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とある科学の少女00000 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:38:40.37 ID:wa4OCZk0
一方通行が主役のSSです

立てた後で言うのもアレだけどもっとちゃんとスレタイを考えておくべきだった
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:41:35.01 ID:wa4OCZk0
【注意事項】


※文体に関して
ギャグやネタが中心のところは基本的に地の文は殆どありません
シリアスパートは地の文が多くなります
文体の構成自体は基本的に変えるつもりはありません

※内容に関して
基本的にシリアスなSSになると思うので、ギャグやネタは殆どありません。

※これって上条さんの寮監代理のパクリじゃね?
話の本路線はシリアスの方なので、一方通行が女子寮でキャッキャウフフな展開を
期待されている方には物足りなく感じるかもしれません。

でもネタというか息抜き的な回ではそんな話を考えているのでパクリ、二番煎じと思われても仕方ないかも

その他
一番重要な事項ですが、オリキャラが出てきます。オリキャラが本筋に絡んでくるのが苦手という方はご注意を
同様にオリジナル設定や解釈もふんだんに含まれています

話の時間軸は一方通行がロシアから帰国後、つまり第三次世界大戦終結後の話になります。
22巻発売前なので何か色々と原作設定と矛盾が起きると思いますが、その辺についてはご容赦ください
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:43:41.92 ID:wa4OCZk0

一方通行「ゼロ?」

土御門「どうやら暗部組織というわけじゃないらしいが、『超電磁砲を狙う』くらいだから、それなりに強い能力者を囲ってる可能性がある」

一方通行「つーか組織名がダセェ」

土御門「それは言ってやるな」

淡希「それで、なんでそのゼロは超電磁砲を狙ってるワケ?」

土御門「さあ?分からん」

海原「敵の首謀者とか、構成員の名前もですか?」

土御門「そうだ」

一方通行「あのクソ野郎(管理者)から一方的に指示を出されたってとこか」

海原「単純な任務とは思えませんね。何か裏がありそうですが…」

土御門「まあ何にせよだ。グループに所属している以上は従わざるを得ないんだにゃー」
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:44:30.02 ID:wa4OCZk0

土御門「というわけで一方通行、お前女子寮の管理人になれ」

一方通行「……」

一方通行「で?俺らは何をすりゃいいンだ」

土御門「何でさりげなく無かった事にしようとしてんだよ」

一方通行「お前の存在ごと無かった事にしてやりてェ気分だが」

土御門「結標、お前は常盤台に編入しろ」

淡希「ちょっ、私高校生だから!」

土御門「あくまでも一時的な措置だから、本当に中学からやり直せって事じゃない。根回しはちゃんとやっとくから安心しろ」
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:46:57.74 ID:wa4OCZk0

一方通行「だから何で勝手に話を進めてやがンだテメェはよォ!」

土御門「往生際が悪い奴ぜよ」

土御門「良いか?敵はいつ超電磁砲を襲撃してくるか分からない。
って事はだ、お前が超電磁砲と生活を共にできて、
尚且つ周りに被害を出さない方法としてはこれが最適って事になるんだ」

一方通行「だったら海原にやらせりゃ良いだろ!こいつは仮にも常盤台理事長の孫の顔を借りてンだろ?
どォ考えたって俺よりも最適じゃねェか!」

土御門「学園都市最強のお前からすればピンとこないかもしれんが、
超電磁砲はこの街で5指に入る実力の持ち主だ。そんな奴を襲撃しようってんだから、
下手すりゃ海原じゃ守り切れないかもしれないぜよ」

海原「本当に残念ですよ。本当に……せめて僕がもう少し強ければ、任務を建前に御坂さんとあんな事やこんな事を……フヒヒ」

淡希「きもっ」
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:48:22.62 ID:wa4OCZk0

淡希「ところで私の顔はすでにバレてるけど、そこんとこどうなのよ?」

土御門「顔はバレてるが、超電磁砲もお前の素姓は知らないだろ」

淡希「超電磁砲は知らないだろうけど、別のジャッジメントの方はすでに私の素姓を知ってるはずよ?」

土御門「問題無い。データバンクを改ざんして霧ヶ丘女学院付属中学2年にしといたんだにゃー。
ま、適当に誤魔化せばなんとかなるぜよ」

淡希「いつの間に…」
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:49:12.93 ID:wa4OCZk0
土御門「つー事だ。説明は以上でいいな」

一方通行「良くねェぞクソッタレ!!他の仕事ならともかく、女子寮の管理人なンざ御免だからな」

土御門「しつこい奴だ。じゃあお前に選ばせてやる」

一方通行「あァ?」

土御門「女装して淡希と一緒に常盤台に編入するのと、女子寮の管理人になるのと、どっちがお好みかにゃー?」

一方通行「テメェ…」
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:51:02.18 ID:wa4OCZk0

【そんなこんなで】


鈴科「……」


俺は一方通行だ。分けあって今は女装して鈴科百合子と名乗っている。

俺の任務は常盤台女子寮の寮監代行になって、超電磁砲をゼロ(笑)から護る事。

どうしてこうなったか知りたいか?


Q:女装して編入するのと女子寮の管理人やるのどっちが良い?

A:どっちもいやだ

じゃあ仕方ないから折半案を提示しよう
  
      ↓

女装して女子寮の管理人になればいいぜよ!!!

オーディエンス「OH……」



一方通行(鈴科)「折半じゃなくね?なンも解決してなくね?つーかむしろ悪化してねェか!?」


……


一方通行「俺、この仕事が終わったら、にゃーにゃー言ってるアイツの皮を5割ほど剥いで三味線を作るンだ…」
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:52:28.41 ID:wa4OCZk0

?「あの…」

一方通行「あァ!?」

生徒A「(ビクッ!)あ、いえ、あの…常盤台の女子寮に何かご用でしょうか?」

一方通行「あァ、俺は」

生徒A「もしかして男性ですか?でも格好は女性ですよね……?」

一方通行(やべェ、このままじゃマズいな。ちょっと声帯を調整するか)


くきき……くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけかこきくかけかこかくけきか
こけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかか――ッ!


生徒A(な、何?何の儀式?)ビクビク

一方通行「俺は今日からこの女子寮の(麒麟ボイス)」

一方通行「やべっ、調整間違えた(麒麟ボイス)」
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:53:01.36 ID:y0EUxhI0
折半じゃなくて倍乗とかwwwwww
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:54:43.86 ID:wa4OCZk0

生徒A(何がなんだかわからない)

一方通行(学園都市第一位の喉を見せてやる)


くきき……くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけかこきくかけかこかくけきか
こけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかか――ッ!


一方通行「俺は今日からこの女子寮の」

生徒A「御坂様!?」

一方通行「これもダメだな(ミサカボイス)


あはぎゃはッ!ぎゃははははは――ァッ!!!!木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥン!!!


一方通行「俺は今日からこの女子寮の管理人代行になった鈴科だ」キリッ

生徒A「(木原クンって誰?)あの、さっきから声が野太くなったり可憐になったりしてますけど……」

一方通行「気にすンな。この街じゃ良くある事だ」

生徒A「そうですね」


………


生徒A「いやねぇよ!」
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:56:37.89 ID:wa4OCZk0

一方通行「なんとか誤魔化せた…」

一方通行「つーかよォ、寮監って何すりゃいいンだ?」


………


一方通行「確か、土御門からマニュアルを貰ってたよな。えーっと」ゴソゴソ

一方通行「その一、お客様はご主人様と呼ぶ事。そのニ、挨拶は『おかえりなさいませご主人様♪』
その三、メイド喫茶では…………メイド喫茶だァ?」


『メイド喫茶、店員マニュアル初級編』


一方通行「……ああ、そうか。これは冥土に送ってほしいってアイツからのメッセージなのか。
ったく、アイツも意外とシャイなンだな。死にてェなら遠慮無くそう言やァ良いのによォこのクソッタレがァァァああああ!!!!!!」

淡希「何叫んでんのよ。発情期?」

一方通行「お前もあのクソグラサンと一緒に冥土に行きてェのか?」

淡希「メイド?小さくて可愛い男の子がメイド服来てる様なヘブンなら行ってみたいわね」

一方通行「何でグループにはマトモな感覚を持った奴が居ねェンだよ……」

淡希(お前が言うなって声が聞こえるわ)
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:58:23.69 ID:wa4OCZk0

一方通行「つーかオマエは何でここに居ンだよ?超電磁砲はどうした?」

淡希「ほらこれ、荷物を置くついでに、私の部屋を確認しに来たのよ。
超電磁砲は今どっかに出かけてるみたいだから、海原と土御門が監視してるわ」

一方通行「あっそ」

淡希「何よ、自分から聞いといて素っ気ないわね」

一方通行「じゃあ荷物検査でもしてやろうか?」

淡希「女の子の荷物を漁るなんてデリカシーが無いんじゃない?」

一方通行「見られて困るもンでも入ってンのか?」

淡希「そうじゃなくて、男に見られるのは嫌だって言ってんのよ」

一方通行(鈴科)「今は女ですが何か?」

淡希「キモいわ」

一方通行「あァ?」
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 08:59:45.64 ID:wa4OCZk0

淡希「でも確かに女の子みたいよね。声まで女の子みたいになってるけど、そんな事できたの?」

一方通行「何か頑張ったらできた。こンな事もできるぞ」


あーあーあー♪


一方通行「ほら、簡単だろ?(あわきんボイス)」

淡希「たぶんあなたにしかできないと思う」

一方通行「ちなみに髪も能力で成長促して伸ばしてある」

淡希「あれ?これカツラじゃなかったんだ」グイッグイッ!

一方通行「痛てェ!引っ張ンな!抜けるから引っ張ンな!」
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:02:05.32 ID:wa4OCZk0

淡希「ほんと、嫌がってたわりには無駄に凝ってるわよね」

一方通行「くきき、簡単なンだよ女装なンざ。俺を誰だと思ってやがる」


淡希「ところでさぁ」ニヤニヤ

一方通行「ンだよ。キメェ顔すンな」

淡希「そぉい!」バサッ!

一方通行「!?」

淡希「あら♪柄パンなのね」

一方通行「結標ェ…」ガシッ

結標「ちょっ、首が折れるッ!」
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:03:17.30 ID:wa4OCZk0

一方通行「感謝しろォ、行き先はテメェの望み通り冥土へ一方通行だ。
ショタの代わりにマッチョな鬼が沢山居るかもしれねェけどなァ!」

結標「イヤよそんな汗臭そうなメイド」

結標「じゃ、まあそう言う事で。寮監の仕事頑張ってね」


結標「す・ず・し・な・ちゃん♪」


一方通行「さっさと消えろォ!!ショタコンがァ!!!」ガシャン!!



一方通行「ハァ…ハァ…クソッタレ、何で俺がこんな事を…」

生徒B「な、何事でございますか!?というか誰ですかあなた!?」

一方通行「ああ、俺は」


かくかくしかじかくけきこかか……


一方通行「まさか、誰かに会う度にこんな下らねェ事させられンのか…?」
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:04:37.44 ID:wa4OCZk0

キャッキャウフフ♪


一方通行「……」

一方通行「それにしても、お嬢様学校だからか?女のレベルはわりと高いンだな」

一方通行「せめてあと5歳、いや贅沢は言わねェから3つ若けりゃなァ……」



べっぴンさン


湾内「 一端覧祭楽しみですね」

泡浮「そうですわね」


べっぴンさン


「わたくしは常盤台のkon


一人とばして


黒子「とばされましたの……」


ドドリアさン


美琴「誰がドドリアさんだゴラァ!!!!」

一方通行「うおッ!レールガン!」
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:06:11.59 ID:wa4OCZk0

黒子「というか誰ですのあなたは」

一方通行「また説明すンのか…」

一方通行「俺は今日から(ry)

美琴「えっ!?じゃああの鬼…いや寮監は?」

一方通行「確か第三次世界大戦の影響でロシアで独立の機運が高まっていて、
そのせいで各地で紛争が起きているらしいからな。それを止めに行ったらしい」

美琴「冗談に聞こえないから困る」

黒子「私は知っていましたけど」
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:08:16.23 ID:wa4OCZk0

美琴「ところでさぁ、鈴科さんだったわよね?」

一方通行「ああ」

美琴「もしかして、どこかで会った事ない?」

一方通行「ギクッ」

黒子「御知合いですの?」

一方通行「いいやァ、キノセイジャナイデスカー?」

美琴「うーん、何か初対面って感じがしないのよね」

一方通行「バリッバリの超初対面デスヨ?」

黒子「どうしてカタコトなんですの?」

美琴「その白髪とか超が付く程の四白眼な赤い目とか、美白どころか蒼白っ
て感じの肌とかガリガリの体とか」

一方通行「テメェ!!ケンカ売ってンのか三下ァ!!!」

美琴「あと小さなア行とかンとか三下とかそういう言葉使いも凄く聞き覚えがあるんだけど」

一方通行「世の中ソックリな人間が1万人居るらしいから別に不思議じゃねェだろ」

美琴「そ、そうよね……アハハ」

黒子「?」
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:10:44.55 ID:wa4OCZk0
【自己紹介】


一方通行「………」カキカキキュッキュッキュ♪


『G R S』


一方通行「グレート寮監鈴科だ!ここにある全部が寮監なンだよ!認めねェってほざくンなら俺がぶっ飛ばす!!」

全員「………」

(GTOのパクリ?)

(何を言ってるのか分からない)

一方通行「規則を破る奴、門限を破る奴には愉快で素敵で血生臭ェプレゼントが待ってるぜ」

泡浮「前の寮監よりも恐ろしい気がしますわ…」

湾内「そうですわね////」

一方通行「以上だ、質問は受け付けねェ」

黒子「はい、質問ですの」

一方通行「受付ねェってンだろババア!」

黒子「バッ、BBA!?」
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:13:35.01 ID:wa4OCZk0
一方通行「良いか!!口でクソ垂れる前と後にロリを付けろ!!!」


「「「ロリイエスロリ…」」」


一方通行「どうした!?タマァ落としたか三下共がァ!!」

婚后「た、多摩?」

黒子「私達は女ですの!」

一方通行「腹ン底から声を出せェ!!!」


「「「「ロリイエスロリ!!!!」」」」


美琴「ちょっと!!一体何なのよこれは!?ここは宗教の集会場じゃないのよ!!」

一方通行「何か問題でもあンのか?」

美琴「むしろ問題意外に何があるのよ!?」

一方通行「でもマニュアルにはこうしろって書いてあるぜ?」

美琴「マニュアル?」


『シスコン軍曹の新米訓練用マニュアル寮監編ロリータ特集』


美琴「こんなもん参考にすんなぁぁぁああああ!!!!!」ビリビリビリ!!!
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:14:58.99 ID:wa4OCZk0
【自己紹介2】


一方通行「え〜改めまして寮監代行にさせられた鈴科百合子DEATH」

一方通行「まあそんなに長い付き合いじゃねェし?できればあと1秒くらいでこの仕事が終わってくれたら良いなァとか、
今すぐこの寮に隕石でも降ってきて潰れねェかなァとか思ってるけどよろしく頼むわ」

婚后「先程よりも随分と穏やかになられましたわね」

美琴「言ってる事はともかくね…」

黒子「はい!質問ですの!」

一方通行「だから質問は受付ねェって言ってンだろォがババア!!!」

黒子「どォしてですの!!!」
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:16:15.32 ID:wa4OCZk0

一方通行「チッ、仕方ねェ。下らねェ質問だったら皮剥ぐぞ」

黒子「(何で皮?)私はジャッジメントの仕事を務めておりますの。それで門限に遅れてしまう事もあるのですが」

一方通行「前の寮監はどォしてた?」

黒子「届け出をしてあれば許容してくれていましたの」

一方通行「じゃあ俺は皮を剥ぐ」

黒子「だから何で皮なんですの!?」

一方通行「三味線作るンだよ」

黒子「三味線は猫の皮ですの!!」


最近では合成の皮が使われていますが、猫の皮が一番良い音が出るらしいです


24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:18:04.85 ID:wa4OCZk0

一方通行「基本的には前の寮監と同じ処遇だ」

黒子「了解しましたの」

一方通行「他、何か質問あンのかこの野郎」


「寮監は何歳なんですか?」


一方通行「歳?とりあえず13歳以上はアウトだ」

淡希「誰もアンタの守備範囲なんて聞いてないわよ」

一方通行「冗談だ。永遠の17歳だ。いやわかンね、原作者に聞け」


「寮監は何でそんなに白いんですか?」

「お肌の手入れの秘訣とか教えて下さい!」


一方通行「塩素系漂白剤に酸性洗剤を混ぜると真っ白になれるぜ」

美琴「それ死ぬから」

黒子「良い子は真似しないでくださいですの」

婚后「はい!わたくしは常盤台のkon

一方通行「質問タイムはこれでいいな。じゃあ終わりだ解散」

婚后「ちょっ」
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:19:53.11 ID:wa4OCZk0

【土御門&海原】


土御門「うーん…」

海原「中々新しい情報に巡り会えませんね」

土御門「そもそも、“超電磁砲を狙う組織が居る。名前はゼロだ”ってだけじゃにゃー」

海原「御坂さんに関係する事と言えば、量産能力者計画でしょうか」

海原「しかし、あれは一方通行さんの絶対能力者進化実験の失敗によって完全凍結されたはずですし、
そもそも量産能力者計画自体があの実験のために無理矢理引っ張り出された様なものですからね」

土御門「そうだな。もうひとつの可能性としては、第三次製造計画か」

海原「つまり、第三次製造計画を破綻させるのがゼロの目的という事でしょうか?」
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:20:39.40 ID:wa4OCZk0

土御門「それは有り得んぜよ。御坂美琴のDNAマップも演算パターンも既に取得済みだし、
仮に奴が死んだところで第三次製造計画への影響は無いはずだ」

海原「死んだらなんて縁起でも無い事いわないでくださいよ…」

土御門「ま、そうなると残る可能性は、人材資源的な意味でレベル5である超電磁砲を誘拐、
あるいはさつ…いや、始末しようとしていると考えられるな」

海原「前者なら研究開発目的、後者なら学園都市と敵対する外部の組織か、あるいは彼女に個人的な恨みを持つ者か……」

土御門「何にせよ、ターゲットを絞り込むにはあまりにも情報が無さ過ぎる。ってかむしろ皆無だ。ふざけやがってあの野郎」

海原「上からの新情報を待つしかないみたいですね」


27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 09:22:04.36 ID:wa4OCZk0

【あわ☆きん】


黒子「まさかあの奇妙な寮監と一緒に、あなたまでここにやって来るとは…」

淡希「秋は新しい出会いの季節って言うでしょ?」

黒子「それは春ですの」

黒子「それに、あなたは高校生では?」

淡希「ああ、それはデータのミスよ。本当は中学生だから」

黒子「なぜ名門の霧ヶ丘から常盤台へ編入を?」

淡希「気分よ。それに、ここだって名門でしょ?」

黒子「なんか胡散臭いですの…」

淡希「ま、あの時は色々あったけど、今は敵じゃなくて先輩なんだから敬意を払いなさいよ?」

黒子「人を殺しかけといてよくもまあ……(ブツブツ)」
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/05(火) 09:23:02.12 ID:wa4OCZk0
時間が無くなってしまったのでここで区切ります

ちなみにゼロと言っても反逆の何とかとは全く関係ありません
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/05(火) 09:24:09.60 ID:zwPrI.E0
乙です
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 12:48:38.98 ID:WNktz2o0
書き溜め乙。このくらい書いてからスレ立てしてくれるとありがたいと思う。

>>8
折半案じゃなくて折衷案だと思う。
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 16:45:41.79 ID:2NS6VCw0

これは面白そう
支援
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 17:48:48.46 ID:i81Fb2AO
しえン
ロシア編はグループ活動が無くて寂しいからこのSSはありがたいんだぜ
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 20:08:46.15 ID:BsTM.cAO
なんだよゼロゼロ言ってるからルルさんかと思った
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:52:16.80 ID:ubCaDec0
再開します
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:53:48.14 ID:ubCaDec0

Prrrrrrr


一方通行「zzz……」


Prrrrrr


一方通行「……うるせェ…」


ピッ!


『おっはよー♪ミサカのミサカのモーニングコールだよ♪』


一方通行「ふあァァ……そう言やァ、ガキにモーニングコール頼ンでたっけ…」

一方通行「おい…打ち止m…」


『ところがどっこい!実は最終信号じゃなくて番外個体でしたー♪ぎゃはははッ♪』

『かえしてー!ミサカの携帯かえしてー!』


一方通行「……」


ピッ!


一方通行「今何時だ……って七時かよ。悪い子はまだおやすみの時間じゃねェか」
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:55:33.58 ID:ubCaDec0

ドンドン!!


一方通行「合言葉を言え」

美琴「下らない事言ってないで、さっさと起きないと朝ごはん食べられなくなるわよ?」

一方通行「朝食いらね」

美琴「鈴科さん寮監代行なんでしょ?あなたがしっかりしてくれないと、みんなに示しが付かないのよ」

一方通行(ああ、そっか。そういや俺は今寮監代行だったか…)

一方通行「どォせなら寮監じゃなくて幼稚園の先生が良かった…」

美琴「とにかく、もうみんな朝食終わって登校し始めてるから、鈴科さんもさっさと起きて朝食ちゃんと食べなさいよ」

一方通行「別に俺ァ学校行ってねェから良いだろ」

美琴「そうなの?でもダメだからね」

一方通行「へいへい…」

美琴「まったく、何で私がこんな事…」
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:56:14.03 ID:ubCaDec0

一方通行「ふァ…寝みィ…」

「寮監代行様、おはようございます」

一方通行「あァ」

「おはようございます寮監代行、相変わらず青白いですね」

一方通行「うるせェよ」

「おはようございます寮監代行、学校サボってデートしませんか?」

一方通行「学校はちゃンと行け。つーかオマエはレズか?」

「おはようございます寮監代行、グループって楽しいですか」

一方通行「おいちょっと待て!何でお前がそれを知っt」

「おはようございますもやし」

一方通行「誰がもやしだオラァ!!」


38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:57:15.60 ID:ubCaDec0

【淡希サイド2】


教師「えー、今日からこのクラスに新しい生徒が編入して来ました」

淡希「結標淡希です。能力はレベル4の座標移動です。夜露死苦」

教師「では結標さん、御坂さんの隣が不自然に空席なのでそこに移動してください」

淡希「はい」

美琴「不自然って、まるでイジメられてるみたいじゃない…」

淡希「よろしくね、御坂さん」
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:58:04.89 ID:ubCaDec0

美琴「よくもまあ抜け抜けと私の前に顔を出せたものね…」

淡希「ごめんなさい……」

美琴「………」

淡希「ごめんなさい…ぐすっ…」

美琴「…いいわよもう、だから泣かないでよ。ね?」

淡希「あなたの靴を片方だけ隠してごめんなさい…」

美琴「そっちじゃねぇ!!つーか私の靴隠したのアンタだったんかい!?おかげで学校遅刻したわよこの馬鹿ァ!!!」

先生「御坂さん!?授業中ですよ!!」

美琴「あ、失礼しました……」

淡希(計画通り…)二ヤリ

美琴「こ、このアマ…」
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 21:59:53.83 ID:ubCaDec0

【本編】


一方通行「ったく、いつまで続くンだこの仕事はよォ」

淡希「ほら、文句垂れてないでちゃんと超電磁砲を見張ってなさいよ。私は可愛いショタを探してるから」

一方通行「目ン玉潰すぞクソボケ」


今は昼過ぎから夕方。ちょうど学生達が帰路につく、或いはどこかへ遊びに出掛けるなど自由を満喫する時間帯である。

学園都市第三位、常盤台のエースである御坂美琴の放課後はと言うと、後輩の白井黒子と一緒に第七学区内を徘徊しているのであった。

そして現在、一方通行と結標淡希はそんな超電磁砲を影から監視しているのである
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:00:39.31 ID:ubCaDec0

淡希「たぶん私の予想だと、あの二人は喫茶店に向かうと思うわ」

一方通行「ふあああァァ……ねみィ…」

淡希「真面目にやりなさいよ」

一方通行「ストーカー行為に倫理観を要求されるたァ世も末だな」

淡希「ストーカーじゃなくて護衛って言いなさい。ってかアンタ本当に寝むそうね」

一方通行「ああ、なンせ7時半に起きたからな」

淡希「私は6時に起きてるけど」

一方通行「年寄りの朝は早ェみたいだけどよ、生憎と俺はまだ若者なンだわ」

淡希「白髪のくせに」

一方通行「赤毛のくせに」
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:01:15.59 ID:ubCaDec0

美琴「……(ピクッ)」

黒子「…?どうかしましたの?」

美琴「誰かに付けられてる様な気がする……」

黒子「ストーカーですの?まあ確かに、お姉様を追いかけたくなる気持ちも分からなくはないですが」

美琴「そんな変態はアンタ一人で十分過ぎるわ」

黒子「それもこれもお姉様が素敵過ぎるのがイケませんの!ああっ!お姉様ぁぁああッ!!!」ぎゅっ!!

