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唯「ホワイト・グリント」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 01:18:37.49 ID:1huN1xs0
ACfAとけいおんのコラボだよ文才ないよ
見向きされなくても勝手に投下するよ
用語がわからない時は言ってね



ラインアーク主権領域に黒い流線型の機体が降り立つ


「唯、作戦内容は覚えているわね?」

「もちろんだよ!・・・え〜っと・・・・」

「はぁ・・・・・いい?もう一度だけ言うわよ?」

「作戦内容はラインアークの守備部隊を排除すること」

「確認されている敵戦力はMTとノーマルね、ラインアーク最高戦力ホワイト・グリントは離れた場所で作戦中らしいから、安心して」

和が冷静な口調で告げる
 
リンクス平沢 唯とそのオペレーター真鍋 和は
独立傭兵として初のミッションに挑もうとしていた
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 01:21:39.96 ID:1huN1xs0

「ホワイト・グリントが留守でよかったぁ」

唯が安堵の言葉を漏らす

――――ホワイト・グリント――――
居住用巨大航空機クレイドルを批判する
地上最大の勢力「ラインアーク」の切り札であり、リンクス戦争では単機で企業を壊滅させている
最高クラスのネクスト戦力であることは間違いなく、ラインアークが企業と敵対できる最大の要因である。
とてもではないが新参の傭兵が太刀打ちできる相手ではない・・・・

「ぼさっとしないの、作戦開始して」

「は〜い」

和が促すと、唯がなんとも気の抜けた返事をした
それと同時に黒い機体のブースターが噴かされる

「いくよ!アリャ太!!」

――――アリーヤ――――
今は無き企業である「レイレナード」の純正フレームであり
高負荷、高機動が特徴である。
全体的に流線型のその機体で最も目を引くのが
さながらF−1マシンのように突き出たコアだろう
唯の機体である「アリャ太」もこのアリーヤをベースとしている。

前進するアリャ太の進行方向にMTを数体確認する

「おりゃあ!」
 
唯の掛け声とともにアリャ太の持つマシンガンがMTに向けて放たれる
MTからも反撃の散弾がアリャ太に殺到するが、見えない何かに遮られダメージには至らない

――――PA――――
PA(プライマルアーマー)はコジマ粒子を防御膜として機体の周囲に展開している
SFで言うところのバリアであり、小口径の弾丸であれば、無力化することができる。
しかし展開にはKPを必要とし、小口径の弾丸といえども受け続ければ減衰‐消失してしまう
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 01:26:09.70 ID:1huN1xs0
だが唯も黙って敵の攻撃に当たるような真似はしない
アリャ太にMTから放たれた散弾が命中するその瞬間
アリャ太から強烈な炎が噴出し、その機体が右へ高速移動する

――――QB――――
QB(クイックブースト)と呼ばれるそれはPAに並ぶネクストACの専売特許である
瞬間的にブースターを噴かし、前後左右に急激な機動を行う短距離ダッシュだ

「ひぃっ」

ネクストの機動を目の当たりにしたMTのパイロットの悲鳴が
公共無線を通して唯の耳に入る

「っ!・・・ごめん・・・・」

一瞬躊躇いを見せた唯だが、すぐさま目の前のMTにレーザーブレードを振る
高出力のレーザーを瞬間的に展開し、光の刃がMTを真一文字に斬り裂く

「企業のネクストか!?畜生!こんなときに!!」

他のMTパイロットが毒づく
関係無い・・・・今は目の前の敵を倒すだけだ

ある者はマシンガンで蜂の巣に
ある者はブレードで斬り裂かれ
ある者はプラズマキャノンでドロドロに溶解した

大きな損傷も無くアリャ太は足場から足場へ
その機動力を見せつけるかのように飛び移り、奥へ突き進む
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 01:26:29.55 ID:EXWwSxs0
アwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwリwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwャwwwwwwwwwwwwwwwwwwww太wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 01:29:39.84 ID:1huN1xs0
>>4
いや、ほら、ストレイドってガラじゃないじゃん?


くそっ!!効いているのか!?」
「PAだ!!まずはPAを減衰させるんだ!!」
「通常兵器では太刀打ちできん!!ノーマルはまだなのか!?ノーマルは!!」

MTパイロットが叫ぶ
無駄なことなのに・・・・・

MTの攻撃を軽々と回避し、マシンガンとブレードで撃破する
その先にノーマルACが見えてきた

ノーマルにはネクストとは違いコジマ技術は使われていない
それでもMTなどの通常戦力に比べ、高い戦闘力を誇っているのだが

「ネクストの敵じゃないよ!ごめんね・・・」

唯はノーマルから放たれるミサイルやバズーカをQBと通常ブーストを駆使して回避
ブレードを展開し真横に振るう、するとノーマルの上半身と下半身が離れ離れになり爆散した

反対側の足場のノーマルも撃破し、作戦は無事終了するかと思われた

「全目標の撃破を確認、作戦終了ね・・・・っ!?待って!!」

和が焦ったように声を荒げる

「ど、どうしたの!?和ちゃん!」

その声に動揺した唯とアリャ太の数百メートル前に白い閃光が舞い降りた
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 01:49:41.72 ID:siI2HgAO
アリャ太のアセンは純正レイレナード?
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 01:53:07.86 ID:1huN1xs0
>>6
一応アセンはfA初期のアリーヤと同じつもりです


「こ、このネクストはっ・・・!?」

「ホワイト・グリント・・・離れた場所で作戦中じゃなかったの!?」

和が忌々しげに叫んだ

よく見るとホワイト・グリントは両肩のミサイルポッドと左手に握られているはずの
ライフルを失っており、胸部装甲も一部破損している
どうやら作戦から帰還した直後にこちらへ向かってきたようだ

「リンクス、あなたはラインアークの主権領域を侵犯し、守備部隊への攻撃も確認しました」

事務的な声、ホワイト・グリントのオペレーター「フィオナ・イェルネ・フェルト」である

「よって、あなたを敵性機体と判断します」

フィオナから唯へ死刑宣告ともとれる言葉が告げられた
それと同時にホワイト・グリントのコアが左右へスライドし、一瞬の間をおいて爆発的な速度で向かってきた

――――OB――――
OB(オーバードブースト)はENとKP両方を消費して行う
それは軽く1000キロ超える移動を可能とする
ホワイト・グリントはネクスト初の変形機構を採用しており
OBに伴ってコアが飛行形態へと可変する
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 02:03:37.77 ID:1huN1xs0
「唯!戦おうなんて考えちゃダメ!!作戦領域外に逃げて!!」

和が慌てて唯に呼び掛ける

「っ!!」

唯がアリャ太を反転させ、作戦領域外へ向けOBを起動させようとしたその時

ゴォン
「うあっ!!」

衝撃とダメージのフィードバックが唯を襲った
やはり簡単には帰してくれないらしい

「やっつけるしかないかな?」

「何を馬鹿なこと言ってるの!?」

和が怒るのも無理はない
損傷しているといっても相手はあのホワイト・グリントである

「倒さなくても、撤退してくれれば・・・!!」

唯が意を決したようにアリャ太のマシンガンをホワイト・グリントに向け放つが
ホワイト・グリントが左にQBし、数発がPAに命中しただけに終わった
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 02:16:31.81 ID:1huN1xs0
ガンッガンッ
お返しとばかりにホワイト・グリントが右手に握ったライフルを撃ってきた
嫌に正確なそれは確実にアリャ太の装甲を削る

「くっ!」

唯はアリャ太に回避行動をとらせるが、アリーヤフレームはEN消費が激しく
すぐにENがそこを突いてしまう
アリャ太は海上に降り立ち、柱を盾にしEN回復を待つ

「よしっ!!」

ひとまずENが回復したところで唯は背部のプラズマキャノンを展開
それをホワイト・グリントの近くの水面に向け発射した

ブシュゥと海水が蒸発する音とともに疑似ECMが発生し、ホワイト・グリントから
電子的な視覚を奪った

「今だっ!!」

唯はアリャ太を見失ったホワイト・グリントの死角へと移動する
しかし柱から飛び出してきたアリャ太にホワイト・グリントが気付かないはずもなく
すぐさま迎撃態勢に移られる、だがホワイト・グリントがライフルを構えた時すでに
アリャ太はブレードを振り切っていた
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 02:18:18.49 ID:1huN1xs0
「やった!!」

唯は歓喜の声を上げるが、わずかに踏み込みが甘かったのか
先ほどの一撃はライフルの銃身を切断しただけだった
だが

「今よ!唯!!」

和が唯に撤退するよう指示を出す

「了解!和ちゃん!!」

それに応えるように唯はアリャ太を反転させOBを起動

「っうぅ!」

対GスーツとGジェルでも殺しきれない
強烈なGが唯を襲う

「・・・・・・・」

青い複眼がアリャ太の背中を見つめている

「レイヴン、こちらにはもう武装がありません・・・・」

「無理しないで・・・お願い」

先ほどまで事務的だったフィオナの口調が、女性のそれに変わる

「・・・・・・・」

その声を聞き、ホワイト・グリントは戦闘モードを解除し格納庫へと向かった


ミッション:「ラインアーク襲撃」成功
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/02(水) 02:20:57.17 ID:1huN1xs0
書き溜め尽きちゃった
また今週の金曜か土曜に勝手に投下するお
するなと言われても投下するお
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/02(水) 02:21:50.26 ID:4Wf8tmQ0
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1275411954861.jpg
ttp://ec2.images-amazon.com/images/I/51CSxF4lFlL._SS500_.jpg
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/02(水) 23:04:33.58 ID:HBm5OaIo
保つのか?
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/03(木) 15:44:25.88 ID:3BMRMoAO
>>13
ネタ的な意味ですか?
それともモチベーション的な意味ですか?
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/05(土) 01:58:59.00 ID:NnUZtGo0
これ!!http://inuchat.net/lv/kjml838
俺もやってみたらけど、マジで金くれたぞ!!!!
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/06/06(日) 02:01:01.36 ID:p8QUp3.0
誰も見てなくても
立てたからには投下するんだよ!



無事に作戦領域から離脱した唯はガレージにアリャ太を格納し
和のいるオペレーションルームへと向かった

「まずは初任務お疲れ様、唯」

和が唯に労いの言葉をかける

「ただいま、和ちゃん!」

ネクスト搭乗時には憂鬱そうな表情をしていた唯だが
和を見たとたん、明るい表情に変わった

「まったく、無茶をするんだから」

「ご、ごめんね和ちゃん〜」

「まぁ、あの状況なら仕方がないわ」

「ほんと、びっくりしたよ!!」

「華々しいデビュー戦だったわね」

和が表情を崩し、笑顔を見せる
なによりも唯が無事に帰還してくれたことが嬉しいのだ

「すごいわ唯、手負いとはいえあのホワイト・グリントを撤退させたんだもの」

和が少し誇らしげに唯に賞賛の言葉を贈る
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/06/06(日) 02:01:43.41 ID:p8QUp3.0
「でしょ!?もっと褒めて褒めて!!」

唯はその言葉を受け、大いにはしゃいでいる

「はい、そこで調子に乗らないの」

「ホワイト・グリントが万全の状態だと今頃あなた、海の藻屑よ」

「うっ・・・・」

和の言うとおりである
新参の傭兵とホワイト・グリントでは
その勝敗は火を見るより明らかだ

「今日はこのくらいにして寝なさい」

和が諭すように言う

「いいもん!」

「和ちゃんが心配する必要が無くなるくらい強くなるもん!」

いじけたような口調だが、その眼は真剣だった

「はいはい楽しみにしてるわよ」

「む〜・・・・・」

和に軽く流され、頬を膨らます

「お休み、唯」

微笑みながら和が言った

「むぅ、お休み!和ちゃん!!」

そう言って唯は自分の寝室へ向かう
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/06/06(日) 02:02:22.34 ID:p8QUp3.0
彼女たちは企業に属さない、所謂「独立傭兵」だ
しかし「独立傭兵」といっても、ネクストを運用するには
リンクス管理機構「カラード」に所属する必要があり
所属していないネクスト及びリンクスは「イレギュラー」と呼ばれる

そして彼女たちはその「カラード」から貸し与えられている
ガレージとカラード内のリンクス用居住空間を生活の拠点としている

「ふぅ・・・・」

寝室に着いた唯は溜息を吐く
今日の作戦で自分が殺めたMTとノーマルのパイロットについて考えていた
勿論、リンクスになると決めた日から覚悟はしてたが
やはりシミュレーションと生身では比べ物にならない

「・・・・・・・・」

無言で自分の手を見つめる
この手がネクストを通して人を殺した

「っ・・・・・・!!」

パイロット達の断末魔が頭の中で木霊する

「負けないよ・・・・強くなるからね・・・憂・・・・」

断末魔を断ち切り、唯はゆっくり目を閉じた
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/06/06(日) 02:22:43.20 ID:p8QUp3.0
今日の分終わり!
次は火曜か水曜あたりだよ!
誰も見てなくても!
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/06(日) 04:13:24.68 ID:IGp2bRc0
ACしらないけど見てる
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 04:38:14.62 ID:aXL8RcAO
俺は見てる
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/06(日) 06:22:51.50 ID:XQJjsoAO
携帯から失礼

>>20
わからないことがあったら
なんでも言っておくんなさい

>>21
ありがとうなんだよ
頑張るよ!!
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/07(月) 13:22:14.12 ID:1irPQj.o
最近AC始めた
初めてがfAだから昔のはできないなwwwwwwQBが、ないとかwwwwww
24 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/06/08(火) 13:39:26.14 ID:ImTePoAO
>>23
QBの有無で全然違いますからねぇ

今日の11時過ぎくらいに投下します。
一応鳥つけとこ
25 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/08(火) 23:29:15.00 ID:p1UDR8k0
書き溜めできなかったから
書きながらの投下になります


――――5日後――――

唯はVOBを装備したアリャ太に搭乗し、北西洋海上を飛行していた。

――――VOB――――
VOB(ヴァンガードオーバードブースト)はネクストが長射程、高火力を誇る
AFに対抗するため開発された大型の使い捨て追加ブースターであり、
その飛行速度は軽く2000Kmを上回る。

VOBを使用するということは、すなわちAFを相手にするということと同義である

――――AF――――
AF(アームズフォート)とはリンクス戦争後、企業の主戦力であり
個人の力(リンクス、ネクスト)に依存しすぎることを恐れた企業は
それに代わる存在として、大多数の凡人により制御される大型起動要塞AFを作りだした。
そしてその力は並のネクストを凌ぐものであった。

「ブリーフィングは覚えてるわね、唯?」

和が唯に問いかける。

「今回は大丈夫だよ!!」

特別性の対GスーツとGジェルに身を包んだ唯が答える

「今回の目標はAF『ギガベース』」

「まずは、VOBでギガベースに接敵して一気に叩くんだよね!!」

唯が自信満々に答え微笑んだ。

「上出来よ、補給艦隊はボーナス対象だけど無理に狙う必要は無いわ」

「あと、第8艦隊も確認されてるけどこれはボーナス対象ですら無いわね」

和がそう言い終えた瞬間、遥か前方から巨大な砲弾が飛来してきた。
26 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/09(水) 00:12:45.17 ID:dvVCZ8o0
「うわっと!」

唯はアリャ太を左にQBさせ、難なく回避した。

「気をつけて唯!すでにギガベースの射程内よ!」

和が慌てて唯に注意を促す

「了解!!」

唯はそれに応え、気を引き締めた。

次から次にギガベースの主砲はアリャ太を撃破するべく砲弾を放つ
しかし、『ラインアーク襲撃』から今日まで数回ミッション成功させ
確実にリンクスとして成長している、唯に当たるハズが無かった。

「よっ!ほっ!!」

眼下の補給艦隊には目もくれず、唯は無数の砲弾をQBで軽々と回避していた。
やがて――――

「和ちゃん!ギガベース視認したよ!!」

「了解、そろそろVOBの使用限界よ!」

「パージするわ、通常戦闘準備して!」

和がそう言い終わると同時にVOBの分解用爆薬が炸裂し
アリャ太からVOBが切り離された。

「行くよ!アリャ太!」

唯は慣性を殺すことなく、すぐさまOBを起動しギガベースとの距離を縮める
接近を許したギガベースは主砲による砲撃を止め、ミサイルを放った。
27 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/09(水) 00:34:22.84 ID:dvVCZ8o0
「効っかないよ〜」

唯はおどけた口調でそう言うと
アリャ太の肩部に装備しているBFF製フレアを展開した。

今ミッションでにおいて、唯はアリャ太のアセンブルを若干変更しており
右腕には旧レイレナード製アサルトライフル
左腕には同じく旧レイレナード製の小型レーザーブレード
両背にはアルゼブラ製グレネードキャノン
そして肩部には先程のフレアである。

アリャ太へ向け殺到していたミサイルは放たれた熱源に誘導され
明後日の方向へと飛んで行き、完全に無力化された。

「今度はこっちの番だよ!」

唯はそう言うと両背のグレネードキャノンを起動し
連続して二発の榴弾を主砲へ向け発射した。

ドオォン

凄まじい爆発音とともに主砲は音を立てて崩れ落ちる。

「まだまだ!!」

ギガベースからの機銃によりPAを揺らめかせながら
唯はレーザーブレードをギガベースの中央連結部に突き立てた。

「うりゃあぁぁ!!」

唯が叫びながらレーザーブレードを振り抜き、連結部を切断した。

「これでトドメだよ!」

そう言うとアリャ太の周囲に展開されているPAが煌めき始めた。
28 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/09(水) 00:48:16.20 ID:dvVCZ8o0
――――AA――――
AA(アサルトアーマー)は一部のOBに搭載されているコジマ技術であり
PAとして展開しているコジマ粒子を攻撃に転用することによって
機体の全周囲にコジマ爆発を引き起こすネクスト及び一部のAFの最終兵器である。
その威力は恐ろしいが、ネクスト場合一定時間PAが完全に消失してしまう諸刃の剣だ。

PAの膨張が最大になったかと思った瞬間
アリャ太の周囲で破壊の光が暴れ狂った。

「ギガベース沈黙・・・唯、お疲れ様」

和が状況を確認し、労いの言葉をかける

「ありがとう、和ちゃん!」

唯が笑顔で応えた

「でも、初めてAA使ったけど・・・すごいね・・・・・・」

唯が驚くのも無理はない
先程まで健在だったギガベースはドロドロに溶解し、見る影もない

「本当ね・・・・使いどころを間違えちゃダメよ、唯」

「わかってるよ〜」

「ふふ・・・・そうね、さぁ帰還しましょ?」

「うん!」

元気に返事をした唯は、アリャ太を戦闘モードから巡航モードへと切り替え
和の元へ向かった。


ミッション:「ギガベース撃破」成功
29 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/09(水) 00:50:59.94 ID:dvVCZ8o0
今日の分はこれで終了です
ちなみに唯はフレームを除く、ほとんどのパーツを持っています
これぞ和クオリティ!

