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中の人「おっ!目が覚めたか」上条「テメェ……」 -
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1 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/10/24(日) 19:56:53.27 ID:aKwelEDO
−注意―
・このSSは、23巻の発売を待ちきれなくなった
>>1
が、妄想を書き込んだ。
とある魔術の禁書目録22の続き、みたいな感じの内容です。
・出来る限りオリジナルキャラは出さない方向でいきたいと考えています。
・上条さんの中の人の設定が、突っ込みどころ満載になっていますが、御容赦下さい。
・携帯での書き込みになりますので、改行の仕方や行数についてなど、何かご要望、アドバイスがありましたら、よろしくお願いいたします。
・
>>1
のつたない文章力で綴られる黒歴史を、生暖かく見守って頂ければ幸いです。
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/
二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/
2 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:04:02.83 ID:aKwelEDO
土御門サイド ―窓の無いビルの中―
十一月一日、学園都市にある窓の無いビルの中に金髪グラサン男の怒号が飛ぶ。
土御門「おい、アレイスター!上条当麻が行方不明ってのはどういうことだ!?」
アレイスター「言葉のままの意味だ。
君達が統括理事長の一人と遊んでいる間に、上条当麻は単身でロシアに乗り込んで行ったのだよ。
かの地で右方のフィアンマとかいうテロリストを撃破した後、大天使と相打ちになったところまでは、こちらでも確認が取れている」
土御門「そんなことはもう知っている!
上条当麻を前線に行かせた件について、言いたい事は山ほどあるが、それももういい。
どうせいつものプランとかいうヤツだろうからな。
だが、何故お前ほどの男が、上条当麻を見失ったのかと聞いているんだ!
お前なら探し出して連れ戻す手段をいくらでも持っているだろ?」
3 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:07:09.68 ID:aKwelEDO
アレイスター「ふむ。空陸海、あらゆる手段を用いても、腕一本も見つからない。
生きてさえいればシスターズが張ったAIM拡散力場の網に、幻想殺しが引っかかるはずなのだが、未だ反応が無い。
加えて、上条当麻の固有の生命力に対して、魔術的アプローチからも探索をかけて見たが、成果が一向に出ないのが現状だ」
土御門「クソッ!(カミやん、すまん…………ん、ちょっと待て、今アイツ魔術と言ったか!?
アレイスター=クロウリーが魔術師である事を認めただと!?)」
アレイスター「狐につままれた様な顔をしているぞ、土御門元春。
私が魔術師である事は知っていたのだろう?」
土御門「……認めるのか?」
アレイスター「もう隠す必要が無いのだよ。すでに必要悪の教会からは見抜かれているのだから」
4 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:12:21.40 ID:aKwelEDO
土御門「何だと……。それがどういう意味なのか分からないお前では無いだろ!」
アレイスター「時機に魔女狩りが始まる。
君の所属する必要悪の教会は、私を殺し、全てを奪いに来るだろう。
それこそ、いかなる手段を用いてもな」
土御門「俺はもうここで用済みという訳か……」
アレイスター「早まるな。君をここに呼び出したのは、[
ピーーー
]為ではない。
君は今まで通り仕事を果たしてくれればそれでいい」
土御門「それはどっちの仕事だ。暗部か?それともスパイの方か?」
5 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:14:26.85 ID:fR9olMAO
上条さん次巻では復活無いと思うわ
何たら祭で美琴VS心理掌握とか辺りをやりそう
6 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:18:09.78 ID:aKwelEDO
アレイスター「もちろんその両方だ。心配するな。今世界のパワーバランスは大きく揺らいでいる。
第三次世界大戦で我々も多くの損失を出したが、魔術サイド程のダメージは受けていない。
むしろ戦争における軍事需要の増加によって、損失を上回る多くの利益を得ることができた。
クーデターと第三次世界大戦で軍備も経済も冷え込んでいるイギリスが、今すぐ戦争を始める事は無い。
第一、ローラ=スチュアートという女は搦め手を得意としている。昔からそういう女だった……。
しばらくは直接的な戦闘は起こらない。
表向き友好な関係を築いておきながら、平和条約や通商条約などを通してこちらの力を削ぎにくる。
裏では激しい情報戦になるだろう。その切り札として君は大いに役に立つ」
土御門「向こうもそう考えているだろうさ。俺が裏切るとは思わないのか?」
アレイスター「裏切る?私を、という意味か?フッフッフッフッフ、いつから君は私の”味方”になったというのだ。
私にとって君は単なる手駒に過ぎんよ。将棋を指したことはあるか?あれと同じだ。
将棋は討ち取った駒を自らの手駒とできるルールがあるだろう。
そのせいでチェスよりも若干複雑な思考ルーチンが必要になるのだが、用はそれだけの事だ。
その駒に守るだけの価値があるのか、どういう状況なら駒が奪われるのか。
奪われたなら、相手はその駒を基にどのような戦略を組んでくるのか。あるいはその駒に奪い返すだけの価値があるのか。
それらを踏まえて君という駒を動かすだけだ」
土御門「クソッたれが!」
アレイスター「安心したまえ。私は君を捨て駒になどしない」
7 :
上条さんが居ない禁書は寂し過ぎる……
[sage]:2010/10/24(日) 20:24:03.23 ID:aKwelEDO
土御門「信じられるものか!……チッ、それで、とりあえず俺は何をすればいいんだ。
それを話す為にこんな所に呼び出したんだろう?」
アレイスター「上条当麻の行方について調べて欲しい。
三通り程私の探索網を逃れる方法があるのだが、その内の一つについての調査だ」
土御門「上条当麻の探索だと?まだ生きているという確証があるのか?」
アレイスター「ある。というより、あれはあの程度の事で消えるような存在ではない。と言った方が正確か」
土御門「どういうことだ?」
8 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:28:30.98 ID:aKwelEDO
アレイスター「君が知る必要の無い事だ。ともかく、力の有る魔術結社なり魔術師なりに囚われている可能性が有る。
よって、必要悪の教会のラインを使って、それらの組織を探れ。
隠れて行なう必要は無い。むしろ、教会権力も利用して貰った方が好都合だ」
土御門「上条当麻を見つけ出し連れ帰る事が今回の仕事という訳か」
アレイスター「そうだ。私のプランにとって上条当麻が重要な役割を担っている事は、ローラ=スチュアートも気が付いているだろうからな。
私のプランを知る手がかりとして、それこそ血眼になって探してくれるだろう。
しかし、あの女に囚われれば、上条当麻がどのような扱いを受けるか想像に難く無いだろう?
何せ、あの禁書目録を作った女だ」
土御門「秘密裏に拷問や加工をされる前に、学園都市に引き渡せと?
しかし、禁書目録はどうする?
彼女を置いて、上条当麻が帰国するはずが無い事はお前だって分かっているだろう」
アレイスター「それについては私が手を打っておく」
9 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:32:29.41 ID:aKwelEDO
土御門「手荒なまねはするなよ。
上条当麻は彼女を傷つける人間に対しては容赦しない」
アレイスター「ふん。肝に銘じておこう」
土御門「もう一度聞くが、上条当麻は生きているんだな?」
アレイスター「“上条当麻”は生きているさ。……竜の心臓は二つあるのだからな」
10 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:37:49.09 ID:aKwelEDO
インデックスサイド ―イギリス 聖ジョージ大聖堂―
礼拝堂の最前列に跪き、磔にされた神の子に向かって、ロザリオを手に、一心に祈り続ける、純白のシスターの姿がそこにあった。
がたんっという小さな音をたてて礼拝堂の入り口のドアが開く。
入って来たのは長身で赤い髪をした不良神父だ。
聖水で手を清め、神の子に向かって十字架を切ると、祈りを妨げぬように静かに彼女の横に移動する。
丁度祈りが終わったのか彼女はゆっくりと面を上げた。
ステイル「またここに来ていたんだね。
いいかいインデックス。君の身体は万全ではないんだ、無理をしては駄目だ。
このままでは君が倒れてしまう」
インデックス「私は大丈夫なんだよ。
私なんかよりとうまの方がいっぱい苦しい思いしてる筈だもん。
これ位で音を上げてたら、がんばってるとうまに悪いんだよ」
ステイルの顔に暗い影が差す。何度目だろうか彼女にこの言葉を告げるのは。
11 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:42:45.29 ID:aKwelEDO
ステイル「インデックス……。上条当麻は」
ステイルの言葉を遮るようにインデックスがまくし立てた。
インデックス「とうまは必ず戻るって約束したもん!
約束守ったことなんてほとんど無いけど。
でも、どんなに傷ついても、どんなに遠くに行っても、いつだって絶対私の所に帰ってきてくれたんだよ。
今度はちょっと遅くなってるけど、そのうち帰ってくるもん」
インデックスの瞳は涙で滲んでいる。
ステイルの心は上条当麻への苛立ちと嫉妬と、彼女の望みを叶えられない自分の無力さからくる惨めな気持ちで、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされる。
でも、ここでこの感情を面に出すわけには行かない、例えどんなに苦しくとも、もう二度と彼女を傷つける訳にはいかない。
上条当麻が彼女を救ったあの夜から、後悔しなかった日は無かった。
自分の未熟さ故に、無知故に、自分かわいさから、彼女を傷つけ続けたあの日々を。
繰り返してはいけない。
ステイルは自分の中の黒い感情をグッとこらえて笑顔を作る、少し困ったような彼に似合わない笑顔を。
ステイル「……そうだね。帰って来たらきっちり説教してやろう。僕も手伝うよ」
12 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:46:56.76 ID:aKwelEDO
インデックス「うん。身体中にいっぱい痣ができるくらい噛み付いてやるんだよ!」
ステイル「ああ、その意気だ。さあ、女子寮の食堂に行こう。
今日はオルソラが食事当番だから、食堂が混むって神裂が言っていた。
早めに行って場所をとっておこう」
インデックス「はっ!それは大変かも!」
インデックスはステイルおいてトテトテと礼拝堂を出て行った。
その背中を見送りながらステイルはつぶやく。
ステイル「まったく、あの男ときたら……この場に居なくても僕をイラつかせてくれる。
僕はまだ借りを返していないんだ。とっとと帰って来ないと魂まで焼き尽くしてやる」
13 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:52:13.09 ID:aKwelEDO
ステイルが礼拝堂を出ると、聖ジョージ大聖堂の入り口に神裂火織が立っていた。
第三次世界大戦が終結して間も無く、彼女はイギリスに呼び戻された。
クーデターやフランスとの国土防衛戦、ロシア遠征と戦続きだった為、イギリスの戦力は疲弊し分散されていた。
この機に乗じてよからぬことを企む国家や組織から国民を守るために、女王は主力部隊を速やかに本国に帰還させたのだ。
その一人に聖人である神裂火織も含まれていた。
神裂「おつかれさまです」
ステイル「ん?君は彼女に会わなかったのか?
てっきり二人で女子寮に戻ったものと思っていたが」
神裂「私にはインデックスにかける言葉がありません。
私は彼と同じロシアの地に居ながら、彼を救う事ができませんでした。
彼がたった一人で大天使に立ち向かっている時、私は彼の側に近づく事さえ出来なかった。
まったく何の為の聖人の力なのやら……本当に自分が嫌になります」
ステイル「それは皆同じだろう。
新約聖書に載ってもおかしくない位の大事件の解決を、あんなド素人で一般人の子供一人に押し付けたんだ。
”プロの魔術師”なんて恥ずかしくて名乗れなくなるレベルの失態だ。
君一人が感じている事じゃない」
14 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:56:01.09 ID:aKwelEDO
神裂「しかし……」
ステイル「天草式は今も北極で捜索を続けてるのかい?」
神裂「はい。後一週間程は探索を続けるようです。
我らは上条当麻に返せない程の恩が有ります。
せめて遺体だけでも見つけなければ、申し訳が立たないのでしょう。
元々海戦に特化した宗派ですから、海中や海上の探索は得意分野なんですよ、皮肉な事に」
ステイル「やはり生きている可能性は無いか……」
神裂「ベツレヘムの星が落下した際、広範囲に高濃度のテレズマが拡散したのが痛手でした。
あれによって付近にいた魔術師の、霊装のほとんどが使用不可能になってしまった上に、
二次災害を防ぐ為に半日は魔術が使えなかった……。
科学サイドの潜水艦にしても、黄金の腕と直前に発生した津波の影響で大部分のソナーが不具合を起こしていたと聞きますし」
15 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 20:56:40.26 ID:eJkxGgAO
期待
16 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:01:35.77 ID:aKwelEDO
ステイル「初動の遅れが致命的か。
北極海に投げ出された状態で、生身の人間が半日以上生きている可能性なんて無いという訳だ。
それこそ科学サイドに秘密裏に回収されていない限りは」
神裂「その可能性も考え、今土御門に探りを入れてもらっています。
この件に関しては、彼もきちんとした調査をしてくれるでしょう。
上条当麻は彼の数少ない親友の一人の様ですから」
ステイル「そっちに期待する事にしよう。このままだとインデックスがもたない。
思えば、彼女は今回初めて身近な人間の死に直面する事になるんだ。
あの男が生きているならそれでいいが、死んでいるなら、なるべく早く彼女に現実と向き合ってもらわなければならない。
身近な人間の死の乗り越え方は人それぞれだろうが、何時までも待ち続けようとする、今の彼女の在り方は長くは続かない。
いつか彼女が壊れてしまう」
神裂「そうですね……」
ステイルは苦虫を噛み潰したような表情で、短くなったタバコを灰皿に押し付けた。
17 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:12:25.22 ID:aKwelEDO
土御門サイド ―学園都市 某カラオケボックス―
第七学区に存在する、とあるカラオケボックスその一室に一組の男女がいた。
歌声のない無音の密室に二人っきり、っというとあらぬ想像を掻き立てられてしましそうだが、そうではない。
L字型のソファーの両端に陣取り、それぞれ無言でウーロン茶と野菜ジュースの入ったグラスを傾けているのは、海原光貴と結標淡希だ。
海原は黙々と黒曜石の槍の手入れをしながら、結標はファッション雑誌をつまらなさそうにめくりながらそれぞれの時を過ごす。
不意に海原が口を開いた。
海原「遅いですね、土御門さん」
結標「そうね」
18 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:14:31.81 ID:aKwelEDO
海原「粛清されてないといいですが」
結標「どうかしらね……」
海原「…………」
結標「…………」
気まずい沈黙が再びその場を支配する。
重い空気に耐えられなかったのか、結標が口火を切った。
19 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:17:06.98 ID:aKwelEDO
結標「……貴方何か歌わないの?」
海原「すみません。今までこのような機会が無かったものですから、日本の歌を良く知らないのです」
結標「そう」
海原「結標さんは歌われないのですか?」
結標「何?私の歌が聴きたいの?」
海原「興味はあります」
結標「何それ。……まあ、私はパスね。そんな気分じゃないもの」
海原「そうですよね」
20 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:22:30.57 ID:aKwelEDO
二人はそれぞれ、自分の世界に没頭し始める。
お互いに話したい事は、色々とあった。潮岸を追い詰めた際、自分達が突然失神したのは何故だったのか。
一方通行だけが何故、ロシアにいるのか。
第三次世界大戦が終わったこのタイミングで、リーダーの土御門が統括理事長に呼び出されたその意味についてだとか。
悲観的な見方をするのであれば、自分達はもう用済みなのであろうことを二人は理解していた。
戦争が終わった今、反逆者である自分達を生かしておく理由が無い。
ドラゴンについての情報を得ることができたのなら、交渉の余地もあったかもしれないが、それにも失敗してしまった。現在は親船の手腕によって辛うじて、首が繋がっている状態だ。
もちろん希望はある、一方通行がもしドラゴンについての情報を持っているのなら。
その情報を基に動いた結果、単独でロシアに向かったというのなら、話は変わってくる。
しかし、現状では一方通行が自分達の味方なのかすら分からない。何も言わずに行ってしまったからだ。
一方通行の”裏切り”その可能性と、自分達の身の安全に対する不安が、二人の口を重くしていた。
彼らには守るべきものがある。今はそれが失われるか否かの分岐点なのだ。
突然、ドンッという音と共に入り口のドアが勢い良く開け放たれ、一人の人影が飛び込んで来た。
二人は敵襲に備え咄嗟に身構える。
土御門「盛り上がってるかにゃー!ご両人!!」
両手を上げて飛び込んできた。にやけ面の馬鹿がそこに居た。
21 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:27:49.36 ID:aKwelEDO
海原「…………」
結標「…………」
土御門「どうしたぜよ?なんなのかにゃー、このお通夜ムードは?」
結標「……ねえ、海原。こいつの身体に五発くらいコルクぶち込んでいい?」
海原「いいんじゃないですか」
土御門「ま、待った、待った!!コルクは勘弁して欲しいぜよ!
大体なんで二人ともそんなにぴりぴりしてるのかにゃー!?
せっかく気を利かせてカラオケで待ち合わせしたのに、歌いもしないなんて……
はっ!まさかテメェ海原!密室に二人きりなのをいいことに淡希に襲い掛かったのか!?」
海原「結標さん、二十発くらい打ち込んでください。僕も同じくらい殴りますんで」
結標「分かったわ」
土御門「ストップ!!ってかお前達なんでそんなに意気投合してるぜよ!?
まさか本当にヤッちまったのか!?海原!!テメェはロリコン仲間じゃなかったのかにゃってっごぉ」
土御門の顔面に海原の右ストレートがきれいにきまった。
22 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:31:52.92 ID:aKwelEDO
……十分後、身体中いたる所に青あざを作り、ソファーとテーブルで押しつぶされた土御門だったものが、部屋の片隅に転がっていた。
結標「で、統括理事長の用件ってなんだったのよ?」
土御門は自分の上にあった家具を押しのけながら、答える。
土御門「グループへのお咎めは無しって話だ」
海原「あれだけの事をしたのにですか?」
土御門「統括理事長にとって、学園理事の一人や二人どうでもいいってことだろうな。
少し不自然だが、その辺は一方通行の動きと関係があると見ていいんじゃないか」
結標「一方通行がドラゴンの存在を交渉材料にして、圧力をかけてるってこと?」
土御門「ああ。情報が錯綜してるが、一部では暗部開放に向けての動きすらあるらしい」
海原「そうですか……」
23 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:35:00.68 ID:aKwelEDO
土御門「それに、今は細々したことにかまけている場合ではないんだろうな」
結標「戦争に勝ったのに?」
土御門「別の問題が起ちあがったんだ。
……おそらく、そう遠くないうちに、必要悪の教会の査察が入る」
結標「?」
海原「そんな、何故です!?
確かに人工天使など、問題のある所はありますが。この街は表向き科学の街だ。
イギリスとの関係も良好のはず。わざわざその関係を崩してまで、査察を入れるなんて常軌を逸している!」
24 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:36:35.56 ID:fR9olMAO
にゃーにゃーはおふざけ以外では無しか良かったわ
時々暗部でも四六時中にゃーにゃー言ってると勘違いしてる人いんだよな
原作の雰囲気出てんな
25 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:41:31.12 ID:iyErYOQo
ん?
シリアスモードの時は言ってないように見えるけど?
26 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:41:32.09 ID:aKwelEDO
土御門「人工天使だけではないんだ、この街のオカルトはな。
いずれ分かることだから言っておく。……この街の統括理事長はアレイスター=クロウリーなんだ」
結標「?そんなの誰だって知ってるわよ」
海原「まさか!!あのアレイスターなのですか!?」
土御門「そうだ」
海原「……あれが、生きていたのですね。」
結標「あのーさっきから話がまったく見えないんだけど」
土御門「ああ、すまん。
簡単に言うと、うちの統括理事長様が半世紀以上前から世界中で指名手配されている伝説的な大犯罪者で、それを捕まえる為に、また戦争が起こるかもしれないって話だ」
27 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:42:51.75 ID:iyErYOQo
あ、ごめん俺が勘違いしてた
確かに口調系は間違ってる人多いよな
特に土御門はそのギャップのある二面性が肝だし重要だ
28 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:48:46.04 ID:aKwelEDO
海原「貴方は知っていたんですか?」
土御門「知っていた。
姿形も魔翌力どころか根幹の生命力にいたるまですべて偽造されていたから、
証明する手段が無く、どうしようも無かったがな。
詳しいことは分からないが、どうやら必要悪の教会はその証明に成功したらしい。
アイツは今すぐ戦争が始まることは無いと踏んでいるようだが、時間の問題だ」
海原「…………」
土御門「だから海原、お前は妹達を連れてこの都市を出ろ。
原典を二つも所有するお前がやつらに見つかれば、問答無用で拷問、処刑されてもおかしくない」
海原「しかし、それはこの街を出ても同じことでは?」
土御門「最悪、俺達のような学園都市子飼いの魔術師を口実にして攻め込まれる可能性がある。
学園都市が匿っている魔術師を差し出せ、説明を求めたいから統括理事長は出頭せよってな具合にな。
学園都市攻略の糸口を持った魔導師と、ただの流れの魔導師では重要度がまるで違う」
29 :
土御門のエセ土佐弁は難しい
[sage]:2010/10/24(日) 21:54:14.64 ID:aKwelEDO
海原「……分かりました。二人の容態が安定し次第この都市を出ましょう。
御坂さんが心配ですが、自分が戦争の引き金になっては、本末転倒ですからね」
結標「グループは解散ってこと?」
土御門「事実上そういうことになるな。
一方通行は何してるか分からないし、俺も単独の任務でしばらくこの都市を離れる。
暗部自体が無くなる訳じゃないだろうが、組織の再編成もうまくいってないようだし。
確定ではないが、『電話の声』の何人かが最近のごたごたで死んだって話だ。
当分はお呼びがかからないかもしれないな」
結標「いい気味ね」
土御門「この機に今後の身の振り方を考えてみるといい。
いつまでも小萌先生のところにいるわけにはいないだろ?」
結標「……余計なお世話よ」
海原「単独の任務とはなんですか?」
土御門「上条当麻の探索だ」
30 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 21:58:30.94 ID:aKwelEDO
すみません。いったん落ちます。
十一時迄には再開したいと思います。
次は御坂サイドです。
31 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/10/24(日) 21:58:30.09 ID:s2BqzPg0
原作っぽくていいな
頑張って完結してほしい
32 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 22:05:48.24 ID:yM3BW1oo
乙
禁書目録は23巻開始時点でこんな感じだろうが、美琴はどうなってるんだろうか
続き待ってます
33 :
再開します。
[sage]:2010/10/24(日) 22:52:02.55 ID:aKwelEDO
御坂サイド ―常盤台中学女子寮―
御坂美琴は自室のベットの上で膝を抱え不貞寝していた。
手にもった、ファンシーなマスコットキャラのついたストラップを見つめ物思いにふける。
ロシアの漁港で拾ったそれだ。
助けられなかった。レベル5の力を持ってしても、人一人救うことができなかった。
今までの困難にぶち当たることは何度もあった。その度に、彼女はそれを乗り越え、この力を手に入れてきた。
でも、その力でさえ何の役にも立たなかった。今や彼女のパーソナルリアリティーは崩壊寸前とさえ言えた。
ストラップを拾った直後、どこからとも無く現れた、奇妙な仮面をつけた部隊に拘束された御坂は、学園都市へと強制送還された。
抵抗はしなかった、する気力さえ出なかった。
犯した罪の大きさから考えて、最悪その場で射殺されるかとも思ったが、なぜかまったくお咎めがなかった。
第七学区の病院で簡単な健康診断と放射能チェックを受けたことを踏まえると、御坂の動きは完全に学園都市に捕捉されていたことが窺える。
一学生が輸送機をハイジャックし、勝手に他国の軍事施設に対し破壊工作を行なったのだ。ただで済むはずが無い。
しかし、実際には事情聴取すら行なわれずあっさり開放された。受けた罰則は寮の無断外出に対するものだけだ。
一体どうなっているのだろう。
気が付くとベットの側に白井黒子が立っていた。テレポートでも使ったのだろうか。
白井「お姉様、ご気分はいかがですか?」
御坂「…………」
34 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 22:55:41.59 ID:aKwelEDO
白井「お姉様の身に何があったのかは存じ上げませんし、聞きません。
ですが、わたくしはお姉様の味方ですの。
これだけは覚えておいてくださいまし。」
御坂「うん」
事実白井は何も知らない。
突然居なくなり、心身ともに衰弱して返ってきた御坂を不信に思い、独自に調査をしてみたのだが、結局なにも掴めなかった。
分かっている事は、御坂が出かける数日前から、あのツンツン頭の少年が行方不明になっているという事だけである。
白井「この部屋に篭って居られても身体を悪くするだけですの。
よろしければわたくしとお散歩でもいたしませんか?」
御坂「……ありがとう黒子。ごめんね」
白井「かまいませんの。
それにお姉様は常盤台中学が誇るレベル5の電撃姫なのですから、しゃきっとしていただかなければ困りますもの」
御坂「レベル5か……。私……。
うんん、ごめん。散歩だったわね。行きましょうか」
白井「はい」
35 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 22:58:44.03 ID:aKwelEDO
―学園都市 某公園―
御坂美琴は公園のベンチに腰掛けていた。
先ほどまで共にいた白井黒子は、ジュースを買ってくるといって公園の外に走っていってしまった。
その様子を木陰から観察する者がいた。魔術師の海原光貴だ。
海原(やはり相当衰弱しているようですね。まあ無理もありません。
しかし、あの人は何を考えているのやら……。確かに貴方は世界を救ったかもしれませんが、約束を果たせていないではないですか。
御坂さんの世界に貴方は必要不可欠だというのに)
電磁波のレーダーに引っ掛かったのか、御坂が振り向き、海原の方を凝視している。
御坂「誰?」
海原「さすがですね。もう気付かれてしまいましたか」
36 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:01:20.77 ID:aKwelEDO
御坂「アンタ、海原光貴……じゃないわね」
海原「はい。夏休み最後の日にお会いした者です」
御坂「私に何の用?」
海原「少し御耳に入れておきたい情報が有りまして。隣よろしいですか?」
御坂は無言で海原を観察している。
拒絶はされなかったので、海原は少し距離を開けて御坂の隣に腰掛けた。
御坂「情報っていうのは?」
37 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:05:32.59 ID:aKwelEDO
海原「上条当麻に関する情報です。
彼が現在行方不明になっているということはご存知ですね?」
御坂「それがどうかしたの?」
海原「自分の情報スジによると、彼、どこかで生きているそうなんですよ」
御坂「へ?」
海原「どこで何をしているのか、何故姿を現さないのかは不明ですが。
生存はしているということです」
御坂「目撃者がいるって事?」
海原「さあ?詳しい事は自分にも分かりません。学園暗部の最重要機密のようですから。
それこそシスターズより二つも三つも上のランクの情報です」
38 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:09:50.55 ID:aKwelEDO
御坂の頭にいくつもの疑念がよぎる。
何故この男は妹達について知っているのか、
何故この男はそんなに高いランクの情報を知りえているのか、
そして何故その情報を自分に明かすのか。
冷静に考えれば罠である可能性が高い。
もっともらしい事を言って誘い出し、学園都市のレベル5を手に入れるための罠。
そもそも素顔を明かさない時点で信用はできない人物なのだ。
それでも、上条当麻が生きているという情報は魅力的だった。
少しでも可能性があるのならすがりつきたいほどに。
御坂「それで、その情報を私に渡してどうしようっていうの?」
海原は胸ポケットから小さなメモを一枚取り出し、御坂に手渡した。
そこには飛行機の発着場の番号と飛行機の型番が書かれている。
海原「上条当麻探索の密命を受けたエージェントが今から一時間後にその機で飛び立ちます。
自分の仲間であり、上条当麻の友人である男です。詳しい情報はその男に訊いて下さい。
この情報をどう利用するかは貴女にお任せします。
あと、そのメモはすぐに燃やしておいてください」
海原が言い終わる前に、御坂はメモを電撃でバチッっと灰にする。
御坂「だから、それを私に言う事でアンタに何のメリットがあるのかって訊いてんのよ!」
海原「……しいて言うなら、自分が貴女のファンだからですよ。
それに上条当麻にはいくつか借りがありますしね」
39 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:13:27.53 ID:aKwelEDO
御坂「暗部の情報を一般人に漏らすなんて命が幾つあっても足りないことだって事くらい、
アンタわかってんでしょ?そんなのが理由になると本気で思ってんの?」
海原「はい。思っています」
海原は御坂の瞳を見つめながらそう言い切った。
御坂「はぁー。分かったわ。一応信じてあげる」
海原「ありがとうございます。では、自分はこれで失礼します。くれぐれもお気を付けて」
海原は御坂の顔を名残惜しそうに見つめた後、立ち上がり、公園から去った。
入れ替わる様に缶ジュースを両手に持った白井黒子が、深刻な表情で近づいてくる。
白井「お姉様……」
御坂「黒子?」
40 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:18:25.79 ID:aKwelEDO
白井「行かれるのですか?」
御坂「聞いてたのね……。行くだけ行ってみるわ。
アイツはいまいち信用できないけど、せっかくの情報だからね」
白井「なら、わたくしも連れて行ってくださいまし。
必ずお役に立って見せますの」
御坂「アンタ分かってんの?
下手したら学園都市自体を敵にまわすことになるかもしれないのよ」
白井「詳しい事情は存じませんが、お姉様は学園都市の暗部を敵にまわすおつもりなのでしょう?
ならばそれは風紀委員の領分ですの」
御坂「同じことよ。暗部と敵対するってことは統括理事会に敵対するってことなのよ!」
白井「それでも構いません。わたくしはわたくしの正義に準じるだけですの。
それにあの殿方にはわたくしも借りがあります」
御坂「後悔しないのね?」
白井「するはずがございません。言ったではございませんか。
わたくしは何があろうとお姉様の味方です」
御坂「しょうがないわね……。でも覚悟しなさい。
ここから先はレベル5でも太刀打ちできないくらいの戦いになるかもしれないんだから。
……ロシアに行って思い知らされた。
アイツがいる世界はそういう化物やら現象やらがぽんぽんでてくる次元なんだって」
白井「はい。どこまでもお供します」
41 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:24:10.67 ID:aKwelEDO
―公園そばの路地―
御坂と別れた後、海原はショチトル達の待つ第七学区の病院へと向かった。
途中、大通りから外れた、薄暗く細い路地を歩いていると、通りの途中に土御門が居た。
壁に背を預け、腕組した状態で立っている。
土御門「よかったのか?恋敵に塩を送るようなまねをして?
大体、お前はあの娘を守る為に戦ってたんじゃなかったのか?」
海原「あれでいいんですよ。
自分は鳥を籠に入れて飼うような趣味はありません。鳥は大空を羽ばたいてこそ美しいものです」
土御門「くっそー。歯が浮くぐらい臭い台詞なのに、面がイケメンなせいで妙に似合ってるのが腹立つにゃー!」
海原「それで、自分への制裁は貴方が?」
土御門「いや、今回に限り制裁は無しだ。お前の行動は統括理事会の思惑とも一致している。
あいつ等もロシアの一件で超電磁砲の扱いを学んだんだろ。
情報を小出しにして泳がせる事で、行動を制限する腹積もりらしい。
毎度毎度バンクに進入されて暴れ回られてたんじゃセキュリティーにかける予算がオーバーしちまうだろうからな。
先日、部隊一つを壊滅させられたばっかりだ。
学園都市の広告塔をむやみに始末するわけにもいかんだろうし」
海原「そうですか……。上の思惑どうりなのは気に食いませんが、助かりました」
42 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:27:05.40 ID:aKwelEDO
土御門「しかし、本当によかったのか?
上条当麻がいない以上、影で超電磁砲を守れる人間はほとんどいないんだぞ?
俺だって付きっ切りというわけにはいかないからな」
海原「貴方はもともとあてにしてませんよ。
上条当麻は生きているのでしょう?なら、きっと彼女は大丈夫です。
それに、仕方がないじゃありませんか。
彼女のああゆう行動的なところに惹かれてしまったんですから」
土御門「ああ、はいはい。
その愛情をもうちょっと妹達に分けてやれば言う事ないんだけどにゃー」
海原「彼女達は妹ではないと、何度も言っているでしょう!
自分は、ロリコンでシスコンの貴方とは違うんです」
土御門「だっ、誰がシスコンぜよ!」
海原「ロリコンの方も否定してくださいよ!
……はぁー。そろそろ時間でしょう?空港に行ったほうがいいんじゃないですか?」
43 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:30:17.46 ID:aKwelEDO
土御門「なんなのかにゃー。その”もうめんどくさいんで早く行ってくれませんかね”みたいな態度は。
これが今生の別れになるかもしれんのに、冷たい男ぜよ」
海原「騒ぎが収まれば、この都市に戻ってくるつもりですし。
そうでなくともいずれ何処かで出会えるでしょう。
自分が魔導師で、貴方が必要悪の教会の人間である限りは」
土御門「そうかもしれないにゃー」
海原「次ぎ会う時に、敵同士で無い事を祈ってますよ」
土御門「ああ。じゃあ行ってくるぜよ」
二人は互いを見送る事も無く、それぞれ違う道へ進み、人ごみの中に消えていった。
44 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:43:21.52 ID:aKwelEDO
御坂&土御門サイド ―エアターミナル―
御坂美琴と白井黒子は、付近の銀行で持てる限りの現金を引き落とした後、空港へ向かった。
統括理事会と敵対してしまった場合、預金口座が止められてしまう恐れがある上に、
旅支度を整える時間が無かったからだ。必要な物は現地でそろえなければならない。
御坂美琴は少し困惑していた。
出たとこ勝負で空港まで来て見たものの、これからどうするべきか分からない。
海原光貴はこの場所にエイジェントが現れると言っていたが、当然二人はその人物の顔を知らない。
この広い空港で、どうやって目的の人物を見つけ出すのか。その手段が思い浮かばない。
その時遠くから御坂を呼ぶ声か聴こえた。
土御門「おーい。こっちだにゃー」
あまりに警戒心の無い、気の抜けた声だった。
それでもこれが罠である可能性は否めない。
御坂と白井は恐る恐る、声を掛けて来た金髪グラサン男に近づいた。
45 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:48:57.33 ID:aKwelEDO
土御門「いやー。よく来てくれたぜよ。
後輩ちゃんまで一緒なのは予想外だが、まあ構わないにゃー」
白井「お姉様。この男ものすごく胡散臭いですの」
御坂「アンタが、アイツが言ってたエージェントってヤツ?」
土御門「そうだにゃー。まあ時間も無いし、話は飛行機の中でしようぜよ」
御坂「はぁ?私達パスポート持って無いし。
大体、なんで飛行機に乗る必要があるのよ」
上条当麻を探す為に、国外に出る必要があるのは分かっていたが、敵が用意した飛行機に素直に乗ることはためらわれた。
いざとなれば、前回のようにハイジャックすればいいだけの話だが、今回は白井黒子も一緒だ。
できるだけ無茶はしたくない。
土御門「俺が今からするのは、国際的に認められてない非合法な工作活動ぜよ。
パスポートなんて使うわけ無いぜよ。それに上条当麻を探す為にここまで来たんだろ?
だったらどの道この都市からは出ないといけないぜよ。“機内での”身の安全は俺が保障する。黙ってついてこい」
御坂は白井と目配せすると、意を決して土御門に従うことにした。
46 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:52:36.45 ID:aKwelEDO
―機内―
広い旅客機のファーストクラス。その真ん中に三人は陣取っていた。
御坂達以外の客は搭乗する気配が無い。
御坂「これってまさか貸しきりなの?」
土御門「そうだにゃー。俺達を運ぶ為に親船が用意してくれた特別便ぜよ。
それより自己紹介がまだだったにゃー。
俺は土御門元春。カミやんのクラスメイトであり、学園暗部のエージェントであり、各国の様々な組織に属する多重スパイだにゃー」
白井「多重スパイって……胡散臭さの塊みたいな男ですの」
御坂「ん?土御門って……」
土御門「ああ。土御門舞夏の義理の兄ぜよ。義理ってとこがポイントだにゃー。
いつも舞夏がお世話になってるぜよ」
御坂「うそでしょ?」
土御門「俺は嘘つきだけど、これは本当のことだにゃー。
まあ舞夏には黙っておいてもらえると助かるぜよ」
47 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:52:54.17 ID:AMjnAQAO
「機内」ということは
「機外」から攻撃が…?
48 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/24(日) 23:56:34.20 ID:aKwelEDO
御坂「……まあいいわ。それで、アイツが生きてるって本当なの?」
土御門「本当らしい。統括理事長がそう断言してる。まず間違いないと思っていい」
御坂「根拠は?私はあの要塞にアイツが一人で残ってたのを知ってるのよ。
いくらあの変な力を持ってたとしてもあの状況から生きて脱出するなんて不可能よ」
土御門「俺もそう思うぜ。でも、統括理事長はカミやんを回収する為に色々と手を打ってる。
まあアイツの身体なら死体でも利用価値があるんだろうが、どうも違うらしい。
上は、上条当麻が生きた状態で他の勢力に囚われるのを、酷く警戒している」
御坂「回収って、第二位みたいな事をするんじゃないでしょうね!!」
土御門「場合によってはそれもありうる。
他の勢力に囚われていた場合も似たような状態になる可能性が高い。
そうなる前に俺達が見つけ出して連れ帰らなきゃならない。わかるな?」
49 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:00:22.65 ID:5jQgiIDO
御坂「……そう、それで?
こうやって国外に出た以上、アイツがどこにいるか目星がついてるんでしょうね?」
土御門「いいや、まったく。
大規模な魔術結社に捕まってる可能性があるとだけ聞いているが、まだ情報が少なすぎて話にならない。
俺は一度イギリスに渡って情報収集を始めるつもりだ」
白井「魔術結社?」
土御門「ああそうか。お嬢ちゃん達は魔術について何も知らないんだったな。
……何から話そうか。そうだ、禁書目録を知ってるか?」
少しずつ土御門は語り始める、魔術サイドと科学サイドの争いについて。
この三ヶ月間で上条当麻を襲った不幸にまつわる、長い長い物語を。
50 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:07:45.63 ID:5jQgiIDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
とある古いモーテルの一室で”上条当麻”は目を覚ました。
体が重い、思うように動かせない……違う。体が、自分の意思とは関係なく動いている。
視界はまるで額縁を通した様な感じで妙な違和感を覚える。
他人の視界で物を見るとこんな感じになるのだろうかと、まだうまく働かない頭で考えてみる。
???「おっ。ようやく目を覚がさめたか」
突然、頭の中に声が響いてきた。聞き覚えのある声だった。
上条「……テメェ。フィアンマと戦ってる時に話かけてきたヤツか?」
51 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:11:31.58 ID:5jQgiIDO
???「今回はちゃんと記憶があるみたいだな。よかった」
上条「俺に何をした。ここはどこなんだ!?」
???「お前がいるのは、お前の体の中だ。お前の意思じゃ指一本動かせないだろ?
こういう言い方はあまり好きじゃねえんだけど。
分かりやすく言えば、俺がお前の体を乗っ取ったんだ」
上条「何…だと……」
???「悪く思わないでくれ。仕方なかったんだ。
大天使との戦闘でお前の体と魂が限界を向かえていた。
お前を助ける為にはこうするしかなかった」
上条「俺を助けてくれたのか?」
52 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:14:49.83 ID:5jQgiIDO
???「お前が[
ピーーー
]ば、俺も顕在できなくなるからな。
もう少しお前と一緒に生きてみたかったんだ。
要は、すべては俺の為にやったことだ。気にすんな」
上条「お前何者なんだ?」
???「上条当麻だ」
上条「はあ?」
???「お前と俺は本来二つで一つの存在なんだ。
一つの体に二つの違う魂が入った存在って感じかな。
記憶、感覚、感情、深層心理にいたるまで、俺達は繋がってた。
魂を二つ持った一人の人間だったんだ。
三ヶ月前まではな」
53 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:19:26.20 ID:5jQgiIDO
上条「三ヶ月前……記憶喪失か!」
???「そうだ。さすがはインデックスだよな。
少ない情報の中で俺達の弱点を見抜いて、お前と俺の魂をつなぐラインを切断しようとした。
『神よ、何故私を見捨てたのですか』の術式はその威力で幻想殺しを破壊しようとしただけではなく、
迂回した呪いの効果で俺達の魂をずたずたに切り裂いた。
結果的に俺達は記憶を司るラインを失った。
それさえなければ、お前の脳がどんなに損傷しようと、俺の記憶がバックアップできたんだけどな。
……まあ今さらどうしようもない話だ」
上条「よくわかんねえけど。お前には三ヶ月以上前の俺の記憶がある俺ってことか?つまりお前は元祖上条当麻か!?」
???「元祖って何だよ!?でもまあそんな感じの理解でいいと思うぞ。
同じ名前だと紛らわしいから、そうだな……俺のことは竜神当麻って呼んでくれ」
詳しい事情はよく理解できなかったが、どうやらコイツは元祖上条当麻と同じ存在らしい。
今までずっと自分の中に眠っていたのだろうか……。
竜神という苗字にも心当たりがあった。
54 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:22:52.21 ID:5jQgiIDO
上条「竜神って母さんの旧姓か?
なんか親が離婚したみたいで嫌だな」
竜神「縁起でも無い事言うなよ。あの二人は離婚なんてありえないだろうけどな」
上条「ああ、そうかもな。
この前海に行ったときなんか、弟か妹ができるところだったしな。
なんだかんだであの二人仲いい夫婦だよなー」
竜神「だな」
上条の脳裏に両親の顔が思い浮かぶ。
ベツレヘムの星に居るとき、地上で戦っていた仲間達。
学園都市にいるであろう人々の顔が次々と浮かんでは消えていった。
上条「…………」
竜神「…………」
55 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:29:05.19 ID:5jQgiIDO
竜神「…………お前さ、体、返して欲しくないのか?
普通もっと抵抗するもんだろ?」
上条「返して欲しいな。
そりゃ俺だってやり残した事いっぱいあるしな……
でも、お前は元祖上条当麻なんだろ?
それなら今まで体を乗っ取ってたのは俺の方って事になるじゃねえか。
そんな居直り強盗みたいな真似できるかよ……」
竜神「この体は紛れも無く、お前の物だよ。
俺が保障する。
それにお前の言う元祖上条当麻は三ヶ月前に死んだんだ。
くっだらない気使ってる暇があったら、新しい人生を楽しめよ」
上条「でも……」
竜神「でももヘチマもねえよ。
どうせお前の事だから、インデックスに気兼ねしてんだろ?
アイツの笑顔は俺に向けられたものじゃないんだ、とかなんとか。
だったらそれはお前の思い込みだ。なんなら直接聞いてみろ!
