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番外個体「あなたが考えた私の名前、ミサカに聞かせてくれるかな」 -
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1 :
☆はじめに、と警告☆
[saga]:2010/11/24(水) 23:58:25.81 ID:EfPOqD60
書きためがある程度出来たので投下します。
番外個体、一方通行がメインですわ。
作中で性描写あり(しかも下手)。
現実性を持たせたい!というわがままで実際の製品名が出ることもあります。
ご容赦ください。
※番外通行で似ている設定のものが現行でありますね。
そちらの作者やそちらの方をきに言っている方には誠にすいません。
作者もそれに今日気付きました。
それでも読むぞ!と言ってくれる諸兄はどうぞ!
では、お手柔らかに><!!
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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]: ID:???
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ごめんなさい、この製作速報VIP(クリエイター)板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
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【怪獣8号】ミナ「日比野カフカ今日は奢りだ!好きなだけ食え!」 @ 2025/08/02(土) 00:14:58.07 ID:l6LpFqfaO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1754061298/
すいか 67.1 立ててみるテスト @ 2025/08/01(金) 14:24:40.59 ID:GCnrlbTY0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1754025880/
もう8月ですね... @ 2025/08/01(金) 06:51:37.98 ID:tUwLog300
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753998697/
【デレマス】橘ありす「花にかける呪い」 @ 2025/07/31(木) 00:03:20.38 ID:DoK8Vme/0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753887799/
【学マス】広「笑って」 @ 2025/07/30(水) 20:41:14.60 ID:VXbP41xf0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753875674/
パンサラッサ「安価とコンマで伝説の超海洋を目指すぞぉ!!」 @ 2025/07/29(火) 21:13:39.04 ID:guetNOR20
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753791218/
落花生アンチスレ @ 2025/07/29(火) 09:14:59.83 ID:pn6APdZEO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753748099/
ライナー「何で俺だけ・・・」 @ 2025/07/28(月) 23:19:56.58 ID:euCXqZsgO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753712396/
2 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:00:48.11 ID:Wd3e0O20
冬。黄泉川宅玄関前
「じゃ、コーヒー買ってくらァ」
「はいよーいってらっしゃーいじゃん」
「いってらっしゃい一方通行」
「プリン買ってきてね、一方通行ってミサカはお願いしてみる」
黄泉川、芳川、打ち止め、三者三様の見送りを受け一方通行はマンションを出る。
彼は近場のコンビニへコーヒーを買いに行く。
3 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:01:43.93 ID:Wd3e0O20
第三次世界大戦が終結し、みんながハッピーエンドとなったこの世界。
戦争が終結し、学園都市からもめっきり減った仕事の案件。
(ふー、やっぱ今年の冬はさむィな…)
学園都市第一位の怪物、一方通行はディアブロの黒の革靴に、ブラックのタイトめジーンズ、あの灰色のロンTにAzの白ダウンを着て街を歩いていた。
最近、一方通行はコンビニのブラックコーヒーに飽きて次に何に手を出そうか思案しながら歩いていた。
(てか、あのコンビニいつも行ってるから店員さンも俺の事おぼえてるンだろォなァ…コーヒーもあの味以外に飲ンでみてェな…どれ……)
(…今日は違うコンビニでも行ってみっかァ)
一方通行はさっときびすを返していつもよりちょっと遠いコンビニへと向かう。
日曜日の午後十五時。久しぶりに一人で散歩する一方通行はいつもと違う行動ルーティンを実行したことによってほんの少しだがわくわくしていた。
ふとした思いつきでいつもと違うところへ向かう。
これが物語の始まり。
4 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:03:56.15 ID:Wd3e0O20
「いらっしゃいませー」
コンビニ店員がけだるそうな声で誰に声を掛けるわけでもなく発声している。
(ったくコンビニの店員はどこもやる気ねェなァ…)
(さぁーってコーヒーコーヒー…)
一方通行はコンビニの店員のロボットの様な挨拶を聞き流し、ドリンクが収納しているショーケース前に行く。そこで彼は愕然とする。
何故ならお目当てのコーヒーがないから。
一方通行は無糖ブラックコーヒーが大好きなのだ。
(ブラックコーヒーがねェだと…?)
なんと、このコンビニはカフェオレや普通のコーヒーはあるのだが、ブラックコーヒーだけがちょうどなかったのだ。
5 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:08:17.50 ID:Wd3e0O20
(おいおい、マジですかァ?こンなン納得できねェだろォが)
(結局、いつものコンビニでいつもどォり買った方がよかったのかァ!?)
実際、一方通行御用達のコンビニは彼が常連客になりブラックコーヒを買い始めてから、ブラックコーヒの発注量を増やしていた。
しかし、そんな事を知るよしもない学園都市第一位は再び寒空に打たれながらその普段利用しているコンビニへ足を運ぶ。
(クッソ…散歩気分で気分良かったのによォ…コーヒーないってわかるとマジ無駄に歩いちまったって気しかわかねェ…)
今一方通行がいる所は黄泉川宅から歩いて四十分ほどの所だ。
ちなみに普段一方通行が利用しているコンビニは歩いて三分ほど。
どれほど一方通行が離れたところまで来たか分かるだろう。
6 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:15:18.87 ID:Wd3e0O20
(がー。めンでェな…。でもしゃーねェ。歩くしかねェな)
「ありがとうございましたー」
何も買っていないのに、ありがとうとはこれいかに?
もはやコンビニという機械の一端と化したバイト店員の声に見送られ一方通行は冬の灰色の空をみつつ、いつものコンビニへ向かっていく。
来た道をてくてくと戻っていく。
午後、人の通りもまばら。落ち葉も歩行者に踏まれ、粉々に。そしてただの塵となる。
紅葉は一ヶ月ほど前に終了した。
木は人工の建造物の様に、あまりに無機質に見える。
木々の枝先には何もない。フレディももうお亡くなりになっているだろう。
木から葉が落ちるだけで、街全体の風景はがらっと変わってしまった。
そう、街全体が寂しさに包まれて、殺風景な様。
7 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:18:00.16 ID:Wd3e0O20
一方通行がこの道を最後に歩いたのは三ヶ月くらい前だったりする。すなわち晩夏。九月辺りか。
その頃は木々に青々とした綺麗な葉っぱが晩夏の日差しに照らし出され、日陰と日向の絶妙なコントラストを生み出していたのに。
(へェ…結構景色かわるもンだなァ…散歩も捨てたもンじゃねェな)
彼の初期の目的である他店のコンビニで違う種類のブラックコーヒー購入という目的は達成できなかった。
が、その代わり、普段通らない道を通ったことで、同じ道だけれど、違う様相を見せる光景を見て少しだけ満足する一方通行であった。
8 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:28:15.07 ID:Wd3e0O20
「あれ?こんな所でなにしてるの?」
「おォ、久しぶりだな…番外個体じゃねェか…」
(早くコーヒーのみてェ…ここはスルースルー…)
彼がスルーしようとしているのは番外個体(ミサカワースト)という高校高学年の位の少女だ。
勿論『ミサカワースト』が本名ではない。これはクローンとして製造された時のコードネームの様なものだ。
ちなみに一方通行がかつて行っていた忌まわしい実験。レベル6シフト実験に端を発した妹達(シスターズ)の最終生産型でロシア戦線で一方通行と戦火を交えたこともある。
「こちらこそ久しぶり。ロシア以来だね、一方通行こそこんな所で何してるの?」
「あァ…コーヒー買おうと思ってよ…いつもと違うところで。そしたらねェんだわ。そこのコンビニにブラックコーヒー」
そう言うと一方通行はため息をつき、後ろに見えるコンビニを指さす。
実は二人は第三次世界大戦の紆余曲折を経て学園都市に帰国する時間が違い、連絡先を交換することも無かったのでもし今日合わなかったら連絡先も知らず、一生合わなかったかも知れない。
いや、ミサカネットワークを駆使すれば簡単にあえるか。
ま、そんな細かいことはいっか。
「こんな歩道の真ん中でしゃべるのもアレだし、もし時間あるならミサカと話そ?一方通行」
9 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:30:03.13 ID:Wd3e0O20
(オイオイ!コイツは人の話聞いてたンですかァ?俺はコーヒー飲みてェンだよ!早く帰らせろ!)
「どーせ一方通行は『わりィ!後でな』、とかミサカに言ってうやむやにするつもりでしょ?このクソが。こっちは暇なんだから少しはつきあえっつーの」
(チッ。見透かしてやがるか…。ったく黄泉川達にはわりィがちょっと話すか…番外個体と会うのも久しぶりだしなァ)
「いいエェ…俺は全然、構わねェぜ。んでどこ行くんだァ?公園かァ?」
「うーん…コーヒー飲みたいんだったらそこのカフェなんてどう?」
(カフェねェ…なンかそォいゥ柄じゃねェよ、俺)
(でも待てよ…、カフェって事はブラックコーヒーあるンじゃねェのか!?)
(よし…!なら、ここは番外個体とティータイムとでも行きますかねェ…)
たまたま会った二人は一路カフェに向かっていく。
10 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:32:27.72 ID:Wd3e0O20
カランカラン…
入店を告げるカフェの心地よい小さい鐘の音
ここはカフェ『三文ゴシップ』
午後。学園都市のカフェにはちらほらと学生とおぼしき人たちがいた。
ざわざわ…
日曜日の夕方の雰囲気がどことなく好きな一方通行は窓側の座席に座り、外の景色を見る。
「なァ…この時間帯ってなんかよくねェか?昼と夜の境で曖昧な感じがすげェ好きなんだが…」
「珍しいね。一方通行。あなた景色とかそういうのに興味会ったんだ。ミサカちょっと驚き」
「あのなァ…俺にだって人並みにそォいう事に興味ありますゥ」
空調が良く効いているカフェ内でダウンジャケットを着ていると多少暑い。
ダウンを椅子に掛け、そこに一方通行はすとんと座る。
「へぇ…ミサカはこんな無機質な風景いやだなー。なんかもっと色があって鮮やかな方が好きー。冬と秋の境目ってなんか寂しくてやだなぁー」
「そォかい…」
確かに番外個体の言わんとしてることも分からなくもない。
紅葉が終わって、雪が降るまでの間、街の風景はもの凄く殺風景になる。
北風がびゅぅとふき、人々の頬をたたいていくだけで何のメリットもない。
たださむいだけ。
11 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:34:06.10 ID:Wd3e0O20
「ご注文はおきまりですか?」
二人の風景談が一段落して訪れた沈黙。その沈黙を突き破るようにして店員がやってきた。
学生アルバイトではなく、中年のかっちりとした男性店員だ。
「ブラックで。お前は?」
「私はホットミルクで」
「ブラックと、ホットミルクですね…かしこまりました。では少々お待ち下さい…」
オーダーを取りに来た店員が去っていた後、二人の机に舞い降りた沈黙。
あー、と気まずそうに頭を銀髪をかきながら一方通行は会話をしようと思い何か話そうとするのだが話が思いつかない。
暫くして一方通行は自分が番外個体の連絡先を知らない事を思い出す。
12 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:43:11.10 ID:Wd3e0O20
「俺、オマエの連絡先しらねェンだわ。良かったら教えてくンね?」
「ゴメン、ミサカ携帯持ってないのよね。今一人暮らししてるから家電ならあるんだけど。それでもイイ?」
「かまわねェよ」
(やっべ…ノリで聞いちまったが、コレどーすんだよ…)
一方通行はとりあえず登録しておくかと思いジーンズのポケットから携帯を取り出す。
「えーっと○○○-○○○○-○○○○だよ」
(教えちゃったけど、コレどーすんのよ?)
「はいよ、あンがとなァ…」
(まァ…電話することはないけどな…)
「ねェ、一方通行の電話番号も教えてよ」
「あァ??何でだよ」
「いや、待ってよ。あなたがミサカの番号知ってて、ミサカがあなたの電話番号知らないっておかしくない?」
あー、そっかと一方通行は言い、特に何も考えず連絡先(携帯番号とメルアド)をメモに書留めた紙を番外個体に渡す。
紙とペンは店員さんから借りたものだ。
そんなこんなで連絡先の交換は済ませたようだ。
13 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/25(木) 00:47:02.32 ID:Wd3e0O20
♪それはまるで金貸し!の様に待った無し!♪
いきなり一方通行の携帯が着信音を響かせる。この着メロはメールだ。
「わりィ。メール返すわ」
「なに?まさか打ち止め?」
「いや、黄泉川っていううちの家のなんだ…その…家主みたいな人からだ」
−−−−−−−−−−
From:黄泉川愛穂
Sub:遅いじゃんか
どこで油売ってるんだ一方通行!
芳川が職安行ってお金貰ってきたついでにプリンとジャンプ買ってきちゃったから、取り敢えず一方の好きなの買ってきな♪
んで、後、何処にいるのか教えなさい。以上ー
−−−−−−−−−−
(へいへーい、じゃ返信すっかね)
一方通行は携帯電話をカチカチと入力し、さっさとメールを返す。
その合間に先程の店員がホットミルクとブラックコーヒーを持ってくる。
外は寒いので、ほかほかの暖かいドリンクが美味しそうだ。
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「はい。結構です」
にこりと番外個体が愛想良く笑うと、店員が伝票指しに伝票を入れて去っていく。
14 :
ジョギング行ってきます
[saga]:2010/11/25(木) 00:57:04.54 ID:Wd3e0O20
今日はここでおしまい。
また明日!
15 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 00:57:34.05 ID:fZfFG6Qo
番外通行かと思ったらコーヒー通行だった
16 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 00:58:15.43 ID:fZfFG6Qo
おつおつ
スキルアウトに絡まれるなよ
17 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 01:04:44.16 ID:pStnn.g0
>>1
よ
細かい事だが打ち止めは ミサカはミサカは だからな。
まあ何はともあれ乙!!
18 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 01:25:52.38 ID:SMIph5E0
おつおつ
ついでに言うと打ち止めって一方さんのことあなたって呼んでるんじゃなかった?
しかし番外個体は随分丸くなったなぁ
よし、俺と付き合うか?
19 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 04:42:55.71 ID:PbXWu/oo
スレタイをラストに持ってくる手法か・・・
20 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 07:17:50.03 ID:3i2JdQAO
そんな時間帯にジョギング…だと…!
学園都市なら確実にスキルアウトに絡まれるぞ
ジョギング・ウェアなんて装備で大丈夫か?
21 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 10:41:52.94 ID:WLW/Ucwo
これは、スノボの人だよな?
甘いんだよな?
22 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 12:44:11.92 ID:ME1lDsDO
ファッション描写無駄に細かくてきめぇww
23 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 12:46:02.02 ID:ex5AgLgo
スノボSSの時からの伝統です
24 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 13:49:27.96 ID:fZfFG6Qo
まてよ、ということは夜のほうの番外個体の格好もねっとり描写してくれるわけか
25 :
作者
[sage]:2010/11/25(木) 13:51:12.36 ID:Wd3e0O20
あれれ?おかしいな。ちゃんと原作読んで漫画も読んだのに…やっぱ語調むずい…
不備があってすんません。
今日の深夜に投下します。ではでは!
26 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/25(木) 14:31:37.35 ID:3i2JdQAO
>>25
よっしゃ楽しみに待ってるぜぃ
27 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 15:12:20.25 ID:x7h0gIAO
また俺を糖尿病にする気なのか
28 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 18:17:40.94 ID:AV8oL0Qo
ファッション描写や口調よりも、もうちょっと推敲や校正はした方が…
29 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 19:50:11.61 ID:gTCVlzM0
全裸で待機します
番外通行の性描写wwktk
30 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/25(木) 22:21:45.52 ID:AQTFUzw0
乙!!
色々と突っ込みどころはあるが、期待してる
番外通行なんて俺得ww
31 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 00:09:34.40 ID:9F8a17co
期待してる
32 :
作者
[saga]:2010/11/26(金) 01:23:15.86 ID:pGdDRQo0
うわ!泥酔して帰ったら色んなコメント!びっくり。
修正点一杯ありますよねぇ。自分でもやんなるくらい。
けど、コレが現時点の俺のレベルなんすよ。
雑で駄文でつたなくてクソなのは自分でも承知してます。
それでも…!俺は書きます!だって書きたいし。
つまんないグダグダSSだけどさ。コメントこんなにくれてありがとね。
今誤字脱字チェックしてるからもう少し待って下さい。
33 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 01:36:24.74 ID:pGdDRQo0
「じゃ、いただきますかねェ…」
「いただきますー」
ずずず…。
二つの白いティーカップから上がる湯気。
ふと外を見れば沈みゆく夕日の光が学園都市を舐め尽くしていく光景が見える。
窓側の二人はそのちょっとした芸術的な光景を見つつ無言でそれぞれ頼んだドリンクをたしなむ。
(ここのコーヒーうめェな…)
(ホットミルクおいしー!暖まるわ)
二人のいるところからはもう夕日は見えない。
寒空には残滓の様にオレンジ色の空が残るだけ。
けれどそれすらも少しすると第二十三学区は奥多摩方面の山々に吸い込まれて完全に消えていく。
34 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 01:45:10.16 ID:pGdDRQo0
そして太陽が沈むのと反対側の方からは既に月があがり、夜のとばりが降りようとしていた。
「ちょっときれいかも…」
「オイオイ、さっきまで無機質で好きじゃないって言ってたのはどこの誰ですかァ」
「はいはい。ミサカが悪かったですよーすいませんでした。綺麗ですよ、き・れ・い」
「わかりゃイイぜェ」
二人の会話。久しぶりだ。
一方通行に指摘されてみると、案外この季節の光景も良いかも?と思う番外個体だった。
「そォいやよォ、オマエ、学園都市から狙われたりとかっていうのは平気なのか?ホラ…ロシア以降学園都市に反逆し続けているっていう体だろ?」
「あー、なんか音沙汰全くなしだわ。多分ミサカの方からアクションしなきゃ学園都市側からも何もしてこないんじゃないかな?」
「へェ…」
そう。番外個体は学園都市の勅令で一方通行の心身の破壊を目標に生まれた。
けれど、それに失敗し、逆に一方通行と共闘して以降は学園都市から反逆したにもかかわらず、何も音沙汰無し。
もう学園都市は番外個体に興味を無くしてしまったのかもしれない。
35 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 02:00:10.43 ID:pGdDRQo0
学園都市側の真意は正直、二人には分かりかねる。
にしても…と一方通行はあごに手を当てながら考える。
「ロシアの時に比べてオマエ少し丸くなった?イヤ違うなァ…」
「何?ミサカそんなに変わった?今日一日会っただけでそんなにわかるとは…さてはホントにミサカの私生活を監視!?こわーい、モヤーシ」
ンな訳ねーだろーが、と適当に言って否定。
あの忌ま忌ましいクソ戦争が終わってからはカエル顔の医者の所に日々往診の毎日だ。
それ以外は暇を持て余し読書。
あと最近余りにも黄泉川にモヤシだヒョロイだロリコンだ白い羽だ黒い羽だとグチグチ言われるのでちょっと筋トレをしたりもしてる。
「話そらしちゃってゴメンね。けど、ミサカ思うんだけどさ、ミサカネットワークの中から負の感情を拾いやすいんだけど。最近それがあんまり出なくなってるというか…」
「ホントにミサカ、ロシアから帰ってからは負の感情があんまり起きなくなったのよ」
理由はわからないケドさ、と番外個体は付け加える。
36 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 02:13:49.22 ID:pGdDRQo0
「まァいいンじゃねーか?感情のコントロール出来るっつうのは良い事じゃねーか」
「その言い方だとミサカがガキみたいな言い方だなぁ。腹立つわ畜生」
「畜産物と俺を同じ括りにすンな。ってか話の腰を折ンな。すすまねェ…」
「じゃ、一方通行もミサカを腹から出て来てすぐの赤ちゃんみたいな言い方するなっつの。子供じゃねーんだコラ」
「いや、オマエまだ生まれて一ヶ月ちょっとだろォが。クカカカ。反論出来ねェよなァ?」
「チッ…笑いかたキメぇよ。アクセロリータ」
どーしよーもない売り言葉に買い言葉を二人は続けていくうちに二人の注文したドリンクは無くなっていく。
二人の若干けんか腰の会話はどうでも良いとして、番外個体は自分でも解明できないが負の感情を拾いやすい傾向にあったがそれを気にしないようになったそうだ。
ただ、以前からの口は悪く、挑発的な所は直っていないというか直す気がないのかもしれないが。
37 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 02:23:46.69 ID:pGdDRQo0
カフェのマスターが店の外の明かりを落とすと二人は退店する準備をする。
二人が外へ出る時間帯にはもう日はとっぷりと沈み、綺麗な月がカフェの周りを照らしていた。
「あ、番外個体」
「なに?」
Azのダウンを着ながら一方通行は番外個体に話しかける。
「お前どこ住ンでンだ?」
「どこって…ここの近くのアパートだけど?それがどうかした?もしかして、ミサカをストーキング?ひぃ怖いー」
「チッ…聞いた俺がバカだったわ。なンもねェよ。ただ、もう暗いからよォ、送ってやろうかなって思っただけだ。クソが」
「ウソウソ一方通行怒らないでよ。ひゃははは。じゃ、ミサカ、お言葉に甘えてお願いしますー。つまんない話したら殺すからー」
一方通行は野暮だと思いつつも番外個体に家まで送ることを打診。
大能力者並みの力がある番外個体をおそうヤツなんてそういないだろうが、このまま番外個体を一人で返すのはどうも気に要らない。
それは一方通行が心の中で御坂美琴・打ち止め・妹達・番外個体という人物全体にぼんやりと抱いている贖罪の気持ちの表れかも知れない。
あるいはそんな難しい事ではなく、単純にレディファーストということで送ろうと考えたのかも知れないが。
(いや、…あるいはその二つか…まー暇だからイイか)
「送ってくれるの?何?何?もしかしてミサカの事送らなきゃ後味悪いとか思っちゃった?ミサカにレイプの危機がー!なんて☆」
「ダマれ、相変わらず口のワリィ女だ。いっそ襲われちまえや」
「ぎゃはぎゃは。そーゆーあなたもねーソートー口悪いよー?フツー、一万人以上殺しといた人と同じ顔持ってる人に向けてそゆこと言う?フツー」
ここを突かれるとズキっと痛む一方通行の胸。
悪のヒーローも心は痛むのだ。
38 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 02:25:20.60 ID:pGdDRQo0
「へいへい。ったくよォ…」
(あー何もいえねェ…)
「ウソウソ。にしても珍しわねぇ。打ち止めぞっこんの一方通行が悪意の塊のミサカを送るなんてねぇ…ひゃひゃひゃ」
「ホント黙れ…。コッチが善意で送ってやろーってのによォ」
「ひゃー。一方通行に善意があったんだ!驚きだー」
「チッ」
一方通行はコイツを送ろうなんて言った俺がアホだった…と舌打ちしつつ思う。
だが、ここで引いては自分自身納得できないし、この際、番外個体にどんな事を言われても構わないと腹をくくり、一方通行は送ることに。
マスターに伝票を渡し、会計をすます。
番外個体の案内のもと、二人はカフェを出てすぐの公園に入る。
39 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 02:30:17.46 ID:pGdDRQo0
「こんな暗いところ通ってるンだな。こりゃ、ちょっとあぶねェかもな…普・通・の・人・だったらな」
「そうそう。暗くてミサカおそわれちゃうかもしれないの。けど、ここの公園近道なんだよね。公園通らないで迂回しちゃうと結構時間かかっちゃうのよねぇー」
一方通行は番外個体の発言は特に突っ込まずにスルー。
対しておそわれちゃうとか臆面もなく言う番外個体に一方通行もへぇーと適当に相づちをうっておく。
やはり学生主体の街だからであろうか学園都市の夜は都心部のそれと違い格段に暗い。
不夜城の都内に比べれば学園都市の駅周りはもそれなりに明るいが、学園都市全体ではやはり地方の中小都市並みしか明るくない。
40 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 02:37:06.11 ID:pGdDRQo0
「さっきのカフェのコーヒー美味しかったな。なンだかンだでいつものコンビニのコーヒー以外に飲んだことねェンだよな」
「へェ。以外ー。一方通行そんなにコーヒー好きなら結構、通なのかと思った。ブラック飲んでるのもただのかっこつけかー?ぷぷぷ」
「うっせェ…別にかっこつけじゃねェよ。あの渋いのがうめェんだ」
「ふぅん。コンビニのブラックコーヒーしか飲んでないのに渋いとか分かるんだ。あ、ここ、ここ」
「チッ…マジでテメェと話すと調子狂うわボケ。ン、着いたのか」
しばらくして公園を抜けるとすぐに番外個体の暮らしていると思しきアパートに着いた。
「ありがとね、一方通行。またねぇー」
「オォ。俺もだァ…じゃまたなァ…」
くるっと踵を返し、一方通行は番外個体の方を見ずに右手だけひょいとあげ、ぶらぶらさせて黄泉川宅へと向かっていった。
一方通行は番外個体を送り終わって一人歩きながらある光景を思い返していた。
それは夕日に暮れなずむ学園都市を見ているときの番外個体。
(…アイツのあン時の表情…………ったく。バカな事考えンなっての。あいつらに対しての免罪符を得ただけでよしとしろよ、ハッ!)
暗い公園、公園をまた一人カフェの方へと歩いて行く彼の後ろには月明かりでできた影が薄く広がっていた。
41 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 03:08:58.05 ID:pGdDRQo0
番外個体はさびた階段を上っていく。
ギシギシときしむ階段。
皮が少し剥げた木のドア。
昭和の面影を残す小さいおんぼろアパートの二階に彼女は住んでいた。
(えーっとカギ、カギっと…あったあった)
ジーンズのポケットから鍵を取り出しカチャカチャと鍵穴にカギを差し込み、開錠する。
(今日はまさか一方通行に会うなんてねぇ…しかも午後のティータイムを過ごすなんてねー…)
(ロシア以来初めてあったけど、少しだけ体格良くなってなかった?気のせいかな?)
今日偶然会った一方通行の事をぼんやりと考えながら番外個体はラコステの黒スニーカーを脱ぐ。
まずは手洗いとうがい。
(水つめてー!)
この時期になると蛇口から出てくる水の冷たさは以上だ。番外個体はあまりの冷たさに驚きつつもうがいと手洗いをすます。
(これ冷たすぎる…お湯になるのも遅いから耐えるしかないんだけどねー)
さて、番外個体は暇を持て余している。
何故バイトとかしようと思はないのか。そう思う人もいるだろう。
しかし、履歴書に名前をなんて書こうとか、何歳だっけ?とか考えるとだるくて履歴書を書く気が失せていくのだ。
結局は昼間ぶらぶら、夜は気づけば寝ているの繰り返し。
そんなクソみたいな日常を一ヶ月近く送っていた時に今日たまたま一方通行と出会ったわけだ。
42 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 03:10:03.99 ID:pGdDRQo0
番外個体はさびた階段を上っていく。
ギシギシときしむ階段。
皮が少し剥げた木のドア。
昭和の面影を残す小さいおんぼろアパートの二階に彼女は住んでいた。
(えーっとカギ、カギっと…あったあった)
ジーンズのポケットから鍵を取り出しカチャカチャと鍵穴にカギを差し込み、開錠する。
(今日はまさか一方通行に会うなんてねぇ…しかも午後のティータイムを過ごすなんてねー…)
(ロシア以来初めてあったけど、少しだけ体格良くなってなかった?気のせいかな?)
今日偶然会った一方通行の事をぼんやりと考えながら番外個体はラコステの黒スニーカーを脱ぐ。
まずは手洗いとうがい。
(水つめてー!)
この時期になると蛇口から出てくる水の冷たさは以上だ。番外個体はあまりの冷たさに驚きつつもうがいと手洗いをすます。
(これ冷たすぎる…お湯になるのも遅いから耐えるしかないんだけどねー)
さて、番外個体は暇を持て余している。
何故バイトとかしようと思はないのか。そう思う人もいるだろう。
しかし、履歴書に名前をなんて書こうとか、何歳だっけ?とか考えるとだるくて履歴書を書く気が失せていくのだ。
結局は昼間ぶらぶら、夜は気づけば寝ているの繰り返し。
そんなクソみたいな日常を一ヶ月近く送っていた時に今日たまたま一方通行と出会ったわけだ。
43 :
すいません。ミスって二つ投下しちまった。
[saga]:2010/11/26(金) 03:12:15.77 ID:pGdDRQo0
(さーって今日はなーにしますかねェ……)
番外個体はカフェ『三文ゴシップ』で教えて貰った一方通行の電話番号が記載された紙のことを思い出す。
(試しに一方通行に電話してみよー。暇だし。うひひ。まだ歩いてるかな?)
一方通行から貰ったメモ書きをAPCのスタンダードジーンズのポケットから取り出し、机におく。
(電話の前に…片付け、片付けっと…あとはミルク!)
ラルフローレンの白のピーコートをハンガーに掛けて黒のタートルネックにジーンズ姿になった番外個体は冷蔵庫から牛乳のパックを取り出してラッパ飲みする。
「ぷひゃー!やっぱ牛乳は美味しいわ。さーって電話電話。一方通行驚くかな?ひゃはは」
一人暮らしだとついつい独り言をぼやいても気づかない。
おんぼろコタツのスイッチをカチリと入れる。
徐々に暖かくなるコタツの中にすらっと伸びた脚線美を見せるジーンズを突っ込んで行く。
冬の空は大気がひえて、乾燥している。
ガタンガタンガタン………
遠くを走る電車の音がこのおんぼろアパートまで聞こえてくる。
ちなみに番外個体はこの遠くを走っている電車や車の音が好きだったりする。
44 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 03:23:18.03 ID:pGdDRQo0
ピポパポ…ピ
プルルルルル…
(もう家ついたかな?いや、まだ着いてないよねー。帰るときに能力使ったら話は別だけど)
(でもあんな高速移動人前でやったらみんなビビるってのやるわけ無いか。ひゃは)
実際、番外個体は一方通行とアパート前で別れて既に二十分ほど経っている。
番外個体は一方通行が電話に出るまでの間、何故か緊張していた。
初めて電話する相手の時は誰しも少なからず緊張するものである。
番外個体もその例に漏れず、ちょっとだけ緊張していた。
しかし、その緊張はだんだん薄れていく。
何故なら一方通行が電話に全く出なくてイライラの気が緊張よりも占めてきてたから。
45 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 03:24:58.10 ID:pGdDRQo0
(出ろや…一方通行!ミサカが折角電話してやってんのに…)
プルルルルル…
(マジかー出ないのかー。はいはい。打ち止めちゃんと今頃ネンゴロですかー…チッ!切りますかー)
そんな事を考えつつ子機の出力ボタンを押して電源を切ろうとする、そのとき。
『はァいどちら様ですかァ?』
けだるそうな一方通行の声が受話器越しから聞こえてきた。
番外個体は待たせやがって!と思いむかつく感じもするし、出てくれてよかったとホッとした感じもした。
46 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 03:54:53.52 ID:pGdDRQo0
「どちら様って!一方通行、ミサカのこと登録してないだろ、コラ」
『あァわりィな。未送信メールのワードで打ち込ンだだけだったわ。すまねェ』
「ったく…ま、いいや。んで、一方通行は家ついたの?」
『まだですゥ。今家から一番近いコンビニの辺りだわァ。ってか番外個体、コーヒーにあう食べ物ってなンだ?』
「はぁ?いきなり何よ?」
『いやーそれがよォ。ブラックコーヒーだけじゃ何か微妙だなって思ってよォ…コーヒーに合う食べ物とかしらねェか?』
番外個体はこたつの中で足をむずむずしながら話す。子機の充電コードをこたつまでぐいっと手で引き寄せ、セット。
子機を外部スピーカーモードにし、番外個体はちょこちょこ部屋の片付けをしていく。
(うーん…コーヒーかぁ…)
「あー、因みにミサカのおすすめは納豆!あとキムチもいいとおもうよ」
(うひひ苦しめ苦しめww)
『合うわけ無い。キムチとかオマエ嵌める気だろ?何でコーヒーにあうもの探してるかっていうとだなァ…今日カフェでうち等の近くに座ってたヤツがケーキ食べてたンだよ。ケーキ』
『それでケーキとコーヒー美味そうだなって思ってよ、ケド、俺甘いの苦手でよォ…オマエならなンかイイもン知ってるンじゃないかって思ってよ』
(ふーん…)
「ねぇ、一方通行、何でミサカがケーキとか知ってる風に思ったの?」
番外個体の無意識下に出た質問。何故かその答えに一方通行は戸惑う。
『…その…なンだ…オマエだって女じゃねーか。ケーキとか、そォゆゥデザートとか好きじゃねェのかよ』
47 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/26(金) 03:56:27.26 ID:pGdDRQo0
一方通行は私の事をただのかかしかそこらの電柱程度にしか思ってないのかとばっかり。
ロシアではこてんぱんにやられたしそう思うのも無理はない。
番外個体は不意に一方通行の吐いた「女」と言う台詞にトクンと自分の心臓が大きく脈打つのを感じる。
しかし、それは表情には出さず、彼女は一方通行の質問に答える。
「へぇ。ケーキか。確かにあうかもね。ブラックコーヒーにケーキは苦いプラス甘いの組み合わせで結構イイかもねー。甘いの苦手なら結構ビターな感じのケーキ買えばいいと思うよ」
『ビタァ?なンですかァ?それェ?』
こいつはケーキの種類も知らないのか。番外通行は最新型の学習装置で得た知識をぺらぺらと説明してやる。
彼女も学習装置の監修を務めた布束の知識を更に孫引きしているだけだが。
『へェへェ…!甘くないケーキかァ!いいねェクカカカ!いいねェ!最高だわァ!それ!』
たかがケーキで最高な気分になれる学園都市第一位って…。
一方通行は番外個体と通話しながらひとまずコンビニのデザートコーナーを物色。
ビターチョコケーキを探してみることに。
48 :
作者
[saga]:2010/11/26(金) 03:58:46.10 ID:pGdDRQo0
今日はここでおしまい。
あ、言い遅れましたがスノボの作者です。
このクソSSでもこんな私におつきあいして下さる人が居れば光栄です。
ではまた。お休み!
誤字脱字は脳内補完で…><
49 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 08:30:03.99 ID:J1gg92AO
乙!
やっぱりミサワは良いなww
にしても…ここの一通さんはロシア編後だとしても人間味がありすぎて怖い
50 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 16:25:04.31 ID:W8h8FMDO
乙
悪くはないんだがファッションに描写よりももっと凝るべきところがあるように思えてならない
51 :
作者
[sage saga]:2010/11/26(金) 16:59:06.73 ID:pGdDRQo0
文才ないし、自分の誤字脱字や設定も忘れるようなバカです。
すいません。ただ、こんな駄文読んで貰えるだけで嬉しいです。
けど、全力で頑張ります。
読者の方々には迷惑かけまくりですね…描写も下手だし、ホントにすいません。
52 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 17:00:23.16 ID:SFa5Toco
日々修行ですな!
楽しみにしてるから、気にすんな!
53 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/26(金) 17:15:41.98 ID:W8h8FMDO
すまんすまん
別に悪意は無いから気にするな
スノボの最初より上手くなってるから続き楽しみにしてる
54 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 18:32:10.68 ID:AJ5EjE.o
実際のブランドや商品が出てくると桜井亜美の小説を思い出す
55 :
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:46:01.41 ID:pGdDRQo0
>>みんな
本当にマジでありがとうございます。スノボの時から見てくれてるなんて…。
では次から投下します。
※調子こいてトリップつけてみました。いらないかな?
56 :
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:47:33.92 ID:pGdDRQo0
あらすじ
たまたま街で出会った番外個体と一方通行は連絡先を交換してただいま電話中です。
トピックはブラックコーヒーにあうもの等々。
57 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:49:51.62 ID:pGdDRQo0
『おい、番外個体。ここにはねェぞ?ビタァ』
「どんまーい。多分売り切れだね。あひゃひゃ諦めなー」
番外個体は一方通行と外部スピーカーで電話しつつこたつから一度出て古いストーブに点火する。
そして台所に行き、ヤカンに蛇口から水を入れる。
シャアアアアアア…
『あン?今水出た音しなかったか?』
「あぁ、ごめんごめん。今お風呂上がりなんだ。ミサカね、裸で今電話してるの☆」
『へー。ンで?』
「なに?ミサカが素っ裸で電話してるってのに、何も思わないわけ?」
『アホか。オマエ蛇口ひねる音聞こえたぞ、オイ』
(ちっ。バレたか)
一方通行を動揺させようとした小さなイタズラは水泡に帰したようだ。
『にしても何でヤカンなんだ?オイ』
「ミサカの今日のご飯はペヤングだから、お湯が必要でさー」
『ペヤングゥ?オマエそーゆーインスタント系のやつも食べるのか』
「なに?女もそーゆージャンクは食べるよ?一方通行の抱いてる女の子に抱いてる幻想をぶち――」
『そっから先は言わないでくれ。頼む。なんか聞きたくねェ…』
一方通行は学園都市最弱(強)のお説教野郎の顔を思い出し、携帯を切りたい衝動にかられるがなんとか持ち堪える。
番外個体のあひゃひゃと人を小馬鹿にしたような笑い声が一方通行の耳朶を打つ。
58 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:50:28.57 ID:pGdDRQo0
『じゃ、もう電話切るぞ?いつまでもコンビニン中で電話しててもコーヒー買えねェからな』
「はいはいー。じゃ、またねー」
(けっ。もーちょっと位ミサカと話してくれても良いでしょ?)
「あ、一方通行。今日は良い暇つぶしになったから、そっちが暇だったらまた誘ってよ☆」
『あァ?コンビニでコーヒー売り切れてたらなァ…オマエと話す時間とか色々もったいないだろォが』
「ひっどーい…ミサカはミサカは落胆を隠さずあなたに心情を伝えてみるっ!」
『ったく。似てねェって。…じゃ、マジで切ンぞ?』
じゃあね、と番外個体が言うとすぐにピッ、ツーツーと音が鳴り電話は終了。
十分程度の通話だったが、番外個体は肩の力が抜けていくのを感じていた。
59 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:51:44.74 ID:pGdDRQo0
(はー。子機買って初電話が一方通行か、ぎゃはぎゃは。今度はイタ電でもしてやろーかな、ひっひっひ)
ストーブの上に置いたヤカンがもう沸きましたよ―。とでも言いたげにコトコト鳴り始める。
(お、沸いた沸いた)
ペヤングのふたを取り、付属の乾燥してシナシナの野菜を入れ、そこにお湯を流し込む。
パコッとふたを元に付け直しす。
子機のずれた時計をちらと見て三分を計測する。
(さーって、明日はなにしよーっかなぁ…ミサカ暇暇だー。バイト探しにでも行くかなーダメもとだけど…)
バイトの事とか考え、コタツでぬくぬくしながら番外個体は三分待つ。
(はー…湯切りめんどくさいなー…三分間待ってやるーぅー…)
結局コタツに足を突っ込んだまま三分待つという一見簡単そうに見える行為は睡魔に阻害されてしまい、失敗。
ちょっとうとうとしてしまい、結局番外個体は五分程たって太くなった麺をいやいや食べなければ行けない羽目になってしまった。
60 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:52:10.08 ID:pGdDRQo0
さて、場は切り替わり、ここは一方通行達が生活しているマンション近くのコンビニ。
最近レストランの人気メニューの番付番組をよく目にするが、各コンビニ店員のやる気の無さ番付でもやったほうがおもしろいんじゃないか?
そんな事をぼんやりと考えながら一方通行はデザートコーナーからすこし見える最新のファッション雑誌を読んでいる店員をぼんやりと見やる。
一方通行が手に取った、イヤ、カゴに入れた商品。
ブラックコーヒー十五本、チーズケーキ一個。
なんだこの構成は。
先程まで番外個体と通話していたときに教えて貰った苦い物、といっても一方通行にとっては苦いと思わないコーヒーだが。
それに合うと思わしきビターテイストなケーキが無いので妥協してチーズケーキ。
イチゴソースがかかっており、いかにも甘そう。買う事すら気が引けてしまう。
(こンなン絶対に美味しいわけないだろォが…イヤ…ものは試しだ…)
「十六点で二千三百四十円になります」
「ちょうどお預かりしまーす。あざしたー」
もはや客の目など見ていない、どこかうつろな表情のバイト店員がいるコンビニを後にし一方通行は半住み込み状態の黄泉川家へと向かっていく。
61 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:54:12.82 ID:pGdDRQo0
――翌日
平日のけだるい朝。
しかし、あくまでそのけだるさは正規の社会人のみが持ち合わせるものであり、ニートの芳川やまだ小さい打ち止めはのんびりと起床する。
勿論一方通行も何も予定の無い日はごろごろする事が多い。
しかし、今日は起きてみれば土御門からメールで連絡が来ていた。
何でも対戦が終結して、平和になってからも、今後暗部組織は存続するというので取り敢えず久しぶりに顔合わせをしておこうという事らしい。
待ち合わせは十八時に第七学区立川駅前。
十時頃起きた一方通行は暇を持て余していたので取り敢えず家事をし、その後芳川や打ち止めと歓談。
しかし、午後になり何もやることがなくなる。朝兼昼ご飯を三人で食べ終わり(黄泉川のチーズハンバーグの作り置きとサラダとご飯)、一方通行は外出する。
「わり、ちょっと散歩行ってくらァ…」
昨日一方通行が帰宅して、黄泉川達が寝静まった頃合いを見計らい、リビングで息を殺して食べたチーズケーキとブラックコーヒーの組み合わせ。
(冷蔵庫に巧妙に隠したのが良かった。もしアイツ等にばれたら絶対にバカにされてたからな…)
昨日。すなわち番外個体とカフェに行った後の事。
一方通行はチーズケーキを消費するのにブラックコーヒーを二本空にしなければならなかった。
しかし、これが甘いチーズケーキではなく、ビターテイストのケーキだったらちょうど良いんじゃないか?
そんな事を深夜三時に甘甘のケーキを頬張りながら考えていた。
(ビターテイストのケーキか…期待だな…クカカキキキ…!)
彼は土御門の指示にあった十八時までここら辺の散策も兼ねて新しいカフェを探そうと考えた。
ビターテイストのケーキとブラックコーヒーの組み合わせ。
一方通行は勝手に頭の中で最適のケーキとコーヒセットという幻想を想起してふかふかのベッドに身体を預けた、という訳だ。
62 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/26(金) 20:57:07.96 ID:pGdDRQo0
夜飯食う。後でまた!
63 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 22:24:05.28 ID:yzDj/cAO
この甘さを使えば、ダイエット出来るのではないかと考えたんだが。
64 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 22:53:25.39 ID:9F8a17co
乙
続き待ってる
65 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/26(金) 23:50:56.96 ID:DFleAYc0
番外通行の良スレが増えてきて嬉しいです(^З^)
66 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:40:11.24 ID:Ki5mDKE0
遅れました。すいません。
ちょっと投下します。
――――――――――――――
そして場は戻り、今に至る。
芳川と打ち止めはPS3の人生ゲーム(復刻版)でブラストボムの落しあいに興じており、画面から目が離せない!
「一方通行、ジャンプ買ってきて!おねがーい!っておい!打ち止め!今週のトリコが気になるのー!あと、プレイボーイも!太陽のマキバオーも!おねがいねー!」
「ヨーグレット買ってきて!ってミサカはミサカは、あー!ツーケーがぁぁぁぁ!…あなたにお菓子をおねだりしてみるっ!」
「あー!芳川!ドサクサに紛れてチキチキチキンレース勝手に操作するなぁ!って、ミサカはミサカは芳川に憤慨!あー、体力と知力落ちたー…」
「テメェらで買いに行けよ。俺はパシリじゃねェぞォ」
(オイオイ、寧ろプレイボーイは俺が買っていいもンなのかァ?オイ)
二人に捨てゼリフの様に告げると、バタンと玄関で靴を履く。
一方通行はぎゃーぎゃー騒ぐ幼女と元研究者で現在ニートの二人は置いて外へ行く支度をする。
二人に捨てゼリフの様に告げると、バタンと玄関で靴を履く。
(今日は結構歩くからスニーカーで良いだろ…っと)
67 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:41:02.83 ID:Ki5mDKE0
靴の収納棚からバンズのホワイト、ロゴが黒のスニーカーを取る。
シュっと靴紐を結ぶ。
パンツはリーバイスのタイトストレートナンバー519のダークユーズド。細身の一方通行にはよく似合う。
後ろの赤いレザーパッチはDieselのベルト越しからでも分かる程鮮やか。
トップはいつものグレーのロンTにAzのダウン。これはもう一方通行の定番のコーデだ。
上は白かグレーでまとめる。一方通行はヨイショ…と爺臭く独りごちるとフェンディにのカシミアマフラーをするっとラフに巻く。
これでオッケー。
ジーンズのバックポケットは深く作られていて、一方通行のヴィトンの財布は少しだけ顔を覗かせている所がまた渋い。
Azのダウンの手首の部分にはぎらりと光るジェイコブのビッグフェイスの時計が。
どこのチンピラかあるいは小金持ちか?
一般の人が見たらそう勘違いしてもおかしくないであろうファッション。これをこの年で品良く着こなせるから凄い。
彼は実際、小金持ちでも何でもない、借金が返済不能で学園都市に半永久的に拘束される存在だ。
しかし、今後彼がどうなるかは自身でもよくわからない。
彼のファッションについて長く話しすぎたな。再び一方通行の後を追ってみよう。
68 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:41:32.02 ID:Ki5mDKE0
今日は先述したが、いつもの歩いてすぐのコンビニは行かない。
土御門達と会うまで一人お茶会?ならぬコーヒー会という訳だ。
(さーって今日はどこに行きますかねぇ…)
外はやっぱり寒い。ただいま午後二時。
低学年の生徒達が帰りだし、賑やかになる時間帯だ。
家でごろごろしつつ人生ゲームにやりこんでる芳川と打ち止めを置いて一方通行は外出。
黄泉川達にはメールで今日は帰りが遅くなる事を伝えた。
(ゲームなンてやっても飽きねェのかねェ…)
(にしても昨日の番外個体と会ったのは良かったわ。ちょうどブラックコーヒーオンリーに飽きてた所だからなァ)
(ケーキねェ…ブラック一本だったのに、ケーキも案外いけるもんだな)
甘甘のケーキだとコーヒーを二本消費してしまうので割に合わないが、ビターなら?
期待をふくらませる一方通行だ。
(ハッハァ…、コンビニでもまぁまぁのおいしさだった…本格的なカフェだともっとうめェんだろォな…)
ここで注意しておきたいのだが、一方通行は特に舌が肥えている訳でもない。
なので月並みの味覚しか持ち合わせてない事をここに付け加えておく。
自分自身の淡い幻想を確かめるべく、一方通行は携帯で調べたカフェ「やっつけ仕事」へと向かう。
69 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:42:38.75 ID:Ki5mDKE0
一方通行が起きるより少し前…十時くらいか。
番外個体はここ最近してなかった部屋の片付けを行っていた。
ここ最近というか寧ろロシアから帰ってきて以来、まともな掃除をしてなかったので部屋はちょっと汚れてたりする。
(まずは…トイレ掃除ねー。次に窓拭いて…床掃除機かけて…)
まずは掃除のおおまかな計画を立てて…あれ?以前コンビニに置いてあった求人表を番外個体は見つける。
(…学園都市のパン屋…年齢、経歴不問、面接後採用…?これサイコーじゃない…!)
(早速電話電話…ぴっぽぱ…と)
一旦掃除は中止。このパン屋に電突だっ!
ぷるるるる、ぷるるるる。
「ハイ?こちらパン屋『リンゴベーカリー』です?」
「あ、そちらでバイト募集してるって聞いたんですが、今でも募集してますか?もし募集してたらそちらで働きたいと思うんですがー」
「あぁ?バイトね。さかい、わいわからないからてんちょに代わるわー。ほらー、てんちょー、バイトさんの応募やー」
(なに?この関西弁モドキ)
暫くして店長が電話に出る。場所はモノレールを乗り継いで終点の多摩センターの近くのパン屋さん。
交通費も出すとのこと。取り敢えず一時半に面接をする事になった。
(うひひ。これでミサカは暇を持て余さなくてすむぜい!うひひ)
るんるん気分で掃除を再開する番外個体。
部屋は徐々に綺麗になっていった。
70 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:44:44.10 ID:Ki5mDKE0
ここでいきなりだが、一方通行は知り合いで同年代の女がめちゃめちゃ少ない。
(あー、あの大食いシスターと……他に…誰だァ?ってか俺交友関係すくねェよな…俺)
(あとは結標と御坂美琴?いや、あいつは知り合いって言っていいのかわかンね)
(御坂美琴か…………)
気づけば御坂美琴という名前を反芻していた。いや正確に言えばその姓、御坂。
(…ミサカ……ミサカ…ミサカ…ワースト…番外個体…)
一方通行を殺すためだけに作られた哀れなクローン人間。
学園都市が一方通行に物心両面の打撃を与える為だけに設計され、差し向けられた哀れな存在。
一方通行は昨日そんな番外個体と久しぶりに再会を果たした訳だ。
そう。いつもとは違う他のコーヒーが飲みたくなり、いつもと違うコンビニに向かう、その途中で。
昨日の出来事を一方通行は歩きながらぼんやりと思い返していた。
そう番外個体と偶然に出くわした事を。
(アイツ…前に比べて少しトゲが抜けた様な感じがしたな、感情を上手くコントロールできるンだっけかァ?)
一方通行は番外個体の事を考えつつも、携帯のマップを駆使しカフェ「やっつけ仕事」の前に到着した。
71 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:45:12.56 ID:Ki5mDKE0
カランカラン
入店を知らせるのベルが心地よく鳴る。
「いらっしゃいませ、こんにちわ」
ひげを生やした愛想の良さそうなおじさんが一方通行を出迎えてくれた。
「どうぞ、あいてる座席にお座りになってくださいな」
「はいよォ」
今日は昨日と違い、窓側ではなく、カウンターに座ってみる。
カウンターの端にあるコートを掛けるところに自分のダウンとマフラーを丁寧に置く。
二時を回って時計は半を越え、三時に近づきつつある。
店内には数えるほどしかいない客。
カチ…コチ…と時報付きの時計振り子時計が恭しく現在時刻を告げている。
高級感を醸し出す茶色のその掛け時計は店内のこぎれいな雰囲気に完全にマッチしている。
72 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 01:47:46.13 ID:Ki5mDKE0
仕事行きます。
明日に又投下します!
73 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 07:34:01.80 ID:44uNjAAO
よし、がんばれ
74 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 07:45:35.61 ID:I9eOLH2o
乙
75 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/27(土) 08:07:16.55 ID:y1ZgU1o0
乙 もしかして青ピが来たり?ってミサカはミサカは(ry
76 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 14:28:57.80 ID:mxERdDA0
乙!!
青ピ登場だなんて俺得すぎるww
77 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:22:57.09 ID:Ki5mDKE0
こんばんわ。
少し投下します。
さて、昨日のあらすじから。
−−−−−−−−−−−−
一方通行は新しいカフェを探しに来て、入店したシーンあたりからです。
因みに番外個体と出会った次の日です。平日の昼下がり〜夕方にかけてを想像していただければ助かります。
78 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:23:24.67 ID:Ki5mDKE0
「こんにちわ、初めてのお客様ですね?」
中年の白髪交じりでがっちりした体格の男性店員が気軽に話しかけてくる。一方通行は何だかいやだなと感じた。
知らない人と会話をするのはあまり好きではない。
あァ…と短く返すとその店員は彼のそうした性格を悟ったのか、メニューだけニコリと笑みを浮かべながら置く。
ここは結構穴場なのか?それとも若干高い価格設定で学生が来ないのだろうか、取りあえずうるさい学生がいないので雰囲気はバッチシだ。
(人がいないっていうのもいいなァ…静かで良い雰囲気だなァ…)
一方通行がスピーカーから流れる流麗なジャズサウンドを聞きながらメニューを見る。
ブラックコーヒーはもう決まっているのだが、それに会うベストの食事がない。
(ムムム…どォすっかなァ…?)
一方通行がメニューとにらめっこしていると先程の男性店員がやってくる。
「ご注文はおきまりでしょうか?」
「取り敢えず、ブラックを一つだァ…」
しかし、コーヒーに合う一品が決まらない。何にしようか。
一方通行は書いてあるお品書きから料理をチョイスできずにいた。
その雰囲気を察したのだろう。店員が一方通行におすすめを紹介する。
79 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:24:07.34 ID:Ki5mDKE0
「お客さん、ブラックだったらパンケーキとかどうですか?結構マッチしますよ?」
「へェ…でもじィさンわりィ。食べるものもなるべく甘さ控えめが良いンだが…」
「それでしたら…このショコラケーキなどはどうでしょうか?それでも苦手ならサンドイッチでも良いと思いますよ?」
男性店員が後ろにあるショーケースを紹介する。
ショーケースの横には大量のお酒が置かれており、カウンターテーブルの上のラックには綺麗に磨かれたワイングラスがおかれていた。
どれもが綺麗に磨かれている。
(ま、いい。とりあえず食べてみなきゃはじまらねェ…)
「じゃ、すンませン、コレとブラックコーヒ―下さァい」
「はい。じゃ、ショーケースのやつになっちゃいますケド、味は私が保証しますよ」
一方通行が食べたいと申し出たビターショコラはブランデーのヘネシーX.O.をふんだんに使用したケーキだ。
ヘネシーの香りと濃厚で豊かな味わいの大人のチョコ。
コトリ…と静かに置かれるビターショコラケーキ。
食べてみたいが我慢。コーヒーが来るまでまとう。
一方通行はグゥとなるお腹をさする。そして店をぐるっと一瞥。
改めて静かな雰囲気なこの店をいいなと思った。店内に流れる良質なスピーカーからでるサウンドもいい。
ちなみに今流れている音楽はBill Evans のHere's That Rainy Day だ。
ま、Jazzの定番だよね。
80 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:24:52.78 ID:Ki5mDKE0
カランカラン…いらっしゃいませ…
この一方通行が入店して数十分ちょうど数取りのボーン、ボーンという小気味のいい音が鳴り終わったあたりでもう一人入店客が。
その客はあいてる座席に適当に座ろうとするが、カウンターで一人鎮座している白銀の髪の色の男の後姿を見つけ、近づく。
「あれ?一方通行?久しぶりじゃない」
(あァ?)
女性の声だ。しかもこれは聞き覚えがある。
彼が振り返るとあのクソ戦争には参加しなかったが、その直前のエイワス攻防戦まで行動を共にしていたメンバーの内の一人、結標淡希(むすじめあわき)がいた。
「おゥ…。オマエか久しぶりじゃねェか…ってかどうしてお前がココにいるんだァ?」
「そのセリフそっくり返してやるわ一方通行。何であなたがこんな所にいるのよ」
「オマエにいう必要はねェだろ…。オマエはここの常連なのか?」
先程のかっちりした男性店員が炒りたてのホットコーヒーを一方通行に渡しつつ結標に話しかける。
「お待たせしました、当店自慢のブラックコーヒーになります…あれ?」
男性店員が一方通行の隣でたっている結標に話しかける。
81 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:25:53.99 ID:Ki5mDKE0
「おや?結標さん?ここ最近いらしてなかったので何かあったのかと…」
「あら、マスターこんにちわ。ちょっと色々あってね…あ、カフェオレと野菜とベーコンのサンドください」
「かしこまりました…少々お待ち下さい…」
そういうとかっちりとした中年男性店員もとい、ここのマスターはまた裏側に消えていく。
一人で切り盛りしているのであろうか、結構大変そうだ。
「あの人、ここのマスターなのか…ただのバイトだと思ったぜ…」
「あら、あの人はここのマスターよ。私ここのサンドイッチが好きで良くここに来るんだけど…」
へェ…と適当に相づちをうつ。結標の趣味など知ったこっちゃ無い。勝手に抜かせ。
82 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:27:11.37 ID:Ki5mDKE0
「んで、結標、今日の土御門主催の会合は何すンだァ…?」
「土御門にメールしたら、取り敢えず久しぶりに集まって食事会だとか言ってたわよ…」
「食事会ってオイ…てっきり重要な話し合いかと思ってたが…アホくせェ…」
「いや、全く言うとおりだわ。なんでも久しぶりにグループ集まったから宴会だにゃーとかいってたわよ」
土御門は冷静沈着なグループのまとめ役。
普段は金髪の不良の様な風貌の彼だが、暗部の業務に当たっているときは拳銃の扱いに長けており、頭の回転も速い。
彼もエイワスとの戦闘以来病院で治療生活を送っていたが、ここ数日で晴れて退院したそうなのだ。
「ってかオマエ、あの寒そうな格好やめたのか」
83 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:28:35.96 ID:Ki5mDKE0
寒そうな格好とは…結標は自分の戦闘能力を最大限駆使するために女性ものの下着を着用せず、ピンク色のさらしを巻いてその上に高校の制服を着るだけという簡素な格好をしていた。
しかし、今年の冬はそんな半露出魔のような彼女も耐えられないくらいに寒いらしく流石に普通の格好をしている。
「ハ?私だって仕事以外の時はフツーのカッコよ?」
普通の格好と行っても少し寒そう。そんな結標の格好は?
adidasのスニーカーに黒タイツ、リーバイスのショーパン、上着は白いGapのワイシャツに薄手のピンク色のロングスリーブセーターに黒のユニクロのダウンジャケットをタイトに。
ちょっとボーイッシュなファッションで且つ長髪で二つ結び。そのギャップがまたいい。
(へェ…こいつおしゃれとかできンだなァ…胸サラシで隠してりゃ何でもいいのかと思ったわ、クカカ…)
84 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:31:03.19 ID:Ki5mDKE0
「土御門が今回のクソ招集の企画したんだろ?海原の野郎は来ンのか?」
「来るっていってたわよ。今日はグループ四人全員そろうそうよ」
「へェ…」
戦場をくぐり抜けた暗部組織『グループ』の一員だが、決してそこに友情や愛情といったものは存在しなかった。
正直誰が倒れても知った事ではない。一つの目的。そう学園都市を出し抜くというただ一つの目的の為に彼らは行動している。
かといってそんも目的を達成するために一丸となって行動している訳でもない。
利害の一致で共闘しているだけの合理的な組織である。
また、それぞれの『出し抜く』という意味も字義通りではない。個々でその意味は違うだろう。
お互いの『出し抜く』意味を知っても意味ないし、第一他人の便所に首を突っ込むコトが野暮であろう。
しかし、一方通行はこれらの考えも全て一緒くたにして今はめんどくさいと思った。
(いずれ学園都市を出し抜くっつゥの今まで通りかわらねェ…ただ、今は腹が減った…)
「お話中失礼します。ご注文になったカフェオレと野菜とベーコンのサンドお持ちしました」
結標がありがとうございます、と丁寧におじぎ。
ここでやっと二人はささやかな午後のティータイムに突入する。
「いただきます」
「いただきますゥ…」
「はい。どうぞ」
にんまりと笑う温厚な顔のマスターは二人の挨拶を聞くと他のお客さんが入店したのでそちらの方へ消えていった。
85 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:33:02.80 ID:Ki5mDKE0
そのマスターが案内した客は女性で茶髪。首もとあたりまであるつややかな髪、綺麗なすらっとしたプロポーション。
彼女は常盤台の超電磁砲に似ている。ま、番外個体だ。
番外個体が入店した事は入り口に背中を向けて、カウンターテーブルに座る一方通行は知るよしもないのだが。
彼女が行ったパン屋のバイトの面接は行ったところで即座に採用。
最初はネームプレートに研修中とだけ書いて働くそうだ。
ネームプレートに「番外個体」と書くわけにも行かない、意味不明だ。
なのでずっと研修中でいいよ、と番外個体は思ったそうだ。
ともあれ、彼女は真っ白いキッチンウェア、赤いスカーフ(男は青色)、コック帽が入った『リンゴベーカリー』の袋を手に持ち入店。
「お、アクセ…――――――…っと、危ない危ない、お相手がいましたかきひひ…」
(誰?あの赤髪女)
番外個体は赤い髪の女の後姿を凝視する。あれは一方通行の何だ?知り合い?友達?それとも…?
(恋人?なーんてね、ぎゃはは、ありえないよねー…ありえないだろ?)
(一方通行に恋人がいない事をあり得ないと証明する手立ては…………………?)
(誰だよ…アイツ…)
狂狂…くるくる…クルクル…番外個体は負の思考の深みにはまる…。
86 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/27(土) 17:34:13.05 ID:Ki5mDKE0
読み返すと恥ずかしい!駄文っすねぇー。
だけど、諦めずにまた夜に投下しますよ!
ではここらで一旦打ち止め!
87 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 18:36:19.35 ID:uCLum5Yo
ま、
は要らない
88 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/27(土) 19:16:05.59 ID:y1ZgU1o0
打ち止め・・・・・・・・・・・・・だと?
89 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 19:25:27.10 ID:7PgZ3kAO
うん、地の文って脇役だから、人間味が出過ぎるとちょっと煙たく感じてしまいますね。
ですが情景描写の拘りは好きです。もっと読みたい
90 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 22:33:41.17 ID:1THpQUM0
あわきんとミサワの修羅場とか俺得wwwwww
あと「ま、」はシュールで俺は好きだけどな
91 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/27(土) 23:02:46.70 ID:I9eOLH2o
面白いからがんばれ
92 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 00:56:54.77 ID:798byOc0
こんばんわ。
書きために腐心してました。
文章、賛否両論(!?)ですね。
助言ありがとうございます。
やはりレスが着くと嬉しいですね。
では次から投下します。
93 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 00:57:44.65 ID:798byOc0
「ってか一方通行待ってくれたの?私の注文したの来るまで」
「あァ?」
いや、ケーキとコーヒー。と結標が一方通行の注文した品々を指す。
そう一方通行は結標の頼んだケーキが来るまで腹はぎゅるぎゅる鳴っていたが、先に食べずに待っていたのだ。
「べーつにィ…」
「…あ、ありがと」
(へ、へぇ…一方通行にしちゃ気が利くじゃないの…!)
「ホラ。食べようぜ?腹減っちまってかなわねェわ…」
「はいはい。ねぇ、一方通行」
(相変わらず口は悪いけど、戦争が終わって心にゆとりができたのかしら、今までのとりつくしまが無いような雰囲気とはまた違うわね…)
「あン?」
「ありがとね、待ってくれて」
(こーゆー地味な優しさ、ちょっと嬉しいわね)
94 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 00:58:53.29 ID:798byOc0
「オウ。てか気にすンなって。別に先に食ったらオマエになンか言われンのがイヤで待ってただけだからよ」
一方通行がどの様な理由を使おうと、結標の事を待ったことに変わりはない。
そしらぬ振りでケーキとコーヒーの組み合わせを食べていく一方通行を横目に見つつ結標は心の中でありがとね、と感謝した。
「ふぅーん…そう。……………すきあり!」
結標のフォークが一方通行の食べようとしていたブランデー仕込みのショコラケーキにさくりと食い込み、その一片が見事に結標に持ってかれていく。
あっ!と一方通行が気づいたときには既に遅く、ショコラの記念すべき一口目は結標に持って行かれてしまった。
「これすっごく美味しいわね…ちょっとビターな感じ…一方通行こういうの好きなんだ」
「黙れ。そして口を閉じて待て。勝手に評論するな。俺はまだ食べてないンですゥ!!!」
一方通行は初!カフェのケーキと言うことで手ににじむ少しの汗を気にせず、小さいステンレスのキラキラしたフォークを握りさくりと少しだけ切り取り口に運んでいく。
95 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 00:59:49.32 ID:798byOc0
もぐもぐ……もぐもぐ
(うわ…これはこれで有りだな…やっぱりまだあめェけど…。よし…この後にコーヒー…)
一方通行はフォークの音を立てないように静かに小皿に着地させ、結標を待った分だけ少しぬるくなったブラックコーヒーをすする。
(…これはヤバイな。最高の組み合わせかも知れねェぞ!)
「どう?一方通行?」
結標が一方通行のゆっくりと噛みしめるように食べているケーキとその後の少しすするコーヒーの一連の動作を見て質問する。
「結標、少し静かにしろ…これはホントに美味しい。俺は今までブラックコーヒー即ち、無糖の飲み物こそ至高と考えていた」
けど、と一言挟み、さらに一方通行は続ける。
「甘味のある食べ物と無糖の組み合わせがまさかここまでジャストフィットするとは…クカカ。世の中は広えェなァ!結標!」
いや、あんたが知らなすぎるだけでょうが、と突っ込みたい衝動に結標は駆られながらも必死にそれを抑え、話を合わせてやる。
「そうね。結構、この甘さと無糖の味の差が良いって言われてるわよね」
「ほォ。そいつを始めに考えたやつァやべェわ。天才としかいいようがねェ!」
(昨日、番外個体もそンな事言ってたなァ…俺が知らなすぎるだけか…)
96 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:02:37.69 ID:798byOc0
さて、一方通行と結標が話をしている最中、同カフェ「やっつけ仕事」の窓側の座席に一人ですわっている番外個体は無性にイライラしていた。
理由は定かではない。妹達の一方通行に対する負の感情が発露した訳ではない。なのに、何故だ?
(ったくうるせぇなぁー、一方通行。あの子と付き合ってるのかよ?そんなに話してたいならさっさと外行けやコラ)
(何でよりによって何でこんな所に一方通行が来てるのよ?何?あの女とデートなの?)
「――――――――!!」
「――――――――!」
番外個体の座っている所からは何を話しているか聞き取れない。しかし時たま聞こえてくる声。それらは番外個体を無性にイライラさせた。
(二人の会話を聞こうとして聞き耳を立ててるミサカ、きもいって。そして一方通行の隣にいる長い髪の女。アレ何者?)
番外個体は何だかよくわからない。そんな意味不明、説明不可能な感情に支配されつつあった。
97 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:05:07.12 ID:798byOc0
番外個体がそんな意味の分からない感情にとらわれているとも知らず、カウンター席では一方通行が結標と雑談に興じていた。
(はぁ…誰だアイツ…ロシアに連れてこなかった一方通行の恋人か?)
番外個体は慣れないカフェオレを飲み、自家製プリンをぱくりと一口頬張る。
どうしてもカウンターにいる二人を見てしまう。
そしてそんな自分に嫌気すらさしてくる番外個体。
(赤い髪の女、アイツ一方通行にサンドイッチ分けやがったよ。かー。最近のカップルはこんな閑静なたたずまいのカフェでデートねー)
それを一気にのみほし、プリンをかっこむと番外個体は早々にお勘定を済ませて店を出て行ってしまった。
(なーんでミサカが一方通行にばれないように店から出るんだ?この感情って何だ?意味分からないなぁ…むしゃくしゃする、ただの女と話してただけでしょ?)
(面接で行ってきたバイト先は楽しそうで面白かったのに…なんで帰ってきてミサカがイライラしなきゃいけないの?ねぇ?)
明日から早速出勤と言うことでわくわくしていた番外個体。
けれど自分とかつて共闘関係を結んでいたと男が知らない女と私の目の前で話している。
(誰?何?何なの?気になる、まさか――、恋人?)
(ミサカは何でイライラしてるの?)
自分自身の負の感情も漏れなく拾いやすい番外個体。
彼女は負の感情をコントロールできると言っていたが、それは間違いだったようだ。
あくまでここ最近一方通行に対して別段何も感じなかっただけで。
番外個体は頭の中で増幅される負の感情が混沌とした勢いで渦巻くのを感じた。
(やー、ここでこれきちゃうかー、むしゃくしゃする☆あーあー…)
98 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:06:33.24 ID:798byOc0
結局、番外個体は店をそそくさと出て行き、散歩。
目の前にある缶を思いっきり蹴飛ばす。自分でもここまでイライラしている意味が分からない。
(ったく…気にしだしたら始まらないわね、畜生が)
彼女、番外個体は負の感情を拾い易い。
その発露はロシア戦線で一方通行と共闘して以降はなぜだか分からないが格段に減った。けれど言葉の節々にはまだまだ刺刺しく残っている。
(一方通行が話していたあの女は誰?ただの知り合い?それともロシアに連れて来なかっただけの彼女?一体誰なんだよ、テメーはよ!)
番外個体が一人で考えても埒が開かない事は明らかだ。なぜなら、単純にあの女を知る手掛かりが彼女にはないから。
(クソ…どーしよーもねぇなコリャ)
いや、待てよ…。かなり直接的な手段になるが一つだけ聞ける方法があった。それは――
(昨日教えてもらった一方通行の電話番号…そこに電話すりゃいい。暇つぶし位にはなるだろー。ぎゃは)
番外個体はつい昨日交換した電話番号を思い出した。
(よし、昨日の番号にかければいいんだな…時間は夜九時くらいでいいかな…)
(ったく、私が本来なら殺すべき男に対してなーにムキになってんだ。ぎゃはぎゃは)
99 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:10:34.71 ID:798byOc0
(……でもあの赤髪の女とどんな関係かは知りたいしなぁー今日は暇だし…暇だし…)
(あくまで暇つぶしの一環だよ…?)
彼女はむしゃくしゃした感情を治めようとクレープ販売車を見つけ生クリームたっぷりのクレープを購入し街の雑踏に消えて行った。
あくまで暇つぶしであると言っていたが、どういう感情であれ、一方通行の隣にいる女が気になっているのは明らかだ。
クレープにまるでジョーズの様にがぶりと食らいつき、もぐもぐ食べる。ごくん。美味しい。うん。むかつく。
(自分がむかつくの?それともあの赤髪?それとも一方通行?それとも、全部?)
