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純「ジャズけん!!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/11/04(木) 23:20:46.62 ID:xmDiIkEo
                  -─……‐-    __ノ}_
                   / : : : : : : : : : : : : : : `⌒\ : : : :}_
             . : : : : : : : : : : : : : : :\ : : : : : :\: : : :<
           _  /: : : : : : :/: : : :/: : : : : : :}: : : ヽ : : :ヽ: : : 〔
     <⌒: : : \{ : /: : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : ∨: :く
     / : : : : : : : : : |: : : : : |: : : :.|: : : : : : : :i∧: : :| : : : : | :/
    ∠: : : : : : : : : : :/:| :i : : : |i: : :/|: : : : : : : :⌒ヽ: :}: :|: : : : 〉
    ∨: : : : : : : :ヘ : | :i : : : |i: :/ V{: : L 八|   |:/∨ : : |/
     厶; : : : : : : : : ミ| :i : : : |∨    \|    x‐ミ  | :八|
      厶 : : : : : : : : :|从 : : :|    __       〃⌒  iイ
      く: : : : : : : : /´∧ : :|  x=ミ       ::::::: {ノ
       \/`ー'∨ { (\|   ::::::::      '     |
                    `ー-ヘ      _     人
                   \    ` ’  /}⌒>──-
               ___ /个:=-  .._ イ /        ヽ
              /   / /│ \  //    /
            /       〉 |    }/ /  |          }
                     〈  \/けト. /  | l {         |
              |      ハ. //L八∨  /   |         |
              |    ∨ _〉 // /| lい  〈   l |        ,′
               \  | | { {ノ/|│J |  〉  ∨ /      〈
            ∨   \|   しl |│_ノ  /    ∨      }
              〉   八  \く/|∧| /   ∨        

・純が主役です。
・ほのぼの日常系です。
・名無しキャラ(ジャズ研部員)が多数出ます。
・純ちゃんは最高です!

【前作】
純「ジャズけん!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282846948/
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/04(木) 23:26:13.05 ID:xmDiIkEo
【ジャズ研 部員名簿】

先輩
・元部長、ジャズ研のOG。
・パートはベース。
・純曰く「かっこいい先輩」。
・純粋だが色々と迷走してる人。

先輩2
・元副部長、ジャズ研のOG。
・パートはピアノ。
・先輩とは小学校からの付き合い。
・アイスが好き。

先輩A
・三年生。
・パートはピアノ。
・優しいお姉さんみたいな人。
・純のモフモフした髪を気に入ってる。

先輩B
・三年生、ジャズ研部長。
・パートはギター。
・身長が高くて胸が大きい。
・マイペース。

先輩C
・三年生、副部長。
・パートはサックス。
・体育会系で厳格な性格をしている。
・妹がいる。
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/11/04(木) 23:29:28.77 ID:xmDiIkEo
鈴木純
・二年生。
・パートはベース。
・このSSの主役。
・私の時代!

同級生
・二年生。
・パートはドラム。
・アホ。
・純のことは大切な友達だと思っている。

後輩A、B
・一年生。
・アニメで梓にギター教わってた子たち。

後輩C
・一年生。
・パートはベース、初心者。
・口数が少ない。

顧問
・顧問の女先生。
・顔がこわい。
・趣味は麻雀パチンコ競馬。
・音楽のことはよくわからない。
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/11/04(木) 23:32:21.26 ID:xmDiIkEo
とりあえず誘導のために立てました。
再開は一週間後ぐらいになります。
すいません。
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 02:38:37.87 ID:T80Vqg2o
キターーーーーー!!
楽しみにまってるよ!
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 08:35:24.68 ID:r55AuYAO
きたあああああ
楽しみだ!
7 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2010/11/14(日) 20:46:10.30 ID:NC.nzMAO
すいません
少し遅れそうです
8 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/14(日) 21:03:12.74 ID:.Qwg72Yo
なんだってええええええ
いつまでも待つから必ず帰ってきておくれ
9 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:18:29.97 ID:qUUFn2AO
##1

――純の部屋

純「ふぁ〜……暇だなぁ」

純「春休みっていっても特にやることもないし…」

純「どっか遠くに遊びに行きたいな〜……あぁでもやっぱそんな遠くには行きたくないや」

純「……」

純「……梓にでもメールしようかな」

純「『今日ひま? ひまだったらどこか遊びに行かない?』っと」ポチポチ

純「送信」

純「あっ、どこ遊びに行こう…」

純「買い物は……お金ないからダメか」

ヴーヴー

純「来た、返信はやっ」


―――――――――――
From:中野梓
Sub :今日?
―――――――――――
今日はちょっと…ごめん
ね。
明日は大丈夫だよ!
―――――――――――


純「明日か……明日は用事あるんだよね」

純「『残念、私は明日無理だった』。送信…」
10 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:19:16.30 ID:qUUFn2AO
純「梓はダメかぁ…憂はどうかな」

純「送ってみよう」ポチポチ

純「そーしん」

ヴーヴー

純「おっと、梓からだ」


―――――――――――
From:中野梓
Sub :そっか・・・
―――――――――――
映画の試写会のチケット
があるから憂も誘って三
人で行こうと思ってたん
だけど…

だったらしょうがないね
。また今度。

―――――――――――


純「試写会!? なにそれいいなー」

純「私も行きたい…」

純「『ちなみに何の映画?』。送信っと」ポチポチ

ヴーヴー

純「憂からも来た」

―――――――――――
From:平沢憂
Sub :純ちゃんへ
―――――――――――
今日は用事があって遊べ
ないの。ごめんね。
明日なら遊べるよ。
―――――――――――
11 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:20:05.07 ID:qUUFn2AO
純「憂も撃沈…なかなか都合があわないなぁ〜」

純「あっ、ていうことは明日は二人で映画か…」

ヴーヴー

―――――――――――
From:中野梓
Sub :ハリポタ
―――――――――――
ハリーポッターの最新作
だよ!
―――――――――――

純「えっ、いいなー! うらやましい…」

純「『ずるいぞー! 私も見に行きたーい!』、っと。送信」ポチポチ

ヴーヴー

―――――――――――
From:平沢憂
Sub :試写会?
―――――――――――
ほんと!?ありがとう梓
ちゃん!
ところで何の映画見に行
くの?
―――――――――――


純「憂…間違って私に送信してる」

ヴーヴー


―――――――――――
From:中野梓
Sub :ハリポタ
―――――――――――
ハリーポッターの最新作

純は行けないんだって。
―――――――――――


純「梓も誤送信してる!?」
12 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:21:02.40 ID:qUUFn2AO
純「何これ…二人して私にあてつけかー!!」

ヴーヴー


―――――――――――
From:平沢憂
Sub :間違ってた
―――――――――――
ごめんね、梓ちゃんへの
メール間違えて純ちゃん
に送っちゃってた。
―――――――――――


―――――――――――
From:中野梓
Sub :送信ミス
―――――――――――
ごめん。
―――――――――――


純「謝るなら映画見せてよー!!」


ヴーヴー


―――――――――――
From:中野梓
Sub :Re:私も行きたーい
―――――――――――
だったら一般公開された
らまた行こうよ。
―――――――――――


純「『了解! それならOK!』」ポチポチ
13 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:21:59.95 ID:qUUFn2AO
純「ハリーポッターか、いいなー」

純「あっそういえば私、途中までしか見てなかったんだ」

純「今度行く時までに前のやつレンタルして見ようかな…」

ヴーヴー

純「ん?」


―――――――――――
From:平沢憂
Sub :次は
―――――――――――
純ちゃんも一緒に行こう
ね!
純ちゃんとも見たいし。
―――――――――――


純「憂…なんとも優しいお言葉で」

純「『ありがとう! 私も楽しみにしてるね!!』」ポチポチ

純「送信!」

純「………そうだ」

純「『チケット三枚あるみたいだけど、あと一人は誰を誘うの?』」ポチポチ

純「どうでもいいけど…なんとなく気になっちゃった。こっちは梓に送信」

純「あっ、どうせ暇なんだし今日のうちにレンタル行こうかな」
14 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:23:24.73 ID:qUUFn2AO
純「んーと……どっから見てないんだっけ?」

純「確か三作品目までは見たような気が…」

ヴーヴー

純「来た」

―――――――――――
From:中野梓
Sub :えっとね
―――――――――――
たぶん唯先輩。
二人とも明日は暇だって
言ってたし。
―――――――――――


純「あ〜、なるほど。唯先輩か」

純「『納得。梓は唯先輩のこと好きだもんね』。送信」

純「相変わらず仲良いねー…」

ヴーヴー

純「はやっ!!」

―――――――――――
From:中野梓
Sub :Re:もう一人は?
―――――――――――
なっ、なななに言ってる
の!?
別に好きってほどじゃ…

ただの先輩だよ!
―――――――――――


純「…強情だなぁ」

純「でも面白いからもうちょっといじってみよう」

純「『けど梓って唯先輩に憧れて軽音部に入ったんでしょ?』。送信」

純「さて、どう出るか」
15 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:26:10.29 ID:qUUFn2AO
ヴーヴー

純「来た来た」

―――――――――――
From:中野梓
Sub :
―――――――――――
それは……
私は唯先輩のギターだけ
じゃなくて、軽音部全体
の演奏が気に入ったから
入ったの!

それに憧れの先輩なら唯
先輩じゃなくてどっちか
というと澪先輩だし。
―――――――――――


純「そうですかそうですか…」

純「『まぁ確かに良い演奏するよね。ちなみに私だって澪先輩に憧れてるよーだ』」

純「送信っと」

純「梓は面白いなー」

ヴーヴー

純「ん……憂からだ」

―――――――――――
From:平沢憂
Sub :お姉ちゃんから
―――――――――――
お姉ちゃんも純ちゃんと
行けなくて残念がってた
よー


―――――――――――

純「わざわざ唯先輩の写メまで撮ってる」

純「『私は気にせず楽しんでってね』」

純「んー……」

純「『そういえば、憂はお姉ちゃんのことどう思ってる?』。送信」
16 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:27:36.24 ID:qUUFn2AO
ヴーヴー

純「これは…梓か」

―――――――――――
From:中野梓
Sub :私も
―――――――――――
私も澪先輩への気持ちは
負けないよ!

ところで純って今何して
るの?
―――――――――――

純「『今暇してる。何かいい暇潰しはない?』。送信」

ヴーヴー

純「憂からだ」


―――――――――――
From:平沢憂
Sub :もちろん…
―――――――――――
大好き!
―――――――――――


純「梓と違ってストレートだなぁ…憂は」

純「『前から気になってたんだけど、唯先輩のどこら辺が好きなの?』」

純「あそこまで溺愛できるなんて私には分からないなー……送信っ」

ヴーヴー

―――――――――――
From:中野梓
Sub :だったら
―――――――――――
ベースの練習とかは?

―――――――――――


純「『さっき少しやったけど、今はそんな気分じゃない。他にない?』」
17 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:29:11.74 ID:qUUFn2AO
純「楽しいことないかな…何でもいいんだけど」

純「……お腹すいてきた」

ヴーヴー

―――――――――――
From:平沢憂
Sub :いっぱいあるよ!
―――――――――――
まずは笑顔!
かわいいんだよ〜。
見てるだけで幸せになっ
ちゃう!なーんて、言い
過ぎかな?
それとギターの練習した
り頑張ってる姿は素敵だ
よ。私も応援したくなっ
ちゃう。
あとね、今二人で麻婆豆
腐食べてるんだけどお姉
ちゃんったら美味しそう
に食べてるから私もつい
嬉しくなって・・・


―――――――――――

純「ながっ!?」

純「凄まじいほどのお姉ちゃんラブ…」

純「さすがに全部読みきれないよ」

純「『麻婆豆腐食べてるんだ。私も食べたいなぁ』っと」

純「あーお腹すいた……何か食べよ」

純「お母さんはいないし、自分で作ろうかな」

ヴーヴー

純「お?」

―――――――――――
From:中野梓
Sub :じゃあさ
―――――――――――
今お昼だし料理でもすれ
ば?
―――――――――――
18 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:30:25.97 ID:qUUFn2AO
純「今まさにそう思ってたところだよ、梓」

純「『ちょうど作ろうとしてた』」

純「うーん……何作ろうかな」

純「あっ、そうだ」

純「『メニューは麻婆豆腐!』。送信」

純「よし、作るぞー!」

純「……って、作り方分かんないや」

純「憂に聞こうかな…いやでも今食事中だし」

ヴーヴー

―――――――――――
From:中野梓
Sub :麻婆豆腐?
―――――――――――
作れるの?
難しいんじゃない。
―――――――――――

純「……『なんとかなるって』。送信」

ヴーヴー

―――――――――――
From:中野梓
Sub :写メで見せてね
―――――――――――
純がちゃんと作れるのか
な?

完成したやつ、後で見せ
てね。
―――――――――――

純「むっ、私だってやればできるんだからね」

純「『究極の麻婆豆腐を作ってあげるよ』っと。送信」
19 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:32:38.36 ID:qUUFn2AO
――台所

純「ひき肉とか材料は…バッチリ」

純「それじゃあ作るとしますか!」

純「まずは――どうするんだろう」

純「とりあえず豆腐とか切ろう」ザッザッ

純「それと後は――…下味かな?」

純「味がついてないと美味しくないもんね」

純「ボールに材料を全部入れてーっと」ドバドバ

純「う〜む……まず何を入れれば…」

純「確か料理の『さしすせそ』だか『あいうえお』があったはず…」

純「とりあえず『さ』は『お酒』だよね。お父さんの飲んでるやつ使おっと」

純「冷蔵庫の中に……あった」

純「……ビールでもいいかな」プシュッ

純「うわ、ビールのにおいがする」

純「入れるのは少しだけ、大さじ一杯くらい。これぐらいが多分いいんだよね」パッ

純「残ったのは……」ペロッ

純「まずっ! 捨てちゃおっと」

20 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:33:47.00 ID:qUUFn2AO
純「次に『し』!」

純「『し』は――はっ、醤油か』

純「今日は冴えてるなー私」ドバッ

純「え〜っと、『す』は…お酢」ドバッ

純「『せ』は………せ?」

純「…………せ!?」

純「せは…なんだろうな〜」

純「石油?」

純「せ、せ、せ……」

純「……」

純「『せ』飛ばそう」

純「『そ』! これは間違いなくソース」ドバッ

純「…よし、こんなもんか」

純「あとは混ぜて焼いて…」

純「あっ、辛いもん入れないと」

純「唐辛子唐辛子…これでオッケー」パパッ

純「あとは焼くだけだよね」
21 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:34:37.68 ID:qUUFn2AO
ジュージュー

純「……」

ジュージュー

純「……」

ジュージュー

純「ヤバい……臭い」

ジュージュー

純「これが…失敗ってやつかな」

ジュージュー

純「ど、どうしよう! なんでこんなことに!?」

純「『せ』を飛ばしたから!?」

ジュージュー

純「と、とにかく応急処置を…」

純「赤ワイン投入!」ザバッ

ジュバァァアアアアッ!!

純「あつっ!?」
22 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:35:49.94 ID:qUUFn2AO
――――――――――
―――――――
――――


純「……」

純「完成したけどこれは…」パクッ

純「っ!?」

純「……………まずい」

純「ひどいまずさだ…」

純「やっぱり『せ』がないのはダメなのかな……ていうか『せ』ってなんなのよ」

純「あー! これじゃあ梓に見せられないよー!!」

純「究極の麻婆豆腐どころか地獄の麻婆豆腐だ…」

純「いや、麻婆豆腐でもないか」

純「……」

純「とりあえずこれどうしよう…」

純「むぅ〜……しょうがない、憂に助けてもらうしかない。電話してみよう」

Prrrr、Prrrr

純「……」

Prrrr、Prrrr

純「出ないし…」
23 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:37:28.80 ID:qUUFn2AO
純「どうしよう…どうすれば」

純「こんなの作っただなんてお母さんにバレたら怒られちゃうよぉ〜…」

純「……あっ、そうだ」

Prrrr、Prrrr

先輩B『もしも〜し』

純「出てくれた!!」

先輩B『何がだよ。いきなりどうしたんだ〜?』

純「そ、そうだ。センパイって料理得意ですよね?」

先輩B『うん? まぁね〜、そこそこできるよ』

純「実は折り入ってお願いしたいことがあるんですが――」

・・・・・

先輩B『――なるほど、麻婆ね〜〜』

純「どうにかなりませんか? せっかく作ったんだし捨てるのももったいないし…」

純「それにこのままじゃ餓死しちゃいますよ」

先輩B『餓死すんのか、そりゃ大変だな〜』

先輩B『そうだな〜〜〜……まぁなんとかしてやるよ』
24 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:39:00.29 ID:qUUFn2AO
純「本当ですか!?」

先輩B『とりあえずカレーのルーはある?』

純「カレーですか? ………あっ、ありました」

先輩B『よし、じゃあ〜鍋に水をたっぷり入れろ』

純「はい!」ジャー

先輩B『玉ねぎと人参とジャガイモ、お肉を切って。あと麻婆と一緒に鍋の中入れて』

先輩B『そんでカレーのルーを入れて煮れば完成〜』

純「はぁ…?」

先輩B『じゃあ細かい下ごしらえを今から教えるぞ〜。まずは玉ねぎを――』





純「できました!」

先輩B『味はどうだ〜?』

純「美味しいです! まさかこんな美味しいのを自分で作れるなんて…驚きましたよ」モグモグ

先輩B『そうか、よかったな〜』

先輩B『んじゃ私はこれで』ピッ

純「これなら梓も驚くだろうなー、うん」
25 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:39:48.00 ID:qUUFn2AO
――中野家

梓「今のうちに明日の準備でもしよっと」

ヴーヴー

梓「あっ…純からメールだ」

梓(そういえば麻婆豆腐作るとか言ってたけど、どうなったんだろう?)

梓「ちゃんと作れたのかなー♪」

―――――――――――
From:鈴木純
Sub :これが私の実力よ
―――――――――――
すっごく美味しかった!
今度梓と憂にも作ってあ
げるね!!

写メで撮ったから見てみ
て↓


―――――――――――

梓「……」

梓「これカレーじゃん」



##1 おわり
26 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga saga]:2010/11/19(金) 20:40:49.75 ID:qUUFn2AO
遅れてすいませんでした。
PCが逝ったり色々あって…
とりあえず今日から再開です。
27 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 21:25:59.79 ID:2k1bLgYo
乙!
毎日チェックしてて良かった・・・


カレーワロタ
28 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 22:03:52.83 ID:5sqMxA.o
乙!
29 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 23:27:29.16 ID:fQa9SnMo
石油ワロタ
30 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/20(土) 00:14:08.80 ID:erKdVcAO
おつ!

それと前スレが百合ノートにまとめられたようですよ
31 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/20(土) 09:17:10.44 ID:ibpJB9oo
再開ヤターーー!!

メール進行とはなかなか新鮮。
新スレも期待!

32 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/20(土) 13:33:57.93 ID:fSY17QEo
再開きたああああああ
乙!
33 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/22(月) 23:55:21.03 ID:SV9pR.AO
##2

純父「おい、俺のビール知らないか?」

純母「昼前からお酒? 勘弁してよね」

純父「いや、そうじゃなくて……買いだめしたやつを今確認したら一つないんだよ」

純母「どうせ飲んだんでしょ」

純父「そんな覚えはないんだが……。純、知らないか?」

純「……知らなーい」

純父「だよなぁ、純が飲むわけないし」

純「……」

純母「純、暇ならちょっと買い物行ってきてちょうだい」

純「えぇ〜? 今超忙しいんだけど」

純母「音楽聴いてるだけじゃない」

純「これはジャズの勉強なの!」
34 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/22(月) 23:56:24.09 ID:SV9pR.AO
純母「いいから行ってきなさい! 人参と玉ねぎ、ジャガイモね」

純母「はいこれお金」

純「……は〜い」

純父「母さん、小腹が空いたから何か作って欲しいんだけど…うどんとか」

純母「今超忙しいの。後で」

純父「じゃあ純、何か買ってきてくれ…うどんとか」

純父「あれ、純? もう行ったのか?」

純父「おーい、純ー」

純父「父さんうどん食べたいなー、おーい」

純父「……」
35 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/22(月) 23:57:33.07 ID:SV9pR.AO
――町中

純「めんどくさいな〜…休みなのに」

純「さっさと買い物済ませよ…」

純「……ふぅ」

純「それにしても、春風が気持ちいいな〜」

「ヘイ、そこのお嬢さん」

純「!!」

「暇そうだね。よかったら遊ばない?」

純(後ろから声…誰? ナンパ!?)

純(まいったなー、ナンパだなんて。私そんな軽い女じゃ…)チラッ

先輩B「やっほ」
36 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/22(月) 23:58:24.43 ID:SV9pR.AO
純「……」

先輩B「なんで残念そうな顔してんだよ〜」

純「いえ……どうしてセンパイがここに?」

先輩B「ん? 待ち合わせしててね。そんで純を見つけたから声かけたんだよ」

純「待ち合わせ?」

先輩B「もうそろそろ来るはずなんだけど〜…」

<プップー

純(クラクション音?)

顧問「お待たせー」
37 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/22(月) 23:59:22.89 ID:SV9pR.AO
純「あっ…先生」

顧問「お、なんで純がいるの?」

先輩B「さっき捕まえました〜」

顧問「そうなんだ」

純「これ先生の車ですか? ていうか先生車持ってたんですね!」

顧問「親のお下がりだけどね」

顧問「…そうだ、純も一緒に来る?」

純「え? どこに…」

顧問「楽器買いにだよ」
38 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:00:47.97 ID:dVw0g6AO
――車内

純「へぇ〜、じゃあ先生とうとう楽器始めるんですか」

顧問「うん、やっぱ顧問として何かやっておかなくちゃなーと思ってね」

先生B「そんで私は買い出しに付き合わされたってわけ」

純「でも、なんでわざわざ車で遠出するんですか? 楽器店なら近くにあるのに」

顧問「ん? まぁ春休みだしこういうのもいいじゃない」

先輩B「アウトドア派ですね〜……ふあぁ〜ねむ」

純「私もちょっと眠いような…」

顧問「こんな時間に眠いって…アンタら昨日なにやってたの」

先輩B「ギターいじって本読んでた…ギターいじって」

純「テレビ見てインターネットして…」

顧問「はぁー、これだから若い奴らは。休みだからって怠けないで早く寝ろっての」

先輩B「いや、10時前には寝たんですけどね」

純「私も」

顧問「なんだそりゃ…」
39 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:01:45.14 ID:dVw0g6AO
純「そういえば先生、なんの楽器やるんですか?」

顧問「うん? ん〜……なにやろうかな」

先輩B「決めてないんですか」

顧問「迷っててねぇ…簡単なやつとかある?」

先輩B「全部それなりに難しいですよ」

顧問「そりゃ困ったなー。学生時代はリコーダーもろくにできない子だったのに」

純「…それでよくジャズ研の顧問になろうとしましたね」

顧問「どうしてもって頼まれてね。他に人もいなかったし」

先輩B「音楽やるような人にも見えませんしね〜先生」

顧問「実際にできないから否定しないけどさ…。できる人は全員吹奏楽部や合唱部にいるからな」

顧問「まぁこれからは私もできる側の人間になるわけだけどね」
40 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:03:16.31 ID:dVw0g6AO
純「で、なにやるんですか?」

顧問「……指揮者とかは?」

先輩B「一番難しいですよ、それ」

顧問「えぇ!? 棒振るだけの簡単な仕事じゃないの?」

先輩B「その発言は世界中の指揮者を敵に回しますよ〜」

純「ジャズって指揮者いるんですか?」

先輩B「ビッグバンドならたま〜にいたりするけど〜……」

先輩B「まぁ、いらないな」
41 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:04:34.82 ID:dVw0g6AO
先輩B「去年のコンテストも他校で指揮者なんていなかっただろ?」

純「コンテストかぁ…今年は私も出れるかな」

先輩B「……かもね。去年より上手くなったし」

純「やった!!」

先輩B「でもリズムセクションは人数枠限られてるから激戦だぞ〜」

顧問「初心者多かったんだっけ? 去年」

先輩B「そうですよ〜。一昨年は経験者と初心者が半分半分ぐらいだったかな」

先輩B「まぁかつては初心者だった子たちも、今では立派に演奏できるようになったし…」

純「いやーあははは」

先輩B「今年は去年よりさらに練習厳しくしようかな〜」

純「えっ!?」
42 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:06:01.49 ID:dVw0g6AO
先輩B「それぐらいしないと〜、コンテストでグランプリは取れないんだよ」

純「うわ…急に憂鬱に」

先輩B「去年はレギュラーを重点的に練習してたけど、今年は全体的にレベルアップしないとね」

顧問「なんか知らんけど頑張りな。私もこれからはたまに練習参加するから」

先輩B「先生も?」

顧問「だって家じゃ練習できないんだしさ」

先輩B「それはいいんですけど〜…」

純「顧問の先生って感じじゃないですよね、それ」

顧問「……すいません」
43 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:07:12.08 ID:dVw0g6AO
――パーキングエリア

純「またずいぶん遠くまで来ちゃいましたね」

先輩B「だな」

純(そういえば買い物の途中だったような…)

純「怒られちゃうな〜…これ」

先輩B「あっ、サルがいた」

純「えっ! どこですか!?」

先輩B「ほらあそこ」モコモコ

純「えー……見えないんですけど」

先輩B「あっちだって、ほら」モコモコ

純「……なにしてるんですか」

先輩B「噂に聞く純の髪をモコモコしてる」モコモコ
44 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:07:55.74 ID:dVw0g6AO
純「噂?」

先輩B「あいつ(先輩A)が言ってたんだよね〜…」モコモコ

先輩B「『純ちゃんの髪モコモコしてかわいいのよ〜』って」モコモコ

純「か、かわいいって言われるのは嬉しいんですけど、それ以上やられると髪型が崩れ…」

先輩B「あ〜〜、これ確かにさわり心地いいな〜」モコモコ

先輩B「ジャズ研の名物にしよっか? 純ちゃんモコモコ、って感じで」モコモコ

純「純ちゃんモコモコ……いいかも」

純「いやそうじゃなくて!! いい加減髪が〜…」
45 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:09:28.27 ID:dVw0g6AO
先輩B「おっと、失礼失礼〜」

先輩B「髪の毛は女の命みたいなモンだもんね〜……はい、整った」

純「癖毛は特に大変なんですよ。毎朝鏡の前で格闘してるし」

先輩B「ふ〜ん、そうなんだ。純もちゃんと女子高生してるんだね」

純「今度ストレートに挑戦してみようかなぁ…」

先輩B「それはダ〜〜〜メっ」

純「ウェイ(Why)!?」

先輩B「ストレートになったらモコモコできないだろ〜、せっかく面白いもん見つけたのに」
46 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:10:31.99 ID:dVw0g6AO
純(面白いもの…)

先輩B「純がストレートになったら大勢の人が悲しむぞ〜、全米が泣くぞ〜」

純「私としては大喜びなんですけど」

先輩B「とにかくストレートはダメ。これは部長命令だからナ」

純「職権濫用だー!!」

先輩B「あはは、じゃあ〜来年は純が部長になって好き放題やればいいじゃん」

純「私が…部長!? 本当ですか!?」

先輩B「もしもの話だよ。もしも」

純「私が部長かぁ…部長になったら何しようかなぁ」

先輩B「聞いてねえ〜」

男1「ねぇねぇ、君たち何してるの?」
47 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:12:40.40 ID:dVw0g6AO
純「え…」

先輩B「ん?」

男2「あれっ! 君かわいいね〜!!」

男1「なになに? 二人でドライブしに来たって感じ?」

先輩B「はあ…?」

純(こ、これって……ナンパ!? 本物のナンパだ!!)

先輩B「まぁ〜〜そうですね〜、そんな感じです」

男1「ならさ、俺たちとも一緒にドライビングしない? 俺、ここら辺のオススメスポットとか詳しい感じなんだよね」

純(ど、どうしよう…こういう時どう対応すれば…)

先輩B「それは素敵な感じですね〜」
48 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:14:02.56 ID:dVw0g6AO
男2「な? いいべ? 一緒に行こうや」

先輩B「え〜、どうしようかな〜」

純(ヤバいよ〜…このまま連れていかれたらどんなことされちゃうんだろう)

先輩B「私たち〜、行くところあるんで〜」

男1「そんなこと言わない感じでさぁ」

男2「行こうぜ、な?」

純「……」

純(ていうか…)

先輩B「困ります〜」

男1「お姉ちゃんみたいな素敵な女の子と一緒にドライビングしたい感じなんだよ、お願い!」

男2「絶対後悔させないから、な?」

先輩B「無理で〜す」

純(さっきから私はおもいっきりスルーされてるし!!)
49 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:15:09.13 ID:dVw0g6AO
男1「そんな感じはやめてさぁー、もっと楽しい感じでいかない?」

先輩B「しつこいな〜…しつこい人は嫌いですよ」

男2「つれないなー、俺たちとデートしようぜ?」

先輩B「ほら、行こう純」

純「あ、はい」

男1「あんな子ほっといてさぁー、俺たちと一緒に行こうよ」

純(むっ、あんな子って…)

先輩B「…言っときますけど、私にとったらあんた達より純といる方がよっぽど楽しいんで」

先輩B「私たちの邪魔しないでください」

男1「じゃあこの子も一緒に」ガッ

純「いたっ! 引っ張んないで!!」
50 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:15:57.71 ID:dVw0g6AO
先輩B「っ!!」ドンッ

男1「うおっ!?」

先輩B「逃げよ、純」

純「は、はい!」

男2「おいコラ待てやぁ!!」

純「わわっ…」

先輩B「しつこいな〜もう〜〜」

顧問「おーい、飲み物買ってきたぞー」

先輩B「あっ、お母さん助けて〜!」
51 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:17:06.18 ID:dVw0g6AO
男1「!?」

男1(母親…だと!?)

男2(親連れかよ! でも結構美人だヒャッホーイ!!)

顧問「あ? なに言ってんの」

先輩B「あの人たちがしつこいよお母さ〜ん」

顧問「いや、お母さんって…」

先輩B(ほら純、お前もやれ)チラッ

純「あっ…」

純「た、助けてお母さーん」

先輩B「お母さ〜ん」

純「ママー」

先輩B「マミ〜」
52 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:18:31.76 ID:dVw0g6AO
顧問「…なんかよく分からんが」

顧問「こいつらに手ぇ出したらタダじゃすまないよ?」ギロッ

男1・2「!!?」ビクッ

男1(ヤベぇ…マジヤベぇよパネェ…)ガクガク

男2(アレぜってー本物だよ。元族のベッドとかだよ…)ブルブル

顧問「ほら、はやく散れ」

男1「え…」

顧問「散れって言ってんのが分かんないんかい」

顧問「目の前から消えろって言ってんだよ!!」

男1「ご、ごめんなさい!!」

男2「すいませんでしたぁー!!!」

ダダダッ

純「す、すごい…逃げてった」

先輩B「作戦成功〜、イぇい」
53 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:19:41.99 ID:dVw0g6AO
顧問「なにがイぇいだ」ポカッ

先輩B「あだっ」

ポカッ

純「いたっ! どうして私も!?」

顧問「私のどこがお前たちの母親なんだよ。まだ全然若いんだろ」

先輩B「ヤンママに見えますね」

顧問「ヤンママ…」

純「怒った時はすごい迫力でしたよ。本物みたいでかっこよかったです」

顧問「あのな……はぁ」

先輩B「あっ、お母さ〜ん、たこ焼き買って〜」

顧問「…アンタだけここで降ろそうか?」

先輩B「やっぱたこ焼きはいいです」
54 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:20:59.86 ID:dVw0g6AO
純「でも、先生のおかげで助かりました。ありがとうございます」

顧問「まったく…ナンパ断るにしても、もうちょいやんわりと断われっての」

先輩B「すいませ〜ん」

純「結局私は声かけられなかったけど…」

先輩B「純の魅力に気づかないあの男たちがバカなのさ」

純「センパイ…!」ジーン

顧問「ほらなにやってんの、行くよ」

純「…センパイ」

先輩B「ん〜?」

純「先生って、カッコいいですよね!」

先輩B「そうだな〜、ワイルドだな」

純「ドラゴ○ボールの18号にも似てるし」

顧問(褒められてんのか…? これ)
55 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:22:03.28 ID:dVw0g6AO
純「――それにしても、あんな所でナンパされるなんて大変でしたね」

純(ほとんどセンパイ目当てだったけど)

顧問「私も若い頃はよく声かけられたもんだよ」

先輩B「一応美人ですもんね」

顧問「一応ってなんだい。一応って」

純「先生、もうちょっと着飾ればいいのに。メイクとかも」

先輩B「Tシャツとジーンズじゃ色気ないよな〜。様にはなってるけど」

顧問「自然体が一番なんだよ。ていうか休みの日ぐらい楽な格好させてくれよ」

先輩B「普通休みの日だからこそおしゃれするよな」

純「女捨ててるって感じですよね」

顧問「ひどいなお前ら」
56 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:22:54.52 ID:dVw0g6AO
先輩B「でも私たちはそんな先生が大好きですよ」

純「私も、大好きです!」

顧問「えぇっ…な、なんだよ急に〜。照れるじゃん///」

先輩B「本音言っただけだよな〜」

純「そうですよねー」

顧問「…ったく、おだてたって何も出ないぞ」

顧問「はぁ……腹減ったしたこ焼きでも食べるか」

先輩B・純(やった!)
57 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:24:13.44 ID:dVw0g6AO
――楽器店

先輩B「ようやく着いた〜…こんな遠い楽器店来たの初めてだよ」

純「売ってるものは近所にあるやつと大して変わりませんね」

先輩B「何のためにここまで来たんだか」

顧問「気分だよ、気分。なんか新鮮な気分だろ?」

先輩B「疲れた〜って気分です」

顧問「なら早く買って帰るか」

純「なにやるか決めたんですか?」

顧問「そうだな〜…純は何やってるんだっけ?」

純「ベースですよ」

顧問「ベース? どれ?」
58 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:25:07.09 ID:dVw0g6AO
純「ほら、ここに置いてある…」

顧問「へぇー、これがベースか。……あれ? 弦が四本しかないじゃん」

純「それがベースですから」

顧問「ベース……ベーシック…。なるほど、初心者用のギターか」

先輩B「先輩がいたら怒ってますよ」

純「ギターとベースは全然違いますって」

顧問「違うのか……よく分かんないなー」
59 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:26:18.87 ID:dVw0g6AO
純「それで本当によく顧問やってこれましたね…」

顧問「ベースは…いいや」

顧問「あっ、これはいいかも」

先輩B「どれ?」

顧問「ラッパ」

先輩B「サックスです、それは」

顧問「これがサックスか…いいな」

先輩B「先生タバコ吸ってんでしょ? 吹奏楽器にタバコはあんまりオススメできないですよ」

顧問「そっか……いや、それもいいかもな」

顧問「これを機にタバコやめよう」

先輩B「あれ、やめるんだ」
60 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:27:27.53 ID:dVw0g6AO
顧問「まぁー…ね。体にも財布にも悪いし。やめよう、うん」

顧問「どのサックスにしようかな…」

純「私、ベース見てますね」

先輩B「はいよ」

顧問「うーん…高いなぁどれも」

先輩B「このアルトサックスとかどうですか?」

顧問「おっ、いいな……。あっ、でもこれもいい」

顧問「どれにしよう……う〜ん」
61 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:30:15.19 ID:dVw0g6AO
純「ふむ……」

純(楽器店来るたびにベース見てるけど……良いのはやっぱどれも高いなぁ)

純(ま、私には愛用のベースがあるから別にいいけど)

先輩B「色々あるな〜」

純「あっ、センパイ。先生ほっといていいんですか?」

先輩B「なんか〜〜、二つのうちどれか迷ってるみたいなんよ…」

先輩B「だから後は一人で決めさせる」

純「意外と優柔不断なんですね」







顧問「こっちにしようか…」

顧問「いや、肌触りはこっちの方が…」

顧問「あ、でもこれはあれだな、しっくりくる」

顧問「いや、これはこれで…」

顧問「……う〜ん」
62 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:31:40.82 ID:dVw0g6AO
先輩B「純はこの中で欲しいものある?」

純「私ですか? 弾いてみたいのはありますけど……これといって欲しいものは…」

純「それにやっぱ自分のベースが一番だし」

先輩B「そりゃいい心がけだね」

先輩B「自分で買ったの? そのベース」

純「はい、中古で」

先輩B「それじゃあ思い入れもあるはずだ」

純「てへへ…」

先輩B「純はベース好き?」

純「好きですよ」

先輩B「なんか目標とかある?」

純「えっ……目標?」
63 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:33:04.95 ID:dVw0g6AO
先輩B「目標だよ、なんかあるだろ?」

先輩B「レギュラーになりたいとか、憧れのベーシストみたいになりたいとか…」

先輩B「部長にもなりたそうにしてたじゃん、さっき」

純「そうですねー……」

純「なれるんだったら全部なりたいかも」

先輩B「欲張りだな」

純「そっちの方がいいじゃないですか」

先輩B「…フッ」

純「なんか鼻で笑われたー…」

先輩B「まぁ…やりたいことが決まってる分、そっちの方が全然良いな」

純「…?」

顧問「おーい、決まったぞ! これにした」

先輩B「…決まったんだって。行こ」

純「あ…はい」
64 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:34:51.58 ID:dVw0g6AO
・・・・・

顧問「いやー、いい買い物だった」

先輩B「三日坊主にはならないでくださいよ」

顧問「平気平気。さて、そろそろ帰ろっか」

純「すいません、ちょっとトイレ行ってきていいですか?」

顧問「うん、いってらっしゃい」

純「すぐ戻ってきまーす」タタタッ

先輩B「……」

顧問「あ〜疲れた。こんな遠くまで来る必要なかったよ」

先輩B「今さらですか」

顧問「そういえばお前、進路とか決めたの?」

先輩B「いえ…ま〜だですよ〜〜」

顧問「休日にこんなこと言いたかないけどさ、早めに決めておきなよ」

先輩B「は〜い…」

先輩B「……」

顧問「ふぅ…」ガサゴソ
65 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:36:41.33 ID:dVw0g6AO
先輩B「…先生〜、なにやってるんですか?」

顧問「え? 何ってタバコを吸おうと……はっ」

顧問「危なっ!? いつの間に吸おうとしてたんだ私!!」

先輩B「もう捨てちゃえばいいのに」

顧問「けど…私にとっては長年付き合ってた彼氏みたいなもんなんだよ」

顧問「やっぱりそんな簡単には…」

先輩B「未練がましいな〜…タバコさんは捨ててサックス君と付き合ってください」

顧問「くっ…」

純「お待たせしましたー」

顧問「タバコさん…ごめんなさい!」バッ

純「え? バタコさん?」
66 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:37:43.66 ID:dVw0g6AO
――車内

顧問「そろそろ暗くなるなぁー」

先輩B「遠出した割には滞在時間短かったですね」

顧問「ドライブできたと思えばいいじゃん」

顧問「そうだ、なんか買うものとかある? せっかくこんな所に来たんだし」

先輩B「私は特にないです」

顧問「純は?」

純「私も特に…でもお腹すいたなぁ」

顧問「おっ、ならそばでも食べる?」

先輩B「そば?」

顧問「ほらあのお店。お土産のそばも売ってるんだって」

顧問「ついでに買いたいし、行こっか」

純「お土産かぁ…私も買っておこうかな」
67 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:39:17.31 ID:dVw0g6AO
――鈴木家

純「すいません、わざわざうちの前まで」

顧問「いいっていいって、付き合わせたこっちも悪いんだし」

先輩B「純、ちゃんと自主トレやっておくんだぞ」

純「分かってますって」

先輩B「じゃ、また新学期にナ」

純「はい、お疲れ様でした」

顧問「じゃあねー」

純(ふぅ、疲れたー)

純(でも楽しかったなぁ)
68 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga sage]:2010/11/23(火) 00:42:34.98 ID:dVw0g6AO
ガチャッ

純「ただい――…」

純母「遅い!! こんな時間までなにやってたの!?」

純「ごめん、ちょっとあってね…」

純「そうそう聞いてよ、ナンパされたんだよ私!」

純母「嘘おっしゃい」

純「嘘じゃない…ていうか即否定って」

純(まぁ、目当ては私じゃなかったけどさ)ゴソゴソ

純「はい、これお土産」

純母「……なにこれ?」

純「そば」

純母「頼んだものと違うわよね…」

純「いいじゃん、今日の夕飯はおそばで。おいしいよ?」

純母「はぁ…」

純父「うどん…」


##2 おわり
69 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 00:47:29.09 ID:dVw0g6AO
ここまで、ということで。
とりあえずこのSSは二年生編で完結させようと思ってます。
70 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 02:15:01.01 ID:Xc81yUQ0
おつおつ!
顧問かっこいい
71 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 05:08:01.80 ID:H4FQR8Ao
乙です!
ウェイって純ちゃん…
72 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/23(火) 11:59:12.95 ID:zZVJl.AO
乙!
二年生で終わっちゃうのか…
73 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:26:40.19 ID:MewaqQAO
##3-a

新学期
――通学路

唯「〜♪」テクテク

先輩B「小さい頃は〜神様がいて〜♪」

先輩B「毎日愛を〜届けてくれた〜♪」

唯「お?」

先輩B「こ〜ころの奥にしまい忘れた〜♪」

先輩B「大切な箱〜開く時はい――」

唯「いい歌だねぇー!」

先輩B「ん?」

唯「ねえねえ、その歌なんていうの?」
74 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:28:03.79 ID:MewaqQAO
先輩B「…私の好きな歌」

唯「へぇー……あっ、いきなりごめんなさい」

唯「私は軽音部の平沢唯というケチな桜ヶ丘高生でして…」

先輩B「知ってるよ」

唯「え?」

先輩B「軽音部のライブ見たことあるし。可愛かったよ〜」

唯「いやぁ〜、かわいいなんて〜」テレテレ

唯「あっ、えっとぉ……名前は」

先輩B「私? 私はジャズ研の――」
75 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:28:59.69 ID:MewaqQAO
・・・・・

唯「学校と〜ちゃくっ!」

唯「では私は部室に行ってくるので!」

唯「じゃあねー」タタタッ

先輩B「さいなら〜」

唯「またねー!」タタタッ

先輩B「…パンくわえながら走ってる」

先輩B「漫画かありゃ」

先輩B「……ふぁあ〜」

先輩B「始業式なのに朝早く学校来るなんて…」

先輩B「考えることは私と同じかナ」

先輩B「……」

先輩B「あれ? さっきどこまで歌ったっけ…」

先輩B「まぁいいか、最初からで」

先輩B「小さい頃は〜神様がいて〜♪」
76 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:29:44.05 ID:MewaqQAO
――2年1組

純「憂!!」

憂「純ちゃん!!」

憂「やったね、また一緒のクラスだよ〜!」

純「別々のクラスだったらどうしようかと思ったよ」

憂「私も私も」

純「梓は?」

憂「まだ来て――」

梓「おはよ、二人とも」

憂「あっ、梓ちゃん!」

純「おっはよー♪」
77 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:32:15.68 ID:MewaqQAO
憂「同じクラスだよ、梓ちゃん!」

梓「うん、運いいよね」

純「また三人で一年間一緒なら、学校も楽しくなるよ」

梓「純ったら、調子いいんだから」

憂「梓ちゃん、さっきまで練習してたの?」

梓「えっ、よく分かったね」

憂「お姉ちゃん今朝早くに出ていったから」

梓「なんか目覚ましのセット間違えたんだって」

憂「もう、お姉ちゃんったら…」

純「なに? 軽音部って朝練したの?」

梓「うん、先輩たちもみんな来て」

純「スタートダッシュだねー、軽音部は」
78 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:33:01.29 ID:MewaqQAO
梓「今年は一味違うよ! …たぶん」

純「おーおー、気合い入ってますなぁ」

憂「あっ、お姉ちゃんたちも同じクラスなんだって。メールきたよ〜」

梓「本当だ…」

純「勢揃いだね……あっ、和先輩もいる」

憂「楽しそうだね」

純「なんか騒がしいクラスになりそうな気もするけど…」

梓「今日って始業式が終わったらそのまま下校だっけ?」

憂「うん、そうだよ」
79 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:34:34.94 ID:MewaqQAO
梓「そっか…」

純「すぐ帰るの?」

梓「ううん、部活。新入部員を勧誘しないと」

純「あっ…そういえば」

憂「新入部員来るといいね」

梓「うん!」

純「去年を思い出すなー、色々とワクワクしてたよねこの時期」

憂「懐かしいねー。純ちゃんと軽音部見学しに行ったりしたっけ」

純「あの頃は何か怪しい部だと思って入らなかったけどね」

梓「もう一年かぁ…」

梓(今年は頑張らないと…)

梓(やるぞ私! おー!!)

純「なんか梓が気合い入った顔してる」

憂「ふふっ」
80 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:35:54.42 ID:MewaqQAO
――3年1組

先輩A「私たちが同じクラスって、初めてだよね」

先輩B「そだっけ?」

先輩A「そうです。今年はよかった」

先輩C「何がだ?」

先輩A「だーかーらー、同じクラスになれたじゃない」

先輩C「この三人で仲良しグループなんて組んだ覚え、ないけどな」

先輩A「…照れてる」

先輩C「これっぽっちも照れてない!!」

先輩B「担任誰かな〜」

先輩A「山中先生とかだったらいいなー」

ガラッ

顧問「おはー」

先輩B「残念だったね」

先輩A「私はどっちにしろ嬉しいけど?」
81 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:37:31.54 ID:MewaqQAO
顧問「はい席ついてー」

顧問「今日から一年間、私が担任を務めるんでよろしく!」

顧問「いやー、見知りってる顔が多くてよかったよ」

顧問「山中先生と相談しといて正解だった」ボソッ

顧問「さて、アンタたちは気づけばあっという間に三年になったね」

顧問「新学期早々に説教じみたこと言いたかないが、もう三年なんだから気を引き締めるんだよ。毎日をしっかりこつこつと……」

顧問「あっヤバッ、名簿忘れた」

顧問「………別にいっか」

顧問「そんじゃそろそろ始業式始まるから講堂へ行くように」
82 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:39:33.37 ID:MewaqQAO
先輩B「めんどいな〜始業式。眠いのに」

先輩A「そういえば朝早かったね。どうしたの?」

先輩B「たまにはね。部室でギター弾いてただけだし」

先輩C「なんだそれ。朝練があるならそう言え」

先輩B「あり? 私と一緒に練習したかったのかい?」

先輩C「誰が! …そうじゃなくて、練習があるならちゃんと連絡しろって言いたんだ」

先輩C「部長だろ」

先輩B「練習じゃないよ、私の気まぐれ」

先輩C「…お前が部長で正直不安だよ」

先輩A「そこは副部長が支えてあげれば?」

先輩B「ね?」

先輩C「何がね?、だ! 真面目にやれ!!」
83 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:41:22.04 ID:MewaqQAO
始業式、終了
――廊下

梓「なんとしても新入部員を獲得しなきゃ」

梓「よぉーし!」

純「さっきから気合い入ってるねー、梓」

憂「二年生、梓ちゃん一人だけだから」

純「大変だそりゃ」

後輩C「……」

ドンッ

純「わっ!?」ドサッ

後輩C「きゃっ!!」ドサッ
84 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:42:14.27 ID:MewaqQAO
憂「じゅ、純ちゃん大丈夫?」

純「う、うん…平気」

後輩C「あっ――ご、ごめんなさい……私…」

純「ううん、よそ見して歩いてたこっちが悪いんだし」

後輩C「ごめんなさい…ごめんなさい…っ」タタタッ

純「あっ……行っちゃった」

純「……」

梓「純、どうしたの?」

純「これ…ハンカチ落ちてた。多分あの子のじゃないかな」

憂「えっ、じゃあ返さないと」

純「けどもういないし」

純「どうしようかなー、これ。せめてクラスでも分かればいいんだけど」

同級生「純ー!!」ガバッ

純「わわっ!?」
85 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:43:36.22 ID:MewaqQAO
同級生「久しぶりー! 元気してた?」

純「久しぶりって、春休みに会ってたでしょ」

同級生「そうだったそうだった」

同級生「でもいいじゃん、休み明けなんだし。気分をバーっとするつもりで…」

梓「……」

憂「……」

同級生「あっ…」

純「私の友達、紹介するね。こっちが憂で、こっちが梓」

純「クラス一緒なの」

同級生「梓ちゃんは知ってるよ! 軽音部のギターだよね?」

梓「う、うん…」

同級生「よろしくー! 梓ちゃんってギターすごいよね」

梓「ありがとう…」
86 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:44:47.97 ID:MewaqQAO
同級生「……」ジーッ

梓「……なに?」

同級生「ねぇ、純。私と梓ちゃんどっちが身長高いかな?」

純「……梓かな」

同級生「そんなー!!」

梓(な、何なの…?)

純「そんで、こっちの憂はなんと軽音部のもう一人のギター、唯先輩の妹だよ」

同級生「へぇー…」

憂「えへへ」

同級生「唯先輩って誰?」

憂「!?」ガーン

「なにやってんのー! 早く行こー!」

同級生「あっ、待って!」

同級生「じゃあね純、また後で」

純「うん、後でね」

梓「…元気な子だね」

純「元気だけが取り柄だから」
87 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:46:07.82 ID:MewaqQAO
――2年1組

純「よし、ジャズ研行こうかな」

憂「純ちゃんも新入生勧誘?」

純「うん、そんなところ」

純「全校生徒引き込むつもりでやらないとね!」

憂「頑張ってね」

純「うん!」

憂「梓ちゃんも」

梓「他の部には負けないよ。絶対にいっぱい入部させるんだから!」

純「じゃあ勝負でもする?」

梓「うっ…」

純「…自信ないんだ」

梓「で、でもきっと…最低一人ぐらいは絶対入部させるもん!」

純「なんだか楽しくなってきたなー」
88 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:46:57.40 ID:MewaqQAO
――ジャズ研 部室

先輩C「……」

ガチャッ

先輩A「あっ、やっぱり。一人で先に行くなんて」

先輩B「なんだ、まだ他の人来てないんだ」

先輩C「……」ジーッ

先輩A「どうしたの? 外なんか眺めて」

先輩C「…あれ、見てみろ」

先輩B「どれ?」

先輩C「あれだあれ。ほら…」

先輩A「あっ、着ぐるみ五人組」
89 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:48:25.25 ID:MewaqQAO
先輩B「なんだありゃ。着ぐるみ流行ってんの? うちの学校」

先輩C「軽音部の勧誘だろ」

先輩B「あぁ…そういえば去年も似たようなの見た気が」

先輩C「まったく、あんなので人が来ると思ってるのか」

先輩B「そうだな〜、ペンギンの着ぐるみだったら可愛かったのに」

先輩C「そうじゃないだろ…」

先輩A「でも、ここから見る分には面白いじゃない」

先輩C「…はぁ、アホらしい」

先輩B「軽音部のこと嫌いなん?」

先輩C「軽音部はどうでもいい。ただ…」
90 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:49:36.29 ID:MewaqQAO
先輩A「ただ?」

先輩C「……なんでもない」

先輩A「?」

先輩B「あれ写メで撮っておこ〜っと」パシャリ

先輩A「うちも早めにビラ配りした方がいいんじゃない?」

先輩B「うん? そだね〜」パシャリ

ガチャッ

純「こんにちはー」

同級生「ちはー」

先輩B「グッドタイミングだ」

先輩A「二人とも、一緒にビラ配りに行こっか?」

純「へ?」
91 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:50:40.31 ID:MewaqQAO
――校庭

先輩A「ジャズ研よろしくお願いしまーす!」

純「お願いしまーす」

同級生「お願いしまーす!!」

先輩A「あっ、ジャズ研どうぞ。よかったら見学だけでも」

先輩A「どうぞ、ジャズ研よろしくお願いします。よろしくねー」

純「…なにもセンパイがやらなくても。三年生なんですから」

同級生「ここは私たちだけでも大丈夫ですよ?」

先輩A「いいのいいの、やりたくてやってるんだから」

純「頑張るなー、センパイ」

純「よーし! 目指せ部員百人!!」

同級生「百人ー!!」

先輩A「百人もいると二人はレギュラー取れないかもね」

純「あっ」

同級生「はっ」
92 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:51:32.96 ID:MewaqQAO
先輩A「ふふっ、なーんて気にしないでいいから。配ろっか」

先輩A「どうぞー、ジャズ研ですー」

純「ジャ、ジャズ研でーす」

純(なんか配りづらい…)

「センパーイ、副部長が呼んでます」

先輩A「あら?」

「ここは私が代わりますんで行ってください」

先輩A「えー…残念」

「手伝うよ」

純「さんきゅっ」
93 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:52:34.21 ID:MewaqQAO
――校内

律「今度はどんな手を使って勧誘しようか」

唯「悩むねぇー…」

梓「あんまり無茶しないでくださいよ」

律「分かってるって」

唯「あっ! りっちゃん隊員、ターゲット発見です!!」

律「なにぃ!? どこだ!!」

唯「あそこに!」

後輩C「……」

梓(あれ? あの子…)
94 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:54:20.25 ID:MewaqQAO
唯「あの子を誘おうよ」

律「ちょっと雰囲気暗いけど……いや、私たちで明るくしよう」

律「気に入ってもらえば即入部だ! 行くぞ唯!!」

唯「合点承知のすけ!!」

梓(二人とも何やるんだろう…)


後輩C「……」キョロキョロ

後輩C「ここ…どこだろう……」


律「ねえねえ知ってるぅ? 唯ちゃんってばぁ」

後輩C「!」ビクッ

唯「あ〜ん、どうしたのりっちゅぅわ〜ん」

律「軽音部ってぇ〜、すんごいらしいのよぉ〜」

後輩C「……」
95 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:55:35.54 ID:MewaqQAO
唯「なになに? なにがすごいのぉ〜???」

律「なんと軽音部に入るとぉ〜、世界観が丸っきり変わるのよん!」

律「生まれ変われるっていうかぁ〜、新しい自分になれるっていうかぁ〜」

律「とにかく刺激的な毎日が過ごせるのん!」

唯「わぁお! すっごぉーい!!」

後輩C「……」

後輩C(な、なんだろう…この人たち…)

後輩C(……逃げよう)
96 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:56:34.39 ID:MewaqQAO
律「やっぱ素敵でハッピーな高校ライフを過ごすには、軽音部しかないわよねー」

唯「そうだねー!」

律「さぁ、そこの君も軽音部に入部して明るく楽しく最高な青春を体験しないかい!?」

唯「しないかい!?」

律「………………って、あれ? あの子は?」

唯「あれぇ〜…」

梓「不気味がって逃げちゃいましたよ」

律「なんと!?」

唯「そんなぁー!! 私たちバッチリだったよね? あずにゃん??」

梓「…なんか気持ち悪かったです」

唯・律「!?」ガーン
97 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:58:05.42 ID:MewaqQAO
――校庭

純「どうぞ、ジャズ研よろしくね」

同級生「よろしくー」

「案外もらってくれるもんだね」

純「うん、この調子なら結構入ってくれるかも」




馬「ど、どうぞ、軽音部です」

猫「よろしくにゃーん♪」




同級生「出た! 謎の馬と猫!!」
98 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 22:59:07.24 ID:MewaqQAO
「あの中って誰が入ってるんだろうね」

「まさか澪先輩だったりして」

純「ないない、澪先輩があんなことするわけないじゃん」

純「きっと別の人だよ」

「だよねー」

「澪先輩があんなことやってたら幻滅だよね」

同級生「あはは、あの馬変な顔ー」

「確かに、笑える」





馬「……」

猫「澪ちゃん、ファイトだにゃあ!」
99 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:00:37.16 ID:MewaqQAO
――生徒会室

いちご「失礼しました」

ガチャッ、バタン

いちご「……」

先輩B「おっ」

いちご「!」

先輩B「久しぶり〜」

いちご「……」

先輩B「え〜〜っと……ざくろちゃん」

いちご「…いちご」

先輩B「あっ…と、ごめんなさい。いちごちゃん」

先輩B「何してるの?」

いちご「バトン部の報告書、提出しただけ」

先輩B「そっか〜、バトン部なんだっけ」

いちご「……じゃあ」

先輩B「またね〜」

いちご「……」コクリ
100 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:01:40.14 ID:MewaqQAO
コンコン

先輩B「失礼しま〜す」

和「どうぞ」

ガチャッ

先輩B「ジャズ研の活動報告書を提出に来ました〜」

和「わざわざありがとうね。そこに置いてもらえるかしら」

先輩B「はいは〜い、えぇ〜っと真鍋……」

先輩B「和(なごみ)ちゃん?」

和「和(のどか)って読むのよ」

先輩B「ありゃ…そりゃまた失敬」
101 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:03:20.44 ID:MewaqQAO
和「気にしないでいいわよ、よく間違えられるから」

先輩B「どーも」

先輩B「よく間違えられるなんて大変ですね〜」

和「ひどい時なんか…」

先輩B「和(かず)って呼ばれるでしょ?」

和「あとはそのまま、和(わ)とかね」

和「はいこれ、明日の新歓の資料」

先輩B「確かに受けとりました〜、和生徒会長」

和「…そういえば、あなたの名前は?」

先輩B「私?」

和「あなただって聞いたんだから、私も聞いていいでしょ?」

先輩B「なんかこのやり取り既視感が……まぁいいけど」
102 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:04:59.90 ID:MewaqQAO
――校内

梓「次はスパイ作戦ですか」

律「そう。色んな部に私たちが体験入部して、どうやって部員を集めてるのか調べるんだ」

唯「部活、いっぱいあるよ」

律「むぅ…ライバルだらけだな」

律「しかし、なんとかして他の部よりも多く新入生を確保しなければ!」

梓「で、どの部に行くんですか?」

唯「ここ行こうよ!」

唯「ジャズ研! 純ちゃんもいるし」
103 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:06:26.18 ID:MewaqQAO
――ジャズ研 部室

ワイワイガヤガヤ

先輩C「遅いぞアイツ…なにやってるんだ」

先輩A「生徒会室、混んでるんじゃない?」

先輩C「見学者が来てるってのに…」

先輩A「こういう時こそ、副部長が仕切るんじゃないの?」

先輩C「私が? …し、仕方ないな」

先輩C「そこまで言うなら私がやろう。今は私が部長みたいなものだからな」

先輩A「結構ノリノリ」

先輩C「あー……コホン。全員静かに」

先輩C「今からジャズ研の――…ん?」



律「急げ唯、もう始まってるぞ」
梓「唯先輩早く!」

唯「待って二人とも〜!」
104 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:07:50.35 ID:MewaqQAO
先輩C「そこで何してる、部室に入るなら早く――…」

先輩C「あっ」

唯「あっ!」

先輩C「平沢……何でお前が」

律「知り合い?」

唯「一年の時同じクラスだったんだよ。久しぶり〜!」

先輩C「……」

梓(向こうは歓迎してなさそう…)

先輩C「…で、何しに来たんだ」

律「いやー、是非ともジャズ研を見学したいと思いまして」

先輩C「見学? お前たちは軽音部だろ」

律「あっ、そうなんだけど…」

先輩C「ならどうして」

先輩A「いいじゃない、せっかく来てもらったんだし」

先輩A「見ていってもらっても構わないでしょ? ね?」

先輩C「……好きにしろ。まったく」

律「どうも、すいませーん」

唯「失礼しま〜す!」
105 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:10:10.01 ID:MewaqQAO
先輩C「なんで軽音部のやつらが…」

先輩A「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど」

先輩C「…何をだ」

先輩A「あの子と…」

唯「人いっぱいだねー、りっちゃん」

先輩A「何かあったの? 顔合わせてから不機嫌そうにしてるけど」

先輩C「…苦手なだけだ。一年の時から」

先輩A「あんな優しそうな子なのに」

先輩C「私は、苦手だ。大嫌いな犬の次にな」

先輩C「言動も行動も気にくわない」

先輩A「ひっどーい。何もそこまで言わなくてもいいのに」

先輩C「私に言わせれば、アイツは人を怒らせる天才だぞ」
106 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:12:03.92 ID:MewaqQAO
先輩A「それ、ただあなたが怒りっぽいだけじゃないの?」

先輩C「私のどこが怒りっぽいんだ!!」

先輩A「今怒ってる」

先輩C「お…怒ってない」

先輩A「怒ってる」

先輩C「怒ってないでございますー」

唯「あのー、まだ始まらないんですか?」

先輩C「うるさいな! お前は黙ってろ!!」

唯「ひぇ…なんか分からないけど怒られた…」

先輩A「何があったか知らないけど、とりあえず始めた方がいいんじゃない?」

先輩A「みんな待ってるよ?」

先輩C「……はぁ」

先輩C「遅れたが、これから再開します」
107 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:13:27.09 ID:MewaqQAO
・・・・・


先輩C「――以上。何か質問があれば遠慮なくしてくれ」

後輩A「初心者でも入部して大丈夫ですか?」

先輩C「うちは初心者も大歓迎だ。ちゃんと指導するから安心して入っていいぞ」

唯「ちなみに私も初心者だったんだよ〜」

後輩A「は、はぁ…」

先輩C「……」

先輩C「次、質問のある人」
108 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:14:17.64 ID:MewaqQAO
後輩B「ギターはエレキギターでもいいですか?」

先輩C「あぁ、もちろん。構わないぞ」

唯「あっ、私もギターだよ〜。ギー太ってギター使ってるの」

後輩B「そ、そうなんですか…」

先輩C「……」

先輩C「次、質問のある人」

後輩C「あ、あの……」

唯「はい! 私もジャズ研に入っていいですか?」

先輩C「お前は少し黙ってろ平沢ぁ!!」
109 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:15:55.64 ID:MewaqQAO
唯「!?」ビクッ

後輩C「!!」ビクッ

唯「ご、ごめんなさい!」

先輩A「ほらほら、落ち着いて」

先輩C「ったく…」

梓「唯先輩、なに言ってるんですか」

唯「いやぁ〜、なんかジャズに目覚めちゃって」

律「じゃあ今度、澪とムギに頼んでジャズ調の曲作ってもらおうな」

先輩C「だいたい、なんで軽音部がジャズ研の説明会に来てるんだ……ちゃんと訳を言え」

唯「それはスパイしに」
110 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:17:14.80 ID:MewaqQAO
先輩C「スパイ?」

唯「あっ…」

律「馬鹿っ、それを言うな!」

先輩C「……なるほど、スパイか」

先輩C「ジャズ研の新入部員を軽音部に引きずり込もうとしたんだな…」

唯「そ、そうじゃなくて…」

先輩C「言い訳なんか聞くか! 出てけ!」

先輩C「出ていかないなら力づくでも追い出してやる!!」
111 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:18:30.07 ID:MewaqQAO
律「いや、私たちはそういうわけじゃなくて! ジャズ研の活動を参考にしようと…」

先輩C「そんなの私が知るか!!」

唯「ひぇ〜!!」

先輩C「待て平沢! 逃げるな!!」

唯「待てませーん!」

先輩A「ちょ、ちょっと落ち着いて!」

先輩C「私は逃がさないぞ!! 私から逃げられると思うな!!」

先輩A「あぁもう、平沢さん嫌がってるじゃない」

先輩C「あのな、ああいう甘ったれたやつは一回ガツンとやらないと治らないんだ!」

先輩C「だから――」

先輩A「いいから落ち着いてって!!」ガツンッ

先輩C「痛っ!?」
112 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:20:55.35 ID:MewaqQAO
・・・・・

唯「ご、ごめんなさい!」

先輩A「いえいえ、私たちも悪いんで」

先輩C「お前…ゲンコツはちょっと…痛い…」

先輩A「あっ…ごめん、つい。大丈夫?」ナデナデ

唯「すいません…」

先輩A「そんな謝らなくても…
」ガサゴソ

先輩A「これお詫びにどうぞ、キャンディーです。よかったら皆さんで」

律「あっ、どうもどうも」

唯「やった〜キャンディーだ!」

先輩C「そんなやつらに飴なんて渡すな!」

先輩C「塩でも撒け、塩!!」

先輩A「はいはい、落ち着きましょうね」

後輩C(……こわい)
113 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:23:55.03 ID:MewaqQAO




先輩A「はい、見学に来たみんなもどうぞ。キャンディーです」

「す、すいません」
「ありがとうございます」



先輩C「……」

唯「あの〜…」

先輩C「……」

唯「よかったら、軽音部も見学に来てね。ケーキとかご馳走するから」

先輩C「誰が行くか」

唯「そっか…」ショボーン

先輩C「むっ…」

先輩C「……」
114 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:25:25.46 ID:MewaqQAO
・・・・・

――廊下

純「ふぅ、配り終わった」

同級生「全部配れたねー」

純「これなら新入部員もドカドカッと入ってくるに間違いなし!」

純「そして私たちはいよいよセンパイかぁ」

同級生「センパイ……なんか素敵な響き!」

純「あんたは一年より下に見えそうだけどね」

同級生「ひどいぞ純!!」

純「あはは……ん?」





後輩C「……」
115 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:26:31.11 ID:MewaqQAO
同級生「どったの?」

純「あの子…ちょっと行ってくるね」

同級生「えっ、なになに??」

純「おーい!」

後輩C「!!」ビクッ

純「よかった、探してたんだよ」

後輩C「あ…えっ……」オドオド

純「はい、これ落としたでしょ?」

後輩C「……あっ、私のハンカチ」

純「さっきぶつかった時に拾ったの」

後輩C「さっき……ご、ごめんなさい」

純「謝んなくていいって。顔あげて」

後輩C「あっ…」

純「そういえば一年生だよね。部活とかは決まった?」
116 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:27:42.32 ID:MewaqQAO
後輩C「いぇ……まだ、です…」

純「私、鈴木純。ジャズ研究部に入ってるの」

後輩C「ジャズ研の人…?」

純「うん、興味あれば覗いてみてね。初心者とかでも大歓迎だから」

後輩C「あ、あの…私……」

純「じゃあね」タタッ

後輩C「あっ……」

後輩C「……」

後輩C(ジャズ研の……鈴木、センンパイ…)

後輩C(優しいセンパイ…)

後輩C「……」

後輩C(けど、あそこには怖いセンパイもいるし…)

後輩C(どうしよう……)

後輩C「……」
117 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:29:15.80 ID:MewaqQAO
同級生「あの子、知り合い?」

純「ちょっとだけね」

純「あっ――…名前聞いとけばよかった」

同級生「なんか暗そうな子だったね。前髪で顔見えなかったし」

純「声も小さかったけど…恥ずかしがり屋さんなんじゃない?」

純「でも良い子そうだったし、入ってくれると嬉しいかな」

同級生「後輩、かぁ…」

同級生「どうしよう…ちゃんと後輩に教えられるか不安になってきた」

純「私も」

純「今日から頑張らないとなー…」
118 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:31:03.42 ID:MewaqQAO
――ジャズ研 部室

先輩B「ただいま〜」

先輩C「遅い!!」

先輩B「なに怒ってんだヨ」

先輩C「怒ってない!!」

先輩B「…どうしたの?」

先輩A「色々あったの」

先輩B「ふ〜ん……まぁいいや」

先輩B「部員集まった?」

先輩A「とりあえず9人くらい」

先輩B「初日で9人もかぁ〜〜…まだ増えそうだな〜」

先輩B「名前覚えられる自信ないよ」

先輩C「く〜っ……このやり場のない気持ちはどうすればい!!」

先輩B「だからどうしたんだよ〜」

先輩C「私だって本当はケーキ食べたいんだ!」

先輩B「なに言ってんの」

先輩A「キャンディーで我慢して」

先輩B「ていうか甘いもの嫌いじゃないの?」

先輩C「大好きだ!!」


##3-a おわり
119 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/11/24(水) 23:31:57.63 ID:MewaqQAO
ここまで
今回は二期一話と無理やり繋げてみました
120 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/24(水) 23:38:28.87 ID:vWiksNAo
乙!
途中ハラハラしたが
最後はいい感じになってよかったぜ


和ちゃんの名前ェ・・・
121 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/25(木) 16:14:17.49 ID:tDJD.EAO
乙!
先輩Cがいよいよバルクホルンに見えてきた
122 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 16:36:00.60 ID:mQD25/Eo
先輩Bの語尾のカタカナが好きだ
123 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 17:27:32.22 ID:2Zt1h4oo
>>1乙超乙
純ちゃんもいよいよ先輩か・・・・
124 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 18:39:12.92 ID:Ma7ji6AO
個人的に先輩Cにはこれから、もうちょっと丸くなってほしい…
125 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 20:53:14.06 ID:MFWlChMP
Cはこの調子でいいんじゃないかねぇ
唯は合わない人は絶対合わない人っぽいしさ
126 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 22:51:57.91 ID:Ma7ji6AO
まあ、ただの厳しい人だけじゃなく時々お茶目な所もみせてくれればよしだな
127 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 22:56:13.21 ID:tDJD.EAO
参考にしたキャラが名護さんだから大丈夫だろう
128 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 02:26:49.18 ID:4ak2BYAO
律と唯の勧誘クソワロタ
やっぱり脳内再生率が圧倒的に高いな。
素晴らしいです。おつ
129 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/26(金) 23:51:14.66 ID:/DJ827wP
>>127
うでふりなさーい ふりなさい
130 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 12:24:08.94 ID:NYBUZQAO
>>1
後輩9人も入ったのか
結構人気あるな
131 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:45:47.41 ID:WHPSkoAO
##3-b


――ジャズ研 部室

先輩B「ふぁ…」

ガチャッ

先輩B「ふぁあ〜…」

先輩C「遅いな」

先輩B「……ふぁ?」

先輩B「なにやってんの?」

先輩C「どうだ、私はお前より30分も早くここに来て練習してたんだぞ」

先輩C「私の勝ちだな」

先輩B「そりゃご苦労様」

先輩C「なんだ…張り合いがないな…」

先輩B「けど、なんで急に朝早くに来たりしてんの?」

先輩C「気まぐれだ」

先輩B「あっそ」

先輩C「…お前、毎朝来るつもりなのか?」

先輩B「先生は別にいいって言ってた」

先輩C「だったら私にもやらせろ! 一人でコソコソ練習するな」

先輩B「お好きにどうぞ〜」

先輩C「じゃあ、好きにやるからな」
132 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:50:08.74 ID:WHPSkoAO
先輩B「ふあぁ〜……ねむ〜」

先輩C「シャキっとしろ。今日は新歓ライブなんだぞ」

先輩B「そういえば、昨日唯ちゃんと何があったの?」

先輩C「……関係ないだろ。今それは」

先輩B「部長なんだから知っといてもいいだろ〜?」

先輩C「…それよりお前、雰囲気変わったな」

先輩B「髪、ストレートに戻してみた」

先輩C「どうしたんだいきなり」

先輩B「新しく気分を入れ換えるため、とか」

先輩C「そうか…なるほどな」

先輩B「で、唯ちゃんと何があったの?」

先輩C「それより練習だ! 練習!!」

先輩C「お前も早く準備しろ!」

先輩B「…やれやれだナ〜」
133 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:51:09.73 ID:WHPSkoAO
――通学路

後輩C「……」

後輩C(昨日のセンパイ……優しかったな…)

後輩C(この学校に来て…初めて優しくされた……)

後輩C(鈴木先輩…ジャズ研の…)

後輩C「……」

後輩C(部活、どうしよう…)

後輩C(鈴木先輩のいるジャズ研に入ろうかな……)

後輩C(でも…音楽やったことないし…怖いセンパイもいるし…)

後輩C(自信ないな……)

後輩C「…――!!」ドキッ




純「……」
134 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:52:03.67 ID:WHPSkoAO
後輩C(す、鈴木先輩だ!!)