アイツはそんなに器の小さな女じゃない。勝手に人を値踏みしてんじゃねえよ!!」
56 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:31:38.68 ID:5jQgiIDO
上条「……そうだな。でも、俺に体が戻ったらお前はどうなるんだ?」
竜神「お前が今いる場所に戻るだけさ。今までと同じようにな。
どの道、お前の魂が回復し次第、体はお前に戻るんだ。気にするな」
上条「そうなのか?もうお前とは話せなくなるのか?」
竜神「いや、お前がお前自身の力をコントロールできるようになれば、話したり入れ替わったりもできるようになると思うぞ」
上条「俺の力って幻想殺しの事か?」
57 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:35:56.35 ID:5jQgiIDO
竜神「幻想殺しは俺の力とお前の力が干渉してできた副産物みたいなものだから、ちょっと違うな……。
お前の本来の力は俺を封印する為の力なんだ」
上条「封印?」
竜神「うまくいえねえけど、俺は魂を持った天使みたいな存在なんだ。
いわゆる竜だな。
お前はそれを生まれた時から身の内に宿してたから、
その力を押さえ込む為の封印装置というか制御装置みたいな機構が自然に身についてしまってるんだ。
お前自身はそういう力をもった原石なんだよ。
オカルトである天使と科学である原石が混ざった、実にファンタジーな体だろ?」
上条「でも、原石ならAIM拡散力場が出てないとおかしいだろ?
システムスキャンだと上条さんは毎回レベル0判定ですよ」
竜神「そういう力場やらテレズマやらを打ち消すのが本来のお前の力なんだよ。
右腕限定の幻想殺しと違って、オールレンジで使える力だ。
普段、体の内部。つまり俺に向かって使われてる」
58 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:40:19.05 ID:5jQgiIDO
上条「原石って超能力が目覚める環境が偶然そろったときに産まれる天然の超能力者だよな。
なんで俺なんだ?天使が体に宿って無くたって、この世界には異能の力で溢れてるはずだ。
その理論だと、それこそ聖人のアックアとかフィアンマとかだって同じ力に目覚める可能性があったって事にならないか?」
竜神「原石はこの世界のバランサーであり、特異点なんだ。
世界に吸血鬼が溢れ過えらない為に姫神が吸血殺しを得たように、
過度な異能の力を打ち消す為にお前が力を得たんだ。
プラスにマイナスを、マイナスにプラスをぶつけるようにな。
ぶっちゃけ俺が持つ力に比べたら、世界に広がる異能の力なんて誤差の範疇なんだよ」
上条「じゃあ幻想殺しはなんなんだ?」
竜神「魔術的な意味合いにおいて、[
ピーーー
]っていうのは食らうってことと同意義なんだ。
戦士は倒した相手を食らう事で敵の力を得る事ができる。
竜の返り血を浴びたことで、不死の肉体を手に入れたジークフリートなんかは有名だな」
上条「ゲームなんかでよくみる名前だけど、それがどうしたんだ?」
59 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:43:06.05 ID:5jQgiIDO
竜神「つまり、幻想殺しは、殺した幻想を食らう為の機構なんだよ。
お前が殺した幻想を俺が使えるようになる」
上条「はあー?」
竜神「まあ、ちょっと見てろって」
そういって竜神は洗面所の鏡の前に立ち、右手を前髪の辺りに当てる。
すると、前髪から右手にかけてバチバチッとスパークが発生した。
上条当麻はこの光景を見たことがある。
そう、学園都市レベル5の第三位御坂美琴の電撃だ。
上条「ってビリビリ!?」
竜神「そうビリビリ。アイツの電撃はしこたま食らってるからな。
一時的には発電所一つ分くらいの電撃を生み出せるぞ」
60 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:45:47.30 ID:5jQgiIDO
上条「あのー。つかぬ事をお聞きしますが。
俺が記憶を失う前ってアイツそんなにビリビリしてたのか?」
竜神「そうだな。”勝負しろ!勝負!”とかいいながら一晩中電撃翌浴びせられたり、
至近距離でレールガンぶっ放されたり、砂鉄の剣で切りかかられたりしたな」
上条「不幸だ……」
竜神「安心しろって、昔にくらべりゃ今はかわいいもんだって。
お前に放つ電撃なんてほとんどアイツの照れ隠しじゃねえか」
上条「て、照れ隠しー!?あれが?」
竜神「お前は当事者だからわかんねえかもしれねえけど。
客観的にみたら微笑ましいくらいだぞ」
上条「なんか、納得いかねーな」
61 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:48:53.70 ID:5jQgiIDO
竜神「この体になったせいで、客観的に周りを見るようになっちまったからな。
同じ物を見ていても、捉え方が変わってきて当然だろ」
上条「てゆーかさ。なんか竜神さんは上条さんより若干頭が良い気がするんですが気のせいでせうか?」
竜神「あーそれな。実は、俺自身が自身の存在について自覚したせいで、天使としての知識みたいのも頭に流れ込んでくるんだわ。
基本的なスペックはお前と変わらないはずなんだけどな」
上条「どういうことだ?」
竜神「んー。異界に有るサーバーから常に知識をダウンロードできる状態っていえば分かるか?
演算能力もそっちに任せられるしな」
上条「何だそれチートじゃん!?カンニングし放題じゃねえか!
俺、てっきり俺が勉強さぼったせいで元祖上条当麻よりお馬鹿さんになっちまったのかと責任感じてたんだぞ!」
竜神「悪いな。確かにそうだ。自分でもかなりズルしてると思う。
でも、これ含めて俺の力だしな」
62 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:50:59.68 ID:5jQgiIDO
上条「お前の力って、やっぱ天使の力なのか?ミーシャみたいな」
竜神「あんな次元じゃねえな」
上条「そこまで強くないのか?」
竜神「逆だ。指ふるだけで、この銀河系が無かった事にできるレベルだ」
上条「…………は?」
63 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:53:42.58 ID:5jQgiIDO
竜神「でも、今は使えないぞ。俺とお前は二つで一つの存在だからな。
俺が力を振るうには器になるお前が未熟すぎるんだ。振るう気も無いしな」
上条「……ええっと」
竜神「実感はないだろうな」
上条「あるわけないだろ!?」
竜神「でも本当の事だ」
上条「使うなよ!絶対使うなよ!」
竜神「使わねえよ。俺が信じられないか?」
上条「……いや。信じるよ。上条当麻ってのは、力を振りかざして、好き放題して満足するような、そんな小さな男じゃないはずだ」
竜神「ありがとな」
上条「でも、俺って本当に不幸だよな……」
竜神「インデックスも俺と出会った時に言ってたな。
”そんな右手を持って産まれてきた事自体が不幸だ”って」
上条「久々に叫んでいいですか?」
竜神「いいんじゃね。どうせ俺にしか聞こえねえんだし」
上条・竜神「不幸だー!!」
二人の男の魂の叫びが響き渡る。誰にも届かない声が。
64 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 00:58:11.28 ID:5jQgiIDO
御坂&土御門サイド ―北極海上空―
土御門からもたらされる情報を、御坂と白井は固唾を飲んで聞き入っていた。
正直に言って信じられないような与太話ばかりだったが、土御門が嘘をつく理由が思い浮かばなかった。
自分達を騙して、利用しようというのであれば、もっとまともな嘘をつくはずだ。
魔術やら天使やらの非科学的な話ではなく。もっとリアリティーのある嘘を。
それに土御門の言う天使とやらに心当たりがあった。
ロシアの大空を舞い、学園都市の最新鋭の戦闘機達を蹂躙した。あの白い化物。
全てを信じるわけではないが、無視していい情報でもないと、御坂は結論づける。
御坂「それであの馬鹿は戦争のど真ん中にほいほい出ていったって訳?」
土御門「そうらしいにゃー。
イギリスの女王とどんな取引をしたかは分からないが、インデックスを助ける為にアイツはロシアに乗り込んだらしいぜよ」
御坂「あの子は無事なの?」
土御門「ああ。今はイギリスの聖ジョージ大聖堂でカミやんの帰りを待ってるはずだにゃー」
65 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:01:16.56 ID:5jQgiIDO
御坂「はぁー」
土御門「仕方ないぜよ。あれはカミやんの病気みたいなもんなんだから」
白井「それにしたって節操というものが無さ過ぎですの」
土御門「カミやんに思いを寄せる女の子としては、複雑な心境だろうにゃー。
アイツに命を救われた女なんて世界中にはいて棄てるほどいるからにゃー」
御坂「そ、そんなんじゃないわよ!!
……でも、本当にそんなにたくさんいるの?」
土御門「俺が把握してるのは、シスターズを除いてもざっと四百人くらいかにゃー」
御坂「」
白井「四百人……」
66 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:03:52.37 ID:5jQgiIDO
土御門「その全部が積極的にカミやんを狙ってるわけじゃないけど。
カミやんの方から告白したら誰も断らないだろうにゃー。
王族から辺境の村娘までなんでも御座れって感じぜよ」
御坂「」
白井「積極的に狙っておられる方はどのくらいいらっしゃいますの?」
土御門「んー天草式の五和、ねーちん。シスターならアニェーゼ、オルソラ。
学園都市なら姫神なんかもあやしいぜよ。この前お弁当のおかず交換してたし。
あと未確認情報だが、イギリスのレッサーって娘もガンガンアタックしてるらしいにゃー」
白井「あらあら、まあまあ」
御坂(何やってんのよアイツは!!
……レッサーってあのレッサーじゃないわよね?)
その時、機内のスピーカーから短いアラームが鳴った。
目的地の到着を知らせる為のものだ。
67 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:07:01.25 ID:5jQgiIDO
土御門「と、まあ。無駄話はこれ位にして。今回の状況は把握できたな?」
御坂「大体はね」
白井「土御門さんはその魔術結社とやらに上条さんが捕まっていないか調査なさるおつもりなのですか?」
土御門「ああ。俺はイギリスの必要悪の教会に所属してるからな。
その線からあたってみるつもりだ」
白井「お姉様。わたくし達はどういたしましょう?」
御坂「私達も同行していいの?」
土御門「ああ、その事なんだけどな。
……まあ直接見てもらったほうが早いか」
白井「?」
御坂「?」
68 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:09:58.35 ID:5jQgiIDO
土御門「二人とも俺について来い。見せたい物がある」
そういって土御門は飛行機の後部にある貨物室へと案内した。
土御門「ここだ。入ってくれ」
二人は言われるがままに、貨物室へと足を踏み入れた。
薄暗い貨物室に入り、辺りを確認しようとした、その時。
二人の首筋に土御門の手刀が叩き込まれる。
瞬間的に意識が白濁する。辛うじて気絶はしなかったものの、二人はその場に倒れこんでしまった。
御坂「何を……」
69 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:12:52.83 ID:5jQgiIDO
土御門「はじめに言ったろ?俺は嘘つきなんだぜ」
土御門の右手が後部ハッチを操作するボタンにかかる。
けたたましい警告音と共に後部ハッチが開き、猛烈な風が吹き荒れた。
御坂は近くに居た白井を横抱きにして、磁力を操り床にへばりついた。
自分を吸い出そうと襲い来る暴風に、なんとか耐えることができた。
御坂「なんのつもりよ!!」
土御門「お前達にはここで降りてもらわなきゃ困るんだよ。
おっと電撃は無しだぜ。精密機器満載の飛行機で飛行中に電気を使ったらまずい事くらいわかるわな」
白井「わたくしが!」
土御門「テレポートか?音速で移動し不安定にゆれる機内でテレポートできるのか?
その力はそんなに万能なものじゃなかったよな?
そもそも今のお前に精密な演算が可能なのか?」
白井「くっ!」
70 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:15:24.77 ID:5jQgiIDO
土御門は自由の利く左手をズボンのポケットにつっこんだ。
土御門「さて、問題です。俺の左手には今何があるでしょう?」
御坂「!?」
土御門「ヒントその一。この部屋には高性能なスピーカーが完備されています。
ヒントその二。学園都市には音波だけで能力を暴走させる凶悪な対能力者兵器が存在します」
御坂「キャパシティーダウン!?」
土御門「大正解。どうする?
大切な後輩ちゃんを丸焼きにする覚悟で俺と相打ちになってみるか?
言っとくが。俺はカミやんより強いぜ」
御坂「クソッ!」
71 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:18:47.36 ID:5jQgiIDO
土御門「あまり時間が無い。
あと五秒でこのスイッチを入れる。
5、4、3、2」
御坂はしぶしぶ磁力を解除した。
支えのなくなった二人の体はあっという間に機の外へと吐き出される。
吹き飛ばされる直前、御坂が見たものは、左ポケットから“のど飴”を取り出し口の中に放り込む土御門のにやけ面だった。
御坂の脳裏に土御門の言葉がリフレインされる
”はじめに言ったろ?俺は嘘つきなんだぜ”
御坂「クッソ馬鹿野郎がぁぁぁ!!今度会ったら黒焦げにしてやる!舞夏の兄だろうが関係ない。絶ー対ぶちのめしてやるぅぅぅぅぅ!」
白井「お、お姉様!で、電撃がビリビリ漏れていますの!
このままでは演算が……あっ、でもいい。
久しぶりのお姉様の電撃。あぁしびれますの」
72 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:22:07.42 ID:5jQgiIDO
御坂「アンタ!なにトリップしてんのよ!?
このままだと二人とも墜落死するわよ!!」
白井「ああ、はい。……しっかり掴まっていて下さいまし」
しばらく集中を高めた後、白井はテレポートを開始する。
白井のテレポートは運動エネルギーを無視できない。故にそれを利用することにした。
目的地は下方80メートル地点。その場所に上下180度反転した状態でテレポートする。
そうする事によって下向きにかかっていた落下のエネルギーを上向きに変換し重力で相[
ピーーー
]る。
いったん無重力状態を作り出せば、後は連続でテレポートするだけで、安全に着地することができるというわけである。
レベル5とレベル4の超能力者ならこれ位どうということはない。そう思っていた。
しかし、高度2000メートル。厚い雲を抜けた辺りで二人は驚愕の事実を知った。
73 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:24:05.70 ID:C8v2xoAO
なんだなんだ?
74 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:25:14.42 ID:5jQgiIDO
白井「ま、まずいですわ。お姉様!!」シュン!
御坂「ええ、まずいわね……」シュン!
白井「周りに海しかありませんの!っていうかここどこですの!?」シュン!
御坂「あー。たぶん北極ね。ほらあっちに流氷の塊が見えるもの」シュン!
白井「NOー!!死にますの!北極海に着水したら五分と待たずに凍死しますの!!」シュン!
御坂「がんばるのよ黒子!せめてあの流氷まで行けば活路を見出せるわ!!」シュン!
白井「分かりましたわお姉様!
この黒子の勇姿。しっかりその瞳に焼き付けてくださいまし!!」シュン!
75 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:32:21.76 ID:5jQgiIDO
飛行機から落とされて二十分後、息も絶え絶えに海抜5メートル付近をふらふらとテレポートする二人の姿があった。
あれから黒子は三桁を超える連続テレポートを繰り返し、満身創痍といった感じだ。
限界などとっくに超えていた。
白井「ぜぃぜぃぜぃ。流氷はまだですの」シュン!
御坂「もうちょっと。あと一キロよ」シュン!
白井「い、一キロ……」シュン!
御坂「あと11回飛べば終わりだから。がんばって!」シュン!
白井「じゅう……。もう…むりです……の」ズルッ
御坂「ひゃあぁ!く、黒子ぉぉ!!」
白井の頑張り空しく、二人は極寒の冬の北極海にダイビングする事となった。
76 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage saga]:2010/10/25(月) 01:34:51.99 ID:lCTD2Vco
つsaga
77 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:39:58.55 ID:5jQgiIDO
今日はここまでにしておきます。
書きためがあと少し残っているので、明日の夜にまた来ます。
今後の投下は、週末に一週間おき位のペースになるつもりです。
今後の参考に、感想を頂けると有難い
78 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:42:14.58 ID:VH2zy.Qo
乙
やっと寝られるww
79 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:43:13.14 ID:5jQgiIDO
すみません。sagaは知っていたんですが、つけ忘れてしまいました。以後気を付けます。
80 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 01:43:58.83 ID:vqqz2KEo
一日ですっげー話進んだなwwww
乙! もう俺得展開過ぎてすっげー楽しみだぜ
81 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 02:33:34.61 ID:Eg6cmMk0
すげえ再現率だなwwwwww本当にこういう展開になるかもしれんぞwwwwww
まあ斜め下か斜め上を行くのがかまちー流なんだけど
82 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[age]:2010/10/25(月) 20:44:20.41 ID:5jQgiIDO
すみません。明日ではなく今日の間違いでした。
短いですが投下します。
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
日が落ちかかった頃、竜神当麻はラスベガスの街へと繰り出していた。
上条「これからどうするんだ?ってか戦争はどうなったんだよ」
竜神「ロシアが終戦宣言を出した。第三次世界大戦は終わったよ」
上条「そうか……よかった」
竜神「ってか、テレビでニュースやってただろ?見て無かったのか?」
上条「あれ英語じゃん。ずるしてる竜神さんと違って上条さんは英語が読めないんですよ」
竜神「いや。なんとなくニュアンスくらいは掴めるだろ?」
83 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 20:47:49.95 ID:5jQgiIDO
上条「どうせ上条さんはお馬鹿ですよーだ。
ってか元祖上条さんがまじめに勉強してれば、今頃俺だって英語ぺらぺらだったんじゃね?」
竜神「俺のせいなのか?
でも、それをいうならお前だって英語の学習アプリ、レベル4で挫折してたじゃねえか」
上条「うっ!……いや、竜神さんのせいだね。
語学能力は幼少期の経験が大きく影響するって小萌先生も言ってたし」
竜神「”でも、努力しだいでどうとでもなるのが語学のいいところなのですよ。
だから上条ちゃん!ガンバなのです”っても言ってたな」
上条「ぐはっ!そういえばそんな事も言ってた気がする……。
いや、そんな事より、これからどうするんだよ?」
竜神「強引に話を戻したな。まあいいや。
……とりあえずは、姿を隠しながら方々を回ろうと思う」
84 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 20:51:09.58 ID:5jQgiIDO
上条「姿を隠す?どうしてだ?お前だって両親とかインデックスに会いたいだろ?
俺達が入れ替わってられる時間もそう長くないんだよな?」
竜神「ああ、あと一週間もすればお前の魂は完全に回復すると思う。
……姿を隠す理由も一応あるんだ。
お前さ、おかしいと思わなかったか?
この三ヶ月で何度も魔術がらみの事件に巻き込まれた事について」
上条「それは、俺の右手が幸運を打ち消してるからだろ?」
竜神「確かに俺達は不幸だよ。
でも、この三ヶ月は異常だ。記憶がある俺には分かる。
お前にとっては日常になってしまっていたんだろうが。
”上条当麻”にとっても、あれは行き過ぎた不幸だ」
上条「そうなのか?よくわかんねえけど」
竜神「お前が経験した不幸は絶対誰かが意図的に巻き込んだものだ。
まあ、そういう誰かに目をつけられる事も含めて俺達の”不幸”なのかもしれないけどな」
85 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 20:54:17.68 ID:5jQgiIDO
上条「……何が目的なんだ」
竜神「さあな。楽観的な見方をするなら、俺達に事件を解決して欲しかっただけかもしれない」
上条「それは……まあ、善いヤツなの、か?」
竜神「頼みごとがしたいなら、直接口で言えって話だけどな」
上条「悲観的な見方をしたらどうなんだ?」
竜神「俺達の力を利用しようと思ってる輩がいるってことだな。
世界を滅ぼしかねない力だ。それを利用しようなんて、まともなヤツの考えることじゃない。
前に言ったけど、お前は器としてまだ未熟なんだ。
何らかの手段で俺に力を使わせようと考えているヤツがいるとしたら。まず、そこがネックになる。
様々なケースの戦場を用意して、実戦を通して被験者のレベルアップをはかる。そんな考え方をする連中に心当たりがないか?」
86 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 20:57:30.10 ID:5jQgiIDO
上条「……学園都市。絶対能力者計画か!?」
竜神「ご名答。そこに必要悪の教会もからんでるのか。あるいは統括理事長の独断なのか。
その辺は分からないけど。その正体だけでも掴んでおきたい」
上条「なるほどな」
竜神「不幸に巻き込まれる事は、お前にとってある意味”幸せ”なのかもしれない。
そうでなければ”救えなかったやつら”がいる限りはな。
でも、不幸を生み出そうって輩がいるのなら。そうなる前に叩くべきだと俺は思うわけよ」
上条「そうだな。……でもそれは今やらなきゃいけないのか?
インデックスは今でも俺の帰りを待ってると思うんだ。
それに俺はアイツにお前を合わせてやりたい」
竜神「ああ。今じゃなきゃ駄目なんだ。今しかできない。
俺はこの世界に存在しないはずの人間なんだ。今まで表に出ていた魂と違う魂が活動してるからな。
姿が一緒でも中身が違う」
上条「それは分かるぞ」
87 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:00:10.42 ID:5jQgiIDO
竜神「生命力や生み出す魔翌力の質まで違う。
魔術的な意味合いにおいて俺はこの世界の人間に認知されている上条当麻ではないんだ。
だから、魔術世界から逃れられる」
上条「ん、うん」
竜神「後は、魔術で姿を変えてしまえば、科学世界の衛星を使った監視からも逃れられるはずだ」
上条「姿が変えられるのか?っていうか変える必要があるのか?」
竜神「上条さんは馬鹿だなー。
……やべっ、自分で言ってて悲しくなってきた」
上条「なんだよ。もったいつけねえで教えてくれよ」
竜神「いいか。俺がやろうとしている事はある意味学園都市への反逆だ。
ばれないほうがいいに決まってるだろ?」
上条「ああそうか!」
88 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:04:04.73 ID:5jQgiIDO
竜神「今だけは科学サイドからも魔術サイドからも監視されてないんだ。
お前が上条当麻として学園都市に戻ってからじゃ遅いんだよ。
学園理事会に監視されて身動きが取れなくなるからな。
魔術サイドに見つかっても駄目だ。必要悪の教会がこの件にどれだけからんでるか分からないからな。
だから、まだインデックスに会うわけにはいかない」
上条「……そうか。でも、当てはあるのか?
その俺達を不幸に巻き込む計画とやらを実行しているのが、学園都市だとしたら。一学生が挑んでいい相手じゃないぞ。
しかも相手にばれないように、正体の分からない連中と戦うなんてできるのか?」
竜神「できるさ。学園都市は強い。
だからこそ、多くの敵も存在するんだよ。学園都市と主義主張の異なる者、利害関係において対立している者、その他いろいろな。
そういった連中は、学園都市に対抗する為にできるだけ多くの情報を集めようとする。
科学技術でも資金面でも負けてる連中が、学園都市に対抗するには情報をうまく使うしかないからな」
上条「あーなんか分かる気がする。学園都市の中にはスパイも結構いるって土御門が言ってたし」
89 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:07:05.26 ID:5jQgiIDO
竜神「そういった連中と接触して情報を引き出して、学園都市の動きを掴む。
どんな事に金を使ってるのか。
危機回避の手順に不自然なところがないか。
人員の配置に偏りがないか。
細々としたことかもしれないが、その辺を調べていけば段々学園都市の計画の全体像が見えてくるはずだ」
上条「そんなの一週間でできるのか?」
竜神「できないかもしれない」
上条「だめじゃんか!」
竜神「俺達でできないなら、他のヤツに頼ればいい。
世界は広い。必死に探し回れば学園都市の抑止力になってくれる組織はきっとあるはずだ。
そいつらに俺達が持ってる情報を渡して協力してもらう」
上条「それは……」
90 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:09:19.15 ID:5jQgiIDO
竜神「嫌か?自分の不幸に他人を巻き込むことが?
自分以外の人間が傷つくことが?」
上条「当たり前だ!!そんなの誰だって嫌に決まってんだろ!?」
竜神「うぬぼれてんじゃねえよ!テメェ一人で何でも解決できるとでも思ってんのか?
確かにテメェは今まで色んなヤツを救ってきた。それは俺も誇りに思ってる!
……でもな。それは全部お前一人でやったことじゃないだろ?
その場に居合わせた誰かが、お前の意見に賛同したり、自分達の大切なモノを守る為に、
一緒に戦ってくれたから、お前はここまで生きてこれたんだ」
上条「…………」
91 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:12:49.78 ID:5jQgiIDO
竜神「俺はこれから、俺達と一緒に戦ってくれる仲間を探しに行くんだ。
それについてお前に文句は言わせねえ。
今までみたいに行き当たりばったりで、目の前で困ってるヤツを助ける為に一人で突っ走ってるだけじゃ、
お前はいつか全てを失っちまう。
お前はもっと人を頼るべきなんだよ」
上条「……分かったよ。
でも、一つだけ約束してくれ」
竜神「なんだよ?」
上条「もし、黒幕の正体が分かったら。
そいつとは俺がサシで話をつける。言って聞かなきゃ俺がぶん殴る!」
竜神「初めからそのつもりだ」
92 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:15:21.99 ID:5jQgiIDO
上条「ならいい。どうせ今、その体はお前の物なんだ。好きにすりゃあいいさ」
竜神「ああ。そうさせてもらう」
竜神(……なーんてな。俺も人の事偉そうに言えた義理じゃねえんだけどな……。
”インデックスにお前を合わせてやりたい”か……。会える訳ねえだろ。
インデックスにとって俺は、自分が殺した男の幽霊みたいなもんだぞ。
今更会ってどうしろってんだよ。余計にアイツを傷つけるだけじゃねえか。
……とにかく、俺は”上条当麻”とインデックスを守ってみせる。
他の何を利用しようとも、俺自身のエゴでコイツ等を守る。
それでいいんだ。俺は偽善使いだからな)
93 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:18:51.15 ID:5jQgiIDO
御坂サイド ―北極海― 海中
薄暗い上下船の船室で御坂美琴は目を覚ました。
朦朧とする意識の中で、気を失う前の事を思い出してみる。
身を切るような冷たい北極海に墜落した後、疲労で意識を失った白井を掴み、海面に浮上しようと、必死にもがいた。
その努力も空しく、御坂の体温は急激に失われていき、水上に顔を出す前に意識が遠くなっていくのを感じた。
最後に見たのは、鯨のような大きな物体が、その口を開き自分達を飲み込む光景だった。
そうだ、黒子はどうなったのだろう?
御坂「く、黒子!」
白井「お姉様ぁぁぁぁー!は、激しすぎますのおおおぉぉぉぉぉお!!」
御坂「…………」
94 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:21:33.60 ID:5jQgiIDO
慌てて体を起こすと、隣で白井が御坂に寄り添うように眠っていた。
幸せそうな顔で、涎まで垂らしながら身をよじっている。
どんな夢を見ているのかについては考えないようにした。
五和「お目覚めになりましたか?」
御坂が寝ていた布団の横に、二重まぶたが印象的な少女がいた。
かつて、学園都市で見たことの有る少女だ。
女から見てもかわいい顔立ちをしているのだが、今はそれが台無しになっている。
目がはれぼったく、まるで一晩中泣きはらしたようなやつれた顔をしているのだ。
御坂「アンタは……」
五和「あっ。無理に起き上がらないでください。
危ないところだったんですから。
一応回復魔術は施してありますが。体力の回復には時間がかかります」
95 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:23:52.30 ID:5jQgiIDO
御坂「私達は助かったのね」
五和「はい。もう大丈夫ですから。安心してください」
白井「ぐへへっ。おねーさまぁぁぁー」
突然、大きな寝言をつぶやいた白井の方を一瞥しながら五和が言葉を続ける。
五和「そちらの方も大丈夫です。しばらく安静にしていれば問題ありません。
それにしてもお姉様って誰なんでしょうね。本当に幸せそう」
御坂「あはははっ。本当誰なんでしょうね?」
御坂は力なく限りなく棒読みで答えた。
段々自分の置かれている状況が分かってきた。
どうやら自分達はこの人に助けられたようだ。
96 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:25:52.01 ID:5jQgiIDO
御坂「ここはどこなの?」
五和「私達、天草式十字凄教の所有する上下船の船室です。
貴女達は空から降ってきたんですけど。覚えてますか?」
御坂「……そうよ!あのクソ馬鹿野郎に飛行機から突き落とされたのよ!
あーもう!思い出しただけで腹が立ってきたわ」
五和「……ツチミカドさんですか?」
御坂「そう!アンタ、アイツの知り合い?」
五和「知り合いというほどのものではないんですが……」
御坂「ですが?」
97 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:28:16.49 ID:5jQgiIDO
五和「いえ。前にも同じような事があったなー。と思いまして」
御坂「どういうこと?」
五和「以前、仕事でフランスのアヴィニョンという街に行った事があったんですけど。
その時も、空から人が降ってきたんです。上条当麻っていう、私達の大切な恩人なんですけど。
その人も河に墜落して溺れかけてて、助けるなり、”ツチミカドに飛行機から突き落とされた”みたいな事を口走って」
御坂「ちょっと待って!上条当麻って言った?」
五和「はい」
御坂「アイツもなんだ……アヴィニョン……そうか、あの時か」
98 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:30:23.21 ID:5jQgiIDO
五和「もしかして上条さんのお知り合いなんですか?」
御坂「そうよ。あっ、自己紹介がまだだったわね。
私の名前は御坂美琴。こっちが後輩の白井黒子」
五和「五和といいます」
御坂「よろしくね。それと、助けてくれてありがとう」
五和「こちらこそよろしくおねがいします。
御坂さんはどうして北極までいらしたんですか?」
御坂「アイツを。上条当麻を探すためよ」
99 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:31:43.07 ID:5jQgiIDO
五和「そうですか……。でも、上条さんは」
御坂「アイツは生きてるわ」
五和「えっ!」
御坂「私はアイツが生きてるって情報を掴んだからここまでやって来たの」
五和「ほ、本当ですか!?」
御坂「ええ。確証は無いけど。でも、あきらめるのはまだ早いわ!」
御坂は五和の目を見据え、力強く言い切った。
100 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:34:05.30 ID:5jQgiIDO
土御門サイド ―イギリス 聖ジョージ大聖堂―
神裂火織は彼方遠く、北極海からくる魔術の通信を受け取っていた。
あくまで事務的に会話を続けていく。
神裂「そうですか。―――――――ええ。お願いします。それでは」
通信を終えると、半ばあきれ果てたような顔で目の前にいる金髪グラサン男に報告する。
神裂「貴方が北極海に突き落とした女の子達は無事保護されたそうです。
貴方が報告していた予想地点より10キロはなれた海域で発見されたそうですよ」
土御門「おー。あのテレポーターのお嬢ちゃんが頑張ったのかにゃー?」
101 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:39:31.85 ID:5jQgiIDO
神裂「まったく。何を考えているんですか?
彼女達は学園都市からの大事なゲストではないのですか?」
土御門「ああ。そうだにゃー。
でも、こっちに連れてくる訳にはいかなったぜよ」
神裂「それが学園都市の命令ですか」
土御門「さあ。どうだろうな」
神裂「はあ。まあいいです。それより、上条当麻が生存しているというのは確かなのですか?
しかも、魔術結社に囚われている可能性があるとか」
土御門「どうなんだろうな。
ただ、学園都市、必要悪の教会、両陣営のボスの顔つきを見る限り希望は有るみたいだぜ」
神裂「……そうですか」
102 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:41:19.61 ID:5jQgiIDO
土御門「しかし、ねーちゃん。どうするぜよ?」
神裂「なにがですか?」
土御門「なにが、じゃないぜよ。
もしカミやんが生きて返ったら、どうやってお詫びするのかってきいてんさ。
もう恩返しがどうとかいう次元じゃないぜよ」
神裂「そ、そんな事は言われなくても分かっています……。
しかし、どうしろと言うのです。私にできる事など、限られています」
土御門「だ・か・ら!何度も言わせんなよ。
なんの為にその母性の塊はついてるのかって……いや、いい。
そっち方面から攻めるのはもう止めよう」
103 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:43:59.56 ID:5jQgiIDO
神裂「攻めるとはどういう事です」
土御門は神裂の言葉を無視して、話を進める。
土御門「あのな、ねーちん。カミやんの切実な願い。何なのか知ってるか?」
神裂「願いですか?」
土御門「戦争に行く前、カミやんは言ってた”彼女が欲しい”ってな」
神裂「わ、私に上条当麻の女になれと言うのですか!?」
土御門「そうぜよ
(ここで、他の女を紹介するっとは言わず。
あくまで、自分がカミやんの女になるって発想がでるあたり、相当脈ありぜよ)」
104 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:46:05.09 ID:5jQgiIDO
神裂「私は天草式十字凄教の」
土御門「”元”女教皇だろ?今は必要悪の教会の魔術師だ」
神裂「しかし」
土御門「しかしも、だってもないぜよ。
それに、このままじゃ出遅れちまうぜ」
神裂「出遅れる?」
土御門「そうだにゃー。上条当麻に惚れている女が世界にどれだけいると思う。
アイツは今や第三次世界大戦を止めた英雄ぜよ。
事実を知ってる人間は少ないにしても。引く手あまたに決まってるぜよ。
数少ない。いや、唯一の恩返しのチャンスを棒に振るつもりか?」
105 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:47:54.31 ID:5jQgiIDO
神裂「そんな……そんな理由で生涯の伴侶をきめる訳にはいきません!!」
土御門「(もう結婚するところまで考えてんのかよ!)
きっかけなんて、何だっていいぜよ。
要は誰が最初にカミやんに唾をつけるかって話だ。
カミやんはあれで純情な男だからなー。
一度付き合い始めたら、絶対最後まで責任持つタイプだぜ、ありゃ」
神裂「そ、そんな事私の知ったことではありません。
とにかく、恩返しの内容は後々、上条当麻が帰還してから考えます」
土御門「それじゃ遅いんじゃないか?
五和なんか自分の方から探しに行ってるくらいだし」
神裂「なぜそこで五和がでてくるのですか」
106 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:51:12.87 ID:5jQgiIDO
土御門「五和がカミやんに気があるのは知ってるだろ?
もし五和がカミやんを探し出したら、速攻でモノにしようとするだろうさ。
カミやんの株が第三次世界大戦でストップ高なのは周知の事実だろうからな。
他の女に取られる隙なんか見せるもんかよ」
神裂「あの子はそんな子じゃありません!!
……私は用がありますので。これで失礼します」
神裂は音も立てずに、目にも留まらぬ速さで立ち去った。
土御門(ま、これだけ煽っとけば大丈夫だろ。
これで、イギリス国内と周辺の魔術結社はねーちんが調べてくれる。
国内の危険因子がどれだけ潰されるか見物だにゃー。
…………しかし、思った以上に面倒だな。
学園都市勢力に発見されれば、第二位みたいな悲劇が起こりかねない。
魔術師勢力に発見されれば、秘密裏に加工される可能性がある。
カミやんを安全に保護するには、上条勢力を動かす必要があるんだが。
上条勢力って勢力範囲がやけに限定的なんだよな……。世界中くまなく探すには、何かと理由をつけて分散させる必要がある。
まあ、人材の質と量は相当だから、そこだけが救いだな。
この調子で一つにつき聖人一人分の戦力を維持した部隊を、世界に送り出していくとしますかね。
……あとは、騎士派と接触して情報操作しておくか)
107 :
◆nJYxquoIxE
[sage]:2010/10/25(月) 21:52:59.46 ID:uP/rm8g0
海原(真)の活躍に期待
108 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:56:05.75 ID:5jQgiIDO
海原(真)は出すつもりはないです。間接的にいろんな被害を被るとは思うけど。
今日はここまで
これまでのまとめ
元祖上条当麻(竜神さん):アメリカ
→中の人と外の人が入れ替わってしまった。黒幕(アレイスター)を探るため、科学、魔術、両サイドの目から逃れ、第三勢力を探す旅に出る。期限は一週間。
土御門元春:イギリス
→アレイスターから上条当麻探査の命をうけ、命令を実行するかたわら。上条勢力を影から操り、上条さんを安全に保護しようと画策する。
御坂美琴:北極海
→北極海で白井黒子と共に天草式の一団と遭遇。魔術と科学の連合軍結成か?
インデックス:イギリス
→聖ジョージ大聖堂で上条の帰りを待つ。
海原光貴:学園都市
→学園都市と必要悪の教会との戦争に巻き込まれないように、ショチトル達と学園都市を脱出する予定。
結標淡希:学園都市
→無職の居候ニートになる。
109 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/10/25(月) 21:57:16.28 ID:LPAqCFQ0
>結標淡希:学園都市
→無職の居候ニートになる。
おい
おい
110 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 21:59:17.33 ID:t5.X.Yko
あわきんただのショタコンになっちまったなwww
111 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 22:13:36.29 ID:VH2zy.Qo
出番あれだけなのにインデックスの存在感がパネェ
112 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 22:14:58.89 ID:C8v2xoAO
ちょっと…
半ズボンをはくことになるよ?
113 :
◆nJYxquoIxE
[sage]:2010/10/25(月) 22:29:43.13 ID:uP/rm8g0
あわきんwww
海原(皮膚剥ぎ取られた)に期待?(嘘)
114 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 22:29:45.36 ID:sY7DZqwo
一人だけ蚊帳の外ワロッシュ
115 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/25(月) 23:06:07.73 ID:m47waxMo
俺のあわきんになんて事をwww
飯作れなくて働かない居候なんて…イン(ry
乙
116 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/26(火) 00:06:54.68 ID:mR907Bwo
乙
メシマズ露出狂ニート爆誕!
117 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/26(火) 07:45:51.27 ID:8mrx8cAO
>>116
半ズボン はかせるぞっ!
118 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/26(火) 08:33:56.05 ID:IXjvqcMo
>>90
上条さんに説教してくれる人は貴重だな
119 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/26(火) 21:27:23.58 ID:eysg0hso
あわきんェ……
あわきんはつっちーみたいに学校通うってだめなのかな?
大能力者なら奨学金も結構もらえるだろうし
120 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/10/26(火) 23:34:52.77 ID:wzSXKC.o
一気に読んじまった…
がんばるでゲソ!
121 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/27(水) 01:35:08.85 ID:XmPwjlE0
やはり竜神家は魔神なイメージが…詩菜さん…
この調子だと一端覧祭までに第4次世界大戦か冷戦か…
原作だと土御門とローラの関係や背景がものすごく気になるわな
美琴や海原の処遇が偉く自然で感動しましたああ
122 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/27(水) 07:41:54.32 ID:hhe7w5Uo
冷戦は原作でもありそうな展開だな
史実のWW2でもそうだったように
123 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/27(水) 21:49:07.57 ID:/ENKDak0
乙乙!!
続き待ってるよー
124 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/28(木) 06:04:54.51 ID:M0zZiJAo
乙
あわきんには何かしら「美味しい所だけ」もってって欲しい
125 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/10/28(木) 16:23:17.91 ID:JoaGNUY0
他のレベル5やその付き添い達
は出ます?
126 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/28(木) 18:08:28.04 ID:zh6aBuI0
あわきんに出番をあわきんに出番を
127 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/28(木) 19:53:00.95 ID:.T3fKADO
とりあえず、最終的に上禁でお願いしたい
128 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/28(木) 20:09:02.07 ID:ORh0YsUo
>>1
はいいからどうでもいいリクエスト紛いのレスは無視して好きに書いてくれな
129 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/29(金) 18:40:04.38 ID:dHR15I60
上禁endじゃなきゃどんなssもクソ。
>>1
が上禁endにしねえんならもう見ねえから^^
130 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/29(金) 19:25:05.95 ID:.dfFSJk0
なにこれ面白過ぎ
先の展開に期待が膨らむ一方だぜ・・・
131 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/29(金) 19:45:52.26 ID:agWFE6E0
中の人がすごくイイ!浜面や一方さんも気になるが
このメンバーだけでも魅力的すぎる
応援してまふ
132 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[age]:2010/10/30(土) 01:07:05.82 ID:vyA/BQDO
こんな真夜中ですが投下します。
上禁派の方、申し訳ないが自分は上琴派です。
個人的にはインデックスとは性別を超えた絆みたいなのを期待してます。
あと、登場キャラのリクエストには応えられません。
単純に、自分の力量不足が原因です。
133 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:07:41.39 ID:vyA/BQDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
竜神当麻はネオンなどの電飾で派手に彩られた、大通りを歩いていた。
ここはアメリカ。冷戦に気を取られているうちに、科学技術においても、
魔術においても、世界に置いてけぼりにされた負け犬の国。
街に使われている電飾の技術ですら、学園都市で使われているものに遠く及ばない。
学園都市の繁華街を見慣れている上条からすれば。
この街の風景は、映画の中の世界に迷い込んだか、過去にタイムトリップしたかの様な錯覚すら覚える。
上条『そういやお前、姿を変えるとか言ってたけど。本当にそんな事できるのか?』
竜神『何言ってんだ?もう変わってるだろ?』
上条『は?』
134 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:09:08.25 ID:zn8TW.AO
>>1
は律儀だな。惚れたぜい
貴方の好きなように 書いてくり
135 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:09:46.66 ID:vyA/BQDO
竜神は、上条に理解させるため、近くにあった衣料店のショーウィンドゥに向かって手を振って見せた。
衣料店は、すでに閉店していたようで、照明が落としてあったが、
店員が中で作業をしているらしく、シャッターが落とされていなかった。
ガラスに映った人影がこちらを向いて、にこやかに手を振っている。
その姿は……。
上条『う、海原光貴?』
上条のリアクションを確認して、竜神は再び歩き始める。
ガラスの向こう側にいた女性店員が怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
竜神『そう。正確には、海原光貴の皮を被ったアステカの魔術師の姿だな。
覚えてるだろ?お前がぶん殴ったアイツだ』
136 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/10/30(土) 01:13:19.32 ID:vyA/BQDO
上条『ああ。そうか。あの時確かに俺はアイツの変身を打ち消した……。
アイツが使ってた魔術をお前が使ってるのか?
でも、あれって確か、護符だか何だかが必要なんじゃなかったっけ?』
竜神『そうらしいな。でも、俺には関係ねえんだ。
大雑把に言うと、魔術ってのは、魔力って名のインクを、霊装って名の筆記用具に移して空間に絵(幻想)を描く様なものなんだ。
俺達の幻想殺しは、絵(幻想)そのものの構成を完全に読み取れるから、その再現も簡単にできる。
お前の右手がスキャナーで俺の右手がプリンターだな。
お前はスキャニングした絵(幻想)を反転させて相手の絵(幻想)にぶつけてるから、見た目上無かった事にできるわけだ。
相手が使った霊装(筆記用具)が、鉛筆だろうが筆だろうが最新鋭のプリンターだろうが関係ない』
上条『ますますチートだな』
竜神『それでも。利用できるもんは、利用するべきだろ』
上条『そりゃそうだけどよ。
あれ?でも、俺の幻想殺しって霊装も壊せたよな』
137 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/10/30(土) 01:16:24.50 ID:vyA/BQDO
竜神『霊装を作るのにも魔力は必要なのさ。
例えるなら、指にインクをつけて直接、キャンバスに絵を描くようなもんかな。
指で触れただけで魔力が発生するって話は大覇星祭の時に聞いただろ?
