずかに目を見開き、感嘆の声をあげる。
310 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:07:54.72 ID:mCyEoc.o
永琳「あら、檸檬の香りがするのに、あまり酸っぱくないわ」
咲夜「ええ、あらかじめ、レモンのピール(皮)をポットに入れて紅茶を淹れました。
これだと紅茶の味を直に感じることができるのですよ」
永琳「なるほどね、美味しいわ」
咲夜「お褒め頂き光栄です」
レミリア「咲夜、私も紅茶飲みたい」
咲夜「はいはい、かしこまりました」
レミリア「ハイは一回にしなさい」
咲夜「はい」
咲夜が陶器のカップに、紅茶を注ぐ。
湯気がたちのぼり、紅色の液体が渦を描いて白いカップに満ちる。
レミリアは紅茶を飲み、薄く笑った。
311 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:16:04.23 ID:mCyEoc.o
レミリア「ありがと咲夜。すこし席を外してくれる?」
咲夜「……私は構いませんが、お嬢様は紅茶のおかわりを淹れられるんですか?」
レミリア「私は無理だけど、永琳がいるわ」
咲夜「なるほど、確かに」
永琳「ちょっと、この館では客にお茶を淹れさせるの?」
レミリア「仕方ないじゃない。私はお茶淹れられないし」
咲夜「そうですよ。なので、お願いしますね、八意先生」
そういって、咲夜は客間を出て行った。
客間には幼い吸血鬼と蓬莱人が残される。
永琳「釈然としないわ……」
312 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:23:08.87 ID:mCyEoc.o
永琳「それはそうと、何の用なのかしら」
レミリア「ん、特に用なんか無いわよ。私はお茶に誘っただけ」
永琳「そうかしら、何か話したいことがあるように見えたのだけど」
レミリア「そういうの気のせいって言うのよ」
永琳「あら、そうなの」
レミリア「ええ、そう」
永琳「…………」
レミリア「…………」
永琳「…………」
レミリア「…………」
レミリア「……実は折り入って相談があるんだけど」
永琳「無意味な嘘と虚勢は感心しないわね」
313 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:30:00.75 ID:mCyEoc.o
永琳「門番?」
レミリア「そうなのよ、どいつもこいつも怪我したせいで、手薄なのよ今」
永琳「それで、うちから人員を借りたいと」
レミリア「メイド妖精や使い魔が門番じゃあ、どうにも示しがつかないでしょ?」
永琳「そうは言っても、こっちだって兎くらいしかいないわよ。第一、貸せるほど人手も無いわ」
レミリア「どっかその辺に、そこそこの腕前で暇している人がいないかしら……」
永琳「そうねぇ。そんなに都合よく世界が回ってくれると良いんだけどね」
レミリア「あの人間が来たおかげで毎日飽きないけれど、これは由々しき事態よね」
永琳「ん、このクッキー美味しいじゃない」
レミリア「話の腰を懇切丁寧に折らないでくれる?」
永琳「御免なさい。悪気は無かったの」
314 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:36:54.24 ID:mCyEoc.o
永琳「そもそもあの人間は何者? 少なくとも幻想郷の人間では無いでしょう?」
レミリア「あ、そうだ。そういうの聞き忘れてた」
永琳「よく身元不明の人間を雇えるわねぇ」
レミリア「だって美鈴と渡り合えるほどの実力者だったのよ。それで充分じゃない」
永琳「他に見るべきところもあるでしょうに。これだから胎児は……」
レミリア「誰が胎児よ」
永琳「私の生きた時間から見れば、貴方なんて0歳未満よ」
レミリア「良ければ、クッキー包んであげるけど」
永琳「あら、じゃあお願いしようかしら」
315 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 00:40:43.67 ID:4fL36QYo
億越えから見れば500歳は胎児か・・・
316 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:43:11.80 ID:mCyEoc.o
レミリア「ついでに紅茶のおかわりが欲しいわ」
永琳「はいはい」
レミリア「ハイは一回」
永琳「はい」
レミリア「……で、何の話してたっけ」
永琳「あらあら、自分から話の腰を折っておいて、何言ってるのかしら」
レミリア「あー、そうだ。門番だよ、門番」
永琳「ほんとの所、貴方、門番なんてどうでもいいんでしょ」
レミリア「まぁね」
永琳「素直すぎるのも考えものね」
317 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 00:48:21.53 ID:l/FFMb2o
俺の股間が不夜城レッド
318 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 00:50:31.54 ID:1xYTwwso
俺の股間のグングニルがミレニアムの吸血鬼でレミリアストレッチしちゃいそうです><
319 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:52:11.73 ID:mCyEoc.o
レミリア「咲夜ー、先生のお帰りよ。あとクッキー包んであげて」
咲夜「かしこまりました」
永琳「悪いわね。お茶とお菓子美味しかったわよ」
レミリア「じゃあね、また近い内に来てもらうことになるから」
永琳「それは未来予知?」
レミリア「少し先の運命を読んだだけよ」
永琳「そう。じゃあその時は、また美味しいお茶ご馳走してもらうわ」
レミリア「別にいつ来ても良いんだけどね」
咲夜「御気をつけてお帰り下さい」
永琳「ええ、二人とも無駄な怪我はしないでね」
永琳「…………」スタスタ
永琳「あの天狗、帰りは送ってくれないのかしら」
320 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 00:58:27.59 ID:mCyEoc.o
レミリア「……さて、遅めの面接でもしようかしら」
??「わくわく」
レミリア「面倒だし、貴方が代理で行ってくれない? 天狗」
文「ええ!? それはもしや取材許可ですか!」
レミリア「許可よ許可、早く行って頂戴。あと、ちゃんと報告してよね」
文「言われずとも了解です! 号外記事にして幻想郷中に配布致しますとも!」
レミリア「いや普通に報告書にしてほしいんだけど……って、もう見えないし」
咲夜「流石俊足ですねぇ」
レミリア「なんだか不安しか感じられないわ」
321 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/16(水) 01:00:40.43 ID:mCyEoc.o
今日の分はここまでです
非戦闘シーンゆえ、若干中弛みの気配がありますが御堪忍
読んで下さった方、コメント下さった方、どうも有難うございます
322 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 01:18:06.55 ID:6MbXxkso
乙
キャラ同士のやりとりが面白いな
323 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 01:20:38.85 ID:1xYTwwso
乙乙
324 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 01:48:31.18 ID:5BGlysAO
なんか射命丸って花山の一番嫌いそうなタイプな気がしなくもないんだがwwwwwwwwww
325 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 03:30:55.31 ID:dzQ0WPIo
食えないタイプって意味じゃ
幽々子 紫 辺りじゃね
326 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/16(水) 07:08:03.55 ID:73JGe5Qo
乙ッ!
327 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/16(水) 23:44:58.40 ID:mIswbIDO
花山さん19才なのかよ!
知らなかった…
328 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/19(土) 15:06:09.04 ID:nZ/13pQ0
バキ芸人見逃したけどyoutubeにのってあってよかったわぁ
329 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/19(土) 17:12:06.51 ID:D94ESg2o
あれは普通に見ててうぜぇとしか思わなかった
330 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/19(土) 23:05:03.48 ID:1QvIlHco
前半は良かった
後半が…
331 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/20(日) 00:09:53.37 ID:9YRPO1wo
人も変わってるからね
でも普通に面白いと思うよ
332 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/20(日) 03:04:46.37 ID:EuLtIk.o
>331
>>330
ってたぶん
>>328
333 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/20(日) 13:21:46.73 ID:Ifdm.qE0
まぁ終わり方は最悪だったけど
まぁまぁよかったと思うけどねぇ
334 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/20(日) 14:24:38.98 ID:1sGTPb.o
リアルシャドーなくしてピクル戦について語ってくれたらどれだけよかったことか
トプス拳とかで絶対笑いとれたし俺らも満足だったろ……
335 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/22(火) 00:44:52.47 ID:YEBmbGgo
逆に考えるんだ、バキ芸人みんなピクル編は嫌いなんだと考えるんだ
336 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/22(火) 04:03:26.48 ID:vKcOlIM0
んー・・
俺はピクル編嫌いだ
大して面白くない
シャドーとかもあまり面白くない
つか花山もっと攻めるべきだっただろ・・
目覚まし音が任客立ちの俺orz...