次の投下は土曜日か日曜日の予定です
ありがとうございました!!
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/09(水) 01:32:40.91 ID:VFEwIAQo

AFはほとんどとっついてる俺って・・・
31 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/06/09(水) 08:15:12.34 ID:SO7qNAAO
>>30
SOMとGW以外は簡単に沈みますからねぇ
ダメコンどうなってるの?
32 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/06/14(月) 01:53:28.80 ID:dCiE0vY0
投下します


唯とアリャ太を乗せた輸送機は上海海域へと向かっていた。
アリャ太に搭乗している唯は頭の中で、今回のミッション内容を整理している。

今回の依頼主は「オ―メルサイエンス」
目的は、旧チャイニーズ・上海海域に停泊中の、敵艦隊だ。
新型ノーマルの存在も確認されてはいるが、ネクストの敵ではないだろう。

そして今回のミッションでは僚機を依頼している。
リンクス名:オッツダルヴァ ネクスト名:ステイシス
この名前はネクストを駆るリンクスであれば、知らないはずがない。

カラードランク1
紛れもなくトップクラスのリンクスだ。
和に「僚機との協働はこの先増えるだろうから、今のうちに慣れておいた方がいいわ」
と言われ、折角だからランク1の動きを見てみたいと思ったので依頼をしてみたのだ。

彼は今、別の輸送機に乗っており
作戦領域で合流する予定だ。

「唯、そろそろAMS接続して」

唯が思考を巡らせていると
和から通信が入った。
どうやら作戦領域が近づいてきたらしい
33 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/14(月) 02:16:49.47 ID:dCiE0vY0
sage忘れたorz


――――AMS――――
AMS(アレゴリーマニュピレイトシステム)はネクスト操縦に欠かせない技術であり
脊髄や延髄を経て直接、脳とネクストを繋ぐ技術だ。
AMSには「AMS適性」という一種の才能をようなものが存在する。
この適性が低いと操縦自体できなかったり、操縦に苦痛が伴うなどの悪影響が出る。
逆に高いと神経系への負荷が軽減され、ネクストも思いのままに動いてくれる。
もっとも、ネクストが損傷したときのダメージフィードバックも大きくなるが・・・


「りょうかーい」

唯はそう言うと首の後ろのジャックにシートから伸びるプラグを差し込んだ。

「うぅっ!」

頭の中に膨大なデータが入り込んでくる
その不快感に思わず、唯が声を出した。

「やっぱり慣れないな〜」

唯は顔をしかませながら呟いた。
徐々に身体がネクストと一体になるのを感じる。
両腕に握る武器の重量も、トリガーの感覚も唯の頭に流れ込む

「そろそろ作戦領域に到着するわ」

「ランク1もいるし、大丈夫だとは思うけど気をつけてね」

和が唯の身を案ずる

「大丈夫だよ!」

「今回も無事に帰ってくる、約束するよ!!」

唯が明るく返事をした。

「・・・いってらっしゃい!」

「いってきます!!」

その瞬間輸送機のハッチが開いた。
唯はアリャ太をハッチまで歩かせ、作戦領域を見下ろす
そこはビルが海に沈んだ地形で、ビルの上にノーマルが確認できる、恐らく例の新型だ。
そして海上には艦隊とギガベースが視認できた。
34 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/14(月) 02:35:35.24 ID:dCiE0vY0
中途半端なところでスミマセン
今日はここまでにします。
展開は考えてるので、明日の夜中くらいに投下できると思います。
ありがとうございました!
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/14(月) 08:25:27.21 ID:FbzDkEQ0
アーメンwwwwwwwwレーメンwwwwwwwwwwラーメンwwwwwwwwwwwwレーメンフォーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/14(月) 11:33:59.90 ID:Y4dxGkAO
水没ランク1か…
37 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/14(月) 23:50:22.87 ID:X4OWaLk0
スミマセンでした。
再開します。


「準備できているな?貴様」

不意に高圧的な口調で通信が入る。
ステイシスのリンクス、オッツダルヴァからだ。

「は、はい!」

少し遅れて唯が返す。

「まあ、精々気張ることだな」

「尻拭いなど、あまり趣味じゃない」

そう言ってステイシスはビルから飛び立ち、ノーマルへと向かった。

「感じ悪いなぁ」

唯もムッとしながら、海面を滑るようにノーマルへ移動を開始した。

ステイシスが右腕に握っているアサルトライフルを新型ノーマルへ連射するが
PAのようなものに阻まれる。

「なにこれ、全然効かない?」

アリャ太の撃ち込んだマシンガンも同様に阻まれている。
その様子を見たステイシスは細かくブースターを噴かすと
新型ノーマルの背後へ回り込み、左腕のレーザーバズーカを放った。
オレンジ色の光はノーマルへ吸い込まれ、装甲を溶解した。
38 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/15(火) 00:10:02.90 ID:pMJThp.0
「前面のみのシールドとはな」

オッツダルヴァがくだらなさそうに呟いた。

「前面だけ?」

それを聞いた唯は試しに、ノーマルの後ろへ回り
アリャ太の持つ、アサルトライフルとマシンガンをノーマルへ連射した。
アリャ太が放った弾丸はノーマルを蜂の巣にし、爆散させる。

「ホントだ!効いてる」

弱点さえわかればとばかりに、唯はアリャ太を滑らせ
低いビルを陣取っているノーマルは両手の火器で背面から蜂の巣に
高いビルを陣取っているノーマルは右肩のグレネードでビルを破壊し、海へ沈めた。

一方、ステイシスも負けじと機動力を活かし、艦隊を翻弄、次々に撃破していく。

「すごい・・・」

ステイシスの機動を見ていた唯は素直な感想を漏らした。
機動力重視の機体に振り回されない技量
相手の弱点を見極める洞察力
口は悪いが、その実力はランク1に恥じないと認めざるを得ない。

「唯、見とれてないでギガベースに気をつけて」

和から忠告され、意識を自分の正面に戻す。
ビル群の向こうにギガベースが見える。
主砲を撃たないのは味方であるノーマルや艦隊への誤射を避けるためであろう。
39 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/15(火) 00:33:36.90 ID:pMJThp.0

「よーし!!」

唯は雑魚をステイシスに任せ、アリャ太のOBを起動
ビル群を縫うようにギガベースへと向かって行った。

「前に交戦したから、わかっているわね?」

和から確認の通信が入った。

「全然問題無いよ!」

ギガベースからアリャ太に向けて放たれたミサイルを
左腕のマシンガンで撃ち落としながら、唯は返事をした。

「楽勝楽勝〜」

マシンガンでの迎撃を続けながら、アリャ太のグレネードをギガベースの中央連結部へ放った。
ギガベース最大の弱点を狙ったそれは、前回のミッションで学んだことであった。

「あと少し・・・!」

ミサイルを潜り抜け、懐へもぐりこんだ唯は両手の火器で
むちゃくちゃに連結部を蹂躙していた。
すると

「離れろ、貴様」

オッツダルヴァから通信が入る。

「えっ!?あっ・・・はい!!」

動揺しつつも、唯はギガベースから離れた。
次の瞬間

ズドオォン

爆音とともにギガベースが崩れ去った。
どうやらAAで止めを刺した前回と違い、実弾をもってして
連結部を攻撃し続けたことによって、引き起こった爆発のようだった。
もしあのまま至近距離で攻撃を続けていたら、爆発に巻き込まれ、少なくないダメージを受けていただろう。
40 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/15(火) 00:43:37.03 ID:pMJThp.0
「ギガベースの撃破を確認、残敵もすでに掃討されているわ」

和が唯に告げる

「了解、あの〜ありがとうございました」

和に返事をすると唯は、オッツダルヴァへ感謝の言葉を述べた。

「ふん・・・」

オッツダルヴァは鼻を鳴らした。
一応返事をしているのだろう

「ミッション完了か」

「まあ、ありじゃないか、貴様」

賛辞ともとれる言葉を唯へ送り、ステイシスはOBを起動
作戦領域外へと飛び去って行った。

「いい人・・・・なのかな?」

残された唯は、首をかしげながら輸送機へと向かった。


―――――――――――

領域外へと飛び去ったオッツダルヴァは、何者かと通信をしていた。

「ああ、ホワイト・グリントと交戦し、生き延びた新参についてだが」

「そうだ、でなければ新参の傭兵との協働など・・・」

「いや、なかなかの実力だった・・・・」

「あれはこれから、もっと強くなるだろう」

「そうなれば、首輪を外す価値も出てくるいうものだ」

「そう思うだろう?メルツェル・・・・」


ミッション:「旧チャイニーズ・上海海域掃討」成功
41 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/15(火) 00:44:51.09 ID:pMJThp.0
本日はここまでです。
どうもありがとうございました!
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/15(火) 21:15:03.89 ID:.krjrTgo
あずにゃんは?あずにゃんは出ないんですか?
43 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/06/15(火) 22:39:20.51 ID:Zjp2x2AO
>>42
主要メンバーは全員出す予定です。
どのポジションかは、お楽しみに
44 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/17(木) 23:52:58.95 ID:n/00sMQ0
投下しまーす。


ミッションから帰還した唯は、カラード居住空間の食堂で食事をとっていた。

「和ちゃん、そのリッチランドサラダっておいしいの?」

唯が訝しげな顔で尋ねる。

「クセはあるけど、慣れたらなかなかよ?」

緑色のニンジンを口に運びながら、和が答えた。

「唯こそ、いつもお子様ランチで飽きないの?」

「これにはね〜、日替わりでアイスがついてくるんだよぉ〜」

唯が自慢げに、リベルタリアアイスを振りながら言った。

「あまり食べ過ぎるとお腹壊すわよ?」

二人が和やかな雰囲気で食事をしていると突然、和の携帯端末が鳴り出した。

「んっ?ちょっとごめんね」

和が席を立ち、端末の通話ボタンを押した。

「はい、こちらオペレーターの真鍋ですが・・・」

「えっ!?はい・・・ええ、わかりました」

次第に和の表情が曇り始める。
45 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/18(金) 00:42:04.73 ID:b6KTRf20
「はい、では失礼します。」

通話を終え、和が唯に向き直る。

「唯、企業連から緊急の依頼よ!」

「えっ!?でもアイスが・・・」

唯が能天気に答える。

「アイスなんて後で食べさせてあげるから!」

「詳しくはブリーフィングルームで話すわ!来なさい!」

「あぁ〜アイスぅ〜」

唯が和に無理やり引きずられていった。

〜ブリーフィングルーム〜

「いい?さっきも言ったように今回の依頼主は企業連」

「目標は試験運転中のクレイドル21を占拠している武装勢力『リリアナ』よ!」

「帰還したばかりで辛いかもしれないけど、今出撃できるのはあなたしかいないの・・・」

和が唯を気遣いながら、簡単にミッションの内容を説明した。

「私は大丈夫だよ〜和ちゃん!」

唯はそれにガッツポーズで答えた。

「じゃあ、準備してくるね!!」

唯がロッカールームへ走って行った。
それを和はどこか寂しそうな顔で見送った。
46 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/18(金) 00:43:54.93 ID:b6KTRf20
―――――――――――――――――――――――

唯は対Gスーツに身を包んでアリャ太に搭乗し、出撃の時を待っていた。

「唯、準備できたわね?」

和から確認の通信が入った。

「バッチリだよ!」

「了解よ、AMS接続開始して」

「オッケー!!」

唯は慣れた手つきで、プラグを首のジャックへと差し込んだ。
その瞬間、機体のコンディションや武装の感覚、ありとあらゆる情報が唯の脳へ押し寄せる。

「んっ!・・・・よしっ!いつでも行けるよ和ちゃん!!」

AMS接続時の苦痛を押し殺して唯が言った。

「唯、あなたは今回特別にクレイドル空域に入ることが許可されているわ」

「だから、輸送機がクレイドル空域ギリギリまで上昇するから、あなたは残りの距離をネクストで上昇」

「クレイドル21を占拠中のリリアナを排除してもらうことになるわね」

和がミッションの手順を唯に伝えた。

「了解!!」

唯は返事をすると、アリャ太の武装を確認する。
先のミッションで被弾は、殆どなかったため損傷は問題ない。
両腕の火器は弾薬を補充しただけで換装せず
右背のグレネードを旧アクアビット製プラズマキャノンへ換装した。
これはグレネードの爆風によるクレイドルへの被害を恐れてのことだ。

「唯、輸送機離陸するわ」

「いってらっしゃい」

和が心配そうに見送りの言葉をかけた。

「いってきます!!」

その心配を打ち消すように唯が元気な言葉を返した。

47 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/18(金) 00:46:12.47 ID:b6KTRf20
今日はここまでです。
毎回少しずつしか、投下できなくてスミマセン
次は土曜日か日曜日の予定です。
ありがとうございました!!
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/18(金) 22:02:49.23 ID:AXh83b60
乙です。
けいおんとは何ですか?
元強化人間なのでピンと来ないが、GGかな?
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/18(金) 22:05:30.64 ID:AXh83b60
ググった。失礼しました。
撤退する。
50 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/06/21(月) 00:16:53.53 ID:fbylVyQ0
>>49
「けいおん」を知らなくても、基本的には
「ACfA」のストーリーに沿って進めていくので、問題はないと思います。多分・・・

それでは投下します。


〜クレイドル21空域〜

「唯、リリアナの戦力はGA製ノーマル多数にオ―メル製飛行型ノーマル多数」

「それに自律型ネクストも数機確認したわ」

――――自律型ネクスト――――
リンクス戦争によって壊滅した企業、レイレナードが開発した無人兵器であり
その操縦はAIによって行われる。そのためQBや複雑な動きができない。
一応PAは展開でき、武装はコジマ粒子砲と大型のレーザーブレードである。

「ネクストの敵ではないけど、大型のブレードにだけは気をつけてね」

和が唯に敵戦力を伝え、注意を促した。

「了解だよ!ミッション開始するね!!」

「行くよ!アリャ太!!」

そう言って唯はアリャ太のブースターを噴かし、クレイドルへと降り立った。


「リンクスだ、リンクスが来たぞ!」

公共無線を通して男の声が聞こえる。
恐らくは、目の前のノーマルパイロットだろう。

「いくよっ!」

そう言うと唯はアリャ太を加速させ、ノーマルの群れを抜け
速度を生かしたまま、機体をQTさせた。

――――QT――――
QT(クイックターン)とはQBを噴かすと同時に
旋回することで使用できる、急速旋回であり
似たようなテクニックで、QBの勢いを利用したドリフトターンがある。

アリャ太の機動に旋回速度が追い付かず、もたついているノーマル達に
唯は容赦なく、マシンガンとアサルトライフルを連射した。
51 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/21(月) 00:38:38.57 ID:fbylVyQ0
「くそっ、企業の差し金か!」

