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佐天「きゅ、吸血殺しの紅十字ッ!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:36:53.55 ID:gEqSZLQ0
・『とある魔術の禁書目録』、『とある科学の超電磁砲』の二次創作SSです。
・スレタイ通り、主に佐天さんが活躍する予定です。
・オリキャラ(名前なし)が登場します。
・魔術に関する解釈は原作と一部異なります。


それでは始めていきます。
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:38:30.39 ID:gEqSZLQ0
――学園都市、第七学区


佐天「はぁ……。また今回も結果は変わらず、かぁ……」

佐天「まあ分かってはいたけどね。
 前回の身体検査(システムスキャン)から まったく何も変わってないし。
 でも……」

佐天「レベル0っていうのは、やっぱ嫌だな……」

とぼとぼ

佐天「幻想御手(レベルアッパー)の事件で反省して能力開発頑張ってるはずなんだけど」

佐天「やっぱり『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』ってやつかな。
 でもあれって、つまりは妄想、だよね……」

佐天「じゃあ私には妄想力が足りないってこと?ならばッ!」

佐天「はああぁぁ……」ギュッ

佐天(私はレベル5の能力者。能力はえ、えーと……
 そう!発火能力!!よく知らないけど、なんか強そうだし。
 今までもこの力を使って、なんか、こう……この街に巣食う悪と戦ってきたのだ!!
 あれ?でも学園都市の悪ってなんだろう?
 木山先生みたいな人かな?でもあの人は子供たちのために……

 ああッもういいや!!とりあえず出ろ!私の右手から、すごいほのーお!!)バッ

「うッ、うわ!?す、すいません!!」

佐天「あれッ!?本当に私、炎出しちゃったの!?」

「うるせえんだよッ!!痛い目にあいたくなきゃ、さっさと金出しやがれ!!」

「本当です!本当に今日はお金持ってないんです!!」
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:40:56.53 ID:gEqSZLQ0

佐天(あ、あれって……)そぉっと

不良1「おいおいッ。そんな見え見えの嘘ついてんじゃねぇよ!!」

不良2「そーそー。正直になった方がいいんじゃない?」

学生「本当なんですよぉ……。お金なんて持ってないんです……。
 だからかんべんしてください!!」

不良3「へぇー……。じゃあお前“飛んで”みろよ」

佐天(い、今時『飛んでみろ』とか、いつの時代の不良? いやいや!そうじゃなくて!!)

学生「えッ!?」

不良3「だから飛べって言ってんだろッ!!さっさとしろ!!」

学生「は、はい!!」

バッ……チャリン

ガサゴソ

不良3「やっぱ隠してんじゃねぇか!!」

学生「そ、それはけい○ん!4巻を買うためにの大事なッ!!きょ、今日が発売日なんです!!
 閲覧用と保管用とディスプレイ用とご飯の時隣に置く用に最低4冊は――」

不良3「はぁ?知るかよ!」ガスッ

学生「うッ!」

不良1「そんな訳わかんなねぇもんに使うなら、俺たちが有効活用してやるよ!」ドスッ

学生「んッ!」

不良2「そ、そうだ!けい○ん!なんて4コマ漫画、聞いたこともねぇよ!
 大体けい○ん!が連載終了したら、俺はまんがタイムき○らで何読めばいいんだよ!!」バキッ

学生「たん!!」

佐天(あ、あの人は知ってる。
 て言うか、そんなこと考えてる場合じゃない!ど、どうにかしないと!?)オロオロ
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:42:49.32 ID:gEqSZLQ0

不良3「俺たちに嘘をついた罪は重いぜぇ!」ドスッ

不良2「そういう事だ!けい○んと一緒にお前も連載終了させてやる!」バキッ

佐天(もうこうなったらッ!!)バッ

佐天「あ、あんたら待ちなさいよッ!!」

不良1「あぁ!?」

佐天「い、今風紀委員を呼んだんだから!早くその人を離しなさい!!」

不良3「はぁ!?何だとてめぇ!!」

佐天「さ、さっさと逃げないと、全員捕まっちゃうんだからッ!!」

学生「うッ!!」バッ

不良2「あ、てめぇッ!!」

ダダダッ

佐天「えッ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!何でそっちが……!」

学生「ゆ、唯ちゃぁぁぁあんん!!」

ダッダッダッダッ……
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:44:06.26 ID:gEqSZLQ0

佐天「そんな……」

不良1「おいッ!てめぇどうしてくれんだよ!!」

佐天「そ、それは……」

不良2「お、おいッ!!こいつさっき風紀委員を呼んだって!
 早くここから逃げたほうがいいんじゃないか!」

不良3「風紀委員を呼んだんなら、わざわざ自分から出てきたりしねぇだろ。
 まあ、それが本当にせよ嘘にせよ、こいつをさっさとやっちまって逃げりゃあいい」

不良1「そういうこった。へへへぇ……」ザザッ

佐天「ちょ、ちょっと待って!?」

佐天(なんで!?なんでこんなことになっちゃったの?
 少しは変われたと思ったのに……。強くなれた思ったのに。
 やっぱり力がないままじゃ何も変わらない!なんにもできない!!
 嫌だ!嫌だよ!!)

不良1「おらッ!!死ねッ!!」ブンッ

佐天(そんな……誰か、誰か……)

佐天「誰か助けて!!」

バシッ

「女の子に容赦なく拳を振り上げるなんて、この街の連中はどうかしてるな」

不良1「なッ、なんだてめぇ!?」

「余りにも胸くそ悪いことが目の前で起こっていたんでね。少し我慢できなかっただけさ。
 気にするな」

佐天(本当に助けに来てくれた!て言うか外国人!?)
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 22:45:27.33 ID:uvHNJswo
きたい
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:46:19.62 ID:gEqSZLQ0

不良1「ふざけてんのかてめぇ!!」

「確かに、自分でも何でこんなことをしたのか不思議でならないね。
 本当はこんな面倒事を起こしたくはないんだが。それに馬鹿と遊んでいる暇もない」

佐天(す、すごいこの人……。こんな状況なのに落ち着いてる。
 背もすごく高いし、めちゃくちゃ喧嘩が強いのかも……)

不良1「て、てめぇ!やろうってのか!!」

「残念だけど殴り合いは得意じゃなくてね。僕が得意なのは」パッ

不良1「?」

「こっちのほうさ」スッ

佐天(カード?へんな模様が……)

ゴオオオォォォ!!

不良1「んなッ!?」

ステイル「こういう訳だから、素直に退いてくれないかな?」

佐天(手から炎が!!)

不良3「てめぇ!!能力者か?」

ステイル「ま、そういうことにしてくれると助かるな」

不良1「そ、そんなことでビビってられるかよッ!
 発火能力者だろうがなんだろうがやってやる!!」
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:47:13.73 ID:gEqSZLQ0

ステイル「そうか。仕方ないね、じゃあ……」ヒュッ

ゴオオオォォォ!! ドオオオォォォン!!

不良2「ひ、ひぇぇぇ!?」

ステイル「次は当てるよ」

佐天(じ、地面が……)

不良1「う、うわあぁぁー!!」ダッダッダッ

不良3「お、おいッ!!くッ!!」ギロッ

不良3「てめぇ……覚えてろよ!!」ダッダッダッ

不良2「ちょ、ちょっと待ってくれよ!置いていくなよッ!!」ずさッ

不良2「あ、あずにゃぁぁぁあん!!」ダッダッダッ……

ステイル「ふぅ……。馬鹿な連中だ」

佐天(す、凄い……。ほんとに一人でみんな追い払っちゃった。
 この人、高位の能力者だったんだ……)

ステイル「ん?」

佐天「あ、あの、えっと……た、助けてくれて、ありがとうございます!!
 わ、私柵川中学校1年の佐天涙子って……」

ステイル「君」

佐天「へ、あ、はいッ!!」

佐天(あれ?私すごくテンパってる!?な、なんで?
 危ない状況から抜けだしたから気が抜けてるの?え、でもすごく緊張してるし!?

 よく考えたら今の状況って、すごくベタっていうか、漫画とかでよく見る展開じゃない!?
 命の危機(?)から救われる所から二人の出会いは始まって
 その後数々の困難を乗り越えて二人の絆は……って私何考えてるの!?
 お、落ち着けぇー!!)
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:48:50.63 ID:gEqSZLQ0

ステイル「君は馬鹿なのか?」

佐天「落ち着け……落ち着け……。そう、私は馬鹿、私は馬鹿……ってええッ!?」

ステイル「だから君はなんであんな馬鹿みたいな真似をしたのか訊いているんだ」

佐天「馬鹿って!?困ってる人がいたら助けるのは、と、当然じゃないんですか?」

ステイル「そんな『重い荷物を持ったおばあさんがいたから助けてあげました』
 みたいに言うなよ。あれはどうみても暴力沙汰だ。
 さっきの君の様子を見た限りじゃ
 それに対抗できる手段があったようには思えなかったけど」

佐天「そ、それは……」

ステイル「ああいう輩は金さえ手に入れば満足するんだ。何もできない君が来たところで
 状況は変わらなかった。君のやったことなんて無駄だったんだよ」

佐天「確かにそうかも知れませんけど……。そんな言い方することないじゃないですか!
 それに貴方あの状況を最初から見てたんですよね?
 あんなに強い力を持った高位の能力者だったら、なんで助けてあげなかったんですか!!」

ステイル「この街の人間を助ける義理なんてないね」

佐天「じゃあ、なんで……」

佐天(私のことは助けてくれたんですか……)

ステイル「それに僕は――」クル

ステイル「能力者じゃない」

佐天「ちょ、ちょっとッ!!
 ……行っちゃった。なんなの、あの人?」
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:50:35.37 ID:gEqSZLQ0

――数日前、聖ジョージ大聖堂



ステイル「また、あそこへですか?」

ローラ「そ、また厄介事が起こりそうでありけるのよ。
 正確には“厄介な事になりそう”な情報が入った、と言うたほうが正しきかしら」

ステイル「今度も『告解の火曜(マルディグラ)』のような輩が?
 それとも『神の右席』ですか?」

ローラ「今回はそれらに比べれば小物に過ぎぬわ。しかし状況は頭が痛きものね。
 昨日、学園都市に魔術師が数名侵入したるのを確認したのよ。
 すでにあちらの統括理事長に警戒すべしの旨を連絡したるけど
 あちら単独では奴らの尻尾を掴むのは難きものでしょうね」

ステイル「学園都市に侵入した魔術師の特定は?」

ローラ「一応は、と言いたる所ね。侵入した際の魔術の痕跡から
 彼らが『科学の子』を自称せし魔術結社であることが判明したわ」

ステイル「『科学の子』?」

ローラ「そう。彼らは『本来、科学とは神が人に与えた知恵の一つであり
 最終的には主の教えと一体になる』と主張する一種のカルト集団らしきなのよ。
 結社の長は科学の力と、主の教え、つまり魔術の力が混合せし時に生み出される
 『完全なる力』を背景に仲間を増やしていると聞きたるわ」

ステイル「『完全なる力』、ね……」
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:52:03.76 ID:gEqSZLQ0

ローラ「まあそんなの嘘っぱちも嘘っぱち、犬も食わぬ大法螺に決まりておるのよ。
 魔術と科学、『イギリス清教』と『ローマ正教』の戦争で
 不安と疑心の渦中にある心弱き者共を捕まえるために嘯いているに過ぎぬわ」

ステイル「しかしそんな奴ら放っておいても問題ないのでは?
 彼らが何をしようと学園都市が勝手に対処するでしょう」

ローラ「それがそうもいかぬのよ。
 その『科学の子』というイギリスの魔術結社でありけるからね」

ステイル「馬鹿な!対『ローマ正教』『ロシア成教』との戦争の最中に
 学園都市との協力関係を乱しているというのですか?」

ローラ「もちろんそうとは言うても結社の本拠地がイギリスにあるだけで
 『イギリス清教』との繋がりは殆ど無きものだけどね。
 彼らが学園都市の意向に注意を払わないのも不思議なことではないでしょう。
 でもこの戦争の中、徒に科学側との関係を悪しきものにするのは賢きことではないわ。

 という訳で、貴方には学園都市に潜入してもらうわ。
 その上で魔術結社『科学の子』を発見、彼らの目的を明らかにして頂戴」

ステイル「彼らの目的が学園都市にとって好ましくない場合は
 それを阻止しろ、ということですか」

ローラ「勿論。そのために貴方に命じたるのよ」ニコッ
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:54:00.94 ID:gEqSZLQ0

ステイル「分かりました。それではすぐに学園都市に向かいます。
 それと最大主教(アークビショップ)……」

ローラ「ん?何かしら?」

ステイル「……何でまたそんな馬鹿口調なのですか?」

ローラ「!!」

ローラ「な、何を言うておるのよステイル!?ま、待ていなのよ!
 私も散々馬鹿口調馬鹿口調と罵られて
 苦心の末に見事正しき日本語を身に付けたるのよ!」

ステイル「いえ、まったく以前と変わらぬ馬鹿口調のままですが……」

ローラ「ががーん!なのよ……。それではこれまでの私の苦労は一体……」ずぅぅん

ステイル「ちなみに今回は誰に日本語を教えてもらったのですか?」

ローラ「誰って、今回もつちみかどもとはるのヤツに……」

ステイル「前にあいつはあてにならないと言ったでしょう!」

ローラ「わ、私だって最初は神裂に教わろうとしとったのよ!!
 でも神裂のヤツ私が間違ったことを言いたる度に
 『このど素人が!!』と叱りつけたるのよ!
 かの如き鬼のもとで日本語を教わることなど
 聖書に刻まれたる如何な聖人にも難きことよ!!」

ステイル「どうやったらそこまで神裂を怒らすことができるんですか……」

ローラ「と、兎にも角にも、なのよ!
 ステイル、貴方は至急学園都市に向かい
 件の魔術結社を撲殺、滅殺、瞬殺してきなさい!!」
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/13(水) 22:58:41.59 ID:gEqSZLQ0
とりあえず今日のところは以上です。
書き溜めはそこそこあるんですが、連日投下するとすぐなくなるので一日置きを目安に投下していきます(あくまで予定ですが)。

14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 22:59:56.88 ID:uib69.AO
出だしはいい感じだな
期待して待ってます
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 23:06:51.27 ID:9jBsL660
佐天とステイルが絡むSSは前も見たことあるけどいい感じだったな
期待してる
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/13(水) 23:33:44.61 ID:Ugwszog0
>>15
kwsk

ステイル大好きだー
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/14(木) 00:51:22.15 ID:T5V40gEo
ステイル「連立方程式?」
みたいなスレタイ
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/14(木) 01:13:28.57 ID:VvEZcaoo
>>17
見てたなー
あれどうなったっけ?
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/20(水) 20:11:19.26 ID:mqgN2Moo
一週間経ったか。


まだ終わらんよ
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:48:54.15 ID:qVwQJag0
復活してるーーー!!
運営さんありがとう!!

でもスレ立てた翌日から落ちるなんて、不幸だ……

早速投下します
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:51:11.03 ID:qVwQJag0
――学園都市、とある学生寮



ステイル「――という訳だ。協力しろ」

上条「いやどういう訳!?前半はまだしも、後半は何だったの!?
 新しい萌えキャラの方向性ですか?『ドジっ娘馬鹿口調』萌え?」

ステイル「顔と知性と品性のみならず、女性の趣味まで悪いとは……。
上条当麻、僕は君の主からの加護の無さに同情を禁じ得無い」

上条「……俺は部下からそこまで言われるお前の上司に同情を禁じ得無ぇよ」

上条「……で、協力するのはいいにしても、俺は何をすればいいんだ?
その漫画の神様が生み出した名作漫画の主人公みたいな名前の魔術結社が
 まだ何を企んでるかも分からないんだろ?」

ステイル「いちいち難解な例えをするな。
 ……確かに『科学の子』の目的は未だ不明だ。当面は僕と土御門で彼らの目的を探ることになる」

上条「じゃあますます俺のできることはなさそうだけど」

ステイル「君の出番が来るのは彼らの目的と潜伏先が分かってからだ。
 その時は僕と君の幻想殺しでやることになる。
 土御門はもう一つの仕事が忙しくて、そこまでは手伝えないらしい」
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:52:32.16 ID:qVwQJag0

上条「もう一つの仕事……。学園都市側のスパイとしての仕事か……」

ステイル「よく知らないけどそうだろうね。
 『科学の子』の目的を探るにしたって
奴にやってもらう学園都市が掴んでいる情報を逐一知らせてもらうくらいのもさ。
まあ、今回の相手はその程度で十分なんだけどね」

上条「さっきも言ってたけど、それってその『科学の子』って奴らは
それほど強い魔術師じゃないってことなのか?」

ステイル「そんな所さ。『科学の子』は数年前まで魔術結社にも満たない
『結社予備軍』に過ぎなかった。それが活動規模と人員を増やし
一応魔術結社と言われるまでになったのはつい最近のことだ。
 それほど厄介な相手にはならないだろう」

上条「じゃあ俺は精々その保険、ってことか」

ステイル「馬鹿に物分りのいいじゃないか。
 それに君にはそれ以外にもあの子を、禁書目録を守ってもらうという仕事もある」

上条「おいおいッ!!奴らインデックスに手を出すつもりなのかよ?」

ステイル「そんなことは言っていない。念のためだよ。
 魔術師がここに潜伏している以上、警戒してもらうのは当然だ。
 僕が真っ先に今回の事情を君に話したのもそのためさ」
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:53:56.93 ID:qVwQJag0

上条「……分かった。インデックスのことは俺に任せろ。
 魔術師のことで何か分かったらすぐに知らせてくれよ」

ステイル「言われなくたってそのつもりさ。
 君はただ僕からの連絡を待っていればいい。気楽なものだね」

上条「現在進行形で『神の右席』から命を狙われている上条さんは
 どうやったら気楽でいられるのしょう…」とほほ

ステイル「さあね。右手が着脱可能になるように練習でもすればいいんじゃないか?」

上条「俺は超合金ロボットマジ○ガーZかよッ!!
 いや、待てよ……。カエル顔の先生に頼めば、あるいは……」ブツブツ

ステイル「勝手にやってろ……。そうそう」

上条「ん?」

ステイル「柵川中学というのを知っているか?」

上条「は?柵川中学?聞いたことねぇな。
 中学校のことならビリビリに訊けば分かるかも知れないけど……。
 て言うかどうしたんだよ、当然?」

ステイル「いや、それならいい。じゃあ僕は引き続き情報収集に戻るよ」
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:54:56.71 ID:qVwQJag0

上条「そうかい、よろしく頼むぜ」

ステイル「いや、ちょっと待て」

上条「なんだよ、まだ何かあんのかよ」

ステイル「……『ケイオン』とはなんだ?学園都市が開発している兵器か何かなのか?」

上条「……ステイル。まさかお前にそんなことを質問される日が来ようとは……。
 『兵器』……。そうだな、確かにあれは『兵器』だ。
目映ゆいばかりの閃光と共に俺達の心を炎上させた、『萌え』という名の核兵器だよ。
確かに俺も最初はバカにしてたさ
『こんな何も起こらないダラダラした日常系アニメのどこがいいんだ』ってな。
でもある時気付いたんだ。『日常は劇的であり、何気ない日々の中にドラマがあるんだ』
ってことに。

お前だって見たはずだ!1期の第11話で澪とりっちゃんが喧嘩するところを。
見たはずだ。2期の9話でなんだかんだ言って唯の面倒を見てしまうあずにゃんのツンデレを。
じゃあそこにドラマを感じたんじゃねえのか?
ありふれた心のすれ違いや深まる友情に涙したんだろ?
何気ない優しさや思いやりに枕を抱きしめずにはいられなかったんだろ?
それを全部否定して、右手で触れれば消えちまうような幻想だったって言うのかよ!!

違うだろ、お前だって気づいてるはずだ!
その心に芽生えたものは紛れもない本物だってことに!!
それならアニメとコミックスが終了したくらいで絶望してんじゃねぇ!!
始めようぜ!俺達の『けいおん!』を!!

ってあれ?いつの間にいなくなってたんだ……。ていうか、なんだったんだ、あいつ?」
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:56:51.07 ID:qVwQJag0

――風紀委員一七七支部



佐天「――ってことがあったってわけよ。もう最悪……」ぐでぇ

初春「それは災難でしたね。
 でも一人で恐喝の現場に乗り込んでいくなんて感心しちゃいました!」

佐天「えッ!あ、あははは……」テレテレ

白井「感心してどうするんですの初春。
 その殿方の言った通り、風紀委員でもない一般の学生が
 そんな危険な真似をするなんてよろしくありませんわ」

佐天「す、すいません……。って白井さんもあの人と同じこと言うんですか?」

白井「少なくとも同じ意見ではありますわね。
 しかし初対面の女性に向かってそんな口の聞き方をするなんて失礼にも程がありませんの」

佐天「そ、そうなんですよ!!一人のレディに向かったいきなり『馬鹿』って言うなんて
 礼儀がなってないっていうか、横暴っていうか……」

初春「でも不思議ですね。カードを使って炎を起こす能力者なんて」

白井「そう言われてみればそうですわね。発火能力は珍しい能力でもありませんが
 カードを使って能力を発動させるなんて聞いたことがありませんわ」
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 20:58:38.59 ID:qVwQJag0

初春「うーん……。『自分だけの現実』を強化するための条件だったりするんでしょうか?
 もしくはそのカード自体が可燃性の物質で、炎を強めているとか?」

佐天「そう言えばあのカード、変な模様が書いてあったような……」

初春「どんな模様だったか覚えてますか?」

佐天「うーん……一瞬だったからなぁ。えーと、確かこんな感じの……」カキカキ

白井「ん?なんですの、これ?」

初春「アルファベット、じゃないですよね?どこかの文字かもしれません。
 ちょっと調べてみます」カタカタカタ

固法「ちょっと貴方たち、いつまでおしゃべりしてるの!少しは仕事しなさい」

白井初春「はッ、はい(ですの)!!」

固法「それに佐天さんも、何度も言うけどここは遊び場じゃないのよ」

佐天「うー……。すいません…。
 そ、そうだ!私何か差入れ買ってきますね!」ガタッ

ガチャ  ドン!

佐天「行ってきはにゃッ!!」
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 21:00:03.61 ID:qVwQJag0

御坂「きゃあ!!佐天さん、ゴメンなさい!大丈夫?」

佐天「だ、だいじょうぶれふ(鼻が……!)」

白井「まあお姉様!わざわざ来てくださったのですか?」

御坂「ええ、やっぱりちょっと気になって」

佐天「?」

固法「御坂さんまで……。あのね貴方たち、風紀委員支部は――」

御坂「あ、固法先輩。これ差入れです」ガサ

固法「……ッ!!これは『武蔵野牛乳』!!
 ちょうどなくなってたから買いに行かなくちゃって思ってたのよ。
 ありがとう御坂さん。今日は好きなだけここにいていいわ」フフフフ

御坂「ありがとうございます♪」

佐天(何この扱いの違い……)
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 21:01:21.04 ID:qVwQJag0

御坂「それで黒子、何か分かったことはあった?」

白井「残念ながら何も。それらしい情報はありませんでしたわ」ハァ

初春「何かあったんですか?」

御坂「それが、私のクラスメイトの行方が昨日から分からなくなってて……」

初春「ええッ!!行方不明なんですか!?」

佐天「なに、どうしたんですか?誘拐?」

御坂「いやぁ、さすがにそれはないと思うんだけど……。 私、その子から相談を受けてたの」

佐天「相談、ですか?」

御坂「能力のレベルのことでね。中々レベルが上がらないからどうしようって。
 私も力になってあげたかったんだけど、その子、精神系能力でさ。
 私は発電能力だからイマイチ力になれなくて……」

佐天「へぇー。常盤台の学生でもそんなことに悩んだりするんですね」
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 21:02:45.33 ID:qVwQJag0

御坂「常盤台は入学条件がレベル3以上なんだけど
 その子はレベル3から能力が向上しないことが悩みだったの。
 常盤台は確かに優秀な学校かもしれないけど、実力主義的で
 特に能力に対するプレッシャーは他の学校よりも強いでしょうね」

初春「そのプレッシャーに耐えられなくて家出した、ってことですか?」

御坂「うん、そうなんじゃないかなって」

佐天「お嬢様学校も色々と大変なんですね」

白井「もちろんそれだけではありませんわ。
 高度な学習カリキュラム、厳しい校則、学生同士の苛烈な競争意識……。
 神経をすり減らす要因は数限りありませんの。
 私も学校では派閥作りにしか興味がないようなクラスメイトの相手をし
 風紀委員のお仕事では口うるさい先輩の小言を聞く毎日で――」

固法「ああッ?」ギロリ

白井「す、素晴らしく偉大な先輩の後を追うのに必死で、ま、毎日大変ですの……」あせあせ
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 21:04:02.20 ID:qVwQJag0

初春「あははは……。でも家出にしても
 そこで何か事件に巻き込まれている可能性もありますし心配ですね」

白井「その方のルームメイトにお話を訊いた所、行方が分からなくなっているのは
 正確には一昨日の夕方からだそうですの」

初春「ということはいなくなったのは学校が終わった後、ということですか。
 御坂さん、その日その人はどんな様子だったんですか?」

御坂「うーん……確かに元気はなかったけど、家出する程ではなかったような……。
 でも『このままずっとレベル3のままだったらどうしよう』って言ってたっけ」

初春「……やっぱり本格的に捜索してみましょう。今日監視カメラの映像の申請を出せば
 明日にはその人の足取りを追えるはずです」

白井「そうですわね。私たちも寮監ともう一度相談してみますわ」
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 21:05:37.68 ID:qVwQJag0

御坂「ありがとう、黒子、初春さん」

白井「んまぁ!!お姉様に感謝していただけるなんてッ!!
 お姉様、もっと言ってくださいまし!『ありがとう黒子、最高だよ黒子、愛してるよ黒子』と!!
 さあッ!!」ザササ

御坂「あんたはたまに感謝してあげたらすぐ……コラ、抱きついてくるな!!」バリバリ

白井「んああぁぁー!!お姉様の愛のムチ、イイッ!!
 でも今私が欲しいのは飴よりも甘美なお姉様のお言葉ですのに!!」ビリビリ

御坂「うるさいッ!!」ビリッ

ボンッ!

初春「ああー!!私のパソコンが……!」

佐天(やっぱりみんな能力のことで悩んでるんだな……。
 でもすでにレベル3のその人と、いつまで経ってもレベル0の私の問題は違う。
 私、どうしたら……)

固法「あ、牛乳なくなっちゃった」

佐天「早ッ!!」
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/20(水) 21:12:17.50 ID:qVwQJag0
落ちてる間にけっこう書きためができたんで、今日はもう少し投下しますー

でもその前にちょっと休憩……
12時前くらいには来られるかな?
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/20(水) 22:51:47.20 ID:4R.p6rI0
この上条さんはPS3だけでなくPSPも持っているだろうな
そして今しばらくの飲み物はセールなんてしないコンビニで買う午後の紅茶…
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 00:40:08.06 ID:dAGnzN20
再開しますー
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 00:41:45.72 ID:dAGnzN20

――第七学区 セブンスミスト前



佐天「初春のやつ、遅いなぁ。もう待ち合わせ時間過ぎてるよ」

ピローン♪

佐天「メール?」

From:初春飾利
Subject:ゴメンなさい!!
寝坊しちゃいました(ノд・。)
急いで向かってるのでもう少し待っていてくださいm(。≧Д≦。)m

佐天「寝坊!?久しぶりの買い物だっていうのに!
 着いたら、お詫びに、クレープおごってもらうよ、っと」ピッピッピ ピローン♪

佐天「はぁ……初春には一番高いやつ買ってもらおう」

佐天(でも最近初春、風紀委員の仕事で忙しそうだったしな。
 しょうがない、今回は大目に見てやろうかね。クレープはおごってもらうけど。
 そして初春にはチーズチョコバナナ明太子クレープを、くふふふぅ……)

「……だからさっきも言っただろう。僕にそんな義理はない。自分でどうにかしろ」

佐天「あれ?あの人って……」
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 00:47:05.84 ID:dAGnzN20

『お願いだから頼む!全財産が入った財布を落としちまって、食料が買えないんだ。
 このままじゃ俺はインデックスに……』

『お腹減った!お腹減った!お腹減った!!
 もう限界なんだよ無理なんだよ耐えられないんだよ!!食べられるものならなんでも……。
 ……そうだとうま、知ってた?パプアニューギニアに住むフォア族はね
 大切な人と一体になるために、その肉を食らうという文化を持っているんだよ……』

『……インデックスさん、なんでそのようなことを突然仰られたのですか?
 そしてなぜゆっくりとこちらへ……。じょ、冗談だよな?
 上条さんは普段ろくな物食べてないし、きっとおいしくないと思うのですがッ!?

 うわぁぁぁ!!助けてくれステイル!!
 インデックスの目が飢えた野生のベンガルドラのそれだッ!!
 このままじゃ今夜の上条家の食卓にはイマジン鍋が並ぶはめにッ!!』

「はぁ……。分かったよ。適当に食料を差入れてやる」

『なるべく早く頼むぞ!!そうじゃなけりゃ俺は……ぎゃああぁぁぁ!!』

ピッ

ステイル「まったく。相変わらず手間のかかるやつだ」

佐天「こ、こんにちはッ!」
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 00:50:23.12 ID:dAGnzN20

ステイル「まったく。相変わらず手間のかかるやつだ」

佐天「こ、こんにちはッ!」

ステイル「ん?君は……」

佐天「そうです、あ、あの時の『馬鹿な』中学生です!」フンッ

ステイル「あー、そうか。東洋人の顔は見分けが付かなくてね。分からなかったよ」

佐天  イラッ!

ステイル「で、まだあの時言いたりないことでもあったのかい?」

佐天「べ、別にそういう訳じゃありません。ただ姿が見えたから……。
 こんな所で何やってるんですか?」

ステイル「仕事さ。もちろん君には何の関係ないもないけどね」

佐天(ホントにこの人口が悪いっていうか意地悪っていうか。
 大体なんで私わざわざこの人に話しかけたんだろう?)
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 00:56:23.95 ID:dAGnzN20

佐天「あ、もしかして何か悪こと企んでるんじゃないですかぁ?
 貴方学園都市の人じゃないですよね?」

ステイル「確かにこの街の人間じゃないが、なぜ分かった?」

佐天「ここでそんな修道服着てる人なんてほとんどいませんし
 この前『この街の連中は〜』とか言ってたじゃないですか」

ステイル「それほど突飛な格好だと、僕は思わないけどね。
 さっき見た白い学ランを着た五月蝿い男の方が僕よりも注目を集めてたけど」

佐天「(白い学ラン?)やっぱり海外から学園都市を乗っ取りにきたエージェントじゃ……
 ってあれ?この前能力使ってましたよね?学園都市以外でも能力開発ってしてるんですか?」

ステイル「君はくだらない映画の見過ぎだ。それに前言っただろ?僕は能力者なんかじゃない」

佐天「えッ!?じゃあこの前の炎はどうやって……」

ステイル「君だって名前くらいは聞いたことはあるだろ。『魔術』さ」

佐天「『魔術』って『0930』事件の!?外国の科学的超能力開発機関のコードネームですよね?」

ステイル「そう言えば科学側はそういう解釈をしていたんだったな」

佐天「じゃあやっぱり悪モノじゃないですか!!早く警備員に通報しないと……」オロオロ
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:05:05.77 ID:dAGnzN20

ステイル「落ち着け。そして携帯から手を離すんだ。面倒事は御免だからね。
 僕は別に学園都市をどうこうしたいわけじゃない。魔術側も一枚岩じゃないんだ。
 あらゆる組織と宗派に分かれている。『0930』事件を引き起こし、科学側と敵対してるのは
 『ローマ正教』だろ?僕たち『イギリス清教』は少なくとも君たちと敵対する気はない」

佐天「あれ?そうだったっけ?
 でも結局は学園都市とは別の場所で能力開発を受けた能力者ってことですよね?」

ステイル「何度も言わせるな。『魔術』は『超能力』とは違う。
 『超能力』については詳しく知らないが、『魔術』とは生命力を魔力に変え
 魔法陣や霊装という式を通して超常現象を起こす宗教学的な側面を持つ技術のことだ」

佐天「は、はい?魔力?霊装?」

ステイル「ま、科学側にいる君たちには理解出来ない話だろう」

佐天「つまりは『超能力』とはまったく別のものってことですか?」

ステイル「そういう事だ。基本的に才能に依拠している『超能力』とは……
 いや、その目は信じていない目だな」

佐天「だってそれってゲームに出てくるような
 メラゾーマやアギダインみたいなのがあるってことですよね?
 そんなの信じろって言われても……。
 大体そういうのって普通隠すものですよね。あっやしーなぁ」ジトー
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:07:58.77 ID:dAGnzN20

ステイル「隠す必要があるのは個々人の魔術の秘密であって『魔術そのもの』じゃない。
 実際魔術が公に晒された例も歴史的にはあるしね。
 そもそも僕からしてみれば未だに『超能力』の方が信用できない。はっきり言って不気味だよ。
 君だって人の心を読み取ったり、自由自在に瞬間移動できたりすんだろ?」

佐天「……できませんよ、私には。レベル0なんだから」

ステイル「レベル0?」

佐天「能力を持たない人のことです。つまり超能力なんて使えない、一般人ってことですよ」

ステイル「フン、つまりは落ちこぼれってことか」

佐天「落ちこぼれってッ!!だからそんな言い方しなくても……。
 ああッ!もう、そうですよ!!私は『馬鹿』で『落ちこぼれ』なんです!
 『力』なんてないんです!!
 そんなんだから困ってる人がいても助けられないし
 何かあって私は友達に頼ることしかできないんです!!」
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:15:38.07 ID:dAGnzN20

エーナニアレ ケンカ?  ワカレバナシデモシテンダロ

ステイル「お、おいッ!!いきなりそんな大声出すな!」

ウワーアノカレシゼッタイフスキルアウトダヨ カミアカイシ  アイテチュウガクセイジャナイ? ロリコンスキルアウト?

ステイル「はぁ……」

ステイル「君はなぜ魔術が生み出されたか知ってるかい?」

佐天「なん、ですか、いきなり?」ぐす

ステイル「才能のない人間が、超能力のような才能のある人間に対抗するためさ。
 魔術はそういう技術なんだ。
 君に超能力の才能があるのかないのか僕には分からないが
 誰かを助けたり護ったりするのに才能が絶対必要なわけじゃないだろ?
 君が言ってる『力』っていうのは、そういう、ものなんじゃないか?」ポリポリ

佐天「……何なんですか。馬鹿にしたと思ったら今度は励ましたり……。
 意味が分かりません……」

ステイル「僕も意味が分からない。こんな説教臭いこと言うのは趣味じゃないんだ。
 ……きっとどこかの説教馬鹿の影響に違いない」
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:22:24.84 ID:dAGnzN20

佐天「あーもういいです!!大丈夫です!!」ゴシゴシ

佐天「ウジウジ悩むなんて私らしくないし。
 よく知りもしない人にここまで言われるなんて情けないです!」

ステイル「そうしてくれると助かるよ」ハァ

佐天「名前!」

ステイル「は?」

佐天「名前教えてください。
 『よく知りもしない人』よりは『名前くらい知ってる知り合い』に
 説教されたと思ったほうがましですからねぇ」

ステイル「君の言っていることは本当に分からない。理解に苦しむよ。
 ……僕の名前はステイル=マグヌスだ」

佐天「私はこの前も名乗りましたけど佐天涙子と言います。
 ていうか何歳なんですか?煙草吸ってるから二十歳以上ですよね?」

ステイル「いや、一四だけど」

佐天「はぁ!?一四歳!!ってことは私の一個上!?全然見えない!!
 ていうか私は一個上の見ず知らずの人にあそこまで説教されたってこと……?」ずぅぅん
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:29:17.89 ID:dAGnzN20

ステイル「そ、そこまで説教していないだろ!?」

佐天「しましたよ!!いや、したよ!!
 うん、ステイル君ね。ちゃぁんと覚えたから!もう敬語使ったりしないから!!」

ステイル「はぁ……もう勝手にしてくれ」

佐天「と、当然だよね!落ち込んでる『知り合い』を励ますくらい。
 うん、うん。ステイル君が落ち込んだ時には私がビシッっと励ましてあげるよ。
 あは、あはははは……。
 はぁ……。まあこんなことで落ち込んで、私まで『失踪』するわけにもいかないし」

ステイル「『失踪』?なんのことだ?」

佐天「最近『失踪』、っていうか『家出』が流行ってるんだって。
 悩みや不安を抱えてる人がいなくなることが最近多いって聞いたよ。
 私の友達のクラスメイトもいなくなっちゃって、まだ行方が分かってないし。
 でもその失踪が少し変で、初春、わたしの友達の風紀委員も本当に家出なのか疑ってたな」

ステイル「その『失踪』はいつから起こってるんだ!」ガシッ
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:32:26.34 ID:dAGnzN20

佐天「えッ?えーと御坂さんから聞いたのが一昨日で
 その人が失踪したのが確かその前の日、いや二日前だったから……。
 私が知ってるのは四日前からだけど」

ステイル「……」

佐天「あ、あの、ステイル君?さすがにずっと肩を掴まれているのは
 苦しいといいますか、は、恥ずかしいといいますか……///」

ステイル「ああ、すまない。そうか『失踪』、ね……」

佐天「あの、どうかしたの?」

ステイル「いや、別に。大したことないじゃない。
 じゃあ僕はそろそろ行くよ」

佐天「ああ、じゃあ私も。友達がもうすぐ来ると思うし」

ステイル「ちょっと待て。これを」スッ

佐天「何これ?あ、あの時のカードだ」

ステイル「日本では確か『お守り』というものがあるんだろ。それみたいなものだ」
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:38:14.01 ID:dAGnzN20

佐天「『みたいなもの』って……。なんかテキトーだなぁ。
 これも『魔術』なの?」

ステイル「そうだよ」

佐天「……突然爆発したりしないよね?」

ステイル「君が僕のことを他人に話さない限り、ね」

佐天「やっぱりステイル君は悪モノだったんだ!?おのれ魔術師!!」

ステイル「冗談だよ。それは本当に『お守り』みたいなものさ」

佐天「ホントに?ま、ありがたくもらっておくよ」

ステイル「それは少しばかり君を守ってくれるはずだ。これで君がまた馬鹿なことをしても
 僕が助ける義理はなくなる」

佐天「ぐぅ……。今に見ておきなよ。私もいつかステイル君より
 すごい『力』を身に付けてやるんだから」フンス

ステイル「フ……。その時を楽しみにしてるよ。まあ、能力者に遅れを取るつもりはないけどね」

タッタッタッタッ……
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2010/10/21(木) 01:48:38.46 ID:dAGnzN20
という感じで今日のところはこの辺で。

アニメ2期ではステイルの活躍が1期より多そうだから楽しみっすね。
映像がないと、今いちステイルの魔術がどんなのか分からないから助かります。

では次は金曜日に!
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 02:21:52.09 ID:nYaUQ3wo
乙!楽しみに待ってます
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 03:38:17.67 ID:vcdndMIo
なんだかすごく面白くなりそう・・・期待!

あとけいおんネタ引っ張るとは思わなかったwwwwww熱過ぎるwwwwwwww
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 06:43:29.19 ID:VW00OtIo
続きに期待
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/21(木) 18:18:59.58 ID:evXBlCk0
ステイル大好きだぁ

早くアニューゼ戦とかオリアナの時の上条さんとの協力戦が見たい
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 20:13:15.98 ID:z1mzrjAo
ステイルさんの詠唱が厨二すぎて好きです
52 :便乗 [sage]:2010/10/21(木) 23:21:49.98 ID:JaEZ5us0
姫神「吸血殺しの紅十字」
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/21(木) 23:25:21.90 ID:JaEZ5us0
ああっ 他のスレで使った名前欄がっ
54 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 18:31:39.93 ID:Uebc2uM0
test
55 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 18:37:51.27 ID:Uebc2uM0
必要かどうかはさておき……トリというものを付けてみました!

今日の22時くらいから投下していきます。分量は前回よりちょっと少なめです。
そこはすいません。
56 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:12:15.55 ID:Uebc2uM0
この人のいなさ……たまらんッ!!

投下していきますー
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/22(金) 22:12:59.92 ID:q0ZIoMYo
ミテルヨー
58 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:13:55.13 ID:Uebc2uM0

佐天「あ、ありがとう!」

佐天(『お守り』ねぇ。能力を身に付けるってことは学業成就、とか?
 もしかして私にも『魔術』が使える『お守り』だったりして!?
 いや、そんなの『お守り』って言わないか)

佐天(『才能のない者が才能のある者に対抗するための技術』か……。
 ていうことは私にも使えるってことなのかな?だったらちょっとほしいな。
 ステイル君みたいに炎を出せたりしたらカッコいいだろうな……)ホワンホワン

初春「佐天さん!!遅れてすいません!!」ドン

佐天「うわぁ!!う、初春!?」サッ

初春「すいま、せん!ハァ、遅れ、ちゃって。昨日、夜遅くまで、ハァ、ハァ
 風紀委員の仕事を、してた、ので……」グッタリ

佐天「お、落ち着いて初春!もう走ってここまで来たの?そこまで急ぐことなかったのに」

初春「だって、佐天さん、ハァ、今日のこと、楽しみにしてたし……」

佐天「その前に初春に倒れられたら元も子もないよ。
 その様子だと、まだ朝ごはん食べてないんでしょ?
 セブンスミストに行く前に、クレープ屋さん寄ってこうよ」
59 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:20:13.00 ID:Uebc2uM0

初春「そうですね。はぁ、私もお腹ペコペコです。
 あ、佐天さんの分も私が出すんだった……」ずぅぅん

佐天「へへー、ゴチになりますッ!ささ、そうと決まれば早く行こう行こう!」

初春「あ、待ってくださいよ佐天さん!」

タッタッタッタッ

佐天「そう言えば夜遅くまで風紀委員の仕事してたって?」

初春「はい、そうなんです。前に御坂さんが言っていたクラスメイトの件なんですけど
 中々足取りがつかめなくて。はぁぁぁー……」

佐天「こら、女の子が大口開けて欠伸なんてしちゃいけません。
 それにしても大変だね。でもこの前『監視カメラの映像を使って足取りを確かめる』
 って言ってなかった?それでも分からないの?」

初春「そうなんです。最後に監視カメラに映っている姿は確認できたんですが
 それから先の足取りが分からないんです」

佐天「つまり監視カメラの映像に映らない場所に行った、ってことだよね」

60 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:28:21.28 ID:Uebc2uM0

初春「そうなりますね。学園都市にも監視カメラの死角をゼロにすることはできませんから。
 それに御坂さんのクラスメイト以外にも、行方不明になる学生が増えてきてるみたいなんです」

佐天「『失踪』の流行か……。ねえ初春、これって本当に『家出』なのかな?」

初春「分かりません。それについては風紀委員でも意見が分かれてるんです。
 確かに失踪者はみんな友達関係や学校のこと
 自分の能力のことで悩みを抱えてたみたいなんですけど
 『家出』するほどのものかって言われると……」

佐天「そもそも学園都市の学生ってほとんど学生寮で暮らしてるわけだから
 あんまり家出する意味がないよね。常盤台の寮みたいな所だと違うのかも知れないけど」

初春「そうですよね。
 それに失踪者が出始めてからそろそろ一週間経ちますけど
 まだ誰も見つかっていないのも気になります。
 近々風紀委員と警備員の合同対策本部が設置されるんじゃないかって
 固法先輩が言ってました」

佐天「家出だったら人騒がせ話だよね。いくら周りに家族がいないっていっても
 友達や先生、初春たちみたいな風紀委員にも迷惑をかけてるし」

初春「私たちの場合はそれも仕事のうちですけどね。本当にただの家出だったらいいです」
61 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:33:49.41 ID:Uebc2uM0

佐天「私はぜっったい家出なんてしないよ!もうみんな迷惑をかけるのは嫌だしね……」

初春「佐天さん……」

トコッ、トコッ、トコッ

初春「そうですよ。佐天さんには一杯迷惑かけられてきましたから。
 そろそろ私が佐天さんに迷惑かける番です」

佐天「おぉ、言ったな初春!初春にも家出するくらいの悩みがあるんだ?」

初春「そりゃあ私にも悩みくらいあります!
 固法先輩はガミガミ五月蝿いし、白井さんは変た……ちょっとおかしいし。
 そういう佐天さんには悩みあるんですか?」

佐天「もちろん!私は花も恥じらう乙女なんだよ!悩みの一つや二つ――」

初春「へー、乙女な佐天さんにはどんな悩みがあるんですか?恋の悩みとか?」

佐天「こ、こここ、恋ッ!?そ、そんなのあるわけないじゃん!!」

初春「そうですよね。佐天さんは『花より団子』って感じですし。
 食べたいものが多すぎていつも悩んでるんじゃないですか?」
62 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:40:29.31 ID:Uebc2uM0

佐天「うーいーはーるぅー……。それはちょーと聞き捨てならないなぁ。
 初春におごってもらうクレープ、一個追加だねこれは」

初春「冗談ですよ、佐天さん。それにそんなに甘いもの食べると太りますよ」

佐天「むぅー。どうせ私は食べ物のことしか頭にありませんよー」

初春「拗ねないでくださいよ。あ、そうだ。佐天さんに伝えておくことがありました」

佐天「何?大食いチャレンジのお店情報とかじゃないでしょうね?
 私は別に大食いキャラじゃないんだよ」

初春「違いますよ。前に言ってた助けてくれた人が持っていたカードの模様のことです」

佐天「へッ!?ああ、あれね……。そ、それで何か分かったの?」

佐天(一応ステイル君にさっき会ったのは言わないほうがいいかな?
 何か訳ありみたいだったし。
 うん、別にこのカードが本当に爆発しないか怖がってるわけじゃないんだよ)

初春「どうやらあの模様、『ルーン』っていうみたいですね」

佐天「『ルーン』?」

初春「はい、えーと……」ガサゴソ
63 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:44:14.07 ID:Uebc2uM0

ぱか  カタカタカタ

初春「『ゲルマン語の表記に用いられた文字で、ラテン文字が普及するまでは広く使われていた。
 現在では占いや宗教的儀式、呪術などに見られる』とあります。
 その人もお守りみたいな感じで持ってたのかも知れませんね」

佐天「『お守り』……」

佐天(ステイル君が本当に言った通り『魔術』を使う人なのか
 それともあれは『超能力』だったのかは分からない。
 でもこれが『お守り』で、少しだけ私を守ってくれるのは
 本当であるような気がする……)ギュッ

佐天「……ありがとう、ステイル君」ぼそ

初春「何か言いました?」

佐天「ううん、なぁーんにも!!さあ初春、今日は思いっっきり遊ぶよ!
 まずはクレープ屋さんのメニュー全制覇だ!」ダッダッダツ

初春「そ、そんな沢山無理ですよ!私のお金全部なくなっちゃいます!!」タッタッタッ……
64 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:49:54.76 ID:Uebc2uM0

――第七学区、とある廃ビル



ローブの女「それで、今のところ何人連れてきたのかしら?」

黒衣の男「現在一〇人の能力者を奪取することに成功しています」

ローブの女「『奪取』なんて言い方しちゃダメよ。
 あの子たちは自らの足でここに来たんだから。
 それにあの子たちには私たちの輝かしい未来の為に協力してもらわなきゃいけないのよ」

黒衣の男「しかしそろそろ『必要悪の教会』の連中に感づかれるのでは?
 学園都市に侵入したのはおそらくすでに発覚しています」

ローブの女「そんなことは百も承知よ。それに貴方がそれを心配する必要なんてないわ。
 貴方ただ私の言うことを聞いていればいいの。
 そうすれば『完全なる力』をその手にできるはずよ」

黒衣の男「し、失礼しましたッ!!」

ローブの女「それじゃあ早く自分の仕事に戻って。やるべきことはまだまだあるわ」

黒衣の男「はッ!!」タッタッタッ……

ローブの女「フフフ……さて、『必要悪の教会』はどのくらい頑張ってくれるのかしら?」
65 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:55:04.05 ID:Uebc2uM0

――第七学区、とある公園



ガコンッ

上条「すげぇ、今日は普通に出てきた……。不幸じゃない……。
 おい、ステイル、『イカスミカルピス』と『ホットラムネ』、どっちがいい?」

ステイル「なんだその二択は!?もっとましなチョイスはできなかったのか」

上条「せっかく上条さんがインデックスの捕食(?)から救ってくれたお礼に
 ジュースでもおごってやろうというのに。じゃあ『イカスミカルピス』な」ポイッ

ステイル「しかもよりによってこっちか……。まあいい」プシュ

ゴクゴク

ステイル「ッ!?なんだこれは……!
 学園都市でもサマンの呪いを開発していたというのかッ!!」

上条「はいはい、もうそういうリアクションはいいから。
 それで魔術師について何か分かったのか?」
66 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 22:59:20.80 ID:Uebc2uM0

ステイル「……ああ、どうやら奴らはこの街の人間を誘拐しているらしい」

上条「誘拐!?でもそんな派手なことをやれば
 学園都市側に簡単に気づかれるんじゃないのか?」

ステイル「どうやら奴らは魔術でターゲットの行動を操り、『家出』に見せかけているらしい。
 その『家出』が発生した時期も『科学の子』が侵入した時期と一致するし
 まず間違いないだろうね」

上条「その『科学の子』って連中の目的は、『完全なる力』っていうのを手に入れることだろ?
 それとどう学園都市の人間を誘拐することに繋がるんだ?」

ステイル「さあね。『完全なる力』を得るというお題目がどこまで確かなものか分からない。
 科学に疎い魔術師たちに能力者の力を見せることで
 結社の求心力を強めるつもりかも知れない。
 言ってみればただのパフォーマンスの道具に使おうってわけさ」

上条「でもそれなら誘拐された人たちに危害を加えている可能性は少なくなるな」

ステイル「そうだね。そもそも彼らに学園都市を敵に回す理由はないはずだ。
 土御門に確認させたが、誘拐された人間の中にそれなり強い能力者もいるそうだし
 案外すでに自滅しているかもね」
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/22(金) 23:03:05.87 ID:yw10SzUo
しえーぬ
68 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 23:03:37.52 ID:Uebc2uM0

上条「そんな間抜けなオチが待ってたら助けるんだけどな……。
 それにしても土御門の奴、忙しいって言ってた割には仕事が速いな。
 多重スパイの名前は伊達じゃない!ってとこか」

ステイル「いや、土御門にやってもらったのは情報の確認だけだ。
 学園都市で起こっている誘拐については僕自身がつかんだ情報だよ」

上条「はあ?この街の住人でもないお前が
 どうやって学園都市で失踪が起こってるなんて分かったんだよ?」

ステイル「たまたま知り合った学生に聞いてね。この街の人間は総じて警戒感の薄い連中だと
 思っていたけど、案外まともなのもいるものだ」

上条「……ちなみにお尋ねしたいのですが、それは男、なんですよね?」

ステイル「いや、女の子だが?」

上条「んだと!?ふざけんじゃねぇ!!
 こっちは腹ペコのインデックスにマジで食われる5秒前、MK5だったのに
 女の子と仲良くなってた、だと……。リア充爆発しろ!!」

ステイル「なッ!?そ、そういうのじゃない!!今日もたまたま会っただけで……。
 大体そんなことは一番君には言われたく――」

上条「ああ、なんで私上条当麻が出会う女の子は皆噛み付いたり電撃浴びせてきたり
 日本刀アクションゲームに引きずり込もうとする奴らばっかりなのでしょう……」ずぅぅん
69 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 23:11:59.05 ID:Uebc2uM0

ステイル「……」

ステイル「奴らの目的が誘拐なら、この街に長居するとは考えられない。早急にケリを付ける。
 土御門の情報から奴らの潜伏先がこの第七学区であることはほぼ確定したから
 魔術の痕跡を辿って潜伏先が見つかり次第一気に叩く。いいな?」

上条「はぁ……分かったよ。で、俺はその潜伏先が見つかるまで待機してりゃあいいんだな?」

ステイル「そんなに時間をかけるつもりはない。いつでも出撃できるようにしておくことだね」

上条「つっても俺の場合、この右手を使う以外に選択肢はないんだけどな」

ステイル「じゃあ僕は潜伏先の探索に戻るよ」

上条「ああ。そうだ、ステイル。今日うちに飯食いに来ないか?
 誰かさんが差し入れてくれた食料が大量にあることだし。
 さすがにあの量なら暴飲暴食暴力の三つそろったインデックスさんにも
 一日で食い切られる心配がないからな」

ステイル「……遠慮しておく。君と馴れ合うつもりはないね」

上条「……そうか。じゃあそっちのほうは任せたぜ」

ステイル「君に言われるまでもない」クルッ

タッタッタ……

上条「男のくせツンデレかよ。律儀に頼みを聞いてくれてる時点すでに馴れ合ってんじゃん」
70 :嘘予告! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 23:25:02.87 ID:Uebc2uM0

――相次ぐ学生たちの失踪、実しやかに流れる都市伝説……。

初春「『真夜中テレビ』って知ってます?」

――それは、テレビの向こう側に広がる、もう一つの世界。

佐天「いててて……。どこなの?ここ?」

――そこで貴方は、『もう一人の自分』に出会うだろう。

御坂「うるさいッ!!あんたなんて……私じゃない!!」
白井「いけません!お姉様!!」

――そして目覚める、新たな力、『ペルソナ』。

佐天「みんなを守って!『サンダルフォン』!!」

――霧とともに、深まる事件の謎。

打ち止め「♪エブリディ ヤングライフ セブンスミスト♪」
固法「あ、ウニもーらい!」

――君は仲間と共に、事件の謎を解くことができるか?

冥土帰し「ベルベットルームへようこそ」


次回、佐天涙子に新たな力、『ペルソナ』が覚醒する!!(しません)
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/22(金) 23:30:01.68 ID:uCCAz6so
あると思います!
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/22(金) 23:31:19.09 ID:q0ZIoMYo
続き待ってます
乙!
73 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/22(金) 23:33:36.86 ID:Uebc2uM0
というわけは今回は以上!予告はただのノリで作ってみました。
ペルソナ、面白いよね!

お気づきの方もいると思いますが、このSS、かなり先が長いです。
現在投下した分が2万字弱で、最終的には20万字以上になるんじゃないかと思うので
まだ10分の1も消化出来ていない感じですね。

ちなみに三部構成を予定していて、今は第1部の3分の1くらいかな?

まだまだ先は長いけど、気長にお付き合いしてくれると、嬉しいな♪(インなんとかさんっぽく)
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 00:11:57.73 ID:kieyOAAO
嘘予告で美琴が真夜中テレビに行く未完SSのこと思い出しちまったわ
これの続きも気になるがあっちも最後まで読みたかったわ
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 02:01:27.26 ID:DU/5Nsso
どうしても言いてぇことがあるんでよぉ
これだけは言わせてもらうぜ?


wktk
76 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 15:29:21.80 ID:1fUNdfs0
実はステイルって、禁書の中ではすごく好きなキャラってわけでもなかったんだよね。
でもこのSS書き始めてから、ステイルの活躍を見ると何かドキドキする!
このSSの佐天さん目線で観てしまうゼ!!

3話見たけど、炎剣ってあんな形状なんだね。メモメモ……。

折角の休日は有効活用!18時くらいから投下しますよー。
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 16:09:40.70 ID:SO6q0KA0
MK5…
>>1の年代が分かってしまう…
78 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 18:30:36.82 ID:fN.Vkp60
>>77
いやーまだまだ若いっすよ!いやホント!

そんな>>1が一番好きなラブコメ漫画は『らんま1/2』です。
高橋留美子先生、早くらんまの続きを書く作業に戻るんだ!!

では投下していきますー。
79 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 18:34:25.86 ID:fN.Vkp60

――第七学区、ゲームセンター『ACQUA Back」前



佐天「いやぁー、今日は久々に思い切り遊んだなぁ!」

初春「そうですねー。それのおかげで財布はかなり寂しくなっちゃいましたけど」トホホ

佐天「何言ってんの初春、人生は楽しまなくちゃ損!!まだまだ若いんだからさ」

初春「佐天さんなんかオバサン臭いです。
 それにしてもひどいですよ!
 チーズチョコバナナ明太子クレープなんてゲテモノ食べさせた上に
 昼食であんなメニュー頼むなんて……」

佐天「♪明太子パスタにチーズリゾット、ドルチェピッザはバナナのせ〜♪
 また食べに行こうね!」

初春「絶対に嫌です!!
 うッ……今でも私の口の中で世界のまずさが競い合うように地獄の交響曲を!」

佐天「冗談だって。さ、今日は十分遊んだし、そろそろ帰るかな」

初春「そうですね。もう完全下校時間も近いですし」
80 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 18:40:28.44 ID:fN.Vkp60

佐天「あぁー、一度でいいからオールでカラオケとかしてみたいなぁ。
 完全下校時間過ぎたらお店はもちろん交通機関まで止まっちゃうなんて厳しすぎだよ」

初春「そうですね。大学生の多い第五学区とかなら別かもしれませんけど。
 そうだ!また前みたいにパジャマパーティーやりたいですね」

佐天「そうだね!
 あ、でもこの前みたいに白井さんのスケスケネグリジェは勘弁して欲しいかも」

初春「ですよね。同性でもさすがに目のやり場に困るというか……。
 もう白井さんの“アレ”さ加減には私もついていけません。
 一七七支部の最後の常識人である私がいなくなったら
 あそこはどうなっちゃうんでしょう」はぁ

佐天「(初春が段々毒舌キャラに!?)こ、今度は御坂さんと白井さんも一緒に遊びたいよね」

初春「そう言えば放課後一緒にお茶することはあっても、一日中遊ぶのって最近してないですね」

佐天「そうそう、最近御坂さんって妙に忙しそうにしてない?
 もしかして御坂さんに彼氏がいるって噂、本当なのかな?」

初春「その話、白井さんの前では絶対にしないでくださいね。
 『アノルイジンエンガー!!』って当然叫び始めますから。
 でも御坂さんなら彼氏がいてもおかしくないですよね。
 レベル5でお嬢様で、その上可愛いなんて、モテないはずがありません!」

佐天「でも御坂さんが彼氏とイチャイチャしてるところなんて想像できないよね。
 なんと言ってもツンデレだし」
81 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 18:46:41.10 ID:fN.Vkp60

初春「んー、ああいうタイプの素直になれない女の人って
 男の人はちょっと苦手だったりするんでしょうか?」

佐天「何言っての初春、ツンデレは世界の正義だよ!!ジャスティスだよ!!
 ツンデレに萌えない男などいるだろうか?いやいるわけないッ!!」グッ

初春「どうしたんですか佐天さん!?なぜいきなりそんな主張を」

佐天「いやあ、天の声が突然聞こえてきてね……。あ、私晩ご飯の買い物して帰るから」

初春「そうですか。じゃあ私はこっちなので。
 あ、そうだ佐天さん、この前みたいに危険なことに首を突っ込まないでくださいよ。
 御坂さんみたいに、あっという間に悪い奴らを蹴散らしたりなんてできなんですから」

佐天「もう、初春は厳しいなぁ。分かってるって。じゃあまた明日、学校でね」

初春「はい、また明日」タッタッタッ……


佐天(いやあ、今日は遊んだ遊んだー。
 まあ、私の方も今月の生活費は心許ない感じになっちゃったけど……)タッタッタッ

佐天(でも御坂さんに彼氏か……。それが本当だったらどんな人なんだろう?
 きっと年上だよね。意外に御坂さんって子どもっぽいところあるから
 そういう部分を受け止めてくれる男の人に惹かれるんじゃないかって
 ルイコはルイコは推測してみる)
82 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 18:52:10.24 ID:fN.Vkp60

佐天(でも御坂さんツンデレだからなぁ。きっと自分の気持を素直に出せてないんだろうな。
 しつこく言い寄られてる男を諦めさせるっていう名目でデートに誘ったり
 罰ゲームって言って携帯のカップル契約してたりしたら面白いなぁ……。
 ってこれじゃあ付き合ってなくない?片思い?)

佐天(ああ、私も恋したいなぁ。もう中学生なんだもん。恋愛くらいしなくちゃね!
 でも私これまでモテたこととかないしな。女子力低いのか?
 まあ、いつも友達のスケートめくってる女の子っていうのもちょっと考えものだよね……)

佐天(よーし、これを機にイメチェンでもしてみようかな。
 はッ!ツンデレは正義!なんだから私もツンデレキャラになればいいんじゃん。
 『あ、あなたのためにスカートめくってるわけじゃないんだからッ!』
 あれ?なんか違う?)

佐天(とりあえず形から、髪型をツインテールにでもしてみるか。
 いや、それだとツンデレじゃなくて変態淑女に――)

ドン

佐天「キャッ!?」

「あら、ごめんなさいね」
83 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 18:56:15.61 ID:fN.Vkp60

佐天「い、いえ!?こちらこそすいません!」ぺこり

佐天(あー、妄想のせいで前見てないなんて……。妄想力だけはレベル5だよ。
 気をつけなきゃ)タッタッタッ

「ねえ貴女」

佐天「は、はい?」

佐天(なんだろうこの人。外国の人?服もなんだか古めかしいっていうか……)

「貴女はどこの魔術師さんかしら?」

佐天「えッ!?ま、魔術師?」

「貴女からは僅かだけど魔力を感じるわ。
 それで魔術師じゃないなんて言い逃れは難しいと思うけど。
 でもその様子だと戦闘向きの魔術師ってわけでもないみたい。諜報担当かしら。
 私たちのことでも探っていたの?」

ズズズ

佐天「ち、違います!!何のことですか?私は魔術師なんかじゃ――」

佐天(どういうこと!?魔術師って!?この人もステイル君みたいな魔術師なの?
 でも何で私が……)
84 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:01:25.65 ID:fN.Vkp60

「そんなに動揺しちゃって……。とっても可愛いわ、貴女って」ズズズ

佐天(ゾクッ!!)

佐天「わ、私急いでるので!!」ダッダッダ

「あら、そんなに急いでどこに行くの?」

佐天(逃げなきゃ!!よく分からないけど、この人は何かヤバい!!)

ローブの女「貴女は私と一緒に来てもらうのよ?」スッ

佐天「!?」

ドンッ!!

佐天(う、しろから……たす、けて……)ドサッ

ローブの女「ウフ……」

黒衣の男  ズズッ

ローブの女「連れていきなさい」

黒衣の男「は!!」
85 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:10:59.61 ID:fN.Vkp60

――風紀委員一七七支部



白井「あーーッ!!だめですわ、何も分かりませんの!!」ドサッ

御坂「うーん、ここまで調べて何も分からないなんて」

白井「失踪する直前の映像をいくら調べてみても、失踪者に不審な動きはありませんし
 失踪者に共通する要素もすべて第七学区で起こっているということ以外に見当たりませんの。
 お姉様、やはりこれは単なる家出なのではないでしょうか?」

御坂「ここまで何もないとそう考えたくもなるわね。でも……」

白井「そうですのよね、家出をするには動機が弱すぎますの。失踪者の周りの人に聞いても
 失踪者が抱えていた悩みは誰もが一度は抱きそうなものばかり。
 確かに悩みなんて人によって捉え方が違うものですが
 それならとっくに学園都市は家出した学生で溢れかえっていますわ」ぐでー

御坂「そうよね。何か明らかにおかしいのは分かってるんだけど
 その証拠がまるで見つからないって感じ……。
 あ゛ぁーー!!なんかこう、イライラする!!」ビリビリ
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 19:15:56.23 ID:lybkdaUo
ステイル・・・お前のカードのせいで左天さん拉致られたぞww
87 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:16:11.84 ID:fN.Vkp60

白井「このままでは黒子もストレスで失踪してしまいそうですの!
 お姉さまぁーん♪ここはお互いのストレスを解消するためにスキンシップを!!」

御坂「いきなりあんたは何言ってのよ!!」

白井「何を仰りますのお姉様!これは、ハァ、やむを得ず行う緊急手段ですわ!
 肌と肌を通わせることによって、ハァ、リラックス効果が、ハァ
 得られることは、ハァ、科学的に証明されてますのよ、ハァハァ。
 さあお姉様!!ハァハァ、黒子と抱きしめるという会話をッ!!」

御坂「ハァハァ気持ち悪いのよッ!!だ、か、ら、勝手に抱きつくな!!」バリバリ

白井「ああぁぁーんッ!!この電撃でお姉様のストレスが解消されるなら本望ですわ!!
 それに私まで気持ちイイなんて、これはなんという永久機関ですの!!」

御坂「いい加減黙りなさい!!」バリバリ

白井「ああぁぁーーんんッ!!ストレスフリーですの!!」

固法「五月蝿い!!こっちまで気が散る!!」バンッ

白井御坂「す、すいません……」
88 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:19:23.25 ID:fN.Vkp60

固法「あー、ほんとイライラするー!飲まなきゃやってられないわ」ゴクゴク

御坂「固法先輩、今日牛乳何杯目?」ヒソヒソ

白井「分かりませんが、足元に4つほど武蔵野牛乳のパックが落ちていますわ。
 もう完全に牛乳ジャンキーですの」ヒソヒソ

固法「あぁ!?あんだって?」ギロリ

白井「な、何でもありませんの……(完全にスキルアウト時代に戻ってますわ)」

ガチャ  ドン!

初春「し、白井さん!!大変ですッ!!」

白井「どうしましたの初春!?そんなに慌てて」

御坂「何かあったの?」

初春「佐天さんが、佐天さんが……」

白井「佐天さんがどうかなさったのですか?」

初春「佐天さんが行方不明なんです!!」
89 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:23:32.29 ID:fN.Vkp60

白井「な、なんですって!?」

御坂「そんな!?行方不明って、もしかして例の……」

初春「さ、佐天さん……佐天さん……!!」オロオロ

白井「ひとまず落ち着きなさい初春!固法先輩!!」

固法「分かったわ。
 とりあえず他の風紀委員支部に佐天さんの情報を掴んでいないか問い合わせてみる」ガチャ

御坂「それにしても、佐天さんまで……」

白井「初春、行方が分からなくなる前の佐天さんはどんな様子だったんですの?」

初春「は、はい?」

白井「何かに思い悩んでいたとか、何か思い当たることはありませんの?」

初春「……白井さん、それってどういうことですか?」

白井「いや、だから佐天さんが自ら姿を消すような理由はあったのかと――」

初春「佐天さんは自分からいなくなったりしません!!」

固法白井御坂「!!」
90 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:27:52.98 ID:fN.Vkp60

初春「佐天さんはそんなことしません!!絶対にありません!!
 昨日も言ってました。絶対家出なんてしないって、みんなに迷惑かけるのが嫌だからって!!
 だから、わたし、佐天さんがまた、事件に巻き込まれたんじゃ、ない、かって……。
 うッ、うッ、うー……」ボロボロ

白井「う、初春……」

固法「……」

御坂「……ごめん、初春さん。私たち、佐天さんのことほんの少しだけど疑っちゃった。
 似たような事件が続いてたせいもあるけど、信じてあげられないなんて
 友達失格だよね。本当にごめんなさい」ぺこり

初春「……グスッ」

白井「ご、ごめんなさい、ですの」ぺこり

初春「いえ、いいんです。信じて、くれれば……」グスッ

白井「よ、よく考えれば佐天さんは強い子!
 ちょっとやそっとで家出するような方ではありませんでしたわ」

御坂「じゃあ、何かに巻き込まれって、こと?」

初春「佐天さん、大丈夫なんでしょうか?」

固法「ええ、はい、そうですか、そちらのほうでも情報は……はい……」

白井「この様子では、芳しい情報はなさそうですわね」

御坂「……でも突然の行方不明と情報量の少なさ。
 やっぱり一連の事件と同じ――」

固法「なんですって!?」

初春白井御坂「!!」
91 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/23(土) 19:36:04.04 ID:fN.Vkp60
というわけは、何か妙に気になるところで今日は以上!
別に引っ張りたかったわけじゃなくて、分量の関係でね。

明日来れない……かも?月曜日には確実に!
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 19:37:24.09 ID:QlH17.wo
おつ
めくるのはスケートじゃなくスカートにしてくれww
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 21:13:56.82 ID:DU/5Nsso
佐天「ふ、不幸だ…」
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 22:02:51.94 ID:kieyOAAO
ステイルの奴まさか佐天さんをブービートラップに利用したんじゃ
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/24(日) 07:39:56.05 ID:5J9msdso
ステイル、佐天さんを餌に釣りか。
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/24(日) 10:24:21.84 ID:GDxQPh6o
Bad luck scarecrow
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/25(月) 04:02:35.51 ID:jZ75PcSO
リアラ「いたた……ここは?」
金城「ヒャッホゥ!なんだお前はぁ!ヒャッホゥ!!」
リアラ「え、え、え!?」

ロニ「カイル!危ねぇっ!!」
強力若本「しぃねぇぇぇい!!」
カイル「わっ!うわっ!?」
斗貴子「臓物をぶちまけろ!!」
強力若本「紳士的に撤退ぃ!」

リアラの時空移動で入れ替わった二人、果たして元の世界に戻れるのか!?