337 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/22(火) 22:22:13.49 ID:b6YcOEIo
なにより烈先生の扱いに不満。
338 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/22(火) 22:53:11.66 ID:as/rxdY0
ピクル編は烈も花山も解説、驚き役の両方をそれぞれやっちゃったからな
無理矢理でも良いから本部を呼んで一人で驚愕解説無双をさせれば
二人は小物っぽく見えずに済んだものを…
339 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/24(木) 18:38:33.08 ID:.Sp0qQc0
更新まだか
340 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/24(木) 19:56:35.76 ID:8/y0x2AO
ピクル編は克己は満足したけどな
341 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/25(金) 16:51:54.84 ID:uBopGSI0
面白いなぁこれ。日常編もスラスラ読める。
342 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 17:33:52.34 ID:xWFf5jco
花山薫は寝台に横たわっていた。
その隣で、チルノが切られたりんごを食べている。
丸椅子の上であぐらをかいて、りんごの入った硝子の器を抱え込む氷精。
りんごは冷気に当てられ、薄く霜を張っていた。
チルノ「あたい知ってるよ! あたいってば、命の恩人ってやつなんでしょ!?」
花山「…………」
チルノ「だって、あたいのおかげで、はなやまの腕がくっついたんだもん」
花山「…………」
チルノ「美鈴言ってたよ! 切れた腕は冷やせば元通り!」
花山「……おい」
チルノ「ん? なーに?」
花山「オマエ何しにきたんだ……?」
チルノ「お見舞い!」
花山「……りんご喰ってるだけじゃねェか」
343 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 17:39:32.70 ID:xWFf5jco
チルノ「あんたもりんご食べたい?」
花山「……元々俺のだ」
チルノ「すっごく甘くて冷たいよ! はい!」
チルノがフォークでりんご突き刺し、差しだした。
数秒の間の後、花山が口を開いて、それを頬張る。
しゃりしゃりと、小気味いい音が響く。
花山「うめェ……」
チルノ「でしょ! 形も面白いよね!」
花山「……ああ」
チルノの言葉の通り、りんごは様々な形に飾り切りされていた。
兎、蟹、木の葉、チェック柄……。
パーフェクトなメイド曰く、「この程度、朝飯前ならぬ前菜前よ」であった。
344 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 17:45:44.89 ID:xWFf5jco
文「いやはや、紅魔館のメイドは凄いですね。鼻を潰されたのに、りんごが剥けるとは」
チルノ「ねー、普通こんな切り方できないよね。でもあたいの方が最強だから!」
花山「…………」
文「しかし、美味しいですねこれ。甘さも充分、ほどよく冷えてて夏場に最適」
チルノ「でしょ! あたいってば最強!」
花山「…………」
文「私的に、冷やして食べるなら、梨がいいんですけれどねぇ」
チルノ「梨でも茄子でもなますでも何でも冷やすよ! だって最強だもん!」
花山「……おい」
文「はい、何か?」
花山「誰だ、オマエは」
345 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 17:54:35.93 ID:xWFf5jco
気がつけば、黒髪の少女が紛れていた。
白いシャツに黒いスカート、赤いときん。
扇を手に持ち、フォークに突き刺したりんごを齧っていた。
文「あやややや、私としたことが申し遅れました。私は『文々。新聞』の記者、その名も――」
チルノ「あーーー! 天狗だ! 何しに来たのさ!?」
文「……あのですね、口上ぐらいゆっくり言わせてもらえません?」
チルノ「ねえねえ!あたいの記事書いてよ! この間大ガマといいとこまでいったんだよ!」
文「ええー、そうは言われましても、見てないことは記事にできませんし……」
言いながら文は、花山を一瞥する。
本来の取材対象は、この人間。
黙っているにも関わらず、異様な迫力が見てとれる。
今度はチルノを一瞥する。
妖精がこの場にいることに、なんのメリットも思いつかない。
正直、取材の場に邪魔である。
この花山という男は、幻想郷の住人と違って、口が堅そうなだけに、尚更であった。
故に、天狗は一計を案じることにした。
346 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/25(金) 17:55:09.15 ID:7YvBkoE0
きてたあああ
347 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 18:00:23.97 ID:xWFf5jco
文「では、ちょっと窓を開けてもらえます?」
チルノ「なんで?」
文「インタビューには、快適な空間が必須です。外気を取り入れて、リラックス効果を狙ってるんですよ」
チルノ「うーん、分かった。ちょっと待ってて」
チルノが丸椅子から降り、窓際に歩いて行く。
背伸びをしながら鍵を外し、硝子窓を開いた瞬間。
文「――そうそう。ついでですから、室内に侵入した小蠅に、お帰り願いましょう」
言うが否や、天狗が扇を大きく翻した。
突如、烈風が巻き起こる。
家具が激しく揺れ、カーテンが鳥の羽ばたきにも似た音を立てる。
チルノ「……へ? わああぁああぁーー!?」
射命丸文の能力――「風を操る程度の能力」。
氷精は烈風によって、どこかへ吹き飛んでいった……。
348 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 18:05:35.14 ID:xWFf5jco
文「さてさて、邪魔者はいなくなりました」
花山「…………」
文「これで心おきなく取材に専念できます」
花山「…………」
文「では早速、花山薫さんに質問ですが、」
花山「おい……」
文「まだ何か?」
花山「オマエの名前をまだ聞いてねェ」
文「おっと、これは失礼しました」
そう言って、天狗は腰を折ってお辞儀する。
そして、顔を上げ、はきはきとした声で名乗り上げた。
文「幻想郷一の俊足。『文々。新聞』の記者。その名も射命丸文と申します。今後とも御贔屓に」
349 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/06/25(金) 18:18:35.18 ID:xWFf5jco
すみません、今日の分はここまでです
やっと文のターンに入りましが、思うように筆が進まなくて苦心しました……
私的に、射命丸が、なんか難しい
折角なので、「射命丸文にしてもらいたい質問」を募集中です
全部とまではいきませんが、ストーリーに組みこんだら面白そうなものを拾っていく予定
しかし、質問に花山さんが応じるかは不明です
読んで下さった方、コメくださった方有難うございました
350 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/25(金) 18:30:41.38 ID:MUQ/ahMo
あの戦いを見た後なら開口一番に「貴方本当に人間ですか?」って聞きそう
351 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/25(金) 18:40:35.20 ID:JAsnoQco
射命丸「年齢は?」
352 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/25(金) 18:44:49.32 ID:ireA8l.0
年齢
353 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/25(金) 18:49:30.01 ID:Qvqkw2DO
乙
とりあえず本当に人間かどうか聞いてくれ
354 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/25(金) 20:02:12.68 ID:IcqziUk0
乙。
あややと戦いたいか聞いてくれ。
355 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/25(金) 20:36:13.61 ID:FRLIduQ0
文「私いくつに見えますぅ?」 花山「わっかんな〜ぃ♪」
薬飲んで寝る
356 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/25(金) 20:45:40.39 ID:48HHfxI0
乙!幻想郷と言ったらやっぱり酒関係の質問は欲しいねえ
花山はワイルドターキーをジュース感覚で飲むし、文も公式で結構飲んでるし
357 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 02:49:06.46 ID:fWZ4GIAO
質問じゃないが
何を話しても物おじしない花山にビビらせてやろうと悪戯心から鬼の話を熱く語る文。
花山「面白ぇ…連れてきな」
文「へっ?」
で、鬼にビビりまくってテンパる文。
358 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 10:07:10.27 ID:iPbpn.wo
花山は地上最強の鬼を知ってるからなハンパな強さじゃビビらんわwwwwww
359 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 10:21:55.38 ID:ciZsQ6DO
おぜう様の強さは半端じゃないぜ?