純「ん?」

後輩C(はっ!?)ササッ

純「あれ…今誰かに見られた気がするけど…気のせい?」

純「まぁいっか」テクテク



後輩C「……」

後輩C(は、はぁ……気づかれなくてよかった)

後輩C「……」

後輩C(何で隠れちゃったんだろう…私……)

後輩C(もしかしたら昨日みたいに、話せるかもしれないのに…)

後輩C「……」

後輩C(ダメだなぁ…こんなんじゃ…)
135 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:53:30.06 ID:WHPSkoAO
お昼休み
――2年 1組

純「じゃあ結局、昨日は来なかったんだ。新入部員」

梓「うん……なんでだろ」

梓「ビラもいっぱい配ったんだけどなぁ」

憂「まだ時間もあるし、大丈夫だよ梓ちゃん」

憂「それに今日は新歓ライブなんでしょ? ライブ見て軽音部に興味わく子が来ると思うよ」

純「そうそう。軽音部って初見じゃ何やってるか分からない部活なんだし、ちゃんとライブで魅せれば絶対来るって」

梓(何やってるか分かんないって…)

梓「……」

梓(確かに昨日の勧誘じゃそう思われて仕方ないかも…)

梓「うぅ…」

純「どうしたの?」

梓「…なんでもない」

純「よく分かんないけど…これ飲んで元気出して。飲みかけだけど」

梓「……」チュー

憂「新歓ライブ、見に行くねっ」

純「私も。ジャズ研のライブまで時間空いてるし」

梓「ありがとう、二人とも」

憂「そうだ、純ちゃんはジャズ研のライブで演奏するの?」
136 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:55:03.17 ID:WHPSkoAO
純「それが私は出れなくてさ。出れるのは3年生」

憂「そっか…残念だね」

純「まぁそのおかげで、梓の演奏見に行く時間もあるんだけどね」

純「あっ、そういえば……梓」

梓「なに?」

純「昨日軽音部がジャズ研で騒いでたんだってね。聞いたよ、話」

梓「あ…ご、ごめん! 迷惑だったよね…」

純「大丈夫大丈夫、センパイ達は特になにも言ってなかったから」

純「でも私も現場にいたかったなー…面白そうだし」

憂「昨日なにがあったの?」

梓「唯先輩とジャズ研のセンパイでちょっとひと悶着があって…」

憂「お姉ちゃんが!?」

梓「そ、そんな大事じゃないから大丈夫だよ、憂」

梓「喧嘩とかじゃなくてなんと言うか……怒られただけだから」

憂「お、お姉ちゃん迷惑かけちゃった…?」

純「いやいや、大丈夫だって。たぶん」

梓「ごめん…唯先輩が」

憂「ごめんね純ちゃん」

純「そんな二人で私に謝られても…」
137 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:55:59.06 ID:WHPSkoAO
純「そ、そんなことよりライブの準備はいいの? もうすぐ昼休み終わっちゃうよ」

梓「あっ、うん。これ食べ終わったら行く」

憂「今日は午前授業だから楽だね」

純「私も食べ終わったらジャズ研行かないとなー」

憂「じゃあ私、図書室で待ってる」

純「りょーかいっ。すぐ行くと思うから」

純「楽しみにしてるよ、梓」

憂「頑張ってね!」

梓「うん!」
138 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:57:01.71 ID:WHPSkoAO
――1年1組

ワイワイガヤガヤ

後輩C「……」


「もう部活決めた?」
「え? うーん…バレー部にしようかな」
「私ソフト。カッコいいセンパイがいるんだ」

「ねぇ、一緒に合唱部入らない?」
「合唱部かぁ…いいかも!」


後輩C「……」

後輩C(みんなもう部活決めてるんだ……いいなぁ…)

ワイワイガヤガヤ

後輩C「……」

後輩C(ジャズ研に入る人はいないのかな…)


後輩A「ジャズ研の入部届け、もう出したの?」

後輩B「うん、早めがいいかなって思って」


後輩C「!!」
139 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 03:59:15.32 ID:WHPSkoAO
後輩B「ジャズ研なら初心者の私でも大丈夫だし」

後輩A「あはは、なにそれ」

後輩B「だって他の部活は敷居が高いっていうか…」


後輩C「……」

後輩C(あの人たち…昨日の説明会にも来てた)

後輩C(ジャズ研に入るのかな…声かけてみようかな……)

後輩C「……」

後輩C(か、かけよう。友達を作らなきゃ…)

後輩C(でもなんて声かけよう………)

後輩C「……」

後輩C(『今日は良い天気ですね』……こ、これにしよう…)

後輩C(これなら自然…)

後輩C「ぁ……ぁのぅ…」
140 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:00:08.87 ID:WHPSkoAO
後輩A「それでね、実は――」
後輩B「へー、すごいね!」


後輩C「ぁの……」


後輩A「でね――」
後輩B「本当!?」


後輩C「ぁ、ぇっと……」

後輩C(も、もっと大きな声で言わないきゃ……)

後輩C「ぁ…あのっ」


後輩A「そうだ、ちょっと学校回ってみない?」
後輩B「うん、行こ行こ」


後輩C「あっ……」

後輩C「……」

後輩C(行っちゃった…)

後輩C「……」
141 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:01:50.07 ID:WHPSkoAO
――ジャズ研 部室

「よぃしょっ…!」

先輩C「待て、お前じゃ重くて運べないだろ。私が代わる」

「あぁ、ありがとうね」

先輩C「これぐらい気にしなくていいよ」




先輩B「ほぉ〜、昨日そんなことがね〜」

先輩A「なんであんなに嫌うんだろう。平沢さん、悪い人じゃなさそうなのに」

先輩B「生理的にムリなんじゃないの?」

先輩A「それは平沢さんがかわいそうよ」

先輩B「まぁ〜…嫌いってはっきり言える分良いんじゃない?」

先輩B「ほら、女が女を嫌う時ってもっと……陰険じゃん」

先輩A「そーじゃなくてー…仲が悪いままじゃダメでしょ?」
142 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:04:52.14 ID:WHPSkoAO
先輩B「私には関係ないからどうでもいいけど」

先輩A「あぁもー、これなんだから」

先輩B「アイツは怒った後に後悔するタイプだから…自分でも内心そのことを気にしてるはずでしょ」

先輩B「心配しなくてもそのうち解決するとは思うけど」

先輩A「そうかなぁ…そうだといいんだけど」

先輩B「…ま、今は新歓ライブに集中しようじゃない」

先輩B「それと飴ちゃんちょーだいな」

先輩A「…そういえば」

先輩B「ん?」

先輩A「朝練、今日あったんでしょ?」

先輩A「なんで私も誘ってくれなかったの。二人だけズルい!」

先輩B「朝練ってほどでも……それにお前は朝起きれないだろ〜」

先輩A「明日から…がんばる! うん」

ガチャッ

純「こんにちはー」

先輩C「鈴木、来てすぐに悪いがスコアのコピー行ってきてくれないか?」

純「えっ、はい。分かりました」

先輩A「あっ、じゃあ私も行く。純ちゃん一人じゃ大変だろうし」
143 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:06:55.12 ID:WHPSkoAO
――廊下

純「今年って、初心者が多いんですか?」

先輩A「うん、5人くらい。ジャズ研なら入りやすいと思ってるのかな」

純「でも実際は練習キツいですよね」

先輩A「たくさん入部してくれるのは嬉しいけど、途中で辞めないか心配」

純「そうですね…」

先輩A「純ちゃんは一年間頑張ったよね。えらいえらい」

純「いやー、でも…結構いっぱいいっぱいでしたよ?」

純「先輩がいたから――…」

純「あっ」




後輩C「!!」
144 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:08:47.62 ID:WHPSkoAO
先輩A「あら?」

純「また会ったね。何してるの?」

後輩C「い、ぃぇ…」

先輩A「あなた、昨日ジャズ研の見学会に来てくれた子よね?」

後輩C「あっ…」

純「本当!? ジャズ研に入ってくれるんだ!」

後輩C「ぃゃ……」

純「えっ、なに?」

後輩C「…そ、その……」

純「?」

後輩C「……」

純「…ま、まぁそんな急いで決めなくていいから。無理強いしてるわけじゃないし、じっくり考えて」

後輩C「……す、すすいません」

先輩A「練習見たい時はいつでも来ていいからね」

後輩C「はい…」

純「じゃ、また」

後輩C「あ……」

後輩C「……」
145 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:10:39.27 ID:WHPSkoAO
・・・・・

先輩A「今の子…なんだか怯えてたみたいだけど大丈夫かな?」

純「私、怖かったですか?」

先輩A「んーん、普通。ただ、いきなりだったから驚いたんじゃない?」

先輩A「それにあの様子だと、入ってくれそうにないね…」

純「はぁ〜…ミスっちゃった。もうちょっと気つかえばよかったなぁ」

先輩A「大丈夫、純ちゃんはちゃんと気をつかえる子だから」モコモコ

純「あのセンパイ…頭…」

先輩A「あっ、ごめんなさい! つい目に入っちゃって…」

先輩A「……もう少しだけやっていい?」

純「かまわないですけど…」

先輩A「わー! やわらか〜い♪」モコモコ

純(なんか恥ずかしい…)

先輩A「素敵な髪ね」モコモコ

純「こういう時は毎回言ってますけど……癖毛は大変なんですから」

純「言うほど素敵でもないし…」

先輩A「そう思ってるのは純ちゃんだけだって。もっと自分に自信持ってもいいんじゃない?」

先輩A「少なくとも私はかわいいと思うし」モコモコ

純「そ、そう言われると照れます」
146 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:14:47.04 ID:WHPSkoAO
先輩A「ふふっ、けど普通は自分に自信を持つなんて難しいよね。自信家とかは別として」

純「センパイもそうなんですか?」

先輩A「とーぜん…」

先輩A「自分にないものを持ってる人を見ると特にそう思う」

先輩A「胸が大きかったり足が長かったり…」

純(なんか特定の人を指してるような…)

先輩A「…でも、ないものに憧れてもしょうがないし。私は私で、自分の持ってるものを磨かないと」

純「そういう考え…いいですね」

先輩A「だから純ちゃん」

純「はい!」

先輩A「髪型絶対に変えちゃダメだからね?」

純「センパイもそれですか…」
147 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:15:31.59 ID:WHPSkoAO
――1年1組

後輩C「……」

後輩C「……はぁ」

後輩C(せっかく会えたのに…何も話せなかった…)

後輩C(あの時に入部しますって言えばよかった…)

後輩C「……」

後輩C(でも……私上手くやっていけるかな…)

後輩C(中学の頃部活やってなかったし…)

後輩C「……」

後輩C(どうしよう…)
148 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:16:28.71 ID:WHPSkoAO
――ジャズ研 部室

先輩B「暇だ〜…」

先輩C「なら練習してろ」

先輩B「レギュラーまだ揃ってないじゃん」

先輩C「一人でもできるだろ」

先輩B「今そういう気分ではにゃあでよ〜」

同級生「あっ、じゃあ講堂行きません? 軽音部のライブとかあるし…」

先輩C「他のやつと行ってこい」

同級生「う…」

同級生(なんか怒ってる…)

同級生「じゃあ……行ってきまーす」
149 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:17:51.52 ID:WHPSkoAO
先輩C「……お前は行かなくていいのか?」

先輩B「一緒に行ってくれるなら行ってもいいけど」

先輩C「私が行くわけないだろ」

先輩B「そりゃ残念」

先輩C「…私のことなんてほっとけ」

先輩B「言われなくても、最初からほっといてるし」

先輩C「なら終始ほっとけ」

先輩B「…アイツにもらった飴あるけど、食べる? 甘いもの好きなんでしょ?」

先輩C「……言うほど好きじゃないが、いらないならもらっておく」

先輩B「はっきり言わない子にはあげませんよ〜だ」

先輩C「……ならいい」

先輩B「じゃあ食べちゃお」パクッ

先輩C「あっ…」

先輩B「ほら、素直に言わないからもう手遅れ」

先輩B「あま〜い」

先輩C「くっ……」
150 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:19:22.46 ID:WHPSkoAO
先輩B「お前が甘党とはね。そういえば私が淹れたコーヒーに砂糖入れまくって台無しにしたことあったっけ」

先輩C「コーヒーが苦すぎるからだ」

先輩B「コーヒーはみんな苦いんだよ」

先輩C「コーヒー牛乳は甘いだろ」

先輩B「あれはコーヒーじゃなくてコーヒー入りの乳飲料」

先輩C「そうなのか? 知らなかった…」

先輩B「もしかして、寿司もワサビ抜いて食べてる?」

先輩C「なっ、なんでそれを知ってるんだ!?」

先輩B「やーい、お子さま〜」

先輩C「ワサビなんてあんなの必要ないだろ! つけて食べてる方が間違ってる!!」

先輩B「うわ…開き直った」

先輩C「悪かったな、お子さまな舌で!」

先輩B「そんな怒んなくてもいいだろ〜」

先輩C「…怒ってるわけじゃない」

先輩C「声が大きくなっただけだ」
先輩B「声が大きくなっただけだ」

先輩C「なっ…」

先輩B「やった、的中〜♪」

先輩C「人の言うことを被せるな!」

先輩B「お前は単純だから考えてることが丸わかりなんだヨ」

先輩C「馬鹿にするな!!」
151 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:22:11.82 ID:WHPSkoAO
先輩B「馬鹿にはしてないけど…」

先輩C「お前の態度は明らかに人を馬鹿にしてる態度だろ」

先輩B「はいはい、すいませんでした〜。反省しま〜す」

先輩C「ったく…誰が単純だ」

先輩B「だって本当に単細胞じゃん」

先輩C「言い方が悪くなってるぞ!」

先輩B「単細胞ってだけじゃないし。頑固で融通が利かなくて小言がうるさくて怒りっぽくて…」

先輩C「お前な…これ以上私を馬鹿にするなら――!!」

先輩B「けど、私はお前のこと嫌いになったりしないよ」

先輩C「っ……は?」

先輩B「お前がどんなに怒ってもうるさくても」

先輩B「私はお前を嫌いになんかならないよ」

先輩C「な、なにを…」

先輩B「たぶん、嫌われてると思ってるのはお前だけなんじゃないの?」

先輩C「……」

先輩B「……」

先輩C「…なんの話だ」

先輩B「べっつにぃー…」

先輩B「思ったことを言っただけ」

先輩C「そんなことはいちいち口にするな」

先輩B「お前には言われたくないよ」

ガチャッ

純「戻りました」

先輩A「ただいま〜」

先輩B「おかえり〜」

先輩C「……」
152 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:26:18.26 ID:WHPSkoAO
――図書室

純「おまたせっ」

憂「純ちゃん!」

純「時間空いたから来たよ。行こっか」

憂「うんっ。…あっ、もうすぐ始まっちゃう!」

純「うそっ!? 早く行かないと!」

「……コホン」
「……」ジーッ

憂「じゅ、純ちゃん…」

純「おっ…と。図書室では静かにしないとね」

憂「あっ純ちゃん、髪ちょっと崩れてるよ」

純「ほんと? 直してくれない?」

憂「うん」モコモコ

憂「あはっ、純ちゃんの髪やわらか〜い」モコモコ

純「ちょ、くすぐったいよ憂」
153 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/01(水) 04:27:20.74 ID:WHPSkoAO
憂「だってやわらかいんだも〜ん」モコモコ

「……ゲフン」

純「…憂、静かに」

憂「あ…ごめんね」

純「とりあえず早く…うわっ! もうこんな時間!?」

「…ゲフンゲフン」

憂「純ちゃん、静かに」

純「そ、そうだった。静かに静かに…」

純「あっ、携帯がない!?」

憂「えっ!?」

純「…あ、ごめん。ちゃんとあった」

憂「もう、純ちゃんったらそそっかしいんだから」

「……」ジーッ

純「す、すいません」

憂「ごめんなさい…」
154 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/01(水) 04:29:58.03 ID:WHPSkoAO
とりあえずここで中断
先輩の文字がゲシュタルト崩壊する…
155 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/01(水) 07:40:47.91 ID:d/HfYAAO
おつ
156 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/01(水) 16:53:50.82 ID:2m6dPI.0
157 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/01(水) 19:05:04.96 ID:5eBm0qco
もふもふ
158 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:12:09.86 ID:xQ3FTsAO
――講堂

唯「ふわふわ時間〜♪」



純「あちゃ、もう始まってた…」

憂「お姉ちゃーん!」

純「盛り上がってるね、ライブ」

憂「うん!」

純「おっ、梓も頑張ってる頑張ってる」

純「…いいなー、梓。ライブ出れて」

純「いつもより輝いて見える…」

純「……」

純(あの舞台に立つってどんな感じなんだろう…)

純(私もなんでもいいからステージに立ってみたいなぁ…)

純「……」

純(……よし、いつか立てるよう頑張るぞー!!)

:
:
:

純「さてと…ライブ終わったけど憂はどうする? 私はジャズ研の準備手伝いに行くけど」

憂「せっかくだからこのまま講堂で他の部活見てる」

純「分かった、じゃあ行ってくるね」

憂「ジャズ研も楽しみにしてるよ!」

純「お任せあれ! 行ってきまーす」
159 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:13:24.40 ID:xQ3FTsAO
ワイワイガヤガヤ

「可愛かったねー、軽音部」
「うん。入るの?」
「入る…ってわけじゃないけど」
「だよね、なんか近寄りがたい雰囲気があるっていうか。昨日は着ぐるみとか着てたし」
「せっかくの高校生活なんだし、ちゃんとした部活にしよーっと」

ワイワイガヤガヤ

後輩C「……」

後輩C(すごかったなぁ軽音部)

後輩C(楽器ってああやって弾くんだ……)

後輩C「……」

後輩C(私にできるのかな、あんな風に…)

後輩C(無理…かな、……私に音楽なんて…)

後輩C「……」

後輩C(次は演劇部、吹奏楽部、合唱部、そして……ジャズ研究部)

後輩C(鈴木先輩がいるところ…)

後輩C「……」

後輩C(また会いたいな…鈴木先輩)

後輩C(あの人と話してると…安心する…)
160 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:14:25.64 ID:xQ3FTsAO
――ジャズ研 部室

顧問「新しく買ったサックスのことなんだけどさ、音出ないのよ」

顧問「壊れた?」

先輩B「サックスのことはよく分かんないですけど…音出ないのは楽器のせいじゃなくて先生のせいですよ」

顧問「そうだったんですか」

先輩B「サックス君に謝った方がいいですよ〜」

顧問「ごめんなさい、サッくん」

先輩B「まぁ、音は練習すればそのうち出ると思うんで」

顧問「練習か…真面目にコツコツが一番ってことかね」

顧問「せっかく私も今日のライブ出ようとしたのに」

先輩B「そんな無茶な」

先輩B「てか、サックスのことは私じゃなくてアイツに聞いてくださいよ〜」




先輩C「……」
161 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:15:27.00 ID:xQ3FTsAO
顧問「いや、だって…さっきからずっと考え事してるみたいだし、声かけられなくてさ」

先輩B「考え事、か…」

顧問「ま、若いうちにたくさん悩むのは良いことだよ。私は練習に戻ろっと」

先輩B「……」

先輩A「なに考えてるんだろう?」

先輩B「さぁ…今日の夕飯とかじゃないの?」

先輩A「そんな食いしん坊キャラじゃなかったはずだけど」

先輩B「じゃあ日本の行く末について考えてるんだよ」

先輩A「そんな頭もよくなかったはずだけど」

先輩B「なら分からんちん」

先輩A「平沢さんのことかな?」
162 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:16:48.84 ID:xQ3FTsAO
先輩B「あ〜…唯ちゃんね」

先輩A「そのことで、二人で話したりしたの?」

先輩B「私が?」

先輩A「だってさっき二人っきりだったじゃない」

先輩B「そんなことするわけないでしょ。少しからかったりはしたけど」

先輩A「ふーん…」

先輩B「……なんだよ〜」

先輩A「自分には関係ないとか言ったくせに、ちゃんと構ってあげてるじゃない」

先輩B「身に覚えがありませんな〜」

先輩A「ほんと…素直じゃないんだから二人とも」

先輩B「私とアイツを一緒にしないでよ」

ガチャッ

純「戻りましたー」
163 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:19:33.28 ID:xQ3FTsAO
先輩B「よし、そろそろ集まろっか」

先輩A「あっ、ごまかした」

先輩B「ほら、ミーティング始めるよ」

先輩C「…分かってる」

同級生「純も講堂にいたの?」

純「うん。軽音部のライブ見てた」

同級生「なんだ…だったら私も誘ってよぉ」

先輩B「えーっと、演奏に出るメンバーは昨日発表した通りでいいとして…」

先輩B「補欠の人で誰かMCやってくれる人いない?」

先輩C「MC?」

先輩B「演奏前に部活紹介する役」

純「!」

先輩B「誰かいない?」
164 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:23:20.24 ID:xQ3FTsAO
同級生「うへー…大勢の前で喋るのはちょっとなぁ」

純「……」

純(MC…舞台に上がれる…)

同級生「純、どうする? 私はパス」

純「はい! 私やります!!」

同級生「えっ」

先輩B「おっ、純か。いいよいいよ〜」

先輩B「じゃあ今紹介分書くから、ちょいと待っててね」

先輩C「まだ書いてなかったのか……ていうかお前MCのこと忘れてただろ」

同級生「ほ、本当にやるの?」

純「うん、だってステージに上がれるチャンスじゃん!」

同級生「そうだけど…大勢の前で喋るんだよ?」

純「そんなことぐらい分かってるって」

純「……」

純「ごめん…ノリであんなこと言っちゃった」

同級生「私、知ーらないっと」

純「うわー…なんか緊張してきた…」
165 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:23:55.81 ID:xQ3FTsAO
――講堂

ワイワイガヤガヤ

後輩C「……」

後輩C(もうそろそろジャズ研の番)

後輩C「……」

後輩C(どんな演奏なんだろう、ジャズって)

後輩C(鈴木先輩は出るのかな…)

後輩C「……」
166 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:25:21.70 ID:xQ3FTsAO
――舞台裏

先輩A「機材配置の手伝い、お願いね」

純「は、はい!」

先輩B「緊張してるな〜、純のやつ」

先輩A「まさか自分からやりたいって言うなんてね」

先輩B「私はああいう思い切りのいいところ、好きだけど」

先輩C「喋ってないで、お前たちも準備しろ」

先輩A「はーい」

先輩C「……ん?」

先輩A「どうしたの?」

先輩C「…こんなものが落ちてた」

先輩B「なにそれ、携帯?」

先輩C「誰のだ…」

先輩A「置いてあったんじゃないの?」

先輩C「いや…物陰にあったんだ。たぶん落としたんだと思う」

先輩C「まぁいい、演奏が終わった後で持ち主を見つけよう。困ってるだろうし」

「まもなく本番でーす!」

先輩B「は〜い」

先輩B「ほれ、いくよ〜」

純「いよいよかぁ…」
167 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:26:13.06 ID:xQ3FTsAO
純「緊張するなぁ…」

先輩B「なら手に人って字を書くといいんじゃない? 昔からよく言うし」

純「人…人…」

純「……」

純「あのー…」

先輩B「どした?」

純「『人』じゃなくて、『入』って字じゃダメですか?」

先輩B「『入』? 『入』かぁ…」

先輩B「う〜ん……」

先輩B「許可しよう。似てるし」

純「ですよね! 前からどっちでもいいと思ってたんですよ」

純「入…入…」

純「……」

純「やっぱしっくりこないんで『人』にします」

先輩B「そうしな」

『まもなく、ジャズ研究部による演奏発表が始まります』

先輩C「始まるぞ、準備はいいか?」

先輩A「いつでもどうぞ」

先輩B「そんじゃ、楽しくやりますか」

先輩B「純、出だし任せるよ」

純「は、はい!」
168 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:28:08.13 ID:xQ3FTsAO
純「……」

純「すぅ…はー」

純(集中集中…)

純(ここまで来たらやるしか)
純「……」

純(そういえば、あの大人しそうな子も見に来てるのかな…)

純「!!」

純(うわ、幕が上がった!!)

パチパチパチパチパチ

純「……っ!?」

純(多っ!? こ、こんなにいたっけ?)

純(ヤバ…頭がたんだん真っ白に)

純(……そうだ、メモメモ)

純「…ぇっ…と」

純「…新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます」

純「長い集会でお疲れのところ申し訳ありませんが、どうか私たちジャズ研究部の発表を最後までお聴きください」

純「…桜ヶ丘高校ジャズ研究部は、練習は楽しく時には厳しくの和気あいあいとした活気ある部活です」

純「創立当初は人数も二人と少なく、表立った活動をしてきませんでしたが」

純「先輩たちや周りの人たちと様々な苦楽を共にし、支え合うことにより」

純「昨年のコンテストで我が部には初となる賞――…準グランプリを取ることができました」

純「…そして今、大きく成長したジャズ研究部はこれからもさらに大きく成長するために、新しい風と音をふかせるために」

純「新入生のみなさんを迎え入れたいと思います」
169 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:30:12.63 ID:xQ3FTsAO
純「初心者から上級者までジャズをやってみたいという方を大歓迎しているので、入部希望、見学希望の方は気軽に部員まで声をかけてください」

先輩B(いいぞ〜、純)

純「あと顧問の先生は一見怖そうだけど、とても優しい人なので安心してください」

純「…――それと」

純「誰かと一緒に何かをやるといことは、とてもすごくて楽しいことです」

純「考え方や感じ方が違う人たちが大勢いる中、衝突することもあります」

純「しかしそれは逆に、自分の知らない新しい価値観に出会ういい機会にもなります」

純「これから先、様々な楽しいことや辛いことがあるでしょう」

純「新入生のみなさんにはそのの出来事一つ一つを大切に受けとめて、三年後には充実したと思える高校生活を送ってください」

先輩B「…じょーでき」ボソッ

純「…――い、以上、長くなりましたが演奏前の部活紹介を終わりにします」

純「それでは、私たちジャズ研究部の演奏をお聴きくだしゃい」

先輩B「……」

純「……」

純(かんじゃった…)




後輩C「……」


・・・・・・
170 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:31:18.27 ID:xQ3FTsAO
演奏終了
――舞台裏

先輩C「ふぅ…」

先輩A「初めての演奏だから緊張しちゃった」

先輩C「いや、お前はよくやったと思うよ。私は不調だった…」

先輩C「あとで練習のやり直しだな」

先輩B「そんな時間は今日ないっての。この後に新入生が来るかもしれないんだし…」

先輩C「私一人でやるんだからいいだろ」

先輩B「熱心なことで」

先輩C「そうでもしないとダメなんだ、私の場合は」

先輩A「頑張るのね…私なんてもうピアノ弾く気力もないのに」

先輩B「そうだね〜……」

先輩B「ん?」




純「……」
171 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:32:34.45 ID:xQ3FTsAO
純(終わった…)

純「……」

純(恥ずかしくて誰にも顔合わせられないよ…)

純(憂からも励ましのメールきてるけど…開く気になるないし)

純「はぁ〜……なんで最後の最後で噛んだりなんか」

純「タイムマシーンでもあればなぁ」

先輩B「そんなもんは存在しないから諦めな〜」

純「!!」

先輩B「なに隅っこでしょげてんの」

純「センパイ…」

先輩B「ほら、もう部室に戻るよ」

純「…はぁい」

先輩B「……」ナデナデ

純「!?」

先輩B「よしよし、お疲れさま。よくやったよ純は」
172 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:33:44.25 ID:xQ3FTsAO
純「センパぁイ…」

先輩B「ぶっつけ本番であれだけやれば十分だって。元気出しな」

純「……すいません、最後の最後で」

先輩B「そんなこと、気にしないでくだしゃい」

純「うわーん! 蒸し返されたー!」

先輩B「あははは、あれはあれでよかったと思うよ〜?」

先輩B「堅苦しい挨拶も和らいだし」

純「私にとっては恥さらしになっちゃいましたけど…」

先輩B「自虐はその辺にしときなって」

先輩B「自分で恥だと思おうが周りがダサいと思おうが、私は純のやったことを褒めるよ」

純「センパイ…」

先輩B「さて、部室に戻るとしますか〜」

先輩B「純もそろそろ元気だしな。私は元気な純の方が好きだよ」

純「……はい!」
173 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:35:25.90 ID:xQ3FTsAO
――廊下

先輩C「……あっ、そういえば」

先輩A「どうしたの?」

先輩C「さっき拾った携帯のことを忘れてた。持ち主に届けないとな」

先輩A「誰の携帯なの?」

先輩C「…開いていいのか?」

先輩A「この場合は仕方ないじゃない」

先輩C「…それもそうだな」

ヴーヴー

先輩C「!?」

先輩C「な、鳴った!!」

先輩A「落とした人からかしら、出てみたら?」

先輩C「……」ピッ
174 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:36:47.06 ID:xQ3FTsAO
先輩C「もしもし…」

『もしもし唯ちゃん?』

先輩C「も、もしもし、唯ちゃんです」

先輩C「あ、いや違う。違います。唯ちゃんじゃないです」

『え? あの〜…どちら様ですか?」

先輩C「私は…この携帯を拾った者でして…」

『まぁそうだったんですか。わざわざすいません』

先輩C「いえ、気にしないでください」

先輩C「ところでこの携帯を返したいんですが、どこに届ければ…」

『あっ、じゃあ軽音部までお願いできますか?』

先輩C「あ、はい分かりました。では」

ピッ

先輩C「軽音部だと!?」

先輩A「なにが?」
175 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:39:48.40 ID:xQ3FTsAO
先輩C「この携帯の持ち主だ! ていうかこれ平沢のか!?」

先輩C「なんで私はあんなやつの携帯を拾ったんだー!!」

先輩A「あっ、平沢さんのだったんだ。……ちょうどよかったじゃない!」

先輩C「な、なにが…」

先輩A「これを機会に平沢さんと友達になってくればいいのよ、ね?」

先輩C「…なに言ってるんだ」

先輩A「ほら、このキャンディ持って携帯と一緒に平沢さんに渡してくるの」

先輩A「それで『昨日は怒りすぎた、謝る。実を言うと私は心の中でお前とずっと友達になりたいと思ってたんだ。今からでも友達に…なってくれるか? これ、友達のしるしにキャンディ持ってきたんだけど…』って言えば…」

先輩C「馬鹿かお前は!! なんで私がそんなこと言わないといけないんだ!!」

先輩A「で、でも…携帯は返さないといけないし」

先輩C「っ…」

先輩A「それにこういうチャンスはめったにないんだから、素直にならないと」

先輩A「卒業までずっと仲が悪いままなんてイヤでしょ?」

先輩C「……」

先輩A「ね?」

先輩C「……あんなやつと仲良くするぐらいなら、死んだ方がましだ」
176 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:40:39.54 ID:xQ3FTsAO
先輩A「そんなこと言わないで…」

先輩C「だいたいな、余計なお世話だ! 私が誰と仲良くしようが悪かろうが関係ないだろ!!」

先輩A「なんでそんなに…意地を張るの?」

先輩C「……」

先輩A「平沢さんだって、きっとあなたと仲良くなりと思って…」

先輩C「……」

先輩C「…知ったことじゃない」

先輩C「いいか、その話題はもうするな」

先輩A「あ、ちょっ…どこ行くの?」

先輩C「……」

先輩A「携帯返しに行かないのー?」

先輩C「そんなこと、私が知るか!」
177 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:41:40.52 ID:xQ3FTsAO
――ジャズ研 部室

「すいません、入部希望なんですけど」

純「はいはーい!」

同級生「どうぞこちらの用紙に記入を!」




先輩A「でね、その後どこかに行っちゃって…」

先輩B「へぇー」

先輩A「なんか…悪いことしちゃったかな」

先輩B「あいつが悪いんだから、お前は気にしなくていいよ」

先輩B「それにしても、あいつも馬鹿だね」

先輩B「一年の時に唯ちゃんと同じクラスに子に聞いたんだけどさ…あいつ、何度か謝ろうとしたらしいよ」
178 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:45:00.02 ID:xQ3FTsAO
先輩B「だけどすれ違いが何度もあって、結局まともに謝れず今日の今日まできたんだってさ」

先輩B「すれ違いって言っても、あいつが一方的に空回わっただけかもしれないけど」

先輩B「そんであいつもいつの間にか唯ちゃんに対して引き下がれなくなったんだろうね。意地っ張りだし」

先輩A「そうだったんだ…」

先輩B「ま〜、あいつの言うとおりもう口出ししないくてもいいでしょ。口で言わなくても分かってるだろうし…」

先輩B「唯ちゃんも人を嫌うような子じゃないから大丈夫だよ」

先輩A「仲いいの?平沢さんと」

先輩B「喋ったのは少しだけだけど…なんとな〜く分かる」

先輩B「それにあの子といるとなんか懐かしい感じがするんだよね…」

先輩A「懐かしい感じ?」

先輩B「なんだろうな〜…あれ。なんていうか…」

先輩B「あっ、そうだ。昔飼ってた犬に似てるんだ」

同級生「センパイ、入部希望者だいたい揃いました」

先輩B「はいよ〜」

先輩A「…はぁ」

先輩B「世話焼きすぎだって。大丈夫だよ」
179 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:45:52.98 ID:xQ3FTsAO
純「今年は多いね」

同級生「だねー」

同級生「あーぁ、レギュラー取られないか不安だなぁ」

純「そもそもレギュラーじゃないでしょ」

同級生「そうでした」

純「…うーん」

同級生「どしたの? ため息して」

純「ううん…なんでもない」

純(あの子、結局来なかったなぁ…)

純(ちょっと残念…)
180 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:47:14.61 ID:xQ3FTsAO
――ジャズ研 部室前

後輩C「……」

後輩C(は、入ろうかな…)

後輩C(……どうしようかな)

後輩C「……」

後輩C(よし…は、入ろう)

先輩C「そこで何してるんだ?」

後輩C「!!」ビクッ

先輩C「ん? 入部希望者か。中に入っていいんだぞ」

後輩C「あ、あの…わわ、わわわ私は…」

先輩C「ほら、遠慮するな」

後輩C「あ…」

ガチャッ

純「あっ、センパイ。お帰りなさ…」

純「あっ」

後輩C「……」
181 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:49:16.27 ID:xQ3FTsAO
先輩C「入部希望の子だ。用紙はあるか?」

純「入部希望? じゃあ入ってくれるんだ!」

後輩C「あ…ぇっと…」

先輩C「知り合いなのか?」

純「はい、昨日知り合ったばかりですけど」

後輩C「……」モジモジ

純「来てくれるか不安だったんだけど、よかった」

後輩C「す、鈴木先輩…」

純「なに?」

後輩C「わ、わわ私…入部したいです!」

純「うん、ようこそジャズ研究部へ」

後輩C「あ、ああありがとうございましゅ!」

純(あっ、噛んだ)
182 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:51:19.03 ID:xQ3FTsAO
純「あはは、そんな緊張しなくていいから」

後輩C「す、すいません…」

純「でもうち決めてくれて、本当に嬉しいよ」

後輩C「…その、鈴木先輩が舞台で話してたことを聞いたら、わ、私も何かやりたいと思って…」

純「舞台で話してたこと?」

同級生「純が噛んだやつだ」

純「それは言わないで」

後輩C「それで私…音楽とかまったく分からなくて自信はないんですけど…」

純「大丈夫!」

純「私も入部した時は初心者だったけど、今こうしてやってこれてるんだし」

純「きっと君も、頑張れるよ!」

純「信じてくれるなら、後悔はさせない!」

後輩C「鈴木先輩…」

先輩B「ずいぶんと言うねぇ〜、純。ま、その通りだけど」

先輩B「音楽できようができまいが、やる気があるならうちは大歓迎だよ〜」

純「よろしくね」

後輩C「!」

後輩C「は、はい…がんばります!」
183 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:52:30.55 ID:xQ3FTsAO
先輩A「よかった、入ってくれるんだあの子」

先輩C「……」

先輩A「どうしたの?」

先輩C「いや…その…」

先輩C「さっきは悪かった、怒鳴って…」

先輩C「平沢のことになるとつい…」

先輩A「あぁ…気にしてないからいいわよ」

先輩A「ところで、携帯はどうしたの?」

先輩C「……落とした」

先輩A「はい?」

先輩C「どこかに落とした…」
184 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:53:34.21 ID:xQ3FTsAO
先輩A「な、なにそれ!?」

先輩C「気づいたら落としてたんだ…誰かが拾って届けるだろうな」

先輩A「もぉ〜…なにやってるの」

先輩C「……ごめん」

先輩A「……」

先輩C「…なんだ?」

先輩A「素直に謝ったところ、初めてみた」

先輩C「そ、そんなことないだろ」

先輩A「そんなことある」

先輩C「私はいつだって素直だぞ」

先輩A「さぁーて、どうかしら…ふふっ」

先輩C「なんだそれ…」
185 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:55:18.90 ID:xQ3FTsAO
――軽音部 部室前

唯「はぁ〜…ビラ配り疲れた」

梓「これで誰か来てくれるといいんですけど…」

唯「あっ!」

梓「ど、どうしたんですか?」

唯「見て見て私の携帯! こんなところに置いてあった!」

梓「なんでそんなところに…」

唯「分かんない、いつの間にか落としてたのかなぁ…?」

唯「――あっ!!」

梓「今度はなんですか?」

唯「飴! 飴もあったよあずにゃん!!」

梓「飴?」

唯「やった! 糖分補給〜」

梓(なんで飴が…?)

梓「ていうか、食べちゃっていいんですかそれ」

唯「あずにゃんもなめる?」

梓「ゆ、唯先輩のなめかけなんていいです」

唯「ひどい!?」
186 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:56:58.56 ID:xQ3FTsAO
翌日
――ジャズ研 部室

先輩B「前にさ〜、穴の空いていないドーナツってのが売ってたんよ」

先輩B「あれってドーナツじゃないよね?」

先輩C「売ってる方がドーナツって言えばドーナツなんだろ」

先輩B「それじゃあただの菓子パンだよ〜」

先輩B「穴が塞がってる分得した気にはなるけど」

ガチャッ

先輩A「お、おは…よう…」

先輩B「あっ、来た来た」

先輩C「つらそうだな」

先輩A「平気…大丈夫よお母さん…」

先輩C「私はお前のお母さんじゃない」

先輩A「お母さ〜ん」

先輩B「よしよし、もう起きましょうね」

先輩C「子どもか…」

先輩B「さてと…じゃあ始めよっか」

先輩B「今日から本格的に、新生ジャズ研究部のスタートってことで」
187 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [saga]:2010/12/04(土) 19:58:45.83 ID:xQ3FTsAO
――通学路

純「ふぁ〜……」

後輩C「あ、あの…」

純「ふあぇ?」

後輩C「おはようございます…」

純「あっ、おはよ! 通学路一緒だったんだ」

後輩C「は、はい…」

純「そっか…あっじゃあさ、これからは一緒に登校できるね」

後輩C「え…いいんですか? 私なんかと…」

純「うん、友達は別の道だからずっと朝一人だったんだよね」

純「せっかく同じ道なんだし一緒に行こうよ」

後輩C「あ、ありがとうございます!」

後輩C(誰かと一緒に登校するなんて初めて…)

後輩C(嬉しい…)

純「そういえば、楽器は決まった?」

後輩C「は、はい。鈴木先輩と同じベースにしようかなって…」

純「おっ、そうなんだ。じゃあ私が教えることになるのかな」

後輩C「よ、よろしくお願いします…鈴木先輩」

純「なんか照れちゃうね、たはは……」

純「…ところで、名前なんていうんだっけ」

後輩C「あ…私の名前は――」


##3-b おわり
188 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/04(土) 20:00:14.80 ID:xQ3FTsAO
ここまで
今回は長引いてしまってすいませんでした
189 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 20:31:45.35 ID:kqfWUsAO


素直になれない先輩Cちゃん可愛い
後輩Cちゃんもシャイ可愛い
190 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 23:52:31.51 ID:sEynMAAO
先輩Cを見てるとひだまりスケッチの夏目を思い出す…
191 :>>186訂正 [sage]:2010/12/05(日) 02:24:29.05 ID:Kl19EwAO
翌日
――ジャズ研 部室

先輩B「前にさ〜、穴の空いていないドーナツってのが売ってたんよ」

先輩B「あれってドーナツじゃないよね?」

先輩C「売ってる方がドーナツって言えばドーナツなんだろ」

先輩B「違うよ〜、それじゃあただの菓子パンなんだよ〜」

先輩B「穴が塞がってる分得した気にはなるけど」

ガチャッ

先輩A「お、おは…よう…」

先輩B「あっ、来た来た」

先輩C「つらそうだな」

先輩A「平気…大丈夫よお母さん…」

先輩C「私はお前のお母さんじゃない」

先輩A「お母さ〜ん」

先輩B「よしよし、もう起きましょうね」

先輩C「子どもか…」

先輩B「さてと…じゃあ始めよっか」

先輩B「今日から本格的に、新生ジャズ研のスタートってことで」
192 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/05(日) 05:54:07.95 ID:cwJH8EUo
ベースってことは2期5話に出てきた後輩とは違う子かな
193 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/05(日) 11:43:47.01 ID:8SedxcAO
ひだまりスケッチのキャラで例えると
先輩A→ヒロ
先輩B→宮子
先輩C→夏目
後輩C→なずな

こんな感じだろうか
194 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/06(月) 10:20:28.93 ID:/8/dB.DO
そういや研究部になってたのか
195 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:30:05.93 ID:yN3EXboo
##4

休み時間
――2年1組

純「あっ、また漏らしちゃった」

梓「えっ!?」

純「ん? どしたの梓」

憂「じゅ、純ちゃん…」

梓「いや…ちょっと、……大丈夫?」

純「なにがよ」

梓「今…も、漏らしたって…」

純「あぁ、…私なわけないでしょ! これよ、これ」

純「携帯で飼ってるペット」

梓「ペット?」

純「うん、そういうアプリがあるの」

憂「わぁ…かわいいね!」

梓「びっくりした…私はてっきり純が」

純「だからそんなわけないっての」
196 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:30:38.51 ID:yN3EXboo
梓「でも純ってさ、猫飼ってるよね」

純「うん」

梓「なんでわざわざ携帯でも…」

純「それはそれ、これはこれ」

憂「ねぇねぇ純ちゃん、そのアプリどこにあるの?」

純「えっとね――…」

梓「ペットか…」

梓「本物飼うより携帯の方が楽かもね」

純「本物は本物で楽しいけどね。梓もなんか飼ってみれば?」

梓「私は…いいや。前に純から猫預かったときも大変だったし」

純「でも可愛かったでしょ?」

梓「それはまぁ、…可愛かった」
197 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:31:45.91 ID:yN3EXboo
梓「可愛かったけど、やっぱり毎日面倒みるのは大変そう…」

憂「私は何か飼いたいなぁ」

憂「犬とか猫とか」

梓「憂ならちゃんと世話できそうだね」

純「ていうか、憂にとったらお姉ちゃんがペットみたいなもんじゃない?」

梓「言えてるかも」

憂「お、お姉ちゃんはペットじゃないよ!」

憂「あ…でも」

憂(もしお姉ちゃんがペットだったら…)

――――――――――――――――
―――――――――
―――――
198 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:32:24.54 ID:yN3EXboo
憂『お姉ちゃん、お手!』

唯『わん!』

憂『お座り!』

唯『わん!』

憂『よーし、いい子いい子』ナデナデ

唯『くぅ〜ん』ペロペロ

憂『きゃっ! お姉ちゃんくすぐったいよぉ』

唯『わん!』

―――――
―――――――――
――――――――――――――――


憂「えへ…えへへ///」

純「憂の考えることって、時々分からなくなるよね…」

梓「うん…」
199 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:33:33.97 ID:yN3EXboo
梓「あっ、そういえば」

梓「軽音部で亀飼うことになったんだ」

純「亀?」

梓「うん、スッポンモドキのトンちゃん。結構かわいいんだよ」

純「へぇ〜……」

純「…なんで部活で亀なんて飼ってるの?」

梓「いや…唯先輩たちが勝手に買ってきて…」

梓「……」

純「部室で飼うなんて、相変わらず奇想天外なことしてるね」

梓「ち、違うの! これは…」

梓「新入部員! そう、新入部員なの!」

純「えっ、新入部員? 亀が??」

梓「……なんでもない、忘れて」
200 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:34:30.02 ID:yN3EXboo
憂「なんか話してたら、ペット欲しくなったなぁ」

純「じゃあ本格的に飼う?」

憂「う〜ん…お母さんに聞かないと分からないけど…」

憂「どうだろう、難しいかな。でも飼ってみたいなぁ〜」

純「あっ、なら帰りにペットショップ行く?」

梓「ペットショップ?」

純「うん。見てるだけでも楽しいと思うし、飼うとしたら参考にもなるかもしれないから」

憂「わぁ、いいかも!」

純「でしょっ」

梓「あっ、じゃあ私も行く。今日練習ないし」

純「よし、けってー!」
201 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:35:24.69 ID:yN3EXboo
憂「どれぐらいの種類がいるんだろう」

純「私が猫買ったペットショップには、いろんな動物がいたよ」

純「犬や猫以外にも…ウサギとか鳥とか魚とか」

憂「ウサギ! いいな〜」

純「おぉ…憂が珍しくはしゃいでる」

梓「よっぽど楽しみなんだね」

純「あっ、あと……ワニもいた気がする」

憂「ワニ!?」

純「ガブッと噛み付かれたりしてね」

憂「も〜、変なこと言わないでよ純ちゃん」

純「あはは、ごめんごめん」
202 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:35:59.95 ID:yN3EXboo
放課後
――2年1組

純「憂は?」

梓「まだ掃除」

純「そっか…美術室の掃除だっけ? それじゃあしばらくかかりそうだね」

梓「うん」

純「そういえばさ、結局部員来なかったの? 軽音部」

梓「…うん」

純「残念…だね」

梓「ううん、平気。しばらく五人のままでいいって決めたから」

梓「今は…まだこのままで」

純「そっか。でも来年は大変じゃない?」

梓「それは…その時になんとかする」

純「ふーん…まぁ軽音部なら大丈夫だろうね」

梓「うん…」

203 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:36:29.96 ID:yN3EXboo
梓「…純」

純「うん?」

梓「ジャズ研は何人入ったの?」

純「うちは……何人だっけ、忘れちゃった」

純「でも結構入ったよ。入りやすいと思われてるのかな」

梓「結構入ったんだ…」

純「まぁね」

梓「ジャズ研か…私も去年見学に行ったなぁ」

純「どうして入部しなかったの?」

梓「え……なんていうか…」

梓「うーん…『これじゃない』って気がしたというか」

梓「あっ、別にジャズ研が悪いってわけじゃないよ!」

純「分かってる分かってる」
204 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:37:05.34 ID:yN3EXboo
純「でもさ、私たまに考えるんだよね」

梓「なにを?」

純「もし梓がジャズ研に入ってたらなー…って」

梓「えっ…」

純「一緒に練習してたりするのかな」

梓「そう…なるのかな」

純「それとは逆にね、私が軽音部に入部してたらってことも考えた」

純「軽音部のハチャメチャにはついていける自信ないけど」

梓「…純なら対応できるよ」

純「そうかな」
205 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:37:59.97 ID:yN3EXboo
純「でもどっちにしろ、梓と練習できたらなぁって思うよ」

梓「私と?」

純「うん」

梓「……」

純「あれ? …迷惑?」

梓「…ううん、嬉しいよ」

梓「今度一緒に練習しようね」

純「あっじゃあさ、ジャズ研と軽音部で合同練習ってのはどう?」

純「部長に掛け合ってみようかな…」

梓「そ、それはいいよ……たぶんうちが迷惑かけちゃうから」

憂「お待たせー!」

純「おっ、憂が来た」

憂「ごめんね、ちょっと時間かかちゃって」

梓「大丈夫だよ」

純「よし、三人そろったし行こっか」

憂「うんっ!」

206 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:38:38.89 ID:yN3EXboo
――繁華街

純「結構大きなペットショップでさ、中も広くて色々あるんだよね」

憂「色々?」

純「ペット用品とか…あとグッズとかも」

憂「なんだか楽しそうだね」

純「ついでに猫のエサ買っておこうかなー」

梓「私もトンちゃんのエサ…はムギ先輩が持ってくるんだった」

純「…梓、前から聞きたかったんだけどさ」

梓「なに?」

純「紬先輩って、どれぐらいお金持ちなの?」

梓「え…ムギ先輩?」

純「そう、そのムギ先輩」

207 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:39:07.68 ID:yN3EXboo
梓「どれぐらいって言われてもなぁ…」

梓「うーん……」

梓「とにかく…すごいお金持ちだよ」

純「もっと具体的に!」

純「通学の時は大きな車で来たりとか、純金のシャーペン使ってたりとか」

純「夜道を札束燃やして明るくしたりとか!」

梓「ムギ先輩はそんなことしないから!!」

憂「むしろ庶民的なことに憧れてるってイメージがあるよね」

梓「うん、些細なことでも興味持ったりとかして」

純「へー…そうなんだ。なんか意外」

純「もっとこう…豪勢な人だと思ってた」

208 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:40:52.02 ID:yN3EXboo
純「ケーキいっぱい持ってきてるんでしょ?」

梓「そうだけど、全部もらい物って言ってた」

純「そんなにケーキもらえるなんて…どんな生活してるんだろう」

純「私だったら部活に持っていかないで一人で食べちゃうかなー」

憂「純ちゃんったら食いしん坊なんだから」

純「いやー、あはは」

純「でもいいよねー、紬先輩」

純「美人でお金持ちだし」

梓「なに考えてるか分からない時があるけど、基本的に優しいし…」

純「なんか…私みたいな庶民と比べるとすごい……なんていうか…」

梓「気持ちは分かるよ…」

憂「?」
209 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:41:49.48 ID:yN3EXboo
――ペットショップ

純「さて、着いた着いた」

憂「わー! 犬がいっぱいいるー!」

純「とりあえず適当に見て回ろっか」

憂「かわいい〜!」

梓「やっぱり小型犬がかわいいよね」

犬「わん!」

憂「あっ、今挨拶してくれた」

憂「こんにちわ」

犬「わん!」

憂「君のお名前は?」

犬「わん!」

憂「そうなんだ〜」

純「本当に会話できてるのかな、アレ」

梓「さぁ…?」
210 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:42:38.36 ID:yN3EXboo
憂「この子、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルっていう名前なんだって」

純「それ種類だし。上に書いてあるし」

憂「えへへ」

梓「聞いたことない種類…色んなのがいるんだね」

純「パグ、チワワ、トイプードル…」

梓「シー・ズー、チン…」

純「え? もう一回言って」

梓「だからシー・ズーとチン」

純「最後のほうだけもう一回」

梓「チン」

純「繰り返して」ニヤニヤ

梓「?」

梓「チンt」

梓「!?」

梓「こら純ーーー!!」

純「あはは!」

憂(チンを二回だから、チンチ……はっ!)

憂「うぅ…///」
211 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:43:06.57 ID:yN3EXboo
純「あっ、見てみて。日本スピッツだって」

純「なんだかカッコいい名前だね」

梓「ごまかさないの! もう…」

純「ごめんごめん」

純「でもさっきの言葉だけどさ、犬のしつけでもあるじゃん」

憂「なにが?」

純「え? だからチンt…」

純「あぶなっ!?」

梓「おしい!」

憂「あとちょっとだったのにねー」

純「憂までひどい!?」

梓「ほら純、もう一度ちゃんと言って」

純「そんな手には乗らないもーんだ!」

梓「むっ、私をはめようとしたくせに」
212 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:44:10.98 ID:yN3EXboo
純「それより、もっと見て回ろうよ」

純「この犬とかかわいいよ。なんだろコレ…」

映女「その犬はマルチーズね!」

純「へー……うん?」

映女「こんにちはー」

純「あれっ、なんで!?」

梓「だ、だれ…?」

純「映研の友達」

映女「まさかこんな所で純に会えるとは思わなかった」

純「それはこっちの台詞だって。なんでペットショップなんかに?」

映女「実は今度の映画に――」

憂「あのー…」

純「どうしたの? 憂」

憂「その犬…マルチーズじゃなくてポメラニアンって書いてありますよ」

映女「えっ」

映女「………あっ、本当だ」

純「……」

映女「……」

映女「まぁどれも似たようなもんじゃない。足4本だし」
213 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:44:49.24 ID:yN3EXboo
映女「それより! 私がここに来た理由、知りたい?」

純「ううん、別に」

映女「実は今年の文化祭は、犬の映画を撮ろうと思ってるのよ!」

純「あれ? 去年も犬の映画じゃなかったけ?」

映女「違う違う! 去年はタヌキ!!」

純「あぁ…思い出した。確か着ぐるみの…」

映女「そう、『人類滅亡 エピソード・パラダイスロスト』」

純「そんなタイトルだったんだ…」

映女「でも今年の映画は一味違うの。着ぐるみじゃなくて本物の犬を使おうと思ってね」

映女「それでペットショップでモデルの犬をどれにしようか探してるってわけ」

純「へぇー、本物使うんだ。なんか本格的だね」

映女「そ、だから今年の文化祭は楽しみにしててね」

純「うん、期待はしないでおく」

映女「じゃあ私、もう行かなきゃいけないから。ばいばーい」

純「はいはい、さいならー」
214 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:45:39.27 ID:yN3EXboo
憂「映研…なんだかすごそうだね」

純「そうでもないよ? 去年の作品とか…あんま覚えてないけど正直面白くはなかったし」

梓「映研ってもう文化祭の準備始めてるんだ…早いなぁ」

純「映研が大々的に発表できるのって文化祭ぐらいしかないからね」

梓「そっか…なるほど」

純「さてと、他も回ろっか」

純「猫とか、かわいいよ?」

梓「!」

憂「猫もいっぱい種類があるねー」

梓「かわいい…」

梓「ね、純が飼ってるやつってどれ?」

純「うちの? 確かねー…」

純「これ! …じゃない」

純「こっち! …でもない」

純「あれ…どれだっけ?」

梓「なんで覚えてないの…」
215 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:46:26.17 ID:yN3EXboo
純「それよりあの猫、可愛くない?」

憂「しっぽ振っててかわいいね」

純「あれはイライラしてるのよ」

憂「そうなの?」

純「うん。しっぽを早く左右に振ってるときはそうなの」

憂「へー、さすが純ちゃん。猫に詳しいね」

純「まぁそれほどでもー」

純「猫ってしっぽを見ると気持ちが分かるんだよ」

梓「ねぇ純、あの猫は? ゆっくりしっぽ振ってるよ」

純「あれは…確かリラックスしてる証拠」

憂「じゃあ、あれは? しっぽが立ってる」

純「え? うーん…怒ってる…のかな」

梓「あのしっぽを曲げてる猫は?」

純「なんか…悲しい気分なんだと思う」

憂「あっちの猫は足の間にしっぽを入れてるね」

純「しっぽが痛いんじゃないかな」

梓「…だんだん適当になってない?」

純「そんなことないよ」
216 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:47:11.05 ID:yN3EXboo
・・・・・

純「憂、なに飼うか決まった?」

憂「まだ飼うってわけじゃ……それに見ただけだ満足しちゃったかも」

純「そっか、満足しちゃったか」

憂「でもまだ見て回りたいな」

純「じゃあ別のフロア行こうよ。犬と猫以外もいるし」

梓「……」ジーッ

純「ほら梓、行くよ」

梓「……」ジーッ

純「梓?」

憂「どうしたの? 梓ちゃん」

梓「なんか…この猫がさっきから私のことジッと見つめてくる」

猫「……」ジーッ
217 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:48:26.71 ID:yN3EXboo
純「梓のことが気になるんじゃない?」

梓「えっ」

憂「真っ白なかわいい猫さんだねっ」

猫「……」ジーッ

梓「……」ジーッ

純「ほんとだ…梓をひたすら見つめてる」

憂「好きなのかな?」

純「付き合っちゃえば?」

梓「猫だし!」

猫「……」ジーッ

梓「むむ…」ジーッ

純「ほら、それより早く行こ」

梓「ちょっと待って。ずっと見られてるとこっちも視線を外しづらくて…」

猫「……」ジーッ
218 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:48:56.48 ID:yN3EXboo
梓「……」ジーッ

猫「……」ジーッ

梓「……」ジーッ

猫「……」ジーッ

梓「……」ジーッ

猫「……」ジーッ


純「いつまでやってんの…」

憂「本当に梓ちゃんのことが好きなんだね、あの猫さん」


219 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:49:28.00 ID:yN3EXboo
梓「……」ジーッ

猫「……」ジーッ

純「はい、もう終了。行くよ梓」グイッ

梓「にゃっ!?」

純「そんな気に入ったんなら、飼えば?」

梓「気に入ったとかじゃなくて、なんというか目が離せないというか…」

猫「……」ジーッ

純「まだ梓のこと見てるね…」

猫「……」ジーッ

梓「……行こっか」

憂「いいの?」

梓「うん…ずっと見ててもしょうがないし」

梓「じゃあね」

猫「……」ジーッ

220 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:50:22.25 ID:yN3EXboo
梓「あの猫、なんだったんだろう」

純「梓に惚れたか、もしくは梓に恨みがあるか」

梓「恨まれるようなことなんてしてないけど…」

憂「じゃあやっぱり梓ちゃんのことが好きだったんだね」

九官鳥「アズサ! スキ! スキ!!」

梓「うわっ、びっくりした」

憂「九官鳥だ!」

九官鳥「スキ! スキ!」

九官鳥「アズサスキ!」

純「モテモテだね、梓」

梓「うれしくなーい!」
221 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:51:09.91 ID:yN3EXboo
九官鳥「アズサ! アズサ!」

純「九官鳥って本当に人の言葉真似するんだ」

憂「テレビで見たことある。舌の動きが人間に似てるんだって」

憂「意味は分かってないみたいだけど」

純「へぇー」

九官鳥「アズサ、スキ! アズサ、スキ!」

梓「どうでもいいけどやめさせてよこれ…すごい恥ずかしいんだけど…」

純「面白いじゃん」

梓「面白くない!」

九官鳥「アズサ、スキ!」

梓「はぁ…」

222 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:51:35.88 ID:yN3EXboo
純「なんか適当に言ってみれば? そうしたら言葉変えるかも」

梓「うーん…」

憂「お姉ちゃん!」

九官鳥「オネエチャン! オネエチャン!」

梓「本当だ…」

純「ドーナツ!」

九官鳥「オネエチャン! ドーナツ!」

九官鳥「オネエチャンドーナツ!」

純「お姉ちゃんドーナツ? なにそれ」

憂「あは、おもしろい」

九官鳥「オネエチャンドーナツ!」

純「ほら、梓もなんか言ってみなよ」
223 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:52:20.01 ID:yN3EXboo
梓「…じゃあ」

梓「唯先輩、ちゃんと練習してください」

純「長いって」

梓「えっと、それなら……唯先輩、練習して!」

九官鳥「ユイセンパイ! レンシュウシテ!」

梓「言った!」

純「それにしても、なんで唯先輩指定?」

梓「なんとなく思いついたから」

梓「それに、まじめに練習してないのは本当だし」

憂(お姉ちゃん…)

九官鳥「ユイセンパイ! レンシュウシテ!」

九官鳥「ユイセンパイ! レンシュウシテ!」

梓「…部室に置いておきたいかも」

純「もう動物園にしちゃいなよ、軽音部の部室」

224 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:52:52.19 ID:yN3EXboo
・・・・・

純「結局、憂はどうするの? 飼う?」

憂「とりあえず今はいいかな。でもいつかは飼ってみたい」

純「私ももう一匹ネコ欲しくなっちゃった」

梓「猫か…」

梓(あの猫なんだったんだろう…)

憂「あっ、これ欲しいかも!」

純「どれ?」

憂「犬のストラップ!」

純「あぁ…グッズか」

憂「かわいいね〜」

純「ストラップぐらいなら私も買おうかな。ちょうど携帯につけるやつ欲しかったし」

梓「あっ…私も買う」
225 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:53:26.24 ID:yN3EXboo
純「憂はどれにする?」

憂「うーんとね…この犬のやつにしようかな」

純「ほうほう、じゃあ私は……どれにしよう」

梓「私は…猫のやつの」

純「え? 憂は犬で梓は猫…」

純「じゃあ私は……うーん」

純「…犬と猫二つとも買っちゃお!」

梓「二つも?」

純「だって二つとも可愛いんだもん」

純「二人のともお揃いだし」

憂「…じゃあ私も猫のやつ買おうかな」

純「え?」

梓「……私も。二つ買う」

純「なに、どうしたの二人とも?」

憂「猫もかわいいなーって思って」
226 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:54:04.24 ID:yN3EXboo
――帰り道

純「結局、三人とも同じもの二つ買っちゃったね」

純「なんか変なの」

憂「でもかわいいよ〜、これ」

純「まぁそうだけどさ」

梓「……」

純「梓、なに考えてるの?」

梓「さっきの猫のこと。ずっと頭から離れなくて」

梓「なんだったんだろうなー…」

純「まじめな話、梓に飼ってもらいたかったんじゃないの?」

梓「私に?」

純「きっとそうだって」

梓「そう言われてもなぁ…」

憂「あっ、私この辺で。買い物しなきゃいけないから」

純「うん、じゃあね憂。また明日」

梓「ばいばい」

憂「また明日ね!」

227 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:54:41.75 ID:yN3EXboo
純「さてと、私もここら辺で」

梓「うん、またね」

純「そうだ…今度またうちの猫預かってみる?」

梓「え……いいの?」

純「梓が迷惑じゃなかったらいいよ」

梓「……」

梓「じゃあ…今度お願い」

純「おっけー、任せて」

純「それじゃ、ばいばい梓」

梓「ばいばい…また明日ね」
228 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:55:29.18 ID:yN3EXboo
・・・・・

純「二つも買っちゃたけど、どうしよう」

純「二つとも携帯につけよっかな…」

純「あっ、バッグにつけてもいいかも」

純「どれどれ……うん、いい感じ!」

純「ふぅ…」

純「お腹すいたな…早く帰ろっと」

純「……」

純「……?」

純「あれ…なんか忘れてるような…」

純「なんだっけ…」

純「……」

純「あっ、猫のエサ買うの忘れてた」
229 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 19:56:42.52 ID:yN3EXboo
翌日
――ペットショップ

唯「見てみて〜! 犬や猫がいっぱいだよー!」

律「またなんで急にペットショップに行きたいとか言い出したんだ?」

唯「昨日憂が行って、楽しかったって聞いたから」

唯「みんなかわいいね〜!」

澪「すごい数だな…」

律「…ワニとかいたりして」

澪「そ、そんなのいるわけないだろ!」

律「分かんないぞー」

律「こう…飼育箱から抜け出して澪を…」

律「ガブガブガブー!! っと」

澪「ひいぃぃ!?」

唯「あっ、ムギちゃーん。鳥さんがいるよ」

紬「それは九官鳥ね」

唯「へぇ〜、これが九官鳥かぁ」

九官鳥「ユイセンパイ! レンシュウシテ!」

唯「!?」


##4 おわり
230 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 20:00:52.78 ID:yN3EXboo
ここまで
二年で終わらせるということなので三年に持ち越そうと予定してたネタもやろうと思ってます。
なので一年の時と比べると若干長くなるかも。

あとPCが復活したので今日からこれで。
231 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/07(火) 20:27:59.29 ID:Chovfiso
おつ!
映研とかどんどんアニメ本編からネタをひっぱってきて良い感じだな
232 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/07(火) 21:01:12.88 ID:3ZfXlyAo
おつ!
見つめ合うあずにゃんと猫にゃんにきゅんきゅい!

憂ちゃんの気持ちはよくわかるよ
233 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/07(火) 21:21:07.17 ID:0lDiwcDO

いつ研究部になったんだっけ?
234 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 23:34:06.48 ID:yN3EXboo
>>233
二年生から
235 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/07(火) 23:39:56.79 ID:yN3EXboo
途中送信だった

>>233
コンテストで賞とか取ったので二年生から正式に部になったという設定です。
本編でも会から部になってたので何かしらジャズ研でアクションがあったのだと思います。
もしくは設定が曖昧だったのかと思います。
俺は後者だと思います。
236 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/08(水) 02:16:34.97 ID:Mluj66AO
乙!
237 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/08(水) 07:55:44.13 ID:BkvZFcAO
おつ
238 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 19:18:22.78 ID:dPKNWlwP
ttp://www.tbs.co.jp/anime/k-on/blog/images/blog20101210.jpg

純大出世モフモフ
239 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/11(土) 15:00:33.75 ID:LZrFMYAO
705:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りしますsage2010/12/11(土) 13:31:48.53 ID:cfVk/cDO (7)>>697
なぜ丁寧梧wwww
オリキャラの使い方がうまいなぁ、て思ったのは律(私じゃ、駄目なのか……?)かな
オリキャラがでしゃばってるわけじゃなく、律を引き立ててる そんな感じ

もっとも最悪なのはジャズけんだ


707:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りしますsage2010/12/11(土) 14:12:12.83 ID:cfVk/cDO (7)
批判っていうより「けいおん」の冠被った別物だろ、と言いたいだけ

RPGツクールは↑を認めてるけど、和がキレたらこうなるっていうキャラ崩壊レベルだと思うんだアレ
だからRPG>>ジャズけん
240 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2010/12/11(土) 17:59:51.11 ID:oQx9onoo
>>239
これはどこのスレですか?
241 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/11(土) 18:24:16.37 ID:OA9k5YAO
けいおんSS雑談スレ
オリキャラが活躍するSSは受けつけないって人もそりゃあいる。
でもそれはあくまでも個人的な意見だからまあ気にするな
全く批判されないSSなんてこの世にはないんだから
242 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2010/12/11(土) 18:29:43.20 ID:oQx9onoo
雑談系のスレは見てないんでRPGとかよく分かんないんですが
批判はいいですよ。
確かにけいおんSSじゃなくてけいおんキャラがたまに出るSSになってるので
243 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 10:12:28.05 ID:rz5WsIAO
そりゃスピンオフ、けいおん外伝だしな。
本編では見れない純の高校生活を描いた話であって、軽音部の話じゃないから。
そういう外伝とかあんまり好まない人っているし。
でもそれだけ色んな人に評価されるのは幸せなことだと俺だったら思いたい。
とにかく楽しく読まさせていただいてます。
244 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2010/12/15(水) 16:26:45.44 ID:H4aUlrEo
すいません、年末は忙しくて進行が遅くなりそうです。

>>241
>>243
ありがとうございます、これからもがんばっていきます。
245 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/15(水) 22:38:09.42 ID:zQCdZdko
お気になさらず
けいおんだしまったりまったり書いてくだせえ
246 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/16(木) 01:16:04.05 ID:5gTAJTw0
くだせぇ
247 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/16(木) 05:30:31.57 ID:dgpmwkDO
俺は大好きだぜ!ジャズけん!
248 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2010/12/25(クリスマス) 04:00:26.33 ID:X3WH3.AO
#Aの可能性

純「もしも梓のツインテールがびよーんって自由自在に伸びたらどうなるんだろう」

純『梓、消しゴム落ちたから拾って』

梓『しょうがないなぁ』ビヨーン

純『さんきゅー』

憂『梓ちゃん、高枝バサミ壊れちゃったから代わりに木を切って』

梓『しょうがないなぁ』スパスパ

ザアアア

純『わっ!? 急に雨が降ってきた!!』

梓『しょうがないなぁ』ビュババババ

純『すごい! 梓の髪が高速に回転して水をはじいてる!!』

唯『うわーん、助けてぇー!!』

憂『大変! お姉ちゃんがビルの火災に巻き込まれてる!!』

唯『火がもうそこまで来てるよー! 助けてー!!』

純『あんな高い所にいたら救助できないよ!』

梓『しょうがないなぁ』シュルシュル

唯『あずにゃん!』

梓『私の髪につかまって下さい、唯先輩』

純『すごい! 梓の髪が唯先輩を助けた!』

唯『あーん! あずにゃんありがとー!!』ギュッ

憂『すごいよ梓ちゃん!』

純『ブラボー梓!!』

梓『えっへん』

純「――なぁんちゃって。そんなのあるわけないか」

憂「梓ちゃん、消しゴム落ちたから拾ってほしいな」

梓「いいよ」ビヨーン
249 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2010/12/25(クリスマス) 04:10:33.88 ID:X3WH3.AO
最近書く時間がなく進みが遅くなって申し訳ないです。
間を埋めるために適当な1レスネタをちょこちょこと挟んでいきたいと思うんですが、どうでしょうか。
通常の話は近日投下します。
250 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) [sage]:2010/12/25(クリスマス) 05:40:27.03 ID:i/gEL2AO
頑張ってくれ
251 : ◆eXN6fvAgkw [saga sage]:2010/12/27(月) 04:41:42.17 ID:5jUEucAO
憧れのB

今日はなんとあの澪先輩と一緒に練習をすることになりました。

純「よ、よろしくお願いします澪先輩」

澪「こちらこそ、よろしくな」

純(うぅ…澪先輩と一緒に練習だなんて頭がフットーしそうだよおっっ)

澪(そういえば後輩を指導するのって初めてかも……なんか緊張してきちゃった…)

澪(いけない…こういう時こそちゃんとした先輩の姿を見せないと!)

澪「そこはリズムを少し抑えたほうがいいかな」

純「は、はい!」

純(うわーミスったー! 澪先輩の前でミスっちゃったぁー!!)

澪(あれ? よく考えてみたらさっきのリズムでよかったかも…)

澪(いやしかし、今さら引き返せないし……でも間違ったことは教えられないし…)

澪(うわぁーどうしよー!!)

純「み、澪先輩大丈夫ですか?」

澪「あ…うん、ごめん。大丈夫」

澪(こんな時はどうすれば……はっ、そうだ!)

澪「純ちゃん、お茶にしよう!」

純「お茶!?」

澪「あぁ、お茶だ。お茶を飲めばなんとかなる!」

純「は、はい! 澪先輩となら喜んで!!」

純(なんでお茶?)

梓「もう、澪先輩ったら完全に軽音部に染まってますね。ちょっとがっかりです」モグモグ

律「なに食べてんだよ」

梓「ムギ先輩からもらった王室チョコレートです」モグモグ

おわり
252 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 00:31:02.74 ID:V5z4jkAO
あけおめ支援
253 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/01/18(火) 04:18:33.07 ID:xT1ZlxVDo
#Cの思い出

憂「え? 中学の頃ですか?」

紬「えぇ、二人はどんなお友達だったの?」

純「どんなって言われても…別に普通でしたよ。ね?」

憂「うん」

純「他にも友達がいて、普通に遊んだりして…」

憂「ふふ、そういえば純ちゃんって高校に入学してから大人っぽくなったよね」

純「えぇ? そんなことないよー。憂の方が成長したんじゃない?(主に胸が)」

憂「えー、そうかなぁ?」

純「そうだって。梓も羨ましがってたよ」

憂「えへへ…なんか照れちゃう」

紬「うふふ」

純「あれ? そういえば紬先輩はどうしてこんなこと私たちに聞くんですか?」

                -‐…‐- 
           ,. ´           ` 、
           /           `      \
          /     /    l     ヽ     ヽ
       /    /'     |       ’    
.       ′  ′,      ri        |   !   ',
        |    | |    /ハ  ヽ.  |!  |    i
        |    | |.   l {<彡ヽ   ト、. !ミ、 |    }
.           | |   从xぅォ \{ ヽ}  ヽ   ハ!
       }    ! 八 〃んハ     ィ笊ミ }.  //
      八  :|  .:ヽ{ 弋;:ソ     ら::;ソ从/イ/
       /   .: :| ,. '冫)、::.::.:.    ,  `¨ {: :  ′
.      / イ . : : Y / / ,ノ, 、       .::.:. ハ  ,′「趣味です」
     /〃} . : : : :{ '' ′レ ′ ` ´   ノ:   ;:l
.    / .x -─‐≦t    〈': 、     . :<」::   { |
  〃 /:::::‐-ミ::::::: ヽ   ∨ ` チ }:::: 、:|::   ト..、
  {{ {:::::::::::::::::ヽ::::rx}     } /⌒ 、|::::::::}|.:   |:::::: }
.  lしヘ::::::::::::::::::::::::|:::::`::=-..ミ、.八 ヽ:::::八  |:::'::::|
  ル }、:::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::: 〉|! ) )::\:ト  |/ :: |
/ | │:ヽ::::::::::::::::j:::::::::0:::::::::/} !彡:::::: /:;   |:::::: ′
  !  l::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::/::}ハ:::::::/:: |   |:::::::{、


おわり
254 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/01/18(火) 04:19:28.33 ID:xT1ZlxVDo
最近ムギちゃんがかわいい。
移転したらボチボチ再開しましょうかね。
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 09:25:20.74 ID:DRCb7MM9o
再開キボン
256 :真真真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 02:43:42.32 ID:S7/tXrRAO
無事移転したね
純ちゃんたちののほほん気長にまってるよー
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:38:37.19 ID:1mvTn7x3o
##5

放課後
――ジャズ研 部室

純「でさ、軽音部に梓っていうギターの上手い子がいるから、機会があれば今度教えてもらいなよ」

後輩B「いいんですか? 他の部活なのに」

純「たぶん大丈夫じゃない?」

ガチャッ

後輩C「……」オドオド

純「あっ、おはよ」

後輩C「お、おはようございます…」

純「…? どうしたの、元気ないね」

後輩C「い、いえ…元気です…」

259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:39:19.72 ID:1mvTn7x3o
純「体調悪いなら無理しなくてもいいよ?」

後輩C「本当に、大丈夫です…」

純「そう…? ならいいんだけど…」

純「……なにかあったの?」ヒソヒソ

後輩B「え?」

純「ほら、あの子と同じクラスなんでしょ?」

後輩B「そうですけど…特に何があったというわけでも…」

後輩B「それにあの子、普段から暗いし影も薄いからよく分からないんですよね」

後輩B「前髪で表情も隠れちゃっているから何を考えてるのかも…」

純「そっか…なるほど」

後輩B「そのせいで周りの子も近づきづらいんですよねー」

ガチャッ

先輩A「おはよう」

純「あっ、おはようございます」

260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:40:10.24 ID:1mvTn7x3o
後輩B「おはようございます」

純「あれ? 部長は…」

先輩A「今日は部長会議とかで遅れるんだって」

純「へぇ…なんか最近ドタバタしてますよね」

先輩A「この時期はしょうがないかな…来月は修学旅行もあるし」

純「忙しいんですね、3年生って」

先輩C「その通り.。だから部活は2年が率先して引っ張っていくんだぞ」

純「あっ…センパイ」

先輩C「鈴木、お前最近タルんでないか?」

純「えっ」

先輩C「そこに落ちているのは何だ?」

純「これは……え〜っと、さっき食べた菓子パンの袋でして…」

先輩C「ゴミはゴミ箱に捨てろ!!」

純「ご、ごめんなさい!」

261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:40:39.00 ID:1mvTn7x3o
先輩C「まったく…自分が上級生だってことを自覚しているのか」

純「すいません…」

先輩C「ジャズ研はただの仲良しクラブじゃないんだ。部活の時ぐらい少しはしっかりしろ」

純「はい…」

先輩A「まぁまぁ」

先輩C「…あと10分したら練習をはじめるから、早く準備するんだぞ」

「「「はーい」」」

先輩C「はぁ…全体的に気が緩んでる」

先輩A「春だからかな?」

先輩C「関係ないだろ」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:41:26.32 ID:1mvTn7x3o
純「さーてと、準備準備…」

後輩C「あの……鈴木先輩」

純「なに?」

後輩C「その…えっと……」

純「?」

後輩C「私って……」

「なにしてるの、もうすぐ始めるよ?」

純「あっ、はーい!」

後輩C「……」

純「ほら、練習始まるって。いこっ」

後輩C「は、はい……」

263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:42:16.92 ID:1mvTn7x3o
・・・・・

休憩時間

純「んーっ…疲れたぁ」

後輩C「お疲れ様です」

純「どう? ベース弾くの慣れた?」

後輩C「えっ…あ、はい。鈴木先輩に教えてもらったおかげで…」

純「い、いやだなー、私なんて基礎教えただけでたいした事してないって」ヘラヘラ

後輩C「……鈴木先輩」

純「ん? どうしたの?」

純「教えて欲しいことがあれば遠慮なく言っていいよ!」

後輩C「あの…私……」

ガラッ

先輩B「おろ? 練習終わったの?」

純「あっ、お疲れ様です。今は休憩中ですよ」

先輩B「あ〜そう。もう休憩時間なんだ〜」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:42:51.68 ID:1mvTn7x3o
先輩A「お疲れ様」

先輩B「んっ。つかれた」

先輩A「結構長かったのね。部長会ってなにやってたの?」

先輩B「なんか〜予算とか活動内容とか決めて〜〜」

先輩B「そんでぇ〜……色々細かいこと話し合って〜、めんどくさかった」

純「部長って大変なんですね」

先輩B「大変だよ〜…」

先輩B「代わりにやってくれない?」

先輩A「いやーよ」

先輩B「じゃあ、純」

純「無理ですって」

先輩B「なんだよ〜。じゃあ…そこの〜……ん?」

後輩C「え…」

265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:43:28.01 ID:1mvTn7x3o
先輩B「君は〜…パートは純と同じベースだったけ?」

後輩C「は、はい」

先輩B「ふ〜ん……」ジーッ

後輩C「あ、あの……」

先輩B「髪…切ったほうがいいんじゃない? かわいくなるよ」

後輩C「え…?」

先輩B「ね?」

純「へっ? ……うーん」ジーッ

後輩C「っ!?」ドキッ

後輩C(す、鈴木先輩に見つめられてる…!?)