番外編
ブラックウィドー「ピカチュウの真似します!」
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/25(月) 04:03:09.02 ID:jZ75PcSO
ひどい誤爆
無視してくれ
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 04:17:15.09 ID:GZm6lFMo
もうなにがなんだか…
100 :あ゛ぁ!! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 18:09:28.60 ID:FNcPBBM0
>>92
間違えた……。誤字です、すいません!!
スケートめくりってなんだよ、ゲッター3の大雪山おろし的な技なのか?

19時頃から投下していきますよー。その前にメシだ!
101 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:21:35.47 ID:fkyu.aY0
では投下していきます!
102 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:23:27.70 ID:fkyu.aY0

固法「そんな!!でも、何で……!はい、はい……分かりました」ガチャ

白井「どうしたんですの?」

固法「……とりあえず佐天さんに関してはどの風紀委員支部も情報を持ってないみたいだわ。
 それともう一つ、近日中に発足される予定だった
 風紀委員と警備員合同の連続失踪事件対策本部は見送りになったみたい」

白井「どういうことですの!?事件にしても家出にしても
 何からの対応策を取るべきですのに!」

固法「分からないわ。
 風紀委員と警備員で対策本部を作ることはほぼ決まっていたみたいなんだけど
 どうやら学園都市上層部から横槍が入ったみたい。
 証拠不十分だから、そんなことに労力を割く必要はないって」

白井「そんな馬鹿なことがありますの!現に学生が行方不明になってますのよ!!」

固法「私に聞かれたって分からないわよ!!」

初春「佐天さん……」グスッ

白井「どうすればいいんですの……」

御坂「……」
103 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:31:41.50 ID:fkyu.aY0

御坂「……やっぱり佐天さんの失踪は、連続失踪事件と関係あると思う」

初春「ッ!!だから佐天さんは自分からいなくなったりなんて――」

御坂「そうじゃない。連続失踪事件も家出じゃないんじゃないかってこと」

白井「失踪した全員が何かの事件に巻き込まれたってことですの?」

御坂「いくら状況がはっきりしないっていっても、これだけ失踪者が連続するのはおかしいわ。
 黒子、今何人の人が行方不明になってるんだっけ?」

白井「えーと、現在のところ10人、佐天さんを入れた場合11人になりますわね。
 それもすべてここ一週間ほどのことですの」

御坂「この短期間にこの人数、家出する理由があったっていってもこの状況は説明できない。
 それによく考えみれば私のクラスメイトだった家出なんかしたとは思えない。
 確かに自分の能力のことで悩んでいたけど、あの子だって突然いなくなって
 みんなに心配なんてかけたくなかったはずよ。佐天さんと同じように、ね」

初春「御坂さん……」

初春  ゴシゴシ

初春「私、この事件のこともっと調べてみます。そして佐天さんを見付け出してみせます!」

104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 19:32:18.95 ID:jSswmWAo
待ってた紫煙
105 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:39:13.73 ID:fkyu.aY0

白井「しかしどうするんですの?対策本部が見送りなったということは
 事実上これ以上この件に口を突っ込むなという、学園都市上層部の警告。
 そもそも捜査ができないのならば、手の出しようがありませんわ」

初春「……」ジー

白井「ど、どうしたんですの初春?」

初春「……白井さん。白井さんって、月平均何枚始末書を書いてるんでしたっけ?」

白井「何なんですのいきなり。それは、まあ……月に、6枚くらいは……」

初春「その白井さんが少しくらい捜査妨害が入ったからって諦めるんですか?
 その始末書だって『己の信念に従い、正しいと感じた行動をとるべし』っていう
 言葉の通り動いた結果じゃないんですか?
 その言葉は、私が勇気づけられた言葉は嘘だったんですか!!」

白井「う、うぐッ……。初春のくせに言いますわね。
 ……仕方ありませんわ。この白井黒子
 そこまで言われて動かないほど野暮な女ではありませんの!」
106 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:43:54.44 ID:fkyu.aY0

初春「それでこそ私の知ってる白井さんです!!じゃあ私は監視カメラの映像から
 昨日私と別れた後、佐天さんがどうなったか調べてみます」カタカタ

白井「分かりましたわ。それでは私はもう一度その他の失踪者の
 失踪直前の映像を確認してみますの」カタカタ

固法「じゃあ私は対策本部見送りについてもっと調べてみる。
 乱雑開放(ポルターガイスト)事件の時に協力してくれた警備員の人に訊けば
 何か分かるかも知れない」ガチャ

御坂「よーし、じゃあ私は……。そうだ、しらみ潰しにスキルアウトを縛り上げて情報を――」

白井「お姉様。くれぐれも無茶な真似は謹んでくださいまし。
 お姉様が面倒事を起こされても
 今の黒子にはフォローするだけの余裕がありませんの」カタカタ

御坂「面倒事って!?そんな言い方しなくても――」

初春「御坂さんはここでおとなしく待っていてください。お願いします」カタカタ

御坂「……はい」

固法「御坂さん、牛乳切れてるから、ちょっと買ってきて」

御坂「それはお断りします!」

固法「oh…」
107 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:49:07.34 ID:fkyu.aY0

御坂(それにしても何なんだろう、この事件。
 失踪者同士に、性別、年齢、学校、もしくは能力の共通点はなし。
 あるとしたら第七学区ってくらいだけど、失踪者はみんな学生だから特に意味はない。
 それに監視カメラで確認できた失踪者がいなくなる直前の様子にも
 不自然なところはなかったし……。
 ……ということは、もしかして――)

初春「佐天さん!!」ガタッ

白井「どうしたんですの!?」

初春「こ、これ!昨日私と別れた後の佐天さんが映っている監視カメラの映像です!
 さ、佐天さんが……!」

白井「なッ!?」

御坂「ちょっと、そんな……」

御坂(女の人と話してた佐天さんが突然倒れて、後ろにいた男に連れ去られてる……!)

固法「これって……」

白井「れっきとした誘拐事件ですわ!!」
108 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 19:59:13.94 ID:fkyu.aY0

御坂「そうね。この映像からではよく分からないけど
 後ろの男が佐天さんの気を失わせたようにも見えるわ」

初春「そんな、佐天さん……」

御坂(あれ、この女の人……)

御坂「分かった!!」

白井「どうしたんですの!?」

固法「御坂さん、何が分かったの?」

御坂「佐天さんの誘拐とこれまでの誘拐事件の共通点ですよ!
 黒子、私のクラスメイトが映ってる監視カメラの映像出してもらえる?」

白井「えーと、失踪直前の様子ですから……五日前の午後七時の映像でよろしいんですの?」

御坂「ううん。その数時間前、確か午後五時頃、屋台のたい焼き屋さんに立ち寄ってる時……
 そう、あの子が五〇名様限定『およげゲコ焼きくん』ストラップをもらってる時の様子よ!!」

初春「……」

固法「……」
109 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:05:36.35 ID:fkyu.aY0

白井「……お姉様、私の記憶が確かなら
 佐天さんには、お姉様のようなお子様じみた趣味はなかっと思いますが……」

初春「……酷いです御坂さん。私たちがこんなに佐天さんのことを心配しているのに……。
 こうなったら以前のお泊り会の時に撮った御坂さんのあられもない姿の写真を餌に
 学園都市の男共に佐天さんの捜索に協力してもらいます……」

御坂「ち、違うって!!私が言いたいのはそのことじゃないの!
 ゲコ太は重要じゃなくて、いやもちろん私的には重要だけど……
 大体なんであの子あの日たい焼き屋さんで限定ゲコ太グッズが配られてるって
 教えてくれなかったのかしら?同じゲコ太ファンなら情報を共有しあうのは当然でしょ?
 なんで独り占めしたがるの『およげゲコ焼きくん』なんて私も欲しいに決まってるじゃん
 そりゃあ私だって一〇〇個限定彦根城コラボ『ゲコにゃん』を散々自慢しちゃったけど
 別に仕返しすることないんじゃ……」

初春「『二時間以内にこの子(.jpg)を発見できたら
 レベル5第三位『超電磁砲』のエロ写メうp』……」カタカタ

御坂「ご、ごめんなさい!!そうじゃないの!ちょっと黒子、早くその時の映像出してよ!!」

白井「りょ、了解ですの」カタカタ

タンッ
110 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:09:51.71 ID:fkyu.aY0

初春「これは……!」

白井「お姉様のクラスメイトの後ろに、佐天さんと話していた女が!!」

御坂「あの女、どこかで見たことがあると思ったのよ。
 こんなこの街ではなかなか見ないローブを羽織った女なんて余計に印象的だし」

白井「失踪直前の行動に気を取られていて気付きませんでしたわ。
 今回ばかりはお姉様のお子様趣味のおかげと言わざるを得ませんの。
 お姉様はこの時の映像、食い入るように見つめていらっしゃいましたものね」

御坂「い、今はいいじゃないそんなこと!
 初春さん、他の失踪者についても最後の映像の数時間前のものを確認してもらえない?」

初春「分かりました。やってみます」カタカタ

白井「しかしこの女は何者ですの?偶然お姉様のクラスメイトの映像に映っていたとも思えませんが」

御坂「私たちはこの事件を失踪者に共通点がなかったから
 『家出かそうでないか』っていう視点でしか考えてなかった。
 そうじゃなくてこの連続失踪事件が家出でも
 外出中に偶然何かの事件に巻き込まれたのでもないとしたら?」
111 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:16:58.07 ID:fkyu.aY0

固法「連続誘拐事件……。おそらくこの女は精神操作系の能力者で
 失踪者に能力を掛け、後で調べられても分からないように
 数時間後に彼らをどこかへ連れていった。能力を掛けて操作している彼らの足で」

白井「不覚ですわ。『学生が短期間に多数している失踪している』という事実だけ見れば
 誘拐事件だと気付けそうなものですのに……!」

御坂「この事件に関わっている人たちにはどうしても
 『家出するほどではないが失踪者は悩んでいた』っていうことが頭から離れなかった。
 それがこの事件を複雑にしていたのよ。
 この女やその仲間が能力でそれを知ったのか、それとも自分たちで事前に失踪者たちに
 ついて調べていたのかは分からないけど、まんまとしてやられたわ」

固法「これはもう学園都市上層部がどのこうのって問題じゃないわね」

御坂(学園都市上層部がこの件について手を引くように警告しているのだとしたら
 上層部もこれを黙認してるってこと?あの絶対能力進化計画、妹達の時みたいに……。
 させない!あんな酷いことは、もう二度と、絶対に……!)

初春「確認しました!四日前に失踪した中学二年生の男子学生と
 三日前に失踪した高校一年生の女子学生の、失踪する数時間前の映像に
 そのローブの女の姿を見つけました!」

御坂「決まりね。ローブの女が今回の連続失踪
 いえ連続誘拐事件に関わっってるのは間違いないわ」
112 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:20:24.59 ID:fkyu.aY0

白井「そうですわね。早急に誘拐された学生たちの居場所を見つけなければ。初春!」

初春「はい!これが精神を操作された上での誘拐事件なら
 誘拐された学生の最後の映像から、彼らが向かったおおよその場所が特定できるはずです。
 そこが誘拐犯の拠点
 もしくは誘拐した学生たちを移動するための場所のはずです」カタカタ

白井「場所が特定でき次第、私が現地に向かいますわ。お姉様は――」

御坂「黒子、お願い。私も連れて行って」

白井「お姉様、何度も言いますがこれは風紀委員の仕事で――」

御坂「分かってる。でも私だってじっとしてられない。私のクラスメイトや佐天さんが
 酷い目にあってるかも知れないっていうのに、ここで待ってるなんてできない」

白井「……お姉様」

固法「そうね。御坂さんには白井さんに同行してもらったほうが助かるわ」

白井「固法先輩!?」

固法「今のところ連続失踪事件としては風紀委員も警備員も動けない。
 それに佐天さんたちを誘拐した犯人の実力も規模も未知数。少しでも戦力は欲しいわ」

御坂「お願い、黒子!」
113 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:28:30.11 ID:fkyu.aY0

白井「……はぁ。分かりましたわ。今回は特別にお姉様にも捜査に協力していただきますの」

固法「これは捜査じゃないわ。殴りこみよ。
 今でも私たちがこの事件に対してアクションを起こせないのは変わらないもの」

白井「『殴りこみ』って……。まるでスキルアウトのようですわね」

固法「風紀委員としてのルールが適応できない以上、これは無法者のやってることなのよ。
 私も適当に嘘を並べて、現地に風紀委員と警備員が出動されるようにやってみる。
 さすがに目の前で異変が起これば、見逃すことはできないでしょ?」

御坂「そんなことしたら、固法先輩は故意に虚偽を報告したってことで
 罰を受けるんじゃ……!」

固法「そのくらい責任は持つわよ。もちろん、貴女たちが殴りこみをかけるっていう
 『私の命令に従った』行為についてもね」

白井「……固法先輩。
 まあ『捜査』であれ『殴りこみ』であれ
 『己の信念に従い、正しいと感じた行動をとるべし』という言葉
 私の正義(ジャッジメント)は変わりませんが」

御坂「カッコつけちゃって」クスッ

白井「戦いに赴く前に口上を述べるのは淑女の嗜みですのよ、お姉様」
114 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:33:25.70 ID:fkyu.aY0

初春「場所、特定できました!第七学区……地区です!
 そこに今は使われていない廃棄された建物が多数あります」

白井「お姉様!」

御坂「ええ、行くわよ、黒子!!」

白井「はいですの!初春、貴女はここに残ってバックアップを」

初春「わ、私も行きます!!」

白井「……そうさせてあげたいのはやまやまですが
 犯人の居場所も目的も曖昧な今の状況では
 常に情報を収集、分析して私たちを支援するバックアップは必要不可欠ですの。
 初春、貴女の戦場はそこではなくて?」

初春「…分かりました。白井さん、御坂さん、あの……」

御坂「大丈夫。佐天さんは絶対に無事に連れて帰ってくるから」グッ

御坂(そうよ。もう二度とあんなことは起こさせない。私が絶対に止めてみせる!!)
115 :1 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/25(月) 20:42:31.39 ID:fkyu.aY0
今回は以上!そろそろ投下した量も多くなってきたので、矛盾とか発生してないか心配……。

スレも100を超えて、読んでくれてる人も増えてきたんじゃないかと思います。
感想や質問、要望があれば気軽に書き込んでください!!
ストーリー自体はほとんど決まっているので、「こんな展開にしてくれ!」、「このキャラを出してくれ!」っていうのは難しいですが……。
そこはすいません。

次の投下は多分水曜日!
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 21:19:23.24 ID:UmvaupMo
乙です
もうステイルの出番無しっぽいなwww
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 22:02:29.05 ID:A2gml/wo
俺は逆に御坂達が駆け付けた時には既に終わってるっぽいと思ったわ。
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 22:28:56.18 ID:z4a8dAAO
お疲れ様です。楽しんで読ませて貰ってます。
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/25(月) 22:39:43.96 ID:HGzqcQEo
おおっつーの
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 23:09:43.61 ID:CJILBsAO
お疲れ様! 体中を光沢に輝かせて待ってる
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 23:35:58.50 ID:MK0S.jko

佐天さん!佐天さん!佐天さん!佐天さんんんぅぅうわぁああああああああああああああああああああああん!
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 00:49:09.09 ID:ju8ouv6o
すているにきたい
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 06:55:27.36 ID:PAljsQSO
佐天さんの見せ場があるのかどうかが気掛かりだ
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/26(火) 07:05:38.41 ID:CD8v5gco
もしかして一方×佐天書いてた人?
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 07:37:34.35 ID:vN5uKJ6o
そんなのたくさんあるだろ…
126 :うおぉ!! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 16:57:35.91 ID:wA1Jvzo0
製作速報 禁書SSまとめwikiに載っとる!!管理人さんありがとう!!
てかこれは管理人さんが載せてるんだよね?

管理人さんは熱烈なステイルファンなのだろうか?
大丈夫!このSSでステイルはかなり活躍します。次の投下ではステイルが『四式 刹那』を会得するシーンが一番アツイですよ(えー)

>>124
どの一方×佐天SSかは分かりませんが、>>1はSSを書くのは初めてなので別人です。


宣言をフライングして今日投下します!というよりも、よく考えたら明日は来れませんでした……。
投下は多分21時頃から!
127 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:18:31.43 ID:6ZiDD2s0
予告通り投下していきます!今回は内容地味だな……。
128 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:20:49.71 ID:6ZiDD2s0

――第七学区、とある廃ビル



佐天弟『姉ちゃん超能力者になるの?カッケー!』

佐天『へっへーん!』

佐天母『涙子、お母さん今でも反対なんだからね』

佐天父『アッハッハ、母さんは心配性だからな』



佐天母『頭の中いじられるなんて、やっぱり怖いわ』

佐天『全然そんなことないって』

佐天母『はい。お守り』

佐天『うわぁー、非科学的……』

佐天母『何かあったら、すぐ戻ってきていいんだからね。
 貴女の身が、なにより一番大事なんだから』

………
……

129 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:26:18.99 ID:6ZiDD2s0

佐天(ごめん、お母さん。私結局超能力者になれなかった。
 あんなに心配して、あんなに期待して、あんなに大切に私のこと思ってくれたのに……。
 ごめんさい、お母さん……)

佐天「お母さん……」ツー

「あら、お目覚め?」

佐天「えッ?」

佐天(あれ、何ここ?私なんでこんなところにいるの?)

「おはよう、見知らぬ魔術師さん」

佐天「なッ!?」バッ

ローブの女「ウフフフ。悲しい夢でも見ていたの?目が真っ赤だわ。
 ママに叱られる夢でも見ていたのかしら」

佐天「えッ?……あッ!?」ゴシゴシ

ローブの女「ウフッ。本当に貴女ってとっても可愛いのね」

佐天「あ、貴女誰なんですか!?それにここって一体どこ?」
130 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:32:38.83 ID:6ZiDD2s0

ローブの女「質問は一つずつにしてもらいたいわ。
 『急いては事を仕損じる』と日本では言うのではなかったかしら?
 ……まずここがどこかという質問だけど、私もよく知らないの。ごめんさい。
 学園都市については最大限調査してきたつもりだけど
 さずがに今は使われていないビルの名前までは知らないわ」

佐天(どういうこと?この人学園都市の人間じゃないってこと?)

ローブの女「それともう一つの質問。私は誰か、って質問ね。
 私は『魔術師』よ。貴女と同じ、ね」

佐天「ま、魔術師!?」

ローブの女「正確に言うなら魔術結社『科学の子』の代表というべきかしら」

佐天(魔術結社?『科学の子』?何言ってるのこの人?)

ローブの女「それじゃあ質問には答えたから、今度は私から質問してもいいかしら。
 貴女はどこに所属する魔術師なの?」

佐天「だから違います!私は魔術師なんかじゃありません!!」

ローブの女「意外と強情なのね。でもこの状況でまだ言い逃れしようなんて。
 おおよその見当は付いているから問題はないのだけど」
131 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:39:17.82 ID:6ZiDD2s0

佐天「だから違うって……!それよりも私をどうするつもりですか?
 こんなことをしてもすぐに風紀委員が――」

ローブの女「でも少し変なのよね。確かに貴女からは魔力を感じるけれど
 それは貴女が生み出したものとは違うような気がする。
 そう、他人の魔力を持ってきてしまっているような。

 でも全くの素人が魔術と関わっているとは思えない。
 この子の格好がいくら学園都市の学生そのものであっても
 それを額面通り受け取ることは難しい……。

 フフ……ごめんさいね。ちょっと無粋だったかしら。
 私の魔術の特性柄、人の発する“印象”に敏感なの」ズズズ

佐天「な、なんですか……。だから私は、魔術なんかじゃないって……。
 こ、来ないで!!」ザザザ

ローブの女「心配しなくていいのよ。別に危害を加えようってつもりはないの。
 ただ貴女の記憶を少しだけ覗かせてもらうだけ。ただそれだけよ」

佐天「や、やめて……!!助けて!!」
132 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:46:36.58 ID:6ZiDD2s0

ローブの女「ウフフフ……」スッ

佐天(銀細工の……筒?)

カチャ、ポタポタ……

ヌラヌラ……キラッ、キラッ

佐天(水を垂らした手が光ってる!?)

ローブの女「さあ、貴女のこと、教えて頂戴」サッ

佐天「ッ!!」

ボオオォォン!!

佐天「えッ!?ほ、炎!?」

ローブの女「くッ……!ウフフ……そういうことね」グッ

佐天「えッ!?ちょ、ちょっと止めてください!!」ジタバタ

ローブの女  スッ

ローブの女「このカードだったのね。僅かに魔力を放っていたのは。
 ……この術式は、どうやらある程度の魔術を打ち消すためのものみたいね。
 そしてこのルーン……。ウフフ、やっぱり『必要悪の教会』も動いていた……」
133 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:53:22.04 ID:6ZiDD2s0

佐天「ステイル君のお守り……。返してください!!」

ローブの女「ステイル……ステイル=マグヌス。ルーンを使う例の天才魔術師ね。
 いいわ、返してあげる。大切に持っていることね」ヒュッ

佐天「お、わッ!」パシッ

ローブの女「ウフ、それにしてもよりにもよって面倒な人が来てしまったものね。
 貴女、それをくれた魔術師とはどういう関係なの?
 仕事上のパートナー?それとも恋人?」

佐天「ち、違います!!ただ偶然スキルアウトに絡まれたのを助けてもらっただけで……。
 あと、ちょっと、色々話したりもしたけど……」

ローブの女「あら?じゃあ貴女は本当に魔術とは関係ない、学園都市の学生だったのね。
 疑ってごめんなさい」

佐天「いえ、別に……ってそうじゃなくて!!何で私をこんなところに連れてきたんですか!!
 どうするつもりですか!!」

ローブの女「そう言えばまだその質問に答えていなかったわね。
 私たち『科学の子』は、科学と魔術は本来、神が人に与えた知恵という意味で同一であり
 最終的には一つの形、『完全なる力』となるって考えているの。
 そのためにこの学園都市の学生に協力してもらおうと思ったのよ。

 と言ってもその学生たちには少しだけ、強引な手を使ってしまったのだけれど。
 今もこのビルには貴女と同じような学生が10人ほどいるわ」
134 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 21:59:17.53 ID:6ZiDD2s0

佐天「学生を、強引に……。
 もしかしてそれって最近流行ってるっていう、連続失踪事件のこと!?」

ローブの女「そんな風に言われているのね。
 確かに魔術によって自らの足でここに来させたのだから、そうとしか見えないでしょうね」

佐天「ど、どういうことですか?」

ローブの女「不安や不満といった負の感情を通じて精神を操る魔術をかけた……
 ただそれだけのことよ。
 だから今ここにいる学生たちは
 現状に何らかの否定的な気持ちをいだいている子が多いでしょうね。
 本当は貴女にもその魔術をかけようとしたのだけど、驚いてしまったわ。
 普通の学生にしか見えない貴女から、魔力を感じたんですもの」

佐天「不安や不満……そんなの、私には……」

ローブの女「心の中を覗いたわけではないから具体的には分からないのだけど
 貴女にもあるんじゃないの?

 この思い通りにならない世の中への不満が。
 自分より優れた他人への妬みが。
 自分の努力を認めてくれない大人への怒りが。
 才能、素養、それらすべてに対する圧倒的な自分への不安が」

佐天「もう止めてください!!」
135 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:04:19.19 ID:6ZiDD2s0

ローブの女「言ったでしょ?私はそういうのに敏感だって……。
 そうだ、こんな強引な手を使わずに人生相談でもやったほうが
 穏便に沢山の学生が集まったかも知れないわね」ズズズ

佐天  ビクッ

ローブの女「……だって、この街には、負の感情が渦巻いているんですもの」

佐天「ッ!!」バシッ

ローブの女「あら、怒らせてしまったかしら?
 貴女って可愛いから、ついつい意地悪したくなっちゃうわ」

佐天「……一体何なんですか。何かが目的なんですか」

ローブの女「言ったでしょ?『完全なる力』を得ることだって。
 私にはそれしか見えていないのよ。盲者のように、ね」

佐天「……」

ローブの女「それじゃあそろそろ貴女にも、他の学生たちと一緒にいてもらいましょうかね。
 貴女だってそのほうがいいでしょ?」

佐天「いくら魔術なんてものを使っても、絶対に風紀委員や警備員にバレます。
 私の友達が、絶対に私を見つけてくれるはずです!」

ローブの女「あら、お友達を信頼しているのね。素敵だわ、そういうの。
 でもどのようなことが起こったとしても、私の計画を破綻させることはできない。
 ……この子を部屋までお連れして」

黒衣の男「はッ!」ザザッ

佐天「ちょ、ちょっと離して!!痛ッ!待ってってば!!」

ズルズル……

ローブの女「ウフフフ……。面白い子……」
136 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:08:29.00 ID:6ZiDD2s0

――第七学区、とある廃ビルの前



上条「ここか……」

ステイル「ああ、間違いない。このビルを中で、魔術が展開されている」

上条「確かにここなら監視カメラにも映らないな……。
 でも奴らはそれも調べた上でここを使ってたのか?」

ステイル「おそらくそうだろうな。科学と魔術の融合を唱える狂信者どもだ。
 学園都市についても念入りに調査をしたんだろうさ」

上条「そいつらがそんなに熱心に求める『力』って一体何なんだろうな?」

ステイル「それにそのことについて深く考察している暇はない。
 この件に関しては学園都市と協力しているから
 現在この誘拐事件の捜査には圧力が掛かっているはずだ。
 でもそれも長くは持たないだろうな」

上条「そうかい。じゃあ早速そのふざけた計画をぶち壊しに行くとしますか」
137 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:12:49.32 ID:6ZiDD2s0

ステイル「ああ、そうだ――」

ピ―――――ン

ステイル(この感覚、彼女にあげたルーンが反応したのか。
 ということは彼女もこの中に……。まったく、また面倒をかけるつもりか)ハァ

上条「ん?どうかしたのか?」

ステイル「いや、なんでもない。さっさと片付けてしまおう」

上条「ああ。俺も晩飯までには戻らなきゃならないんだ。
 食料は十分あるとはいえ、メシを作ってやらなかったら
 インデックスがまた食人族化しちまうからな」フン

ステイル「大袈裟、というよりも失礼だな、君は。
 冗談も介せないほど頭がイカれてしまったのかい?」

上条「いやいや、それが最近冗談とも思えない状況になってきたんですよッ!!
 うちの侘しい食生活のせいなのか
 腹が減ったときはバーサーカーモードに突入すんだよ!
 いやあ、空腹時なら『神の右席』の一人くらい倒せるんじゃねぇ?」

ステイル「そんなことで戦争が終わってたまるか。ん?」
138 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:16:56.04 ID:6ZiDD2s0

ザザッ、ザザザ

ステイル「いい加減そんな馬鹿なことなことは言ってられないみたいだね」

上条「学生?あれってもしかして誘拐されてた学生たちじゃ……。
 おーい!助けに来たぞ!!」

ステイル「馬鹿ッ!不用意に――」

ピキピキピキ……ヒュッ

ドォォーーーン!!

上条「こ、氷の槍……!ちょっと待って!俺たちは味方だ!!」

ゴゴゴゴ……   ボォォーーン!!

上条「廃材をッ!今度は念動力かよ!!」グッ

パンッ!

上条「危ねぇー。つうかどうなってるんだよ!!あいつら俺に恨みでもあるのか!?」

ステイル「操られているんだ。敵の魔術師に」
139 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:21:46.15 ID:6ZiDD2s0

上条「操る、だって!?
 あいつら魔術師に、能力者の脳をコントロールして能力を使用するなんてできんのかよ?」

ステイル「脳を操るとかそんな複雑なことはしていないはずだ。
 奴らがやっているとしたら、魔術によって精神状態を狂わせているくらいのものさ。
 差し詰め彼らの目には、僕たちが死ぬほど憎い仇敵にでも見えてるんじゃないか」

上条「くそッ!目の敵にされるのは、ビリビリだけで、十分だっての!!」バッ

ヒューーー……  ビュンッ!!

パンッ!

上条「ステイル!ここはお前だけでも先に行け!!
 お前の能力じゃこいつらは止められないだろ」

ステイル「そうだね。僕の力では、彼らを消し炭にしてしまうのが関の山だな。
 ではその忌まわしい右手に期待して、先に行かせてもらうよ」バッ

タッタッタッ……

上条「ああ、こいつらを元に戻したら俺も行く。ここは任せろ!!」
140 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:23:40.09 ID:6ZiDD2s0

ゴゴゴゴ……ヒュン、ヒュン、ヒュン!!

上条「くッ!!」ダダダッ

ドンッ!ドンッ!パンッ!

上条(とは言ったものの、遠距離攻撃をしてくるあいつらをどうやって元に戻す?
 とりあえず体にこの右手が触れさえすればいいはずだけど
 近づけなきゃ元も子もない!)

学生「……省帆、省帆。ごめん、裏切った俺が、悪かったんだ……。
 常盤台の、お嬢様なんて……馬鹿なことをしたって、反省してるんだ……。
 だから、みほ、みほ、ミホーーー!かえってきてくれー!!」バッ

ピキピキピキピキ……ヒュヒュヒュヒュン!!

上条「んなこと、俺が、知るかぁーー!!」

パーンッ!
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 22:29:44.01 ID:PaiBaIAO
眉毛の元彼かww
142 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/26(火) 22:37:39.96 ID:6ZiDD2s0
という感じで今回は以上!

……うん!まあこういう回もありますよ。それなりに今後重要になってくる部分でもあるんで。

次回で第1部の半分を超えると思います。書きため上でも第1部の終わりが見えてきていて
最終的には6万字くらいになるのかな?全3部でやっぱり20万字を超えるなぁ。
うん、年内完結を目指してたけど、やっぱ無理!!

感想や質問はお気軽に!肯定、否定的なもの問わず嬉しいです!!

では次回は木曜日に!
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 22:50:47.72 ID:PaiBaIAO
乙、敵さんの言ってた魔術特性は既存の神話や伝承から造ったの?
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 18:33:02.81 ID:J8GmOw6o

ステイルの活躍に期待してる
145 : ◆fftSPPkhRw :2010/10/28(木) 18:34:58.50 ID:hQK43920
寒さのあまり、ついに冬の最終兵器『コタツ』を出してしまったぜ……。
今週の日曜は、コタツの中でひたすら『猫物語 白』を読むことことになりそう。

>>143
最初は敵の魔術についても詳細な設定を作るつもりだったんですが、
原作に登場する要素と絡ませることが難しそうだったので断念しました。
これから先も魔術的な設定が出てきますが、100%オリジナルのものはなるべく出さないようにするつもりです。

20時頃から投下しますー。
146 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:16:43.69 ID:hQK43920
それでは投下していきます!
147 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:18:13.92 ID:hQK43920

――第七学区、とある廃ビル、六階の一室前



佐天「痛いッ!!ちょっと離してよ!離せー!!」ジタバタ

黒衣の男A「ええいッ!おとなくしろ!!」ズルズル

黒衣の男B「なんだ、えらく生きのいいのが来たな。
 そいつか、例の『必要悪の教会』の魔術師ってのは?」

黒衣の男A「いや、こいつはただのこの街の学生だ。
 どうやらたまたま『必要悪の教会』の魔術師と出会ったことがあるらしい。
 まったく面倒かけさせやがって……」

黒衣の男B「おいおい、お前、本当に『必要悪の教会』の魔術師にビビってたらしいな。
 あの『ルーン使いの魔術師』についてえらく熱心に総裁に尋ねてたそうじゃないか?
 命だけは助かるような対抗策は練れたのかよ?」ヘラヘラ

佐天(『ルーン使い』?それってステイル君のこと?)

黒衣の男A「う、五月蝿いッ!!お前こそ『結界』はちゃんと機能してるんだろう?
 お前みたいな集中力のない男に、こんな根気のいる作業が勤まっているとは
 俺は今でも信じられないね。この術式は繊細な魔力の調節が必要なんだろ?」

黒衣の男B「大丈夫だよ。現に何も問題なんて起こってないだろ?
 このくらい、俺にかかれば寝ててもできるぜ」

148 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:21:15.43 ID:hQK43920

黒衣の男A「けッ!そうかよ。おいお前!お前もさっさと中にはいれ!!」

ガチャ

佐天「痛ッ!!」ドスン

黒衣の男A「せいぜいそこでおとなしくしてるんだな」

バタン

佐天「痛たた……。何も放り投げることないでしょ」

佐天「ここって……」キョロキョロ

…………

イツニナッタラレベルガアガラナインダナンデ   ドウシテワタシノコトヲスキニナッテクレナイノ

ナゼボクバッカリナグラレナキャイケナインダ   マタケンカシチャッタ…ドウスレバナカナオリデキルノ

佐天「……何、これ……?」
149 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:26:18.78 ID:hQK43920

佐天(この人たち、失踪してた学生たち?でもみんな様子が変だ)

佐天「あの、大丈夫ですか?貴方も無理矢理ここに連れてこられたんですよね」ガシッ

男子学生「……やらなきゃ、僕がやらなきゃ……
 僕は優等生でなくちゃいけないんだ……みんなの手本にならなくちゃいけないんだ……
 クラスのみんなのために……いつも僕を頼ってくれるせんせいのために……
 じぶんのしたいことなんて、やりたいことなんて、わすれなきゃいけないんだ……
 ぼくが、やらなきゃ……」ユラユラ

佐天「ひ、ひぃ!?」ザザッ!

佐天「どうなってるの?」

「無駄ですよ。その人たちに言葉は届きません」

佐天「えッ?」

女子学生「この部屋に連れてこられると、みんなそうなってしまうんです。
 どうやら外にいる人たちが、何かしてるみたいなんです」

佐天「そう言えばさっき『結界』がどうとか……」

女子学生「『結界』?確かにこれは薬物などの効果ではなく
 何らかの能力を私たちに継続的にかけているみたいですね」
150 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:32:40.28 ID:hQK43920

佐天「(能力……じゃない。これがきっと魔術なんだ)
 えっと、貴女も無理矢理ここに連れてこられたんですか?」

女子学生「そう、なんでしょうか?よく憶えてないんです。
 外を歩いていたはずなんですけど、気がついたらここにいて……」

佐天「きっとあいつらの仕業ですよ!
 魔術、じゃなかった、能力で学生を操ってここに連れてこさせるってさっき言ってましたから」

女子学生「やっぱりそうなんですね。じゃあ、ここにいる人たちも全員……」

佐天「きっと同じような方法でここに連れてこられたんだと思います。
 あ、でもなんで貴女は大丈夫なんですか?」

女子学生「私、心理操作系の能力者なんです。
 私たちにかけられてる能力はどうやら負の感情を増幅して
 軽い心神喪失状態に陥らさせる能力みたいで、私の能力でその効果を打ち消してるんです。

 でも今までに経験したことのないような
 何か演算では理解しきれない部分がある能力だったので
 打ち消すのに時間がかかりました。
 私もはっきり意識を取り戻したのは昨日なんです」
151 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:39:43.36 ID:hQK43920

女子学生「すいません……。私はまだレベル3で
 他人の感情をコントロールするのはそれほど得意じゃないんです。
 実際にやってみましたが
 相手の能力がよく分からないこともあって上手くいきませんでした」

佐天「そう、だったんですか……」

女子学生「レベル4の能力者だったら、ここにいる人たちも助けられたのに……。
 何で私、肝心なところで役に立たないんだろう……」

佐天「そんな……貴女のせいじゃないですよ!!」

女子学生「私、自分の能力がこの心理操作だって分かったとき、すごく嬉しかったんです。
 将来悩んだり、落ち込んだりしてる人を助けるような仕事がしたくって
 だからこの能力なら、そういう人たちを助けることができるって思ったんです……。

 でも私にはなにもできない。ここにいる人たちは負の感情を増幅されて
 普段抱えてる悩みや不安の中で今も苦しんでるんです!!
 そういう人たちを助けるために、今まで能力開発を頑張ってきたはずなのに……!」

佐天(この人、私と同じだ。
 助けたい人がいても、でも自分に力がないから諦めるしかないんだ)
152 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:45:39.84 ID:hQK43920

女子学生「う、う……。私、どう、したら……」ボロボロ

佐天(そう言えばこの人、常盤台の制服だ。
 じゃあこの人が御坂さんが言ってたクラスメイト……。
 本当に自分の能力のことで悩んでたんだ。
 その悩みにつけ込むなんて、許せないッ!!)

佐天「大丈夫ですよ。きっとここから出られます。
 そうすればここにいる人たちも助けることができるじゃないですか!」

女子学生「……きっと、助かりませんよ。これは私に下った罰なんです」

佐天「罰?いや、そんなこと絶対に――」

女子学生「いいえ、そうなんですッ!!これは御坂さんに黙って
 50名様限定『およげゲコ焼きくん』を手に入れた、私に対する罰なんです!!」

佐天「……。はぁ?」
153 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:51:04.61 ID:hQK43920

女子学生「私がいけないんです!御坂さんには能力開発に関する悩みも聞いてもらって
 それに数少ない『ゲコ太』を愛する大切なお友達だったのに!
 知ってるゲコ太情報はいつも共有して、この前だって『ゲコ太マウスパッド』を
 一緒に買いに行ったのに!

 でも御坂さんに私が持ってない彦根城限定『ゲコにゃん』ストラップを自慢されて
 さらに東南アジアに出張されているお父様に
 タイ限定『ワイクルーゲコ太』を買ってきてもらうんだっていうから……。
 私、能力だけじゃなくて、ゲコ太グッズでも御坂さんに勝てないのかと思うと悔しくて……」

佐天「え、えーと、つまり貴女が抱えてた悩みって……」

女子学生「あの日、御坂さんに自慢したくて一人で『およげゲコ焼きくん』を手に入れたんです。
 でも御坂さんに黙っていた罪悪感が段々押し寄せてきて……。
 それで気がついたらここに連れてこられていました」

佐天(すっっっごくどうでもいいし!!ていうか『ワイクルー』って何!?)

(※ワイクルー…「師(クルー)に合掌する(ワイ)」の意味。
        タイでは学校の先生やスポーツのコーチ等に対して使われるが
        日本では主にムエタイ競技前に行われる選手による舞踊様のものを指す)
154 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 20:57:01.94 ID:hQK43920

女子学生「私、どうやって、御坂さんに謝れば……」グスッ

佐天「だ、大丈夫ですよ。御坂さんならきっとそんなこと気にしません。
 笑って許してくれますよ!」

女子学生「えッ、もしかして、御坂さんとお知り合いなんですか?」

佐天「そうです。御坂さんも貴女が行方不明になってすごく心配してましたよ。
 後輩の風紀委員の子に捜査をお願いしたりしてたんですから」

女子学生「み、御坂さん……。う、う……ありがとう、ございます……!
 私、戻ったら真っ先に、御坂さんに謝ることにします」グスッ

佐天「そうです!絶対にここから脱出しましょう!!」

女子学生「ありがとうございます……。
 貴女が来なかったら私、かけられている能力に負けていたと思います。
 あれ?そう言えばなぜ貴女は平気なんですか?」

佐天「そう言えば、なんで――」

ボゥ……

佐天「熱ッ!!」
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 20:58:25.99 ID:n.E2CKwo
投下中に御免だけど
>>150>>151の間って飛んでない?
156 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:04:35.10 ID:hQK43920
>>155
すいません!一個台詞飛ばしてました。>>150>>151の間に

佐天「そうだ!その能力を使えばここにいる人たちを元に戻せるんじゃないですか?」

が入ります。
157 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:06:22.16 ID:hQK43920

女子学生「どうかしたんですか!?」

佐天「いや、なんだかポケットの中が熱くて」ゴソゴソ

ボゥ……

佐天「ステイル君がくれたお守りが、熱くなってる……」

佐天(さっきみたいに相手の魔術を打ち消してくれてるんだ)

女子学生「もしかしてそれが能力を?新型のAIMジャマーですか?
 でもそんな小型で持ち運びが可能なタイプは見たことありません」

佐天「えッ!?えっと、これは、つまり……。そう!風紀委員の友達にもらったんですよ!!
 風紀委員で正式採用される予定の新型で、その……サンプルを取るための
 実験的な、テストケースとして、偶然くれて……」

女子学生「へぇー、風紀委員ではそんなものも開発してるんですね。
 あれ?でもAIMジャマーなのに、私の能力は妨害していない?」

佐天「ッ!!えっと、それは……」
158 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:11:48.70 ID:hQK43920

女子学生「つまり害になる能力を、AIM拡散力場から逆算して判別し
 選択的に排除しているってことですよね。すごい技術力ですね」フンフン

佐天「え、まあ、それほどでも……」

佐天(良かった、頭の良い人で。勝手に理由考えてくれたよ。
 ここでまた『魔術』なんて言ったら混乱させるだけだしね)

佐天「まあまあそれはさておき、ここから脱出する方法を考えましょう!」サッ

女子学生「そうですね。でもどうやって?相手の能力を打ち消したと言っても
 この部屋のドアには鍵がかかったままですし、この部屋の前には見張りがいます」

佐天「うーん……。意識が戻ってから、何か起こったりしませんでしたか?」

女子学生「そうですね……。私が意識を取り戻してから、何人かここに連れてこられました。
 後は……そうだ。ついさっき、ここにいる人たちが3人ほど連れていかれました」

佐天「連れていかれた?どういうことですか?」

女子学生「分かりません。意識を取り戻したのが分かると何かされるんじゃないかって思って
 意識のないふりをしてましたから。でもあの人たちは『能力者を使って迎撃させる』と」

佐天「『迎撃』?どういうことでしょう?」

女子学生「さあ?私には、よく……」

佐天(何かは分からないけど、ここで異変が起こっているのは確か。
 とするとあいつらは混乱してるんじゃない?
 じゃあその隙を突けば、何とかなるかも知れない!)

佐天「……私に、考えがあります」
159 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:14:35.24 ID:hQK43920

――第七学区、とある裏路地



タッタッタッ……

白井「初春!次の目的地はどこですの?」

初春『その路地を右に曲がって、そのまま200mほど進んだ先にあるビルです』

白井「了解ですの!」カチャ

御坂「ある程度場所が絞りこまれたって言っても、結構該当する場所があるもんね」

白井「そうですわね。特にこのあたりは第七学区でも区画整備が立ち遅れていた地域。
 廃棄物件や持ち主のよく分からない建物の見本市ですわ」

御坂「いくら学園都市とは言えど、こういう場所は外と全く変わらないわね。
 見通しが悪い上に入り組んでて、悪巧みしてる奴らが隠れるにはうってつけだわ」

白井「しかしお姉様がいらっしゃって助かりましたわ。
 お姉様の能力を応用した、電磁波のレーダーがなければ
 怪しい建物一つ一つを隅から隅まで調べなくてはいけないところでしたの」
160 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:17:47.20 ID:hQK43920

御坂「と言ってもその建物に人がいるかいないか大体分かるだけで
 そんなに正確なもんじゃないけどね。
 あ゛ー!広範囲で生体電気や脳波を感知して判別できたら
 一発で誘拐された人たちがどこにいるか分かるのに!!」

白井「それができた時点で、お姉様のレベル6昇格は確実ですの……」

御坂「とにかく次の目的地は、ここを抜けた先ね」タッタッタッ

パァ……

白井「!!」

御坂「何なの、これ!?」

バラバラ……

白井「……この鋭利な氷柱の数々、あちこちに散らばる建材
 そして巨大な刃物でえぐり取られたような地面……。
 ここで大規模な能力者による戦いが行われたに違いありませんわ」
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage sage]:2010/10/28(木) 21:17:47.14 ID:df51pTk0
って、取り上げられなかったのかルーン
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage sage]:2010/10/28(木) 21:21:42.58 ID:df51pTk0
読み返したら>>133で返されていたけど、取り上げておけばよかったのにとやっぱり思ってしまう。
163 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:24:43.66 ID:hQK43920

白井  カチャ

白井「初春!目的のビルに到着しましたの!このビルの詳細は分かりまして?」

初春『ちょっと待ってください……。
 分かりました。名称は『滝浜ユニゾンビル』。
 数年前にビルのオーナーがロシアへ事業を移すために売却
 そのすぐ後売却先が経営破綻したため、現在まで手付かずの状態でずっと無人のはずです』

御坂「でもこのビル、明らかに生体反応があるわ」

白井「では間違いなく、ここですわね」

御坂「そうね……。黒子!?ちょっとあれ!!」

白井「あれは!?」タッタッタッ

学生「う、うッ……」

白井「ここにいる三人とも行方不明になっていた学生ですわ!!
 もしもし、大丈夫ですの?」ガシッ

学生  グッタリ

御坂「意識がない。それに服装に明らかに戦闘の跡がある。
 この人たちがここで戦ってたってわけ?」
164 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:26:52.54 ID:hQK43920

白井「そう、なのでしょうか……。とすると、脱出するために誘拐犯と?
 ではなぜ意識のない彼らがここに倒れているのですか?
 連れ戻されていないのはなぜなのでしょう?」

御坂「分からない。それにこの人たち、戦いに負けて打ち捨てられてるっていうよりは
 その後介抱されてここに寝かされてるって感じじゃない?」

白井「うーん、訳が分かりませんの」

学生「う、うーん……。省帆、おれ、もういちど……おまえに、好き、だって……」

白井「ん?なぜこの方だけ頬に殴られたような跡が?
 まあとりあえず……初春、行方不明になっていた学生を三名発見しましたの。
 ほとんど外傷はないものの意識不明、すぐに救急車を手配してください」

初春『さ、佐天さんはッ?』

白井「残念ながら……。しかし間違いなくこのビルのどこかにいるはずですの」
165 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:28:31.36 ID:hQK43920

初春『分かりました。すぐに救急車を手配します。
 あ、固法先輩に代わります』

固法『白井さん、さっき警備員にそのビルの付近で能力者同士の抗争があったって通報したから
 もう少ししたら、警備員がそこに到着するはずよ。
 だからくれぐれも二人だけで無茶はしないで!』

白井「ありがとうございます、固法先輩」

初春『白井さん、今白井さんのPDAにそのビルの見取り図を転送しました。
 ……気をつけてください。そのビルは間取りの広い八階建てで
 使われていた時の物がそのまま残されているはずです。だから死角もかなり多いんです』

白井「了解しましたの。十分注意しますわ。後は私たちにお任せを!」カチャ

白井「お姉様ッ!!」

御坂「ええ、行くわよ黒子ッ!!」ダッ

御坂(待ってて、佐天さん!)

タッタッタッ……
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/10/28(木) 21:28:39.75 ID:MtW5uDco
没収したりしてヘタに状況変えて万が一発動条件満たしたら
自分たちにルーン魔術炸裂するんじゃないかと怖れたのかもな。
167 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/28(木) 21:38:24.60 ID:hQK43920
という感じで今回は以上!

これまでは書きためが2万字以上ある状態で投下してきたんだけど、
今はちょっと少なめ……。とりあえず第一部を書き終わるまでは頑張らねば!

第一部が終わったらまた言いますが、第二部まで1週間ほど時間を頂くことになろうかと思います。
それまでは2日に1回は投下するペースを維持したいです。
十一月半ばから十二月末まで書き進める余裕がなくなると思うので、
それまでに第二部に入れたらいいなぁ。

例の如く感想や質問はご自由に!
では次回は土曜日に!
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 22:42:00.59 ID:jt8IKYAO
乙、続きに期待
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 23:01:47.62 ID:OCAqTf20
乙ー
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 17:26:43.21 ID:LbeZ8oYo
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 17:38:17.90 ID:TQeAaBko
面白くなってきたな
続き期待してるぜい
172 :申し訳ない! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/30(土) 20:40:16.03 ID:4SelyU.0
今日投下すると言っていましたが、今回の投下分の書き直しが間に合いそうにないので
明日に延期します。

楽しみにしていた方がいたら申し訳ないです。前回2日に1回のペースを守ると言っていたのにこの様とは……。

明日は必ず!!
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/30(土) 23:10:58.62 ID:d7qN33so
把握です
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/30(土) 23:22:50.46 ID:nN.qlqso
いつまでも待ってるぜー
175 : ◆fftSPPkhRw :2010/10/31(日) 15:57:34.46 ID:Wv1W.iw0
昨日は投下できなくてすいませんでした。

18時くらいから投下します!
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 16:09:41.28 ID:TPYB5noo
私待つわ
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 16:16:59.44 ID:O3WL97Eo
いつまでも待つわ
178 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 17:58:09.31 ID:Wv1W.iw0
♪例えあなたが振り向いてくれなくても〜

投下開始します!
昨日来られなかったお詫びも込めて、ちょっとだけ長め。
179 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 17:59:22.96 ID:Wv1W.iw0

―――第七学区、とある廃ビル、六階の一室前



……ド―――ン……

黒衣の男B(戦闘の音が中まで……。侵入者を撃退できなかったのか?
 チッ!能力者たちめ、しくじりやがって)

黒衣の男B(しかし何の準備もなしにあんな氷の槍やカマイタチを起こせる奴らが
 本当にやられちまったっていうのか?
 まさかあいつの言って通り、あの『必要悪の教会』のルーン使いが来たんじゃ……。
 クソッ!!何であいつみたいにビビってんだよ!!)

黒衣の男B(勝ち馬に乗ったつもりだったのに……。
 総裁の言葉通り、この科学と魔術の戦争の中
 その二つを兼ね備えた『完全なる力』を手に入れれば
 俺たち『科学の子』が『イギリス清教』のトップに立てるかも知れないのに……!)

黒衣の男B「何で、こんなことになっちまったんだよ……!」

う、う、あぁーーーッ!!

黒衣の男B「な、なんだ!?」
180 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:01:29.25 ID:Wv1W.iw0
『ウ、ウ、ウ、ウ……、く、苦しい!!』

黒衣の男B「ドアの向こうから?
 お、おい!何騒いでるんだ!!」

黒衣の男B(いや、待て!この部屋の中にいる能力者たちは、『結界』によって意識がないはず。
 なんで叫び声なんて上げてる!?)

黒衣の男B「まさか、俺が、『結界』を維持する魔力の配分を間違えたのか?
 不味い……そうだとしたら、奴らは負の感情が増幅され過ぎて、廃人になっちまう!!」

黒衣の男B(どうする!?総裁を呼ぶか?いや、このミスが知られたら、俺は……)

黒衣の男B「一旦『結界』を停止させるしかない。
 停止させてもすぐには意識を取り戻さないだろう。
 しばらく様子を見て、また発動させればいい」サッ

ブゥーン……

黒衣の男B「ふぅ……。これで――」

『あ゛ぁーーーッ!!う、うーーーッ!!』

黒衣の男B「なな、なぜだッ!?確かに『結界』は停止させたはず……。
 まさか、もう手遅れ、なのか……。
 クソッ!!」バッ
181 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:04:56.61 ID:Wv1W.iw0

ガチャガチャ

黒衣の男B「さっさと、さっさと開けよ!!」

ドンッ

黒衣の男B「ッ!!」

女子学生「ハァ、ハァ、く、苦しい……ッ!!」

黒衣の男B「クソッ!!おい、お前大丈夫か?おい!!」ガシッ

女子学生「助けて……!!頭がッ!!」

黒衣の男B「ッ!!とりあえず、外に――」

ザザッ

佐天「おりゃーッ!!」

黒衣の男B「なッ!?」

ヒュン、ドンッ!!

黒衣の男B「あぐッ!?」

ドサッ
182 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:07:30.06 ID:Wv1W.iw0

黒衣の男B「あ、あ、あぁー……」

佐天「さあ、早く逃げましょう!!」

女子学生「は、はいッ!!」ダッ

黒衣の男B「あ゛ぁー、まて、おまえ、ら……!」

ダダダッ……




女子学生「わ、私!!あんなに大きな声出したの、生まれて、初めて!!」

佐天「ナイス演技でした!!主演女優ものですよッ!!」

女子学生「女優……。ハッ!!もしかして私、心理カウンセラーじゃなくて
 女優が向いてるかも!!いや声優?
 そしたら行々はゲコ太と共演することになったりして……
 キャーーーーッ!!///」ブンブン

『の、能力者が逃げたッ!!捕まえろ!!』

佐天「と、とりあえず今は逃げましょう!!」
183 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:10:36.51 ID:Wv1W.iw0

佐天(でも一体どこに逃げればいいの?とりあえず下に逃げればいいと思うけど―――)

ダダダッ!

「見つけたッ!!こっちだ!!」バッ

女子学生「キャア!!」

佐天「立ち止まっちゃダメ!!早く」パシッ

佐天  ギュッ

女子学生「は、はいッ!!」ギュッ

ダダダッ

佐天(この建物の構造が分からないから、どこに行けばいいか分かんない!!)

女子学生「ま、まだ追ってきます!!どうしましょう!?」ダダダッ

佐天「闇雲に逃げまわっても埒があかないッ!!一旦どこかに隠れましょう」ダダダッ

女子学生「『どこか』ってどこ!?」

佐天「私にだって分かりませんよ!!」
184 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:15:03.19 ID:Wv1W.iw0

ダダダッ

ドンッ!

佐天「痛ッ!!」グラッ

女子学生「大丈夫ですか!?」

佐天「は、はい。平気です。つまずいただけですから……」

佐天「ッ!!」

佐天(これは……!)

女子学生「どど、どうしたんですか!?早く逃げないと!」

佐天「見てください!ここ、ダンボール箱の山の向こうにドアがあります!」

女子学生「本当ですね……。じゃあ……」

佐天「はい、一旦ここで追手をやり過ごしましょう!」
185 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:18:05.16 ID:Wv1W.iw0

佐天「先に行ってください!」

女子学生「は、はい……」

女子学生  ザザッ、ズズズッ

女子学生「う、う……。何とか通れた……。貴女も早く!」

佐天  ザザッ、ズズ、ズ

佐天「あれッ!?くッ……胸が、つっかえて、通れないッ!
 この荷物、重くて動かない……!」グッ、グッ

女子学生「……」

女子学生  グイッ、ドン!

女子学生「……どうぞ」

佐天「ありがとうございます!」

女子学生「いえ、別に……」

佐天「?」

186 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:23:23.17 ID:Wv1W.iw0

ギィィー、バタンッ

…………ダダダッ

『あいつら、どこにいった?』

『まだこの階にいるはずだ!隈なく探せ!!』

『クソッ!!これが総裁に知られたら、エライ目に……!』

『そうなる前に、さっさと見つけるぞ』

『ああ』

ダダダッ……



女子学生「行き、ましたよね」ヒソヒソ

佐天「そう、みたいですね」ヒソヒソ

佐天女子学生「……」

佐天  「はぁぁぁーーー……」
女子学生「はぁぁぁーーー……」
187 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:28:33.70 ID:Wv1W.iw0

女子学生  クラッ

佐天「だ、大丈夫ですか!?」

女子学生「は、はい。大丈夫です……。
 やはりあの能力は閉じ込められていた部屋にだけ使われていたみたいですね。
 もう精神に負担を掛ける効果はありません。
 でもあの部屋にいる間、定期的に自分の能力を使っていたので
 少し、疲れてしまって……」フラフラ

佐天「とりあえず横になりましょう。って言ってもそんなスペースありませんね」

女子学生「大丈夫です。座われるだけで十分ですから。
 それにしてもすごく沢山の荷物。あの人たちが物置として使ってるんでしょうか?」

佐天「うーん、廃ビルだとか言ってたから、前の持ち主の物じゃないですかね」

…………

女子学生「とりあえずあの部屋からは脱出できましたけど、これからどうしましょう?」

佐天「あいつらは『能力者を迎撃に使う』って言ってたんですよね。
 ということはこの建物に誰か、敵がやって来たってことで
 だとしたらあいつらも混乱してるから、その隙を突けば逃げられると思ったんですけど――」
188 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:31:21.90 ID:Wv1W.iw0

……ド―――ン……

女子学生「下の階から!?」

佐天「やっぱりこの建物の中で、誰かが戦ってるんですよ」

女子学生「警備員、でしょうか?」

佐天「そうだといいんですけど……」

……ズド―――ン……   ……ダダダッ……

佐天(何かが爆発する音……? でも銃声とかは、しない。本当に警備員なのかな?)

佐天「どっちにせよ、ここにずっといることはできませんね。
 体力が回復したら、外に出ましょう。この場所もも安全じゃないかも知れないし」

女子学生「ごめんなさい、私が動けないせいで……」

佐天「いえ、私も鉄パイプ振り回したり、全力疾走したりで疲れてたんで、助かりました」ニコッ

女子学生「はい……」
189 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:35:03.14 ID:Wv1W.iw0

女子学生「でも本当に良かったんでしょうか?他の学生をあの部屋に残したままで」

佐天「しょうがないですよ。あの人数を私たち二人で連れて行くのは無理があります。
 それにあいつらの目的は学生を誘拐することですから
 無抵抗の学生に危害を加えたりしませんって」

女子学生「そう、ですよね」

女子学生「……」

女子学生  ブルッ

女子学生「私、駄目です。今でも震えるくらい怖くて、不安です……。
 このまま、またあの人たちに捕まったまま、ずっとここから出られないんじゃないか
 もう大切なお友達や、お父様やお母様に会えないんじゃないかと
 そればかり考えてしまって……。

 ここから逃げられるなんて、考えることができない……!
 私は、貴女みたいに強くなれません……」

佐天「……」
190 :実はこのシーン、書き直す前は百合要素だったのは秘密 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:39:57.93 ID:Wv1W.iw0

佐天  ギュッ

女子学生「えッ!?な、何を!?」

佐天「私の手、震えてますよね? それにすっごく冷たいのに、汗も一杯かいてる。
 私だって不安で怖いし、友達や家族にもう会えないんじゃないかって思っちゃいますよ。
 そんなのきっと、当たり前なんです。

 私なんてレベル0だし、最近知らない人に『馬鹿』とか『落ちこぼれ』って
 言われるくらいなんですよ。
 でもここで怖いからって、不安だからって立ち止まってたら、なにも変わらないじゃないですか?」

女子学生「はい……」

佐天「まあ人より少しだけ危ない目にあったことがあるんで、その分冷静かも知れないですね。
 それに……一人じゃない」

女子学生「え?」

佐天「私も一人だったら、あいつらを騙して逃げ出そうなんて思いつかなかったかも知れません。
 でも一人じゃない、二人だから……。
 貴女も一緒だったから、大丈夫だって思えるんですよ。
 だから、もう少し頑張ってみましょう。ね?」ニコッ

女子学生「……」
191 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:42:09.83 ID:Wv1W.iw0

女子学生「そう、ですね。私は御坂さんに謝らなくちゃいけない。
 だから、こんな所で挫けてちゃいけないんです」グッ

女子学生「すいませんでした。何度も励まして下さって。
 私こそ、貴女がいなかったらきっと駄目になっていましたね。本当に申し訳ないです」ぺこり

佐天「いえいえ。大変なときは助け合えばいいですよ。
 それに私が言って欲しいのはそんな言葉じゃないです」

女子学生「え?……あッ」

女子学生「ありがとうございます」ニコッ

佐天「はい!」ニコッ

ダダダッ

『見つけたか?』

『いや、駄目だ』

『そんな遠くには行ってはいないはずだぞ。どこかに隠れてるんだ』

『一体何どこに……おいッ、ここ!!』

『荷物の奥にドアが……。ここにある荷物、全部どかすぞ!!』
192 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:44:42.60 ID:Wv1W.iw0

ズズ、ドンッ!

『クソッ!重過ぎんだろこれ!!何が入ってるんだ?』

『グダグダ言ってないで手を動かせよ!』

女子学生「見つかった……!」

佐天「……」ギュッ

ズズ、ドンッ!

佐天「……私が合図したら、一気にここを出ましょう。私があいつらを引き付けます」

女子学生「そんなことしたら貴女がッ!」

佐天「大丈夫ですよ。私にはこれがありますから」サッ

女子学生「そんな鉄パイプ一本で!」

『ていうかこの荷物どうすんだ?』

『その辺に適当に積んどけ。どうせ使わないんだ』

佐天「行きますよ。3、2……」

女子学生「そんなッ!!」

佐天(大丈夫。私にだってできる。
 御坂さんや白井さんみたいに誰かを守ることができる!!)ギュッ
193 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:46:09.19 ID:Wv1W.iw0

佐天「1!今です!!」バッ

ダンッ

黒衣の男B「なッ!?」

佐天「やぁーッ!!」

黒衣の男B「ひぃ!!」

ヒュッ、パシッ!

佐天「え!?」

黒衣の男C「お前だな、逃げた能力者は。手間をかけさせるなよ」

佐天「うッ……」グググッ

女子学生「あ、あ、あ……!」

佐天「早く!早く逃げて!!」

女子学生「は、はいッ!!」ダッ
194 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:48:49.59 ID:Wv1W.iw0

黒衣の男C「そっちにもう一人逃げたぞ!」

ダダダッ  ガシッ

黒衣の男A「へへ、もう逃げられんぞ」

女子学生「は、離してください!!離して!!」ジタバタ

佐天「そんな……!」

黒衣の男C「……ふん」グイッ

佐天「アッ!?」パッ

カラン

黒衣の男C「こんな子供相手に手こずるとは。情けない」

黒衣の男B「こいつだッ!!このクソガキが、俺を殴りやがったんだ!!」ガスッ

佐天「う゛ッ!?」ドタッ

女子学生「ッ!?」バッ

黒衣の男A「お、おいッ!!」

ダダダッ

女子学生「大丈夫ですか!?」

佐天「は、はい。なんとか……」
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 18:48:49.61 ID:TPYB5noo
|∧∧
|・ω・`) そ〜〜・・・
|oCo
|―u'


| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' C <コトッ




| ミ  ピャッ!
|    C
196 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:54:34.10 ID:Wv1W.iw0

黒衣の男C「余り手荒な真似をするな。我々の目的を達成するために彼らが必要なんだ」

黒衣の男B「しかしこいつが……!」

黒衣の男C「それでも『完全なる力』を求める『科学の子』の一員か。
 来るべき未来の担い手となる自覚を持て」

黒衣の男B「ちッ……。でもなんでこいつら『結界』の中でも平気だったんだ?」

黒衣の男C「お前のミスではないのか?」

黒衣の男B「ち、違う!俺はヘマなんかしてねぇ!おい、お前何か知らないのか?」

黒衣の男A「そう言えばこっちのガキは、精神を操る超能力を持っているんじゃなかったか?
 総裁が意識を乗っ取っているときに聞き出していたんだ」

黒衣の男C「なるほど。ならば精神に一定の負荷を与える
 あの『結界』に耐えられたことにも得心がいく。
 ではこっちの子供は?」

佐天「……」

黒衣の男A「そう言えばそいつ、魔術師じゃないかって疑われてたガキじゃないか!」

黒衣の男B「そうか!最後に入って来たこのガキか!
 このガキも、『結界』に対抗できるような能力を持ってるってのか?」
197 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 18:59:13.23 ID:Wv1W.iw0

黒衣の男A「いや、そんな話は聞いていないが……」

黒衣の男C「ということはこの子供、無能力者か」

黒衣の男B「『無能力者』?なんだそれは?」

黒衣の男C「知らなかったのか?この学園都市に住まう学生の半分以上が
 超能力を有していない『無能力者』と呼ばれる者たちだ」

黒衣の男A「つまりは『ハズレ』ってことか」

佐天「くッ……」

黒衣の男B  ギリッ

黒衣の男B「ふざけんなッ!!!じゃあ俺は、何の力も持ってない
 こんなクズみたいな役立たずにやられたって言うのかよッ!!」

佐天「役、立たず……!」
198 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 19:04:46.14 ID:Wv1W.iw0

黒衣の男C「落ち着け」

黒衣の男B「これが落ち着いていられるかッ!!なんつう屈辱だ!!
 魔術師である俺が、高みに立っているはずの俺が……
 力を持つ能力者ならまだしも、力もねぇこんなゴミみたいなメスガキに一発喰らったってのかッ!!」

黒衣の男A「ま、まあ油断していたことだし―――」

黒衣の男B「油断?笑わせるんじゃねぇ!!
 こんな『役立たず』如きに、俺がやられるなんて、あっちゃならねぇんだよッ!!!」

佐天  ギュッ

佐天「……取り消せ」

黒衣の男B「んぁ!?」

佐天「私を『役立たず』だって言ったこと、取り消してッ!!!」
199 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 19:05:55.12 ID:Wv1W.iw0

黒衣の男B「はぁ?『役立たず』に『役立たず』って言って何が悪い?」

佐天「私は、私は……『役立たず』なんかじゃないッ!!」

黒衣の男B「『役立たず』だろうがッ!!
 知ってるぜ? この街、学園都市は『超能力』を開発するために存在してるんだろ?
 じゃあこの街にいて、なんの力も持っていないお前が、『役立たず』以外の何だって言うんだ!!」

佐天「違う……!」

黒衣の男B「俺たちの世界にもいるぜ? 『役立たず』ってのは。
 いくら教えても、満足に初歩的な魔術すら使いこなせないようなクズが。
 そんなやつが、虫けらみたいに殺されようが、ゴミクズみたいに捨てられようが
 お前たち『役立たず』が抗議する権利はどこにもねぇんだよ!!」

佐天「『虫けら』でも『ゴミクズ』でも『役立たず』でもない!!
 私は、そんなのじゃないッ!!!」

女子学生「……!」
200 :予告! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 19:07:13.66 ID:Wv1W.iw0

トゥルートゥーン!!

ついに黒衣の男たちとの戦いの中で、己の真の力に目覚めた佐天!

しかしローブの女から、宿敵御坂美琴が実の姉であることを知らされる。

次回、『涙子の拳』、「怒りの4連スカートめくり!御坂地獄で待っていろ!!」

佐天「御坂、貴様には地獄すら生ぬるい」
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 19:08:16.81 ID:TPYB5noo
佐天さんどうしたwwwwww
202 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/10/31(日) 19:16:15.58 ID:Wv1W.iw0
ということで今回は以上!

このSSは前述の通り、佐天さんが活躍する物語なので
原作の佐天さんの性格に多少(?)修正を入れています。
今後も日常パートはギャク&少女漫画っぽく
シリアスパートは少年漫画っぽいテイストを維持しながら頑張っていきたいです。

それでは次回は十一月二日(火)に!
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 19:20:32.87 ID:TPYB5noo
おつおつ!
楽しみに待たせてもらうぜ
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 20:19:42.49 ID:2EDmzAU0
乙!次回は「バカね!勝てばいいのよ!何を使おうが」と
言わんばかりの御坂さんの汚い戦法に期待
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 20:53:32.60 ID:PMGB6oAO
乙、胸が邪魔したって事は漫画佐天さんではなくアニメ佐天さんか
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/01(月) 05:03:17.30 ID:zqBJOnEo
|∧∧
|・ω・`) そ〜〜・・・
|oIo
|―u'


| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' I




| ミ  ピャッ!
| 
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/01(月) 10:59:04.24 ID:W.caBEAO
佐天さんとステイルとかマジ俺得
208 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/02(火) 20:33:06.96 ID:enPzrTg0
>>206
か、可愛い/// 10円持って帰ってるし

というわけで皆さんこんばんわ。
予告通り22時頃から投下を開始します!

209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/02(火) 21:18:17.41 ID:wRPmisAO
はいこんばんは
210 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:02:50.67 ID:enPzrTg0
それでは投下開始します!
211 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:04:32.70 ID:enPzrTg0

黒衣の男B「……おい、総裁は何のためにこの街の学生を攫ったんだ?」

黒衣の男C「何を今さら。能力者を集めるためだろう」

黒衣の男B「じゃあこの『能力者』でもない
 『無能力者』の『役立たず』はどうなってもいいんだよな?」

黒衣の男C「確かにな。しかしもう片方の学生には手を出すなよ。
 我々の『結界』を無効化できたというその能力は貴重だ」

黒衣の男B「分かっているよ。そっちのガキには手を出さねぇ。殺るのは―――」

佐天「ぐッ……」

黒衣の男B「お前だけだ!『無能力者』!!」

佐天「私は……あんたなんかにやられたりしない。
 絶対にあんたみたいな人間に、負けたりしないッ!!」

女子学生「駄目です!!相手を煽るようなことを言っては!!」

黒衣の男B「……ムカつく。イラつく。怒りで吐き気がするぜ。
 生意気な口が聞けるのはここまでだ。『役立たず』のお前は、ここで大人しく」スッ

黒衣の男B  カチャ

佐天(あの女が持ってた、銀の筒!?)

黒衣の男B「『溺死』しろ」
212 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:09:05.17 ID:enPzrTg0

黒衣の男B  バシャ

ベチャベチャ ゾワゾワゾワッ 

佐天「水の、手……!?」

黒衣の男B「川辺に現れる醜い老婆の伝承。こいつはそれを魔術によって再現している」

佐天(何、こいつ! 意志があるみたいに動いてる!)