幻想郷の吸血鬼は鬼に次ぐ力,天狗に次ぐ速さ、蓬莱人に次ぐ再生能力、高い特殊能力をあわせ持つ超ハイスペックな種族だし。実際、弾幕より肉弾戦の方が得意らしいし。
その分、太陽とか流水とか炒った豆とか弱点は多いが
360 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 10:28:31.24 ID:fNjtlys0
はいはい霊夢無双
361 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 11:11:09.08 ID:RAZ/9Tko
普通なら人外と人間くらべんなwwwwwwww
といいたい所だが”バキ”だしな・・・ww
しかもオーガとかいるから下手な強さ議論とかはやっちゃいけない
荒れる元なのぜ
362 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/26(土) 12:25:36.62 ID:8kWATTM0
んだな
議論はやめよう
363 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 14:08:36.75 ID:FiBIKUgo
東方において最強議論なんてほんとに不毛なんだよな。考察材料が妄想しかないから。
2chの議論スレなんて、うどんげが光速のウン十倍でカッ飛んでる事になってるからなww
364 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 14:37:26.55 ID:RAZ/9Tko
強さ議論に関してはほぼどれも不毛。
条件指定すらないから
勝手に有利な条件下にしたり、たられば〜ばかり。
特に東方みたいな曖昧すぎる能力設定だとry
ただ強さ議論自体は否定しないし、むしろ好きww
みんな、「お願いだから他所に持ち込むな」って所じゃないかなww
365 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 16:22:00.07 ID:bU1TJqQ0
東方の強さ議論の何が不毛かって概念的な能力がかち合った場合
どっちの能力が優先的に発動するのかが殆どわからないんだよな
原作だけで相性がハッキリしているのは幽々子と蓬莱人の連中ぐらいじゃないか
バキの強さ議論は勇次郎補正とピクル補正、
そして25話ぐらいの強化イベントを一瞬で無に帰した刃牙補正の3つが不毛になりそう
物理的な勝敗だったら一応刃牙は上記二人に加えて他にも負けてるんだけどねえ…時期が(ry
366 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 16:36:44.85 ID:KbU1L2Q0
いいからやめようかおまえら....w
367 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/26(土) 16:44:49.90 ID:ye7dX6AO
弾幕はあくまでごっこ遊びで強すぎる奴らの殺伐とした殺し合いを防ぐためのルールだし
いわば全員手を抜いてる状態しか表現されてないからガチでやり合った場合の事なんて誰も分からない
368 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 17:12:59.67 ID:VC/tZ7c0
いいから黙れよ作者かよ
369 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/26(土) 19:35:50.52 ID:TVDoNGI0
犬でも「待て」はできるのに
お前たちの不躾さと言ったら…
370 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/26(土) 23:50:07.80 ID:8kWATTM0
だから議論するかしないかも議論だろ・・
お前らマジで犬以下だな・・・
371 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/27(日) 00:04:15.34 ID:040sCMko
(∪^ω^)わんわんお!
372 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/27(日) 03:57:31.17 ID:a0FIxIAO
とりあえず流れ戻そうか
花山がいつ現れたか、それでなぜ現れたかを聞いてもらいたいな…
それでなんでか分からない花山がそれを…とか
花山ってそんな探るようなタイプじゃないかもしれんが興味は示すかも
373 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/27(日) 06:02:17.60 ID:gJelSUYo
持っているスペルカードについて聞かれて「必要ねえな」とか答えそう
374 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/27(日) 06:34:58.75 ID:V5viJAAO
どうしてもスペカ作らないといけなくなったらラストスペルは「任侠立ち」だよなwwwwww
ざっと思い付いたものを並べると
握符「握撃」
握符「握り締めた花の香水」
「任侠立ち」
375 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/06/27(日) 08:45:04.28 ID:U2qfX02o
拳符「握力×体重×スピード」
漢符「任侠立ち」
376 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/06/29(火) 23:55:51.54 ID:sYgnlUAO
奇襲「胴回転回し蹴り」
377 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/01(木) 18:54:21.42 ID:4pHiIo60
スカーフェイスみた
やっぱ花山さんすげー
378 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/03(土) 19:20:28.60 ID:7n.vljs0
まだー?
379 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/07(水) 23:45:43.40 ID:zLngHMko
まだかなぁ
380 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/08(木) 23:35:46.26 ID:yFA3A9Q0
まだかなー?
381 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:26:00.74 ID:VQAI16oo
花山の寝室。
その扉を少しだけ開いて、廊下から、中を伺う者が二人いた。
レミリア「さぁて、大丈夫かしらねぇ、あの天狗」
咲夜「あの、お嬢様……」
レミリア「何?」
咲夜「ここで見てたら、面接を委託した意味が無いんじゃないですか?」
レミリア「あの天狗が、捏造も演出もない極々普遍的な報告書及び新聞記事を書くと思う?」
咲夜「……心許ないですね」
レミリア「第一、あいつの新聞って、全然客観的じゃないのよ」
咲夜「はぁ……」
レミリア「第三者的立場を装ってるけど、その実、主観私感が入り混じって公平からかけ離れてる」
咲夜「でも、お嬢様は購読してますよね?」
レミリア「完全に公平な新聞なんか誰にも書けないものよ。それに、自が出てる文って面白いじゃない?」
咲夜「中身が無い割には面白いですよね」
レミリア「そういうこと」
382 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:26:58.44 ID:VQAI16oo
文「それでは、花山薫さん。取材を開始させていただきます」
花山「…………」
文「取材といっても、単なるインタビューですので、肩の力を抜いて、気軽にお答えくださいね」
花山「…………」
文「では、最初の質問」
花山「…………」
文「貴方本当に人間ですか?」
レミリア「あちゃー」
咲夜「初っ端からやってしまった感じですね、天狗」
383 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:28:13.54 ID:VQAI16oo
花山「……人間に違ェねぇが、何でそんなこと聞くんだ」
文「紅魔館の門番とメイド長を相手に、弾幕無しで張り合えるなんて人間業じゃありません」
花山「…………」
文「まず、その姿の時点で人間に見えませんよ。大きいし、怖いし、傷だらけだし」
花山「…………」
文「何と言いますか、人間の2〜3人くらいは、つまんで食べちゃったような顔してますもんねぇ」
花山「…………」
文「さて、私個人の感想はほっといて、次の質問です。年齢はおいくつですか?」
花山「……19だ」
文「ははあ、私の約50分の1ですね。もはや嬰児ですね」
花山「…………」
咲夜「……あの天狗は、喧嘩を売ってるんでしょうか」
レミリア「私には自殺志願者に見えるけどね」
384 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:29:46.54 ID:VQAI16oo
文「次に、貴方はいつから幻想郷にいるんですか? それから、どうやって幻想郷へ?」
レミリア「おっ、ようやくまともな質問きたわね」
咲夜「そうですね、あの方、どう考えても幻想郷の人間ではないですし」
花山「……覚えてねェ。七日経ったか、経ってないかぐれェだ」
文「ほほう、結構最近ですね。で、幻想郷に来た経緯は?」
花山「散歩して、気づいたら、ここに居た……」
文「ん? なんですかそれ? 自力でここに?」
花山「いいや、八雲紫って女に連れて来られたんだ」
文「ええっ!?」
咲夜「――あら、意外な名前が出てきましたわね」
レミリア「何が意外なのさ。神隠しなんて、十中十十あいつの仕業じゃない」
咲夜「なんとなく、流石お嬢様、と言っておきましょう」
レミリア「ふふん」
385 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:30:47.36 ID:VQAI16oo
文「なんで連れて来られたんですか!?」
花山「……知らねェ」
文「はぁ?」
花山「良く分からねぇが、役割があるんだとよ。全く聞かされてねェがな」
文「何ですかその曖昧な返答は……、ああもう、何て記事に書いたら……!?」
咲夜「何でしょうね、役割って」
レミリア「さぁてね、あの隙間妖怪の考えてることなんて、どうでもいいわ」
咲夜「気になりませんか?」
レミリア「気にならないわよ」
咲夜「嘘はいけません」
レミリア「はい」
386 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 11:34:23.19 ID:np7el2.o
ほほう
387 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:36:59.20 ID:VQAI16oo
文「うーん、じゃあ好きなお酒を教えてください」
花山「……?」
レミリア「なんでこのタイミングでそんなこと聞くのよ」
咲夜「さあ、天狗なりの考えがあるんじゃないですか? 相手の警戒心を解くとか」
花山「……ワイルドターキーだ」
文「うん? 聞いたこと無いお酒ですねぇ」
花山「トウモロコシから作ってる酒だ。結構強ええんだぜ?」
文「ほほう、それはなかなか興味をそそりま――おっと涎が」
レミリア「……ねえ、なんか考えありそう?」
咲夜「単なる酒好きの気まぐれでしたね」
388 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:39:03.03 ID:VQAI16oo
文「じゃあ、職業とか教えてください」
花山「…………」ス……
文「……ん、これ名刺ですか? 『二代目花山組組長 花山薫』って……?」
花山「ヤクザだ。知らねェのか?」
文「へー、ヤクザ。知らなくは無いですよ。ただ詳しくないだけで」
咲夜「お嬢様はヤクザ御存じですか?」
レミリア「足すと20になるんでしょ?」
咲夜「?」
レミリア「8+9+3」
咲夜「ああ」
レミリア「まあ、詳細は図書館の魔法使いに聞けばいいんじゃない?」
咲夜「知ったかぶりが得意ですよね、お嬢様は」
レミリア「無知の知と言ってほしいわね」
389 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:40:28.13 ID:VQAI16oo
文「えーっと、職業はヤクザ屋さん兼喧嘩師。主な取り扱い商品は、素手喧嘩っと……」
花山「…………」
文「んー、他に聞くことありましたかね。正直、これだけじゃあ、記事になるやら……」
花山「…………」
文「あ、そうでした。事件が無ければ、起こせばいいんですよね!」
花山「…………?」
文「というわけで、花山薫さん。私と闘ってみませんか?」
390 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/10(土) 11:43:12.97 ID:VQAI16oo
本日の分はここまでです、長らくお待たせしてしまいすみませんでした
質問どの程度くるかなーと思ってたら、結構来てびっくり&とても嬉しかったです
質問を見てると、皆さん、両原作が好きなんだなと、しみじみ伝わってきました
全部は採用しきれませんでしたが、意見くださった方々、本当にありがとうございます!