次々と仲間が爆散していく中で、ノーマルのパイロットが叫んだ。

ノーマルから放たれる、ミサイルとバズーカを捌きながら
応戦する唯に一条の光が伸びてきた。

「っ!?」

唯は驚異的な反射速度でQBを起動し、アリャ太を右に跳ばせることで回避した。
レーザーが飛んできた方向を見ると、飛行型ノーマルと自律型ネクストが確認できた。

「カラードか」

先程のパイロットより一回り低く、落ち着いた声が聞こえてくる。

「牙を抜かれた山猫が、のこのこと」

「教えてやれ。勝敗を決めるのは、覚悟の差だ」

山猫―――恐らくはリンクス(Linx)と山猫(Lynx)をかけた
     侮辱だと思われる。最も、唯にはそんなこと知る由もなかったが。

「畜生、やってやる!やればいいんだろう!」

その声にノーマルパイロット達が応えるように
ノーマルたちの攻撃が激しさを増した。

「まずは、自律型ネクストからかな〜?」

しかし、唯は機体を後方に反らすなど、細かい挙動だけでそれらを回避し
大型ブレードを展開しつつ接近してくる、自律型ネクストに狙いを定めた。
自律型ネクストがブレードを振った瞬間、唯は背部のプラズマキャノンを起動
ブレードをいなし、無防備となった背中へプラズマキャノンを放った。

「当ったり〜!」

唯が放ったプラズマは自律型ネクストの背部ブースターを溶かす。
翼を失った自律型ネクストは空中からクレイドルへ落下し、機能を停止した。
52 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/21(月) 01:00:07.53 ID:fbylVyQ0
「まずは、一機!!」

そう言うと唯はノーマルからの攻撃を回避しつつ、次の標的へとアリャ太を飛ばせる。

「避けないの?AIだからかな?」

回避するそぶりを見せず、ひたすらコジマ粒子砲を乱射する
自律型ネクストに対して唯が問いかけるが、当然答えが返ってくるはずもない。

「まぁいいや!誰も乗ってないなら気が楽だよ」

そう言ってアリャ太を細かく揺らしながら、粒子砲を回避し両手の火器を
自律型ネクストへ撃ち込み、一機、また一機と撃破する。

「敵ネクストの撃破を確認、後は雑魚ばかりよ」

弾切れとなったプラズマキャノンをパージしたと同時に
和から通信が入った。どうやらネクストは片付いたようだ。
そう思いながら、ドロドロに溶けた自律型ネクストに目を向けた。

「撃て!撃ちまくれ!」

その怒声で唯の意識が再び、ノーマルへと向けられる。

「同じ人間だ!やれるはずだ!」

人間・・・そう、人間だ・・・自分も、今から破壊する
あのノーマルに搭乗している彼らも・・・・・・

「ううん、負けない!!」

その考えを振り切り、アリャ太をノーマルへと加速させ
そのコアめがけ、右手のアサルトライフルを突き刺した。
53 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/21(月) 01:36:50.74 ID:fbylVyQ0
アリャ太の右手に装備している。
旧レイレナード製アサルトライフル『04-MARVE』はその銃身の下に
銃剣がごとく鋭利な部位がある。唯が行ったのはそれを利用した刺突攻撃であり
かつての、オリジナル1『ベルリオーズ』も使用したと言われている。

コアを深々と貫かれたノーマルは力なく、倒れこんで二度と動く事は無かった。

「リリアナ万歳!」

「全ては、人類の未来のために!」

倒された仲間には目もくれず、飛行型ノーマルが叫びながら特攻してくる。

「遅いよ?」

アリャ太は襲い来るレーザーをPAに掠らせるだけにとどめつつ
マシンガンを連射し、その弾丸は飛行型ノーマルの装甲に喰らいつき、撃墜していく。

「残り4機よ、唯」

和から通信が入る。
唯はアリャ太を進ませ、奥にいる残敵を掃討していく。

「残り3機」

「残り2機」

「残り1機」
54 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/21(月) 01:37:22.97 ID:fbylVyQ0
「クソッ、俺達をゴミのように・・・」

「なんなんだよ、あいつは・・・」

「不公平だろう・・・」

最後に残ったノーマルパイロットにとって、死へのカウントダウンに等しい
それが1を指した時、パイロットから悲嘆の声が漏れる。
悪あがきとしか思えない、バズーカとミサイルの乱射も唯は的確に回避し
先程と同じ刺突攻撃を繰り出した。
金属のひしゃげる音が鳴り響き、唯は素早くアサルトライフルを引き抜き後退した。

「ザッ・・・ザザッ」

公共無線からノイズが流れ、それが消えたと同時に目の前のノーマルが爆散する。

「全目標の撃破を確認、ミッション完了よ」

「クレイドルへの被害もごく軽微、お疲れ様。帰還しましょう?」

和からミッションの完了を告げる通信が入った。

「うん!帰ろう!!」

唯はAMS接続レベルを下げ、輸送機へと下降した。


ミッション:「クレイドル21奪還」成功
55 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/21(月) 01:38:43.59 ID:fbylVyQ0
今回は以上です。
どうもありがとうございました!!
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 20:07:40.01 ID:aKwaP9Mo
そういえばfaのオペ子は結構暴言吐いてるけど和は穏やかだな
もしかして腹黒・・・?
57 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/06/21(月) 20:37:57.07 ID:rcxEBIAO
>>56
唯が危険な目、理不尽な目にあうとキレます。
ブチギレます。多分・・・
58 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/06/27(日) 22:14:42.36 ID:.N5FsEAO
次に投下できるのは火曜日になりそうです。
もし、楽しみにして下さってる方が居たら、スミマセン
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/28(月) 00:40:22.21 ID:5KdV6h6o
自分のペースでいいからマジ頑張れ
俺は見てるぞ
60 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/06/30(水) 00:38:59.05 ID:Jb02ZHc0
>>59
おぉ、ありがとうございます。
長くなるとは思いますが、必ず完結させますので、お付き合いください。
それではゆっくりと投下していきます。


クレイドル21奪還から数日経ったある日
唯と和はブリーフィングルームにて、ミッションの説明を受けていた。

「ミッションを説明しましょう」

「依頼主はオーメル・サイエンス社」

嫌味な声で通信が入り、モニターにはオ―メルのエンブレムが表示される。

「目的は、BFF社の主力AFスピリット・オブ・マザーウィルの排除となります」

エンブレムが消え、翼のように水平に広がった6つの甲板、6つの足を持つ
AFスピリット・オブ・マザーウィルが表示された。

――――スピリット・オブ・マザーウィル――――
BFF社の主力AFであり、その全長は2.4Kmにも及び長射程を誇る
大口径長距離実弾兵器が最大の武器となる。
BFF社はこのAFにより、地上の覇権を10年以上握っているという
事実から、マザーウィルの強力さがうかがえる。

「敵AFの主兵装は、大口径の長距離実弾兵器です」

「図体ばかり大きな、時代遅れの老兵ではありますがその威力、射程距離は、それなり以上の脅威です」

言葉の節々から伝わる、仲介人の厭らしさにイラつきながらも、和は真剣に耳を傾けている。
唯も退屈そうにあくびをしつつも、ちゃんと話を聞いていた。
61 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 00:51:18.24 ID:Jb02ZHc0
「そのため、依頼主からは、VOBの使用をご提案頂いています」

「確かに、VOBの超スピードがあれば、容易く敵の懐に入り込む事ができるでしょう」

「懐に入った後は、敵AFの各所に配置された砲台を狙ってください」

「砲台の破壊から、内部に損害が伝播し易いという構造上の欠陥が報告されています」

「随分と杜撰な設計ですが、まあ、彼らなど所詮そんなものです」

「説明は以上です」

「オーメル・サイエンス社は、このミッションに注目しています。くれぐれも、よろしくお願いしますね」

仲介人がそう締めくくると、通信は終了した。

「唯、聞いていたわね?」

和が唯に向き直り、確認する。

「一応聞いてたよ〜」

それに対して、唯は気の抜けた言葉で返した。

「まったくもう、いい?マザーウィルを今までのAF同じだなんて思っちゃダメよ?」

「大丈夫だよ〜和ちゃ〜ん」

「まぁいいわ、今日はミッションに備えて寝ましょう?」

「さんせ〜い!」

緊張感の無い会話を終えた二人は、それぞれの寝室へと向かった。
62 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 01:29:36.27 ID:Jb02ZHc0
〜ミッション当日〜

唯はVOBを装備したアリャ太に搭乗し、発射の瞬間を待っていた。
今回、アリャ太は右腕に旧レイレナード製の重マシンガン
左腕には同じく、旧レイレナード製の小型レーザーブレード
そして両背にはテクノクラート製の単発ロケット、肩部にはBFF製フレアを装備していた。

「唯?そろそろ発射態勢に入るわ、準備大丈夫?」

「うん・・・うん・・・・よしっ!大丈夫だよ!!」

和の問いかけに、唯はアリャ太の兵装を確認しつつ答えた。

「了解よ、ハッチが開くわ!」

「オッケーイ!!」

唯はアリャ太の身を屈め、発射態勢に入った。

「唯・・・気をつけてね」

「もちのろんだよ!和ちゃん!!」

和の心配そうな声に元気よく答えた唯、それと同時にVOBが点火し、アリャ太は戦場へと向かった。


―――――――――――――――――――――――
63 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 01:51:06.67 ID:Jb02ZHc0
作戦領域の旧ピースシティには無数のビルがそびえていた。
アリャ太はそのビル群の上をキープしながら、高速で飛行してきた。

「そろそろマザーウィルの射程距離に入るわ、注意して!」

「了解!!」

唯が返すと遥か前方から、ネクスト一機分はありそうな火球が3発飛来してきた。

「むぅっ」

唯はその砲撃を通常ブーストのみで回避する。

「射撃精度が悪いわね・・・」

和が疑問の声を漏らした。

「そうだね、これならギガベースの砲撃の方がよっぽど正確だよ」

唯は返事をしながら、砲撃を軽々と回避している。

「恐らく、老朽化が原因かしら・・・」

などと和が考えていると、前方に巨大な影が見えてきた。

「あれだね?和ちゃん!」

「ええ、あれがスピリット・オブ・マザーウィルよ」

「VOB使用限界近いわ、通常戦闘準備して!」

「了解!!」

唯は前方にQBし、距離を稼ぐ。

「VOB使用限界!パージするわ!!」

和の声ともにVOBがパージされた。
64 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 02:07:29.86 ID:Jb02ZHc0
「よーし!」

唯はOBを起動、マザーウィルへ接敵しようとした瞬間

「どぉうりゃぁぁぁぁぁ!」

凄まじい叫び声が聞こえたかと思うと、一機のネクストがアリャ太に突撃してきた。

「くっ!!」

完全に不意を突かれた唯は、無理矢理アリャ太を右へQBさせるが
回避し損ねたらしく、左肩に激痛が走った。

「うあぁっ・・・・くっ!」

慌てて機体の状態を確認すると
左肩のフレアが破壊されていた。

「ハァッハァッ・・・フゥ・・・・」

唯が呼吸を落ち着かせ、痛みを押し殺していると和から通信が入った。

「唯!!大丈夫!?」

「だ、大丈夫だよ・・・ちょっとビックリしちゃって」

「聞いて、敵ネクストはキルド―ザ―、弁えない壊し屋よ」

「破壊任務のみを請け負うはずだから、多分マザーウィルの進行の妨げとなる」

「ビルの破壊任務に就いていたのかしら・・・・」

和が唯を心底心配しながら、敵ネクストについて唯に告げた。

「了解!」

「撃破対象ではないから、無視しても構わな・・・」

「ううん!やられっぱなしじゃ、いられないよ!!」

和の話を途中で遮り、唯はアリャ太をキルド―ザ―へと向かわせた。
65 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 02:27:34.43 ID:Jb02ZHc0
「どらぁっ!」

威勢のいい掛け声とともに、キルーザーが左肩のグレネードキャノンを発射してきた。

「今度はこっちの番だからね!!」

唯はアリャ太を左へQBさせることで、榴弾を回避、左QBのリロードを前QBでキャンセルし
キルドーザーへ接近、左腕のレーザーブレードを展開して振るった。

「ぬうおぉぉぉぉ!」

けたたましい悲鳴をキルド―ザ―のリンクスがあげる。
それもそのはずである、唯の一撃はキルド―ザ―の右腕を切断したのだ。
ダメージのフィードバックは相当なものになっているであろう。

「まだまだ!」

唯はマザーウィルから発射されるミサイルを残った右肩のフレアで無効化
長距離砲をビルの陰に隠れ回避しながら、キルドーザーへマシンガンを連射する。

「だっしゃぁぁぁっ!」

しかし、キルドーザーはマシンガンをものともせず、OBを起動し
左腕に装備している鉄塊「ドーザー」を振りかぶり、急接近してきた。
66 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 02:28:50.21 ID:Jb02ZHc0
>>65
ミスです


「どらぁっ!」

威勢のいい掛け声とともに、キルドーザーが左肩のグレネードキャノンを発射してきた。

「今度はこっちの番だからね!!」

唯はアリャ太を左へQBさせることで、榴弾を回避、左QBのリロードを前QBでキャンセルし
キルドーザーへ接近、左腕のレーザーブレードを展開して振るった。

「ぬうおぉぉぉぉ!」

けたたましい悲鳴をキルド―ザ―のリンクスがあげる。
それもそのはずである、唯の一撃はキルド―ザ―の右腕を切断したのだ。
ダメージのフィードバックは相当のものになっているであろう。

「まだまだ!」

唯はマザーウィルから発射されるミサイルを残った右肩のフレアで無効化
長距離砲をビルの陰に隠れ回避しながら、キルドーザーへマシンガンを連射する。

「だっしゃぁぁぁっ!」

しかし、キルドーザーはマシンガンをものともせず、OBを起動し
左腕に装備している鉄塊「ドーザー」を振りかぶり、急接近してきた。
67 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 02:30:21.58 ID:Jb02ZHc0
「よいしょぉぉぉっ!」

掛け声とともにドーザーをアリャ太に振り下ろす・・・が
そこにアリャ太はおらず、空振りに終わった。
キルドーザーが辺りを見回していると、不意に公共無線から少女の声が聞こえた。

「上だよー!!」

「!?」

キルドーザーが慌てて上に意識を向けるとそこには、両背のロケットを展開している
アリャ太が浮遊しながら、こちらを見下ろしていた。

「発射!!」

唯が叫ぶと、次々にロケットがキルドーザーへ襲いかかり爆発に巻き込んでいく。

「やっぱりかぁぁぁぁぁ・・・」

十数発ロケットを撃ち込んだ後、こうなることがわかっていたような声が
キルドーザーから聞こえ、それは機能を停止した。
68 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/06/30(水) 02:31:43.14 ID:Jb02ZHc0
とりあえず、今日はここまでです。
多分明日には続きを投下できると思います。
ありがとうございました!!
69 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/02(金) 01:58:59.11 ID:rkBLiQ.0
一日遅れでスミマセン
投下します。


「敵ネクストの撃破を確認、これで障害はないわ」

「唯、暴れてきなさい」

「オッケー!!和ちゃん!!」

唯はそう言うと即座にOBを起動、マザーウィルに高速で向かって行く。
マザーウィルも接近させるものかとばかりに、主砲とミサイルを放つ
しかし、唯は主砲を右にQBすることで回避、ミサイルはフレアで無効化した。

「あと少し・・・」

そう言ってフレアをパージし、アリャ太をさらに加速させる。
主砲の射角を外れるまでに接近したため、迎撃はミサイルと機関銃のみとなった。
ミサイルはOBの速度に旋回が追い付かず、地面にぶつかり爆発していく
そしてアリャ太はマザーウィルの足元にたどり着いた。

「ブリーフィングは覚えているわね?砲台を狙うのよ」

「了解!」

唯は和の通信に返答し、垂直方向へブースターを噴かして、マザーウィルの甲板を目指した。
その間にも容赦なくミサイルが飛来してくるが、不規則にブースターを操り回避する。

「まずはミサイル砲台からだね!」

甲板に降り立ったアリャ太は、BFF製ノーマルを左腕のブレードで斬り裂き
手身近なミサイル砲台にマシンガンを浴びせた。
70 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/07/02(金) 02:00:34.10 ID:rkBLiQ.0

「第5ブロックにて火災発生!」

「第3ブロックもです!」

公共無線を通して焦った男たちの声が聞こえる。

「どうやら効いているようね・・・・」

「みたいだね、攻撃続けるよ!」

会話をしながらも、アリャ太のマシンガンがミサイル砲台を蜂の巣にする。
ミサイル砲台はマザーウィルの翼のように水平に広がる6つの甲板にそれぞれ存在する。
唯は甲板から空へ飛び上がり、両背のロケットを展開、空中から各甲板のミサイル砲台を爆撃していく
当然、空中を浮かんでいるアリャ太にミサイルが殺到していくのだが、唯は軽々と回避
ノーロックとは思えない正確さで砲台を破壊していく。

今回、アリャ太は武装のほかに内装も大きく変更しており、機動力を抑え、持続性を向上していた。
本来EN消費の激しいアリーヤフレームだが、これによりある程度の空中戦もこなせるようになっている。

「第8ブロックにて火災発生!」

「第4ブロックもダメです!」

「メインシャフトに被害が及んでいます!抑えられません!」

男たちの声とその内容も深刻さを増していく。
どうやらもう一息のようだ。

「よし!」

ミサイル砲台を破壊しつくした唯は顔を上げ、無用の長物と化した主砲に目を向けた。
71 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/07/02(金) 02:01:37.35 ID:rkBLiQ.0
「あれで仕上げだね!」