黒衣の男B「その老婆は川に不用意に近づく人間を
 その長い腕で水中に引きずり込んで食べちまうそうだ……。
 俺に楯突いた罪は重いぜ!!」

ゾワワワッ

黒衣の男B「お前も醜い溺死体になりやがれッ!」

ビュンッ!!

佐天「くッ!!」ダダッ

黒衣の男B「ハハハッ! 逃げても無駄だ!!
 この老婆の手は馬鹿な人間を簡単に逃しゃしねぇんだよッ!!」

ウネウネ  ビュ―――ンッ!!

佐天(駄目だ!逃げ切れない!!)

黒衣の男B(捉えたッ!!)
213 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:10:48.35 ID:enPzrTg0

ブニョ  バシッ!

佐天「腕がッ!!」

黒衣の男B「そのまま、そのガキを殺せッ!!」

佐天(させないッ!!)スッ

佐天「守ってッ!!」

ボオオォォ―――ン!!

黒衣の男B「なんだと!? 炎で、防がれた!!」

黒衣の男A「あれは、総裁の魔術を打ち消したルーンだ!!
 まだ術式が機能するだけの魔力が残っていたのか?」

黒衣の男C「成程。『結界』の中にあって正気を保っていたのも、あれのおかげということか」

女子学生「すごい……」

黒衣の男C(しかし『結界』のような低負荷の精神圧をかける魔術ならまだしも
 直接攻撃の魔術まで防ぎきるとは……)
214 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:16:05.99 ID:enPzrTg0

佐天「……どう?これであんたの攻撃は当たらない!!」

黒衣の男B「それがどうしたッ!!」

ゾワゾワゾワッ  ビュンッ!!

佐天「ッ!!」サッ

ボオオォォ―――ン!!

佐天  ダダダッ

パシッ!

佐天「ハァ、ハァ……」グッ

黒衣の男B「そんな鉄パイプ一本でどうしようってんだ?ナメてんのかッ!!」

佐天  ダダダッ

黒衣の男B「さっさとそいつを殺せッ!!」

ゾワワワ  ビュンッ!
215 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:20:35.77 ID:enPzrTg0

佐天「うッ!!」

黒衣の男B「ちッ!!ちょこまか逃げてんじゃねぇぞ!!」

黒衣の男B(あの厄介なルーンのカードさえなければ、あんなガキすぐに殺せる。
 見たところあの術式は高度なもんじゃない。
 単に炎で魔術の媒介となる『水』を吹き飛ばしてるだけだ。
 ならば小回りが利かない。一度に水の腕一本を吹き飛ばすのが限界だろう。

 幸いここは、ガラクタがその辺に積み上がって死角も多い。
 もう一対水の腕を作り、背後から攻撃すればチェックメイトだ!)ポタポタ

ゾワ、ゾワ……

佐天  ダダダッ

黒衣の男B(あと少しで、もう一つの水の腕が―――)

ウネウネ  ビュンッ!!

佐天「ッ!!」サッ

ボオオォォ―――ン!!

バラバラ……

黒衣の男B「クソッ!辺りの物を吹き飛ばして爆発させやがったッ!!
 視界が―――」
216 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:22:10.92 ID:enPzrTg0

佐天「やぁーッ!!!」

黒衣の男B(チッ!接近を許したか!!)

黒衣の男B「そいつの得物を奪え!!」

ウネウネッ  ビュンッ!

パシッ

黒衣の男B「馬鹿めッ!!」

佐天  パッ

黒衣の男B(鉄パイプを、捨てた!?)

佐天(負けないッ!! 私の意味を、価値を、否定なんてさせないッ!!)

佐天「私は……!」ダダッ

佐天「『役立たず』なんかじゃ、ないッ!!!」
217 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:23:55.81 ID:enPzrTg0

ドンッ!!

黒衣の男B(積み上がった荷物に、体当たりだと!?)

グラッ

黒衣の男B「ッ!? しまっ―――」

ドスドンドンドンドン  ド―――ン!!!

パラパラッ………………

………………

……

佐天「ハァ、ハァ、これ、自動車部品? 道理で、重いわけだ」

黒衣の男B「あ゛、あぐっ……」

黒衣の男A「本当に、倒しやがった……」

黒衣の男C「……」
218 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:28:49.90 ID:enPzrTg0

佐天「どう?ハァ、ハァ……次はあんたたちの番だよ」

佐天(息が上がってる。それに体がもの凄くだるい……。
 後二人倒すなんてできっこない。隙を見て逃げなきゃ!!)

黒衣の男C「図に乗るなよ。『無能力者』!」サッ

黒衣の男C  カチャ

ボワッ―――!!

佐天「何これ!?霧?」

―――借り物で魔術を使いこなした気になるな、『無能力者』

佐天(どこ?どこにいるの?)キョロキョロ

―――己より尊き存在を知ろうとしない科学側の人間に、魔術の深淵は理解出来ない

佐天「どこに―――」

ガシッ

佐天「キャア!?」

黒衣の男C「終わりだ、『無能力者』」
219 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:32:02.57 ID:enPzrTg0

佐天「は、離して……!!」

黒衣の男C「そのルーンの術式、『持ち主を害する』『魔術』を打ち消すものと見た。
 それは裏を返せば『持ち主に危害を加えない』魔術、
 もしくは持ち主を害する『非魔術』にはなんの効力も発さないということだ。
 現に今お前が昏倒させた、我らが同士がお前を足蹴にしたとき
 そのルーンは沈黙していた。つまり……」

佐天「ぐ、ぐ……」

黒衣の男C「お前の首を締め上げる、私の腕を外す術はないということだ」

女子学生「やめてッ!!!」

佐天(い、息が……!!)

黒衣の男C「安心しろ。お前の死は無駄ではない。
 己が力を絶対のものと信じて疑わぬ『科学』
 信仰の名のもとに民草をむしり取る『魔術』。
 この二つの愚かなる争いを、
 我らが総裁と『科学の子』が平定した新たな世の礎となるのだ」
220 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:34:00.58 ID:enPzrTg0

佐天(苦しい……!このままじゃ、ホントに……!!)

黒衣の男C「眠れ、『無能力者』」ギュッ

佐天(そんな、こんな所で……!)



―――『風紀委員でもない一般の学生がそんな危険な真似をするなんてよろしくありませんわ』

―――『御坂さんみたいに、あっという間に悪い奴らを蹴散らしたりなんてできなんですから』

―――『何もできない君が来たところで、状況は変わらなかった』

―――『君のやったことなんて無駄だったんだよ』



佐天(嫌だ……やだやだやだやだやだッ!!
 『役立たず』だって、何の価値もないって言われたまま死ぬなんて、そんなの、嫌だッ!!!)
221 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:41:15.30 ID:enPzrTg0

佐天「だれ、か……たす、けて……!」

ボッ……

黒衣の男C「ッ!?」

ドゴォォォ――――――ン!!

黒衣の男C「ぐッ!?」

女子学生「キャア!?」

黒衣の男A「なな、何だッ!?」

ツカッ、ツカッ、ツカッ

「何と言うか、僕は自分の言葉を撤回しなくてはいけないらしい」

佐天「げほ、げほッ……」

「『この街の連中はどうかしてる』なんて言ってしまったけど
 まさか同じ国の人間が、こんな無粋な真似をするなんてね」

黒衣の男C「き、貴様ッ!!」

ステイル「君。その愚かさ、死で贖っても足りないんじゃないか?」
222 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:46:18.61 ID:enPzrTg0

佐天「げほッ……す、ステイル君!? 何でここに!?」

ステイル「それはこっちの台詞だ。何でこんな所で危機的状況に陥っている?
 君はあれか、どこかの馬鹿みたいに、危ないものを見つけたら
 ところ構わず手を出してしまう性分なのかい? というか本当に馬鹿なのか?」

佐天「ば、馬鹿って言うな!! 私は巻き込まれたの!!
 なんだか知らないうちにここに連れてこられたの!!」

ステイル「はぁ……大した悪運だよ。
 少しは面倒事を増やされる僕の気持ちも考えてほしいね」

佐天「べ、別に助けてなんて、頼んでないで―――」グラッ

女子学生「あッ!!」ダダダッ

女子学生「大丈夫ですか? お怪我は?」

佐天「とりあえずは、なんとか……」

黒衣の男C  ギリッ

黒衣の男C「貴様、『必要悪の教会』の魔術師か?」
223 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:50:02.84 ID:enPzrTg0

ステイル「そうだ。ここにいる理由は……説明しなくても分かるだろ?」

黒衣の男C「頑迷な奴らめ。総裁の仰る真理を理解しようしないばかりか
 己の権力に固執する、あまり我々に牙をむこうとは」

ステイル「君たちに言われる筋合いはないね。Fanatics(狂信者どもめ).」

黒衣の男A「お、おいッ! こいつが例の炎のルーン使いだぞ!!
 早くずらかったほうが―――」

黒衣の男C「黙れ!! ここでこの者に背を向けることは
 総裁の教え、並びに結社の理念に反することになる。
 お前が私の目の前で逃亡するというのなら、その背を撃ち抜くのは
 炎ではなく、我が冷たき水の刃となるぞ!!」

黒衣の男A「で、でもどうやって!!
 こいつはいくつもの魔術結社を壊滅させてる凄腕の魔術師なんだぞ!!」

黒衣の男C「臆するな。如何にこいつが強力な魔術師だとしても
 ここまで多くの同士と戦ってきたのだ。疲弊していないはずはない」

黒衣の男A「つまり、疲れている今なら俺たちにも勝機はあるってことか!」

ステイル「悪巧みは終わったか?まあ、無駄だと思うけど。
 君たちにくれてやるほど安い命じゃないでね」

黒衣の男C「減らず口を……! 貴様こそその愚かしさ、死に値する!!」
224 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/02(火) 22:53:58.89 ID:enPzrTg0
というわけで今回は以上!

ステイルが活躍するところまでやった辿りついた……。まあ本格的な活躍は次回からですが。
やっぱり台詞形式でも長いもんは長いですね。

質問や感想はお気軽にどうぞ。

次回の投下は十一月四日(木)の予定!
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/02(火) 23:15:30.31 ID:wRPmisAO

伝承の書き方巧いな、探せば実際にありそうな感じなのが実に良い感じだわ
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/02(火) 23:27:31.99 ID:SdsHd9co
ステイル君かっこ良すぎ濡れた
227 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/04(木) 18:26:04.97 ID:oCIHugk0
>>225
実は元ネタあります。
イングランドの伝承にある『ペグ・パウラー(Peg Powler)』という妖精(?)です。
詳しく知りたい方はググってみてください。

それでは予告通り、20時頃から投下します!
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/04(木) 19:43:53.82 ID:gTp/UUAO
やっぱり元ネタあったのね
続き期待
229 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:26:04.12 ID:oCIHugk0
ババアの妖精って何か夢ないな……
でも本場の妖精はむしろそういうのが多いみたいですね。日本で言うところの可愛い『妖精』はむしろマイナーな存在らしい。
まあ佐天さんは天使だから問題ないな、うん。

じゃあ投下開始します!
230 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:29:29.76 ID:oCIHugk0

黒衣の男C  カチャ

ボワッ―――!!

佐天「さっきの霧ッ!?」

ステイル「ワンパターンだな。それしか能がないのか。
 それともこの霧に紛れて逃走を図るつもりかな。
 遊び半分の魔術結社は気楽でいいね」スッ

―――貴様ら『イギリス清教』の事実上トップである『必要悪の教会』の人間には分かるまい。
   何の後ろ盾もなく、貴様ら『強者』の影に怯えて生きる我らの気持ちは。

ステイル「残念ながら。
 君たちが『完全な力』などというものを盲信するのは、その劣等感のためか。哀れだな」

―――何とでも言えばいい。総裁と共に我らは、この世界の歪みを正すのだ!

ステイル「大した志だよ。それほどの志ならば、ここで果てても悔いはないだろう」

―――果てるのは貴様だ! 『ルーンの魔術師』!!

ゾワワッ  ギュ―――ン!!
231 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:35:03.23 ID:oCIHugk0

グサッ!!

ステイル「ぐッ!?」

ステイル  バタッ!

佐天「ステイル君!?」

黒衣の男C「ハハハッ!! 我らが理想の前には敵などない!!
 貴様の御霊も『科学の子』が創る新しい未来の礎となったぞ!!」

黒衣の男A「やった!! 俺たち本当に、『必要悪の教会』に勝ったんだ!!」

佐天「そんな……」

―――誰が誰に勝ったって?

黒衣の男C「何ッ!?」

ステイル  シュン……

黒衣の男C「き、消えたッ!? これは一体……!」

―――『理想』だとか『新しい未来を創る』とか嘯いたところで
   君たちは所詮アマチュアなんだよ。
   プロっていうのはいくつも手段を持ち、必要に応じて最適なものを選択している。
   君たちのような馬鹿の一つとは違うんだ。
232 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:39:03.84 ID:oCIHugk0

黒衣の男C「馬鹿なッ!? 確かに私の水の槍は、貴様の体を貫いたはず……!」

―――確かに。僕が作り出した、炎による温度変化を利用した『蜃気楼』の幻影をね。

黒衣の男C「なッ!?」

―――本当に哀れだな、君たちは。
    君たちの言う『歪み』なんて、君たちの心の中にしか存在しない幻影さ。
    君がさっき突き殺した『蜃気楼』のようなね。

黒衣の男C「う、五月蝿いッ!! この世は歪んでいる!!
 それを正すことこそ、我らが使命だ!!」

―――それに舐めないでほしいものだ。
    『必要悪の教会』が『イギリス清教』のトップだろうがなんだろうが
    僕が戦う理由は、君たちに踏みにじられるほど脆弱じゃないだよ。

黒衣の男C「五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿いッ!!
 我らの理想を邪魔するものは、すべて敵だッ!!!」カチャ

ベチャッ  ゾワゾワッ

―――原初の炎、その意味は光、

黒衣の男C「殺せッ!! その男を殺せッ!!!」

―――優しき温もりを守り厳しき裁きを与える剣を!
233 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:44:39.44 ID:oCIHugk0

ゴオオオォォ―――!!!

佐天「霧が、吹き飛ばされた!」

黒衣の男C「なッ!?」

ステイル「その歪んだ理想と心中しろ」

ドォォォ―――ン!!

黒衣の男C「あ゛――ッ!!」

ボォォォ―――!!  メラメラ……

黒衣の男A「そんな……」

ステイル「さて」クルッ

黒衣の男A「ひぃ!?」

ステイル「残すは君だけだ」

ステイル  ツカッ、ツカッ、ツカッ

黒衣の男A「く、来るな!!」

ステイル「悪いけど見逃すつもりはないよ。君たちはそれ相応のことをしたんだ」
234 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:48:46.04 ID:oCIHugk0

ツカッ、ツカッ

黒衣の男A「くそッ!! なんなんだお前ら!!
 学園都市も『必要悪の教会』も俺たちの邪魔ばかりしやがって!!」

黒衣の男A「俺たちは『弱者』なんだ!!
 お前たち『強者』に牙を突き立てることの何がいけない!!」

佐天「はぁ!?あんたたちが――」

ステイル  スッ

ステイル「自分たちの都合で他人を巻き込んでおいてその言い草か?
 それに君たちは守られるべき『弱者』なんかじゃない。
 『弱者』に手を上げた時点で、君たちは排除されるべき『悪』だ」

佐天「ステイル君……」

黒衣の男A「だ、黙れッ!! お前に何が―――」

ステイル「灰は灰、塵は塵に……」ボッ……

黒衣の男A「ッ!? ま、待ってくれ!! 命だけは―――」

ステイル「吸血殺しの、紅十字ッ!!」バッ
235 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:54:09.49 ID:oCIHugk0

ボオオォォ―――  ドオオオォォォ――――――ン!!!

黒衣の男A「がぁ゛ッ!?」

黒衣の男A「あ゛、あ、あぁー……」ガクッ

佐天(すごい……! あっという間に二人とも倒しちゃった。
 これが『才能のない人間が才能のある人間に対抗するために生み出した技術』なの?
 だったら、私にだって……)

ステイル「さて、とりあえず厄介事は片付いたな」

佐天「ッ!?」

佐天「もしかして、『厄介事』って私のこと!?」

ステイル「それ以外に何があるっていうんだ?」

佐天「だ、か、ら!!私はただ巻き込まれてだけって言ってんじゃん!!
 それに、私がこんなことに巻き込まれたのは、半分はステイル君のせいなんだからね!」

ステイル「はぁ?」
236 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 20:58:07.06 ID:oCIHugk0

佐天「これこれ! このお守り!!このお守りのせいで、何か、魔力がどうとか
 魔術師だー!! とか言われて大変だったんだよ!!」

ステイル「へー、それは災難だったね」

佐天「なんで他人事!? ちょっとは謝るとかしてくれてもいいじゃん!!」

ステイル「まあ、僕も多少軽率だったよ。
 こいつらが魔術で能力者を連れ去ってるんじゃないかと考えて
 効果の弱い魔術なら打ち消せる術式のルーンを、本当にお守り程度の気持ちで渡したんだけどね。
 どうやら僕は、君の不運さを侮っていたようだ。その点については謝罪しよう」

佐天「……なんか納得できない」むぅー

佐天「……でもこのお守りのおかげで、助かりもしたんだけどね。
 何度もあいつらの、魔術、なのかな? そんなのから守ってくれたんだ」

ステイル「何度も?おかしいな。
 その術式には一度発動する程度の魔力しか込めていないはずだが……」

女子学生  ぽかーん

女子学生「あの……さっきからずっと『まじゅつ』って仰ってますけど
 それって例の……」
237 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 21:02:41.86 ID:oCIHugk0

佐天「えッ!? いや、それは……」

トゥルルル、トゥルルル

ステイル  カチャ

ステイル「どうした?」

『六階で捕まってた学生を見つけた!
 魔術で意識を奪われてたみたいだが、その術式も破壊した。
 ステイル、お前はどこにいるんだ?』

ステイル「同じく六階だよ。僕はこのまま上の階に向かう。
 君はそこで待機していろ。今からそこに別の場所にいた学生を向かわせる」

『分かった。じゃあ俺はここで待機してるぜ。応援が必要なようなら、すぐに連絡してくれ』

ステイル「そんな時は永久に来ない。じゃあ切るぞ」カチャ

ステイル「というわけだ。この階は制圧した。他の学生が閉じ込められていた部屋は分かるな?
 君たちはそこに戻れ」

佐天「今電話で話してたのって、ステイル君の仲間?」

ステイル「違う。ただ……」

佐天「ただ?」

ステイル「戦う理由が同じなだけだ」クルッ
238 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 21:04:02.13 ID:oCIHugk0

佐天「あッ!? ちょっと待って!」

ステイル「ん?」

佐天「あの……」

ステイル「なんだ? まだ恨み言が言い足りなかったのか?」

佐天「そうじゃなくて……ううん、やっぱりなんでもない。
 助けてくれて、ありがとね」

ステイル「別に。ただ仕事のついでさ」

佐天「そっか。それでも、ありがとう」ニコッ

ステイル「フンッ」

タッタッタッ……
239 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 21:05:17.02 ID:oCIHugk0

佐天「……」

佐天「うッ……」クラッ

女子学生「だ、大丈夫ですか!?」

佐天「へ、へーきへーき! ちょっと安心して、気が抜けただけ。
 それより早くさっきの部屋に戻らなくちゃねいけませんね」

女子学生「そうですね。何とか助かったみたいで、良かったです」

佐天「うん。本当に……」

佐天(私は、また……)
240 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/04(木) 21:11:01.63 ID:oCIHugk0
ステイル君、ナイス中二!

というわけでちょっと短いですが、今日はここまで!
続きは書けてるんですけど、もうお腹が減って力が出ないよ……

ということで次回は明日十一月五日(金)!
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/04(木) 21:29:11.97 ID:gTp/UUAO

多分敵さん炭化死体になってんだよな
常盤台少女の初めてのカウンセリング相手は作天さんだなww
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 00:29:57.38 ID:SDLC6F2o
炭化どころか蒸発してんじゃ…
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 02:13:53.17 ID:nTmwnWQo
摂氏3000℃だしな。
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 15:13:12.43 ID:SKHXHmUo
追いついた

|∧∧
|・ω・`) そ〜〜・・・
|oCo
|―u'


| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' C <コトッ




| ミ  ピャッ!
|    C
245 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/05(金) 17:46:51.82 ID:bToz1n20
ほぼ初対面の女の子に
「『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』が好きです」って言われると
ちょっと興奮する……。

予告通り19時頃から投下します!
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 18:03:57.43 ID:u8vAT2AO
ど、どういうことだってばよ……期待!
247 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:08:43.69 ID:bToz1n20
そう言えば製作速報禁書まとめwikiのうちのSSのページが更新されていました。
まだそれ程の量を投下したわけでもありませんが、暇なときにでも覗いてみてください。

それでは投下しますよー
248 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:10:44.36 ID:bToz1n20

―――第七学区、とある廃ビル、四階




御坂「……やっぱり」タッタッタッ

白井「この階も、ですわね……」タッタッタッ

ボロッ……

黒衣の男たち  ぐたっ

御坂「誰かが誘拐犯と戦ってるんだわ」

白井「一体誰が……。しかし今は一刻も早く佐天さんたちを見つけませんと。
 この戦闘に巻き込まれている可能性もあります」

御坂「そうね。急ぎましょう!」

御坂(この戦闘の跡……発火能力?しかもこの壁や床の破損具合から見て
 かなり高位の能力者だわ。風紀委員は動いていないはずだし、一体誰なの?)

白井「お姉様!!」

御坂「どうしたの?」

白井「向こうの部屋に……」
249 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:12:50.24 ID:bToz1n20

ボォ……

御坂「明かり?」

白井「行ってみましょう!」

御坂「ええ」

タッタッタッ



御坂「何、これ……」

ユラユラ、ボォーー……

白井「祭壇、でしょうか? 蝋燭と銀の杯がこんなに沢山……」

御坂「何なの、これ? こいつら誘拐犯たちが作ったってことよね?」

白井「そのようですわね。残念ながらこういうオカルト関連には詳しくありませんので
 これが何なのかは分かりませんが。少し、恐ろしいですわ……」
250 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:20:57.07 ID:bToz1n20

御坂「これが一体何の目的で作られたのか分かんないけど、これではっきりしたわ」

ボォーー……

御坂「こいつら異常よ。学園都市の上層部が絡んだ能力者の仕業だと思ってたけど
 そんなのじゃない、もっと……なんて言ったらいいか分かんないけど
 私たちとは、まったく違う人間なんだわ」

「あらあら、ひどい言い草ね」

御坂白井「!?」

ローブの女「自分たちの常識の範疇にないからと言って
 頭ごなしに否定するのは良くないと思うわ。
 生きる世界は違っても、私たちは手を取り合うことができるはずよ」

御坂「あんたッ!? 監視カメラに映ってた女!!」ビリビリ

白井「ジャッジメ……あッ!?
 えーと、ジャッジメントではなく、ただの学生ですの!!
 貴女がたが学生を誘拐したのは分かっています。この場で拘束します!」

ローブの女「まあ怖い。いきなりそんな不躾な態度を取るのはレディとして如何なものかしら?」
251 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:22:47.51 ID:bToz1n20

御坂「ゴチャゴチャ五月蝿いのよ!! 誘拐した学生はどこにいるの? 教えなさい!!」

ローブの女「あらあら、そんな怒った顔をしたら、折角の綺麗な顔が台無しよ」

白井「それについてはまったく異存ありませんの!!」

御坂「黒子ッ!!」

ローブの女「ウフフ。心配しなくても大丈夫。六階の突き当たりの部屋にみんないるわ。
 多少衰弱してるかも知れないけど、命に別状はないはずよ。信用して」

御坂「信用してって……。誘拐犯の言葉を信用できるわけないでしょ!」

白井「本当ですわ。それにさっきからお姉様を舐め回すようなその視線。
 そして『綺麗な顔』といった如何にもな発言……。
 お姉様を見て何かいかがわしい妄想を繰り広げているに違いありませんわ。
 あぁー気持ち悪いッ!」ブルブル

御坂「……ツッコミ待ち?」

白井「ん?どうされましたの、お姉様?」
252 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:27:56.71 ID:bToz1n20

ローブの女「アハハハ。貴女たちって面白いわね。素敵だわ」

御坂「あんた、さっきからすっっごい余裕ぶってるけど、自分が今いる状況分かってんの?
 あんたの仲間はほとんどやられちゃってるみたいだし、ここにはあんた一人。
 しかも能力者二人を目の前にしてね」

ローブの女「貴女たち、能力者だったの? 強い能力者なのかしら?」

白井「強い?はッ!貴女の目の前に立っているのがどなたかご存じないようですわね。
 この方こそ常盤台中学のエースにして、レベル5の第3位
 『超電磁砲』」御坂美琴お姉様ですのよ!」

ローブの女「レベル5? それって確か凄く強い能力者なのよね?」

白井「はあ!? な、何を言ってますの!!
 レベル5とはこの学園都市にいる230万人の頂点!
 その第3位とは、事実上お姉様はこの学園都市で3番目に優れた能力者ですのよ!!」

ローブの女「……フフ」

白井「?」
御坂「?」

黒衣の男「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
 ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

御坂白井「ッ!?」
253 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:29:54.39 ID:bToz1n20

ローブの女「なんて幸運なのかしら!! まさかこんな強い能力者に出会えるなんて!!
 想像以上の福音。フォルトゥナのご加護があったようだわ。
 私はいつの前に女神の前髪を掴んでいたのかしら」

御坂「き、気持ち悪ッ……! 何なのあんた?何者なの!!」

ローブの女「ウフフ。またその質問? でも好奇心旺盛なのは良いことだわ。
 私は、『魔術師』よ。能力者のお嬢さん」

白井「ま、『魔術』、ですって!? 『0930』事件を起こした
 あの超能力開発機関ですの!?」

御坂「ってことは、今戦争をしてる相手ってことじゃない!!」

黒衣の男「んー……厳密には違うのだけれど、まあここで説明しても仕方ないわね。
 少なくともこの場において、私は貴女たちの『敵』ですものね」

御坂(学園都市上層部がこの連続失踪事件に介入した理由はこれ?
 風紀委員や警備員を使って、公になる解決を望まなかったからなの?)

白井「どういうつもりですの!! 敵国の、しかも学園都市という本陣に潜入し
 学生たちを誘拐して何をするつもりでしたの?」

ローブの女「誘拐? 私たちは能力者自らが自発的に
 私たちの元を訪れたのだと認識しているのだけれど?」

御坂「精神を操って、無理矢理にでしょ!! その『魔術』とかいう能力を使って!」
254 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:33:18.70 ID:bToz1n20

ローブの女「私たちは、今は二つに分かれている『科学』と『魔術』は本来一つであり
 最終的には統一されると考えているの。
 今ここにいる能力者の人たちには、その協力をしてもらっていたのよ」

御坂「人の話を聞け!!」ビリッ!

白井「お姉様、この方の話を聞いていても埒があきませんわ」

御坂「そうね。悪いけど、あんたの電波な話を聞いてる暇はない。
 実力行使でいかせてもらうわよッ!!」

ローブの女「あら? そんなに簡単にいくのかしら?」

御坂「……だから、そんな余裕ぶってんじゃないッ!!」ビリッ!!

ローブの女「フ……」カチャ

御坂(銀の、筒!?)

ローブの女「汝は水、汝は乙女。契りを違えし愚かな騎士に、甘き死の接吻を」サッ

ローブの女  バシャ
255 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:38:02.81 ID:bToz1n20

ゾワゾワゾワゾワッ!!  ギュムッ、ギュムッ!!

白井「何ですの、あれ!?」

御坂「水が、人の形に……!」

ローブの女「さあ、お行きなさい。『ウンディーネ』」バッ

ゾワゾワゾワッ!

御坂「来るわよ!」

白井「お姉様! ここは黒子にお任せを!
 水流操作系の能力でしょうが、そんなもの……」パッ

ヒュンッ!

ドゴッ!!  ビシャ!!

白井「このように操っている水の体積より大きなものを
 瞬間移動で割り込ませればイチコロですの」

ベチャ、ベチャ……
256 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:43:01.30 ID:bToz1n20

白井「水流操作とは水分子を操る能力のこと。
 しかし大きさ1ナノメートルに満たない水分子一つ一つを動かすことなど不可能。
 実際はある程度まとまったの分量の水分子に圧力を掛けることしかできませんわ。
 つまりこのように集合した水を小さな飛沫にしてしまえば―――」

ギュムッ!!

白井「なッ!?」

御坂「再生したッ!?」

ローブの女「貴女が何を言っているのか分からないけど、
 私の生み出した『ウンディーネ』を物理攻撃でどうにかすることはできないわ。
 この子は自分の復讐を果たすまで止まらないの」

ゾワワッ!

御坂「黒子、危ないッ!!」

白井「えッ!?」
257 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:45:33.89 ID:bToz1n20

ゾワワッ!!

ボムッ!!

白井「ああ゛ッ!?」ゴボゴボ

御坂「黒子ッ!!」

ローブの女「あらあら、飲み込まれてしまったのね。可哀想に」

御坂(水の体積が減っていく!?)

ローブの女「あの子の口から中に入ろうとしてるのね。
 このままじゃあの子……」

白井「―――ッ!!」ゴボゴボ

ローブの女「死ぬわ」ニコッ

御坂「黒子、逃げてッ!!」

白井「―――ッ!? ―――、―――ッ!!!」ゴボボッ

ヒュン!
258 :ローブの女のCVは伊藤美紀さんで想像してます ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:48:39.23 ID:bToz1n20

白井「あぅッ!?」

ベシャッ!

御坂「黒子ッ!?」

白井「ゲホゲホッ!! だい、じょうぶ、ですの……。
 しかし……危なかったですわ。もう少し逃げるのが遅れていたら
 水で内部から内臓を圧迫されるところでしたの……」ポタポタ

ローブの女「素晴らしいわ! 物だけじゃなく、自分も動かすことができるのね。
 えーと、なんて言ったかしら? てれ、てれぽ……」

ゴッ!!!  ビリリリィッ!!!

ローブの女「あら?」

御坂「よくも、私の後輩を傷めつけてくれたわね。
 お返しはたっぷりさせてもらうわよ」

白井「お、お姉様……」

ローブの女「私ではなく、『ウンディーネ』が、なのだけど。
 きっとそこの勇ましいお嬢さんが、昔愛した騎士に見えたのね」

御坂「だから…………もうあんたの電波話は、聞き飽きたっつってんでしょ!!」ダッ
259 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:51:33.57 ID:bToz1n20

ローブの女「でもどうするつもり?『ウンディーネ』に普通の攻撃は通用しないわ」

御坂「だったら、これなら、どうだッ!!」

ビリリリィッ!!  ズド――――――ン!!!

ビリリッ……

御坂「私の電撃なら、このくらいの分量の水、蒸発させるくらいわけないわ。
 さあ大人しく―――」

ローブの女  カチャ

御坂「キャア!?」

バシャアー!

白井「お姉様!!」

御坂「冷たッ! 何これ、ただの水? 一体何のつもり!」ポタポタ
260 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:53:03.91 ID:bToz1n20

ローブの女「さあ? 何かしらね」

御坂「ふざけてんじゃ――」

白井「ふざけてんじゃねぇーですのッ!!
 突然衣服の中から黒々と鈍く光る棒状のモノを取り出し
 そこから勢いよく大量の液体をお姉様の肢体にぶち撒けるなど、言語道断ですの!!」

御坂「なんであんたはいやらしく言うのよ!!」

ローブの女「それで? どうするの?」

白井「白井黒子最高裁判所の判決により、貴女は……
 死刑(デス・ペナルティ)ですのッ!!!」ヒュン

ズダンッ!!

ローブの女「くッ!!」グラッ

白井「お姉様への無礼、串刺しの刑で償いなさい!!」

ヒュンヒュン

トストストストストストスッ!!
261 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 19:58:12.63 ID:bToz1n20

ローブの女  ダンッ!

御坂「どきなさい黒子!! なんのは串刺しじゃなくて、黒焦げよ!!」ビリッ!!

ジジジジジッ、ズド―――ン!!

ボォォ―――ン!!

御坂「やった!!」

白井「うッ!?お姉様!!」

御坂「はぁ?何これ!?」

ポタポタ……

白井「あの女が、ただの水に……。
 お姉様、人体が液状化するような出力で電撃を放ったんですの?
 犯罪者とは言え、さすがにやり過ぎですわ!!」アセアセ

御坂「んなわけないでしょ!! ちゃんと気絶するくらいに調節したわよ!!」

白井「じゃあ、これは……」

御坂「こいつの能力ってこと? 水を使った分身?」

白井「分からないことだらけですわ……」

御坂「一体、何なの……」

ぽた、ぽた……
262 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 20:04:32.34 ID:bToz1n20
という訳で今回は以上!

今回で第1部の戦闘メインのパートは一通り終わりました。
書いてみて改めて思いましたが、台詞形式だと戦闘描写はさすがに限界がありますね。
これ以上戦闘が激化すると、確実にヤムチャ的な解説ポジションが必要になるわ……

第1部はこのまま台詞と擬音のみの形式でいきますが、
第2部からはト書き程度の描写を入れていくことも検討します。
それに関して感想や意見などあれば教えてください!
もちろんそれ以外の感想や質問もOKです!

それでは次回は十一月七日(日)!次回でちょっと一段落します。
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 20:35:03.12 ID:tSyt1YYo

ところで>>252>>253に黒衣の男が出てきてますが…?
264 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/05(金) 20:40:52.54 ID:bToz1n20
>>263
またやってしまった……
「ローブの女」に脳内変換お願いします。
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 21:19:56.54 ID:YtW8LYAO
あホントだ
台詞でキャラ出てるから気付かんもんだな
戦闘描写は詳しい書かれた方が気分が乗るな
266 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/07(日) 18:04:11.17 ID:pSDg3UE0
>>265
ありがとうございます!第2部までもう少し検討してみます。

19時頃から投下していきますよー
267 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/07(日) 19:29:30.11 ID:pSDg3UE0
では投下開始します!
268 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:33:00.90 ID:pSDg3UE0

―――第七学区、とある廃ビル、六階の一室




女子高生「う、うーん……」

上条「お、気が付いたか?」

女子高生「……あれ、ここ、どこ? 私、なんで、こんなところに……」フラフラ

上条「おいおい! 無理して立ち上がろうとすんなよ」

女子高生「すいません……。あの、私、なぜこんなところに?
 ここは一体どこなんですか」

上条「説明するとすごく長くなるんだけど……。
 えーと、簡単に言うとですね、貴女は誘拐されてしまったわけで……」

女子高生「ゆ、誘拐!?
そう言えば私、学校の帰りに本屋さんに寄って、それから……」

上条「誘拐犯は、魔術……じゃない、能力で学生の意識を操って
 このビルまで連れてきたらしいんだ。ほら、他にも同じような学生がいるだろ?」

学生たち  ぐったり……
269 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:37:26.97 ID:pSDg3UE0

女子高生「本当だ……。貴方も誘拐されて、ここに?」

上条「いや、俺は誘拐された学生たちを助けに来たんだ」

女子高生「ということは貴方は風紀委員の方なんですが?」

上条「風紀委員? 違う違う。ただの学生だよ、俺は」

女子高生「ただの学生? なんでわざわざ風紀委員でもない貴方がここに?」

上条「うーん、上条さんにも食料をたらふく恵んでもらったという
 何事にも代えがたい恩義があったりするわけなんですが……。
 でもまあ、当たり前なんじゃね? 
 誰かが困ってて、それを知っちまったら、助けに行くなんてさ」ニコッ

女子高生「あッ……///」

上条「?」

女子高生「あ、あの……/// 私、最近ずっと好きだった人にフラれてしまって
 それで、誘拐された時も、すごく暗い気分で歩いてて……」

上条(そう言えばステイルが、学生を誘拐した魔術は
 負の感情に働きかけて発動させる術式である可能性が高いって言ってたな。
 もしかしてこの子もショックなことがあったから、魔術にかかったってことか?)
270 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:41:02.38 ID:pSDg3UE0

女子高生「その、すごく絶望的で、生きる目的を失って……
 もう、私、何言ってんだろ……!」

上条「だ、大丈夫! 落ち着いて! 愚痴くらいならいくらでも聞くからさ」

女子高生「は、はい……/// それで私、その人のために、ずっと料理を勉強してたんです。
 それで、その……代わりに、私の料理食べて、くれませんか……///」

上条「えッ? すごく嬉しい申し出なんだけど、なんで俺が?」

女子高生「それは……///」

「あ゛―――!! あんたッ!!」

上条  「ッ!?」
女子高生「ッ!?」

上条「ビリビリ!? なんでお前がこんなとこに?」

御坂「それはこっちの台詞だッ!! なんであんたがここにいんのよ!!」

上条「いや、それには非常に深い事情がありまして……」
271 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:44:12.50 ID:pSDg3UE0

御坂「!?」

御坂「もしかして、ここにいた誘拐犯を倒したのってあんたなの?」

上条「俺って言うか俺の仲間が―――」

白井「誰かと思ったらまた貴方ですの。事件の影にはいつもいらっしゃるのですね。
 まるでどこぞの少年探偵ですわ」

上条「白井? お前がいるってことは、この誘拐事件に風紀委員が動いてるのか?」

白井「いえ、この誘拐事件には上層部からの圧力がかかっているため
 今回の行動は独断専行、風紀委員の活動外のものですわ。
 しかしこのビルには一応風紀委員と警備員が向かっていて……
 って貴方はなぜこれが誘拐事件だとご存知ですの?」

上条「悪い。白井、御坂、ここにいる学生は頼んだ!」ダッ

ダダダッ……
272 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:50:58.85 ID:pSDg3UE0

御坂「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!! 事情くらいは説明して―――」

女子高生「せ、せめて名前だけでも―――」

御坂「え?」

女子高生「え?」

白井「相変わらずマーキングに熱心な殿方ですのね。
 まさしく『類人猿』といった感じですの」

御坂「ままま、マーキング!? あんた、あいつに、な、何されたのよ!!」ビリビリ

女子高生「いえ!? ただあの人に助けてもらっただけで―――」

御坂「助けてもらっただけって、『マーキング』されたんでしょ!!
 白状しなさいよ!!」

女子高生「されてません!! ていうか『マーキング』って何?」

白井「お、お姉様! 落ち着いてくださいまし!」アセアセ
273 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:53:16.50 ID:pSDg3UE0

御坂「落ち着いてなんかいられないわよ!! 『マーキング』よ!!
 『マー』の『キング』よ!! 王様なのよ!! 落ち着いていられるわけないでしょ!!」

白井「いえ、意味がよく……」

御坂「そんなこと言ったって、黒子が言い出したんじゃない!!」

白井「それはただ、言葉の綾で―――」

白井「ッ!?」キョロキョロ

御坂「大体自分の言葉には責任を……ってどうしたの?」

白井「お姉様!! 佐天さんがどこにもいませんわ!!」

御坂「そんな……!」キョロキョロ

御坂「いない……! それに私のクラスメイトも……!」

白井「貴女、この部屋にいる学生の他に、中学生くらいの髪の長い女の子を見ませんでしたか?」

女子高生「いえ、私もあの人に助けられて、ついさっき気が付いたばかりなので……」

御坂「どういうこと! あの女、やっぱり嘘をついてたっていうの!」
274 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 19:57:05.26 ID:pSDg3UE0

白井「……可能性はありますわね。お姉様のクラスメイトはこの連続誘拐事件の最初の被害者。
 佐天さんは最後の被害者。それに監視カメラの映像からも分かるように
 佐天さんのときだけ能力による誘拐ではなく
 その場で強引に攫っていきましたわ」

御坂「つまり私のクラスメイトと佐天さんは
 誘拐犯にとって、何らかの意味で『特別』だったってこと?」

御坂(そう言えば今まで気にしてなかったけど、なんで佐天さんには能力を使わなかったの?
 こんなふうに考えたくはないけど
 レベル0の佐天さんを『能力者』として誘拐する意味はないはず。
 だとしたら、能力を使わず強引に誘拐するほど
 『能力』以外に誘拐犯が欲している価値が、佐天さんにはあったってこと?)

白井「そうするとここにいる学生たちは捨てて
 佐天さんとお姉様のクラスメイトだけ連れて逃げた可能性がありますの。
 あの女がこの事件の首謀者だとすると、二人はもう……」

御坂「……ッ!」ダッ

白井「お姉様!!」

御坂「私はあの二人を探す! あの女もまだそんなに遠くには行ってないはずでしょ!
 黒子はここにいる人たちをお願い!!」
275 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:01:12.94 ID:pSDg3UE0

白井「ちょっと、お姉様ッ!?」

御坂 ダダダッ

ドンッ!

御坂「きゃあッ!?」ドテッ

「うわッ!?」ドテッ

御坂「イテテ……あぁッ!?」

佐天「御坂さん!? 御坂さんがどうしてここに?」

白井「佐天さん!? はぁー……良かったですわ、無事でしたのね」

佐天「白井さんまで!? もしかして、私を助けに?」

御坂「そういうこと。友達が行方不明になって、私たちが大人しく待ってるわけないじゃない」

佐天「ははは……確かにそうですね」
276 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:07:28.59 ID:pSDg3UE0

御坂「でもホント良かったわ。佐天さんたちだけあの女に連れ去られたと―――」

女子学生  ビクッ

御坂「あッ!? やっぱり貴女も無事で―――」

女子学生「ゴメンなさい!!」

御坂「え?」

女子学生「あの、えっと、私……」

女子学生  グッ……

佐天「大丈夫ですよ。ほら、勇気出して!」

女子学生「は、はいッ! 御坂さん、私、御坂さんに謝らなくちゃいけないんです。
 誘拐された日、私は御坂さんに黙って限定『およげゲコ焼きくん』を手に入れてたんです。
 御坂さんにはずっと能力開発の悩みも聞いてもらって、それにゲコ太の話もできて……。
 
 嬉しかったんです。御坂さんとお話できて……。
 競争の激しい常盤台では、グスッ、悩みの相談なんてなかなかできないし
 グスッ……ゲコ太が好きだって言ったら、他の人には『子どもっぽい』って馬鹿にされるし。
 なのに、私……グスッ……御坂さんを裏切るようなこと、して……」
277 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:11:17.23 ID:pSDg3UE0

御坂「……」

スタッ、スタッ

御坂「あのさ、その『およげゲコ焼きくん』、私にくれない?」

女子学生「えッ?」

御坂「もうすぐ手に入る、タイ限定『ワイクルーゲコ太』と交換で、ね?」ニコッ

女子学生「う、う、うぅ……。御坂さんッ!!」ギュッ

御坂「そんな泣くことないでしょ。お互い限定ゲコ太が手に入るんだから」ギュッ

女子学生「グスッ、グスッ……。はい……!」ギュウッ

白井「がん゛どう゛でぎでずの゛……!! うぐぅ、黒子、涙で前がみえませんの!!」

佐天(イイハナシカナー?)

白井「うぐッ、うぐッ……おっと、そうでしたわ」カチャ

白井「もしもし? はい、全員無事保護いたしましたわ。
 はい? ええ、もちろん無事ですわよ」
278 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:14:33.29 ID:pSDg3UE0

白井「佐天さん」

佐天「はい?」

白井「貴女のことを一番心配していた方が」スッ

佐天「?」

佐天「もしも―――」

初春『佐天さん大丈夫ですかッ!!! 意識ありますかッ!!!
 どこか怪我してませんかッ!!!』

佐天「う、初春?」キーン

初春『お腹へってませんかッ!!! 眠たくありませんかッ!!!
 おトイレ大丈夫ですかッ!!!』

佐天「だ、大丈夫だって。そんな心配しなくても―――」

初春『心配しますよッ!!!』

佐天「初春……」
279 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:17:51.45 ID:pSDg3UE0

初春『心配するに決まってるじゃないですか!!
 突然いなくなって……。もう、心配かけないって、言ったのに……』グスッ

佐天「ご、ごめんごめん!! 泣かないで初春!!
 ほら、今度は私がクレープ奢ってあげるから!
 初春の好きなチーズチョコバナナ明太子クレープ」

初春『そんなの、グスッ……好きじゃありませんよーッ!』

佐天「あれ? そうだったっけ?」

初春『そうです……。佐天さんには、たくさん、美味しいクレープ
 奢ってもらうんですかね……』グスッ

佐天「アハハッ、そうだね。約束する……」

初春『絶対ですからね!! 約束しましたからね!!』

佐天(御坂さんも白井さんも、それに初春も私を心配して助けに来てくれた)

ギュッ

佐天(私はまた……助けられた)
280 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:20:57.74 ID:pSDg3UE0

―――第七学区、とある廃ビル、八階




ドゴオォォ――――――ン!!

黒衣の男「ウゴォォッ!?」

黒衣の男  バタッ

ステイル「これで一通り片付いたか」

ステイル(しかし奴らの言う『総裁』とかいうのはいなかったな。
 一足先に逃げられたか)

ステイル「まあ、目的を阻止できただけでも良しとするか」

「おーいッ!! ステイル!!」

ステイル  バッ

ボオォォォ―――  ド―――ン!!

上条「うおッ!?」

パンッ!
281 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:26:01.46 ID:pSDg3UE0

ステイル「ちッ」

上条「アブねぇ……。 おいッ! いきなり何すんだ!?」

ステイル「すまない。まだ敵が残ってるのかと思って」

上条「絶対嘘だろ! さっき『ちッ』って言ってたし!
 ガッツリ攻撃する気だったじゃねぇか!!」

ステイル「五月蝿いな。小さいことを気にしてると、将来禿げるぞ」

上条「オヤジを見る限り、当分禿げねぇよ。たぶん。
 そうだ! ステイル、もうじきここに風紀委員と警備員が来るらしいぞ」

ステイル「学園都市の治安維持組織か。それじゃあ長居は無用だな。
 最終的なこいつらの処理は学園都市の上層部に
 手を回しているはずだから心配要らないが、この場の対処は任せたよ。
 僕がこの場にいると少し面倒なことになりそうだからね」

上条「はぁ? ちょ、おま―――」

ステイル「Good-bye, bald mole(さよなら、ハゲモグラ君)」

ダダダッ……

上条「何を言われたか分かんねえけど、どことなく不幸だぁーッ!!」
282 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/07(日) 20:35:38.71 ID:pSDg3UE0
というわけで今回は以上!

第1部は残り5回ほどの投下で終わりそうです。
1ヶ月くらいだけどSS書くのは初めてだったから、すげー長く感じたなぁ。
スレ立てるのにめちゃくちゃ緊張したのが懐かしい。
これ読んでる人いるの?っていうのは未だに不安になりますが……

次回の投下は十一月十日(水)の予定!
魔術に深く関わってしまった佐天さんはどのような行動に出るのか?
スレタイの時点で見当が付く気がするけど乞うご期待!
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 20:41:33.70 ID:o/ZnHzwo
面白く読ませてもらってるよ

支援
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 20:57:17.37 ID:pNKkUgMo
乙です
テンポいい話で毎回待ってますよ〜
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 21:10:19.71 ID:ORV3YMAO
乙、ちゃんと読んどるよ
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 21:29:38.58 ID:TTeJXck0
乙です。よんでるよー

気になってたんだけどさスレタイ通りになったら
佐天さん死ぬよねやっぱり
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 21:31:00.11 ID:UxvIvZco
これ好きだよ。
スティルさんにも美味しい思いさせてあげてくれ
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:24:53.87 ID:bLb0mT6o
魔術使った能力者は血吐くけど
前例は土御門(レベル1)、一方通行しかいないからキャパシティダウン全く効かない程の無能力者は大丈夫なんじゃね?
子萌先生含む教師達が全く能力開発の影響を受けていないのも考えがたいし
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:35:57.08 ID:l.GKp3oo
>>288
土御門はレベル0
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:36:53.91 ID:UhgpWrwo
>>289
レベル1だろ
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:40:49.08 ID:AvSu2hUo
>>290
いやレベル0
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:41:47.36 ID:UhgpWrwo
>>291
肉体再生的なの持ってなかった?
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:42:46.66 ID:bGnX64co
>>288
土御門は無能力者だし、生きているのは能力(肉体再生)のおかげ。一方さんは主人公補正だろう
能力者が魔術使えないのは脳を開発して「自分だけの現実」を持ったから。無能力者でも少なからず持ってる
教師陣は仕組みには詳しくても開発自体は受けてない。でも魔術は人を汚染するから素人が多用するのは危険
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:45:25.10 ID:AvSu2hUo
>>292
レベル0で能力持ちって考えてはいる
たしか天使堕としの時に言ってた希ガス
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:48:01.46 ID:UhgpWrwo
>>294
ググったらレベル0だった……orz
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:51:28.71 ID:AvSu2hUo
>>295
そういう時もありますよ
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 22:52:32.99 ID:Nxq2.6ko
レベル1に満たない能力もレベル0に分類されるよ
だから土御門はレベル0の肉体再生
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 23:14:46.55 ID:ORV3YMAO
能力者が魔術使った状態て
A型の人に違う血液を輸血して拒絶反応起こした感じじゃないかね
まあ独自解釈云々書いてあんだから原作設定気にしてもね
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 00:03:33.66 ID:1MZuN5ko
うっわ何だよ土御門レベル1ってにわか乙でした。
でもキャパシティダウンを不快とも思わないってことは土御門と違って完全0っぽいし何よりこういう解釈じゃないと救われない
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 00:25:51.24 ID:ePfzBCwo
佐天さんは全く能力の使えないレベル0だからキャパシティダウンを不快に思わないんだよ

土御門みたいに、少しは使えるけどレベル1の基準を満たさないからレベル0っていうのとは違う
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 01:30:43.20 ID:yy2bgOMo
>>300
使えるってか無意識的常時使用の類いじゃないか?
初春みたいな

佐天さんはおそらく空力か念動力だから無意識的常時使用状態にはならないんだろ
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 02:37:21.62 ID:Q0Px2E6o
佐天のその話で思ったんだけど、完全な無能力者がレベルアッパー使ったらどうなるんだろう?
レベルアッパーはない能力を付加させるわけじゃないんでしょ? それとも無能力者でも少なからず素質を持っているとか?
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 04:58:32.99 ID:RhUdQ6Uo
レベルアッパーの効能的に無能力者でもなんかてきとーに最適化された演算流し込まれて使えそうな希ガス。

一様何かに全くの無能力者も居るって書いてあった気がするし佐天さんその分類なんじゃね?
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 09:01:17.86 ID:7tbcRdI0
まったくの無能力者って上条さんのことじゃ?

でも一巻でスプーン一本曲げられなくてもそれは最弱の能力者というだけとあったからなぁ。
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 09:08:22.56 ID:iv1jskQo
無能力者っていんの?一応限りなくぜろに近くてもみんな持ってんじゃないの?
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/08(月) 12:59:10.38 ID:gHPhGqwo
>>282
見てるよ!
最近佐天さんが活躍するSSが少ないから期待してるんだぜい
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/09(火) 02:34:54.48 ID:oeiJGY20
佐天さんは学園都市の生徒だから魔術を使ったらまずいっしょ
開発を受けると脳の回路が変わっちゃうから魔術を使うと拒絶反応が出る
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/09(火) 14:48:21.60 ID:vd1/OCwo
そこはあれでしょ、独自要素でしょ
そもそも純粋な魔術とアレイスターがでっちあげた科学が分かたれたものって方が不合理だし
309 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/10(水) 18:33:45.39 ID:X3e/F8Q0
レスの数が20以上、だと……!?
僕にもまだ帰れるところがあったんだ。こんなに嬉しいことはない……!

というか前回読んでくれている皆さんの反応を煽るようなことを書いてホントすいませんでした!!
こんなに沢山の方に読まれているとは予想しておらず、とてつもなく嬉しかったです。
これからも完結目指して頑張ります。

投下は22時くらいから!
310 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/10(水) 22:12:40.36 ID:ySbXP9Y0
それでは投下開始します!
311 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:15:04.57 ID:ySbXP9Y0

―――第七学区、とある広場




佐天「―――はい、お待たせしました。白井さんの『あずき生クリームクレープ』」スッ

白井「ありがとうございますの」

佐天「そして、こっちが御坂さんの『ストロベリーチーズクレープ』」スッ

御坂「あ、ありがと……」

佐天「で、これが―――」

初春「はいはい! 私の『カスタードアイスブルーベリー生クリームチョコクレープ』です!!」

佐天「一度も噛まずに言えたことに感心しちゃうよ……。はい」スッ

初春「ありがとうございます♪」

佐天「そして私は『メロン風味の生地だけクレープ』……。ハハッ、不幸だ」ずぅぅん
312 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:19:50.83 ID:ySbXP9Y0

御坂「佐天さん、ホントにいいの? 私たちの分まで奢ってもらっちゃって?」

白井「そうですわ。初春はともかく、私たちは自分で買うつもりでしたのに」

佐天「い、いや、いいんですよ。迷惑をかけちゃったお詫びです。気にしないでください」

初春「そうそう、遠慮なんてしてちゃダメですよ」はむ

白井「貴女はもっと遠慮なさいな」

初春「でも、はむッ……これで」

初春「貸し借りなしですね」ニコッ

御坂「あッ……」

白井(そうでしたの。佐天さんに負い目を感じさせないように
 わざとこんな傍若無人な振る舞いを……)

初春「でも人のお金で食べるクレープは格別ですね♪ あぁ美味しいー!!」

白井(しているのかどうかは謎ですの……)
313 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:21:52.30 ID:ySbXP9Y0

佐天「……白井さん、人間って何日間くらいもやしだけで生活できますかね?
 私、2週間くらいはいける気がするんですよ……」フフフッ

白井「佐天さん、気をしっかり持つんですのよ!」

御坂「そ、そうよッ!! そうだ、いざとなったら
 こっそりうちの寮に連れてきてご飯食べさせてあげるわよ」

佐天「ッ!? 常盤台の学生寮の食事ですか!!
 やったーッ! 食事のレベルが一気に上がりますよ!!」

初春「あッ、私だって常盤台の学生寮でご飯食べたいですよ。佐天さんズルイです!」ウー

佐天「初春だけには言われたくないよ!」ウガー

ウイハルコノヤロー  サテンノクセニナマイキダゾー  サンヲツケロヨハナカンムリヤロー

御坂「ハハハッ……まあ、プラス思考なのはいいことよね」

白井「この場合、『図太い』と言ったほうが正しい気がしますの」やれやれ

佐天「さて、初春をSOLしたところで」

初春「されてませんよ」

佐天「この後どうします? 買い物にでも行きましょうか?」
314 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:26:40.15 ID:ySbXP9Y0

初春「秋物の服とか? でもそろそろ冬物の準備をしたほうがいいですかね」

白井「そうですわね。私とお姉様は秋物だとあまり買うものもありせんし」

佐天「どういうことですか?」

白井「常盤台中学が外出時は制服着用が原則なのはご存知でしょう?
 冬はマフラーや手袋などである程度自由な着こなしもできますが
 秋は基本的にどうしようもありませんの」

御坂「でもついつい着る機会のない私服とか買っちゃうときもあるけどね」

佐天「んー、じゃあ冬物の小物でも見ます?」

初春「あッ、こんなのどうですか? みんなそれぞれで買って交換するっていうのは」

白井「面白そうですわね。初春にしては良いアイディアですわ」

初春「甘いものたくさん食べて、頭の回転が早くなってますからね」フンス

佐天「イラッと来る……」
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 22:29:21.13 ID:NjKDgIYo
頭の花に栄養が行ってるからか…
316 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:30:26.38 ID:ySbXP9Y0

御坂「それ以外はブラブラ色んなお店でも見て回りたいわね。
 最近そういうゆっくり出来る時間ってあんまりなかったし」

白井「そう言えばこの4人で一日中遊ぶのも久しぶりではありませんの?」

佐天「あー、それこの前に初春と遊んだときも思いました。
 誰かさんが最近忙しそうにしてるせいですかねー」ニヤニヤ

御坂「誰かって…………えッ、私!?」

初春「そうですよねー。それに何だか以前よりボーッとしてることが多くなりましたし。
 正に『恋する乙女』って感じですよね」ニヤニヤ

御坂「こここ、恋ぃぃッ!?」ドキッ

御坂「そ、そんなわけ―――」

白井「アノルイジンエンガ――ッ!!」

佐天(『アノルイジンエンガー!』ホントにキターッ!)

御坂「ホ、ホントにそんなことないからッ! 私、本当にいつでも暇だし!
 ま、まったく予定なんて入ってないから!!」あせあせ

佐天「それはそれで悲しいですね……」
317 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:36:10.90 ID:ySbXP9Y0

佐天「いやーでも悔しいですよねー。御坂さんの心が、見知らぬ男の人に奪われるなんて。
 私の御坂さんは誰にも渡したくありません!」キャー

御坂「う、奪われるッ!?」

初春「そうですよ! 私の御坂さんはそう簡単にはあげられません。
 一二に及ぶ過酷な試練を突破しないと許可できませんよ!」ワー

御坂「だから、そんなことは……!」

白井「何を言ってますのッ!! お姉様は私だけのものッ!! 誰にも渡しませんわ!ッ!」ゴルァ!!

佐天初春(怖ッ!!)

御坂「だからそんなことないってッ!! それにあんたのものでもないし!!」

白井「そんなこと仰って、お姉様のいけず〜♪」ウネウネ

御坂「うるさいッ!!」グイーッ

白井「ふぁたくしふぁ、ふぉんしんをもうひあげたたけてすほひー」むにょーん
318 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:40:21.40 ID:ySbXP9Y0

佐天「ンフフフッ……でも白井さんはいつまでそんな風でいられるんですかね?」

御坂「?」スッ

白井  みょーん

白井「どういうことですの? 私のお姉様に対する愛は永久不滅ですのよ?」すりすり

佐天「でも白井さんの気持ちってどっちかって言うと御坂さんへの『尊敬』ですよね?」

白井「もちろんお姉様への尊敬の念は有り余るほどですわ。
 レベル5の第三位にして常盤台中学のエース、成績優秀、容姿端麗
 それでいて驕ることなくすべての人に別け隔てなく接することのできるお姉様は
 私の理想ですのよ」フンッ

御坂「うッ……/// そういう風に真正面から言われるとすごく照れる……」

佐天「そこなんですよ! つまり白井さんにとっては御坂さんは『憧れ』の存在で
 恋愛感情とは別物ではないかと私は思うのです!」バーン

白井「なッ!?」
319 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:42:55.07 ID:ySbXP9Y0

初春「おおッ! 佐天さんが恋愛のベテランに見えます!」

佐天「フフフッ、何を言っているのさ初春。
 私は恋の伝道師3級の資格を持っているんだよ。このくらいのこと分かって当たり前!」

御坂「でも3級なんだ」ハハハッ

佐天「さらに私の見立てでは、白井さんは御坂さんよりも強い男性や
 自分のピンチを救ってくれた男の人にコロッと惚れてしまうと思いますよ」

白井「そ、そんなこと絶対にありませんの!! 私はお姉様一筋ですの!!」ウギャー

初春「私としては白井さんの変態性が少しでも薄れてくれれば嬉しいんですけど」

白井「さりげに何を言ってますの、初春……!」ゴゴゴッ……

御坂(確かに佐天さんの言ってることも一理あるわね。
 あれ? でも待って。『残骸』(レムナント)の事件のとき
 もし黒子をあいつが助けていたら……)
320 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:46:03.17 ID:ySbXP9Y0

御坂  モアモアモア……



………………………………

…………………

…………

上条「その幻想を、ぶち殺すッ!!」ブンッ

薄着の人「うぎゃぁぁぁッ!!」バキッ

薄着の人  バタリ

上条「大丈夫か白井!?」

白井「な、なぜ貴方が、私を、助けに……」フラフラ

上条「俺がお前を見捨てると思ったのか?
 お前が酷い目にあってるっていうのに、黙って見てられるかよッ!!」

白井「なッ……///」ドキッ

白井「あ、ありがた迷惑ですの……/// ど、どうせなら、お姉様に助けて欲しかったですわ」

上条「御坂? いつも俺に勝てない御坂にお前のことを任せられるわけないだろ!」

白井「そんな……お姉様よりお強いんですの……///」
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 22:46:25.54 ID:cg1n0YAO
そういや読んでて思い出したが
ステイル辺りは科学技術応用した魔術師とやり合ってんだよな
レーヴァティン使いの、あれは礼装のみ科学応用だったが
322 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:50:30.43 ID:ySbXP9Y0

上条「ああ、だからこれからお前を守るのは、ビリビリじゃない。俺だ」キリッ

白井「はぅ……/// 当麻さん……///」ギュッ

上条「白井……。これから毎日、そのツインテールをくるくるしたいんだ。いいか?」

白井「もちろんですの。その代わり
 私も当麻さんのウニウニをつんつんさせてくださいまし……」うっとり

上条「黒子ッ!!」ガシッ

白井「当麻さんッ!!」ギュッ

………………………………

…………………

…………



御坂「いやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

佐天「ッ!?」
白井「ッ!?」
初春「ッ!?」
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 22:50:51.16 ID:41Y3J5Yo
>>321
そんな相手いたっけ?
324 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:53:57.93 ID:ySbXP9Y0

佐天「ど、どうされましたの、お姉様―――」

御坂  ガシッ

御坂「くくくく、黒子ッ!! あんたはこれからも私だけを見てなさい!!
 いい!! 分かったわねッ!!」

白井「はぅッ!?」

白井  リーンゴーン、リーンゴーン♪

白井「……初春、今すぐ私を叩いてくださらない?」

初春「ん? 分かりました」

初春  ビュッ!!

パァァンッ!!

白井「ふがッ!?」

佐天「躊躇のないフルスイングッ!! 恐ろしいよ初春!!」

白井「……痛い。脳が揺れるくらい痛かったですの」

佐天「だ、大丈夫ですか、白井さん?」
325 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 22:58:56.65 ID:ySbXP9Y0

白井「……これは、夢ではありませんのね。お姉様の言葉は、すべて現実ですのねッ!!」

白井  ガシッ

御坂「はッ? ちょ―――」

白井「初春、佐天さん、今日の予定はすべて中止ですの。
 これから私とお姉様は式場の予約に行ってきますわ。
 初春、貴女はその間にマリアージュの準備を
 佐天さんはたまごクラブ・ひよこクラブの準備をお願いしますの!!」

佐天初春「ら、ラジャーッ!!」ビシッ

御坂「な、なんでそうなんのよッ!! あんたと式なんて挙げてたまるかッ!!」ビリリッ!

ド―――ン!!

白井「ふぃあんまッ!?」ビリビリ

初春「し、白井さんッ!?」

御坂「それと二人も勝手に了解しないでよッ!!」

佐天「す、すいません……」

初春「白井さんの迫力に押されてしまって……」
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 23:00:22.39 ID:cg1n0YAO
>>323
ステイルが主役の書き下ろし敵
書籍化されてないので知らない人も多い
新刊で名前有りなのに何の説明されてないなんたらの日差しのキャラも活躍してる
327 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 23:00:57.61 ID:ySbXP9Y0

白井「うぐぅぅ、ですの……。夢にまで見たお姉様から愛の言葉を頂けたと思いましたのに」

御坂「んなわけないでしょ!!」

白井「くッ……しかし黒子は絶対にお姉様を諦めませんのよ。
 そう言えば佐天さんこそどうなんですの?」

佐天「は? 私ですか?」キョトン

白井「以前粗暴な輩から助けてくださった殿方のお話をしていたではありませんか。
 あの方とはそれ以後お会いしておりませんの?」

佐天「な、なんで今その話が出てくるんですかッ!?」

白井「よくよく考えてみれば、自分から助けておいて
 ぶっきらぼうな言葉をぶつけるなど、恋のテンプレそのものですわ。
 佐天さんの心にその方への淡い恋心が芽生えても不思議ではありませんの」

初春「おおッ! 今度は白井さんが恋のベテランっぽいです」

白井「何を言っていますの初春! 私は恋のソムリエ3級の資格を持つ女。
 このくらい見抜けて当然ですのよ!」

御坂「だから何で3級?」
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 23:02:14.90 ID:41Y3J5Yo
>>326
dクス
329 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 23:04:38.42 ID:ySbXP9Y0

佐天「うぅーッ……ですからここでステイル君のことは関係ないじゃないですかッ!!」

白井「すている?」

佐天「……あッ!?」

佐天(しまったッ!?)

初春「佐天さん、いつの間にその人の名前知ったんですか?」

佐天「え、えーと、それは……」

白井「会ったんですのね! その方とまたお会いする機会があったんですのね!」

御坂「え、なになに? その話、私知らないんだけど」グイグイ

佐天「御坂さんがすごい食いついてるし!」

初春「佐天さんが以前恐喝の現場に止めに入って、逆に不良に絡まれてたとき
 颯爽と駆けつけて助けてくれたんですって」

白井「どうやら高位の能力者の方だとか。佐天さんを助けた後
 『俺に触れると、火傷するぜ』キリッ
 という言葉を残してその場をあとにしたそうですの」

佐天「そんなこと言われてません!!」

御坂(ちょっとあいつみたいな感じね。でも能力者だっていうから違うか)
330 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 23:13:26.45 ID:ySbXP9Y0

白井「それにしても不思議ですわよね」

御坂「何が?」

白井「何でもその方、何かの模様の入ったカードを使って能力を発動させるらしいんですの」

佐天  ギクッ!?

御坂「模様の入ったカード? どういうこと?」

白井「さあ? それにしても理に適っていないというか
 超能力の理論とは関係ない感じがしますわね」

御坂(『超能力の理論とは関係ない?』)




―――白井『なッ!?』

    御坂『再生したッ!?』

    ローブの女『貴女が何を言っているのか分からないけど、
     私の生み出した『ウンディーネ』を物理攻撃でどうにかすることはできないわ。
     この子は自分の復讐を果たすまで止まらないの』

    ゾワワッ!



御坂(なんで? どうしてあの女のことを思い出したの……?)
331 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 23:15:31.18 ID:ySbXP9Y0

御坂「…………」

白井「お姉様、どうされましたの?」

御坂「えッ!? いや、別に何でもない……」

初春「どうなんですか、佐天さん?」ズイッ

佐天「偶然、偶然会っただけだってば!! ほら、この前初春と遊びに行って
 遅れた初春を待ってたときにたまたま!」

初春「ああ、あの時ですか」

佐天「べ、別に大した話なんてしてないし、ホントに名前を聞いたくらいで。
 カードのことだって、その、えっと……そう! 『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』
 を……きょ、強化するためのものだって言った、よ?」

白井「まあ、そうとしか考えられませんわね。変わっているのには違いありませんけど」

佐天(ホッ……)
332 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 23:17:09.97 ID:ySbXP9Y0

佐天「そ、それじゃあそろそろ、行きましょうよ! ね?」すたッ

初春「えぇ!? 私まだクレープ食べ終わってないんですけど。
 それに何で私には恋愛トークふってくれないんですか?」

白井「初春にそんな話をふっても無駄だということはよく分かってますわ」

初春「そ、そんなー……。一応私にも聞いてくださいよ!」

佐天「はいはい。しょうがないなぁ。で、初春が今一番気になるのは何科の植物なの?」

初春「私の恋愛対象は人類ですッ!!」

初春佐天白井  ワーワー

御坂(気のせい、よね……)
333 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/10(水) 23:23:39.77 ID:ySbXP9Y0
というわけで今回は以上!