美琴「ええい!鬱陶しい!!!」
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:02:25.93 ID:ubCaDec0

淡希「……」

一方通行「……」


おい、あの二人可愛くね?(ヒソヒソ)

ああ、何してるのかは知らないけど可愛いな(ヒソヒソ


淡希「……」

一方通行「……」


俺あの白い子タイプだな

俺も俺も、あのスレンダーな感じがたまんねぇよな


淡希「……」

一方通行「……」


ふぅ…

あの白い方の女の子良いよな

同感ですねー


淡希「何でアンタばっか人気があるのよ!」

一方通行「知るかよ」
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:03:04.25 ID:ubCaDec0

淡希「納得いかないわ」

一方通行「理不尽だろ常識的に考えて」


………


美琴「……」

黒子「お姉様?」

美琴「やっぱ誰か居るわね!」くるっ


淡希「やばい!超電磁砲がこっちに気付いた!隠れて!!」サッ!

一方通行「うおっ!」ヒュン!
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:04:48.91 ID:ubCaDec0

美琴「……あれ?」

黒子「誰もいませんの」

美琴「おかしいわね…」

黒子「お姉様、少しお疲れになっているのではありませんの?」

美琴「う〜ん、そうかも…」

黒子「でしたら、この黒子がお姉様を癒してさしあg」

美琴「余計に心労を増やしてどうすんのよ」



淡希「……」



淡希「ふぅ、セフセーフ」

淡希「それにしても、これも超電磁砲の能力なのかしら?だとしたら、やっぱレベル5は次元が違うわね」

淡希「……あれ?一方通行?」


………


淡希「しまった、座標移動でどっかに飛ばしちゃった…」

淡希「……ま、いっか」
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:05:47.15 ID:ubCaDec0

一方通行「……」


俺の名前は一方通行、学園都市最強の超能力者だ

あン?説明はいらねェ?そォか…

じゃあ、なンで俺が今、銭湯の脱衣所に居るのかってのも説明する必要はねェか?


「最近また胸が大きくなっちゃった」

「自慢かよ、私なんて毎日牛乳飲んでるのに」

「ここが銭湯ですかとミサカは」


あの馬鹿女のせいで、気付いたら銭湯の脱衣所に居たわけだ

しかも女湯のな
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:07:26.99 ID:ubCaDec0

一方通行「……」


つーかラッキースケベは三下の役割だろ?

はっきり言ってババア共の裸を見ても何とも思わねェ

だが、ここで俺が痴漢で捕まったらどォなる?

黄泉川は呆れながら俺の両手にワッパかけて、番外個体はそれを見ながらゲラゲラと爆笑するンだろうな

だとしても、あのガキを泣かせるわけにはいかねェ!!!

それでも俺はやってねェ!なンて法廷で証言したとこで誰も信じちゃくれねェだろうし…

ああ、分かってる。こンな状況で今更何をほざいてンのかって事くれェはよォ

けど、違ェンだよ

例え俺達がどれほどのクズでも、どんな理由を並べても

それであのガキを泣かせて良い理由にはならねェだろォが!!!


48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:09:36.12 ID:ubCaDec0

ミサカ妹「じーっ……」

一方通行「……」


何でコイツは俺を凝視してやがる?つーかそもそも何でコイツがここに居る?


ミサカ妹「以前どこかでお会いしませんでしたか?とミサカは目の前のアルビノ系美少女に問いかけます。
具体的には第十七学区の操車場辺りで」

一方通行「い、いや、気のせいだろ。他人の空似ってやつだと思うぞ?」

ミサカ妹「そうですか。どうもその白髪とか超が付く程の四白眼な赤い目とか、
美白どころか蒼白って感じの肌とかガリガリの体とかが、
ミサカの脳内データベースの検索にかけると100%の適合率で一致する人物が居るのですが」

一方通行(姉妹揃って同じ中傷をしやがンのかこの野郎……)

ミサカ妹「ですが、あなたが違うと言うのなら、きっとそうなのでしょう。
とミサカは腑に落ちない点も受け入れつつ納得してみます」

一方通行「そォかい。そンじゃまあごゆっくり」スタスタ

ミサカ妹「もやし」

一方通行「(ピキッ!)……」スタスタスタガチャッ!バタン!

ミサカ妹「私の知る人物なら、今の一言でこの銭湯ごと怒って破壊していてもおかしくはないのですが、
どうやら本当に人違いの様ですね」


49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:11:17.43 ID:ubCaDec0
一方通行「最近よォ、俺の白髪は能力だけじゃなくて、このたまりに溜まった
ストレスにも原因があるンじゃねェかって思えてきたンだが…」

一方通行「覚えてろよ結標ェ、後でアイツのツインテールをてふてふ結びにしてやる」


「なあ良いじゃん?この辺あんま慣れてないんだろ?」


一方通行「あン?」


銭湯から脱出してぶつぶつと文句を垂れながら路地裏を徘徊していた一方通行の目に、
ガラの悪そうなゴロツキと、そのゴロツキに絡まれてる女性という、特に珍しくもない光景が入ってきた
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:14:37.41 ID:ubCaDec0

珍しくもない光景なのだ。この学生の多い第七学区では、特に路地裏でこの様な光景が目に付く。

余所から見れば近未来世界というファンタジーな学園都市だが、
治安に関してはこの有様という現状を鑑みるに、いくら科学技術が進歩しても、
それはけして本質的な人間の精神の進歩には結び付かないのだろう。

一方通行は先の世界大戦の時に、外からこの学園都市を見て知ったのだ。
この街の奥深くに潜むどす黒い欲望の塊を。
世界最先端の科学都市を牛耳る純粋で原始的な悪の存在を。


自分が悪党という冠を被っていた事が笑えてくる


本当の悪は、自分の事を悪などと言わない。悪という自覚が無い。
まるで息を吸って吐くのと同じくらい気軽さで人を弄び、嬲り、[ピーーー]。
善と悪の挟間に自分を置くのではなく、奴等の価値観は、
まず絶対的な基準が一般人から見て悪とされる所に置かれているのだ。


純粋な悪は、この街の闇に君臨していた怪物にすらおぞましい嫌悪感を覚えさせた


一方通行「チッ…」

51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:15:42.17 ID:ubCaDec0

「俺達が親切に案内してやるよ」

?「あの…」

「ちょっと一緒に遊ぶだけだからさ?」


一方通行「だったら俺と一緒に遊ぼうぜ」


「あァ?」

「おっ、こっちの子も中々かわいいじゃねぇか」

「ねぇ、キミもこれから一緒に」


ドゴン!!!


突然一方通行の腕が真横に伸び、コンクリートの壁にぶち当たった

だが一方通行の腕は壁に弾かれる事なく、そのまま腕がコンクリートの壁に深くめり込んでいる


「!?」

「なっ、あ……」

一方通行「何ビビってやがンだよ。ちょっとした準備運動だろォが」
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:18:53.40 ID:ubCaDec0

壁からゆっくりと腕を引き抜くと、壁の一部だったものの残骸が
一方通行の腕からパラパラと零れる様に地面に落ちていく。

コンクリートの壁は、まるで木材にドリルで穴を開けた様に、
その周辺に一切の亀裂を出さずに、一方通行の腕がめり込んでいた部分にだけぽっかりと綺麗に穴が開いていた。


一方通行「さァ、遊ぼうぜ?」


顔を真横に引き裂きそうなくらいに口の両端を釣り上げて凶悪な笑みを浮かべる


その後はどうなったか言うまでもあるまい



一方通行「……くっだらね」


逃げるゴロツキを追う事も、その後ろ姿を眺める事もしない

一方通行は軽く悪態を吐きつつその場を去ろうとした
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:19:59.55 ID:ubCaDec0

?「あの!」

一方通行「あァ?」


ふと自分にかけられた声の方に、一方通行は振り向いた


?「あの、あの、その、えーっと、ありがとうございました!」

一方通行「別に礼を言うほどの事でもねェよ…」


不良に絡まれた女性という認識しか無かったので、その女性の人物像にまで関心は無かった

だが、改めて良く見ると、不思議な感じの少女だ
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:23:16.12 ID:ubCaDec0

歳や背丈は御坂美琴と同じくらいだろうか?もしかしたらもっと上なのかもしれないが、
素直な表情でこちらに笑顔を向けるその少女の顔立ちは、あどけなさを感じられる

一方通行に負けないくらいの白い肌と華奢な体。
腰まで届きそうなくらい長い髪を片方にまとめて縛ってある。サイドテールというやつだろうか?


ところで何が不思議なのかというと、それを表現するための的確な言葉が見つからないのだが、
曖昧な言い方をすれば“透明な少女”という感じかもしれない


無論本当に透明なわけではない


例えるなら、まるで異世界の人間の様だ

現実と異世界が重なった瞬間にだけ現れる幻想は、触れようとしてもけして触れる事は叶わない逃げ水に似ている



一方通行はその幻想に触れようと手を伸ばした……



?「どうかしましたか?」

一方通行「……」


その少女の声を聞いて、無意識に少女の方に伸ばしていた手を咄嗟に引っ込めた
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:25:33.21 ID:ubCaDec0

奇妙な白昼夢でも見ていたのだろうか?それほど多くの女性を見てきたという分けではないが、
こんな妙な気分にさせられる女性は一方通行にとっては初めてだった。

“妙な“とは言っても、それは恋愛感情の類ではなく、
どちらかと言えば不可思議な現象に対する戸惑いに近いものであるのだが。

何にせよ、あまり積極的に関わろうとは思えなかった


一方通行は踵を返すと、そそくさとその場を去ろうとした


?「あ、待って下さい!」


呼び止められたが、一方通行は返事をしないし、意識を向ける事も無い

だが、ひたすら無視し続ける一方通行の腕を、その少女は片手で掴んできた


?「あの、お礼を…!」

一方通行「必要ねェ」


一方通行はその手を振りほどき、逃げる様にその少女のもとから去ろうとした


?「きゃっ!」ドサッ

一方通行「あァ?」


一方通行が腕を振りほどいた瞬間、その少女は思いっきり地面に転んでしまった
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:26:31.00 ID:ubCaDec0

?「はぅ…」

一方通行「……」


これは酷い、酷過ぎるくらいに鈍い

下手すると自分よりも運動神経が無いのでは?と一方通行は思った


?「うぅ…待ってくださいよぉ……ぐすっ…」


その少女はうつ伏せになって倒れたまま、それでも涙目になりながら一方通行を引き止めようとした

はっきり言って無様というか、見ているこっちが情けない気分になってくる


一方通行「……はァ…」

?「あ、すみません、ありがとうございます」


一方通行が呆れながら手を差し出すと、少女は細い華奢な指を伸ばし、無垢な笑顔を見せながらその手を掴んだ
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:28:19.88 ID:ubCaDec0

一方通行(何なンだこりゃ…)


気紛れで不良に絡まれている人間を助ける事くらいはあるだろうが、
助けた人間に関心を向ける事も、ましてやこんな風に誰かに手を差し伸べる事など、
今までの自分からすれば有り得ない事だ

これもあのレベル0の影響だろうか?

何かアイツと殺し合うたびに自分がおかしな方向へと変っている様な気がするが…


一方通行「まンざらでもねェのがムカツク」

?「はい?」

一方通行「何でもねェ。さっさと失せろ」

?「そうだ、そこの近くの喫茶店でどうですか?もちろん私の奢りです♪」

一方通行「はァ?」


コイツは何の話をしている?


?「さあ、早く行きましょう!」

一方通行「オマッ、引っ張ンじゃねェ!」


少女は一方通行が杖を突いてるのも気にせずに強引に引っ張って、その近くの喫茶店とやらに向かって行った
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:29:30.72 ID:ubCaDec0

?「あの、本当にコーヒー一杯だけで良いんですか?」

一方通行「ガキに奢られるのはあンま良い気分じゃねェ」

?「ガキじゃないです!これでも18ですよ!?」

一方通行「……」

一方通行「はァ!?」

?「どうして驚いてるんですか…」

一方通行「いや…何でもねェ…」

一方通行(超電磁砲と同じくらいだと思っていたが、まさか俺より年上とはな…)
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:30:45.20 ID:ubCaDec0

一方通行「……」じーっ…

?「……?」

一方通行「オマエ、もしかして長点上機学園か?」

?「はい、そうですよ」


彼女の服装は、青を基調とした制服だ

どこかで見た覚えがあるとは思っていたが


一方通行(そういやァ、俺は今書類上は長点上機に所属してンだよな?)

一方通行(つーこたァ、俺の先輩になるのか)


ガシャン!


?「はわっ!?」

「大丈夫ですかお客様!?」

?「す、すみません……うぅ…」

一方通行(これがか?冗談だろ?まァどーでもいいけどな)


不注意で紅茶の受け皿を落として慌てふためいてる少女とは対照的に、
一方通行の方は特に動じる事もなく、間抜けな少女を観察しながらコーヒーを静かに啜っていた
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:32:03.94 ID:ubCaDec0

?「あっ、申し遅れました。私は生方実(うぶかたみのり)です」

一方通行「あっそ」

生方実「あなたのお名前はなんですか?」

一方通行「カルロス・セニョール・田吾作だ」

生方「へぇ〜もしかしておじいさんはブラジルの方だったりするんですか?」

一方通行「いや疑えよ。嘘に決まってンだろ」

生方「嘘なんですか?」

一方通行「……」

生方「それで、本当の名前は何ですか?」

一方通行「マイケル・ジャクソン」

生方「大スターと同じ名前ですか!?凄いですね!」

一方通行「もちろン嘘だって分かってるよな?」

生方「えっ!?」

一方通行「オマエ…」
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:32:49.22 ID:ubCaDec0

本気で驚いてるのを見ると、どうやら本当に信じたみたいだ

面白いほどに騙されるが、騙し甲斐は全くない。それどころか逆に調子を狂わされる。

相性としてはお世辞にも良いとは言えないだろう。


生方「もう、意地悪しないでいい加減本当の名前を教えて下さいよ…」

一方通行「鈴科百合子だ」

生方「すずしな?」

一方通行「鈴に科学の科、花の百合だ」

生方「綺麗な名前ですね。ピッタリじゃないですか」

一方通行「あァそォかい(これも偽名だけどな)」
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:33:21.68 ID:ubCaDec0
生方「今日は本当にありがとうございました」

一方通行「ああ」

生方「また会えるといいですね」

一方通行「そうだな(絶対嫌だ)」


一方通行は今度こそ生方に背を向け、去って行った

一方通行は振り返る事は無かったが、一方通行の背中が見えなくなるまで彼女はその後ろ姿を見つめ続けていた…
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:34:10.68 ID:ubCaDec0

【淡希サイド3】


淡希「おーい!御坂さーん!?」

美琴「ん?……げっ!」

淡希「何よ?げっ!って」

美琴「何か用かしら?」

淡希「いやー別に用があるってわけでもないんだけどね」

美琴「そう。バイバイ」

淡希「いくらなんでも冷たすぎじゃない?」

美琴「私があなたに優しくする道理があるなら20文字以上25文字以内で語ってみせなさい」

淡希「席が隣」

美琴「せめて10文字は頑張って欲しかったわ…」
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:35:51.26 ID:ubCaDec0

淡希「どうせ暇でしょ?せっかくだからこれを機にお互い親睦を深めようかなぁと」

美琴「だが断る。バイバイ」

淡希「ねえ、ホットドッグ食べたくない?」

美琴「あなた以外の人とならね」

淡希「上条当麻とか?」

美琴「な、なななっ!!何でアイツの名前が出てくんのよ!!
ていうか何でアンタがあの馬鹿の事知ってんのよ!?一体どういう関係なの!!?」

淡希「どおどお」

美琴「あたしゃ馬か!?」

淡希「それよりもさ、ホットドッグ食べたくない?」

美琴「しつこいわねぇ。だからアンタと一緒に食べる気はないっt」

淡希「今そこの一つ2000円のホットドッグ屋で、ゲコ太のストラッププレゼントキャンペーンをやってるんだけど」

美琴「!?」

淡希「ちなみに1名様に付き1つね。100個買っても1個しか付いてこないわよ?」

美琴「むむむ…」
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:37:12.25 ID:ubCaDec0

店員「あじゅじゅしたー」


美琴「ゲコ太ゲットだぜー♪」

淡希「嬉しそうね。はい、私のもあげる」

美琴「ありがとう!あわきん♪」

淡希「あわきん?」


………


パクッ

淡希「……美味しいわねこれ。2000円でも納得できるわ」

美琴「ソーセージは本場ドイツから取り寄せてるし、小麦粉もケチャップも全部こだわり抜いてるから当然よ。
むしろ安いくらいだわ♪」
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:38:10.47 ID:ubCaDec0

淡希「それにしても嬉しそうね」

美琴「当然じゃない♪まさかこんなとこでゲコ太に出会えるなんて……これって運命よね?」

淡希「はぁ……そんな子供っぽい趣味してるから、いつまで経っても愛しの上条君が振り向いてくれないよの」

美琴「むぐっ!だ、だから何でアイツの話がここで出てくんのよ!!?」

淡希「落ちつきなさいってば。ほら、鼻にマスタード付いてるわよ」

美琴「えっ?(ぐいっ)……ッ!!!!!!!!!!」ジタバタ

淡希「ああもう!大丈夫!?」ガタッ


立ち上がり、美琴の傍に近寄る淡希


美琴「だ、大丈夫だ、問題無い…わよ…」

淡希「全く、そそっかしいわねほんと」

美琴「アンタが変な事言うからでしょ……アレ?」

淡希「どうしたの?」

美琴「私のホットドッグってどっちだっけ?」

淡希「……さあ?」
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:39:09.38 ID:ubCaDec0

美琴「なんか以前も全く同じシチュエーションがあった気がする。デジャヴってやつかしら?」

淡希「ま、どっちも同じよ」ヒョイ

美琴「あっ!?」

淡希「むぐむぐ…ん?」

美琴「べ、別に女どうしだから問題無いわよね/////」

淡希「なに?まさか間接キスとか気にしちゃってんの?あははっ!今度から純情レールガンって呼んであげるわ」

美琴「うるさい!」パクッ

美琴「むぐっ……/////」
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:40:42.22 ID:ubCaDec0

【00000】


黒子「おねえ…さま…?」


黒子はジャッジメント支部からの呼び出しがあったため、美琴と別れ、そこへ向かうために路地裏を歩いていた


「……白井黒子ね?」


黒子の目の前には、先程別れたはずの御坂美琴が居た

おかしい。美琴は常盤台の学生であり、当然先程別れた時も常盤台の制服を着ていたはずだ。

だが、今目の前に居る美琴は、常盤台ではなく違う学校の制服を着用している。
自分の記憶が正しければ、あの制服はおそらく長点上機学園のものだ。


黒子「お姉様、いつの間に御着替えになりましたの?」

美琴?「………」

黒子「………ッ!!」


違う。この雰囲気は、自分が知っている御坂美琴ではない。
彼女の周囲に醸し出された明確な敵意が、まるで空気を伝わって黒子の肌に纏わりついてくる様である…
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 22:41:43.30 ID:ubCaDec0

黒子はとっさに金属矢を取りだし、構えた。

だが…


美琴?「ごめんね?」

黒子「えっ…?」


ドガッ!


黒子「がッ…?」ドサッ!


背後からの一撃で、黒子の体は前に崩れた


美琴?「御苦労さん。じゃ、後はよろしくね」

?「はい」


黒子を背後から殴打したその少女は、一言返事をすると一瞬にしてその姿を消してしまった
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/06(水) 22:43:02.05 ID:ubCaDec0
ここで区切ります
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 00:22:14.59 ID:xlm.peso
シリアスにはいるのが怖いんだぜ!

おつなんだぜ!
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 01:11:04.63 ID:9oK4wIAO

楽しいな
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 06:04:41.93 ID:3hBJWYAO
乙です!

