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浜面「歯ァ食いしばれ!三下ァ!」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/21(月) 13:58:31.14 ID:M4P8CVA0
VIPで「浜面がカリキュラムにより能力が発現していたSSってないよね」なんてレスを見てネタをパクりました。

能力が発現してて、上条さんと同じ学校に入学してたり、実は暗い過去を持っていたりなんかしてます。
かなり違う点があるから嫌な人は見ない方がいいかも。
口調などもいまいち把握してないので、その都度、指摘してくれると助かります。
稚拙な文章だけど、至って真面目です。
能力については、細けぇこたぁいいんだよ でお願いします。
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=^・ω・^= ぬこ神社 Part125《ぬこみくじ・猫育成ゲーム》 @ 2024/03/29(金) 17:12:24.43 ID:jZB3xFnv0
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VIPでTW ★5 @ 2024/03/29(金) 09:54:48.69 ID:aP+hFwQR0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711673687/

小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
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旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:00:28.56 ID:M4P8CVA0
あーだりい」

今日も天気は快晴。
しかしこの男、浜面仕上の心は曇り。
何故なら、現在八時十五分。

「完全に遅刻だ…」

重たい体を起こし、洗面台へ向かい顔を洗って適当に髪の毛をセット。
この時点で時計を見てみたら、既に八時二十分。

「あああ間に合わねえええ」

そう独り言を呟くと朝飯など食べる余裕も無く、パパっと制服に着替え家を飛び出して行った。

学校までの道のりをかなり本気を出して走ること五分。
「次の角を曲がればもう目の前だ!」などと考えながら角を曲がったその時。

「うぉぉぉ!危ねぇぇ!」

古典的でかつ王道な恋愛漫画的な展開が待っていた。
そう、女の子とぶつかったのである。
浜面とぶつかり、尻餅を着いていたその少女はショートカットが似合っていて、かなり眠たそうな顔で浜面を見上げていた。

(可愛い…ってそんな場合じゃない)

「だ、大丈夫?」

「大丈夫。あなたは?」

「あぁ、大丈夫」

こんな少女に逆に心配されて情けない気持ちになった浜面だったが、せめてものを思いで少女に手を差しのべながら

「ごめんな」

などと謝るが、少女の顔は無表情。
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:01:12.18 ID:M4P8CVA0
怒ってんのか? とか思っていると、少女は浜面の差し出した手を握り、ゆっくりと立ち上がった。
手を握ってきたその少女の腕には「風紀委員」と書かれた緑色の腕章が。

(げっ…風紀委員って・・・っつーか風紀委員が遅刻って!)

「もう大丈夫。ありがとう」

少女はスカートを叩きながらそういうと、そそくさに走って行った。

「え、あぁ、ほんとにごめん!」

浜面は走り去る少女の後ろ姿に向かって叫ぶと、自分も遅刻していることを思い出す。

(あああ!もうこんな時間かよ!)

そんなこんなで浜面は再び学校へ向かい走る。

現在、時刻は八時四十五分。
浜面は自分の教室のドアの前に立っていた。

(遅刻の言い訳は・・・女の子とぶつかって遅くなりました!ってだれがそんなもん信じるか!)

遅刻の理由を考え悶えていると、教室のドアが勝手に開いた。
しかし、目の前には誰も立っていない。

(あれ?)

「浜面ちゃん?そんなとこで何やってるのですかー?」

声は下から聞こえる。
ゆっくりと下を向いてみたら、身長135センチでありながら、これでも立派な大人で浜面の担任である月詠小萌先生がいた。
小萌先生は必然的に浜面を見上げる形になり、ニッコリと笑っていたが目は笑っていなかった。
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:01:43.11 ID:M4P8CVA0

「すみません先生!」

精一杯、頭を下げる浜面だが、それは無駄に終わる。

「罰として浜面ちゃんは補習でーす」

「えっ」

この先生、生徒が遅刻だとか何かをやらかすたびに補習を行う人である。

ガックリと肩を落としながら、自分の席につくと、青い髪に耳にピアスをしたエセ関西弁が特徴のムカつく野郎がニタニタ笑っていた。

「自ら遅刻して、補習を受けるなんて良い奴やなぁ」

「はっ!てめぇは小萌先生の補習が受けたいだけだろうが!」

そんな言い合いをしていると、今度はサングラスをかけて何故かアロハシャツのボタンを全開にして着ている土御門が話しかけてきた。
しかしこの男、ボタンを全開にしているアロハシャツから覗かせるその身体はやけに筋肉質だ。

「なんで遅刻したんだにゃー?」

「学校に行く途中に女の子とぶつかったんだよ」

浜面がそう言うと、青髪ピアスは目をキラキラさせながらその言葉にやけに食いついてきた。

「まさかそんなことが現実にありえるなんて!どんな女の子やったん?」

「あー、肩までくらいのショートカットな髪が似合って、やけに眠たそうだった」

「で?」

「で?ってなんだよ」

「可愛いかったんか聞いてんねん」

青髪ピアスの食付き様に若干引き気味の浜面だが、少し照れたように頭をポリポリ掻きながらも、しっかりと言う。

「か、可愛かった・・・!」

「惚れた?」

「そんなわけねーだろ!」

否定するも浜面の顔はニヤケていて、気持ちを隠しきれていない。
完全に一目惚れをしたのだろう。
正直、気持ち悪いくらいにニヤニヤしている。
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:02:13.29 ID:M4P8CVA0