(はー、自分でこのイライラをもっとうまく抑えられないかねー)
第七学区の繁華街へと向かう番外個体。買い物をして気を紛らわそう。
100 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:11:45.10 ID:798byOc0
さて、場面は再度カフェに戻る。
「ねぇ、一方通行…?」
「あン?なンだ」
「まだ時間あるケド…どーする?この後」
さて、場面は再度カフェに戻る。
一方通行はJacob&co 6タイムゾーン ポケットウォッチのあほみたいに高額な時計をちらりと見る。時間は十六時。微妙だ。
かえってごろっと一休みもいいし、掃除は…辞めておく事にする一方通行。
最近仕事があまり入らず、入ったとしてもかなり楽な作業ばっかり。んでもって報酬は高いのだから暗部をやめる事はできない。
かつて立川郊外で文字通り大暴れして雪だるま式に積み上がった気違いじみた金額の借金を不問に付す代わりに入った暗部だ。
ま、借金はあってない様なものだからこそ一方通行はジェイコブやAzといったメーカーを自分の為に高額な物を購入しているのだが。
101 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:13:44.90 ID:798byOc0
さて、トピックは土御門達と合流するまでの微妙な時間帯をどう過ごすか、だ。
カフェにこのままいてもいいのだが、何も頼まないで店にいるのは悪い。いくら結標が常連だとしてもそれはマスターの厚意に甘える事になり、いい気がしない。
二人は話し合った末に取りあえず会計を済ませ、店から出る事になった。
「どーする一方通行、私このままブラブラしながら集合場所に行こうとしたんだけど…」
「あー、俺もそんな所だ。じゃ、俺はここら辺で。じゃな、また後で」
「は?あと二時間ちょっとでまた集合場所で会うのにここで解散してまた会うの?ばからしくない?」
「チッ、ならどこいきてーンだよ。俺が着いてくとは限らねェけどなァ…クカカカキク」
「じゃ、もう一件喫茶店あるんだけど、そこ行く?確かチェーン店だったけど、若い子には人気なのよ?」
(相変わらず笑い方がキモイわね…一方通行)
その結標の発言に一方通行は先程の素っ気ない態度から、含んだような表情で頷き、興味のある様な表情を浮かべる。
「へェ…そこにもブラックコーヒーはあンのかよ?後…あったらで構わねェが…ケーキ」
あたりまえでしょ、ケーキは分からないけどね、と結標は答える。
カップルの様に見えるが、ただの仕事の同僚関係でしかない二人はもう一店舗行くことになり、そちらへ足を運ぶ事に。
102 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:24:10.82 ID:798byOc0
「ここは結構みんな知ってるような所だけど、メジャーどころからちゃんと抑えとかないとね」
「ケッ。結局、そこしかしらねぇンじゃねェの?クカカ…」
「うっさい…!」
結標はそう言うとドトールコーヒーのドアを開ける。
彼女たちと同年代程の学生店員の声に出迎えられ、二人は窓側座席に着く。
「じゃ、私先に買ってくるから、あなた少しここで待っててよ。イイ?」
「はいよ。まってからサッサと行ってこい露出狂が…!」
「ったく、口数が減らないイヤな男っ!今はちゃんと重ね着してるでしょ?」
悪態をつきながらも結標は自分の飲み物を買いにレジへと向かっていく。
103 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:25:39.49 ID:798byOc0
さて、座席で一人きりになった一方通行は考え事をしていた。
結標と番外個体に関してだ。
(そォいや、あの二人って結構似てる所あンだよなァ…)
一方通行は以前御坂美琴のクローンである妹達を二万体殺害する計画に従事していた。
しかし、上条当麻というイレギュラーにたたきつぶされ計画は頓挫。
その殺害計画=一方通行のレベル6シフト実験はそれで完全に中止されたかのように見えた。
104 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:26:38.22 ID:798byOc0
ここで結標淡希の登場だ。
彼女は一方通行による、妹達の殺害計画を知っていたがそれにはあまり興味がなかった。
しかし、そのキチガイじみた計画を統括していた演算衛星の部品=残骸・レムナントに興味を示していた。
その理由はここでは割愛するが、ともあれ。
もしその演算衛星「ツリーダイアグラム」、或いはそれに準じる能力を持つ衛星が結標の所属している組織の手に渡り、再起動したら?
あの悪魔の様な実験は再開される危険性がある。
それを一方通行と共に黄泉川家で同居している妹達の司令塔ともいうべき打ち止め(最終信号)から聞き出す。
その後、やはりこれも前述したが多摩センター駅郊外のビル群の戦いが勃発する。
戦いといっても満身創痍の結標対一方通行。
結果は火を見るより明らかだった。
もちろん、結標は敗北。
一方通行の容赦のない、右腕から繰り出されるパンチを被弾する。ちなみに結標はこれがトラウマになり能力発動に制限かかってしまうのだが。
その後、学園都市の暗部堕ちし、同じく堕ちてきた一方通行と共同戦線を張ることになるのだ。
ちなみに友達と言える友達は…いない…。
居候先の月詠小萌は教員だって噂。
105 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:27:11.22 ID:798byOc0
さて、第三次世界大戦が勃発し、紆余曲折の経緯を経て一方通行ははるか遠くロシア平原へ。
そのロシアで学園都市の追撃者として一方通行の前に立ちはだかった人物。それが番外個体(ミサカワースト)だ。
彼女は一方通行の弱点である打ち止め、妹達、そしてそれらすべての原型である御坂美琴と似て非なる存在。
けれど、容姿は御坂美琴を少し邪悪にし、ひねくれさせた様な感じ。
いや、むしろ母親である御坂美鈴に似ているかもしれない。
目の下に薄くできているくまがと猫のような目が彼女の目印だ。
番外個体は製造された時点であらかじめ負の感情が発露しやすいように設計されていた。
そんな彼女と戦闘状態に入る一方通行は暴力をふるう番外個体に手を上げることを躊躇していたが、吹っ切れ、難なく撃破。
その後一方通行は番外個体に埋め込まれている最終信号からの指令を拒否するチップを破壊し、共闘する条件を整え戦い、学園都市に帰還。
帰還してからはお互いに連絡先を交換する事もなく、昨日偶然会うまで全く合わなかった。
今ではどうやらミサカネットワークにもちょくちょく顔を出しているそうだ。
妹達や打ち止めとの関係が良好だかどうかは知らないが。
今はおんぼろアパートでかつて学園都市からもらっていた給与で食いつないで暮らしている状況だ。
ちなみに友達はあんまりいない…。
106 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:38:44.28 ID:798byOc0
一方通行は彼女と番外個体の事をぼんやりと考えているとふといくつかの共通点に気づかされた。
(@友達がいない。……………ってのがまずあがるたァ…まァ俺も人のこといえる身分じゃねェケド…よし、次…)
(Aかつては敵対し、今は共闘、あるいは協調路線ってトコか?最後に…)
(B二人とも…まァまァ…カワイイって…俺はなァに考えてんだオイ…)
(ハ…なァに考えてンだか…やめだやめ)
(第一、どっちもただの共闘関係にあるか、またはあった。それだけだろーがよ。ハッ、アホくせェ)
107 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:39:35.85 ID:798byOc0
「――――――!」
「――――――――!」
(あン?誰だァ…?)
「――――レータ!――ろっ!」
(うっせェな…)
「―――!一方通行起きろぉ!」
「うわっ!な、なンなンですかァ?」
この白モヤシはどうやら考え事をしてそのまま眠ってしまったようだ。
今まで他人の前で寝ることなんてあったか?いや、ないだろう。
黄泉川達の前で寝るのとは全く別。外出先でうとうと寝るなんてかつての一方通行からは考えられなかった。
(オイオイ、大戦が終わってからの協調ムードで日和っちまったのかァ?)
自問自答する一方通行。
108 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:40:25.11 ID:798byOc0
「あなた、寝てたわよ!せっかく私が知ってるカフェ教えてあげたのに…!」
「あー、わりわり。普通に考え事してたら目ェつぶってたわ…」
「ほら、ケーキとブラックコーヒー、買っといたから。一方通行、私が先に注文するからって座席から離れて、戻ってきたらこのザマだったのよ?」
「…オイ。買っといてくれたのか?このセット…ふぁぁ…わりィな…ってオイ…コレ見るからに甘そうだぞ…」
「そーよ?何?他のケーキがよかった?わがまま言わないで、ホラ!食べる」
(ふっふっふ。わざと甘いケーキを買っといたわ…!甘さに酔いしれろ!)
「金払うわ…ンで幾らだァ?」
「五千円」
「ンな訳ねェだろ…」
「五百二十円よ」
小銭あっかなァ…と思い一方通行はヴィトンの白が基調のモノグラムのマルチカラー財布を取り出す。
ジェイコブの時計のようにこれもかなり値が張る一品だが、暗部で稼いだ金に比べたら数万円なんて全然問題ない。
109 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:41:46.43 ID:798byOc0
「あー、わり。今はねェ。一番小さくて千円だわ」
「じゃ、これは私のおごりってことで…ほら、ここの店一番のビターケーキとブラックコーヒーの組み合わせをご賞味あれ☆」
(ったく良い財布持ってるわねぇ…私なんてポーターの黒で小さいやつだってのに)
そう言いつつ結標はウインクをぱちんと一方通行へ向けてする。
一方通行はそれに少しどきんとするが表情には出さず、はぁ…とため息を着いてやりすごした。
「……」
「ん?何よ?コーヒー冷えちゃうわよ?」
(さ、食べろ!食べろ!一方通行!そのケーキは甘甘なのよ…!どんな表情になるか見物ね…!)
「はいよ…言われなくとも食べてやンよ…」
(ったく今日の結標、一体、何なンだァ?調子狂うぜ…)
ひょい…ぱく
一方通行は白いチーズケーキを食べる。
110 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:42:50.30 ID:798byOc0
「…ったく甘いモン食わせやがって…ま…ありっちゃありだけどよォ…」
結標のイタズラ半分で買ったケーキを一方通行はなんとかブラックコーヒーという相棒と共に下すことに成功した。
昨日の深夜のチーズケーキを食べたときと同様にブラックコーヒーは数杯消費してしまったが、完食した。
ギラリと光る時計を一方通行は見る。時間は十七時半。集合場所へは歩いて行ける距離なので、二人でゆっくり歩きながら行くことに。
「ンじゃ、いきますかァ。土御門達の所へ」
「えぇ」
結局、結標と一方通行は五分ほど遅れて待ち合わせ場所に到着した。
「遅いんだにゃー五分遅刻ぜよ」
「おや?二人がいっしょに来るなんて、珍しいですね。二人ともお久しぶりです」
くるくる回転するオブジェの前に土御門と海原(エツァリ)がいた。
「たまたま喫茶店であったンだよ、ンでそっからちょっとカフェ巡ってたンだ。な、結標?」
「…え、えぇそうよ」
(それ言っちゃう?あいつらにいじられるわよ?)
「…へぇ…二人で仲良くねぇ…一方通行お前はやっぱり隅におけないにゃー。今日はたっぷり酒盛りに付き合ってもらうぜよ!?」
「別にたまたまあっただけっていってんだろォがよ、ってか酒?飲ンだ事ないンですけどォ」
「ま、若気の至りと言うことで…一方通行さん?」
はァ…と一方通行はため息をつきつつも、ま、いいかと思い、土御門の提案に賛同。
結標は好きな所へいきなさいよ、と任せっきりに。という訳でグループの宴会場所は居酒屋に行くことに決定した。
111 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:44:35.18 ID:798byOc0
はっきり言って、最近、居酒屋の年齢確認は緩い。
っていうか居酒屋も客の呼び込みに必死なので、多少はたち未満に見えても入店を許してしまう。
まして、学生主体の学園都市で営業しようと思うなら多少年齢には目をつぶらないと客が来ない。
グループのメンバー土御門、一方通行の二人はクールな不良、海原はさわやかな大学生、結標は女子大生に見えなくもない。
居酒屋の前を四人で歩いているとイヤでも店の勧誘に声をかけられる。なので入店は楽に出来た。
居酒屋に到着し、店員に案内されるがまま靴を脱ぎ座敷席に移動していく。
「さーってまずは何飲むかにゃー、一方通行、生中でいいか?」
「なンでもかまわねェぞ。それより喉かわいた早く持ってこい」
酒が来るまでの間に雑談を交わす面々。
「所で土御門さん、なぜ今回グループを招集されたのですか?」
「海原の言うとおりだわ」
「いやー、アレイスターの野郎が言ってたんだがな…」
アレイスターと言う名前が出て、一気に真剣な表情になる三人。
一同の視線はリーダーである土御門へ注がれた。
112 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:45:20.67 ID:798byOc0
「第三次世界大戦が終わって国際協調のムードの中で学園都市に未成年中心の暗部の様な機関が存在する事が公になったらどうする?」
「成る程。学園都市が技術で高い評価を各国から受けていようとそれは決して許されがたい事実ですね。傍目から見ればアフリカの少年兵のそれと一緒ですね」
海原の指摘する通りだった。
技術力で抜きんでている学園都市の裏側にまさか少年少女で構成されている組織が防諜(ぼうちょう)任務にあたっているとなればそれこそ学園都市のなおれだ。
アフリカや中東の少年兵と同義にくくられてもおかしくない。
未成年が学園都市の治安維持、防諜にあたり、裏で殺人もいとわない行為をしているとなれば。
そんな前時代的な組織は解体されてしかるべきだろう。
「ンで、実際俺らはどーすンだよ、土御門」
「そうね。暗部が公になることはまさかないでしょうし、グループは存続し続けるのかしら?」
「一応存続するらしいが仕事の案件はぐっと減るだろうな。これもアレイスターが言ってた事だ。任務もかなり簡単なものしか入らないだろう。何せ、世界はこの和平ムードだ」
「オイオイ、第二次世界大戦勃発の理由のうちの一つには一次大戦の協調・和平ムードに萌芽があったゼェ?」
皮肉っぽく一方通行が指摘する。それもそうですね、と海原がうなずく。
土御門は眉毛のあたりを掻きながら苦笑い。
結標は三人の間を間をキョロキョロと見ている。
113 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:46:54.40 ID:798byOc0
「まぁ、その指摘は解らなくもないにゃー。けれど、取りあえずは一旦お休みって訳だ。常に気を抜かず、休めってことだ」
「結局そんなの休みになってないわよ、土御門?」
「そうですよ」
「あァ…全くだ」
ははは、と自嘲気味な笑みがこぼれるグループ。こっからさらに深い議論をしてもはじまらないと踏んだのだろう。
「まー…学園都市を出し抜くっていう俺等の至上目的は変わらず有り続けるわけだ…結局何もかわらないんだにゃー」
「そうですね」
「えぇ」
「だなァ」
そこでアルバイトの店員先が土御門が注文した酒を持ってきた。
「生四つとお通しになります…」
「そこらへんにおいちゃってくれにゃー。後はこっちでやるから」
かしこまりました、と店員が言うと、メニューをぱらぱらめくり、注文するグループ。
「このアステカ丼一つください」
「めっちゃまずそうね…ってか完全に自己中モードね海原…私はとろろのサラダ」
「じゃーポテトと唐揚げの盛り合わせで。一方通行はどーする?」
「取りあえず、頼ンだやつ取り分ければイイだろーが」
店員は再度かしこまりましたと告げると他の客のオーダーを取りに行く。
通路側に座っている土御門と海原が奥にいる結標と一方通行にジョッキを手渡していく。
114 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:47:37.36 ID:798byOc0
ンキンに冷えた生中ジョッキを受け取った一方通行が質問する。
「なァ、何で今日わざわざグループの招集かけたンだァ?」
「え?景気づけに一発ドカンって事にゃー特に理由なんてないぜ?一方通行」
ドラマや漫画で見たように、見よう見まねでジョッキを掲げる他称アクセロリータとショタコン、電撃追跡者。
「まァ…たまにはこォいうのもいっか。クカカ…」
「よし!じゃ、今後もグループよろしくって事でカンパーイ!」
カチーンと心地のいいジョッキのぶつかる音を合図にグループの宴会が始まった。
115 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:52:23.40 ID:798byOc0
「アステカ丼!お持ちしました!」
「おっそいですよぉ!もう!あなたの皮膚の皮、剥いじゃいますよぉん?」
「店員さん、ホントごめんなさい、この男酔ってるの。ごめんなさいね」
結標が海原の代わりにヒィッ!?と驚く店員に申し訳なさそうに謝る。
アステカ丼は店側のミスで相当遅れての提供となってしまった。
宴会が始まってそうとう時間がたっている。四人ともかなり飲んでる。
土御門と結標はある程度酒をいけるらしく、土御門は淡々と飲み、結標は少し顔を赤くしながらもゴクゴク飲んでいた。
「店員さン、生もう一つください」
「はい。かしこまりましたぁ」
「じゃ、私はカシスオレンジでおねがいします」
「八海山の熱燗お願いするにゃー」
海原は惚けた表情になっており、もうお酒を飲むのは無理そう。ただしゃべるしゃべる。
一方通行は土御門と同様で顔は赤くなってない。まだまだいけそうな感じだが、おや?いつもよりさらに白いかも?
(うっぷ…強がった手前…ビールクッソまじィ…カルーア美味しそうだな…)
一方通行の吐き気にもかかわらずグループの宴会は続く!
116 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:53:20.02 ID:798byOc0
泥酔したグループのメンバーが肩をかしあいながら街を歩いていた。そんな中、一方通行の携帯電話に着信がなる。
(ったく、誰だァ?こんな時間に…黄泉川達には今日は遅くなるって言ったろーが)
(まさか…打ち止めの身に何かあったか?)
携帯電話の着信音は聞こえるのだが、肝心の携帯が見つからない。
酔ってる勢いもあり、どこに携帯があるか全然わからない。
(やっべェ…出なきゃ…どこだァ?俺の携帯)
あった。自分の右手に持っていた。海原の肩を借りて歩いている一方通行は肩から手を離す。
117 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:54:23.58 ID:798byOc0
(あン?番外個体じゃねェか?とりあえず出てみるか)
「オイ…海原ちっとわりィが先行っててくれ。電話だ」
「まさか…みひゃかしゃんですか?その携帯にトラウィスカル!」
「海原、おめェ頭冷やせ。結構酔ってンだろ?」
海原は意味不明な事を呟きながら立ち寄った公園のベンチに腰掛ける。それに釣られる様に寒空の中グループのメンバー達が次々に休憩と言わんばかりにベンチやブランコに座り始める。
一方通行は何度も鳴り響いているコール音に耐え兼ねて電話の受話ボタンをぽちっと押す。
118 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 01:57:07.51 ID:798byOc0
「もしもし、一方通行ですがァ?どーした?」
『…あ、一方通行?私だよ。わかるかな?番外個体だょ…』
「ああ、わかるぞ。登録したからな…」
(なンで不安そうな声なンですかァ?)
「アステカシュート!ケツアルクアトル!ケツ!アル!アックア!トル!」
「騒げヤロウドモ!ウオオオオ!」
「ちょっとあなた達!いくらなんでも酔いすぎよ!」
グループの泥酔した馬鹿どもは一方通行の電話を遮らんとばかりに騒ぎ散らす。
『今、誰かといるの?一方通行。なら電話きるけど?』
「いや、いい。こいつらはその…なんだ、友達みたいなもンだ。気にすンな」
『女の声も聞こえたよ?一方通行の彼女なの?』
「あァ?違う違う。こいつはホントただの友達の集まりだって」
このまま一方通行が話を適当に合わせて電話を続ければまだどうにかなったかもしれない。
しかし、結標の一言が事態を急展開へと向かわせる事に。
119 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 02:01:10.62 ID:798byOc0
「こんな遅い時間に誰と電話してるのかなー?あくせろりーた!私を差し置いて良い度胸じゃない!」
泥酔した結標が一方通行に無理矢理からんでくる。結標の酔った、甘い声は受話器越しからでも明瞭に番外個体に伝わった。
『嘘つき。彼女といるじゃん。ミサカに嘘着くなんて良い度胸だね』
「は?オイ!どんな勘違いしてるかしらねーが、誤解だ!隣にいる女はただの友達だって!」
『何が隣にいる女よ。笑わせンなっつうの、聞きたい事あったけどいいや、わかったから。バイバイ死ね』
「あァ?なンだよそりゃア?…オイ」
ガチャ…プープー…
電話は番外個体の方から一方的に切れてしまった。
一方通行はアルコールで頭がくらくらして正確な状況はわからないが…番外個体は何か聞きたい事があったようだった。
(クッソ…なンなンだよ…ったく…!)
今日のカフェで自分と結標の姿を番外個体に見られているとも知らず、学園都市第一位の男は思考の泥沼にズブズブと浸かって行った。
(あーわかンねェ!なンなンですかァ?クソッ!後味わりィ……)
その後グループのメンバーは共同アジトに戻るやいなや泥のように寝てしまった。
120 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/11/28(日) 02:03:00.80 ID:798byOc0
すいません。
眠いのでここらで今日はおしまいです。
今日は皆様からのコメント色々頂いて嬉しかったです。
それらを励みにしてこれからも拙い文章ですが書いていこうと思いますのでよろしくお願いします!
121 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 02:14:58.70 ID:7JJvQNMo
乙でう
もうちょい早い時間で終わると俺がとても喜びます
122 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 02:20:41.01 ID:E8xOh6I0
ワーストの嫉妬か・・・やはり良いね
日常だらだらの恋愛物は最高です
続き待ってますノ
123 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 02:25:32.91 ID:lByCj2I0
乙!
あわきん登場だなんて俺得ww
ミサワの嫉妬が良いな。
これからも頑張ってくれ期待してる!!
124 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 02:49:43.44 ID:nt.ciMQP
あああああワーストも可愛いけどあわきんもかわいいww
125 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 03:22:31.52 ID:p0O6OUgo
い・・・
>>1
も可愛いよ・・・///
126 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/28(日) 04:40:03.65 ID:modO5Uso
あっちでは一通さんが嫉妬
こっちでは三沢さんが嫉妬
たまらんのう
127 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 04:41:49.89 ID:lB3GxYoo
私が嫉妬ー?
それどこ情報?
どこ情報よー?
128 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 05:30:54.27 ID:5GEsgG2o
やばいあわきんがやばい
エツァリはもっとやばい
129 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 08:36:04.86 ID:Ah3JFNYo
乙
130 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/28(日) 22:12:09.30 ID:798byOc0
沢山のレスありがとうございます。
今から筋トレとジョギングするので投稿はかなり深夜になります。
待って下さった人達にはお手数おかけしてすいません。
131 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 22:18:15.60 ID:lByCj2I0
投下待ってるよ〜
132 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 22:21:39.28 ID:iV3MlHAP
俺の分もジョギングと筋トレしといてくれ
133 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 23:04:30.69 ID:5GEsgG2o
知り合いのスキルアウトに声かけとくわ
134 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/28(日) 23:26:20.01 ID:t1382o6o
かわいい
135 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 00:18:24.89 ID:PxrvrWko
期待してる
136 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga]:2010/11/29(月) 00:26:16.03 ID:rqJHkLAo
wktk
137 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 02:28:27.64 ID:04raCMDO
そろそろ?
138 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 03:35:20.23 ID:pA9yY8k0
遅くなってしまいました。
少し投下します。
139 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 03:35:51.84 ID:pA9yY8k0
時は戻り、一方通行達との電話が終了した直後。
(意味わかんない。なんでミサカこんなにイライラしてるんだろう)
『リンゴベーカリー』からおんぼろアパートに帰ってきた番外個体はバイトの服が入った袋を抱えての帰宅した。
乱雑に放置されたそれらの袋を横目に見つつ番外個体は換気の為に冷えた空気を取り込む。
(あー…さっむ…)
番外個体はベランダの無い窓から顔を出し考えていた。
(なーんですぐイライラしちゃうのかな…言いたいことも言えないよ)
(ミサカ、ホントは気軽に質問したかったのになぁー、クソったれが)
140 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 03:38:08.78 ID:pA9yY8k0
『あ、、一方通行。偶然会ったね。その人誰なの?』
『おお、番外個体じゃねェか…コイツはただの俺の知り合いなんだ!良かったらオマエもココで飲んでくか?美味しいぞ、ここのコーヒー』
『あ、いいの?よろしくー。私の名前は………名前は……名前は…』
(ふふ。妄想は自由よねぇ、きゃはは…は……はは。バッカみたいミサカ。何あの中に混じろうとしてるんだか)
ミサカはまるで山月記の李徴の様に自嘲混じりに自分の妄想を嗤う。
そして次に自分の名前が無いことを思いだし、頭をくしゃくしゃとかきむしった。
(名前はないよ。ミサカはただの女…)
(あーあ…ミサカはロシアの雪原でむごたらしくグチャグチャになってれば良かったのかな?うひゃひゃ)
ベランダの無い窓に腰をかけて缶酎ハイをあける。
141 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 03:38:55.64 ID:pA9yY8k0
「ぷひゃー…美味しい。って生後一ヶ月が何いってんだか…ぎゃははは」
乾いた笑い声。頭に浮かぶのは一方通行…とあの赤髪が二人でカウンター席で談笑している風景。
それを思い起こし、また自分の頭を乱暴にかきむしる。
折角の綺麗な茶髪の髪が台無しだがそんなのお構いなしだった。
夜の冷気と室内のストーブの温度が絶妙に混じり、心地よい。
(負の感情が出やすい…とか…死ねよ…ホンット欠陥構造過ぎるよこのカラダ)
ゴックゴックと減っていく缶酎ハイ。
ハ!と最後に番外個体は自嘲気味に嗤い、腰掛けていた窓側からおんぼろ部屋の中に入る。
(ミサカは何をわらってるんだか…)
142 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 03:43:54.32 ID:pA9yY8k0
番外個体が暖かい部屋に戻っても彼女の思索はとまらない。
(変だよ…何で一方通行の事を考えた時だけ考えてることを素直に言えなくなるの?)
(この…不良品の体がいけないのよ…!)
(素直になりたい…脳をいじられて、負の感情が発露しやすいって何よ…?何なの?)
(ほんとに頭おかしくなりそう…一方通行の事をまともに考えることすらできないの?)
ロシアから帰還して負の感情が出なかったのは一方通行に会わなかったからだ。
番外個体が感情の制御をできる、というのは大きな間違いだったのかもしれない。
妹達が一方通行に抱く負の感情は制御できているそうだが、まだまだ番外個体自身は負の感情を抑えられないときがあるようだ。
(はぁ…だっり…このミサカの欠陥まみれのカラダ…どーにかなんないかねー)
番外個体はコタツから出て小さい冷蔵庫をカチャリとあけて二本目の缶酎ハイのタブに手をかける。
ごきゅごきゅごきゅ…ぷはぁー…
誰にも勧められているわけではないのに勝手に酒が進む。
(昨日からミサカ、ストレスでおかしくなっちゃいそうだょ…)
143 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 03:51:31.75 ID:pA9yY8k0
実は彼女が気づいていないのだが、理由はもう一つあった。
一方通行にいらいらするのはもう仕方のない事と言ったらかわいそうだが、現状ではそう言わざるを得ない。
けれど、彼女が最初に苛立ちを覚えた時、それは負の感情を拾いやすい一方通行ではなかった。
そう、彼女は最初赤い髪の女、もとい結標に苛立ちを覚えたのである。
その直後、番外個体は“一方通行が、一緒にいるのは誰?”という脳の苛立ちをキャッチしてしまったのである。
ほんの零コンマ数秒の違いだが、膨大な思索の中で番外個体が苛立ちを覚えた最初の原因は実は一方通行ではなく、結標にあったのである。
「明日は初出勤だし…寝ますかねぇ…」
おんぼろアパートの窓から第七学区のオフィス街をみやる。
コウコウチカチカと光る巨大な摩天楼の群れは赤色ランプを点灯し、光っていた。
夜の街は番外個体に何も答えてはくれない。
酒の力で少しうとうとした番外個体は布団に入るやいなや、すぅすぅと気持ちよさそうに寝息を立てていた。
144 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:22:17.27 ID:pA9yY8k0
――翌朝・番外個体の住むおんぼろアパート
学園都市が通学する学生で賑わう時間帯に番外個体は眠気眼をこすりながら起床した。
(ふぁああ…ねっむーい…)
部屋にある小さいデジタル時計を見る。
時刻は八時ちょうど。
(今日は確かトレーニングって店長が言ってたよね…)
「リンゴベーカリー」の開店時間は七時から。新人の番外個体は十時から。今からゆっくりバイトに行く支度をする。
(生後一ヶ月ちょっとのミサカがアルバイトか…ふふふ。なんかおかしいな…)
蛇口から出した冷水を両手に含み、寝癖の部分に当ててクシで男の様にラフに直していく。
(お化粧セット…お化粧セットと…あったあった)
初めてのアルバイト。化粧も気合いを入れていけばいいのか?と思ったが、必要最低限でいいだろうと思い、ナチュラルメイク。
145 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:24:45.28 ID:pA9yY8k0
(ま…こんなもんでいいか…)
ナチュラルメイクが終了すると次は朝ご飯。
(今日はサンドイッチにしよーっと………サンドイッチ…)
(あの赤髪の女…一方通行に分けてたな。サンドイッチ…)
番外個体は朝から嫌(?)な事を思い出してしまったようだった。
「ちっ…。卵かけご飯でいいや」
番外個体は冷蔵庫をパカリとあけて卵の個数を確認する。
そこで番外個体は致命的なミスに気づく。
(あっちゃー…ミスった。ご飯炊き忘れたわ)
(んー…今日は家にあるパンで良いかな?)
結局メニュー変更をしつつも白米の炊き忘れでトーストパンになった。
朝食が二転三転してしまったのは白米が無いことはともかく、サンドイッチに抵抗があったからであろうか?
146 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:25:34.48 ID:pA9yY8k0
――グループのアジト
「起きてくださーい…起きてくださーい」
「ん?海原…あれ?私いつの間にかこんな所で寝てたのね?」
「どうやら土御門さんは今シャワーを浴びているようですね、一方通行さんは起きるなりそそくさ帰って行きましたよ」
海原のたたき起こしでやっと起きた結標。
どうやら昨日泥酔して酩酊してその後共同アジトに着いて爆睡したようだった。
「海原ぁ、今何時?」
「えーっと…すいません…腕時計…腕時計…」
いつもの茶色のドレススーツではなく、安物のスウェット姿の海原は自分が寝ていた枕の辺りを探す。
「今十時だにゃー。風呂の時計ではそう表示してあるぜよー」
バスルームからくぐもった声で土御門の声が聞こえてくる。
ぐっすり寝てはずなのに、後頭部に残っている淡い痛み。
窓を開けて十一月の冷たい空気もこの時間帯はぽかぽかした陽気をはらんでいる。
ブラインドを開けて一気に網戸にする。
ひゅぅ――
グループの寝ていた寝室のよどんだ空気が一気に浄化されていく感覚を海原と結標は覚えた。
「私達もそろそろ帰りますか」
「そうね」
酒のにおいをほんのりとさせながら二人は個々のアジトへ向けて帰宅していく。
彼らの普段の行動ルーティンに集団行動のかけらも感じないが、今回の宴会も各自自由解散と言うことで幕を閉じた。
147 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:29:00.74 ID:pA9yY8k0
海原を結標が起こす前。
九時位に一方通行と土御門は起床した。
「…アッタマいてェ…」
「……んんん…その声は一方通行か?」
一方通行の声に気付き土御門は目を覚ました。
「畜生…体がベタベタしやがる…しかもこの部屋…半端無く酒くせェ…」
「仕方ないにゃー、昨日あれだけ飲んでたらこの部屋も臭くなるぜ」
「わりィ…帰るわ…さっさと帰ってシャワー浴びて帰るわ…あいつらには…」
「俺から伝えとくぜよ」
「わりーな…じゃ…」
またな、とは言わず一方通行は帰って行った。
148 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:30:23.58 ID:pA9yY8k0
(さーって…昨日俺は番外個体と電話したんだよな…)
(…なーに話したっけ?いや…むしろ一方的に切られた記憶が…あァ…思い出せねェ…)
(おもいだせ…確か公園で番外個体と電話してたら…結標が絡んできて…それで機嫌が悪くなった…そーだ!)
(確か女の声が聞こえるとか言って友達だって言ったら、結標が絡んできたンだよな…)
(でも…なンで切れたンだ?わからねェ…)
一方通行は昨夜、番外個体が切れている理由を知ろうと電話をする。
携帯電話のモニターはは指紋だらけで、待ち受け画面がいつの間にか海原のドヤ顔になっているがこれは気にしないでおく。
149 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:30:50.59 ID:pA9yY8k0
ピポパ……
プルルルルルル……
「出るか?出ねェか?」
「お客様のおかけになった電話を留守番電話に転送いたします…」
定型句が流れてきた瞬間に一方通行は電話を切った。時計を見ると時刻は九時四十五分。
(あっれェ…?おっかしィなァ…?普段あいつ何してンだァ…?この時間帯なら起きててもおかしくねェはずなンだが…)
一方通行の懸念というか予想は外れていた。
番外個体は今日人生で生まれて初めてのアルバイト出勤日なのである。
150 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:32:07.69 ID:pA9yY8k0
家電しか持っていない番外個体はアルバイト先に行く一時間ちょっと前くらいから電話出来なくなってしまう。
一方通行は彼女がバイトを始めたこと、パン屋で働き始めたことなど全く知らない。
(…ったく…でねェのかよ…何してンだァ?あのヤロォ…)
(畜生…後味悪すぎだろォが…!)
昨夜一方通行との電話を切った番外個体は朝電話しても全く通じない。
快晴の朝とは対照的に一方通行の表情は苦虫をかみつぶしたように鬱屈としたものになっていく。
(…………番外個体…何があったンだ?)
151 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 04:36:28.37 ID:pA9yY8k0
さて!勝手に一方通行が番外個体の事を心配している所で今日はおしまいです。
癖なのでしょうか?グダグダした文面しか書けません…><
おつきあいして頂けると嬉しいです。
明日の夕方くらいにまたお会いしましょう!
152 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 09:52:09.15 ID:KRiF2l.o
乙です!
153 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 13:12:50.45 ID:04raCMDO
乙なのよな
すれ違いがもどかしい
154 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/29(月) 15:06:50.37 ID:pA9yY8k0
書きため中…!今日の日付変わるくらいに投下します…!
遅筆すいません!
pixivのあわきんとむぎのんがかわいぎて生きるのがつらい。
155 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 23:34:21.60 ID:EaiSNhE0
投下待ってる
156 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/29(月) 23:58:24.89 ID:PxrvrWko
期待してる
157 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/11/30(火) 00:12:34.46 ID:5B5OOYEo
椎名林檎好きなの??
158 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/30(火) 20:20:21.15 ID:HQMzUXQ0
書きためがなくなりつつあるのでただいま書きため中です。
昨日は投下できず、すいませんでした。
>>157
ちなみに椎名林檎は唄は聞きますが、そんなに詳しくないです。
かっこいいですよね。
深夜に投下するかも知れませんが、もしかしたら明日にずれ込むかも知れません。
お手数おかけして申し訳ございません。
159 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/30(火) 21:29:27.53 ID:HQMzUXQ0
一方通行が番外個体の家に電話がつながらなず、不安な面持ちになっていたとき、番外個体はアルバイト先にいた。
「じゃー、今日から新人で働く事になった子だ、よろしく頼むなー、はい。自己紹介!」
「えーっと…よろしくお願いします…」
(ヤバイヤバイ。名前言った方がいいよね?)
「あー…名前はその、ちょっと訳あって言えないんですよね…ははは」
(こう考えると名前って重要ね…)
ただいまの状況は番外個体のネームプレートをどうするか、といったところ。
店長と二人のアルバイトの子は沈黙。むしろ採用面接の時に名前を言わずにどうやって採用されたのだろうか。
「まぁーええんちゃう?てんちょ。僕採った時も本名聞かんかったし。ほな、君あだ名くらいあるやろ?それおしえてくれへん?」
たしかにこの男のネームプレートには『青ピ』と書いてあるだけ。
明らかに本名ではない事がわかる。
(ってか青ピって何よ。何の略なのよ?)
160 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/30(火) 21:48:22.46 ID:HQMzUXQ0
「んで、あんさんのあだ名」
「えっと友達がいなくて…その…すいません。ホンットにあだ名もなくて…」
(名前、ワーストにしたら後で何質問されるかわかったもんじゃないし、どうしよ…これじゃ八方塞がりね…)
気前の良い店長もさすがに困惑。青ピと一緒にいる学生バイトの女の子も、あはは…と苦笑いを浮かべている。
「あ!ミサカで良いです!ミサカ」
(えーい、これ位なら平気よね?)
「ミサカ?わかった。じゃ、ミサカ君、よろしくな」
「はい!よろしくお願いします」
番外個体が自己紹介を済ますと、青ピの隣にいる女の子が自己紹介。
左前髪が目の下辺りまで伸び、綺麗なお団子が二つ両サイドにあるかわいらしい女の子だ。
「じゅ、重福省帆(じゅうふくみほ)です…よろしくお願いします…!」
(ミサカさん、猫目がなんかこわいなぁ…なんか常盤台のレベル5に少し似てる気がしますが…)
彼女は中学二年生だが、ここ、『リンゴベーカリー』で働く代わりに住み込みで働いているそうだ。因みに青ピも同様にここで住み込みで働いているそうだ。
161 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/30(火) 21:50:56.65 ID:HQMzUXQ0
重福の紹介が終わり、最後に店長が簡単に自己紹介をすると、黒いマジックをキュッキュと走らせて『研修中 ミサカ』と書き、番外個体にそのプレートを渡した。
既にベーカリーで働く格好に着替えている番外個体はそれを左の胸元にパチン☆と着ける。
赤いスカーフに上下白のコック服がよく似合う。
「あー、僕は青髪でピアスだから青ピで!ほなよろしくなミサカはん」
「はい、よろしくおねがいしまーす。青ピ君でいいのかな?」
「ええよー」
「わ、私は重福で…マユゲは辞めてくださいっ!」
「はーいよろしくねー、重福さん?」
(何故マユゲはダメなの?)
「じゃ、まずは重福君、ミサカ君にサンドイッチ教えてあげて」
今日のシフトは店長、重福、青ピ、それに番外個体。
因みに他のパン屋は知らないが、ここはパンを焼くだけではない。
喫茶店も兼ねているのでコーヒーやケーキ、サンドイッチ、などの軽食もマスターしなければならない。
(うーん…難しそうだけどがんばるぞー!うひゃひゃ、美味しいサンドイッチ作って一方通行を唸らせてやる!)
(…ってなんで一方通行を唸らせたいんだ?あれれ?)
(ミサカ、あの赤髪に妬いてるのかな…?ギャハハ、馬鹿らしいー…馬鹿みたい…ミサカのバーカ……)
162 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/11/30(火) 21:51:46.21 ID:HQMzUXQ0
仕事行く。また後で。
163 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/30(火) 22:27:40.36 ID:7U7hsngo
最初に名前出てきた時、オリキャラかな?と思いググってしまった
やっぱりマユゲじゃないとわからないよね
それかゆかりんか
164 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/11/30(火) 22:44:37.11 ID:dXFgBDco
まさかの眉毛ちゃんに歓喜
165 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 05:20:33.66 ID:2DrbtEAO
まさかのマユゲwwwwwwww
166 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 07:17:10.26 ID:rsWoijAo
名前忘れてたけど眉毛ちゃんなら覚えてたわww
左天さんと百合フラグが立ったよな
167 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 10:57:27.50 ID:THz9nTg0
待受がドヤ顔ワロタ
168 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:13:15.12 ID:CrTW8eo0
こんばんわ。
レスがつくと嬉しいモノですね。
さて、あらすじからいきましょう。
☆あらすじ☆
番外個体は生活費を稼ぐために『リンゴベーカリー』で働く事に。
そこでは感じの良い店長と青ピ、重福省帆(じゅうふくみほ)が働いていた。
重福から指導を受けてサンドイッチを作る事に。
結標が前日に一方通行にカフェのサンドイッチをあげてたのでそれに負けないようなサンドイッチを作ろうとするあたりです。
因みに番外個体は負の感情が出やすく、一方通行の前ではそれが発露しやすい。
番外個体の負の感情については独自の解釈があるかもです。
と今更言いますが、どうかご了承お願いします。では投下しましょうか。
169 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:15:50.53 ID:CrTW8eo0
「じゃー、ミサカさん?最初はサンドイッチ教えますねー?ここのパンは業務用のを入荷してて味はそこら辺のものと変わりませんが、ウチは中身で勝負です!ってミサカさーん?」
「あ、すいません。ミサカ、考え事してて……」
「あ、はい!じゃ、教えますから、しっかり聞いてて下さいねー?」
(この人、猫目でクマもあるけどかなり綺麗な人ですね)
重福は雑談をしつつ冷蔵庫からサンドイッチに使う様々な食品を出していく。
巨大な冷蔵庫から出されたサンドイッチ用の食品を丁寧にパンに挟み込んでいく。
「あ、もうすぐクリスマスですよねぇー。ミサカさーんそこの鶏肉取ってください、あとそこのトマトも」
「クリスマス?あぁ、そうですねー。えっと鶏肉とトマト、はいどーぞ。」
「やっぱりお相手はいるんですかー?こーして丁寧に置いて……あ、キャベツ忘れちゃった!ミサカさんそこの冷蔵庫の中にあるんで取って頂いてもよろしいですか?」
「いやー、いないですよー。重福さんはどうなんですかー?」
「いやぁ、私もいませんねー…バイト入れる気満々ですからっ!」
雑談をしつつも重福はテキパキ手を動かす。ミサカもその流れを見様見真似で真似する。
(この子教えるのうまいわね…ミサカと雑談させつつもキッチリ出来を見てるし、重福さんの作るサンドイッチも綺麗にできてる…)
重福の雑談混じりでありながらも、適度に真剣なトレーニングは新人である番外個体のきんちょうをほぐす意味でも、分かり易いトレーニングという面からでもちょうど良かったようだ。
170 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:16:56.84 ID:CrTW8eo0
お昼時になり重福のトレーニングは一旦中断し休憩。
リンゴベーカリーの裏庭の花壇で休む番外個体は店長からいただいた昼食のパンをパクりと頬張る。
冬に洋風の花壇に咲く花はないが、ピンク、青、白…様々な色で綺麗にペイントされたかわいらしい植木鉢が佇んでいる。
その風景は、寒いけれどお天道様がポカポカ照り付けていて春の牧歌的な光景だった。
そんな中、店長から貰ったお昼ご飯のパンをぱくりと食べる。
(クリームチョコチップメロンパン…うまいわね)
(次は…サンドイッチっと…ミサカの自作っ!)
(イケる…!まだまだ見た目は雑だけど…)
(負けてないかな…あの赤髪が奨めてた店のサンドイッチに…)
前に赤い髪の女が一方通行に分けたサンドイッチ。あれを見てから番外個体はサンドイッチが憎々しい敵に見えて仕方ないそうだ。
番外個体は自分で作ったサンドイッチと貰ったメロンパンを昼食として頬張った後に店で作った紅茶を飲む。
(ぷひゃー…紅茶も美味しい…。…お昼ご飯の補助も出るって最高ねー。バイトも店長さんもいい人だし…)
番外個体はふぅと一息つくと残りの休憩時間を小綺麗な庭で過ごした。
171 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:18:27.85 ID:CrTW8eo0
番外個体がパン屋でせっせと働き、午後の勤務時間も終わろうという時間帯の夕方、一方通行は家にいた。
昨日のグループの宴会の後、アジトで寝て帰宅した一方通行。彼は暇を持て余していながらも何故かいらだっていた。
(ったく…全く電話つながらねェじゃねェか…マジでどォしたンだ?探す当てもねェ…)
いつもは部屋のどこかに半ば放置されている携帯だが、今日は一方通行の履いているスウェットのポケットに入れられている。
その事からも彼が番外個体を気にかけている事がわかる。
(アイツの事だから誰かに襲われたって訳でもなさそうだが…なンか落ちつかねェ…)
知らず知らずの内に番外個体に対する懸念が表情に出ていたのであろう。
一方通行の苛立ちを怪訝な面持ちで見つめる打ち止めに気づくまで少し時間がかかった。
「なンですかァ?今日はプリンは買いにいきませンー。二日酔いで頭が痛いンですゥー」
「お酒飲んだの?ってミサカはミサカはあなたが未成年の飲酒=格好いいって思ってる厨二病的思考が謝ってることを指摘してみるっ!」
「うっせェ…俺だって初めて飲ンだンですゥ。一緒に行ったやつがいきなり居酒屋行くとか言い出したンですー」
「ふーん。あ、そうそう。最近MNWによく番外個体が顔出すんだけど、一方通行は何か心当たりある?ってミサカはミサカは最近よくどこかに外出する一方通行に聞いてみる」
「…番外個体がどォかしたのかよ」
(番外個体が?珍しいな…)
172 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:20:51.21 ID:CrTW8eo0
「ほら、番外個体って、MNW内では何も言わないんだけど、接続はしてるのは確認できるんだよね。こっちはどういう事考えてるかとかわからないケドねってミサカはミサカは…(ry」
「なげぇ。縮めろ。そのうざってぇ語尾」
「むっ、無理だよってミサカはミサカは無理難題をいう一方通行に指摘してみるっ!」
「ちっ。ま、それは良いとして、オマエのその質問、…番外個体がよく顔出すっつゥのかァ?その理由は俺もわからねェなァ…」
打ち止めは妹達を統べる上位個体として妹達を統御する能力を持っている。
彼女が妹達に下した命令を上書きする事は上位個体である打ち止め自身しかできない。
打ち止めの統御能力は同じ脳波でリンクしお互いに上位個体の統御の元、意見交換等をしている。
彼女たちは世界中に約一万体いるが、その妹達の中で例外が一人だけ存在する。
それが番外個体。
彼女は培養器から取り出された後、一方通行の破壊という命令を受ける為にあらかじめ体内に二つのチップを埋め込まれていたのである。
チップの果たす機能は番外個体のMNW内に於ける意見を言うこと(書き込み)の制限だ。
故に今でもMNWを閲覧することはできるのだが、書き混みはできないと言うわけだ。
チップのひとつはロシアにおける戦いで一方通行に破壊されたがもう片方はまだ体内にある。
そして、そのチップの果たす機能についてはよく分からない。
打ち止めも破壊した当の一方通行もそのチップの効力を知らない。
打ち止めは、一方通行から番外個体の存在を聞かされる前、即ちロシアから帰還して療養中にはもう番外個体の存在を知覚していた。
そんな番外個体がここ二、三日頻繁にMNWに顔を出すようになったそうなのだ。
173 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:22:43.51 ID:CrTW8eo0
「番外個体は妹達の個性の話になると結構来てたかもっ!ってミサカはミサカは想い返してみる」
この発言に一方通行は思い当たる節があった。
番外個体はかつて自分のアルバイト先で名前が無いことを気にしていた。
「オイ、確かちょっと前から最近妹達がはまってるのは占いだったよなァ…それはどォなんだよ」
「よく来てるよっ!あと…学園都市のおすすめカフェとか軽食の話にも来てるよっ!ってミサカはミサカはあなたもMNWに参加してるの?と疑問を呈しつつあなたの質問に首肯してみるっ!」
「カフェ…軽食かァ…へェ…アイツがなァ…」
「あなた番外個体について何か知ってるの?」
「イヤイヤ…何度か直接あっただけだけだぜェ…オイ、クソガキ。妹達は個性っつゥのが現出してきてるンだっけか?」
「え?あなた、番外個体に会ったことあるの!?何でそんな重要なこと黙ってたのっ?ってミサカはミサカは…(ry」
「オマエに言ったら会うだのなンだのって騒ぐじゃねェか…もう言っちまったがよ…ンで俺の質問にさっさと答えろよ」
「むしろMNWをなれ合いだからって言って嫌ってる妹達もいるんだよってミサカはミサカはあなたに悪態をつきつつ、顔をださない妹達を思い出してちょっとしょんぼり」
「そりゃ、あわれなこった。ンでだ…番外個体が妹達の趣味に関して顔出してるって事はだ…」
「…もしかしたら番外個体も個性が発露してるのかもしれねェな…」
「うん。例えば10032号も、あの男の人から御坂妹って呼ばれてる事に他者に対して優越感じゃないけど、それに近い心情を抱いてるみたいだし!」
174 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:29:07.87 ID:CrTW8eo0
誤字すいません。
8行目
だけだけ→だけ でお願いします。
−−−−−−−−−−−
そう。かつて上条当麻が一方通行の計画をぶち壊した時に救出された妹達の一人である10032号は上条から『御坂妹』という名前を与えられた。
一万体にも及ぶ全く同一のクローンを識別する手段として既に妹達にそれぞれ識別ナンバーが当てられていた。
しかし、10032号は『御坂妹』という呼称を気にいり、打ち止めの言葉を借りれば、他の妹達に対して優越感に近いモノを感じているそうだ。
「ふゥン…成る程ねーェ…名前なンざただの記号であってもなくてもかわらねェはずなンだがなァ…」
「妹達は私も含めて外の世界に出て着てから結構日がたってるけど、やっぱり番号だけ違う同じ顔の量産面って思われたくないって思ってるよ」
「オマエは見た目からして違うだろォが。とにかくだ。妹達は番号と顔は同じ。それがイヤだから個々人の趣味を見いだそうとしてるって訳でイインだな?」
一方通行はあごに手を当てて考える。
どうやら番外個体も個人として証明できる何かが欲しいようだ。
(妹達と比べると番外個体はどちらかと言えばオリジナルにちけェ)
(それでもオリジナルと識別できないって訳じゃねェ…っつゥ事は新しい趣味とかファションの線はナシ)
(…ならなンだ…10032号……御坂妹…番号……・名前…)
(!)
ひらめく一方通行。黄泉川宅のソファにぶっつぁり込みながらコーヒーを飲む一方通行は、ははぁとしたり顔を浮かべ笑う。
(アイツ名前が欲しいのか……?)
175 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:29:55.25 ID:CrTW8eo0
「ただいまー」
初日のアルバイトが終了し帰宅する番外個体。
がちゃりとあけるドア。誰もいない。
(ふー…。よかった人生初めてのバイト先の人たちがやさしそうな人ばっかでよかった〜…)
(にしても、まだ六時なのに、もうまっくらねー)
番外個体がふと充電器にぶっさしてある子機を見ると留守録を知らせるボタンがぴかぴか光っていた。
(ん?留守電かな?誰からだろう)
コックウェアの入った袋を床にすとんと置き、子機を手に取る。
かちゃかちゃと子機をいじって白黒のディスプレイから留守録を出力するとそこには一方通行の名前が。
しかも一件だけではなく、午前と午後に一回と番外個体が帰ってくる直前まで鳴っていた一件の計三件。
(何で一方通行から?取り敢えず折り返しかけてみますかね…そんでもって、あの赤い髪の女の事も聞いてやるグヒヒ…)
番外個体が一方通行に赤髪女の事について電話してやろうと思ったそのときだった。
プルルルルルル……
(誰?…って一方通行からだ……よっしゃ、ついでに赤髪女の事も聞いてやる…!)
ガチャリ
176 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:36:45.04 ID:CrTW8eo0
『やっと出やがったか…オマエこンな時間まで何してた?』
「やっほう。一方通行。ミサカはバイトしてたよ。パン屋さんのバイト始めたんだー」
『ったくなら言えよな…オマエの電話朝から通じなかったンだぞ?』
「そりゃ、子機だからねぇ…で、留守録三件入ってたんだけど、何か言うことあったの?」
洗濯機にアルバイトのウェアを適当に放り込む。
番外個体は靴下や私服も電話しながら器用に過ぎ捨てスウェット姿に着替える。
家に着くと結構楽に思えたパン屋のバイトもつかれるようで番外個体は体が一気に重くなった気がした。
番外個体は手を洗ってうがいを軽く済まし、一方通行にした質問の答えを待つ。
『いや…ねェけどよォ…』
「ふふふ…“まさかミサカに何かあったら”とか思って電話してくれたの?一方通行がそんな心配する訳ないか!あひゃひゃひゃ」
『バカかオマエ。俺が心配なンざする訳ねェだろォが…クカカカ…』
「知ってる知ってる。で、何で電話したのよ?一方通行」
『………いや、オマエと連絡取れたからそれでイイわ。何もねェから安心してさっさと寝ろ』
相変わらず口の悪い男と女の会話が展開されていく中、番外個体が昨日逆上して、できなかった質問を一方通行にしてみた。
177 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:39:21.60 ID:tcgAcRI0
来てるーーーーー!!ヽ(゚∀゚)ノ
番外通行電話繋がった!!ドキドキ・・・
178 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:41:29.47 ID:CrTW8eo0
「ふぅん。そっか。じゃ、話しかえるけど、ミサカしつもーん!あの赤い髪の女誰?」
『あァ?赤髪?結標の事か?何だお前等顔見知りなのかァ?』
「いやいや、全然。ってか珍しい名前ねー。その子、一方通行の彼女なの?」
『なンでそォなるンだよ?』
「いやー、なんと昨日私もあのカフェにいたのよねーひゃはは……」
「しかも昨日の夜に電話したとき後ろから声聞こえてきたよ?私を差し置いてー!とかバカみたいな声がね。それもその結標とかいうヤツでしょ?」
『よく覚えてないけど、多分そォだな。ありゃァ…あれだ、酒飲ンでたからだ…アイツ、あン時酔ってたンだわ』
「ふぅん。二人で飲んでたの?その後酔った勢いで一発やっちゃったとか?うひゃひゃ……」
(違う言いたいことはこんな事じゃない…!)
179 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:42:17.10 ID:CrTW8eo0
『どンな推理でそォなるか教えて欲しいもンだ。あの後フツーに知り合い皆ぶっ倒れて寝ちまったよ。ンで今日はずっと家でごろごろしてたわ』
「そっか。………ね、また電話していい?」
『あン?かまわねェが、どォした?』
「日中バイトしてるけど、夜は相変わらず暇なんだよね、ミサカ。だから適当にかけるわ。打ち止めとごろごろしてたらゴメンねぇーくひゃひゃひゃ」
『なァにいってンだか…じゃ、今日は切るぞ?』
「うん。じゃあね、一方通行………」
一方通行が電話を切るまで番外個体は受話器に耳を当てたまま切ろうとしなかった。
まるで少しでも一方通行の声を聞いていたいかのような…。
がちゃり…ツーツーツー…
電話が切れたことを確認すると番外個体は名残惜しそうに子機を充電器の所に戻し、布団に横になる。
180 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:43:16.42 ID:CrTW8eo0
(はぁ。結局あの赤髪は一方通行の友達か…よかった…って何で安心してるんだ?ミサカ)
(…まさか一方通行と一緒にいた赤髪が付き合ってるっていうのが許せなかったのかな?)
(あはは…まさかまさか…でも…今すっごく安心してる自分がいるのも事実だし…)
「あー!めんどくさい!考えるの辞め辞め!」
番外個体は小さい冷蔵庫にぎっしり詰まった缶酎ハイを一本無造作に取り出してプシュッ!っと勢いよくあけ、それを飲む。
「言いたいこと、全然言えてないじゃん…ミサカ……、一方通行が気にしてくれてたのに…ありがとうの一言も言えなかったょ…」
負の感情に支配されがちになるのは面と向かって会ったときだけのハズだ。
番外個体が電話で一方通行にひねくれてしまったのは何故だろうか。
181 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:46:36.09 ID:k5DLvJA0
>>174
ねぇ、「脳内変換」「脳内補完」等といった能力は知ってるかしら?
私たちにはその能力がある。
細かいことは気にしないで、投下に専念して大丈夫よ。
182 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:47:17.21 ID:CrTW8eo0
「ったく…素直じゃねェな俺は…」
学園都市の高層ビル群に囲まれた中、一方通行は小さい公園で冷え切った空気に耐えながら自分の携帯電話のディスプレイを見ていた。
この時期は夕方の明るい時間帯から、空気が冷え込み始めてくる。
『番外個体 通話時間4:52』
(電話にアイツが出たときに正直に安心したって言えば良いのにな。それすら言えないってか)
(ってかよォ…俺はアイツに何がしたいンだ?電話したり、アイツの個性がどうとか打ち止めに聞いてよォ…)
「めんどくせェ…考えるのは辞め辞め」
はぁ、とため息を吐き、一方通行は家からすぐのコンビニで買ったブラックコーヒーを飲み干し、ゴミ箱にぽいと投げる。
缶は入らずカランカランと派手な音を出し転がる。
(あー、だっせ。ほらよ)
一方通行は自分で缶を再び拾ってゴミ箱に入れる。
寒空の中一人寂しい背中の学園都市第一位は家路についた。
(名前か…アイツ…どんな名前がいいンだ?今度聞いてみっかな。御坂姉とか?クカカ。だっせェ…ださ過ぎる…)
真っ暗になった夜空を引き裂くように第二十三学区から離陸した旅客機がキィィィィィン…と甲高い音を響かせて離陸していく。
183 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:51:44.51 ID:CrTW8eo0
結標淡希はどういう経緯かは知らないが月詠小萌(つくよみこもえ)先生の住んでいるおんぼろアパートで居候している。
どうやら結標は昨日寝泊まりした事を小萌に言わなかったことでおしかりを受けている。
おしかりの内容は小萌の食べる焼き肉を見つつ、白米のみを食べるという鬼畜の苦行だ。
「……ねぇ…小萌?」
「何ですか?結標ちゃん。先生に無断で夜遊びとは良い度胸ですよっ!その罰で夜ご飯は先生が食べる焼き肉を見ながら白米だけなのですよっ!」
「小萌が焼き肉を独り占めしたいだけなんじゃ…?」
(あぁ!焼き肉食べさせてぇぇぇ!)
「結標ちゃぁん?そんな事言うとホントに焼き肉あげないのですよっ?」
結標が見た目小学生にしか見えない先生にしかられて謝ってる構図はなんともシュールだ。
彼女は鉄板から漂ってくる香ばしいお肉のかおりに否が応でもをそそられるのであった。
184 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:52:30.92 ID:KDsiiHY0
ワーストも一通もかわいいよお。゜(゜´∀`゜)゜。
185 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:54:41.27 ID:CrTW8eo0
「わかったわ…小萌…謝るからさ、焼き肉頂戴!お願い!それがダメなら、私のご飯に焼き肉を置いてそこについたタレ付きご飯だけでも食べさせてっ!」
「むー……………じゃ、次から外出する時はちゃんと先生に言うのですよ!…時に結標ちゃんっ!」
ズビシッ!と小萌から突き出される指!びしっ!といきなりの呼びかけに驚き、背筋を伸ばしてしまう結標。
「な、なによ?いきなり?」
「後三週間くらいでクリスマスですよぉ?24も25もまさかここにいるって訳じゃないですよね?相手はいるんですか?」
「…い、いるわけないじゃない…私男の知り合い少ないし…」
「あれ?結標ちゃんくらいの子なら男の方から寄ってくると思ってましたよ?いないのですか?気になる人とか?」
「気になる人かぁ…誰かなぁ…」
結標は一通り自分の周りにいる男を思い返してみたが、周りと言っても僅かに三人だけ。
(土御門はないわね…なんか義妹とか訳の分からないこと言ってるし)
(海原…あいつは超電磁砲にぞっこんだしねぇ…宴会でも延々その話ばっかりしててキモかったし)
(一方通行は………………私の注文したケーキと飲み物がくるまで待っててくれたしー…あん中だったら一番気配りできてて良いかな?…って何考えてるのよ、私は!)
「あれ?もしかして結標ちゃん、気になっている人いるんですか?先生にしっかり教えて下さい!」
「いや、昨日の午後にカフェ行ったら知り合いがいて、そこでソイツと話したときにちょっと雰囲気違うなーって…小萌。何言わせるの?」
「カフェですかぁ?結標ちゃん達の年でカフェとはませてますねぇ…それとも若い子が集まらないようにお忍びでデートですかぁ?」
186 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/01(水) 23:57:02.07 ID:6f.ZFRI0
あわきんとミサワと一通さんの三角だと・・・??
期待が止まらん!!!
187 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/01(水) 23:59:54.70 ID:CrTW8eo0
「だーかーらーたまたま会っただけだって!それで一緒にお、お、お茶しただけよ……//」
(変に一方通行の事意識しちゃうじゃない…><)
「じゃー、何でそんなに顔が赤いんですか?ははぁん。さては、結標ちゃん?もしかしてその人の事、気にいってるんですかぁ?」
今日の小萌は普段聞かない結標のあわぁい恋バナ話に期待し、テンションはあがったりだ。
さらにビールも飲んだことでそれに拍車がかかり、結標に執拗に絡んでくる。
「な///なんでそうなるのよ小萌!別にアイツはそんなんじゃなくて///」
(どうしよう意識したら頭の中に一方通行の顔が思い浮かんできて…///)
「アイツって…そんな仲なんですかぁ?って結標ちゃん?お酒飲んだ先生よりも顔真っ赤なんじゃないんですかー?」
「小萌がそうやっておだてるからでしょーが…!もう//」
(へいじょーしん、へいぢょうしん、平壌心、平清盛…!)
「ふー…。よいしょっと…」
小萌は揺らめく足取りでふらふら歩き出した。
結標は大丈夫だろうかと思いつつ小萌を見守っているとこちらに向かってきた。
「ちょっと…小萌?」
「平気なのですよー…酔ってないのですよー……………えいっ!」
結標があっ!と思ったとき、彼女の携帯電話が取られていた。
188 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/02(木) 00:15:04.40 ID:QwdTQ6U0
「結標ちゃんの携帯電話に入ってる男の子のチェックをしますっ!ぱちぱちー!」
「ちょっと!小萌!何するの?返しなさいって!私のケータイ!こらぁ!」
「ふむふむ…」
小萌は宵を感じさせないほどの素早い動作で携帯電話を結標から拝借し、電話帳をカチカチいじっていく。
フォルダを見る限りだと、男は三人しか登録されていないようだ。
「土御門元春…?あれれ?結標ちゃん、先生の担任のクラスの事知り合いなのですかー?初めて知りましたよっ!グビグビ…ぷはーやっぱ北京ビールはアルコール強いですねー」
「え?土御門って小萌のクラスだったの?初耳だわね…」
(あんまり反応が無いので恐らく土御門くんじゃないですねぇ…よし…次!)
「えーっと、じゃ海原光貴くんですかぁ?」
「は、昨日でアイツの株はがた落ちだわ。超電磁砲に首ったけだし、ハナから興味もないけど」
「そうですかーグビグビ…ゴクゴク…チンタオビールは言われるほどじゃないですねー」
(うーん…反応薄いですねぇ……………じゃ、ちょっと山はってみましょう)
「えーっとあれ?これなんて読むんですか?いっぽうつうこう?ちょっとこれ読んでみてくれますか?これ!ホラ、結標ちゃん!」
結標の目の前にズイッと出された携帯電話の画面には『一方通行』の文字が。
酒で酔っている小萌と同じくらいに顔が赤くなる結標。
「え?私がっ?な、なんでよ?///意味分からないわっ…!」
「だってこれって生じゃなくて能力名ですよね?ほら、たまによく分からない読み方の能力あるじゃないですかー」
189 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/02(木) 00:19:44.89 ID:QwdTQ6U0
「しっかりその人の事を想像して、気持ちを込めて読んでみて下さいねぇ?…………じゃないと焼き肉はあげませんよっ!」
この一言で理性を保っていた結標の思考能力に乱れが生じる事になる。
結標は一気に動揺する。
「ひぃっ!小萌〜〜〜〜><」
(大丈夫!Koolに!Qoolになれ!Kuulになれ!)
「ほら、お肉焦げちゃいますよぉ?5,4,3,2,1……?」
(あー…言えばいいんでしょ!言えば!)
「あ……ぁ…ぁ…あくせら……れーた…………ってよむのよ…///」
コタツに足をつっこみ、両手をもじもじさせて下を向きながら能力名を言った結標。
その姿を見て小萌は彼女が誰をお気に入りかどうか確信した。
190 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/02(木) 00:21:39.62 ID:QwdTQ6U0
「結標ちゃん!よくできましたっ!一方通行ってもしかして学園都市第一位のあの一方通行ですか?」
「うん…///ちょっと知り合いでさ…いや、でも、あくまで一緒にお茶しただけで、好きとかそんなんじゃなくて…!」
「でも、結標ちゃんの中では一番お気に入りなんですよねぇ?」
「ま…まぁ…そうなるのかな?」
(やばい〜…小萌のペースに乗せられちゃってる><)
結標はどちらかと言えばそこまで一方通行に対して想いがあったわけではない。
ただ、小萌におだてられて想像した一方通行の姿に結標はやられてしまったようだ。
「はい、じゃお肉あげますねー………って待って下さい……結標ちゃん…うひひ」
「まだ何かしないといけないの?><ってかケイタイ返してー!」
「一方通行ちゃんにメールするならいいですよっ?」
「はいはい…ってええええええええ?」
(今日の小萌やばいよおおおおお><)
191 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/02(木) 00:22:46.24 ID:QwdTQ6U0
今日はここまで!また明日!
筋トレとジョギング行きますわ。スキルアウト潰してくる。
192 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 00:26:31.22 ID:M12rsd6o
おつおつ!
くっ…あわきんが可愛すぎる!
さて、知り合いのスキルアウトに召集かけとくか
193 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 00:28:13.28 ID:QK5X6iso
番外通行目当てで来た俺がいつの間にか結標通行に期待してるでござる
194 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 00:36:55.08 ID:jgwpTNw0
>>193
座標通行or一方座標の方が響き良くね?
195 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 00:37:31.04 ID:U6SK46g0
おつ
俺の結標がこんな可愛いわけがない
196 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 00:51:41.13 ID:RKurx2go
乙
まさかの三角関係とは…
197 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 01:00:36.93 ID:NOeZZIAo
しかもスレタイ的に敗北確定か
胸が痛くなるな……
198 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 01:48:50.65 ID:zH.6wwDO
俺は番外個体を応援する
199 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 03:15:44.53 ID:ZalCPp.o
あわきんの心配してるけど小萌先生のクリスマスの予定は……?
200 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 03:19:46.19 ID:M12rsd6o
「
>>199
ちゃん ーー補習……ですよ」
201 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 03:34:50.29 ID:Fu8IJogo
夜の補習か、うらやまけしからん
202 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 04:01:33.73 ID:BVHf4YAO
そして大量のスキルアウトは
>>1
の「天地魔闘の構え」で
全滅したのであった…
203 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/02(木) 20:55:15.76 ID:cWMvofoo
超乙です。
平清盛フイタわwwwwww
204 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:24:20.18 ID:Nb/y8CI0
こんばんわ。
さて、昨日のあらすじから行きましょうか。
☆昨日のあらすじ☆
番外個体と半日つながらなくて不安だった一方通行だが、夕方に帰ってきた番外個体と電話が通じてひとまず安心。
次も電話していいか彼女が聞くと一方通行はOK。
一方、小萌先生の所に居候している結標は泥酔した勢いで現時点で一番のお気に入りの男性が誰か聞かれ一方通行と答える。
自分自身の発言で妙に一方通行の事を意識し始めてしまった結標。
やんわりと三角関係の様な構図ができあがりつつあったが、そのキーマンとなる一方通行の意見はまだよくわかっていない。
番外個体のバイト先:パン屋さんで従業員は今のところ重福、青ピ、気前の良い店長。
番外個体:ケイタイ無い。
結標、一方:ケイタイあり。
一方が今まで行ったカフェ:三文ゴシップ、やっつけ仕事、ドトールコーヒー
205 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:27:47.42 ID:Nb/y8CI0
しらふの結標の言うことは意に介せず。
と言った調子で一クラスの担任を受け持つ教師、小萌先生はまるで高校生や大学生のノリで結標に迫ってくる。
「結標ちゃんが送らないなら先生が送っちゃいましょー!えーっと、文面は…『一方通行、今度いつ暇?』でいいですか?」
「コラッ!小萌っ!ダメに決まってるでしょ!?かえしなさいよっ!」
結標がケイタイを取り返そうとするとひょいひょいと巧みにかわす小萌。
その小萌のそぶりは大能力者の結標ですら舌を巻くほどだ。
「ねぇ…小萌…ほんとに返してよぉ…」
暫くケイタイの争奪戦に陥ってしまい、まさにカオスな状況が依然展開されていた。
しかし、小萌とぎゃぁぎゃぁ取っ組み合っていた結標がいきなり静かになる。
「ん?どうしたんですか?結標ちゃん?ケイタイはこっちですよ?ほれほれー………って結標ちゃん?おーい??」
206 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:31:21.80 ID:Nb/y8CI0
審に思った小萌がちらと結標を見ると彼女の目は潤み、今にも泣きそうになっていた。
(あれ?もしかして結標ちゃん、結構本気で泣いちゃう感じですか?)
小萌先生はこの年になって冗談と本気の線引きをできなかったことをちょっぴり反省。
彼女は遊戯王よろしく、左手に結標のケイタイ、右手に大理ビールという格好から我に返る。
コタツの上にある机に中国のアルコールの強いビールを置き、結標の前で両手をぱちん☆と会わせて謝る。
「すすす…すいません…!先生もちょっとやりすぎましたし…・ごめんなさい…!その…メールは送らなくていいですよ?」
小萌は結標の今にも泣きそうな表情を見て素直にケイタイを返してやった。
207 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:36:20.02 ID:Nb/y8CI0
「…あ、ありがと…小萌。ごめん…自分でもよくわかんなくて泣きそうになっちゃった…はぁ…だっさいわねぇ…私」
「そそ、そんな事ないですよ!先生がイタズラ心で結標ちゃんに迷惑かけてしまったんですから…こちらこそごめんなさいです!」
「……うん。でもさ。小萌」
「な、何ですか?お肉ならまだ一杯ありますよ?たっぷり買い溜めしてます!」
「今日はシスターちゃん来ないので一杯食べましょう!ビールも!って酒はダメですね!ハハハ…」
「ねぇ、小萌…?」
「は、はい?なんですか?ちょっと辛気くさくなっちゃたので先生はごめんなさいのイッキをします!」
まだ結標がケイタイの事で気にかけていると思ったので小萌は雑な方法になるがお酒で無理矢理テンションをあげようとする。
先の結標の潤んだ目を見てからちょっと酔いが覚めてしまった。飲み直しだ。
一方で結標は顔を赤くし、ケイタイを大事にキュッと両手で握り、ぽつりと一言つぶやく。
「小萌、私…一方通行にメールしてみよっかな…」
208 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:42:36.55 ID:Nb/y8CI0
よし…!モノは試しよっ!一方通行にメール送ってやるわっ!)
え?と驚く小萌を尻目に結標はパカリとケイタイをあける。
そしてメールを打ち込もうとする・・・・・・・・・・・・が全く内容は思い浮かばない。
それもそのはずだ。暗部の仕事以外に接点があるとすれば、先日のカフェくらいしかない結標に一体どんな内容のメーをすればいいというのだ。
(メールって難しいのね…はぁ…)
ホントはメールをするのに難しいもクソもないのだが、いざお気に入りの人にメールを送るとなれば意識してしまう。
(あっちが私のメールを読んでどう思うのかしら?うーん…印象悪くなったりしたら最悪だし…)
結局送る内容は決まっていないが、送信先には一方通行のメールアドレスを貼り付けした状態が暫く続く。
「結標ちゃん?とりあえず、前に一緒にカフェに行ったんですよね?それで攻めるのはどうでしょうか?」
「攻めるってどういう事よ?」
「結標ちゃんと一方通行ちゃんの数少ない接点はカフェなんですよね?ならもう一度行こうとか言えばいいじゃないですかっ!」
209 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:50:25.25 ID:Nb/y8CI0
「それもそうね…ケド、いきなりは『カフェまた行かない?』っておかしくない?」
「それもそうですね…ムムム…考えるしかないですね…ぐびぐび…もぐもぐ…結標ちゃん、そんなに画面とにらめっこしてても思い浮かびませんよ?取り敢えずお肉食べましょう」
「え…えぇ…じゃ、いただきます…あ、小萌。カシオレ取ってもらっていいかしら?」
「ハイっ!取り敢えず、一旦休憩ですね!」
じゅわーと焼ける肉とビールと酎ハイ。
鉄板から出る煙は天井に上っていき、消えていく。
ケイタイ片手にお酒を飲みながら二人はメールの内容について考える。
「今日はクリスマスに向けて結標ちゃんの決起式なのですよー!はい!かんぱーい!」
「ククク…クリスマスゥ?わわわ私と一方通行が二人っきり?えぇぇ?」
(一方通行に『淡希ィ、早くついてこいよォ』…とか言われちゃったり…///)
「妄想しすぎですよ…結標ちゃん…。ほら、かんぱいですよ?結標ちゃんのクリスマスを実りあるモノにするためにかんぱーい!」
「か、かんぱーい!」
(あ、あ、淡希…淡希…やばいわね…ひゃあ…///)
結標は妄想しつつ、タブをあけてカシオレを飲み、ぷはぁと一息。
メールの文面は途中まで行き、削除。途中まで行き、削除。これの繰り返し。
彼女は一旦コトンとケイタイを床に置き、夕飯を食べようとするがどうも頭から一方通行の事が離れない。
(あー!小萌のせいだ!絶対小萌のせいだ!一方通行のことが…気になるとか…ありえ…ないょ……///)
外の冷気すらも熱気にかえそうな二人のテンション、酒、肉。それらが一緒くたになってガールズトークはいよいよ盛り上がってくる。
210 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:53:07.23 ID:Nb/y8CI0
――黄泉川宅
「ねぇ、一方通行」
「あン?なンだ?クソガキ」
現在午後23時。
黄泉川宅では夕食を食べ終えて、各自交代で風呂に入るまでの順番待ちの時間だ。
黄泉川は部屋で書類の整理に終われ、芳川は現在風呂で一日の疲れを流している(特に働いているわけではないが)。
芳川が体を洗った後に、呼び出しボタンを押して打ち止めと一緒に風呂に入る。
一方通行は大抵最後だ。
「明日番外個体が働いてるパン屋に行ってみようよっ!ってミサカはミサカは未だ見たことない番外個体を見てみたいって熱望してみる!」
「はァ?なンで俺が番外個体が働いてる所に行かなきゃいけないンですかァ?ってかどこで働いてるか分かンねぇだろォが」
「えっへん。それがね。さっきMNWで話してた学園都市にいる妹達の会話で番外個体を見たっていう妹達がいたのっ!」
「へェ…。そりゃ、すげェ…」
(こりゃア、ちょっと見てみたいかもしれねェな…アイツがどンな格好でパンを焼いてるのか…クハハ…外から見てバカにしてやっか…)
211 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:55:00.87 ID:Nb/y8CI0
「で、どーなの?ミサカは一人でも行くよ?」
「オマエはモノレールの乗り方わからねェだろォがよ」
「失礼なっ!ってミサカはミサカは礼儀知らずなアナタに軽蔑のまなざしを送ってみるっ!折角番外個体の働いてる場所教えてあげたのにっ!」
「別にコッチは頼ンでませンよォだ」
(番外個体…アイツマジで働いてるンだな…あの猫目で接客業たァ…クカカ…客逃げちまうンじゃねェのか?)