あの、一方通行はどんな服を着てるのんですか?
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/07(木) 23:07:52.37 ID:W0m68HM0

続きを投下したい……のですが、初っ端から軽いネタバレが入っているので、公式発売日
である10日の翌日、11日からでないと書けないみたいです

というわけで、一体どれだけの人がこのレスを見てくれているのか分からないので
まともなアンケートになるかどうか一抹の不安はありますが、一方通行(女装)の服装
に関するアンケートを行いたいと思います

下らない事をしてるのは百も承知ですが、どうか付き合ってやってください
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/07(木) 23:10:05.92 ID:W0m68HM0

戦争が終わったばかりという事を考慮して、時期は10月下旬から11月の上旬。
ちょっと肌寒い季節ですね。

スカートはもう書いてしまったので確定済み。だけど寮監だから制服である必要は無い

一方通行の趣味から考察して、この方は白、黒系統、或いはマーブル系の服が好みなのではないかと思います

髪はそのまま過ぎるとあれなので、ヘアピン等のさり気無い感じの髪飾りを付けているとしましょう。
あるいはキャスケットなどを被っているというのもいいと思います。

目は今までの四白眼だと恐いので多少は大きくなっていると仮定します


というわけで……

76 :1 [saga]:2010/10/07(木) 23:19:33.28 ID:W0m68HM0

A:今までの一方通行の服装を考慮して、ボーダーの長袖チュニックと黒のミニスカ

B:白いシャツと黒系のネクタイに黒系のミニスカ、黒のニ―ソかストッキング(個人的にネクタイしてる女の子が好きです) 

C:絹旗の様なワンピース系。この場合はロングか、あるいはミドルのブーツを履いてる、
  或いは黒系のストッキングを履いている事が望ましい

D:動きやすさを考慮してタイトなボーダー系のパーカとスカート、或いはカジュアルなジャージとスカート。
  やはりストッキングかニーソはオプションとして。

E:その他、こンな服が良いンじゃねェかなァというものを提示してください

F:堕天使エロメイド


どうも自分は生足の一方さんというのは想像できないみたいです

A〜Eの中から選択してください。期限は10月10日の23時59分59秒までとします。
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 23:43:05.64 ID:aH8.BDU0
F:堕天使エロメイド
もうね、わざととしか思えない。
>>1が自分を追い詰めてくれって言ってるようにしか思えない。
だからあえてそれに乗ってやる。
ついでに言うとこの格好ならたぶん生足だと思う。
あとはうまくやってくれ。ではまた。
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 23:47:29.65 ID:8mrDPPoo
個人的にはスカートじゃなくてジーパン短パンの方がイメージしやすかったりする
ジーンズ生地のミニスカでもいいけど
常盤台寮の中でだとカジュアル過ぎると浮くというより寮監っぽくなくなり過ぎるしなぁ
Bに一票入れとく
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 00:35:35.77 ID:vuto0DEo
Bって良さそうだなー、ってうかニーソックス大好き
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 00:38:41.30 ID:IZ8xI660
F・・・と言いたい所だけど、繚乱家政女学校のメイド服希望!
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 01:54:12.47 ID:3C0IPqk0
ニーソ一択
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/11(月) 18:02:05.07 ID:ZJuc4pY0
アンケートの結果、一方通行の服装はBに決定しました。
ご協力ありがとうございました。

これからは白いシャツと黒系のネクタイに黒系のミニスカ、黒のニ―ソという出で立ちの
一方さんを想像しながら読んでください
83 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:03:02.49 ID:ZJuc4pY0

【女子寮にて】


一方通行「おかえりンこ」

美琴「ただいまんっ…!?って何言わせんのよ!!」

一方通行「チッ」

一方通行「さーて、結標ェ…」

淡希「な、なに…?」

一方通行「ちょっと寮監代行と大事なお話をしましょォか?」

淡希「えっ、ちょっ!イヤ!犯されるッ!!」

一方通行「そのセリフは俺が女装してない時に言わなきゃ誰も耳を傾けちゃくれねェぞ」
84 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:04:32.87 ID:ZJuc4pY0

一方通行「おい、結標」

淡希「別に悪気があったわけじゃないのよ!アレは仕方なく…」

一方通行「そっちじゃねェ。オマエ、超電磁砲の前で三下の話をしたか?」

淡希「え?あ、うん……少しだけ…」

一方通行「そうか…」

淡希「あれ?何かマズかった?もしかして、告白に失敗したとか?」

一方通行「オマエは知らねェかもしれねェが、三下はまだ学園都市に帰ってきてねェンだよ。あのロシアでの戦争の時から一度もな」

淡希「えっ!?」

一方通行「今も学園都市の捜索機関が秘密裏に血眼になって捜してやがる。
たぶン、アレイスターにとっては余程重要なもンらしいな。
何もかもをプランに組み込ンで計画通りに事を進めるアレイスターにとって、
唯一ひと泡吹かせられた程のイレギュラーだと思う」

淡希「それ、本当の話?」

一方通行「こンな事でオマエに嘘を吐いてどうなる」
85 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:08:04.21 ID:ZJuc4pY0
淡希「それ、本当の話?」

一方通行「こンな事でオマエに嘘を吐いてどうなる」

淡希「じゃあ…」

一方通行「ああ、プランがどうこうとか関係無くてな。超電磁砲も今でこそここまで立ち直ってはいるが、
学園都市に帰って来たばかりのころは、そりゃァ酷ェ落ち込み様だったみてェだ。
まァ、妹達が見てたのを打ち止め経由で知っただけだから、俺が直接見聞きしたわけじゃねェが」

一方通行「つー事だ。アイツの前であのレベル0の話はしてやるな。
気丈に振舞ってはいるが、大切な人間に会えないってのがどれだけ辛い事なのか、
少年院に仲間を捕えられてるオマエにそれが分からねェとは言わせねェ」

淡希「……」


真剣な顔で語る一方通行を、何やら不思議なモノを見る様な目でジロジロと見る


淡希「アンタ……誰?」

一方通行「……はァ?」


86 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:09:41.75 ID:ZJuc4pY0

淡希「正体を現しなさい!アンタ、一体何セラレータなの!?」

一方通行「アクセラレータだこの野郎!」

淡希「嘘よ!?一方通行が誰かに気遣いを見せるなんて!いや百歩譲って打ち止めみたいな幼女には優しいとしても!!
中学生以上はババァと明言していたアンタが、超電磁砲にこんな気遣いを見せるなんておかしいわ!!」

一方通行「オマエ、一体俺をなンだと思ってやがる…」

淡希「え?学園都市最凶のロリコンじゃないの?」

一方通行「……」カチッ!


その後、結標淡希の断末魔を聞いた常盤台女子寮の生徒達は、寮監代行に逆らう事の恐ろしさを改めて認識したのであった




87 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:12:19.52 ID:ZJuc4pY0
美琴「あ〜あ、なんか変な一日だったなぁ…」


美琴は自室に戻り、ベッドの上に鞄を放り投げ、背伸びをした

そして、そのままベッドに仰向けになって倒れ込む


美琴「はぁ……」


まさかあの残骸事件の時に戦った結標淡希が自分の隣の席に座る事になるとは、
もしも神様という者が居るのなら、一体何を考えて自分の人生にこんな展開を用意したのかと聞いてみたいものだ。



美琴「……」


そう言えば、久しぶりにあの少年の名前を聞いた気がする。

だいぶあの戦争の時から時間が経ったが、アイツは今どこで何をしているのだろうか?

最期にゲコ太のストラップだけを残してどこかへと消えてしまったあの少年は……



美琴「ハァ………ん?」


ゴロンと寝返りをうった拍子に、ふとその手に何かカサッとした感触を覚えた

そして自分の手元を確認してみると、その手の下に封筒が置かれていたのに気が付いた。
88 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:14:00.18 ID:ZJuc4pY0

大方、黒子が書いた変態的なラブレターなのでは?と思った。
だが、それにしてはあまりにも飾り気の無いシンプルな白い封筒


美琴はその中身を見た瞬間に、背筋に這う様な寒気を覚え、その表情が凍りついた


美琴「なによ…これ…?」


封筒には黒子が映っている写真と、一枚の便箋が入っていた

写真の黒子は縄で拘束され、目隠しされ、ヘッドホンの様な物を耳に着けられ、椅子に座ったまま項垂れていた。
黒子の能力は空間移動だ。縄程度の拘束では簡単に脱出されてしまう。おそらくそれを事前に
リサーチした上で、あのヘッドホンには、能力者の演算を阻害する特殊な音波が流れているのかもしれない。

相手は単なる金目当て、またはレベル5の自分に対する興味本位での挑発と言った次元でこんな事をしているわけではないのだろう。

それを示す決定的な証拠が、同封された便箋に記されていた。

便箋にはご丁寧に自分達の居る場所を細かに説明してある。そして、その最後にこう書かれていた。


From The first Radio noise
and the first victims by your mistake


何でわざわざ英語?と思ったが、例え黒子という人質が無くとも、この言葉だけで十分だ

美琴は便箋を握りしめ、勢い良く部屋を飛び出して行った


89 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:17:03.55 ID:ZJuc4pY0

学園都市第17学区

かつて一方通行と上条当麻が戦った操車場があり、また錬金術師のアウレオルスと戦った三沢塾もこの第17学区にある

そして、この学区にある今は使われていない廃ビルに、白井黒子は囚われていた


黒子(能力が発動できない……このヘッドホンから流れているのは、キャパシティーダウンと同種のものでしょうか…)

?「……」

黒子「……あなたは誰なんですの?」

?「……」

黒子「なぜお姉様と同じ顔を?」

?「知りたいか?知った瞬間にキミはこの学園都市そのものから命を狙われる事になるけど」

黒子「……お姉様とは別人なんですか?」

?「そうとも言えるし、違うとも言えるかな。まあそうだね……あえて呼ぶとしたら、私の識別名は…」

「来る」

?「!?」
90 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:18:48.37 ID:ZJuc4pY0

今まで聞こえていた美琴と同じ顔をした少女のものとは、別の女性の声が聞こえてきた

来る?一体何が…?


「あぁ〜メンドクセ!チョーメンドくせェ!!」


突然、爆発音の様なものと、ビルの外壁が派手に崩れる音の両方が同時に聞こえてきた


番外個体「ヤッホー!えーっと、確かあなたは……」


番外個体「00000号(フルチューニング)で良いんだっけ?アハッ♪先輩よろしくねーッ!!!」

フルチューニング「チッ!」


フルチューニングは磁力狙撃法と同じ要領で音速で発射された鉄釘を、寸でのところで回避した

91 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:20:29.68 ID:ZJuc4pY0

フルチューニングが居た場所に、数本の鉄釘が根元まで深く刺さっていた


フルチューニング「キミは…そう、生きてたのか。第三次製造計画の灰汁が」

番外個体「あの人に言われてお姉様の友人をマークしてたわけだけど、
まさか食い付くるなんてホント単純だね。単純過ぎて笑えてくるかも」

フルチューニング「そうか?じゃあ笑えない様にしてあげるよ……神楽!」


フルチューニングがその名を読んだ途端、ダンッ!と一発の銃声が響いた

番外個体にとっては完全な死角。そして肺のある位置を狙った一発だった。


だが…


番外個体「残念♪」

神楽「…!?」


バヂッ!と自分に向かってくる銃弾に対し、番外個体の体から一筋の雷撃が放たれ、それを弾いてしまった


神楽「バカな……完全に死角だったはずなのに…!?」

番外個体「狙いは悪くないよ?あなた、光学操作系の能力でしょ?」
92 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:21:44.73 ID:ZJuc4pY0

番外個体「お姉様や私みたいな高レベルの電撃使いは、電磁波の反射波を利用したレーダーで周囲の物体を感知できるんだけど、
あなたの動き、いや存在そのものすら感知できなかった。完全にステルス状態じゃ正直お手上げかな。レベルは4くらい?」


神楽と呼ばれるその少女は、見た目は中学生くらい。ショートヘアーの黒髪で、猫目がちな瞳が特徴である。
先程背後から黒子を気絶させたのも、そして女子寮の美琴の部屋に侵入してあの封筒を置いたのもこの少女だ。


神楽「そうです。あなたは完全に私の存在に気付いていなかった。なのになぜ!?」

番外個体「あなたの存在には気付けなかった。でも、あなたから放たれた銃弾はその対象外だろマヌケ」

神楽「銃弾ですよ?感知してから避けられる様なものじゃ…」


ダンッ!


再び聞こえてきた銃声

今度はフルチューニングの握る銃から放たれたものだった

だが、弾丸は番外個体の体を貫く事無く、再び床にたたき落とされる
93 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:23:23.63 ID:ZJuc4pY0
フルチューニング「なるほど……電磁装甲と同じ理論か。周囲に張り巡らされたレーダーが感知した瞬間に、
電撃を発生させて異物をたたき落とす。そのシステムを全部無意識に行っているのか」

番外個体「さすが姉妹だね」

フルチューニング「やめろ気持ち悪い。その法則、まるで学園都市第一位に似ているな。
そうか……キミは、第一位の演算パターンを習得して自分だけの現実の最適化に成功したというわけか」

番外個体「御名答!」


ドッ!と強烈な衝撃が番外個体の足元に生まれ、とてつもない速度で番外個体の体がフルチューニングに向けて発射された


フルチューニング「へぇ…」


フルチューニングがそれを回避すると、番外個体の体は壁に激突し、轟音と共に壁が崩れる


番外個体「ぎゃははっ♪、いい反射神経してんじゃん?さすがは天井の特別製だね♪」


壁に思いっきり激突したはずの番外個体の体には、傷一つ無かった。

壁自体を異物と認識し、莫大な高圧電流を周囲に流す事で、
自分にダメージを与える異物を消し去ると同時に空気を爆発させ、衝撃を緩和したのだ

94 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:26:19.31 ID:ZJuc4pY0

フルチューニング「それも第一位のベクトル操作を真似たものかな?でもあまり使わない方が良いよ?
それ、生体電気信号を操作して無理矢理筋肉を動かしてるんだよね?厳密には第一位とは似て非なる理論だね」


火事場の馬鹿力という言葉があるが、一定の条件化で人間は本来の力を超えた運動能力を発揮する事ができる。
だが逆に言えば、それは普段から人間は自分が発揮できる運動能力に一定のセーブを掛けているという事にもなる。
その理由としては、常に100%の力を出し続けると、筋肉や骨、内臓に負荷を掛けてしまうからという説があるのだが…

番外個体は脳から神経を通じて筋肉に伝わる電気信号を操作して、100%の力か或いはそれ以上の力を自分の意思で出している。
さらに、高圧電流による空気の爆発をブースターにする事で攻撃の威力を上げているのだが、
その分体にかかる負担は大きくなっているのである。


番外個体「そう、だから早めにくたばってくれるとありがたいんだけどッ!!!」


ドン!と再び地面を蹴る

そして今度はフルチューニングの後ろに回り込んでブレーキを掛け、フルチューニングに背を向けたまま肘打ちを食らわせようとした。


フルチューニング「無駄だね」

番外個体「!?」

95 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:29:17.05 ID:ZJuc4pY0

能力の性能は一方通行には遠く及ばないものの、運動神経においては番外個体は一方通行を軽く上回る。

いくら反射神経が良いとは言え、一瞬にして死角に回り込まれて発せられる攻撃を避けられるだろうか?


フルチューニング「火事場の馬鹿力ってのは、何も筋肉だけを指すわけじゃない」


フルチューニング「緊急時には脳内分泌物質が異常に分泌される。例えばセロトニン、ノルアドレナリン、
ドーパミン、エンドルフィン、GABAとかだね」

フルチューニング「そう言ったものは脳の働きを活性化させ、爆発的に集中力を向上させる。
それを脳内の生体電気を操作して一時的に、尚且つ自発的に異常分泌させる事ができれば、
キミの一撃は止まってる様に見えるよ」


そう言うと、攻撃を回避したフルチューニングは、逆に唖然としたままの番外個体の死角に回り込んだ


フルチューニング「ま、さすがに本職じゃないから“アイツ“ほど便利に使いこなせるわけじゃないけど、
フォーマットは違えどそれをできるのはキミだけじゃないのさ」


そして、死角からフルチューニングは番外個体の体に強烈な雷撃を叩きつけた


番外個体「なッ…!?」バヂン!!!


雷撃の威力で床に勢い良く叩きつけられた番外個体は、不思議なモノ見る様な目でフルチューニングを見上げる


96 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:31:32.87 ID:ZJuc4pY0

番外個体「うぐッ……どういう……」

フルチューニング「不思議じゃないだろ?キミの電磁装甲は、電撃の力によって向かってきた異物を粉砕する。
ならば、それを上回る電撃を叩きつけてやれば良いだけじゃないか」


フルチューニングは床に這いつくばる番外個体に再び強烈な電撃を叩きつける


番外個体「がッ!!あああッ!!!」


床で悶絶する番外個体。当然、電磁装甲は全く意味を成していなかった

番外個体のレベルは4相当。だが、その番外個体の体にレベル4相当の電磁装甲を打ち破る電撃を浴びせられる。それはつまり…


番外個体「あなたは……レベル5……?」

フルチューニング「さあ、どうだろうね?レベル5の完全体を指標として作られた試作品だから、他の妹達とは規格が違うんだけど……」


フルチューニング「まあつまり、それを知りたくてオリジナルを呼び出したわけさ」


番外個体「そんな事のためにッ!!お前はお姉様の周りの世界を傷付けたのかッ!!」

97 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:33:57.03 ID:ZJuc4pY0

フルチューニング「そんな事?キミもそうだっただろう?自分の目的のために第一位の心をズタズタにし、
最終信号を殺害しようとした。キミは彼とその周りの世界を傷つけようとしただろ?」

番外個体「ッ…!!」

フルチューニング「オリジナルを超える事。その可能性が私の生かされている意味。それが私の生存理由。
私の立ち位置は、今のキミから見たら惨めだろう?だけど、安息を手に入れたら180度変って高説垂れるキミの態度は気に入らないな」

フルチューニング「だから…」


ピン!と一枚のコインがフルチューニングの親指の上で跳ねた


フルチューニング「消し飛べよ、出来損ないが!!」


?「待って!!!」


青い電光を纏ったフルチューニングの指から、今まさにコインが弾かれようとしていた所だった

突然聞こえてきたその声によって、高く打ち上げられたコインはフルチューニングの手をすり抜け、そのまま床の上に転がった
98 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:36:12.20 ID:ZJuc4pY0

フルチューニング「ようやくお出ましか。オリジナル…」

美琴「アンタ…」

フルチューニング「もう手紙は呼んでくれたみたいだから、あえて自己紹介する必要は無いかな?
でも一応、これから[ピーーー]相手に対する礼儀としてね…」



フルチューニング「初めましてお姉様、あなたの遺伝子情報から作られた最初の醜いフェイクです。
識別名は、00000号(フルチューニング)と呼んでくださいね」


口の端を釣り上げ、獲物を見つけた肉食獣の様に瞳孔を細め、ゾッとする様な笑顔を浮かべるフルチューニング

同じ顔である美琴からすれば、まるで自分の心の中にあるドロドロとした残酷な面を見せられている様な気分である。

自分もこんな表情ができてしまうのだろうか?そう考えるだけで背筋が凍りつく…


美琴「アンタの目的は何…?」

フルチューニング「言っただろう?オリジナルを[ピーーー]事だって」

美琴「誰の命令を受けてるの!?どうしてそんな…」

フルチューニング「うるさいなぁ…」


鬱陶しそうにそう言いながら、それでも残酷な笑顔は絶やさないまま、フルチューニングは雷撃の槍を美琴に向けて放った


99 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:38:27.13 ID:ZJuc4pY0

美琴「ッ!?」


それを地面を転がる様に避けた美琴


フルチューニング「目的?命令?そんな多様性を持った人間様の物差しで考えるなよ。
洗濯機は洗濯をするためにある。クーラーは部屋の温度を調節するためにある。
そして私はレベル5の完全体を作り出すためのプロセスを見出すために製造された」

フルチューニング「だけど、結局はそのプロセスを見出す事ができなかった。
まあ、私が他の妹達よりも強いスペックを持って生まれたのは、本当に1%以下の偶然だったんだろうね」

美琴「……」

フルチューニング「でもさ、結局はダメなんだよ。試作品だからさ、もう必要ないんだよ。
能力にしたってそこの番外個体程度のものと大して変らないなら、わざわざ旧世代の私を残しておく必要なんか無い。
ネットワークに繋ぐこともできないから、他の妹達の価値にすら値しない」

フルチューニング「だからさ、仕方ないじゃん。私が生きていくためには、レベル5に匹敵するか、
あるいはオリジナルの第三位を超える力を証明できないと。要らない道具は処分されちゃうんだから…」


フルチューニング「だから戦えよ、オリジナル」


美琴「おかしい!そんなの絶対におかしいわよ!」

100 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:40:00.10 ID:ZJuc4pY0

フルチューニングは美琴の主張を気に止めずに、雷撃の槍を突き刺す様に放つ

そして、それを美琴が同じ雷撃の槍で牽制する


美琴「そんなのがアンタの生きる価値だなんて絶対に間違ってる!アンタにだって自分の意思があるはずでしょ!?」

フルチューニング「雌鶏のくせにピーピーピーピーうるさいなぁ!!雛にしかなれなかった模造品達への当てつけかそりゃ!!」

美琴「あの娘達を模造品扱いするな!!」


何千万、あるいは何億ボルトもの電撃と電撃が幾度となくぶつかりあい、凄まじい衝撃が周囲に破壊を撒き散らす

しかし、両者の戦況は均衡状態とは言えない。

フルチューニングの雷撃の槍を美琴が弾くというパターンが幾度となく繰り返されているのである。

フルチューニングは本気で美琴を殺そうとしている。しかし、美琴はフルチューニングに対して積極的に攻撃できない。
彼女も自分のクローンであり、自分の妹なのだ。その事実が、美琴がフルチューニングに対して牙を向ける事を許さない。


そしてついに…


バヂン!!


美琴「ぐッ!!」


美琴の足元で弾けた雷撃に対応できず、その雷撃により生じた衝撃で吹き飛ばされてしまった

101 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:42:36.56 ID:ZJuc4pY0

フルチューニング「やれやれ、これじゃあ埒が明かないなぁ」


フルチューニングは後頭部を軽く掻きながら呟いた


美琴「……」


よろよろと何とか立ち上がり、フルチューニングを睨む美琴


フルチューニング「じゃあさ、もうこれで決めようか…」


ピン!と一枚のコインが空中に弾かれた

そして、クルクルと回転しながら落下するコインをキャッチする


フルチューニング「どっちが本当の超電磁砲(レールガン)を名乗るに相応しいか。
シンプルで良いだろ?シンプルなのは良い事だ。余計な事に気を取られなくて済む」

美琴「そんな事……できるわけ……」

フルチューニング「やれよ!!やらないなら死ぬよ?」


瞳孔だけが小さく収縮したまま、フルチューニングは大きく目を見開いて威圧した

102 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:43:33.94 ID:ZJuc4pY0

フルチューニング「5秒の猶予をやる。さっさと構えろ!」

美琴「くッ…!?」


美琴はポケットに手を偲ばせ、指先がコインに触れる

しかし、取り出せない…


フルチューニング「5、4…」


フルチューニングはコインを親指と人差し指の上に乗せ、半身になって真っ直ぐにこちらに腕を伸ばす





できない…


の少年が命がけで守った妹達を[ピーーー]なんて


できるわけがない…


例え、ここで自分がその妹に殺されるとしても……



フルチューニング「3、2、1……[ピーーー]」


103 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:45:21.46 ID:ZJuc4pY0

バチバチとフルチューニングの腕に電光が走る


高く宙を舞うコインが、フルチューニングの指先に触れ、音速の三倍で放たれる…


その刹那


黒子「お返ししますわ」

フルチューニング「!?」


突然、フルチューニングの顔の横に黒い物体が現れた。
黒子の能力発動を防ぐために使用していた、能力者の演算を阻害する音声の流れるヘッドホンだ。


フルチューニング「貴様ッ!!!」


振り返るよりも早く、すでに背後に回っていた黒子の手がフルチューニングの背中に触れる。
すると、突然フルチューニングの体が消え、空間移動で宙に投げ出された。


ドスン!!


フルチューング「がァッ!!ぐッ!!!」


自由落下で背中から思いっきり床に叩きつけられ、のたうち回るフルチューニング

すかさず黒子は自分の体を拘束していたロープと、武器の金属矢を器用に空間移動させ、
フルチューニングの体を床に固定させて拘束した。

104 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:46:21.42 ID:ZJuc4pY0

黒子「能力は使えなくとも、あの程度の縛り方で大人しく拘束できるほど軟ではございませんの。
風紀委員を甘く見過ぎでしたわね、偽者」

フルチューニング「くッ!?神楽ッ!!何をしている!!!?」

黒子「その方でしたら、ほら」


黒子がアゴで指したその先に、番外個体によって床にねじ伏せられ、拘束されている神楽が居た


神楽「すみません…ッ…」


美琴とフルチューニングが激しい戦闘を繰り広げている間に、黒子はロープを解き、番外個体と共闘して神楽を倒したのだ。

神楽はレベル4の光学操作系の能力者だが、この辺り構わず雷撃が破壊を撒き散らしている戦場で、
しかも自分の攻撃が一切通じない番外個体と、同じレベル4の黒子の二人を同時に相手にしては勝てるわけがない。


105 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:48:17.09 ID:ZJuc4pY0

美琴「ありがとう、黒子…」

黒子「お姉様…ですわよね?」

美琴「うん…私が黒子の知ってる御坂美琴よ」

美琴「でも、その子達は私の偽物じゃなから。みんな私の…」

フルチューニング「ふざけるな!!」

美琴「……」

フルチューニング「どうあがいても私達はクローンだ!!人間として生まれて来れなかった出来損ないだ!!」

美琴「違う!!出来損ないなんかじゃない!!」

フルチューニング「じゃあ私達が生まれてきた意味は何だ!?オマエは第一位に殺された10031体のクローンに対しても
“あなたの人生には意味があった”なんて言えるのか!?」

美琴「それは…」

フルチューニング「ほら言えよ、アイツらは殺されるために生まれたんだって!」
106 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:50:53.49 ID:ZJuc4pY0

番外個体「お姉様は8月21日に、妹達を助けるために死のうとした。第一位も最終信号を助けるために命懸けで戦ってきた。
ただの模造品なんかに、命なんて懸けられるわけ無いよね?」

フルチューニング「じゃあ[ピーーー]よ!私のために命を懸けてみろよ!手加減しやがって、見下してんだろ!?」

美琴「ちが……」


真っ直ぐにこちらを睨むフルチューニング

美琴は彼女の言葉に対する返答が思い浮かばないでいた

それともう一つ、あの番外個体とやらが口にした言葉


美琴(第一位……アクセラレータが何を?最終信号?)