「他にその女の子の特徴は無いん?」

青髪ピアスは次々に浜面に質問していく。
この男、こういう話しは大好きなようだ。
「そういや、風紀委員の腕章付けてたなぁ」

だが浜面もちゃっかりと青髪ピアスの質問に答えていく。

「このへんの支部って言ったら一七七支部ちゃう?」

「つーか、なんでこんなに話さなきゃいけねーんだよ」

「ええやん、ええやん」

「てか上条は?」

「おっ?話し反らしよったな!」

浜面と青髪ピアスのやりとりをしっかり聞いていた土御門が割り込んできて、上条の方を指差しながら言う。

「カミやんなら寝てるぜい。なんでも殻潰しの居候が来たとか言って寝ちまったにゃー」

「なにやってんだアイツは…」

浜面は上条の方へ体を向け、呟きながら なんとか話しが反れたか! と思っていたがそう簡単にはいかせないのが青髪ピアス。

「それで浜面くん、女の子はどうするん?」

「あーもう、うるせぇなー!」

この時、浜面仕上は思いもしなかっただろう。
この平凡な日々がそう長くは続かないということに───

同日、午後六時頃。
辺りはすっかり暗くなっている中、浜面仕上はやっとの思いで小萌先生とのマンツーマン補習を終え、帰り道を歩いていた。

(今朝の子、可愛かったなぁ。マジで風紀委員に・・・)

そこでなんとなく携帯電話を取り出し、風紀委員になるにはどうしたら良いのか調べてみた。
すると・・・

「無理無理無理無理無理無理無理無理!」
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:03:10.75 ID:M4P8CVA0

そこに書いてあったのは──

『能力者の学生による治安維持機関、風紀委員。
風紀委員になるには、九枚の契約書にサインし、十三種類の適正試験を受け、四ヶ月に及ぶ研修期間が必要』とのこと。

「四ヶ月ってなんだよ・・・」

なんとなくの気持ちで『風紀委員になるには』と調べてみたら、まさかここまで厳しいとは思いもせず、浜面は肩を落として下を向いて立ち尽くし、何かしらのショックを受けていた。

そんなその場に立ち尽くしている浜面の視界に、何者かの脚が映った。
その脚はこの暗闇でも分かるくらいに、細く肌白く綺麗で・・・

(って、脚!?)

パッと顔を上げて、その脚の正体を確認する。
浜面の目の前には今朝まさかの古典的でかつ王道な恋愛漫画的な出会いをした、やけに眠たそうな少女。

「風紀委員です、気分でも悪いのですか?」

うつむき立ち尽くす浜面を見て、あくまでも風紀委員として話しかける少女。

「・・・だ、大丈夫です」

「そう。失礼しました」

少女はこれ以上は浜面に構う様子もなく、どこかへ行こうとしていた。
この時、たった一言二言交わしただけの浜面の気持ちは既に最高潮である。
なんとかここでもっと近づかないと! と一瞬で閃いた浜面の次の行動は・・・

「あの!名前はなんていうんですか!どこの支部ですか!」

なんとも情けない声で、会って間もない女の子を知ろうとした行動がこれだ。

(これは完全に終わった・・・)
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:03:46.47 ID:M4P8CVA0

後悔するも時既に遅し、更に落ち込む浜面であったが、少女は振り返りそんなことは気にせず、浜面の問いに答えた

「滝壺理后、一七七支部の風紀委員です」

力の無い声で答えると、今度こそ行ってしまった。
さすがにまた声をかける気などない浜面は、喜ぶべき状況なのか、悲しむべき状況なのか、よくわからないまま家に帰った。

この日、浜面が寝れなかったのは言うまでもない。

「風紀委員です、気分でも悪いのですか?」

うつむき立ち尽くす浜面を見て、あくまでも風紀委員として話しかける少女。

「・・・だ、大丈夫です」

「そう。失礼しました」

少女はこれ以上は浜面に構う様子もなく、どこかへ行こうとしていた。
この時、たった一言二言交わしただけの浜面の気持ちは既に最高潮である。
なんとかここでもっと近づかないと! と一瞬で閃いた浜面の次の行動は・・・

「あの!名前はなんていうんですか!どこの支部ですか!」

なんとも情けない声で、会って間もない女の子を知ろうとした行動がこれだ。

(これは完全に終わった・・・)

後悔するも時既に遅し、更に落ち込む浜面であったが、少女は振り返りそんなことは気にせず、浜面の問いに答えた

「滝壺理后、一七七支部の風紀委員です」

力の無い声で答えると、今度こそ行ってしまった。
さすがにまた声をかける気などない浜面は、喜ぶべき状況なのか、悲しむべき状況なのか、よくわからないまま家に帰った。

この日、浜面が寝れなかったのは言うまでもない。
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 14:05:19.51 ID:M4P8CVA0
時間が無いのにスレ立てちゃった。
書き溜めはもうちょっとあるけど、思ったより少なかったってのもあるので、ここらでいったん区切ります。
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 15:21:52.24 ID:z41q9N60
うむ
頑張れ
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 15:47:30.88 ID:W6iGEYAO
期待してるんだよ!がんばって
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 16:35:06.78 ID:M4P8CVA0
うおおおおミスってたああああ
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 16:36:40.93 ID:M4P8CVA0
初っ端からミスるなんて・・・

とりあえず、見てくれてる人いるんだな、ありがとう。
夜にまた投下します。
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/21(月) 20:20:31.21 ID:lN/OeEAO
見てるから頑張って
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/21(月) 22:48:49.32 ID:gjjGDTo0
超期待してます
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:04:44.64 ID:M4P8CVA0
むちゃくちゃな部分があるのが否めないけど、細けぇこたぁいいんだよ。
今から投下します。
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:05:21.45 ID:M4P8CVA0
──翌日。