インクの染み込んだ紙から無理やりインクを剥したら、後に残るのはボロボロになった紙だけだ。
だからこそ逆に、魔力の通ってない物は壊せない。
アドリア海の女王の護衛艦隊は壊せなかったろ?』
上条『ああ、なるほど』
竜神『理解できたな?じゃあ行くぞ』
上条『行くってどこに?』
竜神『ここさ』
138 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:18:02.33 ID:vyA/BQDO
そう言って竜神が見上げた先に、とある大きな建造物があった。
数々の電飾に彩られ、まるで昼間のように輝いているそれは、上条当麻にとってはまるで縁のない施設だった。
不幸の塊である彼は決して近づこうとも思わない。
大人の娯楽が詰まった天国であり、同時に地獄でもあるその施設の名は……。
上条『カジノ!?ちょっと待て!何する気だテメェ!』
竜神『んー。何がいいと思う?ポーカーかな?いや、対人じゃない方がいいか。
だとするとスロット辺りが妥当かな?』
139 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:20:19.55 ID:vyA/BQDO
上条『不幸の申し子上条さんがギャンブルなんかやったら、あっという間に身包み剥されちゃうでしょ!
何考えてんのこの子!?』
竜神『そう思うだろ?でも違うんだな、これが』
上条『は?…………はっ!まさかテメェ!?』
竜神『ふっふっふっふっふっ。聞いて驚け!
今の竜神さんは不幸ではないのだ!』
上条『何……だと……。
ってかお前、上条さんがこれまで打ち消してきた幸運とか神のご加護とかも』
竜神『そう、複製できちゃうんだな、これが』
140 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:22:30.15 ID:vyA/BQDO
上条『嘘だろ?』
竜神『嘘じゃない。
しかも何と、今現在の竜神さんの幸運は、神の右座であり聖人でもある、
あの後方のアックアと同じレベルなのだ!』
上条『何だってー!!はっ。
そういえば、俺、確かにアイツに触った事あるわ……』
竜神『何をするにしても、先立つ物は必要だろ?
今日、ここで軍資金を荒稼ぎしてから旅に出る』
上条『マジか!?』
竜神『マジだ。さあ行くぞ!これまでの不幸のツケを、一気に返してもらおうじゃないか!』
上条『お、おうー!』
こうして竜神当麻は、欲望渦巻く、賭場へと足を踏み入れていった。
141 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:24:16.45 ID:vyA/BQDO
御坂サイド ―北極海―
天草式十字凄教の上下船の船内で、ささやかな晩餐会が行なわれていた。
上座には教皇代理の建宮斎字が陣取り、続いて、ゲストである御坂美琴と白井黒子が乙女座りをしている。
五和を除いた天草式の面々も一緒だ。
建宮「二人の回復を祝って、かんぱーい」
一同「かんぱーい」
建宮はナミナミと注がれた日本酒を口に含むと、御坂達に向き直り、話しかけた。
142 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:26:15.87 ID:vyA/BQDO
建宮「いやー。本当に無事でよかったのよな。
女教皇様から”空から女の子が二人降って来るので、急いで回収して下さい”
なんて、訳の分からん要請があった時は、空いた口が塞がらんかったけどよー」
御坂「この度は助けていただいて、ありがとう御座います」
白井「感謝いたしますの」
建宮「いいってことよ。
我等の教義は”救われぬ者に救いの手を”だからよ。
女教皇様の教えに従ったまでよな」
御坂「いえ。お陰で命拾いしました」
建宮「お前さん方のくれた情報に比べれば、これ位安いもんよ。
こちらが感謝したいくらいなのよな」
143 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:28:31.52 ID:vyA/BQDO
御坂「建宮さん達はアイツの、上条当麻のお知り合いなんですよね」
建宮「知り合いなんてもんじゃねえのよ。
時に命より大事なものを救われ、時に命を互いに託して共に戦った。そういう仲なのよな」
御坂「そうなんですか……」
建宮「上条当麻が生きていて本当によかった。
我等はアイツに返しきれんほどの恩があるのよな。我等がこの海に留まっていたもの、その為。
せめてアイツの遺体だけでも見つけて両親のもとに返してやりたい。その一心で必死に海をさらっておったのよ。
五和なんてぐしゃぐしゃに泣きながらも、手を休める事をしなかったくらいなのよな……」
白井「…………」
建宮「しかし、生きていると分かった以上、こんな所で油を売ってる暇は無いのよな。
とっとと、その魔術結社をあぶりだして、上条当麻を保護するだけのことよ!」
建宮は、盛り付けられていた豚ばら肉の串焼きを掴むと、豪快にがぶりとかぶりつき、笑みを浮かべた。
まるで肉食獣が笑ったかのような獰猛な笑みを。
144 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:30:09.25 ID:vyA/BQDO
御坂「私達も一緒に行かせてください。
私達は学園都市の超能力者です。きっと力になれます」
建宮「……本来なら、魔術師同士の争いに学園都市が介入するのはご法度なのよな。
でも、第三次世界大戦の影響でその縛りがゆるくなってる。
しかも、今回は学園都市の住人である上条当麻の救出が目的。学園都市には介入する権利があるのよな。
……うん、いいだろう。我等に助力してくれるか?」
御坂「はい!」
白井「承知いたしました」
145 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:33:53.86 ID:vyA/BQDO
建宮「にしても、五和のヤツはどこいったのよ?一番喜んどったのはアイツだろうに」
下座の末席にいた少年が返事を返す。
香焼「五和なら部屋に篭ったっきりです」
建宮「何してんのよ?」
香焼「何か、”こんな顔、上条さんに見せたら幻滅されちゃう!”とか言って化粧品とか漁ってました。
部屋の中で、回復魔術とお化粧を繰り返してるみたいです」
建宮「ぶっー!何やっとんのよアイツは……」
建宮は口に含んだ日本酒を豪快に噴出しかけた。女性陣の冷たい目線が突き刺さる。
どうやら五和は、泣きはらしてしまって、真っ赤に腫れた目元が気になってしょうがないらしい。
146 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:36:00.06 ID:vyA/BQDO
香焼「僕が呼びに行きましょうか?」
対馬「ほっときなさい。そういう年頃なのよ」
香焼「でも、もうすぐミネラルウォーターのストックが切れそうなんすけど……」
建宮「ちょっと待て!あんだけあったストックがもう無くなったのか!?
一体どれだけ回復魔術を繰り返してんのよ!」
香焼「やっぱり、呼んできましょうか?」
対馬「……私も一緒に行くわ」
香焼と対馬に羽交い絞めにされた五和が合流したのは、それから五分後の事だった。
酒の席であったのもあり、一同は大いに盛り上がり、何度も乾杯を交わした。
上条当麻が無事であるように。
この旅が実りあるものであるように。
科学と魔術の出会いが互いの幸せに繋がるように。
何度も何度も願いを込めて。
目指すは北アメリカ大陸。現在上条当麻が踏みしめているのと、同じ大地だ。
147 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:38:18.30 ID:vyA/BQDO
ローラサイド ―イギリス 聖ジョージ大聖堂―
ローラ=スチュアートはモニター越しに獲物である男と対峙していた。
不敵な笑みをつくり、相手の呼びかけに応える。
ローラ「それで、こんな夜更けに何の用件がありけるの?
睡眠不足は乙女の大敵たりけるというのに」
アレイスター「ふむ。時差をわきまえるならば、本来このような時間帯に通信するべきではなかったのだが。
用件が用件であった為に、仕方なくこうして連絡を入れたのだ。
急を要する上に、そちらの了承を得ずに進められるものでもなかったのでな。
不興をかったのならお詫びする」
ローラ「別にかまわぬのよ。こちらも戦後処理に追われておりしところなのだから」
アレイスター「お気遣い感謝する。では用件なのだが。
上条当麻の特別捜索本部を学園都市に設置する事に決定した」
ローラ「一学生の為にそれは大げさではならぬの?
戦争による行方不明者など数多く居るというのに」
148 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:40:23.17 ID:vyA/BQDO
アレイスター「そうでもない。周知の通り、かの少年は第三次世界大戦終結の立役者だ。
事実を公にするわけにはいかないにしても、かの少年が英雄であるという事実は変わるまい」
言うまでの無く。学園都市、必要悪の教会双方がすでに上条当麻探索を開始している。
これは、今まで水面下で行なわれていたものを、公に行なうという宣言に過ぎない。
ローラ「ふんふん。それで?その報告だけ、という訳ではなきけるのであろう?」
アレイスター「特別捜索本部の設置にあたって、禁書目録をはじめとした必要悪の教会の部隊をこちらに派遣していただきたい」
ローラ「…………」
アレイスター「別にそちらの領分に踏み込むつもりは無い。
ただ、かの少年が置かれている状況によっては、こちらの科学捜査だけでは見つけられない場合がある。
そちら側のテロリストなどに囚われていた場合など特にだ。
故に、必要悪の教会にも協力を依頼したいのだが、どうだろうか?」
149 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:43:15.10 ID:vyA/BQDO
ローラ「捜索だけであらば、イギリスでも出来ようものなのに、何故学園都市まで足を運ばねばならぬの?
他の魔術組織の反発を招く恐れがありけるのでは?」
アレイスター「なに、本部を一つにまとめた方が、情報のやり取りがスムーズになり、より効率的に事が進む。
それだけの事だよ。
そちらとこちらの通信形式が異なる以上、直接口頭で情報を伝達した方が、齟齬が少なくてすむ。
それに、今十字教のパワーバランスは大きく崩れている。
最大勢力たるイギリス清教に反発するものなど、そうはいないだろう。いたとしても無視できるレベルだ」
アレイスターには二つの目的がある。一つは禁書目録。上条当麻を学園都市に繋げ止めておく為の首輪だ。
二つ目は、意図的にイギリス清教と接近する事によって、魔術世界においてイギリス清教を孤立させるのが狙いだ。
戦勝国であるイギリスが敗戦国であるローマ、ロシアに疎まれるのは当然の成り行きであり。
そのイギリスがさも当然のように魔術世界を取り仕切るようになれば、両者の溝はさらに深まる。
加えて、経済的に圧倒的に優位に立っている学園都市が、
戦後復興支援という形でローマ正教とロシア成教との経済的結びつきを強くすれば、イギリス清教は完全に孤立してしまう。
魔女狩りという逆転の一手が、ローラの持つジョーカーであるなら。
いや、ジョーカーであるがこそ、そのカードをきるタイミングは慎重にならざるを得ない。
これは、イギリスを囲い込み、カードをきるタイミングを失わせる為の布石なのだ。
150 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:45:31.51 ID:vyA/BQDO
もちろん、ローラはその事を十分に理解している。
その上で、この条件に乗ることで得られる利益とリスクを天秤に掛ける。
禁書目録を貸し出すだけならば、問題ない。遠隔制御霊装は、今ローラの手にある。
あれさえ奪われなければ、禁書目録を奪われる心配はほとんどない。
送り出された部隊は、ある意味人質としての価値を持つのだろうが、アニェーゼ部隊などの末端の少数宗派を使えばリスクは軽減されるはず。
政治的な問題については、すでに手を打ってある。致命的な状況の悪化は避けられるはずだ。
そして、アレイスターの提示した条件には、それらのリスクを加味した上で、それを無視できるほどのうまみがある。
ローラ(”学園都市に自由に行き来する”そのための大義名分ができる。
これを逃すのは惜しいのよ。そう甘くはないのだろうけど、うまくいきけば学園都市攻略の糸口が掴める。
ふふふっ。それほどまでに、幻想殺しの少年を手放したくないと言いけるの?)
ローラは唇をゆがめ、歪んだ笑みをつくる。獲物の首はもうすぐそこだ。
151 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:47:17.71 ID:vyA/BQDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
上条『うおぉぉぉぉぉ!すっげぇぇぇー!コインがザクザク出てくるよ!』
カジノの一番端の台で、竜神当麻はひたすらスロットを打ち続けていた。
竜神『まあ、こんなもんだろうな。
大天使が使用してた、第六感の情報を操作する術式を使えば対人のゲームも楽勝なんだけどな。
あまり目立ちたくないし、これでいいだろ?』
上条『俺がギャンブルで勝てる日が来るなんて、考えもしなかったぞ!
一回だけ福引が当たった事あったけど、イタリア旅行なんてまともに出来なかったしな』
竜神『ああ、あれか?どうせあれも出来レースだと思うぞ』
上条『出来レース?』
152 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:49:20.47 ID:vyA/BQDO
竜神『お前をアドリア海の女王にぶつける為の、統括理事会からのささやかな贈り物ってとこだろ?』
上条『あっ……。なるほどな。
学園都市がやったんなら、コンピューター制御の抽選結果をいじるのも、簡単なわけか……』
竜神『そう言う事。
目的地まで連れていけば、上条さんの不幸が勝手に巻き込んでくれるだろうからな。
……さて、このへんで切り上げるか』
上条『えっ。なんでだよ?まだまだ勝てそうじゃね?』
竜神『勝てるだろうさ。それこそ、このカジノを破産させるくらいな。
でも、俺達の目的は当面の軍資金を稼ぐことだ。これ位が潮時だろ?』
上条『ああー。確かにそうだな』
153 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:51:36.16 ID:vyA/BQDO
竜神『それに、お前に体が戻ったら。
今日稼いだ金はどうせ全部なくなっちまうよ。
どっかに落っことしたり、盗まれたりしてな』
上条『不幸だ……。こんな大金を前にして、ただ見ている事しか出来ないなんて……。
俺の金なのにぃぃぃ!』
竜神『俺の金だ』
上条『当分のインデックスの食費がこれでまかなえると思ったのにな……』
竜神『あれか?インデックスに日本の文化に慣れ親しんで貰おうって言うお前の策略か?』
上条『そう!アイツ、食に対する好奇心だけは人一倍だからさ。
色んな日本食食わせてやろうと思ってんだけど……。
金が足りないんだよ。
いっつも、もやしばっか食卓に並んでるからな』
154 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:54:01.30 ID:vyA/BQDO
竜神『なんだかんだで、アイツは幸せそうだけどな。
俺と初めて会った時なんか、腐りかけの野菜で作った野菜炒めをめちゃくちゃうまそうに食ってたぞ』
上条『はあ?んな物食わせんなよ!!
……いや、確かにアイツなら何でもうまそうに食うんだろうな。はぁー』
竜神『無理しなくても、お前の出来る範囲でいいんじゃねえか?
アイツの為に心を込めて作ったご飯なら、なんだって喜ぶさ』
上条『そうなのかもしれねえけどさ……』
そうこうしている内に、竜神はコインの換金を済ませていた。
日本円にしておよそ三百万円分のドル紙幣の束を無造作にポケットにつっ込む。
上条『無用心じゃないか?』
竜神『仕方ないだろ?バックとかアタッシュケースとか持ってないんだから。
財布に入りきるような量じゃねえし』
上条『んー、それもそうか』
155 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:56:13.66 ID:vyA/BQDO
竜神『じゃあ。祝杯といきますか。
今夜はモーテルに戻って寝るだけだし』
竜神の視線が近くにあったバーへと向かう。
上条『テメェ!未成年はアルコール飲んじゃ駄目って小萌先生が言ってたろ!!』
竜神『そうだっけか?ってかお前小学生かよ。
まっ、俺はたまに土御門と飲んでたけどな』
上条『まじか……』
竜神『最近アイツも忙しいみたいだし、お前は誘われる事が無かったみたいだけどな』
上条『だとしてもだ!上条さんの体で悪い事するのは許しません!!』
156 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 01:58:40.59 ID:vyA/BQDO
竜神『はいはい。お前に免じて、今日はノンアルコールにしておくよ』
竜神は空いていたカウンターの椅子に腰掛けた。
カジノの中もそうなのだが、全体的にセレブな感じで、平凡な家庭の庶民である上条当麻は少し気後れしてしまいそうな雰囲気だ。
竜神『んー。ノンアルコールの飲み物ってなにがあるっけな?
適当にビールとか頼んだ方が無難なんだけどな』
上条『未成年の飲酒ダメ絶対!!」
竜神『はいはい』
竜神「じゃあ、ヴァージン・マリーを」
竜神はやってきたバーテンダーに英語でオーダーを出す。
157 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:01:04.88 ID:vyA/BQDO
上条『ヴァージン何だって?」
竜神『ヴァージン・マリー。
ブラッディー・マリーがウォッカとトマトジュースをベースにしたカクテルで。
ブラッディー・マリーのウォッカ抜きがヴァージン・マリー。
ようするにただの野菜ジュースだ』
上条『へー』
竜神『っつかそれくらい記憶にあるはずなんだけどな。
普段使わない記憶領域だからもう忘れてんのかな』
上条『俺が知るわけないだろ?』
「処女の血をお望みかぁ?少年」
カウンターの左隣の席に座っていた酔っ払いの男が日本語で話しかけてきた。
横目でその姿を確認してみる。
高級ブランドのスーツを着崩していて、いわゆるちょい悪親父といった感じだ。
だらしなくカウンターにもたれかかり、顔だけこちらを向けている。
158 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:02:55.56 ID:vyA/BQDO
上条『おい!上条さんの不幸センサーがビンビン反応してるぞ』
竜神『ああ俺もだ。でも、無視すると、この手の手合いはさらにアグレッシブになるぞ』
上条『……頑張れ!!竜神当麻!』
竜神『はぁー』
竜神は男の方に向き直り、相手をしてみる。
竜神「よく俺が日本人だって分かったな。おっさん」
「そんなのは、見ればわかるさ。
これでも人を見る目はあるんでな」
159 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:06:08.64 ID:vyA/BQDO
竜神「そっか。おっさんも日本人だよな?」
「ああ。そうだ。俺はミサカ、御坂旅掛つーれっきとした日本人だー」
竜神「御坂……」
旅掛「まったく、こっちの人間は俺の顔みるとすぐ中国人だなんだとか勘違いしやがるんだ……。
日本人全員が愛想笑い浮かべてる訳ねーだろってんだ!
大体、移民街の治安を良くしてくださいって言われたってさー。
その移民を受け入れてんのはお前の国だろ。
移民だってご飯食ってくために希望をもってテメェらの国にやってきてんだよ。
そいつらを、安い給料で働かせる事で儲けてんのはお前の国のお偉いさん達でしょうが。
だったら、移民を受け入れないで国を回す制度か、
移民が教育と給料のいい仕事が受けられるような制度を考えてみせろってんだよ、ちくしょーう!!」
160 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:06:17.62 ID:fLqUQFEo
旅掛さんキタ?
161 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:07:13.52 ID:tEZ9OEk0
旅賭すぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
上品に酒を飲む上条さん脳内妄想した
162 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:08:01.29 ID:IX.SLo6o
魔術以外のものと戦うために銃器をマスターした上条さんをもうそうしてたわ
左手に銃持てばかなり戦力上がるんだけどな
163 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:08:03.75 ID:vyA/BQDO
上条『このおっさん何でキレてんだ?」
竜神『さあ?大方こっちのアメリカ人に中国人と間違われたんだろ?
こっちの人間にはアジアンなんてどれも一緒に見えるだろうからな。
”愛想笑いを浮かべてたら日本人”みたいな適当な見分け方しか出来ないんだよ』
上条『へー。まあ俺も外国人の顔の違いなんて分かんないからな』
旅掛「ところで、お前さん。何者だ?原石……じゃないよな」
竜神「…………」
旅掛「あれー。だんまりか?」
竜神「さあな?なんなんだろうな?」
164 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:10:29.78 ID:vyA/BQDO
注文の品が運ばれてきた。野菜スティックの添えられた真っ赤な液体だ。
竜神は適当にチップを払う。
バーテンダーの白人男性が、”すみませんね”とでもいいたげに愛想笑いを浮かべてから、立ち去っていった。
竜神はセロリのスティックをつまみながら、旅掛の様子を窺ってみる。
旅掛は頭を抱えて悩んでいるようだった。
旅掛「おっかしいなー。飲みすぎたかな。
今まで外した事はなかったのに」
竜神「凄い特技だなそれ」
旅掛「言ったろ。人を見る目はある」
165 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:12:55.57 ID:vyA/BQDO
竜神「仕事でアメリカに来たのか?」
旅掛「ああ、そうだ。俺の仕事はな。
世界に足りないものを示す事だ」
竜神「具体的には何してんだ?」
旅掛「なんでもさ。国にゴミが溢れてるなら。
ゴミがなくなる仕組みを作る。
そういったアイディアを与える統合コンサルタントってところか」
竜神「そんな仕事があるんだな。面白そうだ」
旅掛「楽しくなけりゃやってけねえさ。妻と娘にもほとんど会えないしな」
166 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:14:45.12 ID:vyA/BQDO
竜神「娘さんがいるのか?そりゃ大変だな」
竜神は適当に質問しながら、グラスの中身に口をつけた。
旅掛「いるぞ。可愛いー娘が。美琴ってんだけどな」
竜神「ぶっ!」
思わず口の中のものを噴出してしまった。慌ててナプキンでふき取る。
竜神「すまん。……アンタの娘って御坂美琴か?学園都市第三位のビリビリ」
旅掛「おっ!知ってんのか?美琴も有名人だな」
167 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:16:35.97 ID:vyA/BQDO
上条『このおっさん、美琴の親父さんかよ!
母親があれで、父親がこれか……」
竜神・上条『美琴には絶対酒飲ませないようにしよう!うん!』
娘を知っている人間に会えた事がよっぽど嬉しかったのか、旅掛はすっかりご機嫌だ。
旅掛「見てくれよ、これ。かっわいーだろ?」
そう言って携帯を差し出してきた。
待ちうけ画面に美琴と美鈴さんの姿が写しだされている。
美琴が体操服であるところを見ると、どうやら大覇星祭の時に撮った写真らしい。
竜神「そうだな」
168 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:17:20.85 ID:IX.SLo6o
美琴さんが上条さんにぞっこんだとしったら
169 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:18:22.49 ID:vyA/BQDO
旅掛「やらないからな」
竜神「(それは写真をって意味なのか?それとも嫁にって意味なのか?)
大事な娘なんだな」
旅掛「当たり前だ。それこそ目に入れても痛くないな」
旅掛はおもむろにカウンターの上にあるバッファロー・ウィング(鶏手羽)に手を伸ばす。
どうやら、旅掛のオーダーではなく。その向こうに座っているガタイのいい黒人男性のおつまみのようだ。
黒人男性は、その左隣に座っている、これまたガタイの良い白人男性との会話に夢中らしく。
自分のおつまみが盗まれていることに気がついていない。
170 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:20:34.66 ID:vyA/BQDO
竜神「娘さんとは連絡取れてんのか?」
上条と竜神の脳裏に、ロシアでの情景が思い出される。
VTOL機に乗り、ベツレヘムの星に現れたシスターズ。
その内の一人は御坂美琴ではなかったのか?
もしそうなら、あの後彼女達はどうなったのだろうか?
そもそも、彼女達は何故あの場に居たのか?
様々な疑問が不安に変わっていく。
美琴は無事なのだろうか?
旅掛「そういやー最近電話してないな。
でもなー。学園都市に掛けると国際料金になっちまうんだよなー」
上条『御坂ん家って金持ちじゃなかったけ?
電話料金くらいどうとでもなりそうなもんだけどな……」
竜神『お小遣いが少ないんじゃね。美鈴さんに財布の紐を握られてんだろ?
うちの親父も似たようなもんだし』
上条『ああー。お父さんって大変なんだな』
171 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:22:25.81 ID:vyA/BQDO
旅掛はしばらく携帯とにらめっこした後、意を決して、携帯を操作し始めた。
どうやら御坂に掛けるつもりらしい。
旅掛「おっ!美琴ちゃん?―――そうですよー。パパですよー」
どうやら美琴は自由に電話に出られる環境にあるらしい。
ほっと胸をなでおろしたのも、束の間。旅掛が二本目となるバッファロー・ウィングに手を伸ばした。
上条『おい!やばいんじゃねえか?』
竜神『ああ。気付かれたな』
172 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:24:20.36 ID:vyA/BQDO
自分のおつまみが盗まれている事に気がついた厳つい黒人男性が、旅掛の方を睨みつけている。
とうの旅掛の方は、それに気付かず、久し振りの我が子との会話を暢気に楽しんでいた。
その態度が、さらに黒人男性の癇に障ったらしく。立ち上がり旅掛に対し罵声を浴びせ始めた。
二メートルはあろうかという巨体が、酔いどれ親父の前に威圧的に立ちはだかる。
連れと思しき白人男性は、その後ろで囃したてている。
この場を穏便に収める気は微塵もないらしい。
上条『英語の分からない上条さんでも分かりますよ。やばいって!
さっきから放送禁止用語連発してるよ!あの兄ちゃん!!』
竜神『さすがにファックとかキルとかは分かるよな……。
にしても、おっさんは暢気だな。まだしゃべってるよ』
上条『いや!早く助けねえと』
竜神『わかってる』
173 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:27:14.64 ID:vyA/BQDO
その時、黒人男性が、左手で旅掛の肩に掴みかかり。右腕を振り上げた。
竜神は咄嗟に旅掛の前に躍り出る。
竜神『天草式対衝撃翌用術式、展開!』
旅掛の顔面にきまる筈だった男性の拳は、間に入った竜神の右手によってあっさりと止められた。
竜神「悪いのはこのおっさんかもしんねーけどさ。ちょっと気が短すぎんじゃね?」
男性の目が、驚きで見開かれる。
渾身の一撃が、こんなにもあっさりと、
しかも、見るからに喧嘩慣れしていない優男に止められるとは思っていなかったのだ。
酔いで赤らんでいた男性の顔が、怒りでさらに真っ赤に変わっていく。
174 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:28:45.13 ID:tEZ9OEk0
イケメンすぎるww
175 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:29:13.94 ID:vyA/BQDO
竜神『術式解除。天罰術式発動』
突然、黒人男性が白目をむき倒れこんだ。
怪我をしないように、竜神はその男性を受止める。
意識を失った男の体の重みが、ずっしりと竜神の体にかかった。
上条『おい!天罰って!』
天罰。9月30日、前方のヴェントが使用した、大規模制圧用に天使の術式だ。
使った対象に対して敵意を抱いている者を問答無用で昏倒、仮死状態へと追い込む脅威の術式。
竜神『安心しろ。もう解除してあるから、その内目覚める。
それに俺の存在を知ってるやつなんて、この世にほとんどいないからな。
今ので倒れたのはこの男だけだよ』
176 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:31:23.31 ID:vyA/BQDO
連れが突然倒れた事に驚いていた白人男性が、我に返ったのか怒りの声を上げた。
今にも竜神に殴りかかりそうな雰囲気だ。
竜神「飲みすぎだ。介抱してやってくれ」
竜神はそう英語で告げると、黒人男性の体を突き飛ばし、連れの白人男性に押し付ける。
100キロはあろうかという重みに耐え切れず。白人男性は後ろによろけた。
竜神はその隙に、後ろに座っている旅掛に向き直る。
竜神「おい!おっさん!行くぞ!」
唖然としていた旅掛の手を取り。
竜神は入り口に向かって走りだした。
バーを出て、カジノ内の人ごみを掻き分けながら、突き進む。
視界の端に、黒服サングラスのSPらしき男達が耳にあてたイヤホンを通して、なにやら通信しているのが写った。
177 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:32:58.13 ID:vyA/BQDO
上条『あのー。さっきから黒服きた男の人達が、すっげーこっちを見てるんですが……』
竜神『だな。大方、俺達がカジノを出たところで、取り押さえる算段なんだろうさ』
上条『それってやっぱりマフィアとか、そんな感じの人達のところに連れてかれるんだよな』
竜神『どうなんだろうな。とにかく、この場は逃げ切るぞ!』
上条『逃げるってどうやって!酔っ払いのおっさん連れて逃げられんのか!?』
竜神『こんな時はこれだ!表裏の騒静(サイレントコイン)』
178 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:33:23.95 ID:tvjkyXUo
>酔いで赤らんでいた男性の顔が、怒りでさらに真っ赤に変わっていく。
黒人なのに色分かるの?
179 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:37:27.92 ID:vyA/BQDO
アフリカ系じゃないわりと薄い方の黒人ってことで脳内補完しといて下さい。
180 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:37:50.04 ID:tvjkyXUo
ごめんね
181 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:38:59.10 ID:vyA/BQDO
表裏の騒静(サイレントコイン)かつてオリアナ=トムソンが使っていた術式だ、
使用者を追いかけようとする者の”追いかけようという意思”そのものを失わせる。人払いを応用し構成した魔術。
カジノを出た二人は、あえて大通りを直走る。
通りを歩いている通行人達に紛れ、出来るだけ追っ手が見失いやすい環境を作るのが目的だ。
目の前に回りこまれそうになる前に強引に進路を変え、追っ手を撒いていく。
表裏の騒静(サイレントコイン)の効果は自分の背に位置する人間すべてに及ぶ。
故に、たとえ遠回りでも、前方を取られなければ掴まることはないのだ。
十分ほど走ったところで、二人は足を止めた。
追っ手を完全に振り切れた保障はなかったが、何せ酔っ払いも一緒だ。
急激な運動で、急性アルコール中毒にでもなられたら困る。
182 :
いえいえ。こちらこそ
[sage]:2010/10/30(土) 02:41:50.38 ID:vyA/BQDO
竜神「はぁはぁはぁ、おっさん大丈夫か?」
旅掛「ゲホッ。ああ。大丈夫だ」
そういいながら旅掛は地面に座り込んでしまった。
酔いはすっかり醒めてしまっているらしい。
竜神「そうか」
旅掛「しかし、こんなに走ったのは久し振りだ。俺も歳かな」
竜神「酒飲んでてそこまで走れりゃ十分だろ?」
旅掛「はっはっはっは。礼を言うよ少年。
あの男を昏倒させたのも、追っ手を振り切ったのも、君がやったんだろ?」
竜神「わかるのか?」
旅掛「わかるさ。具体的に何をしかたまでは理解できないけどな」
183 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:43:56.70 ID:vyA/BQDO
竜神「へー。さすがは美琴の親父さんだな」
旅掛「ん?君はうちの娘の知り合いか?」
竜神「ああ、友達だ」
旅掛「そうか……。でも、何で学園都市の学生がここにいる?……それに原石は全て回収されたはず……」
竜神「ちょっと訳ありでな。学園都市から逃げてる最中なんだ」
旅掛「何か問題でも起したのか?」
竜神「これから起すんだ」
旅掛「…………」
竜神「じゃあな、おっさん。気を付けて帰れよ」
竜神は旅掛に手を振り、その場をあとにしようとした。
184 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:45:55.83 ID:vyA/BQDO
旅掛「待ってくれ。礼がしたい。俺が泊まってるホテルで飲みなおさないか?」
竜神「んー。相棒に酒は止められてんだ。コーラなら付き合うぜ」
旅掛「なんでも奢ってやる。改めまして、俺は御坂旅掛だ」
竜神「俺は竜神当麻だ。よろしく」
地面に座ったままの状態の旅掛と握手を交わし、そのまま助け起こした。
立ち上がった旅掛は、竜神の顔を見据えつぶやく。
旅掛「さぁて、君に足りないものは何かな?」
185 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:47:52.38 ID:vyA/BQDO
御坂サイド ―北極海―
竜神がスロットに興じている頃。
御坂美琴は五和と共に船の甲板で涼んでいた。宴会ムードの船内の熱気で、体が火照っていたからだ。
白井黒子は連続テレポートの疲れから、再び眠りについてしまった。今は寝室で休んでいる。
木造の船が冷たい海を突き進む。
ちょっとした高速船くらいの速度が出ているにも関わらず、船上の揺れは大した事がない。
ひょっとしたらこれも魔術というものの効果なのかもしれない、と御坂は分析していた。
五和「やっぱり、外は冷えますね」
御坂「うん。でも少し気持ち良い」
五和「そうですね」
御坂「ここの人は皆良い人ばっかりね」
五和「ええ。私の自慢の仲間です」
186 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:49:39.00 ID:vyA/BQDO
御坂「そっか。……上条当麻は天草式の恩人って言ってたわよね?」
五和「はい」
御坂「……私もね。アイツに、頼みもしないのに命を救われたクチなのよ」
五和「上条さんにですか?」
御坂「そう。私と私の妹達を助ける為に、ボロボロになりながら学園都市最強の能力者と戦ってくれたの……。
普通さ。そんな大事件に巻き込まれる事なんて、人生に一度あるかないかってとこじゃない。
だからかな。私はアイツにとって少しは、その、と、特別な存在じゃないかって、思ってたの」
御坂は船のふちに寄りかかり、うつ向き気味に海を眺める。
187 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:52:00.14 ID:vyA/BQDO
五和「…………」
御坂「でも、違った。アイツは今まで何度も、
いろんな人や国を助けて、いろんな人の人生を叩いて直してたんだよね……。
私の思い上がりだったのかな……」
五和「それは違うと思いますよ」
御坂「へ?」
五和「御坂さんと上条さんがどういう関係か知りませんが。
上条さんにとっては特別な人の筈です。
というより、上条さんには特別な存在が多すぎるんですよ。みんなそうなんです」
御坂「どういう事?」
188 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:54:36.67 ID:vyA/BQDO
五和「私が上条さんと一緒に過ごした時間は短かかったですけど、はっきり分かった事があります。
上条さんにとって、派閥とか国とか世界がどうとかって話は、どうでもいい些細な事なんです。
ただ、自分の周りにいる人達が笑顔でいられる事が何より大切なんですよ。
その為なら、上条さんは命を掛けて戦います。
今までそういう所を何度も見てきましたから、断言できます。
上条さんはあなたの笑顔がみたいから戦ったんだと思いますよ。
それって十分特別って事だと思うんですけど。違いますか?」
”だからさ、お前は笑ってていいんだよ”。
御坂は、あの日病室で、去り際に上条からかけられたその言葉を思い出す。
自分の中の胸のつかえを、きれいに取り除いてくれた。暖かい言葉を。
御坂「そうなのかな……」
五和「きっとそうです」
御坂「そうね。ありがと」
五和「いいえ。どういたしまして。
……それで、つかぬ事をお聞きしますが。
御坂さんは上条さんとはどういったご関係なんですか?」
御坂「えっ!私!?ってかアンタはどうなのよ!!?」
189 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:56:09.93 ID:vyA/BQDO
甲板の二人がガールズトークを繰り広げているかたわらで、船内の野郎共もまた静かにヒートアップしていた。
壁にコップを当てて、聞き耳をたてていた建宮斎字が小声で呼びかける。
建宮「おー!!ついに御坂嬢と上条当麻との関係が暴露されそうなのよな!!」
その言葉に、一同の”おぉぉー!!”という反応が小声で返ってくる。
部屋の奥で、夕飯の食器の片付けをしていた対馬が「片付け手伝え馬鹿共!」と小言を投げかけた。
男達のこういった行動に対して、若干あきらめの様なものが混じった声色だった。
190 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 02:58:01.33 ID:vyA/BQDO
建宮「いやいや。今は片付けよりもこっちが優先なのよな。
なにせ女教皇様に続き二人目のライバルの登場やもしれんのよ!!」
男達はそれぞれ”そうだ!そうだ!”と頷いている。
夕食の後だというのに、もうポテトチップスを広げて、つまみ始めている香焼が、建宮に質問を投げかけた。
香焼「もしライバルが増えたらどうするんすか?
やっぱり僕達は五和を応援するんすよね?」
チッチッチッと人差し指を振りながら、建宮は応える。
建宮「我等は少女達を応援する。ただそれだけよな」
191 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:00:20.44 ID:vyA/BQDO
野母崎「しかし、具体的にはどうやって応援するんだ?
見たところ御坂嬢には五和や女教皇様のような武器は備わっていないように思えるが……」
建宮「フッフッフッフッフ、抜かりはないのよな。
実は先日、件のデザイナーが、御坂嬢にぴったりの新作を発表してんのよ!
これを見よ!!」
建宮はノートパソコンを広げ。某デザイナーのホームページを一同に見せ付ける。
一同「これは!ビリビリ雷様メイドだと!?」
その画面には、どう見てもトラ柄のビキニ水着にしか見えない、エセメイド服が映っていた。
ポイントは角のついたカチューシャらしい。
著作権とかいろいろ大丈夫なのだろうかと思わなくもない。
192 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:02:00.42 ID:vyA/BQDO
建宮「そう。エレクトロマスターの彼女が着るにふさわしい最高の嫁入り衣装なのよな。
体の起伏など、この露出の多さがきっちりカバーしてくれるはず!!」
「お待ち下さいまし!!」
一同が声のした方を見ると、そこには先ほど寝入ったはずの白井黒子が立っていた。
別室で寝ていた彼女がこの部屋にいるという事は、テレポートを使ったのだろうか。
白井は険しい顔で建宮達のほうを睨んでいた。
白井「話は聞かせていただきましたの」
建宮「いや、これは……」
建宮達の背中に嫌な汗が流れる。
193 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:04:41.29 ID:vyA/BQDO
白井「甘いですわ!!既成品などで、お姉様を彩ろうなどと。
そこはオートクチュールで攻めるべきですの!!
大体、それでは露出が少なすぎますし、エレガントさにかけていますの!」
建宮「……はぁ」
白井の気迫と意外性に、思わず建宮達はたじろぐ。それにもかまわず、白井は一方的に自分の要求をたたきつけた。
白井「幸い、そのデザイナーを懇意にしている者が、学友におりますので。
その者を通して早急にオートクチュールのビリビリ雷様メイド服お姉様カスタムを作らせますの!!」
建宮「お、おう!」
”これより露出少ないって、ただの紐じゃね”とか”あの娘ってそっち系なのか?”
などと男性陣がこそこそ話していると、香焼が”あっ”っと間の抜けた声を上げた。
194 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:06:09.51 ID:vyA/BQDO
一同が香焼の視線を追うと、そこには前髪にビリビリと電気を走らせた雷様と、その後ろで真っ赤になってもじもじしている五和が立っていた。
御坂「アンタ等は!何やってんのよ!!」
広範囲に電撃の槍が降り注ぐ。天草式の面々はちりぢりになって一目散に逃げようとしたが、入り口に御坂が立っているので逃げられない。
アイコンタクトで対馬に助けを求めてみるも、いい気味だとばかりに無視された。
白井「お、お姉様!お待ち下さいまし。黒子はお姉様の為を思って……」
御坂「こんな服を私に着せんのの、どこが私の為だ!!」
御坂は白井にピンポイントで電撃を浴びせる。
195 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:07:33.04 ID:vyA/BQDO
白井「あぁぁぁぁ。そんなぁぁご無体なぁぁぁぁぁぁぁ」
白井は床に転がり、身を捩じらせながらヒクヒクしている。
流石に見かねた五和が恐る恐る止めに入る事にした。
五和「み、御坂さん。それくらいにしないと白井さん死んじゃいますよ」
御坂「大丈夫よ。これ位いつもの事なんだ・か・ら!!」
五和「はわぁ。どうしよう。……あっ!御坂さん携帯!携帯電話が着信してるみたいですよ!!」
白井の断末魔と電撃の音で判りづらくなっていたが、音が止むと御坂の携帯から着信音が聞こえてきた。
196 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:08:54.75 ID:vyA/BQDO
御坂は、はぁーと溜息をつき、気を落ち着かせると。
カエルを模した形の携帯電話を手にする。
御坂「あっ!父からだ。ごめんちょっと話してくるわね。
あと、黒子には後でじっくり話しがあるから待ってなさいよ!」
そう言い残して、御坂は再び甲板へと戻っていった。船内にいた皆が安堵の溜息を漏らす。
建宮「ある意味女教皇様より恐ろしいのよな」
諫早「恐妻あるいは鬼嫁といった感じじゃったな」
野母崎「攻める路線を間違えたのでは?」
建宮「うむ。改めて計画を練り直す必要がありそうなのよな」
197 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:10:54.90 ID:vyA/BQDO
甲板に出た御坂は、携帯を見つめていた。父からの電話は久しぶりだ。
もしかしたら学園都市を飛び出してきた事を、どこからか聞きつけてきた可能性もある。
覚悟を決めて通話ボタンをプッシュする。
旅掛「おっ!美琴ちゃん?」
美琴「お父さん?」
旅掛「そうですよー。パパですよー」
美琴「今どこにいるの?」
旅掛「ん?アメリカのラスベガス。カジノの中だな」
なんだかろれつが回ってない上に、スピーカーから周りの雑音が響いてくる。
カジノ内の酒場からでも掛けているのだろうかと、御坂は推測した。
美琴「アンタもしかして酔っ払ってる?」
旅掛「ん?ちょっと飲んだかなー」
198 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:12:31.53 ID:vyA/BQDO
美琴「はぁー。この前お酒止めるっていってなかってけ?」
旅掛「そうだっけ?」
美琴「まあいいわ。で?どうしたの?」
旅掛「いや、特に用があるわけじゃないんだけどな。娘の声が聞きたかっただけ」
美琴「なんだ」
旅掛「なんだとは酷いな。あれ?もしかして心配事とか抱えてるのか?」
妙に鋭い父の言葉に、うろたえそうになる。動揺を表に出さないように気を払いながら答えた。
美琴「そんなもん、あるわけないじゃない」
旅掛「ならいいんだけどな」
199 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/10/30(土) 03:14:16.23 ID:vyA/BQDO
さっきからスピーカーの雑音に混じって、男性の声が聴こえてくる。
興奮した感じの英語でまくし立てている。要約すると”クソJAPがぶっ殺すぞ!!聞いてんのかコラ!?”といった感じだろうか。
待て、この場合のJAPとはうちの親父の事ではないのか?そう不安になってきた。
美琴「ちょっと。さっきからそっち、騒がしくない?」
旅掛「そうか?あっ――――――――――――[悪いのはこのおっさんかもしんねーけどさ。ちょっと気が短すぎんじゃね?]―――――――――[おい!おっさん!行くぞ!]」
突然通話が切れ。スピーカーからツーツーという発信音だけが流れてきた。
200 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:16:20.19 ID:vyA/BQDO
慌てて掛け直そうとするが、繋がらない。携帯をよく見ると圏外になっている。
洋上を航海する船の上では仕方のないことかもしれないが、今はそんな事を考えている余裕が無かった。
父がカジノでトラブルに巻き込まれたかもしれない。しかも、電話口から聞こえてきた日本語の声に聞き覚えがあった。口調が変わっていたものの、あの声の主は……。
美琴「…………海原光貴?」
訳がわからなかった。
本物の海原光貴は今も学園都市にいるはずだ。
そもそもカジノに入り浸るような性格ではない。
だとすると、学園都市を離れる前に接触してきたあの男という事になる。
何故あの男が父の側にいるのか……。
それとも、自分の聞き間違えなのだろうか……。
確かめなければならない。できるだけ早く父と連絡をとらなければ、手遅れになるかもしれない。
幸い、今この船はアメリカに向かっている。
飛行機をチャーターすれば、すぐにラスベガスまでは辿り着くはずだ。
美琴「あぁぁーもう!次から次へと問題ばっかりぃ!一体どうなってんのよ!!」
201 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:19:34.76 ID:vyA/BQDO
今日はここまでまた来週末に来ます。
今回は竜神さん無双でしたが、上条さん復活につれて弱体化する予定です。
では
202 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:23:09.99 ID:4lsYKu6o
乙
☆は「私の手を離れた」みたいなこと言ってたから☆個人と敵対するって意味じゃ
上条さんは旅掛さんとの接触もありえるんだよな。
203 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 03:38:31.24 ID:tEZ9OEk0
そういえば旅掛さん原石一発で見抜いていたな
すげえ慧眼だww
204 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 05:57:24.27 ID:HdbRwpko
すげえ文量だwwお疲れ様です
旅掛さんと上条さんホテルで二人きりか…
205 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 11:37:06.92 ID:OHi4Bl60
面白え…
続きはいつだ!?