純「確かに…このままより思い切ってバッサリ切っちゃったほうがいいかも」

266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:43:57.49 ID:1mvTn7x3o
先輩A「でも、ここまで伸ばした髪を切るのって結構勇気いるんじゃない?」

先輩B「いやでも、ショートの方が似合うって〜……ほら」サッ…

後輩C「きゃっ!?」

先輩B「おっと…ごめんごめん」

純「あっ、でも今一瞬ちょっと可愛かったかも」

後輩C「えっ…」ドキッ

純「そうだ! 私みたいに両サイドにまとめてみれば?」

後輩C「む、無理ですよ…鈴木先輩みたいにかわいくないし…」

先輩B「おっ、可愛いって言われたよ純」

純「な、なんだか生まれて初めてそんなこと言われたような…」

267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:44:29.05 ID:1mvTn7x3o
先輩B「いやいや、私も純はかわいいと思うよ」

純「そ、そうですか〜?」ニヘラ

先輩B「嘘だよ。調子に乗るなよ」

純「えぇっ!?」

先輩A「ほらほら、遊ばないの」

先輩B「ごめんごめん、冗談だから気にしなくていいよ〜。かわいいかわいい」ナデナデ

純「…なんかうれしくない」

先輩B「まぁどっちにしろ、髪は…気が向いたら切ったほうがいい思うよ〜。前髪だけでもさ」

後輩C「は、はい……」

先輩B「オススメの美容院とかも教えるよ〜」

後輩C「ありがとうございます…」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:45:03.91 ID:1mvTn7x3o
純「髪か……いい加減ストレートにしようと思ってるんだけど…」

純(部長にストレート禁止令を出されてるんだよね…)

先輩B「ん? どした?」

純「いえ…なんでもないです」

後輩C「……」

先輩B「さぁてと、私もそろそろ準備しよっかな〜」

先輩A「今日はこの後どうするの?」

先輩B「ん〜? パートごとに基礎練やって〜、そんで軽くセッションして〜…」

純「はぁ、まだまだ大変そうだね」

後輩C「は、はい」

純「……もっと気楽にやってもいいんだよ?」

後輩C「え?」

純「なんか顔がこわばってるしさ。部活まだ慣れない?」

後輩C「す、すいません……」

後輩C「……」

純「ほら、元気出して」

後輩C「はい……」

269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:45:32.57 ID:1mvTn7x3o
・・・・・

後輩A「あー、疲れたー」

後輩B「ねー」

後輩A「そうだ、今日帰りのついでにさぁ…」

後輩C「あのぅ…」

後輩A「ひっ!?」

後輩B「っ!?」ビクッ

後輩C「こ、これ……ピック、落ちてましたよ…」

後輩A「あ、ありがとう…」

後輩C「…………それじゃあ」スタスタ

後輩B「び、びっくりしたー…いきなり話しかけられるんだもん」ヒソヒソ

後輩A「あの子、ちょっとこわいよね」ヒソヒソ

後輩B「うん、どうやって接すればいいか分からないっていうか…」ヒソヒソ




後輩C「……」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:46:10.87 ID:1mvTn7x3o
純「ぷはぁ! 疲れたぁ…」

同級生「今年も練習キツいよねー…」

純「あっ、いたんだ」

同級生「さっきからいたよ! 補習で遅くなっただけだし…」

純「こんな時期に補習って……やばくない?」

同級生「ぅっ……」

同級生「…ま、まだ二年生だし、大丈夫だもん」

純「そう言って来年も二年生だったりしてね」

同級生「うぅ…勉強やだー! 勉強なんてする意味ないよ!!」

同級生「純もそう思うでしょ? ね??」

純「えー? 私はあれだよ、勉強についてはもう悟りを得たっていうか」

同級生「悟り?」

純「つまりね、勉強をする意味ってのは…………あれ、なんだっけ」

同級生「なんだ、純もダメじゃん」

純「そ、そんなことないって! 勉強は普通にできるし(憂のおかげで)」

純「うん…たぶん」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:46:51.96 ID:1mvTn7x3o
同級生「ふーん…人は見かけによらないねぇ」

純「むっ、どういう意味?」

同級生「どういう意味もないでーす。あーぁ、頭のよくなる薬でも売ってないかなぁ」

同級生「あっ、それより世界中の人が私と同じくらいの頭になればいいかも…」

純「そんなことになったら人類滅ぶんじゃない?」

同級生「むっ、どういう意味?」

純「そういう意味です」

先輩C「鈴木、ちょっといいか?」

純「あっ、はい。なんですか?」

先輩C「ここにある譜面台を音楽室まで運んで行ってくれ」

純「えぇー…」

先輩C「ん? なんだその嫌そうな顔は」

純「いえ…嫌じゃないです」

先輩C「なら行けるな。他にも人手を…」

同級生「痛たた……お腹が…」

先輩C「二人か、もう一人ぐらい必要だな」

同級生「あっ、私もですか。やっぱり」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:47:29.35 ID:1mvTn7x3o
・・・・・

純「あーぁ、めんどくさいなー」

同級生「はぁ…お腹すいた」

後輩C「……」

同級生「大丈夫? 重くない?」

後輩C「あ、はい。大丈夫です」

純「私は重いや」

同級生「ふーん」

純「いや、ふーんって…。普通少し持ってくれるんじゃないの?」

同級生「私だって重いし…」

後輩C「あ、私が持ちましょうか?」

純「いやいやいや」

同級生「後輩にそんなことさせられないし。カッコ悪いし」

純「でもまぁすでに私たちカッコ悪いと思うけどね」

同級生「気のせいだよ純さん」

純「あっ、純さんって呼び方カッコよくない?」

同級生「純さん」

純「フッ、悪いけどサインはしない主義なんだ。子猫ちゃん」

同級生「…どんなキャラ、それ」

純「え? 一応澪先輩のつもり」

同級生「秋山先輩ってそんななの?」

純「いや、私もよく分かんないけど…とりあえずカッコいいじゃん?」

後輩C「あの……秋山先輩って誰ですか?」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:48:09.90 ID:1mvTn7x3o
同級生「知らないの?」

後輩C「す、すいません…」

純「軽音部の先輩。すごい美人でベース弾いててカッコいいんだよ」

後輩C「ベーシストなんですか…?」

純「そっ。私も澪先輩みたいになりたいなー」

同級生「無理無理、純には無理」

純「そ、そんなことない!」

後輩C「……」

純「あ、音楽室着いた」

同級生「早くこの譜面台中に入れ…あっ!?」

純「どうしたの」

同級生「きょ、教室の鍵もらってくるの忘れてた!」

純「えぇー…」

後輩C「じゃあ私が…」

同級生「ちょっと取ってくるね!」タタタッ

後輩C「あ……」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:48:54.70 ID:1mvTn7x3o
純「しょうがないなー。まぁ…私も忘れっぽいから人のこと言えないけど」

後輩C「あの…本当に私じゃなくてセンパイに行かせてよかったんでしょうか?」

純「自分から行くって言ったんだし、いいんじゃない?」

後輩C「はぁ……」

純「そんな気をつかわなくてもいいよ」

後輩C「すいません……」

純「そういえばさ、この前ウチの飼い猫にお手を覚えさせようとしたんだけど中々覚えなくて…」

純「やっぱネコには無理なのかなぁ」

後輩C「どうなんでしょう…」

純「ネコ飼ってる?」

後輩C「犬なら…飼ってます」

純「へぇー、犬かぁ」

純「犬もいいなー…」

後輩C「はい…」

純「……」

後輩C「……」

275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:49:25.33 ID:1mvTn7x3o
純「……」

後輩C「……」

純「なんか…暇だね」

後輩C「す、すいません…」

純「えっ、なんで謝るの」

後輩C「えっ…あ、その……その…私が……す、すいません」

純「ほら、また謝ったりして。悪いことしてないんだから謝らなくてもいいって」

後輩C「ご、ごめんなさ…」

純「ストップ! 謝っちゃダメ!」

後輩C「は、はいっ。すいませ…」

純「もー、ダメだって言ってるのに」

後輩C「……」

純「あ…べ、別に怒ってるわけじゃないからね? ただもうちょっと明るくなっても…」

後輩C「私……」

純「?」

後輩C「私…迷惑ですよね。みなさんといたら……」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:50:32.09 ID:1mvTn7x3o
純「えっ…」

後輩C「暗いし…口下手だし……一緒にいるとつまんないし…」

純「そ、そんなこと誰も思ってないって」

後輩C「いいんです、自分でも分かってますから……。中学の時も…そうでしたし……」

純「……」

後輩C「部活動やるのも初めてで……これを機会に明るくなろうと思ったんですけど…」

後輩C「やっぱりダメで……せめて周りにも迷惑かけないようには…」

純「……」

後輩C「…………す、すいません。変な話しちゃって…」

純「…いいって、それぐらい。悩みがあるんだったらなんでも聞いてあげるよ?」

後輩C「センパイ…」

純「まぁ、私もあまり偉そうなことは言えないけどさ…もう少し周りの目を気にせず楽しんでみたら? 今の学校生活」

後輩C「え…」

純「ほら、人のことばっか気にしてるとさ…自分が分かんなくなっちゃうじゃん」

後輩C「……」

純「うーん、なんて言うか…なりたい自分にもっと突っ走っちゃおう! うん、これだ」

後輩C「……」

純「…ごめんね、よく分かんなくて」

純「でも三年間しかないんだからさ、やりたいことはバンバンやっていった方がいいんだよ。きっと」


277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:51:10.44 ID:1mvTn7x3o
後輩C「……」

純「あはは…ごめん、えらそうだった?」

後輩C「いえ……」

後輩C「……」

後輩C「あ、あの…鈴木先輩」

純「なに?」

後輩C「さ、さっきの話なんですけど…」

純「?」

後輩C「あの……髪型のことで…」

同級生「おまたせー!」

後輩C「あ…」

純「鍵もらってきた?」

同級生「うん、ばっちし。早く片しちゃお」

純「うん。あっ、そういえばさっきの話って?」

後輩C「い、いえ……やっぱりいいです」

純「そう…? 言いたいことは遠慮なく言っていいんだからね?」

後輩C「は、はい…」

後輩C「……」

後輩C(自分の、やりたいこと……)
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:51:57.01 ID:1mvTn7x3o
・・・・・

純「さてと、片付けもすんだし戻ろっか」

同級生「はいはーい」

<キャッキャウフフ

同級生「あれ? なんか声がする…」

純「音楽準備室の方じゃない? 軽音部が使ってるし」

同級生「あぁ、そっか。なんだか賑やかだね」

純「楽しそうでいいなー」

同級生「でも何やってるか分からないからちょっと不気味だよ」

純「そうかなー…うちの部活もあれぐらい賑やかでもいいと思うけど」

同級生「…私は何だかんだで今のジャズ研で満足してるよ」

純「んー…まぁうちの部活もそれはそれでいいんだけど」

純「あーぁ、澪先輩とかジャズ研に入らないかなー」

同級生「結局それ?」

純「だって…憧れの先輩だし」

同級生「純以外にも憧れてる人たくさんいるけどね。ファンクラブだってあるんだし」

後輩C「……」

後輩C(憧れの先輩……)

純「それは…あれだけカッコいい人なんだから、たくさんいないとおかしいって」

後輩C「……」

後輩C(私も…純先輩みたいに……)
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:52:44.30 ID:1mvTn7x3o
翌日
――通学路

純「ふぁあ〜…」

純「…………ねむ」

後輩C「あ、あの…鈴木先輩」

純「うん?」

純(後ろから後輩の声…?)

後輩C「お…おはようございます!」

純「あ、おはよ……!?」

後輩C「……」ドキドキ

純「えっ…えぇー!? な、なにその髪!!」

後輩C「あの…変ですか? ショ、ショートにしてみたんですけど……」

純「……」ジーッ

後輩C「……」ドキドキ

純「……」ジーッ

後輩C「……あ、あのぅ」

純「かっ、かわいいー!!」

後輩C「はぇっ!?」

純「似合ってるよ! すっごい似合ってる!!」

純「前より全然良い!!」

後輩C「ほ、本当ですか…?」

純「うん! ばっちし!!」

後輩C「あっ…ありがとうございます!」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:53:19.31 ID:1mvTn7x3o
純「それにしても、思い切ったことしたね」

後輩C「は、はい。昨日鈴木先輩に言われてやってみようかなって…」

純「え? 私に?」

後輩C「その…髪が…」ゴニョゴニョ

純「???」

後輩C「い、いえ! やっぱりいいです!!」

純「まぁ…なんでもいいけど。その髪型すごい良いよ」

純「今までのイメージがガラッと変わって…明るくなったよね」

後輩C「ありがとうございます…まだ恥ずかしいけど…」

純「慣れれば平気だって。みんなもきっと可愛いって言ってくれるから」

後輩C「…はいっ」

純「それにしても、なんか…」

後輩C「?」

純(かわいすぎて羨ましい!!)

後輩C「鈴木先輩…?」

純「あ、ううん。なんでもない…」

281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:53:54.02 ID:1mvTn7x3o
純「それじゃ行こっか、学校」

後輩C「はいっ」

純「きっと部活の人たちも驚くよー」

後輩C「あの…鈴木先輩」

純「ん?」

後輩C「その…迷惑じゃなかったら……」

後輩C「鈴木先輩のこと…純先輩って呼んでもいいですか……?」

純「え? 別にいいけど…」

後輩C「ほ、本当ですか!?」

純「う、うん」

後輩C「あ、ありがとうございます!!」

純(そこまで感激されることかな…)
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 18:55:02.60 ID:1mvTn7x3o
放課後
――廊下

後輩C「純先輩!」

純「あっ、部活行くの?」

後輩C「はいっ」

純「じゃあ一緒に行こっか」

純「そういえばさ、クラスの反応どうだった?」

後輩C「みんな驚いてました。けど、話したりするのはまだ難しくて…」

純「ふーん…。ま、これからだよ、これから」

後輩C「は、はいっ!」

純「ジャズ研のみんなが見たらどんな反応するのかなー…」

後輩C「……」ドキドキ

ガチャッ

純「おはようございます!」

後輩C「お、おはようございます…」

同級生「あ、おはよ」

同級生「あれ? ……誰その子」

後輩C「え…」

先輩A「転校生?」

先輩C「新入部員か! でかしたぞ鈴木、この時期によく勧誘してきた!」

後輩C「……」

純「まぁ…これからだよ、これから」


##5 おわり
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 19:00:17.71 ID:1mvTn7x3o
#お嬢様のD

  _
´     ` ヽ
     ヾ   ;,
  ハ    ハ , ,:
. /彡 、   ..|ミ、   i
/   vへ |  ヽィ ノ
'  ==     ミ i ノ 私、新作サロペットを着て来日外タレとデュエットするのが夢だったの〜
ヽ::::::     :::::: { j
 "   ワ   ノ  \
  " ー―  ":: ミ  ハ
、  i rへ  「⌒Y / 丿
ハ j i  j  〉¨¨´i /
 |/ /¨¨' i  l   |"



  _
´     ` ヽ
     ヾ   ;,
  ハ    ハ , ,:
. /彡 、   ..|ミ、   i
/   vへ |  ヽィ ノ
'  ==     ミ i ノ 私、話題のドーナツを一口ずつ食べてコンプリートするのが夢だったの〜
ヽ::::::     :::::: { j
 "   ワ   ノ  \
  " ー―  ":: ミ  ハ
、  i rへ  「⌒Y / 丿
ハ j i  j  〉¨¨´i /
 |/ /¨¨' i  l   |"



  _
´     ` ヽ
     ヾ   ;,
  ハ    ハ , ,:
. /彡 、   ..|ミ、   i
/   vへ |  ヽィ ノ
'  ==     ミ i ノ 夢を見るのは乙女の大事な仕事でしょ?
ヽ::::::     :::::: { j
 "   ワ   ノ  \
  " ー―  ":: ミ  ハ
、  i rへ  「⌒Y / 丿
ハ j i  j  〉¨¨´i /
 |/ /¨¨' i  l   |"



  _
´     ` ヽ
     ヾ   ;,
  ハ    ハ , ,:
. /彡 、   ..|ミ、   i
/   vへ |  ヽィ ノ
'  ==     ミ i ノ 止まらないのは情熱的な牡羊座のせいだわ〜
ヽ::::::     :::::: { j
 "   ワ   ノ  \
  " ー―  ":: ミ  ハ
、  i rへ  「⌒Y / 丿
ハ j i  j  〉¨¨´i /
 |/ /¨¨' i  l   |"


  _
´     ` ヽ
     ヾ   ;,
  ハ    ハ , ,:
. /彡 、   ..|ミ、   i
/   vへ |  ヽィ ノ
'  ==     ミ i ノ 以上、純ちゃんのキャラソン宣伝でした。
ヽ::::::     :::::: { j
 "   ワ   ノ  \
  " ー―  ":: ミ  ハ
、  i rへ  「⌒Y / 丿
ハ j i  j  〉¨¨´i /
 |/ /¨¨' i  l   |"


#お嬢様のD おわり
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/23(日) 19:02:06.70 ID:1mvTn7x3o
最近まとめサイトとか見るようになってから自分でも書いたのを忘れてたSSを発見してちょっとテンションあがりました。
マイペースですが頑張ります。
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 19:12:40.37 ID:c7/TDpxPo
>>284
ほぉ興味深い
題名を教えてもらえないかな?
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 19:40:04.19 ID:f2JrzKFAO
乙!!
待ってました!!!!
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:14:11.68 ID:XjAfvI1AO
乙でした!!
次も期待しております!!
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/24(月) 00:47:16.68 ID:gswqexrvo
>>285
律「リング!」
唯「りゅうき!」
梓「純を殺そう」
梓「純ですか?ただの友達ですよ」

こんなんです
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 00:53:35.74 ID:8SdxMVARo
龍騎の人だったのか!
あれ面白かったです。
これを機に他のも読んでみようかな
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 10:01:09.60 ID:1kp41AEAO
ひますぎとかもこの人の作品だよ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 22:19:04.46 ID:sx/2F7rwo
.              , - 、, - 、
            , - 、i'・e・ ヽ,,・ァ, - 、
           4 ・   ゝ - 、i'e・ ヽ、・ァ     , ‐、
        、_  ゝ   i e・  ヽ、 ,,.-''´|、ィ___,' ・e・,
.     , - 、i┘: > : "''-,,_i   ,,.-''>/: , - 、: :~゙'':ヾ
.    4 ・ .`/ゝ- 、: : : : : : : : : : : : : :Y: i'・e・ ヽ : : : :ゝ
.     7/:/: :i e・ 冫: :: : : : : : : : : : :{: : ~~: : : : :, - '、
    く/:/: : : :~ ´: : : : : : : : : : : : : :∨: : : : : : :ヽ、・ァ
    /:/: : : : : : : : :∨ : \: : |: : |: : : :∧ : : : : : : : : 〉
   '´|: |: : : |: : : : :|: :∨: : : \l: : |: : :/: :.W: : |: : :r'´
    ∨: : : |!: : : : ト、 ∨: : : :|: |: :/: : : |: |!: ル'´
     |: : :|: レ: : : :|'ー、:ト、 : : |: :.|: :_: :/:/`´
     !イ: :|: | |!∨: !  _,ヾ ∨: |: :ハ/ィ ∨/ 
    / ∨:| .|<rミトゝ ´ィぅマミ、j: :! レ 丿
      ヽト.ヘ くj    ヽノ  |ノ _/         乙
       ``¨'.  ,   ''''''    八__   
          ヽ          ´  ヽ/ \__ 
            ` ァ; 、__   '´   /     ノ \
           .イ/|   ト、  /     /  -┴ 、
         .イV∧’.  | /    / /    i
         l .仆、 ’.  l ′  /  イ       |
   ブクブク r┴-仏_\ \∨ _ -'´ ィ´//     !
        |フア7ァァr' i トニ ィア´ l/ /     |
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 02:38:19.87 ID:H0zo1/cAO
>>1
ツイッターやってる?
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 00:12:42.40 ID:17dAf7fAO
てのひらサイズとかもだよね?
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:15:52.11 ID:3ytXMo5Ro
##6

――2年1組

憂「今日も雨だね…」

純「イヤになっちゃうよね。朝大変だし」

憂「洗濯物も乾きにくくなるし」

純「そこら辺を心配するとは……さすが憂」

梓「おはよ」

憂「あっ、おはよう梓ちゃん」

純「おはよー。どうしたの? 濡れちゃってるじゃん」

梓「うん…来る途中に車にひっかけられちゃって」

憂「風引いちゃうといけないし、タオル貸してあげる」

梓「ありがとう、憂」

純「梓も朝からご苦労なことで」

梓「ほんと、早くやんでほしい…」

295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:16:39.36 ID:3ytXMo5Ro
純「あーあ、こういう日はなにもやる気が起きないなぁ」

梓「ふぅ…」ゴシゴシ

純「一時間目なんだっけ?」

憂「体育だよ」

純「うわ…めんどくさい」

憂「雨だから体育館だね」

純「体育館行くのもめんどくさいなぁ…」

梓「憂、タオルありがとう」

憂「どういたしまして」

純「はぁ〜…動きたくない」

梓「こうもどんよりしてると…なんかイヤだよね」

純「今日休みだったらよかったのに…」
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:17:21.59 ID:3ytXMo5Ro
――体育館

カッ コーン
     パコーン パカッ


梓「卓球かぁ…」

純「……」ボケー

梓「どうしたの?」

純「なんか疲れた……」

梓「早っ…まだ授業始まったばかりなのに」

憂「二人とも、あっちの台空いてるからやろうよ」

梓「うん。いこっ、純」

純「は〜い……私、審判でいいよ」

梓「いい加減、元気出しなよ」

純「なんかどうもね……今日は調子悪い」

憂「保健委員の人呼んでこよっか?」

純「あっ、ううん。そこまでじゃないから。大丈夫大丈夫、ごめん」
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:18:15.39 ID:3ytXMo5Ro
 カッ 
    パコッ

純「……」

憂「えいっ!」

パコーン!

梓「にゃっ!?」

憂「やったー!」

梓「はぁ…憂強いなぁ」

純「……」

梓「純、何対何?」

純「……」ボケー

梓「純ってば!」

純「え? あぁ…ごめん、なに?」

梓「私たちの点数聞いてるのっ」

純「あっ、えっと……何点だっけ?」

憂「10対2だよ」

純「あっ、そうそう」

梓「もう…純が覚えてなくてどうするの」

純「あはは……ごめんごめん」
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:18:42.80 ID:3ytXMo5Ro
放課後

純「じゃあ私、ジャズ研行ってくるね」

憂「うん、ばいばい純ちゃん」

梓「…今日の純、めずらしく元気ないね」

憂「そうだね…」

梓「風邪とかじゃないとは思うけど……あっ、私も軽音部行かなきゃ」

憂「うん、行ってらっしゃい梓ちゃん」

梓「じゃあまた明日ね」

憂「ばいばーい」

憂「……はぁ、帰ったらどうしようかな」

憂「……」

憂「雨かぁ」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:19:20.39 ID:3ytXMo5Ro
――ジャズ研 部室

先輩B「っくしゅん」

先輩C「風邪か?」

先輩B「う゛ん……そうかも」ズズッ

先輩C「まったく、だらしない生活してるからそうなるんだぞ」

先輩B「だらしなくないよ〜。…体弱いんだし仕方ないじゃん」

純「……」ボケー

先輩B「純も元気ないね」

純「へっ? あっ……はい」

先輩B「めずらしいね〜、純が元気ないなんて。そりゃ雨も降るはずだ」

純「元気ないわけじゃないんですけど…」

先輩B「あ〜……寝たいね〜」

純「ですねー……」

先輩A「風邪なら今日は帰って休んだほうがいいんじゃない?」

先輩B「う〜ん……そうしよっかな。誰かに移すといけないし」

純「はぁ……」ボケー

先輩C「なんだこの空気は…なんで今日はこんなどんよりしてるんだ……」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:20:06.41 ID:3ytXMo5Ro
先輩B「んじゃぁ〜〜…あとは副部長よろしく」ズズッ

先輩C「明日には治しておくんだぞ」

先輩B「あ〜い」

先輩C「はぁ…まったく」

純「……」

先輩A「純ちゃんも風邪?」

純「あっ…私は大丈夫です」

先輩C「だったらシャキっとしろ」

純「す、すいません…」

先輩C「全員集まったか?」

「まだです」

先輩C「もうすぐ練習時間だっていうのに…」イライラ

先輩A「みんな色々あるんだし、いいじゃない。まったりやりましょうよ」

先輩C「そんな余裕はないだろ……コンテストまであっという間なんだぞ?」

先輩C「とにかく私が仕切る以上、今日はいつもより厳しくやるかな」

先輩A「こわーい」

先輩B「ジャズ研絶対王政時代の到来だよ〜」

先輩C「お前は早く帰れ!!」
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:20:40.57 ID:3ytXMo5Ro
後輩C「おはようございます」

純「あ、うん。おはよ」

後輩C「今日もじめじめしてますね…」

純「そうだねー…イヤになっちゃう」

純「早く夏にならないかなぁ」

後輩C「あのっ……純先輩」

純「ん〜?」

後輩C「昨日練習したフレーズがまだできなくて……その、教えてもらえませんか…?」

純「うん……あとでね」

後輩C「あ…はい……」

純「……」ボケー

後輩C「……」

後輩C(センパイ大丈夫かな…調子悪そうだけど……)
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:21:53.81 ID:3ytXMo5Ro
・・・・・

ザアアアアア――――

先輩C「…こうも湿度が高いと、楽器の状態も心配になるな」

先輩A「雨、いつになったらやむんだろう…」

先輩C「今週末までずっとらしい……ん?」

純「……」ボケー

先輩C「……」

純「……」ボケー

先輩C「鈴木、なにをしてるんだ」

純「え? あ、はい……休憩です」

先輩C「そうじゃなくて…何でさっきから床をじっと見つめてるんだ」

純「マスを数えてて……」

先輩C「…お前、本当に風邪とかじゃないんだろうな?」

純「だ、大丈夫ですよ」

先輩A「でも見るからに元気ないし…」

先輩C「ほら、ちょっとおでこかしてみろ」

純「……」

先輩C「…熱はないみたいだな」

純「だから風邪じゃないですって」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:22:36.67 ID:3ytXMo5Ro
先輩C「なら一体何が原因だ…?」

先輩A「…………お腹痛いの?」

純「いや、大丈夫ですけど…」

純「ていうか……今日の私ってそんなに変ですか?」

先輩A「うん」

先輩C「変だな」

純「そうですかぁー? ……確かにちょっとダルかもしれないけど」

後輩C「純先輩……よかったらこれどうぞ」

純「え?」

後輩C「純先輩が好きだって言ってたお菓子です…」

先輩C「今は部活中だぞ。そんなものは後にしろ」

後輩C「あっ…ご、ごめんなさい!」

先輩A「いいじゃない、一つぐらい。休憩時間なんだし」

先輩C「むぅ……」

純「じゃあ……一つもらうね」パクッ

先輩A「私もいい?」

後輩C「は、はい。どうぞ」
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:23:15.05 ID:3ytXMo5Ro
純「うん…おいしい」

先輩C「……」ジーッ

先輩A「食べないの?」

先輩C「わ、私は別に…」

先輩A「食べたかったらそう言えばいいのに」

先輩C「うっ……」

後輩C「…あ、あの、どうぞ」

先輩C「……じゃあ一つ」

純「……」ポリポリ

先輩A「……」ポリポリ

先輩C「……」ポリポリ

後輩C「……」

先輩C「…これどこに売ってたんだ?」

後輩C「えっ……駅前のコンビニですけど」

先輩C「そうか、なるほど」

先輩A(はまったんだ)
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:23:49.72 ID:3ytXMo5Ro
純「はぁ〜……」ボケー

先輩A「疲れてるの?」

純「いえ…」

先輩C「やる気がないなら帰れ。そのままいても迷惑だ」

純「うっ……」

先輩A「そこまで言わなくても……あっ、分かった!」

先輩C「何が」

先輩A「ふふーん…純ちゃん、ズバリあなたは今……恋をしてるのね!」

純「…………え?」

先輩C「恋?」

先輩A「そう! これはきっと恋煩いの症状よ!」

先輩A「そうでしょ純ちゃん? 恋してるんでしょ?」ズイッ

先輩C「してるのか?」

純「いやいやいや、してませんって! 何でそうなるんですか!?」

先輩A「だってずっとボケーッとしてるし、それしかないじゃない」

先輩C「そうなのか?」

先輩A「そういうものなの、恋っていうのは」

先輩C「よく分からないな…」

純「あの……私の話聞いてます?」

306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:24:22.70 ID:3ytXMo5Ro
先輩A「恋したことないの?」

先輩C「そういうものは……ずっと女学校だったし…」

先輩A「へー以外」

先輩C「…って、私のことはどうでもいいだろ! 問題は鈴木だ」

先輩A「あっ、そうだった。相手はどういう人?」

純「もー! だから違いますってー!!」

先輩A「えー、でもこの様子は間違いなく…」

純「なんか…今日のセンパイはノリノリですね…」

先輩A「そう? でもこういう話は盛り上がるよねー」

先輩C「どうでもいいから…とりあえず鈴木はもう少し部活に集中しろ。そんな状態で練習しても身にならないぞ」

純「ご、ごめんなさい…。気をつけます」

先輩C「ん…それでいい。いつまでもそんな調子だったら外周させてるところだ」

純「あはは…勘弁してください。雨なのに」

先輩C「ならしっかりやるんだぞ。もう二年生なんだからな」

純「はい…」

後輩C「……」

307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:24:57.73 ID:3ytXMo5Ro
部活終了

先輩C「よし、今日はここまで。帰ったらちゃんと楽器の手入れをしておくんだぞ」

先輩A「お疲れ様」

純「ふぅ……」

同級生「純、帰ろっ」

「待って、あなたは私と残って居残り特訓よ」

同級生「えぇ!?」

「いいでしょ?」

先輩C「あまり遅くならないようにな。先生には私から言っておく」

「ありがとう。じゃあ早速はじめようね」

同級生「そんな〜!!」

純「ご愁傷様……私たちは行こっか」

後輩C「はいっ」

308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:25:31.04 ID:3ytXMo5Ro
――帰り道

ザアアアアアアアアア

純「うわー…さっきよりもすごい降ってる」

後輩C「あっ…純先輩、肩濡れちゃってます」

純「え? …ほんとだ」

後輩C「タオル使いますか?」

純「ありがとう…ごめんね」

後輩C「いえ、そんな……あ、あのっ」

純「なに?」

後輩C「私がふいてもいいですか?」

純「え…? そこまでしなくても」

後輩C「でも…手がふさがってますし」

純「大丈夫だって、一人でなんとかできるから」

後輩C「あ…はい」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:26:05.79 ID:3ytXMo5Ro
純「……」ゴシゴシ

後輩C「……」

純「そういえば今日はできたね、あのフレーズ」

後輩C「はい。純先輩のおかげで…」

純「私じゃないって。練習した自分のおかげだよ」

後輩C「あ、ありがとうございます」

純「これ、タオルありがとうね」

後輩C「あ、はい」

純「もっとこっち来なよ。車に水溜り引っかけられちゃうかもしれないし」

後輩C「いいんですか…?」

純「うん。そうだ、相合傘でもする?」

後輩C「いいんですか!?」

純「なんて、それじゃあ二人とも濡れちゃうよね」

後輩C「あ…そ、そうですね……」

純「早くやまないかなー、雨。もううんざりー!」

純「……はぁ」

後輩C「……」

後輩C「雨……」

純「あーぁ、最悪……」

後輩C「……」

後輩C「……純先輩」

純「んー?」

後輩C「私、今日てるてる坊主を作ってみます!」

純「……どうしたの急に」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:26:48.83 ID:3ytXMo5Ro
後輩C「あ…いえ。それで晴れたら純先輩も元気になるかなって…」

純「……」

後輩C「す、すいません……変なこと言って」

後輩C「でも、てるてる坊主を作れば雨もやむって言われてるし……そうすれば…」

純「……ぷっ」

後輩C「じゅ、純先輩…?」

純「ごめん……あまりにも唐突だったから面白くて」クスクス

後輩C「そ、そうですか…?」

純「あははっ、そっかー…てるてる坊主って手があったんだ。100個ぐらい作ればやむかもね」

後輩C「はいっ、がんばります!」

純「え? 本当に作るの?」

後輩C「え?」

純「だって…100個だよ?」

後輩C「純先輩のためなら!」

純「いや、そこまでしなくても…」

後輩C「で、でも……」

純「……じゃあ、50個ずつで分けよっか。私も今日50個作るから、そっちでもう50個お願いね」

純「100個も作らせるのは悪いし」

後輩C「は、はいっ! 分かりました!」

純「てるてる坊主かー…作るのなんて小さいころ以来かも」

純(それにしても、50個も作れるかなー…)

311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:27:20.21 ID:3ytXMo5Ro
後輩C「私は小さい頃によくおばあちゃんと一緒に作ってて…得意なんです、てるてる坊主作り」

純「へー」

後輩C「人に誇れることの一つです」

純(そりゃまた微妙な……)

後輩C「だから…絶対に作りますね、50個」

純「うん、私もがんばってみる」

後輩C「えへへ…」

純「あっ、じゃあ私こっちだから」

後輩C「あ…はい。お疲れ様でした」

純「うん、ばいばい。作るのはいいけど、あんまり無茶しないでね。風邪引いちゃうといけないし」

後輩C「はいっ、分かりました」

純「じゃあねー」

後輩C「お疲れ様です」

後輩C「……」

後輩C(やった…純先輩に面白いって言われちゃった)

後輩C「今日は頑張らなきゃ…てるてる坊主」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:27:47.36 ID:3ytXMo5Ro
――純の部屋

prrr, prrr

憂『はい、もしもし』

純「あっ、憂」

憂『純ちゃん? どうしたの?』

純「うん? なんとなく…今大丈夫?」

憂『うん、大丈夫だよ』

純「ごめんね、急に電話なんてしちゃって。なんか憂の声が聞きたくて」

憂『ふふっ、なにそれ』

純「まぁいいじゃん。憂は今なにしてるの?」

憂『お風呂から上がったところ。純ちゃんは?』

純「てるてる坊主作り」

憂『え?』

純「明日晴れるために、てるてる坊主作ってるの」

憂『へー…私も作ってみようかなぁ』

純「ちなみに50個」

憂『えぇっ!? ……なんでそんなに?』

純「約束したからね、後輩と」

憂『?』
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:28:52.61 ID:3ytXMo5Ro
純「それよりもさ、今日の私ってやっぱ元気なかった?」

憂『え? ……うん』

純「そっか……まぁそうだよね」

憂『体調は大丈夫?』

純「平気平気、風邪とかじゃないから。でもみんなには迷惑かけちゃったみたい」

憂『迷惑?』

純「部活のとき集中できなくて…センパイには怒られちゃったし、後輩には心配されちゃうしで…」

純「なんか今日はみんなに申し訳ないなーって思っちゃった」

憂『そっかぁ…』

純「私も、もう二年生だからしっかりしないといけないのは分かってるんだけどね……でもまだ実感がないって言うか」

憂『うん…』

純「去年と何も変わってない気がするんだよね。成長…っていうのかな、なんかそんな感じのことしてないなぁって」

憂『成長かぁ…』

純「このままでいいのかなぁ、私」

純「……このままダラーっとして、あっという間に卒業して、大学入って、就職して結婚して…普通に生きていくのかなぁ」

純「私としてはね、もっと活躍したいっていうか…こう、スター? そう、スターみたいになりたいんだよね!」

憂『スター?』

純「そうそう! 澪先輩みたいな感じでみんなにキャーキャー言われちゃって、スーパーベーシストとして芸能界に鮮烈デビュー!」

純「それでオリコン1位取ったり紅白出ちゃったりしてさ、大金持ちになって豪邸に住むの!」
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:29:37.92 ID:3ytXMo5Ro
憂『楽しそうだねぇ〜』

純「あっ、でもバンドとしてデビューした方が注目されるかも…」

純「よしっ、憂と私と梓でバンド組んじゃおう!」

憂『えぇっ!?』

純「ほら、前も雨の日にセッションしたじゃん。あんな感じでさ」

純「私たち三人で練習すれば絶対いいところまでいけると思うんだよね」

憂『そうかなぁ』

純「そうだって! そして将来は海外でライブしたりして!」

憂『ふふっ』

純「さらにミュージシャンだけじゃなくてハリウッドデビューとか!」

憂『じゃあ演技の勉強しないとねっ』

純「あはははっ。……本当にそうなったらいいんだけどね」

憂『頑張ればなれるかもしれないよ?』

純「どうだろう……英語だって話せないし。それに私なんかじゃ無理だなってことも分かってるし」

純「まぁ……だから先輩たちに憧れたりしてるのかな」

憂『……』

純「私も先輩たちみたいになりたいなー…」

憂『純ちゃんならなれるよ!』

純「……本当にそう思ってる?」

憂『うんっ!』

純「本当に?」

憂『本当にっ!』

純「……あははっ、憂が言うならそうかもね。よしっ、がんばるぞー!」

憂『ふふっ』
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:30:23.83 ID:3ytXMo5Ro
・・・・・

純「今日はなんかごめんね、変な話につき合わせちゃって」

憂『ううん、そんなこと全然…楽しかったよ。それに純ちゃんが愚痴とか言うの珍しかったし』

純「あー…今日だけで珍しいとか変とか何回言われたんだろう」

憂『でも、そういう日もあるよ……あってもいいんじゃないかな』

憂『なかったら疲れちゃうし』

純「…………そうかも」

憂『うんっ』

純「…今日はありがとうね、憂と話してたら気が楽になった」

憂『私も、純ちゃんと話せて良かった』

純「うん…また明日」

憂『おやすみ、純ちゃん』

ピッ

純「ふぅ……」

純「……」

純「……とりあえず、てるてる坊主がんばろうかな」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:30:51.28 ID:3ytXMo5Ro
――憂の部屋

こんこんっ

憂「はーい」

ガチャッ

唯「憂ー、借りてた漫画返しに来たよ」

憂「ありがとう、お姉ちゃん」

唯「あれ? なにしてるの?」

憂「てるてる坊主作ってるの、明日晴れればなぁって」

唯「なるほど! 私もやります!」

憂「ふふっ、じゃあ一緒にやろっか」

唯「よーし、いっぱい作っちゃおう!」フンス

憂「雨なんかには負けないぞー! おー!」

唯「おぉ!? なんか今日の憂はノリノリだね〜」

憂「えへへ」

唯「よーし、私も…負けないぞー! おー!」
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:31:36.61 ID:3ytXMo5Ro
翌日
――2年1組

純「晴れた! 晴れたよ梓!」

梓「そんなこと言わなくても分かってるって」

純「やっぱりてるてる坊主って効果あるんだね」

梓「てるてる坊主?」

純「実は、昨日密かに作ってたの」

憂「私も、お姉ちゃんといっぱい作ったんだよ」

梓「へぇ……」

純「こうしてお日様を拝めるのも、てるてる坊主のおかげだね」

梓「……普通に梅雨晴れしただけなんじゃ」

純「もう! 梓にはロマンってものがないの!?」

憂「そうだよ梓ちゃん!」

梓「えぇっ、憂まで!?」

憂「えへへー」

純「私たちが頑張ったおかげだもんね」

憂「うんっ!」

梓「……?」
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:32:30.14 ID:3ytXMo5Ro
放課後
――ジャズ研

後輩C「純先輩! 私、昨日なんとか作れました」

純「私も。作ったやつ携帯で撮ったんだよ、ほら」

後輩C「わぁ…!」

純「今日晴れたのは、私たちのおかげだね」

後輩C「は、はいっ!」

純「だけど、一つ問題が……」

後輩C「なんですか?」

純「作ったてるてる坊主、どうしよう……」

純「置く場所ないし、捨てるとなんか呪われそうだし…」

後輩C「あっ、そうですね…」

先輩C「ん? どうしたんだ?」

319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:34:44.70 ID:3ytXMo5Ro
純「あっ、センパイ。実は昨日作ったてるてる坊主の処分に困ってて…」

先輩C「てるてる坊主か。私も昨日妹と作ったけど……普通に燃えるゴミに捨てたぞ」

先輩B「捨てたら呪われるよ〜」

先輩C「そうなのかっ!?」

純「あっ、おはようございます。風邪はもう大丈夫なんですか?」

先輩B「うん、バッチリ〜」

先輩C「ど、どういうことだ!? てるてる坊主って捨てたら呪われるのか!?」

先輩B「だって元をたどれば雛人形と同じだし……ちゃんと供養しないと、てるてる坊主に恨まれちゃうよ〜?」

純「そんな大げさな……」

先輩C「大変だ…なんてことだ。そうとも知らず私は……はっ!」

先輩C「妹が! 妹が危ない!!」

純「え?」

先輩C「帰って供養しないと!!」

純「あの…部活は?」

先輩C「すぐ戻る!!」ダダダッ

純「……」

先輩B「かわいそうに……ほんとに信じちゃってる」

純「電話して引き戻したほうがいいですよ」

先輩B「そうだね〜」


##6 おわり
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:35:55.56 ID:3ytXMo5Ro
ここまで
後輩のアルファベット表記って読みづらいですか?
読みづらかったら次からは小文字にしてみようかと思ってます。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 05:37:16.55 ID:iAZ8DF/Uo
乙!
別に気にならないけど
先輩は大文字、後輩は小文字でも良いかもしれないね
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 05:43:28.64 ID:3ytXMo5Ro
>>292
やってないです。なぜにツイッター?
>>293
懐かしい、書きました。
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 08:19:52.14 ID:5JgZA52AO
>>1はカルアや雑談スレで晒したり、雑談する事はないのかな?
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 19:08:44.86 ID:TFryH6VAO
けいおんSS書いてる人はツイッターやってる人多いから>>1もやっているかと
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/02(水) 21:36:44.32 ID:3ytXMo5Ro
>>323
雑談スレは正月に少し行きましたけど普段は見てないです。
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:49:42.62 ID:UjtvWlbAo
##7

調理実習
――家庭科室

純「やっぱり玉子焼きは甘いやつにかぎるよね。というわけで砂糖たっぷりと…」

梓「それ入れすぎじゃない?」

純「平気平気、死ぬわけじゃないし」

梓「そういう問題じゃ……味おかしくなるよ、それ」

純「大丈夫だって、こっちには憂もいるんだし」

純「ねー、憂。大丈夫だよね?」

憂「えっ? うん……入れすぎじゃないかな」

梓「ほら」

純「えぇっ……じゃあ少し減らして」

憂「……」

梓「憂、そっちのスープできた?」

憂「う、うん」

梓「憂ができたって言うならバッチリだね」

憂「あはは…」
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:50:17.98 ID:UjtvWlbAo
純「うーん……なんかトッピングしたいなぁ」

梓「なにを?」

純「チョコとか?」

梓「本気で言ってる?」

純「冗談です。でも玉子焼きってだけじゃなにか寂しいなー…」

純「ねぇ憂。憂も何か入れたほうがいいと思う?」

憂「えっ……そのままでもいいんじゃないかな」

純「そう?」

梓「憂もそう言ってるんだから、早く焼いちゃいなよ」

純「はーい」

ジュージュー

純「難しい……梓、ちょっと箸持って。私フライパンやるから」

梓「なにそれっ、どうやるの!?」

純「だからここをこう…」

憂「……」
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:50:48.75 ID:UjtvWlbAo
純「できたっ、ちょっと焦げたけど」

梓「純が変なことするから」

純「梓だってしっかりサポートしてよ」

梓「…私のせい?」

純「ねぇ憂、どう?」

憂「いいんじゃないかな」

純「よしっ、じゃあ完成したし先生に見せに行こっか」

梓「うんっ」

憂「……」ゴクリ

純「憂? どうしたの?」

梓「早く行こうよ」

憂「あっ、うん。今行くね」



329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:51:18.53 ID:UjtvWlbAo
・・・・・

純「今日は実習で作った料理食べれるから、購買行かなくて楽だよね」

梓「いただきます」パクッ

純「いただきます」パクッ

憂「……」

純「うんっ! ……うん」

梓「感想なし?」

純「いや、だって……」

梓「まぁ…微妙だよね」

純「やっぱ砂糖多目のほうがよかったんじゃない?」モグモグ

梓「うーん……ていうか純」

純「ん?」モグモグ

梓「微妙とか言いながら……食べすぎじゃない?」

純「あはは…憂は食べないの?」

憂「あ、うん。私は……」

梓「憂のスープはどうかな」ズズッ

梓「っ!?」
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:51:49.22 ID:UjtvWlbAo
純「どうしたの?」

梓「うっ……」

純「?」ズズッ

純「…っ!?」

憂「え? どうしたの二人とも」

梓「いや、その……」

純「ねぇ、これ…憂が作ったにしては味がちょっと変じゃない?」ヒソヒソ

梓「う、うん」ヒソヒソ

純「ちゃんと憂が作ったんだよね、これ」ヒソヒソ

梓「そう言ってたけど」ヒソヒソ

憂「?」
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:52:45.50 ID:UjtvWlbAo
純「…憂、とりあえず飲んでみなよ」

憂「あ…私はいいや」

梓「え?」

憂「その…食欲がないって言うか、あはは。ちょっと購買で飲み物買ってくるね」

梓「いってらっしゃい…」

梓「……」

純「な、なに? 憂どうしたの?」

梓「わかんない…」

純「料理は失敗するし、しかも食欲ないみたいだし…」

梓「うーん…おかしい」

純「憂になにが……はっ、分かった!」

梓「なに?」

純「恋よ、恋!!」

梓「こっ…!?」

純「ジャズ研のセンパイも言ってた、あの症状はきっと恋煩い!」

332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:53:25.00 ID:UjtvWlbAo
梓「いくらなんでもそれは…」

純「他に何があるの?」

梓「……」

純「あれきっとそうに間違いない!」

梓「でも……憂が?」

純「もう、梓のニブチン。梓は恋したことないから分からないの」

梓「…そういう純は恋したことあるの?」

純「私? ないけど」

梓「ダメじゃん」

純「とにかく、憂の様子がおかしいのはきっと何か原因があるはず」

純「私はそれが恋だと思う!」

梓「本当かな…」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:53:56.04 ID:UjtvWlbAo
放課後

憂「じゃあ私、今日は買い物あるから先に帰るね」

梓「うん、バイバイ」

純「……どうする?」

梓「どうするって?」

純「憂の後、追いかけてみる?」

梓「えっ…なんで?」

純「決まってるじゃない、憂の追跡調査!」

梓「それって…」

純「もしかしたら、憂の好きな人も分かるかもね」

梓「や、やめた方がいいんじゃない…?」

純「でも……気になるでしょ?」

梓「……」


334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:54:23.66 ID:UjtvWlbAo
商店街

憂「……」テクテク





純「今のところ、異常なし」

梓「ていうか憂は買い物いくって言ったんだから、それ以外用事なんてないんじゃ…」

純「まだ分かんないよ? あっ、見て」




憂「……」ジーッ




梓「なに見てるの? あれ」

純「ケーキ…だね」




憂「はぁ…」



梓「あっ、ため息ついた」

純「分かった、憂の好きな人はケーキが好きなんだよ」

梓「なんでそうなるの」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:54:54.06 ID:UjtvWlbAo
・・・・・


憂「……」テクテク




純「うーん…今のところ買い物を済ませてるだけだね」

梓「だから言ったじゃん、買い物するだけだって」

純「じゃあなんであんなに様子が変なの? さっきから上の空だし」

梓「普通に調子悪いだけじゃないの?」

純「それならそれで心配だなぁ…」

「あー!」

純「ん?」

「ずー!」

梓「えっ…」

唯「にゃんっ!!」ダキッ

梓「んにゃっ!
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:55:30.84 ID:UjtvWlbAo
唯「こんなところで会えるなんて奇遇だねぇー!」スリスリ

梓「なっ、なんで唯先輩がここに!? ていうか離れてください!!」

唯「あ〜ん、せっかく会えたのにぃ」

純「唯先輩、こんにちは」

唯「あっ、純ちゃんこんにちは。二人ともなにやってるの?」

梓「実は憂の尾行をしてて…」

唯「憂?」

純「なんか今日の憂、様子が変なんですよね」

唯「憂が!?」

梓「唯先輩、なにか知りませんか?」

唯「そういえば…朝ごはんあんまり食べてなかったかも」

唯「あっ! それにね、今日のご飯はなんか美味しくなかった」

純「やっぱり…」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:56:17.40 ID:UjtvWlbAo
梓「じゃあ朝から変だったんだ…」

純「これも恋のしわざかな…」

唯「恋!?」

梓「だから飛躍しすぎだって、それ」

唯「こ、恋って? 恋ってなんの話!?」

純「憂が恋してるから様子が変なんじゃないかなー、って話してたんです」

唯「憂が恋!?」

梓「ゆ、唯先輩、落ち着いてください」

唯「ど、どうしよう、どうしたらいいのかな? 挨拶しに行ったほうがいいのかな?」

梓「誰にですか!?」

純「あっ、憂が行っちゃう」

唯「私も追いかける!」

梓(なんかめんどくさいことに…)
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:57:02.92 ID:UjtvWlbAo
・・・・・

憂「……」テクテク






唯「異常なしっ」

梓「心配しすぎな気が…」

純「でもそろそろ何かあっても…」

梓「もう、二人とも憂に何かあったほうがいいんですか?」

唯「なにかって?」

梓「例えば……本当に彼氏がいるとか」

唯「彼氏!!?」

純「まさか憂が…」

梓「さっきまでそういう話だったじゃないですか!」

唯「でも…でもでも、もし憂にそういう人がいたら……」

唯「私…これから一人で暮らさなきゃいけないのかな?」

梓「え?」

唯「だって、憂は彼氏の人の家に毎日ご飯作りに行くんだよ? そうしたら私はほったらかしにされて…」

唯「あっ、そうだ! あずにゃんが作りに来てくれればいいんだ〜!」

梓「なんでそうなるんですか!?」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:57:52.20 ID:UjtvWlbAo
純「相変わらず仲良いね」

梓「純もやめてよ…」



憂「……」



唯「あっ、憂が止まった!」

梓「唯先輩、静かに」

唯「なんだろう…買い物袋の中見てる」



憂「……」

憂「……〜っ」



梓「何か取り出した…」

唯「あっ、あれ憂が好きなお菓子だ。すごく美味しいんだよ〜」

唯「純ちゃんも食べたことある?」

純「あ、はい。私も好きですよ」
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:58:36.40 ID:UjtvWlbAo
梓「二人ともそんなこと話してないで、憂に注目しててください!」

純「なんか梓もノリノリになってるじゃん…」



憂「……」

憂「……」テクテク



唯「あっ、引き返してきた」

梓「か、隠れて!」ササッ



憂「……」



唯「お店に戻って…」

梓「さっきのお菓子返品した…」
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:59:09.40 ID:UjtvWlbAo
憂「……」テクテク



梓「もう終わり? 帰るのかな」

唯「……」

純「なんだったんだろう…?」

唯「二人とも、ちょっとそこで待ってて」

梓「え?」

唯「すぐ戻るから!」

梓「唯先輩?」

純「結局、予想は外れちゃったのかな」

梓「だから言ったじゃん。そんなわけないって」

純「…じゃあ憂、なんで様子が変なんだろう」

梓「うーん…」

純「うーん…」

唯「おまたせー」

梓「あっ、唯先輩。何か買ったんですか?」

唯「うん、さっきのお菓子」

梓「え?」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 00:59:40.05 ID:UjtvWlbAo
――平沢家

憂「……」

憂「……」

憂「はぁ…」

唯「ただいま〜!」

憂「あっ…お姉ちゃんおかえりなさい」

唯「えへへ〜」

憂「?」

唯「はいこれ、憂の好きなお菓子」

憂「あっ……」

唯「一緒に食べない?」

憂「私は…いいや、お姉ちゃん食べて」

唯「え〜、憂と食べたいよ〜」

憂「でも……」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:00:07.53 ID:UjtvWlbAo
唯「憂…ひょっとして今日なにも食べてない?」

憂「……」

唯「やっぱり、ちゃんと食べなきゃダメだよ!」プンスカ

憂「でも……」

唯「どうしたの?」

憂「……実はね」

唯「うん」

憂「……他の人には内緒だよ?」

唯「はい!」

憂「……体重が」

唯「?」

憂「体重が……増えちゃった」
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:00:39.78 ID:UjtvWlbAo
唯「体重が…?」

憂「うぅ……」

唯「そんな…私は太らない体質なのに」

憂「……」ズーン

唯「あっ!? で、でもっ、体重計が壊れてただけだったり…」

憂「ううん……壊れてなかった」

唯「そうなんだ……」

憂「うん…だからね、食事も控えてたりしてたの。料理する時も味見とかしないで…」

唯「あっ、だから味がいつもと違ってたんだ」

憂「ごめんね…」

唯「ううん、全然いいよ! でも…本当に太ったの? 見た目とか変わってないし」

憂「でもねでもね……増えてたの」

唯「そっか…」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:01:12.25 ID:UjtvWlbAo
唯「けど、ちゃんと食べなきゃダメだよ」

憂「うん…そうだよね。ごめんなさい」

憂「だけど、やっぱりショックで……はぁ」

唯「憂……」

憂「……これからは、カロリー抑え目にしないとなぁ」

唯「よしっ、じゃあ私も憂と同じメニューを食べるよ!」

憂「え?」

唯「だって憂ばかりに辛い思いはさせられないもん!」

憂「お姉ちゃん…!」

唯「大丈夫、すぐやせられるよ! 見た目だってそんな変わってないんだし」

憂「う、うんっ…ありがとうお姉ちゃん!」

唯「えへへ。よかった、元気出たみたいで」

憂「じゃあ今日はカレーにしようかと思ったんだけど、やめておくね」

唯「あ……うん」

346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:01:38.95 ID:UjtvWlbAo
――MAXバーガー

梓「唯先輩からメール来たっ」

純「なんだって?」モグモグ

梓「憂…元気になったって」

純「へぇ…よかった」モグモグ

梓「結局原因は何だったんだろう…」

純「さぁ? でも元気になったんだからいいじゃん」モグモグ

梓「まぁそうだけど…ていうか純、食べすぎじゃない?」

純「だってお腹すいたんだもん」モグモグ

梓「もう…」

347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:02:16.60 ID:UjtvWlbAo

――鈴木家

純「あー、お風呂気持ちよかった」

純「あとでも牛乳でも飲もっかなー……あっ、そうだ」

純「久しぶりに体重でも量ってみよっと」

純「もうすぐ夏だし、チェックしておかないとね」

純「どれどれ……」

純「……」

純「……」

純「……故障かな」

純「……」

純「あ、壊れてなかった」

純「……」

純「……」
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:04:36.02 ID:UjtvWlbAo
翌日
お昼休み
――学校

梓「あっ、今日の憂のお弁当箱ちっちゃくてかわいいね」

憂「えへへ」

純「……」

梓「純? どうしたの?」

純「……」

梓「じゅーん」

純「お腹すいた…」

梓「食べればいいじゃん。ていうか…購買行かないの?」

純「だってぇ…」

梓「?」

純「はぁ……美味しいものなんてなくなればいいのに」グテー

「今日たまたまゴールデンチョコパンが余ってたの」
「えっ、いいなー。うらやましいー」

純「!?」


##7 おわり
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/06(日) 01:05:11.78 ID:UjtvWlbAo
ここまで
できれば今月中には完結させたい
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 03:33:50.79 ID:GueCz2OBo
おつ!
純ちゃんは体重増加しても一日ぐらいで気にならなくなってそう
唯みたいに食べてもあんま太らない的な感じで

完結したら唯純書いて欲しいなあ
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/07(月) 07:53:17.00 ID:mrEqbKNJ0
安心の純ちゃん
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:09:16.35 ID:9EC3M9ZUo
##8

――中野家

ピンポーン

梓「はーい」

ガチャッ

純「おいっす」

梓「純、いらっしゃい」

純「いらっしゃいました」

純「憂は?」

梓「まだ来てない。少し遅れるんだって」

純「ふーん…じゃあ先にお邪魔しまーす」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:09:43.70 ID:9EC3M9ZUo
純「家の人はいないの?」

梓「お父さんとお母さんは出かけてる」

純「じゃあずっと一人だったんだ」

梓「うん、そんなところ」

純「へー…」ニヤニヤ

梓「……なに?」

純「寂しかった? よしよし」ナデナデ

梓「さ、寂しくない!!」

純「強がっちゃって」

梓「…子供じゃないんだからそんなわけないでしょ」

純「さてと、じゃあ憂を待つとしますか」

梓「うん。飲みもの持ってくるね」

純「さんきゅ」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:10:19.97 ID:9EC3M9ZUo
純「……」キョロキョロ

梓「お待たせ」

純「ねぇ、これ何の雑誌?」

梓「え? ジャズの専門誌だけど…」

純「へー、読んでもいい?」

梓「うん」

純「じゃ、お借りします」

梓「その雑誌、今は廃刊になっちゃったけどお父さんが残してて」

純「へー」

梓「有名な演奏者の特集とかあるんだよ。純は誰が好き?」

純「ふーん」

梓「……純、聞いてる?」

純「聞いてる聞いてる」

梓「本当かな……」

純「レッド・ミッチェルってなんかカッコいいよねー」

梓「あ…私もそう思う」
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:10:48.21 ID:9EC3M9ZUo
・・・・・

純「……」

純「ふぅ、一通り読み終えた」

梓「憂…まだ来ないね」

純「そういえば。どうしたのかな?」

梓「メールしてみる」

純「ん〜……」

梓「『憂へ、何かあった?……』」ポチポチ

純「……」

梓「……送信っと」

純「んーっ……暇だー」

梓「ジュースおかわりする?」

純「するー」

梓「じゃあ、持ってくるね」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:11:28.55 ID:9EC3M9ZUo
純「……」ゴロゴロ

純「……ふわぁ」

梓「純?」

純「んー?」

梓「寝てるかと思った」

純「寝てないよー、ちゃんと起きてるって」

梓「でも純ってどこでも寝るし」

純「人を何だと思ってるの…」

梓「なんでも…はい、ジュース」

ヴーヴー

梓「あっ、憂からだ……」

純「……」ゴクゴク

梓「……」

純「なんだって?」

梓「まだ遅れるって。なんか唯先輩と一緒の用事があるだとか」

純「お姉さんの…お世話かな?」

梓「……そうかも」
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:12:08.53 ID:9EC3M9ZUo
梓「まったく、唯先輩ったら…」

純「憂も大変だね……来るまで何してよっか?」

梓「なんでもいいけど…純が決めて」

純「私? うーん……」

梓「……」

純「寝よっかな」

梓「寝るんかい」

純「だってねぇー…………ん? これなに?」

梓「あっ、中学の卒業アルバム…」

純「見たい!」

梓「えぇっ!? 恥ずかしいよ…」

純「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃないし!」

梓「……まぁいいけど」


358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:12:38.91 ID:9EC3M9ZUo
純「ふーん……へー…」

梓「あんまりジロジロ見ないで…」

純「若いね! なんか」

梓「それは…もう二年も前だし」

純「二年かぁ…変わるもんだね。あっ、これかわいい」

梓「うっ…///」

純「ほー…違う中学ってなんか新鮮」

梓「純は憂と同じ中学なんだっけ?」

純「うん」

梓「へー…なんか羨ましいな」ボソッ

純「へ? なに?」

梓「ううん…なんでもない」

359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:13:10.92 ID:9EC3M9ZUo
梓「ねぇ純、暇だし中学のときの話とか聞かせてよ」

純「中学? 中学ねー…憂が来てからね」

梓「えー、なんで?」

純「だって今はそんな気分じゃないし」

梓「なにそれ…」

純「あっ、憂まだ家にいるならアルバムとか持ってこれるかな?」

梓「メールしてみる」

純「これいつの写真?」

梓「それは…修学旅行のとき」

純「ふーん…この周りにいる子達はうちの学校じゃないの?」

梓「あ、うん。他の学校」

純「そっか」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:13:42.31 ID:9EC3M9ZUo
純「そういえば、梓って中学のときは部活入ってた?」

梓「ううん、特には」

純「あれ? 梓のことだから音楽の部活でもやってるかと思った」

梓「うちの中学は吹奏楽部しかなかったから」

純「なるほど。それで高校に入って念願の軽音部に入部したってことね」

梓「念願ってほどでも…」

純「あはは、でも楽しそうにやってていいじゃん」

梓「…うんっ」

純「あっ、これは?」

梓「文化祭の。こっちは体育祭かな」

純「けっこうあるね、写真」

梓「なんか恥ずかしい…」

純「私としては面白いけど」

梓「面白いってなに!?」

純「悪い意味じゃないって」
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:14:10.03 ID:9EC3M9ZUo
純「あはは…へー」クスクス

梓「もう! アルバム見ながら笑わないでよ!」

純「ごめんごめん、悪気はないって」

梓「没収」ムスッ

純「あぁ、もっと見せてよー」

梓「後でね」

純「けちー……ん?」

梓「どうしたの?」

純「梓の部屋ってさ、よく見ると……女の子っぽくないよね」

梓「えっ…」

純「だって音楽グッズばっかじゃん」

梓「へ、変かな?」

純「んー…まぁ梓らしいっちゃ、らしいけど」

純「それにしても、よくこんな色々集めてるね。オーディオやレコードいっぱい」

梓「集めてるっていうか…これぐらい当然じゃない?」

純「当然なんだ…」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:14:36.56 ID:9EC3M9ZUo
梓「あっ、そうだ。純にこれあげよっか?」

純「なになに?」

梓「キーホルダー、懸賞で当たったの。ほら、クマの人形がベース持ってるんだよ」

純「わ…かわいい! もらっていいの?」

梓「うん」

純「では、遠慮なく頂戴します」

梓「こういうのって数だけ増えてどんどん余っちゃうんだよね」

純「梓って懸賞とかよくするの?」

梓「うん、欲しいものがあるから」

純「なに?」

梓「えっと…まって、雑誌に載ってる……」バサバサ

梓「あった、これ」

純「エフェクター…?」

梓「買うとしたら八万ぐらいになるのかな」

純「八万!? そんなのどうするの!?」

梓「え? 使うんだけど」

純「……プロだね、梓」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:16:06.67 ID:9EC3M9ZUo
梓「そんな大げさな」

純「私にはそんなもの買う勇気ないなぁ、使ってはみたいけど」

梓「だから私だって懸賞で当てようとしてるんだって」

純「そうだ、当たったら私にも貸して。エフェクター」

梓「貸してって……別にいいけど」

純「やった!」

ヴーヴー

梓「あっ、憂からだ」

純「なんだって?」

梓「えぇっと…………アルバム探すからもうちょっと遅れそうだって」

純「えー、そうなんだ…」

梓「憂が来るまでなにしてる?」

純「うー…ん。梓が決めて」

梓「私が? って言われても……っていうか、さっきもこんなやり取りがあったような」

純「だから今度は梓が決めてよ」

梓「……じゃあゲームでもやる?」

純「ゲームあるの!? 梓の家に!?」

梓「そんな驚くこと!?」


364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:16:51.58 ID:9EC3M9ZUo
純「だってレコードしかないと思ってたから」

梓「そんなわけないって…」

純「まぁいいや、とにかくやろうよ。なんのゲーム?」

梓「えっと、RPGや育成ゲームとか」

純「それ全部一人用のゲームじゃん」

梓「あ……」

純「対戦ゲームとかないの?」

梓「……ないかも」

純「なんだ、それじゃあゲームもなしだね」

梓「ごめん…」

純「え? 別に謝らなくてもいいけど……そうだ、トラプンある?」

梓「あ、うん。それならある」

純「じゃあポーカーでもやろっか」

梓「えっ、ポーカーのルールしらない」

純「えっ」
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:17:25.99 ID:9EC3M9ZUo
純「梓ってさぁ……」

梓「うん」

純「音楽以外の趣味あるの?」

梓「音楽以外? うーん……」

梓「音楽以外の趣味って必要なの?」

純「うわっ、なにそのアーティストっぽい発言!!」

梓「だ、だって…特に思い当たらないし」

純「ふーん…まぁ梓は音楽だけあればいいんだろうけど」

純「でも他になにかあってもいいんじゃない? ほら、見解が広がりそうじゃん」

梓「じゃあ…例えばどんなのがいい?」

純「え? えーっと……」

純「スポーツとかは?」

梓「スポーツ?」

純「そう。テニスとかよくない?」

梓「テニスかぁ……あっ、じゃあ純も一緒にやろうよ!」

純「私はできないからパス」

梓「えー……」
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:18:15.46 ID:9EC3M9ZUo
梓「なんかもうどうでもよくなっちゃった」

純「なに? もういいの?」

梓「…ていうか、純にはあるの? 趣味」

純「私はね…梓をいじることかな」

梓「えぇっ!?」

純「冗談冗談」

梓「冗談でもやめてよ…唯先輩にだって散々いじられてるのに」

純「でも梓っていじりがいがあるから、唯先輩がいじる気持ちも分かるなぁ」

梓「そんなのうれしくないって」ムスッ

純「そうやってむくれてる顔見るとまたいじめたくなっちゃうんだって」

梓「……純のイジワル」

純「よしよし、ごめんごめん」ナデナデ

梓「なでなでしない!」
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:19:27.74 ID:9EC3M9ZUo
純「あっ、そうだ。私一度だけやってみたいことがあったんだけど」

梓「なに?」

純「唯先輩みたいに、梓のこと抱きしめてみてもいい?」

梓「……え?」

純「いや…なんかやってみたくて」

梓「だ、ダメ! 絶対にやだ!!」

純「えーいいじゃーん。減るもんじゃないんだし」

梓「いきなりなに言ってるの!?」

純「だって興味あるんだもん。抱き心地とか」

梓「もー! 純まで唯先輩みたいなことしないでよ!!」

純「えー…抱きしめちゃダメ?」

梓「ダメだって」

純「ケチ」

梓「抱きつかれるのって、結構疲れるんだからね」

純「でも楽しそうじゃん、唯先輩に抱きつかれる梓」

梓「えぇっ……そんな風に見えるの?」

純「うん、仲いいなぁって感じで」

梓「た、楽しくなんかない!!」
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:19:55.13 ID:9EC3M9ZUo
純「でもさ、寂しくなるね」

梓「え?」

純「だって唯先輩が卒業したら抱きついてくれる人いないんだよ?」

梓「あ…」

純「だから、来年は私が代わりに抱きついてあげよっか?」

梓「なんでそうなるの!?」

純「順番的に」

梓「そんな順番決まってないから!!」

純「あははっ、そっか」

梓「むー……」

梓「……」

梓(まさか今、純に遊ばれてるじゃ…)

梓「…純」

純「なに?」

梓「私をあまりなめないこと!」ビシッ

純「……なにそれ?」

梓「……言ってみただけ」
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:20:21.24 ID:9EC3M9ZUo
梓「で、でも、純は私のことバカにしてるでしょ?」

純「してないよー」

梓「してる!」

純「そんな怒んなくても」

梓「別に怒ってはないけど…」

純「それに梓のことは尊敬してるよ?」

梓「えっ…」

純「だって音楽に対しては真剣だしギター上手いし、ライブではすっごい輝いてたし」

純「カッコよかったなー、ライブの梓。私もあんな風に弾いてみたい」

梓「…っ///」

純「……や、まぁ何ていうか…」

純(なんか……言った私も急に恥ずかしくなってきた…)
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:20:49.78 ID:9EC3M9ZUo
梓「えっと…あ、ありがとう」

純「あ、うん。…大丈夫、梓はやればできる子だから」

梓「そのフォローはなに?」

純「いや…なんでもない。あはは」

純「とにかく、梓は私にとって誇れる友人ってことかな!」

梓「う、うん…」

純(あれ? すべった…?)