「デジャヴ…?」

朝、八時二十分。
昨日より更に五分も遅い。
完全に遅刻が確定した。

昨日の夜、なかなか寝付けなかった浜面は勢いに任せて、携帯電話から風紀委員のウェブサイトにアクセスし、風紀委員に志願してしまった。
その事を思い出し激しく後悔する。

「あああやっちまった・・・」

ベッドの中で頭を抱え悔やむが、今考えるべき事は今から学校に間に合うかどうかである。
昨日よりも重たく感じる体を起こし、洗面所で顔を洗えばすぐに制服に着替え家を飛び出して行った。

学校へ到着すると案の定遅刻をしていて、小萌先生に怒られ補習確定。
自分の席につくと、青髪ピアスや土御門が浜面を見てニヤニヤしている。
上条はというと、机にスーパーのチラシを広げ何やら唸っていた。
よく見ると上条の体は傷だらけだったが、あえてその事には触れないでおこう。

「で、今日はなんで遅刻したんだにゃー?」

「また女の子とぶつかったとか言うたら許さへんで」

土御門に続き青髪ピアスが遅刻した浜面に絡んでくる。

「そんなわけねーだろ」

浜面は端的に答えるも土御門と青髪ピアスは何やら怪しい笑みを浮かべていた。

「な、なんだよ・・・?」

それに気付いた浜面は恐る恐る聞いてみると、土御門は真顔になり・・・

「あの!名前はなんていうんですか!どこの支部ですか!」

と叫んだ。
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:05:53.31 ID:M4P8CVA0

スローモーションに浜面の顔は驚愕の色を見せはじめる。

「なっ!てててめぇ なななんでそれを!」

まるで母親に自慰行為でも見られた時のように焦りだす。

「浜面らしいにゃー」

「いや、だから何でてめぇらがそれをっ!」

「見てたからや、二人で」

浜面はその場で膝から崩れ落ちた。
両手両膝を床に付き、死にそうになっている浜面に対して土御門は聞いてみる。

「お前、これからどうするんだにゃー?」

「・・委員・・・志・・した」

「え?」

「だから、風紀委員に志願したっつってんだよぉぉぉ」

浜面のその言葉を聞いて凍りつく二人。
いきなり叫びだした浜面に対して変な目で見てくるクラスメイト。
完全に浜面は終わった。いろんな意味で。
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:07:06.36 ID:M4P8CVA0

──そんなこんなで時は跳躍し、四ヶ月が経過したある日。
無事に風紀委員になることができた浜面は、一七七支部へと来ていた。

「えー、今日から一七七支部に配属されることになりました、浜面仕上です。よろしくお願いします」

「初春飾利です!どうぞよろしくお願いします!」

最初に浜面に返事をしてくれたのは、頭に花飾りを乗せた少女だった。
そんなことよりも浜面は彼女の姿を探し、キョロキョロと辺りを見回していると、ソファーに腰掛け上を向いて寝ている滝壺の姿を発見。
視線に気付いたのか、滝壺はむくっと浜面の方へ向き一言。

「初めまして、滝壺理后です。よろしく」

この時、浜面は聞き逃さなかった。
「初めまして」の言葉を。
完全に初対面と認識された浜面は死んだ魚みたいな目をしていて、魂が抜けたようにその場に突っ立ったまま動かなくなった。

そんな浜面に常盤台の制服を着たツインテールが特徴の少女が一言。

「白井黒子ですの。さっそくですが、これから浜面さんと滝壺さんは二人で第七学区を巡回してきてください」

浜面の耳がピクリと動く。

(これは・・・チャンス!)

さっそくソファーでグッタリと座り込んでいる滝壺の腕を強引に掴み

「それじゃ!行って来ます!」

と、飛び出していった。

しばらく腕を掴んだまま歩いていると

「はまづら、痛い」

「えっ?ああ、悪ぃ!」

ずっと腕を掴んでいたことすらも忘れて舞い上がる浜面であった。
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:08:03.84 ID:M4P8CVA0
主に校内で活動する風紀委員が第七学区を巡回する事といっても、迷子の子供はいないかとか、ゴミをポイ捨てする学生に注意をしたり、その程度である。
適当にブラブラと巡回していると、浜面が口を開いた。

「なぁ、滝壺」

「なに?はまづら」

「俺のこと覚えてない?」

浜面がついに気になっていた事を聞き出す。

「・・・ごめん」

「そうか、じゃあいいや」

内心は死にたいくらい悲しい気持ちだが、それを顔に出さないのが男・浜面。
しかし、この後は沈黙が続き気まずい巡回になったのは言うまでもない。

浜面としては、忘れられてはいたが今日も少し仲良くなれたし、これからも仲を深めていけばいいか
などと考えていると一七七支部に帰ってきていた二人。
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:09:29.53 ID:M4P8CVA0

帰ってくると、白井の姿は無く初春だけが居た。
初春はなにやら慌しい様子でパソコンを操作していたが、そんな事も気にも留めない滝壺は一直線にソファーに腰掛け、だるそうに上を向いて目を瞑る。
念の為に浜面は慌しい様子の初春に声をかけてみる。

「なにかあったのか?」

「この近くで銀行強盗があったみたいです!犯人はどうやら学生で一人は能力者のようです!白井さんは一足先に一般の人が巻き込まれないように出て行きました!」

初春がパソコンから目を離さずに言う。

「俺達も行ったほうがいいのか?」

「もちろんです!」

風紀委員初日にしてまさかの事件。
浜面は大きな事件を任される事は無いと聞いていたのだが、この様に心臓はバクバクである。

「場所はメールで送りますので、さっさと行ってください」

年下に言われるのは若干思う事があるが、再び滝壺の腕を掴み一七七支部を飛び出していった。

どっちの方向か分からないまま滝壺の腕を掴み走っていると初春からメールが届いた。
どうやら方向は間違っていなかったらしい。

「つーか、風紀委員ってこんな仕事やんのか?」

走りながら浜面は滝壺に聞いてみる。

「たまに」

(そのたまにが初日に起こった俺って・・・)