それでは、読んで下さった方、コメくださった方、どうもありがとうございました
391 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 11:45:31.07 ID:np7el2.o
射命丸がとうとう鶏肉になると聞いて乙せざるを得ない
392 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 12:31:13.75 ID:cEQRzYAO
射命丸喧嘩売りすぎwwwwww
393 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 14:15:58.71 ID:CSRy0Qoo
片腕切られたばかりなんだぞww
394 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 16:26:46.45 ID:/cvD1fMo
乙でした
烈の門よりこっちのが楽しみだ
395 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 19:45:20.38 ID:pStyuLw0
美鈴と互角だった事を考えると文クラスになると何らかのハンデがいるな
ピクル編によく出てきた技使ったら負けぐらいしか思いつかんけど
396 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 20:16:15.58 ID:1Qb5p4co
射命丸は一応幻想郷最強クラスの妖怪らしいけどどこまで渡り合えるのやら
397 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 20:28:48.54 ID:u6fVWRco
>>396
○最速クラス ×最強クラス な
天狗だからどっちにしろ力つえーとおもうけどどうだろう
398 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 20:39:43.97 ID:dkCJ8NE0
>>397
出直してこい
399 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 20:44:08.23 ID:pStyuLw0
花映塚のテキストに「彼女の持つ力は幻想郷の中でも最高クラスではある」と書いてるけど
単純に膂力の事なのか、それとも能力の事なのか、あるいはどっちもなのかまではわからん
400 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 21:17:17.64 ID:u6fVWRco
>>399
mjdk、ちょっと幻想郷行ってくる
401 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 21:27:33.77 ID:dMbcPLM0
>>399
おまえも惜しいな。
402 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/10(土) 22:14:56.76 ID:Yjo0iYSO
893逆さから読むと398
まさかな・・・
403 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/11(日) 00:22:26.56 ID:y8j8F6DO
正直みんな最強クラスな希ガス
幽香、紫、スカーレット姉妹、寅丸、聖あたりが結構強いと思う
個人てきには幽香さまが最強
404 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/11(日) 01:07:20.65 ID:4SIQuNQ0
おまえがそうおもうんならうんぬん
405 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/11(日) 13:15:02.01 ID:S9SfOI2P
議論は他でやれよ
406 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/12(月) 20:59:21.81 ID:uTwXdCc0
花山さんもバキみたいに好きな女とやればもの凄く強くなるんじゃね?
花山色を知る年か!!みたいなwwww
407 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/12(月) 21:21:11.56 ID:Ihkuyt6o
花山×チルノとか新しすぎだろうJK
408 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/12(月) 21:57:44.77 ID:Tld.R.2o
大妖精「そこから……ブチ込んだんです」
大妖精「信じられますか? 一気にブチ込んだんですよ。
自分の半分にも満たない体長のチルノちゃんに、成人男性の腕くらいあるんじゃないかっていう逸物を」
409 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/12(月) 22:09:39.87 ID:J0G3g.AO
−10年後
「おとーさぁん!おかーさぁん!」
「フフッ、はいはい」
「全く、アタイ達の娘ったら最強ね」
「……違ぇねえ」
410 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/12(月) 23:10:54.98 ID:O/8aa3Io
文は他のキャラより空中戦が思い浮かぶから
その辺がきになるな
411 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/13(火) 00:14:21.63 ID:oCB/I.AO
ちょこまか高速で動き回って翻弄する文を致命傷と引き換えに捕らえて一撃で葬るビジョンが見える
412 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/14(水) 14:32:29.15 ID:Osdh98Eo
肉を切らせて骨ごと砕くですねわかります
待ちガイルされたら花山涙目もとい花山任侠立ちだな
413 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/14(水) 23:14:02.60 ID:JRFlDjYo
/,.:'"::: ......:::::::....... :::::::::::.... .:ヽ,.:'
、_,/::::: .....:::::::::::.. ...:::::::::::::::::::::... ..:::ヽ、
,/::::::: .....::::::::::.............::::::::::::::::::::::::::.... ..::\`
/::::: ...::::: .........:::...........:::::::::::::::::::... ::::::i
i::::... ::::::; -''!:::::::::;::::::::;:::::::::/´ヽ::::::.... ..:. ::::l
;!::...:/7-<ノ/´,.r:;"'フ/ ,,>'"!、::::...:::l`
,i::::/ / /゙ヽ,/'´ '",r'´ / !/゙l:::ノ
/`)| .::. `、 !_/:. / :::.. ノ!`i
i >!' ::: ,r''"'' 、 !、,!´ ,! ,:r''''' 、 ノ:、.!
! ヽヽ ':、__○゙; ,:l!、 ,:" /○ ,.ノ.... !、' )
ヽ`i`ー、 ,r''''"´ ! ::  ̄ ::: ! /
>t \_,,/ ,r ! ; 、 ,r-l'
/ `i-....,/_ヽ-、 `ー.、 ,. .:' ::..... _,,,,/:::/',
/ |:l::::::l''i''iヽ ヽ__;:_゙ー'::: r‐ii: |::::::i ',
. i 、l-'::;;!;;l__l , 、 ___;;::、 !__l!::"l:/ i
. l ヾ::l__l__l;>::,r'<`ー-‐''";/_l,,,!:;ツ ... !
l `!、;;;;l,/ヽ::'"二!`'' `!:::ツ'' :. :: l
,.. -‐‐''ヽ \;:...::" l!:: /´ / : :: l
,. ::'" / i ::: l ゙ヽ-::.、_,..!- '' l ノ、- 、_
-< :: / ヽ :: ! | ::.. / /i l `゙ー 、
ヽ ,/ ヽ ヽ ! ::./ // ヽ >-‐'''''
414 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/19(月) 22:53:15.83 ID:476vcvA0
マダー?