206 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/30(土) 13:30:58.43 ID:p.2PvqE0
おいおい竜神当麻ってどこの厨二だよと思いつつ読んでみたら……
なにこれ超面白いんですけど
207 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/31(日) 16:05:08.15 ID:wPGz9jQ0
最近インデックス厨の奴行儀が悪いな
208 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/10/31(日) 23:52:48.79 ID:O2Kq6vUo
奴ら曰く「今まで馬鹿にされた仕返し」なんだって
奴らの中じゃインさん馬鹿にしてんのもインなんとかとか言う奴らもみんな美琴厨の仕業なんだと
209 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/10/31(日) 23:54:30.16 ID:ibhpCaIo
ただの荒らしだからスルーしとけ
210 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 00:30:42.19 ID:/OU27ZU0
イン自体にバカにされるどころか嫌われる原因が多すぎるんだよ
家主になにか不満が有るとすぐ暴力を働くし家主より豪勢な飯食ってるし
おまけに手伝いはおろか感謝すらしなくてテレビばっか見て遊べだの駄々をこねる
そんなニートみたいなキャラはバカにされて当然だろ
211 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 00:43:24.03 ID:siNEYwAO
まあまあ 穏便にいこう…
でも
>>210
の意見は正当だな。
ところで、その話題の荒し?ってどこにいるのか教えてくり、見てみたい
212 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/01(月) 01:15:38.66 ID:hL3sigAo
美琴は好きでも嫌いでもないけどインさんは嫌い
って本スレで書くと美琴厨の自演だって言われるフシギ
>>211
話題かどうかは知らんけど美琴スレで美琴信者装って荒らしてるインさん信者がいる
213 :
ありがとう
[sage]:2010/11/01(月) 01:21:58.83 ID:siNEYwAO
>>212
あぁ あそこか。70スレ以上に到達してる所だな、征ってくる ノシ
214 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 02:13:13.29 ID:p.AHbHY0
ところで竜神の読み方って
りゅうじん?たつがみ?
215 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 02:17:14.59 ID:AiMUZfAo
たつがみ
216 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 02:51:12.90 ID:/OU27ZU0
暇つぶしに聞きたいんだけど上イン厨は上条さんは記憶喪失を言い訳に
インと関係を進展させない最低だの卑怯者だとか言ってるらしいけど
インはローラのせいで記憶が無いとはいえ少なくとも
魔術サイドには全く関係ない上条さんの記憶と自分で選んだとはいえ
全てを敵に回してでも自分を救おうとしたアウレオルスの人生を無茶苦茶して
さらには殺されそうになろうが他の男に想いを寄せてるのに全てを敵に回してでも
インの為に生きて死ぬと誓ったステイルの気持ちを全く顧みない
こいつの方がよっぽど卑怯者で最低の悪女じゃねーの?
217 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/01(月) 02:54:19.53 ID:hL3sigAo
まぁなんとなく言いたいことはわかるがそうゆうのは他所でやったほうがいいぞ
俺が言うのもなんだけど
218 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/01(月) 02:59:34.05 ID:PfgeRUAO
上条さんもインデックスも美琴も一方通行もみんなそれぞれ辛い目にあって、それでも必死に生きてたんだ
悪く言うな
219 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 03:22:13.70 ID:/OU27ZU0
申し訳ない、不愉快な気分にさせてしまった
普通なら一生ROMってろって言われても文句言えないのにな
禁書好きって善人が多いんだな。感動の余り泣きそうだわ
あとすまないが最後に一つだけ教えてくれ
16巻最後でインがアックアと戦うのに何故自分も呼ばないのか的なセリフ言ったけど
イン如きがアックアを倒せるならステイルと神裂は追いかけっこの途中で瞬殺してる
と思うんだけど言ったら何故か怒られたよ
220 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 03:26:23.74 ID:fMTLBawo
インデックスならアックアの情報が記録されてなくても、既存の情報から
アックアやその術式について理解できる可能性がある、そして魔術においてそれはほとんど勝ったも同然なわけさ
追いかけっこだけど、インデックスは能力が普段はサポートに特化してるから
1人じゃ基本的に戦えない
221 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/01(月) 03:28:15.36 ID:PfgeRUAO
インデックスは戦闘能力はあれだが、魔導書の知識が半端ないから凄いぞ
222 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 03:33:37.79 ID:ucoalnQ0
まぁそれでも歩く協会なかったら危険だろうな
そうでなければねーちんにばっさりされないし…
キャーリサ偏ではMVPだから可能性は全然ある
223 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 07:59:04.81 ID:siNEYwAO
>>222
「〜可能性は全然ある」…?
スマン なんの可能性の話?
224 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 11:31:49.13 ID:BP.Fp/A0
インデックスも美琴も好きな自分としては両派の争いらしきものを見る度に対立煽りたいアンチの仕業と脳内変換してます
実際何割かはその通りのようだしね
時々禁琴妄想やり過ぎて上条さんハブりたくなるのが罠だぜwww
225 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 15:58:01.13 ID:NUyCP6wo
>>224
早くその妄想を文章に書き起こすんだ!
226 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/01(月) 16:04:35.90 ID:FybqP7A0
>>225
今抱えてるタスク処理したらね!
今はただ
>>1
をひたすらに待つ!
227 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 16:29:46.22 ID:ucoalnQ0
>>223
インデックスがアックア抹殺できる可能性というのが伝わりにくかったか?
228 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 16:37:39.46 ID:KfdxfNIo
アックアは魔術なくても二重聖人ってことを忘れてないか
インデックスにアックア抹殺は地力の差で不可能
229 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 16:50:58.85 ID:AiMUZfAo
強さ議論っぽくなりそうだしその話題は別のとこでやったほうがいいな
230 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 16:58:20.31 ID:siNEYwAO
>>227
なるほど…認識した。ってアレは解りにくいにも ほどがあるわ
>>229
の言う通り別スレでやるか
大人しく
>>1
にHKBをしようぜ。
231 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/01(月) 19:31:33.57 ID:U5PMn0Eo
スレタイで完全スルーしてたけど神SSだった
232 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/02(火) 02:38:57.94 ID:e9SBrcA0
第六感で受信した時点で神ssだった
233 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/02(火) 07:53:18.28 ID:uuKTx.AO
スレタイからして上SSだった
234 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/02(火) 18:32:28.37 ID:RrqmJMAO
しかし頭のいい上条さんは変な感じ
235 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/03(水) 00:29:12.73 ID:Ub93Pm.0
>>234
遊戯とはまた違った感じだよな
236 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 00:46:48.13 ID:yf70rMSO
今日は来ないのだろうか…
237 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/05(金) 01:54:34.89 ID:8mYjzUAO
>>1
続きマダー?
238 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga age]:2010/11/07(日) 00:57:29.21 ID:sLrY3wDO
今週分投下します。
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
竜神当麻は旅掛の泊まっているホテルから少し離れた所にあるコンビニに買出しにやってきていた。
旅掛としては、ホテルにあるレストランバーの方がお奨めだったのだが、
竜神が人目の少ない場所を望んだ為、酒とおつまみをコンビ二で買い、旅掛の部屋で呑み直す事となったのである。
さすがに目上の人間をパシリに使う訳にはいかなかったので、自ら買出しを申し出て、現在に至る、
239 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 00:59:36.49 ID:sLrY3wDO
ラスベガスの街は一見、通常の営みを見せているように見えるが、街の所々に戦争の爪あとが残っている。
竜神が入ったセブンイレブンの向かいのブロックはいくつかの建物が倒壊しており。
その建築物の一つ、恐らく映画館があったと思しき一角には、巨大な天使の輪のようなオブジェが突き刺さっていた。
その周りには、米軍がバリケードを築き、軍関係の車両や、研究機関の科学者と思われる人々がせわしなく出入りしている。
上条『これって……』
竜神『ん?ああ。お前が見るのは初めてだったか……。フィアンマの起こそうとした変革の名残だよ』
上条『あの変な輪っかは何なんだ?』
240 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:01:53.21 ID:sLrY3wDO
竜神はプラスティックのカゴに、六本パックの瓶ビールと自分の分のコーラをつっ込みながら、つまらなさそうに答える。
竜神『天使を構成しているのと同じ物質でできた物だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
フィアンマ自身はこれを戦後復興のための資源として人類に与えたかったみたいだな』
上条『どんな役に立つんだ?』
竜神『何の役にも立たないさ。
普通の人たちにはこれを加工する事もそのまま利用する事も出来ない。
学園都市の工学力を持ってしても無理だろうな』
上条『ただのゴミって事か?』
竜神『身も蓋も無い言い方だけど、その通りだな』
241 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:03:39.49 ID:sLrY3wDO
上条『そもそもフィアンマは何がしたかったんだろうな……。
世界を救いたいってのは分かるんだ。
魔術の事は分からないけど、アイツが言うんだからきっと世界は本当に危機的な状況なんだろ?』
竜神『さあな。世界の歪みってのが発生してるってのは俺にも解る。
でもそれが自然な変化なのか不自然な変化なのか、俺には判別できない』
上条『お前にも分からない事があるんだな』
竜神『そりゃそうだろ。所詮天使の知識しかないからな。しかも、元は上条さんの頭脳だし』
上条『なんか安心した』
竜神『お前な、自分のオリジナルがお馬鹿な事に安心するなよ』
242 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:05:19.45 ID:sLrY3wDO
続いて、おつまみやスナック菓子を選ぶ。アメリカの食品のサイズは、大き過ぎる。
竜神は、食べきれんのかなっと独り言をつぶやきながら、ポテトチップスの塩を眺めて途方に暮れていた。
竜神『……まあ、フィアンマとしては、ベツレヘムの星とこの星をリンクさせる事で、世界の歪みを正したかったんだろうな』
上条『リンク?』
竜神『呪い人形に五寸釘を打ち付けるようなもんさ。
そうだ、小萌先生とステイルが姫神の怪我を治した時の事覚えてるか?』
上条『ああ、大覇星祭の時か?
確か、小萌先生が空き缶とかその辺のゴミを拾ってなんかやってたな』
243 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:07:02.67 ID:sLrY3wDO
竜神『あれはなんていうか、姫神の周りの環境を模したミニチュアを作ろうとしてたんだよ』
上条『空き缶でか?』
竜神『素材や形なんて何でもいいんだ。
要はそこから魔術的な記号が抽出できるかがポイントだ。
魔術的には『箱庭』って言うんだけどな』
上条『ふーん』
竜神『ミニチュアが完成したら。
その場を天使に加護してもらって、ミニチュアの内部を力で満たしてから、ミニチュアと現実世界をリンクする。
ミニチュアが傷つけばそれに対応する者も傷つくし、ミニチュアの傷が癒えれば、それに対応する者の傷も癒える』
上条『へー。小萌先生ってそんな事してたのか』
244 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:11:48.42 ID:sLrY3wDO
竜神『同じように、フィアンマはこの星のミニチュアを作って、この星の傷を癒そうとしたんだと思う。
十字教における神の子の誕生を応用した複雑で小難しいフォーマットを利用してるけど、基本原理は、そんな感じだ。
加護を得る為に召喚した天使はミーシャ=クロイツェフ。
力はフィアンマの聖なる右腕。
ミニチュアはベツレヘムの星だな。
もっとも、四大元素の歪みそのものを直すつもりだったから、
あらかじめ正しい四大元素の配置を整えたベツレヘムの星を用意して、
大天使にこの星の四大元素の配置を変えて貰う事で完全にリンクしたみたいだけど』
上条『ん?どう違うんだ?』
竜神『この星に合わせてミニチュアを作るんじゃなくて、ミニチュアに合わせてこの星を作り変えたのさ。
大天使が顕在した瞬間、星の配置が変わったろ?』
245 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:14:01.46 ID:sLrY3wDO
上条『そうか、それでアイツはミーシャが消えても余裕だったわけだ。
リンクするのに必要な星の配置はそのままだったからな……』
竜神『そうやって土台を整えた上で、世界の悪意を砕くつもりだったんだな。
土台が古いままだと、ただ悪意を砕くだけじゃ、じきにまた元通りだしな』
上条『それがアイツの言う、壊れた歯車の交換ってやつか……』
竜神『土台となる異界の層そのものを、十字教が生まれた瞬間と同じ状態にリセットしようとしたんだ』
上条『でもそれって……』
246 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:16:08.60 ID:sLrY3wDO
竜神『ああ、文字通りリセットだ。ゲーマーがよくやるセーブ&リセットと同じだ。
アイツにとってこの世界は無理ゲーにでも見えてたんだろ。
攻略に詰まったから、リセットボタンが押したかったんだよ』
上条『フィアンマ……』
”俺様は、『世界中』なんていうのが、どれだけ広い場所なのか分からない人間だぞ”そうフィアンマは言っていた。
彼は、世界に広がる漠然とした膨大な悪意なの前に絶望していたのかもしれない。
だからこそ、リセットといった極端な手段に逃げてしまったのだろうか。
彼は、生き延びる事が出来たのだろうか。
救われたこの世界は、一体どのように、彼の目に映っているのだろうか……。
上条は、どこで何をしているかも分からない、あの孤独な男に思いを馳せた。
247 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:17:44.91 ID:sLrY3wDO
―ホテル―
街の中心部にある、高級級ホテルの10階。
建物のおよそ真ん中くらいにある部屋の中に、竜神と旅掛はいた。
二ヶ月程前、アドリア海の女王の中でぶん殴った司教と似たような名前のホテルだった。
部屋の窓からは、広大な人工の湖とその沿岸にある噴水が望める絶好のロケーションだ。
この展望を作る為に、湖一つを人工的に作り上げるというのだから、アメリカ人のスケールのでかさには驚かされるばかりだ。
竜神「めちゃくちゃ豪華な部屋に泊まってんだな」
旅掛「この部屋は、俺が今引き受けてる仕事の依頼人が用意した部屋だからな」
竜神「部屋も報酬の一部って訳だ」
248 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:19:55.73 ID:sLrY3wDO
旅掛「しかし、それだけでよかったのか?
今からでも、ルームサービスが頼めるが」
竜神が購入してきた飲み物とおつまみ類の入った紙袋を一瞥しながら、旅掛は備え付けの電話に手を伸ばす。
何でも奢ると言った手前、それ相応の対価を払いたかったのだろう。
しかし、竜神は両手のひらを前に突き出し、拒絶の意を示した。
竜神「いいって。それと、さっきこの部屋に結界張っといたから、ルームサービス呼んでも何も届かないぞ。
情報の遮断と外部からの進入を拒む強力なヤツだから、電話すら出来ないかも」
旅掛「驚いたな。そんな事まで出来るのか?」
竜神「今だけは特別なんだ」
249 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:22:16.09 ID:sLrY3wDO
旅掛「君が学園都市から逃げている理由と関係あるということか?」
竜神「そういう事」
旅掛「よければ聞かせて貰えるか?力になれるかも知れない」
竜神「旅掛さん、秘密は守れる方か?」
旅掛「君がそれを望むなら、守ろう。
これでも、一端のフリーとして仕事をしてるもんでね。信用ってのが一番大事なんだ」
竜神「信用か……分かった。俺も旅掛さんに訊きたい事あるし。
話せる事は全部話すよ。とりあえずは……」
パキパキっと氷が割れるような音と共に、表面の仮面が剥がれ落ち、竜神当麻の素顔がさらされる。
250 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:25:18.86 ID:sLrY3wDO
旅掛「なっ!」
竜神「これが俺の本来の姿だ。
さっきまでは常盤台中学の理事長の孫の姿を借りてたんだ」
旅掛「……君に会ってからというもの、驚かされっぱなしだな」
竜神「これくらいで驚かれても困るんだけどな」
旅掛「君はあれか?デュアルスキルというやつか?」
竜神「もっと上の存在ってやつだ。
俺は上条当麻の肉体を借りて顕現した天使なんだ」
251 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:28:38.94 ID:sLrY3wDO
エッアリサイド? ―学園都市 第七学区―
第七学区のとある病院の大規模な地下駐車場に、その者達はいた。
黒い戦闘服と学園都市が開発した最新鋭の装備で身を固めた20人程で構成された部隊。
かつて木原数多が率いていた、猟犬部隊と呼ばれる闇の住人達だ。
様々な車種の盗難車の中に、小隊ごとに分かれて乗り込んでいる。
9月30日の事件によって木原数多を失い、多くの戦力を一方通行によって潰された彼等は、
戦争が終わった今もなお、学園暗部の汚れ仕事を請け負っていた。
252 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:30:25.20 ID:sLrY3wDO
若干の補充人員があったものの、以前の猟犬部隊とは比べ物にならないくらいに規模が縮小されている。
現在、猟犬部隊を率いているのは、メイソンというコードネームで呼ばれている男だ。
もちろんメイソンは外国人ではない。中肉中背で黒髪短髪の日本人だ。
ハッタリの効いた派手なコードネームをつけるのは木原数多の趣味なのだが。
未だに彼等がその習慣を守っているあたりに、木原という男が猟犬部隊に及ぼしていた絶対的な影響力が窺える。
253 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:32:36.25 ID:sLrY3wDO
このままでは後が無い。部隊の中でも一番の古株であるメイソンはそう考えていた。
学園都市の捨て駒というのは、暗部に属する全ての者に言える事だが、現在の猟犬部隊はその中でも、最低辺に位置する存在といえた。
これ以上の失態は許されない。
メイソンは無線を使い、各隊員に任務の最終確認を取る。
各小隊の端末には、二人の少女達の顔写真が映し出されている。
ショチトルとトチトリという名の少女達だ。
メイソン「今回、我々の任務は、病院内に入院しているターゲット二名の暗殺だ。
抵抗された場合は、各自所有火器で応戦。目標の殲滅を最優先しろ」
無線に、レイチェルというコードネームの女が割り込む。
254 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:35:24.43 ID:sLrY3wDO
レイチェル「ターゲットってスパイのガキ二人だけでしょ?
20人がかりで、囲むような相手なの?」
メイソン「どうやら、学園都市とは違う方式の能力者らしい。
他に仲間がいる可能性もある。油断はするなよ」
レイチェル「了解。って、えっ!何こっふぐっ!!――――」
ゴワァッっという奇妙な爆音と共に、レイチェルからの通信が途切れる。
メイソンが慌てて車の外を見ると、レイチェル達の部隊が乗っていた車両のボンネットが原型が留めない程に潰されていた。
車のシャーシ全体が激しく歪み、額から血を流したレイチェル達が必死に外に出ようと足掻いているものの、あれではドアなど開きようがない。
車内のガソリンに引火していないのが不思議なくらいの壊れ具合だった。その車両の前に一人の男が立っている。
255 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:38:03.64 ID:sLrY3wDO
灰色の作業着を身に包み、頭に白い鉢巻を巻いた黒髪の男。
その上着は肩にかけているだけで、左手に何故かデッキブラシを持っている。
中に着込んだ、日の丸柄のTシャツが印象的だった。
削板「病で動けない女の子を暗殺しようなんて、お前等根性がたりねぇな!」
轟っという爆発音と共に、男の背後にカラフルな爆煙があがる。
メイソン「クソッ!!一体どこから襲撃の情報が漏れたんだ」
このまま車内に留まっては、敵のいい的になると考えたメイソン達は、速やかに外に脱出し、付近の車の影に隠れる。
256 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:40:27.60 ID:sLrY3wDO
あっという間に、削板は猟犬部隊に周りを包囲されてしまった。
車の影から、削板に銃口だけを向けた状態でメイソンが訊ねる。
メイソン「何者だ!?」
削板「あん?俺か?俺は学園都市のレベル5、第七位の削板軍h」
削板が名乗りを上げ終わる前に、猟犬部隊のマシンガンが一斉に火を噴く。相手が超能力者。
それも、レベル5だと分かった以上、反撃の隙を与える訳にはいかない。
そうでなければ、捕らえて情報を引き出すという選択肢もあったのだが、生憎、メイソン達は先日、レベル5二人に部隊を壊滅状態に追い込まれたばかりである。
そんな悠長な真似をしている余裕は無かった。
257 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:43:11.97 ID:sLrY3wDO
時間にしておよそ三十秒間。猟犬部隊は装填していたマガジンの弾をすべて吐き出してしまった。
あたりに硝煙の匂いと、薬莢が地面に跳ねる音が広がる。
メイソンはゴクリと唾を飲み込む。
恐怖でトリガーにかけた指先が震えるのを自覚した。
正体不明な煙の向こうで、男の影がむくりっと起き上がるのが見えたのだ。
削板「ぃ痛ってぇ!!テメェら人の話は最後までよく聞け!
ったくそんなんだから根性が足りないって言われんだ」
メイソン「くっ!化物がっ!!何故貴様が我々の邪魔をする?」
258 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:44:43.52 ID:sLrY3wDO
削板「俺の服見れば分かるだろ?アルバイトだ!!」
メイソン「アルバイトだと!?」
削板「そうだ!この病院の清掃係だ!!」
削板は猟犬部隊に背を向けると、ビシッと上着に書かれたロゴを指差す。
そこには確かに病院のロゴとSTAFFの文字がプリントされていた。
メイソン「何をいってるんだ!!貴様は学園暗部に歯向かっているんだぞ!?」
削板「へっくしゅっ!!……ああすまん。
くしゃみしてて聞いてなかった。っつか、ここ煙いな」
そう言いながら、削板はズズズっと鼻を鳴らして、鼻水を吸い込む。
259 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:47:27.42 ID:sLrY3wDO
メイソン「クソっ!話にならん。班を二つに分ける。
ロバートとマリーの班は、コイツの足止めとレイチェルの班の救出に当たれ!残りは俺について来い!!」
病院の入り口に繋がる通路に向けてメイソン他8名の男女が駆け出した。
削板「おい!!ちょっと待て!そっちはやばいぞ!!」
削板の警告を無視して、マガジンを交換した足止めの部隊が一斉にマシンガンを連射する。
削板「くそっ!どうなっても知らないからな!!
だああぁぁっもうめんどくせぇ!!すごいパーンチ!!」
260 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:50:14.94 ID:sLrY3wDO
削板のわけの分からない力で、部隊の半数が吹きとばされるのを横目で見ながら。
メイソンは地上へと向かう階段に足をかけようとした。
今回のミッションはスパイの暗殺だ。最低でもそれだけはこなされければ、自分達に明日は無い。
しかし、彼等の願いは叶えられない。
階段の上方、直線距離で7メートル程先に彼等の行く手を阻むかたちで、金髪の女が立っていた。
彼等は知る由もなかったが、それはステファニー=ゴージャスパレスという名のスナイパー(笑)だった。
261 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:52:12.94 ID:sLrY3wDO
障害を排除する為、マシンガンを構えようとしたメイソン達の目が驚愕に見開かれる。
ステファニーの持つ得物が目に入ったからだ。
細身の彼女に似合わない大筒。対戦車用ロケットランチャーだった。
メイソン「たっ、退避ぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
例え、先にマシンガンの弾が相手を貫いたとしても、万が一、ランチャーが発射されてしまったら、自分達もただでは済まない。
咄嗟にメイソン達は散開し、回避行動にでる。
ステファニー「はいはい。御免なさいねー。
私らゴミ掃除しないといけないからさ。
……とっとと吹き飛べよ」
262 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:56:24.29 ID:sLrY3wDO
メイソン「はぁはぁはぁ……ぃい、一体何なんだこの病院は、こんなの聞いて無いぞ!?」
部隊の半数以上が、衝撃波で戦闘不能に陥っているのを確認しながら、ステファニーは残りを始末する為の武器を取り出す。
ステファニー「ったく。今日は砂皿さんが入院してくる日なんだから、手間かけさせんなっつーの。
色々準備で忙しいんだからさ。さっさと死ねよ!!
……あっ殺しちゃ駄目なんだったっけ?まぁいいか。半殺しにしよ」
病院の地下駐車場に機関銃の音と複数の悲鳴が響き渡った。
263 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 01:56:26.83 ID:bvyDfvMo
ゴジャッペさんパネェ
264 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 01:58:40.33 ID:sLrY3wDO
―病院内のとある部屋―
とある部屋の中で、椅子に深く腰掛けながら、カエル顔の医者が電話をしていた。
相手は統括理事会の理事の一人である貝積のブレイン。雲川芹亜だ。
カエル顔の医者「本当にありがとう。
君が襲撃の情報提供とアルバイトの紹介をしてくれて助かったよ。
おかげで患者さん達を守る事ができた。
砂皿緻密さんの治療は僕が責任を持ってやっておくから、安心して欲しいって、貝積君に伝えておいてくれるかな?
一応僕からも連絡は入れておくけど、君からもよろしく言っておいてくれると助かるんだけど」
265 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:00:57.64 ID:y2hC1nk0
雲川sきたぁぁぁぁぁ
266 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:01:37.00 ID:sLrY3wDO
雲川「了解。それと、貴方に感謝される云われは無いと思うんだけど。
砂皿の件にしても、勝手に死んだ理事の後始末を押し付けただけ。
削板の件にしても、こちらには原石の件で借りがあることだし、それを返したと思えばこれでイーブンなんだけど」
カエル顔の医者「あの件に関しては、彼女達も進んで協力してくれたからね。
患者さんを働かせるような事は、本来したくないんだけど、人道支援という事なら仕方ないんだね。
気にする事はないよ」
雲川「シスターズにリスクを負わせた事に変わりはないんだけど」
カエル顔の医者「そうだね。でも、そのアフターケアも含めて君がやってくれたんだろ?」
雲川「はぁ、相変わらず甘い男」
267 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:01:53.70 ID:7dSxWXko
味方に雲川さんがいる時の安心感は異常
268 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:03:49.97 ID:sLrY3wDO
カエル顔の医者「僕は患者を治す事を仕事とする医師だ。
患者を出さないように計らうのは君の仕事だろ?」
雲川「まあ、そうなんだけど。
……そういえば貴方こんな所でのんきに電話なんかしてていいの?」
カエル顔の医者「そうだね。
そろそろ患者が搬送されて来る頃だし、僕はこれで失礼させてもらうよ」
冥土帰しは受話器を置き。彼の戦場へと舞い戻る。
患者の命と救う為に、今日も彼は戦う。
カエル顔の医者「それにしても、あのアステカの子供達は無事に逃げられたのかね……」
269 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:05:49.22 ID:sLrY3wDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
旅掛「……にわかには信じがたい話だな」
竜神「本当の事なんだけどな。二重人格みたいなもんだと思ってくれていい。
まあ、信じるかどうかは旅掛さんの勝手だよ」
旅掛「いや。信じよう。というより信じないことには話しが進まないだろ?」
竜神「そうだな」
旅掛「君は学園都市の計画の全貌を掴み、それを阻もうとしている。という事でいいんだろうか?」
竜神「ああ」
旅掛「そうか……そういえば君は、俺に訊きたい事があると言っていたな」
竜神「ああ、旅掛さんが、ちょっと気になる事を言っていたからな。
学園都市が原石を回収したってのは本当の話なのか?」
270 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:07:40.67 ID:sLrY3wDO
旅掛「確かな情報だ。何せその作戦に俺の娘と同じ顔の女の子達が使われたって話だからな。
かなり込み入ったところまで調べ上げた」
上条『御坂妹が!』
竜神「その後原石達が何に利用されているか分かるか?」
旅掛「普通の留学生として受け入れられたらしい。
回収作戦そのものは原石達の保護を目的としたものだったんだ」
竜神「保護?」
旅掛「当時CIAが中心となって、同時多発的に原石を拉致し、世界中の研究機関で原石の解析をしようという動きがあった。
そういった研究所に回収された場合、原石達が非人道的な扱いを受ける可能性があったから、CIAより先に学園都市が回収、保護する必要があった。
ってのが学園都市側の言い分だな。事実そうだったらしい」
271 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:09:46.25 ID:sLrY3wDO
竜神「学園都市にしてはやけに人道的な活動だな」
旅掛「この話には裏があったのさ。確かに原石の回収にあたった連中は、真っ当な理由で動いてたらしい。
そこに裏はない。でも、原石を拉致する為にCIAが作成していた原石のリストそのものが、学園都市から流失したものだったんだ」
竜神「つまり、CIAを利用した茶番劇だったって事か?」
旅掛「俺はそう睨んでいる」
竜神「何の為に……」
旅掛「超能力開発における学園都市の優位性を保つ為じゃないのか?
万が一、学園都市外の超能力開発機関が発足したら、困るのは学園都市だろ?」
上条『ああそうか。今んとこ超能力開発市場は学園都市が独占してるからな』
272 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:12:38.82 ID:sLrY3wDO
竜神「……いや、違うな」
上条『なんでだよ』
竜神「外部の超能力研究機関が開発に成功する可能性はゼロだ。
断言してもいい。それを少なくとも統括理事長は理解してたはずだ」
上条『ゼロ?』
竜神『外部の研究機関の連中は超能力とその他の異能の力の区別がついてない。
原石も魔術も超能力も全部同じ異能の力として研究してるんだ。
超能力の開発ってのは、魔術について十分な知識を持った人間が、科学的な視点で原石を解析する事で、ようやくその原理が理解できるような代物だ。
すべてをごっちゃ混ぜにしているただの科学者じゃ無理だ』
竜神「問題は何故、統括理事長は原石を回収したのかって事だ」
273 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:15:34.45 ID:sLrY3wDO
旅掛「市場の独占以外に理由があると?」
竜神「それが、統括理事長の意思で行われた事なら、必ず理由がある」
竜神(原石ってのは、この世界の特異点だ。
それを一箇所に集めるってことは……学園都市を『箱庭』にするつもりか?
原石をこの世界とリンクさせる事でこの世界の理をあやつる……でもそんな事、一人の魔術師が出来るのか?
仮にこの仮説が正しかったとして、『箱庭』に満たす力はAIM拡散力場。
出力調整は……風斬氷華を利用すれば可能か。
でもどうやってその力をまとめ上げる。
リンクさせる為のラインはどうやって…………クソッ!情報が少なすぎる。
大体、こんなめちゃくちゃなフォーマット、俺の天使の知識ではカバーできねえ。
魔術と科学がごちゃ混ぜになってやがる。
仮説そのものが間違ってるのか?)
274 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:17:35.55 ID:sLrY3wDO
旅掛「……一つ気がかりな情報がある」
竜神「?」
旅掛「原石が回収された日、学園都市に侵入した者がいたらしい」
竜神「侵入者?」
旅掛「ああ、その侵入者が何をしたのかはよく分からないが、
原石の安全を確保する為に学園都市に対して何らかの圧力をかけたのは確かなようだ。
うわさでは学園都市のレベル5第七位を一騎打ちで打ち負かしたらしい」
竜神「第七位ってどんなヤツなんだ?」
旅掛「レベル5の第七位、名前は削板軍覇。
一応念動力系の超能力者って事になってるが、原石だという情報もある」
275 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:19:33.43 ID:sLrY3wDO
上条『レベル5を一騎打ちで打ち負かす外部の人間って……』
竜神『ああ、十中八九魔術師だな。
それも神の右座レベルの実力で。
しかもどこの組織にも属していない』
上条『どうして、どこの組織にも属してないって分かるんだ?』
竜神『どっかの国や組織に属してたら、戦争になってる。
神の右座が俺達を殺そうとしただけで、第三次世界大戦になったんだ。
もし、どっかの組織に属してるヤツの仕業なら、もっと問題が大きくなってるはずだ。
でも、そんな話は俺達の耳に入ってない』
上条『じゃあ、ながれの魔術師。闇咲のおっさんみたいな人か』
276 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:22:13.95 ID:sLrY3wDO
竜神『単純に原石の安全を確保したかったお人よしなのか。
でも、さらに深い意図があるとすれば……。
その人は俺達の味方かもしれない』
上条『敵の敵は味方ってことか?』
竜神『それだけじゃないけど。
……いや、今は情報が少なすぎてなんともいえないな』
竜神「旅掛さん。できる限りでいいんだけど、その侵入者についての情報を集めてもらえねえかな?
仕事の合間に聞いたうわさ話とかでもいいからさ」
旅掛「それが君に足りないものなのか?」
竜神「ああ。今は情報が欲しい。特に原石がらみの情報が」
旅掛「そうか……分かった。
……君は俺が探していた”アレイスターを倒す”為のカギになりそうだな」
277 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:23:48.90 ID:sLrY3wDO
竜神「…………」
竜神と上条は美琴と御坂妹達の事を思いだす。
旅掛は一体どこまで知っているのだろうか……。
旅掛「その顔だと、知っているんだろ?
俺がアレイスターを倒す。その理由を」
竜神「うん、想像はつくな」
旅掛「なら教えてくれないか?
アイツが俺の娘に、美琴に何をしたのか?
娘と同じ顔をしたアレは一体なんなのか?」
旅掛は悲痛な面持ちでそう切り出した。
自分の知らない所で、娘が傷ついているかもしれない。
そんな不安を抱えて生きる事の苦しみは、人生経験の少ない上条にも想像は着く。
しかし……。
278 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:25:24.25 ID:sLrY3wDO
竜神「……それはできねえよ」
旅掛「何故だ?」
竜神「美鈴さんにしても美琴にしても、旅掛さんに秘密事があるのには、何か理由があるはずだ。
どんな理由かは知らない。もしかしたらくだらない意地かもしれないし、単純に旅掛さんを巻き込みたくないからかもしれない。
でも、あの二人が秘密にしている事を俺がアンタにしゃべる訳にはいかない」
旅掛「俺は美琴の父親だ!娘を守る義務がある!!」
そう言い放った旅掛の姿が、かつて海の家で見た父、刃夜の姿と重なった気がした。
子を守りたいという親の必死さが、ひしひしと伝わってくる。
だからこそ逆に、父を巻き込みたくないという美琴の気持ちも痛いほど理解できた。
279 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:27:31.97 ID:sLrY3wDO
竜神「だとしてもだ。俺は美琴を信じてる。
アイツの決意を踏みにじりたくない。もう二度と」
旅掛は身を乗り出し、竜神の胸倉に掴みかかった。
息がかかる程の距離までにじり寄る。
旅掛「ならば約束しろ!どんな事があっても美琴の事を守りきると!
アレイスターの魔手から娘を守ってみせると!
それが出来ないならそんな口は利くな!!」
竜神・上条「「約束する。”上条当麻”は、御坂美琴とその周りの世界を守ってみせる!」」
旅掛の目を正面から見据え。
アステカの魔術師と交わしたあの約束の言葉を再び宣言した。
280 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:29:42.62 ID:sLrY3wDO
旅掛「…………」
竜神「むちゃくちゃな事言ってるのは分かってる。
自分の知らないところで、大切な人が傷つく事の恐怖は、俺にも少しは経験があるしな。
でもこれだけは譲れない。俺は美琴の味方だから」
竜神の胸倉を掴んでいた手が離される。旅掛はうつむき、しびしぶといった感じで了承した。
旅掛「……分かった。今はそういう事にしておこう」
竜神「ありがとう」
旅掛「いや、すまない。俺も熱くなり過ぎた」
旅掛は深く呼吸しながら、再びソファーにどっぷりと腰掛けた。
それに倣い竜神も座り直す。
竜神「いいんだ。旅掛さんが怒るのは当たり前だ」
旅掛「…………」
281 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:31:39.66 ID:sLrY3wDO
旅掛はうつむいたまま、しばらく沈黙していた。
ふと何かに思いいたったのか急に表を上げて竜神に質問を投げかける。
旅掛「……一つ聞きたいんだが、君は美琴の”友達”なんだよな?正確に答えてくれ」
一度伏せられた視線が再び竜神へと向けられる。
先程とは違った意味での父親の顔を貼り付けた旅掛の姿がそこにあった。
竜神「ああ、竜神当麻にとっても上条当麻にとっても大切な友達だよ」
旅掛「そうか……」
竜神「ただ、携帯の料金設定はペア料金だけどな」
上条『おい!なに口走ってんだテメェ!!』
旅掛「何だと!?おい!どういう事だ!!」
282 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:33:10.41 ID:sLrY3wDO
竜神は小指で耳かきをするジェスチャーをしながら。白々しく言い放つ。
竜神「さあ?上条当麻と美琴が結んだ契約だから、俺は詳しい事は知らないんだ。
ただ、どうやら美琴の方から持ちかけた話らしいぞ」
上条『嘘つけ!!お前全部知ってるだろ!?』
旅掛「嘘だ!そんな……美琴ちゃんはまだ中学生だぞ!?」
上条『おい!こらテメェ!!旅掛さんにちゃんと説明しろ!!
あれはストラップが目的であって、俺とペア料金にしたかった訳じゃないって!!』
283 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:34:21.82 ID:y2hC1nk0
竜神さんファインプレーだな
284 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:35:22.46 ID:sLrY3wDO
旅掛「おいこら、竜神当麻。
上条当麻はお前の中で、この話を聞いてるんだよな?」
竜神「ああ、しっかり聞いてるぞ」
旅掛「上条当麻ぁぁぁ!!
う、うちの娘をもてあそびやがったら、ただじゃおかねえぞ!!
分かってんだろうな!?」
上条『だから誤解だって!!
クッソッ!不幸だあぁぁぁぁぁぁ!!
ってか竜神いぃぃぃ!!どういうつもりだ!!』
竜神『どうゆうつもりもなにも、俺は事実だけしか言ってないだろ。
……まあ、あれだ。お前も一度、客観的な視点で自分の行動とか人間関係とか見つめ直した方がいい』
上条『答えになってねえ!!』
285 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:35:40.01 ID:NO7s3A2o
母方は鈍感ではないんだな
286 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:37:08.80 ID:sLrY3wDO
竜神『で?旅掛さんにはなんて答えたらいいんだ?』
上条『そりゃあれだろ?
俺と美琴はただの友達だし、もてあそぶつもりなんて毛頭ないって』
竜神「”もてあそぶつもりなんかない”だそうだ」
上条『だから!なんでそんな誤解を招く言い方しかできないんだテメェは!?」
旅掛「……そうか。あくまでも本気だと言いたたいんだな」
旅掛が口角を上げ無理やり笑みをつくる。
なんだか凄く怖い、全然目が笑ってない。
上条『ほら!なんか誤解してるって!』
竜神(携帯のペア契約までしといて、そんな言い訳が通用すると本気で思ってるんだろうか?
思ってるんだろうな……上条さんだし。はぁー)
287 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:39:14.78 ID:sLrY3wDO
旅掛「いいだろう。お前が約束を守ってる内は娘の側にいる事を許してやろう。
だが、決して交際を認めたわけじゃないからな!!
勘違いすんじゃねえぞ!!」
上条『なにこれ!?
彼女の両親に、結婚を申し込みにいって断られた彼氏みたいな状況になってるよ!?
完全に、娘はやらん!!って感じのオーラ出しちゃってるじゃん』
竜神「上条当麻にはよく言い聞かせておくよ」
旅掛「お前もだからな竜神当麻!!」
竜神「俺にとっては純粋にただの友達だからな。安心しろって」
旅掛「分かったものか……ちっくしょー!!」
竜神は旅掛の機嫌をとる為に、買ってきていたビールを一本あけ、ホテル備え付けのグラスになみなみとそそぐ。
竜神「さあさあ、一杯どうぞ」
旅掛「くっ!!」
旅掛は竜崎が注いだビールをいまいましげに見つめた後、ぐいっと一気にヤケ酒をあおった。
288 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:40:35.13 ID:sLrY3wDO
エッアリサイド ―学園都市外 貨物列車―
エッアリとショチトル、トチトリの三人は学園都市郊外に向かう貨物列車のコンテナの中に忍び込んでいた。
カエル顔に医者から、猟犬部隊襲撃の知らせを受け、急遽予定を早める事になったのだ。
ショチトル「どうしたエッアリ?なんか険しい顔になってるぞ」
海原「いえ、特に理由がある訳ではないのですが。
何だかちょっとイラっとしたもので」
ショチトル「変なヤツ……」
289 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:42:05.82 ID:sLrY3wDO
海原「ひどいですね。そんな事より、体調はどうですか?
これからしばしの間、必要悪の教会の目を盗みながらの、あてのない旅になります。無理は禁物ですよ」
ショチトル「余計なお世話だ。……お前はこれでよかったのか?」
海原「学園都市を出た事ですか?」
ショチトル「そうだ。あの街には、お前が熱を上げてる”女子中学生”がいるのだろう?」
海原「だから!自分は別に彼女が中学生だから好きになったわけではないと、何度も説明したでしょう?」
ショチトル「言い方が悪かったか?ロリコンエッアリ」
290 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:43:33.26 ID:sLrY3wDO
海原「ロリっ!?どこでそんな言葉を覚えたんですか!?」
ショチトル「お前の”仲間”のグラサン男が教えてくれた」
海原「あのシスコン野郎!!今すぐに、そんな言葉は忘れなさい!ショチトル!」
ショチトル「ふん」
ショチトルはそっぽを向いたまま黙り込んでしまった。
海原「……まあ、これでよかったんでしょう。
どの道、自分達に残された選択肢はほとんどありませんでしたし」
ショチトル「あの猟犬部隊とかいうやつらか?