そんな事を考えていると滝壷が

「はまづら、こっちじゃない」

と言って、浜面の腕を引っ張り自らが先導して走り出した。
浜面にはなぜこの少女が風紀委員に志願したのかという疑問が今更ながら浮かんだ。
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:10:59.67 ID:M4P8CVA0

腕を掴まれたまま引っ張られている事に気付いた浜面は銀行強盗よりもこっちの方に気が向いていた。
そんな風に不真面目にしていたのが仇となったのか、もうそろそろ現場へ到着というその時。

横の狭い路地裏から二人組みの男か飛び出してきた。
それに気付くのが遅れた浜面は滝壺を庇う事ができず、滝壷はその男達にぶつかりその場に倒れ伏せる。

「大丈夫か?滝壺!」

滝壺の心配をする浜面だったが、ぶつかった相手が悪かった。
その二人組みの男達はさきほど初春が言っていた銀行強盗の犯人で、一人の男の手にはナイフが握られていた。

「滝壺!離れろ!」

浜面がそう叫ぶも、犯人達は絶好の獲物と言わんばかりにナイフを持った男が滝壺にナイフを突きつけを人質にとる。

「動くとこいつを殺すぞ!」

そう脅され、手を出すこともできない浜面は見ていることしかできなかった。
浜面が言う事を聞いたの見てナイフを持っていない方の犯人は、滝壺の首筋に手を当てる。

「てめぇ!なにすんだよ!」

犯人に向かって吠える浜面だが、滝壺は人質になっている以上、下手に手出しはできない。

すると次の瞬間。
バヂッ!という音と共に、犯人が滝壺の首筋に手を当てている部分が青白く光った。
初春が言っていたように犯人は能力者だった。それも電気使いのようで滝壺に電気を流して気絶さしたようだ。
ぐったりと崩れ落ちるする滝壺を見て、ついに動き出そうとする浜面だが

「いいのか?この女がどうなっても」

と再び犯人に脅されどうすることもできない。
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:12:22.76 ID:M4P8CVA0

犯人の一人が滝壺を担ぎ、路地裏から表の通りに向けて走り去って行く。
浜面はそれを追いかけるが、後ろから犯人の仲間と思われる一人が車で走ってきてるのがわかった。
どうやら滝壺を人質にとった犯人達と合流しようとしている。

「このままが滝壺がっ!」

このままでは確実に滝壺は連れ去られてしまう。

「そんなもん諦めるわけねぇだろ!」

無我夢中で追いかけるが、ついに犯人達は合流し車に乗り込もうとしていたが──

「ジャッジメントですの!」

後ろから一人の少女の声がした。
振り返るとそこには、瞬間移動の能力者で同じ一七七支部の一人、白井黒子が能力を使って犯人に迫る。
瞬間移動の能力者から逃れるはずもなく、最後の一人が車に乗り込もうとしているところで、白井が追いついた。
その姿からは想像もできない動きで、最後に乗り込もうとしていた男を吹き飛ばす。

車に乗った犯人はそんな白井を見て怖気づいたのか、吹き飛ばされた男を置いて逃げていった。

「白井!お前は車を追いかけろ!俺はこいつをぶっ潰す!」

浜面がそう叫ぶと、仕方なしにといった顔で白井は車を追いかける。
その間にも、吹き飛ばされた犯人は走り出していた。

「待てオラァァアアア!!」

滝壺は人質にされたままだが、白井なら大丈夫だろう。
そしてこの男は今、滝壺を人質にとっていない。

「遠慮する必要はねぇなぁ!!」

浜面はグングンと犯人との距離を詰めていく。
犯人が捕まるのも目に見えている。
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:18:05.15 ID:M4P8CVA0

犯人は路地裏に逃げたが、それが凶となりついに逃げ道を失った。

「ただのガキに捕まるわけねぇだろ」

犯人はそう言いながら右手を突き出し、何千ボルトはあるであろう電撃を浜面に向かって撃った。
バチン!という凄まじい音と共に、犯人の男が放った電撃は確実に浜面に当たる。

だが、

「電気なんかこの俺には効かねぇよ!」

浜面は顔色ひとつ変えることなく、瞬きすることなく一歩一歩犯人へと近づいていく。
それでも犯人はなんども浜面に電撃を放つが、傷ひとつ付かない。

「だから言ってんだろ、俺に電気は効かねぇ」

「ど、どうなってんだ・・・」

ついに犯人の目の前まで来た浜面の威圧に押されたのか、犯人はその場に尻餅をついてしまう。

「ダイヤモンドって知ってるか?」

そう言いながら浜面は犯人の胸倉を掴みながら、その身体を持ち上げる。

「炭素原子が正四面体格子状に配置した分子構造をとったもんがダイヤモンドって言うんだよ。
 ちなみに、電気伝導性が低い。つまり、電気を通さねぇんだよ。
 俺の能力はな、体表面の炭素原子の配列を変え単純な単位構造が並んだ個体を、すなわち結晶を作り出すことができる。
 炭素の結晶ってのはいっぱいあるんだが、てめぇは知ってるか?・・・あんなか弱い女の子に向かって簡単にあんなことする人間が知ってるわけねぇよな!
 炭素の結晶の代表的なモノがさっきも言ったダイヤモンドってやつだ。
 ダイヤモンドは世界一硬ぇって言われてんだぜ?」