415 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/19(月) 23:18:16.73 ID:hQYR7UAO
充電期間というやつですよ
416 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/20(火) 19:08:10.21 ID:wViYI3Yo
積んでるだろこのカード……
ストUで言うならガイル対ザンギ、BBで言うならν対テイガー
417 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/21(水) 00:51:38.31 ID:MdKqMkAO
ただしこっちの攻撃は当たれば全て一撃必殺
418 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/21(水) 06:02:46.99 ID:4PMYI9.o
>>416
文の性格上、格下の人間相手にシューティングに持ち込むとは考えにくいので、ポチョvsチップが妥当かと。
419 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 00:38:57.99 ID:bT.H8260
酒飲み対決があるじゃないか
420 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:02:31.91 ID:ZIIAjwYo
レミリア「話は聞かせてもらったわ!」
突如、勢いよく扉を開いて吸血鬼登場。
その背後には、鼻にガーゼを当てた咲夜の姿も。
ブン屋と喧嘩師は、ほぼ同じタイミングで、ドアの方を振り返った。
文「あやややや、盗み聞きとは感心しませんねぇ」
レミリア「あんたがいつもやってる事じゃない」
文「失敬な。私のは隠密取材です」
レミリア「隠密取材と書いて、パパラッチと読むのかしら」
文「まあ、そんな所です」
咲夜「ここまでくるといっそ清々しいですね」
421 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:05:55.15 ID:ZIIAjwYo
花山「……用件は何だ?」
レミリア「雇用主として文句言いに来たの」
文「はあ、文句ですか」
レミリア「只でさえ人員欠落中なのに、怪我人引っ張り出して喧嘩なんて認めるわけないでしょう」
文「えー、駄目ですかー?」
咲夜「そもそもドクターストップだって頂いてますしね」
花山「…………」
文「とりあえず、御二人の言い分は、『怪我人と喧嘩するな』、『絶対安静最優先』ということですか?」
レミリア「それ以外に何があるって言うのよ」
咲夜「門番がいない以上、こちらとしては、一日でも早く治って頂きたいですからね」
花山「……左腕をぶった切ったヤツが言う台詞じゃねェな」
咲夜「あら、変ね。急に耳の聞こえが悪くなったみたい」
422 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:11:01.82 ID:ZIIAjwYo
文「んー、御二人が何を勘違いしているか分かりませんが……」
そういって、天狗は首から下げた写真機を掲げる。
文「私の言っている戦いは“こっち”ですよ?」
レミリア「……あー」
咲夜「なるほど、それなら」
花山「……?」
文「妥協して頂けますか?」
レミリア「するする。むしろ見てみたい」
咲夜「安静とは言えませんが、喧嘩ほどたくさんは動かないですしね」
花山「……何の話をしてンだ?」
文「おっと失礼、肝心な人に説明してませんでしたね」
423 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:15:13.28 ID:ZIIAjwYo
文「私の写真機は特別製。弾幕を吸収して映し取ることができるのです」
花山「…………」
文「で、私は写真と取材のメモを題材にして記事を書くんです」
花山「…………」
文「取材は今しがた終わりました。残すは写真のみ」
花山「…………」
文「ここまで来れば、もうお分かりでしょう?」
花山「……何がだ?」
咲夜「鈍いですねぇ」
レミリア「まあ、見えない話をしているのだから仕方ない」
文「つまりはですね、こう言いたいのですよ」
花山「…………」
文「『スペルカード』、お作りになりませんか?」
424 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:19:28.28 ID:ZIIAjwYo
花山「…………?」
レミリア「スペルカード――幻想郷特有の決闘法に使用される、技や契約書の呼び名よ」
咲夜「弾幕ごっこの時に使ってるの、見たことありますよね?」
花山「……あれか」
文「端的に説明しますと、自身の力や能力を決闘時に使える不思議で素敵なカードです」
レミリア「ずいぶん頭の悪そうなまとめ方ね」
文「いやですね、相手に合わせて言葉を選んだんですよ」
咲夜「あなた、そんなにあの人と喧嘩したいのかしら?」
文「だって、喧嘩師って喧嘩を売り買いする商人でしょう?」
レミリア「でも、ブン屋は恣意的かつ故意的に言葉を選んで使う職でしょう?」
文「敵いませんねぇ」
425 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:22:59.18 ID:ZIIAjwYo
文「さて、話が脱線かつ横転しましたが、私の目的はこうです」
花山「…………」
文「貴方にスペルカードを作ってもらって、それを使って、私と弾幕ごっこしてもらいます」
花山「…………」
文「あ、私は弾幕出さないので、心配ご無用。写真に自分の弾幕映るの嫌なんで」
花山「…………」
文「で、貴方の弾幕を収めた写真と、インタビューのメモを持ち帰って記事を製作。完璧です!」
花山「…………」
文「勿論協力して頂けますよね?」
レミリア「最悪、雇用主権力振りかざすから安心なさい」
文「おやおや、お主も悪よのぉ」
咲夜「全くこれだから天狗は……、お高い鼻叩きおりますよ?」
レミリア「で、どうするのさ、療養中の臨時門番さん?」
花山「…………」
426 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:25:03.58 ID:ZIIAjwYo
花山「決闘ってのは、要するに喧嘩のことだ」
レミリア「…………」
咲夜「…………」
文「…………」ワクワク
花山「それなりのもんには、しねェとな」
レミリア「了承……と思って良さそうね。咲夜、すぐに準備なさい」
咲夜「はい、お嬢様」
文「いやー、嬉しいですね! 皆さん、取材協力感謝します!」
レミリア「あんたのためじゃないわよ。私が見たいだけ」
文「ははあ、つまり“私の記事が”見たいだけですね!」
咲夜「……ここまで来ると、もう褒め言葉も思いつかないわね」
文「いやぁ、お褒め頂き、有難うございます!」
咲夜「まだ未遂よ?」
レミリア「とりあえず、医者には見つからないようにやらないとね。いろいろ後が怖いわ」
永琳「……くしゅん!」
427 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 18:29:43.79 ID:ZIIAjwYo
今日の分は此処までです。いわゆる文花帖です。
質問募集時にもらったスペカ案が大変魅力的だったので、こんな展開になりました
カード名をちょっと変えつつ、使わせて頂きます。書きこんでくれた方々に感謝
それでは、読んで下さった方有難う御座いました
428 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 18:36:10.81 ID:lEx5X.AO
ヒャッハー!!楽しみにしてるぜぃ!!
429 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 19:44:29.86 ID:ybg.JRko
こんなにも「別にスペカなくていいんじゃね?」と思わせるキャラのスペカか、気になるな
430 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 19:52:04.02 ID:eeMSfWIo
乙ッ
431 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 20:25:11.13 ID:J0CZdMAO
カオちんが…弾幕だとぅ……
432 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/22(木) 23:02:45.82 ID:Dr6TzcDO
てっきり鍛える奴は軟弱理論で突っぱねるかと
433 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/22(木) 23:15:23.36 ID:CkuPNts0
スペルカードはあくまで「こういう攻撃をしますよ」宣言だからなー
434 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/23(金) 10:59:24.41 ID:k7y.e4oo
スペカ宣言して殴るんですね
435 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/23(金) 14:47:55.29 ID:45KrubAo
花山さんの構えって宣言するまでも無く
これからする攻撃自体は読めるよな
ガードや回避が出来るかは全く別として
436 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/23(金) 15:06:45.86 ID:P/RU96AO
なんか花山が一撃殴る度にマスパ並の極太レーザーとそれに沿ったばらまき弾が大量に出そうwwww
437 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/23(金) 15:21:02.76 ID:W6rXeQoo
某どっかのSTGのボスの張り手みたいに弾幕が飛び出るのかな
438 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/23(金) 16:19:25.33 ID:Ij7yTAAO
極太レーザーとか大量の弾幕よりは超短射程高威力の方がイメージ的には合うけど
見栄え悪いし本体が移動するか相手を引き寄せるかしないとシューティング的には無意味だな
439 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/23(金) 18:37:44.07 ID:hBBGjgco
花山ほど遠距離戦闘とか飛び道具が似合わないキャラも珍しい
しかしここの中国は妙にかっこいいな
440 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/23(金) 20:08:38.65 ID:1/PU9Foo
ぶん殴る弾幕あるいはスペカ……
どう想像しても雲山さんです本当にありがとうございました
441 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/24(土) 02:21:53.51 ID:kh8tlqgo
力技「握力×体重×スピード」
@画面上部から花山が歩いて登場。画面上部中心で花山が構えに入る
↓
A花山の立ち絵カットイン&スペカ宣言、同時に花山が拳を振るいながら自機(文)の方に駆けてくる
↓
B花山が画面端に到達すると壁破壊エフェクト(破壊音・画面揺れ)とともにばら撒かれる中玉弾・小玉弾・小粒弾
花山は一瞬の溜めの後にもう一度こちらに殴りかかってくる
↓
C以下繰り返し
442 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/24(土) 04:55:27.80 ID:WfcFfI6o
>>441
美鈴に同じ様なスペカがあるんですがねぇ……。
443 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/24(土) 05:22:15.60 ID:cMkHsp.0
なんでここの奴らはこんなにうざいことしか話さないんだろう。東方厨きめー
444 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/24(土) 09:17:23.82 ID:s9srXi60
>>443
禿同
キモすぎ
445 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/24(土) 12:54:14.68 ID:WjBzfNg0
侠客立ちは刃牙本編では敗北フラグだから安易にデッキに組み込めないな
446 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/24(土) 13:31:53.21 ID:t3tZG3Yo
殴るスペカって文化帖では結構存在するからなー
447 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/26(月) 23:06:23.03 ID:rspa0ADO
アリスキック
448 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/27(火) 22:32:42.58 ID:r1CmAwAo
東方に詳しい奴が来るのは当たり前だろうww
449 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/28(水) 15:35:49.18 ID:Kmb6FmIo
東方に詳しい奴と東方厨は違うと思われ
450 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/28(水) 16:39:24.61 ID:SMnfUz20
頼んでもないのにやれこんなスペカがある、こんな弾幕がある、挙げ句の果てには一番強いのは云々。きもいんだよ
451 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/28(水) 17:32:44.16 ID:uY7PvLgo
東方に限らず、アンチって器が小さいよな
私はいっこうに構わんッッ!!位のことを言えんのか
452 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/28(水) 17:40:18.11 ID:SMnfUz20
別にアンチじゃねーよ。むしろ好きだがな、いきなり語り始める馬鹿が嫌いなだけだ
453 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/28(水) 17:41:50.53 ID:v0PrCEs0
ほんとに好きなやつからしたらスペカとか語られるのって今更感が半端ねーな。大体語りたいやつはにわか
454 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/07/28(水) 20:15:44.51 ID:43ypD3w0
議論してる奴を無視できてこそだからな
455 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/07/28(水) 20:35:16.49 ID:K60h2uco
どうも執筆者です
私用により次回の更新は、8月になってからになると思います
更新頻度が遅くてすみません
今しばらくお待ちください
456 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/29(木) 00:38:23.47 ID:aIx4n6AO
>>455
私は一向に構わんッッ!!!