弾切れとなったロケットをパージして、ブレードを展開、主砲へ斬りかかった。
高温により切断された主砲は溶解し、見る影もない。

「メインシャフト、熱量負荷限界突破!」

「ダメです!機関部が持ちません!」

男たちの声には、悲愴感が漂っていた。

「もう1つ!!」

2つあるうちの主砲を1つ破壊した唯はもう1つの主砲へマシンガンを放ちながら向かった。

「これで最後っ!!」

アリャ太はブレードで主砲に斬りかかると同時にAAを起動
主砲だったものは跡形も無く消え去った。

「総員、地上装備!」

「総員退避!」

「退避しろ!マザーウィルが崩壊するぞ!」

その声を聞いた唯はアリャ太をQTさせ、崩壊に巻き込まれぬよう離脱した。

「マザーウィルの撃破を確認、ミッション完了よ」

「なんとか一人前になってきたわね」

「本当にお疲れ様」

「ありがとう、和ちゃん・・・もう少ししたら帰還するね」

和達がそう言っている間にもマザーウィルは轟音を立てて崩れていく。
翼のような甲板は自重に耐えきれず、根元から折れ、力強い6脚も遂に膝をついた。
そして、とうとう各部から誘爆し始め大きな爆発となる。
BFFと書かれた装甲が爆発で飛散し、漆黒のネクストの数十m後ろの地面に突き刺さった。
10年以上にわたり、地上に君臨し続けた覇者は1人のリンクスによって、引導を渡されたのである。


ミッション:「AFスピリットオブマザーウィル撃破」成功
72 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/07/02(金) 02:02:57.47 ID:rkBLiQ.0
今回の分は終了です。
ありがとうございました!!
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 14:24:03.26 ID:jURjMfMo
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 20:47:32.26 ID:lN98dgIo
乙ダルヴァ
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/06(火) 09:30:49.90 ID:1un1Fwk0
参考画像とかあると未経験者にわかりやすいかもね
76 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/07/07(水) 00:53:03.18 ID:0U8vPoAO
>>75
なるほど
参考画像探してみます。
見つからなければ、写メになると思いますが…
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 01:48:59.39 ID:Pz1IRIAO
ドヒャウ!ドヒャウ!
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 20:52:41.77 ID:48G/5sYo
>>76
ある程度はAAでいいんじゃね?
http://www.mangaaa.net/index.php?%A5%A2%A1%BC%A5%DE%A1%BC%A5%C9%A1%A6%A5%B3%A5%A2
79 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/07/07(水) 23:43:49.47 ID:qsBYPxc0
>>78
ホワイト・グリント
スピリット・オブ・マザーウィル
ノブリス・オブリージュ
の3種類だけですね。

これから先に登場予定のけいおんメンバー用機体もありますし、やはり写メでご勘弁を……
手元にデジカメが無いのです。
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/08(木) 02:52:41.37 ID:eGiAw6Eo
ネットで捜すか動画のスクリーンショット取って対象の部分だけ切り取るとかしたほうが楽な気が…
81 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/07/08(木) 23:01:05.72 ID:m.RAd7s0
テスト
http://uproda.2ch-library.com/265611YoN/lib265611.jpg
http://uproda.2ch-library.com/265613qiH/lib265613.jpg
82 :リンクズ ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/07/08(木) 23:05:02.03 ID:m.RAd7s0
>>81
おぉ、貼れた
うpロダはこれでいいのかな?
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/09(金) 19:41:42.42 ID:Uks84swo
そこでいいと思います
84 : ◆crj5rcA1jk :2010/07/10(土) 01:51:46.69 ID:b05YYyw0
酉だけでいいよね・・・・
多忙のため続きの投下は日曜か、月曜あたりになります。
とりあえず、アリャ太の画像だけ貼っておきますね。

アリャ太 ラインアーク襲撃時
http://uproda.2ch-library.com/266058MIC/lib266058.jpg

アリャ太 AFギガベース撃破時
http://uproda.2ch-library.com/2660608Kj/lib266060.jpg

アリャ太 旧チャイニーズ・上海海域掃討時
http://uproda.2ch-library.com/266062O3W/lib266062.jpg

アリャ太 クレイドル21奪還時
http://uproda.2ch-library.com/266066SRG/lib266066.jpg

アリャ太 AFスピリットオブマザーウィル撃破時
http://uproda.2ch-library.com/266059rVB/lib266059.jpg
85 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/07/15(木) 11:29:21.99 ID:iTIvGsAO
復旧してる……

ヤバイ時間無い
本当に申し訳ありません

土曜日には投下したい……
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/15(木) 14:33:35.99 ID:Zca6vZQo
自分のペースでいいから頑張れ
87 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/18(日) 03:12:15.76 ID:XAoWw260
お待たせしました。
投下します。

「新参の傭兵が、あのマザーウィルを・・・?」

劣等なAMS適性を経験で補い、今やGAのトップリンクスとなった歴戦の兵士
カラードランク4・ローディーが驚きの声を上げた。

「はい、間違いありません。ローディー様、カラードは情報の精度を確認しています。」

まだ幼さの残る声で、BFFの新女王であるリリウム・ウォルコットが返答する。

「・・・・・・」

「仮にもリンクス、本来そういうものだろう」

ランク1・オッツダルヴァが沈黙を破り言う。

「だといいがな・・・」

「アルテリア襲撃犯はどうなっている?」

「堂々とクレイドルの最重要施設を狙われて打つ手なしなど、管理者の意義が問われるだろう」

ナイフのように鋭く、力強い声でランク3・ウィン・D・ファンションが言い放った。

「その通りだ」

「ルールを守れないのであれば、静かに退場してもらうほかない」

「それがラインアークであれ、レイレナードあたりの亡霊であれ」

嫌味な老人、ランク8・王小龍(ワン・シャオロン)の声を最後にカラードのトップクラスリンクス達の会議はお開きとなった。
会議と言えど、実際に彼らが顔をあわせているわけではなく、無線を通したオンラインミーティングであるが。
88 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/18(日) 03:14:41.89 ID:XAoWw260
―――――――――――――――――――――――

唯は作戦のため、ロロ砂漠へと来ていた。
マザーウィルを撃破した傭兵としてかなり名が売れたのか、以前にも増して依頼が多くなった気がする。

「唯、準備できているわね?」

今回の任務はGA輸送部隊を防衛するというものであり
敵戦力にはランドクラブ2体と飛行要塞 フェルミが2機、ノーマルが多数であった。

「敵戦力、確認したよ和ちゃん、こっちはいつでもいいよ!」

「わかったわ、敵AFランドクラブはインテリオル製よ」

「GA製と違って拡散レーザーを搭載しているわ、気をつけて」

和が唯に注意する。

「了解、いってきます!」

「いってらっしゃい!」

会話を終えると、唯はアリャ太のブースターを噴かし敵戦力へと向かった。

「レーダーに想定防衛ラインを表示したわ」

「そのラインに侵入されると、防衛対象が敵の射程範囲に入る、ようはミッション失敗よ」

「そんなのはつまんないでしょう?」
89 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/18(日) 03:17:11.31 ID:XAoWw260
「それなら、早くやっつけちゃおうか!!」

和が言い終えたと同時に唯はOBを起動し、一気に距離を近づけた。
猛進するアリャ太に青白い閃光が襲いかかった。フェルミのハイレーザーである。

「っとぉ!」

だが、唯が簡単に被弾するわけでもなく、軽々とQBで回避した。

「最初は君からかな!?」

そう言うと唯はアリャ太をフェルミと同高度まで浮かせると、両手の火器を撃ち込んだ。
フェルミから追尾性の高いミサイルが放たれるが、唯はマシンガンを巧みに操り撃墜していく。

「む〜、なかなか頑丈だね」

唯がフェルミの周囲を旋回し、火器を撃ち込みながら呟く。

「なら、これでどうかなっ!?」

唯はアリャ太をフェルミにQBさせ、左背のスラッグガンを展開し放った。
近距離において絶大な破壊力を誇る、大口径の散弾はフェルミの装甲をズタズタに食い破った。

「よしっ!」

黒煙を撒きながら墜落するフェルミを見て、唯がガッツポーズをする。
90 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/18(日) 03:18:57.74 ID:XAoWw260
「この調子で!!」

地面に降り立ち、ノーマルを退け、ランドクラブの拡散レーザーをかいくぐりながら次のフェルミへと向かう。

「君達じゃ相手になんないよ!」

右手のアサルトライフルと左背のスラッグガンでノーマルを蹂躙し、フェルミの元へとたどり着く。
そして、右背の近接信管ミサイルを放ちつつ、マシンガンを乱射した。
ミサイルにより傷ついた装甲を的確に撃ち抜かれ、フェルミは内側から崩壊していった。

「お〜わりっ!」

フェルミの撃破を確認すると即座にOBを起動、ランドクラブへ接敵した。
拡散レーザーが嵐のような勢いで牙をむくが、唯は機体を左右に揺らしレーザーの隙間を縫って回避する。
レーザーが無駄だとわかるとランドクラブはミサイルを放ってきたがスラッグガンで撃ちおとされた。
AFは相手がネクストの場合、接近されるとワンサイドゲーム、つまり一方的な展開となる。
唯は数々の闘いでそれを心得ており、ランドクラブの真下に潜り込むと火器を真上に向け乱射した。
91 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/18(日) 03:21:39.76 ID:XAoWw260
「うりゃうりゃうりゃーー!!」

一ケ所に蓄積したダメージは確実に全体へと伝わり、所々が爆発し始めた。
しかし、そのころにはアリャ太はもう一体のランドクラブへと向かっている。

「敵AFの撃破を確認、ラストよ、唯」

和から報告の通信が入るころ、アリャ太はもう一体のランドクラブの上部にとりついていた。

「久しぶりに使っちゃおっと!」

アサルトライフルとマシンガンを連射するアリャ太のPAが膨張し、破壊の光を生み出した。
AAをまともにくらったランドクラブの上部は半円状に溶解し、機能を停止した。

「敵戦力の全滅を確認、ミッション完了よ。」

「防衛対象にも被害は無いわ、お疲れ様」

「ありがとう、帰還するね」

砂漠にて破壊の限りを尽くした、漆黒の機体は自らが破壊した亡骸を背に戦場をあとにした。


ミッション:「GA輸送部隊救援」成功
92 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/07/18(日) 03:23:06.22 ID:XAoWw260
今回は以上です。
ありがとうございました!
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 05:30:16.40 ID:YFqe.EAO
乙樽
94 : ◆crj5rcA1jk :2010/07/29(木) 00:10:14.98 ID:A/uy3tA0
なかなか投下できなくてスミマセン
多分、金曜日には投下できる予定です。
まったりとお付き合いください。
95 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 01:35:49.68 ID:ve3g1QI0
お待たせしました。
少しですが、投下します。

アリャ太の目の前にはミルクを零したような濃霧が広がっていた。

「うっわぁーー、なんにも見えないや」

今回の作戦、新資源プラントとその防衛部隊の排除のため、PA-N51へ向かっていた唯は驚きの声を上げる。

「この季節の霧は有名だからね、くれぐれも気をつけて」

「レーダー積んで来て正解だったよぅ……」

あまりの濃霧のため、輸送ヘリを飛ばすことができず、唯は霧が濃くなる手前のエリアまで輸送された後
通常ブーストで作戦エリアへと向かっており、もう間も無くPA-N51に到着する。

「そろそろ作戦エリアよ」

「了解!」

和から通信が入り、それに合わせて唯はアリャ太を通常モードから戦闘モードへと切り替えた。

「ねぇ、和ちゃん」

「どうしたの、唯?」

おもむろに唯が和に喋りかける。

「たしか、この作戦って時間制限付きだったよね?」

「そうね、依頼主は迅速なミッション達成を希望しているし、それに応じて追加報酬も約束されているわ」
96 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 01:36:59.65 ID:ve3g1QI0
「じゃあ…もし、私がすっごく早くミッション達成したら……褒めてくれる?」

「いいわよ、私が驚くほど早かったらアイスを好きなだけ買ってあげる」

「でも、油断は禁物、わかってるわね?」

「わかってるよぅ」

「ふふ、それじゃあミッション開始よ!」

「了解!!」

そう言うと唯は、アリャ太を加速させ、作戦エリアへ足を踏み入れた。
その瞬間、数発のロケットがアリャ太へ向け飛来してきた。

「むむ…!」

唯は回避する素振りすら見せず、右手の重マシンガンで撃ち落とす。
そして、そのままの勢いでノーマルへ突進し、数体まとめて左手の大型レーザーブレードで切り裂いた。

「これは……バーラット部隊ね、防衛部隊が撃破対象になるはずだわ…」

「唯、敵ノーマルはバーラット部隊よ、この手の戦闘は彼らの得意分野よ!」

和が冷静に分析し、唯へ注意を促す。
97 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 01:39:05.96 ID:ve3g1QI0
「ピョンピョン跳ねちゃって、バッタさんみたいだね!!」

唯は嘲るように言うと、左肩のASミサイルを展開、遥か前方に見えるバーラット部隊に向け放った。
ロックオンを必要とせず、自動で敵を追尾するASミサイルは吸いこまれるようにノーマルに向かい、直撃した。

「あれだね!?新資源プラント!」

ASミサイルで索敵と攻撃の両方を行いながら、確実に撃破数を増やす唯の前に、数本の煙突と大型のタンクが見えてきた。

「間違いないわ、破壊して!」

和からの返事が聞こえるや否や、アリャ太は左手を振りかぶり、新資源プラントへと斬り込んだ。
煙突やタンクが両断され、小さな爆発が起こり、やがてはプラント全体を巻き込んだ。

「新資源プラントの破壊を確認、残り2基よ」

「りょうk…!?」

唯の返事を遮るように、右前方から榴弾がアリャ太に襲いかかった。
幸い、榴弾はアリャ太の手前の地面を抉るだけだったが、爆風によりPAがわずかに減衰する。

「誰っ!?」

唯が榴弾の飛んできた方へ意識を向けると、そこには逆関節の脚部を持つ白いネクストがこちらを見据えていた。
98 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 01:40:18.12 ID:ve3g1QI0
「アルゼブラ新標準機ベース……このエンブレムは!?」

「唯、敵ネクストはランク14・マロースよ!」

「リンクスはかつて、バーラットを指揮していた経験もあるイルビス・オーンスタイン」

「油断の出来る相手じゃないわ、注意して!!」

和が唯に敵の情報を伝える。

「GAに尻尾を振る下種が」

公共無線を通して低い男性の声が聞こえる。

「追い詰めて、肥溜めにぶち込んでやる」

明らかな敵意を持ったその言葉をいい終えると、マロースは高く跳躍した。
空中からライフルとマシンガンの掃射がアリャ太を襲う。

「バッタさんのボスだね!?やっつけちゃうから!!」
99 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/07/31(土) 01:41:28.16 ID:ve3g1QI0
今日はここまでです。
続きは明日のこの時間ぐらいに投下できると思います。
ありがとうございました!!
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/31(土) 02:14:44.48 ID:xE97okAO
ダイアルゼブラか…

101 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 21:31:36.16 ID:ve3g1QI0
予定より早くなりましたが、投下します。

唯が細かく機体を揺らし、掃射を回避しながら言う。

「小娘が……!!」

イルビスは忌々しげに呟くと、右背の散布型ミサイルを展開、小型ミサイルをバラまく。
ミサイルを放った後、再び跳躍し右手のライフルと左背のグレネードランチャーを見舞った。
逆関節の脚部はジャンプ力に優れ、イルビスはそれを活かした三次元戦闘を得意としている。
特にこのような局地戦においては、数多くの敵を葬っている。

「相手が悪かったな…」

自らの攻撃により、巻き起こった爆煙に向かってそう呟いた。
アリャ太がいたであろう場所に向かって。
勝った――そう思っていたイルビスを衝撃と強烈な閃光が襲う。

「ぬぅ…フラッシュロケットか……!!」

衝撃が襲った方向に目を向けると、そこには倒したであろう漆黒のネクストがブレードを展開し突進して来ていた。

「くっ!!」

フラッシュロケットなどの強い光を浴びると、頭部のカメラ機能が一時的に麻痺し、ロックオンが不可能になる。
このままでは危険――そう思ったイルビスはとっさに機体を跳躍させ、光の刃を間一髪で回避、アリャ太の後方へ降り立とうとした。
102 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 21:32:36.85 ID:ve3g1QI0
「甘いね!!」

地面に足がつく、その直前に少女の声が聞こえたと思った次の瞬間
漆黒のネクストが左回りにQTしつつブレードを展開、裏拳の要領で左手を振り切り、マロースの両足を斬り捨てた。

「ぐぬおおおおおぉぉぉぉ!!」

強烈なダメージのフィードバックがイルビスを襲い、その意識を混濁させる。

「ごめんね……」

両足を奪われ、地面を這いつくばるマロースに向かって唯は謝罪したかと思うと、再びブレードを展開
一刻も早く苦痛から解放してあげなければ――という気持ちが窺える様な動作で、躊躇なくブレードをコアに突き刺した。

「貴様……」

最後の力を振り絞ったような声でイルビスが言う。

「大アルゼブラを敵に回すか……」

そう言い終わった後、マロースのカメラアイから光が失われ機能を停止した。
103 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 21:33:18.99 ID:ve3g1QI0
「敵ネクストの撃破を確認、思わぬ足止めだったわね……」

「そうだったね……」

短い会話を終えると唯は2基目の新資源プラントへと向かった。
途中、バーラット部隊と交戦するが、大した障害になるはずもなく、ASミサイルとマシンガンで牽制、ブレードで切り裂いた。
最後の新資源プラントを破壊し終える頃には、バーラット部隊も全滅し、辺りは焦土と化した。

「全目標の撃破を確認、ミッション完了よ」

「時間もかなり余裕があるわ……お疲れ様」

和がミッションの完了を告げる。

「じゃあ、約束通りアイスだね!」

唯が戦闘終了後とは思えない無邪気な声で答えた。

「そうね、好きなだけ買ってあげるわ」

「やったぁ!!」

戦場とは不釣り合いな会話を交わしながら、漆黒の機体は作戦領域を去って行った。


ミッション:「PA-N51襲撃」成功
104 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/07/31(土) 21:58:41.74 ID:ve3g1QI0
今回は以上です。
ありがとうございました!!