そう言うと浜面は右手を振りかざし

「安心しろ!ダイモンドは案外脆いもんだからよォ!」

滝壷を傷つけたことに浜面は何よりも怒りを感じていた。

「歯ァ!食いしばれ!三下ァ!」

だから、力の限り犯人をぶっ潰す。

浜面は自分の右手の表面の炭素原子を正四面体格子状に配置した分子構造に変え、ダイヤモンドを作り出すと、犯人の右頬を思いっきり殴り飛ばした。
犯人が吹っ飛ぶと同時に、浜面の右手からキラキラとした破片が飛び散る。

ダイヤモンドは世界一硬いと言っても、カナヅチで叩けば簡単に砕けてしまうほど脆いものである。
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/21(月) 23:19:20.58 ID:M4P8CVA0
なんというか今日はここまでです。

なんでこんな能力なのかってのは、後ほど解明される予定。

設定が甘かったりするので、わけの分からない部分や誤字脱字があると思いますが、見てくれてありがとうございます。
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:28:18.62 ID:5gpz8hM0

なんか能力が能力なだけにいろいろと予想できるな
今の浜面のレベルにも期待
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:33:03.80 ID:wknzzAAO
能力名クレイジーダイヤモンドとか言わないよな
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/21(月) 23:34:19.88 ID:M4P8CVA0
そういや能力名考えてなかった
なんかないかな
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:37:54.60 ID:eFfLVQU0
外道必滅(ダイヤモンドアイ)
とかどうかな?
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:39:38.76 ID:xB4y.X.0
炭素構成(ダイヤアーム)とかどう?
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:51:20.60 ID:5gpz8hM0
炭素装甲(ダイヤモンドディフェンス)
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/21(月) 23:53:22.66 ID:M4P8CVA0
おおカッコイイ

けど、ダイヤモンド以外も作れる設定なんだよね
って軽いネタバレ?

炭素装甲って絹旗と・・・
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:02:11.78 ID:hlGjHXs0
炭素生成(カーボンクリエイト)
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:04:20.08 ID:DN339mUo
鋼錬のグリード的な能力かな?
クレイジーダイヤモンドに一票ww
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:10:04.65 ID:UKhf6Ws0
炭素外殻(カーボンボデイ)
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/22(火) 00:10:38.14 ID:.qzi7HI0
いろいろ考えてくれてありがとう。

ハガレンは読んだ事ないからなんとも言えないけど、その内明かされるよ。多分。
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:11:32.19 ID:hlGjHXs0
炭素装甲(浜面)
窒素装甲(絹旗)

良いと思うぞ? 似ててもそれをネタにした話作れるし
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/22(火) 00:13:54.45 ID:.qzi7HI0
いや、なんというかそれ自体がネタバレで困ったぜ・・・
もう考えてたりします。
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 00:15:23.94 ID:2QoC5eg0
ttp://ranobe.sakura.ne.jp/src/up58130.jpg
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:15:58.90 ID:X2IJudY0
絹旗と対っぽくするなら、炭素装甲でディフェンスアーマーでもいいかもね
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/06/22(火) 00:17:59.72 ID:.qzi7HI0
お願い!それ以上は絹旗の話はしないでぇぇぇ
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:29:37.78 ID:992QfMAO
>>40
超わかりました!
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 00:35:11.79 ID:hlGjHXs0
>>40
超了解です!
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 00:46:39.77 ID:2QoC5eg0
ttp://pic.2ch.at/s/20mai00226435.jpg 
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277131087712.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277131379440.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277131418325.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277131978856.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277132000363.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277132087976.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277131586955.jpg
ttp://pa.dip.jp/jlab/ani0/s/pa1277131738679.jpg
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 00:55:45.87 ID:zWFGY6w0
>>38>>43
なんぞ?
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 04:32:08.00 ID:/fym9Xk0
前々スレくらいにダイヤモンドの質問してた人??
ずっと内容を暖めてたんだね〜
期待して続きを待ってます
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 04:59:16.00 ID:/fym9Xk0
>>45 補足
総合の前々スレで質問
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 12:47:07.61 ID:JsbI0UAO
そうその人

温めてたというか、ネタが浮かばなかった…
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 12:47:54.63 ID:zcaaCQY0
これはいい浜滝
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 15:39:00.89 ID:o1ysbvoo
どうして一方口調?
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 15:56:49.31 ID:zcaaCQY0
今読んで思ったんだけど、浜面の決め台詞ってだもしでいいのか?
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 15:57:04.74 ID:JsbI0UAO
たまたそうなっちゃったんです。
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 15:57:58.66 ID:JsbI0UAO
だもし?浜面に決め台詞なんてあったのかぁぁぁぁぁぁ
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 16:03:58.77 ID:JsbI0UAO
アンカー付け忘れたうえに連投 すまん。
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/22(火) 20:13:37.60 ID:.qzi7HI0
今日は都合が悪くて投下できないかもしれません。
申し訳ないです。
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/22(火) 21:45:24.23 ID:WbMG4Fg0
>>52
ヒント:ねぼし
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/23(水) 17:17:55.28 ID:5ioC/gAO
今日も都合により出来ません。
明日、明後日には必ず投稿します。
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/23(水) 18:53:04.07 ID:3pEu8HY0
待ってるぜぃ
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/25(金) 14:18:04.24 ID:JlmJ1Sw0
あああ私事で悪いんだけど 、最近いろいろあって全く書けてない上に上手いこといかない。