黒子「お姉様!!」

美琴「!?」


ガシャン!!と窓ガラスが砕け散る音が響く

107 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:52:04.29 ID:ZJuc4pY0

この部屋に入って来る瞬間は美琴には見えなかった。

だが、フルチューニングではない、神楽でもない、番外個体でも黒子でもない誰かがそこに立っている


そして消えた……


番外個体「がふッ…!?」

美琴「えっ……」


突然、番外個体の体が吹き飛び、壁に叩きつけられた

何が起きたのか、この現象に対して思考が追い付かない


黒子「ッ!!」


黒子は金属矢を取り出し、その謎の人物に向けて空間移動で放つ


だが…


黒子「……!?」


その人物が居た場所に、黒子の金属矢だけが宙に浮いたまま残されていた。


108 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:54:54.94 ID:ZJuc4pY0

対象を失って床に落ちる金属矢。しかし、その対象の位置を捉え直す事には成功した


黒子「見つけましたの!!」


黒子は消えたその対象の目の前に狙いを定め、空間移動で一瞬にして間合いを詰める


?「おそいですよ」

黒子「えっ…」


おかしい、その人物の前に移動したはずなのに、その声は背後から聞こえてきたのだ


黒子が背後に振り向いた瞬間に、脇腹に鋭い蹴りを入れられた


黒子「あぐッ!!!」ドガッ!!

美琴「黒子ッ!!!」


番外個体と同様に一撃で黒子の体が吹き飛ばされ、壁に激突する

そして、壁に叩きつけられた黒子はそのまま気を失い、両腕が力無く垂れ下がった
109 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:57:26.78 ID:ZJuc4pY0

?「勝手に行動されては行動されたは困りますよ、フルチューニング」

フルチューニング「“ゼロ”のトップは私だ。ならば私がどう組織を動かそうと私の勝手だろう」

?「はぁ、あなたと言う人は……」


バヂン!!とその人物の足元に向けて電撃が放たれた


?「……」


美琴「余所見してんじゃないわよ…!!!」


いきなり後輩と妹を目の前でやられ、美琴は頭に血が登っていた

フルチューニングに向けて放てなかったコインが、今美琴の指の上でその人物の向けて狙いを定められている


?「撃ってみますか?」

美琴「言われなくても!!!」


宙にコインが弾かれる



しかし、それは再び美琴の手に戻って来る事はなかった
110 :1 [sage]:2010/10/11(月) 18:58:32.45 ID:ZJuc4pY0


パシッ!と何かを掴む音が聞こえた


?「こんな何でも無いコインでも、使い方次第で強力な兵器になる。恐ろしいものですね、レベル5は」

美琴「うそ……何で……?」


一瞬だった。突然、目にも止まらぬ速さでその人物は自分の横を通り過ぎた

宙に弾かれたコインを奪い取られる瞬間など見る事ができなかった


その者の手から、美琴のコインが床に落ちる


?「どうします?まだ続けますか?」

美琴「ふざけんじゃないわよ!!!」


バチバチと美琴の体を青い電光が包み、雷撃の槍が放たれる

しかし当たらない

何発も、何発も、何発も

放たれる雷撃の槍はどれも全て回避された
111 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:00:12.95 ID:ZJuc4pY0

美琴「なんで?どうして当たらないのよ!?」


明らかに人間の動きを超えている。肉体強化系の能力者だろうか?
しかし、レベル5の美琴にすら対処できないレベルの肉体強化が使える能力者など、この街には居ないはずだ


?「何発撃っても」

美琴「!?」


コンマ数秒、数える事もできないくらいの速さで、その人物の顔と美琴の顔が吐息がかかりそうな程の距離に詰め寄られた


?「無駄ですよ?」

美琴(女の子…?)


ヒラヒラとした服を着ていた。声も女性のものだった。

しかし、明らかに平均的な女性から、いや人間の限界からも脱した動きを見せ、
レベル4の黒子どころかレベル5の自分すらも軽くあしらうその人物を、自分と同じくらいの少女だと確信する事ができなかった
112 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:02:35.71 ID:ZJuc4pY0



ふわっ!とまるで重力から解放された様な感覚を覚えた



そして、黒子がフルチューニングにしたのと同じ様に、美琴の背赤が床に叩きつけられる


美琴「あガッ!!あぁッ!!!」


視界がグラグラと空転し、鈍い痛みと衝撃に意識が途切れそうになる

一体どうやって宙に投げられたのか?その一切を知る事はできなかった


少女はフルチューニングを縛り付けるロープを掴むと、それをブチブチと音を立てながら引き千切った。
一体どれほどの握力でこんな所業がなせるのだろうか…


フルチューニング「チッ!やっぱ邪魔者が介入できる様な環境は良く無いな。
純粋に勝負する事ができない。余計なモノは取り除かなければ…」

?「シンプルに、ですか?」

フルチューニング「突き詰めたら複雑な世界の情報は0と1に分解できる程にシンプルなんだ。
だったら余計なモノは取り除いて、シンプルに行動した方が良いのは当然だろう」

?「0と1だけではかえって乱雑になってしまいますよ?」

フルチューニング「10の数字は人間様の都合。私には関係無いし必要無い」

?(結局シンプルを求め過ぎて効率が悪くなるのがあなたの悪い癖なんですけどね……)


美琴「一体誰なの……」


軋む上体を無理矢理起こし、彼女達に問いかける



113 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:07:10.34 ID:ZJuc4pY0

?「何の事ですか?」

美琴「とぼけないで!私はこの街の闇を見てきたのよ……妹達が関わってる時点で普通じゃないでしょ…?」

?「この街の闇…ですか……」

美琴「今度は何の実験?またあの娘達が殺されるの?」

?「クリアランスの確認を行っても良いのですが、闇の浅瀬にいるあなたが把握しているとは思えません。
それに、あなたの能力を考慮したら、これ以上余計なワードを与えない方がいいでしょう」

美琴「浅瀬ですって?絶対能力者進化実験も、量産型能力者計画も……あれでまだ浅瀬だって言うの?」

?「ええ、波打ち際に過ぎませんよ」

美琴「……」


以前、ロシアに行く前に、学園都市の機密情報の一部に触れた事がある。
そこに記されていた第二位の現状と、幻想殺しの取り扱い……

確かに、あんな事を平気で行うのがこの街だ。もしかしたら、あれでもまだこの女の言う浅瀬なのかもしれない…
114 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:09:03.92 ID:ZJuc4pY0

?「今更こんな事を言うのも心苦しいのですが、あなたの御学友を巻き込んでしまった事をお詫びします。
できれば、その方を浅瀬に近づけない様にしてください。今日の出来事を全てその方にとっては無かった事にしてもらえれば、
まだ取り返しは付きますから」

?「この街の闇は、底なし沼と一緒です。あなたは永久に妹達の問題からは逃れられません。
こんな悪意のサイクルにあなたの友人を巻き込む事は、あなたも望んではいないはずでしょう?」


?「どうか賢明な判断を…」


フルチューニング「行くぞ、季、神楽。オリジナル、お前を[ピーーー]のはまた次の機会だ」

美琴「待っ……」



彼女達の背中に向かって手を伸ばす。しかし、美琴には呼び止めるための言葉を口に出す事ができなかった…



115 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:11:10.51 ID:ZJuc4pY0

美琴「………」

番外個体「いたた…ったく、派手にやってくれたよね。ああムカツク」

美琴「……」

番外個体「それで、どうするのお姉様?アイツらを追う?それともここは退く?」

美琴「ゴメン、黒子を寮まで運んでくれないかな?私は、ちょっと行きたい所があるから……」

番外個体「一人でアイツら全員と戦うのは無理だとミサカは思うよ?」

美琴「ううん、追おうとしたってもう無理だから。勝てないのも分かってるし…」

番外個体「……」

番外個体「第一位の事とか最終信号の事とか、それに私の事は聞かなくて良いの?」

美琴「また今度にするわ。少なくとも、あなたは良い人だと思うから。それに……」


美琴は拳を強く握り、口を噛み、俯いてしまった…


美琴「今はもう……耐えられそうにないから……」

番外個体「……分かった。じゃあこの人はお姉様の頼み通り寮に運んでおくね」


そう言うと番外個体は、それ以上は何かを語りかける事もなく、黒子をおんぶし、そのまま美琴の傍を通り過ぎて行った


美琴「………」

116 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:12:21.23 ID:ZJuc4pY0

今は何時頃だろうか?

この季節は日が落ちるのがやたら早いから、正確な時間帯というものが分かりづらい


美琴「はぁ……」


美琴は今、とある鉄橋に居た。

傍から見れば思いつめて飛び降りようとしているとも捉えられかねない様な陰鬱な表情で、
橋の下の川が流れ行く先、遥かな水平線を眺めている。

羨ましかった。自分もこの川みたいに、止まる事なく迷う事なくどこまでもどこまでも、遥か彼方まで真っ直ぐに進む事ができたら……

でも、それは叶わない

結局はどこへも行けずに、グルグルと巡り続けるだけなのだ。

8月21日にあの少年が全てを終わらせてくれたと思っていた。しかし、結標淡希が樹形図の設計者を再構築しようとしていた。

そして今度は、00000号と呼ばれている最初のクローンが現れて……

結局こうやって、この街の闇は永遠に自分を束縛し続けるのだろう。

この心と体がボロボロになっても、それでもまだ蹂躙し続けるのだろう……
117 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:14:03.54 ID:ZJuc4pY0

そう言えば、ここは8月21日のあの夜に、あの少年が駆け付けてきてくれた場所だ。

どうしてここに来たいと思ったのか?

もしかしたら、またあの少年がここに来て、自分を助けてくれるかもしれないと…

そんな淡い期待でも抱いていたのだろうか?

美琴「まったく、どこに居るのよアイツは」


あの少年は居ないのに……


美琴「私と私の周りの世界を守るって言ってくれたのに……」


駆け付けてくれるわけなどないのに…それを知っているはずなのに…


美琴「会いたい……」


それでも、あの少年の事を想わずにはいられなかった



美琴「会いたいよ……」





「おい」

美琴「!?」


いつかの少年の記憶と重なる

しかし、そこに立っていたのは…


一方通行「ここにいやがったのか。探したぞ馬鹿野郎」

美琴「鈴科…さん…?」



118 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:17:26.96 ID:ZJuc4pY0

一方通行「何時だと思ってやがる。もう門限は軽くオーバーしてるぞ」

美琴「ごめん…ちょっと用事があったから……」

一方通行「用事…ねェ」


美琴は腕で軽く両目を拭い、鈴科の元へ駆け寄って来た


美琴「本当にごめんね…」

一方通行「後で説教だな」

美琴「うへぇ…」


軽く笑いながら、美琴は一方通行の隣で肩を並べて歩き始めた


一方通行「……」

美琴「……」


あの後、番外個体が黒子を寮まで運んで来た

なぜ連絡を寄こさなかったのか?こういう時のために彼女に黒子の監視をさせていたのだが。
まあ終わった事を責めても仕方が無いし、美琴の動向から目を離した自分にも責任はある。
というか、土御門や海原達は一体何をしていたのだろうか?

任務のためのカモフラージュとは言え、自分は寮監としての仕事もこなさなければならないし、
結標も基本的には表から監視する立場だ。だから自分と結標には四六時中御坂美琴を監視する事はできない。

今日はたまたま特別だったが、超電磁砲が外に出た場合、
彼女の動向を電子機器を駆使して裏から監視するのは土御門や海原の仕事のはず。

なのに、なぜ彼らから連絡が無かった?

単なる職務の怠慢か、それとも…
119 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:17:52.10 ID:ZJuc4pY0

一方通行「何時だと思ってやがる。もう門限は軽くオーバーしてるぞ」

美琴「ごめん…ちょっと用事があったから……」

一方通行「用事…ねェ」


美琴は腕で軽く両目を拭い、鈴科の元へ駆け寄って来た


美琴「本当にごめんね…」

一方通行「後で説教だな」

美琴「うへぇ…」


軽く笑いながら、美琴は一方通行の隣で肩を並べて歩き始めた


一方通行「……」

美琴「……」


あの後、番外個体が黒子を寮まで運んで来た

なぜ連絡を寄こさなかったのか?こういう時のために彼女に黒子の監視をさせていたのだが。
まあ終わった事を責めても仕方が無いし、美琴の動向から目を離した自分にも責任はある。
というか、土御門や海原達は一体何をしていたのだろうか?

任務のためのカモフラージュとは言え、自分は寮監としての仕事もこなさなければならないし、
結標も基本的には表から監視する立場だ。だから自分と結標には四六時中御坂美琴を監視する事はできない。

今日はたまたま特別だったが、超電磁砲が外に出た場合、
彼女の動向を電子機器を駆使して裏から監視するのは土御門や海原の仕事のはず。

なのに、なぜ彼らから連絡が無かった?

単なる職務の怠慢か、それとも…
120 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:21:40.62 ID:ZJuc4pY0
ミスりました


美琴「……」

一方通行「……」


ふと何気なく、一方通行は横から美琴の顔の眺めてみた

番外個体から聞いた程度だが、美琴にとっては相当ショックな出来事だったのだろう。
しかし、自分の隣で歩く美琴の表情からは、それを読み取る事はできない。

いや、それは自分に問題があるのかもしれない。他人の顔を見てその人の隠れた心情を察する事が出来る程、
自分は人との関わり方や気配りに長けているわけではない。それは指摘されなくとも自分自身が良く理解しているつもりだ。


だがそんな一方通行でも、美琴の頬をなぞる様に一筋の涙の跡が付いているのに気付けないほど鈍感ではない。



自分の境遇に絶望したのか、それとも妹達の事を想って流したのか、或いは……


121 :1 [sage]:2010/10/11(月) 19:23:25.59 ID:ZJuc4pY0


美琴「……?どうしたの?」


ジロジロと顔を覗いてくる一方通行の視線に気付いたのか、美琴はキョトンとした顔でこちらに振り向いた


一方通行「いや、なンでもねェ…」

美琴「へんなの」

一方通行「……」





なあ、こういう時、オマエだったら何て言葉をかける?

どんな言葉をかけてやればコイツを助けてやれる?

今更、コイツの妹を1万人以上殺してきた俺が…


教えろよ、ヒーロー……



122 :1 :2010/10/11(月) 19:24:07.76 ID:ZJuc4pY0
ここで区切ります
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/11(月) 21:37:07.65 ID:3XQtppgo
おもしれェ

続き待ってるぜ
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/12(火) 01:09:35.05 ID:/UZ4gdI0
軽いノリなのかと思いきや、シリアスな……
どっちノリも面白いし、続き楽しみに待ってる
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 03:52:04.18 ID:yFkHx.20
投下します

見直したら大量のミスがありましたが気にしないでください

あと1は典型的な文系人間なので理系知識はほぼ皆無です
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 03:54:22.14 ID:yFkHx.20

『何か手掛かりは見つかりましたか?』

土御門「あまりふざけてくれるなよ?こっちは徹夜でここ最近起きた事件について片っ端から調べてんだ」

『それはご苦労様です。残業手当はちゃんと付けておきますよ』

土御門「正直に話せ。 “ゼロ”という組織には、シスターズが関わっているのか?」

『……』

土御門「昨日の夜、御坂美琴が襲撃された。いや、正確にはその友人を襲撃し、御坂美琴をおびき出したらしい」

『ええ、こちらでも報告は受けています』

土御門「だが俺達の方では御坂美琴の常盤台中学女子寮からの外出は一切確認できなかった。
機材が誤情報を流していたんだ。外部からの意図的な電磁障害でな」

『おやおや、そう言えば、第××学区の一部でそんな騒ぎがありましたね。
不思議ですね、偶然あなたの居た地域をピンポイントでジャミングされるなんて』


127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 03:56:17.46 ID:yFkHx.20

土御門「とぼけてないでさっさと答えろ。敵の首謀者は、00000号(フルチューニング)と名乗っていたそうだな」

『ええ。しかし、それだけでは1万人の妹達と関連性があるとは断定できませんよ。フルチューニングはMNWとは切り離されていますから』

土御門「なんでゼロがグループの活動を牽制できた?なぜ奴等は俺達が御坂美琴を監視してる事を知っていた?」

土御門「この仕事、統括理事会の意向と第三次製造計画が絡んでるんじゃないのか?」

『カマをかけているつもりですか?確かにグループの存在を知っていたという事は、
敵は暗部を知る人間で構成されているという事にはなるしょうね』

『しかし少なくとも私の知る範囲では、統括理事会のメンバーが関わっていたと断定できる情報は得られていませんが』

土御門「チッ…ところで、お前に頼みたい事がある」

『ゼロに関するデータと、MLSのセキュリティクリアランスですね』

土御門「ああ」
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 03:57:51.87 ID:yFkHx.20
『さてどうしましょうか……ゼロに関するデータはともかく、機密情報にアクセスする権限をあなたに渡すのは少々不安がありますね』

土御門「器の小さい奴だな」

『よく言われます。良いでしょう、限定的にあなたにクリアランスを渡しましょう。
ただしレベル4の重要事項、それもゼロのメンバーに関するもののみです』

土御門「……まあ良い、そいつをさっさと送れ」

『もうそちらに送ってありますよ』

海原「土御門さん」

土御門「……確認した」

『では、引き続き超電磁砲の監視をお願いします。彼女は貴重な人材ですからね』








土御門「海原、どう思う?」

海原「そうですね……あまりにも展開が都合良過ぎます」

土御門「だよなぁ…上のクソ共は、俺達とゼロを戦わせる事で何を得ようとしている?」
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 03:59:35.05 ID:yFkHx.20

【常盤台女子寮にて】


黒子「ここは……」


気が付くと、見覚えのある天上が目に入って来た


黒子「はっ!お姉様…!?」

美琴「黒子…」

黒子「お姉様!あの襲撃者は!?」

美琴「もう大丈夫よ…」

黒子「……」
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:00:18.93 ID:yFkHx.20

美琴「ねぇ黒子、昨日の事だけど…」

黒子「……お姉様、言いたい事はわかりますの」

黒子「わたくしも、今までは見て見ぬふりをしてきました」

美琴「……」

黒子「お姉様がわたくしの知らない所で誰かと戦っている、でもお姉様はけしてわたくしを頼ろうとはしませんでした…」

黒子「ですが、もう限界ですの!これ以上黙って見てはいられませんの!!」

美琴「黒子…」

黒子「お姉様!この黒子にも戦わせてください!!」


いつになく真剣な眼差しで黒子は迫って来る

だが、美琴は首を縦には振らなかった

131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:02:27.80 ID:yFkHx.20

黒子「どうしてですの!? 黒子ではお姉様のお役には立てませんの!?」

美琴「違うの…そうじゃない…」

黒子「ではどうして!?」

美琴「例えあんたがレベル5で、私よりも強かったとしても、ダメなのよ…」

美琴「この街の闇は、黒子が思っている以上に深くて残酷なの。平穏な日常を問答無用で刈り取り、奪い去るくらいに」

黒子「お姉様……ですが!?」


突然、何かを言おうとした黒子を美琴は抱きしめてきた


美琴「お願い…ここに居てよ、黒子……私の日常を守ってよ……」


弱々しい声で美琴は訴えた

例え自分がこの街の闇に飲まれても、ちゃんと平穏な日常に戻るための灯であってほしいと

そのために、この街の闇に足を踏み入れないでほしいと…


美琴「アンタまで居なくなったら……私……」


もはや言葉にはならない


黒子「お姉様…」


黒子はそれ以上は何も言えなかった

静かに啜り無く美琴をあやす様に、黒子は美琴の背中をそっと抱きしめた
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:04:30.48 ID:yFkHx.20

【翌日】


一方通行と結標淡希は二度目となるストーカーもとい御坂美琴の監視をしていた。
あの失敗があったせいか、直接こうやって監視する時間を増やすべきという事になったのだ。

ちなみに美琴を守るためという事で、妹達を動員し、電磁障害に対する対策も立ててある。


淡希「無様にやられたわね」

一方通行「あァ、つーかテメェは何やってたンだよ」

淡希「私だって必死に探したわよ?でも電磁障害のせいでアイツ等と連絡がとれなかったし。っていうかアンタは大丈夫だったの?」

一方通行「あァ。一々場所を変えてやがるからどこに潜伏してンのかは知らねェが、土御門達をピンポイントで狙ったンだろ」

淡希「どう考えても敵はグループの存在を知っている。それだけじゃない、グループの行動自体を把握してるって事よね」
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:06:54.98 ID:yFkHx.20

淡希「グループの誰かがゼロにリークしたか、あるいはもっと上が動いてるのか…」

一方通行「もともとマトモな仕事じゃねェし、上のクズ共も俺達を手足の様にコキ使ってやがるが、
根本的には俺達の事を信用して忠実な組織の一部隊として捉えてるわけじゃねェ。
“グループとゼロを戦わせる様に仕向けている”としても疑問なンざ欠片もねェだろ」

淡希「だとしたら、上は何を考えてるのかしら?」

一方通行「さァな。ロクな事じゃねェってのは確かだ」




「ありがとう、おねえちゃん!」

生方「どういたしまして。転ばない様に気を付けてくださいね」



一方通行「げっ…!」

淡希「?」


一方通行の視線の先に、見覚えのある少女が居た

どうやら怪我をした子供を手当てしてあげていたらしく、子供の膝には絆創膏、
少女の手には小さな応急処置のためのセットが入ったケースが握られている。
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:08:26.88 ID:yFkHx.20

一方通行(転ぶなとかテメェが言えた事かよ)

淡希「どうしたのよ?」

一方通行「何でもねェ。結標、回り道するぞ」

淡希「はぁ? 何でわざわざそんな」

一方通行「いいから!」

生方「あっ! 鈴科さん!? 鈴科さんじゃないですか!!」

一方通行「……」


時すでに遅し


淡希「え? 誰?」

一方通行「クソッ…」

生方「おーい! すずしなさ!!」ドタッ!!

淡希「転んだわね…」

一方通行「……」
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:09:38.69 ID:yFkHx.20

生方「すみません、お恥ずかしいところをお見せしてしまいました」

淡希「この人アンタの知り合い?」

一方通行「いや、こンな奴は知らねェ」

生方「一昨日、路地裏で男の人達に絡まれていた所を助けて下さったんです」

一方通行「………」

淡希「へぇ〜 一昨日、ねぇ…」

一方通行「……」

淡希「仕事ほったらかして女の子と遊んでたなんて、鈴科さんも隅に置けないわねぇ」

一方通行「テメェ、何が言いてェ」
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:10:51.42 ID:yFkHx.20

生方「お仕事ですか? もしかして、私、お邪魔ですか?」

一方通行「ああ」

淡希「いやむしろ私の方がお邪魔かしら?」

一方通行「はァ?」

淡希「超電磁砲の監視は私が一人でやるから、アンタはその子とデートでも楽しんでなさいよ」ニヤニヤ

一方通行「ふざけンな!! なンで俺がそンな事!!」


ヒュン!


一方通行「なッ!消えやがった…つーか自分の体は移動できなかったンじゃねェのかよ」

生方「あの…」

一方通行「……不幸だ」
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:12:31.81 ID:yFkHx.20

生方「実はですね、もうすぐ弟の誕生日なんですよ」

一方通行「あっそ」

生方「それでですね、鈴科さんにプレゼント選びのお手伝いをしていただきたいのですが」

一方通行(つーか良く考えたらわざわざコイツに付き合う必要なンか無かったンじゃねェのか?)