梓「…私も」

純「うん?」

梓「私も純のこと…」

ピンポーン

梓「あっ」

純「憂かな?」

梓「たぶん…迎えに行ってくる」

純「うん、いってらっしゃーい」
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:21:43.33 ID:9EC3M9ZUo
ガチャッ

憂「こんにちは、梓ちゃん」

梓「いらっしゃい、憂」

憂「ごめんね、アルバム探すのに手間取って遅れちゃった」

梓「気にしないで、私の方から無理やり頼んじゃったんだし」

憂「でも急にどうしたの? アルバム持ってきてだなんて」

梓「なんか二人の中学時代の写真が見たくて…」

憂「えー、恥ずかしいよ」

梓「でも知りたいな、二人の中学時代。私は別の学校だったし」

憂「別に普通の学校生活だったよ?」

梓「でも興味あるんだもん」

憂「そっか…私も梓ちゃんの中学の写真見たいなぁ」

梓「あがって。中でお茶でも飲みながら見よっ」

憂「あ、うん。おじゃましまーす」
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:22:09.46 ID:9EC3M9ZUo
梓「外暑かった?」

憂「少し。もうそろそろ夏だねえ」

梓「うん……夏はどうしよっかなぁ」

憂「プールとか行きたいね」

梓「あ、いいかも」

憂「じゃあ夏休みに三人で行こっか」

梓「うんっ」

純「あ、いらっしゃーい」

憂「純ちゃーん!」

梓「純、なにして……あっ」

純「へ?」

梓「ちょ、ちょっと! なんで勝手にアルバム見てるの!!」

純「だって見たくなったんだもーん」

梓「勝手に見ないの!」

純「いいじゃん、どうせ三人で見るんだし」

憂「ふふっ」

373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:23:23.68 ID:9EC3M9ZUo
梓「もう、純ったら…」

憂「私も見たーい」

純「いいよ、一緒に見よっ」

梓「あっ…もー」

純「ねぇ、見てこれ」

憂「あっ、梓ちゃんかわいいー」

純「でしょ?」

梓「……」

純「なにしてるの梓? 本人がいないと盛り上がんないんだし、一緒に見ようよ」

梓「うん…」

梓「……」

梓「…あのね、二人とも」

純「なに?」

憂「梓ちゃん?」

梓「……やっぱいい。なんでもない」

純「なによー、気になるー」

梓「なんでもないって……」

梓「それより、後で二人のアルバムもちゃんと見せてねっ!」


##8 おわり
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/08(火) 03:24:49.26 ID:9EC3M9ZUo
ここまで
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 18:12:18.29 ID:cyzIRN4Wo
あーもう たまらんな おつ
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 01:42:55.27 ID:qp2gNW6AO
ちゃんと…言えよ!!
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:29:42.32 ID:z2qznvHio
##9

――ジャズ研 部室

純「夏は暑い、なぜだか分かる?」

後輩c「えっと……」

純「答えはズバリ、夏だから=I」

後輩c「あっ、そっか。なるほど」

先輩C「なに言ってるんだお前たちは」

先輩B「今年はクーラーがあるから良いよね〜」

後輩c「去年はなかったんですか?」

先輩B「そうだよ〜。今年から生徒会でつけてくれるよう決まったの」

先輩C「そんなことはどうでもいい。もう夏休みなんだから、練習に集中するぞ」

純「はぁ…うちは合宿とかしないんですか?」

378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:30:14.19 ID:z2qznvHio
先輩C「合宿?」

純「だって他の部活はやってるじゃないですか。軽音部ですらどこか行ってるって言うし…」

先輩C「他は他だ。うちには関係ない」

純「そうですか…」

先輩B「でも合宿は行きたいね〜。ハワイとか」

先輩A「私はニューヨーク行きたいなー、ジャズの本場だし」

先輩C「合宿の域を超えてるだろ…」

純「行きたいなー、合宿」

後輩c「純先輩はどこに行きたいんですか?」

純「私? 私はねー…ロシアかな」

後輩c「ロシア?」

純「うん、ロシア料理が食べたい。この前テレビでやってたし」

先輩C「はぁ……くだらないこと言ってないで早く練習の準備をしろ」


379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:30:39.39 ID:z2qznvHio
・・・・・

後輩c「うーん……難しいなぁ」

後輩a「あれ? 休憩時間なのに練習?」

後輩c「ひぇっ!? あ、は、はい」

後輩a「そんな驚かなくてもいいのに…」

後輩c「ご、ごめんなさい…」

後輩b「でも偉いねー、休憩中でも練習って」

後輩c「わ、私…少しでも純先輩みたいに弾きたくて…」

後輩a「純先輩?」

後輩c「は、はい。私、純先輩に憧れてて…」

後輩a「へー、純先輩に……珍しいね」

後輩c「え?」

後輩a「だって普通うちの学校のベーシストなら、軽音部の澪先輩に憧れるものじゃない?」

380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:31:10.38 ID:z2qznvHio
後輩c「澪…先輩?」

後輩b「私、ベーシストじゃないけど澪先輩に憧れてる。美人でかっこいいもんねー」

後輩a「私は梓先輩かな。かわいいし、それでいてギター上手いし」

後輩c「梓先輩…」

後輩a「そうそう、軽音部ってなんか凄そうでしょ? だから憧れちゃうんだよね」

後輩c「で、でも…私はジャズ研だし……それに純先輩だって……」

後輩a「あー、確かにうちの部長もギター上手いけど…なんか掴みどころがなくてよく分かんない人なんだよね」

後輩b「純先輩は接しやすいけど…憧れの先輩ってほどでもないかなぁ」

後輩b「たまに変なギャグ言ってすべってるし…」

後輩c「……」

後輩b「あっ…別に悪口言ってるつもりじゃないよ? ただ、そういうのとは違うかなーって思って」

後輩c「でも…純先輩は……」

後輩a「あははっ。けどほんと変わってるよね、純先輩に憧れるなんて」

後輩b「だよねー。まぁそういう所に着目するってのはあなたらしいけど」

後輩c「……」

後輩c(だったら…最初から軽音部に入ればいいのに……)


381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:31:39.11 ID:z2qznvHio
純「へっくしょん!」

同級生「どうしたの? 風邪?」

純「誰かが私の噂してるんじゃない?」

同級生「まっさかー、純の噂なんて誰がするの」

純「ひどっ!?」

同級生「それより聞いてよー。私さ、最近スランプ気味なんだよね」

純「スランプじゃない日なんてあるの?」

同級生「ひどっ!? すごい悩んでるのに……」

純「はいはい、聞いてあげる聞いてあげる」

同級生「あのね、なんかさぁー……最近モチベーション上がらないんだよね」

純「モチベーションねえ…」

同級生「練習しててもなんかつまんないし、舞台には上がれないし…」

同級生「私なんのために部活やってるのかなぁ……」



先輩C「……」
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:32:17.58 ID:z2qznvHio
純「ふーん……」

同級生「なんか疲れちゃった。もっと気楽にやれる部活に入ればよかったかも」

同級生「例えば…軽音部とか。どうかな?」

純「私もそういうの思ったりするけどさ……もうちょっと頑張ってみれば?」

同級生「だってさー…努力しても努力してもレギュラーにはなれないし、なんだかなぁ……」

純「でもさ…」

先輩C「さっきから話を聞いてれば…何なんだお前は」

同級生「え?」

純「あっ、センパ…」

先輩C「努力した? 口に出した努力は努力じゃない。自分が何のために練習してるのか少しは考えろ!」

先輩C「それでもやりたくないなら帰れ!! 邪魔だ!!」

同級生「ご、ごめんなさい!!」


383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:32:57.12 ID:z2qznvHio
先輩C「まったく……部活を何だと思ってるんだ…」

先輩A「ちょ、ちょっと…いくらなんでも怒りすぎじゃない?」

先輩B「そうそう、暑いからってイライラしすぎ。クーラーも効いてるんだしクールにいこうよ〜」

先輩C「そういう問題じゃない!! 部長のお前がしっかりしないから周りがだらけるんだぞ!!」

先輩B「怒られた…部長なのに」

ガチャッ

顧問「みんなー、お疲れ。これアイスの差し入れ持ってきたんだけど…」

先輩C「今は部活中です!!」

顧問「怒られた…先生なのに」

先輩A「まぁまぁ、せっかく先生が持ってきてくれたんだし」

先輩B「そうだよ〜、アイスでも食べて少しはクールダウンしよなよ〜」

先輩C「っ……はぁ」
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:33:24.75 ID:z2qznvHio
純「今日のセンパイ…熱いね。夏だからかな?」

同級生「うわぁ〜ん! 怖かったぁ!!」

純「いいじゃん、どうせ怒られ慣れてるんでしょ?」

同級生「慣れてないから!!」

純「それより、アイスもらいに行こ?」
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:34:00.87 ID:z2qznvHio
後輩c「……」

後輩b「こわいね…センパイ」

後輩a「私、正直あの人苦手かな」

後輩c「で、でも…優しいところもあるし……」

後輩a「そう? いつも怒ってるじゃん」

後輩c「それは……たぶんみんなのために…」

後輩a「けどあんなに怒鳴られちゃったらね…」

純「はい、アイス持ってきたよ」

後輩c「あ…」

後輩a「すいません、ありがとうございます」

純「いいっていいって。はい」

後輩c「あ、ありがとうございます」

純「センパイはああ言ってたけど、ちゃんと部活のこと思って言ってるの」

純「だからそんな怖がらなくても大丈夫」
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:34:27.29 ID:z2qznvHio
後輩b「はあ…」

純「ほら、アイス食べてやる気出そう!」

後輩c「はいっ」

純「じゃ、がんばってねー」

後輩a「……」

後輩c「どうしたんですか?」

後輩a「なんか…純先輩の前だと明るくなるよね」

後輩c「え? 私がですか…?」

後輩b「うん、声もハキハキとしてたし」

後輩c「そうですか…?」

後輩a「私たちともそう接してくれればいいなー」

後輩c「ご、ごめんなさい…」

後輩b「あぁ、いいのいいの。これでも最初のころより結構打ち解けてるんだしね」

後輩a「ねっ」

後輩c「は、はい……」

後輩c「あの、一つ聞きたい事があるんですけどいいですか?」

387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:34:58.30 ID:z2qznvHio
後輩a「なに?」

後輩c「二人はその…なんでジャズ研に入ったんですか?」

後輩a「え?」

後輩b「何でって言われても……うーん」

後輩b「なんとなくかな、入りやすそうだったし」

後輩a「でも実際は練習厳しいよね」

後輩b「うん、ちょっと後悔したかも」

後輩c「……」

後輩a「あっ、そろそろ練習再開しないと」

後輩b「そうだね。私も怒られない程度にがんばろっと」

後輩c「……私は」

後輩a「なに?」

後輩c「いえ……なんでもないです…」

388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:35:26.79 ID:z2qznvHio
部活終了

純「ふぅ…終わったー」

後輩c「お疲れ様です」

純「あっ、お疲れー。一緒に帰ろっか」

後輩c「はいっ!」

同級生「……」

純「あれ、帰らないの?」

同級生「私…もう少し練習してから帰る」

純「えっ」

同級生「なんかさ…もう少し頑張ったほうがいいかなって思って。だから…」

純「そっか、分かった。頑張ってね」

同級生「うんっ…バッチリやってみる」

389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:35:52.98 ID:z2qznvHio
純「それじゃあ、二人で帰ろっか」

後輩c「はいっ」

純「それにしてもお腹すいたね。なんか食べて帰る?」

後輩c「そうですね…」

先輩B「そこのお二人さん。暇なら私のお店に来るかい〜?」

純「え? センパイのお店…?」

先輩B「そ、バイト先の喫茶店。今日は店長もいないし、お客さんも来ないだろうから暇なんだよね〜」

純「じゃあ…そうます!」

純「いいよね?」

後輩c「はい、分かりました」

先輩B「んじゃ、出発〜」
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:36:23.44 ID:z2qznvHio
――喫茶店

純「私、センパイのバイト先初めて来ました」

先輩B「そうだっけ? そういえばそうだったね〜」

先輩B「とりあえず何か飲む?」

純「あ、はい。じゃあメロンソーダで」

後輩c「私は…オレンジジュースを」

先輩B「なんだよ〜、誰もコーヒー頼まないのかよ〜。淹れるの得意なのに〜」

後輩c「あ、じゃあ…」

先輩B「冗談冗談、無理して頼まなくていいヨ」

後輩c「す、すいません」

先輩B「マジメだね〜、そういうの好きだよ」

後輩c「すっ、好きって…えぇっ!?」

純「そのまんまの意味じゃないって」

後輩c「あ…す、すいません!」

先輩B「あはは〜…面白い子だね〜」

391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:36:51.56 ID:z2qznvHio
先輩B「はい、おまちどう」

純「あっ、アイスクリーム」

先輩B「サービスサービス。はい、後輩ちゃんも」

後輩c「ありがとうございます」

先輩B「ついでに今料理作っちゃうから〜、なんか注文しといて」

純「ロシア料理ってありますか?」

先輩B「ロシア行きな」

後輩c「私は…カレーライスで」

先輩B「あ〜い、了解〜」

後輩c「あの…で、できれば甘口でお願いします」

先輩B「ん? いいよ〜。それで純は?」

純「ロシア料理は……」

先輩B「しょうがないな〜、ボルシチなら作ってみるよ」

純「やった!」
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:37:32.11 ID:z2qznvHio
・・・・・

先輩B「はい、できた。私も食べよっと」

純「すご…本場のボルシチみたい。センパイって料理上手なんですね」

先輩B「得意だよ〜、店長より上手いしね。どう? 辛くない?」

後輩c「は、はい。美味しいです」

純「憂とどっちが美味しいんだろう…」

先輩B「うい?」

純「あっ、友達です。その子も料理上手なんですよ」

先輩B「へぇ〜…純って色んな友達いるよね。この前も映研の手伝いしてたし」

純「あれは…頼まれて仕方なく」

純「そ、それより! 今日の副部長かなり怒ってましたけど、あの後どうでしたか?」

先輩B「ん? ん〜〜……どうだろうな〜〜」

先輩B「いつも通りじゃない? 純は気にしないでいいよ」

純「そっか、そうですね」

393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:38:04.67 ID:z2qznvHio
純「でもなんか今日の副部長の言葉はグサッときたなー」

純「あとどれくらい練習頑張ればいいんだろう……」

先輩B「そうだね〜」

純「頑張りすぎてプロになってたりして」

先輩B「プロか〜、いいね〜。なれるんじゃないの?」

純「じゃあ私がプロになったらCD買ってくれますか?」

先輩B「中古でね」

純「えぇー、そこは新品で買ってくださいよ」

後輩c「わ、私は買います! 五枚くらい…」

純「五枚も!? 一人当たり五枚も買ってくれれば…十億ぐらい稼げますよね?」

先輩B「普通の人は五枚も買わないだろ〜。純のCDならレンタルで済ませちゃうんじゃない?」

純「買ってくれますもん!」

先輩B「そうだね〜、買う人もいるかもね〜」

純「可能性ありますよね!?」

先輩B「可能性か〜…まぁそれぐらいなら、世の中どうなるか分からないからあるかもね」


394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:38:30.80 ID:z2qznvHio
純「つまり私のCDは世の中がどうにかならないと売れないってことですか…」

先輩B「ま、何事もやってみれば分かるんじゃない?」

先輩B「とりあえず純はプロとか言う前にレギュラー取らないとな〜」

純「…はーい」

後輩c「……」

先輩B「…そういえば純は覚えてる? 去年の文化祭」

純「え?」

先輩B「文化祭が終わったあとさ、居残り練習したじゃん」

純「…あ、しましたね」

先輩B「あの時、なんで居残り練習したのか覚えてるかい〜?」

純「私は…えっと……」

先輩B「……」

純「……あっ、軽音部の演奏見て」

先輩B「同じ学年の子が舞台に上がってるのが羨ましくて、自分も頑張ろうと思ったんでしょ?」

395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:38:57.95 ID:z2qznvHio
純「そうだ…梓」

後輩c「……」

後輩c(また梓先輩……どういう人なんだろう)

先輩B「ま、初心を思い出したなら引き続き頑張りな〜。困った時はさ、いつでも助けてあげるから」

純「あははっ…はい」

後輩c「……」

純「あ、お手洗い行ってきていいですか?」

先輩B「うん、いいよ〜。いってらっしゃい」

後輩c「……」

先輩B「ジュースおかわりする?」

後輩c「あっ……お願いします」

先輩B「おっけ〜。おかわりは特別サービスでタダにしてあげる」


396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:39:28.66 ID:z2qznvHio
後輩c「……」

先輩B「はい、おかわり」

後輩c「あ、ありがとうございます」

先輩B「いえいえ、どういたしまして」

後輩c「……あの」

先輩B「うん?」

後輩c「部長は……軽音部のことどう思いますか?」

先輩B「え?」

後輩c「いえ…その……」

先輩B「軽音部ねぇ〜……よく分かんないけど、向こうは向こうで楽しくやってるんじゃない?」

後輩c「……」

先輩B「急にどうした〜?」
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:39:55.20 ID:z2qznvHio
後輩c「いえ…なんか変だと思って……」

先輩B「?」

後輩c「だって…ジャズ研なのに……みんな軽音部のこと話題にして…」

後輩c「純先輩まで……」

先輩B「う〜〜ん……そりゃまぁ、同じ音楽部で注目の的だしな〜」

後輩c「で、ですけど……それじゃあジャズ研は…」

先輩B「…好きなんだ、ジャズ研のこと」

後輩c「え?」

先輩B「軽音部に嫉妬するぐらい、大切に想ってるじゃん」

後輩c「……」

先輩B「私の憧れの人もさ、ジャズ研のこと大切に想ってんだよね」

先輩B「軽音部に嫉妬というかそいうの通り越してるぐらい」

後輩c「部長の、憧れている人…?」

398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:40:39.27 ID:z2qznvHio
先輩B「その人はね、もともと音楽の才能があるわけじゃなくて本当に普通の人だったんだけど」

先輩B「努力することに関しては…たぶん、誰よりも凄かった」

先輩B「一人でジャズ研作って、一人で部員をまとめようとして、一人で全部がんばろうとして…」

先輩B「バカなくらい無理してるから、見てるこっちも結構心配してたんだよね〜」

先輩B「それでいて強がりだから余計ほっとけなくて」

先輩B「でもさ、あの人は最後まで頑張り通したんだ。高校三年間…ほんと凄いな〜って思った」

後輩c「……」

先輩B「辛いことがあっても、そんなの乗り越えられるぐらい頑張れるものって…そういうのは意外と見つからないもんだよね」

先輩B「なんでも楽しめればいいんだろうけど…それだけじゃたぶんダメだろうし」

先輩B「だから、そういうことを見つけて成し遂げたあの人は、私にとって憧れなんだよね」

後輩c「……」

先輩B「とと、なんか関係ない話になっちゃったかな〜…」

先輩B「まぁ、周りが軽音部とか何だろうとか言っててもどうでもいいじゃん」

先輩B「ジャズ研のことが好きな自分がいれば、それで十分だよ」

399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:41:13.58 ID:z2qznvHio
後輩c「……」

先輩B「ん〜〜…久しぶりに長々と喋ったから顎が痛いナ〜」

後輩c「私は…」

先輩B「お?」

後輩c「私は…純先輩に憧れてるんです」

後輩c「純先輩は明るくて、友達もいっぱいで、私にはないものをたくさん持ってて…」

後輩c「ジャズ研に入った理由も、純先輩がいたからで……でも、練習してるうちにベースも好きになって」

先輩B「……」

後輩c「ずっと一人ぼっちだったけど、純先輩がいたから…私は変われて、ジャズ研にも居場所ができたようで……」

後輩c「だから…純先輩は私にとって、特別な存在で……私も純先輩みたいになりたくて…」

先輩B「へぇ〜、そうなんだ」

後輩c「これって……変なことですか?」

400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:41:54.68 ID:z2qznvHio
先輩B「なんで?」

後輩c「同級生の子に…純先輩に憧れてるって言ったら変だって言われて……」

先輩B「別に変じゃないよ? まぁ本人が聞いたら驚くだろうけど」

後輩c「変じゃ…ないですか?」

先輩B「うん、変じゃない」

後輩c「グズッ……ヒッグ…」

先輩B「えっ、なんで泣いちゃうの」

後輩c「私゛…ぐやじくで……ヒッグ」

後輩c「純先輩だっていい先輩なのに……誰も気づいでぐれなぐで…」

後輩c「みんな゛…純先輩もジャズ研もどうでも゛よぐで……」

先輩B「…ほらほら、とりあえず鼻かみな〜」

後輩c「グスッ……」

401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:42:26.94 ID:z2qznvHio
先輩B「考えすぎだって、みんなそこまで思ってないから」

先輩B「そうじゃなきゃ今日まで部活やってこれなかったはずだよ?」

後輩c「……」

先輩B「はい、涙ふいて。かわいい顔してるんだから泣いてちゃもったいないよ〜?」

後輩c「すいません……私…」

先輩B「いいって、たまには本音言ってスッキリするのも大切だし」

後輩c「……」

先輩B「落ち着いた?」

後輩c「はい…」

先輩B「純のことが好きならさ、いつも笑うようにしないと」

先輩B「暗い顔や泣いてる顔ばっかだと、嫌われちゃうぞ〜?」

後輩c「は、はいっ」

先輩B「じゃあ笑顔の練習。はいどうぞ、笑って」

後輩c「え、えっと……」

純「戻りましたー…って何してるんですか?」

402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:42:54.34 ID:z2qznvHio
先輩B「長かったね、食べ過ぎた?」

純「いや、そうじゃないですけど…」

後輩c「あ…おかえりなさい、純先輩」」

純「どうしたの? 目真っ赤じゃん」

後輩c「いえ……」

先輩B「ちょと練習のしすぎでね〜」

純「練習?」

先輩B「笑顔の練習。純もやるかい〜?」ギュ〜ッ

純「いたたっ!? そんな無理やり顔の形変えても!!」

先輩B「あはは、変な顔〜!」

純「もー…ひどいじゃないですか」

後輩c「純先輩…」

純「なに?」

後輩c「…いえ、なんでもないです」クスッ

純「?」
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:43:20.41 ID:z2qznvHio
・・・・・

先輩B「でさぁ〜、商店街の人たちに頼まれてジャズ研で演奏して欲しいんだって〜」

純「私も出れますか!?」

先輩B「う〜ん…チャンスがあればね〜」

純「よしっ! 華麗な商店街デビューできるようがんばります!」

先輩B「商店街デビューって…なんか間抜けなデビューだな〜」

純「そうですか?」

ガチャッ

先輩B「あ、いらっしゃ――」

先輩「あら、よかった。いたのね」
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:43:49.66 ID:z2qznvHio
先輩B「あっ」

純「せ、先輩!?」

先輩「純も、久しぶり」

後輩c「え……えっと」

先輩B「来るなら連絡ぐらいくれればいいのに〜」

先輩「ごめんごめん」

先輩B「言っておきますけど、先輩の好きなドクターペッパーは品切れですからね〜」

先輩「えっ…じゃあ適当にコーヒー淹れてちょうだい」

先輩B「はいはい、先輩用に変な味のやつ作っておきます」

純「先輩…なんかすごくキレイになりましたね」

先輩「そ、そう?」

先輩B「バッグは高いの持ってるくせに靴は安いやつはいてますね」

先輩「く、靴は今度買うの!!」

405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:44:52.57 ID:z2qznvHio
純「大学はどんな感じですか?」

先輩「うん…まぁまぁかな。新しくバンドも始めたし」

純「へぇ、すごいですね!」

後輩c「……」

先輩「えっと…」

純「あ、この子は今年から入った一年生で」

先輩「そうなんだ、なるほどね」

後輩c「は、初めまして。先輩のことは純先輩から聞いています」

後輩c「すごくカッコいい先輩だって…」

先輩「あ…あはは、そうかしら?」

先輩B「見てくれがカッコいいだけだよ〜」

先輩「むっ」

先輩B「はい、特製コーヒー先輩帰省記念バージョン」

純(くさっ!?)

先輩「あら、良い匂い」

純「えっ」
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:46:12.87 ID:z2qznvHio
・・・・・

先輩「このお店、配置変わった?」

先輩B「春にちょこっと」

先輩「へぇ〜…」

純「…それじゃあ私はそろそろ帰ります」

先輩「え? もう帰っちゃうの?」

純「はい、用事もあるんで」

先輩「そう……明日私もジャズ研の練習見に行くから、またね」

純「ほ、本当ですか!? やった!」

先輩「ふふっ」

純「じゃあ失礼します、また明日」

後輩c「あ、私も…失礼します」

ガチャッ バタン

先輩「……相変わらずね」

先輩B「そうでもないですよ〜、みんな日々変わってますって」

先輩B「コーヒーのブレンドも日々研究して変わってるし…それと同じですよ」

先輩「そっか…そうね」
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:51:40.92 ID:z2qznvHio
先輩「それよりどう? 部長は。やれてる?」

先輩B「う〜ん…周りの支えのおかげでぼちぼちと」

先輩B「先輩のほうは?」

先輩「周りのおかげでぼちぼちと」

先輩B「なんだ、変わってないですね〜」

先輩「うーる−さーいー」

先輩B「うーるーさーくーなーいー」

先輩「はぁ……まったくあんたは」

先輩B「それで、今日はこの後どうするんですか?」

先輩「そうね……あんたの家に泊まってもいい?」

先輩B「え? うち?」

先輩「ダメ?」

先輩B「別にいいですけど…なんでうち?」

先輩「いいじゃない、お互い積もり積もった話とかあるでしょ?」
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:52:18.72 ID:z2qznvHio
先輩B「…要するに先輩の愚痴を聞けってことですか〜?」

先輩「うっ……土産話とかもあるわよ?」

先輩B「どんなの? 彼氏ができたとか?」

先輩「……」

先輩B「…まぁ期待はしないでおきますけど」

先輩「そうだ、勉強みてあげる。あんた今年受験でしょ?」

先輩B「あ、大丈夫です。先輩より偏差値の高い大学行くんで」

先輩「……憎たらしいとこは変わってないわね」

先輩B「チャームポイントですからね」

先輩「はぁ……ま、いいけど」

先輩「コーヒー、おかわり」

先輩B「はいは〜い」

先輩「ん…」

409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:53:39.63 ID:z2qznvHio
・・・・・

後輩c「あの、純先輩…」

純「なに?」

後輩c「よかったんですか? せっかく先輩が来てたのに…」

純「うん、また明日会えるし。それになんか二人の邪魔しちゃいけないかなーって」

後輩c「?」

純「それと今は……あっ、あそこいいかも」

後輩c「え?」

純「ほら、あそこの河原。行こっ」

後輩c「え? あ、はいっ」
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:54:38.60 ID:z2qznvHio
純「よいしょっと、ここら辺に座って…」

純「ふぅ、草のにおいがするね」

後輩c「あの…ここで何をするんですか?」

純「ベースの練習」

後輩c「えっ…こ、ここでですか?」

純「うん、ちょうどいいじゃん」

純「それに河原でベース弾くなんてなんかカッコよくない?」

後輩c「そうですけど…」

純「私さ、もっともっと練習してベース上手くなって…いつか舞台の上で満足できるような演奏したいの」

純「先輩や梓、澪先輩やジャズ研のみんなが感動するような演奏…」

純「ようやくまた、はっきりとした目標見つかったかなー」

後輩c「……」

純「だから今は練習あるのみ!」

後輩c「純先輩…」

純「あははっ…なんかこんな所でこんなこと語るのって青春っぽいね」

純「あっ、用事があるんだったら先に帰っても…」

後輩c「いえ、私も純先輩と一緒に練習します」
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 08:55:49.72 ID:z2qznvHio
純「あ…本当に?」

後輩c「はいっ、一緒にさせてください」

純「ありがとう…よかったぁ。本当はこんな所で一人ぼっちじゃ寂しいと思ってたんだよね」

後輩c「ふふっ」

純「あはは…じゃあ早速やろっか」

後輩c「はいっ!」

純「ほら、横座って」

純「とりあえず課題の曲を…」

後輩c「純先輩」

純「なに?」

後輩c「私も頑張りますね!」


##9 おわり
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 09:05:28.57 ID:z2qznvHio
純が三年になって軽音部に入るときに
「ジャズ研はつまんないから軽音部に行く」という動機が個人的にあってほしくなかったので
名無しに色々とキャラ付けをしてジャズ研の描写を書いいます、が
まぁ逆に軽音部に転部させずらくなったような。なんか純の志向も妙に高くなったような。
一応アニメ・原作からは脱線させないつもりなんですけどね・・・

というわけでここまで。
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/10(木) 09:15:36.29 ID:z2qznvHio
あっ、なんか誤字脱字がひどい
すいません
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 15:33:34.94 ID:V2hkkT5DO
遅ればせながら乙
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 17:44:11.21 ID:UZxYMcrHo
乙なり
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 14:30:37.42 ID:xiqYXx8AO
兼部でいいんじゃない?
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 15:18:38.42 ID:5wzzF4wAO
アニメは入部確定だっけ?
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 18:14:47.95 ID:WOOjLOhFP
アニメは明確には言ってないけど梓に協力的だからほぼ確定
原作は明言してるので転部あるいは兼任確定
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:18:26.98 ID:IXZ0zYDIo
##10

顧問「じゃあこれ、夏休み最後のスケジュール表。みんなに渡しといて」

純「はーい。…あ、先生」

顧問「どうした?」

純「なんか雰囲気やわらかくなりましたね」

顧問「分かる?」

純「はい、女の人っぽくなったっていうか」

顧問「お酒とタバコやめたからかな……今は彼に夢中なの」

純「彼氏いるんですか!?」

顧問「サックス♪」

純「あ…そっちですか」

顧問「やっぱ趣味があると人生が充実するものね。うふふ」

純「うふふって…」
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:19:25.04 ID:IXZ0zYDIo
――ジャズ研 部室

先輩A「二人とも、もう進路決めた?」

先輩B「ん〜? まだ〜」

先輩C「まだ決めてないのか」

先輩A「私もまだなの」

先輩C「私は保育士の学校に…」

先輩B「えっ」

先輩A「うそっ、幼稚園の先生になるの!?」

先輩C「わ、私がなったらいけないのか…?」

先輩A「ううん、全然。案外似合ってると思う」

先輩C「そ、そうか」

先輩A「でもいいなー、夢があって。私なんてまだ夢とか決まってないし…」

先輩B「夢か〜」

先輩A「そっちも決まってない?」

先輩B「ん〜〜…夢ね〜…………あえて言うなら世界平和かな」

先輩C「そうか、なら軍隊にでも入るしかないな」

先輩B「やっぱやめた」

ガチャッ

純「センパイ、スケジュール表持ってきました」
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:20:14.85 ID:IXZ0zYDIo
先輩B「ご苦労様〜。そこに置いたらもう帰っていいよ〜」

純「はーい」

先輩B「あっ、そうだ純。ちょいと聞きたいことが」

純「なんですか?」

先輩B「純は将来の夢とかある?」

純「夢? 夢……」
純「色々ありますよ、とりあえず目下の夢は宝くじで三億円当てる事とか」

先輩B「そっか〜……当たるといいね〜。これからどこ行くの?」

純「友達と遊びに行きます」

先輩B「車には気をつけるんだぞ〜」

純「はーい!」

ガチャッ バタン

先輩B「……いいな〜二年生は余裕があって」

先輩A「私も二年に戻りたい」

先輩C「やれやれ…まったく」
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:20:52.90 ID:IXZ0zYDIo
――プール

純「で、プールに来たわけだけど」

【本日休館】

純「なぜ!?」

憂「プールで事故があったんだって」

純「そんなぁ〜…」

梓「仕方ないよ。諦めよ?」

憂「これからどうしよっか」

梓「他のとこ行く?」

純「うん……そうだ! せっかくだから海行かない?」

憂「海?」

純「そう、プールより海!」

梓「海かぁ…」

純「ねーいいでしょー、行こうよ。時間はあるんだし」

憂「私も久しぶりに海で泳ぎたいかも」

純「よし、じゃあ決定ー!」
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:21:19.32 ID:IXZ0zYDIo
――海

憂「わぁー! 潮のかおりがするね」

純「これぞ海!! 来てよかったでしょ?」

憂「うん!」

梓「あついねー」

純「それが海だから!!」

梓「海関係なくない? それ」

憂「私、パラソルのレンタルしてくる」

純「じゃあ私と梓は場所の確保しておくね」

純「行こ、梓」

梓「あ、うん」
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:21:49.43 ID:IXZ0zYDIo
純「ここら辺でいいかな」

梓「純、シートひくからそっち持って」

純「りょーかい」

梓「よいしょっ…これでよしと」

純「ふぅ、座ろっか?」

梓「うん」

純「はぁ〜、なんかいいねー。海に来たって感じで」
純「景色も良いし、最高」

梓「うーん……」

純「どうしたの?」

梓「あ、ううん。なんでもない」

梓(言えない…合宿で行ったビーチのほうがキレイでここは物足りないだなんて……)
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:22:18.38 ID:IXZ0zYDIo
純「こうやって女の子二人で座ってるとさ」

梓「うん」

純「ナンパとかされるのかな」

梓「うん?」

純「一度ぐらいされたいと思わない?」

梓「私は別に…」

純「でもなんか憧れるじゃん」

梓「というより、私たちに声かける人なんているのかな」

純「……」

梓「……」

純「誰も来ないね」

梓「うん」
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:22:46.42 ID:IXZ0zYDIo
純「なんかつまんなーい」

梓「私は純と憂の三人でいるだけでいいけど」

純「おっと、嬉しいこと言ってくれますなー」

男「すいません、ちょっといいですか?」

純梓「!?」

純(あ、あああ梓!! 声かけられちゃったよ!?)

梓(わ、私に!?)

梓「い、いや、あの…えっと……」

男「あ、ごめんなさい。人違いでした」

梓「……え?」

女の子「お父さーん!」

男「そんなところにいたのか! ほら、行くぞ」

梓「……」

純「小学生ぐらいかな。確かにパッと見梓に似てる」

梓「うぅ…小学生と間違えられるなんて……」
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:23:14.42 ID:IXZ0zYDIo
憂「パラソル借りてきたよー」

純「あっ、ありがと。手伝うよ」

梓「……」ジーッ

梓(憂…けっこうある。純も)
梓(私は……小学生)ペタン

梓「……不幸だ」

憂「? どうしたの梓ちゃん」

純「熱中症? あっ、そうだついでに……」
純「日焼け止め塗っておく? 黒くなりやすいんだし」

梓「いいよ、どうせすぐ海入るから」

純「そっか、それもそうだね。じゃあ早速泳ごっか」

純「泳ぐと胸も大きくなるって言うし」

梓「お、泳いでくる!」ダダッ

純「はやっ!?」
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:23:48.71 ID:IXZ0zYDIo
憂「梓ちゃん、どうしたのかな」

純「あー…たぶん胸のことじゃない? さっき小学生と間違えられてたし」

憂「でも、泳いで大きくなるのって胸じゃなくて筋肉じゃないの?」

純「えっ、そうなの?」

憂「だって、大胸筋が鍛えられるっていうし」

純「じゃあ、あのまま梓が泳ぎ続けると……」

梓『みてみて、この胸! すごく大きくなったでしょ!!』ムキッ

純「梓がボディービルダーになっちゃう!!」

憂「は、はやく梓ちゃんを止めないと!」

ザパーンッ!!

梓「にゃぁっ!?」

憂「あっ、梓ちゃんが波にさらわれてる!!

純「ていうか泳げてないじゃん!!」
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:24:37.43 ID:IXZ0zYDIo
梓「けほっ、こほっ」

憂「大丈夫?」

梓「う、うん……海水ちょっと飲んじゃった」

純「もう、そそっかしいんだから」

梓「むっ、純に言われたくない」

純「そんなこと言って、波に遊ばれてたのは誰…」

ザパーンッ!!

純「ぶわっ!?」
梓「にゃっ!?」

憂「ふ、二人とも大丈夫…?」

梓「……」

純「海なめてた…」
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:25:03.49 ID:IXZ0zYDIo
憂「今日は波強いね……クラゲもいるし、気をつけないと」

純「泳ぐのやめてビーチボールで遊ぼうよ」

梓「うん、そっちがいいかも」

純「じゃいくよー、ほいっ」ポンッ

憂「それーっ」ポンッ

梓「よっ、と」ポンッ

純「お、うまいうまい」ポンッ

憂「えいっ」ポンッ

梓「とうっ」ピューッ

梓「あっ…海の方に行っちゃった」

純「もー、なにやってるの梓」

梓「ごめん、取ってくるね」タタッ

ザパーンッ!!

梓「んにゃっ!?」

憂「梓ちゃん!?」

純「そしてまた流される、と…」
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:25:48.88 ID:IXZ0zYDIo
梓「はぁ…プールのほうがよかったかも」

純「今日は海のほうのご機嫌がイマイチだね。せっかく来てあげたのに」

憂「日焼けでもする?」

純「よし、今こそ日焼け止めを使うとき」

憂「私、梓ちゃんに塗ってあげる♪」

純「じゃあ私が憂ね。梓は私によろしく」

梓「うん、わかった」

ピチャピチャ

憂「きゃっ、純ちゃんくすぐったいよぉ…」

純「なに言ってるの憂、これくらいやらないと」

ピチャペチャ

憂「ひゃぅっ…」

純「憂の体って柔らかいねー」

ピチャッペチャッ

憂「じゅ、純ちゃぁん…」

純「憂の体、塗り応えがあるね」

梓「あの…もうちょっと声を控えめに……」

純「あれ? どうしたの梓、鼻なんておさえて」

憂「大丈夫? 梓ちゃん」

梓「な、なんでもない!!」
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:26:15.95 ID:IXZ0zYDIo
純「はー、太陽あったかい。潮風きもちいい」

憂「お姉ちゃんとも一緒に来たかったなー」

梓「唯先輩は夏期講習だっけ?」

憂「うん、そうだよ」

純「あっ、思いついた。太陽があったかいよー、なんちゃって」

梓「それ微妙」

純「えっ、そう?」

憂「でも本当にあったかいねー。なんだか眠くなってきちゃった」

純「うん、ほんと………zZZ」

梓「寝つき良すぎだって、純…」

憂「ふふっ、でも純ちゃんじゃなくても……ふわぁ〜」

梓「私も…なんだか……」
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:26:42.97 ID:IXZ0zYDIo
・・・・・

梓「う、う〜ん……」

梓「寝ちゃったのかな……」

梓「ふあぁ〜……純、憂、起きてる?」

梓「……」

梓「純? 憂?」

梓「あれ……?」

梓「……」キョロキョロ

梓「純ー! 憂ー!」

梓「いない……」

梓「うそ……」

梓「……」

梓(……どこ行ったの?)
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:27:09.02 ID:IXZ0zYDIo
梓「……」

梓(一人ぼっち……)

梓「……」

梓「二人とも…どこ行ったの……」

梓「……」

梓(どこかで遊んでるのかな…それとも……)

梓「……」

梓(なんか…急にさびしくなって……)

ワイワイ       キャーキャー
   キャーキャー

梓(みんな楽しそう……)

梓「……」

梓「グスッ……純…憂…」

梓「こんな所で一人にしないでよぉ……」

梓「一緒にいてよぉ……グズッ」

純「あれ、起きてたんだ」

梓「っ!?」

憂「おはよ、梓ちゃん。ちょっと飲み物買いに純ちゃんと…」

梓「うわああああんっ!! ばかー!!」

純「な、なに? どうしたの」
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:27:43.86 ID:IXZ0zYDIo
・・・・・

純「あははっ、じゃあ私と憂が梓を置いてどこか行っちゃったと思ったの?」

梓「うぅ……」

純「そして急に孤独感に襲われたと」

梓「だ、だって二人ともいなくなるから…」

純「もう、私たちが梓を置いて帰るわけないでしょ」

憂「そうだよ梓ちゃん、私たち三人一緒だよ」

梓「純…憂…」

純「それにしても、私たちがいなくなるだけで泣いちゃうだなんて…」

憂「梓ちゃんかわいいーっ!」ギュッ

梓「ち、ちがう! 泣いたんじゃないの!!」
梓「目に海水が入っただけなんだから!!」

純「はいはい、そんな典型的な嘘をつかなくちゃいけないとこまで追い詰めらてるのね」ニヤニヤ

梓「にゃーっ!! 違うんだからー!!」
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:28:33.09 ID:IXZ0zYDIo
純「そろそろ時間だし、最後に泳いでおく?」

憂「賛成!」

梓「もう時間なんだ。なんか早いなー」

純「それぐらい楽しかったってことでしょ。プールもいいけど海もいいよね」

梓「うんっ」

純「よーし、最後にじゃんじゃん泳ごー!」

憂「おー!」

梓「お、おー!」

純「それっ」バシャーン

憂「冷たくて気持ちいいねー!」

梓「えいっ」バシャッ

純「あっ、やったなー梓……この!」バシャバシャ

梓「反撃!」バシャバシャ

憂「私も!!」バシャーン

梓「にゃっ!?」

純「あはははっ! 梓ずぶ濡れ!」

憂「えへへーっ」

梓「…クスッ。もう憂ったら許さないんだからねっ」

ザパーンッ!!

純「わぷっ!?」
憂「きゃっ!?」
梓「にゃっ!!」
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:29:22.62 ID:IXZ0zYDIo

―――――――――――――――
―――――――――
―――――

ガタゴトン ガタンゴトン



純「あー、疲れた。もう動けない」

憂「いっぱい遊んだもんね」

梓「うん…ふあ〜」

純「次寝たらほんとに置いてっちゃおうかなー」

梓「ね、眠くないけど…」

純「冗談冗談♪」

梓「もう……」

憂「でも今日はほんとに楽しかったなぁ。また来年も行こうね、純ちゃん、梓ちゃん」

梓「うん、来年も……あっ」

純「どうしたの?」

梓「来年は私たち三年だから……受験」
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:30:09.61 ID:IXZ0zYDIo
純「そっか、来年は三年生だから受験勉強しなくちゃね」

憂「お姉ちゃんたちも今がんばってるもんね」

梓「うん…」
梓「……」

憂「梓ちゃん?」

梓「もう今年で最後かな、夏にこうやって三人で遊んだりするの」

純「なーにしょげてんの」ガバッ

梓「にゃっ!?」

純「来年の夏は来年の夏で、三人一緒に受験勉強でもすればいいじゃん」

梓「純……」

憂「そうだよ。それに遊べるときはいつでも遊べるんだし」

純「だからそんなしょんぼりした顔しないのっ」

梓「二人とも……うんっ」

梓「今日は私、楽しかったよ。二人と遊べて」

憂「ふふっ」

梓(本当に…楽しかった)

純「あっ、じゃあ来年は海で受験勉強でもする?」

梓「いや、それはさすがに……」

##10 おわり
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:30:36.09 ID:IXZ0zYDIo
##バレンタイン

――1年2組

憂「はい梓ちゃん、バレンタインのチョコレート」

梓「えっ」ドキッ

憂「昨日作ったの。よかったら食べて」

梓「わ、わわ私に!? 憂から!?」

憂「うん、そうだよ?」

梓「あ、ありがとう…」ドキドキ

梓(誰かにチョコもらうなんて初めて……)

梓「あっ」

憂「なに?」

梓「お、お返し! 私もチョコ!!」

憂「別に気にしなくていいよ、梓ちゃん」

憂「あっ、純ちゃーん!」
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:31:06.50 ID:IXZ0zYDIo
純「なに? 憂」

憂「はいこれ、バレンタイン」

純「わぁ、ありがと! あっ、じゃあ私からも……」

純「はいこれ。昨日買ったんだけど、けっこう美味しいお店のところのやつなの」

憂「ありがとう、純ちゃん!」

梓「……」

純「どうしたの梓? 梓も食べる?」

梓「いや、その…女の子同士で普通にチョコ交換するんだ」

純「うん、友チョコだよ友チョコ」

梓「へぇ…」

梓(私も持ってくればよかったかな…)
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:31:32.86 ID:IXZ0zYDIo
ほうかご!

唯「あーずにゃんっ! はいこれ」

梓「え?」

唯「バレンタインのチョコだよ」

梓「唯先輩から!?」

唯「私が作ったんだよ、えっへん」

梓「……ってこれ、憂のやつと同じじゃないですか」
梓「憂が作ったやつですよね?」

唯「えへへ、ばれちゃったか」

紬「私も今日はみんなにチョコ持ってきたの。はい、どうぞ」

唯「おぉっ!? おいしそうだねムギちゃん! 」
唯「これは間違いなくおいしいものだよ!」

澪「興奮しすぎだ…」

律「たっかいんだろうなー、これ。ありがたやありがたや」

紬「言うほど高級でもないわよ? ××××円くらいかしら」

律「ぶふっ!?」

澪「ムギ……十分高いって」

紬「そう?」
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:32:20.55 ID:IXZ0zYDIo
律「値段聞いた後だと…なんか食べるのがもったいなくなるな」

唯「おいし〜」モグモグ

梓「唯先輩、よくそんな食べれますね」

唯「え〜? だっておいしいんだもん。食べなきゃもったいないよー」

律「まぁ…唯の言うことも正しいな」

紬「いっぱいあるから遠慮しないでいいのよ」

澪「おいしい…」モグモグ

唯「おかわり!」

律「こっちも!」

澪「って早っ!?」

梓「……あっ、そうだ」
梓「ムギ先輩、私ももう少しもらってもいいですか?」

紬「えぇ、いいわよ梓ちゃん」

梓「それと…もう一つ頼みが」

紬「?」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:33:09.13 ID:IXZ0zYDIo
・・・・・

唯「ふぅ、部活おわったー」

梓「唯先輩」

唯「どうしたの? あずにゃん」

梓「今日唯先輩の家に行ってもいいですか?」

唯「私の家?」

梓「はい、憂にこれを渡したくて」

唯「憂に?」

梓「さっきムギ先輩からもらたチョコなんですけど…」

唯「あれ、でもさっきのとちょっと形違うね」

紬「プレゼント用にラッピングしたの。梓ちゃんがどうしても友達にあげたいって言うから」

唯「あ、なるほど!」

梓「私だけもらってばかりじゃあれですし…こんなおいしいチョコなら憂にも食べて欲しいと思って」
梓「ムギ先輩からのもらい物を渡す形になっちゃいましたが…」

紬「そんなことないわ。梓ちゃんの気持ち、憂ちゃんもきっと喜ぶと思う」

唯「そうだよ〜、あずにゃんえらいっ!」ナデナデ

梓「まぁ…唯先輩は憂の分も考えてなかったみたいですし、私があげないと……」モジモジ

唯「あうっ!? す、すいません…」

紬「うふふっ」

梓(あっ、純にはどうやって渡そう…)
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:33:53.29 ID:IXZ0zYDIo
・・・・・

純「ようやく部活終わった…」

同級生「寒いねー」

純「早く帰ろ。下駄箱下駄箱…」

同級生「ねぇ純、今日チョコもらった?」

純「うん、友達から」

同級生「友チョコじゃなくて、本命だよ」

純「本命? だってここ女子高だよ? 本命なんて……」

同級生「ふっふっふ、それがいるんだよねー、本命を渡す人たち」

純「うそ!?」

同級生「噂では一組の○○さん。あと三組の××さんと△△は両思いなんだって」
同級生「それにジャズ研のセンパイにもいるらしいって聞いた」

純「ほんとに? あくまで噂レベルの話でしょ?」

同級生「でも分かんないよー、こういう話は。純ももらったりしてね」

純「あははっ、ないな…………ん?」
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:34:19.65 ID:IXZ0zYDIo
同級生「もらえるんだったら私は部長にもらいたいかなー。あっ、センパイにも…」

純「……」

同級生「ねぇ、純は誰にもらいたい?」

純「……」

同級生「純?」

純「……」

同級生「どうしたのさっきから、下駄箱の中じーっと見て」

純「……入ってた」

同級生「え?」

純「これ……」

同級生「……そ、それって」ゴクリ

純「……チョコ」

同級生「えぇっ!?」
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:34:47.27 ID:IXZ0zYDIo
純「な、なんかの間違いだよね!?」

同級生「で、でもちゃんと純へ≠チて書いてあるよ!!」

純「と、友チョコだよきっと……」

同級生「下駄箱の中にわざわざ友チョコ入れると思ってるの?」

純「うっ……」

同級生「これは間違いなく…」

純「……」

同級生「……本命」

純「え…えぇーーっ!? ど、どどどどうしよう!?」

同級生「純、とりあえず落ち着いて」

純「わ、私は同性には…で、でも……あーどうしよう!!」ジタバタ

同級生「落ち着いてって! 差出人は?」

純「えっと……書いてない」
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:35:29.80 ID:IXZ0zYDIo
純「そうだ、イタズラ! これはきっとイタズラに違いない!!」

同級生「イタズラ?」

純「だって差出人の名前書いてないんだもん、そうとしか考えられないじゃない」

同級生「でも恥ずかしがって書けなかったという可能性も…」

純「そ、それは…」

同級生「純…現実を受け止めて。あなたは間違いなく誰かに惚れられている!!」

純「!?」ズッキューン!!

同級生「そうじゃなかったら、こんな高そうなチョコまで用意しないはず」

純「わ、私が…?」

同級生「頑張って、青春は一度きりだよ」

純「わ、わわわわ!! どうしよー!!!」


・・・・・


梓(あっ、純のチョコに私の名前書き忘れてた…)

梓(まぁいっか)



次の日、梓から話を聞いた純は安心したようながっかりしったような
複雑な心境だったという。


##バレンタイン おわり
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/14(月) 05:43:26.83 ID:IXZ0zYDIo
ここまで
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/14(月) 11:00:49.30 ID:J7M/53ta0
乙モッフモフ
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 12:26:36.38 ID:CTdf3IlAO
確かにこのジャズ研からは辞めづらいな…
C先輩にシバかれそうだし…
個人的には原作もアニメも純ちゃんは兼部であってほしい
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 02:00:19.13 ID:06rDhF+AO
あれ、原作もジャズ研あったっけ?
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:43:26.68 ID:eoHTbWHQo
このSSの純って今日発表された公式のキャラ設定とけっこう近いな
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:44:18.57 ID:eoHTbWHQo
このSSの純って今日発表された公式のキャラ設定とけっこう近いな
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:45:05.32 ID:eoHTbWHQo
連投誤爆
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 18:36:07.41 ID:V0kNhfVVo
#恒例のE

純「そういえばうちの学校って文化祭はあるけどさ」

梓「うん」

純「体育祭はないの?」

律「そこに気づくとは、さすが佐々木さんだ」

梓「あっ、律先輩。私服はパンツルック派の律先輩こんにちは」

律「ところで体育祭の件だけど…」

純「おかしいですよね、普通の学校なら毎年の恒例行事なのに! 何でなんですか律先輩」

律「佐々木さんはそんなに体育祭をやりたいのか?」

純「鈴木です。木≠オかあってませんよ」

律「私も体育祭やりたーい!!」

梓「私はやりたくないです」

律「ノリが悪いぞ中野ー!!」

純「ところでなんでうちの学校は……」

律「マラソンなんてクソ食らえ!! マラソンやるなら体育祭やれー!!」

梓「それは同感です」

純「あの、だからなんでうちの学校は体育祭をやらないんですか」

律「それは知りません」

純「あ、そうですか」

おわり
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 18:37:03.20 ID:V0kNhfVVo
#Fの侵食

純「な、何このポスター!?」

後輩b「澪先輩のファンクラブ入会特典として等身大ポスターをもらってきました」

後輩a「なので部室に張っておきました」

純「最高! って、そうじゃないでしょ……流石にこれはまずいって」

先輩C「何だこのポスターは!? はがせ!! ジャズ研の風紀が乱れる!!」

先輩A「それくらいいいじゃないのミオ」

先輩C「ミ、ミオ? 何だその語尾…」

先輩B「お前も澪ちゃんファンクラブに入るミオ」

純「セ、センパイたちがファンクラブに洗脳されてるミオ!?」

先輩C「お前も洗脳されてるぞ!?」

先輩A「さぁ、入るミオ」

先輩B「お前もこっちにくるミオ」

先輩C「や、やめろ…私はそんな趣味は……いやぁぁあああああ!!」





先輩C「という夢を見たのでジャズ研ではあのファンクラブに入ることを禁止する」

後輩b「そんなー!!」

純「ファンクラブぐらい入らせてあげればいいじゃないですか」

先輩C「ダメだ! どうしても入りたいなら私のファンクラブでも作ってそこに入れ!!」

純「無理です」

おわり
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 18:38:59.29 ID:V0kNhfVVo
#Gで遊ぼう

純「部長ってゲームするんですか?」

先輩B「するよ〜、DS大好き」

先輩C「私もよくWiiを買おうと思ってる」

純「センパイもゲームやるんですか? なんか以外…」

先輩C「妹が欲しいって言うから…ほら、今日はそのwiiを持ってきたぞ」ゴトッ

先輩B「……」

純「……なんですかそれ」

先輩C「なにって、wiiだろ?」

先輩B「それはwiiじゃなくてエキサイトピンポン」

先輩C「wiiじゃないのか!?」

先輩B「あはは〜馬鹿だね〜、間違えてエキサイトピンポンなんて買ってるよ〜」

純「あはは……(エキサイトピンポンってなに……)」

先輩C「いいや、これはwiiだ! 私がwiiって言えばwiiなんだ!!」

先輩B「そんな無茶苦茶な……」

先輩C「いいからWiiで遊ぶぞ、Wiiで」

数十分後

純(なにこれ楽しい…)

先輩B(意外と面白い…)

先輩C(さすがWii…)

先輩B(だからエキサイトピンポンだって)

先輩C(いや、もうWiiでいいだろうこれ)

純(そうですね、Wiiでいいですよもう)

先輩B(そっかじゃあこれWiiでいいや)

おわり
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 18:44:06.89 ID:V0kNhfVVo
先輩C「私もよくWiiを買おうと思ってる」→×
先輩C「私もWiiを買った」→○


最近疲れてるな…
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 21:15:14.91 ID:eAwZlZoAO
キテタ━(゚∀゚)━!
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 17:36:44.50 ID:7yItdYPeo
いやー、ライブでも純ちゃんよかったよー
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 02:32:08.44 ID:Ojv3hmxAO

純の軽音部入りに関しては、原作やアニメであやふやな所があるから、>>1には原作やアニメに縛られすぎずにそこんとこ好きなように書いて欲しい
>>1の書く文章、ストーリーが単純にすごい大好きだから、それを崩して欲しくないなぁ…
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:06:59.13 ID:0lqbXmJ2o
##11

唯「あっずにゃーん!」バッ

梓「!?」サッ

唯「あっ、逃げちゃダメだよあずにゃん!」

梓「出会い頭に抱きついてこないでください!」

唯「憂! あずにゃん捕まえて!」

憂「え? うん」ガッ

梓「憂っ!? 裏切ったの!!?」

憂「ごめんね梓ちゃん」

唯「つっかまえたっ!!」ガバッ

梓「に゛ゃっ!?」
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:07:40.16 ID:0lqbXmJ2o
唯「ふっふっふ、では一緒に部室へ行こうかあずにゃんよ」

梓「い、行きますから離れてください」

唯「えー、このままでいいじゃーん」

梓「よくないです!」




純「相変わらず異様に仲良いね、あの二人」

憂「そうだね。それにお姉ちゃん、学園祭に向けて練習頑張るって朝から張り切ってたんだよ」

純「へぇー、そうなんだ。じゃあ私もジャズ研行ってくるね」

憂「ジャズ研も学園祭の練習?」

純「それもあるけど、うちはどっちかと言うと来月のコンテスト重点の練習かな」

憂「そうなんだ、頑張ってね純ちゃん」

純「うん、いってきまーす」

464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:08:14.80 ID:0lqbXmJ2o
――ジャズ研 部室

純「ねぇ、もし私がいきなり抱きついたりスリスリしたらどう思う?」

後輩c「へぇっ!?」

純「どう思う?」

後輩c「ど、どうって……いきなりは困ります…かも」

純「だよねー、私もそれはできないもん」

後輩c「あ…そうなんですか」

純「やっぱ恥ずかしいじゃん? あはは」

後輩b「なんの話をしてるんですか?」

純「私がみんなに抱きついたらどんな反応するかなって話」

後輩a「どうしたんですか急に」

純「気になっただけだって。何なら私に抱きついてもいいよ?」

後輩a「それは…いいです」

純「断られるとちょっとショックだね」
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:08:53.82 ID:0lqbXmJ2o
純「でさ、私考えたんだけどね」

後輩b「はい」

純「ジャズ研はもっと先輩と後輩が打ち解けてもいいんじゃないかな、って」

後輩a「打ち解け…ですか?」

純「そう! 今みたいな上下関係もいいけど、もっとこうフレンドリーな感じもよさそうじゃない?」

純「ねっ」

後輩c「は、はい!」

後輩b「でも、具体的にはどんなことするんですか?」

純「例えば……お菓子を食べたり」

後輩a「お菓子?」

純「ここにポッキーあるから、みんなで食べていいよ」

後輩b「あっ、どうもです」

466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:09:22.00 ID:0lqbXmJ2o
純「こんな感じでお菓子食べながら、お茶してお話して交友を深めるってのはどう?」

後輩a「いいですね、最高です!」

後輩c「お茶はどうしますか?」

純「お茶は…あっ、飲みかけだけどフルーツオレあるよ。飲む?」

後輩c「えっ」

後輩c(の、飲みかけ…!?)

純「いらない?」

後輩c「い…欲しいです!」

純「じゃあはい」

後輩c(や、やった……純先輩の飲みかけ…)

純「そういえばもうすぐ文化祭だけど、一年はなにやるの?」

後輩a「私たちはお化け屋敷です」

純「へぇー、懐かしい。私たちも一年の頃はお化け屋敷だったなぁ」

467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:09:52.38 ID:0lqbXmJ2o
後輩a「純先輩はなんのお化けやったんですか?」

純「なんだっけ。確か……吸血鬼だったかな」

後輩b「あっ、似合いそうですね」

純「写メ見る? たぶん携帯に残ってるはずだから」

後輩a「見せてください」

純「えーっと…あった、これこれ」

後輩c「わぁ…!」

後輩a「確かに似合ってる」

後輩b「ねー」

純「あはは…なんか恥ずかしいね」

後輩a「あっ、もっと見せてくださいよ」

純「えー、しょうがないなー」

468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:10:36.54 ID:0lqbXmJ2o
後輩b「そういえば、純先輩のクラスは今年なにやるんですか?」

純「うちのクラスは喫茶店みたいなの。和風な感じで」

後輩a「絶対行きますね」

純「うん、来て来て。大歓迎するから」

後輩c「わ、私も……」

先輩B「楽しんでるところ悪いけど、もうそろそろ練習始めるよ〜」

純「あっ、はーい」

純「それじゃ、練習がんばろっか」

後輩c「は、はい!」

先輩C「鈴木」

純「なんですか?」

先輩C「お菓子を食べるのはいいけど…」

純「ゴミはちゃんと捨てますって」

先輩C「むっ……分かってればいいんだ」

純「あっ、ポッキー一本余ってますから先輩よかったらどうぞ」

先輩C「あ、あぁ…うん」
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:11:05.19 ID:0lqbXmJ2o
先輩C「……」ポリポリ


純「よし、じゃあ練習がーんばろっと!」


先輩C「……」

先輩B「なんかさ、純もたくましくなったね」

先輩C「元からああいうやつだろ?」

先輩B「そういえばそうだったかもね〜」

先輩C「ま、そうじゃないと困るけど」ポリポリ

先輩B「いいな〜ポッキー。私にもちょうだい、半分でいいから」

先輩C「やだ、私の」

先輩B「け〜ち〜、副部長のくせに」

先輩C「副部長は関係ないだろ」

先輩B「人の上に立つということはそれなりに器が大きくなければいけないのだよ、ワトソン君」

先輩C「誰がワトソン君だ!」

470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:11:41.76 ID:0lqbXmJ2o
・・・・・

純「そこ、ちょっと早いよ」

後輩c「は、はいっ」

純「焦んなくていいから、落ち着いて弾いても平気だよ?」

後輩c「す、すいません。でも……」

純「大丈夫大丈夫、ミスしても平気だって。そんなの気にしなくていいんだから」

後輩c「えっ」

純「だって練習中なんだし、ミスしたらまたやり直せばいいじゃん」

純「失敗を恐れないでさ」

後輩c「純先輩…」

純「もう一度やろっか」

後輩c「…はいっ!」

471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:12:10.69 ID:0lqbXmJ2o
・・・・・

先輩B「そんじゃあ〜、今日はここまで。お疲れ〜」

純「ふぅ……」

純「……」

純(それにしても、我ながらさっきはいいこと言ったかも)

純(失敗を恐れない、か……カッコいい)

純「……」

先輩B「なにニヤニヤしてんの?」

純「えっ…あ、いえ何でもないですよ。あはは」

先輩B「ふ〜ん……リボン」

純「へ?」

先輩B「制服のリボン、取れかかってるよ」

純「あれっ、本当だ。いつのまに…」

先輩B「ほら、結んであげる。こっちおいで」

純「すいません、わざわざ」

472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:15:43.27 ID:0lqbXmJ2o
先輩B「先生に見つかるとうるさいからね〜、緩めるなら校舎出てからにしな」

先輩B「はい、完成」

純「ありがとうございます」

先輩A「ふっふっふ〜、見ちゃった」

純「え?」

先輩B「なにが?」

先輩A「今純ちゃんのリボン直してあげたでしょ?」

先輩B「うん」

先輩A「それってね、桜ヶ丘高校に伝わる姉妹の契りなのよ」

先輩A「リボンを直した人は、直してあげた人のお姉さんになるの!」




後輩c「!?」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:16:55.06 ID:0lqbXmJ2o
先輩B「なんじゃそりゃ」

純「聞いたことないしちょっとよく分からないんですけど」

先輩A「そう? 一部じゃ結構有名よ?」

先輩B「しょせん一部でしょ。誰かが面白がって適当に広めた噂だって〜、オカ研辺りとかが」

先輩A「もう、ロマンないんだから」

純「それにリボン直しただけで姉妹って…なんで」

先輩A「でもそういうのっていいと思わない? だって憧れの人に近づけるかもしれないんだし」

純「憧れの人……」

純(澪先輩…!!)

純「確かに……いいかもしれませんね」

先輩B「えぇ〜、純まで〜? じゃあ今から私と純は姉妹になるってわけ?」

純「あの……できればノーカンで」

先輩B「そう言われるとなんかちょっとショック」

474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:17:48.90 ID:0lqbXmJ2o
後輩c「……」

後輩c(リボンを緩めて、それを直してもらえば……)

後輩c(純先輩と姉妹に…!!)

後輩c「……」

後輩c「……」スルッ

後輩c(こ、これぐらいでいいかな……)

後輩c(……ちょっとわざとらしすぎるかも)

後輩c「……」イジイジ

純「どうしたの? 帰らないの?」

後輩c「あ…い、今行きます」

後輩c(これなら…大丈夫、かも)
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:18:19.98 ID:0lqbXmJ2o
――廊下

純「でね、帰りにコンビニ寄ろうと思うんだけど」

後輩c「はい」

後輩c(純先輩……気づいてくれないのかな)

後輩c「……」チラッ

純「あの雑誌、今日発売だしね」

後輩c「……」チラッ

純「ついでにヘアゴムも買っておかないと」

後輩c「……」チラチラッ

純「そうだ、私教室に忘れ物あるから悪いんだけどここで待ってもらえる?」

後輩c「あ……はい」

純「ごめんね、すぐ戻るから」タタッ

後輩c「……」

476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:18:56.80 ID:0lqbXmJ2o
後輩c「はぁ……」

後輩c(もっと積極的になった方がいいのかなぁ…)

後輩c「……」

後輩c「……」

さわ子「ちょっと、そこのあなた」

後輩c「は、はい」

さわ子「制服、ちゃんと着なさい」

後輩c「す、すいません…」

さわ子「もう、放課後だからってだらしない格好しちゃダメよ。分かった?」

後輩c「ごめんなさい…」

さわ子「次からは気をつけてね」

後輩c「はい……」

後輩c(怒られた……)

後輩c「……はぁ、なんで私ってこんな間が悪いんだろう」

後輩c「……」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:19:41.15 ID:0lqbXmJ2o
後輩c(あ、そうだ。さっき純先輩からもらったフルーツオレ……あった)ゴソゴソ

後輩c(さっきは緊張して飲めなかったけど、今は誰も見てないし……)

後輩c「……」

後輩c(純先輩と…間接キ、キス……!!)

純「おまたせー…って、なにしてるの?」

後輩c「はわっ!?」

純「あれ、それさっきのフルーツオレ…?」

後輩c「こ、これは…そのっ……」

後輩c(な、なんて言えば……)

純「もしかして、捨てようとしてた?」

後輩c「え?」

純「貸して」ヒョイッ

後輩c「あっ……」

純「えっと、確かこの辺にゴミ箱が……あった」

純「それっ」ポイッ

後輩c「あ…あぁっ……!?」
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:20:19.76 ID:0lqbXmJ2o
ヒュー・・・ガサッ

純「ナイッシュー!」

後輩c「……」

純「さてと、行こっか」

後輩c「……」プルプル

純「なにしてるの?」

後輩c「い、いえ……」

純「よし、じゃあ早くコンビニにゴー!」

後輩c「ご、ごー……」

後輩c(はぁ……)

純「ついでにドーナツも買っちゃおうかなぁ」

後輩c「……」

後輩c(でも……純先輩も楽しそうだし…いいかな)

479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:20:52.90 ID:0lqbXmJ2o
翌日

憂「あっ、梓ちゃんリボン緩んでるよ。直してあげる」

梓「ありがとう、憂」

純「!?」

憂「はい、できた」

純「こ、これって……!」

梓「どうしたの純?」

純「憂と梓が姉妹になっちゃった!!」

憂「え?」

梓「……なにそれ」

純「そういう噂があるんだって。制服のリボンを直すと…」

唯「あっずにゃーん!」ダキッ

梓「にゃっ!?」
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:21:37.78 ID:0lqbXmJ2o
梓「な、なんですかいきなり!」

唯「えへへ〜、あずにゃんを見つけたらつい」

梓「ついじゃありませんよ、もう」

唯「ごめんごめん。それより部活行こうよ!」

梓「いいですけど……あっ」

唯「なに?」

梓「唯先輩、リボン少しずれてます」

唯「へ?」

梓「ほら、ここ」キュッ

純「!?」

唯「ありがと〜、あずにゃん」

梓「しっかりしてくださいね」

唯「えへへ。じゃあ憂、行ってくるね」

憂「うんっ、いってらっしゃーい」
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:22:15.25 ID:0lqbXmJ2o
唯「純ちゃんもばいばーい」

純「あ…さようなら」

純「……」

憂「どうしたの純ちゃん?」

純「梓が唯先輩のリボンを直した……つまり梓は唯先輩のお姉さん!?」

憂「え?」

純「でも憂はさっき梓のリボン直してたから梓のお姉さんであって……」

純「唯先輩は憂のお姉ちゃんだから…梓は憂の………あ、あれ、どうなってるの?」

憂「よく分からないけど…これからケーキでも食べにいく?」

純「行く!」


##11 おわり
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/26(土) 18:29:36.81 ID:0lqbXmJ2o
ここまで

>>461
ありがとうございます。
とりあえず好きなようにやってみます。
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 20:18:06.44 ID:ixi8tJ+Co
純ちゃんは元気でいいね
純ちゃんの半分は純ちゃんでできています
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 20:23:21.67 ID:n1L6N4eAo
おつ
憂ちゃんと唯ちゃんとあずにゃんが姉妹なんて・・・俺死ぬんじゃなかろうか

>>483
残りの半分は?
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 21:18:43.69 ID:AE5692sEo
>>484
優しさに決まってんだろ言わせんなばか恥ずかしい
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 22:50:59.05 ID:n1L6N4eAo
>>485
デスヨネー
けいおん!はみんな優しいね
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:50:14.81 ID:yAZkemYAO

好きな風に書いて下さいな
自分はずっと>>1について行くよ
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 11:26:52.50 ID:v3xOl+Sdo
cちゃんカワユスなあ
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 12:13:10.09 ID:Fo+hQDHAO
乙!!
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 12:27:35.10 ID:dbbnQqwxo
かき先生も続編執筆になったなあ、しかも独立させてだからがっつり行くんだろうね
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 00:40:10.70 ID:OJXZ/XJ9o
>>1生存報告だけでいいから頼む
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:57:04.17 ID:+upoTJc10
地震でやられちまったか?
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(-長野) [sage]:2011/03/16(水) 01:44:16.78 ID:wIOoqUSAO
今になってけいおんの素晴らしさを実感するよ。やっぱり平和が一番なんだなと思うわ。
生存報告待つ
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) :2011/03/22(火) 05:47:10.02 ID:r+raCmfy0
               _,..- 、_
            ,..: : :´: : : : : : :丶::ヽ 、
          /: : / : : : : : : : : : : : : : \へ、  
        ./: : : :/: : :/: : : : : :ト: : : : : : : : : ハ
       ./: : : : : /: ::/i : : : : : ::i \: : i: : : : : ハ
       / : : : : :/i : / i:/|: : : : : |  V: :|: : : : : : :|  
    _ /: : : /: /{: / . |/ レ : へi ヽV:: ト: : : : : : | 
   /: : /: : : :/: :i ヽi           V | : |: : :|└- 、
  / : : : : :|: : : : |: :|r≠ミ< /// r≠ミ< | : |: : : | : : : : ヽ   
 / / : : |:| : : : ト :| }  / / ´  /ヽ-、 || /|: : : i : : : : : ::ヽ  
< : : フ: : |∧: : :ヽ V / /ニニニニ.ヽ  {  |レ/: : : :/: : : :ヽ: : : :>  >>1君、返事してよぉ
 、: : :i : X/ヽイ ./ ./ .(  ,-─-、 ) {  } \: /: : : : ト: : :/    
 ヽ : : : : : : ヽ二i .| |   ̄     ̄   } i ト/ ノ: : : : : : : i
  \V iヽ ト/  \ |           / レ ヽ´∧ ∧/
           ヽ ヽ、        { /   ´ X 
              | >   <|´ ´ 〇
            _ /      | _
           ノ ├       ヽ┤ヽ_
       - ´ 〇 |         /  i `ヽ 、  
     /´     \ .\--   -- /  /     \
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 08:11:43.69 ID:zHvgbF1lo
ポジティブに考えると、原作に合わせて唯たちを卒業させるかどうかの構想を練っているのかも
バレンタイン等、時事ネタも多いSSだし

でも現時点でどうなるか分からないから書きようがない、筆が進まない
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/29(火) 14:47:32.12 ID:773hvQxbo
まだまだ
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/03/29(火) 14:52:11.71 ID:0rWJ2FwE0
確かに生存報告だけでもしてほしいな
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/01(金) 18:18:25.79 ID:TtIp+YN7o
他でも震災後に生存報告がないスレがあるんだよなぁ…
心配だからレスしてくれ
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 19:17:37.06 ID:FxX7Lhv2P
いつまでも待つ
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/08(金) 19:29:49.21 ID:T0C4EmByo
待つ
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 13:41:35.82 ID:SZfodAuIO
待ち続ける
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします. [sage]:2011/04/17(日) 16:18:33.76 ID:U87qYisxo
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 00:13:44.95 ID:qKLDZ//4P
3ヶ月放置でスレ落としだっけ?
あと一週間ちょいじゃないか
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 00:57:55.21 ID:CWVoMl+IO
2/26だから5/26じゃないの?
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/20(水) 21:12:08.50 ID:w6r+Aksvo
王大人「死亡確認」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/04/27(水) 10:58:18.18 ID:wfVoGehPo
「飽きたからもう書かない」とかでもいいから何か生存報告を書きこんでほしいね
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/27(水) 11:04:57.67 ID:ijiQfDQAO
純ちゃん大好きな>>1がなぜか純ちゃん誕生日企画にも参加しなかった



つまり>>1は…
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 12:15:29.25 ID:RfSPM1NIO
待てよ(ノД`)身内になにかあったらssどころじゃないじゃない
ね、ね、ねきっと大丈夫だよ(ノД`)
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/04/28(木) 15:40:29.12 ID:tBz76aRCo
この純ちゃんは非常に応援したい
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [帰還期待age]:2011/05/05(木) 03:34:31.46 ID:HY+J+0Gro
まだまだ待ってる
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(-長野) [sage]:2011/05/07(土) 21:59:16.11 ID:Spx5RExAO
震災でネット繋げる環境がなかったり、SS書く余裕が無いのかもしれないしな。
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/11(水) 18:39:09.27 ID:IZcJijheo
本格的に大丈夫か
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/20(金) 00:19:45.46 ID:KDSpf+eAo
オレハマッテルゼ
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/05/20(金) 12:13:38.64 ID:Vx1MHBpAO
このスレを見かけると胸が苦しくなる。
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 16:53:41.36 ID:Sd5xiYPi0
少し心配だね〜
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 21:55:56.87 ID:2yBM3/xYP
三ヶ月経っちまったか……残念だ
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/29(日) 02:09:33.70 ID:oGD6Y8d7o
律「強くてニューゲーム?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295779609/

落ちちゃった…
518 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2011/05/29(日) 02:52:45.52 ID:3t3SuxOAO
ギリギリ間に合った?
色々あったけど身の回りも落ち着いたんでしばらくしたら再開します
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 03:03:57.46 ID:p7r8wAKIO
こんな時間に、来たあああ!無事でよかったです(ノД`)えーん
色々あって大変だったかもですが、まじ良かったよ!!
ほんとに1時間前にお別れを書いたんだぞ!書き込まなかったのは正解だったがw
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/05/29(日) 04:55:56.69 ID:oGD6Y8d7o
キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!!!
キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!!!
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 07:11:26.14 ID:TiEofxfOo
無理せずがんばってくれ、いや、ほんとによかった
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/29(日) 07:48:41.50 ID:XRCY3klAO
おかえり
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/29(日) 07:57:18.82 ID:mYjyvutDo
新キャラの扱いどうすんの?
でも原作じゃなくてアニメの純ちゃんだから関係ない?
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/29(日) 09:18:44.52 ID:bxbJqPUAO
お帰りなさい!!!!
良かった!!良かったーー!!
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/29(日) 09:19:19.40 ID:bxbJqPUAO
お帰りなさい!!!!
良かった!!良かったーー!!
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/29(日) 09:19:19.59 ID:yRR9Y4lAO
新キャラのスミーレと奥田さんについてなにか一言お願いします
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/29(日) 10:49:38.72 ID:Jkm8VX1Ho
ばんざああああああああああああああああああああああああああああああい
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 15:21:07.42 ID:knTszb8AO
無事だと聞いて飛んできましたよ

ゆっくりでいいから頑張ってね!
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 20:06:57.83 ID:em2cQrVeo
よし、がんばれ
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/30(月) 11:32:36.98 ID:P/46gZXJo
生きてて良かった。
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/31(火) 10:49:16.07 ID:XIHmzhSUo
え?トリプなんかつけてたか?
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 12:39:17.52 ID:MJxmwQ0Do
>>7の鳥と同一だから割れて無ければ本物の>>1のはず
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/05/31(火) 23:57:19.55 ID:XIHmzhSUo
よくみたら普通につけてたわ
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 11:20:45.35 ID:IwGCZWS2o
生きてて良かったww
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/05(日) 01:26:42.66 ID:+8NxWfqAO
胸が苦しいとか勝手にお星様にしちゃってごめんなさい。
よく戻ってきた。
本物だよな?
536 : ◆eXN6fvAgkw [saga sage]:2011/06/12(日) 03:07:35.27 ID:/UHen/V2o
##12

純「いたた……おなかが痛い」

憂「大丈夫?」

純「昨日腹筋しすぎたかな……」

憂「腹筋?」

純「うん。なんか昨日さ、急に腹筋したくなって」

純「調子にのって100回…いや200回……とにかくかなりやったんだけど、おかげで筋肉痛に」

憂「なぁんだ、病気かと思っちゃった」

純「あー…腹筋なんてしなきゃよかった。慣れないことはするもんじゃないね」

憂「なんで急に腹筋やりはじめたの?」

純「んー…なんだろう、昨日はできると思って。元気が余ってたのかな」

梓「おはよ。純、マンガ持ってきたよ」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:08:28.92 ID:/UHen/V2o
純「あっ、おっはよう」

憂「マンガ?」

梓「純が読みたいって言ってたやつがちょうどうちにあって」

純「ありがとね。これすっごい面白いんだよ」

憂「へー」

純「もう読んでて笑えちゃ…あははっ痛たたたっ!?」

梓「どうしたの!?」

純「いや…笑ったら腹筋に響いて……」

憂「純ちゃん、今おなかが筋肉痛なんだって」

梓「そうだったんだ……びっくりした」

純「あー…いたいー」

538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:08:57.19 ID:/UHen/V2o
梓「どれぐらい腹筋したの」

純「えーと……300回ぐらいかな」

憂(あれ、100回じゃないの?)