457 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/07/29(木) 00:44:01.00 ID:x3bRr9U0
あ、烈さん出てこなくていいです。
458 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/09(月) 00:46:22.50 ID:06rtOQAO
まだかよ
459 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/14(土) 08:53:57.34 ID:1AusS1k0
あげ
460 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/16(月) 10:31:56.26 ID:9NgRNbQ0
まだ?
461 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/16(月) 17:19:14.18 ID:3fw877Yo
HRキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
462 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/16(月) 17:19:58.70 ID:3fw877Yo
誤爆orz
463 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/16(月) 19:20:48.37 ID:8dcDJUSO
両作品全く知らないけどとってもおもしろいや。
464 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/17(火) 03:52:04.29 ID:DVgoN2AO
8月入ってから半分以上過ぎたわけだが
期待させるだけさせといてこれか
465 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/17(火) 04:52:38.82 ID:A3IG1M2o
短気は損気
まー気長に待とうぜ
466 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/17(火) 11:25:10.16 ID:6TbbE.60
まーた投げ出されたな。
俺続き書いてみていい?
467 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/17(火) 11:41:45.19 ID:tBzVhXwo
そんなに書きたいなら自分でスレ立ててやってくれ
468 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/17(火) 12:05:26.07 ID:MsAkyyI0
8月入ってからと言われてまだ8月は残り2週間くらいあるのに乗っ取ろうとか[
ピーーー
]よ
469 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/17(火) 13:01:55.23 ID:hM0zF6SO
なにこの第二第三の作者が現れる奇特なスレ
470 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 00:30:16.47 ID:F975muwo
私が投げ出してもまた第二第三の私が(ry
みたいな
471 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/18(水) 00:35:00.75 ID:BuJVzAA0
>>1
が1ヶ月ほど失踪してから第二の書き手が現れたが・・・そいつは実は
>>1
じゃないか?
今更戻っても叩かれるから、別人として書くという
だとしたら叩かないから、とっとと戻っておいで
472 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 01:14:09.24 ID:nkxIYns0
>>471
おいおい。
いま書いてる人は8月になるって宣言してるだけで
8月前半とは言ってないんだぜ?
まだ8月は半分近く残ってる。投げた訳ではないだろ。
まぁ何が言いたいかってーと
黙ってROMってろ。
473 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 01:15:50.12 ID:etWLYcc0
こまけぇこたぁ(AA略
474 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/18(水) 01:45:43.16 ID:BuJVzAA0
いや知ってるよ。戻るのを願っただけで8月がどうこうは言ってないんだが
ID変わったが
>>468
は俺な
それは関係ないが、・・・そんな4レス前に他人が言ったことをどや顔で復唱すんなよ
まぁ何が言いたいかってーと
黙ってROMってろ。はやく
>>455
もどってこないかなぁ
475 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 01:49:13.76 ID:F975muwo
/)
///)
/,.=゙''"/
/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
/ / _,.-‐'~/⌒ ⌒\
/ ,i ,二ニ⊃( ●). (●)\
/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-| |
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
476 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 02:44:15.53 ID:OFQ6/i2o
東方の新作が出たからそれをプレイしてるんじゃないの?
477 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:44:19.52 ID:F.3S0Gc0
東方プレイしながら新作プレイってかww
478 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:45:05.31 ID:aULujjY0
>>477
は?
479 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:45:59.56 ID:oq7im860
暑さにやられたか…
かわいそうに…
480 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/18(水) 03:47:42.10 ID:Lh.kaME0
これだから携t…
末尾0…だと…?
481 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:48:23.87 ID:PqbbWpY0
>>477
>>477
>>477
>>477
>>477
482 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:48:59.59 ID:Di.pE660
やめてー!
>>477
のライフはもう0よー!
483 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:51:19.70 ID:yoHNPF60
古泉「んっふ…これは一本とられましたね…。」
484 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:52:13.14 ID:WXYfiQE0
>>477
の人気に嫉妬
485 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 03:54:05.15 ID:WXYfiQE0
>>477
..同じ臭いがするのれす(^p^)
486 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 08:44:58.64 ID:gDYh6oSO
>>480
ここはもしもしでも末尾0だぞ
ちなみに専ブラの奴はoになる
487 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 15:29:24.69 ID:lrE2Ly.o
そうなのかー
488 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 20:33:53.03 ID:Kgu.8qso
素直に展開が思いつかないんだろうな。
花山は何のかんので、マグロイメージの強いキャラだしなあ。
自分から攻めて行ったケースより、結果として喧嘩になったというイメージが固定されてるから。
烈海王やオーガと違って、動かすのに苦労するキャラだと思う。
あと作者が悩んでるのは、花山と弾幕のイメージが合わないとこかもね。
花山はどっちかって言えば、極太レーザーだし。
何にせよ花山は動かしづらいキャラだよ。受身ないしカウンター狙いキャラだけあるよ。
489 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 20:37:37.92 ID:E8vAR.Mo
花山さんの弾幕は雲山よろしく拳が降ってくる感じでいいと思う
490 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/18(水) 22:41:52.40 ID:BuJVzAA0
あー、確かに。
スペカってこんなことしますよーっていう宣言だろ?
作ったからなにかができるってものなのか?いや俺は無知だから確認な
花山さんの弾幕は、大の字みたいなお得意の構えから、大文字レーザーとか
使用宣言後から花山さんが耐え切れなるまでくらった敵の弾幕を放つとか・・・?
ポケモンのがまん的なカウンター技。
ぼくのかんがえただんまく。でスレ埋まるかもだからやめたほうがいいか?
491 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/18(水) 23:02:06.07 ID:jgiwgpo0
ってか花山さんは弾幕なんて使わず拳で闘うんじゃないの
492 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/19(木) 09:44:39.53 ID:yAixZuYo
弾幕ばらまきながら敵機が凸ってくるとか
493 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/19(木) 11:35:05.59 ID:8UjWgkw0
東方プレイっアレだろ
このヘアースタイルがサザエさんみてェーだとォ?っていいながら
ズコバコドララァ
494 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/22(日) 00:03:58.83 ID:vhRr07s0
お前はマジ顔で猫追っかけ回したいのか?