>>326で出ていた『とある魔術の禁書目録SS』(単行本化されていない方)ですが
>>1が読んでいないため、そこに出てくる設定や登場人物は活かすことができません。
悪しからず。
あとDVDの特典として付いてくる小説も未読です。
鎌池先生、仕事し過ぎやでェ……

次回は十一月一二日(金)の予定!
みんな風邪なんてひくなよ! >>1はもうひきました……
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 23:25:32.66 ID:Xi/z.ZIo
乙なんだよ!
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/10(水) 23:34:56.30 ID:cg1n0YAO
乙ざんす
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/11(木) 00:45:13.72 ID:MnxFbPIo
乙!
ステイルSSはオクで合計8k近くかけて入手したぜ・・・
機会があれば知り合いの禁書好きにも貸し出して読んで貰ったりしてる
皆が皆入手できる物でもないしね;
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/11(木) 01:19:05.37 ID:ncqGUG20
乙 黒子の叫び声がふぃあんま!って浦安みたいだなwwwwww
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage sage]:2010/11/11(木) 02:13:45.52 ID:BzXIWNE0
ルーンのカードについてはシェリー魔法文字と同じく自己暗示の一種と解釈しているのかな?
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/11(木) 02:33:51.62 ID:cWaAn/Ao
3級のくだりでMOTHER2のモグラ思い出した
340 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/12(金) 21:06:35.99 ID:uwDpOPM0
ごめんなさい!!
今日投下する予定でしたが、忙しくて時間が取れそうにないので明日にします。
ホント、スンマセンした!!
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 01:58:19.68 ID:nJyQrXwo
ゆっくりでいいんじゃなイカ?
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 11:27:19.17 ID:Sa/n/fgo
問題ないんじゃなイカ?
待ってるイカ!
343 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/13(土) 17:23:11.04 ID:yYguR0I0
昨日はすいません!
ちょっとアレがあんな感じになって、もうどうやってもああな次第で……

19時頃から投下します!
344 :早漏 [sage]:2010/11/13(土) 19:07:56.57 ID:xJqBvyoo
ふむ、さて19時になったわけだが
345 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/13(土) 19:11:15.31 ID:yYguR0I0
>>344
お前……

ということで投下開始します!途中で一回飯食うため中断すると思います。
346 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:13:46.81 ID:yYguR0I0

――――第七学区、地下街




御坂「じゃあみんな、準備はいい?」

初春「はい!」

白井「もちろんですの!」

佐天「ばっちりです!」

御坂「じゃあ目をつむって……」

御坂(うぅーッ……。誰のでもいいから可愛い感じのやつが当たりますように)

佐天(うーん、御坂さんのを選んで
 すっごい子供っぽいやつだったらどう反応すればいいのか……)

初春(常盤台のお嬢様だけあって、白井さんとかすごい値段のものを選んでそうです。
 元は取れそうですね)

白井(感覚を研ぎ澄ませるんですのよ! そしてこの中にあるお姉様の紙袋を選び取るんですの!
 日々の生活の中で鍛え上げた黒子のお姉様レーダーなら可能なはずッ!!)
347 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:16:08.97 ID:yYguR0I0

御坂「せーの……はいッ!」

御坂「これッ!」
初春「これですッ!」
佐天「これだッ!」
白井「これですのッ!」

御坂「えーと、とりあえず、自分のが当たった人はいないわね?」

白井「私は大丈夫ですわ」

佐天「私もでーす」

初春「私も。で、これは誰が選んだものですか?」

白井「ん? それは私が選んだものですわね」

初春「白井さんのですか!?」

白井「……何ですのそのリアクションは」

初春「いえ、別に。あ、白井さんの、私が選んだやつです」

白井「これは初春のですの? うぅー、ハズレですわ!」

初春「えーッ? 私だって結構いいやつ選んだんですよ」プンスカ
348 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:18:45.29 ID:yYguR0I0

御坂「ん? ということは……」

佐天「私が持ってるのが御坂さんので、御坂さんが持ってるのが私のってことですね」

御坂「お互いに交換か……。ちょっと恥ずかしいね」

初春「じゃあ早速開けてもいいですか?」

白井「どうぞご自由に」

初春「では……」ガサガサ

初春「おおッ! これは……」バサッ

佐天「毛糸のショールだ!」

御坂「ワンポイントで花のコサージュも付いててオシャレね。
 黒子、あんたけっこういいセンスしてるじゃない」

白井「当然ですわ。まあ、できればお姉様に受け取ってほしかったところですけど」

初春「ありがとうございます、白井さん。大切にしますね!」

白井「どういたしまして。では今度は私が……」ガサガサ

白井「えーと、これは……なッ!?」
349 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:20:15.13 ID:yYguR0I0

佐天「へ? 何これ?」

御坂「か、カワイイッ!!」キラキラ

白井「な、何ですの!? この両側にカエルの顔がくっついた紐は!
 新手のヌンチャクですの!?」ブンブン

初春「マフラーに決まってるじゃないですか」

白井「明らかに子供用ではありませんの!! 中学生にもなってこんな子供じみたもの……」

御坂「えー、黒子いいなぁそれ。私もそれが良かったなぁ」うっとり

白井「うッ……!」

初春「ほとんど御坂さん一点狙いで選んだものですからね。
 あ、でも後でトレードとかはなしですよ。この冬、しっかり使ってください」ニコッ

白井「くッ……。犯人を捕まえた際の拘束具として利用してやりますの」

初春「マフラーとしてですよ」

御坂「そうよ黒子。学校にもそれで行けばいいじゃん。可愛いよー♪」

白井「どんな辱めなんですの……」ガクッ
350 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:25:28.51 ID:yYguR0I0

御坂「じゃあ次は私ね」ガサガサ

佐天「ど、どうぞ……」

御坂「おッ、これは……」

初春「帽子ですね! 白の、これはラビットファーですか? すっごくオシャレです!」

佐天「え、えーと、どんなの選んだらいいか分からなくて
 それで自分が欲しいのを選んでみたんです。だから御坂さんの趣味には合わないかも……」

御坂「ううん、そんなことないよ。自分じゃこういうの選ばないからなんか新鮮だけど。
 でもとっても可愛い! ありがとう、佐天さん!」

佐天「ハハハッ、どうも……///」

白井「お、お姉様。ちょっと被っていただけませんの?」

御坂「ん? いいよ」ポスッ

初春「おおッ!!」

白井「う、美しすぎますの……! お姉様マジ天使ですの!!
 黒子、興奮して鼻血が……あ、これで拭こう」ゴシゴシ

初春「ああッ!? なんで私があげたカエルマフラーを使うんですか!!」
351 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:27:37.40 ID:yYguR0I0

白井「緊急事態でしたので。仕方ありませんわ」

初春「ティッシュとかハンカチ使ってくださいよ!!
 カエルの顔が血まみれで恐ろしいことになってるじゃないですか!!」ウガー

白井「いやー重宝しますわ。初春がくれたこのカエルタオル」

初春「マフラーですッ!!」

佐天「じゃあ最後に御坂さんが選んでくれたのを開けますね」

御坂「どうぞ。結構頑張って選んだから、気に入ってくれると思うんだけど」

佐天(うッ……。ホントにあのカエルマフラーみたいなのだったらどうしよう……)ガサガサ

佐天「これ……」スッ

御坂「えーと、手袋。ちょっと大人っぽい感じのやつを選んでみたんだけど、どうかな?」

初春「す、素敵です!!」

白井「さすがお姉様。黒の手袋とは、ワンランク上のセンスですわ。
 これで少しは佐天さんも大人の女性に近づくのでは?」クスッ

佐天「よ、余計なお世話ですッ!」
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 19:27:59.68 ID:nJyQrXwo
>>348
>佐天「毛糸のショールだ!」

毛糸のショーツに見えた
これからの季節、大事な部分も暖k…ゲホンゲホン
353 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:30:32.26 ID:yYguR0I0

佐天「でもホントに素敵です! ありがとうございます、御坂さんッ!!」

御坂「うん。私も佐天さんが喜んでくれて嬉しい」

初春「いやー、みんないい物が手に入ってよかったですね」

白井「一人を除いて、ですの」ジトーッ

御坂「交換も終わったことだし、この後どうする?」

白井「そうですわね。完全下校時間を考えると、次に行く場所で最後になるかと」

初春「はいはい! 私、ゲームセンターに行きたいです!
 今日も私の不死デッキが火を吹きますよ! Wメテオッ!!」ヤー

佐天「えー、初春またあれやるの? 私たち見てるだけになるじゃん」

御坂「あ、初春さんあれやってみたら? ギターフリークス」

初春「そう言えば私、あんまり音ゲーってやらないんですよね。でもなんでそれなんですか?」

御坂「あれ、なんでだろう? 初春さんってギター上手いイメージが……」うーん…
354 :>>352実は候補の一つとして考えてた ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:34:18.30 ID:yYguR0I0

白井「私はそれよりどこかの喫茶店でゆっくりお茶でも頂きたいですわ。
 明日からまた風紀委員の忙しいお仕事が始まることですし」

佐天「あ、それって私たちが攫われた件でですよね……。なんか、すいません」

白井「フフフッ、佐天さんが責任を感じる必要などどこにもありませんわ。
 それにあの誘拐事件とは直接関係ないことですの」

佐天「それってどういうことですか?」

初春「あの事件の捜査にここのところ時間を割いていたので
 通常の風紀委員の仕事がたまってるんです。書類とか書類とか、書類とか……」うぅ…

白井「珍しく固法先輩が始末書を書いていますの。ちょっといい気味ですわ」ケケケッ

佐天「でもあの事件の事後処理とか、色々あるんじゃ……」

白井「そう言えば佐天さんはご存知なかったんでしたのね。
 あの事件は学園都市上層部から圧力がかけられていて
 事実上風紀委員は捜査できない立場にありましたの」

佐天「それでも助けに来てくれたんですか!?
 うぅ……なんかますます責任を感じちゃいます……」ガクッ
355 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:38:18.85 ID:yYguR0I0

初春「だから佐天さんは何も悪くないですって。
 それに私たちが何もしなくても、きっと誰かが助けに行ってましたよ」

佐天「?」

白井「固法先輩に後で聞いたのですが、私たち以外にも上層部の対応に納得できない
 風紀委員や警備員がいたようですわ。彼らも私たちと同じように独断で捜査していたそうですの」

御坂「じゃあ私たちより先にあのビルを制圧してたのって、他の風紀委員だったってこと?」

白井「かも知れませんわね。佐天さんはあのとき私たち以外の人を見かけておりませんの?」

佐天「えッ!? いや、特に、誰も……」

御坂「…………」

初春「今回の場合、誰だったか分からないほうが好都合かも知れませんね。
 その後の捜査にもきっちり圧力がかけられているそうですし」

白井「誘拐された学生を全員保護したら、現場検証もしないまま則撤収でしたものね。
 あのビルには現在も何の調査も入っていませんわ」

佐天「え、それって……」
356 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:41:45.83 ID:yYguR0I0

白井「今も戦闘の跡が残ったまま、無人で放置されていますわ。
 犯人も一般人も入りたい放題ですの」

佐天(ってことは、もしかしたら……)

初春「どうかしましたか? 佐天さん」

佐天「えッ!? いや、その……。あッ、そうだ!!
 今日はスーパーで特売やってるんだった!!」

白井「と、特売?」

佐天「そうです! もやしが5袋72円!! だ、だから行かなきゃ!!」

初春「えッ!?」

佐天「そういうことなんで、私ちょっと先に帰りますね! じゃ、じゃあ!!」ダッ

タッタッタッ……

初春「あッ! 佐天さん!!」

白井「どうしたのでしょう? そんなにお財布事情が切迫しているんですの?」

初春「佐天さん……」

御坂「…………」

357 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:43:11.52 ID:yYguR0I0

―――???




ギギギィィィィ……  バタンッ!

ローブの女  スタッ、スタッ

白衣の女「予定よりお早いお戻りで」

ローブの女「そうなのよ。思ったより『必要悪の教会』の動きが迅速でね。
 困ったものね。彼らも」

白衣の女「…………」

ローブの女「どうかして?」

白衣の女「いえ、非常に嬉しそうなお顔をされているので。作戦は上手くいったのですか?」

ローブの女「想定していた以上に、ね。
 私たちが考えていたよりも、もっと大きな得物が手に入りそうよ」

白衣の女「それは何より。おめでとうございます」
358 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:45:55.68 ID:yYguR0I0

ローブの女「あら? もっと喜んでもいいのよ」

白衣の女「十分喜んでいますが」

ローブの女「あまりそうは見えないけれど」

白衣の女「私が真に喜ぶとき、それは私たち『科学の子』の目的が達成されたときです。
 今はまだこれだけの喜びで十分です」

ローブの女「そう? ならいいわ。
 貴女のことを謙虚というべきか、尊大というべきか悩むところだけど」

白衣の女「ご自由に」フフッ

ダッダッダッ!

黒衣の男「総裁ッ!! 総裁はお戻りかッ!!」

ローブの女「そのように大きな声を出さずとも聞こえているわ。私はここよ」

黒衣の男「総裁ッ!! 『黒衣の兵』はどこに? 
 総裁と共に学園都市に侵入した我が忠実な部下たちはどこにおるのです!?」

白衣の女「その前に総裁が無事に戻られたことを喜んだらどうです?」

黒衣の男「五月蝿いわッ!! どこの者とも知らぬ輩が口をはさむなッ!!」
359 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:49:50.56 ID:yYguR0I0

ローブの女「あまり乱暴な口の聞き方をするものではないわ」

黒衣の男「し、失礼しました……! して、『黒衣の兵』はどこに?」

ローブの女「いるわ。今広間で疲れを癒しているでしょう?」

黒衣の男「あ、あれだけでございますか? 出立の前にはあの十倍はいたはずッ!!
 彼らは一体!?」

ローブの女「まだ死んではいないでしょうね。
 『必要悪の教会』の魔術師は一応命までは奪っていなかったみたいだから。
 しかし学園都市の上層部と『イギリス清教』が通じている以上、じきに処分されるでしょうね」

黒衣の男「なッ……!? 同志が、我らが同志が命を落とすのですぞッ!!
 黙って見過ごすおつもりですか?」

ローブの女「私たちが成すべき大事には犠牲はつきもの。それは皆理解しているはずよ」

黒衣の男「しかしその『大事』は成ったのですか? 
 学園都市から能力者を連れてくるという大事は?
 帰ってきたのは疲れ果てた我が部下だけではありませんかッ!!」

白衣の女「総裁が抜けていますよ」

黒衣の男「黙れと言ったのが分からんのかッ!!!」
360 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:51:52.10 ID:yYguR0I0

ローブの女「成ったわ、大事は。十二分に、ね」ニコッ

黒衣の男「そんな……! 私は納得できません!!
 これほどの犠牲を出して成されたこととは、一体なんだったのですか?」

ローブの女「彼らは私たち『科学の子』の教えに殉じた。今はそれだけ理解できれば十分よ」

黒衣の男「到底そのような言葉では理解できませぬ! 納得のゆく説明をッ!!」

ローブの女「ふぅ……貴方も中々しつこいのね」

ローブの女  ツカッ、ツカッ

ローブの女「ならば貴方も」カチャ

黒衣の男「?」

ローブの女「殉教の道を行きなさい」

ベチャッ! ゾワゾワッ!

黒衣の男「なッ!?」
361 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:54:19.52 ID:yYguR0I0

ボムッ!!

黒衣の男「――――――ッ!?」ゴボゴボ

黒衣の男「―――、―――ッ!! ―――、―――、―――ッ!!!」ゴボゴボ

ローブの女「ウフフフ……」

白衣の女「…………」

ギュムッ! ギュムッ!

黒衣の男「――――――ッ!! ――――――ッ!! ―――……」ゴボッ

黒衣の男「…………」

ローブの女「ウフフフ。『ウンディーネ』ったらやっと復讐が果たせて嬉しそう」

白衣の女「しかし良かったので? 『黒衣の兵』を指揮する人間がいなくなってしまいましたが」

ローブの女「問題ないわ。残った彼らの中から一番優秀な者を選び、また数を増やせば済むこと」

白衣の女「信仰心とは便利なものですね。湯水のようにあらゆるものを引き出すことができる」

ローブの女「湯のように温かく、水のように清らかだからよ。
 恐怖、怒り、不信、葛藤……。それらを和らげるにはなくてはならないものだわ」

ローブの女  スッ

バシャァッ!

黒衣の男  ゴロッ

ローブの女「さて、私たちは猜疑と不安が煮詰まるまで、暫し待つとしましょう」
362 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:56:31.25 ID:yYguR0I0

―――第七学区、とある廃ビル




ヒュッ  カランカラン……

ステイル「これといって手がかりになるものはなしか……」

ステイル(あったのは儀式場と潜伏中に使っていた生活用品のみ。
 まるで近々ここを離れることが分かっていたように、何も残っていない)

ステイル(しかし奴らの目的は結局なんだったんだ?
 誘拐の手口そのものは巧妙だったかも知れないが、その後の対応は褒められたものじゃない。
 そもそも学生を誘拐して何をするつもりだったんだ?)

ステイル(もしくは『学生を誘拐すること』自体が目的だったのか?
 それはつまり……)

カランッ

ステイル「誰だッ!?」サッ

「きゃッ!?」

ステイル「……何だ、君か」
363 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 19:59:03.40 ID:yYguR0I0

佐天「びっくりした……。そこにいるとは思わなかったから、驚いちゃったよ」ハァ

ステイル「奇遇だ、また会ったね」

佐天「えッ? あ、そ、そうだ―――」

ステイル「なんてこと言うと思ったのかい? どうしたまたここに来たんだ」

佐天「の、ノリツッコミ!? 本場の笑いが分かってるなんて、ステイル君もやるなぁ」ハハハッ

ステイル「ハァ……。で、何の用だい?
 自分が監禁されていた場所で記念撮影をするつもりじゃないんだろ」

佐天「…………」

佐天「ここに来れば、ステイル君に会えるんじゃないかと思って」

ステイル「そいつは感激だ。日本人は義理堅いと聞いていたが
 わざわざ危機に晒された場所に戻ってきてまでお礼を言いに来るなんてね。
 僕の周りには失礼な日本人が多いから、軽いカルチャー・ショックだよ」

佐天「もちろん、助けてくれたお礼を改めて言いたいっていうのもあったけど
 それだけじゃないんだ」

佐天「……お願いがあってきたの」

ステイル「聞くだけ聞こう。聞き入れるかどうかは、内容によるけどね」
364 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 20:01:47.92 ID:yYguR0I0

ジリッ…………

佐天「…………」

佐天「……私に、魔術を教えてほしいの」

ステイル「…………」

ステイル「本気で、言ってるのか」

佐天「ほ、本気ッ!!」

ステイル「…………」

佐天「…………」グッ…

ステイル「……君は、本当に馬鹿だ」

佐天「す、ステイル君ッ! 私―――」

ステイル「僕は言ったはずだ。君の言う『力』はそんなものなのかと」

佐天「だからだよッ!! ステイル君は言ったよね?
 魔術は才能のあるなしに関係ない『力』だって!! だから……」

ステイル「君は何も分かっていない。魔術とはどのようなものなのか
 どんな危険を孕んでいるものなのかを。君は何も考えていない」
365 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 20:05:11.34 ID:yYguR0I0

佐天「違うッ! 私の話を―――」

ステイル「君はただ見たこともない『力』に少しばかり興奮して
 冷静な判断力を失っているだけだよ。しばらくすればそんな気持ちも―――」

佐天「私の話を聞いてよッ!!!」

シ――――――ン……

ステイル「…………」

佐天「私、言ったよね? 私は何かあっても何もできなくて人に頼るだけだって。
 いっつもそう……この前だってそうだよ。
 あのとき、ステイル君が来なかったら、私、きっと殺されてた……」

ステイル「…………」

佐天「もう、弱いままじゃ嫌だよ……。誰かに助けられて、誰かに護られて
 自分じゃ何もできないままなんて。役立たずの、ままなんてッ!!」

佐天「私も『力』が欲しい。せめて自分くらいは守れる力が。
 そのくらい望んじゃだめなのッ!!
 ねえ、教えてよステイル君。私はずっと弱いままでいなくちゃいけないのッ!!
 強くなりたいって心から思うことは、いけないことなのッ!!!」
366 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 20:07:30.03 ID:yYguR0I0

ステイル「…………」

ステイル「いけないことじゃ、ないさ」

佐天「…………」グスッ…

ステイル「元々十字教なんてそのためにあるようなもんだよ。
 弱き者を守るため、救われぬ者を救うため。
 そしてそれを果たすことを誓い、主の教えを知り、強くなるために」

佐天「うん……」

ステイル「『力』を欲するのは悪いことじゃない。
 場合によっては、僕たちはそれを手助けする義務もある」

佐天「じゃ、じゃあ……!」

ステイル「でも、君に魔術を教えるわけにはいかない」

佐天「な、なんでッ!? 言ってることが違うじゃん!!」
367 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 20:08:45.72 ID:yYguR0I0

ステイル「君に魔術を使わさせるわけにはいかないんだ」

佐天「だから、なんでそうなるのッ!! 説明してよッ!!」

ステイル「…………」

ステイル「魔術を使えば、君は……」

佐天「…………」ゴクッ…

ステイル「……死ぬ」

佐天「えッ……」




バタンッ

初春「そんな……佐天さん……」
368 :予告! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 20:23:27.23 ID:yYguR0I0

ジャジャジャジャーン ジャジャジャジャーン

佐天家の次女、涙子が見知らぬ男と
密会しているのを目撃してしまう初春。

初春の親友刑事黒ンコは、彼がイギリスからやってきた詐欺師であると告げる。

突然殺害される三女インデックス、屋敷を彷徨う巫女姿の幽霊

そして長女美琴の陰謀とは? 犯人が自供するのは何処の崖なのか?

火曜サスペンス劇場
『花製婦は見た〜名家に潜む血で血を洗う相続争い!
 「私が女将になります」初春の花飾りに隠された暗号とは?』

乞うご期待ください



369 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/13(土) 20:28:34.66 ID:yYguR0I0
中断しなくてもいけた。というわけで今回は以上!

次回は十一月一五日(月)の予定。来週中で第一部も終わりです。
それではまた来週!
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 20:30:25.99 ID:VsAy1.Mo
乙でした
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 22:52:21.11 ID:VmY36RU0
乙です

いつも嘘予告すぎるww
崖で自供するのは決定なんだww
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/13(土) 22:59:57.97 ID:5Yjh2oIo
乙!
花製婦ワロタww
373 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/15(月) 20:53:24.19 ID:YD3oDT.0
予告通り今日投下します!
時間はパンダパンダ⊂( ^ω^)⊃なラジオが終わる頃に。
374 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/15(月) 23:05:45.48 ID:1Fil0vw0
ブラウニーカッチカチやぞ!

投下開始しますー。ちょっと短めですがご容赦下さい。
375 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:08:25.30 ID:1Fil0vw0

―――第七学区、柵川中学校




キーンコーンカーンコーン♪

大圄「じゃあ今日はここまで。日直、号令ー」

「きりーつ、礼」

大圄「はい、さようなら。気をつけて帰れよ」

ガタガタッ、ザワザワッ

「帰りどっか寄ってく?」

「セブンスミスト行こうよ。一一一(ひとついはじめ)のアルバム買わなきゃ!」

「えー、そんなのDLすれば良くない?」

「何言っての! 特典のためにCDを最低十枚は買うのがファンのあるべき姿だよ!」

「どこの世界の話さ、それ?」

ザワザワッ
376 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:11:12.35 ID:1Fil0vw0

佐天「…………」



………………………………

……………………

…………

ステイル「魔術を使えば、君は…………死ぬ」

佐天「えッ……」

佐天「嘘でしょ、そんな……。嘘なんだよね? 私を諦めさせるための脅しだよね?」

ステイル「嘘でも脅しでもない。本当のことさ」

佐天「どういうことなの? 死ぬって……」

ステイル「能力者は魔術を使うことができないんだよ」

佐天「わ、私は能力なんて持っていないよ!」
377 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:16:16.60 ID:1Fil0vw0

ステイル「でも『能力開発』とかいうのを受けてるんだろ?
 僕も詳しくは知らないが、そいつは能力を得るために脳をいじったりするそうだね。
 魔術は異世界の法則を呼び出すものだが、それを使うのはあくまで『普通の人間』だ。
 何かの才能を持った『特別な人間』が使えば反動を受け、身体に大きな負荷がかかる。
 断言はできないが、能力を持っていない君にもそれが起きる可能性はある」

佐天「そんな……」

ステイル「僕も能力者が魔術を使うのを見たことが何度かあるよ。
 そいつは体の傷を治す能力を持っているらしいが
 能力を使うたびに血まみれになっている。
 そういう能力を持っている奴だってそんな有様なんだ。
 何の能力を持たない君が魔術を使って反動が来たらどうなるか、想像できるだろ?」

佐天「でも、それでも私は……!」

ステイル「それに君は魔術を知るということがどういうことか、分かっていない。
 魔術はこの世界を支える、裏側にある原理だ。
 それを知れば、君が今のままの生活を続けるのは困難になるだろうね。
 しかも魔術を教えるのが、汚れ役を進んで買っている組織の魔術師だ」

佐天「…………」
378 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:18:50.15 ID:1Fil0vw0

ステイル「君は今の平穏な生活を捨てる覚悟が、本当にあるのか?」

佐天「わ、私……私は……」ギュッ

ステイル「…………」

ステイル「……そう言えば、まだ改めてお礼を言ってもらっていなかったね」

佐天「は? お、お礼? それはそう、だけど……」

ステイル「明日の同じ時間、僕はこの場所に来る」

佐天「えッ?」

ステイル「明日までに、精精まともなお礼の言葉でも考えてきてくれ」クルッ

スタスタスタッ…

………………………………

……………………

…………
379 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:21:10.32 ID:1Fil0vw0

「……さん、……さん」

佐天(私は、どうしたらいいの?)

「佐天さん、聞いてます?」

佐天「えッ!?」ガバッ

初春「もぅ、何ボーッとしちゃってるんですか? また食べ物のことでも考えてたんですか?」

佐天「えッ? あ、そ、そんなことないよ、何言っての初春。
 ちょっと寝不足でボーッとしてただけだよー」

初春「…………」

初春「佐天さん、この後どうしますか?」

佐天「えッ、この後……?」

佐天(……どうするんだろう、私。ステイル君にもう一度会いに行く?
 それとも……)

初春「そうだ! 一緒にどこか行きましょうよ!!」

佐天「どこかって、昨日もみんなで行ったばっかじゃん」

初春「え、えっと……そうだ! 昨日は結局ゲームセンターには行けなかったですからね!
 一緒に行きましょうよ!!」
380 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:22:59.69 ID:1Fil0vw0

佐天「えッ、でも……」

初春「そ、それじゃあカラオケなんてどうです!
 最近ストレスが溜まってるから、シャウトしたい気分なんですよ!!」

佐天「う、初春どうしたの? 今日はやけに積極的に……」

初春「佐天さん。今日は一緒にいましょうよ。ね?
 佐天さんが行きたいところがあればついていきますから。だから……」

佐天「初春……」

大圄「おーい、初春。ちょっと職員室まで来て、明日配るプリント準備するの手伝ってくれないか?」

初春「えッ? 今日は……」

大圄「すぐ終わるから。パソコン関係で少し教えてほしいことがあるんだよ」

初春「で、でも……」
381 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:24:51.90 ID:1Fil0vw0

佐天「初春、行ってあげなよ」

初春「えッ?」

佐天「今日は、私も用事があるから。先帰るね」

佐天「…………」

佐天「じゃあ」

初春「佐天さんッ!!」

タッタッタッ…

大圄「どうした? 佐天と喧嘩でもしたのか?」

初春「…………」

………………………………

……………………

…………
382 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:27:55.96 ID:1Fil0vw0

タッタッタッ…

佐天「ハァ、ハァ、ハァ……」

佐天(どうしよう……。私どうしたらいいの? 死んじゃうのは嫌だ。
 初春や御坂さんや白井さん、みんなと別れるのも……)

タッタッタッ…

佐天(どうすればいいのッ!!)

「佐天さんッ!!」

佐天「ッ!?」

御坂「どうしたの? そんなに急いで」

佐天「み、御坂さん……。 何でここに?」

御坂「な、何で……それは人探しというか、追いかけてたら見失ってしまったというか……」

佐天「へ?」

御坂「あッ!? な、なんでもないッ!! なんでも。アハッ、アハハハッ……」

佐天「は、はあ……」

御坂「そ、それより佐天さんはどうしたの? 今、学校の帰り?」

佐天「はい、そうですけど……」

佐天「…………」

御坂「…………」

御坂「佐天さん、今ちょっとだけ時間ある?」

佐天「はい?」


383 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:29:45.11 ID:1Fil0vw0

―――第七学区、とある公園




御坂  ジリッ

御坂「ふぅ……」

御坂「チェイサーーーッ!!!」ブンッ

ドゴッ!!

ガコガコッ、ゴンッ!

御坂「お、ちょうど二つ出てきた。ラッキー♪」

御坂「はい、佐天さん、どうぞ」スッ

佐天「あの、御坂さん、これって犯罪じゃあ……」

御坂「細かいこと気にしない! はい!」

佐天「細かいことですか? しかもスープカレー……」プシュ

御坂「いやー、やっぱりいちごおでんはこの胸焼けしそうな甘ったるさがいいわね」ぷはー

佐天「こっちは限りになくカレーですよ。どこまで行ってもカレーって感じです」ぐびッ
384 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:31:07.79 ID:1Fil0vw0

佐天「それにしてもどうしたんですか、突然?」

御坂「別に。ただの思い付きよ。今の佐天さんには必要なんじゃないかと思って」

佐天「必要?」

御坂「心を落ち着かせる飲み物や、誰かと話す時間が」

佐天「あッ……」

御坂  ぐびッ、ぐびッ

佐天「心を落ち着かせる飲み物が、スープカレーなのはどうかと思います」クスッ

御坂「むぅ。せっかく奢ってあげたのに」

佐天「御坂さん一円もお金出してないじゃないですか」

御坂「そう言えばそうだったわね」アハハハ

佐天「…………」ギュッ

佐天「御坂さん、聞いてもいいですか?」

御坂「ん? 何?」

佐天「御坂さんは、何のために戦ってるんですか?」
385 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:34:13.71 ID:1Fil0vw0

御坂  ブッ!!

御坂「た、戦うッ!? な、何言ってるの? 私はそんな危ないことなんか……」

佐天「白井さんがよく愚痴ってますよ。御坂さんが一人で戦ってるみたいだけど
 自分に話してくれないから心配だって」

御坂「えッ、あの、それは、その……!」あせあせ

佐天「御坂さんにも色々と事情があると思いますし
 詳しいことを無理やり聞こうとは思いませんけど」

御坂「うッ……」

佐天「でもその理由くらいは教えてくれませんか?」

御坂「…………」

御坂「仮によ。仮に、もし私が何か理由があって戦っているとしたら……。
 間違ったことが起こっているのを知ってしまったり
 それが自分と無関係じゃないって気付いたとしら」

佐天「仮に、ですね」

御坂「それは……何のためって一言で言うのは難しいけど
 戦うのは、やっぱり自分のためだと思うな」
386 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:36:55.46 ID:1Fil0vw0

佐天「自分のため、ですか?」

御坂「もしここで立ち上がらなかったら、知らん振りをして元の生活に戻ったりしたら
 きっとそれまでみたいに、自分らしく前に進めないって思う」

佐天「自分、らしく……」

御坂「後悔して、情けなくて、『何であのとき何もしなかったんだろう』って
 いつまで考え続けると思う。そうなったら私は立ち止まる。
 なら危険だったとしても、私は戦うわ」

佐天「それは、御坂さんがレベル5の能力者だからですか? そんな風に強くいられるのは」

御坂「どうなんだろ? 以前は、もしかしたらそうだったのかも知れない。
 私だってレベル5が人と比べてどの程度強い能力かってことは分かってるし
 だからこそ、『力を持つ者の責任』とか感じてたかも知れない。
 でも……」

佐天「…………」

御坂「大した能力があるわけじゃないのに、拳一つで立ち向かうのを見たから……。
 このレベル5の能力がなくなったとしても、私は戦う。
 戦う力なんて、自分次第でどうとでもなるもんだと思うし。
 そういうのを、教えられた気がする」ギュッ
387 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:42:01.30 ID:1Fil0vw0

佐天「……つまり御坂さんの話を総合すると、その『拳一つで立ち向かった人』に
 御坂さんは惚れてしまったということですね」

御坂「そうそう、私はあいつにほ……ほ、ほほほほ、惚れぇぇぇぇ!!
 そそ、そんなわけないじゃないッ!! なんで私があいつなんかに……///」

佐天「いやぁ、『アノルイジンエンガー!!』ツッコミが入らないと
 御坂さんから話を聞き出すのも楽でいいですね」ニヤニヤ

御坂「ちち、違うって!! それにこの話は『もしも』!!
 フィクションであり、実在の人物、団体とは一切関係ないんだからッ!!」

佐天「ソウイエバソウデシタネ」

御坂「なんで棒読みッ!? くぅ……」ギリギリ

佐天「でもありがとうございました。御坂さんの話、聞けてよかったです」

御坂「そ、そう? ならいいんだけど」

御坂「……じゃあ佐天さん、私からも一つ聞いていい?」

佐天「なんですか?」
388 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:44:08.42 ID:1Fil0vw0

御坂「佐天さん、何か私たちに隠してること、ない?」

佐天「…………」

御坂「…………」

佐天「ありませんよ、何も」ニコッ

御坂「そう、分かった。ならよかった」ニコッ

佐天「じゃあ、そろそろ私行きます」

御坂「なにか用事?」

佐天「はい。大切な、用事が」

御坂「なら私も帰るわ。せいやッ!」ヒュッ

カコン!

御坂「うん! 我ながらナイスコントロール! じゃあまたね、佐天さん」

佐天「……はい、また」

スタスタスタッ…

佐天「……よし」
389 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/15(月) 23:52:15.36 ID:1Fil0vw0
というわけで今回は以上!

次回は十一月一八日(木)の予定です。次回と次々回で第一部は終わりです。
やっとここまできたって感じですね。色々と反省ポイントはあるものの、それは最後にします。

ではまた木曜日に!
390 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 00:05:58.81 ID:nMnrP62o

今日も佐天さん成分を補給できたぜ
391 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 08:14:52.06 ID:c39cqQUo
wwkwwkなんだよ!(・∀・)
392 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/18(木) 20:26:24.41 ID:GfDpAdI0
またまたすいません!
今日ともう一回で第一部を終わらせるつもりだったんですが、
書いてみるとけっこう短そうなので、一回の投下でまとめたいと思います。

土曜日か日曜日の投下で最後までいきます。
予定が狂いがちでごめんなさい。
393 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 21:36:26.52 ID:/EtsQpAo
待ってますよ〜
394 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 22:32:33.64 ID:YzXZV2Mo
待ってるぜい
395 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 05:19:36.48 ID:YEM4iqIo
待ってるんだよ!
396 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/21(日) 15:24:51.92 ID:K.2gYHoo
今日かな
397 :お待たせ! ◆fftSPPkhRw :2010/11/21(日) 18:09:51.24 ID:UoFBSaU0
のびのびになってマジ失礼しましたッ!!
今日の22時より投下します。

今日の投下で第一部は終了!
投下の最後にこのSSでの設定の解説やら第二部の簡単な説明するつもりです。
398 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/21(日) 20:09:32.65 ID:NFyrzb2o
>>1きた!これで勝つる!
399 : ◆fftSPPkhRw :2010/11/21(日) 22:17:28.64 ID:UoFBSaU0
まったく関係ないが、Googleの予測変換つかってるんだけど
「あた」まで入力すると「あたしのともだちにてをだすなぁぁぁ!!!!」が出てくる。
>>257を書いてた辺りで出てきたときからスゲェービックリした。
予測変換の候補がどんな理由で選ばれてるか分からん。

というわけで(?)投下開始します!
400 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:22:21.16 ID:UoFBSaU0

―――聖ジョージ大聖堂、ローラ=スチュアートの私室




ローラ「――つまり、彼らの目的は分かり得なかったということ?」

ステイル『申し訳ありません』

ローラ「まあ良いわ。その誘拐を阻止できただけでも良きことをしましょう。
 かように小さき魔術結社に、大それたことができるとも思えぬしね」

ステイル『しかし大した実力ではなかったとは言え、事前情報よりも構成員はいたようでした』

ローラ「勢力が増していたということ? 熱心にも勧誘活動をしておったのやも知れぬわね。
 此度の学園都市侵入も人員獲得のためのパフォーマンスだったのやも』

ステイル『結果的には人員は減ったようですがね』

ローラ「あのような人間たちの考えることなど分からぬわ。
 私たちには理解できぬ重要な意味でもあるのではない?」

ステイル『……貴女なら何か掴んでいるのではないですか?』

ローラ「私が何から何まで知りたると思ったら大間違いなのよ、ステイル。
 はて、日本ではこのような時『何でもは知らないわよ、知ってることだけ』
 と言いたるのが流行っているのではなかったかしら?」

ステイル『タイムラグがありますね。どうせ土御門にでも聞いたんだと思いますが』
401 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:23:46.59 ID:UoFBSaU0

ローラ  ギシィ…

ローラ「しかし一つだけ、耳に入りしことがあらんわ」

ローラ「どうやら件の魔術結社、他国と繋がっているようなのよ」

ステイル『他国? 『ローマ正教』ですか?』

ローラ「さあ? どこかははっきり分かっておらぬのよ」

ステイル『しかしその某国が『科学の子』のスポンサーになっている可能性がある、ということですね』

ローラ「そういうことね。今のところ、イギリスには実害はないのだし
 静観したるのが賢しき者のしたることよ。
 ステイル、それ以外に何かなかりしなの?」

ステイル『いえ、特には……』

ステイル『…………』

ローラ「何かあったと言外に語ろうておるわよ。まるで乙女の如き所作ね」

ステイル『なッ……!?』
402 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:25:19.38 ID:UoFBSaU0

ローラ「で、何かありたるの? どーーんとお姉さんに話してみなさい」フンッ

ステイル『誰がお姉さんなんですか……。その、大したことではないのですが……』

………………………………

……………………

…………



ローラ「―――魔術を、ね……」

ステイル『申し訳ありません。科学側の人間をこちらに巻き込み過ぎました』

ローラ「過ぎたることは良いわ。しかし貴方は何を迷うておるの?
 自身が言ったとおり、学園都市の学生であるその娘に魔術は使えぬはず。
 それでも魔術を使って痛い目をみたれば、諦めるのでないの?」

ステイル『いえ、それが、彼女は魔術が使える可能性があるんです』

ローラ「どういうこと?」

ステイル『誘拐される前、彼女に魔術を打ち消す術式のルーンを渡しました。
 そのルーンには一回発動する量の魔力しか込めていなかったにも関わらず
 何度も術式が発動したそうです』
403 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:27:52.79 ID:UoFBSaU0

ローラ「それはつまり、術式が発動したるに必要な魔力を、自ら生み出したということ?」

ステイル『そうではないかと考えています』

ローラ「……ふむ。それが本当ならげに面白きことね。
 その娘には『才能』があるやも知れぬわ」

ステイル『『才能』? 魔術に『才能』は関係ないのでは?』

ローラ「ンフフ。本当にかようなお題目を信じておるの? 貴方もまだお子ね」

ステイル『どういう、ことですか?』

ローラ「確かに魔術は『才能の無い人間がそれでも才能ある人間と対等になる為の技術』に
 違いはなきものだし、手順を正しく踏めば誰にでも使えるものではあるわ」

ローラ「しかし何時まで経っても容易な術式も使えぬ者がいる一方
 幼き身にて特定の魔術体系を完全に会得し、さらに新しき領域をも開拓したる者がいるのは何故?
 それは魔術という『才能』に打ち勝つために生み出された技術も
 『才能』と無縁にはいられぬという証左に他ならぬわ」

ステイル『…………』

ローラ「しかし皮肉なりけるものね。『才能』の壁から逃げるために辿りつきし先が新たな『才能』とは。
 その娘も、魔術そのものも」
404 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:37:37.67 ID:UoFBSaU0

ステイル『……最大主教は、彼女が魔術を使えるとお思いになりますか?』

ローラ「分からぬわ。その娘の言が真実かどうかも定かではなし
 確かなことは言えぬわね。しかし、本当に使えたら、面白きことだわ。
 ステイル、今日その娘が魔術を使うのでしょう?」

ステイル『はい、そうですが……』

ローラ「では本当にその娘が魔術を使いたれば、貴方と一緒にイギリスに連れてきなさい」

ステイル『は!? 正気ですか!!』

ローラ「相も変わらず失礼ないい口ね。本気も本気、なりけるのよ」

ステイル『しかし……!』

ローラ「本当に魔術が使えるとしたら、生半可な知識で魔術を使うのを防がねばならぬわ。
 宗教防壁なしに魔術を使い続ければ、本当に死に至るものね。
 この場合、正しき魔術の知識を与えることと、私たちの戦列に加わってもらうことは
 同義だと思いけるのだけど」

ステイル『彼女を『イギリス清教』に、『必要悪の教会』に引き込むおつもりですか!!
 彼女は学園都市の学生です。
 私たちの一存で彼女をイギリスに連れてくることなどできません!』
405 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:42:36.20 ID:UoFBSaU0

ローラ「向こうの統括理事長に言えばどうにでもなりたるわ。
 その娘は能力を持たぬのでしょう? 学園都市がその娘に拘る理由はなきなりなのではない」

ステイル『そうかも知れませんが……』

ローラ「貴方は、この結果を心の底でさにあれと望んでいた。違う?」

ステイル「それは……」

ローラ「『危険性がある』という言い方も、また今日会うということも
 私の耳には僅かながらその娘に希望を残したるようにしか聞こえぬわ」

ローラ「魔道書図書館のため、己が身を犠牲にしてまで強き魔術を身に付けたる自分と
 劣等感に苛まれ、科学側にとってはオカルトにしか思えぬ魔術を欲したその娘が
 重なって見えたるのではない?」

ステイル「……では最大主教が彼女を『イギリス清教』に引き入れようとする理由は
 学園都市の事情に精通し、場合によってはスパイとしても使える人間が欲しかったからですか?
 土御門とは違い裏の顔のない、純粋で、魔術を教えたという恩義が通用するような人間が」

ローラ「『主の掟に従って貧しい人を助けよ。その人が困っているとき、空手で帰すな』よ、ステイル」

ステイル『くッ……』
406 :あ、ステイルの『』忘れた ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:44:24.15 ID:UoFBSaU0

ローラ「その娘の結果、楽しみにしておるわ」

ステイル『はい……』

ローラ「では、貧しき人に福音があらんことを」

ピッ

ローラ「ふぅ……」

ローラ「誰か、誰かおらんの?」

「はい、如何いたしましたか?」

ローラ  スッ

ローラ「このテレビ電話、どうやったら学園都市の統括理事長に繋がるのだったかしら?」
407 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:46:29.61 ID:UoFBSaU0

―――第七学区、とある廃ビル




カツン、カツン…

ステイル「……来たか」

佐天「うん……」

ステイル「それで、お礼を言うためにどんな美辞麗句を用意してきたんだ?」

佐天「び、ビジーレイク? 何、イギリスの湖の名前?」

ステイル「『美辞麗句』だ。このくらいの熟語も知らないのか」

佐天「イギリス人に言われてしまった……。私日本人なのに……」ガクッ

ステイル「下らないコントはいいよ。それで?」

佐天「…………」

佐天「ステイル君、ありがとう。色々と助けてくれて」

ステイル「…………」
408 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:48:50.78 ID:UoFBSaU0

佐天「それと…………ごめんなさい。私、やっぱり魔術を教えて欲しい」

ステイル  ギリッ…

ステイル「本当に分かっているのか? 魔術を使った反動で君は危険にさらされるんだぞ。
 それにもし魔術を使えたとしても、君はもう、今の生活を続けることはできない!」

佐天「分かってる。真剣に考えたし、覚悟も、した……。
 でもこれが私の答えなんだ」ニコッ

ステイル「……そうか。とても残念だよ、僕は」

佐天「本当にごめんね。でもステイル君は優しいねぇ」

ステイル「は?」

佐天「私には魔術のことなんて分からないから、『選ばれた人間にしか使えないんだぁ!!』
 とか言っちゃえば、わざわざこんな面倒なことにならなかったのに。
 私にチャンスをくれるなんて」

ステイル「べ、別に君のためにじゃない!!
 僕は『イギリス清教』の一員として、真実に反することを言いたくなかっただけで……!」

佐天「……まさか、ステイル君はツンデレさん?」

ステイル「積ん出れん? どうにも手の打ちようがない状況を指し示す慣用句かい?」

佐天「……ううん、何でもない。日本語も常に変化し続けてるってことだよ」
409 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:51:51.25 ID:UoFBSaU0

佐天「それで、私はどうすればいいの? 魔術を使うって言っても
 どうすれいいか見当もつかないんだけど」

ステイル「一から術式を構成して、発動させるというのは素人の君には不可能だ。
 僕が術式を構成するから、君には自ら魔力を生成して術式を発動させてもらう」

佐天「魔力を、生成!? そんなこと、私でもできるの?」

ステイル「正しい手順を踏みさえすれば、不可能じゃない。
 この場合に使う魔力は誰もが持っている生命力を元にしたものだからね」

ステイル「君の場合、それはすでにできるようだし」ボソッ

佐天「ん、何?」

ステイル「何でもない。じゃあ今から手順を教えるから、そのとおりにやるんだ」

………………………………

……………………

…………



ステイル「―――おおよそのところは分かったね?
 ルーン文字とラテン語の対応関係は端折ったけど
 今使うルーンの意味さえ理解出来ていれば問題ないはずだよ」
410 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:54:39.22 ID:UoFBSaU0

佐天「うん、なんとか……」

佐天(不思議な感じ。初めて聞く話なのに、何となく理解できたような気がする……)

ステイル「手順は言ったとおりだ。それじゃあ、このルーンを」スッ

佐天「うん……」

ステイル「本当にいいのか? 魔術が発動してもしなくても、君は後悔するんじゃないか?
 今ならまだ引き返せる。このままそのルーンを僕に返して、ここ数日間のことを忘れれば
 今までどおりの生活を送ることができるんだよ?」

佐天「…………」

佐天「何もせず、このまま帰ったほうが後悔するよ。きっと。
 私はもう、決めたんだ」

ステイル「そうか……」

ステイル「なら僕はもう何も言わない。もし魔術の反動が起こっても、僕が最小限に押さえる。
 『イギリス清教』の魔術師として、一般人の被害はなるべく出したくないからね」

佐天「……ステイル君は、やっぱりツンデレだよ」クスッ

佐天「よし。じゃあ、いきます!!」ギュッ
411 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 22:59:50.65 ID:UoFBSaU0

佐天「うッ……!」

ステイル「思い描くんだ。十字教にとって『炎』とは敵を打ち払う力の象徴だ。
 君が今から顕現させる炎は、君の前に立ちはだかる障害をすべて焼き払う」

佐天(お願い! もう私は、護られるだけの私じゃ、いたくない!!)



―――御坂「それは……何のためって一言で言うのは難しいけど
     戦うのは、やっぱり自分のためだと思うな」

    佐天「自分のため、ですか?」



    御坂「後悔して、情けなくて、『何であのとき何もしなかったんだろう』って
     いつまで考え続けると思う。そうなったら私は立ち止まる。
     なら危険だったとしても、私は戦うわ」



佐天「原初の炎、その意味は光、優しき温もりを守り厳しき裁きを与える剣をッ!!」ギュッ

佐天(来てッ、私の力!!!)

ボゥッ…

ゴオオオオォォォォォォ―――!!!
412 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:01:03.69 ID:UoFBSaU0

佐天  「ッ!!」
ステイル「ッ!!」

佐天「すごい、本当にできた……。炎の剣だ……」ボーッ

ステイル「本当に、発動させた……」

佐天「こ、これを……私が……」

ゴオオォォォ…!

ステイル「それより大丈夫か! 反動は!?」

佐天「ない、と思う。でも、何だか体から力が……」フラッ…

ゴオオォォォ…!  シュン…

佐天  バタンッ

ステイル「!?」

ステイル「おいッ!! 大丈夫か!? しっかりしろ!! おいッ……」

佐天(私、できたんだ……。これで私も、みんなを……)

………………………………

……………………

…………
413 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:05:31.22 ID:UoFBSaU0

―――第二十三学区、国際空港ロビー




ザワザワッ…

『ロンドン、ヒースロー空港行き、一二時三〇分発の三一〇便にご搭乗のお客様は……』

―――♪狙い定めた 指先がさす 運命は絶望? それとも希望?

佐天「〜〜〜♪」

トントン

佐天「ん?」

ステイル「そろそろ搭乗時間だ。行こう」

佐天「うん。分かった」カチャッ

ステイル「体の方は大丈夫か?」

佐天「平気平気♪ 昨日は安心してちょっとフラっとしちゃったけど、今はなんともないよ」

ステイル「魔力は生命力を使うからね、そのせいもあるだろう。
 できることなら一日くらい休ませてあげたいところだが」
414 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:07:46.73 ID:UoFBSaU0

佐天「でも驚いたなぁ。次の日にはいきなりイギリスに行くことになるんだもん」

ステイル「僕もここに長居できるほど暇じゃないからね。
 君の学校へはイギリへの留学する手続きがすでに行われているはずだ。
 君の部屋にある荷物も、追ってロンドンへ送られてくる」

佐天「でもあの電話で話した変な喋り方の人は、なんで私にここまでしてくれるのかな」

ステイル「仮にも今から君の上司になる方だぞ。もう少し敬意を持て。
 まあ、あの人のやってることはただの気まぐれだ。君はそう考えていればいい」

佐天「そうなんだ。ふーん」

ステイル「…………」

ステイル「本当にいいのか?」

佐天「何が?」

ステイル「僕と一緒に来ることだよ。君は―――」

佐天「ステイル君しつこいぞぉ! 私はもう決めたんだから、もう何も言いっこなし!!」フンッ
415 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:10:36.08 ID:UoFBSaU0

佐天「それにしても楽しみだなぁ。イギリスなんて行ったことないよ。どこ行こっかなぁ♪」

ステイル「観光気分か。それよりあっちで生活するんだから、少しくらい英語はできるんだろうね?」

佐天「ッ!!」

佐天「そうだ、イギリスって英語なんだった……。まずい、私英語なんてできないよ……」ずぅぅん

ステイル「日本の義務教育でも英語は教えられてるんだろ?
 まったくできないなんてないんじゃないか。
 Tell me about yourself(自己紹介してみてくれないか)」

佐天「…………」ゴクッ

佐天「つ、ツーハンバーガー、プリーズ!!」

ステイル「……魔術を学ぶより、まず先に英語を勉強する必要があるな」

佐天「うぅ……。日本の中学生なんてみんなこんなもんだよ!
 御坂さんや白井さんなら、出来るかも知れないけど」

佐天「…………」

ステイル「どうかしたのか?」
416 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:13:23.18 ID:UoFBSaU0

佐天「い、いや、別に……! ただ、みんなにお別れ言えてなかったな、と思って……」

ステイル「あっちに行けば当分ここには戻って来れなくなる。
 メールくらい送ってあげればどうだい?」

佐天「私もそう思ったけど、どう言えばいいのか分からなくて……」

ステイル「そうか……」

佐天「も、もうそんな湿っぽいことはなしなしッ!
 あっちで落ち着いたらみんなに連絡するから!! 今は輝かしい明日に思いを馳せようじゃないかッ!!
 そう言えば、イギリスってご飯があんまり美味しくないって聞いたけど、あれってホント?」

ステイル「確かに日本人の口には合わないものが多いかもね。
 特に何でも手に入る学園都市で生活していたのなら、なおさらだろう」

佐天「うーん、そっか。私も少しは自炊とかできるけど
 これは本格的に料理を勉強するべきかな。ステイル君は―――」

「佐天さんッ!!!」

佐天「えッ?」
417 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:16:52.43 ID:UoFBSaU0

タッタッタッ

初春「ハァ、ハァ……佐天、さん……!」

佐天「う、初春!? どうしてここに?」

初春「ハァ、私、は……」

佐天「そ、そっか! 学校で私のことを聞いて、見送りに―――」

初春「くッ……!」

初春「佐天涙子さん、風紀委員として、貴女をこの場で拘束します!!」

佐天「こ、拘束ッ!! どういうことなの、初春!!」

初春「学園都市から不当に物や情報を持ち出すことは禁止されています。
 それは学園都市で生活している佐天さんにも言えることです」

佐天「ち、違うよ初春! 私はイギリスに留学するんだから―――」

初春「そんなの嘘ですッ!! 先生も事前に何も聞いてなかったって言ってましたし
 こんな突然の留学はおかしいですよ!!」

佐天「そ、それは……」
418 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:19:01.76 ID:UoFBSaU0

ステイル「…………」

ザワザワッ…

ナニアレ?  サッキジャッジメントダッテイッテタゾ  ナニカジケンデモアッタノカシラ?

初春「佐天さんは、操られてるんですよね? この前の誘拐事件のときみたいに!
 そこの人、貴方が佐天さんに何かしたんですかッ!!」

佐天「違うよ、初春。これは私の意志だよ。操られてもいない」

初春「じゃ、じゃあ佐天さんは騙されているんですよ!!」

佐天「騙されても、いないよ」

初春  ギリッ…

初春「行かせませんッ!! 佐天さんを行かせはしません!!
 さっきも言ったとおり、許可無く学園都市の外に出ることはできないんです!!」

佐天「私の留学は正式なものだよ。初春なら、もうそんなこと調べてるんじゃないの?」

初春「うぅ……!」

佐天「初春、お願い。行かせて」

初春「駄目ですッ!! 絶対に駄目です!!!」
419 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:20:59.42 ID:UoFBSaU0

佐天「初春ッ!!」

初春「なんでなんですか……。私には、佐天さんの考えてること、分かりません……。
 今のままでいいじゃないですか!! 白井さんや御坂さんがいて
 みんなと一緒にいれば、それでいいじゃないですかッ!!!」

佐天「初春……」

ツカッ、ツカッ

佐天「……私も、それでいいと思ってた。能力なんてなくても
 みんなと楽しくいられたら、それでいいって」

ツカッ、ツカッ

初春「そうですよッ!! だから、私と一緒に―――」

佐天「でも気付いたんだ。私だって変わりたいって思ってる。それを止めるなんてできない。
 だから……」

佐天  ギュッ

佐天「私、行くよ。ごめんね、初春」
420 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:24:04.90 ID:UoFBSaU0

初春「嫌ですッ!! 行かないでくださいッ!! お別れするなんて、嫌ですよッ!!」ギュッ

佐天「別に一生会えないわけじゃないよ。いつかまた、絶対に会いに来るから……」

初春「佐天さん……!!」

佐天  ぱッ

佐天「……それじゃ、私、行くね」

初春「待ってくださいッ!! 佐天さんッ!!!」

佐天「行こ、ステイル君」

ステイル「ああ……」

初春「佐天さんッ!!! 佐天さんッ!!!」

佐天「…………」

タッタッタッ…
421 :第一部終了!! ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:28:09.59 ID:UoFBSaU0



スタッ、スタッ

佐天「…………」

ステイル「良かったのかい? 本当に」

佐天「…………」

佐天  ピタッ

ステイル「出発時間が迫っているから、急がないと―――」

ガシッ!

ステイル「な、何だ!?」

―――♪大切なもの 守るため 「力」はあると信じてる

ステイル「うるさッ!! イヤホンッ!? 突然何を―――」

佐天  ドンッ  ギュッ

ステイル「ッ!?」

佐天「―――ッ!! ――――――ッ!! ―――、―――ッ!!!」ブルッ

―――♪Saving our future 一緒に 明日の空 開いた空へ飛び立とう

ステイル「…………」

佐天「――――――ッ!!!」ギュッ

ステイル「不幸だよ、まったく……」




飛行機  キイィィィィィンンン

御坂「…………」ギュッ

御坂「佐天さん、なんで……!」
422 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/21(日) 23:42:40.20 ID:UoFBSaU0
というわけで本SS全三部の第一部、これにて終了!!

ここまで一ヶ月とちょっと、短い間ですが今まで読んでくださった方、本当にありがとうございます!
前振り的な内容である第一部もやっと終わり、やっと本格的にストーリーが始まるので
>>1も期待二割、不安八割くらいの心境です。

以前も書きましたが、第二部を開始するまで二週間ほどお時間を頂きます。
今回の投下も時間が空いてしまったので、再びお待たせすることになり申し訳ありません。

この後数レスほど、本SSでの設定の解説、第一部の反省、第二部への簡単なイントロダクションを書きなぐります。
完全に>>1自己満の「チラシの裏にでも書いてろやボケェ!!」なものなので興味のない方はそっとタブを閉じてください。

それではまた第二部で!!
423 :設定解説 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/22(月) 00:07:31.46 ID:GAMhDG60

ペグ・パウラー(Peg Prowler)
>>212で黒衣の男が使った魔術。
イングランド北部を流れるティーズ川に棲むと伝わる邪悪な川の女の妖精で
川に無用心に近づく人間を水中に引きずりこみ、川の中にある自分の住処へと連れて行って食べしまうとされる。
子供に危険を教えるために、この話が生まれたとも言われている。

水辺に住むモンスターとかいないかなぁと調べているときに見つけた伝承。
ちょうど場所もイングランドだったので採用しました。
当初魔術を発動させる呪文も考えてたんですが、ちょっと中二過ぎて、かつダサかったのでカットしました。



ウンディーネ(Undine)
>>255でローブの女が使った魔術。
16世紀のスイスの化学者パラケルススによって考えられたエレメンタル(四大精霊)の一種族。
湖や泉に住む精霊で、美しい乙女の姿で現れることが多い。
人間の男と結婚すると魂を得るが、夫が不倫をするとウンディーネは夫を殺さなくてはならない。
ローブの女が言っている『昔愛した騎士に〜』はドイツの作家フリードリヒ・フーケの『ウンディーネ』から。

たぶんもっとも知名度のある水の精霊で、一番最初に思い付きました。
こいつを召喚する呪文はかなり中二っぽいものの、けっこう上手く出来たんじゃないかと自分では思います。
424 :第二部について ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/22(月) 00:21:54.79 ID:GAMhDG60
第一部の反省を書こうかと思いましたが、やっぱりいいや。自分の中で反芻しとけば。

第一部の最後で佐天さんがイギリスへ旅立ってしまったので、佐天さん以外の超電磁砲組の出番はしばらくおやすみ。
第二部からは『必要悪の教会』の面々と佐天さんの活躍がメインになってきます。
佐天さんと魔術サイドの絡みなんて原作どころかSSでもほとんどないけど大丈夫か?
さらにロンドンなんて>>1も行ったことないから上手くやれるのか不安です……。

以前も触れましたが、第二部からは台詞と擬音以外にも、状況を説明する簡単な描写を入れるかも知れません。
戦闘パートがいくつかある予定なので、やっぱり必要になってくるんですよね。
まあ書いてみて入れるかどうか判断します。

ともあれ、第二部は佐天さんの成長とかが上手く描けるといいなぁ。



それではこれにて終了! >>1の次回作にご期待ください!!
425 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/22(月) 00:24:58.76 ID:MtE5JTAo
426 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/22(月) 00:25:55.18 ID:GAMhDG60
あ、書き忘れが……。

どこかで第二部の途中経過を報告するつもりです。生存確認もかねて。

また第一部の感想や疑問など、気軽にかきこんでくれると嬉しいです。
度々すいませんでした。本当にそれでは!!
427 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/22(月) 00:43:12.25 ID:Z4sULkAO
途中経過はこのスレを上げて報告すればいいと思うんだぜ、とノリでスレ立ててもう半年以上経過してるのにまだ800代の俺が言ってみる
ちなみに佐天さんは魔術サイドと超電磁砲SSで絡んでるんだそうな、ほら、エツァリさんの義妹の……
428 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/22(月) 00:46:33.19 ID:lNNjJ0Y0
乙、楽しみにしてる。
429 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/22(月) 00:50:50.57 ID:CcrC1nIo
魔術を適当に考えたりしない子には基本的に好感が持てる
430 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/22(月) 00:53:01.25 ID:r9Je0kAO
乙、魔術の設定ちゃんと作り込んでんだな感心しちゃったわ
第二部にも大いに期待してます
431 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/22(月) 09:28:08.80 ID:hl2le5go
432 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 23:32:32.76 ID:.ATkvcAO
乙です
433 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/24(水) 23:48:34.07 ID:/uFzp6SO
>>427
ショチトルの事を能力とは違う臭いがするって佐天さん言ってたね
他にもねーちんSSでイギリスのジーンズ店に通販でジーンズ頼んだけどジーンズ店の店主はイギリス清教の仕事を手伝わされて、中々ジーンズの梱包が出来なかったり
そんで佐天さんは中々ジーンズ来ないもんでクレームのメール送ったり(ふぁっくゆあ あすほーる等)
ちなみにジーンズ店主は佐天さんとメル友になった気でいて英文がサマになってきてるのを喜んでた
434 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 01:28:31.91 ID:2F2MD.ko
佐天サイドだけじゃなくて、残された初春たちの話も読みたいな
435 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 13:13:27.85 ID:TI5G.wSO
佐天さんと歳の近いアニェーゼやアンジェレネ
同じ日本人の天草式なんかとの会話が楽しみだ
436 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 13:29:54.83 ID:MB64YA.o
佐天さんオリジナルの魔術も必要ですよねー
437 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 17:37:34.73 ID:eQYNneI0
佐天さんの魔法名も気になるところだな。
438 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/26(金) 19:53:58.13 ID:7FUmd/20
やばいマジ期待
面白い
439 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/11/26(金) 20:48:18.44 ID:OwlXpGA0
言うほどお久しぶりでもないけどお久しぶりです。
>>438
ちょうど報告がてらageようかと思っていたので助かりました。ありがとうございます!
それではレス返しと報告を……

>>427
あッ!そう言えばそうだった。超電磁砲SSは未読なので気付きませんでした。

>>434
第二部ではちょこっとだけ出る予定です。第三部では……。

>>436
前にも書きましたが、オリジナル設定はなるべく出さないようにしています
(黒衣の男とかの魔術は完全にオリジナルになってしまいましたが)。
軽いネタバレになりますが、佐天さんも今後魔術を使っていくわけですが、
原作と関連性のある魔術になる予定です。
また>>1も完全に忘れていましたが、第一部のどこかに佐天さんが今後(第三部で)使う魔術のヒントを隠しておきました。
「今日マジでなんもすることないわー、マジ何の予定もないわー」という方がいらっしゃれば探してみてください。
ちょっとした暗号みたいになってます。気付いた方がいれば、ネタバレにならない程度に自慢してください。

>>437
魔法名は出そうかどうか考え中です。魔法名まで設定してしまうのは少しくどい気もするのと、
原作での魔法名の設定に不明な点があるからです。魔法名って、魔術師はみんな持ってるんですかね?


第二部の進捗状況ですが……すいません、あんまり進んでいません!
ちょっと今忙しいのと、「この設定、絶対表に出てこなくね?」っていう細かい設定を考えるのが楽しくて……
もう設定だけ考えて、設定の解説だけしたいです(えー)
文系人間なので、資料集めるのとか、そういうの好きなんですよねぇ

あと質問なんですが、ステイルは佐天さんのことをなんと呼ぶのが自然なんですかね?
「佐天」?「涙子」? 今までは出さないようにしてきたんですが、今後どうしていこうか考え中です。

長くなりましが、第二部までもう少しお待ちください。こんな>>1の気晴らし(という名の現実逃避)のSSですが、
少しでも読んでくれる方が面白いと思えるものにしたいです。
それでは良い週末を!
440 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/26(金) 20:55:55.18 ID:WThLhEAO
>>439
「佐天」でいいんじゃないかな?

ステイルはねーちんも神裂で呼んでるし
441 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 21:26:58.97 ID:4YB03N.0
>>439
魔法名はイギリス式なら皆持ってるんじゃね?
現在作中に出てるのは
禁書目録、ステイル、神裂、アウレオルス、シェリー、オリアナ、アックア
かな

ttp://www11.ocn.ne.jp/~mare/frame2.html

とりあえず和羅辞典
だけど

適当な言葉を検索

それに数字と中二っぽい言葉をつける
で問題ないと思う
ただ語形変化とかがすこしややこしい(たとえば神裂のSalvereとかはそのままの形では乗ってない)
まあその辺は素人の佐天サンが名乗ったと思えば・・・

いままでSSで数多の超能力を得てきた佐天サンが
いまさら魔法名の二つや三つ名乗ったところでだれもくどいなんて思わないでしょ
まあ名乗るシーンをどう魅せるかは作者様しだいということで
442 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 21:34:16.87 ID:4YB03N.0
続けてすまない
ここにそれなりに詳しく乗ってる
http://www12.atwiki.jp/index-index/pages/240.html

あとアレイスター(元ネタ)はwikiによると、ちゃんと魔法名があり
Vi Veri Vniversum Vivus Vici (われ、真理の力もて生きながらに宇宙を征服せり)
まさにラスボス

443 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 22:03:04.14 ID:U4bO6cAO
魔法名の三桁の数字は重複防止の為にあるから
まあ名のある魔術師は持ってんだろな
444 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 22:18:39.56 ID:OYsJnOAo
>>442
ペルデュラボーも魔法名だったんだな
445 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 22:33:32.70 ID:ZztD7jQo
魔法名ってのは、禁書だと(現実でも)魔術師が魔法を使う理由・信念だから
ぶっちゃけそれっぽい単語を見つけてくればどうにでもなる
単語の変化なんて細かいことはいいんだよ!
何故か禁書世界だと動詞を魔法名にする場合は原型で使うっぽい
(アレイスター・クロウリーのPerduraboは一人称未来形)
Basisは名詞のそのままの形
Fortisは形容詞の基本の形で使われてるね
446 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 01:23:49.95 ID:a4BBkwAO
>>442
☆の魔法名、ハンパなくかっこいいな。原作にも出るかな…

佐天さんにも魔法名欲しいぜ。最近読んだSSでかっこよかった魔法名はCrastinum000(届かぬ明日を掴む者)なんかが痺れた
447 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 04:24:40.97 ID:AAgHty2o
>>446
天草式ミサカか
あれはなるほどと思ったな
448 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 08:51:58.13 ID:rW1V02AO
>>446
あれは良いものだったな。

>>1
ってか、スレタイの通り素直にステイル路線でいくかと思ったwwww
449 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 11:22:18.79 ID:Wqt3RgMo
>>442
魔法名の頭文字をくっつけると☆ができるのは偶然なのかな…?
450 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 14:51:13.71 ID:H9Z.kQwo
>>449
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
451 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 21:33:38.10 ID:ZnrEwiEo
>>449
お前頭いいな

>>1
452 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 21:44:36.97 ID:4ZLUBfco
ていうか、魔術名が三桁なのって、アレイスターに『666』を使わせるためじゃないの?
perdulaboを使うかtherionを使うかはわからないけど
後者のほうがかっこいいから推す。マスターテリオン。
453 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 21:46:56.56 ID:M6B7erwo
☆「おれはタマってるぞーっ!」
454 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 00:08:14.70 ID:Gi/TdOs0
重複防止って事は同じ魔法名で違うナンバーが存在するかもって事か
あと日本語解釈付けて名乗ってくれる方々すげース
455 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/28(日) 00:17:04.84 ID:9FiPTH.0
ステイルは佐天さんのこと名前で呼ぶと思う
神裂のことは年上だからだと解釈してる
それに佐天さんは「名前で呼んでよ!」とか言いそう
456 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 01:43:33.14 ID:YsD1yv2o
☆の魔法名ってたしか獣王みたいな感じじゃなかった?
457 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 01:54:16.13 ID:0DTfn3so
☆「ぐわああああーーーッ!」
458 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 10:44:12.16 ID:fWXKyxgo
エツァリって魔法名無いよな?
459 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 13:42:08.50 ID:kiq8X3.o
魔法名管理協会みたいのあるのかな?

魔法名が欲しい魔術師がそこに行って、こんな名前がいいです、って申請する
それから使える数字を被らないように割り振ってくれる
所定の手数料を払えば希望する番号が使える
460 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 15:31:23.83 ID:unggtQQo
勝手に名乗ってるだけだろww
461 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 15:40:39.37 ID:fWXKyxgo
ステイル「え?あなたもFortis931?」

他魔術師「そういうあなたもFortis931?」

ステイル「いやぁ奇遇ですね」
462 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 16:32:55.20 ID:9r7NJWUo
魔法名(まほうめい)

【解説】
魔術師が戦闘時に魔術を行使するために名乗る名前。
また、自身の真名を伏せる目的もあるらしい。
己の信念をラテン語で表し、重複防止の為000〜999までの数字を付ける。
もともと、魔術において「名前」というものはとても重要な要素であり、
また、位階と名と魔術武器を知らしめ、
己の行わんとする行為を誓言してからが魔術師の本領といえるため、非常に重要なものと言える。
ステイルなど一部の魔術師にとっては「殺し名」である。
これを宣言する事は自分の覚悟を見せ付ける事と同義であり、
名乗られた者は本気で相手をしないと相手に対し失礼であるという。


重複防止らしいから登録施設とかありそうだな
463 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 21:26:07.84 ID:1edcrWE0
ステイル「魔法名はFortisで・・・」

管理施設「またその名前ですか?あなたで931人目ですよ。」

ステイル「えっ」

管理施設「まったくどいつもこいつも・・・。自分は強いぞーってアピールしたいんですか?」

ステイル「えっ」
464 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 01:04:16.43 ID:8k8aKEAO
>>463
そのネタは妄想したなww
厨二ワードやぞろ目は人気高そうだよね
465 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 01:36:21.24 ID:VRMN2CYo
真名を隠すための魔法名なのに、登録のために管理施設に真名を晒さないといかんのか
466 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 07:26:27.18 ID:2pt3Ltoo
>>463
ワロタww
467 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 12:56:39.35 ID:7lSyrUE0
どうでもいいが>>441は背中を刃に刺されるといいにゃー
468 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 22:41:03.38 ID:MgtGKGY0
俺たちが厨二なHNつけるのと同じ感じか
469 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 23:21:30.91 ID:NT7/nsUo
神裂さんのは誰もつかってないしな
みんなどんだけ自己中だよwww
470 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 01:11:43.46 ID:nRdZ3AU0
多分ステイルのは歴代で931人いるけど存命なのは100人いるかいないかくらいで、
名乗ったら死亡フラグみたいなやつが大半なんだろうな
471 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 07:42:33.22 ID:X3t/QX2o
最強名乗ってる魔術師が931人もいたらカオスすぎるだろww
472 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 11:54:14.64 ID:pSa0E2SO
特定地域で最強なのだ
お、お前はランベス区最強の…!
そう言う君は隣町最強の魔術師…!
みたいな
473 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/30(火) 17:09:33.57 ID:k8LQHcM0
>>472
なんだその地区大会優勝みたいな最強は
474 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 17:49:52.58 ID:Rawko0Q0
もしくはジュニア級最強とかヘビー級最強とかかww
475 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 21:30:52.26 ID:SQVUSGo0
アウレオルスみたいに自分の領域なら最強なんだろ
476 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 22:23:50.76 ID:YAgIGlA0
○○中学最強ということか
477 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/30(火) 22:29:13.38 ID:sQ/Kbaso
温度最高とか維持時間最高みたいに特定分野最強じゃないか?
478 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/01(水) 03:02:04.75 ID:Slsijzko
Fortis(フォルティス)
ラテン語で強いとか強力とかを意味する単語だから、
ステイルの場合 我が名が最強である理由をここに証明する だけど、
もっと簡単に 俺は強い で、Fortisを名乗ってもおかしくは無い筈。
479 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/01(水) 13:16:18.75 ID:NzKSoE.o
Fortis893(関節技こそ王者の技よ)
Fortis905(俺より強い奴に会いに行く)
Fortis926(サイキョー流マジ最強!)