梓「どうせ50回ぐらいでしょ」

純「なにを!? もっとやってるって!!」

純「腹筋も割れた…気がするし」

梓「じゃあ確認するから触らせて」

純「え? いいけど――…」

梓「えいっ」ツンッ

純「あうっ!?」

梓「うーん、あんまり変わってないかな」

純「お腹いたいのにツツかれたー、梓がいじめるー!」

憂「よしよし」
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:09:54.22 ID:/UHen/V2o
梓「ごめんごめん、つい」

純「なんか最近わたしの扱いひどくない?」

梓「そんなことないって。それよりマンガ読まないの?」

純「うーん……家帰ったら読む。今はムリ」

純「はぁ〜、今日一日こんな痛い思いをしなきゃいけないなんて」

憂「そういえば一時間目は体育だよ」

純「えぇっ……どうしよう、休もっかな」

梓「無理だって」

純「腹筋が痛くて走れないもーん」

純「あっ、話は急に変わるけどさ」

梓「ほんと急に変わったね…」

純「サイダーとソーダの違いってなに?」
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:10:24.46 ID:/UHen/V2o
梓「……なにそれ」

純「いや、朝から気になって」

憂「うーん、なんだろう」

純「梓は分かる?」

梓「え? 急に言われても」

純「なによ、軽音部でいっつも美味しいもの飲んでるんでしょ?」

梓「関係ないじゃん。しかもサイダーとかは飲んでないし」

純「えっ、高級なサイダーとか飲んでるのかと思った。一本5万円ぐらいの」

梓「どんだけ高いの!?」

憂「でも普段飲んでる紅茶も高いんでしょ?」

梓「うーん…具体的な値段は」

純「いいなー、ブルジャワで。羨ましい」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:10:56.15 ID:/UHen/V2o
梓「ブルジャワ?」

純「うん、ブルジャワ。羨ましいなー」

梓「ブル…ジャワ?」

純「さっきからなに?」

憂「ひょっとしてブルジョワのこと?」

純「えっ? ……あっ」

梓「……」

純「……」

梓「ブルジャワ」

純「知らないの? ブルジャワ」

梓「えっそのまま通すの?」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:11:38.95 ID:/UHen/V2o
純「そっかー、梓は知らないかー。ブルジャワ」

梓「純…間違いを素直に認めることは大切だよ」

純「憂は知ってるよね?」

憂「うーん…」

梓「知らないってはっきり言っていいんだよ、憂。ていうかそんな言葉ないし」

純「知らないのは梓だけだよ?」

梓「……じゃあブルジャワってなに?」

純「うん? ブルジャワ? そりゃもう……ブルーでジャワーって感じ」

梓「……意味は?」

純「意味は…ブルジョワに似たようなもん。まぁブルジョワの語源的な」

梓「……」

純「でもこっちの方が丁寧な言い回しかな。上流階級が好んで使うっていう」

梓「……」

純「ほんとだよ?」
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:12:05.82 ID:/UHen/V2o
梓「はいはい」

純「うわーん、梓がいじめるー!」

憂「よしよし」

梓「いじめてないから」

純「言っておくけどブルジャワなんて言葉はないから」

梓「知ってるから!」

純「はぁ……恥ずかしい」

憂「あははっ」

純「うぅ〜…憂にも笑われた」

梓「変な嘘を重ねるからだよ」

純「だって引き返せなかったんだもん」

梓「で、ブルジャワってなに?」

純「もうなし! その話題はなし!!」

544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:12:48.91 ID:/UHen/V2o
純「はぁ、腹筋も痛いし今日は心身ともに傷ついた」

憂「まだ痛む?」

純「うん、お腹動かすたびに痛い」

梓「筋肉痛ってしばらくしたら治るでしょ? 我慢しなよ」

純「えー、でも……」

憂「純ちゃん、我慢しなきゃめっ!」

純「えっ、きゅ、急になに?」

憂「えへへ、お姉ちゃんを叱る時みたいに言ってみた」

純「叱ったの? 今ので!?」

憂「うん」

梓「なんていうか…迫力がないよね」

憂「でも怒りすぎるとお姉ちゃん泣いちゃうし…かわいそうなんだもん」

純「それじゃ躾の意味ないって」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:13:30.83 ID:/UHen/V2o
憂「もっときつめのお説教じゃなきゃだめかな?」

梓「うん、思いっきりきつめでいいよ」

憂「そう言われても…できるかな」

純「言葉遣いを荒くするだけでいいんだって」

純「例えば…ふざけんなコラー! とか」

憂「ふ、ふざけんなこらー!」

純「おんどりゃあ舐めとんのかボケェ!!」

憂「おんどりゃあなめとんのかぼけー!」

純「今すぐ若いもん呼んでくるから覚悟せえや!!」

梓(ヤクザ!?)

憂「かくごせえや!」

純「……全然こわくない」

梓「……確かに」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:14:26.81 ID:/UHen/V2o
梓「ちゃんと叱らないと唯先輩はもっと甘えるよ?」

憂「お姉ちゃんに甘えられるならいいかなー」

梓「それがダメなんだって!」

純「ていうか考えてみれば妹に叱られる姉ってのも変だけどね」

憂「んー、でもお姉ちゃんが私を叱るってことないし」

梓「それはそうだろうけど」

純「じゃあさ、もし憂がお姉ちゃんに叱られちゃったらどうする?」

憂「お姉ちゃんに? うーん……」

憂「……いいかも」ボソッ

梓・純「いいの!?」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:16:53.07 ID:/UHen/V2o
憂「怒ったお姉ちゃんもそれはそれで良さそうかな」

純「分かんないわ…平沢姉妹」

梓「私も……」

憂「梓ちゃんは叱られたいと思わない?」

梓「全然」

憂「えー、例えば……あずにゃんっ! もっとしっかりしないと怒っちゃうよ!」

純「おぉ…わざわざ髪型まで真似て」

梓「すごい……違和感しかない」

キーンコーンカーンコーン

憂「あっ、時間だね」

梓「一時間目は体育だっけ?」

純「いたた、筋肉痛が」

梓「だぶんそれじゃ休めないって」

純「はぁ…憂鬱」

憂「純ちゃんファイト!」

純「はっ! 憂に励まされると元気が出る気がする」

憂「えへへ」

純「とりあえず元気よく保健室に行ってこようかな」

梓「絶対つき返されるから」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:18:53.69 ID:/UHen/V2o
放課後

純「ねぇ、コンビニ行かない?」

梓「え?」

純「思い出したんだけどさ、今朝サイダーとソーダの違いを聞いたでしょ?」

純「実際に飲み比べて確かめようと思って」

憂「うん、いいよ」

梓「わざわざそこまでする?」

純「気になるんだから仕方ないじゃん」

純「これでもし味が同じだったりしたら詐欺よ、詐欺!」

梓「詐欺…なのかな?」

純「コンビニは……あったあった」

ウィーン

純「あれっ、ソーダがない!?」

憂「サイダーしかないね」

純「はぁ〜…検証失敗。今日ほんとついてない……」

梓「仕方ないって、諦めようよ」

純「……ついでにサイダー買っておく」

549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:19:42.16 ID:/UHen/V2o
純「あーぁ、今日はなんでこんなついてないんだろう。厄日かも」ゴクゴク

梓「また今度挑戦すれば?」

純「んー……なんかもうどうでもよくなっちゃった」ゴクゴク

梓「はやっ!」

純「炭酸が染みるー…けほっけほっ! いたたたっ!?」

憂「ど、どうしたの!?」

純「サイダー飲んだらむせて…腹筋が……」

梓「もー、なにやってんの」

純「ごめんごめん、もう大丈夫だから」

梓「しっかりしてよ」

純「はぁ…今日は本当に不運……」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:21:16.31 ID:/UHen/V2o
憂「これからどうする?」

梓「んー……あっ、CDショップに行きたい。新譜が今日発売だし」

純「CDショップといえばこの前おもしろいことがあったんだけどね、今でも思い出しても笑えて…あははいたたたっ!?」

梓「今度はなに!?」

純「いや…笑ったら腹筋が……」

純「あっ、いたっ!? つった!! 腹筋つった!!」

ボシャンッ

純「あっ、サイダーこぼした!? いたたたっ!!」

梓「……一人でなにやってるの」

純「見てないで……助けて……」

梓「助けてって言われても」

憂「純ちゃんファイト!」

純「……ム……リ」ガクッ

梓「なんか今日の純ほんとに気の毒だよね。見てて辛い」

憂「後でアイスでも買ってあげよっか?」

純「ほんと!? 私チョコミントね!」ガバッ

憂「よかった、元気になって」

梓「憂……甘やかしちゃダメだって」


##12 おわり
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/12(日) 03:28:02.20 ID:/UHen/V2o
久しぶりすぎてどうなんだろう


>>526
スミーレは見た目だけならけいおんで一番好き
二人とも可愛いから機会があればこのSSに出したいです
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 11:36:51.89 ID:p11BYYwlo

相変わらず純ちゃんが可愛い
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/12(日) 19:38:28.21 ID:iC+gsoKAO

本物だー!良かったーー!!
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/12(日) 22:43:40.40 ID:PYd5lQSAO
今夜はいい夢が見れそうだぜ。
明日は腹筋が筋肉痛だな…
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/12(日) 22:51:20.31 ID:LM92V/oAO
スミーレやおくおくの登場も期待できるのか…?
とにかくこれからも頑張って!
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/13(月) 07:50:15.73 ID:71UKoWjRo
>>1よ、ブルジャワって何?ニヤニヤ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/13(月) 07:50:55.60 ID:71UKoWjRo
>>1よ、ブルジャワって何?ニヤニヤ
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 12:57:51.84 ID:tttqTugIO
>>556,557
半年ROMってろ
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/13(月) 16:10:38.55 ID:rSFBehgho
乙ブルジャワ
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:04:16.03 ID:129Sy0e8o
##13


純「今年の文化祭は喫茶店かぁー」

憂「楽しみだねー」

純「んー…なんか別なのがよかったかな。飲食店って他のクラスも結構やってそうだし」

梓「じゃあ何がよかった?」

純「……まぁ喫茶店もいっか」

梓「思いつかなかったか」

純「だって急に言われても」

憂「そういえば、今年は人手が足りなそうだね」

純「部活とかで駆り出される子もいるからしょうがないよ」

憂「なんか当日までドタバタしそう」

純「お祭りに参加するのはいいけどさ、準備が大変なんだよね」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:05:07.99 ID:129Sy0e8o
純「おまけにテスト期間もあるし、この時期は忙しいなぁ…」

憂「でもそういうのも楽しそうじゃない?」

純「うーん、私もスイッチが入ればなんでもばばーっとこなせちゃうんだけどね。やればできる子だから」

梓「で、今はやらないの?」

純「今は…やる気スイッチが見つからない」

梓「やる気スイッチか……そんなのあるんだったら部活の先輩達に押してあげたい」

梓(いつまでも先輩達のペースに巻き込まれていたら私までダメになってしまう……というか最近本格的にダメになってきてるような)

純「なに悩んでんの?」

梓「え? あ…ううん、別に」

純「あっ、そろそろ時間だから行ってくるね」

憂「うん、いってらっしゃい」

梓「……私も早く行かないと」
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:06:40.92 ID:129Sy0e8o
――ジャズ研 部室

純「こんちわー」

先輩B「うーむ……」

純「あれ、どうしたんですかセンパイまで悩んで」

先輩A「文化祭でやる部活の出し物を考えてるの。なかなか決まらなくて」

純「え? ライブやらないんですか」

先輩B「今年はね。それよりもお金が必要だし〜」

純「お金?」

先輩B「機材とかさ、壊れたりして不足してるのがあるんだよ〜。それに本格的にウッドベースとかも置いておきたいし」

先輩B「そんで先生に聞いてみたら文化祭での売上金の一部は部費に足せるみたいだから、ならやろうって思ってね〜」

純「へー」

先輩B「そして肝心の出し物なんだけど…何がいいかな〜」

先輩C「ジャズ喫茶でいいだろ」

先輩B「ありきたりすぎ、喫茶店なんてどこでもやってんじゃん〜」

先輩B「純のクラスはなにやるの?」

純「喫茶店です」

先輩B「ほら」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:07:13.57 ID:129Sy0e8o
先輩B「やっぱね、他とは違うお店をやってお客を集めないと」

先輩C「ジャズの時点で十分他と差別化できてると思うぞ」

純「あのー」

先輩B「ん?」

純「ジャズ喫茶ってどういうお店なんですか?」

先輩B「んー、簡単に言えば音楽聞きながらコーヒー飲むお店」

先輩A「生演奏とかすればけっこう盛り上がるかもね」

先輩C「よし、決まりだな」

先輩B「えぇー…ほんとにいいの〜?」

先輩C「まだ何かあるのか?」

先輩B「ん〜〜……ジャズお化け屋敷とかは?」

先輩C「適当なことを言うな!」

先輩B「…じゃあしょうがない、それでいいよ。ジャズ喫茶わたしも賛成」

564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:08:04.70 ID:129Sy0e8o
先輩B「やるならきっちりやろっか、さっき言ってた生演奏も」

純「生演奏……」

先輩B「どうせならローテーション組んで部員全員が演奏できるようにしようよ」

純「それって私もやれるってことですか?」

先輩C「人前で演奏するのに慣れておいて方が良いだろ」

先輩B「みんなのスケジュールと…曲目も考えないとね〜。歌も歌ってみる?」

純「いやー、人前で歌うのはちょっと」ニヘラ

先輩B「いや、歌うのは純じゃないから」

純「あれ!?」

先輩B「ていうか純って歌えるの?」

純「そこそこ歌えますよ、そこそこ」

先輩B「ほんとに?」

純「ほんとです!」

先輩B「……本当に?」

純「なんで二回も聞くんですか」
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:08:37.18 ID:129Sy0e8o
先輩C「で、歌うのか?」

先輩A「私?」

先輩C「歌えるのはお前ぐらいだろ」

純「センパイって歌上手いんですか?」

先輩B「上手いよ〜、すごく。一回歌ってみてよ〜」

先輩A「きゅ、急には恥ずかしいって」

先輩B「聞きたいよね?」

純「はい!」

先輩B「ではどうぞ」

先輩A「えぇ〜……もう、一回だけだからね」

♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪

純「……」ポカーン

先輩A「ど、どう?」

純「上手い! 上手いですよ! 歌だけでお金取れますって!!」

先輩A「そ、そこまでかな…」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:09:25.75 ID:129Sy0e8o
先輩B「じゃあ歌は決定ってことで〜」

先輩A「……本当にやるの?」

先輩B「お金のためだから、ね」

先輩A「はぁ……」

先輩B「純も歌ってみるかい?」

純「えっ、私も?」

先輩B「そこそこ歌えるんだったら、ボーカルデビューできるかもね〜」

純(ボーカルデビュー…!!)

純「じゃ、じゃあ一曲だけ」

先輩B「はい、どぞ」

♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪

先輩B「……」

純「ど、どうでしたか?」

先輩C「まぁ…その……がんばれ」

先輩B「うん」

純「あれ?」

567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:10:46.01 ID:129Sy0e8o
先輩B「そんじゃ大まかなこともバンバン決めちゃいましょうか」

純「あの、私の歌は?」

先輩A「メニューはどうしよう」

純「あの、歌は!?」

先輩C「お前の取り柄は歌だけじゃないさ」

純「えぇー……」

先輩B「メニューか…コーヒーとジュースと」

先輩A「なにか甘いものは?」

先輩C「甘いものか……」

先輩B「あっ、甘いもので思い出したけどさ〜、この前のマラソン大会最悪だったよね」

純「なんでマラソン大会が出てくるんですか」

先輩B「ほらあれがあったじゃん、おしるこ」

純「あー、ありましたね」

先輩B「あんなにマズイおしるこは初めてだったナ〜」

先輩A「そんなにまずかったっけ?」
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:12:45.03 ID:129Sy0e8o
先輩B「だってさぁ〜、暑さも残った時期に4〜5q走らされて疲れた後に出されるのがおしるこだよ?」

先輩B「食べたくないって。カキ氷出せよって」

先輩A「まぁ…おしるこはね、正直微妙だった気もするけど」

先輩B「学校側は絶対にわたし達のこと馬鹿にしてるよ〜、なんだよおしるこって〜。しかも私の順位下から5番目だったし」

先輩C「それはお前の足が遅いからだろ」

純「私はけっこう食べれましたけど、おしるこ」

先輩C「私もな」

先輩B「えっ、うそ〜」

先輩C「いいか、おしるこっていうのは糖分と塩分、炭水化物とたんぱく質が一気に摂れるから最適なんだ」

先輩C「汗で身体が冷えるのも防げるしな」

純「そうですよ!」

先輩C「そうですよって、お前はよく分かってないだろ」

純「あはは」
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:13:50.70 ID:129Sy0e8o
先輩B「う〜ん〜……いや、おしるこは認めない」

先輩B「ていうか〜二人は甘いもん好きなだけでしょ?」

先輩C「私は理に適ってるって言ってるだけだ」

純「そうそう!」

先輩B「じゃあ質問するけどさ〜、アイスクリーム好き?」

先輩C「まぁ…好きな方だけど」

純「好きですよ」

先輩B「ケーキは?」

先輩C「嫌いなやつなんていないだろ」

純「好きですね」

先輩B「じゃあ茶碗蒸しは?」

先輩C「茶碗蒸し? 好きってほどでも……」

純「昔プリンと間違えたことあったっけ……あんまり好きでもないですね」

先輩B「プリンは好きなの?」

純・先輩C「好き」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:16:13.29 ID:129Sy0e8o
先輩B「ミートソースのスパゲッティは?」

先輩C「好きだ」

純「はい、好きです」

先輩B「焼き魚は?」

先輩C「嫌いではないけど、好きでもない」

純「不味くはないけど食べづらいから微妙かな」

先輩B「ハンバーグは?」

先輩C「好き」

純「美味しいですもんね」

先輩B「じゃあそのハンバーグの上に目玉焼きが乗ってたら嬉しい?」

先輩C「嬉しいに決まってるだろ」

純「まぁ乗ってた方がいいですよね」

先輩B「ほら、舌が子供だからおしるこも食べれたんだって」

先輩C「どういう理屈だ!?」

先輩B「どうせ甘かったりソースがかかってたりしてりゃ何でもよかったんでしょ?」

先輩C「馬鹿にするな!!」

純「うーん、そう言われてしまうと…」

先輩C「納得するな!!」
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:16:47.94 ID:129Sy0e8o
先輩A「二人とも大味なものが好きそうだしね」

先輩B「道端にコーヒーとコーラが落ちてたらどっち飲む?」

先輩C「コーラ」

純「私も」

先輩B「やっぱり」

純「べ、別にコーラは子供っぽくないじゃないですか。アメリカじゃお年寄りだって毎日飲んでますよ、たぶん」

先輩C「そうだ、コーラは子供だけの飲み物じゃないぞ!」

先輩B「いや、道端に落ちてるもん拾って飲む時点で子供だって」

先輩C「お前が道端を指定したからだろ!?」
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:18:39.79 ID:129Sy0e8o
先輩A「話は戻さなくていいの?」

先輩B「ん? あ〜…メニューの話だっけ」

先輩B「飲み物と甘いものは…小洒落たケーキでも。あと何かある?」

先輩A「ジャズ研のオリジナルメニューってのはどう?」

先輩B「いいね〜、ジャズ研サンドイッチでも作る?」

純「ジャズ研ドーナッツとか」

先輩C「じゃあジャズ研クレープを推す」

先輩A「うーん…ケーキがあるから甘いものじゃないほうがいいんじゃない?」

純「なら…ジャズ研お寿司とかは」

先輩C「喫茶店だぞ」

先輩B「お寿司か〜…お寿司食べたいな〜。中トロとか」

先輩C「話をそらすな!!」

先輩B「ていうかジャズ研クレープって…やっぱり甘いものが好きなだけでしょ?」

先輩C「ぐぬぬ……」

ガチャッ

後輩c「こんにちわ」

純「あっ、もうそろそろ練習の時間ですね」

先輩B「んじゃ〜、部活終わった後にまたってことで」

後輩c「?」
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:19:12.50 ID:129Sy0e8o
・・・・・

後輩c「ジャズ喫茶ですか?」

純「そうそう、なにか良いメニュー案ある?」

後輩c「うーんと……パフェとかあればいいなぁと思います」

純「パフェか……ひょっとしてにミートソースのスパゲッティは好き?」

後輩c「え? 好きですけど」

純「ハンバーグは?」

後輩c「大好きです」

純「じゃあそのハンバーグの上に目玉焼きとか乗ってると嬉しい?」

後輩c「はい、とっても嬉しいです」

純「うんうんなるほどなるほど、こっち側の人間だね」

後輩c「へ?」
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:20:04.82 ID:129Sy0e8o
部活終了

先輩B「純〜、この後用事ある?」

純「ないですよ。なんですか?」

先輩B「さっきの話の続き、私のバイト先の喫茶店でしようってことになったの。純も来るかい?」

純「ほんとですか、行きます行きます!」

後輩c「あの……私も行っていいですか?」

先輩B「いいよいいよ〜、おいで〜」

純「そういえば喫茶店でアルバイトしてたんですよね」

先輩B「そう、だから最初ジャズ喫茶も乗り気じゃなくてさ〜」

先輩B「私としては文化祭ぐらい普段やってるバイトとは違うお店やりたかったってわけ」

純「へー、本当はなにやりたかったんですか?」

先輩B「そりゃ普通に講堂でライブか……ヨーヨー屋さん」

純「ヨーヨー屋さん?」

先輩B「ほら、お祭りの屋台でよくある水の入ったやつ」

純「あー、あれですか。……なぜに?」

先輩B「かわいいじゃん、ぷくぷくしてて」
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:20:38.81 ID:129Sy0e8o
――喫茶店

純「ほー、これが本場の喫茶店」

先輩B「何回か来てるだろ〜」

先輩A「お客さんいないね」

先輩B「いいの、いつもこんな感じだから。適当な席に座って。なんか飲む?」

純「何にしよっかな……」

先輩A「じゃあコーヒー、ブラックで」

純(さすがセンパイ…大人なチョイス)

先輩B「私もそれにしよっと」

576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:22:39.77 ID:129Sy0e8o
先輩B「他の三人は?」

後輩c「えっと……」

純(センパイ達は大人だなぁ…ブラックって何かかっこいいし)

純(私もブラックにしようかな……なんて、頼んで飲めなかったら恥ずかしい)

先輩C(素直にソフトドリンクでも頼むか。だいたいブラックのどこが美味しいんだ、かっこつけすぎだ)

純(けどこの二人の手前わたしだけドリンクを頼むとまた子供っぽいって言われそうだし……うーん、どうしよう)

純「……」

先輩C「……」

後輩c「う〜ん……」

純(たぶんこっちの二人はブラックを飲めない)

先輩C(恐らく適当なソフトドリンクだろう)

先輩B「……」

先輩C(そして私も二人に便乗してドリンクを頼めばこいつに子供舌なんて馬鹿にされることもないはず)

純(だって五人中三人がドリンクを選べばドリンクは多数派。多数派は絶対。ドリンクを選ぶことが正しいのなら何も恥ずかしがることはないし)

純(コーラでも頼んじゃおっと)

先輩C(そもそもドリンクを頼むことは子供っぽくないんだ。考えすぎだぞ私。アイスが乗ったメロンソーダでも頼むか)

後輩c「じゃあ私もブラックでお願いします」

純・先輩C(なんでそうなる!!)

577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:24:00.82 ID:129Sy0e8o
先輩B「ほい、ブラック三人ね」

純(く、覆った……ドリンク五人中三人の予定が五人中二人に減っちゃった!?)

純「あれ、えっと〜……ブラック飲めるの?」

後輩c「あ、はい。飲めますけど」

純(あっさり返事した…普段飲んでるよこれ。この子はこっち側の人間だと思ってたのに〜!!)

先輩C(一年までブラックなんて……まずい、メロンソーダーなんて頼んでる場合じゃない。私もブラックにしないと先輩としての威厳が……)

先輩B「二人は何にすんの?」

純「……」

先輩C「……」

先輩C(また子供舌なんて馬鹿にされるのか……いや、純という仲間がいることがせめてもの救いだ)

先輩C(二人で頼めば恥ずかしさも半減。赤信号、みんなで渡れば何とやら……)

純「私もブラックで」

先輩C「なっ――」

先輩C(何でだ!! なんでお前がそれを頼むんだ!?)

純(つい頼んじゃった……)
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:24:38.26 ID:129Sy0e8o
先輩C「……」

先輩B「純もブラックね〜」

先輩C「……私もブラック」

先輩B「えっ……ていうか二人とも飲めるの?」

先輩C(純までブラックを頼んだんだからしょうがないだろ……)

純(さすがにブラック頼まないと恥ずかしい感じの空気だし……)

先輩C「わ、わたし達だってお前が思ってるより子供舌じゃないんだ。そうだろ純?」

純「そ、そうですよ」

先輩B「ふーん……まぁいいけど」

先輩C(こうなったら意地でも最後まで飲みきってやる……!!)

純(なぜかセンパイが熱い……)

579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:25:56.57 ID:129Sy0e8o
・・・・・

先輩B「そんじゃ具体案でも決めていこっか」ゴクゴク

先輩A「オリジナルメニューのことなんだけど」ゴクゴク

後輩c「……」ゴクゴク

純「うっ……ぐっ……」ゴクッ

先輩C「くっ……うぅ……」ゴクッ

先輩B「……」

純「コ…コーヒーの豆の香りが…なんか……い、良い感じ…ですね」

先輩C「ま……まぁまぁ美味い…な……。ご、合格点…だ……」

先輩B「あのさ〜、砂糖とかミルク入れても良いんだよ? 二人とも死にそうな顔してんじゃん」

先輩C「ば…馬鹿にするな。わたし達は大人な舌を持つ……」

先輩C(そう…こうなった以上、意地でも引き下がるわけには)

純「すみません、砂糖5個ぐらいお願いします」

先輩C「また裏切るのか!?」

純「えっ」

先輩B「子供舌同盟、崩壊か」


##13 おわり
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:27:59.89 ID:129Sy0e8o
#HERO

律「澪、部室にタイガーマスクのマスクがあったんだけど着けてみない?」

澪「なんでそんなものが部室に……」

律「いーじゃんいーじゃん、着けてみなよん!」ガバッ

澪「うわっ!?」

律「おー、似合う似合う」

タイガーマスク(澪)「何するんだよ律〜……あれ?」

律「どったの?」

タイガーマスク「これ……外れないんだけど……」

紬「実はそのマスクは呪われていて、何か良い行いをしないと外せないの!」

タイガーマスク「えぇっ!? なんだその設定!! 」

律「澪も災難だなー」

タイガーマスク「お前のせいだろ!!」

律「ごめんしゃい」

紬「とにかく善行をしましょう澪ちゃん」

タイガーマスク「そ、そうだな…仕方ないか。といっても何を」

律「銀行強盗や立て篭もり犯を捕まえるってのは?」

タイガーマスク「そんなことできるわけないだろ!!」

律「心配するな澪! 今のお前は虎……虎なんだ!!」

タイガーマスク「と、トラ…?」

律「そうだ、タイガーマスクになった今のを前なら何だってできるさ。だってタイガーマスクはヒーローなんだからな!!」

タイガーマスク「タイガーマスクは……ヒーロー…」

・・・・・

唯「困ったなぁ……」

タイガーマスク「お困りのようだな!!」

唯「えっ」

タイガーマスク「困っていることがあれば私が解決してあげよう! さぁ、何を困ってるんだい! さぁ!!」

唯「澪…ちゃん?」

タイガーマスク「澪ちゃんじゃない、タイガーマスクだ!」

唯「でも……」

タイガーマスク「タイガーマスク!!」

唯「た、タイガーマスク…?」

タイガーマスク「そうだ、私はタイガーマスクだ!」

律(澪のやつ、すっかりタイガーマスクになりきってるな)

紬(タイガーマスクの魂が憑依したのかしら)

タイガーマスク「それで、どうして困ってるんだい?」

唯「かばんの上に毛虫が乗ってるの。追い払ってタイガーマスク」

タイガーマスク「それはムリ」

律(中身はやっぱり澪だったか)


#HERO おわり
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:30:52.30 ID:129Sy0e8o
#Iのため

先輩B「情けは人のためならずって諺あるじゃん?」

先輩B「あれって人に情けをかけることはその人のためにならないって意味じゃないって知ってた?」

純「へー、本当はどういう意味なんですか」

先輩B「そうだねぇ〜、例えば……」

先輩A「あっ、お財布忘れちゃった……」

先輩B「なら私がお金を貸してあげよう」

先輩A「ありがとう、これでパンが買えるわ」

先輩C「はぁ…お腹すいた」

先輩A「じゃあこのパン半分食べる?」

先輩C「助かった。これで元気が出たぞ、少し身体を動かすか!」

先輩C「というわけだ純、一緒に町内を一周するぞ」

純「何でですか!?」

先輩C「お前は最近たるんでる、だから鍛える必要があるんだ!」

純「そんな〜!!」

・・・・・

先輩C「ランニングをしてたらキーホルダーを拾った。これお前が失くしたとか言ってたやつじゃないか?」

先輩B「見つけてくれたの? さんきゅ〜! これずっと探してたんだよね〜」

純「ぜぇー…ぜぇー……」

先輩B「つまり情けは人のためならずって諺の意味は、人への親切はいつか自分のためになるってこと」

純「私が走る意味あったんですか……」


#Iのため おわり
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:33:39.85 ID:129Sy0e8o
#Jの世界

紬「琴吹グループで次元転送装置を作ったの。ちょっと試験運転を手伝ってくれないかしら」

菫「かしこまりました、紬お嬢様」

紬「ではスイッチを…ぽちっとな」

ギュィィイイイイインッ!!

菫「きゃあああああああ!!」

シュンッ――――

菫「…――う、う〜ん」

菫「ここは……あれ? 桜ヶ丘高校?」

菫(なんでこんな所に……)

純「大丈夫?」

菫「え!? あ、はい!!」

菫(あれ…この人……)

純「よかった、廊下で倒れてたからビックリしちゃったよ」

同級生「純、早くしないとジャズ研の練習始まっちゃうよー!」

菫(ジャズ……けん?)

純「今行くって。じゃあね」

菫(おかしい…軽音部じゃなくてジャズ研って……)

菫「はっ、そっか! ここは別次元の世界……だから先輩は軽音部じゃなくてジャズ研に入っているんだ」

菫「やりましたよ紬お嬢様! 実験は大成功です!!」

菫「……」

菫(でもどうやったら元の世界に戻れるんだろう)


#Jの世界 おわり
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 12:37:12.74 ID:129Sy0e8o
今回はここまで
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 19:37:12.16 ID:2CCKsA+Uo
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/17(金) 19:46:46.25 ID:pvQH1pPPo
スミーレは異次元(未来?)から来たのか
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/17(金) 23:08:37.75 ID:129Sy0e8o
>>585
アルファベットネタは細かいこと気にしないでいいです
何も考えずに書いてるんで
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/17(金) 23:25:35.54 ID:lXgcgWtAO
先輩Cが可愛かった。
もちろん純も可愛かった。

>>1
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/18(土) 00:47:43.74 ID:BKink8SAO

相変わらずのジャズ研メンバーの可愛さよ
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/06/18(土) 01:14:49.72 ID:SMcdhpXAO

ってか唯達がいなかったら先輩Bはマラソン最下位だったのか
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 02:54:04.16 ID:vXAYR0yIO
乙!久しぶりに後輩cがきたー
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 01:44:09.24 ID:ie2AWeyDo
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:52:08.97 ID:MMl5JRg/o
##14

純「すいません、買い物に付き合ってもらって」

先輩A「いいのいいの。欲しいもの、見つかってよかったね」

純「助かりました、ありがとうございます」

先輩A「ところでそれ、何に使うの?」

純「これはですね…」

ぽつ……ぽつ……

純「あれ?」

先輩A「雨…かな。いきなりくるかも」

――…ザァァアアーー

純「わっ!? ほんとにいきなり降ってきた!!」

先輩A「と、とりあえずあっちで雨宿りしないと」
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:52:45.12 ID:MMl5JRg/o
ザァァアアー

純「うわー…本降りだ」

先輩A「天気予報は晴れって言ってたんだけどね」

純「天気予報なんて全然当たらないんだからあんなの意味ないですよ」

先輩A「本当よね」

純「考えてみれば、こんなに文明が発達してるのに天気一つも当てられないなんておかしいと思いませんか?」

先輩A「そうねぇ…自然には勝てないってことかしら?」

純「情けないなぁ、人間。……それよりどうしよう、こんな大降りで」

純「これじゃあ帰りはずぶ濡れ……」

先輩A「泊まろっか」

純「……え? どこにですか?」
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:53:14.53 ID:MMl5JRg/o
先輩A「今連絡入れるから、ちょっと待ってて」

純「はぁ……?」

プルルル、プルルル

先輩A「あっ、もしもし。いきなりごめんね、今近くまで来てるんだけど…」

純(どこだなんだろ。センパイのことだから怪しい所じゃないと思うけど……)

先輩A「うん、分かった待ってる。ありがとね、じゃ」ピッ

先輩A「今むかえに来るって」

純「誰がですか」

先輩A「純ちゃんもよく知ってる人」

純「私も? えーっと……?」

純「とりあえずその人の家に行くってことで?」

先輩A「うん、そう」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:53:54.62 ID:MMl5JRg/o
純(私の知ってる人……誰?)

先輩A「家がちょうど近くでよかった」

先輩A「……あっ、純ちゃんの方は不都合ある?」

純「私の方は後で親に連絡しておけば大丈夫ですけど」

先輩A「そっか、よかった。純ちゃんも泊まってくれればきっと喜ぶわよ」

純「……で、誰の家に行くんですか?」

先輩A「うーん……秘密、来てからのお楽しみ」

純「えー、教えてくださいよぉ」

先輩A「それより雨、すごいね」

ザァァアアー

純「うわ……どしゃ降り。髪がしおしおになる……」

先輩A「こんなことなら折り畳み傘でも持ってくればよかったかな」

純「で、どこに行くんですか?」

先輩A「やっぱり気になる?」

純「そりゃ気になりますって」
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:54:22.61 ID:MMl5JRg/o
先輩A「じゃあね……ヒントは女の人」

純「女の人……うーん」

先輩A「分かった?」

純「分かりませんよ。女の人はいっぱいいるじゃないですか」

先輩A「じゃあヒントその2は……その人は胸が大きい」

純「胸!?」

先輩A「胸」

純「えぇっと……グラビアアイドルの誰か?」

先輩A「そこまで有名じゃないかな」

純「もぉー、分かんないですよ」

先輩B「ヒントその3、とっても優しくて強いジャズ研の部長です」

純「優しくて強い…? って、部長!?」

先輩B「むかえにきたよ〜」

先輩A「ありがと」
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:56:08.14 ID:MMl5JRg/o
純「なんだ…家って部長の家だったんだ。ていうか来るの早いですね」

先輩A「すぐ近くだしね」

純「それより優しくて強いって……」

先輩B「優しくて強いだろ〜? 私。はい傘」

純「あっ、どもです」

純(強い…?)

先輩A「家、大丈夫?」

先輩B「へーきへーき」

純(センパイの家に行くのかー……なんか友達と違って緊張する)

先輩B「途中スーパーに寄ろっか」

先輩A「うん、わかった」
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:56:45.48 ID:MMl5JRg/o
――B家

先輩B「はい到着〜」

純「……」

純(アパート住み!? しかもちっちゃ!!)

純(なんか…意外な所に住んでた……)

先輩B「今ちっちゃくてボロいとこ住んでると思った?」

純「えっ、いやボロいとは思っていな……」

先輩B「じゃあちっちゃいとは思ったのか〜」

純「あっ、いやー、えっとぉ……あははー」

先輩B「ま、実際そうだからいいけど」

先輩A「でも私は独り暮らしする分にはちょうどいい所だと思うけどなぁ、ここ」
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:57:13.94 ID:MMl5JRg/o
純「えっ、部長って独り暮らしだったんですか?」

先輩B「あれ、言ってなかったっけ」

純「言ってないですよ」

先輩B「そっか、まぁいいじゃんそんな細かいこと」

純「そりゃぁ……そうですね」

先輩B「はい、あがってあがって。いつまでも外にいたら風邪ひくよ〜」

先輩A「お邪魔しまーす」

純「お、お邪魔します」
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:57:46.86 ID:MMl5JRg/o
先輩B「飲み物、お茶でいい?」

先輩A「うん、ありがと」

純(ここがセンパイの家……なんか色んなものが置いてある)

純(ぬいぐるみとか……仏像……)

純(仏像? なぜ仏像?)

先輩B「さっきから棚をジ〜〜ッと見て、なんか欲しいものでもある?」

純「あ、いえ。なんでもないです」

先輩B「はい、お茶」

純「センパイの家って、意外と綺麗ですね」

先輩B「意外とかい」
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:58:48.63 ID:MMl5JRg/o
・・・・・

ザアァァアア

先輩B「雨ひどいなぁ〜、洗濯物ほさなくてよかった」

純「独り暮らしってことは…家事とかも全部一人でやってるんですか?」

先輩B「いや、メイドさん雇ってやらせてる」

純「えっ!?」

先輩B「嘘だけどね」

純「なんでそんな嘘つくんですか…」

先輩B「とりあえず夕飯でも食べよっか。私たちはカレー食べるけど、純はキュウリでいいよね?」

純「よくないですよ!? 河童じゃないんですから!」

先輩A「料理作るから手伝ってー」

先輩B「はいよ〜」

純「キュウリだけはいやですよ」

先輩B「わかってるわかってる」
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 16:59:43.87 ID:MMl5JRg/o
・・・・・

TV『今日降り出した雨は、明日の午前中まで……』

純「ごちそーさまでした」

先輩A「お皿そこに置いといていいよ。あとで洗うから」

純「はーい」

先輩A「お茶、淹れるね」

先輩B「かあさ〜ん、わしにも温かいお茶を〜」

先輩A「はいはい」

純「センパイってよく泊まってるんですか?」

先輩A「たまにね、いつもの三人で」

純「へー」

先輩A「純ちゃんは泊まったりしないの? 友達の家」

純「一回…だけですね。確か三年が修学旅行のときに」

先輩A「そっか。楽しいよね、友達の家に泊まるのって」

先輩B「……食べたら眠い。やっぱコーヒー淹れて〜」

先輩A「はーい」
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:00:19.44 ID:MMl5JRg/o
先輩B「……」ボケー

純「センパイセンパイ」

先輩B「ん〜?」

純「この写真の人って、センパイのお父さんですか?」

先輩B「そうだよ〜。お父さんと、お姉ちゃん」

純「へ〜…お姉ちゃんいたんですか」

先輩B「いるんですよ」

純「あっ、そうだ。センパイの卒アルとか見せてくださいよ」

先輩B「いいけど〜…どこ置いたかな〜卒アル」

先輩B「ちょいと待ってて」ガサゴソ
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:01:29.71 ID:MMl5JRg/o
・・・・・

先輩B「これは…違う。これも……違うなぁ」ガサゴソ

純「あ、あの…やっぱいいです。また今度で」

純(部屋すごい散らかってきたし)

先輩B「そう〜?」

先輩A「お待たせ…ってなんでこんな散らかって!?」

先輩B「卒アル探してたら散らかったアル」

先輩A「もーなにしてるの。ほら、片付けるの手伝うから」

先輩B「すまないね〜、かあさん」

純「……あれ? これなんですか?」

先輩B「どれ?」

純「ほら、この……箱?」

先輩B「……なんだろ」

純「なにか入ってますね」

先輩B「ん〜……」ガサガサ

先輩B「開けてみよっか。気になるし」
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:02:27.57 ID:MMl5JRg/o
先輩B「んっ…くっ……!」ギギッ

先輩B「ダメだ〜、固くて開かない。純やってみて」

純「よっ……ぐぐっ……」ギギギッ

純「ぷはぁー! ……ムリです全然」

先輩A「どうしたの?」

先輩B「これ、開けられる?」

先輩A「なんの箱?」

先輩B「なんかの箱。開けてみてよ」

先輩A「なんかの箱ねぇ……んーっ!!」ギギギッ

先輩A「……だめ、開かない」

純「ここまでしても頑なに開かないとなると……なにか貴重なものでも入ってるとか?」

先輩B「そんなもんうちにはないと思うんだけどな〜」
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:03:21.20 ID:MMl5JRg/o
先輩B「ハンマーで叩き割ってみる? ハンマーあったけ?」

先輩A「なかったと思う」

純「うーん、なにが入ってるか気になるなぁ」ガサガサ

先輩B「もし開いたら中身は純にあげるよ」

純「ほんとですか? お金とかでも?」

先輩B「お金だったら山分け」

純「山分け…まぁいいや、とにかく開けてみないことには」

純「くぅぅ〜〜っ!!」ギギギッ

先輩B「力入れすぎて顔真っ赤になってるな」

先輩A「タコさんみたい」

純「どんだけ固いのこれー!」

先輩A「私も手伝うね、純ちゃん」

純「セ、センパイ」

先輩A「せーのでひっぱるから、いくわよ? せー……」

純「のっ!!」

先輩A「もう一回! せー……のっ!!」」

カパッ

純「開いた!!」
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:04:22.01 ID:MMl5JRg/o
先輩B「お〜」

先輩A「はぁ…やっと開いた。何が入ってるの?」

純「えーっと、手紙です」

先輩B「手紙?」

純「はい」

先輩A「なんて書いてある?」

純「えー……と」

『ばーか』

純「……」

先輩A「……」

先輩B「……」
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:05:27.97 ID:MMl5JRg/o
純「なんか…すごい腹立つんですけど」

先輩B「これは確か…わざと開けづらいように作ったイタズラ道具の一つかな」

先輩A「イタズラっていうか、悪質ないやがらせよ」

純「苦労して開けたのに……」

先輩A「もー、こんなの捨てちゃうからね?」

先輩B「箱は残しておいて、使えそうだから」

純「うーん……」ゴロゴロ

純「あっ、この棚CDいっぱい入ってる」

純「センパイも音楽好きなんですねー。ほとんど知らないミュージシャンだ」

先輩B「まぁそれぐらいはね〜」

先輩A「はい、片付けおわり。あとはお皿を洗って……」

ピピッ

先輩A「あっ、お風呂沸いたみたいだから先に入っちゃって」

先輩B「……まるで本物のお母さんダナ」

純「手際いいですよね」

先輩B「そんで私が娘だとすると……純はペットか」

純「ペット!?」
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:06:24.43 ID:MMl5JRg/o

先輩B「さーてーと、お風呂行ってきていいよ」

純「あっ、わたし最後でいいです。部長お先にどうぞ」

先輩B「そう? そんじゃあ悪いけど…」

先輩B「私のタオルと下着は〜?」

先輩A「そこに置いてあるでしょー?」

先輩B「は〜い」

純(あれで本当に独り暮らししてるのかな……)

先輩A「洗い物洗い物…」トテトテ

純「……」

純(私もやった方がいいかな……センパイばかりに仕事させるのも悪いし)

ジャー

先輩A「ふぅ…」

純「手伝います、センパイ」

先輩A「ありがとう、純ちゃん」
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:08:09.14 ID:MMl5JRg/o
ジャー

純「センパイ」

先輩A「なぁに?」

純「部長って普段はいつもあんな感じなんですか?」

先輩A「あんな感じって?」

純「なんていうか、だらーっしてるっていうか」

先輩A「うーん……そうね、あんな感じよ。そういえば一年の頃からずっとそうね」

純「ブレてないんですね部長って」

先輩A「先輩も注意してたりしたけど、よく煙に巻いたりしてたっけ」

純「あはは、私が一年のときもそういうのありましたね」

先輩A「……あっ、でも一年の頃は少し周りに壁を作ってる感じがしたかな」

先輩A「それがだんだんと緩くなっていって」
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:20:09.81 ID:MMl5JRg/o
純「壁?」

先輩A「うん、一年のときは今より少しだけ尖がってたかなぁ」

純「あの部長が?」

先輩A「別にグレてたりとかそういうわけじゃないのよ? まぁ…ちょっと距離を置かれてたって気はしてたかも」

純「へー……」

先輩A「そういえばあの子、二年生に進級するときにこんなこと言ってたのよ?」

先輩A「『後輩が来るのイヤだな』って」

純「えっ…」

先輩A「不安だったのかもね。自分は本当は甘えん坊で妹気質だから、後輩の面倒なんてみれないと思って」

純「……」

先輩A「だからそんなあの子が部長をやるって聞いたときは、驚いちゃった」

先輩A「でも、たまに『やっぱり自分は部長に向いてない』とか弱音を吐いたりもするんだけどね」

純「なんか、意外……」

純「……」

純「センパイ」

先輩A「うん?」

純「部長は…今はわたし達のことどう思ってるんでしょう」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:23:22.40 ID:MMl5JRg/o

先輩A「……」

純「部長ってわたし達二年や一年に優しいですけど……本当は面倒だって思われてた…り?」

先輩A「うーん……」

純「……」

先輩A「……やっぱり不安なんじゃない?」

純「え?」

先輩A「純ちゃんが今感じてるように、あの子も…私も不安になる時もあるわ」

先輩A「自分がどう思われてるのか……あの人にとって自分はどういう存在なのか、考えると辛くなる」

純「……」

先輩A「その相手が特に可愛い可愛い後輩だったら、ね」

純(可愛い…後輩……)

ジャー……キュッ

先輩A「洗い物おわりっ。少しくつろいでよっか」

純「あっ、はい」

純(私って――…)

純「……」

先輩A「本当はね、今とっても嬉しいはずよ。純ちゃんが泊まりに来てくれて」

純「……」

純(私って…結構大切にされてる?)
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:24:10.39 ID:MMl5JRg/o

・・・・・

先輩B「お風呂上がったよ〜」

先輩A「はーい。じゃあ私入りに行くね」

先輩B「はいは〜い」

純「……」ジーッ

先輩B「どうした〜? こっち見つめて」

純「コホン……部長、肩揉みます」

先輩B「なに、急に。気持ち悪いよ」

純「いいじゃないですかー、お疲れでしょうに」

先輩B「疲れてないしなんだよその喋り方〜」

純「なんでも言ってくださいね! 何でも言うこと聞きますから!」

先輩B「えっ、ちょ、ほんとにどうしたの」

純「私、ジャズ研大好きです! ジャズ研最高!!」

先輩B(こりゃいよいよ頭がおかしくなってる……)

614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:25:09.63 ID:MMl5JRg/o
・・・・・

先輩B「とまぁ、そんなことがあって〜」

先輩A「へー」

純「ぐぅ……ぐぅ……」

先輩B「なんかテンションおかしかたっよ、純」

先輩A「センパイの家に泊まれて興奮してたんじゃない?」

先輩B「なんじゃそりゃ」

純「ぐぅ……ムニャムニャ……」

先輩B「……」

先輩A「よかったね」

先輩B「なにが?」

先輩A「なんでもなーい」

先輩B「なんだよ〜、言ってよ〜」


―――――――――
――――――
―――
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:25:45.16 ID:MMl5JRg/o
月曜日

梓「まったく唯先輩も律先輩も遊んでばっかだし」

梓「そろそろ文化祭の練習に身を入れなきゃいけない時期なのにー!」

憂「大変だね〜」

梓「私がいくら注意しても聞かないし……私のことどう思ってるんだろう」

純「大切に思ってるに決まってるじゃない!」

梓「……え?」

憂「純ちゃん?」

純「後輩のことを大切に思わない先輩なんていないのよ! ましてやそれが、たった一人の後輩だとしたら!」

純「そう、軽音部の人たちも梓のことを大切に思ってるはず!!」

梓「純…どうしたの?」

純「梓、わたし達って幸せ者だね! うんうん!!」

梓「う、憂…今日の純は一体……?」

憂「さぁ……?」

616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/23(木) 17:26:57.36 ID:MMl5JRg/o
キーンコーンカーンコーン

先輩C(今日もゴールデンチョコパンを確保できたな)

先輩C(さらに朝コンビニで買ってきた期間限定メロンパンも加えたら……ふふふ、なんて充実したデザートなんだ)

先輩C「もどったぞ」

先輩B「おかえり〜」

先輩A「相変わらず早いのね」

先輩C「まぁな……ん? この箱は?」

先輩B「その中にメロンパン入ってるよ〜」

先輩C「? なんでそんなこと…」ガチッ

先輩C「ん?」

ギギギッ

先輩C「なんだこの箱!? 固いぞ!!」

ギギギギッ!!

先輩C「ど、どうなってるんだ!! これじゃあ私のメロンパンが!?」

先輩B「三秒以内にあけるにから揚げ一個」

先輩A「三秒以内にあけるにエビフライ一個」

先輩B「それじゃあ賭けにならないじゃん」

先輩A「あっ、そっか」

先輩C「おい! これは一体どういうことか説明しろ!!」カパッ

先輩A・B「あっ、開いた」


##14 おわり
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/24(金) 09:45:54.08 ID:fRXhR+PAO
来てた!!乙!!
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/25(土) 07:44:50.75 ID:gUVZNrVAO
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:04:03.37 ID:wa3SHUpzo
##15


――鈴木家

憂「それなに?」

純「これ? これはキャットポールって言って、猫が爪とぎとかして遊ぶやつ」

憂「ふーん」

「にゃー」

憂「あっ、あずにゃん2号だ」

純「勝手に変な名前つけないでよ」

憂「あずにゃん2号だもんねー」

「にゃー」
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:04:37.26 ID:wa3SHUpzo
憂「よしよし」ナデナデ

憂「ちょっと大きくなった?」

純「うん、成長期だもんね」

「にゃあ」ゴロゴロ

純「さてと、時間だし行こっか」

憂「うん。またね、あずにゃん2号」

純「だからあずにゃん2号じゃないって」

「にゃー」
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:05:20.69 ID:wa3SHUpzo
純「梓は来ないかー、残念」

憂「部活があるからしょうがないよ」

純「そっか、まぁいいや」

憂「そういえば天体観測やりたいって言ってたけど、あの話は?」

純「んー、中止」

純「ジャズ研のセンパイに聞いてみたらさ、星が見えるスポットってここからかなり遠いところにあるんだって」

純「しかも夜遅くにならないと星も見れないし、わたし達だけで行くのは無理かな」

憂「そうだったんだ」

純「せっかくそのための望遠鏡も買ったのに……」

憂「大人になったらみんなで行こうよ」

純「そうだね。ま、今日はプラネタリウムで我慢しますか」

憂「楽しみだねー」
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:05:47.66 ID:wa3SHUpzo
・・・・・

――軽音部

律「はー、流石に今日は練習したー」

紬「お疲れ様、りっちゃん」

律「最近けっこう頑張ってるよなー、わたし達」

澪「文化祭に向けてそろそろエンジンをかけないといけないしな」

梓「そうですね。まだ時間もありますしもう一度セッションでも……」

唯「お茶が飲みたいのです」

梓「……」

唯「お菓子も食べたいのです」

梓「ダメですー!!」

唯「あぅ〜…だってもう疲れたよー」

澪「まぁ十分ぐらい休憩するのはいいんじゃないか?」

梓「はぁ……十分だけですよ?」

唯「やったー! きゅうけー!」

623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:06:18.18 ID:wa3SHUpzo
唯「ん〜っ! 疲れきったあとのお菓子は美味しいー!」

律「口の周り、よごれてるぞ」

唯「おっとと」

梓「それ食べたらがんばれますか?」

唯「たぶんバッチリです!」

梓「たぶんじゃ困ります!」

梓「ただでさえ先輩たちは劇の練習とかで時間が割かれてるんだから、集中してください!」

律「唯だってそれぐらいは分かってるさ、な?」

唯「はぁ〜…今日はもう十分練習したなぁ」

律「おーい、フォローしてやってんだぞー、ヤルキダセー」

唯「イエッサー!」
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:07:18.75 ID:wa3SHUpzo
澪「劇か……考え出すだけで緊張してくる」

律「心配するな澪!」

澪「律……」

律「一年のときにライブでパンツ丸見せしたことに比べれば全然恥ずかしくないって」

澪「それは言うな!!」

紬「でも楽しみだわ、ロミオとジュリエット。そういえば梓ちゃんのクラスでは何をやるの?」

梓「喫茶店です」

唯「いいねぇ、絶対行くよあずにゃん」

梓「はい。憂も喜びますよ」

澪「今思えば、わたし達のクラスも喫茶店とかの方がまだよかったな……」

律「そんなこと言っても無駄だぞ。うちのクラスの担任を忘れたのか」

唯「誰だっけ?」

律「えっと……あれ? 誰だ?」

さわ子「私よ!!」

唯・律「冗談冗談♪」

澪「先生いつからいたんですか……」

さわ子「失礼ね、さっきからいたわよ」

625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:07:48.56 ID:wa3SHUpzo
唯「それで、喫茶店とさわちゃんがどうしたの?」

律「さわちゃんが担任なんだぞ? 絶対メイド服やら何やら着せられるじゃんか」

澪「あー……」

さわ子「あのね、クラスの出し物で私がそこまでするわけないでしょ」

さわ子「みんながやりたいって言うならやるかもしれないけど」

澪「みんなやりたくありませんって……」

唯「私はやりたいなー」

紬「私も〜」

澪「やりたい人いた!?」
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:08:28.28 ID:wa3SHUpzo
律「それでさわちゃん、なんの用? ケーキならもうないよ」

さわ子「そうじゃなくて、もうそろそろ部活の時間も終わりなんだから早く帰りの準備をしなさい」

梓「あっ……十分過ぎてた!?」

紬「あら、本当ね」

さわ子「はいはい、もう帰る」

梓「せ、先生、もう少し待ってください! あと一回セッションするだけなんで」

さわ子「もう、仕方ないわねぇ」

梓「先輩たちも早く!」

唯「これ食べてから…」

梓「後にしてください!!」

唯「あぅ〜……」

律「しょーがない、時間もないしちゃちゃっとやるか」


627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:09:04.52 ID:wa3SHUpzo
・・・・・

――帰り道

律「あー、今日も一日が終わった感じだー」

唯「お疲れ様ですりっちゃんさん」

律「あいお疲れ様です唯さん」

澪「この後は劇の練習しないとな」

律「ハァ〜…つかれる〜」

澪「ほら、わたし達はこっちだぞ律」

律「あいよ。じゃーなー」

唯「また明日ね」

紬「ばいば〜い」

梓「お疲れ様でした」

628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:09:41.97 ID:wa3SHUpzo
唯「あっ、そういえばお母さんにお使い頼まれてたんだ」

梓「おつかい?」

唯「うん、今日は憂の帰りが遅くなるから私が代わりにおつかいするんだ」

梓「へぇー……」

梓(そういえば今日は純とプラネタリウムに行くって言ってたっけ)

梓「憂がいないくて寂しくなりますね」

唯「ならあずにゃんがうちに来てくれる?」ギュッ

梓「い、行きませんって」

629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:10:24.21 ID:wa3SHUpzo
紬「唯ちゃん、私もそのおつかいについてっていい?」

唯「え? いいよ」

梓「ムギ先輩、急にどうしたんですか?」

紬「一度でいいからおつかいをしてみたかったの!」

梓(それはムギ先輩にとってのおつかいになるのだろうか……)

唯「じゃあ一緒に行こっか、ムギちゃん」

紬「うん!」

唯「あずにゃんはどうする? 一緒に来る?」

梓「私は帰ります」

唯「え〜、あずにゃんも一緒に行こうよー」

梓「遠慮します」

唯「ちぇ〜」

梓「それじゃ、失礼します。お疲れ様でした」

唯「うん。ばいばいあずにゃん」
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:10:59.19 ID:wa3SHUpzo
――中野家

梓「ただいまー」

シーン・・・

梓「……あれ?」

梓(あっ、そうだ。今日はお母さんも用事があって帰りが遅くなるんだった……)

梓「……はぁ」

梓「夕飯作ってくれたかな……」トテトテ

梓「えーっと……」

梓「……」キョロキョロ

梓「ないし……」

梓「こんなことなら唯先輩のおつかいについていけばよかったかも……」

〜♪
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:11:35.54 ID:wa3SHUpzo
梓「あっ……」

梓(憂からのメールだ)

梓「どれどれ…」

『プラネタリウムすっごくきれいだったよ。今度は梓ちゃんも一緒に行こうね!』

梓「へー……楽しそう」

梓「『うん、行こうね』」ポチポチ

梓「……あっ、そうだ」

梓「『二人はこれから何か用事ある?』っと。送信」

〜♪

梓「きた! えっと……」

『これからご飯食べに行くよ』

梓「!!」パァァ

梓「『私も、そっちに行っていい?』」

『うん、いいよ。○○駅の前で待ってるね』

梓「やった、ありがと憂。さっそく準備しよっと」

632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:12:10.02 ID:wa3SHUpzo
・・・・・

純「梓なんだって?」

憂「今こっちに向かってるって」

純「なぁんだ、結局こっちに来ることになったんだ」

憂「それにしても、プラネタリウムきれいだったね」

純「うん」

純(途中で少し寝ちゃったけど……)

憂「私も天体観測したくなったなぁ」

純「いつか行こうよ。このままじゃ買った望遠鏡ももったいないし」

憂「うん!」
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:12:55.72 ID:wa3SHUpzo
・・・・・・

ガタンゴトン、ガタンゴトン

梓(あと一駅……)

梓「……」

梓(そういえば夜の電車ってめったに乗らないからなんか新鮮)

ガタンゴトン、ガタンゴトン

梓「……」

梓(文化祭か……)

梓(今年も成功すればいいなぁ)

梓「……」
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:13:33.85 ID:wa3SHUpzo
・・・・・

梓「着いたはいいけど…憂と純どこかな」

梓「うーん……」キョロキョロ



憂「……」
純「……」



梓「あっ、いたいた。憂、純……」



「あれ、憂ちゃんと純ちゃんじゃない?」ゾロゾロ
「ほんとだー」



梓「!?」

635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:14:14.71 ID:wa3SHUpzo
憂「あっ、久しぶりー! 中学の時以来だね」

純「どうしたの、こんな所で」

「みんなで遊んでたの」

「ほら、わたし達同じ高校だし」

純「そういえばそっか」

「憂と純も遊んでたの?」

憂「うん、プラネタリウム見に行ってたの」


ワイワイガヤガヤ



梓「……」コッソリ

梓(中学の同級生かな……五、六人いる)

梓(まずい……出るタイミング失った……)
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:15:46.33 ID:wa3SHUpzo
ワイワイガヤガヤ

梓「……」

梓(行った方がいいのかな……でも今行くのは気まずい……)

梓(どうしよう、このままあの人たちが帰るまでやり過ごすか……)


ワイワイガヤガヤ


梓(けど中々離れない……)

梓「……」

梓(思い切って行ってみようかな……)

梓(こんな時、唯先輩だったら)

唯『やっほー、おまたせー』

梓(律先輩だったら)

律『今日は大勢いるな。よし、みんなでご飯食べに行こう!』

梓(トンちゃんだったら)

トンちゃん『カメェェェッー!』

梓(なんでそこでトンちゃん!? こんな時になに考えてんの私!!)
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:16:28.58 ID:wa3SHUpzo

「そういえば今日マコちんが彼氏とデートしててぇ」

純「うそっ!?」

「そうそう、おがちゃん達もこの後来るんだよ」

憂「へー、みんな集まるんだ」

「今日はなんかプチ同窓会みたいだよね」

ワイワイガヤガヤ


梓「……」

梓(なんか…入る隙がない……)

梓(中学の同級生か……みんな何してるんだろ)


ワイワイガヤガヤ


梓「……」

梓(どうしよう……)
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:17:25.21 ID:wa3SHUpzo
――――――――――――――
――――――――――
―――――



「二人は何してるの? この後ご飯食べに行くんだけど一緒に行く?」

純「ごめん、友達待ってるの。またね」

憂「そうだ。今度うちの学校で文化祭があるから来てね」

「行く行く、クラスは?」

憂「2年1組だよ」

「オッケー、絶対行くね」

「じゃあまた」ゾロゾロ

純「うん、バイバイ」

憂「じゃあねー」

純「久しぶりに会えて楽しかったね」

憂「うん、今度同窓会したいなー」

純「それにしても梓、遅いなぁ。もう着いていい頃なのに」
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:18:13.80 ID:wa3SHUpzo
憂「電話してみるね」

プルルル、プルルル

憂「もしもし梓ちゃん? いまどこ?」

憂「…そうなんだ……今着いたんだって」

純「え?」

憂「あっ、いたいた。梓ちゃーん!」

梓「ごめん、二人とも。遅れちゃった」

純「遅れすぎだって、何してたの?」

梓「え? えーと……降りる駅間違えちゃって」

純「もー、おっちょこちょいなんだから」

憂「でもよかった、何事もなくて」

梓「うん…ごめんね」

純「早く食べに行こ、もうお腹ぺこぺこ」

憂「うんっ」

梓「……ほっ」
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:18:40.05 ID:wa3SHUpzo
純「何食べに行こうかなー」

憂「そうだねぇ……」

梓「……」

純「梓、どうしたのぼーっとして」

梓「へ!? あ……ううん、なんでもないよ」

純「怪しいなー……何か隠してる?」

梓「なにも隠してないって」

純「ふーん、まぁいいけど」

憂「梓ちゃん、はいこれ」

梓「え?」

憂「プリザーブドフラワーっていうの。プラネタリウム見に行ったついでに買ったんだ」

純「梓にあげるね」
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:19:27.76 ID:wa3SHUpzo
憂「ほら、この中に星座の模様が入ってるんだよ」

梓「これ……」

純「梓に何かおみやげでも買おうって話になって二人で選んで買ったの」

純「小さいやつだけど、かわいいでしょ?」

梓「……うん」

憂「よかった、喜んでくれて」

梓「これ、大切にするね」

純「うむ、家宝にしたまえ」

憂「ふふっ、純ちゃんったら」

梓「……」

梓(コソコソ隠れて……何やってるんだろう、私)

642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:19:54.21 ID:wa3SHUpzo
梓「はぁ〜……」

純「どうしたの?」

梓「私って、情けないなぁって思って」

純「今度からは降りる駅を間違えたりしちゃダメだよ?」

梓「そうじゃなくて……ま、いっか」

純「?」

憂「あっ、あそこのファミレスに行こっか」

梓「うん」

純「よかったー、ようやくご飯だ」

梓「……ごめんね、二人とも」ボソッ
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/06/26(日) 17:20:25.17 ID:wa3SHUpzo
憂「え?」

純「ん?」

梓「ううん。…いつか三人で本物の星座、見に行きたいね」

憂「うんっ、三人で絶対に行こうね!」

純「その時は正座しながら天体観測しよっか。星座だけに!」

梓「……え?」

憂「純ちゃん?」

純「……」

梓「……」

憂「……」

純「この話は流す方向でお願いします……」

純(流れ星になりたい……流すとかけて)


##15 おわり
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/06/26(日) 20:03:31.59 ID:dd9SW3TAO
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/06/27(月) 00:50:49.33 ID:333iHhU3o
あずにゃんが俺すぎる
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/04(月) 18:54:49.02 ID:vS2K3iTyo
モツ
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:01:02.20 ID:VZMzDK/uo
##16

学園祭前日

――ジャズ研 部室

後輩a「シーツはどこに置いておけばいいですか?」

先輩B「そこら辺の端の適当な場所にたたんで置いといて」

純「センパーイ、椅子が足りません」

先輩B「う〜ん……あっ、そうだ」ピッ

プルルル、プルルル

先輩B「もっし〜、ちょっとお願いしたいことがあるんだけど」

先輩B「イス余ってる? ……そっか、ありがと〜。今後輩たち向かわせるから、じゃ」ピッ

先輩B「純、第三準備室に行ってきて。バトン部の部長さんにイス貸してもらえるよう頼んだから」

純「はい。行こっか」

後輩c「はいっ」
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:01:48.12 ID:VZMzDK/uo
――第三準備室

いちご「これ、余ってるやつ」

純「どうもありがとうございます」

後輩c「うんしょ……」

純「運べる?」

後輩c「はい、なんとか」

純「よし、じゃあ戻ろ。失礼しました」

後輩c「失礼しました」

いちご「……」

純「これぐらいあれば十分……おっとっと」フラフラ

後輩c「だ、大丈夫ですか?」

純「大丈夫大丈夫、ちょっとつまづいただけだから」

649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:02:32.17 ID:VZMzDK/uo
ワイワイワイワイ

後輩c「学校中が活気付いてますね」

純「明日は学際だからね。活気付いてるというより慌てふためいてる感じだけど」

後輩c「あの……純先輩のクラスって確か二年一組ですよね?」

純「そうだよ」

後輩c「じゃ、じゃあ純先輩のクラスのお店にも行きますね」

純「うん、来て来て。大歓迎だから」

後輩c「それで…それでですね。あの……」

純「なに?」

後輩c「よ、よかったら……その……時間が空いたときでいいんで……」

後輩c「一緒に学校回ったりとか……したいんです……けど」

純「いいよ」

後輩c「!!」

純「時間があったら一緒に回ろっか」

後輩c「は、はい!」

後輩c(わ…わわ私ってばなんて大胆なことを)

650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:03:07.19 ID:VZMzDK/uo
――ジャズ研 部室

純「戻りましたー」

先輩B「おかえり〜」

顧問「おっ、いいところに来た」

純「あれ? なんですかそれ」

顧問「喫茶店の衣装だよ」

純「わ、本格的」

後輩c「これって……」

顧問「メイド服、っていうやつ」

先輩B「ふりふり〜だ〜ね〜」
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:03:37.03 ID:VZMzDK/uo
純「これ先生が作ったんですか?」

顧問「いんや、山中先生」

先輩B「へー、あの先生が」

顧問「うちらの部活が喫茶店やるってこと話したら、衣装の話題になって」

顧問「『なんなら私が可愛いの作ってきます!』って言い出すもんだからついお願いしちゃってね」

顧問「なんかすごイキイキしてたなー、あのときの山中先生」

顧問「そういえば色んなクラスの衣装作ってるって言ってたっけ」

先輩B「ほぉ〜、すんごい出来だ」

顧問「ちゃんとお礼言うんだよ? 褒められるの好きな人なんだから」

純「でもこういうの着たらなんか違う喫茶店になるんじゃないですか?」

先輩B「言うなればジャズメイド喫茶だね」

純「なんかとりあえず詰め込んでみました感がすごいんですけど」

652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:04:03.60 ID:VZMzDK/uo
先輩B「いいじゃん、メイドに惹かれて客が集まるかもしれないし。そういえば食べ物斑は?」

後輩a「苦戦してる模様です」

先輩B「はぁ〜…じゃあそっちに手貸しに行くか」

純「あっ、私も行きます味見係として。いいですか?」

先輩B「……まぁ毒見係も必要か」

純「毒は盛らないでくださいよ」

先輩B「そんじゃ行ってくるから、後はテーブルの配置とかだけだしよろしくね〜」

「「「はーい」」」

後輩c「わ、私も……」

後輩b「ほら何やってるの、こっち手伝って」

後輩c「あっ……う、うん……」

後輩c(純先輩と一緒に行きたかった……)

653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:05:00.80 ID:VZMzDK/uo
・・・・・

先輩B「純のクラスはもう準備終わった?」

純「はい、大体は。細かいところは明日の朝に仕上げるって感じで」

先輩B「うちのクラスもギリギリなんだよね〜。まぁ聞いたらどこもそんな状態らしいけど」

先輩B「部活の方は……」

純「あっ、ナイスなアイディアを思いついたんですけど」

先輩B「ん?」

純「学校に泊り込みで作業するってのはどうですか? 徹夜でやれば絶対に間に合うし楽しいですよ」

先輩B「それはジャズメイド喫茶の話?」

純「そうです!」

先輩B「う〜ん……どうだろうね〜。ていうか部活の方の準備は今日中に終わりそうだし」
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:07:02.28 ID:VZMzDK/uo
純「えー、やりましょうよぉー」

先輩B「私はやりたいと思ってるけどさ、反対意見もあるんだよね〜」

先輩B「ほら、学際が終わったらすぐコンテストがあるでしょ?」

先輩B「学際に力を尽くしすぎて溜まった疲れがコンテストに影響したら、うちの部としては本末転倒なのよ」

純「んー……でもなぁ」

先輩B「そう言わずに、限りある時間で楽しむのもいいもんだよ〜」

純「けどうちの部活は合宿にも行ってないじゃないですか。一度ぐらい泊まったりしたいなぁ」

先輩B「合宿はまた別の話。うちの部活に金とコネと権力の3Kがあればどこにでも行けるんだけど〜」

純「今のところ0Kってことですか」

先輩B「残念なことにね〜」
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:07:30.56 ID:VZMzDK/uo
先輩B「まぁ合宿は来年にでも行けばいいじゃん」

純「来年かぁ……いよいよ私たちの時代」

先輩B「来年のレギュラーに純がいるとは限らないけど」

純「そこは言わないでくださいよ! これでも結構がんばってるんですから」

先輩B「じゃあ今から楽しみにしとく。来年の純はどれぐらい成長するのかな〜…ってね」

純「うっ…そんなこと言われるとなんかすごいプレッシャーが……」

先輩B「私を失望させないよう精進したまえ」

純「そんなこと言うのやめてくださいよー」

先輩B「あははっ」




梓「あっ、純」
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:08:12.49 ID:VZMzDK/uo
純「あれ…梓じゃん、なにしてるの? クラスの仕事もうないでしょ」

梓「部活」

純「あぁ……って今日もあるの!? 明日は学際じゃん!」

梓「だからこそ! 先輩たちは来ないと思うけど、わたし一人でも練習しないといけないし」

純「でもここ一週間ずっと一人で練習してんでしょ? それで大丈夫なの軽音部」

梓「だ、大丈夫! なんとかなるから!」

梓「それに今は、わたしができる事をしておかないと」

純「ほぉー、なら本番楽しみにしてるね」

梓「ま、任せて」

純「期待してる。じゃあ頑張って」

梓「うん、また明日」

梓「……」ペコリ

先輩B「がんばってね〜」

657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:09:03.09 ID:VZMzDK/uo
純「梓ってば、すごいやる気」

先輩B「……大変だね〜軽音部も」

純「けど二日目のライブはなんとかなると思いますよ。去年も唯先輩がギター忘れて遅れてきたけど……」

先輩B「いやそうじゃなくて、来年の話」

純「え?」

先輩B「あの〜……なんだっけさっきの子。あずちゃん? 確か軽音部唯一の二年生だっけ」

純「梓ですよ。中野梓」

先輩B「ほら、学際が終わる頃にはほとんどの部活の三年が引退するから、その〜……梓ちゃんは一人になっちゃうわけでしょ?」

純「あっ……」

先輩B「今まで苦楽を共にしてきた人たちがいなくなって、急に一人ぼっちになるってのはけっこう辛いよ〜」

純「……」

先輩B「先輩たちとできる最後の演奏だから、あれだけ頑張ってるのかな?」
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:09:56.01 ID:VZMzDK/uo
純「そっか…梓以外は三年生か」

先輩B「来年になって新入部員が入れば、軽音部が廃部って最悪な事態にはならないだろうけど」

純「そうなればいいんですけどね」

純(でも入ったとして梓一人で新入部員の面倒みれるのかなぁ……)

先輩B「まぁもしもの時はジャズ研に引き込んじゃいなよ〜、あの子」

純「梓、一年の頃ジャズ研に見学しに来てたんですよ?」

先輩B「あれ〜……そうなの?」

純「そうですよ、前も言いませんでしたっけ。ジャズ研に入るのやめて、軽音部に入ったって」

先輩B「そうだったんだ、覚えてませんな〜」

先輩B「あの子がジャズ研に入ってくれれば面白そうだったのに。なんかイジりがいがありそうだよね〜真面目っぽいから」

純「あはは、確かにありますけどね」
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:10:22.91 ID:VZMzDK/uo
――家庭科室

先輩B「来たよ〜」

純「こんにちわー」

先輩A「あっ、よかった来てくれて」

同級生「あれ、純まで来てる」

純「味見係だからね」

先輩B「どんな状況?」

先輩A「なんかケーキが上手く膨らまないの。本に書いてある通り作ったんだけど」

先輩B「卵が冷えてるから膨らまないんじゃない? 私も手伝うからもいっかい作ろ」

先輩A「ありがと」

先輩B「早く完成させないと、場所を借りてる家庭科部の人たちに悪いしね〜」
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:11:07.99 ID:VZMzDK/uo
純「う〜ん…部屋中にいい香りがする」

同級生「これこれ味見係さん」

純「なんですかい」

同級生「これわたしが作ったやつだけど食べてみて」

純「おっ、それじゃあいっただきー」

パクッ

純「……」モグモグ

同級生「どう?」

純「すっごい……微妙」

同級生「あちゃー、やっぱりか」

純「こういうケーキの味見はノーサンキューです」

同級生「でもね……まだこんなの残ってるの」ドッサリ

純「!?」
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:12:45.91 ID:VZMzDK/uo
同級生「作りすぎちゃった。とういうわけで、残飯処理係の純さんよろしくお願いします!」