(ふーん…なんだかんだ行きたそうな表情しちゃって!ってミサカはミサカは一方通行に慕われてる番外個体にちょっと妬いてみたりってね)
「ンでどこで働いてンだよ」
「えーっとね。第二十二学区の多摩センターの地下街に行く途中の駅の近くのパン屋で見かけたらしいよっ」
「で、表情はお姉様を少し年上にした感じだからすぐ分かるって…あなたは見たことあるもんね」
打ち止めの話を聞いた一方通行は正確な場所は分からないが、大体の目星はつけたようだ。
212 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 02:55:30.38 ID:Nb/y8CI0
「ったく。仕方ねェ…行くか。暇だしな…」
(これで番外個体に見られたら何言われっかわかンねェが…ま、いっか)
「やった!ってミサカはミサカはあなたに素直に感謝してみたりっ!ありがと!一方通行!」
「おゥ…。ホラ、呼び出し音なってンぞ」
ピリリリリリ…とお風呂の呼び出し音が鳴ると打ち止めははーいと返事をしつつ風呂場に向かっていく。
「番外個体のアルバイト姿か…どンな感じで働いてンだろォな…想像つかねェ…」
(ロシアから帰ってきて生活費稼ぎか…頑張るこった)
一方通行が番外個体の事をぼんやりと考えている時、ヴィーンヴィーンとメールのバイブレーションがスウェットのポケットの中でうなっていた。
(ったく…誰だよ…こンな時間にメールよこすやつはよォ…)
213 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:03:43.65 ID:Nb/y8CI0
けだるそうにケイタイをスライドさせて開くと名前欄には結標淡希の名前が出ていた。
(結標?どうしたンだ?暗部の仕事か?)
暗部の仕事と考えた瞬間、一方通行は体がこわばる感覚を覚え、久しぶりだな…と思いつつおそるおそる受信フォルダを開く。
<受信フォルダ>
From:結標淡希
Title:こんばんわ
今何してるのー?(・ω・)
(ちッ…どーでもイイ内容送りやがって…クソ標が…)
そう思いつつも一方通行は返信するために文章作成画面を起動し、律儀に返信する。
(クッソ…仕事かと思っちまったじゃねェか…こんな協調ムードだったら仕事なンざねェか…)
結標のメールにどきりとさせられつつも正直どうでも良いようなメールが来て安心した一方通行。
メールの作成が終わり、送信ボタンをぽちっっと押す。
(よっし…。送信完了っと…)
214 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:06:15.06 ID:Nb/y8CI0
内容はいかにも普通の事務的(?)なメールだ。
<送信フォルダ>
To:結標淡希
Title:無題
家でごろごろ。風呂の順番待ちだ。
ったくいきなりなンなンですかァ?
(さっさと寝ろよ…ったく…)
そう思いつつも一方通行は冷蔵庫の中からパックのブラックコーヒーを出しマグカップにとくとくそそぎ、レンジで暖めている。
この時間帯にカフェインを摂取しては寝れなくなってしまうかもしれないがお構いなしのようだ。
「…ずずず…」
(コーヒーうめェ…ってオイオイ…返事早すぎだろォが。ちゃンと読ンでるンですかァ?)
215 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:09:51.84 ID:Nb/y8CI0
一方通行の携帯の受信を知らせる部分がピンク色にあわく発光する。
(うお…マジで結標だ…返事超はえェな…)
<受信フォルダ>
From:結標淡希
Title:メールしちゃ悪い?
いいじゃない。
暇なんだし。どーせそっちも暇でしょ?笑(`А´)
ってか今電話してイイかな……?
だめなら…いいけど…。
(電話ァ?なンでですかァ?最近の学園都市では空前の電話ブームなンですかァ?)
(ったく…手っ取り早く今すぐ電話かけっか?…にしても…結標…一体なンの用だ?)
(ま、電話なら別にィ構わねェか…カチカチ…ピッ!送信っと…)
216 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:10:27.57 ID:Nb/y8CI0
<送信フォルダ>
To:結標淡希
Title:無題
構いませんよォ。ったく。
じゃ、風呂入るからちょっと待ってろ。
24時くらいに折り返しかけっから、ちゃんと出ろよ。
(これで送信完了っと…出てから湯冷めはしねェだろ。取り敢えず一流しさせてくれ)
一方通行はリビングに掛かっているかけ時計を見やると時刻は二十三時半前。
バスルームから芳川と打ち止めの声が聞こえてきたので二人が風呂から出たのだろう。
一方う通行がいるリビングに二人が戻ってくると彼はお風呂に入る。
脱衣所で脱いでいるときにちょうど結標から返信が来る。
(これだけ見て風呂はいりますかねェ…ピッ!カチカチ…)
217 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:19:22.83 ID:Nb/y8CI0
<受信フォルダ>
To:結標淡希
Title:待ってまーす(・∀・)
ちょっと眠くなってきちゃったから出れなかったからゴメンね(゚Д゚;)
電話ありがとね、一方通行☆
(なンなンだよ…クッソ…調子狂うぜ…)
現代の恋愛、特に若年層の恋愛にはケイタイは必要不可欠と言っても良いだろう。
メールで告白するような人もいる位だ。メールだと絵文字や顔文字といった機能がある。
それらは多少堅苦しい言い方をすれば会話を装飾する事ができるのだ。
これによって普段、日常で接する時とはまた別の印象を与える事も十分あり得る。
一方通行は普段の結標(と言ってもあまりしらないが)しか今まで見たことがない。メールをしたのは今回が初めてだ。
(結標のヤツ…、メール…か、かわいらしーじゃねェか…)
スライド式ケイタイをカシャリと閉じ、置くと衣服を脱ぎ、風呂に入った。
218 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:20:41.13 ID:Nb/y8CI0
(……番外個体に…結標………ねェ……)
鼻の辺りまでUボートよろしく潜行し、深深度を目指すレッドオクトーバー号の様にダウントリムを取る。
一方通行の思考も思い浮かんだ二人の女性の姿を想像し、湯船に深く沈み溶けていくような感覚を覚える。
(二人が俺に電話したいって言ったのは……相手は…俺じゃなきゃダメなのかァ?)
(なンで俺なンだ………二人は…俺の事を………?)
「なわけねェってどっちも俺が暴力ふるった相手じゃねェか…クカカカッ………」
(まさか……な…。チョーシのンなって、ンな訳ねェって…)
学園都市第一位の頭脳がはじき出した答えを瞬間的に否定し、一方通行はザバット湯船から浮上した。
219 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 03:23:56.17 ID:g6ER/yEo
もてやがってこん畜生めい
220 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 03:36:35.68 ID:pzSuemUo
第一位爆発しろ
221 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:38:37.85 ID:Nb/y8CI0
――小萌先生宅
「小萌!メールの返事がきたよっ!」
「どりぇどりぇー!うひゃぁぁ!やっひゃでしゅねぇ!むふみめひゃん!」
(だめだ…小萌完全に酔ってるわ…寝かせてあげますかね…よいっしょっと…)
小萌と二人で焼き肉を消費し、お酒を飲みつつ結標は無難に一方通行に現況を聞いてみた。
すると一方通行から思いもがけない程の返信の早さに驚きつつ、負けじと返した。
(にしても…我ながらよく言えたなぁ…『電話していい?』だなんて…)
(今頃一方通行はどんな事かんがえてるんだろうな…)
「あっちから電話来るまでに寝る準備しますかねー…っと片付け片付けっと…♪♪」
小萌ほどではないが、お酒を飲んだ結標はふらつきながらも台所の流しに鉄板や茶碗を置き、洗っていく。
222 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:43:47.47 ID:Nb/y8CI0
結標はちゃぶ台コタツに置かれたケイタイに聞き耳をたてながら洗い物をしている。
水は必要最低限流して洗う。何もエコだけではない。
――細大漏らさず一方通行からの着信音を聞けるようにするため。
鼻歌交じりに電話を待つ彼女のそぶりはまるで大好きな男の子からの連絡を待つ女の子のようだ。
(グループの中で気にいってるだけよっ…グループの中だったらマシな方…そう。それだけよっ!)
(グループの中で一番かっこいいだけよっ!…私のケーキが来るまで待ってくれたし…気配りもできる…あくせられーた…優しいし…///)
(あいつは私の事を殴ったのよ…あり得ないじゃない…ありえないくない…ありえない…ありえなくないがありえない…ありせられーた…あくせられーたぁ…///)
(あくせられーた…あくせられーた…ってダメダメ!ダメ!ダ…(ry)
♪DJ play that music louder お願い♪
(電話きたっ!)
223 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:57:15.98 ID:Nb/y8CI0
結標はシャー…っと出した水をキュッキュと止め、洗剤がついた手を荒く拭き取り数メートルの距離にあるケイタイをばっ!とつかみ取る。
皿洗い時の紺色のエプロンを着けたまま電話に出る結標の手はまだ水が沢山ついてる。
が、もはやそんなのお構いなしだ。後で拭けばいい。
「あ、もしもし!?一方通行?」
『待たせちまってワリィ…ねむくねェか?』
会話をするだけで体が一気にふわふわしたような感覚を覚える結標。
耳元で聞く一方通行の声に頬のみならずからだ全体が熱い感覚を覚える。
「ううん!こっちこそ…いきなりごめんね?」
『いいえェ。ンで用は?』
「と、特にないんだけ℃…」
(落ち着け…私…落ち着け…これじゃレムナントの時みたいに全く冷静じゃないわ…)
『じゃ、切るぜェ…?俺もう、ねみぃ…zzz』
「あ、ま、ま、待って!」
「あン?なンだよ」
「あ、明後日あいてるかなっ?」
(えんざんとか…なんもできないよぉ…頭があつぃ…なにょ…コレ…心臓もはやいし…><)
そう、結標はどうしても言いたいことがあったのだ。
それは――。
「………カフェいこ?」
224 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 03:58:30.19 ID:Nb/y8CI0
『カフェ?お前メジャーどころ以外知らないって言ってなかったか?』
「…ダメ?」
『ダメじゃねェケドよォ…それって…なンだ…あー…その…デートってやつですかァ?』
「ううん。カフェだよ。カフェ」
(なーに言ってるんだぁ!私は…!)
『お、おう。だからだな、結標。あーもういいや!めンでェ!』
「ううう…よくわかんないけど…またどっか行きたいなぁってあわきはあわきはなーんて…><」
(…今のは完全黒歴史決定ね…あぁ、恥ずかしいよぉ…小萌へるぷー…><)
225 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 04:00:10.92 ID:Nb/y8CI0
『わーった。わーった。じゃ、詳しい時間とかはまた連絡すっからよォ…今日はここらで良いかァ?今外で電話しててさみィンだわ』
「あ!ごめん!湯冷めしないよーにね!」
(あらっ、わざわざ外、出て貰っちゃったのね…)
『へいへい。あンがとよォ。じゃ、切るぞォ』
がちゃり…つーつー。
(初めて電話しちゃった…一方通行と…)
結標の一方通行に対する電話は思い返せば真っ赤になるような恥ずかしいこともあったが、カフェに行く約束を確約するという大きな戦果を挙げたのであった。
「さっ!歯磨きしてねよっと!なにきてこっかなぁー!ふふ…☆」
(はー…なんか実感沸かないわねぇ…明後日かぁ…)
226 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 04:00:37.85 ID:Nb/y8CI0
――番外個体宅
「ふー…歯磨きもしたし、戸締まりもオーケー!今日はもう寝ようかな!」
深夜十二時半過ぎ。
番外個体は明日のバイトのシフトに備えて寝ようとするが寝付けなかった。
彼女は夕方十八時頃に一方通行と電話してから数時間。彼の事と自分の負の感情の大本について考えていた。
(むー…ミサカ最近一方通行の事ばっか考えてる…なんでだろう?)
(えっと確か最初にあったのは何日か前のカフェ『三文ゴシップ』だよね…その時は普通に話してた…うんうん)
(その後初めて一方通行と電話して…それで…次が『やっつけ仕事』で赤髪…結標とかいうやつと一緒にいる所を目撃して…)
その光景を思い返した途端に番外通行の体がドキンと震える。
227 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 04:04:16.65 ID:Nb/y8CI0
(…正直悔しいって思ったわ…私も一方通行としゃべりたいのに!って思ったわね…ってあれれれ??)
番外個体は一瞬頭に思い浮かんだ確かな気持ちを思索の中から再び思い起こす。
布団に深く沈み込み、枕に顔を埋める。
(…ミサカ…気づいちゃった…ぷぷぷぷあひゃひゃひゃ…だっせー!ミサカ結局一方通行がいないとダメなんだ!あひゃひゃ)
(一方通行が赤髪と話してるの許せなかった?だからあの赤髪に嫉妬してたのかな?うふふ。ってことは?)
(ミサカは一方通行の事が気になるのかな?うひゃうひゃ…殺すべき相手に好意を抱いたミサカは間違いなく欠陥品だー☆ぎゃはぎゃは)
(一方通行はミサカの事どう思ってるのかな?知りたいな…)
ほぼ時を同じくし、場は違えども自分の淡い気持ちに気づいた二人。
しかし時間は待ってくれない。
十二月は後半にイベントが目白押しだ。
自分の気持ちに二人はまだ自信を持てないでいた。
しかしそれは二人の意中の人物に直接会ったときに確かめることができるであろう。
なぜなら好きな人の前で自分を偽ることはできないから。
とある二人の思いのベクトルが一人の男に向けられた時、物語は始まる。
228 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 04:04:58.28 ID:Nb/y8CI0
今日はここまで。
また明日お会いしましょうね。
明日はパン屋に行きます。
ではお休み。
レスくれたかた有り難う。
229 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 04:05:31.68 ID:eIOj1Jso
おつ
続き楽しみすぎる
230 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 04:18:59.13 ID:h.q8fmko
何が恋のベクトルだ!
俺も常識の通じないほど甘い恋をしてみたいぜ!
おつ!
231 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 04:25:02.65 ID:CjFrNSEo
乙
もしかしてスノボ以前に麦野と浜面の話書いたことある?
232 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 06:43:26.75 ID:Q2QZuYAO
どっちのキャラも好き人間つにはつらいぜ!
233 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 07:27:55.86 ID:6vaB9IAO
空前の電話ブームワロタwwwwww
>>231
エスパる前にスレを1から読めば良いと思う
234 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 07:53:48.56 ID:Gnsac.Ao
乙
235 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 18:37:44.08 ID:5YRXPkAO
乙
二人とも可愛すぎて困る
両方報われてほしいじゃないか……!
236 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/03(金) 20:14:13.08 ID:Nb/y8CI0
読者の方々感謝です。
ただいま書きため中です。
>>231
さん。
えーっとスノボの前は総合でちょっとだけ投稿してました。
浜面麦野SSとかいうしょーもないSSですね。
あと、佐天が電話の女のやつとか砂皿さんの話を少しですね。
因みに全部黒歴史です、本当に有り難うございました。
237 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[sage]:2010/12/03(金) 22:09:24.76 ID:Nb/y8CI0
すいません!今日は投下できません。
眠すぎるので寝ます!すいません。
明日には投下しますっ!
238 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 22:44:11.18 ID:Gnsac.Ao
把握した
明日を楽しみにしてる
239 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/03(金) 23:46:20.64 ID:h.q8fmko
佐天が電話の女になるSSはあなただったのか
あれ好きだったぜ
240 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 06:12:35.80 ID:1x2krpYo
佐天電話楽しく読ませてもらってました
あっちも印象に残ってたから自然と惹かれたのかな
241 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/04(土) 13:54:03.34 ID:KZRFv9co
その総合の奴どれも好きなんですけどwwww
なるほど惹かれるものがあるわけだ
242 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[sage]:2010/12/05(日) 01:07:52.03 ID:2NxuOcw0
いつも読んで下さる皆様ありがとうございます。
さて、今日はちょっとだけ投下します。
よろしかったら拙稿を読んでやって下さい。
あ、そうそう、総合の話なんですが、フレンダと麦野の処刑のやつも書きましたね。
なんか売名?じゃないけどそんな感じになってすいません。
さて、あらすじに入ります
結標と番外個体は一方通行に気があることを自覚し始めました。
因みにこのふたりはお互いに面識はありません。
今日は番外個体の働いているパン屋に行く所と少々投下したいと思います。
結標は作中の中での明日、一方通行をデートに誘いました。
では行きましょうか。冬の学園都市に。
243 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:10:10.26 ID:2NxuOcw0
――『リンゴベーカリー』午前中
「そうそう。そこはこうして…そう。おー!さまになっとるやんけー。僕よりサンドイッチうまいかもしれへんでぇ?」
「…ホントに?やった!」
祝日の朝。
お昼のラッシュを見越して、二人は店外からも見えるガラス張りのキッチンでサンドを作っていた。
「ほな。ミサカはん、これ外あそこの棚わかるやろ?そこにおいてったって」
「はーい♪」
(よーし、サンドは作れる様になったわ…後は自分流にアレンジを加えれば結構いいかも…!)
(昨日の夜、考えてたけど、やっぱりミサカはあの人に食べてもらいたいなって…)
(ただ…面と向かっていえるかな…ってまだまだ一方通行を遊びとかデートに誘ったわけでもないのにね…ははは)
(あー…なんでミサカはあんな人好きになっちゃったんだ?きゃはは)
番外個体が一人で考え事をしているとちりんちりんと心地のいいベルが鳴る。
土日の学園都市は保護者の面会などで結構な数の人が入場する。
そのせいもあってか今日は少しお客さんの出入りも多い。
244 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:12:19.30 ID:2NxuOcw0
「こんにちわ…あれ?あなた…まさか超電磁砲?」
(誰?この陰険そうなゴスロリの私服の女は…幸薄そうね…)
そう思った番外個体はキョトンとした表情でゴスロリの私服の女を見る。
「あぁ、自己紹介が遅れたからね so 私は布束。あなたの学習装置の初版設計者って言えばわかるわよね?私も普段ここで働いてるの」
「あ、はい。ここで働く事になったミサカです。よろしくお願いします」
(学習装置作った人ってミサカと同い年くらいの人だったんだ…この人には番外個体って名称を伝えたほうがいいのかな?)
「あれ?そういえば他の妹達よりも少し大人っぽいわね…オリジナルよりも小さい子は以前見たことあるけど…」
布束は以前の暗部組織VS御坂美琴の激闘の際、学園都市配下の研究所に招聘された彼女は培養機に入れられている最終信号を目撃している。
だが、最終信号は美琴よりも小さい。布束は美琴と同型の妹達も見たことはあるのだが、番外個体を見るのは初めてだった。
「あー。私サードシーズンの製造個体だから…えーっと名前は番外個体って言うのよ…」
他の従業員に聞こえないように布束にだけ聞こえる声で小さく耳打ちする。
ほうほうと頷く布束は、そう。と一言言うと待合室へと向かっていった。
「へぇ…サードシーズンね…つくづく私は御坂関係の話に縁があるわねー」
245 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:14:42.99 ID:2NxuOcw0
――黄泉川宅、一方通行のベッド
「ねぇ!早く行こうよ!ってミサカはミサカはあなたの上でのしかかり攻撃っ!」
「ううう…重ェ…乗るンじゃねェェエエエエエエエ!!!!!」
打ち止めののしかかり攻撃に耐えかねて起床する第一位。
ベッドの前にある鏡を見て寝癖をめんどくさそうに直す。
(昨日は寝付けなかったなァ…結標のヤツ…カフェ明日じゃねェかよ…)
一方通行は昨夜の電話のことを思い出し朝からとくんと早くなる鼓動をなんとか落ち着かせる。
(畜生…結標…あー!なンだったンですかァ?昨日の電話ラッシュはァ!)
番外個体、結標とした通話を思い出し恥ずかしさに任せて、銀髪をかく一方通行。
番外個体『………ね、また電話していい?』
結標『………カフェいこ?』
二人の声を思い出し赤面する一方通行。
彼が赤面することなどめったにないので打ち止めが怪訝な表情をする。
246 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:15:45.99 ID:2NxuOcw0
あなた、顔が赤いよ?熱でもあるの?ってミサカはミサカはあなたの寝坊っぷりをとりあえず棚に上げてあなたの現況を説明してみるっ!」
「あァ?あ、赤くねェって…イヤ…マジで//」
(クッソ…あの二人のせい…だ…)
「平気なの?なら、ホラ、いこっ!パン屋さんはやくいきたーい!」
「へイへイ。外から見るだけだぞ?良いな?」
(でもなァ…番外個体の作ったパン…くってみてぇなァ………って全く俺はなァーに考えてンだか…)
「はーいってミサカはミサカはいやいやながらアナタの言ったことを承諾ぅー…」
打ち止めののしかかり攻撃でなんとか目がさめた一方通行。
十一時という中途半端な時間で、しかもはやく行こうとせかす打ち止めに手を引っ張られ、朝飯抜きの状態で学園都市第一位はパン屋へ向かう。
(…サンドイッチ食いてェな…あとコーヒー)
247 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:16:35.33 ID:2NxuOcw0
――『リンゴベーカリー』十一時四十五分
「ミサカ君、ミサカ君。ちょっと」
「はい、何ですか?店長」
「いやー…結構人が入ってきたからあっちのカフェの方に回って貰って良いかな?」
『リンゴベーカリー』はパン屋さんとカフェを兼ねるお店だ。
なので喫茶店の方の業務も受けなくてはならない。
初心者の番外個体に店長は軽食の提供。これなら初心者でも卓番(座席の番号の事)を覚えつつできる。
「ほな、こっちこっちー!」
注文にてんてこ舞いの青ピが番外個体の方に手を振っている。
見ると布束や重福もあっぷあっぷのようだ。
(えー?こんなのミサカできないよっ!ってか人大杉っ!)
十数卓ある座席は既に埋まりつつあった。
248 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:17:09.45 ID:2NxuOcw0
「えーっとミサカはん?簡単に教えたる、まずコレ」
「えーっとこれはメニュー伝票?」
(ピザ二種類…パスタ二種類…パフェ二種類…あとは店内のパンとサンドイッチとドリンク…おっけー)
「そ!コレにお客さん頼んだヤツチェックつけてキッチンにいる人に渡せば料理が出てくるって仕組みやー」
「わ、わかったわ。なんとか頑張ってみるわ…!」
(ひー!できるかなぁ?…ってか今日のキッチン誰だ?店長は接客してるし)
「あ、そうそう。今日のキッチンはあんさん初めてだと思うけど、介旅ちゅうやつと鉄網の陰気コンビやけど気にせんといて」
青ピと番外個体が話していると早速客から呼ばれる。
(ほな、あそこのお客さんトコ行ってみ…!僕も後ろにいるからへーきや…)
(頼むわよっ!)
初オーダーという事もあり、番外個体の後ろにさりげなく青ピがたってオーダーが取れるか確認している。
249 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:19:16.56 ID:2NxuOcw0
「はい、では以上でよろしいですか?」
「えぇ。ありがとね、お姉さん」
どうやら番外個体の初めてのオーダー取りは成功のようだ。
青ピの説明によれば次はキッチンにこの伝票を持って行くらしい。
この伝票を忘れるとキッチンにも料理のオーダーが伝わらないので、客からの請求が来てしまう。
なのでしっかり忘れずにキッチンに見せなければならないのだ。
「お願いしまーす…。料理入りましたー…」
「そこにかけとけ」
「後は私達に任せて下さい」
男の声と小さい女の声が聞こえてくる。
キッチンの方をちらとのぞき込むと確かに陰気そうな二人がせわしなく動いていた。
別段活動的な風には見えない男女がサイレントにキッチンを回る光景に番外個体は一種の感動を覚えたそうだ。
250 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:20:22.08 ID:2NxuOcw0
――『リンゴベーカリー』前、十二時
「やーっとついたよっ!ってミサカはミサカは初めて見る番外個体にちょっとわくわくしてみたりっ!」
(実際どんな人なんだろう、番外個体って…)
「にしても結構混雑してるなァ…今日はあれか、祝日で学園都市に子供がいる親が結構来てるンだろ?」
「んー、詳しいことはよく分からないけど、両親と一緒に歩いてる学生が多いかもっ!」
学園都市の祝日や休日には保護者である父母や親族が学園都市に入ってきて面会する事があった。
第三次世界大戦が終結してからは学園都市の入場セキュリティも緩和され、比較的入りやすくなったそうだ。(と言っても第二十三学区の様な航空施設は依然厳重な警備がしかれているが)
そして学生の両親や親族の親たちが来てお茶でもしようとなり、この『リンゴベーカリー』にも多数の客が押し寄せてきたという訳だ。
「ねぇ…番外個体いないよ?」
「おっかしいなァ…いるハズなンだけどなァ…」
(頼む…!出て来るな!…いたー!)
「あ、あれかな?あの料理持ってる人!ってミサカはミサカは指さしてみる!」
「あン?あれは違ェだろ。なンかマユゲ太そうだし…」
因みに一方通行と打ち止めは『リンゴベーカリー』を二車線道路を隔てた反対側のいちょうの街路樹の所から見ている。
祝日は学生で賑わう多摩センター。しかも学園都市外の人が見た事の無い地下都市に接しているこの辺りはかなりの人がいる。
なので二人はパン屋さんの前でずっと見ながらぎゃーぎゃー騒いでいるのだ。
251 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:22:36.15 ID:2NxuOcw0
「あの男の人の話聞いてる人がもしかしたらそーかも!ってミサカはミサカは大予想!」
「番外個体だな…あれ」
(あン?あの男…第六位じゃねェか個人情報バンクで見ただけだが…パン屋で働いてたのか…)
学園都市第六位が『リンゴベーカリー』で働く姿を遠くから確認した一方通行は何故か番外個体を見る事をためらっていた。
(…すっげェ真剣に働いてるじゃねェか…番外個体)
一方通行達の居る所からは番外個体がどんな会話をしているかは分からないがまじめに働いている姿は目撃できた。
目撃できたと言ってもほんの数秒見ただけで一方通行は何故か顔をそらしていた。
(な…なンで顔そらしてるンですかァ・・・・・・あっちが見てる訳でもあるめェし・・・・・・?)
次は顔をそらさずに(と行ってもあっちは気づいていないが)ちゃんと(?)見る事に。
すると知らず知らずの間に一方通行は客に笑顔を振りまき、元気はつらつと接客している番外個体の表情を目で追っていた。
そんな一方通行を無言で見ていた打ち止めは優しそうな笑顔を浮かべるが当の彼は気づかない。
「…ねぇ、このパン屋さん入る?ってミサカはミサカはあなたに提案してみる」
「はァ?アホですかァ?この混雑状況がっわからないンですかァ?今すっごくお店の人たちあっぷあっぷで迷惑だろォが」
「んー、でもミサカお腹減っちゃった…グゥー…」
打ち止めが目を潤ませてキラキラした目線を一方通行に投げかけてくる。
某緑色の怪物の親友の猫さながらの哀願している表情に一方通行はいやいやながらも同意した。
「チッ…。しかたねェな…行くぞ。クソガキ」
「やったぁ!ってミサカはミサカは大喜び!ついでにあなたもちょっと入店できてよかった!って思ってたり!ふふふ」
「はァ?バッカじゃねェの?ンな事考えてる訳ねェだろォがよ!」
252 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:23:18.64 ID:2NxuOcw0
「じゃ、帰ってご飯食べる?」
「・・・・・・・・・・・・オイ、クソガキ。オマエ腹減ってるンじゃねェのかよ」
(いや、まァ…ここはここで食べちまおう…腹減ったし…な?)
二人は車のこないタイミングを走って小走りで移動する。
当たり前だが一方通行の視界でどんどん大きくなる番外個体。
(入店しますよォ…)
先程まで混雑していた店内はまだ客がいるがいくつか座席の空きができはじめていた。
「いらっしゃいませー…最終信号と一方通行?」
番外個体にあえることでテンションあがったりの打ち止めと何故かAzのダウンのポケットに両手を入れたままきざったらしく周りをきょろきょろ見ている一方通行を案内したのは布束。
「あン?オマエ誰だよ」
「うん。あなた誰?ってミサカはミサカは初対面のあなたに質問してみるっ」
「あー…私は…<…説明中…>」
「へェ…すげェ偶然だなァ…まさか学習装置の設計者がこンな女子高生でしかもバイトときた」
「あなたが妹達に知識を授けてくれた人なんだね?ありがとー!布束!」
かつて一方通行が妹達を殺害してレベル6に成り上がろうと夢見た計画は頓挫した。
今は対立しても意味がないと判断したのだろう。布束も一方通行もとくに取り立てて過去の話をほじくり返そうとはしなかった。
253 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:25:21.01 ID:2NxuOcw0
「二名様ご案内しまーす」
「あァ…」
「in case あちらのあいてるお座席をどうぞ。メニューはすぐにお持ちしますので」
二人が通されたのは窓側の座席。
外に出れば臭ってくるいちょうのうざったい臭いもシャットアウトされ、散りゆく黄色い葉を眺めながら二人はメニューが来るのを待つ。
「なんか良い雰囲気だね。ちょっと大人っぽい感じもするけどミサカはこういう所好きかも」
「ヘェ。そりゃ良かった…………っ」
一方通行は条へ白のコックウェアに赤いスカーフを巻いてメニューを持ってきたスレンダーな女性がこちらの窓側座席に向かってくるのを視野の端にに捉える。
(番外個体…ま、ここで働いてるんだったら接客しておかしくねェよな)
「あなたが番外個体?ってミサカはミサカは初対面にもかかわらず勇敢にインタビュー!」
「メニューお持ちしましたーって、あれ?一方通行なんでここに?と……打ち止め?」
(なんでこの二人が来るのよっ!ってか知り合いが来るっていい気がしないわね…)
「やっほー!あなたと会うのは初めてだねー!番外個体っ。妹達の目撃談があったから我が儘言ってこの人に連れてきてもらったのー!」
(ふわー…お姉様より更にお姉様だー!)
254 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:26:52.27 ID:2NxuOcw0
「まー、取り敢えず注文決まったらまた呼んでねー」
(なーんで一方通行達が来るのよー!ここで働くって誰にも言ってないじゃない><)
「はいよー」「はーい」
一方通行達の所にメニューを置いた番外個体は他に働いている布束や重福と一緒に他の卓の下げものをする。
卓にはまだ多くの下げものがあり、もし今多数の入店客が来た場合お客さんを待たせることになってしまう。
そうならないようにもてきぱきと下げものをこなさなければならないのだ。
二人はメニューを見やすい位置におくと何を食べようか吟味し始める。
店内は軽やかなJazz調の音楽がスピーカーからながれる。
ブルーベックのBlue Rondo A La Turkが午後の陽気な雰囲気を演出している。
日中のぽかぽかした雰囲気にぴったりだ。
(ブラックコーヒーは固いよなぁ…。おすすめはなンだァ?パン屋さンのおすすめでも聞くか。クカカカ)
打ち止めもどうやら決まったようでメニューをぱたりと閉じ、店員さんが取りやすいように通路側に置く。
「じゃ、ミサカはチョコレートパフェー!いい?」
「ったく。はいはい。わかりましたァ。じゃ、店員さン呼ぶぞ?おーい」
「はーい。ただいまお伺いしますー」
下げものを一旦やめて番外個体は一方通行達が座っている座席にオーダーをとりにいく。
彼女は白いスラックスのポケットから伝票用紙とボールペンを取り出し一方通行の座っている座席の前にきてオーダーを取る。
255 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:28:07.72 ID:2NxuOcw0
「決まったのかな?」
「えーっと…」
一方通行が打ち止めの食べたいものもまとめて注文し、それを丁寧にチェックしていく番外個体。
どうやらオーダーを取ることには比較的慣れたようだ。
「えーっと、ブラックコーヒーとサンドイッチとパフェだね。ちょっとまっててくださーい」
そう言うと番外個体はキッチンの方へと消えていく。
その後姿を見ながら一方通行達は頼んだ食べ物が来るまで待つことに。
余談になるが『リンゴベーカリー』ではパンやサンドイッチはショーケースにあるものを出す。
ちなみに店内で購入したパンを喫茶店風(今番外個体がいるところ)で食べる事も可能だ。
一方通行達はパンを購入せず、直接喫茶店に入ったため、軽食を頼んだ訳だ。
さて、番外個体が一方通行達のオーダーを受けてキッチンに伝票を渡すと鉄網がパフェを作り始める。
「鉄網さん、お願いしますー!」
「はーい…」
今にも消えそうな鉄網の声が聞こえ、番外個体は安心する。
根暗女の片割れの元爆破魔キッチン、介旅はお昼の休憩だそうだ。
(よーしっ!コーヒーはミサカが作るぞー)
まず一方通行に提供するコーヒーカップを暖める。
温度の維持を得意としていた少女が前に働いていたそうだが風紀委員の仕事が大変で辞めてしまった。
256 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:29:21.41 ID:2NxuOcw0
コーヒーに使うお湯は湯沸かしのものではなく、カルキを抜くために二〜三分ほど沸騰させたお湯を使う。
気泡が出なくなるまで待ち、次にいよいよお湯を注ぐ。
ドリップの中に置かれている粉の上にゆっくりお湯を注ぐ。
粉は勿論お湯を含んでふくれる。
ここで動揺してはいけない。
膨れてもういかないだろうと思った辺りでドリッパーの上まで○を描くように優しく注いでやる。
番外個体はまだドリップに丁寧にお湯を注ぐことが苦手。
なのでドリップとフィルターの間からお湯が入ってしまってコーヒーを薄めてしまう可能性があるのでちょっと多めに粉を入れてたりする。
店長から教えて貰ったコーヒーの落とし方は成功したようで、美味そうに湯気をだしている。もくもく。
257 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:30:06.17 ID:2NxuOcw0
さて、サンドイッチは?
(うひひ。ミサカが作ったサンドイッチ食べてね、美味しいよ)
サンドイッチは朝番外個体が仕込んだトマトと鶏肉、メニューには載っていないがキャベツとタマネギもトッピングで入ってる。
健康かつジューシーなお肉もある贅沢なサンドイッチ。
トレンチにコーヒーとサンドイッチを置き、まずはその二品を一方通行に渡しに行く。
その時、布束がちょいちょいと手招きしていたのでさりげなく店内ですれ違う。
(あなた、それ終わったら休憩行ってきていいわよ。朝から何も食べてにないでしょ?)
(ホント?ありがと!…客席で食べていいかな?)
ちらりと布束は自分のSKAGENの銀色の腕時計を見る。
ユニセックスの時計なのでフェイスがちょっと小さいが、か細い布束の腕にはちょうど良い感じだ。
さて、布束が時間を確認すると時間は正午過ぎ。入店が落ち着きはじめ、まばらになるアイドルの時間帯だ。
(構わないわよ)
番外個体は布束に小さくぺこりと礼をすると通路側の一方通行が座っている座席も前に行く。
「えーっと、コーヒーとサンドイッチになります。打ち止め、悪いんだけど、パフェはもうちょっと待って貰って良いかしら?今作ってるから」
ね?と目をパチンとウィンクする。
トレンチから静かに音を立てないように…。丁寧にコーヒーとサンドイッチを置く。
「いっぱしに様になってやがらァ…クカカ」
258 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:30:40.68 ID:2NxuOcw0
「ひゃー。一方通行にほめられちゃったよミサカ。でさ、ちょっと二人でいちゃついてるところ悪いんだけどさ!」
「いちゃついてないもん!ってミサカはミサカは今までのどんな妹達よりも大人びている番外個体と話してみるっ!」
「ンでなンだよ、番外個体」
「ミサカ、今から休憩なんだけど、良かったらお昼一緒に食べて良い?お店の人にはもう了承貰ってるからさっ!」
「ミサカは別に構わないよっ!あなたはどう?」
「別にィ…」
「ありがと!じゃ、上着はおってくるからちょっと待っててね!」
そういうと番外個体は駆け足で裏手の方に走っていく。
途中打ち止めにパフェを提供しようとした重福にぶつかりそうになるがひらりとかわす。
(打ち止めってホントに小さいのね…あれが私達妹達の上位個体かぁ…一方通行はあの子と他に女二人と同居してるのよね?かー!ハーレムだねー)
番外個体は裏手の従業員の更衣室でコックの服の上からノーブランドの黒のパーカーを羽織って戻っていく。
(一方通行…ミサカの作ったサンドイッチとコーヒーなんて言ってくれるかな…まずいとか言ったら許さないぞー)
一方通行に自分の作ったコーヒーとサンドイッチにどういう評価が下されるか、できれば美味しいと言って欲しい。
不安と期待でどきどきしながらも番外個体は打ち止めの隣に座った。
259 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:31:22.76 ID:2NxuOcw0
――同時刻 小萌宅
「結標ちゃーん…昨日は先生ごめんなさいなのですよー><」
「いいって…いいってもうその気にしてないし…」
(もう小萌にはお酒をあげないようにしないとね…)
結標が朝みた光景は彼女を驚かせた。
布団の横でフード付きのピンク色のパジャマを着ているとおぼしき小萌が結標の横でもの言わず、ただただ土下座していたのである。
「もう平気だから…ね?ほら、私が料理作っておいたから食べて?」
「え?結標ちゃん!料理まで作ってくれたんですか?ありがと………ウ…バタン」
「え?小萌?」
「生物兵器の間違いじゃないんですか?むす…じめ…ちゃん…」
「そんなに口に合わなかった?小萌。どれどれ…自分の作った料理食べてみますか…オップ…!」
(これはひどい)
結標は折角作った料理(のような物)の残骸(レムナント)を捨てる。
260 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:32:06.89 ID:2NxuOcw0
「小萌、どうしよう。出来合いでできる物って思って具材ぶっ込みまくったら…冷蔵庫からめぼしい物がなくなっちゃった…」
(私…料理向いてないのかな…はぁ…)
「じゃー結標ちゃん。先生が掃除しときますから、お昼ご飯買ってきて下さいっ!」
「はーい。で、どこで買えばいいの?いつもの特売スーパー?」
結標は蛇口から水を一気に出すと残骸を流す。さらば残骸。
そうですねぇーと首をひねりながら考える小萌。
二人とも昨夜はお酒を飲んでいたので今日のお昼近くまで寝ていて朝ご飯抜きだ。
実際結構お腹は減っている。
「じゃ、結標ちゃん。先生の担任の子がアルバイトしてるパン屋さんがあるんですけど、そこに行ってきて貰っていいですか?結構そこのパンが美味しいらしくて…」
「はいはい。地図書いてもらっていいー?私よくわからないからー」
261 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:33:45.67 ID:2NxuOcw0
今日はオリーブドラブのミリタリーパンツにだぼっとしたクリーム色のもこもこしたセーター。
その上にセーターと同丈くらいのバーバリーブルーレーベルの白のボアニットダッフルコートを着る。
靴は茶色のミネトンカでミリタリーパンツをインして履いている。
「じゃ、地図もらったから適当にいってくるねー」
「はいなので、気をつけていってらしゃーいなのですよー」
結標は小萌に見送られパン屋へ。
彼女の赤い髪はいつも通りの二つに結んだ感じ。
背中の半ばあたりまであるその髪をふぁさりとなびかせて結標は外出していった。
262 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 01:35:04.53 ID:2NxuOcw0
落ちも何もなくてすんませんが今日はここまででご容赦を。
ではまた。
263 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 01:35:36.55 ID:18E6UtEP
おつおつ
264 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 01:36:04.39 ID:DULrMLMo
乙
>< ←たまにあるこれが可愛い
265 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 02:14:19.61 ID:uffa2Ko0
打ち止めと番外個体は面識があるはずだが、ここでは無い設定なのか?
266 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 04:14:45.76 ID:pJ.12q6o
あ、それ思った。ロシアで一緒にいるよな。SS内設定か?
267 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 11:45:41.74 ID:mmfL8rY0
斬新で俺は好きだけどな
268 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 11:58:20.63 ID:/8EMLVMo
>>265
こまかい事はいいんだよ
269 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 13:30:52.62 ID:.l0JLYgo
時々モノローグ中の笑い声が気になるのは俺だけだろうか
いやそんな細かい事より出てくるキャラみんな可愛い事のが重要だなハァハァ
270 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/05(日) 22:12:47.79 ID:2NxuOcw0
読者の皆様こんばんわ。
先程禁書読みましたが頭痛で内容が入ってこない。
番外個体は打ち止めの事を知っていて、打ち止めは逆に知らないんじゃなかった?
知ってる人教えてくれー。読み込みが甘くてすいません。
さて、今日は先述しましたが偏頭痛になってしまいまして、もう寝ます。
ケイタイで書きためを作っていますので、明日辺りには…投下できるかと。
読者の方々にはご迷惑おかけしてすいません。
こまかいことは気にしないで貰えるとちょっと助かります><
271 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 23:00:24.75 ID:8xPa0wAO
一方さんマジ天使の時に一緒にいたかと
272 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/05(日) 23:32:31.71 ID:uffa2Ko0
打ち止めが一旦回復した時も一緒にいたんじゃないのか?
あれ? あそこだとまだ打ち止めの意識は無いのか?
禁書を布教するために20巻〜22巻を貸し出していてよくわからんorz
273 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 00:10:07.37 ID:VxUpP2Mo
きちんと話したことはないってことにしときゃいい
274 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/06(月) 00:10:30.96 ID:68ubEQc0
><とか//よりかは地の文でファッション描写してる時みたいに書いてくれないかな……
無理ならいいんだけどなんかスイーツっぽくてさ
275 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 00:34:56.13 ID:cWB9r/go
全く問題ないから好きなように書いて欲しい
276 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 00:35:00.58 ID:SFMIcoko
だがそれがいい
277 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 01:20:18.92 ID:eI3kKsDO
一方さんが魔術使って打ち止め復活した時に番外個体もいたんだから面識無い事は無いと思う
278 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/06(月) 22:07:57.14 ID:ME71YRg0
一方さんがカカーってよく笑うからかそのたびにどっかの2代目中華の覇王の顔が浮かぶ
つかよく笑うなこの一方さん
279 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[sage]:2010/12/08(水) 17:43:40.92 ID:t78BBJc0
只今書きため中…。
全然話進んでないけどね…
賛否両論の意見、感謝です。
今日の夜か明日の午前に投下します。
お手数おかけしてすいません。
280 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 18:27:55.00 ID:JnW1gjw0
がんばれ
俺は応援してる
281 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 19:11:01.61 ID:GJ13OQko
全裸にさらしまいて待機
282 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:08:03.20 ID:jtJLmywo
厚着で待機
283 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:09:43.72 ID:FRe.QcDO
布団で待機
284 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/08(水) 22:45:57.36 ID:wrnfPHAo
ネクタイと靴下で待機
285 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:07:52.01 ID:mkjc2xg0
ここまでのあらすじ
第三次世界大戦が年末に終結した。
一方通行はそんな中、協調ムードの学園都市を歩いていると偶然番外個体と出会い、カフェへ。
連絡先を交換すると翌日は偶然結標淡希と出会う。
二人は一方通行とメールや電話をするうちに一方通行の事に好意を抱くようになる。
しかし、一方通行はそんな彼女たちの淡い気持ちを本当のものかどうか判断しかねていた。
翌々日に結標から電話で「カフェに行こう」と誘われる一方通行。
答えは良いとの事。
あけて次の日の午後、番外個体の働いているパン屋『リンゴベーカリー』に結標は一方通行達がいることを知らずに向かっている。
という感じでわかりにくくてサーセン。
286 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:09:01.97 ID:mkjc2xg0
ぱくり
「あ、このパフェすごくおいしー♪」
「ほんと?上位個体にそう行って貰えると嬉しいわ。…一方通行はコーヒーとサンドイッチどうだった?」
打ち止めの食べたパフェは番外個体の働いているお店の商品なので確かに嬉しいのだが、今の番外個体が知りたいのは一方通行のコーヒーとサンドイッチを食べた感想だ。
「ンじゃ、いただきまーす…」
一方通行はサンドイッチを真ん中あたりからがぶりと食べる。
もぐもぐ
(一方通行なんていうかな………!)
287 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:09:34.85 ID:mkjc2xg0
ごくり
(ミサカの作ったサンドイッチ…)
今一方通行が食べているサンドイッチは番外個体が彼に特別に作ったわけではない。
飽くまでマニュアルにそって作られたものに過ぎない。
しかし、番外個体はひとつひとつの調理行程を丁寧に順守し、気持ちを込めてつくった一品だ。
いわばそれは彼女のマスターピースとも言えるだろう。
マニュアルにそって作ったただのサンドイッチとなめていたらだめだ。
まずはサンドイッチを食べる。
その後は湯気がもくもく出ている先ほど番外個体のつくったばかりのコーヒーをすする。
「ぷはー…」
「どう?一方通行?」
「さいっこうにうめぇ。これはやべぇ」
288 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 02:11:26.67 ID:WTESKzIo
キタ━━(゚∀゚)━━ヨ
289 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:12:27.62 ID:mkjc2xg0
「ほんと?お世辞じゃない?」
(やった!)
番外個体の神妙な表情はいっきに崩れ満面の笑みに。
「番外個体、すっごいうれしそうだね、ってミサカはミサカはいってみる。このサンドとコーヒー番外個体の手作りなの?」
「うん。っていってもマニュアル通りに作っただけだけどさ。ははは」
「イヤ、これはうめェって。…その…ありがとな…」
そういいつつ一方通行は紙ナプキンで口の周りをさっとぬぐう。
「う、うん…///」
(ありがとう)
その一瞬、番外個体は負の感情を発露することなく、すんなりと返事ができた。
「お、おう…」
(なンで番外個体は照れてるンですかァ?)
「「……」」
打ち止めは静かにパフェを食べているのだが、明らかに食事中の沈黙のそれとは違う、気まずい雰囲気の沈黙が三人を支配し始めていた。
290 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:19:25.43 ID:mkjc2xg0
「……あれ?ミサカはいないほうがいい?ってミサカはミサカはこの雰囲気に耐えきれなくなって風と共に去りたい気分になってみたりっ!」
番外個体と一方通行の歯切れの悪い会話、というか沈黙するまでの過程を見ていた打ち止めはなんだか気まずいような気分を味わっていた。
(ミサカはなんで負の感情が出なかったんだろう…?)
一方、番外個体は自問自答していた。
何故なら彼女特有の負の感情が発露しなかったから。
理由はわからない。
素直に自分の気持ちを伝えることができた。
ただ、負の感情が発露しなかった代わりに、「ありがとう」の一言を一方通行に伝えることができなかった事が番外個体の僅かながらの心残りだったが。
(『ありがとね、一方通行』の一言がなんで言えないのよ…!ミサカのバカバカバカ)
「なんで二人とも気恥ずかしそうにしてるの?もっと一杯話せばいいじゃんってミサカはミサカは提案してみるっ!」
「「………………」」
291 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:20:21.81 ID:mkjc2xg0
シーン…。
またも生まれる沈黙。
(番外個体かな、それともあなた?もしかして…恋してるのかな?)
生後数か月の打ち止めは学習装置で取得した知識をフル稼働して現況を推理している。
結果は二人だけにしてあげた方がいいという結論に達したそうだ。
(うーん…ちょっと二人にしてあげますかねー…ミサカはミサカは空気の読み手になってみる!)
「ちょっとお手洗いに行ってきまーすってミサカはミサカは小声で言ってみる…!」
子供用の椅子に座っている打ち止めはひょいっと立ち上がってトイレを探す。
「あ、打ち止め?お手洗いはそこの角を曲がったところよー!」
「うん、ありがとー☆」
サンドイッチをほめてもらった嬉しさに次ぐ照れと何を話したらいいかわからない緊張で黙りこくっていた番外個体。
彼女は打ち止めのお手洗い宣言をわたりに船とばかりに思い、やっと発言したようだ。
(お手洗いにはいきませーん!このままミサカはミサカは二人がどうなるかを監視してみたりっ!)
打ち止めはトイレの方へと消えてい…かずに化粧室の入口に繋がる角から、ちらりとトニートニーチョッパーよろしく覗き込むことにした。
(ふふふ…あの二人…何を話すのかなぁ?ミサカはミサカはあの二人の関係を突き詰めてやるって意気込んでみたり!)
292 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:21:54.11 ID:mkjc2xg0
(あーここかな?小萌地図が雑すぎてよくわからないのよ…全く…)
結標は小萌の書いた地図をたどりながら、何とかパン屋に着いた。
(えーっとこの『リンゴベーカリー』って所でいいのよね?喫茶店と一緒なのかな?あっちにもう一つ出入り口があるみたいだし…)
(あーあー…お腹減ったしさっさと買って帰りましょ…って…)
「なによ…あれ」
先程まで一方通行達が道路の反対側で番外個体を見ていたのと同じように結標は『リンゴベーカリー』の反対側にいた。
人の数も車の数もそれなりにあるこの通りでは良く店内の状況が見えない。
が、しかし結標がつい言葉を発してしまうとは、一体彼女は何を見たのであろうか?
293 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:24:44.24 ID:mkjc2xg0
パン屋から右へ視線を移していくと…喫茶店の『リンゴべーカリー』が見える。
そこの窓側の座席に座っているのは…
(一方通行?…………と超電磁砲?にしちゃやけに大人びているような…?)
(なによ…なによ…喫茶店巡りとかしちゃってるの?あの超電磁砲モドキと?)
結標はかつて御坂美琴のクローンに関して触れる程の、学生としては異例の数少ない立場にいたのである。
(けど…あれは見たことないわね…超電磁砲のクローンなら…情報バンクで見たことあるけど…いや、でも現に目の前に超電磁砲にそっくりな人がいるし…)
(もしかして……一方通行の……?)
また学園都市の訳のわからない計画でも発動したのだろうか。
(いいえ…そんな事はどうでもいいわ。超電磁砲モドキが一体何者か…それだけ知れれば…)
結標はそう考え、ただ二車線道路の先からふたりの会話を見ていた。
294 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:27:53.37 ID:mkjc2xg0
(なによ…超電磁砲のお姉さんだかなんだか知らないけど…付き合ってるの?あれ?いや、でも…)
でも…といいつつも結標はそれを反論できる証拠も何もない。
ただ、数メートル先にいる二人が何も話さずに同じ座席に座っているだけ。
(私、明日一方通行と二人でカフェ行くのよ…カフェ…でも、昨日の電話だとデートっていったのは一方通行だし…兵器並記併記よ!落ち着け私!)
(まだあの二人が付き合ってるって決まった訳じゃないし…!考えるだけ無駄ね…!よし…!)
ええい!と腹を決めて結標は車の来ないタイミングを見計らって道路を渡り、『リンゴベーカリー』へ入店する。
チリンチリン…
入店を知らせる音が鳴る。
お客様がいかなる事を考えていようとも我関せず鳴る入店のベルの音。
出来れば消えて欲しい音だが、入店客がいる限り消えることはない。
「いらっしゃいませー」
従業員の何人かが挨拶をする。
休憩中で一方通行がいる座席に座っている番外個体は何も言わなかったが。
295 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:29:51.18 ID:mkjc2xg0
沈黙はそれほど長く続かなかった。
番外個体の休憩時間があと十五分くらいと差し迫っていたからかもしれない。
「ねぇ…一方通行?今度いつあいてんの?ミサカに教えてよ」
長いこと沈黙が支配していたがそれを打ち破ったのは番外個体だった。
「いつあいてる…ってどォいう事だよ、オイ」
「その…あのさ…」
番外個体は両手をグッと握る。
握ってみて初めて自分が手汗をかいていた事にきづく。
(あれれれrrrr?ミサカ、緊張してるの?)
296 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:32:50.31 ID:mkjc2xg0
結標はまずは小萌に言われた通り、パンを購入しようと思い、店内のトレーとトングを取る。
(このパンも美味しそうね…いや、このパンも…ってなに?これ。東北のジャムと古河パンが奇跡のコラボ?おいしそうじゃない…)
(いやいやいやいや…駄目だ…。色がカオスすぎるわね…。にしても…)
結標はパン屋から見える喫茶店のフロアをちらと覗こうとする。
(二人が何話すか気になって仕方がないわ…!)
都内から運ばれてきた謎の古河パンなるものを手に取り、また戻す。
結標は窓側座席にいる超電磁砲モドキと一方通行の会話が気になって仕方ないようだ。
(ばれないように聞ける場所ないかしら…いや、盗み聞きとかじゃなくて…!えーっとですね…!)
別に誰に言っている訳でもないのだが、結標は自分に言い聞かせてとりあえず正当化。
彼女は入店した際に取った、パンを取るトングとトレーを元の位置に戻して喫茶店の方に行こうとする。
297 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:33:29.69 ID:mkjc2xg0
(この際…ばれてもいいかしら…いや…超電磁砲とか…完全にトラウマだわ…あの忌々しい女の表情とか見たくないし…)
(でも…明日一方通行と遊ぶっていったのは私だし)
(しかもあの超電磁砲モドキと確たる関係があるって決まったわけではない!)
(…あー…何であんな男に私は惚れちゃったのかしらねー…私)
結標はそんな事を考えながらさながら不審者のように喫茶店とパン屋の接続通路の辺りで喫茶店の様子をうかがう。
しかし、我慢の限界が来たのだろう。
うろうろしている結標はゆっくり静かに喫茶店の方へと入った。
298 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:37:57.37 ID:mkjc2xg0
――窓側座席(番外個体と一方通行)
窓側の座席に座っている番外個体と一方通行。
通路側にいる一方通行は結標が来ている事に外を見る様な状況になっていて気づいていない。
番外個体も顔を上げれば結標が喫茶店に来ている事を顔を上げれば確認できたのだが、下を向いていた為に気づかない。
「黙ってないでしゃべったらどォなンですかァ?番外個体さン」
「うるさい。少し黙れ」
(あーまたミサカのバカバカバカ……けど、一方通行の方を見て話したら…なんか訳の分からない事いっちゃいそうだし…)
何度も繰り返しになるが番外個体は負の感情、特に一方通行に対してそれが発露しやすい体のつくりになっている。
故に何か言おうとしてもその言いたい事柄を伝える事ができないか、それを歪曲したような表現になってしまう事がある。
(言うしかないかな…?でも、口頭じゃ…ちょっと自信がない…)
「ミサカ…負の感情を拾いやすいって知ってるよね?一方通行」
「いンや…口がワリィ女だとは思ってたが…そういう機構になってるたァしらなかったわ…」
そういうと一方通行は湯気が出ているコーヒーを一口頼む。
299 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:38:41.30 ID:mkjc2xg0
――通路席(結標淡希)
結標はちょうど一方通行達と通路を隔てて真後ろの席に座る。
布束がシルバー類(ナイフやフォークスプーン)の入った容器を持ってくる。
「ご注文がおきまりになりましたらお呼び下さい」
(危なかったー!超電磁砲モドキが顔あげた瞬間…ギリセーフよね?)
番外個体が顔を上げる直前にさっと身を翻して結標は通路を隔て、一方通行に背中を向けるような構図で座った。
勿論ご注文なんざする気にならない。
二人が何を話すか…それが気になって仕方ないからここまできてしまったのだ。
(いやぁ…何でここまで私積極的なんだ?あはは…)
自分でも一方通行と話している女の正体が気になってここまで積極的な行動に出れた自分に驚いているようだ。
(しかも、よく考えるとこの状況…すっごいカオスね…)
結標は今更ながら自分がここまでばれずに来たことを僥倖だと思いつつもこの後どうするかを考えていなかった。
(取り敢えず…ばれないよーに…突っ伏すしかないわね…)
(ってか…通路隔てて2.5メートル程の所に一方通行と謎の女がいます!)
結標TV局がさながら台風接近を伝える様に切迫した状況を伝える…勿論視聴者は結標のみだが。
寝たふりをしたように机に突っ伏す結標。
300 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:45:53.47 ID:mkjc2xg0
ばれないように…といっても赤い髪は相当目立つ。
学園都市でも赤髪は某自称十四才のノッポの魔術師くらいしかいないだろう。
いや、彼はガチガチのブリティッシュだから学園都市の人間とはいわないが。
「ミサカ…負の感情を拾いやすいって知ってるよね?一方通行」
(負の感情?…なんだそれ?)
きこえてくる話に耳を傾けながらも、結標は頭にクエスチョンマークが浮かび上がっていた。
「いンや…口ワリィ女だとは思ってたが…そういう機構になってるたァしらなかったわ…」
(機構?っていうかやぱりあの女は超電磁砲と関係があるっぽいわね…ミサカって言ってるよーだし…ってか一体何者?)
さて、二人の会話はもれなく近くにいる結標の耳にも入ってくる。
(…まったく…何を話してるのかしら?ってかこれじゃ私ただ単に盗み聞きしてるだけじゃない…はぁ)
301 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:50:25.69 ID:mkjc2xg0
結標の後悔はさておき番外個体は自分の負の感情と恥ずかしさに押しつぶされないように意識を保ち、そして切り出す。
「ミサカ、今からいいたいこと紙に書くから…いい?しっかり読まなきゃマジで怒るからね」
(筆談の方がまだ自分のいいたい事を伝えれる気がする…)
(紙に頼るなんて、ミサカ情けないなぁ…でも…これが一番いい方法だよね…?)
番外個体はスラックスの中から伝票を出す。
ボールペンでそれを書き、一方通行に渡す。
負の感情が発露しないベストな方法で。
“今度いつあいてる?あいてるならミサカと遊ぼうよ”
(ちゃんとかけた…筆談でも死ねとか怒るよとかバカみたいなこと言ったらたまったもんじゃないって思ったけど…書けた書けた)
「ったく………」
(筆談たァ…かわいいじゃねェか…にしてもまた誘われちまったなァ…)
「何?」
番外個体の問いかけには答えない。
紙を見たであろう一方通行も何も言わなかった。
ただ『ったく………』とその後に今日の数十分で訪れた何度も訪れた沈黙が忘れ物を取りに来た学生のように再び流れた。
302 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:51:52.60 ID:mkjc2xg0
(昨日は結標に誘われて…それで今日はコイツか…)
(明らかに二人は俺に気がある…のか?いや…どォなンだ!オイ!)
当事者以外の人たちは誰もその質問には答えられない。
(そして…)
一方通行は番外個体から貰った紙をぼにゃりと眺めて思う。
番外個体と結標の事ではない。
(俺自身は何してェンだ?どォしてェんだよ…!)
一方通行は自分の気持ちが今誰にあるか、いや、それ以前に自分は何をしたいのか、そういう事が一緒くたになって溶けるように、自分の思考が停滞していく感覚を味わう。
(確かに遊びに誘われたのは嬉しい…ケド。こォいう時はどうしたらいいンだ?)
303 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:52:24.78 ID:mkjc2xg0
「さーって、ミサカはそろそろ行くかなー。ちゃんとその紙の返事待ってるからねー、無視したらやだよ?なんてねー、ひゃはは」
(まただ…もう口の悪いミサカはデフォなんだね…あーあー)
「…はいよォ」
一方通行は番外個体の渡した紙を綺麗なモノグラムマルチカラーのヴィトンの財布に折らずにいれる。
それを確認すると番外個体は座席から立ち上がる。
とその時、ふと前の座席にこちらに背中を向けて座っている赤い髪の女がいる事に気付いた。
(……まさか?見覚えがあるわね…)
番外個体の勘が告げる。
これは以前見たことのある人だと…。
(…確か……結標とかいう女?)
番外個体は赤い髪で白いセミロングのジャケットをきている女の横を通る際にちらりと見た。
304 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:53:23.87 ID:mkjc2xg0
すると彼女もこちらを見ていたようでがっちり目が合ってしまった。
一瞬時間がとまったような錯覚を味わう二人。
結標はばれずに会話をきこうとして突っ伏していた。
が、その体勢でいる自分が馬鹿らしくなり、目は泳ぎつつも、背筋を伸ばして座り直していたのである。
「…ミサカ、あなたの事知ってるよ」
休憩終了時刻まであと僅かだが、急ぐそぶりも見せず、むしろ落ち着き払った様子で番外個体は視線をそらさずに結標に話しかける。
「へぇ、私は知らないけどね。よかったらあなたの事も教えてくれないかしら」
同じく結標も瞬きせずに番外個体の発言に返答する。
結標も番外個体も笑っているものの、目は笑っていない。飽くまで冷淡そのもの。
「私はミサカだよ。結標さん」
その名前を番外個体が発した瞬間、一方通行がガバッと振り返る。
番外個体と結標がそろってお互いの目を見ながら話している光景が。
その光景は決して友好的なものには見えなかった。
かといってお互いに険悪でもない。
305 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 02:56:34.62 ID:mkjc2xg0
しかし淡々と、そして平坦に展開されている無機質な会話の応酬、はたまた機械同士の会話が展開されていく。
(オイオイ、どォしてココに結標がいるンですかァ?)
今更ながら結標が来店していることに気づいた一方通行は椅子に右手をかけて体をひねるようにして二人の会話を注視していた。
そんな一方通行も蚊帳の外に置き、二人は話す。
そう飽くまで淡々に、平坦なトーンで。
「あなたでしょ?前にミサカが電話してた時にギャアギャア騒いでた人」
前に?と一瞬結標が怪訝な表情を浮かべ、泥酔した時の宴会騒ぎを思い出す。
306 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:05:28.33 ID:vMEKR7c0
あわきんとミサワの修羅場きたこれ
307 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:06:49.13 ID:zX7MFsMo
なんというnice boat.フラグ
308 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:09:01.39 ID:mkjc2xg0
「ごめんなさい、酔ってて騒いじゃったみたい。あんまり覚えてないの」
「いや、いいんだけどサ」
(品のない女ねぇ…酔ってて騒ぐとか…)
「所で…ミサカさん、あなた一方通行の何?」
(あんなに仲良してて…一体何よ!?)
結標の質問に番外個体は少しだけ動揺するがそれを表情に出す事はしない。
「ただの知り合いだけど。…ね?一方通行」
(現時点では、だけどね)
「あ、あァ…」
こくりと動揺しつつ頷く一方通行。
「結標さんは一方通行のなに?」
(ホラ、答えてみろ、赤髪)
「ふふ、安心して、ただの知り合いだから。ねっ、一方通行?」
(いまはね)
結標は眉一つ動かさず、淡々と話していく。
「あ、あァ」
二人に対して歯切れの悪い返事を寄越す一方通行。
309 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:09:17.70 ID:Oyuolnco
(( (゚д゚ ;) ))
310 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:12:00.14 ID:mkjc2xg0
(番外個体かぁー…)
(結標淡希さんねぇ…)
学園都市で出会った大能力者二人。
彼女たちはお互いを心の内で認め合った。
認めると言っても親友とか友誼を確かめ合い、認め合うとかそういうあたたかい物では断じてない。
((間違いないわね………))
そう。お互いのことを恋敵として認めたのだ。
((この人、一方通行の事が好きだ))
「じゃ、私パン買うからいくわね、ミサカさん。お勧めは何かしら?」
(さっさと買って帰るとしますかねー)
「サンドイッチ。美味しいよ。…どこの店よりも」
(うひひ一方通行も食べた私の作ったサンドイッチ食べてみろっ!)
最後の方は自然と語調に力が入ってしまった。
そう。彼女の作ったサンドイッチは一方通行のお墨付きだ。
故に番外個体的には今、最もお勧めだ。
多店舗のどのサンドイッチにも負けない、気持ちを込めて作った一品だから。
「…そう。そこまで言うなら、買ってみるわ」
(この超電磁砲モドキ、一方通行に私がサンドイッチを勧めた話を知ってるのかしら?ま、どーでもいっか)
311 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:14:12.92 ID:mkjc2xg0
「…そう。そこまで言うなら、買ってみるわ」
(この超電磁砲モドキ、一方通行に私がサンドイッチを勧めた話を知ってるのかしら?ま、どーでもいっか)
「ありがとね、ミサカの作ったサンドイッチだから、おいしいよ」
(おめぇにわかるかよ、この味が)
「あら、ミサカさんがそこまで言うなら買わなきゃね。ふふ」
(ちっ…一方通行と会えたのはよかったけど…新たにライバル登場…?なのかしら?)
おねがいねー、といいながら裏手に消えていく番外個体。
一触即発(?)のような雰囲気の中、二人の会話は終了した。
しばらくの沈黙の後、結標は一方通行の方を振り返る。
先程まで番外個体と繰り広げていた会話は必ずしも一方通行にとって聞こえのいい物ではなかった。
直接的な表現は避けた物の、お互いがいやみに近い感じの言葉を吐いた。
その事が彼女に謝らせる気を沸かせたのだろうか。
謝罪の意がどこにあるかは分からないが、結標はとたんに言いしれぬ罪悪感にとらわれる。
(私…冷静を装ってたけど…ひどい顔してただろうな…)
(そんな表情を一方通行に見られたら…)
ともあれ、結標は椅子から振り返る姿勢から、立ちあがって一方通行に軽く頭を下げる。
312 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:16:41.69 ID:mkjc2xg0
「……なんかごめん」
(なーにあんな超電磁砲もどきにムキになってるのよ?私の方が一方通行の事知ってるはず…なんだし…取りたてて気にすることないじゃない…!)
「いンや気にしてねェから、安心しな」
「……うん。ありがと…//」
「あァ…」
(…だから…なンでそンな顔赤ェンだよ、結標)
結標の顔はさき程番外個体としていた時の無表情で氷の様な面構えとはうってかわって赤面していた。
(はぁ…私、あなたに惚れてるみたいだわ。一方通行)
「じゃ、私パン買って帰るから…。その…明日の事は連絡は後でするから」
「はいよ」
結標は喫茶店のフロアからパン屋に移動して番外個体の作ったサンドイッチとメロンパン、アステカパン等を買って出て行った。
313 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:17:42.87 ID:mkjc2xg0
一方通行は心情複雑な気分だった。
もやもやした、黒い糸が絡まった様な…そんな気分だった。
それもそのはず。
つい先程まで目の前で番外個体と結標が自分の事で話題を展開していたのを聞いたのだから。
彼女達の話題は別に悪口ではない。
女二人の会話は含みのある、露骨さは無いまでも水面下で散る静かな炎のような。
いや、刀同士のつばぜり合いのような。つばぜり合いと言っても露骨に剣戟を交えるわけではない。
言うなれば間合いの取り合いだけの勝負と言ったほうがいいかもしれない。
はたまた何故か一方通行はダリの描いた内乱の予感のまがまがしい巨人を想像したそうだ。
(チッ…。自惚れであって欲しいが…あの二人は…)
ここ数日で何度悩んだか。
一方通行は銀髪をかきむしる。
(こンなオレに気がある……のか?)
今まで恋愛とか恋と言ったものから最も無縁だった一方通行。
(いや、まだわからねェ…ただ意地の張り合いっつゥ事も有り得る…?)
その意地の張り合いは何がきっかけで起きているのか…ちょっと考え一方通行は自分の思考能力の浅はかさを思い知り、また銀髪をかきむしる。
(俺の考え過ぎじゃなけりゃァ…何かしらアイツ等は俺を巡って…?あー!わっかンねェ!オレの考えすぎか…?)
「あなた、大変だね、ミサカはミサカは修羅場を目撃した第三者としてあなたに言ってみる」
314 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:18:26.59 ID:mkjc2xg0
一方通行が自分の懸念を打ち消そうと思っていたその矢先。
打ち止めが長すぎるお手洗いから戻って来た。
「どォいう事だよ…クソガキ。教えろ」
「あの赤い髪の人も、番外個体も多分あなたに興味があると思うってミサカはミサカはつたない予想だけど、言ってみる」
「クソガキ、ハナからお手洗いなンざいってねェだろ…」
「あれれ?ばれてた?ミサカはミサカは最初は番外個体とふたりきりになって話すのを見てたんだけど、その……赤い髪の人と番外個体が話しはじめて…」
あはは…と気まずそうにアホ毛をくるくるいじる打ち止め。
「それで戻るに戻れなくなったって訳ですか」
「うん…それで、……あなたはどうしたいの?」
「……オレは……わからねェ…」
(畜生が…どいつもこいつもオレに答えを求めたがる…)
「ホラ、行くぞ、クソガキ」
一方通行は机に刺さった伝票を取り、会計に向かう。
伝票を持った時、一瞬番外個体が自分に紙を渡した時の苛立っている様な、はにかんでいるような複雑な表情をしていたことを思い出す。
315 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:19:08.35 ID:mkjc2xg0
そしてその紙の内容も。
紙は一方通行の財布に大切にしまってある。
(ホント、なンだってンだ…調子狂うぜ…)
幸か不幸か彼の伝票を処理したのは番外個体ではなくマユゲの太さを必死に隠すために前髪を延ばしている少女だった。
「ありがとうございましたー。またのご利用お待ちしています!」
コンビニのロボットの様な店員と違って、重福の元気のいい声が『リンゴベーカリー』に響く。
316 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/09(木) 03:20:46.91 ID:mkjc2xg0
眠い。
寝ます。
修羅場はもうワンシーンくらい作品中に出そうと思います。
こんな夜中にレスくれた皆さま、また、読んでくれた方々に感謝。
ではお休みなさい!