生方「あっ! これなんかどうでしょうか!?」

一方通行「良いンじゃねェか?」

生方「じゃあこれは?」

一方通行「良いンじゃねェか?」

生方「これは?」

一方通行「良いンじゃねェか?」

生方「……このお店の看板は?」

一方通行「良いンじゃねェか?」

生方「もう! ちゃんと見て下さい!」

一方通行「良いンじゃねェか?」

生方「………」

一方通行「………」

生方「……(じーっ)」

一方通行「………」
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:14:42.79 ID:yFkHx.20

一方通行「チッ…で、そいつの歳はどのくらだ?」

生方「私と同じくらいです。というか、実は双子なんです」

一方通行「そォか。なら、季節的に考えてジャケットあたりが良いんじゃねェか?」

生方「なるほど」

一方通行「ここのブティックで良いな」

店員「いらっしゃいませー…あの、ここは男性用の服がメインなのですが…」

一方通行「俺達が着るわけじゃねェ」

店員「プレゼントですか。分かりました(俺っ娘か)」

一方通行「で、オマエの弟の身長とか体型は?」

生方「はい、えーっと、身長は鈴科さんと同じくらいですね。体型も鈴科さんと同じくらいにガリガリ」

一方通行「誰がガリガリだこの野郎!」

生方「(ビクッ!)す、すみません」
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:16:31.54 ID:yFkHx.20

一方通行「…そォだな、細い奴はブカブカの服を着ると似合わねェし、できるだけタイトな方が良いな」

一方通行「双子っつーくらいだから、顔はオマエと似てるのか?」

生方「はい」

一方通行「ってことは、今お前が来てる制服みたいな青系の服でも似合うかもしれねェ」

生方「えへへ♪ この制服、私に似合ってますか?」クルッ

一方通行「調子にのンな」ゴンッ!

生方「痛っ!殴らなくても良いじゃないですか…」

一方通行「来い」グイッ(生方のサイドテールを引っ張る)

生方「いたた! 抜ける!抜けちゃいます!」

一方通行「髪は束ねれば意外と丈夫だから安心しろ」

生方「そういう問題じゃないです!」

一方通行「やっぱ無難に黒系が良さそうだな。他の色は本人が試着しねェと合う合わないの判断ができねェからよ」

一方通行「たしか、あのブランドが新作出してたな…」

生方「鈴科さんって男物の服に詳しいんですか?」

一方通行「一応国内のブランドは全部網羅してる。海外も有名所は全部ロゴを見りゃ分かる」
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:18:35.43 ID:yFkHx.20

一方通行「これはどうだ?」

生方「良いですね。きっと弟にも似合うと思います」

一方通行「だが値段が少し高ェな。払えるか?」

生方「えーっと、ああ、このくらいなら大丈夫ですよ」

一方通行「じゃあコイツで決まりだ」



店員「ありがとうございます。ラッピングの方はどうなされますか?」

生方「していただけるんですか?」

店員「ええ、プレゼントとお聞きしましたから」

生方「じゃあお願いします♪」

店員「はい畏まりました」
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:20:00.63 ID:yFkHx.20

【その後】

生方「おかげで素敵なプレゼントが見つけられました」

一方通行「良かったな」

生方「鈴科さん! 本当にありがとうございました!」

一方通行「耳元で騒ぐな、鼓膜が破れる」

生方「お礼に(ry)

一方通行「断る」

生方「あそこのカフェで良いですね」グイッ!

一方通行「話を聞け!! だから引っ張ンな!!」

142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:23:33.32 ID:yFkHx.20

【結標サイド】


美琴「で?何の用?」

淡希「いやー何か元気ないなーって思ってさ」

美琴「分かってるならほっといてもらえると凄く有り難いかも」

淡希「まあまあ何か協力してあげられるかもしれないわよ?」

淡希「例えばシスターズの事とか」

美琴「何か知ってるの!?」

淡希「なるほど、やっぱ妹達関係で悩んでるのね」

美琴「あ…」

淡希「意外と抜けてるわよねあなた。まあ私の知る限りでは、妹達に関する動きは特に掴めてないわね」

美琴「そう……ねぇ、フルチューニングって知ってる?」

淡希「フルチューニング……たしか、天井亜雄の特別製ね」

美琴「特別製?」

淡希「ええ。量産型能力者計画の最初の一体で、レベル5の完全体を目指して作られたものなの。
言わば試作版ね。だから、正規に量産する事を前提として作られた他の妹達とは規格が違うみたいよ」
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:26:13.20 ID:yFkHx.20

美琴「それで、フルチューニングはレベル5になれたの?」

淡希「さぁね?そもそも本当にレベル5の能力者を作れたら、天井だって借金漬けにならなかっただろうし」

美琴「もう少し詳しく聞いても良いかしら?」

淡希「別に良いけどさ、でも立ち話もなんだから、近くの喫茶店に行かない」


………


一方通行「……(来たか)」

生方「どうかしましたか?」

一方通行「いや、なンでもねェ」

生方「コーヒーお好きなんですか?」

一方通行「まァな」

生方「私はお砂糖とミルクとシロップを入れないと飲めませんよ」

一方通行「そりゃァオマエがガキだからだ」

生方「なっ!これでも18ですから私!」

一方通行「年齢詐称してンだろ? どう見ても中学生くらいのガキにしか見えねェよ。でも中学生はババァだ」

生方「むっ…店員さん!!」
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:27:50.65 ID:yFkHx.20

………


淡希「それで、フルチューニングがどうかしたの?」

美琴「うん…」

淡希「……大丈夫よ。私は学園都市の裏事情には色々と縁があるから。少なくとも、あなたよりは深い所に身を置いてると思うわ」

美琴「そうよね……ねぇ、フルチューニングって今どこに居るの?」

淡希「どこにって?」

美琴「えーっと例えば、どこかの研究機関に所属していたりとか、何かの実験に参加してたりとか」

淡希「うーん…フルチューニングはMNWから絶たれているから、他の妹達にも所在は把握できていないって聞いたわ。
どこに居るかは私にも分からない」

美琴「天井亜雄は?」

淡希「8月31日に行方不明になってるわ。確かアク…」

一方通行「ゲフンゲフン!」

生方「どうかしましたか?」

一方通行「いや、なンでもねェ」

店員「ブラックコーヒーをお持ちしました」
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:29:56.94 ID:yFkHx.20

一方通行「オマエ飲めンのかよ…」

生方「馬鹿にしないでください!ブラックコーヒーくらい2秒で飲み干してやりますですよ!!」

一方通行「喉が火傷するだろ…」

生方「…」ゴキュ

一方通行「……」

生方「……」

一方通行「……」じーっ

生方「にがいれふ」ダバー

一方通行「吐くンじゃねェ!!!」


淡希「……」

美琴「アク…なに?」

淡希「えっと、アクセル踏み過ぎてぶつかったらしいわ。もやしに」

一方通行「…」ガン!(机を蹴った)

生方「!?」ビクッ!

一方通行「ッ…ォォォァァァァ……!」(脛をぶつけた)

生方「あの、大丈夫ですか…?」

一方通行「別に涙ぐンでねェよ…」
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:31:45.06 ID:yFkHx.20

美琴「それでどうなったの?」

淡希「生死不明らしいわ」

美琴「もやしにぶつかって!?」

淡希「頑丈なもやしだったみたいね」

一方通行(コロスムスジメコロススネイテェコロスでも脛痛ェ…)

美琴「何か良く分からないわ…」

淡希「それだけこの街の闇は深いのよ…」
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:32:39.62 ID:yFkHx.20

美琴「ごめん、ちょっと席外すね」

淡希「もよおした?」

美琴「アンタに配慮したのにアンタがそれをぶち壊してどうすんのよ!」

淡希「意外とそういうとこは気を使ってんのね」

美琴「アンタは私のキャラを徹底的に誤解してるみたいね…」


一方通行「普通に“トイレ行って来る“じゃダメなのか?」

生方「?」



美琴「はぁ……結局、核心に迫る様な情報は得られなかったわね」

美琴「天井亜雄の特別制か。やっぱその辺を自力で調べてみるしかないか…」

神楽「フルチューニングに会いたいですか?」

美琴「まあそりゃあ本人に会えれば一番……」
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:34:58.54 ID:yFkHx.20

美琴は咄嗟に背後に振り向いた。すると、そこには美琴より一回り小さな見覚え
のある少女が立っていた。


神楽「一昨日はどうも」

美琴「ッ!!」


バチバチと美琴の体から電光が溢れ出す


神楽「落ち着いてください。あなたに言伝を伝えに来ただけですから」

美琴「言伝……?」

神楽「はい、フルチューニングからです」

美琴「……続けて」

神楽「はい。本日19時00分00秒に、第17学区の操車上にてあなたを待つ。との事
です」

美琴「そこへ行けばアイツと会えるのね…?」

神楽「何か御質問などは?」

美琴「……アイツは、まだ私を殺そうとしているの?」

神楽「はい。だからこそあの場所を選んだのだと思います。かつて学園都市第一
位が無能力者に敗れた場所。シスターズの扱いに関して重要な分岐点となった出
来事ですから」

美琴「……」

神楽「では……」


用件を終えた神楽は、まるでその体を周囲の景色の中に還す様に姿を消した
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:36:19.25 ID:yFkHx.20

美琴(位置を把握できない?電磁波が弾かれてるのかな……?)

美琴「まあ良いわ……」


全身の神経と筋肉が張り詰める様な感覚

鏡を見なくとも、自分の表情が変わっている事を自覚できる。


美琴(覚悟を…決めるのよ……)


拳を強く握り締め、自分に言い聞かせる様にそう呟いた

150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:37:42.87 ID:yFkHx.20

一方通行「………」


『核を撃っても大丈夫』。学園都市第一位である一方通行のキャッチコピーである。
それはベクトル操作で爆発から身を守れるというだけの単純な話ではない。
核爆発による放射線を感知する事が出来るという点が重要なのである。

人間の可聴域や可視レベルを超えたものを感知できるからこそ、彼のベクトル操作の演算が成り立っているのだ。


普通なら聞こえない音

例えば多くの人間の足音の中に紛れた、こそこそと誰かの跡をつける様な、他とは明らかに違う不審な足音


常人では視認できないもの

例えばそんな歪な歩き方をする人間が、足を上げ、床に着ける時に生ずる空気圧の差異による微弱な埃の舞い方の違い


姿を隠そうと、電磁波を反射しようと、学園都市最強の能力者の目や耳をかい潜る事はできない。

レベル4の光学操作系の能力者である神楽の存在は、すでに一方通行に感付かれていた。
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:39:13.48 ID:yFkHx.20

だが、ここで神楽を捕まえて吐かせる様な事はしないし、そんな事に意味は無い。
余程のマヌケじゃない限り、代わりの人間なんていくらでもいる暗部の世界で、
情報を吐くと言う事が何を意味するのか知らないわけじゃないだろう。

それに、もしも“一定の時間に神楽からの連絡が無ければ自動的に計画を変更する“
というルールが相手側にあったとしたら、余計面倒な事になる。

神楽が美琴と接触したという事実を確認できればそれで十分だ。

番外個体から聞いた話と神楽の行動。この二つの記号があれば必然的に答えが出てくる。
だからこそ、あえてここで敵にちょっかいを出すような真似はしない。


一方通行(キャッチ&リリース。小物は逃すのが釣りの醍醐味って奴だろ)


釣りなどロクにしたことがない彼はそんな事を思っていたわけだが、そんな彼にも気付いていない事があった。

なぜ気付けなかったのか?

たぶん、彼女が一方通行の最も苦手とする性格だったからだろう。

裏表の無い天真爛漫な性格。まるで打ち止めや、9月30日に会った妙なシスターの様に…
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:44:02.21 ID:yFkHx.20

土御門「おいおい、こいつはシャレにならんぞ。これでMLSレベル4の情報だと?」

海原「ええ、正直自分も驚きを隠せません…」


何やら真剣な表情でパソコンの画面を見つめる土御門と海原。

彼らはとある人物に関するデータを閲覧していた。


土御門「見ろよ、この実験データの項目を」

海原「酷いですね……なるほど、これは表に公開できない理由も分かります」

海原「コードPHENEX…フェネクスは、ソロモン72柱の悪魔ですね。一般的には不死鳥のフェニックスとして知られていますが」


フェネクスは、かつて黄金の夜明け団に所属していた天才魔術師アレイスター・クロウリーが
「ソロモン王の小さき鍵」に記した72柱のうち、37番目に列する悪魔である。

また、同じくアレイスターが著した「嘘の書」の第44章“不死鳥のミサ“や、
彼が結社内でフェニックスと名乗っていた事があったという説など、意外とアレイスターとの関わりが深い異世界の生物でもある。


土御門「要は“死なない被検体”の皮肉みたいなものだな」
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:46:13.57 ID:yFkHx.20

土御門「そんな事より、無限再生の能力開発、研究の担当責任者の名前を見てみろ」

海原「……この人、統括理事会の現メンバーじゃないですか」

土御門「そして長点上機学園の関係者でもある。繋がって来たな…何が
“統括理事会の人間が関わっていたと断定できる情報は得られていません”だ。ふざけやがってあの野郎」

海原「これは上層部に対する交渉材料になりますよ! 今すぐデータを」

土御門「ダメだ」

海原「何を言ってるんですか!? これが公開されたら、学園都市にどれだけのダメージを与えられると思ってるんですか!?」

土御門「その危険性があるにも関わらず、俺たちみたいな使い捨ての駒にこんな情報を見せた。一方通行でもない結標淡希でもない俺達にだ」

土御門「良く考えろ。アイツが俺達の行動を読めていないと思うか?何の対策も打たずに餌だけを与えると思うか?」

海原「それは……」

土御門「俺がアイツの立場だったら…そうだな、例えばこのデータを保存しようとしたりバックアップを取ろうとしたら、
パソコンから特定の周波数が発生する罠を仕掛けるだろうな。オジギソウが起動する様に…」

海原「……」

土御門「どうする?あえて罠に乗って無駄死にしてみるか?」
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:49:32.37 ID:yFkHx.20

海原「だったら! せめて今のうちにデータを全て頭に叩き込んでおけば!!」

土御門「そんなものを誰が信じる?第六位に関する噂はすでに山の様にある。もはや一種の都市伝説と化しているくらいにだ」

土御門「゛現時点では情報の拡散を防止するのは困難“ってあっただろ?だからあえて奴等はレベル5の第六位が存在するという
情報だけを公開データに残した。そこから色んな推測が発生すれば、自然と噂話のレベルにまで風化するからだ」

土御門「例えその中に真実があったとしても、それが真実だと気付ける人間は居なくなるだろ」

海原「……悔しいですが、ここは退くしかないのでしょうか」

土御門「裏をかけたわけじゃないからな。だが、学園都市の機密情報に触れる事ができたのがプラスになったのは確かだ。けして無駄じゃないさ」



極上の獲物を前に歯噛みする事しかできない。

「00000号の能力実験」という“ゼロ”の目的はダミーで、裏には統括理事会の思惑が絡んでいる

それを分かった上で、それでも手のひらの上で踊れと彼等は言っているのだ

その手のひらで大切な者を握り潰されたくなければと……
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 04:54:31.68 ID:yFkHx.20

【CODE  PHENEX】


氏名 藤野 季 (ふじのみのり)
年齢 18
身長 163cm
体重 ××kg


◆身体検査に関するデータ(能力検査を除く)×××



能力検査結果


能力名 無限再生(インフィニティリバース)
レベル 5

◆その他能力検査に関する詳細事項 ×××

◆実験の詳細
◆本データの取り扱いについて
◆その他

※注意事項 2×××年 ×月××日記載

2×××年 ×月××日をもって藤野季の籍を長点上機学園付属初等部に移す事が決定した。
これに伴い情報の拡散を防止するために、藤野季に関する詳細データの全てをMLSレベル4の
重要事項として取り扱う。なお、彼女のレベルに関する情報は、現時点で情報の拡散を防止する事は不可能と判断し、
新たに作られるレベル5の能力者のデータベースにおいて、そのレベルと順位だけを記載するものとする。
なお、それ以前の公開データ上の藤野季に関するデータは全て削除し、彼女を除籍扱いとする。

これらの措置を実行した後の公開データにおける藤野季については、※長点上機学園初等部の「生方実」を参照。

※2×××年×月×日をもって長点上機学園高等部に変更
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/26(火) 05:07:08.61 ID:yFkHx.20
ここで区切ります。

SS的に一方さんと拮抗する様なキャラが欲しい
でも一方さんとガチンコバトルしたら命がいくつあっても足りない。

じゃあ死なない能力者にすれば良いんじゃね?
肉体再生の超強化版にしよう。残機∞だから無限再生で良いや。

性別は一方さんと絡ませるなら女の子の方が良いかもしれない。
名前は不死だから藤野にしよう。偽名は反対の生方が良いな。

こうして決まったオリキャラさん。女の子ですがヒロインにはなりません。
このSSのヒロイン的存在はまた別の人です。

ちなみに髪型もサイドテールのキャラが居ないのというのが決定要因でした


157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 17:14:15.82 ID:av.UAv.o
ほう
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 17:39:18.09 ID:xFy2aj20
乙!

―――――
      |    
159 : [sage]:2010/10/27(水) 04:35:47.25 ID:okqCXK.0
続きです

オリキャラ初戦闘なので色々と地の文が長くなりますがご容赦を
160 : [sage]:2010/10/27(水) 04:37:02.59 ID:okqCXK.0

【18:58分】


御坂美琴は神楽に言われた通り、第17学区の操車場に来ていた。

人気の無いここら一帯に、びっしりとうず高く鉛色の巨大なコンテナが積まれている。


かつて上条当麻と一方通行が死闘を繰り広げた戦場。そして、最後の絶対能力者進化実験が行われた実験場でもある。






歯を食いしばれ最強、俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ!!!





美琴「……」


終わらせよう。ここで全部…

元はと言えば、全ては自分から始まった事なのだ。

だから自分の手で全てを終わらせてみせる。

例えこの操車場が自分の墓場になろうとも……
161 : [sage]:2010/10/27(水) 04:38:30.17 ID:okqCXK.0

18:59分57秒












フルチューニング「時間ピッタリだね。良い事だ、特別にプレゼントをあげようか」


美琴「なッ!!」


突然の光景に大きく目を見開いた美琴。

それはフルチューニングの姿を見たからではない。

金属を引き裂くような重たい音が炸裂すると同時に、巨大なコンテナが美琴に向かって飛んで来たのだ。


美琴「ッ!!!」


迫りくる尋常じゃない圧迫感。

それを間一髪で避けると、飛んで来た巨大なコンテナが別のコンテナの山にぶつかり、
轟音と共に中身をぶちまけながらコンテナの山が崩れていった。
162 : [sage]:2010/10/27(水) 04:40:13.74 ID:okqCXK.0

フルチューニング「アハハッ!挨拶だよ。良い準備運動になっただろ?」

美琴「くッ!!」


美琴の頭上、うず高く積まれたコンテナの上に座りながらこちらを見下ろしているフルチューニング。

それを真っ直ぐに睨みつける美琴。


フルチューニング「良いねぇ、その目。でも殺気が足らないかな…」

美琴「馬鹿な妹を躾けに来たのよ。そんなものは要らないでしょう」

フルチューニング「キミの過ちで生まれた私を躾けようとは。どうやら私のお姉様は随分と傲慢な人みたいだね。いやはや恐れ入る」

美琴「傲慢だろうと構わない。たしかに、あの実験が行われたのは過ちだった。私がDNAマップを渡してしまった事の罪も否定しない。
でも! 私はアンタ達がこの世に生まれた事が間違いだったなんて思わない!!」

フルチューニング「偉そうに。それは第一位に殺された妹達にも言えるのかい?」

美琴「言えるわよ! 例え殺されたとしても、あの娘達が生まれてきた事は間違いなんかじゃない。
間違いがあるとすれば、それはあの娘達を救ってあげられなかった事よ!」
163 : [sage]:2010/10/27(水) 04:43:18.68 ID:okqCXK.0

フルチューニング「そう、結局は救えなかったんだ。キミは第一位の圧倒的な実力を前に尻込みをしていた。
妹達よりも自分の命の方が惜しかったから」

美琴「そうよ。結局私は何もできなかった。アイツが体を張ってくれなかったら、今も妹達は殺されていたでしょうね…」

フルチューニング「何だ分かってr」

美琴「だから! 今度こそ自分の手で助けてみせる! アンタを!!」

フルチューニング「助ける? 何をもって私を助けると言うんだい? 修理か? それともリサイクルかな?」

美琴「……」

フルチューニング「誰もが望んで生まれてきたと思うなよ。なぜ妹達がキミに恨み言を言わないのか分かるかい?
彼女達の中にその類の感情があっても、それを負の感情だと理解する事ができないし、表現するための言葉を持たないからさ」

フルチューニング「人間は何で空を飛べない? それは飛ぶための機能が無いし、飛び方を知らないからだ。当たり前の話だね。
同じ様に、妹達はそれを感情だと理解できないし、言葉にする事ができない。それを当り前だと思ってしまってるからなんだよ」

美琴「………」

フルチューニング「ま、それも今の段階での話。彼女達にもそれぞれの個性というものが芽生え始めている。
そのうち、彼女達は負の感情を知り、それを言葉にする方法を覚えるのだろうね」
164 : [sage]:2010/10/27(水) 04:46:45.67 ID:okqCXK.0

フルチューニング「さあ、ここまで私の話を聞いた上で、まだキミは彼女達が生まれた事が正しいと言えるのかい?
100歩譲って、生き延びた妹達にはそれが当てはまるとしよう。だが、殺された10031体のクローンにも同じ事が言えるのかい?
“培養気から放り出されてすぐに死んじゃったけど、アンタの人生は意味があったのよ”って」

美琴「確かに、あの娘達は第一位に殺されるために生まれてきたのかもしれない。
だけど、そんな決められた理由に縛られなきゃいけないなんて、そんなふざけたルールは存在しないのよ」

美琴「あの娘達にも自分の人生を自分で決めて生きる権利はあった。 例え実験のためだとしても、
それに抗う権利はあった。 幸せになる権利はあった! だから私は、あの娘達が生まれてきた事を否定しない!!」



美琴「生まれてこなければ、生きる喜びを知る可能性すらなかったんだから!!!」

フルチューニング「生まれてこなければ、痛みも苦しみも知らずに済んだけどね」



フルチューニング「ま、いいや。話をしに来たわけじゃないし、時間の無駄だね」


フルチューニングはゆっくりと腰を上げ、コンテナの山の上で立ち上がる
165 : [sage]:2010/10/27(水) 04:48:18.17 ID:okqCXK.0

フルチューニング「始めようか」


彼女の顔から、先程までの嘲りが消える


静寂


表情は無い。感情も無い。ただただ冷徹に、オーダーを下された機械の様に標的を見据える。


バチッ!と両者の体に青い電磁線が走る。それが戦いの合図


最初に動いたのはフルチューニングだった。

彼女が腕を水平に薙ぐと、一筋の青い電光が放たれる


美琴「ッ!!」


それを横に飛んで回避する美琴
166 : [sage]:2010/10/27(水) 04:49:48.68 ID:okqCXK.0

フルチューニング「あははッ!!」


フルチューニングが両手を広げ周囲に激しい電光を撒き散らす
すると、ザザッと土が一斉に盛り返されると同時に、まるで鎌首をもたげた巨大な蛇の様な黒い物体が現れた。

磁力を使って砂鉄を巻き上げて作られた、巨大な蛇の様な物体。数は五つ。


それが巨大な体躯をうねらせながら、一斉に美琴の体を目掛けて遅い掛ってきた


美琴「この程度じゃ…」


美琴はそばにあったコンテナに触れた

同じく磁力を利用し、自分の何十倍もの質量を誇るコンテナを軽々と動かし、襲いかかる五つの蛇を遮る様に前面に差し出す。

すると、砂鉄でできた巨大な蛇はコンテナに衝突し、ガリガリと激しくコンテナの表面を削る様な音を立てながら元の砂鉄へと戻っていく。


美琴「私には届かないわよ?」

フルチューニング「当然だ。そうでなくては困る」
167 : [sage]:2010/10/27(水) 04:50:46.40 ID:okqCXK.0

目の前にあるコンテナを遮って向こう側から聞こえてくるフルチューニングの声

その余裕と嘲りを含む声色を聞いた瞬間に、美琴はそのコンテナから遠ざかる様に大きく横に飛び、地面を転がる様にその場から離れた。


その直後、まるでレーザーの様な、圧倒的な威力を持つ一筋の電光が美琴の居た場所を走り抜けた。

それは美琴が盾に使ったコンテナを粉々に穿ち、それでも止まる事を知らずに真っ直ぐにどこまでも走り抜けていく。


美琴「レールガンッ…!?」

フルチューニング「早くもとっておきって奴をお披露目したけど。どうだった?」

美琴「そうね、こんなにシケたもんだとは思わなかったわ」

フルチューニング「期待できそうだね、ゾクゾクするよ。さあ、まだまだこれからだ!」
168 : [sage]:2010/10/27(水) 04:52:06.52 ID:okqCXK.0