純「いやいやいや、自分で作ったものは自分で処理してよ。しかも残飯処理係じゃないし」

同級生「だって…こんな微妙なの食べれるわけないじゃん」

純「自分で言うのそれ」

同級生「あっ、残飯処理係の純ってネーミングって何かかっこいいよね。純そういうの好きでしょ?」

同級生「よっ! 残飯処理係の純!」

純「……」プツンッ

純「意味わかんないし全然かっこよくないし!!」

純「じーぶーんーでー食ーべーろー!」グググ

同級生「いーやーだー!」グググ

先輩B「こらこら、食べ物を粗末にするな〜。作った本人がちゃんと自分で処分する」

同級生「えぇー……」

純「ほっ」

先輩B「ついでにやる事ないなら純も食べるの手伝うんだぞ〜。ちなみにこれは部長命令です」

純「えぇー……」
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:13:19.08 ID:VZMzDK/uo
・・・・・


――ジャズ研 部室

後輩a「ふぅ、これでおわりっ」

後輩b「なんか本格的な喫茶店って感じね」

後輩c「……」

後輩a「どうしたの? おかしな所でもある?」

後輩c「あ…ううん。すごいなーって思って」

後輩a「だよねー、これだけ完璧だと当日はお客さんでいっぱいになるかも」

後輩b「あー疲れた。早く帰りたい」

ガチャッ

先輩C「ん? もう終わったのか」

後輩a「あっ、こんにちはセンパイ」

先輩b「作業は全部終わりました」

先輩C「そうか、ご苦労様」
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:13:53.59 ID:VZMzDK/uo
後輩c「センパイ、この後は何かあるんですか?」

先輩C「そうだな……少しだけ練習でもするか」

後輩b「ええっ!? 練習するんですか!?」

先輩C「やりたいやつだけ残ればいい。強制はしないさ」

後輩b「ほっ……じゃあ私はこれで失礼します」

後輩a「うーん…私も帰ろっかなー。どうする? 一緒に帰る?」

後輩c「えっ…私?」

後輩a「うん」

後輩c「私は……残って練習する」

後輩c(純先輩が戻ってくるかもしれないし)

後輩a「そっか、私はやっぱ帰ろっと。あっそうだ、新作ケーキが発売されたらしいから、途中で食べに行かない?」

後輩b「別にいいけど、ほら早く行くよ」

後輩a「うん。じゃあねー」

後輩c「ばいばい」
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:14:33.65 ID:VZMzDK/uo
・・・・・

後輩c「結局、残ったのはわたし達二人だけですね……」

先輩C「今日ばかりは仕方がない。クラスの方を手伝わないといけないやつもいるしな」

先輩C「お前達のクラスは大丈夫なのか?」

後輩c「は、はい……センパイのクラスは」

先輩C「こっちはギリギリだが、なんとかなるさ」

後輩c「そうですか……」

先輩C「ああ」

後輩c「……」

先輩C「……」

後輩c(うぅ…二人っきりって初めてだから何を話していいか分からない……)

先輩C「……ん? なんだこれは」
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:15:35.54 ID:VZMzDK/uo
後輩c「あっ…それは衣装です」

先輩C「衣装?」

後輩c「はい、先生が持ってきてくれて。明日はそれを着るんだそうです」

先輩C「そんなこと聞いてな……ってなんの服だこれ!?」

後輩c「えっと…メイド服ですね」

先輩C「なんでメイドなんだ、ジャズ喫茶をやるんだぞ。メイド関係ないだろ!」

後輩c「えっ……えっと……えっと」

後輩c「……えーっと」

先輩C「こんなもの着て人前に出れるかぁ!!」

後輩c「す、すいません!」

ガチャッ

顧問「やっほ……ってあれ? もう作業終わったの?」

666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:16:36.00 ID:VZMzDK/uo
先輩C「あっ、先生!」

顧問「なぁんだ、せっかく差し入れに新作のケーキ買ってきたのに」

先輩C「それよりなんですかこれ!」

顧問「それ? 山中先生が作ったやつだよ。かわいいでしょ?」

先輩C「こ…こんな、こんなの明日着なきゃいけないんですか!?」

顧問「部長はいいって言ってたけど」

先輩C「……あいつ(先輩B)はどこ行った」

後輩c「えっと……家庭科室です」

先輩C「家庭科室か…よし、ちゃんと話をつけてくる」

先輩C「まったく、私に何の話もしないで勝手に…」ブツブツ


ガチャッ、バタン
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:17:35.22 ID:VZMzDK/uo
顧問「そんなに着るのイヤかねー、これ」

後輩c「確かに…ちょっとだけ恥ずかしいですし……」

顧問「うーん……あっそうだ、ケーキ食べる?」

後輩c「あっ…ありがとうございます」

ガチャッ

先輩B「戻ったぞ〜」

先輩A「はぁ、なんとか間に合ったわね」

純「ウップ……」

同級生「ゲプ……」

顧問「あれ? 副部長に会わなかった?」

先輩B「え? 会ってませんけど」

顧問「なんかメイド服のことで話しがあるからって家庭科部に行ったんだけどなー」

先輩B「?」

先輩A「すれ違っちゃったのかしら」
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:18:56.52 ID:VZMzDK/uo
顧問「まぁいいや、お疲れさん。ケーキでもどう?」

先輩B「わぉ、なにこの大量のケーキ」

顧問「みんな頑張ってるからね。これは先生からの粋な計らいだよ」

先輩B「どうも〜…とりあえず一つだけもらっておきますけど、全部は食べれないですよ〜」

顧問「みんなで食べればいいじゃないの」

先輩A「私は……ダイエット中なんで」

先輩A(さっき調理中につまみ食いしすぎちゃったし)

純「ケーキ…もうムリです……」

同級生「同じく……」

顧問「えぇー……」

顧問「私は甘いもん食べれないからなー、こんな大量に余ってどうしよう」

先輩B「山中先生とかにあげてくればいいんじゃないですか? お世話になったし」

顧問「あそっか、それもそうだね。ちょっとおすそ分けしてくる」

669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:20:11.26 ID:VZMzDK/uo
純「ウプ……」

後輩c「大丈夫ですか…?」

純「食べ過ぎて気持ち悪くなったのって久しぶり……」

先輩A「まぁあれだけ食べればねぇ」

同級生「しかも不味かったし自分で作ったやつだし……なんかもう悲しくなってきた……」

純「あんたね…作りすぎだよ……がんばりすぎたよ……」

同級生「私にできることをした…だけなんだけどね……」

先輩B「そんじゃ私は自分のクラスの様子見てくるから」

先輩A「あっ、私も行くね」

純「私……帰ろ……」グッタリ

同級生「私も……」グッタリ

後輩c「あっ、肩貸しましょうか?」

純「ヘルプミー……」

同級生「ミートゥー……」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:20:51.06 ID:VZMzDK/uo
・・・・・

先輩C「入れ違いになってたか……はぁ、部室で待ってればよかったな」

先輩C「まったく、メイド服なんて誰が着るか」

先輩C「こんなおちゃらけたのは軽音部とかそこら辺が着ればいいんだ、なんでジャズ研が……」ブツブツ

先輩C「とにかく、一度ガツンと言っておかないと」

ガチャッ

先輩C「こら! 衣装の件で話が……」

シーン・・・

先輩C「……」

先輩C「……」

先輩C「なんで誰もいないんだ」


##16 おわり
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/09(土) 11:25:02.94 ID:VZMzDK/uo
今回はここまで。」
このSSもようやく折り返し地点を過ぎたのでそろそろスパートをかけていきたいと思ってます。
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 11:40:26.55 ID:YMDtXfvOo

終わりが近づくのを感じると寂しくなるな……
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/10(日) 02:16:16.17 ID:USX44WqAO


なんか逆に改めて梓の抱えてる時限爆弾が浮き彫りになった感じだな
このままだと来年以降の軽音部は実際問題かなりヤバいよな……
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:23:05.23 ID:gR3/TAN0o
##17

――ジャズ研 部室

純「いらっしゃいませー」

先輩C「い、いらっしゃませー」

純「こちらへどうぞー」

先輩C「こ、こちらへどぞう」

純「ご注文はお決まりでしょうか?」

先輩C「お、お決まりでしゅか?」

先輩B「うわぁ〜……ひどい」

純「もぉー、ちゃんとやってくださいよ」

先輩C「や、やってるだろ!」

先輩A「全然できてないから」

先輩B「純ですらできてるのに……ダメダメダナ」

先輩C「!?」ガーン
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:24:04.35 ID:gR3/TAN0o
先輩A「昨日は失敗続きだったんだから、今日は……」

先輩C「だ、だいたいこんな服を着てるから調子が狂うんだ!」

純「メイド服なんて慣れれば平気ですって」

先輩B「自分の不始末を衣装のせいにするなんて、ますますダメダメだねぇ〜」

先輩C「ぐっ……」

先輩A「とにかく、今日はちゃんとできないと困るから。学園祭最終日なのよ?」

先輩C「……わかってる」

純「じゃあもう一度練習しましょうか」

純「いっらしゃいませー」

先輩C「い、いらっしゃいませー」

先輩B「笑顔忘れてるぞ〜」

先輩C「いっ、いらっしやっ…」ググッ

純「こわっ?!」

先輩A「顔に力入れすぎだって……」
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:25:02.22 ID:gR3/TAN0o
・・・・・

純「はぁ、とりあえず本番はしっかりやりましょうか」

先輩C「……」ズーン

先輩A「しっかりしてよね」

先輩C「こんな服着て接客なんて…恥ずかしくてできないだろ……」

先輩A「衣装のせいにしないの」

純「だ、大丈夫ですって。誰にだって得手不得手はあるんですから」

純「例えば私はベースが得意ですけど、料理は苦手」

純「センパイはサックスが吹けるけど、接客がダメ。運動できるけど、接客がダメ」

純「つまりえっとー……接客だけがダメであって、他は高水準の…えっと……接客がダメで……なんだろ」

先輩C「……バカにしてるのか」

純「ち、ちち違いますって!」

先輩C「はぁ……まぁいい、最終日ぐらいなんとかするさ」

純「そうそう、バシッと決めちゃってくださいよ」

先輩B「わたし達そろそろクラスの方に戻るから、あとよろしくね〜」

純「あっ、はーい」

677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:25:47.87 ID:gR3/TAN0o
純「さてと、準備準備…」

ガラッ

後輩c「おはようございます」

純「おはよ。同じ時間だっけ?」

後輩c「はいっ」

純「そっか、今日は最終日だし頑張ろうね」

後輩c「あの…純先輩」

純「なに?」

後輩c「純先輩って…今日はいつ頃時間が空いてますか?」

純「え? うーんと、午前中はジャズ研の方で働いて、午後に少しクラスの出し物手伝ったら時間が空くから……」

純「あっそうだ、その時は軽音部のライブ見に行くんだった。一緒に行く?」

後輩c「い、いえ……その時はクラスの手伝いがあるんで」

純「そっかぁ」

後輩c(せっかく純先輩と一緒に学園祭回れると思ったのに……)

後輩a「純せんぱーい、そろそろお店開いちゃっていいですか?」

純「あっ、うん。時間だしいいんじゃない?」

後輩c「……はぁ」

後輩c(仕方ない……かな)
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:26:21.71 ID:gR3/TAN0o
後輩c「……」ボー

後輩b「なにボッーとしてるの」

後輩c「あっ…ご、ごめん」

後輩b「別に謝らなくてもいいけど。考え事?」

後輩c「ううん、なんでもないの。大丈夫」

後輩b「……」ジーッ

後輩c「?」

後輩b「メイド服…似合うよね。うらやましい」

後輩c「へっ?」
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:27:18.18 ID:gR3/TAN0o
後輩b「ねぇ、あんたも似合うと思うでしょ?」

後輩a「うんうん、似合ってる! かわいいー」

後輩c「そ、そんな…私なんて……」

後輩a「純先輩もそう思いますよね?」

純「うん、似合ってる似合ってる。ザ・メイドって感じでかわいいよ?」

後輩c「!?」

後輩c(ほ、褒められちゃった!?)

後輩b「なんですか、ザ・メイドって」

後輩c「エヘ…エヘヘ……///」

後輩c「じゅ、純先輩の方がかわいい…です」ボソッ

純「え? 何か言った?」

後輩c「あっ…な、なんでもないです!」
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:28:09.08 ID:gR3/TAN0o
後輩a「それにしても、まだ誰も来ないね」

後輩b「当たり前じゃん。朝だし、お店空けたばかりだし」

後輩a「むぅ〜ぅ……澪先輩とか来ないかなー」

純「澪先輩かぁ、本当に来たら嬉しいんだけどなぁ」

後輩c「澪先輩って……軽音部の?」

後輩b「そう。ベース上手くて美人なんだよ。…って、前も言わなかったっけ」

後輩c「まだ一度も見たことなくて……」

純「手を合わせてお祈りしたら来るかも。澪先輩来てください澪先輩来てください……」

後輩a「澪先輩来てください澪先輩来てください……」



律「おっ、ジャズメイド喫茶だって。面白そうだし入ってみる?」

澪「ジャズ……メイド?」



純・a(本当に来た!?)
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:28:42.42 ID:gR3/TAN0o
律「こんっちわー」

純「い、いらっしゃいませー!」

律「あれ? 鈴木さん所の純ちゃんじゃない。なんでここにいるの?」

純「わ、私ジャズ研に所属してるんで」

澪「へー」

純(あわわ…み、澪先輩だ! めちゃくちゃ見られてる!?)

澪「……」ジーッ

純(メ、メイド服の恥ずかしさが……今になって理解できた……)

律「そのメイド服って……ひょっとしてさわちゃんのお手製?」

純「あっ、はい。そうらしいです」

律「やっぱりなー。こんなの作るのさわちゃん以外いないだろうし」

澪「ごめんな、うちの顧問が」

純「い、いえいえ! むしろありがたいです!」

純「それよりお二人とも、どうぞ席に」

後輩a「ど、どどどどぞうこちらにぃ」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:29:19.06 ID:gR3/TAN0o
律「どっこらせと」

澪「けっこう本格的な作りなんだな」

純「ご注文がお決まりでしたらど、どうぞ」

律「うーん、何にしよっかな……」




後輩b「すごっ、本当に来たよ澪先輩」

後輩c「あの……おデコの人が澪先輩?」

後輩b「違う違う。黒髪の人が澪先輩」

後輩b「あのおデコの人はえっと、田……田……」

後輩b「田中先輩だったかな。ドラムの」

後輩c「そうなんだ」
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:30:20.73 ID:gR3/TAN0o
律「んじゃー、サンドイッチとドリンクで」

澪「私も同じやつを」

純「か、かしこまりました!」

後輩a「ササササンドイッチ用意しないと」

後輩b「落ち着きなって」

律「メイド服かー…そういえばわたし達も着たっけ」

澪「あんまり良い思い出、ないけどな」

純「お二人は今自由時間なんですか?」

律「そっ、ライブ前に英気を養わなきゃいけないからな」

純「頑張ってくださいね! 私、見に行きますから!」

澪「ありがとう」

後輩c「ドリンク、おまたせしました…」

後輩a「ササ、サンドイッチどぞ」
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:31:18.82 ID:gR3/TAN0o
律「あっ、どうもー」

後輩c「どうぞ…」

後輩c(この人は田中先輩だっけ……)

澪「おいしそうだな」

後輩c(こっちは澪先輩……純先輩の憧れの人)

純「味はどうですか?」

澪「うん、美味しいよ」

純「よかったぁ」

後輩c(純先輩、嬉しそう…)

澪「鈴木さんのメイド服姿って、なんか新鮮だな」

純「そ、そうですか? えへへ」

後輩c「……」
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:31:58.67 ID:gR3/TAN0o
・・・・・

律「ごちそうさんっ、美味しかったよ」

澪「ごちそうさま」

純「満足してもらえてよかったです」

後輩a「あっ、ああああの澪先輩!」

澪「え?」

後輩a「も、もしよろしかったら、あっ、あああ握手してもらってもいいですかっ!?」

澪「あ、握手? 別にいいけど……」

律「おーおー澪ちゃんは大人気でちゅねー」

澪「ちゃ、ちゃかすな!」

後輩c(わぁ……本当に人気のある人なんだ)

純「あっ、私もいいですか?」

後輩c(純先輩まで!?)
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:32:27.12 ID:gR3/TAN0o
澪「あぁ…うん、いいよ」

純「やった!」

後輩c「……」

後輩c(嬉しそう……)

澪「じゃ、頑張ってな」

律「ばいば〜い」

純「ありがとうございましたー!」

後輩a「はぉお〜…この手しばらく洗えないよぉ」

後輩b「大げさすぎだって」

純「はぁ幸せ。今日はもう十分幸せ」

後輩c「……」

後輩c(なんだかよく分からないけど……もどかしい…気がする)

後輩c「あ、あの…純先輩」
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:32:53.22 ID:gR3/TAN0o
純「なに?」

後輩c「その……えっとぉ……」

後輩c「あのぉ……」

純「あっ、もしかして澪先輩と握手したかったの?」

後輩c「へ?」

純「もぉー、だったら言えばよかったのに」

後輩c「ち、違うんです…その……」

純「たぶん、また会えると思うからその時に頼みなよ」

後輩c「わ、私は…!」

純「あっ、いいこと思いついた」

後輩c「え?」

ギュッ

純「はい、間接握手。これで澪先輩と握手したと思って」
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:33:25.76 ID:gR3/TAN0o
後輩c「!!?」

後輩c(じゅっ……純先輩に手を握ってもらえた!?)

純「どう?」

後輩c「う、嬉しいです…」

純「うん、よかったよかった」

後輩c(幸せ……はっ)

後輩c「そ、そうじゃなくて!」

純「?」

後輩c「あ、あの! わ、わわわ私はですね!」アタフタ

後輩c「え、えっと…あの……あのぉ〜!!」アタフタ



後輩b「あれもあれで大変そうね」

後輩a「なになに? どうしたの?」
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:33:55.80 ID:gR3/TAN0o
・・・・・

純「あっ、そろそろ時間だからクラスのとこ行ってくるね。もう少ししたら他の人来ると思うから」

後輩a「はーい。了解です」

純「そんじゃ、あとよろしくっ」タタッ

後輩c「……はぁ」

後輩c(結局ちゃんと言えなかった……)

後輩c(でも、特に言うことも思いつかなかったし……)

後輩a「今日は最高だねー。ライブめいいっぱい応援しちゃおっ」

後輩b「ライブの時間はクラスの手伝いがあるでしょ」

後輩a「あっ、そうだった!?」

後輩a「せっかく澪先輩の演奏見れると思ったのにぃー……はぁ〜ぁ」

後輩c(澪先輩……)

後輩c(なんか分からないけど、あの人には負けたくない……!)メラメラ

後輩a「なに、なんで燃えてるの?」

690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:34:23.00 ID:gR3/TAN0o
――2年1組

梓「あれ? 純は?」

憂「ジャズ研の方にいるんじゃないかな?」

梓「そっか…」

憂「梓ちゃんは時間大丈夫?」

梓「うん。ライブまでまだあるから、クラスの仕事手伝うよ」

憂「ありがと。とりあえず今は…」

「やっほー、憂」

憂「あっ、みんな!」

梓「!!」

「約束どおり来たよー」ゾロゾロ

梓(この人たちって、この前駅にいた憂たちの同級生……?)

691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:34:59.04 ID:gR3/TAN0o

「憂の格好かわいいじゃん」
「へー、お茶屋さんやってるんだぁー」

憂「えへへー」

梓「……」

梓(なんか…気まずいような……)

「あっ、ひょっとして梓ちゃん?」

梓「え?」

「ギターやってるんでしょ?」
「へー、この子が梓ちゃんかぁ」
「かわいいー」

梓「あ、あの……え?」

梓「憂…これは?」

憂「梓ちゃんのこと、みんなに話したんだ」

梓「ええっ!?」
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:35:27.05 ID:gR3/TAN0o
「ねーねー、梓ちゃんってギター上手いんでしょ?」
「メルアド教えてよ」
「好きなミュージシャンは?」

梓「え、えっと……」

ガヤガヤガヤガヤ


純「おまたせー…ってどうしたの?」

憂「梓ちゃんすごい人気だよ」

純「あちゃー……絡まれちゃってるのか」


「梓ちゃんってギターいつからやってるの?」

梓「こ、子供の頃から…」

「えー、すごーい!」

純「こらこら、あんまり梓をいじめないの」

693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:35:54.06 ID:gR3/TAN0o
「あっ、純」
「別にいじめてないよぉー」

純「はいはい、梓に質問があるなら一人ずつね」

梓(はぁ…助かった)

「ねぇ梓ちゃん、今日ライブがあるんでしょ?」

梓「う、うん」

「見に行くね」
「私コンサートとか初めて!」

梓「あ、ありがとう」

梓(案外親しみやすい人たちかも……)
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:36:33.69 ID:gR3/TAN0o
・・・・・

憂「梓ちゃん、そろそろ時間じゃない?」

梓「あっ、ほんとだ。部室行ってくるね」

憂「うん、いってらっしゃーい」

純「がんばるのよー」

梓「うん!」タタタッ

純「…さーてと、わたし達はもう一仕事してから講堂に行くとしますか」

憂「……」

純「憂?」

憂「あっ…うん、そうだね。こっちも頑張ろうね」
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:37:03.69 ID:gR3/TAN0o
純「どうしたの? 疲れた?」

憂「ううん、そうじゃなくて……」

憂「軽音部の人たちみんな頑張ってたから、本番成功するといいなぁって思って」

純「大丈夫だって。憂のお姉ちゃん達って本番に強いんでしょ?」

憂「うん…そうだね」

純「そうそう! だからわたし達は楽しみに待ってよ?」

憂「うんっ!」

純「よし、じゃあ働くとしますか」

憂(最後のライブ、成功しますように)
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:37:55.00 ID:gR3/TAN0o
―――――――――
――――――
―――



――ジャズ研 部室

先輩B「なんかお客さんの出入り減ったね〜」

先輩A「みんな講堂に行ってるんじゃない? ほら、ちょうどライブが始まったころだから」

先輩B「あ〜そっか〜」

先輩C「……」

先輩B「見に行きたかったら別にいいけど〜」

先輩C「行くわけないだろ。行くつもりだったら最初からこの時間は空けてる」

先輩A「あっ、ひょっとして平沢さんとまだ仲直りしてないの?」

先輩C「そうじゃない。……それに今は別に仲が悪いってわけでもない」

先輩A「そうなの?」

先輩C「一応…な」

ガチャッ

顧問「あっ、いたいた」

先輩A「あっ、先生」

697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:38:38.95 ID:gR3/TAN0o
顧問「今三人だけ?」

先輩B「そうですよ〜。他の子はクラスの手伝いやら自由時間やらで」

顧問「あぁ、なるほどねぇ」

先輩A「先生は何してるんですか?」

顧問「見回りついでに様子をね。どう? 順調?」

先輩B「今は絶賛閑人中です」

顧問「ありゃ、そうなんだ。まぁ終わりの頃になればまた一気に来ると思うよ」

先輩B「そうだといいんですけどね〜」

698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:39:16.84 ID:gR3/TAN0o
顧問「私もこのお店に貢献しちゃおっかなー。ドリンクちょうだい」

先輩A「はーい」

先輩B「ドリンク、一番高いやつにしといて」

先輩C「ああ、分かった」

先輩A「今ならケーキとのセットもおすすめですよ」

顧問「え? じゃあケーキも頼んじゃおうかな」

先輩B「ケーキも高いやつにしといて」

先輩C「今やってる」

顧問「あんた達……まぁいいけどさ」

先輩B「すいませんね〜、こっちも商売なもんで」

699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:39:45.89 ID:gR3/TAN0o
先輩A「はい、どうぞ。味は美味しいですから満足できると思いますよ」

顧問「どうも」

顧問「……それにしてもさ、あんた達って三人でいること多いよね」

先輩B「え?」

顧問「ほら、いつもこうやって三人並んでるじゃん」

先輩B「そうなの?」

先輩C「さぁな」

先輩A「確かにそうねえ…同じクラスになってからは特に」

顧問「そうだ、演奏してくれないの? 演奏」

先輩A「演奏?」

顧問「ジャズ喫茶なんだから、やってくれるんでしょ? 生演奏」

700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:40:27.12 ID:gR3/TAN0o
先輩C「今は演奏の時間じゃ……」

先輩B「いいじゃん、他にやることないんだし」

先輩C「……それもそうだな」

先輩A「今準備するんで、ちょっと待っててくださいね」

顧問「はいよ」

先輩C「それにしてもこの服、動きづらいな…」

先輩B「演奏にはとりあえず支障ないし、大丈夫でしょ」

先輩A「よし、いつでもいいわよ」

先輩B「今講堂でやってるライブ以上に盛り上がろっか〜」

先輩A「お客さんは一人だけだけど、ね」

先輩B「そんじゃ、いきま〜す」

顧問「……」

顧問(ほんと、この子達の演奏を聞けるのもあと何回ぐらいだろうね……)

701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:40:52.79 ID:gR3/TAN0o
―――――――――
――――――
―――



純「んーっ! ライブ楽しかったー!」

憂「わたし…感動しちゃった」

純「軽音部の五人凄かったよねー。いつもの何倍も輝いてたっていうか!」

憂「うん!」

純「熱意が凄いっていうか!」

憂「うんうん!」

純「MCはちょっとグダグダだったけど」

憂「うぅ…」

純「でも、十分楽しかったよね」

憂「うんっ! ほんと…よかったぁ」
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:41:56.13 ID:gR3/TAN0o
純「さてと、これからどうしよう…」

純「軽音部にお疲れ様でも言いに行こうかな」

憂「うーん……ライブ終わりで疲れてるだろうし、やめたほうがいいんじゃないかな」

憂「それに、今は五人だけにさせておきたいし」

純「……まぁそうだね」

純「じゃあ私、ジャズ研の方に行ってくる」

憂「うん。私は一組に戻ってるね」

純「ほいほーい。じゃ」

憂「いってらっしゃーい」

憂「……ふぅ、さてと」


和「あら、憂じゃない」


憂「あっ、和ちゃ…和さん!」

和「いつもどおりでいいわよ、今は二人っきりなんだし」
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:42:26.68 ID:gR3/TAN0o
和「憂もライブ見に来てたの?」

憂「もちろん!」

和「ふふっ、まぁ当たり前のことよね」

憂「和ちゃんは生徒会のお仕事まだあるの?」

和「ええ、最終日だからゴタゴタしててね」

憂「大変だね」

和「学際が終わっても後夜祭、後片付けがあるんだけど……ま、楽しくやってるわ」

和「特に三年生は、最後の最後まで楽しみたいみたい」

憂「そっか……三年生は今年で最後の学園祭だもんね」

和「ええ…私にとっても、唯たちにとっても」

和「だからライブもあれだけ盛り上がったのかもね」
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:43:02.71 ID:gR3/TAN0o
憂「なんか…学園祭が終わって欲しくないなぁ」

憂「このまま学園祭が終わると、和ちゃん達までいなくなっちゃいそう……」

和「ふふっ、なにそれ」

憂「だって…もう三年生が学校にいられる時間って……」

和「そうね、もう半年もないのよね」

憂「……」

和「でも仕方ないわよ、わたし達が卒業しなきゃ憂は三年生になれないでしょ?」

憂「うん……」

和「お姉ちゃん離れ、できる?」

憂「できるよ……たぶん」

和「憂ならできるわよ。きっと」
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:43:56.50 ID:gR3/TAN0o
憂「でもやっぱり…いやだなぁ」

和「もうこの子ったら。そんなんじゃ唯も笑って卒業できないわよ?」

憂「……そうだよね、ごめんね」

憂「……あっ」

和「どうしたの?」

憂「軽音部…来年梓ちゃん一人だ」

和「え?」

憂「ど、どうしよう。軽音部廃部なっちゃうの?」

和「廃部って……そういえば唯たちが卒業したら梓ちゃんだけになるんだっけ」

憂「う、うん」

和「そうね…新入生が入部して、部員の数が四人以上になれば廃部にはならないと思うけど……」

和「でも軽音部って人が寄ってこなさそうだから心配よね」

706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:44:31.27 ID:gR3/TAN0o
憂「どうしよう…梓ちゃん大丈夫かな」

和「憂が入部してあげればいいじゃない」

憂「え?」

和「部活、入ってないんでしょ? なら憂が軽音部に入ってあげたら?」

憂「私が…?」

和「ええ、憂なら楽器だってある程度練習すればできるでしょ?」

憂「そっか…私が入ればいいんだ」

憂「あっ、でも今はお姉ちゃんのお手伝いをしないと! 受験で忙しくなるし」

和「なら来年でいいじゃない。三年生になったら、軽音部に入部するの」

和「それでも遅くないと思うわよ?」
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:45:11.80 ID:gR3/TAN0o
憂「そっか…そうだね」

和「まぁ憂が入部しても、あと二人足りないんだけど…」

憂「とりあえず考えてみることにする。ありがとね和ちゃん」

和「どういたしまして。じゃあ私、もう時間だから」

憂「うん、また後でね」

和「ええ、それじゃ」

憂「……」

憂「……」

憂「はぁ……でもやっぱり、終わって欲しくないなぁ」

708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:45:47.66 ID:gR3/TAN0o
・・・・・

純「なんだかんだで今日もあっという間に終わっちゃったなぁ」

純「学際終わったらすぐコンテストだし、ホントせわしない…」

後輩c「あっ……じゅ、純先輩」

純「あっ」

後輩c「今から部室に行くんですか?」

純「うん、最後に手伝おうと思ってね。そっちも?」

後輩c「はい、私も行こうかなって思って……」

純「じゃあ一緒に行こうよ」

後輩c「は、はい!」
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:46:19.49 ID:gR3/TAN0o
純「そういえばごめんね、結局一緒に学際回れなくて」

後輩c「いえ、いいんです。気にしないでください」

純「来年は一緒に回ろうね」

後輩c「はい、楽しみにしてます」

純「あっ、そういえば軽音部のライブすごかったよー」

後輩c「えっ?」

純「もう超盛り上がってね、会場中熱気であふれてたの!」

純「澪先輩とかすっごいかっこよかったなぁ」

後輩c(澪先輩……さっきの黒髪のきれいな人……)

後輩c「……」

後輩c「あ、あの」
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:46:58.56 ID:gR3/TAN0o
純「なに?」

後輩c「そ、その……変なこと聞いちゃうかも…しれないんですけど……」

後輩c「えっと……あの……」

後輩c「純先輩は……み、澪先輩のことをどれぐらい……」

純「?」

後輩c「え、えっと、ですからその……」

後輩c(私…なに聞こうとしてるんだろう……)

後輩c(自分でも分かんなくなってきちゃった……)

純「あっ、そういえば梓もがんばってたなー」

後輩c「え?」

純「同じクラスの友達も軽音部なの。梓ってギターやってる子」

純「その子も一生懸命やってて、かっこよかった」

純「私も早くああいう舞台に立って、ベース弾いてみたいなぁ」

711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:47:36.73 ID:gR3/TAN0o
後輩c「……」

純「私も負けてられないなー! がんばるぞー!」

後輩c「わ、私は……」

純「ん?」

後輩c「私は……純先輩はすごいと思います」

純「……へ?」

後輩c「いつも明るいし…優しいし……」

後輩c「物事もはっきり言えるし……迷わず行動するし……」

純「あ…あはは、そうかな?」

純(ほめられてるのかよく分かんないけど…なんか恥ずかしい)

後輩c「純先輩は…とってもすごいと思います」

後輩c「だから私……純先輩のこと――」

純「えっ……」

後輩c「純先輩のこと……お、応援します!」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:48:16.99 ID:gR3/TAN0o
純「お、応援…?」

後輩c「その……こんなこと変なのかもしれないですけど……」

後輩c「私なんかでも…純先輩の力になれたら嬉しいなって……」

純「……」

後輩c「あ、あの……迷惑ですよね、ご、ごめんなさい! その……あ、あの……」

純「ううん、嬉しいよ?」

後輩c「え……?」

純「まぁなんていうか、そういうこと言われるの初めてだから正直ちょっと戸惑ってるけど」

純「うん……そういうこと言われちゃったら、もうなんかさぁー」

純「あはは…さすがに照れちゃうって」
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:48:49.93 ID:gR3/TAN0o
後輩c「純先輩……」

純「ほ、ほら早く部室行こ!」

後輩c「は、はい」

純「いやー、まいったなー。たはは」

後輩c「……」

後輩c(言えた……)

後輩c(言いたいこと、全部言えたわけじゃないけど……)

後輩c(少しだけだけど…それでも……自分の気持ち、伝えられた)

純「ほら、早く早く」

後輩c「はいっ!」

後輩c(今日は少しだけ……近づけた気がする)

後輩c(澪先輩や、他の誰よりも…ずっとずっと憧れの先輩に)


714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:49:32.65 ID:gR3/TAN0o
――ジャズ研 部室

純「来ましたー……」

先輩C「いいところに来た、早く着替えて手伝え」

純「え?」

先輩A「急にお客さんがいっぱい来ちゃってね、忙しいの」

純「わ、分かりました! 今準備を……」

先輩B「あっ、そうだ純。純は演奏の方手伝って」

純「わ、私がですか!?

先輩B「ほらほら、早く準備しな〜」

純「は、はい!」

先輩A「……ねぇねぇ、ひょっとしてこの組み合わせって」ボソッ

先輩B「来年のレギュラーになるであろう子たちの演奏、一回聞いてみたいじゃん」

先輩C「あいつらがレギュラー……どうだろうな」

先輩B「ま、あくまで私が予想するメンバーだから」
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:49:58.58 ID:gR3/TAN0o
純「ベースベースっと……」

同級生「じゅーん」

純「あれ? あんたもやるの?」

同級生「もっちろん。ドラムは私しかいないでしょうに」

純「大丈夫? しっかりやってよね」

同級生「純こそね」

「ドキドキするねー」
「はぁ…頑張らないと」
「準備できた?」

純「おっけー、ばっちり」

同級生「こっちもばっちぐー」

後輩c(純先輩…がんばって!)

「それじゃあ始めるわよ、ワン・ツー」

―――――――――
――――――
―――
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:50:54.00 ID:gR3/TAN0o
・・・・・・

先輩B「え〜お疲れ様でした〜。これにて、ジャズメイド喫茶は閉店となりま〜す」

パチパチパチパチ!!!

先輩A「はぁ〜…疲れたわね」

先輩C「まだ後夜祭が残ってるぞ」

同級生「ねぇ、どんぐらい儲かったのかな?」

純「さぁ…でもけっこう入ってたよね、お客さん」

同級生「余ったお金とか貰えないかなー」

純「余らないって」



後輩c「……」

後輩a「おつかれっ」

後輩c「あっ…うん、お疲れさま」

後輩b「高校の学園祭って意外と盛り上がるものね」
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:51:19.88 ID:gR3/TAN0o
後輩a「もう意外とじゃなくて、かーなーり盛り上がったから」

後輩a「特にこの手…もう一生洗えない」

後輩b「……ちゃんと洗わないと明日から近づかないから」

後輩a「えー!!」

後輩c「あははっ」

後輩c(ほんと……今日は楽しかったなぁ)

純「お疲れっ」

後輩c「!!」

後輩a「あっ、お疲れ様でーす」

後輩b「お疲れ様です」
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:51:49.31 ID:gR3/TAN0o
純「どうだった? 初めての学園祭」

後輩a「もうほんっと最高でした!」

純「私も今年はかなり楽しんじゃった。テンション上がりっぱなし」

後輩c「あ、あの…純先輩」

純「どした?」

後輩c「演奏、すごい上手でした!」

純「へへへー、毎日練習してますから!」

後輩c(やっぱり純先輩は…すごいや)

後輩c(今日は色々あったけど、本当に良い日だったなぁ)

同級生「なんか今年の山場は終わっちゃった感じだよねー。あー楽しかった」

先輩C「なにのんきな事を言ってるんだ」
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:52:33.78 ID:gR3/TAN0o
同級生「え?」

先輩C「お前達…コンテストのこと忘れてるだろ?」

同級生「え……あっ」

純「わ、私は忘れてないです」

同級生「う、嘘だー! 純だって忘れてたんじゃないの!?」

純「そ、そんなわけないじゃん!」

先輩C「おい、なんでお前達二人とも私から目をそらしてるんだ」

純「い、いやー……」

同級生「そのー……」

先輩C「……まったく、出番が無いからって気を緩めるな」

先輩C「コンテスト出場はわたし達ジャズ研全員にとって最も重要なんだぞ」

先輩C「それを理解しないで腑抜けてるようじゃ、来年レギュラーなんて取れないぞ」

純「はい…すいません」

同級生「はい…心得ておきます」

先輩C「分かればいい」

720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:53:05.24 ID:gR3/TAN0o
先輩B「お〜お〜厳しいね〜。今日は学園祭なんだし気楽にやろ〜よ〜」

先輩C「あのなぁ…お前部長だろ」

先輩B「さぁて、後夜祭にでも行こっと」

先輩A「今日ぐらい楽しくパぁーっと羽伸ばしちゃお、ね?」

先輩C「……はぁ」

純「それじゃあ私も行ってこようか……」

「……あれ?」

純「?」

先輩B「なになに、どうした〜?」

「あの…メイド服が一着足りないんですけど」

721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:54:54.30 ID:gR3/TAN0o
先輩C「ちゃんと数えたのか?」

「は、はい」
「でも一着足りなくて…」

先輩A「どこかに紛れ込んでない?」

「見つからなかったです」

先輩C「なんで……」

先輩B「……女子高生が着たメイド服が突如消えた。これはまさか」

先輩A「と、盗難!?」

純「ええっ!?」

先輩B「う〜む、事件のにおいがする」

先輩C「と、とにかく先生に連絡をするんだ! あと一応生徒会にも!」

純「は、はい!」

先輩C「一体誰がこんなことを……」
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/15(金) 22:55:23.48 ID:gR3/TAN0o
・・・・・

――更衣室


顧問「うーん……」

顧問「……」

顧問「……」

顧問「うんっ!」

顧問「私もなかなか似合うじゃん、メイド服!」


##17 おわり
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) :2011/07/16(土) 00:56:47.47 ID:gFN9zTZAO
乙です!
顧問かわいいなww
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/16(土) 09:58:28.59 ID:YQqIZ7a9o
おっつっつー
出来れば後輩cにはライブみせてあげたかったね
負けるもんか!みたいな
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/16(土) 14:28:25.67 ID:+qNfdmgAO
乙乙
後輩a、bも少しずつだけどキャラ立ってきたな
そして世代交代ってのが徐々に感じられてきて何故か切なくなってきた
いっそ3年生まで……やってくれたら凄く嬉しいなチラッチラッ
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/07/17(日) 00:24:17.67 ID:bhqWfRuAO
ババ……顧問のおねーさん!俺と結婚してくれ!!
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/19(火) 20:21:06.67 ID:TlI9ShKFo
>>722
原作の隙間ネタかwwwwww
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:13:38.92 ID:6Gz3lrgGo
##18

梓「…――えっ、日曜日ダメなの?」

純「うん、部活。コンテストがあるから」

憂「そっかぁ…それじゃあ仕方ないね」

憂「日曜は私と梓ちゃんで行こっか」

純「私も試写会行きたかったなー。チケットの日付が来週だったらよかったのに」

梓「そういえば純は前も試写会に行けなかったよね」

純「あれ、そうだっけ?」

梓「そうだよ。覚えてないの?」

純「あー…言われてみればそうだったような」




同級生「純、部活行かないのー?」

729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:14:07.74 ID:6Gz3lrgGo
純「あっ、今行く行く!」

純「じゃあ二人とも、私行ってくるね」タタッ

憂「行ってらっしゃーい」

梓「…そういえば、今が一番忙しい時期って言ってたっけ」

憂「ジャズ研もコンテストが終われば三年生が引退しちゃうらしいから。忙しいのもしょうがないよ」

梓「……うん」

憂「梓ちゃんは今日部活ある?」

梓「ううん、ないよ。今日は音楽準備室使えないって言われたから」

憂「じゃあうちに来る?」

梓「えっ、でも悪いんじゃない? 唯先輩とか勉強してると思うし」

憂「大丈夫だよ、梓ちゃんが来てくれた方がお姉ちゃんもやる気出すだろうし」

梓「それは……どうかな」
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:14:46.76 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

日曜日

――学校前

純「ふわぁ〜……」

同級生「おはヨーグルト……」

純「おはようかん……」

同級生「ねむー……はぁ……」

純「んーっ……はぁ。こんな早く起きるの慣れてないから辛い」

先輩A「オ……オハ……」フラフラ

同級生「わひゃっ!?」

先輩A「オハ…ヨウ……」

純「だ、大丈夫ですか!? めちゃくちゃ体調悪そうなんですけど」

先輩A「ダ…ダイジョウブ……オキテル…オキテ……」
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:15:20.41 ID:6Gz3lrgGo
同級生「センパイどうしたんですか? 金縛りにでもあいました?」

先輩B「あ〜大丈夫大丈夫。ウルトラ低血圧なだけだから」

先輩A「ウ〜……ア〜……」

同級生「わ…いつも清楚可憐なセンパイが今日はゾンビみたい」

純「そういえば前に部長の家に泊まっときも朝つらそうだったっけ…」

先輩A「ア……アゥ……」

先輩A「ウぅ〜……あれ……なんかこのピアノ調子悪い……」モコモコ

純「あの……それピアノじゃなくて私のぼんぼんです」



顧問「全員いるー? そんじゃあバス乗って」

732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:15:52.19 ID:6Gz3lrgGo
ゾロゾロ ゾロゾロ


同級生「純、どの席座る?」

純「うーん……」

同級生「後ろの方行く?」

純「まって、確か今日のラッキーナンバーは2だったから……二番目の席に」

同級生「えー、そんな適当なー。前の方じゃん」

純「いいじゃん、人生は前へ前へと進んだ者だけが勝つってね」

同級生「なにそれ……まぁいいけどさ」

純「えーっと、二番目の席は……あっ、部長!」

先輩B「ん?」
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:17:14.09 ID:6Gz3lrgGo
純「ラッキー! 部長、隣の席座ってもいいですか?」

先輩B「いいよ〜」

純「じゃ、お邪魔しまーす」

同級生「えー…一緒の席じゃないの?」

純「あっ、ごめん。帰りにね」

同級生「……じゃあ私は一つ後ろの席に」

先輩A「スー……スー……」

同級生「センパイ、センパイ」

同級生「席、隣いいですか?」

先輩A「ウぅ〜ん……いいけど……」



顧問「おーい、どこでもいいから早く座れー。もうすぐ出発するぞー」
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:17:48.18 ID:6Gz3lrgGo
純「そういえばセンパイ達って同じ席じゃないんですか?」

先輩B「うん?」

純「ほら、副部長は前の席にいるし」

先輩C「……」

先輩B「あ〜…あれは乗り物酔い酷いから。横でゲーされると困るし」

先輩C「私が吐くわけ……ない…だろ……」

純「後ろは?」

先輩A「あ〜ん……この人形かわいい〜。誰が買ってきたの〜……」スリスリ

同級生「ちょっ、私ですって! 人形じゃなくて!!」

純「……」

先輩B「寝ぼけがひどいから〜、巻き込まれないようにこっちの席にした」

純「なるほど……」


顧問「はいみんなー、出発するよー」
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:18:38.96 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

先輩B「……」

純「センパイ。センパイって何座ですか?」

先輩B「ん〜? ……みずがめ座だよ〜」

純「あっ、実はテレビでやってた朝の占いだと今日の一位はみずがめ座だったんですよ!」

純「今日は良いことあるかも……やりましたね!」

先輩B「私が見た番組の占いでは、最下位だったけど」

純「えっ」

先輩B「ぶっちぎりで最下位だったよ〜」

純「そ、それはですね……あれですよ、嘘ですよ!」

先輩B「気ぃ〜つかわなくても、占いなんて信じてないから大丈夫だって」


736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:19:13.13 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「ちなみに前の席にいる子は乙女座だよ」

純「乙女座は…6位でしたね。たぶん」

先輩B「微妙だナ」

先輩C「……」

純「大丈夫ですか?」

先輩C「だ、大丈夫だ……ちょっと……話かけないでくれ……」

先輩C「外の景色を……な、眺めて……いたいんだ……」

純「ダメそうです」

先輩B「じゃ、ほっとけ」

先輩A「スー……スー……」

同級生「あの……こっちは抱きついたまま寝てるんですけど」

先輩B「適当な時間になったら起こしてあげて」

737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:20:00.13 ID:6Gz3lrgGo
純「センパイは昨日ちゃんと寝れました?」

先輩B「ばっちり8時間睡眠」

純「へー、私なんて昨日は緊張して7時間しか眠れませんでしたよ」

先輩B「それも十分だろ〜」

先輩B「それよか、純でも緊張することあるんだ」

純「ありますよ!」

先輩B「そういえば〜……純は部活紹介の時、緊張して噛んだんだっけ」

純「ぎゃっ!? そんなこと忘れてたのに……」

先輩B「今となってはいい思い出じゃん」

純「よくないですよ……」
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:20:32.89 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「まぁあの失敗があったからこそ、今の自分があると思えばいいんだよ」

純「えー、でもなぁ…。あの失敗なんの役に立ったんだろう」

先輩B「心配しなくても、純はちゃんと成長してるよ」

純「本当ですか!」

先輩B「胸が大きくなったよね、一年のときより。女の子っぽくなった」

純「そ、そういうことじゃなくてですね……」

先輩B「あはは…そうそう、そういえば春休みに先生と三人でこうやって遠出したっけ」

純「あぁ…先生とサックス買いに行ったときですよね」

先輩B「あのとき純、サービスエリアんとこでナンパされてたよね〜」

純「あれはセンパイがナンパされてたんじゃないですか」
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:20:59.73 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「あれ、そだっけ」

純「そうですよ。私なんか無視されてたし」

先輩B「けどまぁ、ああやって遠く行くのも楽しかったじゃん。ね、せんせ〜」


顧問「……zZZ」


先輩B「寝ちゃってる」

純「ですね」

純「あっそうだセンパイ、お菓子食べますか?」

純「ほら見てください、いっぱい持ってきたんですよチョコとか色々、ほらこんなたくさん!」

先輩B「ありがとね〜」

740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:21:40.39 ID:6Gz3lrgGo
純「あんたも食べる?」

同級生「ちょうだいちょうだい!」

先輩A「私も…お願い……ふわぁ」

純「あっ、センパイおはようございます」

先輩B「もう大丈夫なの?」

先輩A「まだちょっとぼーっとするけど…平気よ」

純「副部長も食べますか?」

先輩C「いや……いい……」プルプル

純「そうですか」

先輩B「あっ、ジンギスカンキャラメル」

純「お母さんが旅行に行って買ってきたんです」

先輩B「こんなの食べれるの先輩だけじゃん〜」

純「一応お菓子ですし」

先輩B「まぁいいや、後で誰かに食べさせよう」

741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:22:07.24 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「そういや」

純「はい?」

先輩B「純がジャズ研入ったのって先輩目当てだっけ〜」

純「ぶふっ!?」

純「な、なに言ってるんですかもー」

先輩B「隠さなくても分かってたって〜」

純「いやまぁ…確かにそういう動機もありましたけど……目当てとかじゃなくて純粋にかっこいいと思ったっていうか」

先輩B「ちなみに私はかっこよくないの?」

純「センパイはかっこいいっていうか、かわいいっていうか……なんでしょうね」

先輩B「えーなんだそりゃ。気分が悪いな〜……純を部長にしてあげようと思ったのに、やっぱやめた」

純「えぇっ!?」

先輩B「な〜んてね。冗談だって」

純「なんだ……」

純「えっ、あれ……部長の話、冗談ですか?」

742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:22:34.74 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「ん? ん〜……」

先輩B「純は部長やりたい?」

純「うーん……」

先輩B「前はやりたいとか言ってたような気もするけど…」

先輩B「まぁ純は部長向きって感じじゃないけどね〜」

純「そんなきっぱりと!?」

先輩B「私も部長向きじゃないけどさ、先輩に言われてとりあえずやってたって感じだし」

先輩B「大変だよ〜、部長って。部活のスケジュール管理や部員の面倒みなきゃいけないし」

純「うわ……大変そう」

先輩B「純はそうだね〜…部長って言うより副部長向きかナ。部長を支えたりフォローしたりするのが似合うと思うよ〜」

純「そう…ですか?」

先輩B「ま、部長にしろ副部長にしろやりたかったら声かけて。候補には入れてあるから」

純「とりあえず…考えておきますね」
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:23:05.57 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

――コンクール会場

ガヤガヤ
    ガヤガヤ


後輩c「わぁ……」

後輩a「すごいね、知らない学校の人たちがいっぱいだ」

後輩b「ほら、みんな行ってるよ。わたし達も行こ」

後輩a「あっ、まってー」

後輩c「よいしょっ……」

純「大丈夫?」

後輩c「あっ…純先輩」

純「一年は荷物もちだっけ。大変だけどがんばってね」

後輩c「は、はひっ」
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:23:37.29 ID:6Gz3lrgGo
純「今日は私も応援がんばらないとなー、っと」

後輩c「じゅ、純先輩……」

純「うん?」

後輩c「き、緊張して足が……」

純「なんで!?」

後輩c「こういう所に来るの初めてで……」

純「まぁ…わたし達が出るわけじゃないんだし、気楽にね?」

後輩c「は、はい」

純「ほら……荷物持ってあげよっか?」

後輩c「い、いえ、純先輩のお手をわずらわせるわけには…・・・きゃっ!?」ドタッ

純「大丈夫!?」

後輩c「す、すいません……大丈夫です」

745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:24:10.88 ID:6Gz3lrgGo
先輩C「……はぁ」

先輩A「大丈夫?」

先輩C「…お前の方こそもう平気なのか?」

先輩A「私はとっくに目が覚めたから大丈夫」

先輩B「手のかかる二人だナ〜」

先輩C「普段手のかかってるやつが何を言ってるんだ」

先輩B「私は普段いい子だよね?」

先輩A「うーん……50%かな」

先輩B「えぇ〜」

先輩C「ほらみろ!」

先輩A「言っておくけど、人のこといえないからね」

先輩C「そうだぞ! 人のこと……え?」
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:24:47.87 ID:6Gz3lrgGo
先輩A「それより、そろそろ気合を入れていかないと」

先輩B「力いれすぎてガチガチになるなよ〜」

先輩C「はぁ…お前は少しぐらいガチガチになった方がちょうどいいかもな」

先輩A「……」

先輩C「どうした?」

先輩A「ううん……今日はがんばらないとね」

先輩B「いつもどおりでいいよ」

先輩A「え?」

先輩B「いつも頑張ってんじゃん」

先輩C「……ま、確かにいつも通りの実力を出せばなんの問題もないな」

先輩B「わたし達、最強だからね〜」

先輩C「それぐらいの気概でいかないとな」

先輩B「珍しく気が合うじゃん」

先輩C「合わせてやってるだけだ」

先輩A「……ふふっ」
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:25:20.34 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

同級生「桜ヶ丘の出番って何時だっけ」

純「確か…二時ごろだったかな」ポチポチ

同級生「なにやってんの?」

純「メール。友達にね、会場着いたよーって」

同級生「ふーん……ねぇ純」

純「うん?」

同級生「なんか私に対して冷たくない?」

純「どうしたの急に」

同級生「だって今はこっち見て話してくれないし、朝のバスでは同じ席に同じ席になってくれなかったし…」

純「なに言ってんの、別に冷たくしてないって」

同級生「ほんと?」

純「心配しなくても、友達でしょ?」



748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:25:50.67 ID:6Gz3lrgGo
同級生「むぅー……」

純「もー、変なこと言わないでよ」

同級生「だってさ、部活のときは一緒だけどそれ以外はそうでもないじゃん、わたし達」

純「そう?」

同級生「そうだよ!」

純「別にそんな風に感じたことないけど……気のせいじゃない?」

同級生「そんなことないよ、私より中野さんたちの方が仲いいじゃん」

純「まぁ同じクラスだし……そりゃねぇ」

純「でもだからってあんたのことおざなりにしてるわけじゃないって」

同級生「……ほんと?」

純「だから本当だって」

同級生「それならいいけど…」

純「はいはい、はやく控え室行こ」

同級生「……あいあいさー」
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:26:17.83 ID:6Gz3lrgGo
――控え室

純「センパイ、飲み物買ってきましたよ」

先輩C「あぁ、悪いな」

純「はい、コーヒー牛乳です。これならセンパイも飲めますよね?」

先輩C「……なんの話だ?」

純「えっ、だって先輩苦いの飲めないじゃないですか」

先輩C「別に飲めないことはない。普段は飲まないだけだ」

純「そんな最後の最後まで強がんなくても……もう知ってますから、センパイの好み」

先輩C「い、言っておくが私は……」

「センパイ、よ、よかったらクッキー焼いたんで食べてください」

先輩C「え?」

「私も、よかったらこれどうぞ」

先輩C「あ…あぁ、ありがとう」
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:27:04.21 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「慕われてるね〜」

先輩A「なんだかんだで面倒見いいしね」

先輩C「ちゃ、茶化すんじゃない!」

先輩A「別に茶化してないけど」

先輩B「じゃあ私からもプレゼントを〜」

先輩C「は?」

先輩B「あい、キャラメル」

先輩C「なんだ…珍しいこともあるんだな、お前からこんなものをもらえるなんて」

純(あっ、それさっきの…)

先輩C「ま、一応もらておく」

純(そ、それはジンギスカン……!!)

先輩C「……だが食べない。怪しいからな」

純(さすがセンパイ! 鍛えられた危機察知能力!)
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:27:30.72 ID:6Gz3lrgGo

先輩B「いい判断だ。今日は冴えてるね〜」

先輩C「やっぱり怪しいものか…」

ガチャッ

顧問「みんないるー?」

純「あっ、先生」

顧問「本番まであと…一時間か。みんな調子はどう?」

先輩B「ばっちりで〜す」

先輩C「万全です」

「「「「「「…………」」」」」」」」

先輩B「ありゃ」

顧問「他のみんなはそうでもないか」
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:28:06.01 ID:6Gz3lrgGo
純「なんか私までだんだん緊張してきた……」

同級生「純、出番ないじゃん」

純「空気! 空気にのまれてるの!」

先輩A「まぁ確かに、他校の生徒でもピリピリしてる子けっこういたもんね」

先輩C「しっかりしろ。緊張のし過ぎで身動きが取れなくなったら元も子もないぞ」

「わかってるんだけどね……」
「うん……」
「わたし達、いつもどおりにできるかな……」

先輩C「できるかどうかじゃない、ここまで来たら…あとはやるだけだ」

純「……」

先輩C「いいか、今までやってきた事を思い出せ。真面目に、ちゃんと練習してきただろ?」

先輩C「100点を取るには100点の努力じゃなく、120点の努力が必要になる…」

先輩C「その120点の努力を、わたし達はしてきたはずだ。それを信じろ」

「「「「「「…………」」」」」」」

先輩B「純、コーヒー牛乳ちょうだい」

純「あっ、はい」

先輩C「おい…真面目に話してるんだぞ」
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:28:41.39 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「私は大丈夫だから。いつでも準備オッケーな状態だし」

先輩C「あのな…だいたいお前が部長なんだから少しはみんなをまとめたらどうなんだ!」

先輩B「え? う〜ん……」

先輩B「まぁ今までやってきた事を思い出せばいいじゃん。真面目に練習したでしょ?」

先輩B「120点の努力してきたんだし、あとはそれを信じよ〜」

先輩C「それじゃあ私のパクリだろ!?」

先輩B「パクッてないよ。私のオリジナルだし」

先輩C「まんまパクリだ!」

先輩C「今までのことを思い出せとか、120点のくだりとか!!」

先輩B「パクってないよ〜」

先輩C「こいつ……! 純、お前だってパクリだと思うだろ?」

純「えっ……」

先輩C「そう思うよな?」

純(なんで私に話を振るんですか……ていうか緊張しすぎて話半分聞いてなかったし……)

754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:29:15.78 ID:6Gz3lrgGo
先輩C「どうなんだ」

純「えーっと……まぁ人によってはそう感じるかもしれませんよね」

先輩C「なんでそうなる!?」

純「つ、つまり……えー……」

純(誰かヘルプ)

同級生(知らないふり知らないふり……)

純(ちょっ!?)

先輩A「まぁまぁ落ち着いて。私は二人ともいいこと言ったと思ってるから」

先輩C「なっ!? だって、どう考えても…………はぁ、もういい」

先輩C「お前から言うことはないのか?」

先輩A「え? 私?」

先輩B「いいね〜。せっかくなんだから三年生一人一人が思いを口にしていこうか〜」

先輩C「ほら、早くしろ」

先輩A「わ…私もなにか言うの!?」
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:29:46.40 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「本番前の決意表明みたいなもんだよ」

先輩A「そんな……急に言われても……」

先輩B「早く早く〜」

先輩A「えっと…だからみんな……その……」

先輩A「や、やっぱり無理よ〜、こういうの慣れてないし」

「私は……。私は、みんなとここまで来れて嬉しいと思ってる。最後までがんばろうね」
「私も。辛いことはいっぱいあったけど、みんなと乗り越えられたことは誇りに思う」
「ここまで来たらお腹をくくるしかないよね。女は度胸」
「最後の舞台、派手にいこう」
「大丈夫だよね、わたし達ならたぶん……ううん、きっとできる」
「部長と副部長が言ってたように、120点の努力してきたもんね。できるよ絶対」
「いっちょみせつけよっか。桜ヶ丘高校ジャズ研究部の実力!」
「うん、全力全開がんばろっ」
「今まで楽しかったよ…って、まだ終わってないけど。今日は笑顔で終わらせようね」

先輩B「ほら、最後になったよ。早く」

先輩A「えぇっと……」

756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:30:14.65 ID:6Gz3lrgGo
先輩A「うーん……」

先輩A(どうしよう…それっぽいこと一通り言われちゃったし……)

先輩C「どうした?」

先輩A「待って、えっと…みんな……きょ、今日は最後の舞台だし――…」

先輩A「だから…その……レ……」

純「レ?」

先輩A「レ、レッツ……レッツ! ポジティブシンキング!!」

「「「「「「……」」」」」」」

先輩A「……あ、あれ?」

顧問「あっ、そろそろ時間だ。みんな準備して」

「「「「「「はい!」」」」」」

先輩B「よし、じゃあ〜レッツポジティブシンキングでいきましょうか〜」

先輩A「お願い! 今のはナシでもう一回!!」

先輩C「もう遅い」

先輩A「うぅ〜……」

純(最後の最後でセンパイのレアな姿を見れたかもしれない…)

757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:30:50.62 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「みんな行くよ〜、忘れ物しないように〜」

純「部長、がんばってください!」

先輩B「はいよ」

純「副部長も!」

先輩C「あぁ、期待してろ」

先輩A「はぁ〜……」

純「げ、元気出してください。そんな気にすることじゃないですって」

先輩A「そうね…切り替えないと。よし、がんばろっ」

純「でもセンパイ達はすごいな〜、特に部長と副部長。なんか堂々としてて」

先輩A「……ここだけの話ね」

純「え?」


先輩B「……」

先輩C「……」


先輩A「二人も緊張してるわよ、たぶんわたし達より」

先輩A「でも素直じゃないっていうか、意地を張ってるっていうか……」

先輩A「みんなにかっこ悪いところ見せたくないんじゃない? きっと。だから緊張を表に出さないだけ」
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:31:19.42 ID:6Gz3lrgGo
純「……」

先輩A「まぁそれを表に出さないだけで十分偉いと思うけどね……」

先輩A「じゃ、行ってくるから」

純「あっ、はい…がんばってください!」

先輩A「うん、また後でね」

純「……」

純(そっか……そりゃそうだよね)

同級生「純、わたし達は観客席の方に行こ」

純「あっ、うん」

純(やっぱみんな…緊張するよね)
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:31:47.14 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「……」

先輩C「いよいよか…」

先輩B「引き返すのなら、今のうちだぜ?」

先輩C「なんだそのキャラ。ここまで来て帰るわけないだろ」

先輩B「だよね〜」

先輩C「……」

先輩B「……」

先輩A「二人とも、飴なめる?」

先輩C「……ああ」

先輩A「楽しくできるといいわね、演奏」

先輩B「そうだね〜」

先輩C「全力でやるだけだ。演奏のときは演奏に集中しろよ? それ以外は考えるな」

760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:32:15.22 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「分かってるって」

先輩A「三年間そう言われ続けてるんだから、みんな分かってるわよ」

先輩C「…そうか」

先輩B「あとはレッツポジティブシンキングは突っ走るだけでしょ」

先輩A「ちょっと、それはもうやめてって」

先輩C「……いくぞ。最後まで一緒に、な」

先輩B「はいよ」

先輩A「うん!」

761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:33:02.32 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

ガヤガヤ

ガヤガヤ

後輩c「センパイ、こっちです」

同級生「あっ、いたいた」

純「はぁ〜…もうそろそろだね」

同級生「なんていうかさ、今さらだけど……人多いね」

純「そりゃそうでしょ、あちこちから来てるんだから」

後輩a「こんな大勢いる中で桜ヶ丘優勝できるかなぁ……」

後輩b「さっきの学校の演奏とか、凄かったしね」

純「なんでわたし達が弱気になってるのよ。ほら、しゃきっとしゃきっと」

同級生「さっきまで空気にのまれたとか言ってたくせに」



762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:33:29.34 ID:6Gz3lrgGo
純「さっきはさっき、今は今!」

純「とにかく! 今はセンパイ達のことを信じよ、ねっ!」

純「センパイ達が頑張ってきたことは、わたし達が一番分かってるでしょ?」

同級生「……そだよね。えへへ、良いこと言うじゃん」

純「まぁね!」

後輩b「あっ、そろそろ始まるみたいですよ」

後輩a「うぅ〜…やっぱりドキドキするぅ」

後輩c「……」ドキドキ

アナウンス『――まもなく、桜ヶ丘高校ジャズ研究会の演奏発表が始まります』

純「きた……!」
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:34:01.80 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

ピッピッ

憂「あっ、純ちゃんからメール来てた。もう会場に着いたんだって」

梓「会場って…コンテストの?」

憂「うん、もう本番が始まってる頃かなぁ」

梓「ふーん……」

憂「ジャズ研かぁ…そういえば、梓ちゃんも最初はジャズ研に入るはずだったんだっけ?」

梓「え?」

憂「あれ、そう言ってなかった?」

梓「見学には行ったけど入ろうとは……」

梓「そもそも私はビックバンドジャズがやりたかったわけじゃないし」

憂「そうなんだ」

764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:34:29.65 ID:6Gz3lrgGo
梓「でも……」

憂「?」

梓「後輩とかがいっぱいいるのは……少し羨ましい、かな」

憂「前に一緒に練習したよね。三年生が修学旅行のとき」

梓「うん、年下にギター教えるのって初めてだったかも。いつもは唯先輩ばかりに教えてたから」

梓「まぁさすがに今は唯先輩にも教えることはない…と思うけどね」

憂「えへへ」

梓「ジャズ研はコンテストかぁ……軽音部もそういうのに出れたら良かったのに」


765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:35:10.31 ID:6Gz3lrgGo
―――――――――
――――――
―――

――会場前

顧問「……みんなそろってる?」

先輩A「グスッ……ヒッグ…ウゥ……」

純「……」

先輩C「……」

先輩A「ウグッ……グズッ……」

純「センパイ……」

先輩B「あのさ〜……泣きすぎ」

先輩A「だってぇ、なんか感極まっちゃっでぇ〜」グスッ

純「三位ですよ三位! 凄いじゃないですか!!」

先輩A「よがっだねぇ、ほんどうによがっだあ」

766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:35:42.17 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「ほら、鼻かみなって〜」

先輩A「うぅ……」チーン

顧問「いやー、すごいよアンタ達。ほんとよくやったよ」

先輩C「私は優勝を狙ってたんだけどな……」

純「なに言ってるんですか、十分すぎますって!」

同級生「そうですよ、こんな大勢の学校が参加してる中で三位ですよ!?」

先輩C「……」

先輩B「ま、運も絡んでくることだししょうがないって」

先輩B「最後の演奏は楽しかったしさ、一緒にできてよかったよ」

先輩B「ほんと、ありがと。お疲れ様」

先輩C「……ふんっ」
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:36:38.46 ID:6Gz3lrgGo
「終わっちゃったね……」
「うん…グスッ」
「……楽しかったぁ」

先輩B「……」

純「演奏してるときのセンパイ達、かっこよかったですよ」

先輩B「そっか、そりゃよかった」

純「今日…なんかあっという間でしたね」

先輩B「こんなもんでしょ、去年もそうだったし」

純「……あーん、あっさりしすぎてつまんなーい」

純「もっとこう…かなりドラマチックな出来事とか起こったりしてもいいのに」

先輩B「そうだね〜。みんなもうちょいワーキャー騒ぐと思ったんだけど」

先輩B「けっこう…終息モードに入っちゃってるね」

純「……センパイは寂しくないんですか? もう終わっちゃうのに」

先輩B「さぁ、まだ実感がわかない感じ」

純「でも……朝から寂しそうな顔してましたよ、センパイ」

先輩B「……」
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:37:13.52 ID:6Gz3lrgGo
純「私思うんですけどね、サザエさんってあるじゃないですか?」

純「あの世界って何年たっても年をとらないからうらやましいなーって」

純「わたし達の世界もサザエさんだったら、またみんなで部活できるのに……」

先輩B「そうなったら、純は永遠にレギュラー取れないかもしれないよ?」

純「はっ…そうかも!?」

先輩B「しかも毎年マラソン大会あるなんてヤだな〜…わたし死ぬかも〜」

純「うわぁ〜私も走りたくない……」

純「……あっ、でも永遠に10代のままでいられるじゃないですか。それよくないですか?」

先輩B「……確かにそれはいいな」

先輩B「そう考えるとなんか私もサザエさんの世界に行きたくなってきた」

純「遊びまくれますね」

先輩B「……でも考えれば考えるほど空しくなっていくからやめとこ」

純「あはは…ですね」

769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:37:59.31 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「……」

純「……」

純「私……」

先輩B「……」

純「センパイ達が引退することはしょうがないと思ってますし、もうどうにもならないことは分かってるんですけど…」

純「このまま終わっちゃうのも…なんか悲しくて」

先輩B「純が引退するわけじゃないだろ〜?」

純「そうですけど……」

先輩B「来年はいよいよジャズ研も純たちの世代になるんだから、がんばるんだよ?」

純「それも分かってますけど……」

先輩B「そっか……そだね。純はちゃんと分かってるよね」

純「……」

先輩B「……」

純「……すいません、変なこと言っちゃって」

純「あっ、そうだ! なんか飲み物買ってきますか? コーラとか」
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:38:25.77 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「う〜ん……炭酸苦手だからいいや」

純「ええっ、炭酸飲めないんですか!?」

先輩B「あのパチパチするのが苦手なんだよな〜。口痛くなるし」

純「あのシュワシュワ感がいいんじゃないですか。じゃあお茶にします?」

先輩B「ん〜…いいや、別に」

純「そうですか……あの、なんか他にあれば遠慮なく言ってください!」

純「今日はセンパイのためならババーッとなんでもやっちゃいますよ!」

先輩B「…今日はもう十分だよ」

純「え…?」

先輩B「朝、バスん中で隣に座って喋ってくれただけでも十分嬉しかった」

771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:38:56.04 ID:6Gz3lrgGo
純「センパイ……」

先輩B「もう私のことは気にしなくても大丈夫だよ。全部ちゃんと受け止めてるから」

先輩B「それに前も言ったでしょ、私は世界一頼りがいがあって優しくて強い部長だって」

純「……って、そういうこと自分で言うのはどうなんですか」

先輩B「え〜、だって事実じゃん〜」

純「うーん……50%ぐらいですかね、それ」

先輩B「おっ、言うね〜」

純「……ぷっ」

先輩B「あははっ」

純「あははは! あはは…」

純「……」

純「……私、ちょっとお手洗い行ってきますね」

先輩B「うん、行っておいで」

772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:39:35.46 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

先輩B「……」

先輩C「……おい」

先輩B「うん?」

先輩C「さっき鈴木となに話してたんだ?」

先輩B「別に…いつもどおりなんてことない会話」

先輩C「そうか……」

先輩B「……どうした〜?」

先輩C「……正直、お前が部長をやるって聞いたときは認めたくなかった。お前には無理だと思ってたからな」

先輩B「うわ、きつ〜。いきなりなに?」

先輩C「ちなみに今でもそう思ってる」

先輩B「えぇ〜…」

先輩C「……けど、案外お前が部長っていうのも悪くはなかった。なんだかんだでな」
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:40:36.95 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「なんだそりゃ、めちゃくちゃ上から目線だナ〜」

先輩B「ま、私もぶっちゃけ自分で無理だと思ってたけど…ね」

先輩C「……」

先輩B「副部長のあんたがいなかったら、私はダメだったよ。ありがとね」

先輩C「っ……!?」

先輩B「どしたの?」

先輩C「そ、そういう…普通のことを言うな! お前はいつもみたいにお、おちゃらけてればいいんだ……」

先輩B「なんだよ〜、素直にお礼言ったのに〜」

先輩C「……」

先輩B「……」

先輩C「……優勝したかったよ」

先輩B「…しょうがないって」

先輩C「けど…演奏が終わった後、そんな気持ちはどこかにいってて……」

先輩C「優勝しようがしまいが…どうでもよくなって……グズッ」

先輩C「三年間…頑張ったことが終わると思うと…ヒッグ……嫌で……」

先輩B「……」

先輩C「楽しかったのに……最後の演奏……まだっ…グスッ……やりたかったのにぃ……」

774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:41:03.01 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「……」

先輩C「うぅ…っ……ひっぐ……うぇっ……」

先輩B「泣きたかったら泣けばいいじゃん」

先輩C「別に…泣いて……ヒッグ…ないだろぉ……」

先輩B「泣いてるって」

先輩C「うるさい…私は生まれたときから泣いたことなんてないんだ……グスッ」

先輩B「それ死んでるから」

先輩C「うるさい…うっ……えぐっ…」

先輩C「う…うぁぁぁぁああん!!」

先輩B「……」ギュッ
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:41:30.78 ID:6Gz3lrgGo

・・・・・

純「……」

同級生「あっ、いたいた。純」

後輩c「あぁ、どうしたの?」

同級生「どうしたのって、もう帰る時間だよ? バス乗らないと」

純「分かってる」

同級生「ねぇ、純」

純「なに?」

同級生「私は決めたよ……来年こそは、わたし達の代で必ず優勝を勝ち取るって!!」

純「おーおー、燃えてますなー」

同級生「来年は絶対優勝だからね! 私はかーなーりマジ!!」

純「甘い!」

同級生「え?」

純「どうせ狙うなら…世界一でしょ!」

同級生「世界一!? どうやって獲るの!?」

純「……わかんない」

同級生「えー、なにそれ」

純「それぐらい勢いのある部活にしよってこと」

776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:41:57.46 ID:6Gz3lrgGo
純「ま、確かに優勝はしたいよね」

同級生「当然!」

純「目指せ優勝! おー!」

同級生「おー!!」

後輩c「お、おー」

純「っとと、バス戻るんだっけ」

同級生「そうそう、早く早く」

純「はいはい、分かってるって」

後輩c「純先輩…」

純「うん?」

後輩c「ま、また明日からがんばりましょうね」

純「うん、がんばろうね!」
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:42:34.12 ID:6Gz3lrgGo
・・・・・

先輩A「あっ、純ちゃんたち来た」

純「すいません、遅れちゃって」

先輩A「忘れ物とかない?」

純「はい、大丈夫です……ってあれ、部長と副部長は?」

先輩B「おまたせ〜」

先輩C「……」

顧問「全員そろった? じゃ、出発するよ」

先輩A「二人とも、こっちこっち」

同級生「純、わたし達はあっちの席いこ」

純「うん、いいよ」
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:43:13.95 ID:6Gz3lrgGo
先輩C「……」

先輩A「大丈夫?」

先輩C「……なにがだ」

先輩A「目が赤いけど」

先輩C「泣いてない」

先輩A「ふーん……ちゃんと酔い止め薬飲んだ?」

先輩C「あぁ……」

先輩A「よろしい」

先輩C「……お前にも、礼を言っておかないとな」ボソッ

先輩A「なにか言った?」

先輩C「な、なんでもない。また後で話す……」

779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:43:44.75 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「はぁ〜…疲れた」

先輩A「……本当にもう終わっちゃうんだね」

先輩B「これから受験だしね〜」

先輩A「はぁ……憂鬱になってきた」

先輩B「あはは」

先輩A「……泣いてないんだ、偉いのね」

先輩B「私が泣くわけにはいかないでしょ、部長だし」

先輩A「いいじゃない、部長でも泣いたって」

先輩B「…去年の先輩はさ、ヘタレのくせしてみんなの前では泣かなかったじゃん」

先輩B「だから、私が泣いたら先輩に負けた気がするから、私も絶対泣かないって去年から決めてた」

先輩A「…なにそれ、へんなの」
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:44:17.06 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「……そうだ、ちゃんと先輩たちにも報告しておかないとね〜、今年も楽しい演奏ができたって」

先輩A「……うん、そうね」

先輩B「……」

先輩C「……」

先輩A「…今まで楽しかったことや辛いこと、たくさんあったけど……あっという間だったね」

先輩A「二人もすっかり仲良くなったし」

先輩B「え〜?」

先輩C「なんのことだ」

先輩A「一年のとき思い出してよ。二人ともあんまり仲良くなかったじゃない」

先輩B「まぁ今も言うほど仲良くないけどね〜」

先輩C「そうだな」

先輩A「もう、じゃあそういうことにしておくわよ」

先輩A「……でもね私は二人のこと、大好きよ」

781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:44:46.05 ID:6Gz3lrgGo
先輩C「むっ……」

先輩B「告白された!」

先輩A「そういうのじゃなくて……ふふっ、もう」

顧問「みんなお疲れ様! 今日はほんと良かったよ!」

顧問「さて、帰りにみんなが暇にならないよう実は用意したものが……」ガサゴソ

顧問「じゃーん、ビンゴ大会ー!」

顧問「今日はみんなパーッと盛り上がって……」

「スヤスヤ……」
「グー……」
純「うぅ〜ん……ムニムニャ」
同級生「……ふにゃ」
後輩c「すぅ……すぅ……」

顧問「…って、本当にお疲れか」

先輩B「ほとんど寝ちゃってますね〜」

顧問「ま、しょうがないか。でもせっかく用意したんだけどなぁ、ビンゴ」

先輩A「また今度やればいいじゃないですか」

顧問「そうだねぇ……また今度に、ね」

純「ZZz…握手は押さないで…ちゃんと並んで……ぐぅ」

先輩C「どんな寝言だ」

顧問「ぷっ…あはははっ」
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:45:25.42 ID:6Gz3lrgGo
先輩B「ナイスツッコミ」

先輩C「うるさい」

先輩A「あははっ……グスッ……」

先輩B「ん?」

先輩A「あら…? やだ…さっきいっぱい泣いたのに……」

先輩A「ひっぐ……また涙が……グズッ……」

先輩B「…私も、二人のこと大好きだよ」

先輩A「ちょ、ちょっと〜…いきなりそんなこと言わないでよぉ」

先輩A「泣くの…止まんなくなっちゃうじゃない……ひっぐ……」

先輩C「お前…わざと泣かそうとしてるのか」

先輩B「さぁ、どうでしょう」

783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:45:58.56 ID:6Gz3lrgGo
顧問「ねぇ、私のことは?」

先輩B「先生も好きですよ」

顧問「よしよしいい子だ、100点あげよう」

先輩B「…で、あんたはどうなの?」

先輩C「……」

先輩B「ほらほら〜、言っちゃいなよ〜」

先輩C「……みんなと同じだ。言わなくても分かるだろ」

先輩C「……それぐらい分かれ」

先輩B「よしよし、いい子いい子〜」ナデナデ

先輩C「や、やめろ!」

先輩A「えっぐ……ぐすっ……ふぅあ〜…」

先輩C「お、おい! そんなおお泣きするな!」

先輩B「はい、チーズ」パシャッ

先輩C「どさくさに写真を撮るな!!」

先輩A「私も、みんな大好きぃ〜!!」
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:46:26.97 ID:6Gz3lrgGo
―――――――――
――――――
―――

月曜日




同級生「純ー、部活ー」





純「今行くー」

純「じゃあ憂、私も部活行ってくるから」

憂「うん、いってらっしゃーい」

785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:46:54.09 ID:6Gz3lrgGo
同級生「はぁ〜あ、寒くなってきた」

純「寒いの苦手なんだよね。暑いのもだけど」

同級生「今年って部室に暖房つく?」

純「さぁ…どうなんだろ」

同級生「つかないと困るんだけどなぁ」

純「あー…なんか肉まん食べたくなってきた」

同級生「私ピザまん」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:47:31.62 ID:6Gz3lrgGo
――ジャズ研 部室

同級生「そういえば今日から練習メニューわたし達で考えるんだって」

純「あ、そっか。どうしようかな……」

ガチャッ

後輩c「こんにちわ」

後輩a「こんにちわ−!」

純「おいっす」

後輩b「センパイ、言われたとおり譜面台運んできました」

「あっ、ありがとう。そこにおいて置いて」

後輩b「はい」

787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:51:26.75 ID:6Gz3lrgGo
後輩c「純先輩、あの…昨日練習してできなかったフレーズがあって」

純「どれ? 今少し空いてるから練習しよっか」

後輩c「は、はい!」

休み明けの部活動。

純「そこはこうやって…」

後輩c「えっと……こうですか?」

純「そうそう!」

部室の空気は新しく入れ替わったようだった。

純「うん、おっけー!」



##18 おわり
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/23(土) 04:56:04.77 ID:6Gz3lrgGo
今回で「ジャズ研」としての話は終わりになります。
残りの数話は純自身の話にしていこうかと。
ぶっちゃけ軽音部に移動させるかどうかはまだノープランですが。
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 08:13:22.50 ID:Vv9vsVuX0


この純が転部なんてしようとしたら、色々と騒動が
起こりそうだな。同級生とか、後輩cとか。
まあ、それを読みたい気もするけど。
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/23(土) 12:40:58.41 ID:av3fnyMAO
先輩達(特にトイレのC)の描写が胸に迫ってきて涙腺にくるものがあったぜ…心から乙!!
ここまで来たら純の完全転部は無理な気がする、3年間目標だったレギュラーの座を棒に降る訳だし一応は役員候補に入ってるし
ジャズ研ともお別れか…寂しいな…
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/07/24(日) 23:21:54.52 ID:QxBSNVUAO
さすがジャズけんの人だわ。

残り数話も楽しみにしてます。
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 23:48:00.26 ID:vAAC8GeSO


原作にジャズ研設定がないから、そのまま軽音部に入れるけど

アニメ三期があったらどうするのだろうか?
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/25(月) 23:48:44.34 ID:SgOCRDBeo
#K

先輩C「向上心のないものは馬鹿だ。というわけで、向上心を伸ばすよう常に精進するように」

純「こーじょーしーん!」

先輩C「……」

純「向上心を伸ばしてみました」

先輩C「……」ゴゴ…

純「…な、なーんちゃって、冗談ですよー。あははー」

先輩C「……」ゴゴゴ……

純「ごめんなさい。本当にごめんなさい怒らないでください」


#K おわり


794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/25(月) 23:49:38.61 ID:SgOCRDBeo
#Low speed

先輩B「ヘイ、純。バイク乗ってくかい?」

純「あっ、乗ります乗ります!」

先輩B「じゃあ後ろつかまりな」

純「先輩ってバイク持ってるんですか、以外ですね」

先輩B「まぁ…趣味でね」

純「へー、かっこいいなーかっこいいなー!」

先輩B「どこ行きたい?」

純「海行きたいです!!」

先輩B「じゃあ〜海まで行くぜぃ〜」

・・・・・・

ブロロロ…

純「あの……センパイ」

先輩B「ん〜?」

純「その…めちゃくちゃ遅くないですか?」

先輩B「だってスピード出しすぎると危ないし〜」

チリンチリン

小学生「バイクなのにおっせー、ダッセー」

純「あっ、小学生の自転車に追い越されてますよ!?」

先輩B「だってスピード出しすぎると怖いし〜」

ブロロロ

先輩B「よし、海に着いたよ〜」

純「……もう日が暮れてるんですけど」

先輩B「帰ろっか」

#Low speed おわり
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/25(月) 23:50:45.73 ID:SgOCRDBeo
#Mを調査

後輩c(純先輩の憧れ……秋山澪先輩)

後輩c(一体どんな人なんだろう……)

紬「澪ちゃんのこと知りたいの?」

後輩c「はぇっ……ど、どちら様ですか!?」

紬「このDVD、貸してあげるね。軽音部が一年の頃やった学際ライブのDVDよ」

後輩c「は、はぁ…ありがとうございます」

後輩c(軽音部のライブDVD……この中に秋山澪先輩の秘密があるのかな?)