こんな感じか?
480 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/02(木) 03:22:10.33 ID:IpwlWYAO
法王級魔術 挑発伝説!!
481 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/02(木) 09:07:00.90 ID:HPyAwwDO
出生とか、魔術の種類とか、なんか関連付けがあるんじゃないの?
神裂の000見るとそういうのじゃないかなーって
482 : ◆fftSPPkhRw :2010/12/02(木) 19:38:56.95 ID:vhrl9/Q0
それなりにお久しぶり? >>1です。
最近ドリップコーヒーが淹れられる器具を購入してしまいました。
某百合子スレの影響とか、そんなの全然ないんだからッ!!

とりあえず再び途中経過の報告です。
書きためは順調、とは言えないものの細かい展開やキャラのノリが決まってきたので、来週の月曜か火曜には投下できると思います。
もうちょっと待ってね。

てかみんな魔法名好きすぎるだろwwwwww
第二部は本筋とは関係ない、寄り道的な短編もいくつか書きたいと思っていたので
皆さんのレスはその参考にさせていただきたいと思います。
また>>442で、アレイスターについてはあまり調べてなかったので参考になりました。ありがとうございます。
あと>>449、お前賢すぎ! 多湖輝が死んだら君が『頭の体操』を書くべき。

そんな感じで第二部はストーリー進行的にも、投下スピード的にも十二月中はまったりいきます。
それではまた来週に!
483 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/02(木) 19:57:20.21 ID:uU6C.yYo
おお、キタか
ドリップコーヒー使ってたけど面倒くさくなってインスタントに戻った俺が通りますよ
484 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/02(木) 22:14:51.96 ID:6.rtKUwo
楽しみにしてるんだよ!
485 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/07(火) 23:26:55.25 ID:ar67INQ0
今日はもう来ないかな?
486 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 01:44:03.47 ID:CxuzGP20
な〜に、2,3日なら誤差のうちさ
487 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 12:57:50.30 ID:Zfu9qJEo
今日は来るかな
488 : ◆fftSPPkhRw :2010/12/08(水) 17:52:09.41 ID:A9ZfreQ0
どうもお待たせしました!!
予告より少し遅れてしまいましたが、今日の二二時から第二部の投下を開始します!

それまで暫しお待ちを……
489 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 18:03:06.20 ID:1EZXJH6o
ktkr
490 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 19:21:46.10 ID:4ZaXnQAO
今日か、そういえば名は単語のみじゃなくて数字も含めて自分で決めんでしょ
491 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 20:44:12.37 ID:WdIkunU0
今まとめ読みしたところなんだけど、>>313

佐天「さて、初春をSOLしたところで」

SOLって何? ググッたけど良く解らんかった。
492 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 21:14:05.05 ID:nLp1hGE0
待ってました!
493 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 22:09:39.16 ID:xbvKb0Q0
マダー?
494 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 22:12:36.58 ID:7uXJcSwo
22時ですよー!
495 : ◆fftSPPkhRw :2010/12/08(水) 22:19:04.68 ID:A9ZfreQ0
>>491
Stalker Oshioki Laser(ストーカーお仕置きレーザー)のことです。
……嘘です。「AKIRA SOL」でググッてみてください。

それでは投下していきます!
第二部を始める前に、簡単な注意書きを……


●このSSは佐天さんが中心的に活躍する『とある魔術の禁書目録』、『とある科学の超電磁砲』の二次創作SSです。

●第二部からは「超電磁砲」組は少しおやすみ。主に魔術側でストーリーが進行していきます。

●オリジナル設定やキャラクターが登場します。解説は第二部が終わったらまとめてする予定です。

●感想、雑談、質問大歓迎!! 魔術や伝承関係が>>1の大好物ですので、そんなレスがあると>>1のテンションがもれなく上がります。
 また誤字や間違いがあったら指摘してもらえると助かります。


それでは第二部をどうぞ!!
496 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 22:20:54.77 ID:nLp1hGE0
>>495
正座して読みます!
497 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:22:43.57 ID:A9ZfreQ0

―――ロンドン、『イギリス清教』女子寮前




佐天「…………」

ボーッと佐天は目の前の古めかしい建物を見上げた。

ステイル「おい、何を呆けているんだ」

佐天「……いやぁ、あれよあれよという間に連れて来られたから、実感が沸かなくって」

ステイル「まあ無理もないが、君は今日からここで暮らすんだよ」

佐天「そうだよね、私、ロンドンで生活していくんだよねぇ……」ボーッ

ステイル「もちろん。だからもっとシャキッとしらたどうだい」

佐天「う、うん……! 今からここに住んでる人達と会うんだよね。
 うぅ……何か今度は緊張してきた……!」

ステイル「面倒な性格だね。何をそんなに緊張することがある?」

佐天「これから一緒に生活する人たちに会うんだよ? 緊張もするって」

ステイル「そんなものかね……」
498 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:25:40.66 ID:A9ZfreQ0

そう言ってステイルは、佐天と同じように目の前の建物、『イギリス清教』女子寮を見上げた。

ステイル「しかしおかしいな。駅に迎えが来てくれると聞いていたのに」

佐天「……もしかしてあたし、歓迎されてない感じ?」

ステイル「そうかもね。ここにいる連中は皆魔術側に属する人間ばかりだ。
 科学側にいる人間を忌み嫌っているかも……」

佐天「…………!!」

ステイルのその言葉を聞く佐天の顔は見る見る真っ青になり、小刻みに震えだした。

佐天「あたし、やっぱり学園都市に帰ります……」クルッ

ステイル「待て。ただの冗談だよ、冗談」

佐天「冗談でもそんなこと言わないでよ!! 人がナーバスになってんのに!!
 それにあながち『科学側の人間を嫌ってる』って間違いじゃないかも知れないし……!」

ステイル「心配しなくていい。少なくともここにいる連中は科学側を嫌ってはいない。
 むしろ恩義すら感じているかもね。いや、科学側というよりも、あの男一人に、か……」

佐天「?」
499 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:27:32.90 ID:A9ZfreQ0

ステイル「さあ、ぐずぐすしてないで中に入ろう。
 日が暮れるまでここに突っ立ってるわけにも行かない」

佐天「そ、そうだね。よし!」

そう気合を入れてた佐天は、一歩下がってステイルに力強い眼差しを向けた。
そしてビシッとドアを指さす。

佐天「お先にどうぞ!」

ステイル「はぁ……。先が思いやられる」

そう言いながらも、ステイルはドアノブに手を掛けた。
ギィーと見た目の古さ通りの音を立てて、女子寮のドアを開けた。

ステイル「誰か、誰かいないのか?」

女子寮の中はシーンと静まり返り、ステイルの声に応えるものはない。

佐天「……お留守、なのかな?」

ステイル「そんなはずはない。ここには数十人が生活を―――」

『ギャアアアアアァァァァァァ!!!』

ステイル「ッ!?」
佐天  「ッ!?」
500 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:31:01.88 ID:A9ZfreQ0

佐天「な、何ッ!?」

ステイル「まさか、敵襲? クソッ!!」

ステイルは叫び声が聞こえた方に走りだした。

佐天「ま、待って!」

その後を佐天が追う。

ステイル「どうした! 何があった!」

「す、ステイル!? それが……」

飛び込んだ部屋には惨状が広がっていた。
壁は爆発の跡なのか所々煤けており、床はなにかヌメヌメとした液体で溢れていた。
そして学園都市でよく見かける清掃ロボットが、無残な姿でそこに転がっていた。

「シスター・アンジェレネ! だから言ったでしょう
 便利だからと言ってまとめて使えば良いものではないと!!」

「うぅ……。でもシスター・ルチアだって
 『清掃ロボット、万能洗剤、無音サイクロンジェット掃除機……
 これが科学における三位一体なのですね!!』って興奮してたじゃないですか!!」

「あ、あれは、ただの冗談で……」

「普段冗談なんて言わないくせに!! 私だけのせいじゃないですよ!!」
501 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:33:30.21 ID:A9ZfreQ0

佐天「……どういうこと、これ?」

「もしや貴方が佐天涙子さんですか?」

佐天「は、はい。そうです」

神裂「お見苦しいところをお見せしてしまって申し訳ありません。
 私は『必要悪の教会』に所属する神裂火織と申します」

佐天「あッ! わ、私が学園都市から来た佐天涙子です!!
 どうぞよろしゅく……」

佐天(か、噛んだ……)ずぅぅん

ステイル「それで、一体何があったんだい?」

神裂「それが、彼女のために空き部屋の清掃をしていたんですが
 学園都市から送られてきた清掃器具を使っていると、このような、原因不明の状態に陥ってしまって……」

アンジェレネ「清掃ロボットが凄い速さで部屋中疾走し始めて、その拍子に洗剤が床にこぼれてしまって
 シスター・ルチアの持っていた掃除機が洗剤を吸い込んで持ち手だけ残して爆発したんです」

佐天「どんな状況なんですかそれ!?」
502 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:39:03.12 ID:A9ZfreQ0

神裂「相変わらず、科学というものは不可思議なものです」

佐天「いや、それはちょっと違うような……」

ルチア「正直に申し上げれば、調子が悪いと言って
 神裂さんがあの機械にチョップを連発したのがそもそもの原因だと思うのですが」

神裂「し、しかし調子の悪い機械にはそうすれば良いのではないのですか!?
 四五度の角度で、こうッ!」ブンッ!

アンジェレネ「聖人の力でバシバシやったら壊れるに決まってるじゃないですか!」

神裂「なッ!? 私のせいだと言いたいのですか!?
 そもそも貴女が三つ同時に使ったらいいと提案したのではありませんか!!」

アンジェレネ「だってシスター・ルチアが『科学の三位一体』だと―――」

ルチア「もう『科学の三位一体』は忘れてください!!」

ギャアーギャアーと騒ぐ三人を、佐天は為す術も無く眺めることしかできなかった。

佐天「……す、ステイル君、これ……」

ステイル「はぁ、まったく。君たち、いい加減にしたらどうだ。
 新しく僕達の仲間になる彼女を、ずっとここに立たせておくつもりかい?」

神裂「うッ……」

ルチア「確かに……」

アンジェレネ「うぅ……でも問題がありますよぉ」

佐天「問題?」
503 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:41:00.99 ID:A9ZfreQ0

神裂「はい。実は最近入居者が増えてきまして、空室はここ一つしかないんです」

佐天「えッ!? ってことはあたし、この部屋で生活するんですか!!」

ルチア「さすがにそんなことはできません。しかし当分この部屋を使うのは無理でしょうね。
 この床一面に広がった洗剤だけでも、どうやって片付ければいいか分かりませんし」ベトォ

ステイル「仕方ない。君にはこの部屋が使えるようになるまで、別の場所で生活してもらおう」

佐天「別の場所って?」

ステイル「そうだね。マンスリータイプのアパートを借りるか、ホテルに泊まるかだな」

神裂「しかし彼女はロンドンに来るのは初めてなのでしょう?
 数日とは言え、そんな彼女を一人にするのは些か親切心に欠けるのではありませんか。
 ロンドンは都会ですし、地理も複雑ですよ」

アンジェレネ「そうですよね。私も初めてこっちに来たときはよく道に迷いました」

ルチア「それは貴女が方向音痴だからでしょう、シスター・アンジェレネ」

佐天「じゃあ、どうしたら……」
504 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:48:26.56 ID:A9ZfreQ0

ステイル「困ったな。男子寮なら部屋が開いているんだが。ちょうど僕の―――」

神裂はその言葉を聞いて、唖然とした表情でステイルを見つめた。

神裂「はぁぁぁぁッ!? だだだ、男子寮ですって!? 
 し、しかも自分と同じ部屋に、か、彼女を連れ込むつもりですか!!!」

佐天「へ、ヘッ? す、ステイル君の部屋に、つ、連れ込む……////」

ステイル「そ、そんなことは言ってないッ!!
 ただ僕の隣の部屋が空いていたと思っただけで……!」

ルチア「……不潔です」ギロッ

ステイル「だから、違うと言っただろう!!」

神裂「ステイル、貴方も年頃の男性なのは分かります。
 しかしそのような歪んだ願望をぶつけるなど、到底許されることではありませんよ!」

佐天「願望を、ぶつける……///」あわあわ

その言葉の、神裂は意図していない意味を想像して、佐天の頭はさらに混乱した。

ステイル「言ってないッ!! 誰も言ってないぞ、そんなこと!!」

ルチア「……汚らわしい」
505 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:50:49.69 ID:A9ZfreQ0

アンジェレネ「あれ? こういうのって『欲望のはけ口』っていうでしたっけ?」

神裂「『欲望のはけ口』!? 土御門ですかッ!!
 貴方がそんなふうになってふうになってしまったのは、土御門に毒されてしまったからなのですか!?
 あの猫真似アロハ野郎ォ!!」ジャキッ

ステイル「落ち着け神裂ッ!! 奴は同情の余地もない人間だが、この問題には無関係だッ!!」

佐天「『欲望のはけ口』とか、そんなの、無理ッ!!///」ブンブン

ステイル「君もいい加減に落ち着けッ!!」

神裂は刀を持って今にも飛び出していきそうだし、ステイルはそれを止めるのに必死だし
ルチアはそんなステイルに軽蔑の眼差しをくれているし、アンジェレネは状況がよく分かっていない。
そして佐天の頭の中では、『欲望のはけ口』という言葉が、具体的な妄想を伴って暴れまわっていた。

「あの、女教皇(プリエステス)、頼まれていた帯揚げを持ってきたんですが……。
 どうかされたんですか?」

控え目な声が、その騒ぎの外から聞こえた。

神裂「い、五和! いいところに!
 今ステイルの邪な欲望をどうすれば消すことができるか話し合っていたんです!」

五和「は、はぁ?」

ステイル「そんなことは一度も話し合っていないぞ!! 本題に戻れ!!」
506 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:52:41.47 ID:A9ZfreQ0

神裂「そ、そう言えばそうでしたね。私としたことが……」

五和「それで、一体どうされたんですか?」

神裂「いえ、ちょっとした手違いによって、彼女が住むはずだった部屋が使えなくなってしまったのです」

五和「彼女?」

五和と呼ばれた少女は、そう言って首を傾げた。

佐天「あッ、はい!! え、えっと、今日から『必要悪の教会』の一員になる、佐天涙子と言います!
 学園都市から来ました」

五和「学園都市!?」ピクッ

神裂「はい。この土地に不慣れな彼女を一人で生活させるのも心苦しいので
 どうすればいいか考えていたのですが……」

五和「そ、それなら私たちのアパートに来てもらえばいいんじゃないでしょうか!!」

佐天「私たち?」

神裂「天草式の、ですか?」
507 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:55:22.50 ID:A9ZfreQ0

五和「は、はい、そうです。天草式はいくつかのアパートに分かれて生活しているんですが
 ちょうど私のアパートに一つ空室があるんです。
 佐天さんにはそこに来てもらえばいいんじゃないでしょうか!」

ルチア「確かに、それは名案かも知れませんね。
 同じ日本人である天草式の皆さんとなら、彼女も暮らしやすいでしょうし」

ステイル「という申し出みたいだけど、君自身はどうなんだい?」

佐天「へ? 確かに部屋もこんな感じだから、願ってもない話だけど……」

五和「なら決定ですね! あ、私は天草式十字凄教の五和と言います。
 よろしくお願いします!」

佐天「よ、よろしくお願いします……」

妙に押しの強い五和の言葉にやや圧倒されながら、佐天はぺこりと頭を下げた。

神裂「しかし五和、やけに積極的であるように見えるのですが、どうかしたのですか?」

五和「えッ!? べ、別に、あの人に会いに行く時のために
 学園都市のことを沢山聞きたいとか、け、決してそんなことは……」

佐天「?」

五和「と、とりあえずですね! 佐天さんのことは私にお任せください!」
508 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 22:58:14.47 ID:A9ZfreQ0

神裂「分かりました。それでは彼女のことは貴女にお任せします。
 五和、彼女はまだこちらに慣れていなのですから、貴女がしっかりと助けてあげるのですよ」

五和「はい、分かりました」

「どうしたのでございますか? 先程から何やら騒がしいようでございますが」

のんびりとした声が、廊下の向こうから聞こえた。

神裂「ああオルソラ、こちらは私たちの新たな仲間となる佐天涙子さんです」

佐天「よろしくお願いします」ぺこり

オルソラ「ああ、学園都市から来たという方でございますね。
 私はオルソラ・アクィナスと申し……ふぁぁぁ……」

オルソラの言葉は欠伸の中に吸い込まれた。

神裂「随分眠たそうですね。どうかしたのですか?」

オルソラ「昨日起きた件について、徹夜で調べ物をしていたのでございますよ。
 ですから、ふぁぁ……ねむねむなのでございます」

神裂「そうだったのですか。それはお疲れ様です」

ステイル「何かあったのかい」
509 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 23:01:57.77 ID:A9ZfreQ0

神裂「ええ、『イギリス清教』の関係施設で盗難がありまして。
 資料閲覧中の魔術師がたまたま現場に居合わせて、交戦になったとのことです」

ステイル「賊はまだ捕まっていないのか?」

神裂「残念ながら」

オルソラ「昨日の深夜に連絡を受けたものでございますから
 シェリーさんと一緒に資料と格闘しながら朝を迎えることになったのでございます。
 私たちだけで手に負えない場合は、助っ人に来てもらう可能性も……
 それで『まるで科学の三位一体やぁ』とは一体何なのでございますか?」

アンジェレネ「本当に眠いんですね。いつも以上に話題が前後してます」

ルチア「ですから『科学の三位一体』はもう忘れてくださいッ!!
 しかもちょっと言葉も変わっていますし!!」

佐天「…………」

さっきまでの掃除機がどうした、アパートがどうしたという聞き慣れた言葉とは違うかけ離れた会話。
佐天は今いる場所が、数日前とは全く別の世界であることを改めて実感させられた。
510 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 23:03:15.77 ID:A9ZfreQ0

佐天「あのー……」

神裂「どうかしましたか?」

佐天「えっと盗難とか事件が起こってて、今は緊急事態ってことなんですよね?
 なんていうか、こんな風にのんびりしていて大丈夫なんですか?」

アンジェレネ「?」

ルチア「…………」ジー

オルソラ「ZZZZ……」

アンジェレネは不思議そうに、ルチアは怪訝そうに佐天を見つめた。
オルソラはすでに夢の中へ旅立っているようだった。

神裂「クスッ」

佐天「えッ!? あの、すいません! 何も知らないあたしなんかが生意気なこと言って!」

神裂「いえ、そういうわけではありません。改めて言われてみると、そうなのだな、と」

佐天「へ?」
511 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 23:08:37.17 ID:A9ZfreQ0

ルチア「『ローマ正教』にいた時も忙しくはありましたが
 今はあの頃と比べてさらに忙しいですね」

アンジェレネ「ですねー。私も忙しさの余り、九時課のお祈りをちょいちょい忘れてしまいますから」

ルチア「それは貴女に敬虔さが足りていないからです! シスター・アンジェレネ」

佐天「え、えーと……」

不安そうな表情で、佐天はステイルに助けを求めた。

ステイル「常に何か起こっているってことだよ。「非常事態」は「日常」の一部なのさ。
 ここ、『必要悪の教会』にとってはね」

神裂「『必要悪の教会』とは、そのようなところなのですよ」

佐天にはその神裂の言葉が、「非常事態」を「日常」として過ごせる余裕で満ちているように聞こえた。

佐天「あたしなんかが上手くやっていけるか、何だか不安になりますね。
 アハハハ……」

神裂「…………」
512 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 23:14:02.57 ID:A9ZfreQ0

神裂「貴女がどのような理由があってここに来たのは詳しくは存じませんが
 学園都市を離れ、単身『イギリス清教』に身を寄せたということは
 それ相応の覚悟があったのだと思います」

神裂の表情でとても真剣で、しかしどこか包みこみように柔らかだった。
佐天はその言葉に、ゆっくりと頷く。

佐天「はい」

神裂「そして貴女が所属することになる『必要悪の教会』は
 決して楽でもなければ甘いもない組織です。
 しかし、貴女が私たちとともに戦う仲間であり
 最初の決意と覚悟を失わない限り、私たちは貴女のことを全力で助けます。
 改めて、『必要悪の教会』にようこそ。佐天涙子さん」

そう言って、神裂は佐天に向かって微笑みかけた。

佐天「はい! よろしくお願いしますッ!!」


―――この日を以て、日本で生まれ、『科学』の元で育ってきた佐天涙子の
    『魔術』と共に生きる物語が始まる。
513 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/08(水) 23:26:49.42 ID:A9ZfreQ0
というわけで第二部のプロローグは以上!
次回からは本格的に佐天さんのロンドン生活が始まります。

次回の投下は……って感じで決めたいところですが、ちょっと未定です。
やっぱり卒論と同時にSS書くのは大変ですね。てへっ(・ω<)
でも今週あと一回は投下したいです。

あと軽く補足を……

・予告通り今回からちょこちょこ地の文を入れてみました。
 なるべくこれ以上増やさないように、楽に読めるSSを心がけたいです。

・ルチアの神裂の呼び方ですが、原作では「神裂火織」とフルネームで呼んでいますが
 その呼び方だとあまりに他人行儀な気がしたので、このSSでは「神裂さん」にしました。

・五和を登場させた理由? >>1が一番好きな禁書ヒロインだからに決まってんだろォ!!
 あ、でも上琴も大好きです。


では次回の投下でまた!!
514 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 23:29:42.19 ID:VfK0n.U0
>>1お疲れ様。
大丈夫、そんな卒論とSSを同時進行して自らを追い詰めている>>1
私は応援する。
515 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 23:32:15.81 ID:EYzljroo
乙でした
やっぱり五和が超一番ですよね!
516 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 23:37:33.89 ID:nLp1hGE0
乙です!
517 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 23:50:59.28 ID:vNZqhu20
やはり佐天の魔法名は○○310になるのだろうか
518 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 23:51:50.26 ID:jSPU4awo
るいこー、おつなんだよ
519 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 00:47:08.00 ID:5QTVlmY0
乙です
続きが来るまで全裸待機してます
520 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 01:17:04.87 ID:kPD3F.AO
乙です
521 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 11:26:53.66 ID:FtSX15co
>>517

佐天「panties310〔初春の下着を毎朝確認する者〕!!!」
ですねわかりますん
522 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 12:38:22.84 ID:vegeggQo
cafe310(喫佐天)かもしれない
523 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 15:00:11.48 ID:n2xMFXso
0310(無能力)だろう
524 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 16:13:13.45 ID:pUsqAgAO
佐天「で、この魔法名を希望したいんですけど…」

受付「少々お待ちを……んー、既に登録されている魔法名なので、語尾に番号を指定させて頂きますね」

佐天「あ、はい。それはステイル君から聞いてたので問題無いです。で、何番になるんでしょう?」

受付「072です」

佐天「えっ…」

受付「その魔法名を付ける73人目ということです。初代は000ですから」

佐天「……072」
525 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 17:16:03.93 ID:.8MtBEU0
Oナニーww
526 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 19:18:41.90 ID:GWkEaAA0
んなこといったらステイルはfortis臭い(931)になるけど
527 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 10:45:32.88 ID:WqrIUw2o
>>526
刺激臭という事だな
528 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/11(土) 00:18:59.54 ID:rtGtdHEo
佐天さんSSはあまり読まないんだが、このSSは非常に面白そうだ。
529 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/11(土) 02:04:06.12 ID:a90x2QDO
>>526
煙草臭いんじゃない?
530 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/11(土) 07:56:25.85 ID:x1EiNL.0
>>528
他をsageるようなことは言わずに仲良く楽しもうぜ
531 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/11(土) 15:38:16.99 ID:3C8oW1go
>>530
勝手に深読みし過ぎだろ
532 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 02:29:18.54 ID:sXiWq8Io
>>530
佐天さんのSS自体を読む事が少ない(もしくは単純に総数が少ない)だけで、読まないようにしてるってわけじゃねぇだろ? つまり何が言いたいかってーと、>>1マーダー?
533 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 08:33:05.13 ID:GEIlU/.o
ルチアかわいい
534 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/14(火) 03:39:58.72 ID:SEEk/ADO
>>526
あわせると
最強に臭い
だな
535 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/15(水) 17:45:21.55 ID:CD1FPfwo
ま、まだかうぎぎぎぎぎぎ
536 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/21(火) 18:51:18.96 ID:o8VbvaEo
まだー?
537 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 23:10:04.71 ID:7m3fft2o
まどぅくぁあ
538 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 11:31:16.25 ID:uV1aqHU0
2週間で何か言うこともなかろう
気長に待とうぜ
539 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2010/12/23(木) 15:41:37.76 ID:wBCk2UE0
やっと例のアレが終わったぁぁぁぁ!!
「書くのに疲れたら、息抜きがてらSS書く」とか、そんなのやっぱり無理でした。
もう少し考えてやれ!って感じですね。

前回の書きため期間を合わせると、一ヶ月くらい休んでしまいました。ホントにごめんなさい!
投下をしたいところなんですが、まだ投下できる分量がないので、
今週の日曜日くらいまでにガガッと書いて投下したいです。
幸い明日も特に予定とかないしね。ハハハ! ハハハ……

というわけでもう少しお待ちください!
540 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 18:32:30.73 ID:IWBnZHQo
まつよ! 
541 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 20:23:49.32 ID:i82Fnjg0
私ま〜つわ いつまd(ry
542 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/25(クリスマス) 21:44:18.77 ID:g0M0lt60

上条さんの話を聞いても佐天さんは何が何だか分からないだろうな
原作では出会ってないし。あ、でも興味はもつかもしれない
543 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2011/01/01(正月) 04:23:14.64 ID:RnlCozE0
いつまでも、待ちまっせ
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/05(水) 22:09:20.77 ID:9mtwMFE0
魔術募集みたいなのがあったので

バベルの塔を基にした魔術
範囲内の人物と自分が使う言語が違うものになる
よって意志の疎通が困難orできなくなる
魔術を使う際に使用する呪文も普段使う言語でなくなるため使用不可or劣化する

敵味方の判別がつけられるなら中々強力でない?
佐天さんに使ってほしいけど強すぎるかな?
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 08:20:03.09 ID:3RLzheQ0
サテンさんはサタンとか
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 02:02:01.23 ID:vNXjbos0
547 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 08:23:26.36 ID:YYvSDM20
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 16:39:32.81 ID:kG8feRo0
549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 19:34:08.64 ID:auLcARYo
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 19:44:52.37 ID:rEjCU0go
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 20:05:41.24 ID:.5y2JKAo
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 23:41:00.01 ID:CEgxdA6o
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 00:19:06.63 ID:flHukQ2o
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 14:29:08.18 ID:AuhC1FM0
555 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 09:00:54.02 ID:wZ0jrkE/0
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 14:28:22.43 ID:jMEA8B0Io
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 14:32:07.08 ID:9BPifQImo
んん?
558 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 23:43:27.87 ID:NB+Fa6lR0
やっと追い付いた。
すげえ、原作であってもおかしくないレベルだわ。
支援。

ステイルの佐天さんに対する呼称だけど、ステイルは基本苗字で呼ぶんだよね。
佐「名前で呼んで」→ス「だが断る」っていうのステイルっぽいイメージがある。

余談だけど佐天さんと美琴で「名前で呼びたいけど今更感があって悶々する」の
想像しただけでかなり悶える。

……乙です。
559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/11(火) 16:31:32.96 ID:9sR1aZH80
まだかな?
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 17:38:53.80 ID:yn2AWLOFo
まだかなー
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 17:45:58.87 ID:1YMOY4G9o
学研の
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 18:25:04.16 ID:JCHg6V1W0
おばちゃん
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 18:32:08.11 ID:3QoAj2pio
マナカナー
564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 20:37:20.81 ID:G0+1hGSAO
魔法名の流れから



ステイル「逃げろ! キミがいても無駄に怪我をするだけだ!」

佐天「イヤだ! 私は逃げない!」

ステイル「何を言って……。キミはまだ弱いんだ。だから――」

佐天「そんなこと、私が一番よくわかってる! でも、ここで逃げたら昔と何も変わらない。ううん、昔よりもっと悪い」

佐天「私、ちっぽけだけど力を持って気づいたんだ。結局、今まで私が逃げてきた理由は、力がないからじゃなくて、自分の心が弱かったからだって」

ステイル「……」

佐天「私の願いは『強い人に全て任せず、少しでも強い人の助けになる』こと。だから、もう逃げない!」

佐天「さあ、いくよ!

『punish310(己の弱さを挫く者)』!」



という電波を受信した。

>>1がんばれ!
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 01:25:22.94 ID:XhUP8T0go
なんていう激アツなスレだ・・・支援
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 01:22:38.84 ID:Axar6uPAO
落ちないよな?
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

567 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/16(日) 20:07:56.37 ID:d86dgzPr0
さあ、日曜日になったしそろそろ投下を……って気が付いたらメッチャ時間経ってた!!

かなり遅れてすいません&明けましておめでとうございます!
忙しかった反動で遊び呆けてました。
核戦争後のベガスを走りまわったり、錬金術師として冒険する生活を続けてました。

今日投下したい所なんですが、この後ちょっと予定があるので、明日の22時くらいに。
あと掲示板自体新しくなってるみたいなんですけど、このままここに投下して大丈夫なんでしょうか?


SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 20:38:08.25 ID:Uy9zfIyRo
SSはNIP(SS速報VIP)に移転なので続ける場合は申請してスレをあっちに持ってってもらう必要があるよ。
申請はここで→ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1294924033/

SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 20:43:35.47 ID:SXelPtYAo
>>567
待ってたよー!
移転は運営さんがいるとき手動でやってもらう形なので、移転してから投下するつもりなら今日申請しといた方がいいかも
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/17(月) 00:01:10.33 ID:zBkS/oon0
すごいSSを見つけちまった…
やべぇおもしろすぎる
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

571 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/17(月) 22:12:14.37 ID:RMuNXBNG0
まだ移転はされていないみたいですね。もっと早めに依頼出しとけば良かったかな。
すまぬ(´・ω・`)

とりあえず今日はこのまま投下しても大丈夫なんだろうか?
大丈夫なら投下したいと思います。予告より少し遅れるけど、23時くらいに。
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

572 :真真真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 23:05:48.87 ID:gFfpPk3fo
移動したああああああ!!
>>1さん23時ですよ
574 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/17(月) 23:15:36.42 ID:zLdG+dDY0
ウワォォ!! 移転しとる!!
移転作業ありがとうございます!!

それでは投下していきますよー
575 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:19:22.01 ID:zLdG+dDY0

―――ロンドン、日本人街、とあるアパートの共同台所




五和「あッ、佐天さん、おはようございます」

佐天が共同台所を覗くと、そこでは五和が朝食の準備をしていた。
まだここでの生活に慣れていないものの、朝食の準備は彼女の日課らしい。

佐天「おはようございます。何か手伝いましょうか?」

五和「そうですね。じゃあ食器をテーブルに運んでもらっても大丈夫ですか?」

佐天「了解です!」ビシッ

五和「フフ、じゃあお願いします」

佐天「それじゃあ、よっと……」

「おッ、佐天嬢、今日は早起きなのよな。それに朝食の準備の手伝いとは、感心感心」

佐天「おはようございます、建宮さん」

クワガタのような髪型をしてだぼついたシャツとジーンズの男、建宮が台所に顔を出した。
佐天は建宮が『天草式十字凄教』と呼ばれる一団の教皇代理だとここに来たときに聞かされたが、
一体何が教皇『代理』なのか未だによく分かっていない。
とりあえずリーダーなんだろうなということで納得している。
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/17(月) 23:19:29.16 ID:Dv4bsU7S0
このスレは学園都市に監視されています
577 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:25:11.77 ID:zLdG+dDY0

五和「建宮さんも佐天さんに感心ばかりしてないで、少しは手伝ってくれませんか?」

建宮「『男子厨房に入るべからず』ってな。男の戦場は家の外にあるものなのよ」

佐天「でもうちのお父さんは日曜日なんかはよく料理作ってくれましたよ」

五和「それに私は外でも戦ってますけど」

建宮「建宮さんってば、古い日本男児だから、うんうん……」

佐天五和「…………」

「あれ、どうしたんすか? 朝から白々しい空気が漂ってますけど」

そこにやって来た小柄な少年、香焼はその場に流れるアレな空気を敏感に感じ取っていた。

佐天「香焼君、おはようー」

建宮「おお香焼。なに、ちょっとばかし“男”とは何か、二人に語ってたところなのよ」

香焼「そうなんすか。
 自分はてっきり教皇代理がまた空気読めない感じの発言したのかと思ったすよ」
578 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:27:39.07 ID:zLdG+dDY0

建宮「あ、あれ? どうしたのよ香焼君!? そんなキャラだったっけ?
 原作にあんまり出てないからって、設定の改変は―――」

香焼「あ、自分も手伝います」

佐天「お、感心だねぇ、香焼君」

五和「それじゃあこっちをお願い」

香焼「了解っす」

香焼は佐天と一緒に朝食の準備を手伝い始めた。
それを見つめる建宮は、完全にこの場の流れに取り残されていた。

建宮「そしてこの疎外感……。し、仕方ないから建宮さんもお手伝いを―――」

五和「準備できたので、頂きましょうか」

項垂れる建宮。しかし誰もその様子に突っ込もうとしない。
佐天もここでの生活に必要なこの辺の『ノリ』に順応し始めていた。

佐天「他の皆さんはどうしたんですか?」

五和「牛深さんは任務で外に出てます。対馬さんは、この時間はまだ寝てますね。
 そう言えば佐天さん、今日から魔術の勉強が始まるんでしたよね?」
579 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:34:18.40 ID:zLdG+dDY0

佐天「はい。だから何だから朝からソワソワしちゃって」

建宮「早起きだったのはそういう訳か。感心して損しちまったのよな」

佐天「でも魔術の勉強ってどんなことするんですかね?」

五和「詳しくは聞いていないんですか?」

佐天「そうなんですよ。ステイル君に『覚悟しておくんだね』って脅されただけで。
 皆さんはどうやって魔術を覚えたんですか?」

五和「魔術を覚えたとき? うーん、どうでしたっけ……」

香焼「そう言えば自分もよく思い出せないっす。いつの間にか使えるようになってたような………」

佐天「えーッ、そんなテキトーな感じなんですか?」

建宮「天草式は魔術を生活の中に溶け込ませる性質上、日常的な行動と魔術の境目が曖昧なのよ。
 だから格式張った魔術の修行みたいなものがあまり存在しないのよな。
 佐天嬢だって、いつ箸が使えるようになったとか、そういう日常動作については覚えてないよな?
 それとおんなじってことよ」

佐天「へー、じゃああたしもそういう風に魔術を覚えていくのかな?」
580 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:40:49.73 ID:zLdG+dDY0

建宮「いやいや、これは天草式十字凄教っていう流派に限ったことであって
 たぶん他は違うと思うのよ。むしろ『格式張った魔術の修行』って感じなんじゃないの?
 しかも魔術を教えるのが、奴さんだしな」

佐天「うぅ……」

そう言われて、佐天は頭を抱えた。
本格的に魔術の勉強が始まると聞いてから、くすぶり続ける不安材料があったのだ。

五和「ステイルさん、すごく厳しそうですよね……」

佐天「薄々感じてたことをズバッと言われた……!」

何かにつけて刺のある言葉を吐くステイルのことだ。
教える側になった途端、物腰が柔らかくなるとは到底思えない。

香焼「でもステイルさんって何気にすごい魔術師すよね。
 『必要悪の教会』の戦闘要員の中では、かなり上位クラスじゃないすか?
 さすがに女教皇には負けると思いますけど」

五和「あれ? でもステイルさんって魔導師ではないですよね?」

建宮「今回はたぶん特別ってことなのよな。
 さすがのステイルも、弟子を取るほど完成された魔術師でもないのよ」

佐天「魔導師?」
581 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:48:59.44 ID:zLdG+dDY0

建宮「魔術を使うのが『魔術師』。弟子を取ってその魔術を教えるのが『魔導師』。
 あと魔導書を所有している者って意味も含んでるか。
 まあ魔術の先生ってことよな。
 ステイルはあの歳でルーン文字の全解析と新たな文字の創出を成し遂げた『天才』かも知れんが
 弟子を取るとなると、自分の魔術を完成された一つの体系として纏め上げなけりゃならんのよ。
 そういう意味ではまだまだ経験不足よな」

香焼「教皇代理も、そんな的確な分析ができるんすね。どうしたんすか?」

建宮「そりゃあ教皇代理だからに決まってるのよ!? ホントにどうしたのよ香焼君!!
 もちろんそれはボケで言ってるのよな!?」

香焼「すいません、醤油取ってももらっていいすか?」

佐天「はーい」

建宮の言葉を軽くスルーして、香焼は佐天から醤油を受け取った。
他の二人も建宮の言葉に反応しないところが何だが哀しみを誘う。

建宮「何この扱い!? クソッ、香焼!! お前もそんなのほほんとしてていいのか?
 ぶっちゃけステイルとお前ってそんなに歳変わらないのよ!
 魔術でも身長でも完膚なきまでに敗北してるのよ!!」

香焼「なッ!? 魔術のことはともかく、身長のことはいいじゃないすか!!
 自分には自分の成長の時期ってもんがあるんすよ!!」

五和「魔術はともかくなの?」
582 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:57:07.29 ID:zLdG+dDY0

建宮「はんッ!! そんなまったく需要のないショタ要素を満たしてどうするっていうのよ!
 そんなんだから何時まで経ってもモブキャラ+αくらい存在感しかないのよ!
 『けいおん!』で言えば、2期の第7話で出てきた澪ちゃんファンクラブの子くらいよな!!」

香焼「えーッ!? 自分はもう、純ちゃんくらいの立ち位置だと思ってたすけど」

建宮「それもう準レギュラーキャラじゃねぇか!? なんでそんな自己評価高いのよ!!
 建宮さんだってまだ、さわ子先生くらいのポジションだというのに!!」

香焼「そっちもレギュラーキャラじゃないすか!?
 教皇代理なんて精々ギー太くらいの存在感すよ!!」

「はぁ!? 何言ってんのよ香焼ッ!! どういうつもりだ、コラッ!!」
「教皇代理なんて、唯ちゃんのそばにずっといるだけで、存在感の薄いキャラってことっすよッ!!」
「何だとッ!! ……あれ? それはけっこうよくね?」

二人が存在感を巡る熱い(?)議論を交わしていると、スラリと背の高い女性が台所に姿を見せた。
金髪の似合う綺麗な女性なのだが、その髪も今はボサボサでその片鱗はどこにもない。

五和「あッ、対馬さん、おはようございます」

対馬「うん……おはよー……」ボケッー

香焼「相変わらず対馬先輩朝弱いっすね」
583 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/17(月) 23:59:19.45 ID:zLdG+dDY0

対馬「低血圧なんだらからしょうがないで、ふぁぁぁ……。
 ああ、えーと、さ、さ、さ……」

佐天「佐天です、佐天涙子です」

対馬「うんうん……覚えてた覚えてた。佐々木ちゃんもおはよー……」

佐天「いやだから佐天です。ていうか、そろそろ行かないと!」

壁に掛かっている時計は、約束の時間の四十分前を指している。
時間的にはまだ余裕があるものの、慣れていない土地なので少し早めに出る必要がある。

佐天は残りの味噌汁を一気に喉に流し込んだ。

五和「佐天さん、頑張ってくださいね!」

建宮「頑張ってくるのよー」

香焼「道に迷わないように気をつけたほうがいいっすよ」

対馬「いってら、ふぁぁぁ……」

佐天「はい、それじゃあ行ってきます!」
584 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:08:31.66 ID:UtyHmu9r0

―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館




佐天「し、失礼しまーす……」

指定された部屋のドアを開けて、佐天は恐る恐る部屋の中に入った。

「いらっしゃいませ、佐天さん」

佐天「あれ? なんでオルソラさんがここに?」

そこにはこの前女子寮で会ったおっとりしたシスター、オルソラが待っていた。

オルソラ「あら? お聞きになっていないのでございますか?
 佐天さんの魔術の勉強に関しては、何人かで分担して行うことになっているのでございますよ」

佐天「まったくの初耳ですよ」

オルソラ「あらあら。もしかしたらステイルさんなりの心憎いサプライズなのかも知れませんね」

佐天「何ですか、その微妙なサプライズ……」

オルソラ「ステイルさんも忙しい身の上でございますからね。
 ステイルさんも私も他の方も、仕事の都合上、毎回お教えできるとは限りません。
 佐天さんにはご迷惑をお掛けしますが、このような形式になってしまったのでございます」
585 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:15:47.98 ID:UtyHmu9r0

佐天「い、いえ、教えてもらえるだけでも、十分ありがたいですよ!」

オルソラ「フフフッ、佐天さんは優秀な生徒さんのようでございますね。
 それでは改めましてよろしくお願いします、佐天涙子さん」

佐天「はい、よろしくお願いします」

そう言って二人はお互いに頭を下げた。

オルソラ「では私がお教えする内容でございますが、十字教の基本的な『教え』でございます」

佐天「基本的な教え、ですか?」

オルソラ「はい、つまり、この聖書を学んでいくのでございますよ。
 言わばこれが私の授業の教科書でございます」

オルソラが佐天の目の前に差し出したそれは、慣れ親しんだ学校の教科書とは明らかに異なっていた。
一応日本語で書かれているようだが、読めと言われてスラスラ読める自信はない。

佐天「うぅ……何か難しそうですね。しかも分厚い」

佐天はその聖書を手に取ってみる。ズッシリとした重みが手に伝わった。

オルソラ「そのようなことはございませんよ。
 聖書に書かれていることをすべて覚え、理解することは確かに容易ではございませんが
 少しずつ学んでいけば問題ないのでございますよ」
586 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:20:41.38 ID:UtyHmu9r0

佐天「そういうものですか。ああそうだ、一つ、気になってたことがあるんですけど」

オルソラ「何でございましょう?」

佐天「えっと、あたし、十字教徒じゃないんですけど、聖書を学ぶ資格とか、あるんでしょうか?」

オルソラ「ということは佐天さんは、仏教でございましょうか?」

佐天「はい、たぶん。うちってそんな宗教とか熱心じゃなくて、仏教のほうもよく分からないんです」

佐天は首を傾げて、学園都市を出る前まで住んでいた実家のことを思い出してみた。
親戚の葬式に行ったときはお坊さんが来ていたはずだが、
宗派はなんだったかと言われても全く分からない。

オルソラ「はい、それでも問題はございませんよ。お教えするのはあくまで十字教の教え。
 信仰心まで押し付ける気はございません」

佐天「うーん……あんまり違いが分からないんですけど……」

佐天はさらに首を傾げる。

オルソラ「フフフッ、今はよく分からないものかも知れません。
 しかしそのうち分かるようになるのでございますよ。
 それでは今日は神の子の生い立ちと足跡についてを学んでいくことにいたしましょう」
587 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:26:55.79 ID:UtyHmu9r0

………………………………

………………

………


オルソラ「はい、今日はこの辺で終わりでございます。
 お疲れ様でございました」

佐天「お疲れ様ですー」

佐天はそのままぐでーと机に突っ伏した。

オルソラ「本当にお疲れのご様子でございますね。少し難しかったでしょうか?」

佐天「いえ、むしろすごく分り易かったです。
 だから沢山の情報が頭に入ってきて、それで今頭の中が『ウワァー』って感じです」

オルソラ「『ウワァー』でございますか?」

佐天「はい、『ウワァー』です!」

そう言って佐天は両手を高らかに天に突き上げた。
文化の壁を超えるためのボディランゲージである。

オルソラ「『ウワァー』はよく分かりませんが、やはり佐天さんは優秀な生徒さんでございますね」
588 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:30:50.09 ID:UtyHmu9r0

佐天「オルソラさんってすっごい教えるのが上手ですよね。
 あ、こんなこと言ったら失礼ですよね」

オルソラ「いえ、お褒めいただき光栄でございます。
 私は長い間様々な土地で布教活動をしておりましたので
 きっとそのお陰なのでございますよ」

佐天「布教って電車の中で三人掛かりで猛烈に話しかけたり
 英会話サークルだと思ったら宗教団体だったというやつですか?」

オルソラ「恐ろしいくらい偏った知識でございますね。誰の体験談なのでございますか?
 というよりも、やはり日本の方は少し宗教というものに対して抵抗があるのでございますね」

佐天「うーん、そうかも知れませんね。特にあたしの場合は学園都市から来ましたから」

オルソラ「確かに『神』という目に見えない存在を信仰するというのは
 科学側の人達からすれば愚かに思えるのでございましょうね。
 しかしどちらも人々が積み重ねてきた知識という意味では同じ。
 今日お教えしたことも『神』という存在を通して生きた人々の知恵や歴史なのでございますよ」
589 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:37:44.39 ID:UtyHmu9r0

佐天「…………」

オルソラ「やはり少し難しかったのでございますか?」

佐天「いえ、そうじゃなくて、あたしって
 そういうことなんにも知らないでここに来ちゃったんだなあと思って。
 もうちょっと勉強してくれば良かったです」

もちろん学園都市を出るときに決意や覚悟がなかったわけでない。
しかし魔術を学ぶために、もっと自分でもできることがあったのでないだろうか?
それが小さな後悔となって、佐天の心を掠めた。

オルソラ「それも含めて少しずつ学んでいけば良いのでございますよ」

佐天「うぅ……頑張ります!」

オルソラ「その意気でございます。それでは本日は私はこの辺で。
 この後次の方でいらっしゃるので、その方がまた色々教えてくれるのでございますよ」

佐天「次の方?」
590 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:43:08.45 ID:UtyHmu9r0

ルチア「先日お会いしましたね。ルチアと申します。
 元は『ローマ正教』に所属しておりましたが、現在は『イギリス清教』の一員です。
 私はシスター・オルソラに比べて、人に物を教えた経験が多くはありません。
 不束者ですがよろしくお願いします」

佐天「よ、よろしくお願いしますッ!」

佐天の目の前に立っているのは、オルソラと同じく、先日女子寮で会ったルチアだった。
しかしさっきのオルソラを見たときのような安堵は、そこにはない。
むしろ少し嫌な予感がする。

佐天(ルチアさんか……。この前会った時何か怖そうだったし、大丈夫かな)

ルチア「私が教えるのは『言語』です。まずは、そうですね……」

ドンッ!とルチアが机の上に置いたのは、かなり使い込んだ感のある本だった。
先程オルソラからもらった聖書よりもさらに分厚い。

ルチア「このラテン語訳の旧約聖書を読むところから始めることにします。
 ラテン語は現在では口語として学ぶ価値はあまりありませんが
 魔術分野は元より、多くの分野で存在感を持ち続けている言語です。
 ラテン語訳の参考として、このイタリア語訳版を使ってください」

さらにその横にドンッ!と置かれた本は、ラテン語版と同じくらいに分厚かった。


スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/
591 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 00:58:33.40 ID:UtyHmu9r0

ルチアは一気にまくし立てた。
もちろん佐天にとってそれらは全部まとめて“知らない言葉”であり、
ヘブライ語にいたっては「えッ? そんな言葉あるの?」という状況である。

佐天「日本語だけですぅ……」

ルチア「はぁぁぁ!? 本当に日本語しかできないのですか!?
 一体貴女は何のために遥々ロンドンまでやって来たのですか!!」

佐天「すいません……」

涙目になる佐天。嫌な予感は見事的中した。

ルチア「まったく、呆れて物も言えません。
 学園都市という場所は、神の教えに背くような研究をしているばかりではなく
 他国の文化まで蔑ろにしているのですか?」

佐天「ホントにすいません……。でも日本の中学生が英語を喋れないのは
日 本全国どこでもそうだと思うんですけど」

ルチア「日本全土が我々を馬鹿にしているのですか!?」

佐天「そ、そういうことは偉い人に言ってください!!」


スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/
592 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 01:00:04.82 ID:UtyHmu9r0

話題が違う方向にスライドしていきそうな雰囲気の中、部屋のドアが開いた。

アンジェレネ「どうしたんですか、シスター・ルチア? 何か叫んでいたみたいですけど」

ルチア「シスター・アンジェレネ! 聞いてください!!
 やはり日本などという国は異教の蛮族の地です!!
 今すぐ『ローマ正教』に戻り、対学園都市の戦列に加わるべきです!!」

佐天「えぇ!? そんな話じゃなかったですよね!? あたしが英語できないって話ですよ!!」

アンジェレネ「えッ? 英語できないんですか?」

小さく可愛らしいシスター、アンジェレネが若干引き気味で佐天に尋ねた。

佐天「そ、そうです……」

佐天(そう言えばこの子もあたしと同じくらいか、少し下くらいの歳なのに日本語話してるもんね。
 やっぱり学園都市でもっと色々と勉強しておけば良かったよぉ……)

アンジェレネ「この国際社会で、母国語しかできないっていうのはちょっと問題があると思いますよ。
 少なくとも三ヶ国語くらいはできるようにならないと」

佐天「はい……」


スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/
593 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 01:01:27.19 ID:UtyHmu9r0

ルチア「そうです! シスター・アンジェレネ、もっと言ってあげてください!」

アンジェレネ「私だってヨーロッパの言語は元より、日本語だって喋れるんですからね。
 まあラテン語はよく分かってないですけど」

ルチア「えッ!?」

佐天「ん?」

アンジェレネ「あッ!」

再び部屋の空気が凍り付く。しかし今回はさっきよりもさらに冷たい。
さっきのが零度の氷だとすると、今度はマイナス二〇〇度の液体窒素くらいに。

ルチア「シスター・アンジェレネ!! 今何と!?」

アンジェレネ「い、いやシスター・ルチア! よく分かってないって言っても
 時々分からない単語とかがあるくらいで、ほとんどは分かってますよ!!」

ルチア「ラテン語が読めない魔術師なんて前代未聞ですよ!?
 普通有り得ませんよ、そんなこと!!」

アンジェレネ「そ、そんな訳ないじゃないですか! ホントです、ホントですってば!!」


スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/
594 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 01:06:11.20 ID:UtyHmu9r0

ルチア「では私が魔術として使っている聖カテリナの『車輪伝説』について説明してください。
 魔術を学び初めた頃、一緒にラテン語の専門書で読みましたよね?」

アンジェレネ「え、えーと、確かうっかり坂の上で聖カテリナが車輪を落としてしまって
 それが八百屋に突っ込んで大惨事という……」

ルチア「どんな愉快な出来事なんですか!? それはもう『伝説』じゃなくて『町内事件簿』ですよ!!
 それよりもシスター・アンジェレネは
 私の魔術の元がそんな下らない事件だと思っていたのですか!!」

アンジェレネ「車輪の破片が飛び散るのが、八百屋の野菜が吹き飛ぶのを模しているのかと」

ルチア「それだったら私は車輪ではなく野菜を使いますッ!!」

怒り狂うルチアと、必死に取り繕うアンジェレネを、佐天は呆然と見つめた。

佐天(あたしにも分かる……。この子、駄目だ……!)
595 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 01:08:41.65 ID:UtyHmu9r0

ルチア「もう分かりました!! シスター・アンジェレネ!!
 貴女もこれから佐天さんと一緒に私の授業を受けてもらいます!」

アンジェレネ「えーッ!? お菓子を食べる時間がぁ」

ルチア「そんな時間は元よりありません!!
 佐天さんは英語、シスター・アンジェレネはラテン語です!! 返事はッ!!」

佐天    「は、はいッ!!」
アンジェレネ「は、はいッ!!」

ルチア「ではまずは―――」

佐天(うぅ……大変なことになりそう)

アンジェレネ「えーッ、そんな難しいものからやるんですか? もっと簡単なのを―――」

言い争いながらも、お互いを信頼して、頼り合っているのが伝わる二人。
そんな二人を見て、どこか懐かしいような気持ちを佐天は覚えた。

佐天(初春たち、今頃どうしてるかな?)












―――学園都市、第七学区、風紀委員一七七支部



初春「…………」

カタカタカタッ…

596 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/18(火) 01:36:39.14 ID:UtyHmu9r0
めっちゃ重くてなかなか書き込めなかったけど、なんとか投下終了!
建宮の声がTOVのレイヴンの影響で、竹本英史さんで脳内再生されるのは自分だけでしょうか?

最後になったけど遅めのレス返しをいくつか
>>558>>570
温かいお言葉ありがとうございますッ!!
実際まだまだ自分の思う「面白い」には程遠いですが、これからも完結目指して頑張ります!
あと>>558のネタはおまけで使いたいかも。
>>544
このSSで登場するオリジナル魔術は攻撃系よりも妨害系が多いので、そのアイデアは面白いですね。
でも『とある』の世界観的に、出てくる魔術師はかなり多言語に精通しているので、けっこう対応してきそう。
いっそ「オセアニア諸島の言語のどれかをランダムで使わなくてはならない」とかならかなり強力かも。
>>564
クソッ!! また一つ魔法名を名乗るときのいい感じのシチュエーションが一つ減った!! どうしてくれる!!
ってのは嘘で支援ありがとうございます!!
佐天さんの魔法名は何となく決まりました。ちなみに最後の数字は「310」ではありません。

というわけは本日はここまで。次回は1月21日(金)の予定です。
これまではなるべく週3回のペース(最近はまったく守れてませんでしたが)で投下してきましたが、
今後は投下量を増やし週2回のペースを目標にやっていきたいです。
書くペースは以前とあまり変わらないと思いますが、けっこうきっちりプロットができてしまっているので、
量ではなく、話のキリごとに投下するほうがいいかなと思っています。
こまめに投下してほしいという方はゴメンなさい。

それではまた次回に!あ、感想や質問はお気軽に!

597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 01:40:47.85 ID:VickQylC0
乙なんだよ!
魔術の解説といえばこの私の出番なんだよ!
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 01:51:37.86 ID:1E2Q1CS70
インフィニットさんはお引取り下さい
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 02:29:19.27 ID:UYrqgJoN0


600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 03:48:59.01 ID:obqhAQjn0
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 03:51:05.12 ID:/t9xcqWSO
お、1来てたのか。乙です!
佐天さん分が減ってきてたんで久々に堪能したわ〜。
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 04:32:09.45 ID:FOX8u6Zbo
そげ夫wwwww
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 07:17:47.11 ID:wKQAqbaDo
なんか新しいキャラできそうだな
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/18(火) 11:10:36.44 ID:VnKDcVee0
                       そげ夫→ヘ(^o^)ヘ いいぜ                         |∧                       /  /                 (^o^)/ てめえが何でも                 /(  )    思い通りに出来るってなら       (^o^) 三  / / > \     (\\ 三 (/o^)  < \ 三  ( / / く  まずはそのふざけた       幻想をぶち殺す

605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/18(火) 11:11:39.85 ID:VnKDcVee0
なんかメチャクチャずれたorz
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 20:09:41.84 ID:12xZ+UfCo
建宮さんは確かにキャラ的にはTOVのレイヴンだなww
でも声はユーリという不思議な状態・・・
佐天さんはどの輪に入れても友達作りが上手そうで羨ましい
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 01:24:30.06 ID:8avDyNS0o
英語……俺も勉強しようかな……
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 16:57:45.78 ID:wpjfm6dJ0
こなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい
609 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/21(金) 19:08:12.34 ID:hOZPeY+X0
予告通り、今日の二十三時頃に投下を開始します!

『seisoku-index@wiki』 http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/
のこのスレのページに、前回の投下分までが更新されていました。お暇な時にでも御覧ください。
毎回細目に更新していただき本当にありがとうございます。wikiに載せてもらえたことはSSを書く上で大きな励みになっています。
厚かましいですが、これからも宜しくお願いします!

もちろん皆さんのレスも励みになってますよ!ありがとう!
でもゴメン、>>604はちょっとキモイと思うんだ……。
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 21:27:09.04 ID:gTlGeFh20
追いついた
611 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/21(金) 23:02:14.36 ID:hOZPeY+X0
それじゃあ投下開始します。
612 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:06:31.57 ID:hOZPeY+X0

―――学園都市、第七学区、風紀委員一七七支部




初春「…………」

カタカタカタッ…

いつも喧騒の止まない風紀委員一七七支部は、今日は恐ろしいほど静かだ。
物音一つしない、というわけでない。
初春がキーボードを叩く、カタカタという無機質な音しか聞こえてこないのだ。

白井「う、初春ー、そろそろ休憩したらいかがですのー?」

白井はソワソワした様子でそう尋ねた。

初春「……大丈夫です」

白井「そ、そんなことを言わずに。あら、こんなところに牛乳オタ……ではなく
 固法先輩が持ってきてくださった牛乳まんじゅうが!」

初春「…………」

カタカタカタッ…

初春は白井が話しかけている間、一度もパソコンのモニターから目を離さなかった。
613 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:08:34.61 ID:hOZPeY+X0

仕方なく白井は、手に持つ『“あの”武蔵野牛乳が放つ究極の一品、武蔵野牛乳饅頭ゥッ!!』
とテンションの高い煽り文句が書かれたまんじゅうを頬張った。

白井「うッ……お、おいしいですわね、このおまんじゅう」

初春「…………」

白井「美味美味ぃ、です、の……」

初春が視線をモニターに固定したまま、口を開いた。

初春「……白井さん、この前の引ったくりの件、容疑者のリストアップ終わってますか?」

白井「えッ!? あ、あの、それでしたら、ま、まだですの。
 も、もちろんこの後やろうと思っていたんですのよ」

初春「そうですか。じゃあ私、こっちが終わったのでそれやっておきます」

白井「そ、そんな!? それは私の仕事! 私が責任をもってやりますわ。
 初春はそれよりも少し休憩を―――」

初春「大丈夫ですよ。私―――」

スッと、この時初めて初春はモニターから視線を外し、正面からその眼差しを白井に向けた。

初春「疲れてませんから」
614 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:11:14.17 ID:hOZPeY+X0

白井「うッ!?」

白井(そんなどんよりした目で言われても、全く説得力ありませんの。でも……)

初春「だから白井さん、私に任せてください」

その目からは、決してポジティブではないタイプの強い意志が見て取れた。
こうなった時の初春は、誰が何と言おうと自分の意見を曲げない。
これまで風紀委員のパートナーを務めてきた白井にはそれが嫌というほどよく分かっている。

白井(言い返せる気がしませんの……)

白井「で、ではお願いしましょうか。ホホッ、ホホホホッ……」

白井の返事を聞くと、初春はモニターに向き直り、キーボードを叩き始めた。

カタカタカタッ…

白井「はぁ……」

固法「お疲れ様」

トボトボと敗残兵よろしく戻ってきた白井に、固法は声を掛けた。

白井「お疲れ様、ですの」
615 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:14:00.75 ID:hOZPeY+X0

固法「初春さん、今回はかなーり思い詰めてるわね」

白井「そうですわね。初春ったら、辛い時や悩んでいる時はそう言えばよろしいのに。
 周りの人間に言わず、自分だけでどうにしかしようだなんて、全く困りものですわね」

固法「ホントニソウデスネ」

白井「ん? どうしたんですの固法先輩? 新発売のボーカロイド、固法ミイですの?」

固法「微妙に語感が似てるからやめて。誰かさんととっても似てると思っただけよ。
 それにしても、初春さんがああなってるのって、佐天さんが原因なのよね。
 こう言っちゃ悪いけど」

白井「そうですわね。佐天さんが、というよりも佐天さんの突然の留学が、ですが」

白井が佐天の留学のことを話したのは、佐天が学園都市を出たすぐ後だった。
白井自身、この話を聞いた時は心底驚いたが、それは固法も同じだった。

固法「それにしても佐天さん、なんで突然留学なんかすることになったの?」

白井「それがよく分かりませんの。初春に聞いたところ
 学校側も佐天さんの留学は直前になって上層部から言い渡されたそうで」

固法「学園都市上層部から? 不自然っていうか明らかにおかしいでしょ?」

白井「そうなんですの。そもそも佐天さんはレベル0。
 あまり言いたくありませんが、上層部が何からの強い関心寄せているとは……」
616 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:18:40.56 ID:hOZPeY+X0

固法「もしかして最近話題の『原石』だっていう可能性は?
 あれなら通常の能力検査じゃ判定できない場合もあるから、レベル0でもおかしくないんじゃない?」

白井「例え佐天さんが『原石』であったとしても
 そのような稀少な能力者を学園都市が海外へ送るでしょうか?
 しかも他国と戦争をしているという、こんな危険な状態の最中に」

固法「うーん、確かに……」

白井「まあ、その辺の不明確さも初春の精神を圧迫する材料の一つに―――」

初春「白井さん」

白井「は、はいですのッ!?」

突然を掛けられた白井は、ビクゥッ! と飛び上がった。

初春「私、この仕事が終わったら、今日は帰らせてもらいます」

白井「ど、どうぞどうぞ。早く帰って体を休めるのが一番ですわ。
 そうですわ初春! この後一緒にお茶しに行きませんこと?
 最近アップルパイが美味しいお店を見つけたんですのよ。
 固法先輩も一緒に、ねえ?」

固法「い、いいわね。是非一緒にいかせてもらうわ!
 あ、私はアップルパイじゃなくてミルクパイにしようかしら」

白井「固法先輩、それは某錬金術ゲームにしか存在しない一品ですのよ」
617 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:26:04.80 ID:hOZPeY+X0

初春「……すいません、今回は遠慮しておきます」

少し考えるような間を開けて、初春はそう答えた。

白井「そ、そうですの。ざ、残念ですわねぇ! ねえ固法先輩?」

固法「そ、そうね! 全くそう!! お茶しに行くのはまた次の機会にしましょうか!」

初春「……はい」

カタカタカタッ…

再び初春の打鍵音が虚しく響く。
自分の提案を少しの間検討してくれただけでも、良いことなのかも知れない。
しかし、

白井「はぁ……」

と溜息をつかずにはいられなかった。

白井(全く困りものですわ。初春も、そして……)

白井は思い浮かべる。
表面上はいつもと変わらないものの、きっと心の内はこの厄介な同僚と同じ、愛すべきルームメイトのことを。

白井(お姉さまも)
618 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:28:41.91 ID:hOZPeY+X0

―――第七学区、とある公園




御坂「チェイサーーーッ!!!」

その掛け声で御坂が蹴りを放つと、ドンッ!! という本来自動販売機からしてはいけない音と共に、
いつものように缶ジュースが一本転がり出た。

御坂「よいしょっと……何これ? 『ガヴァアロエアガリクスQ10』って
 どんだけ健康になりたいのよ」

明らかに不審な緑色の缶のプルトップを開け、御坂はグイっとその缶ジュースを呷った。

御坂「うげぇ!? しかも不味いしッ……」

御坂「はぁ……」

溜息をついた御坂の視界に、見知った人の姿が入った。

御坂「あッ……」

初春「御坂さん……」

御坂「初春さん、今帰り?」

初春「はい、さっき風紀委員の仕事が終わったので」
619 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:30:53.01 ID:hOZPeY+X0

御坂「そう。じゃあ黒子もそろそろ帰ってくる頃ね。私も寮に戻ろうかしら」

御坂はそう言って大きく伸びをした。

初春「あの、御坂さん」

御坂「ん? 何?」

初春「あの……佐天さんからメールが来たんです」

そう告げる初春の表情は、決して明るいものではない。
その意味が、御坂は何となく分かる気がした。

御坂「それ、いつのこと?」

初春「はい。今日の朝のことなんですけど」

御坂「そのメール、見せてもらっていい?」

初春「はい、これです」

初春は鞄の中から携帯を取り出し、メール画面を開くとそれを御坂に手渡した。
急いで御坂は携帯を受け取り、ざっとその文面に目を通した。
620 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:36:26.12 ID:hOZPeY+X0

初春「学校で先生から聞いた説明と同じでした。偶然イギリスへの交換留学生に選ばれたって」

御坂「でも……そんなの、突然過ぎるわ!」

初春「このイギリスとの交換留学の件、調べてみたんですけど、確かに学園都市が決定した正式なものでした。
 でもどこにその交換留学が計画された形跡がないんです。まるで……」

御坂「誰かが最近になって突然決めた。
 しかも学生一人を自由にできるくらい、権力を持つ人間が」

しかしそれは何のために? 御坂の思考はいつもそこで止まる。
何度考えを巡らしてみても、納得のいく答えを得ることができない。
そして思考を繰り返すたび、不安は増す。

御坂「初春さん、佐天さんにこっちに戻ってきてもらうように説得しよ!
 この件は、やっぱりどこかおかしいわ!!」

初春「……どこかおかしいところがあっても、説得なんてできませんよ」

御坂「そんなことないわよッ!! 事情を説明すれば、きっと―――」

初春「御坂さん、覚えてますよね?
 私たちがあの日、佐天さんに会いに空港に行った時のこと」

御坂は思い出す、あの日のことを。
佐天がイギリスへ行くことを知ってしまった初春と共に、御坂は第二十三学区の国際空港へ向かった。
621 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:39:24.95 ID:hOZPeY+X0

あの時、御坂は初春に佐天と会うのを任せ、空港の外で一人佇んでいた。
それは、こういう時は一番の親友である初春のほうがいいだろうとか、そんな意図ではなかった。
それは……

初春「あの時の佐天さん、誰かに無理やり連れて行かされてるとか、そんなのじゃありませんでした。
 ましてや精神を操られてるとかでもない。
 自分で考えて、自分で決断したんです。佐天さんは」

初春「そんな佐天さんのやろうとしてることを邪魔するなんてできない……!
 だからそのメールにも、なんて返せばいいか分からないんですッ!!」

御坂は改めてそのメールを読んだ。
やはり佐天の留学の説明は不自然で、どこか辿たどしさのようなものを感じる。
それでも学園都市を出た決意や初春への気遣いは、どう見ても本物だった。

御坂「でも、それでも―――」

初春「御坂さんだって、佐天さんが変だって気付いてたのに、何もできなかったじゃないですかッ!!」

御坂「……ッ!!」

御坂は唇をぎゅっと噛み締めた。初春の言葉に腹を立てたわけではない。
その言語の通り、何もできなかった自分の無力さが、あまりに悔しかったからだ。

だってあの時佐天に会わなかった理由は、説得できる自信がなかったからなのだから。
622 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:42:47.06 ID:hOZPeY+X0

初春「す、すいません……!」

ハッと自分が何を言っているのか気付いた様子で、初春は頭を下げた。

御坂「ううん。いいわ……。本当のことだもの」

初春「御坂さん、この件、あの誘拐事件と関係してるんでしょうか?」

御坂「それは、佐天さんの誘拐の直後に留学が決まったから?」

初春「それもあります。それにあの誘拐犯たちが英語を話していたっていう情報があるんです」

御坂「英語……イギリス人だったかも知れないってこと?」

初春「はい。もちろんはっきりしたことは分かりませんが」

それは御坂も考えていたことだった。
あの誘拐事件と佐天の留学は、あまりにも連続している。
そして御坂が感じた『佐天の不自然さ』も、誘拐事件の後から始まっている。

初春「御坂さん……」

御坂「それが本当で、佐天さんのことをいいように利用しようとする連中がいるんだとしたら―――」

御坂「私はそいつらを絶対に許さない……!」
623 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:45:23.04 ID:hOZPeY+X0

―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館




ステイル「というわけで午後からは僕が『魔術』について教えていくんだが……」

佐天は期待のこもった、いや期待がこもり過ぎてキラッキラしてる視線をステイルに注いでいた。

ステイル「何だい? その見てるだけが目がチカチカしてきそうな眼差しは。
 欝陶しいから止めてほしいんだが」

佐天「いやぁー、ついにあたしも魔術を使える日が来たんだと思うと
 こう、ワクワクが止まらなくってさ! 今のあたしは、どんな厳しい修行にだって耐えちゃうよ!
 で、どんなことするの?」

ステイル「何と言うか、そこまで期待されると、正直やり辛いな。まあやる気があるのはいいことか」

ステイルは調子を整えるように、小さく咳払いをした。

ステイル「一口に魔術を教えると言っても、魔術理論や魔力精製の法則
 さらに魔術の論理的基盤となる伝承・伝説の知識とか、教えることは多岐に渡る。
 とりあえず今のところは基礎的な部分全般を僕がまとめて教えることになっている」

佐天「はーい」
624 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:47:26.86 ID:hOZPeY+X0

ステイル「えらく気軽に返事してくれるね。本当に君は午前中真面目に話を聞いていたのか?
 疲労の色とか、そういうのが見られないんだが」

佐天「だからやる気に満ち溢れてるだけだって!! 午前中も真面目に勉強してたよ!
 まあ、難しくて分かんないことも沢山あったけど」

ステイル「十字教の教えを学ぶことも言葉の勉強も、魔術を覚えるには必要であることは分かっているね?
 特にラテン語なんかは日本人の君にとって全く馴染みのないものだと思うけど
 魔術関連の書籍の多くがラテン語で書かれているから、読めないと話にならないんだ」

佐天「うん、何かそれはすごくよく分かった。
 あたし英語ができるようになったらラテン語頑張るよ……」

ステイル「?」

えらく神妙な様子の佐天に、ステイルは不審そうに眉をひそめた。

佐天「で、どんなことするの? 早く教えてよ!」

ステイル「そう焦るな。君が使うのは、これだ」

もう「ワクワク」と口で言ってしまうそうな佐天の目の前に、ステイルは懐から取り出したものを置いた。

ドンッ! と、今日は何だかよく聞いた気がする音と立てて机に置かれたそれは、
今日見たもののうち、一番古びていて、一番分厚い一冊の本だった。
625 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:52:13.94 ID:hOZPeY+X0

佐天「で、デジャヴ……!? ステイル君、これ、何?」

ステイル「はぁ? タイトルが書いてあるじゃないか。
 『西洋魔術理論の基礎(上)』だよ。
 日本語訳の本を見つけるのは大変だったんだよ。神裂にも協力してもらって、ようやく見つけたんだ。
 ラテン語はおろか、英語さえできない君に、翻訳されていないものを渡すのは酷だからね」

佐天は恐る恐るその本を手に取り、ページを捲った。

佐天「なになに……『伝承と其れに依拠する魔術の関係 問題(一)
 魔術師丙が北欧神話に基づくミュルニルの槌を顯現させ
 魔術師乙がデートリヒ叙事詩のヒルデグリムの兜で其れを防いだ時、兩者の魔術はどうなるか答へよ』」

ステイル「さすが魔術理論の基本書だね。非常に分り易い問題だ。
 つまり魔術の大元である伝承の関係性に魔術自体も影響を受けるというもので―――」

佐天「何これッ!? 数学なの? 国語なの? 全然意味が分かんないしッ!!
 ていうかまた本で勉強するの!?」

ステイル「仕方ないだろ。魔術理論なんだ、こういった書物で勉強するのが最も効率がいい」
626 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:55:31.54 ID:hOZPeY+X0

佐天「えーッ、魔術の勉強だから、今度こそ『これぞ魔術ッ!!』って感じのことができると思ったのに!」

佐天は駄々っ子のように椅子の上でジタバタした。
ステイルは迷惑そうにそれを眺めた。

ステイル「そう駄々をこねるな。もちろん理論だけじゃなく、魔術の実践も勉強してもらう」

佐天「えッ、ホント!? やったーッ!!」

ステイル「使うのは、これだ」

そう言ってステイルが机の上に置いたのは、何の変哲もない二つの卵だった。

佐天「卵……これを一体どうするの?」

佐天(もしかしてこの卵に魔術を掛けて、強力なモンスターの卵に変えるとかじゃない?
 ハッ!? これって所謂『召喚』だよ!! スゴイッ!! 魔術っぽい!!)