ついでに
アリャ太 PA-N51襲撃時
ttp://uproda.2ch-library.com/2762188Jw/lib276218.jpg
ステイシス
ttp://uproda.2ch-library.com/276219z59/lib276219.jpg
キルド―ザ―
ttp://uproda.2ch-library.com/2762219xk/lib276221.jpg
マロース
ttp://uproda.2ch-library.com/276224OKt/lib276224.jpg
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/01(日) 12:48:44.13 ID:Rmg9AkAO
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/07(土) 00:13:11.92 ID:XLH9SIAO
107 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/08/10(火) 21:00:47.88 ID:sb8glEAO
>>105 >>106
いつもありがとうございます。
明日か明後日には投下できると思います。
108 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 19:54:34.82 ID:JkcaqDw0
それでは投下します。


―――――――――

無機質な室内にネクストのコクピットを模したシミュレーターが立ち並んでいる。

「だぁーーー!また負けた!!」

悔しそうな絶叫とともに、一台のシミュレーターからカチューシャをつけた少女が現れた。

「今回で私の63連勝だね!りっちゃん!」

隣のシミュレーターから出てきたのは唯である。

「うるへーー!次は負けないからなぁーー!!」

唯にりっちゃんと呼ばれた少女は、地団駄を踏みながら室内に備えられたモニターに目を向けた。

「ムギと梓は相変わらずイイ勝負だなぁ」

モニター内では、明るい赤を基調とした軽量二脚型ネクストと
白と黒のまるで鍵盤のようなカラーリングの中量二脚ネクストが、激しい戦闘を繰り広げていた。
軽量二脚が近距離高速戦で翻弄していたかと思うと、中量二脚がその猛攻をいなし、反撃をする。
一進一退の攻防がしばらく続いたが、継戦能力に欠ける軽量二脚が弾切れとなり、中量二脚が勝利した。
109 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 19:56:43.92 ID:JkcaqDw0
「ふぅ……お疲れ様、梓ちゃん」

穏やかな声で労いの言葉を対戦相手に送りつつ、金髪の少女がシミュレーターから現れた。
対戦相手が梓だということは、彼女はムギと呼ばれていた少女であろう。

「お疲れ様です、ムギ先輩」

同じく労いの言葉をかけつつ、シミュレーターから出てきたのは黒髪をツインテールにした小柄な少女、梓である。

「いやぁー、ムギちゃんもあずにゃんもイイ勝負だったねぇ!」

「へいへい、どうせあたしゃ惨敗でしたよーだ」

唯が二人に駆け寄りながら声をかけ、りっちゃんこと律は不貞腐れながら呟いた。
四人が賑やかに談笑していると不意にシミュレーションルームの扉が開き、黒髪ロングの少女が入ってきた。

「おー!澪かぁ、聞いてくれよぉ!!」

「どうせまた唯にボロボロにされたんだろ?」

澪と呼ばれた少女は呆れたように尋ねた。

「おぉ!さっすが澪!ご名答!!」

「仕方ないさ、唯は私たちの中でもずば抜けてAMS適性が高いからな」

「適性が全てではないけど、その差は簡単には埋まらない、だから気を落とすな律」

「いや?それ程気にはしてないんだけどね♪」

励ます澪に律はあっけらかんとした口調で言い放った。
110 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 19:58:46.06 ID:JkcaqDw0
澪と律が言い争っているのを微笑ましく眺めている、残りの三人は今後のことについて話していた。

「唯ちゃんはここを出た後どうするの?」

ムギこと紬が唯に尋ねた。

「うーん……わかんない!あずにゃんは?」

「私は……オ―メルの専属リンクスに志願してみようかと……」

梓の言う専属リンクスとは、企業の下で依頼をこなすだけではなく、
その企業のネクスト及びパーツの性能を世間に知らしめる、広告塔の役目も担う存在である。
当然、自らの機体に使用できるパーツは限定されてしまうが………

「そういえばあずにゃんは、オ―メルの新標準機のテストパイロットもしたんだっけ?」

「はい、その新標準機が私の機体のベースにもなってるタイプ・ライールなんですけどね」

「そうなの〜、頑張ってね!梓ちゃん」

「ありがとうございます、ムギ先輩はどうされるんですか?」

「私?私は〜……気楽に独立傭兵でもしようかしら?」

「ムギちゃんが!?なんからしくないねぇー」

「ほら、私の機体って企業混合フレームじゃない?、純正フレームだと扱いづらくって……」

「そっかぁ〜、私は……どうしよっかなぁ〜」

「まっ、憂ちゃんによっーく相談して決めたらどうだ?」

「うわっ!?りっちゃんに澪ちゃん!いつの間に?」
111 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 19:59:52.54 ID:JkcaqDw0
「結構前から居たんだけどな……」

「あわわわ、澪ちゃん落ち込まないで!ふ、二人はどうするの?」

「私は……律と二人で企業寄りの独立傭兵をしようかと思う……」

独立傭兵は基本的には企業には従属せず、どの企業の依頼でも受けるものであるが、彼女たちのように
自らのネクストに使用している、フレームやパーツを開発した企業の依頼を、優先して受託する独立傭兵も存在する。
その方が弾薬や修理など、なにかと優遇される場合も少なくないからである。

「澪ちゃんはBFF寄り、りっちゃんはアルゼブラ寄り?」

「そっ!専属だと色々やりにくいだろ〜?」

「私も独立傭兵にしようかなぁ〜」

「唯先輩!ちゃんと憂に相談して決めないとダメですよ!!」

「わかったよぅ、あず……」

ブゥン

「!?」

モニターが突然ニュース画面に切り替わり、五人がモニターに注目する。
112 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 20:00:55.66 ID:JkcaqDw0
「臨時ニュースです!」

若い女性のニュースキャスターが慌ただしくニュースを読み上げる。

「先程、クレイドル02が、反クレイドル派の武装集団に襲撃されました!」

「お、おい唯!02って憂ちゃんが!?」

律が信じられないといった表情で唯に詰め寄る。

「お、落ち着け!ニュースが聞こえない!!」

澪が律を制止し、ニュースに耳を傾けた。

「武装集団は派遣されたネクスト機により、殲滅されましたが、居住区には甚大な被害が出ており」

「墜落の恐れこそないものの、多数の死傷者が発生している模様です」

ニュース画面には確認された死亡者の名前が表示されている。
その中には唯の妹、憂の名前もあった。

「嘘……でしょ?」

その事実に唯が崩れ落ちた。

「憂…憂ぃ………」

目の前が霞む、何も考えられない、憂が死んだ。
もう帰ってこない、もう会えない、もう…………………
113 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 20:01:45.93 ID:JkcaqDw0
―――――――――

「憂っ!!」

唯が自らの声で目を覚ますと、そこは見慣れた寝室だった。

「久しぶりに見たな…嫌な夢……」

ベッドに腰掛け、項垂れながら唯が一人呟いた。

コンコン「唯?大丈夫?」

ノックの後、和がドア越しに心配そうな声で尋ねてきた。

「うん、ちょっとリンクス養成所時代の夢見ちゃって……」

和の声を聞き、少し落ち着いた唯がそう返した。

「そう………」

唯の寝室に入り、ベッドの脇の椅子に座りつつ和が俯き加減に答える。

「そうだ、気分転換にランクマッチでもどう?」

少しの沈黙を破り、和が唯に提案した。
114 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 20:02:31.13 ID:JkcaqDw0
「ランクマッチ?」

「ええ、あなたリンクスに独立傭兵になってからミッションしかしてこなかったでしょう?」

「人の生死が直接係わってこないランクマッチなら、今の状態でも平気でしょ?」

――――ランクマッチ――――
簡単に説明するとシミュレーターを用いた試合であり、当然のことながら戦場とは違い命の危険も無い
ランクとは即ち、カラードランクのことで、基本的には自分よりも上位のランクのリンクスと試合を行い
勝利すればランクが入れ替わるが、例外としてホワイト・グリントは政治的な配慮でランク9に留まっている。

「うん……そうだね、それに今までランクなんて全然気にしてなんてなかったし……」

「あなたが傭兵になった後、まだ誰もカラードに登録していないから最下位のままだしね」

「まぁ、とにかく少しの間、依頼は断っておくわね」

「わかった……ごめんね、こんな遅くに」

唯が項垂れたまま、申し訳なさそうに言った。
115 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/12(木) 20:03:08.07 ID:JkcaqDw0
「いいのよ、あまり考えすぎちゃダメよ」

「うん、ありがと和ちゃん」

「じゃあ、お休み唯」

「お休み……」

和が部屋を出た後、昔の仲間について考えた。

「(みんなはもうカラードに登録してたのかな?だとしたら、ランクマッチでみんなに会えるかも……)」

あの事件の後すぐに和と出会い、養成所を去った唯は昔の仲間と連絡をとることができず、それ故みんなの安否も気になる。
独立傭兵としてリンクスデビューを果たし、今まで数々のミッションをこなしてきたが、戦場で出会わなかったことだけが、唯一の救いかもしれない。

「(明日、和ちゃんに言ってカラード本部に行ってみよう、そうすれば何かわかるかも……)」

そう考えているうちに、睡魔に襲われ、今度は悪夢を見ることなく朝を迎えた。

116 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/08/12(木) 20:03:52.60 ID:JkcaqDw0
今回は以上です。
ありがとうございました!!
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 17:36:42.93 ID:Dip2oIAO
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 18:09:47.68 ID:gk50JUAO
俺得
119 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/08/29(日) 16:10:34.91 ID:y9YAJgAO
顔を出さずスミマセン
次は月曜か火曜に投下予定です
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 06:20:01.85 ID:qXRZc6AO
楽しみだ

あまり無理せず頑張ってくれ
121 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/31(火) 22:50:42.74 ID:Of0YjsM0
お待たせしました投下します。

―――――――――

午後一時、唯は和と共にカラード本部を訪れていた。
本部と唯達の暮らす居住区はカラード内の通路でつながっており、徒歩でも十分程度で本部に到着した。
本部のエントランスはテニスコートを横に2つ並べたほどの広さで、受付には若い女性がこちらへ事務的な笑顔を向けている。

「今朝連絡をした真鍋ですが……」

和が受付の女性へ話しかける。

「はい、伺っております。本日はランクマッチの件で……ということでよろしいですね?」

女性が笑顔を崩すことなく、淡々と答えた。
今朝すでに和が本部へと連絡をしており、ランクマッチをしたいという旨を伝え
No.30 チャンピオン・チャンプスはマザーウィルの進路確保の任務中、唯と交戦し、死亡したこと
そのため、No.29 ミセス・テレジアが唯のランクマッチの相手となること
ミセス・テレジアの方へ連絡をとると、快く今日のランクマッチを承諾してくれたことを受付から聞かされていた。


122 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/31(火) 22:52:13.00 ID:Of0YjsM0
「ええ……よろしくお願いします」

「かしこまりました。No.29 ミセス・テレジアはすでに到着されています」

「シミュレーションルーム003にてお待ちです」

「わかったわ、どうもありがとう」

受付との会話を終わらせた和は、傍で話が終わるのを待っていた唯に向き直った。

「唯、対戦相手はすでにきているみたい」

「うん、待たせると悪いね…早く行こう!」

和と唯はシミュレーションルームへの道のりを聞き、No.29 ミセス・テレジアのもとへと向かうが、
途中、カラードランクを貼り出されたボードを見つけ、思わず唯は立ち止まってしまった。
123 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/31(火) 22:53:32.80 ID:Of0YjsM0
No.1 オッツダルヴァ / ステイシス
No.2 リリウム・ウォルコット / アンビエント
No.3 ウィン・D・ファンション / レイテルパラッシュ
No.4 ローディー / フィードバック
No.5 ジェラルド・ジェンドリン / ノブリス・オブリージュ
No.6 スティレット / レ・ザネ・フォル
No.7 ロイ・ザーランド / マイブリス
No.8 王小龍 / ストリクス・クアドロ
No.9 Unknown / ホワイト・グリント
No.10 ハリ / クラースナヤ
No.11 ダリオ・エンピオ / トラセンド
No.12 アズ / むったん
No.13 ヤン / ブラインドボルド
No.14 Missing
No.15 シャミア・ラヴィラヴィ / レッドラム
No.16 有澤隆文 / 雷電
No.17 CUBE / フラジール
No.18 メイ・グリンフィールド / メリーゲート
No.19 ド・ス / スタルカ
No.20 エイ=プール / ヴェーロノーク
No.21 カミソリ・ジョニー / ダブルエッジ
No.22 スピン / コルグ
No.23 フランソワ=ネリス / バッカニア
No.24 Missing
No.25 リズム / ヒップギグ
No.26 ミョミョ / エリザベス
No.27 パッチ、ザ・グッドラック / ノーカウント
No.28 ダン・モロ / セレブリティ・アッシュ
No.29 ミセス・テレジア / カリオン
No.30 Missing
  No.31 オンリー / アリャ太
124 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/31(火) 22:54:16.07 ID:Of0YjsM0

「唯!なにしてるの?行くわよ!?」

「ごめーん、すぐ行くーー!」

和の声でハッとし、すぐさま和を追った。

「(あの中にみんなが……)」

そう考えているとシミュレーションルームに到着した。
唯は思考を止め、この扉の先にいるであろう対戦相手に集中しようとする。

「失礼します」

和が短く言い、扉をノックした。

「どうぞ、お入りなさい」

かなりの高齢と思われる女性の声が聞こえ、その直後、白い扉がプシュ―と音を立てて開いた。
部屋の中には唯達よりも少し背の高い、白く染まった髪を短く切りそろえた老婆がこちらを見据えていた。

125 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/31(火) 22:55:15.59 ID:Of0YjsM0
「待っていたわよ」

『待っていた』ということは、この老婆がNo.29 ミセス・テレジアで間違い無いのだろう。
その口調はまるで、遊びに来た孫を歓迎するかのように穏やかなものだった。

「どうもお待たせして、すみません」

和が謝罪をし、唯もそれにつられるように頭を下げた。

「いいのよ、お嬢さん達、でも……どちらが対戦相手なのかしら?」

「はい!私です!!」

唯が腕を大きく天に掲げ返事をした。

「まぁ、あなたが…あなたみたいな娘がリンクスに……!?」

テレジアは先程とはうってかわって、悲しいとも申し訳ないともとれる表情になった。
126 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/08/31(火) 22:56:20.98 ID:Of0YjsM0
「ごめんなさいねぇ、私が…オバサンがもっとしっかりしていれば、あなた達のような娘にこんなこと」

「そんな…!あなたの所為なんかじゃありません!!」

「そうだよ!おばあちゃんは悪くなんか……!」

和が強く言い、唯も強く頷く。

「ありがとうね、そう言ってもらえるだけで救われるわ」

「うふふ、歳をとると話が長くなってダメねぇ」

「さぁ、始めましょうか?」

テレジアが再び笑顔を唯達に向け、問いかけてくる。

「はい!よろしくお願いします!!」
127 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/08/31(火) 22:57:21.25 ID:Of0YjsM0
今日はここまでです。
多分、明日か明後日には投下できると思います。
ありがとうございました!!
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 01:28:40.03 ID:oBPMfR6o
乙!
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 15:33:44.94 ID:rG.CoUAO
乙樽
130 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 02:47:27.37 ID:HWYXMn.0
遅くなりました。
投下します。

