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妹「もしもの体験をしてみよう!」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 13:53:14.88 ID:m1lt3cAO
出来れば今日で終わらせる。携帯だから遅レスだけど頑張る
携帯規制のVIPにはもううんざりだ
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 13:59:12.42 ID:m1lt3cAO
私、妹!私には3つ離れた兄がいて、とっても仲の良い兄妹なのです!
今日も私はせっせと慎ましくお兄ちゃんを起こしに来たわけです!

妹「さー起こしちゃうよー!」

兄「起きてますしナレーションだだ聴こえなわけだけどな!」

妹「なら話は早い!起きて起きて〜!」

兄「お前さぁ……俺がひきこもりなのいつになったら気づくの?いつも必死に立て込もってんのにノックもせずにドア開けてくるし」

妹「お兄ちゃん……」

兄「(やべぇ言い過ぎたか……?)」

妹「ひきこもりだったんだ……」

兄「あ……うん……」
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:05:20.79 ID:m1lt3cAO
兄「まあいいや……てなわけで今すぐ出ていけ」

妹「いーえ!お兄ちゃんがここを出るまで私、一歩も動きませんからねっ!イスラエル強行派もビックリなぐらい動きません!」

兄「イスラエル強行派の人もなめられたもんだな……!」

妹「まさか……!お兄ちゃん……イスラエル強行派なの!?」

兄「クックック……実はな……」

妹「ゴクリッ……」

兄「だから出ていけ……怪我せん内にな」

妹「わ、私だってパレスチナだもん!屈しないもん!」

兄「意味わかって言ってんのか……?」
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:13:40.08 ID:m1lt3cAO
兄「仕方ない……そこまで言うならずっと入ればいい。自分の兄がエロゲする様を特と目に焼き付けるがいい!」

妹「ひえぇ〜……」

兄「……」

妹「……」

兄「出てけ」

妹「やだ」

兄「出てけん」

妹「いややけん」

兄「関西弁でも駄目か……ならどうすりゃいいんだ?俺に外に出て何をしろと言うんだ!!中卒で甲斐性なしのひきこもりに!」

妹「お兄ちゃんってさ、夢とかないの?」

兄「夢などない!ついでに希望も愛もない!微笑み忘れた顔など見たくはないわァ!」

妹「♪」ニコニコッ

兄「オウマイシスターナンテエガオミセルンダイ」
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:20:15.84 ID:m1lt3cAO
妹「きっとお兄ちゃんがひきこもりなのはやりたいことや夢を出来ないと決めつけてるからだよ!人間やる気になれば何だって出来るって昔ゲームセンターで凄い難しいシューティングゲームクリアしたお兄ちゃんが言ってたじゃない!」

兄「昔の俺シューティングゲームクリアしたぐらいでそんな世迷い言を……」

妹「ってわけで、今からお兄ちゃんのやりたいことを私が叶えてあげよう!勿論私が出来る範囲だけどね!」

兄「セクロ(ry」

妹「えっちなのは駄目!///」

兄「ちっ……なら定番の『妹が朝ゆっくり優しく起こしてくれる』と言う妹を持ってない奴には伝説のシチュエーションからやってみるか」

妹「それはいつもやってあげてるじゃな〜い」

兄「バカ野郎!この手のシチュエーションは学校のある朝と決まっているだろうが!さっさと制服に着替えてきな!」

妹「もぅ……仕方ないなぁ」
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:32:47.06 ID:m1lt3cAO
────────


妹「おに〜ちゃん♪ お〜き〜てっ」

兄「ん〜……ムニャムニャ…」

妹「仕方ないなぁもう〜。」

兄「(ふふ、この兄をどう優しく起こすか……この曇りなき眼で見定めてやろう!)」

妹「えっと……あったあった!お兄ちゃんこれ好きだからあると思ったんだよね〜」

兄「(あれってなんだ……? エロゲか?)」

妹「お兄ちゃーん、あーん♪」

兄「(わけがわからんがあーんしとくか……!!まさか熱いディープキスで起こすつもりか!? さっきはエロなしと恥ずかしがってはいたがやはりこの兄を溺愛(ry)ガボガボガ……」

妹は何かの液体を俺の口の中へと流し込んだ

兄「ガボッタ(しまったっ)」

更に何か丸いものを3つ?ぐらい投入

それがメントス爆弾だと気付いた頃には昔プールで溺れた記憶をフラッシュバックしていた……。
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:40:00.84 ID:m1lt3cAO
兄「鼻からシュワッってさ!シュワッってなったよ!」

妹「んふふ///良かったね♪」

兄「妹よ、優しく起こせとは言ったが溺死させろとは言ってない。気分を害した。よってこの俺のひきこもり、」

継続───────

妹「ダメー?」

兄「駄目だ」

妹「お兄ちゃんのこと……大切だから。せっかく家族になれたのにお兄ちゃんはいつもゲームとかばかりで……一緒にショッピングとか行ってクラスメートに『妹〜もしかしてあれ彼氏〜?やるじゃん』『違うよ〜お兄ちゃんだよ!』『嘘っ!マジ?!彼女いないの?!私立候補しちゃおっかな〜』『ダメぇっ!お兄ちゃんは私のなの!』『も〜ラブラブだな〜妬けちゃう』みたいな兄溺愛キャラ演じたいのにぃっ」

兄「駄目だ……こいつ……早く何とかしないと……」
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:48:58.91 ID:m1lt3cAO
妹「さあさあ次の夢はなんだいっ?!」

兄「そうそう簡単に叶う夢は夢とは言わないんじゃないか?」

妹「彼女の一生出来ないお兄ちゃんにとって私との触れ合いは夢そのものでしょ?」

兄「ちぃっ……そうやって人をバカにする!優劣をつけなければ生きて行けないのか!お前達は!」

妹「カミーユっぽく言わなくてもいいから次次」

兄「はあ……。あ〜そうだな。最近耳クソ溜まってるからな。耳掃除頼むわ」

妹「恋人にしてほしいことベスト3にいつまでも居続ける王道だね!ちょっと待ってて!今耳掻きとって来るから!」

兄「待て、妹」

妹「ん?」

兄「ニーソを履け」

妹「なんでー?」

兄「いいから!出来れば黒がいいが白でもいい」

妹「ニーソなんかあったかな……まあわかった〜」

5分後
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 14:55:13.72 ID:m1lt3cAO
妹「お待たせ〜」