今や佐天の頭の中では、佐天の魔術を受けた二頭の竜が、天を狭しと暴れまわっている。
RGPのオープニング映像などにありそうな感じである。
627 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/21(金) 23:58:27.64 ID:hOZPeY+X0

ステイル「今日行うのは、この二つの卵のうち、どちらが生卵でどちらがゆで卵か判別する魔術だ」

その瞬間、今まで暗闇の中でも光って見えるんじゃないかというくらい輝いていた佐天の瞳が、
残念なくらい一気にどよんと曇った。

佐天「……ステイル君」

ステイル「何だい?」

佐天「地味……」

ステイル「じ、地味だとッ!? そんなことはない!! 今から実演して見せよう。
『我が母と崇めし偉大なる神 大母神ガイア様…… 親愛なる大気の精霊たちよ
 大いなる大地に眠る熱き地脈 澄み渡る大気に潜む鋭き気流よ……』」

佐天「何でそこは無駄にカッコイイの!?
いやー、何て言うか、あたしが想像してた魔術と違うんだよね。もっとこう、派手な感じのさ」

ステイル「君は何か勘違いしていないか?
魔術はディズニー映画に出てくる魔女が使うようなお手軽で万能なものじゃないんだよ。
魔術はあくまで正当な理論に則った学問なんだ」

佐天「分かってはいるんだけど、何となくモチベーションが下がるというか」

ステイル「見習いの君にはちょうどいいよ」
628 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/22(土) 00:01:21.44 ID:XINhMn6c0

佐天「うーん、そうだ、簡単なのでいいから、ステイル君みたいに炎を出せる魔術を教えてよ!
 そうすれば、あたしだって少しくらいは『必要悪の教会』の戦力に……」

それまで憎まれ口を叩いていたステイルの口が閉ざされた。
佐天はステイルの顔を覗き込んだ。

佐天「ステイル君? どうかした?」

ステイル「いや、何でもない。
 君はそんなことを言う前に、基礎的な魔術をマスターすることに集中しろ」

佐天「はーい。まあ確かにそうだよね。千里の道も一歩から!
 よーし、地味な魔術を完璧に使いこなせるようになって、
 カッコイイ感じの炎の魔術を教えてもらうぞぉ!!」

ステイル「…………」
629 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/22(土) 00:03:31.60 ID:XINhMn6c0

―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館、入り口




ステイル「それじゃあ明日も今日と時間に」

佐天「りょーかいッ!」

佐天はそう言うと、ふざけてステイルに向かってビシッと敬礼した。

ステイル「気を付けて帰るんだね。最近は婦女子ばかりを狙う
 切り裂きジャックなる人殺しが出るって専らの噂だ」

佐天「あたしだってそのくらい知ってるよ。それ、百年くらい前事件でしょ?
 ていうか心配なら送ってくれてもいいじゃん。紳士じゃないなぁ、ステイル君は」

ステイル「僕はまごうことなき英国紳士だよ。
 ……この後片付けなくちゃいけない仕事があるんだ。悪いね」

佐天「ううん、別に大丈夫。そういうことじゃないかって思ったよ。
 ステイル君が何気に色々と気を使ってくれる人だって、少しは分かり始めたからねぇ」

ステイル「……勝手に言ってろ」

ステイルはそう言って佐天から顔を背けた。
佐天はそれを見て、くすりと笑った。
630 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/22(土) 00:06:28.42 ID:XINhMn6c0

佐天「それじゃあまた明日!」

ステイル「ああ」

佐天は、そう言葉少なく去っていくステイルの後ろ姿をしばらく見送り、アパートへ向かって歩き出した。

佐天(うーん、やっぱり慣れないことばっかりだったし、疲れたぁー)

佐天は腕を突き上げ、大きく伸びをした。
一日中座りっぱなしで凝り固まった体の筋がほぐれていくのを感じる。

佐天(予想はしてたけど、どれも難しそうだよね。本当に、あたしにできるのかな……。
 ああ!! ダメダメ!! 弱気になってちゃ駄目だ!!
 ポジティブだ! ポジティブになるんだ佐天涙子!!)

佐天(ここで頑張らなきゃ、何のために学園都市を飛び出してきたか分かんないし……)

そう自分に言い聞かせ、佐天は歩を早めた。

佐天が歩いているのはロンドンの中心部から少し離れたエリアで、都会の喧騒からも一線を画している。
通り過ぎる建物もビルなどは少なく、オープンテレスのカフェや古びたアパートが目に付いた。
631 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/22(土) 00:10:54.99 ID:XINhMn6c0

佐天(そう言えばロンドンの街中って、学園都市とぜんぜん違うなぁ。
 学園都市はきっちり整備されてどこもかしこも真新しかったけど
 ここは建物とか道路に歴史が詰まってる感じ)

佐天(どことなく『学舎の園』に似てるかも。
 こんな素敵な街で暮らしてるって知ったら、初春羨ましがるかな)

初めて『学舎の園』に行ったあの時、初春は『本来私みたいな庶民は一生縁がない場所なんですよぉ』
と言ってはしゃいでいたっけ。
自分もミーハーであるという自覚はあるけれど、初春のは筋金入りだ。

佐天(あの時食べた『パスティチア・マニカーニ』のケーキ、美味しかったなぁ。
 ああそう言えばあの時に『マユ毛事件』が起こって、重福さんに会ったんだっけ。
 ヤバッ! 重福さんにロンドンにいること知らせてないよ。スゴイ数の手紙があっちに届いてそう……)

佐天(あれから数ヶ月しか経ってないのに、何だか懐かしい気がするな。
 御坂さんと白井さんに出会って、あたしが幻想御手を使っちゃって、初春やみんなが助けてくれて
 春上さんと木山先生の生徒さんの事件を解決して……)

佐天の心の中で、学園都市での様々な思い出が反芻される。
辛かったこと、悔しかったこと。
それらも今は、みんなと過ごした日々が眩しくてはっきりと見えない。
632 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/22(土) 00:14:54.68 ID:XINhMn6c0

佐天(何だろう、この気持ち。あたし、自分で望んで、自分で決めてここに来たのに。
 初春が伸ばした手を払いのけてまで、ここまで来たのに……)

佐天は、胸の奥に風が吹き込んだように、スッと冷たくなるのを感じた。
自分が見知らぬ土地に、今たった一人でいるという事実が、痛いほどに思い出される。

佐天(何、この感じ……。何か嫌だ。強くなろうって決めたのに……)

夕刻、行き交う人々はみな家路を急いでいる。
きっとそこには家族や恋人が彼らの帰りを待っているのだろう。

佐天の足は少しずつ鈍くなり、そして止まった。
沢山の人が佐天の背後からやって来て、足早に去っていく。

佐天(あたし……)
633 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/22(土) 00:21:39.85 ID:XINhMn6c0
というわけで今回は以上!

最近気づいたんですが、このスレに限らず、見てる人は若い人が多いんですね。
何となく同世代がそれより上だと思ってました。
第一部で魔法陣グルグルの台詞をどこかに入れた記憶があるんですが、そりゃあ気付きませんよね。
これからは懐かしいガンガン系漫画のネタとかは入れないようにします。

次回は一月二十五日(火)を予定しています。もしかしたらその翌日になるかも知れませんが。
それではまた来週にお会いしましょう!!
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 00:25:54.19 ID:toUm251Xo
超乙でした!!
>>1オススメのグルグル読んでみるか・・・
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 00:29:48.83 ID:tlWwupzOo
御坂さんの目にはキタキタ踊りがカッコよく見えたりするのかねぇ
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 01:01:23.86 ID:5pc/w5fAO
乙、佐天さんホームシックか
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 01:33:34.95 ID:LzQDmS3Vo
俺は二十代でグルグル直撃世代だからガンガン来い
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 02:29:57.09 ID:ij3fgAvqo
但し魔法は尻から出るが真っ先に浮かんだ
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 02:42:53.82 ID:ABJ1OuOSO
わ、腋の下でおにぎりを!
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 12:52:32.72 ID:fmZ3jdRAO
ここはわんわんののろい
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 14:34:35.79 ID:P3mDueb40
ギンギー料理
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 15:17:03.30 ID:gCoAx83AO
佐天「じぇ、聖母殺人伝説ッ!」
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 16:46:43.31 ID:LzQDmS3Vo
落ち着け
グルグルネタでスレが埋まっていくぞ
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 23:50:28.25 ID:fOreo6GCo
じゃあ俺はパカパカ餃子を
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 00:12:34.73 ID:zDTVwm1bo
佐天さんが真面目に勉強している姿が思い浮かべられない
難しい講義だと途中で飽きてぐでーってなるイメージ
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/23(日) 01:39:18.55 ID:zKb3ZvADO
面白い
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 18:31:46.30 ID:gjjvfBhp0
佐天さんはアレだよね
神話とか本で読むよりもアニメとか漫画にしてあげるとすぐに覚えられるタイプな感じ
詳細が分からなくてもモチベ維持や大枠理解のためにそういうのの方が向いてそう
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 20:09:57.45 ID:WgaGGFDoo
では早速夜なべして作ったこの紙芝居で教えるのである
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:46:33.83 ID:aEdE15J00
>>642
佐天さんが最強になってしまうじゃないか
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 16:48:36.46 ID:ujoaHcWE0
聖母殺人伝説(ジェノサイド・エクストリーム)

懐かしすぎワロタ
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 17:19:58.45 ID:Nw6h14WQo
一気に読んだけど、初春と美琴の勘違いがうぜぇ・・・
とくに美琴が空回ってやがる
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 18:25:49.38 ID:t7h7ua/IO
続きが待ちどおしい
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 00:32:58.02 ID:qBwouQ5ko
やっと火曜日か
654 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/25(火) 18:58:44.88 ID:yIRiq7EF0
ちょいと間に合いそうにないので投下は明日に延期します。
(m´・ω・`)m ゴメン…
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 19:54:29.26 ID:qBwouQ5ko
( ´゚д゚`)エーッ!!?


C
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 21:15:43.25 ID:w4lWK0400
おkおk
待ってます
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 08:28:38.65 ID:ywkyWOtSO
グルグル最終巻だけない
最終巻だけどこにも売ってない…何故だ………
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 10:09:21.77 ID:4zeBl24DO
聖母殺人伝説wwwwww

魔王倒せるんだから天使も倒せるかもなwwwwww
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 12:47:54.11 ID:jA2YFzTW0
5ダメージもあればさすがにどんなキャラでも倒せるだろう
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 15:53:43.81 ID:vLkCD1rAO
股間紳士伝説(チャーグル・イミスドン)!!

…ごめんちょっと言ってみたかったんだ
ビアージオと中の人同じだし
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 17:42:22.42 ID:PLt17Eyo0
>>660
マジ?そんなフィアンマやアックアさんともやり合えそうな声なのかwwwwwwwwwwwwww
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 00:24:27.78 ID:TA8gHQi5o
明後日…
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 05:44:40.82 ID:2ERAhYEL0
あれ?
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 20:08:40.86 ID:XxA5U7ZWo
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
665 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/27(木) 20:27:11.40 ID:ygD1AKHB0
昨日はメシ食ったら寝ちゃってました。てへッ☆(・ω<)……すいません、ちょっと寝てなかったもんで。

というわけで今日の0時頃に投下しますよー。

>>642>>650>>658
こ、コルネットー!! >>1も『ハーメルンのバイオリン弾き』大好きですよ。初めて買った漫画がこれです。
てか>>627の元ネタがハーメルンだと気付いてくれたんだろうか?

>>660
ビアージオは若本さんでしたね。小物臭半端なかったビアージオが、若本さんのおかげでメッチャ強そうですね。
このビアージオは仲間吸収して変身とかするんじゃないか?

今回の投下で第二部の最初のまとまりが終わります。あと3,4回投下したらやっと半分かな?
先は長ぇですが、今後もよろしくお願いしやす。
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 20:46:11.47 ID:XxA5U7ZWo
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 21:03:45.03 ID:icz+arBX0
>>665
がんばれ!かんばれ!がんばれ!
俺、この話が終わる前に禁書全巻読み終わると約束する
668 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/28(金) 00:29:47.38 ID:r7gCkUTy0
それじゃあ投下開始します!
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:30:08.80 ID:MLqpFYqyo
wwkwwk
670 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 00:31:09.33 ID:r7gCkUTy0

―――日本人街、とあるアパートの共同台所




佐天「ごちそうさまでした……」

そう言って佐天は茶碗を置いた。茶碗の中にはまだ半分ほどご飯が残っている。

五和「佐天さん、もういいんですか?」

佐天「はい、ちょっと食欲がなくて」

香焼「あれ? 佐天さん調子でも悪いんすか? 風邪でも引きました?」

佐天「いや、そういうわけじゃ……」

しかしその声はいつもの明るい佐天のものではない。
香焼が頭を傾げると、建宮はやれやれと言わんばかりに香焼を見た。

建宮「香焼、女性がそういうことを言う理由は一つしかないのよ」

香焼「なんすか、その理由って?」
671 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 00:39:00.50 ID:r7gCkUTy0

建宮「ズバリ、ダイエットなのよな!! 佐天嬢もお年頃よなぁー。
 男は女が思うほど、体形なんて気にしてないっていうのに」

五和「佐天さん、ダイエットしてるんですか!? そ、その体のどこに痩せる余地があるっていうです!?」

佐天「い、いや、ダイエットなんてしてませんよ! ただちょっと、食欲が無いだけで」

建宮「いかんのよな。朝食は一日を元気に乗り越えるためには欠かせないのよ」

五和「そうですよ。むしろ朝食をしっかり採ったほうが太りにくいって聞きますし」

香焼「へー、そうなんすか。あれ? 対馬先輩珍しく朝早いのにやけに静かすね。
 どうかしたんすか?」

対馬「……私、佐天ちゃんが元気じゃない理由知ってるのよ」

対馬は手に持ったお椀を見つめたまま、そう言った。

佐天「えッ!?」

五和「何を知ってるんです、対馬さん?」

対馬「それは……いや、本当に言ってもいいのかしら」
672 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 00:47:01.26 ID:r7gCkUTy0

香焼「どういうことすか?」

佐天「あの、皆さん、あたしの問題はその辺で……!」

対馬「その、この問題は、天草式の尊厳に関わるっていうか……」

佐天「へ?」

建宮「穏やかな話じゃないのよな。しかしそこまで言われちゃあ聞かないわけにもいかない」

対馬「でも……」

牛深「そうだぞ対馬。佐天ちゃんがどんなことで悩んでいるとしても
 手を差し伸べるのが俺たち天草式なんじゃないのか?」

天草式の一員で、大柄な体躯を持つ牛深は、諭すように対馬にそう言った。

対馬「くッ!!」

対馬は牛深に鋭い視線を向けると、手に持った箸とお椀をテーブルに叩きつけた。

対馬「何他人面して言ってんのよ!! 原因はあんたでしょ!!」
673 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 00:52:32.95 ID:r7gCkUTy0

牛深「はぁ!?」

佐天「えーッ!?」

牛深、そして佐天からも驚きの声が上がった。
特に佐天は突然の事態の完全に困惑している。

五和「う、牛深さんがッ!?」

香焼「ちょ、ちょ、ちょっとそれ、どういうことすか!?」

対馬「私、見てしまったのよ。昨日、牛深が佐天ちゃんを部屋に連れ込んでいるのを!」

五和「えッ? それって……///」

牛深「ち、違う! あれは―――」

対馬「それだけじゃないわ。その後、牛深の部屋からドタドタ音がして、静かになったと思ったら
 佐天ちゃんが頬を真っ赤にして部屋から出ていったのよ!!」

五和「そ、そんな……///」

香焼「それのどこが佐天さんが落ち込む原因になるんすか? よく分かんないんすけど」

対馬「これだからお子様は……! いい、香焼、よく聞きなさい!
 牛深は、佐天ちゃんを部屋に連れ込んで、無理やり、て、て、手篭めにしようとしたのよッ!!」
674 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 00:58:00.74 ID:r7gCkUTy0

佐天「ちょ、えーッ!?」

佐天は再び驚きの声を上げた。
自分の知らないところで事態が進行しているこの状況に、佐天は全くついていけていない。

香焼「手篭め?」

対馬「無理やりいやらしいことするってこと!」

五和「……牛深さん、見損ないました。佐天さんに、そんなことするなんて……!」

香焼「そう言えばいつのまにか『佐天ちゃん』とか馴れ馴れしく呼んでたすよね」

五和と香焼から凍り付くような冷たい視線が注がれた。
対馬は深刻な表情で、牛深を見た。

対馬「まさかとは思ってたけど、あんた、ロリ―――」

牛深「ろ、ロリコンちゃうわッ!! 違う!! そういうことじゃない!!」

対馬「じゃあ何だっていうのよ!!」

牛深「いや、昨日突然DVDプレーヤーが動かなくなって、
 学園都市から来たんだからそういうのに詳しいだろうと思って佐天ちゃんに聞いたんだよ」

対馬「それで?」
675 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:02:48.95 ID:r7gCkUTy0

牛深「で、説明書とか持ってないかって言われて探してたら
 押入れの奥に収納してた、俺の……コレクションが落ちてきまして……」

五和「コレクション?」

牛深「えっと、その……」

対馬「つまり、いやらしい本が出てきたってこと?」

牛深「はい……」

観念したように、牛深は頷いた。
誤解を解く代償として、彼は大切なものを失ったのだ。

香焼「どっちにしろ結構最悪すね」

牛深「本当にそれだけなんだよ!! なあ、佐天ちゃん!!」

対馬「だから馴れ馴れしく佐天ちゃんとか言ってんじゃないわよ!!」

佐天「でも、本当にそれだけで……」

五和ははっと気付いたように声を上げた。

五和「もしかして、佐天さんが脅されて本当のことを口止めされているんじゃ……!」

対馬「あんたどこまでゲス野郎なの!!」

牛深「だから違うってッ!!」
676 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:05:02.31 ID:r7gCkUTy0

建宮「落ち着け。お前ら、ちょっとは仲間を信じるってことができないのか」

その場にいる全員が、今まで状況を静観してきた建宮の方を見た。

五和「建宮さん……」

牛深「そうだぞ、少しくらい俺の言い分を―――」

建宮「ロリコンってのは一種の病気なのよ。俺たちが治るって信じてやれないで、誰が信じるのよ」

牛深「えーッ!! そっちの信じる!? ちょっと、何言ってるんですか!!」

香焼「でも具体的にどうやって治療するんすか?」

建宮「当面は佐天嬢へ牛深の欲望が向かわないのが最優先よな。つー訳で香焼、お前、女装しろ」

香焼「はぁぁぁ!? 何で自分がッ!?」

建宮「ロリコンはショタコンの素質を持っていることが多い。
 そこで香焼が『男の娘』になることで、牛深の歪んだ欲望を香焼に向けてもらおうって寸法よな」

香焼「無理無理無理ッ!! 大体そんなことしたら牛深先輩の病気が悪化するじゃないすか!」

牛深「病気って言うなッ!!」
677 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:07:36.44 ID:r7gCkUTy0

建宮「四の五の言ってんじゃねぇ香焼! 大人しくこの『小妖精ロリメイド』を着るのよな!!」

そう言って建宮は、なぜかテーブルの下から一着の服を取り出した。
全体的にフリルがあしらわれたその服は、よく見るとスカート部分が透けるような作りになっているらしい。

香焼はそれを凝視して、全力で首を横振った。

香焼「何でそんなもの持ってんすか!! 着れないすよこんなの!!」

建宮「香焼、男ならか弱き女性を守るため、一肌脱ごうって気にならないのか!!」

香焼「男だから着れないんすよ!!」

ガタッと椅子が引かれる音がその場に響いた。
混乱の極みの中にある天草式の面々がそちらを見ると、佐天が椅子から立ち上がっていた。

佐天「あ、あたし、そろそろ時間なんで行きます」

五和「えッ、佐天さん?」
678 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:10:56.07 ID:r7gCkUTy0

佐天はそのままアパートの玄関へ向かって走り去った。

五和「ちょっと、佐天さん!!」

建宮「放っとけ、五和」

五和「でも!」

建宮「きっと、俺たちにゃあ分からん悩みなのよな」

対馬「私たちには、分からない悩み?」

建宮「そういうことよな。帰る場所があるっていうのも、決していいことばかりじゃないってことよ」
679 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:14:59.07 ID:r7gCkUTy0

―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館




ルチア「つまり、この一文は、この前の九節の『パウロとも呼ばれていたサウロは
 聖霊に満たされ、魔術師をにらみつけて』を受けたもので……」

佐天はルチアの言葉に耳を傾けながら、聖書に書かれている英文を必死に書き写していた。

ルチア「佐天さん、そこは ”light ways” ではなく ”right ways” です。
 それでは『真っ直ぐな道』ではなく『光の道』になってしまいます」

佐天「あ、すいませんッ!」

急いで佐天はそれを消しゴムで消す。
力んだせいか、ノートに亀裂のような皺が走った。

ルチア「どうしたんですか? 少したるんでいるのではありませんか。
 昨日も似たよなミスをしていたように思いますが」
680 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:18:44.18 ID:r7gCkUTy0

佐天「き、気をつけます……!」

ルチア「しっかりしてくださいよ。私も通常の職務の間を縫ってこうやって来ているのです。
 奉仕活動ではないのですよ」

佐天「……すいません」

ルチア「まったく……。シスター・アンジェレネ、何を他人事のように聞いているのです。
 貴女もそこの文、間違っていますよ」

アンジェレネ「えッ、どこですか?」

ルチア「ここです、ここ! もう、二人ともしっかりしてください」

アンジェレネ「でもシスター・ルチア、私はそろそろお腹が空いてきました。
 持ってきたチョコレート食べていいですか?」

ルチア「いけません! 大体なんでこんなところにチョコレートなんか―――」

佐天「…………」
681 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:22:50.20 ID:r7gCkUTy0

………………………………

………………

………



ステイル「じゃあ今日も昨日の続きを―――」

佐天「ステイル君!」

ステイル「何だい?」

佐天「あ、あの……そろそろあたしにも攻撃系の魔術を教えてほしいんだけど」

ステイルは溜息を吐いた。佐天を見下ろすその目は、いつもより厳しい。

ステイル「……またその話か。今教えている魔術が不服だというのかい?」

佐天「そういうわけじゃないけど……」
682 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:26:26.83 ID:r7gCkUTy0

ステイル「じゃあどういうわけなんだ?」

佐天の目が泳いだ。

佐天「えっと、それは……そう、あたしだって『必要悪の教会』の一員なんだし、戦う力を手に入れて
 みんなの役に立ちたいって、その、思ってるから」

ステイル「…………」

佐天「ステイル君! あたし―――」

ステイル「駄目だ。今の君にはそんなもの、必要ない」

佐天「どうして! あたしは―――」

ステイル「現状に不満があるというのなら、君に魔術を教えるのは止めだ。
 僕はそれでも一向に構わない」

佐天「……ッ!!」

ステイル「……話はそれだけか。じゃあ今日のやることは……」
683 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/28(金) 01:31:08.31 ID:r7gCkUTy0
というわけで今回は以上!

本当は最後まで行きたかったんですが、少し気に入らない箇所があったので、
書きなおして明日また投下します。

ウオォー!もっとスピードアップして書きたいぜ!!
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 01:34:02.13 ID:MLqpFYqyo

期待してる
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 01:42:12.49 ID:qm2O8D42o
天草式が天草式過ぎて何というか天草式だ
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 02:36:30.07 ID:pyjKJ/gAO
理想に対して現実が伴わない、魔術サイドでもそれは変わらずか
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 07:47:18.69 ID:QLmgYzbP0
>>685
建宮がきれいな建宮だったころはこんなことにならなかったのに・・・・・・
いい奴をなくしたもんだぜ・・・・・
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 13:40:21.43 ID:7O3SnpyAO
すぐ結果を欲しがる所が佐天さんっぽくて良いな。これからどう変わっていくか期待
689 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/29(土) 19:47:14.84 ID:j3uVEvFJ0
今回は色々と遅れたり予告通りに投下できなかったりしてすいませんでした。

二二時から続きを投下します!
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 20:54:14.22 ID:auv2DOzUo
ごっつあんです
691 : ◆fftSPPkhRw :2011/01/29(土) 22:14:24.48 ID:j3uVEvFJ0
そいじゃあ投下していきます。
692 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:20:52.33 ID:j3uVEvFJ0

―――ロンドン、市街地




昨日から振り続く雨が、今日もまだ歩道を濡らしていた。
佐天はその道を、傘をさしてとぼとぼと歩いている。

佐天(何やってるんだろ、あたし……)

佐天(もっと真面目にやらなくちゃいけないのに。
 これじゃあ何のためにここに来たのか、分からなくなりそうだよ。でも……)

佐天はここ数日のことを思い出していた。
慣れない魔術の勉強、言葉の通じないロンドンでの生活、そして時折感じる孤独……。

それに加え、佐天にはここのところ気になっていることがあった。

佐天(なんでステイル君は攻撃系の魔術を教えてくれないんだろう。
 そりゃああたしがまだまだ未熟だってことは間違いないけど、
 『必要悪の教会』の一員なんだから、いつかは戦わなくちゃいけないはずなのに)

佐天の足が水溜りを踏んだ。じんわりとした冷たさが、ゆっくりと立ち上ってくる。

冷たさが、一つの疑念を佐天の中に生じさせる。
それは学園都市で何度も聞かされ、そして何度も自分でも思い知ったことだった。
693 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:25:12.10 ID:j3uVEvFJ0

佐天(もしかして、あたしに才能がないから? そ、そんなはずないよね。
 だって魔術は才能がなくても使える力なんだし、簡単な魔術なら今だって使えるんだし)

佐天(でももし、ずっとこのまま簡単な魔術しか使えなかったら?
 どんなに頑張っても、それ以上できなかったら?)

初めて学園都市に来た日、自分にはどんな能力があるんだろうとワクワクしていた。
結果、自分には何の能力もない『レベル0』だと聞かされたが、
最初は努力すれば能力が得られるだろうと思っていた。

しかしいつまで経っても身体検査(システムスキャン)が突きつける数字は『0』のまま。
いつしか佐天は、能力向上のために努力することを諦めていた。

佐天(困った時はいつだって御坂さんや白井さん、初春が助けてくれた。
 あたしもそんな風になろうって、みんなを助けられるようになろうと思ったのに)

佐天は立ち止まった。
この先は考えちゃいけない。考えたら、また歩き出せなくなる。でも……

佐天(でももし、ここに来るって選択が間違っていたとしたら―――)

後ろからドンッと鈍い衝撃が佐天に走った。
その衝撃で、佐天は前のめりに倒れた。佐天の手から傘が飛び、歩道に放り出された。
694 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:26:30.20 ID:j3uVEvFJ0

佐天「キャッ!?」

女性「Oh!」

佐天「す、すいません!」

見上げると、ビジネススーツを来た女性が迷惑そうに佐天を見下ろしていた。

女性『もう、急に立ち止まんないでよ』

佐天(英語だ……! 何言ってるか分かんないよ)

佐天「あ、あ、あの……」

女性『はぁ? ちょっと貴女大丈夫なの? どこか怪我でもした?』

頭が混乱する。降りしきる雨で身体は濡れていくのに、口の中はカラカラに渇いて言葉が出てこない。

佐天「えっと……」

女性『貴女、人が心配してるんだから何か言いなさいよ!』

佐天「あ、あ、あ……」

女性『ねえ、聞こえてるの?』
695 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:32:46.19 ID:j3uVEvFJ0

「佐天さん!」

聞き覚えのある声が佐天の耳に飛び込んできた。
声のした方を見ると、買い物袋を抱えた五和がこちらに向かって走ってきていた。

佐天「い、五和さん……」

五和「大丈夫ですか! 何かあったんですか?」

五和は急いで自分の傘の中に佐天を入れた。
歩道の上に座り込む佐天の目は、怯えるように焦点が合っていなかった。

佐天「あの、その……」

女性『もしかして貴女たち、日本人なの?』

五和『はい。彼女、まだこっちに慣れてなくて。あの、彼女が何か……』

女性『ぶつかっただけよ。でも安心したわ。どこか怪我したわけじゃないのね。
 その子に私も悪かったって伝えておいて。それじゃあ』
696 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:36:36.18 ID:j3uVEvFJ0

少々バツが悪そうにそう告げると、女性は歩き去っていった。
五和は歩道に投げ出されている佐天の傘を拾い、その手に持たせた。

五和「佐天さん、立てますか?」

佐天「……はい」

五和「あー、服とかだいぶ濡れちゃいましたね。風邪を引かないうちに、早くアパートに戻りましょう。
 さあ―――」

佐天は五和の腕をギュッと掴んだ。五和が佐天の顔を覗き込む。

五和「佐天さん?」

佐天「う、う、う゛ぅ……」

佐天の目から、ゆっくりと涙が流れ落ちるのを、五和は見た。

五和「佐天さん!? ちょっと、大丈夫ですか? 佐天さん!!」
697 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:39:48.98 ID:j3uVEvFJ0

―――日本人街、とあるアパートの共同台所




五和「はい、佐天さん。ホットココアです。熱いから気をつけてください」

佐天「ありがとう、ございます」

バスタオルを肩から羽織ったまま、佐天はマグカップを受け取った。
五和はテーブルに背を預け、じっと動かない佐天を見た。

五和「佐天さん、何があったか教えてもらってもいいですか?」

佐天「…………」

佐天は黙って湯気が立ち上るココアの水面を見つめていた。

五和「あの、言いたくなかったら、無理にとは……」

佐天「……五和さん、魔術って才能とは関係ないものなんですよね」

五和「はい、一応はそういうことになってます」
698 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:44:54.52 ID:j3uVEvFJ0

佐天「一応って、どういうことですか?」

佐天は顔を上げた。その沈んだ瞳を見て、五和は少したじろいだ。

五和「えっと、使用することそのものに才能は関係ないと言っても、魔術は一つの技術です。
 才能、と言っていいのか分かりませんが、向き不向きは確かに存在します」

佐天「向き不向き?」

五和「例えば、そう、お料理なんかも一つの技術ですが、得意な人とそうでない人がいますよね。
 覚えるのも得意な人と不得意な人では早さも違いますし」

佐天「それが、魔術にも言えるってことですか?」

五和「は、はい。魔術師は世界中にそれなりの数がいますけど、
 強力な魔術を行使したり、魔導師になったりする魔術師は僅かです。
 えっと、ステイルさんなんかはそういう意味では魔術の『才能』に溢れていると言えると思います。
 ルーンを使った魔術を極めた『天才』と呼ばれるくらいですから」

佐天「……じゃあ、才能のない人間が、どう頑張っても意味がないってことですか」

五和「いえ、そんなことは……」
699 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 22:55:54.33 ID:j3uVEvFJ0

五和はそこで口篭ってしまった。
佐天は下を向いたまま続ける。

佐天「学園都市の学生が超能力の開発を受けてるのは知ってますよね?」

五和「はい」

佐天「あたし、六段階ある能力レベルの中の一番下、レベル0だったんです。
 つまり、あたしには何の能力もなかったんです」

佐天「どんなに頑張っても結果は変わらなくて、良くない方法に手を出してみんなに心配をかけて
 それでも……力を手に入れることは諦められなくて、ここまで来たのに―――」

佐天「ここでも何の結果も出せなかったら、努力が無駄に終わってしまったらって思うと
 あたし……怖い。これ以上、努力するのが怖いんですッ!!」

五和「佐天さん……」

五和は佐天に下を向いて震える佐天をしばらく見つめた後、すっと短く息を吐いた。

五和「……失礼します」

パンッ!

佐天「ッ!?」

佐天は一瞬何が起こったのか分からなかった。
五和が自分の頬に平手を打ったと気付いたのは、熱くなった頬に手を当てた時だった。
700 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:00:17.78 ID:j3uVEvFJ0

五和「私は佐天さんがどのくらいの覚悟を持って学園都市を飛び出してきたか知りません。
 それがどのくらい辛いことだったのかも」

佐天「…………」

五和「でもそれはそんなに簡単に砕けてしまうようなものなんですか?
 貴女が学園都市にいる親しい人と離れてまで魔術を学ぼうと思ったその決意は
 そんなに簡単に揺らいでしまうものなんですか?」

佐天「……違います」

佐天「違いますッ!! あたしの決意は、そんなに安っぽいもんじゃないッ!!」

五和はふっと笑みを漏らした。

五和「それなら努力することを恐れる必要なんて、ないんじゃないですか」

佐天「でも……」

五和「私だってそれほど才能のある魔術師ではありません。本当に才能のある人にはきっと負けてしまう。
 でも、守りたい人たちがいるから、大切な人がいるから強くなろうって努力しています」
701 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:04:02.79 ID:j3uVEvFJ0

五和「だから佐天さん、立ち止まるのは止めにしましょう。
 この先辛いことがあっても、少しくらいは私がその支えになります」

佐天「う、う、う゛ぅ……五和さんッ!!」

佐天は腕を伸ばし、五和の胸に飛び込んだ。
五和はそっと、その震える背中に手を回した。

五和「大丈夫です。佐天さんならきっとできます」

佐天「はい……」

五和が佐天の頭を、幼い子供をなだめるように撫でる。
さらさらとした黒髪が、五和の指で柔らかに流れた。

佐天「……おっきい」

五和「はい?」

佐天「胸、おっきい」

ムニュ

五和「にゃああああああああああああッ!!!」

五和が悲痛な叫び声を上げる中、佐天はその平均値を圧倒的に凌駕する五和の胸に顔を擦り付けていた。
702 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:07:04.95 ID:j3uVEvFJ0

佐天「やっぱりおっきい……。初春のとは段違いだよ。ていうか柔らかッ……」

五和「や、止めてください佐天さん!! こんなの、うぅ……嫌……///
 離して、ください!!」

佐天「あと三〇分、いや二五分だけ!」

五和「長過ぎますッ!!」

五和は佐天の背中に回していた手を離し、肩を思い切り押した。
勢い余って佐天は、そのまま後ろ向きに椅子から転がり落ちた。

佐天「ウギャッ!?」

五和「さ、佐天さん!? 大丈夫ですか?」

佐天「は、はい。何とか……」

五和「す、すいませんでしたッ!! あ、あの……」

したたかに打ち付けた腰をさすりながら、佐天は立ち上がった。
そして五和に向かってぺこりと頭を下げた。

五和「さ、佐天さん……?」
703 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:09:36.13 ID:j3uVEvFJ0

佐天「五和さん、ありがとうございました」

五和「えッ!? いえ、私の胸なんか女教皇に比べてたら全然―――」

佐天「いやいや、そっちではなくて」

佐天は改めて五和の方に向き直った。
その目はさっきまでとは違い、力強い光を宿していた。

佐天「五和さんが励ましてくれなかったら、あたし、また頑張るのを止めちゃうところでした」

五和「慣れない土地に一人できたんです。誰だって不安になりますよ」

佐天「それに、気合も入れてもらいましたし」

佐天は五和に張られた頬に手を当てながら笑った。

五和「す、すいませんでしたッ!! あの、勢いっていうか、何ていうか……」

佐天「でもちょっとビックリしたなぁ。五和さんがそんな熱血タイプの人だったなんて」

五和「いや、その……面目ないです……」

佐天「ハハハッ。気にしてないで……クシュンッ!!」

五和「大丈夫ですか? 風邪でも引いたんじゃ」
704 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:13:38.84 ID:j3uVEvFJ0

佐天「たぶん雨に濡れてちょっと身体が冷えただけですよ」

五和「うーん……そうだ、私の部屋にどてらがあるので一緒に取りに行きましょう」

佐天「どてら! すごいですね、お祖母ちゃん家みたい!」

五和「それは、ちょっと複雑です……」

二人は共同台所がある二階の階段を登り、五和の部屋がある三階に向かった。

佐天「どてらって、イギリスでも売ってるんですか?」

五和「いえ、自分で作りました。こっちは結構冷えますからね」

佐天「料理も裁縫もできるなんて、五和さんって何でもできるんですね!」

五和「そんなことないですよ。家事が好きなだけです」

佐天「五和さんならいつでもどこにだって嫁に行けますね」

五和「そんな嫁だなんて……あッ、ここが私の部屋で―――」

ドアノブに掛けた五和の手が、何かに気付いたように止まった。。
佐天は五和の方を覗き込んだ。
705 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:18:36.18 ID:j3uVEvFJ0

佐天「どうかしました?」

五和「いや、その……ちょ、ちょっと部屋の前で待ってもらってもいいですか?
 今、部屋がすごく散らかってるので……」

佐天「女同士じゃないですか。そんなの気にしませんよ」

五和「ホントに! ホントに散らかってるんです!!
 台風と地震が同時にきて、絨毯爆撃を受けた後みたいになってるんです!!」

佐天「そんなに!? でもさっき家事は好きだって……。
 もしかして五和さん、何か部屋に見られたら不味いものでもあるんじゃないですか?」

佐天はニヤニヤした笑みを浮かべながら、体を使ってドアを塞ぐ五和に詰め寄った。
五和の顔がどんどん青ざめていく。

五和「そそそそそ、そんなことないですッ!! ホントにすごく散らかってて―――」

佐天「そこまで言うなら仕方ないですね。大人しくあたしは部屋の前で……」

五和「ホッ……」

五和が安堵の溜息を漏らした時だった。その一瞬の隙をついて、佐天は部屋のドアを勢い良く開けた。

五和「あッ!?」

佐天「さあ、どんなものを隠しているのか、な……」
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:19:16.66 ID:NIrM0IXyo
大精霊ェ…
707 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:24:24.68 ID:j3uVEvFJ0

顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔……。
部屋に飛び込んだ佐天が目撃したのは、すべて同じ人物の顔だった。

よく見るとそれはポスターで、同一人物の写真が壁中に所狭しと貼られていた。
最初は芸能人か何かと思ったが、冴えない表情のツンツンした黒髪の男の人はそうは見えない。
さらにどの写真も隠し撮りのように、日常の風景を撮ったものであるらしかった。

それ以外にも机の上には写真の男の人を模したと思われるフィギュア、
椅子の上には全身の写真がプリントされた抱き枕が置かれている。

その異様な光景は、一瞬にして佐天の思考力を奪うに十分だった。

佐天「何、これ……」

五和「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

叫ぶのと同時に、五和は壁に備え付けられた紐を急いで引いた。
すると天井の縁に設置された和柄の布が降りてきて、壁のポスターを全て隠した。
それと同時に刹那の速さで(しかし割れ物を扱うように丁寧に)フィギュアと抱き枕を押入れに収納した。

五和「み、見ましたよね……」

佐天「見てません見てません見てませんッ!! あたしは何も見てませんッ!!」
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:25:18.66 ID:Zap/OV+po
おおぅ・・・
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:29:50.75 ID:NIrM0IXyo
そっちかよwwwwww
710 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:36:34.31 ID:j3uVEvFJ0

五和「佐天さん……」

佐天「ヒィッ!? 忘れますッ!! ここで見たことは全て忘れますッ!!
 だだだ、だから、命だけは―――」

五和「佐天さんって学園都市から来たんですよね? 実はこの人も、学園都市にいる人なんです。
 だから……」

五和は佐天の肩を引き寄せ、自分の方に無理やり顔を向けさせた。

五和「お願いします!! 私に協力してください!!」

佐天「きょ、協力!?」

五和「天草式のみんなは協力してくれるんですが、何て言うか、どうも上滑りしているような……
 特に建宮さんなんて、ただ面白がってるだけのような気がするんです!!」

佐天「そんなこと言われても……」

五和「学園都市のことを教えてくれるとか、それだけでもいいんです!!
 だからお願いします!! 私も佐天さんを色々お助けしますから!!」

五和はガシッと力強く佐天の手を取った。力強すぎてむしろ痛い。

五和「佐天さん、一緒に頑張りましょう!!」

佐天「えぇ―――ッ!?」

その日、日本人街の一角に建つとあるアパートで、乙女の同盟がやや強引に締結されることとなった。
711 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/01/29(土) 23:48:20.00 ID:j3uVEvFJ0
というわけで今回は終了!

そう言えば今更ですが、このSSの時系列は原作一四巻の後くらいかな〜って感じにフワッと思っててください。
あんまり厳密に考えると少し変なところがあると思うので。

次回の投下予定は二月二日(火)です。今後はなるべく、なるべく遅れたりしないようにできたらいいです。

次回はまだ登場していないイギリス清教のあの人が登場します。
そして『とある』のメインヒロインのあの人も、出てくるかも。
あれ?メインヒロインって誰だっけ?
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:59:29.86 ID:9bFnXAvAO
つまりアイテム会議中のファミレスの外を歩いてる佐天さんは上条さんをスネークしているという事か
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 00:47:15.89 ID:VgP3ozJAO
五和痛すぎるwwwwwwww
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 01:06:07.41 ID:TFq00WLAO
禁書のメインヒロインと言えば唯一キス描写のあるあの子だな
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 01:34:29.34 ID:m70Gpz+bo
>>711
メインヒロインはもちろんインデックスに決まってるだろ?
インデックスに死角はない
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 03:51:57.48 ID:N8jPWNO3o
五和のおっぱいも佐天さんの毒牙に掛かったか・・・
で、メインヒロインが出てくるって事はインデックスさんも佐天さんにコマされるんですね分かります
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 20:28:20.04 ID:UdqSiA4I0
>>715
かまちーコメントだからなwwwwww

俺のヒロインはアニェーゼだけどな!
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 23:06:52.17 ID:Ke6EMhwp0
やったー
インデックスさん登場だーwwktk

五和のフィギュアは自作なんだろうかww
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 17:10:47.84 ID:vZDW9cuAO
やばい……五和のお姉さんっぽい感じが良すぎる

今、佐天さんがメインのSS書いてる最中で五和の出番はなかったんだが、これ読んでたら少々無理にでも五和だしたくなってきたわ
720 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/01(火) 19:24:41.38 ID:ORrat/IZ0
SSを書いていて意外に面倒なのは「ある人が他の人をどう呼んでいるか」だったりします。
例えばこのSSで活躍の場が多い香焼の場合、五和のことは「五和」、対馬のことは「対馬先輩」、建宮のことは「教皇代理」と呼んでいます。

……何が言いたいのかというと、前回の五和の台詞で神裂のことを「女教皇」と呼ばせてしまっています。
正しくは「女教皇”様”」でした。あ、第二部の最初も「女教皇」になってるわ……。
これくらいは割とどうでもいいっちゃいいんですけど、原作との食い違いがあると冷める人もいると思うので念のため
>>1は割とそういうタイプです)。


>>709
大精霊チラメイドの存在を軽く忘れてました。そっちでも良かったけど、インパクト重視でこっちで。

>>718
上条さんグッズはネット上でニャーニャーいう多重スパイが暴利で販売しています。
余裕があればこれに関わる番外編を書きたいな。この元ネタはラブプラスの上条さん版を作るSSだったり。

>>719
この二人の絡みは意外に書きやすいッスよ。
てことで実は五和が佐天さんの実のお姉ちゃんだったなんていう設定はどうでしょう?



そんな感じで、二十二時から投下を開始します!

721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:29:24.98 ID:YfqabPmQ0
キター
部屋を明るくして離れて見るからな!
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:39:46.77 ID:EgZiXFiio
キター
部屋を暗くして近くで見るからな!
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 21:48:02.19 ID:zfSLU6J1o
キター
部屋を暗くして離れて…見えねェ…!
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 22:13:14.32 ID:0aR4InQso
キター
部屋を離れて暗く見るからな…
725 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/01(火) 22:13:29.70 ID:ORrat/IZ0
最近「ステイル」って書くところをよく「ステルス」って間違います。

■■「来た。ついに私の時代が……」

というわけで投下開始します!

■■「えッ。ちょっ……」
726 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:16:36.35 ID:ORrat/IZ0

―――ロンドン、古びた聖堂




薄暗い大広間を、床に点在する大小幾つもの灯りが照らしていた。
そこに立っているのは、黒い祭服を纏った長身の男と薄汚い格好をした男だった。

ステイル「さあ、これでお前だけになったわけだ」

男「ヒッ!?」

男は怯えて後退った。男の足が、床に落ちている真っ黒な何を踏みつけた。
それは何の抵抗もなく砕け散った。

ステイル「これでも僕は十字教の牧師だからね。“告解”といこうじゃないか。罪の告白を聞こう」

男「お、俺たちは何もしてないッ!! ただ情報を教えただけなんだ!!」

ステイル「何の情報だ?」

男「れ、例の図書館の、警備に関する情報だ」

ステイル「具体的には?」
727 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:20:42.22 ID:ORrat/IZ0

男「警備の人数、交代時間、それに……」

ステイル「図書館に仕掛けられている防衛術式ってところか。面倒なことをやってくれたもんだよ。
 それで奴らは今、どこにいる?」

ステイルがじわりと男との距離を詰めた。男はさらに後退った。

男の足元で燻った炎が消える。肉が焼ける、酷い臭いが一層強くなった。

男「し、知らない!! 本当だ、それ以上は何も知らないんだ!!」

ステイル「だろうね。一人になってもなお守るほどの秘密でもないだろうし」

男「お、俺たちはただ依頼されただけなんだ!! あんなもの、俺たちには関係ない!!
 俺たちは情報屋なんだ、あんただって分かるだろ!? これが俺たちの仕事なんだよ!!」

ステイル「分かってるさ。それを知っているからこそ、僕はお前の目の前にいるんだ」

男「だったら、命だけは……どうか俺だけは見逃してくれよ!!」

男はなおも後退りをする。ドンッと男の背中が壁にぶつかり、男は慌てて飛び退いた。

ステイル「一応最初からそのつもりではあったんだけどね。
 抵抗しなければ、お前の仲間も死なずに済んだものを」
728 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:23:05.46 ID:ORrat/IZ0

床に散らばる幾つのもの灯り。それはよく見るとどれも人の形をしていた。
目の前の怯える男の仲間は、今は無残な焼死体として大広間を照らしていた。

ステイル「投降すれば命だけは助けてやろう。勿論牢に入ってもらうことになるが」

男「分かった。命あっての物種だ。大人しく、投降する……」

ふと男の懐から折りたたまれた紙が落ちた。床に落ちたそれを、ステイルは拾い上げた。

ステイル「何だこれは?」

男「いや、それは……」

ステイル「正直に白状したほうが身のためだぞ」

男「奴らとの取引のメモだ。い、今渡そうと思ってたところなんだ!」

ステイル「取引のメモって―――」

ステイルが折りたたまれた紙を開く。そして紙面に刻まれた文字に目を走らせると、

―――ピカッ!!

突然、突き刺すような閃光がステイルの眼前を覆った。
729 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:27:43.28 ID:ORrat/IZ0

ステイル「グッ!?」

ステイルは目を覆ってその場に膝を付いた。男は一瞬の隙を付いて走り出した。

男「馬鹿めッ!! 引っかかりやがったな!!」

ステイル「ちッ! 『申命記』第二八章を利用した目眩ましの術式か。どこまで面倒な奴なんだ」

ステイルは両目を手で抑えながら、口に咥えた煙草をふっと地面に落とした。すると、

―――ドンッ!!

耳を劈くような爆発音が鳴り響くと、二人が立つ大広間は瞬く間に火の海と化した。

男「なッ!? 何だ、いきなり火の手が!?」

ステイル「戦闘による死者が出た時のために用意した証拠隠滅用の術式さ。
 この部屋を起点として、じきにこの建物全体が火の手に包まれる」

男「こんなことをすれば、お前も逃げられないぞッ!!」

ステイル「ご心配なく。これでも火の扱いにも慣れていてね。焼け死ぬ前に脱出するつもりだよ」

目を瞑ったまま、ステイルは懐に手を入れ、ルーンが書かれたカードを取り出した。
730 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:31:29.33 ID:ORrat/IZ0

ステイル「さてと。しばらく目が使えないのは厄介だな。
 感覚に頼って相手の居所を探るなんて芸当、僕にはできそうもない」

―――ド―――ン!!

床が衝撃でぐらぐらと揺れる。他の部屋の術式が連鎖的に起動し、火の勢いはますます強くなった。

男「ヒ、ヒ、ヒィ……! 助けてくれ、お願いだ!! 
 お、お前らだって国のお抱えにあるだけで、やってることは俺たちと変わらんじゃないか!!」

ステイル「そこか。大雑把に的の位置が分かれば問題ない。何故なら―――」

ステイルの持つカードが一瞬にして燃え上がった。そしてそれは十字架に似た巨大な剣の形を成した。

ステイル「得物を限りなく大きくすればいいからね」

男「た―――」

ステイル「炎よ、巨人の苦痛を贈り物をッ!!」

ヒュッと短い風切り音と共にステイルが炎の大剣を、男の方に向かって投げ付けた。
男の声を頼りに描かれた射線は、男の脇を逸れ、背後の壁に突き刺さった。

―――ズドォォォ―――ン!!!

烈火と爆風が刹那に男の全身を包んだ。壁に穿った穴から隣室の炎が吹き入った。
聖堂が、ガラガラと音を立てて崩れていく―――
731 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:36:17.51 ID:ORrat/IZ0



ステイル「相変わらず、殺しは面倒だ」

ステイルは指先に炎を灯すと、咥えた煙草に火をつけた。

ステイル(今回も奴らの現在地の情報はなし。拠点を点々をしているのは間違いなさそうだな。
 こういうずる賢い真似が上手いのも、奴らの特色といったところか)

先程の戦闘が行われた聖堂の近く、人気のない路地をステイルは歩いている。
十人以上の死者を出す戦闘を終えたばかりだというのに、その足取りは疲れを感じさせない。

ステイル(やってることは変わらない、か。正にその通りだな。
 どんな大義名分があろうと人殺し。『必要悪の教会』とは、よく言ったもんだね)

暗い路地の中で、煙草の灯りだけがちらちらと仄かに明るく揺れた。
その時ザクッと、砂利を踏む音がステイルの背後から聞こえた。

「ステイル=マグヌスだな」

ステイルは後ろを振り向いた。そこには見窄らしい格好をした年端も行かない少女が立っていた。

ステイル「人違いだ」
732 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:39:37.87 ID:ORrat/IZ0

少女「長身、牧師姿、目の下の刺青、そして血みたいに真っ赤な髪。聞いてたとおりだ」

ステイル「だから人違いだ」

少女「父と母を殺した『必要悪の教会』の魔術師、ステイル=マグヌスだッ!!」

少女は後ろ手を前に出した。
その手には錆びついたナイフが握り締められており、暗闇のなかで鈍く煌めいた。

ステイル「……人違いだと言ったはずだ」

少女「まだ言い逃れをするつもりかッ!! お前が父さんと母さんを殺した魔術師だッ!!」

ステイル「はぁ。何度も言わせるな。人違いだよ」

少女「嘘を付くなッ!! お前は―――」

ステイル「仮に僕がそのステイル=マグヌスだとして、言えることが二つある。
 一つは君の両親は何らかの罪を犯していたこと。そしてもう一つ。
 その魔術師は君の両親のことなど知らないということ」

ステイルは煙草を持つと、ふぅっと煙を吐き出した。

ステイル「何故なら、その魔術師は一々殺した人間のことなど覚えていない」
733 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:42:16.49 ID:ORrat/IZ0

少女「あ、あ、あ……あああああぁぁぁぁぁぁッ!!!」

掠れた少女の悲鳴が路地に響き渡った。
そして少女はナイフを腰だめに構えながら、ステイルに向かって走りだした。

ステイルは煙草を指で弾いた。
緩やかに放物線を描いた煙草は、少女の目の前で鮮やかなオレンジの炎となった。

少女「グァッ!?」

驚いた少女は飛び退いた勢いで後ろに倒れた。手から落ちたナイフが、地面に転がった。

ステイル「一つだけ忠告してやる。本気で復讐するつもりなら、そいつだけじゃなく
 そいつの親兄弟、知り合いに至るまですべて殺すぐらいの覚悟を持て。
 そしてそいつらに殺されるほど憎まれる覚悟も。それができないなら真っ当に生きろ」

少女「自分が殺しておいて、よくもぬけぬけとッ!!」

ステイル「何とでも言えばいい。しかし殺す者は殺される。それだけは変わらない」

少女を見つめたまま、ステイルは自分に言い聞かせるように呟いた。

ステイル「ここは、そういう世界なんだ」
734 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:44:46.31 ID:ORrat/IZ0

―――『イギリス清教』女子寮




五和「料理です!」

佐天「料理?」

いつもは自分たちのアパートで食事を取る佐天と五和は、
今日はオルソラたちに招かれて『イギリス清教』女子寮で昼食を取っていた。

食後のお茶を飲みながら、五和は続けた。

五和「現在の問題は、ステイルさんが佐天さんに攻撃魔術を教えてくれないってことですよね。
 ならステイルさんの心を軟化する手段は料理しかないと思います」

佐天「いや、そこがよく分かんないんですけど。なんでいきなり料理?」

五和「女性が作る美味しい料理で気持ちが動かいない男性なんていません。
 これは世界中どこでも通用する真理ですよ」

勿論この“真理”に五和の希望的観測がリヤカー一台分は積載されていることは言うまでもない。
“あの人”を巡る強敵に対する唯一のアドバンテージが、この料理だと五和は思っているからだ。
735 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:47:59.17 ID:ORrat/IZ0

佐天(うーん、何か話がズレてる気がするけど……)

五和「佐天さん。だから頑張りましょう、二人で”一緒に”!!」

佐天(断れないなぁ)

佐天「分かりました。とりあえず頑張ってみます」

五和「そうと決まれば早速―――」

「あの、ちょっといいですか」

五和「貴女は……」

佐天「?」

佐天が振り向くと、そこには赤毛を幾つのも三つ編みにした小柄な女の子が立っていた。

アニェーゼ「そちらの、確か佐天さんでしたっけ、貴女とは初めましてですね。
 アニェーゼ=サンクティスって言います」

佐天「はぁ、どうも」

五和「えっと、何か御用ですか?」
736 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:49:50.56 ID:ORrat/IZ0

アニェーゼ「さっき貴女たちは、その……料理がどうこう言ってやいませんでしたか?」

五和「はい、そうですけど」

アニェーゼ「実は、お願いがあるんです。一つ聞いちゃくれませんか?」

佐天「お願い?」

アニェーゼ「えっと、その……。私にも……りを、お、お、教えて……」

五和「えッ? なんて言ったかよく聞こえなかったんですけど」

アニェーゼ「だから、……ぅりを」

佐天「“うり”? 瓜ってあの瓜ですか? 」

五和「佐天さん、瓜は基本的に夏の食べ物ですよ。今は旬じゃありません」

佐天「そうなんですか?」

アニェーゼ「いや、だから―――」

五和「ちなみに“瓜”に“南”を付けると“南瓜(かぼちゃ)”になり、旬の野菜になりますね」

佐天「おぉー!」パチパチ

アニェーゼ「だ・か・ら!! 私にも料理を教えてくれって言ってんでしょうがッ!!」
737 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:53:03.19 ID:ORrat/IZ0

アニェーゼの叫びに、二人は目をぱちくりさせた。

佐天「はい?」

五和「料理を教える、ですか?」

アニェーゼ「そ、そうですよッ! 何か文句でもあるって言いやがる気ですか!!」

五和「いえ、文句はありませんし、教えるのは構わないんですけど、どうして急に?」

佐天「あッ、さっきのあたしたちの話を聞いてたってことは、
 もしかして料理を作ってあげたい人がいる、とかだったりして」

キャハ♪ と効果音でもつきそうな感じで佐天は言った。

アニェーゼ「…………」

五和「…………」

佐天「……あれ?」

アニェーゼ「……そうですけど、何か?」

佐天(当たっちゃったーッ!!)
738 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:54:28.79 ID:ORrat/IZ0

五和「佐天さんッ!! 何でちょっと気不味い空気にしてるんですか」ヒソヒソ

佐天「えーッ!? そ、そんなこと言われても」ヒソヒソ

アニェーゼ「それでッ!! 教えてくれるんですか?」

五和「え、ええ、それは全く問題ないんですけど、本当に私なんかでいいんでしょうか?
 例えばオルソラさんなんかも、すごく料理がお上手だと思いますよ」

アニェーゼ「う゛ッ!? それは……」

佐天「もしかして、その料理を作ってあげたい相手がオルソラさんだったり……」

アニェーゼ「…………」

五和「…………」

佐天「なんかして……」

アニェーゼ「……さっきの話、男じゃなくて女でも美味しい料理で気持ちが動いちまうもんなんですか?」

佐天(また当たったーッ!!)
739 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:56:40.38 ID:ORrat/IZ0

五和「だから何でそんなこと言っちゃうんです!」ヒソヒソ

佐天「いや、本当にわざとじゃないんですよ!」ヒソヒソ

佐天「はッ!? もしかしてアニェーゼさん、レ―――」

アニェーゼ「そんなんじゃありませんッ!!
 くだらねぇこと言ってやがると、そのヘアピン引きちぎりますよッ!!」

佐天「す、すいませんッ!!」

アニェーゼ「そんなんじゃねぇんですよ。そんなんじゃ……」

アニェーゼはそう言ったまま、視線を下に向けて項垂れた。
五和はそれを見て、何かを悟ったように、

五和「……分かりました。どれだけ力になれるか分かりませんが、お手伝いします」

アニェーゼ「本当ッ!?」

そう喜びの声を上げたアニェーゼは、歳相応の女の子らしい笑みを浮かべた。
しかしすぐにそれを誤魔化すように、わざとらしく咳払いをした。

アニェーゼ「お、恩に着ます」

五和「それじゃあ早速始めましょうか」
740 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 22:59:31.60 ID:ORrat/IZ0

―――『必要悪の教会』女子寮、台所




五和「料理をお教えする前に、お二人がどの程度料理ができるのか知りたいんですが、
 佐天さんは確かけっこうお上手ですよね?」

佐天「一応一人暮らしで自炊もしてましたから。でも本格的なものはちょっと……」

五和「得意料理とかってあります?」

佐天「うーん、カレーライス、かな? 作り置きもできるし、なにより美味しいし!」

五和「ということは基本はバッチリですね。アニェーゼさんはどうですか?」

アニェーゼ「えッ!? わ、私ですか? えっと、私の得意料理は……目玉焼きです」

五和「えーと、それは……」

アニェーゼ「嘘嘘ッ!! 嘘ですよ!! 本当の得意料理は、スクランブルエッグ、
 も、勿論プロバンス風のやつです!!」

佐天「アニェーゼさん、せっかく教えてもらうんですから、正直に言ったほうがいいですよ」

アニェーゼ「う゛ッ!? ……じ、実は料理なんてほとんどしたことがねぇんです」
741 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:07:42.53 ID:ORrat/IZ0

五和「そうですか。それならアニェーゼさんは料理の基本からですね」

アニェーゼ「はい……」

佐天「それで料理って一体何を作るんですか?」

五和「作ってもらう料理は決めてあります。それは―――」

五和はそう言うと、グッと右手をエプロンをした胸の前で握りしめた。

五和「茶碗蒸しです」

アニェーゼ「チャワンムシ? 日本では虫を食べる習慣があるんですか?」

五和「そっちの“虫”ではなく、“蒸す”の“蒸し”です。卵を使った日本料理ですよ」

佐天「でも何で茶碗蒸しなんですか?」

五和「卵料理はバリエーション豊かなので覚えておくと楽ですし、適度に手の込んだ感もあります。
 お菓子もありかなって考えてたんですけど、ステイルさんは甘いものはあんまりお好きじゃなさそうなので」

佐天「あぁ、そうかも知れませんね。『何だいこの甘ったるいのは。僕を砂糖漬けにでもするつもりかい』
 とか言いそうですもんね」
742 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:09:26.79 ID:ORrat/IZ0

五和「……クスッ」

アニェーゼ「……プッ」

佐天「あ、あれ? あんまり似てませんでした?」

アニェーゼ「いや、その逆ですよ。むしろ恐ろしく似てやがったもんですから」

五和「佐天さんは、ステイルさんのことをよく見ているんですね」

佐天「は、はぁ!? そそ、そんなことないですよ!!
 クッ……そうだ、アニェーゼさんもオルソラさんの真似してくださいよ!!」

アニェーゼ「えっと……『そんなことを仰られても困るのでございますよ』……って何させやがるんですか!!
 さ、さっさと始めちまいましょう!」

五和「そうですね。それではアニェーゼさんは野菜を使って包丁の使い方の練習、
 佐天さんは私と一緒に茶碗蒸しの作り方を覚えていきましょう」

佐天「はーい」

アニェーゼ「了解です」
743 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:17:35.42 ID:ORrat/IZ0

………………………………

………………

………



五和「……とりあえずこれで完成ですね。佐天さんの方はどうですか?」

佐天「うわぁ……何かモロモロになってる……」

五和「だいぶスが立っちゃいましたね。きっと火加減が強過ぎたせいだと思います」

佐天「よーし、今後はもう少し弱火にしなくちゃね」

佐天はスプーンで茶碗蒸しを掬い、口に運んだ。

佐天「うん、味はまあまあかな?」

五和「スが立ってしまった場合、餡を入れて誤魔化すという手もありますよ。
 あとは中に入れる具をアレンジしてみましょう。アニェーゼさんの方はどうですか?」

アニェーゼ「フフフッ……見てください!! ついに『イチョウ切り』をマスターしましたよ!!」

アニェーゼは嬉しそうに包丁を持ったまま両手を掲げた。
「アニェーゼ は いちょうぎり を おぼえた」というメッセージとともに
愉快な効果音が今にも鳴り出しそうだ。
744 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:21:51.92 ID:ORrat/IZ0

五和「うん! 綺麗に切れてますね。これで基本的な包丁の使い方はバッチリですね」

佐天「でも……」

まな板の上には惨殺死体が、もといアニェーゼの練習台となった野菜が山盛りになっていた。

五和「えっと……今日は野菜炒めですね。それじゃあ片付けをする前に少し休憩しましょうか。
 私、お茶を淹れてきます」

そう言うと五和は、お茶の用意をするために料理場の奥に向かった。

アニェーゼ「ふぅ……これで第一関門突破ってとこでしょうか」

佐天「あのアニェーゼさん、ちょっと聞いてもいいですか?」

アニェーゼ「はい? 何です?」

佐天「どうしてそこまでオルソラさんに料理を作ってあげたいんですか?」

アニェーゼ「……もしかしてまだくだらねぇことを言いやがるつもりじゃねぇでしょうね」

佐天「ち、違いますよッ!! ただ、どうしてそこまでするのかなって思って」

アニェーゼは自分が作った細切れの野菜の山を眺めた。
御世辞にも上手とは言えないそれは、アニェーゼの奮闘を表していた。
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 23:23:03.96 ID:1dwKdaJ4o
アニェーゼが可愛いwwww
746 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:24:46.82 ID:ORrat/IZ0

アニェーゼ「私は、以前オルソラ=アクィナスに酷いことをしました。
 それは任務だったし仕方ないことと言やぁそれまでなんですけど、ただ……」

アニェーゼ「オルソラ=アクィナスは、あの人はそんなことを忘れちまったみたいに私に接するんですよ。
 有り得ねぇと思いませんか? 恐れも憎しみも、何にも持ってないみたいな、あんな顔……」

佐天「あたしには、それがオルソラさんらしさって感じがしますけど」

アニェーゼ「でも私は納得できねぇんです。自分の罪が、不当に許されちまったみたいな気がして。
 だから、何か少しでもお返しができればいいなって思ったんです」

佐天「……きっとアニェーゼさんの気持ちは伝わりますよ」

アニェーゼ「でも前途多難です。料理ってのはこんなにも面倒なことだったんですね」

佐天「確かに極めるのは大変ですよね。でも一緒に頑張りましょうよ!」

アニェーゼ「気軽に言わないでくださいよ。貴女はすでに結構できてるじゃねぇですか。
 私なんてまだ野菜切ることしかできねぇんですよ」

佐天「いやぁ、あたしなんてまだまだですよ。だって……」

五和「お二人とも、お茶が入りましたよ。
 あとこれはお二人が調理している最中に作ったさつまいものきんつばで、
 こっちが昨日作ったわらび餅です。良かったらご一緒にどうぞ」

佐天「……ね?」

アニェーゼ「はぁ……料理の道は険しそうです」

五和「?」
747 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:31:33.77 ID:ORrat/IZ0

―――学園都市、第七学区、とある学生寮の一室




―――プルルルル……

「とうまー、電話が鳴ってるよー」

銀髪のシスターがそう告げると、風呂場の方から水を流す音と共に声が上がった。

上条「ちょっと風呂場の掃除で手が離せないから、代わりに出てくれよ」

「今『カナミン』がいいところなんだよ。そんな余裕は一秒もないかも」

上条「あぁ! しゃあねぇ、俺が出るよ」

上条はドタドタと風呂場から戻ってくると、鳴り続ける受話器を取った。

上条「もしもし? ああオルソラか。どうした?」

「カナミン後ろ、後ろなんだよー!」

上条「それって結構緊急事態なんじゃ……あッ、そうなのか。今週末? 別に問題ないけど……
 えッ!? ホントかッ!?」

「カナミンそこー! えぐり込むように打つべしなんだよー!」

上条「おう! じゃあ今週末に!」

勢い良く受話器を置いた上条は、満面の笑みでテレビに齧り付いたままのシスターの方を見た。

上条「おい、喜べインデックス!! 土日はロンドンで食い放題だ!!」

インデックス「ん?」
748 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/01(火) 23:43:52.42 ID:ORrat/IZ0
というわけで今回は以上!