―――――――――

ランクマッチの舞台には砂漠が選ばれた。
相手はNo.29 ミセス・テレジアであり、今では数少なくなった現役のオリジナルだ。

――――オリジナル――――
かつての国家解体戦争に参加していたリンクスを指し、そのナンバーは同戦争における貢献度を表す。
No.1からNo.26まで存在し、テレジアはNo.22であった。ランクこそ高くは無いものの、『オリジナル=リンクス歴が長い』ため
No.29という低ランクに甘んじている現在も決して油断の出来る相手ではない。

「行くよっ!アリャ太!!」

唯がアリャ太のブースターを噴かし、テレジアの機体であるカリオンへと向かわせた。
ランクマッチでは基本的に、リンクスのみで行われるため、今回和はオペレートせずに、観戦している。

「遠慮はいらないわ、いらっしゃい!」

テレジアもカリオンをアリャ太へと進める。
カリオンは多企業のパーツを使用した混合フレームであり、地上での機動においては他の追随を許さない、四脚型のネクストである。
そのカラーは特徴的な白色の迷彩柄で、武装はバズーカ、ハンドミサイル、プラズマキャノン、コジマミサイルだ。

131 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 02:50:40.96 ID:HWYXMn.0
「見つけた!!」

唯がカリオンを捉える、障害物の無い砂漠ではあるが、丘陵は多く死角も存在する。
アリャ太を前方にQBさせ、急接近を試みるが、その瞬間、カリオンからプラズマキャノンが放たれた。

「っ!!」

不意を突かれ、回避をしようとした唯だが、予想とはまるで違う軌道を描き、プラズマは地面に着弾した。

「はずれた?……違う!わざとはずしたんだ!!」

テレジアの思惑に気付いた時には、すでにプラズマの影響で疑似ECMが発生し、レーダーが使い物にならなくなった。
プラズマライフル、プラズマキャノンは着弾の際、一定範囲にECMを発生させる。
テレジアは始めから、命中させることなど考えておらず、唯から電子的な視覚を奪うため、プラズマキャノンを放ったのである。

「くっ……どこ!?」

唯がカリオンに目を向けるが、すでにカリオンは丘陵を利用し、身を隠していた。

「このままじゃ、まずいね……」

いつ奇襲を受けるかわからない状況で、唯は呟いた。

「ここよ!!」

無線から突然、テレジアの声が響く。
周囲を警戒している唯の、右後方の丘からカリオンが飛び出してきた。
132 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 02:53:08.55 ID:HWYXMn.0
「プレゼントよ!」

そう言うとカリオンが、左腕のハンドミサイルを展開し、発射してきた。
しかし、ミサイルは軽々とアリャ太に回避される。

「そんなの当たらないよ!!」

「甘いわよ、お嬢さん」

勝ち誇った唯に対して、テレジアが言う。
その直後、アリャ太にコジマミサイルが着弾した。
ハンドミサイルは囮で、本命は弾幕に隠したコジマミサイルだったのである。

「なっ……!!」

コジマミサイルにより、少なくない被害を受け、唯をダメージのフィードバックが襲う。
シミュレーターのため、ダメージフィードバックは最小限に抑えられているので、
眩暈と吐き気程度だが、無視出来るものではなかった。

「くっ……はぁっはぁっ…!」

「お嬢さんは素直でいい子ね、でも……そんなんじゃこの先生き残れないわよっ!」

テレジアはカリオンの、バズーカとプラズマキャノンを展開し、ラッシュを仕掛け、接近してきた。
133 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 02:54:37.87 ID:HWYXMn.0
「こんなオバサンに負けるくらいなら、リンクスなんてやめておしまい!」

コジマミサイルの引き起こした、コジマ汚染によって、PAの消失したアリャ太にとっては、弾丸の一発一発が致命傷となる。
朦朧とする意識の中で、必死に回避を行いながら、自らがリンクスになった理由を思い出していた。
大事な大事な妹――憂、憂は平和な世界を心から望んでいた。
だからリンクスになって、ネクストという強大な力を持ってして、平和な世界にしたいと思った。
憂が死んだ後も、その決心は揺るがなかった。
こんなところで、躓いている場合では無かった。

「うああぁぁぁ!!」

力強い咆哮とともに、OBを起動、マシンガンとアサルトライフルを連射しつつ、高速接近を開始した。

「がむしゃらに突っ込むだけじゃ、オバサンには勝てないわよ!」

そう言うと、カリオンを全速力で後退させながら、バズーカとハンドミサイルを放つ。
バズーカはアリャ太の右腕を抉り、ミサイルはPAを確実に削っていた。
だが、唯は損傷を気にせず、カリオンへと向かってくる。

「いい加減に……!墜ちなさい!!」

PAの消耗したアリャ太に、プラズマキャノンでトドメを刺そうとするが、強い閃光によって阻まれる。
アリャ太が放ったフラッシュロケットだ。
134 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 02:55:31.02 ID:HWYXMn.0
「くぅっ…」

テレジアが一瞬怯んだその隙を唯は見逃さなかった。
距離はすでに、100mを切っており、唯はアリャ太の左腕を引いた。

「負けない……負けないっ!!」

右腕の喪失感に襲われながらも、勢いよく左腕を突き出す。
アサルトライフル『04-MARVE』を使った刺突攻撃だ。

「これはっ!」

回復したテレジアは、慌てて回避を行うが、間に合わない。
その結果、左前脚を失ってしまった。

「っ!バランスが!!」

なんとか残った3本の脚で、機体を水平に保とうとするが、もたついてしまう。
しかし、アリャ太も限界に近い――そう思ったテレジアはバランスを崩しながらも、
カリオンをアリャ太に向き直させた。
135 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 02:58:06.77 ID:HWYXMn.0
「いない……?」

いつの間にか、アリャ太は丘陵に身を隠していた。
テレジアが困惑していると、不意にレーダーにノイズが生じる。

「これは…!?」

テレジアはアリャ太の左背に、軽量型のプラズマキャノンが背負われていたことを思い出した。

「疑似ECM!どこっ!?」

テレジアが周囲を見渡す。
バランスがまともに取れない、この状態では下手に動くと命取りになる。
そう判断したテレジアは最小限の機動で、奇襲に備えていた。

「ここだよっ!!」

カリオンの左後方からアリャ太が飛び出す。
そのPAは光り輝き、膨張していた。

「AA!?PAが回復する時間稼ぎだったのね!!」

急いで退避しようと、カリオンを後退させるが、すでに遅く、カリオンとアリャ太は破壊の光に包まれた。
136 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 03:00:14.34 ID:HWYXMn.0
―――――――――

「いい試合だったわ、お嬢さん」

ランクマッチを終えたテレジアは、微笑みながら唯に近づいてきた。

「こちらこそ、勉強になりました!」

唯もシミュレーターを降りつつ、テレジアに頭を下げた。

「試合中、つらく当たってごめんなさいね……」

「そんな…全然気にしてませんから!!」

唯が慌てて首を横に振る。

「うふふ…あなたの戦いは自分だけのためでは無いわね」

「守りたいものがある……そんな気持ちを感じたわ…」

「まるで、あの子みたいにね……」

なんのことだかわからない唯を尻目に、テレジアは終始、優しい笑みを浮かべていた。


ランクマッチ: VS No.29 ミセス・テレジア 勝利
137 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 03:00:54.71 ID:HWYXMn.0
No.1 オッツダルヴァ / ステイシス
No.2 リリウム・ウォルコット / アンビエント
No.3 ウィン・D・ファンション / レイテルパラッシュ
No.4 ローディー / フィードバック
No.5 ジェラルド・ジェンドリン / ノブリス・オブリージュ
No.6 スティレット / レ・ザネ・フォル
No.7 ロイ・ザーランド / マイブリス
No.8 王小龍 / ストリクス・クアドロ
No.9 Unknown / ホワイト・グリント
No.10 ハリ / クラースナヤ
No.11 ダリオ・エンピオ / トラセンド
No.12 アズ / むったん
No.13 ヤン / ブラインドボルド
No.14 Missing
No.15 シャミア・ラヴィラヴィ / レッドラム
No.16 有澤隆文 / 雷電
No.17 CUBE / フラジール
No.18 メイ・グリンフィールド / メリーゲート
No.19 ド・ス / スタルカ
No.20 エイ=プール / ヴェーロノーク
No.21 カミソリ・ジョニー / ダブルエッジ
No.22 スピン / コルグ
No.23 フランソワ=ネリス / バッカニア
No.24 Missing
No.25 リズム / ヒップギグ
No.26 ミョミョ / エリザベス
No.27 パッチ、ザ・グッドラック / ノーカウント
No.28 ダン・モロ / セレブリティ・アッシュ
No.29 オンリー / アリャ太
No.30 ミセス・テレジア / カリオン
  No.31 Missing
138 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/03(金) 03:10:27.08 ID:HWYXMn.0
>>137
最後ちょっとずれちゃった……

今回は以上です。
ついでに

アリャ太 ランクマッチ仕様
ttp://uproda.2ch-library.com/287465PyV/lib287465.jpg
カリオン
ttp://uproda.2ch-library.com/2874661YZ/lib287466.jpg

次の予定は、来週の火曜日か水曜日です。
どうもありがとうございました!!
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/03(金) 05:22:59.77 ID:HtVlj.AO
140 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/09(木) 02:45:11.34 ID:ICNqr6I0
どうもです。
それでは投下します。


翌日、唯達は再び、カラード本部を訪れていた。
目的はもちろんランクマッチであり、今回の対戦相手はNo.28 ダン・モロだ。

「テレジアのおばあちゃん、強かったね」

ランクマッチの申請を終え、シミュレーションルームに向かっている道中に唯が言う。

「そうね、でもあの実力でランク29だったなんて……」

どうも納得がいかない、といった面持ちで和が答える。

「そうだね、っていうことは、今日戦う人はもっと強いってことだよねぇ……」

唯は表情を強張らせながら呟いた。

「どうかしら……」

和が訝しげな口調で返す。

「えっ?どういうこと?」

「そのうちにわかるわ、私の勘だけどね」
141 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/09(木) 02:46:11.52 ID:ICNqr6I0
会話をしているうちにシミュレーションルームに到着した。
和がノックをするが、いくら待っても返事がない。

「まだ来ていないのかしら……?」

そう言ってドアを開くと、殺風景な空間にシミュレーターが二台あるだけで、ダン・モロは見当たらない。

「まだみたいだねぇ」

ひょっこりと入口から部屋を覗きながら、唯が退屈そうに言った。

「仕方ないわ、予定時間まであと10分あるもの、少し待ちましょう」

シミュレーターの傍らのベンチに腰掛けつつ、和が唯に言う。

「はーい……」

―――――――――
10分経過

「まぁ、少し遅れることもあるわよ」

「そうだねぇー」
142 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/09(木) 02:47:38.12 ID:ICNqr6I0
―――――――――
さらに10分経過

「遅くなーい?和ちゃーん」

「私たちもテレジアさんを待たせてしまったことだし、これくらい我慢しましょう?」

―――――――――
さらにさらに10分経過

「すまねぇ!!遅れちまった!!」

ドアを豪快に開き、大声で詫びながら、一人の男性が入室してきた。

「おーそーいーよー」

唯が入ってきた男に不満をぶつける。

「こらっ、唯!どうもはじめまして、No.28 ダン・モロさんですね?」

唯を叱りながら、和が男に確認をとる。

「おおよ!!俺がダン・モロだ!!」

大げさなジェスチャーを交えつつ、ダンが答える。
その容姿を見ると、短く切り揃え、ツンツンに立たせたオレンジ色の頭髪
オレンジ色を基調とし、ブルーのラインをあしらったパイロットスーツ。
143 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/09(木) 02:49:13.47 ID:ICNqr6I0
「派手な人だね……和ちゃん」

「そうね……流石にセンスを疑うわ」

唯が小声で率直な感想を述べ、和がそれに同意した。

「お嬢ちゃん、テレジアのばあさんに、こっぴどくやられたみてぇだな!!」

「テレジアのばあさんに辛勝するようじゃあ、俺にゃ勝てないぜ!!」

大声でダンが唯に向かって言った。

「出来る限り頑張ります!!」

少々ムッとしながら、唯が会釈しつつ答えた。

「さぁーて!、待たせちまったお詫びに、さっさと終わらせちまうかなぁ〜♪」

ダンが鼻歌交じりにシミュレーターに向かう。

「唯……ちょっと」

唯もシミュレーターに向かおうとしたその時、和が唯をひきとめた。
144 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/09(木) 02:50:46.35 ID:ICNqr6I0
「どうしたの和ちゃ…ん?」

振り向いた唯が困惑気味に問う、和の表情が般若のごとく歪んでいたからだ。

「あんなダサい野郎に負けちゃダメよ」

いつもより荒い口調で、しかし静かに和が言う。

「は、はい……頑張ります」

顔を引きつらせながら唯が言った。

「頑張ってね」

その時にはいつもの和に戻っていた。

「い、いってきま〜す」

そう言うと、唯は足早にシミュレーターへと向かった。
145 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/09/09(木) 02:52:09.15 ID:ICNqr6I0
今回は短いですが、以上になります。
次は多分、土曜日に投下できると思いますです。
どうもありがとうございました!!
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 17:06:27.21 ID:AwfHdEDO
ここまでスコーチャーが似合わない首輪付きもないな
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 19:26:21.14 ID:SZeDb2AO


奴のヘタレっぷりに期待
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/15(水) 09:32:12.25 ID:BkVmRMDO
穴≡
149 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/09/15(水) 10:54:21.73 ID:qIXIBkAO
報告できず、スミマセン
数日間家を離れてました。
今から帰るので、今日の夜中くらいには投下出来ると思います。
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/15(水) 17:26:22.74 ID:tD3cLSIo

気をつけて帰っておいで
151 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/16(木) 12:59:03.32 ID:PNUaz1Y0
>>150
ただいまです

お待たせしました。
投下します。



今回のフィールドはダンの希望でオールドピースシティが選ばれた。
前回の砂漠とは違って、廃ビルが障害物として立ち並んでいる。

「準備はいいかぁ?お嬢さん」

オレンジとブルーを基調としたバランス型の中量二脚型ネクスト、セレブリティ・アッシュに搭乗したダンが言う。

「いつでも大丈夫です!」

同じく愛機に搭乗した唯がダンに返す。

「よっしゃ!ドンと来い!!」

「はい!!」

唯は廃ビルを縫うようにアリャ太を高速で進ませる。
すると、セレブリティ・アッシュが見えてきた。
どういうわけか、スタート地点で仁王立ちしたままである。
152 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/16(木) 13:00:32.39 ID:PNUaz1Y0
「挑戦者を待つチャンピオンって感じだね……」

唯が少し不快そうに呟くも油断はしなかった。
ダンの行動が自らの自信の表れだと思ったからである。

「一気にいくよ!!」

そう言うと唯はセレブリティ・アッシュとの距離を縮めながら、両手の火器を撃ち込む。
その直後、セレブリティ・アッシュは動き出したが、どうも様子がおかしい。

「うわっ!ちょっと!!あぶねぇ!!」

無線から聞こえてくるダンの声が、明らかに動揺している。
先程の自信満々だった態度とは大違いだ。

「くそっ!!お返しだ!!」

ダンはセレブリティ・アッシュを後退させながら、左背の分裂ミサイルを起動、アリャ太に向けて放った。
153 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/16(木) 13:01:24.68 ID:PNUaz1Y0
「!!」

唯はアリャ太の右手に握らせているマシンガンを迫りくるミサイルに向けた。
その間も左手のアサルトライフルはセレブリティ・アッシュに牙をむいている。
しかし、唯がミサイルの迎撃態勢をとったにも関わらず、当のミサイルはアリャ太の脇を通り抜けて行った。

「へ?」

唯が思わず素っ頓狂な声を上げる。
恐らく、ミサイルのロックオンが行われていなかったのであろう、そのために追尾をしなかったのだ。

「もしかして、私の気を攻撃から逸らすためにわざと?」

「えっ……おうよ!!そのとおり、よく気づいたな!!」

無線に拾われないように呟いたつもりが、ダンからの返事が聞こえてきた。

「だったら!」

唯がアリャ太を前方にQBさせ、肩部のフラッシュロケットを放った。
154 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/16(木) 13:02:40.42 ID:PNUaz1Y0
「えっ?嘘だろ?」

ダンは回避しようとするが間に合わず、フラッシュロケットがセレブリティ・アッシュに直撃した。

「うおぉっ!まぶしっ!!」

無線からダンの絶叫が聞こえてくるが無視して、唯はアリャ太のプラズマキャノンを起動した。

「甘いな!!お嬢ちゃん!こっちにはレーダーが……あれ?」

レーダーでアリャ太の位置を確認しようとしたダンだが、レーダーにノイズが生じており、使い物にならなかった。
唯がセレブリティ・アッシュの近くの廃ビルにプラズマキャノンを撃ち込み、発生させた疑似ECMだ。

「えっ?あれ……ちょっとぉ!?」

それに気づかず、ダンはセレブリティ・アッシュをふらふらさせている。
左手のライフルを撃ってはいるものの、その弾丸は明後日の方向に飛んで行っている。

「今だっ!!」

アリャ太を加速させながら、唯はマシンガンとプラズマキャノンをセレブリティ・アッシュに向ける。
155 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/16(木) 13:04:01.16 ID:PNUaz1Y0
「待てよっ!待てって!タイムタイムぅ!!」