兄「黒のニーソっ……最高だっ!」

妹「恥ずかしいなぁ…///」

兄「さあ!その絶対領域に兄を侵入させておくれ」

パンパンッと二、三回膝を払うと

妹「しがない太ももですがどうぞこちらへ」

兄「いよいよ絶対領域に突入か……」

兄「お前、震えてるのか?」

兄「バカ言うなって……武者震いさ」

兄「初めて絶対領域を見た時のこと……覚えてるか?」

兄「ああ……。ただのスカートとニーソの間、なのにそれはとてつもなく美しく見えちまう…。ニーソによって少し上に引き締まった肉がまたたまらん」

兄「俺達……行くんだぜ?あそこに」

兄「長生きはするもんだな……」

妹「お兄ちゃん長いよ」
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 15:04:00.16 ID:m1lt3cAO
兄「ああすまない。では行くぞ……っ」

妹「来てっ……お兄ちゃんっ」

兄「角度……よし、傾き出力最大、顔の面積及び絶対領域の幅、固定。接触まで残り……4.3.2.1……」

ムニュ

兄「ああ……そうだ……ここに……旗を立てよう」

妹「じゃあ耳掻きするよ〜」

兄「バッチ来い」

兄「(太ももと言うのはこなげ柔けぇもんどっこすか……わてびっくらこいたどさ。っと思わず地元の言葉が……)」

キィィィン

兄「(更に耳掻きまでしてくれるなんてここは楽園か?いや楽園じゃなくても……今からここがっ……楽園なんだっ!日本語でおK?聴こえない聴こえなーい)」

キュイイイイイイン

兄「(何だか耳鳴りが酷いな……ドリルみたいな音が……)」

妹「15cm……っ」

キュイイイイイイイイン

兄「がっ……ごっ……」

す、進んで来やがるっ……悪魔の音がっ……俺の鼓膜を突き破らんとっ……

兄、悶える────

針は15cm進みストップ。だが確実に(ry
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 15:07:58.31 ID:m1lt3cAO
勢いで書いてみたものほどつまらないものはないな……
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 15:08:01.37 ID:m1lt3cAO
勢いで書いてみたものほどつまらないものはないな……
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 15:08:37.74 ID:m1lt3cAO
連投すまそ
とりあえず最後まで書くか……
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 15:39:45.81 ID:d/sAKvko
で・・・まだか?
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 15:43:53.60 ID:fVDh6iw0
みてるよ〜
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 15:50:26.57 ID:v4LJTcDO
もう無法地帯だな

自分が面白いと思えない物が面白いわけないじゃん
VIPでやれカス
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 16:36:42.49 ID:m1lt3cAO
兄「これじゃ耳欠きじゃないか……」

妹「だれうまだよお兄ちゃん!」

兄「妹よ。兄はもう疲れた……休ませてくれ。」

妹「お兄ちゃん……」

兄「お前が必死になって俺を更生させようと言うのはわかった。けどな、兄ちゃんは駄目な奴なんだ……。周りばかり気にしてカッコつけてAVコーナーに入る機会伺うような屑なんだ……」

妹「お兄ちゃん……」

兄「だからせめてお前の反面教師になってやりたいんだ。こうはなるなよ、妹よ」

妹「違う……違うもんっ!お兄ちゃんはっ……お兄ちゃんはっ!」
バタンッ

兄「妹っ!あいつ……」

すまねぇな……駄目な兄貴で
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 16:43:29.14 ID:m1lt3cAO
夜も更け、時はまさにニート達が動き出す絶好の時間となっていた。

兄「さて、世界でも守りますか!」

妹には夢なんかないと言ったけれど……俺も夢ぐらいはあった。それは余りにも馬鹿馬鹿しくて、幼稚で、……

兄「ただ、人に……誰かに認めてもらいたい……だなんてな。」

言わば英雄、誰からも持て囃され自分から話しかけて話しかけた相手に喜ばれる、そんなヒーローって奴になりたかった。

しかしこの世界にはモンスターも世界の危機もない。それにあったとしても俺自身は何も出来ないただの人だ。

兄「夢なんか見るだけ意味ないんだよな……」

こうしてネトゲで世界救ってりゃいいじゃないか俺
他の奴らの人生も似たようなもんさ

兄「夢……か」

その時だ、普段は神域と化しているこの二階にドタバタと階段を駆け上がる音が聴こえる。
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 16:52:24.08 ID:m1lt3cAO
兄「(妹か……?)」

その勢いはドンドン増し、ついに兄の部屋の心の壁(ATF)さえも突き破った

父「兄!妹が!」

兄「えっ……」

─────────

親父からの話をまとめるとこうだった。
昼間に出ていったきりずっと妹が戻っておらず、連絡もつかない状態
更に最近近くのコンビニで強盗があった為、その犯人がまだここいらを彷徨いている可能性がある。
故にまだ帰って来ていない妹を心配してどこか心当たりの場所がないかと俺の部屋に訪ねて来たのだ。

兄「あのバカ……もう1時だってのにどこほっつき歩いてんだか。ほんと迷惑かかる妹だぜ……」

父「ソリャッア!!」

掛け声と共に親父の強烈なフックが俺の脳天を揺さぶる
まるで地震が起きたのように膝はカクカクと震え、その様はまるで生まれたての小鹿そのものだった。

兄「な、なにしやがる……んでしょうか」

思わず敬語になってしまった!ダセェ……
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 16:58:42.69 ID:ikFaGGs0
がんばれよ
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:00:42.51 ID:m1lt3cAO
まるでどこぞの拳王みたいな腕組みをしながら兄を見下ろす父