後輩c「と、とりあえず見てみなくちゃ」ポチッ

澪『きゃんっ!!』ドテーン

後輩c「っ!?」

後輩c(こ、転んでパンツが見えて……///)

後輩c「はっ…!」

後輩c(まさか…こうやってお色気攻撃を仕掛けて色んな人を誘惑してる……!?)

後輩c(そして純先輩までその毒牙に……なんて恐ろしい人なんだろう)

澪「まったく、ムギのやつどこに行ったんだ?」

後輩c「!!」

澪「あっ、すいません。ちょっと聞きたいんだけどここらへんでお嬢様っぽい子を……」

後輩c「エ……エロテロリスト〜!!」ダダダッ

澪「……え?」

#Mを調査
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/25(月) 23:51:43.82 ID:SgOCRDBeo
#NO,Thank You!

梓「思い出なんていらないよ〜♪」ボエー

梓「だって今強く、深く愛してるから〜♪」ボエー

純「……」

憂「……」

梓「まだちょっと〜遠慮したいの〜♪」ボエー

梓「ふぅ、カラオケって楽しいね!」

憂「そ、そうだね」

梓「普段部活じゃ歌わないから、こういうのもありかな。思いっきり歌うのって気持ちいいなー」

憂「なんか梓ちゃん……た、楽しそうだったね」

梓「うん!」

梓「続けてもう一曲歌っちゃおうかな」

純「NO,Thank You!」


#NO,Thank You! おわり
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/25(月) 23:55:59.65 ID:SgOCRDBeo
純をどうするかは自分の中で決まりました。
残り4〜5話ぐらいで終わりになります。
番外編はどうするか検討中。
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 00:32:21.31 ID:gKGRdsONo

もうすぐ終わりか……淋しくなるな……
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/27(水) 03:47:34.80 ID:cwW814xAO

エロテロリスト吹いたww
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:51:00.80 ID:WpLyv9Oyo
##19



純「…――それで、やっぱり今年はやらないことになったんだ? クリスマスパーティ」

梓「うん…」

憂「そういえばもうすぐセンター試験だもんね」

梓「うん…」

純「…ていうか、毎年パーティやってたの?」

憂「そうだよ、うちに集まって」

純「なんで私とはそういうのないの…?」ウルッ

憂「じゃ、じゃあ今年はやろう! 今年は!」



801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:51:31.66 ID:WpLyv9Oyo
梓「……」

憂「なに考えこんでるの梓ちゃん?」

純「先輩たちに何かしてあげていんでしょ?」ナデナデ

梓「撫でないでよも〜」

憂「梓ちゃん健気〜♪」

純「それじゃあさ、クリスマスライブプレゼントするとかどうよ! シークレットで」

憂「あ、それいいかも!」

梓「クリスマスライブ……」

純「それなら唯先輩達も喜ぶんじゃない?」

梓「・・・うん、ありかも!」

梓「よし、やろっかクリスマスライブ!」

憂「私も手伝うよ、梓ちゃん」

純「仕方ない、私も手を貸してあげるとしよう」

梓「ほんと!?」

憂「三人で頑張ろうね!」
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:51:57.72 ID:WpLyv9Oyo
――平沢家

純「憂はギターやるの?」

憂「うん、今回はギターに挑戦してみようかなって。家にギー太もあるし」

梓「よーし、それじゃあ練習しよっか!」

純・憂「おー!!」

憂「なんの曲やる?」

梓「やっぱりクリスマスっぽい曲をアレンジして……」

ベベン!!

梓「あれ? 純…それ10円玉?」

純「え? これは、えっと……」

梓「純って硬貨でベース弾くんだ、かっこいい! 通だね!」

純「あ、うん…すごいでしょ」

純(ピック忘れただけだけど…)
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:52:23.64 ID:WpLyv9Oyo
梓「よし、じゃあやるよ!」フンス

憂「あっ、今の動きお姉ちゃんっぽかった」

梓「へっ!?」

純「唯先輩のまね?」

梓「べ、別にそういうのじゃないて!」

梓(無意識に真似しちゃってたかも……)

梓「と、とりあえず練習! 練習!!」

純「はーい」

・・・30分後

梓「ふぅ、少し休憩しよっか」

純「はやっ!?」
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:52:52.56 ID:WpLyv9Oyo
梓「え…早かった?」

純「もうちょっと練習しないの? まだ30分ぐらいしかやってないじゃん」

梓(た、確かに休憩早かったかも…)

憂「お茶持ってきたよ〜」

純「憂まで!?」

憂「あれ、休憩って言ってたから。違うの?」

梓「や、やっぱりもうちょっと練習しようってことになって」

憂「そっか…お茶とお菓子用意したんだけど、しょうがないね」

純「待って、せっかく用意したんなら食べなきゃ」

梓「結局休むの!?」
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:53:28.44 ID:WpLyv9Oyo
・・・・・

モグモグ

純「うむ、美味」

梓「それにしても、純ってベース上手くなったよね」

純「え? そう?」

梓「うん、前にセッションした時よりもかなり上手くなった」

純「まぁね! なんだかんだで毎日練習してますから!」

憂「純ちゃんえらーい」

梓「純って意外と努力家なんだね」

純「意外ってなによ意外って!」

806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:53:55.32 ID:WpLyv9Oyo
梓「あっ、そろそろ練習再開するよ」

憂「はーい」

梓「純も用意して!」

純「はいはーい」

梓(先輩たちへのクリスマスライブ……がんばらなくちゃ!)

純「……って梓」

梓「なに?」

純「口、ケーキのクリームついてるよ」

梓「え……あっ!!」ゴシゴシ

純「しっかりしてよね」

梓「い、いいから再開!」

ガチャッ

唯「ただいまー」
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:54:53.95 ID:WpLyv9Oyo
憂「あ、おかえりお姉ちゃん」

純「おじゃましてまーす」

唯「あれ? みなさんおそろいですな!」

唯「三人集まって楽器持ってなにやってるの?」

梓「!!」

梓「あ…え、えっと、これはですね……」

梓(しまった…憂の家だから唯先輩もいるんだった)

唯「あ、分かったさては…!」

梓「……ばれちゃったら仕方ないです。実は」

唯「コイバナですな?」

梓(楽器関係ない!!)

808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:55:26.13 ID:WpLyv9Oyo
憂「梓ちゃんにギター教えてもらってたんだー」

唯「なーんだ、そっか」

梓(憂、ナイスフォロー!)

唯「あずにゃんっていろいろ知ってるもんね」

梓「唯先輩が知らなすぎるだけです!」

唯「それじゃあ、よいしょっと」

純「……?」

梓「…なにやってるんですか」

唯「私にも教えてください先生!」

梓「勉強はいいんですか…?」

唯「えへへ〜」

梓「…はぁ」
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:56:08.85 ID:WpLyv9Oyo
唯「おっ?」ジーッ

純「な、なんですか?」

唯「純ちゃんのそれ、かわいいね!」

純「あっ、このベースですか?」

純「形がかわいくて気に入って、がんばってお金ためて中古で…」

ぎゅっ

純「わっ!?」

唯「純ちゃんの髪の毛かわいい〜!」モコモコ

純「ひいいいぃぃ!!」

憂「いいなー、純ちゃん」

梓「純も唯先輩の洗礼を…」
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:56:42.39 ID:WpLyv9Oyo
ぎゅ〜っ

純「ゆ、唯先輩いい加減はなれてください…」

唯「え〜、もうちょっとだけ」

梓「唯先輩、もうそこらへんに…」

唯「……スヤスヤ」

梓・純(寝てる!?)

憂「お姉ちゃんおきてー」

唯「…はっ……つい寝ちゃった」

純「梓…あんたいつも大変だったんだね」

梓「まぁね…」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:57:37.17 ID:WpLyv9Oyo
憂「ほら、お姉ちゃんは勉強がんばらないと」

唯「そうでした!」

梓「しっかりしてくださいよ唯先輩。大学落ちたらどうするんですか」

唯「あぅ〜…それは言わないで〜」

梓「なら勉強してください!」

憂「お姉ちゃんファイト!」

唯「はーい…」

唯「それではみなさん!」

梓「なんですか?」

唯「私のことは気にせずコイバナの続きをどうぞ」

梓「だから違いますって!」

812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:58:39.16 ID:WpLyv9Oyo
梓「はぁ…唯先輩はもう」

純「相変わらずだね」

梓「あの調子で受験大丈夫なのかな…」

純「唯先輩だけ落ちたりして」

憂「お、お姉ちゃんだけ……」プルプル

純「あっ…じょ、冗談だって冗談! 唯先輩なら大丈夫だから! たぶん…」

梓「そ、そうだよ憂、唯先輩なら受かるよ! たぶん…」

憂「たぶん…!?」ガーン

純「とりあえず私達は練習しないと! そうでしょ梓?」

梓「うん! なんとかバレずにすんだし、クリスマスライブの練習に集中…」

唯「うい〜、台所にポテチなかったっけ?」トテトテ

梓「ぎゃ−!?」
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:59:14.34 ID:WpLyv9Oyo
・・・翌日

梓「今日は軽音部の部室で練習しようと思う」

純「大丈夫なの? 唯先輩たち来たらバレるじゃん」

梓「みんな今日は家で勉強するらしいから、大丈夫」

憂「軽音部の部室で練習するんだ、なんかワクワクしちゃうなー」

梓「じゃあ掃除が終わったら部室に」

純「りょーかい……あっ、私ちょっと遅れるかも」

梓「え?」

純「ジャズ研の用事があるから。すぐ終わると思うけど」

梓「そっか、分かった。じゃあ私と憂で先に練習してるね」

憂「うん」
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 20:59:48.48 ID:WpLyv9Oyo
――ジャズ研 部室

純「おまたせー」

同級生「遅いよ純」

純「掃除遅れちゃって。でもいいじゃん、ちょうど時間通りなんだし」

同級生「じゃあ純も来たことだし始めよっか、会議」

純「部長と副部長を決める会議かぁ…」

「誰かやりたい人いる?」

しーん・・・・

同級生「純やりたくないの?」

純「うーん…いざ考えてみると大変そうだし」

「話し合いで決まらない場合は、確かセンパイ……」

純「センパイが決めるの?」

「が作ったクジで決めろだって」

純「クジ!?」

815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:00:29.65 ID:WpLyv9Oyo
同級生「わ…部長バージョンと副部長バージョンの両方作ってある」

純「部長の方に二本、副部長の方に三本……」

純「これ引いて出てきた名前の人が部長と副部長をやるってわけ?」

「そうみたい」

純「じゃあそれでいいんじゃない? 話し合いじゃ決まらないみたいだし」

「それじゃ…部長のクジから引いてみる。えいっ」

同級生「だ、誰?」

「……あっ、私だ」

純「じゃあ部長決定ってことで」

パチパチパチ

「い…いいのかな、こんな感じで」
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:01:08.71 ID:WpLyv9Oyo
純「副部長のクジは私が引くね」

純「誰が出るかなー」ガサゴソ

純「そりゃっ!」

「あれ…私の名前だ」

純「あっ、ほんとだ。じゃあ副部長決定」

パチパチパチ

「ど、どうもどうも」

同級生「なんか…あっさりと決まっちゃったねー」

純「うーん…」

同級生「自分が当たると思ってちょっと期待してた?」

純「べ、別に?」

純「でも一応誰が候補になってたのか確認してみようかなー」ガサゴソ

純「あっ、副部長クジの方に私の名前あった!」
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:02:56.44 ID:WpLyv9Oyo
同級生「ほんとだ。私は私は?」

純「えーっと……」ガサゴソ

純「副部長には入ってないみたい」

同級生「じゃあ部長の方か。あー外れちゃって残念だなー」

純「……」ガサゴソ

純「…あのさ、残念なことに部長の方に入ってないよ」

同級生「はぁえっ!?」

同級生「そんな、本当にないの!? どこかにあるはずだよ!」ガサゴソ

純「どっちの候補にも入ってなかったってことだって。現実は見な」

同級生「うわ…なんかちょっとショック……」
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:03:56.77 ID:WpLyv9Oyo
「こ、今度から部長をやらせてもらいます。がんばりますのでよろしくお願いします」
「副部長ですっ、頑張りますのでよろしくお願いします!」

パチパチパチパチ

「えーっと、じゃあ部長と副部長は決まったことだし、これで会議は終わりになります」

純(やる気があったわけじゃないけど、外れたのはちょっと悔しいかなー…)

同級生「純、この後用事ある?」

純「え?」

同級生「駅前においしいシュークリーム屋さんができたんだって。一緒に行かない?」

純「ごめん、この後軽音部に行かなきゃいけないの」

同級生「軽音部? なんで??」
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:04:31.61 ID:WpLyv9Oyo
純「梓が軽音部の先輩達にシークレットライブをやりたいっていうから、その手伝い」

純「ほら、軽音部って二年生が梓一人でしょ? 一年生はいないし人手が足りないの」

同級生「ふーん……?」

純「というわけだから、今日はごめん。また今度ね」

同級生「わかったー。…あっそうだそうだ、ねえねえ関係ないんだけどクリスマスは空いてる?」

同級生「暇なみんなで集まってさ、どっか行かない?」

純「ごめん、クリスマス無理」

同級生「クリスマスも!? なんで!?」

同級生「まさか彼氏でもできたの!?」
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:05:03.52 ID:WpLyv9Oyo
「えっ、純ちゃんって彼氏できたの?」
「うそっ!」
「いいなー」

ヒソヒソ

純「ち、違うって! 全然違うから!!」

同級生「えー、じゃあなに?」

純「そのシークレットライブをクリスマスの日にやろうってことなの!」

同級生「へー……なんか安心した。彼氏とデートじゃないんだね」

純「だから違うっての…」

同級生「でも〜、なんでクリスマスに純が軽音部の手伝いを…」

純「人手が足りないって言ったでしょ。助っ人ベーシストの私が必要なの」

同級生「なんか腑に落ちないけど…まぁいいや。わかった」

同級生「じゃあー、クリスマスはしょうがないってことで」

純「また来年のクリスマスにでも遊びに行こ」

同級生「そうだね…って、来年は私たちが受験じゃん」

純「あっ、そっか」
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:06:07.69 ID:WpLyv9Oyo
・・・・・

純「遅れちゃったかな…まぁ大丈夫か」タタタッ

純「え−っと、音楽準備室への近道は…」

先輩C「鈴木?」

純「!!」ビクッ

先輩C「こんな所でなにやってるんだ?」

純「あ…センパイ」

純(急に声かけられてビックリしたー…)

先輩C「集会はもう終わったのか?」

純「はい、部長も副部長も決まりましたよ」
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:06:43.13 ID:WpLyv9Oyo
先輩C「そうか。私たちが引退したからって、気を緩めたりするんじゃないぞ」

純「分かってますって。それじゃ…」

先輩C「ん? どこに行くんだ?」

純「え?」

先輩C「帰るんだったら反対方向だろ。そっちは音楽室だぞ」

純「あ…えっと……」

純(どうしよう…センパイには軽音部の手伝いをするって言ってもいいのかな……)

純(センパイってあんまり軽音部のこと好きじゃなさそうだし…もし事情を話しちゃったら)


先輩C『なんだと、軽音部のライブの手伝い!?』

純『い、いえ、これには海よりも深いわけが……』

先輩C『なんであんなふざけた部活に手を貸すんだ!!』

先輩C『どんな理由があってもそんなのは認めない!!』

純『お、落ち着いてください…』

先輩C『なるほど、どうやらお前にはジャズ研の部員としての誇りがないようだな。もう一度鍛えなおしてやる!』

純『ひいいいぃぃ!?』


純(…――って、なりそう)
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:07:13.07 ID:WpLyv9Oyo
先輩C「どうした、さっきから難しそうな顔をして」

純「い、いえ! 実は音楽室に資料を取りに行こうかなって思って!」

先輩C「資料?」

純「その、楽譜とか…楽譜的なものとか……」

先輩C「楽譜的なものって、なんだそれ」

純「だ、だからですね」

先輩C「正直に言え。お前が嘘をついてるのはバレバレだぞ」

純「えっ…」

先輩C「本当の事を言わないのなら……力づくでも言わせようか?」

純「軽音部の手伝いに行ってきます!!」
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:07:56.44 ID:WpLyv9Oyo
先輩C「軽音部の手伝い?」

純(終わった…叱られる&お仕置きだ……)

純(ごめん梓…憂…今日は練習に行けそうにないや)

先輩C「なんだ、そんなことか」

純「へ?」

先輩C「行くんだったらそう言えばいいだろ。なんでわざわざ嘘をつく」

純「あの…怒ってないんですか?」

先輩C「なんで怒る必要があるんだ?」

純「だって、センパイって軽音部のこと嫌いですし行ってもいいのかなーって…」

先輩C「誰が嫌いなんて言った…。ジャズ研の活動に支障がないのなら、手伝うなりなんなり好きにしろ」

純「じゃ、じゃあ行ってもいい許可もらえるんですか!? 怒らないんですか!?」

純「よかったー」

先輩C「お前…私のことなんだと思ってたんだ」
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:08:44.08 ID:WpLyv9Oyo
先輩C「そもそも、なんの手伝いをしに行くんだ?」

純「あ、はい。実は友達が軽音部の先輩達にシークレットライブをプレゼントしたいっていうんで、ベーシストとして手伝いを」

先輩C「鈴木が? 軽音部に他のベーシストはいないのか?」

純「二年生一人だけなんですよ」

先輩C「そういえば…人数は少なかったな、軽音部」

純「あの〜…本当に行っても大丈夫ですか?」

先輩C「しつこい、好きにしろって言っただろ。それとも私が行くなって言ったら行かないのか?」

純「あ、いえ。なんかこうあっさりと許可が貰えるとは思ってなかったんで」

先輩C「それにしても……鈴木がベースを」

先輩C「……いい機会だ」

純「え?」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:09:49.19 ID:WpLyv9Oyo
先輩C「鈴木!!」

純「は、はい!」

先輩C「どうせ手伝うのなら完璧に演奏するんだぞ」

先輩C「そして軽音部のやつらにジャズ研のベーシストの実力を見せ付けるんだ!」

純「え…えっと……」

先輩C「分かったな!?」

純「い、イエッサー!」

先輩C「よし! ジャズ研の部員として、恥ずかしくない演奏をするように」

純(なんか変なプレッシャーが……)

純「じゃ、じゃあ時間なんでそろそろ行ってきます」

先輩C「ああ、遅刻はするなよ。みっともないからな」

純(もう完璧に遅刻なんですけどね……)

純「あっ、そうだ」

先輩C「どうした?」

純「センパイ、受験頑張ってくださいね」

先輩C「え? あ、あぁ…ありがとう」

純「それじゃ、失礼しまーす」タタタッ

先輩C「……あいつもあいつで、変なやつだ」
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:10:28.86 ID:WpLyv9Oyo
――図書館

先輩B「あっ、来た来た〜」

先輩A「遅かったね、なにやってたの?」

先輩C「いろいろと……そういえば、さっき鈴木に会ったぞ」

先輩A「純ちゃんに?」

先輩C「ああ、軽音部の手伝いに行くって言ってな」

先輩C「なんでも軽音部でシークレットライブをするからその助っ人を頼まれたそうだ」

先輩B「シークレットライブ? へ〜そんなことするんだ」

先輩B「いいな〜」





紬(シークレットライブ…?)
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:11:34.85 ID:WpLyv9Oyo
――軽音部 部室

純「おまたせ!」

憂「あっ、純ちゃん来た」

梓「遅いよ純」

純「色々あって…でも、ここからは私もバリバリと練習しちゃうからね!」

憂「今ちょうど休憩タイムに入ったところだよ」

純「せっかくやる気出してたのに…」

梓「タイミング悪かったね」

ガチャッ

梓「!!」

さわ子「あ〜ず〜さ〜ちゃ〜ん」フラフラ

梓「せ、先生!? どうしたんですか!?」
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:12:06.64 ID:WpLyv9Oyo
さわ子「うぅ……」

憂「だ、大丈夫ですか?」

純「なんか…体調悪そう」

さわ子「……」グリンッ

憂・純「ひいぃっ!?」

さわ子「う〜い〜ちゃ〜〜ん」ガシッ

憂「え……あのっ…」ビクッ

さわ子「お茶入れてください!!」

憂「……へ?」
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:12:35.20 ID:WpLyv9Oyo
・・・・・

ゴクゴク

さわ子「はぁ〜…しあわせ」

梓「なるほど…最近お茶会やってなかったから落ち込んでたんですか」

憂「そっか、ムギ先輩が来なくなったからね」

純「あー…びっくりした」

さわ子「これよこれ! やっぱりこれがないと」ゴクッ

憂「戸棚にクッキーがありました〜」

さわ子「まぁ〜♪」

純「…一体何部なんだろうねここ」

梓「一応軽音部です……」
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:13:22.04 ID:WpLyv9Oyo
さわ子「久しぶりにお茶飲めて、なんだか生き返った気がするわ」

さわ子「これでこそ軽音部ね〜」

純「梓、お茶会部に改名する?」

梓「先生…顧問なんですからそんなこと言わないでください!」

純「私もクッキー食べちゃお」

憂「二人の分のお茶も入れるね」

梓「はぁ…なんで毎回こうなるんだろう」

さわ子「いいじゃない、別に」モグモグ

純「そうそう、いいじゃんいいじゃん」モグモグ

梓「よくない!」

憂「お待たせ梓ちゃん、はいどうぞ」

梓「あっ、ありがとう」

純「結局梓も飲むんだ?」

梓「い、淹れちゃったものは仕方ないし!
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:13:48.65 ID:WpLyv9Oyo
さわ子「そういえばあなた達、部室でなにしてたの? 二人は軽音部の部員じゃないでしょ?」

梓「シークレットライブの練習を…」

さわ子「シークレットライブ?」

梓「あっ」

純(梓!? バラしちゃってどうすんの!!)

梓(つ、ついうっかり!)

梓「ち、違うんです先生! これはえっと……」

憂「えぇっと、梓ちゃんが部室で一人ギターの練習してるところを私と純ちゃんが通りかかって…」

純「そ、そうそう、梓が一人で寂しそうにしてたからなぐさめに来たんだよね!」

純「まったくー、梓は世界一の寂しがり屋さんなんだから」ナデナデ

梓「な、なにそれ!? 別に私は寂しがり屋じゃないし!」

833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:14:19.59 ID:WpLyv9Oyo
純「えー、本当に? 私たち二人が来なくても寂しくなかったの?」

梓「べ、別に寂しくはないけど?」

純「んもー、素直じゃないなー…」

純「私は寂びしけどねっ!!」バッ

梓「えっ!?」

憂「私も寂しいっ!!」

梓「ええっ!?」

純「梓は?」

梓「……私は寂しくないっ!!」

純「ぬぅ…強情なやつ」

梓「って、そもそもそうじゃないでしょ!? 私たちが集まったのはクリスマスのシークレットライブの練習のためで……」

憂「あっ……」

純「梓…言っちゃった」

さわ子「ふーん…なるほどね」

梓「……あっ」
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:15:37.70 ID:WpLyv9Oyo
さわ子「クリスマス……へー」

梓「ち、違うんです先生! だからこれは…」

さわ子「別に私はなにも聞いてないわよ?」

梓「え?」

さわ子「クリスマス、か…そういえば今年は私も予定ないわね」

憂(これは間違いなく…)

純(来るつもりだ…)

梓(しかも今年は@\定ないって……去年もなかったのに)

さわ子「クリスマス、暇のなのよねー」

梓「あの…先生が来るのは別にいいんですけど、先輩達にはこの事は絶対に言わないでくださいね」

さわ子「なんのこと?」

梓「だからシークレットライブのことです! もー、分かってて言ってるじゃないですか!」

さわ子「ふふっ、大丈夫よ。シークレットなんだから、ちゃんと秘密にしておくわよ」


835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:16:09.11 ID:WpLyv9Oyo
梓「はぁ…もう」

さわ子「なるほど、だから二人が部室にいたのね」

憂「えへへ」

純「私、ベース弾けるんで」

さわ子「ふーん…よかったじゃない、梓ちゃん」

梓「え?」

さわ子「寂しい思いをしなくて、助かったわね」

梓「だ、だから私は別に寂しがり屋じゃありませんっ!!」

さわ子「ねえ、それより当日はケーキとかある?」ワクワク

梓「結局それですか……」
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:16:57.59 ID:WpLyv9Oyo
純「そろそろ練習しなくていいの?」

梓「あっ、そうだった! 練習しないと!」

さわ子「がんばってね、私も及ばずながら手伝うわ」

梓「えっ!」

梓(まさか、先生が顧問として初めて指導らしい指導を…!?)

さわ子「歯ギター、やってみない? 盛り上がるわよ」

梓「……けっこうです」

さわ子「憂ちゃんは?」

憂「わ、私も遠慮します……」

さわ子「そんな遠慮しなくても……そうだ!」

純「え?」

さわ子「歯ベース、挑戦してみない?」ガシッ

純「い、いいです。やりません」
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:17:29.56 ID:WpLyv9Oyo
さわ子「なによみんなー、ノリ悪いわよー」

梓「先生は黙って座っててください」

さわ子「!?」ガーン

さわ子「私…役立たず?」

梓「それじゃ、練習始めるよ」

憂「うんっ」

純「さてと、切り替え切り替え……って、梓」

梓「なに?」

純「クッキーの食べかす、口の周りについてる」

梓「えっ!?」

純「もー…しかっりしてよ」

梓「うぅ…///」ゴシゴシ

梓「と、とりあえず練習スタート! ワン・ツー!」


―――――――――
――――――
―――
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:18:05.73 ID:WpLyv9Oyo
・・・12月24日 終業日
――軽音部 部室

梓「よし、準備万端!」

純「あー…澪先輩の前で演奏すると思うと緊張してきた」

憂「お姉ちゃん、喜んでくれるかなー?」

梓「……」

純「梓も緊張してる?」

梓「べ、別に!」

純「それにしても、先輩たち遅いね……」

純「うーん、時間的にはもう来てもいい頃なんだけど」

憂「……ねぇ梓ちゃん」

梓「え?」

憂「今日お姉ちゃん達にここに来るよう連絡した?」

梓「……あっ」
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:18:35.61 ID:WpLyv9Oyo
純「梓…あんた最後の最後で」

梓「ま、待って! 今すぐ先輩達に連絡を」

紬「あれ? 梓ちゃんなにやってるの?」

純「あっ」

梓「ムギ先輩!? どうしてここに…」

紬「なんだか急にパーティやりたい気分になっちゃって」

律「おーっす」

梓「律先輩まで!?」

律「私も急にパーティやりたくなってさ。はい、飾りつけ持ってきた」

梓「どうして…呼んでなかったのに」

紬「ふふっ」

唯「私もいるよ〜」
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:19:02.03 ID:WpLyv9Oyo
憂「あっ、お姉ちゃん!」

梓「唯先輩…!」

唯「すんすん…なにかいい匂いがする」

梓「犬ですか…」

紬「ケーキ持ってきたの。後でみんなで食べようね」


澪「……」ジーッ


紬「ほら、澪ちゃんもこっちに来て」

純「!!」

純(み、澪先輩だ!!)
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:19:46.41 ID:WpLyv9Oyo
律「早く来いよ、澪」

澪「いや、あの、私は……」

律「私は?」

澪「わ、忘れ物を取りに来ただけで……」

律「んーーー?」

澪「だ、だから別にパーティしに来たってわけじゃ…」

律「んんーーーー?」

澪「……」スッ

梓(クラッカー取り出した!?)

律「パーティする気マンマンじゃん!?」
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:20:12.29 ID:WpLyv9Oyo
澪「い、いいだろ…悪いか!」

律「別にいいけど…なんでクラッカーなんだよ」

澪「盛り上がると思って…」

律「一個だけじゃ盛り上がらないだろ、むしろ逆効果」

さわ子「パーン!!」

澪「ギャー!!」ビクッ

パンッ!!!

律「ギャーッ!?」

さわ子「私も交ぜて!」

律「び、びっくりした! あんたそれでも教師か!!」

澪「ハ…ハハハ……」
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:21:47.89 ID:WpLyv9Oyo
梓「あっ、もしかして先生ですか?」

さわ子「なにが?」

梓「先輩たちに今日パーティがあるって連絡したのです。私うっかりして忘れてたのに…」

紬「やっぱり〜」

梓「え?」

さわ子「私は言ってないわよ? 秘密にしてって頼んだじゃない」

梓「あれ…でも……え???」

紬「まぁまぁ、細かいことはいいじゃない。ね? 梓ちゃん」

梓「そ…そうですね!」

律「おーい澪、起きろー」

純「み、澪先輩! わ、私今日は頑張りますね!」

澪「ハハ……ハ……」

律「ダメだ、まだ放心状態か」
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:23:19.72 ID:WpLyv9Oyo
憂「…みんなそろったね、梓ちゃん」

梓「う、うん」

純「ほら梓」

梓「あの…先輩方」

梓「実は先輩たちにクリスマスライブを…」

紬「えーっ!? すごーい!」

唯「早く早く聞かせてー!」

梓「その…今日は忙しい中来ていただいてありがとうございます」

梓「先輩たちが満足できるよう、一生懸命演奏するので聞いてください!」

パチパチパチパチ

梓「それじゃあ…いくよ?」

憂「うん!」

純「いつでもオッケー」

梓「……ワン・ツー!」


―――――――――
――――――
―――
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:24:21.24 ID:WpLyv9Oyo
律「いやー、盛り上がったなー! クリスマスパーティ!」

唯「良い息抜きになったねー」

澪「帰ったら勉強しないとな…二人はちゃんとやってるのか?」

唯「私はバッチリだよ澪ちゃん!」

唯「実は手のひらに…英単語をびっしりと書いてあるのです!」バーン

澪「ひぃっ!?」

律「よーし、なら今日はこのままみんなで勉強会としゃれ込もう!」

紬「さんせー!」

唯「うちでやろうちで!」


846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:25:41.13 ID:WpLyv9Oyo
唯「あずにゃんと純ちゃんもおいでよ!」

梓「え?」

純「私もですか?」

梓「い、いいですよ。邪魔になると悪いですし」

律「あ、そういや私2年生の範囲で分からないところあるから教えて」

梓「……本当に受験大丈夫なんですか?」

唯「おいでよあずにゃ〜ん」ギュ〜

梓「に゛ゃあっ!?」

唯「純ちゃんも来るよね?」

純「私も冬休みの宿題早く終わらせたいですし…行こっかな」

憂「やった、梓ちゃんと純ちゃんも来るんだ」

律「よーし、じゃあ唯の家へ行くぞー!」

「「「「「おー!!」」」」」

さわ子「私も行っていいかしら?」

律「えっ、さわちゃんも来るの?」

さわ子「その扱いひどい!!」
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:26:14.75 ID:WpLyv9Oyo
憂「うちは全然構わないですよ」

唯「うん、さわちゃんも来ていいよ〜」

さわ子「あら、ありがとう♪」

澪「勉強の邪魔は…しないでくださいね」

さわ子「失礼ね、むしろ教師なんだからあなた達に勉強教えてあげるわよ!」

律「さわちゃんは音楽教師だろ…」

さわ子「大丈夫、たぶん基本ぐらいは覚えてるから」


純「なんか、すごいことになってきたね」

梓「うん…でも本当にこの調子で受験大丈夫なのかな」

梓「特に唯先輩と律先輩」

唯「あずにゃんひどい!?」ギュッ

律「なんだと中野ー!」ギュッ

梓「だ、だからくっつくのはやめてください!!」
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:26:55.33 ID:WpLyv9Oyo
純「やっぱり仲良いね軽音部」

純「でも入る余地なくてちょっぴり悔しいかも…」

憂「梓ちゃんうれしそう」

純「……そういえば、来年どうするんだろうね梓」

憂「え?」

純「ほら、梓一人になるじゃん。大丈夫かな?」

憂「なんとかなるよ。私も来年は軽音部に入ろうかなって思ってるし」

純「えっ、憂入部するの!?」

憂「まだ決めたわけじゃないけど、たぶん」

憂「卒業式の日に梓ちゃん驚かせちゃおうかな」
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:27:39.59 ID:WpLyv9Oyo
純「へー……まぁ憂がいれば心強くなるね」

憂「えへへ」

唯「うい〜! 早くいこー!」

憂「あっ、うん。今行くねお姉ちゃん!」

梓「憂、なんかごめんね私まで」

憂「気にしないで、大勢の方が勉強もはかどると思うし」

純(そっか、憂は入部するんだ…)

純「……」

憂「純ちゃんも早くー!」

梓「純、もう行くよ」

純「あっ、はいはーい」
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:28:10.75 ID:WpLyv9Oyo
唯「楽しみだね〜」

紬「あっ、途中でケーキ買っていく?」

澪「まだ食べるのか!?」

さわ子「よーし、今日はみんなで盛り上がりまくるわよー!」

律「いや、勉強するから」

澪「パーティはもう終わりましたよ」

紬「勉強はちゃんとやらないと」

唯「そうだよさわちゃん、ふざけてる場合じゃないよ!」フンス

さわ子「みんな真面目!?」



##19 おわり
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga sage]:2011/07/28(木) 21:34:07.67 ID:WpLyv9Oyo
ここまで。
クリスマス回は書きたかった話の一つなんでアニメに使われなかった原作ネタを混ぜつつ書いてみました。
あと最終話までには埋まりそうなので次スレを立てるかもしれません。
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/29(金) 00:29:42.41 ID:yYIk/nsAO

映画でクリスマスの話をやって欲しいな
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/07(日) 01:43:00.27 ID:pNtavL9AO
純スレでこのSS書き終えたらもうSS書かないって書いてあったけどマジ?
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 16:31:40.38 ID:25idI+VW0
梓「唯先輩の脳みそ美味しいです♪」と同じ人だったとはとても信じられないな…
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 20:03:12.38 ID:nnMqyxsy0
純ちゃんの兄が登場したらしいな
実は彼氏説もあるが
856 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:05:55.02 ID:iN26t3bAO
##20

――購買

純「あ〜ぁ、ゴールデンチョコパンないや」

憂「本当だ。人気なんだね」

純「三年生がいないから買えると思ったのに……」

純「しょうがない、適当なもの買っとこ」

憂「私も何か買おうかな〜」

部長「あっ、鈴木さん! ようやく見つけた」

純「え?」

部長「ここにいたんだ。探したのよ」

純「あれ、どうしたの?」

部長「ちょっと話があるんだけど…いい?」
857 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:08:44.77 ID:iN26t3bAO
純「なに急に」

憂「純ちゃん、この人は…?」

純「あぁ、えっとジャズ研の部長」

部長「こんにちは、確か平沢さんだったかしら。よろしくね」

憂「こ、こんにちは」

部長「そういえば…中野さんはいないの?いつも一緒じゃなかったっけ?」

純「別にいつも一緒ってわけじゃ…。梓はやることがあって教室にいるよ」

部長「ふーん…」

純「それで話って?」

部長「たいした話じゃないの。すぐに終わることだから」

純「じゃあちょっと待ってて。先にパンと飲み物買うから」

部長「そう、わかった。待ってるね」

憂「私は先に教室に戻ってるね」

純「うん、了解」
858 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:09:51.36 ID:iN26t3bAO
・・・・・

純「それで、どうしたの?」

部長「今日から部活のメニューを変えてみようかと思うの。それで昨日、練習メニューを組み立て直してみたんだけど…」スッ…

部長「鈴木さん、ちょっとチェックしてもらえる?」

純「えっ、私が?」

部長「今日は副部長が風邪で休んでるの。だから代わりに鈴木さんに見てもらいたくて。メニューのことで何か意見があったら遠慮なく言ってね」

純「副部長の代わりにねぇ…」

部長「個人的に鈴木さんには期待してるんだけどなぁ」

部長「仲間思いだし、頼りになるし…そんな鈴木さんだから、私もついあてにしちゃって。迷惑だった…?」

純「そ、そんなことないって」

純「しょうがないなぁ、そこまで言われたらチェックしてあげよう!」

部長「よろしくね」
859 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:11:06.25 ID:iN26t3bAO
純「ふむふむ…」

部長「……」

純「いいんじゃない? この練習メニューで問題ないと思うけど」

部長「そう、よかった。なら次の練習からはこのメニューね」

純「それにしても、私がそこまで期待されちゃってるなんてなぁ」

部長「鈴木さんって見かけによらずしっかり者だから。それに、新学期からはレギュラーにも入ってるしね」

純「えっ、うそ…」

部長「本当よ。ここだけの話、ジャズ研のレギュラーベーシストは鈴木さんにしようと思ってるの」

純「まじ!? やったぁ!!」

部長「これからも頑張ってね、鈴木さん」

純「もちろん!」

純「はぁ、これでようやく私も舞台へ上がれる!」

部長「ふふっ。あっ……そうそう、話は変わるんだけど」

部長「鈴木さんって、中野さんと仲は良いのよね?」
860 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:12:33.51 ID:iN26t3bAO
純「梓? 仲良いけど…それがどうしたの?」

部長「ううん、仲が良いならそれでいいの」

部長「あの子が今は軽音部の部長なんでしょ?」

純「うーん…どうなんだろう。まだ三年は引退しないでちょくちょく部室に来てるって言うし」

部長「そうなの? まぁそれならそれでもいいんだけど…」

部長「よかったら今度私にも中野さんを紹介してね。同じ部長同士、私も仲良くなりたいから」

純「うん、いいよ」

部長「それじゃ、私はそろそろ戻るから。引き留めてごめんね」

純「はいはーい。じゃあまた」
861 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:13:42.61 ID:iN26t3bAO
――2年1組

純「たっだいまー」

憂「おかえり、純ちゃん」

梓「長かったね」

純「うん? まぁちょっと色々ね」

憂「梓ちゃん、あの話しなくていいの?」

梓「あ…うん。ねぇ純」

純「んー?」モグモグ

梓「頼みたいことがあるんだけど…」

純「?」

梓「純に新歓ライブの手伝いをお願いしたいの」
862 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:14:51.25 ID:iN26t3bAO
純「新歓ライブって、4月にやるやつの?」

梓「うん、そろそろ練習を始めなきゃと思って」

憂「私も手伝うんだよ」

梓「…で、もし都合が良かったら純にも協力して欲しいんだけど」

純「……ふーむ」

梓「あっ、ジャズ研の方が忙しかったら断ってくれても全然かまわないから」

梓「無理させるのも悪いし」

純「……いいよ!」

梓「えっ…」

純「練習、手伝ってあげる」
863 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:16:29.46 ID:iN26t3bAO
梓「ほんとう!?」

純「もちろん、私は嘘をつかない女!」

純「あっ…て言ってもジャズ研の練習がある日はそっち優先させちゃうかもしれないけど、いい?」

梓「うん、それでも全然助かるよ純」

純「ま、困ってる梓に救いの手を差し出してあげようじゃない」

憂「純ちゃんは、梓ちゃんが困ってるとほっとけないもんね」

梓「純…!」

純「私としては梓の困った顔をもっと見てみたいけど」

梓「今ちょっとだけ感激した私の気持ちを返して」
864 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:17:19.99 ID:iN26t3bAO
純「まぁまぁ、ちゃんと手伝ってあげるんだからいいじゃない」

純「ところで…お菓子の用意とかってしてあるのかな?」

梓「お菓子? 練習はムギ先輩達がいない間にやるからお菓子はないけど」

純「えぇっ、そんなぁ!?」

梓「……まさかお菓子目当てだった?」

純「別にそういうわけじゃないけど…あったら良かったのになぁって」

憂「お姉ちゃん達がいない間に練習するの?」

梓「うん。新学期のことに関しては余計な心配かけたくないし、内緒にしようと思ってる」

純「ふーん」

憂「そっか…じゃあ私もこのことはお姉ちゃんに黙ってた方がいい?」

梓「できたらお願い」
865 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:18:59.84 ID:iN26t3bAO
純「それで、いつから練習?」

梓「明日から。明日なら先輩達もいないし」

純「明日か…うん、ジャズ研の練習はないから私の方は大丈夫」

純「よーし、ジャズ研で鍛え上げたベーステクニックを今こそ役立てる時!」

梓「クリスマスの時にも聞いたけど、純もすっかり上達してるよね」

純「ふっふっふ…ここだけの話、実はレギュラー取れそうなの」

梓「へぇー」

憂「ジャズ研って競争厳しいんでしょ? それでレギュラーになれるなんて純ちゃんすごいね」

純「ふふーん、こう見えても努力家ですから」

純「去年は特に頑張ったっけ……頑張りすぎて、指が血だらけになるくらいに」

梓「そこまでには見えなかったけど…」

純「それぐらい頑張ったってこと」

純「とにかく、私が練習に参加するにあたっては大船に乗った気でいなさい!」

梓「はいはい、じゃあよろしくね」

純「おっけー、まかせて」

憂「頑張ろうね!」
866 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:19:48.41 ID:iN26t3bAO
翌日
――通学路

純「ふぁ〜……」

純「……ねむ」

純(この時期はまだ寒いし…イヤになっちゃう)

純「…今日は梓の手伝いかぁ」

純「んーと、ベースはちゃんと持ってきたし…よし、大丈夫」

純(寝ぼけて忘れるかもしれないしちゃんと確認しないとね)

純(あっ…部長には手伝うことちゃんと言っておいた方がいいかな)

純「うーん……」

純(あとでメールしておこ)

後輩c「純先輩、おはようございます」
867 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:21:07.94 ID:iN26t3bAO
純「あっ、おはよー…ってあれ? マフラーどうしたの?」

純「いつもしてなかったっけ」

後輩c「実は…昨日なくしちゃって」

後輩c「探したんですけど全然見つからなくて…」

純「そうなんだ、それじゃ首もと寒いでしょ。あっそうだ…私のマフラー貸してあげよっか?」

後輩c「えっ…で、でも」

純「私は大丈夫。それよりかわいい後輩が風邪ひかないか心配なの」

純「はい、これ使って」

後輩c「純先輩…!」

純(ふふふ…今わたし、めちゃくちゃかっこいい先輩やってるかも)

後輩c「あの、純先輩…もしよかったら今日……あ、あれ」

純「どうしたの」

後輩c「今日……部活、ありましたっけ…?」
868 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:22:47.36 ID:iN26t3bAO
純「へ?」

後輩c「わ、私…ベース忘れちゃって……」

後輩c「い、急いで取りに戻ります!」

純「ちょっとストップ! 今日は部活ないってば!」

後輩c「で…でも、純先輩はベース持ってきて…」

純「違う違う、これは違うの。今日軽音部の練習の手伝い頼まれたから、そのために持ってきたの」

後輩c「えっ……?」

純「そういうわけで、今日は練習ないから安心して」
869 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:24:04.69 ID:iN26t3bAO
後輩c「軽音部の…手伝いですか……?」

純「うん、新歓ライブの手伝いでね。軽音部に友達いるの知ってるでしょ? その子がどうしてもって言うから」

後輩c「…クリスマスの時も、そういうのありませんでしたっけ」

純「あぁ、あの時もそうだっけ。いやー、私ってやっぱり頼りがいのある人間なのかなぁ」

純「困っちゃうなぁ、人気者は」

後輩c「……」

純「……あれ、滑っちゃった?」

後輩c「あっ…いえ。すいません、ちょっと考え事して…」

純「もー、調子乗りすぎて引かれちゃったと思った」

後輩c「で、でも純先輩は確かに頼もしいです」

純「あっ、そう? やっぱり? 嬉しいこと言ってくれるじゃん」

後輩c「あはは…」
870 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:24:59.23 ID:iN26t3bAO
――1年1組

後輩c「……」

後輩b「おはよ」

後輩a「おーはよっ」

後輩c「あっ、お、おはよう」

後輩b「マフラー変わったんだね」

後輩c「え?」

後輩b「ほら、いつもと違う」

後輩c「……あっ!! 純先輩に返し忘れた!!」

後輩b「うわ、びっくりした。そんな大きな声初めて聞いた」

後輩a「それ純先輩のなの?」

後輩c「うん…借りたの。私のやつはなくしちゃったから」

後輩b「ふーん、なるほど」

後輩a「あとで返しにいけばいいんじゃない?」

後輩c「う、うん…そうだね」
871 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:27:36.31 ID:iN26t3bAO
後輩b「お昼休みの時にでも一緒に行こっか。確か2年1組だっけ」

後輩c「うん……あっ」

後輩b「なに?」

後輩c「純先輩のクラスに、軽音部の人っていたよね?」

後輩b「軽音部?」

後輩a「ひょっとして…梓先輩のこと? 中野梓先輩」

後輩c「あのね……その人って…どういう人なの?」

後輩b「どういう人って言われても…」

後輩a「優しい先輩だよ。前にギター教えてもらったし、教え方も上手かったし」

後輩c「純先輩とも…仲良いの?」

後輩b「良いんじゃない? 純先輩からもたまに梓先輩の話聞くし」

後輩a「梓先輩がどうしたの?」
872 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:28:35.97 ID:iN26t3bAO
後輩c「ちょっと…気になって」

後輩b「?」

後輩c「別に大したことじゃないよ。本当にちょっと気になっただけだから」

後輩a「あっ、ははーん分かった」

後輩a「ひょっとして…梓先輩のファンになった?」

後輩c「へ?」

後輩a「なるほど、そっちにいきましたか。まぁ気持ちは分からなくもないけどね、梓先輩もかわいいし」

後輩c「あ、あの…それは違う……」

後輩a「あっ、ファンクラブ作っちゃえば? 今ならファンクラブ会員ナンバー1番になれるよ!」

後輩c「だ、だからね、そうじゃなくて…」

後輩b(たぶん何か誤解が生まれてるんだろうけど……まぁいっか)
873 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:29:25.98 ID:iN26t3bAO
昼休み
――2年1組

純「うーいっ、購買行かない?」

憂「うん、行こっか純ちゃん」

純「梓も行く?」

梓「私は買うものないし、残った課題やりながら教室で待ってる」

純「そう? そんじゃ行こ、憂」

憂「今日はゴールデンチョコパンあるといいね」

874 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:30:38.72 ID:iN26t3bAO
・・・・・

純「そういえば憂、今日はなんの楽器やるの? オルガン?」

憂「うん、今回はオルガンやろうと思ってる」

純「ほぉー、それにしても憂は器用だね。オルガン弾いたりギター弾いたり」

純「その才能が羨ましい」

憂「そ、そんなことないよ」

純「でも実際なんでもできるじゃん。憂が軽音部に入部したら、安泰だね」

憂「私だけじゃダメだよ。そもそも人数もそろってないし」

純「あーそっか、四人必要なんだっけ」

憂「うん、そうだよ」

純「去年は来なかったし、今年も軽音部に新入部員来るのかな。また来なかったりして」

憂「それは言わないであげて…」
875 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:32:24.63 ID:iN26t3bAO
純「でもさ、春からは梓が軽音部引っ張っていくんでしょ? いきなり後輩が入って来たら来たで大丈夫かな」

憂「純ちゃんは梓ちゃんのこと本当に心配してるんだね」

憂「ちょっと妬いちゃうなぁ」

純「えっ」

憂「だって私…純ちゃんとは中学からの付き合いなのに、純ちゃんは梓ちゃんばっかり構って……ずるい」

純「憂? きゅ、急になに!?」

憂「純ちゃん…私のことも、もっと構って?」

純「う、憂!?」

憂「なーんちゃって、驚いた?」

純「あ…そ、そのドッキリ分かりにくいって!!」
876 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:33:31.25 ID:iN26t3bAO
憂「ごめんごめん」

純「まったく」

純「…憂のことだって、ちゃんと大切な友達だと思ってるんだからね?」

憂「えへへ、ありがとう純ちゃん。私も二人のこと大好き」

憂「だから、今日みたいに三人一緒に何かできるのってすっごく嬉しい」

純「うん、そっかそっか」

憂「純ちゃんも嬉しい?」

純「うーん……どうだろ」

憂「えー、純ちゃーん」

純「じょうだんじょうだん」

憂「もう純ちゃんってば」

純「へへ、さっきのお返しだよ」

純「私も三人一緒で楽しいと思うよ。……あっそうだ、今良いこと思い付いた」

純「なんなら私もこのまま軽音部に入っちゃおうか?」
877 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:35:20.54 ID:iN26t3bAO
憂「え……? じゅ、純ちゃん?」

純「なに?」

憂「それも…冗談?」

純「? 違うけど」

憂「で、でも純ちゃんジャズ研に入ってるし!」

純「そうだけど、兼部って形ならいいんじゃない?それに 私の籍があれば、頭数も増えるし」

純「たぶん練習はジャズ研の方が中心になるかもしれないけど…時間がある時は軽音部もやるって感じなら、いけるんじゃない?」

憂「もし本当に入部してくれるなら嬉しいけど……そんなにあっさり決めちゃって大丈夫なの?」

純「確かに思いつきで言ってみたけど……どうなんだろ」

純「でも私の方はそれでもいいし、ジャズ研の子達だって話せば分かってくれると思うから」

憂「だけど兼部って大変そう…」

純「平気へーき、軽音部は基本的にはお茶飲むだけでしょ」

憂「それは…」

憂(……違うとは言い切れない)
878 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:36:34.77 ID:iN26t3bAO
憂「一応ちゃんと練習もやると思うよ?」

純「ベース弾くの好きだし、部活を両方やってる分たくさん弾けると思えばいいじゃん」

憂「純ちゃん…」

純「それに憂と梓だけ一緒に部活やるなんてずるいよ。私がいなきゃ、バランスも悪いでしょ!」

憂「…ありがとう、純ちゃん。梓ちゃんもきっと喜ぶと思うよ」

憂「でもジャズ研の人たちは何て言うかなぁ」

純「うーん、そこなんだけど…さっきも言ったけど、たぶん大丈夫だって」

純「とりあえず、今度の部活で事情を説明してみる」
879 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:37:39.78 ID:iN26t3bAO
・・・・・

後輩a「ねぇ、マフラー返しに行かないの?」

後輩c「え? あ…うん。今行くよ」

後輩b「一人で上級生の教室行くのは不安でしょ。私たちも一緒についてってあげる」

後輩c「ありがとう…」

後輩c「……」

後輩b「どうしたの?」

後輩c「ご、ごめんね。やっぱり私、一人で行ってくる」

後輩b「え? でも…」

後輩c「二人に悪いし…すぐ戻ってくるから」タタッ

後輩b「あっ、ちょっと!」

後輩a「まぁまぁ行かせてあげなって。これから憧れの梓先輩に会いに行くんだし、二人っきりになりたいんだよ」

後輩b「それは違うと思うけど…まぁいっか」
880 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:39:52.55 ID:iN26t3bAO
――2年1組

後輩c「……」

後輩c(教室の前まで来ちゃったけど……やっぱり二人にもついてもらった方がよかったかなぁ)

後輩c(でも二人の前では純先輩に色々聞けないし…)

後輩c「……」

後輩c(考えすぎかな…純先輩が軽音部に入るわけないよね)

後輩c(ただ…友達の人を助けるだけだもんね)

後輩c「……」

後輩c(でも、もし純先輩が軽音部に入ったら……会える時間が少なくなっちゃうかも)

後輩c(それに…軽音部の人に純先輩を取られたくない……)

ガラッ

後輩c「!!」ビクッ

梓「あ…」
881 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:40:54.05 ID:iN26t3bAO
後輩c「え……あっ、えっと、えっと」

梓「ごめん…ちょっとそこいい? 通りたいんだけど」

後輩c「あ、すすすいません!」ササッ

梓「…うちのクラスに何か用?」

後輩c「あっ…いえ、その……」

後輩c「じゅ…純先輩は……いますか?」

梓「純? 今購買に行ってるけど…すぐ戻ってくると思うよ」

梓「えっと…ジャズ研の人?」

後輩c「は、はひっ」

梓「そっか。待ってればすぐ来るから」
882 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:41:55.58 ID:iN26t3bAO
後輩c「は、はい……」

梓「……」

後輩c(あれ…この人ってひょっとして……)

後輩c(中野先輩じゃ……)

梓「さてと、教科書は……」

後輩c「……」ジーッ

後輩c(この人が…中野先輩)

後輩c(純先輩と一番仲が良い人……)

梓「……」

後輩c「……」ジーッ

梓(なんか私、さっきからずっと見られてるような…)
883 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:43:20.03 ID:iN26t3bAO
後輩c「……」ジーッ

梓「あの……なにか?」

後輩c「あっ…いえ、すすすいません」

梓(あれ…ひょっとして何か変なことしちゃった、私?)

梓「……」キョロキョロ

梓(別に大丈夫だよね…)

後輩c「……」ジーッ

梓(あれ、やっぱり見られてる!?)

後輩c(どうしよう…純先輩のこと、思いきって聞いてみようかな……)

後輩c(でも緊張する……)

梓「…あの」

後輩c「!!」ビクッ

梓「私の顔に…何かついてるの?」

後輩c「え? え??? あ…えっと……あの……」

後輩c「は、鼻がついてます」

梓「…………あ、そう」

後輩c「……」

梓「……」

梓(い、今のどうリアクションすればいいの!?)

後輩c(あれ…変なこと言っちゃったかな……)
884 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:45:14.33 ID:iN26t3bAO
梓「えぇっと…純に用があるんだよね?」

後輩c「そ、そうです」

梓「それで…どうしてさっきから私のこと……」

後輩c「へ? あっ……す、すいません!」

後輩c「あの…えっと……実は……」

梓「?」

後輩c(せ、せっかくここまで来たんだから…勇気を出して聞かなきゃ)

後輩c(純先輩が軽音部に入るのかどうか…)

後輩c「じゅ…」

梓「じゅ?」

後輩c「純先輩を私から奪わないでください!!」

梓「……え?」

後輩c「……はっ」

後輩c(わ、わわ私なにを言って……!?)

梓「え、あの」

後輩c「し、失礼しました!!」ダダダッ

梓「え? えぇ???」

梓(……ど、どういうこと?)
885 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:46:25.53 ID:iN26t3bAO
梓「……」ポカーン

純「梓、なにそんな所で立ってるの?」

梓「あ…純、憂。おかえり」

憂「どうかしたの?」

梓「……ううん、なんでもない」

純「早く教室入ろうよ。おなかすいちゃった」

梓「そ、そうだね」

梓(今の子の事、純に言った方がいいかな)

梓(でも説明しづらいし……)

純「いっただきまーす」

梓(……とりあえずよく分かんないし、そっとしておこ)
886 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:47:44.97 ID:iN26t3bAO
・・・・・

後輩c(なんであんなこと言っちゃったんだろう……)ズーン

後輩c(はぁ…色々失礼なことしちゃったかも)

後輩c(結局聞きたいことも聞けなかったし)

後輩c「……」

後輩c(でも…本当に純先輩が軽音部に行っちゃったら……)

後輩c(そうしたらジャズ研は……)

後輩c「……」

後輩c(せっかく私にも居場所ができたのに…)

後輩c(純先輩とみんなと楽しく部活できたのに…)

後輩c(そんな毎日が変わっちゃうのは……嫌)
887 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:48:43.78 ID:iN26t3bAO
後輩c「……」

後輩c(やっぱり考えすぎなのかな…私)

後輩c(あぁもう……私ってどうしてこんな…)

ガラッ

後輩b「あっ、おかえり」

後輩c「ただいま…」

後輩a「梓先輩には会えた?」

後輩c「え? …会ったけど」

後輩a「二人っきりで?」

後輩c「えっと……う、うん」

後輩a「ほら言った通りでしょ!」

後輩b「まさか…本当にそうだったなんて」

後輩c「???」
888 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:50:23.06 ID:iN26t3bAO
後輩b「まぁいいけど…ところでマフラーは返したの?」

後輩c「マフラー……あっ!」

後輩b「…返し忘れたの?」

後輩a「梓先輩に見とれすぎて?」

後輩c「……え?」

後輩b「しかしまぁ、あの梓先輩を狙っていたとは…」

後輩c「あのぅ……」

後輩a「心配しないで、私は応援するから!」

後輩b「本当に梓先輩がいいの?」

後輩a「いやぁー隅におけないね。このこのっ」

後輩c(……どうしてそういうことになってるんだろう)
889 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/08/28(日) 03:52:21.86 ID:iN26t3bAO
――2年1組

梓「はっくしょん!」

憂「大丈夫? 梓ちゃん」

梓「うん…」ズズッ

純「誰かが梓の噂でもしてるんじゃない?」

梓「そんなわけないと思うけど…」

梓「……」

梓「ねえ、純」

純「うん?」

梓「私の顔に…なにかついたりしてる?」

純「梓の顔? どれどれ…」ジー

梓(やっぱりなにか変だったのかな……気になる)

純「……あっ!!」

梓「な、なに? なにかあった?」

純「目と鼻と、口がついてる!」

梓「……」

純「あっ、あと眉毛も」

梓「……考えすぎか」ボソッ

純「え?なに?」

梓(はぁ…なんかもう、どうでもいいや)


##20 おわり
890 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2011/08/28(日) 03:55:56.24 ID:iN26t3bAO
ここまで

>>853
マジです
今漫画描いててそっちに専念したいんでSSはこれが最後です
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/28(日) 05:51:12.46 ID:tmi3fUeqo
きたあああああああああああああああ
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/28(日) 06:04:15.63 ID:C+6lHExAO
おおお乙!!
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/08/28(日) 09:46:18.68 ID:On/05tTAO
>>890
漫画についてkwsk
オリジナル?それとも二次創作?

あと純ちゃんの兄、敦司さんについてはどう思いますでしょうか?
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 11:44:44.89 ID:aHGoiukS0
895 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/08/30(火) 22:59:45.75 ID:QFvl7YxAO
#Oの形

――お好み焼き屋さん

純「梓ってお好み焼き焼いたことあるの?」

梓「そういえばないかも」

純「ふっふっふ、なら私がお手本をみせてあげよう」ジュージュー

純「こうやってある程度焼いたら…ひっくり返す!!」ヒョイッ

ベシャッ

純「オゥマイガッ!?」

梓「…ぐちゃぐちゃ。全然丸くないし」

純「…こ、これが鈴木家流のお好み焼きだけど? 味は美味しいから食べてみなよ」

憂「私の方もできたよー」

梓「うわ、すごいきれいな丸! 美味しそう!」

純「あの…私のお好み焼きは? 鈴木アレンジだよ? 美味しいよ?」

梓「鈴木アレンジのお好み焼きだったら自分で食べればいいじゃん。私は憂の食べるから」

純「……私も憂の食べたい!!」

憂「はいどうぞ」

梓「…で、鈴木アレンジはどうするの?」

純「鈴木アレンジはすでにお腹の中です」モグモグ

梓「結局食べたの!? ていうかはやっ!!」

純「これで全て丸く収まったというわけで」

梓(……なにが?)

純「お好み焼きうまうま♪」モグモグ


#Oの形に おわり

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
896 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2011/08/30(火) 23:02:24.08 ID:QFvl7YxAO
>>893
漫画はオリジナルです
純兄については「あ、いるんだ」って感じで
特になにも思ってないです
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/31(水) 13:22:31.55 ID:Y2mWOcufo
>>1ならオリジナルも面白いの描けそう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/01(木) 04:01:20.67 ID:rnRfjbJAO
純のオサレは公式設定なのか
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/09/04(日) 04:39:50.45 ID:79B5jzBAO
原作の純はかなりリア充っぽいね

アニメは子供っぽさが出てる気がする
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
900 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/04(日) 23:10:06.73 ID:3W/eWHrAO
#Prpr

先輩B「ご飯どこで食べる?」

先輩C「そうだな……ん?」

女の子「えーん! えーん!!」

先輩B「迷子かナ…どうする?」

先輩C「私に任せろ。小さい子供の相手は妹で慣れてる」

女の子「えーん! えーん!!」

先輩C「こんにちはー、どうちたのかなぁ? お母さんとはぐれちゃったぁ? よしよし泣かない泣かない」

先輩C「ほーら、ウサギさんですよー。ピョンピョン♪ ネコさんだよー、にゃーん♪」

女の子「えーん! えーん!!」

先輩C(うっ…泣き止まない)

先輩B「……」

先輩C「おい、引くな」

先輩B「引いてないよ。…温かく見守ってるから最後まで頑張りな」

唯「どうしたの?」

先輩B「あっ、唯ちゃん。この子が迷子みたいで〜」

女の子「えーん!!」

唯「お母さんとはぐれちゃったの? じゃあ私が一緒に探してあげる!」

女の子「グスッ…ほんとう?」

唯「もちろんですとも! そうだ、これあげちゃう。はい、ペロペロキャンディ」

女の子「わーい!」

唯「この子のお母さんは私が探すから、後は任せて」フンス

先輩B「ごめんね〜、じゃあよろしく〜」

唯「よし、お母さん見つけに行こっか!」

女の子「おねえちゃんだいすき!」

唯「えへへ〜、これでも本物のお姉ちゃんですから」



先輩C「……」

先輩B「まぁなんつ〜か〜……今日はおごってあげるよ」

先輩C「……」グスッ
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/05(月) 17:34:00.30 ID:EbGhCNDYo
>>900
乙!
待ってた〜!!
902 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/06(火) 13:00:04.82 ID:jjkOLzzAO
#QアンドA

純「軽音部の人たちに質問です、私のことをどう思っていますか?」

律「いきなりど直球な質問だな」

唯「うーん……憂の友達?」

紬「えーと……梓ちゃんのお友達?」

純「…もうちょっと何か言ってほしいです」

律「そうだなぁ、佐々木さんは」

澪「鈴木さんはジャズ研なんだっけ。ベース上手かったよ」

純「あ、ありがとうございます!」

律「私はスルーですかい」

梓「純は…めんどくさい子、かな」

純「一番の親友なのにそんなぁ!?」

梓「だ、だっていきなりどう思ってるかなんて聞かれても」

唯「あずにゃんは恥ずかしがり屋さんだから本当のこと素直に言えないだけだもんね」

梓「ち、違います!」

純「梓…なるほど、梓の気持ちはよく分かったよ」ジーン

梓「そ、そんな感激しなくても…」

純「ちなみに私も梓のことめんどくさいと思ったことあるけどね」

梓「あるんかい」


#QアンドA おわり
903 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/06(火) 13:04:59.07 ID:jjkOLzzAO
#R18

純「この雑誌によると、胸の大きな人って性欲が強いらしいですよ。センパイも胸が大きいから性欲強かったりするんですか?」

先輩B「強いよ」

純「え」

先輩B「試してみる?」ガシッ

純「ぎゃっ」

先輩B「ほ〜れほれ〜」コチョコチョ

純「あはははは! あひゃはははは!!」

後輩c「はわわ…」

・・・・・

後輩c(おっぱいの大きい人はすごいんだなぁ…)

ドンッ

後輩c「きゃっ!!」

澪「あ…ご、ごめんなさい! 大丈夫?」

後輩c「す、すいません、ぼーっとしてて……あっ」

後輩c(秋山先輩だ…!)

澪「?」

後輩c(はっ…秋山先輩もおっぱい大きい……)

後輩c(そ、そっか…全部繋がった。秋山先輩も性欲が強いからライブでパンツを見せたり…)

後輩c(やっぱり、秋山先輩は変態なんだ!)

後輩c(こ、こわい…)

澪「あの…大丈夫?」ガシッ

後輩c(ひっ!?)

後輩c「す、すいません! 私まだ15だからそういうのダメなんです!!」バッ

澪「え?」

後輩c「せ、性欲怪獣〜!」ダダダッ

澪「え……えええええ!!?」

・・・・・

純「で、実際のところどうなんですか? 性欲」

先輩B「日本人女性の平均ぐらいはあるんじゃない?」


#R18 おわり
904 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/07(水) 23:29:57.23 ID:XmbpgsXAO
#Sの帰還

これまでおさらい(>>582
菫は別の世界に来ていた!