495 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/24(火) 23:54:55.37 ID:Yp/qd9I0
まだなの
496 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/24(火) 23:56:10.57 ID:aoN9tP60
はやくー
497 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/25(水) 14:23:24.61 ID:FJvFjUE0
内容は面白いから気長に待つことにしますか…
498 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/27(金) 00:29:46.43 ID:B380xUwo
まだかにゃ
499 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:06:46.48 ID:8UmTfYAo
紅魔館の中庭。
よく手入れが施された花壇と、緑の芝。
そこに、天狗と人間が向かい合って立っていた。
文「さあ、準備はよろしいですか!?」
花山「……おう」
両者の距離は20歩程度。
天狗の手には写真機。
男は白いスーツに身をつつみ、そこかしこに包帯を巻いている。
二階の窓から、二人を見る者達がいた。
咲夜「……大丈夫ですかね」
レミリア「そりゃあ、大丈夫でしょう。なにせ、あんたに勝った人間よ?」
咲夜「いえ、勝負のことではなくて……」
レミリア「ああ、スペルカードのこと? パチェが調整してくれたし、平気だって。ね、パチェ?」
吸血鬼が尋ねかけると、椅子に腰かけていた紫髪の少女が顔を上げる。
珍しく、図書館の外に出た食客。
小さな体躯に、古書の匂いが染みついていた。
500 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:08:25.19 ID:8UmTfYAo
パチュリー「ええ。カードに刻印された力や技を、魔法で弾幕風に互換しておいたから……」
レミリア「即興の割には上出来だと思うわ。しかし、びっくりしたわねー」
パチュリー「……なにが?」
レミリア「あいつが作ったスペルカードよ。見た時、開いた口が塞がらなかったわ」
・ ・
パチュリー「確かにね……、あれがスペルカードとは思えなかったわ」
咲夜「あの、御二人とも……」
レミリア「なに? スペルカードなら大丈夫って言ってるでしょう」
咲夜「そうではなくて、私が懸念しているのは、あの人の怪我のことなんですが」
レミリア「ああ、怪我ね。大丈夫でしょ。あいつ、怪我なんか無いも同然で戦うじゃない」
咲夜「そういう話でしょうか……?」
レミリア「その程度の話よ」
ここで吸血鬼が、ティーカップを指でつかむ。
紅茶の匂いが、ふわりと鼻腔をくすぐった。
至極面白そうな眼で、吸血鬼は窓から中庭を見下ろしていた。
レミリア「まあ、お茶菓子代わりにはもってこいの試合よね」
501 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:12:26.85 ID:8UmTfYAo
文「では花山さん、いつでもどうぞ!」
写真機を構えながら、天狗が快活に言う。
しかし、花山から仕掛ける気配は無い。
相手を静かに見つめ、ひたすらに無言。
パチェリー「……妙ね」
咲夜「どうしたんでしょうか……?」
レミリア「欠伸が出そうだわ」
二階の者たちも、不審がっている。
天狗も、怪訝な表情になった頃、花山がおもむろに、内ポケットから何かを取り出した。
取り出されたのは、紙――の筈である。
かつて、花山薫が握りしめて捨てた煙草の箱は、
脅威的な握力により、開くどころか爪も立たないほど、硬く小さく丸められていた。
今花山が取り出したものは、元は何も書かれていないスペルカード。
直に握りつぶされたことにより、刻銘に花山の力を刻み込まれていたのだった。
これが、花山薫のスペルカードである。
502 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:17:25.88 ID:8UmTfYAo
しかし花山。
丸められたスペルカードを持ったまま、動かない。
1分後、待ちかねた文が問いかける。
文「あの、花山さんって、スペルカードルールの対戦分かってます?」
花山「……知らねェな」
がくりと肩を落とす天狗、とその他ギャラリー。
実に、出鼻をくじかれた気分である。
文「とりあえず、スペルカードは仕舞って攻撃宣言しちゃってください! ギブミー弾幕!アーンドネタ!」
花山「……ああ」
花山が、カード(?)をポケットに戻した。
眼鏡を外し、文を見据える。
『 握符「握撃」 』
503 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:18:28.71 ID:8UmTfYAo
突如、花山は右腕を上げ、拳を握った。
強く、強く、強く。
そして、拳を解いた時、掌から、白色で大型の光球の群れが、扇状に放たれた。
文はこの時を待っていたとばかりに、写真機を構えて飛び立った。
その俊足は、確かに幻想郷一。
対して、花山の弾幕は止まっているかのように、ゆっくりと文に向かっていく。
当人の力を現すかのように、弾幕の大きさ量は充分以上。ただし、トンボでも避けられそうなほどに遅い。
文「あやややや? なんですかその遅さ。それで天狗が捕まるとでも!?」
肩をすくめて、文が弾幕に突っ込んで行く。
俊敏に光球の間をかいくぐり、フィルムを巻きながら、レンズを被写体に向ける。
が、その直後――。
文の背後で、数度破裂音が聞こえた。
文「――え?」
振り返れば、夥しい量の小型の赤い弾幕が、文の背後に迫っていた。
504 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:19:51.51 ID:8UmTfYAo
文「うわわわわ!」
文は瞬時に、シャッターを切った。
すると、赤い弾幕群が、写真機に吸い込まれる。
ギリギリで事なきを得た天狗は、心中で胸を撫で下ろした。
レミリア「へえ、まあまあトリッキーな弾幕じゃない」
パチュリー「……相手が弾のそばを通ると、敵を感知して、大型の弾がはじける」
レミリア「そして、内包された赤色の弾が法線状に飛び出て、敵に襲いかかる、と」
咲夜「只、天狗が早すぎて、爆破タイミングがずれてしまいましたけどね」
主人らに合わせて、淡々と告げる咲夜であったが、
その脳裏は穏やかでは無かった。
『握撃』――。
美鈴が腕を破裂させられた攻撃。
また、自身もその技の餌食になりかけた。
弾けた赤色の弾幕を見た時、
美鈴の腕が、一瞬膨れ、血管が浮かび上がり、
鮮血が飛び散ったシーンが、フラッシュバックしていた。
505 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:20:55.22 ID:8UmTfYAo
花山「……速ェな」
頭上を飛びまくる天狗を見て、花山が呟いた。
天狗は、周りに満ちる弾幕を、高速で避けていた。
方々に飛びながら、時折速度を調整しつつ、弾幕の隙間を突きぬけ、花山に向かっていく。
文「見切りましたよ! 最初はびっくりしましたが、弾幕自体は単純! もう怖くはありません!」
花山「…………」
花山が、さらなる追撃をしようとした時、天狗は目前まで迫っていた。
文「いただきです!」
フィルムは巻き切っていた。
シャッターをすかさず、押す。
花山「……!?」
フラッシュと共に、花山の周りの弾幕が吸い込まれ、自身も一瞬ぐらついた。
写真機で写真を撮られると、精神的ダメージが伴うのだ。
506 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:22:04.26 ID:8UmTfYAo
レミリア「あー、撮られちゃったか」
咲夜「見かけはごついですが、単純な弾幕ですからね」
パチュリー「あの写真、嫌なのよね……。撮られると、魂を一つかみ持ってかれるみたいで」
二階のギャラリーが、思い思いの感想を述べる。
文と花山は、仕切り直しということで、元の位置に戻る。
弾幕は消えていた。
文「ようやく一枚目ですね。さあ、次の弾幕お願いしますよ!」
花山「…………。」
黙する花山に、注目が注がれる。
しかし、吸血鬼だけは違って、悠々と従者に告げる。
レミリア「咲夜ー、お茶おかわり」
咲夜「いま良い所だから、我慢して下さい」
レミリア「良い所だからこそ、お茶が欲しいのよ」
咲夜「……かしこまりました」
咲夜は溜め息を吐いた。
お茶のおかわり入れ終る頃には、花山の弾幕もすでに放たれているだろう。
507 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/08/27(金) 12:33:30.50 ID:8UmTfYAo
本日はここまでです。大変お待たせしてしまい申し訳ありませんでした……。
スペカや弾幕云々がどうしても煮詰まらなかったので、パチェさんに図書館から出張して頂きました。
いろいろ弾幕理論とか履き違えてるかもしれませんが、文花帖的雰囲気さえ伝わってくれれば幸いです。
あと
>>471
で
>>1
と自分が同一人物説が出てましたが、どっこい別人です。
>>1
さんが残した紫さんの伏線をどうしようかと、未だに悩んでいる第二書き手です。
それでは、読んで下さった皆様、本当に有難う御座います。
508 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/27(金) 15:19:45.46 ID:5pvzj8U0
乙だ
次も楽しみなんだぜ!