父「今日、何の日か覚えてるか?」

静かに、問う

兄「毎日がエブリで(ry」

父「シュグワッ」

兄「待ってくれ!今思い出すからっ……!」

父「……早くしろ」

兄「(妹関連臭い……が妹の誕生日はもう過ぎてる。結婚記念日でもないし……何だろ……)」

父「ハアアアアアア……」

兄「(ヤバいゲージ溜め始めた……何でもいいから早く答えろ俺!)えーと俺がひきこもってから丁度一年記念日か?!」

父「……惜しいから命だけは助けてやろう。お前みたいな奴でも心配してくれる可愛い妹いるんだ。その命まだ散らすには惜しい……」

兄「(格ゲーマニアが……)」

父「正解はな、お前の誕生日だ」

兄「俺の……誕生日?」
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:12:38.65 ID:m1lt3cAO
父「そうだ。平日以下のゴールデンウィーク明けの月曜日ぐらい憎ましい日だ」

兄「ぐっ……言い返せない」

父「だがな、そんなゴミみたいな日でも妹はちゃんと覚えててくれたんだぞ?ほら、自分のカレンダーに五寸釘打ち付けてまで忘れまいと……」

兄「おい呪い[ピーーー]気じゃねぇか。」

父「黙れ小僧!そして妹は甲斐甲斐しく思い立った様にお前のプレゼントを買いに行った……そして……」

兄「俺の為に……」

父「自分を腐らすのはいい。だが人を腐らすのはやめろ。今の自分は誰とも関わってないなんて思うな。お前はお前だけの、他の奴にはない繋がりがあるんだからな」

兄「親父……」

父「妹、探しに行くんだろ? 外寒いからこれ、着ていけ」

親父が投げて寄越したそれは手編みのセーターだった。

兄「妹のやつ……無理しやがってっ……」

今なら自然と出られるかもしれない
何てことはない。ただ俺は、生きてる。
だから、動くも動かないも俺の勝手だ
自分に腐ってもいい、ただあいつは!妹だけは!こんな俺を慕ってくれた大切な妹だけはっ……!

今、その一歩を踏み締める。ドアとドアの間の金具がやけに懐かしい。

そして俺は飛び出した。妹の手編みのセーターを抱いて

父「それは俺が作っ(ry」

兄「ラッシャアッ!」
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:25:28.18 ID:m1lt3cAO
母「上で凄い音がしてたけど大丈夫?」

階段から降りて来る俺にいつもと変わらぬ顔で語りかけてくれる。

兄「大丈夫。だって俺は母さんの子だぜ?」

母「……」

たまにあるんだよね。何でも言って良さそうな空気なのにそれが自分の勘違いだってことがさ

母「あ、あぁ……そうね。母さんの子だものね。妹探しに行くの?気をつけて行ってらっしゃいよ」

兄「あ、うん。行ってきます。」

微妙な違和感を残しつつ玄関に立つ俺。
ひきこもりを勘違いしてもらっちゃ困るがひきこもりと言っても家の中は徘徊する。
ひきこもりでも小腹は減るし尿意も催す。
中にはボトラーという強者もいるらしいが……さすがに俺はそこまでスキルUPしてはいなかった。
だが、家の外となれば別
俺にとっては全くの異界であり、ひきこもる原因を作った場所でもある。

兄「もう二度とここには戻って来ないと誓ってたんだがな……」

兄「ん?」

何故かピカピカに磨かれた俺の靴が玄関に出ていた。
まあ親父か誰かが出しといたんだろうと差して気にせず履き込む。
キュッと玄関石と靴の摩擦が起こり、まるで待っていましたと言わんばかりにジャストサイズだった。

前置きはこれぐらいでいいだろう
そう自分に言い聞かせ、俺はゆっくりと玄関のドアを開いた───────
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:34:48.85 ID:m1lt3cAO
兄「これが外……人々が住む場所か」

家は二階建ての一軒家、少し小高い場所に建っている為見張らしは良かった。

兄「感心してる場合じゃなかった!早く妹を探さないと……」

しかし、どうやって探す?
アニメならこう言う時二人の思い出の場所とかあってそこで待ってるってのがセオリーだが……ここは現実
リアルクエストの真っ最中なのだ。それに思い出の場所などは存在していない。
昔はそれらしい場所はあったのだが親父の転勤で引っ越しを繰り返す内になくなってしまったのだ。
まさかそこまで戻りはしていないだろう。車でも半日以上はかかる場所だ

ならどこだ……妹が行くとこ……

兄「とにかく目撃証言を集めるか……。」

自転車の脚立を蹴り上げ乗り込む。
乗るのはもう一年も前になるが思ったよりスムーズに乗れた。
人はどんな些細なことでも覚えてるものだなと実感しつつ自転車はもう明るさを失った街の方へ消えていく。
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:44:16.70 ID:m1lt3cAO
兄「妹ー!妹ー!どこだー!」