あの程度の連中、お前なら容易く返り討ちにできただろう?」
291 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:45:13.32 ID:sLrY3wDO
海原「そういう問題ではないんですよ。
あれは自分達に対する警告です。
早くこの都市を出ていけというね。
たとえ、彼等を返り討ちにしても、あの都市に残っている限り、いずれ本命の部隊に奇襲を受けていたでしょう。
そうなれば互いに甚大な被害が出る事になる。
だからこそ、使い捨ての駒を使って警告してきたんですよ」
ショチトル「私達を追い出す為だけにか?」
海原「はい。それだけ学園都市は切迫しているのでしょう。
自分達にしても、必要悪の教会に捕まるわけにはいきませんからね。
利害は一致しています」
ショチトル「……私達はそれでいいかもしてないが、トチトリはまだ治ってもいないんだぞ」
292 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:47:57.32 ID:sLrY3wDO
薬が効いているのか、トチトリは未だ夢の中にいた。
今はショチトルの隣で静かに寝息を立てている。
テクパトルに施された術式の影響で、トチトリの精神は壊れてしまった。
カエル顔の医者の懸命な治療の成果で、体の方は日常生活を営める程度には回復したものの、未だに精神の障害が残っている。
重度のパニック障害と失語症だ。
トチトリは声を失ってしまった。
海原「確かに、出来る事なら学園都市の医療を受けさせたかったですが、こればかりは仕方がありません。
あのカエル顔の医者の言葉では、もう肉体的な損傷は癒せているという話ですので、後は自分達が彼女の心を癒してあげるだけです」
ショチトル「…………私達にできるだろうか」
海原「できますよ。トチトリの親友である貴女なら」
励ますように、海原はショチトルに微笑みかける。
三人の当て無き長い旅が始まった。
293 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:51:30.22 ID:sLrY3wDO
今日はここまで
冥土帰しが、自分の手足となるスタッフを欲しがっている描写が13巻にあったので、お掃除係として規格外の二人を雇わせてみました。
これまでのまとめ
竜神当麻
→原石にまつわる情報を集めるように旅掛へ依頼し、オッレルスに接触しようと試みる。
上条さんによるインデックス寝とられを防ぐため、外堀を埋めようと必死。
海原光貴
→妹達と共に学園都市を脱出した。
ステファニー=ゴージャスバレス
→砂原緻密の治療と引き換えに、かえる顔の医師の病院の掃除係になる。
削板軍覇
→ステファニーと共にアルバイトを始める。
294 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:53:21.42 ID:y2hC1nk0
お疲れさまです!楽しみすぐる
295 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 02:58:31.38 ID:7dSxWXko
なるほど、竜神さんと上条さんの関係も一筋縄には行かないのね・・・ww
しかし相変わらず一回の投下量半端無い・・・乙です!
296 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[saga]:2010/11/07(日) 02:59:20.42 ID:sLrY3wDO
>>ステファニー=ゴージャスバレス
→砂原緻密の治療と引き換えに、かえる顔の医師の病院の掃除係になる。
正しくは“ゴージャスパレス”ですね。
今後も誤字脱字等あると思いますが大目にみて下さい。
297 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:03:29.85 ID:lMMU0U.o
乙
仮に竜神→インデックス、上条→美琴が成立したところで、体は一つしかないんだよな……
298 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 03:09:09.16 ID:bvyDfvMo
>まあ、あれだ。お前も一度、客観的な視点で自分の行動とか人間関係とか見つめ直した方がいい
誰かこれ原作の上条さんに言ってやれよ
299 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:11:19.77 ID:y2hC1nk0
>仮に竜神→インデックス、上条→美琴が成立したところで、体は一つしかないんだよな……
身体が2つになるような遊戯王展開ないだろうか?
そしたら五和とかとですごい争いになるが…
300 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 03:13:04.04 ID:bvyDfvMo
腕生えるくらいだから分裂くらいできるだろ
一万人くらいに増えて上条帝国でもつくればいい
301 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 03:14:08.20 ID:7dSxWXko
そんなに増えるなら一人くらい持ち帰りたい所だ
302 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 03:18:35.80 ID:bvyDfvMo
上条さん22巻でフィアンマに切られた右手って結局☆が回収したんだっけ?
なんとなくフラグな気がする…
上条帝国なんてできたら禁書世界の勢力図がひっくりかえるなww
303 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 04:18:10.49 ID:5ydDHc6o
>>302
肉片になってるし、右腕自体には大した意味ないから海の藻屑だろ
304 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 09:28:18.97 ID:1pnEwywo
>>302
フィアンマが右腕切られても力使えてたし、右腕自体には力はないんじゃないか?
上条さんと同じくフィアンマという人間の右腕が力を持ってると思われる
>>303
原作良く読もう!
305 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 10:56:43.34 ID:VFOUlADO
エッアリでなくエツァリだよね?
306 :
>>1 です。
[saga]:2010/11/07(日) 11:06:22.82 ID:sLrY3wDO
>>305
それだ!!凄く違和感があるのに、何が原因かよくわからなかったんです。
指摘ありがとうございます。
307 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 11:41:44.17 ID:SIWJmaAo
神の右座じゃなくて、神の右席(かみのうせき)だよな?
あと
>>287
下の行で竜神が竜崎になってる誤字があった。
308 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 13:33:14.80 ID:sLrY3wDO
>>307
>神の右座じゃなくて、神の右席(かみのうせき)だよな?
>
>あと
>>287
下の行で竜神が竜崎になってる誤字があった。
おっしゃる通りです。
改めて始めから読み直してみたけど、誤字が酷い。
成田良悟を笑えないレベルだ……OTZ
そのうち、イブ=ガンドールならぬ“上条美琴”や“シュコンという小気味いい男”などの新キャラが登録するかもしれません……
あと、インデックスが上条さんに放ったのは、『神よ、何故私を見捨てたのですか』ではなく、『竜の息吹』でした。
重ね重ねお詫びします。
309 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 15:15:27.84 ID:1VtHE5wo
小気味いい男レベルの誤字はむしろ難しいぞww
310 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/07(日) 18:32:47.33 ID:0imyyjQo
SSだし文量も多いし細かい誤字は気にしなくておk
エッアリとか全然気づかなかったww
311 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/07(日) 23:23:41.31 ID:egA1pzI0
久々の良ssだな
312 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/08(月) 00:04:38.93 ID:1DlWZkQ0
>>308
さらに細かいことを言うならば、『竜の息吹』ではなく『竜王の殺息』なのよな
313 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/08(月) 03:24:23.03 ID:vtOMarg0
『竜の息吹』だとどらごんさんの溜息になっちゃうからね
314 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/08(月) 16:21:00.82 ID:UoMiQJ.o
神の末席、一方の百合子
315 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/08(月) 18:00:57.50 ID:widZ.hw0
>>313
ポケモンですね分かります
316 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/09(火) 01:42:15.58 ID:ruFq1rg0
>>1
はこの話で禁書を完結させようとしてるの?
それともあくまで23巻の予想、つまり完結させない、俺達の戦いはry)的な感じで終わらせるの?
答えられないならいいけど
317 :
>>1です。
[sage]:2010/11/09(火) 02:33:23.01 ID:chQa1wDO
“上条当麻”が学園都市に帰ってくるところで終らせるつもりです。
禁書を完結させるのは自分の力量では無理です。
出来るだけ、打ち切り臭くならないように出来ればと思ってます。
おやすみなさい
318 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/10(水) 19:47:27.64 ID:gioCSCg0
アレイスター倒すつもりで上条&竜神さん動いてる
なのに禁書完結はさせない・・・だと・・・
319 :
◆nQU5UhdK.c
[saga]:2010/11/13(土) 02:59:46.80 ID:Oj0ZXsDO
トリつけました
>>1
です。
休日忙しくなりそうなので、今のうちに出来たところだけ投下します。
320 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:01:08.27 ID:Oj0ZXsDO
インデックスサイド ―学園都市 第三学区―
第三学区に存在する、とあるホテルのスイートルームのソファーに、上条夫妻と月詠小萌の三人が腰掛けていた。
息子が行方不明になったという報を受けた刀夜は、仕事を放り出して、妻と共に学園都市に駆けつけたのだ。
学園都市に到着するなり、上条当麻捜索の責任者だという男からこの部屋をあてがわれた。
事情を説明する為に、担任である月詠小萌がこの部屋を訪れたのがつい先ほどの事である。
321 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:02:35.67 ID:Oj0ZXsDO
刀夜「では、当麻が何故行方不明になったのか、先生もご存知ないんですか?」
小萌「はい。あの、か、上条ちゃんとはここ二週間ほど、連絡が取れない状態でして……。
今までも、授業を無断欠席したり、遅刻する事はいっぱいあったのです。
上条ちゃんは優しい子ですから、困ってる人がいると、すぐに首をつっ込んじゃって……」
刀夜「ええ、あの子の性分というか、体質については私達もよく理解しています」
小萌「ほ、本当に申し訳のしようがないのです……」
小萌はうなだれてしまった。この先生の事だ、心から責任を感じてくれているのだろう。
322 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:04:19.33 ID:Oj0ZXsDO
詩菜「当麻さん……」
刀夜「大丈夫だよ詩菜さん。当麻は強い子だ。
それに学園都市の人達が捜索に協力してくれている。きっとすぐに見つかるさ」
詩菜「ええ、そうですね」
刀夜は詩菜の手を取り、ぎゅっと握り締める。
その時、ドアの方からノックをする音が聞こえた。
部屋はオートロックである為、外からは開けられない。
刀夜が席を立ち応対すると、ドアの向こうに純白のシスターと赤髪の神父、そして黒い修道服に身を包んだ背の低いシスターが立っていた。
黒い方のシスターは何故か顔を赤らめ、不安定にフラフラとしながら、赤髪の神父に掴まり立ちしている。
具合でも悪いのだろうか?そう刀夜が考えていると。
そのシスターがたどたどしい日本語で挨拶し始めた。
323 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:05:50.30 ID:Oj0ZXsDO
アニェーゼ「し、失礼します。
私はイギリス清教より上条当麻探索の命を受けて派遣された、アニェーゼ=サンクティスと、も、申します。
特別捜索本部の設置にあたり、親族の方のご挨拶したく思い、参上しました」
刀夜「はぁ」
ステイル「シスターアニェーゼ、日本語が苦手なら、僕が代わりに説明しようか?」
アニェーゼ「い、いえ。ここは私に任せちまってください」
刀夜「よく分かりませんが。まあ、立ち話もなんですし、どうぞお入り下さい」
324 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:07:28.26 ID:Oj0ZXsDO
小萌「シスターちゃん!」
来客の中にインデックスの姿を認め、小萌が驚きの声を上げる。
インデックス「こもえ……」
小萌はトテトテとインデックスに駆け寄ると、その小さな腕で、彼女をぎゅっと抱きしめた。
小萌「心配したんですよ。上条ちゃんと一緒にシスターちゃんまでいなくなっちゃうんですから」
インデックス「ごめん、こもえ」
インデックスの顔に笑顔が無い。
例えお腹が空いているときでも、こんなに元気の無い姿は見せたことが無かったというのに……。
刀夜に案内され、三人はソファーに腰掛けた。
安定した掴まりどころを得た為か、アニェーゼが安堵の息を漏らす。
325 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:09:15.75 ID:Oj0ZXsDO
アニェーゼ「自己紹介しちまいますね。
私は特別捜索本部イギリス清教側の責任者でアニェーゼ=サンクティスです」
ステイル「僕はステイル=マグヌスだ」
ステイルの預かり知らぬ事だが、実はステイルと上条夫妻は面識がある。
ただ、エンゼルフォールの発動期間中であった為、中身は神裂火織で、外側だけがステイルの姿という歪んだ形での面識なのだが。
刀夜と詩菜の中では、ステイルはシナをつくる女の子っぽい恥ずかしがり屋な外人さん、といったイメージが定着している。
以前、海の家で会った時は、神裂と名乗っていたはずなんだが、偽名だったのだろうか?
刀夜はそう思いつつも。そこを言及しても、話が進まないと考えたので、一先ず保留しておく事にした。
326 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:09:57.23 ID:Oj0ZXsDO
アニェーゼ「自己紹介しちまいますね。
私は特別捜索本部イギリス清教側の責任者でアニェーゼ=サンクティスです」
ステイル「僕はステイル=マグヌスだ」
ステイルの預かり知らぬ事だが、実はステイルと上条夫妻は面識がある。
ただ、エンゼルフォールの発動期間中であった為、中身は神裂火織で、外側だけがステイルの姿という歪んだ形での面識なのだが。
刀夜と詩菜の中では、ステイルはシナをつくる女の子っぽい恥ずかしがり屋な外人さん、といったイメージが定着している。
以前、海の家で会った時は、神裂と名乗っていたはずなんだが、偽名だったのだろうか?
刀夜はそう思いつつも。そこを言及しても、話が進まないと考えたので、一先ず保留しておく事にした。
327 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:11:40.05 ID:Oj0ZXsDO
アニェーゼ「自己紹介しちまいますね。私は特別捜索本部イギリス清教側の責任者でアニェーゼ=サンクティスです」
ステイル「僕はステイル=マグヌスだ」
ステイルの預かり知らぬ事だが、実はステイルと上条夫妻は面識がある。
ただ、エンゼルフォールの発動期間中であった為、中身は神裂火織で、外側だけがステイルの姿という歪んだ形での面識なのだが。
刀夜と詩菜の中では、ステイルはシナをつくる女の子っぽい恥ずかしがり屋な外人さん、といったイメージが定着している。
以前、海の家で会った時は、神裂と名乗っていたはずなんだが、偽名だったのだろうか?
刀夜はそう思いつつも。そこを言及しても、話が進まないと考えたので、一先ず保留しておく事にした。
328 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2010/11/13(土) 03:12:56.78 ID:IkW9isso
どんだけ大事なことなんだよ
329 :
すまんミスりました
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:14:15.85 ID:Oj0ZXsDO
刀夜「お三方ともイギリス清教の所属の方なんですか?」
インデックス「そうなんだよ」
詩菜「インデックスちゃんはイギリス清教のシスターさんだったのね」
インデックス「うん」
刀夜「インデックスちゃんは学園都市の生徒じゃなかったのかい?」
ステイル「この子は諸事情あって、世界中の様々な組織から命を狙われているんだ。
三ヶ月前、彼女が学園都市に逃げ込んだ時、上条当麻と出会った」
インデックス「その時から、当麻は私をずっと自分の家に匿って、守ってくれていたんだよ」
330 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:18:24.70 ID:Oj0ZXsDO
書き込みエラーって出たもんだから、更新せずに連投してしまいました。
しかし三回…OTZ
331 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:19:14.00 ID:Oj0ZXsDO
刀夜「そうか。どうりで……いくらご近所さんだといっても、親しすぎる気はしてたんだ。
でもどうしてうちの息子が……警察には相談したのかい?
それにイギリス清教の所属ならイギリスは守ってくれないのかい?」
ステイル「複雑な政治的理由とか、込み入った事情があってね。
僕としても、あんな素人にこの子の護衛を任せるなんて反対だったんだけど。
仕方なかったんだよ」
刀夜「そうですか。じゃあ、もしかして、当麻はイギリス清教の問題に巻き込まれてしまったんですか?
行方不明になったのもその為に?」
インデックス「ごめんなさい……とうまは、私を」
インデックスの言葉を遮るように、ステイルが口を挟んだ。
332 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:21:16.50 ID:Oj0ZXsDO
ステイル「すまないが、上条当麻が行方不明になった経緯について、僕達は話す事が出来ない。
そういった権限は与えられていないんだ。
でも、貴方が想像した通り、この件にイギリス清教が深く絡んでいる事は否定しない」
詩菜「当麻さんは無事なんですか?」
アニェーゼ「現在調査中です。
上の報告ではその……テロリストに拉致された可能性が高いという話ですんで、
今はイギリス、学園都市の各組織が総力を挙げて危険因子の洗い直しを始めているってとこです」
刀夜「テロリスト!?……身代金の要求とかは?」
333 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:23:01.26 ID:Oj0ZXsDO
アニェーゼ「いえ、今んところは何も。
それに、やっこさんは恐らく身代金の要求なんかはしてこねえでしょうね……」
刀夜「どうゆう事ですか?」
ステイル「上条当麻の価値っていうのは、金銭で代えが利くようなものじゃないんだよ。
あの男の右腕は、戦略核ミサイルを遥かに超える価値を持っている」
刀夜「右腕!?……またか、またあの右腕がっ!!」
刀夜は切れそうな程に、唇をかみ締める。
まだだ、またあの右腕が息子に不幸を運んできた。
何より、その不幸を取り除いてあげられない自分の無力さが腹立たしかった。
334 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:24:33.95 ID:Oj0ZXsDO
確かに、あの日、海の家で、上条当麻は幸せだと言った。
このすばらしい不幸を取り上げるな、と言った。
それが息子の生き方なら、受け入れるのも親の役割なのだろうと。そう思った。
ならば、この状況はどうなのだろう。これすら受け入れなければならないのか。
そんな事は無い筈だ。あってはならない。
ステイル「しかし、逆に幸運だとも言える。
仮に敵の目的が上条当麻の右腕だとしたら、あの男の命だけは保障されている。
あの右腕をどうするつもりかは知らないが、何をするにも、時間がかかる。
上条当麻を拉致した連中は、今、逃げ隠れするので精一杯のはずだ」
刀夜「当麻に危害が加えられる前に助け出すと?」
ステイル「そうだ。その為に僕達がいる」
335 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:27:19.30 ID:Oj0ZXsDO
アニェーゼ「これをお受け取りください」
アニェーゼと名乗ったシスターが、懐から手のひら大のケースを取り出した。
中に貴金属で作られた勲章が入っている。
詩菜「これは?」
アニェーゼ「イギリス王室は、上条当麻にナイトの称号を与える事に決定しました。
正式な授与は、女王の誕生日に行われる予定ですが、
先立ってこの星章をご両親に手渡すようにとの、エリザード女王からのお達しです。
”私自身、子を持つ親として、ご両親の心中お察しする。
イギリスは、国の威信に賭けて上条当麻を必ず救出してみせる。
この星章はその確約の証として納めて欲しい”との事です」
336 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:29:29.80 ID:Oj0ZXsDO
刀夜「イギリスの女王陛下が?」
ステイル「女王としてはブルーリボンを与えたくて仕方なかったみたいだけどね。
功績が公に出来ない上に一国の君主でもない男には、
ブルーリボンは与えられないって騎士団長に止められて、
しぶしぶその星章になったみたいだよ」
今回に限り、騎士派がやけに協力的なのは気味が悪いけどね。
ステイルはそう言葉を締めくくった。
実際、非公式とはいえ、功績の明かせない人物にナイトの称号を与え。
さらに、女王しか執り行う事が出来ない。その星章の授与を、清教派の人間に託したのだ。
前代未聞の事態だ。
本来なら、騎士派の反発は避けられない。
裏で、騎士派と清教派を橋渡しした人間がいる筈だと、ステイルは睨んでいた。
そう、例えば土御門元春あたりの人間だ。
337 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:31:27.24 ID:Oj0ZXsDO
詩菜「当麻さんは一体、何をしたんですか?ナイトの称号なんて、ただの学生が戴けるものではないでしょうに……」
アニェーゼ「いろいろあり過ぎて、どの功績に対するものなのかよく分かりませんけど、
素直に受け取っていいと思いますよ。
あの少年は肩書きとかを気にするような性格じゃねえですし。
もし、不要だというのなら、売却すればかなりの金になりますし」
ステイル「馬鹿を言うな!国際問題になるぞ!」
アニェーゼ「冗談ですって」
咥えタバコを噛み千切ってしまいそうな勢いのステイルを、アニェーゼがなだめる。
338 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:33:06.31 ID:Oj0ZXsDO
ステイル「用件はこれだけだ。僕達は、仕事があるのでこれで失礼させてもらうよ」
刀夜「どうか、息子をよろしくお願いします」
上条夫妻と小萌は深々と頭を下げた。
アニェーゼ「安心して待っていてください。必ず取り戻しますんで」
アニェーゼが三人に向けて力強い笑顔を返してから、退室しようとする。
インデックスもそろそろと立ち上がり、二人の後ろを追った。
小萌「シスターちゃんも行っちゃうんですか?」
インデックス「うん。これが私の本来の仕事だし。
それに当麻が困ってるなら、私が助けてあげなきゃ」
詩菜「無理はしないでね」
インデックス「うん」
339 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 03:34:02.66 ID:pkIM/rk0
上条さんがナイトとかマジ胸熱
340 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:34:59.75 ID:Oj0ZXsDO
御坂サイド ―アメリカ西部沿岸―
御坂達はアメリカ西部の沿岸部にある港にいた。
御坂、白井、五和を除いた面々は、情報収集の為に、アメリカ全土にあるそれぞれの持ち場に散らばっていった。
御坂「駄目、やっぱり繋がらない」
御坂美琴は父、御坂旅掛の携帯電話に電話をかけながら、渋い顔をする。
旅掛の携帯電話の電源は入っているのだが、竜神の張った結界。
アエギディウスの加護により通信が阻害されている。
白井「困りましたわね」
五和「お父様がどちらに宿泊されているかわかりますか?」
341 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:36:56.84 ID:Oj0ZXsDO
御坂「さっき、調べてみたんだけど。チェックインしてるホテルは分かったわ」
五和「では、まずはそちらを当たってみましょう。何か分かるかもしれません」
御坂「ごめんね、アイツの探索だけでも大変なのに」
五和「いえ、いいんです。
情報収集は天草式総出で行っていますので、私一人抜けただけでは、あまり影響はありませし」
御坂「でも、五和さんはアイツの探索を優先したいでしょ?」
五和「確かに、それはそうなんですけど。でも、私はこれでいいんです。
上条さんに会った時、胸を張って会えるように。
あの人が命を張って助けた女として、上条さんが誇れるくらいいい女になるって決めましたから。
自分の都合ばかりで、他人の幸福を考えられない。そんなつまらない女にはなりたくないんです」
342 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:38:51.04 ID:Oj0ZXsDO
白井「はぁー。まったく、あの類人猿ときたら。本当に罪深い男ですこと」
五和「それにしても、魔術師が側にいるかもしれないというのは本当なんですか?」
御坂「うーん。あんまり自信ないんだけど。
もし私が聞いた声があの男のものなら、たぶんそういう事だと思う。
アイツがあの男を、アステカの魔術師って呼んでるのを聞いた事あるもの」
五和「アステカの魔術師ですか……。
確かに、アステカには人に皮を被る事で、他人に成りすます事が出来る魔術が存在すると聞きますし。
ありえない話ではないですね」
白井「うっ!ひ、人の皮を被るんですの!?」
343 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:40:36.55 ID:Oj0ZXsDO
五和「ええ。詳しくはないんですけど。
おそらく、他人の皮の一部を霊装に組み込む事でそういった効果を得ているんだと思います」
御坂「そうよ!海原光貴もそいつに皮を剥されたって言ってた!」
五和「……急ぎましょう。
状況がよく分かりませんが、魔術師が絡んでいる以上楽観視はできません。
それと、その海原光貴さんの人相は分かりますか?」
御坂「財界人の御曹司だから、ネットを漁れば写真くらいは見つかると思うけど」
344 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 03:41:15.52 ID:pkIM/rk0
やっと御坂の本物の海原に対する誤解が解けたな
345 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:42:35.25 ID:Oj0ZXsDO
五和「必要悪の教会に連絡をとって、その男性を指名手配してもらいましょう。
今朝学園都市にいて、今夜アメリカにいたとなると、それなりの移動手段を持っているとみていいでしょうし。
今もアメリカにいるとも限りません、世界規模で捜索する必要があります」
御坂「そんなに大事にしても大丈夫なの?」
五和「別に捕り物をしようって訳ではありません。
運よく見つけられたら、任意の事情聴取をしてもらおうってだけですから、問題はありませんよ」
御坂「うーん、じゃあお願いするわ。画像は私が今から探すから」
五和「はい」
こうして、海原光貴の顔写真が必要悪の教会に出回ることになった。
これが、竜神とエツァリの旅路にどのような影響を与えるのか、彼女達は知らない。
346 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:44:18.62 ID:Oj0ZXsDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
深夜二時半、ホテルの部屋で、旅掛は竜神にくだをまいていた。
内容は、嫁である美鈴の愚痴だか惚気だかよく分からない話と娘と上条の関係についての話だった。
酒臭い息を竜神に吐きかけながら、怒鳴りつける。
口は勇ましいものの眠気が襲ってきているのか、体がフラフラと揺れ、目の焦点があってない。
旅掛「いいか!?ぜーったい美琴ちゃんに手ぇーだすんじゃねえぞ!」
竜神「はいはい。分かってますよ」
上条『これでこの話題何回目だよ……』
竜神『さあな。5回過ぎたあたりから数えてない』
347 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:45:57.73 ID:Oj0ZXsDO
上条『完全にできあがっちまってるな』
旅掛「むにゃ……すぅー」
旅掛はソファーに倒れこみ眠ってしまった。
上条『ついに寝ちまったか』
竜神『とりあえずベットに運んどくか。風邪ひかれても困るし』
上条『頑張れー!』
竜神『完全に他人事だな……』
竜神は旅掛の腕を肩に回し。ベッドルームまで移動させる。
竜神『っつか重っ!その上酒くせー』
なんとか、ベッドの上に運び、布団をかける。
旅掛はむにゃむにゃ寝言を言いながら、布団を掴み、頭まで包まってしまった。
竜神「とりあえずこれで大丈夫か……」
348 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:47:30.27 ID:Oj0ZXsDO
これから自分のモーテルに帰るのも面倒だったので、竜神はリビングに戻りソファーに寝転がる。
このままここで朝まで過ごそうと考えたのだ。
上条『明日からどうするんだ?』
竜神『情報を提供してくれる組織を捜すのが第一目標のつもりだったんだけど、いきなり引き当てちまったからな。
原石の情報が手に入っただけでも、かなりの進展だよな』
上条『アックアの幸運って半端ねえな』
竜神『上条さんの悪運だと思うんだけどな……まあ、どうでもいいか。
後は、旅掛さんのボディーガード代わりを探す必要があるな』
上条『ボディーガード?』
349 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:48:59.22 ID:Oj0ZXsDO
竜神『旅掛さん自身は、それなりに自分の身を守る手段は持ってるんだと思う。
刺客から身を守る護身術じゃなくて、目をつけられないように、狙われないようにする技術だな。
じゃなきゃ、あれだけ詳しい情報は集められない。
でも、これ以上踏み込めば、学園都市から暗殺されかねない。
超能力者や魔術師相手に逃げおおせるだけの、備えは必要だろ』
上条『具体的には、どんなヤツをあたるんだ?それに雇うなら金が必要だろ?」
竜神『利害が一致してる武闘派の組織をあたれば何とかなるんじゃないかと思うんだけど。
心当たりが無いわけではないし』
350 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:51:21.73 ID:Oj0ZXsDO
上条『心当たり?それって竜神さんの記憶にある組織か?』
竜神『いや。お前もよく知ってるヤツだよ。
もう手は打ってるんだけど……はっ!?
嘘だろ?もう来やがった!!』
上条『?』
竜神は危険を察知して、ドアからできるだけ距離をとる。
ソファーの影に飛び込んだとき、轟っという風が唸る音と共に、入りぐちのドアが木っ端微塵に吹き飛んだ。
竜神が張っていた結界を、物ともしない一撃だった。
暴風が部屋の中に吹き荒れる。
結界による加護を失った今、素顔をさらすのは不味いと考えた竜神は、咄嗟に海原光貴の姿に戻る。
「こそこそしてないで出て来な!!この化物が!!」
351 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:53:56.49 ID:Oj0ZXsDO
その声の主。黄色の古めかしいドレスを身に纏った女は、重そうなハンマーを軽く振り回しながら、堂々と廊下を歩いて来る。
ありったけの憎しみを込めたような声で、竜神を罵倒し始めた。
「気色悪いんだよ。
術式を使った痕跡は残すくせに。
使おうとした痕跡がない。
魔術の結果だけ残しやがって!」
部屋に踏み込むと同時に、入り口の壁に向かって怒りをぶつける。
見えないハンマーによって、壁が粉々に砕け散り、壁面から広がった無数の亀裂が建物全体に広がっていく。
建築素材の鉄骨がむき出しになり。
衝撃だけで備え付けの家具家電が散乱し、まるでこの部屋だけ内戦地帯のど真ん中にいるような有様だった。
「仕舞いにゃ“私の天罰”まで使いやがる。
ふざけんじゃねぇぞぉぉぉ!!」
352 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:55:55.11 ID:Oj0ZXsDO
上条『何でヴェントがここにいるんだよ!?ってか何でキレてんの!?』
竜神『カジノで天罰術式使ったろ?あれを感知して来たんだろ。
あの術式は体をいじった特殊な人間しか使えない術式だからな。
その使い手が、感知できても不思議じゃない。
電撃使いが電撃の攻撃を察知できるようなもんでな。
ってかそれを狙ってたんだけどな』
上条『はぁ?あの時天罰使ったのはヴェントに俺達の存在を教える為だったのか?
じゃあお前が言ってた組織って』
竜神『そう、神の右席。
あの時は、黒人のチンピラを倒せるし、ヴェントとも会えるかもしれない、これって一石二鳥じゃね、
とか思ってたんだけどな……』
353 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:57:27.75 ID:Oj0ZXsDO
上条『どうすんだよ!部屋めちゃくちゃじゃねえか!?』
竜神『こんなに早く来るとは思ってなかったんだよ!
精々アメリカ大陸におびき寄せられれば上等、くらいにしか考えてなかったからな。
あの様子だとどうやら随分前から追跡されてたみたいだ』
上条『ってか、旅掛さんが起きてこねえ。どんだけ図太いんだあの人』
竜神『起きて来られても面倒だけどな』
ヴェント「そこか!」
ソファーの影に隠れていた竜神にヴェントが気が付いた。
竜神は両手を挙げ、降参の意を示しながら、恐る恐る立ち上がる。
354 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 03:59:06.31 ID:Oj0ZXsDO
竜神「待てヴェント!話合おう」
ヴェント「てめぇをブッ殺してからな!!」
ヴェントがハンマーを大きく振りかぶり、竜神の脳天目掛けて振り下ろす。
明確な殺意をもった、一撃必殺の鉄槌。
竜神「クソッ!」
竜神は右手にベクトル操作を集中させ、ヴェントのハンマーをなぎ払おうとする。
一方通行のベクトル操作だ。
全身に適応させる事も出来るのだが、
それをしてしまうと、反射した攻撃によって、ベットルームで寝ている旅掛や、ヴェント自身を傷つけてしまう恐れがあった。
細心の注意を払い、反射するベクトルの向きを演算する。
355 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:00:40.99 ID:Oj0ZXsDO
ヴェントのハンマーの軌道は、舌のピアスと連動した特殊なものだが、一度戦った上条ならばその軌道を予測する事が出来る。
その様子を上条の中から見ていた竜神にしても同じ事だ。
縦に振るわれたハンマーの動きとは裏腹に、衝撃は竜神の右から横なぎにやってきた。
眼に見えない一撃に、竜神は右手を合わせる。
ヴェントのハンマーは、虹色の物体に変換され。竜神の右手をぬめりっと滑るように通りすぎていく。
しかし、攻撃に使われている力の総量が桁違いなのか、反射がうまく機能しない。
ギチギチッっと右腕の骨が嫌な音を立てる。
竜神「クッ!!」
356 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:02:10.08 ID:Oj0ZXsDO
反射の膜をすり抜けた攻撃が、竜神の右手を切り刻んでゆく。
膨大な力の塊をやっとの事でやり過ごした時、竜神の上着の右袖はズタボロになり、皮膚には無数の切り傷が刻まれていた。
竜神「痛ってぇー!!クソッやっぱり俺じゃアイツみたいにはいかないか……」
ヴェント「へー。この一撃を防ぐか……。ますます忌々しい野郎だね」
ヴェントは目を細め、竜神の顔を睨みつける。
親の敵でも見るような鋭い視線に、竜神は思わず竦みそうになるが、今はそんな場合ではない。
決して少なくない血がしたたる右手を、ぎゅっと握り締めて、正面からヴェントと向き合う。
357 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:04:16.98 ID:Oj0ZXsDO
竜神「とにかく、俺の話を聞いてくれ!俺はお前と話がしたいだけなんだ!!」
ヴェント「ざけんじゃないよ!この悪竜が!!
アンタが何者か知らないけど、アンタみたいな存在を、この神の右席。
前方のヴェントが許すとでも思ってんのかい!?」
竜神「俺が竜だって事までバレてんのかよ」
ヴェント「まさかとは思ってたけど、直接この眼で見て確信した。
聖書にすら記載されてない異形の堕天使がっ!!」
竜神「確かに俺は聖書に載ってるような天使じゃない。
別の層に属してる存在だからな。
でも、それだけで殺そうなんて、ちょっと横暴すぎんだろ?」
ヴェント「黙れぇ怪物っ!!」
358 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:06:16.52 ID:Oj0ZXsDO
ヴェントはハンマーを振り上げ、力を溜める。
幾つもの空気の塊が捩れ、重なり、一つの大きな塊になっていくのが、素人の上条にも理解できた。
あれはやばい、へたをすれば一撃でこのホテルが倒壊するのではないか、
そう思わせる程のエネルギーがヴェントの頭上に集積していく。
竜神「いいから、ちょっと武器を置いてくれ!
このままじゃ、このホテルの客にも迷惑がかかる。
どうしても俺をぶちのめしたいなら、場所を変えよう!」
ヴェント「はっ!この私に命令形はないのよ!!」
ヴェントの腕に力がこもる。
359 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:08:10.09 ID:Oj0ZXsDO
竜神「チッ!わらず屋がっ!!」
ヴェントの腕が振り下ろされる寸前、竜神はヴェントを座標移動でテレポートさせる。
目標座標はホテルの前に広がる人工湖の中心。
ヴェント「なっ!!」
突然、外に飛ばされたヴェントは、そのまま水面に力を打ち付けた。
ゴォバァッっという激しい音と共に、人工湖の水面が割れる。
ヴェントの攻撃は湖の水と堆積していた泥を吹き飛ばすだけでは収まらず、湖の底の硬い地盤に大きな亀裂をつくり出した。
遅れて、凄まじい衝撃波と湖の水の津波、爆発的に拡散する水蒸気が湖の周辺を襲う。
周辺の道路を走行していた車は押し流され、湖に面したホテルの窓ガラスは軒並み粉々に割れてしまった。
360 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:10:15.87 ID:Oj0ZXsDO
竜神「……ハッ、ハッハッハッハッ。
テレズマのテレポートなんて初めてやったけど、
案外うまくいくもんだな……ってかあれ食らってたら確実に死んでたぞ」
上条『暢気な事言ってる場合かよ!』
竜神「そうだな。とりあえず、逃げるか……」
竜神は自身をテレポートで移動させ、ホテルの外に出た。
正面玄関の前にある噴水の上から、湖の底にいるヴェントを見下ろす。
361 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:12:17.81 ID:Oj0ZXsDO
渾身の一撃をかわされたヴェントは、怒り心頭といった面持ちで竜神を見上げ、睨みつけている。
自身が吹き飛ばした水が雨の様に降りそそぎ、ヴェントの体を濡らしていた。
9月30日。降りしきる雨の中戦った、あの時と同じように。
竜神「場所を移す!俺を殺したかったらついてきやがれ!」
ヴェント「クッソォ野郎ぉがっっ!!
善人ぶりやがってぇ。なめてんじゃねぇぞぉぉぉぉぉ!!」
テレポートで逃げる竜神。追うヴェント。
二人の命を賭けた追いかけっこが始まった。
362 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:14:26.44 ID:Oj0ZXsDO
エツァリサイド ―関東 某駅構内―
海原達三人は学園都市の南に位置する。とある駅にいた。
時刻は夕の六時。駅は帰宅する客で溢れている。
ショチトルとトチトリは仲良く手を繋ぎ。その二人を守るように海原が斜め前を歩く。
一見、普通に歩いているように見えるが、
海原の目は自然に辺りを警戒し、あらゆる危険を察知できるように緊張を保っていた。
ショチトル「とりあえず国外に出るつもりなのか?」
海原「ええ、教会の勢力範囲は危険ですので、東南アジア、
あるいは中国あたりに逃げられれば、と思っています」
ショチトル「ならば、飛行機か……。
何処かで適当な人間の皮を剥いで成りすますか」
363 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:16:10.27 ID:Oj0ZXsDO
海原「いえ。成りすますのはやめておきましょう。
必要悪の教会に目をつけられそうな行動は避けるべきです。
できうる限り、魔術は使用しないのが賢明でしょう」
ショチトル「じゃあどうするんだ?私達はパスポートなんか持ってないぞ」
海原「魔術を使用しなくても、密行する手段はありますよ。
一般の難民や密入国者と同じ方法を使えばいいんです」
ショチトル「パスポートを偽造するのか?」
海原「ええ。そういったブローカーはどの国にも存在するものですから。
最悪、そこらの漁船を奪取してしまえば、近隣のアジア諸国には行き来できるはずです」
364 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:17:54.68 ID:Oj0ZXsDO
ショチトル「では、目的地は海か」
海原「そうですね」
突然、ぐうぅっという音が鳴った。ショチトルの方からだ。
ショチトルは恥ずかしそうに頬を赤らめながら、つぶやく。
ショチトル「……エツァリ。お腹がすいた」
海原「そういえば、学園都市を出てから何も食べていませんでしたね……。
コンビニで何か買ってきましょうか。
ショチトル達はここで待っていて下さい。自分が適当に買ってきます」
ショチトル「私はあのおにぎりとかいうヤツが良い。魚の入ったヤツだ」
海原「シャケおにぎりですね」
365 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:19:40.46 ID:Oj0ZXsDO
駅構内に有るコンビ二は、人で溢れかえっていた。
あまりの混雑具合にうんざりしながらも、
ショチトルのリクエストであるおにぎりと自分とトチトリの食事と飲み物を購入し、
足早にショチトルの元へ向かう。
急がなければ、また彼女の機嫌を損ねてしまうと考えたからだ。
実際海原は、彼女と再開してから、彼女との距離の取り方を掴みかねている。
自分が裏切り者であるという負い目もあって、以前のように接する事が難しい。
ショチトルはショチトルで、事ある毎に海原に突っかかるようになった。
366 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:21:39.68 ID:Oj0ZXsDO
昔はあんなに、突っ張った性格ではなかったのですが、などと考え事をしていると、いきなり目の前を人影が横切った。
ぶつかりそうになった、金髪の女性が、大げさなリアクションをとりながら謝罪してくる。
見事にセットされた長い髪と、露出の多い服、といより水着のような格好が特徴的な女性だった。
「おっと、御免なさいね」
海原「いえ、こちらこそ済みません」
「あら、坊や……」
女性は海原の顔を見て怪訝な表情を作る。
海原「何か?」
「ううん。何でもないの。ちょっと知り合いに似てたものだから」
海原「そうですか……。連れを待たせているもので、自分は失礼します」
367 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:23:21.17 ID:Oj0ZXsDO
ひょっとすると本物の海原光貴の知り合いかもしれない。
そう予想しながら海原はその場を立ち去る。
これ以上会話を長引かせるのは不味いかもしれない。
「…………」
そんな海原の背中を、金髪の女性は、無言でじーっと見つめていた。
海原が、ショチトル達の元へ向かう途中。
海原の携帯電話が着信した。ディスプレイには登録3の文字。土御門からのコールだ。
海原「なんですか?」
土御門「海原。マズい事になった」
海原「?」
土御門「どういう訳か知らないが、海原光貴の顔写真が、必要悪の教会で出回っている」
海原「はあ?」
368 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:25:19.25 ID:Oj0ZXsDO
土御門「天草式経由でもたらせされた情報なんだが、
海原光貴に成り代わったアステカの魔術師が、アメリカで発生したトラブルに関わっている可能性がある。
って名目で、指名手配されている」
海原「なんですって?一体なんでそんな事に……」
土御門「俺にもさっぱり分からん。
ただ、今のところ関係者としての事情聴取が目的で、お前の身柄を拘束するような命令は出されていない。
もし、必要悪の教会の人間に見つかっても、手出しはするな。
適当にやり過ごせ」
海原「無茶言わないで下さいよ」
土御門「それが嫌なら、顔を変えろ。
すでにその顔は必要悪の教会全てに知られてると見ていい」
海原「……分かりました。何とかしてみます」
369 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:27:22.21 ID:Oj0ZXsDO
ショチトルとトチトリは、寄り添うように、駅構内のベンチに腰掛けていた。
ショチトル「遅いぞエツァリ」
海原「すみません。少し移動しましょう」
ショチトル「ここで、食べないのか?」
海原「ちょっと面倒な事になりまして。自分は急いで姿を変える必要が出てきました。
早急にこの場を離れて、人気の無い場所に移動しなければなりません」
ショチトル「なにがあったんだ?」
海原「後で説明します」
ショチトル「……分かった」
海原「さあトチトリも行きますよ」
370 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:28:57.36 ID:Oj0ZXsDO
海原達は急ぎ駅の敷地から遠ざかる。
駅周辺は人気が多く、魔術を使用するのに向いていない。
一分程歩いた時、ショチトルが海原に声を掛けた。
海原の方を見ずに、緊張の色が混じった小声で。
ショチトル「おい、エツァリ」
海原「ええ、つけられてますね」
トチトリと結んだショチトルの手がぎゅっと強く握り締められる。
トチトリが不安そうな顔で、ショチトルの横顔を見つめていた。
ショチトル「迎え打つか?今はまだ相手は一人みたいだ。二対一なら」
海原「いえ。相手の狙いは自分一人です。一端二手に分かれましょう」
371 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:30:16.91 ID:Oj0ZXsDO
海原は、携帯電話を取り出し地図アプリを起動させる。
海原「ここから一キロほど北に行ったところに公園があります。
二時間後、そこで落ち合いましょう」
ショチトル「エツァリ。無理はするなよ」
海原「ショチトルこそ。トチトリのことを頼みましたよ」
ショチトル「任せろ」
372 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:32:09.78 ID:Oj0ZXsDO
海原(このタイミングで自分達を尾行してくるという事は、相手は十中八九必要悪の教会の関係者でしょうね。
ショチトル達と一緒にいる所を見られた以上、
彼女達と他人の振りをするのは得策ではない……余計に怪しまれてしまう。
魔術師は自分一人だけ。
そう相手に思わせる事ができれば上出来です。
後は、相手を人気の無い所までおびき寄せてから、口八丁手八丁で誤魔化すしか手はないですね。
下手に自分が追っ手を振り切ってしまうと、相手の矛先がショチトル達に向いてしまう可能性がある。
それに、例え誤解からでも、必要悪の教会の人間を傷つけたとなると、
組織全体の敵としてリストアップされかねないですから、追っ手を始末するのもアウト。
相手がアステカの魔術に疎い魔術師なら良いのですが……)
373 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:33:32.05 ID:Oj0ZXsDO
海原は通りに向かって手を挙げて、タクシーを捕まえる。
ポケットから現金を取り出し、追っ手にも聞こえるくらいの声でショチトルに話しかけた。
海原「お先にどうぞ。それとこれはタクシー代です」
海原の意図を理解したショチトルは、それにあわせることにした。
ショチトル「すまない」
海原「いえいえ。それでは、妹さんもお体をお大事に」
トチトリ「…………」
そう言って、トチトリの頭を軽く撫でると、二人をタクシーの中に誘導する。
手を振りながら発進する車を見送ると、合流地点である公園とは反対の方向へと足を向けた。
374 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:35:12.34 ID:Oj0ZXsDO
追っ手が自分について来ている事を確認しながら、できるだけ人気の無い方へと突き進む。
しばらく、歩くと、横目に建設途中のビルが見えた。
現在、工事は行なわれていないらしく、重機の動く音はおろか、人の気配も無い。
土御門の情報が確かならば、問答無用で戦闘になることは避けられそうだが、相手がどのような人間か分からない。
元々必要悪の教会は、拷問に特化したセクションが存在する。
そういった部署に勤める人間ならば、単なる事情聴取に留まらず、拷問の類によって情報を聞き出そうとするかもしれない。
そうなれば、戦闘はさけられない。
迎え打つには好都合だ。
そう考え、海原は建設現場へと足を踏み入れた。
375 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 04:35:47.13 ID:ggae.Wk0
オリアナ様様か?