ダンが慌てて回避しようとするが、反応速度が遅く、マシンガンの弾とプラズマを体全体で受け止めてから、左にQBしていった。

「ひぃっ!!無理無理!!死ぬぅ!!」

これがシミュレーションということを忘れているのか、涙声で絶叫しつつOBを起動、
アリャ太に背を向け、全速力で戦闘領域外へと向かって行った。
つまるところ、エリアオーバーだ。

「えっ……?」

状況が飲み込めず、唯は立ち尽くしていた。
それもそのはずだ、対戦相手が勝負を捨てて逃亡したのだから。

「私の勝ち……なんだよね……?」

アリャ太はほとんど無傷、対戦相手がエリアオーバー、この状況から唯の勝利以外の答えは見えてこない。

「あの人って……ほんとは弱い?」

唯は小首を傾げながらシミュレーターから出てきた。


ランクマッチ: VS No.28 ダン・モロ 勝利
156 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/16(木) 13:04:39.14 ID:PNUaz1Y0
No.1 オッツダルヴァ / ステイシス
No.2 リリウム・ウォルコット / アンビエント
No.3 ウィン・D・ファンション / レイテルパラッシュ
No.4 ローディー / フィードバック
No.5 ジェラルド・ジェンドリン / ノブリス・オブリージュ
No.6 スティレット / レ・ザネ・フォル
No.7 ロイ・ザーランド / マイブリス
No.8 王小龍 / ストリクス・クアドロ
No.9 Unknown / ホワイト・グリント
No.10 ハリ / クラースナヤ
No.11 ダリオ・エンピオ / トラセンド
No.12 アズ / むったん
No.13 ヤン / ブラインドボルド
No.14 Missing
No.15 シャミア・ラヴィラヴィ / レッドラム
No.16 有澤隆文 / 雷電
No.17 CUBE / フラジール
No.18 メイ・グリンフィールド / メリーゲート
No.19 ド・ス / スタルカ
No.20 エイ=プール / ヴェーロノーク
No.21 カミソリ・ジョニー / ダブルエッジ
No.22 スピン / コルグ
No.23 フランソワ=ネリス / バッカニア
No.24 Missing
No.25 リズム / ヒップギグ
No.26 ミョミョ / エリザベス
No.27 パッチ、ザ・グッドラック / ノーカウント
No.28 オンリー / アリャ太
No.29 ダン・モロ / セレブリティ・アッシュ
No.30 ミセス・テレジア / カリオン
  No.31 Missing
157 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/09/16(木) 13:08:39.19 ID:PNUaz1Y0
>>156
またずれてる……

今回は以上です。
ありがとうございました!!

セレブリティ・アッシュ
ttp://uproda.2ch-library.com/291965Qyf/lib291965.jpg
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/16(木) 14:04:51.46 ID:HML/ycAO


そういえばカニスがいないな…
159 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/09/16(木) 16:03:23.61 ID:Hs6e.QAO
>>158
メンバーのポジション確保のため、退場していただきました。
いいキャラしてましたけどね……
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/16(木) 18:25:24.48 ID:wiLF9ew0
面白い!支援
161 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/09/18(土) 22:33:43.57 ID:pydv3oAO
忘れてました。
次の投下予定は水曜日か木曜日です。
よろしくお願いします。
162 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/24(金) 02:24:43.62 ID:wlqvkew0
遅くなりましたが、投下します。


唯より少し遅れてダンがシミュレーターから出てきた。
その顔は悪夢から目覚めたばかり、といった表情でランクマッチを行う前と同一人物とは思えなかった。

「あなたが言ってた通り、お早い決着だったわねぇ?」

珍しく嫌味な言葉を和はダンに投げかけた。

「マジかよ……なんで……」

その言葉を受けても、ダンの表情は変わらず、ブツブツと呟いたままだ。

「ちょっと!!」

「ひ、ひいぃ!!」

和が語調を荒げ、ダンがそれに対して情けない悲鳴を上げる。

「あなた、ミセス・テレジアと対戦をしたことは?」

「あっ、それ私も気になったんだぁ」

不機嫌な和を恐れて距離を置き、会話を聞いていた唯だが、自身が関心を持っていた話題が出ると、話の輪に参加してきた。
163 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/24(金) 02:26:36.30 ID:wlqvkew0
「ね、ねえよ!あのばあさんは俺より遅れてカラードに登録したんだ……」

和の怒号により、正気に戻ったダンはオドオドと質問に答えた。

「対戦したことが無いのに、さっきは対戦したことがあるような口ぶりだったわね」

「ランクが下だし……あのばあさんから対戦の依頼が来ねぇんだよ」

和に脅えながらダンが言う。その姿はガキ大将を前にした、いじめられっ子のようだ。

「それだけの理由で、おばあちゃんが格下だと思っちゃったの?」

「う……、そ、そうだよ!」

唯の問いかけにダンが、半ば開き直ったように答えた。

「埒があかないわ……唯、行きましょう」

ダンへ凍てつくような視線を送りつつ、和が唯に呼び掛ける。

「う、うん!じゃあ、今日はありがとうございました!!」

出口に向かう和を慌てて追いながら、唯がダンに会釈した。

「お、おうよ!またな!!」

脅威が去ることに安堵したダンが、唯に元気な声で別れを告げた。
164 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/24(金) 02:30:36.60 ID:wlqvkew0
―――――――――

シミュレーションルームを出た唯達は、再びカラード本部受付へと来ていた。
その目的は、ミセス・テレジアとコンタクトをとるためであった。
企業専属のリンクスであれば、企業を通じて容易に連絡がとれるのだが、独立傭兵の場合そうはいかない。
カラードの居住区を住まいとしている者もいるが、輸送機で各地を転々とし、連絡先も最低限の人物にしか知らせていないものもいるのだ。
いかにリンクスといえども、ネクストに搭乗していなければただの人間、襲撃を受けたらひとたまりもない、ゆえに自身の情報は極力公開しない。
唯のように、リンクスネームに偽名を用いる者がいるのも、そのような事態を危惧してのことだ。

「では、一度No.30 ミセス・テレジア本人に確認をとらせていただきます」

相も変わらず、カラード本部の受付嬢は笑顔で対応している。

「えぇ、お願いするわ」

「かしこまりました。本人の許可が下り次第、あなた方へ連絡させていただきます。」

「わかったわ、唯、帰りましょう」

「はーい」

和と受付嬢のやり取りを興味なさげに見ていた唯だが、和に声をかけられると明るく返した。

「それにしても、なぜテレジアさんはランクを上げようとしないのかしら?」

「いや、そもそもオリジナルである彼女がなぜ、カラードの登録に遅れたのかしら?」

居住区へと続く廊下を歩きながら、和が一人呟く。
165 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/24(金) 02:31:12.68 ID:wlqvkew0
「忘れてたんだよ、きっと」

和の呟きに対して唯が、ありえない答えで返す。

「そんなはずないわ」

唯の答えは和によってバッサリと切り捨てられた。
そもそもネクストを運用するためには、カラードに登録していなければならない。
カラード設立以前から、リンクス…しかもオリジナルだった彼女をカラードが見過ごすはずない。
それに彼女自身も、そのことについては重々承知しているだろう。そう和は考えた。

「カラードが目を瞑ったとでもいうの?」

「でもその理由が……いえ、それは本人に聞くべきでしょうね」

「和ちゃん?お〜い和ちゃ―ん!?」

一人思考に耽る和を唯は不思議そうに見つめていた。
166 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/09/24(金) 02:33:23.88 ID:wlqvkew0
今回は以上です。
次回も戦闘シーンは無い予定です。投下は日曜日か月曜日になるかと……遅筆でスミマセン
ありがとうございました!!
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/24(金) 07:50:14.64 ID:pdgp6X2o

季節の変わり目だから体調気をつけて
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/24(金) 14:42:10.80 ID:A5Njd2AO
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/27(月) 19:50:42.42 ID:b6TMrxko
追いついた。読者少なそうだなぁw
でも期待して待ってる。
170 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/27(月) 21:19:42.98 ID:g8KMGBE0
>>167
ありがとうございます。
急に冷え込みましたね、寒さには強いのでご心配なく。

>>169
そう言っていただけると、「思いつきで書き始めたものの書いてて良かった」と思えます。
遅筆ですが、お付き合いください。

それでは投下します。

翌日、和の部屋に置かれている端末にカラードからテレジアの許可がとれたという旨のメールが届いていた。
そして、そのメールにはNo.30 ミセス・テレジアの連絡先が添付されていた。

「この時間なら問題ないわよね?」

和は正午を指す時計を見ながら呟いた。

「唯はまだ眠っているし、今のうちに連絡してみましょう」

そう言って、和は端末にテレジアの連絡先を打ち込み、インカムを装着した。
呼び出し音がしばらく続いていたが、不意に呼び出し音が消えたと思うと、代わりに老年を思わせる女性の声が聞こえてきた。
171 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/27(月) 21:21:10.33 ID:g8KMGBE0
「お久しぶりね、オンリーちゃんのオペレーターさん」

通話の開始と同時、端末に穏やかな老女が映し出された。

「突然の失礼、お詫び申し上げます。ミセス・テレジア」

「今回、連絡させていただいたのは、個人的にお聞きしたいことがありまして」

和が丁寧な口調で用件を伝える。

「あらあら、そんなにかしこまらなくてもいいのよ」

「それで、聞きたいことって何かしら?」

テレジアも穏やかな口調を崩すことなく和に尋ねる。

「はい…、まず1つ目が『なぜ、あなたはカラードに登録されたのが遅かったのか』です」

和が一呼吸置いて、テレジアに質問をぶつける。

「やっぱり、気になった?」

「そうね、話すと長くなるけれどいいかしら?」

「ええ、お願いします」

「ところでこの回線は、盗聴や傍受の心配はない?」

突然、テレジアの表情が少し、ほんの少しだけ険しくなる。
172 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/27(月) 21:23:31.74 ID:g8KMGBE0
「は、はい、問題ありません」

和がテレジアに気圧されながらも答える。まるで怖い上司を前にしたようだ。

「そう、なら安心ね」

「信頼……していただけるのですか?」

「もちろんよ」

「こんな可愛いお嬢さんが嘘をつくはずがないわ……ねっ?」

テレジアが微笑みながら言う。

「お嬢さん……ね」

和がインカムに拾われない程度の声で、バツが悪そうに呟く。

「じゃあ、始めるわね……」

「私がオリジナルだったのはご存知…ね、その様子だと」

「リンクス戦争の後、ネクストの強大すぎる力を恐れて、ネクストを管理しようと創られたのがカラード」

「当時は私もすぐにカラードへ登録される予定だったわ」

「でもね、かつての私の専属企業GA(Global Armaments )ヨーロッパはGAとある兵器をめぐって対立、分離した」

「GAと分離したGAヨーロッパは必死に生き残ろうとしたの、そこで目をつけられたのが私だった」

テレジアは悲しそうに呟き、和は話を遮らないように無言で相槌を打っている。
173 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/27(月) 21:24:53.70 ID:g8KMGBE0
「GAヨーロッパは創設されて間も無く、力も無いカラードをなけなしのお金で懐柔したの」

「その後……存在そのものを黙認された私はGAヨーロッパに汚い仕事をさせられたわ」

「そこから生まれた資金を元に新興企業ト―ラスが誕生したわけよ」

「私はト―ラスができた後にカラードに登録された……だからこのランクというわけね」

「そんなことが……」

和がテレジアの話を聞き、伏し目がちに言った。

「で、ですが、なぜ汚れ仕事を?断ることもできたんじゃ……」

「旦那と子供のクレイドル永住権が……その仕事の成功と引き換えだったのよ」

「なっ……!?」

テレジアの言葉に和が絶句する。
174 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/09/27(月) 21:28:01.66 ID:g8KMGBE0
「笑って頂戴」

テレジアが自重気味に言う。

「思い出したくもなかったでしょうに……つらいことを聞いてすみません」

「いいのよ、それにあなたたちだからこそ知ってほしかったのよ」

「それじゃあ、次の質問はなにかしら?」

先程の悲しそうな表情を感じさせないような笑顔でテレジアが言った。その笑顔は女性の強さを象徴しているようだ。

「では、次にお聞きしたいことは『あなたはなぜ、ランクを上げようとしないのか』です」
175 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/09/27(月) 21:30:56.06 ID:g8KMGBE0
今日のところは以上です。
まだまだテレジアおばあちゃんのお話が続きますが、完全に>>1の妄想と独自解釈です。
あの強さでダンよりランクが下なんて、信じられないよ……

次回は水曜か木曜になると思います。
どうもありがとうございました!!
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/27(月) 22:59:14.44 ID:LIXSpYAO

いいコジマ脳だ
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/27(月) 23:46:54.15 ID:3EAFp1Uo
うん、いいフロム脳だな。順調に汚染は進んでいるようだ。
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 00:46:34.95 ID:wgetL6AO
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 01:59:29.61 ID:Ni9qCwko
コジマは、まずい…
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/29(水) 03:42:46.15 ID:Vd.C3cDO
優秀なコジマ脳だな
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 17:32:26.39 ID:fnonXoQo
今夜来るかな?
182 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 01:06:15.01 ID:nC//bS20
お待たせしました。
それでは投下します。

テレジアが口をキュッと閉め、和を見据えながら言う。

「リンクスを減らしたいのよ」

「リンクスを?」

テレジアの言葉に和は首を傾げる。

「才能(AMS適性)さえあれば、年齢なんか関係無く、ネクストに乗せられ、戦場に繰り出し」

「他人の命を奪うし、自分だって何時死ぬかもわからない」

「あなたのところのリンクスよりも幼い子がネクストに搭乗し、肉塊となって帰還したこともあった!」

「そんなことがあっていいはずがないじゃないの……!!」

先程まで穏やかだったテレジアの口調が唐突に荒くなる。自分自身を苛んでいるようだ。

「では、あなたはわざと下位ランクに留まり、新人リンクスを叩き潰すことで、自信を失わせ……リンクスの道を閉ざすために?」

和が、信じられないといった面持ちでテレジアに問いかける。
183 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 01:07:12.74 ID:nC//bS20
「ええ、そうよ、綺麗事だと言われるかもしれない!なにを今更と言われるかもしれない!」

「でも……それしかないのよ、現に私に敗れることで、何人ものリンクスがカラードを去ったわ」

「私の汚れきった手では、そんなことしか出来ないのよ……」

テレジアの口調が打って変わって、諦めとも、嘆きともとれる口調になった。

「そんなことないよ!!」

突然この場にいないはずの、人物の声が響き渡る。

「唯!?」

和が慌てて振り向く。
そこには寝ていたはずの唯が立っていた。

「和ちゃん、ちょっと貸して!」

唯が和のインカムを半ば強引に奪い取る。

「あら、ごめんなさいねぇ、起こしちゃったかしら?」

テレジアが何事も無かったかのように、いつもの笑顔で問いかける。
184 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 01:08:16.75 ID:nC//bS20
「とぼけないでよ!」

唯が珍しく声を荒げる。

「全部……聞いてたよ……」

「なんで……おばあちゃんみたいなイイ人がそんなに苦しまなきゃいけないの?」

唯が駄々っ子のように涙ぐみ、テレジアに向けて言う。

「お嬢さん、全部聞いていたならわかるでしょう?私はイイ人なんかじゃ……」

「嘘だよ!!」

テレジアの言葉を遮り、唯が吼えた。

「ランクマッチの時の笑顔は本物でしょ?」

「汚いお仕事だって、家族のために仕方なくやったんでしょ?」

「だったら!おばあちゃんは悪くなんかない!!」

「これ以上、おばあちゃんを苦しめるのなら、企業だってカラードだって関係無い!!」

「私が全部やっつけてあげる!!」

「唯……」

和が唯の方を向いたまま呟く、その表情は心なしか嬉しそうだった。
185 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 01:40:10.97 ID:nC//bS20
「もう十分だよ……自分を責めないでよ……おばあちゃん」

柄にも無く大声を上げ疲れたのか、そう言うと唯はガックリと肩を落とした。

「ありがとう……ねぇ…、そういってもらえるだけで私は嬉しいわ」

「もう平気よ……長生きしすぎると、どうしても後ろ向きになってしまう」

「やっぱり……若い子には敵わないわねぇ」

犠牲になった者が帰ってくるわけではない、過去は変わらない。
しかし、テレジアの表情は、自責の念が取り払われ、晴れ晴れとしていた。

「おばあちゃん?」

「私も歳をとったものね…、黙っていたけど、実は私を倒したのはあなただけじゃないのよ」

「あなたの挑戦の前に、あなたくらいの年頃の女の子に負けちゃったの……それも一人じゃないわ」

テレジアの言葉を聞き、唯の目の色が変わる。

「おばあちゃん、その子たちのこと詳しく聞かせてくれない?」

「ええ、いいわよ、あなたのためならお安いご用だわ」

テレジアからの情報を元に、かつての仲間達を探そうと思ったのだろう。
唯の要望をテレジアは快諾した。
186 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 01:40:59.85 ID:nC//bS20
―――――――――