菫(とにかく、何とかして元の世界に戻らないと)

菫「って言ってもどうすれば……」

純「スミーレ!」

菫「えっ」

純「助けにきたよ、スミーレ」

菫「す、鈴木先輩…これはどういう……?」

純「安心して、私は元の世界の鈴木純だから。スミーレが心配でやってきたの」

菫「鈴木先輩…!」

純「私が来たからにはもう大丈夫! 元気出してスミーレ」

菫「は、はい! よかった、これで帰れるんですね」

菫「早く元の世界に戻りましょう」

純「ん?」

菫「え?」

純「……」

菫「まさか、帰り方は知らない……とか?」

純「フっ……ご名答♪」

菫「……」


#Sの帰還 おわり
905 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/07(水) 23:32:04.33 ID:XmbpgsXAO
#Tのお誘い

純(本日、私と憂と梓の三人はムギ先輩の家で開かれるお茶会に招かれた)

梓(招かれたのはいいけど私たちみたいな庶民がこんな豪邸にいると緊張してしまう…)

紬「お茶もお菓子もあるから、ゆっくりしていってね♪」

梓「は、はい。……そういえば、憂遅いね。トイレ行くって言って30分も経ってるのに」

純「今メール来たけど…道に迷ってるんだって」

紬「大変! すぐに使用人を向かわせなきゃ」

梓(トイレ行くだけで迷うって…)

純(この家どんだけ広いのよ…)

ガシャーン

純「あっ、か、カップ落としちゃった!?」

梓「何やってるの純!!」

純「つ、つい手が滑って…」

紬「いいのよ、気にしないで純ちゃん」

純「でも…これ高いんですよね?」

紬「全然。確か50万円ぐらいだったかしら」

純「……梓、50万持ってる?」

梓「……持ってるわけないじゃん」

純「あはは…カップ一つ50万だって……」

梓「はは……笑っちゃうね」

純「……」

梓「……」

純「ち、ちなみにこのお茶も高いんですよね。なんか凄い香りも良いし美味しいですし」

紬「あっ、それはコンビニで買った120円の物なの。あまり高価な物より、普段飲みなれている物の方がみんな気楽に飲めると思って」

梓「カップとのバランス悪いですよ!!」

紬「?」

純(ていうか…これべた褒めした私めっちゃ恥ずかしい……)


#Tのお誘い おわり
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/08(木) 00:04:54.73 ID:ZjcvU8KRo
スミーレは帰ってこれるのかwwwwww
907 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/08(木) 23:08:54.64 ID:deLwZUyAO
#Uのひととき

平沢憂です。
今日は日曜日。お姉ちゃんは外へお出かけしてしまいました。
一方の私は予定もなく、一人家の中で暇をもて余しています。

憂(お姉ちゃんがいないと暇だなぁ)ゴロゴロ

憂「うーん、なにしよう……」

憂「……」

憂「……」

憂「……」

憂「……」キョロキョロ

憂「すぅ……」

憂「赤坂サカス!!」

憂「……」

憂「……」キョロキョロ

憂「……ふぅ」


何でもいいから大声を出すとスッキリする。
そんなことに気づいた日曜の昼下がりでした。


#Uのひととき おわり
908 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/09/08(木) 23:12:20.78 ID:deLwZUyAO
本編の方はあと二話で終わります。
残りのレス数でちょうど埋まりそうなので、
申し訳ないですが感想等の書き込みは控えてもらえるとありがたいです。
909 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2011/09/29(木) 22:21:46.70 ID:PxHq6bYAO
遅くなってすいません。
今週中には仕上がります。
910 : ◆eXN6fvAgkw [sage]:2011/10/06(木) 00:24:15.05 ID:XmHXo2oAO
度々すいません。
最終話まで書き上げたいので投下は土曜日にしたいと思います。
911 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 00:57:59.08 ID:YxUUl4aAO
#21

顧問「兼部?」

純「はい」

顧問「ジャズ研と軽音部を?」

純「一応そのつもりなんですけど…」

顧問「ふぅ〜ん……兼部ねぇ」

純「……」

顧問「受験はどうすんの?」

純「え?」

顧問「部活二つやるのはいいけどさ、春からは三年生なんだよ。勉強と両立できるの?」
912 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 00:59:52.89 ID:YxUUl4aAO
純「勉強は……その……」

顧問「……」

純「なんとかなります!」

顧問「ダメ。ちゃんと考えてこい」

純「えぇ〜……」

顧問「お前は知らないかもしれないけど、三年生ってのは色々大変なんだよ」

顧問「講習とか講習とか……あと講習とか」

純「口臭は良い匂いしますよ? 私」

顧問「ニンニクくさいよ」

純「えぇっ!?」

顧問「とにかく、どうするかはもう一度ちゃんと考えてくること。分かった?」

純「はぁ〜い……」

純「なんか先生に初めて先生っぽいこと言われた気がします」

顧問「今まであたしのこと何だと思ってたんだい」
913 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:01:20.92 ID:YxUUl4aAO
――2年1組

憂「あれ、純ちゃんは?」

梓「職員室に行くって。なんか部活の先生に話があるとかで」

憂「そうなんだ」

梓「私もちょっと行ってくるね」

憂「梓ちゃんも職員室?」

梓「ううん、軽音部。先輩達に呼ばれて」

憂「そういえばお姉ちゃん達来てるんだっけ」

梓「三年生は今日授業ないのにね」

憂「よっぽど部活が好きなんだ」

梓「たぶんお茶飲んでるだけだと思うけど……」

梓「そうだ、憂も一緒に行く?」

憂「いいの? じゃあ、行こっかな」
914 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:02:17.62 ID:YxUUl4aAO
――軽音部 部室

律「おっ、来た来た」

梓「どうしたんですか、急に呼び出して」

憂「こんにちは〜」

唯「あっ、憂も来てくれたんだ!」

律「まぁとりあえず座りなって」

紬「二人とも、お茶飲む?」

梓「さすがに時間がありませんよ」

澪「梓を呼ぼうって言い出したのは律だろ?」

律「そうそう、大事な話があってさ」

梓「大事な話? なんですか?」

律「えーと、忘れた」

梓「もう少し思い出す努力をしてくださいよ…」
915 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:03:34.38 ID:YxUUl4aAO
律「なんだっけ。結構重要な話なんだけどなぁ……」

唯「まぁまぁりっちゃんりっちゃん、いいじゃないですかそんなことは。とりあえずゆっくりしましょうよ」

律「そうですわね」

梓「もう教室戻りますよ私」

唯「えーまだいようよ〜!」

梓「授業に遅れちゃいます」

梓「放課後になったらまた来ますから、お茶はその時でいいじゃないですか」

唯「あっ、放課後は私たち部室にいないよ」

梓「え?」

唯「実は今新曲の練……」

紬「わ、わー!!」

律「あっ、あんなところに空飛ぶカップ焼きそば!!」

唯「えっ、どこどこ!?」

澪「なんでカップ焼きそばなんだ…」

律「いや、UFOつながりで」
916 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:05:15.20 ID:YxUUl4aAO
梓「みなさん……どうしたんですか?」

澪「いや! な、なんでもないんだあはは!」

梓「?」

律「と、とにかく放課後は私はいないってことで、よろしく!」

梓「は、はぁ…」

憂「梓ちゃん、そろそろ」

梓「あっ、うん。じゃあ私たちは戻ります。律先輩、大事な話を思い出したらちゃんと連絡くださいね」

律「はーい」

梓「それじゃあ」

憂「失礼します」

ガチャッ、バタン

律「……ふぅ」

澪「唯、気をつけてくれ。梓には内緒なんだから」

唯「反省します!」
917 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:06:30.79 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

梓「はぁ…まったく、何だったんだろう」

憂「お姉ちゃんたち、楽しそうだったね」

梓「楽しそうというか、いつもと変わらないというか……」

憂「そんな軽音部だから、良いんじゃないかな」

梓「…結局、私が一年の時から何にも変わってない気がするなぁ」

憂「そういえば、大事な話ってどんな話だったんだろうね」

梓「律先輩のことだから、どうせ大した話じゃないと思うよ」

梓「それより今日は先輩たちいないから部室で練習しよっか」

憂「うん、分かった」

梓「純にも言っておかないと」
918 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:07:34.75 ID:YxUUl4aAO
放課後
――生徒会室

生徒会長「それでは、部長会を始めたいと思うんですが……軽音部の部長は?」

「たぶん連絡が行き届いてないんだと思います」

生徒会長「…仕方ないので、軽音部抜きで始めたいと思います」

生徒会長「去年から音楽系の部活の人たちから要望があった、講堂での練習の許可についてですが」

生徒会長「学校側から許可をもらえたので、今年度の春から使用してもいいそうです」

生徒会長「なお使用にあたっては部の実働実績などを考慮して、各部活ごとに優先順位をつけたいと思います」

生徒会長「具体的には吹奏楽部、合唱部、ジャズ研という形で…」


部長「……」
919 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:08:20.51 ID:YxUUl4aAO
放課後
――生徒会室

生徒会長「それでは、部長会を始めたいと思うんですが……軽音部の部長は?」

「たぶん連絡が行き届いてないんだと思います」

生徒会長「…仕方ないので、軽音部抜きで始めたいと思います」

生徒会長「去年から音楽系の部活の人たちから要望があった、講堂での練習の許可についてですが」

生徒会長「学校側から許可をもらえたので、今年度の春から使用してもいいそうです」

生徒会長「なお使用にあたっては部の実働実績などを考慮して、各部活ごとに優先順位をつけたいと思います」

生徒会長「具体的には吹奏楽部、合唱部、ジャズ研という形で…」


部長「……」 
920 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:10:44.80 ID:YxUUl4aAO
――2年1組

純「はぁ〜」

純(そんなにニンニクくさいかなぁ…確かにお昼はガーリックトースト食べたけど)

梓「純」

純「ぎゃっ!?」

梓「……どうしたの口おさえて」

純「別に…そういえば、なんか変なにおいしない?」

梓「え? しないけど」

純「そう、私も全然そんなにおいしないけど」

梓「?」

純「ところで、どうしたの?」

梓「今日の放課後は部室が空いたから練習を…」




後輩C「……」ジーッ
921 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:11:59.33 ID:YxUUl4aAO
梓「……」

純「梓?」

梓「純……あの子、ジャズ研の子だよね?」

純「え?」






後輩C「……」ジーッ
922 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:14:13.28 ID:YxUUl4aAO
純「ほんとだ、あんなところで何やってるんだろ」

純「おーい」



後輩c「!!」

後輩c「……」アタフタ

後輩c「……」ササッ


純「あれ…行っちゃった」

梓(隠れるのおそ……)

梓「なんか…最近あの子のことよく見かけるんだよね」

梓「気づいたら後ろにいるっていうか…」

純「ふーん……なんでだろ?」

梓「……」

梓(そういえば…)

後輩c『純先輩を私から奪わないでください!!』

梓「……」

梓(結局あれは一体どういう意味だったんだろう)
923 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:15:15.66 ID:YxUUl4aAO
梓「う〜ん…」

梓(私から純先輩を…私から…純先輩を私から……)

梓(私から…私の…私の純先輩……私の?)

梓(私の純先輩!?)

梓(えっ、いやいやいやまさかまさかまさか)

梓(そんな危なげな関係!?)

純「なに?」

梓「ぜ、全然なにも! 変なこと考えてないよ!?」

純「?」

梓(まさかね…純のことだしそんなわけないか)
924 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:16:43.77 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

後輩C「はぁ……」

後輩C(どうしよう…なんて言い出せば……)

部長「こんにちは」

後輩C「ひっ!?」

部長「あっ…ごめんなさい。驚かしちゃった?」

後輩C「ぶ、部長…」

部長「こんな所でどうしたの? ここ、二年生の教室よ」

後輩C「いえ…す、すいません。もう戻ります……」

部長「?」
925 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:18:05.70 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

純「そういえば梓、なにか話があるんじゃないの?」

梓「あっ、そうだ。あのさ純、今から…」


部長「こんにちは、中野さんはいますか?」


梓「え?」

部長「あっ、いたいた。よかった、帰ったんじゃないのね」

純「あれ、どうしたの?」

部長「ちょっと中野さんに用事があって」

梓「あの…えっと……?」

純「あぁ、まだ紹介してなかったっけ。この子はジャズ研の部長」

部長「よろしくね、中野さん」
926 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:20:14.20 ID:YxUUl4aAO
梓「ど、どうも…」

純「それで、梓に用事って?」

部長「中野さん、今日部長会議があったの知ってた?」

梓「えっ!? ぶ、部長会議?」

部長「やっぱり知らなかったんだ」

梓「で、でも部長は律先輩で私はまだ…」

部長「軽音部の先輩達はまだ引退してないの? 普通この時期なら三年生とっくに引退して二年生が部長をやってるはずなんだけど」

梓「それは…」

梓(ていうか、律先輩の大事な話ってまさかこれ…?)

純「まぁまぁ、軽音部は特殊なんだって」

部長「じゃあ中野さんはまだ部長じゃないってこと?」

梓「ご、ごめんなさい」
927 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:21:57.43 ID:YxUUl4aAO
部長「別に謝らなくても。そういうことなら全然構わないし」

部長「それと、部長会の資料は渡しておくね。どのみち春からは世代交代するんだし、中野さんも目を通しておいてね」

梓「うん。ありがとう」

部長「そういえば…軽音部って春から中野さん一人になっちゃうんだっけ」

梓「そう…だけど」

部長「大変そう…。もし私でも力になれることがあれば、遠慮なく相談してね」

梓「あ、ありがとう」

部長「それじゃあ、私はこれで」

純「ばいば〜い」
928 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:22:58.82 ID:YxUUl4aAO
梓「……なんか、すごいしっかりした人だね」

純「まぁね。信用もあるし実力もあるし優秀な部長だよ」

梓「部長、かぁ…」

純「心配しなくても、梓はあんなしっかりした部長にはなれないから安心して!」

梓「じゅーんー、それはどういう意味?」

純「お、怒らない怒らない。部長にだって色んな種類がいるでしょって話」

純「例えば律先輩と去年のジャズ研の部長だって全然違うタイプだったし。その前の年の部長だって…」

純「とにかく色んな部長がいるんだから、梓は梓らしくドジしたりちょっとぬけた部長になればいいの」

梓「バカにしてる?」

純「なっ…私の適切なアドバイスをそんな風に捉える!?」
929 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:25:27.57 ID:YxUUl4aAO
梓「……別に自信がないわけじゃないよ」

梓「頭でだって分かってる。春からは私が部長なんだって、私が部活を引っ張るんだって…分かってるもん」

純「そのわりには明るさが足りないじゃん」

純「これから新しい学校生活が始まるんだから、前向きにパァーッと考えないと!」

梓「純は私のことバカにしてるのか励ましてるのか」

純「梓のことバカにするわけないでしょ。私は、いつだって梓の味方だよ」

梓「えっ…」

純「あっ、そうだ。私これから用事があるんだった」

純「というわけで先に帰るね。ばいばい」

梓「う、うん。ばいばい」

梓「……」

梓(練習のこと言い忘れたけど……まぁいっか)
930 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:26:53.21 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

カチカチ

純「よし、メール送信っ」

カチッ

純「さてと……」

同級生「じゅーん」

純「あっ」

同級生「どこ行くの? 帰んの?」

純「あれ……待ってたの?」

同級生「純の教室行ったけどなんか良い雰囲気だったから入れなくて…」

純「?」

同級生「ねえ、帰るんだったら今日は一緒に帰ろうよ」

純「帰るっていうか…」

同級生「違うの?」

純「これからセンパイのところに行こうと思ってるの」
931 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:27:59.91 ID:YxUUl4aAO
・・・・・


後輩c「……はぁ」

後輩c(なにやってるんだろう私……中野先輩になんて言えば)

後輩c(とにかく謝らなきゃ…この前変なこと言っちゃったし)

後輩c(純先輩のことだって私の勘違いだろうし……)

後輩c「……」

後輩c(でも怒ってるかな…中野先輩)

後輩c(なんて言い出せばいいんだろう…なんて…)

後輩c(こういう時、純先輩だったら……)

後輩c「……」

932 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:29:30.16 ID:YxUUl4aAO
――軽音部 部室

憂「純ちゃんは?」

梓「用事があるんだって。だから今日は私と憂だけ」

憂「そっかぁ…」ソワソワ

梓「どうしたの?」

憂「へ? べ、別に?」

梓「?」

憂(兼部のこと、純ちゃん大丈夫かなぁ)

憂(無理してなければいいけど……)

梓「それにしても…私と憂だけだと部室もなんだか広く感じるね」

梓「いつもは先輩達がいて騒がしいけど、今日は平和だなぁ」

憂「でも、ほんとは寂しいんじゃない?」

梓「べ…別にそういうわけじゃ……」

梓「あっ、そうだ! トンちゃんにエサあげないと」

憂「トンちゃんもいれたら、私三人になるね」

梓「トンちゃんは人間じゃないけど…まぁいっか」

梓「はいトンちゃん、ご飯だよ」

トンちゃん「……」プカプカ
933 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:32:26.32 ID:YxUUl4aAO
憂「可愛いね〜。そういえばなんで学校でトンちゃんを飼うことになったの?」

梓「なんだっけ、確か……」

梓「先生のギターを売ったお金で何か買おうってことになって、唯先輩がトンちゃんを選んだの」

梓「私の後輩だ、とか言って」

憂「あはは、お姉ちゃんらしい」

梓「まったく、唯先輩ってば…」

憂「でもお姉ちゃんなりに梓ちゃんのことを気にかけてたんじゃないかな」

梓「うん…わかってる」

憂「…やっぱり、新入部員は入って欲しかった?」

梓「……どうだろ。去年も軽音部は楽しかったし」

梓「だけど……もし後輩が入部してたら、どうなっていたんだろうって何回か考えたことはある」

梓「私はちゃんとした先輩になれるのかなぁ……とか」

憂「梓ちゃんならなれるよ。お姉ちゃんも梓ちゃんは教え方が上手いって言ってたし」

梓「……正直、純のことがちょっと羨ましい」

憂「純ちゃんが?」

梓「後輩や同学年の子と楽しそうにしているところを見ると…ついそう思っちゃう」

梓「だから…先輩達には卒業してほしくないなんて考えて……」

憂「……」

梓「でも、そんなの無理に決まってるのにね。ごめんね変な話して」

憂「梓ちゃん、大丈夫だよ」

梓「え?」

憂「軽音部は絶対になくなったりしないから」

梓「憂……うん、ありがとう」

梓「さてと、そろそろ練習始めよっか」

憂「うんっ!」
934 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:34:08.68 ID:YxUUl4aAO
梓「それじゃあとりあえず音合わせを……」

梓「!!」ピクッ

憂「梓ちゃん?」

梓(この視線は…!)



後輩c「……」ジーッ



梓(やっぱりいた!?)



後輩c「!!」

後輩c「……」アタフタ

後輩c「……」ササッ



梓(そして隠れるのが相変わらず遅い…)
935 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:35:34.69 ID:YxUUl4aAO
憂「あの子は…?」

梓「ジャズ研の子なんだけど…最近、気づいたらなぜか私のあとを追ってきて」

憂「梓ちゃんのファンだったりして」

梓「それは…ないと思うけど」

梓(なんで私の後についてくるんだろう……なにが目的?)

梓(なんか私悪いことしたかなぁ……)

梓「…――って憂? あれ!?」




憂「こんにちは!」

後輩c「あっ……」




梓(いつの間に!?)
936 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:37:30.83 ID:YxUUl4aAO
憂「梓ちゃんに、何か用があるの?」

後輩c「え…えぇっと……あの……」

後輩c「ご、ごめんなさい……私……」

憂「とりあえず中に入らない? せっかくなんだしちょっとだけお話ししよ?」

後輩c「ぁっ…ぇっ…」

梓「……」ジーッ

後輩c(ひっ!?)

後輩c(に、睨まれてる……怒ってる……)

後輩c(怒られる…絶対)ブルブル

梓(純の後輩…なんか色々と勘違いしてるみたいだし、ちゃんと話をしておかないと)
937 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:38:50.58 ID:YxUUl4aAO
憂「はい、ここに座って」

後輩c「……」オドオド

梓「……」

憂「お茶は……あっ、あった!」

憂「お姉ちゃんたちが午前中に使ってたやつまだあったよ。これ飲もっか」

梓「う、うん」

梓(なぜかお茶会になってしまった…)

後輩c「……」

梓「あ、あの〜」

後輩c「!!」ビクッ

梓「そ、そんな怖がらないで。何もしないから…」
938 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:40:04.26 ID:YxUUl4aAO
後輩c「すっ、すすすいません」

梓「えっと……」

後輩c「……」

梓「……」

後輩c「……」

梓「……」

梓(なんかもう……なんて言えばいいんだろう)

憂「はい、お茶できたよ。お菓子もあるからみんなで食べよっか」

梓「あっ…憂」

梓(練習は……しょうがないか)
939 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:41:51.70 ID:YxUUl4aAO
憂「はいどうぞ」コトッ

後輩c「ぇ? あっ、ありがとう…ございます…」

梓「あはは、おかしいよねこんな所にティーセットがあるなんて」

梓「なんていうか…先輩達が勝手に置いてて」

後輩c「……」

梓「まぁその……あんまり気にしないでね」

後輩c「は…はい」

憂「私は憂。軽音部じゃないけど今日は梓ちゃんのお手伝いで来てるの」

後輩c「は、はぁ」

憂「純ちゃんの後輩なんだよね? ベース弾いてるの?」

後輩c「はい…」

憂「あっ、紅茶飲める? このお菓子好き?」

後輩c「はい…」

梓「……」
940 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:43:25.54 ID:YxUUl4aAO
後輩c「……」

憂「おかわりが欲しかったら、遠慮なく言ってね」

後輩c「あ、ありがとうございます…」

梓「……」

後輩c「……」

梓(なんか緊張してるみたいだし…少し落ち着いてから話を切り出した方がいいかも)

梓(こういう時、先輩達なら…)

梓「そ、そういえばきみ可愛いよね」

梓「よかったらコレ着けてみない?」

後輩c「え…?」

梓「じゃーん、ネコミミ」

後輩c「……」

梓「ほら、こうやって頭に着けて」

梓「にゃーん! なんちゃって…」

後輩c「……」

梓「にゃー…」

後輩c「……」

梓「……」

後輩c「……」

梓(これは…逆に取り返しのつかない空気に……)
941 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:44:29.52 ID:YxUUl4aAO
憂「あ…梓ちゃんかわいいー!」

梓「あ、ありがとう。でもやっぱり、初対面でネコミミは驚いちゃう…よね。あはは」

後輩c「い、いえ……」

梓「……」

梓(なにやってるんだろう私…)

梓(というか、この子は何しにここに……)

後輩c「ぁの……私……」

後輩c「中野先輩に…謝りたくって……」

梓「え?」

憂「謝るって…?」

後輩c「この前…中野先輩に失礼なことを……」

梓「この前って」

後輩c『純先輩を私から奪わないでください!!』

梓(あれか…)

憂「なにがあったの?」

梓「う、ううん……そんな大したことじゃないんだけど」
942 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:45:53.63 ID:YxUUl4aAO
後輩c「私…思い込みが激しくて。あの時は、中野先輩のこともよく知らないのに……ついカッとなって……」

梓「えっと…その…?」

梓「……」

後輩c「……」

梓「憂、ごめん。ちょっとだけ席外してもらえる?」

憂「え?」

梓「この子と二人だけで話したいの」

後輩c「……」

憂「うん…分かった。じゃあ私は出てるね」

梓「ごめんね」

憂「ううん、話が終わったら呼んでね」

ガチャッ、バタン

梓「さてと…」

後輩c「……」
943 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:47:13.29 ID:YxUUl4aAO
梓「こうやって二人で話すのって初めてだよね」

後輩c「は、はい…」

梓「……謝りたいって言ってたけど」

後輩c「ご、ごめんなさい。本当にごめんなさい」

梓「そ、そこまで謝らなくてもいいから」

梓「それよりなんでこの前あんなことを言ったのかが…気になるんだけど」

後輩c「あれは……その……」

後輩c「純先輩と一緒に練習できる…中野先輩が羨ましくて……」

梓「え?」

後輩c「私なんて…部活以外で純先輩と一緒に練習なんて、あんまりできないのに…」

後輩c「でも中野先輩は…軽音部なのにたくさん練習できて……」

後輩c「それが羨ましかったんです……」

梓「……」

後輩c「そのうち…だんだんと中野先輩に嫉妬しちゃって」

後輩c「このまま、純先輩が中野先輩に取られちゃうんじゃないかと思って…」

後輩c「それで……純先輩、ジャズ研辞めて軽音部に入るんじゃないかって不安になり始めて…」
944 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:48:44.64 ID:YxUUl4aAO
梓「そ、そんな話は聞いてないけど? 私はただ、練習の手伝いをお願いしただけで……」

後輩c「知ってました…純先輩も頼まれただけって言ってましたし」

後輩c「けど…考え出すと悪い方ばっかりに考えて…」

後輩c「どうしても嫌だったんです…純先輩がいないのが。だから…それで……」

梓「……」

後輩c「本当に…ごめんなさい」

梓「そ…そうだったんだ」

梓(この子、そんなに純のこと……)

後輩c「……」

梓「し、心配しないで。純がジャズ研やめることなんてないから」

梓「むしろ三年になったらレギュラーになれる、とか言ってやる気出してたし」

後輩c「ほ、本当ですか…?」

梓「うん。だって、二年間も部活やってたら辞めたいなんて思わないでしょ?」

梓「私だって、三年生になっても軽音部のままでいたいし……」

梓「…純もジャズ研にいたいと思ってるよ」
945 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:50:05.99 ID:YxUUl4aAO
後輩c「純先輩も……」

梓「それにしても、純にすごい憧れてるんだね…」

後輩c「は、はいっ」

梓(まさか純にこんな後輩がいたとは…)

後輩c「私…今まで部活とかやったことなくて…」

後輩c「友達も…少なかったし」

後輩c「けど、高校に入って純先輩と会って…私、変われたんです」

後輩c「毎日毎日がすごく楽しくて…ベースも、大好きになって」

梓「……」

後輩c「だから…純先輩のこと……」

梓「私も、その気持ちはなんとなく分かるかな」

後輩c「え?」

梓「私自身、変われたかどうかは分からないけど…先輩達のおかげで今の私がいるのは確かだし」

梓「本当は…このまま卒業してほしくない」

後輩c「……」

梓「そんなことは無理だって分かってるんだけどね。分かってるんだけど……でもどうしても納得できなくて」

梓「先輩達に安心してほしいのに、私一人でも軽音部は大丈夫って言いたいのに」

梓「先輩達がいなくなるって考えただけで…不安になって」

梓「……本当はこのままじゃダメなのにね」
946 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:51:27.94 ID:YxUUl4aAO
後輩c「……」

梓「あっ…なんか変な話になっちゃったね」

後輩c「いえ…そんなことないです」

後輩c「むしろ共感できたっていうか…」

後輩c「私、ここに来たら怒られると思っていたから…中野先輩のそういうお話が聞けてよかったです」

梓「そんな…怒ったりなんかしないよ」

後輩c「でも、軽音部って変な人たちの集まりのイメージがあって…」

後輩c「ライブ中にパンツを見せつけたり、学校に持ち込んじゃいけないものをたくさん持ってきたりとか噂が…」

梓「……」

梓(否定はできない…ていうか今ティーセット使ってるし)

後輩c「あ…だ、だけど中野先輩は違ってました。優しいんですね、中野先輩って」

梓「!!」

梓「そ…そうかなっ」

後輩c「はいっ」

梓(なんか照れちゃう…)

梓「と、とりあえず誤解は解けたみたいだし、もう大丈夫かな?」

後輩c「あ…は、はい。すみませんでした」
947 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:53:31.17 ID:YxUUl4aAO
梓「ううん、大丈夫。ちょっとした誤解だもん」

梓「私ももう気にしてないから」

後輩c「あ、ありがとうございます」

梓「それにしても純ったら、もう少しちゃんと説明していればこんな事は起きなかったのに」

後輩c「純先輩は悪くないんです…私のせいで」

梓「でも純って適当なところがあるでしょ? そういうとこで結構苦労したりしない?」

後輩c「そ、そんなことはありません! 純先輩はしっかりしていて真面目な人です」

梓「えっ…うそ」

後輩c「練習はちゃんとやってますし、ベースも上手いですし、たまに面白い話もしてくれますし」

後輩c「とっても尊敬できる先輩です」

梓「……それ、本当に純のこと?」

後輩c「はいっ」

梓「本当に?」

後輩c「そうです!」

梓(一体ジャズ研ではなにが……)
948 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:54:39.05 ID:YxUUl4aAO
梓「純のこと…そんなに尊敬してるんだ」

後輩c「はい、純先輩は最高ですっ!」

梓(純の話になったらとたんに嬉しそうに……なんというか、珍しい子)

後輩c「今日は…ここに来てよかったです」

後輩c「軽音部のことや、中野先輩のこともよく分かりましたし……ちょっと納得しました」

梓「え…?」

後輩c「純先輩が中野先輩の手助けをする気持ち…なんとなく分かるようになったんです」

後輩c「もし私も中野先輩と同じ立場だったら…純先輩がいてくれると、嬉しいですし」

梓「……」

後輩c「だから…純先輩のこと、よろしくお願いします」

梓「え? あ、は、はい!」
949 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:55:43.99 ID:YxUUl4aAO
後輩c「じゃあ私…もう帰ります。お騒がせしてすいませんでした」

梓「う、うん…」

梓「……」

梓「あっ…やっぱりちょっと待って」

後輩c「へ?」

梓「もしよかったら、私たちの演奏聴いていかない?」

後輩c「え、演奏ですか…?」

梓「うん、感想とか聞いてみたいし…いい?」

後輩c「あ…は、はいっ」

梓「よかった。じゃあちょっと待ってて、今準備するから」

梓(なんていうか…この子には親近感がわくなぁ)

梓(もうちょっと話してみたいかも)

梓(それにしても純にこんな慕ってくれる後輩がいるなんて……奇跡だ)

梓「よし、それじゃあ今から演奏を…」

ガチャッ

憂「梓ちゃん、まだー?」

梓「あっ…忘れてた!!」
950 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:56:54.12 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

同級生「ねー純」

純「なに?」

同級生「ほんとに兼部するの?」

純「うん」

同級生「…急すぎ」

純「やっぱり?」

同級生「やっぱりじゃないよ。なんなの突然」

純「だってそれしか思い付かなかったし…」

同級生「ほんまでっか」

純「ほんまです」

同級生「……」

同級生「ねーひとつ聞きたいんだけど」

純「なに?」

同級生「もし新入生が二人入ったら、軽音部は存続できるんでしょ? そしたら純は必要なくなるんじゃないの」
951 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:57:53.86 ID:YxUUl4aAO
純「……」

同級生「人数足りたら純がいなくても大丈夫じゃん。そうなったら純は兼部やめる?」

純「……うーん」

純「ていうかさ、逆に人数がそろわなくて廃部になるって可能性もあるよね」

同級生「やっぱり兼部なんてやめた方がいいんじゃない?」

純「…私が兼部するのいや?」

同級生「いや」

純「いや?」

同級生「いや」

純「……どうして?」

同級生「ジャズ研の方に集中してほしいから」

純「……そっか」

同級生「……」

純「嫌よ嫌よも好きのうちって?」

同級生「いや」

純「さいですか…」
952 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:58:46.62 ID:YxUUl4aAO
同級生「……」

純「……」

純「……どーしてもいや?」

同級生「いーやーだ!」

同級生「なんで純じゃなきゃいけないの? 人数の埋め合わせだったら部活やってない適当な人にでも頼めばいいじゃん」

純「そういうんじゃなくて…」

〜♪

純「あっ…センパイからメール来た」

純「……あちゃ、今日は用事があって会えないんだって」

同級生「何しに会いに行くつもりだったの」

純「兼部のこと相談しようかなーって」

同級生「センパイだって絶対反対するよ」

純「……そう?」
953 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 01:59:44.55 ID:YxUUl4aAO
同級生「そうだよ」

純「……う〜ん」

同級生「ね、兼部やめよ? 部活二つもやってたら自分の時間なくなっちゃうよ?」

純「むむむ……あっ」

同級生「どうしたの?」

純「お腹すいちゃった」

同級生「こんな時になに……」

グゥ〜

同級生「……」

純「……」

同級生「…ミートゥー」
954 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:00:49.83 ID:YxUUl4aAO
――MAXバーガー

純「ねぇ、さっきの話なんだけど」

同級生「却下」

純「まだなんにも言ってないし」

同級生「どうせ兼部のことでしょ? なに言ったって私は認めないから」

純「そんなブーたれないでよ。ポテトあげるから」

同級生「ポテトごときじゃ私は動かないのだ。でも一応もらっておきます」

純「はい、あーん」

同級生「あー」モグモグ

純「で、どうしたら納得してくれる?」

同級生「聞こえませーん」

純「私のポテト食べたくせに…」

同級生「一本だけじゃん」

純「二本あげたら納得してくれるの?」

同級生「二本だけじゃ私は動かないけど一応もらっておきます」
955 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:02:04.62 ID:YxUUl4aAO
純「……はぁ」

同級生「……」モグモグ

純「どうすればいいんだろ、私」

同級生「兼部しなきゃいいじゃん」

純「そういうわけにもなぁ…約束しちゃったし」

同級生「…そんなに行きたいの? 軽音部」

純「え?」

同級生「別に私が認めないからって兼部できないわけじゃないんだから、やりたかったら勝手にやればいいじゃん」

同級生「どうせ純は身勝手なんだからさ」

純「むっ…なによその言い方」

同級生「……」

純「…ねえ、なんでそこまで否定的なわけ?」

同級生「……本当は私だってジャズ研やめないんだったら兼部したっていいと思う」

同級生「でも…話が急すぎてなんか納得できないよ」
956 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:03:48.41 ID:YxUUl4aAO
純「そっか…」

同級生「……」モグモグ

純「やっぱ急すぎかぁ…」

同級生「……」モグモグ

純「……」

同級生「……」モグモグ

純「…食べすぎ、ポテト」

同級生「これはね、復讐なんだよ純」

純「は?」

同級生「この前――…」

純『なにそれ、ショートケーキ?美味しそう』

同級生『いいでしょー。有名店行って並んで買ったの』

純『へー美味しそう。なんかすごい美味しそう』

純『食べたらすごい幸せになれそう』

同級生『……一口食べる?』

純『あっ、いいの? じゃあお言葉に甘えて……』

バクッ!!

同級生『!?』

純『う〜ん…うまうま』モグモグ

同級生『ひ、一口どころか半分以上……!?』

同級生『純!!!』

純『お、落ち着いて。これあげるから』

同級生『なにこれ……飴?』

純『さっき私が食べた分のケーキを砂糖に変換すると、だいたいあめ玉5個ぐらいでしょ?』

純『ほら、その飴を食べればケーキを食べた分と同じ糖分を摂取したことになって、結果的にケーキを食べた満足感と同じに…』

同級生「ならないよ…」

純「……」

同級生「微塵たりとも、ならないよ!!」
957 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:04:59.25 ID:YxUUl4aAO
純「……ところで兼部のことなんだけど」

同級生「あっ、話そらした」

純「そらしたのそっちじゃん。今ケーキ関係ないし」

同級生「関係なくても私の心には大きな傷痕が残ってるんだから!」

同級生「だいたい純はいつも勝手すぎ!今回だってそうじゃん!」

純「…すいません、反省します。じゃあポテト全部食べてよし」

同級生「当然っ」モグモグ

純「もう機嫌なおった?」

同級生「まあまあかな」

純「もう怒らない?」

同級生「しょうがないなぁ、まったく」

純「じゃあ兼部もオーケー?」

同級生「オッケー!」

同級生「ってなんでやねん」

純「ちぇ」
958 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:06:21.41 ID:YxUUl4aAO
同級生「……」

純「……」

同級生「危うく騙されるところだった」

純「あんたほんと単純よね」

同級生「単純でいいもん。単純な方が世の中楽しく生きていけるってセンパイに言われたから」

同級生「けど単純でもバカでも、自分が納得できないことは受け入れたくない」

純「…どうしたら納得してる?」

同級生「……」

純「……さっき言われた通り、別にあんたに許可もらえなくたって兼部はできるよ」

同級生「っ…」

純「でも…私はもう三年生になるし、ちゃんとしなきゃいけない立場だって分かってる」

純「だからこそ、ジャズ研のみんなには納得してもらってから兼部したい」

純「当然…あんたにも」

同級生「……もう兼部することは決めたの?」

純「…うん」

純「多少は忙しくなるかもしれないけど、高校生最後の年だしね。やりたいことはやっぱりやっておきたいし」
959 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:07:40.51 ID:YxUUl4aAO
純「……」

同級生「ねえ、本当に純じゃなきゃだめなの? 兼部するなら他の人でもいいんじゃない?」

純「……」

同級生「……」

純「……別に私じゃなくてもいいと思う」

同級生「だったら…!」

純「でも自分でよく考えてみたんだけどさ」

純「私が必要されるされないってことが重要なんじゃなくて…ただ、私が軽音部に入りたいだけ」

純「梓たちと一緒に、部活やりたいの」

同級生「…ジャズ研に入ってるのに?」

純「ジャズ研はジャズ研で大切な場所だもん」

純「練習は真面目にやるし絶対にやめたりはしない」

純「だけど軽音部にも入ってみたい。それだけ!」

同級生「……やっぱり純は勝手だなぁ」
960 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:09:06.39 ID:YxUUl4aAO
純「だってそれしか思い付かないんだもん…」

純「ジャズ軽と軽音部、どっちが大事っていうか…どっちも大事なものだし比べようないじゃん」

同級生「……」

純「……」

同級生「…もう好きにすればいいよ。どうせ私がなに言ったって純には届かないんだ」

純「そんなことないない。ほら、ハンバーガー少しあげるから機嫌直し…」

同級生「はむっ」パクッ

純「食い付きはやっ!?」

同級生「……」モグモグ

純「そんながっついたら喉つまるよ?」

同級生「……」モグモグ

純「……」

同級生「……」

同級生「…もしレギュラー落ちたりしたら兼部やめてもらうから」

純「…うん、分かった」

同級生「部活にかまけて大学落ちたりしたら笑ってやるもんね」

純「進学の心配はどっちかというとあんたがした方がいいでしょ……この前のテストだってひどかったじゃん」

同級生「さ、三年になってからは本気出すもん!」

純「じゃあ私ももっと本気出そ」

純「ジャズ研も軽音部も余裕で両立できるくらいね」
961 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:11:14.81 ID:YxUUl4aAO
同級生「でも本当に続くかなぁ…兼部」

純「なに言ってんの、私は一旦やると決めたら最後まで信念を貫き通す女なんだから」

同級生「あっ!!!」

純「な、なに?」

同級生「ねー純、軽音部ってさぁ…お菓子とかいっぱい持ってるんでしょ?」

純「え? うーん…どうなんだろう」

同級生「だったらさ、私にもちょっとおすそ分けとかあっても…」

純「…ははーん、そういうことね」

純「まったくしょうがないなぁ、余裕があったら持っていってあげる」

同級生「でへへ、そんじゃよろしく」

純「…さっきまであんな強く否定してたくせに、食べ物が絡んだだけでこうなる?」

同級生「だ、だってお菓子は食べたいし!」

同級生「それに…本当は前から軽音部に行きたがってたのは分かってたし」

純「え…?」

同級生「なんとなく、分かってた」

同級生(中野さんと楽しそうにしてるの見てると…)

同級生「だから、少しムカっときた」

純「?」
962 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:12:39.37 ID:YxUUl4aAO
同級生「けどもういいや、純はしょうがないやつだし」

純「しょうがないやつってなによ」

同級生「…私も純の友達だから、純のこと応援してあげる」

純「…ありがとっ」

同級生「でもさ、ジャズ研のみんなを納得させるってどうするの? 一人一人に話すの?」

純「とりあえず、明日部長に話してみる。なんて言われるか分からないけど」

同級生「怒られるんじゃない?」

純「怒りはしないでしょ…たぶん」

純「でももし怒られたら私のこと庇ってね?」

同級生「怖いから知らんぷりする」

純「ひどっ!?」
963 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:13:53.04 ID:YxUUl4aAO
翌日

純「というわけでやっぱり兼部することにしました!」

顧問「……」

純「兼部することにしました」

顧問「二回も言わないでいい」

純「一応念押しで」

顧問「それで受験の方は大丈夫なの?」

純「なんとかします!」

顧問「はぁ……もうすぐ三年生になるって分かってる?」

純「分かってます。だからこそ最後の最後でいいから軽音やりたいんです」

顧問「最後の最後ねぇ…」

純「……」

顧問「聞こえはいいかもしれないけど、楽じゃないよ?」

純「無理はしない程度にがんばります!」

顧問「ん…無理したら続かないからね」

純「じゃあ…!」

顧問「山中先生には私から言っておくから、後はあんたがなんとかしな」

顧問「それと、無理はしないからっていって適当なことはするんじゃないよ?」
964 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:15:29.32 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

同級生「ねえ、純が軽音部に兼部するって知ってる?」

後輩c「えっ…?」

同級生「あれ、聞いてない?知ってると思ってたんだけど」

後輩c「……いえ」

同級生「突然でびっくりするよね。まったく純ったら」

同級生「会ったらバカヤロー、って文句言っちゃってもいいよ」

後輩c「……」

同級生「あ……別にジャズ研の方はないがしろにするってわけじゃなくて、あくまで軽音部のお手伝いって感じで」

後輩c「……そうですか」

同級生「…あんまり責めたりしないであげてね。純も勝手なこと言ってるってことは分かってるし」

後輩c「……」
965 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:17:21.80 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

梓「純、ちょっといい?」

純「なに?」

梓「実は昨日部室にジャズ研の子が来て…」

純「?」

梓「…まぁ色々あったんだけど、それはともかく」

梓「ジャズ研の方は大丈夫?」

純「はい? なにそれ」

梓「いや…もしジャズ研の方が忙しかったら、こっちの練習は無理しなくてもいいから」

純「うん、わかった」

梓「……本当に大丈夫?」

純「別にジャズ研は今忙しくないけど」

梓「だったらいいけど…」

純「どうしたのよそんなこと聞くなんて。梓が心配することじゃないでしょ」

梓「ジャズ研の後輩の子に…純が軽音部に入るんじゃないかって誤解されちゃったみたいで」

純「へ?」

梓「だからその子にそんなことはないって言ってその場はおさまったんだけど、一応純からも説明しておいてね」

純「ど、どういうこと? なんでそんな話が…」

梓「純が最近軽音部に入り浸りだったから心配してたみたい。ダメだよきちんと話しておかなきゃ」
966 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:19:22.63 ID:YxUUl4aAO
純「そ、そうなんだ…」

純(軽音部に入るのは本当だけど…今話すとややこしくなりそう)

純(ていうか、私が梓に気を使わせるとは……)

梓「それにしても、純にあんなにできた後輩がいるなんて」

純「なによ、おかしい?」

梓「少し感心した。面倒見いいんだね」

純「今さら気づいたか」

梓「ちょっとだけ純がうらやましいな。あんなに慕ってくれる子がいるなんて」

純「今日は梓が私を羨ましがる日? なんだか珍しいね。いつもは私が梓を羨ましがってるのに」

梓「それぐらい良い子だったの」

純「ふーん…なんの話してたの?」

梓「部活とか楽器とか…あと純のことも」

純「私のことなんて言ってた?」

梓「大好きで尊敬してるセンパイだって」

梓「思わずそれ本当に純のこと? って聞き返しちゃった」

純「こら」
967 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:20:27.24 ID:YxUUl4aAO
梓「でもよかった、悪い子じゃなくて」

純「ジャズ研に悪い子はいませんから。私みたいに良い子ばっか」

梓「……」

純「そこ、なんで黙るの」

梓「とりあえず、ちゃんと部活のことは説明しておいてね」

純「説明、ねぇ……」

純「まぁちゃんとやるけどさ。結果的に梓もびっくりするぐらいに」

梓「?」

純「まぁ、梓は気にしなくていいからさ。軽音部の方に集中しなよ、先輩達もあとちょっとで卒業でしょ?」

梓「う、うん…?」

純「それじゃ私、今日は早く部活に行かなきゃいけないから」
968 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:21:36.77 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

純「さてと…」

純(今日はジャズ研のみんなに話をしないと…)

純(まずは部長に事情を説明して……)

ガチャッ

純「あっ…」

部長「あら、私の方が早かったみたいね」

純「もう来てたんだ」

部長「鈴木さんが呼んでくれたんだから、遅れちゃといけない思って」

純「えぇ、なにそれ」

部長「ふふっ、別に。それで、どうしてこんな早く部室に私を呼んだの? なにか大切な話があるって言ってたけど」

純「ああ、そのことなんだけど…」

同級生「…」

純「で、なんであんたもいるの?」

同級生「い、一緒に来てって言われて」

部長「私たち、同じクラスだからついでにね。それとも、私と二人っきりじゃなきゃできない話?」

純「え? そうでもないけど…」

同級生「そ、そうそう! ワタシモジジョウハシッテルワケダシ」

純「? なんで棒読み?」

部長「あら、二人だけで隠し事? なんの話かしら、私も知りたいな」

同級生「ウンウン、ジュン、ハナシチャッテ」

純「えぇっと、実は…」
969 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:23:08.74 ID:YxUUl4aAO
――――――――
――――――
―――

部長「なるほど、軽音部に兼部……三学期も終わりだっていうのにまた急な話ね」

純「あはは…ぶっちゃけ最近思いついたことで」

部長「ふーん、思いつきねぇ…」

純「…軽い気持ちだってねのは分かってるんだけどね。今もまだ軽い気持ちは抜けてないし」

純「でもどうしてもやりたくて、だから…」

部長「鈴木さんって、衝動的…ううん、情熱的な人ね」

純「え?」

部長「鈴木さんは前から中野さんと部活をやりたかったんじゃない? 自覚はしてなかったとしても、そういう想いはどこかにあったはずよ」

部長「そうじゃなきゃ、急にそんなことは言い出さないはず」

純「えっと、それは……」

部長「それにしても思いきった決断で、びっくりしちゃった」

部長「鈴木さんにそこまでさせるなんて、軽音部ってよほど魅力的なのね」

部長「それとも鈴木さんが優しい人間だから、思わず中野さんに手をさし伸ばせずにはいられなかった…とか?」
970 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:25:07.62 ID:YxUUl4aAO
純「そ、そんなたいそうな事じゃないってば。それに優しい人間って…いやぁ参っちゃうなー」

部長「でも本当のことよね?」

同級生「う、うんっ」

部長「ねぇ鈴木さん。私は賛成よ、鈴木さんが兼部すること」

純「え…?」

部長「だってそれは鈴木さんのやりたいことなんでしょ? だったら私が止める権利なんてないわ」

部長「大変なことかもしれないけど、私もできることがあればサポートするし」

純「…本当にいいの?」

部長「もちろん。私たち同じジャズ研の仲間でしょ? 鈴木さんのこと、応援する」

純「ありがとう…!」

同級生「よかったね、純」

部長「そうと決まれば、みんなにも話しておかないとね。とりあえず部活が始まる前にみんなで集まりましょう。大丈夫よ、みんなもきっと鈴木さんの考えを理解してくれるはずだから」

部長「私の方から連絡しておくね」
971 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:26:39.28 ID:YxUUl4aAO
純「本当にありがとう、そこまでしてくれるなんて…」

部長「だから気にしないでって。ジャズ研も軽音も…あと受験もね」

純「まっかせて! こう見えても期待には100%応える人間だから!」

部長「ふふっ」

ガチャッ

後輩c「あ…」

部長「あら、いいところに来たのね」

純「やっほ」

後輩c「じゅ、純先輩……」

純「梓と仲良くなったんだって? 聞いたよっ」

後輩c「は、はい」

部長「今ちょうどね、鈴木さんのことについつ話していたんだけど……」

後輩c「……あのっ」

部長「どうしたの?」

後輩c「あ…いえ、部長じゃなくてその…純先輩に……」

部長「え?」

純「私に?」

後輩c「純先輩…ちょっとだけ、一緒に来てくれませんか? お願いします」

純「別にいいけど…?」

部長「……」

純「それじゃ私、ちょっと行ってくる」

後輩c「し、失礼します」

部長「えぇ、分かったわ。部活が始まるまでには戻ってきてね」

純「うん、じゃ」

ガチャッ、バタン

部長「……ふぅ」
972 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:28:04.21 ID:YxUUl4aAO
同級生「……」

部長「話は決まったわね、あとはみんなを説得するだけ」

部長「ま、たかが兼部でどうこう騒ぐ人なんてほとんどいないと思うけど」

部長「ねぇ、あなたもそう思うでしょ?」

同級生「う、ウン。でも純、大変になりそう…」

部長「そんなの私の知ったことじゃないわ。自分で決めたことなんだから、自己責任でしょ?」

部長「まぁ一応手を貸せる時は貸すけどね、恩は売っても損はないし」

同級生「……」

部長「分かってるわよね、私との約束」

同級生「分かってるけどォ…あれって約束なのかなぁ…」

部長「なに?」

同級生「な、なんでもないです」

部長「ふふっ、いい子ねあなたも」

同級生「……」

――――――――
―――――
―――

……数十分前
973 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:29:13.74 ID:YxUUl4aAO
合唱部員「ほ、本当に?」

部長「前の部長との縁があってね、私もバトン部やバレー部の部長と仲が良いの」

部長「私からその子達が頼んで…もし承諾してもらえたら、体育館での練習の許可がもらえるわ」

合唱部員「あ、ありがとう…!」

部長「お互いに部員数が多い部活は大変よね。それなのに吹奏楽部ばかりに講堂使われたら……」

部長「できるのなら、やっぱり広いところで練習したいわよね?」

合唱部員「うんっ! ありがとう、こんなにしてもらえるなんて…本当にありがとう」

部長「気にしないで。困った時はお互いさまでしょ? またなにかあったら私にでも相談してね」

合唱部員「私も、何かあったら必ず力になるね。それじゃまた!」

部長「またね」

部長「……ふぅ、さてと」

Prrr、Prrr

部長「?」

部長(鈴木さんからのメール…?)
974 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:30:45.38 ID:YxUUl4aAO
部長「……」カチカチ

部長「……」

部長(大事な話、か……)

部長「……」キョロキョロ

部長「……」

部長「……ねえ」

同級生「え? なに?」

部長「鈴木さんからこんなメールが来たんだけど、なんだか分かる?」

同級生「どれどれ…『今日大事な話があるからいつもより少し早く部室に来て。おねがい』」

部長「この大事な話って部分なんだけど…」

同級生「ああ、これはたぶん兼部のことじゃ…」

部長「兼部?」

同級生「だから純が軽音部に兼部するって話……あっ」

部長「へぇ〜…そんな話が」

同級生(……これ部長に今バラしちゃってよかったのかな)

同級生(ていうか…目付きがなんか変わってる)

部長「ふふっ……」
975 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:32:38.24 ID:YxUUl4aAO
部長「なるほどね、あなたは鈴木さんと仲が良いからも何か知ってると思ってたけど」

同級生「あの…あんまり怒ったりしないであげてね」

部長「怒る? なんで」

同級生「へ?」

部長「なんで怒る必要があるの、理由がないでしょ。ジャズ研を辞めるわけでもないのに」

同級生「そ、そっか…そうだよね!」

同級生(よかった、話が分かってくれて)

部長「ふふっ、これは良い機会ね」

同級生「……?」

部長「鈴木さんが軽音部とのパイプ役になってくれれば、軽音部をこっち側に引きずり込むのも容易くなるし…悪いことじゃない」

同級生「こっち側???」

部長「あなたには分からないかもしれないけど…あるのよ、そういう派閥が。部活間や、人間関係の間に……ね?」

部長「その中に、個人的に気に入らない派閥があるの。だから私の派閥を大きくして、その気に入らない派閥を潰しちゃおうかなって」

部長「そのためには色んな人との縁を大事にしないとね」
976 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:34:08.11 ID:YxUUl4aAO
同級生「そ、そうなんだ…」

同級生(なんだかよく分からないけど…こわい)

部長「でもそれじゃあ何だか鈴木さんを利用してるように見えちゃうかも。私ってそんなひどい人間?」

同級生「え?」

部長「ねえ、どうなのよ」

同級生「えっと……そ、そんなことないと思うけど」

部長「そう、よかった。でも私…あなたの前でうっかり本音を漏らしちゃった。もしこのことがみんなに知られちゃったら、私、嫌われちゃうかも……」

部長「私が今言ったこと、みんなには黙っててくれる?」

同級生「え……あの……」

部長「ね、黙っててくれるでしょ? もしみんなにうっかりバラしたりしたら……私、あなたにひどいことするかも」

同級生「ひっ!?」

部長「約束しましょ、絶対に黙っててくれるって……ね?」
977 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:35:18.37 ID:YxUUl4aAO
同級生「は、はい……黙ってます」

部長「そうだ、いいこと思い付いた。もうすぐ三年生になるんだし…心機一転、私たちも新しい関係を築きましょうか」

同級生「へ?? え???」

部長「私が上に立って、あなたが私の下につく。言ってる意味分かる?」

同級生「え…あ……な、なんとなくわかります……」

部長「ふふっ、よかった。前からあなたとなら仲良くなれると思ってたの。これからもよろしくね」

部長「私の言うことは、なんでも聞くのよ?」

同級生「……」

部長「返事は?」

同級生「はい…」

部長「いい子ね。さて…鈴木さんに会いに行きましょうか」

同級生(どうしてこんなことに……)

―――
――――――
―――――――――
978 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:36:41.32 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

純「話って?」

後輩c「……」

純「……」

後輩c「……あの、純先輩は」

後輩c「純先輩は…軽音部に行くって本当ですか?」

純「うん、兼部でね。聞いてたんだ」

後輩c「はい…」

純「…ごめんね、勝手だよね」

後輩c「……はい」

純「……」

後輩c「でもいいんです…なんとなく分かってましたから。中野先輩に会ってから」

純「梓に?」

後輩c「はい。たぶん…純先輩は、中野先輩のことをほっとけないんだろうなって思って」

後輩c「純先輩はそういう人だから…優しいから」

後輩c(優しい純先輩が好きだから…)

後輩c「だからいいんです、もう。純先輩が軽音部に行くことに反対はしません」

純「……」

後輩c「私は…純先輩の後輩だし、純先輩のことを応援するって決めたから……純先輩への気持ちは、誰にも負けません」

後輩c「これからも私はずっと、鈴木純ファンクラブ会員会長です!」
979 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:37:36.17 ID:YxUUl4aAO
純「…………え?」

後輩c「……はっ」

後輩c(わ…私ってばなんてこと……!?)

後輩c「さ…ささ先にぶぶっ、部室に戻ってます!!」タタタッ

純「……」

純「……」

純「……どゆこと?」

憂「あっ、純ちゃーん」

純「ああ…憂」

憂「部活は? まだ?」

純「うん、もうすぐだけど…」

憂「どうしたの?」

純「……ううん、なんでもなーい」
980 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:38:32.64 ID:YxUUl4aAO
純「あっ、そうそう。兼部できそうかも。事情を話したら部長とかも分かってくれたし」

憂「本当!? よかったぁ、梓ちゃんきっと喜ぶよ」

純「まぁ…大変になるのはこれからだし、油断はできないかな」

憂「大丈夫だよ純ちゃん、純ちゃんが困った時は私が助けるから」

憂「だって私、純ちゃんとは中学からの友達だし」

純「憂…!」

純「ありがと、憂が友達で本当によかった」

憂「えへへ」

キーンコーンカーンコーン

純「あっ…私そろそろ部室に行かなきゃ」

憂「うんっ、がんばってね純ちゃん」

純「はーい。そんじゃ行ってきまーす!」
981 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:39:42.33 ID:YxUUl4aAO
翌日

純「というわけで、正式に兼部が決まりました!」

顧問「あっそう」

純「素っ気な…もうちょっとリアクションしてくださいよ」

顧問「そんじゃ兼部届けに記入事項書いて、後日提出ね」

純「はーい」

顧問「純、泥棒はするなよ」

純「え?」

顧問「軽音部の部室にあるカップとか、売ったら金になりそうじゃない? だからってこっそり売ったりはするんじゃないよ」

純「しませんよ、先生じゃないんですから」

顧問「こら、私だってそんなことするか」

純「ところでこれいつまでに提出ですか?」

顧問「今週中でいいよ」
982 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:41:06.74 ID:YxUUl4aAO
純「はーい、了解です」

顧問「そんじゃ、がんばってね」

純「先生」

顧問「ん?」

純「今日はニンニク臭くないですよね?」

顧問「は? なにそれ」

純「この前私の口がニンニク臭いとか言ってたじゃないですか」

顧問「あ〜…冗談だよ。純からはいつも、甘い感じの……変な匂いがする」

純「変!?」

顧問「いや、変っていうか…甘くて…変」

純「やっぱり変じゃないですか」

顧問「いやだから…あっそうだ。パイナップルだ、パイナップルっぽいの匂いがする」

純「……それ私の頭見て言いました?」

顧問「いやパイナップルっていうか苺っていうか…色々混ざってるっていうか」

顧問「とにかく悪い匂いじゃないよ。なんだろう…人懐っこい匂いだね」

純「?」
983 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:42:09.04 ID:YxUUl4aAO
・・・・・

純「失礼しましたー」

ガラガラ

純「ふぅ……」

純(まぁとりあえず、一段落ってところかな)

同級生「純、みーつけた」

純「あっ…どうしたの?」

同級生「今から自主練しない? どうせ暇でしょ?」

純「どうせってなによ。こう見えても超忙しいんだから」

同級生「じゃあやらないの?」

純「うーん……暇だしいいよ」

同級生「やっぱり暇なんじゃん」

純「まぁね」
984 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:43:18.55 ID:YxUUl4aAO
同級生「あーぁ、それにしても三月だっていうのに全然温かくならないね」

純「地球温暖化だからじゃない?」

同級生「えっ、そうなの? 寒いのに?」

純「寒いからこその、地球温暖化じゃない」

同級生「あーそっかぁ……えっ、そうなの?」

純「そう! たぶん」

同級生「えー、じゃあ今日からゴミの分別でも始めようかな」

部長「あら、なんの話をしてるの?」

同級生「ひっ!?」

純「どうしたの?」

同級生「べ……別に」

部長「二人ともこれからどこに行くの?」

純「暇だしちょっと練習しに部室に行こうかなって話してて。一緒に行く?」

部長「私もいいの?」

同級生「う、うん、ぜひ、来て、欲しい」

部長「そこまで言われたら、行こうかな」
985 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:44:40.04 ID:YxUUl4aAO
部長「鈴木さん、春休みの練習ついての話なんだけど。軽音部の予定は入ってないのよね?」

純「うん、春休みは大丈夫」

部長「そう。ジャズ研の練習も気を抜かないようにね?」

純「分かってる。ジャズ研はサバイバルでしょ?」

部長「鈴木さんはレギュラーなんだし、人より少し大変かもしれないけど期待してるわよ」

部長「もちろんあなたにも……ね?」

同級生「は、はいっ! がんばります!!」

純「えらく気合い入ってる…」

後輩c「純先輩!」

純「あっ、おっす」

後輩c「純先輩…これからお時間はありますか?」

純「どうして?」

後輩c「純先輩にベース教えてもらいたくて」

純「だったらちょうどいいや、これからみんなで練習しに行くところなの」

純「一緒に行こ」

後輩c「は、はい!」
986 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:47:02.21 ID:YxUUl4aAO
純「それにしても練習熱心だね。一年でそこまでやるとは」

後輩c「い、いえ」

同級生「このまま純を追い抜いてレギュラーになったりして」

純「そういうこと言われるとちょっと危機感」

後輩c「そんなことありません。純先輩の方が全然上手いですし」

部長「それに本当は、練習がしたいんじゃなくて鈴木さんと一緒にいたいんだしね」ボソッ

後輩c「!!」

純「え? なに?」

部長「ううん、なんでもないわ。ふふっ」

後輩c「……純先輩」

純「?」

後輩c「私、純先輩ともっと一緒にいたいです。だから純先輩とこれからも一緒に練習して…いいですか?」

純「うん?別にいいけど」

後輩c「ありがとうございます!」

部長「……」

部長(この子、たまに突拍子もなく大胆なことを言うのよね…)

同級生「あっ、ねぇ純。中野さんたちがいるよ」

純「えっ、どこ?」
987 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:48:08.88 ID:YxUUl4aAO
唯「あずにゃん、今日も寒いね〜」
梓「寒いからってくっつかないでください」

紬「私も梓ちゃんにくっつく〜」

梓「ムギ先輩まで!?」

梓「もぉ〜、こんなことしてないで早く部室に行きますよ! 澪先輩と律先輩だって待ってるんだし」

唯・紬「はーい」





純「ほんとだ、梓たちだ」

同級生「というか、三年生まだ引退してないの…?」

部長「いい機会ね、せっかくだし挨拶しに行こうな」

純「また今度にした方がいいんじゃない」

部長「え?」

純「あの間に入る余地ないって」

純「それより、私たちも早く部室に行こ」
988 : ◆eXN6fvAgkw [sage saga]:2011/10/10(月) 02:51:35.57 ID:YxUUl4aAO
部長「ふぅん…まぁいいわ」

純「今年こそはコンテストで優勝できるように頑張らないとね」

後輩c「純先輩、頑張りすぎはだめですよ」

純「へ?」

後輩c「純はこれから忙しくなるんですから、休める時は休まないと」

純「あ、ありがとう」

同級生「なるほど、純が休んでる間にレギュラーを奪うと」

後輩c「えっ」

部長「あら、大胆」

純「ほうほう」

後輩c「ちっ、ちち違います!」

純「いいんじゃない、下克上! 望むところよ!」

純「今日から私たちは先輩後輩であり、ライバルね!」

後輩c「えぇっと……は、はい」

後輩c(どうしてこんなことに…)

純「よーし、今日から天才ベーシスト鈴木純の伝説が始まるぞー!!」

純「……あっ」

同級生「どうしたの?」

純「今日……ベース学校に持ってくるの忘れた」

同級生「えぇ……」


##21 おわり





予告した日より遅れてすいません。
次回の投下で最後になります。
989 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 08:56:12.71 ID:zFEalOsAO
##22

先輩2「――で、今日はどうしたの? 急に会いたいだなんて言い出して」

先輩「理由がないといけなかった? 別にいいじゃない、こうやって会えるのもたまになんだし」

先輩2「そうね…まぁたまにはいいかもね」

先輩「それにしても、一年会わないだけですっかり変わってるのね」

先輩2「当たり前よ、そういうあんただって大人っぽくなってるじゃない。けど泣き虫なところは治ったのかしら?」

先輩「むっ…泣き虫ってなに」

先輩2「違うの? 昔からよく泣いてたじゃない」

先輩「勘弁してよ、私は泣き上戸ってキャラじゃないんだから」

先輩2「私はあんたの泣き顔好きよ。見てておもしろいし」

先輩「そんなことよく言える…」
990 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 08:57:31.11 ID:zFEalOsAO
先輩2「ベースは? まだ弾いてるの?」

先輩「うん。今バンドやっててね、楽しんでる」

先輩「そっちは?」

先輩2「私はもうやってないわ。レポートに資格の勉強に…色々忙しくてね」

先輩「相変わらず真面目。恋人とかいないの?」

先輩2「……いなくて悪かったわね。そういうあんたはどうなの」

先輩「いないけど」

先輩2「…自分もいないのに何でわざわざそんなこと聞いてくるのよ」

先輩「いないって聞いて安心したくて。私たち仲間ね」

先輩2「バンドやってるんだったら簡単にできると思うけど?」

先輩「だって私がやってるバンドはガールズバンドだし、男の人はこわいし…」

先輩2「こわいって…」

先輩「仕方ないじゃない、ずっと女子高だったから…耐性ないのよ」

先輩2「女子高ねぇ…確かにそうだったけど」

先輩2「そういえば知ってる? 今日桜ヶ丘の卒業式よ」
991 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 08:58:35.12 ID:zFEalOsAO
先輩「うん、私の方にもメール来てた」

先輩2「一年か…ほんと時間過ぎるのは早いわね」

先輩「なに? おばさんくさい」

先輩2「実際そう思うんだから仕方ないじゃない」

先輩2「去年まで高校生だった私たちはもう大学生。面倒を見ていた子は卒業、その下は三年生に進級」

先輩2「あっという間よ」

先輩「懐かしいわね、高校生活。ジャズ研楽しかったな」

先輩2「今はどうなってるのかしら。コンテストは三位で賞を取ったって聞いたけど」

先輩「夏に一回会いに行ったら、賑やかになってるみたいよ。部員数も増えて」

先輩「純なんて後輩に結構なつかれてたし」

先輩2「純? ……ああ、あの子ね」

先輩2「あの子は要領いいから、上手くやってそうね」

先輩「他のみんなはどうだろ…なんか気になってきた」

先輩2「今から卒業式に行く?」

先輩「まさか、今私たちが行ったって邪魔になるだけでしょ」

先輩2「あはは、そうね」

先輩「でもまぁ……これからもずっとジャズ研が残ってくれると嬉しいな」
992 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 08:59:50.82 ID:zFEalOsAO
・・・・・

先輩C「…ったく、こんな時期に兼部だなんて何を考えてるんだ」

先輩A「いいじゃない、本人はやる気なんだし」

先輩C「はぁ…中途半端にならないといいけどな」

後輩A「こんな時まで純ちゃんのこと心配してるの? 私たちもう学校卒業しちゃったのに」

先輩C「……卒業しようが何だろうがあいつは私の後輩だ。心配してなにが悪い」

先輩B「やっさすぃ〜い」

先輩C「…だいたいお前はどう思うんだ、兼部には賛成なのか?」

先輩B「人間の可能性は無限大。強い意志と情熱さえあればなんでもできる。そしてその想いは新たな未来作り、いずれ人と人がお互いを理解し分かりあう平和な世界を築き上げるのさ」

先輩C「なんだその無意味に大仰な台詞は…」

先輩B「正直なところ、兼部がどうこうなんてそんな大きな問題じゃないと思うけど。良いか悪いかなんてやってみないと分からないんだし〜」

先輩B「それに純は優しい、だけど自分にできる事とできない事は分かってるやつだよ」

先輩B「そんな純が兼部するって決めたんなら、大丈夫でしょ」

先輩C「……」
993 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:01:35.46 ID:zFEalOsAO
先輩A「そうそう心配したってしょうがないんだし、純ちゃんを信じてあげようよ。ね?」

先輩C「まぁ…な」

先輩B「ま、部活なんて自由にやるもんなんだから私たちがいちいち口出しすることでもないし〜」

先輩C「……部活か。やりたくてももうできないんだろうな、私たちは」

先輩A「寂しい?」

先輩C「……」

先輩A「もう卒業だもんね…けど、できることだったらこのままずっと学校にいたいなぁ」

先輩B「……」

先輩A「色々あったよね、私たちも。二人なんて一年のころは仲悪かったし」

先輩C「今でも良いとは思わないけどな」

先輩B「ひでぇ」

先輩A「もぉ〜、二人の仲取り繕うの苦労したんだからね。ほんとに…あの頃は……グズッ」

先輩C「……」

先輩A「ケンカしたり…遊んだり…ヒッグ……楽しくて……」

先輩B「……」

先輩A「グスッ……やっぱり卒業したくないよぉ……」

先輩C「ばか…泣くな。お前が泣いたら……私まで……」

パシャリッ

先輩C「!?」

先輩B「イェイ、泣き顔写メでゲット〜」
994 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:02:50.77 ID:zFEalOsAO
先輩C「あ…お、おい! なに勝手に撮ってるんだ、消せ!!」

先輩B「や〜だよ〜」

先輩C「こら逃げるな!」

先輩B「写真消して欲しかったら、学校の外まで私を追いかけてきな」

先輩B「それとも、本当にこのままずぅ〜っと学校に残ってるかい?」

先輩A「え…」

先輩C「……」

先輩B「そんじゃ〜私先に逃るから、十数えたら追いかけてきてね」

先輩A「……」

先輩C「……ハッ、ばかだな。お前は足が遅いんだから特別に十五秒待ってやる」

先輩B「いいよそれで。そんじゃよ〜いドン」

先輩A「もう……ふふっ、しょうがないなぁ」

先輩C「……ああ、確かにあいつはしょうがないやつだ」

先輩C「だけど悪いやつじゃない」

先輩A「もうちょっと素直な言い方してあげればいいのに」

先輩C「うるさいな……時間だ、行くぞ」

先輩A「あっ、ちょっと待ってよぉ〜!」
995 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:04:09.36 ID:zFEalOsAO
・・・・・

同級生「春から上級生になる君たちにセンパイとしてアドバイスを授けよう!」

後輩a「はいっ!」

同級生「がんばれ!! 以上っ!」

後輩b「……はい?」

同級生「いやぁ、言ってみたものの特に思い付かなかったから…ごめんね」

後輩b(ダメだこの人…)

同級生「とりあえず、こんど入ってくる一年生の面倒はあんた達がみるんだからよろしくねっ」

後輩c「は、はいっ」

後輩a「センパイもレギュラーに定着できるといいですね」

同級生「もうバッチリ! もう超余裕!」

部長「あら、自信満々なのね」

同級生「だわっ!? び、びっくり…急に現れないでよ」

部長「私が急に現れたら迷惑なの?」

同級生「い、いえ…そういうわけでは……」

部長「そう、ならよろしい」

後輩b(……何か弱味でも握られてる?)
996 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:05:42.76 ID:zFEalOsAO
部長「あなた達もいよいよ二年生ね。これからもっと練習が厳しくなると思うけど、頑張るのよ?」

後輩a「はいっ!」

同級生「あーお腹すいてきた。昼過ぎだしなんか食べに行きたくない?」

後輩a「いいですね、行きたいです!」

後輩b「部長はどうします?」

部長「私は遠慮するわ。これから用事があるの、ごめんね」

同級生「ほっ…」

部長「なに?」

同級生「い、いえ!? 残念だなぁー!」

後輩b「あんたは来るでしょ?」

後輩c「うんっ」

後輩a「それにしてもさぁ……なんか変わったよね」

後輩c「え…?」

後輩a「前は暗くて口数も少なかったけど、今は明るくなったじゃん」

後輩b「ほんと、一年の頃と比べるとだいぶ変わったよあんた」

後輩c「そ、そうかな…えへへ」

後輩c「あ、で、でも二人のおかげだよ? 二人が友達になってくれて本当に嬉しかった」

後輩c「センパイたちにもお世話になったし」

同級生「いやー、それほどでも」

後輩c「それと純先輩にも…色んなことをたくさん教えてもらって……」

後輩c「私、ジャズ研が大好きです。だから二年生になったら一年生にも大好きって言ってもらえるような部活にしたいです!」

後輩a「おおっ、熱いね!」

後輩b「いいんじゃない、それ。素敵ね」

後輩c「えへへ」

部長「すごいわね。あの子、あなたより立派よ」

同級生「そ、そんなことない! 私だって……!」

同級生「みんなより、百万億兆倍がんばる!!」

部長「……やっぱり心配ね、あなた」
997 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:07:40.03 ID:zFEalOsAO
・・・・・

純「――こうやって憂と二人で軽音部に向かってると、あの日のこと思い出すなぁ」

憂「あの日?」

純「ほら、初めて部活見学しに行った時」

憂「あ〜思い出した。二人で軽音部の見学に行ったよね」

純「あの時は驚いたなぁ。いきなりお茶出されるし、ジャージだったし」

憂「あははっ」

純「ま、そんなこんなでジャズ研に入った私だけど、結局軽音部にも入るんだもんね」

純「一年の頃の私がそんなこと聞いたら絶対驚くよ」

憂「私は部活やってこなかったし、楽しみだなぁ」

純「しかしまぁ…」

純「これで一年生が入部してこなかったら結局廃部なんだけどね」

憂「それは言わないであげて純ちゃん…」
998 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:08:51.55 ID:zFEalOsAO
純「全ては春休み明けにかかってるかぁ…どうなることやら」

憂「だ、大丈夫だよ! 一人ぐらいはたぶん」

純「そうであってほしいけどさ。…いざって時は一年を拉致して無理やり入部させる、とか?」

憂「それはやり過ぎだよ」

純「でもやっぱり不安なんだもん。ジャズ研のみんなに兼部するって言った手前、廃部になっちゃったら格好つかないし」

憂「ジャズ研の人たち、純ちゃんが兼部すること認めてくれたんだ」

純「まぁ一応ね。さっきセンパイに色々言われたりもしたけど」

純「でもみんな、ちゃんと分かってくれた」

憂「そっかぁ、優しい人たちなんだね」

純「うんっ」

憂「…ごめんね、純ちゃん一人に大変なことさせちゃって」

純「ぜーんぜん。何も問題ないよ、憂」
999 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:10:03.46 ID:zFEalOsAO
憂「だけど……」

純「……ならもっと早く入部してればよかったのかな」

憂「え?」

純「ジャズ研入ったことに後悔はないし、むしろ良かったと思ってる……でもあの時、一年の時に軽音部とジャズ研、どっちを選んだ方が正しかったんだろうって考えたことがあって」

純「ジャズ研のみんなは事情を分かってくれたけど…やっぱり、今回ばかりは自分の都合のいいように勝手しちゃったかな」

憂「純ちゃん……」

純「でもさ、それでも不思議なことに後悔は全くないんだよね」

純「もしジャズ研に入ってなかったら」

純「もし私がベースを弾いてなかったら」

純「もし梓と友達になってなかったら」

純「どれか一つでも欠けてたら今の私はいないわけだし、だったら別に今までやってきたことは悪いことじゃないんだなって思うようにもなった」

純「そして今の私が軽音をやりたいと思ってるのなら、それでいいと思う」

純「まぁなにが言いたいかっていうと」

純「今の気持ちを、大切にした方がいいのかな…ってこと」

純「だから憂が気にすることじゃないの。私は、私がやりたいようにやっただけなんだから」
1000 : ◆eXN6fvAgkw [saga]:2011/10/12(水) 09:11:52.05 ID:zFEalOsAO
憂「純ちゃん…ありがとう」

純「どういたしまして」

憂「…お姉ちゃんたちがいなくなって、学校の景色が変わっちゃうね」

純「これからは私たちの時代でしょ。軽音部、じゃんじゃん盛り上げようよ!」

憂「うんっ!」

純「とりあえず軽音部に入ったらティータイムを楽しもうかな。一度やってみたかったし」

憂「純ちゃんってば、そればっかはダメだよ?」

純「分かってるって。練習もやります」

純(あっ、そうだ。ジャズ研との合同練習とかあったら面白そうかも……今度提案してみようかな)

憂「純ちゃん、もうすぐ軽音部だよ」

純「今は梓一人かな…?」

憂「たぶん……お姉ちゃんたちはもう行っちゃったと思う」

純「きっと寂しがってるんだろうなぁ、梓。泣いてたりして」

憂「ふふっ、ありえるかも」

純「梓のことだから、だいたい想像つくよね。結構単純だし」

憂「でもそれも梓ちゃんのいいところだよ」

純「まぁね……さてと、それじゃ」

純「梓を驚かせにでも行きますか」

ガチャッ――

##22 おわり
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クラシック卒業してここにたどり着いた @ 2011/10/12(水) 06:54:22.96
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嫁宣言して60分以内に嫁AAにお断りされなければ結婚避難所 @ 2011/10/12(水) 04:42:37.57 ID:RjSdB4uIO
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アイドルグループLEVEL5!! @ 2011/10/12(水) 04:13:52.54 ID:YHnOBIKAO
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【創価】【統一】自民党はカルト政党【幸福の科学】 @ 2011/10/12(水) 04:07:03.42
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ビッチビッチャービッチェスト @ 2011/10/12(水) 02:39:35.00 ID:mnzvpizro
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仕事サボってんじゃねえぞ埋め立て @ 2011/10/12(水) 00:11:27.42 ID:p1vNxIIfo
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インデックス「お店屋さン?」 一方通行「店、じゃねェよなァ……」 @ 2011/10/11(火) 23:50:11.01 ID:9Sm4fkbG0
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滋賀作って、どのスレにも出没して色々絡んで来るんだけど @ 2011/10/11(火) 23:38:46.33 ID:7tfVo6l30
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