376 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:37:07.33 ID:Oj0ZXsDO
海原「そろそろいいでしょう。出てきてはどうですか?」
海原が振り返ると、建築資材の影から、若い女性が現れる。
駅でぶつかりかけた、あの女性だった。
「あら、こんな人気の無い所に連れ込まれて。お姉さん何されちゃうのかしら?」
海原「勝手について来たのは、そちらでしょう?」
「そっちから誘っておいて、女のせいにするなんて、関心しないわね」
海原「自分に何の用ですか?」
オリアナ「ちょこっと、坊やとお話がしたいだけよ。
お姉さんの名前はオリアナ=トムソン。
今は必要悪の教会に雇われてる協力員ってとこね。
あっ、坊やは失礼だったかしら?
貴方、皮被ってるから大人かどうかも分からないのよね」
オリアナは、手持ち無沙汰に右手で単語帳を玩びながら、不敵な笑みを漏らした。
377 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/13(土) 04:39:20.49 ID:Oj0ZXsDO
ってなところで、今日はここまで
ここまでのまとめ
御坂美琴
→現在、ラスベガスにいる父の元へと移動中。五和の助言で、海原光貴を指名手配してしまう。
海原光貴
→指名手配されたせいで、必要悪の教会の人間に目をつけられた。ショチトル達を守る為、自分一人で追っ手を誘きだす事に。
現在、人気の無い所で、大人のお姉さんと密会中。
インデックス
→学園都市に到着。上条夫妻、小萌と再会する。
竜神当麻
→鬼嫁に浮気現場に踏み込まれた浮気性の夫みたいな状況に陥る。
ツンデレお姉さん系のヴェントと追いかけっこ中。
ヴェントによって美琴のお株が奪われつつあるような気がしないでもない。
では、また来週にでも来ます。
378 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 04:41:55.00 ID:pkIM/rk0
皮被ってるとかエロいな
379 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 04:47:22.47 ID:ggae.Wk0
来週までお預けか〜楽しみすぎる
380 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 15:26:24.06 ID:hWlMM.co
エツァリが悲惨すぎるだろ…
381 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 15:28:22.89 ID:hOvWrBUo
他でもない美琴の仕業だしな
まあでもエツァリなら「御坂さんの仕業なら仕方がないですねHAHAHA」で済ませて隣の義妹たちにトラ槍でバラバラにされそう
382 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 15:34:17.36 ID:FIvXCwDO
正確には五和の助言だけどな。
383 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 16:55:00.41 ID:.W0rOQMo
…一番悲惨なのは本人じゃね?
384 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2010/11/13(土) 18:15:11.81 ID:k7i/ZHs0
かなり高い再現率だけど、22巻のあとがきの「次は『救った後』の世界です!!」に合ってないんだよな
個人的に23巻は章と章の間みたいな感じかなと予想してるんでこのssは、当たってるとしたら、24巻あたりの展開になりそう
385 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 08:09:32.42 ID:HDt8gLE0
この作品での幻想殺しの解釈がよく解らない。
竜神→天使?
上条→中の人を抑える為の力。原石としての力。
幻想殺しは何?
386 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 12:43:03.49 ID:lqxWvx2o
異能の力をコピーするもの……みたいな描写があったような
387 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/15(月) 14:12:06.68 ID:tFoY2dco
原作だとヴェントって魔術使えなくなったりすんのかな?
388 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/16(火) 00:00:03.38 ID:Rw4pahE0
>>385
最初の方よめば分かるよ
表現・比喩・例も原作から持ってきてるので非常に分かりやすい
389 :
385
[sage]:2010/11/16(火) 10:01:58.91 ID:XLJbEYY0
上条さんが原石としての力で打ち消した異能を、
竜神さんが使えるようにする為の機構でFA?
390 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/16(火) 22:06:49.68 ID:kOuRzSo0
いやオーディエンスで
391 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/18(木) 02:21:45.24 ID:DtY2wCQ0
r
392 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/20(土) 10:17:52.85 ID:pOIEHtk0
そろそろ一週間だな
wktk
393 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 21:07:19.83 ID:DhyOUGo0
今日来ないかな?
394 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/21(日) 21:35:11.93 ID:4/vY3x.o
待ってるよ〜!!ってミサカはミサカは期待してみたり!
395 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/22(月) 17:07:30.36 ID:zZjfnFA0
マダー?
396 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/22(月) 22:44:40.27 ID:tcrSjvUo
>>377
あれがツンデレだと…
397 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/23(火) 00:31:04.76 ID:IVFYuCIo
まぁヴェントはヤンデレだよな
ってか続きまだ〜?
398 :
◆nQU5UhdK.c
[saga]:2010/11/24(水) 03:37:59.31 ID:OPsrcgDO
すみません遅くなりました
誰もいないでしょうが投下します。
399 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:38:29.21 ID:OPsrcgDO
インデックスサイド ―学園都市―
学園都市内部のとある公園に設置された複数のテントの中の一つにインデックス達がいた。
学園都市からは、ホテルなどの設備を貸し与えてもらっていたのだが、
慣れない施設で行うより、こちらの方が遥かに効率的だから、という理由で野営する事になったのだ。
しかし、実際は、学園都市による盗聴盗撮によって魔術サイドの守る『神秘』が盗まれるリスクを避ける為の措置だった。
戦争が終わったとはいえ、両者にはまだ緊張の糸が張り詰めたままだ。
400 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:40:22.57 ID:OPsrcgDO
アニェーゼ達はこのテントの中で、世界中から送られてくる情報を取りまとめ分析している。
特殊な術式を使い、世界全体の魔力の流れを監視していたルチアがぴくりっと動いた。
ルチア「北アメリカ西部にて、膨大な量のテレズマ反応があります!」
アニェーゼ「詳細は出ますか?」
ルチア「今やってます。場所はアメリカ、ラスベガスの中心部。対象は南西部に向かって高速で移動しているようです。
しかし、周囲に拡散しているテレズマの量が多すぎて、こちらの術式との干渉を引き起こしています。
鮮明な情報は得られ無いかもしれないですね」
401 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:41:44.18 ID:OPsrcgDO
ルチアの隣で、サポートをしていたアンジェレネが、おどおどした感じで、報告を上げる。
アンジェレネ「え、遠視による像の投影に成功しました!」
アニェーゼは、アンジェレネに近寄ると、彼女が映しだした像を覗き込む。
アニェーゼ「ちっ!ノイズがひどいですね。
……これは。すぐにこのデータを、必要悪の教会にあるデータベースと照合しちまって下さい」
アニェーゼの隣に佇んでいたインデックスもまたその像を覗き込む。
その後ろには、ステイルがぴったりと張り付いている。
402 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:42:51.00 ID:OPsrcgDO
ステイルの任務は、上条当麻の探索に加えて、インデックスの護衛もある。
というより、ステイル本人にとってはインデックスの護衛の方が重要だった。
例によって、インデックスが使用するテントの全てに、大量のルーンのカードが貼り付けられている。
インデックス「この人てれびで見たことある!
9月30日に、この街を襲撃した前方のヴェントだよね?とうまと戦ったローマ正教の魔術師」
アニェーゼ「そうみたいっすね。問題はこの女と戦ってる男。
コイツは何者でしょう?神の右席っていえば、天使の術式を使う化物クラスの魔術師でしょうに……」
403 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:44:03.54 ID:OPsrcgDO
ルチア「照合結果でました。やはり、女の方は前方のヴェントで間違いないようです」
アニェーゼ「男の方は?」
ルチア「この男と外見が一致する魔術師は登録されていないようですね……。
生命力のパターンにも該当者なしです」
ルチアは険しい顔をつくる。隣のアニェーゼも同様に、同じ事を考えていた。
アンジェレネ「あの……」
アニェーゼ「こりゃ当たりかもしれないっすね。
必要悪の教会にも登録されていない、神の右席レベルの魔術師。
……何で前方のヴェントと戦ってるのかは知りませんが」
404 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:45:08.37 ID:OPsrcgDO
ルチア「付近にいる部隊に連絡を入れますか?
現在、北アメリカ大陸には天草式が展開しているはずです」
アンジェレネ「聞いて下さい!」
アンジェレネの叫びも空しく、アニェーゼは勝手に話を進める。
アニェーゼ「ええ、ラスベガス付近に待機するように伝達してください。
相手は天使クラスの化物です。普通に戦っても勝ち目はありません。
戦いの決着がついてから、弱ったところを一網打尽にしちまいましょう」
ルチア「分かりました」
405 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:46:25.65 ID:OPsrcgDO
業を煮やしたアンジェレネが、ルチアの後ろに回りこみ。彼女の修道服の裾を捲り上げた。
アンジェレネ「ち、ちゅうもぉぉーく」
ルチア「…………」
突然の出来事に、ルチアを含めたその場の全員がフリーズする。
テントの中にいる全ての人間の視線が、彼女のフリフリのついた白いパンツと艶かしい太ももに釘付けになっていた、
二秒ほどたってから、ようやく状況を飲み込めたルチアが、顔を真っ赤にして、スカートを手で押さえながら、アンジェレネに食って掛かる。
406 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:47:37.29 ID:OPsrcgDO
ルチア「シ、シスターアンジェレネ!!何をするんですか!?」
アンジェレネ「だ、だって、誰も私の話を聞いてくれないから……」
ルチア「女子寮ならともかく、ここには殿方もいるのですよ!!」
ルチアが横目でチラチラとステイルの方を見ながら怒鳴る。その瞳は心なしか涙ぐんでいるようにも見える。
とうのステイルはというと、つまらなさそうに真新しいタバコに火をつけながら、溜息をつく。
ステイル「ああ、僕の事なら気にしなくていいよ。見てないから。興味もないし」
ルチア「…………」
407 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:49:14.71 ID:OPsrcgDO
アニェーゼ「それはそれでどうなんでしょかね?」
話を振られたルチアは
“それでいいのです。神父たるものそうでなくては……しかし、何でしょうこの敗北感は。
とにかく、シスターアンジェレネは後で百叩きですね”
などと小声でごにょごにょいいながら、己の中の何かと戦っていた。
しばらく、そうして悩んだのち、この鬱憤を全て元凶たるアンジェレネに向ける事を決めたのか、彼女に向き直って問い詰める。
いつも以上の剣幕で睨みつけてくるルチアに、アンジェレネはすでに涙目になっていて、“ひっ”と怯えた声を上げた。
猫背で華奢な彼女の体が、ますます縮んで見える。
408 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:50:37.06 ID:OPsrcgDO
ルチア「それで。私のスカートをめくってでも聞いて欲しい。大切な話とはなんですか?シスターアンジェレネ?」
アンジェレネ「は、はい。一時間程前、天草式から送られて来た、とある事件の重要参考人の顔写真と、この男性の顔が一致してるんです」
アニェーゼ「何ですって?一体何の事件ですか?」
アンジェレネ「く、詳しい事は天草式でも把握できていないようなのですが。
どうやらラスベガスの一般人が魔術師のトラブルの巻き込まれたようで、その事件の重要参考人という事です。
資料には、その人物はアステカの魔術師で、学園都市の学生の姿に成りすまして活動している可能性があると、補足されてます」
409 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:51:46.59 ID:OPsrcgDO
アニェーゼ「では、その顔写真というのは、学園都市の学生の姿を写したものなのですか?」
アンジェレネ「そのようです」
インデックス「待って。アステカの魔術師……。
そういえば、8月31日にとうまの命を狙ってきたアステカの魔術師がいたはずなんだよ!」
アニェーゼ「それは本当ですか?」
インデックス「私の完全記憶能力は知ってるでしょ?
あの時は、けいたいでんわ越しに特徴を聞いただけだけど。
とうまは間違いなくアステカの魔術師と戦ってる。
魔術で変装した、トラウィスカルパンテクウトリの槍のレプリカ使いだよ」
410 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:53:22.85 ID:OPsrcgDO
アニェーゼ「その魔術師がその後どうなったか知ってますか?
あの少年の事ですから、始末したわけじゃねえでしょうし」
インデックス「知らない。
とうまは、問題は片付いたから心配するなってしか言わなかったもん」
アニェーゼ「そうですか……。
とにかく、そのアステカの魔術師の身柄を確保して事情を聞く必要がありそうですね」
ルチア「私が各隊に通信してきます」
アニェーゼ「よろしくお願いします」
捜索本部全体が慌しく動き始めた。
そんな中、インデックスは映し出されてくる、ぼやけたノイズ交じりの像をを見つめていた。
411 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:54:44.49 ID:OPsrcgDO
少しでも情報を得たいという彼女なりの思いが在った為だ。
人の動作というものは、どんな人間でも、必ずクセというものが存在する。
歩いたり走ったりするときのフォームが人によって違うように、それは人によって様々だ。
インデックスはその完全記憶能力によって、見た人間全てのクセも記憶している。
だからこそ、気が付いてしまった。
映しだされるアステカの魔術師の像を見ながら彼女は小さく首をかしげる。
インデックス「……とうま?」
412 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:55:55.48 ID:OPsrcgDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
竜神はハイウェイ沿いにラスベガスの街を南下する。
トラックやタンクローリーなど比較的大きな車を足場にして、テレポートで移動しながら、
ヴェントとの距離をとろうとするのだが、流石は神の右席。瞬間的に離した距離をあっという間につめてくる。
一度接近戦になると、ホテルの時の二の舞だ。決して近づかれる訳にはいかない。
チラチラと後ろを振り返りながら、二トントラックの上に瞬間移動する。
しかし、座標指定が大雑把だったため、想定していた座標より二メートル高い位置に出てしまった。
413 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:57:11.05 ID:OPsrcgDO
他人の能力をコピーしているだけの竜神では、細かい調整ができないのだ。
竜神「うをっ!!また変な所に跳んじまった!?」
上条『このへったくそ!!』
竜神の身体とトラックの相対速度にはズレがある。
二メートルという短い距離を落下する間にも、トラックは竜神を置いて走り去ってしまいそうだ。
このままだと、地面に叩きつけられてしまう。
竜神「うおおおおおおおォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
意味もなく叫び声を上げながら、空中で足掻く。
414 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 03:59:02.74 ID:OPsrcgDO
ゴンッっと、トラックの荷台を若干へこませながら、辛くも荷台後部に着地するが、
今度は足場の速度が速すぎて、足払いをかけられたような形で、ずっこけてしまった。
竜神「ハッ!くそっ!!」
荷台から転げ落ちる寸前、咄嗟に荷台のふちに両腕でしがみ付いた。
掴まりどころのない、つるつるした金属製の屋根にかろうじて引っ掛かる。
足場のない不安定な状態で、必死にトラックにぶら下った。
竜神「やばいっ!!落ちるっ、落ちるぅぅぅ!!」
415 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:00:18.81 ID:OPsrcgDO
手を離せば、地面に落下する。
ベクトル操作の反射で、全身を覆いさえすれば、怪我をする事はないだろうが、もたもたしているうちに、ヴェントに追いつかれてしまうだろう。
後ろからせっつかれる感覚に、気ばかりが焦る。
そのまま匍匐前進するように、腕力だけをつかって身体を引きずるように荷台の上へと這い上がろうと試みる。
全身から嫌な汗がでて、余計に手が滑る。
肝を冷やしながらも、なんとか荷台の上に上りきる事ができた。
竜神「はぁ。危っぶねえ!死ぬかと思った……」
416 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:02:50.28 ID:OPsrcgDO
腹ばいになり、車の天井に張り付いた状態で、後ろを確認すると、300メートル程後方にヴェントの姿が見える。
竜神「クソッ!速いな……。
80メートルくらいのテレポートじゃすぐに追いつかれちまう。
アイツ、風でも操ってブースターみたいに使ってんのか?」
上条『お前、テレポート下手だな。白井なんかはもっとスマートにやってたぞ』
竜神『竜神さんのテレポートはただの複製なんです!!
位置座標とか精密に演算してる訳じゃないから、コントロールが難しいんだよ!!』
417 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:04:08.23 ID:OPsrcgDO
ヴェント「クソ野郎がっ!」
竜神の背中にぞわっっと何か得体のしれない感覚が走る。
振り返ると、間合い100メートル程につめたヴェントが、見えない空気の針を射出してきた。
竜神「うをっ!」
襲い来る見えない凶器を、寸でのところでかわし、再びテレポートで距離をとる。
狙いをかわされた針が、竜神の遥か前方で炸裂した。ゴバァッっと音をたててアスファルトの道路が捲れ上がる。
直径20メートルほどのクレーターができ。吹き飛ばされた土砂とアスファルトが宙を舞っていた。
まるで、隕石の落下現場のようだった。
418 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:05:20.00 ID:OPsrcgDO
竜神「アメリカ国民の皆さん御免なさい!損害賠償はどうかローマ正教によろしく!!」
ハイウェイを走行するドライバー達が急ブレーキをかけ、複数の車がスピンしながら停止するのが見えた。
けたたましい、耳を劈くようなブレーキ音が辺りに響く。
幸い、交通量が少なかった為、玉突き事故は発生していない様だったが。
ホテルの分も合わせて、未だに死者が出ていないのが、不思議なくらいの被害だ。
経済的な被害額は億単位になるのではないだろうか。
竜神は心の中で、顔も知らない不特定多数の人々に侘びをいれながらも、なお逃げ続ける。
419 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:06:32.92 ID:OPsrcgDO
上条『急がないと追いつかれちまうぞ!』
竜神『それもそうなんだけどな……。あんまり離しすぎる訳にもいかないんだよな』
上条『なんでだよ?』
竜神『俺の目的は、アイツと話しをすることだからな。
逃げ切る事じゃない。本気で逃げれば逃げ切れるとは思うんだけど……』
上条『ヴェントのキレっぷり見たろ!?暢気に話しができるような雰囲気じゃないって!!』
竜神『そうんだよな……。何かいい方法ないかな?』
上条『アイツの気が済むまで殴られ続けるとか?』
竜神『勘弁してください!』
420 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:07:50.27 ID:OPsrcgDO
上条『お前強いんだろ?だったら、ヴェントを一撃で気絶させたりは出来ないのか?』
竜神『無理だって。
今の竜神さんは上条さんが打ち消してきた異能の力を使う事しかできないの!
ベクトル操作だって一瞬しか使えないし、今使ってるテレポートだって相当大雑把で、博打みたいなもんなんだぞ!!』
上条『でも、何か、他にも戦いようがあるだろ?
アウレオルスのアルス=マグナなんかだったら、一撃で気絶させられんじゃね?』
竜神『あれは熟練した最高峰の錬金術師が、何重にもわたって精神防壁張ったり色々下準備して、はじめて使えるような代物だぞ!
俺みたいな素人が使ったら、あっという間に自滅しちまうよ』
421 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:09:13.07 ID:OPsrcgDO
上条『だったらほら。フィアンマの聖なる右腕とか?』
竜神『あれも駄目。
俺じゃ出力調整がうまく出来ないんだよ。
相手に合わせてダメージを調整する機構はフィアンマの右腕自身の特性だからっ、
うをっアブねぇ!!今のはかすめたぞ!!
……俺がやろうとすると、星を粉々にするような一撃だとか、全長40キロメートルあるような剣出したりとか、そんな感じのでたらめな攻撃になっちまう。
そんなの食らわせたらヴェントのやつが死んじまうだろ?』
竜神がかわした針が、遠くの平原へと着弾し破裂するのが見えた。
422 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:10:49.03 ID:OPsrcgDO
十分街外れまでは移動できた。辺りにはほとんど、人の気配はない。
それでも安心はできない。ヴェントの攻撃は数キロ単位で破壊をもたらす。
もし、戦闘になるなら、被害が出ない場所にもっと引き付けなければならない。
上条『役に立たねえな。お前の右腕……』
竜神『うるせぇ!』
その後も何十回と危なっかしいテレポートを繰り返し、ようやく街の外にでることができた。
辺りに広がるのは、ゴツゴツと迫り出した岩と埃っぽいサボテン以外は何も無い原野だ。
夜風で砂煙が舞い上がり、無数のタンブル・ウィードが転がっている。
古いアメリカ映画に登場するような、西部劇の情景が広がっていた。
423 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:12:02.85 ID:OPsrcgDO
竜神「ここらでいいか……」
竜神が足を止め振り返ると、後ろにはすでにヴェントが居た。
あれだけの長距離を音速に近い速さで走って移動してきたというのに、まったく息が切れていない。
ハンマーを肩に担いだヴェントが、顔色一つ変えず、ゆったりと近づいてくる。
ヴェント「ようやく、諦めがついたってわけ?まあ、その方が楽だし、私は嬉しいんだけど」
竜神「諦めるもんか。俺はこんなところで死ぬつもりは無いし。誰も死なせない。お前も含めてな」
ヴェント「夢想家の戯言に付き合ってる暇はないのよ。大人しく私にミンチにされなさい♪」
424 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:13:26.79 ID:OPsrcgDO
竜神「大体なんで俺を殺そうとするんだ?俺がお前達の神様に何かしたか?」
ヴェント「テメェの存在自体が許されないのよ。存在自体が罪。それが堕天使でしょうが」
竜神「ふざけんな!!そんなのおかしいだろ!?
俺が死んだところで、俺の存在が無かった事になる訳じゃない。
お前がやってることは、赤点とったガキが、テストをぐしゃぐしゃに破いて棄てるのと何も変わらない。
目の前にある現実から目を背けてるだけだろうが!!」
ヴェント「うるさい!!私はお前みたいなヤツが憎い。
人が大切にしてるものを踏みにじりやがって!!」
425 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:14:40.82 ID:OPsrcgDO
竜神「神の教えがお前にとって、大切な拠り所なのは知ってる。
でも、だからってそれが他人の大切なモノを傷つける理由になんかにはならない。
しちゃいけねえんだ!!
お前だって本当は分かってるんだろ?
それでも、自分が許せないから、十字教にしがみついて、自分を傷つけるような方法で、ローマ正教の信者を救おうとしてる。
それだけなんだろ?
だからお前は人を傷つける。自分を傷つける為に。世界中の人間から憎まれる為の“天罰”みたいな術式まで使って」
ヴェント「テメェに私の何が分かる!?何も知らないくせに知ったような口を利くんじゃないわよ!!」
426 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:16:16.66 ID:OPsrcgDO
唾を飛ばしながら、ヴェントが吼える。
何も変わってない。竜神はそう思った。ヴェントは未だ、弟を死なせてしまった事への罪悪感から、抜け出せていない。
それはきっと、彼女が神の右席にいる限り、不可能な事なのだろう。
自分を傷つける生き方を選んだが為に、彼女は神の右席になったのだろうから。
彼女の生き方を変えるには、神の右席を辞めさせなければならない。
しかし、竜神に残された時間は、あと一週間も無い。
天使といっても、今はほとんど唯の人間と変わらない力しかない。
そんな自分に、この女の為に出来る事がないだろうかと、竜神は必死に考える。
427 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:17:26.37 ID:OPsrcgDO
竜神「……確かに俺は、お前の事を何も知らない。お前の苦しみなんて理解できねえよ。
お前に俺の苦しみが理解できないように、お前のその苦しみはお前自身のモノだ。
神様でもない限り、お前のが胸に抱えている罪悪感も取り除いてあげられないのかもしれない。
でも、お前がこれ以上罪を犯すのを止める事は出来る。
これ以上、自分で自分を傷つけるような生き方は、俺がさせない!!」
だからこそ、ヴェントに殺される訳にはいかない。
ヴェント「思い上がるんじゃないよ堕天使風情が!!」
428 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:18:47.19 ID:OPsrcgDO
竜神「”上条当麻”だって言ってただろ。
お前は幸せにならないといけないんだ。
お前を救って死んでいった弟の人生に、泥を塗るのはもう止めろ!!」
ヴェント「なっ!!……一体何なんだテメェは!?クソったれがぁぁ!!」
咆哮と共に、ヴェントがつっ込んできた。
防御も回避も考えていない、文字通りの特攻だった。
故に、竜神の反応が一瞬遅れてしまう。
ヴェント「死ねっ!」
有刺鉄線の巻きついた巨大なハンマーが横なぎに振るわれる。
空気の杭の鋭い先端が、竜神に襲いかかってきた。
429 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:20:39.19 ID:OPsrcgDO
まともに喰らえば、人体などあっという間に、ただの肉塊になってしまうであろう衝撃を、
正面から受け止める。
竜神「ぐはあぁぁっっっっ!!」
慌てて反射の膜を全身に張るが、あまりの破壊力に押し負けてしまう。
眼前から迫る攻撃を、成す術もなく喰らってしまった竜神は、後ろへと吹き飛ばされた。
轟っという音と共に、ノーバウンドで100メートルほど宙を舞い。二回、三回と、地面に叩きつけられてから、ようやく動きが止まる。
反射の膜は、杭がぶつかるインパクトの瞬間しか展開できていなかった。
竜神「があぁっっっっ」
430 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:21:54.98 ID:OPsrcgDO
硬い地面に、全身のいたるところの皮膚が削られ、痛みとショックで呼吸もままならない。
手足の皮膚の表面が、すりおろし機にかけられたトマトのようにぐちゃぐちゃに潰れ、断面から血が滴り落ちた。
口の中も切れてしまったようで、何だか鉄の味がする上に鉄臭い。
上条『おい竜神ぃ!大丈夫か!!?』
竜神『げほっっっ!!はぁはぁはぁ、っつ、クソッ』
口の中に溜まった血を吐き出しながら、身をよじる。
自分の中から、うろたえた声が聞こえてきた。
431 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:25:10.23 ID:OPsrcgDO
上条『もういい。逃げよう!!お前が全力を出せば逃げられるんだろ!?』
顔を見なくても分かる。
上条当麻は、自分自身の体が傷つく事など一ミリたりとも心配していない。
ただただ、竜神の身を案じているだけなのだ。
竜神『はっ!これくらい屁でもねえよ!!』
だからこそ、腹が立つ。
昔の自分を見ているようで、苛立たしい気持ちにさせられる。
自分が傷つく事で、傷つく人が大勢いる事をコイツは理解できていない。
頭では解っていても、行動に移せなければ意味がない。
432 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:26:52.46 ID:OPsrcgDO
インデックスを救い、勝手に死んだ。自分と同じ過ちを。
だからこそ、こんな所で諦める訳にはいかない。
上条当麻とインデックスが幸せに暮らせる世界。その礎を築くまでは、立ち止まれない。
上条『でも!』
竜神『情けない声上げてんじゃねえよ!テメェは黙ってそこで見てろ!!』
竜神は悲鳴を上げる身体に鞭打ち、ふらふらと立ち上がる。
身体の芯は斜めにかしずき、血液が足りないのか、視界が若干ぼやけている。
それでも、諦めない。
爪が食い込む程に右の拳を握り締め、正面から接近してくるヴェントを睨みつける。
ヴェントは、右手に掴んだハンマーを地面に引きずりながら、ゆっくりと歩いていた。
もはや止めをさすだけ、そう思っているに違いない。
余裕を感じさせる足取りだった。
433 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:28:47.94 ID:OPsrcgDO
竜神(そうだ……これくらいなんでもねえ。
この三ヶ月間、俺がコイツに押し付けちまったモノに比べれば、この程度の痛み。なんてことねえよ!
”上条当麻”は三ヶ月の間ずっと、こんな戦場で戦ってきたんだ。
記憶を失い。
自分が誰なのかもよく分からない中で。
……きっと、苦しかった筈だ、辛かった筈だ、怖かった筈だ。
それでもコイツは”上条当麻”であり続けてくれた。
インデックスを守りたいっていう俺の『心』を大切にしてくれた。
俺の『最期の願い』を叶えてくれた。
そのせいで、コイツはインデックスにつまらない嘘を吐く破目になっちまった。
俺は知ってる。
インデックスに嘘を吐く時、コイツの指先が不安で震えていたのを。
胸に走る言いようの無い痛みを。
深い後悔と罪悪感が心の奥底でずっと燻っていた事を。
そうさせたのは俺だ!!俺のせいなんだ!!
俺がもっと強ければ、こんな事にはならなかったのに。
コイツが感じてきた苦しみは全て俺が背負うべきものだったのに……。
……だから、俺はこんな所で諦めるわけにはいかない。
俺が背負うべき重荷を全部コイツに押し付けるわけにはいかねえんだ!!)
434 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:30:22.83 ID:OPsrcgDO
ヴェント「ふん。偉そうな事言うわりに、もうぐちゃぐちゃじゃないの?
それでもまだ立ち上がるの?」
竜神「何度だって立ち上がってやるよ!!言っただろ!?俺は死なない。誰も死なせない!!」
ヴェント「甘いのよ!!誰も死なせないだって?
テメェ一人の命すら満足に守れないヤツが吐いていいセリフじゃないでしょ?」
竜神「はっ。確かにそうかもしれない。
俺はどうしようもない甘ちゃんで、世間知らずな餓鬼だよ。
でも、だからこそ、諦めない。何度間違っても、何度倒れても。
最後は皆で笑っていられるように、何度だって立ち向かってやる」
それが、“上条当麻”なのだから。
435 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:33:01.60 ID:OPsrcgDO
ヴェント「馬鹿じゃないの?
人は死ぬものよ。それこそあっけないくらいにね。
神の右席として前線で戦ってきた私はよく知ってる。
アンタが言ってた上条当麻だってそうさ。
あの男だってアンタみたいな戯言を口にしてたけど。結局死んじまったじゃない」
竜神「上条当麻は死んでない」
ヴェント「はあ?」
竜神「今は眠りについてるだけだ」
竜神(そうだ、上条当麻はまだ死んでない。
まだやり直せる。
俺は、コイツが生きる道を切り開く為の礎になる!)
436 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:34:25.38 ID:OPsrcgDO
ヴェント「……アンタ一体何者なんだい?」
竜神「上条当麻の守護天使。
今は竜神当麻って名乗ってる。この肉体も記憶も全て上条当麻のモノだ」
ヴェント「まさか!?学園都市の連中がまた堕天使を」
竜神「違う!俺はヤツ等に作られた存在じゃない。
自然に発生した現象の一つだ。生まれつき上条当麻の肉体には俺が宿ってたんだ」
ヴェント「はっ!そんな馬鹿げた話を信じろと?」
竜神「信じてくれ。学園都市の連中は”上条当麻”を何かの計画に使おうとしてる。
俺の推測が正しければ、一瞬で魔術サイドが滅びかねない程の危険な計画だ。
それを阻むためにお前の力を貸して欲しいんだ」
437 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:35:35.89 ID:OPsrcgDO
ここにきて初めて、ヴェントの表情に怒りや憎しみ以外の感情が混じる。
ヴェント「……アンタまさか、それを私に伝える為に天罰まで使って、私をここに誘き出したのかい?」
竜神「ああ、そうだ」
ヴェント「そうかい、そりゃごくろうだったわねぇ。
でも、仮にアンタの言ってる事が正しかったとして。
それが何だっていうの?
私がここでアンタをぶち殺せば、それで終わりじゃないの?
アンタを殺せば学園都市の計画も頓挫する。違う?」
竜神「お前に俺は殺せない。
それに、例え俺を殺したところで、学園都市の計画は止まらない。
きっと”上条当麻”の代わりとなるスペアの部品を使って必ず計画を実行する」
438 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:36:45.21 ID:OPsrcgDO
ヴェント「はん、どうだか」
竜神「第三次世界大戦に敗れ、右方のフィアンマを失った今のローマ正教に、学園都市と正面から争うだけの体力は無い。
魔術サイドの最高権力であるイギリス清教も信用できない。
学園都市と戦うには、俺達みたいな第三勢力が手を合わせるしかないんだよ。
ただ闇雲に戦っても駄目だ。また戦争を起こす訳にはいかない」
ヴェント「…………」
竜神(ヴェントだって戦争を起こしたくはないはずだ。アイツは第三次世界大戦の時も、フィアンマを倒す為に戦ってくれた。目指すモノが一緒なら、共に戦える。根は善いヤツなんだ、弟思いのやさしいお姉ちゃんだったはずなんだ。だからきっと分かってくれる)
439 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:37:55.89 ID:OPsrcgDO
竜神「選べよヴェント。
上条当麻の屍の上に、仮初の平和を築くか。
それとも、俺と一緒に学園都市の頭に喰らいつくか」
ヴェント「ふん、素直に殺されるつもりも無いくせに。よく言うよ」
竜神「ああ。お前が俺を殺す方を選らぶのなら、俺は徹底的に抗うよ。
こんな中途半端なところで死ぬのは二度と御免だ」
ヴェント「まるで、一度死んだ人間みたいな言い草ね。
……まあいい。だったら証明してみせなぁ!アンタが口先だけのガキじゃないって事を!!
それが出来たら考えてやってもいいわよ」
ヴェントはそういって、鼻で笑いながら有刺鉄線の巻かれたハンマーをかまえる。
440 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:39:37.71 ID:OPsrcgDO
竜神「いいぜ。
……テメェがそれを望むってんなら見せてやるよ!
”上条当麻”が望んだ幻想(未来)は、俺が必ず守る!!」
ヴェント「来な!!」
月明かりの照らす荒野の真ん中で、二人がにらみ合う。
さながら西部劇に登場するガンマンのように。
静寂が辺りを支配する。
一陣の冷たい風が吹き抜けた。それを合図にするように、二つの影は動きだした。
竜神当麻の右腕と、前方のヴェントが作り出した風の杭が、正面から激突する。
竜神「うをおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!」
441 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:40:50.93 ID:OPsrcgDO
少年の右腕には幻想を殺す力はもう無い。
ベクトル操作によって反射の膜を張り付けた拳が、ヴェントの空気の杭を貫く。
竜神を叩き潰す為に存在する。殺意を持った風の鈍器が、虹色に輝き八方へと拡散していく。
制御を失い暴走した力の奔流が、地面を削り、竜神の周囲に大きなクレーターを作り出す。
その衝撃だけで、辺りに暴風が吹き荒れた。
乾燥した大地から砂煙りが舞い上がり、辺りを覆い隠す。
竜神(クソッ砂煙で前が見えねぇ!)
442 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:42:12.66 ID:OPsrcgDO
砂でできた薄いベールの向こうにヴェントの影が映る。
ヴェントまで、あと2メートル。
竜神の身体能力なら一歩で届く距離だ。
竜神「そこか!!」
ヴェントの顔面に拳を叩きつける為に、竜神が跳躍する。
しかし、その瞬間。ごすっっという衝撃が真横からやってきた。
竜神「はあぐぅっっっ!!」
上条『竜神いいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!』
ヴェントからすれば、牽制のために放った軽いジョブ。
しかし、その杭の一撃は竜神を容赦なく打ちのめす。
左肩を激しく打ち付けた竜神は、受身を取る間も無く。ノーバウンドで、20メートル程飛ばされ、迫り出した岩に激突した。
443 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/24(水) 04:43:03.87 ID:uXnJ0Z2o
まるでノーバウンドのバーゲンセールや!
444 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:43:59.66 ID:OPsrcgDO
ヴェント「どうした?その程度なの?」
竜神「ごほっ。クソッ!!」
背中を強かに打ちつけた上に、大量の土煙を吸い込んだせいで、うまく呼吸が出来ない。
竜神はその場で這い蹲り咳き込みながらも、必死に思考を廻らせる。
445 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:45:13.41 ID:OPsrcgDO
竜神(殴れる距離まで接近できれば俺の勝ちなんだ。
アイツの防御術式自体はベクトル操作で無力化できる筈なんだから。
でも、砂煙で隠れて、ヴェントのピアスの動きが読めない。
攻撃の軌道が読めないから、一方的に攻撃されてしまう。
何とかして近づかないと……。
テレポートは使えない。ヴェントの真横にピンポイントで移動できるだけのコントロールは俺にはない。
万が一、地面にめり込んだり、空中に投げ出されたりしたら、いい的になるだけだ……。
あと一手、ヴェントに近づく為の何かが必要だ……。
ヴェントの攻撃を妨害する為の遠距離攻撃か、ヴェントの攻撃を防ぐ防御術式。
あるいはこの空気中に拡散する砂煙をどうにかする能力か…………砂!?そうか!!)
446 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:47:11.43 ID:OPsrcgDO
舞い上がる砂煙の中で、竜神の影がむくりと起き上がった。
竜神「お前ほどうまくはいかないだろうけど……使わせてもらうぜ御坂」
竜神は空気中の砂に含まれる砂鉄を、御坂美琴の磁力操作で操る。
かつて、彼女に勝負を挑まれた時、彼女は川原の砂鉄を操り、上条当麻に遠距離攻撃を仕掛けてきた事がある。
空気中の砂鉄がまるで意思を持ったかのようにうねり、ヴェントの頭上に集中する。
砂鉄の一粒一粒が細かい振動を起こした、巨大な刃物と化す。
ヴェント「空気中の砂を!?無駄よ。こんな物ぉぉぉ!!」
447 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:48:37.48 ID:OPsrcgDO
ヴェントがハンマーを振るうと、砂鉄はバラバラになり再びただの砂煙へと変わる。
ヴェントは風を司る存在だ。周囲の風を操る事など造作も無い。
圧倒的な暴風で、磁力で繋がれた砂鉄の連結を解除されたのだ。
辺りに漂っていた砂煙は、あっという間に吹き飛ばされた。
それでも。
竜神「まだまだぁぁぁ!!」
仁王立ちした竜神の周囲に青白い雷の光がほとばしった。
ドッバッツっという音と共に、ヴェントの半径100メートルほどの大地から、一斉に黒い砂が舞い上がる。
448 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:50:33.18 ID:OPsrcgDO
磁力を操り取り出した総重量およそ2トンの砂鉄が渦を作り、ヴェントの回りを取り囲む。 まるで竜巻のように舞上がると、刃の形をとり、再びヴェントに襲い掛かった。
それでも、ヴェントは引かない。
先ほどと同じ様に、風を操り、周囲の砂鉄を砂煙ごとなぎ払おうとする。
ヴェント「だから、無駄だって言ってんのよ!!」
空中に向かい有刺鉄線のついたハンマーを一振りすると、辺りに暴風が吹き荒れた。
ヴェントの頭上に展開していた砂鉄の刃は、半径200メートル程の範囲の広がっていた砂煙と共に、その圧倒的な力で振り払われた。
しかし。
竜神「だろうなぁ!!」
449 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:51:56.50 ID:OPsrcgDO
その声は、ヴェントの後方から聞こえてきた。
ヴェントが慌てて振り返ると、まじかまで迫った竜神が、右腕を振りかぶる姿が見えた。
ヴェント「はっ!くそっ!!」
竜神は、ヴェントが気付かぬうちに、後ろに回りこんでいた。
一回目の砂鉄の刃は、ヴェントの回避行動を見極める為。
正直、ただ移動するだけで避けられたら、打つ手が無かった。
しかし、ヴェントは強い。この程度の攻撃ならば正面からなぎ払う。それを確認したかった。
二回目の砂鉄の刃は、竜神自身の行動を隠す為の目くらましだったのだ。
周囲を砂鉄で覆い、姿を隠してから、回りこむ為の。
450 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:53:19.14 ID:OPsrcgDO
かつて、御坂美琴が上条当麻に接近戦を挑む為に使った戦術をそのまま利用したのだ。
竜神に御坂美琴のような繊細な応用はできない。
しかし、砂鉄を持ち上げてぶつけるだけの、シンプルな攻撃なら、かなりの規模で行なえる自信があった。
美琴から喰らった電撃は優に発電所一つ分はくだらないのだから。
竜神とヴェントの距離は1メートル。二人の間を遮るものは何もない。
邪魔だった砂煙は、ヴェント自身が吹き飛ばしてしまった。
竜神は渾身の力を拳に乗せる。
ヴェント(反撃するか?それとも、いったん距離をとるか?
いや術式の構成が間に合わない。とにかく防御をしないと!!)
451 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:54:43.51 ID:OPsrcgDO
ヴェントは身体をひねりながら、咄嗟にハンマーでガードしようと構える。
両者が雄たけびを上げる。
「「うをおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」」
ガードをすりぬけた右ストレートが、ヴェントの顔面に届いた。
竜神の拳がヴェントの防御術式と干渉し、七色に輝く。
竜神(この一撃で、全部終わらせるっ!!)
ヴェント「はぐっっ!!」
竜神が右の拳を振りぬいた。
左頬を殴られたヴェントは、十数メートル飛ばされてから漸く動きを止めた。
意識を奪われ、ぐったりとしたまま横たわっている。
452 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:56:05.94 ID:OPsrcgDO
竜神「はぁはぁはぁはぁはぁ、ぐつっっっ!!」
竜神が勝利を確信した瞬間、これまでの疲労と痛みがどっと押し寄せてきた。
足がガクガク震えて立っていられない。
地面に膝をつき、雲一つない星空を見上げながら息を整える。
竜神「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ……どうだ俺の勝ちだ!ヴェント!!」
竜神(“自分は幸せになっちゃいけない”っていうお前の幻想は俺には殺せない。
それは、お前自身が、自分でけりをつけなきゃいけない問題だからな。
でも、神の右席を抜ける口実くらいは、俺が創ってやれるはずだ。
当分は、旅掛さんと一緒に、この広い世界を見て周ればいいさ。
じっくり時間をかけて、自分の生き方を選び直せばいい。
俺と違って、お前には残された時間がたくさんあるんだから)
453 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:57:19.65 ID:OPsrcgDO
上条『大丈夫か竜神?』
竜神『ああ。なんとかな……。はぁ。俺とヴェントの傷の手当をしないと……』
上条『本当に大丈夫なのかよ?』
竜神『……ああ、やっぱ少し休ませてくれ』
竜神はそのまま何も言わず。うつぶせに倒れてしまった。
上条『おい!竜神!!しっかりしろ!!』
竜神「…………」
こうして、幻想殺しだった少年は、再びその右腕によって勝利を収めた。
彼の大切な物を守る為の戦いは、まだまだ続く。
454 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:58:32.12 ID:OPsrcgDO
御坂サイド ―アメリカ ラスベガス―
竜神達が戦いを繰り広げていたころ、御坂達は、御坂旅掛がチェックインしているホテルに辿り着いていた。
御坂「……何よこれ?一体何が起こったって言うの?」
ひどい有様だった。
まるで、ミサイルが着弾したかのように、辺りは破壊の限りを尽くされていた。
人工湖の水は干上がり、ホテル周辺のガラスというガラスが全て粉々になってる。
負傷者を搬送する為に、サイレンをならしながら、大量の救急車が忙しなく行き来し、すでに警察が周辺にバリケードを張り巡らしていた。
455 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 04:59:50.65 ID:OPsrcgDO
白井「とにかく、お姉様のお父様が心配ですの。行きましょうお姉様」
五和「私は辺りに聞き込みをして情報収集してきます。
何か分かったら、携帯に連絡を入れてください」
御坂「うん。分かったわ。じゃあ黒子お願い」
白井は御坂と手を繋ぎ。テレポートでホテルの敷地内に潜入する。
旅掛が泊まっているはずの部屋はすぐに見つかった。
他の部屋より破損具合が激しい一角だった。
窓だけではなく、壁や家具にいたるまで、ぐちゃぐちゃに破壊されている。
あまりの惨状に御坂は声を失う。
御坂旅掛は一般人だ。このような惨劇に巻き込まれたらひとたまりもない。
一瞬、最悪の事態が頭をよぎる。
456 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:01:11.62 ID:OPsrcgDO
御坂「パパ!!パパ無事なの!!」
白井「お姉様こちらですの!」
白井の声が聞こえたベットルームの方に駆け出した。
白井「安心してください。お父様はご無事の様です」
アレだけの騒ぎが起こっているというのに、御坂旅掛はベットの中で熟睡していた。
布団の中で丸まりながら、ごにょごにょと寝言をつぶやいている。
御坂「パパー!……良かった」
旅掛「……ぅぬえあ。上条当麻……美琴ちゃんは絶対嫁にやらないからなぁ……」
御坂「ぶっっ!!」
457 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:02:18.99 ID:OPsrcgDO
白井「あの類人猿っ!