一方通行「始まってンな…」


操車場から少し離れた場所。フェンスの向こう側から、一方通行は激しくぶつかり合う二つの電撃を目にした。


一方通行「ったく、よりによってこの場所を選ぶとはフザけてやがるな」


思い出す。かつて最強の上、無敵を目指していた頃に行われていた、二万人の模造品を延々と殺して行くというふざけた実験を。

そして、その実験の最後の場所。正確にはその実験が中止となる出来事が起きた戦場だ。

なぜか左の頬がジンジンと痛む様な気がする…


一方通行「さてと、どうするか…」


一方通行の仕事は美琴を守る事。ならば彼女を襲撃する者をひねり潰せば良い。
容易い事だ。この学園都市において、それを阻止できる者など片手で数えても指が余る。

だが、その襲撃者が番外個体の様な妹達なら話は別だ。単純に[ピーーー]という選択肢を彼は選ぶ事ができない。傷付ける事さえもだ。
169 : [sage]:2010/10/27(水) 04:53:30.89 ID:okqCXK.0

一方通行「チッ…」


舌打ちをしながらフェンスへと近づく…


?「鈴科さん」

一方通行「……」


一方通行は自分を呼ぶ声を聞き、足を止めた

すでに誰かが自分の背後に居た事には気付いていた。だから今更驚く事などない。


生方「偶然ですね、こんなとこで会うなんて」

一方通行「必然だろ、第六位」

藤野季「……」


一方通行は振り返らず、生方実もとい藤野季の顔を見る事無く返答した。
170 : [sage]:2010/10/27(水) 04:55:22.34 ID:okqCXK.0

一方通行「最初から俺が鈴科百合子じゃなくて、一方通行だと知った上で接触したのか」

藤野季「いえ、出会ったのは本当に偶然です。最初はあなたがあの一方通行だとは気付きませんでした。
まさか女装していたとは思いませんでしたし、とても綺麗でお似合いでしたから」

一方通行「俺の神経を逆撫でしてンだって事は自覚してンだろォな?」

藤野季「そうですか? 綺麗だと思うんだけどなぁ…」

一方通行「ガキと下らねェ話をしてる暇は無ェ。俺をおちょくりに来たンなら殺されねェうちにさっさと失せろ」

藤野季「そう言われましても、私もお仕事でここに来たわけですから。あとガキじゃないですよ」

一方通行「俺を[ピーーー]ためにか? 第六位ごときが」

藤野季「いえ、その操車場に誰も入れない様にする事が私の仕事です。直接殺せとは言われていませんよ」

一方通行「じゃあオマエに許可を取れば良いわけだな。俺はこれからこのフェンスの向こうに行ってオマエの仲間をぶちのめすが構わねェな?」

藤野季「申し訳ありませんが、今は実験の最中ですので。操車場に」


そこまで言いかけた所で、一方通行は振り返りざまに腰のホルスターから銃を抜き取り、迷う事無く背後の藤野に発砲した。


藤野季「……」
171 : [sage]:2010/10/27(水) 04:56:49.90 ID:okqCXK.0

弾丸は藤野の足に直撃し、傷口からはけして少なく無い量の血が溢れてくる。
しかし、藤野はこちらに笑顔を向けたまま、その佇まいはほんの少しも動きを見せる事は無かった。

痛がる事もなく、憤怒する事も怯える事も無い。


まるで初めて会った時に感じた、儚げな幻想を感じさせる様な笑顔を向けている。


あの時、そして今、なぜ一方通行はそんな曖昧な感覚を彼女から感じたのか?


たぶん、いや、確実に似ているのだ。

打ち止めや9月30日に会ったシスターの様な、天真爛漫で裏表の無い性格の人間が見せる無垢な笑顔によく似ている。



こんな状況でも、藤野季はそんな笑顔を見せていた。

作り笑いではない。本当に心から一方通行に対してその表情を見せているのだ。

172 : [sage]:2010/10/27(水) 04:58:51.27 ID:okqCXK.0

おかしい

もしもだ。もしも打ち止めが血と硝煙に塗れた空間で、いつもの様に無邪気な笑顔を浮かべていたらどうだろう?

そんな光景を見た後でも、まだ平和な日常の中で明るく無邪気に笑い、はしゃぐ彼女を
今までと変わらない目で見る事ができるだろうか?それが本当の打ち止めの姿なんだと信じる事ができるだろうか?


だからこそ幻想なのだ。


平和な表の世界では輝くように明るい無垢なその笑顔も、悪意に満ちた裏の世界でそれを見せられては、
まるで血と暴力を純粋に楽しむ悪魔でも見ているかの様な戦慄を感じさせる。

どちらが嘘でどちらが本当の素顔なのかという話ではない。どちらも嘘の無い本性なのだ。

打ち止めやシスターと似ている様で、そこだけは決定的に違う。その部分だけは明らかに狂っている。


ネタが割れれば”幻想”なんて曖昧な言葉で表す必要は無いだろう。

あの笑顔は、中身の無い空虚な笑顔だ。


173 : [sage]:2010/10/27(水) 05:00:39.33 ID:okqCXK.0

一方通行「気持ち悪ィ野郎だ」


首のチョーカーに触れ、電極のスイッチに指を入れる。

もはや言葉は要らない。言葉でどうにかなる様な人間は、この状況であんな笑みを浮かべたりはしない。


ドン!!とアスファルトが砕ける程の衝撃と共に、一方通行の体が真っ直ぐに藤野の懐に目がけて発射された。

触れればそれだけで死をもたらす拳。その凶器を振り上げ、藤野の顔面に目がけて突き刺す様に振るった。


藤野季「……」


だが藤野はそれを簡単な挙措で避け、殴りかかって来た一方通行の腕を片手で掴むと、
そのまま軽々と振り回す様に一方通行の体を投げ捨てた。


一方通行「ッ…」


投げられた威力で地面を転がるが、一方通行の体にダメージは無い。
174 : [sage]:2010/10/27(水) 05:02:03.49 ID:okqCXK.0

一方通行「なるほど、それが“無限再生“か」

藤野季「気付きましたか?」


そう、藤野は一方通行の体に触れたのだ。
本来なら相手が一方通行の体に触れただけで、彼は相手の血流を操作して[ピーーー]事ができるはずなのに…


藤野季「当然の事ながら、肉体の操作に関しては熟知しています。あなたが私の血流を逆流させようとしたなら、
私は自分の意思で血液の流れを元に戻せば良いだけですから」

一方通行「厄介な化け物だ」


一方通行は再び懐に潜り込み、拳を振るう。


藤野季「無駄が多いです。接近戦はあまり得意ではないのですね」


藤野は一方通行の攻撃が繰り出される瞬間と方向を的確に見極め、最も有効で無駄のない回避を行う。

そして隙を見極め、細い腕を振るって一方通行の横顔に拳を突き刺した


一方通行「ゴがッ!!!」


ゴン!と重たい衝撃が一方通行の脳を揺さぶる
175 : [sage]:2010/10/27(水) 05:05:01.86 ID:okqCXK.0

藤野季「ベクトル操作の反射膜を見極めて拳を引き抜く。木原数多の生み出した業ですね」

一方通行「ッ……だが、あのクソ野郎と同じ真似はできねェみてェだな…」


一方通行は血の混じった唾を吐き捨てながらそう言った。
その言葉の通り、そんな真似ができるのは、彼の能力と性格を知り尽くした木原数多だけである。
でなければ、例えば同じ真似をした杉谷の様に腕を損傷してしまうのだ。
それも杉谷の様な損傷ですらまだマシな方なのである。

藤野季もその例外ではない。一方通行にダメージを与えた藤野季の右手が紫色に腫れ上がっていた。

相変わらず薄ら笑いを浮かべているため、表情からは痛がっている様子を感じられないが、
実際彼女の右手は甲の骨が砕け、指の骨も何本か折れている。


藤野季「ええ、完璧にはできません。完璧には…」


無限再生(インフィニティリバース)

その能力は、どれだけ肉体が損傷を負っても完全に再生できる“死なない体”。

赤く腫れていた藤野の右手が、まるでビデオの逆再生の様にみるみるうちに元の白い華奢な手に戻っていく。


藤野季「ですが、そこは能力者ですから。能力者らしい戦いをさせていただきます」

一方通行「このマゾ野郎が」
176 : [sage]:2010/10/27(水) 05:06:51.18 ID:okqCXK.0

一方通行は後方に大きく跳躍して距離を取った。

本来の彼の戦い方は接近戦が基本である。
どれだけ近付こうが彼にダメ―ジを与える事はできず、逆に彼は指で触れただけで相手を[ピーーー]事ができるからだ。

しかし例外はある。例えば上条当麻の様に、反射を打ち破って直接彼を殴れる様な相手。
もしくは垣根提督の様に、反射膜のフィルターを計算し、反射していない無害で人間の生命活動において
必要とされる物を殺傷力のある未元物質に変えて攻撃してくる様な特殊な相手。

そして、木原数多やエイワスの様に色んな意味で反射が通用しない様な敵を相手にした場合、
彼は接近戦においては絶対的な優位を保てなくなる。

そうは言っても、遠距離からの攻撃手段が無いというわけではない。
向きさえ存在すれば、この世の全ては彼にとっての武器となる。


それがただのそよ風であってもだ。

177 : [sage]:2010/10/27(水) 05:08:31.86 ID:okqCXK.0

一方通行「悪ィが、テメェとSMプレイしてる時間は無ェンだよ…」


大気のベクトルを計算開始……

風の流れを掴み、風力を増幅させ、狙いを定め


(一気に叩きつける!)


一方通行が手藤野に目がけて空の手を振ると、ただの風が全てを巻き込み吹き飛ばす竜巻に変貌して藤野に襲いかかってきた

その暴風に対し、藤野はそれを横に、助走無しで30メートルほど一気に跳躍して回避する。


一方通行「あの野郎、やっぱりなンか仕込ンでやがるな…」


横に跳躍した後、さらに藤野は地面をとてつもない力で蹴り、凄まじいスピードで真っ直ぐに一方通行の体目掛けて突っ込んできた。

そのスピードは脚力をベクトル操作で強化した時の一方通行に匹敵する。とても無限再生という能力だけでは考えられない様な動きだ。
178 : [sage]:2010/10/27(水) 05:13:28.65 ID:okqCXK.0

だが、そんな事は全て彼の想定の範囲内である。藤野との距離を取ったのは、本命をぶつけるための計算時間が必要であったためだ。
そして、藤野は一方通行の思惑通り馬鹿正直に正面から飛び込んできてくれた。


一方通行と藤野季の距離が5メートルの所まで縮んだところで、一方通行はダン!と地面を強く踏みつける。

すると、まるで地面が爆発したかの様に一方通行の足元で強烈な衝撃が生まれ、
バラバラに砕かれたコンクリートの破片と共にその衝撃が藤野に襲いかかってきた。


藤野季「くッ…!?」


藤野は思わず足を止め、両腕を顔面の前でクロスさせながら衝撃から身を守った。

だが一方通行の攻撃はまだ終わらない。


一方通行「飛んで火に入るなンとやらってなァ!!!」


ドガッ!!


藤野季「ぐッ……!!あァッ!!!」


一方通行は一気に藤野の懐に潜り込み、下から突き上げる様に殴りつけ、藤野の体を浮かせた。


一方通行「仕上げだ」


演算終了

集めた学園都市中の風の流れを、一気に解き放つ

ゴオッ!!と一方通行の体を中心に爆発的な暴風が巻き起こり、一方通行のアッパーを食らって宙に浮いた藤野の華奢な体が、
まるで木の葉の様に遥か上空へと吹き飛ばされた。
179 : [sage]:2010/10/27(水) 05:15:28.11 ID:okqCXK.0

普通の人間なら死ぬだろう。少なくとも最初のアッパーだけで相当なダメージを与えられている。
そして、空を飛べない人間が高層ビル並の高さまで吹き飛ばされたら……

しかし、第六位はそれで勝負が決まる様な相手ではなかった。

信じられない事に遥か上空、そこから体勢を立て直し、獲物の姿を捉えた鳥の様に藤野が落下してきた。

一方通行が脚力のベクトルを操作してその場から離れると、隕石の様に空から急降下してきた藤野は、
一方通行が立っていた場所に鋭く拳を突き立てた。

ガゴン!!と盛大に地面が砕ける音と共に土砂が嵐の様に舞いあがり、
土と砂と割れたコンクリートの破片の雨を降らせ、あたり一面を砂塵が覆う。

無論、これほどの激しい攻撃でも一方通行の体に傷一つ付く事は有り得ない。
ゆえに彼が爆心地から距離を取ったのは、攻撃を回避するためではない。
180 : [sage]:2010/10/27(水) 05:17:07.49 ID:okqCXK.0

一方通行「ッ…!!」


砂塵で遮られた視界の中、ブォンと自分の耳元で風を裂く様な音が聞こえた。

それは藤野季の腕だ。

藤野季はもうすでにあの爆心地には居ない。砂煙のせいで視界が制限されているというこの状況を利用し、
気付かれない様に一方通行に接近していたのだ。

それでも一方通行は感覚を研ぎ澄ませ、音だけを頼りに藤野の奇襲を回避した。
だが、もう意味は無い。そもそもあの爆心地からわざわざ回避した理由は、接近戦に持ち込ませないためだったのだから。


藤野「見つけましたよ」


ドゴッ!


一方通行「ご…が…ッ!!」


強烈な一撃を腹部に入れられた。
ベクトルの反射膜を利用した攻撃なので、直接体に打撃を入れられたわけではないから殴られたのか蹴られたのかはわからない。
181 : [sage]:2010/10/27(水) 05:18:50.60 ID:okqCXK.0


ガン!ゴシャッ!


一方通行「ぐッ!がァッ!!!」


続けざまに二発、三発と攻撃を食らう。相手の姿が良く見えないのは藤野も同じなはず。
ならばベクトルの反射膜を見極めるなどという精密さを求められる攻撃はできないはずだ。

だがそれが藤野にはできる。なぜなら、反射膜の見極めを誤って腕を損傷したとしてもすぐに再生できるし、
血流が逆流してしまうのも防ぐ事が出来るからだ。

そもそもそれが可能だから、わざわざ木原数多の様に正確な反射膜の位置を見極める必要は無い。
視界が霞んでいても、大雑把に相手の位置を確認できたら拳を出して引けば良い。
ただそれだけで一方通行に有効なダメージを与えられる。


一方通行「調子に乗ってンじゃねェぞクソッタレッ!!!」


再び地面を踏む力を操作し、衝撃を起こそうとした。


藤野「同じ手は通用しません」


彼女の声が聞こえたのは一方通行の背後から。


一方通行「ぐォッ!!?」


突然、首を強く締め付けられると同時に後ろに引っ張られる様な感覚が一方通行を襲う。

藤野が一方通行の背後に回り込み、彼の襟首を掴んで思いっきり後ろに引っ張っていたのだ。
182 : [sage]:2010/10/27(水) 05:20:06.81 ID:okqCXK.0

大きく後ろに重心を逸らされ、地面を踏み付けようとした足は、虚しいくらいに手ごたえの無い空気を蹴る。

そして、そのままバランスを崩して仰向けに倒れ込んでしまった。


一方通行「ッ…クソッ!!」

藤野季「………」


肘を付き、痛む体を上体だけ浮かせる。

その視線の先に藤野は立っていた。

相変わらずムカツクくらいに明るい無邪気な笑顔を浮かべながら…


一方通行「その服の中に仕込ンでるのは発条包帯(ハードテーピング)か?」

藤野季「……良く気が付きましたね。その通りです」
183 : [sage]:2010/10/27(水) 05:23:24.96 ID:okqCXK.0

無限再生はどんな損傷からも元通り回復する能力だ。
それは自分の肉体構造に関して血管や神経まで熟知しているからこそできる希少な能力である。

そして、その副産物として自分の肉体を操作する事ができる。

例えば番外個体の様に筋肉に伝わる電気信号を操作したり、
フルチューニングの様に脳内の電気信号を操作して、ドーパミンなどの脳内物質を異常分泌させ、集中力を爆発的に高めたりなどだ。
元々、フルチューニングは藤野の能力を参考にしてそれを行っていたのである。


端的に言えば、それはスポーツ選手のドーピングに似ていると言えるだろう。

スポーツのレベルで用いられる薬物とその効果にも代償として副作用が確認されているが、それ以上の効果を上げる事。
つまり筋肉の動きを爆発的に高めたり、脳内物質の分泌を異常に活性化させる事を殺し合いで効果を発揮できるレベルにまで高めると、
ステロイドなどの薬物を遥かに超える副作用が起きる危険性がある。

その様なリスクがあるため、番外個体やフルチューニングは連続して電気信号を操作する事はできない。
しかし、藤野の場合は別である。彼女にはどんな損傷を負っても元通りに回復できる能力がある。

どんなとは言っても、人間である以上は常にその状態を維持できるわけではない。
攻撃を繰り出す時、そして攻撃を回避する時に限りそれを行うという点については番外個体と同じである。

藤野と彼女達は何が違うのかというと、要は回数制限の問題だ。イメージとしてはフィアンマの右腕と似た様なものかもしれない。

先に述べた様に筋肉や脳が損傷を負うリスクがあるため、番外個体やフルチューニングは利用できる回数を限られている。
だからこそ使用する場面を選択し、自分の意思でそれを行わなければならない。

だが損傷のリスクを無視できる藤野季の場合、攻撃を繰り出す時、
あるいは避ける時に無意識でそれを行う事が出来るレベルにまで定着しているのである。


学園都市最強の一方通行すら翻弄させるほどの身体能力は、彼女の肉体操作に由来しているのだ。
184 : [sage]:2010/10/27(水) 05:25:19.15 ID:okqCXK.0

しかし、それだけでは説明できない部分がある。

肉体操作によるそれは、あくまでも筋肉の働きを強化させるだけのものであって、筋力そのものを増幅させるものではない。

だから、例えば一方通行の様に脚力のベクトルを操作し、自分の体をロケットの様に発射させる事はできないはずである。

番外個体は高圧電流で空気を爆発させ、それをブースターにすることで一方通行と同じ真似ができる。
しかし藤野季にはそれが無い。単に運動神経を強化しただけで出来る事ではない。


だからこそ発条包帯(ハードテーピング)なのだ。

別名、超音波伸縮性の軍用特殊テーピング。かつて一方通行と戦った駒場利徳が使用しており、
人間程度なら簡単に粉砕できるくらいの力を発揮できる。

これも使用した人間の体を損傷させる恐れがあるためアンチスキルでは払い下げされたのであるが、
先にも説明した通り藤野季のはその心配が無い。

圧倒的に足りない筋力を発条包帯でカバーする事により、彼女は人間離れしたスピードとパワーを得ていたのである。
185 : [sage]:2010/10/27(水) 05:26:19.49 ID:okqCXK.0

肉体操作による運動能力の強化、発条包帯による筋力の強化、そして無限再生による異常な再生力。


藤野季「例え学園都市最強のあなたでも、私の勝つ事はできませんよ。アクセラレータ」

一方通行「あのクソ野郎よりも厄介なのは認めてやる」

藤野季「あなたを[ピーーー]ようには命令されていません。ここで大人しく引き返していただければ、これ以上あなたを傷付けずに済むのですが」

一方通行「もう勝ったつもりか? めでてェ野郎だなテメェは」


一方通行は起き上がり、そして藤野季の腕を強く掴んだ。
186 : [sage]:2010/10/27(水) 05:27:18.92 ID:okqCXK.0

藤野季「何をしたいのかは分かりませんが、無駄だと思いますよ」

一方通行「決まってもいねェのに勝利を確信した時が一番危ねェ。そンな事すら分からねェ奴に負ける気はしねェ」


一方通行はさらに強く藤野の腕を掴む。まるで拘束するかの様に


一方通行「海原ァ!!!」

藤野季「!?」


突然、一方通行は仲間の名前を叫んだ。

そして藤野は見た。

自分を拘束する一方通行の背後、こちらに向けて銃を構えている海原光貴を。
187 : [sage]:2010/10/27(水) 05:29:02.48 ID:okqCXK.0
海原「……」


タン!と乾いた銃声が響く。


銃弾は藤野季ではなく、一方通行の体に直撃した。

無論、銃弾が一方通行の体を貫く事など有り得ない。

しかし一方通行は、自分の体に触れた物の向きを自在に操作できる。


藤野「ッ!?」


藤野は一方通行の傍から離れようとした。だが一方通行の腕を引っ張る力により拘束されて身動きが取れない。

いくら発条包帯で筋力を強化したとは言え、ベクトル操作ができる一方通行の力には及ばない。


藤野季「あ…ッ……!」


パン!と何かが弾ける音がした。

一方通行の体に当たり、向きを操作された銃弾が藤野季の眉間に直撃したのだ。

噴き出す返り血は一方通行に当たる事なく、地面に落ちて潰れたトマトの様なシミを作る。

一方通行が藤野季の腕を離すと、藤野はガクッと両膝を付き、地面に倒れ伏したまま動かなくなった。
188 : [sage]:2010/10/27(水) 05:30:47.77 ID:okqCXK.0

一方通行「いくら再生能力が高いとは言え、演算の核は脳が担ってる。
だったら脳ミソに攻撃をぶち込めば良いだけだ……っても、もう聞こえちゃいねェか」


もはや死体に興味は無いと言った感じで一方通行は藤野に背を向け、美琴とフルチューニングが戦っている操車場の方を見た。


一方通行「海原、俺はアイツらを止めに行く。オマエは死体を片付けろ」

海原「一方通行さん!!」

一方通行「あァ? なン…」


「決まってもいないのに勝利を確信した時が一番危ない。その言葉をそっくりそのままお返ししましょう」


一方通行「なッ!!!」ドサッ!


背後から奇襲してきた藤野によって、一方通行は地面に組み伏せられてしまった。


カチッ!