宛もなくただ闇雲に走り回り名前を呼ぶと言う古典的な探し方しか思い付かない自分の頭はきっと空っぽなのだろう、と毒突くもその行為自体は決してやめない兄。

兄「俺が悪かった!だから出てきてくれー!」

そんな声もただ虚しく街中に木霊するだけだ
田舎の為夜23時にもなれば人はもういない。
目撃証言など取りようもなかった。

もしかしたら......
妹が強盗の犯人と何らかのトラブルになって……

兄「それだけは……それだけはあっちゃダメだろ……」

俺は祈るようにして再びペダルを漕ぎ出す。
この一漕ぎ一漕ぎが妹との距離を詰めていることを信じて。
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 17:47:28.84 ID:m1lt3cAO
ちょっと熱が高くなって来たから休憩
100ぐらいまでに終わりそうな予感
ここで1000行くのは至難の技ですね……
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 17:50:22.71 ID:mYtqliEo
シエンタ
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 18:27:02.64 ID:fVDh6iw0
              ト、             /ヽ   /\        _
             /|\ | ヽ       〈三ヽ /三/|        / !    /!ヽ
             | l  ヽ |  ヽ      !\   / _|      /  |   ,' /  !
             | ヘ   !   ヽ    ( )){ }( ))     ,'   !_/ /  j   ジャンケンしようぜ
             ',  ヽ |    l      トイ`|i|⌒ Y=}     !    ', /   /
             ',  ヽ!≡   l      { ヽ || r‐'リ -i    !  ≡ !     /
              ヽ    ≡  !     | ミ )!!= 彡-ノ_   l  ≡ !   ,.'
               \   ≡ |   ,.-ノ / ! ト、トく   `メ、_',  = / /
                \ ≡ !  /てノしイ_人人ノ、    ヽ  /
                  \― |/ヽ ,イ- 、ヽ /   イ´ ̄ ̄ヽ_/
                   \ ヽ/  l  ヽi / ̄`!
                      ̄     〉―く ァ―‐‐j           . ィ
._ .......、._    _ /:/l!
 :~""''.>゙' "~ ,、、''‐'、|         _   またまた ご冗談を
゙、'、::::::ノ:::::::_,.-=.  _〜:、         /_.}'':,
 ``、/:::::::::__....,._ `゙'Y' _.ェ-、....._ /_゙''i゙ノ、ノ
 ,.--l‐''"~..-_'.x-='"゙ー 、`'-、 ,:'  ノ゙ノブ
"   .!-'",/  `'-‐'') /\ `/ でノ-〈
 .-''~ >'゙::    ‐'"゙./  ヽ.,'   ~ /
   //:::::       ',    /    ,:'゙
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 21:21:19.62 ID:ZM8Zkgk0
保守
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 21:47:57.26 ID:hnGRtg2o
期待
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 11:10:56.55 ID:px8QQMAO
探し始めること30分、街中に初めて人を発見した。
俺はひきこもってたのが嘘の様にすんなりと話しかけられた。

兄「あの!この子見ませんでした?身長は153cmぐらいで……」

街人「この子……妹ちゃん? ってことは兄君かい? 懐かしいね〜。妹ちゃんとは朝よく会ってたけど兄君とはもう1年ぶりくらいじゃないかい?」

ああ、そう言えば見覚えがあった。中学生の頃、妹と学校に行っている時よく声をかけてきてくれた豆腐屋のおばちゃんだ。

兄「お、お久しぶりです……。それで妹見てないですか?」

今までの俺の経緯など当然話すつもりはなかった。恥ずかしい、とかじゃなく今は一刻も早く妹を見つけたいからだ

おばちゃん「う〜ん、夕方ぐらいに見たねぇ。まさか妹ちゃん帰ってないのかい?」

兄「………はい」

おばちゃん「そう……最近ここいらも物騒だからね……心配ね。早く見つかるといいわね…」

兄「……はい」

最後にどっちの方へ行ったかだけ聞きその場を立ち去る。

兄「待ってろ……妹」
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 11:24:12.35 ID:px8QQMAO
とうとう少し街外れの廃工場まで来てしまった。
あれから何人かの人に合い、
「妹絶対探しだせよ!」とか「諦めんな!」とか「お前なら出来る!」とか励ましの言葉を受けた。

その人達の証言を元にしていたらこんな所に来てしまったのだ。

兄「こんなところにいるのかよ……ひきこもりだからってバカにしてたんじゃね〜かあいつら……」

田舎故に情報の共通は当然で、○○さん家の兄君ってひきこもりになってるらしいよ、と言う情報ぐらいみんな知っているだろうからな

兄「いや…俺のことをバカにしても妹のことは真実な筈だ。あんな明るくて前向きな奴を嫌いになるやつなんていない」

昔からそうだ。あいつは誰からも好かれ誰からも愛されて
だから俺は嫌悪してたのかもしれない。その大切さに背を向けてたのかもしれない。

兄「腐らすな……か。そうだよな、あいつは何も悪いことしてないんだ……俺が勝手に腐ってそれに巻き込んだりしちゃいい迷惑だよな」

探しだそう
俺のひきこもっていた一年間、とても無意味な一年間だったが……やり直そう
妹と一緒に、だから……

兄「妹ォォォォォォォォ!兄が迎えに来たぞォォォォォォォォ!」

虚空に響き渡る声

真っ暗闇の中、微かにその声は彼女に聴こえた。

「お兄ちゃん……?」
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 11:36:50.15 ID:px8QQMAO
土手の下の草むらの方だろうか。微かに、確かに妹の声が聴こえてた。
俺は自転車をかなぐり捨て土手の下へ駆け出す。かなり草が生い茂っている為に視界が悪い。

兄「妹!どこだ!?」

それを声で補おうと必死に叫んだ

妹「お兄……ちゃん……」

草むらをかき分け、川の手前でようやく見つけた。

兄「バカ野郎ッ……心配かけやがって……!」

ただ黙って抱き締めた。少し泥臭い匂いがしたがそれも気にせず強く抱き締めた。

妹「……グスッ……お兄ちゃん……」

泣きながら妹もすがる様に抱きしめ返してくれた。
ああ、無事で良かった。もし失っていれば、俺は二度と外と言う恐ろしい場所に立ち向かえなかっただろう。

心惜しいが手を離し、妹を一瞥。
川に右足だけを突っ込んでいる。
服も泥だらけなのを合わせ考えるとすぐに答えは出た

兄「転けたのか?足、大丈夫か?」

妹「うん……ちょっとまだ痛いけどだいぶ良くなった。」

良く見ると顔なども少し擦り傷があった。

兄「何でそんな怪我……」

妹も自転車で出ていった筈だ。しかもこれだけ泥だらけと言うことは……
土手の道から転げ落ちたぐらいしか考えられない。
妹はそこまでどんくさくはない。ならどうして……
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 11:55:28.89 ID:px8QQMAO
兄「妹……お前どうして……」