509 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/27(金) 15:20:19.95 ID:n5uR1.k0
どうしても浮かばなければなかったことにすればおk
だと思う
510 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/27(金) 15:52:25.60 ID:DQ7p2X.o
魔ってたよー
次も楽しみだ
511 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/08/28(土) 00:26:55.20 ID:OuE9gIgo
来アジむむ・・・アジ食むむ・・・食むむ・・・ー
乙!
512 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/28(土) 00:33:39.12 ID:IgXAwUU0
待ってたぞー!
513 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/31(火) 00:53:14.88 ID:hy5EigSO
待ってるぞー
514 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/08/31(火) 21:16:54.63 ID:XBaI86so
おつであります!
515 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/01(水) 03:50:53.93 ID:NmTnD0Mo
東方あんま詳しくねえんだけどさ
酒はともかくタバコどうしてるんだろうね
喫煙所あんのかな?っつーかタバコ売ってんのかな
516 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/01(水) 03:55:08.10 ID:Lk./lRco
時代的に言えば煙管か
潰れたタバコ会社の煙草は幻想入りしてるだろうが
517 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/02(木) 03:43:52.87 ID:K5THhEDO
貼り紙「館 内 禁 煙」
花山「………………。」
518 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/02(木) 06:50:53.61 ID:FNgtKtco
>>517
こんなので……悔しい!
519 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/09/03(金) 21:51:47.68 ID:JRt4b2SO
期待してるぞー
520 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/03(金) 23:16:01.15 ID:Nr7oVNoo
ああ、追いついてしまった・・・
521 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/05(日) 12:56:39.75 ID:p8mq1ZQo
霖之助「駄目駄目、未成年にお酒は売れないよ」
花山「……………」
522 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/05(日) 21:56:45.35 ID:X0dw2NMo
霊夢や魔翌理沙も飲んでるんだしOK
523 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/06(月) 06:37:27.33 ID:UTlbdsSO
…まだかい?
524 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/07(火) 01:07:17.87 ID:8CmkPmw0
…まだやるかい?
525 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/09/07(火) 11:29:15.49 ID:uJQEmfYo
『 握符「ライマン 〜薔薇の花の香水〜」 』
花山が右拳を握ると、水滴が落ちるかのごとく、正面から弾幕が迫ってくる。
しかし、そのテンポは不規則で、まるで雨だれを見ているかのよう。
文(……この人の弾幕、一々スピードが足りな過ぎる気がするんですが)
不服そうな顔で、文は雨だれのような弾幕を、悠々と避けてゆく。
幻想郷最速を誇る天狗にとって、花山の放つスペルカードは、退屈らしい。
避けながら、欠伸まで漏らしている。
咲夜「……余裕ですね、天狗」
パチュリー「余裕というか、相手を馬鹿にしてるというか」
レミリア「足元すくわれないといいんだけどね」
しかし、レミリアの予感は的中する。
水滴が文を通り過ぎた直後に、それが起きた。
526 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/09/07(火) 11:29:59.81 ID:uJQEmfYo
薔薇のエキスに良く似た弾幕は、地面に落ちた雨粒の如く弾ける。
小さな弾を伴って。
文「あや?」
それが合図となったのか、両サイドから、小さな弾の群れが迫ってくる。
弾の速度はバラバラで、些か避けづらい。
高速弾は無いものの、普通の速度から超鈍足のものまである。
文「あやややや!?」
速さが均一でないためか、弾幕の動きを読むのにも一苦労。
たちこめる薔薇の香りの中で、天狗が憔悴していた。
レミリア「あー、翻弄されてる翻弄されてる」
咲夜「弾速が不均一なスペカって、意外と避け辛いんですよね」
パチュリー「しかも遅いのが邪魔なのよね。動きを制限されるし……」
レミリア「あ、咲夜。窓開けて頂戴」
咲夜「かしこまりました」
527 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/09/07(火) 11:31:20.03 ID:uJQEmfYo
咲夜が窓を開くと、レースのカーテンが波打った。
天狗の飛ぶ風のせいか、弾幕の勢いのせいかは不明。
ふわりと、室内に薔薇の香りが満ちる。
レミリア「……ふふ、嗅覚も楽しませる弾幕だなんて、素敵じゃない」
パチュリー「力の再現度を高めたらこうなったの」
レミリア「良い仕事するわねぇ、動かない図書館」
パチュリー「おかげで、弾幕もかなり遅いんだろうけどね……。本人の質も再現しちゃって」
窓の外では、天狗が弾幕の隙間をかいくぐっていた。
しかし、遅い弾のせいで、思うように速度が出せない。
フィルムを巻きながら、天狗は苦々しい顔をしていた。
文「あー、もう! うっとおしいですね!」
シャッターを切れば、弾幕が写真機に吸い込まれる。
こまめに弾幕を消しながら、対象に近づくが、なかなか好機が見つからない。
正面からは、依然、薔薇の滴が降り注ぎ、下方で弾ける。
左右からは、漂う薔薇の香りのような、不規則な弾が迫る。
上下左右からの弾幕に、苛立ちすら募る。
天狗には、薔薇の香りを楽しむ余裕もなくなっていた。
528 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/09/07(火) 11:32:16.20 ID:uJQEmfYo
レミリア「ハマっちゃってるわねー、完全に」
パチュリー「時間とフィルムばかり消費してるね」
咲夜「あ」
天狗「――!?」
咲夜が頓狂な声を上げた瞬間、天狗が被弾した。
咄嗟にシャッターを切ろうにも、フィルムが巻き切れておらず、逃げ場を失ったのだ。
長期戦の末、呆気ない最期であった。
飛行していた少女が、地面に落下。
天狗「うぅ〜〜〜……」
悔しげに地面にうつぶせている。
花山はその姿を見て、一言告げた。
花山「……まだやるかい?」
[ 撮影失敗 ]
→ 再挑戦
降参
529 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/09/07(火) 11:35:19.93 ID:uJQEmfYo
尻切れトンボな感じですみませんが……、本日はここまでです。
ライマンの攻略法を考えるか、別のスペカに挑戦するか、文戦を終了させるか、
ルートをどれにしようか迷っていたり。
読んで下さった皆様、有難う御座います
530 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/07(火) 11:38:13.75 ID:/Pin/6SO
キタヽ(∀゚)人(゚∀)ノ!!
まってたぜベイベー!!
531 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga ]:2010/09/07(火) 15:31:54.15 ID:EF4RqPQ0
べいべべいべべいべべいべべいべべいべ
532 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/07(火) 21:30:25.25 ID:SzZqVn6o
握力による薔薇の香水をこう表現するなんてヤるじゃん
楽しい
533 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/09(木) 19:54:50.79 ID:tQIFY6SO
まだかな〜wktk
534 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/15(水) 19:20:50.87 ID:mWkWOsSO
まだ〜?
535 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/09/24(金) 11:36:30.02 ID:o4x5pASO
>>1
カムバァァァァァァァアアック!!
536 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/09/30(木) 18:31:37.87 ID:7z02nNo0
マダー?
537 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/04(月) 19:13:10.57 ID:ynwkVIDO
霖之助「ワイルドターキー?ごめん、七面鳥は置いてないなあ」
花山「…………」
538 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/10(日) 22:59:44.96 ID:tF5JX7k0
流石にもう逃げたか
539 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/20(水) 20:58:46.14 ID:evUMQC.o
And Then There Were None
540 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/02(火) 00:48:39.62 ID:.o6JnlMo
もうすぐ二ヶ月か
541 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/02(火) 20:46:40.17 ID:IeNQMo60
面白いんだがなあ まあとりあえずスレが無くなる前に言っとこう
乙 楽しかった
542 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 21:48:34.82 ID:3o.2eUSO
いや…まだ諦めんよ
543 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/07(金) 16:41:15.23 ID:3IgfnsYo
まだなのかッ!?
544 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/16(水) 00:07:42.75 ID:RkCbQnSAO
面白かっただけにやはり残念
545 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 20:59:22.57 ID:+uB3RbtSo
諦めたくないが……
546 :
lain.
★
[sage]:2011/02/20(日) 10:16:27.81 ID:???
SS・やる夫系スレッドは、SS速報VIP【
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
】へ移転することになりました。
それに伴いこちらのスレッドをHTML化させて頂きます。
スレッドを立て直す際はSS速報VIPへお願いします。
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