夢の中とはいえ、すでにお父様とのご挨拶まで済ませているとは……
この白井黒子、一生の不覚ですの!!」
御坂(ちょっと、どうゆう事!?
なんで父がアイツの事知ってるのよ?ってか嫁って。
ア、アイツのお嫁さんか……ふふふ)
白井「お、お姉様!?
なんですのその恋する乙女モード!?そんなマジな反応止めてくださいまし!!」
御坂「ハッ!!ち、違うわよ。私はまだ家庭に収まる気はないし」
白井「すでに新婚生活までトリップしてましたの!!?おのれクソ類人猿がっ!!」
458 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:03:23.80 ID:OPsrcgDO
御坂「違うって!!
あーもう。この馬鹿親父っ!厄介事ばっか持ってきてんじゃないわよ!!」
未だに夢の中にいる旅掛の後頭部に張り手をかます。
旅掛「うごっ!ハッ?美琴ちゃん!?」
御坂「そうよ!!」
旅掛「何故ここに?っていうか何でこの部屋はこんなにめちゃくちゃになっているんだ?」
御坂「パパが心配だったから、駆けつけて来たのよ!!」
旅掛「美琴ちゃんがこれをやったのか?」
御坂「私じゃないわよ。私だって何でこんな事になってるか知りたいくらいだわ。
昨日カジノで何があったの?」
459 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:07:42.96 ID:OPsrcgDO
旅掛「カジノ?……そうだ、竜神君はどうした?」
御坂「竜神?誰それ?」
旅掛「お前達がこの部屋に来たときもう一人男の子がいなかったか?」
御坂「パパ一人だったわよ。……もしかして竜神ってコイツの事?」
美琴は旅掛に端末を差し出す。海原光貴の顔写真が映った画面が開かれた。
旅掛「ああ、そうだこの子だ。この子は無事なのか?」
御坂「さあ?」
その時、御坂の携帯が着信する。昨日登録したばかりの、五和の番号だった。
五和「もしもし、御坂さんですか?」
御坂「はい、そうよ」
460 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:09:04.48 ID:OPsrcgDO
五和「お父様は見つかりましたか?」
御坂「ええ、御蔭様で。無事だったわ」
五和「よかった。……実は、必要悪の教会から新たな情報が寄せられたので連絡したんですが」
御坂「アイツの事?」
五和「ええ、そうなんです。どうやら、このホテルの襲撃事件と関係がある情報みたいなんですが……」
御坂「どうゆう事?」
五和「御坂さんが言ってたアステカの魔術師が、今、ラスベガスの郊外で戦闘を繰り広げているらしいんです。
相手は前方のヴェント。以前、学園都市を襲撃し、上条当麻さんの命を奪おうとしたローマ正教の魔術師です。
必要悪の教会の方では、上条当麻さん拉致に、このアステカの魔術師が絡んでいるのではないかと考えているようですね」
461 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:10:16.37 ID:OPsrcgDO
御坂「あの男が?」
五和「現在、ラスベガス周辺にいる天草式に召集命令が出されています。
その二人の戦闘が終わり次第。捕縛して情報を引き出すのが目的です」
御坂「五和さんも行くのよね?」
五和「はい」
御坂「分かったわ。
うちの父が、そのアステカの魔術師と接触があったみたいだから、私は父にもっと詳しい話を聞いてみる。
それが終わってから天草式の皆と合流しましょう」
五和「了解しました。合流地点は携帯端末に送っておきますね」
御坂「よろしく」
五和「それでは、またあとで」
462 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:11:37.22 ID:OPsrcgDO
上条サイド ―アメリカ ラスベガス―
竜神「おっ、目が覚めたか?」
ヴェント「テメェは……」
竜神「一応回復魔術は施しておいたけど、あんまり無理はするなよ。まあ、思いっきりぶん殴った俺が言うのもなんだけどな」
ヴェント「オーケー。状況は理解したわ。……遺言はそれだけでいいのね?」
竜神「チョット待った!!何でそうなる!?」
ヴェント「じゃあ聞くけど、これは何?」
463 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:12:55.33 ID:OPsrcgDO
竜神「これ?あー。膝枕か?いやだってよー。
こんな荒地に女の子ほったらかしになんてできないだろ?
そのまま地べたに寝てたら頭痛そうだったからさ、俺の上着はお前のシーツ代わりに使っちまったし……」
そう、現在ヴェントは竜神に膝枕されていた。
竜神の膝に頭を預けた状態で、ヴェントは竜神を睨みつける。
ヴェント「ぉ女の子っ!?……アンタよっぽど私に殺されたいらしいね」
竜神「と言いつつ、俺の膝の上から動こうとしない、ヴェントちゃんなのであった。
って、うをっごめんなさい。調子乗りすぎました。
お願いだからそのハンマーを下ろしてください!!」
464 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:14:20.13 ID:OPsrcgDO
ヴェントは怪我人とは思えない程の俊敏さで起き上がると、
近くにあったハンマーを手に取り、振り上げながら竜神を見下ろす。
ヴェント「下ろしてあげるわよ。アンタの脳天になぁ!!」
竜神「っちょっとマジで勘弁してください。
長い事膝枕してたから、足が痺れて動けないんです。お願いぃ!!」
ヴェント「死ねっ!!っつぐっ」
突然ヴェントが頭を抑えだした。立っているのがやっとといった感じだ。
竜神「ヴェント!!だから無理するなって言ったろ!?」
ヴェント「うるさい」
465 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:15:41.35 ID:OPsrcgDO
竜神「いいから今は休め」
ヴェント「クソッ!」
ヴェントは舌打ちしながら、その場のしゃがみこむ。
竜神「とりあえず、勝負には俺が勝ったんだから。話しを聞いてもらうぞ」
ヴェント「……そうか、私は負けたんだね」
竜神「用件は二つ。一つ目は、アレだ、お前に守ってもらいたい人がいるんだ。
御坂旅掛っていう、俺の知り合いなんだけどさ。
色々あって、学園都市に命を狙われる可能性が高い」
ヴェント「私にソイツのお守をしろって事かい?」
466 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:19:05.36 ID:OPsrcgDO
竜神「そう、お前が適任だと思う。
二つ目は、後方のアックアとの連絡手段を教えて欲しい。
あのおっさんが今どこにいるか分からないんだ」
ヴェント「お守の件はともかくとして、ウィリアムの馬鹿と連絡が取りたいってんなら、占星施術旅団を尋ねるといいわ」
竜神「占星施術旅団?」
ヴェント「あの男のスポンサーみたいなもんよ。
アイツが武器の調達とかに利用してる、魔術師が営むよろず屋ってとこね」
竜神「なるほどな」
ヴェント「……学園都市が何かやらかそうとしてるってのは本当なのね?」
竜神「多分だけど、統括理事長は学園都市そのものを『箱庭』にしようとしてるんだと思う」
467 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:20:26.29 ID:OPsrcgDO
ヴェント「……まさか、あの堕天使が使ってた、気持ち悪い力を利用するつもりだっていうの!?」
竜神「AIM拡散力場な。アレを使ったら。確実にこの星の界の層が歪む。
間違いなく、魔術世界は一瞬で滅ぶだろうな」
ヴェント「クソッやっぱりあの時あの堕天使を殺しておけばよかったんだ……」
竜神「それじゃあ根本的な解決にはならないって。
風斬を殺しても、風斬に代わるものをつくりだして計画を実行する。
それが学園都市のやり方だからな」
468 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:21:54.86 ID:OPsrcgDO
ヴェント「じゃあアンタはどうするつもりなのよ」
竜神「それは……あークソっ!」
ヴェント「お客さんみたいね。アンタのか私のかは分からないけど」
何もない荒野のど真ん中に、その者達は突然現れた。
20人くらいの日本人が、竜神達を取り囲む。
竜神「天草式?」
集団の一人。クワガタのような髪型をした黒髪の男が、長剣を肩に担ぎながら近づいてくる。
建宮「すまんが、アンタ方に聞きたい事があるんで、ちょっと面貸して欲しいのよな?」
肩に担いだフランベルジュに、月の光を反射させながら、教皇代理、建宮斎字が獰猛な笑みを向けた。
469 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/24(水) 05:26:20.01 ID:OPsrcgDO
ってな感じで今日はここまで、遅くなって本当にすみません。
次の投下は、今週末を予定してます。
海原の戦闘シーンからですね。
アクションシーン書くが苦手です。
ちゃんと伝わったんだろうか?
上条さんの右手に反射の膜つけて殴ったら、ヴェント死ぬだろ
っていうつっ込みは受け付けません。
感想待ってます。
最近、自分で書いた文が面白いのかどうか、分からなくなってきた……OTZ
470 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 05:31:11.40 ID:aaU/RNk0
こンなところでとめないでくださィィィィィィィx
先週から待ち遠しかったです
天草式と美琴、黒子も気になるしオリアナさん頑張って欲しい
色々期待してます
471 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 05:33:12.05 ID:zk3i9NE0
乙。
週末を楽しみにしてます。
472 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 05:35:07.84 ID:0azfofA0
乙! 俺はかなり面白いと思って読んでるけど
ヴェントと竜神さんのやりとりが可愛すぎてお茶吹いた
473 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 08:08:44.26 ID:.WVxBwAO
乙!正直言ってむちゃくちゃ面白いよ
毎週週末が楽しみなんだ
474 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 10:19:56.42 ID:CtgpRQIo
ヴェントたんに萌えた
乙
475 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 17:06:39.67 ID:b8wf7rYo
これだけ一投下での文章量が多いのならこのくらいの投下間隔は気にならないかも
アクションシーンは伝わったは伝わったんだがやっぱ苦手なんだなって感じだったんだよ
面白かったよ
乙
476 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 17:18:30.45 ID:vizE5V6o
どうせなら同じヴェントの攻撃を使えば良かったのに
477 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 20:11:46.45 ID:DQl.0Foo
これは神SSの予感
乙!
478 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 22:38:03.41 ID:iv1Gnt2o
乙です
このssで初めてヴェントに萌えたwwwwww
479 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/24(水) 23:01:14.96 ID:taWhXC2o
>>476
これが本当のコピーベントか…
480 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 01:09:25.54 ID:mXH1.4o0
>>479
浅倉さんがそっちいったよ
481 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 01:11:53.38 ID:nXuGdOw0
>>479
竜騎テラナツカシス
482 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 19:10:50.83 ID:pNQjzmso
最近面白いSSが多すぎる
最高です
週末が楽しみだ
483 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 01:57:03.03 ID:NfKnhgAO
ヴェントは化粧落としたら超可愛いとかだったらヤバい
484 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 21:12:07.10 ID:QoyqwEAO
化粧落としたら顔面ピアスの弟思いのお姉さんです
485 :
◆nQU5UhdK.c
[saga]:2010/11/28(日) 21:19:19.98 ID:MGr1woDO
感想ありがとうございます。
戦闘描写は、これから少しづつスキルアップできていけるように精進します。
>>476
ヴェントの技を竜神が使う展開は面白そうですよね。
「猿真似野郎がっ!!」とか言いながらキレるヴェントも、よかったかもしれない。
>>483
ヴェントのピアスは術式に必要な要素らしいので、
ヴェントが素顔を晒すのは、魔術師を辞めた時かもしれませんね。
では投下します。
いつもの半分以下しか書けていません。
486 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:20:41.09 ID:MGr1woDO
エツァリサイド ―関東 某ビル建設現場―
学園都市の外、民間住宅と企業ビルの混在する一角。
建設途中のビルは、基礎工事が終え、一部H鋼の鉄骨が組まれたまま放置さた、
巨大なジャングルジムのような様相を呈していた。
その建設途中のビルの前で、エツァリとオリアナが対峙していた。
中途半端なところで工事が中断されているのは、第三次世界大戦の影響だろうか。
学園都市に敵対する各国は、物質的、経済的に日本を干上がらせる為に、日本への輸出を制限していた。
487 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:21:44.25 ID:MGr1woDO
絶えず物流を止める事なく、経済活動が行なえるだけのシステムを構築していた学園都市と違い。
日本国自体は、戦争で経済的な損失を受けている。
ゼネコン業者も例外ではなかった。
例え、建設に必要な資金が用意できていたとしても、建築資材の流通がストップしてしまえば、工事の続行は困難になる。
加えて、戦争を起因としたインフレで、燃料や建築資材等の価格も高騰している。
このビルのオーナーとしても、工事が遅れるリスクを負ってでも様子見したい心境なのだろう。
そういった事情もあり。二人がいる場所には人っ子一人存在しなかった。
488 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:22:45.55 ID:MGr1woDO
エツァリ「必要悪の教会の協力員ですか……」
オリアナはそう名乗った。
恐らく正規の職員ではなく。
何かのミッションの為に雇われただけの助っ人なのだろう。
エツァリにとっては好都合だ。
オリアナ「そっ。お姉さんとしては、貴方にお話が聞きたいだけだから。
そんなにかたくならなくていいのよ」
オリアナはにこやかな笑みをエツァリに向ける。
489 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:24:38.96 ID:MGr1woDO
エツァリ(隠すべき事柄は二つ。
一つ目は、自分が学園都市のエージェントであったという過去。
二つ目は、原典を所持しているという事実。
この二つさえ偽る事ができれば問題ないはず。
単なる協力員ならば、与えられた仕事以外の余計な事はしないでしょうし。
ここは、相手が望む情報をさっさと差出して、ご退場願いましょう)
エツァリ「それで話とは?」
オリアナ「んー。ここは定番通り、お名前と職業から聞いておこうかしら?」
エツァリ「普段は海原光貴と名乗っています。
この姿を提供してくれた方の名前です。
職業は……廃業したスパイといったところでしょうか」
490 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:26:07.58 ID:MGr1woDO
オリアナ「廃業?」
エツァリ「ええ。自分が所属していた組織が壊滅してしまいましてね。
学園都市をスパイをする意味が無くなったんですよ」
オリアナ「なるほどね。さっきまで一緒にいた女の子達は何者?」
エツァリ「スパイを続ける間に知り合った一般人です。
学園都市にはもう用がありませんからね。
日本を離れる前に、最後のお別れの挨拶をしていたんですよ」
オリアナ「ふーん。そう。
……今から6時間程前、日本時間だと、午後0時ごろかしら。
貴方何してたか覚えてる?」
491 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:28:26.61 ID:MGr1woDO
エツァリ「丁度、学園都市発ったころですね。
監視カメラ等のセキュリティーを避けて移動していましたから、アリバイはありませんが……」
オリアナ「同じころアメリカでちょっとしたトラブルがあってね。
貴方と同じ姿をした人物が犯行現場で目撃されてるのよ。
こっちの方は酒場の監視カメラにバッチリ映ってるらしいわ」
エツァリ「なるほど。それで自分に疑いがかかったんですね。
でしたら、それは本物の海原光貴ではないですか?
彼が今どこにいるか、自分は知りませんが」
492 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 21:28:38.64 ID:wKXysF.o
待ってたぜ!
493 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:30:40.85 ID:MGr1woDO
オリアナ「いえ、それはないわ。
本物の方は学園都市にずっといたらしいのよ。
ちゃんと裏付けは取れてる。
だからこそ聞いてるの。貴方、その時どこにいたの?」
エツァリ「参りましたね……。他人の空似ではないのですか?」
オリアナ「貴方が使ってる魔術。
人の皮を被るアステカの神官特有の術式よね?
他人が使用する事もできるの?」
エツァリ「ええ。可能です。
それなりの技術は要しますが、対象の皮を素材に使った護符があれば、誰でもできます」
494 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:32:37.59 ID:MGr1woDO
オリアナ「その護符を他人に貸した事は?」
エツァリ「あるっと言いたいところですが、生憎心当たりがないですね。
自分が持っている護符はこれ一つだけですし、他人に貸すどころか、触れさせた覚えもありません。
スパイとして潜り込んでいた訳ですから、自分と同じ姿の人間がそう沢山いては仕事に差し障りますし、他の敵組織に自分がこの姿をしている事を知られる訳にもいきませんから。
当然、周囲の人間はもとより、自分が所属していた組織にも誰と成り代わっているかは秘密事項でした。
自分のようなスパイにとっての生命線とも言える護符を、他人に貸し与えるなんてありえませんよ。
……その偽者が、まったく別の魔術か、超能力によって変装している。
という線はないでしょうか?」
495 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:34:03.68 ID:MGr1woDO
オリアナ「まったくないとは言い切れないけど。
その場合、何故その日本人の男の子の格好を選んだのかが問題なのよね……」
エツァリ「偶然でしょう?
海原光貴は、財界でも有名な、常盤台中学の理事の孫です。
彼の顔を利用してよからぬ事を企む者も多くいる筈。
自分もその一人でしたし」
オリアナ「理事の孫ってどのくらいのステータスなの?」
496 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:35:27.50 ID:MGr1woDO
エツァリ「そこそこといった感じですかね。
まあ、理事本人に比べれば見劣りしますが。
理事クラスよりもセキュリティーレベルが格段に落ちます。
厳重なセキュリティーを突破するリスクを負わずに、それに近しい権力を振るえるわけですから。
自分のようなスパイにとっては狙い目ですね。
あるいは、アメリカにいたことを考えると、海原光貴の名を騙った詐欺師って線も考えられますね。
“理事の孫が小金欲しさに、学園都市の能力開発技術を売り渡す”
なんてシナリオならアメリカに存在する様々な能力開発機関から大金を巻き上げられそうですしね」
オリアナ「成り代わりの術を持ってるスパイにとっては、いいカモってわけね……」
497 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:36:57.38 ID:MGr1woDO
エツァリ「一体アメリカで何があったんですか?」
オリアナ「なんてことない、ちょっとしたトラブルよ。
その偽者さんが、ラスベガスのカジノでチンピラ相手に喧嘩しただけ。
ただ、その騒ぎに御坂旅掛っていう学園都市のVIPが巻き込まれたみたいだから、
少しだけ事が大げさになったみたいだけど」
エツァリ(御坂旅掛……たしか、御坂さんのお父様の名前だったはず)
オリアナ「どうかしたの?」
エツァリ「いいえ、なんでもありません。
その学園都市のVIPというのは無事なんですか?」
498 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:39:05.43 ID:MGr1woDO
オリアナ「気になるの?」
エツァリ「それはもう。
身に覚えのない罪状で指名手配などされては適いませんから」
オリアナ「残念だけど、詳しい事はお姉さんも知らないのよね」
エツァリ「そうですか」
オリアナ「……何か隠し事はしてるみたいだけど。
アメリカで起こった事件については本当に何も知らないみたいね」
エツァリはやれやれといった具合に、頭を振る。
エツァリ「ふっ。やはり、自分は人を騙すということが致命的に下手みたいですね……。
勘弁してください。
スパイという職業上、人に言えない事情の一つや二つあるものです。
ただ、アメリカで起こったという事件について、自分は無関係です。
それは誓って確かです」
499 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:41:28.69 ID:MGr1woDO
オリアナ「分かったわ。信じましょう。おっと、通信が入ったみたい。ちょっと失礼するわよ」
オリアナはエツァリから目をそらし、仲間からの魔術による通信を受信し始めた。
小声で会話が交わされている為、エツァリからは内容が読み取れない。
もしかしたら、本来の彼女の仕事に関する連絡かもしれない。
エツァリへの職務質問は、彼女にとって突然起こったアクシデントのようなものだったのだから。
エツァリ(どうやら無事誤魔化せたようですね……しかし、何故御坂さんのお父様が……)
500 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:42:48.93 ID:MGr1woDO
しばらくして、通信を終えたオリアナが、エツァリの方に向き直る。
その表情は先ほどとはうって変わって、真剣なものになっていた。
何があったのだろう、そうエツァリがいぶかしんでいると。
オリアナは、流れるような動作で、右手に持っていた単語帳を、その唇にあてがった。
エツァリは、彼女が何をするつもりなのか理解できなかったが、これまでスパイとして積んできた経験が言っていた。
何か来る。
咄嗟に上着のポケットに隠し持っていた黒曜石のナイフに右手をのばす。
エツァリ「何をっくっ!!」
501 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:44:11.27 ID:MGr1woDO
オリアナが口で引きちぎった単語帳のページが黄色の眩い光を発すると、地面から5本のロープが生え、うねりながらエツァリ目掛けて伸びてきた。
攻撃するのではなく、捕縛する為の魔術。
エツァリの黒曜石のナイフは、金星の光を反射する事で、光を当てた対象を一撃で破壊できる。
まさに、一撃必殺。しかし、それゆえ複数の相手には対処できない。
ロープを破壊しようと試みるも。
ロープ全体で一つの魔術としてカウントされるのか、ロープの一本一本が一つのモノとしてカウントされるのか判断できなかった。
それぞれのロープを個別に狙いをつけ、破壊する余裕はない。
502 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:45:41.91 ID:MGr1woDO
仕方なく、エツァリは魔術ではなく、本来のナイフの用途を用いる事で迫り来るロープに対処する事にした。
5本のロープはまるで蛇の様に一本一本が意思を持ち、エツァリの五体をそれぞれ縛るために伸びてくる。
まずは右手に向かってくるロープを切り捨て、次に首に向かってくるロープを狙う。
魔術を発動させたオリアナはその場に立ちつくしたまま、ロープ相手に奮闘するエツァリを眺めていた。
オリアナ「ごめんなさい。
事情が変わって、貴方をこのまま放置できなくなってしまったのよ」
503 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:47:12.32 ID:MGr1woDO
エツァリ「一体なにがあったんです!?」
バックステップでオリアナから距離をとりながら、鮮やかなナイフさばきで、エツァリを捕らえようとするロープを断ち切っていく。
しかし、斬れども斬れどもロープは無限に地面から伸びてくる。
エツァリ(このままでは埒が明きません。彼女自身を傷つける訳にはいきませんし……どうしたものか)
オリアナ「貴方、必要悪の教会に最重要参考人として指名手配されちゃったのよ。
たった今、身柄を拘束しろって命令が入ったの」
504 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:49:49.99 ID:MGr1woDO
エツァリは、オリアナの足元に落ちている単語帳の一ページに着目する。
表面に書かれている黄色い文字が、光を放っていた。
エツァリ(恐らく魔術の源は、さっき彼女が破り捨てた単語帳でしょう。
破いたページそのものに意味があるのか、
あるいは単語帳からページを破く事で発動するタイプなのかは分かりませんが、
とにかく、地面に落ちているあのカードを破壊してみれば確認できるはず)
エツァリは金星と標的の位置を確認する。
オリアナを傷つけるわけにはいかない。
ロープを格闘しながらも、慎重に角度計算を行い、隙をみてナイフに光を反射させた。
オリアナの足元に、精密に計算された光のスジが走る。
505 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:51:14.74 ID:MGr1woDO
一瞬で、オリアナの魔術が破壊される。
ブチッっと音を立てて、ロープの群れは力なく地面に落下した。
エツァリの予期せぬ行動にオリアナの目が見開かれる。
それでも、彼女の口元には余裕の笑みが貼り付けられていた。
オリアナ「お見事♪」
エツァリはオリアナに背を向けて、建築途中のビルに逃げ込む。
先程のナイフの一撃を警戒してか、オリアナは必要以上に追っては来なかった。
オリアナ「ここまでされても、反撃はしてこないのね……。紳士なのは評価できるけど、これじゃお姉さんちょっと欲求不満かな」
506 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:52:52.92 ID:MGr1woDO
エツァリ(……まさか、自分が学園都市のエージェントであるという情報が向こうに漏れたのか!?)
エツァリ「例のアメリカの一件が原因ですか?ただのチンピラの喧嘩でしょう?」
オリアナ「その偽者さんが、ラスベガスの街で、前方のヴェント相手に大暴れしてるらしいのよ」
エツァリ「前方のヴェント?神の右席ですか?……なにがどうなってるんだ」
エツァリが鉄骨の影から様子を窺うと、オリアナが再び単語帳を口元に運ぶのが見えた。
オリアナは彼女の信条故に、一度使った魔術は二度と利用しない。
しかし、それを知らないエツァリは、先ほどのロープによる捕縛魔術を警戒し、辺りの地面に意識を集中させる。
一度捕まってしまえば、原典の力でも使わない限りあの魔術からは逃れられない。
507 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:55:04.60 ID:MGr1woDO
オリアナ「得体の知れない強大な力を持つ魔術師。
その正体を知る足がかりとして、貴方の事を詳しく知る必要が出てきたってところね。
本部の方は、上条当麻の行方を知る手がかりじゃないかって睨んでるみたいだけど……」
エツァリ(攻撃が来ない?任意のタイミングで発動させる事ができる魔術なのでしょうか?)
オリアナ「悪い事は言わないから、大人しく縛られてくれないかしら。
大丈夫、痛くしないから。
抵抗すれば必要悪の教会の敵になるわ。
今や最大勢力を誇るあの組織は厄介よ。
積極的に協力する姿勢を見せれば、手荒な事はされないだろうし」
508 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:57:04.03 ID:MGr1woDO
エツァリ(マズイ。ここで捕まるわけにはいきません。
ボディーチェックを受けるだけで、自分が原典持ちの魔導師であることが露見してしまう。
そうなれば必要悪の教会全てを敵に回してしまう。
しかし、この女性を振り切ったとしても、自分が指名手配されているという事実は変わらない。
……せめて、ショチトル達だけでも逃がさないと!!
とりあえず、通信を……)
オリアナにばれないように、ショチトル達と魔術の通信を開こうとした時。
逆にショチトルの方から通信が入ってきた。
509 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 21:58:43.72 ID:MGr1woDO
エツァリ『どうしました?』
ショチトル『エツァリ、に、逃げっ――』
エツァリ『ショチトル!ショチトルゥゥゥ!!!』
ぶつっという耳障りな音と共に通信が途切れる。
頭の中が真っ白になった。
呼吸をする事すら忘れてしまった。
よりにもよってこのタイミングで、通信がかかってきた。これは決して偶然ではない。
ショチトル達がどうなったのか、考えるまでもなかった。
前提が間違っていたのだ。オリアナは一人ではなかった。
今ごろショチトルとトチトリは、彼女の仲間に捕らえられていることだろう。
想像もしたくなかった、最悪の事態だ。
510 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 22:01:00.99 ID:MGr1woDO
我を失ったエツァリは、自身の身の安全など無視して、H鋼の鉄骨の影から飛び出した。
歯噛みしながらオリアナを睨みつける。
オリアナに向けたナイフの切っ先が、怒りで微かに震えていた。
エツァリ「彼女達に何をしたぁ!!」
突然激昂したエツァリにうろたえる事もなく。
オリアナは平坦な口調で、謝罪の言葉をつむぐ。
オリアナ「本当にごめんなさい。お嬢ちゃん達は大きな怪我は負ってないわ」
511 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 22:02:28.59 ID:MGr1woDO
オリアナは、通信用の単語帳のページを口に咥えていた。
彼女がこの場所で発動させた魔術は二つだけ。
一つ目は、はじめに放ったロープの魔術。
二つ目は、仲間にショチトル達を捕らえるように指示する為の魔術だけだ。
駅でエツァリを発見したオリアナは、同行していた仲間に連絡をとり連携しながら三人を尾行し始めた。
そしてオリアナ一人だけ、あえて気付かれるようなお粗末な尾行をし、揺さぶりをかけてから、相手の反応を見ていたのだ。
エツァリ達の危険度と、実力、素性を探る為に。
駅で出会った時から、すでにオリアナの尋問は始まっていた。
512 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 22:04:12.63 ID:MGr1woDO
オリアナ「抵抗しない限り、むやみに手は上げないようにって、あの娘達には言っておいたんだけど……」
エツァリ「そんな問題じゃない!……彼女達に魔術を向けるなんてっ」
ショチトルは皮膚の裏に原典を書き込まれ、殺人兵器として組織の尖兵にされた。
トチトリは、テクパトトルが原典を運用する為の生贄として、地獄の苦しみを味合わされた。
魔術に関わる者ならば、自ら原典に手を出すような人間ならば、そのような仕打ちも覚悟しなければならないのかもしれない。
しかし、本来彼女達は前線に出てくるような人間ではない。
人を傷つけず、他人を幸せにする為に、魔術を利用していただけの、ただの少女だったのだ。
エツァリは、魔術の犠牲者たる彼女達に、再び魔術を向けた事が、何より許せなかった。
513 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 22:05:37.48 ID:MGr1woDO
オリアナ「やっぱり何か訳ありだったのね……。
そんなに便利なナイフを持ってるのに、お姉さんを攻撃してこなかった原因は、やっぱり彼女達にあるの?」
エツァリ「………………」
ショチトル達は人質に取られたも同然だ。
彼女達の安全を確保する為には、対価を支払わなければならない。
その対価が、自分自身の命だと分かった上で、エツァリは決断する。
エツァリ「彼女達を解放してください」
オリアナ「貴方が黙ってついて来てくれるなら、喜んで」
エツァリ「……分かりました」
ごとんっと、地面に黒曜石のナイフが落ちる音が建設現場に響いた。
514 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/11/28(日) 22:07:32.90 ID:MGr1woDO
エツァリの明日はどっちだ。っというところで終了です。
自分が、普段、下ネタを使わない人間なもので。オリアナさんの台詞考えるのが難しい。
エロいのに下品にならない、微妙なさじ加減が分からないっす。
ショチトル達を捕らえた“あの娘達”の性格を把握する為に、今17巻と18巻を読み返し中。
余談ですが、某牧場のまとめサイトに掲載されているこのスレが、何だか悲惨な事になってました。
トリ付けたのがいけなかったんでしょうか?
では、また来週末に来ます。
515 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 22:08:41.17 ID:wKXysF.o
今回短い・・・
乙でした。来週が楽しみすぎる。
516 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/28(日) 22:26:16.75 ID:q764Wk20
エツァリ「不幸ですね…」
517 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 00:55:34.47 ID:uq./LuA0
おねえさん欲求不満♪でいいと思いますよww
エツァリよ…
518 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 02:15:24.22 ID:T8Ztrfk0
追いついたー 神ssだったでござる
>>1
マダー?
519 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 11:37:19.88 ID:J7WOdIIo
乙
ラクロスチームか。
オリアナ姐さんと気が合いそうだな
520 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/01(水) 14:01:58.78 ID:2QjjmoAO
まだか!
521 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 15:34:57.38 ID:jZFhrMAO
週末(週始?)にいつも来るんでせうよ
522 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/03(金) 20:24:43.28 ID:zH1ckYAO
たった今読み終わった。ヴェント好きだからめっちゃおもしろい!
もっと活躍させてください!!
あと勝手な意見だけど
ヴェントは「テメエ」より「アンタ」って言う方がしっくりくると思う。
……アレ? 美琴?
523 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 23:03:45.54 ID:U6zokYEo
よみおわった
相変わらず美琴は上条さんとすれ違いばっかだなwwwwww
524 :
sage
:2010/12/04(土) 13:01:39.90 ID:wRkR9rI0
まだー?
525 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 14:32:03.23 ID:EXNGV4Q0
日曜に来るって何度言ったら(ry
後sageは名前欄じゃなくE-mail欄な
526 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 19:44:55.22 ID:wFQYrkAO
まだ?
527 :
◆nQU5UhdK.c
[saga]:2010/12/06(月) 01:30:55.51 ID:bWkERIDO
前回の投下で、エツァリと海原の表記を帰るタイミングを間違えました。
今回は海原表記でいきます。
もし、リアルタイムで呼んでくださっている方がいましたら、
遠慮せずレスしてくださって結構です。
というか、自分としては投下中にレスしてもらえると嬉しいです。
では、投下スタート。
528 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:32:15.30 ID:bWkERIDO
エツァリサイド ―関東―
学園都市から南に位置する国際空港の傍にあるとある倉庫。
元は、日本の運送会社が管理していたものだが、今はその会社が倒産し、売却にだされていた。
もともと一般人の出入りの少ないエリアでもあるのだが、
今はオリアナが張った結界によって辺りには、まったく人の気配がない。
その薄暗い倉庫の内に海原とオリアナがいた。
オリアナに従い、彼女についてきた海原であったが、何故か手錠すらかけられない状態で放置されていた。
この場所で、必要悪の教会のエージェントと合流する手筈になっているらしい。
床に転がっていた木箱に腰掛けたまま、オリアナに疑問をぶつけてみる。
529 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:33:19.70 ID:bWkERIDO
海原「自分で言うのも何なのですが、拘束しなくてもいいのですか?」
入口付近の壁に寄りかかっていたオリアナが、少しサドスティックな笑みを浮かべる。
オリアナ「あら?縛られるのがお好み?」
海原「いえ。しかし、これでは無用心でしょう?」
オリアナ「大丈夫よ。お姉さんにはこれがあるから」
オリアナは単語帳の切れ端を、エツァリの目の前にちらつかせる。
黄色のマーカーで、Wind Symbolと乱雑な文字が書かれていた。
530 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:34:42.65 ID:bWkERIDO
海原「それは?」
オリアナ「貴方の為に、お姉さんが書いた原典よ」
海原「貴女は魔導師だったのですか!?」
オリアナ「いいえ。お姉さんの書いた原典は、文字が汚くて誰にも理解してもらえないの。
それどころか、数時間、ひどい時には数秒で崩壊するような、不良品しか書けない。
お姉さんは速記原典って呼んでるわ」
海原「なるほど、あの時の捕縛魔術もその原典で発動させたんですね」
オリアナ「そっ。
このぺージは、貴方の魔力に反応してカウンターを仕掛けるように作ってあるから、
うかつに魔術を使おうなんて考えない事ね」
531 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:36:17.24 ID:bWkERIDO
海原(拘束はおろか、ボディーチェックすらしなかったのはそのせいですか。
どんな霊装を所持していたとしても、使えなければ意味がない。
しかし、好都合です。
ショチトル達が開放されるまでの間、自分が魔導師である事がバレないようにしなくては……)
海原「これから自分はどうなるのですか?」
オリアナ「とりあえずここで必要悪の教会のエージェントに引き渡す手筈になってるわ」
つまらなさそうな顔で、答えが返ってくる。
海原「貴方がイギリス本部に連行するのではないのですか?」
オリアナ「あくまで協力員だもの。お姉さん、必要悪の教会にそこまで信用されてないのよ」
海原「…………」
532 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/06(月) 01:36:19.53 ID:4QXqMeM0
まってたぜい!
533 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:37:34.70 ID:bWkERIDO
オリアナ「安心しなさいな。
あのお嬢ちゃん達は、貴方の身柄を引き渡し次第、すぐに開放してあげるから。
それ位の権限はあるわよ」
海原「ええ。お願いします」
オリアナ「おっと、早いわね。もうご到着のようよ」
長らく使われていない倉庫の扉が、耳障りな音をたてて開くと、海原の見知った男が入ってきた。
土御門「待たせたなオリアナ=トムソン」
オリアナ「あら。大覇星祭以来ね」
海原「貴方が、必要悪の教会のエージェントですか……」
土御門「ああ。土御門元春だ。お前さんをイギリスの監獄塔まで連行する。
見た所拘束されていないようだが、どうなっている?」
534 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:38:58.05 ID:bWkERIDO
オリアナ「これよ」
オリアナは、海原に見せたのと同じ速記原典を、土御門に差し出す。
土御門は一瞥しただけでその正体を看破した。
土御門「……なるほど。大覇星祭の時ステイルが食らったのと同系統の魔術か。
しかし、オリアナ。お前は一度使った魔術は二度と使わないんじゃなかったのか?」
オリアナ「まったっく同じ魔術じゃないわよ。あの時と同じ失敗はしたくないしね。
この魔術師以外の魔力には反応しないように、少し工夫してるの」
土御門「そうか。ならそれはこちらで預かっておくぞ。
どの道、俺がコイツを拘束すれば、その速記原典は用済みだ」
オリアナ「ええ」
535 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:40:22.12 ID:bWkERIDO
土御門「今からコイツに拘束の為の魔術をかける。少し、倉庫の外で待っていろ」
オリアナ「つれないわね。お姉さんは三人でもいいんだけど」
土御門「必要悪の教会は、外部の人間に手の内を明かすほど間抜けじゃない。
身柄の拘束に使用する霊装は、十分重要機密に値する」
オリアナ「あっそう。じゃあお姉さんは、お外で待ってるわ。早く済ませてね」
536 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:41:35.21 ID:bWkERIDO
ひらひらと手を振りながら倉庫を出て行くオリアナの後ろ姿を、二人は黙って見送る。
倉庫の扉が閉まるのを確認すると、海原が静かに語り始めた。
海原「学園都市で別れてから、まだ一日しか経っていないというのに。
もう、敵対してしまいましたね。
いずれこうなる事は覚悟していましたが、あまりに早すぎる」
ここに土御門が現れた理由は明白だ。
学園都市の命令で、海原の口を封じに来たのだ。
土御門「残念だ海原」
海原「自分もです」
537 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:43:03.46 ID:bWkERIDO
土御門「言い残す事はあるか?」
土御門の表情はサングラスに隠れて読み取れない。
同じような身の上同士、同情してくれているのかもしれない。
ならば、最期の望みをこの男に託してみよう。そう海原は思った。
海原「ショチトル達の事をお願いします。
後、面倒でしょうが、自分が所持している原典の封印を必要悪の教会に依頼します。
こんな物は人間に不幸しかもたらさない。
彼女達のような被害者が二度とでないように。
よろしくお願いします」
土御門「安心しろ。あの娘達とはすぐに会える」
海原「どういう事です!?」
土御門は後ろに手を回し、ズボンのベルトにはさんでいた拳銃を取り出す。
土御門「時間がない。魔術師“海原光貴”には、今ここで死んでもらう」
538 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:45:04.11 ID:bWkERIDO
―倉庫前―
オリアナ=トムソンは倉庫の外で、身を縮こまらせる。
吹きつけてくる冷たい風が、身に染みる。
魔術によってある程度体温の低下を軽減しているものの、限界はある。
オリアナ(まったく。あんなにあからさまに邪険にすることはないでしょうに……。
大覇星祭の時の事、まだ根に持ってるのかしら)
オリアナは単語帳を噛み千切り、通信用の魔術を発動させた。
状況報告という名の世間話をする為。つまりは待たされるのが退屈だったのだ。
539 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:46:17.99 ID:bWkERIDO
オリアナ『ハァーイ。お嬢ちゃん達、良い子にしてた?』
レッサー『ハァーイじゃないですよ。
こんなつまらない仕事押し付けといて、何様のつもりですか?』
オリアナ『仕方ないじゃない。上からの命令なんだから。そっちの様子はどう?』
レッサー『はぁー。とりあえず捕まえた魔術師の女の子達は相変わらずですね。
一言もしゃべろうとしません。
何を隠してるのか知りませんけど。
そちらのアステカの魔術師を庇っているんでしょうか?』
オリアナ『そうかもしれないわね。
こっちの魔術師の方も、人質を取ったとたんあっさり降伏してきたし。
お互いに庇いあってるのね』
540 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 01:46:36.59 ID:zVkA9xwo
まだ投下中?
投下中レスして欲しいってのを読んですぐ書き込んでるが…ありがとう待ってたました、これから読みます
541 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:48:29.45 ID:bWkERIDO
レッサー『そちらの魔術師が上条当麻の手がかりを握っているってのは本当なんですか?』
オリアナ『どうでしょうね?
捕らえた後も色々聞いてみたけど、お姉さんが尋問した感じじゃアレはシロね』
レッサー『そうですか……。だったら、私としてはとっととあの少年の捜索に戻りたいんですけどね』
オリアナ『お嬢ちゃんったらやけにあの少年の事気にしてるのね』
レッサー『そりゃそうですよ。
私が、せっかく既成事実、じゃなかった。
貸しを作って、イギリスの駒に仕立て上げようと奮闘したっていうのに。
その結果が行方不明じゃ締まりませんし』
542 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 01:49:19.19 ID:uFH7AP.0
リアルタイムで読めるのは正直嬉しいな。
543 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:50:30.63 ID:bWkERIDO
オリアナ『あの少年になにしたの?』
レッサー『色々やりましたよ。色々と。
献身的なレッサーはあの少年の為に、何でもする覚悟があったというのに……
あの少年もしかして枯れてんじゃないですか?
思い出しただけで腹が立ってきました!』
オリアナ『そんなことないわよ。
お姉さんには、初対面なのにキスねだってきたし』
レッサー『ハッ!!嘘だっ!?
私が色目使った時なんか、裏路地に連れ込まれて、15分くらいガチで説教してきたってのに。
この違いは何ですか?
私に女としての魅力がないというのか!?
……いや、私はせくしーなはず』
544 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:52:13.56 ID:bWkERIDO
フロリス『レッサーのお子様ボディーじゃ色仕掛けは無理だろ?