妹「あっ、お兄ちゃんこれ! ギリギリかなっ」

兄「ん?」

妹から受け取った長細い紙袋に入ったものを開けると中には耳掻きが入っていた。

妹「家に耳掻きがなかったから買ってきたの! 誕生日プレゼントとして今日改めて耳掻きしてあげようと思ってたら……ちょっとね。失敗失敗〜」

兄「耳掻きなかったのかよ……」

ああ、そうか。何で妹がこんな土手下へ転げ落ちたのかも察しがついてしまった。
妹は恐らくこの耳掻きを自転車のカゴに入れたまま運んでたのだろう。しかしこんな軽いものだ、風に煽られればすぐ飛ばされる
運悪くカゴを抜け出したこれを妹は右手で掴もうとし……

多分当たらずも遠からずな推理だろう。

しかし不可解な点が何個かあった。

兄「家に電話して迎えに来てもらえば良かったろ。なのにこんな遅くまでこんな場所に…」

妹「えっと……それはね……。」

恥ずかしそうに顔を俯けると、「お兄ちゃんに迎えに来て欲しかったから……」なんて可愛いことを言いやがった

兄「……ったく、俺がひきこもりなの知ってんだろ?」

妹「うん……でも、来てくれた。嬉しい///」

兄「ひきこもるより大事なこともあるってことだ。さあて親父も母さんも心配してるだろう。帰るぞ」

妹「うんっ!」

妹を背負い歩いていく。
重いな、人ってのは
そう、大切なものと言うのは重たいものなのだ。
今日、それを初めて知った。
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 12:27:44.06 ID:mjGgXIDO
最近保守だの支援だの当たり前みたいに書いてる奴いるな

製速オワタ
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 17:21:05.46 ID:KUPwNgA0
>>35
支援は書き手には必要じゃないか?
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 18:44:24.06 ID:TwGns4so
こんな返しをしてくる奴がいる時点でもうね
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:33:15.41 ID:BU1O9w.o
期待
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 21:25:22.54 ID:JtIEP6AO
妹をおぶりながら土手の上を歩く。

兄「久しぶりだな、ここ通るのも」

妹「そうだね。私が中学生の頃は毎日お兄ちゃんと一緒に通学してたよね」

兄「……まあどのみち高校は別だったろうからいいじゃねぇか……」

妹「……何で学校やめたの?」

兄「なーんとなくかな。」

妹「……」

兄「……ただ、違うなと思ってよ」

妹「違うー?」

首をかしげるような仕草をしているだろうと安易に想像出来てしまった。我ながら自分の妹はわかりやすい

月明かりが仲の良い兄妹の行く道を照らしてくれる。

兄「このまま学校出てさ、普通に働いて……それで俺満足すんのかなってよ」

妹「……ってことはお兄ちゃんの夢はひきこもりなの?」

兄「ハハッ、かもしれないな。まあそんな難しいことじゃないんだ。産まれる場所が悪かったかな、俺は」

妹「〜?」

またしても妹がクエスチョンマークを浮かべる。
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 21:42:18.14 ID:JtIEP6AO
兄「人間ってさ、究極的に言えば生きる為に色々やってるわけだよな?」

妹「う〜ん、まあ根本的に言うとそうかもね」

兄「それが贅沢になってよりよく生きる為にいろんな環境作ったりしてる。まあでも働かなけりゃ飯は食えない、住む場所もない、最低限のことすらままならないよな?」

妹「うんうん」

兄「しかしだ!今の俺はどうだ!?飯は食えてるしある程度好きなことも出来ている。何もしてないのにだ!」

妹「お父さんとお母さんのおかげだね!」

兄「そうだ!つまり何もしなくても飯が出る間は何もしなくていいっ……この真理にぶち当たったわけだ!」

妹「さすがお兄ちゃんクズだね!」

兄「ハハッ!落とすぞこの野郎!」

妹「やめてよ〜」

兄「まあ…それも今日で終わりだ。明日から兄ちゃん、ヒーローになるから」

妹「お兄ちゃんならきっとなれるよっ!」

兄「そうやってバカにしないのはお前だけさ……親父にこんなこと言ったらどんなコンボかまされるか……」

妹「だって今日私を救ってくれたのは警察でもハリウッドスターでも探偵さんでもなくて……お兄ちゃんだもんっ!私にとってのヒーローだよっ!」

兄「……大げさなんだよ」

そうか、そうだよな。何だって初めは小さなことからなんだ。ヒーローだって英雄だって最初からそうだったわけじゃない
1つ1つ積み重ねて人は……デカくなるんだ
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 21:46:18.59 ID:5DlQBuko
支援
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 21:57:53.60 ID:JtIEP6AO
このまま何事もなく家路につき、また新しい明日を妹と二人で迎えられる、そう思っていた───────

「あ〜人いたいた!田舎ってやだよなぁ〜まだ1時前なのに人通り0とかないわ〜。でさ、いちゃついてるとこ悪いんだけど、お金、持ってない?」

月明かりの道が終わり、薄暗く照らされた外灯の下に、男は立っていた。
赤いジャンパーにナイフで切り裂かれた様な紺のジーンズ。片方の手はジャンパーのポケットに突っ込んでおり、もう片方の手で「やあ」なんて言い出しそうなフレンドリーな感じで手を上げている。

妹「お兄ちゃん……」

ボソリと妹が呟き強くしがみついてくる。

兄「大丈夫、心配するな」

安心させる為にそう言うものの兄はその男が最悪の相手だと一目で気づいていた。

兄「(親父が言っていたコンビニ強盗……恐らくこいつだろう……)」

明らかに悪事に対して場馴れしている、と言うかそれが悪いことだとも思ってない素振りだった。
自分の言う通りになるのが当たり前、と言わんばかりだ
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 22:14:00.98 ID:JtIEP6AO
兄「悪いんだけどさ、今手持ちなくてよ。残念だけど他を当たってくれないか?」

兄はおどけながらそう言った。勿論他など当たらせたくもないし、こうしてコンビニ強盗をのさばらして置くこと自体今さっき決めたことに反する。

しかし、

妹「……っ」

無言で怯える妹を背中に感じながら思う。今誰よりも守るべき人はこいつだ。
どんな情けなくてもこいつだけは……妹だけは守ってみせる!