また明日お会いしましょう。
番外個体もあわきんもかわいい。
317 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:22:55.59 ID:Oyuolnco
乙乙
風邪ひかないようにな
318 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:23:02.90 ID:zX7MFsMo
おつかれ
なんかもう第一位もげろ、まじで
では拙者は打ち止めたんとおねんねするでござる
319 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:23:48.82 ID:cecymkco
じゃあ俺はオリジナルと
320 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:26:16.25 ID:vMEKR7c0
あわきんもミサワも好きだ
修羅場なのにニヤニヤしちまうぜ
321 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:28:24.37 ID:auQQzwE0
おつ
>番外個体もあわきんもかわいい
大いに同意するがスレタイが怖いな
頑張れあわきん!
322 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 03:31:37.67 ID:WTESKzIo
乙
323 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 18:16:34.64 ID:FMg9NSMo
乙
どっかのフラグメーカーみたいなハーレムエンドはねえよな
324 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 20:07:27.52 ID:zxIqjDo0
どっちを応援すればいいんだあああああああああ
楽しみすぎる・・・
325 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/09(木) 23:05:27.32 ID:mkjc2xg0
今日の深夜に投下します!
326 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/09(木) 23:07:19.17 ID:tuwi8c.o
どっちも好きだぁぁぁ!
期待してる!
327 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:18:51.82 ID:gw5B2JM0
昨日のあらすじ。
番外個体と結標はついにはちあわせてしまいました。
お互い女の勘?のようなもので一方通行に好意を寄せている事を感じ取ります。
そしてそんなちょっとした修羅場が終了したあたりからです。
ではどうぞ。
328 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:20:36.82 ID:gw5B2JM0
――黄泉川宅、十八時半
すぅすぅ聞こえる打ち止めの寝息。
どうやら昼寝の延長で寝てしまっているようだ。
一方通行は部屋に掛かっている時計を見る。
(十八時半…)
喫茶店から打ち止めとかえって来てみると黄泉川は年末年始の警備員の大増員で
風紀委員との合同会議の為、家に着くのが遅れるとの事。
作ってあった夕飯をレンジでチンして食べ終わる。
芳川は最近始めた近くのクリニックで今までの技術を活かして医者の補助や事務を行っている様で、今日はその夜勤だ。
(結標から連絡こねェじゃねェか…何やってンだ)
明日カフェに行こうと言い出した結標から連絡が来ない。
(ありゃ…冗談だったンですかァ!?またぞろ土御門あたりが企画したドッキリか………なら…オレの悩みなンざ…)
ウィーン、ウィーン。
静かに、だがはっきりと鳴り響くケイタイのバイブレーション。
一方通行の携帯電話が机の上でふるえている。
329 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:21:07.66 ID:gw5B2JM0
(……………)
一方通行は机に置いてあるケイタイを取ろうとする。
カーテンを開けて眺めていた夕日に照らされた、学園都市の屹立した巨大なビル郡から一度視野を部屋に向ける。
赤く光るケイタイ電話の両サイド。ディスプレイには―――
330 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:21:38.11 ID:gw5B2JM0
――『リンゴベーカリー』十八時ごろ
「いやー、いきなりサプライズパーティーなんて開いてもらって申し訳ありません!」
番外個体は恥ずかしそうに後頭部をかく。
番外個体はバイトを上がったら待つように店長から言われ、待合室にいた。
その後、店長に呼ばれ、休憩室からフロアに移動すると机の上には小さいケーキと軽い度数のお酒、ソフトドリンク、各種ピザが準備されていた。
「あのー?これは?」
「ん?まだ歓迎会やってなかったじゃないか、ミサカ君の」
そして今に至る、という訳だ。
「いやーミサカはんがかえってしまうんやないかおもたんやケド、重福はんナイスや」
親指をグッと突き立てる青ピ。
番外個体はバイトを上がって帰ろうとしていたので重福が必死に話しかけまくって帰るのを踏みとどまらせたそうだ。
「えへへ、結構頑張りましたよー。ジュース取りにいこうとしたりミサカさんがするからいちいち私が取りにいくんですもん」
番外個体は驚きながらフロアをみるとキッチン服のままの介旅と鉄網、布束もいる。
331 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:23:05.03 ID:gw5B2JM0
フロアの真ん中にあるケーキを作ったのは彼ら二人だ。
さらに見たことのない人達が何人かいる。
「えーっとすいませんがお名前をお伺いしても……?」
(派手な服ねー…何よ私服がキャバ嬢?)
番外個体は一番目立っているキャバ嬢の様な女に話しかける。
「今私がキャバ嬢だとか思ったでしょー?」
(ひゃー、猫目の気の強そうな人ねー今回の新人は)
「いえ、ってかなんでわかったんですか?」
(心理系の能力者なのか?)
「うーん、そうねー、今まで色んな人の思考を見て来たからねぇー、だいたいわかっちゃうのよー、視線とか、表情で何を考えてるか、精細にね」
332 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:24:14.74 ID:gw5B2JM0
番外個体が話しかけたドレスの女は膝辺りまである黒のモンクレールのダウンジャケットをきて、その下にうすいピンクのカーディガンに白いドレス。
胸のすぐ下にはドデカイ同色のエナメル調のテカテカしたリボンが。
靴はDOLCE&GABBANAのピンヒールでやはりエナメル調のもの。
そんな格好を見れば、番外個体がキャバ嬢と勘違いしてするのも無理もないだろう。
胸は白いリボンであげてるとはいえ、お世辞にも大きいとは言えないが、それをカバーしてなお余りあるルックスの美女。
「ほな、ミサカはん戸惑ってるやないか、名前名前!」
「名前は言わない約束でここ入ったんでしょー?ってかあなただってレベル5隠してるくせに…」
「ちょ…ねえはんそれ言わない約束ー!」
心理定規は青ピからはどうやら姐さんと呼ばれているそうだ。
確かに風格からしてもそのオーラはわかる。
333 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:25:55.98 ID:gw5B2JM0
(この人ミサカみたいに言えない事情があるのかな?ってか青ピ君、レベル5なんだ…すごい)
そんな謎のドレスの女と青ピを見て番外個体が少し眉の上あたりに皺が寄った、警戒した様な表情になる
それに気付いた心理定規は番外個体の方を向き、にこりと笑う。
「へーき、へーき危ない人じゃないから安心して!えーっと……」
「あっ、ミサカです」
(この人いくつよ?私とタメ?年下?年上?)
「まー、私は青ピが言った通りなんだけど、心理定規って呼んで下さいね、ミサカさん。目、綺麗ですね」
「えっ?そうですか?あっ、ありがとう…」
(ぐぁーっ、ペースが掴めないわね、この人。でも悪い人じゃなさそう…)
「ほら、あんたもさっさと自己紹介しなさい?」
心理定規が肩を小突く。
ついついドレスの女が目立ちすぎて気付かなかったが、こいつも相当派手だ。
ニューエラのキャップ、ぶかぶかにきたグレーのパーカーに紺のカーハートのダウンベスト。
これみよがしと目立つエビスのカモメをちりばめたジーンズ。
NIKEのターミネーターを履いた男。
「うっせぇなー姐さんは。あー…俺は服部半蔵だよろしく」
334 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:27:05.79 ID:gw5B2JM0
「あっ、はい。ミサカですっ!よろしくお願いしますっ」
(ひゃー目立つわねー…この人)
「ふふふ…この人、忍者の末裔の癖にこんな目立ってる格好しておかしいでしょ…?」
ちらりと番外個体は半蔵を見る。
「いやー…トレンドな格好をすれば結構まぎれるんじゃないですかね?」
「あれ?そういうものかしら?」
「ありがとう。えーっとミサカさん?」
あ、はいと答える番外個体。
忍者の末裔である半蔵いわく、最近のファッションで決めて逆に大衆間に紛れようとの考えらしい。
でたどり着いた結果がこれだが、ジーンズのポケットのみならず全体にカモメをちりばめたジーンズは目立ち過ぎです、半蔵さん。
335 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:31:17.12 ID:gw5B2JM0
会話はどうやら心理定規中心に進んでいるようだ。
「あれ?青ピ、今日恵未は?」
「あー、めぐちゃんは今日はどしてもこれへんからよろしくだってさ」
「めぐちゃん?かわいらしいあだ名ですねー」
番外個体は月並みな事を言ったつもりだが一同はニヤニヤしている。
「あー、恵未は筋肉女よ。多分近いうちにラインかぶってると思うからその時わかるわ。ぜんっぜんかわいくないし、規則に厳しいから!パンの廃棄はちゃんと徹底しろー!とか」
「ほな、今日はこれで全員やなー」
336 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:32:45.50 ID:gw5B2JM0
青ピがそういうとショーケースにあるグラスを店長や布束が用意する。
番外個体も手伝おうとするが重福に止められる。
「今日はミサカさんの歓迎会なんで…」
「え?あ…はい。ありがとうございます…」
(うわー。歓迎会とか…生れてはじめてかも…!)
「よっし!じゃ、準備も整ったし、始めるか!」
介旅が柄にもなく仕切ろうとする。
「あーっ、ワリイ介旅。オマエ仕切るキャラじゃねーぞ?」
半蔵の指摘にしゅんと黙ってしまう介旅。
鉄網が無言で介旅の肩をさすってやる。
「ですよねー」
自嘲気味に言う介旅。
「イメチェン失敗介旅」
目の下にクマを作っている鉄網が耳打ちする。
「うっせ鉄網」
337 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:37:34.13 ID:gw5B2JM0
わいわいがやがや
なんだかんだで準備が整い、乾杯の音頭は店長が務めることに。
「では、ミサカさんこれからもよろしく!カンパーイ」
「カンパーイ!」
「ありがとー!」
『リンゴベーカリー』でささやかな歓迎会兼飲み会がはじまった。
338 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:45:15.34 ID:gw5B2JM0
時間は少し戻り、黄泉川宅
ウィーン、ウィーン。
一方通行の携帯電話が着信をしらせている。
夕日に照らされていた学園都市の高層ビル郡もう夕闇にのまれ、切絵のように切り取られながら影を浮かび上がらせている。
そしてその瞬間、闇にとっぷりと浸かっていくダイナポリス。
そんな光景を窓越しに眺めながら缶コーヒーをのんでいた彼はおもむろに机に置かれている携帯を取る。
携帯のディスプレイを見ると<結標淡希>と表示されていた。
339 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:50:13.49 ID:gw5B2JM0
「はい、一方通行だァ」
(…ったく待たせやがって。パン屋から帰って来て何時間経ってると思ってンだ?)
『…わ、わ、私だけど。わかる?』
「………あァ」
(なンでこンなに結標の声が震えてるンですかァ?)
『あ、明日の話なんだけど…、一時に第七学区の立川駅前に、き、き、来てほしいんだけど…』
「はいよ」
(結標は…なんでオレの事を誘う?たかがカフェに行くくらい…いや?どォなンだ?)
『一方通行は今日一緒にいた超電磁砲の大人みたいな奴とどんな関係なの?』
「……ただの知り合いだよ、知り合い」
すると、受話器ごしからはホッと結標のため息が聞こえてくる。
340 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:50:42.94 ID:gw5B2JM0
――小萌宅の近くの公園
やはり冬の夜は長い。時刻はまだ十八時というのにこの寒さ。
結標は震える手で一方通行と電話していた。
寒いからなのか、それとも緊張しているのか。
『……ただの知り合いだよ、知り合い』
(よかった…てっきり付き合ってるのかと思ったわ…)
結標はお昼時に番外個体と話した内容を思い出す。
341 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:52:42.82 ID:gw5B2JM0
〜回想〜
『所で…ミサカさん、あなた一方通行の何?』
『ただの知り合いだけど。…ね?一方通行』
『結標さんは一方通行のなに?』
『ふふ、安心して、ただの知り合いだから。ねっ、一方通行?』
〜回想終了〜
342 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:53:28.81 ID:gw5B2JM0
思いだされる会話の断片。
気丈にふるまったつもりでも内心はドキドキを通り越して意味がわからないことになっていた。
(今はフリーでも…早くしないとあの超電磁砲もどきに先をこされちゃう…!)
(安心しちゃいられないのよね…)
改めて結標は脳内で番外個体の事を恋仇として認定する。
すると、一瞬、パン屋で話した時の番外個体の表情が頭の中でちらほらと浮かぶ。
(クソッ…ミサカっていう名前の女は私に迷惑かけるのがとっことん好きなようね…)
結標は言い知れないどろどろした様な、水飴の様にゆっくりと、思考の中を黒い粘着質の液体が駆け回る様な感覚を覚える。
その直後、自分が番外個体に向けた無表情で氷の様につめたい表情を思い出し苦笑する。
343 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:55:40.31 ID:gw5B2JM0
(一人の男のためにこんなに必死に電話したり、私おかしくなっちゃたのかな?)
「一方通行、パン屋さんでごめんね、見苦しい所見せちゃって」
「だから…それは言うなって。気にしてねェ」
一方通行は気付いていたのだろうか。
結標の冷静さとは違う、冷徹な、絶対に負けまいと心に込めた。
あの相手を見下したゴミを見るかの様な醜悪な表情。
だけど一方通行はそれに気付くかどうかではなく、彼女を許す、赦す。
「明日…映画もみたいな」
『…………』
わがままは承知している。
カフェという範囲をとうに飛び越えた、あまりにも突飛すぎる提案。
『…………何がみてェンだよ』
「相棒…」
きゅっと携帯を強く握る。心臓が破裂するのではないか。痛い。
『…いいぜ』
344 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:56:08.81 ID:gw5B2JM0
「……うん」
出来るならパン屋に行った記憶を消したい。いや、欲張りは言わない。
番外個体と面識を持つ直前のあのワンシーンに戻れないか。
自分の卑しい一面を見られたあの直前へと。
(一方通行の前では綺麗な自分だけを見せたかった…わがままだなー私も)
「あと…」
『お、オイオイ!まだなンかあるンですかァ?アハ』
「その笑い方気持ち悪いって」
(あ…笑った)
気持ち悪い、たしかに。けれどその笑い声を聞き、すこしだけ結標は安堵する。
けれどたしかに携帯電話のスピーカーは一方通行の奇妙な笑い声を聞きとった。
「ほんっと馬鹿みたいな笑い方…」
345 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:56:54.98 ID:gw5B2JM0
結標の目からは一滴の雫が落ちた。どんな話し合いよりも結標が聞きたかったもの。
パン屋で番外個体と話した後に見た一方通行の困惑した表情。
いや、怒っている様にも見えたその表情は結標の頭の中から離れなかった。
『この笑い方は癖なンですゥ』
「いいと思うよ、一方通行」
(その笑い声をきくだけで嬉し泣き出来るよ、私)
『…そンじゃま、また明日っつゥ事で…』
「うん…ありがと一方通行」
ピッと電話が切れる音がする。
日が暮れた公園に再び水をうったような静けさが戻る。
346 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:58:58.20 ID:gw5B2JM0
(……明日、何着ようかな)
暗くなった空を見つめても何も見えない。
頭の中に明日の服のコーディネートを思い浮かべる。
そして、彼女は自分の右胸の当たりを軽く押さえながら一言、小さく誰にも聞き取れない声で言う。
「…一方通行、大好きだよ」
ボソッと誰にも聞こえない声で自分の気持ちを声に出してみる。
カアァと自分の体温が上昇し血液が逆流する感覚を知覚する。
「はぁー…」
(一方通行…)
一方通行の事を考えれば考える程、火照っていく体。
結標は心地の良い、ふわふわしたような感覚に包まれながら帰路へ向かって行った。
347 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 03:59:31.21 ID:gw5B2JM0
寝ます!
また明日。
あわきん大好き。
348 :
最後追加!すいません
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/10(金) 04:05:04.11 ID:gw5B2JM0
通話を終えた一方通行は窓越しに見える学園都市の高層ビル郡を再び見上げる。
(アイツらはあくまで本能で行動してる…のか?)
一方通行は未だに番外個体と結標が好意を寄せている事が信じられなかった。
349 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 07:53:06.82 ID:NG7YOBwo
乙
なんて胸がキュンキュンする展開なんだ
350 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 08:22:07.35 ID:Ctx83I6o
パン屋やべえwwww
もうハーレムでいいんじゃないかなってry
351 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 10:53:33.25 ID:cQxNEHM0
この一方さんは両手に華でも殺意が沸いてこないな
どちらかを選ぶとか無理
352 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 11:11:27.60 ID:yBrKskso
うん、あわきん最強
353 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 12:29:08.91 ID:r.t6/cA0
キュン死しそうになる。
354 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/10(金) 22:58:31.07 ID:yBrKskso
今朝はちょうど3時に寝ちゃったからなぁ
もうちょい粘れば良かった…
355 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 10:11:11.49 ID:DmSfStk0
今日の夕方に投下します。
356 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[saga sage]:2010/12/11(土) 10:30:56.62 ID:.zP7N.Uo
wkwktktk
357 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[sage]:2010/12/11(土) 20:08:58.48 ID:DmSfStk0
あらすじ
番外個体と結標淡希は一方通行に惹かれていた。
そんな二人はお互いを恋仇として認識することに。
その日の夜、番外個体はパン屋『リンゴベーカリー』の歓迎会に参加する。
結標は明日のデートの集合場所等を決めるべく一方通行に電話している。
さて、少し投下しますよ
358 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:09:41.90 ID:DmSfStk0
「お疲れ様ー!」
「はいー!じゃこれからもよろしくねーミサカさん!」
パーティーは夜22時を少し回ったあたりでお開きになった。
青ピと重福はパン屋で住み込みだが、心理定規や半蔵、介旅、鉄網、布束は帰宅だ。
方角が同じ布束と心理定規と一緒に帰る番外個体。
「いやー、楽しかったねー今日は」
「そうね、bad あなたお酒飲みすぎ、未成年でしょ」
「あなたもねー、布束」
「布束さん、心理定規さん平気ですかね?」
「猫目ちゃん、気にしないで…平気よ」
「ね、ねこめっ?」
番外個体は布束に話しかけたつもりだったが、心理定規が酩酊しながら応える。
おそらく同年代位の年齢なのだが妙に大人びている心理定規。
彼女は泥酔していているようで、布束の肩を借りて歩いているありさまだ。
「猫目ちゃん…ちょっと頭かして?」
359 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:11:19.07 ID:DmSfStk0
「え?頭?」
心理定規がちょいちょいとこっちに来るように番外個体を呼ぶ。
「酔ってるよ?平気かな?ミサカ不安」
「平気平気…ホラ…」
「気をつけてね、ミサカさん。この人酔ってる時、勝手に人の頭覗くから。前に私も覗かれたわ」
え?と番外個体が心理定規に肩を貸している布束を見た時にはすでに遅く、ぴたりとおでこのあたりに心理定規の手が当たっていた。
「ふぅーん…近いね…あなたの思い人に対しての距離。すっごく」
「え?まさか///?好きな人とかわかるの?///」
(何、コイツ…)
番外個体の頬はすかさず赤くなる。
まだ心理定規の手は番外個体の手に触れられたままだ。
「えぇ。手に取るようにはっきりと。私この人きらーい」
「え?知ってるの?」
「うん。嫌というほど。あ、布束ありがと。多分あるける」
360 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:11:53.81 ID:DmSfStk0
「よいしょっと」
心理定規はこのクッソ寒い中ドレスと薄いカーディガンのままあるく。
ダウンは布束が持っている。
「なんで知ってるの?心理定規さん」
「コイツ…私の元彼氏壊したのよ。んでおしまい。元彼氏は今は白馬で冷蔵庫やってるって言ってたけど…もういいや。飽きちゃった」
(なんかミサカが知らない壮絶な過去があるのね…)
「私も気になるな…ミサカさんの気になる人、もしかして今日喫茶店の方にいた銀髪?」
「いや…えーっと…」
「うん。そうよ?ふふ」
「ちょっと…布束さん!」
番外個体があたふたしている間に心理定規が布束の質問に答える。
番外個体は冗談半分でギロッと心理定規の方を見るが、彼女はテヘッと笑いながら舌を出してごまかす。
361 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:12:51.16 ID:DmSfStk0
「あぁ…ミサカさん、一方通行の事が好きなんだ」
「…うん」
結局心理定規にばれて、連鎖的に布束にもばれてしまった。
二人ならそう簡単に人に公言しなさそうだから安心と言えば安心だが。
番外個体は下をうつむき、目の前の小石をポコンと蹴りながら頷く。
「布束、知ってるの?一方通行の事」
「えぇ。まぁ、前にちょっとだけ。顔を見たのは今回が初めてだけど」
(あの冷徹無比な男があんな小さい子を連れてるなんてねー。驚いたわ)
「あ、そうだ。ミサカさん?あなた猛烈に嫉妬してるわねーえーっとこれってあぁ、あいつか」
「赤髪の事は知ってるの?」
「えぇ。直接あったことはないけど、情報データバンクで見たことがあるわ」
(ちょっと…コイツどんな権限持ってるのよ?情報データバンクって…にしても…)
番外個体は驚きを隠せないでいると心理定規が続けて喋り続ける。
布束と番外個体は一緒に歩きながら彼女の話を聞いている。
「ミサカさんの心の中で最も距離が定まってないっていうか…遠いところにあるというか…取りあえず、この女で測定が難しい距離はこの場合嫉妬ね」
362 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/11(土) 20:19:28.49 ID:MEWd7sAO
白馬で冷蔵庫wwwwww
戻ってきたのは知らないのか、時系列が前なのかな?
363 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:31:13.02 ID:DmSfStk0
>>362
戻ってきたことを知らないって感じですね
-------------
「し、嫉妬?ミサカが?」
(何日か前までこんな感情湧かなかったのになー…)
「うん。嫉妬してるわよ?何。この赤い髪の女と一方通行は付き合ってるの?」
「いや…」
(ってか普通にミサカ恥ずかしいなぁ…なんでこんな話ししなきゃいけないんだ?)
「じゃ、ちょうどいいじゃない。あなたが先に奪っちゃいなさい。がんばりなさいよ。ほら、布束からも一言!」
「えーっと押しすぎると男は引いちゃうから…だから慎重に。多分恋とかしたことないだろうし…」
「かー!助言ですか!それは前に誰があなたに言ってあげたことかしらねー!布束」
「……」
なぜかいきなり黙りこくってしまう布束。
どうやら過去に心理定規の助言に従わず、痛い思いをしたようである。
364 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:32:30.40 ID:DmSfStk0
「ふふ、ミサカさん?この人ねー…昔ね、パン屋で働き始めた直後に半蔵君に一目ぼれしちゃって…」
布束の頭からぼんっと何か爆発するような音が聞こえてくる。
「えー!布束さん、どうなっちゃったんですか?ミサカめっちゃ気になります」
「あーあーあーあ!忘れて!皆忘れて!別にもう構わないから!………regret…心理定規の助言を聞いていれば…」
布束は結局ふられてしまったようだ。
「でさでさ、なんでミサカさんはミサカなの?」
「は?どうゆうことですか?言ってる意味がよくわからないんですが」
「ホラ…あれよあれ。名前が無いっておかしくない?」
心理定規は『リンゴベーカリー』にいた時、青ピに名前を聞くなと言った不文律をすっかり忘れているようだがお構いなしに質問する。
「いやー…あはは…ちょっと事情があって…」
布束は番外個体の名前を明かせない事情を知っているので敢えてノーコメントだが、それを知らない心理定規はずかずかと聞いてくる。
365 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:33:38.05 ID:DmSfStk0
(ちょっとこのドレス女…他人には聞くなとか言っておきながら…酒飲むと性質悪いわね…)
「ってか私も名前はあるんだけど…元彼氏に能力名でよく呼ばれてた名残でさ…いや、別に未練があるとか、そーゆーんじゃなくてね?ただ、懐かしいというか、懐古の念というか」
「so that means 未練たらたらね…心理定規?」
「うっさい!ホントあなたがどんな降られ方をしたかミサカさんに言うわよ?」
ヒィ!っと叫び声をあげる布束は番外個体の陰にさっと隠れる。
ほれほれー!と中年オヤジの様なノリでかさかさ動く心理定規との茶番劇が番外個体の周辺1.5メートルの間合いで展開されている。
「はぁ…はぁ…ホント言ったら殺すわよ?心理定規!寿命中断なめんな!はぁ、はぁ!」
「冗談、冗談!ちょっとからかい甲斐があるからついね…ふふ…ってミサカさん?」
心理定規と寿命中断、もとい布束がむー…と考え込んでいる番外個体の様を見て目を見合わせる。
「どうしたの?ミサカさん」
「このクソ心理が何かしたかしら?それとも私?」
「いや……心理定規さんも名前あるなんてうらやましいなーって…」
「ほら、心理定規さんも情報バンクにアクセスできる権限があるなら名前聞いたことあるかもしれないんですけど…」
番外個体が神妙な表情で続けて話す。
心理定規と布束も徐々に真剣な表情になっていく。
366 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:34:40.18 ID:DmSfStk0
「私、妹達の番外個体(ばんがいこたい)…としての第三シーズンの番外個体(ミサカワースト)なんだよねー」
(いいや。言っちゃえ)
「そう…第三位のクローンがいるってのは聞いたことあるけど、あなただったのね?」
(でもこんな大人びてたっけ?)
「いや、違うの。妹達はオリジナルって言っていいのかな?御坂美琴お姉様にそっくりなんだけど…私はちょっと違うのよ。少し年上っぽく調整されてるのよ」
「「……」」
((聞いちゃいけないこときいたかしら…))
「いやいや!しんみりしないで!二人とも!全然ホントマジで気にしてないから!ってかね?ほら?」
なんて返したらいいかわからない二人は黙りこくってしまう。
「あなたがそういうなら構わないと思うわ…however…名前が無いって結構やじゃない?」
「うーん…そう言われるとそうかもしれないなー…」
「その少しは私もあなたの事知っている身としては個性の一つとしてコードじゃなくて名前があってもいいと思うわ」
「でも、誰が名づけるのよ?」
心理定規が布束と番外個体の会話に割って入る。
「「確かに…」」
心理定規の質問に布束と番外個体は黙ってしまう。
クローンの名づけ人…?今まで聞いたことがない。
367 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:35:11.80 ID:DmSfStk0
名前とは概して両親、あるいは親族から付与されるものである。
しかし、番外個体はその親がいない。
しいていえば御坂美鈴か美琴。
だがこの二人はおそらく番外個体の存在すら知らないだろう。
そんな番外個体がいきなり名前をくださいと言いに行くのも意味不明だし、そもそも彼女たちが番外個体の事を見たらどんな行動に出るだろうか?
(名前ねー…いらない…て言ったら嘘になっちゃうんだよなぁ…)
(誰かつけてくれないかな?)
「そしたらさ…ミサカさん。今後ずっと一緒に居れるって思う人につけてもらったらどうかな?」
「どういう事?布束。私まだ婚約者とかいないし、彼氏もいないよ〜?うひひ」
「だから…今から作ればいいじゃない。最愛の人に名前をつけてもらえるって、すごい幸せなことじゃないかしら」
先ほどまで半蔵に振られた話をしていた時の動揺した、赤面していた時の布束と違い、うってかわって真面目な表情で語りだす。
368 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:35:38.86 ID:DmSfStk0
「培養旗から出てきたあなたに両親と呼べる人はいないかもしれない」
「例えば、両親と子は固い愛で繋がる。それは家族愛とか、そういう言葉で言い換えてもいいかもしれない」
あくまで、私の考えだけどね、と布束は付け足すと続けて話す。
「うーん…ミサカさんの境遇は正直理解しかねる。however…両親がいなければ愛がないって訳じゃないと思う」
「…恋人とか、そういう人につけてもらってもいいって事?」
「そうね。私はそう思うわ」
いつもは寡黙な布束が珍しくしゃべる。
「他の人がどう言おうがその名前に堂々と自信が持てるならそれでいいのよ、結局のところ。あなたもそう思わない?心理定規」
いきなり話を振られた心理定規はえ?え?と動揺している。
どうやら全く話を聞いていなかったようだ。
「ま、いいわ。…ミサカさん、これは極論だけど…名前は誰につけてもらってもいいのかもしれないね」
「その名前に自分が堂々と胸を張れるなら…それでいいのかもしれない。けど、自分に愛をそそいでくれる人から名づけられた方があとあと気付いた時嬉しいと思うのよ」
無表情で喋り続けている布束を見て番外個体も苦笑する。
369 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:39:58.39 ID:DmSfStk0
「布束の言いたいことミサカよくわかんないよ…あはは…」
「だーかーら、結局時分が名前をつけてほしいって思うなら自分が納得するような名前をつけてもらうなり、自分でつけろってことよ。名づける人は誰でもいいの。自分が納得できるなら」
「ミサカは誰に名前をつけて欲しいんだろう…?」
「別に今ここで名前を決めろって訳じゃないから…でも、そこまであなたが名前を欲しいっていうからには何か候補とか考えてるの?」
「…」
(ミサカ…そういうの全く考えてなかったな…誰かに名づけてくれないかな…自分で名づけるのはさすがにちょっと…)
言葉に詰まる番外個体。
正直名前が欲しい思い始めたのはアルバイト採用時の名前を聞かれた時に興味を持った程度で、取りたててそれが欲しいという訳でもなかった。
ただ、一人の個性ある人間なのに、ただのコードネームだけ、というのも殺風景というか、味気ないとうか。
ここ最近聞いた妹達が個性を持ち始めているという例に番外個体ももれなくあてはまったのだろう。
「じゃ、いいじゃない。あなたが一番現時点で愛してる人に名前をつけてもらえば。それで解決じゃない?」
「……心理定規…あなた話ちゃんと聞いてた?結構ここ重要な所よ?」
先ほどまで番外個体と布束の話を着てなかった心理定規はあっけらかんとした表情でいう。
「聞いてたわよ…。さっきはちょっと元彼の事を思い出して…ヒッグ…ウグ…」
(冷蔵庫、あなたはどこにいるのよ…どこぞの女と付き合ったりしてたら…って未練たらたらじゃないの…あー!わすれろ!)
「まーた始まった酔い始めるとあなたの悪い癖よ?過去の栄光にすがるなんてねぇ……っと話し逸らしちゃったらだめね…」
布束がちらりと番外個体を見ると彼女は何か考え事をしているように見える。
話しかけようとした時番外個体はぽつりとつぶやく。
370 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:40:29.63 ID:DmSfStk0
「悔しいけど、今ミサカの事知ってるのは一方通行だと思うなー。ならやっぱり……」
番外個体ははーっと息を吐く。
何かが吹っ切れたような、そんなすがすがしいような表情。
そんな彼女の表情を見ていた二人に話しかける。
「ミサカん家一人暮らしだからこない?明日ミサカ何もないから今日の夜暇なんだよね。ぱーっと二次会でもやらない?」
「私は構わないわよ?ただ着替えをかしてほしいわね」
いいよーと番外個体は返事をする。
「well…ま、明日バイトあるけど午後からだからいっか。ミサカさん。私もいいわよ?」
「じゃ、いきましょーミサカん家で二次会かいさーい!」
「「おー!」」
女性三人の嬌声は夜の学園都市にこだましていく。
371 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/11(土) 20:41:51.77 ID:DmSfStk0
オチも何もなくてすいません。
今から仕事行きます。
深夜か明日に投下します。
投下中にレスあって嬉しかったです!
372 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/11(土) 20:45:56.42 ID:/Of/4Kso
おつかれ
スレタイ来るー!!
てか心理カーチャン…冷蔵庫で通すなwwwww
373 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/11(土) 22:03:55.60 ID:PZE.wkAo
だがあわきんを支援する俺がいる…
374 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/11(土) 22:55:39.17 ID:4hv2cCQo
乙
375 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/11(土) 23:30:05.33 ID:Jw1KpBo0
俺もあわきんを支援するぜ
376 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/11(土) 23:33:11.63 ID:kwbFRgAO
布束と定規さんかわいすぐる
介旅と鉄網も仲いいな
377 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 00:58:15.95 ID:n6bVB1Io
ミサワ√ 番外個体「あなたが考えた私の名前、ミサカに聞かせてくれるかな」
あわき√ 番外個体「そっか、振られちゃったか……でも、せめてあなたが考えた私の名前、ミサカに聞かせてくれるかな」
両方書いてくれると期待したいぜ・・・
378 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 02:12:56.18 ID:/AM9YVQo
後者だと、軽くヤンデレはいってるな
379 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/12(日) 02:31:39.88 ID:f0BSQgk0
今帰ってきましたが、眠いので今日は寝ます…。
待っていた方がいたら申し訳ございません。
読者の方々に感謝です。
期待に添えるように頑張ります。
ではおやすみなさい。
むぎのん大好き
380 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 02:39:08.91 ID:G3pEe0Uo
乙
381 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 02:42:02.20 ID:7WI8qnko
おやすみ、暖かくして寝ろよな
382 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/12(日) 02:42:53.02 ID:a34WBBco
風邪引いたらいかんからな
383 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/13(月) 17:40:13.05 ID:CK05NP20
何だか次の日に一方さんとあわきんが一緒にいるところを番外個体が見かけるという、修羅場になりそうな気がして眠れなかった。
384 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:34:25.03 ID:Cu32GEQ0
読者の皆さま、多大な感謝を。
レスくれた方にも多大な感謝を。
タイトル回収はまだ先になりそうですね…すいません。
少し投下しましょう。
最近書きために腐心してまして…投下出ずにご迷惑かけちゃってますね。
前回までのあらすじ
番外個体のバイト先である『リンゴベーカリー』で歓迎会を開いてもらった彼女はただいま帰宅中。
このあとシーンは切り替わって一気に結標のデートシーンに行きます。
385 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:35:13.80 ID:Cu32GEQ0
――翌日十二時半 第七学区 立川駅前
(ちょっと早く来すぎちゃったかな…)
結標淡希は駅前のオブジェにいた。
彼女の赤い髪の毛は小萌に丁寧に結ってもらいいつもの二つ結びからちょっと凝ったみつあみになってたりする。
彼女は携帯を閉じる。
(あと三十分。何しよっかな)
(あそこのショッピングモールでちょっとお化粧の手直しでも…)
そう思うと取り敢えずショッピングモールに入り、化粧室を捜す。
エスカレーターに乗っている時に鏡がある事に気付き、回りに人がいないことを確認すると髪を触ってみたり、ちょっと笑ってみたりした。
(笑顔、ぎこちないわねー…)
自分の胸に手をあててみる…いつも通りの表情とは裏腹に心臓はバクバクだ。
386 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:37:16.31 ID:Cu32GEQ0
(笑顔、ぎこちないわねー…)
自分の胸に手をあててみる…。
早い鼓動。
鏡に映るいつも通りの表情とは裏腹に心臓はバクバクだ。
エスカレーターが終わり地図を確認すると近くにお手洗いがある様で、一先ずそこを目指す。
(うん…良い感じ…小萌に言われた通り薄化粧にしたし…ってか眉毛書いたのとグロスと目の回りだけほんの少し書いただけだから)
(あとは…小萌が付けろって言ってた赤眼鏡とチーク…)
(……やってみよっかな…)
ジューシークチュールのピンク色のかわいらしいハートのワンポイントをあしらったコットンバックからチークとメガネケースを取り出す。
ポフポフと肌にチークを着けてる。
それだけで暗部で仕事をしている時の彼女とはまるで別人のようになる。
ここ数日で学園都市の暗部で闘う人から、恋する乙女へと変貌を遂げた結標。
彼女は赤い下にフレームがあるダテ眼鏡をケースから出してつけてみる。
このメガネは実は昨日パン屋に行った後にショッピングモールでみつけて衝動買いしたものだ。
(…これが私……?なんか信じられないわね…)
387 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:39:15.50 ID:Cu32GEQ0
結標は化粧室にある鏡を見てにこりと笑う。
やっぱりぎこちない笑顔になってしまうが、エスカレーターの時と違って、チークと眼鏡を装備して自信を持ったようだ。
(よっし…!今日は精一杯楽しもうっ!)
(まずカフェ行って、時間潰して…相棒みて…夕飯食べて…夜は…………キャー><…なんてね…)
今日のだいたいの計画(妄想)のおさらいをぱっと済まし、左腕に嵌められた小さいキラキラしたDOLCE&GABBANAの時計をみる。
集合時間まで15分程ある。
(超電磁砲もどきはどうしてるのかしら…)
頭に浮かぶライバルの女の顔。
しかし浮上してきた途端にそれを打ち消す。
(いえ…今日は私と一方通行ので、で、で、デートなんだから…忘れなきゃっ!)
(…一応、メイクもし直したし、集合場所に戻ろっかな…)
たったったっと軽快な足取りで進んでいく結標。
今日はカフェと言う名のデート…。
二人でうきうき気分で通りをあるこう。
388 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:40:49.28 ID:Cu32GEQ0
(結標ェ…何やってやがンだ?こねェじゃねェか…)
一方通行は集合時間に到着して結標を待ちながら今後どうするか考えていた。
(ったく…結局オレはここにきちまったな)
(昨日番外個体からもらった紙の連絡も返してねェ…)
不意に番外個体から『リンゴベーカリー』で貰った紙の内用を思い出す。
その紙は財布に折られていれてある。
“今度いつあいてる?あいてるならミサカと遊ぼうよ”
思いだす、番外個体の書いた、本心が映し出された紙。
たった一枚の紙に込められた番外個体の思い。
彼女が口で言うと負の感情が発露すると恐れ、筆談でつづった思い。
(アハ…結局はオレが決めろってことだろ?)
389 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:42:22.81 ID:Cu32GEQ0
(二人が綺麗なのはたしかに認める。だけど、オレは二人をどう思ってるンだ?)
(いや、その答を出すために二人と遊ぼうとしてるのか)
(サイテーな野郎だな、アハ。)
(恋愛に関しちゃあの三下以下かもな)
(だけど…オレ自身が答えを出すにはこれしかねェ…思わせぶりだと思われても仕方ねェ…どンな非難でも甘ンじて受けてやらァ…)
本当は自分に好意を寄せている女性の気持ちなどお構いなしに色んな女とのうわさを絶やさない某つんつん頭の方がよほど性質が悪いが、一方通行はその事を知らないし、興味もないだろう。
390 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:43:11.08 ID:Cu32GEQ0
(結標と遊ンで、番外個体とも遊ンでどちらにするか…いや…どちらも選ばないか…それはオレの自由だ…)
非情であり、ともすればちゃらちゃらした遊び人とも称されておかしくないだろう。
事実、彼は結標と遊んだ後に番外個体と遊ぶことをよしと考えている。
(一度決めたら…あとはオレのやり方でやる…ったくひでェ対処方だが、オレを同時に誘った方がわりィ…いや…それは言い過ぎか?)
とんとん…
一方通行の肩に当たる手の感触に彼の思考が中断される。
彼が叩かれた方を振り向くと結標がいた。
391 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:44:23.41 ID:Cu32GEQ0
「…………」
「なンか喋れや。結標………っ!?」
一方通行が動揺したのには訳がある。
(これが普段サラシ巻いてる結標かよ?)
顔を赤らめながら一方通行の肩を叩いた結標は普段とは違う姿だったからだ。
いつもなら霧ヶ丘女学院の制服を身にまとい、ピンク色のサラシをまいた露出の激しい彼女。
しかし、今日はいつもの結標とは一味もふた味も違う。
まず、私服。
ミネトンカの茶のくるぶしの上当たりまであるブーツにスキニーのLEEのブルージーンズをインしている。
ベルトは女子高生が着けるには少し高いと思うかもしれないが、黒を基調としたスタッズベルト。
等間隔に置かれているターコイズの石の数々が綺麗に輝いている。
上着は白いノーブランドのシャツにピンク色の薄でのセーター。
その上にはオリーブドラブでファーフード付きのM65。
ここまでで普段のサラシファッションとは違い、気合いを入れて来た事が伺える。
392 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:45:17.16 ID:Cu32GEQ0
(クッ…結標?なのか?いつもと丸で雰囲気が違ェ…!)
ごくりと一方通行は息を飲み思う。
(素直にこれはヤバイ…!)
オレのやりかたでやるとか、どんな非難も受け入れるとか、そんな事を忘れてしまう程の美しさ。
高校二年生がおよそ発揮できる最高の状態で結標は一方通行とのデートを迎えたわけだ。
もちろん、デートと言う事で一方通行もそれなりに気合いを入れて来た。
それは結標の彼に対する感想を見れば一目瞭然だ。
(何よ…一方通行。超かっこいいじゃない///)
ただブランド品を着込めば良いと言う訳ではない。
最近の小金持ちどもが服の色のバランスを全く考慮せずに来ているブランドのロゴ丸出しのエイプをレイプする様なそこらへんの奴らとは違う。
393 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:45:48.81 ID:Cu32GEQ0
一方通行はもはや暗部のメンバーの中では定番と化してしまったDOLCE&GABBANAのスニーカー。
白と黒の絶妙な配色でデザインされたスニーカーに合わせるのは?
当然、ブルージーンズだろう。
彼はそこまで体格の良い方ではない。むしろ細い。
なのでかなりタイトめにBurberryブラックレーベルの紺色のジーンズをもってきた。
ベルトはワンポイント目立たせる為にヒョウ柄の細いベルトとDieselの細い文字ベルトを二つ付けている。
さて、気になる上着だが、Vネックの白シャツ。これもDiesel。
上着には黒のベストをきている。
ポケットの部分が光沢のある生地になっていて、かなりクールだ。
しかし、なによりも細身の彼に似合っているのは胴のあたりをタイトに絞っているニコールフォーメンの黒のワンボタンのジャケットだろう。
自身が細身であることを重々承知した上で最適のコーディネートを完成させた一方通行の姿に結標は目を奪われていた。
394 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:47:27.86 ID:Cu32GEQ0
「オイ、まずはカフェ行くンだろ?何ぼォっとしてるンですかァ?」
ンンン?と結標の顔を覗き込む一方通行。
すると結標はぷいっと顔を隠す。
「…うっさい//」
(ヤバイヤバイ。まじでカッコイイ)
「ホラ、歩くぞ?」
(今日の結標半端ねェな…)
「……うん」
(あはは…手とか繋げないかなーなんてね…ダメダメ!いや…最初からあきらめたらダメ!自分からいかなきゃ!)
「あ、あくせら……れーた?」
(今日は一方通行と初めてのデートだから…楽しみたいなぁ)
「………あン?」
(なンですかァ?)
結標がぴたりと歩みを止める。
一方通行が振り返るとチークを塗っただけでは説明できない赤さに染まっている結標がいた。
395 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:49:16.87 ID:Cu32GEQ0
「…いや…なんもない…平気だから…ホラ!行くわよ!」
(うぅー…手つなごなんて言えない!言ったら死ぬ!)
赤い眼鏡とそのまま同化してしまうのではないかと思う程、染め上げれた彼女の頬、いや、顔。
彼女の希望は口に出せずじまいになってしまったが――?
(絶対に今日中に手つなぐ…今日中に…!がんばれ淡希!)
今日中に必ず手をつなぐという大きい目標を内心に打ち出し、深呼吸すると一方通行を見ると彼は銀髪をかきながら結標の方をだるそうに見ている。
「なァにしてンですかァ?ホラ、早くいかねェとうめェケーキとコーヒーが他の客に取られちまう」
「はいはい、待たせてごめんなさいねー」
(とりあえず…手をつなぐのは映画の前後あたりで…小萌……デートってこんなに緊張するの?)
(…今日は楽しまなきゃ…どきどきしてたらダメよ…今まで沢山仕事一緒にこなしてきたんだから…!二人きりなんて慣れっこよ!!!!)
396 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:49:53.62 ID:Cu32GEQ0
結標達が向かっているのは第七学区のはずれにあるカフェ『L-Vokal』
彼女が雑誌やネットで調べたかなり評価の高いカフェだ。
大正時代の雰囲気を思わせるようなおしゃれで高級感が漂う。
入口は一階にあり、二階にメインフロアがある。
一階からほのかなコーヒーの香りが漂ってくる。
「すげェ…学園都市にこンな雰囲気のカフェがあったなンて知らなかったわ…よく見つけたな。結標」
(こりゃすげェ…ってか二階にあるとか初めてだな…)
「へへへ…///いろいろ探したんだよ?」
(ほめてほめてー)
二人はカフェの階段を上がっていく。
するとからんからんと心地の良い鐘の音が聞こえる。
手押し式の入り口に入ると、大学生や学園都市で勤務している職員たちといった学園都市では高齢に属する人たちが何人かいた。
そんな少し大人の雰囲気のする場所に入店した二人をカフェのマスターがカウンター越しに迎える。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二人です」
397 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:51:33.54 ID:Cu32GEQ0
結標が応えると、どうぞ、と言われ、あいている窓側座席を指定されて座る。
昼下がりのカフェには日差しが差し込んでいて、あたたかい。
学園都市の繁華街、第七学区に位置しておきながら、メインストリートから少し逸れたところにあるこのカフェはかなり静かだ。
この店はヒップホップのトラックを流しているようでしっとりとした雰囲気がちょうどいい。
ちなみに今流れているのはP.DiddyのI'll be missing you だ。
StingのEvery Breath You Takeをサンプリングした壮大さを感じさせるトラック。
この曲はかつてはアメリカでギャングスタラッパーとして名を馳せた東海岸の名手The Notorious B.I.G.の追悼歌だったがこの瀟洒な趣を宿しているカフェに恐ろしいほどマッチングしている。
さて、そんな事をつゆ知らずの二人はマスターからもらったメニューで何を注文するか吟味していた。
「なンか想像した雰囲気と違うけど、こういうのも悪くねェな…」
「ホント?一方通行?」
(気にいってくれたらいいけど…><)
398 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:52:12.63 ID:Cu32GEQ0
結標は一方通行が自分と来たカフェの評価が気になって落ち着きがないと言った感じでチラチラと一方通行の方を見ている。
「あー…いやァ…取りあえず良いと思うぞ…よし…さっさと頼のンじまおうぜ?昼食べてねェンだわ」
「そ、それもそうね」
(どうしよう…今になってお腹へってきちゃった…でもここで食べたら大食いとか思われて嫌われたらやだしなぁ…)
一方通行はただ単にお昼を食べてこなかっただけだが、結標はあまりの緊張で全くご飯が喉を通らなかった。
「じゃ、オレはビターチョコケーキとブラックコーヒーのセット」
一方通行はメニューをちらっと見ただけで即決。
というかそもそもカフェ=ブラックコーヒーとケーキをたしなむ場所としか思ってないのでメニューを見るまでもないのだが…。
その後ヒョイとメニューを結標に渡すと一方通行は携帯電話をカチカチいじりはじめる。
その何気ない彼の行動に結標はズキンと言い知れないおもりの様なものが心にのしかかってきた気分を味わった。
399 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:53:20.72 ID:Cu32GEQ0
「あ、あ、一方通行?」
(なんでメニュー見終わったらすぐにケイタイなのよ…?つまんないのかしら…?)
「あン?なンだよ。オマエ注文決まったのかよ?」
「…いや…そうじゃないけど…その…」
(やっぱりつまらないのかな…?)
「あ…あく…あくせられーた!」
「…あン?」
びくりと肩を震わせる一方通行。
結標のうわずった声でやっと彼女の方を向く一方通行。
「携帯…いじった方が楽しい……?私つまらかったら謝るから…その…なんか話ししようよ?」
「あ…わ、わりィな…メルマガだメルマガ消してたわ…すまねェ…」
(なンで結標さン泣きそうなンですかァ??)
一方通行は結局携帯を閉じてポケットに入れると結標に注文が決まったか聞く。
400 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:53:47.70 ID:Cu32GEQ0
「わ、わ、私はマルゲリータピザとレモンティー!」
(一方通行より量明らか多いわね…どうしよう…)
「じゃ、マスター呼ぼうぜ?おーいマスター!」
「あ、ちょっ…!」
(待ってーやっぱピザはきついかも…ってか恥ずかしいな…男より沢山食べる女とか…どうなのよ…?)
一方通行は軽く手を挙げ、声を出してマスターを呼ぶとカウンターでグラスを拭いていたマスターがこちらに気付いてやってきてしまった。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「えーっと…結標オマエから言っていいぞ?ってオイ?決まったンじゃねェのか?」
一方通行がちらりと結標を見ると結標は一度注文を決めたはずなのに、もう一度メニューをぱらぱらめくっている。
どうやら一方通行よりも量の大きいご飯を食べるのは恥ずかしいとでも思ったのだろう。
あせあせと落ち着きがないような様子でいる結標を見かねた一方通行が話しかける。
「食べたいもン食べりゃいいンじゃねェの?」
かあぁと赤くなっていく結標の顔。
「…私がピザって変じゃない?///」
「は?何言っちゃってるンですかァ?」
401 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:54:23.60 ID:Cu32GEQ0
「いや…だからあの…その…男より多く食べる女って印象が…あはははは…」
乾いた笑みで気まずそうにする結標だが、一方通行はハァとため息をはく。
「気にするなって…な?言ってンだろ?」
一方通行は左手を顎にあててめんどくさそうに答える。
「ありがと…///」
結局、結標は店員に最初に決めたメニューを注文する事に。
メニューを頼むとマスターは裏手に消えていく。
「コーヒー美味しければいいね…!」
「あァ…」
料理が出るまでの数十分の間、二人の会話は言葉少なだったけれども、先ほどのように携帯電話を一方通行がいじることはなかった。
402 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:55:23.17 ID:Cu32GEQ0
――第七学区 番外個体の家 午前十一時ごろ
番外個体は昨夜の歓迎会が終了して布束と心理定規を家に呼び二次会を開催して朝まで飲んだくれていた。
「うーん…おーい起きろー心理定規」
「え?あー…あれ?私いつから寝たっけ?あなたの家のシャワー浴びて出て酒のんで…全く覚えてないわ。あれ?布束は?」
「あーそこでぶっ倒れて寝てるわよ?ってか心理定規、あなた垣根ってやつにべた惚れだったのね…うひゃひゃ」
番外個体はちらりとコタツの方をみると缶ビールを持って突っ伏したまま寝ている。
一夜で番外個体と布束、心理定規は親睦を深めた。
昨日まで『さん』から呼び捨てへと変わった事からもわかるだろう。
昨日の夜から始まった二次会は今日の朝がたまで盛り上がっていたそうだ。
話のネタはやはり男についてだったそうだ。
「そーゆーあなただって泥酔しながら赤髪には負けないだ、一方通行大好きとか、いくらなんでも言いす…(ry」
がばっ!っと心理定規の口にあてられる番外個体の手。
皆の前で言っていまさらだが聞かれたくないらしい。
「えー?それ何?全然しらないんだけどーミサカー。ひゃは」
(やべー全然覚えてない…)
はて?とわざとらしく首をかしげる番外個体。
403 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:57:15.56 ID:Cu32GEQ0
心理定規と番外個体はお互いに顔を見合わせ笑う。
自分の事は覚えていない癖に他人のいったことは覚えている。
心理定規のはなしからすると、どうやら番外個体は酩酊したままベラベラ喋り続けていたそうだ。
「いやーにしてもあなたのあの表情は女の私でもぐっときたわね〜…」
「は?何か言ったっけ?私」
「あんた忘れちゃったの?昨日あなた酒飲むたびに言ってたわよ?」
「だからなんて言ってたのよ?もったいぶらさず教えなって、心理定規」
番外個体は自分が何を言っていたのか気になり、心理定規にはやくいうように催促する。
「ってかホント覚えてないの?」
うん、と頷く番外個体。
別に自分が何を言って用が気にするタイプではないが、ここまで話すと気になってしまう。
「私も名前が欲しいーってずっと言ってたじゃない、忘れちゃった?」
番外個体はドキッとする。
まさか自分がそんなこっぱずかしいことを言っていたとは…。
「ちょ…!それどうゆうシチュで言ってたの?ミサカ全く記憶にないよ?」
「だってあなた冷蔵庫にあった缶酎ハイ八本と途中で私と布束で買ってきた梅酒パック半分位飲んでたもんね?」
404 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:59:14.34 ID:Cu32GEQ0
「私も本当の名前があるっていうの、一緒に帰ってる時にそのこと言って知ってたはずなのに、酒飲み始めたらあなた言い始めたのよ?」
あ、なんて?と冷や汗を流しながら番外個体は質問する。
いやな予感しかしない。
「名前が欲しいー、心理定規ずるいーって」
「…そう。もう二度とその話しは蒸し返さなくていいからね、心理定規」
(ミサカ何言ってるんだ?頭おかしくなっちゃった?ってかあったま痛…)
はいはい、とにやにやしながら頷く心理定規。
この感じだと昨日の布束みたいにネタにされかねないかもしれないが、もうどうしようもない。
「さーって布束?帰るわよー?おきろー!」
405 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 03:59:49.93 ID:Cu32GEQ0
心理定規が肩をゆさゆさしてやると布束はだるそうに眠気眼をこする。
「ほら、起きろー!帰るよー?布束?あんた午後からバイトでしょ?ってかもう午後だけど…」
「…あー…眠い…ってか寝違えた…腰痛い…あー…髪もごわごわするー…あーバイトやだー三時からなのよー!」
昨夜、宴会が盛り上がったところで心理定規がどうしてもシャワーを浴びたいと言い張って浴びているのを待っている間に布束は酔い潰れて寝てしまったのだ。
「ほら、いつまでもいたらミサカに迷惑でしょ?さっさと行くよ!」
心理定規が言うとめんどくさそうに布束はコタツからでる。
その後は眠いのかまだ酒が残っているのか、よろけた足取りで番外個体の玄関まで向かっていく。
「あちゃー心理定規ー布束さんの事お願いねー。結構昨日飲んでたと思うから」
(ミサカもあんまり覚えてないけど、結構皆飲んでたよね)
「はいはい。まかせなさい。じゃ、お疲れさーん。あ、そこの缶のゴミ外に捨てとくわよ?」
番外個体は心理定規に昨夜の缶の空が入った袋を渡す。彼女がおれを受け取ると、ドアノブをまわして外へ出る。
「ねぇねぇ、ミサカさん。あなた今日暇?暇なら映画行こうよ」
「えー!さっきまで飲んでたのに?ミサカ疲れちゃうよ」
「いいじゃない、布束は今日は来れないけど、今日は映画でも見ない?最近渋いのがやってるのよ」
「やだ!渋いとか心理定規の趣味に付き合わせられそう…。今日はパスー」
406 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:00:39.14 ID:Cu32GEQ0
番外個体の否定にも全く物怖じするようなそぶりを見せない心理定規。
むしろ想定内の範囲内の答えだとでもいうかのように含んだ笑みを浮かべる。
「じゃつまらなかったら寝ちゃえばいいじゃない?だから行こうよー!私バイト無い日は暇で暇で暇で暇で死にそうなのっ!」
「やーだぺーん。ミサカ、いかないよーきゃはは」
「じゃ、ミサカの距離の調節しちゃおーっと☆」
パチンと可愛くウインクかますが言ってる事は全く可愛くない。
むしろ犯罪行為そのものなのだが心理定規は臆面もなく、あっけらかんとした感じで言い、番外個体をビビらせる。
結局番外個体は心理定規の半ば脅迫じみた映画鑑賞の勧誘を拒否する勇気はなく、止むなく承諾。
ささやかな抵抗として舌打ちしようとするが昨日の痴態を『リンゴベーカリー』の同僚たちに言われて変なイメージが定着でもしたらたまったもんじゃないので辞めておく。
「…いやー…ミサカ映画行きたくなってきちゃった…」
(なんで心理定規の時間つぶしに付き合わなきゃいけないのよー!)
「じゃ第七学区の映画館わかるでしょ?立川駅の近く!あそこに三時に集合で言い?あと四時間くらいあるし、準備はできるわよね?」
407 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:01:31.89 ID:Cu32GEQ0
番外個体はいまさら反論する気にもならずうんと頷く。
実際、心理定規達が帰った後に軽く片付けをした後は何も予定がない。
(実際午後は暇っちゃ暇なんだけど…ミサカ服とか買いたいしなー…まぁ…でも折角の誘いだし…いいかな?)
番外個体は午後から夕食の時間にかけて特にやることなし。ってか夜もやることなし。
なので暇つぶし歓迎なのだが、心理定規の好みに合わせて映画を見に行くのはなんだか気が乗らない。
「じゃ、ミサカー!また後でねー」
「私は今日は映画いけないので、so…また明日ね」
「はーい。じゃまたね、心理定規、布束」
かんかん…と錆びた階段を布束と降りていく心理定規。
一階に下りて一度番外個体の方を見て手を振る二人を確認しすると番外個体は手を振り返し、ドアをしめた。
(映画かー何みるんだろー)
(にしても…一緒に映画行くとか…初めてかも…)
番外個体は仲のいい人は誰もいないので映画に誘われたこと事態はすごくうれしかった。
「さーって片付けちゃっちゃ終わらせて映画行きますかねー!」
(結局ミサカのりのりなのかな?よっくわかんね、ま、いいや)
408 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:02:41.47 ID:Cu32GEQ0
さて、結標と一方通行はカフェ『L-Vokal』でささやかな昼食を楽しんだ後、ゆっくりあるきながら映画館に向かっていた。
「ほンとに『相棒』みるンですかァ?」
「だめかな?一方通行がみたいなら別のやつでも良いよ?ってか映画じゃなくてもいいし…」
(小萌が会話が続かなくなるケースもあり得る初デートは映画がいいって言ってたから、なるべく映画の方がいいけど…)
「いンや、映画でかまわねェぜ?オマエが見たいって言ったンだからなァ…」
「ありがと…///」
二人はカフェを出たあと、上映開始時間の四時までに間に合うように敢えて公共機関は利用せずに徒歩で歩いていた。
「結標…このままだと映画の上映一時間くらい前に着いちまうンだが…ついたらどォする?」
「あ…それは…」
一方通行の質問にいきなり黙りこくる結標。
実は彼女はどうしても今日やりたいことが一つあった。
409 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:04:49.59 ID:Cu32GEQ0
それは――
(プリクラを撮ることっ!)
「あのー…あ、あ、あくせられーた?」
「なンですかァ?」
「プリクラとらない…?まだ映画始まるまで時間あるし…あはは…」
(ひゃー初めて言ったよ!プリクラなんて!恥ずかしいー!)
「プリクラだァ?」
(あれだよなァ…ゲーセンとかにおいてある…)
「うん……ダメ?」
(あぁ…めっちゃ恥ずかしい!ああああああ!)
赤いダテメガネをつけてチークの淡く薄いピンク色で塗られた彼女の頬は一方通行にプリクラを撮ってほしいと言ったせいでさらに赤くなってしまった。
「………」
(これは撮っていいのか?…だめだろ…でも…番外個体にしても結標にしても一度遊んでみなきゃどっちがいいか分からねェからなあァ…)
「…ダメだったらいいよ?無理いってごめんね…?」
(小萌…先走っちゃったよ…死にたい…ウウウ)
「いや…」
(この際だ、少し思わせぶりになってもかまわねェ!撮ってやる!)
410 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 04:05:16.62 ID:nH5UOa.o
やばいよやばいよ
411 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:05:55.79 ID:Cu32GEQ0
「撮ろうぜ?オマエが今回の企画だからオマエの言うこと聞くからよ?さっさと行こうぜ?」
(腹括れ、一方通行!こっから先は一方通行だ!誰にも指図されねェ!)
「いいの?やった!ありがとね!」
(…ちょっといやいやかな?でも……一方通行と撮れるなら…って弱気になるな!小萌に怒られるわ!それに…あの超電磁砲モドキ…!!)
一方通行は厨二的な思考回路に陥り、結標は昨日の『リンゴベーカリー』で繰り広げた舌戦を思い出し、それぞれ叱咤激励する。
ちなみにカフェから出てから二人は手をつながなくっていた。
結標から手をつなごうと言い出せず、ただ隣を歩いているだけになってしまった。
ただ、手をつなぐと結標は周囲の目を気にしてしまい、会話どころではないため、さっき手をつなげただけで十分だったりする。
(ぷりくら…ちゅーぷりとか?きゃー!やばい!やあばあいあいやあばいいい!)
はたから見ればごく普通のカップルのようにみえる。
だが、勝手に妄想を膨らませる大能力者。
そして常人ならあまり考えでつかないアイデアで誰が良いか吟味しようとしている学園都市第一位。
412 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:07:30.89 ID:Cu32GEQ0
「おーい!待たせてごめんねー!」
「ちょっとー遅刻よー!ミサカ」
お気づきの人もいるだろうが、心理定規は昨日知り合った時はミサカさんよ呼んでいたが、今日の朝からミサカと呼ぶようになっていた。
一日でここまで人と仲良くなれる心理定規のコミュニケーション能力の証左とでも言おうか。
フランクで明るい性格の心理定規は根が結構ダークな番外個体にとっても話しやすい相手だった。
さて、そんな二人組は只今第七学区の立川駅の近くにある映画館にいる。
かつてはだたっぴろかった広大な空き地も今は宅地造成だ、開発だ、ニュータウン計画だとめまぐるしく変貌していったが彼女たちはそんな事知る由もない。
「で、何見るのよ?心理定規?」
「NIKITAって知ってる?ミサカ?」
「アンヌ・パリロー主演の寂しい会話なんだけどさ…ニキータが死んでからの男の会話が垣根がいなくなってからの私の様な…ブツブツブツブツ」
413 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:08:19.80 ID:Cu32GEQ0
「ごめん、ミサカ興味ないから帰っていい?」
(どんだけ元彼引きずってんだかねぇ…)
「うそうそ!ごめんごめん!取りあえずアクション映画で結構ドンパチやるのよ。そのシーンも結構よくてさ、私、DVDでしか見たことなくて…」
「なるほど。それで劇場で臨場感たっぷりでって事ねー。いいね。ミサカドンパチ好きだし、さっさと見ようよ」
「まぁまぁミサカまちなって!ちょっと早く来たから」
番外個体がそう言うと二人は映画館の中に足を運んでいく。
今日の午後の心理定規の格好は白いシャツに、ed hardyの黒のパーカーを着て、その上から黒の同じくEd hardyのlove killのデザインをあしらったド派手なダウンベスト。
下はed hardyのシープスキンブーツに白い鮮やかなステッチがはいったed hardyのジーンズ。
全てed hardyであわせるあたりに派手好きの心理定規の性格の一端が垣間見えるような気がする。
番外個体は特別な日でも無いのでシンプルにLeeのブーツカットデニムにコンバースのスリッポンシューズの白。
上着はパープルストライプのシャツに鹿柄のラクーンファー付きベストとこぢんまりとまとめた感じだ。
映画館に向かって歩く二人は昨日知り合ったばかりとは思えないくらいに仲良く喋りながら向かっていった。
414 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:09:04.36 ID:Cu32GEQ0
「さて…着いたぜェ?オイ!動けよ、オイ!!」
最近のはやりの音楽がスピーカーからうるさいぐらいに流れている。
ここは映画館の近くのゲームセンター。
結標がプリクラを撮りたいと言ったので一方通行は一緒にチケットを買う前に来たのだが、プリクラの箱が設置してある部屋の前につくやいなや彼女は沈黙した。
いや、正確に言えばショートしたと言った方がいいかもしれない。
先ほどから一方通行が声をかけても結標から全く反応ないのである。
「おーい?結標さァン?」
呼びかけながら手を振る一方通行…呼びかけること約三分。
ようやく半死状態からやっと結標は回復した。
「はっ!ごめん…!ついつい…失神してたわ…」
(妄想で頭がパンクして……にしてもプリクラって密室みたいなもんよねー)
「オマエ、ホントに大丈夫ですかァ?ほら、どれが良いンだよ?選べよ。オレはわからねェからな」
(私もしらないわよー><あんま撮った事ないしー…ってどれも同じように見えるわね…どれも変わらないんじゃないかしら?)
ゲームセンターの中に配置してあるプリクラ機はどれも似たような形で、事実そこまで性能が変わる訳ではない。
なので二人は近くにあった撮影機の中に入っていく。
415 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:10:00.26 ID:Cu32GEQ0
(へぇー、プリクラ撮る機械とかこンなンなってンだ…!知らなかった)
(かなり明るい…ってか結構狭いわね…ってかこれは下からのぞかれでもしない限りほぼ密室ね…)
「ホラ。サッサと撮ろうぜ?映画のチケットも買わねェといけねェし…」
一方通行がそう言うと思いだしたように結標は財布からお金を取り出す。
四百円をちゃりんちゃりんと入れいていき、一気に撮影モードに移行する。
初めてゲームセンターでプリクラを撮る一方通行は結標がお金を入れた途端に動き出した撮影機械に興味津津でモニターをタッチしていく。
「オイ、撮影モードはビビッドで良いンだな?」
「え…?あ、いいわよ?なんでも!」
(興味津津の一方通行もかっこいい…ってかノリノリね…)
「…これは…横より…縦のほォがいいだろ…?オイ、オマエはどォ思う?」
「え?えっと…なンでもいいわよ…?」
(一方通行モニターにタッチペンでタッチしてる姿…なんかシュールね…)
結標は自分のバックをはじっこに置くと一方通行がいじっている機械のモニターを見ようとして後ろから前に行く。
ポチポチといくつかの設定を決めて行き、撮影準備は完了したようだ。
機械音が撮影のカウントを始める。
「オイ、結標、ポーズはどォすンだ?」
416 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:11:18.64 ID:Cu32GEQ0
『一枚目ー5、4、3、2、1、カシャリ』
そうこうしている間に一枚目が撮られてしまった。
一枚目は一方通行が横を向いて結標に話しかけている、至って普通の日常のワンシーンのような写りになってしまった。
結標も同じく横を向いている感じに。
「フツーだなァ…次どォすンだ?」
「ちょっと…私も全く考えてないんだから…えーっとほら、ピースピース!」
「はァい」
先ほどと同じ機械音のカウントダウンが始まり、フラッシュのライトが光る。
撮影された結果を見る。
「あら、一方通行のピース…ぷぷぷ…あなた無表情でピースとか…」
「だー!みンな!ぜってェこれは捨てる!ホラ、次が始まるぜェ?ってか少し休み休み撮らねェもンかねェ…?」
「機械に言ったって無理無理!ホラ…えーっと次は…ちゃんと笑って!」
結標は一方通行が笑っているかどうかを覗き込もうとして下から見るがその時一方通行と目があう。
「ぷっ!一方通行…ぜんっ……ぜん笑って無いわよ?ホラ、カウント始まったわよ?」
「ンだよ!じゃ、オマエは笑えるのかよ?結標さンンン?」
「できるわよーだ!えへへ」
417 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:12:21.46 ID:Cu32GEQ0
にこりと笑う結標。
その表情を見た一方通行は素直に彼女をかわいいと思った。
(…くっ!か、かわいい…!)
「ほら、笑ってよ?一方通行も!」
「お、おう!」
(って言ってもアハギャハとか意意味深な気持ち悪い笑い方しかやったことねェから…どォやって笑えばいいンですかァ?)
笑い方がわからないという致命的事実を一方通行は思い知らされるがあきらめずに口角をい引き上げる。
「ちょっとーそんな考えて笑うもんじゃないってー!うりゃ!」
「?オイ!なにしてるンですかァ?オイ!くすぐってぇ!辞めろ!おい!」
結標はフラッシュがたかれる前に一方通行の首のあたりをこちょこちょとくすぐった。
自然(?)とこぼれる一方通行の笑みはしっかりプリクラに写った。
「あーこれ結構いい感じじゃない…!どー?一方通行もちゃんと笑えてるよ?アハギャハじゃないし!」
「辞めろ…笑い方まともじゃねェンだわ…オレ。結構悩ンでるンだ…」
(にしても結標の赤メガネやべェ…二つ結ってある髪も少し違ェし…)
四枚撮るプリクラもいよいよ最後の一枚に。
ピースとか普通に写るポーズはもうやってしまったので次はどういうポーズをするか考える二人。
418 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:17:48.37 ID:Cu32GEQ0
「最後だってよ…どォする?ってか四枚全部赤いメガネのオマエ写すンじゃなくて、一枚くらいいつもの結標でいいンじゃねェの?」
「なに?もしかして一方通行メガネが無い方がいいの?」
(え?ちょっとこれは軽い告白?え?メガネ無い方がかわいいって事?好きってこと?)
「いや…そォいう訳じゃねェけどよォ…」
(イヤ…どっちもかわいい…と思うが…)
完全におもいちがいを起してしまってる結標さんの心境などつゆ知らずで一方通行は次のポーズを考えているようだ。
荷物置き場のバックの所に赤いダテメガネを置く。
「よいしょっと…これで良いでしょ?一方通行?」
一方通行の視界からは上目遣いで彼を見上げる結標のほんのりと赤くなった顔が。
(きすすすすすす…なんて出来る訳ないわよ……!!小萌!絶対にキスしなきゃいけないのがプリクラのルールとか言ってたけど…)
(そんなん無理よぉぉぉぉ!)
小萌の無茶ぶりについていけず、チュープリは泣く泣く(?)断念する結標。
419 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:18:49.46 ID:Cu32GEQ0
「メガネ無い方も…い…いいと思うぜ…?」
(やべぇ…今日の結標マジでかわいい)
「あ、ありがとう…」
プリクラのカウントダウンが始まる。
「カウント始まったね…じゃ、ごめん一方通行!!えいっ!」
(淡希いきまーす!一方通行の腕に突撃ー><)
結標は一言謝ると一方通行の腕をがしっと掴み、もう片方の手でピース。
動揺した一方通行はオイ!?と声をかけるもそれを振りほどこうとはしなかった。
カシャリ
間延びしたフラッシュ音が聞こえ、すこしして撮影した画像が映し出される。
顔を赤らめている二人、一人は片手で銀髪を照れながら掻き、もう一人は顔を真っ赤にしながらも満面の笑み。
「へへへ…ありがと…一方通行」
(もう私が好きって事これでばれちゃったかな?ばれるのも時間の問題だと思うけどね…一度決めたら積極的になったほうがいいよね?超電磁砲モドキに先越されたらあれだし…)
計四枚のプリクラを撮り終えて二人は隣の落書きルームという所に行き、落書きをする。
プリクラとは撮影して終わりではなく、撮影した後に落書きをするのが一般的だ。
また、この落書きが結構楽しかったりする。
先ほどの撮影ルームよりも小さい大きい椅子が設置してある部屋に行くとタッチペンとモニターが二つずつ置いてあり、二人が移動してきた時にはすでに残り時間が表示されている時計が動き出していた。
420 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:19:33.38 ID:Cu32GEQ0
「やべェぞ結標!残り時間あんまりねェぞ!ってあれ?これ進むの遅せェな…なンだ…ゆっくり書けるな…!」
(にしても…今日の結標かわいすぎンだろォが…これで番外個体とも遊ぼうなんて罪深い男だぜオレは…アハギャハ)
「ほんとだ…実際の秒より全然遅いわね…ゆっくりかきましょ?えい!一方通行の横にヒヨコさん攻撃!」
結標はタッチペンで一方通行の横に絵文字をドラッグするとかわいらしいヒヨコを一匹書きこむ。
それを見た一方通行は他のプリクラに写っている結標の周りをドクロのマークで囲む。
「あー!ちょっとひどくない?それ!消しなさいよ!!」
「ヒヨコくっつけた罰でェーす!クカカ、ヨッシャ!次はコレ書くか…!」
一方通行がチョイスしたプリクラは腕に結標が掴めっているプリクラ。
一方通行はモニターに写り込んでいる結標をじーっと見つめている。
(この結標…か…かわいすぎンだろォが…!赤メガネもパネェがメガネなしのチーク…こりゃ反則にちけェ…!)