五和……世話焼き、思い込みが激しい→初春  アニェーゼ……ツンデレ→美琴
変 態 が 足 り な いッ!!

このアニェーゼはちょっとルイズが入ってる気が自分でもします。
でもとりあえずこれで予定していた魔術サイドの人たちは一通り出せたかな。

次回の投下は二月五日(土)の予定。
それまで暫しお待ちください。
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 00:34:13.95 ID:8t+oelTAO
乙、今から読む
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 02:32:06.72 ID:n0e7218k0
変態…変態か…
オリアナ姐さんは歩く18禁だから違うというかそもそもイギリス清教の人間じゃなかったか?
とりあえずこの話では自室的に五和が変態でも良いような気がすr
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 08:09:32.14 ID:G4TbUlXIO
アニェーゼの台詞がくぎゅボイスで再生されたw
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 08:58:40.98 ID:K74J1J7AO
そこでロシア抜けたサーシャを追ってきたワシ様をだな
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 10:12:06.19 ID:6LXzlA8M0
佐天さんて足速くて持久走できてパンチングマシンまでジャッジメントで訓練受けてる黒子より強い美琴より上なんだよな
これでちゃんとした戦闘手段とメンタル身につけたらチートになりそう
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 17:22:20.53 ID:T5SoDD7AO
すでに可愛さがチート
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/03(木) 18:07:02.94 ID:wYVGadBC0
>>754がいいこと言った
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 19:16:02.73 ID:kKuSnd+K0
明日か
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 20:08:35.83 ID:014eXKJgo
talent310
才無き者に力の階を
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 21:10:04.66 ID:ioy1IP7C0
ラテン語だからingeniumじゃない?
759 :757 [sage]:2011/02/04(金) 21:49:44.35 ID:014eXKJgo
検索の仕方がまずかったみたいだ
>>758が合ってる
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/06(日) 23:42:26.59 ID:cMrSgcoe0
かもーん
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/07(月) 00:19:52.25 ID:GuWT6U820
頑張ってくれ!待ってます
762 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/07(月) 18:44:12.63 ID:tqxxuKIh0
二日遅れてごめんなさい。今日の二三時から投下しますよー。
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 18:58:52.34 ID:/75wma4jo
舞って待ってる
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 20:12:34.42 ID:A1Sg5aOBo

               l^丶
               |  '゙''"'''゙ y-―, あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう
               ミ ´ ∀ `  ,:'
             (丶    (丶 ミ   いあ    いあ
          ((    ミ        ;':  ハ,_,ハ   ハ,_,ハ
              ;:        ミ   ';´∀` '; ';´∀` ';
              `:;       ,:'  c  c.ミ'  c  c.ミ
               U"゙'''~"^'丶)   u''゙"J   u''゙"J


            /^l
     ,―-y'"'~"゙´  |   それ  るるいえ うがふなぐる ふたぐん
     ヽ  ´ ∀ `  ゙':
     ミ  .,/)   、/)    いあ    いあ
     ゙,   "'   ´''ミ   ハ,_,ハ    ハ,_,ハ
  ((  ミ       ;:'  ,:' ´∀`';  ,:' ´∀`';
      ';      彡  :: っ ,っ  :: っ ,っ
      (/~"゙''´~"U    ι''"゙''u    ι''"゙''u
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 21:54:17.74 ID:0WVjK8Cwo
あと1時間か
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 23:09:30.03 ID:b4m/jlUC0
よっしゃこい 出待ちしてやる
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 23:15:24.13 ID:S0KlzY++o
wwkwwktktk
768 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/07(月) 23:29:09.67 ID:tqxxuKIh0
あれ? よく考えたらもう禁書二期に五和出てこなくない?
クソッ!! 早く一六巻アニメ化してくれ!!

というわけで投下します。
769 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/07(月) 23:31:43.77 ID:tqxxuKIh0

―――日本人街、空き地




五和「よいしょっと……」

五和は大きな箱を乗せた台車を止めた。
箱の中からガシャッと金属がぶつかり合う音が聞こえた。

佐天「うわぁ、一杯ありますね」

五和「日本刀にハンドアックス、レイピアに方天戟……。色んな武器を用意してみました。
 あ、勿論どれも訓練用なので刃は落としてありますよ」

佐天「へぇー、よっと……」

そう言って佐天が手に持ったのは、棍棒の先に何枚かの金属板を付けた、メイスと呼ばれる武器だった。
佐天はそれを軽く振り下ろした。

佐天「これ、結構重いんですね」

五和「重さはどれも本物と変わりませんよ」

佐天「つまりこれを振り回せないとどうにもならないってことですよね」

五和「そういうことです」
770 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/07(月) 23:38:55.83 ID:tqxxuKIh0

佐天「あッ、これカッコイイ!! グッ……ど、どうです、か……」

五和「それはツヴァイハンダー、大型の両手剣ですね。
 でもさすがに佐天さんがそれを使うのは無理があると思いますよ。」

佐天「た、確かに……。地面、から、ウグッ……まったく、浮く気配もない……ッ!」

五和「もう少し佐天さんの体格にあったものにしましょう。
 えっと、これなんてどうです?」

五和は箱の中からやや刃の広い剣を取り出した。
鍔から持ち手を守る護拳が伸びており、映画などでよく見る“西洋の剣”と言った感じだ。

五和「これはブロードソードと言って、片手持ちの西洋剣です。場合によって盾とも併用されます」

佐天「これくらいの重さなら、うん、どうにか……」

佐天が五和に手渡された剣を振ると、ブンッと鈍く刀身が空を切った。
それほど重くはないが、片手用の剣なので軽々と振り回せるというほどではない。
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 23:44:05.89 ID:b4m/jlUC0
よっしゃktkr
772 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/07(月) 23:45:19.98 ID:tqxxuKIh0

五和「元々は細身のレイピアなどの武器を破壊するために作られた剣ですが、
 斬撃、刺突、時には護拳による打撃も可能な優れた武器です」

佐天「でもそれだけ使うのが難しいってことですか?」

佐天はすこし不安気に自分が握ったその剣と見つめた。

五和「確かにそうですが、心配しなくて大丈夫ですよ。そのために練習するんですから」

そう言って五和は箱の中から組み立て式の長い棒を取り出した。
そしてそれを腰の辺りで構えた。

五和「では早速始めましょうか」

佐天「押忍ッ!! よろしくお願いしますッ!!」

五和「フフフッ……。気合充分ですね。それではお願いします」
773 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/07(月) 23:49:59.60 ID:tqxxuKIh0

………………………………

………………

………

アニェーゼ「うわッ!! お椀からブクブク泡が出ちまってるんですけど!!」

佐天「何でッ!? どうやったらそんなことになるの!?」

五和「アニェーゼさん!! これ塩じゃなくて重曹です!!」




佐天「やあッ!!」ビュン!

五和「踏み込みが甘いです。もっと腰を落としてください」カキン!

佐天「はいッ!」

五和「まだ腰が引けてますよ!」

佐天「は、はいッ!!」
774 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/07(月) 23:55:06.20 ID:tqxxuKIh0

佐天「あたしはポテロング、Bigカツ、どんぐり飴をお椀に入れてターンエンド!」

アニェーゼ「甘ぇですね。私はこのターン、レバ刺し、酢昆布、メロンパンを召喚します!」

佐天「なん……だとッ!?」

五和「お二人とも、食べ物で遊ぶのは止めましょうね」ニコリ…

佐天   「はい……」
アニェーゼ「はい……」

………………………………

………………

………


―――ジャキンッ!

鉄が激しく衝突する音が空き地に響いた。剣を振り下ろした佐天はパッと後ろに下がった。

佐天「ああッ、全然当たらない!! 香焼君すばしっこ過ぎ!!」

香焼「そんなに簡単に当てられたら自分の立場がないすよ!」

香焼は佐天の持つ剣の半分の大きさもないナイフを使って、
佐天の剣撃を右に左に鮮やかに逸らしていた。
775 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/07(月) 23:59:55.24 ID:tqxxuKIh0

五和「佐天さん、まだ腕だけで振ってますよ! 身体全体を使うのを意識してください!」

佐天「そんなこと、言われても……ッ!! 」

少し離れたところから二人の様子を見守る五和を振り返る余裕もなく、佐天は右手の剣を振り下ろした。

香焼「そんなことじゃ一生自分には当たらないすよー」

佐天「くぅ……ッ!! 香焼君、五秒間でいいから止まって!! かつ目を瞑って!!」

香焼「それがどう佐天さんの練習になるんすか」

佐天「練習っていうか、いい加減当たらなくてイライラしてきたから」

香焼「ただのストレス解消じゃないすか!」

五和「佐天さん、あと三分で今日は終りにしましょう!」

佐天「残り、三分……。絶対に一撃当ててやるッ!!」

香焼「頑張ってくださいっすー」

香焼は息と共にやる気も抜けているような声でそう言った。
佐天は疲労でプルプル震える腕を思いっきり振りかぶった。

佐天「ああッ、イラッとするッ!!」
776 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:03:47.93 ID:fpYE0AUq0

「ほお。頑張ってるじゃないの、佐天嬢」

二人の様子を満足そうに見つめる五和の後ろから、声が聞こえた。

五和「建宮さん!? どうしてここに?」

五和の背後から現れた建宮は、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。

建宮「隠れて練習してたつもりか、五和?
 毎日飯食った後二人して出て行ったら、なんかやってるのはモロバレなのよな。
 しかも香焼まで巻き込んで」

五和「えっと、その……ッ!」

建宮はそう言ってふっと笑った。

建宮「別に咎めに来たわけじゃないのよ。ちょっと様子を見に、な。
 それで、佐天嬢はどんなもんなのよ?」

五和「とても熱心で、真面目に練習してますよ。運動神経もいいですし、筋も悪くないと思います」

そう言って、五和は一心不乱に香焼に向かっていく佐天を見た。
まだ数日前に始めたばかりだが、最初に比べて佐天の動きは良くなっていた。

建宮「しかし、それだけって感じか?」
777 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:10:41.00 ID:fpYE0AUq0

五和「……はい。特別武芸の才があるわけではないかと。勿論まだ始めたばかりなので断言できませんけど」

建宮「そりゃそうなのよな。そんな都合良く才能があったりするわけないわな」

五和「建宮さん、私は……正しいことをしているんでしょうか?」

建宮「どういうことよな?」

五和「佐天さんに戦う術を教えていることです。佐天さんは優しい、普通の女の子です。
 本当なら戦いに身を投じる必要なんてないはずなんです」

建宮も五和と同じように必死に香焼の動きに付いていこうとする佐天の姿を見つめた。

建宮「でもそれは本人が望んだことなのよな? だからお前もそれに応えた。違うか?」

五和「確かに、そうですけど……」

建宮「佐天嬢も俺もお前も、大した才能もない人間ってのは自分の道は自分で決めなくちゃなんねぇ。
 天から授かった才能によって、運命を決められちまった人間とは違うのよな。
 五和、お前にだってそれは嫌ってほどよく分るだろ?」

五和「はい……」
778 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:17:19.98 ID:fpYE0AUq0

建宮が『教皇代理』と呼ばれる理由。女教皇と呼ばれて皆に慕われた神裂が自分たちと距離をおいた理由。
そしてそれでもなお、神裂と共に歩み続けることを誓った理由。
五和はそのことに思いを馳せた。

建宮「それに例えこれが間違ったことだったとしても、
 あの子ならそいつを糧にして成長することができるのよ。
 それをお前が信じてやれなくてどうするのよ」

佐天の疲労はすでにピークらしく、動きも精細を欠いていた。
それでも佐天は、その細い腕には重そうな剣を振り続けていた。

五和「そう、ですね」

建宮「まあ心配する必要なんてないのよ。きっと成長するのよ、力も覚悟もな」

そう言うと建宮は、右手を振りながら佐天と香焼の方へ歩き出した。

建宮「香焼! ちょっと交代するのよな!」

香焼「教皇代理?」

佐天「ハァハァハァ……た、建宮さん……ッ! なんでここに。
 ていうかこれで今日は終わりなんじゃ……」

建宮「人間ってのはな、限界を超えたところで成長するのよ。
 だから佐天嬢! 今日はあと三セットほど頑張るのよ!」

建宮はそう言うと訓練用の武器が入った箱から、長大な剣を取り出した。

建宮「さあ!! どこからでも掛かってきなさい!!」

佐天「む、無理です―――ッ!!」
779 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:23:08.92 ID:fpYE0AUq0

―――『イギリス清教』女子寮




アニェーゼ「……い、いよいよ、ですね」

佐天「うぅーッ! なんかちょっと緊張するなぁ」

アニェーゼ「き、ききき、緊張ッ! そそそ、そ、そんな緊張だなんて、
 ささ、さて、佐天さんは案外、いい、いく、意気地がねぇんですね」

そう言ったアニェーゼは、生まれたばかりの仔馬のように震えていた。
視線も泳ぎまくりで、その頼りなさそうな雰囲気に拍車をかけている。

佐天「……アニェーゼさん、すごい震えようですけど」

アニェーゼ「こ、これはちょっと風邪を引いちまっただけですッ!!
 熱が四十五度近くあって、震えが止まらねぇんです!!」

佐天「それが本当だったらアニェーゼさんもう死んでます」

五和「お二人とも、準備は大丈夫ですか?」

緊張している二人を励ますように、五和は声を掛けた。
780 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:28:10.64 ID:fpYE0AUq0

佐天「ば、バッチリですよ! たぶんこれまで作った中で一番上手く出来てると思います。
 うん、きっと!」

アニェーゼ「う……、もしかしてまた塩と重曹を間違えてるんじゃ……ッ! 味見してみます!!」

佐天「そんなことしたら、オルソラさんに食べさせる分なくなっちゃいますよ!」

五和「大丈夫です。アニェーゼさんのも上手く出来てますよ」

アニェーゼ「そうでしょうか……。で、でも手が震えちまって、持って行く最中に落としちまいそうです」

アニェーゼはそう言って瞼をぎゅっと瞑った。
五和はアニェーゼの肩に手を置いた。

五和「それじゃあ私も一緒に持って行きます。佐天さん、すいませんが、佐天さんの方は一人で」

佐天「だ、大丈夫ですよ! 持って行くくらい、一人で出来ますって」

五和「上手くいくといいですね」

そう言って五和は佐天に柔らかく微笑んだ。
佐天も少し照れて笑った。

佐天「はい、そうですね」
781 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:33:44.17 ID:fpYE0AUq0



オルソラ「どうしたのでございますか? 私に用があるということでしたが」

オルソラは自分の部屋を訪れた二人にのほほんとした笑みを向けた。

アニェーゼ「えっと……その……」

オルソラ「?」

五和「アニェーゼさん、頑張ってください!」

アニェーゼ「は、はいッ!! えっと……これをッ!!」

そう言ってアニェーゼは陶器の器が乗ったトレイをオルソラの机の上に置いた。

オルソラ「お椀、でございますか? 蓋を開けてみてもよいのでございますか?」

アニェーゼ「ど、どうぞ」

オルソラが器の蓋を開けると、ふっと温かい湯気が立ち上った。

オルソラ「これは……茶碗蒸しでございますね。
 もしかしてアニェーゼさんがお作りになったのでございますか?」

アニェーゼ「えっと……そ、そうです」

五和「オルソラさんに食べさせるために、みんなで練習したんですよ」

アニェーゼ「よ、余計なことを言わねぇでくださいッ!!」
782 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:39:49.70 ID:fpYE0AUq0
アニェーゼ「よ、余計なことを言わねぇでくださいッ!!」

オルソラ「そうなのでございますか。それなら味わって頂かなくてはいけませんね。
 早速頂いてもよろしいのでございますか?」

アニェーゼ「ど、どうぞ……」

アニェーゼが不安気に見つめる中、オルソラはゆっくりとスプーンで茶碗蒸しを掬い、それを口に運んだ。

アニェーゼ「う、うぅ……」

オルソラ「うん。大変美味しゅうございますよ」

オルソラがそう言って微笑むと、アニェーゼは嬉しそうに笑い、安堵の溜息を吐いた。

オルソラ「しいたけに海老、かまぼこ。本当に色鮮やかでございますね。
 この緑の葉っぱはなんなのでございますか?」

アニェーゼ「こ、これは三つ葉と言って、日本のハーブみたいなものらしいです」

オルソラ「日本食は時々頂くのですございますが、それは知りませんでした。
 日本食は奥が深いのでございますね」

アニェーゼ「あの……シスター・オルソラッ!!」

オルソラ「はい。なんでございましょうか」
783 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:43:17.92 ID:fpYE0AUq0

アニェーゼ「私は、貴女に謝らなくちゃいけません。
 勿論謝って全部無しにしちまおうだなんて考えてませんが、でも―――」

アニェーゼの言葉を遮るように、オルソラは静かに首を振った。

オルソラ「それ以上言わなくても良いのでございますよ。私はもう何とも思ってないのでございます」

アニェーゼ「そういう事じゃねぇんですよ! 貴女が私を許しても、
 私は自分自身を許せねぇんです!! だから、こんな……」

オルソラはアニェーゼを見つめたまま言った。

オルソラ「アニェーゼさんは以前から料理がお得意だったのでございますか?」

アニェーゼ「いえ、料理なんて全然……。だから五和さんに教えてもらったんです」

五和「そ、そうなんです! アニェーゼさん、包丁の使い方から一生懸命練習して、
 こんな上手にできるようになったんですよ」

オルソラ「……慣れない料理の練習を自分に課し、私を喜ばせることが貴方の贖罪なのでございますね?」

アニェーゼ「はい……」

アニェーゼは不安げな瞳をオルソラに向けている。
“自分のため”の贖罪と言ったものの、その表情はオルソラの審判を待っているようにも見えた。
784 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:49:17.32 ID:fpYE0AUq0

オルソラは少し困ったように息を吐いた後、無邪気そうな笑みを向けた。

オルソラ「それならば先程の『美味しい』という言葉、撤回させていただきたいのでございます」

アニェーゼ「はい?」

オルソラ「幾つか気になる点があったのでございますよ。
 まずしいたけの石附が完全には取れておらず、しいたけの食感を悪くしていたのでございます。
 また蒸す時間が長すぎたせいか、海老が固くなっていました。
 勿論私は日本食にそれほど精通していないので、あくまで私見でございますが」

五和「き、厳しい……」

アニェーゼ「…………」

オルソラ「なのでこれからも時折私に料理を作っていただきたいのでございます。
 私が心の底から『美味しい』と言えるまで。その時にはきっと貴女の贖罪も終わっているのでございますよ」

アニェーゼ「シスター・オルソラ……」

アニェーゼ「えっと……こ、これからもよろし―――」

その時突如、ドンッ! という音と共にドアが開き、ちびっこい何かが部屋に飛び込んできた。
785 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:51:23.18 ID:fpYE0AUq0

アンジェレネ「美味しい物の気配を感じましたよ!! どこですか、美味しい物?」

アニェーゼ「シスター・アンジェレネ!?」

アンジェレネ「む? 美味しい物はそれですね? 私に黙って皆さんで食べるなんてずるいですよ!
 ということで頂きます!」

アニェーゼ「あッ、ちょ―――」

アニェーゼが止める間もなく、アンジェレネはスプーンを掴むと、茶碗蒸しを口に運んだ。
そして、

アンジェレネ「ブッ!?」

盛大な音を立てて、アンジェレネは口に入れた茶碗蒸しを吹き出した。

オルソラ「だ、大丈夫でございますか?」
786 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:53:35.74 ID:fpYE0AUq0

その場にいる全員が困惑する中、アンジェレネはゴホゴホと咳き込みながら机の上の器を指さした。

アンジェレネ「何ですかこれ!? 塩っぱいじゃないですか!!」

アニェーゼ「何って茶碗蒸しですよ。日本の卵料理です。て言うか勝手に食わねぇでください!!」

アンジェレネ「チャワンムシ? 私はてっきり甘いカスタードプディングかと思いましたよ。
 びっくりさせないでください」

アニェーゼ「人が作った物を勝手に食べておいてその言い草ですか……」

オルソラ「しかし私は茶碗蒸しを知っておりましたが、
 普通の人が見ればプディングだと思うのも無理もないことでございますね」

アンジェレネ「そうですよ。だからびっくりして吹き出しちゃったんです」

五和「確かにありますよね。私も麦茶とそうめんのつゆを間違えて飲んでしまったことがあります。
 自分の予想していた味と違ったので、驚いて吹き出してしまって―――」

その時五和は何かに気付いたように、

五和「あッ」
787 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 00:58:02.83 ID:fpYE0AUq0

ステイル「何だい、突然呼び出したりなんかして」

佐天「えへへへ。ちょっとね」

用があると言って女子寮に呼び出されたステイルは、やけにニヤニヤしている佐天を不審そうに見つめた。

ステイル「何だその笑み。良からぬことを企んでもいるのか?」

佐天「企むなんて失敬な。今日はステイル君に食べて欲しい物があるんだ」

ステイル「食べて欲しい物?」

佐天「そう。えっと……これ、なんだけど」

佐天はステイルの前に陶器の器を置いた。

ステイル「何だこれは?」

ステイルは首を傾げて、その器の蓋を取った。

ステイル「これは……ッ!」

佐天「えっと、ステイル君に食べてもらうために作ったんだ。
 たぶん、上手に出来てると思うんだけど……」

ステイル「…………」

佐天「ステイル君?」
788 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 01:01:46.67 ID:fpYE0AUq0

ステイルは目の前に器を見つめたまま、幼い時のことを思い出していた。



祖母『よく来たね坊や。ほら、坊やが好きなカスタードプディングを作ったからたくさんお食べ』

ステイル『わあぁ! ありがとうグランマ(おばあちゃん)!』

ステイル(僕が来るとグランマがいつも作ってくれたプディング。
 張り切りすぎて砂糖を目一杯入れるもんだから、甘ったるくてしょうがなかった。
 でもそれだけ僕が来るのが嬉しかったのかも知れないな……)



佐天「ステイル君、どうしちゃったの? 何かすごく遠い目をしてたけど」

ステイル「……いや、ちょっとこれを見ると懐かしくてね。昔のことを思い出していただけさ」

佐天(茶碗蒸しってイギリスでも食べるんだ)

ステイル「それではせっかくだから頂くとしよう」

佐天「うん、どうぞ」

ステイル(中に何か入っているようだな。フルーツの砂糖漬けか? 今はこういうのもあるのか)
789 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 01:07:49.32 ID:fpYE0AUq0

その時、バンッ! とドアを開け、五和が飛び込んできた。

五和「ステイルさん、駄目―――ッ!!」

佐天「い、五和さん!?」

ステイル「ん?」

ステイルは声がした方を振り向いたまま、スプーンで掬った“それ”を口に入れた。

ステイル「ッ!?」

その時ステイルの口の中に衝撃が走った。
和風の出しと醤油が入った茶碗蒸しは、勿論それほどきつい味のものではない。
しかしそれはステイルが想像していた“甘ったるいプリン”とはまったく別のものであり、
そして、

ステイル「ブハッ!!」

佐天「ッ!?」

ステイルは先程口に入れた茶碗蒸しを、そのまま吹き出してしまった。

ステイル「な、何だこれは!? ちっとも甘くない!! 君は一体なんてものを……」
790 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 01:18:42.02 ID:fpYE0AUq0

佐天「あ、あ、あぁ……」

ステイル「入ってるのは海老と、これはきのこか? もしかして、これはそういう料理―――」

佐天「うわぁ―――ッ!!」

佐天はそう叫び声を上げたまま、部屋を飛び出していった。

ステイル「あッ!? おい、ちょっと待て!!」

ステイルは慌てて追いかけようとしたが、目の前でドアは閉められてしまった。

ステイル「な、何なんだ……」

その時、ステイルの視界の端に、何かゆらりと動くものが映った。

―――ゾクッ

ステイル「ッ!?」

ステイルは背中に悪寒を感じた。

ステイルはこれまでに多くの死地を体験している。
そしてそれ故に様々な戦場の気配、例えば“殺気”を感じ取ることに長けていた。
そのステイルの勘が警告を告げる。自分の身は危険に晒されていると。
自分はどうやら、とてつもなく大きな地雷を踏んでしまったらしい。

ステイルはゆっくりと後ろを振り返った。
幽鬼のように佇む五和が、ステイルの目を真正面から捉えていた。

五和「……ステイルさん、ちょっとお話があります」

ステイル「はい……」
791 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/08(火) 01:31:16.81 ID:fpYE0AUq0
というわけで今回は以上!

「めんつゆと麦茶を間違える」っていうのは漫画みたいですが、>>1もやったことがあります。
あれはマジでびっくりするよね。みんなも夏場は気を付けて!

もう少しでこのスレも終わりですね。このペースだとあと4,5回でしょうか?
次のスレで確実に完結するとは思いますが。思えば遠くまで来たもんですね……

次回の投下予定は2月10日(木)。最近守れてない予定ですが、締切りがないと何もできない質でして。
感想、質問、>>1への励まし、「OblivionやってないでSS書けよ!」っていう叱咤もお待ちしていますよ。
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:34:27.59 ID:zY7MlScLo
ステイル、お前は良い奴だったよ・・・・・・。
ということで乙。
マジでいつも楽しみながら読んでます。
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:35:20.52 ID:zY7MlScLo
言い忘れた。
OblivionやってないでSS書けよ!
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:36:40.04 ID:EB/ucGIv0
ああ、不幸なすれ違いだ…乙です
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:41:16.21 ID:jiFNbZtwP
ステイル青春してるなーと思ったら、ただのスレ違いだったでござる
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:48:26.90 ID:Lndxb5bAO
ステイルェ……ちょっと俺と代われこの野郎
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 05:59:49.04 ID:FRx06KBd0
オブリビオン俺もやりたい
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 10:39:24.47 ID:ON0jMbT0P
オブリ好きなのかwwwwww
じゃあスカイリム出るまでに完結させないとな!
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 21:45:52.35 ID:9qRaHKAto
OblivionやってないでSS書けよ!
ステイル…
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/08(火) 22:10:09.61 ID:Me6bOflK0


俺は麦茶とお湯間違えてお茶漬けにかけたことあるよ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 01:18:17.18 ID:Kz4+NEuDO
本来うまい物でも想像と実物の味のズレが大きいほどマズく感じてしまう……正に科学だ乙
そんなステイルにはこれをやろう
つカレー味のカステラ
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 02:36:12.58 ID:U8+MIj6UP
カレー味のカステラなど生ぬるい……
カレー味のラムネを飲ませなければ
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 03:49:34.48 ID:Ff/z1ITDo
泡のなくなったビールをお茶と間違えて一気に飲んだのを思い出した
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/09(水) 09:18:51.75 ID:cjujHU7O0
これって原作だと何巻くらいの時系列なんでしょうか?
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 11:23:50.92 ID:Mtr/gG+SO
このステイルには想像力が足りなかったな
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 12:41:54.56 ID:/5FzVHYAO
カレー味のカステラだの想像力言われるとラインバレルを思い出すwwww
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 13:24:17.35 ID:hnvbloZAO
昔あんまんと肉まん間違えてびっくりしたな
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/10(木) 01:07:01.27 ID:2JQtcIJ6o
そばつゆと思って気の抜けたコーラに葱とワサビ入れて
そばをかっ込んで臨死体験したことが・・・。
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 03:21:00.26 ID:cxcl2vSDO
アンジェレネと佐天さんなら、どっちの方がスカートめくり
スキル高いんだろう?
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 19:09:22.96 ID:J1Dh2AXao
女だけの部隊の中と人がいっぱいいる街中じゃ、後者の方が成功させるのは難しいんじゃね?
周りがおんなだけだと油断しやすいだろうし
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 01:31:51.76 ID:m5gUaXEDO
佐天さんもそろそろスカートめくり禁断症状が出てくる
頃か。
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 01:47:25.99 ID:YDi781pO0
佐天さんのスカートめくりは憂い春専用な感じがする
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 02:27:58.50 ID:yRR21OE/o
禁断症状が出てステイルのマントをめくる→マント下は裸展開キボン
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 08:07:42.60 ID:TYOGjj1PP
魔術的な理由でマンとの下は裸云々
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 10:38:11.76 ID:gfchMNlc0
ステイルがトレンチコート着た変態と
同じに思えてきた
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 19:32:34.22 ID:jsTfuwzho
トレンチコートがチンコに見えた
817 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 02:12:35.40 ID:+wCi5Il60
毎度おくれてすいません。予想よりもちょっと長くなりましたが、明日(日付的にはもう今日ですが)には投下します。
ところで割とどうでも良い質問なんですけど、ステイルの好物の食べ物って何だと思いますか?
個人的にはファーストフードとかメッチャ好きそうな気がするんですけど、どうでしょう?
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 02:38:26.06 ID:/4pNs9qjo
チリソースとかかかってるヤツ
野菜は嫌いそう
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 02:57:37.36 ID:Eul59Brbo
なんとなく健康は気にしてないんだけどね、とか言いながらバランスの良い食事が好きそう
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 03:11:37.04 ID:PSybnERBP
意外と温野菜とか食べてそうなイメージがある
好物は豚の血のソーセージ
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 05:04:48.94 ID:ENJsvYn3o
ステイル「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている。だから世界で一番美味いものに決まっているだろ」
822 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/12(土) 18:51:39.69 ID:wppUkaOs0
今日の二三時頃から続きを投下します。


>>794>>795
すれ違いっていうのはこのSSの一つのテーマかも知れないなぁと言われて気付きました。
佐天さんが今後戦う理由や相手もこれが関わってくるんじゃないかなと思ったり。

>>804
一四巻の後、テッラは倒したかもな〜くらいにお考えください。
とりあえずまだ魔術サイドと科学サイドの戦争は終わっていません。

>>809
良い質問ですね(池上彰っぽく)
まず注目すべきは、およそアンジェレネの方が佐天さんより身長が低いということです。
一一巻を見る限り、この時のルチアのスカートは初春が着ている中学の制服スカートを丈が変わらないと思われるので、
身長が低いアンジェレネの方がスカートをめくりやすいと思われます。
よって佐天さんの方がアンジェレネよりスカートめくりスキルが高いという結論に至ります。

>>812
…………。
佐天「憂春ー、アイスー」ゴロゴロ
憂春「フフッ、もう佐天さんったら」
ていう想像をした。

>>812
そんな展開書きたくねぇwwww アニメのサイトのキャラクター画像を見ると、どうやらマントの下は普通のワイシャツぽかったです。

>>818-821
逆に健康に気を使ってるっていうのも面白いかもね。でもステイルは絶対自分では料理しない気がするだ。


というわけでもうしばらくお待ち下さい。
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/12(土) 19:43:30.84 ID:CL46eCgAO
ステイル剥けろ、いやもげろ、違う、爆ぜろ、‥‥‥果てろ!
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 19:54:16.37 ID:BnGTyW7AO
>>822
把握したぜ。待ってます
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 23:00:47.74 ID:auuisky2o
ステイル…弾けて混ざれ!
826 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/12(土) 23:11:20.89 ID:rSPYd/330
初の文字数一万字超えで投下しますよー
827 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:14:43.11 ID:rSPYd/330

―――日本人街、とあるアパート




佐天「五和さん、玄関の掃除終わりましたよー」

佐天がそう言いながら台所に戻ってくると、五和はフライパンを持ったまま、
ソワソワと落ち着かない様子で台所の端から端を行ったり来たりしていた。

テーブルには優に十人分は超える料理がこれでもかと並べられている。
佐天もお手伝いをしたが、どの料理も五和の力作だった。

佐天「五和さん?」

五和「は、はいッ!! げ、玄関の掃除ですね!! さっき佐天さんにお願いしたから大丈夫です!!」

佐天「だから私がして終わったんですって。五和さん、ちょっと緊張しすぎじゃないですか?」

五和「そ、そんなこと言っても……」

佐天「でも仕方ないですよね。憧れの人を家に呼ぶんですもんね」

五和「あ、憧れの人ッ!? そ、それに家に呼ぶだなんて……ッ!
 今回はたまたま、そうなっただけですし」
828 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:19:06.24 ID:rSPYd/330

佐天「でも何で急に、その、上条さんでしたっけ? ここに来ることになったんですか?」

五和「元々『必要悪の教会』の要請でこちらに呼び出されていて、
 オルソラさんがおもてなしをするはずだったんですが、予定が入ってしまったということで
 急遽私にお鉢が回ってきたわけです」

佐天「じゃあとってもラッキーな展開ってことですね。これはもうグイグイ行くしかないですよ!」

五和「ぐ、グイグイ、ですか?」

佐天「そうですよ。例えば……もういっそ告白しちゃうとか!」

五和「こここ、こく、告白ッ!? むむ、無理ですよそんなの……/// 今でもお話しするのが精一杯なのに……」

佐天「でも遠距離なんだから、直接会う機会なんて中々ないんじゃないですか?
 しかも二人っきりになれるチャンスなんですから」

五和「二人っきり? 佐天さんがいるじゃないですか?」

佐天「あたしは頃合いを見てどこかに行くつもりでしたけど」

五和「えぇ―――ッ!? そんな、二人っきりなんて無理ですよ!!」

佐天「他のみんなもそのために今日は外出してるんですよ。
 香焼君なんて特に予定もなかったから『自分は今日何して過ごせばいいんすか?』
 って嘆いてたぐらいですから」

とは言うものの、本当に全員に外出しているのかどうかは疑わしい。
とくに建宮なんかは、ひっそりどこからか様子を伺っているのではないかと佐天は睨んでいた。
829 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:21:45.92 ID:rSPYd/330

五和「で、でも……」

佐天「奥手な五和さんに告白させるのはちょっと無理があるかな。なら逆に相手の方から……。
 よしッ! もっと露出度の高い服にチェンジしましょう!」

五和「何でそうなるんですか!?」

佐天「相手をその気にさせるために決まってるじゃないですか。
 五和さんのわがままボディで相手を陥落させるんですよ。
 でも相手には何の興味も抱いていないように振舞う。
 名付けて『上条さんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!作戦』です!」

五和「ちょっと!? 脱がそうとしないでくださいッ!!」

佐天「大丈夫です。この前建宮さんと小一時間程『五和隠れ巨乳説』について
 熱い議論を交わしたあたしに死角はありません」

五和「本当に何してるんですか!?」

佐天「♪一線だって超えたいの〜」

五和「不吉な歌を歌わないでください!!」

佐天「いいから脱げッ!! 脱ぐんだ五和ァッ!!」
830 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:23:44.08 ID:rSPYd/330

五和「う……ッ! も、もう止めてくださいッ!!」

―――ブンッ!

佐天「危なッ!?」

佐天が咄嗟に頭を下げると、頭上スレスレを五和のフルスイングしたフライパンが通過した。
勢い余ったフライパンは、恐ろしいことに業務用冷蔵庫の金属製ボディにはっきりと凹みを作った。

佐天は割と真剣な表情で冷や汗を拭った。

佐天「こんなところで日頃の練習の成果が出るなんて……」

五和「ハァ、ハァ……、そ、そんな作戦は、私にはまだ、む、無理ですッ!」

佐天「アハハッ、ちょっとした冗談ですよ。
 でも少しくらい大胆に行かなくちゃいけないのは本当ですよ?
 露出度とか、そういうことじゃないですけど」

五和「大胆、大胆ですか……」

五和はそのまま『大胆』という言葉を呪文みたいに口の中でモゴモゴ呟いた。
いつもはとても頼りになる五和のあたふたする様子は、佐天には何だか可愛く思えた。
831 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:26:03.74 ID:rSPYd/330

佐天「とりあえずあたしも何とか上手くフォローするようにしますから―――」

「すいませーん。えっと、五和いるのかー?」

その時、玄関の方から若い男の声がした。
五和がビクッ! と小動物みたいに飛び上がった。

五和「来たッ!? 来ちゃいましたよ佐天さん!!」

佐天「よし、行きましょう」

二人は急ぎ足で玄関の方に向かった。

五和「い、いらっしゃいませッ!!」

佐天「こんにちは、って?」

玄関に立っているのは散々見せられたあの高校生―――ではなくて、
純白の修道服を着た銀髪の小柄な少女だった。

インデックス「やっと着いたんだよ。もうお腹が空き過ぎて、目が回りそうかも。
 いつわ、一刻も早くご飯を食べさせて欲しいんだよ」

五和「はい、もう準備できますから、すぐに食べられますよ」

インデックス「やったーッ!」

佐天「五和さん、この子はどなたなんですか?」
832 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:29:12.44 ID:rSPYd/330

五和「こちらは―――」

「おいおいインデックス、着いてそうそう食べ物を要求なんて、
 そんな盗賊みたいな真似するんじゃありません」

そう言って現れたのは、五和の部屋にざっと二十人くらいはいる写真の高校生、上条当麻だった。

インデックス「今日はいつもと違ってとっても豪華なご飯が食べられるって聞いてるんだよ。
 もう一秒だって待てる気はしないかも」

上条「悪うございましたね。いつも貧相な食事しか作ってやれませんで」

佐天「えッ!?」

上条「ん?」

佐天(お、女の子と一緒!? もしかしてこれって……)

さっきのこの男の人は「いつも食事を作っている」と言った。
つまり二人がそれだけ親密な関係だということだ。
それなのに五和がこれだけ入れ込んでいるということは―――

佐天の両手は、驚きと怒りでワナワナと震えた。

上条「天草式の人か? えっと、初めましてのになるのかな。
 知ってるかも知れないけど、俺は上条当麻って―――」

佐天「この女の敵ッ!!!」

上条「え―――ッ!? 何でいきなり!?」
833 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:31:03.49 ID:rSPYd/330

五和「ちょっと佐天さん!! 何を言ってるんですか!?」

慌てる五和の肩を、佐天はガシッと掴んだ。

佐天「五和さん、騙されちゃ駄目です!! こんな二股をかけて、
 しかも堂々と相手を連れてくるような男に惑わされちゃいけませんよ!!」

五和「ふ、二股!?」

上条「初対面の女の子にいきなり罵倒されるなんて、不幸だ……」

インデックス「事情はよくわからないけど、とうまが女の敵っていうのは間違いじゃないかも」

上条「何でお前はそこで同意するんだよ!!」

佐天「そ、そこに直れ!! 五和さん直伝の技で正義の鉄槌を……!!」

五和「佐天さん落ち着いてください!!」




………………………………

………………

………




佐天「本当に、すいませんでした……」

もう何度目か分からないが、佐天は上条に頭を下げた。
834 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:35:32.15 ID:rSPYd/330

上条「いや、いいって。無事に誤解も解けたんだしさ」

インデックス「どれもそれもあれもこれも! ここにあるもの全部美味しいかも!!」

五和「沢山あるので遠慮せずに召し上がってくださいね」

インデックス「勿論なんだよ! こと食卓においては『遠慮』という言葉は私の辞書にはないんだよ!」

上条「せめて『満腹』という言葉くらいは書き込んでおいてくれよ……」

順調に、とは行かなかったが、ともあれ四人はテーブルに付いた。
インデックスの前に置かれた料理だけ高速で真っ白な皿だけになる様子を、
佐天はやや呆然として眺めていたが、これが彼女のいつもの姿らしく他の二人は何も気に留めていなようだった。

上条「それにしても二股なんて、上条さんにはそんな甲斐性はありませんよ。
 そもそもインデックスは居候のくせに、家事はやらないし何の役にも……」

インデックス「ほうふぁ、はんはひっは?(とうま、何か言った?)」

口一杯にチキン南蛮を頬張りながら、インデックスは上条をギロリと睨んだ。

上条「……うん、でも日々の癒しにはなるかな。観葉植物的な。
 それに五和と付き合ってるなんてあり得ないし」

五和「ッ!!!」

胸に深々と短剣でも突き刺されたように、五和はテーブルに突っ伏した。
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 23:41:50.31 ID:2gSmld3Qo
ちょっwwwww上条さんひでぇwwwwwwww
836 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:42:08.48 ID:rSPYd/330

五和「そ、そうですよね……私なんかとそんな関係にあるってことになったら、迷惑ですよね……」

上条「い、いやそういうことじゃなくて、五和みたいな素敵な女の子と俺が釣り合うわけがないし、
 俺には勿体無いっていうか……ッ!」

五和「す、素敵……///」

佐天(スゴイ飴と鞭を見た……)

佐天がそんな感想を抱いていると、上条は佐天の方に向き直った。

上条「それで、佐天さん、だっけ? 佐天さんも五和と同じ天草式なんだよな?」

五和「いえ、佐天さんは元は学園都市の学生で、今はこっちで魔術を学んでいるんです」

上条「学園都市の!? 何でまた?」

佐天「アハハ……ッ、ちょっと事情がありまして」

上条は問い掛けを、佐天は笑って誤魔化した。

五和「佐天さんはステイルさんから魔術を教わってるんですよ」

上条「ステイルが? あいつが人にものを教えてるなんて、ちょっと想像できねぇな」
837 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:49:50.10 ID:rSPYd/330

佐天「ステイル君を知ってるんですか?」

上条「あいつには魔術関係のごたごたに散々付き合わされてるからな」

佐天「へぇー、何か大変そうですね」

上条「持って生まれた不幸体質のせいだな。で、ステイルはどんな感じで教えてるんだ?
 やっぱ超スパルタで厳しかったり」

佐天「スパルタって程じゃないですけど、厳しいことは厳しいです。それに……」

上条「それに?」

佐天「い、いえ、何でもありません」

この前の件については、五和に“軽い”お説教を受けたらしいステイルに謝られたが、以前状況は変わらないままだ。
むしろあの件をお互いが気にして、少し気不味くなってさえいる。

佐天は暗くなった気分を吹き飛ばすように、目の前のたこのやわらか煮に齧り付いた。



五和「私、食後のお茶を淹れてきますね」

インデックスを除く三人の食事が粗方終わると、五和はそう言って立ち上がった。
838 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:51:44.68 ID:rSPYd/330

上条「俺も何か手伝おうか?」

五和「えッ!? いえ、お手伝いなんて……」

上条「でもこんなにご馳走してもらったんだから、何かしないと悪いしさ」

佐天はそれを見て、態とらしく手を叩いた。

佐天「そうだ、上条さんには食器洗うのを手伝ってもらったらいいんじゃないですか?
 あッ、でも台所の勝手が分からないかも知れませんね。
 お茶の方はあたしがやるので、五和さんは上条さんと一緒に食器の方をお願いします」

五和「ちょ、ちょっと佐天さん! 少し強引すぎませんか?」ヒソヒソ

佐天「言ったじゃないですか。五和さんには大胆さが必要だって」ヒソヒソ

五和「でも……」

二人のヒソヒソ話を気にすることもなく、上条は椅子から立ち上がった。

上条「よし、それじゃあそうしますか。つーかインデックス、お前も何か手伝えよ」

インデックス「今はちょっと無理かも。私にはまだ沖縄が生んだ保存食、
 豚の塩漬けスーチカーに挑むという使命が残されてるんだよ」
839 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:55:44.61 ID:rSPYd/330

上条「はいはい。そのまま豚にならないように注意しろよ」

インデックス「なるわけないんだよ。ぶーぶー」

上条は台所の流しに向かった。その後を五和がおっかなびっくり着いて行った。
佐天は手早くお茶の準備を済ますと、テーブルに戻った。

佐天「インデックスさんもお茶飲みます?」

インデックス「“さん”はいらないかも。インデックスでいいんだよ」

佐天は湯のみに二人分お茶を注ぐと、脂の乗った豚肉に齧り付いたままのインデックスに湯のみを差し出した。

佐天「はい、どうぞ」

インデックス「ありがとうなんだよ」

インデックスは豚肉と格闘する手を休めた。
ズズーと二人がお茶を啜る平和な音が響いた。

佐天「そう言えば、さっき『魔道図書館』がどうとか言ってたけど、あれってなんなの?」

インデックス「私は十万三千冊の魔道書をすべて頭の中に記憶しているんだよ。
 つまり『魔道図書館』とはこの私そのものなんだよ」

エッへン! とインデックスは得意げに胸を張った。
840 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/12(土) 23:58:20.23 ID:rSPYd/330

佐天「魔道書って確か魔術の教科書、みたいなものだっけ?」

インデックス「正確には異世界の法則である魔術の使用方法を記したもの、かも」

佐天「それじゃあ魔術にすっごく詳しいってこと?」

インデックス「私には魔力がないから魔術を使うことはできないけど、知識だけなら誰にも負けないんだよ。
 今回ロンドンに来たのだって、魔道書関連の事件で知識を提供するために呼ばれたんだから」

佐天「おおぉ! 何か専門家っぽくてカッコイイ!」

インデックス「……久しぶりに真正面から褒められた気がするんだよ。嬉しい半面ちょっと複雑かも」

佐天「そっか、そうなんだ……」

佐天は何か考えるように、下を向いた。

インデックス「ん? どうしたの?」

佐天「その、一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

インデックス「一つと言わず二つでも三つでもドンと来いなんだよ!」
841 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:03:29.25 ID:yL6ZFKOV0

佐天「えっと、魔術って色んなものがあるよね? 遠くにいる人と会話したり、傷を治したり。
 色んな種類の魔術がある中で、人によって向き不向きってあるのかな?」

インデックス「具体的にはどういう魔術?」

佐天「攻撃系の魔術、とか……」

インデックスは「うーん……」と言ってしばらく悩んで、

インデックス「少し説明するのが難しい質問だね。変な答えになるけど、
 『向き不向きはあるけど、魔術師にはない』っていうのが正解かも」

佐天「何それ? どういうこと?」

インデックス「物凄く単純化した話をするね。
 攻撃系の魔術って言っても色々あって、例えば儀式場を使うものや霊装を使うものもあるよね。
 儀式場を作る場合、設置するアイテムの位置が少しでもズレると魔術的意味が失われて失敗してしまう。
 だからこの作業には物凄く集中力や根気強さが必要なんだよ」

佐天「つまり、短気ですぐに飽きちゃうような人には向かないってこと?」

魔術の発動の仕方の一つとして、儀式場についてはステイルからすでに教わっていた。
しかし方位や配置するアイテムの魔術的役割を厳密に設定しなくてならないという話は、
聞いているだけで頭が痛くなりそうだった。
842 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:08:48.61 ID:yL6ZFKOV0

インデックス「そういうこと。次に霊装を使った魔術の場合、
 儀式場と違って一から魔術的記号を配置する必要はないんだよ。

 でも魔術を発動させるためには、できるだけ素早く術式を構成する必要があるんだよ。
 簡単な攻撃魔術を発動させるのに、何分も掛かってたら役に立たないからね」

佐天「ということはいつもおっとりしてるようなのんびり屋さんには向かないわけだ」

料理の練習中、アニェーゼが蓮の杖(ロータスワンド)の遠隔操作で一度に卵を割ろうとしたことがあり、
一パックまるごとぐちゃぐちゃにしてしまったので、アニェーゼは五和にこっぴどく怒られていた。

インデックスの話を聞く限り、短気なアニェーゼの性格にあの霊装は合っているのかも知れない。

インデックス「さっき言った向き不向きがこれなんだよ。でもこれはそこまで重要なことじゃないんだよ。
 儀式場を作るのが苦手だったら、同じ効果が得られる魔術を霊装を使って再現すればいいだけ。
 むしろこういう『自分にできないことをできるようにする』って姿勢は、本来の魔術師らしいものなんだよ」

佐天「だから『向き不向きはあるけど、魔術師にはない』んだ」

インデックス「そういうことなんだよ」

佐天「それじゃあ、どうしてなのかな……」
843 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:15:32.72 ID:yL6ZFKOV0

才能の無さや弱点を克服する。それが『魔術師』。

なら何故ステイルは自分に攻撃魔術を教えてくれないのだろう。
ステイルは何を躊躇っているのだろう?

インデックス「まだ悩み事があるのかな?」

佐天「うん……。ステイル君がね、攻撃魔術を教えてくれないんだ。
 『君にはまだ早い』っていつも言われるんだけど、
 あたしにはステイル君が教えるのを嫌がってるみたいに思えてさ」

インデックス「……私には、ステイルの気持ち何となく分かるんだよ」

インデックスは揺らぐ湯のみの水面を眺めた後、静かにそう言った。

佐天「どういうこと?」

インデックス「るいこは『必要悪の教会』の一員なんだよね?」

佐天「まだ見習いって感じだけど、一応」

インデックス「『必要悪の教会』はね、対魔術師専門の実力組織で結構権力もあるところなんだけど、
 やってることは普通の組織が嫌うような“汚れ仕事”なんだよ」

佐天「汚れ仕事……」

佐天の目の前に立つステイルは、いつも泰然としている。
いつも自分に皮肉を言い、甘くはなく、でもいつも気遣ってくれているのを、佐天は知っている。
そんなステイルも、自分の知らないところで辛い任務に苦悩していたりするのだろうか。
844 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:19:46.25 ID:yL6ZFKOV0

インデックス「だから危険なことも沢山あるんだよ。それに汚れ仕事を引き受ける以上、
 色んな人から恨みを買うこともあるかもね。それが『必要悪の教会』なんだよ」

佐天「でも……あたしだってそんなことくらい分かってるよ」

インデックス「ううん。どんなに言葉で理解してても、現実とは違うんだよ。
 るいこがこのまま『必要悪の教会』の、しかも攻撃魔術を使うような前線に立てば、
 きっと目を背けたくなるような辛いこともあると思うんだよ。

 ステイルは、るいこにそんな世界に関わってほしくないって思ってるんじゃないかな?」

佐天「あたしは……」

時折首をもたげる疑念―――自分は本当にここにいていいのだろうか?
それでも、と佐天は自分に言い聞かせる。

佐天「力がほしい。誰かを守れるような力が。そのために、ここまで来たんだから」

誰かを守るために、誰か―――学園都市の初春や御坂、白井から距離を置いたという矛盾。
それは分かっているが、行動しなければ自分は変わらないと思ったのも事実だ。

佐天「インデックス、あたしどうすればいいのかな?
 どうすればステイル君はあたしの気持ちを理解してくれると思う?」

インデックス「簡単なことなんだよ。るいこの想いを、ステイルにそのまま伝えればいいだよ。
 それでその想いを分かってもらえばいいんだよ」
845 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:22:30.32 ID:yL6ZFKOV0

佐天「いや、だからそれが難しいわけで……」

インデックス「るいこ、想いを直接伝えることから逃げちゃだめなんだよ。
 そうしないとお互いの気持ちはすれ違ったままなんだよ。
 想いを伝えることは一番簡単だけど一番難しくて、でも一番正しいことなんだからね」

そう言って、インデックスは佐天に向かって微笑んだ。
素朴で、何の飾り気もないそれは、佐天にはとても美しく見えた。

佐天「……分かった。あたし、頑張ってみる。
 それでも通じなかった時のことを考えると、ちょっと怖いけど」

インデックスはそっと目を閉じ、呟くように言った。

インデックス「……『恐れるな。わたしはあなたとともにある。
 たじろぐな。わたしがあなたの神だから』」

佐天「『わたしはあなたを強め、救いの右の手であなたを助ける』……。
 確か『イザヤ書』の、えっと……」

インデックス「第四十一章十節。よく知ってたね。るいこは勉強熱心なんだよ」

佐天「素敵な言葉だなって思ってたから、たまたま覚えてただけだよ。
 うん、元気でてきた。ありがとう、インデックス」

インデックス「どういたしまして、なんだよ」
846 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:24:14.85 ID:yL6ZFKOV0

佐天は改めて、この不思議な少女を見た。

佐天「でも何かインデックスってシスターさんみたいだね」

インデックス「『みたい』じゃなくてシスターなんだよ!! 今までるいこは私のことを何だと思ってたの!!」

佐天「いやー、よく食べる変なコスプレした子だなぁとしか」

インデックス「ムキーッ!! 敬虔な神の僕である私への侮辱なんだよ!!」

佐天「冗談冗談。本当にありがとうね、インデックス」

インデックス「うん! 頑張るんだよ、るいこ」

上条「事情はすべて聞かせてもらった!!」

佐天    「ッ!?」
インデックス「ッ!?」

突然、二人の背後で上条が高らかに声を上げた。

インデックス「いきなり大声出さないでほしいんだよ!! ビックリしたんだよ!!」
847 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:25:35.87 ID:yL6ZFKOV0

上条「す、すまん。このSSは上条さんの出番少ないから目立たなきゃいけないと思って」

インデックス「メタな発言と乙女の会話を盗み聞きするのはとってもマナー違反かも!!」

上条「盗み聞き? 五和から佐天さんの事情を聞いただけなんだけど。例の茶碗蒸しの件とか」

佐天「えッ!? ちょっと五和さん!!」

五和「すいません。つい……」

そう言って五和は、申し訳なさそうに流し方から顔出した。

上条「要するにこの前の失敗はステイルのことを何も調べてなかったのが原因なんだろ?
 だったら事前に食べ物の好みとか聞いておけば何の問題もないはずだ」

佐天「いや、もうそういうのは……」

五和「でも一体どうやってそれを聞き出すんですか?」

上条「フッ。そこで俺の出番だろ」

佐天    「?」
五和    「?」
インデックス「?」
848 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:28:35.86 ID:yL6ZFKOV0

―――『必要悪の教会』関連施設




ステイルは自分が今取り掛かっている任務の資料を机の上に並べ、
その一つに熱心に目を通していた。

それを少し遠くから観察する三つの影があった。

佐天「それで結局上条さんはどうするつもりなんでしょう?」

五和「上手く聞き出すって仰ってましたけど」

インデックス「『任せろ、演技力には自信があるんだ』とも言ってたんだよ」

佐天「上手いこと話を持って行って、好きな食べ物の話にするのかな?」

インデックス「でも相当上手くやらないと、いきなり現れて好きな食べ物を聞くなんて
 不自然極まりないんだよ」

五和「とりあえず今は上条さんのことを信じましょう。
 あッ、ステイルさんの方に向かって行くみたいですよ」

三人が見守る中、上条は堂々とした足取りで、ステイルのもとに向かって歩いて行った。
849 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:31:48.24 ID:yL6ZFKOV0

遠くから二人の様子を見守る佐天は、少し不安そうに言った。

佐天「……何か、ちょっと変じゃない?」

インデックス「で、でもあれだけ自信たっぷりに言ってたんだから、きっと何か作戦があるんだよ」

五和(さすが上条さん、頼りになります……)

若干一名ポーッとして話を聞いていない中、向こうにいる二人は話を続ける。



ステイル「で、何か用でもあるのかい?」

上条「いや、たまたまだよ。ホントに奇遇だよな、正に奇遇、アハハッ」

ステイル「君はいつもおかしいけど、今日は輪を掛けておかしいな。
 何か変なものでも食べたのかい?」

上条「失礼な。上条さんはいつも通りですよ。いつも通り過ぎて、逆に不自然なくらいだぜ」

ステイル「いや、意味が分からない……。本当にどうかしたのか?」

上条「どうかしてな―――いや、どうかした!」

ステイル「ッ!?」ビクッ!
850 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:34:47.85 ID:yL6ZFKOV0

上条「もう歩き過ぎて脚がパンパンだよ。マジで疲れちまったな。
 これはすぐにでも座らないと脚が二度と動かなくなるわ。それじゃあちょっと失礼して……」

そう言って上条は椅子に座った。ステイルのすぐ横の椅子に。

ステイル「はぁ……。ていうかなぜそんな近くに」



佐天「……大丈夫なんだよね、これ?」

インデックス「う、うん。大丈夫なんだよ。たぶん、きっと……」

五和(上条さん……///)ポーッ



ステイルは何故か接近戦を挑んできた上条を気にすることなく、資料の続きに目を落とした。

上条「ゴホンッ! ゴホッゴホッ! うん!」

ステイルがペラペラと資料を捲る音を、上条の態とらしい咳払いがかき消した。
851 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:36:57.94 ID:yL6ZFKOV0

上条「えっと、ステイル?」

ステイル「は? 何だい?」

上条「あー……、ステイル?」

ステイル「いや、だから……」

上条「…………」

ステイル「…………」

ステイルは苛立たし気に手に持った資料を机に置き、上条に向かい合った。

上条「うーん………………………………………………ステイル?」

ステイル「だからさっきからなんなんだよ!! 君は壊れたおもちゃか!!」



佐天「……あれ、駄目じゃない?」

インデックス「……うん、駄目なんだよ。不自然を通り越して、挙動不審なんだよ」

五和「き、きっとこれも作戦の一部ですよ! 上条さんに何か考えがあって……」

佐天「五和さん、現実を直視しましょう」
852 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:39:22.36 ID:yL6ZFKOV0

上条「いやあ、ちょっと面白い話があってさ」

ステイル「面白い話?」

上条「土御門の奴がさ、義妹の誕生日に好きなものご馳走してやるって言ったんだ。
 そしたら土御門の義妹は学園都市で評判のぶどうが食べたいって答えたんだとさ」

ステイル「まったく興味はないが社交辞令として聞いてやる。それで?」

上条「それを聞いて土御門はその評判のぶどうを調べたんだけど、どこにもそんなものはない。
 困った土御門はとりあえず学園都市の外から高級ぶどうを取り寄せたんだ。
 でも誕生日当日、ぶどうを見て義妹は大激怒したんだ」

ステイル「自分から言ったのに、不思議ではあるな」

上条「だろ? しかしこれがよく聞いてみると、自分が食べたかったのは『ぶどう』じゃなくて、
 『うどん』だって言うんだ。土御門の奴、『うどん』と『ぶどう』を聞き間違えたんだよ。
 おかしよな、まったく! アハハッ!」

ステイル「はぁ……」

佐天「…………」

インデックス「…………」

上条「……ところでお前の好きな食べ物って、何?」

佐天    (下手だぁぁ―――ッ!!!)
インデックス(下手だぁぁ―――ッ!!!)
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 00:39:41.95 ID:ixErYEXGo
ちょっ上条さんだめすぐるwwwww
ダメ条さんかwwwwwwww
854 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:45:22.27 ID:yL6ZFKOV0

佐天「何あれ!? もう下手ってレベルじゃないよ!! ていうかあの小咄みたいなの何?
 意味分かんないしッ!!」

インデックス「見てて恥ずかしかったんだよ。途中から止めに入りたかったんだよ……」

五和「で、でもお話は結構面白かったですし、それなりに上手い話題の方向転換だったんじゃないでしょうか?」

佐天「全然上手く方向転換できてないでしょ!? ガードレールにガリガリぶつかってましたよ!!」



少し離れた柱の向こう、騒がしい話し声が聞こえる方を見ながら、ステイルは溜息を吐いた。

ステイル「……フライドポテトだよ」

上条「フライドポテト? フライドポテトってあのハンバーガーと一緒に出てくる?
 お前、好物がフライドポテトって」

ステイル「何だよ。悪いのか?」

上条「いや、別に悪くはないけど。好物がファーストフードかよ」

ステイル「別にいいだろ。好きなんだから」



佐天「フライドポテト? うーん……何て言うか斜め上だなぁ。まあステイル君らしいけど」
855 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:48:30.20 ID:yL6ZFKOV0

五和「フライドポテトならおうちでも簡単に作れますよ。
 ハーブや香辛料をフレイバーとして用意すれば、色んな味が楽しめますし」

佐天「へぇー、何だか面白そうですね」

インデックス「すっごく美味しそうなんだよ!! いつわ、帰ったら作って欲しいかも!!」

五和「いいですよ。試しに作ってみましょうか」

インデックス「やったーなんだよ!! とうまの不自然トークもちょっとは役に立ったんだよ」

「皆さん、こんなところで何をしているんですか?」

突然、三人の後ろから声が聞こえた。
ギクッとした三人が振り返ると、そこにはルチアが不審そうな表情で立っていた。

佐天「いやあ、そのアハ、アハハッ……」

五和「えっと、あー、うー……」

インデックス「あ、歩き過ぎて脚がパンパンなんだよ!! 一刻も早く家に帰りたいかも!!」

ルチア「はぁ?」

佐天「そ、それじゃあ!!」

言うが早いか、三人は困惑しているルチアをよそに、全速力でその場を後にした。
856 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:50:34.26 ID:yL6ZFKOV0

ステイル「まったく困ったもんだ……」

上条「お前がいらない不安を与えてるからだろ。自業自得ってやつだよ」

走り去る三人の後ろ姿を眺めながらステイルが呟くと、上条は咎めるようにそう言った。

ステイル「君は全部知っててあんな三文芝居を打ったのか?」

上条「さあな。でも佐天さんだけじゃなくて、お前のことも心配ではあったな」

ステイル「余計なお世話だね」

ステイルは無意識に胸にしまった煙草の箱を探る。
しかしこの建物が禁煙だったことに気付き、疲れた表情でその手を額に当てた。

ステイル「一つ、聞きたいことがある」

上条「何だ?」

ステイル「喩え話だ。あるところにすごく危険な森があって、自分はそこで狩りをして生活している。
 ある時一人の何も知らない人間が、森に興味あるからどうしても入りたいと言う。
 君ならどうする?」

上条「お前、顔に似合わずそんなファンシーな話するんだな」

ステイル「いいから答えろ」
857 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:53:06.66 ID:yL6ZFKOV0

上条「それで、その森はどういう風に危険なんだ?」

ステイル「森に住む者は常に入ってくる者を食い尽くそうとしている。
 それに森のルールは残酷だ。森に入れば、その子は嫌でも辛く、血生臭い現実を見ることになる」

ステイルは天井を仰いだまま、そう言った。

残酷なルールと血生臭い現実。それはステイルが身を以て体験したことだ。
しかしそれを知ってなお、ステイルは森に分け入るのを止めないでいる。
それはそこに、明確な理由と覚悟があるからだ。

少なくとも自分には―――ステイルは自分に言い聞かすように、改めて己の戦う理由を思い浮かべる。

上条「それなら、まあ止めるだろうな」

ステイル「それでも聞かなかったら?」

上条は、しばらく押し黙った後、ぐっと握った右手をステイルの胸の前に突き出した。
ステイルは身じろぐことなく、その手を見る。

普通の手だと、ステイルは思った。

上条「守る。その子が絶対に傷つかないように―――守る」

何の変哲もない、平和な国で暮らしている高校生の手だ、ステイルは改めてそう思う。
しかしその手は自分を、そして多くの強力な魔術師たちを打ち倒してきた右手だ。
その握った手は、確かにこの男の「守る」という言葉を実現してきたのだ。
858 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 00:54:24.97 ID:yL6ZFKOV0

ステイル「……簡単に言ってくれるな」

そう言ってステイルは椅子から立ち上がった。
机の上に散らばった資料を手早くかき集めると、椅子に座ったままの上条を見下ろした。

ステイル「それじゃあ僕は失礼するよ。好きなだけ脚を休ませているんだね」

上条「ああ。そうさせてもらうぜ」

ステイルは上条を見たまま、しばし押し黙った。

ステイル「……参考になった」

上条「ああ、そうかよ」

上条は苦笑しながら、そう言った。
上条の返事を聞き流すように、ステイルはその場から歩き去っていった。
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 00:56:00.65 ID:ixErYEXGo
佐天さんの事か
860 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/13(日) 01:04:24.47 ID:yL6ZFKOV0
というわけで今回は以上!

ステイルの好物を聞いた割にはいいのが思い付きませんでした。
あとうっかりステイルが「フライドポテト」と言っていますが、「フレンチフライ」かイギリスなので「チップス」が正解ですね。
ステイルが上条さんに和製英語で合わせてくれた、ということで。

今回の投下分はこのSSを書き始めた時から考えていた部分なので、書いていて少し感慨深かったです。

SS内でも上条さんがメタな発言をしていますが、上条さんやインデックスがあまり活躍すると、
このSSで起こる問題が解決してしまうので、二人の役割は限定的です。
その分佐天さんとステイルには頑張って欲しいですね。

次回の投下予定日は二月十六日(水)。次回でこの話のまとまりは終わりです。
その次からはおまけの番外編を挟んで、やっと戦いに突入します。ホント長かったわ……。
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 01:12:49.32 ID:avtJq7WFo
乙ー
まぁ間寛平の気分で、無理せず時間かけつつ完走しようや
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 01:17:07.12 ID:ixErYEXGo
乙でした〜
おやすみ〜
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 01:35:20.15 ID:Hl8R+gKuP
Fish&Chipsですね。わかります。

乙でした。
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 04:30:55.20 ID:mYxH/NAto
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 12:00:33.59 ID:lxoishlW0


いい投下ペースだな
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/13(日) 14:18:42.10 ID:CE+Kuvg30
上条さんは
親・親戚・クラスメイト・担任・御坂・インデックス
に、記憶喪失がバレなかった演技派だから期待してたけど、そんな事なかったぜ!

と、思ったらステイルが3人が陰で見てる事を知ってる前提だったのか。
やるなぁ。
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 14:48:59.46 ID:Txobu87DO
>>821
ようやく思い出した
元ネタは、Q.E.D.だよな?
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 17:53:52.46 ID:4aCtUdiy0
ガードレールにガリガリぶつかっているってレベルじゃねぇ…!
ガードレールの足が折れて軽く車が飛び出して止まってほかの車に牽引してもらっているレベルだ…!
869 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/16(水) 19:00:02.98 ID:dFYBIVrs0
フレンダァァァ!! フレンダなのかぁぁぁ!?

久しぶりに予告通り、今日の二三時から投下を開始します。
今回はちょっと短めになってしまいました。

自分から話を振っておいてなんですが、新刊の発売が近づいてきましたが、
発売直後はネタバレになるようなことは極力書き込まないようにしましょう。
まあこれは他のスレでも言えることだと思いますが。

というか>>1が発売直後に読めるとは限らないので、
ネタバレとかされたら怒りの余り『自動書記(ヨハネのペン)』モードに突入し、
このSSは中華一番!的な料理対決SSになるよ!
そっちのほうが面白そうとか言うな!!