すみません。
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 14:51:06.05 ID:Kf7NpUDO
そう言って帰って来なかった書き手はいくらでもいる。
ここの>>1は果たしてどうかな。
まあまだ何日かしか経ってないんだし焦らず頑張れ
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/25(金) 18:13:18.51 ID:JlmJ1Sw0
途中で終わるなんてことは絶対にやらないよ。
何がなんでも最後まで書くから大丈夫。
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/25(金) 18:18:40.95 ID:dCz6CUAO
その心意気に乾杯
超期待してます!
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/06/27(日) 14:43:29.87 ID:8t3aCp20
ほんとにかけなくてごめんなさい。
学生なんで、バイトにレポートといろいろあるんです・・・
絶対に途中でやめるなんて事はしないので、どうか見てください。
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/27(日) 19:03:53.93 ID:WCE69Qg0
気長に舞ってるかも

頑張って!
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/28(月) 03:12:33.19 ID:reDxcXA0
何かワンピースのジョズを思い出した
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/01(木) 21:21:37.34 ID:mm7WxSY0
数日の間に投下します。
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/02(金) 13:02:54.98 ID:MOtfoj20
舞ってるよ
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/03(土) 14:43:05.12 ID:HUEHTKQ0
このままでは、誰も見てくれなさそうなので、一旦投下。
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:43:44.38 ID:HUEHTKQ0
れから程無くして警備員たちがやって来た。無事に犯人の身柄を渡し一件落着。

「あー!まさか初日からこんなことになるなんてな・・・」

浜面は気だるそうにそう呟き、もう家に帰ろう、なんて事を考えていたら携帯電話の着信音が鳴った。
ポケットから携帯を取り出し、ディスプレイに表示された番号を見る。

「誰だ?コレ」

見知らぬ番号。
いたずらから何かだったら面倒だからと、電話に出ないでおこうとも考えるが、万が一の事もある。
今日だって事件が起きた時、初春は浜面の連絡先を知らないはずなのに地図を送ってこれたし、
どうなっているのかは知らないが、一七七支部の人たちからかもしれない。

「はい、もしもし」

なんとも情けない声で電話に出る。

「・・・・」

「・・・・」

無言。

「だいじょうぶ?」

少し遅れて、すごく力の無い声で電話の向こうの相手は喋った。

「すみません、誰ですか?」

「私、滝壺」

「・・・ええっ?悪い!番号も知らなかったし、誰だか分からなかった!」

思ったとおり一七七支部の人ではあったが、まさかの滝壺からの電話。

「はまづら、一七七支部に帰ってきて」

「それより、体はだいじょ──」

「・・・・・・」

浜面が喋っている途中で電話は切れた。挨拶も無しに。
やってしまった、これは完全にやってしまった、間違いなくやってしまった。
滝壺を怒らしてしまったかもしれない。
犯人の一人によって、気を失わされ誘拐された滝壺に、まず最初に「大丈夫か?」などという心配の一言も無しに、その上誰だかわからなかったなんて。
このとき、浜面の両足にまるで10kg超の錘が付いているのではないかと錯覚するほど、一七七支部へ向かう足取りは重かった。
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:44:23.42 ID:HUEHTKQ0
初っ端ミスった。

一番最初は「それから」
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:44:55.70 ID:HUEHTKQ0

たっぷり時間をかけて怒られるのを覚悟して、滝壺への言い訳を考えながら浜面は一七七支部へ帰ったのだが
なんの案も浮かばずに一七七支部の入り口のドアの前までたどり着いてしまった。
このままここに突っ立っててもしかたがない。とりあえず謝ろう、と決め中へ入ることにした。
すると、滝壺は案の定ソファーにぐったりと座り込み、眠たそうにしていた。というか目を瞑って寝ていた。

一目散に滝壺の元へ行き謝る。

「滝壺、さっきは何かごめん。それで怪我とかはしてないのか?」

「・・・うん、大丈夫」

と、浜面の方を見向きもせずに一言。

(これ以上は何も言わねぇほうがいいな・・・)

そう思い、少し休もうとすぐそばにあった椅子に腰掛けたところで。

「そこで休む暇があったら、これ書いてくださいまし!」

浜面には休む間も与えまいと白井が一枚の紙を指で摘んで、ゆらゆらと揺らしながら言った。

「なんだそれ?」

「始末書ですの」

「え?」

「し、ま、つ、しょ、ですの。お分かり?」

犯人を捕まえた事は立派な事だが、浜面はあくまでも風紀委員である。
管轄外のことをすれば、もちろん始末書を書かなければならない。
もちろん1枚の始末書で済むはずもなく、テーブルの上には束になった始末書の山が・・・。

そんなこんなで浜面の風紀委員一日目はなんとか終わった。
しかし、他の三人には見捨てられ一人で居残り。
書き方の分からない始末書を書き終えた頃には完全下校時間などとっくに過ぎており、一人寂しく暗い夜道を歩いて帰っていくのであった。
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:46:21.69 ID:HUEHTKQ0

───数日後。

浜面仕上は一七七支部へ来ていた。
今日は白井、初春は非番らしく、今のところは滝壺と浜面の二人きりだ。
滝壺はというと、もやは滝壺専用となりつつあるソファーにいつものようにぐったりと座り、ボーッとしていた。
あれから特に事件という程の事は起こらず──と言っても、そんなこと風紀委員には管轄外なのだが。

特にやることもないので、浜面は前々から気になっている事を聞いてみた。

「滝壺、お前の能力って何なんだ?」

「私の能力は能力追跡だよ、はまづら」

滝壺は珍しく姿勢を正し、浜面の目を見て応える。
浜面は滝壺に見つめられて照れたのか、視線を反らし窓の方を見ながら続ける。

「能力追跡?」

「うん。能力者のAIM拡散力場を記憶して、相手の居場所を突き止める能力だよ」

「へぇ。珍しいな」

「はまづらが何時何処にいるかも分かるよ」

滝壺はこんな照れ臭いことを無自覚で言っているのだろうか、
それを聞いた浜面は歯が浮くようなこしょばゆい感じに体をモゾモゾさせながら、適当に「お、おう」とでも返事をしておく。
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:47:09.98 ID:HUEHTKQ0

「でも体調が良くないと使えない」

滝壺はそう言うと、制服のポケットから小さな瓶に入った薬のような物を取り出し、浜面に見せる。

「これ飲んだら、体調が良くなるの」

「飲むと体調が良くなる薬?そんなもんあんのか・・・?」

浜面は身を乗りだし、薬をよく見てみる。

(これは・・・滝壺がなんでこんなもんを・・・!)