(いや…ダメだ…落ち着け…!理性だ理性!こんな狭い空間で二人ってカップルそのものじゃねェか…!まだ二人と遊んでちゃんと吟味しねェと…!あァー!最低の野郎だぜ!ひゃっは!)
「何見てんのよ?自分のかっこよさに惚れてた?あ、それとも私のあまりの可愛さに見とれてたとか?」
(よっしゃ…ドクロは消して花柄を入れてっと…あと日付とお互いの名前ねー!これを見たら超電磁砲モドキも黙って手を引くでしょ!ふふ)
「わりィ…かっンぜんにオマエに見とれてたわ…すまねェ…」
(ってオレはなァに言っちゃてるンですかァ?)
「は、はひぃ…?///」
(一方通行が私にみとれるって…あひゃぁー…生きててよかった…!でもまだ…!手つなぐっていう目標が…!よし!次声かけるわよ…!)
421 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:20:56.29 ID:Cu32GEQ0
そんなこんなで楽しかったらくがきの時間もあっと言う間に終了。
撮ったプリクラ全てに落書きをしたふたりは近くの机に置いてあるハサミで半分にプリクラを着る。
「ハイ!これ一方通行の!ちゃんと捨てないで持っててよ?」
「ハイよ」
二人はそれぞれ自分の財布にプリクラをしまう。
「さーってチケット買いに行こうぜェ?結構時間きちまってるだろ?」
「そうね!あ!一方通行!ちょっとお願いがあるんだけど…」
結標はごくりと自分の生唾を飲み込むとぐっと手に力を入れて言葉を発する――
422 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/14(火) 04:22:11.59 ID:Cu32GEQ0
今日はここでおしまい。
落ちもくそもない展開を毎度読んでいる読者に多大な感謝を。
ってかあわきんかわいすぎる…。
423 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 04:27:12.71 ID:nH5UOa.o
おつかれー!
ちくしょう2828が止まらねえ…ここまで俺を悶えさすとは…
もげろ第一位!あわきん可愛い!
424 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/14(火) 07:08:08.84 ID:NxHAvNc0
あれ……?誠君?
めっちゃ後ろから刺されそうだなこいつww
425 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 10:02:11.86 ID:AshW6sDO
おいおい適当にスレ開いたらスノボの人かよ
スノボから好きだぜ
ミサワ応援したいのにあわきんが可愛いなこれ…
426 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 10:53:54.56 ID:2jpwL3M0
>>424
やめろwwwww
427 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 12:56:05.30 ID:zgP3k.AO
これはヤバい…ヤバすぎる…軽く死ぬわ…
428 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 15:40:35.71 ID:HX0zaaIo
あわきんは正義だな…
429 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 17:39:37.81 ID:5/ehYIAO
一方さんがニコルフォーメン着てる事に親近感☆
しかし流石にトルマ着てないかorz
まぁトルマはアクが強いからなぁ。
430 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 19:09:02.46 ID:HQKJUf6o
>>424
結標「さよなら」
番外「死んじゃえ」
かなーしーみのー(ry
431 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/14(火) 20:28:25.99 ID:m4JRBxUo
ちょっと立川のシネマシティに行って番外個体に声かけてくる
432 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/14(火) 20:48:03.04 ID:S8G1ZSQo
乙
電車の中で読んでて2828しっぱなしだぞ!
433 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/14(火) 22:09:04.46 ID:fxDEtCQ0
乙です
ちょっと「相棒」見に行ってくるわ
434 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 01:04:07.54 ID:4N8zW.AO
L-VOKALwwww
>>1
と音楽や服の趣味が合ってて読んでて楽しいわ
435 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/15(水) 01:16:23.57 ID:FjzfjJAo
落ち着くんだ、まだ8日ある
436 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/15(水) 14:06:17.82 ID:yO5/LyM0
今投下しようと思ったら来客が来てしまいました…。
なので都合のいい明日の夕方に投下します。
沢山のコメント嬉しいですね!
ありがとう!
また、コメントをしないで読んでくれてる皆さまにも同じく多大なる感謝を。
店の名前がほぼ俺の好きなアーティストっていうww
437 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/15(水) 17:14:58.18 ID:CNdh6GA0
スノボの話って何?誰か教えてくれ。つーか最終回だけ見たスクールデイズ思い出した。映画館にれいとうこがいることに期待する。
438 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:37:54.89 ID:P2puoeo0
>>437
スノボの話は俺が書いた初長編SSです。
フレンダ「アイテムでスノボって訳よ!」ってやつです。
前回のあらすじ
一方通行とデート中の結標淡希。
二人はカフェで軽く食事を済ませた後に映画館へ行くことに。
その映画館は番外個体と心理定規も向かっていたが、お互いにその事は知らない。
439 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:41:40.58 ID:P2puoeo0
――第七学区立川駅付近の映画館
「おーい!心理定規ー」
「ちょっミサカっ!大声で私の名前言うなっ!皆見ちゃってるじゃん」
「あ、ごめんごめん!」
番外個体は軽く心理定規に謝ると周りをぐるっと一瞥する。
「結構人いるわねー。今日なんか人気の映画でもやるの?」
「うーん…どうなんだろう。『NIKITA』以外は私全く興味ないから…」
心理定規は映画の公開時間の予定表を思い出そうとして頭をひねる。
「あ、確か相棒がやってるって言ってたわね。あれは渋いらしいけど、まだドラマ見てないからなー」
「へぇー、結構有名な作品なの?それ?」
「えぇ。ミサカ知らない?結構有名なんだけど。ほら、今ドラマやってるじゃない?」
ほぉほぉと頷く番外個体。
ちなみに今彼女たちがきているのは第七学区の映画館のチケット購買コーナー。
いくつもあるチケット購買コーナーには制服を着た男女や私服の大学生など結構な数がきている。
「お次のお客様ー」
係員に呼ばれ復刻作品の『NIKITA』のチケット二枚を心理定規は買う。
440 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:43:52.95 ID:P2puoeo0
「あれ?お金いいの?ミサカ出すよ?」
「いいって。私の勝手な都合で連れてきちゃったんだし…。そしたらミサカが今度行きたい場所あったら私の事誘ってよ」
「はいはいー。了解、じゃ今日は心理定規の厚意に甘えとくかねーくひひひ」
二人はチケットを受け取ると映画館の見取り図を係員に指示される。
「あー、そうだミサカー!なんか軽く食べない?今日私何も食べてないのよ」
「いいよー。ミサカも小腹減ってるからねー」
二人は売店で何を買うか吟味。
二人はそのまま映画館に行かず、売店コーナーに立ち寄る。
(うーん…このアステカチュロスとか気になるなぁ…あ、でもサンドイッチがあるからこれにしよう…!)
番外個体はサンドイッチを見つけると取りあえずサンドイッチを手に取る。
その後にレジに行き、コーラのLLサイズを誘惑に負けてアステカチュロスを購入。
軽食というかむしろ欧米の昼食の様なスタイルになってしまったがスレンダーな番外個体は気にしていないようだ。
(さーって、心理定規はどうしてるかなぁ?)
ちらりと軽食販売コーナーにいる心理定規を番外個体が見るとどうやらめぼしいものは無いそうで、首を横に振る。
結局心理定規はレジでチュロスとポップコーンとヤシの実サイダーのLサイズを購入。
「うっわーミサカどんだけ飲むのよ。コーラめっちゃでかいじゃん」
441 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:46:34.00 ID:P2puoeo0
「はっ。心理定規のヤシの実サイダーもでかっ!じゃ、二人買ったことだし、そろそろいこっか?」
二人は軽食販売コーナーで映画を見ながら食べる軽食を買うと『NIKITA』の公開する予定の劇場に入っていく。
――ゲームセンターから映画館へと向かう途中
「手をつないで欲しいだァ?」
「…うん///」
結標淡希はゲームセンターのプリクラコーナーから出て直後に一方通行に自分の願望を伝えた。
(手をつなぐってオイオイ…オレ人生初めてですよォ?いいンですかァ?)
一方通行は動揺し、ついつい自分の手のひらを見、その後に結標を見る。
結標は両手を下腹部のあたりで繋いで恥ずかしそうに下を向いている。
顔は言わずもがな真っ赤に染め上げられ、一方通行が返事をするまで一歩も動きそうになかった。
「…あはは…だめだよね…?あはは。たかが『グループ』で仕事こなしてきただけの女が…あは…調子のっちゃってごめん!」
彼女の願望を自分で打ち消す様に喋る結標。
口だけ笑っていて目は捨てられた子犬の様にしょぼんとしている彼女の表情を目の前で見た一方通行は苦悩していた。
442 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:50:06.61 ID:P2puoeo0
(オイオイ…!今ここで手をつないだら…後戻り出来ない様な気がするぜェ…!)
(ケド…結標の気持ちを無碍にするわけには…いや…でも…あーわかンね!)
(誰にも指図させないとか言っておきながら…判断出来てないのはオレ自身じゃねェか…!)
一人思考の深みにはまって苦悶している一方通行。
一方、結標も苦悩していた。
(自分の無茶なフリで一方通行の事悩ませちゃったよ…)
(どうしよ…明らか私の責任だ…でも…好きな人の前で…したいこと出来ないなんて…やだよ…)
例えそれが一方通行を悩ませることになっても結標はどうしても自分の欲を貫き通したかった。
それは超電磁砲モドキと彼女が言っている番外個体という存在がそうさせる一因になっているかもしれない。
あるいは、恋愛ベタな結標がうまくペースをつかめていないこともあり得る。
いや、純粋に好意を寄せている男が目の前にいることで焦ってミスリードしたか。
それとも、それら全てが一緒くたになって結標の中で化学反応を起こしたのかもしれない。
(とにかくっ…!どうしよう…)
(一方通行悩んじゃったよ…!でも…やっぱり…我慢できないよ…!)
楽しみにしていた今日のデートをともすれば、ぶち壊してしまうかもしれない結標の爆弾発言。
しかし、彼女は自分の願望は捨てきれず――
443 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:55:19.95 ID:P2puoeo0
「いやだったら離していいからね…?」
結標の大好きな一方通行からは手を繋ぐかどうかの返事はもらってない。
「…ごめんね…。一方通行」
(何を悩んでるかわからないけど…そんな姿の一方通行ですら私は好きって言えるよ?)
高鳴る胸を押さえて結標は一方通行に手を伸ばす。
「…………」
(いやな訳ねェだろォが…女に手つなごうなンて言われてよォ!クッソ…自分のクソさ加減に腹が立ってくる)
「何?一方通行?」
自分の堕落っぷりに一歩冷めた視点で判断する事でやっと落ち着く一方通行。
表面的には無表情を装っているが、内心ひやひやだった。
「チケット買い行くぞ…ホラ…手つなぐぞ」
結標が伸ばしてきた手をぐっと握る。
一方通行はあくまで結標に自分の動揺を悟られないように…。
といっても、もう結標は緊張して自分の事で精いっぱい。
なので一方通行の動揺に気付いていないのだが。
「うん///」
(なるべく笑顔笑顔…!)
(強張った表情になってないかな?不細工な表情になってないかな?)
結標はそんな心配事に懸念を感じながらも今できる最高の笑顔を一方通行に見せる。
二人はさながらカップルのように手をつなぎながら映画館に向かっていった。
444 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:57:06.10 ID:P2puoeo0
「ふぅ…ぎりぎりだったな!」
「えぇ…よかった間に合った見たい」
上映時間のぎりぎりになって一方通行と結標のふたりは映画館に到着した。
本日公開予定の『相棒―学園都市の暗部―』はかなりの来客数を見こみ、監督やキャストも相当気合を入れて作った入魂の作品だそうだ。
「えーっとこの『相棒―学園都市の暗部―』お願いしますー」
結標はチケットの購買コーナーでチケットを買おうとする。
彼女が後ろを見ると、一方通行は苦笑していた。
「オイオイ!『相棒』の副題、これ良いのかよ?どンなストーリー展開なンですかァ?」
(これ明らかヤバインじゃねェの?ポスターにも窓の無いビルとか乗っちゃってるぜ?)
「なんか学園都市に潜入した特命課が若い学生達を防諜目的に利用しているんではないかっていう疑惑を暴く話よ?かなりスリリングそうじゃない?」
「まァ…そォだけどよォ…」
(だったら少女が工作員になる『NIKITA』の方が良かった気がすっけど、まいっか。ミッチーも味出てていい感じだし)
445 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 14:59:58.62 ID:P2puoeo0
「さーってあとは上映まで待つだけね!あれ?ミサカ?」
「すー…すー…」
番外個体は昨日の宴会の疲れからか、映画館の暗い雰囲気に慣れて寝てしまった。
心理定規は指定された座席に座ってポップコーンとチュロスをかじりながら映画が始まるのを待っていた。
(うーん…今食べたら映画の最中に眠くなっちゃいそうだなー…よし…ちょっとお手洗いに行きますかねー)
「ミサカー!おい!ミサカ―!」
小さい声で心理定規が番外個体を起こそうとすると彼女はンン?と眠たげな表情のまま目を開ける。
「ふぁああ…なにー?心理定規…うーねみゅいー…」
「ちょっとミサカー?寝ないでよー?私ちょっとお手洗い行ってくるからねー!」
番外個体は返事をせずに手をぴっと上げると再び映画が始まる十分ちょいの時間を睡眠に充てることにした。
446 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:05:55.42 ID:P2puoeo0
「ねぇねぇ…一方通行?ちょっとお菓子買って行っていいかな?」
結標は気まずそうな表情を浮かべながら軽食販売コーナーを指さす。
「さっきピザ食ったばっかりじゃねェか…それに上映まであと少しだぜ?」
「う…うるさい…映画見てる最中におなか減ったらどうするのよ…!」
(まずい…ここで私だけ食べたらデブって思われるわ…!なんとかして一方通行も巻き込まないと…あっ!)
「ブラックコーヒーもあるわね…」
(買え!一方通行!そしてチュロスも買え!ポップコーンも!)
「お!ブラックコーヒーか…いいねェ!いいねェ!映画見ながらブラックコーヒーたァ!映画監督もわかってるじゃねェか!だーはっは」
(…やべェ…何だ?腹いてェ…)
「…映画監督って言うよりもむしろ劇場を造った人の方がわかってるとおもうんだけどね…」
(よし…!これで私はコアラのマーチとサルサのチップス買えるわ…!)
「ワリィが結標オレ、コーヒー買うわ。すいませーん、ブラックコーヒーMサイズと………サンドイッチ…いや…ホットドッグ下さァい」
(畜生ォ…トイレいきてェな…映画始まってからだと出るのも厳しいだろうし…ちょっと結標に荷物類持ってもらいましょっかねェ)
一方通行が会計を確認している間に結標は隣の隣のレジでそそくさとミツヤサイダーのLLとコアラのマーチとサルサのセットを買っていた。
「わりィンだが、結標、オレちょっとお手洗い行ってきて良いか?」
会計を済ませた結標は袋に入れてもらったドリンクとお菓子のセットをびくっと後ろに隠す。
一方通行にばれたら何を言われるかわかったもんじゃない。
どうせ座席に座った時に何か言われる事は目に見えているのだが…。
「…え、えぇ!良いわよ。持っててあげるから!じゃ、一方通行が戻ってきたら私もお手洗い行っていいかしら?」
はいよ、と一言返事を告げると一方通行は小走りに走って角にある化粧室に入って行った。
その間に結標は先ほど二人で撮ったプリクラを財布から取り出して見かえす。
447 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:08:35.29 ID:P2puoeo0
(ふふ…良い写真とれちゃったなぁ…一方通行はちょっと動揺してる感じするけど…私と一緒に入れて楽しいって思ってくれたらいいなぁ…なんてね…)
(一方通行は私の事どう思ってるんだろう…?)
(やっぱり手つなぐ時に悩んでたし…だめなのかな…?私の事…。それとも誰か好きな人がいたりするのかな…?)
(でも…指にペアリングとかつけてないし…一方通行にづかづかアプローチできる女なんて…あの超電磁砲モドキ以外にいないだろうし…)
(昨日『リンゴベーカリー』であってから超電磁砲モドキと一方通行はあってないだろうし…平気よ平気…!)
(でも…それより前に二人で会っていたら…?なんてね…知り合いって言ってたし…平気よ平気!自身持て!淡希!)
結標が一方通行の買ったコーヒー等がはいっている紙袋を持って軽食販売コーナーの近くにあるベンチに座っている時、彼女を目撃した女が一人――。
「あれ?あれって確か…」
(ミサカのライバルよね…?昨日ミサカに散々喚き散らされてた張本人…?あれ?でも…赤いメガネなんてかけてたっけ?)
心理定規は結標と思しき人が赤いメガネをかけていたので、彼女を結標と断定できなかった。
(うーん…ちょっと確かめてみますかね、ふふ)
心理定規はEd Hardyのbeautiful ghostの真っ赤な財布から小銭を何枚か落とす。
448 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 15:12:52.34 ID:USbdxJQo
こんな時間に来てるじゃないか!
つか相棒のサブタイwwwwwwwwww
449 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:14:42.05 ID:P2puoeo0
「あっ!」
心理定規が声を上げて落とした小銭の後を追っていく。
そのうちの何枚かが結標の方に転がって行った。
ちゃりちゃり…
「す、すいません…!ちょっと小銭おとしちゃって…」
「あ、はい…あ、どうぞ…」
ぴたり
心理定規の手の平にほんのわずかに触れる結標の手。
彼女の能力は相手の交友関係を距離単位として認識し、それを調節する能力だ。
(…近いわねぇ…ミサカと同じくくらい近いわね…)
(ミサカの為にここでいっちょ手助けするか…?)
心理定規はEd Hardyの財布にちゃりんちゃりんと小銭を入れながら考える。
(ここで彼女の距離単位を設定して一方通行の好意を無いものにするのは簡単だけど…)
(やっぱ…ここは二人で決着つけなさい…)
心理定規は結標の距離単位を変更する事を辞める。
純粋な気持ちで一人の男に思いを注ぐ女の気持ちを彼女は理解できるから。
(ミサカになるか、座標移動をとるか…それとも二人とも振られるか…)
450 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:16:42.46 ID:P2puoeo0
(あいにくあのベクトル反射男は私と相性悪いから距離単位云々はわからないけど…どうなるのかしらねぇ…っとお手洗い行かなきゃ…)
「あ、小銭拾ってくれてありがと。がんばってね」
「あ、はい。って頑張る?ん?」
(何この派手な女。いつもドレスとか来てそうね…ベストも派手だし…ってか前に情報バンクで見たような…?)
結標は思案している間に、心理定規は小走りで女性用化粧室に入っていく。
彼女がはいったときにちょうど一方通行が男性用化粧室から出てきた。
「わっり、待たせちまったなァ…よっしゃいこーか」
「うん!」
二人は『相棒―学園都市の暗部―』が公開される劇場に移動していく。
451 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:36:21.19 ID:P2puoeo0
「ごっめーん!遅れちゃった!トイレ並んでてさ!…ってミサカ!おい!そろそろ始まるよ?」
番外個体は心理定規が戻ってきても未だにくうくう寝息をたてながら寝ていた。
上映前の警告のテロップで気持ちの悪い動きをしているカメラ頭のスーツが踊っている。
彼女たちの他に観客はあまりおらず、三列に一組と言ったくらいでしか入場していなかった。
「ううーん…あれ?もうはじまるの?ミサカ少し寝てたみたい…心理定規起こしてくれてありがとー…」
(眠い…起きてられるかな…?)
起きたは良いものの、今後二時間弱、映画を見つつ寝ないかどうか不安にかられる番外個体。
(ミサカには座標移動と会ったって言わない方がいいわよね?)
心理定規は番外個体に起きる用に促しつつ考えていた。
(さっきの距離…ミサカが一方通行に向けてるのと同じくらいのい距離単位だったわ…かなり強烈に感じたわ…)
(ミサカと同じように嫉妬に近い気持ちがあったわね…不安?みたいな感じもしたけど…)
452 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:47:20.16 ID:P2puoeo0
距離だけでは把握しきれないのでそれより細かい感情をつかむには心理掌握程の実力が求められる。
心理定規の実力で把握できるのはこれが限界。
(一方通行に触れることが出来ない私は二人の心境しかしらないけど…どうなるのか…穏便に済ますって事は出来そうにないわよ?)
(どうなるのやら…)
(私の垣根を壊したあいつがなんで美人二人に人気なのよっ!)
ぷんすかぷんすかする気持ちを抑え、心理定規はヤシの実サイダーをぐびっと飲む。
心理定規が愚痴に近い考え事をめぐらし始めたあたりでリュックべッソン監督の立ち上げた会社のロゴがでかでかとスクリーンに映し出される。
そして劇場の明かりが足元の通路灯以外消える。
映画が始まり、番外個体と心理定規は映画の世界に突入していく。
ほとんど同じ時刻…一方通行と結標も。
453 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:51:04.73 ID:P2puoeo0
心理定規と番外個体が見ていた『NIKITA』は終了した。
二人は映画館から出る支度をしている。
「いやー楽しかったねー心理定規。ミサカ、あの映画のシーンで一番良かった所…あの女の人が死んでからの男二人のさぁ…」
「えー!?あそこ?あそこはダメでしょ!だって男二人が死んだ女で何言ってんだって感じじゃない?」
「うーん…そう言われれば確かにそうだけど…」
「やっぱあのステアー銃を構える所あたりの狙撃シーン…あそこよね…こう一気にさ…!」
映画が始まった直後の番外個体は眠いと言ってあまり興味が無かったようだが、映画の冒頭から始まるバイオレンスなシーンで眠さは吹っ飛び一気に映画に没入して行ったようだ。
心理定規もはじめてみる劇場でのアンヌ・パリローの若かりし頃の活躍を見れて大変ご満悦のようだった。
「ミサカーこの後晩御飯食べない?ちょっと早いけど、私、暇で暇で暇で暇で…」
「はいはい。わかったよ。じゃ、第七学区の駅前のレストランでよくない?ミサカ今持ち合わせあんまなくてさ…」
「レストランだったら、同じくらいの値段でやっすい居酒屋知ってるわよ?そこ行く?」
「あんたまだ中学生でしょ?心理定規?」
454 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:52:37.15 ID:P2puoeo0
番外個体がそういうと心理定規はキュピーンと年齢確認証を出す。
もちろん偽造だが、しっかり十八歳と記載されている。
「ま…お酒ははたちからなんだけどね…きゃははははは!」
(カッチーン!あったまきた!)
心理定規は自分が子供扱いされるのが何よりムカつくのである。
番外個体に年齢の事でおちょくられた事によって心理定規はムキー!状態に。
「うっさい!そういうあなたは身分証すら持ってないじゃない!名前すら無い癖にっ!」
(どうだっ!って、え?あれれれれれ?)
「……………」
(しょぼん)
(なーんでマジでショック受けちゃってるの?)
心理定規の冗談の様な発言にしょぼんとしてしまう番外個体。
その様子を見て途端に動揺する心理定規。
(え?ちょっとミサカ?おいおいおいおいおいおい!)
「えーっとミサカ?怒ってる??」
455 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 15:57:07.58 ID:P2puoeo0
「いや…平気だけど…身分証ってさほら…名前があるじゃん…?」
「あー………」
(ミサカの前で名前はタブーだったわね…昨日は冗談っぽく言ってたけど、結構真剣な悩みなのね…)
「ミサカ!ゴメン!じゃ、年齢とか確認されない所いこ?私だってほら、まだ未成年だし…ね?ちょっと大人げなかったよ…!ね?」
(まずったなぁ…)
「…ふふふ…うひゃひゃひゃひゃ…ひっかかった!ひっかかった!」
「え?」
おどおどしていた心理定規の表情は虚をつかれたようにぽかんとしている。
対して番外個体は腹を抱えて笑っていた。
「いやー…まさかミサカの胡散臭い演技に引っかかるとは…うひゃー!心理定規のちょっと動揺した顔傑作だったよ!うひひひ」
「ちょっとぉー、ミサカ?それは失礼じゃない?そんなにいうならまずはあなたのそのふざけた距離単位を…調節する!」
「語呂わりぃーぞー!心理定規ぃー」
(あーでも名前ほしいぃなぁ……はぁ…)
きゃっきゃ雑談しながら『NIKITA』を上演していた劇場から出る二人だが、そんなふたりの会話は不意にシャットアウトされてしまう。
そう番外個体の前に手をつないで劇場から出てきた二人が彼女の視界に写ったから。
「……赤髪……!」
456 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:10:24.32 ID:P2puoeo0
「いやー相棒よかったわね!なんか暗部丸ごとミッチーが潰したって感じがしてかなり無理やりな感じがしたけど…あれはあれでよかったわね」
「クカカカカ…あめェって結標。一番のあの映画のパンチラインは水谷がアレイスターに向けて発砲するあのシーンだろォが」
「え?あそこ笑う所よ?なんか劇場でも何人か笑ってる人いたわよ?」
「えええええ?マジすかァ?」
「うん。マジ」
一方通行と結標の見た『相棒』は学園都市の暗部という架空の未成年によって構成された諸部隊を水谷とミッチーの名コンビが立ち向かっていくという話。
「ってか名コンビの補佐役に一一一が出てたのもすごいよかったわね…あれできゃーきゃー言ってる女生徒が何人かいて腹っ立ったけど…」
「あァ…自分の好きなアイドルが出てきたくらいでさわいじゃアいけねェなァ…」
映画の感想を話しながら二人は『相棒』が公開していた劇場のゴミ箱にゴミを捨てる。
二人とも買った軽食は完食だ。
「さーって…この後どォするよ?」
「うーん…取りあえず…外出てから決めましょ?」
457 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:11:50.42 ID:P2puoeo0
「あァ…そうだな」
「ね…一方通行?」
「あン?」
「また…手つないでいいかな?」
逡巡する一方通行。
だが、映画館に行く前にすでに手をつないだので否定する権利は彼には全然ない。
「あ…あァ…構わねェぜ…?」
「うん…ホントありがと…///」
(一方通行の手あったかいなぁ…あと。ちょっと大きかったり…)
二人が話しながら映画館の出入り口に繋がっている通路をちょうど出た時だった。
「……赤髪……!」
そこには昨日知り合ったばかりの女、番外個体が。
昨日カフェで出会った、ライバルの女がそこにいた。
458 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:32:23.29 ID:P2puoeo0
「ミサカさん…?」
「結標さん?」
結標の後ろからは黒いテーラードジャケットを着た一方通行が出てきた。
しかも手をつないで。
「………………」
映画館の劇場出入り口の所で番外個体、結標、心理定規、そして一方通行は遭遇してしまったのだ。
「番外個体っ…!」
(なンでお前が映画館にいるンですかァ?)
「何?一方通行。ってかあなた達、昨日は『リンゴベーカリー』でただの知りあいとかいっときながら、結局そーゆー関係だったの?手なんかつないじゃって…!」
(あーあーあーあー!ムカつくー…頭がーーー)
先ほどまでの楽しい雰囲気をぶち壊すかのように敵意をむき出しにして結標をにらみつける番外個体。
『あなた達』と言っておきながらも番外個体が見つめる先には一方通行の事は視界に入っていないようだ。
全ては私から一方通行を奪ったあなたがいけない!とでも言いたげな表情を浮かべている様にも見える。
「違うンだ…番外個体…これには訳があってだな…」
(やっべェ…こりゃどうすりゃイイ?)
459 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:34:14.95 ID:P2puoeo0
「ミサカは言い訳なんか聞きたくないっ!どうせ昨日も二人で付き合ってる所をミサカに見せびらかしに来たンでしょ?あー、昨日の結標さんとミサカのやり取りとか…」
はぁーと一息ため息をつく番外個体。
彼女の目は赤くなり、今にも泣きそうな表情になっていた。
その証拠に目はうるんでい、今にもおおきな水滴が落ちてきそうで…。
「付き合ってるなら…ちゃんと言ってよ?ミサカ馬鹿みたいじゃん…あんな敵意むき出しにした会話して…実はあなた達付き合ってましたなんて…」
「いや…だからな、番外個体…ちょっと聞け…オレらはな…」
「そう。私たち付き合ってるわ…」
番外個体と一方通行の会話に突如割り込んできた結標。
しかもその内容は二人の会話を虚構ではなく、事実として捏造するものだった。
結標は自分が嘘をついている事など百も承知していた。
しかし、番外個体はそれを確かめる確かな情報等ない。
(一方通行は私の事今どんな気持ちで見てるかな?)
(嘘ついてまで一方通行といようとしてる、このうそつきの醜い女の事…)
(でも…)
彼女は思う。
この会話が嘘だとか、本当だとかはもうどうでもよくなっていた。
頭が混乱していたと言えばしていたし、そうでないと言われればそうでないと言える。
彼女の頭の中にある一つの譲れないもの。
それは――
460 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:35:28.95 ID:P2puoeo0
一方通行を思う気持ち。
(でも……絶対に一方通行と一緒にいたいって気持ちは譲れないの…)
(この直後に一方通行になんと言われようが構わない…)
彼女は嘘を思い付きで突発的に言ってしまったのではなく、今目の前にある危機に恐怖し、緊張した状態でひねり出した一言だった。
(えへへ…でもそれはちょっといやだな…でも…超電磁砲モドキと一方通行が一緒になるのだけは…イヤ…!)
「ハァ?オマエ…何言ってるンだ?」
(む、結標????)
「…………」
一方通行の発言にかぶせるように喋る結標は気付けば無言でしたをうつむいている。
彼の発言を全て打ち消すようにして吐きだされた彼女の言葉の後にはただ何とも言えない沈黙が漂っていた。
周囲の観客の好奇の視線もはばからず、四人は立ちつくしていた。
「はァ?オイオイオイオイ…オマエ…何いってるンですかァ?」
「ミサカさん…私…付き合ってるから…一方通行と」
ズキン…
461 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:37:43.60 ID:P2puoeo0
結標の言葉を聞くたびにつららのような冷たく、そして鋭利な刃物で心臓をえぐられるような気分を味わう番外個体。
しかし、彼女はそれでも事実を確認しようと、挑発しないよう意識し、平静をよそおい話しかける。
「へぇ…じゃ、昨日ミサカの働いてるパン屋に来たのはその為だったの?」
(ほんっと信じられないわ…なんでここに赤髪がいるのよ…しかも一方通行と一緒に…しかもしかも…付き合ってる?)
ズキン…
「えぇ。そうよ」
(もう、訳わかんない…なんでここに超電磁砲モドキがいるのよ…もう頭おかしくなっちゃいそうだよ…)
ズキン…
「違ェ…オイ、結標はいつからオレ等付き合ってるンだ!?オイ!今日だって…オマエが誘ってきたから………オイむす…(ry…!」
「ごめん一方通行、私最低の女だ…本当にごめんね」
結標は両目から大粒の涙をぽたりと落とす。
その後止めどなく流れてくる涙も自分の手でぐいっと拭い、唇をかみしめる。
彼女はステンドグラスからのぞける隣の同じ程度のビルまでの距離を大まかに演算する。
462 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:40:03.36 ID:P2puoeo0
(あんまり遠くない…行ける距離…あぁ…式がぐちゃぐちゃだよ…)
(式が…いかなきゃ…ここから…離れないと…)
(演算…えん…ざん…私も跳ぶ?うん…もちろん…)
ひゅん…
その場から一方通行と結標の二人は消えた――。
「「………………」」
取り残された二人。
一人は状況が読み込めて立ちつくし、もう一人は自分の気持ちが伝わらずに恋愛が終わってしまった事に対しての絶望で。
「…ヒッグ…グス…なんでミサカじゃダメなの……?」
取り残された番外個体と心理定規のまわりに水をうったような静けさが到来しかけたが、番外個体のすすり泣く声がそれを邪魔した。
463 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:40:50.16 ID:P2puoeo0
「オイ…」
ヒッグ……グス……ウゥ……
映画館の隣に見えた同程度の階数の隣のビルの屋上に移動した結標と一方通行。
夕日に照らされて赤くなった棒の様にテラテラ光る学園都市のビル郡を見つめる。
隣にいる一方通行は結標に話し掛けようとするが彼女は泣いたままだ。
(なにから話せばいいンだ?)
(結標はさっきオレと付き合ってるって言った)
一方通行は理解していた。
彼女が自分に好意を寄せている事を。
ただ、あの場で、あの様な発言をするとは全く予想していなかった。
『そう。私たち付き合ってるわ…』
恐らく結標もあの場で番外個体と出会うのは予想していなかったはずだ。
464 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:42:33.65 ID:P2puoeo0
(もし……予想していたら…こんなに泣いたりしねェ筈だ……)
一方通行から少し離れたところの給水タンクのようなところの陰で結標はしくしくと一人で泣いていた。
(それにいくら結標が回復したとは言え、あまり慣れていない自分自身の転移を行うとは考えにくい…)
結標は自分自身を転移させることに抵抗、いや軽いトラウマの様なものがあった。
にも関わらず彼女が自分と一方通行を転移させた理由は――。
(やっぱ…番外個体にオレといる時間を邪魔されたくなかったから…だよなァ…?)
一方通行が結標と遊んでその後、番外個体と遊ぼうとしたことは彼のまぎれもない落ち度だろう。
しかし、今日の映画館における偶然の邂逅を彼のせいにすることはできないだろう。
誰も悪くない。
だからこそ、この気まずい空気が流れているのだ。
結標はあくまで自分に忠実に行動していた。
一方通行も今日は結標と遊ぶ事を楽しみにしていた。
(なンで…あンなタイミングで…!)
「……ごめんね、ごめん、一方通行ごめん」
465 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:51:17.58 ID:P2puoeo0
「……ごめんね、ごめん、一方通行ごめん」
「…わかったから…もう泣くな」
(謝りたいのは…オレだ…せっかくの楽しい時間を台無しにしちまった…)
動揺している彼女にとって、隣のビルに移動する為の演算式の構築にかなり苦労した事だろう。
彼女の涙は頬にあるチークを落とし、筋になってビルの屋上にポタポタ落ちていく。
(オレは…まさか鉢合わせするとは思わなかった……番外個体とはまた今度遊んで二人どちらかを決めれば良いって思ってた…)
(クソッ…思わなかった…じゃなくてもう会っちまったンだよ…!)
結標は完全に動揺し、気が動転し正常な思考が出来ないでいた。
(……もうぐちゃぐちゃだよ…どうすればいいの?)
先ほど番外個体の前で自分と一方通行は付き合ってると言ってしまった。
(何から話せばいいの?どうすればいいの?)
「…うっ…!」
不意に結標は吐き気におそわれるがそれを必死に抑えて一方通行の背中を見る。
(もう……取り返しのつかない事になっちゃったのかな?)
(でも…超電磁砲モドキはまだ私たちが付き合ってるって思ってたら……?)
混乱する意識の中で結標は考える。
466 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 16:52:51.15 ID:P2puoeo0
もしかしたらまだなにも始まってはいない、とは言えないがまだどうにかなるポイントにいるのでは、と。
(一方通行はもしかしたら…あの超電磁砲モドキと私で板挟みになってて…)
(どちらか決められないの?それとも二人とも及第点にすら到達してない…?ウッ……)
「ゲホッ……ゲホッ……」
限界値ぎりぎりと思しき場所まで転移をした事と色々な事が一緒くたになり、結標の思考がグチャグチャになる。
また襲ってくる吐き気、そして既視感。
この既視感の正体は。
(九月の残骸争奪戦の時の一方通行から逃げようとした時の…)
残骸を放棄して逃げようとした時、街道のど真ん中に突如現出した悪夢。
(前にも……私を……そうやって壊して…)
「…ハァ……ハァ…」
(苦しい…)
(思い…だ…した…)
彼女が思い出したもの。
それは、かつて残骸と呼ばれた超高速演算を可能とした衛星の文字通り残骸を巡る争い。
その時の幕引きとなる最後の戦いとも呼べないお粗末な戦いがあった。
467 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:07:32.18 ID:P2puoeo0
(あのときは思いっきり殴られてさ…)
(そうだ…前に…私は…この人に…負けて…)
『こっから先は一方通行だ』
残暑の蒸し暑い夜。
殴られるがまま、一方的に敗北した時の事を結標は思いだした。
奇しくも冬の夜が到来し、人口の光は点滅し始めるこの時間帯。
それは結標が殴られ、ビルに引っかかったその時の光景と酷似していた。
思い出したくもないあの日の光景。
最悪、災厄。
あの対立から数カ月経ち…今日、番外個体のを前にして動揺し、意味不明な事を口走り一方通行に迷惑をかけた。
その直前まで何もかもうまく行ってたのに。
(私とあなたは…)
結標は自分が一方通行と出会ってからの事を思い返す。
(…合わないのかな…?)
468 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 17:07:48.90 ID:eSwYX56o
これは…
やばい修羅場がやばいあbbbb
469 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:13:51.62 ID:P2puoeo0
さて、以前このスレ内話題(?)になっていた√についてですが、ここらで√を導入したいと思います。
えーっとまずは結標√の冒頭、その後に番外個体√の最後まで、投下する計画です。
一方座標希望の皆さまにはお手数おかけしますが、番外通行が終わるまでお待ちください。
ご了承のほどをお願いします。
あーあわきんと遊びたい。
470 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 17:16:28.87 ID:eSwYX56o
おつおつ
どっちの√もやってくれるのか
やったね!
どっちも応援してるぜー
471 :
結標√冒頭
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:16:44.44 ID:P2puoeo0
(もう…何も考えたくないよ…あわないとか…やだ…またぷりくらとりたい…もっと…やりたいこと……あるの…に…)
気付けば結標はビルの屋上で寝てしまった。
久しぶりに能力を使ったことと、さまざまな疲労が押し寄せたのだろう。
夏場まだ明るい時間帯でも冬になるととっぷりと日が暮れている。
ここは映画館隣のビル屋上。
赤い棒の様に屹立していたビル郡も日が陰ると冷たい風が吹き始める。
「すー…すー……」
目を真っ赤に腫らした結標。
彼女は泣き疲れたのだろうか、給水タンクの脚元ですやすや寝てしまっている。
ここですべての問題は一時的に棚上げとなり、一方通行はビル郡の点滅する赤いライトをぼんやりと見ていた。
(…嘘をついてまで…オレに何て言われようが構わねェってか……)
(どンだけオレの事好きなンだよ……)
(…オレはこいつの気持ちに応えられるのか?)
はるか眼下の流れる光のように走るを車…。
(確か…コイツを殴った時もこンな感じだったな)
(……オレはコイツになにも喜ぶような事させてやれてねェ…!)
(オレはコイツの笑顔に応えなきゃいけねェ…もうコイツの泣き顔なンか見たくねェ!)
472 :
結標√冒頭
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:24:11.34 ID:P2puoeo0
冬の日が指す時間帯は短い。
寒冷前線の灰色の雲が学園都市の上にもくもくと出始める。
それらの雲の隙間から申し訳程度に覗き込む太陽の光。
はたまた眼下に視野を向けてみると徐々に点り始める街灯や部屋の明かり。
それらが学園都市にいる人達の営みを証明している。
やがて今一方通行達がいるビル郡の、ちょうど足元にある赤色ランプが点り始める。
「一方通行…私…嘘ついてごめんね…」
「オマエは自分に素直なだけだ。謝る必要はこれっぽっちもねェから安心しろ」
「…そう」
「…私一方通行の事好きだから嘘ついちゃったんだ」
「そうか…」
凍てついた冬の風はビル風とコンビを組んで二人に容赦無く襲い掛かる。
「私、一方通行が大好きで大好きでしかたない位で…今も大好き」
「そォかい…」
一方通行が生まれて初めて聞く言葉。
よく映画とか歌とかドラマとか漫画とか小説で様々な言葉で表現されるその言葉を彼女はダイレクトに伝えた。
473 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:25:54.11 ID:P2puoeo0
>>472
番外√でした…。打ち間違えです…すいません。
474 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:26:56.79 ID:P2puoeo0
472〜番外√です。ではいきます。
***************
「ふふ…あなたが私に気があるならさ…さっきの映画館の時点でいや、その後でもいい。何かしらのアクションがあっても良かったんじゃないかしら」
真っ赤に泣きはらし、寒さと相まって鼻まで赤くなった結標がずずずっと鼻水をすすり、笑う。
「今…私の言葉を聞いても何もあなたの心には響かない?一方通行」
「……なンでこンなタイミング………オマエは……」
一方通行は自分で最悪な事を言っているのは承知していた。
二人と遊んでどちらかが良いか選ぶなんて女の子の気持ちを無碍にしているようなものだから。
けれどどちらか決められなかった第一位はこうするしかなかったのだ。
「現時点では……一方通行は私に好意を寄せているのか…」
「なんかそんな事っていったら嘘になるけどさ…なんか一方通行の気持ちなんかどうでもよくなってさ…」
「私わがままな女だから、一方通行の気持ちを確かめる事よりも…自分の気持ち伝えたいって思いの方が抑えられなくなっちゃってさ…」
「一方通行の気持ちを知るよりも、今私が一方通行をどう思ってるか、それを伝えたいって思う事は変かな?」
475 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:27:32.59 ID:P2puoeo0
結標は夜空に浮かぶ一番星を見つめな一方通行の背中を見返す。
「ふふ…喋り過ぎちゃったかな?」
「イヤ………全然…ただ…今は…今はオレはオマエの気持ちに応える事は…できねェ…」
ビルの屋上の給水タンクの足元から結標は立ち上がると一方通行の隣に立つ。
「はぁ……ミスったなぁ…」
何をミスしたのか、一方通行に惚れた自分か、毅然とした態度で番外個体と話せなかった自分か、それとも一方通行と出会った事か。
それは彼女にしかわからない。
476 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:30:16.94 ID:P2puoeo0
「心理定規ぃ…ヒッグ…ウゥゥ…」
「ミサカ…?」
二人は映画館から出て急遽番外個体の自宅に戻ることに。
先ほど映画館で聞いた結標の言葉。
『そう。私たち付き合ってるわ…』
番外個体はあの言葉を聞いた瞬間に自分の中で何かがガラガラと音を立てて崩れていく感じが確かにした。
「ごめん、ごめん…ミサカ泣いちゃってふつうにほかの人に見られてたよね?」
「いいって気にしないで?とりあえず、涙ふきな?」
ひょいっと心理定規は番外個体にハンカチを渡し、それを受け取ると目じりのあたりにたまっていた涙を拭きとる。
「心理定規…ちょっと私今日は帰っていい?なんか疲れちゃったわ…」
「いいよ…。じゃ、途中まで一緒に帰ろっか?」
(にしても…ちょっと納得いかないなぁ…)
「うん」
番外個体は心理定規とともに帰路の道を歩いていく。
「ねぇ…ミサカ。私ちょっと納得出来ないんだけど…ひとついい?」
「何よ…?私が一方通行に如何に惚れて鮮やかに振られたか聞きたいの?あひゃひゃ……グス」
477 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:31:30.17 ID:P2puoeo0
自嘲的な笑みを浮かべる番外個体をよそに、心理定規はある懸念について考えていた。
(本当にあの二人は付き合ってるの?)
先ほどの結標と一方通行の間に確かに存在した違和感。
結標が付き合っていると行った時の一方通行の表情だ。
(あれは…おかしい…ってかミサカは気が動転してて気付かなかったのかしら?)
「ねぇミサカ…あの二人は多分付き合ってないとおもうんだけど」
一瞬不意を突かれたような表情になる番外個体はしかし、その次には神妙な表情で考え始める。
「え?だってあの赤髪言ってたじゃない、付き合ってるって…」
番外個体は結標の、その発言を思い出して気落ちしてしまうが、それでもなお心理定規は何やら考え込んでいる。
「実はね…映画見る前私トイレ行ったんだけど…ミサカおぼえてる?」
「いや…まったく覚えてないわ…ミサカ寝てたから…ごめん」
あなた、寝てたもんね、と心理定規は言うと自分の記憶を思い返していく。
「ま、それはいいとして…私がトイレ行ってるとき…実はちょっとその…ミサカの言う赤髪にあったのよね」
うるんだ眼を拭きながら番外個体は真理定規を見据える。
478 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:32:43.93 ID:P2puoeo0
「ふぅーん…で、それがどうしたのよ…?」
「ミサカ、私の能力わかるよね?距離単位を調節する能力」
「まさか…あの赤髪に能力を使ったの?」
番外個体は期待とも不安ともとれるような複雑な表情を浮かべる。
一体心理定規は結標に何をしたのか。
番外個体は夕日に反射して逆光になり、番外個体が分からはよく見えないが、心理定規をまっすぐに見つめる。
「いや…そんな下劣なことをするほど私も落ちぶれちゃいないわ」
ただ、と一言前置きして前を見ながら心理定規は話を続ける。
「ミサカの友達としてこの恋がどうなるかってことには興味は尽きないわね。そこでさっきの話に戻るけど…彼女おそらくうそついてるわよ」
「ほんとに?」
番外個体は心理定規の話に整合性があるかどうかはひとまず置いて、彼女の話を聞く事にした。
「えぇ」
心理定規の発言に番外個体は驚く。
479 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:33:43.45 ID:P2puoeo0
「お手洗い行ったときね、私わざと小銭落としたのよ…あの子が本当に座標移動の人か」
「…それがどういう…ってまさか小銭を拾ったときに…?」
「えぇ。彼女には申し訳ないけれど、能力を使わせてもらったわ」
「…何を調べたの?」
「昨日の夜、あなたの距離を測定したときと同じような感情があったのよ…なんというかこう…」
「あなたに対する嫉妬の気持ちも確認できたわ…嫉妬というか絶対に負けないっていう覚悟に近いもの…って言ったらいいかしら?」
「うんうん。それで?」
「一方通行に対しての距離も同じく非常に近いものだったけど…私の経験上あれはまだ片思いよ」
怪訝な表情になる番外個体を横目に見ながら心理定規は話し続ける。
気持ちの分野においてはほぼ敵なしと言ったところの心理定規が言うのだ。
彼女の言葉が千鈞の重みを持ち、番外個体に響く。
「付き合ってる人も嫉妬するけど…何だろう…彼女の気持ちは半ばミサカに負けてたまるかって気持ちがあったのよね」
「付き合ってる人は多少は充足感を感じて思い人との距離単位も安定するけど、彼女はあくまで一方通行に一方的にぞっこんだったわ」
「もしあの二人が付き合ってたらあそこまで嫉妬はしないと思う。そうだとしたら、ミサカに対する優越感でかなり距離を離すわ」
480 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:35:30.37 ID:P2puoeo0
心理定規の言い分はこうだ。
結標がもし仮に付き合っているならば、一方通行に対して設置している距離があまりにも片一方すぎる。
彼女が寄りすぎているのだ。
しかも、番外個体に対して負けられないという強い気持ちが働いていた。
これもカップルの場合と違って少しおかしい距離設定だったそうだ。
なんでもカップルの人たちが抱く嫉妬の感情というよりも、恋敵のそれに近いものだった。
そもそもカップルは付き合ってる人以外の人に嫉妬する場合、他に浮気相手がいた場合がほとんどだ。
心理定規が見てきた、嫉妬に近い感情は常にその相手を警戒しており、距離単位が定まりにくいのだ。
その距離単位の振れ幅は以前心理定規が測定した番外個体の嫉妬の気持ちと非常に似ている。
ゆえに結標淡希は一方通行と付き合っているというのがうそであるという可能性が濃厚ということだ。
また、心理定規は能力を使わなくとも、高校生の女が目に涙をいっぱいに溜めこんだ状態で『付き合ってる』と言うか?
常識的に考えて付き合ってる訳がない。
「ってかさ、ミサカは動転しててわからなかったかもしれないけどさ、あの子泣いてたわよ?気付かなかった?」
「え?そうなの?ミサカも泣いてたからわからなかった」
番外個体は結標と一方通行が手をつないできた所を目撃してから気が動転して、結標の事を直視できないでいたのだ。
「でもさ、ミサカ」
481 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:38:27.76 ID:P2puoeo0
「何?心理定規」
「あの子も相当一方通行の事好きよ。あなたの思いよりも強いかもしれないわ」
「……そう…」
「でも、ここで諦めたらダメよ?ミサカ」
「うん…わかってるよ」
番外個体の前から突如消えてしまった結標と一方通行。
彼女達が今どこにいるかはわからない。
それでも…番外個体は思う。
(一方通行と二人で話したい…)
さっき映画館で少し会っただけじゃなくて、もっと一杯あって話したい。
(一方通行…声聞きたいよ…)
つい先ほど、あの気まずい出来事が起きたにも関わらず彼女は思う。
(夜電話しちゃだめかな…)
いや、むしろあの映画館での一件が彼女をそうさせるのかもしれない。
482 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:39:05.58 ID:P2puoeo0
(あーあ、惚れて四、五日で振られるとかお笑いよねー)
ミネトンカのブーツを引きずりながら歩いている結標の姿はさながら敗残兵の撤退行軍にも見えなくもなかった。
(なーんで私は動揺して勝手に終わらせちゃってるんだか…)
(まだ超電磁砲モドキに負けたわけでもなかったのに…)
(不安だったのかな…私自身があの三角関係に耐えられなかったのかな)
(私もまだまだ甘いわねー…)
(はぁ…)
心中でため息を一言吐き、ビル群に囲まれた狭い夜空を見上げる。
彼女は一方通行と先ほど別れて既に帰り道を一人で歩いている。
「…ヒグ…グス…ウゥ…」
ぽろぽろと落ちてくる涙。
(悔しい…焦って自分で終わらせて…早とちりして…)
(もっとあんな状況じゃなくて…もっと…ちゃんとした時に言えたら…)
483 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:39:51.90 ID:P2puoeo0
結標は今日一日で泣きはらした顔をもう一度涙でクシャクシャにしながら小萌宅でと向かって歩く。
「…」
無言で彼女はレディースポーターの財布を開けて今日取ったプリクラを見る。
(一方通行…超かっこいいよ…半端なくかっこいい…)
無愛想にヘタクソな笑みを浮かべている一方通行とそれを見て笑っている結標。
(あー泣けるわね…ってか涙とまらないわ…)
(もっと恋愛上手になってから…一方通行の事狙お…)
(ってそしたらこの勝負は諦めてるって事じゃない…サトミアマゾンだったらブチコロシ確定じゃない…)
「はぁ…」
一筋の涙が頬を伝って流れおちた時…
どんっ
結標の肩に男の肩が当たった。
484 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:40:35.94 ID:P2puoeo0
「あ、こちらこそ…って結標さんじゃないですか?どうしたんですか?普段つけないメガネなんかしちゃって!」
「あんた誰?私に中南米系の知り合いはいないわ」
ぎくっとした表情で驚く中南米系の青年。
話し方はグループのメンバー海原光貴ににてなくもないが、声がいつもと違って太い。
「えーっとあはは…これは僕の…まぁ…変身した姿とでも…えーっとドラゴンボールのフリーザみたいな…えへへ」
「笑い方キモイ。であなたは海原でいいの?私の事知っててその歳からは想像できない敬語の話し手って海原しかいないんだけど」
「そうですね。いまさら隠しても仕方ないでしょう。私は海原ですよ。結標さん」
中南米系の男の正体は海原だった。
フリーザとか訳のわからないことを言っているが、それはひとまず置いておくことにして、結標は一つ疑問があった。
「ねぇ…なんで海原目が赤いの?」
肩をびくりと震わして驚く海原。
「聞かないでください……そういうあなたもなぜか目が充血してますね…さては…?」
「聞くな」
「おやおや…」
485 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:41:21.22 ID:P2puoeo0
「「振られたよう(ですね)(ね)」」
「よかったらどうです?敗残兵同士、カラオケにでも」
「いいわね…ちょうど自分の幼さを知覚していらいらしてたところだからストレス発散したいわ。あなた何歌うの?」
「ふっ…アステカの民謡からMosaic.wavまでなんでも…!あなたは何を?」
「あ、っそ。私は結構いろいろ歌うわよー。でも今日の気分は椎名林檎ね。あー怒鳴りたいあんた、mummy-d歌いなさい」
「わかりました」
「え?海原知ってるの?」
「僕の歌える幅は民謡からアニソンまでですよ?」
赤、青、白、緑、さまざまな色が輝く街に踵を返す二人。
学園都市の繁華街、第七学区へと二人は向かっていく。
486 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/16(木) 17:43:11.33 ID:P2puoeo0
さてと、ここで今日はおしまい。
明日の夜に投下出来たらします。
量多いですねぇー。
スノボ超えますねこれ。
では、またお会いしましょう!!!
読んでくれた皆さま感謝です!!
487 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 17:49:33.95 ID:T3VH7lAo
そうきたか
488 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 18:02:46.74 ID:eSwYX56o
おおう
変な所で茶々いれまくってすまん
そうきたか
489 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 21:32:33.24 ID:DsFrBqs0
最後に、まさかの海原×結標みたいな区切り方ww
何と呼ぶんだコレは……原典移動か?
二つの√があるだけで俺得なのにこれはヤベェwwwwww
490 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 21:39:20.84 ID:BsfKCRgo
おつおつ
エツァリがフラれたってこたぁ、つまり・・・?
なにげに気になるのぅ
491 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/16(木) 23:34:34.69 ID:XL3QEroo
乙です
W√を用意してたとは……良い意味で裏切られたぜ
492 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/17(金) 21:55:57.21 ID:hJavp/.0
あわきん√楽しみだ
493 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/17(金) 23:15:34.89 ID:RI9T6tg0
あわきんの絵を、、、誰か、、、、頼む 俺の命が今夜尽きる前に、誰か、、、、、、
↓の状況での、うつむきかげん、上目遣いの絵を、、、、 冥土の土産に頼むよ・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うん……ダメ?」
(あぁ…めっちゃ恥ずかしい!ああああああ!)
赤いダテメガネをつけてチークの淡く薄いピンク色で塗られた彼女の頬は一方通行にプリクラを撮ってほしいと言ったせいでさらに赤くなってしまった。
494 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 02:28:30.40 ID:55AEE0Q0
今帰ってきました…。
眠いので寝ます…。
すいません…
495 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/18(土) 02:34:50.33 ID:D2f0/2DO
いいよ眠いときに寝るのが一番だよ
>>493
ご冥福を祈ります
496 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/18(土) 09:37:47.19 ID:crrLcYI0
番外ルートに行くにしても座標ルートにいくにしてもいったん西園jじゃなかったあわきんに
リードされるとことかよく原作を再現してますね
497 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/18(土) 19:00:19.91 ID:/pNrTREo
DEADENDがあればさらに原作を再現してますね
498 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:22:42.29 ID:55AEE0Q0
バイト行く前に少しだけ投下します。
俺スクールデイズみた事ないんですよねー。
そんなに似てるんですかね?
さて、あらすじから
結標淡希は一方通行と映画館に行き、順調にデートをしていたが…
まさかライバルの番外個体と遭遇!
そこで彼女は困惑し座標移動する。
そしてその場で一方通行に対して思いをぶちまけるも一方通行には届かず…。
結標はとぼとぼ帰っている時に海原(エツァリ)と出会う。
同じく敗残兵気分を味わっていた海原とともにカラオケに向かう。
ちなみに原典移動はないです…。期待してくれた人には申し訳ございませんが…><
ちなみに現在は番外個体√です。
結標√はレス番号471からです。
499 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:24:23.52 ID:55AEE0Q0
「ただいまァ…」
時刻は二十二時。
一方通行は結標と分かれた後、一人寂しくご飯を食べた後、黄泉川家に帰宅した。
打ち止めは遅い時間なのですでにすぅすぅ寝息を立てて寝ている。
芳川は今日も夜勤の勤務らしくいない。
リビングでジャージ姿の黄泉川がテレビを歌番組を見ながら少し遅い夕飯を食べていた。
「おかえりじゃん、一方通行」
「…おゥ」
黒のジャケットを脱ぎ、ハンガーにかける。
黄泉川はテレビをみているのでさっと上着を脱いでラフな格好にきがえる。
adidasのジャージに着替えた一方通行は風呂の湯を張る。
「なんかあったのか?一方通行」
気付けば黄泉川はテレビを見るのを辞めて一方通行の方を向いていた。
「いや…特に…ないって言ったら嘘になるなァ…」
「何か厄介事に巻き込まれでもしたのか?」
黄泉川が心配してるのはおそらく一方通行が学園都市の抗争に巻き込まれていたりしているのではないか、という事だろう。
「いや…黄泉川が考えてるような…そォいう厄介事じゃねェ…むしろオレが厄介事を巻き起こしちまってる…」
500 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:26:13.11 ID:55AEE0Q0
「女か?」
普段学生相手に話をしている黄泉川は年頃の男女の相談に幾度となく乗っている。
彼女の読みは見事に当たっていた。
(もしかして…黄泉川に話せば相談に乗ってくれるかも…?)
そう考えた一方通行は風呂には行かず、リビングのソファにどかっと腰を落ち着ける。
「ったく。オレのせいでめンでェ事になっちまったンだよ…」
「ふーん…どうせ三角関係とかそーゆー感じか?」
いくら学園都市第一位といえど一方通行も高校生の年頃。
能力者と言えど、抱える悩みは能力の事を覗けばそこらの学生達と同じことに悩んだりする。
「女のカン…ってやつかァ?」
「ま…そんな所じゃん…で、どうしたんだ?一方通行」
一方通行は包み隠さずに黄泉川に話した。
「なるほどね…一方通行は二人の子と遊んでからどっちがいいかを決めようとしたってことか…」
「あァ…アイツらには迷惑かけちまったな…」
「そうか?」
「え?」
501 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:28:30.95 ID:55AEE0Q0
一方通行はてっきり黄泉川に呆れられるものかとばっかり思っていたが、迷惑かけちまったという一方通行の発言にむしろ否定的な様だ。
「だって…結局そのどちらか…あるいは二人は一方通行に振られるわけだろ…?悪い言い方だけど…品定めしてから」
「まァなァ…オレは二人と付き合うなんて器用なマネできねェし、するつもりもねェ…だったら…必ず女は振らなきゃならねェ…」
「女のどっちかは絶対振られるじゃん。どういう振られ方にしろ、いつかは振られる。なら仕方なかったって思わなきゃやってられないじゃん?」
「そんな一方通行でも惚れてるって事じゃん。なら気にしたらだめじゃないか?ま…お前のやってることは賛否両論だが…」
黄泉川は見たことのない二人の女の子に同情するように窓から見える多摩地区の高層ビル群を眺めながらため息を吐く。
「ただタイミングが悪かっただけじゃん…当の女の子からしたら不幸だけど…」
そうか、と一方通行は考える。
(オレはてっきりあの二人の涙を見てオレがワリィと思い込ンでいたが…)
(仕方なかったのか…?いや…あの二人が好意を寄せてたのは解った…だけど…)
(オレは今日結標と関係を終わらせちまった…今後アイツと付き合うことは…多分ない)
(じゃあ…オレは誰がすきなンだ?)
(結標は……)
一方通行は今日一日結標とすごした一日を思い返す。
午後に待ち合わせしてから…ビルで別れるまでを。
502 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:29:24.59 ID:55AEE0Q0
(アイツは…好きな気持ちがぐいっと全面から出てて、嬉しいンだが、なンかこう…少し…違う気がするンだ…)
では一方通行は一体誰が好きなんだろうか?
(じゃ…誰なンだ?…番外個体かァ?)
自分が誰の事を好きかなんてわからない。
ならば確かめればいいのだ。
(アイツ…昨日パン屋でオレに紙渡したよな…?)
一方通行は不意に財布のファスナーを開けて昨日番外個体から貰った紙を見る。
『今度いつあいてる?あいてるならミサカと遊ぼうよ』
くしくもこの紙のとなりに今日結標と撮ったプリクラがある。
今日の映画館での出来事を思い出し、ズキンと痛む一方通行の心。
とその時…
ぷるるるるるるる
リビングに置いてある一方通行の携帯電話がなりひびく。
503 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:31:35.75 ID:55AEE0Q0
「女から電話じゃん?一方通行?モテル男はつらいねぇー」
「うっせぇ…でも、聞いてくれてありがとよ…ちょっと電話してくらァ…」
黄泉川の茶々に答えつつ一方通行はディスプレイを見る。
『番外個体』
と表示されている携帯電話の小さい液晶。
ぷるるるるるる
一方通行の願いも空しく携帯電話はそのまま鳴り響く。
(いや…とりあえず外いくかな…)
一方通行はジャージの上にダウンジャケットを着てドアをがちゃりと明ける。
(確かめるか…)
ふぁんふぁん…うーうー……
パトカーの音が遠くからこだまする。
冬の凍てついて乾燥した空気が一方通行に襲いかかる。
道路を走る車の音、サイレン、風、飛行機の音、人のざわめき…それらが一つのメロディになって聞こえる夜の学園都市。
504 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:32:36.72 ID:55AEE0Q0
「はー…やっぱり出ないかな…」
(今頃赤髪と二人で仲直りでねんごろなんて…いやいや…どうなのよ?)
番外個体は心理定規と一緒に途中まで歩いてきて解散し、その後、家で一人でぼーっとしていた。
が、そのうち一方通行の声が聞きたくなって電話。
(でないなぁ…まさか、着信拒否?)
(でも…鳴ってるし…まさか…トイレ…?フロ…?)
様々な想像が番外個体の脳内を駆け回る。
そして、携帯電話をどこかに落したんじゃないか、という妄想を始めたところで呼び出音が切れ、通話モードに。
『オレだ…番外個体か…?』
「うん…ずいぶん出るまで時間かかったね…もしかして電話ダメだった?」
『いや…そンな事ねェよ…今家の近くの公園だから問題ねェぞ』
505 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:33:26.64 ID:55AEE0Q0
海原と結標は第七学区のカラオケにいた。
二人で割り勘して酒、夜ご飯もいっきにここで済ませてしまおうと考えた二人。
とりあえず歌う前にがっつりご飯を食べてしまおうと考え、とりあえず中南米のテキーラをショットで飲む海原。
クイッ
テキーラをあおる海原。いやここではエツァリと言おうか。
「あー!ショチトル!お兄ちゃんは振られてしまいましたよっ!」
「ショチトルって前に病院にいたあなたの知り合い?」
「アイツは実際僕より弱いですね…私の戦闘力は五十三万です」
ただいま絶賛意味不明なことの喋り続けているこの男はどうやら振られてしまったようだ。
「へー。で、あなたは誰に振られたの?もしかして超電磁砲?」
そしてもう一杯。
クイッ ぷっひゃー
「あのツンツン頭は御坂さんの世界を守ると言っておきながら!他の女性と街をふらついていた…」
「そんな姿を見た私は思った!(クイッ)!彼には!(クイッ)!御坂さんの!(クイッ!)世界を!(クイッ)!守る資格なんて!(クイッ)!」
506 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:35:19.83 ID:55AEE0Q0
一言一言区切りをつけながらショットグラスに入れたテキーラをまるで水のようにあおっていくエツァリ。
最後にショットグラスになみなみ注ぎボトルをあける。
「ないんですよ!そんな彼女の姿を見ていられず、ついつい……………」
「ついつい…何よ…?」
「告白してふられちゃいました」
はぁ、と酒臭いため息。
「御坂さんの世界を彼は守れていません」
「あなた振られたわよ?」
「はい。すいません」
エツァリはおもむろに立ち上がるとフロントに電話し、テキーラをもう一本注文する。
こつこつ貯めてきた暗部の貯金はボトルの一本や二本は問題ない。
「結標さん!あなたがどんな振られ方をしたとかっ!もうっ!どーでもいいんですよぉぉぉぉぉ!」
「あぁぁぁあ御坂御坂御坂御坂御坂さん…かぁぁぁいいよぉぉおぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
(もうコイツホントにどうにかしないと…そのうち潰れちゃうわね…)
「ほら、海原。ここは歌ってストレスはらしましょ?」
結標がエツァリにデンモクをわたした時にテキーラと冷えたグラスを持ってきた店員がやって来た。
海原がボトルのふたをキュっと開け、またテキーラをグラスに注ぐ。
「全く…私たちは御坂関係に縁がないわねぇ…」
507 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:36:21.66 ID:55AEE0Q0
どういう事ですか?とエツァリは首をかしげつつ本日何杯目になるだろうか、テキーラを再びあおる。
「私は一方通行にふられたのよ!!!ライバルが…ちょっと御坂美琴関係でね…」
(おっと…ミサカさんの名誉のためにここは黙っておきましょ…!)
「ほら、海原!ちょいとかしなさい、テキーラ!」
(あー!飲むわ!思い出したらつらくなってきた!あー!)
ショットグラスをひょいっと海原もとい、エツァリから奪うとなみなみ注いでクイッと一飲みする。
「うっわっ…まっず…あんたこんなの飲んでたの…?…あっつ…体あっつ…」
(やっべぇー…これは…まずい…酔う!)
「ちょっと…大丈夫ですか…?私はお酒慣れしてますが…」
(…アルコール度数45度ですよ?平気ですかね?)
「ぷひゃー!まずい!塩とレモンとって!エツァル!」
(ええ!?名前違う!)
「違いますよ?私の名前は…?…エツァ…?」
「閲覧!」
一杯のかけそばならぬ、一杯のテキーラで完全に泥酔してしまった結標。
今日の為に小萌に結ってもらった二つ結びの髪をみつあみに。
赤いメガネ+ピンク色のチーク+泥酔=完璧
という演算式が出来あがった。
そして名前あてクイズは続く!
「おしい!エツァ…?」
508 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:37:00.36 ID:55AEE0Q0
「エツァ…リボンバ!」
「あー惜しすぎて通り過ぎたぁぁぁぁ!ってか核ぅぅぅぅぅぅ!」
エツァリは結標が喋る間にレモンと塩を目の前でほれほれとちらつかせる。
「ちょっと…マジ口の中が熱い!ヤバイヤバイ!ちょっと海原!」
「名前がごっちゃですよ…?」
茶番劇を演じつつも、結標は一度はエツァリに渡したカラオケのデンモクをポチポチ弄り、歌を入れる。
ピピピピ…
カラオケのモニターに表示された歌は『丸の内サディスティック(学園都市ver.)』
「これって結構難しくないですか?林檎ですよね?」
自分で入れたテキーラを一口飲む海原。
かーっとのどの辺りを押さえている。
「いいのよぉ♪今日はこれ歌いたい気分なのー!いいでしょー?」
椎名林檎と浮雲のコーラスで始まるこの唄は林檎がとある歌手に憧れて作詞作曲した唄。
どうやらその学園都市ver.が配信されたそうだ。
♪報酬は(暗部に)入社後 平行線でー
学(園)都(市)はあいせどー 何もーなーい♪
酔いながらも、語調ははっきりと歌う結標。
自分の頬に指を這わせながらくちびるの周りのてかてか光っているグロスの周りを丁寧になぞっていく姿に海原は魅了されていた。
509 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:38:54.31 ID:55AEE0Q0
(結標さん?いつものピンクサラシの姿のあなたはどこに行ったんですか?)
(こんな結標さんを振った一方通行さんは一体誰が好きなんでしょうか…?)
♪ライト一つを商売道具にしているさ そしたらセロリが肺に映ってトリップ
(熱唱ですね…この女の子独特のしゃがれた声…最高ですね…)
♪そしたら セロリ あたしを右手で殴ってー!!!!!
(さて、私も歌いますかねー…一曲目は…)
ピピピ…と入力されるデンモク。
液晶には『ふたりごと―金星人の一生に一度だけのワープver.』と表示されている。
クイッ!
510 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/18(土) 19:39:30.95 ID:55AEE0Q0
じゃ、仕事行くわ。深夜投下する。
出来なかったらごめん
511 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/18(土) 20:01:12.05 ID:wQ.jbHIo
おつ
512 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/18(土) 20:51:59.92 ID:g1YoMVU0
スクールデイズを最終回だけしか見てない俺って一体・・・・
513 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/18(土) 20:55:14.33 ID:JcUjBr60
見ても
あー
ってなるだけよ
514 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/18(土) 21:40:50.34 ID:lhTQU7Io
>>1
が電話の男に呼び出されたと聞いて
515 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 00:48:46.02 ID:JtFIKsk0
原典移動が無いだと?
そんなの
>>505-509
にちゃんとあるじゃないか!
俺には脳内変換、脳内補完、脳内補正があるから無問題だキリッ
516 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 03:51:01.64 ID:Myg3j720
書きためしてましたー!
眠いので寝ます!すいません!
>>515
さん、あなたの妄想力に感謝ですっ!
517 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 11:28:55.79 ID:9BUbBWsP
むしろ原典移動はいらない
518 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 12:24:51.04 ID:rY1u0sAO
相変わらず楽しい描写をしてくれてるぜ
519 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:08:23.45 ID:Myg3j720
皆さまこんばんわ。
昨夜の投稿で誤植がありましたね…
>>507
の後半あたりで文章が飛んでますね…。
大筋の流れに影響はないので、いいでしょう。
>>518
さん そう言っていただけると、頑張ろうと思えます!
また、他にもレスくれたり、画面から読んでいるだけの読者の方々にも変わらず感謝を。
昨日のあらすじ
結標さんは一方通行と分かれてエツァリとカラオケ。
一方通行は帰宅したのち黄泉川と家で自分の恋愛のやり方を話し、自分の信じる道を行こうと決断する。
520 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 19:09:46.08 ID:pece/YUo
ちょうどリアルタイムktkr
521 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:11:07.73 ID:Myg3j720
場面は黄泉川宅近辺の公園へ戻る。
心理定規が番外個体に告げた疑問。
『結標さんは嘘をついているかもしれない』
番外個体は正直電話するのは辞めようと思ったそうだ。
だがしかし、心理定規の予想を聞いただけで安心出来る訳がない。
結標淡希が一方通行と付き合っているかどうかはどちらかに聞かなければ氷解しない。
それは番外個体が今解決しなければいけない最重要事項になっていた。
「一方通行、結局あの……赤……結標さんとは付き合ってんの?」
『……それを聞いてどォすンだよ』
「……クッ……いや、そのアハハ」
『………付き合ってねェよ…』
「……そ…う」
(一方通行にいつ惚れたんだろう?)
(いつだっけ?)
(カフェで出会ってから……?)
番外個体は思い返す。
522 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:15:20.29 ID:Myg3j720
自分の事をただのクローンとしてどはなく、共闘関係ではなく、ただ一人の女として認めて貰った。
きっかけはそうだ。
ケーキをお勧めしたり、結標の紹介したサンドイッチに負けじと思い、気付けば、彼女と張り合っていた。
(そっか…ミサカ、段々一方通行の事好きになっていって今では…ってなんでこのタイミングでこんな事思い出してんだ?)
(今…一方通行にミサカが渡した紙の事聞いたらおこるかな…)
(…でも……聞きたい。私もあの赤髪みたいに一方通行と遊びたいょ……)
「…で紙の返事は…」
(ミサカは…やっぱ言えない…怖い…)
紙とは番外個体が一方通行に渡したデートに行きたい旨を書いたものだ。
彼女が自分自身の負の感情の発露を恐れ、本心を綴ったもの。
番外個体は本当は息をすいこみ、はっきりと大きい声で言いたかった。
(ミサカと遊ぶっていう話し、どうなの?ってね…)
けど言えない。
(結標さんはこの恐怖と戦ってたの?一つ一つの返事の答えにびくびくしながら待つ…)
(相手の気持ちを損ねない様に、だけど自分の気持ちはキチンと伝えたい…だけど、無理っ!)