一方通行「テメェ…ッ!!」


組み伏せられたまま、藤野により首のチョーカーのスイッチを通常モードに切り替えられ、能力を封じられる。
189 : [sage]:2010/10/27(水) 05:33:09.67 ID:okqCXK.0

藤野季「“どうして脳を貫かれたのに生きている“ですか? 簡単に言えば、
健全な状態のバックアップを取っているからと言ったところでしょうか」

一方通行「ぐッ…ざけンな! ンな滅茶苦茶な理論がッ!!」

藤野季「人体実験で脳ミソをかき回された事なんて一回や二回程度じゃないんですよ?
それにそもそも私の無限再生は、あなたの反射と同じ様に全てオートになっているのですから」

藤野季「要するに脳に傷を負ったケースを想定し、それを自動修復するという事を含めて
自分の肉体を再生するための公式を予め用意しておけば良いだけです」

一方通行「それも脳が完全な状態だからこそできる事だろォが!!」

藤野季「さあ、どうなんでしょうね。もしかしたら、私の脳に何か細工が施されているのかもしれませんよ?」


藤野季「さて、[ピーーー]わけにもいきませんから、そろそろいい加減大人しくしていてください」


涼しい笑みを浮かべながら、細い指先をチョーカーのスイッチに当てる


一方通行「ッ!!!」


通常モードからオフへ。それをされたらもはや演算どころか普通に歩く事も言語を理解する事も出来なくなる。


だが、藤野がスイッチを切り替える事は無かった
190 : [sage]:2010/10/27(水) 05:34:42.22 ID:okqCXK.0

藤野季「!?」


突然、一方通行の体の上を音速で巨大なコンテナが横切り、藤野を巻き込んで遠くへ飛んで行った。


淡希「情けないザマね、百合子ちゃん」

一方通行「結標…」

海原「結標さん!」

淡希「あなたは早く操車場へ行きなさい。アイツは私と海原が食い止めるから」

海原「自分もですか…」

一方通行「俺ですら手こずった相手をオマエが? 面白ェ事言うじゃねェか」

淡希「10分よ、10分で片付けなさい。それ以上はたぶん足止めできないわ」

一方通行「頼りねェな」

淡希「お互い様でしょ?」

一方通行「確かに」


そう呟きながら、カチッ!と電極を切り替える

そして、大きく跳躍してフェンスの向こう側へと飛んでいった。
191 : [sage]:2010/10/27(水) 05:37:09.39 ID:okqCXK.0

淡希「やれやれ…」

海原「勝算はあるのですか?」

淡希「あったら最初から私が戦ってるわよ」

海原「ですよね…」


ギリギリとつんざく様な音が炸裂し、淡希の放った巨大なコンテナが破れ、はじけ飛ぶ


藤野季「逃げられちゃいましたね。困ったなぁ…」


とは言うものの、藤野は相変わらずな笑顔のままこちらへゆっくりと歩いてくる


藤野季「私が受けた命令は一方通行さんの足止めですから、あなた方と戦う必要は無いのですが」

淡希「あなたが一方通行の邪魔をしないならね」

藤野季「それは無理な話ですね」

淡希「そう…」


直後、巨大なコンテナが藤野を薙ぎ払う様に横から飛んで来た。

それに対し、藤野は真横に右腕を伸ばす。

それだけで自分の体の何倍もの質量のあるコンテナを受け止めてしまった。

衝撃で藤野の手が触れた部分を中心に軽い凹みができているが、彼女の体には何ら影響は無い。
192 : [sage]:2010/10/27(水) 05:37:49.92 ID:okqCXK.0

藤野季「私は有能な人間ではありません。本来なら、もう何度も死んでいるはずですから」

藤野季「でも、いえだからこそ同じ失敗は繰り返さない…」


音速

地面を蹴りあげる音と、藤野が懐に入って来た瞬間が重なる


淡希「なッ!?}


反応する事さえ遅い。結標は腕を掴まれ、足を払われ、そのまま倒されてしまった


淡希「ッ!!」

海原「結様さん!」

藤野季「……」


藤野と目が合った。
193 : [sage]:2010/10/27(水) 05:40:34.71 ID:okqCXK.0

海原は銃を藤野に向けて銃を撃つ。しかし…


藤野季「銃口を見てタイミングを取れば、ハンドガン程度なら意外と避け易いものですよ」


ダン!ダン!と二発、三発と続けて藤野に撃ち込むが、全て簡単に避けられてしまう。


藤野季「まあ、別に当たっても良いのですが」


とうとう懐まで入りこまれた海原。

そして、まず藤野は両手でガシッと海原の銃を掴んだ。

海原の方はそれに反応できず、銃から手を離して藤野との距離を取るという事まで頭が回らなかった。


海原「!?」


藤野はそれを利用し、銃を掴んだままの海原の手を銃ごと引っ張り、海原の体勢を前のめりにする。
そしてすかさず海原の腹部に軽く肘を打ち付けた。


海原「がふっ!!」


くの字に折れ曲がる海原の体。
さらにその状態から藤野の背負投げによって地面に叩きつけられる。

海原「ぐ…がァッ…!!!」
194 : [sage]:2010/10/27(水) 05:41:47.25 ID:okqCXK.0

藤野季「本当に10分も足止めできるのでしょうか?」

淡希「ッ…!!」


海原から奪った銃をバラバラにしながら、笑顔をこちらに向けたままそう言う。

その言葉には嘲りは含まれていない。純粋な疑問から彼女はそう尋ねていた。


195 : [sage]:2010/10/27(水) 05:43:55.27 ID:okqCXK.0

【美琴vsフルチューニング】


簡潔に言えば、美琴の劣勢である


美琴「威力では負けてない。けど…」


飛んで来た雷撃の槍を打ち消しながら回避する美琴

それを先読みし、回避した先にさらに雷撃の槍を撃ちこむフルチューニング


美琴「うわッ…と…」


それを寸での所で避ける


フルチューニング「へぇ、少しは学習したみたいだね」


実はもうすでにこの先読みによる攻撃を3回ほど食らっていた。

幸い、雷撃の槍が直撃した事は無かったが、高圧電流の威力で何回か吹き飛ばされていた。
196 : [sage]:2010/10/27(水) 05:45:02.79 ID:okqCXK.0
訂正
何回か×
三回とも○
197 : [sage]:2010/10/27(水) 05:46:37.51 ID:okqCXK.0

美琴「経験か…」


美琴は確かに能力を使いこなしてはいる。しかし、もしも同系統で同じ力を持つ能力者が相手になった場合、
戦況がより戦闘のための訓練を積んだ者の方へ有利に傾くのは自然な事である。

例えレベル5の特別な能力者とは言え、彼女の本分は銃を握った事も無ければ人を殺した事も無い一般的な学生だ。
何度か戦闘は経験してるし、実際に戦場に足を運んだ事もあるが、藤野季やフルチューニングの様に
人を[ピーーー]ための訓練を受けた経験など全くない。


フルチューニング「……」


フルチューニングの手に砂鉄が集まって行く。

磁場で作られた砂鉄の剣


美琴「……」


同様に美琴も同じ砂鉄の剣を形成し、構えた。

198 : [sage]:2010/10/27(水) 05:48:12.31 ID:okqCXK.0

最初に動いたのは美琴だった。

美琴はフルチューニングに突進し、砂鉄の剣を振り回す。

しかし、やはり経験が足りない。

美琴はただ砂鉄の剣を手で振り回すだけである。それに対し、
フルチューニングは常に自分の胸の前に砂鉄の剣を置く事を意識し、腕だけでなく体の旋回を利用して剣を振るう。

もはや剣道の素人と有段者が戦っている様なものだ。


フルチューニング「……」


フルチューニングは軽く美琴の剣を上に払うと、ガラ空きになった腹部を思いっきり蹴飛ばした。


美琴「がはッ!!」


軽く後ろに吹き飛び、尻もちを付く美琴

そしてその鼻先に向かって、真っ直ぐに砂鉄の剣の切っ先を突き付けられる。
199 : [sage]:2010/10/27(水) 05:50:47.37 ID:okqCXK.0

美琴「ッ…!!」

フルチューニング「……」


付きつけられた刃の異様なまでの圧迫感に呼吸が止まりそうになる。

フルチューニングが少し剣を前に出せば、美琴の端正な顔がズタズタに切り裂かれるだろう。

もう勝負は決まっていた。



フルチューニング「ってかさぁ、これじゃあ意味無いよね」

美琴「……何がよ?」


フルチューニングは美琴の切っ先を向けたままの砂鉄の剣を、自ら解除してただの砂鉄に戻しながらそう言った。
200 : [sage]:2010/10/27(水) 05:53:47.41 ID:okqCXK.0

フルチューニング「こんなやり方で勝っても意味無いんだよ。
私はあくまでもオリジナルよりも強い事を証明できなくちゃならないんだ。
戦闘で勝てって事じゃない、能力で勝たなきゃ意味が無いのさ」

美琴「だから何なのよ…」

フルチューニング「分かってるくせにさ、じれったいな」


一枚のコインがフルチューニングの手元で跳ねた。


フルチューニング「この前は邪魔が入ったけど、今度はもうその心配はいらない」

美琴「ッ…」

フルチューニング「きっとキミは嫌がるだろう、そんな事は想定済みさ。だから、キミがどうしてもそうせざるを得ない状況を作っておいた」

美琴「どういう事…? 何を言って…」

フルチューニング「白井黒子、キミの大切な後輩だね。もしもだ、今その白井黒子が誰かに狙われていたらどうする?」

美琴「なッ!?」

フルチューニング「昼間、キミと接触した女を覚えているだろ? そしてその能力も。神楽の得意分野は暗殺だ。
正面からの戦闘力もけして悪くはないが、後ろから刺す事に関してはあれ以上優れた能力者は居ないだろうね」

201 : [sage]:2010/10/27(水) 05:55:34.93 ID:okqCXK.0

美琴「ふざけんじゃないわよ!! 黒子は何の関係も無いでしょ!!」

フルチューニング「キミとは関係あるだろ。だから悪いけどもう一度だけ利用させてもらった。
本当に大切なら傍には置かない事だね。ま、この学園都市じゃ安全な場所なんて存在しないだろうけど」

美琴「……」

フルチューニング「さあどうする? 大切な後輩を見捨てるか、それとも正面から戦うか」

美琴「こんな外道が同じ遺伝子の持ち主だなんて思いたくないものね」

フルチューニング「仕方ないさ、人間じゃないんだから…」


フルチューニング「さあ、早く構えろ。一秒ごとにキミの後輩の命は削られていくぞ」

美琴「……」
202 : [sage]:2010/10/27(水) 05:58:09.11 ID:okqCXK.0

もう無理なのか?

自分は10031人の妹を失った。それで悲劇は終わりだと思っていた。

でも、もう無理なのか? もうこれ以上、何も失う事無く自分と自分の周りの世界を守り続ける事など……


そうだ、良く考えてみたらあの少年を失ったのだ。自分の周りの世界など、とっくに壊れてるじゃないか。



もう無理なのだ……




美琴「…分かったわ」


言われるがまま、美琴はポケットからコインを取りだした


美琴「今までは何とか耐えてきた。全部守りたかったから、選ぶ事なんてできないくらいに大切だったから。でも…」


何かが崩れる様な音が聞こえた。

壊さない様に傷付けない様に、大事に大事に抱えていたその腕を離した。

きっとそれは、大切な何かが床に落ちて割れた音。

選ばなければならない。そして排除しなければならない。

そこにためらいは無くなった。
203 : [sage]:2010/10/27(水) 06:01:24.31 ID:okqCXK.0

フルチューニング「……」

美琴「アンタが私じゃなくて、私の大切な人間に牙を向けると言うのなら、私はもう容赦しない。後悔する時間も与えない!!」

フルチューニング「それで良い。始めからそうすれば良かったんだ」


対角線、距離はレールガンの射程範囲内である50メートルよりもやや短いくらいだ。

お互いに、コインを相手に狙いを定めて構える。


………


ビリビリと張り詰めた空気

耳が痛くなる程の静寂



数秒後にはどちらかがこの世界から消える
204 : [sage]:2010/10/27(水) 06:02:20.43 ID:okqCXK.0

美琴「……」

フルチューニング「……」





ピン! と両方のコインが、全く同じタイミングで同時に跳ねた


そして次の瞬間、轟音と共に青い雷撃が炸裂し、一筋の鋭い電光が迸った




美琴「……ッ!!!」


巨大な電気量を誇る二つのレールガンが衝突し、圧倒的な破壊を撒き散らす。


フルチューニング「はは……こんなものか……」


音速の3倍でコインを打ち出されたレールガン

美琴にとっては自分の能力名として冠するほどのとっておきの大技

だが、その勝負は意外と呆気なく終わりそうだった。
205 : [sage]:2010/10/27(水) 06:03:24.79 ID:okqCXK.0

フルチューニングの発したレールガンが美琴のレールガンを飲み込んでいく様に、距離を詰めていく。


美琴「そっか…」


両者の力は拮抗していたはず。

手加減をしたつもりは無い。それでも現実として、自分のレールガンはフルチューニングの放ったレールガンに明らかに押されている。


結局、選べなかった。そして捨てられなかったのだろう。

206 : [sage]:2010/10/27(水) 06:04:28.97 ID:okqCXK.0

全部手放したはずなのに、まだその手に残っていた何かが、ギリギリのところで自分を引きとめていた。

それは何だろう?

何が自分を引きとめたのだろうか?





『お前にとって自分の命で妹達を救うことは、最後の夢だったのかもしれないけど、
結局はその夢を奪おうとした男も殺せないほど善人だったってだけじゃねぇか……』





美琴「そうなのかな……」


アイツがそう言うのなら、きっとそうなんだろう。

善人だと言い張る気は無いけど、自分の妹を殺せないくらいには姉らしくある事ができたのかもしれない。
207 : [sage]:2010/10/27(水) 06:06:01.54 ID:okqCXK.0

美琴「……」


眩い光がすぐ近くまで、自分の体を粉々に穿つために迫っていた。

手を伸ばせば届きそうな距離なのに、音速の3倍の速さなのに、なぜだかやけにそれがゆっくりと迫って来る様に見えた。


美琴「これで…よかったのよね……」


理解できない事ばかりだが、一番理解できない事は、今、自分が笑っている事だろう。

後悔は無い、これで全てが終わる。ふざけた負の連鎖がここにあるなら、それもここで終わりだ。

残ったのは解放感だけ。

憑き物が落ちた様に爽やかな笑顔を浮かべながら、全てを受け入れた美琴の体はレールガンの光に飲まれていった。
208 : :2010/10/27(水) 06:07:01.46 ID:okqCXK.0
ここで区切ります

ザ・ボスみたいですね第六位
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 17:17:08.20 ID:iHw1KOo0
第6位が木原神拳使って殴ってたけどさ、1回殴られたら一方さん攻撃を反射せずに操作すれるだろうから攻撃できないだろ、木原くんは一方さんの思考パターン等を覚えることで完全に対応してるんだからさ
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 18:23:45.61 ID:fj7sl/Uo
とはいえあの忍者も殴ってたぞ
211 : [saga]:2010/10/27(水) 19:29:22.65 ID:okqCXK.0
>>209
すみません、次回の戦闘までに対処しておきます

続きです
212 : [saga]:2010/10/27(水) 19:30:52.82 ID:okqCXK.0

もっと痛いか、あるいは何も感じないまま消えるのかと思っていた

だけど、死ぬ瞬間は、意外と温かいものだと言う事を知った

まるで、包み込まれる様な温もり


というよりは、すこしキツイ様な気がしないでも……


あれ……?



美琴「……え?」

一方通行「間に合ったか」


目の前には白い何か…いや、誰かが居る

その人は美琴を庇う様に抱きしめていた。


美琴「…鈴科…さん?……レールガンは…?」


どうして鈴科さんがここに?

そしてレールガンは?

幻想殺しじゃないのだ。消えたなんて馬鹿な事など有り得るわけがない。
213 : [saga]:2010/10/27(水) 19:32:26.25 ID:okqCXK.0

一方通行は美琴を解放すると、フルチューニングの方に向き直った。

対するフルチューニングはバツが悪そうな様子でこちらを睨んでいる。



フルチューニング「チッ…あの電波女が、足止めできなかったのか」

一方通行「……」

フルチューニング「で? 何の用かな第一位?」

一方通行「……」

フルチューニング「完全に押してたのになぁ、あと一歩でオリジナルを殺せた。
そして私はオリジナルを超える能力者として自分の存在価値を証明できたはず……なのに」


フルチューニング「よくも邪魔してくれたね」

一方通行「オマエ…バカだろ?」


フルチューニング「は?」
214 : [saga]:2010/10/27(水) 19:34:16.22 ID:okqCXK.0

一方通行「言わなきゃ分かンねェなら教えてやる。まず、オマエはオリジナルには勝てない」

フルチューニング「ははっ! 何を言ってるんだ? さっきのレールガンを見ただろ? 手を抜かせない様にハッタリまでかましたんだぞ?」

一方通行「あァ、確かに超電磁砲は手を抜いちゃいねェ。それを踏まえた上で言ってンだ。テメェじゃオリジナルには及ばねェ」

フルチューニング「ッ…!!!」


はじめてフルチューニングが歯噛みし、憎悪の表情を見せた


一方通行「それともう一つ、超電磁砲を殺したとこで何も変わらねェよ。オマエの価値なンざ証明できやしない」

一方通行「ま、要は全部無駄だって事だな。オマエのやって来た事は無駄、無意味、無為、空回り、骨折り損な労働おつかれさンでした」

フルチューニング「……言いたい事はそれだけか? そうならばいい加減そこをどいてもらえないかな?」


あくまでも強気に一方通行の言葉に対応する

だが、その声は一言聞けば分かるほどに震えていた。


一方通行「おィおィ、俺は親切に教えてやってンだぜ? 全部無駄だってなァ」

フルチューニング「キミに何が分かる!?」

一方通行「……」
215 : [saga]:2010/10/27(水) 19:36:06.77 ID:okqCXK.0

フルチューニング「普通の人間とは違う! 自分の命も存在すらも約束されていない! 結果を残さなければ生きる事すら叶わない!
価値を認められなければゴミの様に捨てられる!! そんな私の立場の何が分かるというんだ!!?」


まるで子供の様に怒り、叫ぶ。

自分の信じていた物、積み重ねて来た物を否定された者が、それに反論するために
理論も何もない拙い言葉と怒声だけで押し通そうとするかの様に。


フルチューニング「はは…分かるわけがない。学園都市第一位として価値と存在理由を認められ、栄光を約束されたキミなんかに!!」

一方通行「……ふざけンじゃねェぞ」


似ている。胸クソ悪いくらいに似ている。

かつて20000人のクローンを殺せば何かが変ると、変えられると本気で信じていた頃のクソッタレな自分に…

そんな幻想にすがって逃げていた頃に自分に…
216 : [saga]:2010/10/27(水) 19:37:57.98 ID:okqCXK.0

一方通行「甘ったれてンじゃねェぞクソガキが!! 誰かに決められた理由に従ってンじゃねェ!! 」

フルチューニング「!!?」


フルチューニングの肩が思いっきりビクンと上下に動いた


一方通行「テメェの境遇を言い分けにすンじゃねェ! ただテメェ自身が臆病なだけだろ! 無様にケツ振って逃げてるだけだろ!!」

一方通行「何が存在理由だ、何が自分の価値だ……! 笑わせンじゃねェぞクソッタレが!!
テメェの人生だろォが!!テメェの存在理由くれェテメェで決めやがれ!!」


同じ過ちを犯し、壊し、殺し、苦しみ、もがいてきた彼だからこそ言える。

けして上っ面だけではない、心の底から発せられた言葉はフルチューニングの心に真っ直ぐに突き刺さる。


フルチューニング「ッ…!!…私は……それでも私はッ……!!」


俯いていて表情が見えない。

肩を震わせているが、怒っているのか焦っているのかは分からない…

ただ、自分を支えていたものを否定されたダメージはけして軽い物ではなかった
217 : [saga]:2010/10/27(水) 19:39:07.53 ID:okqCXK.0

一方通行「ここまで言って分からねェなら、良い事を教えてやる。頭上に気を付けろよクソガキ」

フルチューニング「えっ…」


言われるがままに空を見上げた。

見えたのは、高く積まれたコンテナがグラグラと揺れている光景だった。

先程、一方通行が美琴を庇い、反射させたレールガン。それがコンテナの山にぶち当たり、不安定にさせていたのだ。


フルチューニング「は…はは……」


今すぐにでも崩れ落ちてきそうなコンテナの山を見て、引き攣った笑いを浮かべる

どうする? コンテナを磁力で操って避けるか? でもあれだけの量のコンテナに対処などできるのか?

じゃあ走って逃げるか? ダメだ、足が震えてる…

どうする…? どうしようどうすればどうやればどう対処すれば…


そして、そんなフルチューニングの焦りなど意に介さず、巨大なコンテナの山はフルチューニングの頭上に崩れ落ちてきた。
218 : [saga]:2010/10/27(水) 19:41:41.92 ID:okqCXK.0

フルチューニング(……終わる…のか?)


ここまで必死に足掻いてきたつもりだった。

認められたくて、何かを変えたくて、必死に頑張って来たつもりだった。

誰に認めてもらいたかった? 何を変えたかった?

自分はどうなりたかった? 何が欲しかった?

分からなくなってきた……

でも、そんな想いもここで終わる…



だがその時




美琴「届けぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」

フルチューニング「なっ!?」



全てを諦めたフルチューニングの頭上を、巨大な電光が走り抜けた。

それはコインで打ち出したレールガンなど比ではない。もっと巨大な質量を持つ圧倒的な群青の光。

その圧倒的な光は、フルチューニングの頭上に落ちてきた巨大なコンテナを全て粉々に砕いてしまった。


それでも巨大な一筋の光は止まる事なく、大気圏をも突破しそうな勢いで遥か空の彼方へと駆け抜けていく。


あれは……


フルチューニング「まさか…」


フルチューニングは驚愕の表情と共に絶句した
219 : [saga]:2010/10/27(水) 19:44:06.23 ID:okqCXK.0

フルチューニング「まさか…コンテナを音速の3倍で…? はは…ッ…そんなバカな事が……」


バラバラとコンテナの残骸が降り注ぐ。だが、それらから身を守ろうとせず、気に留める余裕すらなかった。

幸い、コンテナの金属片がフルチューニングを傷付ける事は無かった。


一方通行「分かったろ? オマエじゃオリジナルには勝てねェ」


改めて事実を突き付ける。これ以上無い証拠を見せ付けた上での事実を。


一方通行「つっても、理由は簡単だ。オマエは守るための戦いを知らない。守るために何度でも立ち上がって来る奴の恐さを知らない。
それだけだ。自分の事しか考えねェで、周りに暴力を撒き散らすだけのオマエじゃ千年経っても敵いやしねェよ」

フルチューニング「…そうか…そうだったのか……そうだよね…」


何もかもが馬鹿馬鹿しく思えてきた。

最初から勝てるはずが無かったのだ。

なのに、必死になっていた自分は、他人から見たらどれほど滑稽に映るのだろう?