が、そんな兄の決意も虚しく男はこう言い放った。

「いやいやいやそれじゃ困るんだよねー!こないだ一発賭けてコンビニ強盗したんだけどさ!何と10万もなかったわけよ!ハハハハッ!だからこれからどうしようと思ってさ〜。警察にも捕まりたくないし?あんまり手荒な真似もしたくないんだけどね?持ってないって言うなら君ら自身の価値に期待するしかないよなぁ」

そう言うと男はポケットに突っ込んでいた方の手から何か長方形なものを取り出した。
先端の留め具を弾くと長方形の形をしたものは二分され、中から鋭利な刃物が出てくる。
バタフライナイフと言う奴だろう。兄は他人事の様にその輝きを眺めていた。
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 22:26:59.63 ID:JtIEP6AO
いきなりナイフファイトとかありえないだろおい……。こちとらひきこもり脱歴1日のある意味赤ん坊的な存在だぞっ……それに刃物持ち出すか普通っ……。

内心焦りながらも妹だけは逃がす為に退路、人、近くに逃げ込める家がないか探す。

兄「(街外れだけあって家は少ない……が、ないわけじゃない。しかし挫いた足じゃ走れない……つまり妹一人での逃走は絶望的……か。だがこのまま二人でここにいてもこいつの餌食になるだけだ……そこら辺の廃工場にでも連れやられて家に脅迫電話でも入れて金をせびろうって腹だろう……
いや…それなら警察が動く分ここで強行して逃げるより安全かもしれない。相手は一人みたいだし武器も拳銃ってわけじゃない…警察が早く動けば……)」

そんな考えも脳裏によぎった。妹の安全を第一に考えて保身に保身を賭けて打診していた。

兄「(こいつが妹に何もしない保証なんてないだろうっ……バカか俺は……他の誰よりも……大切な妹を守れなくて何がヒーローだっ……ならやることは決まった。)」

兄「(俺がこいつを叩き潰せば済む話だろう……簡単じゃねぇか!)」

45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 22:46:40.05 ID:JtIEP6AO
喧嘩の経験も格闘技を習ったこともない。
それでも、やらなきゃならないこともある。それが……人生って奴だろう?

兄「妹、ちょっと離れてろ……なぁに兄ちゃんがすぐ家に連れ帰ってやるからよ」

妹「お兄ちゃん……」

妹は心配そうにするもゆっくりと兄の背中から降りた。挫いた足がまだ痛いようで片足で庇いながら少しづつ離れていく。

「おいおい何勝手してんの?さっきの話聞こえなかった?」

男は焦りながらナイフを突きつけて言ってくる。

兄「悪いな、作戦が変わった。妹を大事にで行くことにしたからそこんところよろしく」

兄は不恰好ながら構えを取る。現実の格闘技とは無縁の彼だが格ゲーマニアの父親の影響で昔から格闘ゲーム全般は大の得意となっていた。

「妹ォ?あれ妹だったのか。へぇ〜……いいお兄ちゃんだなあんた。妹の為に死ぬなんて泣けるね」

ナイフ持った悪魔がジリジリと迫って来る。

兄「(相手の初動を見ろ……そこから続く相手の攻撃を先読みして割り込めば……!)」

意識をナイフに集中させる──────

「んじゃあ行きますかァ!」

ダッと地面を蹴り男が動き出す
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 23:10:11.12 ID:JtIEP6AO
兄「(来たっ……読み通りナイフを突き立てた突進っ……)」

兄は冷静に男の左手に持ったナイフの逆側に素早く体を振る。

「しねよっ!」

男は大したこともなかったと言わんばかりに突きを切りに変換し、兄に襲いかかる。
左腕を大きく振り上げ狙いを定めてながら降り下ろす。

兄「(ドンピシャだぜッ!)」

兄は体を男に預ける様に体当たりした。

上手く鳩尾を捉えたのか「ゴホッ」と男が悶絶する呻き声が聴こえた。
そのまま地面に倒れ込む男

兄「(起き攻めチャンス到来!)」

兄はナイフを取り上げようと男の左手を掴むが、

「ッなれろ!」

男は右足で兄を蹴り上げる。

「カッ……」と思わず漏れた息を吐き出しながらたたらを踏むように後退する兄

「やるなァ!やっぱリア充って奴は強いんだなァ〜さすがリア充!」

笑いながら立ち上がる男

兄「こちとら脱ひきこもり一日目だよコラ……わりぃか?」

「ってことはよ……同士か?俺らwwwwwwwwwwww まあ俺の方が一週間ばかし先輩だがよ」

そう言ってニヤニヤ微笑んでいる。何が可笑しいのやら……
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 23:25:36.58 ID:JtIEP6AO
「俺も一週間前家族にもう出ていってくれってこんな寒空に放り出されたんだよ!ったくふざけんなって話だよな?同じひきこもりならわかんだろ?でもとりあえず生きてかなきゃいけねぇから強盗して〜こんな追い剥ぎ紛いなこともやってんだよ。俺は寧ろ被害者なわけ!だってこうするしかないだろ?死にたくもないしさー」

兄「………」

ああ、そうか。こいつは俺なんだ。ただちょっと道が違った。
本質的には同じだけど、足りなかったんだ。大事な家族が、守りたいって思える人が。
ただ自分しか見なかったんだろうな
俺もそうだった、ただ何となく犯罪には手を出してなかったけど、もしこいつみたいに家から追い出されればそこにいたのは俺だったかもしれない。
いいや違うな、何となく犯罪に手を出さなかったなんて嘘だ。俺が犯罪を犯して、それを知った妹の顔なんて見たくなかったんだ。