『いつにすンだよ』
523 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:16:54.63 ID:Myg3j720
――一方通行視点
『え?』
受話器越しに聞こえる番外個体の不意をつかれたような驚きの声。
一方通行は既に腹を括っていた。
結標を今日泣かしてしまったのは確かに一方通行の負うところが大きい。
だが、誰と付き合うか、誰をふるか、それを決めるのはあくまで一方通行。自分自身に外ならない。
(回りからの評価?あァ捨てよう。ハナから気にしてねェ…)
黄泉川は言っていた。
『女のどっちかは絶対振られるじゃん。どういう振られ方にしろ、いつかは振られる。』
ならば、ここまで来てしまったからにはしっかり確かめなければならない。
決断の関頭はそこまできている。
あの時の。
なぜか打ち止めを守ろうとしたあの時を一方通行は思い出した。
かつてロシアの大雪原で三下に助けを求めた時よりも前。
自分の問題は自分で解決しなければいけない。
暗部で活躍した時。
いや、それよりも前?
(オレが悪党を名乗っていたあの時か。クカカ…確かにあの時は)
524 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:18:00.48 ID:Myg3j720
(自分がもっとも自分でいられた時かもしれねェなァ…)
一方通行は思った。
(つくづくオレは筋がとォってねェな)
(レベル6シフトの時も実は殺したくなかっただァ?テメェに嘘つくのは辞めろ一方通行)
(自分の生き様を真っ直ぐ見つめろ…オレが生きて来た道は?)
妹達を使った実験をしていた時、確かに一方通行は惰性で人を殺していた。
いくら惰性だからと言い訳しようとそれが彼の前にある厳然とした事実なのだ。
一方通行は気付けば携帯を握る力が強くなっていた。
(なァンだ…オレはやりたいよォに生きて来たじゃねェか…)
そう。いかなる営為であろうと人は自分の意思で行動する。
(…なら、答えは…)
後は考えるまでもなかった。
一方通行は番外個体に自分の要望を伝える。
「おい、番外個体。さっさと話せ、話さねェなら切ンぞ?」
525 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:19:36.61 ID:Myg3j720
『ご、ゴメン!ミサカはバイトが三日連続で入れちゃったから…』
「じゃ、バイトが早く終わる日はないのか?」
うーん…と受話器越しに聞こえる番外個体の唸り声。
『ないかなー』
「じゃ、四日後だな…」
一方通行は一瞬カレンダーを思い出す。
(12月中旬だよなァ…空いてるわかまわねェな)
『空いてるの?』
「あァ…」
『ミサカと遊んでくれるの?』
「なンだァ?口の悪ィ番外個体がお願いですかァ?」
『…待ち合わせ来なかったら殺すからね。ぎゃはぎゃは』
526 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:21:10.37 ID:Myg3j720
『ねぇ…ミサカは一方通行の事好きだよ?』
お腹のそこから息を吐き出すように喋る番外個体。
「な…なァに言っちゃってるンですかァ……?」
『ん?何か聞こえた?』
「…いや聞こえるも何も……」
(やべェ…アイツ何言ってるンだ?ってかいつもの番外個体じゃねェ……!)
一方通行は明らかに動揺していた。
唐突に受話器越しから聞こえて来た番外個体の言葉。
いつもの番外個体なら一方通行へ軽く余計な一言、暴言を吐く。
しかし今は違った。
その暴言を吐く軽いのりのような感じでつい先程彼女が言った言葉はただ単に告白。
『だって…どーせもうばれてるじゃんミサカがあなたの事好きだって』
「……まァな…」
(…クカカ…おもしれェ、おもしれェ…こりゃ四日後が楽しみだ)
(番外個体……アイツがあンな事言うなンてかわいいじゃねェか…)
『一方通行はミサカの事好き?』
「…さァなァ…ただ、一度遊ンでみねェとなンともいえねェなァ」
一方通行は自分でも思う。
527 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:22:19.88 ID:Myg3j720
(なんと最低な男だなァーオレも)
『へー…赤髪もその理屈で遊んだの?』
番外個体の鋭い指摘。
しかし、一方通行はその問いに対して素直に答える。
「あァそォだ。普段しゃべってるだけじゃわからねェからな…ソイツとの相性とか」
『かー。ミサカもその人もかわいそー。遊んで振られたりしたらなんか思わせぶりじゃーん…サイテー』
「すまねェがこォゆー性分なンだ。わりーな」
『…ま、いいよー。あ、ミサカの事振ったら打ち止めちゃんぶっ殺してやるから!きゃははは』
「そりゃ困るぜ、番外個体」
やはり世の中には物好きがいるそうで。
番外個体も結標も何故こんなどーしょーもない第一位に惚れたのか。
彼女達はもしかしたら一方通行の根底にある昔からあり続けて変わらない、生き様に魅了されたのだろうか。
ちゃらちゃらした男には常に女がいるというのも、もしかしたら男の回りに勝手に女が寄ってくるのでそう見えるだけなのかもしれない。
(あ…そういえば…)
コタツに顔以外うずめて電話している番外個体は電話を切ろうとする所で不意に一つの事を思い出した。
「ねぇ…一方通行…ミサカ、お願いがあるんだけど…?」
528 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:24:09.26 ID:Myg3j720
――番外個体視点
番外個体がふと思いついた伝えたいこと。
それはとっさの思いつきではなく、ここ数日、彼女がずっと考えていた事だった。
先ほど突発的に告白をした番外個体の事だまたぞろ意味不明な事を言うのだろうか。
『あァ?なンですかァ?その日は女の子の日ですゥ…とかかァ?クカカ…』
「ばーか、ちげーから。後、死ね」
(あっと、ダメダメ…落ち着いて…茶々入れたら話し進まない…!)
番外個体は昨夜の歓迎会の帰り、三人で歩いていた光景を思い出す。
布束は言っていた。
『今後ずっと一緒に居れるって思う人につけてもらったらどうかな?』
心理定規は話していた。
『あなたが一番現時点で愛してる人に名前をつけてもらえば。それで解決じゃない?』
番外個体は外部スピーカーをオンにした子機に切り替えて冷蔵庫にある武蔵野牛乳をとり、再びコタツに戻る。
「一方通行にも名前はあるでしょ?」
529 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:25:09.04 ID:Myg3j720
『…いきなりなンですかァ?』
「いいから」
『…思い出したくねェがな…あるよ』
「人っていろいろだね。ミサカは名前が欲しいって思う。でもあなたはそれを思い出したくないって言う」
『で、何が言いてェンだよ?』
「ミサカの名前一方通行が考えてよ」
番外個体の頬は朱に染まり、心臓の鼓動が高鳴るのを確かに感じた。
530 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:26:46.21 ID:Myg3j720
――カラオケ
♪トラウィスカルだろうと 黒曜石だろうと 俺が金星人で 君がレベル5だろうと 君が言い張ぁぁぁぁぁぁぁぁっても!!!
エツァリは熱唱していた。
それはそれは勝手に歌詞を改変し、御坂美琴への気持ちをぶちまけていた。
「ひいぞぉー!えひゃりー!もっひょうたへぇえええ!」
ろ列が碌にまわっていない結標は酒をちゃんぽんし、泥酔したが歌える気力はあるようだ。
その証拠に二人はカラオケに予約数満タンに入れて次の自分の番が来るまでお互い交代交代するというルーティンが守られている。
♪俺は 地球人だよ いや、でも仮に金星人でも たかが隣の星だろ?
テキーラをしこたま飲んだ後とは思えないほど流ちょうに御坂美琴への思いを歌っていくエツァリ!
「いいぞー!変態ストーカー!そげぶ!そげぶ!!」
「うわぁああああああああああああ」
♪一生に一度のワープをここで使いたいよぉおおおおおおおおおおお!
二人のカラオケはまだまだ続く!?
531 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:27:43.13 ID:Myg3j720
――第七学区の番外個体の家
『はァ?なンでオマエの名前、オレが考えなきゃいけないンですかァ…?』
番外個体の予想通りの回答が受話器越しに伝えられる。
「ははー…。だよねぇ…意味分からないよねぇ…あひゃひゃ……――」
(いえ!)
「…………………………おねがい」
唐突な質問であることは彼女自身重々承知していた。
一方通行の身の周りに今日一日いろいろな事が起きて迷惑をかけたことも。
「意味分からない事言ってるのはミサカだってわかるよ!だって変だもん!自分の名前を一方通行に名づけてほしいなんてさ!ぜんっぜん!やだ!うざい!死ね!」
(落ち着けミサカ!いつもこれで言いたいこと言えてないんじゃないかっ!)
直接面と向かった時に噴出する負の感情の発現以外に彼女をここまで言わせる原因とは一体?
それは改めて言うまでもないくらいに単純な感情――彼を思う気持ちがそうさせている。
『ハイハイ…じゃ、電話切るぞ…?』
「待って!」
532 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:30:31.48 ID:Myg3j720
番外個体はコタツの中で電話していたが、自分の体がどんどん熱くなっていくのを感じたので今は窓を少し開けている。
彼女にとって重要なテーマなので熱がこもるのも当たり前だろう。
『あーァ…だーりィ…なンでオレに名前つけてもらいてェンだよ…?もっと適任者がいるだろォ?』
(違うよ…そういう人たちは…ミサカを生むことに貢献してくれたのは確かだよ…だけど)
『オリジナルとか…後は…なンだァ…?学習装置の設計者の布束とか…だったら打ち止めとかじゃダメなのか…?』
(布束と心理定規は言ってた…自分が納得できる人につけてもらえって…好きな人でもいいんじゃない?って)
『…あーだったら…そーだな…(ry』
遮られる一方通行の言葉、矢継ぎ早に話す番外個体。
「お願い。一方通行。あなたに名づけて欲しいの。ミサカの名前。突拍子もなくて訳わからないと思うよ…ミサカだってこんな事いわれたら焦るし意味分からないっていうよ。多分」
『…………』
「それは承知してるよ…だけど…ミサカは一方通行から名づけられた名前が欲しいの」
(もうこれがミサカの言える限界…心臓すごく速い…どくんどくんっていってる)
『…………………』
しばらく沈黙――。
番外個体の受話器越しからは一方通行のいるであろう公園の周りの道路を走る車の音が聞こえてくる。
533 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:34:06.15 ID:Myg3j720
『わかりましたァ…ただ…オレの決めたケチつけンなよ…?』
「つけないよっ。ただ、。クソとかトメとかはやめてね…マジで切れてどーにかなっちゃいそうだから☆」
『クカカカカ…そりゃァいい…!さいっこうにいいじゃねェか…!あははは』
(あ…わらった…)
受話器越しから聞こえる一方通行の笑い声が聞こえる。
あの赤髪もこんな心境だったのだろうか?
(…なんか癪だけどなぁ…嬉しいんだよなぁ…一方通行が笑ってくれると)
一方通行の言動に自分が一喜一憂するこの気持ち。
他人に自分の事をゆだねた事がない番外個体はしかし、今この瞬間を心地いいものと思っていた。
「じゃ…お願いね…」
『おう…じゃあな…』
そう言うと程無くして今日の電話は終了した。
今日一日でいろいろあった。
しかし、どんなつらい日や楽しい日も必ず終わり次の日が来る。
534 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:39:06.60 ID:Myg3j720
番外個体は切れた電話の子機を愛おしげに見つめながら充電器にカチっと戻す。
(はー…なんかお腹減っちゃったなー…冷蔵庫にある出来合いのものでなんか食べるか…)
一方通行は携帯電話の通話モードを終了させるとはぁ…とため息をつく。
その後最も最寄りのコンビニへコーヒーを買いに、だるそうに足を引きずりながら向かって行った。
「オレがアイツの名前…ねェ…オレもどォしたもンだか…」
やはりいつもどおり何も変わらない光景。
高層ビル群は人口の光を都民に、空に輝かす。
暗くなった空では肉眼では確認できないがコォォ…と飛行機の進むエンジン音が寒空を引き裂くような音を立てている。
半分に欠けた月は学園都市を全て照らすかのようにきらりと光っている。
535 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:43:26.36 ID:Myg3j720
――電話から二日後 『リンゴベーカリー』
「いらっしゃいませー」
寒い。
どうやら天気予報だと今日の午後の予報は雪。
それでなくても凍てついた空気の中街を嬉々として歩く人はいない。
パン屋で朝から働いている番外個体と従業員たちは入店があまりこないので暇そうにしていた。
「あー…空グレー一色ですねぇ…ミサカさん。これ…結構雪振りそうじゃないですか?」
番外個体に話しかけたのは重福。
彼女はキッチンのケーキ作りを手伝っい終わった後に休憩をもらい、只今番外個体と一緒に裏手の小さい庭を控室の窓から見ていた。
「今日…朝から数えるくらいしか客きてないしねー…あーミサカかえりたーい」
「…ふふふ…。あ、そういえばミサカさん…クリスマスはどうなんですか?店長は24日ミサカさんの事いれてましたよ?」
「あー特に予定ないからいいわよ。別に。それより、今は携帯電話かわないとねー…子機だけって完全にアウトじゃない?ミサカ」
重福と他愛もない会話をしていると番外個体のもとに喫茶店ポジションで働いている心理定規がやってきた。
「おーい、ミサカー。客が呼んでるよー!」
「誰?」
控室であったかいココアを飲み、ふぅと一息吐くと番外個体は猫目で心理定規に話しかける。
536 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:44:37.71 ID:Myg3j720
「あぁ、赤髪って言ったらわかるかな?今日店長いないしリーダーの青ピに許可貰っといたから…話してきなよ…話しあるってさ」
どうやら心理定規が青ピに言って気を利かせてくれてくれたそうだ。
「はいはい…」
(結標さん…?一体何かしら?)
「あら…久しぶりね…ミサカさん?」
「こちらこそ…結標さん?」
リンゴベーカリーのコック服の上にグレーのパーカーをはおった番外個体。
彼女が行く先には霧が丘の制服にショート丈のネイビーピーコート。
黒タイツ、そしてあの日の赤いメガネをつけた結標淡希がいた。
「「……………」」
(ちょっと…赤髪なにか話せよ…)
結標がホットミルクを一口頬張りサンドイッチをほおばる。
しばらくして結標が喋る。
「…なんか…いろいろ…ごめんね!私結構なんかこう敵意むき出しって感じだったじゃない…!?」
「あー…いいって。ミサカ気にしてないから」
「あら…そう。多分一方通行はあなたと遊ぶと思うんだけどさ…振られた私が言うのもなんだけど…頑張ってね」
「うん。遊ぶし、がんばるよ。ありがとね、結標さん」
537 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:45:32.26 ID:Myg3j720
「全く…あんたなんかに頭下げる気はさらさらなかったんだけどさ…チクチク頭の端でね…」
「ううん。嬉しいよ…。ミサカこそ…ほら…もともと口悪いじゃん?だからさ…!」
番外個体もあの映画での一件以来結標と話してみたいと思っていた。
それが唐突にもこうい形で実現する事が彼女は出来て嬉しかった。
「ふふ…じゃぁ…仲直りのしるし…って事で握手だね」
「ははは…まさかミサカとあなた握手なんて何日か前からは想像できないだろうね。あひゃひゃ」
結標はふふと笑うと右手をつきだす。
番外個体も右手を交わす。
「全くその通りね…ミサカさん。一方通行の、まだ好きなのかしら?」
「えぇ…ミサカ自身でも全然理解できないんだけどね…ひゃひゃひゃ…」
「そう…。多分遊ぶと思うんだけど…その時に伝えるつもりなのかしら?」
「うん…ミサカも素直にならなきゃなって思ってさ」
「頑張ってね、応援してるわ、じゃここらで私は行くから…」
二人のライバル関係はひとまずここで終止符が打たれた。
電話番号をお互いに交換すると結標はサンドイッチを買うと帰って行った。
その後ろ姿は凛として、高校生が醸し出せるオーラらしからぬものを放っていた。
538 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:46:22.63 ID:Myg3j720
――結標と番外個体が和解した翌日(一方通行と番外個体のデート予定日の前日) 黄泉川宅のソファ
「…だー!わかんね!」
(アイツの名前とか思いうかばねェ!)
「何を悩んでるのってミサカはミサカはひょっこりあなたの後ろから覗いてみるっ!」
打ち止めはソファーに座ってバインダーを持ちながら悩んでいる一方通行を覗き込むと、何やら漢字の上にぐちゃぐちゃに書き込んだ跡がたくさん。
「…あなた、漢字のお勉強してるの?」
(なんか修正した跡も一杯…なんだろう?)
「……!」
(おーっと見せる訳にはいかねェ!)
一方通行はガバッとバインダーを隠し首を横にふる。
彼がバインダーに記載し何度もボールペンでぐちゃぐちゃに塗りつぶしているもの…それは番外個体の名前候補である事は言うまでもないだろう。
「ふぅーん…じゃ、ソファーの前にある国語辞典と人命辞典は何?ってミサカはミサカは聞いてみるっ!」
一方通行不覚っ!
バインダーを隠す事に集中するあまりに机に置いてある辞典類を隠すことを忘れていたようだ。
「はァ?これはなァ……」
(やっべ!しまった!隠さねェと!)
「これは?……あ!まさか!あなた隠し子がいたり!?ってミサカはミサカはあなたに疑惑の眼差しを…………!」
(何に使ってるんだろう?)
一方通行が国語辞典と人名辞典を隠そうと思った時には時既に遅かった。
打ち止めはふんふん鼻歌を歌いながら人名辞典を見る。
539 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:46:59.61 ID:Myg3j720
「ねぇ…なんでこの辞典の『美琴』って箇所に付箋がしてあるのかな?」
(まさか…お姉様の事が好きすぎて名前の由来とか調べちゃったり?きゃー><)
「…しっ、しらねェ!オレはしらねェ…!
(ヤバイ…ヤバイ!人名辞典の方はあきらめるとして…頼むっ!国語辞典は見ないでくれっ!)
一方通行の願いはむなしく打ち止めのか細い手が国語辞典に伸びていく。
打ち止めはケースに入った国語辞典をスポッと取り出す。
「オイッ!それはマジで辞めろ!」
(その辞典には漢字に付箋してあるからヤバイ!)
「あれっ?国語辞典の『美』『琴』『鈴』に付箋がある…?これって?まさか…」
一方通行は観念して説明する事に。
ひとまずここ数日の一連の流れは伏せておくとして、番外個体から名前をつけてほしいと言われたことを打ち止めにつたえる。
「へー!番外個体があなたに名前をつけてほしいって…むむむむ…」
(番外個体は一方通行の事が好きなんだねってミサカはミサカは大予想っ!)
「なンですかァ…?クソガキィ!」
「うん…すっごくすっごく素晴らしいことだと思うよっ!これは冗談じゃなくて…ミサカの本心だよっ!」
「やけに熱く語るじゃねェか…」
「うんっ!ミサカはね!クローンの妹達が自分に興味を抱いたり、興味分野を見つけてそれに打ち込むってことは立派な生きようとする意思の表れだと思うのっ!」
「そォかァ?興味を抱いたり、趣味に打ち込むことといきることは全く違くないかァ?」
540 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:47:29.04 ID:Myg3j720
「違くないよ」
即答する打ち止め。
「だって今まであなたに殺されるためだけに生きてきた妹達がいきなり実験を中止にされたってことはだよ…?彼女たちの生きる目的を取ったって事になるんだよ?」
「なら、彼女たちが新しい趣味に打ち込む事は生きる事と関係ないというよりも、むしろ密接にかかわっている気がしない?」
少女の様な風貌でありながら流暢に話す打ち止めの姿に一方通行は圧倒された。
「…まァな…そォ言われればそういう気もするわ…」
全妹達を統括する司令塔、打ち止めのはなしに聞き入っていた一方通行はしかし次ン瞬間に打ち止めと話していた事を思い出す。
(よし…このまま名前の話からは打ち止めを遠ざけて…!)
一方通行は番外個体の名前の話から少しでも遠ざけようと考えていたが、打ち止めはどうやらしっかりと少し前にしていた話の内容を覚えていたようだ。
「で、一方通行。番外個体の名前の候補は決まってるの?」
(やっぱり…勘が鋭ェ女はどォも好きになれねェ…)
打ち止めの純粋無垢な視線に見つめられて一方通行は言う。
「決まってら…オマエが覗くちょっと前にな。三日かけてやっと決まったぜ…!クカカ!」
541 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:48:11.11 ID:Myg3j720
一方通行はどうやら番外個体と電話をしたあの激動の一日から三日間。
番外個体の名前を悩みに悩んだ挙句、彼なりに考えた彼女のなまえは既に決まっているようだ。
「あなたが真剣に考えた名前かー、多分番外個体も喜ぶと思うよ!ってミサカはミサカは真面目に言ってみる」
「アイツも…喜ぶといいなァ…!」
(ってか喜ばなかったらマジで殺す!)
「あ、あともう一つ!ってミサカはミサカはあなたにもう一回質問してみたいって思ったり!」
「あァ?なンだァ?」
「それはね――」
いよいよ明日は番外個体と一方通行のデートだ。
一方通行はどんな名前を考えているのだろうか?
そして打ち止めの質問は?
それは一方通行のみが知る。
542 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:48:57.39 ID:Myg3j720
――デート当日の日 第十五学区 吉祥寺駅 一時半
昨日の天候では雪が降ると伝えられていたが、愚図ついたまま今日まで天候は持ち越しに。
今にも雪が降ってきておかしくない様な空模様だ。
そんな景観の中、一方通行は番外個体を待っていた。
(ったく第十五学区かァ…第七学区からは少し遠いなァ…)
学園都市の学生は遊ぶなら、どこ?と聞かれたら第七学区と答えるだろう。
しかし、この第十五学区も周辺に大学だけでも、成城、東京女子、ルーテル、早稲田と四つの大学が集まっており、高校も沢山ある。
しかもここは武蔵野と杉並区の境界であり、即ち学園都市と東京23区との言わば境界線なので人の流入が相当多い。
(話に聞く限りだと、どォやら土地価格もかなり高いし、マスコミ関係の建物もあるそォだ)
(さーって一体どこにいくンでしょうねー…?)
一方通行は昨日番外個体の名前を決めてさっさと寝ようとした時に当の彼女から電話が来て明日の場所と時間を指示された。
番外個体が電話をする時間が遅くなった理由はアルバイトが最後にちょっと混んだからだという。
その電話で指示された場所が第十五学区のとあるカフェなのだが、道が入り組んでおり、分かりにくいと言う事なので、第十五学区の吉祥寺前で待ち合わせ。
(ってかこねェじゃねェか…)
電車の高架下に響く鉄のかな切り音、車の行きかう音、街のざわめき…。
クリスマスまであと少しという所だが、試験前に遊んでおこうと考えた学生達で平日の吉祥寺はにぎわっていた。
ちなみに一方通行がいまいるのは吉祥寺の南口、JRと京王学園都市―渋谷線の接続口の近くの大きな柱。
543 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:49:34.79 ID:Myg3j720
人が沢山いるにも関わらずここにいるのは駅構内を下りてしまうと外に見つけやすいめぼしいものがないからだ。
(アイツ…いつまで待たせるンだ…?)
一方通行はフォリフォリのクロノグラフアイボリーの時計をちらりとみる。
ジェイコブの時もそうだったが、一方通行はどうやらギラギラしたデザインのものが好きなようだ。
番外個体が来る前に少し今日の一方通行の服装について説明を入れておこう。
今日の彼はさすがに寒さに打ち勝てず、ジャックロースのラビットファー付きのラムレザーダウン。
腰のあたりでシェイプされて体のラインだ出やすくなっていることからそこらの中年が着るようなダウンジャケットと差別化。
もともとモヤシと呼ばれた一方通行にとってこれほどフィットするダウンがあっただろうか。
普段のジャックロースからは想像できない様な硬派なダウンに着目した一方通行。
その下にはクールドライブストライカーのバイカー系ロンTを。
ラインストーンがちりばめられたシャツがダウンの隙間からひょっこり見える。
ジーンズはLeeの102のミッドユーズドでブーツカット。
ベルトにはジャックロースのプレーンコンチョベルト。
スニーカーは結標と遊んだときと同様にドルガバをチョイスした。
544 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:50:11.98 ID:Myg3j720
「ごめんごめん!待ったー?」
一方通行が時計から目を離し、JR口の改札を見るとこちらに向かってくる一人の女。
「いやー、十五学区初めてだからまよっちゃったー、一方通行遅れてごめんねー!」
番外個体は駆け足で一方通行の元に駆け寄ってくる。
彼女はAvirexのライダースジャンプスーツを着ている。
胸の下あたりまで開けているファスナーの下には無地の白のロンTが見えている。
アウターにはセージグリーンの同じくAvirexのダウンベストを。
ファスナーはジャンプスーツと同じくらいの所まで開けている。
ダブルジップでちょっと目ざといかもしれないが、それは番外個体の猫目でカバー☆
頭には黒のワークキャップ。
少しボーイッシュな感じもするが、これはこれでかなり決まっている。
普段かぶり物をしていない女の子がたまにするかぶり物は破壊力が並みではないのだ。
(…!やべェ…!クッソカワイイぜェ…!)
一方通行は迷子になって少し遅れた事を謝っている番外個体などそっちのけで上から下まで彼女を何度も見直した。
「おーい!?一方通行?ミサカの言うこと聞いてる?早く行かないと、コーヒーなくなるかもよっ?」
「…おおう!そうだったな…わりィ…わりィ…」
(これはマジで半端ねェ…)
二人は吉祥寺駅の南口から降り、一路繁華街から遠ざかる。
番外個体の案内の元、向かう先は井の頭公園。
「うーん…ミサカ井の頭公園行った事ないけど、地図見つつ行けばわかるよね?」
545 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:50:49.90 ID:Myg3j720
道路の脇にある看板を見つつ一方通行に話しかける番外個体。
「多分わかるンじゃねェの…?オレも行ったことないけどよォ…」
「うーん…多分こっち!」
青信号が点滅している。
番外個体は先にわたってしまうが、一方通行は反応が一歩遅れてしまい、反対側の歩道に取り残されてしまった。
おーい!と手を振って笑っている番外個体が進んでいる車と車の間に見え隠れしている。
(番外個体…めっちゃ明るいじゃねェか…こりゃァ…楽しみだぜ…)
一方通行はジーンズのポケットの後ろに入れてあるヴィトンの財布から紙をちらりと出す。
(…名前…いつ言おうか?アイツが言ってきた時に教えてやるか…)
その紙にはいくつか漢字が買い手あり、一つだけ○がしてある。
どうやら、それが彼が四日かけて考え抜いた彼女の名前。
546 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:51:20.54 ID:Myg3j720
信号がピピピ…と障害者に知らせる音を出す。
一斉に人が動き出す。
空はやはり曇り。
一方通行の隣にいたサラリーマンが灰色の空を見て舌打ち。
(雪振るって話だからァ…)
一方通行は番外個体の方をちらりと見て口角を僅かに引き上げる。
とその時、反対側からやってきたキャリアウーマン風の女性と肩がぶつかる。
「あ、すいません」
「いンやこちらこそ…」
悪いのは女性ではないのに、謝られる。
そんな十数メートル先にいる番外個体。
547 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:51:52.27 ID:Myg3j720
「先に行っちゃった!ごめんごめん!取り残されてる一方通行撮ったよー!」
番外個体はインスタントカメラをジャンプスーツの深いポケットからさっと出す。
「ったく…何してンだか…ホラ、さっさと案内しやがれ」
「してくださいでしょ?このクソモヤシが!ひゃひゃ」
(まーっただ!素直にはいって言え!ミサカ!今日は大事な日なんだから)
何時もの他愛のない話。
けれど、今日はそれが下手をすれば命取りになりかねない。
今日は番外個体が一方通行に本心を伝える日。
そして、彼女の名前が与えられる日。
もうただの「個体」ではなく、一人の女として。
毅然と、凛とふるまおうとするものの、口から出てくる言葉は罵詈雑言。
(ミサカ…今日は…一方通行に全て伝えれる…かなぁ…?)
笑顔と裏腹にもやもやした懸念が番外個体の頭の中に浮かび出てくる。
それはまるで今日の愚図ついた天候のように。
548 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:53:22.20 ID:Myg3j720
――第七学区 『リンゴベーカリー』
「いやぁ…今頃どうしてるかねぇ?ミサカは」
「うまくいってると思うわよ?多分」
『リンゴベーカリー』で働いている心理定規と布束は吉祥寺デートをしている番外個体の身を案じていた。
今日もお客さんはまばらでやることがなく、二人はパンを作りながら雑談。
先日、番外個体のかつてのライバルである赤髪、こと結標が来店した後、番外個体は店員達の質問攻めにあった。
結局恋話を働いている従業員に教えた。
バイトの子たちは本日その話しで盛り上がっているという訳だ。
「いやぁ、でもミサカさんならうまくやるんじゃねぇの?ほtら、猫目だし、気が強そうだから押しの一手でさぁ?オマエもそう思わね?鉄網?」
二人がパンをこねている所にキッチンポジションの介旅がやってきた。
後ろにはやはり暇なのだろう、鉄網も来た。
「うーん…どうだろう…ミサカさん…あの気の強さというか口の悪さ結構気にしてるっていってたしなぁー」
「へぇ…そうなんだ…げほっ、げほっ!」
鉄網の発現の直後にむせる介旅。
「あら?介旅、どうしたの?風?」
心理定規が大丈夫?と介旅を見る。
「いやぁ…それがさ聞いてよ心理定規…」
鉄網が介旅の方を見てくすりと笑う。
「言うな鉄網」
介旅の制止もむなしく鉄網は喋り続ける。
549 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:54:38.44 ID:Myg3j720
「さっき控室で格好つけて煙草吸ってむせてたんだよね…」
「だっさ…」
「so…ミサカさんの成功を祈ってパンをこねるわよ!ほら、あなた達も手伝って!」
「はーい!んー…げほっむほっ!」
「ふふ…じゃ手洗いしまーす」
「よっし!その調子で私と垣根の復縁も祈るわよ―!」
布束の呼びかけでむせている介旅とクスクス笑う鉄網、そして一人だけそっちのけ(?)の心理定規の四人は雑談をしながらパンをこね始める。
「「「……………」」」
(まーた始まった)
「あぁ!今日のパン生地はこねやすいわね!あぁ!パン最高!!………生き辛い世の中ね……………結標さん」
(ミサカ…がんばりなさいよ!)
(((頑張れーミサカー)))
四人の祈りは届くのだろうか?
「あ、そうそう…cruelly…心理定規?私昨日…第七学区で眠そうな女の子と歩いてたわよ?ほかにも何人か男女いたけど…」
「それは言わなくていいわ…」
550 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:55:42.23 ID:Myg3j720
――井の頭公園の池のほとりにあるカフェ 『SEEDA』
「結構綺麗じゃねェか…」
「本当にそう思ってるー?」
「あァ…本当だ」
二人は地図を見ながらもなんとか目的の喫茶店を見つけた。
ここ一週間で一方通行はカフェを数件回っているが、ここはいままで行ったどこの喫茶店よりもしゃれている雰囲気だった。
井の頭公園の池のほとりに位置しているこの喫茶店はスペイン・イタリアをイメージしたおしゃれなカフェ。
店内にはThink Twiceの心地よいJazz調のピアノの音色が聞こえてくる。
「まずはコーヒーと…」
「黒糖がと―ショコラでしょ?ふふ、いつも同じじゃつまらなくない?」
一方通行のお勧めを当てれた番外個体は何やら嬉しそう。
「いいンですゥ…!で、オマエはどォすンだよ?」
「私はそうだねー…ピザとサラダのセットかな!太るとか思ってないでしょうね?」
「思ってねェよ、じゃ、店員呼ぶぞ?店員さーン!」
(ったく女は体面気にしなきゃ飯食えねェのかよ)
オーダーを頼み、二人の座席に訪れる奇妙な沈黙。
「じゃ、メニューが来るまで待ちますか、番外個体」
(見かけはすごい綺麗だな…あとはコーヒーとケーキの味だ…!)
ふと彼女は『番外個体』という名前を聞いてぴくりと肩を震わす。
551 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:56:15.64 ID:Myg3j720
「ねぇ?一方通行?」
「あン?なンですかァ?」
(何でそンな真剣な表情になってるンですかァ?)
番外個体は一度見ていたメニューをおき、一方通行をじっと見据える。
「ミサカの名前、考えてきたんでしょーね?」
(違う…もっと…優しく言えないの?普通に?馬鹿じゃないの?ミサカ)
(ホント、この体の機能不全にはうんざりさせられるわ…!)
考えていても一方通行の前では汚い言葉を吐き出してしまうこの口、脳、思考回路が憎いと番外個体は思った。
(一方通行は私のからだの事知ってるよね?だけど…ずっとこんな事聞いてたら嫌にならないかな?)
(いや…それより…ミサカはちゃんと今日しかり自分の気持ちをつたえ…)
「オイ」
番外個体の思考が一方通行のよびかけで中断される。
前を向くと気まずそうに井の頭公園のほとりを見ている一方通行。
「あァ…オレなりに…ちゃンと考えてきたよ…笑ったら殺す…!」
「ふふふ…それはどうかなぁ?駄目だったら…もう一回考え…」
(ダメ…こんな事いいたいんじゃない!)
(ミサカはもっと真摯な気持ちで一方通行の出した答え――私の名前――を知りたい)
552 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:57:00.41 ID:Myg3j720
番外個体はジャンプスーツのポケットにあるボールペンを取り出し、カーゴパンツのように太ももあたりにあるポケットから小さいメモ帳を取り出す。
(話さなければ…負の感情が出ることはない…!はず!前もそうだったから…!)
番外個体は以前『リンゴベーカリー』で一方通行に紙を渡した事を思い出す。
あの時は何事もなく紙に伝えたい内容をつづることが出来た。
本当は一方通行と誰よりも話したいと思っている彼女が本心を伝えるために採ったかなしいけれど、本心を伝える事が出来る最良の方法がコレ――
“名前、考えてきてくれてありがとう”
すらすらとボールペンで書いていく番外個体。
「あァ…」
“ミサカは笑わないでちゃんと聞くから教えて”
「あァ…」
一方通行は財布をジーンズの後ろのポケットから出し、丁寧に折られた紙を渡す。
四つに折られた紙を見るとこの短期間でボツになった番外個体の名前の候補が数十のバツ印からもみてとれる。
それほど、一方通行も考え抜いたという事だろう。
“こんなに沢山考えてくれたんだね”
「あァ」
“ありがとね、一方通行”
話すよりももっともっと遅い。
けれど、そのメモ帳に記載されている内容に嘘偽りはない。
553 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:57:33.35 ID:Myg3j720
番外個体はひとまず自分のメモ帳から目を話し、一方通行から渡された紙を目で追っていく。
「あった」
つい声に出す番外個体。
「恥ずかいから早くしまえ…番外個体」
“これ…なんて読むのかな?”
自分が意地悪いことをしているのは重々承知している。
だが、その気持ちよりもさらに強い気持ちで彼女は思った。
知りたい、と。
(言えるかな…絶対にこれだけは自分の口で伝えたい)
番外個体はどうやら小さいメモ帳に次の伝えたいことを書こうと思ったが途中でやめ、机の上にペンとメモ帳を置く。
どうしても口で伝えたいことなのだろう。
554 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 19:58:42.33 ID:Myg3j720
彼女はすぅと小さく深呼吸し、高鳴る胸を抑えようとするが、意識すればするほど、早くなる心臓の鼓動。
(言うって決めたから…!お願い…!ミサカの頭…言うこと聞いてね)
神様に祈るような気持ちになる番外個体はしかしはっきりとその内容を伝える。
「あなたが考えた私の名前、ミサカに聞かせてくれるかな」
555 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 20:00:21.41 ID:Myg3j720
次から作者の考えた番外個体の名前が出ます。それでもいい人は見て下さい。
どうしても納得できない!ちょっとなぁ!と言う人はすいませんが…><
あと、今から急用が出来たので、明日投稿になります…
自分勝手ですいませんが、お付き合いくださればうれしいです!!
556 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 20:05:56.94 ID:LOikgewP
えええええええ
ここで終わりかよww
焦らしプレイですね
557 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 20:20:17.91 ID:R9/sLwAo
スレタイ来たか…胸がアクセラレートだな
558 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 21:02:42.96 ID:I9v5L1Q0
胸がそげぶだな
559 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 21:48:44.78 ID:Myg3j720
時間に余裕が出来たので少し投下します。
560 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 21:54:11.58 ID:Myg3j720
「一回しかいわねェからな…よく聞いとけよ…!」
「うん」
「奏(かなで)」
「どういう意味なのかな?」
一方通行の口から出てきた一言。
綺麗な響き。
番外個体の問いに強張った表情になった一方通行がこたえる。
「オリジナルの名前は美琴…だろ」
無言で頷く番外個体。
「琴って言うのはな…楽器なんだよ…それを弾くとメロディが流れてくるだろ?」
うんっ…
「そのメロディを弾く人はな奏者って言うンだよ…」
そうだね
「だからオリジナルの細胞から生まれて生き続ける事を一つの音楽に重ねて自分の人生を奏でて欲しいって意味でオマエに奏(かなで)って名前を授けてェと思うンだ」
561 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 21:55:41.51 ID:Myg3j720
「最ッッッッッ高にセンスないわね…!」
「じゃァ何で泣いてるンですかァ?」
「これは…そのっ!ださすぎて…っ!ウウ…ヒッグ…」
“嘘!センスないなんて思ってないから!しかも泣いてないしっ”
奏はすらすらとメモ帳に言葉とは裏腹に自分の本心を綴っていく。
その姿は滑稽であったし、またかわいくもあった。
奏の一つの嘘。
それはセンスがないといったこと。
そんなこと微塵も思ってない。
奏のもう一つの嘘。
泣いてないと言ったこと。
彼女の双眸からは涙がぽろぽろこぼれていた。
自分を証明する名前を一番最愛の人から授けられたのだ。
そのうれしさは彼女にしかわからないだろう。
うれしすぎて、感極まって涙してしまったのだろう。
持参したメモ帳の上にポタポタと歓喜の涙が落ちるが気にせず書いていく。
562 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 21:56:34.91 ID:Myg3j720
“最高の名前だよ”
ぼやけていく文字。
涙がインクを薄めていく。
“これからミサカの事、『奏』って呼んで?”
「あァ…奏って呼んでやらァ…」
“うれしいよ。ねぇ、一方通行、私さ”
すらすらとペンを進めていく奏がここで一旦止める。
その彼女の右手は震えている。
一方通行はじっとその手を見つめ、やがて彼女のペンがまた動き出す。。
“一方通行の事大好き。あなたはミサカの事、どう思ってるの?”
一方通行はとっくに予想していた。
今日は絶対に名前を教えるくらいで終わる一日でないと。
(オレは…オレは…)
ここで昨日に時は戻る。
563 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 21:57:04.44 ID:Myg3j720
――打ち止めと一方通行の会話
「それはね――」
打ち止めの真剣な表情。
そう、打ち止めは番外個体の名前の事を聞いてふと疑問に思ったことがあった。
「あなたは…番外個体の事どう思ってるの?」
「…オレはまだ分からねェ…ただ…感情をうまく表現できないアイツの事を一番知ってるのは…」
「うん、ミサカだね!ってミサカはミサカは鼻高々に自慢してみるっ!」
「…うっせェェェ!オマエかもしれないが…男だったら間違いなくオレだろォが…」
打ち止めの茶々を制して一方通行は話す。
「…そうだね…で、あなたはどう思ってるの?番外個体の事…」
「守ってやりてェよ…!あいつは上手くオレに感情を伝えることが出来ない…ケドなァ…アイツはそンなオレを嫌うどころか…自分の気持ちと闘いながらもオレに思いを伝えたことがあった」
「オレはそれに応えてェンだ!」
一方通行はそういうと自分が打ち止めに熱く語っていた事を思いだし、途端にすました顔になるが時すでに遅しで、打ち止めはにやにやしながら見つめていた。
「ふぅーん…一緒にいるミサカよりも番外個体の方がいいんだぁー、あ、ちなみに今の一方通行の発言はMNW介して流しちゃいました…><」
「オイ!コラ!…………ったく…あーあー」
そして現在に戻る――
564 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 22:00:00.76 ID:Myg3j720
「オレは奏を守る」
“守るって?どういうこと?”
「…だァかァらァ…」
「オレは…オマエの事が好きだから…オマエをこれから守ってやりてェって思うンだ」
「オマエの事一番知ってるのはオレだろ?だから…オレじゃなきゃダメっつゥか…うまく言えねェケド…」
他の客に聞かれないくらいの声で、しかりはっきりと一方通行は対面して座っている奏に告げる。
「よっくわかンねェけど…オレはオマエの事好きだから…オマエの事、守るンだ」
「あひゃひゃ!ミサカ…うれしすぎて…なんか笑えてきちゃったよ…」
ふふと笑う彼女は下を向いている。
565 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 22:01:11.44 ID:Myg3j720
彼女は涙が溢れ、笑顔こぼれ、クシャクシャになった表情を一方通行に見せる。
ナチュラルメイクで決めてこなければ今日の奏の表情はとんでもないことになっていたであろう。
「っつゥ訳で…よろしくな…奏」
“ありがとうね、一方通行、こちらこそよろしくね☆”
奏がポケットに入っている涙で双眸に溜まっている涙を拭きとるとちょうど店員が注文した品々を持ってくる。
どんよりとした雲の切れ目から太陽が差し込み、井の頭公園の池に反射する。
窓越しからその美しい光景を眺めていると二人はあることに気付いた。
「「雪だ…」」
雲のの切れ目から光がしこむ時とほぼ同じくして、ふわりふわりと雪が降りてくる。
そう。まるで二人の新たな関係を祝福しているかのように。
566 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/19(日) 22:02:29.01 ID:Myg3j720
書きためは以上になります!
次は奏と一方のデートシーンをあまあまで書きたいと思います!
名前は賛否両論だと思いますが…。
俺は奏ちゃん大好きです。
ではまたね!
567 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 22:18:40.43 ID:Yut/.8Eo
すばらしい
乙
568 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 22:27:02.41 ID:s.AxbI6o
美の付かないパターンは珍しいな
2828してるオレキメェwwww
569 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 22:59:03.30 ID:aqRpH2.o
乙です
奏って綺麗な響きだよな
570 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 23:10:24.18 ID:TkPYj.A0
おつ
いやそんなことない、感動した
>>568
よう俺
571 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 23:11:36.52 ID:I9v5L1Q0
くそ・・・ 美なんとか かなぁって適当に考えてたww 真面目に考えててワロタww
作者の番外個体とSSに対する愛を感じるよ
572 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/19(日) 23:21:35.60 ID:kbqdSNIo
>普段かぶり物をしていない女の子がたまにするかぶり物は破壊力が並みではないのだ。
ものすごい衝撃と感銘を受けた
573 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 00:31:11.96 ID:8FhBUNQo
もし一方通行が素敵ネーミングセンスを持ってたらどうなってたんだろ
ル ナ
「月姫」とか
コ ス モ
「小宇宙」とか
.プリティ
「美愛」とかだったら
574 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 00:32:58.84 ID:SSQwi5co
アクセラレータ
実は「一方通行」が本名
575 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 01:15:01.47 ID:ugVMo6co
いい名前だね。
そしてえっちぃシーンにも定評のある
>>1
であった
576 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 02:23:48.42 ID:rpdVXADO
>>574
ひとかたみちゆきって読むならアリ
577 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 02:25:27.44 ID:OlwpUMc0
御坂 奏か・・・。目から汗が出てきた。誰だよ、水流操作してるのは。
578 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 03:51:06.57 ID:mIHMBlAo
天使ちゃんマジ天使
奏と美、似てないか? 一方さんはここまで考えてたんだよ!
579 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 18:10:00.95 ID:SmA3FoU0
こりゃ奏ちゃんも嬉しくて大泣きするわな
改めて思った。この話、最ッ高にイイねェ!!!
580 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/20(月) 20:14:17.37 ID:1rwLY9Ao
ワーストちゃんマジ天使!
581 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/21(火) 00:36:58.99 ID:ftiGInE0
俺の名前も奏にするわ
582 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/21(火) 17:34:13.02 ID:ckO2d6Ao
そうですね
583 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/21(火) 18:39:31.71 ID:kEs2XMwo
>>581
は妹達の一人に違いねぇ
584 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/22(水) 07:40:14.73 ID:y/SjZFs0
20000号だろうな
585 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/23(木) 11:02:18.10 ID:rEdY.lE0
こんなに沢山のレスが着いたのは初めてですね。
うれしいですね。
今日の夜か明日の朝には投下できると思いますが…。
結標√はクリスマス前には投稿できないです…。
期待して待って下さった皆様、もう少しお待ちください…ホントすいません。
奏ちゃんもよろこんでるとおもいます。
586 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 12:20:23.70 ID:LGmKQcDO
追い付いた
相変わらずなっがいファッション説明で笑ってしまった
587 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 13:21:35.16 ID:DN7oBsYo
ファッションはキンクリすることにしてる
588 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 21:05:19.63 ID:EiztacDO
クリスマスにいちゃこら投下予定とか確信犯か……
589 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/23(木) 23:46:33.22 ID:i82Fnjg0
あれ目から未元物質g(ry
590 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 07:33:26.60 ID:fhu9UJs0
あれ・・・目から血が・・・・カエル医者の所に行ってくる。
591 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 18:33:52.54 ID:sbLIcTUo
あわきあわきあわきあわき ボソボソ……
592 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:26:12.40 ID:aScYJDg0
キンクリって?
ファッションは俺のオナニーなんで読み飛ばしていただいて構いませんぜ!
べ、別に読んでもうれしくないんだからっ!
さて、まだ途中までなんですけど、クリスマスなんで投下しましょう。
あと、お勧めのSS教えろで名前消し忘れての投下失礼しました。
あらすじ喫茶店で一方通行と御坂奏の二人は結ばれました。
二人は今喫茶店にいます。
593 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:27:59.38 ID:aScYJDg0
「綺麗だね…ロシアにいた時はなんも思わなかったケド…」
「そうだなァ…あン時は戦って…戦って…それだけだったからなァ…」
二人はカフェ『SEEDA』の窓側から見える光景に魅入っていた。
「お話中申し訳ございませんが…」
女性店員がそとの光景を見ている二人に話し掛ける。
「ただいまクリスマス前ですがクリスマスフェアということで当店から見える夕景をお楽しみ頂ければと思い…」
何やら長い説明。
二人は顔を見合わせる。
「で、なンですかァ?」
「ただいまより電気を消しますので…こちら、ろうそくになります」
一方通行のけだるそうな質問に物おじする事なく店員が答えるとタイミングよく店の電気がパッと消えた。
「では…失礼します」
そう言うとコトリとグラスに入ったろうそくを置きマッチで火をつける。
594 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:29:43.09 ID:aScYJDg0
電気の明るさではない。
電気のそれよりも遥かに暖かく、温かい何かを二人はろうそくの火から感じた。
二人の顔は沈みゆく陽とろうそくの小さい明かりとに照らされて、火が生み出す熱で互いに揺らめいて見える。
“まだ筆談でいい?”
「喋った方が楽なンじゃねェの?」
番外個体は首をふり、ううん、と一方通行の問いに答える。
“やっぱり負の感情がさ”
「オレは別にかまわねェけどな」
奏も正直自分がどういう場合に一方通行にたいして負の感情を噴出させるかわからなかった。
なので全てメモで伝えた方が言いたいことを伝えれるのだが、そんな恐ろしく煩雑な行為はできない。
(けれど、ミサカだって言いたいことをちゃんと伝えたい、けれど…自分の頭が言うこと聞かなくて)
「オマエがオレにたいして暴言吐いてもそれは嘘って解釈すりゃァいいンだろ?」
「まぁ、そーなるかな。…その…ありがとう」
「ヤァァァァっと喋ったな」
「うっさい、ミサカはしゃべりたい時にしゃべるんだ」
595 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:30:55.41 ID:aScYJDg0
やべっと苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべる奏は自分に対する苛立ちからか頭を掻きむしる。
「いい、何も喋るな」
そういうと一方通行は座席から少し身を乗りだして奏の頭を優しく撫でる。
「…………」
“ずるいよ、あくせられーた”
口では答えず、さらにもう数回奏の茶髪の髪をなでる一方通行。
“なにが?”
“いろいろ”
“そうかい”
このあと二人はメモ帳だけで、しばらく言葉の無いメモのやりとりを続けた。
596 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:32:05.07 ID:aScYJDg0
「お客様?起きて下さい!」
二人は景色を見ながらすやすや寝ていたようだ。
気付けば19時。
他の座席は店員があげて机の上に乗っかっている。
どうやらもう閉店時間のようだ。
「すいませーん…お客様?」
「…うううう…?ふぁーー」
(ううーん?誰?)
店員の呼びかけで奏がやっと目を覚ました。
しゃれている喫茶店に相応しく、黒と白の千鳥格子のハンチング帽を目深にかぶっている女性店員。
彼女が寝ている奏を呼びかけていたそうだ。
「………あ、ごめんなさい、寝てたので…」
(やっべ!ミサカ寝言言ってた!恥ずかしい…)
「いいですよ、それにしても美男美女のカップルですねー」
「あ……ありがとうございます///す、すいませんすぐ帰りますので…」
「ふふ、いいですよ?鍵は置いておきますから…僭越ながら二人の初々しいやり取りをみて…」
女性店員はそう言うと奏の前に鍵を置く。
「?」
597 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:33:58.72 ID:aScYJDg0
「外にあるポストに鍵はいれておいて下さい。明日のオープン前までに出ていただければ構いませんので…」
「え?いいんですか?っていうか会計とかいろいろ…」
「お会計に関しましては…そちらのお客様が既に」
女性店員が一方通行を見る。
どうやら奏が寝ている最中に一方通行が支払ったようだ。
女性店員の方を奏がまた見直す。
目深に被ったハンチングハットをくいっとあげる。
「ったく…外で景色を見ても寒いだけだからここで見ていいっていう配慮だろーがよ、とミサカは熟睡してろくに金を落とさない二人を直視します」
「あら…あなた……妹達の一人ね?」
「えぇ、今はここでバイトやってますよ、私は10086号です」
「MNWに流してないでしょうね?」
(流れたらどうなるか…わからないけど…広めない方がいいよね…?)
「あぁ、あーゆー馴れ合いはミサカはあまり好きではないので…安心してください」
598 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:36:00.28 ID:aScYJDg0
カチンッカチンッ ひゅぼっ!
そう言うと10086号は煙草を取り出し咥え、ZIPPOで火をつける。
そして、ふーっと一息、店内の換気プロペラに向かって白煙を吐き出していく。
「これ、すいおわったらミサカは行きますんで」
「未成年なのに喫煙ねー、妹達の個性の発露もいろいろあるのね」
ふしゅー…
「では…ミサカの喫煙行為も秘密ということで」
「ふふ…わかったわ、鍵ありがとね」
結局一回吸っただけで、一本吸い終わる前に10086号が携帯灰皿をカフェの制服から取り出して先程吸った煙草をぎりぎり潰していく。
「じゃー、ここらへんで」
そう言うと暫くして10086号は足早にカフェの制服から私服に裏片から着替えて出ていってしまった。
静寂。
店には一方通行と奏しかいない。
おいてあるグランドピアノ、スピーカーサウンドから小さく流れるJAZZミュージック。
「ねぇ、一方通行」
奏は一方通行の肩を叩く。
とんとん、とんとん
599 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:37:09.41 ID:aScYJDg0
「うーン……わりィ…寝てた」
一方通行は奏の呼びかけでなんとかおきた。
奏は目が覚めたばかりの一方通行に状況を説明する。
「へェ……二人きりか」
「そうだね…」
奏は近くにあるグランドピアノが目についた様で、一方通行の寝ていた座席から移動する。
ぽろん、ぽろん。
奏でが連弾用のピアノ椅子の真ん中に座り、興味津々で適当に打鍵していく。
「わわわ…音出てるよ!」
ぽろん♪ ぽろろん♪
「当たり前だ」
先ほどまで寝ていた一方通行が奏の座っていた連弾用の座席に割り込んでくる。
「これも、奏でてるっていうのかな?」
600 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:38:32.53 ID:aScYJDg0
奏はピアノを楽しそうに打鍵しながら、自分の弾いている行為が『奏でている』と言う行為であるという事にあまり実感を感じたかったのかもしれない。
しかし、一方通行は深く息を吸い込みながらいう。
「あァ、言うぜェ?どんなメロディでもかまわねェオマエ自身の人生を奏でろ」
奏はそういわれるととっさに座席から離れてメモ帳とペンを取りに行く。
すらすらとメモ帳に走らせていくペン。
“うん!”
「綺麗な音だな」
「うきき、ミサカ楽譜読めないのに?」
「オマエの音ならなンでもいい、もっと奏でてくれ」
「あひゃひゃ、一方通行がそんなこというなんて…」
「奏」
「なに?一方通行?」
ピアノを打鍵するのをやめ、連弾用の座席の隣にいる一方通行を見る奏。
彼女の唇にぴたりとあたる生暖かい感触。
「っ…あ…」
601 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:39:54.05 ID:aScYJDg0
ぎゅっ…
奏の唇に一方通行の唇がふれ、その直後に奏の背中には一方通行の腕がまわされた。
脚は二人ともピアノの方に向いたまま。
「わりィ…つい……」
“いいよ”
奏は動揺しながらも震える手でメモ帳にかいていく。
“もっと”
「あァ」
一方通行は体の向きを変えて、連弾用の座席に跨がるような格好になった。
奏もそれを見て一方通行の方をむきなおす。
ぷちゅ…
僅かに聞こえたキスをかわす音。
二人は何もしゃべらない。ただ、交わすだけ。
ぺちゃ…
一方通行は両手を奏の手と繋ぎ合わせる。
そのあと、一度手を振りほどき一方通行はぐっと奏を引き寄せる。上半身だけ身を乗り出す形になった彼女。
「あ―――」
出した声はそれだけ。
602 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:41:46.24 ID:aScYJDg0
とんとん
一方通行の舌が奏の前歯にあたっている。
偶然ではなく、意図的に。
奏は恐る恐る口をあけていく。
一方通行と奏の唇はお互いに押し付けあってくにゃりと変形している。
するっ…ぬちゅ…
一方通行の舌はゆっくり、奏の口内にしかし確実に入って来た。
奏は自分の口を優しく犯してくる一方通行に強く抱かれ、既に目はとろんとして
眠そうな表情を浮かべている。
二人の温い唾液が絡み、口内で溶け合っていく。
ん……ぷは……ひゃ
一方通行は最愛の人の体液を寸分漏らすまいと、自分の口内に入って来る奏の唾液をやさしく包み込む様に飲み込んでいった。
「奏…!奏……!」
ソフトなキスからディープな絡み付くキスに移行していった二人。
一方通行はその息継ぎの間に奏の名前を何度も何度も呼んだ。
互いに名前を言おうとするとも二人のタイミングがうまくいかない。
一方通行は奏の名前を言えなかったり途中で噛んでしまう。
それでも、二人は何も言わず、むしろお互いの愛をさらに確認するかの様に、グッと抱き合う。
603 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:42:31.35 ID:aScYJDg0
奏は一方通行を抱く手をほどいてメモ帳をとる。
もちろんキスをしたまま。
ぬちゅ…くちゃ…
口と口の接合部から滴り落ちる唾液の水滴が店内のライトにあたり綺麗に輝くダイヤのようにも見える。
奏は自分のふとももあたりにメモ帳をおき、内容をかいていった。
“すき”
それを見た一方通行は一度キスをやめる。
いきなりお気に入りの玩具を取り上げられてショックにうちひしがれている子供のような表情を見せる奏。
一方通行が深く呼吸をする。
「…奏」
「なに?一方通行」
「大好きだ」
「ふぅーん…せいぜいミサカに嫌われないようにがんばりなー」
奏はそれを言った瞬間にメモ帳にすらすらなにかを書いていく。
“一方通行の事大好き、ミサカの事嫌いにならないでね”
「ならねェ、口頭でなんか言ってもオレはおこらねェから、安心しろ」
“うん”
604 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:43:34.83 ID:aScYJDg0
「え…笑顔も泣き顔もぜェンぶ好きだからな」
恥ずかしそうにしたを向く一方通行。
(オレは何言っちゃってるンですかァ?)
一方通行が自分に苦笑しながらもおもむろに前をみると奏は目がしらをこすっている。
どうやら涙がまた出そうになっているようだ。
“ありがと”
「あ、一方通行、ちょっと待って」
メモ帳に謝意を表明した直後、奏は立ち上がろうとする。
ちゅっ
奏がたち上がる最中に二人は優しくキスをする。
何をするつもりかと思い一方通行は首を傾げながら奏をみる。
「ミサカは…まだ……ちゃんと言ってないよ!」
(好きって口で伝えてないよ)
「あァ?何をですかァ?」
「ミサカは……、奏は!……一方通行の事が…す…好……何こっちずっ……とみてんの…」
「違うっ!」
奏はどうしても言いたかった。
世間の恋人がするように、お互いの愛を確認する時にごくごく普通に交わす言葉を。
605 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:44:29.91 ID:aScYJDg0
「そんな事いいたいんじゃない!」
頭をくしゃくしゃにかき、苛立ちを抑え切れない奏。
「………………」
一方通行はそんな奏の姿を静かに見ている。
「なにが負の感情よ!ミサカの不良品っ!グズっ」
「…ウッ…ヒッグ…一方通行ぁ…ミサカ…頭おかしくなっちゃいそうだよ……自分の言いたいことも言えないんだよ?」
奏は最愛の人に好きと言えない自分が悔しくて、腹立たしくて、死んでしまいたい感情にかられていた。
「ミサカは………一方通行の事が……」
その時、すっくと立ち上がる一方通行。
彼は夜の帳が下り、窓側に反射している自分達をみる。
「オマエは不良品でもなンでもない、ただオレの最高の女だ」
「オレが奏を抱くから…奏は窓に写ってる自分に向かって…その…オレの事をどう思っているか言え」
「…ヒッグ………グス……うん」
ぎゅっと一方通行が奏を強く抱く。夜の為に暗くなった窓に反射している二人の姿。
606 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:48:04.54 ID:aScYJDg0
「大好き」
ぎゅっ
「大好き、大好き」
「一方通行のこと、愛してるよ」
ぎゅっ
これらの言葉が奏を抱いている一方通行の耳元で淡く甘い言葉の爆弾となり脳内で爆ぜていく。
奏の言葉に頭が麻痺した様な感覚を覚える。
そしてもうこれ以上は抱けないと言うくらいに一方通行は強く抱く。
「ミサカの事抱いてる人、ミサカは愛してるよ」
彼の名前は言えない。
負の感情が出てしまうから。
「…………あァ、言えたな、奏」
彼もその事は知っている。
「うん!ああ、最高にしあわせ」
それでも二人は理解していた。
「あァオレもだ、奏」
自分たちが確かに愛し合っていると。
607 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:48:38.59 ID:aScYJDg0
――十二月二十四日 第七学区、御坂奏 宅前 夜二十一時
「ごめンくださァーい」
こんこん。
一方通行は番外個体、もとい御坂奏の家の前にいた。
クリスマス当日である今日は奏はアルバイトははいってない。
今日は一方通行とデートの日だ。
デートと言っても奏の金欠という事で家デートになったそうだ。
(ったく…また寝たンですかァ?)
一方通行が黄泉川宅を出た際に、奏の家電に連絡した時は確かに起きていたのだが…。
(全…然反応がねェじゃねェか…)
こんこん。
再びノック。
すると今度は反応があった。
「いいよー!」
608 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:50:33.80 ID:aScYJDg0
だー!!!!!!!1今から仕事!!!!!!!!!
書きため分全て投下出来ず!
仕事終わって余裕あったら投下します…><
継ぎはなんか二人とも脱ぎます。
609 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 20:54:13.18 ID:STGa1j2o
イブの出勤乙
しかし今日の投下内容は精神打撃ぱねぇな……
610 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 21:32:18.97 ID:UOWfkgAO
信頼と実績の糖分含有率
611 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 22:11:36.13 ID:O2zAT1.o
プレゼントは大量の砂糖ってなァ
え…脱ぐ…?
じゃあ俺も脱ぐかな
612 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 22:32:56.34 ID:Zs2MGKso
甘々話投下超乙であります!
そしてこの流れは俺も脱いで待ってた方がいいってことなのかな……
ホワイトクリスマスにネクタイと靴下だけは寒いけどがんばるよ!
613 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 22:48:47.76 ID:npDOylso
>>612
頭が冷えるだろ?コレ被ってろよ
。
つ△
614 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 22:59:01.74 ID:fhu9UJs0
>>611-612
、風邪引いたらビリビリ風呂に入れよ。
615 :
Are you enjoying the time of eve?
[sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 23:10:42.08 ID:4wLl3lk0
。
△
\(^o^)/
616 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 08:32:14.93 ID:S4U85Uw0
△
(‐人‐)
617 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 11:03:32.65 ID:g0M0lt60
。
やばいこの話最高だ…… △
何だろう凄く安らぐっていうか… ("_"o)
618 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:15:09.59 ID:sH19whs0
メリークリスマス!
読者の方々には変わらず感謝を。
ちょい予定入ってしまったので少しだけ投下。
R-18ですね。モロ。
あらすじ
一方通行と奏は喫茶店で10086号の配慮で二人っきりになり口づけをかわしました。
そして聖夜を迎えたわけです。
奏ちゃんはバイト終わり、一方通行は打ち止めと遊園地にいって帰ってきた所ですね。
619 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:19:11.41 ID:sH19whs0
奏は部屋の片付けに追われていて、一方通行のノック音に気付かなかったそうだ。
喫茶店『SEEDA』でデートしてから一週間ほどたった。
未だに奏の負の感情の発露は止まらないが、一方通行の辛抱強さと奏の筆記で二人はそのハンディキャップを克服しているようだ。
「はいるぞォ」
初めて入る奏の家。
一方通行がおもむろにドアをくぐると小さい玄関には一足の小さいスニーカー。
二人は一週間ほど前から付き合いはじめている。
「今日はバイトお疲れさまだな…」
今日は聖夜。初のお泊りだ。
「うん…結構こんじゃってさ…もう店内カップルだらけ…死ねっ!死ねっ!」
自分にも彼氏がいてしかも学園都市第一位の男であることは棚に上げて。
「ってか…それホントに買ったのか…携帯電話欲しいとか言ってなかったか…?」
一方通行が見ているのはおんぼろのアパートにあまりにマッチングしない新しいコーヒーマシンだ。
どうやら奏のアルバイトの給料で大枚はたいて買ったそうだ。
620 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:20:13.84 ID:sH19whs0
「あー…まだいいや…ミサカ別に一方通行と連絡取れりゃいいし…」
「そォか…あンがとな…なンかここまでしてもらって…」
いれ終わったコーヒーを受け取って一方通行は言う。
「は?一方通行の為だけじゃないよ?勘違いすんな!これは私の…コーヒー!って」
“二人の”
メモメモ。
奏は即座に自分の発言を修正。
「クカカ…いつになったらメモ帳いらずになることやらねェ…!」
「うっさい。笑うなっつの…!仕方ないでしょ………」
コタツに入ってメモ帳を持つ奏は一方通行のセリフでちょっとシュンとしてしまった。
「…お、オイオイ!奏?冗談だって!オイ!」
「じゃ、夜ごはん食べましょうか?」
「そォだな…」
奏はクリスマスイブだろうとなんだろうとシフトが入っていたので勤務。
対して一方通行は先ほどまで打ち止めのダダこねに負けて今日は一日中、学園都市外の某有名遊園地にいたそうだ。
621 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:20:58.33 ID:sH19whs0
「あ、一方通行今日はなんて言ってここきたの?」
「あー…黄泉川達には今日は友達ンち行くって言ってきたぞ…」
「ふふ…一方通行友達いないからすぐばれちゃうんじゃないのー?」
「ちッ…」
彼は奏の言った事を否定できない。
「ま…ミサカはいいと思うよ?無理して友達作るもんじゃないと思うし…それよりさ…」
「あン?」
「明日…何買う?」
「それは…明日どっかショップ行っていいやつ買おうぜ?」
「そうね…取りあえず、今からご飯にしますかねー…えーっと…バイト先のパンとポタージュスープとケーキとチキンの盛り合わせね…!」
予定があわなかったので今日お泊りしてそのまま明日の朝に二人でお互いにクリスマスプレゼントを買うらしい。
とりあえず今日はパーティーだ。
奏が小さいコタツ机の上にぽんぽん品々を置いていく。
「あ、一方通行、ミサカが準備してる間にシャワーとか浴びてきて良いよ?今日打ち止めと一緒に遊んでたんでしょ?」
「あァ…黄泉川ン家に送ってそのままできたから結構シャワー浴びてェかもしれねェ…ワリィがシャワー借りるぞ?」
622 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:21:44.70 ID:sH19whs0
一方通行は着替えや歯磨きなどと行ったお泊りセットは準備してきたがいかんせん風呂に入る時間はなかった。
なので朝から打ち止めに付き合っていた身としてはここでシャワーを借りれば結構助かったりする。
「そこ、トイレのすぐ横に小さいけどシャワーあるからどうぞー」
「はいよォ」
一方通行はそういうとシャワーのある所へ消えていった。
その間に奏は今日の為にバイト先で作ってきたケーキやその他諸々の食材を机に配置していく。
彼女の家の小さい机はあっという間に食べ物と飲み物の容れ物やその他諸々のもので一杯になってしまった。
――シャワー
シャー…
(あったけェ…)
打ち止めと学園都市外の遊園地に行き、ほぼそのままの足で奏の家に来た一方通行は行きかえるような思いでシャワーを浴びていた。
(しっかり体あらわねェとな…)
(もしかしたら…その…そォいう事もしちゃうのか?)
623 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:22:24.54 ID:sH19whs0
(さすがに…クリスマスだしなァ…やっべェ…オレ、リードできるほど経験ねェし…ってか全くそォいう事したことねェ…)
実は先日の喫茶店でのキスがファーストキスだった二人。
キスが初めてとあればいわんやそこから先の行為が経験済みな訳がない。
(ったく…どォなるのか…)
シャワーを浴びつつも一方通行は自分が緊張しているのがわかった。
ドキ…ドキ…
(一応…もしそォ言う状況になった時に失礼が無いようにココはちゃんと洗っておきますかね…)
ごしごし…ごしごし…シャー…
ま、そのなんだどこ洗ったかわかるよな?
他の部位もふんだんに洗い一方通行はシャワーを止める。
(ふぅー…でますかね…)
624 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:23:39.41 ID:sH19whs0
(ふー…ざっとこんなもんかねー)
キュッキュッ…
風呂場から一方通行のシャワーの蛇口を閉める音が聞こえてくる。
「おーい、奏、バスタオル投げてくれー」
「はいはいー」
準備がざっと終わってコタツでくつろいでいる時、不意に一方通行に呼ばれる。
奏が風呂場に行くとドアからひょいひょいと手だけ出してる。
そこにバスタオルを渡してやる。
「サンキュー」
「はーい、じゃ、あっち行ってるからねー」
奏は戻り再びコタツに。
ちなみに彼女は一方通行が家に来る前にシャワーを浴びている。
しばらくしてから一方通行が黒のしゃれたジャージの様なスウェットをはいて出てくる。
その姿を見て、寝間着姿の奏は再びコタツから出ると冷蔵庫をガチャリと開ける。
「オレはとりあえず生ビール」
「はいはい…ほら、よっと。何杯飲むのよ」
ポイっとコタツで鎮座している一方通行に奏は買っておいたビールを投げる。
625 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:24:50.17 ID:sH19whs0
彼女は酎ハイレモンをチョイス。
「じゃ…今日から一日お泊りですけど…お手やらわかにねーぎゃはぎゃは…カンパイ」
「おォ…カンパイ…ってかケーキとかチキンとかいろいろあるなァ…」
「すごいでしょ?ミサカ奮発したんだよ、感謝しろ!」
「いや、これは素直にありがとな」
二人はそれぞれ飲んだり食べたり。
ちなみに今の奏の発言にあったように今日は二人でお泊りだ。
二十五日にバイトのシフトが入っていない奏は二十四日のバイト終わりから帰宅してそのままクリスマスを過ごす。
ごくごく…ぐびぐび…
飲み物を飲みひと段落つくと二人は少し遅い夕飯を食べる事に。
小さい机の真ん中には奏特製のケーキがおいてある。
「「いただきまーす」」
一方通行はまずケーキに手を伸ばす。
「うめェ!このケーキうめェ!」
「結構ビターな感じで仕上げたから…気にいってもらえればうれしいな!」
(介旅、助言ありがと!心理定規の言うとおりに砂糖入れまくらなくて良かったぁ…)
「これはマジでうめェぞ!」
ぱくり…もぐもぐ
626 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:25:19.62 ID:sH19whs0
ゴクゴク…ぷはー…
しばらくしてパーティーはおしまい。
二人ともコタツに足を突っ込んでぐてーっとしている。
二人ともお酒をまぁまぁ飲んで熱くなってきた所だ。
良い感じにほろよい気分になる。
とその時、奏がふらふらした立ち上がり、隣の部屋の布団にはいってしまった。
「ちょっとだけだからさ!ね?」
「オイオイ…そォ言って寝そォなンですけどォ?」
確かにイブで午前から夜遅くまで働いていればそれは疲れるに違いない。
明日も朝からずっと一緒にいれるのだからそのまま寝てしまっても良いと一方通行は思ったのだが…。
「寝ないって!横になるだけだよー」
「はいはい…寝てもしらねェぞ?」
(やっぱりクリスマスだし…少しくらいいちゃついてもいいンじゃねェの?って言えよ!オレ!)
一方通行は言おうとしたがさすがにはずかしい様で言えなかった。
「寝ないって!安心してー一方通行」
「ハイハイ…ってか奏。オレはどこで寝ればいい?」
(ったく…じゃ、オレはどこで寝ればいいンだよ?)
627 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:26:00.77 ID:sH19whs0
「え?ここ」
奏はそういうとちょいちょいと自分のかけ布団を持ち上げて来るように手招きをする。
「…あ?…あァ?///」
(オイオイ…マジかよ…?)
一方通行の心臓は一気にバクバクだ。
(イヤ…お泊りって聞いてたけど…まさか奏と一緒って…オレはてっきり他にも布団があンのかとばっかり…)
残念!?布団は一人分しかない。
そもそも一人暮らしをするのに布団が二つある方がおかしいだろう。
「じゃ、寝ますかね…おやすみぃー…」
「あ、オイッ!ちょっと待て!まだ早くないか?ってかマジで寝るのか?」
時刻はまだまだ日付が変わる前。
一方通行は来て一時間少しでご飯も食べて…何をするでもないがだべろうとかいろいろ考えていたが、奏のバイト疲れによるものなのか?
彼の考えていた事とは裏腹に奏は一方通行に背中を向けて寝てしまった。
(はァ…これ…どォすンだよ…)
(とりあえず…机拭いて…洗いもンでもやるかな…)
一方通行はそう思い、コタツから足を出し、台所に洗いものをつけて洗っていく。
628 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:30:52.56 ID:sH19whs0
カチャカチャ…シャー…
いつまでたっても温かくならない水。
冷たい。
(オイオイ…ここの蛇口は温かくならないンですかァ?)