浜面は以前にある場所でコレを見たことがあった。
見間違えでなければ、あれは体調が良くなる薬なんかではない。
そして何故それを滝壺が持っているのか、いつどこで、どうやって手に入れたのか・・・。
あれは・・・。

「滝壺!それちょっと見せ───」

「ところで、はまづらの能力は何?」

浜面が薬の正体を確認しようと薬に手を伸ばした時、
明らかにそれを拒むように、浜面が喋っている途中で滝壺は話を反らし、忙しく薬をポケットに直した。
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:47:49.38 ID:HUEHTKQ0

完全に何かあると確信する浜面であったが、滝壺の様子を見て今はそれには触れない事にした、

「えっ?あぁ、俺の能力は炭素原子の配列を変えてあるモノが作れるんだ」

浜面は薬を手に取ろうと伸ばしたその掌を上に向けて滝壺に見せる。

「例えば、こんなもんとか」

浜面の掌からは黒い石のような塊が形成されていく。

「はまづら、それ何?」

「グラファイト」

「グラ・・・ファイト?」

滝壺が珍しく何かに食付いてきている様に、浜面は何を思ったのか、
掌に形成されたグラファイトをどんどん大きくしていき、野球ボールほどのサイズのグラファイトを作りだす。

「はまづら、グラファイトって?」

滝壺は浜面の掌から出てきた、野球ボールほどのサイズのグラファイトを手に取り、手の中で転がしてみたりじっくり観察してみる。

「グラファイトってのは、炭素原子を平面六方格子状に結合さしたものなんだよ」

「で、なにに使うの?」

現在、絶賛どや顔中の浜面は、いい気になって全くわけのわからい説明を繰り広げている。
グラファイトがいったい何なのかは、滝壺に全く通じていなかったようで、簡単に言うと黒鉛である。

「鉛筆の芯に使われてる」

「えっ」

滝壺は普段は恐らく全くならないであろう顔をして固まった。
目は半開きで口を開けたままの、ポカーンとした表情をしたまま・・・。

「だから、鉛筆の芯」

浜面は繰り返し言うが、そんな浜面を見て滝壺は

「・・・大丈夫。私はそんなはまづらを応援している」

と、小さく励ましの言葉を呟いた。
黒鉛を作り出せるなど、全く使い道の無い浜面の能力に同情してそう言ったなど言うまでもないだろう。
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:48:41.37 ID:HUEHTKQ0

滝壺は話題を変えようと「そろそろ巡回にでも行こっか」と提案をすると、浜面は簡単にその提案に乗った。
風紀委員の仕事のひとつ、指定された地区を見回る。
なにをするかというと、若い学生ばかりの学園都市では喧嘩がよくある。それの仲裁だったり、ゴミ拾いだったり、
「ペットが逃げた」と依頼されれば、ペットを探したり、落し物を拾ったり。
本当はその程度の仕事内容である。

「今日は特に何もないね、はまづら」

「そうだなぁ」

浜面と滝壺はそんな感じで中身の無い会話をしながら、第七学区近辺を見回ってしばらく経った頃。
公園のすぐ側で小学生低学年くらいと思われる女の子がしゃがみ込み泣いているのが目に入った。

浜面は、これは風紀委員が助けが必要だ!と意気込み少女の元へ走っていく。

「大丈夫か?どうした?」

浜面が少女に話しかけると、心なしか少女の鳴き声がさらに大きくなった。

「はまづら、そんな聞き方じゃ駄目だよ」

やる気の空回りか、さっそく滝壺に駄目出しを受ける。

「お姉ちゃんは風紀委員だよ、どうして泣いてるの?なにかあったの?」

滝壺は泣いている少女と同じ目線になるようにしゃがみ優しく声をかけると、少女は顔を上げて滝壺を見た。
滝壺が声をかけると泣き声は止んだが、目が真っ赤になり目の周りは膨れていた。そうとう泣いていたのだろうか。

「ともだち、と、はぐ、れて・・・まい、ごに・・・なっちゃっ、た」

嗚咽をしながら、少女は言った。

「大丈夫だよ、私たちに任せて」

そう言っても、少女は再び顔を伏せて泣き出してしまった。
それを見ては浜面はあることを思いついた。

(こんな幼いっつっても女の子には変わりねぇだろ)

浜面は手を握り少女の目の前まで手を持って行き、

「これ見て」

少女は顔を上げると、泣きながらもキョトンとした顔をしている。
浜面は少女が顔を上げてくれたのを見て、握っていた手を開くと

「わぁ!キレイ!」

見る見るうちに少女の顔には笑顔が戻ってきた。
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:49:19.41 ID:HUEHTKQ0