フルチューニング「あは…あははッ!あはははははははははッ!!!!」


狂った様に笑いだしたフルチューニング。

そして、そのまま一方通行に背を向け、どこかへと歩き出した。
220 : [saga]:2010/10/27(水) 19:45:38.03 ID:okqCXK.0

一方通行「……」


一方通行もその後を追おうとする

だが、その前にガシッ!と後ろから腕を掴まれた。


美琴「はァ…はぁ…」


美琴は息を切らせ、フラフラになりながらも一方通行の腕を強く掴んでいる


美琴「鈴科さ…いえ、一方通行……!」

一方通行「……詳しい事は後で話してやる」


一方通行は自分の腕を掴む美琴の手を離そうとした。

だが、朦朧としながらも美琴はその手を離そうとはしなかった。


美琴「…お願い……あの子を殺さないで……」

一方通行「……約束する。信じろとは言わねェが、アイツを必ず表の世界に返してやる」

美琴「……おねが…い……」


意識が途切れ、体中から力が抜け、崩れる。

それを優しく抱きとめる一方通行。
221 : [saga]:2010/10/27(水) 19:46:34.76 ID:okqCXK.0

一方通行「……」


自分の正体がバレた。

これからどう美琴と向き合っていくべきか、頭を悩ませる事だろう。

だが、今は美琴と向き合う前にフルチューニングと向き合わなければならない。

一方通行は美琴をコンテナに寄りかかる様に寝かせると、フルチューニングが去って行った方へ歩き出した。
222 : [saga]:2010/10/27(水) 19:47:39.70 ID:okqCXK.0

フルチューニング「あははッ!…はは……は…」


狂った様な笑いが止まる。

そろそろ笑うのも疲れた。

それにしても、妙にスッキリとした清々しい気分だ。

何もかもが終わる瞬間が、こんなにも清々しくて呆気ないものだとは思わなかった。


フルチューニング「……」


バチバチとフルチューニングの手に青い電光が走る。

そして、その手に砂鉄の剣が握られる。

いや、剣と呼ぶにはあまりにも短いそれは、砂鉄のナイフと呼んだ方が適切だろう。

別に剣程の長さが必要なわけではない。ナイフ程度の長さでも死ぬ事はできる。
223 : [saga]:2010/10/27(水) 19:48:54.20 ID:okqCXK.0

フルチューニングはナイフを喉に突き立てた。

躊躇いはない。もはや全てを失った自分を止めるものなど…


一方通行「おい」

フルチューニング「……」


背後から聞こえてきた一方通行の声を聞くと、フルチューニングは喉に突き立てていた砂鉄のナイフを降ろし、振り向いた。


フルチューニング「…まだ何か用でも? 醜態を晒した私を笑いに来たのか?」

一方通行「……」

フルチューニング「それともまさかとは思うけど、私が死ぬのを止めに来たのか? あれだけ妹達を殺してきたキミが」

一方通行「止めに来たに決まってンだろ馬鹿野郎」

フルチューニング「……」


あまりにも率直な答えに、フルチューニングは言葉を失いかけた
224 : [saga]:2010/10/27(水) 19:50:32.22 ID:okqCXK.0

一方通行「確かに俺は10031人のシスターズを殺してきた。だからと言って、
今ここでオマエを見殺しにしなきゃならねェなンてルールは存在しねェだろ」

フルチューニング「………」

一方通行「それに、俺と同じ間違いを犯そうとしていたオマエが偉そうに言えたもンでもねェよ」


一方通行「オリジナルを殺して、自分がオリジナルよりも優れている事を証明したとしても、オマエが欲しがってるものは遠ざかるだけだ」

フルチューニング「それはまるで、私が何を欲しがっているかを分かってる様な言い方だね」

一方通行「分かるさ、オマエみたいなガキの欲しいものなンざ考えるまでもねェよ」


一方通行「その上で断言してやる」
225 : [saga]:2010/10/27(水) 19:52:32.37 ID:okqCXK.0

自分はどうなりたかった? 何が欲しかった?


一方通行「オマエが欲しがってるもンは、もっと違う所にある。手に入れるには少しばかり苦労するかもしれねェけどな」


誰に認めてもらいたかった?


一方通行「誰かに植え付けられた理由なンかに縛られる事は無ェ。そンな下らなねェものがオマエを否定しても、
俺はオマエの存在を認めてやる。俺だけじゃねェ、オマエを否定する奴が居たら俺が全部ぶっ飛ばしてやる」


変われるのか?


一方通行「変われるさ。少し手を伸ばすだけで良い」


そう言いながら、フルチューニングに近づき、握手を求める様に手を差し出した。


一方通行「俺が今まで見てきた物を教えてやる。人間その気になれば変る事なンざ簡単なンだってな」


フルチューニング「ふざけんなッ!!!」


フルチューニングは差し出してきた一方通行の腕をナイフで切りつけた
226 : [saga]:2010/10/27(水) 19:54:31.27 ID:okqCXK.0

一方通行「……」

フルチューニング「人間その気になれば変われるだと? 笑わせるなよ! 綺麗事をぬかすなよ!!
私はクローンだ!! 人形なんだよ!! この街の闇に染められたんじゃない!!
最初からこの街の闇に利用されるために作られた出来損ないの人形なんだよ!!!
変われるわけなんかない!! 叶いもしない希望なんて見せつけんなよ!!!」


まるで獣の様に目を見開いたまま、一方通行に対して威嚇する


一方通行「……そォか。そいつは驚きだ。学園都市の技術ってのはスゲェな」

フルチューニング「何を言って…ッ!!」

一方通行「この街の人形ってのは、涙を流せるほどに人間臭く作られてンのか…」

フルチューニング「え…」


フルチューニングは確かめる様に自分の頬に触れた

湿っぽい感触の何か。それは確かに自分の目から流れている。
227 : [saga]:2010/10/27(水) 19:56:25.78 ID:okqCXK.0

フルチューニング「何だよ、これは…」


戸惑い、怯える様に自分の手を見た。

そして、何度も何度も目を擦る。

それでも透明な液体が溢れてくるのを止められない……


フルチューニング「いらない…」


握ったナイフの切っ先を、鬱陶しい液体が流れてくる自分の目に向ける


フルチューニング「いらない! こんなもの! 私には必要無い!!」


迷いは無い、失明すると言う事すら考えない。

ただただそれを止めたかった。


フルチューニングは自分の目に砂鉄のナイフを突き刺す……




だが、痛みは無かった
228 : [saga]:2010/10/27(水) 19:57:43.97 ID:okqCXK.0

切っ先が目に触れる寸前で、一方通行に腕を掴まれて阻止されてしまった。


一方通行「……」


一方通行が砂鉄のナイフを素手で握ると、ナイフはただの砂となり、散って行く


フルチューニング「……」


一方通行が手を離すと、フルチューニングはそのまま脱力し、その場にへたり込み、俯いた。

自分が何をしようとしていたのか、何が言いたいのか、何がしたいのか、もはや考える気力すら残されていなかった。
229 : [saga]:2010/10/27(水) 19:58:46.27 ID:okqCXK.0

一方通行「いらなくなンかねェ」

フルチューニング「……」

一方通行「助けての一言が言えねェ、そンな弱いテメェがやっと流せた涙じゃねェか」


そしてもう一度、一方通行は手を差し伸べる


フルチューニング「……」


フルチューニングは顔を上げ、差し出されたその手を茫然とした顔で見上げた

先程ナイフで傷付けた場所に赤い染みができている。それでも構わずに、彼は自分に向けて手を差し伸べていた。

きっと何度拒否しても、彼は何度でもその手をこちらに差し伸べてくるのだろう。

そう思わずにはいられなかった。
230 : [saga]:2010/10/27(水) 20:01:07.54 ID:okqCXK.0

フルチューニング「信じても…いいの?」

一方通行「あァ」

フルチューニング「本当に変われるかな…?」

一方通行「俺が保証してやる」

フルチューニング「もしもまた、ダメになりそうだったら?」

一方通行「その時は俺が助けてやる」


そして今度こそついに、フルチューニングは差し出されたその手を握ろうと手を伸ばしてくれた


目の前に示された希望に縋る様に、そっと一方通行の指先に触れた







ぶちゅり!





フルチューニング「えっ…」

一方通行「なっ!?」


突然聞こえてきた嫌な音。


首から後頭部にかけて肉が裂け、血が噴き出す
231 : [saga]:2010/10/27(水) 20:02:59.08 ID:okqCXK.0

フルチューニング「う……あ……?」


何が起きたのか分からず、目を見開いたままフルチューニングはその場に倒れ込んでしまった。


一方通行「まさか……ふざけやがって……ッ!!!」


いきなり目の前に突き付けられた絶望に視界がぐらつき、喉が干上がりそうになった。


特定の時間帯、あるいは条件化を設定し、特定の脳波を感知するか、或いは特定の行動により
自動的に埋め込まれたセレクターが起爆する仕組みでもあったのだろうか?

一方通行がフルチューニングの腕に触れた時には何も起きなかった。

だが、例えば握手など和解を意味する行動

フルチューニングの手が一方通行の手に触れると自動的に爆発する仕組みだとしたら?


DNAは人の体を構成するすべての細胞に存在するため,他人の皮膚に触れただけで他人のDNAが自分に付着し,
他人にも自分のDNAが付着すると言われている

もしもセレクターに一方通行のDNAを記録させていたとしたら……
232 : [saga]:2010/10/27(水) 20:17:45.84 ID:okqCXK.0

それらはあくまでも憶測でしかないが、そもそもセレクターが組み込まれていた事自体が彼にとっては十分に怒りを誘発する要因である。

それがあまつさえ、あの番外個体の時と同じ様に、目の前で妹達の命を弄ぶ様なやり方で一方通行はケンカを売られたのだ。


一方通行「そォかよ…」


あの時、ロシアから学園都市に帰還する際に乗せられた輸送ヘリの中で“穏便”に言い聞かせてやったはずだった。


一方通行「そォかよ……それがテメェらの腐った脳ミソから引きずり出した答えって事かよ……」


そもそも、この茶番そのものが一方通行に対する学園都市の考えを伝えるために用意されたものなのかもしれない。


まるで一方通行の心を弄ぶ様なバッドエンドを用意するための悪趣味な劇の様に。



一方通行「上等じゃねェかクソ野郎! いいぜ、何度でもやってみろよ! 1000人だろうが一万人だろうが、
コイツらを俺の目の前で殺そうとして見やがれ!! 俺はその全部を救ってやるからよォ!!!!!」


学園都市が悲劇を望むなら、それを喜劇に変えてみせる。

10031人の妹達を殺したその手で、打ち止めや番外個体の時と同じ様に、今またその少女を救うために一方通行は戦った。

233 : [saga]:2010/10/27(水) 20:18:43.09 ID:okqCXK.0
ここで区切ります

シリアスや戦闘に疲れたので次回からはしばらくゆるい話に戻ります
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 21:25:11.29 ID:j/J0egoo
さすが一方さんだ、なんともないぜ
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 00:02:26.49 ID:NS03Hw2o
番外通行
通行止め
試験通行←new!


さすがry
236 : [saga]:2010/10/29(金) 07:02:41.93 ID:W2phWbg0
ちょっと投下します
237 : [saga]:2010/10/29(金) 07:03:56.68 ID:W2phWbg0



フルチューニング「……ここは?」


白い清潔なベッド、首に巻かれた包帯と、まだ少し残っている痛み。

考えなくともすぐに思い出した。

たしかあの後、自分の首に埋められたセレクターのうちの”1つ”が爆発したのだった。


フルチューニング「良く生きてたものだな…」


一方通行が助けてくれたのだろう。

あの女の子の様に白くて細い指で。

あの手で…
238 : [saga]:2010/10/29(金) 07:05:24.53 ID:W2phWbg0

フルチューニング「……」


あの時差し出された手を思い出す

ここには無い彼の手を想い、何気なくそっと自分の手を虚空に伸ばしてみた。


あの時はちゃんと触れる事ができなかったけど、彼の手はどんな感触なのだろう?

温かいのか冷たいのか?柔らかいのか硬いのか……


フルチューニング「……」


しばらく虚空に伸ばした自分の手をじっと見つめていた。


一方通行「おい、何バカみてェに何もないとこに手ェ伸ばしたまま固まってンだよ」

フルチューニング「ひゃわっ!! にゃっ! 何でキミがここに居る! っていうかいつからそこに居た!?」

一方通行「最初から居たが?」

フルチューニング「い、居るなら居るで何か話かけろよ! 恐いだろ!」

一方通行「気分はどうだ?」

フルチューニング「えっ…あ、あぁ…まだ少し痛いけど大丈夫だよ」

一方通行「麻酔が切れたンだろ、後で痛み止めを貰ってきてやる」

フルチューニング「うん、ありがとう…」
239 : [saga]:2010/10/29(金) 07:06:25.92 ID:W2phWbg0

一方通行「他にはなンか必要なものはあるか? 遠慮する事は無ェ」

フルチューニング「……意外だね」

一方通行「あン?」

フルチューニング「いや、もっと無愛想だと思ってたからさ」

一方通行「そうか? まあなンつーか、人間なンて意外と変るもンだ。俺自身も自分のキャラじゃねェってのは自覚してるけどよ」

フルチューニング「そうか……変る…か…」

一方通行「……特に無ェなら」

フルチューニング「あ! 待って!」

一方通行「何だ?」

フルチューニング「あー…えっと、その…」

一方通行「”えっと”だの”その”なンてもンは用意できねェぞ」

フルチューニング「……て///」

一方通行「TE? 何だそりゃ?」

フルチューニング「違う、Handだよ。その…」

一方通行「手が欲しいのか? ならその辺の悪党捕まえて切断しt」」

フルチューニング「それも違う! 何でそんなホラーな要求をしなきゃならないんだよ! 私はヤンデレか!?」
240 : [saga]:2010/10/29(金) 07:08:03.29 ID:W2phWbg0

一方通行「違うのか? じゃあどうしろってンだ」

フルチューニング「だからさ、その…手を…」

一方通行「?」

フルチューニング「手を……手を握って欲しいなとか…ミサカは思ってみたり…////」

一方通行「why?」

フルチューニング「いいから握れって言ってんだよ! 大人しくぎゅっってしてくれれば良いんだよ!!」

一方通行「なンでそンな必死なンだよ…まァ別に良いけどよ」


やれやれと言った感じでフルチューニングに向かって手を差し出す


フルチューニング「あ…///]


とても男性とは思えない程の華奢で真っ白な手

確かにこれでは女装した所で誰も男だと気付けないだろう。
241 : [saga]:2010/10/29(金) 07:08:52.42 ID:W2phWbg0

一方通行「なにやってンだ、さっさと握れよこの野郎」

フルチューニング「うん…////」ドキドキ


おそるおそる、フルチューニングは一方通行の手に触れようと、自分の手を伸ばす


フルチューニング(何だ、何でこんなにドキドキするんだ? ただ手を握るだけなのに…////)


指先が触れ、その手を滑らせる様に一方通行の手に…


ガラッ!!


番外個体「やっほー! 殺…お見舞いに来てやったよー!」

打ち止め「やっほー!ミサカはミサカは色んなとこが勃っちゃいそう♪」


突然病室の扉が開かれ、番外個体と肩車された打ち止めが現れた


一方通行「ワーストォァ!! テメェ打ち止めに変な言葉覚えさせてンじゃねェぞゴラァ!!!」

フルチューニング「……」


あと少しで触れたのに…
242 : [saga]:2010/10/29(金) 07:10:33.06 ID:W2phWbg0

番外個体「なーんかピンクな空気が病室の外でもビビッと伝わってきたんだけど、もしかしてお邪魔だったかにゃー?}

一方通行「良かったな馬鹿野郎、ここは病院だからいつでもテメェの頭を検査してもらえるぜ?}

番外個体「またまた照れちゃってー」

一方通行「あァ?」

番外個体「そうだいいことを思いついた、お前ミサカを混ぜて3Pをしてみろ」

一方通行「テメェの人生最後の言葉は3Pで良いな?」カチッ!

番外個体「ああ、ごめんね気がきかなくて。打ち止めも入れて4Pが良いんだね? あなたロリコンだもん」

一方通行「霊安室で○○ってろこの色ボケ野郎ッ!!」

打ち止め「ねぇねぇ、4Pって何?ってミサカはミサカは興味深いワードに反応してみる」

一方通行「マリオカートの話だ」

打ち止め「そっか、フルチューニングも入れて4人でできるね♪」

打ち止め「ねっ! フルチューニング!」

フルチューニング「え…?」


いきなり話を振られて呆気に取られてるフルチューニング

そのベッドの上に向かって


打ち止め「ミサカダイブ!」ぼふっ!

フルチューニング「うわっ!」
243 : [saga]:2010/10/29(金) 07:11:39.75 ID:W2phWbg0

打ち止め「えへへ、ミサカは20001号(最終信号)だよ。ミサカ達の上司だよ、よろしくね00000号!」

フルチューニング「ああ、よろしく…」


思ったよりもロリだな。でもさりげなく上司というワードを入れてるとこに腹黒さを感じる。
というのが打ち止めに対する率直な感想である。


打ち止め「フルチューニングって男の子みたいな喋り方だね」

フルチューニング「そうかな? 女の子っぽい喋り方って気恥かしくて苦手なんだ」

打ち止め「でもなんか新鮮で良いよってミサカはミサカは評価してみたり」

フルチューニング「ありがとう、打ち止め」なでなで

打ち止め「えへっ、くすぐったい」ぎゅっ

フルチューニング(なにこのかわいい生き物)

番外個体「フルチューニングって名前長いからフルチンって呼んで良い? ようフルチンwww」

フルチューニング「なにあのウザい生き物」
244 : [saga]:2010/10/29(金) 07:12:50.19 ID:W2phWbg0

番外個体「ねぇ、一方通行」

一方通行(打ち止めかわいいなァ…)

番外個体「ねぇ」

一方通行(ちくしょう、カメラ持ってくりゃ良かった。写メでも良いか)

番外個体「おいロリコン」

一方通行「誰がロリコンだコラ」

番外個体「だって打ち止めを見ながらロリロリしてたじゃん」

一方通行「別にンな疾しい事考えてねェよ。で、何だよ?」

番外個体「あのさ…もうダメ…もう無理みたい……」

一方通行「……」



番外個体「その女装マジやべぇwwww腹痛ぇwwwwダメだwwwずっと耐えてたけどもう無理www」

打ち止め「えー? 凄く綺麗だよってミサカはミサカはあなたの努力に賞賛を贈るよ」

フルチューニング「男が女の格好をしていたら変なのか?」
245 : [saga]:2010/10/29(金) 07:14:18.44 ID:W2phWbg0

番外個体「だってww声まで変えて髪も伸ばしてwww学園都市第一位がwww」

一方通行「……」ピキッ

番外個体「あひゃっwwwしかも女の子のファッション雑誌を買ってメイクまで勉強してwww」

一方通行「……」ピキピキッ!

打ち止め「ワーストが笑うたびに青筋が増えてる…」

番外個体「あの一方通行がwww一方通行が鏡の前でノリノリで化粧してるとかwww死ぬww笑い死ぬwwぐるじいww」


ブチッ!


打ち止め「あっ」

一方通行「いいぜ…テメェが俺の努力を嘲笑うなら…俺のベッドに下に隠したノンノを見つけても、
まだのうのうと生きていられると思ってンなら」

番外個体「いひゃはははははwww」


一方通行「まずはそのふざけた幻想をぶち」


打ち止め「ストーップ!」

一方通行「ごがっ! あなたする行動においてその障害と認識あばばばばば」


フルチューニング「あれ? これは一体…?」

打ち止め「この人から言語機能とかを奪ったの。ケンカはダメだよ? メッ!ってミサカはミサカは叱ってみる」

番外個体「ばーかwww」ゲシゲシ!(一方通行を踏みまくる)

一方通行「がっ!おごっ!」

フルチューニング「……」
246 : [saga]:2010/10/29(金) 07:15:32.79 ID:W2phWbg0
【その後】


逃げる様にして打ち止めと番外個体は病室から去り、一方通行が計算、言語機能を取り戻したのは
それから30分後の事だった。


一方通行「なァ、あと一体くらい殺しても問題ねェよな? どうせ番外だし」

フルチューニング「気持ちは分からないでもないが、あれも彼女なりの愛情表現なんだと思うよ。たぶん…」

一方通行「あンなバイオレンスな愛情表現があってたまるか」



…………



フルチューニング「ねぇ、ちょっと散歩したいんだけどいいかな? ずっと病室に籠ってるのも息が詰まりそうになるよ」

一方通行「あァ、行って来いよ」

フルチューニング「キミも一緒に行くんだよ」

一方通行「ダリィ…」

フルチューニング「まあそう言わずに、ね?」
247 : [saga]:2010/10/29(金) 07:16:49.98 ID:W2phWbg0
【というわけで】


一方通行「……」

フルチューニング「さむっ! 少し冷えるね…」

一方通行「だったら散歩なンてするなよ。つーか、せめて昼間にすりゃ良かっただろォが」

フルチューニング「仕方ないだろ? 昼間は彼女達が来てたじゃないか」


二人は病院の敷地内を散歩している

夕方で日も沈みかけている時間帯なので少し肌寒く、フルチューニングは病衣の上にカーディガンを羽織っている
248 : [saga]:2010/10/29(金) 07:18:19.58 ID:W2phWbg0

フルチューニング「それにしても意外だよ本当に」

一方通行「またその話か」

フルチューニング「だって、キミはつい数日前までこの街で悪党として暴れていた。
とてもじゃないが、誰かに手を差し伸べる様な人間じゃなかったはずだ」

一方通行「……」

フルチューニング「ロシアで何があった? 何がキミを変えたんだ?」

一方通行「……簡単な事だ。悪党なンて勲章を翳してもガキの安全ひとつ守れやしねェ。それに気付いただけさ」

フルチューニング「悪党の看板を降ろして善人にでもなるのか?」

一方通行「まさか。今更そンなもンを目指して何になる?」


一方通行「善だの悪だの、そンなのは周りが判断する事だ。俺は俺のやりたい様にやる。
敢えて言うならそいつはヒーローでも悪党でもねェ、単なるエゴイストだ」

フルチューニング「……そうか。でもあの時のキミは、私にはまるで聖者の様に見えた。いや、天使かな」

一方通行「寒過ぎて笑えねェ冗談だな」

フルチューニング「そうかな? 意外と似合うと思うよ? 白い翼と天使の輪っかとかね」

一方通行「……」
249 : [saga]:2010/10/29(金) 07:20:10.09 ID:W2phWbg0

フルチューニング「ねぇ、手を繋いでも良いかな?」

一方通行「なンでオマエと手を繋がなきゃならねェんだよ」

フルチューニング「え? だって握っても良いって言ったじゃないか」

一方通行「握ると繋ぐじゃニュアンスが違ェだろ」

フルチューニング「大丈夫。周りから見れば仲の良い女の子同士にしか見えないよ」

一方通行「……勝手にしろ」


と言いつつも、そっぽを向きながらさり気無く手をこちらに差し出す一方通行。


フルチューニング「…////]ぎゅっ…


少し緊張しながらも、ようやく彼の手を握る事ができた



フルチューニング「……」


その手は思ったよりも硬かった。

白くて華奢な見た目からは想像できない様な沢山のマメができている。

たぶん、拳銃によって作られたマメだろう。

たった一人の少女を守るためにどれだけ引き金を引いてきたのだろうか?

1万の言葉よりも明確に、その手は彼の覚悟を伝えている様な気がする。
250 : [saga]:2010/10/29(金) 07:21:36.55 ID:W2phWbg0

それともう一つ

その手は思ったよりも温かかった

1万の言葉よりも明確に、本当の一方通行という人間を説明するかのように…


フルチューニング「そっか、分かったよ」

一方通行「何言ってンだオマエ?」

フルチューニング「なんでもないよ」

一方通行「…?」


なぜだか急にニコニコと笑いだしたフルチューニング

”打ち止めと言いワーストと言いコイツと言い、女ってのはこういう表情をしてる時は何を考えてるのか、
何が楽しくて笑ってるのかさっぱり分かンねェ”

とか思いつつ、一方通行は怪訝そうな顔をしてフルチューニングを眺めていた
251 : [saga]:2010/10/29(金) 07:24:11.66 ID:W2phWbg0
時間が無くなったので区切ります
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 13:38:48.75 ID:b.pKvIDO
美琴はどうなったんだ
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 14:20:52.96 ID:133jPOEo
コンセントで充電中じゃない?
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 18:46:20.82 ID:/oxTQ3o0
てっきり死んだと思いこんでたんだが
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 23:07:28.58 ID:00v082w0
海原とあわきんェ…
256 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 23:46:36.30 ID:QpwmAsw0
>>1はどうしたのかな?
まだ時間が取れないのかな
257 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/28(日) 16:20:25.47 ID:kK5c1VU0
あーといーくつねーるーと
258 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/29(月) 10:56:47.42 ID:EaiSNhE0
さあ、>>1よ。
帰ってくるんだ!!
259 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/17(金) 16:38:52.64 ID:/PZ/LEAO
まだ?
260 :lain. [sage]:2011/02/19(土) 23:18:58.99 ID:???
SS・やる夫系スレッドは、SS速報VIP【http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/】へ移転することになりました。
それに伴いこちらのスレッドをHTML化させて頂きます。
スレッドを立て直す際はSS速報VIPへお願いします。
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