結局一方通行が洗っている最中に水は温かくならず、その前に食器類の片づけはおわった。
チラ…
一方通行が食器の片付けを終わらせ、ゴミも袋にまとめて一通り後処理は終了し、再びコタツに入ろうとする。
「うーん……」
寝がえりを打つ奏。
毛布がはだける。
酒を飲んで寝てしまったこともあり体があったかいのだろう。
軽く汗もかいている…?かもしれなかった。
(ったく…クリスマスに呼び出しといて…確かにバイト疲れで寝たいって気持ちはわかるが…だったら二十五日に会えばよかったじゃねぇか)
心の中で悪態をつく。
一方通行はコタツに入らず、小さい窓がある寝室で寝ている奏を開いてるふすま越しにみる。
(ったく…可愛い寝顔しやがって…布団かけてやっか…)
アパートの建築年数は相当長い。
なのでヒーターをつけていてもなかなかあったまらない。
629 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 12:31:18.22 ID:sH19whs0
また後で
630 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 13:53:42.21 ID:tnYlkVgo
おけおけ
631 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 14:59:24.86 ID:aaQCkEw0
おんぼろアパートで生ビールだと・・・
正座して読んでたのに・・・ またおあずけか。
632 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:06:10.65 ID:sH19whs0
更新遅れてすいません。
では、投下。
あらすじ
一方通行は聖夜に奏ちゃんの家にいきました。
酔った(!?)奏ちゃんは一方通行の前で寝て…?
633 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:07:51.35 ID:sH19whs0
(よいしょっと…)
一方通行が奏の寝ている布団をもう一度かけなおしてやろうとした時…
がばっ
一方通行の手は奏に掴まれた。
「ばーか、遅いよ。一緒に寝よ?」
一方通行は脱力しきった感じでだるそうに布団をかけようとした。
いきなり引っ張られて抵抗できるはずもない。
「うわ…っと!なンのつもりですかァ?」
一気にゼロ距離。
奏の飲んでいたアルコールのレモン味がほんのりとにおってくる。
「酒くせェぞ、奏」
「ふふ、一方通行もね」
奏に言われて一方通行は自分の口にとっさに手を当てる。
コタツの近くに配置してあるヒーターはあいにく寝室まで暖かくするほどの効果はない。
窓が部屋にあることもあって二人が今いる寝室はかなり冷えていた。
「もっと近くに来てよ…」
634 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:09:58.25 ID:sH19whs0
「…」
無言でずいっと近寄る一方通行。
二人の鼻と鼻はもうくっつきそうなくらい近くに。
ここで一方通行が奏を引き寄せる。
「胸薄いねー一方通行」
「うるせェ…」
「もっと強く」
これが限界、彼女の話せる本音の。
「あァ…」
手はしびれそうになるがお互いに横を向き、見つめあいながら強く、強く抱く。
部屋の電気は先ほどまで食事をしていた部屋のみで差し込む光だけ。
その光にてらされて奏の猫目がきらりと光る。
「その目…綺麗だよな…すっげェ好きだ」
「耳元でさ…さやく……な」
(違うっ)
“ありがと”
奏はあわててメモ帳に言いたいことをかく。
付き合ってから一週間、一方通行に会うときに必ず持参する事にしているメモ帳。
一日で一体何ページ消費するのだろうか?
635 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:10:49.62 ID:sH19whs0
「ふ…、もうオマエの言いたいこと大体分かるぜ?」
「…そう…でもちゃんと伝わってるかどうか、すごい不安で…ったく…」
不安定。
彼女の心理状態は一方通行を前にすると、とてつもなく不安定になる。
奏はそれを恐れていた。
自分がいつかそれで嫌われて捨てられるのではないか…。
“嫌い?”
「オマエの事か?」
「うん」
「なンでだよ…!?」
唐突の質問に首をかしげる一方通行。
“いいたこといちいちメモだし”
「それはかまわねェって」
“よかった”
一度枕元においてあるメモとペンを置くと一方通行の胸板に入っていく奏。
636 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:12:37.69 ID:sH19whs0
「熱い…」
「オレもだ」
外は寒い。
部屋の中もオンボロアパートということもあってさむい。
なのに二人は熱い。
布団の中、熱気。
「ねぇねぇ、一方通行」
「あン?」
「…ミサカ…服脱いでいい?」
「…マジで言ってンのか?」
「うん」
一方通行はどこに視線を向ければいいかわからず、小さいまどから見える雪を見ていた。
「…」
奏は無言で一方通行の服の胸元をつんつん引っ張る。
恐る恐る一方通行が向くと首から下は布団にすっぽり入ったままの奏がいた。
「あ、あくせられーたも熱いって言ってたでしょ?///」
(ミサカ…何してるんだ?でも…クリスマスだし…こーゆーことしてもいいんじゃないかなって…)
「あ、熱いけどよォ…」
(フツー男の前で服脱ぎますかァ?)
637 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:15:51.28 ID:sH19whs0
「…ミサカ…もう全部ぬいじゃったよ?」
(めっちゃあたたかいンですけどォ…)
言われなくてもわかってる。
一方通行のふともものあたりに奏のふとももが触れているから。
一方通行のスウェットの上からでもわかる奏の体温。
(わーった、…オレも覚悟決めるか…!…シャワー浴びといてよかった…)
これから一方通行も服を脱ぐのだ。
シャワーを浴びて体を綺麗に洗っておいてよかったとつくづく思ったそうだ。
「わかった、少し目つぶってろ…!」
(脱ぎますかねェ…やっべめっちゃ緊張する…!)
まずは上着から…。
ジャージのファスナーをジジジと脱ぐ。
下は半そで、それも。
薄い胸板。
ぴたり。
一気に伝わる奏の肌。
(…あったけェ…!ってか…こらァ…胸か…)
奏の豊満とは言えないが、年頃の女子高校生くらいの大きさの胸が一方通行にあたる。
もちろん、人肌が触れる感覚を奏も知覚していた。
(一方通行の体…すごいあったかい…)
638 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:17:02.14 ID:sH19whs0
奏は一方通行に自分の裸を見られたくない一心で逆に一方通行に近付いていた。
それが逆に二人の肌と肌を触れあわせてしまった。
一方通行が上着を完全に脱ぎ、上裸になる。
上着を布団の外に出そうとして不意に布団をめくる。
「きゃ…っ」
奏の上半身があらわに。
一方通行はそれをまじまじと見てしまった。
「…えっち」
「……すいませン」
膠着。
「はやく…布団、元に戻してよ…」
「………」
(……いいのか?ここで戻したら…なンか裸のまま寝ちまいそうな気がする…)
何を考えたか一方通行はそのまま毛布がめくれたまま、恥ずかしそうに胸を隠している奏を抱く。
「…オマエ、すっげェかわいい」
「…そ、そう…ありがと」
(ひゃー…こりゃ死ねるわ)
639 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:19:49.35 ID:sH19whs0
「なァ…今日は…最後まで…いいのか?」
(オ…オレは何言っちゃてるンですかァ?)
一方通行の『最後まで』発言にぴくりと肩を震わす奏。
前に喫茶店で会った時はキスしただけ。
それで解散。
今日は?
聖夜。
「うん…いいよ、ミサカもそのつもりだったし…///」
(ミサカ何いってるんだー><)
「そォか、じゃ、聞いてほしいンだが…」
一方通行は器用に下も脱ぎながら話していく。
下のスウェットやパンツは足を使って布団の外に。
「うん。何?」
「…だー…オレ、はじめてなンだ、ワリィがうまくできねェかもしれねェ…」
(クッソ…オレが経験あったらリードしてやれンのによォ…!)
一方通行は今この瞬間こそ自分が童貞であることを後悔した事はなかった。
「…平気だよ、ミサカも初めてだから…」
「…そォか…けど…そのリードとか…」
「きゃはは、良いよ、そんなの。ミサカは一方通行の…………」
“愛してもらえればいいよ”
ふたりは話したり、メモしながら裸で抱き合う。
640 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:21:24.95 ID:sH19whs0
布団は後ろに持っていき、触り心地のいい毛布だけが残される。
それに二人はくるまれる。
「久しぶりにキスしよォぜ」
「うん」
ちゅ…
くちゃ…
お互いに求める。
先ほどまで脱ぐのを恥ずかしがっていた二人はうってかわって唇を激しくついばむ。
「奏…、奏」
「もっと…名前で呼ん…っ…で…」
喫茶店の時のように息継ぎの合間合間に名前や愛の言葉を連呼する。
うすい毛布すらはだけて二人の上半身があらわになる。
差し込む光から見える二人の裸。
気付けば一方通行の上に奏が馬乗りになる体勢でキスをしていた。
一方通行が上半身を起こす。
彼の下腹部のあたりに奏は腰を下ろすような感じになる。
奏は後ろに手をまわして毛布の中をまさぐる。
「ふふ…一方通行のさわっていい?」
(これが…一方通行の…!)
「…好きにしろ…」
641 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:22:36.33 ID:sH19whs0
「じゃ…やっぱいいや」
一方通行は自分の耳を疑った。
彼女は『いいや』と言いつつやんわりと否定したのだ。
「な?オイオイ…?…お、お願いし…ます…!」
(クッソ…なンでオレがいわな…クッ…!)
一方通行が悪態をついている間に奏はさっと後ろ手に掴んだ一方通行のそれをゆっくりしごいてやる。
「へぇ…なんか紫外線を反射してるとかなんたらで男女かわからない体とか言ってたけど、そんなことないんだね、一方通行」
「ク…は……もう少し早くしてくれ…!これじゃァ生殺しだ」
「はぁい☆」
そういうと奏はしごくスピードを上げる。
一方通行の白い頬は僅かに赤くなっている。
一方通行の屹立したそれを後ろを向きながらしごいている奏。
(毛布がこすれて…やべェ…ぞ…これ!)
(オレもなんかしてェ…)
そう思い一方通行は奏のあらわになっている胸を片方の手で触り、口で奏の胸をなめる。
「ひゃう!!」
「……」
642 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:23:10.89 ID:sH19whs0
一方通行は犬のようにぺろぺろと奏の胸を舐めていく。
もう片方の胸は丁寧に優しく、入りがちな力を抜くように意識して丁寧にもみしだいていく。
「ちょっと…一方通行?…胸は…ちょっと…マジ…ッ…は…んん…!」
一度一方通行は奏の胸を舐めるのを辞める。
そして胸を触っているのとは逆の手で奏の顎をくいっと引っ張ると舌をねっとりと絡めたキスをする。
片方の乳首を中指でくりくりといじりながらよだれが落ちるのも気にしないで二人はディープなキスを続ける。
その行為奏はで先ほどまでしごいていた一方通行のソレをしごく動作がぎこちなくなる。
「ぷはっ……うぐっ…!むぁ…」
「か、かなで…愛し…てる…」
息継ぎの度に愛してる、好きだ、奏、この三つの言葉しか言わない。
いや、むしろ、それらを奏に言うことが彼の息継ぎという行為なのかもしれない。
「わ…わたしも…言えないけど…!いつも一方通行と同じ事考えてるよ…!」
「ずっとオレの事愛してくれるのか?」
キスの合間。
休憩ではなく、二人の気持ちの確認。
「うんっ」
643 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:24:02.54 ID:sH19whs0
「そォか」
そう言うと一方通行は上に乗っている奏を強く抱きしめる。
すると彼は奏を寝かし、再び胸を触り、なめる。
「ん…ず…っと…むねだけ…だめ…」
奏の表情はいつもの気の強そうないたずら猫というよりもむしろ、かわいいかわいい小さな子猫の様。
「じゃァ…下は…?」
一方通行は奏とキスしながら胸をさわる。
そして余った手で奏の恥部に手を伸ばしていく。
「…ばか…!そんな汚いよ…!…あ…」
奏が最後に声を出した時、一方通行の手はすでに彼女の恥部に到達してしまった。
男が絶対に征服しなければならない二つの山と小高い丘、そのすべてを一方通行は征服した。
「すっげェ濡れてンな…」
一方通行はぴたりと恥部の入り口に手をかざす。
片腕で奏のうなじの部分に手をまわして、ディープキスを続ける。
胸を愛撫するのは一旦辞めて、一方通行は中指をゆっくりと奏に挿入する。
「…ふぁ…ひ…んんん…!」
「きもちいいのか?」
644 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:24:41.55 ID:sH19whs0
一方通行はキスをしながら話しかける。
指のスピードを徐々に上げていく。
そのたびに彼女の嬌声の出るタイミングが早まっていく。
「あ!…あ………ん…ゃ…いい」
(奏は気持ちいいのか?オレの…こんな未熟な…)
「…もう…ハァ…ちょっと…はい…ょ…?」
「あ?なンだって?」
あえぐ奏が何を言っているのか聞き取れなかった。
耳を近づけてもう一度何を言ったか聞こうとする。
かぷり
一方通行が耳を近づけたその時。
彼の片耳が奏の口の中にすっぽりと入り、口のでこねくりまわされる。
耳の穴にまで入ってくる奏の舌。
耳たぶから耳の穴まで…あらゆるくぼみに入っていく奏のねとねとしたよだれ。
「…ふァ…オイ…」
「辞めねェか」とは言わなかった。
むしろもっと続けてほしいと彼は思った。
645 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:25:13.27 ID:sH19whs0
奏が一方通行の耳を舐めている間に、彼は彼女の恥部にさらに人差し指を挿入する。
「…ひゃ…!」
奏のため息が一方通行の耳もとで響く。
「や…ぁ…ん…き……もち……んあっ…やばい…っょ…!」
奏の甘ったるい声を耳元で聞かされ、一方通行は指のピストン運動の速度を再び早める。
「や…ちょっと…ん…あっ、あっ、あっ……」
一方通行の耳を犯していた奏は自分の恥部に二本指を出し入れされ、その気持ちのよさに抗い切れなかった。
そして彼にすがりつくように抱きつく。
「………もっ…と………!ひゃ……ああ…」
一方通行は薬指を挿入しようとして、三本目の指を入れようとする。
ふるふる
奏が上気させながら首を横に振っている。
「…指じゃない…っの…」
布団に寝たままの奏が一方通行の屹立したそれを指さす。
「…だめ?ほら、一方通行、今度は一方通行が横になってよ」
「…あ、あァ」
646 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:26:09.34 ID:sH19whs0
一方通行が横になると尻のあたりに何か湿った感じがした。
それは奏の愛液。
一方通行はそれをちらりとみる。
「ご、ごめん…気持ちよすぎて…つい…」
そういいながら奏は一方通行のものがある下半身のふとももあたりに座り、かた耳に髪をかける。
「…ミサカ…下手だけど…頑張るね」
「お、オイ!?奏…?」
(何するンですかァ?まさか…咥えるンじゃ?)
「…ふふ、まぁだ。だってミサカしてもらってばっかりだし」
(うまくできるかどうかわからないけど…えいっ)
はむっ
一方通行のそれを奏は口に含む。
普通の男性のものとたいして変わらない、至って平均サイズのそれを咥え、先ほど手でしごいた動作を口でしていく。
「う…うわわ…奏!?これは…オイオイ…!」
(気持ちいいってもンじゃねェぞ…!)
「ほう?きもひいい?」
奏は左手で耳にかかっている髪を抑えながら、器用に口で一方通行のそれをしごいていく。
一方通行の反応をみようとしてときたま上目遣いになる。
「あ…あァ…こりゃ…やべェ…」
(これは…マジでなンかで…そう…)
647 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:26:41.98 ID:sH19whs0
お互い素人でまだ何も経験していない。
けれど、それが逆に二人がお互いを満足させようとする原動力に繋がったのだ。
(オレだけされるだけじゃ…悪い感じがするぜ……あ、そォだ)
とんとん
一方通行が奏の肩をたたく。
「ふぁに?あふれられーた?」
奏は口に一方通行のそれをくわえたままで発音もままならないのだが、肩を叩かれて上を見る。
「…ちょっとストップ…場所チェンジ…」
一方通行がそう言うと奏の恥部が一方通行の顔にくるようにする。
(あれ?これってもしかしてお互いにする…って事?)
「ホラ、さっさと移動しろー」
「…ちょちょちょ!待って!それは……は?出来ないでしょ!恥ずかしすぎる…!」
「いまさらですかァ?」
一方通行の的確なツッコミに沈黙する奏。
「いや…そうだけどさぁ…」
(確かにそうだけど…そのお尻の…そういうところも見られちゃうんだよ?これ?)
648 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:28:02.56 ID:sH19whs0
「いや…これはいいよ…一方通行に気持ち良くなってもらいたいからミサカしてるんだし…ね?」
「オイ、今すらっとなンか言ったぞ」
「え?」
「オレに気持ち良くなってもらいたいって」
「うん。だから、一方通行に気持ち良くなってもらいたいって…あ!」
二人は気付いた。
メモ帳を使わずに奏が一方通行に思いを伝えることが出来たのだ。
「あれ?何でだろう?ミサカ普通に言えたよ…?」
(???)
「奏、良かったじゃねェか…!言えたな…!」
「うん…!」
(何でだかわからないけど…良かった…!)
二人はお互いの快楽を求めるのを中断した。
おでこを付け、強く抱き合い奏の感情表現が負の感情に打ち勝った事を布団の中でともに祝ったのだ。
そして数分後、再び二人の激しい愛撫は始まった。
「じゃ…オレがさっき言ったことだけど…」
「えー?あれやるの?ミサカ恥ずかしいょ…」
「だァめですゥ、口でされてる時、気持ちは良いンだけどよォ…その間何もすることがねェンだわ」
649 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:28:31.06 ID:sH19whs0
「とかいっときながら一方通行ずっと私のおっぱい揉みまくってたけどね…」
「ぐぬぬぬ…」
結局、学園都市第一位兼変態のごり押しでお互いを愛撫する行為をすることになった。
「うひゃぁん…ミサカこれ恥ずかしいよ…」
「オレも恥ずかしいンですゥ…じゃ、いくからな…」
そういうと一方通行はゆっくりと奏の恥部に舌を這わせていく。
まずはゆっくりと割れ目のあたりを丁寧に…。
(こンな感じでいいのか?)
「あ…ひゃ…………ちょ……ぁ」
ひょいっと奏の様子を見ると、暗くてよく見えないがなにやら彼のモノを口にくわえたままあえいでいるようだ。
(…奏はオレがなめてることで気持ち良くなってくれてるのか…素直に嬉しィな)
「……あ…ん…………イイ……すっごく…!」
そして恥部のわれめの上…少し行くと小高い丘がある。
先ほど舐めた所だ。
薄い皮で守られている所の外縁をゆっくり、先ほどと同じように舐めていく。
650 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:29:26.59 ID:sH19whs0
「あひゃ…ん!ん〜〜〜〜〜!!」
奏の恥部の小高い丘にある小さい豆の様なものを一方通行が舐める。
今まであえいでいた声よりも大きい嬌声が聞こえてきた。
「あーーー…もっとぉ…そこ…やばいよぉ…へんい…なっひゃいそぉ」
「ぷは…ここか?」
一方通行は顔をあげて奏の方を向き確認を取る。
すると無言で一方通行の方を向いて頷いている奏と目が合う。
「あく…せられーたぁ…ミサカこれ変になっちゃいそうだょ…?」
「あはぎゃは…そンな奏の表情が見れるなンて願ってもねェぜ?もっと舐めるわ」
「え?ちょっと…ねぇ?……いや…ひゃん!…少し遅くして…!そこば…っか」
一方通行は奏の願望は全く無視して恥部にある小さい豆のようなものを優しく、激しく口淫していく。
奏はその気持ちよさに抵抗できず、ただ一方通行のものを咥えているだけだが、彼自身はそれで構わなかった。
(奏が気持ちよくなってくれるンならそれだけで良い…!)
それからどれほど舐めただろうか…少しかもしれないし、ずいぶん長い時間だったかもしれない。
「あ、あ、あ…」
奏は一方通行のものを舐めることを辞め、あえぎながら、くるりと一方通行の方を向く。
彼女から一方通行が舐めている所が見えるのだが、二人ともそれに関しては何も言わない。
651 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:30:26.16 ID:sH19whs0
「も…もうだめ…」
「ご…ごめん…一方通行…もういっちゃいそう…いい?ミサカ…もう限界…」
奏が何か言っている間でもお構いなしに舐める一方通行。
一方通行は舐めながら小さく頷く。
その姿をみて彼女はぐっと一方通行の後頭部をつかむ。
中腰の女の子座りで座っている奏。
「いく…いっちゃう…」
「いく…あ…あ……あくせられーた…!あくせら…れぇたぁ…ひゃ…あぁ………」
ぐっぐっぐっと小刻みに揺れる奏の体。
そして、彼女の恥部のわれめからは一方通行の事を想い愛液が、流れ出てきた。
「…うっは…オマエ…すっげェ量出てきたぞ?」
「…あははは…ごめんごめん…ってかミサカの愛液で顔すごいことになっちゃてるね…ごめん…><」
「オイ?奏?」
「一方通行の顔…私の愛液で一杯だから……ね?」
奏はイったばかりで力が入らない状況だが一方通行のもとへいく。
そしてそのまま一方通行についた自分の愛液をぺろぺろ舐め始めた。
「ごめんね、こんなまずいの…」
652 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:31:02.84 ID:sH19whs0
丁寧にゆっくり一方通行の口のまわりから頬、顎のあたり…首筋…。
奏は自分の愛液がついた所を丁寧に舐め取って行った。
その彼女の動作が一方通行に火を付けた。
「奏…オレ…もうやべェ…」
「うん…ミサカも…」
ちょうど舐め終わるり、二人は口づけをかわし、舌をねちょねちょと音を出しながら絡めていく。
二度とほどくことができないのではないか、と思わせるくらいに動く二人の舌。
まるで別の何かのいきものなのいではないかと言うくらいに動く。
キスをし続けていると奏が一方通行の上に乗る。
「いれてみようよ…?」
「あァ…」
一方通行が騎馬だとしたら、それにまたがる騎士の様な体勢にふたりは移行する。
「この体勢ならミサカのタイミングで入れれると思うから…」
「…奏の好きな時に入れてくれ…ただ…あんまり長いとオレの理性がももたねェ…」
実際一方通行は限界だった。
奏は一方通行に恥部をなめられイってしまったが、一方通行は手と口でそれぞれしごかれただけで、不完全燃焼。
そもそも最愛の人の裸を目の前にして理性を保ち続けられる自信などあるはずもない。
653 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:31:57.91 ID:sH19whs0
「うん…頑張るよ…」
奏は一方通行のものを片手でつかみ、自分の膣口の位置を確かめるようにして、ゆっくりと秘部の入り口にあてがう。
「んっ………」
ぐぐ…と押されていく一方通行のそれ。
「奏、平気か?痛ェのか?」
「ううん…全然…!平気だから……っ…はぁ……イタッ…」
(痛いよ〜…こんなのホントに入るの…?)
明らかにやせ我慢をしている奏。
実はあとひといきの所まで来ているのだがそこがうまくいかない。
(どうしよう…一方通行…ミサカ痛いよ…こわいよ……)
そう思ってると一方通行が起き上がり、奏の肩に手を回す。
先ほどまで嬌声を上げて喘いでいた彼女の姿はもうどこになかった。
「オレも手伝うから…な?奏、痛そうなのバレバレだぜ?」
「…うん…ごめん…ミサカ…恐くて…」
奏は今にも泣き出しそうな表情になっている。
いつもの猫目がうるんで見えるは気のせいではない。
「オレが肩からゆっくり…おしてくから…奏もゆっくり………その…はいってきてくれよ…?」
(あー…オレがこンなこと言うなンて…)
「う…ん…わかった…」
654 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:33:06.68 ID:sH19whs0
左手を奏の肩の後ろあたりに回し、優しく押してやる。
奏もそれに合わせてゆっくり脱力しつつ一方通行に身をゆだねるようにして沈んでいく。
ぐっ…。
一方通行のものは彼女の入り口に来て止まってしまった。
「奏、こっからだぞ…?少し痛いけど…我慢しろ?」
「うん…一方通行…」
キスをして舌を絡める。
再び、左腕に力を入れ、奏を押してやる一方通行。
そして――。
655 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:33:48.85 ID:sH19whs0
「…っはぁ…!」
「はいった…!」
奏の恥部からは破瓜を表す血がツツツと流れ出るが部屋が暗いのでわからない。
「奏…はいったぜ?」
「うん…!」
「痛かったか?」
「ちょっとだけ…」
「そっか…今一緒だな…」
「ふふ…よくそんな恥ずかしい事言えるね、一方通行」
「うるせェ、いいじゃねェか」
そういうと一方通行は奏を抱き寄せながら布団に寝る。
そしてそのままの体勢で一方通行はゆっくり腰を動かしていく。
「…いや…さっきイったばかりだから……ひゃ……あ…すご…」
「奏…オレもうどォにかなっち…まいそうだ…!」
一方通行も奏もこの挿入するという行為がここまで気持ちのいいものかと驚く。
656 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:34:44.88 ID:sH19whs0
二人の愛液が混ざり、白い泡になってぐちゅぐちゅ溢れている。
「いや……ほんっと…これ……」
「グッ……オレも……ヤバイ」
一方通行のものが奏の中でこすれている。
そこから生み出される快感は二人の頭の中をまでも蕩かすかのようだ。
何もかんがえられない。
ただ腰を振る。
「あ……きもち……いい…よ、んっ……あ…」
ただ喘ぐ。
「あ……く…せら…れーたぁ……」
「か…なで…奏っ…」
ただお互いの名前を呼び合う。
「好きだ」
「うん、ミサカもだよ」
ただ好意を確認する。
これだけで二人は充足できるような気がする。
一方通行は奏を布団側にして自分が上になる。
657 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:35:41.43 ID:sH19whs0
奏のきれいなすらっとした美脚の膝裏に自分の腕を持って行き、押し上げる。
膝から股の付け根と膝から脚の先で折れて両脚を開きあられもない格好になってしまった。
「え?……一方通行?脚ひらいてめっちゃ恥ずかしいんだけど……?」
「うっせぇ、いちいち喚くンじゃねェ」
奏の事をそっちのけで一方通行は動き始める。
「やっ…ちょっ…く…っふ…」
最初のうちはこの体勢を嫌がっていた奏も一方通行のピストン運動に耐え兼ね、
今では片手で声が出ないように必死に口を押さえている状態だ。
(ヤ…やバ…イわね、これ、奥までクる……)
(やべェ……めっちゃ中までいくなコレ…!)
恥ずかしい、とか奥まで来るとか考えても決してこの行為は辞めない。
お互いにもう正常な思考回路は奪われていた。
「あァ…!もうそろ…そろやべェぞ…!」
「うん…!いいよ…いつでも…ミサカもやばい…」
「ミサカ…一方通行の事………あぁ!言えないよ…!」
658 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:37:06.36 ID:sH19whs0
「もっと言いたいっ…あ…っ…んん…一方通行の事…どう思ってるかとか……」
「んっ…〜――、一方通行ぁ…ミサカは…」
奏は喘ぎながらも、必死に何かを言おうとしている。
それは一方通行もわかっていた。
「奏、言いたいこと言え…!」
「言えないの!…ミサカ…やっぱり…」
気持ちいい、けれど、あともうひとつ、何かが足りない。
充足するための最後の1ピースが。
それは――
奏のことば。
鏡に反射してその姿を見て好きと言う、そういうんじゃなくて。
「オレの顔しっかり見ろ…!」
一方通行は奏の方に倒れ込むようにして抱きつく。
「うん…!でも…言えないのっ…!やっぱりミサカは…!」
「言ってみろっ…!」
一方通行はそういうと奏の体を起こす。
659 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:37:48.07 ID:sH19whs0
英語のアルファベットのVの様な形になる。
結合部分が二人から見える。
「オレはもうやべェ…正直今すぐに出せって言われても出せる。奏はどォなンだ?」
「ミサカは…もうイってるけど…また何か変な感じが来てるよ…」
「わかった…じゃ、オレが出そうな時にオマエの名前を…」
くっと、いまさら正気に戻って一方通行は自分の言おうとした事を考え赤くなる。
「…………オマエの名前、オレが呼ぶから…オマエも言いたいこと言ってみろ…!」
「…うん!頑張る…」
(正直…平気かな?ホントに言いたいこと言えるかな?)
二人はまた動き出す。
今度は二人の結合部分がしっかり見えるようにと。
「…ひゃ…くっ…や…ぁ…」
「奏…!奏…!大好きだ…!」
「うん!…あん…ミ…さか…も…!」
「それだけじゃわからねェ…!」
「ミサカも……一方通行の事…!」
660 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:38:24.97 ID:sH19whs0
奏は精いっぱい言おうとする。
(まただ…頭の中が何も考えられなくなる…!)
奏の脳内が快楽とはまた違った感覚を覚える。
一方通行との情事で生み出されたそれはあくまで真っ白な何か何もかんがえられないような感覚。
だが、これは…?
(灰色…?黒…?)
奏の思考回路があらゆる何かに塗りつぶされていくかのような感覚…?
「奏…オレ…で……くる…ぞ…」
一方通行はもうそろそろ限界の様だ。
その調子に腰を動かすペースが速くなっている。
「ミサカは…一方通行の事…」
目の前にいる一方通行の事を直視する。
その時、奏の頭の中で変化が起きた。
負の感情が発露する時の何も考えられない脳内で一筋の明るい光のようなものが見えた気がした。
「あ…あ…!一方通行の事…」
(なんだろう…?)
そう、その光を追うように…
まだ煌々として彼女の頭の中で光っているそれ。
661 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:40:28.55 ID:sH19whs0
一方通行を視界に入れて投影しつつ…そこに一筋の光を見出した。
それを手に入れるかのように彼女は布団についていた片手をぐっと一方通行に伸ばす。
奇跡は起こる。
奏がみた光はそれを手繰り寄せるための道標だったのかもしれない。
言え、奏
一方通行の声が遠くから聞こえる。
――!
「…一方通行の事…大好き…!あ…ひゃぁ…!」
「あァ!…うァ!出る…っ…!奏…!…かな…で!…!」
一方通行の足ががくがく震えながら小刻みに奏の中に大量の精液を流し込んでいく。
奏も一方通行の様に小刻みに震えている。
「ひゃ…うん…あくせら…れーたの…あつい…よ…ぉ」
「奏…!…はァ…はァ…!言えたな…!…!」
そういうと一方通行は奏とキスを交わす…。
二人はそのまま布団に倒れ込む…。
662 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:41:41.20 ID:sH19whs0
二人はそのまま布団に倒れ込む…。
外から聞こえるクリスマスソング、喧騒…。
そこから隔絶された二人重なる聖なる空間。
二人は確かに最高のクリスマスの夜を堪能した。
「明日は…どこいく…?奏」
「うーん…おそろいの指輪かネックレスとか…取りあえず…なにかおそろいのものがいいなぁ…!」
「そォだなァ…」
近くにあるティッシュ箱に手を伸ばす一方通行。
「抜くぞ…?」
「えー…!もうちょっと…!」
「ヘイヘイ…!ってかさみィな…!オレらこんな中でやってたのか…」
「うきゃきゃ…寒いー…!ねぇ…?一方通行?」
「あン?」
「抱いて?」
にこりと笑う奏。
いつもの猫目の彼女が笑う。
663 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:42:10.69 ID:sH19whs0
「奏…?」
「何?一方通行」
「大好きだ」
「うん、ミサカも大好き」
Fin.
664 :
メリクリ
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/25(クリスマス) 19:45:18.88 ID:sH19whs0
結標√は471から。
只今作成中。
奏√あしばやですいません。
下手な性描写でしたが、どうでしょうか。
奏編はこれで終わりです。
ではまた。なるべく近日中に投下します。
多分今年中にいくつか投下できるかと。
665 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 19:56:48.36 ID:irCuTzgo
今なら言える 最高のクリスマスだ
666 :
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 20:28:50.79 ID:P6nfB/Yo
すっごい、乙
667 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 21:18:57.93 ID:dvCOeYU0
甘ァァァァァ
SSじゃなかったら嫉妬で憤死してるところだ
668 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 22:32:17.46 ID:YX1s9ugo
乙でした
クリスマスも悪く無いもんだな
669 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 22:33:42.07 ID:FAaVi5o0
クリスマスに素敵なSS乙
一方通行は、童貞のくせにノリノリだな。さすが第1位だ。知識がハンパ無いww
670 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/25(クリスマス) 22:56:52.83 ID:PH34Oz6o
これは最高……
ああぁぁぁぁヤバいいいいいい
671 :
クリスマス終了のお知らせ
[sage]:2010/12/26(日) 01:03:22.80 ID:2AwjYyY0
ミサカの一人称はミサカなんだな そこは、やっぱ口癖みたいなもんだし代えれないか
「奏が好きだ」 「ミサカもあっ君超好き」
672 :
クリスマス終了のお知らせ
[sage]:2010/12/26(日) 02:33:45.17 ID:vrcyXqMo
最後まで書ききった…だと…
>>1
おつかれ!
673 :
クリスマス終了のお知らせ
[sage]:2010/12/26(日) 05:36:05.51 ID:xSy/jkkP
>>671
まぁミサカって苗字だから別にいいじゃないか
御坂奏でってことで
>>1
乙!
674 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/26(日) 14:28:09.05 ID:C7V09Hs0
やべェ・・・・風邪引いた・・・・・。
675 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/28(火) 06:16:02.03 ID:pAfpXVY0
つ(未元物質)
676 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/29(水) 12:42:57.54 ID:Yr/JrD20
やべぇ…。
全然筆がすすまねェ…!
思いうかばねェ…!もう少しまってくれ…!
677 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/29(水) 12:55:17.83 ID:Yr/JrD20
とりあえず、今ん所書いたやつ少し投下するわ。
あらすじ
映画館でデート中だった結標と一方通行は偶然にも映画を見に来ていた番外個体と心理定規に遭遇した。
結標はその状況に耐えきれず、能力を発動してガラス越しに見えた反対側のビルの屋上に移動する。
能力の発動で疲れた彼女はそのまま寝てしまった。
678 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/29(水) 12:56:08.41 ID:Yr/JrD20
「寒ィな…」
びゅぅぅ…と吹きさらす冬の風はビルの屋上にいる二人に容赦なく吹き付ける。
結標はたまたま給水タンクの柱で陰になっていて風を防いでいるが気温がいかんせん寒い。
(ここにいてもらちがあかねェか…何より風邪ひィちまいそォだ…)
(今日は…黄泉川達は家にいたか…?)
一方通行は黄泉川たちが家にいたかどうかを思い出す。
(確か…黄泉川は会議で遅くなるって言ってたな…芳川もクリニックで勤務…打ち止めは妹達と遊ぶ…だったか…)
(家は開いてるか。あそこが一番暖を取りやすいだろうしな…)
すぅすぅ
目の下を赤く泣きはらして寝ている結標を一方通行は静かにお姫様だっこする。
679 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/29(水) 12:56:58.54 ID:Yr/JrD20
結標は目をうすくあける。
(え?何で私空飛んでるのってか一方通行にお姫様だっこされてる!?!?)
「あン?」
(?)
一方通行は結標が起きたことに気付いていないようだ。
(…これは起きたと言うべきか…いや…言わないべきか…)
結標は一方通行にばれないようにうっすら目を開けてみると眼下に広がる学園都市のビル群。
走る車、ライト、所どころ点滅するのは信号か、緊急車両か。
学園都市をぶちぬく16号、遠くに見えるは副都心、コウコウチカチカ光っている。
第二十三学区の調布飛行場では旅客機が飛び立っている。
それらはまるで流れる光のように…。
(寒くない…?)
高空を飛んでいるのにもかかわらず寒くない。
一方通行がベクトル操作で風を遮ってくれているのだろうか。
(どこにいくんだろう…?)
(わからないけど…)
一方通行の細い腕に抱かれている彼女は思った。
(もうすこしだけ…こうさせて…)
680 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/29(水) 12:57:32.28 ID:Yr/JrD20
――黄泉川宅
一方通行は居候している黄泉川宅に帰ってきた。
結標は一方通行のベッドですやすや寝ている。
部屋の暖房をつけてコーヒーの準備をしてお菓子も用意した。
あとは彼女が起きるのを待つだけだ。
(三十分か…もうそろそろ起こすかなァ)
「オイ、結標?」
一方通行はベッドの横においてある椅子に腰かけて話しかける。
「…ううーん?あ、あくせられーた?」
「そォだ、ホラ、起きろ」
結標は眠気なまこをこすって起き上がる。
(あれ?私なんでこんなところで寝てるんだ?)
(ってかここ…どこ?)
さまざまな疑問が彼女の頭に浮かびあがっていく。
彼女はお姫様だっこで抱かれていた時から少し寝てしまったようだ。
「ここはオレの家…って言っていいのかァ?ま、とりあえずはオレの家だ」
(居候なンて恥ずかしくて言えねェ)
「そう…今何時?」
「十九時ってところだ」
681 :
投げんな匙
◆PM8K4OM5ys
[saga]:2010/12/29(水) 12:59:56.15 ID:Yr/JrD20
すまん、こっから先が書いても書いても結標にとってのバッドエンドに繋がってまうんだ…。
何とかして彼女を幸せにするためにももう少しまってくだせぇ…!
おかしいな、奏√書く前は結標エンドしか思い浮かばなかったのに。
では年明けまでに何レスか投下できると思うんで…!またな!
682 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 13:35:11.73 ID:VN1742Uo
何時までも待つわ!
おつかれさん
683 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 16:18:49.46 ID:hMc7pioo
>>679
>走る車、ライト、所どころ点滅するのは信号か、緊急車両か。
>学園都市をぶちぬく16号、遠くに見えるは副都心、コウコウチカチカ光っている。
人造人間16号が暴れてんのかと一瞬
684 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
:2010/12/29(水) 17:15:09.47 ID:/u7cM220
16号「俺の好きだった植物や動物たちを守ってやってくれ。」
グシャッ
一方通行「うfdaj;i絶対i、oju殺agfjdio……!」
こうですか、分かりません(><)
685 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/29(水) 18:48:49.40 ID:Yr/JrD20
すいません、書きためてないけど、携帯で皆さまのコメ見たんで説明っす。
十六号は関東〜神奈川を通っている道路で夜は結構混むんですよ。
で、上空からみたら綺麗かなーって。
関東圏に住んでいない人にはどうでもいい話でしたね…><
ヘルズフラッシュ!!!
686 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/29(水) 22:53:43.77 ID:i6fBdWI0
>>681
書いても書いてもバッドエンドになるだと・・・?心理定規の仕業か!??
くそ〜〜、そこまでして、あわきん√を潰したいか!!!!!!
そげぶはどこいった?そげぶの力が必要だ
687 :
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします
[sage]:2010/12/30(木) 18:40:11.45 ID:AbmwDsEo
>>685
国道16号はさすがに分かるけどさ。
関係ないけど今16号沿いの店にいる程度に近所の道だし。
ちなみに道は超空いてますが。
多摩周辺+町田周辺+横浜周辺を拠点としてる俺としてはよくいる地名ばっか出てくる
688 :
偽条
[nise]:2010/12/31(金) 01:53:54.20 ID:4.edQSw0
呼んだか?(キリッ
689 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:38:32.65 ID:TFehqUY0
こんばんわ。
今年も後少し!
紅白も好きな奴見たことだし、少しだけ投下しますかね!
えーっとまず十六号は夕方から夜にかけて混んだ気が…。
ま、たまたまだったのかもしれませんね。
さて、あらすじから…。
結標は能力を使って自分を移動したことで体調を崩す。
そして寝てしまう。
起きると一方通行の家に…。
690 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:39:39.94 ID:TFehqUY0
「…そう」
(映画終わってから一時間くらいね…)
「とりあえず結標、オマエなンか食べろ」
そういうと結標は一方通行からお菓子とコーヒーを渡される。
「ありがとう」
「気にすンな」
コーヒーにはすでにミルクがいれてあるようで、少し白くなっている。
まだいれたばかりの様で湯気がモクモクと出ている。
ずずず…とコーヒーを啜る結標。
少し苦いけど、ちょっと甘いような…。
「ねぇ…一方通行」
「なンですかァ?」
「私じゃだめなの?」
唐突に発せられる質問。
結標は映画館で恋仇の番外個体と遭遇した時に『付き合ってる』と啖呵を切った。
そして一方通行はそれを否定した…。いや、正確に言えば否定した様な素振りをみせた…。
「ダメって…」
「さっきの映画館にいた時は私だって無茶言ったと思う…ケド…あの気持ちは嘘じゃないから…」
「一方通行と付き合いたいって思う私の気持ちに嘘はないから…」
691 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:40:36.79 ID:TFehqUY0
「そォか…」
一方通行は困惑していた。
(まさか…今日、結標から告白されるなンて…ってかこれってほぼ告白ですよねェ?)
(まだ番外個体と遊ンでねェしなァ…でも保留っつゥのも気が引けるし…なにより…)
(番外個体は何を言ってるのか本心がどこにあるかよくわからねェ…)
一方通行は番外個体の事をかわいいと思っていたし、話して楽しいとも思っていた。
ただ、彼女は負の感情の発露という体に制限が設けられている。
ゆえに一方通行と話す時にそれが発露し、会話の妨げになってしまうのだ。
(オレは…コイツの気持ちに応えてもいいンじゃないか…?)
(番外個体…といるよりもコイツのほうが好意を寄せてくれる気持ちがありありと伝わってくる)
(って言ってもまだ番外個体と遊んだことがないからなンでとでもいえるンですけど…)
一方通行も未来を見れる能力など持ち合わせていない。
今この場で最も彼に好意を寄せている事がわかるのはベッドで彼の返事を待ってカリカリとクッキーをかじっている結標だけだ。
(オレは自分自身でも…コイツで良いって思ってるンじゃ…?)
(失礼だな…コイツ『が』…だな…)
(さっきのビルにいた時からここに来るまで居てもたっても居られなくてお姫様だっこをしてここまで来た…)
(何でいてもたってもいられなくなった?無意識のうちに)
692 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:41:12.17 ID:TFehqUY0
一人で床を見て考え込んでいる一方通行に耐えきれなくなったのか、結標は再度おそるおそる質問する。
「ねぇ、私じゃだめかな…?」
「……………」
(オレは何考えてたンだ…?)
(好意を寄せてくれる女を前にして…まだ遊ンでない女に期待してるってか…ハッ…第一位も腐ったな…)
(オレは、オレの好きなようにやらせてもらう…!なら…オレは…)
(コイツの気持ちに応える。これが一番近い、ハッピーエンドだろォがよ…!)
「ハッ!そんなもの欲しそうに見ちゃって、結標さンンンンン?」
「うっさい、一方通行」
「いいぜェ」
「ホント?」
結標は啜ろうとしたコーヒーカップを戻し、目をぱちくりさせて一方通行を見る。
「マジ?」
「あァ」
「…ふふふ…じゃー…『淡希大好き』って言って☆」
「はァ?な、な、な、な、なァァァァに言っちゃてるンですかァ??????」
693 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:41:46.09 ID:TFehqUY0
「え、だって私たち付き合ってるんでしょ?私の事好きなら言ってよ〜…」
「…じゃァ………」
「アワキダイスキ」
「何よ、そのあからさまな棒読みは」
「言いましたァ」
「何?やっぱあの超電磁砲モドキの事が忘れられないの?ならその幻想を…」
「待て、オマエがそれを言う必要はない」
「ふふ…じゃ、早く言ってよ」
「………結標…好きだ…どォだよ…?」
(だー!オレは何言ってるンですかァ?)
「何よ…その言い方は…」
ついさっきまで若干ふざけた雰囲気だった空気が一気に凍る。
結標の声のトーンも心なしか低くなっている。
「いいわ、やっぱり私、付き合わないわ、じゃあね」
結標はそういうとコーヒーとお菓子を床にことりと置くとベッドから起き上がり、帰ろうとする。
694 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:42:41.28 ID:TFehqUY0
「待てよッ!」
「何よ…どうせ超電磁砲と付き合えるまでのつなぎでしょ?私なんか」
「…違う」
「どう違うの?なら私が超電磁砲と一方通行が付き合うまでの繋ぎじゃないっていう証明をしてみせてよっ!」
「それは…できねェ…!すまねェ…」
「ふぅん…それはあなたが私と超電磁砲モドキで板挟みになってるから?」
「…知ってたのか?」
「知ってるも何も、女のカンよ。大体分かるわ。昨日の超電磁砲モドキのバイト先の時点で分かったわ」
結標は呆れるようにはぁとため息をつく。
「あなたに惚れた私が馬鹿だったみたいね…もういいわ…」
「はァ?」
695 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:49:33.89 ID:TFehqUY0
「だぁかぁらぁ…あんたに惚れた私が馬鹿だったって言ってるのよ!早く…超電磁砲モドキと遊んで来ればいいじゃない…!」
「どうせ私が何をいっても聞く耳持たないんでしょ」
「オマエ…自分が何言ってるかわかってるのかよ?」
「えぇ。百も承知よ?」
結標は自信まんまんに一方通行の質問に答える。
「あなたが…答えをださないのは超電磁砲モドキと遊んでないから。なら遊んでさっさと答えを私に聞かせてよ」
「……………わりィな」
「ふん、気にしてないから。これで私の所に戻ってきたら…何してやろうかなぁ…?」
「クカカ…そン時はなンでもしてやンよ。もしかしたらオマエの所にも番外個体の所にもいかねェかもしれねェけどなァ」
「ふふ…待ってるのも疲れるから、さっさと遊んできてもらっていい?近日中に一方通行から連絡よこしなさいよ?」
「私ほど気長にまついい子もいないと思うけどなぁ〜!」
(やーっべ…私また啖呵切っちゃったけど…これで超電磁砲モドキに一方通行取られたらそれこそ笑い物ね…)
ズキッ…。
心がえぐられるよう。
辛い。耐えられるはずがない。
(でも…信じるしかないわね…。今の一方通行を見てても、なんかこう一本通ってないって言うか…よくわからないけど)
(頼りないって言うか…自分が納得できる答えを出してない気がするのよね…)
(――なら、一方通行が納得できる答えを出すまで待つしかないわよね?)
696 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:51:47.88 ID:TFehqUY0
(…例えそれが私にとって悲しむべき結果になっても…?)
ズキッ…
いやだよ、絶対やだ。
でも…
彼女の揺れ動く心。
我慢と葛藤。
「じゃあ、オマエの言うとおり、また今度連絡するわ」
「うん、朗報待ってまーす!」
ズキッ
泣きたくなる気持ちを抑えて。
笑顔で気丈に。
結標はそういうとヒュン!と消えて行ってしまった。
「ったく…われながら最低の男だが…これで納得する答えが出せる…!」
(結標も結構平気そうな感じだったからなァ…ちゃっちゃと遊ンじまうかねェ…)
一方通行は結標の気張った返答のもらったことで自分が番外個体とも遊べる権利を得たのだ。
結標は一方通行の暮らしているマンションの近くの駐車場に降り、帰路に向かう。
「…ヒッグ……グス…」
ぽろぽろと流す大粒の涙。
「あく…エグ…グズ…せられーた…」
697 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:52:43.84 ID:TFehqUY0
一方通行の前では待ってるからと快活な笑顔まで見せた彼女だったが、どうやらあの姿は彼女の一面を知るうえでは全く参考にならないようだ。
むしろ、これが本心ですよ、と言わんばかりの勢いで彼女は通りかかる街の人の視線も気にせず声を出して泣いた。
「…ウウ…アア…ヒッグ…」
(これで…私を選ばなかったら…悲しいなぁ…)
(どうするんだろう…やっぱり…遊んで私なんかはさっさとお払い箱?)
(悲しんでたら駄目だ…。一度自分で言ったんだから…後は待つしかない…!)
(一方通行…さっさと超電磁砲モドキと遊んだら私の所に来て…!)
(…気長に待つことなんて出来ないよっ…!)
結標は暗くなった学園都市にまぎれるようにとぼとぼと一人さびしく歩いて行った。
ぷるるるるるる
一方通行が結標と分かれて直後、彼の電話がなった。
(だれだァ?結標か?)
(番外個体か…)
受話ボタンを押して通話モードになる携帯電話。
698 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:53:25.82 ID:TFehqUY0
「……もしもしィ?」
『一方通行?』
「はいはい、なンですかァ?」
『…今、ミサカ家にいるんだけど…今日はその…いろいろごめんね…』
「…あ…あァ…別に気にしてないから…安心しろ」
『…一方通行?あの…ひとつ聞いていい?』
「なンだよ」
『赤髪…とは付き合ってるの?』
「…なンでそれを聞く」
『…いやー…あはは…ミサカと会った時、ホラ!あの子と一方通行いきなり消えちゃったし…せっかくの所邪魔しちゃったのかなって…あひゃひゃ…ひゃ』
「別に…付き合ってねェよ」
『ホント?』
「あァ…」
(ったくなンでどいつもこいつも…)
『そう…じゃあさ、今度開いてる日あったら遊ぼうよ…!?あひゃひゃ…』
「別にかまいませンが…いつがいいンですかァ?」
『いつでも。なるべく都合合わせるよー』
一方通行は予定を思いだす。
699 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:54:18.09 ID:TFehqUY0
『いいよ…午前までバイトあるから午後からでもいいかな?』
「構わねェぜ?」
『じゃ、待ち合わせは第七学区の駅前で二時でいい?』
「はいはい」
『じゃ、またね…』
がちゃり、通話ボタンがきれる。
(ったく…クソだな…オレは)
一方通行は自分がつくづく駄目な男だと思いつつリビングにあるソファに移動し腰を下ろす。
「はァ…疲れた…まァ自業自得なンだがなァ」
700 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:54:56.76 ID:TFehqUY0
――翌日 朝十時
「起きるのですよー、結標ちゃん!?」
「ううー…小萌?おはよ…」
「目の周り…真っ赤にはれちゃってますね…!もしかして…駄目だったんですか?」
「ううん…違うけど…結構長期戦になりそうでさ…」
「え?長期戦?どういうことですか?」
結標は首をかしげる小萌に昨日の出来事を説明する。
「えー!って言うことは結標ちゃんはその…もう一人の女の子と遊び終わるまで、待たなきゃ返事は聞かせてもらえないんですかぁ?」
「…うん…まぁ…そんな所かな…」
「結標ちゃん…ちょっとそれは結標ちゃんの気が持たないんじゃ…?」
「うん…。でも…さ、まだふられた訳じゃないしさ…ね?」
「結標ちゃんがそういうなら…先生は応援しますけど…」
(だって…今結標ちゃんはキープされてるってことですよっ?)
「あはは…私…ちょっとおかしくなっちゃったのかな?」
「そんなことないですよ…!でも…!」
「でも…?」
「もし待った挙句に………一方通行ちゃんに振られちゃったらどうするんですか?」
その質問を聞くと結標はシュンとううなだれてしまった。
「…ははは…それは…そんなことないって信じるしかないけど…あはは…」
701 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:56:22.13 ID:TFehqUY0
「結標ちゃんは一方通行ちゃんのどこが好きなんですか?先生は正直結標ちゃんならもっといい人が見つけられると思いますっ!」
小萌は言ってしまった。
この話しを聞けばだれしもが思うだろう。
一方通行なんて辞めてもっといい人を見つければいいではないかと。
「…ふふ、ありがとね、小萌。でも…私、どうしても一方通行の事好きだからさ…そりゃぁ!ねぇ?私だって思うわよ?何でこんな男に惚れちゃったんだー!って…ははは」
結標はそういうと空元気の笑顔をつくる。
おそらく彼女はどうしようもなく、一方通行の事が好きなのだろう。
(結標ちゃん…そこまで言うなら…先生はもう何も言いませんよ…!応援します!)
「そしたら…さっさとお昼ご飯にしましょうか?」
「え…えぇ」
小萌が料理を作っている間に結標はケイタイを霧が丘の制服のポケットから取り出す。
(何か…メールしよっ…かな…)
カチカチ…
ケイタイのボタンを打ちんでいく。
(送信内容は思い浮かばないケド…)
(いいよね、一方通行に何してるの?くらい聞いても)
(よし…!出来た!送信…!する前に…もう一回読み直してっと…)
702 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 21:58:07.01 ID:TFehqUY0
------------------
To:一方通行
Sub:おーい(・∀・)
何してるのー?
-----------------
(こんな感じでいいかしら…?)
結標は一人思案しつつ送信ボタンに手を掛けるが踏ん切りがつかない。
(こんな薄っぺらい内容だったら返事返ってこないかしら?)
(あー!メールでここまで悩むなんて…!メール難しいよ…)
(とりあえず送信っと!)
送信ボタンを押すとメールが送信されていく。
(はぁ…結局これでよかったのかしら?…とにかく後は待つだけね…)
♪DJ play that music お願い♪
(返事はやっ!どれどれ、何してるのかな?)
----------------
From:一方通行
Sub:Re:
グダグダしてるぜ。
今日はあったかくていい天気だからなァ
----------------
(ふーん…これでメール終わり?もっとなんか質問で返してきてくれてもいいじゃないの…!)
703 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:01:05.67 ID:TFehqUY0
「あれ?結標ちゃん、誰とメールしてるんですか?もしかして…」
「うん、一方通行とメール☆」
(返事が着て嬉しそうですね、結標ちゃん)
(ここでメール終わるのもなんかイヤだし…もうちょっと位送ってもいいよね?)
結標はケイタイをパカリと開くと再びメールを編集する。
カチカチ…
----------------
To:一方通行
Sub:ちょっと遅いけど、おはよう笑
グダグダかぁ…。
私も今日はぐだぐだよ(・ω・)
----------------
(やばい…!送る内容が思い浮かばないわ!)
(もうちょっとメールしたいなぁ…けど、送る内容思い浮かばないし…)
(…一方通行、暇なんだ…私とあそ…待て待て待て!落ち着けあわきん!しっかり!昨日の今日よ?一方通行が言ってたじゃない…)
(超電磁砲モドキと遊んでから返事言うって…!)
(えーい!…これで送信だぁ!)
と、その時、ちょうど小萌の作ったご飯が出来あがったようだ。
「ご飯できましたよー!結標ちゃん!今日はチャーハンと餃子です!」
704 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:02:29.11 ID:TFehqUY0
「ご飯できましたよー!結標ちゃん!今日はチャーハンと餃子です!」
「はぁい、いただきます!」
(いったん着信音はオフにして、ご飯食べちゃいましょ)
(ふふ…私と一方通行の起きた時間、同じね……)
結標はケイタイの着信音が鳴らないように設定して朝昼兼のご飯を食べる。
一方通行に起きる時間が遅いといっておきながらも自分の起きた時間も同じくらい。
起きた時間が同じでちょっぴり嬉しかったりする結標。
朝昼兼のご飯を食べ終わって、再びケイタイを手に取る。
(さて、メールメールっと)
(あ、返事きてるっ!)
--------------
To:一方通行
Sub:無題
でも家にいるのもなンかだりィから
今日は一人でどっか歩こうかなァって気分なんでコーヒー巡りしよォかなァって思ってる
----------------
(そう…一方通行も仕事がなくなってからはだいぶ暇してるようね…)
(さて、メール返しますか!)
---------------
To:一方通行
Sub:Re:
良いコーヒーショップ見つかると良いね(^▽^)
----------------
(こんな感じで良いかしら…?送信っと…)
705 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:04:51.58 ID:TFehqUY0
結標はメールを送信してケイタイを閉じる。
(返事来るかなぁ…?)
(うーん…疑問文で送らなかったからこないかも…あぁ!みすったなぁ!)
(いやいや、待とう!送ったもんは仕方ない…!いまさらもう一通何か送ってもまどろっこしいだけだし…!)
数時間が経過した。
結標は数十分に一回、定期的に携帯をチラチラと見るがその度にため息をはいていた。
(全然返事こないわね…どうかしたのかしら?)
そしてまた、ちらっと携帯電話のディスプレイを見る。
返事は来ていない。
(…あれ?おかしいな…いま確かに携帯光ったように見えたんだけどなぁ…)
朝昼兼用のご飯も食べてもう夕方の時間。
結標は小萌の家で携帯をなんども見てはメールが来ないかどうか確認していた。
着信音が鳴る設定に戻したので携帯のメロディがならない時点でメールは来ていないことになるのだが、どうしてもきになってしまう。
(センター問い合わせ…やっても来ないしなぁ…ってかそんな簡単にセンターに溜まる訳ないわよね…あはは…)
(…一日ってこんなに長かったけ?)
706 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:09:15.88 ID:TFehqUY0
(もっとメールしたいよ…一方通行…!)
彼女はその日は小萌の家でずっと携帯電話を見ていた。
しかし、結局その日は一方通行から返事はこなかった。
彼女は思った。
(会いたいなー…一方通行)
――次の日
結標は今日も携帯電話をいじっていた。
(昨日はあんまり多くメールできなかったなぁ…けど今日もメールしてみたいな…)
(まだ…映画館の一件があってから二日しかたってないのよね、もう何日も経った気がするけど…)
そう。まだたった二日しかたっていないのだ。
それなのにこのけだるさと一方通行に合いたい気持ちは抑えられそうにない。
今日は小萌は学校の補修で冬休みにもかかわらず出勤、なので今は結標は一人きりだ。
(一方通行に会いたい…)
(メールしよっと…)
そう思った彼女は気付けば携帯電話のメール作成フォルダを開いていた。
カチカチ…カチカチ
携帯電話のボタン音は消してあるので結標の細く綺麗な指がボタンを押す音だけが部屋でひびく。
707 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:09:44.51 ID:TFehqUY0
-----------------
To:一方通行
Sub:二日間連続メールしてごめんなさい
今日も晴れだねー。
仕事もないし、ヒマだったらメールしよー!?
-----------------
(なんか構ってちゃんみたいでやだ…ケド…送る内容が思い浮かばないし…えいやっ!)
かちっ!
送信ボタンを押すとメールが送信されていく。
0コンマ数秒後にはこのメールが一方通行の所に…。
(はぁ…メールって難しいわね…)
(さーって小萌が帰ってくるまで片付けとかしますかねー)
パジャマ代わりに使っているスウェットのポケットにケイタイを入れて洗濯機を回す。
(メールこないわね…)
(あはは…送って直ぐに返信が来るわけじゃないしね…気長に待とう)
・
・
・
・
数時間後…。
(こないわね…)
(結構時間たってるのに…)
結標は返事が着たら携帯電話の見ようと思い、ポケットから出さなかった。
708 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:10:24.94 ID:TFehqUY0
(あ…!そういえば昨日ケイタイの着信音切ったままだったわ)
結標はそのことを思い出し、とっさにケイタイをポケットから取り出す。
ケイタイの待ち受け画像を見てみるとメールも電話も何も来ていなかった。
(…何してるのよ…一方通行)
(まさか…遊んでたり…?あの超電磁砲モドキと…!)
(……どうすればいいのよ…、こういうときは…!)
彼女の予想は当たっていた。
一方通行と番外個体は現在デート中である。
しかし彼女はそのことを知らない。
小萌も帰ってこない。
いつもパーティをする時のシスターと巫女も来ない。
彼女は一人孤独に携帯電話を小一時間、したくもないのに睨めっこに興じなければならなかった。
(あー…洗濯も皿洗いも終わったし…テレビも面白いのやってないいしなぁ…)
(早く…返事よこしてよ…!)
色々な想像をする。
今何をしているか、とか、今誰といるか、とか、今、番外個体といるか、とか、二人は実は今頃仲良く…
(一方通行…)
(早く、返事してよ…!)
そのときだった。
♪DJ play that music お願い♪
結標のケイタイが鳴る。
(あ、一方通行から?)
709 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:11:18.07 ID:TFehqUY0
ケイタイをパカリと開く。
(一方通行からだ!)
彼女は心の中でやった!と叫びながら携帯電話を開く。
-----------------
From:一方通行
Sub:返信送れてわり
今日、番外個体と遊ンだ
で、今帰りだ
-----------------
(……ふぅん。ってか番外個体って誰?)
(…もしかして、アイツ?あの超電磁砲モドキのことかしら?)
色々な憶測が結標の頭の中で飛び交う。
学園都市の能力名はたいてい四文字。
しかし、この能力名は聞いたこともないし、見たこともない。
(誰よ…?番外個体って…?)
(一人で考えてても埒が明かないわ…!)
結標はケイタイのメールの文章作成を始める。
710 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:12:06.59 ID:TFehqUY0
-----------------
To:一方通行
Sub:Re:
誰よ、番外個体って。
ていうか、なんて読むの?これ?
-----------------
(よし…これでいいかしら?)
(送信っと!)
♪DJ Play that music louder お願い♪
(返事はやっ!)
結標は一方通行の返事の速さに驚きつつ、ケイタイの受信フォルダを開く。
-----------------
From:一方通行
Sub:Re:Re:
番外個体=ミサカワースト
おとといオマエが話したやつだ
-----------------
メールを読んだ瞬間、結標は瞬間息が詰まるような気持ちがした。
(あの…超電磁砲モドキね…!)
(結果はどうだったのかしら…)
711 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:13:14.60 ID:TFehqUY0
――黄泉川宅
一方通行は結標とメールをしながら今日のデートを思い返していた。
(ちょっと遊ンで飯食べて終わりかァ…)
(…しかもまた遊ンでほしいって言われちまったなァ…)
(……正直番外個体は電話する時は良いンだけどなァ…)
(実際会うときに口がワリィのなンのって…あれじゃァ話にならねェ…お、メールだ)
一方通行はケイタイの受信フォルダをカチカチと素早く開いていく。
-----------------
From:結標淡希
Sub:Re:3
今、時間平気?
電話したいんだけど…
-----------------
(電話?)
一方通行は何でだ?と思いつつも特に否定する理由などない。
(まァ構わねェけど…)
-----------------
To:結標淡希
sub:Re:4
いいですよォ
-----------------
712 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:14:06.69 ID:TFehqUY0
(送信っと…)
(電話の内容はあンま聞かれたくないから…外に行くかァ…)
一方通行はそういうと外に出て行く。
芳川がどうしたの?と聞いてきたが、電話、とだけ答えて近くの公園に向かっていった。
一方通行は電話が来るのを待つ。
(…こねェ…寒ィ…コンビニ行くかァ…)
♪それはまるで金貸し!のように待ったなし!♪
一方通行の着信音がなる。
電話だ。
(お?結標かァ?)
ジーンズのポケットに入れてあるケイタイを取り出すとディスプレイには結標の文字が。
(出ますかねェ…)
公園のブランコに腰を落して一方通行は受話ボタンを押す。
「一方通行でェす」
『…私だけど………』
結標は一方通行のメール内容を見ていてもたってもいられなくなったのだろう。
「おォ、結標、どォした」
『…ちょっと電話してみたかっただけ…』
713 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:14:49.34 ID:TFehqUY0
「そォですか」
『…一方通行?今、家?』
「いンや、家の近くの公園だ」
『そう…寒いよね、ゴメン』
「なンでオマエが謝るンですかァ?」
『うーん…なんとなく?』
「なンだよ、そりゃァ」
(正直、何話すか全く考えてないけど…)
(何はなそうかしら…)
結標は一方通行が超電磁砲モドキと遊んだという事をメールで知らされ、その結果が気になり電話したのであった。
(…けど…どうだった?なんて聞けないょ…)
(どうしよう…でも…勇気を出して聞かなきゃ…)
結標は想像する。
一方通行と超電磁砲モドキが仲良く笑いながら街を歩いている風景を。
そしてズキンと心のそこに冷たいナイフが突き刺さるような感覚を覚える。
(聞けない…!聞けないよ!)
(でも…!)
714 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:16:37.53 ID:TFehqUY0
「ねぇ?一方通行?」
『なンですかァ?』
「…どうだったの?」
『……今日のことか?』
「……………………」
『普通だった』
結標の長い沈黙は一方通行に対する肯定と受け取ったのであろう。
「…普通って?」
『ただ…飲んで食って話して…おしまい』
「そう…なんだ」
『あァ…それだけだ』
(よかった…でも…それを言ったら私だってご飯食べてプリクラとって映画見て…)
(手つないだって言っても…私が言っただけだし…)
結標は自分で安心した反面、不安になる。
「ふぅん…まだ超電磁砲モドキと遊ぶ予定でもあるの?」
『……………………』
「遊ぶの?」
『また遊ぼうって…誘われた…』
715 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:17:21.59 ID:TFehqUY0
「…そう…グス」
誘われた、その言葉が彼女の頭の中にゆっくりねっとりした何かのように広がっていく。
そして、何故か流れてくる涙。
一方通行には聞こえないように。
声を上げるのをこらえて綺麗な瞳からつーっと一筋の涙が流れていく。
(そっかぁ…)
(今、会いたいなぁ、一方通行に)
彼女は思った。
この二日間、いや、一日と半。
映画館の一件から果てしない月日が流れたような気がした。
しかし実際は一日とちょっとしか経っていない。
一方通行からの返事をもらえるまで一体どれほどの月日を耐えなければならないのだろうか?
(待てないよ…一方通行。私、やっぱり待てない)
(怖いの。一日、一日経つたびにもしかしたら…一方通行が遠のいていくような気がして…!)
(このままいつになるかわからない一方通行の返事を待つより…)
そう思うと彼女は通話をしながら走りだしていた。
『結標?息荒くないか?体調悪ィのか?』
「ううん。平気、電話も続けられるし…平気よ?…ハァ…ハァ…」
(確か…一方通行の家は…一昨日いったからわかる…あんまり遠くないはずよ!)
走れ、走れ。
結標はもはや私服同然と化した霧が丘女学院の制服に紺色のショート丈のピーコートを着ながら走る。
716 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:18:21.46 ID:TFehqUY0
(ふふ…二日でもう一方通行に会う気持ちを抑えられなくなるとか…)
(…少し時間がかかりそうだけど…能力を使って…)
ヒュン…ヒュン…
自分の体を飛ばすことに極度のトラウマがあるにも関わらず、彼女は冷静に演算式を構築し第七学区を走り抜けていく。
十二月の平日の夜。
手はかじかみ、寒い。
小萌の自宅から建物の屋上を人目につかないように…、座標移動を繰り返す。
(…うっぷ…やっぱ自分を飛ばすのは…気持ち悪いけケド…)
(それでも…会いたい!…一方通行に!)
彼女は飛んでいく。
小萌の家から一方通行のいる公園へ。
717 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2010/12/31(金) 22:19:34.07 ID:TFehqUY0
今年はこんなもんかな。
まだ書きためあるけど…今年はここまで!
また来年に投下します!
製作民、また来年もよろしくお願いします!
また近日中にお会いするでしょう!
718 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/01(正月) 00:13:11.63 ID:2FIZb2AO
乙です!
あけましておめでとう記念かきこ
いつも楽しみにしてる。
719 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/01(正月) 00:14:13.07 ID:KlsPAuE0
やばい、あわきんが好きすぎてやばい。。 やう゛ぁい ってくらいやばい
720 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/01(正月) 21:22:39.05 ID:AlC84iQ0
この一方たちがやたらお互いと「遊ぶ」と連呼するのになんとなく違和感を感じるんだが、
若者達の間では、微妙なカンケイの男女がふたりで行動を共にしてお互いの気持ちを確かめ合う、みたいな
意味合いで「遊ぶ」と言ったりするもんなのかな?こんな違和感を感じてるのは俺だけだろうけどww
721 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/01(正月) 21:49:06.35 ID:BEOb0Sko
【レス抽出】
対象スレ:番外個体「あなたが考えた私の名前、ミサカに聞かせてくれるかな」
キーワード:遊ぶ
抽出レス数:10
キーワード:遊
抽出レス数:44
全く連呼してなくてワロタ
722 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/01(正月) 22:36:11.71 ID:NPHSq1Qo
付き合ってないからじゃ?
仲いい男女が友達とどこかに行くならデートじゃなくて遊ぶ
723 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/01(正月) 22:37:35.23 ID:NPHSq1Qo
友達として、だった
724 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/02(日) 01:17:00.08 ID:Z7Yh46co
デートを辞書で引くと「若い男女が待ち合わせをして遊びに行くこと」と書いてあってだな
そこに恋愛感情の湯有無は関係ないみたい。まぁ古い辞書だけどさ
725 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 02:46:11.18 ID:RX8ddf20
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
「遊ぶ」に関してですが、オレのボキャブラリーが少ないせいもあるでしょうね…。
ただ、このスレッドではお互い微妙な関係を確かめあうみたいな意味合いで使っています。
デートって言葉…なんか恥ずかしいんですよねぇ…。
あらすじ
番外個体と一方通行は今日遊んだ。
どうやらその後も番外個体からまた遊ぼうとのお誘いが来たようだ。
その事をメールで知らされた結標はいてもたってもいられなくなり、一方通行に電話をすることに。
そして彼女は気付けば一方通行が居るであろう公園に向けて走り出していた。
726 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 02:51:05.74 ID:RX8ddf20
――黄泉川宅付近の公園、夜。
十二月の夜は寒い。
その寒さに耐えながら、一方通行は結標と電話しているのだがどうやら彼女の様子がおかしいのだ。
彼女の息がつい先ほどから荒くなったからだ。
しかし、彼の懸念も結標には伝わらない。
彼女を今突き動かしているのは、一方通行に会いたいという純粋な気持ちのみ。
『結標?マジでどォした?』
「え?…何…が?はぁ…はぁ…」
『息上がってないか?』
「あぁ…ちょっとね…疲れちゃったみたい…」
『つかれただァ?オマエ今何してるンだ?』
「…ひ…み…つ…ハァ…ハァ…ゼェ…!」
(結構体に来るわね…!気持ち悪い…わ…!)
結標は座標移動の能力を使用する為に冷静に演算式を構築していく。
体力は座標移動を繰り返したことで、かなり消費されてしまっている。
それでも…!彼女は走る。
(あと少し…!私の予想があってれば…一方通行の家の近くの公園は…あそこしかない…!)
727 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 02:56:31.80 ID:RX8ddf20
(一方通行がもう…すぐ近くにいる――!)
そう考えただけで結標の心ははち切れそうなほどどきどきしていた。
座標移動をすることでこみあげてくる吐き気を抑えながら彼女は進む。
(一方通行に会いたい…!)
その純粋な気持ちを原動力に。
『結標、体調悪いなら電話切るぞォ?』
「ちょっと、待ちなさいよ…!き、切らないでっ!」
(あ…!あそこの公園…?よね?一方通行の家から近いし…!)
彼女は息が上がり、苦しい気持ちを抑えて電話を続ける。
『はァ?どォいうことだよ?なンかあったのか?まさか、暗部の…?』
「………ん……へーき…そーゆーんじゃないからさ…」
(あと少しだから…!私の体…!言うこと聞いてちょうだいね…!)
一方通行の突飛な質問を否定する。
「…ハァ…ハァ…今、家の近くの公園に居るのよね?一方通行」
『あァ、それがどォかしたのか?』
「よかった。今私、一方通行がいる公園の前にいるからさ」
728 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 02:59:39.61 ID:RX8ddf20
公園にある街灯の下には呼吸が乱れてはぁはぁ言っている女が一人。
ブランコに座っている一方通行はケイタイを耳から離し、だらんとした状態になり、驚きの表情を浮かべる。
「…結…標…?」
(家からここまで来たっていうンですかァ?)