というわけでもうしばらくお待ち下さい。



870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 19:16:23.32 ID:Km6lb5zIO
しばらく新約をNGワードに入れておこうかな
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 19:16:52.53 ID:iOhuBC270
半裸待機
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 20:00:31.58 ID:PhNyhiJDP
ステイルが料理するなら、ちょっと見てみたいかも
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 20:01:37.20 ID:dwQ1BLhDO
禁書世界で死亡したのは木原くンとかテッ/ラみたいな
極悪人ばっかりだったからフレンダ死亡は少し違和感
あったんだよね。駒場さん?惜しい人を亡くしたモンだ・・・
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 21:11:04.00 ID:ZxfzEvmH0
成程、五和が作ったフライドポテトをインデックスさんが食べた瞬間
顔が濃ゆくなって「ふ…ふまいんだよ…」とか涙を前に飛ばすんだなリアクションとして
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 21:31:44.21 ID:puDPaaudo
>>874
バックが宇宙になったりか
超見てみたいって訳よ
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 21:33:07.62 ID:4jEZnxnNo
>>873
妹達って知ってるか?
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 21:58:38.76 ID:k1vk57QT0
>>869
黙っとくから次回作は「とある中華の味勝負」な
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 22:05:57.61 ID:PhNyhiJDP
イノケンティウスさんは何回死んだんだろう?
879 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/17(木) 00:21:45.13 ID:qt7Moy2A0
……意外と料理対決SSは面白いかも。誰か総合とかに書いてください。

というわけで投下するよー。
880 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:23:51.23 ID:qt7Moy2A0

―――『必要悪の教会』関連施設




―――コンコン

ドアがノックされる音を聞き、ステイルは目を通していた資料から顔を上げた。

ステイル「はい」

ドアを僅かに開け、そこから顔を覗かせたのは佐天だった。

佐天「ステイル君、今時間ある?」

ステイル「ああ、ちょうど今休憩しようとしてたところだよ」

佐天「そっか。それなら良かった。じゃあ……」

そう言って佐天は部屋に入ると、小さめのランチボックスをステイルの目の前に置いた。

佐天「ん」

ステイル「…………」

佐天「そんな警戒されるとちょっと傷つくんだけど」
881 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:27:32.28 ID:qt7Moy2A0

ステイル「前科があるんだ。それは警戒するよ」

佐天「前科って、あたしとステイル君、どっちが?」

ステイル「ノーコメントだ」

佐天「ふん。これを見てもそんなことが言えるかな?」

佐天はランチボックスの蓋を開けた。中にあったのはフライドポテトだった。
その隅には小分けされたソースや味付けパウダーが入っていた。

ステイルは先程よりもさらにじっとランチボックスに入っている“それ”を凝視する。

ステイル「……さつまいもに砂糖をまぶした甘い菓子だという可能性は?」

佐天「ゼロだよ!! ていうかそれは失礼じゃない!!」

ステイル「色んな意味で恐ろしいんだ。仕方ないだろ」

佐天「もう、そんなこと言ってないで食べてみてよ。ほらッ!」

佐天はそう言いながらフライドポテトを一つ掴み、ステイルの口元に持って行こうとした。
グイグイ口の中に入れようとするそれを、ステイルは必死に腕で抑えた。

ステイル「ちょ、そのくらい自分で食べられる!」
882 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:30:01.88 ID:qt7Moy2A0

佐天「そう言いながら全然食べようとしてなかったじゃん」

ステイル「いいからその無理に食べさせようとするのを止めろ!」

佐天「何? もしかして、恥ずかしがってるの?」

佐天がニヤニヤしながら言うと、ステイルは不機嫌そうな顔で、佐天が持つフライドポテトを素早く掴んだ。

ステイル「恥ずかしがってない! 食べればいいんだろ、食べれば」

そして緑色のソースにフライドポテトを浸し、それを口に運んだ。
佐天はステイルが咀嚼する様子を、少し強張った表情で見つめていた。

佐天「どう……?」

ステイルは軽く口元を拭うと、

ステイル「六十点だな」

佐天「はぁ!? ちょ、ちょっと点数低くない! もしかして、あんまり美味しくなかった……?」

ステイル「僕はもっと不健康な感じで油っぽいのが好きなんだ」

佐天「何それ、趣味悪ぅ……」

ステイル「いいだろ、別に僕の好き嫌いなんて」
883 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:31:36.78 ID:qt7Moy2A0

ステイルはそう言いながら、フライドポテトに手を伸ばし、それを口に入れた。

ステイル「でも……」

佐天「ん?」

ステイル「このバジルソースの味付けは嫌いじゃないし、色んな味が試せるっていうのは面白い。
 フライドポテトとは違うが、これはこういう食べ物としてみれば……」

佐天「みれば?」

ステイル「……まあ、食べられなくはないな」

佐天「それだけ?」

ステイル「不味くはない」

佐天「もう一声!」

ステイル「………………美味いよ」

佐天は飛び上がらんばかりに、いや実際にはもうその場で嬉しそうにジャンプして両手を掲げた。

佐天「やったーッ!! 『美味い』頂きました!!」
884 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:34:59.15 ID:qt7Moy2A0

ステイル「そんなに喜ぶようなことか?」

佐天「喜ぶことだよ。ステイル君そんな風にはっきり褒めたりしないじゃん」

ステイル「そんなことはないと思うが」

佐天「そんなことはあります。ステイル君が言ったことはちゃんと覚えてるんだから」

ステイル「一々僕の言ったことを覚えてるなんて、君はえらく僕のことを見ているんだね」

佐天「なッ……/// そういうことじゃなくてッ!!」

ステイル「はぁ? じゅあどういうことなんだ?」

佐天「いや、その……ッ! ああ、もうこの話は終わりッ!!
 とりあえずステイル君に美味しいって言ってもらえて良かったよ」

ステイル「そうか。それは何より」

佐天「うん、良かった」

佐天はそう言って頷いた。

ステイル「……それで、僕に何か言いたいことがあるんじゃないか」

佐天「うん。ある」

すぅと深呼吸する。息を吐く時、その吐息が震えるのを、佐天は感じた。
885 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:42:12.19 ID:qt7Moy2A0

佐天「何度も言ったことだけど、もう一回言うね。あたしに戦う力を、攻撃魔術を教えてほしいです」

ステイル「前にもこんな会話があったな。学園都市で、魔術を教えてほしいと言ったことが。
 でも今回はあの時とは違う。君だって分かってるんだろ?」

佐天「分かってるよ」

ステイル「戦う術を覚えるということは、戦いの場に身を置くということだ。
 危険が伴うのは勿論だが、戦場は時として君に非情と理不尽を強いる。
 君は間違いなく世の中の裏側にある、そんな過酷さに絶望するだろう」

佐天「それはステイル君の体験談?」

ステイル「……ああ、そうだ」

ステイルは暫し目を閉じて、そう答えた。

ステイルが如何に“天才”と評価されようが、どれだけ“最強”を名乗ろうが、
この世界の残酷さは、ステイルを逃そうとしなかった。

それは避けられぬこの世界の掟であることを、ステイルはすでに学んでいる。

ステイル「別に攻撃だけが魔術じゃない。それ以外にも人の役に立てる魔術は数多くある。
 『必要悪の教会』にいるからと言って、戦う術を絶対に覚えなくてはいけないということはないんだ。
 そういう選択だって、君はできる」

ステイル「それでもなお、君はそんな戦場に身を置きたいと言うのか?
 心を殺して、命じられるままに人を傷つけ、恨まれ、疎まれる覚悟があるのか?」

ステイルは目の前に立つ、どこにでもいそうな一人の少女を、射るような鋭い眼差しで見つめた。
886 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:46:06.18 ID:qt7Moy2A0

佐天は思い出す。そもそもなぜ自分は魔術などというよく知りもしない力を得ようと思ったかを。

佐天もステイルと同じように、真っ直ぐその目を見返した。

佐天「……あたしが魔術を教えてほしいって考えた理由って、きっと劣等感だと思うんだ。
 何の力もない自分は嫌だ、役立たずとか言われたくない……。今でもそれは変わらないと思う」

佐天「でも、そんなあたしでも、守りたいと思う人がいる。
 学園都市にいる大切な人達、それにこっちに来てできた大切な人達も。

 守られるだけじゃなくて、あたしも人を守れるようになりたい。
 そのための覚悟なら、あたしにはあるよ」

ステイル「自分の大切なものを守るために、自分が傷付くのを厭わないと?」

佐天「そういう訳じゃないよ。周りの人は絶対傷付けさせないし、あたしもなるべく傷付かない。
 それで戦う相手も必要じゃないなら傷付けない。

 どんなに戦いの世界がステイル君の言うように残酷だったとしても、
 きっとあたしがものすっっっごく強くなれば、そんなこともできると思うんだ」

佐天はそう言って、大げさに胸を張った。
ステイルの心配を跳ね除けるように。自分自身を鼓舞するように。

ステイルは、はぁと、この少女と出会ってからもう何度目か分からない大きな溜息を吐いた。

ステイル「馬鹿だ……。余りに子供っぽすぎる甘い考えだよ」
887 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:54:25.78 ID:qt7Moy2A0

佐天「馬鹿とは失礼な。これでも結構真剣に考えたんだよ」

ステイル「君は余りにこの世界の厳しさを知らなすぎる。だからそんな甘いことが言えるんだ。
 でも……」

“最強”の魔術師になってやろうと思った時、自分ならどこまでも強く、
そして目に映る人は誰でも救えるようになると、一心に信じていた。

昔の自分も、この目の前に立つ、何処にでもいそうな普通の、
世話焼きで欝陶しく、人の言うことを聞かない強情な少女と同じくらい愚かに見えたのだろうか。

そう思うととてつもなく過去の自分が恨めしく、
それと同時に彼女がどのくらい真剣にその言葉を口にしたか、痛いくらいによく分かった。

ステイル「その甘さでどこまで行けるか、僕が見届けてやる」

佐天「ってことは……ッ!」

ステイル「その代わり、僕の授業は今までの三倍はハードになると思ったほうがいい。
 攻撃系の魔術は僕の専門領域だ。今まで以上に容赦なくいくから、そのつもりで」

佐天「さ、三倍ッ!? ちょっとそれはいくらなんでも……ッ!」
888 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:55:51.23 ID:qt7Moy2A0

ステイル「君の言う覚悟、じっくりと拝見させてもらうよ。僕は君の覚悟を信じると決めたんだから」

佐天「そ、そんなぁぁ……」

佐天が情けない嘆きの声を上げるのを横目で見ながら、
ステイルは残ったフライドポテトをまとめて一掴みし、口に放り込んだ。

モサモサと咀嚼を続けるが、口の中が渇いて一向に飲み込めない。
苦しくて少し涙目になりながら、ステイルはあれから今日まで反芻し続けている言葉を、もう一度思い出す。



―――「守る。その子が絶対に傷つかないように―――守る」



ステイル(これでいいんだろ、上条当麻……)
889 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 00:57:11.90 ID:qt7Moy2A0

―――???




ローブの女「猜疑心よ」

白衣の女「は?」

白衣の女が聞き返すと、陰鬱な色合いのロープをその身に纏った女は笑うように答えた。

ローブの女「世界を動かす最大の力よ。貴女が聞いたのでしょう?」

白衣の女「確かにそうですが。しかしえらく微妙な答えですね」

ローブの女「不信、と言ってもいいかしら。つまりは疑うことね」

白衣の女「それがどう“世界を動かすこと”に繋がるのですか?」

ローブの女は手中で銀細工の筒を弄んでいる。薄暗い部屋の中で、その鈍く光る筒が嫌に目に付いた。

ローブの女「人の行いを疑うことで心に恐怖と不安が生まれ、それはどんな善なる人にも武器を取らせる。
 相互の猜疑心が生み出す人々の剣戟は、歴史の中で常に戦争という形でその姿を露にしてきた。
 今起こっている魔術サイドと科学サイドの戦争も、要はこの猜疑心のうねりの一部でしかないわ」
890 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:01:52.13 ID:qt7Moy2A0

ローブの女「あちらの人間は我々を疎んじているのではないか、攻撃をする腹積もりではないか、
 殲滅の準備を虎視眈々と進めているのではないか……。
 お互いをよく知らず、疑いと不安だけが募り、戦火は今後も増々拡大していくでしょうね」

白衣の女「余りに戦争というものを単純化しすぎている気がします。
 戦争には経済的、外交的打算が常に付き纏います。
 そこにあるのは猜疑心ではなく、損得勘定でしかありません」

そう答えると、ローブの女はさも面白いことのように、笑った。
自然な感情の起伏から外れてしまったようなこの女の笑い声が、白衣の女は未だに苦手だった。

ローブの女「確かにそうだわ。でもその打算によって行われる戦争の“敵”はどうやって決めるの?
 敵意なき親しき隣人を何の理由もなく滅ぼすことはできないわ。

 意識的にせよ無意識的にせよ、その明確な敵意を作るのは猜疑心よ。
 少なくとも、私がいた戦場ではそうだったわ」

ローブの女にしては珍しく、その声色には悲哀のような感情が滲んでいる。
白衣の女はそんな彼女の想いなど気付いていないかのように、厳かに頭を下げた。

白衣の女「次の計画が、総裁の思惑通りに進行することを心から祈っています」

ローブの女「そう、ありがとう。貴女にはいつも感謝しているわ」
891 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:04:53.90 ID:qt7Moy2A0

白衣の女「そのような言葉は不要です。
 『科学の子』の目的と私の目的は一致しておりますので」

ローブの女「しかし不思議だわ。貴女は私に猜疑を向けないのね」

白衣の女「私には『黒衣の兵』どもが何故それをしないかということのほうが疑問ですが」

ローブの女「彼らは別の猜疑を信仰しているからよ。しかし貴女は別ではなくて」

白衣の女「……私は常に打算によって動いておりますので」

そう言って、白衣の女は僅かにずり落ちそうな眼鏡を指で押し上げた。

ローブの女「フフフ……ッ。食えない人ね、貴女って」

黒衣の男「失礼致します!!」

部屋の扉が開かれ、マントのような黒い修道服を着た男が飛び込んできた。

ローブの女「あら、大きな声」

黒衣の男「も、申し訳ありません!」

ローブの女「それで、何か報告かしら?」
892 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:06:48.30 ID:qt7Moy2A0

黒衣の男「はい、以前仰っておられた結社構成員の増員の件なのですが……」

ローブの女「順調ではないと?」

ローブの女の声に、黒衣の男は微かに肩を震わせた。
怯えているのだ、白衣の女はそう思った。

黒衣の男「は、はい。増員自体は着々と進んでいるのですが、
 総裁が仰られた期限までに予定人数に達するかどうか、やや不安なところがありまして……」

ローブの女「うーん……確かに構成員の増員に関しては貴方に一任したのだけれど、
 これは私の責任でもあるわね」

黒衣の男「い、いえッ、そんなことは! すべては私の力不足のためで……ッ!」

ローブの女「きっと貴方にも、そして魔術サイドの多くの人々にとっても、まだまだ猜疑心が足りないのね」

黒衣の男「は?」
893 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:09:03.80 ID:qt7Moy2A0

ローブの女「手を出しなさい」

黒衣の男「は、はい」

黒衣の男が右手を差し出すと、ローブの女はそれまで手の中でくるくると回していた筒の蓋を開け、
ゆっくりと傾けた。

ぽたぽた、と透明な雫が男の手の甲に垂れた。

ローブの女「ウフフフ……」

黒衣の男「あ、あ、あ、ああああぁぁぁぁぁぁ…………ッ!!」

決して大きくはない、悲痛な叫び。
何度聞いても慣れないが、ローブの女はいつもこの瞬間最も優しい笑みを浮かべることを、
白衣の女は知っている。

ローブの女「貴方の疑いも不安も、決して杞憂では終わらない。それは現実にやって来る。
 だから私は思ってしまうの。

 疑いよ、もっと深まれ、とね」
894 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:11:23.46 ID:qt7Moy2A0

―――学園都市、第七学区、とある公園




―――疑いよ、もっと深まれ

「…………さか、みさか……おい、御坂!!」

御坂「キャッ!? な、何!?」

上条「何って、お前もしかして俺の話、聞いてなかったのか?」

上条が不審そうな目で御坂を見つめた。

御坂は寝ぼけた頭を軽く振る。
さっき誰かの声が聞こえた気がしたが、気のせいだろうか。

御坂「ごめん、ちょっとボーっとしちゃってて」

上条「珍しく上条さんが不幸の愚痴じゃなくて、幸せの自慢をしていたというのに。
 ビリビリはそんなに俺のことには興味ないと。そうですか、すいませんでしたぁー」

御坂「きょ、興味ないなんて言ってないでしょッ!! むしろ、すごく興味あるって言うか……」

上条「ん? 何か言ったか?」

御坂「な、何でもないわよッ!! で、何だっけ、美味しいものお腹一杯食べたって話だっけ?」
895 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:14:46.90 ID:qt7Moy2A0

上条「そう、そうなんですよ御坂さん!! 重要なポイントはこの『お腹一杯』ってところでして」

御坂「何か聞いててちょっと悲しくなるわ……」

上条「しかもご馳走になったから基本タダだったしな」

上条はそう言って何故か自慢気にふふんと笑った。
どうしてこの男はこんな些細なことに、これほど浮かれることができるのだろう。

御坂「へぇー。ああ、そう言えば今日私後輩の子からお昼に
 クラブサンドイッチをこれでもかってくらいもらっちゃってさ。
 うちの学校って基本的にカフェテリアで昼食をとるから、ちょっと困っちゃうんだけどね」

上条「それ今言うこと!? 俺の話がちょっと霞んじまうだろ!」

御坂「でもあんたなら、その……お、お弁当作ってもらうとか、あったりすんじゃない?」

上条「お前、普通の学生生活に夢見過ぎ。昼飯は学食のパンの争奪戦か寂しくコンビニ弁当だよ」

御坂「へ、へぇーそうなんだ……。それじゃあ私がお弁当を―――」

上条「だからさ、その食べきれないほどのクラブサンドイッチを鮮やかに横流ししていただけると、
 俺としてはとっても助かるわけですよ」

御坂「く……ッ! あ、あげるわけないでしょ、馬鹿ッ!!」
896 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:18:00.12 ID:qt7Moy2A0

上条「実は結構切実なお願いだったんだけど……。
 はぁ……お嬢様学校に通うお前からしたら、俺のちょっとした幸せな話も大したことないよな。
 まあ今回はゆっくり観光とかもできたからいいとするか」

御坂「観光? あんたどこかに行ってきたの?」

上条「そこから聞いてないのかよ……。ビッグベンも見てきたし、二階建てバスにも乗ったし、
 アヴィロードで写真も撮ってきたんだぞ」

御坂「え? それって……」

上条「ロンドンだよロンドン、イギリスの首都の」

御坂「…………ッ!」

―――ドクンッ



「イギリスとの交換留学の件、調べてみたんですけど、確かに学園都市が決定した正式なものでした。
 でもどこにその交換留学が計画された形跡がないんです。

「この件、あの誘拐事件と関係してるんでしょうか?」

「誘拐犯たちが英語を話していたっていう情報があるんです」

897 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:20:33.34 ID:qt7Moy2A0

初春の言葉が、御坂の頭の中でけたたましく鐘を鳴らすように響き渡る。

上条「学園都市も整備が整ってるから綺麗な街だって思うけど、やっぱロンドンは趣があるって気がするよな。
 歴史の重みって言うか、何となく落ち着いた雰囲気があるって言うか……」

御坂「うぐぅ……ッ!」

胸の辺りから、何かがせり上がってくる感覚が御坂を襲った。
御坂は突然の異質感にその場にしゃがみ込んだ。

上条「そう言えばあっちで会ったんだけど……っておい御坂!?
 どうした、具合でも悪いの―――」

御坂「触んないでッ!!」

御坂の突然の大声に、上条は慌てて伸ばそうとした手を引っ込めた。

御坂自身、自分がいきなりそんなことを言ってしまったことに、少ながらず驚いていた。
898 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:21:36.21 ID:qt7Moy2A0

御坂「ご、ごめん。ちょっと気分が悪いだけだから……」

上条「そ、そうか」

御坂「私、そろそろ帰るわ」

上条「大丈夫か? 送って行くぞ」

御坂「心配しないで。一人で、帰れるから」

そう言うと、御坂は上条の顔を見ずに駈け出した。

上条「お、おい!! 御坂!!」

御坂はでたらめなペースで寮に向かって走った。
自分が何故こんな焦燥感に駆られているか分からない。

しかし心臓は悪夢を見て飛び起きた後のように、不吉なリズムを刻み続けている。

御坂(何、この感覚…。身体の底から、何かが上がってくる気がする。
 私の中に、何かが……)

―――ドクンッ、ドクンッ
899 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/17(木) 01:28:46.15 ID:qt7Moy2A0
というわけで今回は以上!

次回の投下予定は二月二十日(日)です。この間に番外編を出来れば投下します。
たぶん佐天さんとステイル君がデート(?)に行くお話です。

甘いの書くのはかなり苦手ですが、期待しないで待っててください。
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 01:35:57.84 ID:6cdB7LsAo

順調な佐天さんと何やら怪しげな雰囲気の美琴
アニメ見てたときから思ってたけど、この二人は何となく対って感じがするんだよなぁ
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 04:29:58.37 ID:gYCODJMDO
乙乙
これはまさかの佐天さんvs御坂な予感!?
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 16:58:17.70 ID:ChyBhdU/0

>>886でステイルが『はぁと』とか言ってた気がしたが気のせいだった
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/18(金) 00:32:29.24 ID:UOtOoJXSO
疑い…不安……ハッ!
まさか料理の件もこの伏線!?
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:34:25.20 ID:czZ6sLHkP
料理人としての血が騒ぐのか
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 04:25:19.55 ID:yzsYYzkDO
新約で佐天さんの見せ場増えないかにゃー
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 12:17:03.19 ID:1qHqZ1zAO
暗部の新入生になったゲス天さんが見たいと仰るか
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 18:03:55.14 ID:CxkyZQk30
>>906
ぜひお願いします

御坂「あれ、は…佐天……さん…?」
みたいな
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 19:00:56.61 ID:bmayvfY7o
超電磁砲をホームランする佐天さんか
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 16:48:43.74 ID:Jw/FjbfAO
何その新必殺仕置人
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 16:44:14.90 ID:0Spa4MoMo
>>905
黒子たちとだべってるぐらいでいいよ
911 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/22(火) 17:58:54.59 ID:ohJ62F1j0
今回も遅れましたが、今日の23時から投下します!

前回番外編を……とか言ってましたが、もう少し本編を進めたいので、
また後で、ってことで。
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 18:04:32.23 ID:q6gp1CSAO
今日から真・佐天一番の本編か。
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 18:21:51.93 ID:Hvkm0WuAO
待ってました!!ありがとう!!
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 18:28:11.31 ID:WJpi3l+n0
―――待機方法を選んでください
@全裸待機
A半裸待機
Bあえて股間の部分だけ切り取って待機
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 18:57:22.29 ID:PRZz0A/Xo
>>914
C股間を切り取って待機
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 19:18:45.50 ID:6+OE4tbo0
>>914

C上半身と下半身を離して待機

も入れておいてくれ
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 19:28:00.39 ID:VuT/K/zfP
>>914
Cマントの下は全裸

も入れてくれ
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 20:33:11.15 ID:eQpBYb15o
D上半身だけ裸
も入れとくとなおいい
919 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/22(火) 23:05:48.75 ID:EjnE0PB10
>>914
E
五和「汚ねぇもん見せてんじゃねぇよ……」
佐天「五和さん、キャラ崩壊してます!!」

というわけで投下開始しますよー。
920 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:10:15.27 ID:EjnE0PB10

―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館の一室




佐天「原初の炎、その意味は光、優しき温もりを守り厳しき裁きを与える剣をッ!!」

佐天がそう叫ぶと、右手に持ったルーンのカードが炎に包まれた。
炎は次第に形を変え、一本の剣となって佐天の手に収まった。

佐天「よしッ! 成功!」

ステイル「気を抜くな。形が崩れるぞ」

佐天「分かってるって。でも……」

佐天がその炎の剣を振る。
空を斬る鈍い音とともに、火の粉が宙に舞った。

佐天「重さがないと、やっぱり振るのも楽だなぁ。いくら振っても疲れないし」

ステイル「どうやら、君のは僕のとは少し違うようだ」

佐天「?」

ステイルは側に置いてあった本を手に取った。

ステイル「ほら、それでこの本を斬ってみろ」
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 23:10:31.69 ID:e8nFPaSxo
どんとこい
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 23:10:38.37 ID:Jpmv9EEAO
超待ってた。
923 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:19:10.35 ID:EjnE0PB10

ステイルがその本を佐天に向かって放り投げる。
緩い放物線を描いたそれに、佐天は炎剣を振り下ろした。

佐天「はッ!!」

ザシュッ! と佐天の剣は本を真っ二つに切り裂いた。
その本は二つに両断された瞬間、炎に包まれた。
地面に落ちた時には、それは只の炭となってバラバラに砕けた。

ステイル「やはり、魔術の性質が変わっているな」

佐天「どういうこと?」

ステイル「僕が作り出す『炎剣』」は相手に投げて爆発させる、言わば投擲武器だ。
 しかし君が今持っている『炎剣』は本来の剣の特徴である“斬る”という性質を持っている。
 たぶんその剣を投げつけても爆発はしないだろうね」

佐天「でもステイル君に教えてもらった通りにやったよ」

ステイル「術式が同じでも、術者によって現れ出る魔術の形は異なる。
 術者の思想、宗教観、経験なんかが魔術を決定付けるんだ。
 つまり君は僕よりも剣というものに対して強い思い入れがあるってことだね」

ギクッ! と佐天は顔を引きつらせた。
佐天はステイルから目を逸らして、

佐天「へ、へぇー、そうなんだ。ま、全く思い当たる節がないなぁ、アハハハ……」
924 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:23:13.01 ID:EjnE0PB10

佐天「へ、へぇー、そうなんだ。ま、全く思い当たる節がないなぁ、アハハハ……」

ステイル「それで誤魔化しているつもりだって言うんだから呆れさせられるよ。
 僕が何も知らないとでも思ったのかい?
 君は棒切れを振り回す稽古にえらく熱心だそうだね」

佐天「ぼ、棒切れなんかじゃないよ!! あれはれっきとした訓練用の剣で―――」

ステイル「やっぱりやってたんだな」

佐天「う、うぐぅ……」

ステイル「はぁ……まあ別にいいけど。精々頑張るんだね」

佐天「……反対しないの?」

ステイル「しないよ。やると決めたのは君の意志だろ。それを邪魔する気はないよ」

佐天「そっか……」

佐天はしばらくステイルを眺めた後、大きく伸びをした。
そしてそのまま近くの椅子に腰掛けた。

佐天「それにしても今日は何だか疲れたなぁ」

ステイル「おい、まだ僕の授業は終っていないぞ」
925 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:27:16.49 ID:EjnE0PB10

佐天「オルソラさんの方も、ルチアさんの方も思いっきり頑張ってきたし」

ステイル「いや、だから……」

佐天「ちょっとだけ、ちょっとだけ休憩! ね?」

ステイル「……五分だけだ」

ステイルは苦々しくそんな言葉を吐き出して、佐天に背を向けるように座った。
佐天がニヤリと笑う。

佐天「よいしょ……」

佐天はそう言うと、ステイルにその背中を預けた。
ステイルが迷惑そうに首を佐天の方に向ける。

ステイル「おい、何をやっているんだ。重い」

佐天「あッ、女の子に重いとか言っちゃいけないんだぁ。五和さんに言い付けるぞぉ」

ステイル「その殺し文句は止めろ」

佐天「いいじゃん、別に。その無駄に大きい身体をこんな時くらい生かしなよ」

ステイル「無駄じゃない」

佐天の傾けた椅子が、ギシリと軋む音を立てた。
そんな囁かな音しか聞こえない静かな時間が、少しの間流れた。
926 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:33:02.48 ID:EjnE0PB10

佐天「あたしさ、最近英語もけっこう出来るようになったんだよ。
 もうちょっとしたらラテン語に進むって」

佐天がそうポツリと告げる。

ステイル「それはおめでとう。ラテン語のほうが英語より数倍難しいから覚悟するんだね」

佐天「何でそういうこと言うのさ!」

ステイル「僕は事実を言ったまでだよ」

佐天「いいよ別に。素直に褒めてくれるとか、期待してないし……」

ステイル「ふん……」

そしてまた、少しの沈默。

ステイル「まあ、速い方じゃないのか。その……英語の修得も」

佐天「……もうツンデレは聞き飽きたんですけど」

ステイル「はぁ?」

佐天「でも、ありがとう」

ステイル「そうかい」

ステイルは依然つまらなそうに、佐天は口元を少しほころばせて、そう言った。
927 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:38:47.78 ID:EjnE0PB10

ステイル「それはそうと『炎剣』の方は順調そうだが、もう一つはどうなんだい?」

佐天「そっちもばっちりだよ。基本的にやってることは同じだしね」

ステイル「ならどちらも明日までに、君に合うように術式の微調整をしてしまわないとな」

佐天「明日? 明日に何が―――」

その時、部屋のドアが開いた。

ルチア「失礼しま……な、何をなさっているんですかお二人とも!?」

佐天は驚いて、素早く上体を起こした。

佐天「ヒャア!? ル、ルチアさん!? べ、別に、ななな、何も……ッ!」

ルチア「最近はとても真面目にしていると思ったら、魔術を学ぶのにかこつけて
 い、異性交遊など……ふしだらです!!」

佐天「い、異性交遊ッ!? そ、そんなのじゃありません!!
 え、えーと……ふ、腹筋です!! ステイル君に補助してもらって、腹筋を鍛えてたんです!!」

ルチア「魔術の勉強で、何故腹筋を!?」
928 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:39:54.94 ID:EjnE0PB10

佐天「えっと、腹筋で相手の魔術を無効化する魔術があるんです!
 こう……ふんッ! せいやぁ! って感じで」

ルチア「それはもう魔術ではなく、純粋に筋肉の力ではないですか!?」

ステイル「それで、要件は何だい?」

ステイルがそう尋ねると、ルチアは我に帰ったように咳払いをした。

ルチア「そ、そうでした。お二人とも、一緒にいらしてください。“招集”です」

佐天「?」
929 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:47:42.48 ID:EjnE0PB10

―――聖ジョージ大聖堂




“大聖堂”と呼ぶにはやや手狭な感があるこの『聖ジョージ大聖堂』ではあるが、
今はその名に相応しい厳粛な雰囲気に満ちていた。

佐天の目の前には、数十人もの修道服に身を包んだシスターが、
囁き合うように言葉を交わしながら長椅子に鎮座している。

佐天(何だろう、急にこんなところに集められて)

アニェーゼ「静かに」

説教壇の前に立ったアニェーゼが言葉を発する。
すると聖堂内のざわめきは水を打ったように静まった。

アニェーゼ「全員揃いましたね。それじゃあ早速作戦会議を始めちまいたいと思います」

佐天「ステイル君、作戦会議って?」

ステイル「黙って聞いてろ」

佐天が小声で尋ねると、ステイルはにべもなくそう言い捨てた。

佐天は不満そうに説教壇に立つアニェーゼに目をやった。
930 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:50:24.60 ID:EjnE0PB10

アニェーゼ「ここに集まってもらったのは他でもありません。例の如く、“戦闘”を伴う任務です」

『戦闘』とういう言葉に、聖堂内にぴしりと緊張が走る。

アニェーゼ「まず作戦内容を単刀直入に言っちまいます。
 今から約三〇時間後、ここに集まった私、アニェーゼ=サンクティス率いる部隊三〇名で
 敵対する魔術結社の拠点を強襲をします。

 さらに今回の作戦にはここにいるステイル=マグヌス、佐天涙子にも同行してもらいます」

佐天「はぁ!? あ、あたしも!?」

ステイル「落ち着け」

佐天「で、でも……」

周囲がざわつく。自分に視線が集まるのを、佐天は感じた。
そしてそれが決して好意的なものではないことも。

佐天のことはここにいるシスターたちも知っているだろうが、
それは「学園都市から来た、魔術師志望の妙な学生」とういうものだろう。
実際、佐天は『イギリス清教』女子寮でも奇異の視線に晒されることがあった。

佐天「う……ッ」

ステイル「堂々としていろ。胸を張って毅然としていれば誰も文句は言わない」

佐天「う、うん……」
931 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/22(火) 23:59:40.88 ID:EjnE0PB10

アニェーゼ「…………」

アニェーゼはしばらくざわめきが収まるのを待ってから続けた。

アニェーゼ「それでは今回の作戦の経緯を説明します。
 今から一ヶ月前、『イギリス清教』の関係施設で盗難事件が発生しました。
 施設内部には魔術師がいましたが、交戦の末、犯人達には逃げられちまいました」

佐天(一ヶ月前? それってちょうどあたしがロンドンに来た同じ時だ)



オルソラ「昨日起きた件について、徹夜で調べ物をしていたのでございますよ」

オルソラ「ええ、『イギリス清教』の関係施設で盗難がありまして。
 資料閲覧中の魔術師がたまたま現場に居合わせて、交戦になったとのことです」



佐天(あれって、このことだったんだ)

アニェーゼ「そして調査の結果、その犯行を行ったのは
 『聖人の御手』と呼ばれる魔術結社であることが判明しました」

佐天「聖人の、御手……」
932 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:03:08.18 ID:D45E0yvW0

アニェーゼ「この調査を行ったのがステイル=マグヌスと佐天涙子です。
 二人が今回の作戦に参加するのはそのためです」

佐天「ちょ、ちょっと!? あたし、調査なんか全く関係ないんだけど!!」

ステイル「君には圧倒的に実戦経験が足りない。だからあれは実戦に参加させるための方便だよ。
 それとも、君が前に言った戦う覚悟とやらは嘘だったのか?」

ステイルはそう言って、佐天を見据えた。

佐天「……違う。嘘じゃない」

ステイル「それじゃあ何の問題もないな」

アニェーゼ「『聖人の御手』についてはステイル=マグヌスに説明してもらいます」

ステイル「ああ」

ステイルは前に進み出て、説教壇の前に立った。

ステイル「まずは彼ら『聖人の御手』が掲げている思想についてだ。
 彼らは『聖人崇拝』という主義を唱えている。
 神の子の似姿たる聖人は、神の子と同等であり、彼らもまた主の代理人であるという考えだ」
933 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:07:00.01 ID:D45E0yvW0

ステイル「また彼らのもう一つの特徴として、彼らのほとんどが元犯罪者であるということが挙げられる。
 いや、すでに盗難事件を起こしているのだから、元ではないか」

「犯罪者集団である彼らが何故聖人を崇拝しているんですか?」

シスターの一人がそう質問した。

ステイル「彼らの思想に沿って言えば、彼らは聖性を持った物、
 特に聖遺物に触れることで自分たちの罪が赦されると考えている」

「つまり、罪を消すために新たな罪を犯していると?」

ステイル「そういうことになるな」

ステイル「『聖人の御手』は古くから存在する歴史のある魔術結社だ。
 元は悔い改めた犯罪者達が自分たちはどうすれば赦されるのかを追求する集団だったらしい。
 彼らは罪の赦しを聖人が持つ聖性に見出し、聖人の奇跡を自分たちの道標と考えた」

ステイル「この犯罪者にしては敬虔な姿勢も、時代を経るごとに段々と変わっていった。
 現在では自分たちの罪を省みることなく、
 単純に聖遺物が持つ力に惹かれるだけの魔術結社と化してしまった」

佐天(聖遺物ってなんだろう?)

佐天が露骨に頭上に「?」を浮かべているような顔をすると、
ステイルは佐天の方を説教壇からジーと見つめた。

佐天はビクッ! と身体を浮かせた。
934 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:15:23.32 ID:D45E0yvW0

ステイル「分からない者はいないと思うが一応説明しておく。
 聖遺物とは聖人が生前身に付けていた衣服や聖人の遺体のことだ。
 これらには聖人の死後も天使の力(テレズマ)が宿り易く、霊装と化すことが多い」

ステイル「つまり彼ら『聖人の御手』は霊装を数多く所有する、危険な集団であるということだ。
 くれぐれも気を抜かないでほしい」

アニェーゼ「ありがとうございやした、ステイル=マグヌス」

ステイルが説教壇を後にすると、再びアニェーゼがそこに立った。

アニェーゼ「私たちの目的は、魔術結社『聖人の御手』の壊滅と盗まれた物の奪還です。
 今回の作戦では拠点の一つを叩くことで、『聖人の御手』のさらなる情報の収集と
 あわよくば盗まれた物の奪還を目指します」

アンジェレネ「それで、盗まれた物っていうのは何なんですか?」

佐天の少し前に座っていたアンジェレネが、アニェーゼに尋ねた。

アニェーゼ「盗まれたのは魔道書です。……魔道書、『黄金伝説(レゲンダ・アウレア)』です」

先程よりも大きなざわめきが聖堂内に木霊する。
シスターたちは互いに顔を見合わせた。

「『黄金伝説』!?」

「『黄金伝説』が盗まれるなんて、『イギリス清教』は何をしているんでしょうか」

佐天「?」
935 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:19:14.80 ID:D45E0yvW0

アニェーゼ「この盗まれた魔道書『黄金伝説』について、オルソラ=アクィナスから説明してもらいます」

そうアニェーゼに促されて説教壇の前に立ったオルソラは、いつも通りの笑みを浮かべていた。

アニェーゼ「では、お願いします」

オルソラ「はいなのでございますよ。先ほど頂いたスギキのグリルなのでございますが、
 もう少し長時間加熱して、皮をパリッとさせたほうが良いのでございますよ。
 でもジェノバペーストは中々良い味で―――」

アニェーゼ「ちょッ!? 今そんなこと言わねぇでください!!」

オルソラ「そうでございましたね。今はボンゴレロッソの―――」

アニェーゼ「違ぇですッ!! 魔導書の話です!! ま・ど・う・しょ!!」

佐天(アニェーゼさん、今もオルソラさんに料理作ってるんだ。何か安心……)

オルソラ「あら、そうなのでございますか。それでは」

オルソラは咳払いをして、さっきよりも真剣な顔を作った。

オルソラ「先程アニェーゼさんが仰った魔道書『黄金伝説』については
 皆さんも一度は耳にしたことがあるのでございましょう。まず簡単に概略からお話致します」
936 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:25:00.36 ID:D45E0yvW0

オルソラ「そもそも『黄金伝説』とは一三世紀中頃に書かれた聖人伝集でございます。
 ジェノバの大司教ヤコブス・デ・ウォラギネによって書かれたこの本は広く読まれ、
 中世には聖書の次によく読まれたと言われています」

オルソラ「魔道書『黄金伝説』は、この本を元にして一四世紀頃、
 ヨーロッパ各国の魔術師がその本に書かれた聖人の奇跡や偉業を魔術によって再現するために作られた、
 今で言う国際プロジェクトのような魔道書なのでございます」

オルソラ「『黄金伝説』は一〇〇以上の聖人が章ごとに紹介されているのでございますが、
 魔道書『黄金伝説』は一章を一冊の魔導書とし、全体で一〇〇冊以上に上る
 他の魔道書に比べて長大なものでございました」

オルソラ「しかしその後戦乱などにより魔道書『黄金伝説』の多くは散逸してしまっているのでございます。
 現在確認されているのは各国が保有する数十冊のみでございます」

アニェーゼ「『聖人の御手』が盗んでいきやがったのは、イギリスが保有するうちの二冊です。
 つまりイギリスは歴史ある国家の証明とも言うべき『黄金伝説』を盗まれるっていう
 無様なヘマをやらかしちまったわけです」

アニェーゼがそう言うと、この中では唯一のイギリス人であるステイルが、
佐天の隣で不機嫌そうに鼻を鳴らした。
937 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:27:49.80 ID:D45E0yvW0

アニェーゼ「今回の作戦は最初に言ったとおり、強襲、つまりは不意打ちです。
 こちらの存在を気取られないように、移動魔術で拠点まで一気に接敵しちまいます。
 そのためのこの少人数での作戦ですからね」

アニェーゼは何人かのシスターの名前を呼び、彼女たちに移動魔術の構築を命じた。

アニェーゼ「それ以外の詳しい役割については明日説明します。最後に注意事項を」

アニェーゼ「奴らが持っている聖人絡みの霊装に注意することは勿論ですが、
 盗まれた魔道書にも注意を怠らないようにしてください」

アニェーゼ「魔道書は異世界の法則が記されているため、読む者を害する“毒”を持っています。
 並の魔術師なら脳を破壊されて即廃人になっちまいます。
 不用意に開いたりすることは絶対にしねぇでください」

アニェーゼは聖堂に集まった人々をぐるりと見渡した。
佐天の心臓がどくりと鼓動し、緊張が足元から這い上がってくるのを感じた。

アニェーゼ「それでは明日、所定の時間に集合してください。解散!!」
938 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:30:41.70 ID:D45E0yvW0

―――日本人街、とある空き地





佐天と五和はいつもの空き地で向かい合っていた。
佐天の手には訓練用の、刃を落とした剣が握られている。

五和「訓練を始めて約三週間、今までよく頑張ってきましたね、佐天さん」

佐天「これも全部五和さんのお陰ですよ。本当にありがとうございました」

五和「私は佐天さんにほんの少しお力を貸しただけです。全部佐天さんの強い意志があればこそです」

五和「明日は初の実戦ということですが……、緊張していますか?」

佐天「はい、って言うかホントにいきなり聞かされたんで、何が何だかって感じですけど」

五和「気が抜けているわけでも、緊張しすぎているわけでもない。丁度いいと思いますよ」

五和「しかし実際の戦場は訓練とは全く違います。
 佐天さんが他の魔術師よりも劣っているとしたら、まず間違いなく経験不足が挙げられるでしょう」

そう言って五和は、手に持ったいつかの鉄の棒を繋げ始めた。
次第にそれは一本の長い棒に姿を変えていった。
939 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:40:06.25 ID:D45E0yvW0

五和「今日はこれまでの訓練の仕上げを行います。佐天さんの実戦経験の不足を少しでもここで補うために……」

最後に鋭利な穂先を連結する。
五和の愛用武器、海軍用船上槍(フリウリスピア)がその手にはあった。

五和「私と戦ってもらいます…………本気で」

五和は感触を確かめるように頭上で海軍用船上槍を回すと、
佐天に向かって槍を構えた。

佐天は初めて感じる五和の真剣な迫力に息を飲んだ。

五和「それでは、始めましょう……。私を敵だと思って掛かって来てください」

佐天「…………い、行きます」

佐天は右手に力を込め、その手に持った剣を五和に向けた。

五和「……私は『敵だと思って』と言ったはずです。そんな刃のない剣で私に勝つつもりですか?
 私をあまり見くびらないでください」

佐天は改めて自分の手にあるその剣を見た。
三週間ずっと佐天が振り続けてきたその剣は、所々泥や傷が着いていた。
佐天はその剣を地面にゆっくりと置いた。

そしてポケットの中からルーンの書かれたカードを取り出し、それを両手に持った。
940 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:43:20.96 ID:D45E0yvW0

佐天「原初の炎、その意味は光。右の手には剣、左の手には盾……
 優しき温もりを守り、厳しき裁きを与える力をッ!!」

佐天がそう唱えると、両手のカードは瞬く間に炎と化し、暗闇を明るく照らした。
猛る炎は凝縮しながら、うねるようにその形状を変えた。

五和「炎の剣と盾……。それが佐天さんが身に付けた力なんですね」

右手には剣。左手には盾。
炎でできた二つの武器を、佐天は五和に向けた。

佐天「行きますッ!!」

五和「どうぞッ!!」

五和に向かって走りこむ佐天。
そして助走の勢いに乗せて炎剣を振り下ろした。

―――ドンッ!
炎の塊が、五和の槍とぶつかって轟音を響かせる。

振りかぶってもう一撃。
しかしそのどちらの斬撃も、海軍用船上槍によって捌かれた。

五和「この短期間でしっかりとした戦いの型が出来上がっています。
 本当に大したものです。でも……」

再び大きく振りかぶる佐天。

五和「圧倒的に遅い!」
941 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:46:41.35 ID:D45E0yvW0

五和は身体を半回転させて、槍の柄で佐天を横薙ぎにした。
佐天はそれを咄嗟に炎盾で防ぐ。

―――ドンッ!

佐天の盾が僅かに形を変え、炎が迸った。

佐天「う゛ッ!」

横薙ぎの勢いのまま、佐天は横に転がった。
しかし急いで体勢を立て直して、五和に向かって剣を構えた。

五和(あの盾……。物理的な抵抗力があるみたいですね。
 魔術攻撃だけでなく、物理衝撃も防御する魔術。意外に器用な魔術を使うようですね)

佐天「痛ぁ……ッ」

佐天は盾を持った左手に目を向けた。
いくら盾で防いだとしても、その衝撃をすべて殺すことはできない。
佐天の手には鈍い痺れが走っているだろう。

五和「どうしたんですか? もう終わりですか?」

佐天「まだです……!」

五和「そうですか。なら、次はこちらから行きます」
942 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:50:42.51 ID:D45E0yvW0

そう言うと五和は佐天に向かって槍を向けた。
そして、

―――シュッ! シュッ! シュッ!

五和の刺突の連撃。
訓練の成果でどうにか穂先の軌道を呼んで炎剣で撃ち落とすことができるが、
その苛烈な攻撃の前には息吐く暇もない。

佐天はその苛烈な突きの隙間を縫うように、果敢に一歩前に出た。
しかし攻めに転じようとした瞬間、槍の穂先で佐天の炎剣は抑えこまれてしまう。

鍔迫り合いのような拮抗に入る二人。

五和「今日私に一太刀も浴びせることができなかったなら、明日の作戦への参加は辞退してもらいます」

佐天「そんなこと、できませんッ!!」

五和「なら……参加できなくさせるだけです」

勢い良く左やや下に繰り出された突きを、佐天は盾を使って下に逸らした。
五和の身体の重心と槍が下を向く。
その一瞬の隙を狙って、佐天は炎剣を五和目掛けて振り下ろした。

五和はその体勢のまま、素早く後ろに下がった。
そして掬い上げるように、槍の柄を佐天の炎剣に向けて振り上げた。
943 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:53:11.78 ID:D45E0yvW0

佐天「あッ!?」

佐天の手から炎剣が吹き飛び、宙を舞う。
そしてそのまま燃え屑のように消え失せた。

佐天「炎よッ!!」

佐天は飛び退いて距離取ると、再びカードを取り出し炎剣を再び出現させた。

佐天「く……ッ!」

五和「まだです」

佐天が体勢を整える間もなく、五和は佐天に向かっていった。

再び激しい突きの連続。
佐天は剣でそれを弾きながら、じりじりと後退を強いられた。

佐天「うッ!?」

五和の激しい攻撃に、佐天がバランスを崩す。
五和は素早く短い溜めを作ると、疾風のような勢いで槍を突き出した。

佐天は盾を構えた左手を前に出す。
炎が再び激しく揺らめき、佐天は無様に後ろに転がった。
944 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 00:58:41.71 ID:D45E0yvW0

佐天「ハァ、ハァ、ハァ……」

佐天は炎剣を地面に突き刺し、何とか身体を支えて立ち上がった。
しかしその息は切れて、頬には幾筋もの汗が伝っている。

五和「そろそろ限界ですか?」

短い攻防ではあったが、明確な敵意を持った打ち合いは、
これまでの訓練とは全く別の疲労を佐天に与えていた。

佐天「そう、ですね……。こんな勢いで戦ってたら、もう長くはもたないと思います。
 だから……」

佐天は地面から炎剣を引き抜いた。

佐天「次の一撃で決めます」

構え直す佐天。
五和もまた、槍の切先を佐天に向ける。

佐天は大きく息を吸い、そして―――

ダッ! と佐天は五和に向けて駆け出した。
しかし佐天は炎剣を後ろに下げ、炎盾を前に突き出したまま突進してくる。

五和(防御? こちらの攻撃を受け流した後で、攻勢に転じるつもりでしょうか)

五和は一旦槍を横に振りかぶると、佐天を叩き伏せるような強烈な一撃を浴びせた。
945 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 01:00:55.63 ID:D45E0yvW0

盾でその攻撃を受けることで、佐天の突進が止まる。
佐天は右手に持った剣を前に突き出そうとする。

五和は槍で佐天の盾を押し込める力を強めた。

五和(槍と剣。このリーチの差を崩すことは―――)

佐天「やあああああぁぁぁぁぁ!!!」

盾が槍に抑えこまれ、これ以上前に出れない拮抗状態の中、佐天は炎剣を前に突き出す。
しかし突き出された剣は、五和に届くには圧倒的に短い。

五和「無駄です!」

五和はさらに力を込めた時、佐天の持つ炎剣の切先が揺れた。
そしてその切先は佐天の刺突の勢いを受け継ぐように、五和に向かって伸びた。

五和「なッ!?」

五和が後ろに下がるよりも早く、伸びた炎剣の先は五和の腹部に当たった。

―――トン…
946 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 01:01:55.60 ID:D45E0yvW0

軽い衝撃。
しかし“攻撃”とみなされた佐天の一撃は、五和の服に施された防護術式を発動させ、
五和の上着の袖にピリっと小さな裂け目を作った。

攻撃としては本当に僅かなものだが、それは紛れもない一太刀だった。

五和「剣の形状変化……。見事な一撃です、佐天さん」

どしゃっと音がして、佐天が地面に座り込む。
それと同時に魔術の剣と盾は消えた失せた。

佐天「ありがとう、ございます……。でも疲れたぁ……」

佐天はそう言って、地面に大の字に横たわった。
五和はいつもの柔らかい笑みを浮かべる。

五和「今は休んでください。明日の厳しい戦いに備えて」

佐天「はい……」

そう言って佐天は、真夜中の空き地に寝転がりながら、静かに目を閉じた。
947 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 01:07:36.90 ID:D45E0yvW0
というわけで今回は以上!

思ったよりスレを消費しませんでしたね。
次回本編を投下すると、中途半端なところでこのスレが終わるかも。

ってことで次回は番外編を投下します。

この割とシリアスなムードをぶち壊しかねない番外編『佐天さんとステイル君と魔法名の掟』
を投下します。

投下予定は明日です(もう書きあがってるんで)。
しかしこれをこのタイミングでやっていいのだろうか。
まあ埋めネタってことで許してください。
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 01:14:57.94 ID:3nZcO45AO
乙!初めてSSのリアルタイム更新に遭遇したよ!
佐天さんもだが皆魅力が増してて読んでて本当に楽しい
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 01:20:54.29 ID:oIEXI60Yo
明日も楽しみにしてるぜぃ
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 01:23:28.17 ID:4KTnyMYG0
乙です

次回、931(くさい)の秘密が明らかに…?どきどき
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 05:39:18.51 ID:1YpwdtrAO
佐天「きょ、巨人に苦痛の贈り物ッ!」
とかかな次スレは
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 07:42:09.41 ID:3LBOovhAO
「ス、ステイルくんボンバー!」
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 14:24:42.01 ID:KpFc5GjB0
>>952
ステイルの形をしたイノケンティウス的なものを幻視した
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 14:53:34.72 ID:bKcnBrVPo
死んだステイルが炎になって助けにくるっていう
烈火の炎的というかゾンビ屋礼子的な展開を幻視した
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 19:24:20.98 ID:eojF8UOko
そういや上条さんはヒースロー空港で荷物パクられなかったのかな
956 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/23(水) 19:48:29.62 ID:VTsvOGfe0
今日の二三時から投下します。

番外編が一つだと少し足らないので、番外編二つを投下します。
本編とはほとんど関係ない内容なので、気軽な感じで読んでもらえると助かります。


>>948
ありがとうございます!
これが初SSなので未だに探り探りでやってますが、そう言ってもらえるとてつもなく嬉しいです。
あとこのSSは他のスレよりも圧倒的に更新に時間がかかってる気がします。
毎回投下時間に張り付いて下さっている方は大変申し訳ないっす。

>>951
普通に『佐天「きゅ、吸血殺しの紅十字ッ!」そのニ』とか『佐天「〜」U』とかにする予定です。
まだスレタイ回収できてないしね。

>>952
「か、上条さんミサイル!」

>>955
パクられることを見越してほぼ手ぶらで来た可能性はありますね。
しかし買ったお土産は置き忘れ、撮ったデジカメのデータは消えるのであった……。


今日中にこのスレを使いきって、新しいスレを立てる予定ですー。
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 19:55:24.03 ID:pcdvhoaQo
期待してる
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 20:27:06.40 ID:kljTPhKs0
イノケン待機
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 21:27:33.38 ID:N9FQrxKDO
???「佐天よ、盾は使い方次第で武器にもなるじゃんよ」
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:10:00.55 ID:5aqyb7Ujo
クルー?
961 : ◆fftSPPkhRw :2011/02/23(水) 23:17:29.15 ID:VTsvOGfe0
いや、やっぱり一つでいいか。

というわけで番外編『佐天さんとステイル君と魔法名の掟』を投下します。
番外編で20スレくらい消費すると思うので、あとは埋めてしまいましょう。
962 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:20:14.83 ID:VTsvOGfe0

―――番外編「佐天さんとステイル君と魔法名の掟」




佐天「うーん、魔法名か。どんなのにすればいいんだろ?」

ステイル「どうしたんだい? 何か考え込んでいるようだけど」

佐天「ああ、ステイル君。魔法名のことでちょっと悩んでて」

ステイル「魔法名?」

佐天「うん、あたしも魔術師だから、いつかは魔法名を付けなくちゃいけないでしょ」

ステイル「まあ行く行くはね」
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:21:12.98 ID:SBMLLq5zo
そうか、番外編で20スレも・・・・・・それは嬉しいことだな
964 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:25:06.82 ID:VTsvOGfe0

佐天「それで、魔法名をどんなのにすればいいか分からなくって」

ステイル「魔法名は魔術師の信念を示す重要なものだからね。悩むくらいがちょうどいいと思うよ」

佐天「その信念がどうこうっていうのもあるんだけど、
 魔法名っていう制度があんまりよく分かってないんだよね。
 ステイル君、魔術師にとって魔法名ってどういう場面で必要になってくるの?」

ステイル「そうだね。そもそも魔法名とは魔術師が戦闘時、魔術を行使するために名乗る名前なんだ。
 つまりはその魔法名に秘められた自身の位や信念を相手に教えることで、
 その戦闘における覚悟を示し、お互いに全力で戦うことを宣言する、という役割がある」

佐天「お互いが全力で戦うことを宣言、か。
 そう考えると何だか増々難しいような……」
965 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:26:06.41 ID:VTsvOGfe0

ステイル「そんなに難しく考える必要はないよ。端的に言えば自己紹介だからね。
 これは昔の日本で武将が行っていた『名乗り』に近いかも知れないな。
 『やあやあ我こそは何処そこの国の、某なり』って具合にね」

佐天「『名乗り』か……。
 ていうかステイル君、何でそんなに日本の文化に詳しいの?」

ステイル「SSだからに決まってるだろ」

佐天「えーッ、何その説明?」

ステイル「あと魔法名には真名、自分の真の名前を隠す役割もある。
 真名を知られるということは、場合によっては非常に不利になることもあるからね」
966 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:32:13.19 ID:VTsvOGfe0

佐天「ふーん、それ以外にはどんな時必要なの?」

ステイル「さっき挙げたのはあくまで“戦闘時”という非常事態での必要性だ。
 魔法名には日々の生活に即した必要性がある。
 むしろこちらの方が様々な場面で必要になってくるから、重要度が高いと言えるね」

佐天「日々の生活に即した必要性? それってどういうこと?」

ステイル「すでに教えたことだが、魔法名がラテン語と
 重複防止のための三桁の数字から出来てるっていうのは覚えているね?」

佐天「うん、覚えてるよ」

ステイル「この重複防止の数字なんだけど、これは魔法名を取得した順番を示しているんだ」
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:33:32.60 ID:1VyZ7f+Go
20スレwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれはwwktkが止まらないwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>1期待してるよ///
頑張ってくれ!!
968 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:33:40.88 ID:VTsvOGfe0

佐天「は? どういうこと?」

ステイル「僕の魔法名は『 Fortis931(我が名が最強である理由をここに証明する)』なんだけど
 これは『Fortis』という魔法名を名乗った九百三十一人目であることを示している」

佐天「えーッ!? みんなどんだけ最強を名乗りたいの!?」

ステイル「“最強”っていうのは、男にとってそれだけ魅力的な称号なんだよ。
 魔法名の最大の特徴は、何かとこの同じ魔法名の者同士で集まって行動する点にある」

佐天「それってホントに重要なの?」

ステイル「重要に決まってるじゃないか! まあその活動内容は魔法名ごとに違ったりするんだけど。
 うちの魔法名の場合は、そうだな……四半期ごとにバーベキューがあるな」

佐天「すっごいどうでもいいように聞こえるんだけど。そして何故バーベキュー……」
969 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:35:19.81 ID:VTsvOGfe0

ステイル「ちなみに僕はいつも肉を焼く係だ」

佐天「だと思ったよ」

ステイル「そして魔法名を決める時に重要になってくるのが、この魔法名を名乗っている人の多さだ。
 『Fortis』は特に多い魔法名だから活動も大規模だし、何より身近に同じ魔法名の魔術師がいることが多い。
 確かロンドンにも『Fortis』の魔術師は八人くらいいたかな」

佐天「最強多ォッ!! それもう最強じゃなくない?」

ステイル「何を言ってるんだ! 近所の肉屋の主人は魔術師で『Fortis』なんだが
 彼ほどローストビーフを薄くスライスできる人間はイギリスに二人といないよ?」ドヤ

佐天「何でドヤ顔? ていうかそれ魔術師としてスゴイんじゃなくて、肉屋としてスゴイんだよね?
 もう魔術関係ないし」
970 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:36:33.30 ID:VTsvOGfe0

ステイル「彼がいないとバーベキューで食べる肉がなくなるじゃないか!」

佐天「やっぱりその人が肉担当なんだ」

ステイル「それ以外にも『Fortisクラブ』では……」

佐天(『Fortisクラブ』ダサッ)

ステイル「集まりで相手を呼ぶ時、『Fortis』をつける決まりがある」
971 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:39:50.45 ID:VTsvOGfe0


………………………………………………………………………………………………

「はーい、じゃあ今週の定例会議始めまーす。マグヌスFortis」

ステイル「最強ッ!」

「次、アンダーソンFortis」

アンダーソン「最強ッ!」

………………………………………………………………………………………………

972 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:41:15.14 ID:VTsvOGfe0

佐天「何そのライオンズクラブみたいな決まり!?」

(※ライオンズクラブ……世界最大の社会奉仕団体。詳しくはググって)

ステイル「それ以外の活動は、うーん……そうだ、この前近くの公園に桜の植樹をしたな」

佐天「だからそれライオンズクラブでしょ!! 
 よく見るよ『〇〇地区ライオンズクラブ寄贈』って書いてあるの!!
 もしくはロータリークラブだよ」

ステイル「言いがかりはよしてくれ! 僕が所属してるのは『Fortisクラブ』だ!!
 いや、でも時々……」
973 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:42:23.55 ID:VTsvOGfe0


………………………………………………………………………………………………

「「はーい、じゃあ今週の定例会議始めまーす。マグヌスライオン」

ステイル「ウオォー!!」

「次、アンダーソンライオン」

アンダーソン「ウゥ……ウ゛オオォォ―――ッ!!」シャキン!

………………………………………………………………………………………………

974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:43:15.73 ID:JpzEXaJAO
2828しちまったwwwwww
支援!!
975 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:44:51.37 ID:VTsvOGfe0

佐天「もう完全にライオンズクラブじゃん!! そしてアンダーソン、クオリティ高ッ!!
 ステイル君今すくそれ辞めなよ! 絶対に騙されてるよ!」

ステイル「ふん、何を言っているんだ君は。そうだ、その他にも魔法名には重要な意味がある」

佐天「さっきのがまったく重要には思えなかったけど、何?」

ステイル「大体忘年会なんかでは、魔法名ごとでテーブルに固まる傾向があるんだ」

佐天「忘年会なんかあるの!? ここイギリスだよね!? 日本の会社とかじゃないよね!?」

ステイル「忘年会くらいあるに決まってるだろ。
 昨今は個人主義だなんだと社内旅行なんかはなくなる一方だが、
 忘年会と新年会くらいはどこだってやるよ」
976 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:46:51.63 ID:VTsvOGfe0

ステイル「大体忘年会がないと、『ああ、今年も一年頑張ったな』って気がしないだろ?」

佐天「いや、そういうことじゃなくて」

ステイル「忘年会では、特にさっき言った魔法名の多寡がよく分るんだ。
 神裂の魔法名は何だか知ってるか?」

佐天「ううん、知らないけど」

ステイル「神裂の魔法名は『Salvere000(救われぬ者に救いの手を)』なんだが
 この魔法名を見ても分かるように、『Salvere』は神裂一人なんだ。
 だからいつも忘年会では……」
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:47:49.34 ID:qAIQ3f0i0
やめたげてよぉ!
978 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:48:21.05 ID:VTsvOGfe0


………………………………………………………………………………………………

ワーワー、ハハハッ……

神裂「みんな楽しそうですね……フ、フフッ……
 グッ……泣いてない、泣いてなんかいません……」ゴクゴク

………………………………………………………………………………………………

979 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:50:15.92 ID:VTsvOGfe0

佐天「神裂さん可哀想過ぎるッ!! 一番救われてないのは神裂さんだよ!!」

ステイル「こんな調子だから、神裂はいつも酒を飲み過ぎてしまうんだ」

佐天「あれ? それは中の人ネタじゃない?」

ステイル「少ない魔法名の宿命だね」ウンウン

佐天「ていうかステイル君同僚でしょ? 助けてあげなよ」

ステイル「いや、僕は仕事とプライベートは分けるタイプだし」

佐天「これはもう仕事の一部でしょ!?」

ステイル「それに僕は忘年会では新年に向けてやらなくちゃいけないことがあるんだ」
980 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:52:05.58 ID:VTsvOGfe0


………………………………………………………………………………………………

「お、そろそろいつものアレ、見せてくれよ、マグヌスライオン。
 正月に向けて練習してるんだろ?」

ステイル「はい、もうばっちりですよ! 行きましょう、アンダーソンライオン!」

アンダーソン「ウ゛オオォォ―――!!」

♪チャララ、チャララララ〜

ステイル「よッ! はいッ!」

アンダーソン「ウ゛……ウ゛オオォォ―――!!」

「さすがマグヌスライオンとアンダーソンライオンの獅子舞は迫力が違うなー」

………………………………………………………………………………………………

981 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:53:30.88 ID:VTsvOGfe0

佐天「だからもうライオンズクラブはどうでもいいよ!!
 ていうかその盛り上がりを見ながら一人で飲んでる神裂さんを思うと悲しくなるよ!!」

ステイル「ああ、そう言えば神の右席の一人、
 『右方のフィアンマ』は魔法名とか関係なくいつも一人だな。
 テーブルに突っ伏して酔い潰れた振りをしているのをよく見る」

佐天「可哀想な人まだいたッ!!」

ステイル「『後方のアックア』なんかはああ見えて
 酔うとバンバン下ネタ言ってくるから気をつけたほうがいいぞ」

佐天「行かないよそんな忘年会ッ!!」
982 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:55:33.09 ID:VTsvOGfe0

ステイル「あと『前方のヴェント』はみんなのオーダーを細目に聞いてたり
 『左方のテッラ』は部下の愚痴を黙って聞いてたりするな」

佐天「まともな人もいるんだ。それだったらあたしも忘年会に―――」

ステイル「そうそう、ローマ教皇は基本全裸だ」

佐天「やっぱ行かないッ!!」

ステイル「あの人は飲み会では『服なんて着てられるか』が口癖だからね。
 『裸の王様』と言われてちょっと嬉しそうな顔するのはあの人くらいだろう」

佐天「ただの犯罪者じゃん!! あたし、絶対に忘年会には参加しないからね」
983 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:57:35.18 ID:VTsvOGfe0

ステイル「と、まあここまで魔法名について色々と説明してきたわけだが」

佐天「後半はほとんど忘年会の話だったけどね」

ステイル「僕から一つアドバイスがある」

佐天「アドバイス?」

ステイル  ガシッ

ステイル「『Salvere』を名乗るんだ」

佐天「無理だぁぁ!! あたしには神裂さんを救えないよ!!」
984 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/23(水) 23:59:05.87 ID:VTsvOGfe0

ステイル「神裂には僕から『今年の忘年会はきっと楽しくなる』と伝えておくよ」

佐天「だから無理だってッ!! あたしには荷が重すぎるって!!」

ステイル「じゃあ、僕は仕事があるから」

佐天「えッ!? ちょっとステイル君!! あたしまだ何も―――」

ステイル  スタスタ

佐天「そ、そんな……」
985 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/24(木) 00:02:03.25 ID:dn/wG2Ft0

オルソラ「ステイルさん。先程佐天さんと魔法名についてお話していたようでございますが」

ステイル「それが何か?」

オルソラ「魔法名につく三桁の数字は、取得した順番とは全く関係ないのでございますよ」

ステイル「そんなことは勿論知っているさ」

オルソラ「ならば何故あんなことを?」

ステイル「日頃色々と面倒を掛けられているからね。その仕返しさ」

オルソラ「はい?」
986 :佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/24(木) 00:02:33.89 ID:dn/wG2Ft0

佐天「やっぱり『Salvere』を名乗るのは無理だよ。でもそうしたら忘年会でまた神裂さんが一人に……。
 いや、そもそも忘年会には行きたくないし……。ああッ、もうッ!!」ブンブン

その後佐天さんは本当のことを聞いて、無事魔法名を付けることができました。
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:08:40.67 ID:vtuWNV+20
好きな子にいたずらしたくなる14歳。うん。
988 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/24(木) 00:15:46.67 ID:dn/wG2Ft0
…………。
みんな言いたいことがあるのは分かるけど、基本的に苦情は受け付けていない!

というかこれが二〇スレも続いたら気が狂ってしまいますね(>>1の)。

というわけでお目汚し失礼しました。
番外編は本編と並行して書いてるんですが、この「魔法名の掟」は一ヶ月くらい前にはすでに完成していました。
でも内容がかなりアレな感じだったのでお蔵入りにしようと思ってたんですが、
陽の目を見ることができて、良かった、のか?

本編の方はもう少し続きます。番外編も一回か二回投下する予定です。
無駄に長くなってしまったこのSSですが、最後までお付き合いしていただければ大変嬉しいです。

てな感じであとは佐天さんへの想いやこのSSの感想、そして佐天さんへの想いで埋めちゃってください。
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:27:33.45 ID:mmdxVsxG0
よかった…忘年会でぼっちで
場を盛り上げようとしてイッキをしたらすぐに酔いが回って
何も覚えていなくて土御門に教えてもらうまで上条さんをぼこった事を知らなくて
何らかの形で償いますと言った後に恥じらいつつ体で返しますとか言った
神裂さんはいないんですね
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/24(木) 00:39:01.12 ID:QOu3OFxAO
乙。このSS佐天みたいに努力してればアニレー佐天さんもレベルがあがるのかも・・・
でもあまり努力しないし真面目じゃないけど明るい佐天さんが大好きじゃ!
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:53:28.85 ID:KfBkXUaAO
佐天さんマジ天使!
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:59:03.72 ID:usxI5o+oo
大丈夫、俺はそんな基本的に駄目な子な佐天さんを嫁にする
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 01:04:22.84 ID:A+xvb3Lno
番外編のほうがおもしr……いやいやあの本編があるからこそ映えるのわかってますよ?
本当ですよ?

でもすげー面白かったのでまた折りを見て読ませてもらえるとうれしいな。
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 01:15:43.68 ID:emfq+YAH0
1スレ目終了乙です
SS終了後にでも忘年会の話期待ww
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 01:32:54.89 ID:8yk4gFemo
なんだこの楽しそうな忘年会ww
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 01:53:44.42 ID:qiDp8/dAO
通し番号って000からだからステイルって932人目なんじゃね

あとねーちんって18だし飲酒とかしないんじゃね

御前ネタか?
997 : ◆fftSPPkhRw [saga sage]:2011/02/24(木) 01:56:27.08 ID:dn/wG2Ft0
>>996
あ、そうだ。
くそ、算数できないっていうことが不覚にも露呈してしまった。


新スレ立てました!

佐天「きゅ、吸血殺しの紅十字ッ!」U
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298479897/
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/24(木) 02:02:49.05 ID:6h9+LSdDo
1乙!めちゃくちゃ面白いねってミサ(ry
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 02:03:26.13 ID:r8INJ4wNo
木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥン!!!
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 02:07:00.57 ID:qiDp8/dAO
大丈夫そんな>>1を私は応援してる
1001 :1001 :Over 1000 Thread
 達 じ   |                           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 者 ゃ   l                     | ・ な 会 多
 で あ  /                          | ・ い う. 分
 な    く      ,.'"´ ̄ ̄``丶.        | ・ と. こ 皆
___/ヽ)     /           ゙、.       ! ・ お と に
           /             ',       | ・ も が は
          ノ      _    __   !     |    う   も
         ,レ^ヽ  ∠:::::::.\ ヽ・ ヽ |     |       う
         / ,ヘ   ⌒`ト、:::.ヽ  ̄  |   _ノ           |
          l い    _,,,L・`ヽ:ル ノィノ     ̄\_____/
         ヽ       ー─-  ‘ー1
          >‐‐'.        、__,ゝ ,′
         /     ',       `二' /
          /     `丶、     /
        ノ           ``ーr‐'゙
      /           \  |
    _∠_ __ _ ,,,、、、-──‐┴-、、
    厂 ー──'''"´ ̄ ,  ニ二二ニヽ\
   ,′         , イ       ̄``ヽ \
.  /          //  `)         ',  ヽ
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佐天「きゅ、吸血殺しの紅十字ッ!」U @ 2011/02/24(木) 01:51:38.03 ID:dn/wG2Ft0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298479897/

僕は誰なんだろう @ 2011/02/24(木) 01:28:06.59 ID:YmLTnbJDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1298478485/

紅い魔法少女がべにべに @ 2011/02/24(木) 01:07:32.34 ID:MefOHpPxo
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迷い猫オーバーラン! はっぴぃにゅうにゃあ中毒者隔離スレ @ 2011/02/24(木) 00:36:37.83
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1298475397/

お前らの国民番号って何番なの @ 2011/02/24(木) 00:12:45.07
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1298473964/

唯「リレースレ」 @ 2011/02/24(木) 00:02:46.23 ID:MudYcDXso
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298473365/

Vip虫スレ12 ver.パー速 @ 2011/02/23(水) 23:40:21.95 ID:j0BIys0mP
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1298472021/

VIP-World TRPG 灰色のくま2ch版 Part693 @ 2011/02/23(水) 22:34:22.41 ID:ySrloooIo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1298468062/


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