兄「同類か……でも残念だったな」

俺にあって、こいつにはないもの……

チラリと後ろの方にいる妹を見る

妹「……」

ジッとこっちを見て、声には出してないが頑張れっ!頑張れっ!と言っている気がする。

兄「俺はひきこもり以前に……兄ちゃんだから」

だから、お前には負けないよ
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 23:32:59.80 ID:lKlO1Kg0
//////
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 00:02:14.78 ID:6mwZ6YAO
「妹がいるから……か。」

男は微笑んだ気がした。さっきまでとは違う、柔らかな微笑み。
それに違和感を覚えながらも息を整え男を見据える。

「昔俺にも妹がいた……3つ離れたな。仲はそんなよくはなかったけどよ……それでも大切な家族だった。」

兄「……」

「でもよ……事故であっさり死にやがってよ……守るもクソもねぇ。そっから俺は腐って腐って……今じゃてめえの前で死ぬほど憎んだ事故そのものになろうとしてるなんてな……」

兄「ならっ……」

「今更引けっかよっ!今の俺はこれなんだ!変えられねぇよ……そう簡単に!」

兄「お前は後悔したんだろう!?どうしようもない事故に!自分にどうにか出来たらしただろう!大切なものを守る気持ちは同じだろうが!」

咳を切らさず語りかける
最後のチャンスかもしれないのだから

兄「お前は今守れるんだ!お前が引くことで……俺の妹を!お前の妹だって天国でそれを願ってる筈だ!絶対そうだろう!だって俺達は同じ環境を生きてきて……今ここで会ったことは偶然じゃない必然なんだから!」
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 00:19:36.49 ID:6mwZ6YAO
「ならお前は俺に黙って引いて警察に自主しろとでも言うつもりか?」

兄「コンビニ強盗ぐらいで全部終わった気になってんじゃねぇよ!これから何度だってやり直せる!そうだろうがよ!お前はここで更に罪を犯して、俺の妹が恐怖に歪む顔を見たいのかよ!?」

「……ムシが良すぎるだろ……それじゃあよ。俺の妹は確かに死んだよ。俺は何もやれないまま……な。ここでお前らに同じ苦しみを与えたところで何もならねぇのはわかってるッ……なら俺は何にこのムカつきを晴らしゃいい!!?何に祈れば妹は帰って来るってんだよォォォ!!」

兄「腐っても腐らすな、俺の親父が俺に言った言葉だ。死んだ妹さんのことは残念としか言いようがない……けどだからってそのまま腐りきってお前が死んだ時に妹まで腐らすなよ。 その前に……天国行かなきゃ会えないだろ?だから……いいことしとけよ、今からでもさ」

「…………」

男は俯いたまま黙っている。

「なら……守ってみろ……腐った俺から…妹を。お前は今ここにいて、守ることが出来んだからよ」

男はそう呟くと全速力でナイフを掲げながら突っ込んでくるッ─────

兄「このバカ野郎がァ!!!」

兄もすぐ迎撃体制に入る、さっきと同じように弾き飛ばせば終わる……

しかし、男の目線は兄に行っていない。兄はそれに、気づいていない──────
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 00:24:34.68 ID:VKOfCtko
頑張れ
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 00:32:54.86 ID:6mwZ6YAO
兄はさっきの様にナイフを持った手の逆側に位置取る。

兄の射程圏内に男が入った。

兄「わからず屋がぁぁぁ!!」

姿勢を低くして体当たりを慣行、が、当たりはするものの当たりの感触が弱いことに兄は違和感を覚える。
体の意識がこっちに来ていない、つまり男は側半身を泳がせるようにして兄の体当たりの威力を殺したのだ。

兄「─────まずっ」

と思うのも束の間、男の反撃は飛んで来ず。兄は訝しげに首だけ振り向いた瞬間血の気が吹き飛んだ。

妹に向かって行く男──────

意識するよりも体が反応し、猛ダッシュで切り替えす─────

「なら……守って見せろ」

兄「(お前が守れなかったからって俺の妹にっ……)」

男のナイフが突き下ろされる。

妹はただ震えながらナイフを見上げている。

まるで時間が止まっているようだった。

兄「手ぇ出してんじゃねぇよ!!!」

横っ飛びで男と妹の間に割り込み、男のナイフを自らの体で受け止めた……
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 00:42:38.67 ID:6mwZ6YAO
胸に深々と突き刺さるナイフを見て思う。

兄「(自分が死んだら意味ねぇじゃん……悪いな妹……駄目な兄ちゃんでさ……)」

痛みはまだ来ない。よく体験談でこう言う時は体の自己防衛で痛みがなくなるとか聞いたことあるが……それだろうか

男はニヤリとしたままナイフを引き抜く

妹は泣きじゃくり俺を抱き締める

兄「(ああ……守れなかったな……俺。ごめんな……ごめんな……妹)」

何とか伸ばした手で妹の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「……ヒーローか、あんたなら……本当になれるかもしれないな」

なんてキザったい声が聞こえた。
兄「(今更それがどうした……死んじまったんだからヒーローもクソも……)」

「だから言ったでしょ!私のお兄ちゃんは凄いんだって!」

「羨ましいわね〜。私のお兄ちゃんと交換してほしいぐらい」

「おい、本気で言ってんのか?」

「嘘だよ☆」

「ったく……」

兄「(なんだかごちゃごちゃうるさくなって来たな……死ぬときぐらい静かに死なせてくれよ……)」
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 00:55:42.36 ID:6mwZ6YAO
「お兄ちゃん起きないねー」

「あれかしらねぇ、ショック死ってやつかしら?」

「下がってなさい。覇王翔吼拳を使わざるを得ない」

コォォォォォ

兄「おい待て!ゲージ溜めんなよ!」

条件反射で起き上がった、起き上がれてしまった。

兄「あれ?なんで?痛くねぇ……というか無傷……」

胸の辺りを見てもなんともなっていない。

兄「と言うか何で親父達が!?豆腐屋のおばちゃんや魚屋のおいちゃん!浪人生のたくみさんまで!」

妹「あ、あのね……お兄ちゃん……実は……」

「こう言うことだ」

男はナイフを取り出すと自らの手に突き刺す
が、傷一つついていない。よく見れば刺さる瞬間ナイフの切っ先が引っ込んでいる。

兄「えっ……なにこれ? えっ……」

わけがわからないっ……さっぱりっ……と言った具合で周りを見渡す兄

妹「実はね……私がみんなに頼んで協力してもらったの!お兄ちゃんが夢を追えるように、ひきこもりを脱出出来るようにって!私がピンチになったらきっとお兄ちゃん……助けに来てくるって信じてたから」