『「やっぱりここにいたんだ、一方通行」』
会いたい――
彼女の純粋な気持ちが彼女と一方通行を合わせた。
一方通行の電話から聞こえる結標の声と、生の声彼女の声…。
気付けば一方通行の目の前には結標がいた。
彼女は一方通行の座っているブランコの方までとぼとぼ歩いて来る。
「オマエ…まさか家からここまで来たのか?」
「うん…あはは…声聞いたらやっぱり会いたくなっちゃってさ…」
一方通行は結標の足元から頭頂部までの全身を一瞥する。
(すげェ汗だぞ…大丈夫か?)
「…ハァ…ハァ…うっぷ…エホン…ゲホン…!」
(お腹の中がぐるぐる言ってるわ…ヤバイわね…気持ち悪い…)
小萌の家からいくら同じ学区と言えど、数キロも離れているこの距離を座標移動してきたのは彼女にとってかなりの苦痛だったろう。
729 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:00:58.67 ID:RX8ddf20
一方通行が思った様に彼女はかなりの汗をかいていた。
止まればすぐに寒くなるこの季節。
汗も直ぐに冷えて体調を崩しかねない。
結標は平気だろうか?
吐き気と寒さによるものだろうか、心なしかせきがでている。
この三日間で彼女はなれない本人の転移を数回したせいで彼女の心身は限界に達していた。
いくら一日休む間を置いたとしても彼女にとってはかなりの苦行に感じられた。
「なンで…いきなりここに来たンだ?結標?」
一方通行は、汗を流し、息切れを起こしている結標に質問する。
「…ハァ…ハァ…何でって…ウン…もう……言ったよ?私が…ここに来た理由」
結標は一方通行が座っているブランコの前までゆっくり来る。
彼女はピーコートのボタンを外し、熱気を外に出そうとバタバタしている。
そしてそんな結標から発せられる一言――――
「一方通行の声、聞きたくなっちゃって――」
へへ、と結標は汗を流しながら一方通行に笑いかける。
「声…?オレの声か…?」
「うん、今一方通行の声以外誰のも、聞きたくない」
730 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:04:06.84 ID:RX8ddf20
「不安だったの」
当たり前だ。
彼女の最愛の人が他の人と遊んだ…そんな話を聞いて平静を装える訳がない。
しかもその相手も結標の好きな人と同じ人が好きなのだ。
「あはは…一方通行が…超電磁砲モドキと仲良くなるんじゃないかって」
それでも、彼女は一方通行に、にこりと笑いかける。
強くふるまおうと笑顔だけは崩さないように。
「ううん…あの超電磁砲モドキ…ミサカさんと…仲良くなる分には構わない…。ただ仲良くなる分にはね」
『ただ』と強く強調する結標。
「けど…やっぱり、はは…私、一方通行の事好きで好きで…ゆずれなく…ゃ…ぁ…!」
そこまで言いかけた時、結標は膝のあたりからガクンと力が抜ける。
そしてその結標の両腕をキャッチする一方通行。
「む…結…標?どォした?」
「ははは…ちょっと…能力使いすぎたかも…座標移動しすぎたかな…?」
731 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:06:38.53 ID:RX8ddf20
結標の汗は止まったようだが、この冬の寒さだ。
おそらく彼女はトラウマを抑えつつ能力を使ったので演算式の構築による精神的疲労と実際に走ったり跳んだりしたために体力的な疲労もピークに達していたのである。
そんな結標の様子を見て、一方通行が心配げに、つらそうにしている結標に話しかける。
「オマエ、何回…座標移動したンだよ…?」
(コイツは自分を移動するのに極度に抵抗があるはず…!それなのにわざわざ…オレの所まで…)
映画館の時に使った、たった一度の座標移動。
その時の彼女の疲労具合を一方通行は思いだす。
(あの時の一回ですら、かなり疲れてたからなァ…)
「うーん…十二回くらいかな…?ちょっと覚えてないや…はは」
「はは…ちょっと…疲れちゃった…」
「オイ?結標?」
一方通行が結標の顔を覗き込むと真っ赤になっている。
おそらくこの寒い中、なれない自分の移動をしたことで極度の集中力を要したため、発熱してしまったのだろう。
「ハァ…休みたいかも…ハァ」
(ちょっと…気持ち悪いわね…)
顔を真っ赤にしながら彼女は一方通行の方を向き、つぶやく。
「…わかった、グループのアジトで良いか?」
732 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:07:09.51 ID:RX8ddf20
一方通行はその言葉を聞くと結標を抱え上げて一番近いグループのアジトへと飛んでいく。
(第七学区のアジト…設備はまァまァだ…あそこでいいか…!)
一方通行は全速で飛んでいく。疲れ切った結標を抱えて。
黄泉川には今日急用が出来たことをメールで伝えた。
一方通行は着の身着のままで第七学区の暗部組織、『グループ』のアジトにいた。
「…ヒュー…ヒュー…」
結標はベッドに寝ており、見た限りだと、容体は落ち着いたようだ。
(一応落ち着いたか?)
(ついた時は焦ったぜ…いきなりトイレでゲボっちまうんだもんなァ…)
実は一方通行達がアジトについた時結標はトイレに駆け込んでおう吐してしまった。
慣れない座標移動を使いすぎたせいで体調に異変が来たしたのだろう。
アジトにあった体温計で結標の体温を測ると37.4°で、若干熱がある。
733 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:08:03.93 ID:RX8ddf20
(一応…結標の顔と首…足の膝より下はアジトにあったバスタオルで拭き取った…)
(風呂も一応沸かしたし…)
(後は…起きるのを待つだけか…)
一方通行は結標が起きるまでの間、先ほど彼女がしていた会話を思い出す。
『声聞いたらやっぱり会いたくなっちゃってさ』
『私、一方通行の事好きで好きで』
(クッ…!)
一方通行は結標の言葉を思い出し、自分の心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
そして同時に自分のふがいなさを嘆いた。
(コイツは…ただ…ただ…オレに会いたいっていう理由だけで…さっきの公園に…!)
(それも自分の身を擦り減らすような真似までして…!)
一方通行は自分のこぶしをぐっと強く握る。
(コイツは…映画館の時からたった数日、それだけの時間ですら…)
(二、三日会えなかっただけで、オレの所にきた…)
(………………………)
734 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:08:34.56 ID:RX8ddf20
一方通行は素直にうれしかった。
何せ自分の為だけにわざわざ能力を使ってまで会いに来てくれたのだ。
(ここまで…オレの為だけに…!こんなオレの為だけに…)
一方通行はちらりと寝ている結標を見る。
顔からは汗が少しでており、まだちょっとだけつらそうだ。
(ありがとな、結標、オレは…)
(オレは…やっとわかった気がする…)
(オレの事を一番に想ってくれるヤツが誰なのか…)
(オレもその気持ちにこたえてェって思うことはおかしいことか?)
(なぁ、結標。今からでも…間に合うか?)
静かに寝ている結標のベッドの横に一方通行は立つ。
ベッドの横にあるタオルで結標が起きないようにやさしく顔の汗を拭き取る。
(さーって…シャワーでもあびますかね…結標はまだ寝てるし…)
735 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:09:14.33 ID:RX8ddf20
――数十分後…
シャワーから出た一方通行はアジトに置かれているバスタオルで体を拭き、ドライヤで髪を乾かす。
(まだ…結標寝てるだろ…?平気だよな…?)
一方通行はドライヤーで髪を乾かし終わるとパンツとジーンズをはき、上裸でバスタオルだけはおったかっこうでリビングに出ていく。
「あれ?一方通行…って…なんで…あなた上裸なのよ…!服着なさいよ…!」
「あ…あァ?ってか結標!?オマエ起きても平気なのかよ?」
「…あー…まだ気持ち悪い感じはするけど…ホラ…いつまでたっても寝てる訳にはいかないしさ…」
結標は病み上がりの体を重たいおもりを引きずるように歩き、冷蔵庫の中にある水を飲む。
「ごくごく…ぷひゃー!おいしー!」
結標はそのまま500mlのペットボトルを持ったまま再びベッドの方に向かっていく。
「なんかごめんね、一方通行。私…わがままだから…勝手に一方通行の家の近くまで来て…挙句の果てには…その意味不明な告白とかね…」
結標は自嘲気味な笑い方をして一方通行の方をみる。
すると一方通行はフローリングの床から結標の方へと視線を向けて一言、言う。
「…全然意味不明じゃねェ…!」
736 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:09:59.14 ID:RX8ddf20
「え?」
「だから…オマエが…オレに会いに来た理由とか…そォゆーのいろいろ、意味不明じゃねェって言ってンだ…!」
結標はリビングにあるソファに重い腰を落ち着けるように座る。
そして一方通行の方をよくわからない、と言った様な表情で見る。
「…素直に…あン時…オマエがオレの所に来てくれて…その…なンだ………………」
(あァ!緊張してうまく言えねェ…!)
「なに?一方通行?」
結標は熱で力が入らない手でゆっくりボトルのキャップを開けながら首をかしげる。
「うれしかった」
(だー!恥ずかしいったらありゃしねェ!)
「…そう…。そう言ってもらえると私もうれしいかも///」
「でも…」
「超電磁砲モドキはどうするの?遊びに誘われちゃったんでしょ?」
「あァ…。そォだな…」
一方通行は思い出した。
今日番外個体と遊んでお別れした後、電話でまた遊ぼうと誘われていたのだ。
737 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:10:47.73 ID:RX8ddf20
「…番外個体…よりも…」
「番外個体…よりも…?」
結標はオウム返しに聞き返す。
一方通行はチラとリビングのソファに深く腰を落ち着けているその少女を見る。
「…な、何よ?一方通行?///」
(そんなマジマジとみられたら恥ずかしいじゃない…><)
「番外個体よりも、オレは…オマエにそばにいて欲しいって思うンだ」
「…ホント?私、正直超電磁砲モドキに負けたんじゃなかって、ずっと思ってたのよ。だけど…、醜くあがいて…」
「醜くなンてねェよ…」
「そう言ってくれると…ありがたいけど…結局無茶してゲロ吐いて…迷惑かけて…」
結標は思い出せばどんどん出てくる自分の悪い所を思い浮かべ、くらい表情になっていく。
一方通行はタオルを上半身にはおったまま、くらい面持になっている結標に近付いていった。
「だって…うそつきだよ?一方通行といたいって思うだけで…超電磁砲モドキの前で付き合ってるとか嘘ついたサイテーの女だし…」
「…うっせェ!」
一方通行の怒声がアジトに響き渡る。
その声を聞いて結標はびくん!と肩を震わせる。
738 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:12:56.54 ID:RX8ddf20
「こ…恐いよ…一方通行」
「…今からでも遅くないンだろ?返事」
「…え…?」
結標は何が何だかわからない様な表情を浮かべる。
気付けば目の前に一方通行がいた。
「だァからァ…!オマエが知りたがってた返事だよッ!」
結標が知りたがっていた返事。
それは一方通行が誰を選ぶか、いや、正確に言えば番外個体と結標淡希の二人のうちどちらを採るか。
非情な言い方に聞こえるかもしれないが、彼女たちはほぼ同時期に一方通行に好意を寄せ始めており、板挟みになってしまった一方通行の状況も斟酌してやるべきだろう。
739 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:14:13.06 ID:RX8ddf20
そして、短い期間ながら一方通行は二人とそれぞれ遊んだ。
その結果、答えを見出したのだ。
「…返事は…?」
「オマエといたいンだ」
「――――――――――――――」
刹那、結標は両手を口に当てる。
大げさな表現ではなく、そのまま、字義どおりに。
落ちるペットボトル、水。こぼれる。
抱く――、抱かれる、二人――。
740 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:17:04.53 ID:RX8ddf20
「待たせたな結標っ…!」
「…ううん…!平気…!全然、寂しくなかった…!」
「嘘つけ…!また嘘ついてっぞ?」
結標は笑わなきゃ、と顔をほころばせる。
一方通行はただ、ただ、強く強く目の前に結標をはなすまいと抱きしめる。
笑おうと思えば思うほど、結標の歓喜の涙が頬を伝う。
それらは床に落ちて、ペットボトルから零れた水と一緒に。
一方通行は静かに息を吸い込む。
「淡希、大好きだ」
「ふふ…やっと言ってくれたわね、一方通行」
ぽとり、ぽとり、二人の奏でる愛の音。
アジトに訪れる奇妙な静寂。
741 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/02(日) 03:17:32.85 ID:RX8ddf20
寝る。また明日
742 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/02(日) 09:25:30.29 ID:a0MXXp.0
よっしゃーーーーーーーーーーー 今日も頑張るぞーーーーーーーーーーーーーーーー
あわきんあわきんあわきんわなえうぃfわ@えあ
743 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/02(日) 09:26:52.94 ID:a0MXXp.0
超とりみだしたんですよ。超乙なんです。主よ、超愛してます。
744 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 00:45:13.59 ID:HAxg0Lo0
明日投下します!
なんかエッチシーンで40kbも書きためたけどまだ終わらん…どうしよう。
では今から働いてきます。
745 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 01:39:18.11 ID:F4lcwYko
お疲れ様です!
エッチシーン楽しみにしてますw
746 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 02:58:08.63 ID:NIMlHFIo
服脱いだ
747 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:37:32.81 ID:HAxg0Lo0
いつも見てる人、レスくれてる人にかわることなく感謝。
さて、投下しますかな。
あらすじ
結標は一方通行に会いたい一心でトラウマである自分自身の転移さえしつつ、一方通行のもとにやってきた。
しかし、それによって引き起こされた体調不良により半ば倒れてしまう。
その状況を見かねた一方通行は近くのかつての暗部組織のアジトに結標を連れて行く。
一方通行は自分自身の為にここまで懸命になって会いに来てくれた結標の気持ちにこたえる。
そしていまアジトで二人っきりに。
748 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:41:01.43 ID:HAxg0Lo0
一方通行と結標はリビングのソファにいた。
正確に言えば結標は座っていて、その正面に一方通行が立っていた。
「へっくしょン!」
「ちょっと、大丈夫?タオルだけじゃ結構きついんじゃないの?」
「そォだな…ちょっと服着てくる…」
一方通行は上裸でタオルをはおってただけなので寒くなったそうだ。
脱衣場においてある上着を取りに行き、戻ってくる。
すると結標が床をじーっと見つめている。
「取りあえず…この床拭かなきゃ…一方通行、使ってないタオルある?」
「あァ?何に使うんだよ?」
「ここ、床…あはは…」
結標は気まずそうに床を指さす。
床には先ほどの一方通行の導き出した答えに動揺して落とした彼女のペットボトルと少しの涙が混じった水たまりが出来ていた。
「コレ、使えよ、ホラッ」
ポイっと一方通行の手からバスタオルが投げだされる。
それを結標はキャッチし、床を拭こうとするが手が止まる。
「………………」
「どォしたンだよ…?」
彼女は止まったまま動かない。
というかむしろみるみる顔が赤くなっていく。
749 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:44:07.70 ID:HAxg0Lo0
「オイ、結標、まさかまた気分悪ィのか?」
(どォしたンだ?顔あけェってもんじゃねェぞ?)
一方通行は今日一日で能力をつかいすぎて疲弊している結標を気にかけているのだろう。
彼女は両手で一方通行が投げたバスタオルを持つとゆっくりと顔に近づけて顔をうずめてしまった。
「――――――――――――――」
「あァ?聞こえないンですけどォ?」
彼女が何かつぶやいているがタオルで遮られて聞こえない。
一方通行からは結標の赤面した顔の内、鼻の上あたりからしか見えない。
「あ……れー…の………にお……する…」
「?」
(駄目だ…さっぱりわかんねェ!)
耳まで赤くなっている結標の半分見えない表情。
彼女がぐっと握っているバスタオル。
「結標さァーン?…あのォ…?」
一方通行は結標の前でつったているのに疲れたのだろう、結標の隣にどかっと座る。
「…ちょっと…何よっ?」
「何よっ…ってそれはこっちのセリフだぜェ?結標」
一方通行は結標の方にひょいっと向きなおり、細い足を組む。
「バスタオル渡したらいきなり黙っちゃって…どォかしたンですかァ?」
(ってかさっさと水ふけー…)
750 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:46:56.09 ID:HAxg0Lo0
「は?言う必要ないし…!」
実は結標が赤面した理由…。
それは一方通行のにおいをかいでしまったからなのだ。
いや、正確に言えばその雰囲気に酔ってしまった。
実際に一方通行のにおいはバスタオルからはしない。
ただ、ついさっき一方通行が投げたバスタオルは一方通行が自分の体を拭いたもの。
なのでそのタオルのところどころ湿っている感じやその雰囲気にやられてしまったのだ。
「言わないとわかりませんよォ?」
「うっさい…///」
(これ…「一方通行が体を拭いたタオルなのよね…タオル…ということは…今一方通行に私は抱かれてる?ちょっと…落ち着きなさいよ!むすびめ!いやいやいや、違う、むずじめよ!携帯で変換できないから結びで『び』を消して…」
「オイオイオイオイオイオイオイオイ!途中から聞こえてたぞォ?」
「へ?どこらへんから聞こえてたの?」
「一方通行が体を拭いた…あたりのくだり…あたりだァ…」
(コイツ…どンな妄想してるンですかァ?確かにオレは結標に投げたタオルで拭いたけどよォ…まさかあそこまで妄想するとはなァ…)
「ひぃぃぃぃぃぃ?変態!」
「は、はァ?どっちが変態だよ?そっちがオレのタオルで、オレに抱かれてるとか…言っちゃ………はァ?馬鹿なンですかァ?オレに抱かれてるとか…!?変態さン………………抱かれる?」
ここで一方通行は結標の言った言葉を思い返す。
「……………オレに抱かれるゥ??????」
751 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:49:04.88 ID:HAxg0Lo0
一方通行は彼女の言葉を反復しつつ、自分がとんでもないことを言っていた事に気付く。
「…そのタオル…なンでそンな大事に持ってるンだよ」
「え?…あ、いや、あはは、これは…その…」
歯切れの悪い結標の返答。
「…とりあえず…床が水吸っちまうからさっさと拭こうぜ?」
(まさか…オレのニオイ…とか…?……はァ?)
一方通行はそういうと結標からバスタオルを取ろうとしてぐっと掴むが結標は離れない。
「むー!だめー!このタオルはだめー!」
(もうちょっとだけー!)
気付けばソファの腕で二人はタオルの奪い合いになっていた。
ぐいぐい引っ張っりタオルはちぎれてしまいそうだ。
「だー!わぁったわぁった!こォすりゃ良いンだろ?」
(だったら直接抱けばいいだろォが)
一方通行はタオルを結標から取るのをあきらめ、両手を結標の背後に回そうとする。
「え?ちょっと…?え?え?」
(なになになになになに?????)
混乱する結標。
彼女がこれから何をされるかわからない訳では、もちろん、ない。
(これから…私…抱かれちゃう…のよ…ね…?)
752 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:53:58.66 ID:HAxg0Lo0
一方通行は恥ずかしそうに赤面しながらも結標に背後に手を回そうとしている。
一方通行は結標の手からゆっくりとバスタオルを採るとそれをまずは床に敷き、水を吸収させる。
そしてその後、彼は結標をまっすぐ見据える。
――目があう。
「能力使って逃げンなよ…?」
(カッコつけた手前…やべェな緊張するぜェ…)
「う、う…ん///」
(めっちゃ緊張する)
彼女は両手を胸のあたりに寄せて恐る恐る一方通行が来るのを待つ。
(…あ!くる!くるよ…!私、一方通行に抱か…れる…?)
一方通行の手が結標の背中に来る気配がした。
(あ…一方通行の手が私の背中に…きて…)
その直後、きゅっと結標は一方通行に抱かれ、ぐいっと引き寄せられる。
結標の両足が一方通行の方へ引っ張られ、ソファの下に落ちたバスタオルに引っかかる。
一方通行が結標の耳元で囁(ささや)く。
「これでもう離れねェ」
「ひゃ…………うん、」
抱きつかれた結標はただ小さく声を上げることしかできなかった。
753 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 16:59:04.43 ID:HAxg0Lo0
「ば、ばか…かっこよぎるよ…」
一瞬、一方通行にされるがままでもいいと思ったが、結標は恋仇である番外個体の事を思い出す。
「…で、でも…超…いや…、ミサカさんはどうするの?遊ぼうって言われてたんじゃ…?」
「あ、そうだったな…」
(そうだったな…番外個体の誘いは…断らなきゃな)
(明日にでもしっかり断りの電話を入れておくかな)
一方通行はそう思うと結標の方を向く。
「オレからちゃんと断っとくわ」
「…そう…わかったわ…その…ミサカさんには悪いけど…なんか安心した」
「安心?どォいうことですかァ?」
結標は今まで一方通行と出会ってきて今に至るまでのいきさつを思い返していた。
最初の出会いからしてそれはそれは最悪だった。
殴られてそこからよくもここまでの関係に持っていくことが出来たと彼女は自分でも思う。
そして一方通行争奪戦(!?)に勝利して思う。
「…私、恐かったのよ…もしかして一方通行にとっては私なんてどうでもいいんじゃないかって…」
「ケド…今はこうして一方通行に抱かれてる自分が居て…なんかすごい不思議な感じがするわ」
一方通行の耳元で囁く結標の声は息継ぎの時に聞こえる唾液の音までしっかり聞こえるくらい近い距離に。
754 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:01:52.89 ID:HAxg0Lo0
「なんかなー…こうもっと…すごいうれしいはずなんだけど、実感がわかないというか…」
「オレもわかねェよ。ってか今回はマジで迷惑かけちまったからなァ…」
一方通行は小さくため息を吐きながらそういうと一度結標を抱いていた手を話す。
「…ぁ」
結標は一瞬、一方通行の手から離れ、物惜しいと言った表情で彼を見つめる。
「オレは…今回ちィっとばかしオマエと番外個体を傷つけちまったからなァ…」
「そうかな?」
つい先ほどまで一方通行に抱かれ、そしてその手を話されて物欲しそうに見つめていた結標は首をかしげながら目の前にいる学園都市第一位を見つめていた。
「…うーん…うまく言えないけど…私も、ミサカさんも一方通行の事大好きなんだよ、うん…いまもだと思うけど…あ、もちろん私は大好きよ?一方通行の事。誰にも負けないくらい!」
結標はそういうとハッ!と恥ずかしい事を言ってしまったと思い、口に手を当て赤面する。
彼女がこのアジトに来て数十分か数時間か、取りあえずそれほど時間は経ってはいないが、ここにきてから彼女は恥ずかしいことでも平気(!?)で言っている。
「ごめん、話し逸れちゃったね…」
ほんのり赤面した結標は頭を恥ずかしそうにかく。
「え…っとミサカさんも、私もそんな一方通行をひっくるめて好きだと思うんだよね、だから…」
結標は言葉に詰まり、何やら考えてリビングの天井を見る。
「その…確かに他の人から見れば一方通行はちょっとちゃらちゃらした感じに見えなくもないけど…私はそれでもいいって思う…」
「最終的に誰か一人を選ぶんだしね…ちょっとミサカさんはわからないけど…」
755 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:03:30.38 ID:HAxg0Lo0
「…あくまで一方通行と…一緒にいれる私の発言だから何ともいえないけどね…あは…は」
結標の発言は一方通行と両想いであるという他の何人が獲得する事が出来ない、一方通行と共有している事実があるからこそ言えるものかもしれない。
しかし、ここで彼女は一つの疑問符が頭に浮かびあがってくる。
(あれ?私と一方通行って両想いになったのはさっき分かったけど…)
(ただ、両想いってだけ…?な訳ないよね?…どうなんだろう?)
彼女は思った。
先ほど一方通行も『淡希、大好き』と誠心誠意の気持ちを込めて言ったものの、『付き合おう』とは言っていない。
その言葉があってどうにかなるという訳ではないが、やっぱりその言葉がほしい。
「ごめん、話しすぎちゃったね…ってか一方通行?私質問あるんだけど…いい?」
そう。『付き合おう』、という言葉を聞きたい。
まるで小学生や中学生の言葉遊びの様な状況を呈してきたがそれでも。
(それでも、聞いてみたいなぁ…一方通行の口から『付き合おう』って…)
「質問…?なンですかァ?」
「…私たちって…両想いだよね…?」
「あァ、そォですけど?」
それがなにか?といった感じで一方通行は首をかしげる。
「えーっとそれって私たちって彼氏と彼女の関係って事よね?」
(私が彼女で…一方通行が彼氏…この響き、何か良いわね…あうあう…)
756 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:04:26.97 ID:HAxg0Lo0
「そォですけど?何か?やっぱり取り消し、とか今さら駄目だぜェ?」
「そんなこと言う訳ないじゃない…ただ…ちょっと不安だっただけよ。一方通行の口から『付き合おう』って言葉が無かったから」
「クカカ…そンな事か…なら安心しろ、結標。オマエはオレの彼女だぜ…?」
一方通行は鼻で笑うかの如く、結標の懸念を一笑に付す。
そして自分でカッコいいとでも思ってるのだろうか、一言言った。
「こっから先は一方通行だぜ」
「ふふ…だっさ…」
結標は耐えきれず、グーにしたこぶしを口元にあて、ぷぷぷ…と笑う。
「あァ?今のそンなださかったか?」
「ううん…嘘嘘…そのセリフ、私の事殴った時も言ってたわよ?」
「…あ!」
一方通行はやっべ!と思いだしてはいけない事を思いだす。
そう、彼は以前、結標を性差関係なしのベクトルパンチを喰らわせた前科がある。
彼女にとってみれば、もはやトラウマレベルの騒ぎではない。史上最悪の災厄だ。
「…いや…結標…あれはだな…その…いろいろあってだな…?」
(あン時はよく全力で殴れたな…)
「あはは…良いよ、一方通行。もう気にしてないから。私も色々あの時いけなかったし…」
757 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:08:12.35 ID:HAxg0Lo0
結標は苦虫をかみつぶしたような表情で過去の対決した時のことを思い出す。
「その…殴られた代わり…って言ったらあれだけどさ…」
結標はあはは…と気まずそうな笑いを浮かべる。
「その代わりィ…?」
一方通行は結標に聞き返す。
彼女は殴られた代わりに何を要求するのだろうか?
(その代わり…なンですかァ?)
「その代わり…これから、殴ったことを忘れさせてくれる位に、ずっと私に一方通行(いっぽうつうこう)な気持ちを注いでほしいなぁって…」
(ひゃぁー><恥ずかしいセリフ禁止!!!!!)
「「///」」
二人の頬は一拍おいてみるみる赤くなっていく。
「オ…オマエなァ…よくそンな恥ずかしいセリフいえるよなァ…」
「なっ!? ちょ!? 一方通行だって、こっから先は一方通行だ! とか恥ずかしいセリフ言ってたじゃない! 」
「な !?う、うるせェ! 」
「でも、私……大好きだょ、一方通行のこと」
「…おォ」
結標はそういうとゆっくりと一方通行の肩に頭をこてん、と乗せる。
758 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:10:49.17 ID:HAxg0Lo0
一方通行はそれを拒否せず、受け入れる。
彼は片手を結標の肩に回し、引き寄せる。
「これからよろしくな、結標」
「うん…出来れば…あ、出来れば名前で読んでほしいなぁ…」
「淡希ってか?なんか呼びにきィなァ」
「いいじゃない、私の名前なんだし、しっかり名前でよんでよー」
「あーわーきぃ」
「ちゃんと、ね?」
結標は肩を掴まれてる一方通行の方を見上げる。
ちょうど下を向いた一方通行と目が合う。
「…?」
(や…なによこれ…恥ずかしい…///)
「淡希、」
(やべェ…上目遣いの結標半端ねェ…!)
「うん、なぁに?」
「その…これからよろしくな…!」
「ふふ、こちらこそ、よろしくね、一方通行」
一方通行が結標の肩をつかむ。
結標に近付く一方通行の顔。
759 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:12:04.17 ID:HAxg0Lo0
結標は目をつぶる。
一方通行と結標の唇がそっと触れる…。
一度、二人の唇が離れる。
「好きだ、淡希」
(はじめてキスした…!唇やわらけェ…!)
「私も…」
(一方通行の唇ぷにぷにぷにぷにぷに!)
お互い初めてのキス。
「あぁ…私…しあわせ」
「オレもだ」
「良かった、一方通行と付き合えて」
そして結標はおもむろに立ち上がる。
一瞬、一方通行は何が起きたかわからない、と言った様な表情を浮かべる。
「よいしょっ…と」
その直後、結標が一方通行の上にのり、両手を後ろに回す。
「お、オイオイ!? 何してるンですかァ?」
(ってか結標ちけェ!)
ピーコートは結標が寝ている時に静かに脱がし、アジトのハンガーに掛けたので、今の彼女は霧が丘の制服だけだ。
「そンな格好で寒くないンですかァ?」
760 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:15:15.60 ID:HAxg0Lo0
ソファに座っている一方通行は気付けば自分の上にのっかかった結標の胸元をみていた。
「ちょっと…どこみてんのよ…」
(えっちー)
「イヤ…ちょっと待って、結標、オレの正面からみた視界がジャスト…そのなンだ、胸のあたりなンだ、いや、見たのはオレだな…すまねェ…」
「ま、いいけど…」
臆面もなく告げる結標見て、一方通行は照れながらどこを向いたらいいかわからない様で、きょろきょろと視線を泳がせている。
「ん?どうしたの?一方通行」
「あァ?どこみりゃいいのかわかンねェンだよ…!」
一方通行はそう言うと泳がせていた視線を結標に向ける。
先ほどまで一方通行は視線を落とすように見ていたのに対して今度は結標が一方通行の太もものあたりに乗っているので逆に見上げるような形になった。
しかし、ずっと結標の顔を見ている訳にもいかない。
かといって、視線を下に落とせば、そこには結標のすらっと綺麗にのびた美脚が。
痩せすぎず、太りすぎず、霧が丘のスカートを短くきったミニスカートから出るふともも。
サラシから覗く、胸の谷間。
(どこに視線固定すりゃァいいンですかァ!? )
頭をバリバリかきたい衝動にかられる一方通行。
そうこうしている間に結標は一方通行の薄い胸板によっかかってきた。
「…体、熱いょ、一方通行」
「そりゃァ、さっきまで発熱してたしなァ、まだ完全に熱、ひいてねェし」
761 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:16:53.27 ID:HAxg0Lo0
「ちがくて…」
「わかってる」
一方通行は彼女の体があつい事を理解していた。
もちろん、発熱している事も彼女の体が熱いことの一因になっているだろうが、主因ではない。
むしろ、他の要因。
「一方通行はの体は熱いかな?」
結標はそういうと一方通行のおでこのあたりに手を当てる。
そして、おでこからゆっくり頬、そして首筋のあたりまで魅惑の手を這わせていく。
その動きをゆっくりと目で追っていく一方通行。
「オレ、熱いから脱ぐわ」
「あれ?さっきはクシャミしてたのに」
「空調の性能がいいンだよ。今はあちィ」
一方通行はそう言うと、上着を今度は脱いでいく。
ソファの後ろの方に上着を投げ捨てる。
「ホラ、オマエも脱げよ、上」
「ごめん、殴っていい?」
結標はきているブレザーの第二ボタンだけとめている。
そこからのぞくおへそ。
一方通行の上に乗った手前、結標も何かしなければならないと思っていた。
762 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:18:05.05 ID:HAxg0Lo0
結標はただ単にそのまま一方通行から降りてしまえばいい話であるが、上着を脱いで熱いと言って離れない一方通行の手前、それは出来なかった。
一方通行の手を握る結標。
一方通行にみみうちする。
「ちょっと飛ばすわね」
「あ?ちょ、オイ!」
ひゅん…
結標は能力で動揺している一方通行をベッドの上に移動させた。
彼女はその後をとぼとぼと微熱で少しだるい体を引きずって彼が寝ているベッドにリビングから移動する。
(はーやっぱ、能力使うのってしんどいわねー、熱が出てる時に能力つかうもんじゃないわね)
リビングの隣の部屋にある寝室。
つい先ほどまで結標が寝ていた部屋だ。
「で、ここでどォするンですかァ?」
「さぁ?」
リビングから聞こえる彼女の声。
彼女の頬は微熱と恥ずかしさでうっすらと赤くなっている。
その上気した顔があぐらしてベッドに座っている一方通行にはすごくかわいく見えた。
763 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:19:41.64 ID:HAxg0Lo0
やがて結標も微熱でだるい体をひきずりながらベッドにやってきた。
「おまたせ」
リビングから寝室に来た結標はスカートはそのままで、上着のブレザーのボタンを一つずつはずしていく。
「…寒くねェのか?熱もまだ少しあるンだろ?」
「空調の性能がいいのよ…」
「ハッ、そォかい」
すとん…
結標はベッドにいる一方通行の横にブレザーを置く。
彼女は上半身はサラシだけの姿になった。
「………」
言葉につまる一方通行。
「ねぇ、…私の体、変?」
本来、女の子は下着姿になったら普通は恥ずかしいのだが、彼女の場合はサラシが半ば下着の様なもので、仕事柄激しい動きをすることもある。
なのでサラシ姿に慣れているといったら語弊があるが、一方通行は取りたてて何もおもわ…ないわけがなかった。
暗部の仕事の時はお互いを組織の中の構成員程度にしか思っていなかった。
しかし今は違う。
お互いが愛し合っているのだ。
好きな人の体をみて何も思わない訳がない。少なくともこのふたりはそうだ。
「変じゃねェぞ」
764 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:21:43.64 ID:HAxg0Lo0
「むしろ…その…すっげェきれいだ…」
「ありがと」
「隣、いいかな」
「あァ」
一方通行は胡坐(あぐら)している体勢からベッドをちらりとめくる。
するとだるい体をひきずる様にして結標が入ってくる。
彼女は枕に頭を預け、ふーとため息を吐くと一方通行は彼女に質問した。
「なンでオレをここに移動させたンですかァ?」
(ベッドから顔だけ出してる結標、かわいすぎるだろォが)
一方通行は我ながら意地悪だな、と思った。
ここに居てほしいから彼女は一方通行をリビングからベッドに転位させたのに。
「なんでって…その、まだだるいしちょっと熱いから、看病してほしいなって…」
(一緒にいたいだけなんだけど…ね)
「そォかい」
結標はそういうとベッドに入るように一方通行にうながす。
「だから、ホラ、来てよ」
「あン?」
「ベッドの上で胡坐なんてしてないでさ、ホラ」
765 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:23:30.90 ID:HAxg0Lo0
「入れって事ですかァ?」
(ったく仕方ねェ)
結標は顔をほんのり赤くしながら無言でこくんと頷く。
ササッ!
一方通行はやれやれと言った感じでベッドに入り込んでいくが、その素振りは一瞬だった。
二人の肩と肩が触れる。
そのたびに少しだけ離れる。
「熱いから離れた方がいいよ?」
「馬鹿か、なンでこの状況で離れるンですかァ?」
「っう…………」
二人とも天井を見ながら話す。
「もっとこっち来い」
「こっちは熱まだ下がってないのよ?よく言えるわね…!」
そういいつつも結標はよゆっくりと這っている毛虫のようにゆっくり一方通行の方にやってきた。
そして二人の肩が再び触れる。
二人とも既に肩は露出しており、お互いの皮膚と皮膚がふれあう。
(結標の肌…すべすべしてるなァ…ちょっとあったけェし)
「ねぇ、一方通行?」
「なンだ?結標」
「今日は…帰りたくない…」
766 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:24:30.51 ID:HAxg0Lo0
「おォ」
「何よ、その歯切れの悪い返事は」
「オレはかまわねェって事だ」
「そう」
結標がそういうと一方通行は片手でちょっと結標の肩を触ってみる。
ちょんちょん
「ひゃっ?何?」
「いや、なンとなく触ってみただけですゥ」
(にしてもずいぶんあついな…熱上がっちまったか?)
「オイ、結標、ちょっとデコかせ」
「え?デコ」
結標は一方通行の方を見る。
そして、何をされるのかわからないと言った感じで怪しみながらも頭を一方通行の方に近付ける。
そしてピタリを当たる一方通行の手。
(結構熱いなァ、こりゃ、マジでオレが熱上げさせちまったかもしれねェ)
「ど、どうかな?一方通行?」
「結構熱い、そしてすまねェ結標。オレがお前の事早く寝付かせてれば…」
「はは、良いよ、熱なんて、寝ればすぐ下がるよ。多分風邪でしょ?能力使って体力落ちてちょっと体調崩しただけだから」
767 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:25:55.27 ID:HAxg0Lo0
「そォか、じゃァ風邪ひいちまった責任はオレにあるって事だ、何せオレの居る公園まで来させちまったからなァ」
「え?いや、別にそんなつもりで言ったんじゃ…」
(どうしよう…ちょっと冗談のつもりで言ったんだけどな…><)
「だから、少し目ェつぶれ」
「目?わかったわ…」
(何するつもりかしら…?)
彼女はその綺麗な瞳を持つ目を閉じる。
少ししてから一方通行の唇が結標の唇に当たる。
今日二度目のキス。
ぴたり…
あたたかい感触が彼女の唇に伝わってくる。
(あ、あぁ…キスされちゃった…)
(また…体熱くなっちゃうょ)
彼女の思考は一方通行とキスしたという事を考えて反復するだけで、頭の中が熱くとろとろして溶けそうな感覚に陥っていく。
「目、あけて良いぞ」
その言葉を聞き、うっすらと目を開けていく。
「風邪はうつしちまえば治るンだろ?これで早く治るな、クカカ…」
「――――ッ……///」
体全体が熱い。
熱で体が熱いのか、それとも、一方通行と一緒にいるこの状況に興奮して熱いのか、そんなのもうどうだって良かった。
768 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:26:27.86 ID:HAxg0Lo0
気付けば彼女は一方通行に抱きついていた。
「風邪とか…どうでもいいから、また、しよ?」
一方通行は彼女のその問いに答えることなく、返答する。
三度目のキス。
息次の為に唇を離すともう一回追加?
四回、五回、ろっかい、ななかい…じゅうすうかい
熱い、はぁはぁと上気する結標。
一方通行はその姿を見て、自分が何かほかのいきものではないかと思った。
頭の中を徐々に支配していくふんわりと浮くような感覚。
それは一方通行の理性とか倫理とかそういう仮面をいとも簡単にはぎ取ってしまった。
何度目のキスだろうか、二人が唇だけで満足できなくなったのは。
唇よりも、もっと奥にお互いの心奥に触れたい。
そう思えば思うほど、二人の口は徐々に開いていき、気付けば二人の舌はそれぞれの口の奥にねっとりとした唾液を垂れ流す。
ぷひゃ…はぁ…う…ゃ…
外の空間とは隔絶されて二人だけになった空間では恥じらいの心のなどもはやない。
まるでそれぞれがどれほど音を立てられるか、まるで競い合っているように二人は何度も二人の唾液の音を寝室に響かせる。
時計すらないこの部屋。
もうどれほど唇を重ねただろうか。
769 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:27:10.97 ID:HAxg0Lo0
結標が風邪だとか、体調が悪いとか、風邪がうつるとか、そんなのベクトル反射でどうにかなってしまうんじゃないだろうか。
いや、むしろ、もうそんなこと考えるのもおっくうだ。
今日だけは、二人だけで一緒に過ごしたい。
世の中では取りたててめでたい日でも何でもない。
ただ、二人にとって、今日は大事な日。
「なァ…結標…風邪うつっちまったみてェだ、体があちィ」
「あら…ハァ…私も熱いわ。…まだうつし足りないのかしら、風邪菌」
結標はそういうとずいっと一方通行の耳元に顔を近づける。
「だいすき」
「恥ずかしくねェのか?」
「全然」
「なら、オレも」
「うん、聞かせて?あなたの口から、直接」
「淡希大好きだぜ」
770 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:39:00.23 ID:HAxg0Lo0
二人はもう一度唇を重ねる。
そしてゆっくりと入っていく舌。
「あ…暗くしていい?」
「おォ…かまわねェぞ」
二人の熱気で寝室が熱くなった様に感じられる。
もともとリビングの明かりが差し込んでいる状態だったが、結標はリビングと寝室の境の扉をしめる。
そして結標は手探りながら、寝室の電気を一番薄くした状態にする。
そしてベットから起き上がり上半身を起き上がらせ、おもむろに一言言い放つ。
「サラシ、取っていい?」
この発言にはさすがの一方通行も動揺せざるを得ない。
何せ、女性の裸などそう見た事が無い。
「…………」
(一番最近で…打ち止めか…天井ン時の…っていけねェいけねェ)
「どうなの?」
「―――――」
(ここで見るって事はその…あれだよな…今日。ここで――)
瞬時に一方通行は頭の中で今後の情事を想像した。
それを考えると今すぐにでも結標に飛びついてしまいたい衝動にかられるが、まだ残っていたなけなしの理性でそれをなんとか制御する。
(付き合ってるなら…いつかは好きな人とそォいうことするンだ…それがおせェかはえェかだ…!)
そう思った一方通行はベッドに敷かれてる布団の中から首のあたりまで出しつつ答える。
「いいぜェ」
「そう…」
771 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:40:16.74 ID:HAxg0Lo0
結標はおもむろにサラシに手を掛ける。
彼女がいつも結んでいる部分があるのだろう。
薄明るい部屋であまり一方通行にはわからないが、しゅるしゅるとサラシがほどけていく音が寝室に静かに聞こえていく。
(だいぶ…目も慣れてきたなァ…)
一方通行がうっすらと慣れてきた目で正面を見ると、既にサラシを外し終わった彼女が恥ずかしそうにして両手で胸を隠している。
(…ここは…オレがリードしてやらねェと、わかンねェけど、そンな気がする…)
「―――ッ……」
(早くなんか言ってよー!一方通行ー!)
結標はしっかり胸をガードしたまま、先ほどの動揺した一方通行のように視線を泳がせている。
そんな彼女を一方通行は呼ぶ。
「こいよ、隣」
(両手で隠してる結標もかわいいなァ)
一方通行は上裸で肩肘を枕について呼びよせる。
「ダメ、今両手がふさがってるから」
(ひゃー…これじゃ、私、晒し物じゃない…サラシとかけて…なんちゃって………………><)
今さらながら結標は後悔した。
(ベッドの中で脱げばよかったぁー!!!!)
しかし、後の後悔先に立たずである。
動けない状況になった結標を見かねて学園都市第一位が手を伸ばす。
「こいよ…オマエ…の体…その…綺麗だし…恥ずかしがる必要ねェから」
772 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:41:50.11 ID:HAxg0Lo0
「ぁ…、うん…」
一方通行が起き上がり、片手で抱き寄せる。
彼の手の平が結標の背中にあたる。
「ひゃ…」
(つめたっ!)
結標の背中にまわされた手はぐいっと一方通行の胸元のあたりに引き寄せられる。
その流れで自然と結標の両手は胸から離れる。
「あ…」
ささやく声。
その時には彼女のさらしに包まれていた胸はあらわになり、一方通行の胸板にあたった、いや、押しつけられた。
「すっげェやわらけェ…」
「恥ずかしいから、あんまり見ないでね…」
「オイオイ、サラシ取っていい?って聞いてきたのはオマエだぜ?淡希」
一方通行が結標の名前を呼んだ瞬間、彼女の肩がびくりと震える。
「え?今…なんて?」
「あ?だから…サラシとってきていい?って――」
「その後!」
「オマエだぜ?………」
773 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:43:09.64 ID:HAxg0Lo0
「その後よ!…私の名前…よんでくれた…///」
「チッ…ばれたか」
(さりげなく、名前、言ってみたンだけンどなァ)
一方通行は小さく舌打ちをした。照れ隠しの。
そんな彼の薄い胸板に体をべったりくっつけ、預けている結標はもう一度名前を言ったほしいと頼む。
「お願い、一方通行。もう一度、私のこと名前でよんで?」
「淡希」
一言、その一言だけで自分が一方通行に惚れている事が知覚できる。
(あぁ…もっと言ってほしい…)
(一方通行に名前を呼ばれるだけで…)
結標は思った。
(幸せになれる気がするよ)
結標は上半身が裸であるにも関わらず、多少の恥ずかしさをこらえ、ぎゅーっと抱きつく。
一方通行は彼女の胸に顔をうずめる。
(あ、!?オイオイオイ!)
774 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:43:57.08 ID:HAxg0Lo0
ぱふん
そして彼女は耳元で感謝の言葉をささやく。
「ありがと、一方通行」
女性の谷間に顔をうずめて理性を失わないあの三下はすごいと言わざるを得ない。
さて、そんなツンツン頭はどうでもいいとして、今や一方通行の理性というダムは決壊寸前だった。
ふーふー…
結標は一方通行の胸元でしている息つぎ(!?)でやっと自分がどんな行為をしているか気付いた。
「あ!ゴメン!一方通行!」
(まさかちょうど胸のあたりに一方通行の顔があったなんて…!緊張しすぎて気付かなかったのかしら…><)
「ぷはー……」
(クッソやわらけェ…)
「ご…ごめん…一方通行、呼吸きつかったでしょ?」
結標は胸をかくして恥じらいつつ謝罪する。
一方通行にはその動作がひどく愛らしく見えた。
「わりィ…」
「え?」
ぼそりと謝罪する一方通行。
その言葉を聞き取れず、聞き返そうとした時、結標の胸に一方通行の手が触れた。
775 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:44:38.07 ID:HAxg0Lo0
彼女は少し痛みを知覚したが、それよりも自分の胸を自分以外に触られたことによる、快感の方が優っていた。
「ひゃ…?ちょ…、一方通行?」
「先に謝ったからなァ…」
一方通行の下腹部のあたりに馬乗のように乗っかっている格好の結標。
彼女は理性が決壊したと思しき一方通行に胸を荒くまさぐられていた。
「ゃ…ちょっと…!」
「淡希の胸…すげェきれェだ…」
その言葉で結標の抵抗の素振りが消えた。
「う…ぅ…ん…ありがと…」
(なに…よ…これ…すっごい、きもちい…にゃ…い)
一方通行の両手は結標の胸を余すことなく揉みしだいていく。
ときたま痛く感じるが、それでも先ほどと変わらず気持ちよさのほうが断然優っている。
「…あ…あく…sっ…られーた?私、。ン…はぁ…熱ある…のよ?」
気持ちよさに身を悶えさせながら、結標はみだれ髪を後ろに持っていく。
「じゃ…辞めるか…?」
「…ずるい人…!…や、やだ…やめ…な…いわ…!」
彼女は一方通行の提案をきっぱりと否定し、熱い体を少しでも冷やそうと、残ったベッドから体を出す。
776 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:45:37.18 ID:HAxg0Lo0
彼女の足のつま先から太ももにかけてのすらっとした綺麗な足に一方通行はくぎ付けになる。
霧が丘のミニスカートから見える彼女の足、いや脚が構成する脚線美。
肉付きも適度に良く、一方通行の欲をそそった。
そして、結標が胸を触られるたびに揺れて太ももの付けにある、彼女の下着が見える。
「一方通行?あなたねー…ひゃ…視線でわかるのよ…!どこみてるかくらい」
「…すいませン」
素直に反省するのは良いものの、一方通行の体勢的にはどうしても視線がそちらに向いてしまう。
(何よ…この第一位は…ロリでしかも覗き魔だった訳?)
(グループでの健常者は私しかいなかったって事かしら…?もう…)
結標はそんなことを考えている時、一方通行の手が結標の霧が丘の制服のお尻のあたりに当たった。
「ちょっと…あ、あくせられーたぁ…お尻…」
「ダメか?」
「だめじゃないけど…」
(な、んか脚動かすと…すっごい股のあたり…濡れてる…)
一方通行のお尻を触る手は妙にいやらしく、ゆっくりと舐めつくすように触っている。
霧が丘のスカートの上から触っているので妙に擦れて何とも言えない感覚を彼女は味わっていた。
(どーせなら…スカートの中でもいいかな…って何考えてるのよ…私は…!?)
「オイ、結標」
777 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:46:30.66 ID:HAxg0Lo0
突然の呼び掛けに結標は一方通行を見る。
一方通行の発言は彼女を驚かせた。
「その…なンだ…オレも服脱いで良いか?」
「…?脱いでるじゃない」
「違ェよ…そりゃ脱いでるけどよォ…まだ下脱いでねェンだ」
「!!」
結標は今さらながらだが気付いた。
まだ一方通行も、自分自身も下は脱いでいないことに。
「…それって…今日…」
「今日ゥ?」
一方通行が聞き返す。
「…しちゃうって事…?よね…?」
「ま、まァな…ダメなら良いンだが…」
(こ、こわいわよ…私初めてだし…でも…ここまで来て断ったら…不完全燃焼って感じがするし…)
(やべェ…オレ初めてだわ…ちゃんとうまくできるか?っていうかうまいと下手の差すらわからねェ…!)
(リードできるかどォかわからねェケド…もうこのまま終われってのも無理な話だぜ…)
一方通行はベッドに入っている下半身、自分のものの感覚が普段のそれよりも段違いにいきり立っているのが感じられた。
778 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:47:22.86 ID:HAxg0Lo0
(うーん…私はもう胸を…その、一方通行にもう見られちゃってるし…今さらって感じだけど…拒否する理由もないし…)
(それに…さっきからすっごい脚の付け根のあたりが熱いのよね…なんか脚動かすたびに濡れてるのが…わかる…///)
(はじめてはいたいって聞くけど…一方通行となら…頑張れる…はず!)
二人の沈思黙考タイムはしばらくして終了。
そして、二人は考え抜いた末に答えを出す。
「どォなンだ?」
まずは結標。
「私は…別にいいよ…ここまでしちゃったら…最後まで…でも…熱とか…かんけーない…。一方通行はどうなの?」
「オレも…かまわねェ…いや、わりィ、ちゃんと言うわ。オレは淡希としてェ」
「じゃ…」
(これから…私と一方通行は…緊張する…///><)
結標はおそらくこれからするであろう行為を想像して言葉に詰まる。
「まァ…そのなンだ…言わなくてもわかるだろ?」
「うん…よ、よ、よろしく…お願いします///」
緊張のあまり、言葉遣いがおかしくなる結標。
779 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:48:44.58 ID:HAxg0Lo0
「じゃ…その…はじめるか…」
(なンですかァ?このグダグダ感は!!ってか薄明るいだけじゃあんまり見えねェ)
そう思い、一方通行はひょいと立ち上がり、ぱちんと電気をつける。
「ちょっと?一方通行?」
(ひゃ…はずかしいよー)
「電気つけンのまずかったか?」
一方通行が電気をつけると結標はささっとベッドの中にもぐりこんでしまった。
「…恥ずかしくてベッドから出れないんだけど〜―――…」
「いや…でも明るくしねェとよくわからねェだろ…?だから仕方なくだなァ」
「…………うーん…わかった」
(確かに一方通行の言うとおりだけど…)
「さて…じゃ、オレ脱いじまうぞ?」
「あ、うん!」
一方通行はベッドの中でもじもじとミミズのようにくねくねさせながらジーンズと下着を脱いでいく。
隣でその光景を見ている結標はなんだかその必死な姿が滑稽すぎて吹き出してしまった。
「ふふ…!」
「どォした」
「いや…だって一方通行がそんな必死になってるなんてさ…仕事の時以外に見たことないから」
780 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:49:20.76 ID:HAxg0Lo0
「うっせェ、仕方ねェだろ…」
引き続き一方通行は脱ぐ作業に没入して行き――数秒後。
「ハイ、脱ぎましたよ」
さっきまでクスクス笑っていた結標も一方通行のその声を聞くと、途端に笑うのを辞めた。
「…あ、うん」
(私はどうすればいいの…?わからないよ)
「結標、オマエも脱げ」
「へ?」
「だァかァらァ、オマエも脱げ」
(え?全部…?それは…だめ!ここ最近カフェ巡りの下調べとかで太っちゃってるし…脚太いのばれちゃうし…)
(でも…上はぬいじゃったし…もう一方通行とそういうことやるって決めちゃったし…!)
「わかったわ…ただ…条件が…」
「なンだ?」
(条件?)
「その全部脱ぐのは恥ずかしいから…スカートは履いたままでもいいかしら?」
「あァ…オマエが良いならかまわねェぞ」
と言うことで、結局結標は霧が丘の制服を着たまま。
781 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:49:48.86 ID:HAxg0Lo0
「ちょっと待ってね…」
結標はそういうとベッドの中でスカートの下に履いているパンツを脱いでいく。
とろ…
彼女がパンツを脱いだ時、自分の太ももに何か温かいねっとりとした液体がくっついた。
(ちょっと…え?これ…私の…あそこから…?)
結標は自分でも驚いた。
(こんなに濡れてるなんて…初めてだわ…///)
(どうしよう…制服にもちょっとついちゃうかも…)
(でも…いいか…洗濯すれば良いし…)
いろいろ考えた末に結標はパンツを脱ぎ終わる。
「一方通行…?私も脱いだよ…?」
結標は恥ずかしげにそう告げる。
すると一方通行は結標に近付いて、密着する。
二人の間には何もない。
脚のあたりにある僅かながらの霧が丘女学院のスカートだけ。
それ以外は何も身にまとっていない。
「…結標…さわっていいか?」
782 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:50:59.69 ID:HAxg0Lo0
「そーゆー事…い、言わなくて良いよ…別に…どこさわっても…いい…か…ら」
最後の方は恥ずかしさで消え入りそうなくらいに小さい声で話す結標。
一方通行は結標の隣で寝ているが、ゆっくりと手を伸ばしていく。
その手は霧が丘の制服のスカートの内側に入って、さらに彼女の膣内の入り口となっている所まで侵入してきた。
そして、濡れている事を確認する。
「いつから…こンなになってンだ?」
「わからない…けど…一方通行が胸触ってる時はもう変な感じは…したわ…」
「そォか」
一方通行はそういうと結標の唇に強引に口づけする。
んぁ…と小さく彼女の声が零れる。
そのすぐ後に彼女の恥部に一方通行の手が当たり、ぐちゅぐちゅと中をかき分けるようにして一本の指が入ってきた。
彼女の膣口に入ってきた、初めての指。
「ん…ぁ…ぁ、」
一方通行はがむしゃらに、無我夢中に結標の中をかき回す。
そしてそのたびに白く熱い愛液が彼女の膣口からとろとろと垂れ流れてくる。
その愛液は霧が丘のミニスカートに零れ落ちて徐々に大きなシミを作っていく。
「シーツあちィな…とっていいか?」
783 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:52:22.63 ID:HAxg0Lo0
「ま…待って…よ!」
一方通行は結標が答える前にばさっとベッドのシーツをはぎ取る。
先ほどの薄明るい状態では良く見えなかった彼女のきれいな四肢、胸。
恥部は霧が丘の制服で良く見えない。
微熱がある結標はよほど熱かったようで、シーツがはぎ取られるとふー、っと深呼吸している。
少し涼しそう。
よほど一方通行の手が良かったのだろうか、彼女は少し息が荒くなっている。
一方通行から見たその結標の姿はかわいかった。
息をはぁはぁさせながら呼吸し、顔、特に頬は微熱で赤くなっている。
うつ伏せになっている彼女のきている霧が丘の制服を見ると少しだけシミが出来ていた。
自分の行為でこんな状態になってくれてる結標を見て一方通行は素直に嬉しかった。
そんな彼女の姿をもっと見たいと思う。
そして気付いた時には彼の指がまた結標の恥部に伸びていた。
再びぬぷぬぷと深くに入っていく彼の指。しかも今度は二本。
「ちょっと…?二本も?入らないわ…っ…っ…はぁ…!ん…んっ…ィゃ…」
「言ってる割にはだいぶ奥まで入っていきますけどォ?」
「うっさい…!」
(これはやばいょ…気持ちよすぎるょ…!!)
ぐちゅぐちゅとなり響いていく結標の泉。
優しく掻きだしていく一方通行の指。
784 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:54:21.88 ID:HAxg0Lo0
ピストン運動のようにゆっくりと動く彼の指にねっとりした愛液がこびりつく。
その光景を見ながら一方通行は自分のものが痛いくらいにいきり立っていることに気付く。
結標のうるんだ目、はぁはぁいう呼吸、綺麗な表情に淫靡なあえぎ声、制服から延びるきれいな太もも…。
彼女のあらゆるものが可愛く、綺麗に、愛おしく思え、見えてくる。
(やべェ…メッチャ出てるぜ…?ってかオレも先っぽからなンかでてやがる…)
(ってか、コイツをいれりゃいいンだよなァ?)
一方通行は結標の恥部をいじりながら、自分のものを触ってみる。
(オイオイ…根元のあたりまでたれながしじゃねェか…!)
一方通行はずっと結標を弄っていたが、彼自身は何一つされていない。
なのでこんな状況になってしまうのも仕方にと言えば仕方ない。
そして相変わらず寝室ではぐちゅぐちゅ、ぬちゃぬちゃと結標の恥部から零れるいやらしい水音が。
そして時たま聞こえる彼女の喘ぎ声。
「んー!」
(やばいよ…意識とんじゃいそう…!…ってあれ?)
喘ぎながらも結標は一方通行を見る。
明るいおかげ(!?)で一方通行のいきりたったものが見える。
(一方通行の…あんなにおおきいんだ…)
(指二本でこんなに気持ち良いのに…あんなのはいったらどうなるんだろう…?)
785 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:55:04.59 ID:HAxg0Lo0
よく言われる、一方通行は反射の能力を応用して生活していたので、男か女かわからない体の構造になっている、とか
そういうものは単なるうわさにしか過ぎない。
結標は目の前に見える一方通行のそれを見て思った。
(他の人のものは見たことないけれど…一方通行の指より全然大きいよ…)
(痛くないかぁ…?)
結標は一方通行に指でされている最中にじっと一方通行のそれを見つめる。
一方通行もその視線を感じたのだろうか、視線の送り主である結標を見る。
「な…なンですかァ…?」
「いや…特に何もないけど…」
「じゃァ…オレから…一言いいか?」
「…何…一方通行?」
一方通行の手で下の口をほぐされ、その気持ちよさで脱力している彼女は耳を貸す。
「いれて良いか?」
786 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:55:45.01 ID:HAxg0Lo0
「え…あ…えーっと」
お互い話し合いで合意したと言ってもいざ、そういう状況になれば緊張してしまうものだ。
(ついにきた…><)
(でも…拒否はしない…わ!ここまできたし…!)
結標は心中で覚悟を固め、ごくりと生唾を飲み、一言。
「…いいよ…ただし…やさしくして…ね?」
(でも…いいのかな…私…一方通行に何もしてあげれてないけど…)
そう、結標はまだ一方通行に何もしていない。
(手とか…口とか…でその…一方通行のしたり…しなくていいのかな…?)
「ねぇ?一方通行、私、あなたに何もしてないわよ…?それは…いいのかしら?」
「…あー別に構わねェぞ…?」
(して欲しくないわけじゃねェけど…今はとにかく…コイツを…!)
「わかった…その…今度したときに、するから…///」
どくんどくんどくんどくん
二人の心臓が早くなる。
自然と二人は近付く。
誰からも教えられた訳でもないのに。
787 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:56:32.90 ID:HAxg0Lo0
キスをする。
一方通行の指についた愛液は拭き取らずにそのまま二人は手を固く結ぶ。
「私…よくわからないから…リードしてくれると嬉しいかも…あはは…」
一方通行は結標をベッドに優しく置く。
そして正常位の体勢になった彼女。
一方通行は霧が丘のミニスカートを少しだけたくしあげてやる。
そこには愛液でねっとり濡れている彼女の恥部が。
そこに彼は自分のものをあてがう。
一方通行の亀頭がぐいっと彼女の膣口に当たる。
亀頭の半分くらいが彼女の恥部にゆっくりと入る。
(もォ少し…はいりそォだ…!)
そう思い、一方通行は結標の顔を見る。
まだ少しだけしか挿入されていないのでなんともいえないと言った表情。
(こっから先がいけねェ…!どォすっか…?強引にいくとおそらくそォとォ痛ェはずだ…!)
一方通行が挿入するかどうか逡巡していると、結標が一方通行の手を伸ばし、握ろうとして、それに気付いた一方通行はぐっと力強く握ってやる。。
「多分…!平気…!」
(ホントは恐いけど…でも…一方通行となら…!)
「わァった…いれるぞ…?」
「…うん!」
結標は目をつぶり、深呼吸をする。
彼女が息を吐き、リラックスした時に、一方通行はぐいっと一気に挿入した。
788 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:57:35.17 ID:HAxg0Lo0
「あ…、ゃ…………ん」
一方通行が何度も指で弄ったのが功を奏したのか、にゅるんと滑るようにして一方通行のものは結標の膣口から膣内に挿入された。
「大丈夫か…?」
(ク…すげェぬるぬるするぜこれ…)
「…んは…ぁ――」
一方通行はたくしあげた結標の恥部と自分のものが挿入されている接合部のあたりをみる。
初めてにも関わらず接合部からは出血していない。
どうやら暗部時代で動き回ってきたためだろうか?出血はしなかった。
(にしても…スカート履いたままってのもやべェな…)
そう。彼女は全裸にはならず、スカートだけは履いたまま。
一方通行は腰を動かしたまま、霧が丘のスカートを履いている彼女の腰の辺りからゆっくりと太ももに向けて指を這わせていく。
艶やかな彼女の太もも。
霧が丘のスカート。
そしてよくみるとスカートのお尻の部分に出来た大きな愛液の零れたあと。
結標はほぼ全裸に近い格好なのだが、一着のスカートを着ているだけで視覚的に全然違う。
一方通行はその感覚を言葉では理解していないまでも、十分に味わっていた。
(…裸じゃねェが…この…制服かァ?それきたまンまっつゥのは…なンかこうそそるもンがあるぜェ!)
変態的な趣向を味わいつつ、一方通行は自分のものをちらと見やる。
先ほどからレギュラー出演している霧が丘のスカートに擦れる自分のもの。
気付けば白い愛液と自分の精液の混ざったとろとろしたものが結標のスカートのトップの部分にたくさんついていた。
789 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:58:43.18 ID:HAxg0Lo0
「わりィ…スカート…汚しちまった…」
「いーわ…ぁ…ん…後であら…――から」
一方通行が腰を振る度に言葉がとぎれとぎれになる。
ときたま声をこらえようとして口に手を当てようとする素振りがかわいい。
一方通行はぐいっとスカートをめくる。
あらわになった恥部を腰を振りながら器用に指でまさぐっていく。
今は膣口に指は挿入できない。
接合している部分を見るとぬちゃぬちゃといやらしい音を立てている自分たちのものが。
そして、それよりも少し上の部分。
皮をかぶっている小さい豆の様なものを一方通行は見つけて少し小指ではじいてみる。
するとびくり、と肩を震わす結標。
「…やっ…ん!何…?今の…」
(何かやばかったよ……?)
正常位のまま腰を器用に振りながらタイミング良く片手でその小さい豆の様なもの弄っていく。
そのたびに彼女の膣は一方通行のものをぐいぐい締め付けようとする。
「ちょ…そこ…一方通行…!やば、いよぉ…!」
「ここか?」
そういうと一方通行は結標の小高い丘にある小さい突起を重点的に弄っていく。
「ああ、ん〜〜〜ーーーー…―――――!!!」
790 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 17:59:17.79 ID:HAxg0Lo0
嬌声が寝室にこだまする。
そして一方通行はさらに腰を早く振る。
(これ…やべェな…イっちまいそォだ)
今日初体験を済ませた一方通行はまだ正常位しかしていないが、もうすでに果ててしまいそうだった。
一方通行が結標の小さい突起部をいじればいじるほど、愛液は溢れるように出てきて、挿入されている部位をなめらかにする。
しかもぎゅうぎゅうと締め付けられる。
まるで一方通行の射精を促すかのように。
「あ、あ、一方通行…?」
結標ははぁはぁ言いながら話しかける。
「私…結構ヤバイ…かも…」
(もう、スカートもシーツもぐちゃぐちゃ…)
「…オレもだ…」
「好きって言って…?」
「大好きだ…、淡希」
「もっとぉ…」
「愛してるぜ…」
791 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 18:00:00.74 ID:HAxg0Lo0
「…ホント?」
「あァ…オマエは?」
ふたりはさながら水泳の息次のようにとぎれとぎれになりながらも言葉を発していく。
「私…ん、ひゃ…だいしゅき…」
「ハッ…かわいいぜ?淡希」
「ば…ッか…そーゆーこと言わないでよ…恥ずかしぃ///」
「オマエが言えっていったんだぜェ?…ってかやべェ…でそォだ…」
きゅっと締まる結標の膣。
今日まで処女だった結標だって何が出そうになっているかどうかなんてわかる。
それを拒否する理由もない。
「…いつでも、いいよ…私も…そろそろやばいから…」
ぐちゅぐちゅと水音を響かせ、二人は快楽に身を任せるがままに。
792 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 18:00:54.02 ID:HAxg0Lo0
「イく時…、名前言っていいか?」
「な…ま、え?」
「あァ…」
「…いいよ」
そしてこの会話を続けている最中にも二人は少しずつ絶頂に近付きつつある。
「私で…一方通行が気持ちいいって思ってるなら…ふふ、幸せ」
「オレもだ…オマエも気持ちいいか?」
「うん、気持ち良いし、幸せだよ?」
「オレも、幸せだ…うっ…マジで出る…」
「いいよ…?名前、一杯言って?」
二人は何かにせかされているようにお互いの手を見つけ、手を繋ぐ。
「あ…淡、希、淡希…好きだっ…!淡希っ…!淡希――」
一方通行が彼女の名前を言うたびにうるんだ眼で優しく微笑む結標。
赤い頬で口に手を当てて、うん、うん、と笑って答える。
「私も…一方通行の事大好きだよ…、あ、ぁ…ぁぁ…ッあ…!」
793 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 18:02:21.42 ID:HAxg0Lo0
ほぼ同時に二人は絶頂に達して、果てた。
一方通行は手をつないだまま、結標の胸のあたりに倒れこむ。
接合部はびくんびくんと震えており、ポンプの様に一方通行のものから結標の膣内に白く、熱い液体が注ぎ込まれていく。
それに応えるように彼女の膣も動き、中が一方通行のそれで満たされていく。
「抜かないで…?」
行為が終わって一方通行は自分のものを抜こうとするが、彼女がそれを制止する。
「もうちょっと…このままで…いたい…なぁ…」
汗ばむ二人。
二人の肌と肌が密着し、流れる汗が一方通行から結標に滴り落ちる。
「一方通行、すごい必死だったよ…?」
「…うっせぇ、オマエも大好きって言ってたぜェ?」
「うるさーい…一方通行も淡希、淡希って言いまくってたじゃない…!」
「はいはァい…」
794 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 18:04:17.88 ID:HAxg0Lo0
「水差すようだけど…ミサカさん、ちゃんとことわっといてよね」
「はいよ」
「ちゃんと返事する!」
「はァいはァい」
「ちゃんと返事しないとその格好のまま外に放り出すわよ…?」
「ちゃんと言います。明日マジで言います。すいません」
「よろしい☆」
言葉のない会話…が続く。
そして沈黙の後に、結標が一言。
795 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 18:05:16.59 ID:HAxg0Lo0
「…ねぇ、一方通行?」
「あン?」
相変わらず密着した状態で二人は話す。
接合部からは一方通行の性器の隙間をぬって二人の混ざった熱い液体がとろとろ出てくる。
一方通行の下腹部でこすれる霧が丘のスカートが妙にくすぐったい。
「一つ、お願いしていい?」
結標は一方通行の瞳を見て、にこりと微笑む。
ちょっと照れくさそうに。
「あン?なンだ?」
「また、私の事、名前で呼んで?」
Fin.
796 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[saga]:2011/01/04(火) 18:11:05.52 ID:HAxg0Lo0
終わりです。
奏編は結構読者いたのかなーって思うけど、結標編はオレの文才が無いゆえに少ない気がしますね。
ともあれ、年またいで見てくれた人、ありがとう。
一方通行は翌日番外個体を振りますが、そのパートは書きません。
感想等あればどうぞよろしくお願いします。
モニター越しで見てくれた皆さま、レスくれた皆さまに多大なる感謝。
あと、キンクリってなんですか?
読み飛ばすって事ですかね?ぐぐってもあまり出てこなくて
次回は白垣SSかサテン主人公のダークなSSを書きたいと思ってますのでそちらで是非お会い出来たら光栄です。
797 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 18:12:42.96 ID:Bu9FyF.o
ものすごい勢いで乙
798 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
:2011/01/04(火) 18:20:46.15 ID:TAm/jtU0
通常の3倍エロかった
799 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 18:25:13.72 ID:VaMwZgso
乙
キンクリ=キングクリムゾン
ジョジョのボスの使うスタンド
簡単に言うと過程をすっ飛ばして結果だけを認識する能力
800 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 20:06:53.95 ID:D5aeZEIo
むっちゃ乙!
面白かった!
801 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/04(火) 22:08:29.92 ID:T3o03pc0
超乙なんです。年末年始も1時間おきにスレ開いて待ってたんだぞ。人少ないとか悲しいこと言うんじゃねぇよ。
俺の嫁を幸せにしてくれてありがとう。
802 :
投げんな匙
◆t4xyS9bQ1M
[sage]:2011/01/04(火) 23:43:22.15 ID:HAxg0Lo0
>>801
ありがとう。めっちゃうれしいです!!!
次回作も誠心誠意頑張ります。
登場人物を愛さないとね!
>>799
なるほど。
そういう意味ですか。
これからはファッションはファッションで一つのレスにまとめましょう。
そしてらキンクリ(?)しやすくなるでしょうし。
明日のお昼くらいにhtml依頼提出します。
本当に呼んでくれた皆さま、ありがたいです。
803 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/05(水) 01:08:44.06 ID:ObpO23Io
乙でした
次回作も期待してる
804 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/05(水) 01:10:08.70 ID:bzbtcIAO
あなたの一方座標は最高だった
805 :
あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!
[sage]:2011/01/05(水) 01:13:22.65 ID:WYawx8co
…ふぅ
最高の一方座標だったかもしれぬ!
マジ乙!
806 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/05(水) 03:12:03.49 ID:BtxI5wAo
やばい
とてもやばい
とてもエロい
そして胸キュン
くそリア充の第一位めー!
後白垣ってなんだ白井黒子×垣根かー
おつかれー!
807 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/05(水) 03:13:51.52 ID:ZMFhJKE0
すごく面白かった
座標通行も番外通行も良かった!
808 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/05(水) 12:04:24.31 ID:QaikOOk0
番外もあわきんも最高だった!
次スレは主人公ダークSSを期待してる
わがままを言うなら垣根復活→未元定規も欲しかったってことかな
小ネタでもいいからどこかで書いてほしい
何はともあれすごい乙!!!!
809 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/05(水) 13:01:23.11 ID:kh5GmsAO
淡希ルートも名作でした
810 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
:2011/01/06(木) 01:18:59.92 ID:3Ue74UY0
一方座標まじ神だなー
ミサワのほうは原作追いついてないからあんまわかんねーー
次作まってます!
811 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
[sage]:2011/01/07(金) 23:14:21.31 ID:jxwd82Y0
乙!
白垣だと…!
お願いします
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