あの野郎がロリコンじゃない限りは』
レッサー『うっさいです。割り込まないでくださいフロリス!!』
ベイロープ『ってか、あんたは本気で上条当麻を篭絡させるつもりだったの?』
レッサー『そうですが何か?』
『……………………』
レッサー『何ですかこの痛々しい沈黙は!?』
ランシス『あふぇ。レッサーって上条当麻って子の事が好きなんだよね?』
レッサー『ち、違います!私はあくまでイギリスの為にあの少年を』
フロリス『そんなレッサーにぴったりなことわざを教えてあげよう。
“ミイラ取りがミイラに”だ』
レッサー『違いますって!!』
545 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:53:59.48 ID:bWkERIDO
オリアナ『あー盛り上がってるとこ悪いんだけど。
そろそろ引継ぎが終わりそうだから、そっちも女の子達解放する準備始めててね』
ベイロープ『了解』
オリアナ「ほんと姦しいわねあの子達。
……さてと、速記原典の反応が消えたって事は、拘束の為の魔術は発動し終わったみたいね」
その時。
パーンッ!!っという破裂音が倉庫の中から聞こえててきた。
非常事態にオリアナは身をかたくする。
状況が分からないのに、うかつに中に飛び込むのは危険だと考え。
入口の影に回りこみ、しばし様子をみる事にした。
546 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:55:38.55 ID:bWkERIDO
オリアナ(今のは拳銃の発射音よね?)
依然として中からの反応がない。
しびれを切らしたオリアナが突入しようかと考えていると、ガラガラと音をたてながら入口の扉が開き、中から土御門元春が出てきた。
その顔と衣服には、若干の返り血が付着しており、中で何かの争いごとがあったことが窺える。
オリアナ「何があったの?」
土御門はオリアナの姿を認めると、サングラス越しにうつろな眼差しを向けた。
土御門「……容疑者が自殺した」
オリアナ「まさか!?」
慌てて土御門の隣を横切り、倉庫の中を確認する。
入ってすぐ、血の匂いが鼻をついた。
オリアナのサンダルがピチャっと水溜りに足をつっ込んだような音を立てる。
547 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:57:09.97 ID:bWkERIDO
薄暗い倉庫の床に血の海が広がっていた。
その中心に転がっているのは、浅黒い肌をした少年の亡骸だ。
頭部が激しく損傷していて、顔の判別がつかない。
脳漿と頭蓋骨の欠片が赤い水溜りの中に沈んでいた。
オリアナ「うっ……これはどういうこと?」
土御門「俺の拘束術式が完成する直前、お前の速記原典が破られた」
オリアナ「なんですって?」
土御門「不意をつかれた俺は、コイツともみ合いになり、手持ちの銃を奪われた。
てっきりその銃で反撃されると思って、防御術式を張ろうとしたんだが。
違った。
コイツは銃口を自分の下あごにあてて、そのまま脳天をぶち抜いたんだ」
548 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:58:37.97 ID:bWkERIDO
オリアナが少年の亡骸を再び確認すると、その右手に、土御門の物だと思われる銃が力なく握られていた。
オリアナ「何故自殺を…………」
土御門「これから自分が受けるであろう、必要悪の教会からの拷問を考えて、怖くなったんじゃないか?
学園都市に侵入するようなスパイだ。
俺達に知られたくない過去の一つや二つ、あったとしても不思議じゃない。
仲間に迷惑をかける前に、命を絶ったんだろ?」
オリアナ「くっそっ!!」
オリアナはサンダルを履いた足で、倉庫の壁を強かに蹴りつける。
見ている方が痛くなりそうな、蹴り方だった。
549 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 01:59:55.53 ID:bWkERIDO
土御門「お前は悪くない。これは俺のミスだ」
オリアナ「……………………」
土御門「これだけ脳が損傷していては、魔術で情報を抜き取る事もできないだろう。
本部に送るだけ無駄だ。
死体の処理はこちらでやっておく。
お前達は本来の任務に戻れ」
オリアナ「彼の仲間のお嬢ちゃん達は?」
土御門「解放して構わない。どうせ碌な情報も持ち合わせてない」
オリアナ「分かったわ」
550 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:01:18.47 ID:bWkERIDO
新たなる光サイド ―関東 某民宿―
関東に存在するとある民宿の一室に、ラクロスのユニフォームを身に纏った少女達が宿泊していた。
イギリスの魔術結社『新たなる光』のメンバーだ。
オリアナから通信を受けた彼女達は、人質にとっていたショチトル達を解放した後、休養を取る為に宿へと直行した。
その一人である黒髪の少女レッサーは、衣装棚の上に置かれていた日本の民族衣装の一つを広げ、満足そうな笑みを漏らす。
レッサー「見てください!ユカタがあります♪」
フロリス「おー。ジャパニーズユカタ!」
551 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:02:30.68 ID:bWkERIDO
ベイロープ「それって日本のパジャマなの?」
レッサー「さあ?形状から推測するに、バスローブのような物ではないでしょうか?」
ベイロープ「ぺらっぺらなバスローブね。寒くないのかしら?」
レッサー「一説によると、このキモノを着用する際は、下着を身に着けてはいけないそうです」
フロリス「ハァ!?」
ランシス「ふうぇ。すっぽんぽん?」
ベイロープ「バスローブだと思えば不自然じゃないかもしれないけど。
どこの情報よ。それ?」
552 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:03:46.82 ID:bWkERIDO
レッサー「情報源は明かせませんが、確かなスジから得た情報です。
何でも必要悪の教会の聖人神裂火織は、日ごろからこのユカタをパジャマとして愛用しているようでして。
もちろん下着を着用していないという噂です」
フロリス「それただの痴女じゃない?」
ベイロープ「うん、痴女ね」
レッサー「神裂火織曰く、下着をつけないのが伝統的なキツケというもので。
日本女性からすると、下着の線がユカタの表面に浮かび上がるほうが、恥ずかしい事なのだそうですよ」
フロリス「日本人の感覚ってよくわかんないな」
ベイロープ「うーん。それなら、下着のままの方がまだましな気がするけど」
553 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:05:29.38 ID:bWkERIDO
レッサー「とにかく、今夜はこれを着てみましょう!」
ランシス「すっぽんぽんで?」
レッサー「イエス!!ジャパニーズスタイルです!」
「「「えー」」」
口では文句をいいながらも、彼女達はそれぞれ自分の浴衣に手を伸ばす。
姿見の前で、自分達の体に浴衣をあてたり、服の上から羽織ったりして、サイズを確認し始めた。
レッサー「それにしても、オリアナさん遅いですね。一体どこで道草くってるのやら」
フロリス「別にいいじゃない。あの人がどこで何をしてようと、あの人の勝手だろ?」
レッサー「そりゃそうなんですけどね」
554 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:07:03.32 ID:bWkERIDO
ベイロープ「一応、アステカの魔術師の一軒はかたが着いたみたいだし。
気にする事ないわよ。
指名手配されてた魔術師は本国送り。確保したやつの仲間は、お咎めなしで解放。
一件落着じゃない」
レッサー「んー。なんかしっくりこないんですよね」
ランシス「なにが?」
レッサー「最後にオリアナさんが連絡よこしたとき。なんかおかしくなかったですか?」
フロリス「そうか?」
レッサー「なんだか何か思いつめたような感じだったんですけどね……」
ベイロープ「気のせいじゃないの?」
レッサー「そうですね。まあオリアナさんが帰ってから直接聞いてましょう」
555 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:08:24.97 ID:bWkERIDO
結標サイド ―学園都市 小萌宅―
日本時間午後9時、結標淡希は小萌のアパートに帰宅した。
結標「ただいまー」
小萌「結標ちゃん!!おかえりなさい。遅いじゃないですか!?
先生心配したんですよ?」
玄関のドアをくぐるなり、小萌が飛びついてきた。
結標「ごめん。ちょっと急なバイトが入っちゃって」
結標は小萌を引き剥がしながら、居間のコタツに逃げこむ。
長い間外にいたため、結標の体はすっかり冷え切っていた。
556 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:10:23.60 ID:bWkERIDO
小萌「遅れる時は連絡くらい入れて下さい。
上条ちゃんだけじゃなく、結標ちゃんまでいなくなるんじゃないかって、先生不安だったんですから……」
結標にお説教しながら、小萌は結標の向かいに座る。
最近は、この席が二人の定位置になっていた。
結標「うん、次からは気を付けるわ」
小萌「それにバイトって、危険な事してないですよね?
こんな時間まで学生を拘束するバイトなんて、学園都市にあるんですか?」
結標「大丈夫よ。今回は宅急便の配達員みたいな安全な仕事だったから」
557 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:11:56.77 ID:bWkERIDO
小萌「結標ちゃん運転免許持ってましたっけ?」
結標「例えよ例え。それより、晩御飯ある?お腹空いちゃった」
小萌「ありますよ。冷めちゃってますから、今温めますね」
そういいながら、小萌は台所に行くと、コンロの上の鍋の蓋を開ける。
結標「今日の晩御飯はなに?」
小萌「先生特製のおでんなのです!」
結標「おー良いわね。暖まりそう」
小萌「これが日本酒とよく合うのです」
結標ちゃんは未成年ですから、呑んじゃダメですけどね。
などと言いながら、小萌はコンロに火をつける。
結標は、そんな彼女の姿を、コタツに入ったまま眺めていた。
558 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:13:13.64 ID:bWkERIDO
結標「はいはい。貴女本当にお酒好きよね。あれ?電子レンジで温めないの?」
小萌「むむっ。結標ちゃんは“たまご爆弾”の恐怖を知らないのですか?」
結標「何それ?随分物騒な名前ね」
小萌「卵を電子レンジで必要以上に温めると、中の空気が膨張して、破裂してしまうのですよ。それはもう、凄まじい威力の爆弾と化してしまうのです」
結標「マジ?」
小萌「マジなのです。一番恐ろしいのは、電子レンジ内で卵が破裂しなかった場合ですね」
結標「その場合どうなるの?」
小萌「かぶりついた瞬間に、パーン!って破裂します。言うなれば不発弾の様な物です。
唇や顔に火傷を負うケースもあるんですよー」
559 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:14:53.41 ID:bWkERIDO
結標「……恐ろしいのね“たまご爆弾”」
小萌「まあ最近は、センサーで卵の存在を感知して、適温まで温める、AI付きの電子レンジが主流ですから、問題無いんですけど……」
結標「ああ、この家の電子レンジは旧型だったわね」
小萌「この子とは長い付き合いですからねー」
結標「小萌は、物が棄てられない性質だものね」
小萌「むむっ。物持ちが良いって言って下さい」
結標「そんなんだから、部屋がゴミだらけになっちゃうのよ」
小萌「それとこれとは関係ありません!」
結標「どうかしら?」
560 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:16:18.37 ID:bWkERIDO
小萌「むー。今日は結標ちゃんがやけに毒舌です」
小萌は頬を膨らませながら、不満気味に一人ごちる。
そんな顔をしても、可愛いだけなのに。と思いつつも、決して口には出さず。
結標はいつものようにそっけない態度を保つ。
結標「そう?私はいつもこんな感じだと思うけど」
結標は、小萌とのこうした何気ないやり取りを、自身が思っていた以上に楽しみにしている事に、最近気がついた。
小萌「……それもそうですね。よ〜し温め終わりましたよ」
561 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:17:24.61 ID:bWkERIDO
小萌がおでんを器に盛り、おぼんに乗せて運んできた。
小萌「どうぞ召し上がれ」
コタツの対面に座る小萌を、おでんの湯気越しに見つめながら、
結標は心から感謝の言葉を口にする。
決して心の内を悟られないように気をつけながら。
結標「ありがと。じゃあ、いただきます」
562 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:18:30.45 ID:gl8cHSo0
うおっリアルタイム遭遇か
支援
563 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:18:57.01 ID:bWkERIDO
ショチトルサイド ―関東 某公園―
ショチトルとトチトリは、とある公園のベンチにすわり、訪れるはずのない待ち人を待ち続けていた。
エツァリが合流地点として指定した公園だ。
ショチトル達は、もうエツァリが来られない状況にあるのは理解している。
それでも、この場所から動こうという気は起きなかった。
もう二度とエツァリに会う事はないだろう。
二人で手を繋ぎ、肩を寄せ合いながら、星空を眺めてた。
ショチトル「星が綺麗だな、トチトリ」
トチトリは無言でうなずく。
ショチトル「故郷で見ていたのと同じ星空だ……」
星々の描く壮大な絵画を、その瞳の焼き付けんとすように、ショチトルは空を仰ぎ見る。
564 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:20:44.70 ID:bWkERIDO
ショチトル「どうして……どうして、こんな事になったんだろうな……」
ショチトルの頬に一筋の涙が伝う。
ショチトル「私の……せいだ……。
私が組織の言いなりになって、原典なんかに手を出したから……エツァリは原典なんかを持つ破目になったんだ……。
エツァリは、私達を助けてくれたのに……。
……そもそもエツァリを殺そうとしたのが間違いだったんだ……
…………粛清なんて言い訳だ……
エツァリが私の知らない所に行ってしまう……それが寂しくて……辛くて……羨ましくて
……エツァリに八つ当たりしただけだ……私はなんて身勝手なんだろう……
エツァリは……私達の誰よりも自由だった……ただそれだけだったのに……」
565 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:22:14.81 ID:bWkERIDO
少女の嗚咽と後悔の言葉が、夜の公園に響き渡る。
トチトリは彼女の傍らで、彼女の言葉に耳を傾けた。
両手で、ショチトルの手を包み込む。
ショチトル「すまないトチトリ……辛いのはお前も一緒なのに」
その時、公園とその周囲の外灯の光が消え失せた。
耳障りなブレーキ音を出しながら、ライトを消した大型車が公園の前で、乱暴に停車する。
突然の出来事に、ショチトル達が驚く間も無く。
大型車から、次々に黒装束の男達が飛び出してきた。
その頭には、細長く白い奇妙な仮面をつけている。
幽かな星明かり以外何も無い闇の中で、複数の人影がうごめく。
あっという間に、純白の仮面をつけた小隊が、ショチトル達を包囲した。
566 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:23:33.00 ID:bWkERIDO
ショチトル「……何者だ?」
ショチトルに呼びかけられた仮面の男は、返事の代わりにフルオートの銃の銃口を向けた。
じりじりと包囲が狭められていく。
ショチトル「これから死に逝く者に、語る言葉など無いという訳だ」
姿を見る限り、学園都市から放たれた刺客である事は明白だった。
大方、自分達が必要悪の教会に情報をリークする可能性を潰す為なのだろう、とショチトルは推測する。
今のショチトルに、戦う力は無い。
それ以前に、戦うだけの気力が無かった。
なまじスパイとして潜り込んでいただけに、学園都市の技術力はよく理解している。
暗部組織相手に逃げ切れるとも思えない。
567 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:25:38.68 ID:bWkERIDO
ショチトルは、震えるトチトリの肩をそっと抱きしめる。
二人にできる事は、これから訪れるであろう死を受け入れる事だけだった。
仮面を被った者達のリーダーが、部下に掃射を命じる為に、右腕を小さく挙げた。
その右腕が下ろされた時が、最期だ。
ショチトル「……エツァリお兄ちゃん……」
少女のささやきが、暗闇に溶けて消えてゆく。
その言葉は誰にも届かない。
ヒーローなんか現れない。
もとより、そんなもの期待などしていなかった。
その筈だった。
「ショチトルウウウゥゥッ!!!」
568 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:27:07.26 ID:bWkERIDO
その声は真後ろから聞こえてきた。
ショチトルは振り返り、その姿を確認する。
心の奥底で望み続けていた。
彼女のヒーローの姿がそこにあった。
“海原光貴”ではない。アステカにいた時のその姿で、目の前に立っていた。
ショチトル「エツァリお兄ちゃん!?」
エツァリ「その娘達から離れろっ!!」
一瞬、エツァリの瞳が妖しい輝きを放った。
轟っ!!という爆音と共に、エツァリの周囲からレーザーの様な光の束が飛来する。
ショチトル達を取り囲んでいた仮面の部隊は、一瞬でなぎ払われた。
ショチトル「まさか……月のウサギ!?」
569 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:28:15.52 ID:S4cntaoo
あァ、ヒーローだわァ…
570 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:28:22.54 ID:bWkERIDO
エツァリの左腕が、ゴムの様にぐにゃりっと力を失ったかと思うと、一瞬で元の形に修正される。
エツァリ「うぐぅぅっっ!がああぁぁぁぁっっっっ!!!」
月のウサギ。
アステカの伝承を応用した原典による、あらゆる物を打ち落とす“長距離砲撃”。
この術式は生贄として生きた人間の骨を利用する。
エツァリは、自らの左腕の骨を生贄として差し出したのだ。
麻酔なしで生きた人間から骨を抜き出し、代わりに黒曜石で穴埋めする。
常人なら発狂するであろう猛烈な痛みがエツァリを襲う。
571 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:30:09.39 ID:bWkERIDO
エツァリ「ぐうっ、はぁぁ、はぁぁはぁ。ぁ、ああ、構わない……。
あの娘達が守れるのならば、骨くらい幾らでもくれてやるっ。
だから……だから、力を貸せ」
エツァリは原典に語りかけた。
ショチトル達を守る為に、禁忌とされた力に手を伸ばす。
エツァリ「ショチトル!ここは自分が食い止めます。
くっ、逃げなさい……できるだけ遠くに……ここにいては自分の攻撃に巻き込まれてしまいます……」
ショチトル「っ、すまない」
ショチトルはトチトリの手を引き、公園を脱出する。
加勢することすらできない己の無力をかみ締めながら。
572 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:31:50.48 ID:bWkERIDO
エツァリはショチトル達の背中を見送ると、仮面の襲撃者達に向き直る。
仮面の部隊は半壊状態だった。
エツァリの攻撃をまともにくらった者は全て、跡形も無く消えてしまった。
それでも、生き残っている者達がいた。
かろうじて仮面の羽を展開して防御できた五人の男が立ち上がり、複数の羽を広げ、突撃の準備を整えていた。
いつでも捕らえられるショチトル達の追跡は諦め、現存する全ての戦力をエツァリに傾ける事にしたのだ、
轟!!っという音とともに、凄まじい暴風が辺りに吹き荒れ、仮面の男達が加速する。
発束包帯によって飛躍的に高められた脚力と、羽の力を使い、圧倒的なスピードで間合いをつめてきた。
573 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:33:16.63 ID:bWkERIDO
対するエツァリは、二冊の原典を同時に展開させる。
暦石から派生させた“武具を持つ者への反撃”の迎撃術式が組まれた原典と、
伝承から派生した“長距離砲撃”の迎撃術式が組まれた原典だ。
懐から帯状になった原点が、まるで蛇の様に這い出し。
エツァリを守るように、二重螺旋の軌跡を描きながら空中を漂う。
エツァリ(ぐがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!
クソッ!頭が割れるっ!!うぐぅっ!
……さすがに二冊同時展開は……無理があるのか……
駄目だっ!……ショチトル達を守りきるまで、倒れる訳にはいかないっ!!)
574 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:34:38.62 ID:bWkERIDO
原典の汚れた知識が、エツァリの脳を汚染する。
脳を二分割されるような激痛に襲われる。全身の血が沸騰するようだった。
血の涙を流しながら、襲い来る敵を睨みつける。
真っ先にエツァリの元の到達した男がすれ違い様に、展開させた翼でエツァリもろとも辺りの物を両断しようとした。
ギィン!!っと、まるで真剣同士がかち合ったような、鋭い音が響く。
エツァリの周囲に植樹されていた公園の樹木は、その圧倒的な力になぎ倒される。
それでも、エツァリは倒れない。
周囲を漂う原典が、己の継承者を守る為に、攻撃の一つ一つを確実に打ち落していた。
エツァリ「はぁ、はぁ……今のは……学園都市第二位の能力?一体どうやって……」
575 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:36:15.15 ID:bWkERIDO
仮面の襲撃者の猛攻はそれだけでは終わらない。
二人目、三人目と襲撃者達はエツァリに情け容赦ない攻撃を仕掛け続ける。
エツァリは右手に持ったトラウスカルパンテクウトリの槍を使って、襲撃者の仮面を破壊しようと試みる。
しかし、相手の動きが速すぎて、角度の計算が追いつかない。
エツァリ(くそっ!……こちらの戦力データは全て筒抜けと考えるべき。
……自分の攻撃を回避する為の行動パターンは、すでにシュミレート済みというわけですか)
576 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:37:20.48 ID:bWkERIDO
彼らは決して立ち止まらなかった。
高い機動性を生かし、まるでピンボールの弾が跳ねるの様に周囲をせわしなく動き回り、エツァリに接触する瞬間だけ攻撃を仕掛ける。
そうする事で、月のウサギ、黒曜石の槍の一撃の命中率を格段に下げていた。
仮面にとりつけられたLEDライトがチカチカと点滅していた。
彼らはリアルタイムで位置情報のやり取りをし、相打ちを防ぎ。
搭載されたAIの補助演算によって、もっとも効率的な道筋を導き出し移動することで、エツァリに最大限のダメージを与えていく。
その動きにはまったく無駄がない。
五人の男が、入れ替わり立ち代り、エツァリに切りかかってくる。
577 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:38:49.61 ID:bWkERIDO
エツァリ(はぁ、はぁ、はぁ、……クソっ敵の手数が多い、くっ……完全に防戦一方だ。
……このままヒット&アウェイを繰り返されたら、いずれ自分の方が原典の毒で自滅してしまう。
……まさか……ヤツらはそれを狙っているのか……
があっっっ……知識が……流れ込んでくる。
……何だ……これは……記憶!?……)
原典とは魔術的知識の集合体だ。
そこには記憶や自我は存在しない。
あくまで知識の継承という目的を果たすために、プログラム通りに動く道具でしかない。
それなのに、今現在エツァリの脳には、知識と共に、原典のものだと思われる記憶が流れ込んできていた。
578 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:40:36.84 ID:bWkERIDO
エツァリ(ぁあがっ……原典の記憶……じ、自動的に情報を集積する自立AIのような物なのか……。
……違うっ……これは……)
原典の知識が逆流するにつれて、エツァリははっきりと理解できるようになった。
同時に、この原典に隠された様々な真実に気付かされる。
この原典が何故自分を選んだのか。
先人達が何故これらの魔道書を後世に残したのか。
魔術結社『翼ある者の帰還』の老人達が、一体何を求めていたのか。
エツァリ(……今まで流れ込んでいた知識は……これを理解させる為の、単なる基礎知識……。
……これは……この原典は……天使を、いや神を創る為の……分割された設計図!!)
579 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:42:22.81 ID:bWkERIDO
突然、エツァリを守っていた原典がその動きを止めた。
仮面の襲撃者達も、攻撃の手を止める。
相手が自滅したのならそれで良し。
反撃の為の動きならばうかつに接近するのは危険だと判断したのだ。
しかし、実際はそのどちらでもない。
エツァリは原典に試されていた。
護るための力が欲しいなら手にとれ、さもなくば死ね。
原典は案にそう言っていた。
580 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:44:25.89 ID:bWkERIDO
原典は知識を広める為に持ち主を選ぶ。
それは、コンピューターのプログラムの同じで、あくまで機械的な判断だ。
だからこそ、エツァリがつけいる隙があった。
原典の判断能力を欺き、ショチトルとトチトリを助けることができた。
そう信じて疑わなかった。
しかし。
エツァリ「欺かれていたのは自分の方でしたか」
原典に自我が存在する事を、その時はっきりと感じた。
エツァリが原典の判断能力を欺いていたのではない。
原典の方が、エツァリを利用していたのだ。
複数の原典を所有する可能性のある者として。
その原典の毒に耐えうる、天使の素体として。
581 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:45:52.54 ID:bWkERIDO
エツァリ「自分で選べと言うのですね……いいでしょう。
我が身を捧げます。ケツアルコアトル!!」
エツァリは目の前の原典に向かって高らかに宣言する。
変化は一瞬だった。
ゴバッっという爆音とともに、エツァリの背中から白い何かが噴出した。
背中に純白の二枚羽を背負った少年は、その翼をはためかせる。
ケツアルコアトル。
アステカの太陽神であり金星の神でもある、翼を持つ蛇。
不完全ながらも、その力の一端を手にしたエツァリは、雄たけびをあげる。
エツァリ「wefgkuytwserypuiuy救dwadfjnhgfwdpnbvcikjhgv!!」
582 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:47:14.07 ID:bWkERIDO
仮面の襲撃者達は戦慄した。
彼らは知っている。これは垣根帝督の未元物質なんかで対処できる存在ではない。
一方通行という前例が存在する為、それは理解できる。
しかし、そんな事は関係なかった。
目の前にいる存在が、この世の物とは思えなかった。
指先一つ動かしただけで、唾を飲みこむだけで、命を失う。
そう錯覚してしまうほどの、圧倒的な力の差を、本能的に感じとってしまったのだ。
仮面の襲撃者達は、逃げる事すら忘れ、ただ呆然と立ち尽くしていた。
583 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:47:37.86 ID:l6chzFQ0
なん・・・だと?
584 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:48:58.81 ID:bGuCHdQo
すげえ!
エツァリ頑張れ支援
585 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:49:22.01 ID:bWkERIDO
エツァリ「qhpjlmzxc己vmhgfrscfr死xcfghwzxdsdfg」
エツァリが翼を振るうと、大量の羽毛が舞い上がった。
その翼は風を掴み、操る。
羽毛は周囲半径100メートルまで一瞬で拡散した。
そこで、エツァリは原典が持っていた迎撃術式を発動させる。
勝負は一瞬だった。
“武具を持つ者に対する反撃”を受けた仮面の襲撃者達は、成す術もなく。
自らの仮面に生えた翼で、我が身を貫いた。
586 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:52:39.44 ID:bWkERIDO
今日はここまで。レスありがとうございます。
やっぱり反応があると楽しい。
なるべく早く書けるように頑張ってはいるんですが、
投下ペースは速くても一週間に一回が限度です。
すみません。
エツァリの天使化がやりたかったが為だけに、エツァリをこのSSに出しました。
ケツアルコアトルまたはケツアルカトルは、アステカの太陽神です。
アトラスのゲームでは割と常連ですね。
エツァリの持つ原典が、蛇のような描写をされているのは、この伏線なんじゃないかと妄想しております。
原作でも天使化しないかな〜
何でエツァリが生きてるの?ってところはまた次回のお楽しみという事で。
今まで時系列順で物語を進めてきましたが、この話はちょっと時間をさかのぼります。
物語の構成って難しいでしね。
587 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:53:35.67 ID:hNv.U0co
エツァリマジ天使!
あわきん魔術サイド関係だとマジ蚊帳の外だな
588 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/06(月) 02:54:28.99 ID:bWkERIDO
張り忘れ。
これまでのまとめ
竜神当麻
→ヴェントと共に天草式に取り囲まれる。
御坂美琴
→黒子と共に、父旅掛に会う。
海原光貴
→不完全な天使化。ショチトル達を護るために奮闘する。
ショチトル
→学園都市暗部から逃亡中。
オリアナ
→アステカの魔術師を自殺させてしまった事に対する罪悪感に打ちひしがれている。
現在行方不明。
新たなる光
→パンツ穿いてない。
589 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:56:56.49 ID:uFH7AP.0
乙。
エツァリ天使化とかなんという厨二展開。
だが、それがいい(そもそも原作が厨二だし)
590 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:58:23.77 ID:uFH7AP.0
>新たなる光
>→パンツ穿いてない。
吹いたwwwwww
591 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 02:59:48.52 ID:seh5Jjoo
> 新たなる光
> →パンツ穿いてない。
お前これがやりたかっただけだろwwww
だがそれがいい(キリッ
592 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 03:01:34.93 ID:l6chzFQ0
面白い 乙なり
この辺から原作との当たり外れが激しくなりそうだな
旅掛さんの件辺りまではかなりいい線いってると思う
593 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/06(月) 03:28:54.05 ID:wwDMrsAO
エツァリ大好きな俺が来ましたよ
天使化…いや、この場合は神格化かな?俺得すぎるww
594 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 03:29:17.50 ID:GRe0P1c0
更新乙。
エツァリに惚れる
595 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 07:00:21.15 ID:RS9H9hw0
ケツァコアトルってアステカの神殿に蛇は神だとまつられてたよね
GJっす
596 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 08:05:04.51 ID:b0I4GYAO
乙
たまご爆弾………ナイトスクープの伝説のネタじゃないか!!!
597 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 08:59:59.83 ID:wwDMrsAO
>>596
あれはヤバいな…死ぬかと思った
598 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 09:29:21.25 ID:hI.8QHso
レッサーキター
エツァリマジ天使
599 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 14:13:32.95 ID:kbX7xGUo
新たなる光はいいなぁ
誰かSS書くんだ
600 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 19:20:08.66 ID:uOduXBko
超乙です。
エツァリかっこいいよエツァリ
601 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 19:46:32.34 ID:V2DaNaMo
レッサーが出てくるSSは貴重だから有り難い
602 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 21:01:55.63 ID:9hn1agAO
エツァリ△
603 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 23:31:49.16 ID:GPccumU0
エツァリ大好きだからこの展開で俺歓喜
乙です
604 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/07(火) 12:46:59.16 ID:6vSJxMDO
エツァリ大人気みたいなので、
昨日自分がペイントで描いた落書きをこっそり貼っときます。
灰村さんの偉大さを思い知ったOTZ
http://q.pic.to/1azzdi
605 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/07(火) 18:25:13.73 ID:2fhKVG2o
>>604
スタイリッシュ中2吹いたw
606 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/07(火) 18:28:07.03 ID:cc5lGkAO
なんかゴーストトリツクみたいになってるwwwwww
乙!
607 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/07(火) 20:36:59.05 ID:IRxPJC6o
可愛そうな一通さん・・・ああゾクゾクする乙
608 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/07(火) 22:01:30.17 ID:0IjBJ860
っつーか上条さんはかんざきさんじゅうはっさいにもアックアにもさわってるから聖人の身体能力も利用出来るんじゃないの?
609 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/07(火) 22:05:42.93 ID:0IjBJ860
>>608
あっでも右手で打ち消してはいないか・・・
すんません
610 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:26:03.78 ID:pNisFDMo
>>604
絵師様(失笑)
611 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:32:24.01 ID:rGkV6Swo
>>604
SSも書いて絵も描けるなんてすごいな
612 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:33:37.93 ID:oEWw56AO
なんつーかこう社長さんって感じの絵だよな
腹周りとか
613 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 15:58:33.27 ID:rTOyE02o
なんか・・・下手だな・・・
614 :
◆nQU5UhdK.c
[saga sage]:2010/12/10(金) 03:49:35.04 ID:S28wsgDO
眠れなかったので、先日貼った落書きを修正してみました。
http://q.pic.to/1azzdi
スーパーサイヤ人の社長さんからは卒業できたと思う。
もう描きません。
週末忙しくなりそうなので、SSの投下は来週のあたま位になりそうです。
では、おやすみなさい。
615 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 08:47:51.72 ID:t7aO/kg0
乙。
格好よくなってるwwwwww
616 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 09:26:36.98 ID:0BSAFYAO
うむ、理事長の息子って感じになったな
617 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 21:56:32.57 ID:TT4k452o
>>614
上手く言語化出来ないが…これは何というかその…ド下手糞って奴なんじゃないのか…?
618 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 20:03:03.74 ID:pxuC5M.0
下手じゃないだろ。羽とポーズをもうちょっと何かできそうな感じもするが
禍々しさとかの表現ができていれば十分
619 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/13(月) 18:54:35.15 ID:BOXNyUA0
マダー?
620 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/13(月) 22:36:43.80 ID:RjjzskY0
早くするんですねーとテッラは圧しかけてみます
621 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/13(月) 22:38:42.31 ID:zwXOIoUo
みんな首を長くして待ってるんだよ、ってミサカはミサカは便乗してみたりー
622 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 00:58:57.31 ID:RTJ0NBQ0
私だって。袴の下には。何も穿いていなかった。
623 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/14(火) 23:45:44.19 ID:lhZOLeA0
非女神さんェ・・・
624 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/15(水) 00:33:41.54 ID:nS8Yuro0
まだー?
625 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/15(水) 04:06:13.95 ID:19i.6cIo
こんなかっこいい海原始めてで胸がキュンキュンしちゃった///
ほかにも海原が活躍するSSない?
626 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 14:53:04.56 ID:RAXSdOM0
今週中に続き来る予定だったンじゃねェのかァ? どォしたンだよ
>>625
エツァリってSSだと変態チックなギャグキャラに徹してるのが多いかと。
このSSみたいにカッコいいエツァリってのはほとんどないんじゃね?
627 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 15:02:39.79 ID:Vokfg6w0
エツァリさん14〜15歳の魔術師のなかでも結構TOPクラスなんだけどな
ステイルさんェ
628 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 15:03:41.84 ID:2UVJO9wo
そろそろかな?
投下中のレス嬉しいって言ってたし、出来れば投下予告して欲しいな。
629 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 18:17:00.56 ID:4pmoYhQo
中途半端に強いと活躍しどころが難しいのよな
原作での、聖人のねーちんとか両サイド合わせて中学生世代最強クラスの美琴とかの扱いを見ればわかる
630 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/15(水) 20:52:37.82 ID:QB3HxwAO
エツァリはガチで強いよな
つか武器を持つ者への反撃って…能力者全滅しかねないような…
631 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 22:00:33.91 ID:gDRy7MQo
どうでもいいから黙って待とうか
632 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 00:38:08.56 ID:er0pCX6o
エツァリは14〜15歳ではないだろ
633 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/16(木) 17:16:12.43 ID:9rzozqg0
どうしちゃったの
>>614
634 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/18(土) 22:57:51.98 ID:S4cLDs.0
卵爆弾・・・昨日くらったぜ
片目が機能失った・・・・・
635 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/19(日) 00:27:46.59 ID:4YWI8F.0
>>619
〜
お前ら落ちつけ614をしっかり読むんだ。
週末は忙しいってあって投下は来週頭ってあるだろう。
早漏はよくないぞ☆ミ
636 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 00:29:16.18 ID:sBf6j6co
10日の来週頭、ってどう考えても13〜15日くらいのことだろ
637 :
[sage]
:2010/12/19(日) 20:28:15.60 ID:jpVfQyQ0
っつうことは明日位か
638 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 08:06:13.69 ID:E.3s62AO
いや忙しくて時間取れないんだろ
たとえば…ク…リス…マスの準備とか
639 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 17:30:51.40 ID:huTnM1Ao
おいやめろ
640 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 20:38:51.48 ID:IYVfRUUo
むしろ24日にクリスマスシーン入れて投下してほしいものだぜ
641 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 20:47:53.13 ID:NqGqCSIo
>>638
今年のクリスマス中止らしいよ
642 :
[sage]
:2010/12/20(月) 20:54:37.98 ID:imdHitU0
「中止」の意味が全く分からん
643 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 21:25:19.18 ID:qpuaQc6o
>>642
とりあえず、メール欄にsageって入れるんだぞ?
644 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/20(月) 22:09:20.47 ID:/GowFvs0
まあ気長に待つさ、例え1カ月放置し続けてもね
645 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/22(水) 18:57:15.43 ID:5ePh.lE0
気長に待つ
646 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/22(水) 19:54:08.54 ID:ZqO0YOMo
しかしマジでどうしたの
>>1
?
生存報告すら無いのは気になる
647 :
Are you enjoying the time of eve?
:2010/12/24(クリスマスイブ) 22:57:43.87 ID:hPjMR.60
早く続きが読みたい!!!!
敢えてageる
648 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 15:33:32.78 ID:7zRlKj20
>>1
の身の上に何かあった、なんてことはないよな? もう2週間以上放置なんだが
649 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 15:39:10.61 ID:urgFzGQo
クリスマスもこなかったか
大丈夫かな?
650 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/27(月) 00:03:38.83 ID:WKQRbVA0
早く続きが見たいって、ミサカはミサカはわがままを言ってみたり。
651 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/27(月) 00:09:55.94 ID:9vVhl3g0
>>650
俺のwwktkを返せ
652 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 01:33:31.07 ID:CL1F.hc0
今後の展開楽しみ
653 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 01:35:58.39 ID:4Ep4QXAo
しかし本当にこないな、大丈夫だろうか
654 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 01:46:59.27 ID:b3J4na2o
年内は厳しいかな・・・
655 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 01:53:05.79 ID:eTexmUAO
年末は忙しいのが普通だろ
656 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/30(木) 03:19:44.58 ID:PQRFhVc0
上条サイドはお休みフラグだからこれで補完したいと思う今日この頃
657 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/03(月) 09:06:39.71 ID:eEhaBFo0
早くしてくれよ
陣痛始まったらPCで見れないだろーが
658 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/03(月) 14:41:28.06 ID:YT34DSko
産んでからゆっくり見ればいいじゃない
659 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/03(月) 15:33:08.21 ID:VscoH4co
退院後も更新されてなかったら子育てに影響が……作者がんばって!!
660 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 09:30:28.64 ID:CS5/OJg0
せめて、せめて生存報告を!
661 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/06(木) 21:44:41.02 ID:dox4R0.0
流産してしまうじゃない…
662 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/07(金) 09:19:03.54 ID:od9.UcAO
おまえら戻ったか三段活用の練習しとけよ
663 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/09(日) 03:12:14.60 ID:kbd.mDE0
もう!早くしてよ!!
664 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/09(日) 23:53:39.79 ID:dcIGO4310
早くしろとかマダー?とかうざいだけだから書かない方がいい
665 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/09(日) 23:57:27.45 ID:rURV7w2do
期待の現れなんだから、否定することは無いだろ
666 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/10(月) 00:00:17.19 ID:bpTy9k3ro
やり過ぎは良くないけどな
気長に待とうぜ
667 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/12(水) 15:26:49.15 ID:92diV3qAO
お前らが絵をさんざん叩くから……
668 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/13(木) 00:17:30.15 ID:N8M1QPn2o
最後に来てから1ヶ月経ったか
>>1
戻って来てくれよ
669 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/13(木) 22:56:04.33 ID:xGLODwywo
板移転みたいだから依頼出しましょう
■ 【必読】 SS・ノベル・やる夫板は移転しました 【案内処】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1294924033/
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
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http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
670 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/14(金) 01:20:15.63 ID:t5oEnG3d0
>>667
あれは笑いだろうよ。作者もそういう感じでうpしてたし。
何にしても超期待って訳よ
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
Mobile
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
671 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/16(日) 18:56:27.73 ID:S0I4BlwT0
ヲイヲイ、センター明けの楽しみにしていたのに
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
Mobile
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
672 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/17(月) 13:31:22.44 ID:HDy8iqTH0
まさにこれは・・・・・・・・・
不幸だー
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
Mobile
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
673 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/17(月) 20:14:50.40 ID:byU3T6rDO
支援
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
Mobile
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
674 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/21(金) 21:01:13.37 ID:cgcRdkfIO
こねー!
675 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 22:45:59.33 ID:Eoae4yMXo
いつの間か移転案内まで消えてるし
>>1
来いよ〜
676 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/22(土) 09:01:50.71 ID:yw2A28lRo
とりあえず移転しないと消えちゃうかもよ
>>1
早く移転依頼を!
677 :
hanabira4
:2011/01/23(日) 18:10:03.58 ID:8KWS16Nz0
続き見たい
678 :
hanabira4
[VIPにかわりましてGEPPERがお送りします]:2011/01/24(月) 21:22:38.61 ID:gOAhpgBO0
続き見たいんだけど来ない・・
679 :
Samurai
:2011/01/24(月) 22:18:26.14 ID:o6atmnEP0
早く見てー
680 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 22:34:28.03 ID:jF8lMsBKo
打ち切りは悲しいな
681 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/25(火) 23:41:09.46 ID:hyjbl5RDO
>>1
をいじめるから…
682 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[VIPにかわりましてGEPPERがお送りします]:2011/01/26(水) 23:25:41.07 ID:K9CnxEcO0
続き見たい
683 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/26(水) 23:31:31.98 ID:K9CnxEcO0
打ち切りしないで
684 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 01:21:50.81 ID:CEUO47L9o
2月になっちゃうぞ
まだか?
685 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/02(水) 20:08:26.97 ID:MoJM1PNG0
二月になっちゃったよ…
686 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/03(木) 22:58:25.74 ID:SGWhtTOA0
これって上琴なの上インなの?
ちなみに俺は上琴希望
687 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 00:17:39.71 ID:3EW38di0o
希望って言っても、
>>1
が帰って来ないんだが
688 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 00:40:30.48 ID:RiO002EPo
やっぱみんな待ってるのか
話しっかりしてるから誰か続き書いて!ってわけにも行かないしな…
689 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/04(金) 17:41:45.42 ID:mHSjcV+Y0
俺は帰ってくると信じている
690 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[[sage]]:2011/02/06(日) 13:31:42.25 ID:lL7Xye1C0
┌────────────────┐
■3月の新刊予定(2011年3月10日発売)■
└────────────────┘
上条当麻不在の世界。彼が命を賭けて守った、様々な人たちの様々な安らかな
日常があった。
◆新約 とある魔術の禁書目録
著/鎌池和馬 イラスト/はいむらきよたか 定価:662円
ローマ正教の暗部『神の右席』最後の一人、フィアンマがロシアから起こした第三
次世界大戦は、上条当麻の活躍により終結した。彼の、消失と共に。
ここは上条当麻が存在しない世界。
魔術サイドは再編・改善がすすみ、信徒たちには安息の日々が訪れていた。
科学サイド総本山の学園都市では、最強の超能力者・一方通行(アクセラレータ)が、
『闇』と手を切り、打ち止め(ラストオーダー)や番外個体(ミサカワースト)と共に
騒がしくも穏やかな日常を過ごしていた。そこには『グループ』の影も無い。
元スキルアウトの無能力者・浜面仕上は、ロシアで手に入れた『闇』との交渉材料を
懐に、絹旗、滝壺、そして帰ってきた麦野と共に新生『アイテム』を結成、活動を再開
する。
闇からの『卒業生』たちは、平穏を手に入れたのだ。――凶悪な『新入生』が、彼ら
の前に現れるまでは。
保守ついでに貼っておくぜ
691 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 14:35:28.30 ID:J+t8TVaoo
保守とかいらねぇから
692 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/11(金) 19:40:44.94 ID:kGvfxeF50
ぶっちゃけ新刊よりこっちの方が楽しみなんだが
693 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 02:11:27.30 ID:D+7C3+HJo
新刊つーか新シリーズからは一方さんに主役交代らしいからなぁ
上琴成分が薄くなってしまうのは確か
694 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 02:40:00.85 ID:ccHx0nuno
主役交代なのか
695 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/12(土) 18:03:38.53 ID:GyGlM/3r0
上条さんを失った美琴が『新入生』なんてことはないよな?
なんかそんなSSがあったような気もするし
696 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 20:00:22.97 ID:5+nrbhj3o
元気ない美琴は……うーん…
697 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 22:25:27.69 ID:RSsQ4en1o
上琴云々以前に上条さん死んだままなんだが
698 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/02/13(日) 21:04:10.02 ID:qSgQxpKj0
いや、なんか神浄の討魔として帰ってくるに違いない
699 :
lain.
★
[sage]:2011/02/20(日) 10:33:03.87 ID:???
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