「お前は見事その期待に応えて襲いかかるナイフを自らで庇ってまで妹を守ろうとした……。正直悔しかったよ、俺もそこまで妹にしてやれるかどうか……」

「お兄ちゃんはあんな危ない真似したら駄目だからね!」

「あぁ、もっと安全な方法でお前を守るさ」

「お兄ちゃん……」

兄「うん何これ」
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 01:08:37.77 ID:6mwZ6YAO
父「つまりだ、全部嘘だ」

兄「へっ……?」

父「コンビニ強盗が彷徨いてるだの妹に連絡が取れないって言うのも全てな」

母「全部妹の指示なのよぅ。ふふふ」

豆腐屋のおばちゃん「カッコ良かったよ兄ちゃん!」

魚屋のおじさん「粋がいいねぇ!」

浪人生たくみ「おかげで今年は卒業出来そうだよ」

兄「(こいつらはさっきから何を言ってるんだ……?)」

理解したくないとばかりに虚ろな表情になる兄

「俺の妹はこの通り生きている。俺の妹とお前の妹は仲が良くてな、可愛い妹の友達の頼みだ、それで演劇部部長である俺が一肌脱いだわけさ」

妹「ごめんね♪お兄ちゃん///」


兄「あ……、ああ……、あああああああ」

そう言えば確かに違和感はあった。
妹が行方不明になったってのに動じない母親
警察も呼んでない
まるで出ていくことがわかってたかのように綺麗に磨かれた俺の靴
変な応援……
最後の男の笑み……

ああそうか、そうだったのか

全部……全部……嘘だったのか

妹「違うよ。お兄ちゃんがやったことは嘘なんかじゃない。みんな精一杯頑張るお兄ちゃんを見たから!嘘なんかじゃない!例えそれがもしもの体験だったとしても!その経験は……嘘にはならないよ!」

兄「妹……」

そうだよな、嘘じゃねぇよな
この思いも、この気持ちも……嘘じゃない
だから言える……俺の本当の気持ち

兄「ハハッ……外怖い」

─────────
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 01:15:13.44 ID:6mwZ6YAO
翌日

妹「お兄ちゃーん!起きてよー!」

兄「やかましいわ!入るでない!おぞましい外の者め!」

妹「お兄ちゃんの大好きな妹だよ〜?」

兄「ひきこもりに妹などいらぬ!」

妹「お兄ちゃんったら〜」

あれからまた兄はひきこもってしまいました。
でも前と違うところが一つあります!

妹「あっ!お兄ちゃん!ゴジラだよゴジラ!襲来だよぅ!」

兄「もう騙されないぞ!ゴジラなんて来るわけ……」

「ゴアアアアアア」

屋根が吹き飛びゴジラがこちらを見据える。

兄「いるとこにはいるんだねー……」

─────────

「私はTVキャスターの姉です!見てください!青年がゴジラの光線を防いでいます!」

兄「ふぉぉぉぉぉ!」

妹「お兄ちゃん頑張ってー!」

─────────
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 01:23:28.77 ID:6mwZ6YAO
更にその翌日

妹「お兄ちゃーん起きてー!」

兄「うるさいわっ!お前も光線喰ってみるかコラァ!」

妹「それより大変なの!さっきニュースで地球に隕石が近づいてるってやってた!」

兄「なもんNASAかウルトラマンに任せとけよ!」

父「おい兄!NASAのカルロスさんが迎えに来てるぞ〜」

カルロス「隕石トメマース。手伝ってクダサーイ」

妹「ほらほらお兄ちゃん急いで急いで♪」

兄「てめぇカルロス何友達が遊びに来たみたいに普通に誘ってんだよ!!ちょ、待って……訓練も何もしてな……」

──────────

『見てください!隕石が軌道を変えます!やりました!NASAがやりました!NASAの科学は世界一ッ!』

父「やるようになったな……あいつも」

母「ですねぇ〜」

妹「さすがお兄ちゃんだよ!」

そう、一つ変わったことはお兄ちゃんが本当のヒーローになったってことかな♪

どれが本当だとか、どれが嘘だとかそんなのは関係ないんだ
もしも、だって、実際にやれば本当になるのだからっ!


兄「カルロォォォォォォォォス」

妹「おしまい♪」
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 01:29:44.13 ID:6mwZ6YAO
終わりです。
読んでくれた人ありがとうございました
正直VIPでやれって話ですよね。
製作板の人達にもご迷惑かけました。

とあるが好きなのか兄が最後の方上条さんばりの説教してますが気になさらず

やっぱりここで書くなら禁書SSじゃないと駄目なんでしょうかね
携帯かパソの規制が解除され次第VIPの方にまた何か書こうかなと思ってますので偶然目にしていただければ光栄です。

では
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 02:47:30.47 ID:FZCyV7oo
とりあえず乙
終わったなら消える前にhtml化依頼だしとけ
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 17:36:16.85 ID:6mwZ6YAO
そんな大した作品じゃありませんし、このまま消えていった方が幸せってもんですよ……
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 18:03:29.12 ID:VCRdPPg0
1乙
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 19:13:39.17 ID:FZCyV7oo
>>60
くず作品だと自覚してるならなおさらだな
基本的にここのは放置しても消えないんだから
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 22:12:46.40 ID:6mwZ6YAO
>>62
そうなんですか?

わかりました。
出しときます
わざわざありがとう
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 11:43:19.67 ID:.dgTnQAO
面白い
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