「No.12 アズ、No.22 スピン、No.25 リズム、No.26 ミョミョ……この4人だね?」

「そうよ、その子たちは最近カラードに登録したばかりなんだけれど……」

「ありがとう!おばあちゃん!!」

「お礼を言うのはこっちの方よ、本当にありがとう……」

「あなたみたいな子が居てくれると、私の戦いも無駄じゃなかったと思えるわ」

テレジアが安らかな笑みを浮かべつつ、唯に感謝の意を伝える。

「また会いましょう、くれぐれも無理をしちゃダメよ」

「うん!またね!!」

その言葉を最後に通信を切った。

「またね……か」

端末が光を失い、静まり返った部屋でテレジアは一人呟く。

「うふふ、そう言われちゃうと、まだまだ死ぬわけにはいかないみたいね」
187 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 02:09:38.73 ID:nC//bS20
No.12 アズ / むったん

オ―メル専属の若き女性リンクス
かつてはテストパイロットを務めていた経歴を持ち
カラードに登録して間もないにも関わらず、確かな実力で今のランクへと登りつめた。
乗機、むったんはステイシスとは異なり、標準機LAHIREの設計コンセプトに沿った機体であり
彼女自身も得意とする、近距離における超高速戦で敵を追い詰める。


No.22 スピン / コルグ

バランス型の中量二脚を操る、若き女性リンクス
独立傭兵ではあるが、比較的ローゼンタールに近い
ランク自体はそれほど高くないものの、安定した精神を持ち
敵に合わせて戦略、使用武装を切り替える、柔軟な戦法は高く評価されている。


No.25 リズム / ヒップギグ

ごく最近カラードランクを取得した、若き女性リンクス
独立傭兵ではあるが、機体にはアルゼブラのパーツが多く使用されている
ランク26、ミョミョとの協働で成果を上げている
低いAMS適性を精神負荷を甘受することで補い
高機動空中戦を展開し、武装も似通っていることから
砂漠の狼の再来と、一部では話題になっている。


No.26 ミョミョ / エリザベス

ランク25、リズムとの協働で真価を発揮する、若き女性リンクス
独立傭兵だが、その機体には、BFF製のパーツが多く使用されており
ランク25、リズムの支援に徹底する完全な遠距離型である
気質が弱く、肝心なところでのミスが目立つが、狙撃の腕は確かなもの。
188 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/01(金) 02:18:05.05 ID:nC//bS20
むったん
ttp://uproda.2ch-library.com/297786f2G/lib297786.jpg

ヒップギグ
ttp://uproda.2ch-library.com/2977874U8/lib297787.jpg

エリザベス
ttp://uproda.2ch-library.com/297788RjS/lib297788.jpg

コルグの画像は紛失してしまったので、次回投下時にうpします。
ちなみにリンクス名は適当、ネクスト名は楽器やメーカーからとりました。
ネーミングセンスがないとか言ってはいけません。
次回は日曜日か月曜日の予定です。
ありがとございました!!
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/01(金) 08:36:08.84 ID:XYvZ.oAO


律はアマジーク設定か…

190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:28:11.14 ID:wFu96SEo
おや……
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 10:41:55.26 ID:EEN9cIAO
ゼニガメのようすが…
192 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/10/05(火) 16:47:30.29 ID:hDyqnIAO
スミマセン。
パソコンが占拠されていました。
今日か明日の夜中には投下します。

>>191
進化キャンセル
193 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/06(水) 21:42:05.13 ID:eKczLZg0
ゼニガメは進化しない方が可愛いのです……
お待たせしました。
それでは投下します。


「これが……みんな、なのかな?」

カラードから送られてきたデータに目を通しながら、唯が和に問いかける。

「その可能性は大いにあるわね」

唯の問いかけに和がデータを見つめたまま頷く。

「そうだよね!機体だって、あの時とほとんど変わっていないし」

和の反応を見て、喜びを隠しきれない、といった様子で唯が言う。

「でもね、唯」

その様子を見て、和は言いにくそうに告げる。

「この四人のうち、連絡先をカラードから教えてもらえたのはNo.22 スピンだけなの」
194 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/06(水) 21:44:30.61 ID:eKczLZg0
「No.12 アズはオ―メルサイエンス自体がコンタクトを拒否」

「No.25 リズムとNo.26 ミョミョは本人達が、誰であろうと一切、情報の提供はしないよう、カラードに言っていたらしいわ」

「まぁ、独立傭兵であれば珍しいことでもないけどね」

「そう……なんだ」

その知らせを聞いて、唯がガックリと肩を落とした。

「仕方がないわよ、一人だけでも、連絡先がわかったってことで良しとしましょう?」

和が肩を落とした唯の顔を覗き込みながら言った。

「うん!残りの三人にもランクマッチでいつか会えるよね!!」

「そうよ、気を落とさないの!」
195 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/06(水) 21:46:07.59 ID:eKczLZg0
笑顔を取り戻した唯を見て、安心する和であったが、その表情はわずかに曇っていた。
唯のかつての仲間達がリンクスになり、テレジアに勝利し、未だ現役ということは
いずれは唯と戦場で、しかも最悪の場合、倒すべき敵として再会してしまうかもしれない
もし、そうなってしまった場合、自分は唯にその相手を撃破するよう指示することができるのだろうか?
敵を倒さなければ自分が死ぬ、そんな状況で倒すべき敵が、かつての仲間だと知った唯は、まともに戦えるのだろうか?
そう考えていると、どうしても気が晴れない、勿論そのような危険があるミッションを受けるつもりはないが……

「和ちゃん?」

「いえ、なんでもないわ」

心配そうに声をかけてきた唯に優しく言葉を返す。

「そうそうNo.22 スピンのことなんだけど、どうやら今はミッション遂行中みたいなのよ」

「え〜?そうなのぉ?」

気持ちを切り替えた和の言葉に、唯は不服そうに聞き返した。

「残念だけど、直接連絡をとれるのは、最低でも明日以降でしょうね」

「まぁ、しょうがないよね〜」

「それに、No.27 パッチ、ザ・グッドラックへ送ったランクマッチの申請もまだ返事が無いわ」

「じゃあ、今日はなんにもできないよぉ」

「いいのよ、たまには何もしない日があっても」
196 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/06(水) 21:47:58.51 ID:eKczLZg0
「はぁ……うぅクソがぁ……!!」

辺り一面、砂と廃墟しか存在しない荒野を深い青色の逆関節型ネクストが疾走していた。
方角的に見て、その行き先は『キタサキジャンクション』で間違いないだろう。

「調子はいかがです?パッチ、ザ・グッドラック」

無線を通して男の声が聞こえる。その声はネットリと纏わりつくようで気持ちのいいものではない。
声の主がネクストの搭乗者の名をパッチ、ザ・グッドラックと呼んだということは、逆関節型ネクストはノーカウントであろう。

「うるせぇ!!い、いいわけないだろうが!」

その声に苛立ったのか、パッチが声を荒げる。しかし、その言葉とは裏腹に声は震えていた。
いつの間にか、ノーカウントの両脇にはそれぞれ二体のネクストが並んでいた。
一体が黒と茶色を基調とした、ノーカウントと同じく逆関節型ネクスト。
もう一体が淡い緑色をベースとした、特徴的なフレームの四脚型ネクスト。
どちらの機体もカラードには登録されていない、俗に言う『イレギュラー』だ。
197 : ◆crj5rcA1jk [saga]:2010/10/06(水) 21:51:31.58 ID:eKczLZg0
「それは失礼しました、ブッパ、あなたの調子はいかがですか?」

黒茶の逆関節型ネクストのリンクスがもう一人のイレギュラーに問う。

「………………」

しかし、返ってきたのは長い沈黙のみであった。

「やれやれ、もうすでに狩猟態勢ですか」

「まぁ、構いません、お二方……派手にいきましょう!!」

長らく平定だった世界の水面下では、何かが動き始めていた。
198 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2010/10/06(水) 21:54:44.60 ID:eKczLZg0
今回は以上です。
コルグの画像については、もう少々お待ち下さい(デジカメが見つからない……)
次回は金曜日から日曜日あたりに投下予定です。
ありがとうございました!!
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 23:36:41.85 ID:4XFJUYAO
この感覚…
>>1乙!!
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 17:18:18.83 ID:rGvTfIAO
オリジナル機体のアセンが知りたいかも……
201 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2010/10/12(火) 20:27:29.07 ID:.Q6pMEAO
スミマセン
投下遅れそうです。
もうしばらくお待ち下さい。

>>200
PS3でしたらID晒すんで、デザイントレードしますか?
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/01(月) 19:47:35.64 ID:yqksH2AO
俺は待つ
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 01:33:18.43 ID:vtOMarg0
こんなスレがあったとは……最初目を疑ったぜ
今後も読者としてサテライトさせてもらおう
だがどーしてもこれだけは言わせてくれ





何 故 混 ぜ た し
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 16:43:52.36 ID:35nwjIAO
生存報告ぐらいはしてほしいな
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 01:30:53.70 ID:UIj4fOg0
一月越したか…楽しみにしてたんだがもうダメかね?
206 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 21:41:25.60 ID:...2UIAO
じょ、冗談じゃ…
207 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/22(月) 22:14:08.51 ID:658neISO
お、おい、夢なら覚め…
208 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 14:21:14.89 ID:RgrigwAO
ノーカウントだ!!ノーカウント!!
209 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 17:57:15.90 ID:rgIMSoDO
コジマ汚染にやられたのか…
210 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 01:31:36.98 ID:4x6OS6AO
まだです、まだ落ちませんよ
211 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 00:49:54.30 ID:pZvCUEAO
>>1など、どこにも居ないさ、オッツダルヴァ
212 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 09:48:21.27 ID:NTDPQQAO
待ってる
213 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 13:34:45.10 ID:IGNIWTMo
日記はここで終わっている…
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 04:09:05.27 ID:6crb5Kko
せっかく追いついたと思ったら終わっていたでござる
215 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2011/01/12(水) 01:51:36.83 ID:WLs9F3yE0
酉変わってないよね?

長いことお待たせして申し訳ありません。
生存報告くらいはさせていただくべきでしたね、本当にスミマセン
216 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2011/01/12(水) 01:53:27.75 ID:WLs9F3yE0
言い訳はしません。
ただ投下させていただきます。再びお付き合いいただければ幸いです。

ミッションの概要を説明します
ミッションターゲットは
キタサキジャンクションを占拠するネクスト、2体です
1体はノーカウント
ランク27の逆脚タイプ
もう1体の四脚タイプは、詳細が確認できていません
今回は、細かなミッションプランはありません
あなたにすべてお任せします。ターゲットを破壊してください
なお、ユニオンは支援機の採用を認めています
候補はこちらで揃えましたので、必要であれば採用してください
ミッションの概要は以上です
ユニオンは、このミッションを重視しています
成功すれば、あなたの評価は更に高いものとなるはずです
よいお返事を期待していますね
217 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2011/01/12(水) 01:55:04.70 ID:WLs9F3yE0
「…だってさ、どうするの唯?」

「久しぶりのミッションにしては、少し危険すぎると思うのだけれど……」

翌朝、唯達が目覚めるとインテリオルユニオンから、ミッションを依頼する旨のメールが届いていた。

「行くよ!!」

和の問いかけに間髪入れず、唯は元気よく返事をする。

「どうしてもというのなら、止めはしないわ」

半ば呆れ気味に和が唯に向かい言う。

「ただし、支援機はつけること!いいわね!?」

子供に約束をさせるが如く、和が唯に言い放った。
その言葉に唯はたじろぎながらも了解した。

「よし!」

唯の反応を見るや否や、端末に向かい何かを確認し始めた。
218 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2011/01/12(水) 01:57:43.99 ID:WLs9F3yE0
「支援機候補はNo.20 エイ=プール、No.7 ロイ・ザーランドにNo.3 ウィン・D・ファンションか……」

「エイ=プールは少し危なっかしいところがあるし、ロイ・ザーランドは軽い男のようだし……」

「うん!やっぱり、ウィン・D・ファンションが一番いいかしらね」

「ランクが高いというのもあるけど、この子なら唯を任せられるわ」

どうやら支援機の品定めをしているらしい和を尻目に、唯は依頼文を読み返していた。

「次のランクマッチをするはずだった相手が作戦目標か…」

和がまるで支援機のリンクスを知っているかのように呟いているのは気になるが
今はそれどころではなかった。
久しぶりの戦場、シミュレーションではない、負ければ待っているのは死
寒くもないのに体の震えが止まらない、原因はわかっている恐怖≠セ

「憂…」

声にもならないような声で呟く。
それと同時に震えを噛み締めるように無理矢理止める。
――大丈夫――
覚悟を新たに唯はロッカーへと向かった。
219 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2011/01/12(水) 01:59:09.27 ID:WLs9F3yE0
―――――――――

「唯、もうすぐキタサキジャンクションに到着するわ」

そう和が告げる。
アリャ太と唯を乗せた輸送機はキタサキジャンクションに向かっていた。

「これ以上の接近は輸送機ごと撃墜される恐れがある……」

「いつでもいけるわよね?」

「もちのろんだよ和ちゃん!!」

和の問いかけに、唯は相変わらずおどけて返す。
会話だけを聞いていると、そこ戦場であることを忘れてしまいそうである。
すでにAMS接続を済ませていた唯は投下に備える。
今回のアリャ太は右手にオ―メル製アサルトライフル、MARVEの流れを汲む尖鋭的なデザインが特徴だ。
左手には旧レイレナード製大型マシンガン、右背にはアルドラ製グレネード、左背にはオ―メル製近距離戦用レーダー
そして両肩にはBFF製のフレアが積まれている。
220 : ◆crj5rcA1jk [sage]:2011/01/12(水) 02:00:25.09 ID:WLs9F3yE0
「ハッチを開くわよ!」

和がそういった直後に輸送機後部のハッチがゆっくりと開く。
唯がアリャ太を歩かせ、ハッチにたどり着く、その眼下にはキタサキジャンクションが広がっていた。
道路が立体的に絡み合っており、無数の蛇がとぐろを巻いているかのようだ。

「アリャ太行きます!」

唯はそう言うと、アリャ太を軽くジャンプさせハッチから飛び降りた。
ゆっくりと垂直方向にブーストを噴かし、落下速度を[ピーーー]。
アリャ太が無事着地するのに少し遅れ、すぐ真横に細身で丸みを帯びた真鍮色のネクストが降り立った。
――レイテルパラッシュ―― No.3 ウィン・D・ファンションの愛機だ。
その苛烈な戦い方とEN兵器を主兵装としていることから、GAの災厄と呼ばれている。
僚機としてはこれ以上望めないほど頼れる存在だろう。
221 : ◆crj5rcA1jk [sage saga]:2011/01/12(水) 02:03:29.19 ID:WLs9F3yE0
>>220
忘れてました…

「ハッチを開くわよ!」

和がそういった直後に輸送機後部のハッチがゆっくりと開く。
唯がアリャ太を歩かせ、ハッチにたどり着く、その眼下にはキタサキジャンクションが広がっていた。
道路が立体的に絡み合っており、無数の蛇がとぐろを巻いているかのようだ。

「アリャ太行きます!」

唯はそう言うと、アリャ太を軽くジャンプさせハッチから飛び降りた。
ゆっくりと垂直方向にブーストを噴かし、落下速度を殺す。
アリャ太が無事着地するのに少し遅れ、すぐ真横に細身で丸みを帯びた真鍮色のネクストが降り立った。
――レイテルパラッシュ―― No.3 ウィン・D・ファンションの愛機だ。
その苛烈な戦い方とEN兵器を主兵装としていることから、GAの災厄と呼ばれている。
僚機としてはこれ以上望めないほど頼れる存在だろう。
222 : ◆crj5rcA1jk :2011/01/12(水) 02:05:05.16 ID:WLs9F3yE0
今回は以上です。
何回も言いますが、本当に申し訳ありませんでした。
次回の投下は未定ですが、恐らくは来週以降になるかと……
ありがとうございました!!
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 08:01:06.25 ID:jOsLSi3AO
ハッハー!!!!!!

期待してるぜメェルツェエエエエル!!!!!
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 15:41:42.75 ID:FoKS75mSO
この程度で焦っていたのですか

やはりモロいですね我々は
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 17:37:46.13 ID:roR1x6qAO
クソ、センター試験が明後日なのにこんなスレを!

私は何かされたようだ…
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 18:38:12.98 ID:OlEKz4TAO
遅かったじゃないか…
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/14(金) 07:48:59.63 ID:IoEetwYSO
移転するってよ
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

228 : ◆crj5rcA1jk :2011/01/16(日) 01:47:26.59 ID:S0epdmyi0
>>227
ありがとうございます!!

移転先でのスレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295109958/

SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

229 : ◆crj5rcA1jk :2011/01/16(日) 13:43:47.21 ID:EFPVCfcAO
削除依頼出しますね
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

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