「ダイヤモンドは四月の誕生石で、永遠の絆っつー意味がある」

「そうなんだ!」

「これを持ってたら、友達との絆は永遠に壊れねぇんだ」

そんな浜面が少女に元気付けているのを見た滝壺は

「はまづらもやればできるんだね」

と、珍しく褒めた。

「俺だって、こんくらいはできるっての」

「でも、石言葉の意味の件がよくわからなかった」

「・・・」

褒めては落とす、これが滝壺もやり方。

「・・・ってことで、とりあえず一七七支部に連れて行くか!」

無理矢理の話を逸らし、少女一人では危ないという事と、少女の身元を調べる為に一旦、一七七支部へ帰ることにした。
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/07/03(土) 14:50:56.12 ID:HUEHTKQ0
ちょっと中途半端だけど、ここで一旦終わり。

文章が下手なのは許してね、その他もろもろについては、細けぇこたぁ良いんだよ精神で見てください。

ここから面白くなってくるはずだから、多分。
それじゃあまた夜か、ある程度書き溜まれば投下します。
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/03(土) 16:59:19.52 ID:GeZ8BADO
乙! この能力は宝石商から命をねらわれかねないなwwww
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/03(土) 17:53:00.98 ID:CdVmTm60
ダイヤモンドを作り出す能力とか
大金持ちになれる上にダイヤの希少価値が大幅に下がりそうだなwwwwwwww
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 17:53:18.91 ID:BVNPPzo0
でも要は人工ダイヤみたいなものだから
価値は低いよねw
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/03(土) 17:57:36.34 ID:HUEHTKQ0
>>79
そうだという設定に。

天然のダイヤモンドって、更に綺麗に削ったから価値があって、あんなにピカピカするんだよね?
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/03(土) 21:39:51.78 ID:HUEHTKQ0
書き溜まらない・・・
夜中か明日にやろうかな
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 23:27:07.57 ID:CdVmTm60
>>81
マイペースでおk
ここはVIPと違ってあせらなくてもいい
83 : ◆d6EtAcsoNk :2010/07/04(日) 21:19:30.71 ID:SLX9tnA0
明日になるかも、ごめんなさい。

ここから面白くなるはずなんだよ。
今のままじゃ全く面白くないよね。
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 02:57:33.37 ID:XegVFsAO
期待してるがんがれ
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/07(水) 22:07:43.70 ID:KBStSAk0
ここの浜面触れただけで相手ドロドロに殺せるやんけ
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/08(木) 01:14:43.32 ID:MZo4z.AO
浜面「さぁ、存分に叩き潰したまえ!!」
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/10(土) 13:09:24.46 ID:tJEyvH.0
生存報告。
応援?ありがとう。

来週には投下します。
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/10(土) 16:07:47.71 ID:XHAuQoU0
待ってる
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/13(火) 02:04:03.87 ID:vac09I6o
何度見てもスレタイが、浜面「歯ァ立てんなよォ三下ァ!」に見える
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:28:08.19 ID:xIdPyUs0
レポートにバイトで書く時間が無いんだよおおおおおお
土日は時間あるんで、そのくらいに。

ごめん。
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/14(水) 23:29:44.66 ID:pIgckEU0
>>90
理大?文大?
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/15(木) 01:42:31.83 ID:Jw7o9IAO
待ってる
>>89
  バイブ
俺の最強はちっとばっか響くぞ!!
>>91
頭大?丈夫?に見えた
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 14:17:13.74 ID:FV8r5jg0
ごめん・・・まだ書けてない。
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 17:50:01.75 ID:RSRi1Tg0
>>1です
長い間、スレを放置してしまい申し訳ありませんでした。
諸事情で時間に余裕がなくなってしまったため、続ける事が困難になってしまいました。
大変残念ですが、ここで打ち切りという形にさせて頂きます。
スレ見ていただいた方どうもありがとうございました。
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/20(火) 23:23:26.51 ID:ohBX83o0
>>1
お前いくつのスレにそれ書いてんだよ
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/21(水) 08:50:18.48 ID:agnnZYAO
明日から夏休みだああああああ
待ってくれてる人っているなかな?
時間がたっぷりあるから書くよ。
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/21(水) 08:54:08.59 ID:8tctqpg0
キター
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/22(木) 01:36:51.66 ID:Kv47kRco
まだー?
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/07/22(木) 14:45:40.98 ID:XnI2FAQ0
ごめん、携帯こわれて修理に出しにいってなんやかんやしてて、今書いてる。
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/23(金) 21:28:49.52 ID:D9zXVlI0
なんかss書きの人のpcとか携帯ってなんで
壊れるんだろうね
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/24(土) 09:28:02.47 ID:s9srXi60
>>100
速く書こうとポチポチカチカチしまくるからじゃね
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/30(金) 13:09:31.05 ID:QIidMMc0
まだですかー?
生存報告してくれー
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/14(土) 09:02:34.45 ID:1AusS1k0
あげ
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 17:31:55.66 ID:JtwRtbc0
もう来ないのか?
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 08:36:57.29 ID:DucSrUI0
チッ、うっせーな
待ってまーす
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 12:30:56.59 ID:WvwJvlEo
書き手のレスがないまま”2ヶ月”以上が経過したのでHTML化のご案内です

続ける意思がなくなった場合は以下のスレでHTML化依頼をお願いします
■ HTML化依頼スレ Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1190564438/

続ける意思がある場合は2週間に1度ぐらいでいいので生存報告をよろしくお願いします
住み良い製作速報を作るため放置スレの削減にご協力お願いします
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 16:24:40.96 ID:m8WeFrc0
>>60
結局投げ出したのか・・・
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 00:35:00.40 ID:3uCBuAEo
1週間の間に書き込みがほとんどなかったので、放置スレと判断してHTML依頼してきます
おつかれさまでした
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